JP2019039058A - 加熱装置、加熱方法および基板処理装置 - Google Patents

加熱装置、加熱方法および基板処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】真空下で処理される枚葉状の基板を、短時間で効率よくを昇温させ、しかもエネルギー消費を抑制する。
【解決手段】真空下で処理される枚葉状の基板Sを加熱する加熱装置1であって、基板を収容可能な第1室SP1および第2室SP2を有するチャンバ11,21と、外部空間と第1室との間を開閉する第1シャッタS1と、第1室と第2室との間を開閉する第2シャッタS2と、第1室を減圧する第1減圧部14,15と、第2室を減圧する第2減圧部25,26,27と、減圧された第1室から減圧された第2室へ基板を搬送する搬送機構12,22と、第2室に搬送された基板に対し、基板の面内において略均一な熱量を付与して基板を加熱する均一加熱部24と、第1室から第2室へ搬送中の基板に対し局所的に大きな熱量を付与して基板を加熱する局所加熱部23とを備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、真空下で処理される枚葉状の基板を処理に先立って加熱する技術に関するものである。
例えばプラズマスパッタリング成膜装置のように、真空下で基板を処理する処理技術においては、基板が加熱された状態で処理に供されることがある。この場合、短いタクトタイムで良好に処理を行うために、基板を効率よく加熱することが必要である。
例えば特許文献1に記載の基板処理装置では、帯状基板の搬送経路に沿ってランプヒータとプレートヒータとが配置されている。ランプヒータは基板を短時間で急速に加熱する機能を、またプレートヒータは加熱された基板の温度低下を防止するとともに温度の均一性を向上させる機能をそれぞれ担う。この技術では、処理対象であるロール状に巻回された帯状基板の搬送経路の全体が真空状態に置かれている。
また例えば、特許文献2に記載のプラズマCVD装置では、製膜処理の対象となる枚葉状の基材が、大気中から導入加熱室および真空加熱室を介して製膜室に搬送される。導入加熱室では、内部空間が大気開放状態から真空吸引されるとともに、基材が赤外線ランプヒータにより加熱される。また、真空加熱室はパネルヒータにより常時一定の温度に保たれており、真空状態の導入加熱室から搬入される基材の温度低下が防止される。
特開2000−260722号公報 特開2015−192077号公報
特許文献1に記載の技術は、基板の搬送経路全体が真空装置内に収容されている。このため、常圧環境である外部空間との間での基板の受け渡しを含むような枚葉状の基板の処理に適用することができない。一方、特許文献2に記載の技術は、外部空間から導入加熱室に搬送された基板をランプヒータで加熱することで基板を昇温させる構成である。この場合、均一な昇温のために基板全面をランプヒータで照射することが必要である。このため、特に大判の基板に対しては大型のランプヒータを用意する必要があり、消費電力も大きくなるという問題があった。
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、真空下で処理される枚葉状の基板を加熱する技術において、短時間で効率よく基板を昇温させることができ、しかもエネルギー消費を抑制することのできる技術を提供することを目的とする。
この発明の一の態様は、真空下で処理される枚葉状の基板を加熱する加熱装置であって、上記目的を達成するため、互いに連通しそれぞれが前記基板を収容可能な第1室および第2室を有するチャンバと、外部空間と前記第1室との間を開閉する第1シャッタと、前記第1室と前記第2室との間を開閉する第2シャッタと、前記第1室を減圧する第1減圧部と、前記第2室を減圧する第2減圧部と、減圧された前記第1室から減圧された前記第2室へ前記基板を搬送する搬送機構と、前記第2室に搬送された前記基板に対し、前記基板の面内において略均一な熱量を付与して前記基板を加熱する均一加熱部と、前記第1室から前記第2室へ搬送中の前記基板に対し局所的に、かつ単位面積当たりにおいて前記均一加熱部よりも大きな熱量を付与して前記基板を加熱する局所加熱部とを備えている。
このように構成された発明では、第1シャッタと第1減圧部とにより、大気開放された状態と減圧された状態との間で第1室を遷移させることができる。第1シャッタが開かれ第1室が大気開放された状態となることで、外部空間から基板の受け入れが可能である。一方、第2室は、減圧された第1室から基板を受け入れることができるので、常時減圧状態とすることが可能である。
そして、基板が第1室から第2室へ搬送される過程で、比較的大きな熱量を発する局所加熱部からの加熱により基板が急速に昇温される。基板を搬送しながら加熱を行うため、短時間で効率よく基板を昇温させることができる。また、局所加熱部は静止している基板を加熱する場合に比べて発熱部分の面積が小さくて済むため、エネルギー消費量の抑制を図ることが可能である。さらに、より面内均一性の高い熱量を発する均一加熱部により搬送後の基板が加熱されることで、基板の温度が均一化される。均一加熱部は基板を大きく昇温させる必要がないので、大きな熱量を発生する必要はない。
このように、本発明によれば、短時間で効率よく基板を昇温させることができ、しかもエネルギー消費を抑制することが可能である。
また、この発明の一の態様は、上記構成を有する加熱装置と、前記加熱装置の前記第2室と連通する処理室を有する処理チャンバと、前記第2室と前記処理室との間を開閉する第3シャッタと、前記処理室を減圧する第3減圧部とを備える基板処理装置である。
また、この発明の一の態様は、真空下で処理される枚葉状の基板を加熱する加熱方法であって、上記目的を達成するため、第1シャッタを介して外部空間と連通する第1室および第2シャッタを介して前記第1室と連通する第2室を有するチャンバの前記第1室に、前記第1シャッタを開状態として外部空間から前記基板を受け入れ、前記第1シャッタを閉状態として前記第1室を減圧する工程と、前記第1室および前記第2室が減圧された状態で、前記第2シャッタを開状態として前記基板を前記第1室から前記第2室に搬送する工程と、前記第2室に搬送された前記基板に対し、前記基板の面内において略均一な熱量を付与して前記基板を加熱する工程とを備え、前記第1室から前記第2室へ搬送中の前記基板に対し局所的に、かつ単位面積当たりにおいて前記略均一な熱量よりも大きな熱量を付与して前記基板を加熱する。
このように構成された発明では、上記発明と同様に、短時間で効率よく基板を昇温させることができ、しかもエネルギー消費を抑制することが可能である。
以上のように、本発明によれば、外部空間から基板を受け入れて減圧する第1室から、予め減圧された第2室へ基板が搬送される。そして、第2室内での基板の加熱に先立ち、第2室への搬送途中の基板に対して局所的に高い熱量が付与される。そのため、短時間で効率よく基板を昇温させることができる。高い熱量の発生は局所的であってよいため、エネルギー消費を抑制することが可能である。
成膜装置のうち前段部分の内部構造を表す側面図および上面図である。 成膜装置のうち後段部分の内部構造を表す側面図および上面図である。 成膜装置の電気的構成を示すブロック図である。 成膜装置の概略動作を示すフローチャートである。 減圧ユニットの動作を示すフローチャートである。 加熱ユニットの動作を示すフローチャートである。 成膜ユニットの動作を示すフローチャートである。 減圧ユニットおよび加熱ユニットの動作を示すタイミングチャートである。 成膜ユニットの動作を示すタイミングチャートである。 各時刻における装置各部の動作状態を模式的に示す第1の図である。 各時刻における装置各部の動作状態を模式的に示す第2の図である。 ランプヒータの他の配置例を示す図である。
図1ないし図3は本発明に係る処理装置の一実施形態である成膜装置の概略構成を示す図である。より具体的には、図1は成膜装置1のうち前段部分の内部構造を表す側面図および上面図である。また、図2は成膜装置1のうち後段部分の内部構造を表す側面図および上面図である。また、図3は成膜装置1の電気的構成を示すブロック図である。以下の説明における方向を統一的に示すために、図1に示すようにXYZ直交座標軸を設定する。XY平面が水平面を表す。また、Z軸が鉛直軸を表し、より詳しくは(−Z)方向が鉛直下向き方向を表している。
この成膜装置1は、反応性プラズマスパッタリングにより処理対象である基板Sの表面に皮膜を形成する装置である。例えば、基板Sとしてのガラス基板や、樹脂製の平板、シート、フィルム等の一方表面に、酸化インジウム・スズ(ITO)などの金属酸化物皮膜を形成する目的に、この成膜装置1を適用することが可能である。なお、ここでは矩形、枚葉タイプの基板Sに対し成膜を行う場合を例として説明するが、基板Sは任意の形状を有するものであってよい。
なお、成膜対象である基板Sは、基板Sの平面サイズよりも大きな平面サイズの平板形状を有し、その中央部分に基板Sの平面サイズよりも少し小さな開口Taが設けられたトレーTに載置された状態で成膜装置1に搬入され処理される。より具体的には、基板SがトレーTに載置されると、トレーTのうち開口Taの周縁部が基板Sの下面周縁部に当接することで、基板Sの下面中央部の下方を開放した状態で基板Sを保持する。そして、トレーTの開口Taに臨む基板Sの下面中央部に対し成膜が行われる。以下では、トレーTが基板Sを保持することで一体化された構造体を、処理対象物たるワークWkと称する。図1および図2において、符号Pが付された一点鎖線はワークWkの搬送経路を示している。
成膜装置1は、常圧の外部空間から基板Sを含むワークWkを受け入れて基板Sに成膜を行うための処理ユニットとして、減圧ユニット10、加熱ユニット20および成膜ユニット30を有するとともに、これらの各処理ユニットの動作を制御する制御ユニット90を備えている。以下、各ユニットの構成について順次説明する。
減圧ユニット10は第1チャンバ11を備えており、外部空間から第1チャンバ11内の処理空間SP1にワークWkを受け入れて、第1チャンバ11内の雰囲気を排気することで処理空間SP1を減圧状態とする。すなわち、減圧ユニット10は、後述するように減圧下で成膜処理を実行する成膜ユニット30に対し、常圧の外部空間から受け入れたワークWkを受け渡すための圧力調整機能を有する。
より具体的には、図1および図3に示すように、減圧ユニット10は、基板Sを水平姿勢に維持しつつワークWkをX方向に搬送する複数の搬送ローラ121とこれを駆動する駆動部(図示省略)とを含む搬送機構12を備えている。搬送ローラ121はワークWkのうちトレーTのY方向側両端部を支持しながら回転することにより、ワークWkをX方向に搬送する。搬送機構12は制御ユニット90に設けられた搬送制御部92により制御されている。
第1チャンバ11と、後述の第2チャンバ21および第3チャンバ31とは、それぞれ略直方体形状の外形を有する中空の箱型部材であり、底板の上面が水平姿勢となるように配置されている。これらのチャンバは例えばステンレス、アルミニウム等の金属を主たる材料として構成されるが、チャンバ内を視認可能とするために、例えば石英ガラス製の透明窓が部分的に設けられてもよい。
第1チャンバ11の(−X)側側面には、ワークWkを通過させることのできる開口サイズを有する開口111が設けられている。該開口111には、制御ユニット90に設けられたシャッタ開閉制御部93により開閉制御される第1シャッタS1が設けられている。シャッタ開閉制御部93からの制御指令により第1シャッタS1が開状態にあるとき、第1チャンバ11内の処理空間SP1は大気開放状態となり、この状態で、外部からワークWkを受け入れることができる。すなわち、外部の搬送機構に設けられた搬送ローラR上を搬送されてくるワークWkが、開口111を介して第1チャンバ11内へ搬入され、搬送機構12に受け渡される。第1シャッタS1の閉状態では、処理空間SP1は外部空間から隔絶されて気密状態となる。
なお、外部空間から第1チャンバ11へのワークWkの搬入については、上記のように搬送ローラRによりワークWkが搬送される態様に限定されない。例えば、外部の搬送ロボットのハンドによってワークWkが保持され、該ハンドが開口111を介して第1チャンバ11内に進入して搬送ローラ121にワークWkを載置する構成であってもよい。
第1チャンバ11にはクライオポンプ14およびドライポンプ15が接続されている。制御ユニット90に設けられたポンプ制御部94からの制御指令に応じてこれらのポンプ類が作動することにより、第1チャンバ11内の気体が排気され、処理空間SP1は減圧状態となる。このときの真空度は比較的低くてもよく、例えば数Pa程度である。このように、減圧ユニット10は、ワークWkの周囲雰囲気を大気圧から数Pa程度の中真空状態まで減圧する。
第1チャンバ11内では、ワークWkの搬送経路Pの上方にシーズヒータ13が配置されている。より詳しくは、シーズヒータ13は棒状のヒータユニットを基板Sの表面と平行な方向である水平方向に複数本並べた構造を有しており、制御ユニット90に設けられたヒータ制御部95からの制御指令に応じて各ヒータユニットが発熱することで、水平面内において略均一とみなせる熱量を発生する。図1の上面図に示されるように、シーズヒータ13の平面サイズは基板Sの平面サイズより大きい。したがって、ワークWkがシーズヒータ13の直下位置にある状態では、基板Sの全面に略均一な熱量が付与され、基板Sの温度が略均一に上昇する。シーズヒータ13は原理的に急激な温度変化が難しいため、後述する成膜プロセスにおいて常時オン状態とされる。
減圧ユニット10における基板Sの加熱の主たる目的は、基板Sを予備的に昇温させておくことで後段の加熱ユニット20での基板加熱を効率的に行えるようにすること、および、外部空間から搬入されるワークWkを加熱してワークWkに付着している水分を予め除去(プリベーキング)しておくことである。これらの目的から、減圧ユニット10で昇温される基板Sの目標温度は100℃ないし200℃程度である。
第1チャンバ11の(+X)側側面には、ワークWkを通過させることのできる開口サイズを有する開口112が設けられている。該開口112には、シャッタ開閉制御部93により開閉制御される第2シャッタS2が設けられている。第1チャンバ11は、第2シャッタS2を介して加熱ユニット20の第2チャンバ21と接続されている。シャッタ開閉制御部93からの制御指令により第2シャッタS2が開状態にあるとき、第1チャンバ11内の処理空間SP1と、第2チャンバ21内の処理空間SP2とが連通する。第2シャッタS2の閉状態では、両処理空間の間は隔絶される。
加熱ユニット20は、内部が処理空間SP2となった第2チャンバ21を備えている。第2チャンバ21内には、基板Sを水平姿勢に維持しつつワークWkをX方向に搬送する複数の搬送ローラ221とこれを駆動する駆動部(図示省略)とを含む搬送機構22が設けられている。搬送ローラ221はワークWkのうちトレーTのY方向側両端部を支持しながら回転することにより、ワークWkをX方向に搬送する。搬送機構22は搬送制御部92により制御されている。
第2チャンバ21の(−X)側側面にはワークWkを通過させることのできる開口サイズを有する開口211が設けられており、該開口211を塞ぐように、第2シャッタS2が設けられている。したがって、加熱ユニット20は、第2シャッタS2の開状態で、減圧ユニット10から搬送されてくるワークWkを開口211を介して受け入れることができる。
第2チャンバ21には、処理空間SP2内を減圧するためのクライオトラップ25、ターボ分子ポンプ26およびドライポンプ27が接続されている。ポンプ制御部94からの制御指令に応じてこれらのポンプ類が作動することにより、第2チャンバ21内の気体が排気され、処理空間SP2は減圧状態となる。このときの真空度は第1チャンバ11よりも高く、例えば1Pa以下である。処理空間SP2は第2シャッタS2が開くことで処理空間SP1と連通するが、後述するように、第2シャッタS2は第1チャンバ11内の処理空間SP1が減圧された状態でのみ開くように制御される。したがって、第2チャンバ21内の処理空間SP2は、大気開放されることなく常時減圧状態に維持されている。
第2チャンバ21内で搬送機構22により搬送されるワークWkの搬送経路Pの上方には、搬送方向に沿ってランプヒータ23およびシーズヒータ24がこの順番に配置されている。ランプヒータ23は、Y方向を長手方向とするハロゲンランプユニット231と、その上方を覆うように配置された反射カバー232とを備えている。ハロゲンランプユニット231は1本でもよく、またX方向に複数本が並べて配置されてもよい。ハロゲンランプユニット231のY方向における長さは、加熱対象である基板SのY方向長さと同程度またはそれ以上とされる。
ヒータ制御部95からの制御指令に応じてハロゲンランプユニット231が点灯すると、直ちにハロゲンランプユニット231から大量の熱エネルギーが放射される。したがって、ランプヒータ23は基板Sを急速に加熱することが可能である。このため、基板Sを昇温させるためにワークWkを停止させる必要はなく、ワークWkの搬送中に基板Sがランプヒータ23の下方を通過することにより基板Sの昇温が可能である。このことから、X方向におけるランプヒータ23の寸法は、基板SのX方向長さより小さくて済む。また、後述するように、ヒータ制御部95は基板Sがランプヒータ23の下方を通過するときのみハロゲンランプユニット231を点灯させる。これらにより、ランプヒータ23によるエネルギー消費量の低減が図られている。
シーズヒータ24の構造は減圧ユニット10のシーズヒータ13と概ね同じである。シーズヒータ24は、ランプヒータ23により急速加熱された基板Sを保温するとともに面内で温度を均一化させるために設けられる。このような構成を有する加熱ユニット20により、基板Sは成膜プロセスに好適な成膜温度、例えば400℃程度に昇温される。
第2チャンバ21の(+X)側側面には、ワークWkを通過させることのできる開口サイズを有する開口212が設けられている。該開口212には、シャッタ開閉制御部93により開閉制御される第3シャッタS3が設けられている。第2チャンバ21は、第3シャッタS3を介して成膜ユニット30の第3チャンバ31と接続されている。シャッタ開閉制御部93からの制御指令により第3シャッタS3が開状態にあるとき、第2チャンバ21内の処理空間SP2と、第3チャンバ31内の処理空間SP3とが連通する。第3シャッタS3の閉状態では、両処理空間の間は隔絶される。
図2に示されるように、成膜ユニット30は、内部が処理空間SP3となった第3チャンバ31を備えている。第3チャンバ31内には、基板Sを水平姿勢に維持しつつワークWkをX方向に搬送する複数の搬送ローラ321とこれを駆動する駆動部(図示省略)とを含む搬送機構32が設けられている。搬送ローラ321はワークWkのうちトレーTのY方向側両端部を支持しながら回転することにより、ワークWkをX方向に搬送する。搬送機構32は搬送制御部92により制御されている。
第3チャンバ31の(−X)側側面にはワークWkを通過させることのできる開口サイズを有する開口311が設けられており、該開口311を塞ぐように、第3シャッタS3が設けられている。したがって、成膜ユニット30は、第3シャッタS3の開状態で、加熱ユニット20から搬送されてくるワークWkを開口311を介して受け入れることができる。
第3チャンバ31には、処理空間SP3内を減圧するためのクライオトラップ36、ターボ分子ポンプ37およびドライポンプ38が接続されている。ポンプ制御部94からの制御指令に応じてこれらのポンプ類が作動することにより、第3チャンバ31内の気体が排気され、処理空間SP3は減圧状態となる。このときの真空度は第2チャンバ21と同等、例えば1Pa以下である。処理空間SP3は第3シャッタS3が開くことで処理空間SP2と連通するが、処理空間SP2は常時真空状態に保たれており、第3シャッタS3が開くことで生じる気圧の変化は僅かである。
なお、図2に示す成膜ユニット30の主要な構成は、本願出願人が先に開示した特開2015−189800号公報に記載された成膜装置と概ね同じである。そこで、本明細書において言及のない装置各部の動作原理等については同公報を参照することとして、ここでは主に装置の主要な構成およびその動作について簡単に説明する。
成膜ユニット30は、反応性プラズマスパッタリングにより基板Sの表面に皮膜を形成する成膜プロセスを実行する処理ユニットである。この目的のために、第3チャンバ31の中央部では、搬送機構32により搬送される基板Sの搬送経路Pの下方にスパッタソース50が設けられている。スパッタソース50は、回転カソード51,52と、回転カソード51,52の内部にそれぞれ設けられた磁石ユニット53,54と、回転カソード51,52をそれぞれ保持しつつ回転させる回転駆動部55,56と、第3チャンバ31内に高周波電界を生じさせるための誘導結合アンテナ57とを備えている。
回転カソード51と磁石ユニット53とは一体としてマグネトロン型回転カソードを構成する。同様に、回転カソード52と磁石ユニット54とは一体としてマグネトロン型回転カソードを構成する。このように、この実施形態は、X方向に位置を異ならせて配置される1対のマグネトロン型回転カソードを有する。1対のマグネトロン型回転カソードはYZ平面に関して互いに対称な形状を有しているが、基本的な構造は同じである。
回転カソード51,52の表面は、基板S上に成膜される膜の材料の全てまたは一部を含むターゲット材の層が形成されている。膜材料の一部が反応性ガスとして供給される態様では当該成分がターゲット材に含まれる必要は必ずしもない。例えば形成される膜がITO膜である場合には、酸化スズと酸化インジウムとの混合焼結体をターゲット材として用いることができる。
1対の回転カソード51,52に挟まれた空間に向けて突出するように、第3チャンバ31の底面には誘導結合アンテナ57が設けられている。誘導結合アンテナ57はLIA(Low Inductance Antenna:株式会社イー・エム・ディーの登録商標)とも称されるものであり、略U字型に形成された導体571の表面が例えば石英などの誘電体572で被覆された構造を有する。誘導結合アンテナ57は、U字を上下逆向きにした状態で、第3チャンバ31の底面を貫通してY方向に延設される。誘導結合アンテナ57は、Y方向に位置を異ならせて複数個並べて配置される。導体571の表面が誘電体572で被覆された構造とすることで、導体571がプラズマに曝露されることが防止される。これにより、導体571の構成元素が基板S上の膜に混入することが回避される。
このように構成された誘導結合アンテナ57は、X方向を巻回軸方向とし巻回数が1未満のループアンテナと見ることができる。そのため、低インダクタンスである。このような小型のアンテナを、巻回軸方向と直交する方向に複数並べて配置することで、インダクタンスの増大を抑えつつ、後述するプラズマ発生のための誘導電界を広い範囲に形成することが可能である。
成膜ユニット30はまた、上記のスパッタソース50の周囲を取り囲むように第3チャンバ31内に配置された、上部がY方向に沿って細長く開口する筒状または箱状の遮蔽部材であるチムニー33を備えている。チムニー33は、スパッタソース50において発生するプラズマやターゲットからスパッタされたスパッタ粒子の飛散範囲を制限するシールドとしての機能を有する。
回転カソード51,52の上面と、トレーTにより保持される基板Sの下面とは、チムニー33上部の開口331を介して対向する。後述するように、これらに囲まれた空間PLが、プラズマを発生させてターゲットをスパッタリングし基板Sに成膜を行うプラズマ発生空間となる。
プラズマ発生空間PLには、ガス供給部34からスパッタガスおよび反応性ガスが導入される。具体的には、回転カソード51,52の上方にノズル58,58が配置されており、プラズマ発生空間PLにおいて対向する回転カソード51,52と基板Sとの間に、ノズル58,58はガス供給部34から供給される反応性ガスを吐出する。一方、第3チャンバ31の底面にはノズル59,59が設けられており、ノズル59,59はガス供給部34から供給されるスパッタガスとしての不活性ガス、例えばアルゴンガスまたはキセノンガスを吐出する。
回転カソード51,52と誘導結合アンテナ57との間には、電源部35から適宜の電圧が印加される。具体的には、回転カソード51,52に、電源部35に設けられた図示しないマグネトロン電源が接続されており、マグネトロン電源から適宜の電位が与えられる。一方、誘導結合アンテナ57には、電源部35に設けられた図示しない高周波電源が整合回路を介して接続されており、高周波電源から適宜の高周波電圧が印加される。
電源部35のマグネトロン電源から回転カソード51,52に適宜の電位が与えられることで、回転カソード51,52の表面、より具体的にはプラズマ発生空間PLに臨むターゲット材の表面近傍に電界が形成され、これによりスパッタガスのプラズマ(マグネトロンプラズマ)が生成される。すなわち、マグネトロン電源は、磁石ユニット53,54が形成する静磁場によってプラズマ発生空間PLにマグネトロンプラズマが発生するのに必要な電圧を回転カソード51,52に印加する。
また、電源部35の高周波電源から誘導結合アンテナ57に高周波電力(例えば周波数13.56MHzの高周波電力)が供給されることで、誘導結合アンテナ57と回転カソード51,52との間に高周波誘導電界が生じ、プラズマ発生空間PLに供給されるスパッタガスおよび反応性ガスの誘導結合プラズマ(Inductivity Coupled Plasma;ICP)が発生する。このようにして生成されるプラズマも、プラズマ発生空間PLに形成される静磁場に引き寄せられる。その結果、2つの回転カソード51,52の表面および基板Sの下面で囲まれるプラズマ発生空間PLのうち、回転カソード51,52の表面近傍に、高密度のプラズマが生成される。
回転カソード51,52、磁石ユニット53,54および誘導結合アンテナ57は、いずれも図2紙面に垂直なY方向に沿って長く延びている。したがって、プラズマ発生空間PLも、回転カソード51,52、の表面に沿ってY方向に長く延びた形状を有する空間領域となる。
こうしてプラズマ空間PLに生成されるプラズマにより回転カソード51,52のターゲット材の表面がスパッタされ、微細なターゲット材料粒子が反応性ガスとともに基板Sの下面に付着することで基板Sの表面(下面)に成膜が行われる。具体的には、基板S下面の成膜対象領域のうちY方向に沿った帯状の領域にプラズマスパッタリングによる成膜が行われ、基板Sが、その主面に平行でY方向と直交する方向、つまりX方向に走査移動されることで、成膜対象領域の全体に二次元的に成膜が行われる。プラズマソース50に対する基板Sの走査移動は、搬送機構32がワークWkをX方向に搬送することにより実現される。その際の移動の態様は、(+X)方向への一方向の移動であってもよく、また(+X)方向および(−X)方向への移動が交互に行われる往復移動であってもよい。
プラズマ発生空間PLにプラズマを発生させるプロセスの進行中において回転カソード51,52が回転することで、プラズマ発生空間PLに露出するターゲット材の表面が常時移動する。これにより、ターゲット材表面の特定の位置だけがスパッタされて消耗することが回避されるため、ターゲット材料の利用効率を高めることができる。また、ターゲットの局所的な変形に起因する電界集中が抑制されるため、アーキング等の異常放電に対する耐性を高めることができる。
スパッタソース50を構成する各部は、制御ユニット90に設けられた成膜プロセス制御部96により制御される。すなわち、成膜プロセス制御部96からの制御指令に応じてスパッタソース50の各部が所定の動作を行うことで、第3チャンバ31内で搬送機構32により搬送されるワークWk内の基板Sに対する成膜が実現される。
第3チャンバ31の(+X)側側面には、ワークWkを通過させることのできる開口サイズを有する開口312が設けられている。該開口312には、シャッタ開閉制御部93により開閉制御される第4シャッタS4が設けられている。シャッタ開閉制御部93からの制御指令に応じて第4シャッタS4が開くことにより、成膜処理済みの基板Sを含むワークWkを開口312を介して外部へ搬出することが可能となる。第3チャンバ31内の処理空間SP3を真空状態に維持するため、第4シャッタS4が開くことで処理空間SP3と連通する空間は、同程度の真空状態に減圧されていることが望ましい。例えば適宜の後処理を実行するための処理チャンバがさらに接続されてもよい。
なお、制御ユニット90は、上記以外に、各種演算処理を行うCPU91、CPUが実行するプログラムや各種データを記憶するメモリおよびストレージ97、外部装置およびユーザとの間での情報のやり取りを担うインターフェース98等を備えている。例えば汎用のコンピュータ装置を、制御ユニット90として使用することが可能である。
図4は成膜装置の概略動作を示すフローチャートである。より具体的には、図4は基板Sを含む1つのワークWkに対し成膜装置1が実行する処理の流れを示している。この処理は、制御ユニット90が予め用意された制御プログラムに基づき、成膜装置1の各処理ユニット(減圧ユニット10、加熱ユニット20および成膜ユニット30)に所定の動作を行わせることにより実現される。
成膜装置1の各部が初期化された状態で(ステップS101)、未処理の基板Sを含む1つのワークWkが減圧ユニット10の第1チャンバ11に搬入される(ステップS102)。減圧ユニット10では、大気開放されていた第1チャンバ11内部の処理空間SP1が減圧されるとともに、基板Sがシーズヒータ13により予備的に加熱されるプリベーキング処理が実行される(ステップS103)。第1チャンバ11内の気体を排気しながらワークWkが加熱されることにより、外部空間から搬入されたワークWkに付着する水分やその他の揮発性物質がワークWkから除去される。また、基板Sが所定の予熱温度(例えば100℃ないし200℃)に昇温される。
その後、ワークWkは第1チャンバ11から加熱ユニット20の第2チャンバ21へ搬入される(ステップS104)。第2チャンバ21内では、基板Sがランプヒータ23およびシーズヒータ24により加熱され(ステップS105)、基板Sの面内において略均一な成膜温度(例えば400℃)まで昇温される(加熱処理)。
次いで、ワークWkは第2チャンバ21から成膜ユニット30の第3チャンバ31へ搬入される(ステップS106)。そして、第3チャンバ31内で、基板Sに対しプラズマスパッタリングによる成膜処理が実行される(ステップS107)。これにより、基板Sの表面(下面)に薄膜が形成される。処理後のワークWkは第3チャンバ31から搬出され、必要に応じて適宜の後処理が施される(ステップS108)。
処理すべき次のワークがある場合には(ステップS109においてYES)、ステップS102に戻って新たな未処理ワークが第1チャンバ11に搬入され、当該ワークに対して上記した処理が繰り返される。一方、処理すべきワークが存在しなければ(ステップS109においてNO)、処理は終了する。
上記は1つのワークに対する処理の流れを記述したものであるが、実際の成膜装置1においては、各処理ユニット内での処理が並行して実行されることにより、タクトタイムの短縮が図られている。以下、これを実現するための各処理ユニットでの動作について、図5ないし図7を参照して処理ユニットごとに説明する。
図5は減圧ユニットの動作を示すフローチャートである。処理開始に先立ち、減圧ユニット10ではユニット内各部が初期化された状態にある(ステップS201)。初期状態では、搬送機構12およびポンプ類は動作を停止しており、また第1シャッタS1および第2シャッタS2は閉じられている。また、シーズヒータ13はオフ状態となっている。
この状態から、ポンプ類(クライオポンプ14、ドライポンプ15)が作動して第1チャンバ11内の排気が開始され(ステップS202)、さらにシーズヒータ13の加熱が開始されて所定温度に昇温される(ステップS203)。シーズヒータ13は昇温に時間がかかるため、比較的早い段階で加熱が開始される。また、シーズヒータ13の発熱により第1チャンバ11内の気体の温度が上昇しチャンバ内の構成部品(例えば真空シール用のOリング)に熱ダメージを与えるのを防止するために、第1チャンバ11内の排気が行われている状態でシーズヒータ13の加熱が開始される。
シーズヒータ13がある程度昇温した段階で、排気が一時的に停止され、第1チャンバ11内が図示しないガス供給部から供給されるガスによりパージされる(ステップS204)。パージ用のガスとしては不活性ガス、例えばドライ窒素ガスを用いることができるが、例えば清浄空気であってもよい。これらのガスを第1チャンバ11内に導入することで、第1チャンバ11内に不純物を混入させることなく第1チャンバ11内の気圧を上昇させることができる。
第1チャンバ11の内圧がほぼ大気圧まで上昇すると第1シャッタS1が開かれ(ステップS205)、未処理のワークWkが第1チャンバ11に受け入れられる(ステップS206)。そして、第1シャッタS1が閉じられ(ステップS207)、ポンプ類(クライオポンプ14、ドライポンプ15)の作動により第1チャンバ11内の排気が再開される(ステップS208)。シーズヒータ13が昇温した状態で第1チャンバ11内にパージ用ガスが導入されることで、導入されたガスが加熱される。しかしながら、ワークWkの搬入後すぐに排気を再開することで、加熱されたガスは速やかに排出される。このため、チャンバ内の構成部品が熱ダメージを受けることが抑制される。
なお、シャッタの開閉タイミングとワーク搬送の開始および停止タイミングとの前後関係については、スムーズなワーク搬送が実現される限りにおいて上記に限定されず任意である。上記例に即して言えば、例えば搬送ローラRによるワークWkの移動が開始されてから該ワークWkの先頭部分が第1シャッタS1の位置に到達するまでに、第1シャッタS1が開かれる動作シーケンスであっても構わない。このことは、以下の各動作におけるシャッタ開閉とワーク搬送との関係においても同じである。
搬送機構12がワークWkを基板Sがシーズヒータ13の直下位置となる位置まで搬送し当該位置にワークWkを位置決めすることで、シーズヒータ13からの熱が基板Sに付与され、基板Sが昇温する。外部から搬入されたワークWkに付着していた水分や揮発性物質も、加熱および排気によりワークWkから除去される(プリベーキング処理)。また、第1チャンバ11内の気圧も次第に低下し、最終的には数Pa程度まで減圧される。
この状態で所定時間待機した後(ステップS209)、第2シャッタS2が開かれ(ステップS210)、搬送機構12がワークWkを第1チャンバ11から排出する。ワークWkは、減圧ユニット10および加熱ユニット20それぞれの搬送機構の協働により第2チャンバ21へ搬送される(ステップS211)。ワークWkが第1チャンバ11から搬出された時点で第2シャッタS2が閉じられる(ステップS212)。
この時点で、第1チャンバ11内の処理空間SP1と第2チャンバ21内の処理空間SP2とは隔絶されており、減圧ユニット10は加熱ユニット20での処理の進行に関わりなく新たなワークWkを受け入れることが可能である。ここで、さらなる未処理ワークが存在せず処理を終了する場合には(ステップS213においてYES)、減圧ユニット10の各部は所定の終了状態に移行されて処理は終了する(ステップS214)。
一方、新たな未処理ワークに対する処理を継続する場合には(ステップS213においてNO)、ステップS204に戻り、排気の一時的な停止、パージ用ガスの導入を経て第1シャッタS1を開き新たなワークWkを受け入れる(ステップS205、S206)。このように、減圧ユニット10では、プリベーキング処理を施したワークWkを加熱ユニット20に受け渡すと、以後は加熱ユニット20での処理の進行状況に関わらず新たな未処理ワークの受け入れを行う。
図6は加熱ユニットの動作を示すフローチャートである。処理開始に先立ち、加熱ユニット20ではユニット内各部が初期化された状態にある(ステップS301)。初期状態では、搬送機構22およびポンプ類は動作を停止しており、また第2シャッタS2および第3シャッタS3は閉じられている。また、ランプヒータ23およびシーズヒータ24はオフ状態となっている。
この状態から、ポンプ類(クライオトラップ25、ターボ分子ポンプ26、ドライポンプ27)の作動により第2チャンバ21内の排気(ステップS302)およびシーズヒータ24の加熱(ステップS303)が開始される。これらの処理ステップは、減圧ユニット10におけるワークWkへの処理が終了するよりも十分前に実行される。これにより、減圧ユニット10からワークWkが排出される時点で、第2チャンバ21内の気圧は数Pa以下まで減圧され、シーズヒータ24は所定温度まで昇温された状態となっている。以後、ポンプ類による第2チャンバ21内の排気およびシーズヒータ24からの発熱は一連の処理の終了まで継続的に実行される。
減圧ユニット10でのワークWkの処理が終了するタイミングで、ランプヒータ23が点灯されるとともに(ステップS304)、第2シャッタS2が開かれ(ステップS305)、第2チャンバ21は減圧ユニット10の第1チャンバ11から排出されるワークWkを受け入れる(ステップS306)。ワークWkが第2チャンバ21に搬入された時点で第2シャッタS2は閉じられる(ステップS307)。搬送機構22は、基板Sがシーズヒータ24の直下となる位置までワークWkを搬送した後、搬送を停止する。
この間、ワークWkは点灯されたランプヒータ23の直下を通過しながら搬送される。ランプヒータ23が単位面積当たりにおいてシーズヒータ13,24より大きな熱量を基板Sに付与することで、基板Sの温度が急速に上昇する。ワークWkの通過後、ランプヒータ23は直ちに消灯される(ステップS308)。これは、消費電力を低減することに加えて、ランプヒータ23が点灯し続けることによる第2チャンバ21内の各部の温度上昇がシーズヒータ24による基板温度の均一化を阻害するのを防止するためである。
消費電力を低減するための方策としては、基板Sが通過するときのみランプヒータ23を点灯させることの他に、ランプヒータ23のX方向長さを基板Sの長さよりも短くしている点がある。ランプヒータ23は点灯後直ちに大きな熱量を発生することができ、直下位置を通過する基板Sの各部を十分に昇温させることが可能である。このため、X方向におけるランプヒータ23の寸法を、同方向における基板Sの長さよりも小さく、例えば10分の1程度とすることができる。これにより、上記のような消費電力の低減を実現することができる。
基板Sの温度上昇速度および到達温度については、ランプヒータ23が放出する熱エネルギーの大きさと基板Sの搬送速度とにより調整可能である。この目的のため、搬送機構22によるワークWkの搬送速度は変更可能とされる。ランプヒータ23により加熱された基板Sは、所定時間シーズヒータ24の直下に留め置かれる(ステップS309)。これにより、基板Sの温度が均一化される。このようにして基板Sは所定の成膜温度(例えば400℃)まで一様に昇温される。
所定時間の経過後、第3シャッタS3が開かれ(ステップS310)、加熱処理されたワークWkは第2チャンバ21から排出されて成膜ユニット30の第3チャンバ31に搬送される(ステップS311)。ワークWkが第2チャンバ21から排出されると、第3シャッタS3が閉じられる(ステップS312)。これにより第2チャンバ21と第3チャンバ31との間が隔絶されるので、加熱ユニット20は、成膜ユニット30における処理の進行状況に関わらず、減圧ユニット10から排出される新たなワークWkを受け入れることが可能となる。ここで、さらなる処理対象ワークが存在せず処理を終了する場合には(ステップS313においてYES)、加熱ユニット20の各部は所定の終了状態に移行されて処理は終了する(ステップS314)。
一方、新たな処理対象ワークに対する処理を継続する場合には(ステップS313においてNO)、ステップS304に戻って第2シャッタS2を開き新たなワークWkを受け入れる。このように、加熱ユニット20では、加熱処理を施したワークWkを成膜ユニット30に受け渡すと、以後は成膜ユニット30での処理の進行状況に関わらず新たな未処理ワークの受け入れを行う。
図7は成膜ユニットの動作を示すフローチャートである。処理開始に先立ち、成膜ユニット30ではユニット内各部が初期化された状態にある(ステップS401)。初期状態では、搬送機構32およびポンプ類は動作を停止しており、また第3シャッタS3および第4シャッタS4は閉じられている。また、ガス供給部34からのガス供給および電源部35から各部への電圧印加は停止されている。
この状態からポンプ類(クライオトラップ36、ターボ分子ポンプ37、ドライポンプ38)が作動して第3チャンバ31内の排気が開始される(ステップS402)。所定の気圧まで減圧された時点で、ガス供給部34からのスパッタガス供給(ステップS403)、電源部35による各部への電圧印加(ステップS404)、およびガス供給部34からの反応性ガス供給(ステップS405)が順次開始されるが、これらの実行順は上記に限定されない。以後、一連の処理が終了するまでの間、ここに述べた各構成の動作は継続的に実行される。
これらのガス供給および電圧印加によって、プラズマ発生空間PLに誘導結合プラズマが発生する。プラズマスパッタリングによる安定した成膜を可能とするために、加熱ユニット20でのワークWkに対する処理が終了するよりも十分に早い時点でプラズマ発生が開始されていることが望ましい。
安定したプラズマが点灯した状態で第3シャッタS3が開かれ(ステップS406)、加熱ユニット20で加熱処理されたワークWkが第3チャンバ31に搬入される(ステップS407)。ワーク搬入後、第3シャッタS3は閉じられる(ステップS408)。図2に点線矢印で示すように、搬送機構32がワークWkをX方向に移動させることで、基板Sがプラズマ発生空間PLに対して走査移動され、これにより基板Sの下面にプラズマスパッタリングによる薄膜が形成される(ステップS409)。なお、プラズマ発生空間PLに対するワークWkの走査移動回数は1回のみであってもよい。
必要な厚さの成膜を行うための走査移動が終了すると、第4シャッタS4が開き(ステップS410)、搬送機構32は開口312を介してワークWkを排出する(ステップS412)。ワーク排出後、第4シャッタS4が閉じられることで(ステップS412)、成膜ユニット30は新たな処理対象ワークを受け入れることが可能となる。ここで、さらなる処理対象ワークが存在せず処理を終了する場合には(ステップS413においてYES)、成膜ユニット30の各部は所定の終了状態に移行されて処理は終了する(ステップS414)。
一方、新たな処理対象ワークに対する処理を継続する場合には(ステップS413においてNO)、ステップS406に戻って第3シャッタS3を開き新たなワークWkを受け入れる。このように、成膜ユニット30では、1つのワークWkに対するプラズマ成膜処理が終了すると、当該ワークWkを排出し、新たな処理対象ワークの受け入れを行う。
このように、各処理ユニット(減圧ユニット10、加熱ユニット20および成膜ユニット30)では、1つの処理対象ワークに対する処理が終了すると、後工程での当該ワークに対する処理の進行状況とは関係なく、新たな処理対象ワークの受け入れおよび当該ワークに対する処理を実行可能である。したがって、各処理ユニット内での動作および処理ユニット間でのワークWkの受け渡しのタイミングを適切に規定することで、成膜装置1における基板処理を短いタクトタイムで実行することが可能となる。例えば以下に例示するように、各処理ユニットでのタクトタイムを成膜装置1全体としてのタクトタイムとすることが可能である。
図8および図9は処理ユニット間の連携の例を示すタイミングチャートである。より具体的には、図8は減圧ユニット10および加熱ユニット20の動作を示すタイミングチャートであり、図9は成膜ユニット30の動作を示すタイミングチャートである。また、図10および図11は各時刻における装置各部の動作状態を模式的に示す図である。
なお、図8および図9における符号「C1」、「C2」および「C3」は、それぞれ第1チャンバ11、第2チャンバ21および第3チャンバ31を表している。また、ここでは紙面の都合でタイミングチャートを2つの図に分割しているが、これらは本来的には一体のものとして記述することが可能なものである。例えば図8下部における第2チャンバ21から第3チャンバ31への(図では「C2→C3」と表記)ワーク搬送および第3シャッタS3の開閉と、図9上部における第2チャンバ21から第3チャンバ31へのワーク搬送および第3シャッタS3の開閉とは、同じ動作を表している。また図8と図9との間で時刻T6〜T9のそれぞれは互いに同じ時刻に対応している。
図8および図10(a)に示すように、処理開始前(時刻T=0)においては、各処理ユニットは初期状態にある。すなわち、各シャッタS1〜S4は閉じられ、ヒータ類およびポンプ類はいずれも作動していない。
外部から最初の処理対象である第1のワークWk1を受け入れる第1チャンバ11内では、前述したように、まずポンプ類による排気が開始され、シーズヒータ13がオフ状態からオン状態に変化して加熱が開始される。そして、排気が一時的に停止され、窒素パージにより第1チャンバ11内の気圧が大気圧に戻される。この状態で第1シャッタS1が開かれてワークWk1が搬入される。ワーク搬送中の時刻T1においては、図10(b)に示すように、第1シャッタS1が開かれ、ワークWk1がX方向に移動して第1チャンバ11内に搬入される。搬入を短時間で完了させるため、基板Sは比較的高速で搬送される。
搬送終了後の時刻T2においては、図10(c)に示すように、第1シャッタS1は閉じられ、第1チャンバ11内の排気が実行されている。ワークWk1はシーズヒータ13の直下位置に位置決めされる。このときシーズヒータ13は所定温度まで昇温されており、シーズヒータ13からの輻射熱によってワークWk1内の基板が略一様に加熱されて、室温(R.T.)から昇温される。前記したように、このときの加熱は加熱ユニット20での加熱に先立つ予備的なものであり、ワークWkに付着する水分や揮発性物質等を効果的に除去するため、基板温度は100℃ないし200℃程度である。
第1チャンバ11内の気圧が所定値Pr1まで低下した後、第2チャンバ21内のランプヒータ23が点灯し、第2シャッタS2が開いてワークWk1は第1チャンバ11から第2チャンバ21へ搬送される。ワーク搬送中の時刻T3においては、図10(d)に示すように、第2シャッタS2が開かれ、ワークWk1がX方向に移動して第1チャンバ11から第2チャンバ21へ移送される。このときランプヒータ23からの強い輻射熱が搬送中の基板に付与され、基板が例えば成膜温度である400℃程度まで急速に加熱される。基板に十分な熱量を与えるために、第1チャンバ11から第2チャンバ21へのワーク搬送は比較的低速で実行される。
第1チャンバ11から第2チャンバ21へのワーク搬送が終了する時刻T4においては、図10(e)に示すように、ワークWk1は第2チャンバ21内のシーズヒータ24の直下位置に位置決めされている。ランプヒータ23は、直下位置におけるワークWk1の通過が終了した時点で消灯される。シーズヒータ24はワーク搬入よりも十分に早いタイミングでオンとなっており、ワークWk1が直下位置にある期間、基板に略一様な輻射熱を与える。これにより、ランプヒータ23での急速な加熱によって生じ得る基板の温度ムラが解消され、基板は略一様な成膜温度に維持される。
また、ワークWk1の後端部が第2チャンバ21に搬入された時点で第2シャッタS2は閉じられており、第1チャンバ11と第2チャンバ21との間は隔絶されている。したがって、第1チャンバ11では新たなワークを受け入れることが可能である。すなわち、第2シャッタS2が閉じられた後、第1チャンバ11では排気が停止され、その内部が大気開放状態とされる。そして、第1シャッタS1が再び開かれて、外部から新たなワークWk2が搬入される。
ワークWk2の搬送中である時刻T5においては、図11(a)に示すように、第1シャッタS1が開かれて第2のワークWk2が第1チャンバ11に搬入される一方、ワークWk1は第2チャンバ21内でシーズヒータ24による加熱を受けている。ワークWk1が所定時間加熱された後、第3シャッタS3が開いてワークWk1は第2チャンバ21から第3チャンバ31へ搬送される。搬送中の時刻T6においては、図11(b)に示すように、第3シャッタS3が開いてワークWk1が第2チャンバ21から第3チャンバ13へ移送される一方、第1チャンバ11内ではワークWk2がシーズヒータ13による加熱を受けている。
このときのワークWk1の搬送は比較的高速で実行される。ワークWk1の全体が第3チャンバ31に搬送されると第3シャッタS3が閉じられる。これに先立って、第3チャンバ31内ではプラズマが点灯しており、プラズマ発生空間PLに対しワークWk1が走査移動することにより基板に対する成膜プロセスが実行される。このときのワーク搬送速度は、均一かつ高密度な成膜を行うため比較的低速とされる。
成膜中の時刻T7においては、図11(c)に示すように、第3チャンバ31内でワークWk1が走査移動される。このとき、第3シャッタS3は閉じられているので、第2チャンバ21と第3チャンバ31との間は隔絶されている。このため、第2シャッタS2を開き、第1チャンバ11で予備加熱されていたワークWk2を第2チャンバ21に搬入することができる。このとき、ランプヒータ23が点灯することで、ワークWk2の基板が急速加熱される。
ワークWk2が第2チャンバ21へ搬入されると、第2シャッタS2は閉じられ、ランプヒータ23は消灯される。これ以後、第1チャンバ11は、新たなワークWk3を受け入れることができる。すなわち、第1チャンバ11が大気開放され、第1シャッタS1が開いて新たなワークWk3が第1チャンバ11に搬入される。
一方、第3チャンバ31での成膜プロセス、すなわちプラズマ点灯下でのワークWk1の走査移動が終了すると、第4シャッタS4が開いてワークWk1が第3チャンバ31から搬出され、例えば適宜の後処理を実行する後段の処理チャンバに搬入される。
第3チャンバ31からのワークWk1の搬出と、第1チャンバ11へのワークWk3の搬入とはそれぞれ独自のタイミングで実行可能であり、例えば図11(d)に示す時刻T8のように、これらの搬送を並行して実行することが可能である。すなわち、時刻T8においては、第4シャッタS4が開いて第3チャンバ31から処理済みのワークWk1が搬出され、第1チャンバ11では第1シャッタS1が開いて新たなワークWk3が搬入される。このとき第2シャッタS2および第3シャッタS3は閉じられている。そのため、第2チャンバ21内では、第1チャンバ11および第3チャンバ31内での動作とは独立して、シーズヒータ24によるワークWk2の加熱を実行することができる。
第3チャンバ31からのワークWk1の搬送が終了し第4シャッタS4が閉じられると、第2チャンバ21から第3チャンバ31へのワークWk2の搬入が可能となる。この状態は図11(a)に示される時刻T5における状態と同じである。したがって、図11(e)に示す時刻T9のように、第3シャッタS3を開いてワークWk2を第2チャンバ21から第3チャンバ31へ搬送することができる。またこのとき、先に第1チャンバ11へ搬入されたワークWk3を第1チャンバ11内で予備加熱することができる。この状態は、図11(b)に示される時刻T6における状態と同じである。
以後、時刻T5ないしT8(または時刻T6ないしT9)を1周期として、各処理ユニットが上記動作を繰り返すことにより、多数のワークWk1,Wk2,Wk3,Wk4,…,を順次処理することができる。この場合、各処理ユニットが1つのワークを処理するためのタクトタイムが、成膜装置1全体のタクトタイムとなる。各処理ユニットにおけるタクトタイムについては、例えば60秒程度とすることができる。各処理ユニットのタクトタイムを揃えるためには、処理ユニット間のワーク搬送速度や各処理ユニット内でのワークの留置時間を調整すればよい。
以上のように、この実施形態の成膜装置1では、減圧ユニット10、加熱ユニット20および成膜ユニット30が、処理対象物である基板Sを含むワークWkの搬送方向に沿ってこの順番で並べられている。減圧ユニット10は、常圧環境である外部空間から第1チャンバ11へワークWkを受け入れて第1チャンバ11内を減圧する。また、シーズヒータ13により基板Sを面内において略均一に加熱する。このように、減圧ユニット10は、外部空間と後段の処理ユニットとの間の気圧の差を調整する機能と、基板Sを予備的に加熱する機能と、ワークWkに付着した水分や揮発性物質等を除去する脱ガス機能とを有する。
加熱ユニット20は、動作中常時減圧された第2チャンバ21を有しており、外部からワークWkを受け入れて減圧された第1チャンバ11からワークWkを受け入れる。第1チャンバ11から第2チャンバ21へ搬送される基板Sは、高い熱エネルギーを放射するランプヒータ23との対向位置を通過することによって急速に加熱される。
基板Sを急速に加熱するための構成として、点灯後直ちに大量の熱エネルギーを放射することのできるランプヒータ23が用いられ、ランプヒータ23は基板Sが通過する期間のみ点灯するように構成されている。また、基板Sがランプヒータ23との対向位置を通過することで順次加熱される構成であるため、ランプヒータ23の熱放射範囲は基板Sの表面全体をカバーする必要がない。これらのことから、温度変化が緩やかで常時発熱させておく必要のあるシーズヒータにより基板S全体を昇温させる構成に比べて、エネルギー消費量を大きく低減させることが可能である。
また、急速な加熱によって生じ得る基板Sの温度ムラについては、シーズヒータ24が第2チャンバ21内で基板Sを略均一に加熱することによって解消する。こうして基板温度は所定の成膜温度に調整される。シーズヒータ24は、ランプヒータ23によって昇温された基板Sの温度を維持する程度の熱量を基板Sに与えることができればよく、エネルギー消費量を比較的小さく抑えることが可能である。
こうして所定の成膜温度に昇温された基板Sは成膜ユニット30に搬送され、成膜ユニット30の第3チャンバ31内で、基板Sに対するプラズマスパッタリング成膜が実行される。これにより、基板Sの表面に薄膜が形成される。
外部空間と第1チャンバ11との間および各チャンバ間は互いに独立して開閉可能なシャッタS1〜S4を介して連通している。これらのシャッタの開閉と各チャンバ内での動作とを適切に組み合わせることで、各処理ユニットを効率よく稼働させ、短いタクトタイムで多数の基板を処理することが可能となる。
以上説明したように、この実施形態においては、第1チャンバ11内の処理空間SP1が本発明の「第1室」に相当する一方、第2チャンバ21内の処理空間SP2が本発明の「第2室」に相当している。したがって、第1チャンバ11および第2チャンバ21が一体的に、本発明の「チャンバ」として機能している。また、上記実施形態では、成膜ユニット30の第3チャンバ31が本発明の「処理チャンバ」に相当し、その内部の処理空間SP3が本発明の「処理室」に相当する。そして、第1シャッタS1、第2シャッタS2および第3シャッタS3が、それぞれ本発明の「第1シャッタ」、「第2シャッタ」および「第3シャッタ」として機能している。
また、第1チャンバ11内を減圧するポンプ類、すなわちクライオポンプ14およびドライポンプ15が一体として、本発明の「第1減圧部」として機能している。また、第2チャンバ21内を減圧するポンプ類、すなわちクライオトラップ25、ターボ分子ポンプ26およびドライポンプ27が一体として、本発明の「第2減圧部」として機能している。また、第3チャンバ31内を減圧するポンプ類、すなわちクライオトラップ36、ターボ分子ポンプ37およびドライポンプ38が一体として、本発明の「第3減圧部」として機能している。また、搬送機構12および搬送機構22が一体として、本発明の「搬送機構」として機能している。
また、上記実施形態においては、加熱ユニット20に設けられたランプヒータ23およびシーズヒータ24がそれぞれ本発明の「局所加熱部」および「均一加熱部」に相当する一方、減圧ユニット10に設けられたシーズヒータ13が本発明の「予備加熱部」として機能している。
そして、この成膜装置1は、本発明の「基板処理装置」の一実施形態に相当するものであり、このうち減圧ユニット10および加熱ユニット20が一体として、本発明の「加熱装置」として機能している。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、本発明の「局所加熱部」であるランプヒータ23が加熱ユニット20の第2チャンバ21内に設けられている。これに代えて、例えば以下のような構成とすることも可能である。
図12はランプヒータの他の配置例を示す図である。図12(a)に示す成膜装置200は、上記実施形態における3つの処理ユニットに対応する第1チャンバ201、第2チャンバ202および第3チャンバ203がシャッタを介して連結されている。この例では、ランプヒータ205が第1チャンバ201内のシーズヒータ204の(+X)方向側に隣接配置されている。一方、第2チャンバ202にはシーズヒータ206が配置されている。
このような構成では、第1チャンバ201に搬入されたワークがシーズヒータ204との対向位置で均一な予備加熱を受けた後、第2チャンバ202に搬入される直前に第1チャンバ201内でランプヒータ205による急速加熱を受けることになる。第2チャンバ202では、急速加熱された基板の温度ムラを解消するための加熱がシーズヒータ206によりなされる。このような構成によっても、上記実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
また、図12(b)に示す成膜装置300では、上記実施形態における3つの処理ユニットに対応する第1チャンバ301、第2チャンバ302および第3チャンバ303がこの順番に連結されている。第1チャンバ301にはシーズヒータ305が、第2チャンバ302にはシーズヒータ306が設けられている。そして、第1チャンバ301と第2チャンバ302との間に、ランプヒータ307を備えた第4チャンバ304がさらに設けられている。この場合、シャッタは図12(b)に示す符号Aの位置および符号Bの位置の少なくとも一方に設けることができる。
このような構成によっても、上記実施形態と同様、第1チャンバ301から第2チャンバ302に搬送される途中の基板をランプヒータ307により急速に加熱した後、第2チャンバ302内で温度の均一化を図ることができる。また、ランプヒータ307からの熱が第1チャンバ301および第2チャンバ302内の部材や動作に及ぼす影響をより低減することができる。
また、上記実施形態の成膜装置1では、減圧ユニット10においてシーズヒータ13による基板Sの予備加熱が実施されるが、減圧ユニットでは減圧のみが行われ基板の加熱が行われない態様であってもよい。ただし、外部空間から搬入された基板の周囲を十分に減圧するためには一定の時間を必要とすることから、この期間を利用して基板を予備的に加熱しておくことは後の処理の効率化のために有効である。
また、上記実施形態の成膜装置1は基板Sに対する処理としてプラズマスパッタリング成膜処理を実行するものであり、該成膜処理に供される基板Sを所定の成膜温度まで昇温させるために、本発明の「加熱装置」に相当する減圧ユニット10および加熱ユニット20が用いられている。しかしながら、本発明の「加熱装置」はこのようなプラズマ成膜処理装置に限定されず、各種の基板処理装置に対し昇温された基板を供給する目的に適用することが可能である。すなわち、昇温された基板に対して行われる処理の内容は上記に限定されず任意である。
また、上記実施形態では処理対象物である基板SがトレーTに載置された状態で成膜装置1内を搬送されるが、基板搬送の態様はこれに限定されず、例えばトレーやキャリアを用いず基板が単独で搬送される態様であってもよい。また、1つのトレーに複数の基板が載置された状態で搬送される態様であってもよい。また、搬送の方向やその際の基板の姿勢についても、上記に限定されるものではなく任意である。
また、上記実施形態では、本発明の「局所加熱部」としてランプヒータが、また「均一加熱部」としてシーズヒータが用いられているが、これらに限定されるものではない。本発明の「局所加熱部」としては、ランプヒータ以外にも、小さい面積に大きな熱量を与えることのできる各種の熱源を使用することが可能である。ただし、無駄なエネルギー消費を抑えるために、必要時のみオンされて直ちに大きな熱量を発生することのできる熱源であることが望ましい。また、本発明の「均一加熱部」としては、局所加熱部より単位面積当たりの発熱量は小さくても、基板により均一な熱量を与えることのできる各種の熱源を使用することが可能である。
また、上記実施形態では、成膜装置1内を搬送される基板Sの上方にランプヒータおよびシーズヒータが配置されているが、このような配置に限定されない。すなわち、ランプヒータおよびシーズヒータの少なくとも一方が搬送される基板Sの下方に配置されていてもよい。
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明に係る加熱装置においては、局所加熱部は、第1室から第2室への基板の搬送方向において均一加熱部の上流側に配置されてよい。このような構成によれば、基板は搬送されながら局所加熱部による加熱を受けた後で均一加熱部による加熱をさらに受けることになるので、基板の急速な加熱と温度の均一化という一連の処理を効率よく実行することができる。
また、第1室から第2室への基板の搬送方向において、局所加熱部の寸法が基板の寸法よりも小さくてよい。このような構成によれば、基板と同等の寸法を有する加熱手段よりも消費エネルギー量を低減することができる。
また、基板が第2室内の所定位置に搬送されると局所加熱部による加熱が停止される構成であってよい。このような構成によれば、無用なエネルギーの消費を抑制することができる。さらに、局所加熱部が発生する熱が均一加熱部による基板温度の均一化を阻害するのを未然に回避することができる。
また、搬送機構は基板を第2室内で一定期間停止させ、均一加熱部は第2室内で停止している基板を加熱する構成であってよい。このような構成によれば、均一加熱部は、停止している基板の温度を維持するに十分な発熱量があれば足りるので、発熱量を抑えて消費エネルギー量をさらに低減することができる。
また、局所加熱部は、第1室から第2室への基板の搬送方向に直交し搬送される基板の表面に平行な方向を長手方向とするランプヒータであってよい。ランプヒータは点灯直後から多くの発熱量が得られるので、基板を短時間で加熱するのに好適である。また、このように反応性のよい熱源を用いることで、必要なときのみ局所加熱部を作動させればよいこととなるため、消費エネルギー量を低減することができる。
また、均一加熱部は、基板の表面に沿った方向に複数配列されたシーズヒータであってよい。このような構成は、急速に温度を変化させることは難しいが、基板全体に略均一な熱量を与える目的に好適なものである。
また、この発明に係る加熱装置は、第1室内で基板を加熱する予備加熱部を備えたものであってよい。局所加熱部による加熱を受ける前の基板を予め加熱しておくことで、局所加熱部による基板の加熱をより効率的に行うことができる。また、外部空間から搬入される基板を加熱しながら減圧のための排気を行うことで、基板に付着している水分や揮発性物質等を予め除去しておくことが可能となる。
また、第2減圧部は、第2室を第1室よりも高い真空状態まで減圧可能であってよい。第1チャンバが常圧環境の外部空間から基板を受け入れるのに対し、第2チャンバは予め減圧された第1チャンバから基板を受け入れる。このため、第2減圧部は、大気圧からの減圧が必要とされる第1減圧部よりも真空度の高い環境での減圧に特化されたものを用いることができる。また、第1チャンバから第2チャンバへ向けて真空度を段階的に高めることができるので、より高い真空度が必要とされる処理に、本発明の加熱装置を適用することが可能となる。
また、搬送機構は、第1室から第2室への基板の搬送速度を変更可能であってよい。このような構成によれば、局所加熱部による加熱を受けながら第1室から第2室へ搬送される基板の速度により、基板に付与される熱量の大きさを調整することができる。したがって、基板の昇温速度やその到達温度を、基板の搬送速度によって調節することが可能である。
この発明は、例えばプラズマスパッタリング成膜技術のように、所定の温度に昇温された基板に対し真空下で処理が行われる技術全般に適用することが可能である。
1 成膜装置(基板処理装置)
10 減圧ユニット(加熱装置)
11 第1チャンバ(チャンバ)
12,22 搬送機構
13 シーズヒータ(予備加熱部)
14 クライオポンプ(第1減圧部)
15 ドライポンプ(第1減圧部)
20 加熱ユニット(加熱装置)
21 第2チャンバ(チャンバ)
23 ランプヒータ(局所加熱部)
24 シーズヒータ(均一加熱部)
25 クライオトラップ(第2減圧部)
26 ターボ分子ポンプ(第2減圧部)
27 ドライポンプ(第2減圧部)
30 成膜ユニット
31 第3チャンバ(処理チャンバ)
36 クライオトラップ(第3減圧部)
37 ターボ分子ポンプ(第3減圧部)
38 ドライポンプ(第3減圧部)
S 基板
S1 第1シャッタ
S2 第2シャッタ
S3 第3シャッタ
SP1 処理空間(第1室)
SP2 処理空間(第2室)
SP3 処理空間(処理室)
Wk、Wk1〜Wk4 ワーク

Claims (12)

  1. 真空下で処理される枚葉状の基板を加熱する加熱装置であって、
    互いに連通しそれぞれが前記基板を収容可能な第1室および第2室を有するチャンバと、
    外部空間と前記第1室との間を開閉する第1シャッタと、
    前記第1室と前記第2室との間を開閉する第2シャッタと、
    前記第1室を減圧する第1減圧部と、
    前記第2室を減圧する第2減圧部と、
    減圧された前記第1室から減圧された前記第2室へ前記基板を搬送する搬送機構と、
    前記第2室に搬送された前記基板に対し、前記基板の面内において略均一な熱量を付与して前記基板を加熱する均一加熱部と、
    前記第1室から前記第2室へ搬送中の前記基板に対し局所的に、かつ単位面積当たりにおいて前記均一加熱部よりも大きな熱量を付与して前記基板を加熱する局所加熱部と
    を備える加熱装置。
  2. 前記局所加熱部は、前記第1室から前記第2室への前記基板の搬送方向において前記均一加熱部の上流側に配置された請求項1に記載の加熱装置。
  3. 前記第1室から前記第2室への前記基板の搬送方向において、前記局所加熱部の寸法が前記基板の寸法よりも小さい請求項1または2に記載の加熱装置。
  4. 前記基板が前記第2室内の所定位置に搬送されると、前記局所加熱部による加熱が停止される請求項1ないし3のいずれかに記載の加熱装置。
  5. 前記搬送機構は前記基板を前記第2室内で一定期間停止させ、前記均一加熱部は前記第2室内で停止している前記基板を加熱する請求項1ないし4のいずれかに記載の加熱装置。
  6. 前記局所加熱部は、前記第1室から前記第2室への前記基板の搬送方向に直交し搬送される前記基板の表面に平行な方向を長手方向とするランプヒータである請求項1ないし5のいずれかに記載の加熱装置。
  7. 前記均一加熱部は、前記基板の表面に沿った方向に複数配列されたシーズヒータである請求項1ないし6のいずれかに記載の加熱装置。
  8. 前記第1室内で前記基板を加熱する予備加熱部を備える請求項1ないし7のいずれかに記載の加熱装置。
  9. 前記第2減圧部は、前記第2室を前記第1室よりも高い真空状態まで減圧可能である請求項1ないし8のいずれかに記載の加熱装置。
  10. 前記搬送機構は、前記第1室から前記第2室への前記基板の搬送速度を変更可能である請求項1ないし9のいずれかに記載の加熱装置。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の加熱装置と、
    前記加熱装置の前記第2室と連通する処理室を有する処理チャンバと、
    前記第2室と前記処理室との間を開閉する第3シャッタと、
    前記処理室を減圧する第3減圧部と
    を備える基板処理装置。
  12. 真空下で処理される枚葉状の基板を加熱する加熱方法であって、
    第1シャッタを介して外部空間と連通する第1室および第2シャッタを介して前記第1室と連通する第2室を有するチャンバの前記第1室に、前記第1シャッタを開状態として外部空間から前記基板を受け入れ、前記第1シャッタを閉状態として前記第1室を減圧する工程と、
    前記第1室および前記第2室が減圧された状態で、前記第2シャッタを開状態として前記基板を前記第1室から前記第2室に搬送する工程と、
    前記第2室に搬送された前記基板に対し、前記基板の面内において略均一な熱量を付与して前記基板を加熱する工程と
    を備え、
    前記第1室から前記第2室へ搬送中の前記基板に対し局所的に、かつ単位面積当たりにおいて前記略均一な熱量よりも大きな熱量を付与して前記基板を加熱する加熱方法。
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