JP2019055232A - 橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】橈骨ロッキングプレートを樹脂製とすることによる利点を発揮させることはもとよりその利点をさらに伸ばすこと、その一方で樹脂であることによる欠点を補えること、加えて、樹脂製のプレートと橈骨の密接調整作用性を高めること。【解決手段】橈骨ロッキングプレートは、炭素繊維を強化材として熱可塑性樹脂をマトリックスとする成形用中間材料の平坦積層物であり、ねじアンカーは硬質金属製であって、その軸部にはセルフタッピング作用する主ねじが形成される一方、頭部外周にもセルフタッピング作用する副ねじが刻設される。【選択図】図1
Description
本発明は橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステムに係り、詳しくは、橈骨の遠位部に生じた骨折片の橈骨本体への生体的一体化を図るため、骨折片と橈骨本体とに対して生体内掌側で架橋的にそえられる橈骨ロッキングプレートおよびそれに使用されるねじアンカーをもって構成される治療具システムに関するものである。
骨粗鬆症により骨折しやすい代表的な箇所は上腕骨、橈骨、椎体、大腿骨といったところであり、それらは、上腕骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折、椎骨骨折、大腿骨頚部骨折と称される。つまずくなどして倒れたとき床や地面で支えようとした手首が負うのは橈骨遠位端骨折である。橈骨は尺骨と並び肘から手首にかけて伸びる髄腔の存在する管状の長骨であり、図29(a)に示すように尺骨51は小指側(左)に、橈骨1は母指側(右)に位置している。
尺骨の遠位端には小指側へ突出する茎状突起があり、橈骨の遠位端にも母指側へ突出する茎状突起52がある。橈骨は尺骨よりやや短いが太く、茎状突起とは反対に位置する月状骨窩の突出部によって掌側に図29(b)に示す涙滴状凹み(ティアドロップという)53が生じており、これが手関節での荷重の受け皿として機能する重要な部分をなしている。橈骨は、その涙滴状凹みから骨幹へは略角柱状断面をなして伸びる複雑な形をしている。同じ部位の骨であっても個人差があるのは当然で、橈骨における涙滴状凹み53の形も図30のように個体差が激しい。したがって、遠位端骨折の手術において術者が涙滴状凹みおよびその前後域の形状に合わせて橈骨ロッキングプレートをそえる操作は決して容易でない。橈骨の遠位端において橈骨ロッキングプレートの遠位部やその近傍が、掌側の皮下組織と橈骨との間を延びる母指屈筋腱と干渉するなどすれば、屈筋腱障害を起こす可能性が極めて高くなる。
その橈骨ロッキングプレートは、骨折部位の外から肢体や関節を固定する副木(副子)や石膏製またはFRP製のギブスに代わるものである。これは掌側を切開して覗き見える橈骨に直接そえられる板で、例えば5・6センチメートル長といった生体に埋め込み可能なサイズである。このプレートによって強力な固定がなされることから、早期機能回復も可能になってきている。
生体に埋入される橈骨ロッキングプレートには、強靱かつ軽量であり生体安全性の高い資質のあるチタンもしくはその合金などが使用される。橈骨ロッキングプレートをカスタムメイドの金属製最適品にしようとすると、個体の形状とサイズに合わせた独自の成形型が必要となり、プレート製作の高騰化や手術待機の長期化が余儀なくされる。通常はレディメイド化して代表的なサイズを取り揃え、製品の低廉化が図られる。手術においてそのラインナップされた中から患部形状に近似したものが採用されることになり、個別に完壁なフィッティングは期待しがたい。
これに準じたことが樹脂製のプレートにおいても行われるようになってきている。特許文献1には、生体安全性を確保することができるPEEKの使用例が紹介されている。ところで、X線撮像を見ながらの施術において、金属製プレート54は図31のごとく明瞭に把握される利点がある反面、患部を隠してしまう難点がある。樹脂製プレートの場合には、X線が透過するため骨折片の位置や姿勢を把握しやすく、患部にきめ細かい対応がとれることは述べるまでもない。
橈骨ロッキングプレートは骨折片を橈骨本体に近接させた状態を維持するとともに、何本かのねじアンカーによりプレートを介して橈骨本体と骨折片とを一体的に固定する。ねじアンカーは緻密な皮質骨と髄腔内の海綿質骨からなる橈骨を横断的にセルフタッピングできる硬くて強靱なものでなければならない。多くの場合、橈骨ロッキングプレートと同様にチタン製もしくはその合金製とされる。
橈骨ロッキングプレートには、ねじアンカーの橈骨螺進のための貫通穴が設けられる。ねじアンカーの頭部の大部分がプレート外にとどまると、屈筋腱に局部的な当たりや擦れをきたす。貫通穴内に頭部を沈めて収容しかつアンカー抜けのないようにするためには、少なくとも穴内に頭部受けが必要となる。これは単なる段差を形成することで対応できるにもかかわらず、貫通穴の下半部にねじ機構(以下穴内ねじという)が導入される。ねじアンカーの頭部外周には、当然にこの穴内ねじに螺着するねじ(以下外周ねじという)が形成される。橈骨側へのアンカー抜けのみならず掌側への逆抜けも阻止される。特許文献2や特許文献3には、その例が紹介されている。
橈骨ロッキングプレートは例えば2ないし3ミリメートル厚みである。これが金属製であれば穴内ねじの形成は何ら不可能なことでない。ところで、螺進させたい箇所に向かわせるねじアンカーの軸線を、穴内ねじの軸線からずらせたり傾けたりしたいことがある。その場合に外周ねじと穴内ねじとの間で一応の噛合が達成されるなら、アンカー抜けは回避することができる。以下に挙げる幾つかの特許文献には、そのための手段が開示されている。
図32は外周ねじの上下に並ぶ歯先の包絡面を部分球面とするとともに、穴内ねじの歯先包絡面も部分球面としたものである。これらの例が特許文献3や特許文献4に示されている。なお、各図中央の凹み55は平面視花びら状や六角形であったりするが、ねじアンカーを回転させるためのレンチ穴である。図33は穴内ねじ56の歯周方向を断続的にしたものであり、特許文献1や特許文献3に開示されている。図34はねじ穴とねじなし穴が部分的に重なった二連穴57であり、特許文献3や特許文献5に示される。いずれも、ねじアンカーの螺進方向の若干の変更を施術中に可能とする融通性を発揮させようとするものである。ちなみに、前述したPEEKの樹脂製プレートに穴内ねじ機構を導入する場合には、図33(c)に示すように歯周方向断続ねじを形成した金属製ねじインサート58が嵌着固定される(特許文献1)。このねじインサートはプレートよりも薄いから、断続ねじの形成は容易でないか極めて高価なものとなる。
ところで、チタン等の硬質のねじ同士の場合、歯なし部によって構造上許容されるガタを利用するといっても、ねじアンカーの姿勢変更のための噛み違えが必ずしもスムーズに運ぶとかぎらない。ねじアンカーの所望する方向への螺進は容易なことでない。二連穴の場合、一方の穴が不適切であれば他方の穴で対応させることになる。橈骨ロッキングプレートを除去する際には、金属ねじの噛合が強固であると、その螺着の解放には多大の操作力を要することになり、術者を悩ませる。いずれにしても、螺進方向の変更のための噛合を達成するためには、高度な技倆や技能を術者に強いる。
上記のごとく橈骨ロッキングプレートをX線透過性のある樹脂製にしようとする場合、既に述べた金属製ねじインサートを導入しなくても穴内ねじの形成が可能であることが望まれる。そのねじは周方向断続ねじとしなくてよいことも要望される。したがって、剛性が高くかつ緻密な樹脂層を持つものであり、橈骨へのそわせ操作において高い順応性が発揮されるものでもあり、施術中の螺進方向変更操作に負担を少なくできるものであるロッ
キングプレートの出現が待たれる。
キングプレートの出現が待たれる。
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、その目的は、橈骨ロッキングプレートを樹脂製とすることによる利点を発揮させることはもとよりその利点をさらに伸ばすこと、その一方で樹脂であることによる欠点を補えること、加えて、金属製ねじアンカーと樹脂製プレートとのマッチング性、すなわち、ねじアンカーのプレート貫通穴からの頭部抜けが阻止されるだけでなく、樹脂製のプレートと橈骨の密接調整作用性を高めること、を実現した橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステムを提供することである。
本発明は、橈骨の遠位端もしくはその近傍に生じた骨折片の位置や姿勢を修復した後、該骨折片と橈骨本体との生体的一体化を促すため、骨折片と橈骨本体とに生体内掌側で架橋的にそえられる橈骨ロッキングプレートとそれに使用されるねじアンカーを備えた橈骨ロッキングシステムに適用される。その特徴とするところは図1および図3を参照して、橈骨ロッキングプレート4は、炭素繊維を強化材として熱可塑性樹脂をマトリックスとする成形用中間材料7の平坦積層物である。ねじアンカー5は硬質金属製であって、その軸部10にはセルフタッピング作用する主ねじ11が形成される一方、頭部外周にもセルフタッピング作用する副ねじ13が刻設される。そして、橈骨本体3および骨折片2をねじ止めするため橈骨ロッキングプレート4に設けられる貫通穴6の径は、主ねじ11に対してはオーバーサイズであり、副ねじ13に対しては穴全体もしくは下半部でアンダーサイズとなっている。そして、図4に示すように、橈骨ロッキングプレート4の上部層および下部層には45度配向材もしくは±45度配向織布の炭素繊維で補強された成形用中間材料7Eがあてられ、中間層には一方向材や0/90度配向織布の炭素繊維で補強された成形用中間材料7A,7Dがあてられる。
図16(b)のごとく、ねじアンカー5の主ねじ11の表面にPEEK樹脂45をコーティングしておくこともできる。
図24(a)ないし(c)に示すように、主ねじ11のねじピッチはねじアンカー5の副ねじ13のねじピッチよりも大きくしておくか、図24(d)ないし(f)に示すように、主ねじ11のねじピッチはねじアンカー5の副ねじ13のねじピッチよりも小さくしておく。
図12に示すように、橈骨ロッキングプレートは、曲がりは暫定的とし、長さと幅が異なる代表的な複数を準完成品4Qとしてラインナップされる。図13のように、橈骨ロッキングプレートの完成品は、準完成品4Qの遠位部箇所を適用対象橈骨の涙滴状凹みに適合させるべく、部分加熱した曲げ修正品である。
本発明によれば、X線透過性を持った橈骨ロッキングプレートとすることができる。すなわち、影像確認手術中、手術対象箇所の目視を可能にして、正確な手術を実現する。その樹脂製橈骨ロッキングプレートはプリプレグシートなどの成形用中間材料の平積み物であり、剛性が高くてエアボイドの極めて少ない緻密層となる。直接ねじ穴加工も可能な資質を備えたものとなるうえに、金属製ねじアンカーによるセルフタッピングによって爾後的なねじ切りも可能となっている。
貫通穴の径はねじアンカーの脚部に形成される主ねじに対してはオーバーサイズであるから、ねじアンカーの挿通に負荷を伴うことなく橈骨への螺進操作ができる。一方、アンカーの頭部に刻設された副ねじに対して穴全体もしくは下半部でアンダーサイズとされるから、副ねじがセルフタッピングしながら螺進し、所望する強さの緊締力を発現させることができる。橈骨ロッキングプレートの除去操作においてはねじの噛合いが金属と樹脂であることから、その螺着解放に必要な操作力はかなり軽減され、術者の負担を助ける。
橈骨ロッキングプレートは例えば2.5mm厚であるが、チタン製などの硬質金属に比べれば平積層体の樹脂製は僅かにしても局部的な変形を許容する。したがって、橈骨との間に意図しない隙間が生じても、施術中に橈骨ロッキングプレートの橈骨に対するフィッティング性をねじアンカーの螺進操作によって改善することができる。
上部層と下部層に45度配向材もしくは±45度配向織布の炭素繊維で補強された成形用中間材料を使用しておけば、加熱下での曲げ加工における表層の伸縮が妨げられない。形状修正によるフィッティング性の高い橈骨ロッキングプレート完成品を得ることが容易となる。一方向材や0/90度配向織布の炭素繊維で補強された成形用中間材料を曲げの中立軸近傍をなす中間層にあてることにより、伸縮が必要とされないからこそ高張力を発揮する部位を顕在化させることができる。プレートの機械的性質を低下させることなく爾後的形状変更が可能となるので、金属製では得られない高い成形自由度、すなわち所望する曲げ剛性、捩れ剛性分布構成の橈骨ロッキングプレートとなる。
ねじアンカーの主ねじの表面にPEEK樹脂をコーティングしておけば、螺進負荷を弱め、皮質骨の破損・破壊を軽減する。
ねじアンカーの主ねじのねじピッチを副ねじのねじピッチより大きくしておくと、ねじアンカーの螺進に伴って、樹脂製のプレートを橈骨に密接させることができる。これは、架橋状態にある樹脂製のプレートが橈骨から部分的に浮いている場合などの箇所での密接を図ることに都合がよい。
主ねじのねじピッチは副ねじのねじピッチよりも小さくしておくことができる。この場合、ねじアンカーの螺進に伴って、樹脂製プレートを橈骨から離反させることができる。架橋状態にある樹脂製のプレートが橈骨に密接しすぎるなどの箇所での離隔を図り、密接からの圧迫解放によって骨膜の毛細血管血流障害を生じにくくしておくことができる。
橈骨ロッキングプレートは、長さと幅が異なる代表的な複数を爾後的曲がり変更可能とした準完成品でもってラインナップされる。金型の種類数を抑制できるから低廉化が進められる。熱可塑性樹脂製であるゆえ爾後的変形により曲がりを与えたり変更すれば、カスタムメイド相当の完全フィッティング品が短期間のうちに提供できるようになる。
橈骨ロッキングプレートは、準完成品の遠位部を対象橈骨の涙滴状凹みに適合性させるべく、部分加熱による曲げ修正品とすることができる。熱可塑性樹脂の特性を活かして個体差を考慮したうえでの完全フィッティング品となる。フィッティング性の向上は橈骨ロッキングプレートが近位部方向へずれる虞を排除することにもなる。
以下に、本発明に係る橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステムを、その実施の形態を表した図面に基づいて詳細に説明する。この発明は、多種多様な人骨計測情報の詳細な解析と近時の生体シミュレーション技術を駆使し、レディメイド品ではあるがカスタムメイド品に匹敵した橈骨適合性を発揮する橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステムを創成するものである。このシステムは、具体的には、骨脆弱性骨折の生体埋入手術具にふさわしい構造と剛性の機械的特性を備えるとともに、形状適合性を向上させるべく橈骨ロッキングプレートの複合材製化を図ることにより実現される。加えて、橈骨ロッキングプレートをねじアンカーにより橈骨に固定する際の精度向上を期すべく、複合材製品の特性を活かした締結機構を備えさせようとするものである。
図1(a)は、橈骨1の遠位端の骨折片2を橈骨本体3に固定すべく、生体内掌側にそえられた橈骨ロッキングプレート4の一例である。図1(b)は橈骨ロッキングプレート4とそれに使用されるねじアンカー5の一例を示す。橈骨ロッキングプレートでは、ねじアンカーが挿通する円筒状の貫通穴6の近傍のみが示されている。橈骨ロッキングプレート4は、橈骨の遠位端もしくはその近傍に生じた骨折片の位置や姿勢を修復した後、骨折片2と橈骨本体3との生体的一体化を促すため、図1(a)に示すように架橋的にそれらにそえられる。ねじアンカー5は、橈骨ロッキングプレートを通過させるに相応しく規定された貫通穴6を経て橈骨1に螺進するラグスクリューである。
橈骨ロッキングプレート4は、図2(a)に示すように、橈骨密接側の面には後述する多数の小突起14が形成されている。図2(b)は正面図、(c)は前面図、(d)は中央縦断面図である。この橈骨ロッキングプレート4は、炭素繊維を強化材として熱可塑性樹脂をマトリックスとする成形用中間材料7の図3(a)に示す平坦積層物8であって、その加熱加圧成形品である。熱可塑性樹脂としてはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)やポリエーテルイミドといったもので、人体に対しては無害であり、熱を加えると軟化し、さらに加熱すれば溶融状態になるものである。これは加熱すると硬化する熱硬化性樹脂とは特性がおおいに異なる。
成形用中間材料7は樹脂が完全に含浸されたプリプレグシート、もしくはドレープ性のある半含浸品のセミプレグシートであって、強化材としての炭素繊維が内在されている。これらの成形用中間材料は例えば0.2ミリメートル厚の予め板状もしくはシート状とされており、図4(a),(b)に示すごとく橈骨ロッキングプレート4の等高線9を輪郭とするように裁断される。これらが金型内に積層され、型締め後に加熱し加圧され、徐冷するなどして固化した成形品となる。
図1(b)に戻って、ねじアンカー5は硬質で不錆かつ強靱な金属、代表的にはチタン製もしくはチタン合金製とされ、生体安全性を有する。その軸部10には、回転により橈骨1にねじ切りしながら進むセルフタッピング作用のある主ねじ11が形成される。頭部12の周囲にはセルフタッピング作用する連続ねじ13(以下、副ねじという)が刻設される。なお、過剰ねじ込みを防ぐため、頭部12を図示したように逆截頭円錐状とするのが現在の主流である。しかし、本発明における副ねじ13は、この形状に限定されるもの
でない。
でない。
貫通穴6はねじアンカー5の主ねじ11に対してはオーバーサイズであり、副ねじ13に対してアンダーサイズとされる。オーバーサイズとは主ねじ11が螺着することなく前進できる穴径であり、主ねじ11のプレート挿通に何ら回転力を要しない。アンダーサイズとは、副ねじ13がセルフタッピングすることにより拡大しながらでなければ前進できない穴径であり、副ねじ13を前進させるためには回転力を及ぼすことが要求される。したがって、木ねじの場合の感覚と同様に、副ねじは橈骨ロッキングプレートの螺進において、徐々に緊締状態を創成する。ちなみに、橈骨ロッキングプレートに設けた貫通穴の全てが、ねじアンカーの主ねじに対してオーバーサイズであり、副ねじに対してアンダーサイズでなければならないというものでもない。
ところで、上記した樹脂製の橈骨ロッキングプレート4は図3(a)や図10(b)に示すように、その横断面形状は原則として略三日月状とされる。橈骨ロッキングプレートが手首の腱に接触し、これを裂断させることのないように、上面は滑らかな形状変化としておく必要があり、加えて、ねじアンカーの頭部を収容できる厚みを確保するためでもある。橈骨ロッキングプレートの横断面中央部位を厚くすれば、プレートが発揮しなければならない曲げと捩れそれぞれの所望する剛性を達成しやすくもなる。その端部における橈骨密接側の面と橈骨反密接側の面との交差角θ(図10(b)を参照)は40度以下を目安に選定されるが、橈骨との密接性を考慮して定められる。いずれにしても、掌側にプレートが突出して母指屈筋腱と擦れることに原因した屈筋腱障害の発生を可及的になくし、また、金属製プレートでは達成しがたい皮膜との優しい接触性・馴染み性を追究しやすくなる。
橈骨との接触を和らげるため、すなわち骨膜における生体活動を阻害させない配慮として、橈骨密接側の面には図2(b)に示すように多数の小突起14が形成される。これは橈骨に対して全面密着を避けようとの意図であり、後に橈骨ロッキングプレートの成形手順において述べるごとく、平坦積層物の小突起該当箇所はPEEK樹脂コンパウンド層とされる。織布や長繊維がコンパウンドには内在しないから、小さな凹凸の形成が阻害されることはない。コンパウンド中の繊維チップは小突起を補強し、樹脂は溶融して凹凸表層を形成する。全面密着が回避されれば、骨膜における毛細血管血流障害を抑え、骨膜の壊死回避に寄与する。
橈骨ロッキングプレートの成形手順は後で詳しく述べるが、概略は、炭素繊維にPEEKを含浸・固化させた成形用中間材料7を層ごとの所定形状に裁断して積層し(図4(a),(b)を参照)、加熱中に各層から溶出したPEEKにより層間の融合を図ることである。平坦積層物8(図5(a)を参照)における橈骨反密接側の面には、(b)に示すごとく、予め軟化させた成形用中間材料(プリプレグ軟化シート)7Yを被着させておくとよい。以後約400℃までの温度上昇の間に、平坦積層ゆえに各層端でむき出しとなる炭素繊維切り口15を包み込み、成形硬化後の露出をなくしておくことができる。加圧したあと空冷すれば、三次元的に滑らかな形状、強靭な強度特性、X線透過性、生体安全性を備えた橈骨ロッキングプレートとなる。なお、成形品端部からはみ出した部分4a(図
10(a)を参照)は、必要に応じて仕上げ加工時バリ取り操作などで除去される。
10(a)を参照)は、必要に応じて仕上げ加工時バリ取り操作などで除去される。
ここで、平坦積層物の各層について述べる。図4(a)に表したように、橈骨ロッキングプレートの上部層および下部層となるべき部位には、樹脂軟化時伸縮を許容する45度配向材もしくは図示したに±45度配向織布の炭素繊維で補強された成形用中間材料7Eがあてられる。中間層には、伸縮は不可であるが高張力を発揮する一方向材の炭素繊維で補強された成形用中間材料7Aや0/90度配向織布の炭素繊維で補強された成形用中間材料7Dがあてられる。例えば9枚のシートからなる場合、7E,7E,7D,7A,7A,7A,7D,7E,7Eのごとく重ねられる。
上部層と下部層に45度配向材もしくは±45度配向織布の炭素繊維で補強された成形用中間材料を使用しておけば、後で述べる図13(a)のように、加熱下での曲げ加工における表層の伸縮が妨げられることはない。すなわち、図6(a)のように橈骨ロッキングプレート4の一部を下方向へ少し曲げるにあたって、上部層の炭素繊維は(b)の状態から(c)のごとくパンタグラフィックに伸長し、下部層の炭素繊維は(d)の状態から(e)のごとくパンタグラフィックに縮小する。マトリックスの樹脂は溶融もしくは半溶融状態にあるから炭素繊維の変形が阻害されることはない。冷却により樹脂が硬化しても炭素繊維の変形は保つから、炭素繊維による補強効果は何ら変わりない。
中間層は曲げの中立面近傍をなすから、炭素繊維の伸縮がほとんど必要とされない。高張力を発揮する一方向材および/または0/90度配向織布の補強が極めて有効となる。このように高張力発揮部位と伸縮許容部位を顕在化させることによって、橈骨ロッキングプレートの機械的性質を低下させることなく爾後的形状変更が可能となる。これは、金属製プレートでは達成し得ない高い成形自由度を持つことを意味する。積層のバリエーションを変えて、所望する曲げ剛性、捩れ剛性分布を持った橈骨ロッキングプレートを作ることができる。したがって、形状修正による橈骨に対するフィッティング性の極めて高い橈骨ロッキングプレート完成品を得ることができる。ちなみに、図7(e)に示す成形用中間材料7Eは、(d)の0/90度配向織布で補強された成形用中間材料7Dを、繊維方
向が45度となるようにカットされたものである。
向が45度となるようにカットされたものである。
橈骨ロッキングプレートに図8(a)の曲げを与えるにおいて、(b)のごとくの炭素繊維織布のパンタグラフィック変形による伸長は図6(b),(c)で述べた。図8(c),(d)のように、45度配向材で補強された向きの異なる成形用中間材料7B,7Cによってもよい。これらは原則として積層が交互に行われる。図は伸長する場合が描かれているが、縮小する場合も同様である。その成形用中間材料7B,7Cは、図7(a)に示す一方向材で補強された成形用中間材料7Aを、繊維方向が+45度または−45度となるようにカットすればよい。
上記した貫通穴について、以下に述べる。この例では単なる円筒状である。これは図1(b)のところで述べたごとく、ねじアンカー5の主ねじ11に対してはオーバーサイズであり、頭部に刻設された副ねじ13に対してアンダーサイズである。副ねじは円筒壁面に対するセルフタッピング作用により背隙の極めて少ないねじ穴を生成しつつ螺進するから、トルク増加を伴いつつ所望する強さの緊締状態を創成する。
ねじアンカー5の頭部は逆截頭円錐状とするのが現在の主流と述べたが、その場合、副ねじ13の上下に並ぶ歯先の包絡面も逆截頭円錐を形成することは述べるまでもない。それゆえ、歯先は徐々にセルフタッピング作用を発揮し、急激なトルク上昇を抑えつつ所望する緊締状態を達成する。貫通穴に対して傾いた螺進も可能にし、主ねじの軸線の所望方向への変更を許容するものとなる。図1(b)において、Pゾーンのねじ山は貫通穴6と螺合する余地はない。Pゾーンのねじ山が貫通穴を図9(a)のように通過している間はねじアンカーの主ねじ11が橈骨をセルフタッピングしながら螺進することができる。Qゾーンのねじ山が貫通穴を通過している間は副ねじ13は図9(b)のように貫通穴6を徐々にセルフタッピングする。回転力は徐々に増加させる必要がある。ねじ山は穴壁に切り込むが、樹脂製壁は崩れが少ないため切り粉の発生量は無視しえる。Rゾーンのねじ山が穴壁に噛みこむと螺進は徐々に困難となる。術者にねじ込み限界に達していることを教える。この螺合は緩み止め効果も発揮する。
以上の説明から分かるように、橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステムによれば、既に記した個々の効果のほかに、基本的には、X線透過性をもった橈骨ロッキングプレートとしておくことができる。影像をもとにした手術中、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製橈骨ロッキングプレートと重なる手術対象箇所の目視を可能にして、正確な手術を実現する。成形用中間材料の平積み物としている関係で剛性が高くて緻密層となるから、金属製ねじアンカーに近似した可及的等質かつ高精度のねじ立てが可能となる。成形工程は、脱気のため周縁へ押し出すべき気泡の逃げ口を塞ぐ図3(d)のような成形用中間材料7Xの曲がり積層でないので(図3(a)ないし(c)を参照)、エアボイド16(図3(d)を参照)の限界残留量もクリアしやすくなる。なお、生体的結合が達成された時期になされる橈骨ロッキングプレートの除去操作においては、金属と樹脂の噛合にすぎないから、その螺着解放に必要な操作力はかなり小さく、術者の負担を軽くすることになる。
橈骨ロッキングプレートは例えば2.5mm厚であるが、チタン製などの硬質金属に比べれば平積層体の樹脂製は僅かにしても局部的な変形を許容する。したがって、橈骨との間に意図しない隙間が生じても、施術中に橈骨ロッキングプレートの橈骨に対するフィッティング性をねじアンカーの螺進操作によって改善することができる。これについては、後に詳しく例示する。
ところで、図10(c)のように、橈骨ロッキングプレート4の縁部には、このプレートの輪郭を模した金属製ワイヤー17を埋入しておくとよい。金属ワイヤーはX線撮像に現れ、マーカーとなるから操作対象とプレートとの相対位置関係を把握しやすくし、骨折片2の寄せ操作の程度把握を容易にする。ちなみに、図11に基づいて施術工程の一例を紹介する。
図11(a)は単純に表した無傷な橈骨1である。(b)は受傷時遠位端に骨折片2が生じたことを表している。(c)では橈骨ロッキングプレート4が橈骨の掌側にそえられ、ねじアンカー5Tによって仮固定される。(d)では、橈骨ロッキングプレート4の随所に設けられた小穴18(図1(a)をも参照)にスティンガー19を挿入する。(e)ではスティンガー19を操作して骨折片2の位置や姿勢を復元もしくは修正する。(f)では骨折片2にねじアンカー5Aを打って引き上げる。(g)では橈骨ロッキングプレート4に骨折片2を近接させる。(h)では仮止めねじアンカー5Tを少し緩めて、長穴20を利して矢印21のごとく橈骨ロッキングプレート4を肘の方向へ引く。(i)では骨折片2と橈骨本体3との間の隙間22を狭くした状態で他のねじアンカー5Bを打つ。仮
止めねじアンカー5Tも締める。骨折片を橈骨本体に近接させた状態で時間の経過にしたがって生体的結合が達成されれば、橈骨ロッキングプレートは再手術によってねじアンカーを解いて除去される。
止めねじアンカー5Tも締める。骨折片を橈骨本体に近接させた状態で時間の経過にしたがって生体的結合が達成されれば、橈骨ロッキングプレートは再手術によってねじアンカーを解いて除去される。
ちなみに、橈骨ロッキングプレートの橈骨密接側面には、図3(b)のように無強化樹脂23を塗布しておくとよい。橈骨との接触が金属製プレートに比べてソフトとなり、橈骨表面での密接力の分散化や平準化が図られる。橈骨表皮層の生体的負担が軽減されることは言うまでもない。なお、図3(c)のごとく小突起が形成されていない橈骨ロッキングプレート4Mに対しても、上下面に同様の処理をしておくことは差し支えない。前述した成形用中間材料7Y(図5(b)を参照)に代えて無強化樹脂の塗布としてもよい。いずれの塗布も成形および仕上げ完了後に行われる。
以上は、橈骨ロッキングプレートとねじアンカーからなるシステムについて述べた。これらの思想をもとにして、橈骨ロッキングプレートは、曲がりは爾後的変更の余地あることを考慮して暫定的とし、図12に示すように、長さと幅が異なる代表的な複数を準完成品4Qとしてラインナップしておく。もちろん、ラインナップ品数が多いときは、中にはそのまま完成品として使用できるものもある。
これらの準完成品の中から、適用患者の遠位部箇所を適用対象橈骨の涙滴状凹みに適合させるべく、部分加熱した曲げ修正品を図13の要領で製作すれば、橈骨ロッキングプレートの完成品が得られる。これが熱可塑性樹脂の特性を活かして個体差を考慮したカスタムメイド品となる。フィッティング不良(支持不足)を原因とする滑りによる近位部方向へのずれの虞も解消する。涙滴状凹み近傍におけるプレートから掌側へのねじアンカーの頭部の突出もないように配慮されるから、屈筋腱障害の懸念も少なくなる。
ここで、樹脂製橈骨ロッキングプレート4の成形工程の一例を、図5に基づいて説明する。装置としては、プレート形状をなすキャビティが備えられる上下の成形型25U,25L、成形型内の平坦積層物を成形型ごと加熱する加熱器26、成形型を上下から押圧する加圧機27が用いられる。橈骨ロッキングプレートの下半部を成形するキャビティ28Lの底部には小突起14(図3(a)を参照)を形成するための多数の小さな凹み29が形成されている。(a)において、キャビティ底にPEEK樹脂コンパウンド30が敷かれる。その上に等高線に沿って裁断されたプリプレグ片7e,7d,7a(図4を参照)が重ねられる。最後に(b)に示すプリプレグ軟化シート7Yが平坦積層物8の全てを覆うように被せられる。なお、図示しないが、層に水平ずれが生じないようガイドバーなどが必要に応じてキャビティに立てられる。
図5(b)において、橈骨ロッキングプレートの上半部をなすキャビティ28Uの形成されている上型25Uが被せられる。(c)では加熱器26によってコンパウンドおよびプリプレグ片の樹脂を溶融させ、上型25Uの重みもあいまって、積層体の嵩が徐々に小さくなる。このとき層間の空気は溶融樹脂の流れに伴って各プリプレグ片の端部に寄せられ、プリプレグシート7Yの内面に沿って移動し、合わせ面25aで脱気される。このとき、図示しないが必要に応じて真空下に置くようにすれば、脱気は早まる。(d)では加熱された成形型が加圧器27に移され、(e)において瞬時に高圧が掛けられる。徐冷の間にプリプレグとコンパウンドの融合物は固化し、(f)のように炭素繊維が層状をなした一塊の成形品となる。これに仕上げが施されると、図10(a)または図12に示した橈骨ロッキングプレートの準完成品4Q11〜4Q13、4Q21〜4Q23が得られる。
橈骨に個体差のあることは既に述べたが、CFRP製橈骨ロッキングプレートにおいても、図12に示したように、長さと幅と曲がりが異なる代表的な複数がラインナップ品、すなわちレディメイド品として準備される。成形型の多種多様化をできるだけ抑える趣旨はこれによって達成される。長さと幅を基本とし、曲がりは暫定的な一・二としただけであるからである。カスタムメイド化のための処理は爾後的に可能な樹脂製プレートの場合だけであり、金属製橈骨ロッキングプレートのカスタムメイド化で必要な長さ、幅、曲がりを特定した成形型を必要としない。また、施術中に僅かな曲げを生じさせることが可能となる場合もあり、金属製ではあり得ない順応性の高さが発現される。これは図3(d)に示した型面沿わせとした曲がり積層でなく、(a)のように平坦積みとしていることによっても可能となっている。金属製プレートよりは適度に低い曲げ剛性を持たせることができる場合もあるからであり、これが精度の高いフィッティング技量を持ちあわせた術者を育成することにもつながる。
本発明においては、熱変形が可能という熱可塑性樹脂の特性を利しての処理をラインナップ品に施すことができる。ラインナップ品の遠位部対応箇所を適用対象橈骨の遠位側骨端の掌側凹みに適合させるべく、部分加熱による局部整形を可能にしているからである。橈骨ロッキングプレートの橈骨に対するフィッティング性が劣ると、橈骨に作用するねじアンカーによる固定面圧の平準化が崩れる。低面圧の存在は高面圧の存在を示唆し、橈骨に対して却って局部的な負担増を招き、回復を遅らせる要因ともなる。
準完成品の準備とその完成品化には、少なくとも以下の工程が必要となる。レディメイド化した各種サイズの準完成品の取り揃えにあたっては、橈骨のX線CT写真データを集計し、統計的に平面形状を分類する〔第1工程〕。主たるパラメターは長さと幅であり、それぞれに約4種類を想定したとして例えば計16種類の標準タイプを決定する〔第2工程〕。それぞれの寸法・形状に合致した樹脂製橈骨ロッキングプレートを見込み生産する〔第3工程〕。骨折患者の橈骨X線CTデータから橈骨修復形状を演算し、修正橈骨の涙滴状凹みに沿わせるにふさわしい曲がりデータを取得する。橈骨ロッキングプレートに与えるべき厳格な形状やサイズが確定される〔第4工程〕。修復形状に対応した橈骨該当部の形状ゲージ31,32A,32B(図13中を参照)と、必要ならねじアンカーのため
の貫通穴を形成するための孔開けドリルガイドツールを、三次元プリンティング技術により製作する〔第5工程〕。加熱変形装置33により準完成品4Qを局部的に加熱して塑性変形可能状態とし、形状ゲージに合わせて曲げ加工する〔第6工程〕。孔開けドリルガイドツールを用い橈骨にパイロットホールを穿ち、橈骨ロッキングプレートを橈骨にねじアンカーで固定する〔第7工程〕。
の貫通穴を形成するための孔開けドリルガイドツールを、三次元プリンティング技術により製作する〔第5工程〕。加熱変形装置33により準完成品4Qを局部的に加熱して塑性変形可能状態とし、形状ゲージに合わせて曲げ加工する〔第6工程〕。孔開けドリルガイドツールを用い橈骨にパイロットホールを穿ち、橈骨ロッキングプレートを橈骨にねじアンカーで固定する〔第7工程〕。
準完成品の種類抑制にあたっては、フィッティング上最も配慮すべき要素である曲がりの暫定数が、代表的な例えば一・二にとどめられている。患者の橈骨の形状を測定し、最も近似した準完成品が選定される。涙滴状凹みの形状に合致するように曲げ改修を施して最適合化品が創成され、飛躍的に低廉なカスタムメイド品となる。曲げ改修装置自体の低コスト化と改修操作の簡便化・短時間化が実現されるからである。橈骨にほぼ完全にフィットする橈骨ロッキングプレートは極めて優れた治療効果を発揮する。
橈骨ロッキングプレートの修正による完成品は、図10(a)のいずれかの鎖線34で谷折りまたは山折りして創成される。橈骨ロッキングプレートの遠位端は、橈骨の遠位端にフィッティングさせるにおいて、最も微妙な箇所だからである。図13(a)や(c)のごとく、僅かな爾後的変形を施すことでフィッティング不足を回避できることが多い。変形程度は小さいといえ変形不可能な金属製プレートに比べれば、近傍の舟状骨や月状骨
との位置的兼ね合い、それらとの間に存する筋肉や腱との馴染み性の向上が図られ、患者の肉体的負担はおおいに軽減される。なお、はみ出し部分4a(図10(a)を参照)でも、フィッティングに寄与させるため図13(b)のような意図的な変形が必要ならば、図13(c)の処理が施される。これらのことは、金属製橈骨ロッキングプレートでは考えられない。仮に曲げることができたとしても、爾後的な曲げは貫通穴やねじの形を歪ませ、金属製ねじアンカーとは螺合不能となる。樹脂製の場合にはねじアンカーの螺進によって貫通穴や穴壁がねじアンカーに馴染む点で融通性ある挙動を呈する。
との位置的兼ね合い、それらとの間に存する筋肉や腱との馴染み性の向上が図られ、患者の肉体的負担はおおいに軽減される。なお、はみ出し部分4a(図10(a)を参照)でも、フィッティングに寄与させるため図13(b)のような意図的な変形が必要ならば、図13(c)の処理が施される。これらのことは、金属製橈骨ロッキングプレートでは考えられない。仮に曲げることができたとしても、爾後的な曲げは貫通穴やねじの形を歪ませ、金属製ねじアンカーとは螺合不能となる。樹脂製の場合にはねじアンカーの螺進によって貫通穴や穴壁がねじアンカーに馴染む点で融通性ある挙動を呈する。
ねじアンカーの副ねじが貫通穴を直進する際の螺進はすでに述べた。図9(c),(d)によれば、ねじアンカー5の軸線5aが貫通穴6の軸線6aと一致しないで螺進させることができることも分かる。すなわち、ねじアンカーの軸線を貫通穴の軸線に対して傾斜させて螺進させることができる。このように逆截頭円錐包絡面としたねじ歯は螺進方向の選択域が広いと言える。複数本のねじアンカーの螺進方向を違えることにより橈骨ロッキングプレートの橈骨に対する固定の確実性を向上させようとするときしばしば採られる。ねじアンカーが硬質金属製であり、橈骨ロッキングプレートがオール樹脂製であるからにほかならない。なお、ねじアンカーのねじ込みは図9(a)に示したレンチ穴35を介して行う。ちなみに、軸線に沿った長い穴のカニューレ36を備えた例となっているが、本発明と関連がないので説明は省く。
貫通穴はねじアンカーの頭部に刻設された副ねじに対してアンダーサイズであるから、逆截頭円錐包絡面上配置歯先は、徐々にセルフタッピング作用を発揮し、急激なトルク上昇を抑えつつ、所望する緊締状態を創成することができる。上で触れたが、ねじアンカーのセルフタッピング作用は、貫通穴に対して傾いた螺進も可能にし、主ねじの軸線の所望方向への変更を実現する。骨折片の都合よい方向での手繰り寄せや骨折片姿勢の微調整を可能にする。金属製プレートの貫通穴に形成されるねじでは螺進方向への融通を可能にすべく周方向を不連続としたり(図33を参照)、ねじ穴とねじなし穴の二連穴としなければならなくなるが(図34を参照)、樹脂製のプレートでは傾斜螺進を許容するための準備を必要としない。これは副ねじを逆截頭円錐状としている利点でもある。
ところで、円筒状の貫通穴6は、図9(e)のように、上半部6Uを副ねじに対してはオーバーサイズとし、下半部6Lをアンダーサイズとしている。この場合は、下半部を拡径しながら螺進するねじアンカーにより、トルクを漸増させつつ所望する強さの緊締力を発揮させることができる。
円筒状の貫通穴6には図14(b),(c)のごとく、内面の全部もしくは下半部に副ねじによって拡径される周方向連続ねじ38を刻設しておくこともできる。これらは貫通穴6の上下にわたって全長ねじ38Tを形成したり、部分長ねじ38Pをなすが、いずれにしても周方向不連続ねじ(図33を参照)とする必要はない。このような刻設容易な連続ねじに対しては、ねじアンカーがねじピッチを変えることなくピッチサークルの拡大のみのセルフタッピングで螺進する。その際のトルクの急増は円筒状貫通穴の場合よりも抑えられるにもかかわらず、所望する強さの緊締状態をつくり出す。樹脂製プレートにねじ機構を導入するために、金属製ねじインサート(図33(c)を参照)を導入する必要もない。
全長ねじ38Tが採用されている場合の図1(b)に相当するゾーンごとの挙動については、図15(a)から容易に想像される。Qゾーンのねじ山が全長ねじ38Tを通過している間、副ねじ13は図示しないが全長ねじ38Tを螺進する。そして、全長ねじ38Tを徐々に拡径するようセルフタッピングする。回転力は徐々に増大するが、その負担は図1(b)のQゾーンにおけるよりは軽い。Rゾーンのねじ山が穴壁に噛みこむと螺進は徐々に困難となり、術者にねじ込み限界に達していることを教える。部分長ねじ38Pに対する場合も同様である。いずれもセルフタッピングによる切り粉の発生はないか極めて少なく、貫通穴のねじ穴壁を圧縮することによる螺着強度の向上、貫通穴周囲の強化や緻密化が図られる。
貫通穴6は円筒状とすることに代えて、図16(c)のように少なくとも開口部6bを逆截頭円錐状としておくことができる。図16(a)から分かるように、掌側から見た貫通穴6の径は図14(a)の場合より大きく、橈骨ロッキングプレート4の遠位端で適用されることが多い。ねじアンカー5が穴軸線に一致するセルフタッピングにより橈骨ロッキングプレートの貫通穴6を螺進し、螺着した状態が図17に示される。図18は穴軸線に傾斜して螺進するねじアンカーの螺着過程を示す。
貫通穴の全体が逆截頭円錐状である場合に、図19(a),(b)のように全部もしくは下半部に周方向連続ねじ38を形成しておくことができる。逆截頭円錐状の開口部6bに連なる下半部を図16(d)のように円筒状としたり、図19(c)のように周方向連続ねじ38を形成しておくこともできる。逆截頭円錐状の開口部は副ねじに対してオーバサイズであるが、いずれの下半部も副ねじに対してアンダーサイズであって、副ねじの螺進によって拡径される。
いずれの貫通穴においても、副ねじは穴壁面に対してトルクが徐々に大きくなるセルフタッピング作用により、背隙の極めて少ないねじ穴を刻設する。貫通穴の部分的アンダーサイズはトルク増を軽減しつつ所望する強さの緊締状態を創成する。ねじアンカーのセルフタッピング作用は、図9(c),(d)と同様に逆截頭円錐状貫通穴の軸線に対して傾いた螺進も可能にする。骨折片の都合よい方向への手繰り寄せや骨折片姿勢の微調整を助ける。周方向連続ねじが刻設されていると、副ねじの螺進はトルク増を軽減しつつ所望する強さの緊締状態を創成する。貫通穴の上部が広くなっているゆえに、図18(d)のようにねじアンカーの頭部12の収まりもよく、創成角度の増大化も図られる。操作上のトルク増の軽減や骨折片の微調整が図られ、不連続ねじの採用回避、ねじインサートの不要化などの効果が発揮される。
図15(b),(c)の例は、副ねじ13の上下に並ぶ歯先の包絡面を部分球面としたものである。前者では下半球面の中心40がねじアンカーの軸線5aの上にあり、後者ではアンカー内に中心40Aを置くが軸線外となっている。図示しないが、球中心はねじアンカー外に選定することもできる。この場合、貫通穴の下半部を図20(b)のごとく部分球面としたり、その面にねじを形成してもよい。(c),(d)のように、球面包絡ねじ歯は橈骨ロッキングプレートに対するセルフタッピング作用中の急激なトルク上昇を抑えつつ所望する緊締を達成する。球面ゆえに螺進方向の自由度は一段と高くなる。
ところで、金属製橈骨ロッキングプレートに対してねじアンカーはセルフタッピング作用することはあり得ない。しかし、金属と非金属の関係を利用した本発明においてはセルフタッピングが利用される。本発明者らはねじアンカーに作用する曲げ強度試験等によって、初期螺着強度の確保や強度の経時的変化に問題のないことを確認した。例えば周方向連続ねじに螺着しているねじアンカーの主ねじに曲げを作用させた。図21(b)のように副ねじ13の軸線が貫通穴6のそれと一致している場合や、(c)のように副ねじ13の軸線が貫通穴6のそれに一致していない場合でも、(d)中の矢印41の方向への曲げである場合には問題がなかった。一部問題が見られたのは(d)中の矢印42の方向への曲げを与えた場合であった。それは、周方向連続ねじとの間に生じた隙間43を埋めようとする方向への曲げである。しかし、この曲げ戻しは施術中および術後に発生することはあり得ない。1本のねじアンカーが傾斜して螺進される場合は互いに踏ん張りあう(カウンターフォースを及ぼす)他のねじアンカーの存在が欠かせないから、結局は曲げ戻しによる強度低下は論外視して差し支えない。それ以外の方向、すなわち矢印41を含む紙面に垂直な手前および向こうへの曲げも全く問題のないことが確認された。
ここで、貫通穴に与えられたアンダーサイズのねじを、副ねじが拡径することについて触れる。なお、副ねじは円筒状とする。図22(a)はアンダーサイズのねじ穴6Aを示す。(b)は拡径されたねじ穴6Bである。(c)はねじ穴6Aの途中まで副ねじ13が螺進した状態を示し、下半部は未拡径状態にある。図21は貫通穴の開口部6bが逆截頭円錐をなす場合の例である。(a)のようにねじ穴の拡径されることによって影で与えた箇所44が消失するわけであるが、その穴壁は副ねじによって押し固められたように挙動する。
ところで、図23は周方向連続ねじ38のアンダーサイズ形態を示す。(a),(b)はともに拡径後のねじ穴の谷径も、内径も細線で示す拡径前よりは拡大されている。アンダーサイズのねじ穴のピッチは副ねじのピッチと同一に与えられることは言うまでもないが、(a)ではアンダーサイズの穴のねじ山の高さh6 は副ねじのねじ山の高さh13と同じである。(b)ではアンダーサイズのねじ穴のねじ山の高さh6 は副ねじのねじ山の高さh13より低い。(b)の場合は(a)の場合よりも拡径による排除容積が大きい。(c)は内径が同じである場合を示し、拡径後の谷径が細線の拡径前よりは大きくなっている。排除容積はねじ山の高さの違い量だけである。(a),(b),(c)のいずれを採用するかは橈骨ロッキングプレートの樹脂の硬度、粘り度などの物性や強化炭素繊維量に応じて選択される。
図16(b)はねじアンカーの主ねじ11の表面にPEEK樹脂がコーティングされている例である(被覆樹脂45は薄く描かれている)。これは、いずれのねじアンカーにも適用できるが、橈骨の状態を見極めたうえで、例えばソフトタッチとすべき箇所での螺進・螺着のために使用すればよい。すなわち、ねじアンカーの樹脂被覆金属歯は橈骨の螺進負荷を弱め、皮質骨の破損・破壊を軽減する。海綿質骨や皮質骨との緊締性は金属裸ねじより弱くなるが、爾後的な抜去操作の負担を軽減する。
ところで、図24(a)ないし(c)は、主ねじ11のねじピッチp11は副ねじ13のねじピッチp13よりも大きくされている例である。図24(d)ないし(f)は主ねじ11のねじピッチp11が副ねじ13のねじピッチp13よりも小さくした例である。前者はねじアンカーの螺進によって樹脂製のプレートを橈骨に密接させることができ、後者はねじアンカーの螺進によって樹脂製のプレートを橈骨から離反させることができる。ここで述べる例にあってはねじアンカーの副ねじは等径であるが、図15(a)で説明した漸減径である場合にも適用できる。
図24(a)ないし(c)を順に追う。ねじアンカー5が例えば1回転したとき、橈骨1に対して主ねじ11が1ピッチ螺進する。その螺進したねじアンカーの副ねじ13に対する橈骨ロッキングプレート4の1ピッチ変位は、橈骨ロッキングプレートが橈骨に対して、主ねじの1ピッチから副ねじの1ピッチを差し引いた量(=p11−p13)の接近をもたらす。これは、架橋状態にある樹脂製のプレートが橈骨から一部浮いている場合などの箇所での密接を図るのに都合がよい。
図24(d)ないし(f)では、ねじアンカーが1回転したとき、橈骨に対して主ねじが1ピッチ螺進する。その螺進したねじアンカーの副ねじに対する橈骨ロッキングプレートの1ピッチ変位は、橈骨ロッキングプレートが橈骨に対して、副ねじの1ピッチから主ねじの1ピッチを差し引いた量(=p13−p11)の離反をもたらす。これは、架橋状態にある樹脂製のプレートが橈骨に密接しすぎるなどの箇所での離反を図り、密接の軽減によって骨膜の毛細血管血流障害を生じにくくすることができる。
前者の例の具体的な一つが図25および図26であり、後者は図27である。橈骨ロッキングプレートの貫通穴でねじが施された穴におけるねじピッチはいずれも同じp13としておけばよい。ねじアンカーの主ねじのねじピッチp11のサイズは、術者の判断によって選択されたものでよい。
図25および図26は、遠位端に残る隙間を誇張して描いた橈骨ロッキングプレート4の固定要領例を示す。図25(a)は仮止めねじ5Tの螺着により橈骨本体3にそえられた橈骨ロッキングプレート4の遠位端部に仮想復元骨折片2iとの間で過曲がり隙間46が現れている仮止め図である。(b)は副ねじのねじピッチp13より大きいねじピッチp11の主ねじを持つねじアンカー5Aによる骨折片2の引き上げ図である。この場合、骨折片が橈骨ロッキングプレートに密接して、過曲がり隙間は無くなるが、破断隙間47は橈骨ロッキングプレートから遠ざかるにつれて広くなる。(c)は仮止めされた橈骨ロッキングプレートを白矢印21の肘方向に少し移動させて骨折片2を橈骨本体3に引き寄せた状態である。(d)は骨折片に最も近い箇所の橈骨本体上でねじアンカー5Mを打って貫通穴近傍を橈骨本体3に緩く固定し、必要に応じて仮止めねじ5Tも少し緩めた状態である。図26(a)では肘寄りの他の貫通穴を螺進する副ねじのねじピッチp13より小さいねじピッチp11の主ねじを持ったねじアンカー5Nにより橈骨ロッキングプレート4を橈骨1から部分的に矢印48Bの方向へ離反させている。骨折片に最も近いねじアンカー5Mを支点にした橈骨ロッキングプレートにおける遠位端が矢印48Cの方向に回動する。(b)は破断隙間47の略均等化図、(c)は橈骨ロッキングプレートに必要本数の他のねじアンカー5Bを固定したロッキング完了図である。
図27は、涙滴状凹みでの隙間を誇張して描いた橈骨ロッキングプレート4の固定要領例を示す。(a)は仮止めねじ5Tの螺着により橈骨本体3にそえられた橈骨ロッキングプレート4に涙滴状凹み部53で曲がり不足隙間49が残っている仮止め図である。(b)は副ねじのねじピッチより大きいねじピッチの主ねじを持つねじアンカー5Aによる骨折片の引き上げ図で、この場合、骨折片が橈骨ロッキングプレートに密接すると、破断隙間47Aは橈骨ロッキングプレートに近づくにつれて広くなる。(c)は仮止めされた橈骨ロッキングプレートを白矢印21の肘方向に移動させて破断隙間47Aを全体的に小さくすべく骨折片2を橈骨本体3に引き寄せた状態図である。(d)は曲がり不足隙部49が残っている部位の貫通穴に副ねじのねじピッチより大きいねじピッチの主ねじを持ったねじアンカー5AAの螺進により橈骨と密接させることによった橈骨ロッキングプレートにおける遠位端の回動図である。矢印48Dの方向への近接は矢印48E方向への回動をもたらし、破断隙間47Aを略均等化する。橈骨ロッキングプレートに必要本数の他のねじアンカー5Bが固定され、ロッキングが完了している。
このような操作によれば、橈骨ロッキングプレートの橈骨に対するフィッティング性を高められることが分かる。これは螺進によって橈骨ロッキングプレートに曲げを生じさせているわけであり、金属製プレートでは不可能な挙動である。樹脂製橈骨ロッキングプレートは繰り返して述べているとおり金属製橈骨ロッキングプレートに比べれば、所望する箇所での変形はねじの螺進操作によっても、また既に述べたごとくラインナップ品を爾後的に加熱変形によっても対応させることができるわけで、そのフレキシビリティは金属製プレートの比でないことが理解される。このような操作は尺骨における骨折の場合に、より一層意義のあるところであるが、詳述は省く。
ちなみに、図28に示すように、主ねじ11のねじピッチp11が副ねじ13のねじピッチp13に等しいねじアンカー5Rの場合は、ねじアンカーが螺進しても、橈骨ロッキングプレートと橈骨との対面隙間δを拡げたり狭める挙動は生じない。これは図25や図27の例で言えば、ねじアンカー5M,5Bに適用することができる。
1…橈骨、2…骨折片、3…橈骨本体、4,4M…橈骨ロッキングプレート、4Q,4Q11〜4Q13,4Q21〜4Q23…準完成品、5,5A,5AA,5B,5M,5N…ねじアンカー、5a…ねじアンカーの軸線、6…貫通穴、6a…貫通穴の軸線、6b…開口部、6A…アンダーサイズのねじ穴、6B…拡径されたねじ穴、6U…上半部、6L…下半部、7,7A,7D,7E…成形用中間材料、7Y…成形用中間材料(プリプレグ軟化シート)、7e,7d,7a…プリプレグ片、8…平坦積層物、10…軸部、11…主ねじ、12…頭部、13…副ねじ、14…小突起、17…金属製ワイヤー、23…無強化樹脂、25U,25L…成形型(上型、下型)、26…加熱器、27…加圧機、30…PEEK樹脂コンパウンド、33…加熱変形装置、38…周方向連続ねじ、38T…全長ねじ、38P…部分長ねじ、40,40A…球面の中心、45…被覆樹脂、53…涙滴状凹み、p11…主ねじのピッチ、p13…副ねじのピッチ。
Claims (6)
- 橈骨の遠位端もしくはその近傍に生じた骨折片の位置や姿勢を修復した後、該骨折片と橈骨本体との生体的一体化を促すため、骨折片と橈骨本体とに生体内掌側で架橋的にそえられる橈骨ロッキングプレートとそれに使用されるねじアンカーを備えた橈骨ロッキングシステムにおいて、
前記橈骨ロッキングプレートは、炭素繊維を強化材として熱可塑性樹脂をマトリックスとする成形用中間材料の平坦積層物であり、
前記ねじアンカーは硬質金属製であって、その軸部にはセルフタッピング作用する主ねじが形成される一方、頭部外周にもセルフタッピング作用する副ねじが刻設され、
前記橈骨本体および骨折片をねじ止めするため橈骨ロッキングプレートに設けられる貫通穴の径は、前記主ねじに対してはオーバーサイズであり、前記副ねじに対しては穴全体もしくは下半部でアンダーサイズであり、前記橈骨ロッキングプレートの上部層および下部層には45度配向材もしくは±45度配向織布の炭素繊維で補強された成形用中間材料があてられ、中間層には一方向材や0/90度配向織布の炭素繊維で補強された成形用中間材料があてられていることを特徴とする橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステム。 - 前記ねじアンカーの主ねじの表面にはPEEK樹脂がコーティングされていることを特徴とする請求項1に記載された橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステム。
- 前記主ねじのねじピッチは前記ねじアンカーの副ねじのねじピッチよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載された橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステム。
- 前記主ねじのねじピッチは前記ねじアンカーの副ねじのねじピッチよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載された橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステム。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の橈骨ロッキングプレートは、曲がりは暫定的とし、長さと幅が異なる代表的な複数を準完成品としてラインナップされていることを特徴とする橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステム。
- 前記橈骨ロッキングプレートの完成品は、前記準完成品の遠位部箇所を適用対象橈骨の涙滴状凹みに適合させるべく、部分加熱した曲げ修正品であることを特徴とする請求項5に記載された橈骨遠位端骨折治療用ロッキングプレートシステム。
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