JP2019025523A - 複合型及びこれを用いた鋳物製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金型又は砂型単独では達成できない凝固速度領域を使用し得ることで、低コストで複雑な形状の鋳物製品を得る。【解決手段】複合型は、金属製の金型と、砂積層工法を用いて造形された砂型とを備え、前記砂型を前記金型の空間部を構成する型表面に貼り合わせてなる。複合型を用いた鋳物製造方法は、前記砂型を前記金型の空間部を構成する型表面に貼り合わせてなる複合型に、金属溶湯を鋳造して鋳物製品を製造する。【選択図】図1

Description

本発明は、鋳造用の金属製金型の金型空間を構成する型の表面に砂型を張り合わせた複合型及びこれを用いた鋳物製造方法に関する。
従来より、鋳物製品を製造するにあたり溶湯の凝固速度を制御する場合には、(1)金型の厚みを変えること、(2)金型の内部に配置した冷却水管に通水する水量や時間を変えること(例えば、非特許文献1参照)、(3)金型表面に塗型剤を噴霧すること(例えば、非特許文献2参照)、(4)金型表面に塗型剤を塗布すること(例えば、非特許文献3参照)などが知られている。
また、いわゆるアンダーカットを含む複雑な形状の鋳物を得るために、例えば表面にコーティング剤が被覆された砂に対して化学的に薬剤を噴霧させたり、熱を加えたりすることによって局所的に固化することで、3Dデータからスライスデータに基づき積層砂型を作製して、それを用いて鋳造することが知られている(例えば、非特許文献4参照)。
また、大量生産をするためには金属素材を切削加工した型を用いて鋳物製品を製造することが一般的には行われる。しかし、鋳造型を使用することで、製品コストの低減が可能であるため、鋳造型を使用することが検討されていた(例えば、非特許文献5参照)。
また、鋳鉄金型においては、小ロットのアルミニウムダイカスト鋳造において、型寿命を延ばし、価格も低下させるために、薬品と熱処理により表層に脱炭層を形成することが検討された(例えば、非特許文献6参照)。また、アルミニウム砂型鋳物は金型鋳物とは異なり、型費が安く、複雑な形状の製品の製造に使用されるものである(例えば、非特許文献7参照)。
向川博他著、「ダイカスト金型における内部冷却の改善」素形材技術セミナーテキスト、2005年、p.47−52 野崎美紀也他著、「泡離型剤の実用化」日本ダイカスト会議論文集、1998年、p.95−99 市原健他著、「金型鋳造の塗型剤評価」第166回全国講演大会講演概要集、2015年5月、p.99 安達充他著、「積層工法を用いた軽金属の成形方法」軽金属第66巻第7号、2016年、p.360−367 土田正信著、「鋳鉄金型鋳造のシステム技術の確立」鋳物第63巻第4号、1991年、p.364−369 永野正明他著、「鋳鉄金型によるアルミニウムダイカスト法の開発」埼玉県産業技術総合センター研究報告第10巻、2012年 安達充著、「亜共晶および共晶Al−Si系鋳物用合金の改良」軽金属第34巻第6号、1984年、p.361−373
しかしながら、上述した非特許文献に開示された各種の従来の鋳物製造法によれば、最終製品を得る上でいくつかの問題がある。
まず、非特許文献1に開示された金型鋳物製造法は、金型内部の通水量を管理しながら鋳造することで、金型寿命を上げると共に凝固速度を促進することによって、鋳物製品内部の収縮巣の低減を図るものであるが、凝固速度を低減するものではない。
また、非特許文献2に開示された離型剤の噴霧として泡を使用するものは、内部冷却型にこの方法を採用することで温度制御を効率よく行うことはできるが、やはり凝固速度を低減するものではない。
更に、非特許文献3に開示された金型用塗型剤の厚みを調整することで、熱伝導率を変え、鋳物の凝固速度を変えることは可能であるが、塗型剤を厚く塗って凝固速度を遅くすると、塗型剤が実用上剥離し易く、鋳造中に何度か剥離した上から塗る必要が生じてしまう。これにより、最終製品の鋳物外観や内部品質の劣化をもたらすことになる。
また、非特許文献4に開示された砂積層を用いた鋳物鋳造法は、3Dデータからスライスデータに基づき砂型を作製することで、複雑な形状の鋳物製品を製造することが可能である。しかし、鋳物製品を得るためには型が変形しない程度の厚みが必要となるため、限られたスペースの積層装置において時間当たりの積層型の生産個数には限界があるので、砂型の生産性を向上させ難いという問題がある。また、砂型であるために一般の砂型鋳造で得られる凝固速度と同等であることから、最終製品は砂型鋳造品と同等の引張特性しか得られない。
また、非特許文献5に開示された鋳鉄金型は、型費が安いために低コストで鋳鉄鋳物を製造することができるが、冷却速度が速いために、ねずみ鋳鉄では微細共晶黒鉛を含むフェライト組織、球状黒鉛鋳鉄では微細球状黒鉛を含むフェライト組織となり、材料特性上問題である。
また、非特許文献6に開示された鋳鉄金型においては、薬品と熱処理により表層に脱炭層を形成することで、型寿命を延ばし、価格も低下させることが期待できる金型ではある。しかし、元々鋳鉄鋳物によってできた金型をベースにしていることから、要求する鋳物製品によっては、表面粗さや寸法精度においては更に改善が必要であり、表面を加工しないと使用に耐えないという場合もある。
更に、非特許文献7に開示されたアルミニウム砂型鋳物のように凝固時の冷却速度が遅い場合においては、引張強さ、伸びが低い。これは、微小な収縮巣が発生するためである。このため、肉厚部を有する砂型鋳物製品においては、例えば冷し金を用いることで局所的に発生した欠陥を抑制することが一般的には行われているが、鋳物全体として収縮巣を低減して品質を改善しようとすると、多数の冷し金を準備する必要が生じるので現実的ではない。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決することにあり、金型又は砂型単独では達成できない凝固速度領域を使用し得ることで、低コストで複雑な形状の鋳物製品を得ることができる複合型及びこれを用いた鋳物製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る複合型は、金属製の金型と、砂積層工法を用いて造形された砂型とを備え、前記砂型を前記金型の空間部を構成する型表面に貼り合わせてなることを特徴とする。本発明に係る複合型によれば、(1)従来の金型又は砂型単独では達成できない凝固速度領域を使用することによって、所望する機械特性の鋳物、所望するミクロ組織の鋳物、所望する収縮巣のない鋳物を得ることができる。例えば、量産ではないアルミニウム砂型鋳物を製造する場合においては、正規の金型鋳物には及ばないが砂型鋳物よりは凝固速度を速くすることができる。また、鉄系金型鋳物を製造する場合においては、正規の金型鋳物よりは凝固速度を遅くすることができる。(2)積層砂型だけで鋳物を製造する場合よりも薄い鋳型を使用することによって、金型材料費を抑えることができ、低コストで積層砂型鋳物を得ることができる。(3)複雑且つ異なる意匠毎の積層砂型を使用することによって、低コストで作製できる鋳造金型の使用や、金型本体が不足している鋳物製品表面の意匠性向上を独立して行うことができるので、低コストで製造し得る鋳物製品を得ることができる。(4)金型のごく一部に積層砂型を配置したり、その積層厚みを変えることで、必要に応じて凝固を遅らせることにより、金型鋳造、低圧鋳造、高圧鋳造、ダイカスト鋳造において、指向性凝固をさせることで、収縮巣の低減を図ることができる。
本発明の一実施形態において、前記砂型は、その厚みをTとし、得られる鋳物重量をW(kg)とした場合、1mm≦T<10W/3+10mmとなるように造形されている。
本発明の他の実施形態において、前記砂型は、前記型表面の少なくとも一部を覆うように張り合わされている。
本発明の更に他の実施形態において、前記金型は、切削法、鍛造法及び鋳造法の少なくとも一つの方法で作製されているとよい。
本発明の更に他の実施形態において、前記金型は、その内部に温度管理用の空洞部を有する。
なお、本発明に係る複合型は、鋳鉄鋳物の凝固速度を7℃/s以下を満足させ、アルミ合金鋳物の凝固速度を1℃/s〜100℃/sを満足させるとよい。
本発明に係る鋳物製造方法は、金属製の金型と、砂積層工法を用いて造形された砂型とを備え、前記砂型を前記金型の空間部を構成する型表面に貼り合わせてなる複合型に、金属溶湯を鋳造して鋳物製品を製造することを特徴とする。本発明に係る鋳物製造方法によれば、上記複合型と同様の作用効果を奏することができる。
本発明によれば、金型又は砂型単独では達成できない凝固速度領域を使用し得ることで、低コストで複雑な形状の鋳物製品を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る複合型を示す断面図である。 同複合型を構成する積層砂型を示す図である。 同複合型を用いた鋳物製造方法の型開時の金型を示す図である。 同製造方法の鋳造時の金型を示す図である。 塗型剤塗布型に鋳込んだ鋳物製品の外観を示す図である。 比較例の金型に鋳込んだ鋳物製品のミクロ組織を示す図である。 同複合型に鋳込んだ鋳物製品のミクロ組織を示す図である。 本発明の実施例及び比較例の鋳物製品の凝固速度を各種実施条件と共に示す図である。 本発明の実施例及び比較例の鋳物製品の凝固速度を各種実施条件と共に示す図である。
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態に係る複合型及びこれを用いた鋳物製造方法を詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る複合型1は、金属製の金型2と、砂積層工法を用いて造形された砂型(積層砂型)3とを備えている。この複合型1は、金型2の金型の空間部4を構成する型表面2aに砂型3を張り合わせてなる。金型2は、切削法、鍛造法及び鋳造法の少なくとも一つの方法により作製されたものである。この金型2には、図示は省略するが、その内部に保温或いは冷却のための媒体通路となり得る温度管理用の空間部が形成されていてもよい。
砂型3は、図2に示すように、例えば3Dプリンター(砂積層)工法により造形されたものである。砂型3は、金型2の型表面2aの少なくとも一部を覆うように金型2に張り合わされている。図1に示す複合型1においては、砂型3は、金型2の空間部を構成する型表面2aの全部を覆うように張り合わされている。
砂型3は、その厚みをTとして、鋳造により得られる鋳物の重量をW(kg)とした場合、1mm≦T<10W/3+10mmとなるように造形される。砂型3の厚みTの最低値を1mm以上としたのは、これ未満であると砂型3の搬送が困難となるからである。また、最大値を10W/3+10mm未満としたのは、10W/3+10mm以上の厚みTとなると、鋳造時の溶湯の凝固速度が低下して複合型1のメリットが生かせなくなるのみならず、砂型3のコストダウンを図ることができないからである。
なお、複合型1は、金型2の材質、砂型3の厚みT等の種々のパラメータを変更することにより、金型又は砂型単独では達成できない凝固速度領域を使用することができるように製作されている。複合型1は、例えば鋳鉄鋳物を鋳造する場合には、その凝固速度を7℃/s以下、より好ましくは4℃/s以下を満足させることができるように製作されている。また、例えばアルミ合金鋳物を鋳造する場合には、その凝固速度を1℃/s〜100℃/sを満足させることができるように製作されている。なお、鋳鉄鋳物としては、ねずみ鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、可鍛鋳鉄による鋳物が挙げられる。
次に、このように構成された複合型1を用いた鋳物製造方法について説明する。図3は型開時の金型を示し、図4は鋳造時の金型を示している。
図3及び図4に示すように、複合型1は、上型10及び下型20を備える。上型10及び下型20共に、金属製の金型2を有し、金型2の内部には、それぞれ保温や冷却のために加熱ガス等の保温媒体又は冷却水等の冷却媒体を通す空洞部11,21が設けられている。また、上型10には、金属溶湯を鋳造キャビティ部(空間部)4内に注湯するための注湯口31が設けられている。
上型10の型表面10aには、その一部を覆うように別途造形された積層砂型3が張り合わされている。また、下型20の型表面20aには、その全部を覆うように別途造形された積層砂型3が張り合わされている。上型10の積層砂型3には、例えば鋳物製品の複雑な形状を実現するためのアンダーカット用の凹み部3aが形成されている。
実際に鋳物製品を製造する際には、このように構成された複合型1を、図3に示す型開状態から図4に示す型閉状態にした後に、注湯口31を介して金属溶湯Aを鋳造キャビティ部4内に所定量注湯して鋳造を行う。このような鋳物製造方法によって、従来の金型や砂型単独では達成できない凝固速度領域を使用することが可能となる。また、従来の砂型のみで鋳造を行うよりも薄い鋳型とすることができる。更に、複雑な形状の積層砂型を使用することが可能となる。これにより、低コストで所望する機械特性の鋳物、所望するミクロ組織の鋳物、所望する収縮巣のない鋳物、及び所望する複雑な形状の鋳物製品を得ることが可能となる。
以下、本発明に係る複合型1を用いた鋳物製造方法の実施例について説明する。
図8及び図9は、本発明の実施例及び比較例の鋳物製品の凝固速度を各種実施条件と共に示す図であり、実施例1〜7及び比較例1〜6を示している。比較例1,4に用いた鋳型は、例えばJIS規格における舟形形状の内容積の積層砂型(金型と同一厚みを有するもの)である。また、比較例2,5,6に用いた鋳型は、同舟形形状の金属製の金型である。更に、比較例3及び実施例1〜7に用いた鋳型は、金型2と積層砂型3からなる複合型1であり、金型2は上記のような舟形形状のものを採用し、内容積は比較例2等の金型と同じで、積層砂型3の厚み分だけ金型2の内寸を大きくして金型2の厚みは同じに作製したものである。
これらの鋳型に、アルミニウム合金(AC4CH:鋳造用アルミ合金)又はダクタイル鋳鉄(FCD450)を溶解して鋳込み、鋳物製品を鋳造した。アルミニウム合金の重量は約550gで、ダクタイル鋳鉄の重量は約1700gであった。なお、アルミニウム合金については、引張試験と内部の健全性の調査を実施した。また、ダクタイル鋳鉄については鋳物外観と金属組織の調査を実施した。更に、アルミニウム合金鋳物については、鋳造後、525℃加熱を8時間行い、水焼き入れを行い、室温にて16時間経過させた後に、140℃加熱を6時間行う処理を行った。
まず、比較例1の積層砂型を用いたアルミニウム合金鋳物の引張特性は、引張強さ170MPa、伸び2%と、その値は200MPa以下及び5%以下となった。この比較例1の鋳物製品は、積層砂型アルミ鋳物であるために収縮巣があり、引張特性は低い結果となった。
一方、比較例2の金型を用いたアルミニウム合金鋳物の引張特性は、引張強さ270MPa、伸び14%となった。この比較例2の鋳物製品は、金型アルミ鋳物であるために収縮巣がなく、引張特性は高い結果となった。従って、比較例1は比較例2の金型を用いた場合と比較して、引張強さと伸び共に低いこととなった。
また、比較例3の金型と積層砂型からなる複合型を用いたアルミニウム合金鋳物の引張特性は、引張強さ200MPa、伸び4%となった。この比較例3の鋳物製品は、複合型アルミ鋳物ではあるが、複合型の積層砂型の厚みが10mmを超えて12mmと厚いために、積層砂型のみに鋳造する場合の凝固区間速度(凝固速度)0.3℃/sと比較して凝固区間速度0.5℃/sは大きく変わらない結果となった。従って、複合型であっても引張特性は比較例1と大きく変わるものではないことが判明した。
これに対して、実施例1〜4においては、次のような結果となった。まず、実施例1の複合型を用いたアルミニウム合金鋳物の引張特性は、引張強さ270MPa、伸び12%となった。次に、実施例2の複合型を用いたアルミニウム合金鋳物の引張特性は、引張強さ264MPa、伸び9%となった。また、実施例3の複合型を用いたアルミニウム合金鋳物の引張特性は、引張強さ220MPa、伸び6%となった。更に、実施例4の複合型を用いたアルミニウム合金鋳物の引張特性は、金型内部に冷却用水管が配置されているために、引張強さ260MPa、伸び8%となった。なお、実施例1〜4の積層砂型の厚みTは、それぞれ2mm、5mm、10mm、10mmとなっている。
これら実施例1〜4においては、複合型の積層砂型の厚みTが厚くなるに従って凝固区間速度が低下している。具体的には、凝固区間速度は、5℃/s〜2℃/sに低下している。これにより、僅かながら収縮巣が発生するため、引張特性は徐々に低下傾向となるが、比較例1,3に対して高い引張特性を示す結果となった。従って、実施例1〜4は、複合型アルミ鋳物であるために、積層砂型よりも冷却速度が速く、引張特性が高い結果となった。これらの引張特性の値は、一般的な金型に鋳造したアルミニウム鋳物に相当する比較例2と同等となる結果となった。
実施例1〜4の結果は、積層砂型と金型とを組み合わせた複合型を用いることで、本来なら砂型で鋳造する必要のある複雑な形状の鋳物製品に対して、一般的な金型に鋳造したアルミニウム鋳物において得られる引張特性を付与することが可能であることを意味する。また、金型と組み合わされる積層砂型の厚みTを薄くすることで、砂型費を削減することにも繋げることができる。
なお、比較例4の鋳物製品は、積層砂型を用いてダクタイル鋳鉄を鋳造したダクタイル鋳鉄鋳物である。この比較例4のダクタイル鋳鉄鋳物は、凝固区間速度(冷却速度)が速くないため金属組織中の黒鉛は球状を呈すものとなった。ゆえに、球状黒鉛組織の発生はよいが、凝固時間が長く量産には最適と言えない結果となった。
一方、比較例5の鋳物製品は、金型を用いてダクタイル鋳鉄を鋳造したダクタイル鋳鉄鋳物である。この比較例5においては、鋳造金型に塗型剤を膜厚1mmと厚くして塗布したため、水分が完全に乾燥できてはいなかった。従って、ダクタイル鋳鉄鋳物の鋳物外観は、図5に示すように、鋳肌5には大きな凹み(クボミ)5aが多数認められる結果となった。
また、ダクタイル鋳鉄鋳物の内部組織は、図6に示すように、金型による急速冷却によって球状黒鉛組織も認められるがチル組織が多く観察される。比較例6の鋳物製品は、比較例5と同様にダクタイル鋳鉄鋳物であるが、鋳造金型に塗型剤を膜厚0.2mmと薄くして塗布した上で鋳造を行った点が相違している。この比較例6のダクタイル鋳鉄鋳物の鋳物外観には、比較例5のような凹みは認められなかったが、内部組織においては、比較例5よりも塗型剤が薄かったことによる急速冷却によって球状黒鉛組織が上手く成長しなかったため、同じくチル組織を呈している。
これに対して実施例5〜7においては、積層砂型の厚みTはそれぞれ2mm、5mm、10mmであるが、この厚みTが厚くなるに従い凝固区間速度(冷却速度)は1.4℃/s、1℃/s、0.6℃/sと低下する結果となった。なお、最も凝固区間速度が速い積層砂型の厚みTが2mmである実施例5の場合であっても、内部組織においては、図7に示すように、組織中の黒鉛は球状を呈する結果となった。
このことは、金型鋳造と同様の鋳造方法でありながら、その凝固区間速度(冷却速度)を抑制することが可能であり、金型鋳造によってダクタイル鋳鉄の鋳物を製造することが可能であることを示している。なお、チル組織の発生を抑制するためには、鋳鉄の冷却速度は7℃/s以下を満足させることが必要であるが、合金成分によってはチル組織発生のトリガとなる臨界冷却速度が小さくなってチル化し易い状態になることがある。そのような場合は、対応策として、例えば積層砂型の厚みTを厚くして徐冷を行い、冷却速度を4℃/s以下を満足させるようにすることで、チル化を抑えることなどが挙げられる。
また、アルミニウム合金鋳物においては、例えば砂型鋳物中に含まれる収縮巣は、引張特性としての引張強さ、伸びの低下をもたらすことが知られているので、アルミニウム合金の冷却速度としては、1℃/s以上、好ましくは3℃以上であることが望ましい。また、冷却速度が100℃/s以上となると、複合型として積層砂型を用いる限りにおいては、積層砂型の厚みTを1mm未満と薄くする以外には現実的に方法はないが、そのような砂積層体を作製するのは非常に困難であることが想定される。このため、アルミニウム合金鋳物を製造する場合は、その凝固速度を1℃/s〜100℃/sを満足させるようにすればよい。
このように、上記比較例1〜7及び実施例1〜6からも明らかなように、本発明に係る複合型及びこれを用いた鋳物製造方法によれば、従来の金型又は砂型単独では達成できない凝固速度領域を使用し得て、低コストで複雑な形状の鋳物製品を得ることが可能となる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 複合型
2 金型
3 砂型(積層砂型)
4 空間部(鋳造キャビティ部)
5 鋳肌
5a 凹み
10 上型
11 空洞部
20 下型
21 空洞部
31 注湯口

Claims (14)

  1. 金属製の金型と、
    砂積層工法を用いて造形された砂型と
    を備え、
    前記砂型を前記金型の空間部を構成する型表面に貼り合わせてなる
    ことを特徴とする複合型。
  2. 前記砂型は、その厚みをTとし、得られる鋳物重量をW(kg)とした場合、1mm≦T<10W/3+10mmとなるように造形されている
    ことを特徴とする請求項1記載の複合型。
  3. 前記砂型は、前記型表面の少なくとも一部を覆うように張り合わされている
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の複合型。
  4. 前記金型は、切削法、鍛造法及び鋳造法の少なくとも一つの方法で作製されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の複合型。
  5. 前記金型は、その内部に温度管理用の空洞部を有する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の複合型。
  6. 鋳鉄鋳物の凝固速度が7℃/s以下である請求項1〜5のいずれか1項記載の複合型。
  7. アルミ合金鋳物の凝固速度が1℃/s〜100℃/sである請求項1〜5のいずれか1項記載の複合型。
  8. 金属製の金型と、砂積層工法を用いて造形された砂型とを備え、前記砂型を前記金型の空間部を構成する型表面に貼り合わせてなる複合型に、金属溶湯を鋳造して鋳物製品を製造することを特徴とする鋳物製造方法。
  9. 前記砂型は、その厚みをTとし、前記鋳物製品の重量をW(kg)とした場合、1mm≦T<10W/3+10mmとなるように造形されている
    ことを特徴とする請求項8記載の鋳物製造方法。
  10. 前記砂型は、前記型表面の少なくとも一部を覆うように張り合わされている
    ことを特徴とする請求項8又は9記載の鋳物製造方法。
  11. 前記金型は、切削法、鍛造法及び鋳造法の少なくとも一つの方法で作製されている
    ことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項記載の鋳物製造方法。
  12. 前記金型は、その内部に温度管理用の空洞部を有する
    ことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項記載の鋳物製造方法。
  13. 鋳鉄鋳物の凝固速度が7℃/s以下である請求項8〜12のいずれか1項記載の鋳物製造方法。
  14. アルミ合金鋳物の凝固速度が1℃/s〜100℃/sである請求項8〜12のいずれか1項記載の鋳物製造方法。
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