JP2019044967A - 高圧水素ガス用蓄圧器 - Google Patents

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Abstract

【課題】ストレート形状の鋼製容器と前記鋼製容器の両端に設けられた蓋部材とを備えた高圧水素ガス用蓄圧器において、ネジ部における疲労き裂の発生を抑制する。【解決手段】蓄圧部を構成するストレート形状の鋼製容器と、前記鋼製容器の両端に設けられた蓋部材とを備えた高圧水素ガス用蓄圧器であって、前記蓋部材は、外周面にネジ山を有しており、前記鋼製容器は、前記蓋部材のネジ山と螺合するネジ山が内周面に設けられたネジ部を両端に有しており、前記ネジ部における前記鋼製容器の肉厚Lsが、前記鋼製容器の長手方向中央における肉厚Lcよりも大きい、高圧水素ガス用蓄圧器。【選択図】 図2

Description

本発明は、高圧水素ガス用蓄圧器に関するものである。
CO2排出問題を解決すると共に、エネルギー問題を解決可能な燃料電池自動車は、今後の新たな自動車として期待されている。この燃料電池自動車に水素を供給するための水素ステーションには、80MPa以上の圧力で水素を蓄圧する蓄圧器と呼ばれる圧力容器が設置されている。
このような高圧水素ガス用蓄圧器には、大きく2種類の形状がある。一つは管の端部に絞り加工を施して鏡部を作製したボンベ型蓄圧器、もう一つはストレートな管の両端に蓋をしたストレート型蓄圧器である。
ボンベ型蓄圧器は、ガスの出口に向けて容器内の断面積が減少する形状となっており、口金部は径の小さなネジ構造の留め金で封止される。この場合、口金のネジ部にかかる応力は低減されるため、圧力の封止に関する問題はない。しかし、ボンベ型蓄圧器には、以下のような問題があった。
(1)絞り加工を行うことによって内面にしわが発生し、そのしわを起点に疲労破壊が発生する懸念がある。また、耐圧性能を向上させるために素材の肉厚を増加させた場合、そもそも絞り加工を行うことが困難となる。
(2)水素ステーション用などの高圧水素ガス用蓄圧器では、使用開始後に定期的に内面検査を行う必要があるが、ボンベ型蓄圧器では蓄圧器の内面検査が困難である。
(3)鋼製容器を備える蓄圧器を作製する場合には、通常、鋼製容器に熱処理が施されるが、ボンベ型蓄圧器の場合、鋼製容器内部への冷却水の導入および排出に時間がかかるため、熱処理時の冷却速度が遅くなり、鋼組織のばらつきが大きくなる。また、熱処理によって鋼製容器の内部表面に生成するスケールや脱炭層を除去することが困難であるため、内面を熱処理ままの状態で用いることとなる。その結果、鋼製容器の疲労特性が劣化する。
そこで、上記のような問題を回避するために、ストレート型の蓄圧器を用いることが考えられる。ストレートな管の両端に蓋をした構造であれば、管の開口部が大きいため、熱処理時の冷却が容易になり、鋼材の組織を精密に制御することができる。そのため、ストレート型蓄圧器ではボンベ型蓄圧器に比べて疲労特性を向上させることができる。また、熱処理後に管の外面だけでなく内面を機械加工することができるため、熱処理時に生成する脱炭層やスケールの除去や内面粗度の管理を容易に行うことができる。さらに、検査時に蓋をあけることで内面疵の詳細な検査が可能となる。
このようなストレート型の高圧水素ガス用蓄圧器としては、例えば、特許文献1、2に記載されたものが提案されている。
特開2016−089891号公報 特開2015−158243号公報
上記のようなストレート型の高圧水素ガス用蓄圧器では容器の断面積がほぼ一定であるため、内部の圧力はすべて両端部に設けられた蓋で受圧される。したがって、ストレート型の高圧水素ガス用蓄圧器の蓋構造には、極めて高い圧力がかかる。そして、前記蓋は、管の内周面に設けられたネジ山と蓋の外周面に設けられたネジ山とを螺合させることによって固定されるため、ストレート型蓄圧器においてはボンベ型にはないネジ部からの疲労破壊を考慮した設計が必要となる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ストレート形状の鋼製容器と前記鋼製容器の両端に設けられた蓋部材とを備えた高圧水素ガス用蓄圧器において、ネジ部における疲労き裂の発生を抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために検討を行った結果、本発明者等は次の設計思想を見出した。
(1)ストレート型蓄圧器におけるネジ部への荷重を低減する方法としては、蓄圧器の内径を小さくすることが考えられる。しかし、単に内径を小さくするのみでは蓄圧器に収容できる高圧水素ガスの量が減少してしまう。高圧水素ガスの収容部(蓄圧部)の容積を保ちつつ内径を小さくするためには、蓄圧器の長手方向における長さを増大させる必要がある。しかし、蓄圧器が長くなりすぎると、水素ステーションなど、蓄圧器を設置する場所の制約が大きくなり、また、施工時のハンドリングが困難になるといった問題がある。そのため、蓄圧部の内径を維持したままで、ネジ部における疲労き裂の発生を抑制することが望ましい。
(2)鋼製容器のネジ部における肉厚を選択的に厚くすることにより、蓄圧部の内径を小さくすることなくネジ部にかかる応力を低減し、該ネジ部における疲労き裂の発生を抑制することができる。
本発明は前記設計思想に立脚するものであり、その要旨構成は次のとおりである。
1.蓄圧部を構成するストレート形状の鋼製容器と、前記鋼製容器の両端に設けられた蓋部材とを備えた高圧水素ガス用蓄圧器であって、
前記蓋部材は、外周面にネジ山を有しており、
前記鋼製容器は、前記蓋部材のネジ山と螺合するネジ山が内周面に設けられたネジ部を両端に有しており、
前記ネジ部における前記鋼製容器の肉厚Lsが、前記鋼製容器の長手方向中央における肉厚Lcよりも大きい、高圧水素ガス用蓄圧器。
2.前記鋼製容器のネジ部における内径と長手方向中央における内径とが同じであり、
前記鋼製容器のネジ部における外径が長手方向中央における外径よりも大きい、上記1に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
3.前記鋼製容器のネジ部における外径と長手方向中央における外径とが同じであり、
前記鋼製容器のネジ部における内径が長手方向中央における内径よりも小さい、上記1に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
4.前記鋼製容器の外周面に炭素繊維強化樹脂層を有する、上記1〜3のいずれか一項に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
5.前記炭素繊維強化樹脂層の厚さが一定である定常部が、前記鋼製容器のネジ部を覆っていない、上記4に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
6.前記鋼製容器の内面が機械加工されている、上記1〜5のいずれか一項に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
7.前記鋼製容器の外面が機械加工されている、上記1〜6のいずれか一項に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
8.前記鋼製容器および前記蓋部材のいずれか一方または両方に、疲労き裂を検知するセンサーを備える、上記1〜7のいずれか一項に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
本発明の高圧水素ガス用蓄圧器によれば、蓄圧部の内径を小さくすることなくネジ部にかかる応力を低減し、該ネジ部における疲労き裂の発生を抑制することができる。
本発明の第1の実施形態における高圧水素ガス用鋼製蓄圧器の構造を示す断面模式図である。 本発明の第2の実施形態における高圧水素ガス用鋼製蓄圧器の構造を示す断面模式図である。 本発明の第3の実施形態における高圧水素ガス用鋼製蓄圧器の構造を示す断面模式図である。 本発明の第4の実施形態における高圧水素ガス用鋼製蓄圧器の構造を示す断面模式図である。 本発明の第5の実施形態における高圧水素ガス用鋼製蓄圧器の構造を示す断面模式図である。
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な実施態様を示すものであり、本発明は以下の説明によって何ら限定されるものではない。
[高圧水素ガス用蓄圧器]
本発明の蓄圧器は高圧水素ガス用蓄圧器であり、鋼製容器と、前記鋼製容器の両端に設けられた蓋部材とを備えている。前記高圧水素ガス用蓄圧器は、例えば、水素ステーション用蓄圧器として用いることができるが、それに限定されることなく、任意の用途で用いることができる。
本発明の高圧水素ガス用蓄圧器は、前記鋼製容器の表面の少なくとも一部に後述する炭素繊維強化樹脂(CFRP)層を有していてもよい。より具体的には、一般的に蓄圧器は以下の4種類に大別されるが、本発明の高圧水素ガス用蓄圧器はタイプ1もしくは2のいずれかタイプとすることができる。
・タイプ1:金属製容器からなる蓄圧器。
・タイプ2:金属製容器(ライナ)+CFRP(フープラップ)。
・タイプ3:金属製容器(ライナ)+CFRP(フルラップ)。
・タイプ4:樹脂製容器(ライナ)+CFRP(フルラップ)。
[鋼製容器]
上記鋼製容器としては、ストレート形状の蓄圧部の長手方向両端部の内周面にネジ山が設けられており、後述する蓋部材のネジ山と螺合するものを用いる。前記鋼製容器の両端におけるネジ山が設けられた部分を、以下、「ネジ部」という。ここで「ストレート形状」とは、長手方向に垂直な面における内径もしくは外径の少なくとも一方が一定である円筒形状を指すものとする。
上記鋼製容器の材質としては、特に限定されることなく任意の鋼を用いることができるが、低コスト化の観点からは低合金鋼製の容器を用いることが好ましく、特に、クロムモリブデン鋼JIS SCM steel、ニッケルクロムモリブデン鋼JIS SNCM steelもしくはASME SA723、マンガンクロム鋼JIS SMnC steel、マンガン鋼JIS SMn steel、およびボロン添加鋼N28CB、N36CB、N46CBのうちいずれか1つを用いることが好ましい。中でも、材料強度との両立の観点からは、焼き入れ性を確保しやすいクロムモリブデン鋼もしくはクロムモリブデンニッケル鋼を用いることがより好ましい。例えば、クロムモリブデン鋼(SCM435)は、C:0.33〜0.38質量%、Si:0.15〜0.35質量%、Mn:0.60〜0.90質量%、P:0.030質量%以下、S:0.030質量%以下、Cr:0.90〜1.20質量%、Mo:0.15〜0.30質量%である。
蓄圧器に水素を収容する際には、素材の水素脆化を考慮する必要がある。水素脆化の観点からは、鋼製容器の引張強さTSを1100MPa以下とすることが好ましく、950MPa以下とすることがより好ましい。
上記鋼製容器としては、特に限定されず、任意の方法で製造されたものを用いることができる。例えば、鋼材の内部をくり抜いて容器としたものであってもよく、鋼管を加工したものであってもよい。また、前記鋼管としては、電縫溶接鋼管やシームレス鋼管など、任意のものを用いることができるが、中でもシームレス鋼管からなる鋼製容器を用いることが好ましい。シームレス鋼管からなる鋼製容器は、くり抜きによって製造される鋼製容器に比べて靭性などの特性に優れることに加え、溶接部もないため、高圧水素ガス用蓄圧器の容器として極めて好適である。
前記鋼製容器の表面は、機械加工されていることが好ましい。表面を機械加工することにより、熱処理時に表面に生じた脱炭層を除去することができる。また、機械加工によって表面を所望の粗度に仕上げることができる。機械加工における表面仕上げは、例えば、△△△等のレベルとすることができる。前記機械加工は、鋼製容器の内面および外面のいずれか一方または両方に施すことができる。前記機械加工としては、例えば、切削、研削など、任意の加工方法を、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
機械加工時に表面粗度を向上させることで、表面欠陥を除去するとともに、凹凸への応力集中を低減することができる。そしてその結果、疲労き裂の発生がさらに抑制され、耐疲労特性が一層向上する。具体的には、鋼製容器の少なくとも蓄圧部の内面における表面粗度Rzを20μm以下とすることが好ましく、10μm以下とすることがより好ましい。一方、Rzを2μmより小さくしても耐疲労特性の向上効果は少ない。そのため、Rzは2μm以上とすることが好ましい。ここで、Rzは、JIS B 0601:2001で規定される粗さ曲線における「最大高さ」を指すものとする。
なお、上記表面粗度の向上による疲労特性の改善効果は、鋼製容器の内面において特に顕著であるが、鋼製容器の外面でも効果が得られる。したがって、鋼製容器の外面についても、表面粗度Rzを20μm以下とすることが好ましく、10μm以下とすることがより好ましい。また、鋼製容器の外面におけるRzも2μm以上とすることが好ましい。
[蓋部材]
鋼製容器の両端は、蓋部材によって封止される。前記蓋部材としては、外周面にネジ山を有しており、該ネジ山を前記鋼製容器両端のネジ山と螺合させることによって封止できるものであれば任意のものを用いることができる。
鋼製容器の両端に設置されている蓋部材のうち、少なくとも一方にはガスを出し入れするための貫通孔が設けられている。前記貫通孔は、一方の蓋部材にのみ設けることもできるが、両方の蓋部材に設けることもできる。また、1つの蓋部材に2またはそれ以上の貫通孔を設けてもよい。前記貫通孔には、任意に配管やバルブを接続することができる。
上記蓋部材の材質としては、特に限定されることなく任意の材料を用いることができるが、金属を用いることが好ましく、鋼を用いることがより好ましい。前記鋼としては、低コスト化の観点からは低合金鋼製の容器を用いることが好ましく、特に、クロムモリブデン鋼JIS SCM steel、ニッケルクロムモリブデン鋼JIS SNCM steelもしくはASME SA723、マンガンクロム鋼JIS SMnC steel、マンガン鋼JIS SMn steel、およびボロン添加鋼N28CB、N36CB、N46CBのうちいずれか1つを用いることが好ましい。中でも、材料強度との両立の観点からは、焼き入れ性を確保しやすいクロムモリブデン鋼もしくはクロムモリブデンニッケル鋼を用いることがより好ましい。例えば、クロムモリブデン鋼(SCM435)は、C:0.33〜0.38質量%、Si:0.15〜0.35質量%、Mn:0.60〜0.90質量%、P:0.030質量%以下、S:0.030質量%以下、Cr:0.90〜1.20質量%、Mo:0.15〜0.30質量%である。
上記蓋部材の材料として鋼を用いる場合、該鋼は鋼製容器の材料である鋼と同じであってもよく、異なっていてもよい。
前記蓋部材は、単一の部材で構成されていてもよく、複数の部材で構成されていてもよい。単一の部材で構成された蓋部材としては、例えば、中実円柱状の蓋であって、その周側面にネジ山を設けたものが挙げられる。蓋部材の一部にネジ山の無い部分を設け、鋼製容器の内周面に設置されたOリングと接することによってプラグと鋼製容器との間をシールしても良い。また、複数の部材で構成された蓋部材としては、例えば、以下に述べるようなプラグとグランドナットからなる蓋部材が挙げられる。
前記プラグは、対向する1対の主面(平坦な円形の面)を有する円盤状の部材であり、その周側面が鋼製容器の内周面に設置されたOリングと接することによってプラグと鋼製容器との間がシールされる。そのため、前記プラグの周側面にはネジ山が設けられていない。前記プラグの一方の主面は蓄圧部に面しており、前記プラグが蓄圧部の圧力を受ける構造となっている。なお、ここで「蓄圧部」とは、鋼製容器内部における、高圧水素ガスが貯蔵される空間を指すものとする。
グランドナットは、外周面にネジ山を有する中空円筒状の部材であり、グランドナットのネジ山は鋼製容器の内周面に設けられたネジ山と螺合している。グランドナットは、プラグの他方の主面と接しており、プラグを支持する働きを有している。
プラグとグランドナットからなる蓋部材を用いる場合は、上述した貫通孔は、プラグに設ければよい。また、前記プラグおよびグランドナットの材料は、それぞれ独立に、上述した蓋部材の材料から選択することが好ましい。
上記グランドナットとしては、特に限定されず、任意の方法で製造されたものを用いることができる。例えば、鋼材の内部をくり抜いて中空円筒状としたものであってもよく、鋼管を加工したものであってもよい。また、前記鋼管としては、電縫溶接鋼管やシームレス鋼管など、任意のものを用いることができるが、中でもシームレス鋼管からなるグランドナットを用いることが好ましい。シームレス鋼管からなるグランドナットは、くり抜きによって製造されるグランドナットに比べて靭性などの特性に優れることに加え、溶接部もないため、高圧水素ガス用蓄圧器の封止に極めて好適に用いることができる。
[ネジ部の肉厚]
Ls>Lc
本発明においては、前記ネジ部における前記鋼製容器の肉厚Lsを、前記鋼製容器の長手方向中央における肉厚Lcよりも大きくすること(Ls>Lc)が重要である。このように、鋼製容器の肉厚を、ネジ部において選択的に厚くすることにより、蓄圧部の内径を小さくすることなくネジ部にかかる応力を低減し、該ネジ部における疲労き裂の発生を抑制することができる。その際、LsとLcの差が小さすぎると効果が小さいため、LsはLcの1.05倍以上とすることが好ましい。また、LsおよびLcは蓄圧器内圧レベルによって適宜決定すればよいが、Lsは25mmから70mmが好ましく、Lcは20mmから65mmが好ましい。
なお、鋼製容器の肉厚を変えるためには通常は何らかの加工が必要となるため、ネジ部以外の部分(蓄圧部)における鋼製容器の厚さはできるかぎり一定とすることが望ましい。具体的には、鋼製容器の長手方向における蓄圧部の長さの80%以上の範囲において、該鋼製容器の蓄圧部における肉厚がLcであることが好ましい。
LsをLcより大きくする具体的な方法は特に限定されず、任意の方法とすることができる。例えば、(1)ネジ部が外側に凸となる構造、(2)ネジ部が内側に凸となる構造のいずれとすることもできる。また、内側、外側ともに凸としてもよい。
(1)ネジ部を外側に凸とする場合
上記(1)の場合、前記鋼製容器のネジ部における内径を長手方向中央における内径と等しくし、前記鋼製容器のネジ部における外径を長手方向中央における外径よりも大きくすることが好ましい。また、前記鋼製容器のネジ部における内径をネジ部以外における内径と等しくし、前記鋼製容器のネジ部における外径をネジ部以外における外径よりも大きくすることがより好ましい。言い換えれば、鋼製容器の内径を、長手方向全体にわたって略同一とすることが好ましい。
上記(1)の構造とすることにより、肉厚を変えるために鋼製容器の内周面を加工する必要がなく、製造が容易となる。例えば、鋼管の両端部をそのままの肉厚とし、それ以外の部分の肉厚が両端部より小さくなるように鋼管の外表面に減肉処理を施すことで前記構造とすることができる。具体的には、機械加工(切削、研削など)することや、両端部以外を圧延、鍛造、プレス成型すること等によって外径を小さくすることができる。
上記(1)の構造とすることにより、内圧を付与した際に発生するねじ底応力を下げることが可能であり、その結果、耐疲労特性が向上する。また、疲労破壊は、材料が局所的に弱くなる箇所に発生しやすい。例えば、熱処理を施した鋼製容器の場合、熱処理時に鋼管表層の炭素が還元されることで強度が低下した脱炭層が形成される。その結果、容器の表層は疲労破壊の起点となりやすい。したがって、外周面に機械加工を施すことにより脱炭層を除去すれば、疲労破壊発生を抑制し、さらに耐疲労特性を向上させることができる。
(2)ネジ部を内側に凸とする場合
上記(2)の場合、前記鋼製容器のネジ部における外径を長手方向中央における外径と等しくし、前記鋼製容器のネジ部における内径を長手方向中央における内径よりも小さくすることが好ましい。また、前記鋼製容器のネジ部における外径をネジ部以外における外径と等しくし、前記鋼製容器のネジ部における内径をネジ部以外における内径よりも小さくすることがより好ましい。言い換えれば、鋼製容器の外径を、長手方向全体にわたって略同一とすることが好ましい。
上記(2)の構造とした場合、ネジ部の内径が小さいため、該ネジ部に螺合される蓋部材の径も小さくなる。そのため、蓄圧部に収容される高圧水素ガスと接する蓋部材の面積(受圧部の面積)が小さくなり、蓋部材に係る圧力を低減することができる。その結果、ネジ部にかかる応力が低減され、疲労き裂の発生をさらに抑制することができる。したがって、ネジ部における疲労き裂の発生を抑制するという観点からは、上記(2)の構造とすることがより好ましい。
上記(2)の構造を有する鋼製容器の製造方法は特に限定されないが、例えば、鋼管の両端部をそのままの肉厚とし、それ以外の部分の肉厚が両端部より小さくなるように鋼管の内周面を機械加工(切削、研削など)すればよい。
また、疲労破壊は、材料が局所的に弱くなる箇所に発生しやすい。例えば、熱処理を施した鋼製容器の場合、熱処理時に鋼管表層の炭素が還元されることで強度が低下した脱炭層が形成される。その結果、容器の表層は疲労破壊の起点となりやすい。したがって、内周面に機械加工を施すことにより脱炭層を除去すれば、疲労破壊発生を抑制し、さらに耐疲労特性を向上させることができる。
[センサー]
本発明の一実施形態における高圧水素ガス用蓄圧器は、き裂を検知するためのセンサーを備えることができる。センサーの設置位置は特に限定されず、任意の位置に設置することができる。鋼製容器のネジ部におけるき裂を検知するためには、鋼製容器の外側に前記センサーを設置することが好ましい。また、蓋部材のネジ部におけるき裂を検知するためには蓋部材に前記センサーを設置することが好ましい。
特に、上述した円盤状のプラグと中空円筒状のグランドナットからなる蓋部材を用いる場合には、該グランドナットの内周面にセンサーを設置することができる。グランドナットの内側にセンサーを設置することにより、蓄圧器が使用中であるか否かにかかわらず、グランドナットに発生するき裂を検知することができる。
上述したようにストレート型蓄圧器においては蓋部材のネジ部に高い圧力がかかるため、鋼製容器とグランドナットのネジ山が螺合しているネジ部の直下または直上にセンサーを設けることが好ましい。特に、ネジ部の負荷は蓄圧部側から3〜5山程度の範囲において最も高くなるため、蓄圧部側から3〜5山の位置におけるき裂を検知できるようにセンサーを設置することがより好ましい。
センサーは、鋼製容器およびグランドナットの周方向に1つのみ設けてもよいが、2つ以上設けることもできる。複数のセンサーを用いることにより、より広い範囲におけるき裂を高い精度で検知することができる。センサーを周方向に2つ以上設ける場合には等間隔に設けることが好ましい。例えば、周方向に180°、120°、または90°間隔でセンサーを設けることが好ましい。
前記センサーとしては、疲労によって発生するき裂を検知することができるものであれば任意のセンサーを用いることができる。前記センサーとしては、例えば、アコースティックエミッション(AE)センサーや超音波探傷センサーなどを挙げることができる。
前記センサーを蓄圧器に固定した状態で該蓄圧器を使用することにより、リアルタイムでき裂の発生をモニターすることもできる。一方、リアルタイムでのモニタリングの必要がない場合には、センサーを固定しておく代わりに、定期検査の際などにセンサーを用いてき裂の検査を行うこともできる。その場合、超音波探傷センサーを用いてき裂の有無を検査することが好ましい。
AEセンサーは、き裂が発生した際に生じる弾性波を検出することにより、き裂の発生を検知することができるセンサーである。弾性波は鋼の内部を伝播しやすいため、AEセンサーは鋼製容器の端部に設置してもよい。ただし、弾性波は空気層により著しく減衰するため、鋼製容器に発生するき裂は鋼製容器に設置されたセンサーで検知することが好ましい。同様に、ランドナットに発生するき裂はグランドナットに設置されたセンサーで検知することが好ましい。一方、弾性波は鋼管を伝播する際に減衰し、その影響はセンサーと亀裂発生位置との距離が離れるほど大きくなる。したがって、AEセンサーは、き裂発生個所に近い位置に設置することが望ましく、グランドナットを使用する場合には該グランドナットの内側に設置することが好ましい。
なお、疲労き裂は鋼製容器の長手方向に発生、進展すると予想されるため、超音波探傷センサーとしては、斜角探触子を備える超音波探傷センサーを用い、斜角探傷を行うことが好ましい。前記超音波探傷センサーとしては、特に、フェーズドアレイ型の探触子を用いたセンサーを用いることが好ましい。フェーズドアレイ型センサーを用いた超音波探傷では、複数の素子を制御して合成波面を形成することにより、入射波を走査することや任意の位置に収束させることができる。そのため、センサー設置位置の自由度が高くなることに加えて、高感度での探傷が可能となる。
また、超音波は直進性に優れていて、き裂面がその超音波の直線状に存在しない場合には検出感度が低下する。したがって、中空のグランドナットの内側に超音波センサーを設置すれば、グランドナット側に発生したき裂発生位置に対してほぼ真上で検査可能となるため、より高感度の検出が可能となる。
[炭素繊維強化樹脂層]
上記鋼製容器の表面には、炭素繊維強化樹脂層を設けることができる。炭素繊維強化樹脂層は、強化材に炭素繊維を用い、これに樹脂を含浸させて強度を向上させた複合材料であり、CFRP(carbon-fiber-reinforced plastic)と呼ばれている。前記炭素繊維強化樹脂層を設けることにより、蓄圧器の耐圧性および疲労特性をさらに向上させることができる。前記炭素繊維強化樹脂層は、鋼製容器の外周面の一部を覆うことができるが、低コスト化の観点からは容器の周方向のみに炭素繊維を巻き付けたタイプ2容器とすることが好ましい。また、ネジ部におけるき裂の検知を行うためには、炭素繊維強化樹脂層はネジ部にかからないように設けることが好ましいが、ネジ部にかかる場合でも、ネジ部にかかる部分の長さを50mm以下とすることが好ましい。なお、炭素繊維強化樹脂層を用いる場合、前記鋼製容器は「ライナ」と称される。
前記炭素繊維としては、特に限定されることなく、例えば、PAN系、ピッチ系など、任意のものを用いることができる。炭素繊維強化樹脂層における炭素繊維の体積含有率は、日本工業規格JIS K 7075(1991)に準拠して求めることができ、通常50%〜80%の範囲とすることが好ましい。
[防食層]
炭素繊維強化樹脂層を設ける場合には、さらに、鋼製容器(ライナ)の外周面に電蝕防止のための防食層を設け、該防食層上に前記炭素繊維強化樹脂層を設けることが好ましい。前記防食層を設けることにより、炭素繊維強化樹脂層にクラックなどが発生して外部から水分が侵入した場合でも、水分が鋼製容器に直接接触しないため、鋼製容器の腐食を防止できる。また、水分が鋼製容器と接触したとしても、防食層によって鋼製容器と炭素繊維強化樹脂層とが隔絶しているため、電食が発生せず、したがって腐食の進行を抑制することができる。
前記防食層としては、例えば、粉体塗装による樹脂被覆や、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)層を用いることができる。前記粉体塗装には、例えば、塩化ビニル系樹脂等をベースとする熱可塑性粉体塗料や、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂等をベースとする熱硬化性粉体塗料を用いることができる。水素充填時の熱等を考慮して、熱硬化性粉体塗料を用いることが好ましい。また、ガラス繊維強化樹脂は炭素繊維強化樹脂よりも軟質であるため、ガラス繊維強化樹脂層を設けることで小石などによる疵付きを防止することもできる。
次に、本発明の高圧水素ガス用蓄圧器の構造の例を、図面を参照しながらさらに具体的に説明する。
(第1の実施形態)
・ネジ部を外側に凸とする場合
図1は、本発明の一実施形態における高圧水素ガス用蓄圧器1の構造を示す模式図であり、蓄圧器の中心軸を通る面における断面を表している。高圧水素ガス用蓄圧器1は、ストレート形状で断面円形の鋼製容器10を備えており、鋼製容器10の内部空間は蓄圧部11を構成している。
鋼製容器10の両端は、蓋部材20によって封止されている。本実施形態における蓋部材20は周側面にネジ山を有する中実円柱状の部材であり、蓋部材20のネジ山は鋼製容器10の内周面に設けられたネジ山と螺合している。
鋼製容器10の両端に設置されている蓋部材20の一方にはガスを出し入れするための貫通孔21が設けられており、貫通孔21には配管22が接続されている。配管22には図示されないバルブを任意に設けることができる。
本実施形態においては、鋼製容器10の内径は、鋼製容器10の長手方向全体にわたって略同一である。一方、鋼製容器10の両端におけるネジ部12、すなわち、ネジ山が設けられている部分の外径は、ネジ部12以外の部分における外径より大きくなっている。言い換えれば、ネジ部12が外側へ凸となる構造を有している。その結果、ネジ部12における肉厚Lsは、長手方向中央部を含む蓄圧部11の肉厚Lcよりも大きくなっている。
上記のようにネジ部12の肉厚のみを選択的に厚くすることにより、蓄圧部11の内径を小さくすることなくネジ部12にかかる応力を低減し、ネジ部12における疲労き裂の発生を抑制することができる。
(第2の実施形態)
・ネジ部を内側に凸とする場合
図2は、本発明の第2の実施形態における高圧水素ガス用蓄圧器1の構造を示す模式図である。なお、特に言及しない部分については上述した第1の実施形態と同様とすることができる。
本実施形態においては、鋼製容器10の外径は、鋼製容器10の長手方向全体にわたって略同一である。一方、鋼製容器10の両端におけるネジ部12の内径は、ネジ部12以外の部分における内径より小さくなっている。言い換えれば、ネジ部12が内側へ凸となる構造を有している。その結果、ネジ部12における肉厚Lsは、長手方向中央部を含む蓄圧部11の肉厚Lcよりも大きくなっている。
上記のようにネジ部12の肉厚のみを選択的に厚くすることにより、蓄圧部11の内径を小さくすることなくネジ部12にかかる応力を低減し、ネジ部12における疲労き裂の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態においてはネジ部12の内径が小さいため、高圧水素ガス用蓄圧器1の長手方向に垂直な面における蓋部材20の断面積が、鋼製容器10の蓄圧部11における断面積よりも小さい。したがって、蓄圧部11に収容される高圧水素ガスから蓋部材20が受ける圧力が減少し、その結果、ネジ部12における疲労き裂の発生をさらに抑制することができる。
(第3の実施形態)
・プラグとグランドナットからなる蓋部材を用いる場合
図3は、本発明の第3の実施形態における高圧水素ガス用蓄圧器1の構造を示す模式図である。なお、特に言及しない部分については上述した第2の実施形態と同様とすることができる。
本実施形態においては、上記第2の実施形態における蓋部材20に代えて、円盤状のプラグ23および円筒状(円環状)のグランドナット24からなる蓋部材が用いられる。
プラグ23は、対向する1対の主面(平坦な円形の面)を有する円盤状の部材であり、その周側面が鋼製容器10の内周面に設置されたOリングと接することによって、プラグ23と鋼製容器10との間がシールされる。プラグ23の一方の主面は蓄圧部11に面しており、プラグ23が蓄圧部の圧力を受ける構造となっている。
鋼製容器10の両端に設置されているプラグ20の一方にはガスを出し入れするための貫通孔21が設けられており、貫通孔21には配管22が接続されている。配管22には図示されないバルブを任意に設けることができる。
グランドナット24は、外周面にネジ山を有する中空円筒状の部材であり、グランドナット24のネジ山は鋼製容器10の内周面に設けられたネジ山と螺合している。グランドナット24は、プラグ23の他方の主面と接しており、これによりプラグ23が支持されている。
円筒状であるグランドナット24の内周面には、センサー40(内側センサー40a)が設けられている。このようにグランドナット24の内側にセンサーを設置することにより、蓄圧器が使用中であるか否かにかかわらず、グランドナット24に発生するき裂を検知することができる。
また、鋼製容器10の外周面にもセンサー40(外側センサー40b)が設置されている。このように鋼製容器の外側にセンサーを設置することにより、鋼製容器10に発生するき裂の検知も可能となる。
グランドナットにはねじ部が存在し、ねじ底は応力集中源となり疲労破壊の懸念が有る。一方で、グランドナットのねじ底に発生する応力が、鋼製容器のねじ底に発生する応力よりも高くなるよう設計することで、意図的に、鋼製容器よりもグランドナットが優先的に破壊する構造とすることができる。その場合、グランドナット24の内部にき裂センサーが設置しておくことで、より確実にき裂の発生を検出でき、蓄圧器をさらに安全に使用できる。
また、グランドナットにき裂が発生した場合には、該グランドナットのみを交換すればよく、鋼製容器はそのまま使用できる。さらに、本実施形態におけるグランドナットは中空の部材であるため、中実の蓋部材よりも軽量で、交換作業も容易である。このような観点からも、プラグとグランドナットからなる蓋部材を用いることが好ましい。
なお、鋼製容器よりもグランドナットが優先的に破壊する構造とするためには、グランドナットの肉厚を鋼製容器のネジ部における肉厚よりも薄くすることが好ましい。一方、グランドナットの強度を向上させ、圧力による変形を抑制するという観点からは、グランドナットの厚さを鋼製容器ネジ部の厚さの50%以上とすることが好ましい。
なお、本実施形態では第2の実施形態と同様にネジ部12を内側に凸としているが、第1の実施形態のようにネジ部を外側に凸とした場合であってもプラグとグランドナットからなる蓋部材を使用することができる。
(第4の実施形態)
・炭素繊維強化樹脂層を設ける場合
図4は、本発明の第4の実施形態における高圧水素ガス用蓄圧器1の構造を示す模式図である。なお、特に言及しない部分については上述した第3の実施形態と同様とすることができる。
本実施形態においては、鋼製容器10の外周面に炭素繊維強化樹脂層50が設けられている。炭素繊維強化樹脂層50を設けることにより、蓄圧器の耐圧性および疲労特性をさらに向上させることができる。
なお、図4に示した例ではグランドナット24の内周面にのみセンサー(内側センサー40b)を設置している。これは、鋼製容器10のネジ部12が炭素繊維強化樹脂層50によって覆われているためである。ただし、図4のように鋼製容器10の端部に炭素繊維強化樹脂層50によって覆われていない領域がある場合には、前記領域を利用して、超音波斜角探傷によって鋼製容器10のネジ部12の探傷を行うこともできる。上記観点からは、グランドナット24と炭素繊維強化樹脂層50とが重複する領域の、蓄圧器長手方向における長さdを50mm以下とすることが好ましい。
なお、第1の実施形態のようにネジ部を外側に凸とした場合や、第1、第2の実施形態のように中実の蓋部材20を使用する場合であっても、炭素繊維強化樹脂層50を設けることができる。
(第5の実施形態)
・炭素繊維強化樹脂層を設ける場合
図5は、本発明の第5の実施形態における高圧水素ガス用蓄圧器1の構造を示す模式図である。なお、特に言及しない部分については上述した第3、第4の実施形態と同様とすることができる。
本実施形態では、上記第4の実施形態と同様に鋼製容器10の外周に炭素繊維強化樹脂層50が設けられているが、炭素繊維強化樹脂層50は蓄圧部11およびプラグ23部分のみを覆っており、グランドナット24部分を覆っていない。そのため、炭素繊維強化樹脂層を設けていない第3の実施形態の場合と同様に、ネジ部12に外側センサー40bを設置することができる。
ネジ部の肉厚を増加させることによる効果を確認するために、ネジ部肉厚の異なる高圧水素ガス用蓄圧器を作成し、疲労試験を行って疲労き裂の発生を評価した。具体的な手順は以下のとおりとした。
高圧水素ガス用蓄圧器としては、炭素繊維強化樹脂層を有さないタイプ1蓄圧器と、炭素繊維強化樹脂層を有するタイプ2蓄圧器の両者を作製した(表1)。いずれの蓄圧器においても、低合金鋼製の継ぎ目無し鋼管を内面研削して得た鋼製容器を使用した。タイプ2の蓄圧器は、前記鋼製容器(ライナ)の外周面に、厚さ10mmとなるようにPAN系CFRPを巻き付けて作製した。前記低合金鋼としては、ニッケルクロムモリブデン鋼であるSNCM439を用い、焼き入れ焼き戻しの熱処理を施し、引張強さ(TS)が900MPa程度となるように調整した。タイプ1、タイプ2のいずれの蓄圧器においても、鋼製容器の寸法は、水素貯蔵部長さ:700mm、外径:300mm、肉厚:25mmとした。また、ネジ部の肉厚は25mmのもの(比較例)と、35mmのもの(発明例)を作成した。
タイプ1蓄圧器については、ネジ部が内側に凸である蓄圧器(No.1〜3)とネジ部が外側に凸である蓄圧器(No.10〜12)を作製した。また、タイプ2蓄圧器については、炭素繊維強化樹脂層が図2に示したようにネジ部まで覆っているもの(No.4〜6)と、プラグ部までしか覆っていない(ネジ部を覆っていない)もの(No.7〜9)の2種類を作成した。
蓋部材の構造は、図3〜5に示した円盤状プラグと中空円筒状のグランドナットからなる中空の蓋部材(No.1、2、4、5、7、8、10、11)と、図1、2に示した中実の蓋部材(No.3、6、9、12)の、2種類とした。
グランドナットを用いた蓋部材を有する蓄圧器においては、ネジ部外側および蓋部材内側にき裂検知用のセンサーを設置した。使用したセンサーの種類は表1に示したとおりとした。
上記のようにして作成した各蓄圧器を用いて、圧力サイクル試験を行った。圧力サイクル試験は、き裂が発生する条件(水圧で最低圧力2MPa、最高圧力93MPa)で実施し、ねじ部肉厚が25mmである比較例の蓄圧器において亀裂がセンサーにより検知された時点で試験終了した。センサーを設置した蓄圧器の亀裂確認はセンサーでの検知の有無で判断し、中実部材については試験終了後、蓋を取り外し、ねじ部での亀裂発生の有無を浸透探傷試験により確認した。
上記圧力サイクル試験の結果を表1に示す。この結果から分かるように、本発明の条件を満たす蓄圧器では、ねじ部肉厚が25mmである比較例の蓄圧器で亀裂が検知された時点で鋼製容器側および蓋部材側の何れにおいてもき裂が発生せず、疲労特性に優れていた。
Figure 2019044967
1 高圧水素ガス用蓄圧器
10 鋼製容器
11 蓄圧部
12 ネジ部
20 蓋部材
21 貫通孔
22 配管
23 プラグ
24 グランドナット
40 センサー
40a 内側センサー
40b 外側センサー
50 炭素繊維強化樹脂層

Claims (8)

  1. 蓄圧部を構成するストレート形状の鋼製容器と、前記鋼製容器の両端に設けられた蓋部材とを備えた高圧水素ガス用蓄圧器であって、
    前記蓋部材は、外周面にネジ山を有しており、
    前記鋼製容器は、前記蓋部材のネジ山と螺合するネジ山が内周面に設けられたネジ部を両端に有しており、
    前記ネジ部における前記鋼製容器の肉厚Lsが、前記鋼製容器の長手方向中央における肉厚Lcよりも大きい、高圧水素ガス用蓄圧器。
  2. 前記鋼製容器のネジ部における内径と長手方向中央における内径とが同じであり、
    前記鋼製容器のネジ部における外径が長手方向中央における外径よりも大きい、請求項1に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
  3. 前記鋼製容器のネジ部における外径と長手方向中央における外径とが同じであり、
    前記鋼製容器のネジ部における内径が長手方向中央における内径よりも小さい、請求項1に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
  4. 前記鋼製容器の外周面に炭素繊維強化樹脂層を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
  5. 前記炭素繊維強化樹脂層の厚さが一定である定常部が、前記鋼製容器のネジ部を覆っていない、請求項4に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
  6. 前記鋼製容器の内面が機械加工されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
  7. 前記鋼製容器の外面が機械加工されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
  8. 前記鋼製容器および前記蓋部材のいずれか一方または両方に、疲労き裂を検知するセンサーを備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の高圧水素ガス用蓄圧器。
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