JP2019009008A - 金属繊維シート、配線部材、及びバスバー - Google Patents

金属繊維シート、配線部材、及びバスバー Download PDF

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Abstract

【課題】従来の配線部材と同等の導電性を有しながら、伝熱性が低い金属繊維シート、配線部材、及びバスバーを提供する。
【解決手段】銅繊維、及びアルミニウム繊維の少なくとも一方を含む金属繊維シートであって、前記金属繊維シートに含まれている繊維同士が、少なくとも一部で結着されており、前記金属繊維シートと同組成のソリッド材との伝送減衰率差が±5%以内であり、熱伝導率が150W/m・K以下である金属繊維シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、金属繊維シート、配線部材、及びバスバーに関する。
電気回路における導電経路として、導電性を有する配線部材が、半導体、自動車、及び原子力等の幅広い産業分野で利用されている。配線部材には高い導電性が求められるので、アルミニウム、及び銅等の金属片が配線部材の材料として用いられている。
例えば、半導体分野におけるエッチング、及び薄膜形成等の処理を行うプラズマ処理装置は、電極に高電流で通電するための配線部材を備えている。プラズマ処理装置は、配線部材を介して電源から電極に高い電流値で通電することにより、プロセスガスからプラズマを発生させる。かかる配線部材は、アルミニウム、及び銅等の金属片等からなる。
アルミニウム、及び銅等の金属片の配線部材は、高い導電性を有するが、高い電流値で通電すると、金属片の配線部材は発熱する。かかる発熱が、配線部材の周囲にある電源等の熱の影響を受けやすい装置部分に伝熱すると、種々の不具合が生じるので、配線部材の発熱を放熱等する試みがなされている(特許文献1〜3)。
特許文献1は、原子力分野で使用される配線部材を開示している。特許文献1に記載の配線部材は、冷媒の流路となる中空部を有する導体を複数配置することにより、発熱した配線部材を冷却できるようにしている。
特許文献2は、プラズマ処理装置の給電棒に用いられる配線部材を開示している。特許文献2に記載の給電棒は、導電性の配線部材と、空気等の冷媒を流すための中空部とを備えている。特許文献1の給電棒は、中空部に突起物を設けることにより、冷媒による冷却効果を高め、配線部材の過熱を防止している。
特許文献3は、自動車分野で使用される配線部材であるバスバーを開示している。特許文献3に記載の配線部材は、傾斜角をもって取り付けられた通気孔を有している。かかるバスバーは、通気孔を有することにより、中空部に空気が入り込み、バスバーの中空部の内表面から放熱し得るようにされている。
特開2000−12197号公報 特開2003−282544号公報 特開2004−80972号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の配線部材は、伝熱性が高いソリッドな材料を用いているので、配線部材を介して伝わる熱が抑制されにくい。そのため高温の電極等と隣接する配線部材は、電極等の高熱を電源等の装置部分に伝熱してしまう。
例えば、半導体産業におけるプラズマ処理装置等では、薄膜形成等の生産性の観点から、より高い電流値で電極に通電することが望まれている。しかし、より高い電流値で電極に通電されることにより、電極はさらに発熱する。ところが、従来の配線部材は、伝熱性が高いソリッド材を材料として用いているため、電源等のその他の装置部分に伝熱する熱を抑制できない。そのため、従来の配線部材で電極と電源とが接続されたプラズマ処理装置では、望ましい電流値で通電することができず、生産性の向上を図ることができなかった。
また、例えば自動車産業における電気自動車等では、ヒューズと電池ユニットとの間にバスバーが設けられている。電気自動車の急速充電時、及び高出力走行時等は、ヒューズの温度上昇が大きいため、ヒューズより温度上昇が低い電池ユニットとの間に温度勾配が発生しやすい。この温度勾配によって、ヒューズから電池に熱が伝わってしまい、電池を早く劣化させてしまう。
このようにヒューズと電池ユニットとの間にバスバーが設けられる場合にあっては、バスバー自体の発熱量を上回る発熱量が、ヒューズからバスバーに加わるので、電気自動車等に用いられるバスバーにはより高い冷却効率が求められる。さらに、電池が早く劣化することで、電気自動車に用いられる場合に電気自動車の走行性低下等が生じてしまうことも考えられる。以上述べた、バスバー等の導電経路を介して伝わる熱に関する問題は、半導体産業、及び自動車産業で使用される電気回路に限らず、特に高電圧大電流が流れる電気回路や、高周波電源が使用される産業分野において共通の問題である。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、従来の配線部材と同等の導電性を有しながら、伝熱性が低い金属繊維シート、配線部材、及びバスバーを提供することを課題とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 銅繊維、及びアルミニウム繊維の少なくとも一方を含む金属繊維シートであって、前記金属繊維シートに含まれている繊維同士が、少なくとも一部で結着されており、前記金属繊維シートと同組成のソリッド材との伝送減衰率差が±5%以内であり、熱伝導率が150W/m・K以下である金属繊維シート。
[2] 前記繊維同士が、焼結により結着されている[1]に記載の金属繊維シート。
[3] [1]又は[2]に記載の金属繊維シートを用いた配線部材。
[4] [1]又は[2]に記載の金属繊維シートを用いたバスバー。
本発明によれば、従来の配線部材と同等の導電性を有しながら、伝熱性が低い金属繊維シート、配線部材、及びバスバーを提供できる。
本発明を適用した一実施形態に係る配線部材を説明するための構成の一例を示す断面図である。 電気自動車の駆動系の電気回路の模式図である。 坪量の変動係数を計測するための、金属繊維シート裁断個片のマッピング図である。 印加周波数と伝送減衰率の関係を表すグラフである。 空隙率と熱伝導率の関係を表すグラフである。
以下の用語の定義は、本明細書、及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「ソリッド材」とは、銅、及びアルミニウム等の導電性の金属からなる金属片、金属板、及び金属箔等の材を意味する。
「伝送減衰率(単位:%)」は、繊維シートをグラウンド側に接続したマイクロストリップ基板の伝送損失量で、ネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー社製「PNA−L N5230C」)により測定される、反射係数|S11|、及び透過係数|S21|から以下の式により算出される値である。
(伝送減衰率(%))=1−(|S11+|S21)×100
「熱伝導率(単位:(W/m・K)」は、光交流法(アドバンス理工社製「LaserPIT」)により測定される熱拡散率に、DSC(示差走査熱量測定)で測定した比熱と、繊維シートのカサ密度を乗じて算出される値である。
「銅繊維」とは、主成分が銅である繊維を意味する。主成分が銅であるとは、不可避的不純物を含め、本件発明の効果を妨げない限り、その他の成分を一定量含んでいてもよい状態を意味する。同様に、「アルミニウム繊維」とは、主成分がアルミニウムである繊維を意味する。主成分がアルミニウムであるとは、不可避的不純物を含め、本件発明の効果を妨げない限り、その他の成分を一定量含んでいてもよい状態を意味する。なお、「金属繊維」とは、金属を主成分とする繊維を意味する。
「均質性」とは、繊維で構成されるシートの電気特性、物理特性、及び透気特性等のシートが有する特性のシート内におけるバラツキが少ないことを意味する。均質性の指標として、例えば、1cm当たりのJIS Z8101に規定する坪量の変動係数(CV値)を採用することができる。
「平均繊維径」とは、顕微鏡で撮像された金属繊維シートの任意の複数の箇所における垂直断面に基づいて、銅繊維の長手方向に垂直な断面積を公知の計算手法で算出し、当該断面積と同一面積を有する真円の直径を算出することにより導かれた面積径の相加平均値である。上記複数の箇所は、例えば、20箇所とすることができる。
「平均繊維長」とは、顕微鏡でランダムに選択した複数本の繊維について繊維の長手方向の長さを測定した値の相加平均値である。繊維が直線状でない場合には、繊維に沿った曲線の長さとする。上記複数本は、例えば、20本とすることができる。
「シートの厚み」とは、空気による端子落下方式の膜厚計(例えば、ミツトヨ社製「デジマチックインジケータID−C112X」等)で、例えば、金属繊維シートの任意の数測定点を測定した場合の相加平均値である。
「占積率」とは、繊維シートの体積に対して繊維が存在する部分の割合で、繊維シートの坪量、厚み、及び繊維の真密度から以下の式により算出される。繊維シートが複数の種類の繊維を含む場合には、各繊維の組成比率を反映した真密度値を採用することで占積率を算出することができる。
(占積率(%))=(繊維シートの坪量)/((繊維シートの厚み)×(真密度))×100
「空隙率」とは、繊維シートの体積に対して空隙が存在する部分の割合で、繊維シートの坪量、厚み、及び繊維の真密度から以下の式により算出される。繊維シートが複数の種類の繊維を含む場合には、各繊維の組成比率を反映した真密度値を採用することで占積率を算出することができる。
(空隙率(%))=(1−(繊維シートの坪量)/((繊維シートの厚み)×(真密度)))×100
[金属繊維シート]
以下、本発明を適用した一実施形態の金属繊維シートについて詳細に説明するが、本発明の金属繊維シートは、下記の記載に限定されない。なお、以下の説明で用いる図面において、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
本実施形態の金属繊維シートは、銅繊維、及びアルミニウム繊維の少なくとも一方を含む。本実施形態の金属繊維シートは、銅繊維のみを含んでいてもよく、アルミニウム繊維のみを含んでいてもよく、銅繊維とアルミニウム繊維とを含んでいてもよい。また、本実施形態の金属繊維シートは、導電性を損なわない範囲で、銅繊維、及びアルミニウム繊維以外の金属繊維、並びに金属繊維以外の繊維をさらに含んでいてもよい。以下、銅繊維を主体として構成されている金属繊維シートを銅繊維シートと記し、アルミニウム繊維を主体として構成されている金属繊維シートをアルミニウム繊維シートと記すことがある。
本実施形態の金属繊維シートは、任意のシート構造をとることができる。例えば、本実施形態の金属繊維シートは、繊維がランダムに交絡した不織布であってもよいし、規則性を有する織布であってもよい。
本実施形態の金属繊維シートは、本実施形態の金属繊維シートに含まれている繊維同士が、少なくとも一部で結着されている。本実施形態の金属繊維シートに含まれている繊維同士が結着されているとは、例えば、本実施形態の金属繊維が銅繊維と、アルミニウム繊維とを含む場合においては、銅繊維同士、アルミニウム繊維同士、又は銅繊維とアルミニウム繊維とが物理的に固定され、結着部を形成していることを意味する。
本実施形態の金属繊維シートは、本実施形態の金属繊維シートに含まれている繊維同士が結着部で直接的に固定されていてもよい。また、本実施形態の金属繊維シートは、本実施形態の金属繊維シートに含まれている繊維同士が銅成分、若しくはアルミニウム成分、又は銅、及びアルミニウム以外の金属成分を介して間接的に固定されていてもよい。
銅、及びアルミニウム以外の金属としては、ステンレス、鉄、ニッケル、及びクロム等が挙げられるが特に制限されない。銅、及びアルミニウム以外の金属としては、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、及びオスミウム等の貴金属であってもよい。
金属以外の成分としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル樹脂、アラミド樹脂、ナイロン、及びアクリル樹脂、並びにこれらの繊維状物等の結着性、及び担持性を有する有機物等が挙げられる。これらの有機物は、例えば金属繊維シート作製時の形態維持性を補助・向上させるため等に用いることができる。
本実施形態の金属繊維シートに含まれている繊維同士が、少なくとも一部で結着されていることにより、本実施形態の金属繊維シートは、導電性を具備することができる。
本実施形態の金属繊維シートと同組成のソリッド材との伝送減衰率差は、印加周波数10MHz〜10GHzまでの各周波数帯で、いずれも±5%以内であり、好ましくは、印加周波数1GHzにおいて±2%以内であり、他の態様では、好ましくは、印加周波数100MHzにおいて±1%以内であり、他の態様では、好ましくは、印加周波数10MHzにおいて±0.5%以内である。前記伝送減衰率差が、少なくとも±5%以内であれば、本実施形態の金属繊維シートは、ソリッド材と同等の導電性を具備することができる。もっとも、前記伝送減衰率差が少なければ少ないほど、ソリッド材と同じ導電性能を発揮できることとなり、より好ましい。前記伝送減衰率差は以下の式により算出することができる。
(伝送減衰率差)=(本実施形態の金属繊維シートの伝送減衰率)−(本実施形態の金属繊維シートと同組成のソリッド材の伝送減衰率)
例えば、本実施形態の金属繊維シートが銅繊維のみを含む銅繊維シートである場合、本実施形態の金属繊維シートと同組成のソリッド材としては、銅片、銅板、及び銅箔等が挙げられる。また、本実施形態の金属繊維シートがアルミニウム繊維のみを含むアルミニウム繊維シートである場合、本実施形態の金属繊維シートと同組成のソリッド材としては、アルミニウム片、アルミニウム板、及びアルミニウム箔等が挙げられる。また、本実施形態の金属繊維シートが、金属繊維シート100質量%に対して、50質量%の銅繊維と、50質量%のアルミニウム繊維とを含む場合、本実施形態の金属繊維シートと同組成のソリッド材は、ソリッド材100質量%に対して、50質量%の銅成分と、50質量%のアルミニウム成分とからなる金属片、金属板、及び金属箔等が挙げられる。
また、本実施形態の金属繊維シートが、樹脂等の金属以外の材料を含む場合には、樹脂等の金属以外の材料を除く金属材料と同組成のものをソリッド材として用いればよい。
本実施形態の金属繊維シートの熱伝導率は、150W/m・K以下であり、好ましくは100W/m・K以下である。熱伝導率の下限値については、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に定められるものではないが、10W/m・K以上を目安とすることができる。金属繊維シートの熱伝導率が、少なくとも150W/m・K以下であれば、本実施形態の金属繊維シートの伝熱性を低減することができる。
本実施形態の金属繊維シートは、本実施形態の金属繊維シートに含まれている繊維同士が、少なくとも一部で結着されているので、銅繊維の間に空隙を有することができる。かかる空隙は、例えば銅繊維が交絡することにより形成されてもよい。かかる空隙の存在によって、金属繊維シートの伝熱性が低減し得る。本実施形態の金属繊維シートの空隙率は35%〜95%であることが好ましく、40%〜90%であることがさらに好ましい。空隙率が35%未満であると熱伝導率が上昇しやすくなり、本実施形態の金属繊維シートの伝熱性が高まる恐れがある。
本実施形態の金属繊維シートは、本実施形態の金属繊維シートに含まれている繊維同士が、焼結により結着されていることが好ましい。当該繊維同士が焼結により結着されていることにより、本実施形態の金属繊維シートの導電性、熱伝導性、及び均質性が安定しやすくなる。
本実施形態に係る銅繊維、又はアルミニウム繊維の平均繊維径は、金属繊維シートの伝送減衰率、及び熱伝導率を損なわない範囲で任意に設定することができる。銅繊維、又はアルミニウム繊維の平均繊維径は、1μm〜100μmであることが好ましく、15μm〜50μmであることが好ましい。銅繊維、又はアルミニウム繊維の平均繊維径が1μm未満であると、繊維の剛直性が低下して、金属繊維シートを作製する際に所謂ダマが生じやすくなる傾向がある。銅繊維、又はアルミニウム繊維の平均繊維径が100μmを超えると、繊維の剛直性が繊維交絡の妨げになる恐れがある。
銅繊維、又はアルミニウム繊維の長手方向に垂直な断面の形状は、任意の形状とすることができる。かかる断面の形状は、例えば、円形、楕円形、略四角形、及び不定形等のいずれの形状であってもよい。
本実施形態に係る銅繊維、又はアルミニウム繊維の平均繊維長は、金属繊維シートの伝送減衰率、及び熱伝導率を損なわない範囲で任意に設定することができるが、1mm〜30mmの範囲であることが好ましく、3mm〜10mmの範囲であることがさらに好ましい。銅繊維、又はアルミニウム繊維の平均繊維長が1mm〜30mmの範囲であれば、例えば、抄造によって本実施形態の金属繊維シートを作製する際に、繊維のダマが生じにくく、繊維の分散を高度に制御しやすくなるとともに、繊維同士の交絡により金属繊維シートのハンドリング強度が向上しやすい。
本実施形態に係る銅繊維、又はアルミニウム繊維は、溶融紡糸法、及び引抜き法等により製造された長銅繊維、又は長アルミニウム繊維を、所望の長さに切断する場合、長銅繊維、又は長アルミニウム繊維は微細であるため、繊維を一本一本切断することは、現実的でない。そのため、長銅繊維、又は長アルミニウム繊維を束ねて切断する方法を採用することが好ましい。長銅繊維、又は長アルミニウム繊維を束ねて切断する際には、長銅繊維、又は長アルミニウム繊維の束を予め充分にほぐした後に切断することが好ましい。繊維の束を充分にほぐすことにより、切断時に繊維間の切断面同士が固着する現象を抑制しやすくなる。繊維同士の切断面での固着がなく、銅繊維、又はアルミニウム繊維の一本一本が独立した挙動を示していることが好ましい。これにより、金属繊維シートの均質性、低伝送減衰性、及び低伝熱性が優れやすくなる。特に銅繊維、及びアルミニウム繊維は、硬度が低いため、上述した手法を採用することが効果的である。
本実施形態に係る銅繊維、又はアルミニウム繊維のアスペクト比は、33〜10000であることが好ましい。アスペクト比が33未満である場合には、所謂ダマは生じにくいが、繊維の交絡が生じにくくなるため、導電性が低下する恐れがある。アスペクト比が10000を超えると、ハンドリング強度は、充分に保たれるが、ダマが生じやすくなり、金属繊維シートの均質性が低下する恐れがある。
本実施形態の金属繊維シートの占積率は、5%〜65%の範囲が好ましく、10%〜60%がより好ましい。占積率が5%未満の場合には、繊維量が不足するため、均質性の低下や、伝送減衰率が上昇する恐れがある。占積率が65%を超えると金属繊維シートの可撓性が低下するとともに、伝熱性が上昇する恐れがある。
本実施形態の金属繊維シートの厚みは、任意の厚さに調整することができるが、例えば、20μm〜5mmの範囲であることが好ましい。
本実施形態の金属繊維シートは、1cm当たりのJIS Z8101に規定する坪量の変動係数(CV値)が10%以下であることが好ましい。坪量は、単位面積当たりの重量を示す指標であるから、坪量の変動係数が一定の値以下であることは、各個片の占積率、伝送減衰率(導電性)、及び熱伝導性についても安定した値であるといえる。すなわち、本実施形態の金属繊維シートの坪量の変動係数が10%以下であれば、金属繊維シートに極端なサイズのダマ、及び空隙が存在せず、金属繊維シートの占積率、導電性、及び熱伝導性の値も充分に均質となりやすい。
坪量の変動係数は、例えば、下記に示す方法によって求めることができる。
1.計測対象の金属繊維シートを1cm角に切断して、金属繊維シート個片を得る。
2.上記各個片を高精度分析天秤(例えば、エー・アンド・アイ社製「BM−252」)で秤量し、各個片の質量を測定する。
3.個片が厳密な正方形に切断されていない可能性を考慮して、平行する2辺の中央付近の距離を測定し、その測定値を縦長、横長とする。
4.上記縦長、及び横長から各個片の面積を算出する。
5.上記質量を、上記面積で割ることによって各個片の坪量を算出する。
6.全個片の坪量の標準偏差を平均値で割り、100を乗じて、金属繊維シート個片の坪量の変動係数(CV値)を算出する。
なお、個片数は例えば100個以上を測定することによって、変動係数の安定化を図ることができる。また、計測対象の金属繊維シートが1cmに満たない場合には、1cmに換算した値を変動係数(CV値)とすることができる。
本実施形態の金属繊維シートは、厚みや面積等に制限はなく、使用される用途に応じて適宜変更することができる。また、本実施形態の金属繊維シートは、例えば複数枚重ね合わせた態様とすることもできるし、複数枚を重ね合わせて焼結した態様とすることもできる。更には、必要に応じて絶縁被覆を施すこともできる。
以下、本実施形態の金属繊維シートの製造方法の一例について説明する。
本実施形態の金属繊維シートを得る方法としては、銅繊維若しくはアルミニウム繊維、又は銅繊維若しくはアルミニウム繊維を主体とするウェブを圧縮成形する乾式法、及び銅繊維若しくはアルミニウム繊維、又は銅繊維若しくはアルミニウム繊維を主体とする原料を湿式抄造法で抄紙する方法等が挙げられる。
乾式法により、本実施形態の金属繊維シートを得る場合には、カード法、エアレイド法等により得られた銅繊維若しくはアルミニウム繊維、又は銅繊維若しくはアルミニウム繊維を主体とするウェブを圧縮成形することができる。このとき、繊維間を結合させるために、銅繊維、又はアルミニウム繊維にバインダーを含浸させてもよい。かかるバインダーとしては、特に制限されないが、例えば、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、及びウレタン系接着剤等の有機バインダー等、並びにコロイダルシリカ、水ガラス、及びケイ酸ソーダ等の無機質接着剤を用いることができる。なお、バインダーを含浸させる代わりに、繊維の表面に熱接着性樹脂を予め被覆しておき、銅繊維若しくはアルミニウム繊維、又は銅繊維若しくはアルミニウム繊維を主体とする集合体を積層し、積層してできた積層体を加圧・加熱圧縮してもよい。
本実施形態の金属繊維シートは、銅繊維、又はアルミニウム繊維等を水中に分散させて、水中に分散した銅繊維、又はアルミニウム繊維等を抄き上げる湿式抄造法により作製することもできる。具体的には、例えば、まず撹拌ミキサーを用い、銅繊維、又はアルミニウム繊維を主体とするスラリーを作製する。次に、当該スラリーに、填料、分散剤、増粘剤、消泡剤、紙力増強剤、サイズ剤、凝集剤、着色剤、及び定着剤等の公知の添加剤を適宜添加することができる。
銅繊維、及びアルミニウム繊維以外の繊維状物として、ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル樹脂、アラミド樹脂、ナイロン、及びアクリル樹脂をスラリーに添加することもできる。これらの銅繊維、及びアルミニウム繊維以外の有機繊維は、加熱溶融により結着性を発揮し、金属繊維シートの形態維持性を補助等することができる。ただし、焼結によって繊維間に結着部を設ける場合においては、有機繊維等の非存在下で焼結し、確実に結着部を設けることが好ましい。
上記のように有機繊維等の非存在下で、銅繊維、又はアルミニウム繊維等を抄造する場合、水と繊維等との真密度の差、及び繊維の過交絡により、いわゆるダマ等の凝集物が生じやすい。そのため、適宜増粘剤等を使用することが好ましい。また、撹拌ミキサー中のスラリーは、真密度の大きな銅繊維、又はアルミニウム繊維がミキサーの底面に沈降しやすい傾向にある。そのため、底面付近を除いたスラリーを抄造スラリーとして用いることが好ましい。
次に、上記スラリーを用いて、抄紙機にて湿式抄造を実施する。抄紙機としては、円網抄紙機、長網抄紙機、短網抄紙機、及び傾斜型抄紙機、並びにこれらの中から同種又は異種の抄紙機を組み合わせてなるコンビネーション抄紙機等を用いることができる。次に、抄紙後の湿紙を、エアードライヤー、シリンダードライヤー、サクションドラムドライヤー、及び赤外方式ドライヤー等を用いて乾燥し、本実施形態のシートを得ることができる。
本実施形態の金属繊維シートを湿式抄造法により製造する場合には、抄造網上の水分を含んだ湿体シートを形成する銅繊維若しくはアルミニウム繊維、又は銅繊維若しくはアルミニウム繊維を主体とする成分を互いに交絡させる繊維交絡処理工程を実施してもよい。繊維交絡処理工程としては、例えば、湿体シート面に高圧ジェット水流を噴射する繊維交絡処理工程を採用することが好ましく、具体的には、シートの流れ方向に直交する方向に複数のノズルを配列し、当該複数のノズルから同時に高圧ジェット水流を噴射することにより、シート全体に亘って繊維同士を交絡させることができる。当該工程を経た後は、湿体シートは、ドライヤー工程を経て巻取り等される。
上述した繊維交絡処理工程を経て製造される本実施形態の金属繊維シートは、例えば、繊維同士を結着させる前に、プレス(加圧)工程を実施してもよい。結着前にプレス工程を実施することによって、その後の結着工程において、繊維間に結着部を確実に設けることができ、金属繊維シートの導電性、及び均質性が向上しやすくなる。
プレス工程は加熱下で実施してもよく、非加熱下で実施してもよい。本実施形態の金属繊維シートが、加熱溶融により結着性を発揮する有機繊維等を含む場合には、当該有機繊維等の溶融開始温度以上の温度で加熱することが有効である。本実施形態の金属繊維シートが、金属繊維のみを含む場合には、加圧のみでもよい。
プレス工程における圧力は、金属繊維シートの厚みを考慮して適宜設定することができる。例えば、厚み170μm程度の金属繊維シートにプレス工程を実施する場合、線圧300kg/cm未満、好ましくは、250kg/cm未満でプレス工程を実施することにより、本実施形態の金属繊維シートに低伝送減衰率、及び均質性を付与しやすくすることができる。当該プレス工程により、本実施形態の金属繊維シートの占積率、及び空隙率を調整することもできる。
本実施形態の金属繊維シートの繊維同士を結着させる方法としては、金属繊維シートを焼結する方法、化学エッチングにより結着する方法、レーザー溶着する方法、IH加熱を利用して結着する方法、ケミカルボンド法、及びその他公知のサーマルボンド法等を用いることができる。これらの中でも、金属繊維シートを焼結する方法は、金属繊維シートに含まれている繊維同士を確実に結着し、繊維間を固定することができ、金属繊維シートの伝送減衰率、熱伝導率、及び坪量の変動係数(CV値)が安定しやすくなるため好ましい。
金属繊維シートを焼結させるには、真空中又は非酸化雰囲気中で金属繊維の融点以下の温度で焼結する焼結工程を経ることが好ましい。焼結工程を経た金属繊維シートは、金属繊維シートに含まれている繊維同士が、焼結により結着されている。上述したように、焼結によって金属繊維間に結着部を設ける場合には、有機繊維等の非存在下で焼結することが好ましい。焼結工程を実施することにより、金属繊維のみで構成されるシートであっても、金属繊維同士の接点が結着し、確実に結着部を設けることができ、低伝送減衰率(導電性)、及び均質性が安定しやすい。
焼結工程を経た金属繊維シートは、さらにプレス工程を経ることが好ましい。焼結工程の後、プレス工程を経ることで、金属繊維シートの導電性、及び均質性がさらに向上しやすくなる。例えば、金属繊維シートが、金属繊維の不織布である場合、金属繊維がランダムに交絡した不織布は、プレスによって、厚み方向だけでなく、面方向にも繊維のシフトが生じる。これにより焼結時には空隙であった箇所にも繊維が配置されやすくなり、かかる状態が銅繊維、及びアルミニウム繊維等が具備する塑性変形特性によって維持される。
焼結工程の後に実施されるプレス工程の圧力は、金属繊維シートの厚みを考慮して適宜設定することができる。
本実施形態の金属繊維シートは、上述の方法によって製造することができる。かかる金属繊維シートの伝送減衰率、及び熱伝導率は、金属繊維シートの占積率、空隙率、金属繊維シートの厚み、及び銅繊維、又はアルミニウム繊維のカサ密度等を調整することによって所定の値に調整することができる。
以上説明した本実施形態の金属繊維シートは、金属繊維シートに含まれている繊維同士が、少なくとも一部で結着されており、ソリッド材との伝送減衰率差が±5%以内であるから、従来のソリッド材と同等の導電性を有する。さらに、本実施形態の金属繊維シートには、銅繊維間に空隙があり、熱伝導率が150W/m・K以下であるから、伝熱性が低い。
[配線部材]
以下、本実施形態の配線部材について説明するが、本発明の配線部材は、下記の記載に限定されない。
本実施形態の配線部材は、本実施形態の金属繊維シートを用いた配線部材である。すなわち、本実施形態の配線部材は、本実施形態の金属繊維シートを導体の材料として用いて製造された配線部材である。
本実施形態の配線部材は、電気回路における導電経路として使用することができる。例えば、本実施形態の配線部材は、素子、端子、被覆材、及び絶縁体等の公知の構成を付加して使用することができるほか、配線部材で用いられる公知の冷却機構を備えることもできる。
本実施形態の配線部材は、例えば、原子力分野におけるガラス溶融炉で使用される高周波加熱コイルに使用することができる。一般に、高周波電流が配線部材に通電されると、表皮効果によって導体表面の電流密度が高くなり、周波数が高いほど、電流が導体表面に集中し、導体の交流抵抗が高くなりやすい。
本実施形態の配線部材は、導体が金属繊維シートで構成されているため、ソリッド材を用いた配線部材と比べて、金属繊維の表面部分と中心部分とで電流密度の差が生じにくく、導体の交流抵抗が高くなりにくい。
上記の例示の他にも、本実施形態の配線部材は、例えば、半導体分野におけるプラズマ処理装置の給電用の配線部材として用いることができ、自動車分野におけるバスバー等に使用することができる。以下、半導体分野におけるプラズマ処理装置の給電用の配線部材について説明し、自動車分野におけるバスバーについては後述する本実施形態の「[バスバー]」の項で説明する。
[プラズマ処理装置の給電用の配線部材]
本実施形態の配線部材は、高周波電源を用いるプラズマ処理装置の給電用の配線部材として利用することができる。
図1は、本発明を適用した一実施形態に係る配線部材2a,2bを備えるプラズマ処理装置10の一例を示す断面図である。図1に示すように、プラズマ処理装置10は、電極1a(1b)と、配線部材2a(2b)と、交流電源3a(3b)と、真空容器4とを備えて構成されている。
電極1aと、電極1bとは、真空容器4に収容されている。電極1a(1b)は、配線部材2a(2b)を介して、交流電源3a(3b)と接続されている。
電極1bは、高周波電流を通電されることにより、真空容器4に供給されるプロセスガスを原料として、ウエハW等の薄膜を形成することができる。
配線部材2a(2b)は、電極1a(1b)と交流電源3a(3b)との間に設けられている。配線部材2a(2b)は、電極1a(1b)と交流電源3a(3b)とを電気的に接続している。
配線部材2a(2b)は、棒体6a(6b)の表面を被覆するように設けられている。
棒体6a(6b)は、第1の端部が電極1a(1b)と接続されており、第2の端部が交流電源3a(3b)と接続されている。棒体6a(6b)は、交流電源3a(3b)に支持されている。
配線部材2a(2b)は、電極1a(1b)と交流電源3a(3b)とを電気的に接続し、電極1a(1b)に交流電源3a(3b)から電力を供給することができる。
上記のように構成されたプラズマ処理装置の電極1a(1b)は、ウエハW等の薄膜を形成する処理を行う際に、300℃以上の高温となることがある。交流電源3a(3b)は、熱の影響を受けやすく、かかる熱により故障等の不具合が生じやすくなる。そのため、プラズマ処理装置10は、配線部材2a(2b)を介して、交流電源3a(3b)から電極1a(1b)に電力を供給している。
棒体6a(6b)は、空気等の冷媒が流れる中空状の流路5a(5b)が、棒体6a(6b)の内部に設けられている。流路5a(5b)は、通電により発熱した配線部材2a(2b)、及び電極1a(1b)を冷却すること等を目的として設けられている。
配線部材2a(2b)は、本実施形態の金属繊維シートを用いて製造されているので、熱伝導率が、ソリッド材を用いて製造された配線部材と比べて低い。そのため、例えば電極1a(1b)等の高温部分で発生した熱が、交流電源3a(3b)等の周囲の機器装置に伝熱しにくい。また、本実施形態の配線部材は、本実施形態の金属繊維シートを用いて製造されているので、ソリッド材を用いた配線部材と同等の導電性を具備することができる。
配線部材2a(2b)は、本実施形態の金属繊維シートを用いているので、高温の電極で発生した熱を、周囲の機器装置に伝熱しにくい。そのため、高い電流値や、高周波を用いて電極に通電し、電極がさらに発熱しても、電源等の周囲の装置部分に伝熱しにくい。また、配線部材2a(2b)は、本実施形態の金属繊維シートを用いているので、ソリッド材を用いた配線部材と同等の電力を電極1a(1b)に供給することができる。
よって、本実施形態の配線部材によれば、ソリッド材では達成できなかったような高い電流値や、高周波を用いて電極に通電することができる。
なお、プラズマ処理装置10は、上述した構成の他に、真空容器4にプロセスガスを供給する供給配管、真空容器4からプロセスガスを排出する排出配管等の公知の構成を付加することができる。
供給配管から真空容器に供給されたプロセスガスは、ウエハWの形成反応に使用され、排気配管から排出される。かかるウエハWの生産性は、例えば、電極1bの面積が大きいほど向上しやすい。ここで電極1bの面積を大きくすると、より高い電流値で電極1b(1a)に通電する必要がある。
プラズマ処理装置10は、配線部材2a(2b)を備えるので、より高い電流値で電極に通電することができる。よって、プラズマ処理装置10によれば、薄膜形成等のプラズマ処理の生産性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態の配線部材においては、例えば本実施形態の金属繊維シートを複数枚重ね合わせた態様とすることもできるし、複数枚を重ね合わせて焼結した態様とすることもできる。更には、必要に応じて絶縁被覆を施すこともできる。
[バスバー]
図2は、自動車分野におけるバスバーについて説明するための図である。具体的に、図2は、電気自動車の駆動系の電気回路の一例を示す模式図である。図2に示すように電気回路20は、電池ユニット11と、冷媒流路15と、チラー16とを備えて概略構成されている。
図2に示すように、電池ユニット11は、電池12と、本実施形態のバスバー13と、ヒューズ14とを備えて概略構成されている。
電池ユニット11は、電気自動車が備える駆動用モーター等(図示略)に電力を供給するためのものである。電池ユニット11は、図示せぬコンタクタを介して、駆動用モーター等と接続されている。電池ユニット11においては、電池12と、バスバー13と、ヒューズ14と、コンタクタ(図示略)とがこの順に接続されている。すなわち、電池ユニット11においては、バスバー13が、電池12とヒューズ14との間に設けられている。なお、図2中、電池12は、1つのみ図示されているが、電池ユニット11は、電池12を複数備えてもよい。
電池ユニット11は、本実施形態のバスバー13を導電経路として備えている。
本実施形態のバスバー13は、本実施形態の金属繊維シートを用いているので、従来のバスバーと同等の導電性を具備している。よって、電池ユニット11は、従来のバスバーと同等の電力を供給することができる。
本実施形態のバスバー13は、本実施形態の金属繊維シートを用いているので、熱伝導率がソリッド材を用いた従来のバスバーと比べて低い。そのため、例えばヒューズ14等で発生した熱が、バスバー13を介して電池12等の周囲の部材に伝熱しにくい。よって、電池ユニット11は、ヒューズ14で発生する熱に起因する電池12の劣化等を防止することができる。
したがって、以上より、本実施形態のバスバーによれば、電池ユニット11が発熱による電流値の制限を受けにくくなるので、ソリッド材では達成できなかったような高い電流値で通電することができる。
チラー16は、冷媒流路15を介して電池ユニット11を冷却することができる。
冷媒流路15は、チラー16と接続されている。電気回路20においては、冷媒流路15を流れる冷媒が、電池12の周囲と、バスバー13の周囲、又はバスバー13の内部とを循環することができる。冷媒流路15内に冷媒を導入、又は循環させる際には、例えば、ポンプ(図示略)を使用してもよい。本実施形態で用いられる冷媒は、例えば、フッ素系不活性液体、及び絶縁性オイル等の絶縁性液体等の公知の冷媒であってもよいし、空気等の気体であってもよい。
バスバー13は、本実施形態の金属繊維シートを用いている。本実施形態の金属繊維シートは、シートの内面に金属繊維によって形成される空隙を有することができる。よって金属繊維シートは、外面の表面積と内面の表面積とを広くとることができ、冷媒による冷却効果が高まりやすい。よって、電気回路20においては、バスバー13の内部に冷媒流路15を形成することができる。冷媒流路15がバスバー13の内部に形成されることより、バスバー13の内部が効果的に冷却され得る。
なお、バスバー13の内部に冷媒流路15を形成せずとも、バスバー13の内部には、金属線シートが備える空隙によって空気等の流路が確保される。よって、電気回路20においては、バスバー13の内部に冷媒流路15が形成されるか否かに関わらず、冷媒によるバスバー13の冷却効果が高まりやすい。
以上説明したように、電気回路20は、冷媒流路15とチラー16とを備えているので、バスバー13の冷却効果を高めることができる。そのため、電気回路20は、バスバー13が備える低伝熱性をより良好なものとすることができる。さらに、電気回路20は、バスバー13の低伝熱性をより良好なものとすることで、バスバー13にさらに高い電流値で通電することができる。
なお、本実施形態のバスバーは、例えば本実施形態の金属繊維シートを複数枚重ね合わせた態様とすることもできるし、複数枚を重ね合わせて焼結した態様とすることもできる。更には、必要に応じて絶縁被覆を施すこともできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
(実施例1)
繊維の直径が18.5μm、平均繊維長が3mm、断面形状が略円環状の銅繊維を水中で分散し、増粘剤を適宜添加してミキサーで撹拌し、抄造スラリーとした。この抄造スラリーからミキサー底部の銅繊維濃度の高い部分を取り除いた。その後、抄造スラリーを用いて、坪量300g/mを目安に抄造網上に投入し、脱水・乾燥を経て銅繊維不織布を得た。その後、同不織布を、常温で線圧80kg/cmでプレス後、水素ガス75質量%、窒素ガス25質量%の雰囲気中で1020℃、40分間加熱して銅繊維間を焼結させて、実施例1の銅繊維シートを得た。得られた銅繊維不織布の厚みは240μmであった。
次に、得られた銅繊維シートを24cm×18cmに裁断し、図3のマッピング図の点線部で1cmに裁断し、1〜24、A〜S(Iを除く)で区画される計432個の個片を得た。この個片の質量と、面積の測定値から、各個片の坪量等を算出した。全個片の標準偏差と平均値から算出した坪量の変動係数は、4.5、平均空隙率は86.0%であった。
(実施例2)
坪量の目安を、600g/mを目安としたこと、及び焼結後に厚み方向に700kg/cmの荷重でプレスしたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み124μm、平均空隙率45.9%の実施例2の銅繊維シートを得た。実施例1と同様の方法で算出した坪量の変動係数は5.9であった。
(実施例3)
焼結後に厚み方向にプレスしなかったこと以外は、実施例2と同様にして、厚み496μm、平均空隙率85.7%の実施例3の銅繊維シートを得た。実施例1と同様の方法で算出した坪量の変動係数は6.8であった。
(実施例4)
焼結後に厚み方向に220kg/cmの荷重でプレスしたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み104μm、平均空隙率67.7%の実施例4の銅繊維シートを得た。実施例1と同様の方法で算出した坪量の変動係数は4.1であった。
(比較例1)
100μmtの銅箔を比較例1とした。なお、銅箔は、ソリッド材である。
(比較例2)
100μmtのアルミニウム箔を比較例2とした。なお、アルミニウム箔は、ソリッド材である。
各例で得られた銅繊維シートの伝送減衰率、及び熱伝導率を下記の記載にしたがって測定した。測定結果を表1に示す。
(伝送減衰率)
IEC−62333に規定されているノイズ抑制シートの評価方法を基に、伝送減衰率を測定した。具体的には、グランド面付きの基板材料(中興化成工業社製「CGP−500A」)に、特性インピーダンスが50Ωの伝送線路を銅箔で作製し、これをネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー社製「PNA−L N5230C」)にコネクタで接続し、10MHz〜10GHzの周波数範囲でSパラメーターを測定し、反射係数|S11|および透過係数|S21|から以下の式により算出した。
(伝送減衰率(%))=1−(|S11+|S21)×100
ここで、|S11|は反射係数(反射電力/伝送線路への入力電力)、|S22|は透過係数(出力電力/伝送線路への入力電力)である。グランド面の金属を、実施例および比較例に示す各金属シートに変え、伝送減衰率への影響を評価した。
印加周波数と伝送減衰率の関係を図4に示す。
(カサ密度)
試料の坪量と厚みから以下の式により算出した。
(カサ密度(kg/m))=(坪量(g/m)/厚み(μm)×1000)
得られた熱拡散率、比熱容量、およびカサ密度から、熱伝導率は以下の式により算出される。
(熱伝導率(W/(m・K)))=(熱拡散率(m/sec))×(比熱容量(J/(K・kg))×(カサ密度(kg/m))
(熱伝導率)
光交流法により、各例の金属シートの面内方向の熱拡散率を測定し、金属シートの比熱容量およびカサ密度を乗じて熱伝導率を算出した。具体的には、試料となる各例の金属シートにカーボンスプレーを塗布して黒色化し、光交流法熱拡散率測定装置(アドバンス理工社製「LaserPIT」)にセットして、室温、0.01Pa以下の減圧雰囲気下、レーザー加熱光の周波数2.5Hzで熱拡散率を測定した。
次に、空容器、秤量した試料、および重量と比熱容量が既知の標準試料(サファイア)を、DSC(セイコーインスツルメンツ社製「DSC6200」)で、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minにて10℃〜250℃の範囲で測定した吸発熱量から、試料の比熱容量を算出した。
空隙率と熱伝導率の関係を図5に示す。
Figure 2019009008
表1に示すように、実施例1〜3の銅繊維シートのソリッド材との伝送減衰率差は、各印加周波数(10MHz,100MHz,1GHz,10GHz)で、それぞれ5%以下であった。また、図4に示すように、実施例1〜3の銅繊維シートの伝送減衰率が、印加周波数に対して示す挙動は、比較例1,2の金属シートの伝送減衰率の挙動とほとんど一致することが判った。以上より、実施例1〜3の銅繊維シートは、ソリッド材と同等又は同等以上の導電性を具備することが判った。
表1に示すように、実施例1,2の銅繊維シートの熱伝導率は、それぞれ150W/m・K以下であった。これに対して比較例1,2の熱伝導率は、いずれも150W/m・Kを超えていた。また、図5に示すように、実施例の銅繊維シートの空隙率が高いほど、熱伝導率が低下することが判った。以上より、実施例1,2の銅繊維シートは、ソリッド材より伝熱性が低いことが判った。
1 電極
2 配線部材
3 交流電源
4 真空容器
5 流路
6 棒体
10 プラズマ処理装置
11 電池ユニット
12 電池
13 バスバー
14 ヒューズ
15 冷媒流路
16 チラー
20 電気回路

Claims (4)

  1. 銅繊維、及びアルミニウム繊維の少なくとも一方を含む金属繊維シートであって、
    前記金属繊維シートに含まれている繊維同士が、少なくとも一部で結着されており、
    前記金属繊維シートと同組成のソリッド材との伝送減衰率差が±5%以内であり、
    熱伝導率が150W/m・K以下である金属繊維シート。
  2. 前記繊維同士が、焼結により結着されている請求項1に記載の金属繊維シート。
  3. 請求項1又は2に記載の金属繊維シートを用いた配線部材。
  4. 請求項1又は2に記載の金属繊維シートを用いたバスバー。
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