本開示の実施形態の加熱容器を、添付の図面を参照して説明する。図1は加熱容器100の外観を示しており、図1(a)は絶縁基体1の第1面11側(上面側)からの斜視図であり、図1(b)は絶縁基体1の第2面12側(下面側)からの斜視図である。図2は加熱容器100の一例を示しており、図2(a)は絶縁基体1の第1面11側(上面側)からの平面図(上面図)であり、図2(b)は図2(a)のB−B線における断面図であり、図2(c)は絶縁基体1の第2面12側(下面側)からの平面図(下面図)である。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際に加熱容器100が使用されるときの上下を限定するものではない。
加熱容器100は、図1および図2に示す例のように、セラミックスからなる複数の絶縁層1aが積層されてなり、凹部11aを有する第1面11と第1面11と対向する第2面12とを有する絶縁基体1と、絶縁基体1の内部であって凹部11aと第2面12との間に設けられているヒータ2と、凹部11aと絶縁基体1の側面13との間において絶縁層1aを貫通し、凹部11aを取り囲むように配列されている複数の柱状伝熱体31を含む伝熱体3と、ヒータ2に接続されており、絶縁基体1の表面に設けられている端子電極4とを有している。
第1面11に凹部11aを有する絶縁基体1が試料を収容する容器本体である。絶縁基体1はセラミックスからなる複数の絶縁層1aが積層されてなるものであり、加熱容器100は、セラミック製の容器ということである。セラミックスは一般的に耐薬品性に優れているため、凹部11aに収容した試料によって容器が腐食したり、容器の成分が試料に溶出したりする可能性が極めて小さい。また、絶縁基体1の内部にはヒータ2が内蔵されており、ヒータ2は絶縁基体1の第2面12に設けられた端子電極4に電気的に接続されている。端子電極4を介して外部から電圧が印可されることでヒータ2が発熱し、その熱が絶縁基体1内を伝導して凹部11aに収容された試料を加熱することができる。容器にヒータ2が内蔵されているので、容器を外部から加熱するのに比較して容器内の試料を短時間で加熱することができる。加熱容器100は、セラミック製であるので耐熱性にも優れており、内蔵されているヒータ2が発熱しても、変質がほとんどなく、収容している試料へ溶出する可能性が極めて小さい。そして、加熱容器100は伝熱体3を備えている。
伝熱体3は、試料の入る凹部11aと絶縁基体1の側面13との間において絶縁層1aを貫通している複数の柱状伝熱体31を含んでいる。すなわち、試料の入る凹部11aを取り囲んで、絶縁基体1の内部に配列されている。言い換えれば、凹部11aを取り囲む側壁内に、凹部11aを取り囲むように複数の伝熱体3が配置されている。伝熱体3は、絶縁基体1よりも熱伝導率の高いものである。そのため、ヒータ2からの熱が凹部11aを取り囲む側壁にも伝わりやすくなり、凹部11aの内面の加熱効率、および凹部11aの内面における均熱性が高まる。凹部11aの周囲にもヒータを配置することでも加熱効率および均熱性の向上は可能である。しかしながら、その場合はヒータが長くなって抵抗が大きくなるので、所定の温度とするために印可する電流、電圧または時間を大きくしなければならない。これに対して上記構成であると、特に加熱容器100が小型で、ヒータ2に印可される電圧が低い場合でも効率よく加熱することができる。これにより、大きな加熱装置、加熱チャンバー等がなくてもよく、1つの試料の分析等に要する時間が短縮される。
図2に示す例においては、10層の絶縁層1aが積層されて絶縁基体1が構成されている。より具体的には、6層の絶縁層1aで凹部11aの側壁が構成され、凹部11aと第2面12との間は4層の絶縁層1aで構成されている。絶縁層1aの平面視の形状は正方形であり、第1面11側の6層の絶縁層1aは円形の貫通孔を備えている。これによって、絶縁基体1は、複数の絶縁層1aが積層されてなる全体的な形状が直方体であり、凹部11aを有する第1面11と第1面11と対向する第2面12とを有するものとなっている。絶縁層1aの形状および層数はこの例に限られるものではなく、絶縁基体1および凹部11aの形状もこれに限られるものではない。平面視形状が正方形の絶縁基体1に対して、同じく平面視形状が正方形の凹部11aを設けてもよいし、平面視形状が円形の絶縁基体1に対して、同じく平面視形状が円形の凹部11aを設けてもよい。絶縁基体1および凹部11aともに、その他の多角形状や楕円状であってもよい。図1および図2に示す例のように凹部11aの平面視の形状が円形であると、試料が液状である場合には、凹部11a内において試料の対流が均質なものになりやすいので、試料の温度の均熱性を高めることができる。
ヒータ2は、絶縁基体1の内部における凹部11aと絶縁基体1の第2面(下面)12との間に位置する絶縁層1a間に設けられている。図2(b)に示す例では、ヒータ2は第2面12よりも凹部11a(の底面)の方に近い位置に設けられている。ヒータ2aと凹部11aとの間の絶縁層1aの数と、ヒータ2aと第2面12との間の絶縁層1aの数とは同じく2つであるが、これら4つの絶縁層1aのうち最も第2面12側の絶縁層1aの厚みはそれ以外の絶縁層1aの厚みよりも厚いためである。このようにすると、ヒータ2で発生した熱が凹部11aへより伝わりやすくなるので、凹部11a内の試料の加熱効
率のよい加熱容器100となる。
ヒータ2の平面透視における形状は、例えば図2(c)に示す例のような、線状の導体が複数回折れ曲がって蛇行している、いわゆるミアンダ形状である。ヒータ2は、少なくとも平面透視で凹部11aと重なるように配置されていれば凹部11aの底面および凹部11a内の試料を効率よく加熱することができる。より効率よく加熱するためには、図2(c)に示す例のように絶縁基体1の内部(絶縁層1a間)においてできるだけ広い範囲に設けるとよく、図2(c)に絶縁層1aを透過して破線で示しているように、平面透視で凹部11aと重なる部分からその周囲にわたって設けられている。言い換えれば、平面透視で凹部11aおよび凹部11aを取り囲む側壁と重なるようにヒータ2が設けられている。また、ヒータ2は、平面透視で伝熱体3(柱状伝熱体31)とも一部が重なっている。そのため、ヒータ2から凹部11aの内側面へ熱が伝わりやすくなっている。
伝熱体3(柱状伝熱体31)は、凹部11aを取り囲むように、11aと絶縁基体1の
側面13との間すなわち側壁内に配置されている。図2に示す例においては、加熱容器100は24個の伝熱体3(柱状伝熱体31)を備えているが、これに限られるものではない。また、図2に示す例においては、同じ大きさの伝熱体3(柱状伝熱体31)が、凹部11a(の内側面)からの距離が一定の位置に等間隔に配置されている。これにより、凹部11aの内面における均熱性が高いものとなる。
また、伝熱体3(柱状伝熱体31)は、図2に示す例においては、側壁内から凹部11aの底面よりも絶縁基体1の第2面12側へ伸びている。これにより、凹部11aの底面より絶縁基体1の第2面12側に位置しているヒータ2との距離が短くなるので、ヒータ2から伝熱体(柱状伝熱体31)への伝熱効率が高いものとなる。また、側壁内において、伝熱体3(柱状伝熱体31)は絶縁基体1の側面13より凹部11a(の内側面)に近い位置に配置されている。これにより、ヒータ2から凹部11aの内側面への伝熱効率がより高まる。
柱状伝熱体31は、図2に示す例では円柱状の伝熱体3である。柱状伝熱体31は横断面形状が円形の円柱状に限られず、横断面形状は四角形や六角形等の多角形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。また、断面の大きさが一定の厳密な柱状でなく、例えば円錐台、鼓型、樽型のような長さ方向で径(断面積)が異なっているものも含む。また、複数の柱状伝熱体31の断面積(円柱の場合であれば径)は同じものでなくてもよい。例えば、第2面12側から第1面11側に向かうにつれて、絶縁層1a毎に柱状伝熱体31の断面積が大きくなるものとすることができる。側壁内において複数の絶縁層1aを貫通する柱状伝熱体31として見たときに、第2面12側から第1面11側に向かうにつれて、絶縁層1a毎に柱状伝熱体31の断面積が大きくなっていてもよい。すなわち、例えば、柱状伝熱体31を第1面11側の径の方が大きい円錐台状とし、隣接する絶縁層1a間において、第1面11側の絶縁層1a内の柱状伝熱体31の端(下端)の径と第2面12側の絶縁層1a内の柱状伝熱体31の端(上端)の径とを同程度とすることができる。このようにすることで、第2面12側から第1面11側への伝熱効率を向上させることができる。
端子電極4は、図1および図2に示す例では、絶縁基体1の第2面12に設けられている。端子電極4は、外部回路と接続することができる位置にあればよく、絶縁基体1の表面に設けられていればよい。端子電極4の接続先の形状等に応じて、配置や形状を設定すればよい。例えば、絶縁基体1の表面に試料を入れるための凹部11a以外の凹部を設けて、その内面に端子電極4を配置してもよい。あるいは、例えば第2面12から側面にかけて設けることもできる。
端子電極4は、ヒータ2に電気的に接続されている。ヒータ2の両端がそれぞれ端子電極4に接続されるので、少なくとも2つの端子電極4が絶縁基体1の表面に設けられる。端子電極4とヒータ2とは、絶縁基体1に設けた内部配線4aによって電気的に接続される。図2に示す例においては、内部配線4aは2つの貫通導体と1つの層間導体とで構成されている。より具体的には、ヒータ2と第2面12との間に位置する絶縁層1a間に層間導体が設けられ、ヒータ2と層間導体および層間導体と端子電極4とがそれぞれ貫通導体で接続されている。内部配線4aはこのような構成に限られるものではない。例えば、端子電極4が、ヒータ2の両端部のそれぞれと平面透視で重なる位置に設けられている場合には、内部配線4aを1つの貫通導体で構成することができる。また、端子電極4の少なくとも一部が絶縁基体1の側面に設けられている場合であれば、内部配線4aを1つの層間導体で構成することができる。
図1および図2に示す例では、絶縁基体1の第2面12には、2つの端子電極4以外に2つのダミー端子4bが設けられている。これは必ずしも必要なものではない。例えば、
加熱容器100を外部回路基板等に接続固定する際に、ダミー端子4を備えていると、4点で接続固定されるので加熱容器100を外部回路基板等の上で傾くことなく固定しやすくなる。
図3は加熱容器100の他の例を示しており、図3(a)は絶縁基体1の第1面11側(上面側)からの平面図(上面図)であり、図3(b)は図3(a)のB−B線における断面図である。この例において図2に示す例と異なる点は、伝熱体3が、環状伝熱体32をさらに含んでいる点である。環状伝熱体32は、凹部11aと側面13との間の絶縁層1aの層間に設けられており、柱状伝熱体31と接続されている。環状伝熱体32の平面視の形状は環状であり、凹部11aを取り囲むように配置されている。ここでいう環状とは、凹部11aを取り囲むような形状のことであり、図3に示す例のような厳密な円形のものだけでなく、例えば四角形状である枠状のものも含む。凹部11aの平面視の形状に沿った形状であればよく、凹部11aの平面視の形状に対して一回り大きい相似形の貫通孔(開口)を有するものである。
このような環状伝熱体32により、側壁内において絶縁層1aの積層方向に対して垂直な方向、絶縁層1aの面方向にも熱が伝わりやすくなるので、凹部11aの内側面の周方向においてより均熱化しやすくなる。また、環状伝熱体32は、柱状伝熱体31より内側に伸びる部分を有しているので、柱状伝熱体31から凹部11aの内側面への伝熱効率を向上させることもできる。
図3に示す例においては、ヒータ2が設けられている絶縁層1a間より第1面11側に位置している7つの絶縁層1a間のすべてに環状伝熱体32が設けられている。絶縁層1aの積層方向に隣接する環状伝熱体32の間には柱状伝熱体31が設けられており、柱状伝熱体31の両端部のそれぞれが環状伝熱体32に接続されている。ヒータ2で発生した熱は、伝熱体3において最もヒータ2に近い位置にある環状伝熱体32に伝わる。環状伝熱体32は柱状伝熱体31より絶縁層1aの面方向に広がっており、平面透視でヒータ2と重なる面積が大きい。そのため、伝熱体3が柱状伝熱体31だけで構成されている場合に比較して、ヒータ2から伝熱体3への伝熱効率が向上する。また、上記したように環状伝熱体32によって絶縁層1aの面方向にも熱を伝えることができるので、ヒータ2の直上に位置していない柱状伝熱体31への伝熱も効率よく行なわれ、第1面11側への伝熱効率が向上する。
また、図3に示す例においては、環状伝熱体32の幅方向における中心より外側において柱状伝熱体31が接続されている。言い換えれば、環状伝熱体32は、柱状伝熱体31が接続された部分より内側(凹部11a側)の幅の方が、柱状伝熱体31が接続された部分より外側(側面13側)の幅の方より大きい。さらに言えば、環状伝熱体32は、柱状伝熱体31が接続された部分から凹部11a側へより長く伸びている。これにより、より凹部11aへの伝熱性を高めることができる。
環状伝熱体32の幅は、図3に示す例では、環状伝熱体32が設けられた位置によらず、複数の環状伝熱体32間で同じである。これに限られるものではなく、例えば後述する図5に示す例のように、第1面11側に位置する環状伝熱体32の幅を第2面12側に位置する環状伝熱体32の幅より大きくすることができる。さらに言えば、環状伝熱体32の、柱状伝熱体31が接続された部分より内側(凹部11a側)の幅が第1面11に近いものほど大きい伝熱体3とすることができる。言い換えれば、環状伝熱体32の内終端と凹部11a(の内側面)との距離が、第1面11に近いものほど小さい伝熱体3とすることができる。図5に示す例では、第1面11に近づくにつれて環状伝熱体32の内終端と凹部11aの内側面との距離が小さくなるように、環状伝熱体32の2つずつ幅が大きくなっている。第1面11に近いほどヒータ2から離れているので、環状伝熱体32の内終
端を凹部11a(の内側面)に近付けて熱が凹部11aの内側面に伝わりやすくすることで、凹部11aの内側面における温度分布を小さくすることができる。
ここで、図4(a)および図4(b)はいずれも加熱容器100の伝熱体3の構成の一例を示す斜視図である。図3に示す例では、伝熱体3が7つの環状伝熱体32と環状伝熱体32間に位置する6つの絶縁層1aを貫通する6段の柱状伝熱体31とを備えているのに対して、図4(a)および図4(b)に示す例では、5つの環状伝熱体32と環状伝熱体32間の4段の柱状伝熱体31で構成された伝熱体3を示している。また、図3に示す例では1つの絶縁層1aに設けられている柱状伝熱体31は24個であるのに対して、図4に示す例では12個である。
図2、図3および図4(a)に示す例においては、柱状伝熱体31は平面透視で重なるように配置されている。言い換えれば、柱状伝熱体31は複数の絶縁層1aを積層方向に直線的に貫通している。そのため、側壁内における積層方向の伝熱経路は一直線状となり短いものとなるので、ヒータ2から第1面11側への伝熱効率が高いものである。一方で、側壁の各絶縁層1a内においては、柱状伝熱体31の近傍と柱状伝熱体31間とでは少なからず温度差が生じてしまう。この温度差は凹部11aの内側面において温度分布として現れることになる。この凹部11aの内側面における温度分布を小さくするには、絶縁層1aの面方向における柱状伝熱体31の間隔をできるだけ小さくすればよい。しかしながら、この間隔が小さすぎると柱状伝熱体31間における絶縁層1aにクラックが発生してしまう可能性が高くなってしまう。
これに対して、図4(b)に示す例では、環状伝熱体32を挟んでいる2つの絶縁層1a間で、柱状伝熱体31は平面透視で重ならないで配置されている。言い換えれば、1つの絶縁層1a内に設けられている環状伝熱体32は、隣接する絶縁層1a内の環状伝熱体32とは積層方向で一直線上に位置していない。そのため、ヒータ2から第1面11側への伝熱体3内の伝熱経路は、環状伝熱体32を介するものとなるので、側壁内において絶縁層1aの面方向への伝熱が促進される。結果として、凹部1aの内側面における温度分布が小さくなり、凹部1a内の試料の加熱もばらつきの小さいものとすることができる。
図5は加熱容器100の他の例を示しており、図5(a)は第1面側からの平面図(上面図)であり、図5(b)は図5(a)のB−B線における断面図である。この例は、図3に示す例に対して、最も第2面12側、ヒータ2に最も近い環状伝熱体32を円板状の板状伝熱体33に置き換えた例である。
図5に示す例の加熱容器100のように、ヒータ2と凹部11aとの間に位置する絶縁層1aの層間に板状伝熱体33を有し、板状伝熱体33と柱状伝熱体31とが接続されているものとすることができる。板状伝熱体33の外縁部は平面透視で側壁と重なり、柱状伝熱体31が接続されている。また、板状伝熱体33の中央部は平面透視で凹部11aと重なり、凹部11aの底面と絶縁層1aを挟んで対向している。図3における、最もヒータ2に近い環状伝熱体32の貫通孔をなくして円板状にしたともいうことができる。
凹部11aの底面に対向して設けられたヒータ2が線状であると、凹部11aの底面において平面透視でヒータ2と重なる部分と重ならない部分とで温度差ができる場合がある。これに対して、伝熱体3が上記のような板状伝熱体33を備えていると、ヒータ2から板状伝熱体33に伝わった熱は、板状伝熱体33内で絶縁層1aの面方向に拡散して凹部11aの底面へと伝わるようになる。そのため、凹部11aの底面における温度分布が小さく均熱性が向上する。また、絶縁基体1の平面視における中央部に位置するヒータ2で発生した熱が、板状伝熱体33を介して側壁内の柱状伝熱体31に伝熱しやすくなるので、凹部11aの内側面の加熱効率、および凹部11aの内面における均熱性が高まる。
図6は加熱容器100の他の一例の外観を示しており、図6(a)は第1面11側(上面側)からの斜視図であり、図6(b)は第2面12側(下面側)からの斜視図である。図7は図6に示す加熱容器100を示しており、図7(a)は第2面12側(下面側)からの平面図(下面図)であり、図7(b)は断面図である。図8〜図11は、いずれも加熱容器100の他の一例を示しており、それぞれの図における(a)は第2面12側(下面側)からの平面図(下面図)であり、(b)は断面図である。なお、図11(a)においては、平面図であるが区別しやすいように低熱伝導部14にドット状の網掛けを施している。これら図6〜図11に示す例と上記した例とで異なる点は、ヒータ2と第2面12との間に絶縁層1aより熱伝導率の小さい低熱伝導部14をさらに含んでいる点である。
加熱容器100がヒータ2と絶縁基体1の第2面12との間に絶縁層1aより熱伝導率が小さい低熱伝導部14をさらに含む場合には、ヒータ2より第1面11側の方がヒータ2より第2面12側より熱伝導率が大きくなるので、ヒータ2で発生した熱は第1面11側へ伝導しやすくなる。よって、ヒータ2より第1面11側に位置する凹部11aおよび伝熱体3へ熱が伝わりやすくなるので、凹部11aの内側面、すなわち凹部11a内の試料の加熱効率がより高い加熱容器100となる。
低熱伝導部14は、絶縁層1aよりも熱伝導率の小さい材料で構成されている。例えば、低熱伝導部14の材料が空気等の気体とすることができる。すなわち、低熱伝導部14は、全体が空隙部分であり、絶縁基体1に設けられた空間とすることができる。図6および図7に示す例では、絶縁基体1の第2面12からヒータ2まで絶縁層1aを貫通する凹部が設けられており、この凹部内の空間が低熱伝導部14である。ヒータ2の一部はこの凹部の内面に露出しており、ヒータ2と低熱伝導部14との間に絶縁層1aが介在しておらず、ヒータ2の第1面11側は絶縁層1aに接し、第2面12側は熱伝導率の小さい低熱伝導部14に接している。ヒータ2を挟んで位置する絶縁層1aと低熱伝導部14とで熱伝導率の差が大きいので、ヒータ2からの熱は、絶縁層1a側、すなわち第1面11側、凹部11aへ伝導しやすくなる。
図8に示す例では、絶縁基体1の第2面12からヒータ2までの間の途中までの絶縁層1aを貫通する、より詳細にはヒータ2と第2面12の間の2層の絶縁層1aのうち、第2面12側の絶縁層1aだけを貫通する凹部が設けられている。言い換えれば、絶縁基体1の第2面12からの深さが、第2面12からヒータ2までの距離より小さい凹部が設けられており、この凹部内の空間が低熱伝導部14である。図6および図7に示す例に比較すると、ヒータ2からの熱は第2面12へ伝熱しやすくなるが、絶縁基体1の剛性が高くなるので、強度の高い加熱容器100となる。また、この例では凹部内にヒータ2が露出しておらず、ヒータ2の表面は絶縁層1aに覆われている。そのため、ヒータ2が外部の雰囲気等にさらされることがないので耐腐食性が向上し、安定した加熱が可能となる。
図9に示す例では、第2面12に凹部は設けられておらず、低熱伝導部14である空間はヒータ2と第2面12との間に位置する中空部である。言い換えれば、ヒータ2と第2面12の間の2層の絶縁層1aのうちヒータ2側の絶縁層1aに設けられた貫通孔による空間である中空部が低熱伝導部14である。この例もまた、図8に示す例と同様に、図6および図7に示す例に比較して絶縁基体1の剛性が高くなるので、強度の高い加熱容器100となり、ヒータ2が外部の雰囲気等にさらされることがないので耐腐食性が向上し、安定した加熱が可能となる。また、図6および図7に示す例と同様に、ヒータ2の一部はこの中空部の内面に露出しており、ヒータ2の第1面11側は絶縁層1aに接し、第2面12側は熱伝導率の小さい低熱伝導部14に接しているので、ヒータ2からの熱は、絶縁層1a側、すなわち第1面11側、凹部11aへ伝導しやすくなる。
図10に示す例では、図6および図7に示す例と同様に絶縁基体1の第2面12からヒータ2まで絶縁層1aを貫通する凹部が設けられており、この凹部内の空間が低熱伝導部14である。図6および図7に示す例では第2面12の凹部は、平面視の大きさが第1面11の凹部11aと同程度のものが1つ、第1面11の凹部11aと重なるように設けられているのに対して、図10に示す例では、平面視の大きさが第1面11の凹部11aより小さい複数の凹部(55個の凹部)が、平面透視で第1面11の凹部11aと重なる位置に配列されている。この例の場合も、図6および図7に示す例に比較すると絶縁基体1の剛性が高くなるので、低熱伝導部14を設けても強度の高い加熱容器100となる。
図6および図7に示す例では、第2面12の凹部の大きさ(すなわち低熱伝導部14の大きさ)は第1面11の凹部11aと同程度の、一回り大きい大きさであり、また平面透視で第1面11の凹部11aと重なる位置にある。そのため、平面透視で第1面11の凹部11aと重なる位置にあるヒータ2からの熱は、第1面11の凹部11aの底面へ伝導しやすいものとなる。これに対して、図8に示す例における第2面12の凹部の大きさ(すなわち低熱伝導部14の大きさ)は、平面透視で第1面11の凹部11aより大きく、低熱伝導部14の外縁は平面透視で第1面11の凹部11aの外縁より外側に位置している。つまり、低熱伝導部14の外縁部は、平面透視で凹部11aを取り囲む側壁と重なっている。そのため、ヒータ2からの熱が凹部11aの周囲の側壁にも伝わりやすくなり、凹部11aの内面の加熱効率、および凹部11aの内面における均熱性が高まる。また、図9に示す例における第2面12の凹部の大きさ(すなわち低熱伝導部14の大きさ)はさらに大きく、低熱伝導部14の外縁部は、平面透視で伝熱体31と重なっている。そのため、ヒータ2からの熱は、伝熱体31との距離が小さく、伝熱体31へより伝導しやすいものとなり、ヒータ2からの熱の凹部11aへの伝熱性がさらに高いものとなり、凹部11aの内面の加熱効率、および凹部11aの内面における均熱性がさらに高まる。低熱伝導部14の形態によらず、加熱容器100に求められる強度を満たす範囲内において、低熱伝導部14の平面透視における大きさを大きくすることができ、それによって上記のように凹部11aの内面の加熱効率、および凹部11aの内面における均熱性をより高いものとすることができる。これは、図10に示す例ように複数の低熱伝導部14を配列する場合においても同様であり、加熱容器100に求められる強度を満たす範囲内において、複数の低熱伝導部14のそれぞれの平面透視の大きさ、複数の低熱伝導部14の平面方向における配列範囲の大きさ、低熱伝導部14の数等を適宜設定することができる。
図9に示す例では、ヒータ2の一部が中空部の内面に露出しているが、ヒータ2と第2面12との間に3層以上の絶縁層1aを設け、ヒータ2と接しておらず第2面12を含まない絶縁層1aに貫通孔を設けて中空部として、中空部の内面にヒータ2が露出しないようにすることもできる。また、図10に示す例ように複数の低熱伝導部14を配列する場合においても、図8に示す例のように、複数の低熱伝導部14のそれぞれを、絶縁基体1の第2面12からの深さが、第2面12からヒータ2までの距離より小さい凹部、または図9に示す例のような中空部とすることができる。あるいは、複数の低熱伝導部14は、ヒータ2まで達する凹部、ヒータ2まで達しない凹部、中空部のうちのいずれか2つまたは3つ全てを含むものとすることができる。
上述したように、低熱伝導部14は、絶縁層1aよりも熱伝導率の小さい材料で構成されるものであり、図6〜図10に示す例のような、絶縁基体1に設けられた空間に限られるものではない。例えば、絶縁層1aがセラミック材料で構成されていれば、低熱伝導部14は、樹脂材料で構成することができる。樹脂材料は、その多くがセラミック材料に比べて熱伝導率が小さい。図6および図7に示す例の低熱伝導部14である凹部空間を樹脂材料で充填することで、図11に示す例のような低熱伝導部14を有する加熱容器100とすることができる。図8および図10に示す例の低熱伝導部14である凹部空間を樹脂材料で充填することもできる。この例もまた、図6および図7に示す例に比較して絶縁基
体1の剛性が高くなるので、強度の高い加熱容器100となり、ヒータ2が外部の雰囲気等にさらされることがないので耐腐食性が向上し、安定した加熱が可能となる。
図11に示す例の場合の低熱伝導部14は、絶縁層1aのセラミック材料よりも低熱伝導率のセラミック材料で構成することができる。低熱伝導部14が樹脂材料である場合には、ヒータ2の発熱が大きいと耐熱性が不足する可能性がある。低熱伝導部14がセラミック材料である場合には耐熱性が問題となる可能性は小さい。また、この場合もまた、図6および図7に示す例に比較して絶縁基体1の剛性が高くなるので、強度の高い加熱容器100となり、ヒータ2が外部の雰囲気等にさらされることがないので耐腐食性が向上し、安定した加熱が可能となる。
低熱伝導率のセラミック材料としては、多孔質セラミック材料で構成されていてもよい。絶縁層1aと同じセラミック材料で多孔質材料としたものあっても、多孔質セラミック材料全体としては、絶縁層1aよりも熱伝導率が小さくなる。多孔質セラミック材料は、多数の微小な空隙(空間)を有するものであるので、上記した低熱伝導部14が空間であるものの1つであるともいえる。微小な空間は、第2面12に開口する凹部、中空部のいずれであってもよく、これらが互いに連通していてもよいし、独立していてもよい。多孔質セラミック材料のセラミック部分は、絶縁層1aのセラミック材料と同じであってもよいし、異なるものであってもよい。多孔質セラミック材料のセラミック部分が絶縁層1aのセラミック材料より低熱伝導率のセラミック材料であれば、より低熱伝導率の低熱伝導部14となる。多孔質セラミック材料のセラミック部分が絶縁層1aのセラミック材料と同じかそれ以上の熱伝導率のセラミック材料であっても、空隙を含むことで絶縁層1aのセラミック材料より低熱伝導率の低熱伝導部14とすることができる。多孔質セラミック材料のセラミック部分が絶縁層1aのセラミック材料と同じである場合のように、多孔質セラミック材料のセラミック部分と絶縁層1aのセラミック材料とで焼成温度が同じ、あるいは近似している場合には、低熱伝導部14と基体1とを同時焼成で形成することができる。図8および図10に示す例の低熱伝導部14である凹部空間を低熱伝導率のセラミック材料で充填することもできる。絶縁層1aのセラミック材料とで焼成温度が同じ、あるいは近似している場合には、多孔質セラミック材料で図9に示す例の中空部を充填することもできる。
図12は加熱容器の他の一例の外観を示しており、図12(a)は第1面側(上面側)からの斜視図であり、図12(b)は第2面側(下面側)からの斜視図である。図13は図12に示す加熱容器100を示しており、図13(a)は第2面側からの平面図(下面図)、図13(b)は図13(a)のB−B線における断面図である。また、図14は加熱容器の他の一例の外観を示しており、図14(a)は第1面側(上面側)からの斜視図であり、図14(b)は第2面側(下面側)からの斜視図である。図15は図14に示す加熱容器100を示しており、図15(a)は第2面側からの平面図(下面図)、図15(b)は図15(a)のB−B線における断面図である。図12〜図15は、いずれも上記した加熱容器10の例に対して、第2面12に測温素子5と、ダミー端子4bに替えて、測温素子5に接続されている測温端子電極6とを備えている点が異なっている。測温素子5の形態は、図12および図13に示す例と図14および図15に示す例とで異なっている。
加熱容器10は、図12〜図15に示す例のように、第2面12に、平面透視で凹部11aと重なる内部領域12aに設けられた測温素子5と、測温素子5に電気的に接続されている測温端子電極6とを有しているものとすることができる。ヒータ2に近く平面透視で凹部11aと重なる位置に測温素子5を備えていることから、ヒータ2の温度ひいては凹部11aの底面のおおよその温度を検出することができ、測温端子電極6および端子電極4を外部の制御回路に接続することで、ヒータ2の発熱量、凹部11aの内面の温度の
制御が可能となる。
図12および図13に示す例は、図2に示す例に対して、第2面12の内部領域12aに測温素子5が形成されている。測温素子5は、同じく第2面に設けられた測温端子電極6に接続配線6aで電気的に接続されている。この例における測温素子5は、抵抗体材料で形成された配線状のものである。測温素子5の両端は、それぞれ異なる測温端子電極6に接続されており、測温端子電極6に接続される外部回路にて測温素子5の抵抗値が測定される。測温素子5の抵抗値は温度により変化するものであり、外部回路で抵抗値から温度が算出される。図12および図13に示す例においては、測温素子5はミアンダ形状の配線のような形状であるが、抵抗体の材料によってその長さや幅が設定されるので、必ずしもこのような形状に限られるものではない。このような抵抗配線で測温素子5が形成されていると、厚みが薄いものとなるので、加熱容器10を小型化するのに有利である。
測温素子5は、図12および図13に示す例のような、第2面12上に形成されるものに対して、図14および図15に示す例のような第2面12に実装されるものであってもよい。図14および図15に示す例では、チップ状の測温素子5が表面実装されているが、リード端子を有するようなものであってもよい。また、測温素子5は、測温抵抗体であってもよいし、熱電対であってもよい。所望の温度が測定できるものを選択して実装すればよい。
図14および図15に示す例の加熱容器100においては、端子電極4および測温端子電極6は第2面12の外部領域12bに設けられており、外部領域12bは測温素子5が設けられている内部領域12aより突出している。図14および図15に示す例では、絶縁基体1の第2面12に平面視の形状が四角形の凹部が設けられており、この凹部の底面に測温素子5が実装されている。測温素子5が実装されている凹部の底面は平面透視で第1面11に設けられた凹部11aと重なる内部領域12aであり、この内部領域12aに対して、凹部の周囲の部分、すなわち外部領域12bは突出している。この突出した外部領域12bに端子電極4および測温端子電極6が設けられている。端子電極4および測温端子電極6が外部回路を備える装置等に接続されると、ヒータ2で発生した熱の一部は端子電極4および測温端子電極6および第2面12を通して外部の装置へ伝わりやすくなる。図14および図15に示す例のような構成の加熱容器100によれば、第2面12の内部領域12aは外部の装置等に接触しないので、ヒータ2で発生した熱は外部領域12bのみを通して外部へ伝わることとなり、伝熱経路が小さくなるので外部への伝熱量が小さくなり、凹部11aの内面、すなわち凹部11a内の試料の加熱効率が向上する。すなわちこの凹部11aは、図8に示す例の低熱伝導部14である凹部空間と同様のものである。
図14および図15に示す例では、外部領域12bは、平面視で外形も内形も正方形状の枠状の突出部であるが、内部領域12aの形状は、例えば、第1面11の凹部11aと同様の円形等他の形状であってもよい。また、外部領域12bは、枠状に限られず、例えば、端子電極4および測温端子電極6とそれぞれの周囲のみが突出した4つの柱状の突出部で構成されていてもよいし、端子電極4および測温端子電極6を備えた、下駄歯状の2つの突出部で構成されていてもよい。すなわち、凹部11aは、絶縁基体1の4つの側面に開口する平面視形状が十字形、あるいは絶縁基体1の対向する2つの側面に開口する平面視形状が長方形とすることができる。これらは、外部領域12bの形状が枠状の場合に対して、外部装置等へ接する面積が小さく、伝熱経路がより小さくなるので、外部への伝熱量が小さくなり、凹部11a内の試料の加熱効率が向上する。また、測温素子5を有していない場合の、低熱伝導部14としての凹部空間の形状も同様の形状とすることができる。
絶縁基体1は、加熱容器100の基本的な部分であり、絶縁基体1の上面である第1面11に設けられた凹部11aを備えていることで、加熱対象物である試料等を収容する容器として機能する。また、複数の端子電極4等を互いに電気的に絶縁させて配置するための電気絶縁体として機能する。
絶縁基体1は、例えば平面視(上面視)で正方形状の直方体である。正方形状とは図2に示す例のような厳密な正方形だけでなく、図3に示す例のように角部が丸められたもの、図5に示す例のように角部を平面状に切欠いた(C面取りした)八角形のもの、図14および図15に示す例のように角部を凹面状に切欠いた形状も含み、全体として正方形であればよい。上記したように、絶縁基体1の平面視の形状は特に制限はなく、例えば、上記正方形以外の四角形や六角形等の他の多角形または円形あるいは楕円形であってもよい。凹部11aの平面視形状についても上記したように特に制限はない。凹部11aは絶縁基体1の第1面11の中央部に設けることができる。このように凹部11aを配置することで、凹部11aの周囲の側壁の厚みを周方向で同程度にすることができるので、凹部11aおよび伝熱体3の配置に偏りがなく、強度にも偏りのないものとなる。
加熱容器100で加熱する試料の量によって絶縁基体1および凹部11aの寸法は設定
される。絶縁基体1が、例えば、平面視(上面視)で正方形状である場合には、例えば、平面視の寸法が3mm角〜15mm角で、厚みが例えば1.5mm〜8mmである。このような寸法の絶縁基体1の場合に平面視形状が円形の凹部11aを設ける場合であれば、凹部11aは、例えば直径2mm〜12mmで深さが0.5mm〜7mmとすることができる。
絶縁基体1は、例えば図2に示す例のように、複数の絶縁層1aが積層されてなるものである。絶縁層1aすなわち絶縁基体1はセラミックスからなるものである。絶縁基体1は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ガラスセラミック焼結体、窒化アルミニウム質焼結体またはムライト質焼結体等のセラミック焼結体によって形成されている。絶縁基体1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体からなる場合であれば、次のようにして製作することができる。まず、酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素等の原料粉末を適当な有機バインダおよび有機溶剤とともにシート状に成形して四角シート状のセラミックグリーンシートを作製する。その後、このセラミックグリーンシートを適当な寸法に切断、成形したセラミックグリーンシートを複数枚積層し、この積層した積層体を1300〜1600℃の温度で焼成することによって絶縁基体1を製作することができる。焼成された複数のセラミックグリーンシートのそれぞれが、絶縁基体1を形成する絶縁層1aになる。凹部11aは、セラミックグリーンシートに所定形状の貫通孔を設けたものを、所定の深さとなる数だけ積層することで、所定形状で所定の深さのものに形成することができる。低熱伝導部14である空間あるいは低熱伝導部14が形成される空間もまた、セラミックグリーンシートに貫通孔を設けることで形成することができる。
低熱伝導部14が多孔質セラミック材料で構成される場合は、上記のようにして積層体に形成した空間に、多孔質セラミックとなるセラミックペーストあるいはセラミックグリーンシートを充填しておくことで形成することができる。このようなセラミックペーストあるいはセラミックグリーンシートは、絶縁層1aとなるセラミックグリーンシートと同じ原料粉末を含み、例えば、焼成時に焼失して、焼成後には空隙となる有機樹脂からなる粒子が分散されたものを用いることができる。
低熱伝導部14が樹脂材料で構成される場合は、例えば焼成後の凹部に液状のエポキシ樹脂等を充填して硬化させることで形成することができる。
ヒータ2は、セラミックグリーンシートと同時焼成で形成されるメタライズ層で形成す
ることができる。セラミックグリーンシートの所定の位置に所定形状でヒータ2用のメタライズペーストを塗布しておけばよい。メタライズペーストは、例えば、タングステン、モリブデン、銅、銀、パラジウム、金、白金、ニッケルまたはコバルト等の金属材料、またはこれらの金属材料を含む合金材料の粉体を主成分とし、溶剤や有機バインダ等含有するものである。必要な発熱量に応じて、メタライズペースト材料の種類や配合比率を調整し、ヒータ2の寸法や形状を設定する。
伝熱体3(柱状伝熱体31、環状伝熱体32、板状伝熱体33)は、上記したように絶縁基体1よりも熱伝導率の高いものである。すなわち、伝熱体3は、絶縁基体1の上記セラミックスよりも熱伝導率の高い材料からなるものであり、具体的には例えばタングステン、モリブデン、銅、銀、パラジウム、金、白金、ニッケルまたはコバルト等の金属材料のメタライズ焼結体として設けることができる。伝熱体3用のメタライズペーストを準備して、ヒータ2と同様の方法で形成することができる。伝熱体3用のメタライズペーストは、上記金属の粉体に溶剤や有機バインダを加えて混錬することで作製することができる。柱状伝熱体31は、金型等によるパンチング加工あるいはレーザ加工によってセラミックグリーンシートに貫通孔を設けておき、この貫通孔を伝熱体3用のメタライズペーストを充填しておけばよい。
端子電極4、内部配線4a、ダミー端子4b、測温端子電極6および接続配線6aも伝熱体3と同様の材料および方法で形成することができる。
測温素子5は、上記した第2面12の内部領域12aの上に抵抗配線として形成されるものである場合には、第2面12の一対の接続配線6a間に測温素子5用の抵抗体ペーストを塗布して焼き付ける、あるいはセラミックグリーンシートと同時焼成することで形成することができる。この抵抗体ペーストは、例えば抵抗体粉末を含むものである。抵抗体としては、例えば、白金または白金を主成分とする金属材料があげられる。白金以外の成分については、抵抗配線の抵抗温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)の調整や、耐熱性の向上等を目的に、適宜、その成分(種類)や添加量が選択され
る。白金以外の成分としては、例えばパラジウム、ロジウム、イリジウム等の白金族元素の金属材料および金等があげられる。あるいは、例えば珪窒化モリブデン等の抵抗体材料の薄膜からなる抵抗体配線を第2面12の一対の接続配線6a間に形成して測温素子5作製することもできる。
測温素子5が、第2面12に実装されて接続配線6aに電気的に接続される、チップ部品等である場合には、例えば、測温素子5の端子と接続配線6aとを、はんだまたはろう材、あるいは導電性ペースト等の導電性の接合材で機械的及び電気的に接続すればよい。あるいは、接着剤等で第2面12に機械的に固定して、ワイヤボンディング等の接続手段で電気的に接続することもできる。