JP2019027561A - ボールねじ装置及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents

ボールねじ装置及び電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】衝突音を容易に低減することができるボールねじ装置を提供すること。【解決手段】ボールねじ装置は、第1ねじ溝を有するねじ軸と、第2ねじ溝、切欠き及び戻し穴を有するナットと、切欠きに嵌まるエンドデフレクタと、循環する複数のボールと、を備える。エンドデフレクタは、戻し穴を覆う基部から第2ねじ溝に向かう第1アームと、第1アームに対向する第2アームと、第1アームから第2アーム側に突出する第1ウィングと、第2アームから第1アーム側に突出する第2ウィングとを備える。第2ねじ溝の溝エッジは、第1アーム側に位置する第1溝エッジと、第2アーム側に位置する第2溝エッジとを含む。第1ウィングエッジの少なくとも一部は第1溝エッジよりも第2ねじ溝の中央側に位置し、第2ウィングエッジの少なくとも一部は第2溝エッジよりも第2ねじ溝の中央側に位置する。【選択図】図12

Description

本発明は、ボールねじ装置及び電動パワーステアリング装置に関する。
回転運動を直進運動に変換する装置としてボールねじ装置が知られている。ボールねじ装置は、ねじ軸と、ナットと、複数のボールを備えている。例えば特許文献1には、ボールねじ装置の一例が記載されている。特許文献1に記載されるボールねじ装置は、ねじ軸とナットとの間に形成される転動溝と、ナット端面の切欠きに嵌められる循環こま(エンドデフレクタ)と、ナットを軸方向に貫通するボール戻し通路とを備える。複数のボールは、転動溝と、ナット端面の切欠き及びエンドデフレクタによって形成されるボール循環路と、ボール戻し通路とによって無限循環する。しかしながら、特許文献1のボールねじ装置においては、ナットのねじ溝とナット端面の切欠きとの間の境界にボールが衝突することがある。このため、衝突音が生じる可能性がある。
特許文献2には、ボールとナットとの衝突で生じる騒音を低減することを目的としたボールスクリューが記載されている。特許文献2においては、還流エンドプラグに入ったボールがナットに衝突しないように導引板が設けられている。しかしながら、特許文献2には、ナットのねじ溝とナット端面の切欠きとの間の境界でのボールの衝突については記載されていない。
特許文献3には、デフレクタをナットに押し付けることにより、デフレクタの内側面の溝とナット側溝とが隙間なく連続するボールねじが記載されている。
特開2004−36644号公報 特開2008−25675号公報 特開2016−61370号公報
しかしながら、特許文献3のようにデフレクタの内側面の溝とナット側溝との間の段差をなくすためには、デフレクタ及びナットの製造に高い精度が求められる。このため、より容易に衝突音を低減することのできるボールねじ装置が望まれていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、衝突音を容易に低減することができるボールねじ装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係るボールねじ装置は、外周面に第1ねじ溝を有するねじ軸と、内周面に設けられる第2ねじ溝、端面に設けられる切欠き、及び前記切欠きの底面に設けられる戻し穴を有するナットと、前記切欠きに嵌まるエンドデフレクタと、前記第1ねじ溝と前記第2ねじ溝との間の転動路、前記エンドデフレクタに設けられた湾曲路、及び前記戻し穴を循環する複数のボールと、を備え、前記エンドデフレクタは、前記戻し穴を覆う基部と、前記基部から前記第2ねじ溝の端部に向かって延びている第1アームと、前記基部から前記第2ねじ溝の端部に向かって延びており、前記第2ねじ溝を挟んで前記第1アームに対向する第2アームと、前記第1アームから前記第2アーム側に突出する第1ウィングと、前記第2アームから前記第1アーム側に突出する第2ウィングと、を備え、前記第2ねじ溝は、前記切欠きに面する端部である溝エッジを備え、前記溝エッジは、前記第2ねじ溝の溝幅方向における前記第2ねじ溝の中央よりも前記第1アーム側に位置する第1溝エッジと、前記溝幅方向における前記第2ねじ溝の中央よりも前記第2アーム側に位置する第2溝エッジと、を含み、前記第1溝エッジと前記第2溝エッジとの間の前記溝幅方向の距離は、前記戻し穴に向かうにしたがって小さくなっており、前記第1ウィングは、前記第2ウィング側の端部であり且つ前記第1溝エッジに沿う第1ウィングエッジを備え、前記第2ウィングは、前記第1ウィング側の端部であり且つ前記第2溝エッジに沿う第2ウィングエッジを備え、前記第1ウィングエッジの少なくとも一部は、前記第1溝エッジよりも、前記溝幅方向における前記第2ねじ溝の中央側に位置し、前記第2ウィングエッジの少なくとも一部は、前記第2溝エッジよりも、前記溝幅方向における前記第2ねじ溝の中央側に位置する。
これにより、第1ウィング及び第2ウィングが、ボールの溝エッジへの接触を阻む。このため、ボールの溝エッジへの衝突が抑制される。さらに、ボールねじ装置においては、ナット又はエンドデフレクタの寸法に多少の誤差が生じた場合でも、第1ウィングが第1溝エッジに重なり、第2ウィングが第2溝エッジに重なることになる。このため、ボールねじ装置におけるナット又はエンドデフレクタは、高い加工精度を必要としない。したがって、ボールねじ装置は、衝突音を容易に低減することができる。
ボールねじ装置の望ましい態様として、前記第1ウィングは、前記ボールに向かって凹である第1湾曲面と、前記第1湾曲面の前記戻し穴とは反対側の端部に位置する第1ガイド面と、を備え、前記第1ガイド面は、前記ボールに向かって凸である曲面、又は前記戻し穴に向かうにしたがって前記第2ねじ溝から離れるように傾斜した平面であり、前記第2ウィングは、前記ボールに向かって凹である第2湾曲面と、前記第2湾曲面の前記戻し穴とは反対側の端部に位置する第2ガイド面と、を備え、前記第2ガイド面は、前記ボールに向かって凸である曲面、又は前記戻し穴に向かうにしたがって前記第2ねじ溝から離れるように傾斜した平面である。これにより、ボールが第2ねじ溝から第1ウィング及び第2ウィングに滑らかに乗り上げるので、衝突音がより抑制される。
ボールねじ装置の望ましい態様として、前記ボールは、前記第2ねじ溝の表面上の第1接触部と、前記第2ねじ溝の表面上の第2接触部とに接しており、前記第2接触部は、前記第2ねじ溝の溝底に対して前記第1接触部とは反対側に位置しており、前記第1ウィングと前記第2ウィングとの間の前記溝幅方向の最小距離は、前記第1接触部と前記第2接触部との間の前記溝幅方向の距離よりも小さいことが好ましい。これにより、ボールがエンドデフレクタから第2ねじ溝に移動する時に、ボールが溝幅方向により移動しにくくなる。その結果、ボールの動きがより滑らかになる。
ボールねじ装置の望ましい態様として、前記第1ウィングと前記第2ウィングとの間の距離は、前記第1ウィング及び前記第2ウィングが最も近付く位置から前記戻し穴とは反対側に向かうにしたがって大きくなっている。これにより、金型を用いてエンドデフレクタを製造する場合に、エンドデフレクタを金型から取り出しやすくなる。すなわち、エンドデフレクタは、製造効率を向上させることができる。
ボールねじ装置の望ましい態様として、前記第1ウィングと前記第2ウィングとの間の距離は、前記第1ウィング及び前記第2ウィングが最も近付く位置から前記戻し穴に向かうにしたがって大きくなっていることが好ましい。これにより、金型を用いてエンドデフレクタを製造する場合に、エンドデフレクタを金型から取り出しやすくなる。すなわち、エンドデフレクタは、製造効率を向上させることができる。
ボールねじ装置の望ましい態様として、前記第2ウィングは、第1ウィングと繋がっていることが好ましい。これにより、ボールがエンドデフレクタから第2ねじ溝に移動する時に、ボールが溝幅方向により移動しにくくなる。その結果、ボールの動きがより滑らかになる。
本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置は、上記のボールねじ装置を備える。これにより、電動パワーステアリング装置は、補助操舵力を発生させる時に生じる音を低減することができる。
本発明によれば、衝突音を容易に低減することができるボールねじ装置を提供することができる。
図1は、本実施形態のステアリング装置の模式図である。 図2は、本実施形態のボールねじ装置の周辺の断面図である。 図3は、転動路及びボールを示す断面図である。 図4は、本実施形態のナットの斜視図である。 図5は、本実施形態のナット及びデフレクタを示す斜視図である。 図6は、本実施形態のナット及びデフレクタを示す斜視図である。 図7は、本実施形態のエンドデフレクタの斜視図である。 図8は、本実施形態のエンドデフレクタの斜視図である。 図9は、図5におけるA−A断面図である。 図10は、図9に示す断面を異なる角度から見た場合の断面図である。 図11は、図9に示す断面に平行であり且つ第1ウィング及び第2ウィングを含む平面でナット及びエンドデフレクタを切った断面図である。 図12は、図11に示す断面を異なる角度から見た場合の断面図である。 図13は、図11に示す断面を異なる角度から見た場合の断面図である。 図14は、第1変形例のナット及びエンドデフレクタを示す斜視図である。 図15は、第1変形例のエンドデフレクタの斜視図である。 図16は、第1変形例のエンドデフレクタの斜視図である。 図17は、第2変形例のナット及びエンドデフレクタを示す斜視図である。 図18は、第2変形例のエンドデフレクタの斜視図である。 図19は、第2変形例のエンドデフレクタの斜視図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態)
図1は、本実施形態のステアリング装置の模式図である。図2は、本実施形態のボールねじ装置の周辺の断面図である。図1に示すように、電動パワーステアリング装置80は、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、ユニバーサルジョイント84と、ロアシャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、ピニオンシャフト87と、ピニオン88と、ボールねじ装置1と、電動モータ93と、を備える。
図1に示すように、ステアリングホイール81はステアリングシャフト82に連結されている。ステアリングシャフト82の一端がステアリングホイール81に連結され、ステアリングシャフト82の他端がユニバーサルジョイント84に連結される。ロアシャフト85は、ユニバーサルジョイント84を介してステアリングシャフト82に連結される。ロアシャフト85の一端がユニバーサルジョイント84に連結され、他端がユニバーサルジョイント86に連結される。ピニオンシャフト87の一端がユニバーサルジョイント86に連結され、他端がピニオン88に連結される。
図1及び図2に示すように、ボールねじ装置1は、ラック2(ねじ軸)と、ナット3と、ボール4とを備える。ラック2、ナット3及びボール4は、金属で形成されている。ピニオン88は、ラック2に噛み合う。ピニオン88及びラック2は、ピニオンシャフト87に伝達された回転運動を直進運動に変換する。ラック2は、タイロッド89に連結される。ラック2が移動することで車輪の角度が変化する。
電動モータ93は、例えばブラシレスモータであるが、ブラシ(摺動子)及びコンミテータ(整流子)を備えるモータであってもよい。図2に示すように、電動モータ93は、ハウジング930に固定されている。電動モータ93のシャフトには、例えば小プーリ11が取り付けられている。小プーリ11は、ベルト12を介して大プーリ13に連結される。大プーリ13はナット3に取り付けられている。このため、電動モータ93が駆動すると、ナット3が回転軸Zを中心に回転する。
図2に示すように、ラック2がナット3を貫通している。ナット3は軸受10を介してハウジング930に取り付けられている。軸受10は、外輪15と、内輪17と、外輪15及び内輪17の間に位置する転動体16と、を備える。外輪15がハウジング930に固定されている。内輪17は、例えばナット3と一体に形成されている。ナット3は、ラック2の軸方向(以下、単に軸方向という)に位置決めされている。すなわち、ナット3は回転できるが、軸方向に移動しない。
図2に示すように、ラック2の外周面にある第1ねじ溝21とナット3の内周面にある第2ねじ溝31との間の転動路41に複数のボール4が配置されている。ボール4は、転動路41を無限循環する。ナット3が回転すると、ラック2が軸方向に移動する。ボールねじ装置1は、回転運動を直進運動に変換する。電動モータ93で生じたトルクにより、操作者がラック2を移動させるために要する力が小さくなる。すなわち、電動パワーステアリング装置80には、ラックアシスト式が採用されている。
図1に示すように、電動パワーステアリング装置80は、ECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ94と、車速センサ95と、を備える。電動モータ93、トルクセンサ94及び車速センサ95は、ECU90と電気的に接続される。トルクセンサ94は、例えばピニオン88に取り付けられている。トルクセンサ94は、ピニオン88に伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信によりECU90に出力する。車速センサ95は、電動パワーステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に備えられ、車速をCAN通信によりECU90に出力する。
ECU90は、電動モータ93の動作を制御する。ECU90は、トルクセンサ94及び車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。ECU90には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。ECU90は、操舵トルク及び車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。ECU90は、補助操舵指令値に基づいて電動モータ93へ供給する電力値を調節する。ECU90は、電動モータ93から誘起電圧の情報又は電動モータ93に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。ECU90が電動モータ93を制御することで、ステアリングホイール81の操作に要する力が小さくなる。
図3は、転動路及びボールを示す断面図である。図4は、本実施形態のナットの斜視図である。図5は、本実施形態のナット及びデフレクタを示す斜視図である。図6は、本実施形態のナット及びデフレクタを示す斜視図である。図7は、本実施形態のエンドデフレクタの斜視図である。図8は、本実施形態のエンドデフレクタの斜視図である。図3は、第2ねじ溝31が延びている方向に対して直交する平面でラック2及びナット3を切った断面図である。
図4に示すように、ナット3は、第2ねじ溝31と、切欠き33と、戻し穴35と、を備える。第2ねじ溝31は、図3に示すように例えばゴシックアーク形状(2つの円弧の組み合わせで形成される形状)である。ラック2の第1ねじ溝21も、図3に示すように例えばゴシックアーク形状である。ボール4は、転動路41を転がる。図3に示すように、ボール4は、第1ねじ溝21の表面上の第1接触部21a及び第2接触部21b、並びに第2ねじ溝31の表面上の第1接触部31a及び第2接触部31bに接する。第2接触部21bは、第1ねじ溝21の溝底に対して第1接触部21aとは反対側に位置する。第2接触部31bは、第2ねじ溝31の溝底に対して第1接触部31aとは反対側に位置する。
図3に示すように、溝底線C1、ボール外形線C2、及びボール中心線C3が一直線上に並んでいる。溝底線C1は、第2ねじ溝31の底が描く線である。ボール外形線C2は、第1接触部31a及び第2接触部31bの中間に位置するボール4の表面上の点が描く線(軌跡)である。ボール中心線C3は、ボール4の中心が描く線(軌跡)である。図3の断面において、ボール4の中心及び第2ねじ溝31の底を通る直線L1と、ボール4の中心及び第1接触部31aを通る直線L2とがなす角度θ1は、例えば45°である。直線L1と、ボール4の中心及び第2接触部31bを通る直線L3とがなす角度θ2は、例えば45°である。
図4に示すように、切欠き33は、ナット3の一方の端面及び他方の端面に設けられる。すなわち、ナット3は2つの切欠き33を備える。戻し穴35は、切欠き33の底面331に設けられ、軸方向にナット3を貫通する。切欠き33の底面331は、切欠き33に面するナット3の表面であって、軸方向に対して直交する。戻し穴35は、ナット3の一方の端面にある切欠き33から他方の端面にある切欠き33に亘っている。
図6に示すように、第2ねじ溝31は、切欠き33に面する端部である溝エッジ31eを有する。図6においては、溝エッジ31eを図示するためにエンドデフレクタ5の一部が省略されている。溝エッジ31eは、第2ねじ溝31と切欠き33との間の境界線ともいえる。溝エッジ31eは、第1溝エッジ311と、第2溝エッジ312と、を有する。第1溝エッジ311は、第2ねじ溝31の溝幅方向での第2ねじ溝31の中央よりも(図3に示す溝底線C1よりも)、切欠き33の底面331とは反対側に位置している。第2溝エッジ312は、第2ねじ溝31の溝幅方向での第2ねじ溝31の中央よりも(図3に示す溝底線C1よりも)、切欠き33の底面331側に位置している。第2ねじ溝31の溝幅方向における第1溝エッジ311と第2溝エッジ312との間の距離は、戻し穴35に向かって小さくなっている。すなわち、第1溝エッジ311及び第2溝エッジ312は、軸方向に対して直交する方向(径方向)から見て略V字を描いている。
第2ねじ溝31の溝幅方向は、第2ねじ溝31が延びている方向に対して直交する平面でナット3を切った断面(図3で示す断面)において、第2ねじ溝31の一方の縁と他方の縁とを通る直線に平行な方向である。すなわち、第2ねじ溝31の溝幅方向は、図3における左右方向である。以下の説明において、第2ねじ溝31の溝幅方向は、単に溝幅方向と記載される。
図5に示すように、ボールねじ装置1は、エンドデフレクタ5を備える。エンドデフレクタ5は、図4に示すナット3の切欠き33に嵌まる。エンドデフレクタ5は、例えば、ナット3に取り付けられるワッシャ18及び止め輪19によって位置決めされる(図9参照)。エンドデフレクタ5は、第2ねじ溝31の端部に達したボール4を戻し穴35に導くための部材である。第2ねじ溝31の端部に達したボール4は、エンドデフレクタ5の内側に形成される湾曲路36を通って戻し穴35に至る。また、エンドデフレクタ5は、戻し穴35から出てきたボール4を第2ねじ溝31の端部に導くための部材でもある。戻し穴35から出てきたボール4は、湾曲路36を通って第2ねじ溝31の端部に至る。例えばナット3が一定方向に回転している時、一方のエンドデフレクタ5がボール4を第2ねじ溝31から戻し穴35へ導き、他方のエンドデフレクタ5が戻し穴35から出てきたボール4を第2ねじ溝31へ導く。このようにボール4は転動路41、湾曲路36、及び戻し穴35を循環する。
エンドデフレクタ5は、例えば樹脂で形成されている。エンドデフレクタ5に用いられる樹脂材料としては、ポリアセタール(POM)、ナイロン、ポリフェニレンスルファイド(PPS)等が挙げられる。エンドデフレクタ5は、例えば3Dプリンタで製造される。エンドデフレクタ5は、金型を用いて製造されてもよい。金型が用いられる場合、金型の中にあるエンドデフレクタ5は無理抜きによって取り出される。
図7及び図8に示すように、エンドデフレクタ5は、基部50と、第1アーム51と、第2アーム52と、第1ウィング53と、第2ウィング54と、を備える。基部50は、戻し穴35に重なる。基部50は、戻し穴35を覆っている。
第1アーム51は、基部50から第2ねじ溝31の端部に向かって延びている。第1アーム51は、湾曲路36に対して、切欠き33の底面331とは反対側に位置している。第2アーム52は、基部50から第2ねじ溝31に向かって延びている。第2アーム52は、切欠き33の底面331に接している。第2アーム52は、第2ねじ溝31の溝幅方向で第1アーム51と対向している。
図9は、図5におけるA−A断面図である。図10は、図9に示す断面を異なる角度から見た場合の断面図である。図11は、図9に示す断面に平行であり且つ第1ウィング及び第2ウィングを含む平面でナット及びエンドデフレクタを切った断面図である。図12及び図13は、図11に示す断面を異なる角度から見た場合の断面図である。
言い換えると、図9から図13は、第2ねじ溝31が延びている方向に対して直交する平面でナット3及びエンドデフレクタ5を切った断面図である。図9及び図10は、図5に示す平面PYでナット3及びエンドデフレクタ5を切った断面図である。図5に示すように、平面PYは、回転軸Zに対して角度をなす軸Yを含む平面である。図11から図13は、平面PYよりもエンドデフレクタ5に寄った平面でナット3及びエンドデフレクタ5を切った断面図である。
図7及び図8に示すように、第1ウィング53は、第1アーム51から第2アーム52側に突出している第1ウィング53の少なくとも一部は、図6に示す第1溝エッジ311に重なる。図9及び図10に示すように、第1ウィング53は、第1湾曲面53aと、第1ガイド面53bと、第1ウィングエッジ53eと、を備える。第1湾曲面53aは、ボール4に向かって凹の曲面である。第1ガイド面53bは、第1湾曲面53aの戻し穴35とは反対側の端部に位置する。第1ガイド面53bは、例えばボール4に向かって凸の曲面である。第1ガイド面53bは、戻し穴35に向かうにしたがって第2ねじ溝31から離れるように傾斜した平面であってもよい。第1ウィングエッジ53eは、第1ウィング53の第2アーム52側の端部であり且つ第1溝エッジ311に沿っている。より具体的には、第1ウィングエッジ53eは、第1ガイド面53bの端部が描く外形線である。図11から図13に示すように、第1ウィングエッジ53eは、第1溝エッジ311よりも、溝幅方向での第2ねじ溝31の中央側(図3に示す溝底線C1側)に位置している。図11から図13に示す点53epは、第1溝エッジ311と断面との交点である。図11から図13に示す点311pは、第1溝エッジ311と断面との交点である。図11から図13に示すように、点53epが点311pよりも溝幅方向での第2ねじ溝31の中央側に位置している。
図7及び図8に示すように、第2ウィング54は、第2アーム52から第1アーム51側に突出している。第2ウィング54の少なくとも一部は、図6に示す第2溝エッジ312に重なる。図9及び図10に示すように、第2ウィング54は、第2湾曲面54aと、第2ガイド面54bと、第2ウィングエッジ54eと、を備える。第2湾曲面54aは、ボール4に向かって凹の曲面である。第2ガイド面54bは、第2湾曲面54aの戻し穴35とは反対側の端部に位置する。第2ガイド面54bは、例えばボール4に向かって凸の曲面である。第2ガイド面54bは、戻し穴35に向かうにしたがって第2ねじ溝31から離れるように傾斜した平面であってもよい。第2ウィングエッジ54eは、第2ウィング54の第1アーム51側の端部であり且つ第2溝エッジ312に沿っている。より具体的には、第2ウィングエッジ54eは、第2ガイド面54bの端部が描く外形線である。図11から図13に示すように、第2ウィングエッジ54eは、第2溝エッジ312よりも、溝幅方向での第2ねじ溝31の中央側(図3に示す溝底線C1側)に位置している。図11から図13に示す点54epは、第2溝エッジ312と断面との交点である。図11から図13に示す点312pは、第2溝エッジ312と断面との交点である。図11から図13に示すように、点54epが点312pよりも溝幅方向での第2ねじ溝31の中央側に位置している。
図7及び図8に示すように、第1ウィング53と第2ウィング54との間には隙間が設けられている。図7及び図8に示す第1ウィング53と第2ウィング54との間の最小距離W5は、図3に示す第1接触部31aと第2接触部31bとの間の溝幅方向の距離W31よりも小さい。このため、第1ウィング53と第2ウィング54は、ボール4を包み込むような形状を有する。また、第1ウィング53と第2ウィング54との間の距離は、第1ウィング53及び第2ウィング54が最も近付く位置から戻し穴35とは反対側に向かうにしたがって大きくなっている。
仮にエンドデフレクタ5が射出成形又はMIM(Metal Injection Molding)で製造される場合、エンドデフレクタ5の形状には制約がある。このため、第1ウィング53及び第2ウィング54のような形状を形成することは難しい。本実施形態においては、エンドデフレクタ5が例えば3Dプリンタによって製造されるので、第1ウィング53及び第2ウィング54の形成が容易である。
上述したように戻し穴35から出てきたボール4は、図5に示す湾曲路36を通って第2ねじ溝31に向かう。仮にエンドデフレクタ5が第1ウィング53及び第2ウィング54を備えていない場合、ボール4が湾曲路36から第2ねじ溝31に向かう時にボール4が溝幅方向に移動することができる。このため、ボール4が溝エッジ31eに衝突する。金属製のボール4が金属製のナット3の溝エッジ31eに衝突するので、衝突音が生じる可能性がある。
これに対して、本実施形態のエンドデフレクタ5は第1ウィング53及び第2ウィング54を備えている。第1ウィング53及び第2ウィング54は、溝エッジ31eに重なっている。このため、ボール4の溝エッジ31eへの衝突が抑制される。このため、衝突音が低減される。また、ボール4の溝幅方向への移動が抑制されるので、ボール4の動きが滑らかになる。
なお、ボール4がエンドデフレクタ5から第2ねじ溝31に移動する時に、ボール4がエンドデフレクタ5から第2ねじ溝31に向かってわずかに落ちることになる。ボール4の落ちる距離は、例えば数マイクロメートル程度である。しかし、ボール4が第2ねじ溝31に当たる時に生じる音は、ボール4が溝エッジ31eに衝突する時の衝突音に比べ無視できる程度の音である。なお、ボール4の落ちる距離は、100マイクロメートル以下であればよい。
また、ボール4が第2ねじ溝31からエンドデフレクタ5に移動する時に、ボール4が第1ウィングエッジ53e及び第2ウィングエッジ54eに衝突することになる。しかし、エンドデフレクタ5が樹脂で形成されているので、衝突音が実質的に生じない。また、第1ウィング53が第1ガイド面53bを備え、第2ウィング54が第2ガイド面54bを備えることにより、衝突音がより生じにくくなっている。すなわち、第1ガイド面53b及び第2ガイド面54bにより、ボール4が第2ねじ溝31から第1ウィング53及び第2ウィング54に滑らかに乗り上げるので、衝突音が抑制される。
なお、第1ウィングエッジ53eは、必ずしも全長に亘って、第1溝エッジ311よりも溝幅方向での第2ねじ溝31の中央側に位置していなくてもよい。第1ウィングエッジ53eの少なくとも一部が、第1溝エッジ311よりも溝幅方向での第2ねじ溝31の中央側に位置していればよい。また、第2ウィングエッジ54eは、必ずしも全長に亘って、第2溝エッジ312よりも溝幅方向での第2ねじ溝31の中央側に位置していなくてもよい。第2ウィングエッジ54eの少なくとも一部が、第2溝エッジ312よりも溝幅方向での第2ねじ溝31の中央側に位置していればよい。
なお、ボールねじ装置1は、必ずしも電動パワーステアリング装置80に用いられなくてもよい。ボールねじ装置1は、回転運動を直進運動に変換する必要のある装置に広く適用することができる。
以上で説明したように、ボールねじ装置1は、ねじ軸(ラック2)と、ナット3と、エンドデフレクタ5と、複数のボール4と、を備える。ねじ軸は、外周面に第1ねじ溝21を有する。ナット3は、内周面に設けられる第2ねじ溝31、端面に設けられる切欠き33、及び切欠き33の底面331に設けられる戻し穴35を有する。エンドデフレクタ5は、切欠き33に嵌まる。複数のボール4は、第1ねじ溝21と第2ねじ溝31との間の転動路41、エンドデフレクタ5に設けられた湾曲路36、及び戻し穴35を循環する。エンドデフレクタ5は、基部50と、第1アーム51と、第2アーム52と、第1ウィング53と、第2ウィング54と、を備える。基部50は、戻し穴35を覆う。第1アーム51は、基部50から第2ねじ溝31の端部に向かって延びている。第2アーム52は、基部50から第2ねじ溝31の端部に向かって延びており、第2ねじ溝31を挟んで第1アーム51に対向する。第1ウィング53は、第1アーム51から第2アーム52側に突出する。第2ウィング54は、第2アーム52から第1アーム51側に突出する。第2ねじ溝31は、切欠き33に面する端部である溝エッジ31eを備える。溝エッジ31eは、溝幅方向における第2ねじ溝31の中央よりも第1アーム51側に位置する第1溝エッジ311と、溝幅方向における第2ねじ溝31の中央よりも第2アーム52側に位置する第2溝エッジ312と、を含む。第1溝エッジ311と第2溝エッジ312との間の溝幅方向の距離は、戻し穴35に向かうにしたがって小さくなっている。第1ウィング53は、第2ウィング54側の端部であり且つ第1溝エッジ311に沿う第1ウィングエッジ53eを備える。第2ウィング54は、第1ウィング53側の端部であり且つ第2溝エッジ312に沿う第2ウィングエッジ54eを備える。第1ウィングエッジ53eの少なくとも一部は、第1溝エッジ311よりも、溝幅方向における第2ねじ溝の中央側に位置する。第2ウィングエッジ54eの少なくとも一部は、第2溝エッジ312よりも、溝幅方向における第2ねじ溝31の中央側に位置する。
これにより、第1ウィング53及び第2ウィング54が、ボール4の溝エッジ31eへの接触を阻む。このため、ボール4の溝エッジ31eへの衝突が抑制される。さらに、ボールねじ装置1においては、ナット3又はエンドデフレクタ5の寸法に多少の誤差が生じた場合でも、第1ウィング53が第1溝エッジ311に重なり、第2ウィング54が第2溝エッジ312に重なることになる。このため、ボールねじ装置1におけるナット3又はエンドデフレクタ5は、高い加工精度を必要としない。したがって、ボールねじ装置1は、衝突音を容易に低減することができる。
またボールねじ装置1においては、第1ウィング53は、ボール4に向かって凹である第1湾曲面53aと、第1湾曲面53aの戻し穴35とは反対側の端部に位置する第1ガイド面53bと、を備える。第1ガイド面53bは、ボール4に向かって凸である曲面、又は戻し穴35に向かうにしたがって第2ねじ溝31から離れるように傾斜した平面である。第2ウィング54は、ボール4に向かって凹である第2湾曲面54aと、第2湾曲面54aの戻し穴35とは反対側の端部に位置する第2ガイド面54bと、を備える。第2ガイド面54bは、ボール4に向かって凸である曲面、又は戻し穴35に向かうにしたがって第2ねじ溝31から離れるように傾斜した平面である。これにより、ボール4が第2ねじ溝31から第1ウィング53及び第2ウィング54に滑らかに乗り上げるので、衝突音がより抑制される。
またボールねじ装置1においては、ボール4は、第2ねじ溝31の表面上の第1接触部31aと、第2ねじ溝31の表面上の第2接触部31bとに接している。第2接触部31bは、第2ねじ溝31の溝底に対して第1接触部31aとは反対側に位置している。第1ウィング53と第2ウィング54との間の溝幅方向の最小距離W5は、第1接触部31aと第2接触部31bとの間の溝幅方向の距離W31よりも小さい。これにより、ボール4がエンドデフレクタ5から第2ねじ溝31に移動する時に、ボール4が溝幅方向により移動しにくくなる。その結果、ボール4の動きがより滑らかになる。
またボールねじ装置1においては、第1ウィング53と第2ウィング54との間の距離は、第1ウィング53及び第2ウィング54が最も近付く位置から戻し穴35とは反対側に向かうにしたがって大きくなっている。これにより、金型を用いてエンドデフレクタ5を製造する場合に、エンドデフレクタ5を金型から取り出しやすくなる。すなわち、エンドデフレクタ5は、製造効率を向上させることができる。
また、電動パワーステアリング装置80は、ボールねじ装置1を備える。これにより、電動パワーステアリング装置80は、補助操舵力を発生させる時に生じる音を低減することができる。
(第1変形例)
図14は、第1変形例のナット及びエンドデフレクタを示す斜視図である。図15は、第1変形例のエンドデフレクタの斜視図である。図16は、第1変形例のエンドデフレクタの斜視図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図15に示すように、第1変形例のエンドデフレクタ5Aは、第1ウィング53Aと、第2ウィング54Aと、を備える。第1ウィング53Aと第2ウィング54Aとの間の距離は、第1ウィング53A及び第2ウィング54Aが最も近付く位置から戻し穴35に向かうにしたがって大きくなっている。図15に示すように、距離W5Aは、第1ウィング53Aと第2ウィング54Aとの間の最小距離W5よりも大きい。距離W5Aは、第1ウィング53Aと第2ウィング54Aとの間の距離が一定になる位置よりも戻し穴35側の位置における、第1ウィング53Aと第2ウィング54Aとの間の距離である。
エンドデフレクタ5Aは、例えば3Dプリンタで製造される。エンドデフレクタ5Aは、金型を用いて製造されてもよい。金型が用いられる場合、金型の中にあるエンドデフレクタ5Aは無理抜きによって取り出される。
上述したように、第1ウィング53Aと第2ウィング54Aとの間の距離は、第1ウィング53A及び第2ウィング54Aが最も近付く位置から戻し穴35に向かうにしたがって大きくなっている。これにより、金型を用いてエンドデフレクタ5Aを製造する場合に、エンドデフレクタ5Aを金型から取り出しやすくなる。すなわち、エンドデフレクタ5Aは、製造効率を向上させることができる。
(第2変形例)
図17は、第2変形例のナット及びエンドデフレクタを示す斜視図である。図18は、第2変形例のエンドデフレクタの斜視図である。図19は、第2変形例のエンドデフレクタの斜視図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図18に示すように、第2変形例のエンドデフレクタ5Bは、第1ウィング53Bと、第2ウィング54Bと、を備える。第2ウィング54Bは、第1ウィング53Bと繋がっている。エンドデフレクタ5Bは、例えば3Dプリンタで製造される。
上述したように第2ウィング54Bは、第1ウィング53Bと繋がっている。これにより、ボール4がエンドデフレクタ5Bから第2ねじ溝31に移動する時に、ボール4が溝幅方向により移動しにくくなる。その結果、ボール4の動きがより滑らかになる。
1 ボールねじ装置
2 ラック(ねじ軸)
21 第1ねじ溝
3 ナット
31 第2ねじ溝
311 第1溝エッジ
312 第2溝エッジ
31a 第1接触部
31b 第2接触部
31e 溝エッジ
33 切欠き
35 戻し穴
36 湾曲路
4 ボール
41 転動路
5、5A、5B エンドデフレクタ
50 基部
51 第1アーム
52 第2アーム
53、53A、53B 第1ウィング
53a 第1湾曲面
53b 第1ガイド面
53e 第1ウィングエッジ
54、54A、54B 第2ウィング
54a 第2湾曲面
54b 第2ガイド面
54e 第2ウィングエッジ
80 電動パワーステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 ステアリングシャフト
84 ユニバーサルジョイント
85 ロアシャフト
86 ユニバーサルジョイント
87 ピニオンシャフト
88 ピニオン
89 タイロッド
90 ECU
93 電動モータ
94 トルクセンサ
95 車速センサ
98 イグニッションスイッチ
99 電源装置
C1 溝底線
C2 ボール外形線
C3 ボール中心線

Claims (7)

  1. 外周面に第1ねじ溝を有するねじ軸と、
    内周面に設けられる第2ねじ溝、端面に設けられる切欠き、及び前記切欠きの底面に設けられる戻し穴を有するナットと、
    前記切欠きに嵌まるエンドデフレクタと、
    前記第1ねじ溝と前記第2ねじ溝との間の転動路、前記エンドデフレクタに設けられた湾曲路、及び前記戻し穴を循環する複数のボールと、
    を備え、
    前記エンドデフレクタは、
    前記戻し穴を覆う基部と、
    前記基部から前記第2ねじ溝の端部に向かって延びている第1アームと、
    前記基部から前記第2ねじ溝の端部に向かって延びており、前記第2ねじ溝を挟んで前記第1アームに対向する第2アームと、
    前記第1アームから前記第2アーム側に突出する第1ウィングと、
    前記第2アームから前記第1アーム側に突出する第2ウィングと、
    を備え、
    前記第2ねじ溝は、前記切欠きに面する端部である溝エッジを備え、
    前記溝エッジは、前記第2ねじ溝の溝幅方向における前記第2ねじ溝の中央よりも前記第1アーム側に位置する第1溝エッジと、前記溝幅方向における前記第2ねじ溝の中央よりも前記第2アーム側に位置する第2溝エッジと、を含み、
    前記第1溝エッジと前記第2溝エッジとの間の前記溝幅方向の距離は、前記戻し穴に向かうにしたがって小さくなっており、
    前記第1ウィングは、前記第2ウィング側の端部であり且つ前記第1溝エッジに沿う第1ウィングエッジを備え、
    前記第2ウィングは、前記第1ウィング側の端部であり且つ前記第2溝エッジに沿う第2ウィングエッジを備え、
    前記第1ウィングエッジの少なくとも一部は、前記第1溝エッジよりも、前記溝幅方向における前記第2ねじ溝の中央側に位置し、
    前記第2ウィングエッジの少なくとも一部は、前記第2溝エッジよりも、前記溝幅方向における前記第2ねじ溝の中央側に位置する
    ボールねじ装置。
  2. 前記第1ウィングは、前記ボールに向かって凹である第1湾曲面と、前記第1湾曲面の前記戻し穴とは反対側の端部に位置する第1ガイド面と、を備え、
    前記第1ガイド面は、前記ボールに向かって凸である曲面、又は前記戻し穴に向かうにしたがって前記第2ねじ溝から離れるように傾斜した平面であり、
    前記第2ウィングは、前記ボールに向かって凹である第2湾曲面と、前記第2湾曲面の前記戻し穴とは反対側の端部に位置する第2ガイド面と、を備え、
    前記第2ガイド面は、前記ボールに向かって凸である曲面、又は前記戻し穴に向かうにしたがって前記第2ねじ溝から離れるように傾斜した平面である
    請求項1に記載のボールねじ装置。
  3. 前記ボールは、前記第2ねじ溝の表面上の第1接触部と、前記第2ねじ溝の表面上の第2接触部とに接しており、
    前記第2接触部は、前記第2ねじ溝の溝底に対して前記第1接触部とは反対側に位置しており、
    前記第1ウィングと前記第2ウィングとの間の前記溝幅方向の最小距離は、前記第1接触部と前記第2接触部との間の前記溝幅方向の距離よりも小さい
    請求項1又は2に記載のボールねじ装置。
  4. 前記第1ウィングと前記第2ウィングとの間の距離は、前記第1ウィング及び前記第2ウィングが最も近付く位置から前記戻し穴とは反対側に向かうにしたがって大きくなっている
    請求項1から3のいずれか1項に記載のボールねじ装置。
  5. 前記第1ウィングと前記第2ウィングとの間の距離は、前記第1ウィング及び前記第2ウィングが最も近付く位置から前記戻し穴に向かうにしたがって大きくなっている
    請求項1から3のいずれか1項に記載のボールねじ装置。
  6. 前記第2ウィングは、第1ウィングと繋がっている
    請求項1から3のいずれか1項に記載のボールねじ装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のボールねじ装置を備える電動パワーステアリング装置。
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