JP2019015550A - 3次元磁界検出素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】
X軸Y軸Z軸の3つの磁界検出素子の機能を一つの基板上に実現して0.3mm以下の厚みの超高感度磁界検出素子を提供する。
【解決手段】
基板の磁界検出素子配置面と平行方向の磁界を検出するタイプの磁界検出素子を用いて、基板平面上に4つの磁界検出素子を、基板の原点を中心にして第1軸方向に二つ配置し、第1軸方向と交差する第2軸方向に二つ配置し、さらに原点の下部の基板内と4つの磁界検出素子の原点と反対側の磁界検出素子の端部の上部に軟磁性体を配置してなり、4つの磁界検出素子と5つの軟磁性体とを磁気的に間隙なしに結合して磁気回路を形成する。
【選択図】図1
X軸Y軸Z軸の3つの磁界検出素子の機能を一つの基板上に実現して0.3mm以下の厚みの超高感度磁界検出素子を提供する。
【解決手段】
基板の磁界検出素子配置面と平行方向の磁界を検出するタイプの磁界検出素子を用いて、基板平面上に4つの磁界検出素子を、基板の原点を中心にして第1軸方向に二つ配置し、第1軸方向と交差する第2軸方向に二つ配置し、さらに原点の下部の基板内と4つの磁界検出素子の原点と反対側の磁界検出素子の端部の上部に軟磁性体を配置してなり、4つの磁界検出素子と5つの軟磁性体とを磁気的に間隙なしに結合して磁気回路を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、方位センサなどに用いられるX軸Y軸Z軸の3つのGSR素子の機能をひとつの基板上に実現することにより、方位センサの高い感度、低いノイズ、広い測定レンジなどの基本性能を維持した状態で、3次元磁界検出素子の高さを薄くし、サイズを小さくすることを可能にする技術に関するものである。
ここで、GSR素子とは超高速スピン回転効果(英語表記;GHz Spin Rotation effect)を基礎にした超高感度マイクロ磁気センサ素子をいう。
ここで、GSR素子とは超高速スピン回転効果(英語表記;GHz Spin Rotation effect)を基礎にした超高感度マイクロ磁気センサ素子をいう。
方位センサは、X軸、Y軸およびZ軸の3つの磁気センサ素子と集積回路を組み合わせて地磁気ベクトルを測定し、その値から方位を計算するものである。スマートホン、タブレット、インターネットTVのリモコン、モーションゲーム、モーションキャプチャなどで、加速度センサ、振動式ジャイロセンサと組合せて3次元方位計として広く使用されているが、
近年これらの装置の一層の高感度化、低ノイズ化、測定レンジのワイドレンジ化とともに小型化、薄型化が強く要求されている。特にスマートホンの薄型化に伴い、方位センサの高さを従来の1.0mmから0.6mmと40%以上の薄型化、サイズを従来の2.0mm角から1.5mm角と50%以上の小型化が求められている。またノイズに関しても、従来の10mG以下から1mG以下と10倍の性能アップが求められている。
近年これらの装置の一層の高感度化、低ノイズ化、測定レンジのワイドレンジ化とともに小型化、薄型化が強く要求されている。特にスマートホンの薄型化に伴い、方位センサの高さを従来の1.0mmから0.6mmと40%以上の薄型化、サイズを従来の2.0mm角から1.5mm角と50%以上の小型化が求められている。またノイズに関しても、従来の10mG以下から1mG以下と10倍の性能アップが求められている。
方位センサには、磁界検出用素子としてホール素子、MR素子、MI(Magne−Impedanceの略)素子、GSR素子が用いられる。通常、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の磁界ベクトル成分Hx、Hy、Hzの強さを測定するために、X軸素子、Y軸素子、Z軸素子の3つの素子を用いて測定を行う。
ホール素子の場合は素子面と垂直方向に磁界を検知するので、Z軸素子を面上に配置し、X軸素子、Y軸素子をセンサ基板に立てて組み付ける必要がある。一方、MR素子やMI素子などは素子面と平行な磁界を検知するので、X軸素子とY軸素子は面上に配置して、Z軸素子をセンサ基板(Z軸方向)に立てて組み付ける必要がある。3つの素子を使う限り、センサの高さが大きくなるという問題があった。
ホール素子の場合は素子面と垂直方向に磁界を検知するので、Z軸素子を面上に配置し、X軸素子、Y軸素子をセンサ基板に立てて組み付ける必要がある。一方、MR素子やMI素子などは素子面と平行な磁界を検知するので、X軸素子とY軸素子は面上に配置して、Z軸素子をセンサ基板(Z軸方向)に立てて組み付ける必要がある。3つの素子を使う限り、センサの高さが大きくなるという問題があった。
この問題に対して、旭化成(株)社がホール素子を使って、ひとつの基板上にZ軸素子4個を配置してX軸素子とY軸素子を使わずに3次元磁界検出素子の開発に成功し、方位センサ(品番AKM8974)として生産販売している。その3次元磁界検出素子の構造は、基板上にX軸方向とY軸方向にそれぞれ一対のZX1素子とZX2素子および一対のZY1素子とZY2素子をクロス状に配置しその中心部に磁性材料であるパーマロイの薄円盤を配置したものである。この装置は、3次元の磁界ベクトルを、まずZ軸方向の磁界はZX1素子、ZX2素子、ZY1素子、ZY2素子の4つの出力を加算することによって検知し、X軸方向の磁界とY軸方向の磁界はそれぞれパーマロイ円盤によってZ軸方向に変向成分を発生させて、X軸方向の磁界はZX1素子とZX2素子の出力の差分で、Y軸方向の磁界はZY1素子とZY2素子の出力の差分で検知するものである。センサ基板面上に立てる素子が無いので、高さは薄く、サイズは小さくすることができる。ホール素子のように素子面と垂直の磁界を検知することができる磁界検出素子は容易に装置を薄くできるが、ホールセンサなどのこの種の磁界検出素子は、ノイズが10mG程度と1mG以下の要求に対して大きすぎるという欠点があり、使用にあたっては大きな問題であった。
一方、MI素子はノイズ1mG以下に改善することは可能であるが、Z軸素子を基板面上に立てて組み付けた場合、MI素子の高さと検出感度は背反するためその高さを小さくすることは困難であった。というのは、MI素子は、アモルファスワイヤ等の感磁体に検出コイルを巻き付けたもので、感磁体に高周波のパルス電流等を流して、その時に発生する外部磁界に比例した検出コイル電圧を検知するものである。MI素子の検出感度はMI素子の長さやコイルの巻数に比例するので検出磁界の方向に長さに依存するためである。
これに対して、特許文献1は、ひとつの基板上にX軸素子とY軸素子を配置してZ軸素子機能を備えた一体型のMIセンサ装置が記載している。基板面上にX軸方向とY軸方向にそれぞれ一対のX1軸素子とX2軸素子およびY1軸素子とY2軸素子をクロス状に配置しその中心点下部にパーマロイ心棒を配置したものである。この装置は、3次元の磁界ベクトルを、まずX軸方向の磁界はX1軸素子とX2軸素子の出力を加算することによって検知し、Y軸方向の磁界はY1軸素子とY2軸素子の出力を加算することによって検知し、さらにZ軸方向の磁界はZ軸方向磁界をパーマロイ心棒によって平面方向に変向成分を発生させ、それをX1軸素子とX2軸素子の出力の差分とY1軸素子とY2軸素子の出力の差分とを加算することで検知するものである。
しかし、パーマロイ心棒によるZ軸方向磁界を平面方向に変向する力はきわめて弱い。そのため長くて直径の大きなパーマロイを必要とし、装置の厚みは0.5mm以上必要で実用的でなかった。
しかし、パーマロイ心棒によるZ軸方向磁界を平面方向に変向する力はきわめて弱い。そのため長くて直径の大きなパーマロイを必要とし、装置の厚みは0.5mm以上必要で実用的でなかった。
特許文献2には、先に本発明者が開示した3次元磁界検出素子に関するもので、磁界検出素子軸と並行方向の磁界を検出するタイプの磁界検出素子を使って、基板面上に4つの磁界検出素子を、原点を中心にして第1軸方向に沿って二つ、第1軸と交差する第2軸方向に沿って二つ配置し、さらに原点の下部の基板内と4つの素子の原点と反対側の端部の上部に軟磁性体を配置した構造により磁界検出素子と軟磁性体の間に磁気回路を形成する磁界検出ユニットを有することによって、4つの磁界検出素子の出力からX軸、Y軸およびZ軸方向の磁界の強さを効果的に検出する3次元磁界検出素子が開示されている。
その素子の上部の軟磁性体の高さは0.05mmから0.2mm程度でMI素子とのギャップは0.02mm以下とし、同様の下部の軟磁性体も同様の大きさと位置関係として、三つの部品はクランク状に配置されている。
その素子の上部の軟磁性体の高さは0.05mmから0.2mm程度でMI素子とのギャップは0.02mm以下とし、同様の下部の軟磁性体も同様の大きさと位置関係として、三つの部品はクランク状に配置されている。
そのクランク状の磁気回路の機能は、Z軸方向の磁界は素子の片方の端にある軟磁性体から素子の中の磁性ワイヤを通過して、他方の軟磁性体に流れる。Z軸方向の磁界がX軸とY軸の面内方向の放射線状に流れる磁界に変向される。この時、基板面上にあるアモルファスワイヤには、Z軸方向の磁界に比例した強い磁界が流れることになる。このことにより、両端にある軟磁性体が小さくても、大きな出力を得ることができる。従って、この磁気回路を活用すれば素子の高さを、特許文献1の0.5mmレベルから0.10mm〜0.30mm程度の小さなものにすることができる。
しかし、MI素子の感磁体と軟磁性体とのギャップが0.02mm以下と完全に接続されていないために磁気漏洩が大きく一層の改善が必要である。また、感磁体の電極端子が別途設定されているため素子が大きくなる。
本発明者は、上記の磁気回路の効率を高めるために、素子の感磁体導電性ワイヤ(磁性ワイヤという。)にその表面に直接に導電性軟磁性体をメッキ法又は金属蒸着法で形成して両者の接合部において磁気かつ電気的に結合することに想到した。
磁性ワイヤと軟磁性体がギャップ(間隙)なしで磁気的に結合することにより磁気回路からの磁束の漏洩を最小限にして磁気回路の効率を最大限に高めることができる。
磁性ワイヤと軟磁性体がギャップ(間隙)なしで磁気的に結合することにより磁気回路からの磁束の漏洩を最小限にして磁気回路の効率を最大限に高めることができる。
また、その結合部が電気的接続部を兼ねることにより、電気的接続部と磁気的接続部の両方を設置する場合に比べて大幅に素子を小型化することができる。同時に磁性ワイヤの両端部の磁気的接続部の間隔を短くすることができて、磁気回路の長さを短くして磁気抵抗を小さくし、磁気回路の効率を改善することができる。
両者の接続部を磁気的かつ電気的に結合するために、磁性ワイヤの両端部は金属面が露出した状態にしてその上にパーマロイなどの導電性磁性材料でメッキ又は金属蒸着して金属結合を形成すると同時にワイヤ電極とワイヤ端子とを連結する導線のワイヤ端子側の端部との金属結合を形成する。
素子としてMI素子やGSR素子が対象となるが、感度の優れたGSR素子を使用した場合にはワイヤ長さを相対的に短くできる。これにより磁気抵抗が減少し、磁気回路の効率を改善することができる。それ故にGSR素子への適用がより好ましい。
磁気回路に流れる磁束については、ワイヤ端部にある4つの軟磁性体に集磁され、軟磁性体の上側から下側に磁束を形成して流れ、軟磁性体下部から4つの磁性ワイヤに流れて中央部の軟磁性体上部に集まり、その下部から放磁される。
ここで4つの軟磁性体に流れる磁束φ1=4×B1×S1、4つの磁性ワイヤに流れる磁束φ2=4×B2×S2、中央部の磁性体を流れる磁束φ3=B3S3とすると、
この磁気回路の起磁力を磁気方向の磁界Hzと考えるとB1=μ1Hz≦1000G、ここで μ1=2000 Hz=0.5G(最大)。 この磁性ワイヤはこの磁束φ1を通す能力が必要で、能力としてのφ2は最大のφ1がより大きい必要がある。B2≦13,000、断面積をS1は直径30μm、S2は直径10μmとするとS1はS2の9倍なので、最大のφ1=36,000S2 、能力としてのφ2は、φ2=52,000S2となって能力φ2>最大のφ1となって、磁性ワイヤは端部で集磁した磁束を流すことができる。
この磁気回路の起磁力を磁気方向の磁界Hzと考えるとB1=μ1Hz≦1000G、ここで μ1=2000 Hz=0.5G(最大)。 この磁性ワイヤはこの磁束φ1を通す能力が必要で、能力としてのφ2は最大のφ1がより大きい必要がある。B2≦13,000、断面積をS1は直径30μm、S2は直径10μmとするとS1はS2の9倍なので、最大のφ1=36,000S2 、能力としてのφ2は、φ2=52,000S2となって能力φ2>最大のφ1となって、磁性ワイヤは端部で集磁した磁束を流すことができる。
また、S3の直径60μmとするとS3はS1の4倍となるので、最大のφ1=最大のφ2となる。集磁され、磁性ワイヤを通過した磁束φ1が中央部磁性体から放磁される。この関係は、中央部で集磁され、4つの端部から放磁されると考えられる。中央部の磁性体の断面積は4つの端部の軟磁性体の断面積の4倍を要する。
両者のパーミァン係数を同じとするために高さ/断面積の比を同じとする。ワイヤ直径は磁性ワイヤの飽和磁束を考慮して、磁性体で集磁された磁束を全て通すことができる大きさとすることが好ましい。
以上の関係を維持することによって磁束漏洩の少ない磁気回路を形成することができる。
以上の関係を維持することによって磁束漏洩の少ない磁気回路を形成することができる。
本発明の3次元磁界検出素子は、同サイズの集積回路チップとCSP(チップサイズパッケージ)法で電極用半田パッドなどを用いて接合して使用することが好ましい。GSRセンサの集積回路は、パルス発振回路、信号処理回路、及び、前記演算手段を含む電子回路で形成されている。信号処理回路の一例としてはバッファ回路、サンプルタイミング調整回路、電子スイッチ、ホールド回路および増幅回路からなっている。
また、本発明の3次元磁界検出素子を用いる3次元磁界検出装置を駆動する電子回路は、パルス回路から同時に4つの素子にパルス電流を流して、4つの信号処理回路で同時にコイル電圧を検知した後で、所定の演算を行うことによってX軸、Y軸およびZ軸方向の磁界の強さを求めることが好ましい。ほかにも電子スイッチでX軸素子の測定とY軸素子の測定の切替えを瞬時、例えば1μ秒で行い、一つのパルス発振回路と二つの検波回路を使って測定し、測定値をデータ保存して所定の演算を行ってもよい。
本発明の3次元磁界検出素子と信号処理回路、集積回路のシリコン基板との組合せた磁界検出装置である方位センサの厚みの合計は、0.3〜0.6mmときわめて薄くすることができる。
本発明の3次元磁界検出素子と信号処理回路、集積回路のシリコン基板との組合せた磁界検出装置である方位センサの厚みの合計は、0.3〜0.6mmときわめて薄くすることができる。
高い感度と適切な測定レンジの両立について説明すると、GSR素子の出力はある磁界の強さでピーク値をとり、測定レンジはそのピーク間で制約される。測定レンジはGSR素子の長さを短くして磁性ワイヤの反磁界を大きくすることによって拡大することができる。このようにGSR素子の長さを調整して、感度と背反関係にある測定レンジを所定の範囲に調整するのが一般的な方法である。本発明においても、X軸方向、Y軸方向の磁界測定にこの一般的方法が適用できる。さらにZ軸方向の磁界測定についてはGSR素子の長さが短いほど、磁気抵抗の小さな磁気回路が形成できるので感度は向上し、より小さな軟磁性体で両者の両立を実現できることを意味する。言い換えれば本発明において、感度と測定レンジの両立は損なわれることはない。
本発明の実施形態について説明する。
本発明の3次元磁界検出素子は、基板の磁界検出素子配置面と平行方向の磁界を検出するタイプの磁界検出素子を用いて、基板平面上に4つの磁界検出素子を、基板の原点を中心にして第1軸方向に二つ配置し、第1軸方向と交差する第2軸方向に二つ配置し、さらに原点の下部の基板内と4つの磁界検出素子の原点と反対側の磁界検出素子の端部の上部に軟磁性体を配置してなり、4つの磁界検出素子と5つの軟磁性体とを磁気的に間隙なしに結合して磁気回路を形成するものである。
本発明の3次元磁界検出素子は、基板の磁界検出素子配置面と平行方向の磁界を検出するタイプの磁界検出素子を用いて、基板平面上に4つの磁界検出素子を、基板の原点を中心にして第1軸方向に二つ配置し、第1軸方向と交差する第2軸方向に二つ配置し、さらに原点の下部の基板内と4つの磁界検出素子の原点と反対側の磁界検出素子の端部の上部に軟磁性体を配置してなり、4つの磁界検出素子と5つの軟磁性体とを磁気的に間隙なしに結合して磁気回路を形成するものである。
また、本発明の3次元磁界検出素子は、4つの磁界検出素子の感磁体と5つの軟磁性体とを電気的に接続して、感磁体と前記軟磁性体との連結部を磁気的かつ電気的な接続部とするものである。
本発明のGSR素子は、前述したように磁場(磁界)などの磁気に感応してスピンの回転を生じ得るからなる感磁体と、その感磁体の変化量を検出する検出手段とを有する。感磁体はその材質や形態を問わない。また検知手段も感磁体の周囲に巻回され磁束量変化に応じた起電力を出力するピックアップコイル(検出コイル)である。感磁体は通常はアモルファスワイヤなどの軟磁性材からなり、相応の長さを有するワイヤまたは薄膜からなる。感磁体は、強度やコストなどの点で、特に零磁歪のアモルファスワイヤが好ましい。
軟磁性体は、基板上に配置されたX1軸素子、X2軸素子、Y1軸素子、Y2軸素子と4つのクランク状の磁気回路を形成して、Z軸方向の磁界を基板上のX軸方向とY軸方向に変向して、Z軸方向の磁界の強さを検出することを可能とするものである。ただし、このような軟磁性体による磁気回路形成が可能で導電性である限り、軟磁性体の材質、形態は問わない。軟磁性体は、高透磁率であるほど、磁場の集磁効果が大きくて好ましい、軟磁性体の形状は、反磁界係数を小さくしてZ軸方向の磁界によって効果的に磁化しうる形状であると好ましい。
軟磁性体の配置位置は、磁気回路を効果的に形成されやすい位置に配置されると好ましい。例えば、軟磁性体の磁極面とアモルファスワイヤ端部とを直接接続して磁気回路抵抗を小さくする。また、ワイヤ端子部と素子上のワイヤ電極と電気的接続を行なう。
本発明の趣旨に沿う限り、X軸素子とY軸素子または軟磁性体の配置は、両軸は直角であることが望ましいが、直角からある角度ずれている場合は素子出力にその角度ずれに応じた適切な補正演算を行うことによって処理することができる。
X軸方向とY軸方向は、素子基板形状の縦方向と横方向に一致していることが望ましいが、一致していない場合はそのズレ角度を測定して補正演算を加えることで対応することができる。
勿論、対称に配置されるGSR素子同士または磁気回路を形成する軟磁性体同士は、それぞれ感応特性、検出特性または集磁特性などは、実質的に同一であることが好ましい。特性が異なる場合は、各素子の測定値は電子回路と演算処理装置に送られて補正して同一化することによって処理することができる。
いずれにしろ、X方向の一対のGSR素子またはY方向の一対のGSR素子と軟磁性体との対称性を巧みに利用して、演算式中の補正係数または補正項等を簡略化できるようにすると、高精度な磁界検出が容易となり好ましい。
図面を参照しつつ以下に挙げる実施例に基づいて詳細に説明する。
[実施例1]
実施例1に係る3次元磁界検出素子1を図1に示す。図1は3次元磁界検出素子1の平面図であり、図2は図1中に示したA−A線における断面図である。図3はGSR素子の基本構造を示す平面図である。
[実施例1]
実施例1に係る3次元磁界検出素子1を図1に示す。図1は3次元磁界検出素子1の平面図であり、図2は図1中に示したA−A線における断面図である。図3はGSR素子の基本構造を示す平面図である。
3次元磁界検出素子1は、地磁気など微小磁界を検出することができる4つのGSR素子2、すなわちX1軸素子2X1、X2軸素子2X2、Y1軸素子2Y1およびY2軸素子2Y2と、それらGSR素子に配置された基板10と、4つの素子の共通の原点位置の下側方向に基板10に形成されたホールに配置された棒状の軟磁性体131と、4つの素子の基板10の外縁方向の端部の上部に配置された棒状の軟磁性体132の3層構造、および電極からなる。
電極は、4つの素子の磁性ワイヤと連結したワイヤ用端子と接続されている電極パッド(111および112)と、4つの検出コイルの検出コイル用端子と接続されている電極パッド(121および122)とから成り立っている。4つの素子の感磁体の磁性ワイヤ11と軟磁性体132とは端部で直接接合していて、磁気的かつ電気的に結合している。
上部位置に配置される集積回路シリコン基板(図示せず)とは上記電極に接合用の半田パッドを設置して連結することができる。
上部位置に配置される集積回路シリコン基板(図示せず)とは上記電極に接合用の半田パッドを設置して連結することができる。
基板11の原点位置に設置される軟磁性体131は、基板10の原点位置にZ軸を軸線とする直径150μm、深さ100μmの円筒状の穴を設け、そこにメッキ法で45at%Ni−Fe組成のパーマロイ合金を埋め込んだものである。
基板上面10の端部に設置される軟磁性体132は、磁性ワイヤ11の端部に直径30μm、厚み30μmのボタン状の45at%Ni−Fe組成のメッキ法で形成したパーマロイ合金である。軟磁性体(131および132)には、純Ni、純鉄、他組成のパーマロイ合金、センダスト、パーメンジュール等の公知の導電性軟磁性材料を使用することができる。
基板上面10の端部に設置される軟磁性体132は、磁性ワイヤ11の端部に直径30μm、厚み30μmのボタン状の45at%Ni−Fe組成のメッキ法で形成したパーマロイ合金である。軟磁性体(131および132)には、純Ni、純鉄、他組成のパーマロイ合金、センダスト、パーメンジュール等の公知の導電性軟磁性材料を使用することができる。
GSR素子2の構造を、図3を用いて説明する。
4つの素子は同じ構造を有しており、その構造は直径10μm、長さ260μmの磁性ワイヤ21を中心部に配置し、その周りを内径17μm、コイルピッチ5μm、巻数34回の検出コイル22を配置し、さらにワイヤ21とコイル22の両端にはそれぞれ電極端子であるワイヤ用端子211、検出コイル用端子221が取り付けられている。ワイヤ用端子211からの電極パッド212および検出コイル用端子221からの電極パッド222をそれぞれ使って集積回路端子(図示せず)に対応している。各GSR素子2の上記各端子と集積回路のシリコン基板の各端子とは、電極パッドで電気的に接合される。
4つの素子は同じ構造を有しており、その構造は直径10μm、長さ260μmの磁性ワイヤ21を中心部に配置し、その周りを内径17μm、コイルピッチ5μm、巻数34回の検出コイル22を配置し、さらにワイヤ21とコイル22の両端にはそれぞれ電極端子であるワイヤ用端子211、検出コイル用端子221が取り付けられている。ワイヤ用端子211からの電極パッド212および検出コイル用端子221からの電極パッド222をそれぞれ使って集積回路端子(図示せず)に対応している。各GSR素子2の上記各端子と集積回路のシリコン基板の各端子とは、電極パッドで電気的に接合される。
本実施例1の基板上に配置されたX1軸素子2X1、X2軸2X1、Y1軸素子2Y1、Y2軸素子2Y2の4つの素子と原点位置の導電性軟磁性体131と4つのワイヤ端部の4つの導電性軟磁性体132とは、ワイヤ両端で直接金属接触して結合する。
クランク状の磁気回路の機能を、図4(図1のA−A断面図)を使って詳細に説明すると、Z軸方向の磁界Hz16はGSR素子の両端にある軟磁性体を集磁17により磁化する。GSR素子端部の上部側にある軟磁性体132の下面の磁極をN極とすると、原点位置にある軟磁性体131の上面の磁極はS極となっており、その間にあるGSR素子のアモルファスワイヤ11を介してクランク状の磁気回路19を形成する。この時アモルファスワイヤ11には、Z軸方向の磁界に比例した強い磁界が流れることになる。
この磁気回路形成によって効果的に大きな出力を得ることができるので、端部にある軟磁性体の高さは0.03mm、原点にある軟磁性体の高さは0.10mmと小さくすることができる。その結果、GSR素子の厚み0.05mmと合わせて、3次元磁界検出素子の全体の高さを0.25mmとすることができる。
4つのGSR素子の出力は個々に測定され、X1軸素子、X2軸素子、Y1軸素子およびY2軸素子の各素子の測定値をHx1、Hx2、Hy1、およびHy2とすると式(1)、式(2)および式(3)の計算によって、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の磁界の強さHx、HyおよびHzが算出される。なお、式(3)のkは係数である。
Hx=(Hx1+Hx2) (1)
Hy=(Hy1+Hy2) (2)
Hz=k(Hx1−Hx2)+k(Hy1−Hy2) (3)
Hy=(Hy1+Hy2) (2)
Hz=k(Hx1−Hx2)+k(Hy1−Hy2) (3)
X1軸素子とX2軸素子は反対称的にクランク状の磁気回路を形成しており、両者の素子の出力は、その大きさZ軸方向の磁界の強さに比例し符号は反対である。従って両出力の差分を取れば、その差分はZ軸方向の磁界の強さに比例する。同様にY1軸素子とY2軸素子はZ軸方向の磁界成分に対し反対称的にクランク状の磁気回路を形成しており、その出力の差分を取れば、Z軸素子の強さに比例する。このX軸出力の差分とY軸出力の差分を合計すれば、Z軸方向の磁界の強さを算出することができる(式(3))。
また、X1軸素子とX2軸素子の出力は、X軸方向の磁界成分に対し対称的に磁気回路をしており、その大きさはX軸方向の磁界の強さに比例した値で、その符号は同符号である。両者の出力の加算値からX軸方向の磁界の強さを求めることができる(式(1))。
同様にY軸方向の磁界の強さもY1軸素子とY2軸素子の出力の加算値から求めることができる(式(2))。
同様にY軸方向の磁界の強さもY1軸素子とY2軸素子の出力の加算値から求めることができる(式(2))。
本実施例で使用した3次元磁界検出素子1の駆動用の電子回路について図5を使って説明する。
まずGSRセンサの電子回路3の基本動作を、図5を使って説明する。電子回路3は、パルス発振回路(パルス発信器)31および信号処理回路32を有する。信号処理回路32は、バッファ回路33、検波タイミング調整回路34、電子スイッチ35、サンプルホールド回路36および増幅器37とからなる。パルス発振回路31により発生した1.3GHz相当の高周波のパルス電流をGSR素子2のアモルファスワイヤ21へ供給する。そうすると、パルス電流によりアモルファスワイヤ21のワイヤ円周方向に生じた磁場と外部磁場とが作用して、その外部磁場に対応した電圧が検出コイル22に発生する。
なお、ここでいうパルス周波数は、パルス電流の「立ち下がり」時間Δtの2倍をその周期としてその逆数をパルス周波数と便宜上定義した。
まずGSRセンサの電子回路3の基本動作を、図5を使って説明する。電子回路3は、パルス発振回路(パルス発信器)31および信号処理回路32を有する。信号処理回路32は、バッファ回路33、検波タイミング調整回路34、電子スイッチ35、サンプルホールド回路36および増幅器37とからなる。パルス発振回路31により発生した1.3GHz相当の高周波のパルス電流をGSR素子2のアモルファスワイヤ21へ供給する。そうすると、パルス電流によりアモルファスワイヤ21のワイヤ円周方向に生じた磁場と外部磁場とが作用して、その外部磁場に対応した電圧が検出コイル22に発生する。
なお、ここでいうパルス周波数は、パルス電流の「立ち下がり」時間Δtの2倍をその周期としてその逆数をパルス周波数と便宜上定義した。
検出コイル22の出力電圧はバッファ回路33に入力される。バッファ回路33の出力電圧は、サンプルタイミング調整回路34により、パルス電流の立下りから所定のタイミングで、電子スイッチ35を短時間スイッチング(オン−オフ)することでサンプルホールド回路36へ供給される。この時、検出コイル22に発生した電圧はサンプルホールド回路36のコンデンサ電圧としてホールドされ、このサンプリング電圧は、増幅器37により増幅されて出力される。
つぎに、4つの素子を有する本実施例の電子回路の機能について説明する。本回路は、パルス発振回路(パルス発信器)31は一つで、信号処理回路32は各素子の出力を同時に測定するために4つを備えている。4つのGSR素子からの出力は、切替スイッチを使って順番にADコンバータでデジタルデータに変換された後、演算回路に転送され、適当な演算処理される。そこで3次元の磁界ベクトルの強さに換算される。その後、スマートホンなどのシステムを制御している中央演算装置にデータ通信回路を介して転送される。
本発明の3次元磁界検出素子は、電子コンパス、磁気ジャイロ等の3次元の地磁気測定を必要とする3次元方位計に必要なもので、特に本発明の3次元磁界検出装置は、携帯電話をはじめとする携帯端末等のように、載置する基板に垂直な方向(いわゆるZ軸方向)に小型化、薄型化が必要なものに好適である。
1:実施例1の3次元磁界検出素子
10:基板、11:磁性ワイヤ(アモルファスワイヤ)、111:ワイヤ電極、112:電極パッド、12:検出コイル、121:電極パッド、122:電極パッド、131:軟磁性体(原点軟磁性体)、132:軟磁性体(端部軟磁性体)、14:GSR素子絶縁保護用樹脂、
15:3次元磁界検出素子の高さ、16:Z軸方向の磁界Hz、17:集磁線、18:放磁線、19:クランク状の磁気回路
2:GSR素子(2X1、2X2、2Y1、2Y2)
20:基板、21:磁性ワイヤ、211:ワイヤ用端子、212:電極パッド、22:検出コイル、221:コイル用端子、222:電極パッド
3:電子回路
31:パルス発信器、32:信号処理回路、33:バッファ回路、34:検波タイミング調整回路、35:電子スイッチ、36:サンプルホールド回路、37:増幅器
10:基板、11:磁性ワイヤ(アモルファスワイヤ)、111:ワイヤ電極、112:電極パッド、12:検出コイル、121:電極パッド、122:電極パッド、131:軟磁性体(原点軟磁性体)、132:軟磁性体(端部軟磁性体)、14:GSR素子絶縁保護用樹脂、
15:3次元磁界検出素子の高さ、16:Z軸方向の磁界Hz、17:集磁線、18:放磁線、19:クランク状の磁気回路
2:GSR素子(2X1、2X2、2Y1、2Y2)
20:基板、21:磁性ワイヤ、211:ワイヤ用端子、212:電極パッド、22:検出コイル、221:コイル用端子、222:電極パッド
3:電子回路
31:パルス発信器、32:信号処理回路、33:バッファ回路、34:検波タイミング調整回路、35:電子スイッチ、36:サンプルホールド回路、37:増幅器
Claims (3)
- 基板の磁界検出素子配置面と平行方向の磁界を検出するタイプの磁界検出素子を用いて、基板平面上に4つの前記磁界検出素子を、前記基板の原点を中心にして第1軸方向に二つ配置し、第1軸方向と交差する第2軸方向に二つ配置し、
さらに前記原点の下部の前記基板内と4つの前記磁界検出素子の前記原点と反対側の前記磁界検出素子の端部の上部に軟磁性体を配置してなり、
4つの前記磁界検出素子と5つの前記軟磁性体とを磁気的に間隙なしに結合して磁気回路を形成することを特徴とする3次元磁界検出素子。 - 請求項1に記載されている3次元磁界検出素子において、
4つの前記磁界検出素子の感磁体と5つの前記軟磁性体とを電気的に接続して、前記感磁体と前記軟磁性体との連結部を磁気的かつ電気的な接続部とすることを特徴とする3次元磁界検出素子。
磁界検出素子軸方向に延びた感磁体と前記感磁体と平行方向の磁界を検出するタイプの磁界検出素子を使って、
基板平面上に4つの磁界検出素子を、原点を中心にして任意の第1軸方向に沿って2つ配置し、第1軸と直交する第2軸方向に沿って2つ配置し、
さらに原点の下部の前記基板内と前記4つの磁界検出素子の原点と反対側の端部の上部に軟磁性体を配置した構造において、
前記4つの磁界検出素子の5つの軟磁性体とを磁気的に間隙なしに結合して磁気漏洩の少ない磁気回路を形成することによって、前記4つの磁界検出素子からにX軸、Y軸およびZ軸方向の磁界の強さを検出することを特徴とする3次元磁界検出素子。
- 請求項1に記載の3次元磁界検出素子において、
前記4つの磁界検出素子の感磁体と前記5つの軟磁性体とを電気的に接続して、前記感磁体と前記軟磁性体の連結部を磁気的かつ電気的接続部とすることを特徴とする3次元磁界検出素子。
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JP2017131571A JP2019015550A (ja) | 2017-07-05 | 2017-07-05 | 3次元磁界検出素子 |
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JP2017131571A Pending JP2019015550A (ja) | 2017-07-05 | 2017-07-05 | 3次元磁界検出素子 |
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-
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- 2017-07-05 JP JP2017131571A patent/JP2019015550A/ja active Pending
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