JP2019006895A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】HAST試験の前及び後の両方において導体層に対して高い密着性を有する絶縁層を得ることができる樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の硬化剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物に関する。さらには、本発明は、当該樹脂組成物を含有するシート状積層材料、当該樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含むプリント配線板、及び半導体装置に関する。
プリント配線板の製造技術として、内層基板上に絶縁層と導体層とを交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。絶縁層は、一般に、樹脂組成物を硬化させることにより形成される。
例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂、硬化剤、及び、アルコキシシラン化合物で表面処理された無機充填材を含有し、無機充填材の平均粒径が0.01〜5μmであり、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、無機充填材の含有量が30〜90質量%である樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、エポキシ樹脂、硬化剤、及び、アミノアルキルシランで表面処理された無機充填材を含有し、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、無機充填材の含有量が55〜90質量%である樹脂組成物が開示されている。
特開2014−12763号公報 特開2014−28880号公報
微細パターンの配線の形成を可能にする観点、プリント配線板の実装信頼性を高める観点、及び、プリント配線板の接続信頼性を高める観点では、導体層に対する絶縁層の密着性が高いことが望ましい。そのため、近年、絶縁層の性能として、導体層に対して高い密着性を有することが要求されている。また、プリント配線板の長期信頼性を高めるためには、超加速高温高湿寿命試験(HAST試験)後においても、導体層に対する絶縁層の密着性が高いことが望ましい。ところが、特許文献1及び2のような従来の技術では、HAST試験後において高い密着性を実現することは難しかった。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたもので、HAST試験の前及び後の両方において導体層に対して高い密着性を有する絶縁層を得ることができる樹脂組成物;当該樹脂組成物を含むシート状積層材料;HAST試験の前及び後の両方において導体層に対して高い密着性を有する絶縁層を含むプリント配線板;並びに、前記のプリント配線板を含む半導体装置;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するべく鋭意検討した結果、(A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の硬化剤、(C)無機充填材、並びに、(D)ケチミン骨格を含有するシランカップリング剤を組み合わせて含む樹脂組成物の硬化物が、HAST試験の前及び後の両方において導体層に対して高い密着性を有し、更に通常はプリント配線板の絶縁層として好適な特性を有することを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 (A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の硬化剤、(C)無機充填材、並びに、(D)ケチミン骨格を含有するシランカップリング剤を含む、樹脂組成物。
〔2〕 前記(D)成分が、下記式(1)で表される化合物である、〔1〕記載の樹脂組成物。
Figure 2019006895
(式(1)において、
、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基を表し、
は、2価の炭化水素基を表し、
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基を表す。)
〔3〕 前記(D)成分が、下記式(2)で表される化合物である、〔1〕又は〔2〕記載の樹脂組成物。
Figure 2019006895
(式(2)において、
、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基を表し、
10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、及び、置換されていてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。)
〔4〕 前記(C)成分の量が、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、30質量%〜85質量%である、〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
〔5〕 前記(C)成分の量が、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、50質量%〜85質量%である、〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
〔6〕 前記(C)成分の平均粒径が、0.01μm〜2μmである、〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
〔7〕 前記(C)成分が、シリカである、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
〔8〕 前記(B)成分として、活性エステル系硬化剤を含む、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
〔9〕 プリント配線板の絶縁層形成用である、〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
〔10〕 〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、シート状積層材料。
〔11〕 〔1〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、プリント配線板。
〔12〕 〔11〕に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
本発明によれば、HAST試験の前及び後の両方において導体層に対して高い密着性を有する絶縁層を得ることができる樹脂組成物;当該樹脂組成物を含むシート状積層材料;HAST試験の前及び後の両方において導体層に対して高い密着性を有する絶縁層を含むプリント配線板;並びに、前記のプリント配線板を含む半導体装置;を提供できる。
以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、樹脂組成物中の各成分の量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対する値である。
以下の説明において、樹脂組成物の「樹脂成分」とは、樹脂組成物に含まれる不揮発成分のうち、無機充填材を除いた成分をいう。
[1.樹脂組成物の概要]
本発明の樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の硬化剤、(C)無機充填材、並びに、(D)ケチミン骨格を含有するシランカップリング剤を含む。以下の説明において、(B)成分としての活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の硬化剤を、「(B)硬化剤」と略称することがある。また、(D)成分としてのケチミン骨格を含有するシランカップリング剤を、「(D)シランカップリング剤」と略称することがある。ここで、ケチミン骨格とは、下記式(3)で表される構造を表す。式(3)に示される窒素原子の結合手及び炭素原子の結合手が結合する先の原子に制限は無いが、通常は、水素原子又は炭素原子である。
Figure 2019006895
前記の(A)成分〜(D)成分を組み合わせて含む樹脂組成物の硬化物の層は、導体層に対して高い密着性を有する。そして、この高い密着性は、高温且つ高湿度の環境に置かれた後でも発現する。したがって、本発明の樹脂組成物を用いることにより、HAST試験の前及び後の両方において導体層に対して高い密着性を有する絶縁層を得ることができるという、本発明の所望の効果を得ることができる。
また、本発明の樹脂組成物の硬化物は、通常、誘電正接が低い。よって、本発明の樹脂組成物によれば、通常、従来の絶縁層と同等以下の低い誘電正接を有しながら、導体層に対して高い密着性を有する絶縁層を実現することが可能である。
[2.(A)成分:エポキシ樹脂]
(A)成分としてのエポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(A)エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよいが、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含むことが好ましい。(A)エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いることで、樹脂組成物層の可撓性を向上させたり、樹脂組成物層の硬化物の破断強度を向上させたりできる。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する芳香族系の液状エポキシ樹脂がより好ましい。ここで、「芳香族系」のエポキシ樹脂とは、その分子内に芳香環を有するエポキシ樹脂を意味する。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂及びナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱化学社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱化学社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱化学社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱化学社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX−721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB−3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4−グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP−4700」、「HP−4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N−690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N−695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP−7200」、「HP−7200HH」、「HP−7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA−7311」、「EXA−7311−G3」、「EXA−7311−G4」、「EXA−7311−G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN−502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱化学社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱化学社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱化学社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG−100」、「CG−500」;三菱化学社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱化学社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱化学社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱化学社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(A)エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、好ましくは1:0.1〜1:20、より好ましくは1:0.5〜1:15、特に好ましくは1:1〜1:10である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との質量比が前記の範囲にあることにより、接着フィルムの形態で使用する場合に、適度な粘着性を得ることができる。また、接着フィルムの形態で使用する場合に、十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する。さらに、樹脂組成物の硬化物の破断強度を効果的に高めることができる。
(A)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50〜5000、より好ましくは50〜3000、さらに好ましくは80〜2000、特に好ましくは110〜1000である。(A)エポキシ樹脂のエポキシ当量が前記の範囲にあることにより、樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分となり、表面粗さの小さい絶縁層を得ることができる。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定できる。
(A)エポキシ樹脂の重量平均分子量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは100〜5000、より好ましくは250〜3000、さらに好ましくは400〜1500である。
樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。例えば、樹脂の重量平均分子量は、測定装置として島津製作所社製LC−9A/RID−6Aを、カラムとして昭和電工社製Shodex K−800P/K−804L/K−804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
樹脂組成物における(A)エポキシ樹脂の量は、良好な機械的強度、絶縁信頼性を示す絶縁層を得る観点から、樹脂組成物中の樹脂成分100質量%に対して、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。(A)エポキシ樹脂の量の上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。
[3.(B)成分:硬化剤]
樹脂組成物は、(B)成分として、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の硬化剤を含む。(B)硬化剤は、通常、(A)エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させる機能を有する。(B)硬化剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
活性エステル系硬化剤としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する化合物を用いることができる。中でも、活性エステル系硬化剤としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましい。当該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及びチオカルボン酸化合物の少なくともいずれかの化合物と、ヒドロキシ化合物及びチオール化合物の少なくともいずれかの化合物と、の縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及びナフトール化合物の少なくともいずれかの化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系硬化剤の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンチレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系硬化剤の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC−8000−65T」、「HPC−8000H−65TM」、「EXB−8000L−65TM」、「EXB−8150−65T」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「EXB9416−70BK」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物として「DC808」(三菱化学社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱化学社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系硬化剤として「DC808」(三菱化学社製);リン原子含有活性エステル系硬化剤としてDIC社製の「EXB−9050L−62M」;等が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環等)に結合した水酸基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する化合物を用いることができる。中でも、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤が好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び導体層との密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤としては、例えば、明和化成社製の「MEH−7700」、「MEH−7810」、「MEH−7851」;日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」;新日鉄住金社製の「SN−170」、「SN−180」、「SN−190」、「SN−475」、「SN−485」、「SN−495」、「SN−495V」、「SN−375」、「SN−395」;DIC社製の「TD−2090」、「LA−7052」、「LA−7054」、「LA−1356」、「LA−3018−50P」、「EXB−9500」;等が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤としては、1分子中に通常1個以上、好ましくは2個以上のシアネート基(−OCN基)を有する化合物を用いることができ、例えば、フェノールノボラック型、アルキルフェノールノボラック型等の、ノボラック型シアネートエステル系硬化剤;ジシクロペンタジエン型シアネートエステル系硬化剤;ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型等の、ビスフェノール型シアネートエステル系硬化剤;並びに、これらが一部トリアジン化したプレポリマー等が挙げられる。また、シアネートエステル系硬化剤の重量平均分子量は、500〜4500が好ましく、600〜3000がより好ましい。
シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3−メチレン−1,5−フェニレンシアネート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアネート)、4,4’−エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2−ビス(4−シアネート)フェニルプロパン、1,1−ビス(4−シアネートフェニルメタン)、ビス(4−シアネート−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,3−ビス(4−シアネートフェニル−1−(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4−シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;等が挙げられる。
シアネートエステル系硬化剤の市販品としては、例えば、ロンザジャパン社製の、「PT30」、「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂);「ULL−950S」(多官能シアネートエステル樹脂);「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
(D)シランカップリング剤に組み合わせる(B)硬化剤として、活性エステル系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群より選ばれる少なくともいずれかを選択することで、誘電正接を良好にすることができるため好ましい。なかでも、特に優れた誘電正接を達成する観点から、樹脂組成物は、(B)成分として活性エステル系硬化剤を含むことが特に好ましい。
活性エステル系硬化剤を用いる場合、(B)硬化剤100質量%に対する活性エステル系硬化剤の含有率は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
(A)エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(B)硬化剤の反応基数は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、また、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下である。ここで、「(B)硬化剤の反応基」は、活性水酸基、活性エステル基等であり、(B)硬化剤の種類によって異なる。また、「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中の各エポキシ樹脂の不揮発成分質量をエポキシ当量で除した値を全てのエポキシ樹脂について合計した値である。更に、「硬化剤の反応基数」とは、樹脂組成物中に存在する各硬化剤の不揮発成分質量を反応基当量で除した値を全ての硬化剤について合計した値である。さらに、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との量比を斯かる範囲とすることにより、通常は、樹脂組成物の硬化物の耐熱性及び機械的強度を高くできる。
樹脂組成物中の(B)硬化剤の量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、中でも好ましくは18質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。さらに、(B)硬化剤の量が前記の範囲にあることにより、通常は、樹脂組成物の硬化物の線熱膨張係数及び誘電正接を特に良好にできる。
[4.(C)成分:無機充填材]
樹脂組成物は、(C)成分として、無機充填材を含む。(C)無機充填材を用いることにより、樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数を小さくできるので、絶縁層のリフロー反りを抑制することができる。
(C)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。(C)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。(C)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
通常、(C)無機充填材は、粒子の状態で樹脂組成物に含まれる。(C)無機充填材の平均粒径は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、また、好ましくは2μm以下、より好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。また、(C)成分の平均粒径が前記の範囲にあることにより、通常は、樹脂組成物層の回路埋め込み性を向上させたり、絶縁層の表面粗さを小さくしたりできる。
前記のような(C)無機充填材の市販品としては、例えば、新日鉄住金マテリアルズ社製「SP60−05」、「SP507−05」;アドマテックス社製「YC100C」、「YA050C」、「YA050C−MJE」、「YA010C」;デンカ社製「UFP−30」;トクヤマ社製「シルフィルNSS−3N」、「シルフィルNSS−4N」、「シルフィルNSS−5N」;アドマテックス社製「SC2500SQ」、「SO−C4」、「SO−C2」、「SO−C1」等が挙げられる。
(C)無機充填材等の粒子の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により、測定できる。具体的には、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、粒子の粒径分布を体積基準で測定し、その粒径分布からメディアン径として平均粒径を測定可能である。測定サンプルは、粒子を超音波により水等の溶媒中に分散させたものを好ましく使用可能である。レーザー回折散乱式粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA−500」等を使用可能である。
(C)無機充填材は、任意の表面処理剤で表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン化合物、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。これらの表面処理剤で表面処理されることにより、(C)無機充填材の耐湿性及び分散性を高めることができる。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM−22」(ジメチルジメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM−403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM−803」(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE−903」(3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM−573」(N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ−31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM−103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM−4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
また、(C)無機充填材は、後述する(D)シランカップリング剤で表面処理されることが好ましい。(D)シランカップリング剤で表面処理された(C)無機充填材を用いることにより、絶縁層の耐湿性を向上させたり、(C)無機充填材の分散性を向上させたりできる。
表面処理剤による表面処理の程度は、(C)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価できる。(C)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、(C)無機充填材の分散性向上の観点から、好ましくは0.02mg/m以上、より好ましくは0.1mg/m以上、特に好ましくは0.2mg/m以上である。一方、樹脂ワニスの溶融粘度及びシート形態での溶融粘度の上昇を抑制する観点から、前記のカーボン量は、好ましくは1mg/m以下、より好ましくは0.8mg/m以下、特に好ましくは0.5mg/m以下である。
(C)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の(C)無機充填材を溶媒(例えば、メチルエチルケトン(以下「MEK」と略称することがある。))により洗浄処理した後に、測定できる。具体的には、十分な量のメチルエチルケトンと、表面処理剤で表面処理された(C)無機充填材とを混合して、25℃で5分間、超音波洗浄する。その後、上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて、(C)無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定できる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA−320V」を使用し得る。
樹脂組成物における(C)無機充填材の量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上であり、また、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下、特に好ましくは70質量%以下である。また、(C)無機充填材の量が前記範囲の下限値以上であることにより、通常は、絶縁層の熱膨張率を低くできる。また、(C)無機充填材の量が前記範囲の上限値以下であることにより、通常は、絶縁層の機械的強度、特に伸びを良好にできる。
[5.(D)成分:ケチミン骨格を含有するシランカップリング剤]
樹脂組成物は、(D)成分として、ケチミン骨格を有するシランカップリング剤(すなわち、「(D)シランカップリング剤」)を含む。この(D)シランカップリング剤は、通常、当該(D)シランカップリング剤の分子中に、アルコキシシリル基及びケチミン骨格を組み合わせて含有する。このような(D)シランカップリング剤としては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2019006895
式(1)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基を表す。このアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。R、R及びRの炭素原子数は、通常1以上であり、また、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。R、R及びRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。また、R、R及びRは、同じでもよく、異なっていてもよい。
式(1)において、Rは、2価の炭化水素基を表す。この2価の炭化水素基は、環状構造を有していてもよく、鎖状構造を有していてもよい。さらに、この2価の炭化水素基が鎖状構造を有する場合、その鎖状構造は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。本発明の効果を顕著に得る観点から、2価の炭化水素基は、2価の脂肪族炭化水素基が好ましく、2価の飽和脂肪族炭化水素基がより好ましく、アルキレン基が特に好ましい。また、Rの炭素原子数は、通常1以上であり、中でも本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは2以上、更に好ましくは3以上であり、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、特に好ましくは9以下である。Rとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
式(1)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基を表す。1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。また、1価の炭化水素基は、環状構造を有していてもよく、鎖状構造を有していてもよい。さらに、この2価の炭化水素基が鎖状構造を有する場合、その鎖状構造は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、1価の炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が好ましく、アルキル基及びアリール基が特に好ましい。R及びRの炭素原子数は、通常1以上であり、また、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、特に好ましくは6以下である。R及びRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;などが挙げられる。
及びRにおける1価の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、シリル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、オキソ基、などが挙げられる。ただし、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、R及びRは、水素原子、又は、置換基を有さない非置換の1価の炭化水素基であることが好ましい。また、R及びRは、同じでもよく、異なっていてもよい。
さらには、式(1)において、R及びRの少なくとも一方は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、置換されていてもよい1価の炭化水素基であることが好ましい。
上述した(D)シランカップリング剤の中でも、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、下記式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2019006895
式(2)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基を表し、エチル基が好ましい。また、R、R及びRは、同じでもよく、異なっていてもよい。
式(2)において、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、及び、置換されていてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。R10及びR11におけるアルキル基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。このアルキル基の炭素原子数は、通常1以上であり、また、好ましくは20以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、特に好ましくは6以下である。R10及びR11におけるアルキル基としては、例えば、R及びRの例として挙げたアルキル基と同じ例が挙げられる。また、R10及びR11においてフェニル基が有しうる置換基としては、例えば、R及びRにおいて1価の炭化水素基が有しうる置換基の例として挙げた置換基と同じ例が挙げられる。中でも、R10及びR11としては、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、及び、非置換のフェニル基が好ましい。また、R10及びR11は、同じでもよく、異なっていてもよい。さらには、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、R10及びR11の少なくとも一方は、アルキル基、及び、置換されていてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基であることが好ましい。
(D)シランカップリング剤の具体例としては、下記式(4)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物などが挙げられる。式(4)で表される化合物は、信越化学工業社製「X−12−1172ES」として入手できる。また、式(5)で表される化合物は、信越化学工業社製「KBE−9103」又は「KBE−9103P」として入手できる。
Figure 2019006895
Figure 2019006895
(D)シランカップリング剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組合わせて用いてもよい。
樹脂組成物における(D)シランカップリング剤の量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。また、(D)シランカップリング剤の量が、前記範囲に収まることにより、通常は、樹脂組成物の硬化物の誘電正接を小さくすることが可能である。
さらに、(D)シランカップリング剤の量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(C)無機充填材100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
[6.(E)成分:熱可塑性樹脂]
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更に(E)熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。
(E)成分としての熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。中でも、本発明の所望の効果を顕著に得る観点、並びに、表面粗さが小さく導体層との密着性に特に優れる絶縁層を得る観点から、フェノキシ樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂は1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱化学社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱化学社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱化学社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「FX280」及び「FX293」;三菱化学社製の「YX6954BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7891BH30」及び「YL7482」等が挙げられる。
(E)熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは70,000以下、より好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。
(E)熱可塑性樹脂を使用する場合、樹脂組成物における(E)熱可塑性樹脂の量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
[7.(F)成分:硬化促進剤]
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更に、(F)硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤を用いることにより、樹脂組成物を硬化させる際に硬化を促進できる。
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられる。中でも、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、及び金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、及び金属系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4−メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。中でも、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン等が挙げられる。中でも、4−ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ベンズイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。中でも、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱化学社製の「P200−H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1−メチルグアニジン、1−エチルグアニジン、1−シクロヘキシルグアニジン、1−フェニルグアニジン、1−(o−トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、1−メチルビグアニド、1−エチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−フェニルビグアニド、1−(o−トリル)ビグアニド等が挙げられる。中でも、ジシアンジアミド、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体;銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体;亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体;鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体;ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体;マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
(F)硬化促進剤を使用する場合、樹脂組成物における(F)硬化促進剤の量は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、0.01質量%〜3質量%の範囲が好ましい。
[8.(G)成分:任意の添加剤]
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更に任意の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、有機充填材;有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物;増粘剤;消泡剤;レベリング剤;密着性付与剤;着色剤;難燃剤;等の樹脂添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
[9.樹脂組成物の製造方法]
樹脂組成物は、例えば、配合成分を、必要により溶媒と混合し、回転ミキサーなどの撹拌装置を用いて撹拌する方法によって製造できる。
[10.樹脂組成物の特性]
上述した(A)成分〜(D)成分を組み合わせて含む樹脂組成物の硬化物は、導体層との密着性に優れる。よって、樹脂組成物の硬化物で形成された層として、導体層との密着性に優れた絶縁層を得ることができる。また、前記の優れた密着性は、HAST試験の前だけでなく、HAST試験の後においても発揮される。したがって、前記の樹脂組成物によれば、HAST試験の前及び後の両方において導体層に対して高い密着性を有する絶縁層を得ることができる。
樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層と導体層との密着性は、ピール強度によって評価できる。HAST試験前の絶縁層と導体層とのピール強度は、好ましくは0.70kgf/cm以上、より好ましくは0.75kgf/cm以上である。上限に特段の制限は無く、例えば、1.2kgf/cm以下でありうる。
また、HAST試験後の絶縁層と導体層とのピール強度は、好ましくは0.30kgf/cm以上、より好ましくは0.35kgf/cm以上、特に好ましくは0.40kgf/cm以上である。上限に特段の制限は無く、例えば、1.2kgf/cm以下でありうる。
前記のHAST試験前及びHAST試験後の絶縁層と導体層とのピール強度は、後述する実施例に記載の方法によって測定できる。
本発明の樹脂組成物によって、HAST試験の前及び後の両方において導体層に対して高い密着性を有する絶縁層を得ることができる仕組みを、本発明者は、下記のように推測する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記に説明する仕組みによって制限されるものでは無い。
樹脂組成物が含む(D)シランカップリング剤の分子は、ケチミン骨格を含有する。このケチミン骨格には、二重結合によって炭素原子に結合した窒素原子が含まれる。この窒素原子は、導体層に含まれる原子(通常は、金属原子)との間に配位結合を生じることができる。よって、この配位結合の作用によって、絶縁層と導体層との密着性が高められる。そして、前記の配位結合は、高温及び高湿度の環境において損なわれ難い。そのため、HAST試験の後においても、前記の配位結合による密着性向上作用が発揮されるので、絶縁層と導体層との密着性を高くすることができる。
さらに、通常は、前記の樹脂組成物の硬化物は、誘電正接が低い。よって、樹脂組成物の硬化物で形成された層として、誘電正接の低い絶縁層を得ることができる。樹脂組成物の硬化物の誘電正接は、好ましくは0.050以下、より好ましくは0.020以下、特に好ましくは0.010以下である。誘電正接の値の下限は、低いほど好ましく、例えば0.001以上でありうる。このように誘電正接が低い絶縁層を用いることにより、高周波での発熱、消費電力の増大、信号遅延及び信号ノイズを効果的に低減できるプリント配線板を得ることができる。誘電正接は、後述する実施例に記載の方法によって測定できる。
[11.樹脂組成物の用途]
本発明の樹脂組成物を用いることにより、導体層との密着性に優れ、更に通常は誘電正接が低い硬化物を得ることができる。よって、この樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の絶縁層形成用の樹脂組成物)として好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するための樹脂組成物(プリント配線板の層間絶縁層形成用の樹脂組成物)としてより好適に使用することができる。本発明の樹脂組成物はまた、接着フィルム、プリプレグ等のシート状積層材料、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング材、半導体封止材、穴埋め樹脂、部品埋め込み樹脂等、樹脂組成物が用いられる広範な用途に使用できる。
[12.シート状積層材料]
本発明の樹脂組成物は、ワニス状態で塗布して使用することもできるが、工業的には、この樹脂組成物を含有するシート状積層材料の形態で用いることが好ましい。シート状積層材料の好ましい例としては、接着フィルム、プリプレグが挙げられる。
一実施形態において、接着フィルムは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層とを含む。樹脂組成物層は、上述した樹脂組成物で形成された層であり、「接着層」と呼ばれることがある。
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化の観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下、中でも好ましくは50μm以下、特に好ましくは40μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されなく、例えば1μm以上、5μm以上、10μm以上などでありうる。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル;ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(以下「PMMA」と略称することがある。)等のアクリルポリマー;環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(以下「TAC」と略称することがある。)、ポリエーテルサルファイド(以下「PES」と略称することがある。)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。中でも、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面に、マット処理、コロナ処理、帯電防止処理等の処理が施されていてもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型剤の市販品としては、例えば、アルキド樹脂系離型剤である、リンテック社製の「SK−1」、「AL−5」、「AL−7」等が挙げられる。また、離型層付き支持体としては、例えば、東レ社製の「ルミラーT60」;帝人社製の「ピューレックス」;ユニチカ社製の「ユニピール」;等が挙げられる。
支持体の厚さは、5μm〜75μmの範囲が好ましく、10μm〜60μmの範囲がより好ましい。なお、支持体が離型層付き支持体である場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
接着フィルムは、例えば、有機溶剤及び樹脂組成物を含む樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等の塗布装置を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより、製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル溶剤;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;等を挙げることができる。有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%〜60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃〜150℃で3分〜10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
接着フィルムは、必要に応じて、支持体及び樹脂組成物層以外の任意の層を含んでいてもよい。例えば、接着フィルムにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムが設けられていてもよい。保護フィルムの厚さは、例えば、1μm〜40μmである。保護フィルムにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。また、接着フィルムは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。
一実施形態において、プリプレグは、シート状繊維基材に樹脂組成物を含浸させて形成される。
プリプレグに用いるシート状繊維基材は、特に限定されず、例えば、ガラスクロス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等の、プリプレグ用基材として用いられる任意の繊維基材を用いることができる。プリント配線板の薄型化の観点から、シート状繊維基材の厚さは、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下である。シート状繊維基材の厚さの下限は、特に限定されず、例えば10μm以上でありうる。
プリプレグは、ホットメルト法、ソルベント法等の公知の方法により製造することができる。
プリプレグの厚さは、上述の接着フィルムにおける樹脂組成物層と同様の範囲でありうる。
(A)成分〜(D)成分を組み合わせて含む樹脂組成物を使用することにより、HAST試験の前及び後の両方において導体層との優れた密着性を有する絶縁層を得ることができるシート状積層材料を実現できる。このようなシート状積層材料は、プリント配線板の製造に際して特に有用である。よって、このシート状積層材料は、プリント配線板の絶縁層を形成するため(プリント配線板の絶縁層形成用)に好適に使用することができ、プリント配線板の層間絶縁層を形成するため(プリント配線板の層間絶縁層形成用)により好適に使用することができる。
[13.プリント配線板]
本発明のプリント配線板は、上述した樹脂組成物の硬化物で形成された絶縁層を含む。一実施形態において、このプリント配線板は、上述の接着フィルムを用いて、下記(I)及び(II)の工程を含む方法により製造することができる。
(I)内層基板上に、接着フィルムを、該接着フィルムの樹脂組成物層が内層基板と接合するように積層する工程。
(II)樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程。
工程(I)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材である。内層基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。通常、内層基板としては、その片面又は両面に、導体層を有しているものを用いる。そして、この導体層上に、絶縁層を形成する。この導体層は、例えば回路として機能させるために、パターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に回路として導体層が形成された内層基板は、「内層回路基板」ということがある。また、プリント配線板を製造する際に更に絶縁層及び導体層の少なくともいずれかが形成されるべき中間製造物も、「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
内層基板と接着フィルムとの積層は、例えば、支持体側から接着フィルムを内層基板に加熱圧着することにより、内層基板に樹脂組成物層を貼り合わせることで、行うことができる。接着フィルムを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ということがある。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を接着フィルムに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に接着フィルムが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層基板と接着フィルムとの積層は、例えば、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃〜160℃、より好ましくは80℃〜140℃の範囲である。加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa〜1.77MPa、より好ましくは0.29MPa〜1.47MPaの範囲である。加熱圧着時間は、好ましくは20秒間〜400秒間、より好ましくは30秒間〜300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)で、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された接着フィルムの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、工程(I)と工程(II)の間に除去してもよく、工程(II)の後に除去してもよい。
工程(II)において、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。樹脂組成物層の熱硬化条件は、特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して採用される条件を任意に使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なる。例えば、硬化温度は、通常120℃〜240℃の範囲(好ましくは150℃〜220℃の範囲、より好ましくは170℃〜200℃の範囲)である。また、硬化時間は通常5分間〜120分間の範囲(好ましくは10分間〜100分間、より好ましくは15分間〜90分間)である。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を、硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、通常50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を、通常5分間以上(好ましくは5分間〜150分間、より好ましくは15分間〜120分間)予備加熱してもよい。
プリント配線板の製造方法は、更に、(III)絶縁層に穴あけする工程、(IV)絶縁層に粗化処理を施す工程、(V)絶縁層表面に導体層を形成する工程、をさらに含んでいてもよい。これらの工程(III)〜工程(V)は、プリント配線板の製造に用いられる適切な方法に従って実施してもよい。なお、支持体を工程(II)の後に除去する場合、該支持体の除去は、工程(II)と工程(III)との間、工程(III)と工程(IV)の間、又は工程(IV)と工程(V)との間のいずれの時点で実施してもよい。
工程(III)は、絶縁層に穴あけする工程である。穴あけにより、絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(III)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等の方法で実施してよい。ホールの寸法及び形状は、プリント配線板のデザインに応じて適切に決定してよい。
工程(IV)は、絶縁層に粗化処理を施す工程である。粗化処理の手順及び条件は、特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して使用される任意の手順及び条件を採用できる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して、絶縁層に粗化処理を施すことができる。
膨潤液としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液が挙げられる。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。また、膨潤液は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃〜90℃の膨潤液に絶縁層を1分間〜20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃〜80℃の膨潤液に硬化体を5分間〜15分間浸漬させることが好ましい。
酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、酸化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃〜80℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間〜30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は、5質量%〜10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
また、中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。また、中和液は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃〜80℃の中和液に5分間〜30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃〜70℃の中和液に5分間〜20分間浸漬する方法が好ましい。
工程(V)は、導体層を形成する工程である。導体層に使用する導体材料は、特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種類以上の金属を含む。導体層は、単金属層であってもよく、合金層であってもよい。合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種類以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層;又は、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層;が好ましい。さらには、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層;又は、ニッケル・クロム合金の合金層;がより好ましく、銅の単金属層が特に好ましい。
導体層は、単層構造を有していてもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上含む複層構造を有していもよい。導体層が複層構造を有する場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3〜35μmであり、好ましくは5〜30μmである。
一実施形態において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の技術により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。中でも、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。
以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。まず、絶縁層の表面に、無電解めっきによりめっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、所望の配線パターンに対応してめっきシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出しためっきシード層上に、電解めっきにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なめっきシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
他の実施形態において、導体層は、金属箔を使用して形成してよい。金属箔を使用して導体層を形成する場合、工程(V)は、工程(I)と工程(II)の間に実施することが好適である。例えば、工程(I)の後、支持体を除去し、露出した樹脂組成物層の表面に金属箔を積層する。樹脂組成物層と金属箔との積層は、真空ラミネート法により実施してよい。積層の条件は、工程(I)における内層基板と接着フィルムとの積層条件と同様としてよい。次いで、工程(II)を実施して絶縁層を形成する。その後、絶縁層上の金属箔を利用して、サブトラクティブ法、モディファイドセミアディティブ法等の従来の公知の技術により、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
金属箔は、例えば、電解法、圧延法等の公知の方法により製造することができる。金属箔の市販品としては、例えば、JX日鉱日石金属社製のHLP箔、JXUT−III箔、三井金属鉱山社製の3EC−III箔、TP−III箔等が挙げられる。
また、必要に応じて、絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層プリント配線板を製造してもよい。
他の実施形態において、本発明のプリント配線板は、上述のプリプレグを用いて製造することができる。製造方法は基本的に接着フィルムを用いる場合と同様である。
本発明の樹脂組成物を使用してプリント配線板を製造する場合、導体層をメッキにより形成するか金属箔を使用して形成するかの別を問わず、HAST試験の前及び後の両方において、導体層と絶縁層との密着性向上させることができる。
[14.半導体装置]
本発明の半導体装置は、前記のプリント配線板を含む。この半導体装置は、プリント配線板を用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
半導体装置は、例えば、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは、半導体を材料とする電気回路素子を任意に用いることができる。
半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されない。実装方法の例としては、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものでは無い。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別に断らない限り、質量基準である。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧の環境で行った。
[実施例1]
ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量169)10部、及び、ナフトール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)50部を、ソルベントナフサ40部に撹拌しながら加熱溶解させた。これを室温にまで冷却し、(A)エポキシ樹脂の溶解組成物を調製した。
この(A)エポキシ樹脂の溶解組成物に、フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)5部、トリアジン骨格及びノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA−3018−50P」、活性基当量約151、固形分50%の2−メトキシプロパノール溶液)5部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC−8000−65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)50部、硬化促進剤(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(1B2PZ)、固形分10質量%のMEK溶液)5部、アミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、アドマテックス社製「SO−C2」)200部、及び、ケチミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「X−12−1172ES」、前記式(4)で表される化合物)2部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニスを作製した。
支持体として、離型層を備えたポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「501010」、厚さ38μm)を用意した。この支持体の離型層上に、前記の樹脂ワニスを、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるように均一に塗布した。その後、樹脂ワニスを80℃〜120℃(平均100℃)で4分間乾燥させて、支持体及び樹脂組成物層を含む接着フィルムを得た。
[実施例2]
活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC−8000−65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)50部を、活性エステル系硬化剤(DIC社製「EXB8000L−65TM」、活性基当量220、固形分65%のトルエン・MEK混合溶液)50部に変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行って、接着フィルムを製造した。
[実施例3]
活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC−8000−65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)50部を、活性エステル系硬化剤(DIC社製「EXB8150−60T」、活性基当量230、固形分60%のトルエン溶液)55部に変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行って、接着フィルムを製造した。
[比較例1]
ケチミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「X−12−1172ES」)2部を用いなかったこと以外は、実施例1と同じ操作を行って、接着フィルムを製造した。
[比較例2]
ケチミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「X−12−1172ES」)2部を、アミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」、下記式(6)で表される化合物)2部に変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行って、接着フィルムを製造した。
Figure 2019006895
[比較例3]
ケチミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「X−12−1172ES」)2部を用いなかったこと以外は、実施例2と同じ操作を行って、接着フィルムを製造した。
[比較例4]
ケチミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「X−12−1172ES」)2部を用いなかったこと以外は、実施例3と同じ操作を行って、接着フィルムを製造した。
[評価方法]
上述した実施例及び比較例で得た接着フィルムを、下記の方法によって評価した。
[誘電正接の測定方法]
<硬化物性評価用サンプルの作製>
実施例及び比較例で得た接着フィルムを、200℃で90分間乾燥させて、硬化させた。その後、支持体を剥離して、樹脂組成物層の硬化物としての絶縁層に相当する硬化物性評価用サンプルを得た。
<誘電正接の測定>
硬化物性評価用サンプルから、幅2mm、長さ80mmの試験片を切り取った。この試験片2個について誘電正接を測定し、その測定値の平均を絶縁層の誘電正接として求めた。試験片の誘電正接の測定は、アジレントテクノロジーズ社製の測定装置「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により、測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて行った。
[ピール強度の測定方法]
<密着評価用基板の作製>
(1)内装基板の下地処理:
内層基板として、表面に銅箔を有するガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.4mm、パナソニック社製「R1515A」)を用意した。この内層基板の表面の銅箔を、すべてエッチングして除去した。その後、190℃にて30分乾燥を行った。
(2)接着フィルムの積層:
上述した実施例及び比較例で得た接着フィルムを、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂組成物層が前記の内層基板と接合するように、内層基板の両面にラミネートした。このラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、温度100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着することにより、実施した。
次いで、ラミネートされた接着フィルムを、大気圧下、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間、熱プレスして平滑化した。その後、支持体を剥離して、樹脂組成物層、内層基板及び樹脂組成物層をこの順で含む「中間複層体I」を得た。
他方、光沢面を有する銅箔(厚み35μm、三井金属社製「3EC−III」)を用意した。この銅箔の光沢面を、マイクロエッチング剤(メック社製「CZ8100」)を用いて、銅エッチング量1μmにてエッチングして、粗化処理を行った。こうして得られた銅箔を「粗化銅箔」という。
この粗化銅箔を、当該粗化銅箔の粗化処理を施された面が中間複層体Iの樹脂組成物層に接合するように、中間複層体Iの両面にラミネートした。このラミネートは、前述した内層基板への接着フィルムのラミネートと同じ条件で行った。これにより、粗化銅箔、樹脂組成物層、内層基板、樹脂組成物層及び粗化銅箔をこの順で含む「中間複層値II」を得た。
この中間複層体IIを、100℃のオーブンに投入して30分間加熱し、次いで170℃のオーブンに移し替えて30分間加熱した。次いで、中間複層体IIを、オーブンから室温雰囲気下に取り出した後、更に200℃のオーブンに投入して90分間追加で加熱した。これにより、樹脂組成物層の熱硬化が行われて、粗化銅箔、樹脂組成物層の硬化物としての絶縁層、内層基板、樹脂組成物層の硬化物としての絶縁層、及び、粗化銅箔をこの順で含む「評価基板A」を得た。この評価基材Aにおいて、粗化銅箔が、導体層に相当する。
<HAST試験前のピール強度の測定>
前記の評価基板Aを用いて、粗化銅箔と絶縁層とのピール強度の測定を行った。このピール強度の測定は、JIS C6481に準拠して行った。具体的には、下記の操作によって、ピール強度の測定を行った。
評価基板Aの粗化銅箔に、幅10mm、長さ100mmの矩形部分を囲む切込みをいれた。この矩形部分の一端を剥がして、つかみ具(ティー・エス・イー社製、オートコム型試験機「AC−50C−SL」)で掴んだ。前記矩形部分の長さ35mmの範囲を垂直方向に引き剥がし、この引き剥がし時の荷重(kgf/cm)を、ピール強度として測定した。前記の引き剥がしは、室温中にて、50mm/分の速度で行った。
<HAST試験後のピール強度の測定>
その後、評価基板Aを、温度130℃、湿度85%RHの環境に100時間置くHAST試験を行った。そして、このHAST試験後、HAST試験前と同じ方法によって、評価基板Aの粗化銅箔と絶縁層とのピール強度の測定を行った。
[結果]
上述した実施例及び比較例の結果を、下記の表に示す。下記の表において、各成分の量は、不揮発成分換算量を表す。また、下記の表において、略称の意味は、下記のとおりである。
ESN475V:ナフトール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約330)。
ZX1059:ビスフェノール型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ZX1059」、ビスフェノールA型とビスフェノールF型の1:1混合品、エポキシ当量169)。
EXB8150−60T:活性エステル系硬化剤(DIC社製「EXB8150−60T」、活性基当量230、固形分60%のトルエン溶液)。
EXB8000L−65TM:活性エステル系硬化剤(DIC社製「EXB8000L−65TM」、活性基当量220、固形分65%のトルエン・MEK混合溶液)。
HPC−8000−65T:活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC−8000−65T」、活性基当量約223、固形分65質量%のトルエン溶液)。
LA−3018−50P:トリアジン骨格及びノボラック構造を有するフェノール系硬化剤(DIC社製「LA−3018−50P」、活性基当量約151、固形分50%の2−メトキシプロパノール溶液)。
YX7553BH30:フェノキシ樹脂(三菱化学社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)。
1B2PZ:硬化促進剤(1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、固形分10質量%のMEK溶液)。
SO−C2:アミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」)で表面処理された球形シリカ(平均粒径0.5μm、アドマテックス社製「SO−C2」)。
X−12−1172ES:ケチミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「X−12−1172ES」)。
KBM573:アミン系アルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBM573」)。
Figure 2019006895
[検討]
表1から分かるように、実施例においては、HAST試験の前及び後の両方において、比較例よりも高いピール強度が得られている。アミン系アルコキシシラン化合物をシランカップリング剤として用いた比較例2においてピール強度の改善が達成されていないことから、実施例のように高いピール強度が実現できていることには、ケチミン系アルコキシシラン化合物が有するケチミン骨格が作用していると考えられる。
また、実施例1〜3において、(E)成分〜(F)成分を含有しない場合であっても、程度に差はあるものの、上記実施例と同様の結果に帰着することを確認している。

Claims (12)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤及びシアネートエステル系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種類の硬化剤、(C)無機充填材、並びに、(D)ケチミン骨格を含有するシランカップリング剤を含む、樹脂組成物。
  2. 前記(D)成分が、下記式(1)で表される化合物である、請求項1記載の樹脂組成物。
    Figure 2019006895
    (式(1)において、
    、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基を表し、
    は、2価の炭化水素基を表し、
    及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は、置換されていてもよい1価の炭化水素基を表す。)
  3. 前記(D)成分が、下記式(2)で表される化合物である、請求項1又は2記載の樹脂組成物。
    Figure 2019006895
    (式(2)において、
    、R及びRは、それぞれ独立に、メチル基又はエチル基を表し、
    10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、及び、置換されていてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。)
  4. 前記(C)成分の量が、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、30質量%〜85質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記(C)成分の量が、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、50質量%〜85質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記(C)成分の平均粒径が、0.01μm〜2μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記(C)成分が、シリカである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記(B)成分として、活性エステル系硬化剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  9. プリント配線板の絶縁層形成用である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、シート状積層材料。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物により形成された絶縁層を含む、プリント配線板。
  12. 請求項11に記載のプリント配線板を含む、半導体装置。
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