JP2019025471A - 多重効用造水装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 造水効率を向上させた多重効用造水装置を提供する。【解決手段】 被処理液を加熱して蒸気を生成する加熱器10と、加熱器10で生成された蒸気を凝縮する凝縮器50とを備え、加熱器10は、容器本体11の内部が仕切板14により仕切られて複数の加熱室20,30が形成された多重効用造水装置1であって、各加熱室20,30は、それぞれ複数の伝熱管21,31を備え、伝熱管21,31の内部に導入した被処理液を、伝熱管21,31の外部に導入した加熱用流体により加熱するように構成されており、前段の加熱室20に温水を加熱用流体として導入することにより生成された被処理液の蒸気を、後段の加熱室30に加熱用流体として導入する。【選択図】 図1

Description

本発明は、多重効用造水装置に関する。
多重効用造水装置としては陸上用や船舶用が知られているが、船舶用の多重効用造水装置においては、船舶に搭載されたボイラーの蒸気やディーゼル機関の冷却水等を熱源として海水を蒸発させることにより、淡水を製造することが従来から行われている。従来の多重効用造水装置として、例えば、特許文献1に開示された構成が知られている。
図13に示すように、この多重効用造水装置100は、密閉缶101の内部が仕切板102によって仕切られて、第1蒸発室103と第2蒸発室104とが形成されており、第1蒸発室103および第2蒸発室104の下部に、多数の伝熱管105a,106aを有する加熱器105,106が、それぞれ設けられている。
熱源として供給される蒸気は、第1蒸発室103の加熱器105が備える伝熱管105aの内部を通過し、第1蒸発室103に供給される海水を加熱して蒸発させる。第1蒸発室103で発生した蒸気は、第1蒸発室103の上部に配置されたデミスタ107を通過した後、ダクト108を介して第2蒸発室104の加熱器106に供給され、加熱器106の伝熱管106aの内部を通過することにより、第2蒸発室104に供給される海水を加熱して蒸発させる。第2蒸発室104で発生した蒸気は、第2蒸発室104の上部に配置されたデミスタ109を通過して、凝縮器110に導入される。
凝縮器110は、多数の伝熱管が、仕切板111によって、凝縮用伝熱管112の群と加熱用伝熱管113の群とに分けられている。第2蒸発室104で発生した蒸気は、凝縮用伝熱管112の内部を通過する海水によって冷却されて凝縮水となり、底部の排出口114から排出される。凝縮用伝熱管112の内部を通過して加熱された海水の一部は、加熱用伝熱管113の内部に供給されて、第1蒸発室103で発生した蒸気により加熱された後、海水供給口115から第1蒸発室103に導入されて、上記のように加熱器105により加熱される。
特開平6−254534号公報
最近では、ディーゼル主機関の小型化および高効率化により、ジャケット冷却水の廃熱量が減少傾向である一方、船上での水需要は、排ガス規制対策を強化するために増加傾向にあるため、高効率の造水装置が求められている。
ところが、上記従来の多重効用造水装置100は、多重効用式である点で高効率化が図られているものの、第1の蒸発室103に供給される熱源としての蒸気が加熱器105の伝熱管105aの内部に導入される構成であるため、必要な造水量を確保するために装置が大型化して、船内での設置が困難になり易いという問題があった。
そこで、本発明は、造水効率を向上させた多重効用造水装置の提供を目的とする。
本発明の前記目的は、被処理液を加熱して蒸気を生成する加熱器と、前記加熱器で生成された蒸気を凝縮する凝縮器とを備え、前記加熱器は、容器本体の内部が仕切板により仕切られて複数の加熱室が形成された多重効用造水装置であって、前記各加熱室は、それぞれ複数の伝熱管を備え、前記伝熱管の内部に導入した被処理液を、前記伝熱管の外部に導入した加熱用流体により加熱するように構成されており、前段の前記加熱室には、温水を加熱用流体として導入し、後段の前記加熱室には、温水での加熱により前段の前記加熱室で生成された被処理液の蒸気を、加熱用流体として導入する(すなわち、前段の前記加熱室に温水を加熱用流体として導入することにより生成された被処理液の蒸気を、後段の前記加熱室に加熱用流体として導入する)多重効用造水装置により達成される。
この多重効用造水装置において、前記加熱器は、前記容器本体の開口部を密閉する閉塞板を備え、複数の前記伝熱管が、前記閉塞板を貫通するように配置されていることが好ましく、前記閉塞板は、前記仕切板の端面に、ガスケットを介して連結具により着脱可能に固定されていることが好ましい。この構成においては、前記加熱器に前記閉塞板を介して連結され前記凝縮器を支持する筐体を更に備えることができる。前記筐体は、内部が隔壁により分割されて、前記各加熱室に対応する複数の気液分離室が形成されていることが好ましく、前記隔壁は、端面がガスケットを介して前記連結具を覆うように配置されていることが好ましい。
前記仕切板を挟んで後段側の前記加熱室に配置され、前記仕切板を内部から補強する補強部材を備えてもよい。前記補強部材は、後段側の前記加熱室における加熱用流体の流れを分断するように配置することが好ましい。
前記容器本体の外周面に設けられた滞留部を更に備えることができる。前記滞留部は、内部空間が前記容器本体の側壁に形成された連通部を介して後段側の前記加熱室に連通しており、前記滞留部に導入される加熱用流体が、前記容器本体の外周面に衝突するように構成されていることが好ましい。
後段の前記加熱室に形成される加熱用流体の流路は、上流側から下流側に向けて徐々に狭くなるように構成されていることが好ましい。
本発明によれば、造水効率を向上させた多重効用造水装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る多重効用造水装置の縦断面図である。 図1に示す多重効用造水装置の要部を示す平面図である。 図1に示す多重効用造水装置の他の要部を示す拡大断面図である。 図1に示す多重効用造水装置の更に他の要部を示す平面図である。 図1に示す多重効用造水装置の更に他の要部を示す側面図である。 本発明の他の実施形態に係る多重効用造水装置の要部平面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る造水装置の縦断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る造水装置の縦断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る造水装置の要部を示す縦断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る造水装置の要部を示す縦断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る造水装置の要部を示す縦断面図である。 本発明の更に他の実施形態に係る造水装置の要部を示す縦断面図である。 従来の造水装置の縦断面図である。
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る多重効用造水装置の縦断面図である。本実施形態の多重効用造水装置1は、2重効用型であり、被処理液を加熱して蒸気を生成する加熱器10と、加熱器10の上部に設けられた筐体40と、筐体40の内部中央を貫通するように支持された凝縮器50とを備えている。
加熱器10は、円筒状の容器本体11の下部開口および上部開口が、それぞれ底板12および閉塞板13によって覆われることにより、内部に密閉空間が形成されている。容器本体11の内部は、上下に延びる仕切板14によって仕切られて、第1の加熱室20と、第2の加熱室30とが形成されている。
底板12および閉塞板13には、複数の孔部がそれぞれ形成されており、これらの孔部を貫通するように上下に延びる複数の伝熱管21,31が、第1の加熱室20および第2の加熱室30内にそれぞれ配置されている。
底板12の下面側には、海水導入部15が連結されている。海水導入部15は、トレー状に形成されており、内部が分割板15aにより分割されて、第1の導入室15bおよび第2の導入室15cが形成されている。第1の導入室15bおよび第2の導入室15cは、伝熱管21,31の下端部とそれぞれ連通しており、導入口15d,15eから導入された海水等の被処理液が、伝熱管21,31の内部を上昇する。
第1の加熱室20および第2の加熱室30の側壁には、供給口23,33および排出口24,34がそれぞれ形成されている。供給口23,33から供給された加熱用流体は、伝熱管21,31の外部を通過して排出口24,34から排出される。第1の加熱室20および第2の加熱室30の内部には、加熱用流体の流路を蛇行させる邪魔板25,35がそれぞれ設けられている。邪魔板25,35は、伝熱管21,31に外嵌された筒状のスペーサ(図示せず)によって、所定の高さ位置に保持されている。
筐体40は、加熱器10の径よりも大径の筒状の部材であり、下部に開口41が形成されて、上部42が蓋板により覆われている。開口41の周縁部は、閉塞板13の周縁部に連結されており、筐体40が密閉されている。
筐体40の内部は、下部隔壁43および上部隔壁44からなる隔壁により仕切られて、第1の気水分離室60および第2の気水分離室70が形成されている。第1の気水分離室60および第2の気水分離室70は、伝熱管21,31の直上に設けられた気水分離板61,71と、気水分離板61,71の上方に配置されたデミスタ62,72とを備えている。デミスタ62,72は、網板を積層した公知の部材であり、凝縮器50に取り付けられた支持部材63,73により、下面側が支持されている。
第1の気水分離室60および第2の気水分離室70の上部には、生成された蒸気が排出される蒸気排出口64,74が、それぞれ形成されている。また、第1の気水分離室60および第2の気水分離室70の下部には、蒸気から分離された液体が排出される排水口65,75が、それぞれ形成されている。
凝縮器50は、水平に延びるように配置されて内部が上部隔壁44により仕切られたステンレス等の耐食性材料からなる樋状の受け部材51と、受け部材51に沿うように上部隔壁44の両側に収容された複数の伝熱管52とを備えており、上部隔壁44の第1の気水分離室60側に配置された伝熱管52からなる予熱器55を内蔵している。伝熱管52の両端部には、筐体40から外方に突出した位置にヘッダ(図示せず)が設けられている。凝縮器50に導入された海水等の被処理液は、一部が予熱器55を経て導入口15dから第1の導入室15bに導入される一方、残部は排水として排出される。
上記の構成を備える造水装置1は、凝縮器50に供給された被処理液としての海水が、第2の気水分離室70の蒸気を凝縮した後、一部が予熱器55で予熱されて第1の導入室15bに導入され、第1の加熱室20に配置された伝熱管21の内部を通過する。
第1の加熱室20には、例えば、船舶に搭載されたディーゼル主機関のジャケット冷却水のように現場で使用可能な温水が、加熱用流体として供給口23から供給され、邪魔板25によって形成された流路を経て排出口24から排出される。これにより、伝熱管21を通過する海水が加熱されて伝熱管21内で蒸発し、第1の気水分離室60に導入される。
第1の気水分離室60に導入された蒸気は、混入する液滴が気水分離板61およびデミスタ62によって分離された後、一部の蒸気が予熱器55の伝熱管52を通過する海水によって凝縮され、淡水として回収される。第1の気水分離室60で蒸気から分離された海水は、排水口65から排出されて第2の導入室15cに導入され、第2の加熱室30に配置された伝熱管31の内部を通過する。
第1の気水分離室60における残部の蒸気は、排出口64から排出されて、第2の加熱室30の供給口33に加熱用流体として供給された後、邪魔板35により形成された流路を経て排出口34から排出され、淡水として回収される。これにより、伝熱管31を通過する海水が加熱されて伝熱管31内で蒸発し、第2の気水分離室70に導入される。
第2の気水分離室70に導入された蒸気は、混入する液滴が気水分離板71およびデミスタ72によって分離された後、一部の蒸気が凝縮器50において伝熱管52を通過する海水によって凝縮され、淡水として回収される。第2の気水分離室70で蒸気から分離された海水は、排水口75から排出されてブラインとして回収される。第2の気水分離室70における残部の蒸気は、排出口74に接続されたエジェクタ(図示せず)等により抽気される。
本実施形態の多重効用造水装置1は、第1の加熱室20および第2の加熱室30がそれぞれ備える伝熱管21,31の内部に海水等の被処理液を導入して管内蒸発させると共に、第1の加熱室20には、加熱用流体として温水を導入することにより低温の廃熱を利用して凝縮水を生成することができるので、多重効用造水装置1の小型化および高効率化を図ることができる。
本実施形態の多重効用造水装置1は、第1の加熱室20の加熱用流体が温水であるのに対し、第2の加熱室30の加熱用流体が蒸気であるため、例えば、第1の加熱室20の内圧が0.5MPaであるのに対し、第2の加熱室20の内圧が−0.1MPaとなり、仕切板14の両側における圧力差が大きくなる。このような状況で、閉塞板13を容器本体11に着脱可能に設ける場合、仕切板14が蒸気の内圧差によって湾曲することで閉塞板13と仕切板14との間に隙間が生じ、この隙間を介して第1の加熱室20から第2の加熱室30に海水が浸入して、第2の加熱室30に導入された蒸気の純度を低下させるおそれがある。
そこで、本実施形態においては、図2に示すように、容器本体11に一体的に形成された仕切板14の上端面に、複数のボルト孔14aを等間隔に形成し、容器本体11の周縁フランジ部に多数形成されたボルト孔11aと共に、仕切板14のボルト孔14aを閉塞板13との連結に使用することで、上記の問題を解消している。すなわち、図3に示すように、閉塞板13および仕切板14にボルト孔13a,14aをそれぞれ形成し、ボルト等の連結具16により、閉塞板13を、ガスケット14bを介して容器本体11および仕切板14の上端面に固定している。このように、閉塞板13と仕切板14との間を連結具16により着脱可能に連結することで、メンテナンス性を良好に維持しつつ、仕切板14の変形によって隙間が生じるのを確実に防止することができる。なお、底板12と仕切板14の下端面との間は、溶接等により一体的に固定してもよく、あるいは、上述した閉塞板13および仕切板14の連結構造と同様に、着脱可能に連結してもよい。
図1に示すように、筐体40の内部に設けられた下部隔壁43は、凝縮器50の受け部材51の下面から垂下するように設けられており、下部隔壁43の下端面は閉塞板13の上面に当接している。図3に示すように、筐体40および下部隔壁43と閉塞板13との間にはガスケット43aが介在されており、閉塞板13のボルト孔13aに挿入された連結具16が、下部隔壁43の下端面により覆われている。閉塞板13の上面からの連結具16の突出を防止するため、連結具16は、低頭ボルトであることが好ましい。この構成により、連結具16による閉塞板13と仕切板14との連結状態を、より確実に維持することができる。
図4は、筐体40の平面図であり、蓋板42を取り外した状態を示している。また、図5は、受け部材51に取り付けられた支持部材63の側面図である。図4および図5に示すように、筐体40は、水平に延びる受け部材51の一方側壁に、第1の気水分離室60に向けて水平に突出する複数のブラケット64が溶接等により固定されている。複数のブラケット64には、帯状の支持部材63の両端部が、それぞれブラケット64にネジ64aで取り付けられている。支持部材63は、幅方向が鉛直方向となる向きで固定されている。デミスタ62は、筐体40の内壁面と受け部材51の側壁との間の空間全体を占める形状および大きさとされており、平面視で曲線状となる支持部材63の幅方向縁部に搭載される。
受け部材51の他方側壁には、第2の気水分離室70に向けて水平に突出する複数のブラケット74が溶接等により固定されており、上記の支持部材63と同様に、U字状に湾曲させた帯状の支持部材73の両端部が、それぞれブラケット74に取り付けられている。
このように、凝縮器50に取り付けられた支持部材63,73のみによって、デミスタ62,72の全体を支持可能に構成することで、筐体40の内壁面にはデミスタ62,72の支持部材が不要になる。したがって、デミスタ62,72支持用の突起物が筐体40の内壁面に存在しなくなるため、組立時の作業効率を向上させることができる。筐体40は、SS400等の安価な材料を用いて形成し、内壁面に耐食塗装を容易に施すことが可能であり、低コスト化および耐久性の両立を図ることができる。
また、支持部材63,73が凝縮器50に取り付けられることで、デミスタ62,72の中央側での落ち込みが生じ難くなり、デミスタ62,72を支持部材63,73により確実に支持することができる。更に、デミスタ62,72が帯状の支持部材63,73の縁部により線状に支持されることで、蒸気の通過領域を確保しつつ、デミスタ62,72の安定した支持が可能である。本実施形態のデミスタ62,72の支持構造は、筐体40が小型化されてデミスタ62,72の設置スペースが狭い場合に、特に有効である。
支持部材63,73の形状は、デミスタ62,72の全体を確実に支持する観点から本実施形態のようにU字状であることが好ましいが、多角形状や波状等の種々の形状に屈曲または湾曲させた形状にすることができる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、本実施形態においては、閉塞板13を、仕切板14の端面にガスケット14bを介して連結具16により着脱可能に固定することで、仕切板14を補強しているが、図6に示すように、容器本体11の第1の加熱室20に対して低圧側となる第2の加熱室30に、補強部材17を配置してもよい。
補強部材17は、容器本体11の内壁面と仕切板14の側面との間に介在されるブロック状の部材であり、複数が上下方向に隙間をあけて配置されている。この構成によっても、仕切板14が第2の加熱室30側に膨らむのを抑制して、第2の加熱室30に海水が浸入するのを防止することができる。このような補強部材17による補強構造は、上述した連結具16による閉塞板13および仕切板14の連結構造と組み合わせることも可能である。
また、本実施形態においては、容器本体11の仕切板14を鉛直方向に沿って設けることで、容器本体11の内部を左右に分割しているが、仕切板14を水平に設けて容器本体11の内部を上下に分割することにより、第1の加熱室20および第2の加熱室30を形成してもよい。
また、本実施形態においては、凝縮器50が内蔵する予熱器55が、第1の気水分離室60に配置された構成としているが、図7に示すように、予熱器55が、第2の気水分離室70に配置された構成であってもよく、凝縮器50に供給された被処理液は、第2の気水分離室70の蒸気を凝縮した後、一部が予熱器55で予熱されて第1の導入室15bに導入され、残部が排水として排出される。あるいは、図8に示すように、予熱器55が、第1の気水分離室60に配置された第1の予熱器55aと、第2の気水分離室70に配置された第2の予熱器55bとを備える構成であってもよく、凝縮器50に供給された被処理液は、第2の気水分離室70の蒸気を凝縮した後、一部が第2の予熱器55bおよび第1の予熱器55aにおいて予熱されて第1の導入室15bに導入され、残部が排水として排出される。
また、本実施形態の多重効用造水装置1は、2重効用型としているが、容器本体11を複数の仕切板で仕切ることで3つ以上の加熱室を形成し、前段の加熱室で生成された蒸気を後段の加熱室の加熱用流体として利用することにより、3重以上の効用型とすることもできる。
容器本体11と閉塞板13との連結は、本実施形態においては、図2に示すように、容器本体11の周縁フランジ部に多数形成されたボルト孔11aに、ガスケットを介してボルト等の連結具を挿通することにより行っているが、図9に示すように、容器本体11の筒状端部の外面全周に隅肉溶接による溶接部W1を形成することによって、容器本体11と閉塞板13とを連結することも可能である。容器本体11と底板12との連結も、容器本体11の筒状端部の外周に溶接部W2を形成して行うことができる。この場合において、底板12および閉塞板13と仕切板14との連結は、本実施形態と同様に、ガスケットを介して連結具により行うことが可能である。あるいは、図10(a)に示すように、仕切板14の厚み方向両側に溶接部W3,W4を形成することによって、閉塞板13(または底板12)と仕切板14とを連結することが可能である。また、図10(b)に示すように、閉塞板13(または底板12)に貫通孔13bを形成し、この貫通孔13bに溶接部W5を形成することで、閉塞板13(または底板12)と仕切板14とを連結することが可能である。閉塞板13に形成される貫通孔13bは、下部隔壁43と閉塞板13との間に介在されるガスケット43aにより閉塞される位置に形成されることが好ましい。
第2加熱室30の供給口33には、主として蒸気からなる加熱用流体が高速で導入されることから、供給口33と第2加熱室30との間に、導入された加熱用流体が衝突する衝突板を備える滞留部を介在させることにより、伝熱管31における熱交換効率を向上させることができる。但し、この構成は、供給口33が加熱器10から外方に大きく飛び出すことにより、多重効用造水装置1が大型化するおそれがある。そこで、図11に示すように、容器本体11の外周面に溶接等により固定された滞留部18を設け、滞留部18の内部空間が、容器本体11の側壁に形成された連通部18aを介して第2の加熱室30に連通すると共に、供給口33から滞留部18に加熱用流体を導入する際に、加熱用流体が容器本体11の外周面に衝突するように構成することが好ましい。この構成によれば、容器本体11の外周面が上記の衝突板の役割を果たすため、滞留部18内に衝突板を新たに設ける必要がなく、多重効用造水装置1の構成をコンパクトに維持することができる。容器本体11の外周面における加熱用流体の衝突箇所は、特に限定されないが、連通部18aの下方であることが好ましい。
図11は、図9に示す加熱器10の変形例を、図9のA−A断面に沿って示す断面図である。供給口33から第2加熱室30に導入された加熱用流体は、上下に配置された邪魔板35,35によって蛇行しながら仕切板14に沿って流れ、排出口34から排出される。閉塞板13と上方の邪魔板35との間隔S1、上下の邪魔板35,35の間隔S2、および下方の邪魔板35と底板12との間隔S3は、S1>S2>S3であることが好ましい。第2加熱室30における邪魔板35の数や配置は特に限定されないが、供給口33から導入される加熱用流体は、第2加熱室30の内部において徐々に凝縮されるため、図11に示す構成と同様に、閉塞板13、複数の邪魔板35および底板12によって第2加熱室30内に形成される加熱用流体の流路を、上流側から下流側に向けて徐々に狭くなるように構成することで、伝熱管31の全体を効率良く加熱することができる。
第2加熱室30に設ける邪魔板は、図6に示す補強部材17と兼用することもできる。すなわち、図12に示すように、補強部材17と閉塞板13および底板12との間に、それぞれ隙間17a,17bを形成することで、加熱用流体の流れを補強部材17の上下に分断することができる。このように、補強部材17を邪魔板として機能させることで、新たに邪魔板を設ける必要がなく、組立工数を低減することができる。補強部材17による加熱用流体の流れの分断は、補強部材17の左右に隙間を形成して行うことも可能であり、あるいは、補強部材17に複数の開口や切り欠きを形成して行うことも可能である。
1 多重効用造水装置
10 加熱器
11 容器本体
13 閉塞板
14 仕切板
17 補強部材
20 第1の加熱室
21 伝熱管
30 第2の加熱室
31 伝熱管
40 筐体
43 下部隔壁
44 上部隔壁
50 凝縮器
51 受け部材
52 伝熱管
60 第1の気水分離室
61 気水分離板
62 デミスタ
63 支持部材
70 第2の気水分離室
71 気水分離板
72 デミスタ
73 支持部材

Claims (7)

  1. 被処理液を加熱して蒸気を生成する加熱器と、前記加熱器で生成された蒸気を凝縮する凝縮器とを備え、
    前記加熱器は、容器本体の内部が仕切板により仕切られて複数の加熱室が形成された多重効用造水装置であって、
    前記各加熱室は、それぞれ複数の伝熱管を備え、前記伝熱管の内部に導入した被処理液を、前記伝熱管の外部に導入した加熱用流体により加熱するように構成されており、
    前段の前記加熱室には、温水を加熱用流体として導入し、
    後段の前記加熱室には、温水での加熱により前段の前記加熱室で生成された被処理液の蒸気を、加熱用流体として導入する多重効用造水装置。
  2. 前記加熱器は、前記容器本体の開口部を密閉する閉塞板を備え、複数の前記伝熱管が、前記閉塞板を貫通するように配置されており、
    前記閉塞板は、前記仕切板の端面に、ガスケットを介して連結具により着脱可能に固定されている請求項1に記載の多重効用造水装置。
  3. 前記加熱器に前記閉塞板を介して連結され、前記凝縮器を支持する筐体を更に備え、
    前記筐体は、内部が隔壁により分割されて、前記各加熱室に対応する複数の気液分離室が形成されており、
    前記隔壁は、端面がガスケットを介して前記連結具を覆うように配置されている請求項2に記載の多重効用造水装置。
  4. 前記仕切板を挟んで後段側の前記加熱室に配置され、前記仕切板を内部から補強する補強部材を備える請求項1から3のいずれかに記載の多重効用造水装置。
  5. 前記補強部材は、後段側の前記加熱室における加熱用流体の流れを分断するように配置されている請求項4に記載の多重効用造水装置。
  6. 前記容器本体の外周面に設けられた滞留部を更に備え、
    前記滞留部は、内部が前記容器本体の側壁に形成された連通部を介して後段側の前記加熱室に連通しており、
    前記滞留部に導入される加熱用流体が、前記容器本体の外周面に衝突するように構成されている請求項1から5のいずれかに記載の多重効用造水装置。
  7. 後段の前記加熱室に形成される加熱用流体の流路が、上流側から下流側に向けて徐々に狭くなるように構成されている請求項1から6のいずれかに記載の多重効用造水装置。
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