JP2019028421A - 光学フィルタ - Google Patents

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JP2019028421A JP2017203040A JP2017203040A JP2019028421A JP 2019028421 A JP2019028421 A JP 2019028421A JP 2017203040 A JP2017203040 A JP 2017203040A JP 2017203040 A JP2017203040 A JP 2017203040A JP 2019028421 A JP2019028421 A JP 2019028421A
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Abstract

【課題】所望の光学性能を簡素な構成で発揮できる光学フィルタを提供する。【解決手段】光学フィルタ1aは、UV‐IR吸収層10を備え、0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、(i)〜(v)の特性を有する。(i)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率、(ii)波長750nm〜1080nmにおいて1%以下の分光透過率、(iii)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率、(iv)波長600nm〜750nmにおいて波長の増加に伴い減少する分光透過率及び波長620nm〜680nmの範囲内に存在する第一IRカットオフ波長、並びに(v)波長350nm〜450nmにおいて波長の増加に伴い増加する分光透過率、及び波長380nm〜430nmの範囲内に存在する第一UVカットオフ波長。【選択図】図1A

Description

本発明は、光学フィルタに関する。
CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semicon
ductor)等の撮像素子を用いた撮像装置において、良好な色再現性を有する画像を得るた
めに様々な光学フィルタが撮像素子の前面に配置されている。一般的に、撮像素子は紫外
線領域から赤外線領域に至る広い波長範囲で分光感度を有する。一方、人間の視感度は可
視光の領域にのみに存在する。このため、撮像装置における撮像素子の分光感度を人間の
視感度に近づけるために、撮像素子の前面に赤外線又は紫外線を遮蔽する光学フィルタを
配置する技術が知られている。
光学フィルタとしては、誘電体多層膜を有する光学フィルタのように光の反射を利用す
る光学フィルタと、所定の波長の光を吸収可能な光吸収剤を含有している膜を有する光学
フィルタのように光の吸収を利用する光学フィルタとがある。後者は、入射光の入射角度
に対して変動しにくい分光特性を有する点で望ましい。
例えば、特許文献1には、近赤外線吸収剤及び樹脂から形成される近赤外線吸収フィル
タが記載されている。近赤外線吸収剤は、所定のホスホン酸化合物と、所定のリン酸エス
テル化合物と、銅塩とから得られる。所定のホスホン酸化合物は、リン原子Pに結合した
−CH2CH2−R11で表される一価の基R1を有する。R11は水素原子、炭素数1〜20
のアルキル基、又は炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。
特開2011−203467号公報
特許文献1に記載の近赤外線吸収フィルタは、波長800nm〜1200nmにおける
光を有効に吸収できているものの、波長350nm〜400nm及び波長650nm〜8
00nmにおいて望ましい光吸収特性を有しているとは言い難い。そこで、本発明は、特
許文献1に記載の近赤外線吸収フィルタのみでは実現困難な所望の光学性能を簡素な構成
で発揮できる光学フィルタを提供する。
本発明は、
赤外線及び紫外線を吸収可能なUV‐IR吸収層を備え、
0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、
(i)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率を有し、
(ii)波長750nm〜1080nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
(iii)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
(iv)波長600nm〜750nmにおいて波長の増加に伴い減少する分光透過率を有
するとともに、波長600nm〜750nmにおいて分光透過率が50%を示す第一IR
カットオフ波長が波長620nm〜680nmの範囲内に存在し、
(v)波長350nm〜450nmにおいて波長の増加に伴い増加する分光透過率を有
するとともに、波長350nm〜450nmにおいて分光透過率が50%を示す第一UV
カットオフ波長が波長380nm〜430nmの範囲内に存在する、
光学フィルタを提供する。
上記の光学フィルタは、所望の光学性能を簡素な構成で発揮できる。
図1Aは、本発明の光学フィルタの一例を示す断面図である。 図1Bは、本発明の光学フィルタの別の一例を示す断面図である。 図1Cは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図1Dは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図1Eは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図1Fは、本発明の光学フィルタのさらに別の一例を示す断面図である。 図2は、本発明の光学フィルタを備えたカメラモジュールの一例を示す断面図である。 図3は、実施例1に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図4は、実施例2に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図5は、実施例16に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図6は、実施例17に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図7は、実施例18に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図8Aは、実施例21で用いた赤外線吸収ガラス基板の透過率スペクトルである。 図8Bは、実施例21に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図9は、実施例22に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図10は、実施例23に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図11は、実施例24に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。 図12は、実施例38に係る光学フィルタの透過率スペクトルである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、
本発明の一例に関するものであり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
光学フィルタは、波長450nm〜600nmの光を透過させ、かつ、波長300nm
〜400nm及び波長650nm〜1100nmの光をカットする特性を有することが望
ましい場合がある。しかし、例えば、特許文献1に記載の光学フィルタは、波長350n
m〜400nm及び波長650nm〜800nmにおいて十分な光吸収特性を有しておら
ず、波長350nm〜400nmの光及び波長650nm〜800nmの光をカットする
ために、別の光吸収層又は光反射膜を必要とする。このように、簡素な構成(例えば、単
一の層)で上記の望ましい特性を有する光学フィルタを実現することは容易なことではな
い。実際に、本発明者は、簡素な構成で上記の望ましい特性を有する光学フィルタを実現
するために試行錯誤を何度も重ねた。その結果、本発明者は、ついに本発明に係る光学フ
ィルタを案出した。
図1Aに示す通り、光学フィルタ1aは、UV‐IR吸収層10を備えている。UV‐
IR吸収層10は、赤外線及び紫外線を吸収可能な層である。光学フィルタ1aは、0°
の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、下記(i)〜(v
)の光学性能を発揮する。
(i)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率
(ii)波長750nm〜1080nmにおいて1%以下の分光透過率
(iii)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率
(iv)波長600nm〜750nmにおいて波長の増加に伴い減少する分光透過率及び波
長620nm〜680nmの範囲内に存在する第一IRカットオフ波長
(v)波長350nm〜450nmにおいて波長の増加に伴い増加する分光透過率及び波
長380nm〜430nmの範囲内に存在する第一UVカットオフ波長
本明細書において、「分光透過率」とは、特定の波長の入射光が試料等の物体に入射す
るときの透過率であり、「平均透過率」とは、所定の波長範囲内の分光透過率の平均値で
あり、「最大透過率」とは、所定の波長範囲内の分光透過率の最大値である。また、本明
細書において、「透過率スペクトル」とは所定の波長範囲内の各波長における分光透過率
を波長の順に並べたものである。
本明細書において、「IRカットオフ波長」とは、光学フィルタに波長300nm〜1
200nmの光を、所定の入射角度で入射させたときに、600nm以上の波長範囲にお
いて50%の分光透過率を示す波長を意味する。「第一IRカットオフ波長」は、0°の
入射角度で光学フィルタに光を入射させたときのIRカットオフ波長である。また、「U
Vカットオフ波長」とは、光学フィルタに波長300nm〜1200nmの光を、所定の
入射角度で入射させたときに、450nm以下の波長範囲において、50%の分光透過率
を示す波長を意味する。「第一UVカットオフ波長」は、0°の入射角度で光学フィルタ
に光を入射させたときのUVカットオフ波長である。
光学フィルタ1aが上記の(i)〜(v)の光学性能を発揮することにより、光学フィ
ルタ1aにおいて波長450nm〜600nmの光の透過量が多く、かつ、波長300n
m〜400nm及び波長650nm〜1100nmの光を効果的にカットできる。このた
め、光学フィルタ1aの透過スペクトルは、特許文献1に記載の近赤外線吸収フィルタの
透過スペクトルに比べて、人間の視感度により適合している。しかも、光学フィルタ1a
は、UV‐IR吸収層10以外の層を備えていなくても、上記の(i)〜(v)の光学性
能を発揮できる。
上記(i)に関し、光学フィルタ1aは、波長450nm〜600nmにおいて、望ま
しくは80%以上の平均透過率を有し、より望ましくは82%以上の平均透過率を有する
上記(iii)に関し、光学フィルタ1aは、望ましくは、波長300nm〜360nm
において1%以下の分光透過率を有する。これにより、光学フィルタ1aは、紫外線領域
の光をより効果的にカットできる。
上記(iv)に関し、第一IRカットオフ波長(50%の分光透過率を示す波長)は、望
ましくは、波長630nm〜650nmの範囲内に存在する。これにより、光学フィルタ
1aの透過スペクトルが人間の視感度により適合する。
上記(v)に関し、第一UVカットオフ波長(50%の分光透過率を示す波長)は、望
ましくは、波長390nm〜420nmの範囲内に存在する。これにより、光学フィルタ
1aの透過スペクトルが人間の視感度により適合する。
光学フィルタ1aは、望ましくは、0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの
光を入射させたときに、下記(vi)の光学性能を発揮する。これにより、比較的長い波長
(波長1000〜1100nm)を有する赤外線を遮蔽することができる。従来、この波
長の光をカットするためには誘電体多層膜からなる光反射膜が用いられることが多い。し
かし、光学フィルタ1aによれば、このような誘電体多層膜を用いなくともこの波長の光
を効果的にカットできる。誘電体多層膜からなる光反射膜が必要であったとしても、光反
射膜に要求される反射性能のレベルを低くできるので、光反射膜における誘電体の積層数
を低減でき、光反射膜の形成に要するコストを低減できる。
(vi)波長1000〜1100nmにおいて3%以下の分光透過率
光学フィルタ1aは、望ましくは、0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの
光を入射させたときに、下記(vii)の光学性能を発揮する。この場合、より長い波長(
1100〜1200nm)を有する赤外線をカットできる。これにより、誘電体多層膜を
用いなくとも又は誘電体多層膜における誘電体の積層数が少なくても、光学フィルタ1a
がこの波長の光を効果的にカットできる。
(vii)波長1100〜1200nmにおいて15%以下の分光透過率
例えば、光学フィルタ1aにおいて、第二IRカットオフ波長と、第一IRカットオフ
波長との差の絶対値が10nm以下である(光学性能(viii))。第二IRカットオフ波
長は、光学フィルタ1aに40°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射
させたときのIRカットオフ波長である。この場合、光学フィルタ1aの第一IRカット
オフ波長付近の透過率特性は、光学フィルタ1aに入射する光の入射角度に対して変動し
にくい。その結果、光学フィルタ1aが撮像素子の前方に配置された撮像装置によって得
られた画像の中心部及び周辺部において異なる色味が発生することを抑制できる。
光学フィルタ1aにおいて、第二IRカットオフ波長と、第一IRカットオフ波長との
差の絶対値は、望ましくは5nm以下である。
例えば、光学フィルタ1aにおいて、第三IRカットオフ波長と、第一IRカットオフ
波長との差の絶対値が15nm以下である(光学性能(ix))。第三IRカットオフ波長
は、光学フィルタ1aに50°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射さ
せたときのIRカットオフ波長である。この場合、光学フィルタ1aに入射する光の入射
角度が大きく変化しても、光学フィルタ1aの第一IRカットオフ波長付近の透過率特性
の変化を抑制できる。その結果、広い画角で撮像可能な撮像装置の撮像素子の前方に光学
フィルタ1aを配置しても、良質な画像が得られやすい。
例えば、光学フィルタ1aにおいて、第四IRカットオフ波長と、第一IRカットオフ
波長との差の絶対値が20nm以下である。第四IRカットオフ波長は、光学フィルタ1
aに60°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときのIRカッ
トオフ波長である。この場合、広い画角で撮像可能な撮像装置の撮像素子の前方に光学フ
ィルタ1aを配置しても、良質な画像が得られやすい。
例えば、光学フィルタ1aにおいて、第二UVカットオフ波長と、第一UVカットオフ
波長との差の絶対値が10nm以下である(光学性能(x))。第二UVカットオフ波長
は、光学フィルタ1aに40°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射さ
せたときのUVカットオフ波長である。この場合、光学フィルタ1aの第一UVカットオ
フ波長付近の透過率特性は、光学フィルタ1aに入射する光の入射角度に対して変動しに
くい。その結果、光学フィルタ1aが撮像素子の前方に配置された撮像装置によって得ら
れた画像の中心部及び周辺部において異なる色味が発生することを抑制できる。
光学フィルタ1aにおいて、第二UVカットオフ波長と、第一UVカットオフ波長との
差の絶対値は、望ましくは5nm以下である。
例えば、光学フィルタ1aにおいて、第三UVカットオフ波長と、第一UVカットオフ
波長との差の絶対値が15nm以下である(光学性能(xi))。第三UVカットオフ波長
は、光学フィルタ1aに50°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射さ
せたときのUVカットオフ波長である。この場合、光学フィルタ1aに入射する光の入射
角度が大きく変化しても、光学フィルタ1aの第一UVカットオフ波長付近の透過率特性
の変化を抑制できる。その結果、広い画角で撮像可能な撮像装置の撮像素子の前方に光学
フィルタ1aを配置しても、良質な画像が得られやすい。
例えば、光学フィルタ1aにおいて、第四UVカットオフ波長と、第一UVカットオフ
波長との差の絶対値が20nm以下である。第四UVカットオフ波長は、光学フィルタ1
aに60°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときのUVカッ
トオフ波長である。この場合、広い画角で撮像可能な撮像装置の撮像素子の前方に光学フ
ィルタ1aを配置しても、良質な画像が得られやすい。
光学フィルタ1aは、望ましくは、0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの
光を入射させたときに、下記(xii)の光学性能を発揮する。
(xii)波長800〜950nmにおいて0.5%以下の分光透過率、より望ましくは0.
1%以下の分光透過率
光学フィルタ1aは、望ましくは、0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの
光を入射させたときに、下記(xiii)の光学性能をさらに発揮する。
(xiii)波長800〜1000nmにおいて0.5%以下の分光透過率、より望ましくは
0.1%以下の分光透過率
撮像装置に使用されているRGBに対応した各カラーフィルタは、各RGBに対応した
波長範囲の光を透過させるだけではなく波長800nm以上の光をも透過させることがあ
る。このため、撮像装置に用いられる赤外線カットフィルタの上記の波長範囲における分
光透過率がある程度低くないと、上記の波長範囲の光が撮像素子の画素に入射し、その画
素から信号が出力されてしまう。このような撮像装置を用いてデジタル画像を取得した場
合に、可視光領域の光量が十分に強いときは、低光量の赤外線がカラーフィルタを透過し
て撮像素子の画素が受光しても得られたデジタル画像に大きな影響は出ない。しかし、可
視光領域の光量が小さいとき又は画像の暗部においては、そのような赤外線の影響を受け
やすくなり、ときには青系又は赤系などの色味がそれらの画像に混ざることがある。
このように、CMOS及びCCDなどの撮像素子とともに用いられているカラーフィル
タは、波長800〜950nmまたは800〜1000nmの範囲における光を透過させ
る場合がある。光学フィルタ1aが上記の(xii)及び(xiii)の光学性能を有すること
により、このような画像の不具合を防止できる。
UV‐IR吸収層10は、上記(i)〜(v)の光学性能を光学フィルタ1aが発揮で
きるように、赤外線及び紫外線を吸収する限り特に制限されないが、例えば、ホスホン酸
と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含んでいる。
UV‐IR吸収層10がホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤
を含む場合、そのホスホン酸は、例えば、アリール基を有する第一ホスホン酸を含む。第
一ホスホン酸においてアリール基はリン原子に結合している。これにより、光学フィルタ
1aが上記(i)〜(v)の光学性能を発揮しやすい。
第一ホスホン酸が有するアリール基は、例えば、フェニル基、ベンジル基、トルイル基
、ニトロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、フェニル基における少なくとも1つの水素
原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化フェニル基、又はベンジル基のベンゼン
環における少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化ベンジ
ル基である。望ましくは、第一ホスホン酸は、その一部において、ハロゲン化フェニル基
を有する。この場合、より確実に、光学フィルタ1aが上記(i)〜(v)の光学性能を
発揮しやすい。
UV‐IR吸収層10がホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤
を含む場合、そのホスホン酸は、望ましくは、アルキル基を有する第二ホスホン酸をさら
に含む。第二ホスホン酸において、アルキル基はリン原子に結合している。
第二ホスホン酸が有するアルキル基は、例えば、6個以下の炭素原子を有するアルキル
基である。このアルキル基は、直鎖及び分岐鎖のいずれを有していてもよい。
UV‐IR吸収層10がホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収剤
を含む場合、UV‐IR吸収層10は、望ましくは、UV‐IR吸収剤を分散させるリン
酸エステルと、マトリクス樹脂とをさらに含む。
UV‐IR吸収層10に含有されているリン酸エステルは、UV‐IR吸収剤を適切に
分散できる限り特に制限されないが、例えば、下記式(c1)で表されるリン酸ジエステ
ル及び下記式(c2)で表されるリン酸モノエステルの少なくとも一方を含む。下記式(
c1)及び下記式(c2)において、R21、R22、及びR3は、それぞれ、−(CH2CH
2O)n4で表される1価の官能基であり、nは、1〜25の整数であり、R4は、炭素数
6〜25のアルキル基を示す。R21、R22、及びR3は、互いに同一又は異なる種類の官
能基である。
Figure 2019028421
リン酸エステルは、特に制限されないが、例えば、プライサーフA208N:ポリオキ
シエチレンアルキル(C12、C13)エーテルリン酸エステル、プライサーフA208
F:ポリオキシエチレンアルキル(C8)エーテルリン酸エステル、プライサーフA20
8B:ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、プライサーフA219B:
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル、プライサーフAL:ポリオキシエ
チレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル、プライサーフA212C:ポリオキ
シエチレントリデシルエーテルリン酸エステル、又はプライサーフA215C:ポリオキ
シエチレントリデシルエーテルリン酸エステルであり得る。これらはいずれも第一工業製
薬社製の製品である。また、リン酸エステルは、NIKKOL DDP−2:ポリオキシ
エチレンアルキルエーテルリン酸エステル、NIKKOL DDP−4:ポリオキシエチ
レンアルキルエーテルリン酸エステル、又はNIKKOL DDP−6:ポリオキシエチ
レンアルキルエーテルリン酸エステルであり得る。これらは、いずれも日光ケミカルズ社
製の製品である。
UV‐IR吸収層10に含まれるマトリクス樹脂は、例えば、UV‐IR吸収剤を分散
させることができ、熱硬化又は紫外線硬化が可能な樹脂である。さらに、マトリクス樹脂
として、その樹脂によって0.1mmの樹脂層を形成した場合に、その樹脂層の波長35
0nm〜900nmに対する透過率が例えば70%以上であり、望ましくは75%以上で
あり、より望ましくは80%以上である樹脂を用いることができる。ホスホン酸の含有量
は、例えば、マトリクス樹脂100質量部に対して3〜180質量部である。
UV‐IR吸収層10に含まれるマトリクス樹脂は、上記の特性を満足する限り特に限
定されないが、例えば(ポリ)オレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルブチラール
樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホ
ン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、(変性)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコーン
樹脂である。マトリクス樹脂は、フェニル基等のアリール基を含んでいてもよく、望まし
くはフェニル基等のアリール基を含んでいるシリコーン樹脂である。UV‐IR吸収層1
0が硬い(リジッドである)と、そのUV‐IR吸収層10の厚みが増すにつれて、光学
フィルタ1aの製造工程中に硬化収縮によりクラックが生じやすい。マトリクス樹脂がア
リール基を含むシリコーン樹脂であるとUV‐IR吸収層10が良好な耐クラック性を有
しやすい。また、アリール基を含むシリコーン樹脂を用いると、上記のホスホン酸と銅イ
オンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含有する場合にUV‐IR吸収剤が凝集し
にくい。さらに、UV‐IR吸収層10のマトリクス樹脂がアリール基を含むシリコーン
樹脂である場合に、UV‐IR吸収層10に含まれるリン酸エステルが式(c1)又は式
(c2)で表されるリン酸エステルのようにオキシアルキル基等の柔軟性を有する直鎖有
機官能基を有することが望ましい。なぜなら、上記のホスホン酸と、アリール基を含むシ
リコーン樹脂と、オキシアルキル基等の直鎖有機官能基を有するリン酸エステルとの組合
せに基づく相互作用により、UV‐IR吸収剤が凝集しにくく、かつ、UV‐IR吸収層
に良好な剛性及び良好な柔軟性をもたらすことができるからである。マトリクス樹脂とし
て使用されるシリコーン樹脂の具体例としては、KR−255、KR−300、KR−2
621−1、KR−211、KR−311、KR−216、KR−212、及びKR−2
51を挙げることができる。これらはいずれも信越化学工業社製のシリコーン樹脂である
図1Aに示す通り、光学フィルタ1aは、例えば透明誘電体基板20をさらに備え、透
明誘電体基板20の一方の主面の少なくとも一部がUV‐IR吸収層10によって覆われ
ている。透明誘電体基板20は、450nm〜600nmにおいて高い平均透過率(例え
ば、80%以上)を有する誘電体基板である限り、特に制限されない。場合によっては、
透明誘電体基板20は、紫外線領域又は赤外線領域に吸収能を有していてもよい。
透明誘電体基板20は、例えば、ガラス製又は樹脂製である。透明誘電体基板20がガ
ラス製である場合、そのガラスは、例えば、D263等のホウケイ酸ガラス、ソーダ石灰
ガラス(青板)、B270等の白板ガラス、無アルカリガラス、又は銅を含有しているリ
ン酸塩ガラス若しくは銅を含有しているフツリン酸塩ガラス等の赤外線吸収性ガラスであ
る。透明誘電体基板20が、銅を含有しているリン酸塩ガラス又は銅を含有しているフツ
リン酸塩ガラス等の赤外線吸収性ガラスである場合、透明誘電体基板20が有する赤外線
吸収性能とUV‐IR吸収層10が有する赤外線吸収性能との組み合わせによって光学フ
ィルタ1aに必要な赤外線吸収性能を実現できる。このため、UV‐IR吸収層10に要
求される赤外線吸収性能のレベルを下げることができる。このような赤外線吸収性ガラス
は、例えば、ショット社製のBG−60、BG−61、BG−62、BG−63、若しく
はBG−67であり、日本電気硝子社製の500EXLであり、又はHOYA社製のCM
5000、CM500、C5000、若しくはC500Sである。また、赤外線吸収性ガ
ラスは紫外線吸収特性を有していてもよい。
透明誘電体基板20は、酸化マグネシウム、サファイア、又は石英などの透明性を有す
る結晶性の基板であってもよい。例えば、サファイアは高硬度であるので、傷がつきにく
い。このため、板状のサファイアは、耐擦傷性の保護材料(プロテクトフィルタ)として
、スマートフォン及び携帯電話等の携帯端末に備えられているカメラモジュール又はレン
ズの前面に配置される場合がある。このような板状のサファイア上にUV‐IR吸収層1
0が形成されることにより、カメラモジュール及びレンズの保護とともに、紫外線又は赤
外線を遮蔽できる。これにより、紫外線又は赤外線の遮蔽性を備える光学フィルタをCC
DやCMOSなどの撮像素子の周辺又はカメラモジュールの内部に配置する必要がなくな
る。このため、板状のサファイア上にUV‐IR吸収層10を形成すれば、カメラモジュ
ールの低背位化に貢献できる。
透明誘電体基板20が、樹脂製である場合、その樹脂は、例えば、(ポリ)オレフィン
樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、(変性)
アクリル樹脂、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂である。
図1Aに示す通り、光学フィルタ1aにおいて、例えば、UV‐IR吸収層10は、単
一の層として形成されている。この場合、光学フィルタ1aの構造が簡素である。
光学フィルタ1aは、例えば、UV‐IR吸収層10を形成するための組成物(UV‐
IR吸収性組成物)を透明誘電体基板20の一方の主面に塗布して塗膜を形成し、その塗
膜を乾燥させることによって製造できる。UV‐IR吸収層10が、ホスホン酸と銅イオ
ンとによって形成されたUV‐IR吸収剤を含む場合を例に、UV‐IR吸収性組成物の
調製方法及び光学フィルタ1aの製造方法を説明する。
まず、UV‐IR吸収性組成物の調製方法の一例を説明する。酢酸銅一水和物などの銅
塩をテトラヒドロフラン(THF)などの所定の溶媒に添加して撹拌し、銅塩の溶液を得
る。次に、この銅塩の溶液に、式(c1)で表されるリン酸ジエステル又は式(c2)で
表されるリン酸モノエステルなどのリン酸エステル化合物を加えて撹拌し、A液を調製す
る。また、第一ホスホン酸をTHFなどの所定の溶媒に加えて撹拌し、B液を調製する。
第一ホスホン酸として複数種類のホスホン酸を用いる場合、ホスホン酸をTHFなどの所
定の溶媒に加えたうえで撹拌して、ホスホン酸の種類ごとに調製した複数の予備液を混合
してB液を調製してもよい。望ましくは、B液の調製においてアルコキシシランモノマー
が加えられる。
UV‐IR吸収性組成物にアルコキシシランモノマーが加えられると、UV‐IR吸収
剤の粒子同士が凝集することを防止できるので、リン酸エステルの含有量を低減しても、
UV‐IR吸収性組成物においてUV‐IR吸収剤が良好に分散する。また、UV‐IR
吸収性組成物を用いて光学フィルタ1aを製造する場合に、アルコキシシランモノマーの
加水分解反応及び縮重合反応が十分に起こるように処理することにより、シロキサン結合
(−Si−O−Si−)が形成され、光学フィルタ1aが良好な耐湿性を有する。加えて、
光学フィルタ1aが良好な耐熱性を有する。なぜなら、シロキサン結合は、−C−C−結
合及び−C−O−結合等の結合よりも結合エネルギーが高く化学的に安定しており、耐熱
性及び耐湿性に優れているからである。
次に、A液を撹拌しながら、A液にB液を加えて所定時間撹拌する。次に、この溶液に
トルエンなどの所定の溶媒を加えて撹拌し、C液を得る。次に、C液を加温しながら所定
時間脱溶媒処理を行って、D液を得る。これにより、THFなどの溶媒及び酢酸(沸点:
約118℃)などの銅塩の解離により発生する成分が除去され、第一ホスホン酸と銅イオ
ンとによってUV‐IR吸収剤が生成される。C液を加温する温度は、銅塩から解離した
除去されるべき成分の沸点に基づいて定められている。なお、脱溶媒処理においては、C
液を得るために用いたトルエン(沸点:約110℃)などの溶媒も揮発する。この溶媒は
、UV‐IR吸収性組成物においてある程度残留していることが望ましいので、この観点
から溶媒の添加量及び脱溶媒処理の時間が定められているとよい。なお、C液を得るため
にトルエンに代えてo‐キシレン(沸点:約144℃)を用いることもできる。この場合
、o‐キシレンの沸点はトルエンの沸点よりも高いので、添加量をトルエンの添加量の4
分の1程度に低減できる。
UV‐IR吸収性組成物が第二ホスホン酸をさらに含んでいる場合、例えば、以下のよ
うにしてH液がさらに調製される。まず、酢酸銅一水和物などの銅塩をテトラヒドロフラ
ン(THF)などの所定の溶媒に添加して撹拌し、銅塩の溶液を得る。次に、この銅塩の
溶液に、式(c1)で表されるリン酸ジエステル又は式(c2)で表されるリン酸モノエ
ステルなどのリン酸エステル化合物を加えて撹拌し、E液を調製する。また、第二ホスホ
ン酸をTHFなどの所定の溶媒に加えて撹拌し、F液を調製する。第二ホスホン酸として
複数種類のホスホン酸を用いる場合、第二ホスホン酸をTHFなどの所定の溶媒に加えた
うえで撹拌して第二ホスホン酸の種類ごとに調製した複数の予備液を混合してF液を調製
してもよい。E液を撹拌しながら、E液にF液を加えて所定時間撹拌する。次に、この溶
液にトルエンなどの所定の溶媒を加えて撹拌し、G液を得る。次に、G液を加温しながら
所定時間脱溶媒処理を行って、H液を得る。これにより、THFなどの溶媒及び酢酸など
の銅塩の解離により発生する成分が除去され、第二ホスホン酸と銅イオンとによって別の
UV‐IR吸収剤が生成される。G液を加温する温度はC液と同様に決定され、G液を得
るための溶媒もC液と同様に決定される。
D液にシリコーン樹脂等のマトリクス樹脂を加えて撹拌してUV‐IR吸収性組成物を
調製できる。また、UV‐IR吸収性組成物が第二ホスホン酸と銅イオンとによって形成
されたUV‐IR吸収剤を含有している場合、D液にシリコーン樹脂等のマトリクス樹脂
を加えて撹拌して得られたI液に、さらにH液を加えて撹拌することにより、UV‐IR
吸収性組成物を調製できる。
UV‐IR吸収性組成物を透明誘電体基板20の一方の主面に塗布して塗膜を形成する
。例えば、液状のUV‐IR吸収性組成物をスピンコーティング又はディスペンサによる
塗布により、透明誘電体基板20の一方の主面に塗布して塗膜を形成する。次に、この塗
膜に対して所定の加熱処理を行って塗膜を硬化させる。例えば、50℃〜200℃の温度
の環境にこの塗膜を曝す。必要に応じて、UV‐IR吸収性組成物に含有されているアル
コキシシランモノマーを十分に加水分解させるために塗膜に加湿処理を施す。例えば、4
0℃〜100℃の温度及び40%〜100%の相対湿度の環境に硬化後の塗膜を曝す。こ
れにより、シロキサン結合のくり返し構造(Si−O)nが形成される。このようにして、
光学フィルタ1aを製造できる。なお、一般的にはモノマーを含むアルコキシシランの加
水分解及び縮重合反応においては、アルコキシシランと水とを液状組成物内に併存させて
これらの反応を行わせる場合がある。しかし、光学フィルタを作製するときに予めUV‐
IR吸収性組成物に水を添加しておくと、UV‐IR吸収層の形成の過程でリン酸エステ
ル又はUV‐IR吸収剤が劣化してしまい、UV‐IR吸収性能が低下したり、光学フィ
ルタの耐久性を損ねたりする可能性がある。このため、所定の加熱処理により塗膜を硬化
させた後に加湿処理を行うことが望ましい。
透明誘電体基板20がガラス基板である場合、透明誘電体基板20とUV‐IR吸収層
10との付着性を向上させるために、シランカップリング剤を含む樹脂層を透明誘電体基
板20とUV‐IR吸収層10との間に形成してもよい。
<変形例>
光学フィルタ1aは、様々な観点から変更可能である。例えば、光学フィルタ1aは、
図1B〜図1Fに示す光学フィルタ1b〜1fにそれぞれ変更されてもよい。光学フィル
タ1b〜1fは、特に説明する場合を除き、光学フィルタ1aと同様に構成されている。
光学フィルタ1aの構成要素と同一又は対応する光学フィルタ1b〜1fの構成要素には
同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。光学フィルタ1aに関する説明は、技術的に
矛盾しない限り光学フィルタ1b〜1fにも当てはまる。
図1Bに示す通り、本発明の別の一例に係る光学フィルタ1bは、透明誘電体基板20
の両方の主面上にUV‐IR吸収層10が形成されている。これにより、1つのUV‐I
R吸収層10によってではなく、2つのUV‐IR吸収層10によって、光学フィルタ1
bが上記の(i)〜(v)の光学性能を発揮できる。透明誘電体基板20の両方の主面上
におけるUV‐IR吸収層10の厚みは同一であってもよいし、異なっていてもよい。す
なわち、光学フィルタ1bが所望の光学特性を得るために必要なUV‐IR吸収層10の
厚みが均等に又は不均等に分配されるように、透明誘電体基板20の両方の主面上にUV
‐IR吸収層10が形成されている。これにより、透明誘電体基板20の両方の主面上に
形成された各UV‐IR吸収層10の厚みが比較的小さい。これにより、塗膜の内部圧力
が低くクラックの発生を防止できる。また、液状のUV‐IR吸収性組成物を塗布する時
間を短縮でき、UV‐IR吸収性組成物の塗膜を硬化させるための時間を短縮できる。透
明誘電体基板20が薄い場合、透明誘電体基板20の一方の主面上のみにUV‐IR吸収
層10を形成すると、UV‐IR吸収性組成物からUV‐IR吸収層10を形成する場合
に生じる収縮に伴う応力によって、光学フィルタが反る可能性がある。しかし、透明誘電
体基板20の両方の主面上にUV‐IR吸収層10が形成されていることにより、透明誘
電体基板20が薄い場合でも、光学フィルタ1bにおいて反りが抑制される。この場合も
、透明誘電体基板20とUV‐IR吸収層10との付着性を向上させるために、シランカ
ップリング剤を含む樹脂層を透明誘電体基板20とUV‐IR吸収層10との間に形成し
てもよい。
図1Cに示す通り、本発明の別の一例に係る光学フィルタ1cは、反射防止膜30を備
えている。反射防止膜30は、光学フィルタ1cと空気との界面をなすように形成された
、可視光領域の光の反射を低減するための膜である。反射防止膜30は、例えば、樹脂、
酸化物、及びフッ化物等の誘電体によって形成された膜である。反射防止膜30は、屈折
率の異なる二種類以上の誘電体を積層して形成された多層膜であってもよい。特に、反射
防止膜30は、SiO2等の低屈折率材料とTiO2又はTa25等の高屈折率材料とから
なる誘電体多層膜であってもよい。この場合、光学フィルタ1cと空気との界面における
フレネル反射が低減され、光学フィルタ1cの可視光領域の光量を増大させることができ
る。この場合も、透明誘電体基板20とUV‐IR吸収層10との付着性を向上させるた
めに、シランカップリング剤を含む樹脂層を透明誘電体基板20とUV‐IR吸収層10
との間に形成してもよい。場合によっては、反射防止膜30の付着性を向上させるために
、シランカップリング剤を含む樹脂層をUV‐IR吸収層10と反射防止膜30との間に
形成してもよい。反射防止膜30は、光学フィルタ1cの両方の主面に配置されていても
よいし、片方の主面にのみ配置されていてもよい。
図1Dに示す通り、本発明の別の一例に係る光学フィルタ1dは、UV‐IR吸収層1
0のみによって構成されている。光学フィルタ1dは、例えば、ガラス基板、樹脂基板、
金属基板(例えば、スチール基板又はステンレス基板)等の所定の基板にUV‐IR吸収
性組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を硬化させた後に基板から剥離させることに
よって製造できる。光学フィルタ1dは、溶融成形法によって製造されてもよい。光学フ
ィルタ1dは、透明誘電体基板20を備えていないので薄い。このため、光学フィルタ1
dは、撮像素子及び光学系の低背位化に貢献できる。
図1Eに示す通り、本発明の別の一例に係る光学フィルタ1eは、UV‐IR吸収層1
0と、その両面に配置された一対の反射防止膜30とを備えている。この場合、光学フィ
ルタ1eは、撮像素子及び光学系の低背位化に貢献でき、かつ、光学フィルタ1dに比べ
て可視光領域の光量を増大させることができる。
図1Fに示す通り、本発明の別の一例に係る光学フィルタ1fは、UV‐IR吸収層1
0と、その一方の主面に配置された、赤外線及び/又は紫外線を反射する反射膜40とを
備えている。反射膜40は、例えば、アルミニウム等の金属を蒸着することにより形成さ
れた膜、又は、高屈折率材料からなる層と低屈折率材料からなる層とが交互に積層された
誘電体多層膜である。高屈折率材料としてはTiO2、ZrO2、Ta25、Nb25、Z
nO、及びIn23等の1.7〜2.5の屈折率を有する材料が用いられる。低屈折率材
料としては、SiO2、Al23、及びMgF2等の1.2〜1.6の屈折率を有する材料
が用いられる。誘電体多層膜を形成する方法は、例えば、化学気相成長(CVD)法、ス
パッタ法、又は真空蒸着法である。また、このような反射膜が光学フィルタの両方の主面
をなすように形成されてもよい(図示省略)。光学フィルタの両方の主面に反射膜が形成さ
れていると、光学フィルタの表裏両面で応力がバランスし、光学フィルタが反りにくいと
いうメリットが得られる。
光学フィルタ1a〜1fは、それぞれ、必要に応じて、UV‐IR吸収層10とは別に
、赤外線吸収膜(図示省略)を備えるように変更されてもよい。赤外線吸収膜は、例えば
、シアニン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、ジインモニウム系、及びアゾ系等
の有機系の赤外線吸収剤又は金属錯体からなる赤外線吸収剤を含有している。赤外線吸収
膜は、例えば、これらの赤外線吸収剤から選ばれる1つ又は複数の赤外線吸収剤を含有し
ている。この有機系の赤外線吸収剤は、吸収可能な光の波長範囲(吸収バンド)が小さく
、特定の範囲の波長の光を吸収するのに適している。
光学フィルタ1a〜1fは、それぞれ、必要に応じて、UV‐IR吸収層10とは別に
、紫外線吸収膜(図示省略)を備えるように変更されてもよい。紫外線吸収膜は、例えば
、ベンゾフェノン系、トリアジン系、インドール系、メロシアニン系、及びオキサゾール
系等の紫外線吸収剤を含有している。紫外線吸収膜は、例えば、これらの紫外線吸収剤か
ら選ばれる1つ又は複数の紫外線吸収剤を含有している。これらの紫外線吸収剤は、例え
ば300nm〜340nm付近の紫外線を吸収し、吸収した波長よりも長い波長の光(蛍
光)を発し、蛍光剤又は蛍光増白剤として機能するものも含まれうるが、紫外線吸収膜に
より、樹脂等の光学フィルタに使用されている材料の劣化をもたらす紫外線の入射を低減
できる。
上記の赤外線吸収剤又は紫外線吸収剤は、樹脂製の透明誘電体基板20に予め含有させ
てもよい。赤外線吸収膜や紫外線吸収膜は、例えば、赤外線吸収剤又は紫外線吸収剤を含
有している樹脂を成膜することによって形成できる。この場合、樹脂は、赤外線吸収剤又
は紫外線吸収剤を適切に溶解又は分散させることができ、かつ、透明であることが必要で
ある。このような樹脂として、(ポリ)オレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルブ
チラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテ
ルサルホン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、(変性)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、及びシ
リコーン樹脂を例示できる。
光学フィルタ1a〜1fは、それぞれ、必要に応じて、赤外線及び/又は紫外線を反射
する反射膜をさらに備えるように変更されてもよい。このような反射膜としては、例えば
、アルミニウム等の金属を蒸着することにより形成された膜、又は、高屈折率材料からな
る層と低屈折率材料からなる層とが交互に積層された誘電体多層膜を用いることができる
。このような反射膜は光学フィルタの両方の主面をなすように形成されてもよく、光学フ
ィルタの片方の主面をなすように形成されてもよい。前者のように反射膜が形成されてい
ると、光学フィルタの表裏両面で応力がバランスし、光学フィルタが反りにくい。反射膜
が誘電体多層膜である場合、例えば、高屈折率材料としてはTiO2、ZrO2、Ta25
、Nb25、ZnO、及びIn23等の1.7〜2.5の屈折率を有する材料が用いられ
、低屈折率材料としてはSiO2、Al23、及びMgF2等の1.2〜1.6の屈折率を
有する材料が用いられる。誘電体多層膜を形成する方法は、例えば、化学気相成長(CV
D)法、スパッタ法、又は真空蒸着法である。
光学フィルタ1a〜1fは、例えば、撮像装置における撮像素子の分光感度を人間の視
感度に近づけるために、撮像装置の内部のCCD又はCMOS等の撮像素子の前面(被写
体に近い側)に配置される。
また、図2に示す通り、例えば、光学フィルタ1aを用いたカメラモジュール100を
提供できる。カメラモジュール100は、光学フィルタ1aに加え、例えば、レンズ系2
、ローパスフィルタ3、撮像素子4、回路基板5、光学フィルタ支持筐体7、及び光学系
筐体8を備えている。光学フィルタ1aの周縁は、例えば、光学フィルタ支持筐体7の中
央に形成された開口に接する環状の凹部に嵌められている。光学フィルタ支持筐体7は、
光学系筐体8に固定されている。光学系筐体8の内部には、レンズ系2、ローパスフィル
タ3、及び撮像素子4が光軸に沿ってこの順番で配置されている。撮像素子4は、例えば
、CCD又はCMOSである。被写体からの光は、光学フィルタ1aによって、紫外線及
び赤外線がカットされた後、レンズ系2によって集光され、さらにローパスフィルタ3を
通過して撮像素子4に入る。撮像素子4によって生成された電気信号は回路基板5によっ
てカメラモジュール100の外部に送られる。
カメラモジュール100において、光学フィルタ1aはレンズ系2を保護するカバー(
プロテクトフィルタ)としての機能も果たしている。この場合、望ましくは、光学フィル
タ1aにおける透明誘電体基板20としてサファイア基板が使用される。サファイア基板
は高い耐擦傷性を有するので、例えばサファイア基板が外側(撮像素子4の側とは反対側
)に配置されることが望ましい。これにより、光学フィルタ1aは、外部からの接触等に
対して高い耐擦傷性を有するとともに上記(i)〜(v)の光学性能(望ましくはさらに
(vi)〜(xiii)の光学性能)を有する。これにより、撮像素子4の近くに赤外線又は紫
外線をカットするための光学フィルタを配置する必要がなくなり、カメラモジュール10
0を低背位化しやすい。なお、図2に示すカメラモジュール100は、各部品の配置等を
例示するための概略図であり、光学フィルタ1aがプロテクトフィルタとして用いられる
態様を説明するものである。光学フィルタ1aがプロテクトフィルタとしての機能を果た
す限り、光学フィルタ1aを用いたカメラモジュールは、図2で表したものに限定されず
、必要に応じて、ローパスフィルタ3は省略されてもよいし、他のフィルタを備えていて
もよい。
実施例により、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定され
ない。まず、実施例及び比較例に係る光学フィルタの評価方法を説明する。
<光学フィルタの透過率スペクトル測定>
波長300nm〜1200nmの光を実施例及び比較例に係る光学フィルタに入射させ
たときの透過率スペクトルを、紫外線可視分光光度計(日本分光社製、製品名:V−67
0)を用いて測定した。光学フィルタに対する入射光の入射角度を0°から65°まで5
°刻みで変化させてそれぞれの角度における透過率スペクトルを測定した。
<UV‐IR吸収層の厚みの測定>
実施例及び比較例に係る光学フィルタの厚みをデジタルマイクロメータで測定した。実
施例及び比較例に係る光学フィルタのうちガラス等の透明誘電体基板を有する光学フィル
タについては、デジタルマイクロメータで測定した光学フィルタの厚みからガラス基板の
厚みを差し引いて光学フィルタにおけるUV‐IR吸収層の厚みを決定した。
<実施例1>
酢酸銅一水和物((CH3COO)2Cu・H2O)1.125gとテトラヒドロフラン
(THF)60gとを混合して、3時間撹拌し酢酸銅溶液を得た。次に、得られた酢酸銅
溶液に、リン酸エステル化合物であるプライサーフA208N(第一工業製薬社製)を0
.412g加えて30分間撹拌し、A液を得た。フェニルホスホン酸(C65PO(OH
2)(日産化学工業社製)0.441gにTHF10gを加えて30分間撹拌し、B−
1液を得た。4‐ブロモフェニルホスホン酸(C64BrPO(OH)2)(東京化成工
業社製)0.661gにTHF10gを加えて30分間撹拌し、B−2液を得た。次に、
B−1液とB−2液とを混ぜて1分間撹拌し、メチルトリエトキシシラン(MTES:C
3Si(OC253)(信越化学工業社製)1.934gとテトラエトキシシラン(T
EOS:Si(OC254)(キシダ化学社製 特級)0.634gを加えてさらに1
分間撹拌し、B液を得た。A液を撹拌しながらA液にB液を加え、室温で1分間撹拌した
。次に、この溶液にトルエン25gを加えた後、室温で1分間撹拌し、C液を得た。この
C液をフラスコに入れてオイルバス(東京理化器械社製、型式:OSB−2100)で加
温しながら、ロータリーエバポレータ(東京理化器械社製、型式:N−1110SF)に
よって、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、
フラスコの中から脱溶媒処理後のD液を取り出した。フェニルホスホン酸銅及び4‐ブロ
モフェニルホスホン酸銅を含むフェニル系ホスホン酸銅(吸収剤)の微粒子の分散液であ
るD液は透明であり、微粒子が良好に分散していた。
酢酸銅一水和物0.225gとTHF36gとを混合して3時間撹拌し酢酸銅溶液を得
た。次に、得られた酢酸銅溶液に、リン酸エステル化合物であるプライサーフA208N
を0.129g加えて30分間撹拌し、E液を得た。また、n‐ブチルホスホン酸(C4
9PO(OH)2)(日本化学工業社製)0.144gにTHF10gを加えて30分間
撹拌し、F液を得た。E液を撹拌しながらE液にF液を加え、室温で1分間撹拌した。次
に、この溶液にトルエン25gを加えた後、室温で1分間撹拌し、G液を得た。このG液
をフラスコに入れてオイルバスで加温しながら、ロータリーエバポレータによって、脱溶
媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、フラスコの中
から脱溶媒処理後のH液を取り出した。ブチルホスホン酸銅の微粒子の分散液であるH液
は透明であり、微粒子が良好に分散していた。
D液にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を2.200g添
加し30分間撹拌して、I液を得た。H液をI液に加えて30分間撹拌し、実施例1に係
るUV‐IR吸収性組成物(J液)を得た。実施例1に係るUV‐IR吸収性組成物(J
液)について、各成分の質量基準の含有量を表1に示し、各成分の物質量基準の含有量及
び各ホスホン酸の物質量基準の含有率を表2に示す。各ホスホン酸の含有率は、小数第2
位を四捨五入して求めているため、合計が100mol%にならない場合がある。
76mm×76mm×0.21mmの寸法を有するホウケイ酸ガラスでできた透明ガラ
ス基板(SCHOTT社製、製品名:D263)の一方の主面の中心部の30mm×30
mmの範囲にディスペンサを用いて実施例1に係るUV‐IR吸収性組成物を塗布して塗
膜を形成した。光学フィルタの波長700〜730nmにおける平均透過率が約1%にな
るように試行錯誤を行って塗膜の厚みを決定した。UV‐IR吸収性組成物を透明ガラス
基板に塗布するときに塗布液が流れ出さないように、塗布液の塗布範囲に相当する開口を
有する枠を透明ガラス基板上に置いて塗布液をせき止めた。塗布液の量を調節することで
、目標の厚みの塗膜を得た。次に、未乾燥の塗膜を有する透明ガラス基板をオーブンに入
れて、85℃で6時間加熱処理を行い、塗膜を硬化させた。その後、温度85℃及び相対
湿度85%に設定された恒温恒湿槽内に、上記の塗膜が形成された透明ガラス基板を20
時間置いて加湿処理を行い、透明ガラス基板上にUV‐IR吸収層が形成された実施例1
に係る光学フィルタを得た。加湿処理は、透明ガラス基板上に塗布されたUV‐IR吸収
性組成物に含まれるアルコキシシランの加水分解及び縮重合を促進させ、UV‐IR吸収
層において硬質で緻密なマトリクスを形成するために行った。実施例1に係る光学フィル
タのUV‐IR吸収層の厚みは170μmであった。実施例1に係る光学フィルタの、入
射角度が0°〜65°における透過率スペクトルを測定した。入射角度が0°、40°、
50°、及び60°における透過率スペクトルを図3に示す。実施例1に係る光学フィル
タの、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す
。表8における「透過率78%以上の波長範囲」は、波長400nm〜600nmにおい
て78%以上の分光透過率を示す波長範囲である。表8における赤外線領域特性に関する
「透過率1%以下の波長範囲」は、波長700nm〜1200nmにおいて1%以下の分
光透過率を示す波長範囲である。表8における赤外線領域特性に関する「透過率0.1%
以下の波長範囲」は、波長700nm〜1200nmにおいて0.1%以下の分光透過率
を示す波長範囲である。表8における紫外線領域特性に関する「透過率1%以下の波長範
囲」は、波長300nm〜400nmにおいて1%以下の分光透過率を示す波長範囲であ
る。表8における紫外線領域特性に関する「透過率0.1%以下の波長範囲」は、波長3
00nm〜400nmにおいて0.1%以下の分光透過率を示す波長範囲である。このこ
とは、表10、表12、表14、表16、表18、及び表20においても当てはまる。さ
らに、実施例1に係る光学フィルタの、入射角度が0°、30°〜65°(5°刻み)に
おける透過率スペクトルから看取した結果(入射角度:0°〜65°)を表11及び表1
2に示す。
<実施例2〜15>
各化合物の添加量を表1に示す通りに調節した以外は、実施例1と同様にして、実施例
2〜15に係るUV‐IR吸収性組成物を調製した。実施例1に係るUV‐IR吸収性組
成物の代わりに、実施例2〜15に係るUV‐IR吸収性組成物を用いて、UV‐IR吸
収層の厚みを表1に示す通りに調節した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ、実施
例2〜15に係る光学フィルタを作製した。各ホスホン酸の物質量基準の含有量及び含有
率を表2に示す。各ホスホン酸の含有率は、小数第2位を四捨五入して求めているため、
合計が100mol%にならない場合がある。実施例2に係る光学フィルタの、入射角度
が0°〜65°における透過率スペクトルを測定した。入射角度が0°、40°、50°
及び60°における透過率スペクトルを図4に示す。実施例2に係る光学フィルタの、入
射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。さらに
、実施例2に係る光学フィルタの、入射角度が0°、30°〜65°(5°刻み)におけ
る透過率スペクトルから看取した結果を表13及び表14に示す。また、実施例3〜15
に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表
7及び表8に示す。
<実施例16>
76mm×76mm×0.21mmの寸法を有するホウケイ酸ガラスでできた透明ガラ
ス基板(SCHOTT社製、製品名:D263)の一方の主面の中心部の30mm×30
mmの範囲にディスペンサを用いて実施例2に係るUV‐IR吸収性組成物を塗布して所
定の厚みの塗膜を形成した。UV‐IR吸収性組成物を透明ガラス基板に塗布するときに
塗布液が流れ出さないように、塗布液の塗布範囲に相当する開口を有する枠を透明ガラス
基板上に置いて塗布液をせき止めた。次に、未乾燥の塗膜を有する透明ガラス基板をオー
ブンに入れて、85℃で6時間加熱処理を行い、塗膜を硬化させた。その後、この塗膜を
透明ガラス基板から剥離させた。温度85℃及び相対湿度85%に設定された恒温恒湿槽
内に、剥離させた塗膜を20時間置いて加湿処理を行い、UV‐IR吸収層のみから構成
された実施例16に係る光学フィルタを得た。デジタルマイクロメータによる計測は、光
吸収層のみの厚みを測定した。その結果、実施例16に係る光学フィルタの厚みは132
μmであった。実施例16に係る光学フィルタの、入射角度が0°〜65°における透過
率スペクトルを測定した。入射角度が0°、40°、50°、及び60°における透過率
スペクトルを図5に示す。実施例16に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透
過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。さらに、実施例16に係る光学
フィルタの、入射角度が0°、30°〜65°(5°刻み)における透過率スペクトルか
ら看取した結果を表15及び表16に示す。
<実施例17>
76mm×76mm×0.21mmの寸法を有するホウケイ酸ガラスでできた透明ガラ
ス基板(SCHOTT社製、製品名:D263)の一方の主面の中心部の30mm×30
mmの範囲にディスペンサを用いて実施例2に係るUV‐IR吸収性組成物を塗布し、実
施例2における塗膜の厚みの約半分の厚みの塗膜を形成した。UV‐IR吸収性組成物を
透明ガラス基板に塗布するときに塗布液が流れ出さないように、塗布液の塗布範囲に相当
する開口を有する枠を透明ガラス基板上に置いて塗布液をせき止めた。次に、未乾燥の塗
膜を有する透明ガラス基板をオーブンに入れて、85℃で6時間加熱処理を行い、塗膜を
硬化させた。次に、透明ガラス基板の他方の主面の中心部の30mm×30mmの範囲に
ディスペンサを用いて実施例2に係るUV‐IR吸収性組成物を塗布し、実施例2におけ
る塗膜の厚みの約半分の厚みの塗膜を形成した。UV‐IR吸収性組成物を透明ガラス基
板に塗布するときに塗布液が流れ出さないように、塗布液の塗布範囲に相当する開口を有
する枠を透明ガラス基板上に置いて塗布液をせき止めた。次に、未乾燥の塗膜を有する透
明ガラス基板をオーブンに入れて、85℃で6時間加熱処理を行い、塗膜を硬化させた。
次に、温度85℃及び相対湿度85%に設定された恒温恒湿槽内に、両主面に上記の塗膜
が形成された透明ガラス基板を20時間置いて加湿処理を行い、透明ガラス基板の両面に
UV‐IR吸収層が形成された実施例17に係る光学フィルタを得た。透明ガラス基板の
両面に形成されたUV‐IR吸収層の合計の厚みは193μmであった。実施例17に係
る光学フィルタの、入射角度が0°〜65°における透過率スペクトルを測定した。入射
角度が0°、40°、50°及び60°における透過率スペクトルを図6に示す。実施例
17に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果
を表7及び表8に示す。実施例17に係る光学フィルタの、入射角度が0°、30°〜6
5°(5°刻み)における透過率スペクトルから看取した結果を表17及び表18に示す
<実施例18>
実施例17で用いた透明ガラス基板の代わりに、0.07mmの厚みを有する実施例1
7で用いた透明ガラス基板と同一種類の透明ガラス基板を用いた以外は、実施例17と同
様にして、透明ガラス基板の両面にUV‐IR吸収層が形成された実施例18に係る光学
フィルタを作製した。透明ガラス基板の両面に形成されたUV‐IR吸収層の合計の厚み
は183μmであった。実施例18に係る光学フィルタの、入射角度が0°〜65°にお
ける透過率スペクトルを測定した。入射角度が0°、40°、50°及び60°における
透過率スペクトルを図7に示す。実施例18に係る光学フィルタの、入射角度が0°のと
きの透過率スペクトルから看取した結果を表7及び表8に示す。実施例18に係る光学フ
ィルタの、入射角度が0°、30°〜65°(5°刻み)における透過率スペクトルから
看取した結果を表19及び表20に示す。
<実施例19>
リン酸エステル化合物として、プライサーフA208Nの代わりに、プライサーフA2
08F(第一工業製薬社製)を用い、各化合物の添加量を表1に示す通りに調節した以外
は、実施例1と同様にして、実施例19に係るUV‐IR吸収性組成物を調製した。実施
例1に係るUV‐IR吸収性組成物の代わりに、実施例19に係るUV‐IR吸収性組成
物を用い、UV‐IR吸収層の厚みを198μmに調節した以外は、実施例1と同様にし
て、実施例19に係る光学フィルタを作製した。実施例19に係る光学フィルタの透過率
スペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7
及び表8に示す。
<実施例20>
4‐ブロモフェニルホスホン酸の代わりに、4‐フルオロフェニルホスホン酸(C64
FPO(OH)2)(東京化成工業社製)を用い、各化合物の添加量を表1に示す通り調
節した以外は、実施例1と同様にして、実施例20に係るUV‐IR吸収性組成物を調製
した。実施例1に係るUV‐IR吸収性組成物の代わりに、実施例20に係るUV‐IR
吸収性組成物を用い、UV‐IR吸収層の厚みを168μmに調節した以外は、実施例1
と同様にして、実施例20に係る光学フィルタを作製した。実施例20に係る光学フィル
タの透過率スペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した
結果を表7及び表8に示す。
<実施例21>
実施例2で用いた透明ガラス基板の代わりに、100μmの厚みを有する赤外線吸収ガ
ラス基板を用い、UV‐IR吸収層の厚みを76μmに調節した以外は、実施例2と同様
にして実施例21に係る光学フィルタを作製した。この赤外線吸収ガラス基板は銅を含有
しており、図8Aに示す透過率スペクトルを有していた。実施例21に係る光学フィルタ
の、入射角度が0°における透過率スペクトルを測定した。その結果を図8Bに示す。ま
た、実施例21に係る光学フィルタの、入射角度が0°における透過率スペクトルから看
取した結果を表7及び表8に示す。
<実施例22〜実施例37>
乾燥された塗膜の加湿処理の条件を表3に示す通りに変更し、UV‐IR吸収層の厚み
を表3に示す通りに調節した以外は、実施例2と同様にして、実施例22〜37に係る光
学フィルタをそれぞれ作製した。実施例22〜24に係る光学フィルタの、入射角度が0
°における透過率スペクトルを測定した。その結果をそれぞれ図9〜図11に示す。また
、実施例22〜24に係る光学フィルタの、入射角度が0°における透過率スペクトルか
ら看取した結果を表7及び表8に示す。実施例25〜37に係る光学フィルタの透過率ス
ペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表7及
び表8に示す。
<実施例38>
実施例2で用いた透明ガラス基板の代わりに、0.3mmの厚みを有するサファイア基
板を用い、UV‐IR吸収層の厚みを168μmに調節した以外は、実施例2と同様にし
て実施例38に係る光学フィルタを作製した。実施例38に係る光学フィルタの、入射角
度が0°における透過率スペクトルを測定した。その結果を図12に示す。実施例38に
係る光学フィルタの、入射角度が0°における透過率スペクトルから看取した結果を表7
及び表8に示す。
<比較例1>
各化合物の添加量を表4及び表5に示す通りに調節した以外は、実施例1と同様にして
、比較例1に係るD液(フェニル系ホスホン酸銅の微粒子の分散液)を調製した。比較例
1に係るD液にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を2.20
0g添加し30分間撹拌して、比較例1に係るUV‐IR吸収性組成物を得た。実施例1
に係るUV‐IR吸収性組成物の代わりに、比較例1に係るUV‐IR吸収性組成物を用
いて、UV‐IR吸収層の厚みを126μmに調節した以外は、実施例1と同様にして比
較例1に係る光学フィルタを作製した。比較例1に係る光学フィルタの透過率スペクトル
を測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表1
0に示す。また、比較例1に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペク
トル測定の結果に基づいて、比較例1に係る光学フィルタのUV‐IR吸収層の厚みを2
00μmに変化させた場合の透過率スペクトルを計算し、この透過率スペクトルから看取
できる結果を表9及び表10に比較計算例1として示す。
<比較例2>
各化合物の添加量を表4及び表5に示す通りに調節した以外は、実施例1と同様にして
、比較例2に係るD液(フェニル系ホスホン酸銅の微粒子の分散液)をそれぞれ調製した
。比較例2に係るD液にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を
4.400g添加し30分間撹拌して、比較例2に係るUV‐IR吸収性組成物を得た。
実施例1に係るUV‐IR吸収性組成物の代わりに、比較例2に係るUV‐IR吸収性組
成物を用いて、UV‐IR吸収層の厚みを217μmに調節し、塗膜を硬化させるための
加熱処理及び加湿処理の条件を表6に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして
比較例2に係る光学フィルタを作製した。比較例2に係る光学フィルタの透過率スペクト
ルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表
10に示す。また、比較例2に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率スペ
クトル測定の結果に基づいて、比較例2に係る光学フィルタのUV‐IR吸収層の厚みを
347μmに変化させた場合の透過率スペクトルを計算し、この透過率スペクトルから看
取できる結果を表9及び表10に比較計算例2として示す。
<比較例3>
酢酸銅一水和物1.125gとTHF60gとを混合して、3時間撹拌し酢酸銅溶液を
得た。次に、得られた酢酸銅溶液に、プライサーフA208F(第一工業製薬社製)を0
.624g加えて30分間撹拌し、A液を得た。フェニルホスホン酸(日産化学工業社製
)0.832gにTHF10gを加えて30分間撹拌し、B−1液を得た。B−1液に、
MTES(信越化学工業社製)1.274gとTEOS(キシダ化学社製 特級)1.0
12gを加えてさらに1分間撹拌し、B液を得た。A液を撹拌しながらA液にB液を加え
、室温で1分間撹拌した。次に、この溶液にトルエン25gを加えた後、室温で1分間撹
拌し、C液を得た。このC液をフラスコに入れてオイルバス(東京理化器械社製、型式:
OSB−2100)で加温しながら、ロータリーエバポレータ(東京理化器械社製、型式
:N−1110SF)によって、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105
℃に調整した。その後、フラスコの中から脱溶媒処理後の比較例3に係るD液を取り出し
た。比較例3に係るD液(フェニルホスホン酸銅の微粒子の分散液)は透明であり、微粒
子が良好に分散していた。
比較例3に係るD液にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を
4.400g添加し30分間撹拌して、比較例3に係るUV‐IR吸収性組成物を得た。
実施例1に係るUV‐IR吸収性組成物の代わりに、比較例3に係るUV‐IR吸収性組
成物を用いて、UV‐IR吸収層の厚みを198μmに調節し、塗膜を硬化させるための
加熱処理の条件を表6に示す通りに調節した以外は、実施例1と同様にして比較例3に係
る光学フィルタを作製した。比較例3に係る光学フィルタの透過率スペクトルを測定し、
入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取した結果を表9及び表10に示す。ま
た、比較例3に係る光学フィルタの透過率スペクトル測定の結果に基づいて、比較例3に
係る光学フィルタのUV‐IR吸収層の厚みを303μmに変化させた場合の透過率スペ
クトルを計算し、この透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表10に比較計算
例3として示す。
<比較例4>
酢酸銅一水和物1.125gとTHF60gとを混合して3時間撹拌し酢酸銅溶液を得
た。次に、得られた酢酸銅溶液に、リン酸エステル化合物であるプライサーフA208F
を0.891g加えて30分間撹拌し、E液を得た。また、n‐ブチルホスホン酸(日本
化学工業社製)0.670gにTHF10gを加えて30分間撹拌し、F液を得た。E液
を撹拌しながらE液にF液を加え、室温で1分間撹拌した。次に、この溶液にトルエン2
5gを加えた後、室温で1分間撹拌し、G液を得た。このG液をフラスコに入れてオイル
バスで加温しながら、ロータリーエバポレータによって、脱溶媒処理を行った。オイルバ
スの設定温度は、105℃に調整した。その後、フラスコの中から脱溶媒処理後の比較例
4に係るH液を取り出した。ブチルホスホン酸銅の微粒子の分散液であるH液は透明であ
り、微粒子が良好に分散していた。
比較例4に係るH液にシリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を
4.400g添加し30分間撹拌して、比較例4に係るUV‐IR吸収性組成物を得た。
比較例2に係るUV‐IR吸収性組成物の代わりに、比較例4に係るUV‐IR吸収性組
成物を用いて、UV‐IR吸収層の厚みを1002μmに調節し、塗膜の加湿処理を行わ
なかった以外は、比較例2と同様にして比較例4に係る光学フィルタを作製した。比較例
4に係る光学フィルタの透過率スペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペ
クトルから看取できる結果を表9及び表10に示す。また、比較例4に係る光学フィルタ
の、入射角度が0°のときの透過率スペクトル測定の結果に基づいて、比較例4に係る光
学フィルタのUV‐IR吸収層の厚みを1216μm及び385μmに変化させた場合の
透過率スペクトルをそれぞれ計算し、これらの透過率スペクトルから看取できる結果を表
9及び表10に比較計算例4−A及び比較計算例4−Bとしてそれぞれ示す。
<比較例5>
UV‐IR吸収層の厚みを191μmに調節し、塗膜の加湿処理を行わなかった以外は
、実施例2と同様にして比較例5に係る光学フィルタを作製した。比較例5に係る光学フ
ィルタの透過率スペクトルを測定し、入射角度が0°のときの透過率スペクトルから看取
できる結果を表9及び表10に示す。比較例5に係る光学フィルタの、入射角度が0°の
ときの透過率スペクトル測定の結果に基づいて、比較例5に係る光学フィルタのUV‐I
R吸収層の厚みを148μmに変化させた場合の透過率スペクトルを計算し、この透過率
スペクトルから看取できる結果を表9及び表10に比較計算例5として示す。
<比較例6及び7>
UV‐IR吸収層の厚みを表9に示す通りに調節し、塗膜の加湿処理を表6に示す通り
調節した以外は、実施例2と同様にして比較例6及び7に係る光学フィルタを作製した。
比較例6及び7に係る光学フィルタの透過率スペクトルを測定し、入射角度が0°のとき
の透過率スペクトルから看取した結果を表9及び表10に示す。比較例6に係る光学フィ
ルタの、入射角度が0°のときの透過率スペクトル測定の結果に基づいて、比較例6に係
る光学フィルタのUV‐IR吸収層の厚みを155μmに変化させた場合の透過率スペク
トルを計算し、この透過率スペクトルから看取できる結果を表9及び表10に比較計算例
6として示す。また、比較例7に係る光学フィルタの、入射角度が0°のときの透過率ス
ペクトル測定の結果に基づいて、比較例7に係る光学フィルタのUV‐IR吸収層の厚み
を161μmに変化させた場合の透過率スペクトルを計算し、この透過率スペクトルから
看取できる結果を表9及び表10に比較計算例7として示す。
<比較例8>
比較例1と同様にして、比較例8に係るD液(フェニル系ホスホン酸銅の微粒子の分散
液)を調製した。酢酸銅一水和物0.225gとTHF36gとを混合して3時間撹拌し
酢酸銅溶液を得た。次に、得られた酢酸銅溶液に、リン酸エステル化合物であるプライサ
ーフA208F(第一工業製薬社製)を0.178g加えて30分間撹拌し、E液を得た
。また、n‐ブチルホスホン酸(日本化学工業社製)0.134gにTHF10gを加え
て30分間撹拌し、F液を得た。E液を撹拌しながらE液にF液を加え、室温で1分間撹
拌した。次に、この溶液にトルエン25gを加えた後、室温で1分間撹拌し、G液を得た
。このG液をフラスコに入れてオイルバスで加温しながら、ロータリーエバポレータによ
って、脱溶媒処理を行った。オイルバスの設定温度は、105℃に調整した。その後、フ
ラスコの中から脱溶媒処理後の比較例8に係るH液を取り出した。比較例8に係るD液に
シリコーン樹脂(信越化学工業社製、製品名:KR−300)を2.200g添加し30
分間撹拌して、比較例8に係るI液を得た。比較例8に係るH液を比較例8に係るI液に
加えて撹拌したが、ホスホン酸銅粒子の凝集が生じ、高い透明性を有するUV‐IR吸収
性組成物を得ることはできなかった。
<比較例9>
表4に示す分量でホスホン酸としてn‐ブチルホスホン酸のみを含み、アルコキシシラ
ンモノマーを含まないUV‐IR吸収性組成物の調製を試みたが、ホスホン酸銅粒子の凝
集が生じてしまい、高い透明性を有する均質なUV‐IR吸収性組成物を得ることはでき
なかった。
表7によれば、実施例1〜38に係る光学フィルタは、上記(i)〜(vii)の光学性
能を有していた。また、表11、表13、表15、表17、及び表19によれば、実施例
1、2、16〜18に係る光学フィルタは、上記(viii)〜(xi)の光学性能をさらに有
していた。また、実施例3〜15及び実施例19〜38に係る光学フィルタに関する透過
率スペクトル測定の別の結果(入射角度:0°〜65°、図示省略)によれば、これらの
実施例に係る光学フィルタも上記(viii)〜(xi)の光学性能をさらに有していた。
表9によれば、比較例1に係る光学フィルタは、上記(ii)、(vi)、及び(vii)の
光学性能を有しておらず、赤外線領域において所望の特性を有していなかった。また、比
較計算例1によれば、UV‐IR吸収層の厚みを大きくすることにより、赤外線領域にお
ける特性を向上させることができるものの、第一IRカットオフ波長が短くなって(iv)
の光学性能を実現できないことが示唆された。このように、比較例1に係るUV‐IR吸
収性組成物を用いても、上記(i)〜(v)のすべての光学性能を有する光学フィルタを
作製できないことが示唆された。同様に、表9における比較例2及び比較計算例2並びに
比較例3及び比較計算例3の結果によれば、比較例2及び3に係るUV‐IR吸収性組成
物を用いても、上記(i)〜(v)のすべての光学性能を有する光学フィルタを作製でき
ないことが示唆された。
表9によれば、比較例4に係る光学フィルタは、上記(iii)及び(v)の光学性能を
有しておらず、紫外線領域において所望の特性を有していなかった。また、比較計算例4
−Aによれば、UV‐IR吸収層の厚みを大きくすることにより、上記(iii)及び(v
)の光学性能を実現できるものの、上記(i)の光学性能を実現することが難しいことが
示唆された。また、比較計算例4−Bによれば、UV‐IR吸収層の厚みを小さくするこ
とにより、上記(i)の光学性能は向上するものの、上記(iii)及び(v)の光学性能
がさらに悪化し、加えて、波長750〜1080nmにおける最大透過率も増加すること
が示唆された。このため、比較例4に係るUV‐IR吸収性組成物を用いても、上記(i
)〜(v)のすべての光学性能を有する光学フィルタを作製できないことが示唆された。
表9によれば、比較例5に係る光学フィルタは、上記(i)及び(iv)の光学性能を有
していなかった。比較計算例5によれば、UV‐IR吸収層の厚みを小さくすることによ
り、波長450〜600nmにおける平均透過率は高まるものの、IRカットオフ波長は
ほとんど変化せず、波長750〜1080nmにおける最大透過率も増加することが示唆
された。このため、比較例5に係る光学フィルタの作製方法では、上記(i)〜(v)の
すべての光学性能を有する光学フィルタを作製できないことが示唆された。UV‐IR吸
収性組成物に含まれるアルコキシシランモノマーの加水分解及び縮重合が加湿処理により
促進され、UV‐IR吸収層の硬化が進むことに加えて、加湿処理が光学フィルタの透過
率スペクトルにも影響を及ぼすことが示唆された。
表9によれば、比較例6に係る光学フィルタは、上記(iv)の光学性能を有していなか
った。比較計算例6によれば、UV‐IR吸収層の厚みを小さくすることにより、IRカ
ットオフ波長が増加するものの、波長750〜1080nmにおける最大透過率も増加す
ることが示唆された。このため、比較例6に係る光学フィルタの作製方法では、上記(i
)〜(v)のすべての光学性能を有する光学フィルタを作製できないことが示唆された。
特に、比較例6における加湿処理の条件が十分でないことが示唆された。
表9によれば、比較例7に係る光学フィルタは、上記(i)及び(iv)の光学性能を有
していなかった。比較計算例7によれば、UV‐IR吸収層の厚みを小さくすることによ
り、IRカットオフ波長が増加するものの、波長750〜1080nmにおける最大透過
率も増加することが示唆された。このため、比較例7に係る光学フィルタの作製方法では
、上記(i)〜(v)のすべての光学性能を有する光学フィルタを作製できないことが示
唆された。特に、比較例7における加湿処理の条件が十分でないことが示唆された。
表2に示す通り、実施例3〜5に係るUV‐IR吸収性組成物において、実施例3に係
るUV‐IR吸収性組成物のn‐ブチルホスホン酸の含有率が最も高く、実施例5に係る
UV‐IR吸収性組成物のn‐ブチルホスホン酸の含有率が最も低い。このことと、表8
によれば、UV‐IR吸収性組成物におけるアルキル系ホスホン酸の含有率が高くなると
、波長700〜1200nmにおいて分光透過率が1%以下である波長範囲及び分光透過
率が0.1%以下である波長範囲が長波長側に向けて拡大することが示唆された。実施例
6〜8、実施例9及び実施例10、並びに実施例11〜15においても同じことがいえた
表2に示す通り、実施例11〜15に係るUV‐IR吸収性組成物において、実施例1
1に係るUV‐IR吸収性組成物のn‐ブチルホスホン酸の含有率が最も高く、実施例1
2に係るUV‐IR吸収性組成物のn‐ブチルホスホン酸の含有率が二番目に高く、実施
例13に係るUV‐IR吸収性組成物のn‐ブチルホスホン酸の含有率が三番目に高く、
実施例15に係るUV‐IR吸収性組成物のn‐ブチルホスホン酸の含有率が最も低い。
表7における実施例11〜15の結果によれば、光学フィルタの波長1000〜1100
nmにおける最大透過率及び光学フィルタの波長1100〜1200nmにおける最大透
過率は、実施例11において最も低く、実施例12において2番目に低く、実施例13に
おいて3番目に低く、実施例15において最も高い。これにより、UV‐IR吸収性組成
物において所定の範囲でアルキル系スルホン酸の含有率を高めることにより、赤外線領域
の波長の遮蔽性が向上することが示唆された。
表2に示す通り、実施例7、10、及び13に係るUV‐IR吸収性組成物において、
実施例7に係るUV‐IR吸収性組成物の4‐ブロモフェニルホスホン酸の含有率が最も
高く、実施例13に係るUV‐IR吸収性組成物の4‐ブロモフェニルホスホン酸の含有
率が最も低い。表7における実施例7、10、及び13の結果によれば、UV‐IR吸収
性組成物の4‐ブロモフェニルホスホン酸の含有率が高いほどUVカットオフ波長が大き
くなっている。これにより、UV‐IR吸収性組成物の4‐ブロモフェニルホスホン酸の
含有率を調節することにより、光学フィルタの光学性能の最適化が可能であることが示唆
された。
実施例22〜37並びに比較例5〜7に係る光学フィルタを作製するためのUV‐IR
吸収性組成物は、実施例2に係るUV‐IR吸収性組成物と同様に調製されているものの
、表7〜表10に示す通り、これらの実施例及びこれらの比較例に係る光学フィルタは、
実施例2に係る光学フィルタとは異なる光学性能を有していた。上記の通り、UV‐IR
吸収性組成物に含まれる、アルコキシシランの加水分解及び縮重合を促進させる目的で加
湿処理が行われてはいるが、加湿処理の態様により、これらの実施例及びこれらの比較例
に係る光学フィルタにおいて、波長450〜600nmにおける平均透過率及びIRカッ
トオフ波長について差異が生じた。
表9における比較計算例5〜7の結果によれば、UV‐IR吸収層の厚みを変えること
でUVカットオフ波長を調節できるものの、比較例5〜7に係る光学フィルタの作製方法
によれば、(i)〜(xi)の他の光学性能を満たしながら、IRカットオフ波長を所望の
範囲に収めることは困難である。そこで、各実施例及び一部の比較例の加湿処理において
被処理物品が晒される環境における水蒸気量(曝露水蒸気量)を下記の通り求めた。結果
を表3及び表6に示す。温度t[℃]の時の飽和水蒸気圧e[hPa]を、Tetensの近似
式:e=6.11×10(7.5t/(t+237.3))により求めた。飽和水蒸気圧e[hPa]と相
対湿度φ[%]から、水蒸気密度ρv[g/m3]をρv=217×e×φ/(t+273
.15)の式より求めた。水蒸気量×時間[mol/m3・時間]を曝露水蒸気量として
定義した。表3及び表6に示す通り、加湿処理において、温度が60℃以上の場合、相対
湿度は70%以上で処理時間1時間以上のときに良好な光学性能が得られることが示唆さ
れた。この処理条件は、5.0[mol/m3・時間]以上の曝露水蒸気量の条件に相当
するが、加湿処理での温度が40℃と低く相対湿度が70%である場合、及び、加湿処理
での温度が60℃で相対湿度が40%と低い場合でも、処理時間を延ばして同程度の曝露
水蒸気量とすることで良好な光学性能が得られることが示唆された。これらの結果から、
60℃以上の温度及び70%以上の相対湿度の環境において短時間の加湿処理を行うこと
が、良好な光学性能を効率良く光学フィルタにもたらす観点から望ましいことが示唆され
た。
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1a〜1f 光学フィルタ
2 レンズ系
3 ローパスフィルタ
4 撮像素子
5 回路基板
7 光学フィルタ支持筐体
8 光学系筐体
10 UV‐IR吸収層
20 透明誘電体基板
30 反射防止膜
40 反射膜
100 カメラモジュール
特許文献1に記載の近赤外線吸収フィルタは、波長800nm〜1200nmにおける光を有効に吸収できているものの、波長350nm〜400nmにおいて望ましい光吸収特性を有しているとは言い難い。そこで、本発明は、特許文献1に記載の近赤外線吸収フィルタのみでは実現困難な所望の光学性能を簡素な構成で発揮できる光学フィルタを提供する。
本発明は、
赤外線及び紫外線を吸収可能なUV‐IR吸収層を備え、
0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、
(i)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率を有し、
(ii)波長750nm〜1080nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
(iii)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
前記UV−IR吸収層によって(i)の条件、(ii)の条件、及び(iii)の条件を満たし、
前記UV‐IR吸収層の厚みが132μm〜215μmである、
光学フィルタを提供する。

Claims (12)

  1. 赤外線及び紫外線を吸収可能なUV‐IR吸収層を備え、
    0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、
    (i)波長450nm〜600nmにおいて78%以上の平均透過率を有し、
    (ii)波長750nm〜1080nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
    (iii)波長300nm〜350nmにおいて1%以下の分光透過率を有し、
    (iv)波長600nm〜750nmにおいて波長の増加に伴い減少する分光透過率を有
    するとともに、波長600nm〜750nmにおいて分光透過率が50%を示す第一IR
    カットオフ波長が波長620nm〜680nmの範囲内に存在し、
    (v)波長350nm〜450nmにおいて波長の増加に伴い増加する分光透過率を有
    するとともに、波長350nm〜450nmにおいて分光透過率が50%を示す第一UV
    カットオフ波長が波長380nm〜430nmの範囲内に存在する、
    光学フィルタ。
  2. 0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、
    (vi)波長1000〜1100nmにおいて3%以下の分光透過率を有する、
    請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 0°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに、
    (vii)波長1100〜1200nmにおいて15%以下の分光透過率を有する、
    請求項1又は2に記載の光学フィルタ。
  4. 40°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに波長600
    nm〜750nmにおいて分光透過率が50%を示す第二IRカットオフ波長と、前記第
    一IRカットオフ波長との差の絶対値が10nm以下である、請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の光学フィルタ。
  5. 50°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに波長600
    nm〜750nmにおいて分光透過率が50%を示す第三IRカットオフ波長と、前記第
    一IRカットオフ波長との差の絶対値が15nm以下である、請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の光学フィルタ。
  6. 40°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに波長350
    nm〜450nmにおいて分光透過率が50%を示す第二UVカットオフ波長と、前記第
    一UVカットオフ波長との差の絶対値が10nm以下である、請求項1〜5のいずれか1
    項に記載の光学フィルタ。
  7. 50°の入射角度で波長300nm〜1200nmの光を入射させたときに波長350
    nm〜450nmにおいて分光透過率が50%を示す第三UVカットオフ波長と、前記第
    一UVカットオフ波長との差の絶対値が15nm以下である、請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の光学フィルタ。
  8. 前記UV‐IR吸収層は、ホスホン酸と銅イオンとによって形成されたUV‐IR吸収
    剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  9. 前記ホスホン酸は、アリール基を有する第一ホスホン酸を含む、請求項8に記載の光学
    フィルタ。
  10. 前記第一ホスホン酸は、その一部において、フェニル基における少なくとも1つの水素
    原子がハロゲン原子に置換されているハロゲン化フェニル基を有する、請求項9に記載の
    光学フィルタ。
  11. 前記ホスホン酸は、アルキル基を有する第二ホスホン酸をさらに含む、請求項9又は1
    0に記載の光学フィルタ。
  12. 前記UV‐IR吸収層は、単一の層として形成されている、請求項1〜11のいずれか
    1項に記載の光学フィルタ。
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