JP2019008346A - 画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】利用者の身体状態に応じて三次元データによる三次元空間内に仮想配置されたカメラのカメラワークを変更できる、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】三次元データ102による三次元空間内に仮想配置されたカメラのカメラワークを生成して、生成したカメラワークによるカメラの視野情報に基づき画像を作成する画像処理装置105であって、利用者状態測定部106から取得した利用者の身体情報に基づき、利用者の身体状態を推定して、推定された利用者の身体状態に基づいて、仮想配置されたカメラのカメラワークを変更する。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムに関し、特に、三次元データから画像を作成する画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムに関する。
近年、画像コンテンツがデジタル化され、同一の画像コンテンツが、大型スクリーン、小型携帯端末の小型ディスプレイといった、様々な大きさのディスプレイで鑑賞されることが可能になった。この場合、全く同一の画像コンテンツであっても、大型スクリーンを用いた場合と、携帯端末等の小型ディスプレイを用いた場合とでは、利用者が受ける臨場感や動揺感などの刺激の強度は異なって感じられることが知られている。そして、利用者が受ける刺激の強度を左右する要因として、画面サイズの他に、表示装置の解像度等の物理特性、利用者の年齢等の身体的特性があるとされている。
なお、以下において、「利用者」とは画像コンテンツを鑑賞したり、画像コンテンツを視認することでコンテンツを利用・活用する個人などのエンドユーザを指すものとする。
このため、三次元CGデータによる三次元空間内に仮想配置されたカメラによって画像を作成する場合でも、利用者(鑑賞者)に与える印象が観賞画面のサイズによって異なることがある。そこで、特許文献1では、鑑賞条件が異なる場合においてそれぞれに適切な画像の提供ができるように、三次元CGデータによる三次元空間内に仮想配置されたカメラに対して、設定されたカメラワークデータを所定の鑑賞条件に対応して補正して、画像を作成する技術が提案されている。より詳細には、コンピュータで作成された三次元CGデータの三次元空間内に仮想配置されたカメラから見た画像を、表示装置に二次元動画として表示する際に、カメラワークを、カメラワーク補正データ及びカメラワーク補正データの調整係数によって補正することによって、二次元動画を適宜に表示する技術である。
当該技術によれば、画像コンテンツの基礎データとなる三次元CGデータを変更することなく、鑑賞条件に対応する調整係数を設定するだけで、鑑賞環境に対応した画像コンテンツを表示することが可能となる。また、該画像コンテンツを鑑賞する利用者が、適宜調整係数を設定することによって、ユーザの嗜好に応じた画像を得ることが可能となる。
特許4924168号公報
しかし、VR(virtual reality)の普及などにより、三次元データから加工した画像は、様々な分野で活用が進展している。これに伴い、画像の編集・演出手法が多様化するとともに、画像の表示装置もHMD(ヘッドマウントディスプレイ)や、ドームスクリーン、超高精細ディスプレイなどの高臨場感表示デバイスが用いられ、表示装置の多様化も進行している。さらに、これらの画像の利用分野・目的や画像の対象も拡大していることから、利用者の範囲も多種多様となっている。こうした三次元データから加工した画像の利用環境が拡大するに伴い、利用者がより快適にこれらの画像を活用できるよう、強い動き刺激による利用者の映像酔い等の不快事象を回避する手法が望まれている
例えば、特許文献1に記載の画像処理装置においては、鑑賞の途中に利用者が映像酔いなどの好ましくない影響が生じた場合には、利用者自身または第三者によって上記の係数の調整を行って、カメラワークを補正する必要がある。しかし、当該係数の調整は、的確な補正を行うための操作をその都度行わなければならず、利用者の鑑賞の集中を妨げるとともに、時間も要するものとなる。
特に利用者が身体動作を伴う体感型コンテンツや、対話的な操作が必要なゲームコンテンツなどの利用においては、上記の係数の調整が必要にも関わらず、利用者に調整操作を行う時間や余力が無いという状況であり、操作により調整を行うことが困難であるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みて、利用者の身体状態に応じて三次元データによる三次元空間内に仮想配置されたカメラのカメラワークを変更できる、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、代表的な本発明の画像処理装置の一つは、三次元データによる三次元空間内に仮想配置されたカメラのカメラワークを生成して、生成したカメラワークによるカメラの視野情報に基づき画像を作成する画像処理装置であって、利用者状態測定部から取得した利用者の身体情報に基づき利用者の身体状態を推定して、推定された利用者の身体状態に基づいて、前記仮想配置されたカメラのカメラワークを変更することを特徴とする。
さらに本発明の画像処理方法の一つは、三次元データによる三次元空間内に仮想配置されたカメラのカメラワークを生成するステップと、生成したカメラワークによるカメラの視野情報に基づき画像を作成するステップと、利用者状態測定手段から取得した利用者の身体情報に基づき、利用者の身体状態を推定するステップと、推定された利用者の身体状態に基づいて前記仮想配置されたカメラのカメラワークを変更するステップとを有することを特徴とする。
さらに本発明の画像処理プログラムの一つは、コンピュータに、三次元データによる三次元空間内に仮想配置されたカメラのカメラワークを生成するステップと、生成したカメラワークによるカメラの視野情報に基づき画像を作成するステップと、利用者状態測定手段から取得した利用者の身体情報に基づき利用者の身体状態を推定するステップと、推定された利用者の身体状態に基づいて前記仮想配置されたカメラのカメラワークを変更するステップとを実行させるものである。
本発明によれば、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムにおいて、利用者の身体状態に応じて三次元データによる三次元空間内に仮想配置されたカメラのカメラワークを変更できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の画像処理システムの一実施形態を示すブロック図である。 本発明による画像処理装置によって行われる仮想配置されたカメラの各制御点における基準カメラワークと演出効果を高めたカメラワークの一例を示す概略図である。 本発明の画像処理装置による画像処理方法のフローチャートの一例を示す。
本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
(画像処理システム)
図1は、本発明の画像処理システムの一実施形態を示すブロック図である。画像処理システム1は、コンテンツデータベース101、画像処理装置105、表示部113を備えている。
コンテンツデータベース101は、ハードディスク(HDD)等の情報を記憶する手段により構成され、三次元データ102、基準カメラワークデータ103、カメラワーク補正データ104の情報を有している。コンテンツデータベース101は、画像処理装置105と接続されるなどして、画像処理装置105がコンテンツデータベース101から情報を取得できるようになっている。
また、三次元データには、いわゆるCADデータやポリゴンなどを用いた三次元CGデータなどが存在するが、以下では、三次元CGデータを例にして説明し、102には、仮想三次元空間に関する三次元CGデータが格納されているものとする。そして、この三次元CGデータを用いて、仮想の三次元空間を形成することができる。
図1に示すように、画像処理装置105は、コンテンツデータベース101に接続されている。そして、画像処理装置105は、利用者状態測定部106、利用者状態推定部107、調整係数決定部108、カメラワーク生成部109、操作部110、制御部111、レンダリング部112を有している。なお、利用者状態測定部106と操作部110は、画像処理装置105とは別に設ける構成としてもよい。
カメラワーク生成部109は、基準カメラワークデータ103とカメラワーク補正データ104を取得してカメラワークを生成する処理を行う。このとき、調整係数決定部108から調整係数の情報を取得して、カメラワーク補正データ104を用いた補正の程度が決まることで、カメラワークが生成される。
(カメラワークデータ)
基準カメラワークデータ103は、三次元データ102により形成された仮想三次元空間内に仮想配置されたカメラの視野情報を含むカメラワークデータである。ここでは、複数の制御点におけるカメラのカメラワークデータを含んでいる。以下、基準カメラワークは、補正前のカメラワークであり、様々に変更可能なカメラワークの内、最も演出を抑えたカメラワークに相当するものとして説明する。しかし、基準カメラワークの設定の仕方は、最も演出を抑えたカメラワークに限定されるものではなく、最も演出を強めたものであってもよいし、演出を抑えたものと強めたものの中間的なものであってもよいことは言うまでもない。
カメラワーク補正データ104は、利用者の身体情報等に基づいたカメラワーク補正のための視野情報の補正量を含むカメラワークのデータであり、カメラワークの調整のために用いられる。
(視野情報)
ここで仮想配置されたカメラの視野情報について説明する。視野情報は、仮想三次元空間における各制御点におけるカメラの位置(x,y,z)とカメラの向き(Y,P,R)と、を含むカメラの視野及び状態に関する情報をいう。カメラの位置はx、y、zの各座標によって表される。カメラの向き(Y,P,R)は、Yはヨー角(水平方向)、Pはピッチ角(垂直方向)、Rはロール角(前後方向)を表す。なお、視野情報には仮想配置されたカメラのズーム量に対応する視野角Wが適宜含まれる。ここで、カメラのズーム量が多ければ視野角は狭く、カメラのズーム量が少なければ視野角は広くなる。
表1は、基準カメラワークデータ103の例について記載されている。表1に示すように、基準カメラワークデータ(B)は、仮想配置されたカメラの複数の制御点L〜Lに対して各々設定されている。表1において、制御点Lでは、カメラの位置は(xbase,ybase,zbaseとなり、カメラの向きは(Ybase,Pbase,Rbaseとなり、視野角は(Wbase)となる。
また、制御点Lでは、カメラの位置は(xbase,ybase,zbaseとなり、カメラの向きは(Ybase,Pbase,Rbaseとなり、視野角は(Wbaseとなる。つまり、基準カメラワークデータ103は、制御点の数n個の制御点を有している。ここで、nは自然数を示し、制御点の数は1以上となり、さらに、制御点を複数有することで多用な演出が可能となる。
そして、制御点L(mは自然数)における基準カメラワークデータ(B)は
(B)=[(xbase,ybase,zbase,(Ybase,Pbase,Rbase,(Wbase] (m=1〜n)
と示すことができる。
表2は、カメラワーク補正データ104の例について記載されている。表2に示すように、カメラワーク補正データ(E)は、仮想配置されたカメラの複数の制御点L〜Lに対して各々設定されている。さらに、カメラワーク補正データ(E)は、各制御点毎に1つずつ設定してもよいが、表2に示すように複数の補正データを有していてもよい。このことで、後述するように各係数に対する、多用な調整が可能となる。
表2において制御点Lでは、カメラの位置の補正データは(xeff1,yeff1,zeff1〜(xeffi,yeffi,zeffiとなり(iは自然数)、カメラの向きの補正データは(Yeff1,Peff1,Reff1〜(Yeffj,Peffj,Reffjとなり(jは自然数)、視野角の補正データは(Weff1〜(Weffkとなる(kは自然数)。
また、制御点Lでは、カメラの位置の補正データは(xeff1,yeff1,zeff1〜(xeffi,yeffi,zeffiとなり、カメラの向きの補正データは(Yeff1,Peff1,Reff1〜(Yeffj,Peffj,Reffjとなり、視野角の補正データは(Weff1〜(Weffkとなる。ここで、nは自然数を示す。
各制御点に対するカメラの位置に関する補正データの数はi個となっており、カメラの向きに関する補正データの数はj個となっており、視野角に関する補正データの数はk個となっている。ここで、i、j、kは自然数を示すので、各補正データの数は1以上有していることになる。そして、各制御点ごとに補正データを複数を有することで多用な補正が可能となる。また制御点は、n個の制御点を有している。
ここで、制御点L(mは自然数)において、カメラワーク補正データは、
(E)=[(xeff1,yeff1,zeff1〜(xeffi,yeffi,zeffi,(Yeff1,Peff1,Reff1〜(Yeffj,Peffj,Reffj,(Weff1〜(Weffk] (m=1〜n)
と示すことができる。
(利用者状態測定部)
利用者状態測定部106は、利用者の生理指標等の身体情報を取得する。利用者状態測定部106は、画像処理装置105の外部に設けられていてもよい。このとき、利用者状態測定部106と画像処理装置105とはデータのやりとりができればよい。
利用者状態測定部106は、利用者の身体状態を測定するために様々な形態が含まれる。例えば、脳波計、心拍数測定器、カメラ、サーモグラフィー、血圧計、発汗計、体温計、重心動揺計、姿勢測定器、瞳孔測定器、皮膚電位計、眼電位センサー、音声測定器、生体インピーダンス測定器、血中酸素濃度計、利用者自身に取り付けられた角速度(ジャイロ)センサー、加速度センサーなどである。
さらに、利用者状態測定部106は、利用者が接する操作装置、システムの入出力装置自体や、それらに設置された各種センサーであってもよいし、利用者が触れる座席、身体を保持する稈、ペダル、ヘルメットなどの身体保持具に備え付けられたセンサー類であってもよい。また、これらは、1つでもよいし2つ以上を組み合わせて利用者状態測定部106としてもよい。
ここで、脳波計であれば、利用者の脳波を測定する。心拍数測定器であれば、利用者の心拍数を測定する。心拍数測定器は、タッチ式、光学式、心電式などの各方式が採用され、例えば、心電計、光電脈波センサーなどを用いる。カメラであれば、利用者の表情の変化や姿勢の変化を測定する。サーモグラフィーであれば、利用者の顔や体の温度を測定する。血圧計であれば、利用者の血圧を測定する。発汗計であれば、利用者の発汗状態を測定する。体温計であれば、利用者の体温を測定する。特に時系列で連続して体温の変化を計れる体温計が有効である。重心動揺計であれば、利用者の重心位置の変化を測定する。姿勢測定器であれば、利用者の姿勢を測定する。瞳孔測定器であれば、利用者の瞳孔の状態を測定する。皮膚電位計であれば、利用者の皮膚の電位を測定する。眼電位センサーであれば、利用者の眼電位を測定する。音声測定器であれば、利用者が発した音声を測定する。生体インピーダンス測定器であれば、利用者の生体インピーダンスを測定する。例えば、両手間や両足間のインピーダンスなどである。血中酸素濃度計であれば、利用者の血中酸素濃度を測定する。角速度センサーや加速度センサーであれば、利用者の頭部の向きや動きを測定する。
さらに、利用者が接する操作装置や身体保持具であれば、操作装置に加えられる圧力の大きさ、頻度などを測定する。
(利用者状態推定部)
利用者状態推定部107は、利用者状態測定部106によって取得された利用者の身体状態に関連する生理指標から、利用者の身体状態を推定する。利用者の身体状態の推定としては、大きく分ければ、利用者にとって望ましいポジティブな評価要因と、利用者にとって望ましくないネガティブな評価要因の2種類の評価要因の組み合わせから推定される。例えば、ポジティブな評価要因が優位なポジティブな状態であれば、楽しいと感じている状態、集中している状態、リラックスしている状態などである。また、ネガティブな評価が優位なネガティブな状態であれば、映像酔いをしている状態、視覚誘導性自己運動感覚が過大の状態、ストレスを溜めている状態、不快感を示している状態、まぶしさを感じている状態、疲れている状態などである。
(調整係数決定部)
調整係数決定部108は、利用者状態推定部107によって推定された利用者の身体状態に基づいて、カメラワーク生成部で用いられる調整係数を決定する。例えば、利用者のストレス指標が増大したネガティブな状態の場合は、利用者に加わる運動刺激を低減するため、映像の演出を少なくする方向に調整係数を変更するなどである。
(制御部)
制御部111は、利用者状態測定部106、利用者状態推定部107、調整係数決定部108、カメラワーク生成部109、レンダリング部112に接続されており、これらに動作指示信号を送信する。また、制御部111は、カメラワーク生成部109にカメラワーク再生指示を与える。
(カメラワーク生成部)
カメラワーク生成部109は、基準カメラワークデータ103とカメラワーク補正データ104を読み取り、調整係数決定部108から得た調整係数を用いてカメラワークを生成し、レンダリング部112に送付する。
(レンダリング部)
レンダリング部112は、カメラワーク生成部109に接続しており、カメラワーク生成部109によって設定されたカメラワークをレンダリング部112が受信する。また、レンダリング部112は、制御部111に接続されており、制御部111から画像作成信号を受信し、これにより画像を作成する。さらに、レンダリング部112は、コンテンツデータベース101の三次元データ102にも接続されている。レンダリング部112は、制御部111からの画像作成信号の受信を契機として、三次元データ102から三次元CGデータを読み取る。そして、レンダリング部112は、読み取った三次元CGデータとカメラワーク生成部109で生成されたカメラワークを用いて画像データを作成する。この画像データは、カメラワーク生成部109で生成されたカメラワークにより仮想配置されたカメラからの視野情報による画像データとなる。レンダリング部112において作成された画像データは、レンダリング部112に接続された表示部113に送出される。
(表示部)
表示部113は、レンダリング部112から送られた画像データを表示画面に表示する。このとき、カメラワークが変化することによって、画像が変更されるため、映像の動きにより生じる自己運動感覚や映像酔いなどの利用者への影響が変化する。このとき、表示部113を視聴している利用者から利用者状態測定部106を介して生理情報を取得し、状況に応じて画像データを形成するためのカメラワークが変更される。表示部113は、液晶、有機EL、プラズマディスプレイ、プロジェクタなどの各種の表示装置であり、例えば、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)や、大型スクリーン、超高精細ディスプレイなども含まれる。
(調整係数を用いたカメラワークの生成)
次に、調整係数を用いたカメラワークの生成について説明する。カメラワークの生成は、カメラワーク補正データ104に対して、調整係数を用いることで、カメラワークの調整の度合い、即ち演出の度合いを変化させることができる。ここで、基準カメラワークデータ103では、演出が最も少ないカメラワークのデータであり、例えば、仮想カメラの位置はBスプライン曲線に沿って配置され、カメラの方向はBスプライン曲線の接線方向とすることができる。
下記の式1では、制御点Lでのカメラの向き(x,y,z)を決めるために、調整係数α、α、α3・・・αを用いた式である(iは自然数)。ここでの値は、表1や表2で示したデータを用いている。式1では、制御点Lでの基準カメラワークデータ(xbase,ybase,zbaseに対して、調整係数α、α、α3・・・αがかけてある各カメラワーク補正データ(xeff1,yeff1,zeff1、(xeff2,yeff2,zeff2、(xeff3,yeff3,zeff3、・・・(xeffi,yeffi,zeffiを加えて用いている。このため、すべての調整係数の値が0であれば、制御点Lでのカメラの向きは、基準カメラワークデータ(xbase,ybase,zbaseと同じになる。そして、調整係数の値を上げていくと補正度合いが強くなっていく。また、調整係数α、α、α3・・・αiの項は1つ(例えば、αのみの項)でもよく、複数(例えば、2以上、3以上等)でもよい。調整する目的に応じて調整係数の値を決めて、項数を増やすことができる。
(x,y,z)m=(xbase,ybase,zbasem+α1(xeff1,yeff1,zeff1m
+α2(xeff2,yeff2,zeff2m+α3(xeff3,yeff3,zeff3m
+・・・+αi(xeffi,yeffi,zeffim
・・・(式1)
下記の式2では、制御点Lでのカメラの向き(Y,P,R)を決めるために、調整係数β、β、β3・・・βを用いた式である(jは自然数)。ここでの値は、表1や表2で示したデータを用いている。式2では、制御点Lでの基準カメラワークデータ(Ybase,Pbase,Rbaseに対して、調整係数β、β、β3・・・βがかけてある各カメラワーク補正データ(Yeff1,Peff1,Reff1、(Yeff2,Peff2,Reff2、(Yeff3,Peff3,Reff3、・・・(Yeffj,Peffj,Reffjを加えて用いている。このため、すべての調整係数の値が0であれば、制御点Lでのカメラの向きは、基準カメラワークデータ(Ybase,Pbase,Rbaseと同じになる。そして、調整係数の値を上げていくと補正度合いが強くなっていく。また、調整係数β、β、β3・・・βの項は1つ(例えば、βのみの項)でもよく、複数(例えば、2以上、3以上等)でもよい。調整する目的に応じて調整係数の値を決めて、項数を増やすことができる。
(Y、P、R)m=(Ybase,Pbase,Rbasem+β1(Yeff1,Peff1,Reff1m
+β2(Yeff2,Peff2,Reff2m+β3(Yeff3,Peff3,Reff3m
+・・・+β(Yeffj,Peffj,Reffjm
・・・(式2)
下記式3では、制御点Lでのカメラの視野角(W)を決めるために、調整係数γ、γ、γ3・・・γを用いた式である(kは自然数)。ここでの値は、表1や表2で示したデータを用いている。式3では、制御点Lでのカメラの視野角(Wbaseに対して、調整係数γ、γ、γ3・・・γがかけてある、各カメラワーク補正データ(Weff1、(Weff2、(Weff3、・・・(Weffkを加えて用いている。このため、すべての調整係数の値が0であれば、制御点Lでのカメラの視野角は、基準カメラワークデータ(Wbaseと同じになる。そして、調整係数の値を上げていくと補正度合いが強くなっていく。また、調整係数γ、γ、γ3・・・γの項は1つ(例えば、γのみの項)でもよく、複数(例えば、2以上、3以上等)でもよい。調整する目的に応じて調整係数の値を決めて、項数を増やすことができる。
(W)m = (Wbasem+γ1(Weff1m+γ2(Weff2m+γ3(Weff1m
+・・・+γ(Weffim
・・・(式3)
上記の式1で示した調整係数α、α、α3・・・αは、カメラワーク補正データと合わせて、補正の状態に応じて様々に処理をすることができる。例えば、i=3として、カメラワーク補正データの(xeff1,yeff1,zeff1)のうちyeff1、zeff1の値を0とし、(xeff2,yeff2,zeff2)のうちxeff1、zeff1の値を0とし、(xeff3,yeff3,zeff3)のうちxeff3、yeff3の値を0とすれば、以下の式4で表すことができる。
(x,y,z)m=(xbase,ybase,zbasem
+α1(xeff1m +α2(yeff2m+α3(zeff3m
・・・(式4)
この式4では、調整係数α、α、αの値を調整すれば各座標x、y、z毎の補正をすることができる。
また、上記の式2で示した調整係数β、β、β3・・・βは、カメラワーク補正データと合わせて、補正の状態に応じて様々に処理をすることができる。例えば、j=3として、カメラワーク補正データの(Yeff1,Peff1,Reff1)のうちReff1,Reff1の値を0とし、(Yeff2,Peff2,Reff2)のうちYeff1、Reff1の値を0とし、(Yeff3,Peff3,Reff3)のうちYeff3、Peff3の値を0とすれば、以下の式5で表すことができる。
(Y,P,R)m=(Ybase,Pbase,Rbasem
+β1(Yeff1m +β2(Peff2m+β3(Reff3m
・・・(式5)
この式5では、調整係数β、β、βの値を調整すれば各角度成分Y、P、R毎の補正をすることができる。
さらに、式1〜3の各調整係数の共通化を行ってもよい。これにより、処理の負担は少なくなる。すなわち、調整係数α=β=γ、α=β=γ、α=β=γ、・・・、α=β=γとすることで、各調整係数の共通化を図ることができる。加えて、カメラワーク補正データについてi=1、j=1、k=1するとともに、調整係数を共通化して1つのみにすれば、
m = (Bm)+α*(Em) (m=1〜n)
・・・(式6)
で表すことができ、1つの調整係数αのみで調整することができる。
このようにカメラワーク補正データに対応した調整係数を調整することで様々なカメラワークの補正が可能となる。ここで、調整係数の調整について具体的に説明する。
(調整係数の調整)
各調整係数は、α、α、α3・・・α、β、β、β3・・・β、γ、γ、γ3・・・γは、予め所望の演出を表す高い値としておき、カメラワーク補正データをふまえたカメラワークとしておくことができる。そして、その後に、利用者状態測定部106からの情報に基づき、調整係数の値を下げる処理を行う。この場合、利用者状態測定部106からの情報に基づき、利用者状態推定部107が利用者の身体状態が演出効果の過剰によるネガティブな状態と推定したときは、それに応じて、ネガティブな状況を抑えるように各調整係数の値を低く調整して(もしくは0として)、基準カメラワークに近づける処理を行う。この場合の調整は、各調整係数ごとにネガティブな状況を生じさせた評価要因に応じて各値を調整するようにできる。このようにすることで、利用者のネガティブな状況を抑えることができる。また、調整を行う調整係数を選択することで、必要以上に演出を抑えることを防止することができる。また、利用者状態測定部106からの情報が変化して、利用者状態推定部107が利用者の身体状態がネガティブでないと推定したときは、調整係数による補正を当初の定められた演出に戻す方向に増加させてもよい。この場合、利用者の身体状態をみながら、少しずつ調整係数を上げていってもよい。ネガティブな状態が解消されていると推定されれば、調整係数を基の値に戻すことも可能である。
一方、最初は、各調整係数の値は0として、カメラワーク補正データの影響がない基準カメラワークの状態から初めることもできる。そして、その後、徐々に各調整係数の値を上げていく処理を行う。各調整係数を上げていった場合に、利用者状態測定部106からの情報に基づき、利用者状態推定部107がポジティブな状態を生じさせる評価要因が増加していると推定される場合は、それに対応する調整係数の値を、さらに上げていく。また、利用者状態測定部106からの情報に基づき、利用者状態推定部107がネガティブな状態を生じさせる評価要因が増加していると推定される場合は、これに対応する調整係数は上げない又は下げる処理を行う。このようにすることで、利用者のネガティブな状態の増加を生じさせる評価要因を抑えつつ、利用者のポジティブな状態を生じさせる評価要因を増やす処理とすることができる。
(AIとの連動)
これらの調整係数の処理には人工知能(AI)の技術を用いてもよい。例えば、過去の利用者状態測定部106からの情報に対して調整係数の処理を行った場合の、利用者状態測定部106からのフィードバックの情報を蓄積しておく。そして、次回以降に利用者状態測定部106からの情報に基づき、過去の蓄積した情報から推定して利用者の身体状態が適切になるように各調整係数の調整の処理を行うなどである。
(利用者推定部における推定)
次に、具体的な利用者状態測定部106からの情報に対する利用者状態推定部107の推定について説明する。これらは、複数を同時に使用して、それらを調整係数の決定に反映してもよい。
例えば、利用者状態測定部106が脳波計であれば、利用者状態推定部107は脳波の状態により利用者の身体状態を推定できる。脳波は、周波数帯域により、γは、β波、α波、θ波、δ波がある。例えば、β波やγ波などの高周波成分のパワースペクトルを測定すれば、不安やストレスなどの状態を推定することができ、α波などは、落ち着いた状態であることが推定できる。
利用者状態測定部106が心拍数測定器であれば、利用者状態推定部107は心拍数の状態により利用者の身体状態を推定できる。心拍数の変化などから、ストレスなどの利用者の身体状態を推定することができる。たとえは、心拍数変動の低周波成分(0.05Hz〜0.15Hz)のパワースペクトル(LF)と高周波成分(0.15Hz〜0.5Hz)のパワーペクトル(HF)との比LF/HFを求めて、緊張度やストレスの指標とすることができる。
利用者状態測定部106がカメラであれば、利用者状態推定部107が顔の表情や身体の姿勢を調べることにより利用者の身体状態を推定できる。例えば、苦しそうな顔の表情と判定されれば、ストレス状態と推定でき、楽しそうな顔の表情と判定すれば、映像を楽しんでいると推定できる。また、姿勢の変化により利用者の身体状態を調べることもできる。また、瞬きの状態を測定してもよい。
利用者状態測定部106がサーモグラフィーであれば、利用者状態推定部107が利用者の表面温度から利用者の身体状態を推定できる。
利用者状態測定部106が血圧計であれば、利用者状態推定部107が利用者の血圧から利用者の身体状態を推定できる。例えば、血圧が上がれば、ストレス状態と推定するなどである。
利用者状態測定部106が発汗計であれば、利用者状態推定部107が利用者の発汗の状態から利用者の身体状態を推定できる。
利用者状態測定部106が体温計であれば、利用者状態推定部107が利用者の体温から利用者の身体状態を推定できる。例えば、体温の変化を測定することにより利用者の身体状態を推定する。
利用者状態測定部106が重心動揺計であれば、利用者状態推定部107が利用者の重心移動から利用者の身体状態を推定できる。
利用者状態測定部106が姿勢測定器であれば、利用者状態推定部107が利用者の姿勢から利用者の身体状態を推定できる。
利用者状態測定部106が瞳孔測定器であれば、利用者状態推定部107が利用者の瞳孔の状態から利用者の身体状態を推定できる。
利用者状態測定部106が皮膚電位計であれば、利用者状態推定部107が利用者の皮膚電位から利用者の身体状態を推定できる。例えば、皮膚電位からストレス状態を推定するなどである。
利用者状態測定部106が眼電位センサーであれば、利用者状態推定部107が利用者の眼電位から利用者の身体状態を推定できる。例えば、眼電位を測定することにより利用者の目の動きが分かり、視線の角度やまばたきを検出することによって利用者の身体状態を推定することができる。
利用者状態測定部106が音声測定器であれば、利用者状態推定部107が利用者から発した音声から利用者の身体状態を推定できる。
利用者状態測定部106が生体インピーダンス測定であれば、利用者状態推定部107が生体インピーダンスから利用者の身体状態を推定できる。
利用者状態測定部106が血中酸素濃度計であれば、利用者状態推定部107が血中酸素濃度から利用者の身体状態を推定できる。
利用者状態測定部106が利用者の角速度(ジャイロ)センサーや加速度センサーであれば、利用者状態推定部107が角速度や加速度から利用者の身体状態を推定できる。例えば、眼鏡やヘッドホンなど頭部と一体に動く部分に角速度センサーや加速度センサーを備えるようにしておけば、頭部の動きや向きが分かり利用者の身体状態を推定することができる。
また、利用者が接する操作装置や身体保持具であれば、操作装置に加えられる圧力の大きさ、頻度などから利用者の集中度や興奮度合いなどの身体状態を推定することができる。
さらに、こうした利用者の身体状態の推定に当たっても、AIの技術を活用することが可能である。
(基準カメラワークと演出効果を高めたカメラワーク)
図2は、本発明による画像処理装置によって行われる仮想配置されたカメラの各制御点における基準カメラワークと演出効果を高めたカメラワークの一例を示す概略図である。
ここで、カメラワーク生成部109によって行われる視野情報の修正について図2を用いて説明する。なお説明を簡単にするために、カメラの位置及びカメラの向きについての修正に関して説明を行い、カメラの視野角については説明を省略する。図2において、CW1が基準カメラワークデータ(B)に基づくカメラワークである。CW2がカメラワーク補正データ(E)を用いた調整後のカメラワークを示す。図2に示すように、カメラCの3つの制御点が設定されている。これは、仮想区間内の制御点となる。
基準カメラワークデータ(B)におけるカメラの位置は、各制御点L、Ln+1、Ln+2ごとに設定されており、制御点Lでは(xbase,ybase,zbase、制御点Ln+1では(xbase,ybase,zbasen+1、制御点Ln+2では(xbase,ybase,zbasen+2が設定されている。さらに、基準カメラワークデータ(B)におけるカメラの向きも、各制御点L、Ln+1、Ln+2ごとに設定されており、制御点Lでは(Ybase,Pbase,Rbase、制御点Ln+1では(Ybase,Pbase,Rbasen+1、制御点Ln+2では、(Ybase,Pbase,Rbasen+2が設定されている。
また、カメラワーク補正データ(E)におけるカメラの位置は、各制御点L、Ln+1、Ln+2ごとに設定されており、制御点Lでは(xeff1,yeff1,zeff1〜(xeffi,yeffi,zeffi、制御点Ln+1では(xeff1,yeff1,zeff1n+1〜(xeffi,yeffi,zeffin+1、制御点Ln+2では、(xeff1,yeff1,zeff1n+2〜(xeffi,yeffi,zeffin+2が設定されている。さらに、カメラワーク補正データ(E)におけるカメラの向きも、各制御点L、Ln+1、Ln+2ごとに設定されており、制御点Lでは(Yeff1,Peff1,Reff1〜(Yeffj,Peffj,Reffjn、制御点Ln+1では(Yeff1,Peff1,Reff1n+1〜(Yeffj,Peffj,Reffjn+1、制御点Ln+2では(Yeff1,Peff1,Reff1n+2〜(Yeffj,Peffj,Reffjn+2が設定されている。
これらの基準カメラワークデータ(B)及びカメラワーク補正データ(E)は表3に示される。
これらの、基準カメラワークデータ(B)及びカメラワーク補正データ(E)を用いて、各制御点L〜Ln+2のカメラワークを調整する。この調整は、式1、2を用いて行い、調整係数は、調整係数決定部108で決定した調整係数を使用する。
そして、レンダリング部112は、カメラワークに含まれる各制御点に対して連続した視野情報に基づくカメラワークを生成していく。このとき、図2で示すように、設定された複数の制御点の間をBスプライン曲線で補間することで、視野情報のそれぞれの数値が滑らかな曲線的変化を示すよう処理をすることができる。
図2において、基準カメラワークデータ(B)に基づくカメラワークであるCW1では、Bスプライン曲線に沿ったカメラワークであり、カメラの向きは曲線の接線方向を示している。そして、CW2がカメラワーク補正データ(E)を用いた調整後のカメラワークを示す。図2に示すように、CW1の制御点LはCW2の制御点LSnへ移動し、CW1の制御点Ln+1はCW2の制御点LSn+1へ移動し、CW1の制御点Ln+2はCW2の制御点LSn+2へ移動する。このとき、CW2の制御点LSn、LSn+1、LSn+2のカメラの向きは、各制御点を結ぶ曲線の接線方向から離れる方向に向きが変更されている。
(カメラワークの調整)
これらを用いた、カメラワークの調整は、始めは演出効果の高いCW2のカメラワークとしておくことができる。この場合、カメラワーク補正データ(E)の影響が高く反映されている。そして、利用者状態測定部106からの情報に基づき、利用者状態推定部107で利用者が、例えば、映像酔いなどの演出の過剰による何らかのネガティブな状態と推定されれば、カメラワーク補正データ(E)の影響を下げる処理を行う。このときは、調整係数決定部108において、ネガティブな状態(例えば、映像酔いの状態)を緩和する方向になるように調整の度合いを下げるように調整係数を決定される。すなわち、CW2のカメラワークから、CW1のカメラワークに近づく、もしくは、CW1のカメラワークそのものになるように処理される。さらに、利用者状態測定部106からの情報が変化して、利用者状態推定部107が利用者の身体状態がネガティブでないと推定したときは、CW2へもどすように処理をさせてもよい。
また、当初はカメラワーク補正データ(E)の影響がない基準カメラワークであるCW1の状態から始める処理としてもよい。その後、徐々に各調整係数の値を上げていき、カメラワーク補正データ(E)の影響を増やしていく。そして、利用者状態測定部106からの情報に基づき、利用者状態推定部107がポジティブな状態を生じさせる評価要因が増加していると推定される値が増えている場合は、それに対応する調整係数の値を、さらに上げていく。このことで、CW1のカメラワークからCW2のカメラワークに近づける処理とすることができる。なお、利用者状態測定部106からの情報に基づき、利用者状態推定部107がネガティブな状態を生じさせる評価要因が増加していると推定される場合は、これに対応する調整係数は上げない又は下げる処理を行う。
このようにして生成されたカメラワークに基づく連続視野情報を基にして三次元CGデータから画像を順次作成(レンダリング処理)する。視野情報は、例えば1/30秒の時間間隔で算出し、レンダリング処理によって、時間ごとにカメラから見える画像を1フレームの静止画像(画像データ)として生成し、かかる静止画像を順次表示することによって動画画像が生成される。なお、制御部111からレンダリング部112への画像作成信号の送信は、上記した制御部111への再生信号の入力を契機として実施される。
(カメラワーク補正データの設定)
なお、上記の基準カメラワークデータ(B)及びカメラワーク補正データ(E)は、映像製作者の判断によって設定することができる。例えば、図2に示すように、映像製作者は、まず刺激感が少ない極めて控えめなカメラワーク(基準カメラワークCW1)が得られる基準カメラワークデータを設定し、カメラワークによる演出が過剰と思われるまで演出効果を高めたカメラワークと基準カメラワークCW1との差分に対応する情報をカメラワーク補正データとして設定することができる。
また、基準カメラワークデータ(B)及びこれに対応するカメラワーク補正データ(E)を予め作成しておくものとして説明したが、利用者との対話的操作やゲームシナリオなどに基づいて、基準カメラワークデータ(B)とカメラワーク補正データ(E)とを動的に生成してもよい。すなわち、操作部110からの入力などに基づき、カメラワーク補正データ(E)を作成したり、途中で変更したりしてもよい。
また、映像酔いやストレスなどの利用者の生理状態を推定し、カメラワークに反映する方法としては、利用者の身体状態をパラメータとしたアルゴリズムを用いてカメラワークを自動生成するなどの方法を適用することもできる。
(作用及び効果)
上記のように構成した画像処理装置105において、予め設定された基準カメラワークデータ(B)と、これに対応するカメラワーク補正データ(E)と、利用者の身体状態に基づいて決定された調整係数と、に基づいて三次元CGデータから画像が作成される。
すなわち、利用者の身体状態に基づいてカメラワークが自動的に変化することによって、HMDや大画面映像で生じ易い映像酔いなどの望ましくないネガティブな状態となる効果を減じ、ゲームやシミュレーション、画像の鑑賞に至るまで幅広い画像の種類に応じて、快適な映像コンテンツの利用を提供することができる。また、利用者にとって望ましいポジティブな状態を増やすようにカメラワークを変化させることもできる。
(画像処理方法のフローチャート)
図3は、本発明の画像処理装置による画像処理方法のフローチャートの一例を示す。
画像処理装置105における画像処理は、操作部110から制御部111に再生指示信号が入力されることを契機として開始される。
S1では、利用者の身体状態を測定する。ここでは、画像処理装置105において、制御部111に再生指示信号が入力されると、制御部111が利用者状態測定部106に動作指示信号を送信する。動作指示信号を受信した利用者状態測定部106は、利用者の身体状態に関わる生理信号を取得し、この情報を利用者状態推定部107に送信する。
次にS2では、利用者の身体状態を推定する。ここでは、画像処理装置105において、制御部111が利用者状態推定部107に動作指示信号を送信する。そして、動作指示信号を受信した利用者状態推定部107は、利用者状態測定部106から受信した利用者の身体状態に関わる生理信号の情報に基づき、利用者の身体状態を推定する。そして、この推定に関する情報を調整係数決定部108に送信する。
次にS3では、調整係数決定を行う。ここでは、画像処理装置105において、制御部111が調整係数決定部108に動作指示信号を送信する。そして、動作指示信号を受信した調整係数決定部108は、カメラワーク補正データ104に対する調整係数を決定する。そして、この調整係数の情報をカメラワーク生成部109に送信する。
次にS4では、カメラワークの生成を行う。ここでは、画像処理装置105において、制御部111がカメラワーク生成部109に動作指示信号を送信する。そして、動作指示信号を受信したカメラワーク生成部109は、コンテンツデータベース101から基準カメラワークデータ103及びカメラワーク補正データ104を読み取る。そして、読み取った、基準カメラワークデータ103及びカメラワーク補正データ104と、調整係数決定部108から送信された調整係数を用いて、式1〜3に基づきカメラワークを生成する。そして、生成されたカメラワークの情報をレンダリング部112に送付する。
次にS5では、レンダリングの処理を行う。ここでは、画像処理装置105において、制御部111がレンダリング部112に動作指示信号を送信する。そして、動作指示信号を受信したレンダリング部112では、コンテンツデータベース101から三次元データ102を読取って入力すると共に、この三次元CGデータとカメラワーク生成部109から受信したカメラワークの情報を用いて画像データを作成する。
画像データの作成は、例えば、カメラワークに含まれるn点の制御点に対してBスプライン曲線を適用して、連続した視野情報に基づくカメラワークを生成し、さらに当該連続視野情報を基にして三次元CGデータから画像を順次作成(レンダリング処理)することによって行われる。例えば1/30秒の時間間隔で視野情報を算出し、レンダリング処理によって、時間ごとにカメラから見える画像を1フレームの静止画像(画像データ)として生成する。このようにして時系列的に画像を順次作成していく。
次にS6では、画像表示を行う。ここでは、レンダリング部112が作成された画像データを表示部113に送出する。そして、表示部113では、送られた画像データに基づき画像の表示を行う。
さらに制御部111では、再生が完了するまで、例えば10秒の時間間隔でS1からS6の処理を繰り返すことで、利用者の最新の身体状態に基づいて調整係数を変更しカメラワークを生成して画像の表示を行う(S1〜S7)。
このように、上記した画像処理方法によれば、利用者の身体状態に基づいて調整係数を変更することによって生成されたカメラワークに基づき、画像データを修正することができる。すなわち、調整係数を変更することによって、利用者の身体状態に対応した画像データを作成することができる。
(画像処理プログラム)
次に、上記のごとき画像処理方法をコンピュータに実施させることができる画像処理プログラムについて説明する。
この画像処理プログラムは、インストールされたコンピュータを、利用者の身体状態に関する生理信号を計測する利用者状態計測手段、利用者の身体状態を推定する利用者状態推定手段、及びカメラワーク補正データ104に対する調整係数を決定する調整係数決定手段、として機能させる。なお、利用者状態計測手段はコンピュータと別に設けてもよい。ここで、プログラムをインストールされたコンピュータは上述した画像処理装置105に相当することになり、コンテンツデータベース101と情報のやりとりができるものである。また、コンテンツデータベース101は、画像処理プログラムがインストールされたコンピュータに備える記憶装置に有していてもよい。ここで、利用者状態計測手段は上述した利用者状態測定部106の機能に相当し、利用者状態推定手段は上述した利用者状態推定部107の機能に相当し、調整係数決定手段は上述した調整係数決定部108の機能に相当する。
さらに、この画像処理プログラムは、カメラワーク補正データ104を調整係数によって調整し、かかる調整後のデータを基に基準カメラワークデータ103を補正して、各制御点におけるカメラワークを生成するカメラワークデータ生成手段としてコンピュータを機能させる。ここでのカメラワークデータ生成手段は上述したカメラワーク生成部109の機能に相当する。
さらに、このプログラムは、コンテンツデータベース101に有する三次元データ102のファイルから読出した三次元CGデータと、カメラワークデータ生成手段で生成したカメラワークとを用いて画像データを作成するレンダリング手段としてコンピュータを機能させる。ここで、レンダリング手段は、作成した画像データを表示する画像データ表示手段としての機能も有している。ここでのレンダリング手段は上述した調整係数決定部108の機能に相当する。
コンピュータに対して上記のように機能を発揮させる画像処理プログラムは、パーソナルコンピュータなどの汎用電子計算機もしくは小型の情報処理装置において、利用者の身体状態に応じた画像を表示部113に表示させることができる。
なお、画像処理プログラムは、DVD−ROM等の光情報記録媒体及びHDD等の磁気情報記録媒体といった記録媒体に記録することができる。また、当該記録媒体には、当該プログラムに適用できる画像データも記録されていても良い。ここでの、画像データとしては、三次元データ102、基準カメラワークデータ103、カメラワーク補正データ104などである。
(実施形態の第1の変形例)
上述した実施形態の第1の変形例について説明する。上述した実施形態では、コンテンツデータベース101と画像処理装置105とが接続などされていることについて説明した。第1の変形例として、この接続以外の構成としては、コンテンツデータベース101と画像処理装置105は、インターネット等のネットワーク回線又は無線若しくは有線による通信を用いて行うことが可能な構成としてもよい。この構成によれば、大容量の記録媒体を必要とする三次元データ102等の画像データを、近くの場所に設置する必要がなく、利用者自身が直接保有しないで構成することも可能となる。例えば、大容量の記録媒体を備えない小型携帯端末においても、上述した画像を生成して表示することができる。この場合、三次元データ102等の画像データは、ネットワーク回線や無線により、遠隔で配置されたコンテンツデータベース101から小型携帯端末が取得可能となる。
(実施形態の第2の変形例)
上述した実施形態の第2の変形例について説明する。上述した実施形態では、利用者状態測定部106は、画像処理装置105として備えることを説明した。第2の変形例として、利用者状態測定部106は、画像処理装置105とは、離れて構成させてもよく、この場合、利用者状態測定部106以外の画像処理装置105の機能と、利用者状態測定部106および表示部113との間の接続が、ネットワーク回線又は無線若しくは有線による通信を用いて行われる構成としてもよい。この構成によれば、利用者状態測定部106単体で測定した情報を利用者状態測定部106とは別に構成される画像処理装置105で取得できるため、利用者状態測定部106の汎用性を増すことができる。
(実施形態の第3の変形例)
上述した実施形態の第3の変形例について説明する。第3の変形例では、上述した実施形態における視野情報に、三次元空間を移動するカメラの速度及び/又は加速度を含むこととしてもよい。ここで、制御点ごとにカメラの速度及び/又は加速度を設定し、補正係数によって制御点間のカメラの移動速度を動的に変更することができる。例えば、大きな速度や加速度であれば、演出が高い効果が期待できるが、利用者がネガティブな状態と推定したときは、補正係数の変更により、小さな速度や加速度とするなどである。このような構成によれば、制御点間のカメラの移動速度の変化による視覚効果の変化を利用者の身体状態に応じて提供することができる。
(実施形態の第4の変形例)
上述した実施形態の第4の変形例について説明する。上述した実施形態においては、複数の制御点に対して基準カメラワークデータ(B)及びカメラワーク補正データ(E)が設定されている。この場合、制御点による制御に応じて処理を行うため、時間間隔は一定である必要はない。一方で、第4の変形例として、時刻ごと(例えば1秒間隔ごと)に基準カメラワークデータ(B)及びカメラワーク補正データ(E)を設定しても良い。すなわち、一定の時刻毎に基準カメラワークデータ(B)及びカメラワーク補正データ(E)を設定して処理を行う構成とする。これ以外の構成は上述した実施形態における、画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムと略同一の構成とすることができる。また、制御点に換えて時刻毎に基準カメラワークデータ(B)及びカメラワーク補正データ(E)を設定したとしても、上述した実施形態と略同様の効果が得られる。
また、制御点は、必ずしもすべての制御点を用いる必要はなく、適宜、スキップして基準カメラワークとしても差し支えない。
以上のように、本発明の実施形態で示された画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法及び画像処理プログラムにおいては、三次元データから画像データを作成する際に、利用者の身体状態に応じて仮想配置されたカメラのカメラワークを変更することで、画像データを修正することができる。この画像データの修正は、利用者の身体状態測定から推定された利用者の身体状態に基づいて行われる。
このような構成によれば、利用者の身体状態に応じて人為的に調整を行う必要がないため、利用者による操作負担を軽減させることができる。また、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)や、大型スクリーン、超高精細ディスプレイなどの高臨場感表示デバイスを用いて高い臨場感を与えつつも、映像酔いなどのネガティブな効果を抑える又は生じさせない好適な画像表示を行うことが出来る。
以上の様に、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、上述した以外の様々な変形例も含まれる。例えば、上記した実施形態に設けられた全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を削除したり、他の構成に置き換えたりすることも可能である。
例えば、調整係数を求める式1〜6は1次式を示したが、これに限らず2次式、3次式など、2次式以上の式でも適用可能である。
また、利用者状態測定部で測定される情報は、上述した例に限るものではない。特に利用者の状態を測定できる情報であれば様々な形態の情報が適用できる。
また、カメラワーク補正データ(E)は、利用者毎に変更してもよい。利用者の特性によりカメラワーク補正データ(E)を設定することで、利用者に応じた調整が可能となる。また、調整係数の決定も予め入力した利用者の特性によって調整度合いを変更することも可能である。このことで、利用者に応じた調整が可能となる。
1 画像処理システム
101 コンテンツデータベース
102 三次元データ
103 基準カメラワークデータ
104 カメラワーク補正データ
105 画像処理装置
106 利用者状態測定部
107 利用者状態推定部
108 調整係数決定部
109 カメラワーク生成部
110 操作部
111 制御部
112 レンダリング部
113 表示部

Claims (15)

  1. 三次元データによる三次元空間内に仮想配置されたカメラのカメラワークを生成して、生成したカメラワークによるカメラの視野情報に基づき画像を作成する画像処理装置であって、
    利用者状態測定部から取得した利用者の身体情報に基づき、利用者の身体状態を推定して、推定された利用者の身体状態に基づいて、前記仮想配置されたカメラのカメラワークを変更することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記視野情報は、カメラの位置及びカメラの向きの情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記視野情報は、視野角の情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記利用者の身体情報に、脳波、心拍、血圧、体温、表情の少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  5. 前記カメラワークは、基準カメラワークデータに、調整係数がかけてあるカメラワーク補正データを加える式により生成されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  6. 前記カメラワークの変更は、前記調整係数を推定された利用者の身体状態に基づいて変更することにより行うことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
  7. 請求項1に記載の画像処理装置と、コンテンツデータベースとを備え、前記三次元データは前記コンテンツデータベースに記録されることを特徴とする画像処理システム。
  8. 請求項5に記載の画像処理装置と、コンテンツデータベースとを備え、基準カメラワークデータ及び前記カメラワーク補正データは、前記コンテンツデータベースに記録されることを特徴とする画像処理システム。
  9. 三次元データによる三次元空間内に仮想配置されたカメラのカメラワークを生成するステップと、生成したカメラワークによるカメラの視野情報に基づき画像を作成するステップと、利用者状態測定手段から取得した利用者の身体情報に基づき利用者の身体状態を推定するステップと、推定された利用者の身体状態に基づいて前記仮想配置されたカメラのカメラワークを変更するステップとを有することを特徴とする画像処理方法。
  10. 前記視野情報は、カメラの位置及びカメラの向きの情報を含むことを特徴とする請求項9に記載の画像処理方法。
  11. 前記視野情報は、視野角の情報を含むことを特徴とする請求項9に記載の画像処理方法。
  12. 前記利用者の身体情報に、脳波、心拍、血圧、体温、表情の少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項9に記載の画像処理方法。
  13. 前記カメラワークは、基準カメラワークデータに、調整係数がかけてあるカメラワーク補正データを加える式により生成されることを特徴とする請求項9に記載の画像処理方法。
  14. 前記カメラワークの変更は、前記調整係数を推定された利用者の身体状態に基づいて変更することにより行うことを特徴とする請求項13に記載の画像処理方法。
  15. コンピュータに、三次元データによる三次元空間内に仮想配置されたカメラのカメラワークを生成するステップと、生成したカメラワークによるカメラの視野情報に基づき画像を作成するステップと、利用者状態測定手段から取得した利用者の身体情報に基づき、利用者の身体状態を推定するステップと、推定された利用者の身体状態に基づいて、前記仮想配置されたカメラのカメラワークを変更するステップとを実行させるための画像処理プログラム。
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