JP2019045687A - 光学製品及び赤外線センサーカバー - Google Patents
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Abstract
【課題】様々な色調に係る金属調光沢を有しながら赤外線の透過性に優れた光学製品,赤外線センサーカバーを提供する。【解決手段】光学製品は、赤外線を透過可能な基材と、その基材の少なくとも一面に形成される多層膜と、を備えている。当該多層膜は、Si層及び誘電体層を含んでいる。又、当該Si層は、前記誘電体層より前記基材側に配置されている。当該誘電体層は、Nb2O5層,TiO2層,ZrO2層,Ta2O5層,SiO2層の少なくとも何れかであることが好ましい。又、当該基材は、ポリエチレン製であることが好ましい。【選択図】図1
Description
本発明は、赤外線センサーカバーを始めとする光学製品に関する。
金属調光沢を有する赤外線センサーカバーとして、特開2010−243436号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。
このカバーは、基材の表面において、半導体であるGe(ゲルマニウム)の層が成膜されており、かようなGe層によって、赤外域の電磁波(赤外線)を透過させながら、金属調光沢を呈するものとなっている。
このカバーは、基材の表面において、半導体であるGe(ゲルマニウム)の層が成膜されており、かようなGe層によって、赤外域の電磁波(赤外線)を透過させながら、金属調光沢を呈するものとなっている。
以上の赤外線センサーカバーでは、金属調光沢の色調がシルバーに限られる。又、透過率が0に近い金属ほどではないものの、金属調光沢を具備させる膜厚のGe層では赤外線の透過率が40%程度以下となり、赤外線センサーの作動性の向上のための赤外線透過率に向上の余地がある。
そこで、本発明の主な目的は、様々な色調に係る金属調光沢を有する光学製品,赤外線センサーカバーを提供することである。
又、本発明の主な目的は、金属調光沢を有しながら赤外線の透過性に優れた光学製品,赤外線センサーカバーを提供することである。
そこで、本発明の主な目的は、様々な色調に係る金属調光沢を有する光学製品,赤外線センサーカバーを提供することである。
又、本発明の主な目的は、金属調光沢を有しながら赤外線の透過性に優れた光学製品,赤外線センサーカバーを提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光学製品であって、赤外線を透過可能な基材と、前記基材の少なくとも一面に形成される多層膜と、を備えており、前記多層膜は、Si層及び誘電体層を含んでおり、前記Si層は、前記誘電体層より前記基材側に配置されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明にあって、前記誘電体層は、Nb2O5層,TiO2層,ZrO2層,Ta2O5層,SiO2層の少なくとも何れかであることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明にあって、前記多層膜は、撥水層を備えており、前記撥水層は、前記多層膜における最も外側に配置されていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明にあって、前記基材は、8000nm以上12000nm以下の波長域の赤外線を透過可能であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明にあって、前記基材は、850nm以上1000nm以下の波長域の赤外線を透過可能であることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明にあって、前記基材は、ポリエチレン製であることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、赤外線センサーカバーであって、上記の光学製品が用いられていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、上記発明にあって、前記誘電体層は、Nb2O5層,TiO2層,ZrO2層,Ta2O5層,SiO2層の少なくとも何れかであることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、上記発明にあって、前記多層膜は、撥水層を備えており、前記撥水層は、前記多層膜における最も外側に配置されていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、上記発明にあって、前記基材は、8000nm以上12000nm以下の波長域の赤外線を透過可能であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、上記発明にあって、前記基材は、850nm以上1000nm以下の波長域の赤外線を透過可能であることを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、上記発明にあって、前記基材は、ポリエチレン製であることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、赤外線センサーカバーであって、上記の光学製品が用いられていることを特徴とするものである。
本発明の主な効果は、様々な色調に係る金属調光沢を有する光学製品,赤外線センサーカバーが提供されることである。
又、本発明の主な効果は、金属調光沢を有しながら赤外線の透過性に優れた光学製品,赤外線センサーカバーが提供されることである。
又、本発明の主な効果は、金属調光沢を有しながら赤外線の透過性に優れた光学製品,赤外線センサーカバーが提供されることである。
以下、本発明に係る実施の形態の例が説明される。
本発明は、以下の形態に限定されない。
本発明は、以下の形態に限定されない。
本発明に係る光学製品では、基材の少なくとも一面に対し、多層膜が形成されている。
本発明において、基材は、波長が赤外域である電磁波(赤外線)の透過性を備えていれば、どのような材質であっても良い。赤外域のうち、特に8000nm(ナノメートル)以上12000nm以下(以下特に断りのない限り遠赤外域とする)は、赤外線センサーの分野で汎用的に用いられており、遠赤外域の透過性が確保されることが好ましい。又、携帯機器等の近接センサー等では、波長850nm程度の赤外線が用いられており、850nm以上1000nm以下(同様に近赤外域とする)の透過性が確保されることが好ましい。
基材の材料として、好ましくは樹脂が用いられ、赤外線透過性やコストの観点から、より好ましくは、ポリエチレンが用いられる。又、基材は、半導体のシリコン(ケイ素,Si)及びゲルマニウム(Ge)の少なくとも一方であっても良い。
又、基材は、好ましくは板状である(基板)。
本発明において、基材は、波長が赤外域である電磁波(赤外線)の透過性を備えていれば、どのような材質であっても良い。赤外域のうち、特に8000nm(ナノメートル)以上12000nm以下(以下特に断りのない限り遠赤外域とする)は、赤外線センサーの分野で汎用的に用いられており、遠赤外域の透過性が確保されることが好ましい。又、携帯機器等の近接センサー等では、波長850nm程度の赤外線が用いられており、850nm以上1000nm以下(同様に近赤外域とする)の透過性が確保されることが好ましい。
基材の材料として、好ましくは樹脂が用いられ、赤外線透過性やコストの観点から、より好ましくは、ポリエチレンが用いられる。又、基材は、半導体のシリコン(ケイ素,Si)及びゲルマニウム(Ge)の少なくとも一方であっても良い。
又、基材は、好ましくは板状である(基板)。
多層膜は、金属調光沢を有する様々な色を付与するために形成され、あるいは赤外域透過率の減少を抑制しつつ金属調光沢を有する様々な色を付与するために形成される。
多層膜は、Siを材料として層状に形成されたSi層と、誘電体を材料として層状に形成された誘電体層と、を含む。Si層や誘電体層は、どのような方法で形成されても良く、Siの基材に対する定着性の良さや各層の膜厚の制御のし易さ等の観点から、好ましくはスパッタリングにより形成される。尚、Si層と誘電体層とで形成法が異なっても良いし、誘電体層の種類あるいは配置毎に形成法が異なっても良い。
多層膜は、Siを材料として層状に形成されたSi層と、誘電体を材料として層状に形成された誘電体層と、を含む。Si層や誘電体層は、どのような方法で形成されても良く、Siの基材に対する定着性の良さや各層の膜厚の制御のし易さ等の観点から、好ましくはスパッタリングにより形成される。尚、Si層と誘電体層とで形成法が異なっても良いし、誘電体層の種類あるいは配置毎に形成法が異なっても良い。
Si層は、主に赤外域透過率の減少が抑制された状態で金属調光沢(銀色)を赤外線センサーカバーに付与するために形成される。金属調光沢の付与自体は、金属層でも可能であるが、金属は可視域や赤外域の光に対する非常に大きな吸収作用を示すため、赤外線センサーカバーには用いることができない。又、例えばポリエチレン製の基材では、顔料等の添加物により白色や黒色等の色を付与可能であるが、可視域反射率の向上に限界があり、金属調の色を付与することはできない。更に、半導体のGe(ゲルマニウム)層によっても、赤外域透過率の減少が抑制された状態で金属調光沢を付与することができる。しかし、Ge層は、外部環境によっては自然酸化により水溶性のGeO2に徐々に一部あるいは全部が変化するため、Si層に比べ耐水性に劣る。よって、Ge層は、具備させないか、あるいは具備させるとしてもSi層より基材側に配置されることが好ましい。Ge基材の場合、基材表面が多層膜(Si層)により覆われるから、GeO2の発生が抑制され、耐水性の低下が防止される。尚、Si基材は、Si層と同じ材料であり、Si基材の表面側の一部あるいは全部について、Si層と捉えることも可能である。即ち、Si基材の表面に、後述の誘電体層が形成されても良い。
Siは、屈折率が4程度と比較的に大きく、Si層単独で可視域等の反射率を十分に増加させることができる。可視域反射率の増加は、赤外線センサーカバーの内側からの光の透過を抑制することにもつながり、赤外線センサーカバーの内部隠匿性の向上をあわせて図ることも可能である。
Siは、屈折率が4程度と比較的に大きく、Si層単独で可視域等の反射率を十分に増加させることができる。可視域反射率の増加は、赤外線センサーカバーの内側からの光の透過を抑制することにもつながり、赤外線センサーカバーの内部隠匿性の向上をあわせて図ることも可能である。
誘電体層は、Si層と合わせ様々な金属調反射色を得て、赤外線センサーカバーに装飾を加えるために付与され、好ましくは無機酸化物の層であり、例えばNb2O5,TiO2,ZrO2,Ta2O5,あるいはSiO2の層である。
ほぼ全ての誘電体層は、Si層より屈折率が低いため、多層膜における低屈折率層として用いられる。
誘電体層、特に無機酸化物層は、赤外域(近赤外域や遠赤外域等)において吸収作用を呈するため、所望の色が得られることを前提としてできるだけ薄い方が良く、かような観点や、設計の容易さないし成膜コストの観点から、多層膜の全層数は、2層(Si層と誘電体層)、3層(Si層・誘電体層・撥水層)、あるいは4層(Si層・誘電体層・Si層・誘電体層若しくはSi層・誘電体層・撥水密着層・撥水層)であることが好ましい。
誘電体層は、Si層より外側に配置され、即ちSi層は誘電体層より基材側に配置される。Si層は、かような配置により、誘電体層によって保護される。
ほぼ全ての誘電体層は、Si層より屈折率が低いため、多層膜における低屈折率層として用いられる。
誘電体層、特に無機酸化物層は、赤外域(近赤外域や遠赤外域等)において吸収作用を呈するため、所望の色が得られることを前提としてできるだけ薄い方が良く、かような観点や、設計の容易さないし成膜コストの観点から、多層膜の全層数は、2層(Si層と誘電体層)、3層(Si層・誘電体層・撥水層)、あるいは4層(Si層・誘電体層・Si層・誘電体層若しくはSi層・誘電体層・撥水密着層・撥水層)であることが好ましい。
誘電体層は、Si層より外側に配置され、即ちSi層は誘電体層より基材側に配置される。Si層は、かような配置により、誘電体層によって保護される。
多層膜の最外層(最も基材から離れた層)には、撥水層が配置されることが、撥水性付与の観点から好ましい。撥水層は、撥水性を呈すればどのような材料から形成されても良く、形成の容易さ等の観点から好ましくは有機シランであり、例えばヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルメトキシシラン、テトラメチルジシロキサン、テトラメチルシラン、あるいはこれらの組合せである。
又、撥水層に対して基材側で隣接する層として、撥水密着層が配置されることが、撥水層の密着性向上の観点から好ましい。撥水密着層は、撥水層に対する密着性が誘電体層より高いものであれば材質が限定されないものであるが、好ましくは有機シランに対する密着性が良好であるSiO2製である。
尚、撥水密着層や、これと撥水層は、Siを含んだ多層膜とは別の膜と把握されても良い。
又、撥水層に対して基材側で隣接する層として、撥水密着層が配置されることが、撥水層の密着性向上の観点から好ましい。撥水密着層は、撥水層に対する密着性が誘電体層より高いものであれば材質が限定されないものであるが、好ましくは有機シランに対する密着性が良好であるSiO2製である。
尚、撥水密着層や、これと撥水層は、Siを含んだ多層膜とは別の膜と把握されても良い。
又、好適には、基材は赤外線センサーカバー基材であり、光学製品は赤外線センサーカバーである。
光学製品が赤外線センサーカバーであれば、様々な金属調光沢色に加飾された赤外線透過性を有するカバーが提供される。
光学製品が赤外線センサーカバーであれば、様々な金属調光沢色に加飾された赤外線透過性を有するカバーが提供される。
次いで、本発明の実施例1−1〜3−8、及び本発明に属さない比較例1−1〜3−1が、適宜図面を用いて説明される。
尚、本発明は、以下の実施例に限定されない。又、本発明の捉え方により、下記の実施例が実質的には比較例となったり、下記の比較例が実質的には実施例となったりすることがある。
尚、本発明は、以下の実施例に限定されない。又、本発明の捉え方により、下記の実施例が実質的には比較例となったり、下記の比較例が実質的には実施例となったりすることがある。
≪基材等≫
これら実施例ないし比較例は、何れも赤外線センサーカバーであり、それらの基材は、何れも赤外域において透光性を有する板であって、表裏各面が約50mm(ミリメートル)四方の矩形である赤外線センサーカバー基材であり、より詳細には次の3種のうちの何れかである。
即ち、第1の基材は、黒色のポリエチレン製であって、厚みが0.5mmである(黒色基材)。実施例1−1〜1−8、及び比較例1−1が、第1の基材を有する。
又、第2の基材は、乳白色のポリエチレン製であって、厚みが0.5mmである(乳白色基材)。実施例2−1〜2−8、及び比較例2−1が、第2の基材を有する。
更に、第3の基材は、白色のポリエチレン製であって、厚みが0.4mmである(白色薄基材)。実施例3−1〜3−8、及び比較例3−1が、第3の基材を有する。
尚、何れの基材も、アイシート工業株式会社製のPE#4400であり、表裏各面は鏡面加工されていない。
これら実施例ないし比較例は、何れも赤外線センサーカバーであり、それらの基材は、何れも赤外域において透光性を有する板であって、表裏各面が約50mm(ミリメートル)四方の矩形である赤外線センサーカバー基材であり、より詳細には次の3種のうちの何れかである。
即ち、第1の基材は、黒色のポリエチレン製であって、厚みが0.5mmである(黒色基材)。実施例1−1〜1−8、及び比較例1−1が、第1の基材を有する。
又、第2の基材は、乳白色のポリエチレン製であって、厚みが0.5mmである(乳白色基材)。実施例2−1〜2−8、及び比較例2−1が、第2の基材を有する。
更に、第3の基材は、白色のポリエチレン製であって、厚みが0.4mmである(白色薄基材)。実施例3−1〜3−8、及び比較例3−1が、第3の基材を有する。
尚、何れの基材も、アイシート工業株式会社製のPE#4400であり、表裏各面は鏡面加工されていない。
≪光学多層膜等≫
又、これら実施例ないし比較例においては、次の表1に示される9種類の多層膜(あるいは単層膜)の何れかが、基材の片面に付与された。
即ち、第1の膜は、基材側から数えて(以下同様)1層目が物理膜厚(以下同様)49nmのSiであり、2層目が膜厚37nmのNb2O5である全2層構造の多層膜であって、実施例1−1,2−1,3−1に付与される。視認される第1の多層膜自体の反射光の色(目視反射色)は、金属調の光沢を有する赤色である。
又、第2の膜は、1層目が膜厚30nmのSiであり、2層目が膜厚72nmのNb2O5である全2層構造の多層膜であって、実施例1−2,2−2,3−2に付与される。第2の多層膜の目視反射色は、金属調の光沢を有する青色である。
更に、第3の膜は、1層目が膜厚30nmのSiであり、2層目が膜厚100nmのNb2O5である全2層構造の多層膜であって、実施例1−3,2−3,3−3に付与される。第3の多層膜の目視反射色は、金属調の光沢を有する緑色である。
又更に、第4の膜は、1層目が膜厚30nmのSiであり、2層目が膜厚147nmのNb2O5である全2層構造の多層膜であって、実施例1−4,2−4,3−4に付与される。第4の多層膜の目視反射色は、金属調の光沢を有する桃色である。
又、これら実施例ないし比較例においては、次の表1に示される9種類の多層膜(あるいは単層膜)の何れかが、基材の片面に付与された。
即ち、第1の膜は、基材側から数えて(以下同様)1層目が物理膜厚(以下同様)49nmのSiであり、2層目が膜厚37nmのNb2O5である全2層構造の多層膜であって、実施例1−1,2−1,3−1に付与される。視認される第1の多層膜自体の反射光の色(目視反射色)は、金属調の光沢を有する赤色である。
又、第2の膜は、1層目が膜厚30nmのSiであり、2層目が膜厚72nmのNb2O5である全2層構造の多層膜であって、実施例1−2,2−2,3−2に付与される。第2の多層膜の目視反射色は、金属調の光沢を有する青色である。
更に、第3の膜は、1層目が膜厚30nmのSiであり、2層目が膜厚100nmのNb2O5である全2層構造の多層膜であって、実施例1−3,2−3,3−3に付与される。第3の多層膜の目視反射色は、金属調の光沢を有する緑色である。
又更に、第4の膜は、1層目が膜厚30nmのSiであり、2層目が膜厚147nmのNb2O5である全2層構造の多層膜であって、実施例1−4,2−4,3−4に付与される。第4の多層膜の目視反射色は、金属調の光沢を有する桃色である。
加えて、第5の膜は、1層目が膜厚30nmのSiであり、2層目が膜厚132nmのNb2O5である全2層構造の多層膜であって、実施例1−5,2−5,3−5に付与される。第5の多層膜の目視反射色は、金属調の光沢を有する黄色である。
又、第6の膜は、1層目が膜厚40nmのSiであり、2層目が膜厚10nmのNb2O5であり、3層目が撥水密着層としての膜厚10nmのSiO2であり、4層目が真空蒸着(抵抗加熱)により形成された膜厚10nmの撥水層である全4層構造の多層膜であって、実施例1−6,2−6,3−6に付与される。第6の多層膜の目視反射色は、金色である。撥水密着層としてのSiO2は、撥水層に対する密着性がNb2O5より良好である。撥水剤は、有機シランであり、例えばヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルメトキシシラン、テトラメチルジシロキサン、テトラメチルシラン、あるいはこれらの組合せが挙げられる。
更に、第7の膜は、1層目が膜厚59nmのSiであり、2層目が膜厚48nmのNb2O5であり、3層目が膜厚14nmのSiであり、4層目が膜厚17nmのNb2O5である全4層構造の多層膜であって、実施例1−7,2−7,3−7に付与される。第7の多層膜において、Siの合計膜厚は73nmであり、Nb2O5の合計膜厚は65nmである。第7の多層膜の目視反射色は、銀色である。
又更に、第8の膜は、1層目が膜厚13nmのSiであり、2層目が膜厚52nmのNb2O5であり、3層目が膜厚27nmのSiであり、4層目が膜厚86nmのNb2O5である全4層構造の多層膜であって、実施例1−8,2−8,3−8に付与される。第8の多層膜において、Siの合計膜厚は40nmであり、Nb2O5の合計膜厚は138nmである。第8の多層膜の目視反射色は、金属調の光沢を有する青色である。
加えて、第9の膜は、1層目が膜厚30nmのSiである全1層構造の単層膜であって、比較例1−1,2−1,3−1に付与される。第9の膜の目視反射色は、銀色である。
これらの多層膜における各層(撥水層を除く)は、スパッタリングにより成膜される。
又、第6の膜は、1層目が膜厚40nmのSiであり、2層目が膜厚10nmのNb2O5であり、3層目が撥水密着層としての膜厚10nmのSiO2であり、4層目が真空蒸着(抵抗加熱)により形成された膜厚10nmの撥水層である全4層構造の多層膜であって、実施例1−6,2−6,3−6に付与される。第6の多層膜の目視反射色は、金色である。撥水密着層としてのSiO2は、撥水層に対する密着性がNb2O5より良好である。撥水剤は、有機シランであり、例えばヘキサメチルジシラン、ヘキサメチルジシロキサン、トリメチルメトキシシラン、テトラメチルジシロキサン、テトラメチルシラン、あるいはこれらの組合せが挙げられる。
更に、第7の膜は、1層目が膜厚59nmのSiであり、2層目が膜厚48nmのNb2O5であり、3層目が膜厚14nmのSiであり、4層目が膜厚17nmのNb2O5である全4層構造の多層膜であって、実施例1−7,2−7,3−7に付与される。第7の多層膜において、Siの合計膜厚は73nmであり、Nb2O5の合計膜厚は65nmである。第7の多層膜の目視反射色は、銀色である。
又更に、第8の膜は、1層目が膜厚13nmのSiであり、2層目が膜厚52nmのNb2O5であり、3層目が膜厚27nmのSiであり、4層目が膜厚86nmのNb2O5である全4層構造の多層膜であって、実施例1−8,2−8,3−8に付与される。第8の多層膜において、Siの合計膜厚は40nmであり、Nb2O5の合計膜厚は138nmである。第8の多層膜の目視反射色は、金属調の光沢を有する青色である。
加えて、第9の膜は、1層目が膜厚30nmのSiである全1層構造の単層膜であって、比較例1−1,2−1,3−1に付与される。第9の膜の目視反射色は、銀色である。
これらの多層膜における各層(撥水層を除く)は、スパッタリングにより成膜される。
≪反射光の色度等≫
第1〜第9の膜が屈折率n=1.52の透明な基板の片面にそれぞれ仮想的に形成された場合の各反射光の色度が、シミュレーションにより求められた。色度は、xy表色系及びXYZ表色系の刺激値Yで表される。xy表色系でのxy座標(x,y)は、CIE(国際照明委員会)色度図で表され、色の(x,y)や刺激値Yは、D65光源のもとでの10°視野における値であり、以下同様である。
かようなシミュレーションに係るx,y,Yの各値が、次の表2に示される。何れも、目視反射色に対応した色度を示す値となっている。
又、実施例1−1〜1−8及び比較例1−1に係る各反射光の色度が、分光光度計(オリンパス株式会社製USPM−RU)により実測された。
かような測定に係るx,y,Yの各値が、次の表3や図1に示される。第1の基板が黒色であり表裏面が鏡面ではないために反射率が若干低下し、その分一部がシミュレーションと僅かに異なった値となっているが、何れも、目視反射色に対応した色度を示す値となっている。
第1〜第9の膜が屈折率n=1.52の透明な基板の片面にそれぞれ仮想的に形成された場合の各反射光の色度が、シミュレーションにより求められた。色度は、xy表色系及びXYZ表色系の刺激値Yで表される。xy表色系でのxy座標(x,y)は、CIE(国際照明委員会)色度図で表され、色の(x,y)や刺激値Yは、D65光源のもとでの10°視野における値であり、以下同様である。
かようなシミュレーションに係るx,y,Yの各値が、次の表2に示される。何れも、目視反射色に対応した色度を示す値となっている。
又、実施例1−1〜1−8及び比較例1−1に係る各反射光の色度が、分光光度計(オリンパス株式会社製USPM−RU)により実測された。
かような測定に係るx,y,Yの各値が、次の表3や図1に示される。第1の基板が黒色であり表裏面が鏡面ではないために反射率が若干低下し、その分一部がシミュレーションと僅かに異なった値となっているが、何れも、目視反射色に対応した色度を示す値となっている。
≪純水接触角等≫
実施例1−5,1−6及び比較例1−1について、多層膜形成面における純水接触角が、接触角測定機(協和界面科学株式会社製DM−501Hi)により測定された。
その測定結果が、次の表4に示される。最表層がSiである比較例1−1の純水接触角は51°であるのに対し、最表層がNb2O5である実施例1−5の純水接触角は76°であって撥水性が増しており、更に最表層が撥水層である実施例1−6の純水接触角は111°であって、極めて優れた撥水性を示すものとなっている。
実施例1−5,1−6及び比較例1−1について、多層膜形成面における純水接触角が、接触角測定機(協和界面科学株式会社製DM−501Hi)により測定された。
その測定結果が、次の表4に示される。最表層がSiである比較例1−1の純水接触角は51°であるのに対し、最表層がNb2O5である実施例1−5の純水接触角は76°であって撥水性が増しており、更に最表層が撥水層である実施例1−6の純水接触角は111°であって、極めて優れた撥水性を示すものとなっている。
≪可視域反射率等≫
上述のシミュレーションに係る可視域(ここでは380nm以上780nm以下)及びその隣接域(350nm以上380nm未満及び780nmを超えて800nm以下)の波長の光に係る反射率分布と、実施例1−1〜1−8及び比較例1−1に係る同様の反射率分布(可視域)とが、算出されあるいは測定された。後者の測定は、上述の分光光度計により行われた。又、可視域の光に係る実施例1−1,2−1,3−1の反射率分布と、第1〜第3の各基材のみの同様な反射率分布とが、同様に測定された。
これらの結果が、図2〜5や次の表5,6に示される。尚、シミュレーションにおける各膜の可視域反射率の最大値及び最小値が表5に示され、測定における当該最大値及び最小値が表6に示される。
上述のシミュレーションに係る可視域(ここでは380nm以上780nm以下)及びその隣接域(350nm以上380nm未満及び780nmを超えて800nm以下)の波長の光に係る反射率分布と、実施例1−1〜1−8及び比較例1−1に係る同様の反射率分布(可視域)とが、算出されあるいは測定された。後者の測定は、上述の分光光度計により行われた。又、可視域の光に係る実施例1−1,2−1,3−1の反射率分布と、第1〜第3の各基材のみの同様な反射率分布とが、同様に測定された。
これらの結果が、図2〜5や次の表5,6に示される。尚、シミュレーションにおける各膜の可視域反射率の最大値及び最小値が表5に示され、測定における当該最大値及び最小値が表6に示される。
上述の通り、第1の基板の僅かな影響で、実測された反射率分布よりシミュレーションの反射率分布の方が反射率が小さいものの、可視域における反射率分布の形状(増減の態様)は同様なものとなっており(図2〜4)、第1〜第8の膜の付与により、様々な色に対応した可視域での反射率分布が実現できている。
又、図5に示されるように、基材の種類が異なっていても、第1の多層膜の付与により、赤外線センサーカバーが金属調の赤色を呈するようになる。
又、図5に示されるように、基材の種類が異なっていても、第1の多層膜の付与により、赤外線センサーカバーが金属調の赤色を呈するようになる。
≪近赤外域透過率等≫
第1〜第3の各基板のみ、実施例1−2,1−7,1−8及び比較例1−1、並びに実施例2−2,2−7,2−8及び比較例2−1について、近赤外域(850nm以上1000nm以下)の波長の光に係る透過率分布が、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製U4100)により測定された。
これらの結果が、図6〜8や次の表7に示される。
第1〜第3の各基板のみ、実施例1−2,1−7,1−8及び比較例1−1、並びに実施例2−2,2−7,2−8及び比較例2−1について、近赤外域(850nm以上1000nm以下)の波長の光に係る透過率分布が、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製U4100)により測定された。
これらの結果が、図6〜8や次の表7に示される。
基板のみの状態では(図6)、第1,第2の基板は、赤外域の光を透過するポリエチレン製であって赤外域の光を反射(散乱)しあるいは吸収する添加物も含有されていないため、近赤外域の透過率は80%程度で一定である。他方、第3の基板は、ポリエチレン製であるものの、白色の添加物が近赤外域の光を散乱しあるいは吸収するために、近赤外域の透過率が25%前後となっている。近赤外域における透過率の平均値は、第1の基板で78.25%であり、第2の基板で81.68%である(表5)。
第1の基板に第2,7,8,9の多層膜が形成された実施例1−2,1−7,1−8及び比較例1−1では(図7)、近赤外域の透過率は、40%前後である比較例1−1よりも、実施例1−2が大きく(50%程度)、更に実施例1−7が大きく(60%前後)、更に実施例1−8がより大きい(70%程度)。近赤外域における透過率の平均値は、比較例1−1で43.67%、実施例1−2で49.87%、実施例1−7で58.84%、実施例1−8で68.77%である(表5)。特に実施例1−7,1−8では、銀色や金属調の青色を呈しながら、近赤外域の透過率を十分に確保することができる。
第2の基板に第2,7,8,9の多層膜が形成された実施例2−2,2−7,2−8及び比較例2−1では(図8)、近赤外域の透過率は、45%前後である比較例2−1よりも、実施例2−2が大きく(52%程度)、更に実施例2−7が大きく(65%前後)、更に実施例2−8がより大きい(75%程度)。近赤外域における透過率の平均値は、比較例2−1で46.21%、実施例2−2で51.36%、実施例2−7で65.27%、実施例2−8で74.73%である(表5)。特に実施例2−7,2−8では、銀色や金属調の青色を呈しながら、近赤外域の透過率を十分に確保することができる。
第1の基板に第2,7,8,9の多層膜が形成された実施例1−2,1−7,1−8及び比較例1−1では(図7)、近赤外域の透過率は、40%前後である比較例1−1よりも、実施例1−2が大きく(50%程度)、更に実施例1−7が大きく(60%前後)、更に実施例1−8がより大きい(70%程度)。近赤外域における透過率の平均値は、比較例1−1で43.67%、実施例1−2で49.87%、実施例1−7で58.84%、実施例1−8で68.77%である(表5)。特に実施例1−7,1−8では、銀色や金属調の青色を呈しながら、近赤外域の透過率を十分に確保することができる。
第2の基板に第2,7,8,9の多層膜が形成された実施例2−2,2−7,2−8及び比較例2−1では(図8)、近赤外域の透過率は、45%前後である比較例2−1よりも、実施例2−2が大きく(52%程度)、更に実施例2−7が大きく(65%前後)、更に実施例2−8がより大きい(75%程度)。近赤外域における透過率の平均値は、比較例2−1で46.21%、実施例2−2で51.36%、実施例2−7で65.27%、実施例2−8で74.73%である(表5)。特に実施例2−7,2−8では、銀色や金属調の青色を呈しながら、近赤外域の透過率を十分に確保することができる。
≪遠赤外域透過率に係る一層の材質や膜厚に関するシミュレーション等≫
Si層にNb2O5層等を組み合わせて金属調光沢を有する様々な多層膜が形成されるところ、赤外線センサーカバーとして用いるためには遠赤外域(8000nm以上12000nm以下)の透過率の確保が必要であり、実際の多層膜の遠赤外域透過率の測定前(各実施例の設計前)に、それらの層毎の遠赤外域透過率が、シミュレーションにより求められた。
Si層は、主に遠赤外域の透過率を確保しながら金属調光沢を実現するために設けられ、誘電体層としての、Nb2O5層,TiO2層,ZrO2層,Ta2O5層は、主に遠赤外域の透過率を確保しながら様々な色を付与するために設けられ、誘電体層としてのSiO2層は、色を付与する目的の他、遠赤外域の透過率を確保しながら撥水密着層や保護層等として機能するために設けられる。
Si層にNb2O5層等を組み合わせて金属調光沢を有する様々な多層膜が形成されるところ、赤外線センサーカバーとして用いるためには遠赤外域(8000nm以上12000nm以下)の透過率の確保が必要であり、実際の多層膜の遠赤外域透過率の測定前(各実施例の設計前)に、それらの層毎の遠赤外域透過率が、シミュレーションにより求められた。
Si層は、主に遠赤外域の透過率を確保しながら金属調光沢を実現するために設けられ、誘電体層としての、Nb2O5層,TiO2層,ZrO2層,Ta2O5層は、主に遠赤外域の透過率を確保しながら様々な色を付与するために設けられ、誘電体層としてのSiO2層は、色を付与する目的の他、遠赤外域の透過率を確保しながら撥水密着層や保護層等として機能するために設けられる。
図9に、Si層の遠赤外域透過率分布が示される。尚、遠赤外全域で屈折率が1.52であり吸収がない仮想的な基材の片面にSi層が単独で成膜された場合のシミュレーションとなっており、他の層についても同様である。
Si層の遠赤外域透過率分布は、膜厚30nmにおいて91%程度で平坦であり、膜厚50nmにおいて90%前後であり、膜厚70nmでは86〜89%で右上がり(域内の短波長側より長波長側で透過率が高い)であり、膜厚100nmでは82〜86%でより急な右上がりとなり、膜厚150nmでは72〜81%で更に急な右上がりとなる。
遠赤外域透過率の十分な確保の観点から、Si層の膜厚は、好ましくは100nm以下とされ、更に好ましくは70nm以下とされる。
Si層の遠赤外域透過率分布は、膜厚30nmにおいて91%程度で平坦であり、膜厚50nmにおいて90%前後であり、膜厚70nmでは86〜89%で右上がり(域内の短波長側より長波長側で透過率が高い)であり、膜厚100nmでは82〜86%でより急な右上がりとなり、膜厚150nmでは72〜81%で更に急な右上がりとなる。
遠赤外域透過率の十分な確保の観点から、Si層の膜厚は、好ましくは100nm以下とされ、更に好ましくは70nm以下とされる。
図10に、Nb2O5層の遠赤外域透過率分布が示される。Nb2O5層の遠赤外域透過率分布は、膜厚50nmにおいて域内短波長側で92%程度で平坦で,長波長側で92〜89%程度で若干右下がりであり、膜厚100nmにおいて域内短波長側で92%程度で平坦で,長波長側で92〜85%程度でより急に右下がりであり、膜厚150nmにおいて域内短波長側で91%程度で平坦で,長波長側で91〜82%程度で更に急に右下がりであり、膜厚200nmにおいて域内短波長側で91%程度で平坦で,長波長側で91〜79%程度でより一層急に右下がりであり、膜厚500nmにおいて域内短波長側で90〜85%程度で丘状で,長波長側で85〜60%程度でより一層急に右下がりである。遠赤外域透過率の十分な確保の観点から、Nb2O5層の膜厚は、好ましくは200nm以下とされ、更に好ましくは100nm以下とされる。
図11に、TiO2層の遠赤外域透過率分布が示される。TiO2層の遠赤外域透過率分布は、Nb2O5層の遠赤外域透過率分布と類似した分布となっており、膜厚50nmにおいて域内短波長側で92%程度で平坦で,長波長側で92〜89%程度で若干右下がりであり、膜厚100nmにおいて域内短波長側で92%程度で平坦で,長波長側で92〜86%程度でより急に右下がりであり、膜厚150nmにおいて域内短波長側で91%程度で平坦で,長波長側で91〜83%程度で更に急に右下がりであり、膜厚200nmにおいて域内短波長側で91%程度で平坦で,長波長側で91〜80%程度でより一層急に右下がりであり、膜厚500nmにおいて域内短波長側で90〜87%程度で丘状で,長波長側で87〜65%程度でより一層急に右下がりである。遠赤外域透過率の十分な確保の観点から、TiO2層の膜厚は、好ましくは200nm以下とされ、更に好ましくは100nm以下とされる。
図11に、TiO2層の遠赤外域透過率分布が示される。TiO2層の遠赤外域透過率分布は、Nb2O5層の遠赤外域透過率分布と類似した分布となっており、膜厚50nmにおいて域内短波長側で92%程度で平坦で,長波長側で92〜89%程度で若干右下がりであり、膜厚100nmにおいて域内短波長側で92%程度で平坦で,長波長側で92〜86%程度でより急に右下がりであり、膜厚150nmにおいて域内短波長側で91%程度で平坦で,長波長側で91〜83%程度で更に急に右下がりであり、膜厚200nmにおいて域内短波長側で91%程度で平坦で,長波長側で91〜80%程度でより一層急に右下がりであり、膜厚500nmにおいて域内短波長側で90〜87%程度で丘状で,長波長側で87〜65%程度でより一層急に右下がりである。遠赤外域透過率の十分な確保の観点から、TiO2層の膜厚は、好ましくは200nm以下とされ、更に好ましくは100nm以下とされる。
図12に、ZrO2層の遠赤外域透過率分布が示される。ZrO2層の遠赤外域透過率分布は、膜厚50nmにおいて92%程度で平坦であり、膜厚100nmにおいて91.5%程度で平坦であり、膜厚150nmにおいて91〜89.5%程度で平坦であり、膜厚200nmにおいて域内短波長側で91〜89%程度で平坦であり、膜厚500nmにおいて85〜88%で平坦である。遠赤外域透過率の十分な確保の観点から、ZrO2層の膜厚は、好ましくは200nm以下とされ、更に好ましくは100nm以下とされる。
図13に、Ta2O5層の遠赤外域透過率分布が示される。Ta2O5層の遠赤外域透過率分布は、Nb2O5層やNb2O5層の遠赤外域透過率分布と類似した分布となっており、膜厚50nmにおいて域内短波長側で92%程度で平坦で,長波長側で92〜89%程度で若干右下がりであり、膜厚100nmにおいて域内短波長側で92%程度で平坦で,長波長側で92〜87%程度でより急に右下がりであり、膜厚150nmにおいて域内短波長側で91%程度で平坦で,長波長側で91〜84%程度で更に急に右下がりであり、膜厚200nmにおいて域内短波長側で91%程度で平坦で,長波長側で91〜82%程度でより一層急に右下がりであり、膜厚500nmにおいて域内短波長側で90%程度で平坦で,長波長側で90〜68%程度でより一層急に右下がりである。遠赤外域透過率の十分な確保の観点から、Ta2O5層の膜厚は、好ましくは200nm以下とされ、更に好ましくは100nm以下とされる。
図14に、SiO2層の遠赤外域透過率分布が示される。SiO2層の遠赤外域透過率分布は、波長9500nm前後で極小値を有するV字状であり、膜厚10nmにおいて極小値が88%程度であり、膜厚30nmにおいて極小値が80%程度であり、膜厚50nmにおいて極小値が75%程度であり、膜厚100nmにおいて極小値が61%程度であり、膜厚150nmにおいて極小値が52%である。遠赤外域透過率の十分な確保の観点から、SiO2層の膜厚は、好ましくは100nm以下とされ、更に好ましくは50nm以下とされる。
図13に、Ta2O5層の遠赤外域透過率分布が示される。Ta2O5層の遠赤外域透過率分布は、Nb2O5層やNb2O5層の遠赤外域透過率分布と類似した分布となっており、膜厚50nmにおいて域内短波長側で92%程度で平坦で,長波長側で92〜89%程度で若干右下がりであり、膜厚100nmにおいて域内短波長側で92%程度で平坦で,長波長側で92〜87%程度でより急に右下がりであり、膜厚150nmにおいて域内短波長側で91%程度で平坦で,長波長側で91〜84%程度で更に急に右下がりであり、膜厚200nmにおいて域内短波長側で91%程度で平坦で,長波長側で91〜82%程度でより一層急に右下がりであり、膜厚500nmにおいて域内短波長側で90%程度で平坦で,長波長側で90〜68%程度でより一層急に右下がりである。遠赤外域透過率の十分な確保の観点から、Ta2O5層の膜厚は、好ましくは200nm以下とされ、更に好ましくは100nm以下とされる。
図14に、SiO2層の遠赤外域透過率分布が示される。SiO2層の遠赤外域透過率分布は、波長9500nm前後で極小値を有するV字状であり、膜厚10nmにおいて極小値が88%程度であり、膜厚30nmにおいて極小値が80%程度であり、膜厚50nmにおいて極小値が75%程度であり、膜厚100nmにおいて極小値が61%程度であり、膜厚150nmにおいて極小値が52%である。遠赤外域透過率の十分な確保の観点から、SiO2層の膜厚は、好ましくは100nm以下とされ、更に好ましくは50nm以下とされる。
≪遠赤外域透過率等≫
かような単層の遠赤外域透過率シミュレーション結果等を参照して設計された多層膜(第9の膜は単層膜)について、全域で屈折率1.52で吸収のない仮想的な基材に第1〜第9の膜が付与された場合及び基材のみの遠赤外域透過率分布に係るシミュレーションがなされた。又、第1〜第9の膜が各種の基材に付与された各実施例や各比較例及び基材のみについて、遠赤外域透過率分布の測定がなされた。遠赤外域透過率分布は、フーリエ変換赤外分光光度計(株式会社島津製作所製IRAffinity−1s)により測定された。
図15,16に、遠赤外域透過率分布のシミュレーション結果が示され、図17,18に、実施例1−1〜1−8,比較例1−1,第1の基材の遠赤外域透過率分布の測定結果が示され、図19,20に、実施例2−1〜2−8,比較例2−1,第2の基材の遠赤外域透過率分布の測定結果が示され、図21,22に、実施例3−1〜3−8,比較例3−1,第3の基材の遠赤外域透過率分布の測定結果が示される。又、次の表8に、シミュレーションの場合や、各実施例や各比較例、各基材のみの場合に係る遠赤外域の平均透過率が示される。
かような単層の遠赤外域透過率シミュレーション結果等を参照して設計された多層膜(第9の膜は単層膜)について、全域で屈折率1.52で吸収のない仮想的な基材に第1〜第9の膜が付与された場合及び基材のみの遠赤外域透過率分布に係るシミュレーションがなされた。又、第1〜第9の膜が各種の基材に付与された各実施例や各比較例及び基材のみについて、遠赤外域透過率分布の測定がなされた。遠赤外域透過率分布は、フーリエ変換赤外分光光度計(株式会社島津製作所製IRAffinity−1s)により測定された。
図15,16に、遠赤外域透過率分布のシミュレーション結果が示され、図17,18に、実施例1−1〜1−8,比較例1−1,第1の基材の遠赤外域透過率分布の測定結果が示され、図19,20に、実施例2−1〜2−8,比較例2−1,第2の基材の遠赤外域透過率分布の測定結果が示され、図21,22に、実施例3−1〜3−8,比較例3−1,第3の基材の遠赤外域透過率分布の測定結果が示される。又、次の表8に、シミュレーションの場合や、各実施例や各比較例、各基材のみの場合に係る遠赤外域の平均透過率が示される。
各基材のみの場合の遠赤外域透過率分布は、シミュレーションで設定された条件と異なり、実際にはポリエチレンの添加物あるいは厚みや密度等により、35〜62%の間で比較的に複雑な波形状となる。その分布と、第1〜第9の膜が付与された場合の遠赤外域透過率分布との透過率の差の傾向は、シミュレーションの場合と測定の場合とで概ね合致する。
各実施例の遠赤外域透過率分布は、各比較例の当該分布に比べて数ポイント程度の減少に留まっており、赤外線センサーで検知可能な遠赤外域の赤外線を十分に透過させるものである。
又、特に実施例1−6,2−6,3−6では、撥水密着層としてのSiO2層が遠赤外域の中央部に透過率の比較的に小さい部分を有しているところ、その物理膜厚が10nmと薄いため、遠赤外域透過率の低下が抑制され、赤外線センサーが作動可能な遠赤外域透過率が確保される。そして、撥水密着層により密着性の高い状態で形成された撥水層が、赤外線センサーカバーの表面に撥水性をもたらし、センサー連動屋外カメラといった屋外の機器等に適するものとなる。尚、撥水層(撥水剤)は、赤外域の光(赤外線)に対して相当程度の透過性を有している。
各実施例の遠赤外域透過率分布は、各比較例の当該分布に比べて数ポイント程度の減少に留まっており、赤外線センサーで検知可能な遠赤外域の赤外線を十分に透過させるものである。
又、特に実施例1−6,2−6,3−6では、撥水密着層としてのSiO2層が遠赤外域の中央部に透過率の比較的に小さい部分を有しているところ、その物理膜厚が10nmと薄いため、遠赤外域透過率の低下が抑制され、赤外線センサーが作動可能な遠赤外域透過率が確保される。そして、撥水密着層により密着性の高い状態で形成された撥水層が、赤外線センサーカバーの表面に撥水性をもたらし、センサー連動屋外カメラといった屋外の機器等に適するものとなる。尚、撥水層(撥水剤)は、赤外域の光(赤外線)に対して相当程度の透過性を有している。
≪まとめ等≫
以上の通り、実施例1−1〜3−8のように、Si層及び誘電体層を含む多層膜が付与された赤外線透過基材によって、可視域において様々な金属調光沢色を呈する反射率分布を有すると共に、赤外線センサーの検知対象としての光における波長が属する近赤外域あるいは遠赤外域において十分な大きさの透過率分布を有することとなり、様々な色調に係る金属調光沢を有して装飾が加えられており、又赤外線の透過性に優れた赤外線センサーカバーが提供される。
以上の通り、実施例1−1〜3−8のように、Si層及び誘電体層を含む多層膜が付与された赤外線透過基材によって、可視域において様々な金属調光沢色を呈する反射率分布を有すると共に、赤外線センサーの検知対象としての光における波長が属する近赤外域あるいは遠赤外域において十分な大きさの透過率分布を有することとなり、様々な色調に係る金属調光沢を有して装飾が加えられており、又赤外線の透過性に優れた赤外線センサーカバーが提供される。
Claims (7)
- 赤外線を透過可能な基材と、
前記基材の少なくとも一面に形成される多層膜と、
を備えており、
前記多層膜は、Si層及び誘電体層を含んでおり、
前記Si層は、前記誘電体層より前記基材側に配置されている
ことを特徴とする光学製品。 - 前記誘電体層は、Nb2O5層,TiO2層,ZrO2層,Ta2O5層,SiO2層の少なくとも何れかである
ことを特徴とする請求項1に記載の光学製品。 - 前記多層膜は、撥水層を備えており、
前記撥水層は、前記多層膜における最も外側に配置されている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学製品。 - 前記基材は、8000nm以上12000nm以下の波長域の赤外線を透過可能である
ことを特徴とする請求項1ないしは請求項3の何れかに記載の光学製品。 - 前記基材は、850nm以上1000nm以下の波長域の赤外線を透過可能である
ことを特徴とする請求項1ないしは請求項4の何れかに記載の光学製品。 - 前記基材は、ポリエチレン製である
ことを特徴とする請求項1ないしは請求項5の何れかに記載の光学製品。 - 請求項1ないしは請求項6の何れかに記載の光学製品が用いられている
ことを特徴とする赤外線センサーカバー。
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WO2023153242A1 (ja) * | 2022-02-09 | 2023-08-17 | Agc株式会社 | 遠赤外線透過部材、遠赤外線センサ、車載用センサ、スマートフォン搭載用センサ、及びウェアラブル端末用センサ |
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