JP2019058147A - 育苗用培土 - Google Patents

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ちひろ 磯谷
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Abstract

【課題】育苗期間が長い場合であっても、保肥性、保水性、透水性などを損なうことなく藻類の発生を抑制可能なネギ属用の育苗用培土を提供する。【解決手段】肥料成分と、リン酸吸収係数が1500mg/100g以上の粒状の火山灰土壌とを含み、前記火山灰土壌の粒度が500μm以上2000μm以下であり、前記火山灰土壌の含有量が3容積%以上65容積%以下である構成とする。ここで、前記肥料成分は水溶性リン酸を含むのが好ましい。また、ピートモス、ココナッツピート、バーミキュライト、ゼオライトの少なくとも1つの培土基材をさらに含むのが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は育苗用培土に関し、より詳細には育苗期間の長いネギ属の育成に好適な培土に関するものである。
従来から農園芸作業では、小容量の容器が多数個連結したペーパーポットやセルトレイなどの育苗用容器に培土を充填し、この培土に播種し、苗を集中生育させた後、この生育苗を機械を用いて移植する方法が広く行われている。
ネギ、タマネギ、ニラ等のネギ属の苗の育成についても同様の方法が取られるが、ネギ属の育苗期間は、他の野菜と比べて長く、通常2ヶ月〜3ヶ月にもなる。この間、肥切れが生じないようにするためには追肥を行う必要があり時間と労力がかかっていた。
そこで、例えば特許文献1では、肥効の持続性や保水性・透水性などの改善を目的として、有機性肥料分を多く含んでいる浄水場発生土に、ゼオライト、植物質資材及び緩効性肥料を添加したネギ育苗用培地が提案されている。また特許文献2では、所定値以上の高陽イオン交換容量をもち、且つ所定値未満のpF値及び所定範囲のpF値の各水分量がそれぞれ所定範囲にある育苗培地が提案されている。
特開2000−188946公号報 特開平9−65758号公報
育苗用培土に肥料を多く配合すれば肥効の持続性は改善されるものの、ペーパーポットやセルトレイなどの小容量の容器に多量の肥料を配合した培土を充填すると、培土表面に藻類やカビが発生しやすくなる。培土表面に藻類やカビが発生すると過湿になり、苗に病気が発生しやすくなる。また虫が発生することもある。そしてまた、培土表面の藻類によって培土への水の浸透が妨げられることがある。このような病気や虫の発生、透水性の悪化などによって苗の健全な育成が図れないことがしばしば生じる。
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、育苗期間が長い場合であっても、保肥性、保水性、透水性などを損なうことなく藻類の発生を抑制可能な育苗用培土を提供することにある。
前記目的を達成する本発明に係る育苗用培土は、肥料成分と、リン酸吸収係数が1500mg/100g以上の粒状の火山灰土壌とを含むネギ属用の育苗用培土であって、前記火山灰土壌の粒度が500μm以上2000μm以下であり、前記火山灰土壌の含有量が3容積%以上65容積%以下であることを特徴とする。
なお、本明細書においてリン酸吸収係数とは、土壌に一定量のリン酸溶液を加えたときに、土壌100gに吸収されたリン酸(P)をmg単位で表したものをいい、具体的測定方法は後述する。
前記構成の育苗用培土において、前記肥料成分が水溶性リン酸を含む構成としてもよい。
また前記構成の育苗用培土において、ピートモス、ココナッツピート、バーミキュライト、ゼオライトの少なくとも1つの培土基材をさらに含む構成としてもよい。
本発明の育苗用培土によれば、育苗期間が長い場合であっても、保肥性、保水性、透水性などを損なうことなく藻類の発生を抑制すること可能である。
実施例11〜15及び比較例5,6のネギ苗の状態を示す図である。 健全なネギ苗の状態を示す図である。 培土表面に藻類が発生した場合のネギ苗の状態を示す図である。
本発明に係る育苗用培土は、リン酸吸収係数が1500mg/100g以上の粒状の火山灰土壌を含むことが大きな特徴の一つである。本発明で使用する火山灰土壌としては、リン酸吸収係数が1500mg/100g以上のものであれば特に限定はない。例えば、赤玉土や鹿沼土などが使用できる。これらの中でも赤玉土が好適に使用される。赤玉土は、八ヶ岳、浅間山、箱根、富士山などの噴出した火山噴出物の堆積土壌であり、篩で分級して玉状にしたものでる。
火山灰土壌の粒度は500μm以上2000μm以下であることが重要である。後述の実施例で示すように、火山灰土壌がこの粒度範囲であることによって、育苗用培土に配合したときに培土表面における藻類の発生が効果的に抑えられる。
火山灰土壌の粒度を前記範囲とするには、火山灰土壌を乾燥させた後、篩いによって分級すればよい。あるいは、造粒操作によって火山灰土壌の粒度を所定範囲としていもよい。具体的に造粒操作は例えば次のようにして行う。
火山灰土壌の原料に、少なくともバインダーと必要に応じて水を添加し、これを混練・造粒して小さな固まりを製造し、これを乾燥させた後、必要によりクラッシャー等によって細粒化し、これを篩い分けて一定の粒度に選別する。混練・造粒方法としては、転動造粒法の他、流動層造粒、撹拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒等の既知のさまざまな方法を使用可能である。バインダーは、例えば、主成分がポリビニルアルコール系の接着剤が好適に使用される。また、水は、原料の含水量によって必要量を添加するようにし、原料の含水量が多い場合は添加しない。
また、火山灰土壌の硬度を高くして割れや欠けを抑える観点から、火山灰土壌を温度600℃〜900℃に加熱し焼成してもよい。焼成によって火山灰土壌が焼き締まると共に殺菌などが図れる。
本発明の育苗用培土における火山灰土壌の含有量が3容積%以上65容積%以下であることも重要である。後述の実施例で示すように、火山灰土壌の含有量が3容積%未満であると本発明の効果すなわち藻類の発生を抑えることができない。一方、火山灰土壌の含有量が65容積%を超えると苗の健全な育成が図れない。火山灰土壌の含有量のより好ましい下限値は5容積%であり、より好ましい上限値は60容積%である。
本発明の育苗用培土には培土基材として従来公知のものを配合することができる。培土基材としては従来公知のものが使用でき、例えば、造粒培土、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト等の鉱物資材、ピートモス、ココナッツピート、ヤシガラピートモス、バカス、バーク等の植物系繊維資材およびその混合品が適している。これらの中でも、ピートモス、ココナッツピート、バーミキュライト、ゼオライトの少なくとも1つを用いるのが好ましく、より好ましくはピートモス、バーミキュライトを混合して用いるのがよい。ピートモスとバーミキュライトとを用いる場合、ピートモスとバーミキュライトとの混合割合は容積比で1:0.5以上1:1.5以下であるのが好ましい。このような混合割合によって高い保水性、透水性及び保肥性などが得られる。
本発明で使用する肥料成分としては、堆肥、魚粉、骨粉、油かす、米ぬかなどの有機質肥料、石灰質肥料(水酸化カルシウム、炭酸カルシウムなど)、窒素質肥料(硫酸アンモニア、硝酸アンモニア、塩化アンモニア、尿素、石灰窒素など)、リン酸質肥料(過リン酸石灰、熔成リン肥、焼成リン肥など)、カリ質肥料(硫酸カリ、塩酸カリ、硫酸カリ苦土など)などの化学肥料、有機質肥料を主原料とし数種類の肥料を混合した配合肥料、数種類の肥料に化学的工程を加えて製造した化成肥料などが挙げられる。
本発明の育苗用培土には、火山灰土壌及び肥料成分の他、本発明の効果を害しない範囲において、界面活性剤、pH調整剤、固化剤などの従来公知の添加剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、例えば、石けん、硫酸化油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルアミノ酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などのカチオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどのノニオン界面活性剤;ベタイン、スルホベタインなどの両性界面活性剤など挙げることができる。
pH調整剤としては、例えば、消石灰、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、リン酸、クエン酸などが挙げられる。pH調整剤などの添加剤は、界面活性剤及び固化剤と共に培土基材に添加すればよい。また、界面活性剤と固化剤とを混合して混合剤を予め作製する場合には、混合剤に添加するのがよい。
固化剤としては、農業資材分野において通常用いられているような固化剤であれば特に限定されるものではないが、例えば、水溶性高分子化合物が好ましく、カルボキシメチルセルロース・メチルセルロース・キトサン等の糖鎖系高分子化合物、ポリビニルアルコール等のポリオール系高分子化合物、ポリ酢酸ビニル等の酢酸系高分子化合物、アラビアゴム等の天然ゴム類、ポリビニルピロリドン類、アクリル酸(塩)・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)・アクリルアミド等の単重合体又は共重合体であるアクリル系高分子化合物、キサンタンガム・アルギン酸等の天然高分子化合物等を挙げることができる。特に、アクリル酸(塩)とアクリルアミドとの共重合体が好ましく挙げられる。
また、植物性有機資材としてピートモスを用いる場合、ピートモスは、一般にpH3.5〜5.5程度の酸性を有するため、消石灰や生石灰、苦土石灰、炭酸カルシウム等をさらに投入・混合してpH調整するのが好ましい。
混合装置としては従来公知の装置を用いることができ、例えば、パドルミキサーやコンクリートミキサー、平型混合機等が挙げられる。混合条件としては、装置の種類や処理量などから適宜決定すればよい。例えば、平型混合機(桶直径:63cm,桶深さ:35cm)の場合では回転数60rpmで3分間程度である。
本発明の育苗用培土に播種する植物としては、育苗期間の長い植物が適しており、ネギ、タマネギ、ニラ等のネギ属の植物が挙げられる。これらの植物の播種は、例えば、本発明の育苗用培土をセル、ポット、トレー、苗箱などの育苗用容器に充填し、播種すればよい。
(リン酸吸収係数の測定方法)
本明細書におけるリン酸吸収係数は2.5%リン酸アンモニウム法で測定した値である。具体的にはリン酸吸収係数は次のようにして測定される。サンプルに接触試薬(pH7.0,2.5%(NH)HPO)が1:2となるよう混和し、24時間静置した後にNo.6ろ紙でろ過する。この接触ろ液を純水で希釈し、発色試薬(P−abc発色試薬)を添加し、10分間静置した後、分光光度計(波長:420nm)で測定する。
(可溶性アンモニア態窒素の測定方法)
育苗用培土中の可溶性アンモニア態窒素は次のようにして測定される。サンプル10gと1N−KCL100mLを混和し130rpmで30分振とうさせ、No.3ろ紙でろ過する。このろ液を純水で希釈し、発色試薬(NH−N・Solb−N・CEC・T−N分析試薬セット)を添加し、15分間静置した後、分光光度計(波長:640nm)で測定する。表2〜表4ではAN(1N−KCL)と記す。
(水溶性リン酸(P)の測定方法)
育苗用培土中の水溶性リン酸(P)は次のようにして測定される。サンプル10gと純水100mLを混和し130rpmで30分振とうさせ、No.3ろ紙でろ過する。このろ液を純水で希釈する。希釈液に発色試薬を添加し15分間静置した後、分光光度計(波長:410nm)で測定する。表2〜表4ではP(HO)と記す。
発色試薬(A):純水100mLにHNOを125mLを加えて撹拌した後にNHVO(バナジン(V)酸アンモニウム)0.56gを加えて溶解する。
発色試薬(B):温湯(純水)200mLに七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(粉末)13.5gを加えて溶解する。
発色試薬:上記のように作成した発色試薬(A)液に(B)液を入れ作成する。
実施例1
リン酸吸収係数が1937mg/100g・soilで粒度が1180μm以上2000μm以下の火山灰土壌(赤玉土)20容積%と、培土基材としてのピートモス40容積%、バーミキュライト40容積%、肥料成分としてアンモニア態窒素170mg/L及び、水溶性リン酸(Pとして)750mg/Lと、水110g/Lとを混合機に投入し混合して育苗用培土を作製した。表1に示した肥料組成(mg/L)は混合した肥料の保証成分値から算出した。作製した育苗用培土について下記の藻類発生程度評価を行った。評価結果を表1に示す。
(藻類発生程度評価)
作製した培土を、底に穴が5か所形成された容積50mLのプラスチック製の容器に詰めて5回タッピングし、沈下した表面にさらに培土をかぶせ5回タッピングした。そして、培土を容器に擦切り一杯とした。
その後、培土を充填した容器4個をハウスに置き、10日間定期的に潅水を行い藻類発生程度を下記基準で点数化し、容器4個の平均点数を藻類発生程度の指標とした。平均点数の低い方が藻類の発生が少なく、平均点数の高い方が藻類の発生が多いことを意味する。なお、表1〜表3に示す評価試験は各々異なる期間で行ったため、温度・湿度などの環境条件が異なっており、藻類発生程度評価の点数は同一表内でのみ比較可能である。
1点:無し
2点:少し
3点:中程度
4点:やや多い
5点:かなり多い
実施例2,3及び比較例1
表1に示す粒度の火山灰土壌(赤玉土)を用いた以外は実施例1と同様にして育苗用培土を作製し、実施例1と同様にして藻類発生程度評価を行った。評価結果を表1に合わせて示す。
表1から明らかなように、粒度が1180μm以上2000μm以下の火山灰土壌(赤玉土)を用いた実施例1の育苗用培土では藻類発生程度は2.3と実施例の中で最も低くかった。また、粒度が710μm以上1180μm以下の火山灰土壌(赤玉土)を用いた実施例2の育苗用培土及び粒度が500μm以上710μm以下の火山灰土壌(赤玉土)を用いた実施例3の育苗用培土ではいずれも藻類発生程度は2.8であった。
これに対して粒度が500μm未満の火山灰土壌(赤玉土)を用いた比較例1の育苗用培土では藻類発生程度は3.3と実施例1〜3の育苗用培土に比べて高く藻類の発生が多かった。
実施例4
リン酸吸収係数が2167mg/100g・soilで粒度が500μm以上2000μm以下の火山灰土壌(赤玉土)10容積%と、培土基材としてのピートモス45容積%、バーミキュライト45容積%、肥料成分としてアンモニア態窒素170mg/L及び、水溶性リン酸(Pとして)3000mg/Lと、水110g/Lとを混合機に投入し混合して育苗用培土を作製した。表2に示した肥料組成(mg/L)は混合した肥料の保証成分値から算出した。作製した育苗用培土について前記の藻類発生程度評価を行った。ただし、培土を充填した容器3個をハウスに置き、12日間定期的に潅水を行った。評価結果を表2に示す。また、作製した育苗培土中の可溶性アンモニア態窒素及び水溶性リン酸(P)の含有量を前記測定方法で分析した。分析結果を表2に合わせて示す。
実施例5〜8及び比較例2
火山灰土壌(赤玉土)の配合割合を表2に示す配合割合とした以外は実施例4と同様にして育苗用培土を作製し、実施例4と同様にして藻類発生程度の評価及び可溶性アンモニア態窒素と水溶性リン酸(P)の含有量の分析を行った。評価結果及び分析結果を表2に合わせて示す。
表2から明らかなように、火山灰土壌(赤玉土)の配合割合が10容積%から65容積%に段階的に高くされた実施例4〜8の育苗用培土では、火山灰土壌(赤玉土)の配合割合が高くなるにしたがって培土中の水溶性リン酸(P)の含有量は少なくなり、藻類発生程度は3.3から2.0へと藻類の発生は少なくなった。
これに対して、火山灰土壌(赤玉土)が配合されなかった比較例2の育苗用培土では、水溶性リン酸(P)の含有量が2220mg/Lと高く藻類発生程度は4.0と実施例4〜8の育苗用培土に比べて藻類の発生が多かった。
実施例9
リン酸吸収係数が2167mg/100g・soilで粒度が500μm以上2000μm以下の火山灰土壌(赤玉土)3容積%と、培土基材としてのピートモス48.5容積%、バーミキュライト48.5容積%、肥料成分としてアンモニア態窒素170mg/L及び、水溶性リン酸(Pとして)750mg/Lと、水110g/Lとを混合機に投入し混合して育苗用培土を作製した。表3に示した肥料組成(mg/L)は混合した肥料の保証成分値から算出した。作製した育苗用培土について前記の藻類発生程度評価を行った。ただし、培土を充填した容器4個をハウスに置き、7日間定期的に潅水を行った。評価結果を表3に示す。また、作製した育苗培土中の可溶性アンモニア態窒素及び水溶性リン酸(P)の含有量を前記測定方法で分析した。分析結果を表3に合わせて示す。
実施例10及び比較例3,4
火山灰土壌(赤玉土)の配合割合を表3に示す配合割合とした以外は実施例9と同様にして育苗用培土を作製し、実施例9と同様にして藻類発生程度の評価及び可溶性アンモニア態窒素と水溶性リン酸(P)の含有量の分析を行った。評価結果及び分析結果を表3に合わせて示す。
表3から明らかなように、火山灰土壌(赤玉土)の配合割合が3容積%及び5容積%の実施例9及び実施例10の育苗用培土では、培土中の水溶性リン酸(P)の含有量は389mg/L及び319mg/Lに減少し、藻類発生程度は1.8及び1.5と藻類の発生は少なかった。
これに対して、火山灰土壌(赤玉土)が配合されなかった比較例3の育苗用培土及び火山灰土壌(赤玉土)が1容量%配合された比較例4の育苗用培土では、培土中の水溶性リン酸(P)の含有量が623mg/L及び537mg/Lと高く、藻類発生程度はいずれも2.5と実施例9,10の育苗用培土に比べて高く藻類の発生が多かった。
実施例11
リン酸吸収係数が2167mg/100g・soilで粒度が500μm以上2000μm以下の火山灰土壌(赤玉土)5容積%と、培土基材としてのピートモス47.5容積%、バーミキュライト47.5容積%、肥料成分としてアンモニア態窒素92mg/L及び、水溶性リン酸(Pとして)59mg/Lと、水110g/Lとを混合機に投入し混合して育苗用培土を作製した。表4に示した肥料組成(mg/L)は混合した肥料の保証成分値から算出した。
作製した育苗用培土を用いて下記の手順でネギの育苗を行った。そして、育苗後のネギ苗の葉長を測定した。測定結果を表4に示す。また、ネギ苗の状態を図1に示す。
(1)ポット200個からなるユープラグトレイに作製した育苗用培土を床土として充填した。そして、播種するスペースを確保するため、ポット中の床土を上から鎮圧した後、ネギ種子(品種:夏扇4号)を2粒播種し、同一の培土で覆土した。
(2)播種し終わったユープラグトレイをハウス内のベンチ上に並べ、適時に灌水を行って37日間育苗した。
また、作製した育苗用培土中の可溶性アンモニア態窒素及び水溶性リン酸(P)の含有量を前記測定方法で分析した。分析結果を表4に合わせて示す。
実施例12〜15及び比較例5,6
火山灰土壌(赤玉土)の配合割合を表4に示す配合割合とした以外は実施例11と同様にして育苗用培土を作製した。そして、作製した育苗用培土を用いてネギの育苗を行い、育苗後のネギ苗の葉長を測定した。測定結果を表4に示す。また、ネギ苗の状態を図1に合わせて示す。そしてまた、実施例11と同様にして、作製した育苗用培土中の可溶性アンモニア態窒素及び水溶性リン酸(P)の含有量の分析を行った。分析結果を表4に合わせて示す。
表4及び図1から明らかなように、火山灰土壌(赤玉土)の配合割合が5容積%である実施例11の育苗用培土では、葉長が111.3mmの健全なネギ苗が生育した。また、火山灰土壌(赤玉土)の配合割合が10容積%から60容積%に段階的に高くされた実施例12〜15の育苗用培土では、配合割合が高くなるにつれて葉長は短くなったが育苗性能に問題はなかった。
これに対して、火山灰土壌(赤玉土)の配合割合が80容量%及び100容量%である比較例5及び比較例6の育苗用培土では、ネギ苗の葉長は62.3mm及び61.2mmと実施例11〜15のネギ苗の葉長よりも短く、またネギ苗の状態も貧弱であった。
(その他)
本発明の育苗用培土は主に、小容量の容器が多数個連結したペーパーポットやセルトレイなどの育苗用容器に充填される床土として好適に使用されるが、育苗用容器の覆土としても用いることができる。
本発明の育苗用培土は、育苗期間が長い場合であっても保肥性、保水性、透水性などを損なうことなく藻類の発生を抑制すること可能であり有用である。

Claims (3)

  1. 肥料成分と、
    リン酸吸収係数が1500mg/100g以上の粒状の火山灰土壌と、
    を含むネギ属用の育苗用培土であって、
    前記火山灰土壌の粒度が500μm以上2000μm以下であり、
    前記火山灰土壌の含有量が3容積%以上65容積%以下である
    ことを特徴とする育苗用培土。
  2. 前記肥料成分が水溶性リン酸を含む請求項1記載の育苗用培土。
  3. ピートモス、ココナッツピート、バーミキュライト、ゼオライトの少なくとも1つの培土基材をさらに含む請求項1又は2記載の育苗用培土。
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