はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を特徴n(n=1,2,3…)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
特徴1.大当たり判定の契機を検知して検知信号を出力する契機検知手段と、周期信号を発生させる周期信号発生手段と、前記周期信号に基づいて乱数を更新させる乱数発生手段と、前記周期信号発生手段から前記周期信号が正常に出力されている場合に、前記検知信号を有効検知信号として出力する検知信号有効化手段と、前記有効検知信号に応答して前記乱数発生手段から乱数を取得し、該乱数に基づいて大当たり判定を行う制御手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
特徴1によれば、周期信号発生手段から周期信号が正常に出力されていない場合、検知信号有効化手段が有効検知信号を出力しないので、契機検知手段が大当たり判定の契機を検知した場合であっても、制御手段において乱数の取得は行われず、また大当たり判定も行われない。そのため、大当たり判定の結果に基づくその後の動作も行われないこととなり、遊技機における異常を早期に把握できるようになる。
特徴2.前記制御手段が、前記周期信号発生手段が発生する前記周期信号とは非同期の周期的な信号に基づいて動作することを特徴とする特徴1に記載の遊技機。
特徴2によれば、制御手段における動作と、乱数発生手段における乱数を更新する動作とが非同期となり、遊技機において一定周期ごとに大当たりとなるタイミングが発生することを防止することができる。
特徴3.前記乱数発生手段が、前記周期信号の立ち上がり及び立ち下がりのいずれか一方のタイミングで乱数を更新し、前記検知信号有効化手段が、前記乱数発生手段が乱数を更新するタイミングから前記周期信号の半周期分ずれたタイミングで前記有効検知信号を出力することを特徴とする特徴1又は2に記載の遊技機。
特徴3によれば、制御手段が有効検知信号に応答して乱数発生手段から乱数を取得する際、乱数発生手段において乱数が安定している状態で乱数を取得することができる。
特徴4.前記乱数発生手段が、前記有効検知信号を入力し、前記周期信号に基づいて更新する乱数を前記有効検知信号に基づいて保持する保持手段を備えることを特徴とする特徴1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
特徴4によれば、保持手段が有効検知信号に基づいて乱数を保持するので、制御手段が有効検知信号に応答して乱数発生手段から乱数を取得する際、保持手段によって保持されている乱数を安定して取得することができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下においては、遊技機の一実施形態として、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)を例示する。
図1は本実施形態におけるパチンコ機1の正面図であり、図2はパチンコ機1の遊技盤4の正面図であり、図3はパチンコ機1の背面図である。図1に示すように、パチンコ機1は、略矩形状に組み合わせた木枠などで形成される外枠2と、その外枠2と略同一の外形形状に形成され、外枠2に対して開閉可能に支持された内枠3とを備えている。外枠2には、内枠3を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ11が取り付けられ、そのヒンジ11が設けられた側を開閉の軸として内枠3が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠3の略中央には、多数の釘や入賞口等を設けた遊技盤4(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤4の前面を、遊技球を弾ませながら落下させていくことにより弾球遊技が行われる。なお、内枠3には、遊技球を遊技盤4の前面に規定される遊技領域に発射するための球発射ユニット603(図5参照)やその球発射ユニット603から発射された遊技球を遊技領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠3の前面側には、その前面上側を覆う前面枠5と、その下側を覆う下皿ユニット6とが設けられている。前面枠5及び下皿ユニット6を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ12が取り付けられ、そのヒンジ12が設けられた側を開閉の軸として前面枠5及び下皿ユニット6が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠3の施錠と前面枠5の施錠とは、シリンダ錠13の鍵穴に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠5は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14が設けられている。この窓部14には、前面枠5の裏面側から取り付けられたガラス部材15が設けられており、該ガラス部材15を介して遊技盤4の前面がパチンコ機1の正面側から視認可能となっている。前面枠5には、遊技球を貯留する上皿16が前方へ張り出して上面を開放したトレー状に形成されており、この上皿16に対して賞球や貸出球などの遊技球が一次的に排出される。上皿16の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿16に投入される遊技球が1球ずつパチンコ機1の内部に設けられる球発射ユニット603へと案内される。
また前面枠5の窓部14の周囲には、LED等の発光部材を内蔵した複数の電飾部17が設けられている。パチンコ機1においては、これら複数の電飾部17が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部17を点灯または点滅させ、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また前面枠5の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光部材が内蔵され、賞球の払い出し中とエラー発生とを表示可能な表示ランプ18が設けられている。
さらに前面枠5の窓部14の下方には、貸球操作部20が配設されている。この貸球操作部20は、度数表示部21と、球貸しボタン22と、返却ボタン23とを備えており、パチンコ機1の側方に設置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出を行うように構成されている。度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたセグメント式のLEDが点灯してカード等の残額に対応した数値を表示する。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿16に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。
上皿16の下側に位置する下皿ユニット6には、その中央部に上皿16に貯留しきれなかった遊技球を二次的に貯留するための下皿25が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿25の右側には、遊技球を遊技盤4の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル26が配設され、かかる操作ハンドル26の内部には球発射ユニット603の駆動を許可するためのタッチセンサ(図示せず)と、操作ハンドル26の回動操作量を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)とが内蔵されている。操作ハンドル26が遊技者によって右回りに回転操作されると、タッチセンサがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が操作量に対応して変化し、操作ハンドル26の回動操作量に応じて変化する可変抵抗器の抵抗値に対応した強さで遊技球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤4の前面へ遊技球が打ち込まれる。
下皿25の底面には下皿25に貯留された遊技球を下方へ排出するための開閉自在な排出口(図示せず)が設けられており、下皿25の正面下部にはこの排出口を開放操作するための球抜きレバー27が設けられている。球抜きレバー27は、排出口を閉鎖する方向(例えば、正面視右方向)に付勢されており、その付勢力に抗して球抜きレバー27を開放方向(例えば、正面視左方向)へスライドさせることにより、下皿25の排出口が開放され、その排出口から遊技球が自然落下して排出されるようになっている。また下皿25の左方には灰皿28が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤4は、正面視略正方形状に切削加工した木製のベース板30に、球案内用の多数の釘や風車の他、レール31,32、一般入賞口33、始動入賞口34、可変入賞装置35、スルーゲート36、可変表示装置ユニット7等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠3の裏面側に取り付けられる。一般入賞口33、始動入賞口34、可変入賞装置35、スルーゲート36および可変表示装置ユニット7は、例えばルータ加工によってベース板30に形成した貫通穴に配設され、遊技盤4の前面側から木ネジ等により固定されている。このような遊技盤4の前面中央部分は、前面枠5の窓部14を通じてパチンコ機1の正面側から視認することができる。
遊技盤4の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール32が植立され、その外レール32の内側位置には外レール32と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール31が植立される。この内レール31と外レール32とにより遊技盤4の前面外周が囲まれると共に、遊技盤4とガラス部材15とにより前後幅が規定されることにより、遊技盤4の前面には、遊技球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。この遊技領域は、遊技盤4の前面において2本のレール31,32と円弧部材37とにより区画された略円形状の領域として構成される。
2本のレール31,32は、球発射ユニット603から発射される遊技球を遊技盤4の上部へ案内するために設けられたものであり、これらレール31,32によって球案内通路が形成される。内レール31の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材38が取り付けられ、一旦、遊技盤4の上部へ案内された遊技球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール32の先端部(図2の右上部)には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム39が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム39に当たって、勢いが減衰されつつ流儀領域の中央部側へ跳ね返される。また、内レール31の右下側の先端部と外レール32の右上側の先端部との間には、レール間を繋ぐ円弧を内面側に設けて形成された樹脂製の円弧部材37がベース板30に打ち込んで固定されている。
遊技領域の左右下部には、遊技球が入賞することにより5個から15個の遊技球が賞球として払い出される複数の一般入賞口33が配設されている。また遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット7が配設されている。この可変表示装置ユニット7は、遊技球が始動入賞口34に入賞することをトリガとして表示図柄を変動させる液晶ディスプレイ(以下単に「LCD」と略す。)で構成された図柄表示装置51と、遊技球がスルーゲート36を通過することをトリガとしてランプ表示を変動させる発光ダイオード(以下、「LED」と略す。)で構成された特定ランプ表示部52とを備えている。
図柄表示装置51は、後述する表示制御装置400によって表示内容が制御され、例えば左、中及び右の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成され、これらの図柄が図柄列毎に縦スクロールして図柄表示装置51の表示画面上にて図柄が可変表示されるようになっている。このような図柄表示装置51は例えば8インチサイズの液晶ディスプレイで構成され、可変表示装置ユニット7には、図柄表示装置51の外周を囲むようにして、センターフレーム50が配設されている。なお、LCDに代えて、例えば、リール等を用いて図柄表示装置51を構成するようにしても良い。
図柄表示装置51において図柄の変動表示が開始された後、停止図柄(確変大当たり図柄、普通大当たり図柄、ハズレ図柄のいずれか1つ)が表示されるまでの間に遊技球が始動入賞口34へ入球した場合、その入球回数は最大4回まで保留され、その保留回数は、図柄表示装置51の上部に設けられた複数の保留ランプ55の点灯数を表示制御することにより示される。なお、本実施形態においては、始動入賞口34への入賞は、最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、保留ランプ55を省略し、始動入賞口34への入賞に基づく変動表示の保留回数を図柄表示装置51の一部の領域に表示するようにしても良い。
特定ランプ表示部52は、「○」の図柄を点灯させる第1ランプ表示部53と、「×」の図柄を点灯させる第2ランプ表示部54とを備えており、遊技球がスルーゲート36を通過する毎に、第1ランプ表示部53と第2ランプ表示部54とを交互に点灯させて変動表示を行い、その変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に当たり状態として始動入賞口34を所定時間だけ作動させる。この当たり状態では、例えば始動入賞口34に設けられた左右一対の可動翼を左右方向に開放することにより通常状態よりも遊技球が始動入賞口34に入賞しやすくなるように構成されている。遊技球がスルーゲート36を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数は、図柄表示装置51の下部に設けられた複数の保留ランプ56の点灯数を表示制御することにより示される。なお、特定ランプ表示部52における変動表示は、本実施形態のように、第1ランプ表示部53と第2ランプ表示部54の点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、図柄表示装置51の一部の領域を使用して行うようにしても良い。同様に、保留ランプ56の点灯を図柄表示装置51の一部の領域で行うようにしても良い。また、スルーゲート36の通過の保留回数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。
可変表示装置ユニット7の下方には、遊技球が入球し得る始動入賞口34が配設されている。始動入賞口34に入球した遊技球の通過経路内には、始動入賞口通過センサ40が設けられており、この始動入賞口通過センサ40が始動入賞口34への入賞を検知する。始動入賞口34に遊技球が入球すると、始動入賞口通過センサ40は遊技球の通過中にオンとなり、始動入賞口通過センサ40のオンが契機となって後述する主制御装置100で大当たり判定が行われ、その判定結果に応じて図柄表示装置51での変動表示が開始される。したがって、この始動入賞口通過センサ40は、パチンコ機1において大当たり判定の契機を検知する契機検知手段として設けられている。また、始動入賞口34は、遊技球が入球すると5個の遊技球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。
始動入賞口34の下方には可変入賞装置35が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特別入賞口(大開放口)35aが設けられている。パチンコ機1においては、主制御装置100での大当たり判定の結果、大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりに対応した停止図柄を図柄表示装置51に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、遊技球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特別入賞口35aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、遊技球が10個入賞するまで)開放される。
この特別入賞口35aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特別入賞口35aが所定時間開放される。このような特別入賞口35aの開閉動作は、最高で例えば16回(16ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
可変入賞装置35は、特別入賞口35aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するためのソレノイドとを備えている。特別入賞口35aは、通常時は、遊技球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際にはソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、遊技球が特別入賞口35aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
さらに遊技盤4の中央下部には、アウト口41が設けられている。遊技盤4の上部に打ち込まれた後、遊技領域においていずれの入賞口33,34,35aにも入球しなかった遊技球はアウト口41を通って図示しない球排出路へと案内される。
図3に示すように、パチンコ機1の背面側には、制御基板ユニット60,61と、裏パックユニット64とが主に備えられている。制御基板ユニット60は、主基板(主制御装置100)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置300)と表示制御基板(表示制御装置400)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット61は、払出制御基板(払出制御装置200)と発射制御基板(発射制御装置602)と電源基板(電源装置500)とカードユニット接続基板75とが搭載されてユニット化されている。裏パックユニット64は、保護カバー部を形成する裏パック62と払出ユニット63とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとして構成されるCPU、各種機器と電気信号の送受信を行うポート、各種抽選(大当たり判定を含む)の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック信号を発生するクロック発生回路等が、必要に応じて搭載されている。なお、主制御装置100、音声ランプ制御装置300及び表示制御装置400、払出制御装置200及び発射制御装置602、電源装置500、カードユニット接続基板75は、それぞれ基板ボックス70〜74に収納されている。基板ボックス70〜74は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、ボックスベースとボックスカバーとを連結して、各制御装置や各基板を収納している。
基板ボックス70(主制御装置100)及び基板ボックス72(払出制御装置200及び発射制御装置602)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。またボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)を貼着している。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス70,72を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス70,72を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス70,72が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット63は、裏パックユニット64の最上部に位置して上方に開口したタンク90と、タンク90の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール91と、タンクレール91の下流側に縦向きに連結されるケースレール92と、ケースレール92の最下流部に設けられ、払出モータ601(図4参照)の所定の電気的構成により遊技球の払出を行う払出装置93とを備えている。タンク90には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置93により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール91には、当該タンクレール91に振動を付加するためのバイブレータ94が取り付けられている。
また払出制御装置200には状態復帰スイッチ80が設けられ、発射制御装置602には、可変抵抗器の操作つまみ81が設けられ、電源装置500にはRAM消去スイッチ82が設けられている。状態復帰スイッチ80は、例えば、払出モータ601(図5参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ81は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ82は、パチンコ機1を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図柄表示装置51の表示内容について説明する。図4は、図柄表示装置51の表示画面を説明するための図であり、図4(a)は、表示画面の領域区分設定と有効ライン設定とを模式的に示した図であり、図4(b)は、実際の表示画面の一例を示す図である。
図柄表示装置51に表示される図柄は、「0」から「9」の数字を付した10種類の主図柄と、この主図柄より小さく形成された花びら形状の1種類の副図柄とにより構成されている。各主図柄は、木箱よりなる後方図柄の上に「0」から「9」の数字を付して構成され、そのうち奇数番号(1,3,5,7,9)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯に大きな数字が付加されている。これに対し、偶数番号(0,2,4,6,8)を付した主図柄は、木箱の前面ほぼ一杯にお守り、風呂敷、ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄が付加されており、付属図柄の右下側に偶数の数字が緑色で小さく、且つ、付属図柄の前側に表示されるように付加されている。
本実施形態のパチンコ機1においては、主制御装置100による大当たり判定(抽選)の結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たり状態が発生するよう構成されている。大当たり終了後に高確率状態(確変状態)に移行する場合は、奇数番号が付加された主図柄(「高確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。一方、大当たり終了後に低確率状態に移行する場合は、偶数番号が付加された主図柄(「低確率図柄」に相当)が揃う変動表示が行われる。ここで、高確率状態とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップして特別遊技状態へ移行し易い状態、いわゆる確率変動(確変)の時をいう。本実施形態では、パチンコ機1が高確率状態に移行すると、さらに、特定ランプ表示部52の当たり確率がアップして始動入賞口34(図3参照)へ遊技球が入球し易い遊技の状態となる。また、通常状態(低確率状態)とは、確変でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、すなわち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。
図柄表示装置51の表示画面は、図4(a)に示すように、大きくは上下に2分割され、下側の2/3が上述の主図柄および副図柄を変動表示する主表示領域Dm、それ以外の上側の1/3が予告演出やキャラクタを表示する副表示領域Dsとなっている。
主表示領域Dmには、左・中・右の3つの図柄列Z1,Z2,Z3が表示される。各図柄列Z1〜Z3には、主図柄および副図柄が規定の順序で表示される。すなわち、各図柄列Z1〜Z3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列されると共に、各主図柄の間に副図柄が1つずつ配列されている。このため、各図柄列には、10個の主図柄と10個の副図柄の計20個の図柄が設定され、各図柄列Z1〜Z3毎に周期性をもって上から下へとスクロールして変動表示が行われる。特に、左図柄列Z1においては主図柄の数字が降順に現れるように配列され、中図柄列Z2及び右図柄列Z3においては主図柄の数字が昇順に現れるように配列されている。
また主表示領域Dmには、各図柄列Z1〜Z3毎に上・中・下の3段に図柄が表示される。したがって、図柄表示装置51には、3段×3列の計9個の図柄が表示される。この主表示領域Dmには、5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5が設定されている。そして、図柄表示装置51において図柄の変動表示が行われる都度、その変動表示は左図柄列Z1→右図柄列Z3→中図柄列Z2の順に停止し、その停止時にいずれかの有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本実施形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃えば大当たりとして大当たり動画が表示され、その後、パチンコ機1は特別遊技状態へと移行する。
副表示領域Dsは、主表示領域Dmよりも上方に横長に設けられており、さらに左右方向に3つの予告領域Ds1〜Ds3に等区分されている。ここで、左右の予告領域Ds1,Ds3は、センターフレーム50に設けられた左右一対の不透明な扉59,59(図2参照)で通常覆われている。この扉59はソレノイドで電気的に開閉可能なように構成されており、時としてソレノイドが励磁されて各扉59が手前側に開放されることにより、左右の予告領域Ds1,Ds3を遊技者に視認させることができるようになっている。中央の予告領域Ds2は、扉で覆い隠されずに常に視認できる表示領域となっている。
実際の表示画面では、図4(b)に示すように、主表示領域Dmに主図柄と副図柄とが合計9個表示される。副表示領域Dsにおいては、左右の扉59が閉鎖された状態となっており、左右の予告領域Ds1,Ds3が覆い隠されて表示画面が視認できない状態となっている。変動表示の途中において、左右のいずれか一方、または両方の扉59が開放されると、左右の予告領域Ds1,Ds3に動画が表示され、通常より大当たりへ遷移し易い状態であることが遊技者に示唆される。中央の予告領域Ds2では、通常は、所定のキャラクタ(本実施形態ではハチマキを付けた少年)が所定動作をし、時として所定動作とは別の特別な動作をしたり、また別のキャラクタが現出したりして予告演出が行われる。なお、図柄表示装置51の表示画面は、原則として上下の表示領域Dm,Dsに区分されているが、各表示領域Dm,Dsを跨いでより大きく図柄やキャラクタ等を表示して表示演出を行うことができる。
次に、本実施形態におけるパチンコ機1の電気的構成について説明する。図5はパチンコ機1における全体的な電気的構成を示したブロック図である。パチンコ機1はその制御機構として、パチンコ機1の全体的な動作を統括的に制御する主制御装置100と、主制御装置100からのコマンドに基づいて各部を制御するサブ制御装置とを備えており、本実施形態ではサブ制御装置は、払出制御装置200と音声ランプ制御装置300と表示制御部400とを備えて構成されている。またパチンコ機1は、電源装置500を備えており、この電源装置500が各部に対して電源を供給する。
主制御装置100は、1チップマイコンによる演算装置として構成されたCPU101と、水晶発振器又はその他の発振器を備え、一定周期のクロック信号CL1を発生する第1クロック発生回路104と、CPU101が大当たり判定を行う際の乱数を発生させる乱数発生器105と、始動入賞口34に遊技球が入賞した場合に始動入賞口通過センサ40が出力する検知信号SG1を入力して該検知信号SG1を有効とするか或いは無効とするかを判定する検知信号判定回路106と、水晶発振器又はその他の発振器を備え、CPU101を駆動するための一定周期のクロック信号CL2を発生する第2クロック発生回路107と、サブ制御装置やその他各部とデータの送受信を行うための入出力ポート108とを備えている。主制御装置100は、払出制御装置200や音声ランプ制御装置300などのサブ制御装置に対して動作を指示するための各種コマンドを送出するが、これらコマンドは主制御装置100からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
CPU101は各種の制御プログラムに基づく演算処理を実行し、サブ制御装置に対して各種コマンドを送出して各部を制御すると共に、特定ランプ表示部52および保留ランプ55,56の点灯制御を行う制御手段である。例えば、CPU101は、始動入賞口34へ遊技球が入賞したことを契機として大当たり判定(抽選)を行い、その判定結果に基づいて各部の動作を制御する。CPU101には、該CPU101により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM102と、そのROM102内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM103と、その他、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM103は、CPU101の内部レジスタの内容やCPU101により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。RAM103は、パチンコ機1の電源の遮断後においても電源装置500からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM103に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のI/O等の値がRAM103に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM103に記憶されている情報に基づいて、パチンコ機1の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM103への書き込みはメイン処理(図14参照)によって電源遮断時に実行され、RAM103に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図13参照)において実行される。なお、CPU101のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路502からの停電信号が入力されるように構成されており、その停電信号がCPU101へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図12参照)が即座に実行される。
主制御装置100のCPU101には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン109を介して入出力ポート108が接続されている。入出力ポート108には、払出制御装置200、音声ランプ制御装置300、特定ランプ表示部52、保留ランプ55,56および各種スイッチ610が接続されている。各種スイッチ610には、始動入賞口通過センサ40の他、図示しないスイッチ群やセンサ群などが含まれる。またCPU101にはバスライン114を介して第2クロック発生回路107が接続されており、CPU101は第2クロック発生回路107が発生するクロック信号CL2に基づいて各種の制御プログラムに基づく演算処理を実行する。
本実施形態では、CPU101が大当たり判定を行う際に使用する乱数の発生方式としてハードウェア乱数方式を採用しており、そのハードウェア乱数機構として、上述した第1クロック発生回路104、乱数発生器105および検知信号判定回路106が設けられている。第1クロック発生回路104は一定の周期信号を発生させる周期信号発生手段であり、例えばCPU101を駆動するためのクロック信号CL2とは非同期の周期信号であるクロック信号CL1を発生し、このクロック信号CL1を、バスライン111を介して乱数発生器105および検知信号判定回路106に出力する。乱数発生器105は、クロック信号CL1に基づいて乱数を発生させるように構成されたハードウェア乱数発生手段であり、クロック信号CL1の1パルス毎に乱数を更新する。乱数発生器105とCPU101はバスライン112によって接続されており、乱数発生器105で発生する乱数はバスライン112を介してCPU101に出力される。
検知信号判定回路106は、入出力ポート108とバスライン110を介して接続されており、このバスライン110を介して始動入賞口通過センサ40が出力する検知信号SG1を入力する。また上述したように検知信号判定回路106には、第1クロック発生回路104が発生するクロック信号CL1が入力する。さらに検知信号判定回路106は、CPU101とバスライン113で接続されている。この検知信号判定回路106は、始動入賞口通過センサ40から検知信号SG1を入力した場合、第1クロック発生回路104からクロック信号CL1を正常に入力していることを条件にその検知信号SG1を有効な検知信号とし、CPU101に対して有効検知信号を出力するように構成されている。そしてCPU101は、検知信号判定回路106から有効検知信号を入力すると、乱数発生器105から乱数を取得し、その取得した乱数に基づいて大当たり判定を行うように構成されている。
ここで上記のような主制御装置100の具体的な回路構成の一例について説明する。図6は主制御装置100の詳細な回路構成を示すブロック図である。乱数発生器105は、カウンタ120とラッチ回路121とを備えている。カウンタ120は、第1クロック発生回路104から入力するクロック信号CL1を1パルスずつ計数するものであり、本実施形態ではクロック信号CL1の立ち上がりに応答してカウント値を1加算する。ただし、クロック信号CL1の立ち下がりに応答してカウント値を1加算するものであっても良い。このカウンタ120は、例えば8バイト(64ビット)カウンタで構成され、0〜65535の範囲内でクロックパルスを入力する都度そのカウント値を更新していき、最大値(65535)に達した後、再び0に戻るようになっている。パチンコ機1では、このカウンタ120のカウント値を大当たり判定時に参照する乱数として採用している。
ラッチ回路121はカウンタ120のカウント値を入力し、そのカウント値を任意のタイミングで保持して出力する保持手段である。ラッチ回路121は、検知信号判定回路106から出力される有効検知信号SG2を入力するように構成されており、カウンタ120が逐次更新するカウント値を、有効検知信号SG2の入力に応答してラッチし、そのラッチしたカウント値を乱数としてCPU101に出力する。ラッチ回路121は、有効検知信号SG2がオンである間、カウント値のラッチ状態を継続するが、カウンタ120はその間にもクロック信号CL1のクロックパルスに基づいてカウント値を更新し続ける。
本実施形態では、第2クロック発生回路107が発生するクロック信号CL2の周波数f2が8MHzとなっており、CPU101は、このクロック信号CL2に基づいて動作する。これに対し、第1クロック発生回路104が発生するクロック信号CL1の周波数f1は7.9152・・・MHzであり、クロック信号CL2の周波数f2とは非同期の周期信号となっている。これにより、カウンタ120の動作は、CPU101の動作とは同期しなくなり、パチンコ機1において一定周期ごとに「大当たり」となるタイミングが発生することを抑制でき、体感器などを使用して「大当たり」となるタイミングを狙う不正な狙い打ちなどに対する有効な対抗手段を構成する。
検知信号判定回路106は、Dフリップフロップ130と、波形整形機能を有するシュミットトリガ131と、クロック信号CL1を反転させるためのインバータ132とを備えている。始動入賞口通過センサ40から出力される検知信号SG1は、入出力ポート108を介して主制御装置100に入力すると、検知信号判定回路106のシュミットトリガ131に入力する。シュミットトリガ131は検知信号SG1の波形を整形し、その整形した検知信号をDフリップフロップ130のD入力に出力する。このように本実施形態では、検知信号SG1をDフリップフロップ130に入力する前段に波形整形手段としてシュミットトリガ131を設けており、これにより検知信号SG1のチャタリングを防止している。ただし、チャタリングを防止するための波形整形手段としては、上述したシュミットトリガ131に限定するものではなく、他の構成を採用しても良い。例えば、ローパスフィルタなどのフィルタ回路を波形整形手段として設け、これにより検知信号SG1の波形を整形するように構成しても良い。
インバータ132は、カウンタ120がカウント値を更新するタイミングと、Dフリップフロップ130が作動するタイミングとを所定時間(本実施形態の場合はクロック信号CL1の半周期分)ずらせるためのタイミング調整手段として設けられている。このインバータ132によってクロック信号CL1が反転し、その反転信号がDフリップフロップ130のC入力に入力する。このようにインバータ132がクロック信号CL1を反転させる構成とすることにより、タイミング調整手段をひとつの素子で実現できるので部品コストを安く抑えることができる。ただし、タイミング調整手段はインバータ132を用いて構成される形態に限定するものではなく、例えば遅延回路によってタイミング調整手段を構成してもよい。
Dフリップフロップ130は、検知信号判定回路106の主たる機能、すなわち、始動入賞口通過センサ40が検知した検知信号を入力した場合に、第1クロック発生回路104からクロック信号CL1を正常に入力していることを条件にその検知信号を有効な検知信号とし、有効検知信号を出力する機能をひとつの素子で実現するものであり、これにより部品コストを抑え、かつ主制御装置100に配置し易い形態となっている。Dフリップフロップ130は、D入力およびC入力の2つの入力ポートと有し、Q出力およびQバー出力の2つの出力ポートを有している。始動入賞口通過センサ40が出力する検知信号SG1は、シュミットトリガ131を介してDフリップフロップ130のD入力に入力する。第1クロック発生回路104が発生するクロック信号CL1は、インバータ132を介してDフリップフロップ130のC入力に入力する。このようなDフリップフロップ130は、D入力の検知信号がオンになった場合、C入力のクロック信号の立ち上がりに応答してQ出力およびQバー出力のそれぞれから有効検知信号SG2,SG3を出力する。
図7は、ハードウェア乱数機構の動作を説明するためのタイミングチャートである。第1クロック発生回路104はクロック信号CL1を出力し、カウンタ120はクロック信号CL1の立ち上がりのタイミングでカウント値を加算する。Dフリップフロップ130のC入力には、クロック信号CL1の反転信号が入力しており、Dフリップフロップ130はこの反転信号の立ち上がりのタイミングでD入力の状態を判定し、前回の判定時と異なる状態に遷移していれば、D入力の状態に基づいてQ出力およびQバー出力を遷移させ、前回の判定時と同じ状態を継続していれば、Q出力およびQバー出力をそのまま保持する。図7に示すように、あるタイミングt1でD入力がオンした場合(すなわち、始動入賞口通過センサ40が遊技球を検知し、検知信号SG1がオンになった場合)、Dフリップフロップ130はC入力の次の立ち上がりのタイミングt2でD入力のオン状態を検知し、Q出力をローレベルからハイレベルに遷移させると共に、Qバー出力をハイレベルからローレベルに遷移させることにより、有効検知信号SG2,SG3を出力する。Dフリップフロップ130が有効検知信号SG2,SG3を出力するタイミングt2は、カウンタ120がカウント値を更新するタイミングとクロック信号CL1の半周期分ずれている。そのため、Dフリップフロップ130は、カウンタ120においてカウント値が更新されてから次の更新が行われるまでの間のカウント値が安定して保持されている期間中に有効検知信号SG2,SG3を出力する。
遊技球が始動入賞口通過センサ40を通過するのに要する時間は約8〜15msであり、この間、検知信号SG1はオン状態を保持する。したがって、Dフリップフロップ130のD入力がタイミングt1でオンすると、そのオン状態は期間T1(=約8〜15ms)の間そのまま保持され、遊技球が始動入賞口通過センサ40を通過し終えるタイミングt3でオフとなる。これに伴い、Dフリップフロップ130はC入力の次の立ち上がりのタイミングt4でD入力のオフ状態を検知し、Q出力をハイレベルからローレベルに遷移させると共に、Qバー出力をローレベルからハイレベルに遷移させることにより、有効検知信号SG2,SG3をオフにする。Dフリップフロップ130から有効検知信号SG2,SG3が出力される期間T2は、D入力のオン期間T1とほぼ同程度となり、約8〜15msとなる。
有効検知信号SG2は上述したようにラッチ回路121に出力されており、ラッチ回路121は有効検知信号SG2の立ち上がりに応答してカウンタ120から逐次入力するカウント値をラッチし、その状態を有効検知信号SG2がオフになるまでの期間T2の間、保持し続ける。また有効検知信号SG3はCPU101に出力されており、CPU101は有効検知信号SG3の立ち下がりに応答して例えばRAM103に有効検知信号SG3がオン状態となったことを示すフラグを設定する。そしてCPU101は、内蔵されたタイマ回路が2msを計時する毎に、後述するタイマ割込処理(図10参照)を実行し、このタイマ割込処理において有効検知信号SG3がオンになったことを示すフラグが設定されているか否かを判定し、フラグが設定されていれば遊技球が始動入賞口34に入賞したと判断してラッチ回路121がラッチしている乱数を乱数発生器105から取得し、その乱数をRAM103に格納する。さらにCPU101は、4ms毎に実行する変動開始処理(図16参照)においてRAM103に格納した乱数を読み出し、その乱数がROM102に予め記憶された「大当たり」を示す値である場合には、図柄表示装置51における図柄の変動表示を大当たり図柄の組合せで停止させ、その後、特別遊技状態(大当たり状態)を発生させる。またRAM103から読み出した乱数が「大当たり」を示す値でない場合には、図柄表示装置51における図柄の変動表示をハズレ図柄の組合せで停止させ、通常の遊技状態を継続する。このようにCPU101は、Dフリップフロップ130から有効検知信号SG3を入力すると、その入力に応答して乱数発生器105から乱数の読み込みを行うが、この乱数の読み込みを行うタイマ割込処理は、有効検知信号SG3の出力が保持される期間T2よりも短い期間(すなわち2ms)で繰り返し行われるので、ラッチ回路121が乱数をラッチしている安定した状態で読み込みを行うことができる。
ここで第1クロック発生回路104が故障又はその他の原因により、クロック信号CL1を出力しなくなった場合を考える。この場合、クロック信号CL1が停止するので、それ以後、カウンタ120におけるカウント動作が停止し、カウント値が更新されなくなると共に、クロック信号CL1が停止した時点のカウント値を保持し続ける。その一方、Dフリップフロップ130は、クロック信号CL1が停止したことによりC入力も停止するので、上述した機能を発揮しなくなる。すなわち、始動入賞口通過センサ40が検知信号SG1を出力してD入力がオンした場合であっても、Dフリップフロップ130はC入力が途絶えているので有効検知信号SG2,SG3を出力することはない。したがって、この場合、遊技球が始動入賞口34に入賞してもCPU101はそれに伴う処理を実行しないので、図柄表示装置51における図柄の変動表示が行われなくなり、パチンコ機1において何らかの不具合が生じていることを速やかに把握することができ、例えば遊技ホールにおいて遊技停止の措置を行うなど、速やかに対処することが可能である。
なお、図5(又は図6)の例では、第1クロック発生回路104から乱数発生器105に接続されたバスライン111を途中で分岐させてクロック信号CL1を検知信号判定回路106に入力させる場合を示しているが、この場合にはなるべくクロック信号CL1が乱数発生器105に入力する位置或いはその近傍位置に分岐点を設けることが好ましい。これにより、第1クロック発生回路104が故障又はその他の原因で作動しなくなった場合だけでなく、バスライン111の結線不良が生じた場合にもその異常を速やかに把握することができるようになる。
また本実施形態の場合、遊技球が始動入賞口34に入賞したにもかかわらず、図柄表示装置51における図柄の変動表示が行われない原因として、上述したように第1クロック発生回路104が故障などによって正常に作動していない場合があるが、その他の原因として始動入賞口通過センサ40が正常に作動していない場合がある。そこで、これら2つの原因をより判別し易くするため、例えば始動入賞口通過センサ40が遊技球を検知した場合、その検知信号SG1を検知信号判定回路106に入力させると共に、その検知信号SG1を別途CPU101に直接入力させ、CPU101は、始動入賞口通過センサ40から直接入力する検知信号SG1を、始動入賞口34に入賞したことに伴う賞球の払い出しのための信号として用いるように構成してもよい。これによると、遊技球が始動入賞口34に入賞したにもかかわらず、図柄表示装置51における図柄の変動表示が行われない場合であっても、賞球の払い出しが正常に行われた場合には、第1クロック発生回路104が正常に作動していないということを容易に特定することができる。
第1クロック発生回路104は上述のように7.9152・・・MHzのクロック信号CL1を出力し、カウンタ120はこの高速のクロック信号CL1の1パルス毎にカウント値を更新するので、本実施形態におけるカウンタ120は、ソフトウェア乱数方式に比べると高速にカウント値を更新する。またCPU101のROM102には「大当たり」を示す値として予め複数(200程度)の値が記憶されている。ここで「大当たり」を示す複数の値のそれぞれを連続した値とするのではなく、非連続の飛び値として設定しておくことにより、高速動作するカウンタ120は「大当たり」に対応する乱数を非連続で発生させると共に、その乱数を発生させる1回当たりの期間をクロック信号CL1の1周期分という短い期間にできるため、狙い打ちによって大当たりを発生させることを難しくできるという利点がある。ただしその反面、ROM102に記憶する「大当たり」を示す複数の値を非連続の飛び値としておくと、CPU101が大当たり判定を行う際には、乱数発生器105から取得した乱数を、飛び値のそれぞれと比較しながら、ひとつずつ複数回の判定を行う必要があるため、大当たり判定時の処理効率が低下する。そこで本実施形態では、より好ましい形態として図8に示すような構成を採用している。
図8は、乱数発生器105とCPU101とを接続するバスライン112の配線パターンの一例を示す図である。乱数発生器105のラッチ回路121は、8バイトの乱数を1バイトずつの情報とし、各情報を出力ポート121aに並列出力する。出力ポート121aは、上位バイトから下位バイトまで順に配置され、ラッチ回路121から出力される1バイトずつの情報を個別に出力するポートを備えている。またCPU101には入力ポート101aが設けられている。入力ポート101aは、上位バイトから下位バイトまで順に配置され、1バイトずつの情報を個別に入力するポートを備えている。バスライン112は、乱数発生器105の出力ポート121aとCPU101の入力ポート101aの間を電気的に接続するように配線されており、1バイトずつの情報を個別に伝送する伝送ラインを合計8本備えている。このバスライン112は、図8に示すように、上位バイトと下位バイトとを互いにクロスさせた状態で配線されている。そのため、乱数発生器105の出力ポート121aから出力される乱数の上位4バイトの情報は、クロス配線されたバスライン112によってCPU101の入力ポート101aに対して下位4バイトの情報として入力する。また乱数発生器105の出力ポート121aから出力される乱数の下位4バイトの情報は、クロス配線されたバスライン112によってCPU101の入力ポート101aに対して上位4バイトの情報として入力する。したがって、CPU101に入力する乱数は、乱数発生器105が発生する乱数の上位バイトと下位バイトとを入れ替えた値となる。
そして本実施形態では、CPU101のROM102に予め記憶しておく「大当たり」を示す複数の値を連続した値として設定する。例えば、通常状態(低確率状態)における「大当たり」を示す値として0〜199の連続値を設定する。この場合、CPU101に入力する乱数は、乱数発生器105が発生する乱数の上位バイトと下位バイトとを入れ替えた値になるため、高速動作するカウンタ120は、CPU101において「大当たり」となる乱数(すなわち、0〜199の上位バイトと下位バイトを入れ替えた値)を非連続で発生させることとなり、かつ、その乱数を発生させる1回当たりの期間をクロック信号CL1の1周期分という短い期間とすることができる。加えて、この場合には、CPU101が大当たり判定を行う際、CPU101に入力した乱数が「大当たり」を示す連続した値(0〜199)の範囲内であるか否かの判定を1回行えば、大当たりか或いはハズレかを決定することができ、大当たり判定時の処理効率が向上する。
また通常状態(低確率状態)だけでなく、高確率状態(確変状態)における「大当たり」を示す値についても連続値を採用することが好ましい。高確率状態では「大当たり」を示す値の個数が通常状態(低確率状態)よりも多くなるが、上記と同様にそれらの値を連続した値として設定しておくことにより、高確率状態でも1回の判定を行えば、大当たりか或いはハズレかを決定することができ、大当たり判定時の処理効率が向上する。
なお、図8のようにバスライン112をクロス配線することにより、バスライン112に対して不正なぶら下げ基板を取り付けることが困難になり、不正行為に対する有効な対抗策となる。
このように本実施形態の主制御装置100では、CPU101が大当たり判定に用いる乱数の発生方式としてハードウェア乱数機構が設けられており、この機構には、第1クロック発生回路104が正常に動作しているか否かを監視し、正常に動作している場合には、始動入賞口通過センサ40が検知した大当たり判定の契機となる検知信号SG1を有効化してCPU101に出力する検知信号判定回路106が設けられている。この検知信号判定回路106は、第1クロック発生回路104が正常に動作していない場合、始動入賞口通過センサ40から検知信号SG1を入力してもその検知信号を無効とし、CPU101に対して有効検知信号SG3を出力することはない。そのため、CPU101において大当たり判定(抽選)は行われず、図柄表示装置51の変動表示も行われないこととなり、パチンコ機1において不具合が発生していることを速やかに把握することができるようになる。
図5に戻り、払出制御装置200は、払出モータ601により賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU201は、そのCPU201により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM202と、ワークメモリ等として使用されるRAM203とを備えている。
払出制御装置200のRAM203は、主制御装置100のRAM103と同様に、CPU201の内部レジスタの内容やCPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを備えている。RAM203は、パチンコ機1の電源の遮断後においても電源装置500からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時のI/O等の値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機1の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みは電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ時に実行される。なお、主制御装置100のCPU101と同様、CPU201のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路502から停電信号が入力されるように構成されており、その停電信号がCPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理が即座に実行される。
払出制御装置200のCPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン205を介して入出力ポート204が接続されている。入出力ポート204には、主制御装置100や払出モータ601、発射制御装置602などが接続されている。
発射制御装置602は、主制御装置100により遊技球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた遊技球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット603を制御するものである。
音声ランプ制御装置300は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)604における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部17や表示ランプ18など)605における点灯および消灯の出力、表示制御装置400で行われる図柄表示装置51の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置として設けられたCPU301は、そのCPU301により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM302と、ワークメモリ等として使用されるRAM303とを備えている。
音声ランプ制御装置300のCPU301には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン305を介して入出力ポート304が接続されている。入出力ポート304には、主制御装置100、表示制御装置400、音声出力装置604やランプ表示装置605などが接続されている。
表示制御装置400は、図柄表示装置(LCD)51における図柄の変動表示を制御するものである。表示制御装置400は、CPU401と、プログラムROM402と、ワークRAM403と、入力ポート404と、画像コントローラ405と、ビデオRAM406と、キャラクタROM407と、出力ポート408と、バスライン409,410とを備えている。入力ポート404の入力側には音声ランプ制御装置300の出力側が接続され、入力ポート404の出力側には、CPU401、プログラムROM402、ワークRAM403、画像コントローラ405が接続されると共にバスライン410を介して出力ポート408が接続されている。出力ポート408の出力側には図柄表示装置51が接続されている。
表示制御装置400のCPU401は、音声ランプ制御装置300から入力された図柄表示用のコマンドに基づいて、図柄表示装置51の表示内容を制御する。プログラムROM402は、CPU401により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリである。ワークRAM403は、CPU401による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
ワークRAM403には、例えば変動開始フラグや演出中フラグなどが格納される。変動開始フラグは、図柄表示装置51で表示される表示態様を指示する変動パターンコマンドを受信するとオンされると共に、図柄表示装置51において変動表示が開始されたらオフされるフラグである。演出中フラグは、図柄表示装置51において変動表示が継続して行われている場合にオンされる共に、変動表示が終了した場合にオフされるフラグである。
ビデオRAM406は、図柄表示装置51に表示される演出データを記憶するためのメモリであり、その演出データの内容を書き替えることにより、図柄表示装置51の表示内容が変更される。またキャラクタROM407は、図柄表示装置51に表示される図柄(数字や背景、キャラクタなどの図柄)などの演出用のデータが記憶されたメモリである。
画像コントローラ405は、CPU401、ビデオRAM406、出力ポート408のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM406に記憶される演出データを所定のタイミングで読み出して図柄表示装置51に表示させるものである。
電源装置500は、パチンコ機1の各部に電源を供給するための電源部501と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路502と、RAM消去スイッチ82を有するRAM消去スイッチ回路503とを備えている。電源部501は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置100および各サブ制御装置200,300,400等に対して各々に必要な動作電圧を供給する。例えば、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチや、ソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧のそれぞれを必要とする各部に供給する。
停電監視回路502は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置100のCPU101及び払出制御装置200のCPU201の各NMI端子へ停電信号を出力するための回路である。停電監視回路502は、電源部501から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源遮断)の発生と判断して、停電信号を主制御装置100及び払出制御装置200へ出力する。停電信号の出力によって、主制御装置100及び払出制御装置200は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部501は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置100及び払出制御装置200は、NMI割込処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路503は、RAM消去スイッチ82が押下された場合に、主制御装置100及び払出制御装置200へ、バックアップデータをクリアするためのRAM消去信号を出力する回路である。主制御装置100及び払出制御装置200は、パチンコ機1の電源投入時に、RAM消去信号を入力した場合に、それぞれのバックアップデータをクリアする。
次に、上記のように構成されたパチンコ機1の動作について説明する。本実施形態では、主制御装置100のCPU101は、遊技に際して、上述したハードウェア乱数機構から取得する乱数の他、CPU101の内部処理で管理される各種のカウンタ情報を用いて図柄表示装置51などの表示態様を決定する。図9は、CPU101およびRAM103における各種カウンタの構成概念を示す図である。CPU101は、大当たり判定時に乱数発生器105から取得する乱数を使用すると共に、その大当たり判定に伴う図柄表示装置51の表示態様などを決定するために、CPU101の内部カウンタとして、大当たり図柄の選択に使用する大当たり種別カウンタC1と、停止パターン選択カウンタC2と、変動パターンの選択に使用する第1ないし第3変動種別カウンタCS1,CS2,CS3とを用いることとしている。またCPU101は、特定ランプ表示部52の当たり抽選にはCPU101の内部カウンタである第2乱数カウンタC3を用いることとしており、この第2乱数カウンタC3の初期値設定には初期値乱数カウンタCINIを用いることとしている。これらの内部カウンタは、CPU101の内部処理によって更新されるようになっており、その更新が行われる都度、前回値に対して1がインクリメントされ、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各内部カウンタは数ms或いはそれ以下の短い時間間隔で更新され、それぞれの更新値がRAM103の所定領域に設定されたカウンタ用バッファ103aに適宜格納される。またRAM103には、1つの実行エリアと4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる保留球格納エリア103bが設けられている。保留球格納エリア103bの各エリアには、有効検知信号SG3の入力に応答して、乱数発生器105から取得する乱数、および、大当たり種別カウンタC1と停止パターン選択カウンタC2のそれぞれの値が格納される。
各内部カウンタについて詳しく説明する。大当たり種別カウンタC1は、乱数発生器105から取得した乱数が大当たりである場合に、その大当たり後の状態を高確率状態とするか或いは低確率状態とするかを決定するための乱数を発生させるカウンタであり、この値によって大当たりの際の図柄表示装置51の表示態様が決定される。大当たり種別カウンタC1は、例えば0〜4の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり4)に達した後0に戻る構成となっている。大当たり種別カウンタC1の値は、CPU101によって定期的に(本実施形態ではタイマ割込毎に1回)更新される。例えば、大当たり後に高確率状態となる乱数の値は「1,2,3」であり、大当たり後に低確率状態となる乱数の値は「0,4」であり、これにより2種類の当たり種別が決定される。
停止パターン選択カウンタC2は、乱数発生器105から取得した乱数が大当たりでない場合の図柄表示装置51における変動図柄の停止パターンを決定するための乱数を発生させるカウンタであり、例えば0〜238の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり238)に達した後0に戻る構成となっている。この停止パターン選択カウンタC2によって、図柄表示装置51で表示される演出のパターンが選択され、リーチが発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後に1つだけずれて停止する「前後ハズレリーチ」(例えば0〜8の範囲)と、同じくリーチ発生した後に最終停止図柄がリーチ図柄の前後以外で停止する「前後ハズレ以外リーチ」(例えば9〜38の範囲)と、リーチが発生しない「完全ハズレ」(例えば39〜238の範囲)との3つの停止(演出)パターンが選択される。この停止パターン選択カウンタC2の値は、CPU101によって定期的に(本実施形態ではタイマ割込毎に1回)更新される。
また停止パターン選択カウンタC2には、停止パターンの選択される乱数値の範囲が異なる複数のテーブルが設けられている。これは、現在のパチンコ機1の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、保留球格納エリア103bのどのエリアに各乱数値が格納されているか(すなわち保留個数)等に応じて、停止パターンの選択比率を変更するためである。
例えば、高確率状態では、大当たりが発生し易いため必要以上にリーチ演出が選択されないように、「完全ハズレ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が10〜238と広いテーブルが選択され、「完全ハズレ」が選択され易くなる。このテーブルは、「前後ハズレリーチ」が0〜5とその範囲が狭くなると共に「前後ハズレ以外リーチ」も6〜9と範囲が狭くなり、「前後ハズレリーチ」や「前後ハズレ以外リーチ」が選択され難くなる。また、低確率状態で保留球格納エリア103bに各乱数値が格納されていなければ、始動入賞口34への遊技球の入球時間を確保するために「完全ハズレ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が51〜238と狭いテーブルが選択され、「完全ハズレ」が選択され難くなる。このテーブルは、「前後ハズレ以外リーチ」の停止パターンに対応した乱数値の範囲が9〜50と広くなり、「前後ハズレ以外リーチ」が選択され易くなっている。よって、低確率状態では、リーチ演出が行われる可能性が高くなり、始動入賞口34への遊技球の入球時間を確保できるので、図柄表示装置51における変動表示が継続して行われ易くなる。
第1および第2変動種別カウンタCS1,CS2のうち、第1変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後、再び0に戻る構成となっており、また第2変動種別カウンタCS2は、例えば0〜240の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり240)に達した後、再び0に戻る構成となっている。
第1変動種別カウンタCS1は、リーチ演出を行う場合において、いわゆるノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな表示態様を決定するための乱数を発生させるカウンタである。また第2変動種別カウンタCS2は、リーチ発生後に最終停止図柄が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)を決定するための乱数を発生させるカウンタである。これら第1および第2変動種別カウンタCS1,CS2により決定された変動時間に基づいて、図柄表示装置51で表示される図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。したがって、これらの第1および第2変動種別カウンタCS1,CS2を組み合わせることで、変動パターンの多種多様化を容易に実現できる。また第1変動種別カウンタCS1だけで図柄変動態様を決定したり、第1変動種別カウンタCS1と停止図柄との組み合わせで同じく図柄変動態様を決定したりすることも可能である。第1および第2変動種別カウンタCS1,CS2の値は、後述するメイン処理(図14参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。
第3変動種別カウンタCS3は、図柄表示装置51において変動している図柄を滑らせたり、リーチ演出の発生を予告するための予告キャラクタを通過させるなどの予告演出を行うための乱数を発生させるカウンタであり、例えば、0〜162の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり162)に達した後に再び0に戻る構成となっている。この第3変動種別カウンタCS3の値によって、予告演出の演出パターンが決定される。例えば、第3変動種別カウンタCS3の値に基づいて、予告演出に必要となる時間を変動時間に加算したり、反対に変動表示される時間を短縮するために変動時間を減算したり、変動時間を加減算しない演出パターンが選択される。なお、第3変動種別カウンタCS3は、停止パターン選択カウンタC2と同様に、演出パターンが選択される乱数値の範囲が異なる複数のテーブルが設けられ、現在のパチンコ機1の状態が高確率状態であるか低確率状態であるか、或いは保留球格納エリア103bのどのエリアに各乱数値が格納されているか等に応じて、各演出パターンの選択比率が異なるよう構成されている。
上述したように、第1および第2変動種別カウンタCS1,CS2により図柄変動の変動時間が決定されると共に、第3変動種別カウンタCS3により変動時間に加減算される時間が決定される。よって、最終停止図柄が停止するまでの最終的な変動時間は、第1ないし第3変動種別カウンタCS1,CS2,CS3によって決定されることとなる。
第2乱数カウンタC3は、例えば0〜250の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり250)に達した後、再び0に戻るループカウンタとして構成されている。第2乱数カウンタC3の値は、本実施形態ではタイマ割込毎に、例えば定期的に更新され、遊技球が左右何れかのスルーゲート36を通過したことが検知されたタイミングで取得される。当たりとなる乱数の値の数は149あり、その範囲は「5〜153」となっている。なお、初期値乱数カウンタCINIは、第2乱数カウンタC3と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜250)、タイマ割込処理(図10参照)毎に1回更新されると共にメイン処理(図14参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
次に、図10から図16のフローチャートを参照しつつ、主制御装置100内のCPU101により実行される各制御処理を説明する。かかるCPU101の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2ms周期で)実行されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号の入力により実行されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図10は、タイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、主制御装置100のCPU101により例えば2ms毎に実行される。タイマ割込処理では、まず各種スイッチ610の読み込み処理を実行する(ステップS101)。すなわち、主制御装置100に接続されている各種スイッチ(但し、RAM消去スイッチ82を除く)の状態を読み込むと共に、各種スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。このとき、有効検知信号SG3に関しては、上述したようにCPU101に対して有効検知信号SG3が入力したタイミングでRAM103にフラグが設定されており、CPU101はこのフラグに基づいて検出情報を保存する。またCPU101は、有効検知信号SG3に伴うフラグが有効(オン状態)に設定されている場合、始動入賞口34への入賞を示す検出情報を保存した後、このフラグを無効(オフ状態)に設定する。本実施形態では、有効検知信号SG3がオン状態を継続する期間T2(約8〜15ms、図7参照)の間に、このタイマ割込処理が複数回実行される可能性があるが、有効検知信号SG3の入力に対応するフラグに基づいて検出情報を保存した後このフラグを無効に設定しておくことで、始動入賞口34への入賞が1回であるにもかかわらず、複数回のタイマ割込処理のそれぞれにおいて始動入賞口34への入賞を示す検出情報が保存されることを防止することができる。
次に、初期値乱数カウンタCINIの更新を実行する(ステップS102)。具体的には、初期値乱数カウンタCINIを1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では250)に達した際に0にクリアし、その初期値乱数カウンタCINIの更新値をRAM103におけるカウンタ用バッファ103aの該当するバッファ領域に格納する。
続いて、大当たり種別カウンタC1、停止パターン選択カウンタC2及び第2乱数カウンタC3の更新を実行する(ステップS103)。具体的には、大当たり種別カウンタC1、停止パターン選択カウンタC2及び第2乱数カウンタC3をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、4,238,250)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C3の更新値を、RAM103におけるカウンタ用バッファ103aの該当するバッファ領域に格納する。
その後、始動入賞口34への入賞に伴う始動入賞処理を実行し(ステップS104)、発射制御処理を実行して(ステップS105)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル26に触れていることをタッチセンサにより検出し、発射を停止させるための発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、遊技球の発射のオン/オフを決定する処理である。遊技球の発射がオンである場合、発射制御装置602に対して遊技球の発射指示をする。
図11は、上記ステップS104の始動入賞処理で実行される詳細な処理手順を示すフローチャートである。この始動入賞処理(ステップS104)では、まず、有効検知信号SG3を入力しているか否かを判別する(ステップS111)。ここでは、ステップS101(図10参照)の処理によって始動入賞口34への入賞を示す検出情報が保存されているか否かの判別が行われ、保存されている場合には有効検知信号SG3の入力あり(すなわち、始動入賞口34への入賞あり)と判定する。有効検知信号SG3の入力ありと判定されると(ステップS111にてYesの場合)、図柄表示装置51の作動保留球数Nが上限値(本実施形態では4)未満であるか否かを判別する(ステップS112)。有効検知信号SG3の入力があり、且つ作動保留球数Nが上限値未満(N<4)であれば、ステップS112においてYesとなり、作動保留球数Nに1を加算する(ステップS113)。そして乱数発生器105においてラッチされている乱数を読み込み、その値をRAM103の保留球格納エリア103bの空き保留エリアのうち最初のエリアに格納する(ステップS114)。このとき保留球格納エリア103bに格納される値は、上述したように乱数発生器105が保持する乱数の上位バイトと下位バイトとを入れ替えた値となる。その後、上記ステップS103で更新した大当たり種別カウンタC1及び停止パターン選択カウンタC2の各値を、RAM203の保留球格納エリア103bに格納する(ステップS115)。このとき各値を格納するエリアは、ステップS114において乱数を格納したエリアと同一であり、保留格納エリア103bの空き保留エリアのうちの最初のエリアに各値が格納される。一方、有効検知信号SG3の入力がないか(ステップS111にてNoの場合)、或いは、有効検知信号SG3の入力があっても作動保留球数Nが上限値以上である場合(ステップS112にてNoの場合)、ステップS113〜S115の各処理をスキップし、始動入賞処理を終了してタイマ割込処理へ戻る。
図12は、NMI割込処理を示したフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機1の電源遮断時に、主制御装置100のCPU101により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM103に記憶される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機1の電源が遮断されると、停電信号が停電監視回路502から主制御装置100内のCPU101のNMI端子に出力される。すると、CPU101は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM103に記憶し(S201)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出制御装置200でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。すなわち、停電の発生等によりパチンコ機1の電源が遮断されると、停電信号が停電監視回路502から払出制御装置200内のCPU201のNMI端子に出力され、CPU201は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始する。
図13は、主制御装置100内のCPU101により実行される立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(ステップS301)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。そしてサブ側の制御装置(音声ランプ制御装置300、払出制御装置200等)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(例えば1秒程度の待機処理)を実行する(ステップS302)。次いで、RAM103のアクセスを許可する(ステップS303)。
続いて電源装置115に設けたRAM消去スイッチ82がオンされているか否かを判別し(ステップS304)、オンされていれば(ステップS304にてYes)、処理をステップS310へ移行する。一方、RAM消去スイッチ82がオンされていなければ(ステップS304にてNo)、更にRAM103に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(ステップS305)、記憶されていなければ(ステップS305にてNo)、バックアップデータは記憶されていないので、この場合にも、処理をステップS310へ移行する。またRAM103に電源断の発生情報が記憶されていれば(ステップS305にてYes)、RAM判定値を算出し(ステップS306)、算出したRAM判定値が正常でない場合(すなわち算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しない場合)には、バックアップされたデータは破壊されているので、ステップS307でNoとなり、かかる場合にも処理をステップS310へ移行する。なお、前述した通り、RAM判定値は、例えばRAM103の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM103の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
ステップS310の処理では、サブ側の制御装置となる払出制御装置200を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(ステップS310)。その後、RAM103の初期化処理(ステップS311,S312)に移行する。
上述したように、本パチンコ機1では、例えば遊技ホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ82を押しながら電源が投入される。したがって、RAM消去スイッチ82が押されていれば、RAMの初期化処理(ステップS311,S312)に移行する。また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様にRAM103の初期化処理に移行する。すなわち、ステップS311とS312のRAMの初期化処理では、RAM103の使用領域を0にクリアし(ステップS311)、RAM103の初期値を設定する(ステップS312)。その後、ステップS313の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ82がオンされておらず(ステップS304にてNo)、電源遮断の発生情報が記憶されており(ステップS305にてYes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(ステップS307にてYes)、電源断の発生情報をクリアする(ステップS308)。次に、サブ側の払出制御装置200を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(ステップS309)、ステップS313の処理へ移行する。そしてステップS313において割込みを許可する処理を行った後、メイン処理に移行する。
図14は、主制御装置100内のCPU101により実行されるメイン処理を示したフローチャートである。このメイン処理では遊技の主要な処理が実行される。その概要として、4ms毎に繰り返し実行される定期処理としてステップS401〜S406の各処理が実行され、その残余時間でステップS409およびS410のカウンタ更新処理が実行される構成となっている。
メイン処理においては、まず、前回の処理で更新されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置に送信する(ステップS401)。具体的には、入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置200に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、図柄表示装置51による図柄の変動表示に必要な変動パターンコマンド、停止図柄コマンド、停止コマンド、演出時間加算コマンド等を音声ランプ制御装置300に送信する。さらに、遊技球の発射を行う場合に、発射制御装置602に球発射信号を送信する。
次に、第1ないし第3変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の各値を更新する(ステップS402)。具体的には、第1ないし第3変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の各値を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態では198,240,162)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新値を、RAM103におけるカウンタ用バッファ103aの該当するバッファ領域に格納する。
第1ないし第3変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新が終わると、払出制御装置200より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(ステップS403)、図柄表示装置51による表示を行うための処理や図柄表示装置51による図柄の変動パターンなどを設定する変動処理を実行する(ステップS404)。なお、この変動処理の詳細は図15および図16を参照して後述する。
変動処理の終了後は、大当たり状態である場合において可変入賞装置35の特別入賞口(大開放口)35aを開放又は閉鎖するための大開放口開閉処理を実行する(ステップS405)。すなわち、大当たり状態のラウンド毎に特別入賞口35aを開放し、特別入賞口35aの最大開放時間が経過したか、又は特別入賞口35aに遊技球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると特別入賞口35aを閉鎖する。この特別入賞口35aの開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。
次に、特定ランプ表示部52における「○」の図柄を点灯させる第1ランプ表示部53と、「×」の図柄を点灯させる第2ランプ表示部54との表示制御処理を実行する(ステップS406)。簡単に説明すると、遊技球がスルーゲート36を通過したことを条件に、その通過したタイミングで第2乱数カウンタC3の値が取得されると共に特定ランプ表示部52において第1ランプ表示部53と第2ランプ表示部54との変動表示が実施される。そして、第2乱数カウンタC3の値により当たり抽選が実施され、その値が当たりである場合、第1ランプ表示部53が点灯状態となって停止し、始動入賞口34に付随する電動役物(左右方向に開閉する可動翼)が所定時間開放される。
その後、RAM103に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(ステップS407)、RAM103に電源遮断の発生情報が記憶されていなければ(ステップS407にてNo)、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、すなわち前回のメイン処理の開始から所定時間(本実施形態では4ms)が経過したか否かを判別し(ステップS408)、既に所定時間が経過していれば(ステップS408にてYes)、処理をステップS401へ移行し、上述したステップS401以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、前回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していない場合(ステップS408にてNoの場合)、所定時間に至るまでの間、すなわち次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、初期値乱数カウンタCINIの更新(ステップS409)と、第1ないし第3変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新(ステップS410)とを繰り返し実行する。初期値乱数カウンタCINIの更新(ステップS409)では、初期値乱数カウンタCINIの値を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では250)に達した際0にクリアする。そして初期値乱数カウンタCINIの更新値を、RAM103におけるカウンタ用バッファ103aの該当するバッファ領域に格納する。また第1ないし第3変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新(ステップS410)では、各変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の値を1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態では198,240,162)に達した際それぞれ0にクリアする。そして、各変動種別カウンタCS1,CS2,CS3の更新値を、RAM103におけるカウンタ用バッファ103aの該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。
ここで、ステップS401〜S406の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。そのため、かかる残余時間を使用して初期値乱数カウンタCINIの更新を繰り返し実行することにより、初期値乱数カウンタCINI(すなわち、第2乱数カウンタC3の初期値)をランダムに更新することができ、同様に第1ないし第3変動種別カウンタCS1,CS2,CS3についてもランダムに更新することができる。
また、ステップS407の処理において、RAM103に電源断の発生情報が記憶されている場合(ステップS407にてYesの場合)、ステップS411以降の電源遮断時の処理が実行される。この処理では、まず、各割込処理の発生を禁止し(ステップS411)、電源が遮断されたことを示す電源遮断通知コマンドを他の制御装置(払出制御装置200や音声ランプ制御装置300など)に対して送信する(ステップS412)。そして、RAM判定値を算出してその値を保存し(ステップS413)、RAM103のアクセスを禁止して(ステップS414)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM103のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。なお、ステップS407の処理は、ステップS401〜S406で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるステップS409とS410の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。
次に、図15および図16は、上述の変動処理(ステップS404)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。この変動処理では、まず、パチンコ機1が今現在大当たり中であるか否かを判別する(ステップS420)。大当たり中としては、大当たりの際に図柄表示装置51で表示される大当たり遊技の最中と、大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。この判別の結果、パチンコ機1が現在大当たり中である場合には(ステップS420でYes)、そのまま本処理を終了する。
大当たり中でない場合には(ステップS420にてNo)、図柄表示装置51の表示態様が変動中であるか否かを判別する(ステップS421)。ここで図柄表示装置51の表示態様が変動中でない場合には(ステップS421にてNo)、さらに作動保留球数Nが0よりも大きいか否かを判別する(ステップS422)。作動保留球数Nが0であれば(ステップS422にてNo)、そのまま本処理を終了する。これに対し、作動保留球数N>0であれば(ステップS422にてYes)、作動保留球数Nを1減算し(ステップS423)、保留球格納エリア103bに格納されたデータをシフト処理する(ステップS424)。このデータシフト処理は、保留球格納エリア103bの保留第1〜第4エリアに格納されているデータを実行エリア側に順にシフトさせる処理であって、保留第1エリア→実行エリア、保留第2エリア→保留第1エリア、保留第3エリア→保留第2エリア、保留第4エリア→保留第3エリアといった具合に各エリア内のデータがシフトされる。データシフト処理の後は、図柄表示装置51の変動開始処理を実行する(ステップS425)。なお、変動開始処理については図16を参照して後述する。
ステップS421の処理において、図柄表示装置51の表示態様が変動中であると判別されると(ステップS421にてYes)、変動時間が経過したか否かを判別する(ステップS426)。図柄表示装置51の変動中の表示時間は、第1および第2変動種別カウンタCS1,CS2により選択された変動パターンと第3変動種別カウンタCS3により選択された加算時間に応じて決められており、この変動時間が経過していなければ(ステップS426にてNo)、そのまま本処理を終了してメイン処理に戻る。一方、図柄の変動時間が経過していれば(ステップS426にてYes)、停止図柄の確定のために設定されている確定コマンドを設定し(ステップS427)、本処理を終了する。なお、確定コマンドは音声ランプ制御装置300によって受信され、音声ランプ制御装置300が表示制御装置400に停止指示をする。これにより、図柄表示装置51における図柄の変動表示が停止し、1回の変動演出が終了する。
図16は、上述の変動開始処理(ステップS425)の詳細な処理手順を示すフローチャートである。この変動開始処理(ステップS425)では、まず、大当たり判定が行われる(ステップS430)。すなわち、保留球格納エリア103bの実行エリアに格納されている、乱数発生器105から入力した乱数の値が、予め設定された「大当たり」を示す値であるか否かが判定される。本実施形態では、上述したように「大当たり」を示す値が例えば0〜199の連続した値として設定されているため、大当たり判定時には乱数発生器105から入力した乱数の値が0〜199の範囲内であるか否かの1回の判定を行えば良いため、判定時の処理効率が良い。この大当たり判定では、パチンコ機1の状態が高確率状態であるか或いは低確率状態であるかに応じて「大当たり」を示す値の範囲として、それぞれ異なる範囲が適用される。具体的には、高確率状態では、低確率状態よりも広い範囲が「大当たり」を示す値の範囲として適用され、大当たりとなる確率が低確率状態よりもアップするようになっている。そして乱数の値が「大当たり」を示す連続した値の範囲内であれば、大当たりであると判定される。
大当たりであると判定された場合(ステップS430にてYes)、保留球格納エリア103bの実行エリアに格納されている大当たり種別カウンタC1の値を確認して、大当たり時の表示態様が設定される(ステップS431)。ステップS431の処理では、大当たり種別カウンタC1の値に基づき、大当たり後に高確率状態に移行するか低確率状態に移行するかが設定される。大当たり後の移行状態が設定されると、図柄表示装置51の表示態様が設定される。すなわち、ステップS431の処理では、大当たり後の移行状態が設定されると共に、図柄表示装置51における大当たり時の停止図柄が設定される。
次に、大当たり時の変動パターンを決定する(ステップS432)。ステップS432の処理で変動パターンが設定されると、図柄表示装置51において大当たり図柄で停止するまでの図柄の変動時間が決定される。このとき、RAM103のカウンタ用バッファ103aに格納されている第1および第2変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな図柄変動の変動時間を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)を決定する。
なお、第1変動種別カウンタCS1の数値と変動時間との関係、第2変動種別カウンタCS2の数値と変動時間との関係は、それぞれにテーブル等により予め規定されている。但し、上記変動時間は、第2変動種別カウンタCS2の値を使わずに第1変動種別カウンタCS1の値だけを用いて設定することも可能であり、第1変動種別カウンタCS1の値だけで設定するか又は両変動種別カウンタCS1,CS2の両値で設定するかは、その都度の第1変動種別カウンタCS1の値や遊技条件などに応じて適宜決められる。
ステップS430の処理で大当たりではないと判別された場合には(ステップS430にてNo)、ハズレ時の表示態様が設定される(ステップS433)。ステップS433の処理では、保留球格納エリア103bの実行エリアに格納されている停止パターン選択カウンタC3の値に基づいて、図柄表示装置51において表示させる演出を、前後ハズレリーチであるか、前後ハズレ以外リーチであるか、完全ハズレであるかを設定する。また図柄表示装置51の表示態様が設定される。すなわち、ステップS433の処理では、ハズレ時の演出表示の態様やハズレ停止図柄が設定される。
次に、ハズレ時の変動パターンが決定され(ステップS434)、図柄表示装置51においてハズレ図柄で停止するまでの図柄の変動時間が決定される。このとき、ステップS432の処理と同様に、RAM103のカウンタ用バッファ103aに格納されている第1および第2変動種別カウンタCS1,CS2の値を確認し、第1変動種別カウンタCS1の値に基づいてノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等の大まかな図柄変動の変動時間を決定すると共に、第2変動種別カウンタCS2の値に基づいてリーチ発生後に最終停止図柄が停止するまでの変動時間(言い換えれば、変動図柄数)を決定する。
ステップS432またはS434の処理が終わると、第1および第2変動種別カウンタCS1,CS2により決定された変動時間に加減算される演出時間が決定される(ステップS435)。このとき、RAM103のカウンタ用バッファ103aに格納されている第3変動種別カウンタCS3の値に基づいて演出時間の加減算が決定され、図柄表示装置51の変動時間が設定される。本実施形態では、演出時間の加減算の決定は、第3変動種別カウンタCS3の値に応じて、変動表示の時間を変更しない場合と変動表示時間を1秒加算する場合、変動表示時間を2秒加算する場合、変動表示時間を1秒減算する場合との4種類の加算値が決定される。
なお、変動表示時間が加減算される場合には、図柄表示装置51で大当たりの期待値が高くなる予告演出(例えば、変動図柄の変動時間を通常より長くしてスベリを伴わせるスベリ演出や予告キャラを表示させる演出、1の変動図柄の変動時間を通常より短くして即停止させる演出など)が行われる。また、ステップS430で大当たりであると判定された場合は、2秒の加算値が選択される確率が高く設定され、遊技者は予告演出を確認することで大当たりを期待することができる。
次に、ステップS432又はS434の処理で決定された変動パターン(変動時間)に応じて変動パターンコマンドを設定し(ステップS436)、ステップS431又はS433の処理で設定された停止図柄に応じて停止図柄コマンドを設定する(ステップS437)。そして、ステップS436の処理で決定された演出時間の加算値に応じて演出時間加算コマンドを設定して(ステップS438)、本処理を終了し、変動処理へ戻る。
主制御装置100内のCPU101では上述した処理が実行されることにより、サブ側の各制御装置に対して各種のコマンドが送出される。そしてサブ側の各制御装置が主制御装置100から受信するコマンドに基づいて各部を制御することにより、パチンコ機1において遊技球の発射や賞球の払い出し、或いは遊技に伴う各種の演出表示が行われるようになっている。
以上のようにパチンコ機1は、第1クロック発生回路104と乱数発生器105とを備えており、乱数発生器105が第1クロック発生回路104から出力されるクロック信号CL1に基づいて乱数を更新する。この乱数は、主制御装置100において大当たり判定に用いられる。また本実施形態のパチンコ機1は検知信号判定回路106を備えており、この検知信号判定回路106がクロック信号CL1を監視し、第1クロック発生回路104からクロック信号CL1が正常に出力されている場合に限り、始動入賞口検知センサ40が出力する検知信号SG1を有効な検知信号(すなわち、有効検知信号SG3)としてCPU101に出力する。そしてCPU101は有効検知信号SG3を入力すると、それを大当たり判定の契機として乱数発生器105から乱数を取得して大当たり判定を行うように構成されている。したがって、本実施形態のパチンコ機1は、第1クロック発生回路104が何らかの原因でクロック信号CL1を出力しなくなった場合(この場合においてもパチンコ機1は遊技可能な状態である)、始動入賞口検知センサ40が大当たり判定の契機を検知したとしても、検知信号判定回路106がCPU101に対して有効検知信号SG3を出力することはなく、CPU101において大当たり判定は行われない。その結果、始動入賞口34に遊技球が入賞した場合であっても図柄表示装置51における変動表示が行われなくなり、パチンコ機1に不具合が生じていることを速やかに把握できるようになる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した内容のものに限定されるものではなく、本発明には種々の変形例が適用可能である。
例えば、上記実施形態においては、遊技機の一例としてパチンコ機1について説明したが、本発明はスロットマシンやいわゆるパロット機などの他の遊技機に対しても適用することができる。スロットマシンやパロット機の場合、遊技者が操作レバーをオン状態に操作するタイミングが大当たり判定の契機となっているため、操作レバーがオンされたことに応答して乱数発生器から乱数が取得される。そのため乱数発生器の乱数を更新するためのクロック信号が正常に出力されている場合にのみ、操作レバーがオンされたことを検知した検知信号を有効な検知信号としてCPUに出力する構成とする。この場合、クロック信号が正常に出力されていない場合、CPU101において大当たり判定は行われず、その結果、図柄の変動表示も行われないので、スロットマシンやパロット機において何らかの不具合が発生していることを容易に把握することができる。