JP2019017802A - 移動型x線撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ワイヤの断線前にワイヤの状態を適切に検出し、消費電力を抑えることができる移動型X線撮影装置を提供することを目的とする。【解決手段】操作ハンドルの把持によって出力された操作信号によって支持アームの昇降移動の動作が可能になっている間のみドライバ21は、制御回路22を介して検知コイル18の励振コイルへの電力供給を行う。検知コイル18の差動コイルはワイヤ15の傷みを検出するので、ワイヤ15の断線前にワイヤ15の状態を適切に検出することができる。一方で、操作ハンドルを把持して支持アームの昇降移動の動作が可能になっている間のみ検知コイル18の励振コイルへの電力供給を行うので、消費電力を抑えることができる。【選択図】図3
Description
本発明は、移動型X線撮影装置に係り、特に、X線管を支持する支持アームを上下に昇降移動させる技術に関する。
従来、回診用の移動型X線撮影装置以外の据え付け型の天井走行式のX線撮影装置においても、ワイヤによってX線管は吊り掛け支持されている。このワイヤを駆動させることによってX線管を上下に昇降移動させる(例えば、特許文献1参照)。天井走行式のX線撮影装置では、X線管を支持する伸縮可能な支柱内にワイヤを通している。
安全性を考慮して、複数本のワイヤを装備している。これらのワイヤの断線を検出するセンサを備えている。ワイヤの断線をセンサが検出すると、吊り掛け支持されたX線管の昇降移動をブレーキ機構がロックする。センサとしては、例えば断線によるワイヤの張力が消失して非接触状態となることを検出するマイクロスイッチなどが用いられる。以上のように、天井走行式のX線撮影装置では、ワイヤの断線をセンサが検出した後に、吊り掛け支持された構造物の昇降移動をブレーキ機構がロックする技術が知られている。
しかしながら、従来の場合にはワイヤが断線しているか否かを0/1で検出している。安全性をさらに向上させるために、ワイヤの断線前に検出してワイヤを交換するなどが望まれる。さらに、据え付け型の天井走行式のX線撮影装置と相違して、回診用の移動型X線撮影装置ではバッテリ駆動するので、できる限り消費電力を抑えたいという要望がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ワイヤの断線前にワイヤの状態を適切に検出し、消費電力を抑えることができる移動型X線撮影装置を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る移動型X線撮影装置は、移動型X線撮影装置であって、X線管と、台車と、当該台車に設けられた支柱と、前記X線管を支持し、当該支柱に沿って上下に昇降移動する支持アームと、前記支柱に設けられ、前記支持アームを吊り掛け支持するワイヤと、前記支持アームの昇降移動をロックするように作動するブレーキ機構と、当該ブレーキ機構によるロックを解除して、前記支持アームの昇降移動の動作を可能にする操作信号を操作により入力する信号入力手段と、前記ワイヤの傷みを検出するワイヤ傷み検出手段と、前記信号入力手段による前記操作信号によって前記支持アームの昇降移動の動作が可能になっている間のみ前記ワイヤ傷み検出手段への電力供給を行う電力供給制御手段とを備えるものである。
すなわち、本発明に係る移動型X線撮影装置は、移動型X線撮影装置であって、X線管と、台車と、当該台車に設けられた支柱と、前記X線管を支持し、当該支柱に沿って上下に昇降移動する支持アームと、前記支柱に設けられ、前記支持アームを吊り掛け支持するワイヤと、前記支持アームの昇降移動をロックするように作動するブレーキ機構と、当該ブレーキ機構によるロックを解除して、前記支持アームの昇降移動の動作を可能にする操作信号を操作により入力する信号入力手段と、前記ワイヤの傷みを検出するワイヤ傷み検出手段と、前記信号入力手段による前記操作信号によって前記支持アームの昇降移動の動作が可能になっている間のみ前記ワイヤ傷み検出手段への電力供給を行う電力供給制御手段とを備えるものである。
[作用・効果]本発明に係る移動型X線撮影装置によれば、X線管を支持する支持アームをワイヤが吊り掛け支持する。このワイヤを駆動させることにより、支柱に沿って支持アームを上下に昇降移動させ、支持アームに支持されたX線管をも昇降移動させる。ブレーキ機構は、支持アームの昇降移動をロックすることによって、X線管の昇降移動をもロックする。ブレーキ機構によるロックを解除するには、信号入力手段を用いて、支持アームの昇降移動の動作を可能にする操作信号を操作により入力する。そして、信号入力手段による操作信号によって支持アームの昇降移動の動作が可能になっている間のみ電力供給制御手段は(ワイヤの傷みを検出する)ワイヤ傷み検出手段への電力供給を行う。
従来のようなワイヤの断線の有無を検出する構造と相違して、本発明ではワイヤの傷みを検出するので、ワイヤの断線前にワイヤの状態を適切に検出することができる。一方で、信号入力手段による操作信号によって支持アームの昇降移動の動作が可能になっている間のみワイヤ傷み検出手段への電力供給を行うので、消費電力を抑えることができる。その結果、ワイヤの断線前にワイヤの状態を適切に検出し、消費電力を抑えることができる。
ここで、本明細書での「ワイヤの傷み」とは、ワイヤの擦れ,局所的磨耗,ワイヤを編み込んで構成する素線の断線,腐食,亀裂,折れ等により生じる(ワイヤ内部で傷等が生じた場合の空隙に起因するものを含む)断面積の変化,ワイヤの錆,溶接焼け,不純物の混入,組成変化等により生じるワイヤの磁性率の変化,その他ワイヤが不均一となる部分を含む広い概念である。
また、本明細書での「ワイヤ傷み検出手段への電力供給」とは、ワイヤ傷み検出手段へ電力を直接的に供給するのみでなく、例えばワイヤ傷み検出手段を有効(アクティブ)にすることも含む。
ワイヤ傷み検出手段の一例は、円筒形あるいは角筒形に導線が巻回されてそれぞれ構成された励振コイルおよび差動コイルからなる検知コイルであって、当該励振コイルは、ワイヤの磁化の状態を励振するように構成され、当該差動コイルは、互いに巻回される導線の方向が対称である2つのコイルで構成されている。励振コイルおよび差動コイルの中心軸に鉄心としてワイヤを挿入するように配置する。あるいは、励振コイルおよび差動コイルをワイヤに沿うように配置する。差動コイルから出力された検出信号のレベルに応じてワイヤの傷み度合いを検出する。ワイヤは磁性体で形成されているので、有限の長さを有した磁性体であれば差動コイルから生じる電圧の差(検出信号のレベル)が、励振コイルによって励振した磁性体の位置に応じて変化する。しかるにワイヤが長尺状であるので、ワイヤに傷みが生じなければ、差動コイルから生じる電圧の差(検出信号のレベル)は、励振コイルによって励振したワイヤの位置に関わらず“0”の状態で変化しない。ワイヤに傷みが生じた場合、支持アームおよびX線管の昇降移動によってワイヤの傷み箇所が差動コイルに位置すると、差動コイルから生じる電圧の差(検出信号のレベル)がワイヤの傷みによって生じる。その結果、差動コイルから出力された検出信号のレベルに応じてワイヤの傷み度合いを適切に検出することができる。
もちろん、ワイヤ傷み検出手段は上述した差動コイルからなる検知コイルに限定されない。差動コイル以外の通常のコイルであってもよいし、静電容量センサであってもよいし、その他の距離センサであってもよいし、カメラなどの撮像素子であってもよい。「ワイヤの傷み」が素線の断線等による断面積の変化の場合には、センサとワイヤの表面との距離を検出する静電容量センサなどの距離センサが有用である。また、撮像素子によってワイヤを写し込んだ画像を取得し、画像中のワイヤの断面積の寸法(画素寸法)を求める手法が有用である。ただし、上述したように「ワイヤの傷み」はワイヤの磁性率の変化等も含んでいるので、ワイヤ傷み検出手段として差動コイルからなる検知コイルは有用である。
また、差動コイルにおける2つのコイルのうち、一方のコイルの中を通過するワイヤの断面積・磁性率と、他方のコイルの中を通過するワイヤの断面積・磁性率との間に差がない場合には、各々のコイルから出力される電圧値は同じとなる。したがって、ワイヤの断面積・磁性率に変化がなくワイヤの傷みがない場合には、差動コイルから出力される電力値は“0”となる。逆に、一方のコイルの中を通過するワイヤの断面積・磁性率と、他方のコイルの中を通過するワイヤの断面積・磁性率との間に差がある場合には、各々のコイルから出力される電圧値は互いに異なったものとなる。したがって、ワイヤの断面積・磁性率に変化があってワイヤの傷みがある場合には、差動コイルから出力される電力値は“0”から変化する。その結果、ワイヤ傷み検出手段として差動コイルからなる検知コイルを用いることにより、明確なレベルを有した検出信号(すなわちS/N比の良い信号)を検出することができる。
本発明に係る移動型X線撮影装置において、ワイヤ傷み検出手段によるワイヤの傷み度合いに応じた警告内容を操作者に知らせる警告手段を備えるのが好ましい。例えばワイヤ傷み検出手段で出力された検出信号のレベルと警告内容とを予め対応付けて、当該検出信号のレベルに相当するワイヤの傷み度合いに応じた警告内容を操作者に知らせるようにする。これによって、操作者は、ワイヤの現況を把握することができる。
また、本発明に係る移動型X線撮影装置において、ワイヤ傷み検出手段によるワイヤの傷み度合いに応じて装置の動作を制限する動作制限手段を備えるのが好ましい。例えばワイヤの傷みがひどくないのに、上述したブレーキ機構が支持アームの昇降移動をロックするように装置の動作を制限すると、回診によるX線撮影に却って支障が出る。そこで、ワイヤの傷み度合いに応じて、ワイヤの傷みがひどい場合には、例えばブレーキ機構が支持アームの昇降移動をロックするように装置の動作を制限する。装置の動作の制限については、ブレーキ機構によるロックに限定されない。例えば、ワイヤの傷みがひどい場合には、支持アームの昇降移動の回数に制限を設けてもよいし、装置本体の電源を遮断してもよい。なお、例えばワイヤ傷み検出手段で出力された検出信号のレベルが閾値の範囲外であったら、ワイヤの傷みがひどくなったとして装置の動作を制限する。
なお、支持アームの昇降移動を操作者の手動で行うので、手動を利用してワイヤ傷み検出手段への電力供給を行うようにすればよい。例えば、信号入力手段を操作ハンドルで構成するとともに、当該操作ハンドルを把持している間、操作信号を電力供給制御手段に送信するように構成し、電力供給制御手段が操作信号を受信している間、ワイヤ傷み検出手段への電力供給を行う。操作者が操作ハンドルを把持して支持アームの昇降移動を手動で行う際に、操作ハンドルを把持した時点をトリガとしてワイヤ傷み検出手段への電力供給を開始する。操作ハンドルを離した時点で電力供給制御手段が操作信号を受信しなくなるので、操作ハンドルを離すことでワイヤ傷み検出手段への電力供給を停止させることができる。
本発明に係る移動型X線撮影装置によれば、信号入力手段による操作信号によって支持アームの昇降移動の動作が可能になっている間のみ電力供給制御手段は(ワイヤの傷みを検出する)ワイヤ傷み検出手段への電力供給を行う。このようにワイヤ傷み検出手段はワイヤの傷みを検出するので、ワイヤの断線前にワイヤの状態を適切に検出することができる。一方で、信号入力手段による操作信号によって支持アームの昇降移動の動作が可能になっている間のみワイヤ傷み検出手段への電力供給を行うので、消費電力を抑えることができる。その結果、ワイヤの断線前にワイヤの状態を適切に検出し、消費電力を抑えることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係る移動型X線撮影装置の概略図であり、図2は、移動型X線撮影装置の差動コイルからなる検知コイルおよび磁界印加部の概略図であり、図3は、移動型X線撮影装置の制御基板のブロック図である。
図1は、実施例に係る移動型X線撮影装置の概略図であり、図2は、移動型X線撮影装置の差動コイルからなる検知コイルおよび磁界印加部の概略図であり、図3は、移動型X線撮影装置の制御基板のブロック図である。
図1に示すように、本実施例に係る移動型X線撮影装置1は、X線管11と台車12と支柱13と支持アーム14とワイヤ15とブレーキ機構16と操作ハンドル17と検知コイル18と警告機構19と制御基板20とを備えている。操作ハンドル17は、本発明における信号入力手段に相当し、検知コイル18は、本発明におけるワイヤ傷み検出手段に相当し、警告機構19は、本発明における警告手段に相当する。
台車12は、台車本体12aと、台車本体12aの前方の底部に設けられた前輪12bと、台車本体12aの後方の底部に設けられた後輪12cとを備えている。台車本体12aには、制御基板20や走行用駆動モータ(図示省略)やバッテリ(図示省略)などを搭載している。台車本体12aの後方には走行用の操作ハンドル(図示省略)を設け、操作者が走行用の操作ハンドルを把持して押すことで走行方向に向かって台車12を前方に移動させる。操作者が走行用の操作ハンドルに対して左右の押す方向を変えることで台車12の走行方向を自在に変えることが可能である。また、操作者が走行用の操作ハンドルを把持して手前に引くことで台車12を後方に移動させることも可能である。
台車本体12aに支柱13が設けられている。支持アーム14は、X線管11を支持し、支柱13に沿って上下に昇降移動するように構成されている。また、支柱13は鉛直軸心周りに回転可能に構成されている。台車本体12aに対して鉛直軸心周りに支柱13を回転させることで、支持アーム14およびそれに支持されたX線管11が水平面内に回転する。台車12を移動させる場合には、支持アーム14およびX線管11が台車本体12aの後方に位置するように支柱13を回転させる。台車12の走行方向に向かって前方にベッドをつけてX線撮影を行う場合には、支持アーム14およびX線管11が前方に位置するように支柱13を回転させる。台車12の走行方向に向かって右側にベッドを横づけしてX線撮影を行う場合には、支持アーム14およびX線管11が右側に位置するように支柱13を回転させる。台車12の走行方向に向かって左側にベッドを横づけしてX線撮影を行う場合には、支持アーム14およびX線管11が左側に位置するように支柱13を回転させる。なお、支持アーム14は、水平方向に伸縮可能に構成されている。
ワイヤ15は、支柱13内を通るように設けられ、支持アーム14を吊り掛け支持するように構成されている。ワイヤ15を支柱13内で駆動させることで、支持アーム14を上下に昇降移動させ、支持アーム14に支持されたX線管11をも昇降移動させる。
支柱13の上部に滑車31が設けてられている。ワイヤ15は、支持アーム14を吊り掛け支持した端部とは逆側の他端にカウンタウェイト(図示省略)を吊り掛け支持する。滑車31を介してワイヤ15で支持アーム14およびカウンタウェイトを吊り下げることで、支持アーム14とカウンタウェイトとの重量バランスを保つ。なお、バランス機構については、カウンタウェイトに限定されず、例えばバネであってもよい。ワイヤ15の他端にバネを接続し、滑車31を介してワイヤ15で支持アーム14およびバネを吊り下げることで、支持アーム14とバネとのバランスを保つ。
ブレーキ機構16は、支持アーム14の昇降移動をロックするように作動するように構成されている。ブレーキ機構16は、例えば電磁ブレーキなどで構成されており、ソレノイドのオン・オフの切り替えでロックあるいはロックの解除を行う。例えば、ソレノイドをオフにすることで滑車31の回転軸をブレーキ部材(図示省略)が押圧すると、滑車31をロックすることで支持アーム14の昇降移動をロックする。逆に、ソレノイドをオンにすることで滑車31の回転軸からブレーキ部材が離れると、滑車31のロックが解除されて支持アーム14の昇降移動のロックを解除する。なお、ブレーキ機構16については、電磁ブレーキに限定されず、例えばメカニカルブレーキであってもよい。
操作ハンドル17はX線管11の下部(例えばコリメータ)の側方に設けられている。操作者が操作ハンドル17を把持してX線管11とともに支持アーム14を手動で昇降移動させるように操作ハンドル17は構成されている。また、操作ハンドル17には圧力センサ(図示省略)が設けられている。操作者が操作ハンドル17を把持したことを圧力センサが感知することで操作信号を出力するように構成する。なお、操作ハンドル17によって支持アーム14を実際に昇降移動させなくとも、操作者が操作ハンドル17を把持した時点で支持アーム14の昇降移動の動作が可能になったとして操作信号を出力する。
そして、当該操作信号を制御基板20に送信する。なお、操作者が操作ハンドル17を離すと、操作者が操作ハンドル17を離したことを圧力センサが感知することで操作信号の出力を停止するように構成する。
制御基板20(図3も参照)のドライバ21(図3を参照)が操作信号を受信している間、ブレーキ機構16によるロックを解除して、支持アーム14の昇降移動の動作を可能にする。例えば、ブレーキ機構16が電磁ブレーキなどで構成されている場合には、電磁ブレーキのソレノイドへ電力を供給してソレノイドをオンにすることで、ブレーキ機構16によるロックを解除する。また、ドライバ21が操作信号を受信している間、検知コイル18の励振コイル18a(図2を参照)への電力供給を行う。なお、操作者が操作ハンドル17を離した時点でドライバ21が操作信号を受信しなくなり、ブレーキ機構16によるロックが再度作動し、支持アーム14の昇降移動を再度ロックし、検知コイル18の励振コイル18aへの電力供給を再度停止する。制御基板20のドライバ21の具体的な構成については、図3で後述する。
図2に示すように、検知コイル18(図1および図3も参照)は、ワイヤ15(図1および図3も参照)の磁化の状態を励振するための励振コイル18a、および互いに巻回される導線の方向が対称である2つのコイルからなる差動コイル18bで構成されている。励振コイル18aおよび差動コイル18bは、同心円を有する円筒形に導線が巻回されてそれぞれ構成されている。図2では、差動コイル18bは励振コイル18aの内側に設けられている。
励振コイル18aおよび差動コイル18bの中心軸に鉄心としてワイヤ15が挿入される。制御基板20(図1および図3を参照)の電源回路23(図3も参照)は励振コイル18aに電気的に接続されている。電源回路23から励振コイル18aに励磁電流を流すことでワイヤ15の磁化の状態を励振する。一方、差動コイル18bは、制御基板20の制御回路22(図3も参照)に電気的に接続されている。差動コイル18bから生じる電圧の差を制御回路22が受信し、ワイヤ15の傷み度合いを制御回路22が把握する。制御基板20の制御回路22や電源回路23の具体的な構成についても、図3で後述する。
なお、製造後におけるワイヤ15内部の磁化の方向は、一定の方向に揃っていない場合がある。さらに、ワイヤ15が滑車31(図1を参照)等を通過する際に、応力や曲がり等がワイヤ15に加わることによってもワイヤ15内部の磁化の方向が変化し、不均一となる。このため、ワイヤ15に断線がない均一な部分であっても、ワイヤ15が延びる方向に直交するワイヤ15の径方向における磁化の(ランダムな)バラツキに起因して、ノイズが重畳した信号(誘導電流)を差動コイル18bが出力する可能性がある。
そこで、ワイヤ15の径方向に磁界を印加する磁界印加部を備えるのが好ましい。磁界印加部は、出力される磁界が差動コイル18bでの検出に影響しないように、ワイヤ15が延びる方向に検知コイル18から離間した位置に設けられる。より好ましくは、図2に示すように検知コイル18を挟んで対向した位置に、2つの磁界印加部32,33を備える。
本実施例では、2つの磁界印加部32,33は永久磁石で構成されている。磁界印加部32は、図中の矢印の方向に磁界を印加するように、ワイヤ15を挟んで2つの組み合わせからなるN極32a,S極32bが対向して設けられて構成されている。同様に、磁界印加部33は、図中の矢印の方向に磁界を印加するように、ワイヤ15を挟んで2つの組み合わせからなるN極33a,S極33bが対向して設けられて構成されている。磁界印加部32,33がワイヤ15の径方向に磁界を印加すると、ワイヤ15の径方向に磁化を揃えることができる。よって、ワイヤ15の径方向における磁化の(ランダムな)バラツキを排除した状態で、差動コイル18bは、ワイヤ15の傷みによって変化した電圧の差を出力することができる。
ワイヤ15を下方に駆動させる場合には、磁界印加部32,検知コイル18の順にワイヤ15が通過する。その結果、磁界印加部32によってワイヤ15の径方向に磁化を揃えた状態で、検知コイル18は検出することができる。逆に、ワイヤ15を上方に駆動させる場合には、磁界印加部33,検知コイル18の順にワイヤ15が通過する。その結果、磁界印加部33によってワイヤ15の径方向に磁化を揃えた状態で、検知コイル18は検出することができる。つまり、検知コイル18を挟んで対向した位置に、2つの磁界印加部32,33を備えることで、ワイヤ15を上方,下方のいずれに駆動させた場合でも、磁界印加部32,33によってワイヤ15の径方向に磁化を揃えた状態で、検知コイル18は検出することができる。
さらに、磁界印加部32,33による磁界の印加方向が互いに逆方向であるので、磁界印加部32,33を通過したワイヤ15に磁化が残存しにくくなるという効果をも奏する。また、磁界印加部32,33を永久磁石により構成したので、磁化の方向を整えるために電力が必要ないという効果をも奏する。なお、磁界印加部32,33は、永久磁石でなくてもよく、電磁石(コイル)であってもよい。
図3に示すように、制御基板20(図1も参照)は、ドライバ21と制御回路22と電源回路23とを搭載している。ドライバ21は、本発明における電力供給制御手段に相当し、制御回路22は、本発明における動作制限手段に相当する。
ドライバ21は、操作ハンドル17(図1を参照)からの操作信号を受信して、制御回路22(図2も参照)を介して電源回路23(図2も参照)に電流を流す。ドライバ21は、フォトカプラやフォトモスリレー(登録商標)などのような、発光素子および受光素子からなり、操作信号からの発光素子の発光により受光素子が導通するリレーであってもよいし、メカニカルリレーであってもよい。ドライバ21が操作信号を受信した場合に電源回路23に電流を流すことで、電源回路23から検知コイル18(図1および図2も参照)の励振コイル18a(図2を参照)に励磁電流を流して検知コイル18の励振コイル18aへの電力供給を行う。
また、ドライバ21は、操作信号を受信した場合にブレーキ機構16(図1を参照)のソレノイドの電源回路(図示省略)にも電流を流す。ソレノイドの電源回路に電流を流すことで、当該電源回路からソレノイドへ電力を供給してソレノイドをオンにすることで、ブレーキ機構16によるロックを解除する。なお、図2および図3では、電源回路23は検知コイル18(図1および図2を参照)の励振コイル18a(図2を参照)に励磁電流を流すための電源回路として図示しているが、電源回路23は、ブレーキ機構16のソレノイドに電流を流すための電源回路を兼用してもよい。
制御回路22は、中央演算処理装置(CPU)あるいはプログラムデータに応じて内部の使用するハードウェア回路(例えば論理回路)が変更可能なプログラマブルデバイス(例えばFPGA(Field Programmable Gate Array))などで構成されている。差動コイル18b(図2を参照)から生じる電圧の差を検出信号のレベルとして、予め設定された閾値との比較でワイヤ15(図1および図2も参照)の傷み度合いを制御回路22が判断する。例えば、閾値をTh1と予め設定する。検出信号のレベルの絶対値が閾値Th1未満の場合には、ワイヤ15の傷みがひどくないと制御回路22が判断する。検出信号のレベルの絶対値が閾値Th1以上の場合には、ワイヤ15の傷みがひどいと制御回路22が判断する。
そして、制御回路22は、差動コイル18bによるワイヤ15の傷み度合いに応じて装置の動作を制限する。例えば、ブレーキ機構16が支持アーム14(図1を参照)の昇降移動をロックするように装置の動作を制限する。上述したように、検出信号のレベルの絶対値が閾値Th1以上の場合には、ワイヤ15の傷みがひどいと制御回路22が判断して、例えばブレーキ機構16のソレノイドをオフにすることで、ブレーキ機構16によるロックを作動させる。ワイヤ15の傷みがひどいと制御回路22が判断した場合には、たとえ操作者が操作ハンドル17を把持して操作信号を制御回路22が受信したとしても、ブレーキ機構16によるロックを最優先するように制御回路22は制御する。
また、差動コイル18bで出力された検出信号のレベルと警告内容とを予め対応付けたテーブルを記憶するようにする。制御回路22は、差動コイル18bからの検出信号を受信するとテーブルを参照する。そして、制御回路22は、差動コイル18bで出力された検出信号のレベルに応じた警告内容を警告機構19(図1を参照)が出力するように制御する。例えば、検出信号のレベルの絶対値が閾値Th1未満の場合には、警告機構19のブザー19a(図1を参照)に警告音を鳴らさないようにして、警告機構19のディスプレイ19b(図1を参照)に「傷みがひどくないのでワイヤの交換は不要です」等のメッセージを表示する。検出信号のレベルの絶対値が閾値Th1以上の場合には、ブザー19aに警告音を鳴らすようにして、ディスプレイ19bに「傷みがひどいのでワイヤの交換を行ってください」等のメッセージを表示する。
なお、警告機構19として警告ランプを設け、閾値をTh1、Th2(ただし、Th1<Th2)と予め設定してもよい。例えば、検出信号のレベルの絶対値が閾値Th1未満の場合には警告ランプを青色もしくは緑色に点灯するように制御する。検出信号のレベルの絶対値が閾値Th1以上で閾値Th2未満の場合には警告ランプを黄色に点灯するように制御する。検出信号のレベルの絶対値が閾値Th2以上の場合には警告ランプを赤色に点灯するように制御する。
差動コイル18bからの検出信号について、図4を参照して説明する。図4は、差動コイルからの検出信号の値のグラフである。図4のグラフの縦軸は検出信号の値であり、図4のグラフの横軸はワイヤ15の検出位置である。
差動コイル18b(図2を参照)における2つのコイルは、互いに巻回される導線の方向が対称である。したがって、励振コイル18a(図2を参照)によって励振したワイヤ15(図1〜図3も参照)の傷みがない箇所で差動コイル18bが検出すると、図4に示すように、差動コイル18bから生じる電圧の差、すなわち検出信号の値はほぼ“0”となる。例えば、ワイヤ15の傷みが断面積の変化に起因する場合には、差動コイル18bを構成する各コイルを通過するワイヤ15の断面積の変化が生じないときには、各コイルから出力される電圧値が同じになるので、電圧の差(検出信号のレベル)の値は“0”となる。
一方、ワイヤの傷みの箇所(図4中の符号Dを参照)で差動コイル18bが検出すると、図4に示すように、検出信号の値が“0”から変化する。例えば、ワイヤ15の傷みが断面積の変化に起因する場合には、差動コイル18bを構成する各コイルを通過するワイヤ15の断面積の変化が生じるときには、各コイルから出力される電圧値に差が生じるので、電圧の差(検出信号のレベル)の値は“0”から変化する。よって、図4のグラフにおける検出信号のレベルをモニタリングすることで、ワイヤ15の傷みを検出することができ、ワイヤ15の傷み度合いも把握することができる。
図3の具体的な態様について、図5を参照して説明する。図5は、図3をより具体化した回路図の態様である。なお、図5では、図3の電源回路23は不要である。図5では、図3のドライバ21として例えばフォトモスリレー(登録商標)21Aで構成し、図3の制御回路22として例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(図5では「FPGA」で表記)22Aで構成する。
操作信号として例えば5Vの信号が入力されると、フォトモスリレー(登録商標)21Aがオンとなり、3.3Vの電源がフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)22Aに電気的に接続されて、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)22Aへ電力が供給される。そして、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)22Aから検知コイル18の励振コイル18a(図2を参照)に励磁電流を流して検知コイル18の励振コイル18aへの電力供給を行う。このように、検知コイル18のようなワイヤ傷み検出手段へ電力を直接的に供給することにより、大電流を供給することができる。
図5に示すように、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)22Aから検知コイル18の励振コイル18a(図5では図示省略)に励磁電流を流して検知コイル18の励振コイル18aへ電力を直接的に供給することにより、検知コイル18のようなワイヤ傷み検出手段への電力供給を行ったが、ワイヤ傷み検出手段へ電力を直接的に供給する形態に限定されない。ワイヤ傷み検出手段への電力供給として、「課題を解決するための手段」の欄でも述べたように、例えばワイヤ傷み検出手段を有効(アクティブ)にしてもよい。
ワイヤ傷み検出手段を有効(アクティブ)にした場合での図3の具体的な態様について、図6を参照して説明する。図6は、図3をより具体化した回路図の、図5とは別の態様である。なお、図6では、図3の電源回路23については図示を省略する。図6では、図3のドライバ21として例えばフォトカプラ21Bで構成し、図5と同様に図3の制御回路22として例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(図5では「FPGA」で表記)22Bで構成する。なお、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)22BをNOT回路22Cとして使用する。
操作信号として例えば5Vの信号が入力されると、フォトカプラ21Bがオンとなり、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)22Bへの入力がGNDレベルとなる。そして、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)22Bからの出力信号がNOT回路22CによってGNDレベルから反転した結果、図3のような電源回路23を介して検知コイル18がアクティブとなる。このように、電源回路23をオンにして検知コイル18のようなワイヤ傷み検出手段をアクティブにすることにより、操作信号の入力をトリガとして電源回路23からワイヤ傷み検出手段へ電力を供給することができる。したがって、電源回路23をオンにする電圧およびワイヤ傷み検出手段をアクティブにする電流(本実施例の場合には励磁電流)を確保さえすれば、高電圧・大電流である必要はなく、その分、省電力化を図ることができる。
本実施例に係る移動型X線撮影装置1によれば、X線管11を支持する支持アーム14をワイヤ15が吊り掛け支持する。このワイヤ15を駆動させることにより、支柱13に沿って支持アーム14を上下に昇降移動させ、支持アーム14に支持されたX線管11をも昇降移動させる。ブレーキ機構16は、支持アーム14の昇降移動をロックすることによって、X線管11の昇降移動をもロックする。ブレーキ機構16によるロックを解除するには、信号入力手段(本実施例では操作ハンドル17)を用いて、支持アーム14の昇降移動の動作を可能にする操作信号を操作により入力する。そして、信号入力手段(操作ハンドル17)による操作信号によって支持アーム14の昇降移動の動作が可能になっている間のみ電力供給制御手段(本実施例ではドライバ21)は(ワイヤ15の傷みを検出する)ワイヤ傷み検出手段(本実施例では検知コイル18の励振コイル18a)への電力供給を行う。
従来のようなワイヤの断線の有無を検出する構造と相違して、本実施例ではワイヤ15の傷みを検出するので、ワイヤ15の断線前にワイヤ15の状態を適切に検出することができる。一方で、信号入力手段(操作ハンドル17)による操作信号によって支持アーム14の昇降移動の動作が可能になっている間のみワイヤ傷み検出手段(検知コイル18の励振コイル18a)への電力供給を行うので、消費電力を抑えることができる。その結果、ワイヤ15の断線前にワイヤ15の状態を適切に検出し、消費電力を抑えることができる。
本実施例では、ワイヤ傷み検出手段として検知コイル18を用いている。すなわち、検知コイル18は、同心円を有する円筒形に導線が巻回されてそれぞれ構成された励振コイル18aおよび差動コイル18bからなり、当該励振コイル18aは、ワイヤ15の磁化の状態を励振するように構成され、当該差動コイル18bは、互いに巻回される導線の方向が対称である2つのコイルで構成されている。励振コイル18aおよび差動コイル18bの中心軸に鉄心としてワイヤ15を挿入するように配置する。差動コイル18bから出力された検出信号のレベルに応じてワイヤ15の傷み度合いを検出する。ワイヤ15は磁性体で形成されているので、有限の長さを有した磁性体であれば差動コイル18bから生じる電圧の差(検出信号のレベル)が、励振コイル18aによって励振した磁性体の位置に応じて変化する。しかるにワイヤ15が長尺状であるので、ワイヤ15に傷みが生じなければ、差動コイル18bから生じる電圧の差(検出信号のレベル)は、励振コイル18aによって励振したワイヤ15の位置に関わらず“0”の状態で変化しない(図4のグラフを参照)。ワイヤ15に傷みが生じた場合、支持アーム14およびX線管11の昇降移動によってワイヤ15の傷み箇所が差動コイル18bに位置すると、差動コイル18bから生じる電圧の差(検出信号のレベル)がワイヤ15の傷みによって生じる(図4のグラフを参照)。その結果、差動コイル18bから出力された検出信号のレベルに応じてワイヤ15の傷み度合いを適切に検出することができる。
上述したように「ワイヤの傷み」はワイヤ15の磁性率の変化等も含んでいるので、ワイヤ傷み検出手段として差動コイル18bからなる検知コイル18は有用である。また、差動コイル18bにおける2つのコイルのうち、一方のコイルの中を通過するワイヤ15の断面積・磁性率と、他方のコイルの中を通過するワイヤ15の断面積・磁性率との間に差がない場合には、各々のコイルから出力される電圧値は同じとなる。したがって、ワイヤ15の断面積・磁性率に変化がなくワイヤ15の傷みがない場合には、差動コイル18bから出力される電力の差(検出信号のレベル)の値は“0”となる。逆に、一方のコイルの中を通過するワイヤ15の断面積・磁性率と、他方のコイルの中を通過するワイヤ15の断面積・磁性率との間に差がある場合には、各々のコイルから出力される電圧値は互いに異なったものとなる。したがって、ワイヤ15の断面積・磁性率に変化があってワイヤ15の傷みがある場合には、差動コイル18bから出力される電力の差(検出信号のレベル)の値は“0”から変化する。その結果、ワイヤ傷み検出手段として差動コイル18bからなる検知コイル18を用いることにより、明確なレベルを有した検出信号(すなわちS/N比の良い信号)を検出することができる。
本実施例のように、ワイヤ傷み検出手段(差動コイル18bからなる検知コイル18)によるワイヤ15の傷み度合いに応じた警告内容を操作者に知らせる警告手段(本実施例では警告機構19のブザー19aやディスプレイ19b)を備えるのが好ましい。例えばワイヤ傷み検出手段(差動コイル18bからなる検知コイル18)で出力された検出信号のレベルと警告内容とを予め対応付けて、当該検出信号のレベルに相当するワイヤ15の傷み度合いに応じた警告内容(例えばブザー19aによる警告音やディスプレイ19bのメッセージ)を操作者に知らせるようにする。これによって、操作者は、ワイヤ15の現況を把握することができる。
また、本実施例のように、ワイヤ傷み検出手段(差動コイル18bからなる検知コイル18)によるワイヤ15の傷み度合いに応じて装置の動作を制限する動作制限手段(本実施例では制御回路22)を備えるのが好ましい。例えばワイヤ15の傷みがひどくないのに、上述したブレーキ機構16が支持アーム14の昇降移動をロックするように装置の動作を制限すると、回診によるX線撮影に却って支障が出る。そこで、ワイヤ15の傷み度合いに応じて、ワイヤ15の傷みがひどい場合(本実施例では検出信号のレベルの絶対値が閾値Th1以上の場合)には、本実施例のようにブレーキ機構16が支持アーム14の昇降移動をロックするように装置の動作を制限する。
装置の動作の制限については、ブレーキ機構16によるロックに限定されない。例えば、ワイヤ15の傷みがひどい場合には、支持アーム14の昇降移動の回数に制限を設けてもよいし、装置本体の電源を遮断してもよい。ワイヤ傷み検出手段(差動コイル18bからなる検知コイル18)で出力された検出信号のレベルが閾値の範囲外(例えばワイヤ傷み検出手段が差動コイル18bからなる検知コイル18の場合には上述したように検出信号のレベルの絶対値が閾値Th1以上)であったら、ワイヤ15の傷みがひどくなったとして装置の動作を制限する。
なお、支持アーム14の昇降移動を操作者の手動で行うので、手動を利用してワイヤ傷み検出手段(検知コイル18の励振コイル18a)への電力供給を行うようにすればよい。本実施例のように信号入力手段を操作ハンドル17で構成する。当該操作ハンドル17を把持している間、操作信号を電力供給制御手段(ドライバ21)に送信するように構成する。電力供給制御手段(ドライバ21)が操作信号を受信している間、ワイヤ傷み検出手段(差動コイル18bからなる検知コイル18)への電力供給を行う。操作者が操作ハンドル17を把持して支持アーム14の昇降移動を手動で行う際に、操作ハンドル17を把持した時点をトリガとしてワイヤ傷み検出手段(検知コイル18の励振コイル18a)への電力供給を開始する。操作ハンドル17を離した時点で電力供給制御手段(ドライバ21)が操作信号を受信しなくなるので、操作ハンドル17を離すことでワイヤ傷み検出手段(検知コイル18の励振コイル18a)への電力供給を停止させることができる。
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、信号入力手段は、図1に示すような操作ハンドル17であったが、操作ハンドルに限定されない。ブレーキ機構16によるロックを解除して、支持アーム14の昇降移動の動作を可能にする操作信号を操作により入力する構成であれば、操作スイッチなどであってもよい。
(2)上述した実施例では、ワイヤ傷み検出手段は、図1〜図3に示すような差動コイルからなる検知コイル18であったが、差動コイルに限定されない。差動コイル以外の通常のコイルであってもよいし、静電容量センサであってもよいし、その他の距離センサであってもよいし、カメラなどの撮像素子であってもよい。上述したように「ワイヤの傷み」が素線の断線等による断面積の変化の場合には、センサとワイヤの表面との距離を検出する静電容量センサなどの距離センサが有用である。また、撮像素子によってワイヤを写し込んだ画像を取得し、画像中のワイヤの断面積の寸法(画素寸法)を求める手法が有用である。
(3)上述した実施例では、図2に示すように差動コイル18bは励振コイル18aの内側に設けられていたが、差動コイル18bからなる検知コイル18の構成は図2に示す構成に限定されない。例えば、図7(a)に示すように差動コイル18bを励振コイル18aの外側に設けてもよい。また、図7(b)に示すように2つの差動コイル18c,18dを備え、ワイヤ15が延びる方向に励振コイル18aを差動コイル18c,18dが挟むように配置してもよい。差動コイル18c,18dは、互いに巻回される導線の方向が対称である。
(4)上述した実施例のように励振コイルや差動コイルは円筒形に限定されず、図8に示すように角筒形であってもよい。また、図2に示すように励振コイル18aおよび差動コイル18bの中心軸に鉄心としてワイヤ15を挿入するように配置したが、図9に示すようにワイヤ15に沿うように励振コイルおよび差動コイルを配置してもよい。
(5)上述した実施例では、図2に示すように磁界印加部32,33による磁界の印加方向が互いに逆方向であったが、磁界印加部32,33による磁界の印加方向は互いに逆方向である必要はない。例えば、図10(a)に示すように磁界印加部32,33による磁界の印加方向が互いに同一方向であってもよいし、図10(b)に示すように平行でなくてもよい。図10(b)では磁界印加部33による磁界の印加方向がワイヤ15の径方向に対して角度θで傾斜している。
(6)上述した実施例では、図2に示すようにワイヤ15を挟んで磁極(図2ではN極,S極)を対向配置したが、図11に示すように対向配置せずにワイヤ15の近傍に単一の磁極を配置してもよい。図2と同様に、図11(a)に示すように磁界の印加方向が互いに逆方向であってもよいし、図10(a)と同様に、図11(b)に示すように磁界の印加方向が互いに同一方向であってもよい。
(7)上述した実施例では、図2に示すように検知コイル18を挟んで対向した位置に、2つの磁界印加部32,33を備えたが、図12に示すように2つの検知コイル18A,18Bを備え、両方の検知コイル18A,18Bの間の箇所に1つの磁界印加部32を備えてもよい。両方の検知コイル18A,18Bの間の箇所に1つの磁界印加部32を備える場合には、ワイヤを上方,下方のいずれに駆動させても、磁界印加部32よりも後にワイヤが通過した方の検知コイルが、磁界印加部32によってワイヤの径方向に磁化を揃えた状態で検出することができる。この構成の場合には、磁界印加部32よりも後にワイヤが通過した方の検知コイルのみの励振コイルに電力を供給すればよい。
(8)上述した実施例では、図2に示すようにワイヤ15の径方向に磁界を印加する磁界印加部32,33を備えたが、必ずしも磁界印加部を備える必要はない。ただし、ワイヤ内の磁化のバラツキに起因したノイズを確実に排除するために、ワイヤの径方向に磁界を印加する磁界印加部を備えるのが好ましい。
1 … 移動型X線撮影装置
11 … X線管
12 … 台車
13 … 支柱
14 … 支持アーム
15 … ワイヤ
16 … ブレーキ機構
17 … 操作ハンドル
18 … 検知コイル
18a … 励振コイル
18b … 差動コイル
19 … 警告機構
21 … ドライバ
22 … 制御回路
11 … X線管
12 … 台車
13 … 支柱
14 … 支持アーム
15 … ワイヤ
16 … ブレーキ機構
17 … 操作ハンドル
18 … 検知コイル
18a … 励振コイル
18b … 差動コイル
19 … 警告機構
21 … ドライバ
22 … 制御回路
Claims (5)
- 移動型X線撮影装置であって、
X線管と、
台車と、
当該台車に設けられた支柱と、
前記X線管を支持し、当該支柱に沿って上下に昇降移動する支持アームと、
前記支柱に設けられ、前記支持アームを吊り掛け支持するワイヤと、
前記支持アームの昇降移動をロックするように作動するブレーキ機構と、
当該ブレーキ機構によるロックを解除して、前記支持アームの昇降移動の動作を可能にする操作信号を操作により入力する信号入力手段と、
前記ワイヤの傷みを検出するワイヤ傷み検出手段と、
前記信号入力手段による前記操作信号によって前記支持アームの昇降移動の動作が可能になっている間のみ前記ワイヤ傷み検出手段への電力供給を行う電力供給制御手段と
を備える、
移動型X線撮影装置。 - 請求項1に記載の移動型X線撮影装置において、
前記ワイヤ傷み検出手段は、円筒形あるいは角筒形に導線が巻回されてそれぞれ構成された励振コイルおよび差動コイルからなる検知コイルであって、
当該励振コイルは、前記ワイヤの磁化の状態を励振するように構成され、
当該差動コイルは、互いに巻回される導線の方向が対称である2つのコイルで構成されており、
前記励振コイルおよび前記差動コイルの中心軸に鉄心として前記ワイヤを挿入するように配置し、あるいは前記励振コイルおよび前記差動コイルを前記ワイヤに沿うように配置し、
前記差動コイルから出力された検出信号のレベルに応じてワイヤの傷み度合いを検出する、
移動型X線撮影装置。 - 請求項1または請求項2に記載の移動型X線撮影装置において、
前記ワイヤ傷み検出手段による前記ワイヤの傷み度合いに応じた警告内容を操作者に知らせる警告手段を備える、
移動型X線撮影装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の移動型X線撮影装置において、
前記ワイヤ傷み検出手段による前記ワイヤの傷み度合いに応じて装置の動作を制限する動作制限手段を備える、
移動型X線撮影装置。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の移動型X線撮影装置において、
前記信号入力手段を操作ハンドルで構成するとともに、
当該操作ハンドルを把持している間、前記操作信号を前記電力供給制御手段に送信するように構成し、
電力供給制御手段が操作信号を受信している間のみ、前記ワイヤ傷み検出手段への電力供給を行う、
移動型X線撮影装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2017140061A JP2019017802A (ja) | 2017-07-19 | 2017-07-19 | 移動型x線撮影装置 |
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JP2017140061A JP2019017802A (ja) | 2017-07-19 | 2017-07-19 | 移動型x線撮影装置 |
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JP2017140061A Pending JP2019017802A (ja) | 2017-07-19 | 2017-07-19 | 移動型x線撮影装置 |
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Country | Link |
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- 2017-07-19 JP JP2017140061A patent/JP2019017802A/ja active Pending
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