以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図88を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の遊技盤13の正面視右下領域を拡大した拡大図であり、図4〜図7はパチンコ機10の遊技盤13に設けられたV入賞装置650の構造を模式的に示した模式図であり、図8はパチンコ機10の後面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や球が入球可能な入球口63,64,640等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域(遊技領域)に発射する球発射ユニット112a(図9参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。尚、遊技盤13に設けられた多数の入球口の内容については、図2を参照して後述する。
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図9参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車の他、レール61,62、一般入球口63、第1入球口64、第2入球口640、可変入賞装置65、V入賞装置650、普通図柄始動口(スルーゲート)67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入球口63、第1入球口64、第2入球口640、可変入賞装置65、V入賞装置650、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図9参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
返しゴム69の左上側には第1図柄表示装置37が設けられている。この第1図柄表示装置37は、透明の樹脂(例えば、ABS)にて形成されている遊技盤13の裏面(遊技領域を形成する面とは反対側の面)に覆われるように配設されており、発射された球が第1図柄表示装置37に衝突しないように構成している。
この第1図柄表示装置37には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37a,37bが配設されている。第1図柄表示装置37a,37bは、主制御装置110(図9参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37a,37bは、球が、第1入球口64へ入球(入賞)したか、第2入球口640へ入球(入賞)したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入球口64へ入球(入賞)した場合には、第1図柄表示装置37aが作動し、一方で、球が、第2入球口640へ入球(入賞)した場合には、第1図柄表示装置37bが作動するように構成されている。つまり、第1図柄表示装置37aは、第1入球口64に球が入球した場合に実行される抽選(特図1抽選)の抽選結果を示すための表示手段であり、第1図柄表示装置37bは、第2入球口640に球が入球した場合に実行される抽選(特図2抽選)の抽選結果を示すための表示手段となる。
また、第1図柄表示装置37a,37bは、LEDにより、パチンコ機10の遊技状態(確変状態、潜確状態、通常状態等)の何れであるかを点灯状態により示したり、第1図柄が変動中(抽選結果を示すための図柄の組み合わせを停止表示させるための動的表示中)であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が遊技者に有利な大当たりに対応した図柄か不利な大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。なお、本実施形態では、発光手段(7セグメント表示装置)の発光色の組み合わせにより各種遊技状態を報知するように構成しているが、遊技者が各種遊技状態を識別可能な構成であれば良く、例えば、発光手段が点灯している期間と消灯している期間との長さ(点滅態様)を可変させることにより各種遊技状態を報知するように構成しても良い。
尚、本パチンコ機10では、第1入球口64及び第2入球口640へ入球(入賞)があったことを契機として抽選(特別図柄の抽選)が行われる。そして、その特別図柄の抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行う。ここで、大当たりに当選したと判定されたことに基づいて、遊技者に有利な特典遊技状態となる大当たり遊技が実行される。
大当たり遊技が実行されると、可変入賞装置65の特定入賞口65a、或いは、V入賞装置650のV入賞口650aに球を容易に入賞させることが可能な開放状態となり、各入賞口に球を入賞させることで多くの賞球を短期間で獲得可能な遊技が実行される。この大当たり遊技中は、特別図柄の抽選結果が停止表示(確定表示)された後に実行されるものであり、所定時間(例えば1秒)のオープニング期間(可変入賞装置65の特定入賞口65a、或いは、V入賞装置650のV入賞口650aに球を入球させ難い閉鎖状態が設定される期間)と、開放状態が設定されるラウンド遊技期間と、1のラウンド遊技期間が終了した後に、次のラウンド遊技が開始されるまでの所定期間(例えば、0.5秒)、閉鎖状態が設定されるインターバル期間と、最後のラウンド遊技期間が終了した後に、所定期間(例えば、2秒)の閉鎖状態が設定されるエンディング期間と、からなる大当たり遊技期間が設定される。
このように、大当たり当選を示す特別図柄の抽選結果が停止表示(確定表示)された後に、オープニング期間が設定することにより、大当たり遊技中における各入賞口が開放状態となるタイミングに合わせて球を任意の方向に向けて発射させる準備を行うことができるため、大当たり遊技を円滑に行わせることができる。また、このオープニング期間を、今回の大当たり遊技の遊技内容を遊技者に報知する期間として用いることができるため、分かり易い遊技を提供することができる。
また、大当たり遊技の最終期間としてエンディング期間を設定することにより、最後のラウンド遊技が終了した直後から、新たな特別図柄の抽選が実行されることを抑制することができるため、大当たり遊技の終了後に実行される遊技に向けて、球を任意の方向に向けて発射させる準備を行うことができるため、遊技の切り替えを円滑に行わせることができる。
さらに、大当たり抽選において大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。詳細な説明は後述するが、判定される大当たり種別としては、大当たり遊技のラウンド数が10ラウンドで大当たり終了後に特別図柄の高確率状態が付与される15R確変大当たり、大当たり遊技のラウンド数が11ラウンド(実質10ラウンド)で大当たり終了後に特別図柄の低確率状態が付与される10R通常大当たりが用意されている。
また、大当たり抽選の抽選結果として上述した大当たりでは無い外れと判定された場合の一部において、上述した大当たりよりも遊技者に付与される特典が少ない(例えば、1ラウンドのみV入賞装置650を開放させる特典)小当たりが用意されている。第1図柄表示装置37a,37bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否か(小当たりであるか否か)が示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
本実施形態では、遊技状態として、「通常状態」、「潜確状態」、「確変状態」の何れかが設定されるように構成している(図14参照)。通常状態は、特別図柄の大当たり確率が低確率(1/160)に設定され、普通図柄の当たり確率が低確率(231/233)に設定される遊技状態(以下、特別図柄:低確率状態、普通図柄:低確率状態と称す)であり、潜確状態は、特別図柄の大当たり確率が高確率(1/120)に設定され、普通図柄の当たり確率が低確率(231/233)に設定される遊技状態(以下、特別図柄:高確率状態、普通図柄:低確率状態と称す)であり、確変状態は、特別図柄の大当たり確率が高確率(1/120)に設定され、普通図柄の当たり確率が高確率(232/233)に設定される遊技状態(以下、特別図柄:高確率状態、普通図柄:高確率状態と称す)である。
なお、詳細な説明は後述するが、本実施形態では、特別図柄の大当たりに当選し、同一の大当たり種別が設定された場合であっても、その大当たりに当選した際に設定されている遊技状態に応じて、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態を異ならせるように構成している。これにより、遊技者に対して特別図柄の抽選結果に加え、設定されている遊技状態を意識させながら遊技を行わせることができる。
ここで、「10R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が10ラウンドの大当たり遊技(V入賞装置(第1アタッカ)650を10ラウンド分開放させる大当たり遊技)の後に特別図柄の高確率状態へ移行させることが可能な大当たりのことであって、大当たり遊技の後に普通図柄の高確率状態が設定されると大当たり遊技後の遊技状態として確変状態が設定され、大当たり遊技の後に普通図柄の低確率状態が設定されると大当たり遊技後の遊技状態として潜確状態が設定される。なお、「10R確変大当たり」に当選した場合において大当たり遊技終了後に設定される遊技状態は、上述した通り、大当たりに当選した際の遊技状態に応じて可変設定される。
「11R通常大当たり」とは、最大ラウンド数が11ラウンド(実質10ラウンド)の大当たり遊技(可変入賞装置(第2アタッカ)65を10ラウンド分開放させ、V入賞装置(第1アタッカ)650を1ラウンド分ショート開放させる大当たり遊技)の後に特別図柄の通常状態へ移行する大当たりのことである。
ここで、本実施形態では、大当たり遊技中にV入賞装置(第1アタッカ)650内の特定領域(特別排出流路)650e2(図6参照)を球が通過するか否かに応じて、大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態を設定するか否かが決定されるように構成している。さらに、V入賞装置(第1アタッカ)650内に、入賞した球が流下する球流路を、特別排出流路650e2又は通常排出流路e1に切り替える切替部材650h(図6参照)を設け、その切替部材650hが予め定められた所定規則に則って可動されるように構成している。
このように構成されたパチンコ機10において、「10R確変大当たり」に応じた大当たり遊技が実行されると、V入賞装置(第1アタッカ)650が所定期間(30秒経過、或いは、10球入賞するまでの期間)開放される遊技(ラウンド遊技)が、所定回数(10回)実行されるため、大当たり遊技中に右打ち遊技(V入賞装置650を狙って球を発射される遊技)を行うことにより、V入賞装置650に入賞した球を特別排出流路650e2に流下させることができる。
一方、「11R通常大当たり」に応じた大当たり遊技では、V入賞装置(第1アタッカ)650の開放動作が上述した「10R確変大当たり」に応じた大当たり遊技よりも制限された大当たり遊技が実行される。具体的には、1回の大当たり遊技中にV入賞装置(第1アタッカ)650が短期間(0.5秒間)開放される遊技(ラウンド遊技)が、1回のみ実行される大当たり遊技が実行される。よって、大当たり遊技中にV入賞装置650に球が入賞し難くなり、且つ、入賞した球が特別排出流路650e2を流下し難く(不可能)させることができる。
上述した通り、本実施形態のパチンコ機10は、特別図柄の抽選結果に基づいて大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態を設定するか否かを決定するのでは無く、特別図柄の抽選結果に基づいて、大当たり遊技中にV入賞装置650内の特定領域(特別排出流路650e2内に設けられたVスイッチ650e3)を球が通過し易い大当たり遊技と、通過し難い大当たり遊技と、が選択(設定)されるように構成し、大当たり遊技中に特定領域を球が通過した場合に、その大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態が設定され、特定領域を球が通過しなかった場合に、その大当たり遊技終了後に特別図柄の低確率状態が設定されるように構成している。
つまり、「10R確変大当たり」に当選した場合であっても、その大当たり遊技中に球が特定領域を通過しなかった場合には、その大当たり遊技終了後に特別図柄の低確率状態が設定されることになる。このように構成することで、大当たり遊技中において、遊技者に対して、各アタッカ(第1アタッカ650、第2アタッカ65)に球を入賞させて賞球を得る遊技と、特定領域に球を通過させて特別図柄の高確率状態を獲得する遊技とを行わせることが可能となり、遊技者の遊技意欲を高めさせることができる。
なお、本実施形態では、特定領域に球を通過させ易い大当たり遊技が実行される大当たりを「確変大当たり」とし、特定領域に球を通過させ難い大当たり遊技が実行される大当たりを「通常大当たり」として説明をする。
図2に戻り説明を続ける。遊技盤13の表面に形成される遊技領域の左下方側には、球が入球することにより10個の球が賞球として払い出される複数の左一般入球口63aが配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入球口64及び第2入球口640への入球(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37a,37bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、普通図柄始動口(スルーゲート)67への球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は15インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図9参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図9参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37a,37bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37a,37bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入球口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態(開放状態)となるよう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が普通図柄の低確率状態(通常状態、潜確状態)よりも、普通図柄の高確率状態(確変状態)の方が短くなるように設定される。そして、普通図柄の高確率状態中は、第2図柄の変動表示が普通図柄の低確率状態よりも短い時間で行われ、スルーゲート(普通図柄始動口)67を通過した球が電動役物640aに到達するまでに、電動役物640aの当たり動作が終了するように構成しているため、普通図柄の高確率状態中は、普通図柄の低確率状態中よりも、普通図柄の変動時間が短く、且つ、普通図柄の当たりに当選する確率が高くなるように設定されるが、スルーゲート67を通過した球が第2入球口640に到達するまでに普通図柄の当たり遊技が終了してしまうため、普通図柄の低確率状態よりも球が第2入球口640に入球し難くなるように構成されている。
一方、普通図柄の低確率状態(通常状態、潜確状態)では、第2図柄の保留記憶数、即ち、スルーゲート67に球が通過したことに基づいて取得された通過情報(第2図柄の抽選に用いる各カウンタ値)を、所定数(4個)を上限に記憶した数に応じて普通図柄の変動時間を異ならせるように設定されており、保留記憶数が少ない(例えば、0個)場合は、普通図柄(第2図柄)の変動時間として、スルーゲート(普通図柄始動口)67を通過した球が第2入球口640に到達するまでに要する時間よりも長い変動時間が設定され、第2図柄(普通図柄)の保留記憶数が多い(例えば、3個)場合は、スルーゲート67を通過した球が第2入球口640に入球し得る程度の変動時間が設定されるように構成している。
このように構成することで、例えば、通常状態中(左打ち遊技を行う遊技中)に、操作手段(枠ボタン22)の操作を誤ってしまい、右側領域に向けて球を発射させた場合に、第2入球口640に球が入球してしまうことを抑制することができる。また、悪意のある遊技者によって通常状態中に単発で球を右側領域に発射させる遊技が行われたとしても、第2入球口640に球を入球させることが困難(不可能)となるため、不正な遊技が実行されることを抑制することができる。
なお、このように構成されたパチンコ機10において、通常状態中に球を第2入球口640へ入球させるためには、普通図柄の保留記憶数が所定数となるまで継続して右打ち遊技を行う必要がある。よって、不正な遊技(通常状態中に右打ち遊技)が行われていることを判別し、異常報知するための処理として、右打ち遊技によって普通図柄の保留記憶数が所定個数(2以上の数)となったと判別した場合に異常報知を実行するように構成すると良い。また、第2入球口640に球が入球したことを契機に異常報知を実行するように構成すると良い。これにより、遊技者の操作ミスによって発射された少量(1発)の球が右側領域に侵入してしまい、異常報知が実行されてしまうことを抑制することができる。
なお、普通図柄の高確率状態中(普図高確中)において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法を用いて普図高確中に第2入球口640へ球が入球しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、普図高確中において通常状態よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
普通図柄始動口(スルーゲート)67は、可変表示装置ユニット80の右側の領域において遊技盤13に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部(約50%)が通過可能に構成されている。普通図柄始動口(スルーゲート)67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球の普通図柄始動口(スルーゲート)67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第2図柄保留ランプ84において表示される。第2図柄保留ランプ84は、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37a,37b及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、普通図柄始動口(スルーゲート)67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、普通図柄始動口(スルーゲート)67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、普通図柄始動口(スルーゲート)67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37a,37bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入球し得る第1入球口64が配設されている。この第1入球口64へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入球口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入球口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図9参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37aで示される。
第1入球口64の正面視右方であって、遊技盤13の右側領域(流路ユニット3660の下方領域)には、球が入球し得る第2入球口640と、右一般入球口63bが配設されている。この第2入球口640へ球が入球すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入球口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入球口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図9参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37bで示される。
第1入球口64に球が入球すると4個の球が賞球として払い出され、第2入球口640に球が入球すると1個の賞球として払い出されるように構成している。また、右一般入球口63bに球が入球すると1個の球が賞球として払い出されるように構成している。このように構成することで、通常状態中に右打ち遊技を行ったとしても、賞球が1個に設定されている第2入球口640又は右一般入球口63bに球が入賞するだけであるため、球が増加することが無い。
また、第2入球口640に球が入球した場合には、第2特別図柄(特図2)の抽選が実行されることになるが、本実施形態では、通常状態において実行される第2特別図柄(特図2)の抽選に対して設定される変動パターン(変動時間)として長時間(例えば、10分)の変動パターン(変動時間)が設定されるように構成している。よって、たとえ、通常状態において第2特別図柄(特図2)の抽選が実行されたとしても、効率良く特図2の抽選が実行されることを抑制することができる。
つまり、本実施形態では、遊技状態として通常状態が設定されている場合は、左打ち遊技(遊技盤13の左側領域に球を流下させて第1特別図柄(特図1)抽選を実行するために、第1入球口64へ球を入球させるための遊技)を行うことが遊技者に有利な遊技となる。
なお、本実施形態においては、第1入球口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入球口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異ならせるように構成したが、第1入球口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入球口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同一の数、例えば、第1入球口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数も1個として構成してもよい。
図2に示した通り、第2入球口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは1つの羽根形状に構成されており、球が第2入球口640に入球することを規制する閉鎖状態(図2参照)と、球が第2入球口640に入球することを許容する開放状態(図3参照)とに可変可能に制御されるものである。
電動役物640aは、通常、閉鎖状態に位置しており、球が第2入球口640に入球し得ないように構成されている。そして、普通図柄(第2図柄)の抽選によって当たりに当選したことに基づいて、所定期間の間、開放状態へと可変動作され球が第2入球口640に入球し易くなるように構成されているものである。
ここで、本実施形態のパチンコ機10の右側領域の構成について、図2から図7を参照して説明する。図2に示した通り、本実施形態では、遊技盤13によって形成される遊技領域の略中央位置に可変表示装置ユニット80を配設し、遊技領域を可変表示装置ユニット80の左方側(左側領域)と右方側(右側領域)とに区画しており、遊技者が操作ハンドル51の操作量を調整することで発射された球の行き先を左側領域或いは右側領域へと打ち分けることが可能に構成している。以下、遊技者が操作ハンドル51を操作して遊技領域のうち左側領域へと球を発射させる遊技を左打ち遊技、右側領域へと球を発射させる遊技を右打ち遊技と称す。
遊技盤13の右側領域の上流側には、V入賞装置650が配設されており、右打ち遊技によって発射された球が100%V入賞装置650上を流下するように構成されている。
そして、V入賞装置650上を流下した球はV入賞装置650の左端側から下方へ流下し、その球の50%がスルーゲート67を通過した後に流路ユニット3660へと流入し、他の50%が流路ユニット3660の右側に設けられた領域を流下して右一般入球口63bに入球するように振分部材700が設けられている。
この振分部材700は遊技盤13上を流下する球と当接可能な複数枚(4枚)の羽根が回転可能(両方向に回動可能)に構成されており、球が羽根に当接しながら流下する毎に一方向に回転するように構成されている。そして、球が羽根に当接した位置や、振分部材700の回転モーメントに応じて、球を、スルーゲート67方向(流路ユニット3660方向)、或いは、流路ユニット3660の右側に設けられた領域方向へと1:1の割合で振り分けるように構成されている。
このように構成することで、2つの方向に対して交互に球を振り分けるという規則性を持たせること無く、1:1の割合で球を振り分けることができる。なお、球の流下方向を振り分ける振分部材700の構成はこれに限られること無く、例えば、流下する球と当接することにより球流路を交互に切り替える(球の流路を、一の流路と他の流路とに交互に切り替える)切替部材を用いても良い。これにより、球を交互に振り分けるという規則性を持たせることができる。
流路ユニット3660に流入した球は、流路ユニット3660内を流下した後に、電動役物640aを有する第2入球口640に到達し、第2入球口640に入球しなかった球は、遊技盤13に植設された複数の釘によって可変入賞装置65方向へと誘導されながら流下し、最終的にアウト口66へ流入し、図示しない排出口よりパチンコ機10の外部へと排出される。
ここで、V入賞装置650の詳細な構成について、図4から図7を参照して説明をする。V入賞装置650は、球が入賞可能な開放状態と入賞困難な閉鎖状態とに可変可能に構成されているものであり、第1特別図柄(特図1)の抽選結果が特定の大当たり(例えば、「大当たりA」(図18参照))である場合、或いは、第2特別図柄(特図2)の抽選によって「大当たり」や「小当たり」に当選した場合に開放状態へと開放動作される(V入賞装置650の開閉扉650f1が動作し特定入賞口(V入賞口)650aに球が入賞可能な開放状態へと可変する)ように構成されている。
次に、図4を参照してV入賞装置650の構造について詳細に説明をする。図4は、このV入賞装置650の分解斜視図である。V入賞装置650は、図4に示すように、遊技盤13の前面側に突出して配置される開口部形成部材650b、その開口部形成部材650bの背面側に組み合わされて、V入賞装置650を遊技盤13にビス留めするためのベース部材650cと、そのベース部材650cの背面側に配置されてベース部材650cの背面側よりパチンコ機10の前面側に対してLEDを点灯させるためのLEDが複数配置されたLED基板650dと、そのLED基板650dをベース部材650cと狭持する裏カバー体650eと、開口部形成部材650dに形成されている特定入賞口(V入賞口)650aを開閉するための開閉扉650f1を有した開閉ユニット650fと、裏カバー体650eの背面側に組み合わされて流路を形成する流路カバー体650gと、裏カバー体650eと流路カバー体650gとで形成された流路に突出して遊技球の流路を切り替える切替部材650hと、その切替部材650hと係止されるリンク部材650iと、流路カバー体650gの背面側に配置される背面カバー体650jと、その背面カバー体650jの背面側に固定されて、リンク部材650iを作動させる流路ソレノイド650kと、その流路ソレノイド650kを背面側から覆って背面カバー体650jにビスにより固定するための固定用カバー体650mとで構成されている。
次に、図5を参照してV入賞装置650の構成を説明する。図5(b)は、V入賞装置650を正面視(図2の視点で正面視)した正面断面図である。図5(c)はV入賞装置650の上面図であり、図5(a)は、V入賞装置650のLb−Lb断面図である。図5(b)に示すように、V入賞装置650には、遊技球が入球可能な開口部である特定入賞口(V入賞口)650aが形成されている。特定入賞口(V入賞口)650aは、パチンコ機10の上方を略長方形状の開口が形成されており、その開口を通過した遊技球が図5(b)の左方向に誘導されるように左下方に傾斜した底面が形成されている。底面の左端部には、遊技球の入賞を検知するための磁気センサ(球検知スイッチ)650c1で構成された検出口650a1が配置されている。この検出口650a1を通過した遊技球は、図5(b)で示す裏カバー体650eの背面側に形成された振り分け流路へと誘導される。
なお、図5(b)に示すように特定入賞口(V入賞口)650aの開口は、遊技盤13側より出没可能なシャッター機構で構成された開閉扉650f1により遊技球が入球可能な開放状態と入球不可能(入球困難)な閉鎖状態とに可変される。閉鎖状態では、開口が完全に開閉扉650f1によって覆われ、開閉扉の上部を遊技球が転動可能に構成される。また、開放状態では、開閉扉650f1は、ベース部材650cの内側(遊技盤13の内部)に退避されることにより特定入賞口(V入賞口)650a内から退避されるように構成されている。
このように構成することで、可変入賞装置650の開口が閉鎖されている場合には、遊技球がV入賞装置650の開閉扉650f1上面を転動して、流路ユニット3660側(図2参照)へと誘導されるように構成されている。よって、大当たり遊技(小当たり遊技)と潜確状態中に右打ち遊技を継続して実行させることが可能となる。よって、遊技者に対して、遊技方法を変更させる手間を軽減できる。従って、より楽に遊技を行うことができる。
また、開放状態においては、遊技球が流下する方向と直交する面をV入賞装置650の開口として構成できるので、より多くの遊技球が効率よく特定入賞口(V入賞口)650a内に入賞できる。よって、大当たり遊技に要する時間を短くすることができ、遊技の効率化をはかることができる。さらに、詳細な説明は図7を参照して後述するが、開閉扉650f1の上面には遅延部材が設けられており、球が開閉扉650f1上に滞在する時間が長くなるように構成している。これにより、開閉扉650f1上に球が存在している状態で開閉扉650f1が開放される確率を高めることができるため、V入賞装置650の1回の開放期間を短く設定したとしても、球を入賞させやすくすることができる。
さらに、大当たり遊技中において開閉扉650f1が閉鎖している期間よりも、球が開閉扉650f1上を流下するのに要する期間が長くなるように構成しているため、大当たり遊技中に右打ち遊技された球を確実にV入賞装置650に入賞させることができる。
図5(a)は、図5(b)に示すLa−La断面図である。図5(a)に示すように検出口650a1を有する磁気センサ(球検知スイッチ)650c1(図4参照)は、裏カバー体650e(図4参照)の振り分け流路側へと検出口650a1が傾くようにベース部材650c(図4参照)に固定されている。この球検知スイッチ650c1は、V入賞口650aから入賞した球が流下可能な範囲で若干のがたつき(公差約0.2ミリ)を持たせてベース部材650cに取り付けられている。これにより、V入賞装置650aに勢いよく入賞した球が球検知スイッチ650c1に衝突したとしても、その衝撃を逃がすことができるため、球検知スイッチ650c1の破損を抑制することができる。
なお、球検知スイッチ650c1の破損を抑制する構成としてはこれに限ること無く、例えば、球検知スイッチ650c1の検出口650a1の幅よりも、球検知スイッチ650c1の上流側流路の幅が狭くなるように構成しても良い。これにより、球検知スイッチ650c1の上流側流路を流下した球が球検知スイッチ650c1を通過する際に、その球が球検知スイッチ650c1に衝突し難くさせることができる。
次に、図6を参照して、裏カバー体650eの振り分け流路に誘導された遊技球が後述する通常排出流路650e1と特別排出流路650e2とに振り分けられる構成について説明する。
図6(a)は、遊技球が特別排出口650e2に振り分けられるように切替部材650hが作動された状態を示す裏カバー体650eの背面図である。図6(a)に示すように、切替部材650hは、リンク部材650iの突部が挿入される係止穴650h1と遊技球を誘導する誘導片650h2とを有しており、流路カバー体650gに背面側より回動可能に軸支されている。ここで、流路カバー体650gには、この誘導片650h2を挿通することが可能な開口部が設けられており、流路カバー体650gの背面側より振り分け流路内に誘導片650hを回動可能に配置することが可能に構成されている。
図6(a)に示すように、検出口650a1より振り分け流路内に誘導された球は、左斜め下方に配置された誘導片650h2の上面に誘導されて特別排出口650e2に誘導される。特別排出口650e2を通過した遊技球は特別排出口650e2に設けられた球の通過を検出可能な磁気センサで構成されたVスイッチ650e3により検出されてアウト球としてパチンコ機10外へ排出される。
ここで、詳細については後述するが、本実施形態におけるパチンコ機10では、大当たり遊技中に上記したVスイッチ650e3を遊技球が通過することにより、大当たり遊技後に特別図柄の高確率状態が設定される。即ち、Vスイッチ650e3は、特別図柄の高確率状態を設定するためのトリガとして構成されている。また、切替部材650hは、小当たり遊技中はV入賞装置650に入賞した球がVスイッチ650e3を通過不可能(困難)な流路(通常排出流路650e1)するように球通路を連通させ、大当たり遊技中はV入賞装置650に入賞した球がVスイッチ650e3を通過可能(容易)な流路(特別排出流路650e2)を、或いは、Vスイッチ650e3を通過不可能(困難)な流路(通常排出流路650e1)の何れかを連通させるように構成されている。
この切替部材650hは、流路ソレノイド650kをオンに設定することでV入賞装置650に入賞した球が特別排出流路650e2を流下するように流路を切り替える(図6(a)参照)ように構成されており、流路ソレノイド650kをオフに設定することでV入賞装置650に入賞した球が通常排出流路650e1を流下するように流路を切り替える(図6(b)参照)ように構成されている。このように構成することで、V入賞装置650内に切替形成される球流路のうち、連通状態となる期間が短い特別排出流路650e2を球が流下可能となる球流路状態を、電気的駆動源を用いて形成することになるため、使用電力を抑制することができる。また、悪意のある遊技者が不正に球をV入賞装置650に入賞させたとしても、流路ソレノイド650kをオンに設定しない限り球がVスイッチ650e3を通過することが無いため、悪意を持った不正遊技が実行されることを抑制することができる。
本実施形態では、特別図柄の大当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技の遊技内容(開放動作させる入賞装置、開放動作期間等)に応じて、V入賞装置650内のVスイッチ650e3を球が通過し易い大当たり遊技と、通過し難い大当たり遊技と、を実行可能に構成している。具体的には、V入賞装置650を開放動作させる遊技(ラウンド遊技)が実行されるタイミングや期間を、実行される大当たり遊技に応じて異ならせることで、V入賞装置650への入賞のし易さを可変させ、且つ、V入賞装置650内に球が入賞させるタイミングを異ならせるように構成している。
このように、大当たり遊技の遊技内容(開閉扉650f1の動作パターン)を可変させることにより、V入賞装置650内に球が入賞するタイミングを可変させることで、切替部材650hの動作内容を、常に一定に設定したとしても、球がV入賞装置650内のVスイッチ650e3を通過し易い大当たり遊技と、通過し難い(不可能)な大当たり遊技とを設定することができる。よって、切替部材650hの動作内容を異ならせるための(流路ソレノイド650kをオンに設定するタイミングを異ならせるための)複数の動作パターンが不要となり、パチンコ機10の制御負荷を軽減させることができる。
また、V入賞装置650の開口(V入賞口)から特別排出流路650e2の入り口(切替部材650hの誘導片650h2により閉鎖される開口面)を通過するのに必要な時間は、最短でも1秒で構成されている。このように構成することで、不正な遊技によって大当たりに当選していないにも関わらず開閉扉650f1が開放され、さらに、特別排出流路650e2を球が流下するように切替部材650hを操作(破壊)したとしても、球がV入賞装置650内の球検知スイッチ650c1が球を検知したことに基づいて不正遊技が実行されたことを判別した後に、球を特別排出流路650e2へ流下させることができ、特別排出流路650e2を球が流下したことが異常状態であることを確実に報知することができる。
また、通常排出流路650e1の端部には球の通過を検出可能な磁気センサで構成された排出確認スイッチ650e4が設けられている。これにより、V入賞装置650内に入球した遊技球が全て排出されたかを排出確認スイッチ650e4と確変スイッチ650e3との合計により判別できる。なお、大当たり遊技の終了タイミング(大当たり遊技の終了条件(V入賞装置650の開放シナリオが終了した場合)が成立した後に実行される大当たりエンディング期間を経過したタイミング)において、V入賞装置650内に入球した遊技球が全て排出されていない場合には、V入賞装置650内部の異常と判別し、外部に異常を報知したり、遊技が開始されないように遊技を停止させたりするように構成すると良い。これにより、パチンコ機10の一部において異常が発生している状態で遊技が進行することによる2次的な異常が発生してしまうことを抑制することができる。
このように、V入賞装置650の特定入賞口(V入賞口)650aに入賞した球が磁気センサ(球検知スイッチ)650c1により検出され、それに基づいて、遊技者に特典として賞球(本実施形態では1球入賞に対して15個の賞球)を払い出し、その検出された後の球を利用して、Vスイッチ650e3に通過するか否かを振り分け可能に構成することで、大当たりに当選した後に実行される大当たり遊技中の遊技内容に対して遊技者を注視させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
また、流路ソレノイド650kをオフに設定し(流路ソレノイド650kを動作させる電気的駆動源を駆動させず)、通常排出流路650e1が連通するように切替部材650hを初期位置(流路ソレノイド650kがオフの状態の位置)に位置させることで、V入賞装置650に入賞した球がVスイッチ650e3を通過しないように構成することができるため、小当たり当選時に実行される小当たり遊技にてV入賞装置650を用いることができる。よって、パチンコ機10に小当たり遊技専用の入賞装置を別途設ける必要が無くなるため、パチンコ機10の製造コストを抑えることができると共に、パチンコ機10の遊技盤13に形成された遊技領域のスペースを有効活用することができる。
さらに、本実施形態では、遊技状態として潜確状態が設定された場合には、第2特別図柄(特図2)の抽選が実行され易くなるため(特図2の変動時間が短く設定されるため)、遊技者にとって有利な遊技方法が右打ち遊技となる。そして、第2特別図柄(特図2)の抽選では、第1特別図柄(特図1)の抽選よりも小当たりに当選し易くなるように構成しており、潜確状態中は小当たり遊技が頻繁に実行されるように構成している。このように構成されたパチンコ機10において、V入賞装置650を右側領域に配設することで、潜確状態が設定されている期間中、継続して右打ち遊技を実行するだけで遊技者に有利な遊技を行わせることができる。
加えて、本実施形態では、潜確状態中に抽選が実行され易くなる第2特別図柄(特図2)の抽選で大当たりに当選した場合には、必ずV入賞装置650が開放動作される大当たり遊技が実行され、その大当たり遊技終了後に再度潜確状態が設定される確率が、第1特別図柄(特図1)で大当たりに当選した場合よりも高くなるように構成されている。よって、潜確状態中において、大当たり遊技を介して再度潜確状態が設定される場合であっても、遊技者は右打ち遊技を継続して実行するだけで良いため、遊技者に対して操作ハンドル51を煩雑に操作させる必要を無くすことができる。
なお、特図2抽選で大当たりに当選した場合に、V入賞装置650の開放動作(開閉扉650f1の動作パターン)が小当たり遊技と同一となる大当たり遊技を実行可能に構成しても良い。これにより、遊技者に対して実行中の当たり遊技が大当たり遊技であるか小当たり遊技であるかを分かり難くすることができる。加えて、この場合は、大当たり遊技中にV入賞装置650に入賞した球がV入賞装置650内のVスイッチ650e3を通過したか否かを遊技者が視認困難となるように構成すると良い。つまり、球がVスイッチ650e3を通過したか否かを識別することで今回の当たり遊技が大当たり遊技であるか小当たり遊技であるかを判別されないように構成すると良い。
さらに、V入賞装置650の開放動作(開閉扉650f1の動作パターン)が小当たり遊技と同一となる大当たり遊技において、V入賞装置650に入賞した球がVスイッチ650e3を通過しないように構成しても良い。これにより、小当たり遊技と同様の当たり遊技が実行された後に、潜確状態が終了する(他の遊技状態へ移行する)遊技を実行することができる。よって、遊技者に対して、潜確状態中に緊張感を持たせて遊技を行わせることができる。
次に、図7を参照して、V入賞装置650のV入賞口650aを開閉する開閉扉650f1の球流下面の構造について説明をする。図7(a)は、V入賞装置650のV入賞口650aを開閉扉650f1が閉鎖している状態を平面視した模式図である。図7(a)に示した通り、V入賞装置650の上面に到達した球は、V入賞装置650上面の傾斜(図2参照)に沿って、V入賞装置650の右側上面650y1から開閉扉650f1の上面を介して左側上面650y2を流下し、流路ユニット3660に向けて流出するように構成している。
そして、開閉扉650f1の上面には、球の流下を遅延させるための遅延部材として第1遅延部材650fa、第2遅延部材650fb、第3遅延部材650fcが設けられており、球が開閉扉650f1上面を流下する流下期間が1秒となるように構成している。この流下期間(1秒)は、V入賞装置650の特定入賞口(V入賞口)650aが大当たり遊技によって複数回開放される際の間隔(閉鎖期間(0.5秒))、即ち、ラウンド遊技間に設定されるインターバル期間(0.5秒)よりも長くなるように構成されている。
このように構成することで、大当たり遊技中に右打ち遊技にて発射された球の全てを、V入賞装置650に入賞させることができる。よって、大当たり遊技中に実行された右打ち遊技によって発射された球がスルーゲート67を通過して普通図柄の保留記憶数を増加させたり、第2入球口640に入球して第2特別図柄の保留記憶数を増加させたりすることを抑制することができる。
図7(a)に示した状態で、大当たり遊技が実行され、開閉扉650f1が開放状態(退避状態)に可変すると、図7(b)に示した状態へと移行する。図7(b)は、V入賞装置650のV入賞口650aが開放している状態を平面視した模式図である。図7(b)に示した通り、開閉扉650f1は開放状態になると、遊技盤13の内部に退避するように可動し、右側上面650y1を流下した球が特定入賞口(V入賞口)650aに入賞可能となるように特定入賞口(V入賞口)650aが開放状態となる。また、開閉扉650f1上を流下中の球も、開閉扉650f1が退避位置に位置することで、特定入賞口(V入賞口)650aへ入賞するように構成している。
つまり、開閉扉650f1は、その手前側(図7(a)の視点で下側)端部に、球が乗り越え可能な程度の壁(約4ミリの高さの壁)が突設されており、開閉扉650f1上に滞在する球は、開閉扉650f1が退避位置に可変する際に、遊技盤13に当接した状態で壁を乗り越えてV入賞口650aへと流入する。この壁は開閉扉650f1が閉鎖状態(図7(a)参照)である場合には、開閉扉650f1上を蛇行して流下する球が、遊技盤の手前側(図2の視点で手前側)に設けられたガラスユニット16に接触することを抑制するための規制壁となる。
また、V入賞装置650には、開閉扉650f1上を流下していた球がどの位置から特定入賞口(V入賞口)650aに入賞したとしても球流れを円滑にするための第1規制部材と、第2規制部材が設けられており、開閉扉650f1上面上流側で特定入賞口(V入賞口)650aに入賞した球は第1規制部材、第2規制部材を介して一列に整列させてから、球1個分の通路幅である検出口650a1に向けて流下するように構成されている。このように第1規制部材、第2規制部材を設けることで、第1規制部材の下方位置に検出口650a1を設けたとしても、開閉扉650f1から勢いよく入賞した球が直接検出口650a1に衝突することを防止することができるため、検出口650a1に設けられた球検知スイッチ650c1が故障することを抑制することができる。加えて、球1個分の通路幅の検出口650a1を通過するまでに球を整列させるための流路(第1規制部材、第2規制部材上を流下する流路)を確保することができるため、V入賞装置650内で球詰まりが発生し、遊技に支障を来す事態が発生することを抑制することができる。
次に、図3を参照して、本実施形態のパチンコ機10の右側領域のうち、流路ユニット3660近傍の構成について説明をする。図3は、流路ユニット3660近傍を拡大した模式図である。図3に示した通り、流路ユニット3660は、右打ち遊技によって発射され、右側領域を流下する球のうち、スルーゲート67を通過した球が全て流入するように配設されており、流路ユニット3660の流入口3660aが、スルーゲート67の下方位置に形成されている。この流入口3660aは、スルーゲート67の球通過幅(約13ミリ)よりも広い幅(約20ミリ)で形成されており、スルーゲート67を通過した球が円滑に流入するように構成されている。
流路ユニット3660に流入した球は、まず、第1突出部材3661上に落下する。この第1突出部材3661は、その上面が右下方向(図3の視点で右下方向)に下り傾斜するように設けられており、第1突出部材3661上に落下した球が下り傾斜方向に流下して、第2突出部材3662に向けて流出する。第1突出部材3661の先端部は、第2突出部材3662を臨む位置まで突出しており、第1突出部材3661から流出した球は、確実に第2突出部材3662上に落下する。
第2突出部材3662は、第1突出部材3661よりも下方に設けられ、第2突出部材3662の上面が左下方向(図3の視点で左下方向)に下り傾斜するように設けられている。第2突出部材3662上に落下した球は、第2突出部材3662の下り傾斜方向に向かって流下し、第3突出部材3663に向けて流出する。
そして、第3突出部材3663は、その上面が上述した第1突出部材3661と同一方向の下り傾斜となるように設けられており、その先端に流路ユニット3660の流出口3660bが形成される。第2突出部材3662から流出した球は、第3突出部材3663の上面に落下し、その上面の下り傾斜方向に流下して流出口3660bから流路ユニット3660外へ流出する。
流路ユニット3660から流出した球は、遊技盤13に植設された釘によって第2入球口640方向へと誘導され、電動役物640aが開放状態であれば(図3参照)、流路ユニット3660から流出した全ての球が第2入球口640に入球する。一方、電動役物640aが閉鎖状態(図2参照)であれば、第2入球口640に入球することなく、遊技盤13の下方に向けて流下する。
つまり、電動役物640aが開放状態(図3参照)となると、流路ユニット3660から流出した球の流路を塞ぐ位置まで電動役物640aが可動する。そして、第2入球口640の上方には複数の釘が配設されており、流路ユニット3660の右側に形成された遊技領域を流下する球が第2入球口640に入球しないように構成している。
次に、スルーゲート67を通過した球が第2入球口640に到達するまでの時間と、第2図柄(普通図柄)の変動時間の関係について説明をする。図3に示した通り、流路ユニット3660内には複数の突出部材3661〜3663が設けられており、球が蛇行して流下するように構成している。そして、流路ユニット3660の流入口3660aから流出口3660bまでの球流下経路R1は球が通過するのに要する期間が1.5秒となるように構成されており、流路ユニット3660の流出口3660bから流下した球が開放状態である電動役物640a内に流入するまでの時間(第2入球口640に入球する位置に到達するまでの時間)が0.1秒となるように構成している。つまり、スルーゲート67を通過した球は、約1.6秒後に第2入球口640に到達するように構成している。
ここで、本実施形態では、普通図柄の遊技状態(高確率状態、低確率状態)と、普通図柄の保留記憶数とに応じて、普通図柄の変動時間を可変させるように構成しており、普通図柄が高確率状態である場合(遊技状態が確変状態である場合)には、普通図柄の変動時間が0.5秒となるように構成している。そして、普通図柄の高確率状態中に当たり当選すると、0.1秒のオープニング期間の後、0.8秒間電動役物640aを開放状態に可動させる当たり遊技が実行されるように構成している。
よって、普通図柄の高確率状態では、スルーゲート67を通過したことに基づいて普通図柄抽選が実行され当たりに当選したとしても、そのスルーゲート67を通過した球が、第2入球口640に到達した時点では既に当たり遊技が終了しており、第2入球口640入球することが出来ないように構成している。また、本パチンコ機10では、V入賞装置650から流出した球が振分部材700によって1:1に振り分けられるため、流路ユニット3660に球が流入する間隔が約1秒(1.2秒)間隔となるように構成している。
これにより、普通図柄の当たり遊技が開始されるタイミング、即ち、一の球がスルーゲート67を通過してから0.5秒経過した後の時点では、一の球の前に流路ユニット3660内に流入した他の球(一の球の約1秒前に流路ユニット3660に流入した球)が流路ユニット3660から流出した位置に到達しているため、一の球がスルーゲート67を通過したことに基づいて実行される当たり遊技中に他の球が第2入球口640に入球することを抑制することができる。よって、普通図柄の高確率状態が設定されている状態において、継続して右打ち遊技を行ったとしても、球が第2入球口640に入球することが無いため、普通図柄の高確率状態(確変状態)中は、第1入球口64に球を入球させる左打ち遊技を行うことが遊技者に有利な遊技となる。
次に、普通図柄の低確率状態が設定されている場合は、普通図柄の保留記憶数(普図保留数)に応じて異なる変動時間が設定されるように構成されており(図22参照)、普図保留数が0の場合は、普通図柄の変動時間として、球流下経路R1を球が通過する時間(1.5秒)よりも長い時間(30秒)が設定され、普図保留数が1以上(1〜3)の場合は、1.4秒の変動時間が設定されるように構成されている。
このように構成することで、遊技状態として通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)が設定されている状態において、左打ち遊技を実行している最中に操作ハンドル51の操作を誤ってしまい右側領域に向けて球を1個発射させてしまったとしても、その球が第2入球口640に入球することを抑制することができる。また、通常状態中に意図的に右打ち遊技を行い、第2入球口640に球を入球させて第2特別図柄(特図2)の抽選を実行させようとする遊技が行われたとしても、右打ち遊技で1個の球を発射させスルーゲート67を通過させたとしても、そのスルーゲート67を通過した球が第2入球口640に到達するまでの期間よりも長い時間の普通図柄変動が実行されるため、右打ち遊技で1個の球を発射させる行為(単発打ち)で、第2入球口640に球を入球させることを禁止することができる。
一方で、普図保留数が1以上の場合に設定される普通図柄の変動時間(1.4秒)は、スルーゲート67を通過した球が第2入球口640に到達するまでに要する時間(球流下経路R1を球が流下する時間(1.5秒))よりも若干短くなるように構成している。つまり、スルーゲート67を球が通過したことに基づいて実行された普通図柄の抽選結果が当たりである場合には、スルーゲート67を通過した球がその当たり遊技中に第2入球口640に入球し得る変動時間が設定されるように構成している。
具体的には、普通図柄の抽選が当たりの場合には、1.4秒の変動時間経過後に、当たり遊技が実行され、0.1秒のオープニング期間を経て電動役物640aが0.7秒開放される。そして、スルーゲート67を通過した球は、1.6秒後に第2入球口640に到達するように流路が構成されていることから、当たり遊技にて電動役物640aが開放状態となっている期間中に球が到達し、第2入球口640に容易に球を入球させることができる。
さらに、本実施形態では、右打ち遊技によって発射された球が2球に1球の割合でスルーゲート67を通過するように構成しており、球がスルーゲート67を通過する間隔(1.2秒)が、普通図柄の低確率状態において普通図柄の保留記憶数が1以上の場合に設定される変動時間(1.4秒)よりも短くなるように構成している。
このように構成することにより、潜確状態中は、右打ち遊技を継続して実行するだけで普通図柄の保留記憶数が1以上である状態を維持することができ、効率良く第2特別図柄の抽選を実行することができる。よって、遊技者に有利な遊技状態である潜確状態中の遊技を円滑に実行させることができ、遊技意欲を高めることが出来るという効果がある。
なお、本実施形態では、普通図柄の遊技状態(高確率状態、低確率状態)に応じて普通図柄の変動時間を異ならせるように構成しているが、これに限ること無く、特別図柄の遊技状態(高確率状態、低確率状態)も含めた遊技状態に応じて変動時間を異ならせるように構成しても良い。例えば、遊技状態として通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)が設定されている場合は、普通図柄の保留数に関わらず長時間(30秒)の変動時間が設定され、潜確状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の低確率状態)が設定されている場合は、普通図柄の保留数に関わらず適正時間(1.4秒)の変動時間が設定されるように構成しても良い。
このように構成することで、通常状態において右打ち遊技をされた場合に第2入球口640に球が入球することを抑制し、潜確状態において右打ち遊技をされた場合に効率良く第2入球口640に球を入球させることができる。
図8に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図9参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図9参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図9を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図9は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37a,37b及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37a,37b、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には、パチンコ機10に設けられる演出用の駆動役物を動作させるための各種駆動モータが含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
なお、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合に、図示しない演出用の役物を駆動させるためにその他装置228へ役物駆動コマンドを送信したり、枠ボタン22への操作内容に対応した音声を音声出力装置226に出力させるための音声出力コマンドを設定したり、枠ボタン22への操作内容に対応した発光態様でランプ表示装置227を発光させるためのランプ出力コマンドを設定したりするように構成しても良い。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図8参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図8参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次に、本実施形態における第3図柄表示装置81の表示内容について図10〜図14を参照して説明する。図10(a)および(b)は本実施形態における第3図柄表示装置81の表示内容を模式的に示した模式図である。第3図柄表示装置81は、15インチサイズの液晶ディスプレイで構成されるものであり、後述する表示制御装置114によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列(L1〜L3)が表示される(図10(a)参照)。第3図柄表示装置81の表示画面に表示される第3図柄(第1特別図柄(特図1)または第2特別図柄(特図2)の変動表示に対応して変動する装飾図柄)は、「0」から「9」の数字を模した識別情報が付された10種類の主図柄によりそれぞれ構成されている。
本実施形態のパチンコ機10では、主図柄が数字を模した識別情報毎に異なる種類のキャラクタ(動物等)を用いて形成されている。このように、各識別情報に対応させたキャラクタを用いることで、遊技者に対して特別図柄の抽選結果を視覚的に報知することができるため分かり易い遊技を行わせることができる。また、本実施形態のパチンコ機10においては、後述する主制御装置110による抽選結果が大当たりであった場合に、同一の主図柄が揃う(例えば「777」)変動表示が行われ、その変動表示が終わった後に大当たりが発生するよう構成されている。つまり、第3図柄は、主制御装置110による特別図柄の抽選結果を示すための図柄として第3図柄表示装置81に表示されるものである。
主表示領域Dmは、上・中・下のそれぞれ3つの図柄列L1,L2,L3が表示される。各図柄列L1〜L3には、上述した第3図柄が規定の順序で表示される。即ち、各図柄列L1〜L3には、数字の昇順または降順に主図柄が配列され、図柄列L1〜L3毎に周期性をもって左右方向へスクロールして変動表示が行われる。
具体的には、上図柄列L1と中図柄列L2は右から左に向かって数字が昇順となるように図柄列が形成され、右から左へとスクロールして変動表示されるように構成されており、下図柄列L3は左から右に向かって数字が昇順となるように図柄列が形成され、右から左へとスクロールして変動表示されるように構成されている。さらに、各図柄列は、主図柄の間に特別図柄の抽選結果を示さない副図柄(ブランク図柄)が形成されている。
そして、図10(a)に示した通り、主表示領域Dmは、上下方向に形成される3つの有効ラインV1〜V3、及び、斜め方向に形成される2つの有効ラインV4,V5を有しており、各図柄列L1〜L3が停止表示された状態で、第3図柄が有効ライン上に大当たり図柄の組合せ(本第1実施形態では、同一の主図柄の組合せ)で揃って停止されれば、大当たりとして大当たり動画が表示される。
図10(a)に示した通り、本第1実施形態では、各有効ライン(V1〜V5)が、各図柄列L1〜L3の図柄表示位置を含むように形成されているため、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmに表示される各図柄列L1〜L3の全てが停止表示されるまで、対応する特別図柄の抽選結果を分かり難くすることができる。よって、最後の図柄列(本実施形態では、中図柄列L2)が停止表示されるまでの間、主表示領域Dmにて実行される第3図柄の変動表示に興味を持たせることができる。
なお、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動表示の態様は、上記のものに限定されることはなく任意であり、図柄列の数、図柄列における図柄の変動表示の方向、各図柄列の図柄数などは適宜変更可能である。また、第3図柄表示装置81にて変動表示される図柄は上記に限られることはなく、例えば図形やキャラクタ等の画像と数字とを組み合わせた図柄を第3図柄として構成してもよい。さらに、第3図柄が変動表示される領域を可変させる構成にしてもよく、例えば、第3図柄表示装置81の表示画面上で特定の演出が実行される場合は、第3図柄の変動表示領域を小さくしたり、変動表示領域を遊技者が視認し難い位置(例えば、表示画面の隅部)へと移動させたりすることで、第3図柄が変動しているか否かを遊技者が分かり難くするようにしてもよい。また、特別図柄が変動している期間中に、第3図柄の変動を一旦停止(仮停止)させ、再度変動させるように構成してもよい。
さらに、本実施形態では、第1特別図柄の変動に対応した第3図柄の表示態様と、第2特別図柄の変動に対応した第3図柄の表示態様とが同一(遊技者が識別困難な程度の相違も含む)となるように構成しているが、変動している特別図柄の種別に対応するように第3図柄の表示態様や表示領域を異ならせても良い。
次に、第3図柄表示装置81に実際に表示される内容について図10(b)を参照して説明をする。図10(b)に示した通り、主表示領域Dmにおける正面視右上には、小表示領域Dm1,Dm2が形成されている。この小表示領域Dm1,Dm2は、特別図柄の抽選状況(抽選中(変動中)であるか否か、及び、抽選結果)を示すための識別情報(第4図柄)が表示される領域であって、第1特別図柄(特図1)の抽選状況を示すための第4図柄(特図1第4図柄)が小表示領域Dm1に表示され、第2特別図柄(特図2)の抽選状況を示すための第4図柄(特図2第4図柄)が小表示領域Dm2に表示されるように構成している。
このように小表示領域Dm1,Dm2を設けることにより、特図1と特図2とが同時に変動可能なパチンコ機10において、特別図柄の抽選状況を遊技者に報知することができる。なお、詳細は後述するが、本実施形態のパチンコ機10では、第4図柄を、数字を用いた表示態様で示しており、小表示領域Dm1,Dm2にて第4図柄を変動表示させることで(図11(a)参照)、特別図柄が変動している状況を示し、小表示領域Dm1,Dm2にて第4図柄を停止表示させることで(図11(b)参照)、特別図柄の抽選結果を示すように構成しているが、これに限ること無く、例えば、第4図柄として図形を模した表示態様や、複数の色を示す表示態様を用いて、図形を変形させる表示態様や、色を可変させる表示態様によって特別図柄が変動していることを示し、特定の図柄や色を示す表示態様を停止表示させることで、特別図柄の抽選結果を示すように構成しても良い。
さらに、本実施形態では、第4図柄を用いて、特別図柄の抽選状況(抽選中(変動中)であるか否か、及び、抽選結果)を示すように構成しているが、これに限ること無く、特別図柄が抽選中(変動中)であるか否かのみを報知するように構成しても良い。また、図10(b)に示した通り、本実施形態では、特別図柄の抽選状況を示すための第4図柄が表示される第4図柄表示領域(小表示領域Dm1,Dm2)を、主表示領域Dmの右上側に形成する例を示しているが、この第4図柄表示領域が形成される位置や、大きさを、主表示領域Dmの中央部分で実行される変動演出の演出態様に応じて異ならせても良い。
このように構成することで、第4図柄表示領域によって、変動演出が実行される領域が制限されてしまい、演出効果が低下してしまうことを抑制することができる。なお、この場合、第4図柄表示領域を第3図柄表示装置81の主表示領域Dmから削除し、可変表示装置ユニット80に設けられた発光手段(LED等)を用いて第4図柄の変動表示を実行するように構成すると良い。
主表示領域Dmにおける正面視左上には、小表示領域Dm3が形成されている。この小表示領域Dm3は、遊技者に対して球を発射させる方向(遊技方向)を案内するための案内表示態様が表示される(図11(a)参照)。
本実施形態では、小表示領域Dm3を案内表示領域として用いている。このように構成することで、遊技者は案内表示領域に表示されている案内表示態様を視認するだけで、遊技盤のどの領域に向けて球を発射すれば良いのかを容易に把握することができるため、遊技者に分かり易い遊技機を提供することができる。
この案内表示領域(小表示領域Dm3)には、遊技者に対して右打ち遊技を行わせることを案内するための「右打ち」の表示態様と、遊技者に対して左打ち遊技を行わせることを案内するための「左打ち」の表示態様と、が表示されるように構成されており、「右打ち」の表示態様は、右打ち遊技が遊技者にとって有利となる遊技状態、即ち、潜確状態中及び、特定の大当たり遊技中(V入賞装置650を開放動作させる大当たり遊技中)に表示され、「左打ち」の表示態様は、右打ち遊技が終了してから所定期間(例えば、10秒間)表示されるように構成している。また、左打ち遊技が遊技者にとって有利となる遊技状態、即ち、通常状態、確変状態中に、右打ち遊技が実行されていることを検知した場合にも、所定期間(例えば、10秒間)「左打ち」の表示態様が表示されるように構成している。
図10(b)に戻り説明を続ける。第4図柄表示領域(小表示領域Dm1,Dm2)の下方には、小表示領域Dm4,Dm5が形成されている。この小表示領域Dm4,Dm5は、各特別図柄の保留球数を示すための保留数表示態様が表示される領域であって、小表示領域Dm4には、第1特別図柄の保留球数(保留記憶数)を示すための特図1保留情報が表示され、小表示領域Dm5には、第2特別図柄の保留球数(保留記憶数)を示すための特図2保留情報が表示される。
詳細は、図11(a)を参照して後述するが、小表示領域Dm4,Dm5は、対応する特別図柄の保留球数を示すための値以外に、保留記憶されている入賞情報を事前に判別した結果(先読み結果)を遊技者に示唆報知可能な表示態様を表示するように構成している。このように構成することで、遊技者に対して今後実行される遊技(保留記憶されている特別図柄の抽選結果)に対して期待を持たせながら遊技を行わせることができる。
さらに、主表示領域Dmの下方には、副表示領域Dsが形成される。この副表示領域Dsは、図11(a)に示す通り、実行中の遊技内容に対するコメントが表示されるように構成されている。このように構成することで、遊技者に対して分かり易い遊技を提供することができる。なお、副表示領域Dsを別の目的に用いても良く、例えば、小表示領域Dm4,Dm5に示した各特別図柄の保留球数を示すための情報を、副表示領域Dsに表示するように構成しても良い。
この場合、例えば、副表示領域Dsに、各特別図柄の保留球数を個々に示すための保留表示態様(例えば、円形からなる保留図柄表示態様)を表示するように構成すると良い。そして、保留表示態様の表示数によって、現在の特別図柄の保留球数を遊技者が把握できるように構成すると良い。さらに、保留記憶されている各特別図柄に対応する入賞情報を事前に判別し、その判別結果に基づいて、対応する保留表示態様を可変させるように構成すると良い。
このように構成することで、複数存在し得る保留図柄のうち、表示態様が可変された保留図柄に対応する特別図柄の抽選にて、大当たりに当選するのではと期待を持たせながら遊技を行わせることができる。さらに、本実施形態とは異なり、個々の保留記憶数に対応する保留図柄表示するように構成しているため、複数ある保留図柄のうち、遊技者に有利となり得る遊技結果を示すための表示態様に可変された保留図柄表示を容易に表示する結果表示を設定することができる。
さらに、本実施形態では、その他に、遊技者に対して遊技結果(各図柄の抽選結果)を示唆するための遊技結果示唆態様や、主表示領域Dmにて実行されている演出表示の内容を説明するための演出説明態様や、枠ボタン22を操作するタイミングや操作した結果を示すための枠ボタン関連表示態様や、大当たり遊技に関する情報が表示される当たり関連情報表示態様が副表示領域Dsに表示されるように構成されており、副表示領域Dsに表示する内容によって、主表示領域Dmと副表示領域Dsとの表示領域の割合が異なるように設定されている。
また、停止表示された第3図柄の組み合わせが外れに対応する組み合わせであって、保留球が存在する場合は、1秒間の停止表示後に、保留球に基づく抽選に対応する変動表示が開始される。なお、複数の保留球が存在する場合は、時間的に最も古い入球に対応する保留球に基づいて抽選が実行される。
一方、保留球が存在しない状態で、特別図柄の外れに対応する組み合わせの第3図柄が1秒間停止表示された場合は、その後も第3図柄が停止表示された状態が継続する。この状態は、所定時間(例えば、30秒)が経過するか、または、第1入球口64或いは第2入球口640に対して新たに球が入球するまで継続する。そして、第3図柄が停止表示されてから所定時間(例えば、30秒)が経過した場合は、遊技が実行されていないことを示すデモ演出が表示される。遊技者が球を所定時間(例えば、30秒)連続して発射させているにも関わらず、第1入球口64、第2入球口640のいずれにも入球が無いという状況は稀であり、第3図柄が停止表示された状態が所定時間(例えば、30秒)継続する場合の多くは、遊技者が遊技を辞めたことで、パチンコ機10による遊技が全く行われていないことに起因する。
よって、本実施形態のパチンコ機10では、第3図柄が停止表示されてから所定時間(例えば、30秒)が経過した時点で、遊技者が遊技を行っていないと判断し、デモ演出を開始する。これにより、遊技を開始するためにパチンコ機10を選択しようとしている遊技者が、デモ演出の表示の有無に基づいて遊技が行われているか否かを容易に判断することができる。一方、所定時間(例えば、30秒)が経過する前に第1入球口64、第2入球口640のいずれかに対して新たに球が入球した場合は、その新たな入球に対応する第3図柄の変動表示が実行される。
次に、図11〜図13を参照して本実施形態のパチンコ機10における第3図柄表示装置81にて表示される演出内容について説明をする。この第3図柄表示装置81は、第1図柄表示装置37の表示に応じた装飾的な表示を行うものである。例えば、第1入球口64または第2入球口640へ球が入球(始動入賞)すると、それをトリガとして、第1図柄表示装置37において第1特別図柄(特図1)または第2特別図柄(特図2)の変動表示が実行される。更に、第3図柄表示装置81では、その特図1または特図2の変動表示に同期して、その特別図柄の変動表示に対応する第3図柄の変動演出が行われる。
本実施形態のパチンコ機10は、特図1と特図2とが同時に変動表示可能に構成されており、設定されている遊技状態に応じて、各特別図柄の抽選(変動)のし易さが異なるように構成されている。そして、第3図柄表示装置81にて実行される変動演出の対象となる第3図柄が、第1特別図柄、第2特別図柄のうち、設定されている遊技状態おいて抽選(変動)が実行され易い特別図柄に対応する第3図柄となるように構成されている。このように構成することで、どの遊技状態が設定されていたとしても、常に第3図柄を用いた変動演出が実行され易くすることができ、演出効果を高めることができる。
図11(a)は、通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)が設定されている状態において、右打ち遊技を行った場合に表示される表示内容に一例を示した模式図である。本実施形態では、通常状態中は左打ち遊技によって第1入球口64に球を入球させ、第1特別図柄の抽選を実行させることが遊技者に有利な遊技となるように構成されており、この通常状態において右打ち遊技が実行されていることが検知されると(遊技盤13の右側領域に設けられたスルーゲート67を球が通過すると)、小表示領域Dm3に「左打ち」の案内表示態様が表示されると共に、副表示領域Dsに、左打ち遊技を促すための「左打ちに戻してください」のコメントが表示される。
さらに、本実施形態では、通常状態が設定されている間に特図2抽選が頻繁に実行されることを抑制するために、通常状態中に実行される特図2抽選の変動時間が長く(10分)なるように構成しており、図11(a)に示した通り、通常状態中に右打ち遊技を行い、第2特別図柄の保留球数を1つ獲得した状態(小表示領域Dm5に「1」が表示される状態)では、その保留記憶されている第2特別図柄の抽選(変動)が開始されるのが、現在実行中の特図2変動の終了後、即ち、現在実行中の特図2変動が開始されてから10分経過後となる。
そこで、本実施形態では、保留記憶されている特別図柄の入賞情報を事前に判別し、その判別結果が大当たりであることを示唆するための示唆表示を小表示領域Dm5に表示されるように構成している(図11(a)の星印が該当)。これにより、特別図柄の抽選権利を獲得した遊技者(第2特別図柄の抽選契機となる第2入球口640へ球を入球させた遊技者)が、自ら獲得した抽選権利に基づいて実行される特別図柄の抽選が大当たりであった場合に、その大当たりを放棄してしまうことを抑制することができる。また、小表示領域Dm5の表示態様が大当たり当選を示唆する表示態様である場合に、対象となる第2特別図柄抽選の抽選結果が停止表示されるまで継続して遊技を行わせ易くすることができ、遊技の稼働を向上させることができる。
なお、本実施形態では、図11(a)に示した通り、通常状態においてロング変動(10分)が実行される第2特別図柄(特図2)の保留記憶内に大当たりに当選する入賞情報が存在する場合に、その旨を遊技者に示唆する示唆表示を実行するように構成しているが、この示唆表示の実行条件として以下の条件を追加すると良い。
つまり、本実施形態では、第1特別図柄(特図1)の抽選と第2特別図柄(特図2)の抽選と、を独立して(並行して)実行可能であるため、特図2の保留記憶内に存在する大当たりに当選する入賞情報に基づく特図2抽選が実行されるまでに、複数回の特図1抽選を実行することが可能となる。
よって、特図2の保留記憶内に存在する大当たりに当選する入賞情報に基づく特図2抽選が実行されるまでに、特図1抽選を実行するか否かを、遊技者が実行する遊技によって選択可能にすることができる。これにより、例えば、特図2抽選で大当たりに当選するまでに特図1抽選で大当たりに当選させたい場合は、積極的に特図1抽選を実行するように遊技を行い、特図2抽選で大当たりに当選するまでに特図1抽選で大当たりに当選させたくない場合は、特図1抽選が実行されないように球を発射しない行為が行われてしまい、遊技者に対して過剰に有利な遊技を提供してしまう虞があった。
このような問題を解決するために、示唆表示の実行条件として、特図2の保留記憶内に存在する大当たりに当選する入賞情報に基づく特図2抽選が実行されるまでの残期間(例えば、次に実行される特図2抽選が大当たり当選の場合であれば、実行中の特図2変動の残期間)を算出する手段と、特図1の保留記憶内に記憶される複数の特図1抽選の変動時間を算出する手段と、を設け、対象の特図2抽選が開始されるまでの残期間中に実行される特図1抽選回数を判別する手段によって、対象の特図2抽選が開始されるまでの残期間中に実行される特図1抽選回数が確定したことを、示唆表示の実行条件として設定すると良い。
これにより、示唆演出を実行し、特図2保留記憶内に大当たりに当選する入賞情報が含まれていることを遊技者に示唆報知したとしても、その大当たりに当選する特図2抽選が実行されるまでの特図1抽選回数を遊技者が操作することが出来ないため、遊技者に対して過剰に有利な遊技が提供されることを抑制することができる。
図11(a)に示した状態から所定時間が経過し、特図2の抽選結果が大当たりであることを示す図柄が停止表示されると、図11(b)に示した画面が表示される。図11(b)は、通常状態で特図2大当たりに当選した場合に表示される表示内容の一例を示した模式図である。上述した通り、本実施形態のパチンコ機10は、設定されている遊技状態に対応させて変動演出の対象となる第3図柄を設定するように構成しており、通常状態が設定されている期間中は、第1特別図柄(特別1)の抽選結果を示すための第3図柄に基づく変動演出が実行されている。
その状態において、第2特別図柄(特図2)が大当たりを示す図柄で停止表示されると、図11(b)に示した通り、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmにて実行される変動演出よりも優先して(変動演出の表示態様が表示される表示層よりも上層に設けられた表示層に)、第2特別図柄の抽選結果が大当たりであることを示すための「V」を模した割込表示805が表示され、副表示領域Dsに、第2特別図柄の大当たりに当選したことを遊技者に報知するための「割込V発生」のコメントが表示される。
そして、小表示領域Dm2には、第2特別図柄の抽選結果が大当たりであることを示す表示態様「444」で第4図柄が停止表示される。また、本実施形態のパチンコ機10は、複数の特別図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)の抽選を同時に実行可能としているが、同時に大当たりに当選することが無いように構成しており、具体的には、一方の特別図柄が大当たりを示す抽選結果で停止表示する時点で、他方の特別図柄の抽選(変動)が実行中である場合には、その実行中の他方の特別図柄の抽選(変動)が外れとなるように強制的に停止するように構成している。
よって、図11(b)に示した通り、小表示領域Dm2に、第2特別図柄の抽選結果が大当たりであることを示す表示態様「444」で第4図柄が停止表示されると同時に、小表示領域Dm1に、第1特別図柄の抽選結果が外れを示す表示態様「246」で第4図柄が強制的に停止表示され、変動演出(各図柄列L1〜L3の変動表示)が外れを示す表示態様で停止表示される。
このように、変動演出の対象となる第3図柄として、設定されている遊技状態において抽選(変動)が実行され易い特別図柄を対象とした第3図柄を設定するように構成することで、第3図柄表示装置81にて実行される変動演出を実行させ易くすることができる。そして、設定されている遊技状態において抽選(変動)が実行され難い特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に、変動演出を可変するのでは無く、割込表示805を表示するように構成することで、遊技者に意外性のある演出を提供することができる。
なお、図11(b)を参照して示した例によれば、小表示領域Dm1に、第1特別図柄の抽選結果が外れを示す表示態様「246」で第4図柄が強制的に停止表示されたタイミングと同期させて、主表示領域Dmにて実行中の変動演出(各図柄列L1〜L3の変動表示)を停止表示させているが、これに限ること無く、主表示領域Dmにて実行中の変動演出を、第4図柄の停止タイミングと異ならせても良い。この場合、例えば、実行中の変動演出の演出期間の中に複数の停止可能タイミングを予め設定しておき、第4図柄が停止表示されてから到来した停止可能タイミングで変動演出を強制停止するように構成すると良い。
このように構成することで、例えば、変動演出の演出態様として停止可能タイミングで強制停止されたとしても遊技者に違和感を与えることの無い演出態様を予め設定しておくことで、遊技者に違和感を与えること無く、変動演出を強制停止することができる。
また、本実施形態では、上述した通り、第3図柄の対象となる特別図柄の種別を、各特別図柄の抽選結果に関わらず、遊技状態に応じて設定するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、各特別図柄の抽選結果に応じて第3図柄の対象となる特別図柄の種別を可変設定するように構成しても良い。このように構成することで、第3図柄表示装置81にて表示される変動演出を注視するだけで、同時に実行可能な複数の特別図柄抽選の結果を容易に把握させることができる。また、第1特別図柄、第2特別図柄のうち、何れかの特別図柄の抽選で大当たりとなった場合に、抽選結果が大当たりであることを示す変動演出を実行することができるため、一方の特別図柄にのみ対応させた第3図柄の変動演出を実行するよりも、大当たりに当選したことを示す変動演出を実行し易くすることができる。
また、各特別図柄の保留球数を判別し、その判別結果に基づいて第3図柄の対象となる特別図柄の種別を可変設定するように構成しても良い。この場合、例えば、保留球数が所定の上限数に到達した側の特別図柄の種別を第3図柄の対象として設定したり、各特別図柄の保留球数の差分を算出し、その算出結果が所定値(例えば2)以上となった場合に、保留球数が多い側の特別図柄の種別を第3図柄の対象として設定したりするように構成すると良い。これにより、第3図柄として実行される変動演出の実行回数を多くすることができる。よって、遊技者に数多くの特別図柄抽選が行われていると思わせることができ、意欲的に遊技を行わせることができる。
次に、図12(a)を参照して、確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の低確率状態)が設定されている状態中に第3図柄表示装置81に表示される表示内容について説明をする。図12(a)は、確変状態が設定されている状態において第3図柄表示装置81に表示される表示内容の一例を示した模式図である。
詳細は図14を参照して後述するが、本実施形態では、通常状態が設定されている状態において第2特別図柄(特図2)の抽選で大当たりに当選した場合に、遊技状態として確変状態が設定されるように構成している。そして、遊技状態として確変状態が設定されると、通常状態よりも特別図柄の大当たりに当選する確率が高くなり、さらに、第2入球口640に球が入球し難くなるように構成している。
よって、確変状態が設定されている状態では、図12(a)に示した通り、主表示領域Dmには、現状の遊技状態を示すためのモード表示810として、通常状態よりも特別図柄の大当たり確率が高確率である遊技状態であることを示す表示態様として「上昇モード」が表示される。
そして、確変状態中に遊技者にとって有利となる遊技方法を案内する「左打ち」の表示態様が小表示領域Dm3に表示されると共に、副表示領域Dsには、現在が、通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)よりも、特別図柄の大当たり確率が高確率であることを示すための「期待度上昇中」のコメントが表示される。
なお、本実施形態のパチンコ機10は、図3を参照して上述した通り、確変状態中に第2入球口640に球が入球し難くなるように構成されおり、通常状態が設定されている場合における右打ち遊技よりも、確変状態が設定されている場合における右打ち遊技のほうが遊技者に不利となるように構成している。
よって、確変状態が設定されている状態において、右打ち遊技を行った場合には、通常状態で右打ち遊技を行った場合の表示態様(図11(a)参照)よりも強調した遊技案内報知が実行されるように構成している。
ここで、図12(b)を参照して、確変状態中に右打ち遊技を行った場合に表示される遊技案内報知について説明をする。図12(b)は、確変状態中に右打ち遊技を行った場合に表示される表示内容の一例を示した模式図である。図12(b)に示した通り、確変状態中に右打ち遊技が行われたことが検知されると(遊技盤13の右側領域に設けられたスルーゲート67を球が通過すると)、小表示領域Dm3の態様が強調態様(二重線の枠線)となり、その内部に「左打ち」の表示態様が表示される。さらに、副表示領域Dsには、適正な遊技が左打ち遊技であることを強調するコメント「左打ち、左打ち、左打ち」が表示される。
このように、遊技者への不利度合いに応じて、遊技者に対して適正な遊技方法を案内するための案内表示態様の内容を可変させることにより、遊技者が不利な遊技を継続して実行してしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態では、通常状態において右打ち遊技を行ったことで、特図2抽選で大当たりに当選した場合に確変状態が設定されるように構成していることから、確変状態が設定された時点で、通常の遊技案内表示(図11(a)参照)によって遊技方法を可変しなかった場合が考えられる。このような状況において、確変状態中に右打ち遊技された場合に、図11(a)で示した通常の遊技案内表示を再度表示させたとしても、遊技者に対して適切な遊技を実行させることは困難である。
そこで、図12(b)に示した通り、通常の遊技案内表示(図11(a)参照)よりも、遊技案内を強調する表示を実行することで、遊技者に対して適切な遊技を実行させ易くすることができる。
一方、通常状態が設定されている状態において第1特別図柄(特図1)の抽選で特定の大当たりに当選し、その大当たり遊技終了後に潜確状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の低確率状態)が設定されると、図12(b)に示す表示内容が表示される。図13(a)は、潜確状態が設定されている場合に表示される表示内容の一例を示した模式図である。
詳細は図14を参照して後述するが、本実施形態のパチンコ機10は、潜確状態が最も遊技者に有利となる遊技状態となるように構成している。簡単に説明をすると、潜確状態中は、小当たりに高確率で当選する第2特別図柄(特図2)の抽選が実行され易い状態となり、小当たり遊技によって賞球を獲得しながら次の大当たり当選を目指す遊技状態となるように構成している。
図13(a)に示した通り、潜確状態が設定されると、現在が潜確状態であることを遊技者に示すためのモード表示810として「全力モード」の表示態様が表示される。そして、主表示領域Dmにウサギを模したキャラクタ811が表示され、そのキャラクタ811が発見した宝箱812を開けることで第2特別図柄(特図2)の抽選結果を報知する変動演出が実行され、副表示領域Dsには、潜確状態(全力モード)中の遊技内容(演出内容)を示すためのコメントとして「宝箱を開けろ」の文字が表示される。
詳細な説明は省略するが、本実施形態では、第2特別図柄(特図2)の抽選結果を示すタイミングで宝箱812が開き、その宝箱812の中身によって、特図2の抽選結果を遊技者に報知するように構成している。つまり、潜確状態が設定されている状態では、第2特別図柄の抽選状況を示す第3図柄を対象に変動演出が実行されるように構成している。よって、潜確状態中に第1特別図柄の抽選が実行されたとしても、その抽選に基づいて変動演出が可変することが無い。
そして、潜確状態中に第2特別図柄の抽選で当たり(小当たり、大当たり)に当選すると、図13(b)に示した表示画面が表示される。図13(b)は、潜確状態中に第2特別図柄の抽選で当たり(小当たり、大当たり)に当選したことを示す表示内容の一例を示した模式図である。図13(b)に示した通り、第2特別図柄の抽選結果が停止表示されるタイミング、即ち、小表示領域Dm2に表示される第2特別図柄に対応した第4図柄が抽選結果(小当たり)を示す表示態様(「341」)で停止表示するタイミングで、第2特別図柄の抽選結果として「当たり」を示す抽選結果表示態様813(「V」を模した表示態様)が宝箱812の中身として表示される。
また、副表示領域Dsには、第2特別図柄の抽選結果で当たりに当選したことを祝福する「おめでとう」のコメントが表示される。このように構成することで遊技者に対して、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmにて表示される変動演出の演出結果を把握するだけで、実行中の特別図柄の抽選結果を容易に把握することができる。よって、遊技者に分かり易い遊技を提供することができる。
なお、詳細な説明は省略するが、本実施形態では、宝箱812の中身として、図13(b)に示した抽選結果表示態様(「V」を模した表示態様)以外に、第2特別図柄の抽選結果が外れの場合に表示される抽選結果表示態様として「×」や「?」を模した表示態様や、第2特別図柄の抽選結果が大当たりである場合に表示される抽選結果表示態様として「VV」を模した表示態様が表示されるように構成されている。また、「?」を模した表示態様は、第2特別図柄の抽選結果が「大当たり」、「小当たり」である場合にも低確率(約3%)の確率で表示されるように構成されている。このように構成することにより、遊技者が、宝箱812の中身として表示される抽選結果表示態様のみで全ての第2特別図柄の抽選結果を判別することが困難となる。よって、変動演出の演出結果が表示された後に実行される遊技内容に興味を持たせることができる。
<第1実施形態におけるパチンコ機10の遊技状態の遷移について>
次に、図14を参照して、本第1実施形態におけるパチンコ機10の遊技状態の遷移について説明をする。図14は本第1実施形態におけるパチンコ機10にて設定される遊技状態の流れを示した遷移図である。
図14に示した通り、本第1実施形態では、遊技状態として、通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)、確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)、潜確状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の低確率状態)と、3つの遊技状態が設定可能に構成されており、当選した大当たりの種別、及び、大当たり当選時の遊技状態に応じて予め定められた遊技状態が設定されるように構成している(図18参照)。
まず、遊技状態として通常状態が設定されている場合について説明をする。本実施形態のパチンコ機10では、初期状態(主制御装置110の立ち上げ処理(図53参照)にてRAM消去スイッチ122(図8参照)が操作されたと判別した際の処理が実行された状態)では、遊技状態として通常状態が設定される。
この通常状態中において、第1特別図柄(特図1)の抽選にて大当たりに当選した場合に、大当たり種別として大当たりB(大当たり当選の50%)が設定されると、その大当たり遊技終了後に再度通常状態が設定され、大当たりA(大当たり当選の50%)が設定され、その大当たり遊技中に球がVスイッチ650e3を通過すると、その大当たり遊技終了後に潜確状態(全力モード)が設定される。一方、通常状態中に、第2特別図柄(特図2)の抽選にて大当たりに当選した場合には、大当たり種別に関わらず(大当たり当選の100%)、その大当たり遊技終了後に確変状態(上昇モード)が設定されるように構成している。
つまり、通常状態において特図1抽選で大当たりに当選した場合には、50%の確率で全力モードに突入し、50%の確率で通常状態をループし、特図2抽選で大当たりに当選した場合には、100%の確率で確変状態が設定されるように構成している。
なお、図6を参照して上述した通り、本実施形態では、大当たり遊技中に球が特定領域(V入賞装置650内に設けられたVスイッチ650e3)を通過した場合に、その大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態が設定されるように構成しており、例えば、通常状態中に、特図1の抽選で大当たりAに当選した場合や、特図2の抽選で大当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技中に、球が特定領域を通過すると、上述した通り、その大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態(確変状態、潜確状態)が設定され、球が特定領域を通過しなかった場合には、その大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態が設定されることが無く、通常状態が設定される。
このように、本実施形態では、大当たり遊技中における遊技内容によって、その大当たり遊技後に設定される遊技状態が異なるように構成しているため、大当たり遊技中に実行される遊技の興趣を向上させることができる。さらに、本実施形態では、大当たり遊技中に球を特定領域に通過させたほうが、通過しない場合よりも、その大当たり終了後に遊技者に有利となる遊技状態が設定されるように構成している。よって、大当たり遊技中に実行する遊技に対して遊技者に意欲的に遊技を行わせることができる。
次に、遊技状態として潜確状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の低確率状態)が設定されている状態における遊技状態の移行の流れについて説明をする。本実施形態では、潜確状態が設定されている間は、右打ち遊技によって特図2の抽選を主に実行させる遊技が行われる。そして、特図2の抽選で大当たりに当選した場合に、大当たりの種別として大当たりC(大当たり当選の65%)が設定されると、その大当たり遊技の終了後に、再度潜確状態が設定され、大当たりD(大当たり当選の35%)が設定されると、その大当たり遊技の終了後に確変状態が設定される。
一方、遊技状態として潜確状態が設定されている状態において、特図1の抽選で大当たりに当選した場合には、大当たり種別として大当たりB(大当たり当選の50%)が設定されると、その大当たり遊技終了後に通常状態が設定され、大当たりA(大当たり当選の50%)が設定されると、その大当たり遊技終了後に再度、潜確状態(全力モード)が設定される。
つまり、潜確状態において特図1抽選で大当たりに当選した場合には、50%の確率で全力モード(潜確状態)をループし、50%の確率で通常状態が設定され、特図2抽選で大当たりに当選した場合には、65%の確率で全力モード(潜確状態)をループし、35%の確率で確変状態が設定されるように構成している。
よって、本実施形態は、潜確状態が設定されている状態では、特図2の抽選を実行したほうが遊技者に有利な遊技状態である潜確状態をループし易くなるように構成されていることから、特図1よりも特図2のほうが遊技者に有利な抽選を実行する特別図柄となる。
最後に、遊技状態として確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の低確率状態)が設定されている場合における遊技状態の移行の流れについて説明をする。本実施形態では、確変状態が設定されている間は、右打ち遊技を行ったとしても特図2の抽選を新たに実行することが不可能(困難)となるように構成されており、実質、特図1の抽選が実行されるように構成している。そして、確変状態中に、特図1の抽選で大当たりに当選した場合には、大当たり種別として大当たりB(大当たり当選の50%)が設定されると、その大当たり遊技終了後に通常状態が設定され、大当たりA(大当たり当選の50%)が設定されると、その大当たり遊技終了後に潜確状態(全力モード)が設定される。
一方、遊技状態として確変状態が設定された時点で、保留記憶されている特図2保留に基づいて実行された特図2の抽選で大当たりに当選した場合には、大当たり種別に関わらず(大当たり当選の100%)、その大当たり遊技終了後に再度確変状態が設定されるように構成している。
つまり、確変状態において特図1抽選で大当たりに当選した場合には、50%の確率で全力モード(潜確状態)が設定され、50%の確率で通常状態が設定され、特図2抽選で大当たりに当選した場合には、100%の確率で確変状態が設定されるように構成している。
以上、説明をした通り、本実施形態のパチンコ機10では、潜確状態以外の遊技状態が設定されている状態、即ち、特図1の抽選を実行させることが適正な遊技方法として規定されている遊技状態中に特図2遊技が実行され、大当たりに当選したとしても、遊技者にとって最も有利な遊技状態である潜確状態が設定されないように構成している。
また、本実施形態では、潜確状態中に第2入球口640に球を入球させ易くするために、普通図柄の低確率状態でも電動役物640aが開放し易くなるように(球が第2入球口640に入球可能となるように)構成している。
よって、普通図柄の低確率状態である通常状態中において、適正な遊技(左打ち遊技)とは異なる遊技(右打ち遊技)を実行し、特図2抽選が実行されたとしても、遊技者に過度な特典(有利な遊技状態を設定する特典)が付与されてしまうことを抑制することができる。
加えて、本実施形態では、通常状態が設定されている状態で特図2抽選が実行された場合に、長時間(10分)の変動時間が設定されるように構成している。これにより通常状態中において頻繁に特図2抽選が実行されないようにすることができるため、通常状態における遊技者に過度な特典(有利な遊技状態を設定する特典)が付与されてしまうことをより抑制することができる。
なお、本実施形態では、確変状態が設定された場合に、通常状態が設定されている状態よりも、特別図柄の大当たり確率を高確率に設定し、且つ、第2入球口640に球が入球し難くなるように構成することで特図2抽選が実行され難く構成しているが、これに限ること無く、確変状態が設定された場合に、通常状態が設定されている状態よりも、特別図柄の大当たり確率を高確率に設定し、且つ、新たな特図2抽選が実行され易くなるように(特図1抽選よりも特図2抽選が実行され易くなるように)普通図柄の変動時間や特別図柄の変動時間を設定するように構成しても良く、具体的には、確変状態が設定されている状態は、通常状態が設定されている状態よりも、第2特別図柄の変動時間として設定される時間が短くなるように(例えば、3分)構成しても良い。
このように構成することで、確変状態が設定された場合に、遊技者に最も有利な遊技状態である潜確状態への移行を目指して第1特別図柄(特図1)の抽選を行う遊技(左打ち遊技)と、潜確状態へ移行することは無いが、多くの特別図柄抽選を実行することにより、様々な変動演出(大当たり演出)を見ることを目指して第2特別図柄(特図2)の抽選を行う遊技(右打ち遊技)と、を遊技者が選択することができる。
<第1実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成について>
次に、図9を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図9は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
主制御装置110では、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。そして、RAM203には、これらの処理を制御するための各種カウンタが設けられている。ここで、図15を参照して、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等について説明する。図15は、主制御装置110のRAM203内に設けられるカウンタ等を模式的に示した模式図である。これらのカウンタ等は、特別図柄の抽選、普通図柄の抽選、第1図柄表示装置37における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示の設定、および、第3図柄表示装置81における表示の設定などを行うために、主制御装置110のMPU201で使用される。
特別図柄の抽選や、第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81の表示の設定には、特別図柄の抽選に使用する第1当たり乱数カウンタC1と、特別図柄の大当たり種別を選択するために使用する第1当たり種別カウンタC2と、特別図柄における外れの停止種別を選択するために使用する停止種別選択カウンタ(図示せず)と、特別図柄の小当たり種別を選択するために使用する小当たり種別カウンタC5と、第1当たり乱数カウンタC1の初期値設定に使用する第1初期値乱数カウンタCINI1と、変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1と、が用いられる。
また、普通図柄の抽選には、第2当たり乱数カウンタC4が用いられ、第2当たり乱数カウンタC4の初期値設定には第2初期値乱数カウンタCINI2と、普通図柄の変動パターン選択に使用する変動種別カウンタCS1と、が用いられる。これら各カウンタは、更新の都度、前回値に1が加算され、最大値に達した後0に戻るループカウンタとなっている。
各カウンタは、例えば、タイマ割込処理(図32参照)の実行間隔である2ミリ秒間隔で更新され、また、一部のカウンタは、メイン処理(図54参照)の中で不定期に更新されて、その更新値がRAM203の所定領域に設定されたカウンタ用バッファに適宜格納される。RAM203には、4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる第1入球口64への入球に対応する第1特別図柄保留球格納エリア203aと、4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)とからなる第2入球口640への入球に対応する第2特別図柄保留球格納エリア203bと、が設けられており、第1特別図柄保留球格納エリア203aには、第1入球口64への入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、及び変動種別カウンタCS1の各値がそれぞれ格納される。
そして、第1特別図柄の始動条件(変動条件)が成立した場合に、第1特別図柄保留球格納エリア203aの保留第1エリアに格納されている各種値を第1特別図柄実行エリアへシフトし、格納されている各種値に基づいた特別図柄変動が開始される。
同様に、第2特別図柄保留球格納エリア203bには、第2入球口640への入球タイミングに合わせて、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、小当たり種別カウンタC5、及び変動種別カウンタCS1の各値がそれぞれ格納される。
そして、第2特別図柄の始動条件(変動条件)が成立した場合に、第2特別図柄保留球格納エリア203bの保留第1エリアに格納されている各種値を第2特別図柄実行エリアへシフトし、格納されている各種値に基づいた特別図柄変動が開始される。
以上、説明をした通り、本実施形態のパチンコ機10は、第1特別図柄の抽選と、第2特別図柄の抽選とを同時に(並行して)実行可能に構成されているため、各特別図柄保留球格納エリア(第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203b)がそれぞれ実行エリアを有するように構成している。これにより、各特別図柄の始動条件が成立した場合に、速やかに次の特別図柄変動を実行させることができる。
なお、本実施形態では、第2特別図柄のみ抽選結果として小当たりを有するように構成しているため、第1特別図柄保留球格納エリア203aに対して小当たり種別カウンタC5の値を格納しないように構成しているが、例えば、第1特別図柄の抽選結果として小当たりを有するように構成し、小当たり種別カウンタC5の値を第1特別図柄保留球格納エリア203aに対して格納するように構成しても良い。
また、本実施形態のように、抽選結果として小当たりを有さない特別図柄種別(第1特別図柄)に対応した保留球格納エリア(第1特別図柄保留球格納エリア203a)においても、小当たり種別カウンタC5の値を格納するように構成しても良い。このように、特別図柄の抽選の仕様(小当たりの有無)に関わらず、特別図柄の抽選契機となる始動口(第1入球口64、第2入球口640)への球の入球によって取得した各カウンタ値を全て格納するように構成し、特別図柄の始動条件(変動条件)が成立した場合に、取得した各カウンタ値のうち、必要となる値のみを用いて特別図柄の抽選を実行するように構成することで、特別図柄の抽選の仕様(小当たりの有無)が異なる複数の遊技機に対して、同一の構成を用いることができるため、部品、技術の共通化を図ることができ、コストの削減を図ることができる。
さらに、本実施形態のRAM203には、上述した特別図柄と同様に4つの保留エリア(保留第1〜第4エリア)からなるスルーゲート67への入球(球の通過)に対応する普通図柄保留球格納エリア203cが設けられており、普通図柄保留球格納エリア203cには、スルーゲート67への入球タイミングに合わせて、第2当たり乱数カウンタC4、及び普図変動種別カウンタCS2の各値がそれぞれ格納される。
そして、普通図柄の始動条件(変動条件)が成立した場合に、普通図柄保留球格納エリア203cの保留第1エリアに格納されている各種値を普通図柄実行エリアへシフトし、格納されている各種値に基づいた普通図柄変動が開始される。
なお、本実施形態では第2入球口640への入球に基づいて取得した各カウンタ値を保留して格納する構成、および、スルーゲート67を球が通過したことに基づいて取得した各カウンタ値を保留して格納する構成を有しているが、これに限ること無く、各図柄(特別図柄、普通図柄)に対して取得した各カウンタ値を格納する機能(保留記憶機能)を設けないように構成しても良い。
このように構成することで、設定される遊技状態に応じて一の特別図柄種別の抽選として遊技者に有利となる抽選と、不利となる抽選とが切り替わる遊技機において、有利抽選を実行させるために一の特別図柄の保留記憶を多く獲得した状態で、異なる遊技状態が設定され、一の特別図柄にて不利抽選が実行されてしまう事態を抑制することができる。
次に、図20を参照して、各カウンタについて詳しく説明する。第1当たり乱数カウンタC1は、所定の範囲(例えば、0〜479)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜479の値を取り得るカウンタの場合は479)に達した後0に戻る構成となっている。特に、第1当たり乱数カウンタC1が1周した場合、その時点の第1初期値乱数カウンタCINI1の値が当該第1当たり乱数カウンタC1の初期値として読み込まれる。
また、第1初期値乱数カウンタCINI1は、第1当たり乱数カウンタC1と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成される。即ち、例えば、第1当たり乱数カウンタC1が0〜479の値を取り得るループカウンタである場合には、第1初期値乱数カウンタCINI1もまた、0〜479の範囲のループカウンタである。この第1初期値乱数カウンタCINI1は、タイマ割込処理(図32参照)の実行毎に1回更新されると共に、メイン処理(図54参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
第1当たり乱数カウンタC1の値は、例えば定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64または第2入球口640に入球したタイミングでRAM203の第1特別図柄保留球格納エリア203aや、第2特別図柄保留球格納エリア203bに格納される。そして、特別図柄の大当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される第1当たり乱数テーブル202aによって設定されており、第1当たり乱数カウンタC1の値が、第1当たり乱数テーブル202aによって設定された大当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の大当たりと判定する。
ここで、図17(a)を参照して、第1当たり乱数テーブル202aについて説明する。図17(a)は、第1当たり乱数テーブル202aに規定されている内容を模式的に示した模式図である。この第1当たり乱数テーブル202aは、第1特別図柄または第2特別図柄の抽選において、大当たりと判定される乱数値(判定値)が規定されたテーブルである。
具体的には、第1当たり乱数テーブル202aには、大当たりと判定される判定値が特別図柄の種別(第1特別図柄、第2特別図柄)に対して共通に規定されており、特別図柄の状態(低確率状態、高確率状態)に対応させて所定範囲の判定値が規定されている。図17(a)に示した通り、特別図柄の低確率状態(通常状態)が設定されている場合は、第1当たり乱数カウンタC1の値のうち「7〜9」が大当たり判定値として規定されており、それ以外の値が大当たり以外(即ち、小当たり、或いは外れ)の判定値として規定されている。
また、特別図柄の高確率状態(確変状態、潜確状態)が設定されている場合は、第1当たり乱数カウンタC1の値のうち「0〜3」が大当たり判定値として規定されており、それ以外の値が大当たり以外(即ち、小当たり、或いは外れ)の判定値として規定されている。つまり、本実施形態では、特別図柄の低確率状態が設定されている場合は、3/480の確率(1/160)で大当たりに当選するように規定されており、特別図柄の高確率状態が設定されている場合は、4/480の確率(1/120)で大当たりに当選するように規定されている。よって、特別図柄の低確率状態よりも高確率状態のほうが大当たりに当選し易い遊技状態となる。
なお、本実施形態では、大当たりに当選する確率を第1特別図柄の抽選と、第2特別図柄の抽選とで、同一の確率となるように構成しているが、これに限ること無く、特別図柄の種別に応じて大当たり確率が異なる様に構成しても良く、例えば、第1特別図柄よりも第2特別図柄のほうが大当たり確率を低くするように構成しても良い。また、本実施形態では、特別図柄の大当たり確率を、高確率状態と低確率状態の2種類用意しているが、1種類にしても良いし、3種類以上にしても良い。この場合、例えば、特別図柄の状態と、普通図柄の状態と、を組み合わせることによって設定される最大で4種類の遊技状態毎に特別図柄の大当たり確率を異ならせるように構成しても良いし、単純に、特別図柄の状態を高確率状態、通常確率状態、低確率状態のように3種類以上設定可能にし、各状態に対して異なる大当たり確率を設定するように構成しても良い。
さらに、第1当たり乱数カウンタC1の値は、特別図柄の抽選結果が小当たりに当選しているかを判別する際にも参照される。特別図柄の小当たりとなる乱数の値は、主制御装置110のROM202に格納される小当たり乱数テーブル202bによって設定されており、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が、小当たり乱数テーブル202bに規定された小当たりとなる乱数の値と一致する場合に、特別図柄の小当たりと判定する。
ここで、図17(b)を参照して、小当たり乱数テーブル202bについて説明する。図17(b)は、小当たり乱数テーブル202bに規定されている内容を模式的に示した模式図である。この小当たり乱数テーブル202bは、第1特別図柄または第2特別図柄の抽選において、小当たりと判定される乱数値(判定値)が規定されたテーブルである。
具体的には、小当たり乱数テーブル202bには、小当たりと判定される判定値が特別図柄の種別(第1特別図柄、第2特別図柄)毎に規定されており、特別図柄の状態(低確率状態、高確率状態)に関わらず所定範囲の判定値が規定されている。図17(b)に示した通り、図柄種別が第1特別図柄の場合には、小当たりに対応する第1当たり乱数カウンタC1の値が規定されておらず、第1特別図柄の抽選で小当たりに当選することが無いように規定されている。
一方、図柄種別が第2特別図柄の場合には、小当たりに対応する第1当たり乱数カウンタC1の値が「212〜432」の範囲に規定されている。つまり、本実施形態では、第1特別図柄の抽選で小当たりに当選する確率が0(当選しない)で、第2特別図柄の抽選で小当たりに当選する確率が221/480(約1/2.1)となるように規定されている。
さらに、本実施形態では図17(a),(b)に示した通り、大当たりに当選する第1当たり乱数カウンタC1値と、小当たりに当選する第1当たり乱数カウンタC1値とが異なるように構成されており、特別図柄の抽選を実行する1回の処理(当たりの有無を判別する処理)において、大当たりの当否判定と小当たりの当否判定とを連続して(同時に)実行するように構成している。
このように構成することで、取得した1つのカウンタ値(第1当たり乱数カウンタC1値)に対して、予め規定されている確率で大当たり、或いは小当たりの抽選を実行することができる。
なお、本実施形態では、第1特別図柄の抽選と第2特別図柄の抽選とで、小当たりに当選する確率を異ならせて規定している。このように構成することにより、第1特別図柄の抽選と、第2特別図柄の抽選とで、遊技者に付与する特典を異ならせることができる。また、遊技者に対して、より有利となる特別図柄の抽選をより多く実行しようと意欲的に遊技を行わせることができる。上述した通り、本実施形態では、特定の遊技状態(潜確状態)が設定されない限り、遊技者に有利となる第2特別図柄の抽選が頻繁に実行されないように構成しているため、遊技者に対して、特定の遊技状態が設定されるように意欲的に遊技を行わせることができる。
また、本実施形態では、大当たり抽選を実行する際に参照されるテーブル(第1当たり乱数テーブル202a)と、小当たり抽選を実行する際に参照されるテーブル(小当たり乱数テーブル202b)と、を別々に構成しているが、これに限ること無く、1つのテーブルを用いて、大当たり抽選と、小当たり抽選とを実行するように構成しても良い。この場合、例えば、第1当たり乱数テーブル202aに、小当たり当選するカウンタ値の範囲を特別図柄の種別毎に規定するように構成すれば良い。このように構成することで、主制御装置110のROM202が有するデータテーブルの数を削減することができる。
以上、説明をしたとおり、本実施形態では、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値と、特別図柄の種別と、特別図柄の状態と、に応じて予め規定されている判定値に応じて大当たり当選、或いは小当たり当選の判定を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、所定条件が成立するまでの特定期間内における大当たり当選回数や小当たり当選回数に応じて、大当たり当選、或いは小当たり当選として規定されている第1当たり乱数カウンタC1値を可変させるように構成しても良いし、所定の異常条件が成立している状態において実行される大当たり抽選、小当たり抽選において参照される異常時用のデータテーブルとして、大当たりに対応する判定値や小当たりに対応する判定値が規定されていないデータテーブルを設けても良い。
また、本実施形態のパチンコ機10は、第1特別図柄の抽選(変動)と第2特別図柄の抽選(変動)とを同時に(並行して)実行可能に構成し、且つ、両方の特別図柄が同時に(並行して)大当たりに当選しないように(大当たり遊技が実行されないように)制限を設けている。このような制限を有するパチンコ機10において、例えば、一方の特別図柄の抽選で大当たりに当選し、その大当たり当選に対応する大当たり遊技が実行されるまでの期間中は、他方の特別図柄の抽選で大当たりに当選することが無いように、大当たりに対応する判定値を規定せず、小当たりに対応する判定値のみを規定させた専用のデータテーブルを参照して特別図柄の抽選を実行するように構成しても良い。
第1当たり種別カウンタC2は、特別図柄の大当たりとなった場合に、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。第1当たり種別カウンタC2の値は、例えば、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64または第2入球口640に入球したタイミングでRAM203の第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bに格納される。
本実施形態のパチンコ機10における第1当たり種別カウンタC2の値は、0〜99の範囲のループカウンタとして構成されている。本実施形態では取得した第1当たり種別カウンタC2の値を用いて、大当たり種別選択テーブル202dを参照して大当たりに当選した場合の大当たり種別を判別するように構成している。ここで、図18を参照して大当たり種別選択テーブル202dの内容について説明をする。
図18は、大当たり種別選択テーブル202dに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図18に示した通り、この大当たり種別選択テーブル202dは、大当たりに当選した特別図柄の種別(特図1、特図2)と、取得した第1当たり種別カウンタC2の値とに、対応づけて複数の大当たり種別が規定されている。
具体的には、特別図柄の図柄種別が第1特別図柄(特図1)であって、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜49」の範囲には、「大当たりA」が規定されており、「50〜99」の範囲には、「大当たりB」が規定されている。また、特別図柄の図柄種別が第2特別図柄(特図2)であって、第1当たり種別カウンタC2の値が「0〜64」の範囲には、「大当たりC」が規定されており、「65〜99」の範囲には、「大当たりD」が規定されている。
ここで、各大当たり種別に対応した大当たり遊技中の開放動作について説明をする。本実施形態では、大当たり種別に応じて実行される開放動作内容(ラウンド遊技内容)、即ち、大当たり遊技中に実行される複数の可動部材(V入賞装置650の開閉扉650f1や、可変入賞装置65の開閉扉65f1や、切替部材650h)に対する動作内容(タイミング、回数)を時系列に規定した開放動作シナリオとして主制御装置110のROM202に予め記憶している。
そして、大当たりに当選した場合に設定された大当たり種別に対応する開放動作シナリオが読み出され、主制御装置110のRAM203内の実行中シナリオ格納エリア(図示せず)に格納される。開放動作シナリオが実行中シナリオ格納エリア(図示せず)に格納されると、主制御装置110のメイン処理(図54参照)が実行される毎(4ミリ秒毎)に、シナリオ内容が更新され、大当たり遊技中の制御を実行する大当たり制御処理(図55のS2404参照)において、現在のシナリオ内容を判別し、その判別結果に基づいた処理を実行するように構成している。
このように、複数の可動部材(V入賞装置650の開閉扉650f1や、可変入賞装置65の開閉扉65f1や、切替部材650h)を可動させる大当たり遊技中における各可動部材の動作内容を時系列に規定した開放動作シナリオを用いることで、複数の可動部材に対する動作制御を一元管理することができる。よって、例えば、各可動部材に対して別個に動作制御を実行する場合に比べて、各可動部材の動作タイミングを適正に設定することができるとともに、一つの可動部材に不具合が生じた場合における他の可動部材に対する動作処理を円滑に実行することができる。
「大当たりA」は、大当たり遊技としてラウンド数(ラウンド遊技が実行される回数)が10ラウンドで、10ラウンドの間、第1アタッカ(V入賞装置)650が開放動作されるラウンド遊技1の大当たり遊技が実行される大当たり種別である。このラウンド遊技1とは、1回のラウンド遊技として、球が10球入賞する、或いは、開放期間が30秒を経過するまでの間、第1アタッカ650を継続して開放させるラウンド遊技のことである。
さらに、「大当たりA」で実行される大当たり遊技は、大当たり遊技が開始されてから1回目のラウンド遊技(1R目)が開始されるまでの待機期間(オープニング期間)が1秒、各ラウンド遊技間の待機期間(インターバル期間)が0.5秒、最後のラウンド遊技(10R目)が終了してから大当たり遊技が終了するまでの待機期間(エンディング期間)が2秒となるように設定されている。この各種待機期間中は、第1アタッカ650が閉鎖状態となる期間である。ここで、ラウンド遊技間に設定されるインターバル期間の長さについて詳細に説明をする。
本実施形態の第1アタッカ(V入賞装置)650は、図7を参照して上述した通り、開閉扉650f1の上を球が流下するのに要する期間が1秒となるように構成されており、大当たり遊技として設定されるインターバル期間が0.5秒となるように設定されている。さらに、図2を参照して上述した通り、右打ち遊技によって右側領域に発射された球の全てが開閉扉650f1上を流下するように第1アタッカ(V入賞装置)650が配設されている。
つまり、一のラウンド遊技が終了し、第1アタッカ(V入賞装置)650が閉鎖している期間(インターバル期間)中に閉鎖状態に位置する開閉扉650f1上を流下する球が開閉扉650f1を通過するよりも前に、次のラウンド遊技が開始されるように構成している。このように構成することで、大当たり遊技中に継続して右打ち遊技をした場合に、発射された球の全てを、第1アタッカ(V入賞装置)650に入賞させ易くすることができる。よって、大当たり遊技中の遊技操作を簡単にすることができる。
加えて、大当たり遊技中に発射された球が第1アタッカ(V入賞装置)650よりも下流側を流下し難くすることができるため、大当たり遊技中に球が流路ユニット3660内に流入し難く(スルーゲート67を通過し難く)することができる。詳細は後述するが、本実施形態では、普通図柄の保留記憶数(スルーゲート67を球が通過したことを記憶する数)が多いほど、普通図柄の変動時間が短くなるように構成し、第2入球口640に球を入球させ易くなるように構成している(図22参照)。
よって、大当たり遊技中に普通図柄の保留記憶数が過剰に多くなることを抑制することができる。次に、本実施形態では、大当たり遊技の最終ラウンド遊技が終了した後に、2秒間のエンディング期間を設けている。このエンディング期間の長さについて説明をする。図2を参照して上述した通り、本実施形態では、V入賞装置650が閉鎖状態である場合において右打ち遊技をした球の2球に1球が流路ユニット3660内に流入するように構成している。そして、操作ハンドル51を操作することで1分間に100個の球を発射可能に構成している。即ち、1.2秒間隔で球が流路ユニット3660内に流入するように構成している。さらに、普通図柄の保留球数が0個の状態で球がスルーゲート67を通過した場合には、30秒の普通図柄変動時間が設定されるように構成している。
このように構成されたパチンコ機10では、大当たり遊技が終了した後に、潜確状態が設定された場合において、大当たり遊技の開始時点から、潜確状態中の遊技が開始されるまでの期間、継続して右打ち遊技を行うことで、確実に普通図柄の保留球数が1個以上の状態を保持したまま潜確状態中の遊技を実行することができる。
一方、大当たり遊技中のうち、第1アタッカ(V入賞装置)650が開放状態となるタイミングに合わせてのみ右打ち遊技を発射する遊技を行った場合には、潜確状態が設定された状態で普通図柄の保留記憶数が0個の事態が発生し易くなることから、潜確状態の遊技効率が著しく低下することになる。よって、遊技者に対して継続して右打ち遊技を行わせることを促すことができ、遊技の稼働を向上させることができる。
また、大当たり種別として「大当たりA」が設定された場合は、大当たり当選時の遊技状態に関わらず、大当たり遊技終了後に普通図柄の低確率状態が設定(時短フラグ203fがオフに設定)され、大当たり遊技中に球が特定領域(第1アタッカ(V入賞装置)650内に設けられたVスイッチ650e3)を通過し易い開放動作(V開放パターン)が実行される。
これにより、「大当たりA」に基づく大当たり遊技が実行された場合は、第1アタッカ(V入賞装置)650に球を入賞させるべく右打ち遊技を継続して実行するだけで、効率良く球を第1アタッカ(V入賞装置)650に入賞させて賞球を得ながら、特定領域に球を通過させることで大当たり遊技終了後に潜確状態を設定可能とし、さらに、潜確状態が設定されるタイミングで普通図柄の保留記憶数を1以上とすることができるため、遊技者に有利な大当たりとなる。
「大当たりB」は、大当たり遊技としてラウンド数(ラウンド遊技が実行される回数)が11ラウンドで、最初の1ラウンドのみ、第1アタッカ(V入賞装置)650を開放動作し、残りの10ラウンドの間、第2アタッカ(可変入賞装置)65を開放動作する大当たり遊技が実行される。
最初の1ラウンドに実行されるラウンド遊技は、開放期間が0.5を経過するまでの間第1アタッカ(V入賞装置)650を開放させるラウンド遊技(ラウンド遊技2)が実行される。そして、残りの10ラウンドは、第2アタッカ(可変入賞装置)65に対して、上述したラウンド遊技1が実行される。
つまり、「大当たりB」に対応する大当たり遊技は、球が入球困難な期間(0.5秒)、第1アタッカ(V入賞装置)650を開放させる遊技(1ラウンド目のラウンド遊技)を実行し、その後、球が入球容易な期間(30秒)、第2アタッカ(可変入賞装置)65を開放させる遊技(2ラウンド目から11ラウンド目までのラウンド遊技)を実行するように構成している。よって、実質10ラウンド分のラウンド遊技が実行される大当たり遊技となる。
そして、「大当たりB」に対応する開放動作シナリオには、球が第1アタッカ(V入賞装置)650内の特定領域(Vスイッチ650e3)を通過し易い動作パターンであるV開放パターンが規定されていないため、大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態が設定されることが無い(設定され難い)大当たり遊技となる。
よって、「大当たりB」に基づく大当たり遊技が実行された場合は、第2アタッカ(可変入賞装置)65に球を入賞させるべく左打ち遊技を実行し、第2アタッカ(可変入賞装置)65に入賞させて賞球を獲得する遊技が実行されるだけであり、その大当たり遊技終了後の特別図柄の高確率状態が設定されないため、「大当たりA」と比べて遊技者に不利となる大当たり遊技となる。
つまり、第1特別図柄の抽選によって大当たりに当選した場合は、大当たり当選時に設定されている遊技状態に関わること無く、50%の確率で遊技者に有利な大当たり遊技(「大当たりA」)に当選し、50%の確率で遊技者に不利な大当たり遊技(「大当たりB」)に当選するように構成している。
なお、本実施形態では、第1特別図柄の抽選によって遊技者に有利な大当たりに当選した場合は、第1アタッカ(V入賞装置)650を10ラウンド分開放動作させる大当たり遊技が実行され、遊技者に不利な大当たりに当選した場合は、第2アタッカ(可変入賞装置)65を10ラウンド分開放動作させる大当たり遊技が実行されるように構成しているため、今回当選した大当たりの種別が有利なものであるか否かを、遊技者が大当たり遊技中に判別可能としているが、これに限ること無く、遊技者に有利な大当たりに当選した場合と、遊技者に不利な大当たりに当選した場合とで、同一の入賞装置(例えば、第1アタッカ(V入賞装置)650)を開放動作させる大当たり遊技を実行するように構成しても良い。
このように構成することで、今回当選した大当たりの種別が有利なものであるか否かを大当たり遊技の遊技内容によって遊技者に容易に判別されてしまうことを抑制することができるため、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態が何であるかを、遊技状態が設定される直前まで予測させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
この場合、大当たり遊技中に設定される開放動作シナリオとして、遊技者に有利となる大当たりに対応する開放動作シナリオと、遊技者に不利となる大当たりに対応する開放動作シナリオとで、各入賞装置(第1アタッカ650、第2アタッカ65)が開放状態や閉鎖状態となるように開閉扉(開閉扉650f1、開閉扉65f1)を動作制御する内容を同一にし、遊技者に有利となる大当たりに対応する開放動作シナリオには、切替部材650hに対する動作制御内容として、球が特定領域を通過し易くなる動作制御内容を規定し、遊技者に不利となる大当たりに対応する開放動作シナリオには、切替部材650hに対する動作制御内容として、球が特定領域を通過し難くなる動作制御内容を規定するように構成すれば良い。
また、遊技者に有利となる大当たりに対応する開放動作シナリオと、遊技者に不利となる大当たりに対応する開放動作シナリオとで、切替部材650hの動作制御内容を同一にし、各入賞装置(第1アタッカ650、第2アタッカ65)が開放状態や閉鎖状態となるように開閉扉(開閉扉650f1、開閉扉65f1)を動作制御するタイミングを異ならせるように構成しても良く、例えば、大当たり遊技が実行されてから、1回目のラウンド遊技が実行されるまでの待機期間(オープニング期間)の長さを可変させることで、ラウンド遊技の実行タイミングと、切替部材650hの動作タイミングと、を異ならせることにより、球が特定領域を通過し易くなる大当たり遊技と、球が特定領域を通過し難くなる大当たり遊技とを実行可能に構成しても良い。
「大当たりC」および「大当たりD」は、上述した「大当たりA」と同一の大当たり遊技が実行されるため、大当たり遊技内容の詳細な説明は省略するが、「大当たりC」が設定された場合は、その大当たりに当選した時点における遊技状態に応じて、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態が異なるように構成している。
具体的に説明をすると「大当たりC」が設定される大当たりに当選した時点の遊技状態が、通常状態、または確変状態である場合は、その大当たり遊技終了後に普通図柄の高確率状態が設定(時短フラグ203fがオンに設定)され、潜確状態である場合は、その大当たり遊技終了後に普通図柄の低確率状態が設定(時短フラグ203fがオフに設定)され、「大当たりD」が設定される大当たりに当選した場合は、当選時の遊技状態に関わらず、その大当たり遊技終了後に普通図柄の高確率状態が設定(時短フラグ203fがオンに設定)される。
つまり、遊技状態として通常状態、或いは確変状態が設定されている場合、即ち、第1特別図柄の抽選を実行させる遊技が適正な遊技である場合において、第2特別図柄(特図2)の抽選で大当たりに当選した場合は、遊技者に最も有利な遊技状態である潜確状態が設定されないように構成している。これにより、遊技者に対して適正では無い遊技を実行することを抑制することができる。
なお、詳細な説明は省略するが、本実施形態では、球が特定領域(Vスイッチ650e3)を通過可能な開放動作(V開放パターン)が設定されない開放動作シナリオが設定される大当たり遊技にて球が特定領域を通過した場合には異常遊技と判別し、その大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態が設定されないように構成している。このように構成することで、悪意のある遊技者が不正に球を特定領域へ通過させたとしても、特典が付与されることを無くすことができる。
以上説明をした通り、本実施形態では、大当たりに当選した特別図柄の種別と、大当たり当選時の遊技状態とに応じて、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態を設定するように構成しているため、遊技者に対して、大当たりに当選することに期待させて遊技を行わせるだけでは無く、大当たりに当選した特別図柄の種別や、当選時の遊技状態に対しても興味を持たせることができる。
本実施形態では、大当たりの種類は4種類としたが、それに限らず、3種類以下でもよいし、5種類以上設けるように構成してもよい。また、第1特別図柄と第2特別図柄とで、同じ第1当たり種別カウンタC2の値であっても、異なる大当たり種別が選択されるように構成してもよい。このように構成することで、例えば、第2特別図柄で大当たりした場合に、よりラウンド数が多く実行される大当たり種別を設定しておくことで、第2特別図柄での当たりをより遊技者に期待させることができる。よって、高確率遊技状態での当たりをより遊技者に有利にすることができ、高確率状態中における遊技の趣向性を向上させることができる。従って、高確率状態へ移行させたいと遊技者に強く思わせることができ、より長く遊技を行わせることができる。
また、第1特別図柄と第2特別図柄とで選択される大当たり種別の種類と、各大当たり種別の選択率(振分率)を同一にし、各大当たり種別に対応させる第1当たり種別カウンタC2の範囲のみを異ならせるように構成しても良い。これにより特定のカウンタ値を狙って第1当たり種別カウンタC2の値を取得する不正行為が第1特別図柄と第2特別図柄との両方で実行されることを抑制することができる。
小当たり種別カウンタC5は、特別図柄の小当たりとなった場合に、小当たり種別を決定して、第1図柄表示装置37の表示態様を決定するものであり、所定の範囲(例えば、0〜99)内で順に1ずつ加算され、最大値(例えば、0〜99の値を取り得るカウンタの場合は99)に達した後0に戻る構成となっている。小当たり種別カウンタC5の値は、例えば、定期的に(本実施形態ではタイマ割込処理毎に1回)更新され、球が第1入球口64に入球したタイミングでRAM203の第1特別図柄保留球格納エリア203aに格納され、球が第2入球口640に入球したタイミングでRAM203の第2特別図柄保留球格納エリア202bに格納される。
本実施形態のパチンコ機10における小当たり種別カウンタC5の値は、0〜99の範囲のループカウンタとして構成されている。そして、第2特別図柄に対する抽選の結果が小当たりである場合に、実行される小当たりの種別を決定するために、取得した小当たり種別カウンタC5の値と、主制御装置110のROM202に設定されている小当たり種別選択テーブル(図示せず)を用いて小当たりの種別(小当たり遊技内容)が決定される。
なお、本実施形態では、小当たり当選した場合に実行される小当たり遊技の遊技内容が1種類であるため、小当たり種別選択テーブルの説明を省略したが、例えば、異なる内容の小当たり遊技を実行する場合には、取得した小当たり種別カウンタC5の値の範囲に対して異なる小当たり種別(小当たり遊技内容)を規定するように小当たり種別選択テーブルを設定すれば良い。
また、第1特別図柄の抽選、第2特別図柄の抽選の両方で小当たりに当選するように構成し、且つ、小当たりに当選した特別図柄の種別に応じて異なる小当たり種別(小当たり遊技内容)を設定するように構成する場合は、特別図柄の種別毎に異なる小当たり種別(小当たり遊技内容)を規定するように小当たり種別選択テーブルを設定すれば良い。
変動種別カウンタCS1は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。変動種別カウンタCS1によって、いわゆる短時間外れ、長時間外れ、ノーマルリーチ、スーパーリーチ等の大まかな表示態様が決定される。表示態様の決定は、具体的には、図柄変動の変動時間の決定である。変動種別カウンタCS1により決定された変動時間に基づいて、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114により第3図柄表示装置81で表示される第3図柄のリーチ種別や細かな図柄変動態様が決定される。変動種別カウンタCS1の値は、後述するメイン処理(図54参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。尚、変動種別カウンタCS1の値(乱数値)から、図柄変動の変動時間を一つ決定する乱数値を格納した変動パターン選択テーブル202e(図19参照)は、主制御装置110のROM202内に設けられている。
ここで、図19を参照して変動パターン選択テーブル202eの内容について説明をする。図19は変動パターン選択テーブル202eに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図19に示した通り、変動パターン選択テーブル202eには、遊技状態として通常状態を設定している状態で用いられる通常用テーブル202e1と、確変状態を設定している状態で用いられる確変用テーブル202e2と、潜確状態を設定している状態で用いられる潜確用テーブル202e3と、が規定されている。詳細については後述するが、本実施形態では遊技状態に応じて変動パターンを選択するために用いるデータテーブルを異ならせているため、遊技状態に応じて選択される変動パターン(変動時間)を異ならせることができる。
次に、変動パターン選択テーブル202eに規定されている各テーブルの詳細な内容について、図20及び図21を参照して説明をする。図20は通常用テーブル202e1に規定されている内容を模式図に示した模式図である。この通常用テーブル202e1は、遊技状態として通常状態が設定されている場合に参照されるデータテーブルであって、第1特別図柄の抽選に対して設定される変動時間に対して、第2特別図柄の抽選に対して設定される変動時間が長くなるように規定されている。
具体的には、図20に示した通り、図柄種別が第1特別図柄(特図1)、抽選結果が「大当たり(当たり)」であって、変動種別カウンタCS1の値が「0〜50」の範囲に変動時間が20秒の当たりノーマルリーチ各種が対応付けて規定され、「51〜100」の範囲に変動時間が30秒の当たりスーパーリーチAが対応付けて規定され、「101〜150」の範囲に変動時間が30秒の当たりスーパーリーチBが対応付けて規定され、「151〜198」の範囲に変動時間が30秒の当たりスーパーリーチCが対応付けて規定されている。
また、抽選結果が「外れ」で、抽選が実行される際の第1特別図柄の保留球数が0または1の場合であって、変動種別カウンタCS1の値が「0〜70」の範囲に変動時間が12秒の長外れが対応付けて規定され、「71〜150」の範囲に変動時間が20秒の外れノーマルリーチ対応付けて規定され、「151〜170」の範囲に変動時間が30秒の外れスーパーリーチAが対応付けて規定され、「171〜198」の範囲に変動時間が30秒の外れスーパーリーチBが対応付けて規定されている。
そして、抽選が実行される際の第1特別図柄の保留球数が2または3の場合であって、変動種別カウンタCS1の値が「0〜70」の範囲に変動時間が8秒の短外れが対応付けて規定され、「71〜130」の範囲に変動時間が12秒の長外れが対応付けて規定され、「131〜170」の範囲に変動時間が20秒の外れノーマルリーチ対応付けて規定され、「171〜185」の範囲に変動時間が30秒の外れスーパーリーチAが対応付けて規定され、「186〜198」の範囲に変動時間が30秒の外れスーパーリーチBが対応付けて規定されている。
つまり、本実施形態では、通常状態で実行される第1特別図柄の抽選に対して設定される変動時間として、第1特別図柄の保留球数が少ないほど長い変動時間が設定されるように構成している。このように構成することで、第1特別図柄の抽選が実行されない期間が頻繁に発生してしまう事態を抑制することができる。また、第1特別図柄の保留球数が上限に到達している場合には、短い変動時間が設定されるため、保留球数が上限に到達した状態で第1入球口64に球が入球してしまう事態を抑制することができる。
一方、図柄種別が第2特別図柄(特図2)である場合には、その特別図柄の抽選結果や、取得した変動種別カウンタCS1の値に関わること無く、10分(600秒)の変動パターン(ロング当たり変動、ロング小当たり変動、ロング外れ変動)が設定される。
ここで、本実施形態では、上述した通り、遊技状態として通常状態が設定されている状態において右打ち遊技を実行した場合に第2入球口640に球が入球可能となるように構成されているが、上述した通り、通常状態中の第2特別図柄の変動時間として長時間(10分)が設定されることから、通常状態中は第1入球口64に球を入球させる遊技、即ち、第1特別図柄の抽選を実行する遊技が行われるように構成されている。
なお、本実施形態では当選した大当たり種別に関わらず、同一の変動パターンテーブルを用いる構成としているが、これに限ること無く、大当たり種別が遊技者に有利となる大当たり(例えば、大当たりA)を示す大当たり種別である場合と、それ以外の大当たり(大当たりB)を示す大当たり種別である場合とで、異なる変動パターンテーブルを用いる構成としても良い。この場合、例えば、有利大当たり(大当たりA)を示す大当たり種別に当選した場合に用いられる変動パターンテーブルよりも、それ以外の大当たりを示す大当たり種別に当選した場合に用いられる変動パターンテーブルのほうが短い変動時間の変動パターンが選択され易くなるように構成すると良い。これにより、実行される変動パターンに設定される変動時間が長ければ長いほど遊技者に有利となる遊技結果に期待することができるため、遊技者に対して特別図柄の変動時間に興味を持たせることができる。
また、確変大当たりを示す大当たり種別に当選した場合に用いられる変動パターンテーブルよりも、通常大当たりを示す大当たり種別に当選した場合に用いられる変動パターンテーブルのほうが長い変動時間の変動パターンが選択され易くなるように構成しても良い、これにより、短い変動時間で大当たりに当選した場合に、遊技者に意外性のある遊技結果を提供することができ、短い変動時間が選択された場合であっても、最後まで期待を持たせることができる。
次に、図21(a)を参照して変動パターン選択テーブル202eに設けられた確変用テーブル202e2の内容について説明をする。図21(a)は確変用テーブル202e2に規定された内容を模式的に示した模式図である。図21(a)に示した通り、確変用テーブル202e2には、図柄種別、抽選結果、および変動種別カウンタCS1の値の範囲と、変動パターンとが対応付けて規定されている。
具体的には、図21(a)に示した通り、図柄種別が第1特別図柄(特図1)、抽選結果が「当たり(大当たり)」である場合は、変動種別カウンタCS1の値が「0〜99」の範囲に変動時間が20秒の当たりノーマル変動が規定され、「100〜198」の範囲に変動時間が30秒の当たりスーパー変動が規定されている。また、「外れ」である場合は、変動種別カウンタCS1の値が「0〜198」の範囲、即ち、全範囲に変動時間が12秒の外れ変動が規定されている。
一方、図柄種別が第2特別図柄(特図2)である場合は、特別図柄の抽選結果や、取得した変動種別カウンタCS1の値に関わらず、変動時間が60秒の変動パターン(当たり変動、小当たり変動、外れ変動)が規定されている。
上述した通り、確変状態中は、通常状態中よりも第2特別図柄の変動時間として短い変動時間が設定されるように構成されている。さらに、確変状態中は第2特別図柄の保留記憶を新たに獲得できない(困難)ように構成されている。よって、一旦確変状態に移行すると、短期間で第2特別図柄の保留記憶を消化することができる。
また、第1特別図柄の変動パターンとして設定可能な変動時間(12秒、20秒、30秒)が、通常状態中の第1特別図柄の変動パターンとして設定可能な変動時間と全て重複するように構成しているため、第1特別図柄の変動時間を把握することにより、現在の遊技状態が通常状態であるか確変状態であるかを容易に判別できないようにすることができる。なお、これに限らず、何れの遊技状態が設定されているのかを遊技者が判別可能な変動時間が設定されるように構成しても良い。
次に、図21(b)を参照して変動パターン選択テーブル202eに設けられた潜確用テーブル202e3の内容について説明をする。図21(b)は潜確用テーブル202e3に規定された内容を模式的に示した模式図である。図21(b)に示した通り、潜確用テーブル202e3には、図柄種別、抽選結果、および変動種別カウンタCS1の値の範囲と、変動パターンとが対応付けて規定されている。
具体的には、図21(b)に示した通り、図柄種別が第1特別図柄(特図1)である場合は、特別図柄の抽選結果や、取得した変動種別カウンタCS1の値に関わらず、変動時間が10分の変動パターン(当たりロング変動、外れロング変動)が規定され、図柄種別が第2特別図柄(特図2)である場合は、特別図柄の抽選結果や、取得した変動種別カウンタCS1の値に関わらず、変動時間が1秒の変動パターン(当たりショート変動、小当たりショート変動、外れショート変動)が規定されている。
これにより、潜確状態中は、他の遊技状態とは異なり、第1特別図柄の抽選に対応する変動時間よりも第2特別図柄の抽選に対応する変動時間のほう短い変動時間が設定されるため、第1特別図柄の抽選よりも、第2特別図柄の抽選のほうが実行され易い遊技状態とすることができる。
図15に戻り説明を続ける。第2当たり乱数カウンタC4は、例えば0〜232の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり232)に達した後0に戻るループカウンタとして構成されている。また、第2当たり乱数カウンタC4が1周した場合、その時点の第2初期値乱数カウンタCINI2の値が当該第2当たり乱数カウンタC4の初期値として読み込まれる。第2当たり乱数カウンタC4の値は、本実施形態ではタイマ割込処理(図32参照)毎に、例えば定期的に更新され、球が普通始動口(スルーゲート)67を通過したことが検知された時に取得され、RAM203の普通図柄保留球格納エリア203cに格納される。
そして、普通図柄の当たりとなる乱数の値は、主制御装置のROM202に格納される第2当たり乱数テーブル202cによって設定されており、第2当たり乱数カウンタC4の値が、第2当たり乱数テーブル202cによって設定された当たりとなる乱数の値と一致する場合に、普通図柄(第2図柄)の当たりと判定する。また、この第2当たり乱数テーブル202cは、普通図柄の低確率時用と、その低確率時より普通図柄の当たりとなる確率の高い高確率時用との2種類に分けられ、それぞれに含まれる大当たりとなる乱数の個数が異なって設定されている。このように、当たりとなる乱数の個数を異ならせることにより、普通図柄の低確率時と普通図柄の高確率時とで、当たりとなる確率が変更される。
この第2当たり乱数テーブル202cに規定されている内容について、図17(c)を参照して説明をする。図17(c)は、第2当たり乱数テーブル202cに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図17(c)に示した通り、普通図柄の低確率状態である場合は、取得した第2当たり乱数カウンタC4が「0〜230」の範囲に普図当たりが規定され、普通図柄の高確率状態である場合は、取得した第2当たり乱数カウンタC4が「0〜231」の範囲に普図当たりが規定されている。
つまり、本実施形態では、普通図柄の低確率状態が設定されている場合であっても、普通図柄の抽選で当たりとなる確率(231/233)が高くなるように規定されており、普通図柄の高確率状態が設定されている場合では、普通図柄の低確率状態が設定されている場合よりもさらに高確率(232/233)で当たりとなるように規定されている。よって、普通図柄の低確率状態が設定されている場合、即ち、潜確状態が設定されている場合であっても、普通図柄の当たり当選に基づく当たり遊技を実行し易くしている。
これにより、潜確状態中に第2入球口640に球を入球させ易くすることができるため、潜確状態中に第2特別図柄の抽選を行い易くすることができる。
第2初期値乱数カウンタCINI2は、第2当たり乱数カウンタC4と同一範囲で更新されるループカウンタとして構成され(値=0〜232)、タイマ割込処理(図32参照)毎に1回更新されると共に、メイン処理(図54参照)の残余時間内で繰り返し更新される。
このように、RAM203には種々のカウンタ等が設けられており、主制御装置110では、このカウンタ等の値に応じて大当たり抽選や第1図柄表示装置37および第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置83における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行することができる。
普図変動種別カウンタCS2は、例えば0〜198の範囲内で順に1ずつ加算され、最大値(つまり198)に達した後0に戻る構成となっている。この普図変動種別カウンタCS2の値は、後述するメイン処理(図54参照)が1回実行される毎に1回更新され、当該メイン処理内の残余時間内でも繰り返し更新される。そして、普図変動種別カウンタCS2の値によって、普通図柄の変動時間が決定される。具体的には、取得した普図変動種別カウンタCS2の値を用いて、主制御装置110のROM202内に設けられている普図変動パターンテーブル202fを参照して普通図柄の変動時間が決定されるように構成している。
次に、図22を参照して、普図変動パターンテーブル202fに規定している内容について説明をする。図22は、普図変動パターンテーブル202fに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図22に示した通り、普通図柄の低確率状態が設定されている場合は、取得した普図変動種別カウンタCS2の値が「0〜198」の範囲であって、保留個数が0である場合に30秒の変動時間が設定され、保留個数が1〜3である場合に1.5秒の変動時間が設定されるように規定している。そして、普通図柄の高確率状態が設定され、取得した普図変動種別カウンタCS2の値が「0〜198」の範囲である場合には、保留個数に関わらず0.5秒の変動時間が設定されるように規定している。
以上、説明をした通り、本実施形態では、普通図柄の変動時間を、普通図柄の遊技状態と、普通図柄の保留球数と、普図変動種別カウンタCS2の値とに基づいて可変させるように構成しており、設定される変動時間によって、第2入球口640への球の入球のし易さを異ならせるように構成している。これにより、各遊技状態において、遊技者に有利となる抽選結果を得やすい第2特別図柄の抽選行為を制限することができるため、遊技者に過剰な特典が付与されてしまうことを抑制することができる。
図15に戻り、説明を続ける。RAM203は、図15に図示した各種カウンタのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。
なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図54参照)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図53参照)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図52参照)が即座に実行される。
また、RAM203は、図23に示すように、第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203b、普通図柄保留球格納エリア203c、第1特別図柄保留球数カウンタ203d、第2特別図柄保留球数カウンタ203e、普通図柄保留球数カウンタ203f、確変フラグ203g、確変設定フラグ203h、確変通過カウンタ203i、入賞個数カウンタ203j、動作カウンタ203k、遊技状態格納エリア203m、残球タイマフラグ203n、残球タイマ203o、確変有効フラグ203p、確変有効タイマ203r、排出個数カウンタ203s、時短フラグ203t、大当たりフラグ203u、特図1変動停止フラグ203v、特図2変動停止フラグ203w、小当たりフラグ203x、特図1仮停止フラグ203y、特図1変動時間カウンタ203a2、特図2変動時間カウンタ203a3、その他メモリエリア203zを有している。
第1特別図柄保留球格納エリア203aは、上限個数(本実施形態では、4個)まで、第1入球口64に球が入球(始動入賞)したことに基づいて取得された各種カウンタ値を記憶するための記憶エリアである。また、第2特別図柄保留球格納エリア203bは、上限個数(本実施形態では、4個)まで、遊技球が第2入球口640に球が入球(始動入賞)したことに基づいて取得された各種カウンタ値を記憶するための記憶エリアである。
第1特別図柄保留球実行エリア(図示せず)は、第1特別図柄を変動表示開始するための各種カウンタ値が格納される記憶エリアであり、第1特別図柄が変動表示停止した場合に、第1特別図柄保留球格納エリア203aに各種カウンタ値が記憶されている場合に、その各種カウンタ値がシフトして記憶される記憶エリアである。第2特別図柄保留球実行エリア(図示せず)は、第2特別図柄を変動表示開始するための各種カウンタ値が格納される記憶エリアであり、詳細については第1特別図柄保留球実行エリア(図示せず)と同様である。
第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203b、第1特別図柄保留球実行エリア(図示せず)、第2特別図柄保留球実行エリア(図示せず)は、始動入賞の検出に伴ってカウンタ用バッファ(図15参照)より取得した第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、変動種別カウンタCS1、小当たり種別カウンタC5の各値がそれぞれ記憶される。MPU201は、タイマ割込処理(図32参照)の中で、球が第1入球口64へ球が入球(始動入賞)したことを検出すると、カウンタ用バッファから各カウンタC1〜C2,C5,CS1の値を取得し、第1特別図柄保留球格納エリア203aにそれぞれ格納する。一方、球が第2入球口640へ入球(始動入賞)したことを検出すると、第1特別図柄保留球格納エリア203aと同様に、カウンタ用バッファから各カウンタC1〜C2,C5,CS1の値を取得し、各対応するエリア(図示せず)にそれぞれ同様に記憶される。
MPU201は、特別図柄変動(抽選)の実行開始タイミングであることを検出すると、大当たり抽選や、第1図柄表示装置37または第3図柄表示装置81の表示の設定等の処理を実行するために、上述した第1特別図柄保留球格納エリア203a、第2特別図柄保留球格納エリア203bに記憶されている各始動入賞に対応するデータ(カウンタC1〜C2,C5,CS1の各値)のうち、一の始動入賞に対応するデータを、この特別図柄保留球実行エリア203cへシフトする。なお、本実施形態におけるシフトとは、一の領域に記憶されているデータを別の領域へ移動させることを示す。
普通図柄保留球格納エリア203cはスルーゲート67への球の通過(始動入賞)検出に伴ってカウンタ用バッファ(図15参照)より取得した第2当たり乱数カウンタC4、普図変動種別カウンタCS2の各値が記憶される記憶エリアである。主制御装置110のMPU201は、タイマ割込処理(図32参照)の中で、球がスルーゲート67を通過(始動入賞)したことを検出すると、カウンタ用バッファから第2当たり乱数カウンタC4の値、普図変動種別カウンタCS2の値を取得し、普通図柄保留球格納エリア203cに格納する。普通図柄保留球格納エリア203cは、一の始動入賞に対応するデータ(カウンタC4,CS2の値)が、最大4回分まで記憶(保留)できるように、4つの保留エリアを有している。普通図柄保留球格納エリア203cには、スルーゲート67へ通過(始動入賞)した順に保留球のデータが、データが空いている保留エリアの内、消化される順序の早い保留エリアから順に記憶される。
また、普通図柄保留球実行エリア(図示せず)は、始動入賞に基づいて、普通図柄の変動表示演出の実行開始タイミングであることを検出すると、各カウンタ値が格納され、普通図柄の当たり抽選や、第1図柄表示装置37または第3図柄表示装置81の表示(変動パターン)の設定等の処理において参照すべきデータ(カウンタC4,CS2の値)を記憶するためのメモリである。
なお、MPU201は、普通図柄の変動表示演出の実行開始タイミングであることを検出すると、当たり抽選や、第2図柄表示装置83の表示の設定等の処理を実行するために、上述した普通図柄保留球格納エリア203cに記憶されている各始動入賞に対応するデータ(第2当たり乱数カウンタC4の値、普図変動種別カウンタCS2の値)のうち、一の始動入賞に対応するデータを、この普通図柄保留球実行エリア(図示せず)へシフトする。なお、本実施形態におけるシフトとは、一の領域に記憶されているデータを別の領域へ移動させることを示す。
第1特別図柄保留球数カウンタ203d、第2特別図柄保留球数カウンタ203eは、2ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理(図32参照)の中で検出される第1入球口64または第2入球口640への入賞に基づいて、第1図柄表示装置37で行われる変動表示演出(第3図柄表示装置81で行われる変動表示演出)の保留球数(待機回数)をそれぞれ最大4回まで計数するカウンタである。第1特別図柄保留球数カウンタ203d、第2特別図柄保留球数カウンタ203eは、電源投入後のRAM203の初期設定処理(図53のS2301参照)によって、初期値としてゼロが設定される。そして、始動入賞が検出されて変動表示の保留球数が増加する毎に、それぞれ最大値4まで1加算される。一方、第1特別図柄保留球数カウンタ203a、第2特別図柄保留球数カウンタ203bは、変動表示演出が実行される毎に1減算される。
また、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(即ち、保留球数)は、第1入球口64に球が入球(始動入賞)したことに基づいて、第1特別図柄保留球格納エリア203aにカウンタ値が格納された場合に、主制御装置110から出力される第1特別図柄保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される。第1特別図柄保留球数コマンドは、始動入賞が検出されて第1特別図柄保留球数カウンタ203dが1加算される毎に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
また、第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値(即ち、保留球数)は、第2入球口640に球が入球(始動入賞)したことに基づいて、第2特別図柄保留球格納エリア203bにカウンタ値が格納された場合に、主制御装置110から出力される第2特別図柄保留球数コマンドによって音声ランプ制御装置113に通知される。第2特別図柄保留球数コマンドは、始動入賞が検出されて第2特別図柄保留球数カウンタ203eが1加算される毎に、主制御装置110から音声ランプ制御装置113に対して送信されるコマンドである。
MPU201は、第1特別図柄保留球実行エリア(図示せず)または第2特別図柄保留球実行エリア(図示せず)にカウンタ用バッファから取得される上記カウンタC1〜C2,C5,CS1の各値がそれぞれ記憶された場合には、第1特別図柄保留球実行エリア(図示せず)または第2特別図柄保留球実行エリア(図示せず)に格納されたデータを、第1特別図柄変動開始処理(図34のS208参照)または第2特別図柄変動開始処理(図39のS210)において参照し、その参照データに基づいて大当たり抽選を行うと共に、その抽選結果に対応する変動パターン及び停止種別を決定する。第1図柄表示装置37では、主制御装置110の制御により、この決定された変動パターンおよび停止種別に基づいて、変動表示が行われる。
また、ここで決定された変動パターン及び停止種別は、第1または特図2変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドによって、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114へ通知される。そして、表示制御装置114の制御によって、第3図柄表示装置81では、変動パターンコマンドおよび停止種別コマンドにより通知された変動パターンおよび停止種別に基づいて、変動表示演出が行われる。
普通図柄保留球数カウンタ203fは、2ミリ秒毎に定期的に実行されるタイマ割込処理(図32参照)の中で検出されるスルーゲート67を球が通過(以下「始動入賞」と称す)したことに基づいて、第2図柄表示装置83で行われる変動表示の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。この普通図柄保留球数カウンタ203fは、スルーゲート67を球が通過したことに基づいて記憶される保留球数の合計を記憶するカウンタである。電源投入後のRAM203の初期設定処理(図53のS2301参照)によって、初期値としてゼロが設定される。そして、始動入賞が検出されて変動表示の保留球数が増加する毎に、最大値4まで1加算される(図51のS2108参照)。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fは、普通図柄の変動表示が実行される毎に1減算される(図50、S2005参照)。
確変フラグ203gは、現在の遊技状態が特別図柄の高確率状態(確変状態、または潜確状態)であるか否かを示すフラグである。確変フラグ203gがオンに設定されていると、遊技状態が特別図柄の高確率状態(確変状態、または潜確状態)あることを示し、オフであると特別図柄の低確率状態(通常状態)であることを示している。本実施形態では、大当たり遊技終了時に後述する確変設定フラグ203hがオンに設定されている場合に確変フラグ203gがオンに設定される(図57のS2702参照)。一方、大当たり遊技が開始される場合にオフに設定される(図38のS810、図45のS1510参照)。なお、初期化された状態では、オフに設定され、通常の電源断が発生した場合には、電源断直前の状態がバックアップされるように構成されている。
確変設定フラグ203hは、大当たり遊技後に遊技状態を特別図柄の高確率状態(確変状態または潜確状態)に移行させるか否かを示すフラグである。本パチンコ機10では、遊技状態が特別図柄の高確率状態(確変状態、または潜確状態)に設定されるか否かが、大当たり遊技中にVスイッチ650e3(図6(a)参照)に球が通過したか否かにより決定される。ここで、このVスイッチ650e3に球が通過すると確変設定フラグ203hがオンに設定される(図59のS2982参照)。一方、確変フラグ203gがオンに設定されるのに基づいて(図57のS2702参照)、オフに設定される。なお、この確変設定フラグ203hは、電源断時にはバックアップされ、復帰時(電源投入時)には電源断直前の状態に設定される。また、初期化された状態ではオフに設定される。
なお、電源投入時に確変設定フラグ203hがオンに設定されている場合には、球がVスイッチ650e3に電源断前に通過したかを判別して、通過していると判別できた場合に、確変設定フラグ203hを正式にオンに設定して復帰するように構成してもよい。この場合、電源断前にVスイッチ650e3を通過しているかの判別は、後述する確変通過カウンタ203iが0より大きい値であるかにより判別できる。このように構成することで、電源断されている状態で、確変設定フラグ203hのみをオンに書き換えて電源を再投入されるような不正を判別して、遊技店側の被害を低減することができる。
確変通過カウンタ203iは、大当たり遊技中の1つのラウンド(本実施形態では、大当たりAでの1ラウンド)でVスイッチ650e3を通過した球の数をカウントするためのカウンタである。なお、この確変通過カウンタ203iと後述する排出個数カウンタ203sとの合計によりV入賞装置650のV入賞口650aに入賞した球が全て排出されたかを判別することができる。この確変通過カウンタ203iは、Vスイッチ650e3を通過した場合に1ずつ加算されて更新される(図59のS2981参照)。また、V入賞装置650に入賞した球の数と排出個数が一致するかの処理を実行した後に、初期値である「0」にリセットされる(図60のS3011)。なお、この確変通過カウンタ203iは、電源断時にはバックアップされる。また、初期化された状態では、0に設定される。
入賞個数カウンタ203jは、大当たり遊技における1つのラウンドでV入賞装置650のV入賞口650aに入賞した球の数や可変入賞装置65の特定入賞口65aに入賞した球の数をカウントするためのカウンタである。具体的には、V入賞装置650に設けられた検出口650a1(図4参照)を球が通過したと検出されることに基づいて、1ずつ加算されて更新される(図59のS2973)。一方、1つのラウンドが終了した場合に、V入賞装置650に入賞した個数(入賞個数カウンタ203jの値)と排出された個数(排出個数カウンタ203sと確変通過カウンタ203iとの合計値)とが一致しているか判別された後に、初期値である「0」にリセットされる。なお、この入賞個数カウンタ203jの値は、電源断時にはバックアップされる。また、初期化された状態では、0に設定される。
動作カウンタ203kは、流路ソレノイド(確変ソレノイド)650kがオン(励磁)に設定される時間を計時(カウント)するためのカウンタである。本パチンコ機10では、大当たりA,C,Dに対応する大当たり遊技の開放動作シナリオとして、1ラウンド目のラウンド遊技が開始されていから0.5秒経過後に流路ソレノイド650kを5秒間オンに設定するV開放パターンが規定されている。
このような開放動作シナリオが設定されることにより、大当たりA,C,Dに対応する大当たり遊技が実行された場合には、第1アタッカ(V入賞装置)650が開放状態である期間中に流路ソレノイド650kがオンに設定され、特別排出流路650e2を球が通過可能となる連通状態となるように切替部材650hが切り替わる。よって、第1アタッカ(V入賞装置)650に入賞した球が特定領域(Vスイッチ650e3)を通過し易くすることができる。
一方、大当たりBでは1ラウンド目のラウンド遊技が開始されてから0.5秒経過後に流路ソレノイド650kを5秒間オンに設定する開放パターン(非V開放パターン)が規定されている。この大当たりBに対応する大当たり遊技では、図18に上述した通り、1ラウンド目のみ第1アタッカ(V入賞装置)650を開放させる開放動作シナリオが設定されるため、このような開放動作シナリオが設定されることにより、大当たりBに対応する大当たり遊技が実行された場合には、第1アタッカ(V入賞装置)650が閉鎖状態である期間中(1ラウンド目のラウンド遊技である第1アタッカ(V入賞装置)650の開放動作期間0.5秒の経過後)に流路ソレノイド650kがオンに設定され、特別排出流路650e2を球が通過可能となる連通状態となるように切替部材650hが切り替わる。よって、大当たりBの大当たり遊技が実行された場合には、球が特定領域(Vスイッチ650e3)を通過し難くすることができる。
遊技状態格納エリア203mは、現在設定されている遊技状態を一時的に格納するための記憶領域であって、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態(確変フラグ203g、及び時短フラグ203tの設定状況)に対応した遊技状態が記憶される。具体的には、確変フラグ203gがオフ、時短フラグ203fがオフに設定されている場合に通常状態が記憶され、確変フラグ203gがオン、時短フラグ203fがオンに設定されている場合に確変状態が記憶され、確変フラグ203gがオン、時短フラグ203fがオフに設定されている場合に潜確状態が記憶される。
さらに、大当たり遊技や、小当たり遊技が実行されている状態では、各当たり遊技が実行されている状態であることを示す当たり遊技状態(大当たり状態、小当たり状態)と、実行されている大当たり遊技に対応する大当たり種別を示す種別情報も記憶されるように構成されている。
そして、遊技状態格納エリア203mに格納(記憶)された情報に基づいて、状態コマンドが設定され、その状態コマンドが音声ランプ制御装置113へと出力される。音声ランプ制御装置113では出力された状態コマンドを受信し、従状態設定エリア223kに一時的に記憶する。
この遊技状態格納エリア203mに記憶された情報は、パチンコ機10の電源が断された場合であっても、その情報を保持可能に構成されており、パチンコ機10の電源を入れた際に実行される立ち上げ処理(図53参照)において、遊技状態格納エリア203mに記憶されている情報に対応する状態コマンドを設定するように構成している。
これにより、停電等によりパチンコ機10の電源が断された場合であっても、現在の遊技状態を音声ランプ制御装置113側が判別可能にすることができる。
残球タイマフラグ203nは、1のラウンドでV入賞装置650の開閉扉650f1、或いは、可変入賞装置65の開閉扉65f1が閉鎖したことを示すためのフラグである。この残球タイマフラグ203nがオンに設定されていると、1のラウンドでV入賞装置650の開閉扉650f1、或いは、可変入賞装置65の開閉扉65f1が開放状態から閉鎖状態に設定されたことを示している。
この残球タイマフラグ203nがオンに設定されることで、後述する残球タイマ203oが1ずつ加算されて更新される(図60のS3005参照)。残球タイマ203oは、V入賞装置650の開閉扉650f1、或いは、可変入賞装置65の開閉扉65f1が閉鎖されてからの時間を判別するためのカウンタであり、V入賞装置650、或いは、可変入賞装置65内の遊技球が排出されるのに必要な時間が経過したかを判別するためのカウンタである。
残球タイマ203oは、予め設定されている1のラウンドが終了してV入賞装置650の開閉扉650f1、或いは、可変入賞装置65の開閉扉65f1が閉鎖した場合に、V入賞装置650、或いは可変入賞装置65に入賞した遊技球が排出されるのに必要な時間が経過したかを判別するためのカウンタである。
ここで、V入賞装置650の構成を用いて図6を参照して具体的に説明をすると、V入賞装置650に入賞した球が排出されるまでに必要な時間が2秒となるように構成されており、本実施形態では、予め3秒に対応するカウンタ値が残球タイマ203oの上限値として設定されている。この残球タイマ203oの上限値(本実施形態では、3秒)となったことに基づいて、V入賞装置650への入賞個数とその排出個数とが一致しているかの判別が実行される(図60のS3007参照)。
そして、V入賞装置650への入賞個数とその排出個数が一致しない場合には、エラーコマンドが設定されて、その旨が報知される(図60のS3008参照)。よって、V入賞装置650内に球が球詰まりしていることを早期に知らせることができる。また、V入賞装置650に穴を開け、不正なルート(入賞個数として計測されないルート)を用いて球をV入賞装置650内に入賞させる行為が行われたことを容易に判別することができる。さらに、不正にV入賞装置650内に球を残存させておき、1ラウンドの開始タイミングで衝撃等を与えて、実際よりも早く切替部材65hまで遊技球を到達させることで、大当たりBの大当たり遊技中にVスイッチ650e3に遊技球を通過させる不正を抑制できる。
なお、入賞個数と排出個数が一致しない場合には、専用のフラグをオンに設定しておき、そのフラグがオンである場合にはVスイッチ650e3を球が通過しても確変設定フラグ203hをオンに設定しない構成にしてもよい。このように構成することで、不正に特別図柄の高確率状態が付与されることを抑制できる。
確変有効フラグ203pは、流路ソレノイド650kがオフに設定された後に、球がVスイッチ650e3を通過した場合に、その通過を有効とするか否かを判別するためのフラグである。この確変有効フラグ203pがオンに設定されている場合には、流路ソレノイド650kがオンであることに基づいて、特別排出流路650e2(図6(a)参照)に流入した球がVスイッチ650e3を通過するのに必要な時間以下であることを示している。即ち、Vスイッチ650e3に球が通過することが正常な期間であることを示している。
確変有効タイマ203rは、上述した確変有効フラグ203pがオンに設定されてからの時間をカウントする為のカウンタである。この確変有効タイマ203rにより流路ソレノイド650kがオフとなった後に、Vスイッチ650e3を正常に通過するのに必要な期間を判別することができる。本実施形態では、特別排出流路650e2を通過した球がVスイッチ650e3を通過するのに要する時間は1秒である。確変有効タイマ203rの上限値は1.2秒に対応するカウンタ値に設定されており、それ以後に球がVスイッチ650e3を通過しても不正と判別して通過と判別しないように構成している。
これにより、切替部材650hが特別排出流路650e2を連通させない状態(通常排出流路650e1を連通させる状態)である場合に、不正に特別排出流路650e2に球を入球させてVスイッチ650e3に球を通過させたり、Vスイッチ650e3の下方よりピアノ線等で球を押し上げて通過させたり、電波等により磁気センサを通過と誤検出させたりする不正による被害を抑制できる。
排出個数カウンタ203sは、1のラウンドで排出確認スイッチ650e4(図6(a)参照)を通過した遊技球の数をカウントするためのカウンタである。この排出個数カウンタ203sは、V入賞装置650に入賞した球の数と排出個数とが判別された後に初期値である0にリセットされる(図60S3011)。
時短フラグ203tは、普通図柄の高確率状態が設定されている状態を示すためのフラグであって、普通図柄の高確率状態が設定されている場合にオンに設定される。この時短フラグ203tは、大当たり遊技終了後に、その当選した大当たり種別に対応してオンに設定される(図57のS2704)。そして、大当たり遊技に当選した場合にオフに設定される。これにより、大当たり遊技中は普通図柄の高確率状態が設定されないため、大当たり遊技中において遊技者に過度な特典を付与してしまうことを抑制することができる。
なお、本実施形態では、普通図柄の高確率状態が設定されると、少なくとも、次回の大当たりに当選するまでは、普通図柄の高確率状態が継続するように構成しているが、このような構成に限ること無く、例えば、主制御装置110の実行する各種処理の処理内容によって成立し得る終了条件が成立した場合に、普通図柄の高確率状態が終了するように構成してもよい。具体的には、普通図柄の高確率状態が設定されている状態で実行される各図柄抽選の抽選結果が所定の抽選結果(例えば、小当たり当選)となった場合、或いは、所定の抽選結果(例えば、小当たり)となった回数が所定回数(例えば、2回)に到達した場合に、普通図柄の高確率状態を終了するように構成しても良いし、各図柄抽選の抽選回数が所定回数(例えば、30回)に到達した場合に、普通図柄の高確率状態を終了するように構成しても良い。
この場合、当選した大当たり種別や当選時の遊技状態に応じて、上述した終了条件を異ならせるように構成するーと良い。これにより、普通図柄の高確率状態が設定された場合に、その普通図柄の高確率状態がいつまで続くのか?を遊技者に予測させ難くすることができる。
大当たりフラグ203uは、第1入球口64または第2入球口640に球が入球したことに基づいて、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が、変動開始時に大当たりであると判定された場合に、オンに設定されるフラグである。また、大当たり遊技が終了するとオフに設定される。なお、第1特別図柄と第2特別図柄とのどちらの図柄に対応した大当たりであるかを識別可能なフラグで構成されている。具体的には、2ビットで構成されて、「10」で第1特別図柄に対して大当たりフラグ203uがオン、「01」で、第2特別図柄に対して大当たりフラグ203uがオンとして設定され、「00」で大当たりフラグ203uがオフとして設定される。
ここで、大当たりフラグ203uは、第1特別図柄の大当たり当選と、第2特別図柄の大当たり当選と、を区分けして判別可能に構成されているため、特図変動開始時に、第1特別図柄と第2特別図柄とで先にどちらか一方がオンに設定されている場合に、他方の抽選結果が大当たりになっても、それぞれの特別図柄の大当たりに対応する大当たりフラグ203uがオンに設定される。
詳細な説明は省略するが、本実施形態では、第1特別図柄の抽選と、第2特別図柄の抽選とを同時に(並行して)実行可能に構成しており、両方の特別図柄が大当たりに当選した場合には、先に特別図柄変動が停止(特別図柄の確定表示)された側の特別図柄の抽選結果に基づく大当たり遊技を実行し、先に特別図柄変動が停止(特別図柄の確定表示)した時点で他方の特別図柄変動を抽選結果が外れであることを示す表示態様で強制的に停止表示するように構成している。
このように構成することで、複数の特別図柄種別の抽選を同時に(並行して)実行可能なパチンコ機10において各特別図柄の抽選で大当たりに当選してしまい、遊技者に対して同時に過剰な特典(大当たり遊技)が付与されてしまう事態の発生を抑制することができる。
さらに、一方の特別図柄抽選で遊技者に不利となる大当たりに当選したとしても、その当選結果が停止表示(確定表示)されるまでに、他方の特別図柄抽選で遊技者に有利となる大当たりに当選させることが可能となる。この場合、特別図柄の抽選結果が停止表示されるまでの変動時間を用いて、遊技者に不利当たりに当選したことを示唆する変動演出を実行すると良い。これにより、遊技者に対して不利当たりに当選したのではと思わせることができるため、その変動時間中に他方の特別図柄抽選を意欲的に実行させることができる。
加えて、遊技者に不利となる大当たりに当選した場合よりも、遊技者に有利となる大当たりに当選したほうが、短い変動時間が設定され易くなるように構成しても良い。これにより、不利当たりに当選した一方の特別図柄の変動中に他方の特別図柄抽選で有利当たりに当選させ、その当選結果を不利当たりの当選結果よりも先に停止表示(確定表示)させることができる。
なお、本実施形態では、第1特別図柄の抽選結果(当たり当選)と第2特別図柄の抽選結果(当たり当選)とを別々に記憶可能な大当たりフラグ203uを用いているが、これに限ること無く、第1特別図柄と第2特別図柄とで共通の大当たりフラグを設け、第1特別図柄の抽選と第2特別図柄の抽選とのうち、一方で大当たりに当選した場合に大当たりフラグ203uをオンに設定し、大当たりフラグ203uがオンに設定された状態で実行される他方の特別図柄抽選では大当たりに当選しないように構成しても良い。
特図2変動停止フラグ203wは、第2特別図柄が変動表示中に、第1特別図柄の大当たりが実行されることを示すフラグであって、第2特別図柄の変動表示中に、第1特別図柄の大当たりが実行される場合にオンに設定されるものである。この特図2変動停止フラグ203wは、主制御装置110のMPU201が実行する第1特別図柄変動停止処理(図38のS207参照)のS802においてオンに設定される。また、第2特別図柄変動開始処理(図39のS210参照)のS902の処理において、オフに設定される。
これにより、第1特別図柄の抽選で大当たりに当選し、その大当たり図柄が停止表示された時点で、強制的に外れ図柄で停止表示させた第2特別図柄が再度抽選を実行することを防止することができる。
なお、本実施形態のパチンコ機10の主制御装置110では、1回の特別図柄変動処理(図33のS104参照)内で、第1特別図柄に関する処理を実行した後に、第2特別図柄に関する処理を実行するように構成することで、各特別図柄に対する変動処理を遅滞なく実行するように構成している。
そして、特別図柄変動処理(図33のS104参照)において、何れかの特別図柄が大当たりを示す表示態様で停止表示されると、主制御装置110のメイン処理(図54参照)にて大当たり制御処理(図55のS2404)が実行されるように構成している。加えて、特別図柄変動処理(図33のS104参照)は、現在が大当たり状態または小当たり状態である場合(図33のS201:Yes)には、各特別図柄に対する変動処理(図33のS204〜S213)をスキップするように構成している。
つまり、本実施形態では、特別図柄の抽選結果に基づいて大当たり遊技、或いは、小当たり遊技が実行されている間は、新たな特別図柄変動(抽選)が実行されないように構成しているが、特別図柄変動処理(図33のS104参照)において先に実行される第1特別図柄に対する変動処理によって、抽選結果が大当たりであることを示すための表示態様で第1特別図柄が停止表示された場合に、その特別図柄変動処理(図33のS104参照)内で第2特別図柄に対する新たな変動処理が行われるように構成している。
このように構成された本実施形態において、特図2変動停止フラグ203wを用いることで、抽選結果が大当たりであることを示すための表示態様で第1特別図柄が停止表示された場合に、その特別図柄変動処理(図33のS104参照)内で第2特別図柄に対する新たな変動処理が実行されてしまうことを抑制することができる。
小当たりフラグ203xは、第2特別図柄の当否判定結果が小当たりであることを示すフラグであって、小当たりに当選した場合にオンに設定されるものである。この小当たりフラグ203xは、第2特別図柄の当否判定結果が小当たりとなる場合にオンに設定され(図41のS1101参照)、当選結果が小当たりである特別図柄変動が停止表示された場合にオフに設定される(図46のS1605参照)。
特図1仮停止フラグ203yは、特図1の変動時間の更新(減算)を停止する期間を示すフラグであって、オンに設定されている場合に変動時間の更新(減算)を停止し、オンに設定された状態からオフに設定された場合に、停止されていた変動時間の更新(減算)が再開されるものである。
この特図1仮停止フラグ203yは、抽選結果が小当たりである第2特別図柄(特図2)の変動を停止する際にオンに設定され(図46のS1602)、特別図柄変動処理(図33参照)において参照される(図33のS202)。S202の処理においてオンに設定されている場合には、第1特別図柄(特図1)に対応する第1図柄表示装置37の表示を変動中と同様に更新する処理が実行される(図33のS203)。つまり、特図1仮停止フラグ203yがオンに設定されている間は、変動時間の更新(減算)は停止しているが、第1図柄表示装置は変動表示が継続して実行される状態となる。これにより、特図1仮停止フラグ203yがオンに設定されたことにより、特図1の変動が強制停止されていないことを報知することができる。そして、第1特別図柄変動実行中処理(図37参照)においてオンに設定されていると判別された場合に(図37のS701:Yes)、オフに設定される(図37のS703)。
なお、本実施形態では、第2特別図柄の抽選のみ小当たりに当選し得るように構成しているため、小当たりに当選したことに基づいて変動表示が仮停止される特別図柄が第1特別図柄のみとなるが、第1特別図柄の抽選についても小当たりに当選し得るように構成した場合は、第2特別図柄の変動表示を仮停止させるために特図2仮停止フラグを設けても良い。
上述した通り、本実施形態では、一方の特別図柄の抽選結果が大当たりである場合には、大当たりを示す組み合わせで一方の特別図柄が停止したことに基づいて(大当たり遊技が実行されることに基づいて)、他方の特別図柄の変動表示を強制的に外れで停止させる処理と、一方の特別図柄の抽選結果が小当たりである場合には、小当たりを示す組み合わせで一方の特別図柄が停止したことに基づいて、他方の特別図柄の変動表示を一旦停止(小当たり遊技が終了するまで停止)するように構成している。
即ち、一方の特別図柄の抽選結果に応じて、他方の特別図柄の変動表示を様々な態様に加工することができるように構成している。このように構成することで、一方の特別図柄の抽選結果が遊技者に最も有利な遊技結果(例えば、大当たり)となり、その遊技結果を示すための変動表示が実行されている最中に、他方の特別図柄(抽選結果は小当たり)が停止表示されてしまい、小当たりによって大当たりが消去されてしまうことを抑制することができる。
特図1変動時間カウンタ203a2は、第1特別図柄の変動時間を計測するためのカウンタであって、第1特別図柄変動パターン選択処理(図36のS307参照)にて選択された変動パターンに対応する変動時間を示す値がセットされる(図36のS509参照)。そして、第1特別図柄変動実行中処理(図37のS205参照)が実行される毎に値が更新(減算)され、特別図柄変動処理(図33のS104参照)にて値が0であるかが判別される(図33のS206参照)。ここで、特図1変動時間カウンタ203a2の値が0であると判別されると(図33のS206:Yes)、変動中の第1特別図柄を停止させるための第1特別図柄変動停止処理(図33のS207参照)が実行される。
さらに、この特図1変動時間カウンタ203a2の値は、第2特別図柄が大当たりを示す表示態様で停止表示された場合に、その値が0にクリアされる(図45のS1505参照)。これにより、第2特別図柄の大当たり停止表示時に第1特別図柄を、外れを示す表示態様で強制的に停止表示した場合に、特図1変動時間カウンタ203a2の値が残ってしまい、強制的に停止表示した後に、特図2変動時間カウンタ203a3に残された値に基づいて再度第1特別図柄の変動が再開されてしまうことを抑制することができる。
特図2変動時間カウンタ203a3は、第2特別図柄の変動時間を計測するためのカウンタであって、第2特別図柄変動パターン選択処理(図42のS906参照)にて選択された変動パターンに対応する変動時間を示す値がセットされる(図42のS1210参照)。そして、第2特別図柄変動実行中処理(図44のS211参照)が実行される毎に値が更新(減算)され、特別図柄変動処理(図33のS104参照)にて値が0であるかが判別される(図33のS212参照)。ここで、特図2変動時間カウンタ203a3の値が0であると判別されると(図33のS212:Yes)、変動中の第2特別図柄を停止させるための第2特別図柄変動停止処理(図33のS213参照)が実行される。
さらに、この特図2変動時間カウンタ203a3の値は、第1特別図柄が大当たりを示す表示態様で停止表示された場合に、その値が0にクリアされる(図38のS805参照)。これにより、第1特別図柄の大当たり停止表示時に第2特別図柄を、外れを示す表示態様で強制的に停止表示した場合に、特図2変動時間カウンタ203a3の値が残ってしまい、強制的に停止表示した後に、特図2変動時間カウンタ203a3に残された値に基づいて再度第2特別図柄の変動が再開されてしまうことを抑制することができる。
その他メモリエリア203zは、遊技に必要なその他のデータや、カウンタ、フラグ等が設定(記憶)される。
図9に戻って説明を続ける。主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37、第2図柄表示装置83、第2図柄保留ランプ84、特定入賞口65aの開閉板65bの下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや、V入賞装置650の開閉扉650f1を開閉駆動するためのV開放口ソレノイドや、V入賞装置650内に設けられた切替部材650hを駆動させるための流路ソレノイド650kや電動役物を駆動するためのソレノイド(その他ソレノイド209z)などからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群やセンサ群などからなる各種スイッチ208や、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図52参照)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回転操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための打ち止めスイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動量に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。
音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、音声出力装置226、ランプ表示装置227を制御し、また、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110からのコマンドや、音声ランプ制御装置113に接続された各種装置等の状況に応じてエラーを判定し、そのエラーの種別を含めてエラーコマンドを表示制御装置114へ送信する。表示制御装置114では、受信したエラーコマンドによって示されるエラー種別(例えば、振動エラー)に応じたエラーメッセージ画像を第3図柄表示装置81に遅滞無く表示させる制御が行われる。
音声ランプ制御装置113のROM222には、図24(a)に示すように、変動パターン選択テーブル222aが少なくとも記憶されている。
変動パターン選択テーブル222aは、図示しない変動パターン選択用のカウンタ値に各変動パターンの種別(ど外れ、リーチ外れ、リーチ各種等)の変動パターンがそれぞれ設定されている。音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドが示す変動パターン種別、当否判定結果、取得した選択用のカウンタ値に基づいて、詳細な変動パターンを選択する。これにより、変動時間や変動パターンの種別等の大まかな情報は厳守しつつ、音声ランプ制御装置113が多種多様の変動態様を選択することができる。よって、同じ変動表示態様等が頻繁に表示されることが防止でき、遊技者が早期に飽きてしまう不具合を抑制できる。
次に、図24(b)を参照して、音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223について説明する。図24(b)に示すように、音声ランプ制御装置113のRAM223には、コマンド記憶領域223a、入賞情報格納エリア223b、第1特別図柄保留球数カウンタ223c、第2特別図柄保留球数カウンタ223d、特図2変動開始フラグ223e、特図2変動開始フラグ223f、特図1停止種別選択フラグ223g、特図2停止種別選択フラグ223i、演出カウンタ223j、従状態設定エリア223k、その他メモリエリア223zが少なくとも設けられている。
コマンド記憶領域223aは、主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ出力された各種コマンドがそのコマンドに対する処理が実行されるまで一時的に記憶され領域である。詳細には、リングバッファで構成され、FIFO(First In First Out)方式によってデータの読み書きが行われる。音声ランプ処理装置113のコマンド判定処理(図63参照)が実行されると、コマンド記憶領域223aに記憶された未処理のコマンドのうち、最初に格納されたコマンドが読み出され、コマンド判定処理によって、そのコマンドが解析されて、そのコマンドに応じた処理が行われる。
入賞情報格納エリア223bは、1つの実行エリアと、4つのエリア(第1エリア〜第4エリア)とを第1特別図柄と第2特別図柄に対してそれぞれ有しており、これらの各エリアには、入賞情報がそれぞれ格納される。この入賞情報格納エリア223aに格納される情報により、保留球の抽選結果等が変動開始前に音声ランプ制御装置113により判別できる。
第1特別図柄保留球数カウンタ223cは、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203dと同様に、第1図柄表示装置37(および第3図柄表示装置81)で行われる変動演出(変動表示)であって、主制御装置110において保留されている変動演出の保留球数(待機回数)を最大4回まで計数するカウンタである。即ち、第1特別図柄に対応する保留球の数が、主制御装置110より出力される保留球数コマンドに基づいて設定される。
上述したように、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110に直接アクセスして、主制御装置110のRAM203に格納されている第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値を取得することができない。よって、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110から送信される保留球数コマンドに基づいて保留球数をカウントし、第1特別図柄保留球数カウンタ223cにて、その保留球数を管理するようになっている。
具体的には、主制御装置110では、第1入球口64への入球によって変動表示の保留球数が加算された場合、又は、主制御装置110において特別図柄における変動表示が実行されて保留球数が減算された場合に、加算後または減算後の第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値を示す保留球数コマンドを、音声ランプ制御装置113へ送信する。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110より送信される保留球数コマンドを受信すると、その保留球数コマンドから、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値を取得して、第1特別図柄保留球数カウンタ223cに格納する。このように、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信される保留球数コマンドに従って、第1特別図柄保留球数カウンタ223cの値を更新するので、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203dと同期させながら、その値を更新することができる。
第1特別図柄保留球数カウンタ223cの値は、第3図柄表示装置81における保留球数図柄の表示に用いられる。即ち、音声ランプ制御装置113は、保留球数コマンドの受信に応じて、そのコマンドにより示される保留球数を第1特別図柄保留球数カウンタ223cに格納すると共に、格納後の第1特別図柄保留球数カウンタ223cの値を表示制御装置114に通知するべく、表示用保留球数コマンドを表示制御装置114に対して送信する。
表示制御装置114では、この表示用保留球数コマンドを受信すると、そのコマンドにより示される保留球数の値、即ち、音声ランプ制御装置113の第1特別図柄保留球数カウンタ223cの値分の保留球数を第3図柄表示装置81の小領域Dm4(図11(a)参照)に表示するように、画像の描画を制御する。上述したように、第1特別図柄保留球数カウンタ223cは、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203aと同期しながら、その値が変更される。従って、第3図柄表示装置81に表示される保留球数図柄の数も、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203aの値に同期させながら、変化させることができる。よって、第3図柄表示装置81には、変動表示が保留されている保留球の数を正確に表示させることができる。
第2特別図柄保留球数カウンタ223dは、第1特別図柄保留球数カウンタ223cに対して、第2特別図柄に対応する保留球の数が主制御装置110から出力される保留球数コマンドに基づいて記憶される点で異なるのみであるので、その詳細な説明については省略する。
特図1変動開始フラグ223eは、電源投入時に初期値としてオフに設定され、主制御装置110から出力された第1特別図柄の変動パターンを通知する特図1変動パターンコマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。
特図2変動開始フラグ223fは、電源投入時に初期値としてオフに設定され、主制御装置110から出力された第2特別図柄の変動パターンを通知する特図2変動パターンコマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。
特図1停止種別選択フラグ223gは、主制御装置110から出力される第1特別図柄の変動停止種別を通知する第1停止種別コマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。
特図2停止種別選択フラグ223iは、主制御装置110から出力される第2特別図柄の変動停止種別を通知する第2停止種別コマンドを受信した場合にオンに設定される。一方、第3図柄表示装置81における変動表示の設定がなされるときにオフされる。
演出カウンタ223jは、変動パターンの選択や、各種演出の選択等に使用されるカウンタであって、0から198の範囲で繰り返し更新される。なお、メイン処理が実行される毎に1ずつ加算されて更新される。
従状態設定エリア223kは、主制御装置110から出力される状態コマンドに対応したデータが設定される。従状態設定エリア223hに設定されるデータにより、現在の遊技状態を音声ランプ制御装置113でも判別することができる。なお、状態設定コマンドは、電源投入時にも主制御装置110より出力されて、バックアップされた遊技状態が音声ランプ制御装置113により判別可能に構成されている。
その他メモリエリア223zは上述したデータ以外のデータを格納する領域として設けられており、音声ランプ制御装置113のMPU221が使用するその他カウンタ値などを一時的に記憶しておくための領域である。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動表示(変動演出)や予告演出を制御するものである。この表示制御装置114の詳細については、詳細について後述する。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図8参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図52参照)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図8参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
<第1実施形態における表示制御装置の電気的構成について>
次に、図25〜図31を参照して、本第1制御例における表示制御装置114の電気的構成について説明する。図25は、表示制御装置114の電気的構成を示すブロック図である。表示制御装置114は、MPU231と、ワークRAM233と、キャラクタROM234と、常駐用ビデオRAM235と、通常用ビデオRAM236と、画像コントローラ237と、入力ポート238と、出力ポート239と、バスライン240,241とを有している。
入力ポート238の入力側には音声ランプ制御装置113の出力側が接続され、入力ポート238の出力側には、MPU231、ワークRAM233、キャラクタROM234、画像コントローラ237がバスライン240を介して接続されている。画像コントローラ237には、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が接続されると共に、バスライン241を介して出力ポート239が接続されている。また、出力ポート239の出力側には、第3図柄表示装置81が接続されている。
なお、パチンコ機10は、特別図柄の大当たりとなる抽選確率や、1回の特別図柄の大当たりで払い出される賞球数が異なる別機種であっても、第3図柄表示装置81で表示される図柄構成が全く同じ仕様の機種があるので、表示制御装置114は共通部品化されコスト低減が図られている。
以下では、先にMPU231、キャラクタROM234、画像コントローラ237、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236について説明し、次いで、ワークRAM233について説明する。
まず、MPU231は、主制御装置110の変動パターンコマンドに基づく音声ランプ制御装置113から出力された表示用変動パターンコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の表示内容を制御するものである。MPU231は、命令ポインタ231aを内蔵しており、命令ポインタ231aで示されるアドレスに格納された命令コードを読み出してフェッチし、その命令コードに従って各種処理を実行する。MPU231には、電源投入(停電からの復電を含む。以下、同じ。)直後に、電源装置115からシステムリセットがかけられるようになっており、そのシステムリセットが解除されると、命令ポインタ231aは、MPU231のハードウェアによって自動的に「0000H」に設定される。そして、命令コードがフェッチされる度に、命令ポインタ231aは、その値が1ずつ加算される。また、MPU231が命令ポインタの設定命令を実行した場合は、その設定命令により指示されたポインタの値が命令ポインタ231aにセットされる。
なお、詳細については後述するが、本実施形態において、MPU231によって実行される制御プログラムや、その制御プログラムで使用される各種の固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。
詳細については後述するが、キャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されている。これにより、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる。そして、キャラクタROM234に制御プログラム等を記憶させておけば、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方で、一般的にNAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅くなるという問題点がある。例えば、複数のページに連続して並んだデータの読み出しを行う場合において、2ページ目以降のデータは高速読み出しが可能であるが、最初の1ページ目のデータの読み出しには、アドレスが指定されてからデータが出力されるまでに大きな時間を要する。また、連続していないデータを読み出す場合は、そのデータを読み出す度に大きな時間を要する。このように、NAND型フラッシュメモリは、その読み出しに係る速度が遅いため、MPU231が直接キャラクタROM234から制御プログラムを読み出して各種処理を実行するように構成すると、制御プログラムを構成する命令の読み出しに時間がかかる場合が発生し、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態では、MPU231のシステムリセットが解除されると、まず、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに記憶されている制御プログラムを、各種データの一時記憶用に設けたワークRAM233に転送して格納する。そして、MPU231はワークRAM233に格納された制御プログラムに従って、各種処理を実行する。ワークRAM233は、後述するようにDRAM(Dynamic RAM)によって構成され、高速でデータの読み書きが行われるので、MPU231は遅滞なく制御プログラムを構成する命令の読み出しを行うことができる。よって、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
キャラクタROM234は、MPU231において実行される制御プログラムや、第3図柄表示装置81に表示される画像のデータを記憶したメモリであり、MPU231とバスライン240を介して接続されている。MPU231は、バスライン240を介してシステムリセット解除後にキャラクタROM234に直接アクセスし、そのキャラクタROM234の後述する第2プログラム記憶エリア234a1に記憶された制御プログラムを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aへ転送する。また、バスライン240には画像コントローラ237も接続されており、画像コントローラ237はキャラクタROM234の後述するキャラクタ記憶エリア234a2に格納された画像データを、画像コントローラ237に接続されている常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236へ転送する。
このキャラクタROM234は、NAND型フラッシュメモリ234a、ROMコントローラ234b、バッファRAM234c、NOR型ROM234dをモジュール化して構成されている。
NAND型フラッシュメモリ234aは、キャラクタROM234におけるメインの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、MPU231によって実行される制御プログラムの大部分や第3図柄表示装置81を駆動させるための固定値データを記憶する第2プログラム記憶エリア234a1と、第3図柄表示装置81に表示させる画像(キャラクタ等)のデータを格納するキャラクタ記憶エリア234a2とを少なくとも有する。
ここで、NAND型フラッシュメモリは、小さな面積で大きな記憶容量が得られる特徴を有しており、キャラクタROM234を容易に大容量化することができる。これにより、本パチンコ機において、例えば2ギガバイトの容量を持つNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより、第3図柄表示装置81に表示させる画像として、多くの画像をキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させることができる。よって、遊技者の興趣をより高めるために、第3図柄表示装置81に表示される画像を多様化、複雑化することができる。
また、NAND型フラッシュメモリ234aは、多くの画像データをキャラクタ記憶エリア234a2に記憶させた状態で、更に、制御プログラムや固定値データも第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させることができる。このように、制御プログラムや固定値データを、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させることなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させることができるので、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
ROMコントローラ234bは、キャラクタROM234の動作を制御するためのコントローラであり、例えば、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237から伝達されたアドレスに基づいて、NAND型フラッシュメモリ234a等から該当するデータを読み出し、バスライン240を介してMPU231又は画像コントローラ237へ出力する。
ここで、NAND型フラッシュメモリ234aは、その性質上、データの書き込み時にエラービット(誤ったデータが書き込まれたビット)が比較的多く発生したり、データを書き込むことができない不良データブロックが発生したりする。そこで、ROMコントローラ234bは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータに対して公知の誤り訂正を施し、また、不良データブロックを避けてNAND型フラッシュメモリ234aへのデータの読み書きが行われるように公知のデータアドレスの変換を実行する。
このROMコントローラ234bにより、エラービットを含むNAND型フラッシュメモリ234aから読み出されたデータに対して誤り訂正が行われるので、キャラクタROM234としてNAND型フラッシュメモリ234aを用いたとしても、誤ったデータに基づいてMPU231が処理を行ったり、画像コントローラ237が各種画像を生成したりすることを抑制することができる。
また、ROMコントローラ234bによってNAND型フラッシュメモリ234aの不良データブロックが解析され、その不良データブロックへのアクセスが回避されるので、MPU231や画像コントローラ237は、個々のNAND型フラッシュメモリ234aで異なる不良データブロックのアドレス位置を考慮することなく、キャラクタROM234へのアクセスを容易に行うことができる。よって、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタROM234へのアクセス制御が複雑化することを抑制することができる。
バッファRAM234cは、NAND型フラッシュメモリ234aから読み出したデータを一時的に記憶するバッファとして用いられるメモリである。MPU231や画像コントローラ237からバスライン240を介してキャラクタROM234に割り振られたアドレスが指定されると、ROMコントローラ234bは、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータがバッファRAM234cにセットされているか否かを判断する。そして、セットされていなければ、その指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分(例えば、2キロバイト)のデータをNAND型フラッシュメモリ234a(またはNOR型ROM234d)より読み出してバッファRAM234cに一旦セットする。そして、ROMコントローラ234bは、公知の誤り訂正処理を施した上で、指定されたアドレスに対応するデータを、バスライン240を介してMPU231や画像コントローラ237に出力する。
このバッファRAM234cは、2バンクで構成されており、1バンク当たりNAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分のデータがセットできるようになっている。これにより、ROMコントローラ234bは、例えば、一方のバンクにデータをセットした状態のまま他方のバンクを使用して、NAND型フラッシュメモリ234aのデータを外部に出力したり、MPU231や画像コントローラ237より指定されたアドレスに対応するデータを含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから一方のバンクに転送してセットする処理と、MPU231や画像コントローラ237によって指定されたアドレスに対応するデータを他方のバンクから読み出してMPU231や画像コントローラ237に対して出力する処理とを、並列して処理したりすることができる。よって、キャラクタROM234の読み出しにおける応答性を向上させることができる。
NOR型ROM234dは、キャラクタROM234におけるサブの記憶部として設けられる不揮発性のメモリであり、NAND型フラッシュメモリ234aを補完することを目的にそのNAND型フラッシュメモリ234aよりも極めて小容量(例えば、2キロバイト)に構成されている。このNOR型ROM234dには、キャラクタROM234に記憶される制御プログラムのうち、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されていないプログラム、具体的には、MPU231においてシステムリセット解除後に最初に実行されるブートプログラムの一部を格納する第1プログラム記憶エリア234d1が少なくとも設けられている。
ブートプログラムは、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動するための制御プログラムであり、システムリセット解除後にMPU231が先ずこのブートプログラムを実行する。これにより、表示制御装置114において各種制御が実行可能に状態とすることができる。第1プログラム記憶エリア234d1は、このブートプログラムのうち、バッファRAM234cの1バンク分(即ち、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分)の容量の範囲で、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令(例えば、1ページの容量が2キロバイトであれば、1024ワード(1ワード=2バイト)分の命令)を格納する。なお、第1プログラム記憶エリア234d1に格納されるブートプログラムの命令数は、バッファRAM234cの1バンク分の容量以下に収まっていればよく、表示制御装置114の仕様に合わせて適宜設定されるものであってもよい。
MPU231は、システムリセットが解除されると、ハードウェアによって命令ポインタ231aの値を「0000H」に設定すると共に、バスライン240に対して命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」を指定するように構成されている。一方、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240にアドレス「0000H」が指定されたことを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cの一方のバンクにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。
MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチすると、そのフェッチした命令コードに従って各種処理を実行するとともに、命令ポインタ231aを1だけ加算し、命令ポインタ231aにて示されるアドレスをバスライン240に対して指定する。そして、キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240によって指定されたアドレスがNOR型ROM234dに記憶されたプログラムを指し示すアドレスである間、先にNOR型ROM234dからバッファRAM234cにセットされたプログラムの中から、対応するアドレスの命令コードをバッファRAM234cより読み出して、MPU231に対して出力する。
ここで、本実施形態において、制御プログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに格納するのではなく、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納するのは、次の理由による。即ち、NAND型フラッシュメモリ234aは、上述したように、最初の1ページ目のデータの読み出しにおいて、アドレスを指定してからデータが出力されるまでに大きな時間を要する、というNAND型フラッシュメモリ特有の問題がある。
このようなNAND型フラッシュメモリ234aに対して制御プログラムを全て格納すると、システムリセット解除後にMPU231が最初に実行すべき命令コードをフェッチするためにMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定された場合、キャラクタROM234はアドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならい。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要することになるので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費する。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるので、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令をNOR型ROM234dに格納することによって、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができ、MPU231の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
さて、ブートプログラムは、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム、即ち、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムを除く制御プログラムや、その制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を、所定量(例えば、NAND型フラッシュメモリ234aの1ページ分の容量)ずつワークRAM233のプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送するようにプログラミングされている。そして、MPU231は、まず、システムリセット解除後に第1プログラム記憶エリア234d1から読み出したブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがセットされているバッファRAM234cのバンクとは異なるバンクを使用しながら、所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、格納する。
ここで、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、上述したように、バッファRAM234cの1バンク分に相当する容量で構成されているので、内部バスのアドレスが「0000H」に指定されたことを受けて第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムがバッファRAM234cにセットされる場合、そのブートプログラムはバッファRAM234cの一方のバンクにのみセットされる。よって、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムをプログラム格納エリア233aに転送する場合は、バッファRAM234cの一方のバンクにセットされた第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを残したまま、他方のバンクを使用してその転送処理を実行することができる。従って、その転送処理後に、第1プログラム記憶エリア234d1のブートプログラムを再度バッファRAM234cにセットし直すといった処理が不要であるので、ブート処理に係る時間を短くすることができる。
第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送すると、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第1の所定番地に設定するようにプログラミングされている。これにより、システムリセット解除後、MPU231によって第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムが所定量だけプログラム格納エリア233aに転送されると、命令ポインタ231aがプログラム格納エリア233aの第1の所定番地に設定される。
よって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち所定量のプログラムがプログラム格納エリア233aに格納されると、MPU231は、そのプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出して、各種処理を実行することができる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行することになる。後述するように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
ここで、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれている。一方、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムは、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに所定量だけ第2プログラム記憶エリア234a1から転送される制御プログラムの中に、その残りのブートプログラムが含まれるようにプログラミングされていると共に、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを第1の所定番地として命令ポインタ231aを設定するようにプログラミングされている。
これにより、MPU231は、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されているブートプログラムによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送した後、その転送した制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムを実行する。
この残りのブートプログラムでは、プログラム格納エリア233aに転送されていない残りの制御プログラムやその制御プログラムで用いられる固定値データ(例えば、後述する表示データテーブル、転送データテーブルなど)を全て第2プログラム記憶エリア234a1から所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送する処理を実行する。また、ブートプログラムの最後で、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233a内の第2の所定番地に設定する。具体的には、この第2の所定番地として、プログラム格納エリア233aに格納された、ブートプログラムによるブート処理(図75のS6001参照)の終了後に実行される初期設定処理(図74のS6002参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定する。
MPU231は、この残りのブートプログラムを実行することによって、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムや固定値データが全てプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bに転送される。そして、ブートプログラムがMPU231により最後まで実行されると、命令ポインタ231aが第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムの殆どを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムをワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムを読み出して各種制御を行うことができる。従って、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
また、上述したように、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
画像コントローラ237は、画像を描画し、その描画した画像を所定のタイミングで第3図柄表示装置81に表示させるデジタル信号プロセッサ(DSP)である。画像コントローラ237は、MPU231から送信される後述の描画リスト(図31参照)に基づき1フレーム分の画像を描画して、後述する第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに描画した画像を展開すると共に、他方のフレームバッファにおいて先に展開された1フレーム分の画像情報を第3図柄表示装置81へ出力することによって、第3図柄表示装置81に画像を表示させる。画像コントローラ237は、この1フレーム分の画像の描画処理と1フレーム分の画像の表示処理とを、第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)の中で並列処理する。
画像コントローラ237は、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231に対して垂直同期割込信号(以下、「V割込信号」と称す)を送信する。MPU231は、このV割込信号を検出する度に、V割込処理(図76(b)参照)を実行し、画像コントローラ237に対して、次の1フレーム分の画像の描画を指示する。この指示により、画像コントローラ237は、次の1フレーム分の画像の描画処理を実行すると共に、先に描画によって展開された画像を第3図柄表示装置81に表示させる処理を実行する。
このように、MPU231は、画像コントローラ237からのV割込信号に伴ってV割込処理を実行し、画像コントローラ237に対して描画指示を行うので、画像コントローラ237は、画像の描画処理および表示処理間隔(20ミリ秒)毎に、画像の描画指示をMPU231より受け取ることができる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
画像コントローラ237は、また、MPU231からの転送指示や、描画リストに含まれる転送データ情報に基づいて、画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236に転送する処理も実行する。
なお、画像の描画は、常駐用ビデオRAM235および通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて行われる。即ち、描画の際に必要となる画像データは、その描画が行われる前に、MPU231からの指示に基づき、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236へ転送される。
ここで、一般的にNAND型フラッシュメモリは、ROMの大容量化を容易にする一方、読み出し速度がその他のROM(マスクROMやEEPROMなど)と比して遅い。これに対し、表示制御装置114では、MPU231が、キャラクタROM234に格納されている画像データのうち一部の画像データを電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送するように、画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。そして、後述するように、常駐用ビデオRAM235に格納された画像データは、上書きされることなく常駐されるように制御される。
これにより、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データの転送が終了した後は、常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。よって、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110または表示制御装置114によって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
また、表示制御装置114は、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データを用いて画像の描画を行う場合は、その描画が行われる前に、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して描画に必要な画像データを転送するように、MPU231が画像コントローラ237に対して指示するよう構成されている。後述するように、通常用ビデオRAM236に転送された画像データは、画像の描画に用いられた後、上書きによって削除される可能性はあるものの、画像描画時には、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がなく、その読み出しにかかる時間を省略できるので、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
また、通常用ビデオRAM236にも画像データを格納することによって、全ての画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておく必要がないため、大容量の常駐用ビデオRAM235を用意する必要がない。よって、常駐用ビデオRAM235を設けたことによるコスト増大を抑えることができる。
画像コントローラ237は、NAND型フラッシュメモリ234aの1ブロック分の容量である132キロバイトのSRAMによって構成されたバッファRAM237aを有している。
MPU231が、転送指示や描画リストの転送データ情報によって画像コントローラ237に対して行う画像データの転送指示には、転送すべき画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、転送先の情報(常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236のいずれに転送するかを示す情報)、及び転送先(常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。なお、格納元最終アドレスに代えて、転送すべき画像データのデータサイズを含めてもよい。
画像コントローラ237は、この転送指示の各種情報に従って、キャラクタROM234の所定アドレスから1ブロック分のデータを読み出して一旦バッファRAM237aに格納し、常駐用ビデオRAM235または通常用ビデオRAM236の未使用時に、バッファRAM237aに格納された画像データを常駐RAM235または通常用ビデオRAM236に転送する。そして、転送指示により示された格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスに格納された画像データが全て転送されるまで、その処理を繰り返し実行する。
これにより、キャラクタROM234から時間をかけて読み出された画像データを一旦そのバッファRAM237aに格納し、その後、その画像データをバッファRAM237aから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ短時間で転送することができる。よって、キャラクタROM234から画像データが常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236へ転送される間に、常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236が、その画像データの転送で長時間占有されるのを防止することができる。従って、画像データの転送により常駐用ビデオRAM235や通常用ビデオRAM236が占有されることで、画像の描画処理にそれらのビデオRAM235,236が使用できず、結果として必要な時間までに画像の描画や、第3図柄表示装置81への表示が間に合わないことを防止することができる。
また、バッファRAM234cから常駐用ビデオRAM235又は通常用ビデオRAM236への画像データへの転送は、画像コントローラ237によって行われるので、常駐用ビデオRAM235及び通常用ビデオRAM236が画像の描画処理や第3図柄表示装置81への表示処理に未使用である期間を容易に判定することができ、処理の単純化を図ることができる。
常駐用ビデオRAM235は、キャラクタROM234より転送された画像データが、電源投入中、上書きされることがなく保持され続けるように用いられ、電源投入時主画像エリア235a、背面画像エリア235c、キャラクタ図柄エリア235e、エラーメッセージ画像エリア235fが設けられているほか、電源投入時変動画像エリア235b、第3図柄エリア235dが少なくとも設けられている。
電源投入時主画像エリア235aは、電源が投入されてから常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが格納されるまでの間に第3図柄表示装置81に表示する電源投入時主画像に対応するデータを格納する領域である。また、電源投入時変動画像エリア235bは、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示されている間に遊技者によって遊技が開始され、上第1入球口64b1、または下第1入球口64b2への入球が検出された場合に、主制御装置110において行われた抽選結果を変動演出によって表示する電源投入時変動画像に対応する画像データを格納する領域である。
MPU231は、電源部251から電源供給が開始されたときに、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237へ転送指示を送信する(図74のS6003,S6004参照)。
ここで、図26を参照して、電源投入時変動画像について説明する。図26は、表示制御装置114が電源投入直後において、常駐用ビデオRAM235に対して格納すべき画像データをキャラクタROM234から転送している間に、第3図柄表示装置81にて表示される電源投入時画像を説明する説明図である。
表示制御装置114は、電源投入直後に、キャラクタROM234から電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データを、電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bへ転送すると、続いて、常駐用ビデオRAM235に格納すべき残りの画像データを、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送する。この残りの画像データの転送が行われている間、表示制御装置114は、先に電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて、図26(a)に示す電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させる。
このとき、変動開始の指示コマンドである主制御装置110からの変動パターンコマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドを受信すると、表示制御装置114は、図26(b)に示すように、電源投入時主画像の表示画面上に、画面に向かって右下の位置に「○」図柄の電源投入時変動画像と、図26(c)に示すように、「○」図柄と同位置に「×」図柄の電源投入時変動画像とを、変動期間中、交互に繰り返して表示する。そして、主制御装置110からの変動パターンコマンドや停止種別コマンドに基づき音声ランプ制御装置113から送信される表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドから、主制御装置110にて行われた抽選の結果を判断し、「特別図柄の大当たり」である場合は図26(b)に示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させ、「特別図柄の外れ」である場合は図26(c)に示す画像を変動演出の停止後に一定期間表示させる。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に対して転送されるまで、画像コントローラ237に対し、電源投入時主画像エリア235aに格納された画像データを用いて電源投入時主画像の描画を行うよう指示する。これにより、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。また、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、常駐用ビデオRAM235への画像データの転送が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、更に、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始し、上第1入球口64b1、または下第1入球口64b2に入球が検出された場合は、電源投入時変動画像エリア235bに常駐された電源投入時変動画像に対応する画像データを用いて電源投入時変動画像が描画され、図26(b)及び(c)に示す画像が交互に第3図柄表示装置81に表示されるように、MPU231から画像コントローラ237に対して指示される。これにより、電源投入時変動画像を用いて簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示される段階で、すでに電源投入時変動演出画像に対応する画像データが電源投入時変動画像エリア235bに常駐されているので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に上第1入球口64b1、または下第1入球口64b2に入球が検出された場合は、対応する変動演出を第3図柄表示装置81に即座に表示させることができる。
図25に戻って、説明を続ける。背面画像エリア235cは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像に対応する画像データを格納する領域である。ここで、図27を参照して、背面画像と、その背面画像のうち、背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲について説明する。図27は、4種類の背面画像と、各背面画像に対して常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲を説明する説明図であり、図27(a)は、「街中ステージ」に対応する背面Aに対して、図27(b)は、「森ステージ」、「川ステージ」、および「空ステージ」に対応する背面B〜Dに対してそれぞれ示したものである。また、図28は、「島ステージ」に対応する背面Eに対して示したものである。
各背面A〜Dに対応する背面画像は、図27に示すように、いずれも第3図柄表示装置81において表示される表示領域よりも水平方向に長い画像が、キャラクタROM234に用意されている。画像コントローラ237は、その画像を水平方向に左から右へスクロールさせながら背面画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、画像の描画をおこなう。
各背面A〜Dに用意された画像(以下、「スクロール用画像」と称す。)は、いずれも位置aおよび位置cのところで背面画像が連続するように画像が構成されている。そして、位置cから位置dの間の画像および位置aから位置a’の間の画像は、表示領域の水平方向の幅分の画像によって構成されており、位置cから位置dの間にある画像が表示領域として第3図柄表示装置81に表示された後に、位置aから位置a’の間にある画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示させると、第3図柄表示装置81にスムーズなつながりで背面画像がスクロール表示されるようになっている。
背面種別選択テーブル(図示せず)に基づいて背面種別の変更が決定され、ステージが「街中ステージ」、「森ステージ」、「川ステージ」、または「空ステージ」に変更されると、MPU231は、対応する背面画像のまず位置aから位置a’の間を表示領域の初期位置として設定し、その初期位置の画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、画像コントローラ237を制御する。そして、時間の経過とともに、表示領域をスクロール用画像に対して左から右に移動させ、順次その表示領域が第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御し、更に、表示領域が位置cから位置dの間の画像に到達した場合、再び表示領域を位置aから位置a’の画像として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御する。よって、第3図柄表示装置81には、位置a〜位置cの間の画像を、左方向に向かって流れるように、スムーズなつながりで繰り返しスクロールされて表示させることができる。
一方、背面Eにおける背面画像は、図28に示すように、時間の経過とともに、図28の(a)→(b)→(c)→(a)→・・・の順で、第3図柄表示装置81に表示される。具体的には、背面Eは、島にそびえる山の画像と、山のふもとに広がる砂浜の画像と、島を囲む海の画像とが、その表示される位置が固定された状態で第3図柄表示装置81に表示される。一方、山の上に広がる空の画像は、その色調が時間経過とともに変化する。
ステージが「島ステージ」に変更されると、背面Eの初期背面画像として、図28(a)に示す背面画像が表示される。この図28(a)に示す背面画像では、朝やけを示すオレンジ色の空が表示される。そして、時間の経過とともに空の色調がオレンジ色から徐々に鮮やかな青色に変化して、所定時間経過後、図28(b)に示す背面画像が表示される。図28(b)に示す背面画像では、昼を示す鮮やかな青色の空が表示される。次に、時間の経過とともに空の色調が鮮やかな青色から徐々に黒色に変化して、所定時間経過後、図28(c)に示す背面画像が表示される。図28(c)に示す背面画像では、夜を示す黒色の空が表示される。その後、時間の経過とともに空の色調が黒色から徐々に白みはじめ更にオレンジ色に変化する。そして、所定時間経過後、図28(a)に示す背面画像に戻って、再び図28(a)〜(c)の背面画像が第3図柄表示装置81に表示される。
次いで、各背面画像において、背面画像エリア235cに格納される背面画像の範囲について説明する。初期ステージである街中ステージに対応する背面Aは、図27(a)に示すように、その背面Aの全範囲、即ち、位置aから位置dに対応する画像データが全て常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される。通常、初期ステージである「街中ステージ」を表示させたまま、ステージを変更せずに遊技が行われる場合が多いので、多頻度で表示される「街中ステージ」に対応する背面Aの画像データを全て背面画像エリア235cに常駐させておくことで、キャラクタROM234へのデータアクセス回数を減らすことができる。よって、表示制御装置114にかかる処理負荷を軽減することができる。
一方、「森ステージ」に対応する背面B、「川ステージ」に対応する背面C、および「空ステージ」に対応する背面Dは、図27(b)に示すように、その背面の一部領域、即ち、位置aから位置bの間の画像に対応する画像データだけが常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される。また、島ステージに対応する背面Eは、図28(a)を含み、図28(b)を除く図28(a)〜(b)の間の背面画像に対応する画像データが、電源投入後の立ち上げ処理の中で常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納され、常駐される。
ここで、即座に背面画像を変更するためには、全ての背面画像について全範囲の画像データを常駐用ビデオRAM235に常駐させておくことが理想的であるが、そのようにすると常駐用ビデオRAM235として非常に大きな容量のRAMを用いなければならず、コストの増大につながるおそれがある。
これに対し、本パチンコ機10では、ステージが変更された場合に最初に表示される背面画像の初期位置を、位置aから位置a’の範囲(または図28(a)〜(b)の範囲)に固定し、その初期位置を含む位置aから位置bの間の画像(または図28(a)〜(b)の間の画像)に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納しておく構成としているので、キャラクタROM234を読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、変動開始時の抽選によりステージの変更が決定された場合に、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐されている画像データを用いることによって、即座にその背面B〜Dの初期位置を第3図柄表示装置81に表示させることができ、また、時間経過とともにスクロール表示または色調を変化させながら表示させることができる。また、背面B〜Dについては、一部範囲の画像に対応する画像データだけを格納するので、常駐用ビデオRAM235の記憶容量の増大を抑制でき、コストの増大を抑えることができる。
また、背面B〜Dは、初期位置の画像が表示された後、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて位置aから位置bの範囲を左から右に向けてスクロールさせている間に、位置b’から位置dの画像に対応する画像データをキャラクタROM234から通常用RAM236へ転送完了できるように、その位置aから位置bの範囲が設定されている。これにより、位置aから位置bの範囲をスクロールさせる間に位置b’から位置dの画像データを通常用ビデオRAM236へ転送できるので、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納された画像データを用いて位置aから位置bの範囲をスクロールさせた後、遅滞なく通常用ビデオRAM236に格納された背面画像に対応する画像データを用いて、位置b’から位置dの範囲をスクロールさせて第3図柄表示装置81に表示させることができる。
同様に、背面Eは、初期位置の画像が表示された後、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて図28(a)〜(b)の画像を表示させている間に、図28(b)〜(c)および図28(c)〜(a)に対応する画像の画像データがキャラクタROM234から通常用RAM236へ転送が完了できるように、図28(a)〜(b)の範囲が設定されている。これにより、図28(a)〜(b)の画像を表示させている間に図28(b)〜(c)および図28(c)〜(a)の画像に対応する画像データを通常用ビデオRAM236へ転送できるので、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに常駐された画像データを用いて図28(a)〜(b)の画像を表示させた後、遅滞なく通常用ビデオRAM236に格納された背面画像に対応する画像データを用いて、図28(b)〜(c)および図28(c)〜(a)の画像を時間経過とともに、順次、第3図柄表示装置81に表示させることができる。
なお、背面B〜Eにおいて、通常用ビデオRAM236に格納される画像データは、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236a(図25参照)に設けられた背面画像専用のサブエリアに格納される。これにより、背面画像専用のサブエリアに格納された背面画像データが、他の画像データによって上書きされることがないので、背面画像を確実に表示させることができる。
また、背面B〜Dにおいて、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納される画像データと、通常用ビデオRAM236に格納される画像データとでは、位置b’から位置bの間の画像に対応する画像データが重複して格納される。そして、MPU231による画像コントローラ237の制御により、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納された画像データを用いて位置bまでの画像を第3図柄表示装置81に表示させ、次いで、通常用ビデオRAM236に格納された画像データを用いて位置b’からの画像を第3図柄表示装置81に表示させることで、第3図柄表示装置81にスムーズなつながりで背面画像がスクロール表示されるようになっている。
更に、MPU231は、通常用ビデオRAM236の画像データを用いて、位置cから位置dの間の画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御すると、次いで、MPU231は、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cの画像データを用いて、位置aから位置a’の間の画像を表示領域として第3図柄表示装置81に表示されるように画像コントローラ237を制御する。これにより、第3図柄表示装置81には、位置a〜位置cの間の画像が、左方向に向かって流れるように、スムーズなつながりで繰り返しスクロールされて表示させることができる。
図25に戻って、説明を続ける。第3図柄エリア235dは、第3図柄表示装置81に表示される変動演出において使用される第3図柄を常駐するためのエリアである。即ち、第3図柄エリア235dには、第3図柄である「0」から「9」の数字を付した上述の10種類の主図柄に対応する画像データが常駐される。これにより、第3図柄表示装置81にて変動演出を行う場合、逐一キャラクタROM234から画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、第3図柄表示装置81において素早く変動演出を開始することができる。よって、第1入球口64、または第2入球口640への入球が発生してから、第1図柄表示装置37では変動演出が開始されているにも関わらず、第3図柄表示装置81において変動演出が即座に開始されないような状態が発生するのを抑制することができる。
また、第3図柄エリア235dには、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄として、木箱といった後方図柄からなる主図柄や、後方図柄とかんな,風呂敷,ヘルメット等のキャラクタを模した付属図柄とからなる主図柄に対応する画像データも常駐される。これらの画像データは、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示されるデモ演出に用いられる。これにより、デモ演出が第3図柄表示装置81に表示されると、そのデモ演出において、第3図柄として数字の付されていない主図柄が表示される。よって、遊技者は、数字の付されていない主図柄を第3図柄表示装置81の表示画像から視認することによって、当該パチンコ機10がデモ状態にあることを容易に認識することができる。
キャラクタ図柄エリア235eは、第3図柄表示装置81に表示される各種演出で使用されるキャラクタ図柄に対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、「少年」や「老人」、「少女」をはじめとする様々なキャラクタが各種演出にあわせて表示されるようになっており、これらに対応するデータがキャラクタ図柄エリア235eに常駐されることにより、表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容に基づいてキャラクタ図柄を変更する場合、キャラクタROM234から対応の画像データを新たに読み出すのではなく、常駐用ビデオRAM235のキャラクタ図柄エリア235eに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて所定の画像を描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から対応の画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、キャラクタ図柄を即座に変更することができる。
エラーメッセージ画像エリア235fは、パチンコ機10内にエラーが発生した場合に表示されるエラーメッセージに対応する画像データを格納する領域である。本パチンコ機10では、例えば、遊技盤13の裏面に取り付けられた振動センサ(図示せず)の出力から、音声ランプ制御装置113によって振動を検出すると、音声ランプ制御装置113は振動エラーの発生をエラーコマンドによって表示制御装置114に通知する。また、音声ランプ制御装置113により、その他のエラーの発生が検出された場合にも、音声ランプ制御装置113は、エラーコマンドによって、そのエラーの発生をそのエラー種別と共に表示制御装置114へ通知する。表示制御装置114では、エラーコマンドを受信すると、その受信したエラーに対応するエラーメッセージを第3図柄表示装置81に表示させるように構成されている。
ここで、エラーメッセージは、遊技者の不正防止やエラーに対する遊技者の保護の観点から、エラーの発生とほぼ同時に表示されることが求められる。本パチンコ機10では、エラーメッセージ画像エリア235fに、各種エラーメッセージに対応する画像データが予め常駐されているので、表示制御装置114は、受信したエラーコマンドに基づいて、常駐用ビデオRAM235のエラーメッセージ画像エリア235fに予め常駐されている画像データを読み出すことによって、画像コントローラ237にて各エラーメッセージ画像を即座に描画できるようになっている。これにより、キャラクタROM234から逐次エラーメッセージに対応する画像データを読み出す必要がないので、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いても、エラーコマンドを受信してから対応するエラーメッセージを即座に表示させることができる。
通常用ビデオRAM236は、データが随時上書きされ更新されるように用いられるもので、画像格納エリア236a、第1フレームバッファ236b、第2フレームバッファ236cが少なくとも設けられている。
画像格納エリア236aは、第3図柄表示装置81に表示させる画像の描画に必要な画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを格納するためのエリアである。画像格納エリア236aは、複数のサブエリアに分割されており、サブエリア毎に、そのサブエリアに格納される画像データの種別が予め定められている。
MPU231は、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データのうち、その後の画像の描画で必要となる画像データを、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリアのうち、その画像データの種別を格納すべき所定のサブエリアに転送するように、画像コントローラ237に対して指示をする。これにより画像コントローラ237は、MPU231により指示された画像データをキャラクタROM234から読み出し、バッファRAM237aを介して、画像格納エリア236aの指定された所定のサブエリアにその読み出した画像データを転送する。
なお、画像データの転送指示は、MPU231が画像コントローラ237に対して画像の描画を指示する後述の描画リストの中に、転送データ情報を含めることによって行われる。これにより、MPU231は、画像の描画指示と、画像データの転送指示とを、描画リストを画像コントローラ237に送信するだけで行うことができるので、処理負荷を低減することができる。
第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cは、第3図柄表示装置81に表示すべき画像を展開するためのバッファである。画像コントローラ237は、MPU231からの指示に従って描画した1フレーム分の画像を、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれか一方のフレームバッファに書き込むことによって、そのフレームバッファに1フレーム分の画像を展開すると共に、その一方のフレームバッファに画像を展開している間、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対してその画像情報を送信することによって、第3図柄表示装置81に、その1フレーム分の画像を表示させる処理を実行する。
このように、フレームバッファとして、第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cの2つを設けることによって、画像コントローラ237は、一方のフレームバッファに描画した1フレーム分の画像を展開しながら、同時に、他方のフレームバッファから先に展開された1フレーム分の画像を読み出して、第3図柄表示装置81にその読み出した1フレーム分の画像を表示させることができる。
そして、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、第3図柄表示装置81に画像を表示させるために1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとは、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に、MPU231によって、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかが交互に入れ替えて指定される。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
ワークRAM233は、キャラクタROM234に記憶された制御プログラムや固定値データを格納したり、MPU231による各種制御プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリであり、DRAMによって構成される。このワークRAM233は、プログラム格納エリア233a、データテーブル格納エリア233b、簡易画像表示フラグ233c、表示データテーブルバッファ233d、転送データテーブルバッファ233e、ポインタ233f、描画リストエリア233g、計時カウンタ233h、格納画像データ判別フラグ233i、描画対象バッファフラグ233j、背面画像変更フラグ233w、背面画像判別フラグ233x、デモ表示フラグ233y、確定表示フラグ233zを少なくとも有している。
プログラム格納エリア233aは、MPU231によって実行される制御プログラムを格納するためのエリアである。MPU231は、システムリセットが解除されると、キャラクタROM234から制御プログラムを読み出してワークRAM233へ転送し、このプログラム格納エリア233aに格納する。そして、全ての制御プログラムをプログラム格納エリア233aに格納すると、以後、MPU231はプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを用いて各種制御を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
データテーブル格納エリア233bは、主制御装置110からのコマンドに基づき表示させる一の演出に対し、時間経過に伴い第3図柄表示装置81に表示すべき表示内容を記載した表示データテーブルと、表示データテーブルにより表示される一の演出において使用される画像データのうち常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データの転送データ情報ならびに転送タイミングを規定した転送データテーブルとが格納される領域である。
これらのデータテーブルは、通常、キャラクタROM234のNAND型フラッシュメモリ234aに設けられた第2プログラム記憶エリア234a1に固定値データの一種として記憶されており、システムリセット解除後にMPU231によって実行されるブートプログラムに従って、これらのデータテーブルがキャラクタROM234からワークRAM233へ転送され、このデータテーブル格納エリア233bに格納される。そして、全てのデータテーブルがデータテーブル格納エリア233bに格納されると、以後、MPU231は、データテーブル格納エリア233bに格納されたデータテーブルを用いて第3図柄表示装置81の表示を制御する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、各種データテーブルを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、第3図柄表示装置81を用いて、多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
ここで、各種データテーブルの詳細について説明する。まず、表示データテーブルは、主制御装置110からのコマンドに基づいて第3図柄表示装置81に表示される各演出の演出態様毎に1つずつ用意されるもので、例えば、変動演出、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出、デモ演出に対応する表示データテーブルが用意されている。
変動演出は、音声ランプ制御装置113からの表示用変動パターンコマンドを受信した場合に、第3図柄表示装置81おいて開始される演出である。なお、表示用変動パターンコマンドが受信される場合には、変動演出の停止種別を示す表示用停止種別コマンドも受信される。例えば、変動演出が開始された場合に、その変動演出の停止種別が外れであれば、外れを示す停止図柄が最終的に停止表示される一方、その変動演出の停止種別が大当たりA、大当たりBのいずれかであれば、それぞれの大当たり示す停止図柄が最終的に停止表示される。遊技者は、この変動演出における停止図柄を視認することで大当たり種別を認識でき、大当たり種別に応じて付与される遊技価値を容易に判断することができる。
オープニング演出は、これからパチンコ機10が特別遊技状態へ移行して、通常時には閉鎖されている大開放口が繰り返し開放されることを遊技者に報知するための演出であり、ラウンド演出は、これから開始されるラウンド数を遊技者に報知するための演出である。エンディング演出は、特別遊技状態の終了を遊技者に報知するための演出である。
なお、デモ演出は、上述したように、一の変動演出が停止してから所定時間経過しても、始動入賞に伴う次の変動演出が開始されない場合に、第3図柄表示装置81に表示される演出であり、「0」から「9」の数字が付されていない主図柄からなる第3図柄が停止表示されると共に、背面画像のみが変化する。第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されていれば、遊技者やホール関係者が、当該パチンコ機10において遊技が行われていないことを認識することができる。
データテーブル格納エリア233bには、オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出およびデモ演出に対応する表示データテーブルをそれぞれ1つずつ格納する。また、変動演出用の表示データテーブルである変動表示データテーブルは、設定される変動演出パターンが32パターンあれば、1変動演出パターンに1テーブル、合計で32テーブルが用意される。
ここで、図29を参照して、表示データテーブルの詳細について説明する。図29は、表示データテーブルのうち、変動表示データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。表示データテーブルは、第3図柄表示装置81において1フレーム分の画像が表示される時間(本実施形態では、20ミリ秒)を1単位として表したアドレスに対応させて、その時間に表示すべき1フレーム分の画像の内容(描画内容)を詳細に規定したものである。
描画内容には、1フレーム分の画像を構成する表示物であるスプライト毎に、そのスプライトの種別を規定すると共に、そのスプライトの種別に応じて、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報といった、スプライトを第3図柄表示装置81に描画させるための描画情報が規定されている。
スプライトの種別は、表示すべきスプライトを特定するための情報である。表示位置座標は、そのスプライトを表示すべき第3図柄表示装置81上の座標を特定するための情報である。拡大率は、そのスプライトに対して予め設定された標準的な表示サイズに対する拡大率を指定するための情報で、その拡大率に従って表示されるスプライトの大きさが特定される。なお、拡大率が100%より大きい場合は、そのスプライトが標準的な大きさよりも拡大されて表示され、拡大率が100%未満の場合は、そのスプライトが標準的な大きさもよりも縮小されて表示される。
回転角度は、スプライトを回転させて表示させる場合の回転角度を特定するための情報である。半透明値は、スプライト全体の透明度を特定するためのものであり、半透明値が高いほど、スプライトの背面側に表示される画像が透けて見えるように画像が表示される。αブレンディング情報は、他のスプライトとの重ね合わせ処理を行う場合に用いられる既知のαブレンディング係数を特定するための情報である。色情報は、表示すべきスプライトの色調を指定するための情報である。そして、フィルタ指定情報は、指定されたスプライトを描画する場合に、そのスプライトに対して施すべき画像フィルタを指定するための情報である。
変動表示データテーブルでは、各アドレスに対応して規定される1フレーム分の描画内容として、1つの背面画像、9個の第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、その画像において光の差し込みなどを表現するエフェクト、少年画像や文字などの各種演出に用いられるキャラクタといった各スプライトに対する描画情報が、アドレス毎に規定されている。なお、エフェクトやキャラクタに関する情報は、そのフレームに表示すべき内容に合わせて、1つ又は複数規定される。
ここで、背面画像は、表示位置は第3図柄表示装置81の画面全体に固定され、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報は、時間経過に対して一定とされるので、変動表示データテーブルでは、背面画像の種別を特定するための情報である背面種別のみが規定されている。この背面種別は、遊技者によって選択されているステージ(「街中ステージ」、「森ステージ」、「川ステージ」、「空ステージ」、「島ステージ」のいずれか)に対応する背面A〜Eのいずれかを表示させるか、背面A〜Eとは異なる背面画像を表示させるかを特定する情報が記載されている。また、背面種別は、背面A〜Eとは異なる背面画像を表示させることを特定する場合、どの背面画像を表示させるかを特定する情報も合わせて記載されている。
MPU231は、この背面種別によって、背面A〜Eのいずれかを表示させることが特定される場合は、背面A〜Eのうち抽選により決定されたステージに対応する背面画像を描画対象として特定し、また、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定する。一方、背面A〜Eとは異なる背面画像を表示させることが特定される場合は、背面種別から表示させるべき背面画像を特定する。
なお、本実施形態では、表示データテーブルにおいて、背面画像の描画内容として背面種別のみを規定する場合について説明するが、これに代えて、背面種別と、その背面種別に対応する背面画像のどの範囲を表示すべきかを示す位置情報とを規定するようにしてもよい。この位置情報は、例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、位置情報により示される初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間に基づいて特定する。
また、位置情報は、この表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であってもよい。この場合、MPU231は、そのフレームに対して表示すべき背面画像の範囲を、表示用データベースに基づき画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始された段階で表示されていた背面画像の位置と、位置情報により示される該画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間とに基づいて特定する。
更に、位置情報は、背面種別に応じて、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報および表示データテーブルに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報のいずれかを示すものであってもよいし、背面種別および位置情報とともに、その位置情報の種別情報(例えば、初期位置に対応する範囲の背面画像が表示されてからの経過時間を示す情報であるか、表示用データベースに基づく画像の描画(もしくは、第3図柄表示装置81の表示)が開始されてからの経過時間を示す情報であるかを示す情報)を、背面画像の描画内容として規定してもよい。その他、位置情報は、経過時間を示す情報ではなく、表示すべき背面画像の範囲が格納されたアドレスを示す情報であってもよい。
第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)は、表示すべき第3図柄を特定するための図柄種別情報として、図柄種別オフセット情報が記載されている。このオフセット情報は、各第3図柄に付された数字の差分を表す情報である。第3図柄の種別を直接特定するのではなく、オフセット情報を特定するのは、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄および今回行われる変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動が開始されてから所定時間経過するまでの図柄オフセット情報では、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、変動が開始されてから所定時間経過後は、音声ランプ制御装置113を介して主制御装置110より受信した停止種別コマンド(表示用停止種別コマンド)に応じて設定される停止図柄からのオフセット情報を記載する。これにより、変動演出を、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄で停止させることができる。
なお、各第3図柄には固有の数字が付されているので、1つ前の変動演出における変動図柄や、主制御装置110より指定された停止種別に応じた停止図柄を、その第3図柄に付された数字で管理し、また、オフセット情報を、各第3図柄に付された数字の差分で表すことにより、そのオフセット情報から容易に表示すべき第3図柄を特定することができる。
また、図柄オフセット情報において、1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えられる所定時間は、第3図柄が高速に変動表示されている時間となるように設定されている。第3図柄が高速に変動表示されている間は、その第3図柄が遊技者に視認不能な状態であるので、その間に、図柄オフセット情報を1つ前に行われた変動演出の停止図柄のオフセット情報から今回行われている変動演出の停止図柄のオフセット情報に切り替えることによって、第3図柄の数字の連続性が途切れても、その数字の連続性の途切れを遊技者に認識させないようにすることができる。
表示データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、表示データテーブルの最終アドレス(図30の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その表示データテーブルで規定すべき演出態様に対応させた描画内容が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定し、その選定した表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに格納すると共に、ポインタ233fを初期化する。そして、1フレーム分の描画処理が完了する度にポインタ233fを1加算し、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容に基づき、次に描画すべき画像内容を特定して後述する描画リスト(図31参照)を作成する。この描画リストを画像コントローラ237に送信することで、その画像の描画指示を行う。これにより、ポインタ233fの更新に従って、表示データテーブルで規定された順に描画内容が特定されるので、その表示データテーブルで規定された通りの画像が第3図柄表示装置81に表示される。
このように、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、MPU231により実行すべきプログラムを変更するのではなく、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができる。
ここで、従来のパチンコ機のように、第3図柄表示装置81に表示させる演出画像を変更する度にMPU231で実行されるプログラムを起動するように構成した場合、演出画像の多種多様化に伴って複雑かつ膨大化するプログラムの起動や実行の処理に多大な負荷がかかるため、表示制御装置114における処理能力が制限となって、制御可能な演出画像の多様化に限界が生じてしまうおそれがあった。これに対し、本パチンコ機10では、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに適宜置き換えるという単純な操作だけで、第3図柄表示装置81に表示すべき演出画像を変更することができるので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種多様な演出画像を第3図柄表示装置81に表示させることができる。
また、このように各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成することができるのは、パチンコ機10では、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づいて、予め第3図柄表示装置81に表示させる演出が決定されるためである。これに対し、パチンコ機といった遊技機を除くゲーム機などでは、ユーザの操作に基づいてその場その場で表示内容が変わるため、表示内容を予測することができず、よって、上述したような各演出態様に対応する表示データテーブルを持たせることはできない。このように、各演出態様に対応して表示データテーブルを用意し、表示すべき演出態様に応じた表示データテーブルバッファを設定して、その設定されたデータテーブルに従い、1フレームずつ描画リストを作成する構成は、パチンコ機10が、始動入賞に基づいて行われる抽選の結果に基づき予め第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を決定する構成であることに基づいて初めて実現できるものである。
次いで、図30を参照して、転送データテーブルの詳細について説明する。図30は、転送データテーブルの一例を模式的に示した模式図である。転送データテーブルは、演出毎に用意された表示データテーブルに対応して用意されるもので、上述したように、表示データテーブルで規定されている演出において使用されるスプライトの画像データのうち、常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送するための転送データ情報ならびにその転送タイミングが規定されている。
なお、表示データテーブルに規定された演出において使用されるスプライトの画像データが、全て常駐用ビデオRAM235に格納されていれば、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルは用意されていない。これにより、データテーブル格納エリア233bの容量増大を抑制することができる。
転送データテーブルは、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべきスプライトの画像データ(以下、「転送対象画像データ」と称す)の転送データ情報が記載されている(図30のアドレス「0001H」及び「0097H」が該当)。ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、その転送対象画像データの転送開始タイミングが設定されており、転送データテーブルでは、その転送開始タイミングに対応するアドレスに対応させて、転送対象画像データの転送データ情報が規定される。
一方、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスで示される時間に、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しない場合は、そのアドレスに対応して転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータが規定される(図30のアドレス「0002H」が該当)。
転送データ情報としては、その転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスが含まれる。
なお、転送データテーブルの先頭アドレスである「0000H」には、表示データテーブルと同様に、データテーブルの開始を示す「Start」情報が記載され、転送データテーブルの最終アドレス(図30の例では、「02F0H」)には、データテーブルの終了を示す「End」情報が記載されている。そして、「Start」情報が記載されたアドレス「0000H」と「End」情報が記載されたアドレスとの間の各アドレスに対して、その転送データテーブルで規定すべき転送対象画像データの転送データ情報が記載されている。
MPU231は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、使用する表示データテーブルを選定すると、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが存在する場合は、その転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、後述するワークRAM233の転送データテーブルバッファ233eに格納する。そして、ポインタ233fの更新毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図31参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
例えば、図30の例では、ポインタ233fが「0001H」や「0097H」となった場合に、MPU231は、転送データテーブルの当該アドレスに規定された転送データ情報を、表示データテーブルに基づいて作成した描画リストに追加して、その追加後の描画リストを画像コントローラ237へ送信する。一方、ポインタ233fが「0002H」である場合、転送データテーブルのアドレス「0002H」には、Nullデータが規定されているので、転送を開始すべき転送対象画像データが存在しないと判断し、生成した描画リストに転送データ情報を追加せずに、描画リストを画像コントローラ237へ送信する。
そして、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。
ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。そして、その画像格納エリア236aに格納された画像データを用いて、表示データテーブルに基づき、所定のスプライトの描画を行うことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、本パチンコ機10では、表示制御装置114において、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定されるので、その表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
また、転送データテーブルは、表示データテーブルと同様のデータ構造を有し、表示データテーブルにおいて規定されるアドレスに対応させて、そのアドレスで示される時間に転送を開始すべき転送対象画像データの転送データ情報が規定されているので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルに基づいて所定のスプライトの画像データが用いられる前に、確実にその画像データが通常用ビデオRAM236へ格納されるように、転送開始のタイミングを指示することができるので、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、多種多様な演出画像を容易に第3図柄表示装置81に表示させることができる。
簡易画像表示フラグ233cは、第3図柄表示装置81に、図26(a)〜(c)に示す電源投入時画像(電源投入時主画像および電源投入時変動画像)を表示するか否かを示すフラグである。この簡易画像表示フラグ233cは、電源投入時主画像および電源投入時変動画像に対応する画像データが常駐用ビデオRAMの電源投入時主画像エリア235a又は電源投入時変動画像エリア235bに転送された後に、MPU231により実行されるメイン処理(図74参照)の中でオンに設定される(図74のS6005参照)。そして、画像転送処理の常駐画像転送処理によって、全ての常駐対象画像データが常駐用ビデオRAM235に格納された段階で、第3図柄表示装置81に電源投入時画像以外の画像を表示させるために、オフに設定される(図86(b)のS7605参照)。
この簡易画像表示フラグ233cは、画像コントローラ237から送信されるV割込信号を検出する毎にMPU231によって実行されるV割込処理の中で参照され(図76(b)のS6301参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、電源投入時画像が第3図柄表示装置81に表示されるように、簡易コマンド判定処理(図76(b)のS6308参照)および簡易表示設定処理(図76(b)のS6309参照)が実行される。一方、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに応じて、種々の画像が表示されるように、コマンド判定処理(図77〜図82参照)および表示設定処理(図83〜図85参照)が実行される。
また、簡易画像表示フラグ233cは、V割込処理の中でMPU231により実行される転送設定処理の中で参照され(図86(a)のS7501参照)、簡易画像表示フラグ233cがオンである場合は、常駐用ビデオRAM235に格納されていない常駐対象画像データが存在するため、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送する常駐画像転送設定処理(図86(b)参照)を実行し、簡易画像表示フラグ233cがオフである場合は、描画処理に必要な画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する通常画像転送設定処理(図87参照)を実行する。
表示データテーブルバッファ233dは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて第3図柄表示装置81に表示させる演出態様に対応する表示データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、その音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に基づいて、第3図柄表示装置81に表示させる演出態様を判断し、その演出態様に対応する表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに格納する。そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図31参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が表示される。
MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された描画内容に基づき、1フレーム毎に画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図31参照)を生成する。これにより、第3図柄表示装置81には、表示データテーブルに対応する演出が表示される。
転送データテーブルバッファ233eは、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド等に応じて、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを格納するためのバッファである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから選定して、その選定された転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに格納する。なお、表示データテーブルバッファ233dに格納される表示データテーブルにおいて用いられるスプライトの画像データが全て常駐用ビデオRAM235に格納されている場合は、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが用意されていないので、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに転送対象画像データが存在しないことを意味するNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする。
そして、MPU231は、ポインタ233fを1ずつ加算しながら、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいてそのポインタ233fで示されるアドレスに規定された転送対象画像データの転送データ情報が規定されていれば(即ち、Nullデータが記載されていなければ)、1フレーム毎に生成される画像コントローラ237に対する画像描画の指示内容を記載した後述の描画リスト(図31参照)に、その転送データ情報を追加する。
これにより、画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに転送データ情報が記載されていた場合、その転送データ情報に従って、転送対象画像データを、キャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定のサブエリアに転送する処理を実行する。ここで、上述したように、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されている。よって、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ポインタ233fは、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するためのものである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに表示データテーブルが格納されるのに合わせて、ポインタ233fを一旦0に初期化する。そして、画像コントローラ237から1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒ごとに送信されるV割込信号に基づいてMPU231により実行されるV割込処理の表示設定処理(図76(b)のS6303参照)の中で、ポインタ更新処理(図85のS7205参照)が実行され、ポインタ233fの値が1ずつ加算される。
MPU231は、このようなポインタ233fの更新が行われる毎に、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルから、ポインタ233fが示すアドレスに規定された描画内容を特定して、後述する描画リスト(図31参照)を作成すると共に、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルから、その時点において転送を開始すべき所定のスプライトの画像データの転送データ情報を取得して、その転送データ情報を作成した描画リストに追加する。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルに対応する演出が第3図柄表示装置81に表示される。よって、表示データテーブルバッファ233dに格納する表示データテーブルを変更するだけで、容易に第3図柄表示装置81に表示させる演出を変更することができる。従って、表示制御装置114の処理能力に関わらず、多種多様な演出を表示させることができる。
また、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルが格納されている場合は、その転送データテーブルに基づいて、対応する表示データテーブルによって所定のスプライトの描画が開始されるまでに、そのスプライトの描画で用いられる常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
描画リストエリア233gは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブル、及び、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルに基づいて生成される、1フレーム分の画像の描画を画像コントローラ237に指示する描画リストを格納するためのエリアである。
ここで、図31を参照して、描画リストの詳細について説明する。図31は、描画リストの内容を模式的に示した模式図である。描画リストは、画像コントローラ237に対して、1フレーム分の画像の描画を指示する指示表であり、図31に示すように、1フレームの画像で使用する背面画像、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)といったスプライト毎に、そのスプライトの詳細な描画情報(詳細情報)を記述したものである。また、描画リストには、画像コントローラ237に対して所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送させるための転送データ情報もあわせて記述される。
各スプライトの詳細な描画情報(詳細情報)には、対応するスプライト(表示物)の画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)を示す情報と、そのアドレスとが記述されており、画像コントローラ237は、そのRAM種別およびアドレスによって指定されるメモリ領域から、当該スプライトの画像データを取得する。また、その詳細な描画情報(詳細情報)には、表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報が含まれており、画像コントローラ237は、各種ビデオRAMより読み出した当該スプライトの画像データにより生成される標準的な画像に対し、拡大率に応じて拡大縮小処理を施し、回転角度に応じて回転処理を施し、半透明値に応じて半透明化処理を施し、αブレンディング情報に応じて他のスプライトとの合成処理を施し、色情報に応じて色調補正処理を施し、フィルタ指定情報に応じてその情報により指定された方法でフィルタリング処理を施した上で、表示位置座標に示される表示位置に各種処理を施して得られた画像を描画する。そして、描画した画像は、画像コントローラ237によって、描画対象バッファフラグ233jで指定される第1フレームバッファ236b又は第2フレームバッファ236cのいずれかに展開される。
MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに規定された描画内容と、その他の描画すべき画像の内容(例えば、保留球数図柄を表示する保留画像や、エラーの発生を通知する警告画像など)とに基づき、1フレーム分の画像の描画に用いられる全スプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を生成すると共に、その詳細情報をスプライト毎に並び替えることによって描画リストを作成する。
ここで、各スプライトの詳細情報のうち、スプライト(表示物)のデータの格納RAM種別とアドレスとは、表示データテーブルに規定されるスプライト種別や、その他の画像の内容から特定されるスプライト種別に応じて生成される。即ち、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
また、MPU231は、各スプライトの詳細情報のうち、その他の情報(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報およびフィルタ指定情報)について、表示データテーブルに規定されるそれらの情報をそのままコピーする。
また、MPU231は、描画リストを生成するにあたり、1フレーム分の画像の中で、最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えて、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)を記述する。即ち、描画リストでは、最初に背面画像に対応する詳細情報が記述され、次いで、第3図柄(図柄1,図柄2,・・・)、エフェクト(エフェクト1,エフェクト2,・・・)、キャラクタ(キャラクタ1,キャラクタ2,・・・,保留球数図柄1,保留球数図柄2,・・・,エラー図柄)の順に、それぞれのスプライトに対応する詳細情報が記述される。
画像コントローラ237では、描画リストに記述された順番に従って、各スプライトの描画処理を実行し、フレームバッファにその描画されたスプライトを上書きによって展開していく。従って、描画リストによって生成した1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができるのである。
また、MPU231は、転送データテーブルバッファ233eに格納された転送データテーブルにおいて、ポインタ233fによって示されるアドレスに転送データ情報が記載されている場合、その転送データ情報(転送対象画像データが格納されたキャラクタROM234における格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスと、その転送対象画像データを格納すべき画像格納エリア236aに設けられたサブエリアの格納先先頭アドレス)を、描画リストの最後に追加する。画像コントローラ237は、描画リストにこの転送データ情報が含まれていれば、その転送データ情報に基づいて、キャラクタROM234の所定の領域(格納元先頭アドレスおよび格納元最終アドレスによって示される領域)から画像データを読み出して、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられた所定のサブエリア(格納先アドレス)に、転送対象となる画像データを転送する。
計時カウンタ233hは、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより第3図柄表示装置81にて表示される演出の演出時間をカウントするカウンタである。MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに一の表示データテーブルを格納するのに合わせて、その表示データテーブルに基づいて表示される演出の演出時間を示す時間データを設定する。この時間データは、演出時間を第3図柄表示装置81における1フレーム分の画像表示時間(本実施形態では、20ミリ秒)で割った値である。
そして、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図76(b)参照)の表示設定処理が実行される度に、計時カウンタ233hが1ずつ減算される(図83のS7207参照)。その結果、計時カウンタ233hの値が0以下となった場合、MPU231は、表示データテーブルバッファ233dに格納された表示データテーブルにより表示される演出が終了したことを判断し、演出終了に合わせて行うべき種々の処理を実行する。
格納画像データ判別フラグ233iは、対応する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されない全てのスプライトに対して、それぞれ、そのスプライトに対応する画像データが通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを表す格納状態を示すフラグである。
この格納画像データ判別フラグ233iは、電源投入時にメイン処理の中でMPU231により実行される初期設定処理(図75のS6002参照)によって生成される。ここで生成される格納画像データ判別フラグ233iは、全てのスプライトに対する格納状態が、画像格納エリア236aに格納されていないことを示す「オフ」に設定される。
そして、格納画像データ判別フラグ233iの更新は、MPU231により実行される通常画像転送設定処理(図87参照)の中で、一のスプライトに対応する転送対象画像データの転送指示を設定した場合に行われる。この更新では、転送指示が設定された一のスプライトに対応する格納状態を、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていることを示す「オン」に設定する。また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトの画像データは、一のスプライトの画像データが格納されることによって必ず未格納状態となるので、その他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定する。
また、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に画像データが常駐されていないスプライトの画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送する際に、格納画像データ判別フラグ233iを参照し、転送対象のスプライトの画像データが、既に通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに格納されているか否かを判断する(図87のS7713参照)。そして、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オフ」であり、対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されていなければ、その画像データの転送指示を設定し(図87のS7714参照)、画像コントローラ237に対して、その画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aの所定サブエリアに転送させる。一方、転送対象のスプライトに対応する格納状態が「オン」であれば、既に対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されているので、その画像データの転送処理を中止する。これにより、無駄にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
描画対象バッファフラグ233jは、2つのフレームバッファ(第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236c)の中から、画像コントローラ237によって描画された画像を展開するフレームバッファ(以下、「描画対象バッファ」と称す)を指定するためのフラグで、描画対象バッファフラグ233jが0である場合は描画対象バッファとして第1フレームバッファ236bを指定し、1である場合は第2フレームバッファ236cを指定する。そして、この指定された描画対象バッファの情報は、描画リストと共に画像コントローラ237に送信される(図88のS7802参照)。
これにより、画像コントローラ237は、描画リストに基づいて描画した画像を、指定された描画対象バッファ上に展開する描画処理を実行する。また、画像コントローラ237は、描画処理と同時並列的に、描画対象バッファとは異なるフレームバッファから先に展開済みの描画画像情報を読み出し、駆動信号と共に第3図柄表示装置81に対して、その画像情報を転送することで、第3図柄表示装置81に画像を表示させる表示処理を実行する。
描画対象バッファフラグ233jは、描画対象バッファ情報が描画リストと共に画像コントローラ237に対して送信されるのに合わせて、更新される。この更新は、描画対象バッファフラグ233jの値を反転させることにより、即ち、その値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。また、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理の描画処理(図76(b)のS6306参照)が実行される度に行われる。
即ち、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。これにより、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。これにより、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に入れ替えて指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。
背面画像変更フラグ233wは、第3図柄表示装置81に表示される背面画像の種別を変更するか否かを判別するためのフラグである。この背面画像変更フラグ233wがオンであれば、背面画像の種別を変更することを意味し、オフであれば変更を行わないことを意味する。背面画像変更フラグ233wは、音声ランプ制御装置113から送信される背面画像変更コマンドを受信した場合にオンに設定される(図82(a)のS7001参照)。また、この背面画像変更フラグ233wは、通常画像転送設定処理において参照され(図87のS7709参照)、背面画像の変更処理が実行される際にオフに設定される(図87のS7710参照)。これにより、音声ランプ制御装置113から受信した背面画像変更コマンドや演出モード変更コマンドに対応した背面画像を表示することができる。
背面画像判別フラグ233xは、設定されている背面画像種別を示すフラグである。このフラグは、例えば1バイトで構成されており、各ビットに対して各背面種別が対応付けられている。この背面画像判別フラグ233xのうち、いずれかのビットがオンであれば、そのオンのビットに対応する背面種別が現在の背面種別として設定されていることを意味する。例えば、背面画像判別フラグ233xの0ビット目がオンであれば、背面Aが設定されていることを意味する。この背面画像判別フラグ233xは、音声ランプ制御装置113から送信される背面画像変更コマンドを受信した場合に、そのコマンドにより通知された背面画像に対応するビットがオンに設定される(図82(a)のS7002参照)。この際、他のビットは全てオフに設定される。この背面画像判別フラグ233xにより、容易に現在設定されている背面種別を特定することができる。
デモ表示フラグ233yは、デモ演出中であるか否かを示すフラグである。このデモ表示フラグ233yがオンであればデモ演出中であることを意味し、オフであればデモ演出中でないことを意味する。このデモ表示フラグ233yは、表示設定処理(図83参照)において、デモ用表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定した場合にオンに設定され(図83のS7221参照)、デモ用表示データテーブル以外の他の表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに対して設定された場合にオフに設定される(図78(a)のS6505、図79(a)のS6705、図79(b)のS6805、図80のS6905参照)。このデモ表示フラグ233yにより、現在がデモ演出中であるか否かを容易に判別することができる。
確定表示フラグ233zは、確定表示演出の実行中であるか否かを示すフラグである。ここで、確定表示演出とは、変動パターン後に停止図柄を所定期間(例えば、1秒)停止表示(確定表示)する演出を示す。この確定表示フラグ233zがオンであれば、確定表示演出中であることを意味し、オフであれば、確定表示演出中でないことを意味する。確定表示フラグ233zは、表示設定処理(図83参照)の中で、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定した場合にオンに設定され(図83のS7214)、確定表示データテーブル以外の他の表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに対して設定された場合にオフに設定される(図787(a)のS6505、図79(a)のS6705、図79(b)のS6805、図80のS6905参照)。この確定表示フラグ233zにより、現在が確定表示演出中であるか否かを容易に判別することができる。
<第1実施形態における主制御装置により実行される制御処理について>
次に、図32から図60のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU201の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理と、定期的に(本実施形態では2m秒間隔で)起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電信号SG1の入力により起動されるNMI割込処理とがあり、説明の便宜上、はじめにタイマ割込処理とNMI割込処理とを説明し、その後、立ち上げ処理とメイン処理とを説明する。
図32は、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理を示すフローチャートである。タイマ割込処理は、例えば2ミリ秒毎に実行される定期処理である。タイマ割込処理では、まず各種入賞スイッチの読み込み処理を実行する(S101)。即ち、主制御装置110に接続されている各種スイッチの状態を読み込むと共に、当該スイッチの状態を判定して検出情報(入賞検知情報)を保存する。
次に、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を実行する(S102)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では479)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。同様に、第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では232)に達した際、0にクリアし、その第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値をRAM203の該当するバッファ領域に格納する。
更に、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、第2当たり乱数カウンタC4、小当たり種別カウンタC5の更新を実行する(S103)。具体的には、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、停止種別選択カウンタC3、第2当たり乱数カウンタC4及び小当たり種別カウンタC5をそれぞれ1加算すると共に、それらのカウンタ値が最大値(本実施形態ではそれぞれ、479,99,239,232,99)に達した際、それぞれ0にクリアする。そして、各カウンタC1〜C4の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
次に、第1図柄表示装置37a,37bにおいて表示を行うための処理であると共に、第3図柄表示装置81による第3図柄の変動パターンなどを設定する特別図柄変動処理を実行する(S104)。その後、第1入球口64への球の入球(始動入賞)や第2入球口640への球の入球(始動入賞)に伴う始動入賞処理を実行する(S105)。尚、特別図柄変動処理、始動入賞処理の詳細は、図33〜図49を参照して後述する。
始動入賞処理を実行した後は、第2図柄表示装置において表示を行うための処理である普通図柄変動処理を実行し(S106)、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過に伴うスルーゲート通過処理を実行する(S107)。尚、普通図柄変動処理、及び、スルーゲート通過処理の詳細は、図50および図51を参照して後述する。スルーゲート通過処理を実行した後は、次いで、発射制御処理を実行し(S108)、更に、定期的に実行すべきその他の処理を実行して(S109)、タイマ割込処理を終了する。なお、発射制御処理は、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、且つ、発射を停止させるための発射停止スイッチ51bが操作されていないことを条件に、球の発射のオン/オフを決定する処理である。主制御装置110は、球の発射がオンである場合に、発射制御装置112に対して球の発射指示をする。
次に、図33を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理の一処理である特別図柄変動処理(S104)を説明する。図33は、この特別図柄変動処理(S104)を示すフローチャートである。特別図柄変動処理(図33、S104)は、第1特別図柄と第2特別図柄とを、取得した各カウンタ値に基づいて、各種判定(当否判定)や決定を行い、所定の制御によりその決定された変動表示態様で、第1図柄表示装置37に変動表示を可能に制御したり、第3図柄表示装置81にて第3図柄、第4図柄の変動表示演出を実行させるための各種コマンドを設定したり、判定結果(当否判定結果)を示す表示態様で停止表示させるための制御が実行される。以下、特別図柄変動処理(図33、S104)について説明する。
特別図柄変動処理(図33、S104)では、まず、大当たり遊技中(大当たり中)、或いは小当たり遊技中(小当たり中)であるかを判別する(S201)。ここでは、遊技状態格納エリア203mに記憶されている情報に基づいて現在が大当たり遊技中(大当たり中)、或いは小当たり遊技中(小当たり中)であるかが判別される。
S201の処理において、大当たり中又は小当たり中であると判別した場合には(S201:Yes)、次に、特図1仮停止フラグ203yがオンに設定されているかを判別し(S202)、オンに設定されていると判別した場合は(S202:Yes)、仮停止されている特図(本実施形態では第1特別図柄(特図1))に対応する第1図柄表示装置83の表示を更新し(S203)、本処理を終了する。一方、S202の処理において、特図1仮停止フラグ203yがオンに設定されていないと判別した場合は(S202:No)、そのまま本処理を終了する。
ここで、特図1仮停止フラグ203yは、第2特別図柄が小当たり当選を示す表示態様で停止表示(確定表示)される場合にオンに設定されるものである。本実施形態では、小当たり遊技が実行されている間は、特別図柄の抽選結果を示すための変動表示(特図変動表示)に設定されている変動時間が更新(減算)されないように構成しており、その期間は、第1図柄表示装置83にて第1特別図柄の変動表示が仮停止されていることを示すための仮停止表示態様が表示されるように構成している。
このように構成することで、遊技者に対して、小当たり遊技の開始に伴って実行中であった第1特別図柄の変動表示が仮停止していることを報知することができるため、実行中の第1特別図柄変動が消滅してしまったと遊技者に不信感を与えてしまうことを抑制することができる。なお、第1特別図柄の変動表示が仮停止中であることを示すための表示態様としては、例えば、通常の変動表示中であることを示すための表示態様(例えば、0.2秒間隔で点灯、消灯を繰り返す点滅表示態様)と同一の表示態様でも良いし、変動表示中であることを示すための表示態様よりも点滅間隔が遅い表示態様(例えば、0.5秒間隔で点灯、消灯を繰り替える点滅表示態様)を用いても良い。さらに、第1図柄表示装置83の表示態様として複数色の表示態様を表示可能に構成している場合は、仮停止中である場合にのみ表示され得る専用色を用いた点滅表示態様を用いても良い。
一方、S201の処理において、現在が大当たり中、或いは小当たり中では無いと判別した場合には(S201:No)、特図1変動時間カウンタ203a2の値が0よりも大きいか、即ち、第1特別図柄が変動表示中であるかを判別する(S204)。第1特別図柄の変動表示中である(特図1変動時間カウンタ203a2の値が0よりも大きい)と判別した場合には(S204:Yes)、第1特別図柄変動実行中処理を実行する(S205)。
この第1特別図柄変動実行中処理(S205)では、第1特別図柄が変動している期間中に第1図柄表示装置83に表示されている特別図柄の変動表示態様を可変(更新)するための処理が実行される。そして、S205の処理を終えると、次に、第1特別図柄変動実行中処理(S205)にて更新された第1変動時間カウンタ203a2の値が0であるかを判別し(S206)、S206の処理にて特図1変動時間カウンタ203a2が0であると判別した場合は(S206:Yes)、第1特別図柄変動停止処理を実行し(S207)、後述するS209の処理へ移行する。
第1特別図柄変動停止処理(S207)では、変動表示中の第1特別図柄に規定されている変動時間が経過した場合に、第1特別図柄の抽選結果を示す図柄で変動表示を停止する処理が実行される。また、第1特別図柄変動停止処理(S207)では、第1特別図柄の抽選結果が大当たりである場合に、実行中の第2特別図柄を、強制的に外れを示す表示態様で停止表示させる処理が実行される。さらに、実行中の第2特別図柄が大当たりに当選している場合にはその大当たりに関する情報を消去するための処理が実行される。この第1特別図柄変動停止処理(S207)の詳細については、図38を参照して後述する。また、S206の処理にて特図1変動時間カウンタ203a2が0では無いと判別した場合は(S206:No)、S207の処理をスキップしてS209の処理へ移行する。
一方、S204の処理において特図1変動時間カウンタ203a2が0よりも大きくない(0である)と判別した場合は(S204:No)、即ち、現在が特図1変動中では無いと判別した場合は、次に、第1特別図柄変動開始処理を実行する(S208)。この第1特別図柄変動開始処理(S208)では、第1特別図柄の新たな抽選(変動)を実行するための処理が行われるものであり、新たな抽選(変動)を実行可能な状態であるかの判別と、新たな抽選(変動)を実行可能な状態である場合には、新たな抽選(変動)を行う処理が実行される。この第1特別図柄変動開始処理(S208)については、図34から図36を参照して詳しく後述する。
第1特別図柄変動開始処理(S208)を実行した後、S206の処理で特図1の変動中であると判別(S206:No)した後、或いは、第1特別図柄変動停止処理(S207)を実行した後には、次に、第2特別図柄に関する変動処理(S209〜S213)を実行する。
まず、特図2変動時間カウンタ203a3の値が0よりも大きいかを判別する(S209)。即ち、現在が第2特別図柄(特図2)の変動表示中であるかを判別する。S209の処理において特図2変動時間カウンタ203a3の値が0よりも大きくない(0である)と判別した場合は(S209:No)、現在が特図2変動中では無い場合であるため、次に、第2特別図柄の新たな抽選(変動)を実行するための第2特別図柄変動開始処理を実行し(S210)、本処理を終了する。
第2特別図柄変動開始処理(S210)では、第2特別図柄保留球数格納エリア203bに保留データ(各種カウンタ値)が記憶されていれば、その保留データに基づいた大当たり判定や変動パターンの選択処理が実行される。また、第2特別図柄変動開始処理(S210)では、抽選結果が大当たり(または小当たり)となる場合には、大当たりフラグ203u(または小当たりフラグ203y)をオンに設定する。
一方で、S209の処理において、特図2変動時間カウンタ203a3の値が0よりも大きい、即ち、現在が特図2変動中であると判別した場合は(S209:Yes)、次に、第2特別図柄変動実行中処理を実行する(S211)。この第2特別図柄変動実行中処理(S211)の内容については、図44を参照して後述するが、上述した第1特別図柄変動実行中処理(S205)と同様の内容の処理を、処理対象を第1特別図柄から第2特別図柄へと変更して実行するものである。
そして、第2特別図柄変動実行中処理(S211)を終えると、現在の特図2変動時間カウンタ203a3の値が0であるかを判別し(S212)、0であると判別した場合は(S212:Yes)、第2特別図柄変動停止処理を実行し(S213)、その後本処理を終了する。一方、S212の処理において特図2変動時間カウンタ203a3の値が0では無いと判別した場合は(S212:No)、S213の処理をスキップして本処理を終了する。
第2特別図柄変動停止処理(S213)については、図45を参照して後述するが、第1特別図柄変動停止処理(S207)と同様に、変動表示中の第2特別図柄に規定されている変動時間が経過した場合に、第2特別図柄の抽選結果を示す図柄で変動表示を停止する処理が実行される。また、第2特別図柄変動停止処理(S213)では、第2特別図柄の抽選結果が大当たりである場合に、実行中の第1特別図柄変動を、強制的に外れを示す表示態様で停止表示させる処理が実行される。さらに、実行中の第2特別図柄が大当たりに当選している場合にはその大当たりに関する情報を消去するための処理が実行される。加えて、本実施形態では第2特別図柄の抽選で小当たりに当選し得るように構成していることから、第2特別図柄の抽選結果が大当たりでは無い場合に、小当たり或いは、外れに対応した処理が実行される。
以上、図33を参照して説明をした通り、本実施形態では第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)と、を同時に(並行して)実行可能な構成において、1回の特別図柄変動処理内で第1特別図柄に関する変動処理(S204〜S208)と、第2特別図柄に関する変動処理(S209〜S213)と、を実行するように構成している。よって、各特別図柄に対して新たな抽選(変動)の実行が可能となった場合に遅滞なく変動処理を実行することができ、円滑な遊技を提供することができる。
また、本実施形態では、1回の特別図柄変動処理において、第1特別図柄に関する変動処理を第2特別図柄に関する変動処理よりも先に(優先して)実行するように構成している。このように、各特別図柄の処理順位を明確に設定することにより、たとえ、第1特別図柄の変動停止タイミングと第2特別図柄の変動停止タイミングとが同一となったとしても、優先して第1特別図柄の変動停止処理が実行されることになる。
なお、本実施形態では、第1特別図柄に関する変動処理を、第2特別図柄に関する変動処理よりも優先して実行するように構成しているが、これに限ること無く、第2特別図柄に関する変動処理を、第1特別図柄に関する変動処理よりも優先して実行するように構成してもよい。
また、設定されている遊技状態において遊技者に有利となる抽選が実行される特別図柄種別に対する変動処理を優先して実行するように構成しても良く、設定される遊技状態に応じて遊技者に有利となる抽選が実行される特別図柄種別が切り替わるパチンコ機10であれば、変動処理を実行する特別図柄種別の順番を切り替える手段を設けると良い。このように構成することで、遊技者に有利となる抽選の抽選結果が、遊技者に不利となる抽選結果によって消滅(破棄)されてしまうことを抑制することができる。
次に、図34を参照して、特別図柄変動処理(図33、S104)の一処理である第1特別図柄変動開始処理(S208)について説明する。図34は、この第1特別図柄変動開始処理(S208)を示すフローチャートである。
第1特別図柄変動開始処理(図34のS208)では、まず、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)を取得し(S301)、取得した第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)が0より大きいかを判別する(S302)。第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)が0より大きいと判別した場合には(S302:Yes)、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)を1減算する(S303)。
そして、減算後の保留球数を示した保留球数コマンドを設定し(S304)、第1特別図柄保留球数格納エリア203aの保留エリア1〜保留エリア4に格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う(S305)。より具体的には、保留エリア1→実行エリア、保留エリア2→保留エリア1、保留エリア3→保留エリア2、保留エリア4→保留エリア3といった具合に各エリア内のデータをシフトする。
次に、第1特別図柄大当たり判定処理を実行する(S306)。第1特別図柄大当たり判定処理(図34のS306)については、詳しく後述するが、第1特別図柄保留球実行エリア(図示せず)にシフトされた第1当たり乱数カウンタC1の値を用いて、設定されている遊技状態に基づいて、大当たりか否かの大当たり判定を実行する。
次に、第1特別図柄変動パターン選択処理が実行される(S307)。第1特別図柄変動パターン選択処理(S307)は、詳しく後述するが、第1特別図柄保留球実行エリア(図示せず)に格納された変動種別カウンタCS2の値に基づいた当否判定の結果に基づいて、変動パターンを各カウンタ値に基づいて選択するための処理である。
次に、図35を参照して、第1特別図柄変動開始処理(図34のS208)の一処理である第1特別図柄大当たり判定処理(S306)について説明する。図35は、この第1特別図柄大当たり判定処理(S306)を示すフローチャートである。
第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306)では、まず、第1特別図柄保留球実行エリア(図示せず)に記憶されている各カウンタ値を取得する(S401)。そして、現在の遊技状態が特別図柄の高確率状態(確変状態、潜確状態)であるか否かを判別するために、確変フラグ203gがオンに設定されているかを判別する(S402)。確変フラグ203gがオンである(即ち、特別図柄の高確率状態である)と判別した場合には(S402:Yes)、第1当たり乱数テーブル202a(図17(a)参照)に基づいて、S401の処理で取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が高確率状態の大当たり判定値と一致するか否かを判定し、その抽選結果(判定結果)を取得する(S403)。
一方、確変フラグ203gがオフである(即ち、特別図柄の低確率状態である)と判別した場合には(S402:No)、第1当たり乱数テーブル202a(図17(a)参照)に基づいて、第1当たり乱数カウンタC1の値が低確率状態の大当たり判定値と一致するか否を判定し、その抽選結果(判定結果)を取得する(S404)。
S403またはS404の処理を終えると、次に、今回の抽選結果が大当たりであるかを判別し(S405)、大当たりであると判別した場合は(S405:Yes)、第1特別図柄の大当たり当選を示すように大当たりフラグ203uをオンに設定する(S406)。本実施形態では大当たりフラグ203uが、大当たり当選の有無を示す情報に加え、大当たり当選した特別図柄の種別を示す情報も記憶(設定)することが可能に構成されており、具体的には、特別図柄種別毎に大当たりの有無を示す情報を設定可能に構成している。よって、S406の処理では、大当たりフラグ203uのうち、第1特別図柄に対応する領域に対して大当たりを示す情報が設定される。
そして、第1特別図柄の抽選結果を大当たりに設定し(S407)、取得した当たり種別カウンタC2の値に基づいて、第1図柄表示装置73に表示する第1特別図柄の大当たり図柄をセットし(S408)、本処理を終了する。一方、S405の処理において今回の抽選結果が大当たりでは無いと判別した場合は(S405:No)、第1図柄表示装置73に第1特別図柄の外れ図柄をセットし(S409)、本処理を終了する。
次に、図36を参照して、第1特別図柄変動開始処理(図34のS208)の一処理である第1特別図柄変動パターン選択処理(S307)について説明する。図36はこの第1特別図柄変動パターン選択処理(S307)を示すフローチャートである。
第1特別図柄変動パターン選択処理(図236のS307)では、まず、第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306)において、第1特別図柄の抽選結果が大当たりであるか否か、即ち、第1特別図柄の大当たりが設定されているか否かを判別する(S501)。ここで、大当たりであるか否かの判定は、第1特別図柄に対して大当たりフラグ203uがオンであるか否かで判別される。この大当たりフラグ203uは、上述した第1特別図柄大当たり判定処理(図35参照)におけるS406の処理でオンに設定されるものである。
S501の処理において、第1特別図柄の大当たりが設定されていると判別された場合には(S501:Yes)、大当たり種別選択テーブル202d(図18参照)と、取得している第1当たり種別カウンタC2の値とに基づいて、大当たり種別を決定する(S502)。次いで、第1特別図柄実行エリアに格納されている変動種別カウンタCS2の値を取得し(S503)、遊技状態格納エリア203mに記憶されている情報に対応する現在の遊技状態(通常状態、潜伏状態、確変状態)に対応した変動パターン選択テーブル202eを読み出す(S504)。
そして、S503の処理で取得した変動種別カウンタCS2の値と、S504の処理で読み出した変動パターン選択テーブル202eとに基づいて変動パターンを選択し(S505)、S505の処理で選択した変動パターンに基づいて、特図1変動パターンコマンドを設定する(S506)。
次に、第1特別図柄の停止図柄を示す特図1停止種別コマンドを設定し(S507)、第1図柄表示装置37で第1特別図柄の変動開始を設定し(S508)、選択した変動パターンの変動時間を示す値を特図1変動時間カウンタ203a2の値にセットし(S509)、本処理を終了する。
一方、S501の処理において、第1特別図柄の抽選結果が外れである(即ち、第1特別図柄に対する大当たりフラグ203uがオフである)と判別した場合には(S501:No)、S502の処理をスキップしてS503の処理へ移行する。
次に、図37を参照して、特別図柄変動処理(図33のS104)の一処理である第1特別図柄変動実行中処理(S205)について説明をする。図37は第1特別図柄変動実行中処理(S205)を示すフローチャートである。この第1特別図柄変動実行中処理(S205)では、実行中の特別図柄変動の変動時間を更新するための処理と、第2特別図柄の抽選にて小当たりに当選したことにより中断された特別図柄変動を再開するための処理が実行される。
第1特別図柄変動実行中処理(S205)では、まず、特図1仮停止フラグ203yがオンに設定されているかを判別する。この特図1仮停止フラグ203yは第2特別図柄の抽選で小当たりに当選した場合にオンに設定されるものである。本実施形態では、一方の特別図柄にて小当たりに当選した時点で、他方の特別図柄が変動表示中である場合には、その他方の特別図柄変動を所定期間(小当たり当選から小当たり遊技が終了するまでの期間)中断し、所定期間経過後(小当たり遊技終了後)に再度他方の特別図柄変動を再開させるように構成している。
このように構成することで、一方の小当たり遊技中に他方の特別図柄変動が終了してしまい、遊技者に分かり難い遊技が実行されてしまうことを抑制することができる。さらに、一方の特別図柄抽選で小当たり遊技に当選したことに基づいて、他方の特別図柄抽選の抽選結果が破棄されることが無いため、例えば、小当たりに当選したことによって、大当たり当選となる抽選結果(小当たり当選よりも遊技者に有利となる抽選結果)が破棄されてしまう事態が発生することを禁止(抑制)することができる。
S701の処理において、特図1仮停止フラグ203yがオンに設定されていると判別した場合は(S701:Yes)、特図1変動再開コマンドを設定し(S702)、特図1仮停止フラグをオフに設定し(S703)、特図1変動時間カウンタ203a2の値を1減算し(S704)、第1図柄表示装置37の第1特別図柄の表示を更新し(S705)、本処理を終了する。
本実施形態では、2ミリ秒毎に実行されるタイマ割込処理(図32参照)にて実行される特別図柄変動処理(図33のS104参照)内で、第1特別図柄変動実行中処理(図33のS205参照)を実行するように構成しており、その第1特別図柄変動実行中処理(図37のS205参照)内で特図1変動時間カウンタ203a2の値を更新(1減算)するように構成している。よって、例えば、第1特別図柄の変動時間として30秒の変動時間が設定された場合には、特図1変動時間カウンタ203a2の値として「15000」が設定され、2ミリ秒毎に値が1減算されるように構成している。
一方、S701の処理において特図1仮停止フラグ203yがオンに設定されていないと判別した場合(S701:No)、即ち、第2特別図柄の抽選で小当たりに当選していないと判別した場合は、S702,S703の処理をスキップしてS704の処理へ移行する。
次に、図38を参照して、特別図柄変動処理(図33のS104)の一処理である第1特別図柄変動停止処理(S207)について説明する。図38はこの第1特別図柄変動停止処理(S207)を示すフローチャートである。この第1特別図柄変動停止処理(S207)は、現在が特図1変動時間カウンタ203a2の値が「0」であると判別した場合、即ち、第1特別図柄(特図1)の変動時間が経過した場合に実行される処理である。
第1特別図柄変動停止処理(図38のS207)を実行すると、まず第1特別図柄(特図1)に対して大当たりフラグ203uがオンに設定されているかを判別する(S801)。第1特別図柄に対して大当たりフラグ203uがオンに設定されていると判別した場合には(S801:Yes)、次に、特図2変動停止フラグ203wをオンに設定し(S802)、特図2変動停止フラグ203wがオンになったことを示す特図2変動停止コマンドを設定する(S803)。
次に、第1図柄表示装置37の第2特別図柄を外れ図柄で停止表示し(S804)、特図2変動時間カウンタ203a3の値を0に設置する(S805)。これにより、第1特別図柄が大当たりを示す表示態様で停止表示された場合に、実行中の第2特別図柄(特図2)の変動表示を、外れを示す表示態様(外れ図柄)で停止表示(確定表示)することができる。
S805の処理を終えると、次に、第2特別図柄に対する大当たりフラグ203uがオンに設定されているかを判別し(S806)、オンに設定されていると判別した場合は(S806:Yes)、上述したS804の処理にて強制的に外れで停止表示された第2特別図柄に対して第2特別図柄の抽選結果を適応させるために、第2特別図柄に対する大当たりフラグ203uをオフに設定し(S807)、特図2大当たりに対する記憶情報を削除し(S808)、S809の処理へ移行する。一方で、S806の処理において、第2特別図柄の抽選で大当たりに当選していないと判別した場合は、S807,808の処理をスキップして、S809の処理へ移行する。
S809の処理では、まず、今回の特別図柄変動で当選した大当たりシナリオを設定し、(809参照)次いで、第1特別図柄に対応する大当たりフラグ202u、確変フラグ203f、時短フラグ203tをオフに設定し(S810)、遊技状態格納エリア203mに現在の遊技状態が大当たり中(大当たり遊技中)であることを示す情報を記憶する(S811)。遊技状態格納エリア203mは、抽選遊技に関する遊技状態(通常状態、確変状態、潜確状態)と、当たり遊技に関する遊技状態(大当たり中、小当たり中)とを分けて記憶することができるように構成しており、S811の処理を実行することにより、大当たり当選したタイミングにおける抽選遊技に関する遊技状態(通常状態、確変状態、潜確状態)と、大当たり中であることを示す遊技状態とが記憶される。
このように構成することで、大当たり遊技終了時点で、大当たりに当選したタイミングで設定されていた遊技状態を判別することができる。
S811の処理を終えると、次に、第1特別図柄を確定停止することを音声ランプ制御装置113に対して指示するための特図1確定コマンドを設定し(S812)、第1特別図柄表示装置37で変動表示している第1特別図柄の変動表示を停止する処理を実行し(S813)、本処理を終了する。
一方、S801の処理において、第1特別図柄に対して大当たりフラグ203uがオンに設定されていないと判別した場合には(S801:No)、S802〜S811の処理をスキップして、上述したS812の処理へ移行する。
このように、第1特別図柄変動停止処理(S207)では、第1特別図柄の抽選(第1抽選遊技)結果を示す図柄で変動表示を停止する処理(S809〜S813)が実行される。また、今回の抽選結果が大当たりである場合には(S801:Yes)、変動中の第2特別図柄が、抽選結果が外れとなるように強制的に停止表示される(S804)。このように、一方の特別図柄を、大当たりを示す図柄で停止表示(確定表示)させる処理において、変動中の他方の特別図柄を強制的に停止させる処理を実行するように構成することで、同時に実行される複数の特別図柄変動に対して適正な処理を実行することができる。
つまり、本実施形態のパチンコ機10のように、第1特別図柄に関する変動処理と、第2特別図柄に関する変動処理とを順に実行する構成において、第1特別図柄の抽選結果に基づいて実行される第2特別図柄の変動処理(強制停止処理)を、第1特別図柄に関する変動処理内で実行することにより、第2特別図柄に関する変動処理が実行されていないタイミングで第2特別図柄を強制停止することができるため、第2特別図柄に関する処理が重複してしまうことを防ぐことができスムーズに処理を実行することができる。
なお、本実施形態では一方の特別図柄が大当たりを示す図柄で停止表示したタイミングで他方の特別図柄を、外れを示す図柄で強制的に停止させる処理を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、一方の特別図柄が大当たりに当選したと判別した場合、即ち、第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306)において今回の抽選結果が大当たりであると判別した場合(図35のS405:Yes)に、他方の特別図柄の変動を強制的に外れ図柄で停止させるように構成しても良い。この場合、強制的に外れ停止された他方の特別図柄に対して、一方の特別図柄の大当たり変動が終了するまでの期間、大当たりに当選することのない特殊変動を実行させるように構成すると良い。このように構成することで、一方の特別図柄で大当たりに当選した際に強制的に他方の特別図柄変動を停止させたことを遊技者が気づき難くすることができる。よって、他方の特別図柄変動が強制的に停止表示されたこを判別し、大当たり当選の有無を遊技者が把握してしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態のパチンコ機10では、一方の特別図柄が大当たりを示す図柄で停止表示した場合に、実行中の他方の特別図柄変動に対する抽選結果を破棄するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、一方の特別図柄に基づく大当たり遊技が終了するまでの間、他方の特別図柄変動を中断し、大当たり遊技終了後に中断中の特別図柄変動を再開させるように構成しても良い。これにより、遊技者が実行した抽選遊技の遊技結果が破棄されることにより遊技者がパチンコ機10に不信感を持ってしまうことを抑制することができる。
加えて、一方の特別図柄の抽選結果に基づいて、実行中の他方の特別図柄変動を制御する場合に、実行中の他方の特別図柄の抽選結果に応じて変動制御内容を異ならせるように構成しても良く、例えば、第1特別図柄が大当たり図柄で停止表示したタイミングで、第2特別図柄の抽選が外れであることを示すための変動(外れ変動)中である場合には、その抽選結果を破棄し、且つ、その外れ変動を強制停止させる強制停止処理を実行し、第2特別図柄の抽選結果が当たり(大当たり、小当たり)であることを示すための変動(当たり変動)中である場合には、第1特別図柄の大当たり遊技が終了した後に、第2特別図柄の変動が再開できるように中断処理を実行するように構成しても良い。
この場合、第1特別図柄の大当たり遊技が終了した後に、新たな第2特別図柄変動が実行されるのか、中断中の第2特別図柄変動が再開されるのかについて遊技者に興味を持たせながら遊技を行わせることができる。さらに、このような構成を用いた場合は、第1特別図柄の大当たり遊技中における第2特別図柄の状況(中断中か否か)を遊技者に示唆するための示唆演出を実行するように構成すると良い。
次に、図39を参照して、特別図柄変動処理(図33のS104)の一処理である第2特別図柄変動開始処理(S210)について説明する。図39はこの第2特別図柄変動開始処理(S210)を示すフローチャートである。
第2特別図柄変動開始処理(S210)が実行されると、まず、特図2変動停止フラグ203wがオンに設定されているかを判別する(S901)。即ち、本処理が実行される直前に(同一の特別図柄変動処理(図33のS104参照)内で)実行された第1特別図柄の抽選(第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306参照))にて大当たりに当選したか否かを判別する。
S901の処理において、特図2変動停止フラグ203wがオンに設定されていると判別した場合は(S901:Yes)、第2特別図柄の変動を開始するための各種処理をスキップし、特図2変動停止フラグ203wをオフに設定し(S902)、本処理を終了する。つまり、本実施形態では、特図2変動停止フラグ203wを用いることで、第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306参照)において、第1特別図柄を大当たり図柄で停止表示すると共に、第2特別図柄を外れ図柄で強制的に停止表示させた後に、新たな第2特別図柄変動が実行されることを禁止している。これにより、第1特別図柄に関する変動処理内で第2特別図柄を強制的に停止表示させたとしても不具合が生じること無く制御処理を実行することができる。
本実施形態では、S901の処理において特図2変動停止フラグ203wがオンに設定されていると判別すると(S901:Yes)、特図2変動停止フラグ203wをオフに設定するように構成しているため、特図2変動停止フラグ203wを設定することで、第2特別図柄変動開始処理(図39のS210)を1回だけスキップすることができるように構成している。
これは、第2特別図柄変動開始処理(S210)が実行される直前に(同一の特別図柄変動処理(図33のS104参照)内で)実行された第1特別図柄の抽選(第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306参照))にて大当たりに当選した場合のみ、直後に実行される第2特別図柄変動開始処理(図39のS210)をスキップすれば、その後、第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306参照)にて設定された大当たり情報(大当たりシナリオ)に基づいて大当たり遊技が開始され、特別図柄変動処理(図33のS104参照)のS201の処理によって、大当たり遊技が終了するまで、第2特別図柄変動開始処理(図33のS210)が実行されないように構成されているためである。
このように構成することで、一方の特別図柄の抽選結果に基づいて、他方の特別図柄の変動処理をスキップする処理を簡素化することができるため、主制御装置110にて実行される制御処理の処理負荷を軽減させることができる。
なお、本実施形態では、一方の特別図柄の抽選結果が所定の抽選結果(大当たり当選)である場合に、他方の特別図柄を強制的に停止表示(外れ図柄で停止表示)させ、一方の特別図柄の抽選結果に基づく大当たり遊技が実行されるまで、他方の特別図柄の新たな変動(抽選)が実行されないようにするために特図2変動停止フラグ203wを設定し他方の特別図柄の変動処理を1回スキップさせる構成を用いているが、これ以外の構成を用いても良い。
つまり、一方の特別図柄の抽選結果が所定の抽選結果(大当たり当選)である場合に、その大当たり当選に基づく大当たり遊技が終了するまで、他方の特別図柄抽選(変動)で大当たりに当選しないように構成すれば良く、例えば、後述する主制御装置110のメイン処理(図54参照)にて大当たり遊技を実行するための大当たり制御処理(図54のS2404参照)が実行される場合に、特図2変動停止フラグ203wをオフに設定するように構成しても良い。
このように構成することで、特図2変動停止フラグ203wをオンにするタイミングを第1特別図柄が大当たり図柄で停止表示されるタイミングよりも前に設定したとしても、大当たり遊技が実行されるまで新たな第2特別図柄の変動(抽選)が実行されることを禁止することができる。
また、本実施形態では、特図2変動停止フラグ203wがオンに設定されている状態で第2特別図柄変動開始処理(図39のS210参照)が実行された場合に、第2特別図柄の変動処理をスキップする、即ち、新たな変動を開始しない(第2特別図柄を停止させたままにする)ように構成しているが、これに限ること無く、特図2変動停止フラグ203wがオンに設定されている場合専用の第2特別図柄の変動表示を実行するように構成しても良い。
この場合、大当たりに当選しない特殊抽選を用いて第2特別図柄の抽選を行い、その特殊抽選の結果に基づいて決定した変動パターンに対応する期間、第2特別図柄の変動表示を実行するように構成しても良いし、第2特別図柄の抽選を実行すること無く、第1特別図柄の大当たり当選に基づく大当たり遊技が実行されるまでの期間、大当たり遊技中の特定タイミングに到達するまでの期間、或いは、大当たり遊技が終了するまでの期間、第2特別図柄を変動表示するように構成しても良い。これにより、遊技者に対して、特別図柄変動を強制停止させたことを分かり難くすることができる。
なお、上述した各特別図柄に関する変動処理の内容は、その内容を示すコマンドを設定することにより、適宜、音声ランプ制御装置113側へと出力されるように構成されており、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmに表示される第3図柄、第4図柄の変動表示を上述した第1図柄表示装置37に表示される各特別図柄の表示態様と同期させることができるように構成しているが、第1図柄表示装置37に表示される第2特別図柄を強制停止させている間、第2特別図柄が強制的に停止表示されたことを示すコマンドを音声ランプ制御装置113側で受信した場合に、第3図柄表示装置81にて変動表示される第2特別図柄に対応する第3図柄、或いは、第4図柄を用いて、強制停止中の変動演出を実行するように構成しても良い。
このように、遊技者が視認し易い第3図柄表示装置81に特別図柄の変動表示と同期させて変動表示される各図柄(第3図柄、第4図柄)を用いて、実際の第2特別図柄が強制停止中に変動演出を実行するように構成した場合であっても、遊技者に対して、特別図柄変動を強制停止させたことを分かり難くすることができる。
S901の処理において、特図2変動停止フラグ203wがオンに設定されていない、即ち、第1特別図柄が大当たり図柄で停止表示されていないと判別した場合は(図39のS901:No)は、S903〜S909の処理を実行し、本処理を終了する。このS903〜S909の処理は、上記した第1特別図柄変動開始処理(図34のS208)のS301〜S307までの各処理に対して、第1特別図柄保留球数カウンタ203d、第1特別図柄保留球数カウンタの値(N1)、第1特別図柄保留球格納エリア203a、第1特別図柄大当たり判定処理(S305)、第1特別図柄変動パターン選択処理(S306)を、第2特別図柄保留球数カウンタ203e、第2特別図柄保留球数カウンタの値(N2)、第2特別図柄保留球格納エリア203b、第2特別図柄大当たり判定処理(S908)、第2特別図柄変動パターン選択処理(S909)に変更した点を除いては同一であるので、その説明は省略する。
次に、図40を参照して、第2特別図柄変動開始処理(図39のS210)の一処理である第2特別図柄大当たり判定処理(S905)について説明する。図40は、第2特別図柄大当たり判定処理(S905)を示すフローチャートである。この第2特別図柄大当たり判定処理(S905)は、上述した第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306)に対して、対象となる特別図柄の種別を第1特別図柄から第2特別図柄へと変更し、その他、一部処理を追加したものである。
第2特別図柄大当たり判定処理(図40のS905)では、上記した第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306)に対して、次の点で相違する。即ち、S401の処理に対応するS1001の処理で、第1特別図柄保留球実行エリア(図示せず)を、第2特別図柄保留球実行エリア(図示せず)に変更した点と、S406〜S408の処理に対応するS1006〜S1008の処理で、対象を特図1(第1特別図柄)から特図2(第2特別図柄)に変更した点と、特別図柄の抽選結果が外れである場合に実行される処理を変更した点で相違する。その他の点は同一であるので、その説明は省略する。
第2特別図柄大当たり判定処理(図40のS905)において、今回の抽選が大当たりでは無いと判別した場合は(S1005:No)、特図2外れ変動処理を実行し(S1009)、本処理を終了する。
この特図2外れ変動処理(S1009)は、第2特別図柄の抽選結果が大当たり以外、即ち、小当たり、或いは外れである場合に実行される処理である。詳細な説明は図41を参照して後述するが、抽選結果が外れである場合は、上述した第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306)のS409の処理と同様の処理が実行され、抽選結果が小当たりである場合は、小当たり当選に対応する処理が実行される。
ここで、図41を参照して、特図2外れ変動処理(S1009)の内容について説明をする。図41は、特図2外れ変動処理(S1009)を示したフローチャートである。
特図2外れ変動処理(S1009)では、まず、今回の抽選結果(第2特別図柄大当たり判定処理(図40のS905参照)のS1003或いはS1004の処理で取得した抽選結果)が小当たりであるかを判別する(S1101)。
S1101の処理で小当たりに当選していると判別した場合は(S1101:Yes)、小当たりフラグ203xをオンに設定し(S1102)、第2特別図柄の抽選結果を小当たりに設定し(S1103)、次いで、第1図柄表示装置37に表示する第2特別図柄の小当たり図柄をセットし(S1104)、本処理を終了する。
一方、S1101の処理において、今回の抽選結果が小当たりでは無い、即ち、外れであると判別した場合は(S1101:No)、第1図柄表示装置37に表示する第2特別図柄の外れ図柄をセットし(S1105)、本処理を終了する。
以上、説明をした通り、第2特別図柄変動開始処理(図39のS210参照)の一処理として実行される特図2外れ変動処理(図41のS1009)、即ち、特別図柄の変動(抽選)を開始するタイミングにて実行される処理で小当たりに当選したと判別した場合に小当たりフラグ203xをオンに設定することで、第2特別図柄の変動停止タイミングでその小当たりフラグ203xの設定状況に基づいて小当たり当選に対応する処理を容易に実行することができる。
次に、図42を参照して、第2特別図柄変動開始処理(図39のS210)の一処理である第2特別図柄変動パターン選択処理(S906)について説明する。図42はこの第2特別図柄変動パターン選択処理(S906)を示すフローチャートである。
第2特別図柄変動パターン選択処理(図42のS906)では、上記した第1特別図柄変動パターン選択処理(図36のS307)に対して、次の点で相違する。S501の処理に対応するS901の処理で、特図1抽選結果(第1特別図柄の抽選結果)が特図2抽選結果(第2特別図柄の抽選結果)に変更される点と、S506〜S507までの各処理に対応するS906〜S907の各処理で、特図1変動パターンコマンド(第1特別図柄の変動パターンコマンド)が特図2変動パターンコマンドに変更される点でそれぞれ相違する。その他の点は同一であるので、詳細な説明は省略する。
次に、図43を参照して、第2特別図柄変動開始処理(図39のS210)の一処理である第2特別図柄変動パターン選択処理(S906)にて実行される特図2外れ変動パターン選択処理(図43のS1207)の内容について説明をする。
第2特別図柄変動開始処理(図39のS210)が実行されると、まず、今回の抽選結果が小当たりであるかを判別する(S1301)。このS1301の処理では、第2特別図柄大当たり判定処理(図40のS905参照)のS1003、或いはS1004の処理にて取得した抽選結果に基づいて判別を実行する。
S1301の処理において、今回の抽選結果が小当たりであると判別した場合は(S1301:Yes)、次に、小当たり種別カウンタC5の値を取得し(S1302)、取得した小当たり種別カウンタC5の値に基づいて小当たり種別を選択する(S1303)。なお、本実施形態のパチンコ機10では、小当たり種別が1種類しかないため、取得した小当たり種別カウンタC5の値に基づいて異なる小当たり種別が設定されることがないが、例えば、複数の小当たり種別を設定可能に構成されたパチンコ機10であれば、取得した小当たり種別カウンタC5の値の範囲に対して異なる小当たり種別が規定される小当たり種別選択テーブルを設け、S1302及びS1303の処理によって異なる小当たり種別を選択するように構成すれば良い。
本実施形態のように、小当たり種別が1種類しかないにも関わらず、S1302及びS1303の処理を用いるように構成しておくことで、例えば、パチンコ機10の開発期間中に遊技の仕様が変更されたとしても、その変更に対して容易に対応をすることができる。
S1303の処理を終えると、次いで、現在の遊技状態に応じた変動パターン選択テーブルを読み出し(S1304)、読み出した変動パターン選択テーブルと、取得した変動種別カウンタCS1の値と、に基づいて小当たり用の変動パターン(小当たり変動パターン)を選択する(S1305)。そして、S1305の処理で選択した小当たり変動パターンを示す特図2変動パターンコマンドを設定し(S1306)、本処理を終了する。
一方、S1301の処理で、今回の抽選結果が小当たりでは無い(外れである)と判別した場合は(S1301:No)、抽選結果が外れである場合の処理(S1307〜S1309)を実行する。S1307の処理では、まず、遊技状態に応じた変動パターン選択テーブルを読み出し(S1307)、取得した変動種別カウンタCS2の値に基づいて変動パターンを選択し(S1308)、選択した変動パターンに基づいて特図2変動パターンコマンドを設定し(S1309)、本処理を終了する。
次に、図44を参照して、特別図柄変動処理(図33のS104)の一処理である第2特別図柄変動実行中処理(S211)の内容について説明をする。図44は、第2特別図柄変動実行中処理(S211)を示したフローチャートである。本実施形態では、第1特別図柄の抽選で小当たりに当選しないように構成しているため、この第2特別図柄変動実行中処理(S211)では、上述した第1特別図柄変動実行中処理(図37のS205参照)に対して、他方の特別図柄にて小当たりに当選(小当たり遊技を実行)した場合に設定されるフラグ(特図1仮停止フラグ203y)がオンに設定されているかを判別する処理を省略している点で相違し、それ以外は、処理の対象を第1特別図柄から第2特別図柄へと変更した点以外が同一であるため、その詳細な説明を省略する。
なお、第1特別図柄の抽選において小当たりに当選し得るように構成したパチンコ機10であれば、第1特別図柄の抽選で小当たりに当選したこと(小当たり遊技が実行されること)を示すためのフラグ(例えば、特図2仮停止フラグ)を設け、この第2特別図柄変動実行中処理にて、上述した第1特別図柄変動実行中処理(図37のS205参照)と同様の処理を実行すれば良い。
次に、図45を参照して、特別図柄変動処理(図33のS104)の一処理である第2特別図柄変動停止処理(S213)について説明する。図45はこの第2特別図柄変動停止処理(S213)を示すフローチャートである。第2特別図柄変動停止処理(S213)では、上記した第1特別図柄変動停止処理(図38のS207参照)に対して、処理の対象を第1特別図柄から第2特別図柄に変更した点と、抽選結果が大当たり以外である場合に実行される処理の内容を変更した点と、他方の特別図柄の変動を停止させるためのフラグを設定する処理を省略した点で相違する。
即ち、第1特別図柄変動停止処理(図38のS207参照)におけるS802の処理を削除した点と、S801及びS803〜S813の処理対象を第2特別図柄に変更した点(S1501及びS1503〜S1513)と、今回の抽選結果が大当たりでは無いと判別した場合に(S1501:No)、特図2外れ停止処理(S1508)を実行する点とでそれぞれ相違する。その他の点は同一であるので、詳細な説明は省略する。
次に、図46を参照して、第2特別図柄変動停止処理(図45参照)において実行される特図2外れ停止処理(S1508)の内容について説明をする。図46は特図2外れ停止処理(S1508)の内容を示したフローチャートである。この特図2外れ停止処理(S1508)は、第2大当たり判定処理(図40のS905参照)にて取得した抽選結果が大当たり以外(小当たり、または外れ)である場合に対応した特別図柄変動の停止処理を実行するものである。
特図2外れ停止処理(S1508)が実行されると、まず小当たりフラグ203xがオンに設定されているかを判別し(S1601)、オンに設定されていると判別した場合は(S1601:Yes)、特図1仮停止フラグ203yをオンに設定し(S1602)、特図1仮停止フラグ203yがオンに設定されたことを示すための特図1仮停止コマンドを設定する(S1603)。ここで設定された特図1仮停止コマンドは、主制御装置110のメイン処理(図54参照)で実行される外部出力処理(S2401)によって音声ランプ制御装置113へと出力される。そして、音声ランプ制御装置113側で特図1仮停止コマンドを受信した場合には、第1特別図柄(特図1)が仮停止したこと(していること)を示すための仮停止態様を第3図柄表示装置81に表示させるための表示用コマンドを設定し、表示制御装置114へと出力する。表示制御装置114は受信した表示用コマンドに基づいて第3図柄表示装置81に特図1の仮停止態様表示を表示するための処理を実行する。このように構成することで、遊技者に対して、第1特別図柄が仮停止していることを容易に把握させることができる。
図46に戻り説明を続ける。S1603の処理を終えると、次に、小当たり遊技に対応する小当たりシナリオ(小当たり用の開放動作シナリオ)を設定し(S1604)、小当たりフラグ203xをオフに設定し(S1605)、遊技状態格納エリア203mに小当たり遊技中(小当たり中)であることを示す当たり情報を記憶し(S1606)、第2特別図柄が小当たりを示す図柄(小当たり図柄)で停止表示(確定表示)されることを示すための特図2確定コマンドをセットし(S1607)、第1図柄表示装置37の第2特別図柄を小当たり図柄で変動停止(確定表示)し(S1608)、本処理を終了する。
一方、S1601の処理で小当たりフラグ203xがオフに設定される場合は(S1601:No)、第2特別図柄が外れを示す図柄(外れ図柄)で停止表示(確定表示)されることを示すための特図2確定コマンドをセットし(S1609)、第1図柄表示装置37の第2特別図柄を外れ図柄で変動停止(確定表示)し(S1610)、本処理を終了する。
以上、説明をした通り、本実施形態のパチンコ機10では、第1特別図柄と第2特別図柄との変動表示の制御はそれぞれ独立して並行して実行可能に構成されているので、第1特別図柄と第2特別図柄とを同時に変動表示させることができる。よって、所定時間内に、より多くの特別図柄の抽選遊技を実行させることができ、遊技者に大当たりが所定時間内に付与される確率が高くできる。従って、遊技者は、効率よく遊技を行うことができる。
また、第1特別図柄と第2特別図柄が同時に変動表示して抽選遊技が実行される構成であっても、第1または第2特別図柄の一方で大当たり遊技が発生した場合には、他方の特別図柄の変動表示が停止されるので、遊技者は、大当たり遊技に集中して遊技を行うことができる。
なお、本実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄とのどちらか一方で大当たりを示す図柄(大当たり図柄)が停止表示された場合に、他方の特別図柄を強制的に外れ図柄で停止表示させるように構成したが、それに限らず、他方の特別図柄を仮停止または変動時間の計測を中断した状態で変動表示するように構成してもよい。このような場合では、仮停止した特別図柄は、仮停止中であることが遊技者に分かる表示態様または報知態様で停止されているので、遊技者は変動表示途中であった抽選遊技が消滅していないことを把握することができ、安心して大当たり遊技を行うことができる。
次に、図47を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理(図32)の一処理である始動入賞処理(S105)を説明する。図47は、この始動入賞処理(S105)を示すフローチャートである。始動入賞処理(図47のS105)は、第1入球口64、第2入球口640のいずれかに球が入球(始動入賞)したか判別して、始動入賞した場合には、保留上限個数(第1入球口64、第2入球口640にそれぞれに最大4個)まで、取得した各カウンタ値を第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bにそれぞれ格納する処理である。
また、保留球に基づいて取得された各カウンタ値が、第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bにそれぞれ記憶されると、第1特別図柄保留球格納エリア203aまたは第2特別図柄保留球格納エリア203bのそれぞれに記憶されている各カウンタ値に基づいて、事前に当否判定結果や選択される変動パターン等を予測する処理(所謂、先読み処理)が実行される。以下、始動入賞処理(図47のS105)について説明する。
始動入賞処理(図147のS105)では、まず、球が第1始動口である第1入球口64に入球(始動入賞)したか否かを判別する(S1701)。ここでは、第1入球口64内に設けられた球検知スイッチ(図示せず)への球の入球を検出する。球が第1入球口64に入球した(始動入賞があった)と判別する(S1701:Yes)、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)を取得し(S1702)、その取得した値(N1)が4未満であるかを判別する(S1703)。
つまり、現時点で第1入球口64に対する保留個数が上限値である4個よりも少ない状態であるか(即ち、保留個数が上限値まで記憶されていないか)が判別される。取得した値(N1)が4未満であると判別した場合には(S1703:Yes)、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)を1加算し(1704)、音声ランプ制御装置113に対して第1始動口の保留個数(第1特別図柄の抽選権利保留数)を通知するための保留球数コマンドを設定する(S1705)。
そして、各種カウンタ値(第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、変動種別カウンタCS1)の各値をカウンタ用バッファから読み出し(取得して)、RAM203の第1特別図柄保留球実行エリア203aの対応する保留球数の記憶エリアに各々保留(格納)する(S1706)。
次に、第1先読み処理を実行する(S1707)。この第1先読み処理(S1707)については、図48を参照して後述するが、新たに第1特別図柄保留球格納エリア203aに記憶された各カウンタ値から当否判定結果や、決定される変動パターン、停止種別等を判別する処理が実行される。なお、本実施形態では、新たに記憶された各カウンタ値に基づいて当否判定結果や、決定される変動パターン、停止種別等を判別する処理を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、新たな始動入賞があった場合に、第1特別図柄保留球格納エリア203aに記憶(格納)されている全ての保留記憶に対して当否判定結果や、決定される変動パターン、停止種別等を判別する処理を実行するように構成しても良い。
また、本実施形態では、第1特別図柄保留球格納エリア203aに新たな情報(入賞情報)を格納する場合、即ち、第1特別図柄の抽選権利を新たに獲得した場合に、第1特別図柄の抽選権利(入賞情報)の内容を事前に判別する構成としているが、これに限ること無く、第1特別図柄の抽選権利を新たに獲得した場合に、第2特別図柄の抽選権利(入賞情報)の内容を事前に判別するように構成しても良い。
そして、S1707の処理を実行すると、次にS1708の処理を実行する。また、S1701の処理で球が第1入球口64に入球していないと判別した場合(S1701:No)、或いは、S1703の処理で、現時点で第1入球口64に対する保留個数が上限値であると判別した場合(S1703:No)は、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)を加算する処理をスキップして、S1708の処理へ移行する。
上述した通り、本実施形態では、第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)を加算した場合に、加算された入賞に関する情報(入賞情報)に基づいた第1先読み処理(S1707)を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、S1703の処理で第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(N1)が上限数(4)であると判別した場合(S1703:No)、即ち、第1特別図柄の保留球数が上限に到達している状態で第1入球口64に球を入球させた場合に第1先読み処理(S1707)を実行することができるように構成しても良い。これにより、第1特別図柄の保留球数が上限に到達している状態においても、先読み処理を実行させるために遊技者に継続して遊技を行わせることができる。また、第1特別図柄の保留球数が上限に到達している状態で第1入球口64に球を入球させた場合に付加価値を付与することができるため、第1特別図柄の保留球数が上限に到達している状態で第1入球口64に球が入球した際に遊技意欲が低下してしまうことを抑制することができる。
次に、S1708〜S1714までの各処理については、S1701〜S1707までの各処理で実行された第1始動口(第1入球口64)への球の入賞に対して行われた処理と同様の処理が、第2入球口640に対して実行される処理であることが相違するのみであるので、詳細な説明は省略する。なお、本実施形態では、第2特別図柄の抽選で小当たりに当選し得るように構成していることから、S1713の処理では、小当たり種別カウンタC5の値も取得される。
次に、図48を参照して、始動入賞処理(図47のS105)の一処理である第1先読み処理(S1707)について説明する。図49は、この第1先読み処理(S1707)を示すフローチャートである。
第1先読み処理(図48のS1707)では、まず、新たに第1特別図柄保留格納エリア203aに記憶された格納エリアから各種カウンタ値である、第1当たり乱数カウンタC1、第1当たり種別カウンタC2、変動種別カウンタCS1の各値を読み出す(S1821)。そして、読み出したデータを先読み保留記憶エリアの空いている記憶エリアのうち、入賞順序がもっとも小さいエリアに記憶する(S1822)。
次に、新たに先読み保留記憶エリアに記憶された各カウンタ値に基づいて、当否判定結果を判定する。なお、ここでは、特別図柄の低確率状態である場合の当否判定と、特別図柄の高確率状態である場合の当否判定との両方が判別される。これは、新たな保留記憶が発生したタイミング(第1特別図柄保留格納エリア203aに新たな保留(入賞情報)が記憶されたタイミング)と、今回新たに保留された入賞情報に基づいて大当たり判定が実行されるタイミングとにはタイムラグが発生することから、今回新たに保留された入賞情報に基づく大当たり判定が実行されるタイミングで設定されている遊技状態(特別図柄の確率状態)を予測することが困難だからである。
具体的には、本実施形態のパチンコ機10は、第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)とが、同時に(並行して)実行されるように構成されており、且つ、各特別図柄の抽選結果に対応させて設定される変動時間が、特別図柄の抽選時における保留記憶数(保留図柄個数)によって可変されるように設定されるので、各特別図柄の変動(抽選)が開始するタイミングを事前に判別することが困難だからである。
そして、S1823の処理における判別結果が大当たりである(低確率状態のみ大当たり、高確率状態のみ大当たり、低確率状態、高確率状態の何れも大当たり)と判別した場合は(S1823:Yes)、大当たりに当選する条件(抽選時に設定される遊技状態)と、当選した場合の大当たり種別とを示す第1入賞コマンドを設定し(S1824)、本処理を終了する。
一方、S1823の処理における判別結果が大当たりでは無い(特別図柄が高確率状態でも、低確率状態でも外れである)と判別した場合は(S1823:No)、外れを示す第1入賞コマンドを設定し(S1825)、本処理を終了する。
ここで、S1824、或いはS1825の処理で設定された第1入賞コマンドは、上述した当否判定結果を示すための情報(当否判定結果に基づいて異なる意味を持たせる情報)に加え、共通情報として、S1821の処理によって読み出された各種カウンタ値の値を示すための情報も含んで設定される。そして、本処理で設定された入賞コマンドが主制御装置110のメイン処理(図54参照)にて実行される外部出力処理(S2401)によって音声ランプ制御装置113に対して出力される。
音声ランプ制御装置113側では、入賞コマンドを受信した場合に、入賞コマンドに含まれる各種情報に基づいて、保留球の表示態様を可変させて(例えば、保留球の色を通常とは異なる色で可変して)表示させたり、変動開始前に予告図柄等を表示して遊技者に当否判定結果を示唆したりする演出(先読み演出)を実行できる。
なお、本実施形態では、先読み処理を実行する場合に、特別図柄の高確率状態の場合の当否判定結果と、特別図柄の低確率状態の場合の当否判定結果とを判別し、各判別の結果に基づいた入賞コマンドを設定するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、特別図柄が高確率状態であっても、低確率状態であっても大当たりと判定される判定値(第1当たり乱数カウンタC1の値)を規定し、その判定値を読み出した場合のみ特別図柄の大当たりを示す入賞コマンドを設定するように構成しても良い。
このように構成することで、音声ランプ制御装置113側に対して、特定の大当たりであることを事前判別した場合のみ大当たりを示す入賞コマンドを出力することになるため、先読み演出が実行されない特別図柄変動に対して、大当たり当選の期待感を持たせることができる。
さらに、第1特別図柄保留格納エリア203aに格納(記憶)されている保留記憶(入賞情報)に基づく特別図柄の抽選が行われる際の遊技状態を正確に判別して、その遊技状態に基づいて当否判定を実行するように構成してもよい。この場合には、変動パターンの選択を保留球数によって可変するのではなく、変動開始時の保留球数に関わらず一定の変動パターンを選択するように構成することで判別が可能となる。先読みを実行する場合に、その保留球が変動開始されるまでの変動順序を保留記憶されている情報に基づいて判別することで変動開始時の遊技状態を判別できる。
また、本実施形態では、第1特別図柄保留格納エリア203aに新たな保留記憶(入賞情報)が格納(記憶)された場合に、その入賞情報に基づく先読み処理を実行し、その先読み処理の中で当否判定を事前に予測する構成を用いているが、これに限ること無く、主制御装置110の先読み処理において、第1特別図柄保留格納エリア203aに新たに格納(記憶)された入賞情報(保留記憶)の内容(各カウンタ値)を示す情報を入賞コマンドとして設定し、音声ランプ制御装置113側で受信した入賞コマンドに含まれる情報に基づいて当否判定結果を予測するように構成しても良い。
このように構成することで、主制御装置110の処理負荷を軽減することができる。また、音声ランプ制御装置113側で、先読み演出を実行するか否かを判別する処理を実行し、先読み演出を実行すると判別した場合に、主制御装置110から受信した入賞コマンドに含まれる情報を解析(当否判定結果の予測)するように構成すると良い。これにより、先読み演出を実行しない場合には、具体的な先読み処理(当否判定結果の予測)が実行されないため、パチンコ機10にて無駄な制御が実行されることを抑制することができる。また、無題に実行された先読み処理の結果を遊技者に不正に取得されてしまう不具合を抑制することができる。
次に、図49を参照して、始動入賞処理(図47のS105)の一処理である第2先読み処理(S1714)について説明する。図49は、この第2先読み処理(S1714)を示すフローチャートである。第2先読み処理(図47のS1714)は、上記した第1先読み処理(図46のS1707)が第1始動口(第1入球口64)に球が入球(始動入賞)したことに基づく保留データ(入賞情報)を事前に判別(先読み)して、各種判定を行う処理であるのに対して、判定を行う対象を第1始動口に始動入賞したことに基づく入賞情報から第2始動口(第2入球口640)に始動入賞したことに基づく入賞情報へと変更した点でなるのみであり、その他は同一の処理が実行されるため、詳細な説明は省略する。
次に、図50を参照して、主制御装置110内のMPU201により実行されるタイマ割込処理の一処理である普通図柄変動処理(S106)について説明する。図50は、この普通図柄変動処理(S106)を示すフローチャートである。普通図柄変動処理(S106)は、第2図柄(普通図柄)の変動表示や、電動役物640の開放時間などを制御するための処理である。
この普通図柄変動処理(図50のS106)では、まず、今現在が、普通図柄(第2図柄)の当たり中であるかを判別する。(S2001)。普通図柄(第2図柄)の当たり中としては、第2図柄表示装置83において当たりを示す表示がなされてから(当たり図柄が停止表示してから)電動役物640の開閉制御がなされている最中まで(当たり遊技が終了するまで)が含まれる。普通図柄(第2図柄)の当たり中であると判別した場合には(S2001:Yes)、そのまま本処理を終了する。
一方、普通図柄(第2図柄)の当たり中でないと判別した場合には(S2001:No)、第2図柄表示装置83の普通図柄が変動表示中であるかを判別する(S2002)。普通図柄の変動表示中では無い、即ち、現在が新たな普通図柄変動(抽選)を実行可能な状態であると判別した場合は(S2002:No)、次に、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を取得し(S2003)、その値が0よりも大きいかを判別する(S2004)。
S2004の処理で普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が0であると判別された場合には(S2004:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fの値が0よりも大きいと判別した場合は(S2004:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を1減算する(S2005)。つまり、S2004の処理において新たな普通図柄変動を実行するための条件(普通図柄変動に用いるための入賞情報が保留記憶されていること)が成立していると判別された場合は、保留記憶されている入賞情報を用いて普通図柄変動を実行するため、普通図柄保留球数カウンタ203fの値を1減算する。
次に、普通図柄保留球格納エリア203cに格納されたデータをシフトする(S2006)。S2006の処理では、普通図柄保留球格納エリア203cの普通図柄保留1〜普通図柄保留4に格納されているデータを、実行エリア側に順にシフトさせる処理を行う。より具体的には、普通図柄保留1→実行エリア、普通図柄保留2→普通図柄保留1、普通図柄保留3→普通図柄保留2、普通図柄保留4→普通図柄保留4といった具合に各エリア内のデータをシフトする。データをシフトした後は、普通図柄保留球実行エリア(図示せず)に格納されている第2当たり乱数カウンタC4の値を取得する(S2007)。
次に、時短フラグ203tがオンであるか否か、即ち、現在が普通図柄の高確率状態であるか否かを判別し(S2008)、時短フラグ203tがオンに設定されていると判別した場合は(S2008:Yes)、高確率時用の第2当たり乱数テーブル202c(図17(c)参照)の当たり判定値に基づいて当否判定結果(抽選結果)を取得しS2011の処理へ移行する。一方、時短フラグ203tがオフであると判別した場合は(S2008:No)、低確率時用の第2当たり乱数テーブル202c(図17(c)参照)の当たり判定値に基づいて、当否判定結果が取得され(S2010)、S2011の処理へ移行する。
S2011の処理では、今回の普通図柄変動(抽選)が当たりであるかを判別し(S2011)、当たりであると判別した場合は(S2011:Yes)、当たり時の表示態様である「○」の表示態様を設定し(S2012)、普図変動種別カウンタの値を用いて普図変動パターンに基づいて普通図柄の変動時間を決定する(S2014)。一方、S2011の処理で、今回の普通図柄変動(抽選)が当たりでは無い(外れである)と判別した場合は(S2011:No)、外れ時の表示態様である「×」の表示態様を設定し(S2013)、上述したS2014の処理へ移行する。
ここで、普通図柄の変動時間を決定するための処理(S2014の処理)について、普図変動パターンテーブル202f(図22参照)に規定されている内容を用いて説明をする。本実施形態では、普通図柄変動の変動時間を、設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)と、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(普図保留数)と、に基づいて可変設定するように構成している。そして、設定された普通図柄の変動時間によって、第2入球口640への球の入球のし易さが異なるように構成している。
具体的には、図2に示した通り、本実施形態では、スルーゲート67を通過し、流路ユニット3660内を流下し球が第2入球口640に入球し得るように構成しており、スルーゲート67を通過した球が1.6秒後に第2入球口640に到達するように構成しており、スルーゲート67を通過した球が第2入球口640に入球するか否かを、設定される普通図柄の変動時間によって切り替え可能に構成している。
上述した通り、普図変動パターンテーブル202f(図22参照)には、普通図柄の高確率状態が設定されている場合に0.5秒の変動時間が規定されている。そして、普通図柄の高確率状態が設定されている場合には、0.1秒間の閉鎖期間(オープニング期間)を経て0.8秒間の開放期間が設定される開放パターンに基づいた当たり遊技(普図当たり遊技)が実行される。よって、普通図柄の高確率状態が設定されている場合は、スルーゲート67を通過した球が第2入球口640に到達するまでに、普図当たり遊技が終了してしまうため、その球が第2入球口640に入球し得ないように構成している。
一方、普通図柄の低確率状態が設定されている場合は、普通図柄の保留球数(普通図柄保留球数カウンタ203fの値)に応じて異なる変動時間が設定されるように構成しており、普通図柄の保留球数が0個の場合には、普通図柄の変動時間が30秒の変動時間が規定されており、普通図柄の保留球数が1〜3個の場合には、普通図柄の変動時間として1.4秒の変動時間が規定されている。
そして、普通図柄の低確率状態が設定されている場合には、0.1秒間の閉鎖期間(オープニング期間)を経て0.7秒間の開放期間が設定される開放パターンに基づいた当たり遊技(普図当たり遊技)が実行される。よって、普通図柄の低確率状態が設定されており普通図柄の保留球数が0個の場合は、スルーゲート67を通過した球が第2入球口640に到達した時点(スルーゲート67を通過してから1.6秒後)で普通図柄の変動(30秒変動)が実行されている最中であるため、その球が第2入球口640に入球し得ないように構成されており、普通図柄の低確率状態が設定されており普通図柄の保留球数が1〜3個の場合は、スルーゲート67を通過した球が第2入球口640に到達した時点(スルーゲート67を通過してから1.6秒後)では普図当たり遊技が実行されているため、その球が第2入球口640に入球し得るように構成されている。
このように、設定される普通図柄の変動時間の長さに応じて、第2入球口640への球の入球具合を可変させるように構成することで、第2入球口への球の入球のし易さを遊技状態に応じて容易に可変することができるため、様々な遊技性を創り出すことができる。
また、上述した通り、普通図柄の変動時間を適正範囲よりも短くした場合であっても、長くした場合であっても、球が第2入球口640に入球し難くなるように構成することができるため、例えば、普通図柄の変動時間を短縮する必要がある遊技状態(例えば、確変状態)においても、球が第2入球口640に入球し難くすることができる。
なお、本実施形態では、普通図柄の遊技状態、及び、普通図柄の保留球数に応じて、普通図柄の変動パターンを設定するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、取得した普図変動種別カウンタCS2の値に基づいて異なる変動時間が設定されるように構成しても良い。
一方、S2002の処理において、普通図柄(第2図柄)が変動表示中ではないと判別した場合には(S2002:No)、第2図柄表示装置83において実行している普通図柄の変動時間が経過したかを判別し(S2015)、変動時間が経過していないと判別した場合は(S2015:No)、そのまま本処理を終了する。
一方、S2015の処理において変動時間が経過していると判別した場合は(S2015:Yes)、次に、第2図柄表示装置83の停止表示を設定する(S2016)。S2016の処理では、今回の普通図柄の抽選が当たりである場合には、第2図柄表示装置83には「○」図柄が停止表示(点灯表示)されるように設定する。一方、普通図柄の抽選が外れである場合には、第2図柄表示装置83には「×」図柄が停止表示(点灯表示)される。つまり、上述したS2012、或いはS2013の処理で設定された表示態様を停止表示させるための設定が行われる。
S2016の処理により、停止表示を設定すると、第2図柄表示装置83における変動表示が終了し、S2012の処理、或いはS2013の処理で設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)が第2図柄表示装置83に停止表示(点灯表示)される。
次に、今回の普通図柄の抽選結果は当たりであるかを判別する(S2017)。今回の普通図柄の抽選結果は当たりであると判別した場合には(S2017:Yes)、電動役物640の開閉制御態様(開放パターン)を設定するための処理が実行される。一方、子泣きの普通図柄の抽選結果が当たりでは無い(外れである)と判別した場合は(S2017:No)、そのまま本処理を終了する。
次に、本実施形態における電動役物640の開閉制御態様(開放パターン)について説明をする。本実施形態のパチンコ機10では、普通図柄の当否判定を行うタイミング(S2008〜S2011の処理を行うタイミング)にて設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に基づいて普通図柄の当否判定を実行し、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミング(S2015の処理で変動時間が経過したと判別したタイミング)にて設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に基づいて電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するように構成している。
即ち、本実施形態では、普通図柄に関する変動処理(抽選処理)と、特別図柄に関する変動処理(抽選処理)とが独立して実行されるように構成されており、さらに、特別図柄に関する変動処理(抽選処理)の結果に基づいて普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)が可変するように構成している。よって、普通図柄に関する変動処理(抽選処理)が実行されている期間中に並行して実行される特別図柄に関する変動処理(抽選処理)の結果によっては、普通図柄の当否判定を行うタイミングでは普通図柄の高確率状態が設定され、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングでは普通図柄の低確率状態が設定される場合が発生する。
このような状況において、例えば、普通図柄の当否判定を行うタイミングにて設定されている普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に基づいて、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定してしまうと、普通図柄の低確率状態が設定されている状態で、電動役物640aがロング開放(普通図柄の高確率状態中が設定されている場合に実行される開放パターン)してしまうという問題があった。
そこで、本実施形態では、電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングにおける普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)を判別し、その判別結果に基づいて電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するように構成している。これにより、設定されている遊技状態に応じた開放パターンで電動役物640aを開放させることができる。
S2017の処理において、今回の普通図柄の抽選結果が当たりであると判別した場合は(S2017:Yes)、次に、現在の普通図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)を判別するために、時短フラグ203fがオンであるかを判別し(S2018)、時短フラグ203fがオンでは無い(オフである)、即ち、現在が普通図柄の低確率状態であると判別した場合は(S2018:No)、普通図柄の低確率状態用の開放パターンとして、0.7秒間の開放を1回実行する開放パターン「0.7秒間×1回」を設定する(S2019)。
一方、S2018の処理において、時短フラグ203fがオンに設定されていると判別した場合は(S2018:Yes)、普通図柄の高確率状態用の開放パターンとして、0.8秒間の開放を1回実行する開放パターン「0.8秒間×1回」を設定する(S2020)。つまり、本実施形態では、普通図柄の高確率状態用の開放パターン(0.8秒×1回)のほうが、普通図柄の低確率状態用の開放パターン(0.7秒×1回)よりも、長い期間電動役物640aを開放させるように構成している。よって、電動役物640aの開放パターンとしては、普通図柄の高確率状態が設定されているほうが、普通図柄の低確率状態が設定されている場合よりも、遊技者に有利となる当たり遊技(第2入球口640が開放状態となる期間が長くなる)ように構成している。
次いで、S2019、或いはS2020の処理において設定された開放パターンに基づいて電動役物640aの開閉制御開始を設定し(S2021)、本処理を終了する。
なお、本実施形態では、普通図柄の当否判定を行うタイミングにおける普通図柄の確率状態に基づいて普通図柄の当否判定を実行し、普通図柄の当たり遊技にて可動させる電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングにおける普通図柄の確率状態に基づいて電動役物640aの開放パターンを設定するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、普通図柄の当否判定を行うタイミングで普通図柄の高確率状態が設定されており、且つ普通図柄の当たり遊技にて可動させる電動役物640aの開放制御態様(開放パターン)を設定するタイミングでも普通図柄の高確率状態が設定されている場合にのみ、電動役物640aがロング開放するように構成しても良いし、普通図柄の当否判定を行うタイミングで設定されている遊技状態に基づいて、電動役物640aの開放パターンを設定するように構成しても良い。
このように、本実施形態では、普図変動パターンテーブル202f(図22参照)より普図変動種別カウンタCS2の値に基づいて普図の変動パターン(変動時間)が決定される。図22に示すように、普図変動パターンテーブル202fでは、各遊技状態や普通図柄の保留球数に対応して、普通図柄の変動パターンが設定されている。確変状態(確変:電サポ有り)以外では、変動パターンは1種類であり、選択した普図変動種別カウンタの値に関わらず常に同じ変動時間が決定される。
ここで、上述したように、普通図柄の変動パターンとして変動時間の長い変動時間(例えば60000ms)が選択されると、その間、電動役物640aが作動しないこととなるので、その間に右打ちされた遊技球の約50%が第2入球口640へ入賞することとなる。よって、確変状態で普通図柄の変動時間として長い変動時間が選択されることで、第2入球口640への入賞数を増加させることができる。
なお、図16(c)に示すように、確変状態中には、第2特別図柄で当たりとなると必ず大当たりDが選択されることとなり、第1特別図柄で大当たりするよりも有利な大当たりが選択される。よって、確定遊技中では、第2特別図柄で抽選される方が、第1特別図柄で抽選されるよりも、大当たりとなった場合に、遊技者に有利とすることができる。よって、確変状態中に第2入球口640への入賞を増加させることで、遊技者に有利となる期間を与えることができる。
次に、図51を参照して、本第1実施形態にて実行されるスルーゲート通過処理実行(S107)する。本処理は、タイマ割込処理(図11の(b2)参照)の中で実行され、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過の有無を判断し、球の通過があった場合に、第2当たり乱数カウンタC4が示す値を取得し実行エリアに格納するための処理である。
スルーゲート通過処理(図51のS107)では、まず、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したか否かを判定する(S2101)。ここでは、普通図柄始動口(スルーゲート)67における球の通過を3回のタイマ割込処理にわたって検出する。そして、球が普通図柄始動口(スルーゲート)67を通過したと判定されると(S2101:Yes)、次に、現在設定されている遊技状態が通常状態であるかを判別し(S2102)、通常状態であると判別した場合は(S2012)、通常状態が設定している状態で右打ち遊技が行われた場合であるため、発射異常を示すための報知コマンドを設定し(S2103)、S2106の処理へ移行する。
S2103の処理によって設定された報知コマンドが音声ランプ制御装置113へと出力(通知)されると、音声ランプ制御装置113側で異常報知処理が実行され、第3図柄表示装置81にて発射異常を示す第1異常報知態様(図11(a)参照)が表示される。
一方、S2102の処理で現在の遊技状態が通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)では無いと判別した場合は(S2102:No)、次に、現在の遊技状態が確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)であるかを判別し(S2104)、確変状態であると判別した場合は(S2104:Yes)、発射異常を示す第2報知コマンドを設定し(S2105)、S2106の処理へ移行する。S2104の処理で確変状態では無い(潜確状態である)と判別した場合は(S2104:No)、そのままS2106の処理へ移行する。
ここで、S2105の処理によって設定された第2報知コマンドが音声ランプ制御装置113へと出力(通知)されると、音声ランプ制御装置113側で異常報知処理が実行され、第3図柄表示装置81にて発射異常を示す第2異常報知態様(図12(b)参照)が表示される。
このように、球がスルーゲート67を通過したことを検知した場合に、右打ち遊技が実行されていると判別するように構成することで、右打ち遊技を行っているか否かを判別するための専用の検知手段(例えば、発射された球が可変表示装置ユニット80を超えた遊技領域に到達したことを検知するためのセンサ)を設ける必要が無くなるため、製造コストを削減することができる。また、右打ち遊技が行われている時点において設定されている遊技状態に応じて、発射異常を示すための報知コマンドを異ならせて設定することにより、図11(a)、或いは図12(b)に示したように異なる異常報知態様を容易に表示させることができる。
なお、本実施形態では、スルーゲート67を球が通過したことを検知した場合に、右打ち遊技が実行されていることを判別するように構成しているが、右打ち遊技が実行されていることを検知する構成で有ればこれ以外の構成を用いても良く、例えば、振分部材700(図2参照)に球が当接したこと(振分部材700が変位したこと)を検知する検知手段や、操作ハンドル51が右打ち領域に球を発射する程度の強度(操作量)で操作されたことを検知する検知手段を設けても良い。
図51に戻り説明を続ける。S2103〜S2105の処理を終えると、次に、S2106の処理が実行される。S2106では、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を取得し、次いで、その取得した普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4よりも大きくないか(普通図柄の保留球数が上限値に到達していないか)を判別する(S2107)。
S2107の処理で、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4よりも大きい(上限値の4である)と判別した場合は(S2107:No)、そのまま本処理を終了する。一方、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)が4よりも大きくない(3以下である)と判別した場合は(S2107:Yes)、普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)に1を加算し(S2108)、普図保留球数コマンド(普通図柄保留球数カウンタ203fの値(M)を示すためのコマンド)を設定し(S2109)、第2当たり乱数カウンタC4の値を普通図柄保留球格納エリア203cに格納し(S2110)、本処理を終了する。
次に、図52を参照して、NMI割込処理について説明をする。図52は、主制御装置110内のMPU201により実行されるNMI割込処理を示すフローチャートである。NMI割込処理は、停電の発生等によるパチンコ機10の電源遮断時に、主制御装置110のMPU201により実行される処理である。このNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM203に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から主制御装置110内のMPU201のNMI端子に出力される。すると、MPU201は、実行中の制御を中断してNMI割込処理を開始し、電源断の発生情報の設定として、電源断の発生情報をRAM203に記憶し(S2201)、NMI割込処理を終了する。
なお、上記のNMI割込処理は、払出発射制御装置111でも同様に実行され、かかるNMI割込処理により、電源断の発生情報がRAM213に記憶される。即ち、停電の発生等によりパチンコ機10の電源が遮断されると、停電信号SG1が停電監視回路252から払出制御装置111内のMPU211のNMI端子に出力され、MPU211は実行中の制御を中断して、NMI割込処理を開始するのである。
次に、図53を参照して、主制御装置110に電源が投入された場合に主制御装置110内のMPU201により実行される立ち上げ処理について説明する。図53は、この立ち上げ処理を示すフローチャートである。
この立ち上げ処理は電源投入時のリセットにより起動される。立ち上げ処理(図53)では、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S2301)。例えば、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。次いで、サブ側の制御装置(音声ランプ制御装置113、払出制御装置111等の周辺制御装置)が動作可能な状態になるのを待つために、ウエイト処理(本実施形態では1秒)を実行する(S2302)。そして、RAM203のアクセスを許可する(S2303)。
その後は、電源装置115に設けたRAM消去スイッチ122(図8参照)がオンされているか否かを判別し(S2304)、オンされていれば(S2304:Yes)、処理をS2312へ移行する。一方、RAM消去スイッチ122がオンされていなければ(S2304:No)、更にRAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S2305)、記憶されていなければ(S2305:No)、前回の電源遮断時の処理が正常に終了しなかった可能性があるので、この場合も、処理をS2312へ移行する。
RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S2305:Yes)、RAM判定値を算出し(S2306)、算出したRAM判定値が正常でなければ(S2307:No)、即ち、算出したRAM判定値が電源遮断時に保存したRAM判定値と一致しなければ、バックアップされたデータは破壊されているので、かかる場合にも処理をS2312へ移行する。なお、RAM判定値は、例えばRAM203の作業領域アドレスにおけるチェックサム値である。このRAM判定値に代えて、RAM203の所定のエリアに書き込まれたキーワードが正しく保存されているか否かによりバックアップの有効性を判断するようにしても良い。
S2312の処理では、サブ側の制御装置(周辺制御装置)となる払出制御装置111を初期化するために払出初期化コマンドを送信する(S2312)。払出制御装置111は、この払出初期化コマンドを受信すると、RAM213のスタックエリア以外のエリア(作業領域)をクリアし、初期値を設定して、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。主制御装置110は、払出初期化コマンドの送信後は、RAM203の初期化処理(S2313、S2314)を実行する。
上述したように、本パチンコ機10では、例えばホールの営業開始時など、電源投入時にRAMデータを初期化する場合にはRAM消去スイッチ122を押しながら電源が投入される。従って、立ち上げ処理の実行時にRAM消去スイッチ122が押されていれば、RAM203の初期化処理(S2313、S2314)を実行する。
また、電源断の発生情報が設定されていない場合や、RAM判定値(チェックサム値等)によりバックアップの異常が確認された場合も同様に、RAM203の初期化処理(S2313、S2314)を実行する。RAMの初期化処理(S2313、S2314)では、RAM203の使用領域を0クリアし(S2313)、その後、RAM203の初期値を設定する(S2314)。RAM203の初期化処理の実行後は、S2310の処理へ移行する。
一方、RAM消去スイッチ122がオンされておらず(S2304:No)、電源断の発生情報が記憶されており(S2305:Yes)、更にRAM判定値(チェックサム値等)が正常であれば(S2307:Yes)、RAM203にバックアップされたデータを保持したまま、電源断の発生情報をクリアする(S2308)。次に、サブ側の制御装置(周辺制御装置)を駆動電源遮断時の遊技状態に復帰させるための復電時の払出復帰コマンドを送信し(S2309)、S2310の処理へ移行する。払出制御装置111は、この払出復帰コマンドを受信すると、RAM213に記憶されたデータを保持したまま、遊技球の払い出し制御を開始可能な状態となる。
次に、音声ランプ制御装置113に対して、各種演出を実行することを許可する演出許可コマンドを出力する(S2310)。その後、割込みを許可する(S2311)。そして、後述するメイン処理に移行する。
次に、図54を参照して、上記した立ち上げ処理後に主制御装置110内のMPU201により実行されるメイン処理について説明する。図54は、このメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理では、大別して、カウンタの更新処理と、電源断時処理とが実行される。
メイン処理(図54参照)においては、まず、タイマ割込処理(図32参照)の中でRAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶されたコマンド等の出力データをサブ側の各制御装置(周辺制御装置)に送信する外部出力処理を実行する(S2401)。具体的には、タイマ割込処理(図32参照)におけるスイッチ読み込み処理で検出した入賞検知情報の有無を判別し、入賞検知情報があれば払出制御装置111に対して獲得球数に対応する賞球コマンドを送信する。また、特別図柄変動処理(図33参照)や始動入賞処理(図47参照)で設定された保留球数コマンドを音声ランプ制御装置113に送信する。更に、この外部出力処理(図54のS2401)により、主制御装置110の各種処理にて設定された各種コマンドを音声ランプ制御装置113に送信し、第3図柄表示装置81にて表示される各種演出(変動演出、装飾演出等)を設定するための情報とする。また、大当たり制御処理(図55参照)で設定されたオープニングコマンド、ラウンド数コマンド、エンディングコマンドを音声ランプ制御装置113へ送信する。加えて、球の発射を行う場合には、発射制御装置112へ球発射信号を送信する。
次に、変動種別カウンタCS1の値を更新する(S2402)。具体的には、変動種別カウンタCS1を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では198)に達した際、0にクリアする。そして、変動種別カウンタCS1の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域に格納する。
変動種別カウンタCS1の更新が終わると、払出制御装置111より受信した賞球計数信号や払出異常信号を読み込み(S2403)、次いで、特別図柄の大当たり状態である場合に、音声ランプ制御装置113にて大当たり演出を実行させるためのコマンドの設定や、可変入賞装置65の特定入賞口(大開放口)65a、V入賞装置650のV入賞口650aを開放又は閉鎖するための大当たり制御処理を実行する(S2404)。
大当たり制御処理(S2404)の詳細な内容については、図55〜図57を参照して後述するが、この大当たり制御処理(S2404)では、大当たり状態のラウンド毎に特定入賞口65a、V入賞口650a(以下、入賞口等と称す)を開放し、入賞口等(特定入賞口65a、V入賞口650a)の最大開放時間が経過したか、又は入賞口等(特定入賞口65a、V入賞口650a)に球が規定数入賞したかを判定する。そして、これら何れかの条件が成立すると入賞口等(特定入賞口65a、V入賞口650a)を閉鎖する。この入賞口等(特定入賞口65a、V入賞口650a)の開放と閉鎖とを所定ラウンド数繰り返し実行する。尚、本実施形態では、大当たり制御処理(S2404)をメイン処理において実行しているが、タイマ割込処理において実行しても良い。
次いで、特別図柄の抽選で小当たりに当選した場合に実行される小当たり遊技に関する小当たり制御処理を実行する(S2405)。この小当たり制御処理(2405)では、小当たり遊技中に開放動作されるV入賞装置650に対して、V入賞口650aを開放する期間と、閉鎖する期間とを、予め定められたシナリオ(小当たりシナリオ)に基づいて設定するための処理が実行される。なお。小当たり制御処理(S2405)の詳細な内容については、図58を参照して後述する。
次に、第2入球口640に付随する電動役物640の開閉制御を行う電動役物開閉処理を実行する(S2406)。電動役物開閉処理では、普通図柄変動処理(図50参照)のS2021の処理によって電動役物の開閉制御開始が設定された場合に、電動役物の開閉制御を開始する。尚、この電動役物の開閉制御は、普通図柄変動処理におけるS2019の処理、S2020の処理、によって設定された期間が終了するまで継続される。
次に、第1図柄表示装置37A,37Bの表示を更新する第1図柄表示更新処理を実行する(S2407)。第1図柄表示更新処理では、第1特別図柄変動開始処理(図34のS208)または第2特別図柄変動開始処理(図39のS210)によって変動パターンが設定された場合に、その変動パターンに応じた変動表示を、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて開始する。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37BのLEDの内、変動が開始されてから変動時間が経過するまでは、例えば、現在点灯しているLEDが赤であれば、その赤のLEDを消灯すると共に緑のLEDを点灯させ、緑のLEDが点灯していれば、その緑のLEDを消灯すると共に青のLEDを点灯させ、青のLEDが点灯していれば、その青のLEDを消灯すると共に赤のLEDを点灯させる。
なお、メイン処理は4ミリ秒毎に実行されるが、そのメイン処理の実行毎にLEDの点灯色を変更すると、LEDの点灯色の変化を遊技者が確認することができない。そこで、遊技者がLEDの点灯色の変化を確認することができるように、メイン処理が実行される毎にカウンタ(図示せず)を1カウントし、そのカウンタが100に達した場合に、LEDの点灯色の変更を行う。即ち、0.4s毎にLEDの点灯色の変更を行う。尚、カウンタの値は、LEDの点灯色が変更されたら、0にリセットされる。
また、第1図柄表示更新処理では、第1特別図柄変動開始処理(図34参照)または第2特別図柄変動開始処理(図39)によって設定された変動パターンに対応する変動時間が終了した場合に、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて実行されている変動表示を終了し、第1特別図柄変動停止処理(図38のS207参照)によって、第1特別図柄変動パターン選択処理(図36のS307参照)のS507で設定された表示態様で、停止図柄(第1図柄)を第1図柄表示装置37A,37Bに停止表示(点灯表示)する。第2特別図柄においても同様の処理によって、停止図柄(第1図柄)を第1図柄表示装置37A,37Bに停止表示(点灯表示)する。
さらに、本実施形態では、一方の特別図柄が大当たりを示す表示態様(大当たり図柄)で停止表示された場合に、他方の特別図柄を、外れを示す表示態様(外れ図柄)で停止表示させるように構成しており、そのための停止表示も実行される。
次に、第2図柄表示装置の表示を更新する第2図柄表示更新処理を実行する(S2408)。第2図柄表示更新処理では、普通図柄変動開始処理(図50参照)のS2014の処理によって第2図柄の変動時間が設定された場合に、第2図柄表示装置において変動表示を開始する。これにより、第2図柄表示装置では、第2図柄としての「○」の図柄と「×」の図柄とを交互に点灯させる変動表示が行われる。また、第2図柄表示更新処理(S2408)では、普通図柄変動処理(図50参照)のS2016の処理によって第2図柄表示装置の停止表示が設定された場合に、第2図柄表示装置において実行されている変動表示を終了し、普通図柄変動開始処理(図50参照)のS2012の処理またはS2013の処理によって設定された表示態様で、停止図柄(第2図柄)を第2図柄表示装置に停止表示(点灯表示)する。
その後は、RAM203に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別し(S2409)、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていなければ(S2409:No)、停電監視回路252から停電信号SG1は出力されておらず、電源は遮断されていない。よって、かかる場合には、次のメイン処理の実行タイミングに至ったか否か、即ち今回のメイン処理の開始から所定時間(本実施形態では4m秒)が経過したか否かを判別し(S2410)、既に所定時間が経過していれば(S2410:Yes)、処理をS2401へ移行し、上述したS2401以降の各処理を繰り返し実行する。
一方、今回のメイン処理の開始から未だ所定時間が経過していなければ(S2410:No)、所定時間に至るまで間、即ち、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間内において、第1初期値乱数カウンタCINI1、第2初期値乱数カウンタCINI2及び変動種別カウンタCS1の更新を繰り返し実行する(S2411,S2412)。
まず、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2との更新を実行する(S2411)。具体的には、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2を1加算すると共に、そのカウンタ値が最大値(本実施形態では479、232)に達した際、0にクリアする。そして、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新値を、RAM203の該当するバッファ領域にそれぞれ格納する。次に、変動種別カウンタCS1の更新を、S2411の処理と同一の方法によって実行する(S2412)。なお、このS2412の処理では、変動種別カウンタCS1の値と同様に普図変動種別カウンタCS2の値も更新される。
ここで、S2401〜S2408の各処理の実行時間は遊技の状態に応じて変化するため、次のメイン処理の実行タイミングに至るまでの残余時間は一定でなく変動する。故に、かかる残余時間を使用して第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2の更新を繰り返し実行することにより、第1初期値乱数カウンタCINI1と第2初期値乱数カウンタCINI2(即ち、第1当たり乱数カウンタC1の初期値、第2当たり乱数カウンタC4の初期値)をランダムに更新することができ、同様に変動種別カウンタCS1、普図変動種別カウンタCS2の値についてもランダムに更新することができる。よって、特別図柄や普通図柄の抽選に関する判定値を更新するための処理内容を把握され難くすることができ、当たりに対応する判定値が取得されるタイミングを狙った不正遊技が実行されることを抑制することができる。
また、S2409の処理において、RAM203に電源断の発生情報が記憶されていれば(S2409:Yes)、停電の発生または電源のオフにより電源が遮断され、停電監視回路252から停電信号SG1が出力された結果、図52のNMI割込処理が実行されたということなので、S2413以降の電源遮断時の処理が実行される。まず、各割込処理の発生を禁止し(S2413)、電源が遮断されたことを示す電源断コマンドを他の制御装置(払出制御装置111や音声ランプ制御装置113等の周辺制御装置)に対して送信する(S2414)。そして、RAM判定値を算出して、その値を保存し(S2415)、RAM203のアクセスを禁止して(S2416)、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるまで無限ループを継続する。ここで、RAM判定値は、例えば、RAM203のバックアップされるスタックエリア及び作業エリアにおけるチェックサム値である。
なお、S2409の処理は、S2401〜S2408で行われる遊技の状態変化に対応した一連の処理の終了時、又は、残余時間内に行われるS2411とS2412の処理の1サイクルの終了時となるタイミングで実行されている。よって、主制御装置110のメイン処理において、各設定が終わったタイミングで電源断の発生情報を確認しているので、電源遮断の状態から復帰する場合には、立ち上げ処理の終了後、処理をS2401の処理から開始することができる。即ち、立ち上げ処理において初期化された場合と同様に、処理をS2401の処理から開始することができる。よって、電源遮断時の処理において、MPU201が使用している各レジスタの内容をスタックエリアへ退避したり、スタックポインタの値を保存しなくても、初期設定の処理(S2301)において、スタックポインタが所定値(初期値)に設定されることで、S2401の処理から開始することができる。従って、主制御装置110の制御負担を軽減することができると共に、主制御装置110が誤動作したり暴走したりすることなく正確な制御を行うことができる。
次に、図55のフローチャートを参照して、主制御装置110内のMPU201により実行される大当たり制御処理(S2404)を説明する。図55は、この大当たり制御処理(S2404)を示すフローチャートである。この大当たり制御処理(S2404)は、タイマ割込処理(図32参照)の中で実行され、パチンコ機10が特別図柄の大当たり状態である場合に、大当たりに応じた各種演出を実行するための情報(コマンド)の設定や、入賞口等(特定入賞口(大開放口)65a、V入賞口650a)を開放又は閉鎖するための処理である。
大当たり制御処理(S2404)では、まず、特別図柄の大当たりが開始されるタイミングであるかを判別する(S2501)。具体的には、第1特別図柄変動停止処理(図38のS207参照)のS809または第2特別図柄変動停止処理(図45参照)のS1509の処理が実行され、特別図柄の大当たりの開始が設定されていれば、特別図柄の大当たりが開始されると判別する。S2501の処理において、特別図柄の大当たりが開始タイミングであると判別した場合には(S2501:Yes)、オープニングコマンドを設定して(S2502)、本処理を終了する。
なお、オープニングコマンドは遊技状態や大当たり種別に応じて遅延(可変)して送信するように構成してもよい。具体的には、定期的(4ms毎)に更新されるオープニングカウンタを設ける。そして、特別図柄の大当たりまたは小当たりが開始される場合に、オープニングカウンタを0に初期化して、その後、オープニングカウンタが所定値(例えば、大当たりAの場合は2500、大当たりBの場合は5000)となった場合に、オープニングコマンドを送信するようにすればよい。このようにすることで、例えば、左打ち遊技において大当たりとなった場合には、大当たりの開始までの時間を長くし、右打ち遊技において大当たりとなった場合には、大当たりの開始までの時間を短くできる。本実施形態では、左打ち遊技中に大当たりとなった場合には、大当たり遊技として右打ち遊技に切り替える必要がある。上記構成によれば、左打ち遊技において大当たりとなった場合に、右打ち遊技(大当たり遊技)に切り替える時間を十分に確保することができる。これにより、遊技者の操作負担を軽減できる。
一方、S2501の処理において、特別図柄の大当たり開始タイミングでは無いと判別した場合は(S2501:No)、次に、現在が特別図柄の大当たり中であるかを判別する(S2503)。このS2503の処理では、遊技状態格納エリア203mに記憶されている当たり遊技に関する遊技情報を読み出して判別が行われる。
特別図柄の大当たり中としては、第1図柄表示装置37及び第3図柄表示装置81において特別図柄の大当たり(特別図柄の大当たり遊技中も含む)を示す表示がなされている最中と、特別図柄の大当たり遊技終了後の所定時間の最中とが含まれる。S2503の処理において、特別図柄の大当たり中では無いと判別した場合は(S2503:No)、そのまま本処理を終了する。一方、特別図柄の大当たり中であると判別した場合は(S2503:Yes)、次に、新たなラウンドの開始タイミングであるか判別する(S2504)。
S2504の処理において新たなラウンドの開始タイミングであると判別した場合には(S2504:Yes)、大当たり動作設定処理を実行する(S2505)。この大当たり動作設定処理(S2505)については、図56を参照して詳細を説明するが、大当たり種別に対応した開放動作シナリオに対応する処理(可変入賞装置65、V入賞装置65、及び切替部材650hの動作処理)が実行される。
ここで、図56を参照して、大当たり制御処理(図55のS2404)内の一処理である大当たり動作設定処理(S2505)について説明する。図56は、大当たり動作設定処理(S2505)の内容を示したフローチャートである。
大当たり動作設定処理(S1625)が実行されると、まず、今回の大当たりに対応して設定されている開放動作シナリオのうち、今回開始する大当たりのラウンド数に対応した開放動作が設定されている開放動作シナリオを読み込む(S2641)。そして、流路ソレノイド(確変ソレノイド)650k(図4参照)の開放動作をS2641で読み込んだデータに基づいて設定する(S2642)。次いで、可変入賞装置65の開閉扉65f1、或いは、V入賞口650aの開閉扉650f1の開放動作をS2641の処理で読み込んだデータにより設定する(S2643)。その後、本処理を終了する。
なお、本実施形態のパチンコ機10は、大当たり遊技として第1アタッカ(V入賞装置650)に対して開放動作を実行する大当たり遊技(ラウンド遊技)と、第2アタッカ(可変入賞装置65)に対して開放動作を実行する大当たり遊技(ラウンド遊技)と、を実行可能に構成されており、上述したS2642の処理は、第1アタッカ(V入賞装置650)を開放動作させるラウンド遊技のうち、1ラウンド目のラウンド遊技に対応する開放動作シナリオにのみ規定されているものである。よって、それ以外のラウンド遊技を実行する場合には、対応する開放動作シナリオに流路ソレノイド(確変ソレノイド)650kを開放させるシナリオ(切替部材650hを可動させて特別排出流路650e2を連通させるシナリオ)が規定されていないため、S2642の処理がスキップされる。
このように、各ラウンドの開始毎に、可変入賞装置65の各動作が設定されるので、予期せぬ電源断が大当たり遊技中に発生しても、大当たり遊技が途中で終了してしまうような不具合を抑制できる。また、詳細な説明は省略するが、本実施形態では新たなラウンドの開始タイミングであると判別した場合に(図55のS2504:Yes)、新たなラウンド遊技が実行されることを示すためのラウンドコマンドが設定されるように構成している。ここで設定されたラウンドコマンドは音声ランプ制御装置113に出力され、音声ランプ制御装置113側で実行中の大当たり遊技に対する進行状況を判別することができるように構成している。よって、主制御装置110から受信したラウンドコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmに、現在が何ラウンド目のラウンド遊技中であるかを表示することができる。
なお、本実施形態では、主制御装置110が設定するラウンドコマンドとして、実行されるラウンド遊技のラウンド数を示すための情報が含まれるラウンドコマンドを設定するように構成しているが、これに限ること無く、ラウンド遊技が新たに開始されたことを示す情報のみを含むラウンドコマンドを設定するように構成しても良い。この場合、音声ランプ制御装置113側で1回の大当たり遊技中に受信したラウンドコマンドの数を計測する手段を設け、音声ランプ制御装置113側で今回実行されるラウンド遊技が何ラウンド目であるのかを算出し、その算出結果に基づいて第3図柄表示装置81に表示するラウンド数表示の表示態様を設定するように構成しても良い。このように構成することで、主制御装置110側で設定するラウンドコマンドに含まれる情報量を削減することができるため、主制御装置110の負担を軽減することができる。
図55に戻って説明を続ける。S2504の処理において、新たなラウンドの開始タイミングではないと判別した場合には(S2504:No)、開閉扉650f1、流路ソレノイド(確変ソレノイド)650kの動作タイミングであるか判別する(S2506)。動作タイミングであると判別した場合には(S2506:Yes)、開放ソレノイド650f2をオンに設定する(S2507)。その後、流路ソレノイド(確変ソレノイド)650kをオンに設定する(S2508)。その後、この処理を終了する。
一方、S2506の処理において、開放動作のタイミングでないと判別した場合には(S2506:No)、エンディング演出の開始タイミングであるか判別する(S2509)。エンディング演出の開始タイミングは、大当たり遊技における最終ラウンド(大当たりAの場合であれば10ラウンド目)が終了して開閉扉650f1が閉状態にされ、球はけ時間である待機時間(本実施形態では、3秒)が経過した場合に、エンディング演出の開始タイミングであると判別する。エンディング演出の開始タイミングであると判別した場合には(S2509:Yes)、エンディングの開始を示すエンディングコマンドを設定して(S2510)、本処理を終了する。
一方、S2509の処理において、エンディング演出の開始タイミングでないと判別した場合は(S2509:No)、次に、大当たりの終了タイミングであるか否かを判別する(S2511)。なお、大当たりの終了タイミングとは、具体的には、設定したエンディング演出の終了タイミングである。S2511の処理において、大当たりの終了タイミング(エンディング演出の終了タイミング)であると判別した場合は(S2511:Yes)、大当たりの終了を設定するための大当たり終了処理を実行して(S2512)、本処理を終了する。
ここで、図57を参照して大当たり終了処理(S2512)の詳細について説明する。図57は、大当たり終了処理(S2512)の内容を示したフローチャートである。この大当たり終了処理(S2512)では、大当たり遊技中に球が特定領域(Vスイッチ650e3)を球が通過したかを判別し、その判別結果に基づいて特別図柄の高確率状態を設定したり、当選した大当たり種別に基づいて、普通図柄の高確率状態を設定したりする処理が実行される。
大当たり終了処理(S2512)が実行されると、まず、確変設定フラグ203hはオンであるか否かを判別する(S2701)。S2701の処理において、確変設定フラグ203hがオンであると判別した場合は(S2701:Yes)、確変フラグ203gをオンに設定し(S2702)、S2703の処理へ移行する。なお、図示は省略したが、確変フラグ203gがオンに設定されたことに基づいて、確変設定フラグ203hはオフに設定されるように構成されている。
S2703の処理では、大当たり種別が電サポ有りの種別、即ち、大当たり終了後に時短フラグ203tがオンに設定される大当たり種別であるか否かを判別する(S2703)。このS2703の処理では、遊技状態格納エリア203mに格納(記憶)されている情報(大当たり中、小当たり中を示す情報、及び、大当たり中であれば設定された大当たり種別を示す当たり情報と、大当たり当選時における遊技状態を示す情報)に基づいて、今回の大当たり終了後に時短フラグ203tをオンに設定するものであるかを判別する。
S2703の処理において、大当たり種別が電サポありの種別である(普通図柄の高確率状態を設定する種別である)と判別した場合は(S2703:Yes)、時短フラグ203tをオンに設定して(S2704)、本処理を終了する。一方、S2703の処理において、大当たり種別が電サポありの種別でない(普通図柄の低確率状態を設定する種別である)と判別した場合は(S2703:No)、S2704の処理をスキップして、本処理を終了する。
一方、S2701の処理において確変設定フラグ203hがオフであると判別した場合は(S2701:No)、そのまま本処理を終了する。
このように、本実施形態では、大当たり遊技の終了時に、確変設定フラグ203hがオンに設定されているかを判別し、オンに設定されていれば、確変フラグ203gがオンに設定される。つまり、大当たり遊技の終了時に、Vスイッチ650e3を遊技球が通過しているかを判別して、特別図柄の高確率状態を設定することができる。よって、大当たり遊技が終了するまで、大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態へ移行することを遊技者に期待させ続けることができる。さらには、大当たり遊技中に、Vスイッチ650e3に球を通過させることができれば、特別図柄の高確率状態が大当たり遊技終了後に付与されるので、大当たり遊技中にVスイッチ650e3を球が通過するか否かに関心を持って遊技を行わせることができる。
さらに、本実施形態では、上述した通り、大当たり遊技中にVスイッチ650e3を球が通過しなかった場合(確変設定フラグ203hがオンに設定されなかった場合)には、その大当たり遊技終了後に、特別図柄の高確率状態も、普通図柄の高確率状態も設定されないように構成している。つまり、実行される大当たり遊技の開放動作シナリオにV開放パターン(大当たり遊技中に特定領域(Vスイッチ650e3)を球が通過し易い開放パターン)が設定されたとしても、その大当たり遊技中に球が特定領域(Vスイッチ650e3)を通過しなければ、遊技者に最も不利となる遊技状態が設定されるように構成している。
このように構成することにより、開放動作シナリオとしてV開放パターンが設定されている場合に球を特定領域(Vスイッチ650e3)に通過させようと意欲的に遊技を行わせることができる。また、V開放パターンが設定されているか否かを遊技者に分かり難くすることにより、開放動作シナリオとしてV開放パターンが設定されていない大当たり遊技に対しても遊技者に意欲的に遊技を行わせることができる。
図55に戻って説明を続ける。S2511の処理において、大当たり終了のタイミングではないと判別した場合には(S2511:No)、入賞処理を実行する(S2513)。ここで、図59を参照して、この入賞処理(S2513)について詳細に説明する。図59は、この入賞処理(S2513)の内容を示したフローチャートである。
入賞処理(図59のS2513)では、まず、ラウンド有効期間であるか判別する(S2971)。ラウンド有効期間とは、ラウンド遊技が設定されている期間、即ち、開放扉65f1、或いは開放扉650f1の開放状態からインターバル期間(0.5秒)が終了するまでの期間である。ラウンド有効期間外であると判別した場合には(S2971:No)、この処理を終了する。一方、ラウンド有効期間内であると判別した場合には(S2971:Yes)、V入賞口650aの球検知スイッチ650c1を通過したかを判別する。V入賞口650aの球検知スイッチ650c1を通過したと判別した場合には(S2972:Yes)、入賞個数カウンタ203jを1加算して更新する(S2973)。その後、S2974の処理を実行する。一方、球検知スイッチ650c1を通過していないと判別した場合には(S2972:No)、S2973の処理をスキップして、S2974の処理を実行する。
S2974の処理では、入賞個数カウンタ203jの値が10以上であるか判別する(S2974)。入賞個数カウンタ203jの値が10以上であると判別した場合には(S2974:Yes)、V入賞口650aの開閉扉650f1の閉鎖を設定する(S2976)。その後、残球タイマフラグ203nをオンに設定し(S2977)、S2978の処理を実行する。この残球タイマフラグ203nがオンに設定されることで、開閉扉650f1が閉鎖されてから球はけ時間中であることが判別できる。
一方、S2974の処理において、入賞個数カウンタ203jの値が10未満であると判別した場合には(S2974:No)、ラウンド時間(本実施形態では、30秒)が経過したか判別する(S2975)。ラウンド時間が経過したと判別した場合には(S2975:Yes)、S2976の処理を実行する。一方、ラウンド時間が経過していないと判別した場合には(S2975:No)、S2978の処理を実行する。
S2978の処理では、動作カウンタ203kの値が0より大きい値であるか判別する(S2978)。動作カウンタ203kの値が0より大きい値であると判別した場合には(S2978:Yes)、動作カウンタ203kの値を−1して更新する(S2979)。Vスイッチ650e3を球が通過したか判別する(S2980)。Vスイッチ650e3を球が通過したと判別した場合には(S2980:Yes)、確変通過カウンタ203iの値に1加算して更新し(S2981)、確変設定フラグ203hをオンに設定する(S2982)。
その後、S2983の処理を実行する。一方、S2980の処理において、Vスイッチ650e3を球が通過していないと判別した場合には(S2980:No)、S2983の処理を実行する。S2983の処理では、動作カウンタ203kが0であるか判別する(S2983)。動作カウンタ203kが0であると判別した場合には、流路ソレノイド650kをオフに設定し(S2984)、確変有効フラグ203pをオンに設定し(S2985)、その後、本処理を終了する。ここで、確変有効フラグ203pがオンに設定されることで、切替部材650hが切り替えられた後も、特別排出流路650e2に残存している球がVスイッチ650e3を通過した場合には、特別図柄の高確率状態が設定されるように制御することができる。
一方、S2978の処理において、動作カウンタ203kが0であると判別した場合には(S2978:No)、確変有効フラグ203pがオンであるか判別する(S2986)。確変有効フラグ203pがオフであると判別した場合には(S2986:No)、この処理を終了する。また、S2986の処理で確変有効フラグ203pがオンであると判別した場合には(S2986:Yes)、確変有効タイマ203rの値に1を加算して更新する(S2987)。
そして、更新後の確変有効タイマ203rの値が上限値(本実施形態では、1.2s)に到達しているかを判別する(S2988)。確変有効タイマ203rが上限値であると判別した場合には(S2988:Yes)、確変有効フラグ203pをオフに設定し(S2989)、確変有効タイマ203rを初期値である0にリセットする(S2990)。その後、この処理を終了する。S2988の処理において、確変有効タイマ203rが上限値でないと判別した場合には(S2988:No)、S2980の処理へ移行する。
これにより、確変有効タイマ203rが上限値に到達するまでの間、Vスイッチ650e3を球が通過したか否かを判別することができるため、球はけの時間を考慮して特別図柄の高確率状態を設定することができる。また、有効と判別される時間に上限があるので、不正にVスイッチ650e3に球を通過させて特別図柄の高確率状態が付与されることを抑制できる。
図55に戻って説明を続ける。入賞処理(図59のS2513)が終了すると、次いで、異常処理を実行し(S2514)、本処理を終了する。ここで、異常処理(S2514)について、図60を参照して、詳細を説明する。図60は、この異常処理(S2514)の内容を示したフローチャートである。この異常処理(S2514)は、不正にVスイッチ650e3を通過させられていないかを監視するための処理である。
異常処理(S2514)では、まず、ラウンド有効期間であるか判別する(S3001)。ラウンド有効期間外である場合には(S3001:No)、この処理を終了する。一方、ラウンド有効期間内であると判別した場合には(S3001:Yes)、球排出口スイッチ(排出確認スイッチ)650e4を球が通過したか判別する(S3002)。球排出口スイッチ(排出確認スイッチ)650e4を球が通過したと判別した場合には(S3002:Yes)、排出個数カウンタ203sの値を1加算して更新する(S3003)。その後、S3004の処理を実行する。一方、球排出口スイッチ(排出確認スイッチ)650e4を球が通過していないと判別した場合には(S3002:No)、S3004の処理を実行する。
S3004の処理では、残球タイマフラグ203nがオンであるか判別する(S3004)。残球タイマフラグ203nがオフであると判別した場合には(S3004:No)、この処理を終了する。一方、残球タイマフラグ203nがオンであると判別した場合には(S3004:Yes)、球はけ時間の期間中であるので、残球タイマ203oを1加算して更新する(S3005)。残球タイマ203oは上限値(本実施形態では、3秒)が経過したか判別する(S3006)。上限値でないと判別した場合には(S3006:No)、この処理を終了する。一方、上限値であると判別した場合には(S3006:Yes)、排出個数(確変通過カウンタ203iと排出個数カウンタ203sとの合計値)と入賞個数(入賞個数カウンタ203jの値)とが一致するか判別する(S3007)。
一致すると判別した場合には(S3007:Yes)、S3009の処理を実行する。一方、一致しないと判別した場合には(S3007:No)、エラーコマンドを設定する(S3008)。その後、S3009の処理を実行する。エラーコマンドを音声ランプ制御装置113が受信することにより、エラー表示(例えば、入賞個数不一致エラーの文字を表示)がされ、ホールコンピュータに対して、エラー信号の出力がされる。よって、V入賞装置650内に不正に遊技球を残存させて、Vスイッチ650e3に遊技球を通過させる不正を抑制できる。
S3009の処理では、残球タイマフラグ203nをオフに設定し(S3009)、残球タイマ203oを初期値である0にリセットする(S3010)。その後、入賞個数カウンタ203j、排出個数カウンタ203s、確変通過カウンタ203iが初期値にそれぞれリセットされ(S3011)、その後、この処理を終了する。
<第1実施形態における音声ランプ制御装置により実行される制御処理について>
次に、図61から図73を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される各制御処理を説明する。かかるMPU221の処理としては大別して、電源投入に伴い起動される立ち上げ処理と、その立ち上げ処理後に実行されるメイン処理とがある。
まず、図61を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される立ち上げ処理を説明する。図61は、この立ち上げ処理を示したフローチャートである。この立ち上げ処理は電源投入時に起動される。
立ち上げ処理が実行されると、まず、電源投入に伴う初期設定処理を実行する(S4001)。具体的には、スタックポインタに予め決められた所定値を設定する。その後、電源断処理中フラグがオンしているか否かによって、今回の立ち上げ処理が瞬間的な電圧降下(瞬間的な停電、所謂「瞬停」)によって、S4116の電源断処理(図62参照)の実行途中に開始されたものであるか否かが判断される(S4002)。図62を参照して後述する通り、音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から電源断の発生情報を受信すると(図62のS4113参照)、S4116の電源断処理を実行する。かかる電源断処理の実行前に、電源断処理中フラグがオンされ、該電源断処理の終了後に、電源断処理中フラグはオフされる。よって、S4116の電源断処理が実行途中であるか否かは、電源断処理中フラグの状態によって判断できる。
電源断処理中フラグがオフであれば(S4002:No)、今回の立ち上げ処理は、電源が完全に遮断された後に開始されたか、瞬間的な停電が生じた後であってS4116の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始されたものである。よって、これらの場合には、RAM223のデータが破壊されているか否かを確認する(S4003)。
RAM223のデータ破壊の確認は、次のように行われる。即ち、RAM223の特定の領域には、S4006の処理によって「55AAh」のキーワードとしてのデータが書き込まれている。よって、その特定領域に記憶されるデータをチェックし、該データが「55AAh」であればRAM223のデータ破壊は無く、逆に「55AAh」でなければRAM223のデータ破壊を確認することができる。RAM223のデータ破壊が確認されれば(S4003:Yes)、S4004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。一方、RAM223のデータ破壊が確認されなければ(S4003:No)、S4008へ移行する。
なお、今回の立ち上げ処理が、電源が完全に遮断された後に開始された場合には、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードは記憶されていないので(電源断によってRAM223の記憶は喪失するから)、RAM223のデータ破壊と判断され(S4003:Yes)、S4004へ移行する。一方、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS4116の電源断処理の実行を完了した後に開始されたか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって開始された場合には、RAM223の特定領域には「55AAh」のキーワードが記憶されているので、RAM223のデータは正常と判断されて(S4003:No)、S4008へ移行する。
電源断処理中フラグがオンであれば(S4002:Yes)、今回の立ち上げ処理は、瞬間的な停電が生じた後であって、S4117の電源断処理の実行途中に、音声ランプ制御装置113のMPU221にリセットがかかって開始されたものである。かかる場合は電源断処理の実行途中なので、RAM223の記憶状態は必ずしも正しくない。よって、かかる場合には制御を継続することはできないので、処理をS4004へ移行して、RAM223の初期化を開始する。
S4004の処理では、RAM223の全範囲の記憶領域をチェックする(S4004)。チェック方法としては、まず、1バイト毎に「0FFh」を書き込み、それを1バイト毎に読み出して「0FFh」であるか否かを確認し、「0FFh」であれば正常と判別する。かかる1バイト毎の書き込み及び確認を、「0FFh」に次いで、「55h」、「0AAh」、「00h」の順に行う。このRAM223の読み書きチェックにより、RAM223のすべての記憶領域が0クリアされる。
RAM223のすべての記憶領域について、読み書きチェックが正常と判別されれば(S4005:Yes)、RAM223の特定領域に「55AAh」のキーワードを書き込んで、RAM破壊チェックデータを設定する(S4006)。この特定領域に書き込まれた「55AAh」のキーワードを確認することにより、RAM223にデータ破壊があるか否かがチェックされる。一方、RAM223のいずれかの記憶領域で読み書きチェックの異常が検出されれば(S4005:No)、RAM223の異常を報知して(S4007)、電源が遮断されるまで無限ループする。RAM223の異常は、表示ランプ34により報知される。なお、音声出力装置226により音声を出力してRAM223の異常報知を行うようにしても良いし、表示制御装置114にエラーコマンドを送信して、第3図柄表示装置81にエラーメッセージを表示させるようにしてもよい。
S4008の処理では、電源断フラグがオンされているか否かを判別する(S4008)。電源断フラグはS4117の電源断処理の実行時にオンされる(図59のS4116参照)。つまり、電源断フラグは、S4116の電源断処理が実行される前にオンされるので、電源断フラグがオンされた状態でS4008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、瞬間的な停電が生じた後であってS4116の電源断処理の実行を完了した状態で開始された場合である。従って、かかる場合には(S4008:Yes)、音声ランプ制御装置113の各処理を初期化するためにRAMの作業エリアをクリアし(S4009)、RAM223の初期値を設定した後(S4010)、状態コマンドに基づいて状態設定エリアを更新する(S4011)。次いで、割込み許可を設定して(S4012)、メイン処理へ移行する。なお、RAM223の作業エリアとしては、主制御装置110から受信したコマンド等を記憶する領域以外の領域をいう。
一方、電源断フラグがオフされた状態でS4008の処理に至るのは、今回の立ち上げ処理が、例えば電源が完全に遮断された後に開始されたためにS4004からS4006の処理を経由してS4008の処理へ至ったか、或いは、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって(主制御装置110からの電源断コマンドを受信することなく)開始された場合である。よって、かかる場合には(S4008:No)、RAM223の作業領域のクリア処理であるS4009をスキップして、処理をS4010へ移行し、RAM223の初期値を設定する(S4010)。
なお、S4009のクリア処理をスキップするのは、S4004からS4006の処理を経由してS4008の処理へ至った場合には、S4004の処理によって、既にRAM223のすべての記憶領域はクリアされているし、ノイズなどによって音声ランプ制御装置113のMPU221にのみリセットがかかって、立ち上げ処理が開始された場合には、RAM223の作業領域のデータをクリアせず保存しておくことにより、音声ランプ制御装置113の制御を継続できるからである。
次に、図62を参照して、音声ランプ制御装置113の立ち上げ処理後に音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理について説明する。図62は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理が実行されると、まず、該メイン処理が開始されてから、又は、前回S4101の処理が実行されてから1ミリ秒以上が経過したか否かが判別され(S4101)、1ミリ秒以上経過していなければ(S4101:No)、S4102〜S4110の処理を行わずにS4111の処理へ移行する。S4101の処理で、1ミリ秒経過したか否かを判別するのは、S4102〜S4110が表示(演出)に関する処理であり、短い周期(1ミリ秒以内)で編集する必要がないのに対して、S4111のコマンド判定処理やS4112の変動表示設定処理を短い周期で実行する方が好ましいからである。S4111の処理が短い周期で実行されることにより、主制御装置110から送信されるコマンドの受信洩れを防止でき、S4111の処理が短い周期で実行されることにより、コマンド判定処理によって受信されたコマンドに基づき、変動表示演出に関する設定を遅滞なく行うことができる。
S4101の処理で1ミリ秒以上経過していれば(S4101:Yes)、まず、S4103〜S4113の処理によって設定された、表示制御装置114に対する各種コマンドを、表示制御装置114に対して送信するコマンド出力処理を実行する(S4102)。次いで、表示ランプ34の点灯態様の設定や後述するS4108の処理で編集されるランプの点灯態様となるよう各ランプの出力を設定し(S4103)、その後電源投入報知処理を実行する(S4104)。電源投入報知処理は、電源が投入された場合に所定の時間(例えば30秒)電源が投入されたことを知らせる報知を行うものであり、その報知は音声出力装置226やランプ表示装置227により行われる。また、第3図柄表示装置81の画面において電源が供給されたことを報知するようコマンドを表示制御装置114に送信するものとしても良い。なお、電源投入時でなければ、電源投入報知処理による報知は行わずにS4105の処理へ移行する。
S4105の処理では客待ち演出が実行され、その後、保留個数表示更新処理が実行される(S4106)。客待ち演出では、パチンコ機10が遊技者により遊技されない時間が所定時間経過した場合に、第3図柄表示装置81の表示をタイトル画面に切り替える設定などが行われ、その設定がコマンドとして表示制御装置114に送信される。
その後、枠ボタン入力監視・演出処理が実行される(S4107)。この枠ボタン入力監視・演出処理では、演出効果を高めるために遊技者に操作される枠ボタン22が押されたか否かの入力を監視し、枠ボタン22の入力が確認された場合に対応した演出を行うよう設定する処理である。この処理では、枠ボタン22の遊技者による操作が検出されると、表示制御装置114に対して枠ボタン22が操作されたことを通知する枠ボタン操作コマンドを設定する。
枠ボタン入力監視・演出処理が終わると、次いで、ランプ編集処理を実行し(S4108)、その後音編集・出力処理を実行する(S4109)。ランプ編集処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう電飾部29〜33の点灯パターンなどが設定される。音編集・出力処理では、第3図柄表示装置81で行われる表示に対応するよう音声出力装置226の出力パターンなどが設定され、その設定に応じて音声出力装置226から音が出力される。
S4109の処理後、液晶演出実行管理処理が実行される(S4110)。この後、S4111の処理へ移行する。液晶演出実行管理処理では、主制御装置110から送信される変動パターンコマンドに基づいて第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間が設定される。この液晶演出実行監視処理で設定された時間に基づいてS4108のランプ編集処理が実行される。なお、S4109の音編集・出力処理も第3図柄表示装置81で行われる変動表示に要する時間と同期した時間で実行される。
S4110の処理後、主制御装置110より受信したコマンドに応じた処理を行うコマンド判定処理(S4111)が実行され、S4112の処理へ移行する。このコマンド判定処理(S4111)の詳細については、図63を参照して後述する。
S4112の処理では、第3図柄表示装置81において変動表示演出を表示させるために、主制御装置110より受信した変動パターンコマンドに基づいて表示用変動パターンコマンドを生成し、そのコマンドを表示制御装置114に送信するために設定する処理である変動表示設定処理を実行する。この変動表示設定処理の詳細については、図73を参照して後述する。
S4112の処理が終わると、ワークRAM233に電源断の発生情報が記憶されているか否かを判別する(S4113)。電源断の発生情報は、主制御装置110から電源断コマンドを受信した場合に記憶される。S4113の処理で電源断の発生情報が記憶されていれば(S4113:Yes)、電源断フラグ及び電源断処理中フラグを共にオンして(S4115)、電源断処理を実行する(S4116)。電源断処理の実行後は、電源断処理中フラグをオフし(S4117)、その後、処理を、無限ループする。電源断処理では、割込処理の発生を禁止すると共に、各出力ポートをオフして、音声出力装置226およびランプ表示装置227からの出力をオフする。また、電源断の発生情報の記憶も消去する。
一方、S4113の処理で電源断の発生情報が記憶されていなければ(S4113:No)、RAM223に記憶されるキーワードに基づき、RAM223が破壊されているか否かが判別され(S4114)、RAM223が破壊されていなければ(S4114:No)、S4101の処理へ戻り、繰り返しメイン処理が実行される。一方、RAM223が破壊されていれば(S4114:Yes)、以降の処理の実行を停止させるために、処理を無限ループする。ここで、RAM破壊と判別されて無限ループするとメイン処理が実行されないので、その後、第3図柄表示装置81による表示が変化しない。よって、遊技者は、異常が発生したことを知ることができるので、ホールの店員などを呼びパチンコ機10の修復などを頼むことができる。また、RAM223が破壊されていると確認された場合に、音声出力装置226やランプ表示装置227によりRAM破壊の報知を行うものとしても良い。
次に、図63を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(S4111)について説明する。図63は、このコマンド判定処理(S4111)を示したフローチャートである。このコマンド判定処理(S4111)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図62参照)の中で実行され、上述したように、主制御装置110から受信したコマンドを判定する。以下、コマンド判定処理(S4111)の詳細を説明する。
コマンド判定処理(S4111)では、まず、RAM223に設けられたコマンド記憶領域223aから、未処理のコマンドのうち主制御装置110より受信した最初のコマンドを読み出して解析し、主制御装置110より特図1変動パターンコマンドを受信したか否かを判別する(S4201)。ここで、特図1変動パターンコマンドは、第1特別図柄の変動パターン(変動時間)を通知するためのコマンドである。S4201の処理において、特図1変動パターンコマンドを受信したと判別された場合には(S4201:Yes)、特図1変動開始処理を実行し(S4202)、本処理を終了する。この特図1変動開始処理(S4202)の詳細については、図64を参照して後述する。
一方、S4201の処理において、特図1変動パターンコマンドを受信していないと判別した場合には(S4201:No)、主制御装置110より特図2変動パターンコマンドを受信したか否かを判別する(S4203)。なお、特図2変動パターンコマンドは、第2特別図柄の変動パターン(変動時間)を通知するためのコマンドである。
S4203の処理において、特図2変動パターンコマンドを受信したと判別した場合には(S4203:Yes)、RAM223に設けられた特図2変動開始処理を実行し(S4204)、本処理を終了する。この特図2変動開始処理(S4204)の詳細については、図65を参照して後述する。ここで抽出された変動パターン種別は、RAM223のその他メモリエリア223zに、第2特別図柄の変動パターン種別であることが識別可能な形式で記憶され、後述の変動表示設定処理(図69参照)において、表示制御装置114に対して第2特別図柄の変動表示演出の開始と、その第2特別図柄の変動表示演出の表示態様とを通知する場合(第2特別図柄の表示用変動パターンコマンドを設定する場合)に用いられる。
S4203の処理において、特図2変動パターンコマンドを受信していないと判別した場合には(S4203:No)、次に、特図1停止種別コマンド、または特図2停止種別コマンドを受信したか否かを判別する(S4205)。特図1停止種別コマンド、または特図2停止種別コマンドのいずれかを受信したと判別した場合は(S4205:Yes)、停止種別コマンド受信処理を実行し(S4206)、本処理を終了する。この停止種別コマンド受信処理(S4206)の詳細については図66を参照して後述する。
一方、S4205の処理において、特図1停止種別コマンドも、特図2停止種別コマンドも受信していないと判別した場合は(S4205:No)、主制御装置110より保留球数コマンドを受信したか判別する(S4207)。ここで、保留球数コマンドを受信したと判別した場合には(S4207:Yes)、受信した保留球数コマンドの図柄種別(第1特別図柄、第2特別図柄、普通図柄)を解析し、音声ランプ制御装置113のRAM223に設けられた対応するカウンタの値を更新する(S4208)。具体的には、第1特別図柄の保留球数コマンドを受信した場合は、その保留球数コマンドに含まれる主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203dの値(即ち、第1特別図柄の変動表示の保留球数)を抽出し、その抽出したカウンタ値に合わせて、音声ランプ制御装置113のRAM223に設けられた第1特別図柄保留球数カウンタ223cの値を更新する。
第2特別図柄の保留球数コマンドを受信した場合は、その保留球数コマンドに含まれる主制御装置110の第2特別図柄保留球数カウンタ203eの値(即ち、第2特別図柄の変動表示の保留球数)を抽出し、その抽出したカウンタ値に合わせて、音声ランプ制御装置113のRAM223に設けられた第2特別図柄保留球数カウンタ223dの値を更新する。また、普通図柄の保留球数コマンドを受信した場合は、その保留球数コマンドに含まれる主制御装置110の普通図柄保留球数カウンタ203fの値(即ち、普通図柄の変動表示の保留球数)を抽出し、その抽出したカウンタ値に合わせて、音声ランプ制御装置113のRAM223に設けられた普通図柄保留球数カウンタ223mの値を更新する。
ここで、保留球数コマンドは、球が各種入球口(第1入球口64、第2入球口640、スルーゲート67)に入球(始動入賞)し、各種保留球数カウンタの値が加算された場合、或いは、各種変動開始処理を実行する際に、各種保留球数カウンタの値が減算されたときに主制御装置110から送信されるものであるので、始動入賞時や変動表示設定時毎に、S4208の処理によって、音声ランプ制御装置113の第1特別図柄保留球数カウンタ223c、第2特別図柄保留球数カウンタ223d、普通図柄保留球数カウンタ223mの値を、主制御装置110の第1特別図柄保留球数カウンタ203d、第2特別図柄保留球数カウンタ203e、普通図柄保留球数カウンタ203fの値に合わせることができる。
よって、ノイズなどの影響により、音声ランプ制御装置113のRAM223が有する各種保留球数カウンタ223c,223d,223mの値が、主制御装置110の各種保留球数カウンタ203d,203e,203fの値とずれてしまっても、始動入賞時、変動表示設定時、即ち、各種保留球数変更されることに基づいて保留球数コマンドが通知されれば、音声ランプ制御装置113の各種保留球数カウンタ223c,223d,223mの値を修正し、主制御装置110の各種保留球数カウンタ203d,203e,203fの値に合わせることができる。
また、S4207の処理において、保留球数コマンドを受信していないと判別した場合は(S4207:No)、主制御装置110より入賞情報コマンドを受信したか判別する(S4209)。S4209の処理において、入賞情報コマンドを受信したと判別した場合は(S4209:Yes)、入賞コマンド処理を実行し(S4210)、本処理を終了する。この入賞コマンド処理(S4210)は、受信した入賞情報コマンドに含まれる入賞情報に対応する図柄種別(第1特別図柄、第2特別図柄、普通図柄)を解析し、その解析結果に対応する記憶領域(音声ランプ制御装置113のRAM223内の入賞情報格納エリア223b)に格納(記憶)する処理と、受信した入賞情報に基づいた演出(先読み演出)を実行するための処理を行うものである。なお、詳細な内容については、図67を参照して後述する。
S4209の処理において、入賞情報コマンドを受信していないと判別した場合は(S4209:No)、次に、主制御装置110より状態コマンドを受信したか否かを判別する(S4211)。状態コマンドを受信したと判別した場合には(S4211:Yes)、状態コマンド受信処理を実行し(S4212)、本処理を終了する。この状態コマンド受信処理(S4212)の詳細については、図62を参照して後述するが、主制御装置110から出力される状態コマンドに基づいてパチンコ機10の遊技状態(通常状態、確変状態、潜確状態)と、当たり遊技状態(大当たり中、小当たり中)を従状態設定エリア223kに設定する処理が実行される。
次に、S4211の処理において、状態コマンドを受信していないと判別した場合は(S4211:No)、主制御装置110より報知関連コマンドを受信したか否かを判別し(S4213)、報知関連コマンドを受信したと判別した場合は(S4213:Yes)、受信したコマンドが示す音声・ランプ報知態様を決定し(S4214)、受信したコマンドが示す報知態様に対応する表示コマンドを設定し(S4215)、本処理を終了する。
S4213の処理で判別される報知関連コマンドとしては、例えば、主制御装置110から出力されるパチンコ機10の異常状態を示すためのコマンド(報知コマンド、第2報知コマンド、エラーコマンド)がある。このように、異常状態を示すためのコマンドを受信した場合に実行する異常報知処理(外部に異常状態であることを示すための報知態様を設定する処理)を独立して設けることにより、例えば、異常報知処理を行いながらも通常の遊技が実行可能な低異常状態(例えば、通常状態において右打ち遊技が行われた状態)や、異常報知処理を行い、且つ遊技の続行が困難となる高異常状態(例えば、大当たり遊技中に入賞装置に入賞した球数と排出された球数とが相違する状態)が発生した場合において、発生した異常状態のランクに基づく処理(遊技続行の可否に対応した表示処理)を行うこと無く、いち早く異常報知処理を実行することが可能となる。
次に、S4213の処理で報知関連コマンドを受信していないと判別した場合は、変動停止関連コマンドを受信したかを判別する(S4216)。S4216の処理において変動停止関連コマンドを受信したと判別した場合は(S4216)、変動停止処理を実行し(S4217)、本処理を終了する。この変動停止処理(S4217)の詳細な説明は図70を参照して後述するが、主制御装置110から出力される各種停止コマンドに基づいて、第3図柄表示装置81に表示される第3図柄や第4図柄を用いた変動演出の表示態様を設定するための処理が実行される。
本実施形態では、特別図柄の変動表示が実行される期間として、特別図柄変動を実行する際に変動パターン(変動時間)を予め設定するように構成しているが、予め設定された変動パターンに基づいて特別図柄変動を実行している最中でも、他の特別図柄変動の結果に応じて強制的に特別図柄変動を停止させる処理を実行する場合がある。そのため、音声ランプ制御装置113側で変動停止処理(S4217)を実行し、特別図柄変動が停止されたタイミングに対応させて第3図柄、第4図柄の変動表示(変動演出)を停止することができるように構成している。これにより、特別図柄の変動状況と第3図柄表示装置81に表示される変動演出の状況とを同期させることができ、遊技者に分かり易い表示態様を提供することができる。
一方、S4216の処理において、変動停止関連コマンドを受信していないと判別した場合は(S4216:No)、当たり関連コマンドを受信したかを判別し(S4218)、当たり関連コマンドを受信したと判別した場合は(S4218:Yes)、当たり関連処理を実行し(S4219)、本処理を終了する。当たり関連処理(S4219)の詳細については、図71を参照して後述するが、特別図柄の抽選の結果、大当たり又は小当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技又は小当たり遊技に対応した演出表示を第3図柄表示装置81に実行させるための処理を行うものである。
S4218の処理において、当たり関連コマンドを受信していないと判別した場合には(S4218:No)、その他のコマンドに応じた処理を実行して(S4220)、本処理を終了する。S4220の処理では、その他のコマンドが、音声ランプ制御装置113で用いるコマンドであればそのコマンドに対応した処理を行い、処理結果をRAM223に記憶し、表示制御装置114で用いるコマンドであればそのコマンドを表示制御装置114に送信するように、コマンドの設定を行うものである。
以上、本実施形態の音声ランプ制御装置113にて実行されるコマンド判定処理(図63のS4111)について説明をしたが、コマンド判定処理(S4111)において、各種コマンドに対する受信の有無を判別する順序について、本実施形態に示した順序以外の順序を用いても良く、例えば、状態コマンドを受信したか否かを判別する処理を、特図1変動パターンコマンド、特図2変動パターンコマンドの何れかを受信したか否かを判別する処理よりも先に実行するよう判別順序を規定しても良い。
このように構成することで、変動パターンコマンドと状態コマンドとが同時に主制御装置110から出力される場合、即ち、主制御装置110の第1特別図柄変動開始処理(図33のS208参照)の中で、第1特別図柄変動パターン選択処理(図36のS307参照)を実行し、特図1変動パターンコマンドを設定し、その後に遊技状態が可変したことを示す状態コマンドを設定した場合であっても、音声ランプ制御装置113側で現在設定されている遊技状態を特図1変動パターンコマンドよりも先に判定することができる。
よって、例えば、確変状態が設定されている状態で特図1の大当たりに当選し、その大当たり変動中に潜確状態が設定される場合において、音声ランプ制御装置113側では、潜確状態が設定されたと判別した状態で大当たり変動となる変動パターンコマンドに対応する変動演出を、容易に設定することができる。
なお、本実施形態の構成とは異なり、状態コマンドの判別処理よりも前段に変動パターンコマンドに応じた処理を実行するように構成した場合、上述した大当たり変動に対応する変動パターンコマンドからは、確変状態中の第1特別図柄抽選によって大当たりに当選したことを示す情報のみを先に受信し、その受信内容に応じた変動表示が設定されることになる。よって、第1特別図柄の大当たり変動が開始されると同時に潜確状態が設定されたことを示す変動表示を実行することが困難となる。このように潜確状態が設定されたことを示す変動表示が遅れてしまうことにより、遊技者に対して右打ち遊技を行わせる旨を報知するタイミングが遅れてしまうことから、遊技者に不快感を与えてしますという問題が発生する。
これに対して、本実施形態では、上述した通り、主制御装置110側では、大当たりの当否判定、変動パターン設定の後に遊技状態を可変させる処理を実行するのに対して、音声ランプ制御装置113側では、先に現在の遊技状態を判別する処理を実行し、その後に変動パターンに対応する変動表示を設定するように構成している。よって、潜確状態が設定されているにも関わらず、それより以前の遊技状態に対応した変動表示が設定、実行されてしまうことを確実に防止することができる。
また、音声ランプ制御装置113側にて主制御装置110から出力された各種コマンドの受信順序を規定するように構成することで、主制御装置110側にて各種コマンドの出力順序を規定する必要性を低減することが可能となる。よって、主制御装置110の制御負荷を軽減させることができる。
次に、図64を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される特図1変動開始処理(S4202)について説明をする。図64は、特図1変動開始処理(S4202)を示したフローチャートである。この特図1変動開始処理(S4202)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(図63参照)の中で実行されるものであって、設定されている遊技状態に応じて第3図柄表示装置81に表示される第1特別図柄に対応する表示態様(主変動用変動パターン、従変動用変動パターン)を設定する処理が実行される。
そして、表示制御装置114は、ここで設定された表示態様(表示用コマンド)と、後述する変動表示設定処理(図73参照)にて設定された表示用変動パターンコマンドとに基づいて第3図柄表示装置81の表示領域に表示される表示態様を設定する。以下、特図1変動開始処理処理(S4202)の詳細を説明する。
特図1変動開始処理が設定されると、まず。特図1変動開始フラグ223eをオンに設定し(S4301)、受信した特図1変動パターンコマンドから変動パターンを抽出し(S4302)、変動パターン選択テーブル222aを用いて詳細な表示態様を選択するS4303)。
次に、従状態設定エリア223mに設定(記憶)されている情報(現在の遊技状態を示す情報)を読み出して、現在の遊技状態が潜確状態であるかを判別する(S4304)。S4304の処理で、現在が潜確状態では無い(通常状態、確変状態)であると判別した場合は(S4304:No)、第1特別図柄の変動表示が主となる遊技状態であるため、特図1主変動パターンを示す表示用コマンドを設定し(S4305)、本処理を終了する。
一方、S4304の処理で、現在の遊技状態が潜確状態であると判別した場合は(S4304:Yes)、第2特別図柄の変動表示が主となる遊技状態であるため(第1特別図柄の変動表示が従となる遊技状態であるため)、特図1従変動パターンを示す表示用コマンドを設定し(S4306)、本処理を終了する。
次に、図65を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される特図2変動開始処理(S4204)について説明をする。図65は、特図2変動開始処理(S4204)を示したフローチャートである。この特図2変動開始処理(S4204)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(図63参照)の中で実行されるものであって、設定されている遊技状態に応じて第3図柄表示装置81に表示される第2特別図柄に対応する表示態様(主変動用変動パターン、従変動用変動パターン)を設定する処理が実行される。
そして、表示制御装置114は、ここで設定された表示態様(表示用コマンド)と、後述する変動表示設定処理(図73参照)にて設定された表示用変動パターンコマンドとに基づいて第3図柄表示装置81の表示領域に表示される表示態様を設定する。以下、特図2変動開始処理処理(S4204)の詳細を説明する。
特図2変動開始処理(S4204)が設定されると、まず。特図2変動開始フラグ223fをオンに設定し(S4351)、受信した特図2変動パターンコマンドから変動パターンを抽出し(S4352)、変動パターン選択テーブル222aを用いて詳細な表示態様を選択するS4353)。
次に、従状態設定エリア223mに設定(記憶)されている情報(現在の遊技状態を示す情報)を読み出して、現在の遊技状態が潜確状態であるかを判別する(S4354)。S4354の処理で、現在が潜確状態では無い(通常状態、確変状態)であると判別した場合は(S4354:No)、次に、今回受信した特図2変動パターンコマンドに含まれる当否判定情報が当たりを示す情報であるか(今回の特図2変動が当たりであるか否か)を判別し(S4355)、当たりであると判別した場合は(S4355:Yes)、割り込みV演出を示すコマンドを設定し(S4356)、本処理を終了する。
一方、S4355の処理で今回の特図2変動が当たりでは無い(外れである)と判別した場合は(S4355:No)、第2特別図柄の変動表示が従となる遊技状態であるため、特図2従変動パターンを示す表示用コマンドを設定し(S4357)、本処理を終了する。また、S4354の処理で、遊技状態が潜確状態であると判別した場合は(S4354:Yes)、第2特別図柄の変動表示が主となる遊技状態であるため(第1特別図柄の変動表示が従となる遊技状態であるため)、特図2主変動パターンを示す表示用コマンドを設定し(S4358)、本処理を終了する。
このように、第1特別図柄の変動(抽選)と、第2特別図柄の変動(抽選)とが同時に(並行)して実行される本第1実施形態のパチンコ機10において、両方の特別図柄の変動表示に対応する変動演出表示(第3図柄、第4図柄の変動表示)を、第3図柄表示装置81に同時に表示させながら、設定される遊技状態に応じて、各特別図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)の表示態様(表示領域の大きさや、第3図柄としての表示の有無)を可変設定するように構成することにより、現状において変動状況(抽選結果や変動回数)を注視すべき特別図柄種別を遊技者に容易に分からせることができる。
よって、複数の特別図柄種別が同時に(並行して)変動(抽選)を実行する遊技仕様を用いたとしても、遊技者に分かり難い遊技が提供されることを抑制することができる。
さらに、本実施形態では、一方の特別図柄種別(例えば、第1特別図柄)が主変動表示されている状態において、従変動表示される他方の特別図柄種別(例えば、第2特別図柄)の抽選結果が当たり(大当たり、小当たり)であった場合に、主変動表示として実行される変動表示演出よりも優先して従変動表示側の抽選結果を表示させる割り込みV演出(図11(b)参照)を実行するように構成している。
このように構成することで、従変動表示側の抽選結果が遊技者に有利となる抽選結果となった場合に、その抽選結果を遊技者に確実に報知することができる。さらに、本実施形態では割り込みV演出として、主変動表示に対応する変動表示演出を実行したまま、その変動表示演出の前面側(遊技者が視認可能な側)に割り込みV演出が実行されるように構成しているため、割り込みV演出を実行する場合に、主変動表示に対応する変動表示演出を実行するための表示データを加工する必要が無い。
よって、第1特別図柄(特図1)の変動表示と、第2特別図柄(特図2)の変動表示とが独立して実行されることで、各変動表示の実行タイミングが不定となる本実施形態のパチンコ機10において、主変動表示に対応した変動表示演出実行中に容易に割り込みV演出を実行することができる。
なお、従変動表示側の抽選結果を遊技者に報知可能な構成を用いれば良く、本実施形態とは異なる構成を用いても良い。例えば、主変動表示と従変動表示との停止タイミング(各特別図柄の確定表示タイミング)を判別し、その判別の結果として主変動表示の停止タイミングと従変動表示の停止タイミングとが所定期間(例えば1秒)内であると判別した場合に、主変動表示の停止表示態様を従変動表示の抽選結果を示す停止表示態様に切り替える処理を実行するように構成しても良い。
このように構成することで、主変動表示に対応する特別図柄の抽選結果に基づいて設定された変動表示演出(示唆演出)と、従変動表示の抽選結果に基づいて設定された停止表示態様と、が表示されることになり、遊技者に意外性のある演出を実行することができる。
また、上述した割り込みV演出は、主変動表示に対応する特別図柄の抽選結果が特定の抽選結果(例えば、大当たり当選)である場合や、大当たりの期待度が高い演出が実行される場合や、特別図柄の変動時間が所定期間以上の長さである場合には実行されないように構成しても良く、この場合は、従変動表示に対応する特別図柄の抽選結果(大当たり当選)を示す演出を実行すること無く、急に大当たり遊技が開始されるように構成すると良い。これにより、遊技者に対して変動演出表示の実行中にいきなり大当たり遊技が開始されるという意外性のある演出を提供することができる。
次に、図66を参照して音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される停止種別コマンド受信処理(S4206)について説明する。図66は、この停止種別コマンド受信処理(S4206)を示したフローチャートである。この停止種別コマンド受信処理(S4206)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(図63参照)の中で実行される。以下、停止種別コマンド受信処理(S4206)の詳細を説明する。
停止種別コマンド受信処理(S4206)では、まず、受信したコマンドに対応して、特図1停止種別コマンドを受信した場合には、特図1停止種別選択フラグ223fをオンに設定し、特図2停止種別コマンドを受信した場合には、特図2停止種別選択フラグ223gをオンに設定する(S4401)。次に、受信した特図1停止種別コマンドまたは特図2停止種別コマンドから停止種別(大当たりA〜大当たりD、小当たり,外れ、リーチ外れ等)を抽出し(S4402)、本処理を終了する。
S4306において抽出した停止種別は、音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223のその他メモリエリア223zに記憶される。なお、特図1停止種別コマンドから抽出された停止種別は、第1特別図柄の停止種別であることを識別可能に、特図2停止種別コマンドから抽出された停止種別は、第2特別図柄の停止種別であることを識別可能にそれぞれ記憶される。これにより、第1特別図柄(特図1)と第2特別図柄(特図2)とが同時に変動を開始したとしても停止種別をそれぞれ管理することが可能となり、適切な変動表示を実行することができる。
次に、図67を参照して音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される入賞コマンド処理(S4210)について説明をする。図67は、入賞コマンド処理(S4210)を示したフローチャートである。この入賞コマンド処理(S4210)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(図63参照)の中で実行されものであって、受信した入賞コマンドの種別(第1特別図柄、第2特別図柄、普通図柄)と、現在の遊技状態と、に応じて入賞コマンド受信時に実行する演出(所謂、先読み演出)を設定するための処理が実行される。
入賞コマンド処理(S4210)を実行すると、まず、受信した入賞コマンドに含まれる情報に基づいてどの図柄種別に対応するものであるのかを解析し、対応する入賞情報記憶エリア223bに設定(格納)する(S4501)。そして、現在の遊技状態が通常状態であるかを、従状態設定エリア223kに格納されている情報に基づいて判別し(S4502)、通常状態であると判別した場合に(S4502:Yes)、次いで、入賞情報格納エリア223b内の第2特別図柄(特図2)に対応する記憶領域に、大当たりを示す入賞情報(特図2大当たりを示す入賞情報)が格納(記憶)されているかを判別する(S4503)。
S4503の処理において、大当たりを示す入賞情報があると判別した場合は(S4503:Yes)、報知抽選処理(S4504)を実行し、S4505の処理へ移行する。一方、大当たりを示す入賞情報が無いと判別した場合は(S4503:No)、S4504の処理をスキップしてS4505の処理へ移行する。
S4504の処理で実行される報知抽選処理(S4504)は、第1特別図柄(特図1)が主変動表示となる遊技状態(通常状態)において、従変動表示である第2特別図柄(特図2)の保留記憶(保留図柄)内に遊技者に有利となる抽選結果(大当たり)が存在するか否かを遊技者に報知するための処理であって、その詳細な説明は図68を参照して後述する。一方、S4502の処理において、現在の遊技状態が通常状態では無いと判別した場合は(S4502:No)、S4505の処理へ移行する。
S4505の処理では、入賞コマンド処理内で実行される各種処理が実行される。具体的には、第3図柄表示装置81の表示領域に表示される主変動表示に対応する特別図柄の保留図柄の表示態様を、入賞情報に含まれる当否判定結果に基づいて可変させる演出(所謂、先読み演出)を実行したり、主変動表示に対応する特別図柄の特定の保留図柄が有する入賞情報に含まれる当否判定結果を示すための演出を、当該特定の保留図柄よりも前に格納した保留図柄に対応する特別図柄変動期間中も実行する演出(所謂、先読み連続演出)を実行したりするための各種処理が実行される。
次に、図68を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される報知抽選処理(S4504)について説明する。図68は、この報知抽選処理(S4504)を示したフローチャートである。この報知抽選処理(S4504)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される入賞コマンド処理(図67参照)の中で実行されるものであって、従変動表示側の保留記憶(入賞情報)に基づいた判別結果(事前判別結果)を用いた演出を設定するためのものである。
報知抽選処理(S4504)が実行されると、まず、演出カウンタ223jの値を取得し(S4551)、取得した演出カウンタ223jの値が特定の判定値(例えば、0〜14)であるかを判別する(S4552)。S4552の処理において特定の判定値であると判別した場合は(S4552:Yes)、特図2保留領域(小領域Dm5)を示唆態様(図11(a)参照)にするための表示態様コマンドを設定し(S4553)、本処理を終了する。一方、S4552の処理において特定の判定値では無いと判別した場合は(S4552:No)、そのまま本処理を終了する。
この報知抽選処理(S4504)によって、特図2保留領域(小領域Dm5)を示唆態様(図11(a)参照)を表示することにより、遊技者に対して、従変動表示側の特別図柄抽選で大当たりに当選するのではと思わせることができ、従変動表示側の特別図柄変動に興味を持たせることができる。
また、本実施形態では、通常状態中の第2特別図柄(特図2)変動に設定される変動時間が長時間(10分)に設定されていることから、従変動表示である特図2変動(抽選)の結果を見ること無く、遊技者が遊技を止めてしまうことがある。そのような場合において、従変動表示側の保留球数を示す領域(特図2保留領域(小領域Dm5))を示唆態様(図11(a)参照)で表示することにより、大当たりに当選する保留記憶を残したまま遊技を止めてしまうという事態を発生し難くすることができる。
なお、本実施形態では、入賞コマンド処理(図67のS4210参照)において、従変動表示側となる特別図柄(特図2)の入賞情報に大当たりを示す情報が含まれている場合に、報知抽選処理(図68のS4504参照)を実行するように構成しているが、これに限ること無く、例えば、従変動表示側となる特別図柄(特図2)の入賞情報に大当たりを示す情報が含まれてない場合(外れの場合)であっても、所定の実行条件(例えば、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が外れを示す範囲のうち、特定の値(301〜310)である場合に成立する条件)が成立した場合に、報知抽選処理(図68のS4504参照)を実行するように構成しても良い。
このように構成することで、従変動表示側の保留記憶内に大当たりに当選することを示す入賞情報が含まれていない場合であっても、従変動表示側の保留球数を示す領域(特図2保留領域(小領域Dm5))の表示態様を示唆態様に可変させることが可能となる。よって、従変動表示側の保留球数を示す領域(特図2保留領域(小領域Dm5))の表示態様が示唆態様に可変した場合に、従変動表示側の保留球数が0になるまで遊技者に遊技を継続させ易くすることができる。
さらに、本実施形態では、入賞コマンドを受信した場合に、受信した入賞コマンドに含まれる入賞情報の内容を判別し、その判別結果に基づいて各種演出(先読み演出)を実行するように構成しているが、この構成に、各特別図柄の変動タイミングに関する情報を判別する手段を加え、先読み演出可能な条件を満たしている入賞情報に対してのみ先読み演出を実行するように構成しても良い。
つまり、本実施形態は、第1特別図柄の変動(抽選)と、第2特別図柄の変動(抽選)とを、同時に(並行して)実行可能に構成されており、さらに、一方の特別図柄の変動(抽選)で特定の抽選結果(例えば、大当たり)となった場合に、実行中の他方の特別図柄の変動(抽選)を、外れを示す抽選結果で強制的に停止させるように構成されている。
このように構成された本実施形態のパチンコ機10では、受信した入賞コマンドに含まれる入賞情報に大当たりを示す情報が含まれていたとしても、その大当たりを示す情報が含まれている入賞情報に対応する特別図柄変動が実行されるまでに、他方の特別図柄変動で大当たりに当選する場合があった。さらに、大当たりを示す情報が含まれている入賞情報に対応する特別図柄変動の実行中に、他方の特別図柄変動が大当たりを示す図柄(大当たり図柄)で停止表示(確定表示)された場合に、実行中の特別図柄変動(大当たりに当選する大当たり変動)の抽選結果が外れに可変されてしまう場合があった。
よって、受信した全ての入賞コマンドを対象にして先読み演出を設定可能に構成してしまうと、実行された先読み演出の内容と、特別図柄の抽選結果の内容とが相違してしまい、遊技者に対する演出の信頼度が低下してしまい遊技の興趣が低下してしまうという問題があった。
上述した問題を解決するためには、例えば、入賞コマンドに含まれる入賞情報に基づいて各特別図柄の変動パターン(変動時間)を解析し、保留記憶されている入賞情報に対応する各特別図柄の変動が停止表示されるタイミング(確定表示タイミング)を算出し、その算出結果に基づいて、特別図柄の変動が停止表示されるタイミングまでに他の特別図柄(今後受信する入賞コマンドに対応する特別図柄)が停止表示されることが無いと判別された入賞コマンドを対象として先読み演出を実行するように構成すると良い。
この場合、具体的には、実行中の各特別図柄変動の残期間と、保留記憶中の各特別図柄に設定される変動時間の長さと、を抽出し、特別図柄の停止表示タイミングを時系列的に算出するように構成し、一方の特別図柄の特定の停止表示タイミングにて、既に保留記憶されている他方の特別図柄の変動が実行されていると判別した場合に、先読み演出実行条件が成立したと判別するように構成すると良い。これにより、先読み演出の対象となる入賞情報を受信した場合に、遊技者に不快感を与えること無く遊技を実行させることができる。
次に、図69を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される状態コマンド処理(S4212)について説明する。図69は、この状態コマンド処理(S422)を示したフローチャートである。この状態コマンド処理(S4204)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(図63参照)の中で実行されるものであって、設定されている遊技状態に応じて第3図柄表示装置81に表示される表示モードを異ならせて設定するための処理を実行するものである。以下、状態コマンド処理(S4212)の詳細を説明する。
状態コマンド処理(S4212)が実行されると、まず、現在設定されている遊技状態が変更されるか否かを判別する(S4601)。ここでは、従状態設定エリア223kに設定されている遊技状態と、今回受信した状態コマンドが示す遊技状態とが、相違するか否かが判別される。S4601の処理において、遊技状態に変更があると判別した場合は(S4601:Yes)、変更後の遊技状態が通常状態であるかを判別する(S4602)。
S4602の処理において、変更後の遊技状態が通常状態であると判別した場合(今回受信した状態コマンドが通常状態を示すコマンドである場合)は(S4602:Yes)、通常状態に対応した主表示領域設定コマンドを設定し(S4603)、通常モードを示す表示用コマンドを設定し(S4604)、今回受信した状態コマンドが示す情報を従状態設定エリア223kに記憶(設定)し(S4610)、本処理を終了する。
ここで、S4603の処理、及びS4604の処理で設定されたコマンドが表示制御装置114に通知されることにより通常状態中における変動演出表示が実行されることになる。このように、本実施形態では、音声ランプ制御装置113にて、主制御装置110から出力された状態コマンドに基づいて第3図柄表示装置81の表示領域にて表示される各種表示態様の種別(モード、背景)を設定し、その種別を示すコマンドを表示制御装置114へと出力するように構成している。
このように構成することで、例えば、音声ランプ制御装置113側で設定されている遊技状態に対してそれぞれ変動演出表示の表示態様を設定する必要を無くすことが可能となる。つまり、現在設定されている遊技状態に対応する各種表示態様の種別を示すコマンド(種別コマンド)と、特別図柄の変動表示に対応する変動パターンコマンド(共通コマンド)とを表示制御装置114に出力するだけで、表示制御装置114側で受信した種別コマンドと、共通コマンドとに基づいて、現在の遊技状態と受信した変動パターンとに対応した表示態様で第3図柄表示装置81に表示させる表示データを設定することができる。よって、音声ランプ制御装置113の処理負荷を軽減させることができる。
なお、上述したように、音声ランプ制御装置113から受信した複数のコマンドを表示制御装置114側で組み合わせることにより第3図柄表示装置81に表示させる表示データを設定するように構成した場合には、表示制御装置114側から音声ランプ制御装置113側へと設定後の表示データの内容を示す情報(確認情報)を出力するように構成し、音声ランプ制御装置113側で受信した確認情報が適正であるかを判別する判別手段を設け、その判別結果が適正では無いと判別した場合に、適正な情報を示す簡易的な表示用変動パターンコマンドを設定し、既に設定されている表示データの内容を簡易的な表示データに書き換えるように構成すると良い。
このように構成することで、音声ランプ制御装置113が主制御装置110から受信した各種コマンドに対して適正な表示データが設定されなかった場合に、適正な情報を示す簡易的な表示データを設定することができ、その簡易的な表示データに基づく変動演出表示を表示することができる。よって、実際の遊技結果(特別図柄の抽選結果)とは異なる内容の変動演出表示が実行されてしまい、遊技者の遊技意欲が低下してしまうことを抑制することができる。また、上述した簡易的な表示データにとしては、例えば、どの遊技状態にも対応しない特殊モード(例えば、黒背景のモード)を表示する表示データや、第4図柄の変動表示を実行する表示データといった、通常の変動演出表示にて用いる表示データよりもデータ量の少ない表示データを用いれば良い。
なお、本実施形態では、上述した構成を用いているがこれに限ること無く、音声ランプ制御装置113側で、現在の遊技状態と、受信した変動パターンとに基づいた表示用変動パターンコマンドを設定するように構成しても良い。
図69に戻り説明を続ける。S4602の処理において、変更後の遊技状態が通常状態では無いと判別した場合(今回受信した状態コマンドが通常状態を示すコマンドでは無い場合)は(S4602:No)、次いで、変更後の遊技状態が潜確状態であるかを判別すし(S4605)、遊技状態が潜確状態である(今回受信した状態コマンドが潜確状態を示すコマンドである)と判別した場合は(S4605:Yes)、潜確状態に対応した主表示領域設定コマンド、即ち、第2特別図柄の抽選結果に対応した第3図柄とするコマンドを設定し(S4606)、全力モードを示す表示用コマンドを設定し(S4607)、上述したS4610の処理へ移行する。
一方、S4605の処理において、変更後の遊技状態が潜確状態では無い(今回受信した状態コマンド潜確状態を示すコマンドでは無い)と判別した場合、即ち、確変状態を示す状態コマンドを受信した場合は(S4605:No)、確変状態に対応した主表示領域設定コマンドを設定し(S4608)、上昇モードを示す表示用コマンドを設定し(S4609)、上述したS4610の処理へ移行する。
次に、図70を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(図63参照)内の一処理である変動停止処理(S4217)について説明する。図63は、変動停止処理(S4217)の内容を示したフローチャートである。この変動停止処理(S4217)は、主制御装置110から変動停止関連コマンド(他の特別図柄抽選の抽選結果に基づいて停止表示される場合に設定されるコマンド)を受信した場合の表示態様を設定するための処理が実行される。
変動停止処理(S4217)が実行されると、まず、特図1変動停止コマンドを受信したかを判別する(S4701)。この特図1変動停止コマンドは、主制御装置110の第2特別図柄変動停止処理(図45のS213参照)において、第2特別図柄(特図2)が大当たりで停止表示される場合に設定されるコマンドである(図45のS1503参照)。
S4701の処理において、特図1変動停止コマンドを受信したと判別した場合は(S4701:Yes)、次に、現在の遊技状態が潜確状態であるか(全力モード実行中であるか)を判別し(S4702)、潜確状態であると判別した場合は(S4702:Yes)、従変動停止用の表示コマンドを設定し(S4703)、S4705の処理へ移行する。S4703の処理で従変動停止用の表示コマンドが設定されると、小表示領域Dm1(図13(a)参照)に表示される第4図柄が外れを示す表示態様で停止表示される。
一方、S4702の処理で潜確状態では無いと判別した場合は(S4702:No)、割り込みV演出に対応した変動停止用の表示コマンドを設定し(S4704)、S4705の処理へ移行する。S4704の処理で表示コマンドが設定されると、割り込みV演出の背面にて第1特別図柄に対応する第3図柄が外れ図柄で停止表示される(図11(b)参照)。また、S4701の処理において、特図1変動停止コマンドを受信していないと判別した場合は(S4701:No)、S4705の処理へ移行する。
次いで、S4705の処理では、今回受信した変動停止関連コマンドが特図2変動停止コマンドであるかを判別する(S4705)。この特図2変動停止コマンドは、主制御装置110の第1特別図柄変動停止処理(図38のS207参照)において、第1特別図柄(特図1)が大当たりで停止表示される場合に設定されるコマンドである(図38のS803参照)。
S4705の処理において、特図2変動停止コマンドを受信したと判別した場合は(S4705:Yes)、次に、現在の遊技状態が潜確状態であるか(全力モード実行中であるか)を判別し(S4706)、潜確状態であると判別した場合は(S4706:Yes)、主変動停止用の表示コマンドを設定し(S4707)、S4709の処理へ移行する。S4707の処理で主変動停止用の表示コマンドが設定されると、全力モード中に表示される宝箱812が開いて表示される抽選結果表示態様813(図13(b))として第2特別図柄が強制的に外れとなり、第1特別図柄が大当たりに当選したことを示す表示態様(例えば、「ハプニング発生」の文字)が表示される。
一方、S4706の処理で潜確状態では無いと判別した場合は(S4706:No)、従変動停止用の表示コマンドを設定し(S4708)、S4709の処理へ移行する。S4708の処理で表示コマンドが設定されると、小表示領域Dm2(図11(a)参照)に表示される第4図柄が外れを示す表示態様で停止表示される。また、S4705の処理で特図2変動停止コマンドを受信していないと判別した場合は(S4705:No)、S4709の処理へ移行する。
S4709の処理では、今回受信した変動停止関連コマンドが特図1仮停止コマンドであるかを判別する(S4709)。この特図1仮停止コマンドは、主制御装置110の特図2外れ停止処理(図46のS1514参照)において、第2特別図柄(特図2)が小当たりで停止表示される場合に設定されるコマンドである(図46のS1603参照)。
S4709の処理で、特図1仮停止コマンドを受信したと判別した場合は(S4709:Yes)、特図1の仮停止態様を示す表示コマンドを設定し(S4710)、S4711の処理へ移行し、特図1仮停止コマンドを受信していないと判別した場合は(S4709:No)、S4710の処理をスキップしてS4711の処理へ移行する。
S4710の処理で特図1の仮停止態様を示す表示コマンドが設定されると、小表示領域Dm2に小当たり図柄(例えば「341」)が停止表示されるタイミングに合わせて、小表示領域Dm1に仮停止中であることを示す表示態様(例えば、「331」)で仮停止表示される。ここで、仮停止表示とは、表示態様を完全に停止させる確定表示とは異なり、遊技者に対して第4図柄が停止していると思わせる程度に揺動させる表示制御のことである。
次いで、S4711の処理では、今回受信した変動停止関連コマンドが特図1変動再開コマンドであるかを判別する(S4711)。この特図1変動再開コマンドは、主制御装置110の第1特別図柄変動実行中処理(図37のS205参照)において、第1特別図柄(特図1)の変動が再開した場合に設定されるコマンドである(図37のS702参照)。
S4711の処理で、特図1変動再開コマンドを受信したと判別した場合は(S4711:Yes)、特図1の変動再開を示す表示コマンドを設定し(S4712)、本処理を終了する。一方、特図1変動再開コマンドを受信していないと判別した場合は(S4711:No)、そのまま本処理を終了する。
次に、図71を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるコマンド判定処理(図63参照)内の一処理である当たり関連処理(S4219)について説明する。図71は、当たり関連処理(S4219)の内容を示したフローチャートである。この当たり関連処理(S4219)では、特別図柄の抽選の結果、大当たり又は小当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技又は小当たり遊技に対応した演出表示を第3図柄表示装置81に実行させるための処理を行うものであり、大当たり又は小当たりに当選した場合に主制御装置110から送信される様々なコマンドに対応した処理が実行される。
加えて、当たり遊技(大当たり遊技、小当たり遊技)中に獲得した賞球の数を示すための賞球数コマンドを受信した場合に、その賞球数コマンドが示す賞球数を累積し、累積結果に基づいた表示用賞球数コマンドを設定する処理が実行される。
当たり関連処理(S4216)では、まず、コマンド判定処理(図63参照)により受信したコマンドが、大当たり関連コマンドであるかを判別する(S4801)。受信したコマンドが大当たり関連コマンドであると判別した場合には(S4801:Yes)、大当たり関連処理を実行し(S4802)、本処理を終了する。
ここで、図72(a)を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される当たり関連処理(図71のS4219)内の一処理である大当たり関連処理(S4802)について説明する。図72(a)は、大当たり関連処理(S4802)の内容を示したフローチャートである。大当たり関連処理では、大当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技に対応した演出表示を第3図柄表示装置81に実行させるための処理を行うものであり、大当たりに当選した場合に、主制御装置110から送信される様々なコマンドに対応した処理が実行される。
大当たり関連処理(S4802)では、まず、当たり関連処理(図71のS4801)により受信した当たり関連のコマンドが、大当たり開始コマンドであるかを判別する(S4901)。大当たり開始コマンドであると判別した場合には(S4901:Yes)、表示用大当たり開始コマンドを設定し(S4902)、本処理を終了する。ここで設定される表示用大当たり開始コマンドは、RAM223に設けられたコマンド送信用のリングバッファに記憶され、MPU221により実行されるメイン処理(図62参照)のコマンド出力処理(S4102)の中で、表示制御装置114に向けて送信される。表示制御装置114は、表示用大当たり開始コマンドを受信すると、大当たりの開始を示唆する演出を第3図柄表示装置81に表示する。
一方、S4901の処理において、大当たり開始コマンドを受信していないと判別した場合には(S4901:No)、次に、ラウンド数コマンドを受信したか判別する(S4903)。ラウンド数コマンドを受信した場合には(S4903:Yes)、ラウンド数に基づいて表示用ラウンド数コマンドを設定し(S4904)、本処理を終了する。なお、本実施形態では主制御装置110からラウンド数コマンドとしてラウンド数を示す情報を送信しているため、受信したラウンド数コマンドに基づいて表示用ラウンド数コマンドを設定しているが、例えば、主制御装置110から送信するコマンドデータの容量を軽減するために、主制御装置110から新たなラウンドが開始されたことを示すための情報をラウンド更新コマンドとして送信する構成する場合は、音声ランプ制御装置113のRAM223にラウンド更新コマンドを受信した場合に、受信したラウンド更新コマンドの数を蓄積するラウンド数蓄積カウンタを設け、そのラウンド数蓄積カウンタの値に基づいて音声ランプ制御装置113側で現在のラウンド数を算出し、表示用ラウンド数コマンドを設定するように構成しても良い。
一方、S4903の処理において、ラウンド数コマンドを受信していないと判別した場合には(S4903:No)、エンディングコマンドを受信したか判別する(S4905)。エンディングコマンドを受信していないと判別した場合には(S4905:No)、そのまま本処理を終了する。一方、エンディングコマンドを受信したと判別した場合には(S4905:Yes)、表示用エンディングコマンドを設定し(S4906)、本処理を終了する。
図71に戻り、説明を続ける。S4801の処理において、受信したコマンドが大当たり関連コマンドではないと判別した場合には(S4801:No)、受信したコマンドが、小当たり関連コマンドを受信したか判別する(S4803)。受信したコマンドが小当たり関連コマンドであると判別した場合には(S4803:Yes)、小当たり関連処理(S4804)を実行し、本処理を終了する。
ここで、図72(b)を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される当たり関連処理(図71のS4219)内の一処理である小当たり関連処理(S4804)について説明する。図72(b)は、小当たり関連処理(S4804)の内容を示したフローチャートである。小当たり関連処理では、小当たりに当選した場合に実行される小当たり遊技に対応した演出表示を第3図柄表示装置81に実行させるための処理を行うものであり、小当たりに当選した場合に、主制御装置110から送信される様々なコマンドに対応した処理が実行される。
小当たり関連処理(S4804)では、まず、現在の遊技状態が潜確状態であるかを判別し(S4951)、潜確状態であると判別した場合は(S4951:Yes)、期間外小当たりを示す表示用コマンドを設定し(S4956)、次いで、当たり関連処理(図71のS4219)により受信した当たり関連のコマンドが、小当たり開始コマンドであるかを判別する(S4952)。
S4952の処理において、小当たり開始コマンドを受信したと判別した場合には(S4952:Yes)、表示用小当たり開始コマンドを設定し(S4953)、本処理を終了する。
一方、S4952の処理において、受信したコマンドが小当たり開始コマンドではないと判別した場合には(S4952:No)、次に、エンディングコマンドを受信したか判別する(S4954)。受信したコマンドがエンディングコマンドではないと判別した場合には(S4954:No)、そのまま本処理を終了する。一方、受信したコマンドがエンディングコマンドであると判別した場合には(S4954:Yes)、表示用エンディングコマンドを設定し(S4955)、本処理を終了する。
また、S4951の処理において、現在の遊技状態が潜確状態では無いと判別した場合は(S4951:No)、期間外小当たりを示す表示用コマンドを設定し(S4956)、本処理を終了する。
図63に戻り、説明を続ける。S4803の処理において、受信したコマンドが小当たり関連コマンドではないと判別した場合には(S4803:No)、賞球コマンドを受信したかどうか判別する(S4805)。受信したコマンドが賞球コマンドではないと判別した場合には(S4805:No)、そのまま本処理を終了する。一方、受信したコマンドが、賞球コマンドであると判別した場合には(S4805:Yes)、受信したコマンドに対応する値を賞球数カウンタ(図示せず)の値に加算し(S4806)、加算した後の賞球数カウンタの値に対応した表示用賞球数コマンドを設定し(S4807)、本処理を終了する。
なお、詳細な説明は省略するが、本実施形態のパチンコ機10では、状態コマンド受信処理(図69のS4212参照)において、通常状態、或いは確変状態が設定されるまでの期間(有利継続期間)中に受信した賞球数コマンドに対応する賞球数を賞球数カウンタにて累積するように構成している。そして、当たり遊技(大当たり遊技、小当たり遊技)中や潜確状態中に、賞球数カウンタの累積値に応じた賞球数が表示されるように構成している。
このように構成することで、潜確状態が設定されてから、再度通常状態(確変状態)が設定されるまでの期間(有利継続期間)中に獲得した球数の累計を遊技者に分かり易く報知することができる。
本実施形態では、有利継続期間中に獲得した賞球数の累計値を有利継続期間中に表示するように構成しているが、有利継続期間中に獲得した賞球数を遊技者に報知可能な構成であれば良く、例えば、有利継続期間中のうち、大当たり遊技で獲得した賞球数と、小当たり遊技で獲得した賞球数とを区分けして表示するように構成しても良い。この場合、賞球コマンドを受信した時点の当たり遊技状態(大当たり中、小当たり中)を従状態設定エリア223kに設定されている情報に基づいて判別し、判別結果毎に賞球数を累積する手段を設けると良い。これにより、有利継続期間中に獲得した賞球数を容易に区分けすることができる。
さらに、有利継続期間内における1回の遊技期間(大当たり遊技期間と、次の大当たり遊技が実行されるまでの潜確状態期間とを合わせた期間)において獲得した賞球数を累積して表示するように構成しても良い。この場合、1回の遊技期間内に獲得した賞球数の累積数を履歴情報として記憶する記憶手段を設け、その記憶手段に記憶されている情報を履歴表示するように構成すると良い。
また、上述した通り、有利継続期間内に獲得した賞球数を累積表示する構成を用いる場合は、特別図柄の抽選結果が遊技者に有利となる抽選結果(大当たり、小当たり)となった回数を表示したり、特別図柄の抽選結果が遊技者に有利となる抽選結果(大当たり、小当たり)となった抽選確率を表示したりするように構成しても良い。
このように構成することで、有利継続期間中に実行された特別図柄の抽選結果と、有利継続期間中に獲得した賞球数と、を遊技者に分析させることが可能となり、意欲的に遊技を行わせることができる。
さらに、本実施形態では、潜確状態が設定されている状態で特別図柄の大当たりに当選しない限り、潜確状態が継続するように構成されており、且つ潜確状態中は小当たり遊技が行われ易く(特図2抽選が実行され易く)なるように構成されている。よって、遊技者は、有利継続期間中において、再度有利継続期間が設定される大当たりに当選することに加え、大当たりに当選しない状態が長期間継続することに対しても期待感を持って遊技を行うことになる。
このような場合は、パチンコ機10に予め設定されている大当たり当選確率と、小当たり当選確率に対して、実際の遊技内容(特図2抽選結果)がどうであるかを遊技者が把握可能な表示態様を表示するように構成すると良い。このような構成を用いることで、例えば、実際の大当たり当選確率が予め設定されている大当たり当選確率よりも低いため、潜確状態中に実行される小当たり遊技回数が増加し、多くの賞球を獲得できた場合と、実際の小当たり当選確率が予め設定されている小当たり当選確率よりも高いため、潜確状態中に実行される小当たり遊技回数が増加し、多くの賞球を獲得できた場合と、を遊技者が識別可能に分析することができる。よって、遊技者に対して、有利継続期間中に獲得した賞球数について分析させることで、遊技内容に興味を持たせ、継続して遊技を行わせ易くすることができる。
さらに、有利継続期間中における遊技内容(特別図柄の抽選結果)が所定条件を満たした場合に、その旨を示すための条件達成報知を実行する報知手段を設けても良く、例えば、大当たり当選するまでに実行された特別図柄抽選回数(所謂、ハマリ回数)が、所定回数(100回)を超えたことを示すための条件達成報知を実行しても良いし、小当たり当選間に実行された特別図柄抽選回数(特図2の抽選回数)が所定回数(10回)を超えたことを示すための条件達成報知を実行しても良い。また、1回の遊技パターン内で獲得した賞球数が所定数(5000)を超えたことを示すための条件達成報知を実行しても良い。
次に、図73を参照して、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行される変動表示設定処理(S4112)について説明する。図73は、この変動表示設定処理(S4112)を示したフローチャートである。この変動表示設定処理(図73のS4112)は、音声ランプ制御装置113内のMPU221により実行されるメイン処理(図62参照)の一処理である。上述したように、変動表示設定処理(図73のS4112)は、第3図柄表示装置81において変動表示演出を表示させるために、主制御装置110より受信した第1または特図2変動パターンコマンドに基づいて、第1特別図柄または第2特別図柄の表示用変動パターンコマンドを設定し、そのコマンドを表示制御装置114に送信する処理を実行する。また、抽出した停止種別(大当たりA〜大当たりD)に基づいて、その停止種別を表示制御装置114に通知するための表示用特図1または特図2停止種別コマンドを設定する処理を実行する。
変動表示設定処理(S4112)では、まず、RAM223に設けられた特図1変動開始フラグ223dがオンに設定されているか判別する(S5001)。そして、特図1変動開始フラグ223dはオフであると判別した場合には(S5001:No)、主制御装置110より特図1変動パターンコマンドを受信していない状態であるので、S5005の処理へ移行する。一方、特図1変動開始フラグ223dはオンであると判別した場合には(S5001:Yes)、特図1変動開始フラグ223dをオフに設定する(S5002)。
そして、コマンド判定処理(図63のS4111参照)にて実行される特図1変動開始処理(図64のS4202参照)のS4302の処理において、主制御装置110から受信した変動パターンコマンドから抽出した変動演出に関する変動パターンに基づいて、第1特別図柄(特図1)の表示用変動パターンコマンドを設定し(S5003)、第1特別図柄保留球数カウンタ223dの値を1減算し(S5004)、第2特別図柄(特図2)に関する変動表示を設定するためのS5005の処理へ移行する。
S5003の処理で設定された表示用変動パターンコマンドは、音声ランプ制御装置113のメイン処理(図62参照)で実行されるコマンド出力処理(図62のS4102)にて表示制御装置114へと出力される。表示制御装置114は受信した表示用変動パターンコマンドと、遊技状態を示すための各種表示用コマンド(図64、図69参照)と、に基づいて第3図柄表示装置81の表示領域(表示画面)に表示する表示データを作成する。
次に、図73のS5005〜S5008の処理について説明をする。このS5005〜S5008の処理は、上述した図73のS5001〜S5004の処理に対して、対象となる特別図柄の種別を第1特別図柄から第2特別図柄へと変更した点で相違し、それ以外は同一である。よって、詳細な説明は省略する。
S5005の処理が実行されると、まず、特図2変動開始フラグ223fがオンであるかを判別し(S5005)、オンに設定されていないと判別した場合は(S5005:No)、S5009の処理へ移行する。一方、S5005の処理でオンに設定されていると判別した場合は(S5005:Yes)、特図2変動開始フラグ223fをオフに設定し(S5006)、抽出した変動パターンコマンドに基づいて、第2特別図柄の表示用変動パターンコマンドを設定し(S5007)、第2特別図柄保留球数カウンタ223dの値を1減算し(S5008)、5009の処理へ移行する。
S5009の処理では、特図1停止種別選択フラグ223g、または特図2停止種別選択フラグ223iがオンに設定されているかを判別し(S5009)、オンに設定されていないと判別した場合は(S5009:No)、そのまま本処理を終了する。一方、オンに設定されていると判別した場合は(S5009:Yes)、特図1停止種別選択フラグ223g、または特図2停止種別選択フラグ223iがオフに設定し(S5010)、抽出した停止種別をそのまま設定し(S5011)、表示用特図1または特図2停止種別コマンドを設定し(S5012)、本処理を終了する。
以上、説明をした通り、本実施形態は、第1特別図柄の抽選と、第2特別図柄の抽選とを同時に(並行して)実行可能に構成し、且つ、第1特別図柄の抽選よりも第2特別図柄の抽選のほうが、遊技者に有利となる抽選結果(例えば、小当たり当選や遊技者に有利な遊技状態への移行)に当選し易くなるように構成している。
そして、設定される遊技状態に応じて抽選が実行され易い特別図柄の種別を可変可能に構成し、特定の第1遊技状態(例えば、潜確状態)が設定された場合に、第2特別図柄の抽選が実行され易くなるように構成し、その第1遊技状態中に、第2特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合は、再度第1遊技状態が設定され易くなるように構成している。
さらに、普通図柄の低確率状態である潜確状態中に第2特別図柄の抽選が行われ易くするために、同様に普通図柄の低確率状態である通常状態が設定されている場合であっても、第2特別図柄の抽選が実行可能となることから、通常状態中において第2特別図柄の抽選が頻繁に実行されることを抑制するために、長時間(10分)の変動時間が設定されるように構成している。
しかしながら、このように構成された遊技機では、通常状態中において、効率は悪いが第2特別図柄の抽選を実行することができ、その第2特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合には、遊技者に有利となる抽選結果を付与してしまうという問題があった。
これに対して、本実施形態では、通常状態が設定されている状態で第2特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に、第2特別図柄の抽選が実行され難くなる特定の第2遊技状態(確変状態)へと移行するように構成しているため、通常状態において第2特別図柄の抽選を実行させるメリットを低下させることができる。
さらに、第2遊技状態が設定されている状態で実行される第2特別図柄の抽選によって、上述した第1遊技状態が設定されないように構成し、第2遊技状態が遊技者に不利な遊技状態となるようにしている。よって、通常状態において第2特別図柄の抽選を実行させるメリットをより低下させることができる。
また、上述した本第1実施形態のパチンコ機10は、遊技者に有利な抽選が実行される第2特別図柄の抽選契機となる第2入球口640に電動役物640aを付随させ、普通図柄の抽選で当たりに当選し、電動役物640aが開放状態に可変されない限り第2特別図柄の抽選が実行されないように構成している。
このように構成されたパチンコにおいては、普通図柄の低確率状態である潜確状態中に第2特別図柄の抽選が行われ易くするために、同様に普通図柄の低確率状態であっても、普通図柄の当たり確率を高め、普通図柄の低確率状態が設定される通常状態中に第2特別図柄の抽選が実行されてしまう虞があった。
これに対して、本実施形態では、普通図柄の低確率状態中に設定される普通図柄の変動時間を、普通図柄の保留球数に応じて可変設定するように構成し、具体的には、普通図柄の保留球数が所定数(2個)より多くなると、球を第2入球口に入球させ易いタイミングで電動役物640aが開放状態となる変動時間が選択され易くなるように構成している。
このように構成することで、通常状態中に適正な遊技である左打ち遊技を行いながら少量の右打ち遊技を行ったとしても、普通図柄の保留球数を増加させることが出来ないため、第2入球口640に球を容易に入球させ難くすることができる。また、通常状態で左打ち遊技を実行している場合に、操作ハンドル51を誤って操作してしまい、右側領域に球を数発発射させてしまったとしても、その球が第2入球口640に入球することを抑制することができる。
さらに、普通図柄の低確率状態が設定される潜確状態では、継続して右打ち遊技が実行されることから、普通図柄の保留球数が所定数(2個)以上の状態を維持することができ、短期間で多くの特図2抽選を実行することができる。よって、遊技者に最も有利な遊技状態である潜確状態中の遊技を円滑に実行することができる。
また、本実施形態では、球がスルーゲート67を通過する間隔(1.2秒)が、潜確状態中における普通図柄の変動時間と、普通図柄当たりで実行される普図当たり遊技の遊技時間よりも短くなるように構成している。このように構成することで、潜確状態中において普通図柄の保留球数が所定数(2個)以上の状態を容易に維持することができる。
本第1実施形態では、遊技盤13の右側領域の構成として、スルーゲート67の上流側にV入賞装置650を設け、大当たり遊技中に右打ち遊技で発射された球がスルーゲート67を通過し難くなるように構成している。よって、右打ち遊技が実行される大当たり遊技中に普通図柄の保留球数が所定数(2個)以上となることを抑制することができるため、遊技者に有利な遊技を過剰に提供してしまうことを抑制することができる。
なお、遊技盤13の右側領域の構成については、これに限ること無く、大当たり遊技中に開放動作される入賞装置よりも上流側にスルーゲート67を設け、スルーゲート67を通過した球が入賞装置に入賞し得るように構成しても良い。
上述した本第1実施形態では、大当たりに当選したことに基づいて実行される大当たり遊技中に、入賞装置内に設けられた特定領域を球が通過することで、その大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態が設定されるように構成しているが、これに限ること無く、特別図柄の抽選結果に基づいて特別図柄の高確率状態を設定するように構成しても良い。
また、本実施形態では、遊技状態として3つの遊技状態(通常状態、潜確状態、確変状態)を設定可能に構成しているが、設定可能な遊技状態を4つ(通常状態、潜確状態、確変状態、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)にしても良いし、2つ以下にしても良い。
さらに、本第1実施形態では、第1特別図柄の抽選と、第2特別図柄の抽選と、を同時に実行可能に構成し、小当たりに当選し易い第2特別図柄の抽選が特定の遊技状態(潜確状態)で実行し易くなるように構成しているが、これ以外の構成を用いても良く、例えば、左側領域に第1入球口64を設け、右側領域に電動役物640aを付設した第1入球口と、電動役物640aが付設されない第2入球口640を設け、確変状態が設定される場合に右打ち遊技を行うことが遊技者に最も有利な遊技となるように構成しても良い。
このように構成した場合に、通常状態中は、上述した第1実施形態と同様に特図1変動が特図2変動よりも短い変動時間が設定され易くなるように設定し、潜確状態中は、上述した第1実施形態と同様に特図1変動よりも特図2変動のほうが短い変動時間が設定され易くなるように設定し、確変状態、時短状態は、電動役物640aを開放され易くなるように設定すると良い。
これにより、通常状態中は、左打ち遊技によって、第1特別図柄の抽選で大当たりを目指す遊技を行い、時短状態中は、右打ち遊技によって、通常状態中よりも効率良く第1特別図柄の抽選を行って大当たりを目指す遊技を行い、確変状態中は、右打ち遊技によって、通常状態よりも高確率で、且つ、効率良く第1特別図柄の抽選を行って大当たりを目指す遊技を行い、潜確状態中は、右打ち遊技によって、第2特別図柄の抽選で大当たり又は小当たりを目指す遊技を行わせることができる。
<第1実施形態における表示制御装置の制御処理について>
次に、図74から図88を参照して、表示制御装置114のMPU231により実行される各制御について説明する。かかるMPU231の処理としては大別して、電源投入後から繰り返し実行されるメイン処理と、音声ランプ制御装置113よりコマンドを受信した場合に実行されるコマンド割込処理と、画像コントローラ237より1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に送信されるV割込信号をMPU231が検出した場合に実行されるV割込処理とがある。MPU231は、通常、メイン処理を実行し、コマンドの受信やV割込信号の検出に合わせて、コマンド割込処理やV割込処理を実行する。なお、コマンドの受信とV割込信号の検出とが同時に行われた場合は、コマンド受信処理を優先的に実行する。これにより、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドの内容を素早く反映して、V割込処理を実行させることができる。
まず、図74を参照して、表示制御装置114内のMPU231により実行されるメイン処理について説明する。図74は、このメイン処理を示したフローチャートである。メイン処理は、電源投入時の初期化処理を実行するものである。
このメイン処理の起動は、具体的には、以下の流れに従って行われる。電源装置115から表示制御装置114に対して電源が投入され、システムリセットが解除されると、MPU231は、そのハードウェア構成によって、MPU231内に設けられた命令ポインタ231aを「0000H」に設定すると共に、命令ポインタ231aにて示されるアドレス「0000H」をバスライン240に対して指定する。キャラクタROM234のROMコントローラ234bは、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、NOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力する。そして、MPU231は、キャラクタROM234から受け取った命令コードをフェッチし、そのフェッチした命令に応じた処理の実行を開始することで、メイン処理を起動する。
ここで、仮にシステムリセット解除後にMPU231によって最初に処理されるブートプログラムを全てNAND型フラッシュメモリ234aに記憶させた場合、キャラクタROM234は、バスライン240に指定されたアドレスが「0000H」であることを検知すると、アドレス「0000H」に対応するデータ(命令コード)を含む1ページ分のデータをNAND型フラッシュメモリ234aから読み出してバッファRAM234cにセットしなければならない。そして、NAND型フラッシュメモリ234aの性質上、その読み出しからバッファRAM234cへのセットに多大な時間を要するので、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してからアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取るまでに多くの待ち時間を消費することとなる。よって、MPU231の起動にかかる時間が長くなるので、結果として、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御が即座に開始されないおそれがあるという問題点が生じる。
これに対し、本実施形態のように、ブートプログラムのうち、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令がNOR型ROM234dに格納されることにより、NOR型ROMは高速にデータを読み出すことが可能なメモリであるため、システムリセット解除後にMPU231からバスライン240を介してアドレス「0000H」が指定されると、キャラクタROM234は即座にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されたブートプログラムをバッファRAM234cにセットして、対応するデータ(命令コード)をMPU231へ出力することができる。よって、MPU231は、アドレス「0000H」を指定してから短い時間でアドレス「0000H」に対応する命令コードを受け取ることができるので、MPU231においてメイン処理の起動を短時間で行うことができる。従って、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234に制御プログラムを格納しても、表示制御装置114における第3図柄表示装置81の制御を即座に開始することができる。
以上のようにしてメイン処理が実行されると、まず、ブートプログラムによって実行されるブート処理を実行し(S6001)、第3図柄表示装置81に対する各種制御が実行可能となるように表示制御装置114を起動する。
ここで、図75を参照して、ブート処理(S6001)について説明する。図75は、表示制御装置114のMPU231において、メイン処理の中で実行されるブート処理(S6001)を示すフローチャートである。
上述したように、本実施形態では、MPU231によって実行される制御プログラムや固定値データは、従来の遊技機のように専用のプログラムROMを設けて記憶させるのではなく、第3図柄表示装置81に表示させる画像のデータを記憶させるために設けられたキャラクタROM234に記憶させている。そしてキャラクタROM234は、小面積で大容量化を図ることが可能なNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されているため、画像データだけでなく制御プログラム等を十分に記憶させておくことができる一方、制御プログラム等を記憶する専用のプログラムROMを設ける必要がない。よって、表示制御装置114における部品点数を削減することができ、製造コストを削減できるほか、部品数増加による故障発生率の増加を抑制することができる。
一方、NAND型フラッシュメモリは、特にランダムアクセスを行う場合において読み出し速度が遅いため、MPU231がNAND型フラッシュメモリ234aに格納された制御プログラムや固定値データを直接読み出して処理していては、MPU231として高性能のプロセッサを用いても、表示制御装置114の処理性能を悪化させてしまうおそれがある。そこで、本ブート処理では、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データを、DRAMによって構成されるワークRAM233に設けられたプログラム格納エリア233aやデータテーブル格納エリア233bへ転送し格納する処理を実行する。
具体的には、まず、上述のMPU231及びキャラクタROM234のハードウェアによる動作に基づき、システムリセット解除後にNOR型ROM234dの第1プログラム記憶エリア234d1より読み出されバッファRAM234cにセットされたブートプログラムに従って、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうち、所定量だけプログラム格納エリア233aへ転送する(S6101)。ここで転送される所定量の制御プログラムには、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが含まれる。
そして、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第1の所定番地、即ち、プログラム格納エリア233aに格納されたその残りのブートプログラムの先頭アドレスを設定する(S6102)。これにより、MPU231は、S6101の処理によってプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに含まれる残りのブートプログラムの実行を開始する。
また、S6102の処理により命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの所定番地に設定することで、MPU231は、そのワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納された制御プログラムを読み出しながら、各種処理を実行することになる。即ち、MPU231は、第2プログラム記憶エリア234a1を有するNAND型フラッシュメモリ234aから制御プログラムを読み出して命令フェッチするのではなく、プログラム格納エリア233aを有するワークRAM233に転送された制御プログラムを読み出して命令フェッチし、各種処理を実行する。上述したように、ワークRAM233はDRAMによって構成されるため、高速に読み出し動作が行われる。よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、MPU231は高速に命令をフェッチし、その命令に対する処理を実行することができる。
S6102の処理により命令ポインタ231aが設定されると、続いて、その設定された命令ポインタ231aによって実行が開始される残りのブートプログラムに従って、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムのうちプログラム格納エリア233aに未転送である残りの制御プログラムと固定値データとを、所定量ずつプログラム格納エリア233a又はデータテーブル格納エリア233bへ転送する(S6103)。具体的には、制御プログラムおよび一部の固定データを、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに格納し、また、固定値データのうち上述の各種データテーブル(表示データテーブル、転送データテーブル)をデータテーブル格納エリア233bに転送する。
そして、ブート処理に必要なその他の処理を実行(S6104)した後、命令ポインタ231aをプログラム格納エリア233aの第2の所定番地、即ち、このブート処理(図74のS6001参照)の終了後に実行すべき初期化処理(図74のS6002参照)に対応するプログラムの先頭アドレスを設定することで(S6105)、ブートプログラムの実行を終え、本ブート処理を終了する。
このように、ブート処理(S6001)が実行されることによって、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラム及び固定値データは、全てDRAMによって構成されたワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送され、格納される。そして、ブート処理の終了時に、命令ポインタ231aが上述の第2の所定番地に設定され、以後、MPU231は、NAND型フラッシュメモリ234aを参照することなく、プログラム格納エリア233aに転送された制御プログラムを用いて各種処理を実行する。
よって、制御プログラムを読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されるキャラクタROM234に記憶させた場合であっても、システムリセット解除後にその制御プログラムや固定値データをワークRAM233のプログラム格納エリア233a及びデータテーブル格納エリア233bに転送することで、MPU231は、読み出し速度が高速なDRAMによって構成されるワークRAMから制御プログラムや固定値データを読み出して各種制御を行うことができるので、表示制御装置114において高い処理性能を保つことができ、補助演出部を用いて多様化、複雑化させた演出を容易に実行することができる。
一方、NOR型ROM234dにブートプログラムを全て格納せずに、システムリセット解除後にMPU231によって最初に処理すべき命令から所定数の命令を格納しておき、残りのブートプログラムについては、NAND型フラッシュメモリ234aの第2プログラム記憶エリア234a1に記憶させても、第2プログラム記憶エリア234a1に記憶されている制御プログラムを確実にプログラム格納エリア233aに転送することができる。よって、キャラクタROM234は、極めて小容量のNOR型ROM234dを追加するだけで、MPU231の起動を短時間で行うことができるようになるので、その短時間化に伴うキャラクタROM234のコスト増加を抑制することができる。
なお、図75に示すブート処理では、S6101の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムに、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが全て含まれるように構成されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、S6101の処理によってプログラム格納エリア233aに転送される所定量の制御プログラムは、S6102の処理に続いて処理すべきブート処理を実行するブートプログラムの一部としてもよい。ここで転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムを全て含む制御プログラムを所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、更に、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、プログラム格納エリア233aに格納された残り全てのブートプログラムによって、S6103〜S6105の処理を実行するようにしてもよい。
また、S6101の処理によって転送されるブートプログラムは、残りのブートプログラムの一部を更に所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。また、この処理によってプログラム格納エリア233aに格納された一部のブートプログラムは、更に残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を実行するものであってもよい。そして、残りのブートプログラムの一部を所定量だけプログラム格納エリア233aに転送し、続いて、これによりプログラム格納エリア233aに格納されたブートプログラムの先頭アドレスを命令ポインタ231aに設定する処理を、S6101及びS6102の処理を含めて複数回繰り返した後、S6103〜S6105の処理を実行するようにしてもよい。
これにより、ブートプログラムのプログラムサイズが大きく、第1プログラム記憶エリア234d1に記憶されていない残りのブートプログラムが一度にプログラム格納エリア233aへ転送できなくても、MPU231はプログラム格納エリア233aに既に格納されたブートプログラムを使用して、所定量ずつプログラム格納エリア233aに転送することができる。
また、本実施形態では、第1プログラム記憶エリア234d1に、ブートプログラムのうち、システムリセット解除時にまずMPU231によって実行されるブートプログラムの一部を記憶させる場合について説明したが、全てのブートプログラムを第1プログラム記憶エリア234d1に記憶させてもよい。この場合、MPU231は、ブート処理を開始すると、S6101及びS6102の処理を行わずに、S6103〜S6105の処理を実行してもよい。これにより、ブートプログラムをプログラム格納エリア233aへ転送する処理が不要となるので、キャラクタROM234かプログラム格納エリア233aへのプログラムの転送処理回数が減るため、ブート処理の処理時間を減らすことができる。よって、ブート処理後に可能となるMPU231における補助演出部の制御の開始をより早く行うことができる。
ここで、図74の説明に戻る。ブート処理を終了すると、次いで、ワークRAM233のプログラム格納エリア233aに転送され格納された制御プログラムに従って、初期設定処理を実行する(S6002)。具体的には、スタックポインタの値をMPU231内に設定すると共に、MPU231内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。また、ワークRAM233、常駐用ビデオRAM235、通常用ビデオRAM236の記憶をクリアする処理などが行われる。更に、ワークRAM233に各種フラグを設け、それぞれのフラグに初期値を設定する。なお、各フラグの初期値として、特に明示した場合を除き、「オフ」又は「0」が設定される。
更に、初期設定処理では、画像コントローラ237の初期設定を行った後、第3図柄表示装置81に特定の色の画像が画面全体に表示されるように、画像コントローラ237に対して、画像の描画および表示処理の実行を指示する。これにより、電源投入直後において、第3図柄表示装置81には、まず、特定の色の画像が画面全体に表示される。ここで、電源投入直後に第3図柄表示装置81の画面全体に表示される画像の色が、パチンコ機の機種に応じて異なる色となるように設定されている。これにより、製造時の工場等における動作チェックにおいて、電源投入直後に、その機種に応じた色の画像が第3図柄表示装置81に表示されるか否かを検査することで、パチンコ機10が正常に起動開始できるか否かを簡易かつ即座に判断することができる。
次いで、電源投入時主画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aへ転送するように、画像コントローラ237に対して転送指示を送信する(S6003)。この転送指示には、電源投入時主画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスおよび最終アドレスと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時主画像エリア235aの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラ237は、この転送指示に従って、電源投入時主画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aに転送される。
そして、転送指示により示された画像データの転送が全て完了すると、画像コントローラ237は、MPU231に対して転送終了を示す転送終了信号を送信する。MPU231はこの転送終了信号を受信することにより、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握することができる。なお、画像コントローラ237は、転送指示により示された画像データの転送を全て完了した場合、画像コントローラ237の内部に設けられたレジスタまたは内蔵メモリの一部領域に、転送終了を示す転送終了情報を書き込むようにしてもよい。そして、MPU231は随時このレジスタまたは内蔵メモリの一部領域の情報を読み出し、画像コントローラ237による転送終了情報の書き込みを検出することによって、転送指示で指定した画像データの転送が終了したことを把握するようにしてもよい。
電源投入時主画像エリア235aに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。S6003の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時主画像に対応する画像データの電源投入時主画像エリア235aへの転送が終了すると、次いで、電源投入時変動画像に対応する画像データを常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bへ転送するように、画像コントローラに対して転送指示を送信する(S6004)。この転送指示には、電源投入時変動画像に対応する画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと、その画像データのデータサイズと、転送先の情報(ここでは、常駐用ビデオRAM235)と、転送先である電源投入時変動画像エリア235bの先頭アドレスとが含まれており、画像コントローラは、この転送指示に従って、電源投入時変動画像に対応する画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の電源投入時変動画像エリア235bに転送される。そして、電源投入時変動画像エリア235bに転送された画像データは、電源が遮断されるまで上書きされないように保持される。
S6004の処理により画像コントローラ237に対して送信された転送指示に基づき、電源投入時変動画像に対応する画像データの電源投入時変動画像エリア235bへの転送が終了すると、次いで、簡易画像表示フラグ233cをオンする(S6005)。これにより、簡易画像表示フラグ233cがオンの間は、後述する転送設定処理(図86(a)参照)において、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように画像コントローラ237へ転送を指示する常駐画像転送設定処理が実行される(図86(a)のS7502参照)。
また、簡易画像表示フラグ233cは、この常駐画像転送設定処理による画像コントローラ237への転送指示に基づき、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データのキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235への転送が終了するまでの間、オンに維持される。これにより、その間は、V割込処理(図76(b)参照)において、電源投入時画像(電源投入時主画像や電源投入時変動画像)(図示せず)が描画されるように、簡易コマンド判定処理(図76(b)のS6308参照)および簡易表示設定処理(図76(b)のS6309参照)が実行される。
上述したように、本パチンコ機10では、キャラクタROM234にNAND型フラッシュメモリ234aを用いているため、その読み出し速度が遅いことに起因して、常駐用ビデオRAM235に格納すべき全ての画像データが、キャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでに多くの時間を要する。そこで、本メイン処理のように、電源が投入された後、まず先に電源投入時主画像および電源投入時変動画像をキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送し、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示することで、残りの常駐すべき画像データが常駐用ビデオRAM235に転送されている間、遊技者やホール関係者は、第3図柄表示装置81に表示された電源投入時主画像を確認することができる。よって、表示制御装置114は、電源投入時主画像を第3図柄表示装置81に表示させている間に、時間をかけて残りの常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送することができる。一方、遊技者等は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間、何らかの初期化処理が行われていることを認識できるので、残りの常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されるまでの間、動作が停止していないか、といった不安を持つことなく、初期化が完了するまで待機することができる。
また、製造時の工場等における動作チェックにおいても、電源投入時主画像がすぐに第3図柄表示装置81に表示されることによって、第3図柄表示装置81が電源投入によって問題なく動作が開始されていることをすぐに確認することができ、キャラクタROM234に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aを用いることにより動作チェックの効率が悪化することを抑制できる。
また、パチンコ機10の表示制御装置114では、電源投入後に電源投入時主画像とあわせて電源投入時変動画像もキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するので、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間に遊技者が遊技を開始したことにより、第1入球口64、または第2入球口640へ入球(始動入賞)があり、変動演出の開始指示が主制御装置110より音声ランプ制御装置113を介してあった場合、即ち、表示用変動パターンコマンドを受信した場合は、電源投入時変動画像をその変動演出期間中に即座に表示させ、簡単な変動演出を行うことができる。よって、遊技者は、電源投入時主画像が第3図柄表示装置81に表示されている間であっても、その簡単な変動演出によって確実に抽選が行われたことを確認することができる。
また、上述したように、残りの常駐すべき画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている間は、第3図柄表示装置81に電源投入時主画像が表示され続けるが、キャラクタROM234は読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによって構成されており、その転送に時間がかかるので、電源投入後、電源投入時主画像が表示され続ける時間も長くなる。しかしながら、本パチンコ機10では、電源投入後に常駐用ビデオRAM235に転送された電源投入時変動画像を用いて簡易的な変動演出を行うことができるので、電源が投入された直後、例えば、停電復帰直後などにおいて、電源投入時主画像が表示されている間であっても、遊技者に安心して遊技を行わせることができる。
S6005の処理の後、割込許可を設定し(S6006)、以後、メイン処理は電源が切断されるまで、無限ループ処理を実行する。これにより、S6006の処理によって割込許可が設定されて以降、コマンドの受信およびV割込信号の検出に従って、コマンド割込処理およびV割込処理を実行する。
次いで、図76(a)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるコマンド割込処理について説明する。図76(a)は、そのコマンド割込処理を示すフローチャートである。上述したように、音声ランプ制御装置113からコマンドを受信すると、MPU231によってコマンド割込処理が実行される。
このコマンド割込処理では、受信したコマンドデータを抽出し、ワークRAM233に設けられたコマンドバッファ領域に、その抽出したコマンドデータを順次格納して(S6201)、終了する。このコマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された各種コマンドは、後述するV割込処理のコマンド判定処理または簡易コマンド判定処理によって読み出され、そのコマンドに応じた処理が行われる。
次いで、図76(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理について説明する。図76(b)は、そのV割込処理を示すフローチャートである。このV割込処理では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納されたコマンドに対応する各種処理を実行すると共に、第3図柄表示装置81に表示させる画像を特定した上で、その画像の描画リストを作成し、その描画リストを画像コントローラ237に送信することで、画像コントローラ237に対し、その画像の描画処理および表示処理の実行を指示するものである。
上述したように、このV割込処理は、画像コントローラ237からのV割込信号が検出されることによって実行が開始される。このV割込信号は、画像コントローラ237において、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に生成され、MPU231に対して送信される信号である。よって、このV割込信号に同期させてV割込処理を実行することにより、画像コントローラ237に対して描画指示が、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒毎に行われることになる。よって、画像コントローラ237では、画像の描画処理や表示処理が終了していない段階で、次の画像の描画指示を受け取ることがないので、画像の描画途中で新たな画像の描画を開始したり、表示中の画像情報が格納されているフレームバッファに、新たな描画指示に伴って画像が展開されたりすることを防止することができる。
ここでは、まず、V割込処理のフローの概略について説明し、次いで、各処理の詳細について他の図面を参照して説明する。このV割込処理では、図76(b)に示すように、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンであるか否かを判別し(S6301)、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば(S6301:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していることを意味するので、電源投入時画像ではなく、通常の演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、コマンド判定処理(S6302)を実行し、次いで、表示設定処理(S6303)を実行する。
コマンド判定処理(S6302)では、コマンド割込処理によってコマンドバッファ領域に格納された音声ランプ制御装置113からのコマンドの内容を解析し、そのコマンドに応じた処理を実行すると共に、表示用デモコマンドや表示用変動パターンコマンドが格納されていた場合は、デモ用表示データテーブル又は変動パターン種別に応じた変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定すると共に、設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定する。
このコマンド判定処理では、その時点でコマンドバッファ領域に格納されている全てのコマンドを解析して、処理を実行する。これは、コマンド判定処理が、V割込処理の実行される20ミリ秒間隔で行われるため、その20ミリ秒の間に複数のコマンドがコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高いためである。特に、主制御装置110において、変動演出の開始が決定された場合、表示用変動パターンコマンドや表示用停止種別コマンドなどが同時にコマンドバッファ領域に格納されている可能性が高い。従って、これらのコマンドを一度に解析して実行することによって、主制御装置110や音声ランプ制御装置113によって選定された変動演出の態様や停止種別を素早く把握し、その態様に応じた演出画像を第3図柄表示装置81に表示させるように、画像の描画を制御することができる。なお、このコマンド判定処理の詳細については、図77〜図82を参照して後述する。
表示設定処理(S6303)では、コマンド判定処理(S6302)などによって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルの内容に基づき、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を具体的に特定する。また、処理の状況などに応じて、第3図柄表示装置81に表示すべき演出態様を決定し、その決定した演出態様に対応する表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。なお、この表示設定処理の詳細については、図83〜図85を参照して後述する。
表示設定処理が実行された後、次いで、タスク処理を実行する(S6304)。このタスク処理では、表示設定処理(S6303)もしくは簡易表示設定処理(S6309)によって特定された、第3図柄表示装置81に表示すべき次の1フレーム分の画像の内容に基づき、その画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次に、転送設定処理を実行する(S6305)。この転送設定処理では、簡易画像表示フラグ233cがオンである間は、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235の所定エリアへ転送させる転送指示を設定する。また、簡易画像表示フラグ233cがオフである間は、転送データテーブルバッファ233eに設定される転送データテーブルの転送データ情報に基づき、画像コントローラ237に対して、所定の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定すると共に、音声ランプ制御装置113から連続予告コマンドや背面画像変更コマンドを受信した場合にも、画像コントローラ237に対して、連続予告演出で使用する連続予告画像の画像データや変更後の背面画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aの所定サブエリアへ転送させる転送指示を設定する。なお、転送設定処理の詳細については、図86および図87を参照して後述する。
次いで、描画処理を実行する(S6306)。この描画処理では、タスク処理(S6304)で決定された、1フレームを構成する各種スプライトの種別やそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータと、転送設定処理(S6305)により設定された転送指示とから、図29に示す描画リストを生成し、描画対象バッファ情報と共に、その描画リストを画像コントローラ237に対して送信する。これにより、画像コントローラ237では、描画リストに従って、画像の描画処理を実行する(S6306)。なお、描画処理の詳細については、図88を参照して後述する。
次いで、表示制御装置114に設けられた各種カウンタの更新処理を実行する(S6307)。そして、V割込処理を終了する。S6307の処理によって更新されるカウンタとしては、例えば、停止図柄を決定するための停止図柄カウンタ(図示せず)がある。この停止図柄カウンタの値は、ワークRAM233に格納され、V割込処理が実行される度に、更新処理が行われる。そして、コマンド判定処理において、表示用停止種別コマンドの受信が検出されると、表示用停止種別コマンドにより示される停止種別(大当たりA、大当たりB、前後外れリーチ、前後外れ以外リーチ、完全外れ)に対応する停止種別テーブルと停止種別カウンタとが比較され、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄が最終的に設定される。
一方、S6301の処理において、簡易画像表示フラグ233cがオンであると判別されると(S6301:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データの転送が完了していないことを意味するので、電源投入時画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、簡易コマンド判定処理(S6308)を実行し、次いで、簡易表示設定処理(S6309)を実行して、S6304の処理へ移行する。
次いで、図77〜図82を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述のコマンド判定処理(S6302)の詳細について説明する。まず、図77は、このコマンド判定処理を示すフローチャートである。
このコマンド判定処理では、図77に示すように、まず、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し(S6401)、未処理の新規コマンドがなければ(S6401:No)、コマンド判定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、未処理の新規コマンドがあれば(S6401:Yes)、オン状態で新規コマンドを処理したことを表示設定処理(S6303)に通知する新規コマンドフラグをオンに設定し(S6402)、次いで、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドすべてについて、そのコマンドの種別を解析する(S6403)。
そして、未処理のコマンドの中に、表示用変動パターンコマンドがあるか否かを判別する(S6404)。そして、表示用変動パターンコマンドがあれば(S6404:Yes)、変動パターンコマンド処理を実行して(S6405)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図78(a)を参照して、変動パターンコマンド処理(S6405)の詳細について説明する。図78(a)は、変動パターンコマンド処理(S6405)を示すフローチャートである。この変動パターンコマンド処理(S6405)は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動パターンコマンドに対応する処理を実行するものである。
変動パターンコマンド処理では、まず、表示用変動パターンコマンドによって示される変動演出パターンに対応した変動表示データテーブルを決定し、その決定した変動表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6501)。
ここで、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用変動パターンコマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用変動パターンコマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用変動パターンコマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S6501の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用変動パターンコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する。
仮に、変動時間の長い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定してしまうと、実際には、設定した表示データテーブルよりも短い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合に、設定された変動表示データテーブルに従った変動演出を第3図柄表示装置81に表示させている最中に主制御装置110から次の表示用変動パターンコマンドを受信することとなり、別の変動表示が急に開始されてしまうので、遊技者に対して違和感を持たせるおそれがあった。
これに対し、本実施形態のように、変動時間が最も短い変動パターンに対応する変動表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定することで、実際には、設定した表示データテーブルよりも長い変動時間を有する変動演出が主制御装置110によって指示されていた場合であっても、後述するように、表示データテーブルバッファ233dに従った変動演出が終了したのち、主制御装置110から次の表示用パターンコマンドを受信するまでの間、デモ演出が表示されるように、表示設定処理によって、第3図柄表示装置81の表示が制御されるので、遊技者は違和感なく第3図柄表示装置81における第3図柄の変動を見続けることができる。
次いで、S6501で設定された表示データテーブルに対応する転送データテーブルを決定してデータテーブル格納エリア233bから読み出し、それを転送データテーブルバッファ233eに設定する(S6502)。そして、S6501の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルに対応する変動パターンの変動時間を基に、その変動時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6503)、ポインタ233fを0に初期化する(S6504)。そして、デモ表示フラグおよび確定表示フラグをいずれもオフに設定して(S6505)、変動パターンコマンドを終了し、コマンド判定処理に戻る。
この変動パターンコマンド処理が実行されることにより、表示設定処理では、S6505の処理によって初期化されたポインタ233fを更新しながら、S6501の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動表示データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された描画内容を抽出し、第3図柄表示装置81において次に表示すべき1フレーム分の画像の内容を特定すると同時に、S6502の処理によって転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルから、ポインタ233fに示されるアドレスに規定された転送データ情報を抽出し、設定された変動表示データテーブルにおいて必要なスプライトの画像データが、予めキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに転送されるように、画像コントローラ237を制御する。
また、表示設定処理では、S6503の処理によって時間データが設定された計時カウンタ233hを用いて、変動表示データテーブルで規定された変動演出の時間を計時し、変動表示データテーブルにおける変動演出が終了すると判断された場合、主制御装置110からの表示用停止種別コマンドに応じた停止図柄を第3図柄表示装置81に表示するように、その停止表示の設定を制御する。
ここで、図77の説明に戻る。S6404の処理において、表示用変動パターンコマンドがないと判別されると(S6404:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用停止種別コマンドがあるか否かを判別し(S6406)、表示用停止種別コマンドがあれば(S6406:Yes)、停止種別コマンド処理を実行して(S6407)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図78(b)を参照して、停止種別コマンド処理(S6407)の詳細について説明する。図78(b)は、停止種別コマンド処理を示すフローチャートである。この停止種別コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動種別コマンドに対応する処理を実行するものである。
停止種別コマンド処理(S6407)では、まず、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報(大当たりA〜G、小当たりA〜C、リーチ外れ、完全外れ、のいずれか)に対応する停止種別テーブルを決定し(S6601)、その停止種別テーブルと、V割込処理(図76(b)参照)が実行されるたびに更新される停止種別カウンタの値とを比較して、第3図柄表示装置81に表示される変動演出後の停止図柄を最終的に設定する(S6602)。
そして、各停止図柄毎に設けられた停止図柄判別フラグのうち、S6602の処理によって設定された停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンすると共に、その他の停止図柄に対応する停止図柄判別フラグをオンに設定し(S6603)、コマンド判定処理に戻る。
ここで、上述したように、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過後において、第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定する種別情報として、S6602の処理によって設定された停止図柄からのオフセット情報(図柄オフセット情報)が記載されている。上述のタスク処理(S6304)では、変動が開始されてから所定時間が経過した後、S6603によって設定された停止図柄判別フラグからS6602の処理によって設定された停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。そして、この特定された第3図柄に対応する画像データが格納されたアドレスを特定する。第3図柄に対応する画像データは、上述したように、常駐用ビデオRAM235の第3図柄エリア235dに格納されている。
なお、主制御装置110において変動の開始の判断は、必ず数秒以上離れて行われるので、20ミリ秒以内に2以上の表示用停止種別コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の表示用停止種別コマンドが格納されている場合はあり得ないが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って表示用停止種別コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S6601の処理では、このような場合に備え、2以上の表示用停止種別コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合は、停止種別が完全外れであると仮定して、停止種別テーブルを決定する。これにより、完全外れに対応する停止図柄がS6602の処理によって設定される。
仮に、「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が設定されてしまうと、実際には、「特別図柄の外れ」であった場合であっても、第3図柄表示装置81には「特別図柄の大当たり」に対応する停止図柄が表示されることとなり、遊技者にパチンコ機10が「特別図柄の大当たり」となったと勘違いさせてしまい、パチンコ機10の信頼性を低下させるおそれがあった。これに対し、本実施形態のように、完全外れに対応する停止図柄が設定されることで、実際には、「特別図柄の大当たり」であれば、第3図柄表示装置81に完全外れの停止図柄が表示されても、パチンコ機10が「特別図柄の大当たり」になるので、遊技者を喜ばせることができる。
図77に戻り、説明を続ける。S6406の処理において、表示用停止種別コマンドがないと判別されると(S6406:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用オープニングコマンドがあるか否かを判別し(S6408)、表示用オープニングコマンドがあれば(S6408:Yes)、オープニングコマンド処理を実行して(S6409)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図79(a)を参照して、オープニングコマンド処理(S6409)の詳細について説明する。図79(a)は、オープニングコマンド処理を示すフローチャートである。このオープニングコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信したオープニングコマンドに対応する処理を実行するものである。
オープニングコマンド処理では、まず、オープニング表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6701)。その後、オープニング表示データテーブルに対応する転送データテーブルを転送データテーブルバッファ233eに設定し(S6702)、設定したオープニング表示データテーブルを基に、時間データを計時カウンタ233hに設定する(S6703)。その後、ポインタ233fを0に初期化する(S6704)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6705)、オープニングコマンドを終了し、コマンド判定処理に戻る。
図77に戻り、説明を続ける。S6408の処理において、表示用オープニングコマンドがないと判別されると(S6408:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用ラウンド数コマンドがあるか否かを判別し(S6410)、表示用ラウンド数コマンドがあれば(S6410:Yes)、ラウンド数コマンド処理を実行して(S6411)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図79(b)を参照して、ラウンド数コマンド処理(S6411)の詳細について説明する。図79(b)は、ラウンド数コマンド処理を示すフローチャートである。このラウンド数コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用ラウンド数コマンドに対応する処理を実行するものである。
ラウンド数コマンド処理では、まず、表示用ラウンド数コマンドによって示されるラウンド数に対応したラウンド数表示データテーブルを決定し、その決定したラウンド数表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6801)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6802)。
そして、S6801の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたラウンド数表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6803)、ポインタ233fを0に初期化する(S6804)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6805)、ラウンド数コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
図77に戻って説明を続ける。S6410の処理において、表示用ラウンド数コマンドがないと判別されると(S6410:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用エンディングコマンドがあるか否かを判別し(S6412)、表示用エンディングコマンドがあれば(S6412:Yes)、エンディングコマンド処理を実行して(S6413)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図80を参照して、エンディングコマンド処理(S6413)の詳細について説明する。図80は、エンディングコマンド処理を示すフローチャートである。このエンディングコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用エンディングコマンドに対応する処理を実行するものである。
エンディングコマンド処理では、まず、表示用エンディングコマンドによって示されるエンディング演出の表示態様に対応したエンディング表示データテーブルを決定し、その決定したエンディング表示データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6901)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6902)。
次いで、S6901の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定されたエンディング表示データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6903)、ポインタ233fを0に初期化する(S6904)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6905)、エンディングコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
図77に戻り、説明を続ける。S6412の処理において、表示用エンディングコマンドがないと判別されると(S6412:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用変動停止コマンドがあるか否かを判別し(S6414)、表示用変動停止コマンドがあれば(S6414:Yes)、変動停止コマンド処理を実行して(S6415)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図81(a)を参照して、変動停止コマンド処理(S6415)の詳細について説明する。図81(a)は、変動停止コマンド処理を示すフローチャートである。この変動停止コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した表示用変動停止コマンドに対応する処理を実行するものである。
この表示用変動停止コマンドとは、音声ランプ制御装置113の変動表示設定処理(図73のS4112参照)において設定された表示用変動パターンコマンドの終了タイミング、即ち、主制御装置110における各特別図柄の変動パターンを設定する処理にて設定された変動パターン(変動時間)の終了タイミング(主制御装置110が停止コマンドを設定するタイミング)にて、音声ランプ制御装置113から出力される表示用停止コマンド(正常停止コマンド)と、音声ランプ制御装置113のへ変動停止処理(図70のS4217参照)にて設定された各種表示コマンドを示すものである。
上述した通り、本実施形態のパチンコ機10は、第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)とを独立(並行)して実行可能に構成されており、さらに、一方の特別図柄が特定の抽選結果(例えば、大当たり)を示す図柄で停止(確定)表示された場合に、変動中の他方の特別図柄を、予め定められた変動パターン(変動時間)の終了の有無に関わらず、強制的に外れを示す図柄で停止表示するように構成している。
そして、音声ランプ制御装置113では主制御装置110から強制的に特別図柄の変動を停止させる際に設定されるコマンドを受信した場合に、変動停止処理(図70のS4217参照)を実行することで、特別図柄変動に対応する第3図柄、或いは第4図柄の表示態様を可変表示(強制的に停止表示される特別図柄の表示態様に対応させるように可変表示)させるための表示用コマンド(強制停止コマンド)を設定するように構成している。
なお、本実施形態では、上述した正常停止コマンドを既に受信している場合であっても、第3図柄表示装置81に第3図柄、或いは第4図柄が停止表示されていない状態であれば、後で受信した強制停止コマンドに基づく停止表示が実行されるように構成している。即ち、強制停止コマンドが、正常停止コマンドよりも優先して処理されるように構成している。これにより、主制御装置110の制御内容に対応した表示態様で第3図柄、第4図柄を確実に表示することができる。
加えて、表示用変動停止コマンドには、音声ランプ制御装置113の変動停止処理(図70のS4217参照)において設定される仮停止を示す表示コマンドも含まれており、この仮停止を示す表示コマンド(表示用仮停止コマンド)を受信した場合には、変動停止表示データとして、停止表示される図柄が若干揺動する表示データが設定されるデータテーブルが決定されるように構成している。
変動停止コマンド処理では、まず、表示用変動停止コマンドによって示される変動停止データテーブルを決定し、その決定した変動停止データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6931)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6932)。
次いで、S6931の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された変動停止データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6933)、ポインタ233fを0に初期化する(S6934)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6935)、変動停止コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
図77に戻り、説明を続ける。S6412の処理において、変動停止コマンドがないと判別されると(S6414:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、表示用報知コマンドがあるか否かを判別し(S6416)、表示用報知コマンドがあれば(S6416:Yes)、表示用報知コマンド処理を実行して(S6417)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図81(b)を参照して、追加演出コマンド処理(S6415)の詳細について説明する。図81(b)は、報知コマンド処理を示すフローチャートである。この報知コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した(表示用)報知コマンドに対応する処理を実行するものである。
この報知コマンドは、主制御装置110にて設定された各種異常状態を示すためのコマンドを音声ランプ制御装置113が受信した場合に設定される各種報知コマンドのうち、表示制御装置114に出力された表示用報知コマンドを表示制御装置114が受信した場合に実行される処理である。
報知コマンド処理では、まず、報知コマンドによって示される報知態様に対応した表示(報知)データテーブルを決定し、その決定した表示(報知)データテーブルをデータテーブル格納エリア233bから読み出して、表示データテーブルバッファ233dに設定する(S6951)。次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S6952)。
次いで、S6951の処理によって表示データテーブルバッファ233dに設定された表示(報知)データテーブルを基に、その演出時間を表す時間データを計時カウンタ233hに設定し(S6953)、ポインタ233fを0に初期化する(S6954)。そして、デモ表示フラグ233y、および確定表示フラグ233zをいずれもオフに設定して(S6955)、報知コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
なお、本実施形態では、音声ランプ制御装置113の設定した各種報知コマンドのうち、報知対象が第3図柄表示装置81(表示装置)であることを示す表示用コマンドのみを表示制御装置114が判別するように構成しているが、これに限ること無く、表示用コマンド以外の発光用コマンドや、音声出力用コマンドや、役物駆動用コマンドといった関連コマンドも一旦受信し、表示制御装置114の処理にて設定されたデータ内容(表示態様)を示すための情報を追加した状態で、関連コマンドを対応する制御装置に出力するように構成しても良い。
図77に戻り、説明を続ける。S6416の処理において、表示用報知コマンドがないと判別されると(S6416:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、背面画像変更コマンドがあるか否かを判別し(S6418)、背面画像変更コマンドがあれば(S6418:Yes)、背面画像変更コマンド処理を実行して(S6419)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図82を参照して、背面画像変更コマンド処理(S6419)の詳細について説明する。図82は、背面画像変更コマンド処理を示すフローチャートである。この背面画像変更コマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信した背面画像変更コマンドに対応する処理を実行するものである。
背面画像変更コマンド処理では、まず、オン状態で背面画像変更コマンドを受信したことに伴う背面画像の変更を通常画像転送設定処理(S7503)に通知する背面画像変更フラグ233wをオンに設定する(S7001)。そして、背面画像種別(背面A,B)毎に設けられた背面画像判別フラグ233xの各ビットのうち、背面画像変更コマンドによって示された背面画像種別に対応するビットをオンに設定すると共に、その他の背面画像種別に対応するビットをオフに設定して(S7002)、この背面画像変更コマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
通常画像転送設定処理では、S7001の処理により設定される背面画像変更フラグ233wがオンされていることを検出すると、S7002の処理によって設定される背面画像判別フラグ233xから、変更後の背面画像種別を特定する。
また、タスク処理では、表示データテーブルに規定された背面画像の背面種別によって、背面A,Bのいずれかを表示させることが規定されていた場合、S7002によって設定された背面画像判別フラグ233xから、その時点において表示すべき背面画像種別を特定し、更に、表示すべき背面画像の範囲を時間経過に合わせて特定して、その背面画像の範囲に対応する画像データが格納されているRAM種別(常駐用ビデオRAM235か、通常用ビデオRAM236か)と、そのRAMのアドレスを特定する。
なお、遊技者が枠ボタン22を20ミリ秒以下で連続して操作することはないので、20ミリ秒以内に2以上の背面画像変更コマンドを受信することはなく、したがって、コマンド判定処理を実行する場合に、コマンドバッファ領域に2以上の背面画像変更コマンドが格納されている場合はないはずであるが、ノイズ等の影響によってコマンドの一部が変化し、別のコマンドが誤って背面画像変更コマンドとして解釈されるおそれもあり得る。S7002の処理では、2以上の背面画像コマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、先に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ233xをオンしてもよいし、後に受信した背面画像コマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ233xをオンしてもよい。また、任意の1の背面画像変更コマンドを抽出し、そのコマンドによって示される背面画像種別に対応する背面画像判別フラグ233xをオンしてもよい。この背面画像の変更は、パチンコ機10における遊技価値の直接影響を与えるものではないので、パチンコ機10の特性や操作性に応じて、適宜設定するのが好ましい。
ここで、図77の説明に戻る。S6418の処理において、背面画像変更コマンドがないと判別されると(S6418:No)、次いで、未処理のコマンドの中に、エラーコマンドがあるか否かを判別し(S6420)、エラーコマンドがあれば(S6420:Yes)、エラーコマンド処理を実行して(S6421)、S6401の処理へ戻る。
ここで、図82(b)を参照して、エラーコマンド処理(S6421)の詳細について説明する。図82(b)は、エラーコマンド処理を示すフローチャートである。このエラーコマンド処理は、音声ランプ制御装置113より受信したエラーコマンドに対応する処理を実行するものである。
エラーコマンド処理では、まず、オン状態でエラーが発生していることを示すエラー発生フラグをオンに設定する(S7101)。そして、エラー種別毎に設けられたエラー判別フラグのうち、エラーコマンドによって示されるエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンすると共に、その他のエラー判別フラグをオフに設定して(S7102)、エラーコマンド処理を終了し、コマンド判定処理に戻る。
表示設定処理では、S7101の処理によって設定されたエラー発生フラグに基づいて、エラーの発生を検出すると、S7102の処理によって設定されたエラー判別フラグから発生したエラー種別を判断し、そのエラー種別に対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させるように処理を実行する。
なお、2以上のエラーコマンドがコマンドバッファ領域に格納されていると判断される場合、S7102に処理では、それぞれのエラーコマンドによって示される全てのエラー種別に対応するエラー判別フラグをオンに設定する。これにより、全てのエラー種別に対応する警告画像が第3図柄表示装置81に表示されるので、遊技者やホール関係者が、エラーの発生状況を正しく把握することができる。
ここで、図77の説明に戻る。S6416の処理において、エラーコマンドがないと判別されると(S6420:No)、次いで、その他の未処理のコマンドに対応する処理を実行し(S6422)、S6401の処理へ戻る。
各コマンドの処理が実行された後に再び実行されるS6401の処理では、再度、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがあるか否かを判別し、未処理の新規コマンドがあれば(S6401:Yes)、再びS6402〜S6422の処理を実行する。そして、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがなくなるまで、S6401〜S6422の処理が繰り返し実行され、S6401の処理で、コマンドバッファ領域に未処理の新規コマンドがないと判別されると、このコマンド判定処理を終了する。
なお、V割込処理(図76(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易コマンド判定処理(S6308)も、コマンド判定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易コマンド判定処理では、コマンドバッファ領域に格納されている未処理のコマンドから、電源投入時画像を表示するのに必要なコマンド、即ち、表示用変動パターンコマンドおよび表示用停止種別コマンドだけを抽出して、それぞれのコマンドに対応する処理である、変動パターンコマンド処理(図78(a)参照)および停止種別コマンド処理(図78(b)参照)を実行すると共に、その他のコマンドについては、そのコマンドに対応する処理を実行せずに破棄する処理を行う。
ここで、この場合に実行される、変動パターンコマンド処理(図78(a)参照)では、S6501の処理で、電源投入時変動画像の表示に対応した表示データテーブルバッファが表示データテーブルバッファ233dに設定され、また、その場合に必要となる電源投入時主画像および電源投入時変動画像の画像データは常駐用ビデオRAM235の電源投入時主画像エリア235aおよび電源投入時変動画像エリア235bに格納されているので、S6502の処理では、転送データテーブルバッファ233eにはNullデータを書き込み、その内容をクリアする処理が行われる。
次いで、図83〜図85を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の表示設定処理(S6303)の詳細について説明する。図83は、この表示設定処理を示すフローチャートである。
この表示設定処理では、図83に示すように、まず、新規コマンドフラグがオンであるか否かを判別し(S7201)、新規コマンドフラグがオンではない、即ち、オフであれば(S7201:No)、先に実行されるコマンド判定処理において新規コマンドが処理されていないと判断して、S7202〜S7204の処理をスキップし、S7205の処理へ移行する。一方、新規コマンドフラグがオンであれば(S7201:Yes)、先に実行されるコマンド判定処理において新規コマンドが処理されたと判断し、新規コマンドフラグをオフに設定した後(S7202)、S7203〜S7204の処理によって、新規コマンドに対応する処理を実行する。
S7203の処理では、エラー発生フラグがオンであるか否かを判別する(S7203)。そして、エラー発生フラグがオンであれば(S7203:Yes)、警告画像設定処理を実行する(S7204)。
ここで、図84を参照して、警告画像設定処理の詳細について説明する。図84は、警告画像設定処理を示すフローチャートである。この処理は、発生したエラーに対応する警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる画像データを展開するための処理で、まず、エラー判別フラグを参照し、オンが設定された全てのエラー判別フラグに対応したエラーの警告画像を第3図柄表示装置81に表示させる警告画像データを展開する(S7301)。
タスク処理(S6304)では、この展開された警告画像データを元に、その警告画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
そして、警告画像設定処理では、S7301の処理の後、エラー発生フラグをオフに設定して(S7302)、表示設定処理に戻る。
ここで、図83の説明に戻る。警告画像設定処理(S7204)の後、又は、S7203の処理において、エラー発生フラグがオンではない、即ち、オフであると判別されると(S7203:No)、次いで、S7205の処理へ移行する。
S7205では、ポインタ更新処理を実行する(S7205)。ここで、図85を参照して、ポインタ更新処理の詳細について説明する。図85は、ポインタ更新処理を示すフローチャートである。このポインタ更新処理は、表示データテーブルバッファ233dおよび転送データテーブルバッファ233eの各バッファにそれぞれ格納された表示データテーブルおよび転送データテーブルから、対応する描画内容もしくは転送対象画像データの転送データ情報を取得すべきアドレスを指定するポインタ233fの更新を行う処理である。
このポインタ更新処理では、まず、ポインタ233fに1を加算する(S7401)。即ち、ポインタ233fは、原則、V割込処理が実行される度に1だけ加算されるように更新処理が行われる。また、上述したように、各種データテーブルは、アドレス「0000H」には、Start情報が記載されており、それぞれのデータの実体はアドレス「0001H」以降に規定されているところ、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに格納されるのに合わせてポインタ233fの値が0に初期化された場合は、このポインタ更新処理によってその値が1に更新されるので、アドレス「0001H」から順に、それぞれのデータテーブルから実体的なデータを読み出すことができる。
S7401の処理によって、ポインタ233fの値を更新した後、次いで、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報であるか否かを判別する(S7402)。その結果、End情報であれば(S7402:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルにおいて、その実体データが記載されたアドレスを過ぎてポインタ233fが更新されたことを意味する。
そこで、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルであるか否かを判別して(S7403)、デモ用表示データテーブルであれば(S7403:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されているデモ用表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S7404)、ポインタ233fを1に設定して初期化し(S7405)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、デモ用表示データテーブルの先頭から順に描画内容を展開することができるので、第3図柄表示装置81には、デモ演出を繰り返し表示させることができる。
一方、S7403の処理において、表示データテーブルバッファ233dに格納されている表示データテーブルがデモ用表示データテーブルでないと判別された場合は(S7403:No)、ポインタ233fの値を1だけ減算して(S7406)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。これにより、表示設定処理では、表示データテーブルバッファ233dにデモ用表示データテーブル以外の表示データテーブル、例えば、変動表示データテーブルが設定されている場合は、End情報が記載された1つ前のアドレスの描画内容が常に展開されるので、第3図柄表示装置81には、その表示データテーブルで規定される最後の画像を停止させた状態で表示させることができる。一方、S7402の処理において、更新後のポインタ233fで示されるアドレスのデータがEnd情報でなければ(S7402:No)、本処理を終了し、表示設定処理に戻る。
ここで、図83に戻り説明を続ける。ポインタ更新処理の後、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルから、ポインタ更新処理によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスの描画内容を取得する(S7206)。タスク処理(S6304)では、先に展開された警告画像などと共に、S7206の処理で展開された描画内容を元に、画像を構成するスプライト(表示物)の種別を特定すると共に、各スプライト毎に、表示座標位置や拡大率、回転角度といった描画に必要な各種パラメータを決定する。
次いで、計時カウンタ233hの値を1だけ減算し(S7207)、減算後の計時カウンタ233hの値が0以下であるか否かを判別する(S7208)。そして、計時カウンタ233hの値が1以上である場合は(S7208:No)、そのまま表示設定処理を終了してV割込処理に戻る。一方、計時カウンタ233hの値が0以下である場合は(S7208:Yes)、表示データテーブルバッファ233dに設定されている表示データテーブルに対応する演出の演出時間が経過したことを意味する。このとき、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合は、その変動表示を終了すると共に停止表示を行うタイミングであるので、確定表示フラグがオンであるか否かを確認する(S7209)。
その結果、確定表示フラグがオフであれば(S7209:No)、まだ確定表示の演出を行っておらず、確定表示の演出を行うタイミングなので、まず、確定表示データテーブルを表示データテーブルバッファ233dに設定し(S7210)、次いで、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S7211)。そして、確定表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定し(S7212)、更に、ポインタ233fの値を0に初期化する(S7213)。そして、オン状態で確定表示演出中であることを示す確定表示フラグをオンに設定した後(S7214)、停止図柄判別フラグの内容をそのままワークRAM233に設けられた前回停止図柄判別フラグにコピーして(S7215)、V割込処理に戻る。
これにより、表示データテーブルバッファ233dに変動表示データテーブルが設定されている場合などにおいて、その演出の終了に合わせて、変動演出における停止図柄の確定表示演出が第3図柄表示装置81に表示されるように、その描画内容を設定することができる。また、表示データテーブルバッファ233dに設定される表示データテーブルを確定表示データテーブルに変更するだけで、容易に、第3図柄表示装置81に表示させる演出を確定表示演出に変更することができる。そして、従来のように、別のプログラムを起動させることによって表示内容を変更する場合と比較して、プログラムが複雑かつ肥大化することなく、よって、MPU231に多大な負荷がかかることがないので、表示制御装置114の処理能力に関係なく、多種多様な演出画像を第3図柄表示装置81に表示させることができる。
なお、S7215の処理によって設定された前回停止図柄判別フラグは、次に行われる変動演出において第3図柄表示装置81に表示すべき第3図柄を特定するために用いられる。即ち、上述したように、変動演出における第3図柄の表示は、1つ前に行われた変動演出の停止図柄に応じて変わるためであり、変動表示データテーブルでは、そのデータテーブルに基づく変動が開始されてから所定時間経過するまでは、1つ前に行われた変動演出の停止図柄からの図柄オフセット情報が記載されている。タスク処理(S6304)では、変動が開始されてから所定時間が経過するまで、S7215によって設定された前回停止図柄判別フラグから、1つ前に行われた変動演出の停止図柄を特定すると共に、その特定した停止図柄に対して表示設定処理により取得された図柄オフセット情報を加算することによって、実際に表示すべき第3図柄を特定する。これにより、1つ前の変動演出における停止図柄から変動演出が開始される。
一方、S7209の処理において、確定表示フラグがオンであれば(S7209:Yes)、デモ表示フラグがオンであるか否かを判別する(S7216)。そして、デモ表示フラグがオフであれば(S7216:No)、確定表示演出の終了に伴って計時カウンタ233hの値が0以下になったことを意味するので、確定表示演出の終了から一定時間経過後に、第3図柄表示装置81にデモ演出を表示させるための処理を行う。
まず、デモ表示データテーブルを取得して表示データテーブルバッファ233dへ設定し(S7217)、転送データテーブルバッファ233eにNullデータを書き込むことで、その内容をクリアする(S7218)。そして、デモ表示データテーブルの演出時間に対応する時間データを計時カウンタ233hに設定する(S7219)。そして、ポインタ233fを0に初期化し(S7220)、オン状態でデモ演出中であることを示すデモ表示フラグをオンに設定して(S7221)、本処理を終了し、V割込処理に戻る。
これにより、確定表示演出が終了した後に、次の変動演出開始を示す表示用変動パターンコマンドを受信しなかった場合には、自動的に、第3図柄表示装置81にデモ演出が表示されるように、その描画内容を設定することができる。
S7216の処理において、デモ表示フラグがオンであれば(S7216:Yes)、確定表示演出が終了した後にデモ演出が行われ、そのデモ演出が終了したことを意味するので、そのまま表示設定処理を終了し、V割込処理に戻る。そして、この場合、次回のV割込処理の中で実行されるポインタ更新処理によって、上述したように、再びデモ演出が開始されるように、各種設定が行われるので、音声ランプ制御装置113より新たな表示用変動パターンコマンドを受信するまでは、デモ演出を繰り返し第3図柄表示装置81に表示させることができる。
なお、V割込処理(図76(b)参照)において簡易画像表示フラグ233cがオンの場合に実行される簡易表示設定処理(S6309)でも、表示設定処理と同様の処理が行われる。ただし、簡易表示設定処理では、電源投入時変動画像による変動演出の演出時間が終了した後、所定時間、表示用停止種別コマンドに基づいて設定された停止図柄に応じた電源投入時変動画像の一方の画像を停止表示させることを規定した表示データテーブルを、表示データテーブルバッファ233dに設定する処理が行われる。
次いで、図86及び図87を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の転送設定処理(S6305)の詳細について説明する。まず、図86(a)は、この転送設定処理を示すフローチャートである。
この転送設定処理では、まず、簡易画像表示フラグ233cがオンか否かを判別する(S7501)。そして、簡易画像表示フラグ233cがオンであれば、(S7501:Yes)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されていないので、常駐画像転送設定処理を実行して(S7502)、転送設定処理を終了し、V割込処理へ戻る。これにより、画像コントローラ237に対して、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送させるための転送指示が設定される。なお、常駐画像転送設定処理の詳細については、図86(b)を参照して後述する。
一方、S7501の処理の結果、簡易画像表示フラグ233cがオンではない、即ち、オフであれば、(S7501:No)、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データがキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に転送されている。この場合は、通常画像転送設定処理を実行し(S7503)、転送設定処理を終了して、V割込処理へ戻る。これにより、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常用ビデオRAM236に対して行われるように転送指示が設定される。なお、通常画像転送設定処理の詳細については、図87を参照して後述する。
次いで、図86(b)を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S6305)の一処理である常駐画像転送設定処理(S7502)について説明する。図86(b)は、この常駐画像転送設定処理(S7502)を示すフローチャートである。
この常駐画像転送設定処理では、まず、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示をしているか否かを判別し(S7601)、転送指示を送信していれば(S7601:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送処理が終了したか否かを判別する(S7602)。このS7602の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を行った後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S7602の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S7602:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この常駐画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S7602:Yes)、S7603の処理へ移行する。また、S7601の処理の結果、画像コントローラ237に対して、未転送の画像データの転送指示を送信していない場合も(S7601:No)、S7603の処理へ移行する。
S7603の処理では、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データを転送したか否かを判別し(S7603)、未転送の常駐対象画像データがあれば(S7603:No)、その未転送の常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送するように、画像コントローラ237に対する転送指示を設定し(S7604)、本処理を終了する。
これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、未転送の常駐対象画像データに関する転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235へ転送することができる。なお、転送データ情報には、常駐対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、常駐用ビデオRAM235)、及び転送先(ここで転送される常駐対象画像データを格納すべき常駐用ビデオRAM235に設けられたエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して一旦バッファRAM237aに格納した後、常駐用ビデオRAM235の未使用期間中に、常駐用ビデオRAM235の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S7603の処理の結果、全ての常駐対象画像データが転送されていれば(S7603:Yes)、簡易画像表示フラグ233cをオフに設定して(S7605)、本処理を終了する。これにより、V割込処理(図76(b)参照)において、簡易コマンド判定処理(図76(b)のS6308参照)および簡易表示設定処理(図76(b)のS6309参照)ではなく、コマンド判定処理(図77〜図82参照)および表示設定処理(図83〜図85参照)が実行されるので、通常時の画像の描画が設定されることになり、第3図柄表示装置81には通常時の画像が表示される。また、以後のキャラクタROM234からの画像データの転送は、通常画像転送設定処理(図87参照)により、通常用ビデオRAM236に対して行われる(図86(a)のS7501:No参照)。
MPU231は、この常駐画像転送設定処理を実行することにより、既にメイン処理の中で転送されている電源投入時主画像および電源投入時変動画像を除く、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての常駐対象画像データをキャラクタROM234から常駐用ビデオRAM235に対して転送することができる。そして、MPU231は、常駐用ビデオRAM235に転送された画像データを、電源投入中、上書きすることなく保持され続けるよう制御する。これにより、常駐画像転送設定処理によって常駐用ビデオRAM235に転送された画像データは、電源投入中、常駐用ビデオRAM235に常駐されることになる。
よって、常駐用ビデオRAM235に常駐すべき全ての画像データが常駐用ビデオRAM235に転送された後、表示制御装置114は、この常駐用ビデオRAM235に常駐された画像データを使用しながら、画像コントローラ237にて画像の描画処理を行うことができる。これにより、描画処理に使用する画像データが常駐用ビデオRAM235に常駐されていれば、画像描画時に読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aで構成されたキャラクタROM234から対応する画像データを読み出す必要がないため、その読み出しにかかる時間を省略でき、画像の描画を即座に行って第3図柄表示装置81に描画した画像を表示することができる。
特に、常駐用ビデオRAM235には、背面画像や、第3図柄、キャラクタ図柄、エラーメッセージといった、頻繁に表示される画像の画像データや、主制御装置110、音声ランプ制御装置113や表示制御装置114などによって表示が決定された後、即座に表示すべき画像の画像データを常駐させるので、キャラクタROM234をNAND型フラッシュメモリ234aで構成しても、遊技者によって任意のタイミングで行われる種々の操作から、第3図柄表示装置81に何らかの画像を表示させるまでの応答性を高く保つことができる。
次いで、図87を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行される転送設定処理(S6305)の一処理である通常画像転送設定処理(S7503)について説明する。図87は、この通常画像転送設定処理(S7503)を示すフローチャートである。
この通常画像転送設定処理では、まず、転送データテーブルバッファ233eに設定されている転送データテーブルから、先に実行された表示設定処理(S6303)のポインタ更新処理(S7205)によって更新されたポインタ233fで示されるアドレスに記載された情報を取得する(S7701)。そして、取得した情報が転送データ情報であるか否かを判別し(S7702)、転送データ情報であれば(S7702:Yes)、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出して、ワークRAM233に設けられた転送データバッファに格納し(S7703)、更に、ワークRAM233に設けられ、オン状態で転送開始すべき画像データが存在することを示す転送開始フラグをオンに設定して(S7704)、S7705の処理へ移行する。
また、S7702の処理において、取得した情報が転送データ情報ではなく、Nullデータであれば(S7702:No)、S7703及びS7704の処理をスキップして、S7705の処理へ移行する。S7705の処理では、画像コントローラ237に対して、前回行われた画像データの転送が終了した後に、新たに画像データの転送指示を設定したか否かを判別し(S7705)、転送指示を設定していれば(S7705:Yes)、更に、その転送指示に基づき画像コントローラ237により行われる画像データの転送が終了したか否かを判別する(S7706)。
このS7706の処理では、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定した後、画像コントローラ237から、転送処理の終了を示す転送終了信号を受信した場合に、転送処理が終了したと判断する。そして、S7706の処理により、転送処理が終了していないと判別される場合(S7706:No)、画像コントローラ237において画像の転送処理が継続して行われているので、この通常画像転送設定処理を終了する。一方、転送処理が終了したと判別される場合(S7706:Yes)、S7707の処理へ移行する。また、S7705の処理の結果、前回の転送処理の終了後に、画像コントローラ237に対して画像データの転送指示を設定していない場合も(S7705:No)、S7707の処理へ移行する。
S7707の処理では、転送開始フラグがオンか否かを判別し(S7707)、転送開始フラグがオンであれば(S7707:Yes)、転送開始すべき画像データが存在しているので、転送開始フラグをオフにし(S7708)、S7703の処理によって転送データバッファに格納した各種情報によって示されるスプライトの画像データを転送対象画像データに設定した上で、S7713の処理へ移行する。一方、転送開始フラグがオンではなく、オフであれば(S7707:No)、次いで、背面画像変更フラグ233wはオンか否かを判別する(S7709)。そして、背面画像変更フラグ233wがオンではなく、オフであれば(S7709:No)、転送開始すべき画像データが存在していないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。
一方、背面画像変更フラグ233wがオンであれば(S7709:Yes)、背面画像の変更を意味するので、背面画像変更フラグ233wをオフに設定した後(S7710)、背面画像種別毎に設けられた背面画像判別フラグ233xのうち、オン状態にある背面画像判別フラグ233xに対応する背面画像の画像データを特定し、その画像データを転送対象画像データに設定する(S7711)。更に、オン状態にある背面画像判別フラグ233xに対応する背面画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを取得し(S7712)、S7713の処理へ移行する。
S7713の処理では、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に既に格納されているか否かを判別する(S7713)。このS7713の処理における判別では、格納画像データ判別フラグ233iを参照することによって行われる。即ち、転送対象画像データとされたスプライトに対応する格納状態を格納画像データ判別フラグ233iより読み出して、その格納状態が「オン」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていると判断し、格納状態が「オフ」であれば、転送対象となったスプライトの画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていないと判断する。
そして、S7713の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていれば(S7713:Yes)、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して、その画像データを転送する必要がないので、そのまま通常画像転送設定処理を終了する。これにより、無駄に画像データがキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に対して転送されるのを抑制することができ、表示制御装置114の各部における処理負担の軽減や、バスライン240におけるトラフィックの軽減を図ることができる。
一方、S7713の処理の結果、転送対象画像データが通常用ビデオRAM236に格納されていなければ(S7713:No)、その転送対象画像データの転送指示を設定する(S7714)。これにより、描画処理において画像コントローラ237に対して送信される描画リストに、転送対象画像データの転送データ情報が含められることになり、画像コントローラ237は、その描画リストに記載された転送データ情報を基に、転送対象画像の画像データをキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。なお、転送データ情報には、転送対象画像の画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレスと最終アドレス、転送先の情報(この場合は、通常用ビデオRAM236)、及び転送先(ここで転送される転送対象画像の画像データを格納すべき通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aに設けられたサブエリア)の先頭アドレスが含められる。画像コントローラ237は、この転送データ情報に基づいて画像転送処理を実行し、転送処理で指定された画像データをキャラクタROM234から読み出して、指定されたビデオRAM(ここでは、通常用ビデオRAM236)の指定されたアドレスに転送する。そして、転送が完了すると、MPU231に対して、転送終了信号を送信する。
S7714の処理の後、格納画像データ判別フラグ233iを更新し(S7715)、この通常用転送設定処理を終了する。格納画像データ判別フラグ233iの更新は、上述したように、転送対象画像データとなったスプライトに対応する格納状態を「オン」に設定し、また、その一のスプライトと同じ画像格納エリア236aのサブエリアに格納されることになっているその他のスプライトに対応する格納状態を「オフ」に設定することによって行われる。
このように、この通常用画像転送処理を実行することによって、先に実行されたコマンド判定処理の中で、表示用停止種別コマンドに対応する処理が実行され、その結果、表示用停止種別コマンドによって示される停止種別情報が大当たりの停止種別であると判別された場合は、ファンファーレ演出において使用する画像データを遅滞なくキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。また、先に実行されたコマンド判定処理の中で背面画像変更コマンドの受信に基づいて背面画像の変更が行われた場合は、その背面画像で用いられる画像データのうち、常駐用ビデオRAM235の背面画像エリア235cに格納されていない画像データを、遅滞なく、キャラクタROM234から通常用ビデオRAM236に転送させることができる。
また、本実施形態では、主制御装置110からのコマンド等に基づき音声ランプ制御装置113から送信されるコマンド(例えば、表示用変動パターンコマンド)等に応じて、表示データテーブルが表示データテーブルバッファ233dに設定されるのに合わせて、その表示データテーブルに対応する転送データテーブルが転送データテーブルバッファ233eに設定される。そして、MPU231は、通常画像転送設定処理を実行することにより、転送データテーブルバッファ233eに設定された転送データテーブルのポインタ233fで示されるエリアに記載されている転送データ情報に従って、画像コントローラ237に対し転送対象画像データの転送指示を設定するので、表示データテーブルバッファ233dに設定された表示データテーブルで用いられるスプライトの画像データを、所望のタイミングで確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
ここで、表示データテーブルに従って所定のスプライトの描画が開始されるまでに、その所定のスプライトに対応する画像データが画像格納エリア236aに格納されるように、転送データテーブルでは、転送対象画像データの転送データ情報が所定のアドレスに対して規定されているので、この転送データテーブルに規定された転送データ情報に従って、画像データをキャラクタROM234から画像格納エリア236aに転送することにより、表示データテーブルに従って所定のスプライトを描画する場合に、そのスプライトの描画に必要な常駐用ビデオRAM235に常駐されていない画像データを、必ず画像格納エリア236aに格納させておくことができる。
これにより、読み出し速度の遅いNAND型フラッシュメモリ234aによってキャラクタROM234を構成しても、遅滞なく表示に必要な画像を予めキャラクタROM234から読み出し、通常用ビデオRAM236へ転送しておくことができるので、表示データテーブルで指定された各スプライトの画像を描画しながら、対応する演出を第3図柄表示装置81に表示させることができる。また、転送データテーブルの記載によって、常駐用ビデオRAM235に非常駐の画像データだけを容易に且つ確実にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ転送することができる。
また、転送データテーブルでは、スプライトに対応する画像データ毎にキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236へ画像データが転送されるように、その転送データ情報を規定する。これにより、その画像データの転送をスプライト毎に管理し、また、制御することができるので、その転送に係る処理を容易に行うことができる。そして、スプライト単位でキャラクタROM234から通常用ビデオRAM236への画像データの転送を制御することにより、その処理を容易にしつつ、詳細に画像データの転送を制御できる。よって、転送にかかる負荷の増大を効率よく抑制することができる。
次いで、図88を参照して、表示制御装置114のMPU231で実行されるV割込処理の一処理である上述の描画処理(S6306)の詳細について説明する。図88は、この描画処理を示すフローチャートである。
描画処理では、タスク処理(S6304)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別ならびにそれぞれのスプライトの描画に必要なパラメータ(表示位置座標、拡大率、回転角度、半透明値、αブレンディング情報、色情報、フィルタ指定情報)、及び、転送設定処理(S6305)により設定された転送指示から、描画リスト(図29)を生成する(S7801)。即ち、S7801の処理では、タスク処理(S6304)で決定された1フレームを構成する各種スプライトの種別から、各スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを特定し、その特定された格納RAM種別とアドレスとに対して、タスク処理で決定されたそのスプライトに必要なパラメータを対応付ける。そして、各スプライトを、1フレーム分の画像の中で最も背面側に配置すべきスプライトから前面側に配置すべきスプライト順に並び替えた上で、その並び替え後のスプライト順に、それぞれのスプライトに対する詳細な描画情報(詳細情報)として、スプライトの画像データが格納されている格納RAM種別ならびにアドレスおよびそのスプライトの描画に必要なパラメータを記述することで、描画リストを生成する。また、転送設定処理(S6305)により転送指示が設定された場合は、その描画リストの末尾に、転送データ情報として、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを追記する。
なお、上述したように、スプライト毎に、そのスプライトの画像データが格納される常駐用ビデオRAM235のエリア、又は、通常用ビデオRAM236の画像格納エリア236aのサブエリアが固定されているので、MPU231は、スプライト種別に応じて、そのスプライトの画像データが格納されている格納RAM種別とアドレスとを即座に特定し、それらの情報を描画リストの詳細情報に容易に含めることができる。
描画リストを生成すると、その生成した描画リストと、描画対象バッファフラグ233jによって特定される描画対象バッファ情報とを画像コントローラへ送信する(S7802)。ここでは、描画対象バッファフラグ233jが0である場合は、描画対象バッファ情報として第1フレームバッファ236bに描画された画像を展開するよう指示する情報を含め、描画対象バッファフラグ233jが1である場合は、描画対象バッファ情報として第2フレームバッファ236cに描画された画像を展開するよう指示する情報を含める。
画像コントローラ237は、MPU231より受信した描画リストに基づいて、その描画リストの先頭に記述されたスプライトから順に画像を描画し、それを描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファに上書きによって展開する。これにより、描画リストによって生成された1フレーム分の画像において、最初に描画したスプライトが最も背面側に配置させ、最後に描画したスプライトが最も前面側に配置させることができる。
また、描画リストに転送データ情報が含まれている場合は、その転送データ情報から、転送対象画像データが格納されているキャラクタROM234の先頭アドレス(格納元先頭アドレス)と最終アドレス(格納元最終アドレス)、及び、転送先(通常用ビデオRAM236)の先頭アドレスを抽出し、その格納元先頭アドレスから格納元最終アドレスまでに格納された画像データを順にキャラクタROM234から読み出してバッファRAM237aに一時的に格納した後、通常用ビデオRAM236が未使用状態にあるときを見計らって、バッファRAM237aに格納した画像データを通常用ビデオRAM236の転送先先頭アドレスによって示されるエリアに順次転送する。そして、この通常用ビデオRAM236に格納された画像データは、その後にMPU231より送信される描画リストに基づいて使用され、描画リストに従った画像の描画が行われる。
なお、画像コントローラ237は、描画対象バッファ情報によって指示されたフレームバッファとは異なるフレームバッファから、先に展開された画像の画像情報を読み出して、駆動信号と共にその画像情報を第3図柄表示装置81に送信する。これにより、第3図柄表示装置81に対して、フレームバッファに展開した画像を表示させることができる。また、一方のフレームバッファに描画した画像を展開しながら、一方のフレームバッファから展開した画像を第3図柄表示装置81に表示させることができ、描画処理と表示処理とを同時並列的に処理することができる。
描画処理は、S7802の処理の後、描画対象バッファフラグ233jを更新する(S7803)。そして、描画処理を終了して、V割込処理に戻る。描画対象バッファフラグ233jの更新は、その値を反転させることにより、即ち、値が「0」であった場合は「1」に、「1」であった場合は「0」に設定することによって行われる。これにより、描画対象バッファは、描画リストが送信される度に、第1フレームバッファ236bと第2フレームバッファ236cとの間で交互に設定される。
ここで、描画リストの送信は、1フレーム分の画像の描画処理および表示処理が完了する20ミリ秒毎に画像コントローラ237から送信されるV割込信号に基づいて、MPU231により実行されるV割込処理(図76(b)参照)の描画処理が実行される度に、行われることになる。これにより、あるタイミングで、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定されて、画像の描画処理および表示処理が実行されると、1フレーム分の画像の描画処理が完了する20ミリ秒後に、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定される。よって、先に第1フレームバッファ236bに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第2フレームバッファ236cに新たな画像が展開される。
そして、更に次の20ミリ秒後には、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファとして第1フレームバッファ236bが指定され、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとして第2フレームバッファ236cが指定される。よって、先に第2フレームバッファ236cに展開された画像の画像情報が読み出されて第3図柄表示装置81に表示させることができると同時に、第1フレームバッファ236bに新たな画像が展開される。以後、1フレーム分の画像を展開するフレームバッファと、1フレーム分の画像情報が読み出されるフレームバッファとを、20ミリ秒毎に、それぞれ第1フレームバッファ236bおよび第2フレームバッファ236cのいずれかを交互に指定することによって、1フレーム分の画像の描画処理を行いながら、1フレーム分の画像の表示処理を20ミリ秒単位で連続的に行わせることができる。なお、本第1実施形態では、第1特別図柄と第2特別図柄との変動表示を同時並行して実行可能に構成していたが、これに限られるものではない。例えば、第1特別図柄であるか、第2特別図柄であるかに関係なく、1の変動表示が実行されている状態では、他の変動表示を実行不可能に構成してもよい。そして、保留球が存在する場合には、始動入賞が時間的に古い保留球から順番に変動表示を実行する構成としてもよい。このように構成することで、制御を単純にすることができるので、処理負荷を軽減することができる。
以上説明をしたように、本第1実施形態では、通常状態(特別図柄の低確率状態、且つ、普通図柄の通常状態)、確変状態(特別図柄の高確率状態、且つ、普通図柄の高確率状態)、時短状態(特別図柄の低確率状態、且つ、普通図柄の高確率状態)および潜確状態(特別図柄の高確率状態、且つ、普通図柄の通常状態)の4つの遊技状態を設けている。そして、潜確状態が遊技者にとって最も有利な遊技状態となるように構成している。
<第2実施形態>
次に、図89〜図115を参照して本パチンコ機10の第2実施形態について説明する。本第2実施形態では、第1実施形態に対して、遊技盤13の構成と、特別図柄の抽選結果に応じて設定される遊技状態の種類と、主制御装置110の構成と、音声ランプ制御装置113の構成と、が相違している。
上述した第1実施形態では、図2に示した通り、左打ち遊技が第1特別図柄の抽選を実行する遊技となり、右打ち遊技が第2特別図柄の抽選を実行する遊技となるように構成していた。これに対して、本第2実施形態では、遊技盤13の右側領域(可変表示装置ユニット80の右側に形成される遊技領域)にも第1特別図柄の抽選契機となる入球口(右第1入球口64b)(図89参照)を設けている。これにより、第1実施形態よりも、右打ち遊技を行っている際中に第1特別図柄の抽選が実行され易くなる。
さらに、本第2実施形態では、第2特別図柄の保留球数に応じて第1特別図柄の変動時間を可変設定するように構成しており、具体的には、第2特別図柄の保留数が多くなるほど、第1特別図柄の変動時間として長い変動時間が設定され易くなるように構成している。
このように構成することで、大当たり遊技終了後に潜確状態が設定される場合において、第2特別図柄の保留球数(特図2保留球数)が少ない(0を含む)状態、例えば、通常状態が設定されている状態(左打ち遊技が実行されている状態)で第1特別図柄の大当たりに当選し、大当たり種別として大当たりAが設定された大当たり遊技が終了した状態では、特図2保留球数が少ない状態で潜確状態が設定されるため、潜確状態中の第1特別図柄変動として短い変動時間が設定されることから、第1特別図柄の抽選(変動)が実行され易くなる。
一方、第2特別図柄の保留球数が多い状態、例えば、潜確状態が設定されている状態(右打ち遊技が実行されている状態)で第2特別図柄の大当たりに当選し、大当たり種別として大当たりCが設定された大当たり遊技が終了した状態では、特図2保留球数が多い状態で潜確状態が設定されるため、潜確状態中の第1特別図柄変動として長い変動時間が設定されることから、潜確状態中に第1特別図柄変動が実行され難くなる。
よって、同一の遊技状態が設定された場合であっても、特別図柄の保留球数に応じて遊技性を異ならせることができ、遊技の興趣を向上することができる。
さらに、本実施形態では、潜確状態中における特別図柄の抽選として、第1特別図柄(特図1)の抽選よりも第2特別図柄(特図2)の抽選のほうが遊技者に有利となる抽選結果となり易くなるように構成している。このように構成することで、遊技状態が通常状態から潜確状態へと移行した場合よりも、潜確状態を繰り返し設定(ループ)させたほうが遊技者に有利な遊技状態を提供することができる。よって、潜確状態が設定された遊技者に対して更に有利な遊技状態となるように意欲的に遊技を行わせることができる。
また、第1特別図柄(特図1)の抽選を実行させる左打ち遊技が適正な遊技となる遊技状態(例えば、通常状態)において、第2特別図柄(特図2)の抽選を実行させようと意図的に右打ち遊技を行い、第2特別図柄(特図2)の保留記憶を獲得した場合に、第1特別図柄(特図1)の変動時間として長い変動時間が設定されるように構成している。これにより、通常状態中に左打ち遊技を行いながら、定期的に右打ち遊技を行うことで、特図1抽選と特図2抽選とを同時に実行する行為を抑止することができる。
さらに、本第2実施形態のパチンコ機10では、潜確状態が設定されている状態で遊技者に不利となる大当たりに当選した場合に、その大当たり遊技終了後に直接通常状態を設定するのでは無く、所定期間の時短状態を介してから通常状態を設定するように構成している点で上述した第1実施形態と相違している。
上述した第1実施形態では、潜確状態から通常状態に移行した場合に、潜確状態中に獲得した第2特別図柄の保留記憶(特図2保留)が残った状態で通常状態が設定されるため、通常状態において特図2のロング変動が実行されてしまうという問題があって。このようなパチンコ機10では、通常状態に移行したことを契機に遊技を終了しようとしていた遊技者が、実行中の特図2変動に気づき円滑に遊技を終了することができないという問題があった。
また、通常状態において実行された特図2のロング変動を無視して遊技者が遊技を止めてしまった場合は、誰も遊技をしていないパチンコ機10がいきなり大当たりとなる事態が発生してしまい遊技者が困惑してしまったり、特図2のロング変動が実行されているため新たな遊技者が遊技を行い難く、遊技の稼働が低下してしまったりする虞があった。
加えて、上述した第1実施形態では通常状態中に第2特別図柄の大当たりに当選した場合は、第1特別図柄の大当たりに当選した場合よりも遊技者に不利となるように構成している(遊技者に最も有利となる潜確状態が設定されないように構成している)。つまり、第1実施形態では、潜確状態中において有利な抽選を実行しようと獲得した特図2の保留記憶に基づいて、通常状態中に不利な抽選が実行されてしまうため、潜確状態中に特図2の保留記憶を常に上限数まで獲得しようとする遊技意欲が低下してしまい、遊技の稼働が低下してしまうという問題があった。
これに対して、本第2実施形態では、潜確状態が終了した後に、時短状態を所定期間設定し、その時短状態中に特図2の保留記憶を消化するように構成している。これにより、通常状態に移行した後に特図2変動が実行されることを抑制することができ、上述した各種問題を解決することができる。
さらに、本第2実施形態では、時短状態中に第2特別図柄の大当たりに当選すると、通常状態中に第2特別図柄の大当たりに当選する場合よりも高確率でその大当たり遊技終了後に遊技者に有利となる遊技状態(潜確状態)が設定されるように構成している。これにより、遊技者に有利となる遊技状態(潜確状態)が終了した際に残存していた特図2の保留記憶に対して、遊技者に期待感を持たせることができるため遊技の興趣を向上させることができる。
加えて、本実施形態では、時短状態中に球が第2入球口640に入球し難くなるように構成しており、時短状態中に確実に特図2の保留記憶数を減少させることができるように構成している。これにより、時短状態から通常状態へと移行する際に、時短状態が設定された時点よりも特図2の保留記憶数が増加する事態が発生しない(し難くなる)ようにすることができる。
また、本実施形態では、時短状態中に多くの特図2変動を実行させるために、特図1変動に対して設定される変動時間よりも、特図2変動に対して設定される変動時間のほうが短くなるように構成している。具体的には、時短状態中の1回目の特図1変動に対して設定される変動時間よりも、時短状態中に設定される4回分の特図2変動の変動時間を合計した時間のほうが短くなるように構成している。これにより、時短状態中に効率良く特図2変動を実行することができるため、特図2の保留記憶数を減らし易くなる。
さらに、本実施形態では、時短状態の終了条件を複数設けており、何れかの終了条件が成立した場合に時短状態が終了するように構成している。よって、時短状態がいつまで続くのかを遊技者に分かり難くすることができ、緊張感を持たせた遊技を行わせることができる。
加えて、時短状態の終了条件として、特図2の変動回数が所定回数(4回)に到達した場合に成立する終了条件と、特図1の変動回数が所定回数(2回)に到達した場合に成立する終了条件と、を少なくとも有するように構成している。これにより、例えば、潜確状態が終了した時点で特図2の保留記憶数が0の場合であっても、特図1変動によって時短状態を終了させることができる。
<第2実施形態におけるパチンコ機の遊技盤構成について>
次に、図89及び図90を参照して、本第2実施形態のパチンコ機10に用いられる遊技盤13の構成について説明をする。本第2実施形態のパチンコ機10の遊技盤13は、上述した第1実施形態のパチンコ機10の遊技盤13に対して、可変入賞装置65と、V入賞装置650の配置位置を異ならせた点と、右側領域にも第1特別図柄の抽選契機となる第1入球口(右第1入球口64b)を設けた点と、右打ち遊技によって右側領域に発射された球の流下する流路構成を異ならせた点で相違している。その他の構成については、上述した第1実施形態と同一であり、同一の構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
上述した第1実施形態では、図2に示した通り、左打ち遊技を実行することで第1入球口64に球が入球したことに基づいて第1特別図柄の抽選が実行され、右打ち遊技を実行することで第2入球口640に球が入球したことに基づいて第2特別図柄の抽選が実行されるように、左側領域に第1入球口64を配設し、右側領域に第2入球口640を配設する構成を用いていた。
これに対して、本第2実施形態では、右打ち遊技を実行することで、第1特別図柄の抽選も第2特別図柄の抽選も実行し得るように構成している点で大きく相違している。このように、潜確状態中に実行される右打ち遊技において、第1特別図柄の抽選と第2特別図柄の抽選とを実行し得るように構成することで、遊技者に有利な遊技状態である潜確状態中に第1特別図柄の抽選(遊技者に不利となる抽選)と、第2特別図柄の抽選(遊技者に有利となる抽選)とが何れも実行され易くすることができ、潜確状態中の遊技結果に対して遊技者を一喜一憂させることができる。
図89に示した通り、本第2実施形態のパチンコ機10は、遊技領域の中央下方に可変入賞装置65が設けられておらず、大当たり遊技で開放動作される複数の入賞装置(可変入賞装置65、V入賞装置650)が共に、右側領域に配設されている。よって、大当たりに当選した場合は、何れの大当たりであっても右打ち遊技を実行するように構成している。
さらに、図89に示した通り、可変入賞装置65に入賞し得る球の流路(球流路)の上流側にV入賞装置650を配設し、V入賞装置650の開閉扉650fの上面を流下した球が可変入賞装置65に到達するように構成している。このように、1つの球流路の上流位置、下流位置にそれぞれ入賞装置を配設することで、各入賞装置への球流路を共有することができるため、遊技盤13の構成にて省スペース化を図ることができる。
また、各入賞装置のうち、内部に特定領域(Vスイッチ650e3)を有するV入賞装置650を上流側に設けているため、V入賞装置650へ入賞する球が、下流側の入賞装置(可変入賞装置65)の開放動作の影響を受けることが無い。よって、V入賞装置650への球の入賞をスムーズに行うことが出来、遊技者に不快感を与えることを抑制することができる。
つまり、V入賞装置650の上流側に可変入賞装置65を配設した場合では、V開放パターンが設定されない大当たり遊技が実行され、その大当たり遊技中に球が特定領域(Vスイッチ650e3)を通過しなかった場合に、V入賞装置650の上流側に設けられた可変入賞装置65の開放動作によってV入賞装置650への球の入賞タイミングがズレたため、球が特定領域を通過しなかったと遊技者に誤認識を与えてしまうという問題があったが、本第2実施形態では、V入賞装置650を上流側に設ける構成としているため、上述した問題が発生し難くすることができる。
次に、図90を参照して、本第2実施形態のパチンコ機10の右側領域について説明をする。図90は、本第2実施形態のパチンコ機10の右側領域を拡大した拡大図である。図90に示した通り、本第2実施形態のパチンコ機10は上述した第1実施形態のパチンコ機10に対して、右側領域の構成が相違している。まず、右側領域の上流側に振分部材700を設け、右打ち遊技によって発射された球が振分部材700の左側に形成される第1流路701と、振分部材700の右側に形成される右側流路702とに交互に振り分けられる。
図89に示した通り、この振分部材700には、球を受け入れ可能な2つの収容部が形成されており、左側(図89を正面視した視点で左側)の収容部が受け入れた球が第1流路701へ誘導され、右側(図89を正面視した視点で右側)の収容部が受け入れた球が第2流路702へ誘導されるように、回転軸を中心に回転可能に構成されている。つまり、図89に示した状態では、左側の収容部が球を受け入れている状態であるため、その後、球の自重によって振分部材700が左方向に回転し、左側の収容部内の球が第1流路701へ流下する。
そして、振分部材700の下方には、その回転運動を規制する規制部材が設けられており、右打ち遊技によって発射された球を右側の収容部が受け入れ可能な位置まで回転した状態で振分部材700の回転運動が停止するように構成している。以降、同様に、右側の収容部が球を受け入れると、振分部材700が右方向に回転し、右側の収容部内の球が第2流路702へ流下し、右打ち遊技によって発射された球を左側の収容部が受け入れ可能な位置まで回転した状態で振分部材700の回転運動が停止する。
本第2実施形態のパチンコ機10は、一分間に最大で100発の球を発射可能に構成しており、右打ち遊技を行った場合には、最短で1.2秒の間隔で球が各流路(第1流路701、第2流路702)を流下する。
左側流路701の上流側には、その流下面を形成する可動蓋1500が設けられており、パチンコ機10に電源が投入されると、図示しない可動制御手段によって一定の開閉動作が実行されるように構成されており、可動蓋1500の下方に配設された右側第1入球口64bに球が入球可能な開放状態と、入球困難(不可能)な閉鎖状態とに、位置するように開閉動作が実行される。
具体的には、主制御装置110のメイン処理(図54参照)に4ミリ秒毎に実行される処理として可動蓋開閉処理を設け、その可動蓋開閉処理によって、0.1秒の開放期間と、0.8秒の閉鎖期間とを予め定められたシナリオに沿って繰り返す開閉動作が実行される。このように開閉制御される右側第1入球口64bは、第1入球口64(64a)よりも球が入球し難くなるように構成されている。この第1入球口64bに球が入球した場合に、1個の球が賞球として払い出されるように構成している。
そして、左側流路701を流下し、可動蓋1500上を流下した球は、左側流路701の屈曲部を流下し、右側領域の下部領域に設けられたV入賞装置650の上方へと流出する。つまり、左側流路701は、右打ち遊技によって発射された球を、右側第1入球口64bに入球可能とし、且つ右側第1入球口64bに入球しなかった球を各入賞装置(可変入賞装置65、V入賞装置650)に入球し得る位置に流出させるための流路である。なお、左側流路701は、球が通過するために要する時間が後述する第2流路702よりも長くなるように構成されており、第1流路701に流入してから流出するまでの時間が1.6秒となるように構成している。
一方、振分装置700により右側流路702に振り分けられた球は、第2流路702の上流側に設けられたスルーゲート67を通過し、左側流路701の奥側(図89の視点で奥側)に設けられたワープ路704bの流入口704aへと流入し、第2流路702の下流側に設けられた第2入球口640を通過して、右側領域の下部領域へと流出される。
第2流路702内に設けられた第2入球口640には電動役物640aが付随しており、電動役物640aが閉鎖位置に位置している場合(第2入球口640が閉鎖状態の場合)は、球が第2入球口640に入球することなく、第2流路702から流出する。一方、電動役物640aが開放位置に位置している場合(第2入球口640が開放状態の場合)は、第2流路702を流下した球が全て第2入球口640に入球するように構成している。
具体的には、図90に示した通り、第2入球口640が、第2流路702の下流側の流路幅(15ミリ)以上の開口幅を有する入球口として構成されており、電動役物640aが開放位置に位置する場合には、電動役物640aの可動片が第2流路702の奥側(図90の視点で奥側)から第2流路702内の流下経路を塞ぐように突出し、その突出した可動片が第2流路702を流下する球を全て受け止めるように構成している。そして、可動片が受け止めた球は第2入球口640に入球する入球路を流下し、第2入球口640に入球するように構成している。
そして、第2流路702から流出した球が、右側領域の下部領域に設けられたV入賞装置650の上方へと流出する。つまり、第2流路702は、右打ち遊技によって発射された球を、スルーゲート67を通過させ、且つ第2入球口640に入球し得る位置に流出させるための流路である。なお、第2流路702は、球が通過するために要する時間(球がスルーゲート67を通過してから第2入球口640に到達するまでの時間)が上述した第1流路701よりも短くなるように構成されており、第2流路702に流入してから流出するまでの時間が1秒となるように構成している。
以上、説明をしたとおり、本第2実施形態のパチンコ機10では、右側領域の下部領域に大当たり遊技中に開放動作される入賞装置(可変入賞装置65、V入賞装置650)が配設され、複数の流路(第1流路701、第2流路702)を流下した球が入球し得るように構成している。さらに、第1流路701の球流下時間(1.6秒)が、第2流路702の球流下時間(1秒)よりも長くなるように構成している。具体的には、球の発射間隔(0.6秒)に対応する分、球流下時間の長さを異ならせるように構成している。
このように構成することで、右打ち遊技によって球を発射させ、振分部材700に連続して到達した球が第1流路701、第2流路702へと振り分けられた場合に、第1流路701を流下した球と、第2流路702を流下した球とが、同一のタイミングで右側領域の下部領域に配設された入賞装置(可変入賞装置65、V入賞装置650)へと到達させることができる。
よって、大当たり遊技中に複数の球を同時に入賞装置へと入賞させることが可能となるため、1回のラウンド遊技中に入賞装置へと入賞する球数に対して遊技者に興味を持たせることができる。
また、図90に示した通り、第1流路701から流出した球は、第2流路702から流出した球よりも、右側領域の下部領域に配設された各入賞装置(可変入賞装置65、V入賞装置650)に入賞可能な球流路の上流側に流出するように構成されており、且つ、第1流路701の球流出部の高さ位置が、第2流路702の球流出部の高さ位置よりも高くなるように構成している。
さらに、第1流路701のうち球流出部に対して垂直方向に形成された垂直流路の長さ(高さ方向の距離)と、第2流路702のうち球流出部に対して垂直方向に形成された垂直流路の長さ(高さ方向の距離)と、を異ならせるように構成している。
このように各流路の球排出部の高さ位置や、各流路の垂直流路の長さと、を異ならせることにより、右側領域の下部領域に配設された各入賞装置(可変入賞装置65、V入賞装置650)に入賞可能な球流路上を流下する球の勢いを異ならせることができるため、各入賞装置に入賞する直前の球の挙動を不規則にすることができる。よって、大当たり遊技中にどのタイミングで球が入賞装置に入賞するのかを楽しませながら遊技を行わせることができる。
ここで、可動蓋1500の動作について詳細に説明をする。この可動蓋1500は、パチンコ機10に電源が投入されたことに基づいて、予め定められたタイミングで開放位置(開放状態)と閉鎖位置(閉鎖状態)とに可変されるように構成されている。具体的には、主制御装置110のメイン処理(図54参照)において4ミリ秒毎に実行される可動蓋開閉処理(図示せず)において、ROM203に格納されている可動シナリオに基づいて動作制御されている。この可動シナリオは、可動蓋1500を0.1秒間開放させ、その後0.8秒間閉鎖させる動作を繰り返し実行するものである。
つまり、本第2実施形態の遊技盤13では、右打ち遊技にて発射された球が、1.2秒間隔で第1流路701に流入し、可動蓋1500が配設されている転動面を転動しながら下流方向へと流下していく。この球が第1流路701に流入し、可動蓋1500上を転動(または、可動蓋1500上に落下)するタイミングと、可動蓋1500が開放状態となるタイミングとが合致した場合に球が開放状態の可動蓋1500を通過して、左第1入球口64bに入球することになる。
可動蓋1500上を転動(または、可動蓋1500上に落下)するタイミングは、1.2秒間隔であり、可動蓋1500が開放状態となるタイミングとは、0.8秒中の0.1秒であるため、両者が合致するタイミングは約15.6秒に一回となる。即ち、右打ち遊技を連続して実行した場合には、1分間に約4発の球が左第1入球口64bに入球することになる。
つまり、大当たり遊技中や潜確状態中といった、右打ち遊技が継続的に実行される遊技状態においては、定期的に左第1入球口64bに球が入球することになるため、大当たり遊技が終了して時短状態に移行した場合に、特図1の保留が無い状態が発生することを防止することができる。また、可動蓋1500が1回に開放する期間として、遊技者が狙い打ちすることが困難な期間(0.1秒)が設定されているため、遊技状態が通常状態において、第1入球口64(64a)を狙う左打ち遊技よりも右打ち遊技のほうが遊技者に不利とすることができる。
具体的に説明をすると、遊技状態が通常状態の場合において、左打ち遊技を行うと、発射された250発の球のうち、第1入球口64に約15発が入球するように設計されており、球が入球した場合は4発の賞球が払い出される。また、一般入球口63に約5発が入球するように設計されており、球が入球した場合5個の賞球が払い出される。よって、左打ち遊技では、250発の球を発射した場合に、払い出される賞球を再度発射させることも考慮すると、約20個の球を第1入球口64に入球させることが可能となる。
一方、遊技状態が通常状態の場合において、右打ち遊技を行った場合は、発射された250個の球のうち、右第1入球口64bに約9発が入球するように設計されており、球入球した場合は1発の賞球が払い出される。また、右側領域には一般入球口63が設けられていない。よって右打ち遊技では、250発の球を発射した場合に、払い出される賞球を再度発射されることを考慮したとしても、約10個の球を右第1入球口64bに入球させることしかできない。従って、遊技状態が通常状態の場合において、遊技者が右打ち遊技を行うことを抑制することができる。
なお、本実施形態では、右打ち遊技によって発射された球が通過する遊技領域(右側領域)に一般入賞口63を設けていないが、遊技状態が通常状態において、左打ち遊技よりも右打ち遊技のほうが遊技者に有利とならない程度の設計思想の基、一般入賞口63を配設してもよい。これにより、時短状態中や大当たり状態中の右打ち遊技において、賞球として払い出される球数を増加させることができる。
同様に、通常状態において、左打ち遊技よりも右打ち遊技のほうが遊技者に有利とならない程度の設計思想の基、可動蓋の開放期間、閉鎖期間の設定や、右第1入球口64bの賞球数を可変させても良い。
次に、第2実施形態における遊技盤13の右側領域に配設された構成のうち、スルーゲート67と第2入球口640について、上述した第1実施形態の遊技盤13の構成との相違点を中心に説明する。
本実施形態では、図90に示した通り、遊技盤13の右側領域に配設された第2流路702内にスルーゲート67と、第2入球口640とが設けられており、スルーゲート67を通過した球が第2入球口640に到達するまでの期間(球通過時間)が、1秒となるように球流路が形成されている。
そして、本第2実施形態では、スルーゲート67を球が通過したことに基づいて実行される普通図柄の変動時間が、設定されている遊技状態に応じて可変設定されるように構成しており、普通図柄の変動時間が、通常状態の場合は15秒、潜確状態の場合は0.9秒、確変状態、時短状態の場合は0.1秒となるように構成している。
このように、遊技状態に応じて普通図柄の変動時間を可変設定することによって、右打ち遊技によって発射された球が第2入球口640に入球する割合を異ならせるように構成している。
詳細な説明は後述するが、通常状態が設定されている場合は、普通図柄の変動時間として球が第2流路702を通過する時間(1秒)よりも長く(15秒)設定されるため、スルーゲート67を通過した球が、その通過に基づいて実行された普通図柄抽選が当たりであったとしても、その普図当たり遊技中に第2入球口640に入球することが無い。よって、通常状態中は、右打ち遊技を行い、継続して複数の球を発射しない限り第2入球口640に球が入球しない遊技状態となる。
また、潜確状態が設定されている場合は、普通図柄の変動時間として球が第2流路702を通過する時間(1秒)よりも若干短く(0.9秒)設定されるため、スルーゲート67を通過した球を、その通過に基づいて実行された普通図柄抽選が当たりであった場合に実行される普図当たり遊技にて第2入球口640に入球させ易くすることができる。よって、潜確状態中は、右打ち遊技によってスルーゲート67を通過した球がそのまま第2入球口640に入球する遊技状態(最も第2入球口640に球を入球させ易い遊技状態)となる。
遊技状態として、確変状態、時短状態が設定されている場合は、普通図柄の変動時間として球が第2入路702を通過する時間(1秒)よりも極端に短く(0.1秒)設定されるため、スルーゲート67を通過した球が第2入球口640に到達するまでに、たとえ、その球がスルーゲート67を通過したことに基づいて実行された普通図柄抽選が当たりであったとしても、普図当たり遊技が終了してしまい、球が第2入球口640に入球し得ないように構成している。
さらに、確変状態、時短状態中は、一の球がスルーゲート67を通過して普通図柄抽選が実行され普図当たりに当選した場合に、他の球が第2入球口640に入球し得ないように構成している。具体的には、図89に示した通り、右側領域の上流側には振分部材700が設けられており、第2流路702に流入する球が最短で1.2秒間隔となる。そして、第2流路702を球が通過するのに要する期間(球通過時間)が1秒となるように構成している。つまり、第2流路702に球が流入する間隔よりも、第2流路702の球通過時間のほうが短くなるように構成しているため、複数の球が第2流路702内に存在することが無い。よって、一の球がスルーゲート67を通過して普通図柄抽選が実行され普図当たりに当選した場合に、他の球が第2入球口640に入球することが無い。
このように構成することで、確変状態、時短状態が設定されている際中に、球が第2入球口640に入球することを、即ち、第2特別図柄の抽選を実行する権利を新たに獲得することを防止(抑制)することができる。
なお、本実施形態では、右側領域に形成された複数の流路(第1流路701、第2流路702)の一方に、スルーゲート67と第2入球口640とを配設する構成を用いているが、これに限ること無く、スルーゲート67と第2入球口640とを異なる流路に用いても良い。
また、本第2実施形態では、スルーゲート67、第2入球口640よりも下方に大当たり遊技中に開放動作される入賞装置(可変入賞装置65、V入賞装置650)を配設しているが、これに限ること無く、スルーゲート67、第2入球口640の上方に入賞装置(可変入賞装置65、V入賞装置650)を配設するように構成しても良い。このように構成することで、大当たり遊技中における各入球口(右第1入球口64b、第2入球口640)への球の入球数を減らすことができる。さらに、振分部材700と第2流路702の流入部との間に入賞装置(可変入賞装置65、V入賞装置650)を設けるように構成しても良く、このように構成することで、大当たり遊技中に、第2入球口640に球が入球することを抑制しながら、右第1入球口64bに球が入球することを抑制しないように構成することができる。
なお、本第2実施形態では、遊技盤13の右側領域に第1特別図柄の抽選の契機となる入球口(右第1入球口64b)と、第2特別図柄の抽選の契機となる入球口(第2入球口640)と、を設け、右打ち遊技により発射された球が何れかの入球口へ入賞し得るように構成しているが、それ以外の構成として、例えば、遊技盤13の右側領域に、球を第1入球口64(64a)へ導く第1誘導路と、第2入球口640へ導く第2誘導路とを設け、各誘導路に対して交互に球を振り分ける振分手段を設けても良い。
このように構成することで、右打ち遊技が実行されることで、第1特別図柄の抽選条件と第2特別図柄の抽選条件とを交互に成立させることができるため、遊技者に対して過剰に有利な遊技状態が提供されること(即ち、時短状態中に第2特別図柄の抽選のみ偏って実行されること)と、遊技者に対して過剰に不利な遊技状態が提供されること(即ち、時短状態中に第1特別図柄の抽選のみ偏って実行されること)と、を抑制することができる。
また、本実施形態では右打ち遊技によって発射された球を2つの流路に振り分ける構成を用いているが、右打ち遊技中に第1特別図柄の抽選を実行する権利(第1入球口64への球の入球)と、第2特別図柄の抽選を実行する権利(第2入球口640への球の入球)と、を取得できる構成であれば良く、振分部材700を用いない構成でも良いし、3つ以上の流路に球を振り分けるように構成しても良い。
<第2実施形態において実行される演出内容について>
次に、図91〜図94を参照して、本第2実施形態のパチンコ機10で実行される各種演出の特徴的な内容について説明をする。図91(a)は、大当たり遊技中(右打ち遊技中)に第3図柄表示装置81に表示される表示内容の一例を模式的に示した模式図であり、図91(b)は、大当たり遊技終了時に第3図柄表示装置81に表示される表示内容の一例を模式的に示した模式図であり、図92(a)は、大当たり遊技終了時に第3図柄表示装置81に表示される表示内容の別例を模式的に示した模式図であり、図92(b)は、潜確状態中に第3図柄表示装置81に表示される表示内容の一例を模式的に示した模式図であり、93(a)は、潜確状態にて第2特別図柄の変動(抽選)が実行されていない場合に表示される表示内容の一例を模式的に示した模式図であり、図93(b)は、時短状態中の表示内容の一例を模式的に示した模式図であり、図94(a)は、時短状態中に大当たりに当選した場合に表示される表示内容の一例を示した模式図であり、図94(b)は、時短状態が終了した場合に表示される表示内容の一例を示した模式図である。
本第2実施形態では、大当たり遊技中に実行される右打ち遊技によって、第1特別図柄の保留記憶と、第2特別図柄の保留記憶とを獲得可能に構成されている。そして、大当たり遊技終了後に潜確状態が設定された場合、その時点における第2特別図柄の保留記憶数に基づいて第1特別図柄の変動時間が設定されるように構成しており、第2特別図柄の保留記憶数が多くなるほど長い変動時間が設定されるように構成している。
さらに、潜確状態が設定されている場合は、第1特別図柄の抽選よりも第2特別図柄の抽選のほうが遊技者に有利な抽選が実行されるように構成している。このように構成されている本実施形態のパチンコ機10では、大当たり遊技中に第2特別図柄の保留記憶を獲得しようと意欲的に遊技を行わせるための演出が実行され、図91(a)に示した表示内容が表示される。
図91に示した通り、大当たり遊技中の表示画面には、遊技者に右打ち遊技を案内するための案内表示態様が小表示領域Dm3に表示される。さらに、小領域Dm3の下方に、球を通過させるべき箇所を視覚的に報知するための遊技詳細表示領域Dm11が形成され、遊技盤13の一部を模式的に示した拡大図が表示される。また、副表示領域Dsには、大当たり遊技中の遊技性(入賞装置に球を入球させる遊技性以外の遊技性)を遊技者に報知するために「GETを狙ってメーターを貯めろ」のコメントが表示される。
なお、詳細な説明は省略するが、遊技詳細表示領域Dm11には、球を通過すべき箇所を含む表示態様が表示され、その表示内において球を通過すべき箇所が強調表示される。加えて、強調表示された箇所を球が通過した場合(本図の例によれば、スルーゲート67を球が通過したことを検知した場合)に、遊技詳細表示領域Dm11に表示される表示態様を特定箇所に球が通過したことを示す表示態様へと可変するように構成している。
このように構成することで、遊技者は第3図柄表示装置81の表示画面を見ているだけで大当たり遊技中の遊技内容を把握することができるため、遊技者に分かり易い遊技を提供することができる。
さらに、主表示領域Dmでは、キャラクタ811が大当たり遊技中の賞球数を示すための第1ターゲット(賞球情報態様)815と、普通図柄の保留記憶を獲得したことを示す第2ターゲット(普図獲得態様)816とを獲得するための演出が実行され、球が入賞装置(可変入賞装置65、V入賞装置650)に入賞したことに基づいてキャラクタ811が第1ターゲット815を獲得し、球がスルーゲート67を通過したことに基づいてキャラクタ811が第2ターゲット816を獲得する演出が実行される。
そして、主表示領域Dmの右側には、上述した第1実施形態の主表示領域Dmの構成(図11(a)参照)と同様に小表示領域Dm1,2が形成され、さらに、各特別図柄の保留記憶数(保留球数)を表示するための小表示領域Dm4,5に代えて、小表示領域Dm1a,Dm2aが形成されている。この小表示領域Dm1a,2aには、各特別図柄の保留記憶数(保留球数)を示す情報が表示される。
加えて、本第2実施形態では、普通図柄に対応した変動表示を実行する装飾図柄(第4図柄)が表示される領域として小表示領域(普図変動表示領域)Dm9が形成され、その小表示領域Dm9に隣接して、普通図柄の保留球数を示す情報が表示される小表示領域(普図保留数表示領域)Dm9aが形成される。これにより、大当たり遊技中に普通図柄の保留球数を容易に把握することができる。また、主表示領域Dmの右下部には、現在の普通図柄の保留球数を遊技者に分かり易く報知するための普図疑似保留領域Dm10aが形成される。
この普図疑似保留領域Dm10aは、普図第1保留領域Dm10b、普図第2保留領域Dm10c、普図第3保留領域Dm10dを有するように形成されており、現在の普通図柄の保留数(普図保留球数)が0個の場合は、普図疑似保留領域Dm10aが点灯し、普図保留球数が1個の場合は、普図第1保留領域Dm10bが点灯し、普図保留球数が2個の場合は、普図第1保留領域Dm10b、普図第2保留領域Dm10cが点灯し、普図保留球数が3個以上の場合は、普図第1保留領域Dm10b、普図第2保留領域Dm10c、普図第3保留領域Dm10dが点灯するように構成している。
そして、普図疑似保留領域Dm10aには「デンジャー」の文字が表示されており、現状のまま大当たり遊技が終了した場合に、遊技者に不利な遊技が実行されることを示唆し、普図第3保留領域Dm10dには「MAX」の文字が表示されており、現状を維持したまま大当たり遊技が終了した場合に、遊技者に有利な遊技が実行されることを示唆している。
また、大当たり遊技中に獲得した賞球数に対応する情報が獲得情報表示領域Dm12aに表示され、実行中のラウンド遊技数がラウンド数表示領域Dm12bに表示される。これにより、大当たり遊技の進行具合を容易に判別することができる。なお、上述した獲得情報表示領域Dm12aを、右打ち遊技を実行する遊技状態(大当たり遊技中、潜確状態中)が継続している期間中(有利継続期間中)継続して表示するように構成し、大当たり遊技中に獲得した賞球数だけでは無く、潜確状態中に獲得した賞球数、つまり、小当たり遊技中に獲得した賞球数も累積した情報を示すように構成しても良い。
さらに、本第2実施形態では、上述した通り、大当たり遊技が終了して潜確状態が設定された時点において第2特別図柄の保留球数が所定値(3個以上)である場合に、遊技者に不利な抽選が実行される第1特別図柄の変動時間として長時間(例えば、10分)の変動時間が設定されるように構成していることから、大当たり遊技終了時に第2特別図柄の保留球数が3個以上となることに期待して遊技を行わせることができる。
そして、本実施形態では、第2特別図柄の保留記憶を獲得するための契機となる普通図柄抽選が実行される権利数(普通図柄の保留球数)をいくつ獲得しているかを示唆するための普図保留示唆演出(疑似保留領域Dm10aを用いた演出)が実行されるように構成している。
このように構成することで、大当たり終了後に設定される潜確状態において有利な特図抽選遊技(第1特別図柄の変動時間が長時間となり、第2特別図柄の抽選を多く実行できる遊技)が実行されるか否かを大当たり遊技中に実行される演出によって把握することができ、大当たり遊技中における遊技の興趣を向上させることができる。
なお、本実施形態では、普図保留示唆演出を実行することにより、大当たり終了後に設定される潜確状態において有利な特図抽選遊技(第1特別図柄の変動時間が長時間となり、第2特別図柄の抽選を多く実行できる遊技)が実行される可能性を間接的に示唆するように構成しているが、これに限ること無く、大当たり遊技中の演出として、第2特別図柄の保留球数を示唆する演出(特図2保留演出)を実行するように構成しても良い。これにより、大当たり終了後に設定される潜確状態において有利な特図抽選遊技が実行されるか否かを直接的に遊技者に報知することが可能となる。
また、本実施形態の普図保留示唆演出の特定演出態様(例えば、疑似保留領域Dm10aが点灯〜普図第3保留領域Dm10dの全領域を通常とは異なる色で表示する態様)として、第2特別図柄の保留球数が所定値(3個以上)であることを報知する演出態様を設定可能に構成しても良い。このように構成することで、大当たり遊技終了後の遊技状況を間接的に示唆する普図保留示唆演出にて、大当たり遊技終了後に遊技者に有利な特図抽選遊技が実行されることを報知することが可能となるため、大当たり遊技中に実行される普図保留示唆演出の演出効果を高めることができる。
なお、図91(a)を用いて示した表示例では、遊技者が視認可能な大きさで、小表示領域Dm1(a),Dm2(a),Dm9(a)を表示しているが、これに限ること無く、大当たり遊技中は、各小表示領域の大きさを遊技者が視認困難な大きさや位置に変更にしたり、各小表示領域の一部、又は全部を消去したりしても良い。これにより、遊技者は現在の状況(普通図柄保留球数や特図2保留球数)を把握するために、主表示領域Dmにて実行されている演出を注視することになる。よって、演出効果を高めることができる。
次に、大当たり遊技終了時点で、第2特別図柄の保留球数が所定値(3個)以上である場合には、図91(b)に示した表示画面、つまり、主表示領域Dmの中央部にキャラクタ811が祝福する表示態様で表示され、副表示領域Dsには遊技者に有利な特図抽選遊技が実行されることを示す「全力モード突入」の文字が表示される。
なお、図91(b)に示した表示画面では、大当たり遊技中に第2入球口640に球が4個以上入球し、特図2保留球数が4個であることが特図2保留簡易表示領域Dm2aに表示され、普通図柄の保留球数が3個であることが普図保留数表示領域Dm9aに表示される。また、普図変動表示領域Dm9には普通図柄が変動中であることを示すための変動表示態様が表示される。
さらに、図91(b)に示した状態では、普通図柄の保留球数が3個であるため、疑似保留領域Dm10a〜第3保留領域Dm10dが点灯表示され、獲得情報表示領域Dm12aには、今回の大当たり遊技にて獲得した賞球数を示す「1000」の値が表示され、ラウンド数表示領域Dm12bには、今回の大当たり遊技が終了したことを示す「END」が表示される。
一方、大当たり遊技終了時点で、第2特別図柄の保留球数が所定値(3個)未満である場合には、図92(a)に示した表示画面、つまり、主表示領域Dmにて継続してスルーゲート67に球を通過させる遊技を実行させる演出(キャラクタ811が第2ターゲット816を獲得する演出)が表示される。
ここで、本実施形態では、大当たり遊技終了時に設定されるエンディング期間(入賞装置が閉鎖状態となる待機期間)として2秒が設定されており、このエンディング期間中にも第2特別図柄の保留球数が所定値(3個)以上となることを目指して継続した右打ち遊技を行わせるように図92(a)に示した演出を実行するように構成している。
そして、副表示領域Dsには、大当たり遊技終了後の最初の特別図柄抽選が実行されるまでに、より多くの第2特別図柄の保留球数を獲得させるための「GETをしっかり狙って」の文字が表示される。このように構成することで、遊技者に対してエンディング期間中も継続して右打ち遊技を行わせることが可能となる。
次いで、潜確状態が設定されている状態(全力モード中)では図92(b)に示した画面が表示される。つまり、上述した第1実施形態のパチンコ機10にて潜確状態中に実行される演出表示(図13(a)参照)と同様に、主表示領域Dmに現在の遊技状態を示すモード表示態様810として「全力モード」が表示され、キャラクタ811が左方向から右方向へと走りながら、宝箱812を開ける演出が実行される。さらに、本実施形態では、潜確状態中であっても、第2特別図柄の保留球数が所定値(3個)未満の状態で第1特別図柄の抽選が実行される場合に、第1特別図柄の変動時間として短い変動時間が設定されるように構成している。よって、図92(b)に示した通り、潜確状態中の表示画面にも、大当たり遊技中と同様に第2ターゲット816や、疑似保留領域Dm10aが表示され、第2特別図柄の保留球数が所定値(3個)を下回らないように注意喚起する演出表示が実行される。
一方、大当たり終了後に潜確状態が設定された場合であって、第2特別図柄の保留球数が0個の場合(第2特別図柄の変動が開始されない場合)は、図93(a)に示した演出が実行される。つまり、主表示領域Dmの中央でキャラクタ811が休憩をしている表示態様で表示され、モード表示810として「休憩ゾーン」が表示される。この休憩ゾーンは、第2特別図柄の抽選が実行されるまで継続して表示されるものであり、第2特別図柄の抽選が実行されることを促すために、副表示領域Dsには「メーターを貯めて起こせ」の文字が表示される。
また、大当たり遊技終了時点で第2特別図柄の保留球数が0である場合には、大当たり遊技中に遊技者が右打ち遊技を継続して行っていない状況が考えられるため、小表示領域Dm3には、案内表示態様として「右打ち」が強調して表示される。
このように、本実施形態では、潜確状態が設定されている状態であっても、遊技者に有利となる特別図柄の抽選遊技(第2特別図柄の抽選遊技)が実行されない期間中は全力モードを示す演出以外の演出(休憩モード)が実行されるように構成しているため、遊技者に有利な遊技状態を示すための演出(全力モード)が実行されている期間中に、遊技者に有利となる特別図柄の抽選遊技(第2特別図柄の抽選遊技)が実行されず、遊技者に不利となる特別図柄の抽選遊技(第1特別図柄の抽選遊技)のみが実行されてしまい、遊技者に不満感を与えてしまうことを抑制することができる。
次に、大当たり遊技終了後に時短状態が設定される場合に第3図柄表示装置81に表示される表示画面について図93(b)〜図94(b)を参照して説明をする。本第2実施形態では、時短状態中に右打ち遊技を実行しても、第2入球口640に球が入球し得ないように構成しているため、時短状態が設定されると、案内表示態様として「左打ち」が強調表示される。
そして、時短状態中に第2特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合は、通常状態中に第2特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合よりも高確率で潜確状態が設定される大当たりに当選するように構成しているため、遊技者に有利な潜確状態が終了した後に、再度潜確状態が設定され易い遊技状態を示すモード表示810として「復活モード」が表示され、主表示領域Dmではキャラクタ811が天使を模したキャラクタ819を追いかける演出が実行される。
この復活モード中の演出は、時短状態中に第2特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に、キャラクタ811がキャラクタ819を捕まえる演出が実行され「復活おめでとう」の文字が表示される(図94(a)参照)。一方、時短状態中に大当たりに当選すること無く時短状態の終了条件が成立した場合には、キャラクタ819が逃げる演出が実行される(図94(b)参照)。
また、本第2実施形態では、潜確状態中に第2特別図柄の抽選で大当たりに当選し、大当たりDが設定された大当たり遊技が実行されると、その大当たり遊技終了後に時短状態が設定されるように構成しており、大当たりDが設定された大当たり遊技が終了するまでに保留記憶された入賞情報を事前判別し、その事前判別結果に基づいて復活モード中の演出態様を可変するように構成している。これにより、復活モード中の演出が実行された直後に、今回の復活モード内に大当たりに当選するか否かを表示される演出態様に基づいて予測する楽しみを提供することができる。
<第2実施形態におけるパチンコ機の遊技状態の遷移について>
次に、図95を参照して、本第2実施形態におけるパチンコ機10の遊技状態の遷移について、上述した第1実施形態とは相違する点を中心に説明をする。図95は、本第2実施形態におけるパチンコ機10にて設定される遊技状態の流れを示した遷移図である。
図95に示した通り、本第2実施形態では、上述した第1実施形態とは異なり、遊技状態として、通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)、確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)、潜確状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の低確率状態)、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)と、4つの遊技状態が設定可能に構成されている。
そして、潜確状態において第2特別図柄の抽選で大当たりに当選して、大当たりDが設定された場合(特図2大当たりの35%)に、時短状態が設定されるように構成している。さらに、時短状態が設定されている場合は、第1特別図柄の抽選で大当たりに当選して、大当たりAが設定された場合(特図1大当たりの50%)は、潜確状態に移行し、大当たりBが設定された場合(特図1大当たりの50%)は、通常状態に移行するように構成され、第2特別図柄の抽選で大当たりに当選して、大当たりCが設定された場合(特図2大当たりの65%)は、潜確状態に移行し、大当たりDが設定された場合(特図2大当たりの35%)は、通常状態に移行するように構成されている。
また、時短状態中に時短終了条件が成立した場合には、通常状態へ移行するように構成している。つまり、本第2実施形態では、上述した第1実施形態に対して、潜確状態中に特定の大当たり(潜確状態が終了する大当たり)に当選した場合に、通常状態に移行するのでは無く、時短状態に移行する点で相違しており、時短状態は、通常状態よりも潜確状態に移行し易い遊技状態として規定されている。
このように構成することで、遊技者に対して最も有利となる潜確状態が終了してしまう大当たり(大当たりD)に当選した場合であっても、いきなり通常状態に移行してしまうのでは無く、通常状態よりも遊技者に有利となる遊技状態(時短状態)を設定することができるため、潜確状態が終了してしまった遊技者に対して、継続して遊技を行わせることができる。
<第2実施形態における電気的構成について>
次に、図96〜図104を参照して、本第2実施形態におけるパチンコ機10の電気的構成について説明をする。本第2実施形態では、上述した第1実施形態に対して、主制御装置110のROM202の構成の一部と、RAM203の構成の一部と、音声ランプ制御装置113のRAMの構成の一部とが相違している。同一の要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
ここで、図96を参照して、本第2実施形態における主制御装置110のMPU201のROM202の内容について説明をする。図96は、本第2実施形態における主制御装置110のMPU201のROM202の内容を模式的に示した模式図である。本第2実施形態では、上述した第1実施形態におけるROM202(図16参照)に対して、小当たり乱数テーブル202bに替えて小当たり乱数2テーブル202abを、大当たり種別選択テーブル202dに替えて大当たり種別選択2テーブル202adを、変動パターン選択テーブル202eに替えて変動パターン選択2テーブル202aeを設け、新たに時短付与テーブル202afを設けた点で相違している。それ以外の要素は同一であり、同一の要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
小当たり乱数2テーブル202abは、上述した第1実施形態と同様に各特別図柄種別(第1特別図柄、第2特別図柄)に対して小当たりに当選する小当たり判定値が規定されているデータテーブルである。ここで、小当たり乱数2テーブル202abの内容について図97を参照して説明をする。
図97は、小当たり乱数2テーブル202abに規定されている内容を模式的に示した模式図である。本第2実施形態は、上述した第1実施形態とは異なり、第1特別図柄の抽選においても小当たりに当選するように構成している。そして、時短状態が設定されている場合に、第1特別図柄の抽選で小当たりに当選すると時短状態が終了するように構成している。つまり、第1特別図柄の抽選で小当たりに当選することが時短状態の終了条件(時短終了条件)となるように構成している。
このように構成することで、時短状態が設定される期間を不定期にすることができるため、時短状態中の遊技を行っている遊技者に対して緊張感を持たせながら遊技を行わせることができる。
小当たり乱数2テーブル202abに規定されている内容を具体的に説明すると、図柄種別が第1特別図柄の場合には、特別図柄の状態(確率状態)に関わらず、小当たりに対応する第1当たり乱数カウンタC1の値が「212〜221」の範囲に規定され、図柄種別が第2特別図柄の場合には、特別図柄の状態(確率状態)に関わらず、小当たりに対応する第1当たり乱数カウンタC1の値が「212〜432」の範囲に規定されている。
つまり、本実施形態では、第1特別図柄の抽選で小当たりに当選する確率が11/480(約1/44)で、第2特別図柄の抽選で小当たりに当選する確率が221/480(約1/2.1)となるように規定されている。
大当たり種別選択2テーブル202adは、上述した第1実施形態の大当たり種別選択テーブル202dと同様に、大当たりに当選した場合に設定される大当たり種別が規定されたデータテーブルである。ここで、図98を参照して、大当たり種別選択2テーブル202adの内容について説明をする。
図98は、大当たり種別選択2テーブル202adに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図98に示した通り、この大当たり種別選択2テーブル202adは、上述した第1実施形態の大当たり種別選択テーブル202dに対して、大当たり種別の大当たりAに対応して実行される大当たり動作内容(大当たり遊技内容)を異ならせた点で相違し、それ以外は同一である。同一の内容についてはその詳細な説明を省略する。
具体的には、大当たり種別選択2テーブル202adには、大当たりAに対応する大当たり動作内容(大当たり遊技内容)として、第1アタッカ(V入賞装置650)を開放動作させるラウンド遊技が3ラウンド分実行される大当たり遊技が規定されている。
ここで、本実施形態では、大当たり遊技終了後に潜確状態が設定される場合において、第2特別図柄の保留球数に応じて、第1特別図柄の変動時間が設定されるように構成しており、且つ、大当たり遊技中に実行する右打ち遊技によって、その大当たり遊技中に第2特別図柄の保留球数を増加させることが可能となるように構成している。
このように構成された本実施形態では、なるべく多くのラウンド遊技が実行される大当たり遊技のほうが、その大当たり遊技中に第2特別図柄の保留球数を増加させ易くすることができるため、大当たり遊技中に多くの賞球を獲得できる特典以外の特典(第2特別図柄の保留球数増加)を付与することができる。
そして、本第2実施形態では、通常状態中に抽選が実行され易い第1特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技(大当たりAに対応する大当たり遊技(3R))よりも、潜確状態中に抽選が実行され易い第2特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に実行される大当たり遊技(大当たりCに対応する大当たり遊技(10R))のほうが、大当たり遊技の期間(ラウンド数)が長くなるように構成している。
これにより、通常状態で大当たりに当選し、その大当たり遊技終了後に潜確状態が設定された場合と、潜確状態で大当たりに当選し、その大当たり遊技終了後に再度潜確状態が設定された場合とで、大当たり遊技終了後に設定される潜確状態の遊技者に対する有利度合いを異ならせることができ、さらに、潜確状態で大当たりに当選した場合のほうが、遊技者に有利とすることができる。
なお、本実施形態は、潜確状態が最初に設定された状態(潜確突入状態)のほうが、繰り返し潜確状態が設定された状態(潜確継続状態)よりも、遊技者に不利となる(第1特別図柄抽選が実行され易くなる)ように構成することで、潜確継続状態が設定された状態の遊技者に優越感を与えることができるものであるが、これに限ること無く、潜確突入状態が設定されたほうが、潜確継続状態が設定されるよりも、遊技者に有利となる(第2特別図柄抽選が実行され易くなる)ように構成しても良い。このように構成することで、遊技者に有利となる潜確状態が短期間で終了してしまう事態を抑制すると共に、潜確状態が過剰に繰り返して設定される事態を抑制することができる。
また、本実施形態では、遊技者に有利となる遊技状態として潜確状態を用いているが、遊技者に有利となる遊技状態(有利遊技状態)の有利度合い(有利状態の継続率、獲得賞球数等)を、有利遊技状態が最初に設定される有利突入状態と、有利遊技状態が繰り返し設定される有利継続状態とで異ならせるように構成されていれば良く、有利遊技状態を確変状態としても良いし、時短状態としても良いし、通常状態としても良い。また、有利遊技状態となる遊技状態を複数有するように構成しても良い。
さらに、本第2実施形態では、潜確突入状態が設定されたほうが、潜確継続状態が設定されるよりも、遊技者に不利となる(第1特別図柄抽選が実行され易くなる)ように構成するために、第1特別図柄の抽選に基づいて実行される大当たり遊技(大当たりAに対応する大当たり遊技)のほうが、第2特別図柄の抽選に基づいて実行される大当たり遊技(大当たりCに対応する大当たり遊技)よりも少ないラウンド遊技数の大当たり遊技が実行されるように構成しているが、同一の長さの大当たり遊技を実行するように構成しても良い。
つまり、左打ち遊技が実行される通常状態においては、大当たりに当選するまで第2特別図柄の保留記憶(保留球数)を確保することができないことから、通常状態が設定されている状態で大当たりに当選した方が、潜確状態(右打ち遊技状態)が設定されている状態で大当たりに当選するよりも、大当たり遊技開始時における第2特別図柄の保留球数が少なくなるものである。
よって、第1特別図柄の大当たり当選と、第2特別図柄の大当たり当選とで、同一の長さの大当たり遊技が実行されたとしても、大当たり遊技開始時における第2特別図柄の保留球数に対応して大当たり遊技終了時における第2特別図柄の保留球数が可変することになるため、潜確突入状態のほうが、潜確継続状態よりも、遊技者に不利な遊技状態(第2特別図柄の保留球数が少ない状態で実行される潜確状態)とすることができる。
次に、図99を参照して、本第2実施形態における変動パターン選択2テーブル202aeの内容について説明をする。図99は、変動パターン選択2テーブル202aeに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図99に示した通り、本第2実施形態では、上述した第1実施形態の変動パターン選択テーブル202eに対して、遊技状態が通常状態である場合に参照される通常用テーブル202a1の内容を通常用2テーブル202ae1に変更した点と、潜確用テーブル202a3の内容を潜確用2テーブル202ae3に変更した点と、時短状態中に参照される時短用テーブル202ae4を新たに設けた点とで相違する。
ここで、図100を参照して、通常用2テーブル202ae1に規定されている内容について説明をする。図100は、通常用2テーブル202ae1の内容を模式的に示した模式図である。この通常用2テーブル202ae1は、上述した第1実施形態の通常用テーブル202a1と同様に通常状態が設定されている場合の特別図柄の変動パターンを選択する際に参照されるものであって、通常用テーブル202a1に対して、第1特別図柄の変動パターンを選択する際の条件要素として第2特別図柄の保留球数(特図2保留球数)を有している点と、各変動パターンが規定される変動種別カウンタCS1の範囲を異ならせた点とで相違している。それ以外の要素については同一であり、同一の要素についてはその詳細な説明を省略する。
図100に示した通り、本第2実施形態では、通常状態中の第1特別図柄の変動時間が、特図2保留球数に応じて可変するように規定されている。そして、特図2保留球数が多くなるほど(2以上になると)、第1特別図柄の変動時間としてロング変動(10分)が設定され得るように規定されている。
具体的には、図柄種別が第1特別図柄(特図1)で、当否判定結果が当たり(大当たり)であって、特図2保留球数が0または1の場合には、第1特別図柄の保留球数(特図1保留球数)に関わらず、当たりノーマルリーチ(変動時間20秒)が変動種別カウンタCS1の値が「0〜19」の範囲に規定され、当たりスーパーリーチ(変動時間30秒)が変動種別カウンタCS1の値が「20〜198」の範囲に規定されている。
また、特図2保留球数が2〜4の場合には、第1特別図柄の保留球数(特図1保留球数)に関わらず、当たりスーパーリーチ(変動時間30秒)が変動種別カウンタCS1の値が「0〜19」の範囲に規定され、当たりロング変動(変動時間10分)が変動種別カウンタCS1の値が「20〜198」の範囲に規定されている。
さらに、図柄種別が第1特別図柄(特図1)で、当否判定結果が小当たりである場合は、特図2保留球数、第1特別図柄の保留球数(特図1保留球数)に関わらず、小当たりスーパーリーチ(変動時間30秒)が変動種別カウンタCS1の値が「0〜198」の範囲に規定されている。
図柄種別が第1特別図柄(特図1)で、当否判定結果が外れであって、特図1保留球数が0または1で、特図2保留球数が0または1の場合には、長外れ(変動時間12秒)が変動種別カウンタCS1の値が「0〜189」の範囲に規定され、外れスーパーリーチ(変動時間30秒)が変動種別カウンタCS1の値が「190〜198」の範囲に規定されている。また、特図2保留球数が2〜4の場合には、外れスーパーリーチ(変動時間30秒)が変動種別カウンタCS1の値が「0〜109」の範囲に規定され、外れロング変動(変動時間600秒)が変動種別カウンタCS1の値が「110〜198」の範囲に規定されている。
そして、特図1保留球数が2または3で、特図2保留球数が0または1の場合には、短外れ(変動時間8秒)が変動種別カウンタCS1の値が「0〜149」の範囲に規定され、長外れ(変動時間12秒)が変動種別カウンタCS1の値が「150〜198」の範囲に規定されている。また、特図2保留球数が2から4の場合には、外れスーパーリーチ(変動時間30秒)が変動種別カウンタCS1の値が「0〜58」の範囲に規定され、外れロング変動(変動時間600秒)が変動種別カウンタCS1の値が「59〜198」の範囲に規定されている。
このように構成することで、通常状態において適正ではない右打ち遊技を行い、特図2保留(第2特別図柄の保留記憶)を複数獲得した場合には、適正遊技である左打ち遊技において実行される第1特別図柄抽選の変動時間として長い変動時間(最大で10分)が選択され易くなる。よって、遊技者に対して通常状態中に実行する右打ち遊技を抑制することができる。
また、通常状態中に、操作ハンドル51の操作を誤ってしまい、数発の球を右側領域へと発射してしまったとしても、通常状態中は普通図柄の変動時間が長く(30秒)設定されているため、特図2保留球数を複数獲得してしまうことが無い。よって、通常状態中に意図的に右打ち遊技を実行する遊技者に対してのみペナルティーを課すことができる。
なお、このような構成を用いる場合には、以下の警告報知を実行可能にすると良い。即ち、通常状態中に右打ち遊技が実行されていることを検知(通常状態中に球がスルーゲート67を通過したことを検知)した場合に、最低レベル(レベル1)の注意喚起報知(例えば、小表示領域Dm3に「左打ち」を示す案内表示態様を表示)を実行し、特図2保留を獲得した場合に、次レベル(レベル2)の強注意喚起報知(例えば、小表示領域Dm3の表示態様を強調表示と、副表示領域Dsにて、これ以上特図2保留を獲得すると特図1の変動時間が長くなる旨の警告)を実行し、特図1変動、特図2変動が共にロング変動となった場合に最高レベル(レベル3)の警告報知(例えば、係員をお呼びください)を実行するように構成すると良い。
これにより、無意識で右打ち遊技を実行していた遊技者に対しては、両方の特図変動がロング変動になってしまうことを未然に防ぐことができ、さらに、嫌がらせで両方の特図変動をロング変動にして遊技を止める遊技者がいても、対象のパチンコ機10を係員が容易に発見することができる。
次に、図101を参照して、潜確用2テーブル202ae3に規定されている内容について説明をする。図101は、潜確用2テーブル202ae3の内容を模式的に示した模式図である。この潜確用2テーブル202ae3は、潜確状態が設定されている場合の特別図柄の変動パターンを選択する際に参照されるものであって、上述した第1実施形態の潜確用テーブルa3に対して、第1特別図柄の変動パターンを選択する際の条件要素として第2特別図柄の保留球数(特図2保留球数)を有している点と、各変動パターンが規定される変動種別カウンタCS1の範囲を異ならせた点とで相違している。それ以外の要素については同一であり、同一の要素についてはその詳細な説明を省略する。さらに、この潜確用2テーブル202ae3に規定されている内容のうち、特図1に対して規定している箇所については、上述した通常用2テーブル202ae1と同一であるため、その説明を省略する。
このように構成することで、潜確状態が設定された状態において、特図2保留球数が少ない場合(0または1の場合)と、多い場合(2以上の場合)とで、潜確状態中に設定される第1特別図柄の変動時間の長さを異ならせることができる。つまり、潜確状態中に実行される不利側の抽選(第1特別図柄の抽選)回数を、潜確状態が設定された状態で獲得している有利側の抽選(第2特別図柄の抽選)を実行する権利数(保留球数)に応じて可変させることができる。
なお、本実施形態では、特図2保留球数に応じて第1特別図柄の変動時間を設定するテーブルを2つ設けているが、これに限ること無く、各特図2保留球数に対応させて5つのテーブルを設けるように構成しても良い。この場合、特図2保留球数が多くなるほど、第1特別図柄の変動時間が長くなるように構成すれば良く、特図2保留球数が最大値(4)である場合に対応するテーブルでは、第1特別図柄の変動時間として必ず10分の変動時間が設定されるように構成すると良い。これにより、遊技者に対して積極的に特図2保留球数を増加させるための遊技を行わせることができる。
本実施形態では、第1特別図柄の抽選と第2特別図柄の抽選とが同時に実行されるように構成しており、且つ、各特別図柄の変動開始処理を実行すると、先に第1特別図柄の変動開始処理を実行するように構成している。よって、第1特別図柄の変動パターンを設定する際に、第2特別図柄の保留球数が最大値(4)となる期間を設定することが可能となる。
次に、図102(a)を参照して、時短用テーブル202ae4に規定されている内容について説明をする。図102(a)は、時短用テーブル202ae4の内容を模式的に示した模式図である。この時短用テーブル202ae4は、時短状態が設定されている場合の特別図柄の変動パターンを選択する際に参照されるものであって、第1特別図柄(特図1)のほうが、第2特別図柄(特図2)よりも長い変動時間が設定されるように構成されている。
具体的には、図柄種別が特図1で、当否判定結果が当たりの場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜198」の範囲に当たり特殊変動(15秒)が規定され、当否判定結果が小当たりの場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜198」の範囲に小当たり特殊変動(15秒)が規定され、当否判定結果が外れの場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜198」の範囲に外れ特殊変動(15秒)が規定されている。
また、図柄種別が特図2で、当否判定結果が当たりの場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜198」の範囲に当たりショート変動(30秒)が規定され、当否判定結果が小当たりの場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜198」の範囲に小当たりショート変動(0.5秒)が規定され、当否判定結果が外れの場合は、取得した変動種別カウンタCS1の値が「0〜198」の範囲に外れショート変動(0.5秒)が規定されている。
つまり、本第2実施形態では、時短状態が設定されている状態において、第1特別図柄変動が1回実行される間に、第2特別図柄の変動が、第2特別図柄の保留記憶上限数(4個)よりも多く実行し得るように構成している。このように構成することで、時短状態中に第2特別図柄の保留記憶数(保留球数)を削減(0に)し易くすることができる。
なお、本第2実施形態では、時短状態中に選択される変動パターンとして特別図柄の保留球数や取得した変動種別カウンタCS1の値に関わらず一定の変動パターンを選択するように構成しているが、これに限ること無く、特別図柄の保留球数や取得した変動種別カウンタCS1の値に応じて異なる変動パターンが選択されるように構成しても良く、例えば、取得した変動種別カウンタCS1の値に応じて特図1の変動パターン(変動時間)として、特図2の変動パターン(変動時間)よりも短い変動時間が設定されるように構成しても良い。
このように構成することで、時短状態中に設定される変動パターンによって、時短状態中における各特別図柄(第1特別図柄、第2特別図柄)の変動のし易さを異ならせることができるため、時短状態中に何れの特別図柄がどの程度変動するのかを分かり難くすることができる。
時短付与テーブル202afは、時短状態の終了条件が規定されているデータテーブルであって、時短状態が設定される際に参照され、対応する各種カウンタに対して規定された値が設定されるものである。
ここで、図102(b)を参照して、時短付与テーブル202afに規定されている内容について説明をする。図102(b)は、時短付与テーブル202afに規定されている内容を模式的に示した模式図である。この時短付与テーブル202afには、時短終了条件として、時短中カウンタ203aa、特図1変動カウンタ203ab、特図2変動カウンタ203ac、小当たりカウンタ203adに対して、それぞれ特定値(時短終了条件)が規定されている。
具体的には、時短中カウンタ203aaには「100」が、特図1変動カウンタ203abには「2」が、特図2変動カウンタ203acには「4」が、小当たりカウンタ03adには「1」が規定されており、時短状態が設定されている状態で、いずれかのカウンタの値が「0」となった場合に、時短状態が終了するように予め設定されている。
このように複数の時短終了条件を規定することにより、どの時短終了条件が成立したことによって時短条件が終了したのかを遊技者に分かり難くすることができる。これにより、時短終了条件として設定される要素を遊技者に予測させ難くすることができ、飽きの来ない遊技を提供することができる。また、時短状態中にいつまで時短状態が継続するのかを分かり難くすることができるため、緊張感を持たせた状態で遊技を行わせることができる。
なお、本実施形態では時短終了条件を設定可能な各カウンタのそれぞれに対して1の特定値(時短終了条件)のみを規定するように構成しているが、これに限ること無く、複数の値を規定するように構成しても良い。また、本実施形態では、複数の時短終了条件のうち何れか1つの時短終了条件が成立した場合に、時短状態を終了するように構成しているが、これに限ること無く、2つ以上の時短終了条件が成立した場合に時短状態を終了させるように構成しても良い。このように構成することで、時短状態が終了するタイミングを遊技者により分かり難くすることができる。
また、本実施形態では、時短状態が設定される大当たり種別が1つ(大当たりD)しか無いため、時短付与テーブル202afに規定されている時短終了条件群が1種類しか無いが、複数の大当たり種別で時短状態が設定されるように構成した場合には、大当たり種別毎で異なる時短終了条件を設定可能とするために、時短付与テーブル202afに複数の時短終了条件群を規定しても良い。
さらに、同一の大当たり種別であっても、大当たり当選時の遊技状態に応じて異なる時短終了条件を設定しても良く、例えば、確変状態が設定されている場合に大当たりに当選し、その大当たり終了後に時短状態が設定される場合と、通常状態が設定されている場合に大当たりに当選し、その大当たり終了後に時短状態が設定される場合と、で異なる時短終了条件を設定しても良い。この場合、例えば、確変状態から時短状態へと移行する場合のほうが成立し難い時短終了条件を設定するように構成すると良い。
このように、時短状態が設定される条件(時短成立条件)が異なる場合に、成立のし易さが異なる時短終了条件を設定するように構成することで、遊技者に対して、どの時短成立条件で時短状態が設定されたのかについても興味を持たせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
なお、本第2実施形態では、時短状態中に第3図柄表示装置81にて実行される演出(図93(b)参照)として、時短状態の残期間(残時短情報)を遊技者に示唆する演出を実行しないように構成することにより、遊技者に対して時短状態がいつまで継続するのか緊張感を持たせながら遊技を行わせるように構成しているが、これに限ること無く、例えば、時短状態が設定されている間に、時短状態の残期間(残時短情報)を遊技者に示唆(報知)する演出を実行するように構成しても良い。この場合、例えば、時短終了条件が規定されている各カウンタの現状の値を残時短情報として報知するように構成しても良いし、最も成立し易い時短終了条件を判別し、その判別結果に対応した残時短情報のみを報知するように構成しても良い。また、複数の時短終了条件の更新状況を融合させて1つの数値(時短終了危険度)を算出する手段を設け、その算出結果を報知するように構成しても良い。このように、残時短情報を遊技者に示唆(報知)する構成を用いることにより、遊技者に対して時短状態が終了するタイミングを予測させる楽しみを提供することができる。
また、本第2実施形態では、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)を通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)へ移行させる際に、複数の時短終了条件(普通図柄の高確率状態を低確率状態へと移行させるための条件)を設定するように構成しているが、これ以外に、確変状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の高確率状態)を潜確状態(特別図柄の高確率状態、普通図柄の低確率状態)へ移行させる際に、複数の時短終了条件を設定するように構成しても良い。
この場合、例えば、大当たり終了後に確変状態が所定期間(例えば、大当たり終了後100回の特別図柄変動が実行されるまでの期間)設定されるように構成し、その確変状態中に時短終了条件が成立した場合に、上述した所定期間の残期間において遊技者に最も有利となる潜確状態が設定されるように構成すると良い。このように構成した場合は、遊技者に対して早期に時短終了条件が成立することを期待させながら遊技を行わせることができる。
次に、図103を参照して、本第2実施形態における主制御装置110のMPU201のRAM203の内容について説明をする。図103は本第2実施形態における主制御装置110のMPU201のRAM203の内容を模式的に示した模式図である。図103に示した通り、本第2実施形態のRAM203は、上述した第1実施形態のRAM203に対して、時短中カウンタ203aa、特図1変動カウンタ203ab、特図2変動カウンタ203ac、小当たりカウンタ203adを追加した点で相違している。それ以外の要素は同一であり、同一の要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
時短中カウンタ203aaは、時短状態中に実行される特別図柄の変動回数を計測するためのカウンタであって、時短状態を終了させるための時短終了条件(第1時短終了条件)が成立しているか否かを判別するために用いられるものである。
この時短中カウンタ203aaは、大当たり遊技の終了タイミングで実行される大当たり終了処理2(図107のS2562参照)によって、今回の実行された大当たり遊技に対応する大当たり種別が特定の大当たり種別(大当たりD)であると判別され(図107のS2752:Yes)、且つ、大当たり当選時の遊技状態が潜確状態であると判別された場合に(図107のS2753:Yes)、時短付与テーブル202afに規定されている値(100)が設定される。
そして、特別図柄の変動を開始する場合に実行される時短更新処理(図106のS251参照)において減算され(図106のS273参照)、減算後の値を参照して時短終了条件が成立したか否かが判別される(S277)。また、複数の時短終了条件のうち、何れかの時短終了条件が成立した場合に、値が0にクリアされる(例えば、図108のS2855参照)。
以上、説明をした通り、この時短中カウンタ203aaは、第1特別図柄の抽選(変動)、第2特別図柄の抽選(変動)の何れが実行される場合であっても、その値を減算するように構成されており、時短中カウンタ203aaの値に基づいて設定される第1時短終了条件は、複数設定される時短終了条件の中で最も成立し難い時短終了条件となる。
なお、本実施形態では、第1特別図柄の抽選と第2特別図柄の抽選とが同時に実行可能に構成しているため、特別図柄の変動停止時では無く、変動開始時に時短中カウンタ203aaの値を更新するように構成している。
つまり、複数の特別図柄の変動(抽選)が同時に行われる本実施形態の構成では、例えば、一方の特別図柄によって100回目に実行された特別図柄変動が実行されている間に、他方の特別図柄によって、101回目、102回目の特別図柄変動が実行される場合がある。
よって、本実施形態の構成において、特別図柄の変動停止時に時短中カウンタ203aaの値を更新する処理を実行してしまうと、予め定められた範囲以外の特別図柄変動が時短状態中の特別図柄変動として処理されてしまうという問題があるため、本実施形態では、特別図柄変動の開始時点で時短終了条件に関する更新作業を行うように構成している。
特図1変動カウンタ203abは、時短状態中に実行される第1特別図柄の変動回数を計測するためのカウンタであって、時短状態を終了させるための時短終了条件(第2時短終了条件)が成立しているか否かを判別するために用いられるものである。
この特図1変動カウンタ203abは、大当たり遊技の終了タイミングで実行される大当たり終了処理2(図107のS2562参照)によって、今回の実行された大当たり遊技に対応する大当たり種別が特定の大当たり種別(大当たりD)であると判別され(図107のS2752:Yes)、且つ、大当たり当選時の遊技状態が潜確状態であると判別された場合に(図107のS2753:Yes)、時短付与テーブル202afに規定されている値(2)が設定される。
そして、時短更新処理(図106のS251参照)にて、第1特別図柄(特図1)の変動(抽選)が実行されると判別した場合に(図106のS274:Yes)、その値が1減算(更新)され、減算後の値を参照して時短終了条件が成立したか否かが判別される(S277)。また、複数の時短終了条件のうち、何れかの時短終了条件が成立した場合に、値が0にクリアされる(例えば、図108のS2855参照)。
つまり、本実施形態では、時短状態が設定された状態で第1特別図柄の2回目の変動が実行される場合に、第2時短終了条件が成立し、時短状態から通常状態へと移行するように構成している。
特図2変動カウンタ203acは、時短状態中に実行される第2特別図柄の変動回数を計測するためのカウンタであって、時短状態を終了させるための時短終了条件(第3時短終了条件)が成立しているか否かを判別するために用いられるものである。
この特図2変動カウンタ203acは、大当たり遊技の終了タイミングで実行される大当たり終了処理2(図107のS2562参照)によって、今回の実行された大当たり遊技に対応する大当たり種別が特定の大当たり種別(大当たりD)であると判別され(図107のS2752:Yes)、且つ、大当たり当選時の遊技状態が潜確状態であると判別された場合に(図107のS2753:Yes)、時短付与テーブル202afに規定されている値(4)が設定される。
そして、時短更新処理(図106のS251参照)にて、第2特別図柄(特図2)の変動(抽選)が実行されると判別した場合に(図106のS274:No)、その値が1減算(更新)され、減算後の値を参照して時短終了条件が成立したか否かが判別される(S277)。また、複数の時短終了条件のうち、何れかの時短終了条件が成立した場合に、値が0にクリアされる(例えば、図108のS2855参照)。
つまり、本実施形態では、時短状態が設定された状態で第2特別図柄の4回目の変動が実行される場合に、第3時短終了条件が成立し、時短状態から通常状態へと移行するように構成している。
小当たりカウンタ203adは、時短状態中に実行される第1特別図柄の抽選で小当たりに当選した当選回数を計測するためのカウンタであって、時短状態を終了させるための時短終了条件(第4時短終了条件)が成立しているか否かを判別するために用いられるものである。
この小当たりカウンタ203adは、大当たり遊技の終了タイミングで実行される大当たり終了処理2(図107のS2562参照)によって、今回の実行された大当たり遊技に対応する大当たり種別が特定の大当たり種別(大当たりD)であると判別され(図107のS2752:Yes)、且つ、大当たり当選時の遊技状態が潜確状態であると判別された場合に(図107のS2753:Yes)、時短付与テーブル202afに規定されている値(1)が設定される。
そして、小当たり制御処理2(図108のS22455参照)にて、第1特別図柄の抽選で小当たりに時短状態中(時短中)に当選したと判別した場合に(図108のS2851:Yes)、その値が1減算(更新)され(図108のS2852参照)、減算後の値を参照して時短終了条件が成立したか否かが判別される(S2853)。また、複数の時短終了条件のうち、何れかの時短終了条件が成立した場合に、値が0にクリアされる(例えば、図106のS278参照)。
つまり、本実施形態では、時短状態が設定された状態で第1特別図柄の抽選で小当たりに1回当選したことに基づいて(特図1小当たり当選に基づく小当たり遊技が終了した場合)に、第4時短終了条件が成立し、時短状態から通常状態へと移行するように構成している。
以上、説明をした通り、本実施形態では時短状態中に実行される特別図柄の変動(抽選)回数に応じて、第1時短終了条件〜第3時短終了条件が設定される各種カウンタ値が更新されるように構成している。即ち、上述した第1時短終了条件〜第3時短終了条件は、特図変動回数関連終了条件となる。また、特別図柄の抽選結果に応じて、第4時短終了条件が設定される各種カウンタ値が更新されるように構成している。即ち、上述した第4時短終了条件は、特図抽選結果関連終了条件となる。なお、上述した第1実施形態においても用いた時短終了条件、即ち、時短状態中に大当たりに当選したことに基づいて時短状態が終了する構成については、特別図柄の抽選結果に応じて時短状態を終了させるものであるため、特図抽選結果関連終了条件となる。
本実施形態では、特図変動回数関連終了条件として、第1特別図柄の変動回数に基づいて設定される第2時短終了条件(4回)と、第2特別図柄の変動回数に基づいて設定される第3時短終了条件(2回)と、第1特別図柄及び第2特別図柄の変動回数に基づいて設定される第1時短終了条件(100回)と、を設定するように構成している。
ここで、第1時短終了条件として設定される回数(100回)が、第2時短終了条件として設定される回数(4回)と、第3時短終了条件として設定される回数(2回)とを合算した値(6回)よりも大きくなるように構成されている。よって、遊技に関する処理が正常に行われている場合は、第1時短終了条件が成立する前に、第2時短終了条件、或いは、第3時短終了条件が成立することになる。
しかしながら、第1時短終了条件を設定することにより、例えば、第1時短終了条件、或いは第2時短終了条件に対応する各カウンタ値の更新処理に不具合が生じた場合において、時短状態が設定され得る最大期間を予め規定することができる。よって、遊技者に対して過剰に時短状態を設定してしまう事態の発生を抑制することができる。
なお、本第2実施形態では、第1時短終了条件の値(100)を、第2時短終了条件の値(2)、と第3時短終了条件(4)の値とを合算した値(6)よりも大きくなるように構成しているが、これに限ること無く、第1時短終了条件に対応する時短中カウンタ203aaの値として、第2時短終了条件の値(2)、と第3時短終了条件(4)の値とを合算した値(6)よりも小さな値(例えば、5)を設定するように構成しても良い。このように構成することで、時短状態中に成立し得る時短終了条件を複雑に設定することができるため、遊技の興趣を向上させることができる。
また、本実施形態では、特図抽選結果関連終了条件として、第1特別図柄の小当たり当選回数に応じた第4時短終了条件を設定しているが、これに限ること無く、第2特別図柄の小当たり当選回数に応じた時短終了条件を設定しても良いし、第1特別図柄及び第2特別図柄の小当たり当選回数に応じた時短終了条件を設定しても良い。
加えて、本実施形態では、特別図柄の変動関連処理の処理結果(変動回数、抽選結果)に基づいて時短状態を終了させるための時短終了条件を複数設定しているが、これに限ること無く、例えば、普通図柄の変動関連処理の処理結果(変動回数、抽選結果)に基づいて時短状態を終了させるための時短終了条件を設定可能に構成しても良い。
次に、図104を参照して、本第2実施形態の音声ランプ制御装置113のMPU221のRAM223の構成について説明をする。図104は、第2実施形態の音声ランプ制御装置113のRAM223に規定されている内容を模式的に示した模式図である。図104に示した通り、本第2実施形態のRAM223は、上述した第1実施形態のRAM223に対して、待機フラグ223aaを追加した点で相違し、それ以外は同一である。同一の要素については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
待機フラグ223aaは、潜確状態中に小当たり遊技を頻繁に実行可能な状態であるか否かを判別するためのフラグであって、小当たり遊技を頻繁に実行不可能な状態である場合にオンに設定されるものである。この待機フラグ223aaは、大当たり遊技終了後に潜確状態が設定される場合において、その大当たり遊技終了時点(エンディング期間経過時点)で第2特別図柄の保留球数が0である場合、即ち、潜確状態設定直後に第2特別図柄の抽選(変動)を実行することができない場合にオンに設定される(図114のS4942参照)。
そして、変動表示設定処理2(図115のS4162参照)において、第2特別図柄(特図2)の変動表示を設定する際にオンに設定されているかが判別され(図115のS5051参照)、オンに設定されている場合に(図115のS5051:Yes)、オフに設定され(図115のS5052)、潜確状態中に第2特別図柄の抽選(変動)が実行されることを示す演出が実行される。
<第2実施形態における主制御装置により実行される制御処理について>
次に、図105〜108を参照して、本第2実施形態における主制御装置110により実行される制御処理について、上述した第1実施形態における主制御装置110にて実行される制御処理との相違点を中心に説明を行う。
本第2実施形態では、上述した第1実施形態に対して、遊技状態として時短状態を設定可能に構成した点で大きく相違し、それに伴い、時短状態が設定される期間を判別するための各種処理(時短終了条件を成立させるための各種カウンタ値を更新する処理、時短終了条件の成立の有無を判別する処理)を実行するように構成した点で相違している。
ここで、図105を参照して、特別図柄変動処理2(S154)の内容について説明をする。図105は、特別図柄変動処理2(S154)の内容を示したフローチャートである。この特別図柄変動処理2(S154)は、上述した第1実施形態の特別図柄変動処理(図33のS104参照)に対して、第1特別図柄変動開始処理(S208)、或いは、第2特別図柄変動開始処理(S210)を実行した後に、時短更新処理(S251)を実行する点で相違し、それ以外は同一である。同一の要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
次に、特別図柄変動処理2(図105のS154参照)にて実行される時短更新処理(S251)について、図106を参照して説明をする。図106は時短更新処理(S251)を示したフローチャートである。この時短更新処理(S251)は、時短状態が設定されている状態において時短終了条件を成立させるための各種カウンタの値を更新する処理を実行するものであって、特別図柄の変動開始処理が実行されたことに基づいて成立し得る時短終了条件(特図変動回数関連終了条件)に対応する各種カウンタの値を更新するものである。
時短更新処理(S251)が実行されると、まず、遊技状態格納エリア203mに記憶されている情報に基づいて現在の遊技状態が時短状態中であるかを判別し(S271)、時短状態中では無いと判別した場合は(S271:No)、そのまま本処理を終了する。一方、時短状態中であると判別した場合は(S271:Yes)、次に、特図変動が開始されるかを判別する(S272)。
S272の処理では、今回実行中の特別図柄変動処理2(図105のS154参照)にて実行された第1特別図柄変動開始処理(図34のS208参照)、或いは、第2特別図柄変動開始処理(図39のS210参照)において、対応する特別図柄の変動開始が設定されたか否かが判別される。
S272の処理で特図変動が開始されていないと判別した場合は(S272:No)、今回の特別図柄変動処理2(図105のS154参照)において新たな特図変動が実行されていない場合であるため、そのまま本処理を終了する。S272の処理で特図変動が開始されていると判別した場合は(S272:Yes)、次に、時短中カウンタ203aaの値を1減算し(S273)、その後、今回の特図変動が第1特別図柄であるかを判別する(S274)。
このS274の処理では、今回実行中の特別図柄変動処理2(図105のS154参照)にて実行される第1特別図柄変動開始処理(図34のS208参照)、或いは、第2特別図柄変動開始処理(図39のS210参照)のうち、何れの特別図柄の変動開始が設定されたかが判別される。
S274の処理において、今回の変動が特図1であると判別した場合は(S274:Yes)、特図1変動カウンタ203abの値を1減算し(S275)、S277の処理へ移行する。また、今回の変動が特図1ではない(特図2である)と判別した場合は(S274:No)、特図2変動カウンタの値を1減算し(S276)、S277の処理へ移行する。
S277の処理では、減算後(更新後)の時短中カウンタ203aa、特図1変動カウンタ203ab、特図2変動カウンタ203acの値が時短終了条件を成立させる値(即ち、0)であるかを判別し(S277)、時短終了条件が成立していないと判別した場合は(S277:No)、そのまま本処理を終了する。一方、時短終了条件が成立していると判別した場合は(S277:Yes)、遊技状態格納エリア203mに通常状態を設定し(S278)、各種時短関連カウンタ(時短付与テーブル202afに規定されている各種カウンタ)の値を0にクリアし(S279)、本処理を終了する。
なお、詳細な説明は省略するが、S277の処理において時短終了条件が成立したと判別した場合には、時短終了条件が成立したことを示す情報と、成立した時短終了条件の種別を示すための情報とを含む時短終了コマンドが設定される。この時短終了コマンドは、主制御装置110のメイン処理(図54参照)において実行される外部出力処理(図54のS2401参照)によって、他のコマンドと同様に音声ランプ制御装置113へと出力される。
次に、図107を参照して、大当たり終了処理2(S2562)の内容について説明をする。図107は、大当たり終了処理2(S2562)を示したフローチャートである。この大当たり終了処理2(S2562)は、上述した第1実施形態の大当たり終了処理(図図57のS2512)に対して、大当たり種別が大当たりDである場合に実行する処理を追加した点と、それ以外の構成を一部変更した点で相違し、それ以外の要素は同一である。同一の要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
大当たり終了処理2(S2562)が実行されると、まず、確変設定フラグ203hがオンに設定されているかを判別し(S2701)、オンに設定されている場合は(S2701:Yes)、確変フラグ203gをオンに設定し(S2702)、確変設定フラグ203hをオフに設定し(S2751)、その後、上述した第1実施形態の大当たり終了処理(図57のS2512参照)と同一のS2703,S2704の処理を実行し、本処理を終了する。
一方、S2701の処理において、確変設定フラグ203hがオンでは無いと判別した場合は(S2701:No)、次に、今回実行された大当たりが大当たりDであるかを判別し(S2752)、大当たりDであると判別した場合は(S2752:Yes)、大当たり当選時の遊技状態が潜確状態であったかを判別する(S2753)。
S2753の処理において、潜確状態であったと判別した場合は(S2753:Yes)、時短付与テーブル202afに規定されている値(図102(b)参照)を、各種カウンタ(時短中カウンタ203aa、特図1変動カウンタ203ab、特図2変動カウンタ203ac、小当たりカウンタ203ad)に設定し、S2704の処理へ移行する。
一方、S2752の処理で今回の大当たりが大当たりDでは無いと判別した場合(S2752:No)、或いは、S2753の処理で大当たり当選時の遊技状態が潜確状態では無いと判別した場合(S2753:No)は、そのまま本処理を終了する。なお、S2752の処理、S2753の処理は、遊技状態格納エリア203mに記憶されている情報に基づいて実行される。
次に、図108を参照して、小当たり制御処理2(S2455)の内容について説明をする。図108は小当たり制御処理2(S2455)の内容を示したフローチャートである。この小当たり制御処理2(S2455)は、上述した第1実施形態の小当たり制御処理(図58のS2405参照)に対して、小当たり終了タイミングにおいて実行される処理の内容を変更した点で相違し、それ以外は同一である。同一の要素については同一に符号を付して、その詳細な説明は省略する。
小当たり制御処理2(S2455)が実行されると、上述した第1実施形態の小当たり制御処理(図58のS2405参照)と同一のS2801〜S2807の処理を実行し、その後、今回の小当たり遊技が、時短状態中に第1特別図柄の抽選によって当選した小当たりに基づくものであるかを判別し(S2851)、時短状態中に第1特別図柄の抽選によって当選した小当たりであると判別した場合に(S2851:Yes)、小当たりカウンタ203adの値を1減算する(S2852)。
次いで、時短終了条件が成立したか(小当たりカウンタ203adの値が0であるか)を判別し(S2853)、成立したと判別した場合は、遊技状態格納エリア203mに通常状態を設定し(S2854)、各種時短関連カウンタ(時短付与テーブル202afに規定されている各種カウンタ)の値を0にクリアし(S2855)、本処理を終了する。
なお、詳細な説明は省略するが、S2853の処理において時短終了条件が成立したと判別した場合には、時短終了条件が成立したことを示す情報と、成立した時短終了条件の種別を示すための情報とを含む時短終了コマンドが設定される。この時短終了コマンドは、主制御装置110のメイン処理(図54参照)において実行される外部出力処理(図54のS2401参照)によって、他のコマンドと同様に音声ランプ制御装置113へと出力される。
一方、S2851の処理において、時短状態中に第1特別図柄の抽選によって当選した小当たりでは無いと判別した場合(S2851:No)、或いは、S2853の処理において、時短終了条件が成立していない(小当たりカウンタ203adの値が1以上である)と判別した場合は、そのまま本処理を終了する。
<第2実施形態における音声ランプ制御装置の制御処理について>
次に、図109〜図115を参照して、本第2実施形態における音声ランプ制御装置113により実行される制御処理について、上述した第1実施形態における音声ランプ制御装置113にて実行される制御処理との相違点を中心に説明を行う。本第2実施形態の音声ランプ制御装置113により実行される制御処理は、上述した第1実施形態の音声ランプ制御装置113にて実行される制御処理に対して、コマンド判定処理(図63のS4111参照)に替えてコマンド判定処理2(図109のS4151)を、特図1変動開始処理(図64のS4202参照)に替えて特図1変動開始処理2(図110のS4252)を、特図2変動開始処理(図64のS4204参照)に替えて特図2変動開始処理2(図111のS4254)を、状態コマンド受信処理(図69のS4212参照)に替えて状態コマンド受信処理2(図113のS4262)を、大当たり関連処理(図72のS4802参照)に替えて、大当たり関連処理2(図114のS4851)を、変動表示設定処理(図73のS4112参照)を、変動表示設定処理2(図115のS4162)を実行する点と、保留球数コマンドを受信した場合に保留球数処理(図112のS4258参照)を実行する点と、で相違している。それ以外の要素は同一であり、同一の要素については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
本第2実施形態では、上述した第1実施形態に対して、図91〜図94を参照して上述した演出を実行する点で相違している。具体的には、大当たり遊技中に実行される大当たり遊技中演出の演出態様と、時短状態中に実行される時短中演出の演出態様と、潜確状態中に実行される潜確中演出の演出態様と、が一部相違している。
ここで、図109を参照して、コマンド判定処理2(S4151)の内容について説明をする。図109は、コマンド判定処理2(S4151)の内容を示したフローチャートである。このコマンド判定処理2(S4151)は、上述した第1実施形態のコマンド判定処理(図63のS4111参照)に対して、特図1変動開始処理(図64のS4202参照)に替えて特図1変動開始処理2(図110のS4252)を実行し、特図2変動開始処理(図64のS4204参照)に替えて特図2変動開始処理2(図111のS4254)を実行し、状態コマンド受信処理(図69のS4212参照)に替えて状態コマンド受信処理2(図113のS4262)を実行し、さらに、保留球数コマンドを受信したと判別した場合に(S4207:Yes)、保留球数処理(S4258)を実行する点で相違し、それ以外は同一である。同一の要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
次に、図110を参照して、コマンド判定処理2(図109のS4151)にて実行される。特図1変動開始処理2(S4252)の内容について説明をする。図110は、特図1変動開始処理2(S4252)を示したフローチャートである。この特図1変動開始処理2(S4252)は、上述した特図1変動開始処理(図64のS4202参照)に対して、遊技状態が時短状態である場合に実行される処理を追加した点で相違し、それ以外は同一である。同一の要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
特図1変動開始処理2(S4252)が実行されると、まず、上述した特図1変動開始処理(図64のS4202参照)と同一のS4301〜S4303の処理を実行し、その後、現在の遊技状態が時短状態であるかを判別し(S4371)、時短状態では無いと判別した場合は(S4371:No)、上述した特図1変動開始処理(図64のS4202参照)と同一のS4304〜S4306の処理を実行し、本処理を終了する。
一方、S4371の処理で、現在の遊技状態が時短状態であると判別した場合は(S4371:Yes)、特殊変動パターンを示す表示用コマンドを設定し(S4372)、本処理を終了する。S4372の処理で表示用コマンドが設定されると、その表示用コマンドが表示制御装置114へと出力され、第3図柄表示装置81の主表示領域Dmには、何れの特別図柄変動に対応した変動演出が実行されているのかを遊技者が把握し難い特殊変動パターンが実行される(図93(b)参照)。
具体的には、主表示領域Dmにて第3図柄を用いた演出表示を行わず、且つ、各特別図柄の変動表示を示す第4図柄が表示される表示領域(小表示領域Dm1,Dm2)が縮小形成され、その他の遊技状態に比べて、第4図柄の表示態様を遊技者が視認し難い演出が実行される。
このように構成することで、時短状態中に何れの特別図柄抽選(変動)が、何回実行されたのかを遊技者に把握させ難くすることができ、主表示領域Dmにて実行される演出(図93(b)参照)に注視させることができる。
なお、本実施形態では、何れの特別図柄変動に対応した変動演出が実行されているのかを遊技者が把握し難い特殊変動パターンとして、第3図柄を表示せず、第4図柄を見難く表示する態様を用いているが、それ以外の構成として、例えば、第4図柄を第3図柄表示装置81の表示領域外にて報知するように構成しても良い。また、特別図柄の抽選状況に対応しない疑似装飾図柄を変動表示されるように構成しても良い。
この場合、例えば、疑似装飾図柄を、時短状態が設定されてから時短状態が終了するまでの期間を変動させる時短変動演出を実行し、その時短変動演出として、時短状態中に実行された特別図柄の抽選回数や図柄種別特別図柄の抽選回数を遊技者に示唆されない演出を実行すると良い。このように構成することで、時短状態中に第2特別図柄の保留記憶を違和感無く消化することができる。
次に、図111を参照して、コマンド判定処理2(図109のS4151)にて実行される。特図2変動開始処理2(S4254)の内容について説明をする。図111は、特図2変動開始処理2(S4254)を示したフローチャートである。この特図2変動開始処理2(S4254)は、上述した特図2変動開始処理(図65のS4204参照)に対して、遊技状態が時短状態である場合に実行される処理を追加した点で相違し、それ以外は同一である。同一の要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
また、図111に示した通り、特図2変動開始処理2(S4254)にて追加した処理の内容(S4391,S4392の処理)は、上述した特図1変動開始処理2(S4252)にて追加した処理の内容(S4371,S4372)の対象を第1特別図柄から第2特別図柄へと変更した点で相違しているだけであるため、詳細な説明は省略する。
以上、説明をした通り、時短状態中に実行される特別図柄変動は、特別図柄の種別に関わらず特殊変動パターンが実行されるように構成しているため、時短状態中はどの種別の特別図柄が何回実行されたのかを遊技者に分かり難くすることができる。
次に、図112を参照してコマンド判定処理2(図109のS4151)にて実行される。保留球数処理(S4258)の内容について説明をする。図112は、コマンド判定処理2(S4258)を示したフローチャートである。この保留球数処理(S4258)では、大当たり遊技中に受信した保留球数コマンドに基づいて大当たり遊技中演出(図91(a)参照)の演出態様を設定するための処理が実行される。
保留球数処理(S4258)が実行されると、まず、受信したコマンド(保留球数コマンド)に対応する図柄種別(第1特別図柄、第2特別図柄、普通図柄)を抽出し(S5101)、抽出した図柄種別に対応した保留球数カウンタ(第1特別図柄保留球数カウンタ223c、第2特別図柄保留球数カウンタ223d、普通図柄保留球数カウンタ223m)の値を更新し(S5102)、S5103の処理へ移行する。
S5103の処理では、従状態設定エリア223kに設定(記憶)されている情報に基づいて、現在が大当たりA,Cに対応する大当たり遊技中であるかを判別し(S5103)、大当たりA,Cに対応する大当たり遊技中では無いと判別した場合、即ち、大当たり遊技終了後に潜確状態が設定されない大当たりであると判別した場合(S5103)は、S4505の処理へ移行する。
一方、S5103の処理で大当たりA,Cに対応する大当たり遊技中であると判別した場合は(S5103)、次に、今回の保留球数コマンドで普通図柄の保留球数(普図保留球数)が加算されたか否かを判別し(S5104)、普図保留球数が加算されたと判別した場合、即ち、普通図柄保留球数カウンタ223mの値が1加算されたと判別した場合は(S5104:Yes)、加算後の普図保留球数に対応した演出ゲージを示す表示用コマンドを設定し(S5105)、S4505の処理へ移行する。
S5105の処理にて表示用コマンドが設定されると、他の表示用コマンドと同様に表示制御装置114へ出力され、第3図柄表示装置81の疑似保留領域Dm10a〜普図第3保留領域Dm10dの表示態様(演出ゲージ)が、普図保留球数に対応した表示態様へと可変表示される。
一方、S5104の処理にて、普図保留球数が加算されていないと判別した場合、即ち、普通図柄保留球数カウンタ223mの値が1加算されていないと判別した場合は(S5104:Yes)、次いで、第2特別図柄の保留球数(特図2保留球数)が加算されたか否かを判別し(S5106)、特図2保留球数が加算されたと判別した場合、即ち、第2特別図柄保留球数カウンタ223dの値が1加算されたと判別した場合は(S5106:Yes)、次に、加算後の特図2保留球数が3以上であるかを判別し(S5107)、3以上であると判別した場合は(S5107:Yes)、大当たり遊技終了後に遊技者にとって有利となる潜確状態、即ち、遊技者に不利となる第1特別図柄の変動時間として長時間(10分)の変動時間が実行され得る潜確状態が設定されること報知するための祝福演出を示す表示用コマンドを設定し(S5108)、S4505の処理へ移行する。
一方、S5106の処理で、特図2保留球数が加算されていないと判別した場合は(S5106:No)、S4505の処理へ移行し、本処理を終了する。S4505の処理では、例えば、第3図柄表示装置81に表示される保留球(保留図柄)の数を可変させたり、各遊技状態に応じた表示態様に可変させたりするための表示用コマンドが設定される。
なお、本第2実施形態では、上述した第1実施形態と同様に、大当たり遊技中に球が特定領域(V入賞装置650内のVスイッチ650e3)を通過することで、その大当たり遊技終了後に特別図柄の高確率状態が設定されるように構成しており、大当たり遊技の1ラウンド目に実行されるラウンド遊技中に、球が特定領域を通過し易い開放動作(V開放パターン)が実行され得るように構成しているため、上述した保留球数処理(S4258)にて大当たり遊技中演出の演出態様を可変させる処理を、大当たりA,大当たりCに対応する大当たり遊技の2ラウンド目以降に実行可能とする構成とし、更に、1ラウンド目のラウンド遊技において、特定領域を球が通過した場合に実行するように構成すると良い。このように構成することで、普図保留球数を増加させることを促す演出が大当たり遊技中に実行されたにも関わらず、大当たり遊技終了後に潜確状態が設定されず、遊技者に不満感を与えてしまうことを抑制することができる。
次に、図113を参照して状態コマンド受信処理2(S4262)の内容について説明をする。図113は、状態コマンド受信処理2(S4262)を示したフローチャートである。この状態コマンド受信処理2(S4262)は、上述した状態コマンド受信処理(図69のS4212参照)に対して、時短状態が設定される場合における制御処理を追加した点で相違し、それ以外の処理内容については同一である。よって、同一内容の要素については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
まず、状態コマンド受信処理2(S4262)が実行されると、上述した状態コマンド受信処理(図69のS4212参照)と同一のS4601〜S4610の処理を実行し本処理を終了する。一方、S4605の処理において、遊技状態が潜確状態へと変更していないと判別した場合に(S4605:No)、次いで、遊技状態が確変状態へと変更されたかを判別し(S4651)、確変状態に変更したと判別した場合は(S4651:Yes)、上述した状態コマンド受信処理(図69のS4212参照)と同一のS4608,S4609の処理を実行し本処理を終了する。
S4651の処理において、確変状態に変更していないと判別した場合、即ち、時短状態に変更したと判別した場合は(S4651:Yes)、入賞情報格納エリア223bに格納されている特図2(第2特別図柄)の入賞情報を読み出し(S4652)、読み出した入賞情報の当否判定結果(事前判別結果)に基づく演出態様を設定し(S4653)、引き戻しモードを示す表示用コマンドを設定し(S4654)、S4610の処理へ移行する。
以上、説明をした通り、時短状態が設定される場合には、その時点で入賞情報格納エリア223bに格納されている第2特別図柄(特図2)の入賞情報を事前判別し、その判別結果に基づいて時短中演出の演出態様を設定するように構成している。ここで設定される演出態様としては、例えば、図93(b)に示した演出にて表示されるキャラクタ819の種類を事前判別結果に基づいて可変させたり、主表示領域Dmの背景色を可変させたり、キャラクタ811の表示態様や、移動速度を可変させたりする演出態様があり、設定される演出態様によって事前判別の判別結果(大当たりの有無)を示唆可能に構成される。
よって、時短状態を設定した直後に第3図柄表示装置81に表示される表示態様(演出態様)を把握することにより、時短状態中の遊技結果を予測させることができる。また、特定の表示態様(演出態様)が実行された場合に大当たりに期待しながら遊技を行わせることができる。
なお、本第2実施形態では、第2特別図柄(特図2)の入賞情報のみを事前判別し、その事前判別結果に基づいて時短状態中の演出態様(図93(b)参照)を設定するように構成しているが、それ以外の構成を用いても良く、例えば、時短状態が設定される時点における入賞情報格納エリア223bに格納されている各図柄(第1特別図柄、第2特別図柄、普通図柄)の入賞情報を事前判別し、その判別結果に基づいて時短中演出の演出態様を設定するように構成しても良い。
また、時短中演出の演出態様として、時短状態が設定されている間に大当たりに当選するか否かを示唆する演出態様を設けていたが、それ以外の内容を示唆する演出態様を設けても良く、例えば、時短終了条件が早期に成立する(例えば、第1特別図柄の抽選で小当たりに当選する)ことを示唆する演出態様を設定するように構成しても良いし、大当たり当選のうち、その大当たり遊技終了後に潜確状態が設定され得る大当たりのみ示唆する演出態様を設定するように構成しても良い。
このように、時短状態中に実行される時短中演出の演出態様を様々な条件が可変設定することにより、遊技者が時短中演出を注視することになり、演出効果を高めることができる。また、実行中の演出に遊技者が注目することにより、実際に実行されている特別図柄変動の内容(特別図柄種別、変動回数)を把握させ難くすることができる。
次に、図114を参照して、コマンド判定処理2(図109のS4151)の当たり関連処理(S4219)内で実行される大当たり関連処理2(S4851)の内容について説明をする。図114は、大当たり関連処理2(S4851)を示したフローチャートである。この大当たり関連処理2(S4851)は、受信した大当たり遊技中に関する各種コマンドに対応する処理が実行されるものであって、上述した第1実施形態の大当たり関連処理(図72(a)のS4802)に対して、大当たり開始コマンドを受信した場合に実行される処理と、エンディングコマンドを受信した場合に実行される処理と、大当たり終了タイミングである場合に実行される処理とを異ならせた点で相違しており、それ以外の内容は同一である。同一の内容については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
まず、大当たり関連処理2(S4851)が実行されると、大当たり開始コマンドを受信したかを判別し(S4901)、受信したと判別した場合は(S4901:Yes)、第2特別図柄保留球数カウンタ223dの値を読み出す(S4931)。そして、S4931の処理で読み出したカウンタの値が2以上であるかを判別する(S4932)。S4932の処理で、カウンタの値が2以上であると判別した場合は(S4932:Yes)、表示用大当たり開始コマンドを設定し(S4933)、本処理を終了する。
つまり、S4932の処理においてカウンタの値が2以上である場合は、その大当たり遊技終了後における第2特別図柄の保留球数(特図2保留球数)が2個以上の場合であるため、潜確状態中の遊技として、第1特別図柄の変動時間として長時間(10分)の変動時間が設定され得る条件を、既に満たしている。よって、大当たり遊技開始タイミング(大当たり遊技のオープニング期間中)に、大当たり中確保演出(図91(a)参照)を実行せずに、通常の大当たり開始演出を実行するように構成している。
これにより、例えば、大当たり中確保演出を実行したにも関わらず、既に、特図2保留球数が上限値(4)に到達しており、意味の無い演出となってしまうことを抑制することができる。また、本実施形態では、上述した通り、大当たり遊技開始時点における特図2保留球数の量によって、大当たり遊技のオープニング期間中の演出態様を可変するように構成している。
これにより、例えば、大当たり当選時の遊技状態に応じて大当たり遊技のオープニング期間中に実行される演出態様を可変させる構成よりも、実際の遊技状況に応じた演出態様を設定することができる。即ち、特図2保留球数を確保可能な遊技状態(潜確状態)中に大当たりに当選したとしても、大当たり遊技開始時点で特図2保留球数が0個であった場合には、その大当たり遊技中に第2特別図柄の保留記憶(保留球)を新たに確保しなければ、大当たり遊技終了後に設定される潜確状態において、遊技者に有利な遊技が実行されないため、潜確状態中に大当たりに当選した場合には、必ず、通常の大当たり開始演出を実行するように構成してしまうと、遊技者に不利な状況を提供してしまうことになる。これに対して、大当たり遊技開始時点における特図2保留球数の量によって、大当たり遊技のオープニング期間中の演出態様を可変するように構成することで、遊技者に対して有益な情報を提供することができる演出を実行することができ、演出効果を高めることができる。
一方、S4932の処理において、カウンタ(第2特別図柄保留球数カウンタ223d)の値が2以上では無いと判別した場合は(S4932:No)、大当たり中確保演出(図91(a)参照)を含む表示用大当たり開始コマンドを設定し(S4934)、本処理を終了する。
S4901の処理で、今回受信したコマンドが大当たり開始コマンドでは無いと判別した場合は(S4901:No)、次に、上述した第1実施形態の大当たり関連処理(図72(a)のS4802参照)と同一のS4903〜S4905の処理を実行し、S4905の処理において、エンディングコマンドを受信したと判別した場合は(S4905:Yes)、第2特別図柄保留球数カウンタ223dの値を読み出し(S4935)、カウンタの値が2以上であるかを判別する(S4936)。
S4936の処理において、カウンタの値が2以上であると判別した場合、即ち、大当たり遊技のエンディング期間の開始時点で特図2保留球数が2以上である場合には(S4936:Yes)、その大当たり遊技終了後における第2特別図柄の保留球数(特図2保留球数)が2個以上の場合であるため、潜確状態中の遊技として、第1特別図柄の変動時間として長時間(10分)の変動時間が設定され得る条件を満たしているため、通常のエンディング演出(図91(b)参照)を示すための表示用エンディングコマンドを設定し(S4937)、本処理を終了する。
一方、S4936の処理で、カウンタの値が2以上ではないと判別した場合は(S4936:No)、大当たり遊技のエンディング期間中に保留確保演出(図92(a)参照)を実行するための表示用エンディングコマンドを設定し(S4938)、本処理を終了する。
このように、本実施形態では、大当たり遊技終了時点(エンディング期間開始時点)における特図2保留球数の量によって、大当たり遊技のエンディング期間中の演出態様を可変するように構成することで、遊技者に対して有益な情報を提供することができる演出を実行することができ、演出効果を高めることができる。
S4905の処理において、エンディングコマンドを受信していないと判別した場合は(S4905:No)、次に、大当たり遊技の終了タイミング(エンディング期間経過タイミング)を示すコマンドを受信したかを判別し(S4939)、受信したと判別した場合は(S4939:Yes)、次に特図2保留球数を示すカウンタ(第2特別図柄保留球数カウンタ223d)の値が1以上であるかを判別し(S4940)、1以上であると判別した場合は(S4940:Yes)、表示用RUSHコマンドを設定し(S4941)、本処理を終了する。
ここで、表示用RUSHコマンドが設定されると、大当たり遊技終了後に全力モードを示す表示態様(図92(b)参照)が第3図柄表示装置81に表示される。一方、S4940の処理で、1以上では無い(0である)と判別した場合は(S4940:No)、待機フラグ223aaをオンに設定し(S4942)、表示用待機コマンドを設定し(S4943)、本処理を終了する。
ここで、S4940の処理で、1以上では無い(0である)と判別される場合は、その大当たり遊技終了後に、第2特別図柄の変動を開始することができない状態であるため、休憩ゾーンを示す表示態様(図93(a)参照)が第3図柄表示装置81に表示される。
次に、図115を参照して、変動表示設定処理2(S4162)の内容について説明をする。図115は、変動表示設定処理2(S4162)を示したフローチャートである。この変動表示設定処理2(S4162)は、上述した変動表示設定処理(図73S4112)に対して、第2特別図柄(特図2)の変動開始フラグ(特図2変動開始フラグ223f)がオンに設定されている場合に実行される処理の一部に新たな処理を追加した点で相違しており、それ以外の内容は同一である。同一の内容については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
変動表示設定処理2(S4162)が実行されるとまず、上述した変動表示設定処理(図73S4112)と同一のS5001〜S5008の処理を実行し、S5008の処理を終えると、次に待機フラグ223aaがオンに設定されているかを判別し(S5051)、オンに設定されていると判別した場合、即ち、休憩ゾーンが設定されている場合は(S5051:Yes)、待機フラグ223aaをオフに設定し(S5052)、表示用RUSHコマンドを設定し(S5053)、その後、上述した変動表示設定処理(図73S4112)と同一のS5009〜S5012の処理を実行し、本処理を終了する。
以上、説明をした通り、本第2実施形態では、遊技盤13の右側領域の上流側に、スルーゲート67を配設し、その下流方向に第2入球口640を配設し、さらに、その下方に入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)を配設するように構成している。このように構成することで、第1実施形態のパチンコ機10とは異なり、当たり遊技(大当たり遊技、小当たり遊技)中に実行される右打ち遊技において、球をスルーゲート67や第2入球口640に入球させ易くすることができる。
また、本第2実施形態では、遊技盤13の右側領域の最上流側に振分部材700を設け、右打ち遊技によって発射された球が、交互に複数(2つ)の流路(第1流路701、第2流路702)に振り分けられるように構成している。このように構成することで、スルーゲート67を通過する球数を制限することができる。また、球が各流路に流入するタイミングに一定の間隔(約1秒)を持たせることが可能となる。さらに、本第2実施形態では、スルーゲート67を通過したことに基づいて実行される普通図柄抽選(変動)の変動時間を、普通図柄の保留球数や設定されている遊技状態に応じて可変設定可能に構成している。
これにより、例えば、一の球がスルーゲート67を通過した場合に、その一の球が第2入球口640に入球し易い状態(例えば、普通図柄の低確率状態で、且つ、普通図柄保留球数が1以上の状態)と、第2入球口640に入球し難い状態(例えば、普通図柄の高確率状態、或いは、普通図柄の低確率状態で且つ普通図柄保留球数が0の状態)を容易に設定することができる。
加えて、本第2実施形態では、上述した一の球が第2入球口640に入球し難い状態として、スルーゲート67を通過した一の球が第2入球口640に到達する時点で、既に当たり遊技が終了している第1状態と、スルーゲート67を通過した一の球が第2入球口640に到達する時点で、普通図柄変動が終了していない第2状態と、を設定可能に構成している。
このように構成することで、スルーゲート67を通過した一の球が第2入球口640に入球し難い状態を、さらに、スルーゲート67を通過した一の球以外の他の球も入球し難い状態と、スルーゲート67を通過した一の球以外の他の球は入球可能な状態とに細分化して設定することが可能となる。
これにより、継続して実行される遊技において、第2入球口640への球の入球のし易さ(入球具合)として3つ以上のパターンを設定するができるため、多様な遊技性を提供することができる。
なお、上述した第2実施形態では、右打ち遊技によって発射された球がスルーゲート67及び第2入球口640へ入球する際の球流れについて詳細に説明をしたが、第2入球口640に球が入球した場合に実行される第2特別図柄変動の変動時間と、各入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)の開放動作タイミングについても様々なパターンを設定しても良い。
例えば、本第2実施形態では、第1流路701の球流下時間が1.6秒で、第2流路702の球流下時間が1秒となるように構成されており、更に、各流路へ球が0.6秒間隔で流入するように構成している。よって、遊技状態として潜確状態が設定され、普図保留球数が1以上の場合、即ち、スルーゲート67を通過した球が容易に第2入球口640に入球可能な状態では、一の球がスルーゲート67を通過し、その通過に基づいて実行される普通図柄抽選で当たりに当選し、第2入球口640に一の球が入球したタイミング(スルーゲート67を通過してから約1秒後)の時点では、一の球の次に振分部材700に到達した他の球(一の球の0.6秒後に振分部材700に到達した球)が第1流路701に流入してから0.4秒が経過したタイミングとなる。
そこで、上述した他の球が第1流路701を流下し、遊技盤13の右側領域の下方に設けられた各入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)に到達するタイミングで各入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)が当たり遊技(例えば、小当たり遊技)で開放動作され得るように、第2特別図柄の変動時間(例えば、1秒)を設定するように構成すると良い。
このように構成することで、連続して右打ち遊技を実行することにより、小当たり遊技中に各入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)へ球を入賞させ易くすることができるため、遊技者に継続して右打ち遊技を実行させ易くすることができる。
また、本実施形態のように、右打ち遊技によって発射された球が振り分けられて流入する複数の流路の球流下時間を、球の振分間隔(0.6秒)分異ならせることにより、各流路から球が排出されるタイミングを略同一に構成することで、各入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)に複数の球を同じタイミングで到達させる構成を用いた場合であれば、上述した他の球(第1流路701を流下する球)の次に振分部材700へ到達する球(一の球の次に、第2流路702を流下する球)も、上述した他の球と同様のタイミングで各入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)へと到達することになる。
よって、連続して右打ち遊技を実行することにより、小当たり遊技中に各入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)へ複数の球を入賞させ易くすることができるため、遊技者に継続して右打ち遊技を実行させ易くすることができる。さらに、一の球の次に第2流路702を流下する球が第2入球口640に入球してしまうと、その球を各入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)へ入賞させることが出来なくなるため、普通図柄の抽選が連続して当選しないほうが遊技者に有利な遊技状況を提供することが可能となるという特殊な状態を設定することができる。
さらに、本実施形態では、図89を示して上述した通り、第1流路701を流下した球と、第2流路702を流下した球とが、いずれも各入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)へ入賞可能な流路を流下するように構成しているが、一方の流路を流下した球はV入賞装置650、可変入賞装置65の何れにも入賞可能な流路を流下するようにし、他方の流路を流下した球は下流側に設けられた入賞装置(可変入賞装置65)のみ入賞可能な流路を流下させるように構成しても良い。
このように構成することで、各流路の球の流下タイミングと、当たり遊技(例えば、小当たり遊技)において開放動作される入賞装置の種別と、によって、球の入賞のし易さが可変することになるため、遊技者に対して、当たり遊技の内容を注視させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
また、複数の流路のうち、少なくとも一の流路が各入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)へ入賞可能となるように構成することで、その流路を球が流下している際は、当たり遊技(例えば、小当たり遊技)において開放動作される入賞装置の種別を気にすること無く開放動作タイミングのみを注視させることができる。よって各流路の球の流下状況に応じて、遊技者が注視すべき遊技内容を異ならせることができるため、遊技者が早期に遊技に飽きてしまうことを抑制することができる。
また、本第2実施形態では、スルーゲート67を通過した球と、その球以降に右側領域へ発射された球との球流れについて説明をしたが、例えば、スルーゲート67を通過した球と、その球よりも以前に右側領域へと発射された球との球流れについても以下のように構成することで、過剰に球が第2入球口640や各入賞装置(V入賞装置650、可変入賞装置65)に入球することを抑制することができる。
即ち、遊技状態として確変状態が設定されている状態で球がスルーゲート67を通過した場合には、その前にスルーゲート67を通過した球は既に、第2流路702を流下しているため、その球が第2入球口640に入球することが無い。
また、一の球が第2入球口640に入球し、実行される第2特別図柄の変動時間(例えば、1秒)が経過するまでの期間よりも、一の球の前に右打ち遊技によって発射された球が各入賞装置のうち、下流側に設けられた可変入賞装置65上を流下するまでの期間のほうが短くなるように構成することで、一の球が第2入球口640に入球したことに基づいて実行される当たり遊技(小当たり遊技)中に、一の球よりも前に発射された球が、当たり遊技によって開放動作される入賞装置に入賞することを抑制することができる。
なお、上述した構成とは異なり、一の球が第2入球口640に入球し、実行される第2特別図柄の変動時間(例えば、1秒)が経過するまでの期間よりも、一の球の前に右打ち遊技によって発射された球が各入賞装置のうち、下流側に設けられた可変入賞装置65上を流下するまでの期間のほうが長くなるように構成し、右打ち遊技を継続して実行することにより当たり遊技中に入賞し得る球数を増加させるように構成しても良い。
以上、説明をした第1実施形態、第2実施形態では、各流路を球が流下する期間(時間)を特定の期間(時間)に規定して説明をしたが、実際には、球の回転運動や、湿度や、球に付着する埃等により、球と球流下面との間に生じる摩擦係数が異なることから各流路を球が流下する期間は常に一定では無く、約0.1秒程度の誤差が生じるものである。上述した各実施形態において規定した球流下期間は、その平均値を示したものである。
よって、実際には、各実施形態における各流路の球流下期間として規定された期間とは異なる流下時間を要して球が各流路を流下する場合も発生するものである。このように、実際に球が流下する時間に誤差が生じることにより、遊技者に対して想定外の特典を付与することが可能となるため、遊技者に意外性のある遊技を提供することができ、遊技の興趣を向上させることができる。なお、この場合、特典を付与可能な期間(有効期間)として、流下期間の誤差範囲を予め設定しておくことで、意図的に球の流下を操作して特典を獲得しようとする不正行為が有効期間外に行われた場合に、その不正行為を無効にすることができる。
以上説明をした第2実施形態では、潜確状態が設定されている状態で遊技者に不利となる大当たりに当選した場合に、その大当たり遊技終了後に直接通常状態を設定するのでは無く、所定期間の時短状態を介してから通常状態を設定するように構成し、その時短状態中に大当たりに当選した場合は、通常状態中に大当たりに当選した場合よりも、その大当たり終了後に潜確状態が設定され易くなるように構成している。
さらに、時短状態が設定されていること示す演出態様が第3図柄表示装置81に表示される引き戻し演出が実行されるように構成している。加えて、時短状態の終了条件として、複数の終了条件を設定可能にし、複数の終了条件のうち何れかの終了条件が成立した場合に時短状態を終了させるように構成している。
このように構成することで、時短状態が終了するタイミングを遊技者に分かり難くすることができ、遊技者に対して引き戻し演出の演出内容を用いて時短状態の終了タイミングを予測させることで演出効果を高めるように構成していた。
このような構成に加え、引き戻し演出を終了させる演出終了条件を設定可能に構成し、時短状態の終了の有無に関わらず、演出終了条件が成立した場合に、引き戻し演出を終了させるように構成しても良い。これにより、時短状態の設定状況と、引き戻し演出の実行状況と、を異ならせることができる。よって、遊技者に現在設定されている遊技状態が容易に把握されてしまうことを抑制することができるため、遊技の興趣を向上させることができる。
さらに、この場合、時短状態の終了条件を設定する要素(例えば、特図1の変動回数、特図2の変動回数、小当たり実行回数等)と、同一の要素を用いて演出終了条件を設定するように構成し、各要素に対して設定する時短終了条件(例えば、回数)を、上述した時短終了条件とは異ならせるように構成すると良い。これにより、実際に時短終了条件が成立し得るタイミングで、演出終了条件を成立させることができるため、遊技者に対して引き戻し演出が終了したタイミングで時短終了条件が成立したと思わせることができる。
加えて、時短終了条件を複数設定可能に構成し、例えば、第1時短終了条件(特図1変動回数2回、特図2変動回数4回、小当たり実行回数(当選回数)1回)と第2時短終了条件(特図1変動回数50回、特図2変動回数10回、小当たり実行回数(当選回数)50回)の何れかを、大当たり当選時における特別図柄の種別や、遊技状態に応じて設定可能に構成し、同様に、演出終了条件も複数設定可能に構成すると良い。
このように構成することで、時短終了条件の設定内容と、演出終了条件の設定内容に応じて、通常状態が設定されているにも関わらず、引き戻し演出が実行される状態と、時短状態が設定されているにも関わらず、引き戻し演出が実行されない状態と、を容易に設定することができるため、遊技者が現在設定されている遊技状態を容易に把握してしまう事態を抑制することができる。
また、本第2実施形態では、通常状態が設定された状態で特図2の保留球数が存在することを抑制するために時短状態を設けていることから、上述した演出終了条件として、特図2の保留球数が0であると判別した場合に成立する演出終了条件を設定するように構成しても良い。これにより、時短状態が設定されており、且つ特図2の保留球数が存在しているにも関わらず、演出終了条件が成立し、時短状態が設定されていることを示す引き戻し演出が終了してしまうことを抑制することができる。よって、遊技者に不快感を与える演出が実行されることを抑制することができる。
さらに、本第2実施形態では、通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)でも、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)でも、第2入球口640に球が入球し難くなるように構成しているため、第2入球口640への球の入球具合に応じて遊技者が現在の遊技状態を判別することが困難となるように構成している。よって、遊技者が現在設定されている遊技状態を容易に把握してしまう事態を抑制することができる。
なお、本第2実施形態では、通常状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の低確率状態)において設定される普通図柄の変動時間と、時短状態(特別図柄の低確率状態、普通図柄の高確率状態)において設定される普通図柄の変動時間と、が異なるように構成している。また、普通図柄の抽選で当たりに当選する確率も異なるように構成している。よって、第2入球口640への球の入球具合では無く、電動役物640aの開放動作状況を確認することで現在の遊技状態を予測し得るように構成している。よって、長期間遊技を行い、各遊技状態における電動役物640aの開放状況を把握している熟練の遊技者に対して現在の遊技状態を把握させるための要素を提供することができる。
また、大当たり終了時点において、特図2保留球数を判別し、大当たり終了時点で特図2保留球数が0である場合には、時短状態が設定されたとしても引き戻し演出を実行しないように構成しても良い。また、本実施形態では、時短状態を、特図2の保留数を減少させることを目的として遊技状態と、通常状態よりも大当たり当選時に遊技者に有利となる潜確状態へと移行し易くすることを目的とした遊技状態という2つの目的を達成するために用いているが、勿論、何れか一方の目的を達成するために用いても良いし、時短状態が設定されている期間内において、所定期間中は一方の目的を達成するために用いられ、所定期間以外の期間中は他方の目的を達成するために用いられるように構成しても良い。
さらに、時短終了条件とは異なる演出終了条件を設定する構成を用いる場合、演出終了条件として、上述したように、時短終了条件同様に終了条件が設定される各要素に対して複数の値から1の値を設定し、何れかの終了条件が成立した場合に引き戻し演出を終了させるパターンと、予め定められた演出期間(例えば、特別図柄の変動回数が30回(時短状態が終了していない場合が存在する範囲内の回数)に到達するまでの期間)の間、継続して引き戻し演出を実行し、その演出期間が終了したタイミングで現在が時短状態であるか否かを報知するパターンと、時短終了条件が成立したことに基づいて引き戻し演出を終了させるパターンと、を選択可能にし、選択されたパターンに基づいた引き戻し演出を実行するように構成しても良い。
この場合、遊技者が操作可能な操作手段(例えば、枠ボタン22)に対する遊技者の操作に基づいて各パターンを遊技者が選択できるように構成しても良い。このように構成することで、各遊技者が所望する態様で引き戻し演出を実行させることができる。
また、引き戻し演出が終了した後には、通常状態が設定されていることを示唆するための示唆演出(通常演出)が実行されるように構成しても良いし、時短状態中なのか通常状態中なのかを遊技者に分かり難く示唆する特別示唆演出が実行されるように構成しても良い。加えて、引き戻し演出が終了した場合において、通常演出を所定期間実行した後に、再度、引き戻し演出を実行可能な条件(例えば、時短終了条件が成立していないことを条件とする)が成立しているかを判別し、その判別結果に基づいて再度引き戻し演出を実行するように構成しても良いし、引き戻し演出を実行するための演出データとして、所定期間(例えば、特別図柄変動が10回行われる期間や、演出実行期間が2分を経過するまでの期間等)が経過した場合に、一旦、通常演出を実行するように演出データを設定するように構成しても良い。
このように構成することで、引き戻し演出が一旦終了した後も、再度引き戻し演出が実行されるのではと遊技者に期待感を持たせて遊技を行わせることができる。また、時短状態を終了させるための時短終了条件として、その時短終了条件が成立し易いパターンと、成立し難いパターンと、を有した場合においても、引き戻し演出を終了させるタイミングを同様に設定することが可能となるため、時短終了条件が成立し易いパターンが設定され、既に時短状態が終了した状態であっても、期待感を持たせて遊技を行わせることができる。
<第3実施形態>
次に、図116〜図121を参照して、第3実施形態におけるパチンコ機10について説明する。上述した第1実施形態では、特別図柄の抽選を実行する際に、第1当たり乱数カウンタC1の値(0〜399)を取得し、その取得した値が大当たりを示す判定値(第1当たり乱数テーブル202aに規定されている判定値)と一致するか否かを判別するように構成していた。また、近年では、特別図柄の抽選結果を複雑にするために、上述した特別図柄の抽選に用いる抽選値(第1当たり乱数カウンタC1の更新範囲、或いは、第1当たり乱数テーブル202aに規定される判定値の範囲)を大きくする傾向がある。
具体的には、抽選値を示すための抽選値データとして、2バイト分の容量(0〜65535)を用いることが一般的になっており、そのデータ容量が、主制御装置110の構成を圧迫してしまうという問題があった。また、近年のパチンコ機10では、様々なゲーム性を遊技者に提供するために、複数種類の乱数カウンタを設け、大当たり抽選以外の様々な抽選(例えば、普通図柄の当たり抽選、小当たり抽選、大当たり種別抽選、小当たり種別抽選)を実行するように構成しており、さらに、各抽選の抽選結果として複数の抽選結果を規定することでより多彩な遊技を提供可能にし、遊技者が早期に飽きてしまわないように構成されている。
このように構成されたパチンコ機10は、遊技者に対して多彩な遊技を提供すること可能となり、遊技者が早期に遊技に飽きてしまわないようにすることができるものであったが、各乱数カウンタの更新範囲(取得範囲)が大きくなってしまうことから、主制御装置110の構成を圧迫してしまうという問題があった。
加えて、上述したように複数の乱数カウンタを有する構成を用いたとしても、その乱数カウンタを全て用いて遊技を実行することは稀であり、遊技に用いない乱数値を常時更新することになるため、主制御装置110の制御負荷が増大してしまうという問題があった。
これに対して、本第3実施形態では、大当たり抽選に用いる抽選値データの容量を圧縮し(1バイト分のデータ容量にし)、その抽選値データに対して所定の演算を実行し、その演算により算出された値を用いて大当たりの当否判定を実行するように構成している。このように構成することで、抽選値データのデータ容量を小さくすることができるため、主制御装置110の構成が圧迫されることを抑制することができる。
なお、以下に説明をする第3実施形態では、特別図柄の大当たり判定を行う際に用いる抽選値データの構成、及び、抽選値データに対する演算処理について具体的な説明をする。その他の判定を行う際に用いられる各データや各処理においても同様の構成を有するものがあるが、同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
<第3実施形態における電気的構成について>
次に、図116〜119を参照して、本第3実施形態における電気的構成について説明をする。まず、図116を参照して、本第3実施形態における主制御装置110のROM202の構成について説明をする。図116は、主制御装置110のROM202に規定されている内容を模式的に示した模式図である。
図116に示した通り、本第3実施形態のパチンコ機10のROM202は、上述した第1実施形態のパチンコ機10のROM202の構成に対して、第1当たり乱数テーブル202aに代えて第1当たり乱数テーブル202caを設けた点、新たに乱数データ変動テーブルを設けた点で相違している。それ以外の要素については同一であり、同一の要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
第1当たり乱数3テーブル202caは、特別図柄の大当たり判定を実行する際に参照するものであって、大当たりを判定するための判定値が規定されているものである。この第1当たり乱数3テーブル202caには、第1当たり乱数カウンタC1の更新範囲である「0〜399」の範囲よりも少ないデータ容量となる1バイト(8ビット)、即ち、10進数で「0〜255」の値を生成可能なデータ容量内で判定値(変換前判定値)が規定されている。
ここで、図119(b)を参照して、第1当たり乱数3テーブル202caの内容について説明をする。図119(b)は、第1当たり乱数3テーブル202caに規定されている内容を模式的に示した模式図である。図119(b)に示した通り、この第1当たり乱数3テーブル202caには、10種類の判定用テーブル(テーブル参照値「0」〜「9」)が規定されており、各判定用テーブルに対して大当たり当選値として1バイトの判定値(変換前判定値)が規定されている。
そして、大当たり判定(当否判定)が実行される場合には、予め定められた規則に沿って、10種類の判定用テーブル(テーブル参照値「0」〜「9」)を参照して大当たり判定が実行される。
なお、図119(b)に示した第1当たり乱数3テーブル202caには、説明の便宜上、後述する乱数データ変換テーブル202cbに記憶されている変換規則に応じた演算結果を合わせて示しているが、実際には変換前判定値のみが規定されているものである。
この第1当たり乱数3テーブル202caに規定されている内容を具体的に説明すると、テーブル参照値「0」の判定用テーブルには、変換前判定値として「07H」が規定されている。このテーブル参照値「0」の判定用テーブルは、大当たり判定を実行する際の特別図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に関わらず、1回目の当否判定に用いられる。次いで、テーブル参照値「1」の判定用テーブルには、変換前判定値として「08H」が規定されている。このテーブル参照値「1」の判定用テーブルは、大当たり判定を実行する際の特別図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に関わらず、2回目の当否判定に用いられる。
テーブル参照値「2」の判定用テーブルには、変換前判定値として「40H」が規定されている。このテーブル参照値「2」の判定用テーブルは、大当たり判定を実行する際の特別図柄の確率状態が低確率状態である場合には、大当たり判定処理の終了を判定するために用いられ、高確率状態である場合には、大当たり判定を行わず、次のテーブル参照値へと大当たり判定を以降させるために用いられる。次いで、テーブル参照値「3」の判定用テーブルには、変換前判定値として「51H」が規定されている。このテーブル参照値「3」の判定用テーブルは、大当たり判定を実行する際の特別図柄の確率状態が高確率状態の場合の3回目の当否判定に用いられる。
テーブル参照値「4」の判定用テーブルには、変換前判定値として「61H」が規定されている。このテーブル参照値「4」の判定用テーブルは、大当たり判定を実行する際の特別図柄の確率状態が高確率状態の場合の4回目の当否判定に用いられ、テーブル参照値「5」の判定用テーブルには、変換前判定値として「91H」が規定されている。このテーブル参照値「5」の判定用テーブルは、大当たり判定を実行する際の特別図柄の確率状態が高確率状態の場合の5回目の当否判定に用いられる。
さらに、テーブル参照値「6」の判定用テーブルには、変換前判定値として「ABH」が規定されている。このテーブル参照値「6」の判定用テーブルは、大当たり判定を実行する際の特別図柄の確率状態が高確率状態の場合の6回目の当否判定に用いられ、テーブル参照値「7」の判定用テーブルには、変換前判定値として「E2H」が規定されている。このテーブル参照値「7」の判定用テーブルは、大当たり判定を実行する際の特別図柄の確率状態が高確率状態の場合の7回目の当否判定に用いられる。
テーブル参照値「8」の判定用テーブルには、変換前判定値として「EFH」が規定されている。このテーブル参照値「8」の判定用テーブルは、大当たり判定を実行する際の特別図柄の確率状態が高確率状態の場合の8回目の当否判定に用いられる。そして、テーブル参照値「9」の判定用テーブルには、変換前判定値として「00H」が規定されている。このテーブル参照値「9」の判定用テーブルは、大当たり判定を実行する際の特別図柄の確率状態が高確率状態の場合に、大当たり判定処理の終了を判定するために用いられる。
この第1当たり乱数3テーブル202caの各判定用テーブルに規定されている変換前判定値は、後述する乱数データ変換テーブル202cbに記憶されている変換規則を用いて2バイトの判定値(変換後判定値)へと変換される。詳細な変換規則内容については後述するが、具体的には、テーブル参照値「0」に規定されている変換前判定値「07H」は、変換後判定値「7(0007H)」に変換され、テーブル参照値「1」に規定されている変換前判定値「08H」は、変換後判定値「8(0008H)」に変換され、テーブル参照値「2」に規定されている変換前判定値「40H」は、変換後判定値「0(0000H)」に変換され、テーブル参照値「3」に規定されている変換前判定値「51H」は、変換後判定値「34(0022H)」に変換され、テーブル参照値「4」に規定されている変換前判定値「61H」は、変換後判定値「66(0042H)」に変換される。
次いで、テーブル参照値「5」に規定されている変換前判定値「91H」は、変換後判定値「68(0044H)」に変換され、テーブル参照値「6」に規定されている変換前判定値「ABH」は、変換後判定値「172(00ACH)」に変換され、テーブル参照値「7」に規定されている変換前判定値「E2H」は、変換後判定値「272(0110H)」に変換され、テーブル参照値「8」に規定されている変換前判定値「EFH」は、変換後判定値「376(0178H)」に変換され、テーブル参照値「9」に規定されている変換前判定値「00H」は、変換後判定値「0(0000H)」に変換される。
そして、第1当たり乱数3テーブル202caに規定されている各変換前判定値を変換した変換後判定値の値と、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値とが一致したと判別した場合に、大当たりに当選したと判定される。また、テーブル参照値「2」と、テーブル参照値「9」とは、変換後判定値が同一の「0(0000H)」となる。
このように、変換後判定値が同一となるものは、変換規則を用いた変換処理を実行する前に特定し、大当たり判定以外の用途で用いるように構成している。これにより、1バイトのデータ容量内で設定される変換前判定値を複数の用途に用いることができるため、主制御装置110のデータ容量を削減することができる。加えて、大当たり判定を行う際に参照される値(変換後判定値)として、重複することの無い変換後判定値のみを用いることで、設計値通りの確率で大当たり判定を実行することができる。
また、図119(b)を参照して説明をした通り、本第3実施形態では、特別図柄が低確率状態である場合は、第1当たり乱数3テーブル202caに規定されている複数(10個)の判定用テーブルのうち、テーブル参照値「0」、「1」の2つを用いて大当たり判定を行い、特別図柄が高確率状態である場合は、第1当たり乱数3テーブル202caに規定されている複数(10個)の判定用テーブルのうち、テーブル参照値「0」、「1」、「3」〜「8」の8つを用いて大当たり判定を行うように構成している。このように、特別図柄の確率状態に応じて参照する判定用テーブルの数(実行する大当たり判定の回数)を可変させることで、実質の大当たり確率を可変させるように構成している。
このように構成することで、特別図柄の確率状態に応じて複雑な確率(大当たり確率)を設定するために、データ量の大きな抽選値(例えば、2バイトの抽選値)を用いる必要を無くすことができるため、主制御装置110のデータ容量を削減することができる。
乱数データ変換テーブル202cbは、第1当たり乱数3テーブル202caに規定されている変換前判定値(1バイトの判定値)を変換処理する際に参照される変換規則が記憶されているものである。
ここで、本第3実施形態において実行される変換前判定値(1バイトの判定値)に対して実行される変換処理の内容について簡単に説明をする。本第3実施形態では、1バイトのデータ容量(256通りのデータ量)にて設定された変換前判定値(10進数で「0〜255」の範囲の値)が、第1当たり乱数カウンタC1の更新範囲(「0〜399」)内の大当たり判定値となるように変換処理を実行する。
変換処理が実行されると、まず、変換前判定値(16進数)が8ビットの2進数の値で示され、各ビットに対して規定されている(乗数部、仮数部)に分割し、乗数部に対応するビットが示す値から乗数値を算出し、仮数部に対応するビットが示す値から被乗数値を算出する。そして、乗数値と被乗数値とを乗算し、算出された値を変換後判定値とする。
このように構成することで、10進法で「0〜255」の範囲しか示すことのできない1バイトのデータ容量を用いて、1バイトのデータ容量を超えた範囲に対して判定値を設定することが可能となる。よって、判定値として予め記憶される値のデータ容量を圧縮することができる。
次に、図118及び図119(a)を参照して、乱数データ変換テーブル202cbに記憶されている変換規則について具体的に説明をする。まず、図118(a)を参照して、変換前データ(1バイトの変換前判定値)を構成する各ビットの役割について説明をする。図118(a)は、乱数データ変換テーブル202cbが有する変換前データのビット構成を規定した領域を模式的に示した模式図である。
図118(a)に示した通り、変換前データ(1バイトの変換前判定値)は、8ビットの2進数で構成されており、その8ビットの最上位ビットがビット種別「7」に規定され、最下位ビットがビット種別「0」となるように、各ビットにビット種別が規定されている。そして、その8ビットデータのうち、上位2(n)ビットが、乗数部に対応し、下位6(8−n)ビットが、仮数部に対応するように規定されている。
次に、図118(b)を参照して、乗数部に規定された上位2(n)ビットが有する値に対する変換規則について説明をする。図118(b)は、乱数データ変換テーブル202cbが有する乗数部変換データを規定した領域を模式的に示した模式図である。図118(b)に示した通り、変換前判定値のうち、乗数部として規定される上位2(n)ビットが示す値に対して異なる乗数値が規定されている。
具体的には、上位2(n)ビットが、「00B」に対して乗数値「1」が規定され、「01B」に対して乗数値「2」が規定され、「10B」に対して乗数値「4」が規定され、11B」に対して乗数値「8」が規定されている。このように上位2(n)ビットが示す値に応じて異なる乗数値を規定することで、変換後の値を様々な大きさにすることができる。
また、本第3実施形態では、乗数値が2の乗数となるように規定している。これにより、異なる変換前判定値に対して変換処理を実行した結果、同一の値となる場合を意図的に現出させるように構成することができる。よって、変換後判定値として算出された値の重み、即ち、算出され易い値と、算出され難い値と、を設けることができるため、例えば、特別図柄の遊技状態(大当たりに当選し易い高確率状態、大当たりに当選し難い低確率状態)に応じた値を大当たりに対応する判定値として設定することで、大当たり判定値に該当する判定値の数を変えること無く大当たり当選確率を可変することができる。
次に、図118(c)を参照して、仮数部に規定された下位6(8−n)ビットが有する値に対する変換規則について説明をする。図118(c)は、乱数データ変換テーブル202cbが有する仮数部変換データを規定した領域を模式的に示した模式図である。図118(c)に示した通り、変換前判定値のうち、仮数部として規定される下位6(8−n)ビットが示す値に対して異なる重み値が規定されている。
具体的には、下位6(8−n)ビットのうち、ビット種別「0」に対して重み値「1」が規定され、ビット種別「1」に対して重み値「2」が規定され、ビット種別「2」に対して重み値「4」が規定され、ビット種別「3」に対して重み値「8」が規定され、ビット種別「4」に対して重み値「16」が規定され、ビット種別「5」に対して重み値「32」が規定されている。
次に、図119(a)を参照して、変換前判定値の値を、乱数データ変換テーブル202cbに規定されている変換規則に沿って変換する場合の具体例について説明をする。図119(a)は、変換前判定値(1バイト分の判定値)を変換後判定値(2バイト分の判定値)に変換する例を説明した説明図である。
まず、変換前データの判定値(変換前判定値)が10進数で「239」(16進数で「EFH」)である場合の変換例について説明をする。16進数で「EFH」となる値は、8ビットの2進数で「11101111B」となり、上位2ビット「11B」が乗数部となり、下位6ビット「101111B」が仮数部となる。
そして、乱数データ変換テーブル202cbを参照して、乗数部「11B」に対応する乗数値「8」を読み出し(図118(b)参照)、仮数部「101111B」に対応する重み値「32+0+8+4+2+1」を読み出し(図118(c)参照)、被乗数値「47」を算出する。その後、乗数値「8」と被乗数値「47」とを乗算し「376(10進数)」を算出する。これにより、10進数「0〜255」の範囲で規定されていた変換前判定値「239」が変換処理によって、その範囲を超えた「376」に変換することができる。
同様に、変換前データの判定値(変換前判定値)が10進数で「0」(16進数で「00H」)である場合の変換例について説明をする。16進数で「00H」となる値は、8ビットの2進数で「00000000B」となり、上位2ビット「00B」が乗数部となり、下位6ビット「000000B」が仮数部となる。
そして、乱数データ変換テーブル202cbを参照して、乗数部「00B」に対応する乗数値「1」を読み出し(図118(b)参照)、仮数部「000000B」に対応する重み値「0+0+0+0+0+0」を読み出し(図118(c)参照)、被乗数値「0」を算出する。その後、乗数値「1」と被乗数値「0」とを乗算し「0(10進数)」を算出する。
次に、変換前データの判定値(変換前判定値)が10進数で「64」(16進数で「40H」)である場合の変換例について説明をする。16進数で「40H」となる値は、8ビットの2進数で「01000000B」となり、上位2ビット「01B」が乗数部となり、下位6ビット「000000B」が仮数部となる。
そして、乱数データ変換テーブル202cbを参照して、乗数部「01B」に対応する乗数値「2」を読み出し(図118(b)参照)、仮数部「000000B」に対応する重み値「0+0+0+0+0+0」を読み出し(図118(c)参照)、被乗数値「0」を算出する。その後、乗数値「2」と被乗数値「0」とを乗算し「0(10進数)」を算出する。
上述した通り、本実施形態の変換処理によれば、変換前判定値(1バイトの判定値)が異なる場合であっても(「00H」と「40H」」)、変換処理後の値が同一(「0」)となる場合がある。つまり、本実施形態では仮数部が「000000B」となる値は、変換処理後の値が同一となるように変換処理の演算規則を規定している。
本実施形態では、変換処理後の値が同一(「0」)となる変換前判定値を取得したと判別した場合を、変換処理をスキップし、他の処理を実行させる条件として用いるように構成している。このように、変換処理後の値が重複してしまう変換前判定値を大当たり判定に使用しないように構成することにより、全ての判定値に対して公正な大当たり判定を実行することができる。
なお、詳細な説明は後述するが、本第3実施形態では特別図柄の高確率状態にて実行する大当たり判定処理と、特別図柄の低確率状態にて実行する大当たり判定処理とで、第1当たり乱数3テーブル202caを参照する回数を異ならせるように構成しており、上述した変換処理後の値が同一(「0」)となる変換前判定値の取得を、特別図柄の確率状態(高確率状態、低確率状態)に応じた大当たり判定の終了契機とするように構成している。
これにより、変換処理後の値(変換後判定値)が同一となる変換前判定値を有効に活用することができる。本第3実施形態では、変換処理後の値(変換後判定値)が同一となる変換前判定値を大当たり判定の終了契機として用いているが、これに限ること無く、例えば、変換処理後の値が重複してしまう変換前判定値を特別図柄の高確率状態にて大当たりと判定されるように設定しても良い。
このように構成することにより、例えば、特別図柄の高確率状態の大当たり確率が、特別図柄の低確率状態の大当たり確率よりも5倍大当たりに当選し易くなるように設定する場合において、大当たり当選と判定される判定値の種類を5倍に増やす必要を無くすことができる。つまり、特別図柄の低確率状態にて大当たり当選と判定される判定値(変換後判定値)は、1つの変換前判定値からのみ変換可能な値とし、特別図柄の高確率状態にて大当たり当選と判定される判定処理(変換後判定値)は、5つの変換前判定値から変換される値とすることで、実質の大当たり確率を5倍高めることができる。よって、大当たり判定値として規定する値を記憶する領域を削減することが可能となる。
以上、説明をした通り、本実施形態では、特定範囲(1バイトのデータ容量)内で設定可能な判定値(変換前判定値(0〜255))を予め設定しておき、その判定値(変換前判定値)に対して所定の演算規則に基づいた演算処理を実行することで、上述した特定範囲よりも大きな範囲(第1当たり乱数カウンタC1の更新範囲(0〜399))内の判定値(変換後判定値(0〜399))へと変換可能に構成している。これにより、予め設定される(記憶される)判定値のデータ容量を圧縮することができる。
また、所定の演算規則として、変換後の判定値が重複し得る演算規則を用いており、変換後の判定値となる値に対して偏りが発生するように構成している。そして、変換後判定値のうち重複する判定値を、大当たり判定以外の目的(例えば、大当たり判定処理を終了させる契機)で用いるように構成している。このように構成することで、予め設定された特定範囲内で設定可能な判定値を複数の用途で用いることができるため、主制御装置110のデータ容量を削減することができる。
なお、本実施形態では、図118(b)や図118(c)に示した通り、1種類の演算規則しか有していないが、これに限ること無く、例えば、乗数部の値(上位2ビットの値)に対する乗数値が規定されている乗数変換データを複数設け、所定の選択抽選手段を設け、その選択抽選手段によって選択された乗数変換データを用いて演算処理を実行するように構成しても良い。
このように構成することにより、1の変換前判定値から複数の変換後判定値を算出することができるため、予め設定される(記憶される)判定値のデータ容量をより圧縮することができる。同様に仮数部変換データを複数設けるように構成しても良い。
また、本実施形態では、乗数部変換データ(図118(b)参照)と、仮数部変換データ(図118(c)参照)とで対応付けられている値が2の乗数となるように規定している。これにより、複雑な演算処理を実行した後に(変換後に)、同一の判定値が現出し易くなるように構成している。これに対して、例えば、乗数部変換データ(図118(b)参照)と、仮数部変換データ(図118(c)参照)とで対応付けられている値が全て素数となるように規定しても良い。このように構成することで、変換後の判定値が重複する可能性を容易に減らすことができる。
次に、図117を参照して、主制御装置110のRAM203の内容について説明をする。図117は、主制御装置110のRAM203に規定されている内容を模式的に示した模式図である。
図117に示した通り、本第3実施形態のパチンコ機10のRAM203は、上述した第1実施形態のパチンコ機10のRAM203の構成に対して、変換後データ記憶エリア203caを設けた点で相違し、それ以外は同一である。同一の要素については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
変換後データ記憶エリア203caは、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値に対して所定の演算を実行したことにより算出した値(変換後データ)を一時的に記憶するための記憶領域である。この変換後データ記憶エリア203caに記憶された情報は、他のRAM203に記憶された情報と同様に、パチンコ機10の電源がオフになった後も所定期間保持されるように構成されている。よって、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値に対して所定の演算を実行することで算出した値(変換後データ)を用いる前に停電によって電源がオフになったとしても、その停電復帰後に、変換後データを用いた処理を実行することができる。
この変換後データ記憶エリア203caには、後述する変換抽選判定処理(図121のS451参照)にて変換後データが算出された場合に、算出した変換後データが記憶され、変換後データを用いた当否判定結果が設定された後に記憶された変換後データが消去される。
<第3実施形態における主制御装置の制御処理について>
次に、図120、図121を参照して、本第3実施形態における主制御装置110の制御処理について説明をする。本第3実施形態では、上述した第1実施形態の主制御装置110の制御処理に対して、第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306参照)に替えて、第1特別図柄大当たり判定処理3(図120のS356参照)を実行する点で相違している。それ以外は同一であり、同一の要素については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図120は、第1特別図柄大当たり判定処理3(S356参照)の内容を示したフローチャートである。図120に示した通り、第1特別図柄大当たり判定処理3(S356参照)では、まず、上述した第1実施形態の第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306参照)と同一のS401の処理を実行し、その後、変換抽選判定処理(S451)を実行し、その後、第1特別図柄大当たり判定処理(図35のS306参照)と同一のS405〜S409の処理を実行し、本処理を終了する。
つまり、本第3実施形態は、上述した第1実施形態に対して、特別図柄の大当たり判定を実行する際の処理方法を異ならせた点でのみ相違していることになる。なお、詳細な説明は省略したが、本第3実施形態では、第1特別図柄だけでは無く、第2特別図柄の大当たり判定を実行する処理に対しても、変換抽選判定処理(図120のS451参照)が実行されるように構成しているが、対象を第1特別図柄から第2特別図柄へと変更した点以外は同一であるためその説明を省略する。
次に、図121を参照して、第1特別図柄大当たり判定処理3(図120のS356参照)にて実行される変換抽選判定処理(S451)の内容について説明をする。図120は、変換抽選判定処理(S451)を示したフローチャートである。
変換抽選判定処理(S451)では、まず、確変フラグ203gがオンに設定されているかを判別し(S371)、オンに設定されていると判別した場合は(S371:Yes)、判定終了値として「00H」をセットし(S372)、S374へ移行する。即ち、S372の処理では、現在が特別図柄の高確率状態であることから、第1当たり乱数3テーブル202caを参照した大当たり判定の終了時点をテーブル参照値「9」に対応する変換前判定値「00H」にセットすることで、1回の大当たり判定として第1当たり乱数3テーブル202caのテーブル参照値「0,1,3〜8」を用いた8回の判定が実行される。
一方、S371の処理で確変フラグ203gがオンに設定されていないと判別した場合は(S371:No)、判定終了値として「40H」をセットし(S373)、S374へ移行する。即ち、S373の処理では、現在が特別図柄の低確率状態であることから、第1当たり乱数3テーブル202caを参照した大当たり判定の終了時点を、テーブル参照値「2」に対応する変換前判定値「40H」にセットすることで、1回の大当たり判定として第1当たり乱数3テーブル202caのテーブル参照値「0,1」を用いた2回の判定が実行される。
S374の処理では、テーブル参照値として「0」をセットする(S374)。これにより、大当たり判定(特別図柄抽選)を実行する際に必ず第1当たり乱数3テーブル202caのテーブル参照値「0」から判定を実行することができる。
次に、第1当たり乱数3テーブル202caより、今回のテーブル参照値に基づいた判定値(変換前判定値)を取得し(S375)、取得した判定値(変換前判定値)が判定終了値(S372、或いはS373の処理で設定された値)であるかを判別する(S376)。S376の処理において、判定終了値であると判別した場合は(S376:Yes)、大当たり判定を終了させる条件が成立した場合であるため、抽選結果を外れに設定し(S382)、本処理を終了する。
一方、S376の処理において、判定終了値ではないと判別した場合は(S376:No)、今回取得した判定値(変換前判定値)が「40H」であるかを判別し(S377)、「40H」であると判別した場合(S377:Yes)、即ち、判定終了値として「00H」をセットした状態(特別図柄の高確率状態)で、今回取得した判定値(変換前判定値)が「40H」である場合は、現在設定されているテーブル参照値を1加算して(S378)、S375の処理へ移行する。つまり、S377,S378の処理の流れは、特別図柄の高確率状態が設定されている状態で、テーブル参照値「2」がセットされている場合に実行されるものである。
また、S377の処理で、判定値が「40H」ではないと判別した場合は(S377:No)、乱数データ変換テーブル202cbに規定されている各種変換データ(乗数部変換データ、仮数部変換データ)に基づいて判定値(変換前判定値)を変換(演算)し(S379)、変換した値(変換後判定値)が抽選値(取得した第1当たり乱数カウンタC1の値)と一致するかを判別する(S380)。
ここで、変換した値(変換後判定値)が抽選値(取得した第1当たり乱数カウンタC1の値)と一致すると判別した場合は(S380:Yes)、今回の抽選結果を当たりに設定し(S381)、本処理を終了する。一方、一致しないと判別した場合は(S380:No)、S378へ移行する。以降、取得した判定値(変換前判定値)が判定終了値となるまで抽選処理をループする。
このように構成された変換抽選判定処理(S451)を実行することにより、特別図柄の低確率状態では、1/400の大当たり判定を2回実行するため、実質の大当たり確率が1/200となり、特別図柄の高確率状態では、1/400の大当たり判定を8回実行するため、実質の大当たり確率が1/50となるように構成することができる。
また、特別図柄の確率状態に対応した大当たり判定回数を、変換後判定値が重複する判定値となる変換前判定値(「00H」、「40H」)によって規定するように第1当たり乱数3テーブル202caを構成しているため、主制御装置110のデータ容量を削減しながら、適正な処理を実行することができる。
さらに、本実施形態では、変換後判定値が重複する判定値となる変換前判定値であるかを、変換処理が行われる前に判別するように構成しているため、無駄な処理の実行を抑制することができ、主制御装置110の処理負荷を軽減することができる。
以上、説明をした通り、本第3実施形態では、特別図柄の大当たり判定を実行するための処理として、特定範囲(1バイトのデータ容量)内で設定可能な判定値(変換前判定値(0〜255))を予め設定しておき、その判定値(変換前判定値)に対して所定の演算規則に基づいた演算処理を実行することで、上述した特定範囲よりも大きな範囲(第1当たり乱数カウンタC1の更新範囲(0〜399))内の判定値(変換後判定値(0〜399))へと変換可能に構成している。これにより、予め設定される(記憶される)判定値のデータ容量を圧縮することができる。
また、所定の演算規則として、変換後の判定値が重複し得る演算規則を用いており、変換後の判定値となる値に対して偏りが発生するように構成している。そして、変換後判定値のうち重複する判定値を、大当たり判定以外の目的(例えば、大当たり判定処理を終了させる契機)で用いるように構成している。このように構成することで、予め設定された特定範囲内で設定可能な判定値を複数の用途で用いることができるため、主制御装置110のデータ容量を削減することができる。
なお、本実施形態では、図118(b)や図118(c)に示した通り、1種類の演算規則しか有していないが、これに限ること無く、例えば、乗数部の値(上位2ビットの値)に対する乗数値が規定されている乗数変換データを複数設け、所定の選択抽選手段を設け、その選択抽選手段によって選択された乗数変換データを用いて演算処理を実行するように構成しても良い。
このように構成することにより、1の変換前判定値から複数の変換後判定値を算出することができるため、予め設定される(記憶される)判定値のデータ容量をより圧縮することができる。同様に仮数部変換データを複数設けるように構成しても良い。
また、本実施形態では、乗数部変換データ(図118(b)参照)と、仮数部変換データ(図118(c)参照)とで対応付けられている値が2の乗数となるように規定している。これにより、複雑な演算処理を実行した後に(変換後に)、同一の判定値が現出し易くなるように構成している。これに対して、例えば、乗数部変換データ(図118(b)参照)と、仮数部変換データ(図118(c)参照)とで対応付けられている値が全て素数となるように規定しても良い。このように構成することで、変換後の判定値が重複する可能性を容易に減らすことができる。
上述した第3実施形態では、主制御装置110のMPU201の第1当たり乱数3テーブル202caの規定値のデータ容量を圧縮するために、1バイト内のデータ容量の変換前判定値を記憶させ、その変換前判定値に対して所定の変換規則に沿った変換処理を実行し、変換処理の結果が重複しない値を用いて大当たり判定を実行するように構成しているが、この構成を用いて、大当たり判定と共に小当たり判定を実行するように構成しても良い。
例えば、各判定用テーブルに規定されている変換前判定値に対して、特定の第1変換規則に基づく変換処理を実行し大当たり判定用の変換後判定値を算出すると共に、第1変換規則とは異なる特定の第2変換規則に基づく変換処理を実行し小当たり判定用に変換後判定値を算出するように構成すると良い。
さらに、第1変換規則に基づく変換処理と、第2変換規則に基づく変換処理とによって、同一の変換後判定値が算出されないように各変換規則を規定し、さらに、第2変換規則に基づく変換処理によって複数の変換後判定値が算出されるように構成すると良い。
このように構成することで、1つの変換前判定値を用いて大当たり判定用の値(変換後判定値)と、小当たり判定用の値(変換後判定値)とを算出することができる。また、大当たり判定用の値の数と、小当たり判定用の値の数を異ならせることで、実質の当たり確率を容易に異ならせることができる。
さらに、特別図柄の確率状態に応じて特別図柄の大当たり確率は可変させ、小当たり確率は可変させない場合であれば、特別図柄の大当たり判定が実行されない変換前判定値に対しても小当たり判定用の変換後判定値を算出するように構成すると良い。これにより、同一の範囲の判定用テーブルを参照して当たり判定(大当たり判定、小当たり判定)を実行した場合に、小当たり判定の判定回数を大当たり判定の判定回数よりも増加させることができる。
なお、上述した第3実施形態では、主制御装置110のMPU201の第1当たり乱数3テーブル202caの規定値のデータ容量を圧縮する構成を説明したが、パチンコ機10が有する各種テーブルに規定される規定値に対して同一の構成を用いても良く、例えば、第2図柄(普通図柄)の当たり判定を実行する処理に対して同一の構成を用いても良いし、音声ランプ制御装置113にて実行される変動パターン演出を選択する際の処理に対して同一の構成を用いても良い。
<第3実施形態の技術思想を用いた別例について>
次に、上述した第3実施形態と同様の技術思想、即ち、パチンコ機10のデータ容量を削減するために、主制御装置110のMPU201に予め記憶されている規定値のデータ容量を圧縮し、実際に用いる場合には、その圧縮データに対して変換処理を実行する技術思想を用いる別例について説明をする。
上述した第3実施形態では、第1当たり乱数3テーブル202caに規定されている判定値(変換前判定値)のデータを圧縮することで、主制御装置110のデータ容量を削減する構成を用いていたが、本別例では同一の目的を達成するために、第1当たり乱数カウンタC1の更新範囲を圧縮するように(1バイトのデータ容量の範囲内(0〜255の範囲内)で更新するように)構成し、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値(圧縮値)に対して所定の演算を実行することにより、圧縮された更新範囲(1バイトのデータ容量の範囲)よりも大きな範囲(例えば、2バイトのデータ容量の範囲(0〜65535))に含まれる値に変換するように構成している。
上述した第1実施形態では、特別図柄の高確率状態(大当たりに当選し易い状態)と、その高確率状態よりも大当たりに当選し難い低確率状態とで、大当たりと判定される判定値の数を異ならせることで大当たりの当選確率を可変させるように構成していた。
また、第1実施形態では、第1当たり乱数カウンタC1を更新範囲(取得範囲)内の数値が均等に現出されるようにその乱数値を更新する構成としていた。
このように構成されたパチンコ機10では、特別図柄の大当たり判定(当否判定)を実行する際に参照する第1当たり乱数テーブル202aに、特別図柄の高確率状態における大当たり判定値を記憶する領域と、特別図柄の低確率状態における大当たり判定値を記憶する領域とを、異なる大きさで別途規定する必要があり、データ容量の増大化を招く虞があった。
さらに、特別図柄の大当たり確率を低く設定するためには、第2当たり乱数カウンタC1の更新範囲を大きく設定する必要があり(例えば、2バイトのデータ容量の範囲(0〜65535))、その乱数カウンタを構築するために多くのデータ容量を費やしてしまうという問題があった。
これに対して、本変形例では、第1当たり乱数カウンタC1を圧縮した更新範囲(例えば、1バイトのデータ容量の範囲(0〜255))内の数値が均等に現出されるようにその乱数値を更新する構成し、均等に現出した各乱数値に対して所定の演算を実行することにより、取得した乱数値(変換前乱数値)を、圧縮した更新範囲よりも大きな範囲(例えば、2バイトのデータ容量の範囲(0〜65535))に含まれる変換後乱数値へと可変させるように構成している。
さらに、本別例では、変換後の値(変換後乱数値)が一部重複するように構成している。そして、特別図柄の高確率状態中は、重複する値を大当たりの判定値として規定し、特別図柄の低確率状態中は、重複し得ない値を大当たりの判定値として規定するように構成し、特別図柄の確率状態における大当たり確率を可変するように構成している。
これにより、大当たり判定値として規定される乱数カウンタ値の個数を変えること無く、大当たり確率のみを可変させることができる。加えて、本変形例では、取得した第1当たり乱数カウンタC1の値が所定値であると判別した場合に、その値に対して演算処理を実行すること無く、特殊制御処理を実行するように構成している。このように構成することで、演算処理を実行すること無く、特別図柄抽選に関する処理を終了することができるため、主制御装置110の処理負荷を軽減させることができる。
以上、第1実施形態から第3実施形態では、第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)と、が同時に実行可能なパチンコ機10について説明をしたが、上述した各構成を、それ以外のパチンコ機10、即ち、第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)とが同時に実行されることなく、各抽選の契機となる入賞情報を取得した順番(第1入球口64への入球と第2入球口640への入球の順番)で抽選を実行するタイプのパチンコ機10や、一方の特別図柄の抽選を優先的に実行するタイプのパチンコ機10に用いるように構成しても良い。
例えば、上述した第1実施形態にて説明をした、通常状態が設定されている状態で、第2特別図柄の抽選で大当たりに当選した場合に、確変状態を設定する構成を上述した第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)と、が同時に実行されることの無いパチンコ機10の構成に用いても良いし、上述した第1実施形態、或いは、第2実施形態にて説明をしたスルーゲート67を通過した球の第2入球口640への入球具合を、普通図柄保留球数や遊技状態に応じて可変させる構成を上述した第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)と、が同時に実行されることの無いパチンコ機10の構成に用いても良い。このような構成を用いたとしても、上述した各実施形態と同様に効果を奏するものである。
なお、上述した各実施形態では、実行される各種演出の例として、第3図柄表示装置81の表示画面に表示される表示演出を用いて説明をしたが、同様の目的効果を奏する演出態様であれば良く、第3図柄表示装置81以外の表示装置に表示する表示演出や、音声により遊技者に報知する音声演出や、パチンコ機10に付設される各種発光手段(LED)を用いて遊技者に報知する発光演出を用いても良い。
また、上述した各実施形態において実行される各種演出として、遊技者に対して確実に内容を把握させる報知演出と、遊技者がその内容をそれとなく知らせる示唆演出とを用いているが、報知演出に替えて示唆演出を実行しても良いし、示唆演出に替えて報知演出を実行するように構成しても良い。
さらに、上述した各実施形態では、特別図柄の抽選で大当たりに当選する確率(大当たり確率)を高低の2種類(特別図柄の高確率状態、特別図柄の低確率状態)設けたパチンコ機10を用いているが、これに限ることなく、例えば、複数種類の設定値の中から一の設定値を設定可能な設定手段(例えば、設定スイッチ)を設け、その設定手段により設定された設定値毎に異なる大当たり確率が設定される制御を主制御装置110が実行するように構成しても良い。
この場合、例えば、1〜6の6段階の設定値を用意しておき、設定値「1」が設定された場合に、大当たり確率が最も高くなるように構成し、設定値「6」が設定された場合に、大当たり確率が最も低くなるように順に各設定値に対して大当たり確率を設定するように構成すると良い。
加えて、各設定値に対して設定される大当たり確率として、特別図柄の低確率状態に対応する大当たり確率のみ、設定値に応じて異ならせるように構成しても良いし、特別図柄の高確率状態に対応する大当たり確率のみ、設定値に応じて異ならせるように構成しても良い。
また、上述した設定値に応じて、大当たり確率だけでは無く、例えば、各大当たり種別の選択割合を異ならせたり、小当たりに当選する確率を異ならせたり、特別図柄の変動パターンの選択割合や、変動時間を異ならせたりしても良い。この場合、例えば、特定の設定値が設定された場合にのみ選択され易い変動パターンや大当たり種別を設け、その変動パターンに基づく特別図柄変動や、その大当たり種別に基づく大当たり遊技が実行されたか否かを遊技者が注目することで、現在設定されている設定値を判別するように構成しても良い。
さらに、設定された設定値を示すための設定コマンドを設定し、音声ランプ制御装置113側で受信した設定コマンドに基づいて現在設定されている設定値を示唆する設定示唆演出を実行するように構成しても良いし、主制御装置110から出力される大当たり種別を示すコマンド(抽選結果を示すためのコマンド)や、特別図柄の変動パターンを示すためのコマンド(変動時間を示すためのコマンド)を受信した場合に、その受信したコマンドの内容から現在設定されている設定値を判別し、その判別結果に基づいた設定示唆演出を実行するように構成しても良い。このように構成することで、主制御装置110から出力されるコマンド数を削減することができる。
また、上述した各実施形態のように、第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)と、を同時に実行可能なパチンコ機10において、上述した設定値を設定可能な構成を用いる場合は、設定された設定値に応じて、各特別図柄の変動(抽選)のし易さが可変するように各設定値に対して各種パラメータを規定しても良いし、特定の設定値では一方の特別図柄の抽選が遊技者に有利となる特定遊技状態が、特定の設定値とは異なる所定の設定値の場合は一方の特別図柄とは異なる他方の特別図柄の抽選が遊技者に有利となるように各設定値に対して各種パラメータを規定しても良い。この場合、特別図柄の抽選が遊技者に有利になるとは、特別図柄の抽選が実行され易くなる状態や、特別図柄の抽選結果が特定の抽選結果である場合に付与される特典(大当たり遊技内容、小当たり遊技内容、大当たり遊技終了後に設定される遊技状態)が遊技者に有利となることを含む概念である。
なお、各遊技状態における大当たり後の遊技状態移行先および移行振分率については、これに限ること無く適宜設定すればよい。例えば、通常遊技状態から移行する時短状態を、時短状態2のみとしてもよい。これにより、通常遊技状態で大当たりに当選したにも関わらず確変状態に移行できなかった遊技者の遊技意欲が低下してしまうことを抑制することができるという効果がある。
また、遊技状態に関わらず特図の種別に応じて遊技状態の移行先および振分率を統一しているが、これに限ること無く遊技状態に応じて遊技状態の移行先および移行振分率を変更してもよい。これにより、より複雑な遊技性を提供することが可能となり、遊技に早期に飽きてしまうことを抑制することができるという効果がある。
さらに、本実施形態では確変状態が次回大当たりまで継続し、時短状態として遊技状態に関わらず10回の時短が付与される構成にしているが、例えば、確変状態を、特別図柄の変動表示が所定回数(例えば100回)実行されるまで継続する仕様としたり、特図が変動する毎に通常遊技状態へと移行する抽選を実行し、その抽選に当選することで確変状態から通常遊技状態へと移行する構成にしてもよい。この場合、遊技者に有利な確変状態と不利な確変状態として、例えば、確変状態が終了する特別図柄の変動回数に差を設けたり、確変状態から通常遊技状態へと移行する抽選確率を異ならせたりするようにしてもよい。
上述した各実施形態では、複数の時短終了条件を設定し、複数の時短終了条件のうち、特別図柄の変動回数が特定の変動回数となった場合に時短終了条件が成立した場合、即ち、変動回数終了条件が成立した場合と、特別図柄の抽選により小当たりに当選した場合に時短終了条件が成立した場合、即ち、当選回数終了条件が成立した場合とで、異なるタイミングで時短状態を通常状態へと移行させることができるように構成した。
この構成を用いて、例えば、変動回数終了条件が成立した場合には、特別図柄の変動を開始することに基づいて遊技状態を時短状態から通常状態へと移行し、当選回数終了条件が成立した場合には、小当たり遊技が終了することに基づいて遊技状態を時短状態から通常状態へと移行するように制御される遊技機を設けると良い。
これにより、成立する時短終了条件によって、同一の特別図柄の変動に基づいて時短状態が終了する場合であっても、特別図柄の変動時間と、小当たり遊技が実行される時間とを合算した範囲で時短状態が終了するタイミングを異ならせることができる。よって、遊技者に対して、成立した時短終了条件の種別についても興味を持たせることができる。さらに、成立する時短終了条件によっては、遊技者に対して少量の特典を付与する小当たり遊技中にも、電動役物640aを作動させ球を入球口へと入球させ易くすることで、小当たり遊技を遊技者にとってより有利な遊技状態とすることが可能となる。
加えて、小当たり遊技が実行される期間を異ならせた複数の小当たり種別を設け、当選回数終了条件が成立した場合であっても、当選回数終了条件が成立した小当たり種別に応じて遊技者に付与される特典を異ならせるようにすると良い。これにより、成立した時短終了条件の種別だけでは無く、時短終了条件のより詳細な内容について遊技者に興味を持たせることができる。
また、この場合、当選回数終了条件が成立した場合であったも、小当たり遊技が開始されるタイミングで時短状態を終了させる場合と、小当たり遊技が終了するタイミングで時短状態を終了させる場合とが混在するように構成すると良い。これにより、遊技者に対してどのタイミングで時短状態が終了するかを分かり難くすることができる。さらに、上述した実施形態では、特別図柄の変動回数に基づいて時短終了条件が成立したか否かを判別する処理と、小当たりに当選したことに基づいて時短終了条件が成立したか否かを判別する処理と、を別々に実行する構成を用いているが、これに限ること無く、特別図柄の抽選(変動)に応じて更新される時短情報を一元的に管理し、成立した時短終了条件に基づいて時短状態を終了させるタイミングを設定する構成を用いても良い。
上記各実施形態では、主制御装置110において特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N)が更新される度(即ち、増加した場合や、減少した場合にそれぞれ)に、保留球数コマンドを主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、主制御装置110において特別図柄1保留球数カウンタ203dの値(N)が増加する場合だけ、保留数コマンドを主制御装置110から音声ランプ制御装置113へ送信する。また、音声ランプ制御装置113では、主制御装置110より送信された変動パターンコマンドを受信すると、特別図柄2保留球数カウンタ223bの値を1減らすように構成する。これにより、主制御装置110が音声ランプ制御装置113へ保留数コマンドを送信する回数と、音声ランプ制御装置113が保留数コマンドを受信する回数とをそれぞれ減らすことができるので、主制御装置110および音声ランプ制御装置113の制御的負担を軽減することができる。
上記各実施形態においては、第1入球口64への入賞およびスルーゲート67の通過は、それぞれ最大4回まで保留されるように構成したが、最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定してもよい。また、第1入球口64への入賞に基づく変動表示の保留球数を、第3図柄表示装置81の一部において、数字で、或いは、4つに区画された領域を保留球数分だけ異なる態様(例えば、色や点灯パターン)にして表示するようにしてもよく、第1図柄表示装置37とは別体でランプ等の発光部材を設け、該発光部材によって保留球数を通知するように構成してもよい。
また、上記各実施形態に示すように、動的表示の一種である変動表示は、第3図柄表示装置81の表示画面上で識別情報としての図柄を縦方向にスクロールさせるものに限定されず、縦方向あるいはL字形等の所定経路に沿って図柄を移動表示して行うものであってもよい。また、識別情報の動的表示としては、図柄の変動表示に限られるものではなく、例えば、1又は複数のキャラクタを図柄と共に、若しくは、図柄とは別に多種多様に動作表示または変化表示させて行われる演出表示なども含まれるのである。この場合、1又は複数のキャラクタが、第3図柄として用いられる。
上述した各実施形態では、遊技者に各図柄の抽選結果を示すための第3図柄表示を1つの表示手段(第3図柄表示装置81)にて実行しているが、それ以外の構成を用いてもよく、例えば、第3図柄のうち、遊技者に強調して表示される主図柄を表示する表示手段と、従図柄を表示する表示手段とで異なる表示手段を設けてもよい。また、表示手段の構成として、液晶ディスプレイ以外の構成を用いても良い。
上述した各実施形態では、遊技者に有利となる遊技状態(時短状態)の場合に遊技盤13の右側領域を狙う右打ち遊技が実行され、通常の遊技状態の場合に遊技盤13の左側領域を狙う左打ち遊技が実行されるように構成しているが、遊技状態に応じて遊技盤13の狙う領域を異ならせていればよく、時短状態中に左打ち遊技を実行させ、通常状態中に右打ち遊技を実行させてもよい。また、同一の領域を狙いながら異なる遊技状態における遊技を実行可能に構成してもよい。
上述した各実施形態では、遊技者が操作可能な操作手段として、遊技者が押下動作することにより、操作手段が操作されたことが判別される枠ボタン22,23を用いているが、それ以外の構成を用いてもよく、遊技者が左右または前後に傾倒させることで操作されたことを判別可能なレバー状に構成された操作手段や、遊技者が接触または近接したで操作されたことを判別可能なタッチセンサ式の操作手段や、所定の電波を発信することで操作されたことを判別可能な無線式の操作手段等を用いても良い。また、可動弁750や貯留装置(第1貯留装置770、第2貯留装置771)や第2枠ボタン(解除用ボタン)22b(1022b、1122b)や第3枠ボタン(解除用ボタン)22cの各動作制御の一部または全部を主制御装置110ではなく、音声ランプ制御装置113側で実行するように構成してもよい。
上述した各実施形態では、第3図柄表示装置81の表示画面を用いて実行される演出における表示態様を設定するための処理を音声ランプ制御装置113が行い、遊技(抽選)そのものは、音声ランプ制御装置113とは異なる主制御装置110が実行するように構成しているが、これに限ること無く、遊技(抽選)を実行するための処理と、遊技(抽選)の結果を演出として表示するための処理とを、同一の制御装置で実行するように構成しても良い。このように構成することで、一つの制御装置にて複数の異なる処理を実行することが可能となる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
さらに、上記各実施形態では、複数の特別図柄種別として第1特別図柄と第2特別図柄との2種類の特別図柄を用いているが、特別図柄の種別はこれに限ること無く、3つ以上の特別図柄種別を用いても良いし、1つの特別図柄種別のみ用いるように構成しても良い。また、上述した各実施形態では、複数の特別図柄が予め定められた規則に従って抽選(変動)が行われる遊技性と、個々に独立して抽選(変動)が行われる遊技性と、を説明したが、各実施形態にて説明をした遊技性のそれぞれを入れ替えたり、組み合わせたりしても良い。 なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
上記した各実施形態についてその全部またはその一部を組み合わせて構成してもよい。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<特徴A群> (通常時特図2当たりで微時短)
遊技球が入球可能な第1入球手段と、その第1入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第1判別を実行可能な第1判別手段と、前記第1入球手段とは異なる第2入球手段と、その第2入球手段に遊技球が入球したことに基づいて前記第1判別とは異なる第2判別を実行可能な第2判別手段と、前記第1判別手段の判別結果を示すための第1識別情報と、前記第2判別手段の判別結果を示すための第2識別情報と、を表示可能な表示手段と、前記第1判別手段の判別結果が特定の第1判別結果であることに基づいて第1特典遊技を実行し、前記第2判別手段の判別結果が特定の第2判別結果であることに基づいて第2特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、を有する遊技機において、前記第2入球手段に遊技球を入球させて遊技を行なわせることを規制する第1遊技状態と、その第1遊技状態における前記規制を解除した第2遊技状態とを切り替えて設定することが可能な遊技状態設定手段と、を有し、前記遊技状態設定手段は、前記第1遊技状態が設定されている状態で前記第2判別が実行され、その第2判別結果が前記特定の第2判別結果であることに基づいて前記第2特典遊技が実行される場合には、前記第2特典遊技の実行後に前記第1遊技状態を設定するものであることを特徴とする遊技機A1。
従来より、パチンコ機などの遊技機は、遊技盤面上に設けられた始動口に遊技球が入球すると、遊技の当否が抽選され、その抽選結果が当たりであった場合には、遊技者に有利となる特典遊技が実行されていた。さらに、複数の特別図柄(第1特別図柄と第2特別図柄)を同時に変動させることが可能な遊技機が提案されていた(例えば、特開2015−12907号公報)。また、上述した構成を有する遊技機において、複数の遊技状態を設定可能に構成し、特定の第1遊技状態が設定された場合に、複数の特別図柄のうち、有利な抽選が実行される有利特別図柄の抽選が優先して実行されるように構成した遊技機がある。このような遊技機では、特定の第1遊技状態が設定されていない状態で有利特別図柄の抽選が頻繁に実行されることを抑制するために、特定の第1遊技状態が設定されていない場合には、有利特別図柄の変動時間を長く(例えば、10分)設定する対策が施されている。しかしながら、上述した対策では、有利特別図柄の抽選を実行する頻度を低下させることは可能だが、有利特別図柄抽選1回当たりの遊技者への特典付与期待度を変えていないため、長時間(例えば、遊技状態が開店してから閉店するまでの約12時間)遊技を行う遊技者が、有利特別図柄の抽選を行いながら、他方の特別図柄の抽選を行う遊技を行い、付加価値的に有利特別図柄の抽選結果に基づいた特典を受けてしまい、遊技者に過剰に特典を付与してしまうという問題があった。上記した遊技機において、遊技者に付与される特典を制限し、適正な遊技を提供することを目的とする。なお、上述した従来の課題は、第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)を同時に(並行して)実行する遊技機(所謂、同時変動機)における課題を記載したものであるが、本特徴群の技術思想によって解決される課題は、同時変動機に限られるものでは無く、同時変動機以外の遊技機(例えば、入賞順に応じて第1特別図柄の抽選(変動)と第2特別図柄の抽選(変動)とを実行する遊技機)に適用しても勿論良い。
遊技機A1によれば、第1遊技状態が設定された状態で第2判別が実行されたとしても、その第2判別結果に基づいて第2遊技状態が設定されることが無いため、第2判別が過剰に実行されてしまうことを抑制することができ、遊技者に適正な遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機A1において、前記遊技状態設定手段は、前記第2遊技状態が設定されている状態で、前記第2判別が実行され、その第2判別結果が前記特定の第2判別結果であることに基づいて前記第2特典遊技が実行される場合に、前記第2遊技状態が設定されている状態で、前記第1判別が実行され、その第1判別結果が前記特定の第1判別結果であることに基づいて前記第1特典遊技が実行される場合よりも、第2遊技状態を設定し易いものであることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、次の効果を奏する。第2遊技状態が設定されている状態で第2判別を実行することにより、第2遊技状態を繰り返し設定され易くすることができる。よって、設定される遊技状態に応じて第2判別の実行を狙う遊技と、第1判別の実行を狙う遊技と、を遊技者に行わせることができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機A1またはA2において、前記特典遊技実行手段により前記第1特典遊技或いは前記第2特典遊技が実行される確率として、第1確率と、その第1確率よりも前記第1特典遊技或いは前記第2特典遊技が実行され易い第2確率とを設定可能な確率設定手段を有し、前記遊技状態設定手段は、前記確率設定手段により、前記第1確率が設定される場合に第1遊技状態として特定第1遊技状態を設定し、前記第2確率が設定される場合に第1遊技状態として特殊第1遊技状態を設定するものであることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A1またはA2の奏する効果に加え、確率設定手段により第1確率、或いは第2確率が設定される場合であっても、第2入球手段に遊技球を入球させて遊技を行なわせることが規制される第1遊技状態を設定することができるため、第2判別が過剰に実行されてしまうことを抑制することができ、遊技者に適正な遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機A3において、前記特殊第1遊技状態は、前記特定第1遊技状態よりも、前記第2入球手段に遊技球を入球させて遊技を行わせ難く規制するものであることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、特典遊技実行手段により特典遊技が実行され易い第2確率が設定されている状態で第1遊技状態が設定された場合に、第2判別が実行される遊技を強く規制することができるため、第2確率が設定された状態で第1判別を実行させる遊技を積極的に行わせることができる。よって、設定される遊技状態に応じて第2判別の実行を狙う遊技と、第1判別の実行を狙う遊技と、を遊技者に行わせることができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機A1からA4のいずれかにおいて、前記表示手段に前記第1識別情報を所定の第1期間動的表示させる第1動的表示手段と、前記表示手段に前記第2識別情報を所定の第2期間動的表示させる第2動的表示手段と、を有し、前記第1動的表示手段により前記第1識別情報が動的表示されている間に前記第2動的表示手段により前記第2識別情報を動的表示させることが可能に構成されるものであることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A1からA4のいずれかの奏する効果に加え、第1識別情報が動的表示されている間に、第2識別情報を動的表示させることができるため、遊技効率を高めることが出来るという効果がある。
遊技機A3からA5のいずれかにおいて、前記第1判別手段による前記第1判別の実行を促す遊技報知を実行可能な報知手段を有し、前記報知手段は、前記特定第1遊技状態が設定されている場合に実行可能な第1遊技報知と、前記特殊第1遊技状態が設定されている場合に実行可能な第2遊技報知とで、異なる報知態様の遊技報知を実行するものであることを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A3からA5のいずれかの奏する効果に加え、報知手段が、設定されている遊技状態に応じて異なる態様で遊技報知を行うため、遊技者に分かり易い遊技報知を実行することができるという効果がある。
遊技機A6において、前記報知手段により実行される前記第2遊技報知の報知態様は、前記第1遊技報知の報知態様よりも、前記第1判別手段による前記第1判別の実行を強調して促す報知態様であることを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A6の奏する効果に加え、次の効果を奏するものである。即ち、第2判別手段による第2判別が実行され難いほど、第1判別手段による第1判別の実行を促す報知態様が強調されるため、遊技者が不利な遊技を実行してしまう事態を抑制することができる。よって、適正無い遊技を提供することができるという効果がある。
<特徴B群> (スルーゲート通過球の電チュー入賞具合を異ならせる)
遊技球が通過可能な特定領域と、その特定領域を遊技球が通過したことに基づいて判別を実行する判別手段と、その判別手段の判別結果を示すための識別情報を所定期間動的表示させる動的表示手段と、遊技球が入球可能な第1状態と、その第1状態よりも入球困難となる第2状態とに可変可能な可変入球手段と、前記判別手段の判別結果が特定の判別結果である場合に、前記可変入球手段を前記第2状態から前記第1状態へと可変させる可変制御手段と、を有した遊技機において、前記可変入球手段は、前記特定領域を流下した遊技球が入球可能な位置に配設されるものであり、前記遊技機は、前記特定領域を遊技球が通過したことに基づいて判別された前記判別結果が前記特定の判別結果である場合に、その特定の判別結果と判別される契機となった前記特定領域を通過した遊技球が前記可変入球手段に入球し易くする第1設定とその第1設定よりもし難くする第2設定とを設定することが可能な設定手段を有するものであることを特徴とする遊技機B1。
従来より、パチンコ機などの遊技機は、遊技盤面上に設けられた始動口に遊技球が入球すると、遊技の当否が抽選され、その抽選結果が当たりであった場合には、遊技者に有利となる特典遊技が実行されていた。さらに、複数の特別図柄(第1特別図柄と第2特別図柄)を同時に変動させることが可能な遊技機が提案されていた(例えば、特開2015−12907号公報)。また、上述した構成を有する遊技機において、複数の遊技状態を設定可能に構成し、特定の第1遊技状態が設定された場合に、複数の特別図柄のうち、有利な抽選が実行される有利特別図柄の抽選が優先して実行されるように構成した遊技機がある。加えて、有利特別図柄の抽選が容易に実行されることを抑制するために、電動役物が付随した入球口への遊技球の入球を契機に有利特別図柄の抽選を実行するように構成した遊技機がある。このような遊技機では、一般的に、普通図柄の抽選で当たり当選した場合に、電動役物が開放状態となり遊技球が入球口へと入球可能となるように構成されている。このような遊技機では、遊技状態に応じて電動役物の開放のし易さを異ならせることで、第1遊技状態が設定されている場合は、有利特別図柄の抽選が実行され易くするために電動役物を開放し易くし、それ以外の遊技状態が設定されている場合には、有利特別図柄の抽選が実行され難くするために電動役物が開放され難くすることが求められるのであるが、電動役物の開放動作を遊技状態に応じて複雑に可変設定することは困難であり、第1遊技状態以外の遊技状態において、第1遊技状態と同様の開放動作を実行してしまうという問題があった。上記した遊技機において、遊技状態に応じた有利特別図柄の抽選を実行することで、適正な遊技を提供することを目的とする。なお、上述した従来の課題は、第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)を同時に(並行して)実行する遊技機(所謂、同時変動機)における課題を記載したものであるが、本特徴群の技術思想によって解決される課題は、同時変動機に限られるものでは無く、同時変動機以外の遊技機(例えば、入賞順に応じて第1特別図柄の抽選(変動)と第2特別図柄の抽選(変動)とを実行する遊技機)に適用しても勿論良い。
遊技機B1によれば、特定領域を遊技球が通過したことに基づいて判別された判別結果が特定の判別結果である場合に、設定手段によりその特定の判別結果と判別される契機となった遊技球が可変入球手段に入球し易くする第1設定と、その第1設定よりもし難くする第2設定とを設定することが可能となる。よって、適正な遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機B1において、前記判別手段の判別結果を示すための識別情報を所定期間動的表示させる動的表示手段と、その動的表示手段により動的表示される前記識別情報の動的表示期間として、期間の異なる複数の動的表示期間の中から一の動的表示期間を設定する動的表示期間設定手段と、を有し、前記動的表示期間設定手段は、前記設定手段により前記第1設定が設定される場合には、前記第2設定が設定される場合よりも、前記特定領域を通過した遊技球が前記可変入球手段に入球可能な第1動的表示期間を設定し易いものであり、前記設定手段により前記第2設定が設定される場合には、前記第1設定が設定される場合よりも、前記特定領域を通過した遊技球が前記可変入球手段に入球困難な第2動的表示期間を設定し易いものであることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、動的表示期間を可変させることにより、可変入球手段への遊技球の入球を制限することができるため、適正な遊技を容易に提供することができるという効果がある。
遊技機B2において、前記設定手段は、前記第2設定として、短第2設定と、その短第2設定とは異なる長第2設定と、を設定可能なものであり、前記動的表示期間設定手段は、前記設定手段により前記短第2設定が設定された場合に、前記特定領域を通過した遊技球が前記可変入球手段に到達するまでに要する通過期間よりも短い動的表示期間を、前記第2動的表示期間として設定するものであることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、短第2条件が成立した場合には、特定領域を通過した遊技球が可変入球手段に到達するまでに要する通過期間よりも短い動的表示期間が設定されるため、特定領域を通過した遊技球の可変入球手段への入球を制限することができる。
遊技機B3において、前記特定領域を通過可能な遊技球を制限する制限手段を有し、前記制限手段は、前記特定領域を通過した遊技球が前記可変入球手段に到達するまでに要する通過期間よりも長い間隔で遊技球を前記特定領域に向けて流下させるものであることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、遊技球が特定領域を通過する間隔を、特定領域を通過した遊技球が可変入球手段に到達するまでの通過期間よりも長い間隔とすることができるため、短第2条件が成立した状態において、一の遊技球が特定領域を通過したことに基づいて可変入球手段が第1状態へと可変された場合に、他の遊技球が可変入球手段に入球することを抑制することができる。よって、可変入球手段への遊技球の入球を確実に制限することができ、適正な遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機B3またはB4において、前記動的表示期間設定手段は、前記設定手段により前記長第2設定が設定された場合に、前記特定領域を通過した遊技球が前記可変入球手段に到達するまでに要する通過期間よりも長い動的表示期間を、前記第2動的表示期間として設定するものであることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B2からB4の何れかの奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、前記長第2条件が成立した場合に、特定領域を通過した遊技球が可変入球手段に到達するまでに要する通過期間よりも短い動的表示期間が設定されるため、特定領域を通過した遊技球の可変入球手段への入球を制限することができ、適正な遊技を提供することができるという効果がある。ここで、遊技機B4の構成を用いる場合は、長第2条件が成立した場合に設定される動的表示期間を、制限手段が遊技球を特定領域に向けて流下させる間隔よりも長くなるように構成すると良い。これにより、一の遊技球が特定領域を通過したことに基づいて可変入球手段が第1状態へと可変された場合に、他の遊技球が可変入球手段に入球することを可能にすることができる。よって、短第2条件が成立した場合よりも、長第2条件が成立した場合にほうが、可変入球手段に遊技球を入球させ易くすることができるという効果がある。
遊技機B3からB5のいずれかにおいて、前記判別手段の判別結果が前記特定の判別結果となり易い第1判別状態と、その第1判別状態よりも前記特定の判別結果となり難い第2判別状態と、を設定可能な状態設定手段を有し、前記短第2設定は、前記状態設定手段により前記第1判別状態が設定された場合に成立し得るものであることを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B3からB5のいずれかの奏する効果に加え、次の効果を奏するものである。即ち、第1判別状態を設定した場合に、前記短第2条件が成立し得るため、第1判別状態中の多くの遊技球が可変入球手段へ入球することを抑制することができる。よって、適正な遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機B3からB6の何れかにおいて、前記特定領域を遊技球が通過したことに基づいて通過情報を取得可能な取得手段と、その取得手段により取得された前記通過情報を、所定数を上限に記憶可能な記憶手段と、を有し、前記判別手段は、所定の判別条件が成立した場合に、前記記憶手段に記憶されている前記通過情報に基づいて判別を実行するものであり、前記記憶手段に記憶されている前記通過情報の記憶数が所定数以下である場合には、前記通過情報の記憶数が前記所定数より多い場合よりも、前記長第2設定が設定され易いものであることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B3からB6の何れかの奏する効果に加え、次の効果を奏するものである。即ち、記憶手段に記憶された通過情報の記憶数が所定数以下である場合には、特定領域を通過した遊技球が可変入球手段に入球することが無いため、可変入球手段への遊技球の入球を制限することができ、適正な遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機B7において、前記記憶手段に記憶されている前記通過情報の記憶数が前記所定数よりも多い特定数以上である場合には、前記特定数未満である場合よりも、前記第1設定が設定され易いものであることを特徴とする遊技機B8。
遊技機B8によれば、遊技機B7の奏する効果に加え、次の効果を奏するものである。即ち、記憶手段に記憶された通過情報の記憶数が特定数以上である場合には、特定領域を通過した遊技球が可変入球手段に入球可能となるため、可変入球手段へ遊技球を容易に入球させることができる。よって、記憶手段に通過情報を多く記憶させようと意欲的に遊技を行わせることができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
<特徴D群> (特図2保留数で特図1変動時間を設定)
球が入球可能な第1入球手段と、その第1入球手段に球が入球したことに基づいて第1情報を取得する第1取得手段と、その第1取得手段により取得された前記第1情報に基づいて第1判別条件の成立を契機に第1判別を実行可能な第1判別手段と、前記第1入球手段とは異なる第2入球手段と、その第2入球手段に球が入球したことに基づいて第2情報を取得する第2取得手段と、その第2取得手段により取得された前記第2情報に基づいて第2判別条件の成立を契機に第2判別を実行可能な第2判別手段と、前記第1判別手段の判別結果を示すための第1識別情報と、前記第2判別手段の判別結果を示すための第2識別情報と、を表示可能な表示手段と、その表示手段に前記第1識別情報を所定の第1期間動的表示させる第1動的表示手段と、前記表示手段に前記第2識別情報を所定の第2期間動的表示させる第2動的表示手段と、前記第1判別手段の判別結果が特定の第1判別結果であることを示すための特定第1識別情報、または前記第2判別手段の判別結果が特定の第2判別結果であることを示すための特定第2識別情報が前記表示手段に停止表示されたことに基づいて特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、を有する遊技機であって、前記遊技機は、前記第1動的表示手段により前記第1識別情報が動的表示されている間に前記第2動的表示手段により前記第2識別情報を動的表示させることが可能に構成され、前記第1取得手段により取得された前記第1情報を、少なくとも当該第1情報に対する前記第1判定条件が成立するまで、第1の所定数を上限に記憶可能な第1記憶手段と、前記第2取得手段により取得された前記第2情報を、少なくとも当該第2情報に対する前記第2判定条件が成立するまで、第2の所定数を上限に記憶可能な第2記憶手段と、前記第2記憶手段に記憶されている前記第2情報の数に基づいて、前記第1動的表示手段により動的表示される前記第1識別情報の動的表示期間を設定する第1動的表示期間設定手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機D1。
従来より、パチンコ機などの遊技機は、遊技盤面上に設けられた始動口に遊技球が入球すると、遊技の当否が抽選され、その抽選結果が当たりであった場合には、遊技者に有利となる特典遊技が実行されていた。さらに、複数の特別図柄(第1特別図柄と第2特別図柄)を同時に変動させることが可能な遊技機が提案されていた(例えば、特開2015−12907号公報)。また、上述した構成を有する遊技機において、複数の遊技状態を設定可能に構成し、特定の第1遊技状態が設定された場合に、複数の特別図柄のうち、有利な抽選が実行される有利特別図柄の抽選が優先して実行されるように構成した遊技機がある。このような遊技機では、特定の第1遊技状態が設定されていない状態で有利特別図柄の抽選が頻繁に実行されることを抑制するために、特定の第1遊技状態が設定されていない場合には、有利特別図柄の変動時間を長く(例えば、10分)設定する対策が施されている。しかしながら、上述した対策では、有利特別図柄の抽選を実行する頻度を低下させることは可能だが、有利特別図柄抽選1回当たりの遊技者への特典付与期待度を変えていないため、長時間(例えば、遊技状態が開店してから閉店するまでの約12時間)遊技を行う遊技者が、有利特別図柄の抽選を行いながら、他方の特別図柄の抽選を行う遊技を行い、付加価値的に有利特別図柄の抽選結果に基づいた特典を受けてしまい、遊技者に過剰に特典を付与してしまうという問題があった。上記した遊技機において、遊技者に付与される特典を制限し、適正な遊技を提供することを目的とする。
遊技機D1によれば、第2記憶手段に記憶されている第2情報の数に基づいて、第1動的表示期間設定手段により第1識別情報の動的表示期間が設定されるため、第1判別手段による第1判別を実行している間に、第2判別手段による第2判別を実行させるための遊技を行うことにより、第1判別手段の動的表示を可変させることができる。よって、第1判別と、第2判別とを関連性を持たせて実行させることができるため、適正な遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機D1において、前記第1動的表示期間設定手段は、前記第2記憶手段に記憶されている前記第2情報の数が多いほど、長い期間の動的表示期間を設定し易くするものであることを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、第2記憶手段に記憶されている第2情報の数が多いほど、第1動的表示期間設定手段により長い動的表示期間が設定され易くなるため、第1判別と、第2判別とが過剰に実行されることを抑制することができ、適正な遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機D2において、第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態とを少なくとも含む複数の遊技状態の中から一の遊技状態を設定可能な遊技状態設定手段を有し、前記第1動的表示期間設定手段は、前記第1遊技状態が設定されている状態において前記第2記憶手段に記憶されている前記第2情報の数が多いほど、長い期間の動的表示期間を設定し易くするものであることを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D2の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第1遊技状態が設定されている場合において、第2記憶手段に記憶されている第2情報の数が多いほど、第1動的表示期間設定手段により長い動的表示期間が設定され易くなる。よって、遊技者に有利となる第2遊技状態が設定されている場合では、第1判別と、第2判別とを効率良く実行させることが可能となるため、遊技者に意欲的に遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機D3において、前記第2動的表示手段により、前記第2識別情報が特定の第2期間動的表示されている状態において、前記第1動的表示期間設定手段により、前記所定期間よりも長い動的表示期間である第1長動的表示期間が設定された場合に、特定の動的表示状況であることを報知する報知手段を有するものであることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D3の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第2識別情報が特定の第2期間動的表示されている状態で、第1特別図柄の動的表示期間として第1長動的表示期間が設定された場合に、報知手段により特定の動的表示状況であることが報知される。これにより、第1判別の判別結果を示すための第1識別情報と、第2判別の判別結果を示すための第2識別情報とが長期間の間、停止表示されない状況であることを遊技者に確実に報知することができる。よって、遊技者に対して、遊技機が故障しているのではと誤認を与えてしまうことを抑制することができるという効果がある。
遊技機D4において、前記第2記憶手段に記憶されている前記第2情報の数に基づいて、前記第2動的表示手段により動的表示される前記第2識別情報の動的表示期間を設定する第2動的表示期間設定手段、を有し、前記第2動的表示期間設定手段は、前記第2遊技状態が設定されている状態では、前記特定の第2期間よりも短い期間の動的表示期間を設定し易くするものであることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D4の奏する効果に加え、次の効果を奏する。即ち、第2遊技状態が設定されている状態では、第2識別情報の動的表示期間として短い動的表示期間が設定され易くなる。これにより、第2遊技状態が設定されている間は、遊技者に意欲的に第2判別を実行させることができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
<特徴E群> (不利側特図の残保留を無くす)
遊技球が入球可能な第1入球手段と、その第1入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第1情報を取得する第1取得手段と、前記第1情報に基づいて第1判別を実行可能な第1判別手段と、前記第1入球手段とは異なる第2入球手段と、その第2入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第2情報を取得する第2取得手段と、前記第2情報に基づいて第2判別を実行可能な第2判別手段と、前記第1判別手段の判別結果を示すための第1識別情報と、前記第2判別手段の判別結果を示すための第2識別情報と、を表示可能な表示手段と、前記第1判別手段の判別結果が特定の第1判別結果であることに基づいて第1特典遊技を実行し、前記第2判別手段の判別結果が特定の第2判別結果であることに基づいて第2特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、を有する遊技機において、前記第2入球手段への入球に基づく遊技を規制する第1遊技状態と、その第1遊技状態における前記規制を解除した第2遊技状態とを設定可能な遊技状態設定手段と、前記第2取得手段により取得された前記第2情報を記憶可能な記憶手段と、前記遊技状態設定手段により前記第2遊技状態が設定されている場合に特定条件が成立したことに基づいて前記第1遊技状態よりも一定条件が成立するまでの期間、前記第2判別が実行され易くなる期間を設定する期間設定手段と、を有し、前記遊技状態設定手段は、前記期間設定手段により設定された期間が経過した後に前記第1遊技状態を設定することが可能に構成されているものであることを特徴する遊技機。
従来より、遊技盤面上に設けられた始動口に遊技球が入球すると、遊技の当否が抽選され、その抽選結果が当たりであった場合には、遊技者に有利となる特典遊技が実行されていた。さらに、複数の特別図柄(第1特別図柄と第2特別図柄)を同時に変動させることが可能な遊技機が提案されていた(例えば、特開2015−12907号公報)。また、上述した構成を有する遊技機において、複数の遊技状態を設定可能に構成し、設定される遊技状態に応じて各特別図柄の有利度合いを可変させた遊技機がある。このような遊技機では、例えば、一方の特別図柄抽選が有利となる遊技状態中に獲得した抽選権利を保持した状態で、その一方の特別図柄抽選が不利となる遊技状態へ移行した場合であっても、保持している抽選権利に基づいて一方の特別図柄抽選が実行されてしまうという問題があった。上記した遊技機において、不利側の特別図柄抽選が実行されてしまうことを抑制し、適正な遊技を提供することを目的とする。なお、上述した従来の課題は、第1特別図柄の抽選(変動)と、第2特別図柄の抽選(変動)を同時に(並行して)実行する遊技機(所謂、同時変動機)における課題を記載したものであるが、本特徴群の技術思想によって解決される課題は、同時変動機に限られるものでは無く、同時変動機以外の遊技機(例えば、入賞順に応じて第1特別図柄の抽選(変動)と第2特別図柄の抽選(変動)とを実行する遊技機)に適用しても勿論良い。
遊技機E1によれば、期間設定手段により設定された期間中に記憶手段に記憶されている第2情報の記憶数を減らすことができるため、第1遊技状態中に第2判別が実行される事態を抑制することができる。よって、遊技者に適正な遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機E1において、少なくとも、前記期間設定手段により設定された期間中に、前記第2入球手段へ遊技球が入球することを制限するための制限手段を有するものであることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、次の効果を奏するものである。即ち、期間設定手段により設定された期間中は、第2判別が実行され易く、且つ、第2入球手段への新たな遊技球の入球が制限された期間となるため、記憶手段に記憶された第2情報の数を確実に減少させることができる。よって、第1遊技状態中に第2判別が実行される事態を抑制することができ、遊技者に適正な遊技を提供することができるという効果がある。
遊技機E2において、前記遊技状態設定手段は、前記期間設定手段により設定された前記期間中に特典遊技が実行された場合に、前記第1遊技状態が設定されている状態で特典遊技が実行された場合よりも、前記第2遊技状態を設定し易く構成されているものであることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、期間設定手段により設定された期間中に特典遊技が実行されると、第1遊技状態が設定されている状態で特典遊技が実行される場合よりも、第2遊技状態が設定され易くなるため、期間設定手段により設定された期間中の遊技に対して付加価値を付与することができる。よって、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機E1からE3の何れかにおいて、前記一定条件として、複数の終了条件を設定可能な終了条件設定手段と、その終了条件設定手段により設定された前記終了条件が成立したかを判別する終了判別手段と、を有し、前記遊技状態設定手段は、前記終了判別手段により前記終了条件が成立したと判別した場合に、前記第1遊技状態を設定するものであり、前記終了条件設定手段は、前記終了条件として、少なくとも前記第1判別の実行回数に基づく第1終了条件と、前記第2判別の実行回数に基づく第2終了条件と、を設定するものであることを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E1からE3の何れかの奏する効果に加えて、次の効果を奏するものである。即ち、特定遊技状態が終了する条件として、第1判別の実行回数に基づいて成立する第1終了条件と、第2判別の実行回数に基づいて成立する第2終了条件とが設定されるため、特定遊技状態が終了するタイミングを不定にすることができる。よって、特定遊技状態が終了した時点で、第1記憶手段に記憶されている第1情報の記憶数が0になることを期待させながら遊技を行わせることができるという効果がある。
<特徴F群> (抽選データの圧縮)
所定範囲内の値として予め定められた基準値を、前記所定範囲よりも大きな特定範囲内の判別値に変換するための変換手段と、その変換手段により変換された前記判別値が特定の判別値であるかを判別する判別手段と、その判別手段によって前記特定の判別値であると判別された場合に、遊技者に有利となる特典を付与可能な特典付与手段と、を有し、前記基準値が特定基準値であると判別された場合に、前記特定基準値に基づいて前記判別手段による判別とは異なる特殊処理を実行する特殊処理実行手段を有するものであることを特徴とする遊技機F1。
従来より、パチンコ機などの遊技機は、遊技盤面上に設けられた始動口に遊技球が入球すると、遊技の当否が抽選され、その抽選結果が当たりであった場合には、遊技者に有利となる特典遊技が実行されていた。そして、抽選確率を複雑にするために、当否抽選に用いる値として2バイト分のデータ容量(65536通り)で設定する遊技機がある(例えば、特開2010−94331号公報)。このような遊技機では、当否抽選の抽選確率を複雑にすることで多彩な遊技を実行可能にし、遊技の興趣を向上させることができるものであったが、抽選に用いる値を設定するためのデータ容量が増加してしまうため、遊技機が有するデータ容量を圧迫し、他の用途に用いるデータ容量が制限されてしまうという問題があった。上記した遊技機において、多彩な遊技を実行可能にしながら、抽選に用いる値のデータ容量を削減することにより、遊技機設計の自由度を向上させることを目的とする。
遊技機F1によれば、所定範囲内の値として予め設定された基準値が、変換手段によって所定範囲よりも大きな特定範囲内の判別値に変換され、その判別値に基づいて特典を付与するための判別が実行される。これにより、予め設定された基準値の設定範囲よりも大きな特定範囲内に設定される判別値を用いて特典を付与するための判別を実行することができる。よって、予め設定しておく基準値の範囲を、実際に判別を行う値の範囲よりも小さくすることができるため、判別に用いられるデータ容量を削減することができるという効果がある。また、特定基準値である場合には、特典を付与するための判別に用いる値の一部を利用して、別の処理を実行することができるため、判別に用いる値のデータを有効活用することができる。よって、遊技機が有するデータ容量を削減することができるという効果がある。
遊技機F1において、前記判別手段は、所定条件が成立するまで前記判別を実行するものであり、前記所定条件は、前記特殊処理実行手段が実行される場合に成立するものであることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、判別手段によって、特殊処理実行手段が実行されるまで判別が実行されるため、特殊処理実行手段の実行具合に応じて、特典の付与のし易さを可変することができる。よって、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機F2において、前記判別手段により前記判別値が特定の判別値であると判別され易い第1状態と、その第1状態よりも前記判別値が特定の判別値であると判別され難い第2状態と、を設定可能な状態設定手段を有し、前記特殊処理実行手段は、前記状態設定手段により前記第1状態が設定されている場合のほうが、前記第2状態が設定されている場合よりも前記特殊処理を実行し難いものであることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F2の奏する効果に加え、状態設定手段の設定内容に基づいて特殊処理実行手段の実行のし易さを可変させることができるため、特典付与のし易さを容易に可変させることができるという効果がある。
遊技機F1からF3のいずれかにおいて、前記基準値設定手段は、前記基準値として、所定のビット数で示された基準値を設定するものであり、前記変換手段は、前記所定のビット数のうち、特定ビット数に示される第1情報を、その第1情報に対応させた第1変換情報に変換する第1変換処理と、前記所定のビット数のうち、特定ビット数以外のビット数に示される第2情報を、その第2情報に対応させた第2変換情報に変換する第2変換処理と、前記第1変換情報と、前記第1変換情報とに基づいて前記判別値を算出する第3変換処理と、を実行するものであり、前記変換手段により変換された前記判別値は、前記所定のビット数よりも多いビット数で示されるものであることを特徴とする遊技機F4。
遊技機F4によれば、遊技機F1からF3の何れかの奏する効果に加え、変換手段が所定のビット数で示された基準値を構成する各ビット情報に基づいて変換処理を実行し、判別値を算出するように構成しているため、基準値と判別値とに関連性を持たせることができるという効果がある。
遊技機F4において、前記変換手段は、異なる前記基準値を同一の前記判別値に変換可能なものであり、前記基準値判別手段は、前記変換手段により前記同一の判別値に変換される前記基準値を、前記特定基準値であると判別するものであることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F4の奏する効果に加え、変換手段により同一の判別値に変換されることになる異なる基準値が、特典を付与するための判別に用いられることが無いため、判別手段による判別を適正に実行することができるという効果がある。
<特徴Fa群> (抽選データの圧縮 別)
所定範囲で基準値を更新して生成することが可能な生成手段と、その生成手段により生成された前記基準値を取得する取得手段と、その取得手段により取得された前記基準値を、前記所定範囲よりも大きな特定範囲内の判別値に変換するための変換手段と、その変換手段により変換された前記判別値が特定の判別値であるかを判別する判別手段と、その判別手段によって前記特定の判別値であると判別されたことに基づいて所定の特典を付与する特典付与手段と、を有し、前記判別手段は、前記取得手段により取得された前記基準値が特定基準値である場合には、その特定基準値を用いて前記判別を行うものであることを特徴とする遊技機Fa1。
遊技機Fa1において、前記変換手段は、異なる前記基準値を同一の判別値に変換可能なものであることを特徴とする遊技機Fa2。
遊技機Fa2において、第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも前記判別手段の判別結果が前記特定の判別結果であると判別され易い第2遊技状態と、を設定可能な遊技状態設定手段を有し、前記第1遊技状態における前記特定の判別値の個数と、前記第2遊技状態における前記特定の判別値の個数と、が同一であることを特徴とする遊技機Fa3。
<特徴G群> (引き戻し中演出)
遊技球が入球可能な第1入球手段と、その第1入球手段に遊技球が入球したことに基づいて第1判別を実行可能な第1判別手段と、前記第1判別手段の判別結果を示すための第1識別情報を表示可能な表示手段と、前記第1判別手段の判別結果が特定の第1判別結果であることを示すための特定第1識別情報が前記表示手段に停止表示された場合に特典遊技を実行可能な特典遊技実行手段と、前記特典遊技が終了した後に設定される遊技状態として、第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも遊技者に有利となる第2遊技状態と、を設定可能な遊技状態設定手段と、その遊技状態設定手段により設定された遊技状態を示唆するための示唆演出を実行する示唆演出実行手段と、を有する遊技機であって、前記遊技状態設定手段は、前記第2遊技状態が設定されている状態で実行される前記特典遊技の終了に基づいて前記第1遊技状態を設定する場合に、その前記第1遊技状態を設定する前に特殊遊技状態を所定の第1終了条件が成立するまで設定可能にするものであり、前記示唆演出実行手段は、前記所定の第1終了条件とは異なる所定の第2終了条件が成立するまで前記特殊遊技状態を示唆するための特殊示唆演出を実行するものであることを特徴とする遊技機G1。
従来より、遊技盤面上に設けられた始動口に遊技球が入球すると、遊技の当否が抽選され、その抽選結果が当たりであった場合には、遊技者に有利となる特典遊技が実行されていた。さらに、遊技の当否抽選に関して遊技者に有利となる第1遊技状態と、その第1遊技状態よりも不利となる第2遊技状態とを設定可能にし、現在設定されている遊技状態を遊技者に報知するための報知演出を実行可能な遊技機が提案されていた(例えば、特開2012−231927号公報)。このような遊技機では、実行される報知演出によって、現在設定されている遊技状態を遊技者に分かり易く把握させることができるものであったが、例えば、第1遊技状態が設定されていることが報知演出により報知されていない場合において、遊技者の遊技意欲が低下してしまうという問題があった。上記した遊技機において、遊技者の遊技意欲が低下すること無く、遊技の興趣を向上させることができる遊技機を提供することを目的とする。
遊技機G1によれば、特殊遊技状態が設定される期間の終了条件と、特殊遊技状態が設定されていることを示唆するための特殊示唆演出が実行される期間の終了条件と、を異ならせているため、遊技者に対して、特殊遊技状態が設定されている期間を分かり難くすることができる。よって、遊技者に設定されている遊技状態を予測する楽しみを提供することができ、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機G1において、前記遊技状態設定手段により、前記特殊遊技状態が設定されている状態のほうが、前記第1遊技状態が設定されている場合よりも、特典遊技終了後に前記第2遊技状態が設定され易いものであることを特徴とする遊技機G2。
遊技機G2によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、特殊遊技状態が設定されている場合は、通常状態よりも第2遊技状態が設定され易くなるため、特殊遊技状態が設定されていることを遊技者が所望することになる。よって、示唆演出実行手段により実行される特殊示唆演出が終了したとしても、遊技者に期待を持たせて遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機G1またはG2において、前記特殊遊技状態を終了させるための前記第1終了条件を複数設定可能な第1終了条件設定手段と、前記特殊示唆演出を終了させるための前記第2終了条件を複数設定可能な第2終了条件設定手段と、を有し、前記第2終了条件設定手段は、前記第1終了条件設定手段により前記第1終了条件が設定された特定種別に対して、第2終了条件を少なくとも設定するものであることを特徴とする遊技機G3。
遊技機G3によれば、特殊遊技状態を終了させるための第1終了条件と、特殊示唆演出を終了させるための第2終了条件とが、同一の特定種別に対して設定されるため、何れの終了条件も特定種別の情報が更新される際に成立し得ることになる。よって、特殊示唆演出の終了タイミングに対して遊技者に違和感を与えることを抑制することができるという効果がある。
遊技機G3において、前記特定種別は、前記第1判別が実行される回数、或いは、前記第2判別が実行される回数であることを特徴とする遊技機G4。
遊技機G4によれば、遊技機G3の奏する効果に加え、第1判別、或いは第2判別が実行されることに基づいて終了条件が成立することになるため、遊技者に対して、第1判別や第2判別が実行する毎に何れの終了条件が成立するのかを注視させることができる。よって、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
遊技機G4において、前記第2終了条件設定手段は、前記特定種別に対して設定する値として、前記第1終了条件が設定した値とは異なる値を設定可能にするものであることを特徴とする遊技機G5。
遊技機G5によれば、遊技機G4の奏する効果に加え、同一の特定種別に対して異なる値を設定可能に構成することで、先に第1終了条件が成立する場合と、先に第2終了条件が成立する場合とを実現することができるため、現在設定されている遊技状態をより分かり難くすることができ、遊技者に遊技状態を予測させる楽しみを提供することで、遊技の興趣を向上させることができるという効果がある。
<特徴H群> (発射方向示唆態様を可変させる)
遊技球が流下可能な遊技領域と、その遊技領域に向けて遊技球を発射可能であって、供給される電力量によって発射強度を可変可能な発射手段と、を有し、前記遊技領域は、前記発射手段により第1の発射強度で発射で発射された遊技球が流下可能な第1遊技領域と、前記発射手段により前記第1の発射強度とは異なる第2の発射強度で発射された遊技球が流下可能で、前記第1の発射強度で発射された遊技球が流下困難な第2遊技領域と、を有するものであり、前記第1遊技領域のうち、前記第2の発射強度で発射された球が流下困難な領域に設けられ、遊技球が入球可能な第1入球手段と、前記第2遊技領域に設けられ、遊技球が入球可能な第2入球手段と、前記第1入球手段に遊技球が入球した場合に取得可能な第1取得情報を取得したことに基づいて第1判別を実行し、前記第2入球手段に遊技球が入球した場合に取得可能な第2取得情報を取得したことに基づいて第2判別を実行する判別手段と、その判別手段による判別結果を示すための識別情報が表示される表示手段と、前記表示手段に第1判別結果を示すための前記識別情報が停止表示された場合に、遊技者に有利となる特典遊技を実行する特典遊技実行手段と、前記判別手段により、前記第1判別のほうが前記第2判別よりも実行され易い第1遊技状態と、前記第2判別のほうが前記第1判別よりも実行され易い第2遊技状態と、を設定可能な遊技状態設定手段と、その遊技状態設定手段により前記第1遊技状態が設定されている状態で、前記第2遊技領域を遊技球が流下していることを判別した場合に、前記発射強度を可変させるための発射強度可変報知を実行する報知実行手段と、その報知実行手段により、前記発射強度可変報知が実行されている状態で所定の報知条件が成立した場合に、前記発射強度可変報知の報知態様を異ならせる報知態様可変手段と、を有するものであることを特徴とする遊技機H1。
従来より、遊技盤面上に設けられた始動口に遊技球が入球すると、遊技の当否が抽選され、その抽選結果が当たりであった場合には、遊技者に有利となる特典遊技が実行されていた。さらに、設定される遊技状態に応じて、遊技球を発射させる方向を可変させて、異なる遊技領域を狙う遊技を行わせるものがある。そして、設定されている遊技状態と、遊技球を発射させる方向と、が一致していない場合に、遊技者に対して遊技球の発射方向を変更させるための発射方向報知を実行する遊技機が提案されていた(例えば、特開2010−172523号公報)。このような遊技機では、実行される発射方向報知によって、現在設定されている遊技状態に適した発射方向(遊技方法)を遊技者に把握させることができるものであったが、異なる発射方向に遊技を行った場合に遊技者が被るデメリットの大小に関わらず同一の報知態様が設定されるため、遊技者が発射方向報知に馴れてしまい、大きなデメリットを被ってしまうという問題があった。そこで、上述した問題を解決し、遊技者が不利益を被ることを抑制することで、遊技者に安心して遊技を行わせることが可能な遊技機を提供することを目的とする。
遊技機H1によれば、所定の報知条件の成立の有無に基づいて、発射強度を可変させるための発射強度可変報知の報知態様を異ならせることができるため、遊技者が不利益を被ることを抑制することができ、遊技者に安心して遊技を行わせることができるという効果がある。
遊技機H1において、前記第2遊技領域に遊技球が通過可能な特定領域と、その特定領域を遊技球が通過したことに基づいて判別を実行する通過判別手段と、前記第2入球手段に遊技球が入球可能な第1状態と、その第1状態よりも遊技球が入球困難となる第2状態とに可変可能な可変手段と、を設け、前記通過判別手段の判別結果が特定の判別結果である場合に、前記可変手段を前記第1状態へと可変させる可変制御手段と、を有し、前記遊技状態設定手段は、前記第2入球手段に遊技球が入球可能な特定第1遊技状態と、その特定第1遊技状態よりも前記第2入球手段に遊技球が入球困難となる所定第1遊技状態とを設定可能なものであり、前記報知態様可変手段は、前記所定第1遊技状態が設定されている場合に、前記発射強度可変報知の報知態様を強調報知態様に可変するものであることを特徴とする遊技機H2。
遊技機H2によれば、遊技機H1の奏する効果に加え、遊技状態設定手段によって設定された遊技状態に応じて報知態様可変手段を実行することができるため、遊技者に分かり易い情報を提供することができる。
遊技機H2において、前記特定領域を遊技球が通過した場合に通過情報を取得する通過情報取得手段と、その通過情報取得手段により取得された前記通過情報を、所定数を上限に記憶可能な通過情報記憶手段と、を有し、前記通過判別手段は、所定の通過判別条件が成立した場合に、前記通過情報記憶手段に記憶されている前記通過情報に基づいて判別を実行するものであり、前記報知態様可変手段は、前記第1遊技状態が設定されている状態で、前記通過情報記憶手段により、特定数の通過情報が記憶されている場合にも、前記発射強度可変報知の報知態様を強調報知態様に可変するものであることを特徴とする遊技機H3。
遊技機H3によれば、第1遊技状態が設定されている状態で第2遊技領域に設けられている特定領域を複数の球が通過している場合に、強調報知態様に可変することができるため、継続して不適切な遊技を行っている遊技者に対して注意喚起を促すことが出来るという効果がある。
前記各遊技機は、パチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機Z1。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された入賞口に入賞(又は入賞口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
前記各遊技機は、スロットマシンであることを特徴とする遊技機Z2。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
前記各遊技機は、パチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機Z3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。