JP2019055648A - 車両用空気調和装置 - Google Patents

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徹也 石関
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竜 宮腰
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耕平 山下
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Abstract

【課題】室外熱交換器と過冷却部の間の開閉弁に逆圧が加わることで発生する振動や騒音を解消、若しくは、抑制することができる車両用空気調和装置を提供する。【解決手段】室外熱交換器7の冷媒出口側に設けられた過冷却部16と、室外熱交換器7の冷媒出口と過冷却部16の間に設けられ、冷房時に開放される電磁弁17を有する。停止状態では電磁弁17を開くと共に、停止状態から暖房モードで起動する際、及び/又は、冷房モードから暖房モードに移行する際、所定の逆圧抑制判定条件が成立するまで、起動後、及び/又は、移行後も電磁弁17が開いた状態を維持する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の車室内を空調するヒートポンプ方式の車両用空気調和装置に関するものである。
近年の環境問題の顕在化から、ハイブリッド自動車や電気自動車が普及するに至っている。そして、このような車両に適用することができる空気調和装置として、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室内側に設けられて冷媒を放熱させる放熱器と、車室内側に設けられて冷媒を吸熱させる吸熱器と、車室外側に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させる室外熱交換器を備え、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、この放熱器において放熱した冷媒を室外膨張弁で減圧した後、室外熱交換器において吸熱させる暖房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、放熱器において放熱した冷媒を吸熱器と室外熱交換器において吸熱させる除湿暖房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器及び室外熱交換器において放熱させ、吸熱器において吸熱させる除湿冷房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器において放熱させ、吸熱器において吸熱させる冷房モードとを切り換え可能としたものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
この場合、室外熱交換器の冷媒出口側には過冷却部が設けられ、過冷却部と室外熱交換器の間には冷房用の電磁弁(開閉弁)が介設されている。そして、暖房モードではこの冷房用の電磁弁を閉じ、室外熱交換器と圧縮機の間に設けられた暖房用の電磁弁(開閉弁)を開放して室外熱交換器から出た冷媒を圧縮機に吸い込ませ、冷房時には暖房用の電磁弁を閉じ、冷房用の電磁弁を開いて室外熱交換器から出た冷媒を過冷却部に流した後、減圧して吸熱器に流すものであった。
特開2017−13635号公報 特開2001−227670号公報
ここで、暖房モードでは放熱器の出口側(放熱器から室外膨張弁に至る領域)に比較的多量の液冷媒が溜まっている。この状態で車両用空気調和装置が停止すると、室外膨張弁は全開となり、冷房用の電磁弁は開放されるので、放熱器の出口側に溜まっている冷媒が室外膨張弁、室外熱交換器、冷房用の電磁弁を経て過冷却部に流入し、外気で冷えて室外熱交換器を含む過冷却部内に液状態で溜まり込むことになる。
この状態で再び暖房モードで車両用空気調和装置の圧縮機が起動されると、冷房用の電磁弁は閉じられるので過冷却部には液冷媒が閉じ込められ、溜まったままとなる。一方、室外熱交換器からは圧縮機の運転により冷媒が吸引されて低圧となるので、冷房用の電磁弁の冷媒流入側(室外熱交換器側)が冷媒流出側(過冷却部側)より圧力が低くなり、冷房用の電磁弁には逆圧が加わることになる。また、例えば冷房モードでは過冷却部16に冷媒が流れているため、この冷房モードから暖房モードに移行する際も、係る逆圧は同様に発生する。
冷房用の電磁弁に逆圧が加わると、内部の弁体が冷媒流出側の圧力で押し上げられ、開いてしまう。そして、弁体はコイルバネの付勢力でその後また閉じられるので、このような開/閉が細かく行われて振動と騒音(所謂ビビリ音)が発生するという問題があった。
特に、冷房用の電磁弁として特許文献2に示されるような所謂ノーマルオープン型のパイロット式の電磁弁(冷媒流入側と冷媒流出側との圧力差を利用して主弁体を動作される電磁弁)を採用した場合には、冷媒流入側と冷媒流出側との圧力逆転で、主弁体の開閉状態を維持するためのバランスが崩れやすく、騒音抑制のための改善が望まれていた。
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、室外熱交換器と過冷却部の間の開閉弁に逆圧が加わることで発生する振動や騒音を解消、若しくは、抑制することができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
本発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させるための室外熱交換器と、この室外熱交換器の冷媒出口側に設けられた過冷却部と、室外熱交換器の冷媒出口と過冷却部の間に設けられた開閉弁と、制御装置とを備え、この制御装置により少なくとも、開閉弁を閉じ、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を室外膨張弁で減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させ、圧縮機に吸い込ませる第1の運転モードと、開閉弁を開き、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、当該室外熱交換器で放熱し、過冷却部を経た冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させ、圧縮機に吸い込ませる第2の運転モードとを切り換えて実行するものであって、制御装置は、停止状態では開閉弁を開くと共に、停止状態から第1の運転モードで起動する際、及び/又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行する際、所定の逆圧抑制判定条件が成立するまで、起動後、及び/又は、移行後も開閉弁が開いた状態を維持することを特徴とする。
請求項2の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、所定時間経過した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じることを特徴とする。
請求項3の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において制御装置は、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、室外膨張弁の弁開度が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じることを特徴とする。
請求項4の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において制御装置は、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、圧縮機の回転数が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じることを特徴とする。
請求項5の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において制御装置は、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、高圧側圧力が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じることを特徴とする。
請求項6の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において制御装置は、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、低圧側圧力が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じることを特徴とする。
請求項7の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において制御装置は、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、放熱器の入口側の冷媒温度が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じることを特徴とする。
請求項8の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において制御装置は、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、放熱器の出口側の冷媒温度が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じることを特徴とする。
請求項9の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において制御装置は、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、圧縮機の吸込冷媒温度が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じることを特徴とする。
請求項10の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において制御装置は、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、放熱器の出口における冷媒の過冷却度が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じることを特徴とする。
本発明によれば、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させるための室外熱交換器と、この室外熱交換器の冷媒出口側に設けられた過冷却部と、室外熱交換器の冷媒出口と過冷却部の間に設けられた開閉弁と、制御装置とを備え、この制御装置により少なくとも、開閉弁を閉じ、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を室外膨張弁で減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させ、圧縮機に吸い込ませる第1の運転モードと、開閉弁を開き、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、当該室外熱交換器で放熱し、過冷却部を経た冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させ、圧縮機に吸い込ませる第2の運転モードとを切り換えて実行する車両用空気調和装置において、制御装置が、停止状態では開閉弁を開くと共に、停止状態から第1の運転モードで起動する際、及び/又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行する際、所定の逆圧抑制判定条件が成立するまで、起動後、及び/又は、移行後も開閉弁が開いた状態を維持するようにしたので、停止状態から第1の運転モードで起動する際や、第2の運転モードから第1の運転モードに移行する際に、開閉弁が閉じられて冷媒が過冷却部内に閉じ込められ、その後の第1の運転モードで開閉弁に逆圧が加わることを回避、若しくは、抑制することができるようになる。これにより、開閉弁において振動や騒音が発生する不都合を未然に解消し、若しくは、低減することができるようになる。
この場合、請求項2の発明の如く制御装置が、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、所定時間経過した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じるようにすれば、過冷却部に溜まっていた冷媒を、この所定時間が経過するうちに圧縮機に吸い込ませ、開閉弁において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
また、請求項3の発明の如く制御装置が、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、室外膨張弁の弁開度が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じるようにしても、過冷却部に溜まっていた冷媒を、室外膨張弁の弁開度が所定値に到達するうちに圧縮機に吸い込ませ、開閉弁において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
また、請求項4の発明の如く制御装置が、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、圧縮機の回転数が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じるようにしても、過冷却部に溜まっていた冷媒を、圧縮機の回転数が所定値に到達するうちに当該圧縮機に吸い込ませ、開閉弁において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
また、請求項5の発明の如く制御装置が、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、高圧側圧力が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じるようにしても、過冷却部に溜まっていた冷媒を、高圧側圧力が所定値に到達するうちに圧縮機に吸い込ませ、開閉弁において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
また、請求項6の発明の如く制御装置が、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、低圧側圧力が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じるようにしても、過冷却部に溜まっていた冷媒を、低圧側圧力が所定値に到達するうちに圧縮機に吸い込ませ、開閉弁において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
また、請求項7の発明の如く制御装置が、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、放熱器の入口側の冷媒温度が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じるようにしても、過冷却部に溜まっていた冷媒を、放熱器の入口側の冷媒温度が所定値に到達するうちに圧縮機に吸い込ませ、開閉弁において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
また、請求項8の発明の如く制御装置が、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、放熱器の出口側の冷媒温度が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じるようにしても、過冷却部に溜まっていた冷媒を、放熱器の出口側の冷媒温度が所定値に到達するうちに圧縮機に吸い込ませ、開閉弁において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
また、請求項9の発明の如く制御装置が、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、圧縮機の吸込冷媒温度が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じるようにしても、過冷却部に溜まっていた冷媒を、圧縮機の吸込冷媒温度が所定値に到達するうちに当該圧縮機に吸い込ませ、開閉弁において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
また、請求項10の発明の如く制御装置が、第1の運転モードで起動した後、又は、第2の運転モードから第1の運転モードに移行した後、放熱器の出口における冷媒の過冷却度が所定値に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、開閉弁を閉じるようにしても、過冷却部に溜まっていた冷媒を、放熱器の出口における冷媒の過冷却度が所定値に到達するうちに圧縮機に吸い込ませ、開閉弁において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
本発明を適用した一実施形態の車両用空気調和装置の構成図である(実施例1)。 図1の車両用空気調和装置のコントローラの電気回路のブロック図である。 図2のコントローラの暖房モードにおける圧縮機制御に関する制御ブロック図である。 図2のコントローラの冷房モードにおける圧縮機制御に関する制御ブロック図である。 停止状態から暖房モードで起動する際の図2のコントローラによる各機器の制御を説明するタイミングチャートである。 冷房モードから暖房モードに移行する際の図2のコントローラによる各機器の制御を説明するタイミングチャートである。 本発明を適用した他の実施形態の車両用空気調和装置の構成図である(実施例2)。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明を適用した一実施例の車両用空気調和装置1の構成図を示している。本発明を適用する実施例の車両は、エンジン(内燃機関)が搭載されていない電気自動車(EV)であって、バッテリに充電された電力で走行用の電動モータを駆動して走行するものであり(何れも図示せず)、本発明の車両用空気調和装置1も、バッテリの電力で駆動されるものとする。即ち、この実施例の車両用空気調和装置1は、エンジン廃熱による暖房ができない電気自動車において、冷媒回路を用いたヒートポンプ運転により暖房モードを行い、更に、除湿暖房モードや内部サイクルモード、除湿冷房モード、冷房モード、補助ヒータ単独モードの各運転モードを選択的に切り換えて実行するものである。
尚、この実施例では上記暖房モードが本発明における第1の運転モードであり、冷房モード及び除湿冷房モードが本発明における第2の運転モードである。また、車両として電気自動車に限らず、エンジンと走行用の電動モータを供用する所謂ハイブリッド自動車にも本発明は有効であり、更には、エンジンで走行する通常の自動車にも適用可能であることは云うまでもない。
実施例の車両用空気調和装置1は、電気自動車の車室内の空調(暖房、冷房、除湿、及び、換気)を行うものであり、冷媒を圧縮する電動式の圧縮機2と、車室内空気が通気循環されるHVACユニット10の空気流通路3内に設けられ、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒が冷媒配管13Gを介して流入し、この冷媒を車室内に放熱させる放熱器4と、暖房時に冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室外膨張弁(減圧装置)6と、冷房時には放熱器として機能し、暖房時には蒸発器として機能すべく冷媒と外気との間で熱交換を行わせる室外熱交換器7と、冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室内膨張弁(減圧装置。機械式膨張弁でもよい)8と、空気流通路3内に設けられて冷房時及び除湿時に車室内外から冷媒に吸熱させる吸熱器9と、アキュムレータ12等が冷媒配管13により順次接続され、冷媒回路Rが構成されている。
尚、室外熱交換器7には、室外送風機15が設けられている。この室外送風機15は、室外熱交換器7に外気を強制的に通風することにより、外気と冷媒とを熱交換させるものであり、これにより停車中(即ち、車速が0km/h)にも室外熱交換器7に外気が通風されるよう構成されている。
また、室外熱交換器7は冷媒下流側にレシーバドライヤ部14と過冷却部16を順次有し、室外熱交換器7の冷媒出口に接続された冷媒配管13Aは冷房時に開放される第1の開閉弁としての冷房用の電磁弁17を介してレシーバドライヤ部14に接続され、過冷却部16の出口が冷媒配管13Bにより、逆止弁18を介して室内膨張弁8に接続されている。尚、レシーバドライヤ部14及び過冷却部16は構造的に室外熱交換器7の一部を構成しており、逆止弁18は室内膨張弁8側が順方向とされている。
また、過冷却部16と逆止弁18間の冷媒配管13Bは、吸熱器9の出口側に位置する冷媒配管13Cと熱交換関係に設けられ、両者で内部熱交換器19を構成している。これにより、冷媒配管13Bを経て室内膨張弁8に流入する冷媒は、吸熱器9を出た低温の冷媒により冷却(過冷却)される構成とされている。
また、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは分岐しており、この分岐した冷媒配管13Dは、暖房時に開放される第2の開閉弁としての暖房用の電磁弁21を介して内部熱交換器19の下流側における冷媒配管13Cに連通接続されている。この冷媒配管13Cがアキュムレータ12に接続され、アキュムレータ12は圧縮機2の冷媒吸込側に接続されている。また、吸熱器9の出口側の冷媒配管13Cには、内部熱交換器19の冷媒下流側であって、冷媒配管13Dとの合流点より冷媒上流側に蒸発圧力調整弁11が接続されている。
更に、放熱器4の出口側の冷媒配管13Eは室外膨張弁6の手前で冷媒配管13Jと冷媒配管13Fに分岐しており、分岐した一方の冷媒配管13Jが室外膨張弁6を介して室外熱交換器7の冷媒入口に接続されている。尚、室外膨張弁6には第3の開閉弁としてのバイパス用の電磁弁20が並列に接続されている。また、分岐した他方の冷媒配管13Fは除湿時に開放される第4の開閉弁としての除湿用の電磁弁22を介して逆止弁18の下流側の冷媒配管13Bに連通接続されている。これにより、冷媒配管13Fは室外膨張弁6と室外熱交換器7等の直列回路に対して並列に接続されたバイパス回路となる。電磁弁22はこのバイパス回路(冷媒配管13F)の途中に接続されている。
そして、これら電磁弁17、20、21、22が流路切換装置を構成する。ここで、各電磁弁17、20、21、22は何れもコイルを有し、当該コイルに通電されて開閉が制御されるパイロット式の電磁弁(冷媒流入側と冷媒流出側との圧力差を利用して主弁体を動作される電磁弁)であるが、冷房用の電磁弁17とバイパス用の電磁弁20は、コイルへの通電時に閉じ、車両用空気調和装置1が停止している際や運転中の非通電時に開放する所謂ノーマルオープン型(NO)の電磁弁であり、暖房用の電磁弁21と除湿用の電磁弁22は、通電時に開放し、停止中や運転中の非通電時に閉じる所謂ノーマルクローズ型(NC)の電磁弁である。尚、室外膨張弁6も停止時には後述するコントローラ32により弁開度を全開とされる。
また、吸熱器9の空気上流側における空気流通路3には、外気吸込口と内気吸込口の各吸込口が形成されており(図1では吸込口25で代表して示す)、この吸込口25には空気流通路3内に導入する空気を車室内の空気である内気(内気循環モード)と、車室外の空気である外気(外気導入モード)とに切り換える吸込切換ダンパ26が設けられている。更に、この吸込切換ダンパ26の空気下流側には、導入した内気や外気を空気流通路3に送給するための室内送風機(ブロワファン)27が設けられている。
また、図1において23は実施例の車両用空気調和装置1に設けられた補助加熱装置としての補助ヒータである。この補助ヒータ23は実施例ではPTCヒータ(電気ヒータ)から構成されており、空気流通路3の空気の流れに対して、この実施例では放熱器4の空気下流側となる空気流通路3内に設けられている。そして、補助ヒータ23(補助加熱装置)が通電されて発熱(作動)すると、これが所謂ヒータコアとなり、車室内の暖房を補完する。このように、補助ヒータ23を空気流通路3における空気の流れに対して放熱器4の下流側に配置すれば、補助ヒータ23により温められた空気から放熱器4が吸熱する不都合が解消される。これにより、車両用空気調和装置1の運転効率の悪化を未然に回避することができるようになる。
ここで、HVACユニット10の吸熱器9より風下側(空気下流側)の空気流通路3は仕切壁10Aにより区画され、暖房用熱交換通路3Aとそれをバイパスするバイパス通路3Bとが形成されており、前述した放熱器4と補助ヒータ23は暖房用熱交換通路3Aに配置されている。また、放熱器4の空気上流側における空気流通路3内には、当該空気流通路3内に流入し、吸熱器9を通過した後の空気流通路3内の空気(内気や外気)を暖房用熱交換通路3A内の放熱器4や補助ヒータ23に通風する割合を調整するエアミックスダンパ28が設けられている。
更に、放熱器4及び補助ヒータ23の風下側におけるHVACユニット10には、FOOT(フット)吹出口29A、VENT(ベント)吹出口29B、DEF(デフ)吹出口29Cの各吹出口が形成されている。FOOT吹出口29Aは車室内の足下に空気を吹き出すための吹出口である。また、VENT吹出口29Bは車室内の搭乗者の胸や顔付近に空気を吹き出すための吹出口である。そして、DEF吹出口29Cは車両のフロントガラスやサイドウインドウの内側に空気を吹き出すための吹出口である。そして、FOOT吹出口29A、VENT吹出口29B、及び、DEF吹出口29Cには、空気の吹き出し量を制御するFOOT吹出口ダンパ31A、VENT吹出口ダンパ31B、及び、DEF吹出口ダンパ31Cの各吹出口ダンパがそれぞれ設けられている。
尚、後述するコントローラ32は、FOOT吹出口29Aから空気を吹き出すFOOT吹出モードと、VENT吹出口29Bから空気を吹き出すVENT吹出モードと、VENT吹出口29BとFOOT吹出口29Aの双方から空気を吹き出すB/L吹出モードと、DEF吹出口29Cから吹き出すDEF吹出モードを有しており、オートモードで、若しくは、後述する空調操作部53へのマニュアル操作に基づいて各吹出モードが選択されるように構成されている。
次に、図2において32は制御装置であるコントローラ(ECU)である。このコントローラ32(制御装置)は、プロセッサを備えたコンピュータの一例としてのマイクロコンピュータから構成されており、その入力には車両の外気温度(Tam)を検出する外気温度センサ33と、外気湿度を検出する外気湿度センサ34と、吸込口25から空気流通路3に吸い込まれる空気の温度を検出するHVAC吸込温度センサ36と、車室内の空気(内気)の温度を検出する内気温度センサ37と、車室内の空気の湿度を検出する内気湿度センサ38と、車室内の二酸化炭素濃度を検出する室内CO2濃度センサ39と、車室内に吹き出される空気の温度(吹出温度TAI)を検出する吹出温度センサ41と、圧縮機2の吐出冷媒圧力(吐出圧力Pd:冷媒回路の高圧側圧力)を検出する吐出圧力センサ42と、圧縮機2の吐出冷媒温度(吐出温度Td)を検出する吐出温度センサ43と、圧縮機2の吸込冷媒圧力(吸込圧力Ps:冷媒回路Rの低圧側圧力)を検出する吸込圧力センサ44と、圧縮機2の吸込冷媒温度(吸込温度Ts)を検出する吸込温度センサ69と、放熱器4の冷媒入口側の冷媒温度(放熱器入口温度TCIin)を検出する放熱器入口温度センサ46と、放熱器4の冷媒出口側の冷媒温度(放熱器出口温度TCIoutを検出する放熱器出口温度センサ68と、放熱器4の冷媒圧力(放熱器4内、又は、放熱器4を出た直後の冷媒の圧力:放熱器圧力PCI)を検出する放熱器圧力センサ47と、吸熱器9の温度(吸熱器9を経た空気の温度、又は、吸熱器9自体の温度:吸熱器温度Te)を検出する吸熱器温度センサ48と、吸熱器9の冷媒圧力(吸熱器9内、又は、吸熱器9を出た直後の冷媒の圧力)を検出する吸熱器圧力センサ49と、車室内への日射量を検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ51と、車両の移動速度(車速)を検出するための車速センサ52と、設定温度や運転モードの切り換えを設定するための空調(エアコン)操作部53と、室外熱交換器7の温度(室外熱交換器7から出た直後の冷媒の温度、又は、室外熱交換器7自体の温度)を検出する室外熱交換器温度センサ54と、室外熱交換器7の冷媒圧力(室外熱交換器7内、又は、室外熱交換器7から出た直後の冷媒の圧力)を検出する室外熱交換器圧力センサ56の各出力が接続されている。
この場合、空調操作部53には吹出モード選択ボタンが設けられており、各ボタンのON操作によって前述したDEF吹出モード、VENT吹出モード、FOOT吹出モード、B/L吹出モードを切り換えるものである。また、コントローラ32の入力には更に、補助ヒータ23の温度(補助ヒータ23を経た空気の温度、又は、補助ヒータ23自体の温度:補助ヒータ温度Tptc)を検出する補助ヒータ温度センサ50の出力も接続されている。
一方、コントローラ32の出力には、圧縮機2と、室外送風機15と、室内送風機(ブロワファン)27と、吸込切換ダンパ26と、エアミックスダンパ28と、各吹出口ダンパ31A〜31Cと、室外膨張弁6と、室内膨張弁8と、電磁弁22(除湿)、電磁弁17(冷房)、電磁弁21(暖房)、電磁弁20(バイパス)の各電磁弁と、蒸発圧力調整弁11と、補助ヒータ23が接続されている。そして、コントローラ32は各センサの出力と空調操作部53にて入力された設定に基づいてこれらを制御する。
以上の構成で、次に実施例の車両用空気調和装置1の動作を説明する。コントローラ32は、この実施例では暖房モードと、除湿暖房モードと、内部サイクルモードと、除湿冷房モードと、冷房モード、補助ヒータ単独モードの各運転モードを切り換えて実行する。先ず、各運転モードについて説明する。
(1)暖房モード(第1の運転モード)
コントローラ32により(オートモード)或いは空調操作部53へのマニュアル操作(マニュアルモード)により暖房モードが選択されると、コントローラ32は電磁弁21(暖房用)を開放し、電磁弁17を閉じる。また、電磁弁22、20も閉じる。
そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が暖房用熱交換通路3A内の放熱器4及び補助ヒータ23に通風される割合を調整する状態とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒(補助ヒータ23が作動されるときは放熱器4及び補助ヒータ23)により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
放熱器4内で液化した全ての冷媒は放熱器4を出た後、冷媒配管13E、13Jを経て室外膨張弁6に至る。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる。即ち、冷媒回路Rがヒートポンプとなる。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13A及び電磁弁21及び冷媒配管13Dを経て冷媒配管13Cからアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
即ち、この暖房モードでは冷媒は室外熱交換器7のみで蒸発して外気から熱を汲み上げ、この汲み上げられた熱を用いて放熱器4により空気流通路3内の空気を加熱する。この加熱された空気は補助ヒータ23を経て吹出口29A〜29Cから吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
コントローラ32は、後述する目標吹出温度TAO、又は、この目標吹出温度TAOから算出される目標ヒータ温度TCOから目標放熱器圧力PCO(放熱器圧力PCIの目標値)を算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI。冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。尚、前記目標ヒータ温度TCOは、コントローラ32が推定する放熱器4の風下側の空気温度(以下、加熱温度THと云う)の目標値である。また、例えば放熱器出口温度センサ68が検出する放熱器出口温度TCIout、及び、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の出口における冷媒の過冷却度(SC)を制御する。
実施例では目標ヒータ温度TCOから目標放熱器圧力PCOを算出しているが、直接目標吹出温度TAOから目標放熱器圧力PCOを算出し、圧縮機2の回転数NCを制御するようにしてもよい。尚、実施例では前記目標ヒータ温度TCOは基本的にはTCO=TAOとされるが、制御上の所定の制限が設けられる。
(2)除湿暖房モード
次に、除湿暖房モードでは、コントローラ32は上記暖房モードの状態において電磁弁22を開放する。これにより、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒の一部が分流され、この一部が電磁弁22を経て冷媒配管13Fに流入し、この冷媒配管13Fを経て室内膨張弁8に流れ、残りが室外膨張弁6に流れるようになる。即ち、分流された一部の冷媒が室内膨張弁8にて減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。
コントローラ32は吸熱器9の出口における冷媒の過熱度(SH)を所定値に維持するように室内膨張弁8の弁開度を制御するが、このときに吸熱器9で生じる冷媒の吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。分流されて冷媒配管13Jに流入した残りの冷媒は、室外膨張弁6で減圧された後、室外熱交換器7で蒸発し、外気から吸熱することになる。
吸熱器9で蒸発した冷媒は、内部熱交換器19、蒸発圧力調整弁11を順次経て冷媒配管13Cにて冷媒配管13Dからの冷媒(室外熱交換器7からの冷媒)と合流した後、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4(補助ヒータ23が発熱されるときは放熱器4及び補助ヒータ23)を通過する過程で再加熱されるので、これにより車室内の除湿暖房が行われることになる。
コントローラ32は目標ヒータ温度TCOから算出される目標放熱器圧力PCOと放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCI(冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御すると共に、吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御する。また、コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度Teに基づき、蒸発圧力調整弁11を開(流路を拡大する)/閉(少許冷媒が流れる)し、吸熱器9の温度が下がり過ぎて凍結する不都合を防止する。
(3)内部サイクルモード
次に、内部サイクルモードでは、コントローラ32は上記除湿暖房モードの状態において室外膨張弁6を全閉とする(全閉位置)と共に、電磁弁21を閉じる。即ち、この内部サイクルモードは除湿暖房モードにおける室外膨張弁6の制御で当該室外膨張弁6を全閉とした状態であるので、本発明ではこの内部サイクルモードを除湿暖房モードの一部と捉える。
但し、室外膨張弁6と電磁弁21が閉じられることにより、室外熱交換器7への冷媒の流入、及び、室外熱交換器7からの冷媒の流出は阻止されることになるので、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒は電磁弁22を経て冷媒配管13Fに全て流れるようになる。そして、冷媒配管13Fを流れる冷媒は当該冷媒配管13Fを経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19、蒸発圧力調整弁11を順次経て冷媒配管13Cを流れ、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱されるので、これにより、車室内の除湿暖房が行われることになるが、この内部サイクルモードでは室内側の空気流通路3内にある放熱器4(放熱)と吸熱器9(吸熱)の間で冷媒が循環されることになるので、外気からの熱の汲み上げは行われず、圧縮機2の消費動力分の暖房能力が発揮される。除湿作用を発揮する吸熱器9には冷媒の全量が流れるので、上記除湿暖房モードに比較すると除湿能力は高いが、暖房能力は低くなる。
コントローラ32は吸熱器9の温度、又は、前述した放熱器圧力PCI(冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。このとき、コントローラ32は吸熱器9の温度によるか放熱器圧力PCIによるか、何れかの演算から得られる圧縮機目標回転数の低い方を選択して圧縮機2を制御する。
(4)除湿冷房モード(第2の運転モード)
次に、除湿冷房モードでは、コントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁22、20も閉じる。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が暖房用熱交換通路3A内の放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化していく。
放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至り、開き気味で制御される室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。この過冷却部16で冷媒は過冷却されることになる。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19、逆止弁18を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19、蒸発圧力調整弁11を順次経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱(暖房時よりも放熱能力は低い)されるので、これにより車室内の除湿冷房が行われることになる。
コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御すると共に、前述した冷媒回路Rの高圧圧力に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI)を制御する。
(5)冷房モード(第2の運転モード)
次に、冷房モードでは、コントローラ32は電磁弁17、20を開放し、電磁弁21、22を閉じる。そして、室外膨張弁6の弁開度を全開とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気は通風されないので、ここは通過するのみとなり、放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て電磁弁20及び室外膨張弁6に至る。このとき電磁弁20は開いているので冷媒は室外膨張弁6を迂回して冷媒配管13Jを通過し、そのまま室外熱交換器7に流入し、そこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮液化する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。この過冷却部16で冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19、逆止弁18を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19、蒸発圧力調整弁11を順次経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4を通過すること無く各吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出されるので、これにより車室内の冷房が行われることになる。この冷房モードにおいては、コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
(6)補助ヒータ単独モード
尚、実施例のコントローラ32は室外熱交換器7に過着霜が生じた場合などに、冷媒回路Rの圧縮機2と室外送風機15を停止し、補助ヒータ23に通電してこの補助ヒータ23のみで車室内を暖房する補助ヒータ単独モードを有している。この場合にも、コントローラ32は補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Tptcと前述した目標ヒータ温度TCOに基づいて補助ヒータ23の通電(発熱)を制御する。
また、コントローラ32は室内送風機27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出された空気流通路3内の空気を補助ヒータ23に通風し、風量を調整する状態とする。補助ヒータ23にて加熱された空気が吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
(7)運転モードの切り換え
コントローラ32は下記式(I)から前述した目標吹出温度TAOを算出する。この目標吹出温度TAOは、吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出される空気の温度である吹出温度TAIの目標値である。
TAO=(Tset−Tin)×K+Tbal(f(Tset、SUN、Tam))
・・(I)
ここで、Tsetは空調操作部53で設定された車室内の設定温度、Tinは内気温度センサ37が検出する車室内空気の温度、Kは係数、Tbalは設定温度Tsetや、日射センサ51が検出する日射量SUN、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamから算出されるバランス値である。そして、一般的に、この目標吹出温度TAOは外気温度Tamが低い程高く、外気温度Tamが上昇するに伴って低下する。
そして、コントローラ32は起動時には外気温度センサ33が検出する外気温度Tamと目標吹出温度TAOとに基づいて上記各運転モードのうちの何れかの運転モードを選択する。また、起動後は外気温度Tamや目標吹出温度TAO等の環境や設定条件の変化に応じて前記各運転モードを選択し、切り換えていく。
(8)補助ヒータ23による補助加熱
また、コントローラ32は、前記暖房モードにおいて放熱器4による暖房能力が不足すると判断した場合、補助ヒータ23に通電して発熱させることにより、補助ヒータ23による加熱を実行する。補助ヒータ23が発熱すると空気流通路3の放熱器4を通過した空気をこの補助ヒータ23で更に加熱することになる。
これにより、要求される暖房能力(目標吹出温度TAOから得られる目標ヒータ温度TCOと吸熱器温度Teとの差から算出される)に対して放熱器4が発生可能な暖房能力が不足する場合に、この不足する分の暖房能力を補助ヒータ23にて補完することになる。
(9)暖房モードにおける圧縮機2の制御
次に、図3を参照しながら前述した暖房モードにおける圧縮機2の回転数NCの制御について説明する。図3はこの実施例の車両用空気調和装置1の暖房モードでの圧縮機2の目標回転数(圧縮機目標回転数)TGNChを決定するコントローラ32の制御ブロック図である。コントローラ32のF/F(フィードフォワード)操作量演算部58は外気温度センサ33から得られる外気温度Tamと、室内送風機27のブロワ電圧BLVと、SW=(TAO−Te)/(TH−Te)で得られるエアミックスダンパ28のエアミックスダンパ開度SWと、放熱器4の出口における過冷却度SCの目標値である目標過冷却度TGSCと、加熱温度TH(放熱器4の風下側の空気温度)の目標値である前述した目標ヒータ温度TCOと、放熱器4の圧力の目標値である目標放熱器圧力PCOに基づいて圧縮機目標回転数のF/F操作量TGNChffを演算する。
尚、エアミックスダンパ開度SWは0≦SW≦1の範囲で変化し、0で放熱器4及び補助ヒータ23への通風をしないエアミックス全閉状態、1で空気流通路3内の全ての空気を放熱器4及び補助ヒータ23に通風するエアミックス全開状態となる。
前記目標放熱器圧力PCOは上記目標過冷却度TGSCと目標ヒータ温度TCOに基づいて目標値演算部59が演算する。更に、F/B(フィードバック)操作量演算部60はこの目標放熱器圧力PCOと放熱器4の冷媒圧力である放熱器圧力PCIに基づいて圧縮機目標回転数のF/B操作量TGNChfbを演算する。そして、F/F操作量演算部58が演算したF/F操作量TGNCnffとF/B操作量演算部60が演算したTGNChfbは加算器61で加算され、リミット設定部62で制御上限値と制御下限値のリミット(制御範囲)が付けられた後、圧縮機目標回転数TGNChとして決定される。暖房モードにおいては、コントローラ32はこの圧縮機目標回転数TGNChに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。即ち、コントローラ32は暖房モードでは放熱器圧力PCIと目標放熱器圧力PCOとに基づき、放熱器圧力PCIが目標放熱器圧力PCOとなるように圧縮機目標回転数TGNChを算出して圧縮機2の回転数NCを制御する。
(10)冷房モードにおける圧縮機2の制御
次に、図4を参照しながら前述した冷房モードにおける圧縮機2の回転数NCの制御について説明する。図4はこの実施例の車両用空気調和装置1の冷房モードでの圧縮機2の目標回転数(圧縮機目標回転数)TGNCcを決定するコントローラ32の制御ブロック図である。コントローラ32のF/F操作量演算部63は外気温度Tamと、室内送風機27のブロワ電圧BLVと、吸熱器温度Te(吸熱器9の温度)の目標値である目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機目標回転数のF/F操作量TGNCcffを算出する。
また、F/B操作量演算部64は目標吸熱器温度TEOと吸熱器温度Teに基づいて圧縮機目標回転数のF/B操作量TGNCcfbを算出する。そして、F/F操作量演算部63が算出したF/F操作量TGNCcffとF/B操作量演算部64が算出したF/B操作量TGNCcfbは加算器66で加算され、リミット設定部67で制御上限値と制御下限値のリミット(制御範囲)が付けられた後、圧縮機目標回転数TGNCcとして決定される。冷房モードにおいては、コントローラ32はこの圧縮機目標回転数TGNCcに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
(11)電磁弁17の振動騒音の防止制御
次に、図5、図6を参照しながらコントローラ32によって停止状態から暖房モード(第1の運転モード)で車両用空気調和装置1を起動する際、及び、冷房モードから暖房モードに移行する際に実行される振動騒音の防止制御について説明する。
前述した如く、暖房モードでは放熱器4の出口側(放熱器4から室外膨張弁6に至る領域)に比較的多量の液冷媒が溜まっている。この状態で車両用空気調和装置1が停止すると、室外膨張弁6の弁開度は全開とされ、ノーマルオープン型の電磁弁17は開放されるので、放熱器4の出口側に溜まっている冷媒が室外膨張弁6、室外熱交換器7、電磁弁17、レシーバドライヤ部14を経て過冷却部16に流入し、外気で冷えて室外熱交換器7を含む過冷却部16内に液状態で溜まり込む。尚、過冷却部16は冷媒配管13Bを介して吸熱器9側にも連通しているが、室内膨張弁8等の流路抵抗が大きいため、吸熱器9側に流出する量は少ない。
この状態で再び暖房モードで車両用空気調和装置1の圧縮機2が起動されると、電磁弁17が閉じられるので、過冷却部16には液冷媒が閉じ込められ、溜まったままとなる。一方、室外熱交換器7からは圧縮機2の運転により冷媒が吸引されて低圧となるので、電磁弁17の冷媒流入側(室外熱交換器7側)が冷媒流出側(過冷却部16側)より圧力が低くなり、電磁弁17に逆圧が加わって振動や騒音が発生する。
また、冷房モードでは冷媒は過冷却部16に流れているため、この冷房モードから暖房モードに移行する際にも、過冷却部16に閉じ込められた冷媒によって電磁弁17に逆圧が加わり、振動や騒音が発生する。そこで、コントローラ32は係る電磁弁17で生じる振動や騒音を防止(又は、抑制)する制御を実行する。
(11−1)停止状態から暖房モードで起動する際の電磁弁17の振動騒音の防止制御(その1)
先ず、図5に基づいて停止状態から暖房モードで起動する際の電磁弁17の振動騒音の防止制御について具体的に説明する。尚、図5のタイミングチャートは、暖房モードで運転していた車両用空気調和装置1が一旦停止し、その状態から再び暖房モードで起動する際の圧縮機2、室外膨張弁6、及び、各電磁弁17、22、21、20の動作を示している。
車両用空気調和装置1が停止状態から暖房モードで起動されると(運転モードが停止から暖房モードに切り換わる)、コントローラ32は先ず開いていた電磁弁20を閉じる。また、全開となっていた室外膨張弁6を所定の突沸防止用の弁開度まで閉じていく。次に、閉じていた電磁弁21を開く。尚、コントローラ32は暖房モードで起動されても電磁弁17を閉じず、開いた状態を維持する。また、暖房モードでは電磁弁22は閉じたままである。
次に、コントローラ32は室外膨張弁6が前述した弁開度まで閉じられた時点で、圧縮機2を起動し、その回転数NCを上昇させていき、前述した暖房モードの制御範囲での制御に移行する。但し、室外膨張弁6は前述した弁開度に保持し、アキュムレータ12における冷媒の突沸を防止する。そして、暖房モードでの起動後、所定時間t1が経過した場合、コントローラ32は電磁弁17を閉じ、室外膨張弁6の制御も前述した暖房モードの制御範囲での制御に移行する。この所定時間t1がこの実施例における電磁弁17の逆圧抑制判定条件となり、当該所定時間t1が経過したことが、逆発抑制判定条件の成立を意味する。
(11−2)冷房モードから暖房モードに移行する際の電磁弁17の振動騒音の防止制御(その1)
次に、図6に基づいて冷房モードから暖房モードに移行する際の電磁弁17の振動騒音の防止制御について具体的に説明する。図6のタイミングチャートは、冷房モードで運転していた状態から暖房モードに移行する際の圧縮機2、室外膨張弁6、及び、各電磁弁17、22、21、20の動作を示している。
車両用空気調和装置1が冷房モードから暖房モードに移行すると(運転モードが冷房モードから暖房モードに切り換わる)、コントローラ32は先ず前述した冷房モードでの制御範囲で運転している状態から、圧縮機2を一旦停止する。また、全開となっていた室外膨張弁6を前述した突沸防止用の弁開度まで閉じていく。尚、コントローラ32は暖房モードに移行しても電磁弁17を閉じず、開いた状態を維持する。また、暖房モードに移行後も電磁弁22は閉じたままである。
次に、コントローラ32は室外膨張弁6が前述した弁開度まで閉じられた時点で、圧縮機2を起動し、その回転数NCを上昇させていき、前述した暖房モードの制御範囲での制御に移行する。また、電磁弁21を開き、電磁弁20は閉じる。但し、室外膨張弁6は前述した弁開度に保持し、アキュムレータ12における冷媒の突沸を防止する。そして、冷房モードから暖房モードに移行後、所定時間t1が経過した場合、コントローラ32は電磁弁17を閉じ、室外膨張弁6の制御も前述した暖房モードの制御範囲での制御に移行する。この場合も所定時間t1がこの実施例における電磁弁17の逆圧抑制判定条件となり、当該所定時間t1が経過したことが、逆発抑制判定条件の成立を意味する。
以上のように、この実施例(その1)ではコントローラ32は、停止状態から暖房モードで起動する際、及び、冷房モードから暖房モードに移行する際、起動から所定時間t1が経過するまで、及び、暖房モードに移行後、所定時間t1が経過するまで、電磁弁17が開いた状態を維持するので、過冷却部16に溜まっていた冷媒を、この所定時間t1が経過するうちにレシーバドライヤ部14及び電磁弁17、21を介して圧縮機2に吸い込ませることができる。これにより、従来の如く冷媒が過冷却部16内に閉じ込められ、その後の暖房モードで電磁弁17に逆圧が加わることを回避、若しくは、抑制することができるようになり、電磁弁17において振動や騒音が発生する不都合を未然に解消し、若しくは、低減することができるようになる。
(11−3)電磁弁17の振動騒音の防止制御(その2)
尚、上記各実施例(その1)では停止状態から暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、所定時間t1が経過した場合に電磁弁17を閉じるようにしたが、それに限らず、暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、室外膨張弁6が閉じられていき、その弁開度が所定値ECCV1に到達した場合に、電磁弁17を閉じるようにしてもよい。この所定値ECCV1がこの実施例における電磁弁17の逆圧抑制判定条件となり、室外膨張弁6の弁開度が所定値ECCV1に到達したことが、逆発抑制判定条件の成立を意味する。
この所定値ECCV1は、この実施例では前述した突沸防止用の弁開度か、若しくは、それより大きい弁開度となるが、このように暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、室外膨張弁6の弁開度が所定値ECCV1に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、電磁弁17を閉じるようにしても、過冷却部16に溜まっていた冷媒を、室外膨張弁6の弁開度が所定値ECCV1に到達するうちに圧縮機2に吸い込ませ、電磁弁17において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
(11−4)暖房モードで起動する際の電磁弁17の振動騒音の防止制御(その3)
また、停止状態から暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、圧縮機2の回転数NCが上昇されていき、所定値NC1に到達した場合に、電磁弁17を閉じるようにしてもよい。この所定値NC1がこの実施例における電磁弁17の逆圧抑制判定条件となり、圧縮機2の回転数NCが所定値NC1に到達したことが、逆発抑制判定条件の成立を意味する。
この所定値NC1は、暖房モードでの制御範囲内の何れかの値となるが、このように暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、圧縮機2の回転数NCが所定値NC1に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、電磁弁17を閉じるようにしても、過冷却部16に溜まっていた冷媒を、圧縮機2の回転数NCが所定値NC1に到達するうちに圧縮機2に吸い込ませ、電磁弁17において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
(11−5)暖房モードで起動する際の電磁弁17の振動騒音の防止制御(その4)
また、停止状態から暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、吐出圧力センサ42が検出する圧縮機2の吐出圧力Pd(冷媒回路Rの高圧側圧力である)が上昇していき、所定値Pd1に到達した場合に、電磁弁17を閉じるようにしてもよい。この所定値Pd1がこの実施例における電磁弁17の逆圧抑制判定条件となり、圧縮機2の吐出圧力Pd(高圧側圧力)が所定値Pd1に到達したことが、逆発抑制判定条件の成立を意味する。
この所定値Pd1は、例えば車両用空気調和装置1が通常運転状態となった状態の吐出圧力Pdが採用されるが、このように暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、圧縮機2の吐出圧力Pdが所定値Pd1に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、電磁弁17を閉じるようにしても、過冷却部16に溜まっていた冷媒を、圧縮機2の吐出圧力Pdが所定値Pd1に到達するうちに圧縮機2に吸い込ませ、電磁弁17において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
(11−6)暖房モードで起動する際の電磁弁17の振動騒音の防止制御(その5)
また、停止状態から暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、吸込圧力センサ44が検出する圧縮機2の吸込圧力Ps(冷媒回路Rの低圧側圧力である)が低下していき、所定値Ps1に到達した場合に、電磁弁17を閉じるようにしてもよい。この所定値Ps1がこの実施例における電磁弁17の逆圧抑制判定条件となり、圧縮機2の吸込圧力Ps(低圧側圧力)が所定値Ps1に到達したことが、逆発抑制判定条件の成立を意味する。
この所定値Ps1は、例えば車両用空気調和装置1が通常運転状態となった状態の吸込圧力Psが採用されるが、このように暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、圧縮機2の吸込圧力Psが所定値Ps1に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、電磁弁17を閉じるようにしても、過冷却部16に溜まっていた冷媒を、圧縮機2の吸込圧力Psが所定値Ps1に到達するうちに圧縮機2に吸い込ませ、電磁弁17において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
(11−7)暖房モードで起動する際の電磁弁17の振動騒音の防止制御(その6)
また、停止状態から暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、放熱器入口温度センサ46が検出する放熱器入口温度TCIin(冷媒回路Rの高圧ガスラインの温度である)が上昇していき、所定値TCIin1に到達した場合に、電磁弁17を閉じるようにしてもよい。この所定値TCIin1がこの実施例における電磁弁17の逆圧抑制判定条件となり、放熱器入口温度TCIin(高圧ガスラインの温度)が所定値TCIin1に到達したことが、逆発抑制判定条件の成立を意味する。
この所定値TCIin1も、例えば車両用空気調和装置1が通常運転状態となった状態の放熱器入口温度TCIinが採用されるが、このように暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、放熱器入口温度TCIinが所定値TCIin1に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、電磁弁17を閉じるようにしても、過冷却部16に溜まっていた冷媒を、放熱器入口温度TCIinが所定値TCIin1に到達するうちに圧縮機2に吸い込ませ、電磁弁17において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
(11−8)暖房モードで起動する際の電磁弁17の振動騒音の防止制御(その7)
また、停止状態から暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、放熱器出口温度センサ68が検出する放熱器出口温度TCIout(冷媒回路Rの高圧液ラインの温度である)が上昇していき、所定値TCIout1に到達した場合に、電磁弁17を閉じるようにしてもよい。この所定値TCIout1がこの実施例における電磁弁17の逆圧抑制判定条件となり、放熱器出口温度TCIout(高圧液ラインの温度)が所定値TCIout1に到達したことが、逆発抑制判定条件の成立を意味する。
この所定値TCIout1も、例えば車両用空気調和装置1が通常運転状態となった状態の放熱器出口温度TCIoutが採用されるが、このように暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、放熱器出口温度TCIoutが所定値TCIout1に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、電磁弁17を閉じるようにしても、過冷却部16に溜まっていた冷媒を、放熱器出口温度TCIoutが所定値TCIout1に到達するうちに圧縮機2に吸い込ませ、電磁弁17において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
(11−9)暖房モードで起動する際の電磁弁17の振動騒音の防止制御(その8)
また、停止状態から暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、吸込温度センサ69が検出する圧縮機2の吸込温度Ts(冷媒回路Rの低圧ガスラインの温度である)が低下していき、所定値Ts1に到達した場合に、電磁弁17を閉じるようにしてもよい。この所定値Ts1がこの実施例における電磁弁17の逆圧抑制判定条件となり、圧縮機2の吸込温度Ts(低圧ガスラインの温度)が所定値Ts1に到達したことが、逆発抑制判定条件の成立を意味する。
この所定値Ts1も、例えば車両用空気調和装置1が通常運転状態となった状態の圧縮機2の吸込温度Tsが採用されるが、このように暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、圧縮機2の吸込温度Tsが所定値Ts1に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、電磁弁17を閉じるようにしても、過冷却部16に溜まっていた冷媒を、圧縮機2の吸込温度Tsが所定値Ts1に到達するうちに圧縮機2に吸い込ませ、電磁弁17において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
(11−10)暖房モードで起動する際の電磁弁17の振動騒音の防止制御(その9)
また、停止状態から暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、放熱器出口温度センサ68が検出する放熱器出口温度TCIout、及び、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIに基づいて算出される放熱器4の出口における冷媒の過冷却度SCが所定値SC1に到達した場合に、電磁弁17を閉じるようにしてもよい。この所定値SC1がこの実施例における電磁弁17の逆圧抑制判定条件となり、放熱器4の出口の過冷却度SCが所定値SC1に到達したことが、逆発抑制判定条件の成立を意味する。
この所定値SC1も、例えば車両用空気調和装置1が通常運転状態となった状態の過冷却度SCが採用されるが、このように暖房モードで起動した後、及び、冷房モードから暖房モードに移行した後、放熱器4の出口における冷媒の過冷却度SCが所定値SC1に到達した場合に逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、電磁弁17を閉じるようにしても、過冷却部16に溜まっていた冷媒を、過冷却度SCが所定値SC1に到達するうちに圧縮機2に吸い込ませ、電磁弁17において発生する振動や騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
ここで、上記実施例で説明した冷媒回路Rの構成は、それに限定されるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、図7は車両用空気調和装置1の他の実施例の冷媒回路Rを示している。尚、この図において図1と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものである。この実施例の場合、冷媒配管13F及び電磁弁22は存在せず、冷媒配管13Eが冷媒配管13Jに繋がり、この冷媒配管13Jに室外膨張弁6が接続されている。図1におけるバイパス用の電磁弁20も設けられていない。また、冷媒配管13Bには逆止弁18は設けられない。
また、圧縮機2の吐出側と放熱器4の入口側の間の冷媒配管13Gには後述する除湿暖房とMAX冷房時に閉じられる電磁弁30(流路切換装置を構成する第5の開閉弁)が介設されている。この場合、冷媒配管13Gは電磁弁30の上流側でバイパス配管35に分岐しており、このバイパス配管35は除湿暖房とMAX冷房時に開放される電磁弁40(これも流路切換装置を構成する第6の開閉弁)を介して室外膨張弁6の下流側の冷媒配管13Jに連通接続されている。これらバイパス配管35、電磁弁30及び電磁弁40によりバイパス装置45が構成される。
このようなバイパス配管35、電磁弁30及び電磁弁40によりバイパス装置45を構成したことで、後述する如く圧縮機2から吐出された冷媒を室外熱交換器7に直接流入させる除湿暖房モードやMAX冷房モードと、圧縮機2から吐出された冷媒を放熱器4に流入させる暖房モードや除湿冷房モード、冷房モードとの切り換えを円滑に行うことができるようになる。また、この実施例では補助ヒータ23は空気流通路3の空気の流れに対して、放熱器4の風上側(空気上流側)となる空気流通路3内に設けられている。更に、この実施例では前述した蒸発圧力調整弁11は設けられていない。
以上の構成で、この実施例の車両用空気調和装置1の動作を説明する。コントローラ32はこの実施例では、暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モード(最大冷房モード)及び補助ヒータ単独モードの各運転モードを切り換えて実行する(内部サイクルモードはこの実施例では存在しない)。尚、暖房モード、除湿冷房モード及び冷房モードが選択されたときの動作及び冷媒の流れと、補助ヒータ単独モードは前述の実施例(実施例1)の場合と同様であるので説明を省略する。但し、この実施例(実施例2)ではこれら暖房モード、除湿冷房モード及び冷房モードにおいては電磁弁30を開き、電磁弁40を閉じるものとする。また、前述した各吹出モードも同様であるので説明を省略する。
(12)図7の車両用空気調和装置1の除湿暖房モード
他方、除湿暖房モードが選択された場合、この実施例(実施例2)ではコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を閉じ、電磁弁40を開放すると共に、室外膨張弁6の弁開度は全閉とする。そして、圧縮機2を運転する。コントローラ32は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
これにより、圧縮機2から冷媒配管13Gに吐出された高温高圧のガス冷媒は、放熱器4に向かうこと無くバイパス配管35に流入し、電磁弁40を経て室外膨張弁6の下流側の冷媒配管13Jに至るようになる。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、冷媒は室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気は冷却され、且つ、当該空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気流通路3内の空気は冷却され、且つ、除湿される。吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
このとき、室外膨張弁6の弁開度は全閉とされているので、圧縮機2から吐出された冷媒が室外膨張弁6から放熱器4に逆流入する不都合を抑制若しくは防止することが可能となる。これにより、冷媒循環量の低下を抑制若しくは解消して空調能力を確保することができるようになる。更に、この除湿暖房モードにおいてコントローラ32は、補助ヒータ23に通電して発熱させる。これにより、吸熱器9にて冷却され、且つ、除湿された空気は補助ヒータ23を通過する過程で更に加熱され、温度が上昇するので車室内の除湿暖房が行われることになる。
コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)と、吸熱器温度Teの目標値である目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御すると共に、補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Tptcと目標ヒータ温度TCOに基づいて補助ヒータ23の通電(発熱による加熱)を制御することで、吸熱器9での空気の冷却と除湿を適切に行いながら、補助ヒータ23による加熱で各吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出される空気温度の低下を的確に防止する。これにより、車室内に吹き出される空気を除湿しながら、その温度を適切な暖房温度に制御することが可能となり、車室内の快適且つ効率的な除湿暖房を実現することができるようになる。
尚、補助ヒータ23は放熱器4の空気上流側に配置されているので、補助ヒータ23で加熱された空気は放熱器4を通過することになるが、この除湿暖房モードでは放熱器4に冷媒は流されないので、補助ヒータ23にて加熱された空気から放熱器4が吸熱してしまう不都合も解消される。即ち、放熱器4によって車室内に吹き出される空気の温度が低下してしまうことが抑制され、COPも向上することになる。
(13)図7の車両用空気調和装置1のMAX冷房モード(最大冷房モード)
また、MAX冷房モードでは、コントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を閉じ、電磁弁40を開放すると共に、室外膨張弁6の弁開度は全閉とする。そして、圧縮機2を運転し、補助ヒータ23には通電しない。コントローラ32は、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の空気が、暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から冷媒配管13Gに吐出された高温高圧のガス冷媒は、放熱器4に向かうこと無くバイパス配管35に流入し、電磁弁40を経て室外膨張弁6の下流側の冷媒配管13Jに至るようになる。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、冷媒は室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気は冷却される。また、空気中の水分は吸熱器9に凝結して付着するので、空気流通路3内の空気は除湿される。吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、同様に圧縮機2から吐出された冷媒が室外膨張弁6から放熱器4に逆流入する不都合を抑制若しくは防止することが可能となる。これにより、冷媒循環量の低下を抑制若しくは解消して空調能力を確保することができるようになる。
ここで、前述した冷房モードでは放熱器4に高温の冷媒が流れているため、放熱器4からHVACユニット10への直接の熱伝導が少なからず生じるが、このMAX冷房モードでは放熱器4に冷媒が流れないため、放熱器4からHVACユニット10に伝達される熱で吸熱器9からの空気流通路3内の空気が加熱されることも無くなる。そのため、車室内の強力な冷房が行われ、特に外気温度Tamが高いような環境下では、迅速に車室内を冷房して快適な車室内空調を実現することができるようになる。また、このMAX冷房モードにおいても、コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値である前述した目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
そして、この実施例においてもコントローラ32は前述の(11)と同様の電磁弁17の振動騒音の防止制御を行う。それにより、停止状態から暖房モードで起動する際、及び、冷房モードから暖房モードに移行する際、従来の如く冷媒が過冷却部16内に閉じ込められ、その後の暖房モードで電磁弁17に逆圧が加わることを回避、若しくは、抑制し、電磁弁17において振動や騒音が発生する不都合を未然に解消し、若しくは、低減するものである。
尚、各実施例では停止状態から暖房モードで起動する際と、冷房モードから暖房モードに移行する際の双方において電磁弁17の振動騒音の防止制御を実行するようにしたが、それに限らず、何れか一方の際に実行するようにしてもよい。また、冷房モードから暖房モードに移行する際に限らず、前記実施例1では除湿冷房モードから暖房モードに移行する際に行うようにしてもよく、上記実施例2では更に除湿暖房モード、及び/又は、MAX冷房モードから暖房モードに移行する際に行うようにしてもよい。
また、前記実施例1では暖房モード、除湿暖房モード、内部サイクルモード、除湿冷房モード、冷房モード、補助ヒータ単独モードの各運転モードを切り換え、実施例2では暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モード、補助ヒータ単独モードの各運転モードを切り換える例で説明したが、それに限らず、少なくとも暖房モードを実行することができる車両用空気調和装置、或いは、暖房モードと、冷房モード、除湿冷房モード、除湿暖房モード(実施例2)、及び、MAX冷房モード(実施例2)のうちの何れかを切り換えて実施する車両用空気調和装置に本発明は有効である。
また、実施例ではPTCヒータで構成された補助ヒータ23を空気流通路3に設けるかたちで説明したが、それに限らず、空気流通路3に水−空気熱交換器を配置し、ヒータで加熱された水を循環回路によりこの水−空気熱交換器に循環させて車室内に吹き出される空気を加熱するものでもよい。
1 車両用空気調和装置
2 圧縮機
3 空気流通路
4 放熱器
6 室外膨張弁
7 室外熱交換器
8 室内膨張弁
9 吸熱器
16 過冷却部
17 電磁弁(開閉弁。冷房用)
21 電磁弁(開閉弁。暖房用)
32 コントローラ(制御装置)
42 吐出圧力センサ
44 吸込圧力センサ
43 吐出温度センサ
46 放熱器入口温度センサ
68 放熱器出口温度センサ
69 吸込温度センサ
R 冷媒回路

Claims (10)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、
    冷媒を放熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、
    冷媒を吸熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、
    車室外に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させるための室外熱交換器と、
    該室外熱交換器の冷媒出口側に設けられた過冷却部と、
    前記室外熱交換器の冷媒出口と前記過冷却部の間に設けられた開閉弁と、
    制御装置とを備え、
    該制御装置により少なくとも、
    前記開閉弁を閉じ、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を前記室外膨張弁で減圧した後、前記室外熱交換器にて吸熱させ、前記圧縮機に吸い込ませる第1の運転モードと、
    前記開閉弁を開き、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器にて放熱させ、当該室外熱交換器で放熱し、前記過冷却部を経た冷媒を減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させ、前記圧縮機に吸い込ませる第2の運転モードとを切り換えて実行する車両用空気調和装置において、
    前記制御装置は、停止状態では前記開閉弁を開くと共に、停止状態から前記第1の運転モードで起動する際、及び/又は、前記第2の運転モードから前記第1の運転モードに移行する際、所定の逆圧抑制判定条件が成立するまで、起動後、及び/又は、移行後も前記開閉弁が開いた状態を維持することを特徴とする車両用空気調和装置。
  2. 前記制御装置は、前記第1の運転モードで起動した後、又は、前記第2の運転モードから前記第1の運転モードに移行した後、所定時間経過した場合に前記逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  3. 前記制御装置は、前記第1の運転モードで起動した後、又は、前記第2の運転モードから前記第1の運転モードに移行した後、前記室外膨張弁の弁開度が所定値に到達した場合に前記逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  4. 前記制御装置は、前記第1の運転モードで起動した後、又は、前記第2の運転モードから前記第1の運転モードに移行した後、前記圧縮機の回転数が所定値に到達した場合に前記逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  5. 前記制御装置は、前記第1の運転モードで起動した後、又は、前記第2の運転モードから前記第1の運転モードに移行した後、高圧側圧力が所定値に到達した場合に前記逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  6. 前記制御装置は、前記第1の運転モードで起動した後、又は、前記第2の運転モードから前記第1の運転モードに移行した後、低圧側圧力が所定値に到達した場合に前記逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  7. 前記制御装置は、前記第1の運転モードで起動した後、又は、前記第2の運転モードから前記第1の運転モードに移行した後、前記放熱器の入口側の冷媒温度が所定値に到達した場合に前記逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  8. 前記制御装置は、前記第1の運転モードで起動した後、又は、前記第2の運転モードから前記第1の運転モードに移行した後、前記放熱器の出口側の冷媒温度が所定値に到達した場合に前記逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  9. 前記制御装置は、前記第1の運転モードで起動した後、又は、前記第2の運転モードから前記第1の運転モードに移行した後、前記圧縮機の吸込冷媒温度が所定値に到達した場合に前記逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  10. 前記制御装置は、前記第1の運転モードで起動した後、又は、前記第2の運転モードから前記第1の運転モードに移行した後、前記放熱器の出口における冷媒の過冷却度が所定値に到達した場合に前記逆圧抑制判定条件が成立したものと判断し、前記開閉弁を閉じることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
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