JP2019014919A - 真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法 - Google Patents

真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スーティングを抑制するとともに、併せて、ワークの表面層での余剰のセメンタイトを減少又は除去することができるスーティングの抑制方法を提供すること。
【解決手段】減圧雰囲気及び浸炭可能温度以上の高温に保持される炉内に浸炭性ガスを導入して炉内の鉄系のワークに対して浸炭処理を行う真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法であって、前記浸炭性ガスが炉内に導入される浸炭期に、二酸化炭素からなる酸化性ガスを炉内に導入する。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄系のワークに対して減圧雰囲気において浸炭処理を行う真空浸炭方法に関し、特に、真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法に関するものである。
従来、減圧雰囲気及び浸炭可能温度以上の高温(930〜980℃)に保持される炉内に、浸炭性のガスを導入して炉内のワークに対して浸炭処理を実行し、その後、炉内を排気して減圧雰囲気において加熱することにより炉内のワークに対して拡散処理を実行する真空浸炭方法が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1〜2参照。)。
この真空浸炭方法は、キャリアガスを用いることなく、炉内を減圧状態とした状態で浸炭性のガス(一般的には、アセチレンガスやエチレンガス等の炭化水素系ガス)を炉内に導入するものである。この場合、炭化水素系ガスが直接分解して生成された炭素がワークの内部に進入し、浸炭が行われるといわれている。
ところで、この真空浸炭方法では、カーボンポテンシャル(Cp値)の制御を行わないため、ワークの平面部よりもワークの角部に多量のセメンタイトが過剰に残留する傾向がある。ワークの角部は、単位体積当たりの表出面積が平面部よりも大きいため、炭素の浸透量が高いためである。このようにセメンタイトが過剰に残留すると、ワークの品質に悪影響を与える場合がある。
この問題に対処するため、拡散処理期において、二酸化炭素等からなる脱炭性ガスを炉内に導入して炉内のワークの表面層に脱炭処理を行い、ワークの表面層での余剰のセメンタイトを減少又は除去する真空浸炭方法が提案されている(例えば、特許文献3〜4参照。)。
特開平6−172960号公報 特開2000−303160号公報 特開昭61−117268号公報 特開2004−115893号公報
上記特許文献3〜4で開示された真空浸炭方法によれば、二酸化炭素等からなる脱炭性ガスを炉内に導入して炉内のワークの表面層に脱炭処理を行うことで、ワークの表面層での余剰のセメンタイトを減少又は除去することができる。
しかしながら、上記特許文献3〜4で開示された真空浸炭方法を含め、従来の真空浸炭方法(特許文献1〜2で開示された真空浸炭方法も同様。)では、カーボンポテンシャル(Cp値)の制御を行わないため、浸炭性雰囲気ガスから遊離した炭素が炉内の雰囲気中を浮遊し、煤となって真空浸炭処理を行ったワークの表面に付着する現象(本明細書において、「スーティング」という。)が発生し、真空浸炭処理を行ったワークの後処理(煤の除去)に手数を要するという問題があった。
本発明は、上記従来の真空浸炭方法の有する問題点に鑑み、スーティングを抑制するとともに、併せて、ワークの表面層での余剰のセメンタイトを減少又は除去することができるスーティングの抑制方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法は、減圧雰囲気及び浸炭可能温度以上の高温に保持される炉内に浸炭性ガスを導入して炉内の鉄系のワークに対して浸炭処理を行う真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法であって、前記浸炭性ガスが炉内に導入される浸炭期に、二酸化炭素からなる酸化性ガスを炉内に導入することを特徴とする。
この場合において、前記浸炭性ガス及び酸化性ガスを、浸炭性ガス:酸化性ガス=1:1/25〜1:3/2のモル比で炉内に導入することができる。
本発明の真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法によれば、浸炭性ガスが炉内に導入される浸炭期に、二酸化炭素からなる酸化性ガスを炉内に導入する、具体的には、浸炭性ガス及び酸化性ガスを、浸炭性ガス:酸化性ガス=1:1/25〜1:3/2のモル比で炉内に導入することによって、浸炭反応と同時に副反応により、浸炭性雰囲気ガスから遊離した炭素を一酸化炭素に変成させ(平衝反応(Boudouard))、浸炭期に発生する余剰の炭素(活性期炭素)を消費し、当該炭素が炉内の雰囲気中を浮遊し、煤となって真空浸炭処理を行ったワークの表面に付着することを防止することができ、併せて、ワークの表面層、特に、ナイフエッジ部位での余剰のセメンタイトを減少又は除去し、セメンタイトの析出を軽減することができる。
本発明の真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法のヒートパターンの一例を示す説明図である。 真空浸炭方法の原理の説明図である。 真空浸炭方法の実験装置の説明図である。 煤の付着状態を示す浸炭処理後のテストピース(TP)の写真である。 煤の付着状態を示す浸炭処理後のテストピース(TP)の写真である。 煤の付着状態を示す浸炭処理後のテストピース(TP)の写真である。 煤の付着状態を示す浸炭処理後のテストピース(TP)の写真である。 煤の付着状態を示す浸炭処理後のテストピース(TP)の写真である。 処理後のテストピース(TP)の浸炭深さを測定した結果である。 浸炭層組織を示す処理後のテストピース(TP)の顕微鏡写真である。 浸炭層組織を示す処理後のテストピース(TP)の顕微鏡写真である。 浸炭層組織を示す処理後のテストピース(TP)の顕微鏡写真である。 浸炭層組織を示す処理後のテストピース(TP)の顕微鏡写真である。 セメンタイト組織を示す処理後のテストピース(TP)の顕微鏡写真である。 セメンタイト組織を示す処理後のテストピース(TP)の顕微鏡写真である。 セメンタイト組織を示す処理後のテストピース(TP)の顕微鏡写真である。 セメンタイト組織を示す処理後のテストピース(TP)の顕微鏡写真である。
以下、本発明の真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
まず、真空浸炭方法におけるスーティングの発生について説明する。
鉄系のワーク(鋼製ワーク)の内部に侵入型固溶体として固溶した炭素[C]は、Acm飽和勾配での拡散律速に沿って浸炭層を形成する。浸炭時間、温度、深さの関係は次式で表される。
D=KT1/2
ここで、D:浸炭深さ[mm]、K:浸炭温度係数、T:浸炭時間(T=Tc+Td、Tc:浸炭時間、Td:拡散時間)である。
上記の理論式どおりであれば、ワークの表面積や操入量に応じて最小必要限度の浸炭性ガス(アセチレンガス:Cやエチレンガス:C等)を炉内に導入すれば、スーティング(煤)の発生の問題もないのであるが、実際の実炉操業では、炉内部の耐熱材料や耐熱鋼製の治具、バスケット、トレイ、さらに、炉体のシール性能等の変動要因を考慮して、基本浸炭特性の有効浸炭深さ、表面炭素ノード、粒界酸化の有無、セメンタイト(FeC)の析出状況等のロット内のバラツキに対する均一性を確保するため、最小必要限度の何倍もの浸炭性ガスを炉内に導入されているのが現状である。
そのため、ワークに侵入した炭素[C]以外の余剰の炭素[C]は、炉内の雰囲気中を浮遊、滞留し、スーティング(煤)となって真空浸炭処理を行ったワーク等の表面に付着する。
そのため、基本浸炭特性(均一性)を維持することが可能な範囲でできる限り高い真空度を、アセチレンガス:Cの場合は、100Pa〜1000Pa、エチレンガス:Cの場合は1300Pa〜2600Paが適応され、浸炭反応に寄与されなかった余剰の炭素[C]を炉外に排出することで、スーティングを回避する操業方式を扱っているのが現状であった。
これに対して、本発明の真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法は、減圧雰囲気及び浸炭可能温度以上の高温に保持される炉内に浸炭性ガスを導入して炉内の鉄系のワークに対して浸炭処理を行う真空浸炭方法において適用されるもので、図1に一例を示すヒートパターンのように、浸炭性ガスが炉内に導入される浸炭期に、二酸化炭素からなる酸化性ガスを炉内に導入するものである。
これを浸炭性ガスにアセチレンガス:Cを用いる場合を例に説明する。
ここで、ガス流量については、一例として、以下の3パターンで処理を行った。
(1)C:N:CO=50:25:0(CO添加なし)
(2)C:N:CO=50:25:10(C:CO=5:1)
(3)C:N:CO=50:25:30(C:CO=5:3)
アセチレンガス:Cを用いた場合の浸炭処理時の化学反応は、次式のとおりである。
→ 2[C]+H
熱分解の炭素[C]の活性期に着目し、酸化性ガスである二酸化炭素COを浸炭期に導入して、混合雰囲気とすることで、浸炭反応と同時に副反応により、浸炭性雰囲気ガスから遊離した炭素を一酸化炭素に変成させ(平衝反応(Boudouard))、スーティングの根源になっている浸炭期に発生する余剰の炭素(活性期炭素)を消費するようにして、当該炭素が炉内の雰囲気中を浮遊し、煤となって真空浸炭処理を行ったワークの表面に付着することを防止する。このときの化学反応は、次式のとおりであり、CO(一酸化炭素)が、CO(二酸化炭素)との可逆反応により生成する。
実際の炉内反応を把握するため、四重極型質量分析計を用いて、二酸化炭素からなる酸化性ガスを流していない分析データを基準として、Cの流量は変化させず、COのみ変化させ、雰囲気ガス(副反応生成物)の状況を分析した結果、二酸化炭素からなる酸化性ガスを炉内に導入した上記のパターン(2)及び(3)において、分子量28のCOガスが副反応により生成していることを確認した。
なお、次式によるエチレンC(分子量28)の生成も考えられたので、CO検知管を用いた測定を追加して行った。
2C → C+2[C]
その結果、多量(15%〜20%)のCOガスが存在することを確認した。
このCOガスは還元性ガスであり、浸炭反応をバックアップするガスとして有効に作用しているものと思われる。
次に、CとCOのモル比を変えたときのスーティングの発生状況と基本浸炭特性である、有効浸炭深さ、表面炭素ノード、粒界酸化の有無及びセメンタイト(FeC)の析出状況等(以下、「基本浸炭特性」という。)のロット内バラツキ(以下、「均一性」という。)を維持できる範囲で、C(浸炭性ガス)とCO(酸化性ガス)のモル比の限界を探ってみた結果、C(浸炭性ガス):CO(酸化性ガス)=1:1/25程度からスーティングが軽減し始めることを確認した。
(浸炭性ガス)を一定として、CO(酸化性ガス)の量を徐々に増加させていき、基本浸炭特性を維持できる限界として、C(浸炭性ガス):CO(酸化性ガス)=1:3/2程度のモル比の範囲であれば何ら異常なバラツキや品質不良は見受けられず、均一性のある浸炭処理を行えることを確認した。
また、セメンタイト(FeC)の析出状況に関して、ナイフエッジに微細なセメンタイトが見られたが、異常なネットワーク状のセメンタイトの析出等は確認されなかった。 最表面の粒界酸化に関しても、走査型電子顕微鏡を用いて観察を行ったが、異常な組織は見受けられなかった。
さらに、COを導入する以前は、黒皮(鋼の酸化被膜)と機械加工による切削加工が施されている。
鋳造部品や鋳造部品の真空浸炭処理において、黒皮(鋼の酸化被膜)の部品のみにスーティングによる多量の煤が付着しているのが常時見受けられていたが、CO(酸化性ガス)を導入することにより、特に、C(浸炭性ガス):CO(酸化性ガス)=1:1以上のモル比では、この煤の集中付着現象が大幅に改善されることを確認した。
ここで、黒皮(鋼の酸化被膜)に集中的な煤の付着があった理由を思考すると、鋼の酸化被膜であるFe・FeOと炭素[C](活性期)の間において、吸着特性(触媒効果)が、黒皮の方が切削面より強いためと考えられる。
酸化被膜での反応でC(浸炭性ガス)とCO(酸化性ガス)の混合雰囲気とすることにより、鋼の酸化被膜の還元と炭化反応が同時進行していることが考えられる。
黒皮(鋼の酸化被膜)部分の集中的な煤の多量付着が著しく改善し、黒皮直下の基本浸炭特性に大きな変化や異常な走査型電子顕微鏡で観察される組織等は見受けられなかった。また、ナイフエッジのセメンタイト(FeC)の形成においても走査型電子顕微鏡ではまったく見られなくなっていた。
すなわち、図2の真空浸炭方法の原理の説明図に示すように、浸炭、拡散処理時に発生した[C](活性期炭素)が鋼の表面で黒鉛(グラファイト)やセメンタイト(FeC)となって吸着され、高温状態の鋼であるFe(γ)オーステナイト固溶体から内部へ侵入型固溶体を形成し、浸炭層が形成される。
黒鉛(グラファイト)、FeC(セメンタイト)の鋼表面への吸着からFe(γ)(オーステナイト)への固溶は瞬時に行われ、表面炭素ノードは処理温度に対応する飽和点の炭素ノードまで侵入する。すなわち、Acm線に沿って高温度ほど高い炭素ノードで鋼内部に固溶される。
以上のとおり、真空浸炭方法による浸炭処理でのCO(酸化性ガス)の添加、導入については、鋼表面での酸化・脱炭反応による悪影響が危惧されたが、C(浸炭性ガス)とCO(酸化性ガス)の混合雰囲気とすることで還元性ガスであるCO(一酸化炭素ガス)が副反応で多量に変成したことにより、CO(一酸化炭素ガス)が、むしろ浸炭反応をバックアップするとともに、スーティングの根源である炭素[C](活性基)を消費することが明らかとなった。
具体的には、C(浸炭性ガス):CO(酸化性ガス)=1:1/25程度からスーティングの軽減が検知されるようになり、同1:1ではスーティングの問題がほぼ抑制することができるようになり、同1:3/2では黒皮(鋼の酸化被膜)への炭素[C]の集中付着も大幅に改善することができるとともに、真空浸炭の問題点の1つであるナイフエッジ部位の過浸炭(セメンタイト炭化物の析出)傾向を軽減することが可能となった。
なお、同1:3/2以上になると、浸炭力不足の傾向が見え始めることから、この範囲のモル比であれば基本浸炭特性を維持した安定操業を提供することができることが判った。
次に、本発明について、具体的な実証実験を行った結果について説明する。
一般的に、真空浸炭炉にて浸炭処理をしたとき、処理後の部品の表面に煤が多く付着する。この煤を減らすために、煤に影響するアセチレン及び酸化性ガスである炭酸ガスの流量を変えることで煤の量を減らすことができるか実験を行った。また、部品の硬度、浸炭深さ、浸炭層の組織について違いがあるのかについても比較した。
1.処理条件
真空浸炭炉で処理時間及び処理温度は変更せず、浸炭時のアセチレン(C)、窒素(N)、炭酸ガス(CO)のガス流量を変更した場合に、図3に示す真空浸炭炉の各場所にテストピース(TP)を配置し、煤の付着具合を比較した。テストピース(TP)には煤の付着を確認するために黒皮の残っているSNCM630を用い、浸炭深さ及び浸炭層の組織についてはSNC815で比較した。
ガス流量は、アセチレン(C):窒素(N):炭酸ガス(CO)が、(i)30:15:30、(ii)40:0:30、(iii)40:20:15、(iv)40:20:30の4種類で比較した。
2.実験結果
2.1 煤の付着
図4−1〜図4−4及び図5に、浸炭処理後のテストピース(TP)(SNCM630)の4種類のガス毎の煤の付着状態を示す。
2.2 硬度測定結果
表1に、浸炭処理炉で浸炭処理したテストピース(TP)(SNC815)の4種類をガス浸炭炉で仕上げ処理(処理温度:820℃)し、油冷、焼き戻しをした後、表面と内部の硬度を測定した結果を示す。
2.3 浸炭深さ
図6に、上記処理後のテストピース(TP)(SNC815)の4種類の浸炭深さを測定した結果を示す。
2.4 浸炭層組織
図7−1〜図7−4に、上記処理後のテストピース(TP)(SNC815)の4種類を切断し、その切断面をナイタルで腐食させたものの顕微鏡写真(倍率:500倍)を示す。
2.5 セメンタイト組織
図8−1〜図8−4に、上記処理後のテストピース(TP)(SNC815)の4種類を切断し、その切断面をナイタルで腐食させたものの角部の顕微鏡写真(倍率:500倍)を示す。
3.考察
(1)煤の付着については、アセチレンが同じ流量で流れている場合は炭酸ガスの流量を増やすことで減少する傾向があることが判った。これは、炭酸ガスが余分な炭素(煤)と反応したためと考えられる。また、アセチレンの流量を減らすと浸炭性ガスが減ったことも影響していると考えられるが、さらに煤の付着が減少した。
(2)硬度及び浸炭深さについては、表面硬度は56〜58HRC、内部硬度は41〜42HRCとなっており、4種類の各ガス比率及び各場所でのバラツキは確認されず、4種類の各ガス比率、特に、アセチレンの流量を少なくしたことによる影響はないことが判った。また、有効浸炭深さについても、約1.2〜1.4mmの深さまで硬化層が広がっており、各場所毎の差も0.1〜0.2mm程度であったため大きなバラツキは確認されなかった。
(3)浸炭層の組織について、浸炭層については、高炭素マルテンサイト+残留オーステナイト+少量のセメンタイトの組織となっていた。テストピース(TP)(SNC815)の角部でセメンタイトの析出についても観察したが、粒状で析出しており異常な状態での析出は確認できなかった。
(4)上記の結果、炭酸ガスを流すことで、硬度、浸炭深さ及び組織について影響を与えることなく、煤の付着を減少できることを確認した。
以上、本発明の真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法について、その実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
本発明の真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法は、スーティングを抑制するとともに、併せて、ワークの表面層での余剰のセメンタイトを減少又は除去することができる特性を有していることから、減圧雰囲気及び浸炭可能温度以上の高温に保持される炉内に浸炭性ガスを導入して炉内の鉄系のワークに対して浸炭処理を行う真空浸炭方法の用途に好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. 減圧雰囲気及び浸炭可能温度以上の高温に保持される炉内に浸炭性ガスを導入して炉内の鉄系のワークに対して浸炭処理を行う真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法であって、前記浸炭性ガスが炉内に導入される浸炭期に、二酸化炭素からなる酸化性ガスを炉内に導入することを特徴とする真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法。
  2. 前記浸炭性ガス及び酸化性ガスを、浸炭性ガス:酸化性ガス=1:1/25〜1:3/2のモル比で炉内に導入することを特徴とする請求項1に記載の真空浸炭方法におけるスーティングの抑制方法。
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