JP2019015671A - プログラム、コンピュータ可読媒体、端末装置、推定装置および推定方法 - Google Patents

プログラム、コンピュータ可読媒体、端末装置、推定装置および推定方法 Download PDF

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Tomoyuki Morihiro
智之 森廣
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Abstract

【課題】赤外線センサの視野内の空間状態の推定精度を向上することができるプログラム、コンピュータ可読媒体、端末装置、推定装置および推定方法を提供する。【解決手段】コンピュータを、複数の赤外線センサ20の出力値をそれぞれ取得する取得部101と、複数の赤外線センサのそれぞれについて、出力値を用いて、出力値の基準を示す第1の値を経時的に算出する第1算出部111と、複数の赤外線センサのそれぞれについて、出力値の変化量を示す第2の値を第1の値に基づいて経時的に算出する第2算出部112と、複数の赤外線センサのそれぞれについての複数の第2の値に基づいて、出力値の変動パターンを特定する特定部113と、特定される変動パターンに基づいて、複数の赤外線センサの視野内の空間状態を推定する推定部114として機能させるプログラム。【選択図】図1

Description

本発明は、プログラム、コンピュータ可読媒体、端末装置、推定装置および推定方法に関する。
従来、パソコンなどの装置では、操作が行われたときの赤外線センサからの出力を用いて、人体等の検知対象がセンサの視野内の空間に存在するか否かを推定している(例えば、特許文献1参照)。
[特許文献1]特開2012−078959号公報
しかしながら、従来の検出手法では、検知対象が視野内の空間に存在していないにも関わらず存在すると推定する可能性があり、推定精度の向上が望まれる。
本発明の第1の態様においては、コンピュータを、複数の赤外線センサの出力値をそれぞれ取得する取得部と、複数の赤外線センサのそれぞれについて、出力値を用いて、出力値の基準を示す第1の値を経時的に算出する第1算出部と、複数の赤外線センサのそれぞれについて、出力値の変化量を示す第2の値を第1の値に基づいて経時的に算出する第2算出部と、複数の赤外線センサのそれぞれについての複数の第2の値に基づいて、出力値の変動パターンを特定する特定部と、特定される変動パターンに基づいて、複数の赤外線センサの視野内の空間状態を推定する推定部として機能させるプログラムが提供される。
本発明の第2の態様においては、複数の赤外線センサの出力値をそれぞれ取得する取得部と、複数の赤外線センサのそれぞれについて、出力値を用いて、出力値の基準を示す第1の値を経時的に算出する第1算出部と、複数の赤外線センサのそれぞれについて、出力値の変化量を示す第2の値を第1の値に基づいて経時的に算出する第2算出部と、複数の赤外線センサについての複数の第2の値に基づいて、出力値の変動パターンを特定する特定部と、特定される変動パターンに基づいて、複数の赤外線センサの視野内の空間状態を推定する推定部と、を備える推定装置が提供される。
本発明の第3の態様においては、複数の赤外線センサの出力値をそれぞれ取得する取得段階と、複数の赤外線センサのそれぞれについて、出力値を用いて、出力値の基準を示す第1の値を経時的に算出する第1算出段階と、複数の赤外線センサのそれぞれについて、出力値の変化量を示す第2の値を第1の値に基づいて経時的に算出する第2算出段階と、複数の赤外線センサについての複数の第2の値に基づいて、出力値の変動パターンを特定する特定段階と、特定される変動パターンに基づいて、複数の赤外線センサの視野内の空間状態を推定する推定段階と、を備える推定方法が提供される。
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
本実施形態に係る推定装置を複数の赤外線センサとともに示すブロック図である。 本実施形態に係る推定装置の動作を示すフローチャートである。 図2におけるS7の変動パターン特定処理を示す。 図2におけるS9の推定処理を示す。 検知対象が存在から不在となる場合の第2の値を示す。 検知対象が不在から存在となり、さらに不在となる場合の第2の値を示す。 本実施形態に係る端末装置を示すブロック図である。 本実施形態に係る端末装置の動作を示すフローチャートである。 本実施形態に係るコンピュータを示すブロック図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
[1.推定装置の構成]
図1は、本実施形態に係る推定装置10を複数の赤外線センサ20とともに示すブロック図である。推定装置10は、対象とする空間の状態を推定するものであり、例えば空間が人などの検知対象を含む状態であるか否かを推定するものである。推定装置10は、複数の赤外線センサ20に接続されており、取得部101と、第1算出部111と、第2算出部112と、特定部113と、推定部114とを備える。推定装置10は、閾値設定部115と、推定動作制御部116とをさらに備えてもよい。これらの構成はアナログ回路、デジタル回路、および、プログラムにより動作するプロセッサまたはマイクロコントローラのいずれかまたはその組み合わせを用いて構成されてよい。
[1−1.赤外線センサ]
複数の赤外線センサ20は、視野(例えば観察可能な範囲)内から受光した赤外線に基づいて信号を出力するセンサである。複数の赤外線センサ20は、互いに視野が異なっていてもよいし、少なくとも一部の赤外線センサ20同士で視野が重なっていてもよい。
赤外線センサ20は、赤外線エネルギーを吸収することによって発生する温度変化を利用する熱型赤外線センサであってもよいし、入射した光エネルギーで励起された電子によって生じる導電率の変化または起電力を利用する量子型赤外線センサであってもよい。
熱型赤外線センサとしては、焦電効果を用いた焦電素子、熱電効果を用いた熱電対およびサーモパイル、温度による電気抵抗の変化効果を用いたボロメータ等が挙げられる。量子型赤外線センサとしては、外部光電効果を用いた光電管、内部光電効果を用いた光伝導型センサおよび光起電力型センサが挙げられる。光伝導型センサおよび光起電力型センサとしては、テルル化カドミウム水銀を含む材料(HgCdTe等)、インジウムおよびアンチモン、砒素を含む材料(InSb、InAsSb、InAs等)等を素子素材としたフォトダイオードおよびフォトトランジスタが挙げられる。
熱型赤外線センサと量子型赤外線センサとの間では、量子型赤外線センサが好ましい。量子型赤外線センサは、入射される赤外線のエネルギーの絶対量を検知できるためである。また、赤外線センサ20は、非冷却で動作可能であることが好ましく、低消費電力の観点からバイアス不要で動作可能であることが好ましい。一例として、赤外線センサ20は、旭化成エレクトロニクス社製の赤外線センサ「IR1011」(商品名)であってよい。
なお、本実施形態では一例として、推定装置10にはN個(但しNは2以上の整数)の赤外線センサ20(赤外線センサ20,…20とも称する)が接続されている。ここで、添え字の「1」,…「N」は赤外線センサ20の識別番号を表す。赤外線センサ20の順序は任意に設定されてよい。
N個の赤外線センサ20は、同一の基板(例えばプリント基板)上に配置されてもよく、異なる基板上にそれぞれ配置されてもよい。量子型赤外線センサを用いる場合は、同一の半導体基板(例えばGaAs基板またはSi基板)上にN個の半導体積層構造を形成し、これをN個の赤外線センサとして使用してもよい。この場合、N個の赤外線積層構造に対する赤外線の入射角(視野角)をそれぞれ制御してもよい。
[1−2.取得部]
取得部101は、N個の赤外線センサ20の複数の出力値(x)(出力値(x[i],…x[i],…x[i])とも称する)をそれぞれ取得する。ここで、出力値(x[i])(但し、nは1≦n≦Nの整数、iは0以下の整数)とは、n番目の赤外線センサ20が或るタイミングで出力する出力値(x)である。角括弧内の「i」は、出力値(x)についての赤外線センサ20による出力タイミングを示す変数であり、角括弧内が「0」である場合には、出力値(x)が現在の最新の出力値であることを示す。また、角括弧内が負の値である場合には、出力値(x)が過去の出力値であることを示す。例えば、出力値(x[−1])は、最新よりも1つ前の出力値である。後述の第1の値(y[i])および第2の値(z[i])等についても同様である。なお、異なる赤外線センサ20の間で出力タイミングは厳密に一致していなくてもよく、例えば10ms未満の誤差を含んでよい。
取得部101は、N個の赤外線センサ20,…20,…20におけるセンサ部分で生成される信号値そのものを出力値(x[i])として取得してもよいし、当該信号値にA/D変換、増幅およびバッファ等の信号処理が施された値を出力値(x[i])として取得してもよい。取得部101は、赤外線センサ20が最新の出力値(x[0])を出力する毎に当該出力値(x[0])を取得してもよいし、基準時間の経過毎に取得してもよい。取得部101は、赤外線センサ20に有線接続されてもよいし、無線接続されてもよい。取得部101は、出力値(x[0])を取得する毎に、当該出力値(x[0])を第1算出部111、第2算出部112、特定部113、および、推定動作制御部116に供給してよい。
[1−3.第1算出部]
第1算出部111は、N個の赤外線センサ20のそれぞれについて、出力値(x)を用い第1の値(y)(第1の値(y[i],…y[i])とも称する)を経時的に、つまり時間の経過に伴って算出する。第1の値(y)は、出力値(x)の基準を示す。
例えば、第1算出部111は、赤外線センサ20について、1または複数の出力値(x[i])を用い第1の値(y[i])を経時的に算出する。一例として、第1算出部111は、赤外線センサ20による直近の複数のタイミングでの出力値(x[0],…x[i])を用いて第1の値(y[0])を算出してよい。第1算出部111は、経時的な複数の出力値(x)を算出に用いる場合には、これらの出力値(x)を蓄積記憶してよい。ここで、本実施形態においては一例として、第1の値(y[i])および第1の値(y[i])(但し、mは1≦m≦N、m≠nの整数)を、同じタイミングで出力された出力値(x[i],x[i])から算出された値として説明するが、異なるタイミングで出力された出力値(x[i],x[j])(但しjはiと異なる0以下の整数)から同じタイミングで算出された値としてもよい。
なお、第1算出部111による動作については詳細を後述する。第1算出部111は、算出した第1の値(y[i])を、第2算出部112、特定部113に供給してよい。
[1−4.第2算出部]
第2算出部112は、N個の赤外線センサ20のそれぞれについて、第1の値(y)に基づいて第2の値(z)(第2の値(z[i],…z[i])とも称する)を経時的に算出する。第2の値(z[i])は第1の値(y[i])に対する出力値(x[i])の変化量、つまりオフセットを表す。ここで、本実施形態において第1の値(y[i])は出力値(x[i])の経時的な基準を表すため、第2の値(z[i])は、出力値(x,…x)の経時的な基準に対する瞬時的な変化を示す。
例えば、第2算出部112は、赤外線センサ20について、1または複数の出力値(x)と、1または複数の第1の値(y)とに基づいて第2の値(z)を経時的に算出する。一例として、第2算出部112は、直近の複数のタイミングでの出力値(x[0],…x[i])を用いて第2の値(z[0])を算出してよい。第2算出部112が第2の値(z)を算出するのに使用する出力値(x)の個数は、第1算出部111が第1の値(y)を算出するのに使用する出力値(x)の個数と同じでもよいし、異なっていてもよい。第2算出部112は、経時的に出力された複数の出力値(x)を算出に用いる場合には、これらの出力値(x)を蓄積記憶してよい。また、第2算出部112は、経時的に算出された複数の第1の値(y)を算出に用いる場合には、これらの第1の値(y)を蓄積記憶してよい。本実施形態においては一例として、第2の値(z[i])および第2の値(z[i])を、同じタイミングで出力された出力値(x[i],x[i])から算出された値として説明するが、異なるタイミングで出力された出力値(x[i],x[j])から同じタイミングで算出された値としてもよい。
なお、第2算出部112による動作については詳細を後述する。第2算出部112は、算出した第2の値(z[i])を特定部113に供給してよい。
[1−5.特定部]
特定部113は、N個の赤外線センサ20,…20についての第2の値(z,…z)に基づいて、赤外線センサ20,…20の出力値(x,…x)の変動パターンを特定する。例えば、特定部113は、出力値(x,…x)の変動パターンを検知対象の存在、不在、退出および存在未確定の少なくとも1つを示す変動パターンであると特定してよい。
特定部113は、同一の出力タイミングの出力値(x[i])に対応するN個の第2の値(z[i],…z[i])の少なくとも一部に基づいて、出力値(x)の変動パターンを特定する。特定部113は、複数の出力タイミングの出力値(x[i],x[j],…)に対応するそれぞれN個の第2の値(z[i],…z[i]),(z[j],…z[j]),…の少なくとも一部に基づいて変動パターンを特定してもよい。特定部113は、経時的に算出された複数の第2の値(z)を特定に用いる場合には、これらの第2の値(z)を蓄積記憶してよい。特定部113は、1または複数の出力値(x)そのもの、または、複数の出力値(x)に基づく値(一例として減算値、加算値、乗算値、除算値および平均値など)を1または複数の閾値(s)と比較することで変動パターンを特定してよい。特定部113による変動パターン特定の頻度は調整可能であってよい。
なお、特定部113による動作については詳細を後述する。特定部113は、変動パターンの特定結果を推定部114及び推定動作制御部116に供給してよい。
[1−6.閾値設定部]
閾値設定部115は、特定部113に対して1または複数の閾値(s)を設定する。設定される閾値は特定部113が変動パターンを特定するのに使用されてよい。なお、閾値設定部115による動作については詳細を後述する。
[1−7.推定部114]
推定部114は、特定部113により特定される変動パターンに基づいて、N個の赤外線センサ20の視野内の空間状態を推定する。推定部114は、推定結果を外部の装置に出力してよい。
本実施形態では一例として推定部114は、第1推定部1141および第2推定部1142を有する。第1推定部1141は、出力値(x)の変動パターンが検知対象の存在を示すと特定された場合に、N個の赤外線センサ20の視野内の空間に検知対象が存在する状態であると推定する。第2推定部1142は、出力値(x)の変動パターンが検知対象の不在を示すと特定された場合に、N個の赤外線センサ20の視野内の空間に検知対象が存在しない状態であると推定する。
[1−8.推定動作制御部]
推定動作制御部116は、特定部113による特定結果に応じて第2推定部1142の動作を制御する。
例えば、推定動作制御部116は、出力値(x)の変動パターンを検知対象の退出を示す変動パターンであると特定部113が特定した場合に、第2推定部1142による推定を開始させてよい。これにより、赤外線センサ20の視野内の空間に検知対象が存在しない状態であることを推定するための、第2推定部1142による推定動作は、視野内が不在状態に遷移した可能性が高い場合に開始する。
また、推定動作制御部116は、出力値(x)の変動パターンを検知対象の存在未確定を示す変動パターンであると特定部113が特定した場合に、第2推定部1142による推定を初期化してよい。推定を初期化するとは、推定を行うために現時点までに蓄積されたデータを破棄し、改めてデータの蓄積を開始することであってよい。これにより、赤外線センサ20の視野内の空間に検知対象が存在しない状態であることを推定するための、第2推定部1142による推定動作は、視野内が存在状態である可能性がある場合に初期化されて再開する。
また、推定動作制御部116は、出力値(x)の変動パターンを検知対象の存在を示す変動パターンであると特定部113が特定した場合に、第2推定部1142による推定を停止してよい。推定を停止するとは、推定動作制御部116が次に推定を開始させるまで、推定をディセーブルすることであってよい。これにより、赤外線センサ20の視野内の空間に検知対象が存在しない状態であることを推定するための、第2推定部1142による推定動作は、視野内が存在状態である可能性が高い場合に停止される。
以上の推定装置10によれば、出力値(x,…x)の経時的な基準からの瞬時的な変化が第2の値(z,…z)として経時的に算出され、第2の値(z,…z)に基づいて出力値(x,…x)の変動パターンが特定されて空間状態が推定される。従って、視野内の環境が変化する場合であっても、検知対象の動きに起因する出力値(x,…x)の変動パターンが正確に特定されて空間状態が推定される。よって、単純に出力値(x)に基づいてその変動パターンを特定して推定に用いる場合と異なり、推定精度を高めることができる。
[2.推定装置の動作]
図2は、本実施形態に係る推定装置10の動作を示すフローチャートである。推定装置10は、S1〜S9の処理を実行することにより、対象とする空間の状態の推定、例えば検知対象が存在するか否かを推定する。
なお、以下で説明する動作は推定装置10が起動されることにより開始してよい。開始時点においては取得部101、第1算出部111、第2算出部112、閾値設定部115、特定部113、第1推定部1141および推定動作制御部116のみがイネーブルされてよいが、推定装置10に含まれる他の構成がさらにイネーブルされてもよい。
まず、S1において、第1算出部111がN個の赤外線センサ20のそれぞれについて、出力値(x)を用いて第1の値(y)を算出する。例えば、第1算出部111は、赤外線センサ20からの複数の出力値(x)に対して遅延を発生させる処理を行うことで第1の値(y)を算出してよい。
ここで、遅延を発生させる処理は以下の式(1)に示すようなIIR(Infinite Impulse Response)フィルタ処理でもよいし、移動平均などのFIR(Finite Impulse Response)フィルタ処理でもよい。移動平均は単純移動平均でもよいし、加重移動平均でもよい。加重移動平均が用いられる場合には、新しい出力値(x)、または古い出力値(x)ほど重み係数が大きくてよい。第1算出部111は、他の遅延を発生させる処理を用いてもよい。
Figure 2019015671
ただしJ,Kは整数、a,bは定数である。(1)式の一例として式(2)に示すようなローパスフィルタを用いてもよい。これにより出力値(x)のノイズに起因する誤った推定が防止される。
[i]=(1−C)×y[i−1]+C×x[i] (2)
但し、Cは定数である。
第1算出部111は、取得部101が最新の出力値(x[0])を出力する毎に動作してよい。第1算出部111は、各赤外線センサ20が複数の出力値(x)を出力する毎、一例として基準時間間隔(例えば5秒)の経過毎に動作してもよい。
次に、S3において、第2算出部112が複数の赤外線センサ20のそれぞれについて、第1の値(y)に基づいて第2の値(z)を算出する。例えば、第2算出部112は、出力値(x[i])と第1の値(y[i])との差分を第2の値(z[i])として算出してよい。第2算出部112は、複数の差分の移動平均を第2の値(z)としてもよい。この場合には、出力値(x[i])が突発的に変化する場合での第2の値(y[i])の変化量が低減されるため、出力値(x[i])のノイズによって第2の値(y[i])が突発的に変化してしまうことに起因する誤った推定が防止される。
次に、S5において、閾値設定部115が特定部113に対して1または複数の閾値(s[i])を設定する。一例として、閾値設定部115は、後述の第1〜第11の閾値(s1[i],…s11[i])を設定してよい。閾値設定部115は、少なくとも一部の閾値(s[i])を赤外線センサ20のノイズ量、赤外線センサ20の温度、視野内の環境温度などから算出してよい。なお、視野内の環境温度は、赤外線センサ20の出力値(x)から取得されてもよいし、赤外線センサ20とは別の任意の温度センサを用いて取得されてもよい。この温度センサは、例えば、赤外線センサ20の視野の背景物(一例として壁、天井または床などの構造物)の温度を検出してもよいし、推定装置10の周囲空間の温度を測定してもよい。
閾値設定部115は、1または複数の閾値(s[i])として予め決定された任意の固定値を用いてもよいし、1または複数の閾値(s[i])を経時的に算出してもよい。閾値設定部115は、特定部113に対する設定済みの1または複数の閾値(s[i])を更新してよい。
次に、S7において、特定部113が赤外線センサ20,…20についての複数の第2の値(z,…z)に基づいて、赤外線センサ20,…20の出力値(x,…x)の変動パターンを特定する。例えば、特定部113は、出力値(x,…x)の変動パターンが検知対象の存在、不在、退出、存在未確定を示す何れかの変動パターンであると特定してよい。なお、S7の処理については詳細を後述する。
次に、S9において、推定部114が、特定された変動パターンに基づいて、赤外線センサ20,…20の視野内の空間状態を推定する。なお、S9の処理については詳細を後述する。
次に、推定装置10は処理をS1に戻す。これにより、S1〜S9の処理が経時的に繰り返される。
[3.S7の変動パターン特定処理]
図3は、S7の変動パターン特定処理を示す。特定部113は、S701〜S729の処理を実行することにより、出力値(x,…x)の変動パターンを特定する。
まずS701において、特定部113は、N個の第2の値(z[i],…z[i])のうち少なくとも1つの第2の値(z[i])が第1の閾値(s1[i])を超えたか否かを判定する。例えば、特定部113は、少なくとも1つの第2の値(z)がz[i−1]<s1[i−1]の状態からz[i]>s1[i]の状態に遷移したか否かを判定してよい。特定部113は最新の少なくとも1つの第2の値(z[0])が第1の閾値(s1[0])を超えたか否かを判定してよい。特定部113は、判定結果を蓄積記憶しておき、直近の基準数の判定結果がそれぞれ肯定的であるか否かを判定してもよい。一例として、特定部113は最新の少なくとも1つ第2の値(z[0])が第1の閾値(s1[0])を超え、かつ、1つ前の時点での少なくとも1つの第2の値(z[−1])が第1の閾値(s1[−1])を超えたか否かを判定してよい。
ここで、第1の閾値(s1)は、赤外線センサ20の視野内に検知対象が移動する場合に第2の値(z)が第1の閾値(s1)より大きくなるよう設定される。例えば、第1の閾値(s1)は、赤外線センサ20の視野内への検知対象の移動により生じるべき出力値(x)の変動量の下限値に基づいて設定されてよい。第1の閾値(s1)は、生じるべき出力値(x)の変動量の下限値でもよいし、下限値より大きくてもよいし、下限値未満でもよい。生じるべき出力値(x)の変動量の下限値は、赤外線センサ20のノイズ量、赤外線センサ20の温度、視野内の環境温度、予めこれらの値について様々な条件で測定された下限値などを用いて算出されてよい。
S701において判定が肯定的な場合(S701:Yes)には、特定部113は処理をS721に移行し、否定的な場合(S701;No)には処理をS703に移行する。
S721において特定部113は、出力値(x,…x)の変動パターンを検知対象の存在を示す変動パターンであると特定する。そして、特定部113は、変動パターン特定処理を終了する。
S703において、特定部113は、N個の第2の値(z[i],…z[i])のうち少なくとも2つの第2の値(z[i])の平均が第2の閾値(s2[i])を超えたか否かを判定する。例えば、特定部113は、少なくとも2つの第2の値(z[i−1],z[i−1],…)の平均が第2の閾値(s2[i−1])より小さい状態から、少なくとも2つの第2の値(zn'[i],zm'[i],…)の平均が第2の閾値(s2[i])より大きい状態に遷移したか否かを判定してよい。但し、n'は1≦n'≦Nの整数であり、n'=nでもよいし、n'≠nでもよい。m'は1≦m'≦Nの整数であり、m'=mでもよいし、m'≠mでもよい。特定部113は、最新の第2の値(z[0],…z[0])のうち少なくとも2つの平均が第2の閾値(s2[0])を超えたか否かを判定してよい。特定部113は、判定結果を蓄積記憶しておき、直近の基準数の判定結果がそれぞれ肯定的であるか否かを判定してもよい。
ここで、第2の閾値(s2)は、赤外線センサ20,20,…の少なくとも一部の視野内に検知対象が移動する場合に第2の値(z,z,…)の平均が第2の閾値(s2)より大きくなるよう設定される。例えば、第2の閾値(s2)は、赤外線センサ20,20,…の視野内への検知対象の移動により生じるべき出力値(x,x,…)の平均変動量の下限値に基づいて設定されてよい。一例として、第2の閾値(s2)は、平均変動量の下限値でもよいし、下限値より大きくてもよいし、下限値未満でもよい。平均変動量の下限値は、赤外線センサ20のノイズ量、赤外線センサ20の温度、視野内の環境温度、予めこれらの値について様々な条件で測定された下限値などを用いて算出されてよい。第2の閾値(s2)は第1の閾値(s1)と同じであってもよいし、第1の閾値(s1)よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
S703において判定が肯定的な場合(S703:Yes)には、特定部113は処理をS721に移行し、否定的な場合(S703;No)には処理をS705に移行する。
S705において、特定部113は、N個の第2の値(z[i],…z[i])のうち、少なくとも1つの第2の値(z[i])が第3の閾値(s3[i])(但しs3[i]は正の値)を超え、且つ、他の少なくとも1つの第2の値(z[i])が第4の閾値(s4[i])(但しs4[i]は負の値)を下回ったか否かを判定する。例えば、特定部113は、最新のN個の第2の値(z[0],…z[0])のうち、少なくとも1つの第2の値(z[0])が第3の閾値(s3[0])を超え、且つ、他の少なくとも1つの第2の値(z[0])が第4の閾値(s4[0])を下回ったか否かを判定してもよい。特定部113は、判定結果を蓄積記憶しておき、直近の基準数の判定結果がそれぞれ肯定的であるか否かを判定してもよい。
ここで、第3の閾値(s3)は、検知対象が赤外線センサ20の視野内に移動する場合に第2の値(z)が第3の閾値(s3)を超えるよう設定される。例えば、第3の閾値(s3)は、赤外線センサ20の視野内への検知対象の移動により生じるべき出力値(x)の変動量の下限値に基づいて設定されてよい。一例として、第3の閾値(s3)は、生じるべき出力値(x)の変動量の下限値でもよいし、下限値より大きくてもよいし、下限値未満でもよい。生じるべき出力値(x)の変動量の下限値は、赤外線センサ20のノイズ量、赤外線センサ20の温度、視野内の環境温度、予めこれらの値について様々な条件で測定された下限値などを用いて算出されてよい。第3の閾値(s3)は第1の閾値(s1)および/または第2の閾値(s2)と同じであってもよいし、第1の閾値(s1)および/または第2の閾値(s2)よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
第4の閾値(s4)は、検知対象が赤外線センサ20の視野外に移動する場合に第2の値(z)が第4の閾値(s4)を下回るよう設定される。例えば、第4の閾値(s4)は、赤外線センサ20の視野外への検知対象の移動により生じるべき出力値(x)の変動量の上限値に基づいて設定されてよい。一例として、第4の閾値(s4)は、生じるべき出力値(x)の変動量の上限値でもよいし、上限値より大きくてもよいし、上限値未満でもよい。生じるべき出力値(x)の変動量の上限値は、赤外線センサ20のノイズ量、赤外線センサ20の温度、視野内の環境温度、予めこれらの値について様々な条件で測定された上限値などを用いて算出されてよい。第4の値(s4)は、第3の閾値(s3)よりも大きくてよい。
S705において、判定が肯定的な場合(S705;Yes)には特定部113は処理をS721に移行し、否定的な場合(S705;No)には処理をS707に移行する。
S707において特定部113は、N個の第2の値(z[i],…z[i])のうち何れか2つの第2の値(z[i],z[i])の積が第5の閾値(s5[j])(但しs5[j]は負の値)を下回ったか否かを判定する。例えば、特定部113は、何れか2つの第2の値(z[i−1],z[i−1])の積が第5の閾値(s5[i−1])より大きい状態から、第2の値(z[i],z[i])の積が第5の閾値(s5[i])より小さい状態に遷移したか否かを判定してよい。特定部113は、最新の2つの第2の値(z[0],z[0])の積が第5の閾値(s5[0])を下回るか否かを判定してよい。特定部113は、判定結果を蓄積記憶しておき、直近の基準数の判定結果がそれぞれ肯定的であるか否かを判定してもよい。
ここで、第5の閾値(s5)は、検知対象が赤外線センサ20の視野内から赤外線センサ20の視野内に移動する場合に第2の値(z[i],z[i])の積が第5の閾値(s5)を上回るよう設定される。例えば、第5の閾値(s5)は、赤外線センサ20の視野内から赤外線センサ20の視野内への検知対象の移動により生じるべき出力値(x,x)の変動量の積の下限値に基づいて設定されてよい。一例として、第5の閾値(s5)は、積の下限値でもよいし、下限値より大きくてもよいし、下限値未満でもよい。生じるべき出力値(x,x)の変動量の積の下限値は、赤外線センサ20のノイズ量、赤外線センサ20の温度、視野内の環境温度、予めこれらの値について様々な条件で測定された下限値などを用いて算出されてよい。
S707において、判定が肯定的な場合(S707;Yes)には特定部113は処理をS721に移行し、否定的な場合(S707;No)には処理をS709に移行する。
S709において特定部113は、N個の第2の値(z,…z)のうち何れか2つの第2の値(z[i],z[i])の差分が第6の閾値(s6)(但しs6は負の値)を下回った後に、その差分が第6の閾値(s6)を超えたか否かを判定する。例えば、特定部113は、何れか2つの第2の値(z[i],z[i])の差分が第6の閾値(s6[i])を下回った後に、第2の値(z[k],z[k])(但しkはiよりも1または複数の値だけ大きい0以下の整数)の差分が第6の閾値(s6[k])を超えたか否かを判定してよい。特定部113は、1つ前の時点での何れか2つの第2の値(z[−1],z[−1])の差分が第6の閾値(s6[−1])を下回った後に、最新の第2の値(z[0],z[0])の差分が第6の閾値(s6[0])を超えたか否かを判定してよい。特定部113は、判定結果を蓄積記憶しておき、直近の基準数の判定結果がそれぞれ肯定的であるか否かを判定してもよい。
ここで、第6の閾値(s6)は、検知対象の少なくとも一部分が赤外線センサ20の視野内から赤外線センサ20の視野内に移動し、元に戻る場合(例えば人が一時的にのけ反ることで上半身が視野間を往復する場合)に第2の値(z,z)の差分が第6の閾値(s6)を下回ってから上回るよう設定される。例えば、第6の閾値(s6)は、赤外線センサ20の視野内から赤外線センサ20の視野内への検知対象の少なくとも一部分の移動により生じるべき出力値(x,x)の変動量の差分に基づいて設定されてよい。生じるべき出力値(x,x)の変動量の差分は、赤外線センサ20のノイズ量、赤外線センサ20の温度、視野内の環境温度、予めこれらの値について様々な条件で測定された差分などを用いて算出されてよい。
S709において、判定が肯定的な場合(S709:Yes)には、特定部113は処理をS721に移行し、否定的な場合(S709;No)には処理をS711に移行する。
S711において特定部113は、N個の第2の値(z[i],…z[i])のうち少なくとも1つの第2の値(z[i])が第9の閾値(s9[i])を下回ったか否かを判定する。例えば、特定部113は、最新の第2の値(z[0])が第9の閾値(s9[0])を下回ったか否かを判定してよい。特定部113は、判定結果を蓄積記憶しておき、直近の基準数の判定結果がそれぞれ肯定的であるか否かを判定してもよい。
ここで、第9の閾値(s9)は、赤外線センサ20の視野外へ検知対象が移動する場合に第2の値(z)が第9の閾値(s9)より小さくなるよう設定される。例えば、第9の閾値(s9)は、赤外線センサ20の視野外への検知対象の移動により生じるべき出力値(x)の変動量の下限値に基づいて設定されてよい。一例として、第9の閾値(s9)は、生じるべき出力値(x)の変動量の下限値でもよいし、下限値より大きくてもよいし、下限値未満でもよい。第9の閾値(s9)は正の値でも良いし、負の値でもよい。第9の閾値(s9)は第1の閾値(s1)と同じであってもよいし、第1の閾値(s1)よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。生じるべき出力値(x)の変動量の下限値は、赤外線センサ20のノイズ量、赤外線センサ20の温度、視野内の環境温度などを用いて算出されてよい。
S711において判定が肯定的な場合(S711:Yes)には、特定部113は処理をS723に移行し、否定的な場合(S711;No)には処理をS713に移行する。
S723において特定部113は、出力値(x,…x)の変動パターンを検知対象の退出を示す変動パターンであると特定する。そして、特定部113は、変動パターン特定処理を終了する。
S713において特定部113は、N個の第2の値(z[i],…z[i])のうち少なくとも2つの第2の値(z[i])の平均が第10の閾値(s10[i])を下回ったか否かを判定する。例えば、特定部113は、最新の第2の値(z[0],…z[0])のうち少なくとも2つの平均が第10の閾値(s10[0])を下回ったか否かを判定してよい。特定部113は、判定結果を蓄積記憶しておき、直近の基準数の判定結果がそれぞれ肯定的であるか否かを判定してもよい。
ここで、第10の閾値(s10)は、赤外線センサ20,20,…の少なくとも一部の視野内から視野外へ検知対象が移動する場合に第2の値(z,z,…)の平均が第10の閾値(s10)より小さくなるよう設定される。例えば、第10の閾値(s10)は、赤外線センサ20,20,…の視野外への検知対象の移動により生じるべき出力値(x,x,…)の平均変動量の下限値に基づいて設定されてよい。一例として、第10の閾値(s10)は、平均変動量の下限値でもよいし、下限値より大きくてもよいし、下限値未満でもよい。平均変動量の下限値は、赤外線センサ20のノイズ量、赤外線センサ20の温度、視野内の環境温度などを用いて算出されてよい。第10の閾値(s10)は第2の閾値(s2)と同じであってもよいし、第2の閾値(s2)よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。第10の閾値(s10)は第9の閾値(s9)と同じであってもよいし、第9の閾値(s9)よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
S713において判定が肯定的な場合(S713:Yes)には、特定部113は処理をS723に移行し、否定的な場合(S713;No)には処理をS715に移行する。
S715において特定部113は、N個の第2の値(z[i],…z[i])のうち何れか2つの第2の値(z[i])の差分が第11の閾値(s11[i])を超えたか否かを判定する。例えば、特定部113は、最新の2つの第2の値(z[0],z[0])の差分が第11の閾値(s11[0])を超えたか否かを判定してよい。特定部113は、判定結果を蓄積記憶しておき、直近の基準数の判定結果がそれぞれ肯定的であるか否かを判定してもよい。
ここで、第11の閾値(s11)は、赤外線センサ20の視野内に検知対象が存在し得る場合に第2の値(z)が第11の閾値(s11)より大きくなるよう設定される。例えば、第11の閾値(s11)は、赤外線センサ20の視野内での検知対象の位置、姿勢の変化および/または外乱により生じるべき出力値(x)の変動量の下限値に基づいて設定されてよい。一例として、第1の閾値(s1)は、変動量の下限値でもよいし、下限値より大きくてもよいし、下限値未満でもよい。生じるべき出力値(x)の変動量の下限値は、赤外線センサ20のノイズ量、赤外線センサ20の温度、視野内の環境温度などを用いて算出されてよい。
S715において、判定が肯定的な場合(S715;Yes)には特定部113は処理をS725に移行し、否定的な場合(S715;No)には処理をS717に移行する。
S725において特定部113は、出力値(x,…x)の変動パターンを検知対象の存在未確定を示す変動パターンであると特定する。そして、特定部113は、変動パターン特定処理を終了する。
S717において特定部113は、N個の第2の値(z[i],…z[i])の全てが第7の閾値(s7[i])を下回り、かつ第8の閾値(s8[i])(但しs8は負の値)を超えたか否かを判定する。例えば、特定部113は(z[0],…z[0])がそれぞれ第7の閾値(s7「0」)を下回り、かつ第8の閾値(s8[0])を超えたか否かを判定してよい。特定部113は、判定結果を蓄積記憶しておき、直近の基準数の判定結果がそれぞれ肯定的であるか否かを判定してもよい。
ここで、第7の閾値(s7)は、全ての赤外線センサ20の視野内に検知対象が存在しない場合に第2の値(z)が第7の閾値(s7)より小さくなるよう設定される。例えば、第7の閾値(s7)は、赤外線センサ20の視野内での検知対象の位置、姿勢の変化により生じるべき出力値(x)の変動量の下限値に基づいて設定されてよい。一例として、第7の閾値(s7)は、生じるべき出力値(x)の変動量の下限値でもよいし、下限値より大きくてもよいし、下限値未満でもよい。生じるべき出力値(x)の変動量の下限値は、赤外線センサ20のノイズ量、赤外線センサ20の温度、視野内の環境温度などを用いて算出されてよい。第7の閾値(s7)は第9の閾値(s9)と同じであってもよいし、第1の閾値(s9)よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
第8の閾値(s8)は、出力値(x)にばらつきがなく、第2の値の絶対値が小さいことを確認するための閾値である。第8の閾値(s8)は第7の閾値(s7)よりも小さくてよい。第7の閾値(s7)が正の値である場合に、第8の閾値(s8)の絶対値は第7の閾値(s7)の絶対値以下でよい。第8の閾値(s8)は第7の閾値と同様の手法で設定されてよい。このような第8の閾値(s8)を第7の閾値(s7)と併せて用いることにより、外乱などによる出力値(x)のドリフトの影響が除かれる。
S717において、判定が肯定的な場合(S717;Yes)には特定部113は処理をS727に移行し、否定的な場合(S717;No)には処理をS729に移行する。
S727において特定部113は、出力値(x,…x)の変動パターンを検知対象の不在を示す変動パターンであると特定する。そして、特定部113は、変動パターン特定処理を終了する。
S729において特定部113は、出力値(x,…x)の変動パターンを未定義の変動パターンであると特定する。そして、特定部113は、変動パターン特定処理を終了する。
[4.S9の推定処理]
図4は、S9の推定処理を示す。推定部114は、S901〜S925の処理を実行することにより、赤外線センサ20,…20の視野内の空間状態を推定する。
まずS901において推定部114は、検知対象の存在を示す変動パターンが特定されたか否かを判定する。S901において判定が肯定的な場合(S901:Yes)には、推定部114は処理をS903に移行し、否定的な場合(S901;No)には処理をS907に移行する。
S903において推定動作制御部116は、第2推定部1142による推定動作を停止する。これにより、検知対象が存在すると思われる場合には、第2推定部1142による検知対象の不在推定を停止することができ、第2推定部1142による誤った不在推定を防ぐことができる。なお、第2推定部1142の推定動作は、後述のS909により開始される。
そして、S905において推定部114(本実施形態では一例として第1推定部1141)が赤外線センサ20,…20の視野内の空間状態を検知対象が存在する状態と推定して、推定処理を終了する。
S907において推定部114は、検知対象の退出を示す変動パターンが特定されたか否かを判定する。S907において判定が肯定的な場合(S907:Yes)には、推定部114は処理をS909に移行し、否定的な場合(S907;No)には処理をS911に移行する。
S909において推定動作制御部116は、第2推定部1142による推定動作を開始する。これにより、検知対象が視野内から退出したと思われる場合に第2推定部1142による検知対象の不在推定が開始されるため、退出が疑われない状態での第2推定部1142による誤った不在推定を防ぐことができる。
次に、S915において第2推定部1142は、不在判定を行うためのカウンタ値をインクリメントする。このカウンタ値は、一例として各赤外線センサ20nから出力値(x[i])が取得される毎にインクリメントされてよい。
次に、S917において第2推定部1142は、視野内が不在であると推定を行うための基準値をカウンタ値が超えたか否かを判定する。この基準値はS909において第2推定部1142が推定動作を開始してから視野内に検知対象が不在であることが確定的になるまでの時間に基づいて設定されてよい。このような時間としては、例えば、検知対象が位置および姿勢を維持し続けることのできる上限時間よりも長い時間(本実施形態では一例として5秒)を用いることができる。S917において判定が肯定的な場合(S917:Yes)には、第2推定部1142は処理をS919に移行し、否定的な場合(S917;No)には処理をS925に移行する。
S919において第2推定部1142は、視野内の空間状態を検知対象が存在しない状態と推定して、推定処理を終了する。
S911において推定部114は、検知対象の不在を示す変動パターンが特定されたか否かを判定する。S911において判定が肯定的な場合(S911:Yes)には、推定部114は処理をS913に移行し、否定的な場合(S911;No)には処理をS921に移行する。
S913において推定部114は、第2推定部1142が推定動作を開始しているか否かを判定する。S913において判定が肯定的な場合(S913:Yes)には、推定部114は処理をS915に移行してカウンタ値のインクリメントを行い、否定的な場合(S913;No)には処理をS921に移行する。これにより、視野内からの検知対象の退出が疑われずに第2推定部1142による推定動作が開始していない場合にカウンタ値がインクリメントされることによる誤った不在推定を防ぐことができる。
S921において推定部114は、検知対象の存在不確定を示す変動パターンが特定されたか否かを判定する。S921において判定が肯定的な場合(S921:Yes)には、推定部114は処理をS923に移行し、否定的な場合(S921;No)には処理をS925に移行する。なお、上述のS729において出力値(x,…x)の変動パターンが未定義の変動パターンであると特定された場合には、判定が否定的となる。
S923において、推定動作制御部116は第2推定部1142による推定動作を初期化する。例えば、推定動作制御部116は、第2推定部1142によるカウント値をリセットすることにより、第2推定部1142の動作を初期化してよい。これにより、視野内で検知対象が存在することが疑われる場合に、改めて第2推定部1142による不在推定が開始されるため、誤った不在推定を防ぐことができる。
次に、S925において推定部114は、前回の推定結果(本実施形態では一例として推定または存在など)を維持して、推定処理を終了する。これにより、S905およびS919などで検知対象の存在または不在が推定されない限り、これまでの推定結果が維持される。
[5.動作の具体例]
[5−1.動作例(1)]
図5は、検知対象が存在から不在となる場合の第2の値(z)を示す。図5は、推定装置10が起動された後の第2の値(z)を示してよい。図中、横軸は時間(秒)を示し、縦軸は第2の値(z)(任意単位)を示す。なお、この動作例では一例として、推定装置10には4つの赤外線センサ20〜20が接続されており、z〜zはそれぞれ赤外線センサ20〜20に対応する第2の値(z)を示す。
まず、4秒目の時点において、第2の値(z、z)が第9の閾値(s9)(図示せず)を下回る(S711:Yes)。そのため、特定部113は、出力値(x〜x)の変動パターンが検知対象の退出を示す変動パターンであると特定する(S723)。また、推定動作制御部116は第2推定部1142の動作を開始する(S909)。第2推定部1142はカウンタ値をインクリメントする(S915)。
次に、5〜9秒目の期間において、全ての第2の値(z〜z)が第7の閾値(s7)(図示せず)よりも小さく、第8の閾値(s8)(図示せず)よりも大きい(S717:No)。そのため、特定部113は、出力値(x〜x)の変動パターンが検知対象の不在を示す変動パターンであると特定する(S727)。また、第2推定部1142はカウンタ値をインクリメントする(S915)。
次に、9〜11秒目の期間において、第2の値(z,z)の差が、第11の閾値(s11)(図示せず)よりも大きい(S715:Yes)。そのため、特定部113は、出力値(x〜x)の変動パターンが検知対象の存在未確定を示す変動パターンであると特定する(S725)。また、推定動作制御部116が第2推定部1142の動作を初期化し、カウンタ値をリセットする(S923)。
次に、11〜16秒目の期間において、すべての第2の値(z1〜z4)が第7の閾値(s7)(図示せず)よりも小さく、第8の閾値(s8)(図示せず)よりも大きい(S717:No)。そのため、特定部113は、出力値(x〜x)の変動パターンが検知対象の不在を示す変動パターンであると特定する(S727)。また、第2推定部1142はカウンタ値をインクリメントする(S915)。
次に、16秒目の時点において、不在特定のカウンタ値が基準値(本実施形態では一例として5秒)を超え(S917)、第2推定部1142は赤外線センサ20の視野内に検知対象が存在しないと推定する(S919)。
[5−2.動作例(2)]
図6は、検知対象が不在から存在となり、さらに不在となる場合の第2の値(z)を示す。
まず、0〜9秒目の期間において、全ての第2の値(z〜z)が第7の閾値(s7)(図示せず)よりも小さく、第8の閾値(s8)(図示せず)よりも大きい(S717:No)。そのため、特定部113は、出力値(x)の変動パターンを検知対象の不在を示す変動パターンであると特定する(S727)。また、第2推定部1142がカウンタ値をインクリメントし(S915)、カウンタ値が基準値(本実施形態では一例として5秒)を超える結果(S917)、第2推定部1142が赤外線センサ20の視野内に検知対象が存在しないと推定する(S919)。
次に、10秒目の時点において、第2の値(z〜z)の平均が第2の閾値(s2)(図示せず)よりも大きい(S707:Yes)。そのため、特定部113は、出力値(x)の変動パターンを検知対象の存在を示す変動パターンであると特定する(S721)。また、推定動作制御部116は第2推定部1142の動作を停止し(S903)、第1推定部1141は赤外線センサ20の視野内に検知対象が存在すると推定する(S905)。
次に、11〜15秒目の期間において、全ての第2の値(z〜z)が第7の閾値(s7)(図示せず)よりも小さく、第8の閾値(s8)(図示せず)よりも大きい(S717:No)。そのため、特定部113は、出力値(x)の変動パターンを検知対象の不在を示す変動パターンであると特定する(S727)。但し、このとき第2推定部1142は停止されているため(S913:No)、推定部114は、検知対象が存在しているという前回の推定を維持する(S925)。
次に、16秒目の時点において、第2の値(z,z)が第9の閾値(s9)(図示せず)を下回る(S711:Yes)。そのため、特定部113は、出力値(x)の変動パターンを検知対象の退出を示す変動パターンであると特定する(S723)。また、推定動作制御部116は第2推定部1142の動作を開始する。第2推定部1142はカウンタ値をインクリメントする(S915)。
次に、20〜25秒目の期間において、全ての第2の値(z〜z)が第7の閾値(s7)(図示せず)よりも小さく、第8の閾値(s8)(図示せず)よりも大きい(S717:No)。そのため、特定部113は、出力値(x)の変動パターンを検知対象の不在を示す変動パターンであると特定する(S727)。また、第2推定部1142はカウンタ値をインクリメントする(S915)。
次に、25秒目の時点において不在特定のカウンタ値が基準値(本実施形態では一例として5秒)を超え(S917)、第2推定部1142は赤外線センサ20の視野内に検知対象が存在しないと推定する(S919)。
[6.端末装置の構成]
図7は、本実施形態に係る端末装置1を示すブロック図である。
端末装置1は、近傍に操作者が存在するか否かにより自動的にログイン状態とログオフ状態とを切り替えるものである。これに加え/代えて、端末装置1は、近傍に操作者が存在するか否かにより自動的に通常電力状態と省電力状態とを切り替えてもよい。例えば、端末装置1は、ノートパソコンなどのパソコンであってよい。端末装置1は、上述のN個の赤外線センサ20および推定装置10を備えている。端末装置1は、ユーザインターフェース30、撮像部40、撮像制御部50および認証部60をさらに備えてもよい。
ユーザインターフェース30は、端末装置1と操作者との間で情報をやり取りする。例えば、ユーザインターフェース30は、ディスプレイ301およびキーボード302等を有し、端末装置1のオペレーティングシステムと操作者との間で情報をやり取りしてよい。また、ユーザインターフェース30は、ユーザの操作に応じて端末装置1のログイン処理(および/またはログイン画面の表示処理)およびログアウト処理を行ってよい。また、ユーザインターフェース30は、推定装置10による推定結果に応じて自動でログイン処理およびログアウト処理を行ってもよい。
N個の赤外線センサ20は、端末装置1を操作者が操作しているとき、或いはディスプレイ301を操作者が見ているときに当該操作者が少なくとも一部の赤外線センサ20の視野内に含まれるように設置されている。例えば、少なくとも一部の赤外線センサ20は、操作者の体表面からの赤外線を受光すべく、体表面の露出部分(一例として顔部分)が視野内に含まれるように設置されてよい。一例として、少なくとも一部の赤外線センサ20は、ディスプレイ301のベゼル上部に搭載されてよい。また、少なくとも一部の赤外線センサ20は、キーボード302の近傍の空間が視野内に入るように向けられてよい。少なくとも一部の赤外線センサ20は、ノートパソコンとしての端末装置1が開いた状態で設置されたときに、使用者の側に向けられてよい。
推定装置10は、赤外線センサ20の視野内の空間状態を推定し、推定結果を撮像制御部50に出力してよい。
撮像部40は、赤外線センサ20の視野内の空間を撮像する。例えば、撮像部40は、端末装置1を操作する操作者の顔認証を行う場合に、操作者の顔部分を含む空間を撮像可能であってよい。撮像部40の視野は、少なくとも一部の赤外線センサ20の視野と重なってよく、全ての赤外線センサ20と同一であってもよい。一例として、撮像部40はCCDカメラであってよい。撮像部40は、撮像画像のデータを認証部60およびユーザインターフェース30に供給してよい。
撮像制御部50は、推定装置10により複数の赤外線センサ20の視野内の空間が操作者を含まない状態から含む状態に遷移したと推定される場合に撮像部40を起動する。例えば、撮像制御部50は、推定装置10から通知信号を受信した場合に、撮像部40を起動してよい。
認証部60は、撮像制御部50により撮像部40が起動された場合に、撮像部40を用いて操作者の顔認証を行う。例えば、認証部60は、撮像部40から供給される撮像画像内で顔部分を検出してよい。また、認証部60は、検出された顔と、端末装置1内に登録されている1または複数の操作者の顔画像とを照合することで顔認証を行ってよい。認証部60は、顔認証が成功した場合には、このことを通知する信号をユーザインターフェース30に出力することで、ログイン処理を行わせてよい。
以上の端末装置1によれば、赤外線センサ20の視野内、例えばキーボード302の近傍の空間が操作者を含まない状態から含む状態に遷移した場合に、顔認証およびログイン処理を自動で行うことができる。
[7.端末装置の動作]
図8は、本実施形態に係る端末装置1の動作を示すフローチャートである。
端末装置1は、S41〜S59の処理を実行することにより、自動的にログインおよびログアウトを行う。
まず、端末装置1が起動されると、S41において撮像制御部50が起動されて撮像部40を起動し、次にS43において撮像部40が赤外線センサ20の視野内の空間を撮像する。
次に、S45において、認証部60が起動され、撮像部40から供給される撮像画像内の顔について顔認証を行う。
次に、S47において認証部60は認証が成功したか否かを判定し、失敗したと判定された場合(S47;No)には、端末装置1は処理を終了する。なお、この場合に端末装置1は、後述のS57に処理を移行させてもよい。
S47において認証が成功したと判定された場合(S47;Yes)には、S49において、ユーザインターフェース30が起動され、端末装置1をログイン状態に移行させる。この状態において、撮像部40は、少なくとも一部の赤外線センサ20の視野内の空間を連続的に、または間欠的に撮像してよい。
次に、S51においてユーザインターフェース30は、複数の赤外線センサ20の視野内の空間状態を推定する。例えば、ユーザインターフェース30は、撮像部40から供給される撮像画像内で顔部分の検出を試みることで、この空間が操作者を含む状態であるか否かを推定してよい。
次に、S53において、ユーザインターフェース30は、赤外線センサ20の視野内の空間が操作者を含む状態から含まない状態に遷移したか否かを判定する。S53において視野内の空間が操作者を含む状態から含まない状態に遷移していないと判定された場合(S53;No)には、ユーザインターフェース30は、S51に処理を戻す。
また、S53において視野内の空間が操作者を含む状態から含まない状態に遷移したと判定された場合(S53;Yes)には、S55においてユーザインターフェース30は、端末装置1をログアウト状態に移行させる。この場合に、ユーザインターフェース30は、推定装置10および赤外線センサ20を起動してよい。
次に、S57において推定装置10は、赤外線センサ20の視野内の空間状態を推定する。例えば、推定装置10は、赤外線センサ20の視野内の空間が操作者を含む状態であるか否かを推定してよい。
次に、S59において推定装置10は、赤外線センサ20の視野内の空間が操作者を含まない状態から含む状態に遷移したか否かを判定する。S59において視野内の空間が操作者を含まない状態から含む状態に遷移していないと判定された場合(S59;No)には、推定装置10はS57に処理を戻す。
また、S59において視野内の空間が操作者を含まない状態から含む状態に遷移したと判定された場合(S59;Yes)には、推定装置10が撮像制御部50に通知信号を出力する。これにより、端末装置1は処理をS41に移行させる。
なお、S51における空間状態の推定処理は、推定装置10が行ってもよい。例えば、推定装置10は、赤外線センサ20の視野内の空間が操作者を含む状態であるか否かを推定してよい。また、推定装置10は、推定結果をユーザインターフェース30に出力してよい。この場合には、S49で端末装置1がログイン状態に移行したときに、推定装置10および赤外線センサ20が起動されてよい。
[8.変形例]
なお、上記の実施形態では、取得部101、第1算出部111および第2算出部112が推定装置10に1つのみ設けられることとして説明したが、赤外線センサ20,…20と同数のN個だけ設けられてもよい。この場合には、各取得部101は対応する赤外線センサ20からの出力値(x)を取得し、各第1算出部111,各第2算出部112は対応する赤外線センサ20についての第1の値(y),第2の値(z)をそれぞれ算出してよい。
また、第1の値(y)に基づいて第2の値(z)が算出され、特定部113は第2の値(z)に基づいて変動パターンを特定することとして説明したが、第1の値(y)及び第2の値(z)に基づいて変動パターンを特定してもよい。例えば、特定部113は、同じタイミングの第1の値(x[i])及び第2の値(y[i])に基づいて変動パターンを特定してよい。一例として、特定部113は、第2の値(z)、その平均、差分および/または積などと、閾値(s)との対応関係を、様々な条件で測定して第1の値(y)の数値ごとに対応付けて記憶しておき、第1の値(y)に対応する閾値(s)と、第2の値(z)とを用いて変動パターンを特定してもよい。
また、推定装置10および複数の赤外線センサ20が端末装置1に設けられることとして説明したが、建物のセキュリティシステムに設けられてもよい。この場合、複数の赤外線センサ20は、壁面または天井に設けられてよい。一例として、少なくとも1部の赤外線センサ20は斜め下方、または、水平に向けられてよい。
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
図9は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD−ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD−ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。入/出力チップ2240には赤外線センサ20および撮像部40が接続されてよい。
プログラムが、DVD−ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD−ROMドライブ2226(DVD−ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
1 端末装置、10 推定装置、20 赤外線センサ、30 ユーザインターフェース、40 撮像部、50 撮像制御部、60 認証部、101 取得部、111 第1算出部、112 第2算出部、113 特定部、114 推定部、115 閾値設定部、116 推定動作制御部、1141 第1推定部、1142 第2推定部、301 ディスプレイ、302 キーボード、2200 コンピュータ、2201 DVD−ROM、2210 ホストコントローラ、2212 CPU、2214 RAM、2216 グラフィックコントローラ、2218 ディスプレイデバイス、2220 入/出力コントローラ、2222 通信インタフェース、2224 ハードディスクドライブ、2226 DVD−ROMドライブ、2230 ROM、2240 入/出力チップ、2242 キーボード

Claims (23)

  1. コンピュータを、
    複数の赤外線センサの出力値をそれぞれ取得する取得部と、
    前記複数の赤外線センサのそれぞれについて、前記出力値を用いて、前記出力値の基準を示す第1の値を経時的に算出する第1算出部と、
    前記複数の赤外線センサのそれぞれについて、前記出力値の変化量を示す第2の値を前記第1の値に基づいて経時的に算出する第2算出部と、
    前記複数の赤外線センサのそれぞれについての複数の前記第2の値に基づいて、前記出力値の変動パターンを特定する特定部と、
    特定される前記変動パターンに基づいて、前記複数の赤外線センサの視野内の空間状態を推定する推定部として機能させるプログラム。
  2. 前記第1算出部は、前記出力値に遅延を発生させる処理を行い前記第1の値を算出する、請求項1に記載のプログラム。
  3. 前記第2算出部は、前記出力値と前記第1の値との差分を前記第2の値として算出する、請求項1または2に記載のプログラム。
  4. 前記特定部は、前記第1の値及び前記第2の値に基づいて前記変動パターンを特定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプログラム。
  5. 前記特定部は、前記変動パターンを検知対象の存在、不在、退出および存在未確定の少なくとも1つを示す変動パターンであると特定する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプログラム。
  6. 前記特定部は、前記複数の第2の値のうち、少なくとも1つの値が第1の閾値を超える場合に、前記変動パターンを前記検知対象の存在を示す変動パターンであると特定する、請求項5に記載のプログラム。
  7. 前記特定部は、同じタイミングで算出された前記複数の第2の値のうち、少なくとも2つの値の平均が第2の閾値を超える場合に、前記変動パターンを前記検知対象の存在を示す変動パターンであると特定する、請求項5〜6に記載のプログラム。
  8. 前記特定部は、同じタイミングで算出された前記複数の第2の値のうち、少なくとも1つの値が第3の閾値(但し、第3の閾値は正の値)を超え、且つ、少なくとも1つの値が第4の閾値(但し、第4の閾値は負の値)を下回る場合に、前記変動パターンを前記検知対象の存在を示す変動パターンであると特定する、請求項5〜7のいずれか一項に記載のプログラム。
  9. 前記特定部は、同じタイミングで算出された前記複数の第2の値のうち、2つの値の積が第5の閾値(但し、第5の閾値は負の値)を下回る場合に、前記変動パターンを前記検知対象の存在を示す変動パターンであると特定する、請求項5〜8のいずれか一項に記載のプログラム。
  10. 前記特定部は、同じタイミングで算出された前記複数の第2の値のうち、ある値と他の値の差分が第6の閾値(但し、第6の閾値は負の値)を下回った後に、該差分が該第6の閾値を超えた場合に、前記変動パターンを前記検知対象の存在を示す変動パターンであると特定する、請求項5〜9のいずれか一項に記載のプログラム。
  11. 前記特定部は、同じタイミングで算出された前記複数の第2の値のうち、すべての値が第7の閾値を下回り、且つ、すべての値が第8の閾値(但し、第8の閾値は負の値)を超える場合に、前記変動パターンを前記検知対象の不在を示す変動パターンであると特定する、請求項5〜10のいずれか一項に記載のプログラム。
  12. 前記特定部は、同じタイミングで算出された前記複数の第2の値のうち、少なくとも1つの値が第9の閾値(但し、第9の閾値は負の値)を下回る場合に、前記変動パターンを前記検知対象の退出を示す変動パターンであると特定する、請求項5〜11のいずれか一項に記載のプログラム。
  13. 前記特定部は、同じタイミングで算出された前記複数の第2の値のうち、少なくとも2つの値の平均が第10の閾値を下回る場合に、前記変動パターンを前記検知対象の退出を示す変動パターンであると特定する、請求項5〜12のいずれか一項に記載のプログラム。
  14. 前記特定部は、同じタイミングで算出された前記複数の第2の値のうち、2つの値の差分が第11の閾値を超える場合に、前記変動パターンを前記検知対象の存在未確定を示す変動パターンであると特定する、請求項5〜13のいずれか一項に記載のプログラム。
  15. 前記推定部は、
    前記変動パターンが前記検知対象の存在を示す場合に、前記複数の赤外線センサの視野内の空間に前記検知対象が存在する状態であると推定する第1推定部と、
    前記変動パターンが前記検知対象の不在を示す場合に、前記複数の赤外線センサの視野内の空間に前記検知対象が存在しない状態であると推定する第2推定部と、
    を有する請求項5〜14のいずれか一項に記載のプログラム。
  16. 前記コンピュータを、
    前記特定部が前記変動パターンを前記検知対象の退出を示す変動パターンであると特定した場合に、前記第2推定部による推定を開始させる推定動作制御部としてさらに機能させる、請求項15に記載のプログラム。
  17. 前記推定動作制御部は、前記特定部が前記変動パターンを前記検知対象の存在未確定を示す変動パターンであると特定した場合に、前記第2推定部による推定を初期化する、請求項16に記載のプログラム。
  18. 前記推定動作制御部は、前記特定部が前記変動パターンを前記検知対象の存在を示す変動パターンであると特定した場合に、前記第2推定部による推定を停止する、請求項16または17に記載のプログラム。
  19. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のプログラムを格納するコンピュータ可読媒体。
  20. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のプログラムを格納する推定装置。
  21. 複数の赤外線センサの出力値をそれぞれ取得する取得部と、
    前記複数の赤外線センサのそれぞれについて、前記出力値を用いて、前記出力値の基準を示す第1の値を経時的に算出する第1算出部と、
    前記複数の赤外線センサのそれぞれについて、前記出力値の変化量を示す第2の値を前記第1の値に基づいて経時的に算出する第2算出部と、
    前記複数の赤外線センサについての複数の前記第2の値に基づいて、前記出力値の変動パターンを特定する特定部と、
    特定される前記変動パターンに基づいて、前記複数の赤外線センサの視野内の空間状態を推定する推定部と、
    を備える推定装置。
  22. 請求項20または21に記載の推定装置と、
    前記複数の赤外線センサと、
    を備える端末装置。
  23. 複数の赤外線センサの出力値をそれぞれ取得する取得段階と、
    前記複数の赤外線センサのそれぞれについて、前記出力値を用いて、前記出力値の基準を示す第1の値を経時的に算出する第1算出段階と、
    前記複数の赤外線センサのそれぞれについて、前記出力値の変化量を示す第2の値を前記第1の値に基づいて経時的に算出する第2算出段階と、
    前記複数の赤外線センサについての複数の前記第2の値に基づいて、前記出力値の変動パターンを特定する特定段階と、
    特定される前記変動パターンに基づいて、前記複数の赤外線センサの視野内の空間状態を推定する推定段階と、
    を備える推定方法。
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