JP2019010796A - 摩擦体及び熱変色性筆記具 - Google Patents
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Abstract
Description
従来の熱変色性筆記具において、用いられる摩擦体としては、例えば、1)可逆熱変色性インクを用いて形成された像を、摩擦熱により第1状態から第2状態に変色させる摩擦体であって、前記摩擦体がスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)共重合体又はスチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)からなることを特徴とする摩擦体(例えば、特許文献1参照)、2)可逆熱変色性インクを用いて形成された像を、摩擦熱により第1状態から第2状態に変色させる弾性を有する摩擦体において、該摩擦体がシリコーンゴムからなることを特徴とする摩擦体(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
前記摩擦体の永久伸びは50%以上であることが好ましく、また、摩擦係数は0.3〜0.5であることが好ましい。
前記摩擦体には、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂、キシレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂が含有されていることが好ましい。
本発明の熱変色性筆記具は、少なくとも熱変色性インクを用いた熱変色性筆記具であって、該熱変色性筆記具には、上記構成の摩擦体を備えたことを特徴とする。
本発明の摩擦体は、熱変色性筆記具に使用される摩擦体であって、該摩擦体を構成する材料のうち、ポリプロピレン系樹脂が50質量%以上であり、摩擦体の引張弾性率(JIS K 7161:2014-1)が70MPa以上であることを特徴とするものである。
この特性の摩擦体を用いることにより、熱変色性インクにより形成された筆跡を、擦過して変色又は消色させる際の抵抗感が少なく、また、軽い力でも十分な摩擦熱が得られ、更に、細かい部分の消去等も容易となるものである。
上記ポリプロピレン系樹脂を摩擦体全量中、50質量%以上使用することにより、本発明の効果を発揮できるものであり、該ポリプロピレン系樹脂が50質量%未満であると、本発明の効果を発揮できない。
これらの樹脂の中で、分子量が数百から数千のものが選ばれ、摩擦体の主成分となるポリプロピレン系樹脂の配合系に配合することによって摩擦体に粘着性を付与せしめ、」本発明の効果を更に発揮せしめることができる。具体的には、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂などの天然樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂、キシレン系樹脂などの分子量が好ましくは、500〜5000、より好ましくは700〜4000の上記各種樹脂が使用できる。
これらの樹脂の中でも、更なる安定性の観点から、重合ロジン、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、芳香族変性水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂が好ましい。
該石油系樹脂としては、ナフサの熱分解によって得られるC5留分を(共)重合して得られる脂肪族系石油樹脂、ナフサの熱分解によって得られるC9留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂、前記C5留分とC9留分を共重合して得られる共重合系石油樹脂、水素添加系,ジシクロペンタジエン系等の脂環式化合物系石油樹脂、スチレン,置換スチレン,スチレンと他のモノマーとの共重合体等のスチレン系樹脂等の石油系樹脂が挙げられる。
ナフサの熱分解によって得られるC5留分には、通常1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン等のオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエンなどのジオレフィン系炭化水素等が含まれる。
また、C9留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂とは、ビニルトルエン、インデンを主要なモノマーとする炭素数9の芳香族を重合した樹脂であり、ナフサの熱分解によって得られるC9留分の具体例としては、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、γ−メチルスチレン等のスチレン同族体やインデン、クマロン等のインデン同族体等が挙げられる。
商品名としては、三井化学製ペトロジン、ミクニ化学製ペトライト、JX日鉱日石エネルギー製ネオポリマー、東ソー製ペトコール、ペトロタック等がある。
変性石油樹脂としては、不飽和脂環式化合物で変性したC9系石油樹脂、水酸基を有する化合物で変性したC9系石油樹脂、不飽和カルボン酸化合物で変性したC9系石油樹脂等が挙げられる。
好ましい不飽和脂環式化合物としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエンなど、また、アルキルシクロペンタジエンのディールスアルダー反応生成物として、ジシクロペンタジエン、シクロペンタジエン/メチルシクロペンタジエン共二量化物、トリシクロペンタジエン等が挙げられ、ジシクロペンタジエンが特に好ましい。
ジシクロペンタジエン変性C9系石油樹脂は、ジシクロペンタジエンおよびC9留分両者の存在下、熱重合等で得ることができる。
ジシクロペンタジエン変性C9系石油樹脂としては、例えばJX日鉱日石エネルギー製ネオポリマー130Sが挙げられる。
アルコール化合物の具体例としては、例えば、アリルアルコール、2−ブテン−1,4ジオール等の二重結合を有するアルコール化合物が挙げられる。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−t−ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等のアルキルフェノール類を使用できる。
これらの水酸基含有化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用して使用してもよい。
また、水酸基含有C9系石油樹脂として、前記のように各種の方法により得られるものを使用できるが、性能面、製造面から見て、フェノール変性石油樹脂等を使用するのが好ましく、フェノール変性石油樹脂は、C9留分をフェノールの存在下でカチオン重合して得られ、変性が容易であり、低価格である。
フェノール変性C9系石油樹脂としては、例えば、JX日鉱日石エネルギー製ネオポリマー−E−130が挙げられる。
かかるエチレン性不飽和カルボン酸の代表的なものとして、(無水)マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、テトラヒドロ(無水)フタール酸、(メタ)アクリル酸またはシトラコン酸などが挙げられる。
不飽和カルボン酸変性C9系石油樹脂は、C9系石油樹脂及びエチレン系不飽和カルボン酸を熱重合することで得ることができる。本発明においては、マレイン酸変性C9系石油樹脂が好ましい。
また、ナフサの熱分解によって得られるC5留分とC9留分の共重合樹脂を好適に使用することができる。
ここでC9留分としては、特に制限はないが、ナフサの熱分解によって得られたC9留分であることが好ましい。
具体的には、SCHILL&SEILACHER社製StruktolシリーズのTS30、TS30−DL、TS35、TS35−DL等が挙げられる。
また、石炭系樹脂としては、クマロンインデン樹脂等が挙げられ、キシレン系樹脂としては、キシレンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
その他ポリブテンも粘着付与性を有する樹脂として使用することができる。
これらの樹脂の中で、粘着性、粘着持続性の観点から、C5留分とC9留分の共重合樹脂、C9留分を(共)重合して得られる芳香族系石油樹脂、フェノール系樹脂及びクマロンインデン樹脂が好ましい。
軟化点が200℃を超えると、加工性を悪化させる場合があり、また、80℃未満では粘着性能が劣る場合がある。これらの観点から軟化点は90〜120℃の範囲がより好ましい。上記樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
また、摩擦体の材料に対して、更に、アルキルスルフォン酸フェニルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸エステルを含有させもよい。摩擦体に、アルキルスルフォン酸フェニルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸エステルを含むことによって、更に、紙面を傷めず且つ印刷文字等を掠れさせることなく、筆跡の消去等が可能となる。
本発明の摩擦体を製造は、上記ポリプロピレン系樹脂などを用いて、例えば、押出成形、射出成形などの方法により製造することができる。
この摩擦体の引張弾性率が70MPa以上とするには、用いるポリプロピレン系樹脂の種類、配合量、その他の樹脂種、その含有量等を好適に組み合わせることにより調整することができる。
本発明で規定する「永久伸び」とは、試験片を2倍に伸長した状態で23℃、6時間保持した後、応力を取り除く。伸びた長さを伸長前の長さで除した値(%)をいう。
本発明で規定する「摩擦係数」とは、市販の表面性測定器(HEIDON−14D、新東科学株式会社)を使用し、摩擦体を上質紙に対して、加重4.9N、角度90°、筆記速度100mm/minにて摩擦することによって計測された摩擦係数をいう。
上記摩擦体の永久伸び、摩擦係数を好適な範囲とするには、用いるポリプロピレン系樹脂の配合量、その他の樹脂種、その含有量等を好適に組み合わせることにより調整することができる。
なお、摩擦体は、タッチペン、スタイラスペンとしても適用可能であり、導電性を付与してもよい。
本発明の摩擦体によれば、従来のスチレン系エラストマーなどのエラストマーや、プラスチック発泡体などに較べ、ポリプロピレン系樹脂を50質量%以上で、摩擦体の引張弾性率を70MPa以上としているので、熱変色性インクにより形成された筆跡を、擦過して変色又は消色させる際の抵抗感が少なく、また、軽い力でも十分な摩擦熱が得られ、更に、細かい部分の消去等も容易となる今までにない優れた機能を発揮できるものとなる。
さらに、摩擦体の摩擦体の永久伸びを50%以上、及び/又は、摩擦係数0.3〜0.5とすることにより、上記機能を更に効果的に発揮せしめることができるものとなる。
本発明の熱変色性筆記具の構造等としては、少なくとも熱変色性のインクを用いたものであり、該熱変色性筆記具により形成された熱変色性インクによる筆跡を、該熱変色性筆記具に備えた上述の摩擦体で擦過して変色又は消色できるものであれば、熱変色性筆記具の種類(鉛筆、ボールペン、サインペン、マーキングペン、筆ペン等)、機構(熱変色性インクの収容機構が直液式、中綿式、リフィール式、バルブ式;ペン先が繊維芯、焼結芯、ボールペンチップ、プラスチック芯等;ノック式、キャッププ式)等は、特に限定されず、これらの方式の熱変色性筆記具の好適な箇所に、例えば、軸筒(筆記具本体)の隅部やキャップ等に、上記構成の摩擦体を備えたものであればよいものである。
また、熱変色性筆記具には、熱変色性インクを用いて固形芯(鉛筆型芯、シャープペンシル型芯、ホルダー芯)とした場合、該固形芯を木軸等で保持した鉛筆、シャープペンシル、ホルダー等であって、上記構成の摩擦体を備えた鉛筆、シャープペンシル、ホルダー等であってもよい。
図1〜図6は、本発明の摩擦体をノック式の熱変色性筆記具に用いた実施形態の一例を示す各図面である。
このノック式の熱変色性筆記具1は、図1及び図2に示すように、筒状に形成された軸筒2と、軸筒2内に配置され且つ一端に筆記部5aを備えた筆記体であるリフィル5と、リフィル5を後方へ付勢する弾性部材であるスプリング6と、軸筒2の後端部に取り付けられ且つ物品を把持するクリップを備えた内筒10と、内筒10内に配置された中空の操作部20と、を有する。軸筒2は、前軸3及び後軸4を有している。内筒10、前軸3及び後軸4を総じて軸筒とも称する。
このノック式の熱変色性筆記具1では、軸筒2と、該軸筒2内に配置された筆記部5a、該筆記体5aを後方に付勢する弾性部材6と、ノック操作の際に前記弾性部材6の付勢力に抗して前方へ押圧される操作部15とを具備し、ノック操作を行うことによって、筆記状態と非筆記状態とが切り替え可能となるものである。
摩擦体40は、取付部材45の後端部に設けられ、取付部材45を介して操作部15の後端部に取り付けられている。この摩擦体40は、上述の特性、すなわち、ポリプロピレン系樹脂を50質量%以上で、摩擦体の引張弾性率を70MPa以上とした摩擦体から構成されており、取付部材45に対して嵌合等による固着又は二色成形等によって設けることができる。
この摩擦体40は、先端が半球状に形成された先細りの円柱状に形成されている。先端が半球状に形成されていることによって、擦過動作をする際のノック式の熱変色性筆記具1の把持の仕方(角度等)に依らず、略等しい面積を擦過することができる。なお、摩擦体70の先端形状は、三角柱や四角柱等、その他の形状であってもよい。
この熱変色性インクを用いたノック式の熱変色性筆記具1では、上記第2色を無色とし、第1色(例えば赤)で筆記した描線を昇温させて無色とすることを、ここでは「消去する」ということとする。したがって、描線が筆記された筆記面等に対して上記特性の摩擦体40によって擦過して摩擦熱を生じさせ、それによって描線を無色に変化、すなわち消去させる。なお、当然のことながら上記第2色は、無色以外の有色でもよい。
これらのロイコ染料は、ラクトン骨格、ピリジン骨格、キナゾリン骨格、ビスキナゾリン骨格等を有するものであり、これらの骨格(環)が開環することで発色を発現するものである。
具体的には、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、ヘキサフルオロビスフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス( 4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナンなどの少なくとも1種が挙げられる。
用いることができる具体的なポリブテンとしては、例えば、市販品のニッサンポリブテン200N、ポリブテン30N、ポリブテン10N、ポリブテン5N、ポリブテン3N、ポリブテン015N、ポリブテン06N、ポリブテン0N(以上、日本油脂社製)、ポリブテンHV−15(日本石油化学社製)、35R(出光興産社製)などが挙げられる。
用いることができる具体的なポリα−オレフィンとしては、例えば、市販品のバーレルプロセス油P−26、P−46,P−56、P−150,P−350,P−1500、P−2200、(P−10000、P−37500)(松村石油社製)などが挙げられる。
用いることができる具体的なエチレンα−オレフィンオリゴマーとしては、例えば、市販品のルーカント HC−10、HC−20、HC−100、HC−150、(HC−600、HC−2000) (以上、三井化学社製)などが挙げられる。
これらの不揮発性若しくは難揮発性有機溶剤は、1種または2種以上を合わせて使用することができる。
スチレン−エチレンブチレン−オレフィン結晶のブロックコポリマーの好ましい市販品としては、DYNARON4600P(JSR社製)等が挙げられ、オレフィン結晶−エチレンブチレン−オレフィン結晶のブロックコポリマーの好ましい市販品としては、DYNARON6200P、DYNARON6201B(JSR社製)等が挙げられる。
アセトアルコキシアルミニウムジアルキレートの好ましい市販品としては、プレンアクトAL−M(味の素ファインテクノ社製)などが挙げられる。
図7(a)〜(c)は、本発明の実施形態による、2つの摩擦体、第1の摩擦体70及び第2の摩擦体75を備える熱変色性筆記具60の正面図、側面図、縦断面図である。
この熱変色性筆記具60は、ボールペンタイプの筆記具であり、リフィール65及び筒状に延びる軸筒61を備える筆記具本体62と、リフィール65の先端部に設けられた筆記部を保護するキャップ80と、キャップ80の前方の端部に固定された第1の摩擦体70と、筆記具本体62の後方の端部に固定された第2の摩擦体75とを具備する。
リフィール65は、熱変色性インクが収容された筒状のリフィール本体67と、先端にボールを包持する筆記部を有する筆記先端部66と、リフィール本体66と筆記先端部66とを接続する継手部材68と、リフィール本体66の後端部を塞ぐリフィール栓69とを有する。リフィール本体66内に収容された熱変色性インクは、本実施形態では、図1等の熱変色性筆記具1で詳述した熱変色性インクである。リフィール65は軸筒61内に収容され、筆記先端部66の一部は、軸筒61内に収容された状態で上述の先軸63の孔を介して露出される。
キャップ80は、図9に示すように、筒状に形成されたキャップ本体部81と、その側面からほぼ長手方向に延びるクリップ部82と、第1の摩擦体70が固定される端部83とを有し、またそれらは一体的に形成されている。キャップ本体部81は、筆記具本体62の軸筒61の先軸63に冠着するように形成されており、また、その内部の端部側には、シール部材84(図7参照)を保持する等の目的で、本実施形態では6つの縦方向リブ85が形成されている。なお、シール部材84は、キャップ80の先軸63への装着時に筆記先端部66を保護するために設けられる。クリップ部82は、キャップ本体部81との間に書類や衣類等の物品を挟持することができるような弾性を有するように構成されている。従って、キャップ80を形成する材料として、ポリカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン等の合成樹脂が挙げられる。
また、キャップ80の端部83は、その外周表面から凹んで環状に延びる凹部88を、キャップ本体部81と隣接する部分に有している。環状の凹部88は、本実施形態では、長手方向に対して約30°傾斜した仮想平面に形成されている。本実施形態では、前記平面は、必ずしも長手方向に垂直である必要はなく、図示されるように長手方向を横切る方向に延びていればよい。また、図示されるような連続的な環状の凹部88に替えて、不連続な環状の凹部の実施形態も可能である。
第1の摩擦体70は、キャップ80の端部83の表面を、その縦穴86の部分を除いて覆うように形作られて、端部83に固定される。この第1の摩擦体70が、このように、熱変色性筆記具60の長手方向を横切る方向でキャップ80の端部83に形成された第1〜第3の横穴87a,87b,87c及び凹部88を埋めるので、第1の摩擦体70の使用中にそれを端部から引き抜くように作用する力は、第1の摩擦体70の第1〜第3の軸部89a,89b,89c及び凸部89dを介して端部83の第1〜第3横穴87a,87b,87c及び凹部88によって支持される。したがって、端部83の表面と第1の摩擦体70の内面との間に接着力又は接合力がたとえ全く期待できない場合であっても、第1の摩擦体70はキャップ80の端部83に強固に固定されることが可能である。この第1の摩擦体70は、図7(c)、図8(c)に示すように、複数の傾斜面を有するので、端部83との接触面積が外面の露出面積よりも大きくなっている。
第1の摩擦体70とキャップ80は、いわゆる二色成形法を用いて成形されて互いに結合されている。二色成形法を用いた場合、最初にキャップ80が射出成形され、次に、成形されたキャップ80を残置する金型のコアに、第1の摩擦体70を成形するための金型のキャビティーが組み合わされて、キャップ80とは異なる、例えば、上述した特性のポリプロピレン系樹脂等の材料が射出されて第1の摩擦体70がキャップ80に付加的に成形される。二色成形法により、キャップ80と第1の摩擦体70の表面は、上記特性の材料により、比較的高い強度で接合されるので、キャップ80に対する第1の摩擦体の固定がより強固になる。
後軸64は、図11に示すように、リフィール65の過半を収容する筒状の後軸本体部64aとそれに一体に形成された後方の端部64bとを有する。端部64bは、後軸本体部64aの外径よりも小さい外径を有する略円錐台状に形成されている。端部64bの外周面には、半径方向外側に突出する環状の第1凸部64cとそれに平行な環状の第2凸部64dが形成されており、その結果、後軸本体部64aとの間に環状の第1凹部64eが形成され、第1凸部64cと第2凸部64dとの間に環状の第2凹部64fが形成される。後軸64における第1凹部64e及び第2凹部64fは、熱変色性筆記具60の長手方向に直交する方向で端部64bの外周面から凹んでいる。また、図示されるような連続的な環状の第1及び第2凹部64e,64fの少なくとも一方が、不連続な環状の凹部として形成される実施形態も可能である。
端部64bは、後軸本体部64aの内部に形成された穴から縮径されて連続的に長手方向に延びる縦穴64gを有する。また、端部64bは、長手方向に対して直交して延びる横穴64hも有する。横穴64hは縦穴64gに直交して端部64bを貫通している。
第2の摩擦体75は、後軸64の端部64bに対してその表面を覆うように形作られて結合されている。また、第2の摩擦体75はその内側に、図10の(b)及び(e)に示されるように、端部64bの横穴64hに相補的な、したがってそれを埋める軸部75aを有する。さらに、第2の摩擦体75、端部64bの環状の第1凹部64e及び第2凹部64fにそれぞれ相補的な、従って半径方向内側に延びてそれらを埋める環状の第1凸部75b及び第2凸部75cも有する。
本実施形態では、第2の摩擦体75と後軸64は、第1の摩擦体70とキャップ80の場合と同様に、いわゆる二色成形法を用いて成形されて結合されている。また、上記実施形態では、第1の摩擦体70とキャップ80、及び第2の摩擦体75と後軸64は、それぞれ二色成形法によって成形されたが、それらが、性能もしくは機能を高めるため、又は意匠上の要請から3色以上の多色成形法によって成形、又は接着や溶着等の実施形態も可能である。
また、熱変色性筆記具60は、第1の摩擦体70と第2の摩擦体75のどちらか一方だけを具備する実施形態も可能である。
下記製造例1〜5により、各摩擦体を製造した。
<製造例1>
ポリプロピレン系樹脂(MG05ES、日本ポリプロ社製):95質量%
水添石油樹脂(アイマーブP−140、出光興産社製): 5質量%
上記配合成分を射出成型して成形体を得た。
ポリプロピレン系樹脂(J105G、プライムポリマー社製):99質量%
水添テルペン樹脂(P−105、ヤスハラケミカル社製): 1質量%
上記配合成分を射出成型して成形体を得た。
ポリプロピレン系樹脂(L−MODU S400、出光興産社製):100質量%
上記配合成分を射出成型して成形体を得た。
SEBSエラストマー(タフテックH1052、旭化成社製):100質量%
上記配合成分を射出成型して成形体を得た。
オレフィンエラストマー(ENGAGE8180、ダウ・ケミカル社製):100質量%
上記配合成分を射出成型して成形体を得た。
(引張弾性率の測定方法)
JIS K 7161:2014-1に準拠して引張弾性率を測定した。
(永久伸びの測定方法)
試験片を2倍に伸長した状態で23℃、6時間保持した後、応力を取り除く。伸びた長さを伸長前の長さで除した値(%)を算出した。
(摩擦係数の測定方法)
市販の表面性測定器(HEIDON−14D、新東科学株式会社)を使用し、成形体を上質紙に対して、加重4.9N、角度90°、筆記速度100mm/minにて摩擦することによって摩擦係数を測定した。
これらの引張弾性率、永久伸び、摩擦係数の結果を下記表1に示す。
熱変色性インクは、三菱鉛筆社製のURN−180で用いている黒色の熱変色性インクを充填した(25℃で黒色、60℃以上で消色)。
この各熱変色性筆記具を用いて筆記した筆跡を、製造例1〜5で得た各摩擦体40で擦過して消色させたところ、製造例1〜3で得た各摩擦体では、製造例4及び5の各エラストマーの摩擦体に較べ、消色の際の抵抗感が少なく、また、軽い力でも十分な摩擦熱が得られて簡単に消色し、更に、細かい部分の消去等も容易となる熱変色性筆記具となることが判った。
2 軸筒
3 前軸
4 後軸
5 リフィール
10 内筒
40 摩擦体
Claims (5)
- 熱変色性筆記具に使用される摩擦体であって、該摩擦体を構成する材料のうち、ポリプロピレン系樹脂が50質量%以上であり、摩擦体の引張弾性率(JIS K 7161:2014-1)が70MPa以上であることを特徴とする摩擦体。
- 永久伸びが50%以上であることを特徴とする請求項1記載の摩擦体。
- 摩擦係数が0.3〜0.5であることを特徴とする請求項1又は2記載の摩擦体。
- 摩擦体には、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、石炭系樹脂、キシレン系樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂が含有されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の摩擦体。
- 少なくとも熱変色性のインクを使用した熱変色性筆記具であって、該熱変色性筆記具には、請求項1〜4の何れか一つに記載の摩擦体を備えたことを特徴とする熱変色性筆記具。
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---|---|---|---|
JP2017128432A JP6951135B2 (ja) | 2017-06-30 | 2017-06-30 | 摩擦体及び熱変色性筆記具 |
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-
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"PP(ポリプロピレン)樹脂 物性表1A", インターネット, JPN6021008517, 5 December 2015 (2015-12-05), ISSN: 0004461940 * |
"樹脂加工屋 三友彫刻工業所", インターネット, JPN6021008516, 4 November 2015 (2015-11-04), ISSN: 0004461939 * |
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