以下、本発明について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
《混合物》
本発明の第一実施形態の混合物は、作用に対して応答する物質を2種以上含有する混合物であって、励起寿命(τ)(nsec)と吸収波長(λ)(nm)が τ×λ < 2,000(nsec・nm)の関係を満たす。
前記励起寿命(τ)は、前記混合物に吸収波長(λ)の光を照射し、当該混合物を構成する前記2種以上の物質のうち、少なくとも1種が励起され、再び基底状態に戻るまでの時間(ナノ秒)を意味する。ここで、吸収波長(λ)とは、波長150〜380nmの紫外光領域における吸収ピークの波長を意味する。よって、吸収波長(λ)の光は、前記紫外光領域における吸収ピークの波長を含む光を意味する。また、前記領域に吸収ピークが複数存在する場合、吸収波長(λ)の光は最も短波長側の吸収ピークを含む光を意味する。
前記混合物中には同一の作用に対して応答する物質が少なくとも2種、好ましくは3種以上含有されている。前記混合物の使用される状況、環境に応じて、作用に対して応答する物質の種類を任意に選ぶことが可能である。前記混合物は作用に対して応答する物質が少なくとも2種類以上含まれているが、使用する物質の性質を考慮して4種類以上用いることが好ましく、5種類以上であることがさらに好ましく、6種類であればなお好ましく、7種類であればさらになお好ましく、8種類であればさらに好ましく、9種類であればさらに好ましく、10種類以上であればさらに好ましい。
前記混合物中において、各物質が物理化学的な相互作用を起こしているため、各物質がそれぞれ単離された状態における励起寿命を知得したとしても、単離状態の励起寿命から前記混合物の励起寿命を正確に導くことはできない。つまり、前記混合物の励起寿命は、測定しなければ求められない。
前記混合物の励起寿命を測定する方法は、非特許文献1に記載された方法が適用される。ただし、混合物が液晶組成物である場合、該液晶組成物の励起寿命(τ)(nsec)および吸収波長(λ)(nm)は、液晶相の種類によらず、室温における測定値である。なお、測定できない場合は混合物を溶媒へ溶かして外挿することにより求められる。
前記混合物を構成する物質は、同一の作用に対して応答する物質である。前記作用として、例えば外部から与えられる物理的作用が挙げられる。前記物理的作用として、例えば磁力、電気力、電磁気力又は体積力(液体を流動させる力)が挙げられる。前記混合物に磁力を作用させる方法として、磁性を帯びた磁石等の磁性体を前記混合物に近づける方法が例示できる。前記混合物に電気力を作用させる方法として、正極及び負極の間に前記混合物を設置し、両電極により電場(電界)を形成する方法が例示できる。前記混合物に電磁気力を作用させる方法として、特定の波長を有する電磁波、例えば可視光、を照射する方法が例示できる。前記混合物に体積力を作用させる方法として、当該当該混合物を攪拌する方法及び当該混合物に気体を吹き付ける方法が例示できる。前記攪拌する際、攪拌板若しくはフィン等によって攪拌し、混合物にせん断力をかけてもよい。ポアズイユ流れやクエット流れによるものでもよい。
前記物質の一例として異方性を有する化合物が挙げられる。この場合、外部からの作用に対して当該異方性を有する化合物が応答することにより、当該混合物が配向性を有する状態、例えば配向の長距離秩序性を有するネマチック液晶又はスメクチック液晶、に遷移することが可能である。あるいは、外部からの作用に対して当該異方性を有する化合物が応答することにより、当該混合物が作用を受ける前に有していた液晶状態が変化することが可能である。
第一実施形態の混合物として、例えば、2種以上の液晶性化合物、好ましくは3種以上の液晶性化合物からなる液晶組成物が挙げられる。
前記液晶組成物は、上述の励起寿命(τ)(nsec)と吸収波長(λ)(nm)が、
τ×λ < 2,000(nsec・nm)の関係を満たす。
τ×λの値(単位:nsec・nm)は、2000未満であれば特に制限されないが、1000以下が好ましく、500以下がより好ましく、300以下がさらに好ましい。τ×λの値は、通常1以上である。
前記液晶組成物の好ましい特性として、例えば透明点が60℃以上であり、室温で液晶相を示すことが挙げられる。
前記液晶相がスメクチック液晶相(強誘電性液晶相)である場合、下記式一般式(LC−0)で表される化合物を少なくとも一種含有する液晶組成物が好ましい。
<スメクチック液晶相を構成する液晶組成物>
前記スメクチック液晶相を構成する液晶組成物は、下記の一般式(LC−0)で表される1種又は2種以上の液晶性化合物を含有することが好ましい。
(式中、Rは各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はシアノ基で置き換えられていてもよく、
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R
a)−、−N(R
a)−CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(R
a)−又は−N(R
a)−CO−におけるR
aは水素原子又は炭素原子数1〜4の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表し、
Aは各々独立にフェニレン基、シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、ナフタレンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基又はインダンジイル基から選択される環式基を表し、前記フェニレン基、ナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基又はインダンジイル基は環内の2つ以上の−CH=基が窒素原子で置き換えられてもよく、前記シクロヘキシレン基、ジオキソランジイル基、シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、ピペリジンジイル基、デカヒドロナフタレンジイル基、テトラヒドロナフタレンジイル基又はインダンジイル基は環内の1つ又は2つ以上の隣接していない−CH
2−基が、−O−及び/又は−S−で置き換えられてもよく、前記環式基の1つ又はそれ以上の水素原子が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、NO
2基、あるいは、1つ又は2つ以上の水素原子がフッ素原子又は塩素原子で置き換えられてもよい、炭素原子数1〜7のアルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基又はアルコキシカルボニル基で置き換えられていてもよく、nは1、2、3、4又は5である。)
液晶性化合物(LC−0)としては、下記の一般式(LC−I)〜(LC−III)で表される液晶性化合物が好ましい。
(式中、Rは各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基中の、1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はシアノ基で置き換えられていてもよく、Rは各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
Zは各々独立に−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R
a)−、−N(R
a)−CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−又は単結合を表し、−CO−N(R
a)−又は−N(R
a)−CO−におけるR
aは水素原子、又は炭素原子数1〜4の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基を表し、
Yは各々独立に単結合、又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
Xは各々独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF
3又は−OCF
3を表し、nは各々独立に0〜4の整数を表し、n
1、n
2、n
3及びn
4は、各々独立に0又は1を表すが、n
1+n
2+n
3+n
4=1〜4であり、
Cycloは各々独立に炭素原子数3〜10のシクロアルカンを表し、任意に二重結合を有していてもよく、炭素原子数は3または6が好ましい。)
液晶性を発現するためには、環に対して1,4−置換であることが好ましい。すなわち該液晶性化合物に含まれる環式2価基が1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基、2,5−ピリミジンジイル基などであることが好ましい。
例えば下記一般式(LC−Ia)〜(LC−IIIa)で表される液晶性化合物が好ましい。
(式中、R
11及びR
12は各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表すが、R
11とR
12が同時にフッ素原子となることはなく、該アルキル基中の、1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、又はシアノ基で置き換えられていてもよく、R
11及びR
12は各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
X
11〜X
22は各々独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、CF
3基又はOCF
3基を表し、
L
11〜L
14は各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
a
1、b
1、c
1及びd
1は各々独立に0又は1の整数を表すが、a
1+b
1+c
1+d
1は1、2又は3であり、a
1が0の場合はd
1は0であり、a
1が1の場合はc
1は0であり、c
1が1の場合はa
1は0であり、b
1=c
1=1の場合はa
1=d
1=0であり、
Cycloは各々独立に炭素原子数3〜10のシクロアルカンを表し、任意に二重結合を有していてもよく、炭素原子数は3または6が好ましい。)
中でも、下記一般式(LC−IV)で表される液晶性化合物、および下記一般式(LC−V)で表される液晶性化合物が好ましい。
(式中、R
11及びR
12は各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表すが、R
11とR
12が同時にフッ素原子となることはなく、該アルキル基中の、1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、又はシアノ基で置き換えられていてもよく、R
11及びR
12は各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
環A
1は各々独立に1〜4つの水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF
3又は−OCF
3、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−フェニレン基又は1,4−シクロヘキシレン基を表し、
環B
1は各々独立に1〜4つの水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF
3又は−OCF
3、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−フェニレン基を表し、
環C
1は各々独立に1〜4つの水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF
3又は−OCF
3、あるいはこれらの複数の基で置き換えられてもよい1,4−シクロヘキシレン基を表し、
Lは各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、
Yは各々独立に、単結合又は炭素原子数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良く、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は各々独立にハロゲン原子又は炭素原子数1〜9のアルキル基で置換されていてもよく、
a
1は0、1又は2を表し、b
1、及びc
1は0、1又は2の整数を表し、a
1、b
1及びc
1の合計は1、2又は3を表す。)
(式中、R
21及びR
22は各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表すが、R
21とR
22が同時にフッ素原子となることはなく、該アルキル基中の、1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子又はシアノ基で置き換えられていてもよく、R
21及びR
22は各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
X
21〜X
27は各々独立に水素原子、フッ素原子、−CF
3、又は−OCF
3を表し、
L
21〜L
24は各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、Yの定義は式(LC−IV)における定義と同じであり、
a
2、b
2、c
2及びd
2は各々独立に0又は1の整数を表すが、a
2+b
2+c
2+d
2は1、2又は3であり、a
2が0の場合はd
2は0であり、a
2が1の場合はc
2は0であり、b
2=c
2=1の場合はa
2=d
2=0である。)
特に、(LC−V)は、環構造に窒素、酸素、硫黄などの極性となる原子を含まない化合物であるため、カラーフィルタにおける特定の顔料との組み合わせた場合に、電圧保持率(VHR)が高く、焼き付きが生じないために、特にTFT駆動に用いられることが好ましい。
フェニルピリミジン系化合物のうち、強誘電性の発現に必要な傾いたスメクチック相を得るため、あるいは、分子の傾き角を大きくするため、もしくは融点を低下させるためには分子の環の部分に置換基として、少なくとも1つ以上のフッ素原子、CF3基、あるいはOCF3基が導入されることが好ましい。置換基としては形状の小さなフッ素を導入することが、液晶相を安定に保ち、また、高速応答性も保持する面で好ましい。置換基の数は1〜3が好ましい。
粘度が低く高速応答するため、環をつなぐ連結基(−Z−Y−Z−、又は−Y−L−Y−)としては、単結合、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、−CH2CH2−、−CH=CH−、又は、−C≡C−からなる基より選択されることが好ましく、特に、単結合であることが好ましい。分子の局部的な分極を抑制しスイッチング挙動への悪影響を少なくする面でも単結合が好ましい。一方、層構造の安定性を保つための材料としては粘度が高い方が好ましく、その場合には、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−からなる基より選択されることが好ましく、特に、−CO−O−、−O−CO−が好ましい。
一方、融点を低下させる効果を大きくするという点では、側鎖(R、R11、R12、R21、R22)の一方または両方に水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、イソプロピル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基又はアルキルオキシカルボニルオキシ基を用いることが好ましい。
Δnを大きくするのに適していて、安定な強誘電性液晶相を示し、かつ、粘度が低く高速応答に適した化合物としては、下記一般式(LC−VI)で表される液晶性化合物が好ましい。
(式中、R
21及びR
22は各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子、又はフッ素原子を表し、
該アルキル基中の、1つ又は2つ以上の−CH
2−基は酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−SO
2−、−SO
2−O−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH
3)
2−で置き換えられてもよく、該アルキル基中の1つ以上の水素原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はCN基で置き換えられていてもよく、R
21及びR
22は各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
X
21〜X
24は各々独立に水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、メチル基、メトキシ基、−CF
3又は−OCF
3を表し、
環A
1は各々独立にフェニレン基又はシクロヘキシレン基を示し、
Lは各々独立に単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、Yの定義は式(LC−IV)における定義と同じであり、
a
1は0、1又は2を表し、b
1及びc
1は0、1又は2の整数を表し、a
1+b
1+c
1の合計は1又は2を表し、a
1=1のときc
1=0であり、c
1=1のときa
1=0である。)
上記一般式(LC−I)〜(LC−VI)におけるYは、好ましくは、各々独立に単結合又は炭素原子数1〜7のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、
より好ましくは、各々独立に単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)であり、より好ましくは、各々独立に単結合又は炭素原子数1〜3のアルキレン基(該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上のメチレン基は酸素原子が相互に直接結合しないものとして各々独立に−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−で置換されていても良い。)である。
TFT駆動に適していて、安定な強誘電性液晶相を示し、かつ、粘度が低く高速応答に適した化合物としては、下記一般式(LC−VII)で表される液晶性化合物が特に好ましい。
(式中、e
1は0又は1を表し、X
21〜X
26は各々独立に水素原子又はフッ素原子基を表すが、e
1が0のときX
21〜X
24の少なくとも1つはフッ素原子で、e
1が1のときX
21〜X
26の少なくとも1つはフッ素原子であり、
R
21及びR
22は各々独立に炭素原子数1〜30の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、水素原子又はフッ素原子を表し、該アルキル基中の1つの−CH
2−基が−O−で置き換えられてもよく、R
21及びR
22は各々独立に炭素原子数1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15が好ましく、
L
25は単結合、−O−、−S−、−CO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CH
2CH
2−、−CH=CH−又は−C≡C−を表し、
環Aはフェニレン基またはシクロヘキシレン基を表す。)
液晶表示装置における強誘電性液晶組成物に用いられる前記液晶性化合物は、上記の(LC−0)、(LC−I)〜(LC−III)、(LC−IV)、(LC−V)、(LC−VI)、(LC−VII)等のいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせで用いてもよい。
[非極性化合物]
本発明に係る混合物が液晶組成物である場合、該液晶組成物は一般式(LC5)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましい。非極性化合物を含ませることにより、混合物の励起寿命(τ)が短くなる傾向があり、この結果、当該混合物の光安定性(光信頼性)を向上させることができる。
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF
2O−又は−OCF
2−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン置換されていてもよく、B
1〜B
3はそれぞれ独立して下記のいずれかを表し、
(式中、シクロヘキサン環中の1つ又は2つ以上のCH
2CH
2基は−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−で置換されていてもよく、ベンゼン環中の1つ又は2つ以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよい。)
Z
3及びZ
4はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−COO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−又は−CF
2O−を表し、該Z
3及びZ
4の内少なくとも1つは単結合でなく、m
1は0〜3を表す。)
R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルケニル基が好ましく、
B1〜B3はそれぞれ独立して下記の構造が好ましい。
Z3及びZ4はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−COO−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−又は−CF2O−が好ましい。
一般式(LC5)は、一般式(LC5)−1から一般式(LC5)−13で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのがより好ましい。
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立して炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルケニル基又は炭素数2〜7のアルケニルオキシ基を表す。)
<キラル化合物>
本発明に係る混合物が液晶組成物である場合、該液晶組成物は少なくとも1種類のキラル化合物を含んでいてもよい。前記液晶組成物によって構成される液晶相は、スメクチック相であってもよいし、ネマチック相であってもよい。
例えばネマチック相を構成する液晶組成物にキラル化合物を含ませることにより、当該ネマチック液晶組成物に対して捻れ配向を誘起させ、所望のピッチを有するコレステリック相やブルー相を発現する液晶組成物が得られる。前記ブルー相としては、ブルー相I(BPI),ブルー相II(BPII),ブルー相III(BPIII)が挙げられる。
ここで、ピッチとは、液晶分子の螺旋構造における1周期分の長さを示す。ネマチック液晶組成物へのキラル化合物の添加量(質量%)が多くなるほど、ピッチ(μm)は小さくなる。特にキラル化合物の添加量が1〜数質量%程度までの低い濃度の時には、キラル化合物の添加量とピッチの積が一定という関係がよく成り立つことが知られており、これの逆数をとった螺旋誘起力(Helical Twisting Power:HTP)(1/μm)が光学活性化合物固有の捻れ配向を誘起する力の評価パラメータとして使用されている。下記数式中、「P」はピッチ(μm)であり、「C」はキラル化合物の添加量(質量%)である。
本発明に係る混合物が液晶組成物であり、該液晶組成物にキラル化合物を含有させる場合、当該キラル化合物としては、不斉原子をもつ化合物、軸不斉をもつ化合物、面不斉をもつ化合物のいずれでもよい。また、当該キラル化合物は、重合性基を有していてもよく、重合性基を有していなくてもよい。
前記液晶組成物が含むキラル化合物としては、不斉原子をもつ化合物又は軸不斉をもつ化合物が好ましく、不斉原子をもつ化合物が特に好ましい。不斉原子をもつ化合物としては、側鎖部分に不斉炭素を持つ化合物、環構造部分に不斉炭素を持つ化合物及びその両方を持つ化合物が挙げられる。不斉原子をもつ化合物において、不斉原子は不斉炭素原子であると立体反転が起こり難いものが好ましいが、ヘテロ原子が不斉原子となっていてもよい。不斉原子は鎖状構造の一部に導入されていてもよく、環状構造の一部に導入されていてもよい。前記液晶組成物が含むキラル化合物として、螺旋誘起力が強いことを特に要求される場合には、軸不斉をもつ化合物が好ましい。
不斉原子をもつ化合物としては、具体的には、一般式(Ch−I)で表される化合物が好ましい。
(一般式(Ch−I)中、R
100及びR
101はそれぞれ独立して、水素原子、−CN、−NO
2、ハロゲン原子、−OCN、−SCN、−SF
5、炭素原子数1〜30個のキラル又はアキラルなアルキル基(当該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−NH−、−N(CH
3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CF
2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−又は−C≡C−により置換されていてもよく、当該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていてもよい。)、重合性基、又は環構造を含むキラルな基を表し、n
11が0のとき、R
100及びR
101の少なくとも1つは、キラルなアルキル基であり、
Z
100及びZ
101はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−N(R
105)−、−N(R
105)−CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CH
2−、−CH
2CF
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−又は単結合を表し、(ここで、−CO−N(R
105)−又は−N(R
105)−CO−中のR
105は、炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を表す。)
A
100及びA
101はそれぞれ独立して、
(a’) トランス−1,4−シクロへキシレン基(当該基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。)、
(b’) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)、又は
(c’) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、インダン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよく、これらの基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)を表し、
A
100又はA
101が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよく、
n
11は0又は1を表し、n
11が0を表すとき、m
12は0を表し、かつm
11は0、1、2、3、4又は5を表し、n
11が1を表すとき、m
11とm
12はそれぞれ独立して0、1、2、3、4又は5を表し、
Dは、下記式(D1)〜(D4)で表される2価の基(式(D1)〜(D4)中、アステリスク(*)は、キラルな炭素原子を表し、黒丸を付した部位において、Z
101(若しくは、R
100)又はZ
101(若しくは、R
100)に、それぞれ結合する。)を表す。)
一般式(Ch−I)中、R100及びR101はそれぞれ独立して、水素原子、シアノ基、−NO2、ハロゲン原子、−OCN、−SCN、−SF5、炭素原子数1〜30個のキラル又はアキラルなアルキル基、重合性基、又は環構造を含むキラルな基を表す。n11が0のとき、R100及びR101の少なくとも1つは、キラルなアルキル基である。
一般式(Ch−I)中のR100又はR101が炭素原子数1〜30個のキラル又はアキラルなアルキル基である場合、当該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないメチレン基(−CH2−)は、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CF2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−又は−C≡C−により置換されていてもよく、当該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていてもよい。また、当該アルキル基は、直鎖状の基であってもよく、分岐鎖状の基であってもよく、環構造を含んでいる基であってもよい。
キラルなアルキル基としては、以下の一般式(Ra)〜(Rk)で表される基が好ましい。一般式(Ra)〜(Rk)中、アステリスク(*)は、キラルな炭素原子を表す。R100又はR101がこれらの基の場合、左端で、A100(若しくは、D、Z101)又はA101(若しくは、D、Z100)に、それぞれ結合する。
一般式(Ra)〜(Rk)中、R103及びR104は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、又は水素原子を表す。但し、一般式(Ra)、(Rb)、(Rd)、(Re)、(Rf)、(Rg)、(Ri)、(Rj)においては、R103が結合する炭素原子(*を付した位置)が不斉原子となるように、R103は炭素原子数1〜10の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である。当該アルキル基の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−O−SO2−、−SO2−O−、−CH=CH−、−C≡C−、シクロプロピレン基又は−Si(CH3)2−で置換されていてもよく、さらにアルキル基の1個又は2個以上の水素原子がそれぞれ独立してハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)又はシアノ基で置換されていてもよい。また、当該アルキル基は、重合性基をもっていてもよい。当該重合性基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。
一般式(Ra)〜(Rj)中のR103としては、メチレン基や水素原子が他の基等に置換されていない(すなわち、無置換の)炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基であることが好ましく、無置換の炭素原子数1〜8の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基であることがより好ましく、無置換の炭素原子数1〜6の直鎖状のアルキル基であることがさらに好ましい。
一般式(Rd)又は(Ri)中のR104としては、水素原子又は無置換の炭素原子数1〜5の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は無置換の炭素原子数1〜3の直鎖状のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましい。
一般式(Ra)〜(Rk)中、n12は0〜20の整数であり、0〜10の整数が好ましく、0〜5の整数がより好ましく、0がさらに好ましい。
一般式(Ra)〜(Rk)中、n13は0又は1である。
また、一般式(Rk)中、n14は0〜5の整数である。
一般式(Ra)〜(Rk)中、X101及びX102は、それぞれ独立して、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、ブロム原子、ヨウ素原子)、シアノ基、フェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基(−CF3)、トリフルオロメトキシ基(−OCF3)で置換されていてもよい。)、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、トリフルオロメチル基又はトリフルオロメトキシ基である。但し、一般式(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rf)、(Rg)、(Rh)においては、X101が結合する炭素原子(*を付した位置)が不斉原子となるように、X101とR103は互いに異なる基である。また、一般式(Rc)及び(Rh)において、X101が結合する炭素原子(*を付した位置)が不斉原子となるように、X101とX102は、互いに異なる基である。
一般式(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rf)、(Rg)、(Rh)、(Rk)中のX101及びX102としては、それぞれ独立して、ハロゲン原子、フェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基で置換されていてもよい。)、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基が好ましい。中でも、一般式(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rf)、(Rg)、(Rh)中のX101及びX102としては、それぞれ独立して、フェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基で置換されていてもよい。)がより好ましく、無置換のフェニル基がさらに好ましい。また、一般式(Rk)中のX101としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基がより好ましく、ハロゲン原子、メチル基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基がさらに好ましい。
一般式(Re)及び(Rj)中、Qは二価の炭化水素基である。当該二価の炭化水素基としては、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状構造を有する基であってもよい。また、当該二価の炭化水素基の炭素原子数は、1〜16が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましい。当該二価の炭化水素基としては、1個の炭素原子において、一般式(Re)及び(Rj)中の2個の酸素原子とそれぞれ単結合する基が好ましい。この場合、一般式(Re)及び(Rj)において、アスタリスクが付された2個の炭素原子と、それらとそれぞれ結合する2個の酸素原子と、Q中の1の炭素原子が、5員環を形成している。具体的には、無置換の、又は1若しくは2個の水素原子が炭化水素基によって置換されたメチレン基、シクロプロピリデン基、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基等が挙げられ、メチレン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基がより好ましい。
一般式(Ra)〜(Rk)で表される基としては、一般式(Ra)又は一般式(Rf)で表される基が好ましい。一般式(Ra)で表される基としては、一般式(Ra)中、n12が0〜5の整数であり、X101がフェニル基(当該フェニル基の1個又は2個以上の任意の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基で置換されていてもよい。)であり、R103が無置換の炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である基が好ましく、n12が0〜5の整数であり、X101が無置換のフェニル基であり、R103が無置換の炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基である基がより好ましい。一般式(Rf)で表される基としては、一般式(Rf)中、n12が0〜5の整数であり、n13が0又は1であり、X101がハロゲン原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基であり、R103が無置換の炭素原子数2〜12の直鎖状のアルキル基である基が好ましい。
一般式(Ch−I)で表される化合物のR100又はR101としては、特に、下記式(Ra−1)〜(Ra−3)又は一般式(Rf−1)〜(Rf−3)で表される基が好ましい。R100又はR101がこれらの基の場合、左端が、A100(若しくは、D、Z101)又はA101(若しくは、D、Z100)に、それぞれ結合する。また、アステリスクは、キラルな炭素原子を表す。
一般式(Rf−1)〜(Rf−3)中、n13は0又は1を表す。また、一般式(Ra−1)〜(Ra−3)、(Rf−1)〜(Rf−3)中、nは2〜12の整数を表す。一般式(Ra−1)〜(Ra−3)、(Rf−1)〜(Rf−3)においては、nは3〜8の整数が好ましく、4、5又は6がより好ましい。
一般式(Ch−I)中のR100又はR101が重合性基である場合、当該重合性基としては、下記の式(R−1)〜(R−16)のいずれかで表される構造からなる基が好ましい。式(R−1)〜(R−14)、(R−16)で表される基は右端が、式(R−15)で表される基は左端が、A100(若しくは、D、Z101)又はA101(若しくは、D、Z100)に、それぞれ結合する。
これらの重合性基は、ラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合、又はアニオン重合により硬化する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(R−1)、式(R−2)、式(R−4)、式(R−5)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)、式(R−15)又は式(R−16)で表される基が好ましく、式(R−1)、式(R−2)、式(R−7)、式(R−11)、式(R−13)又は式(R−16)で表される基がより好ましく、式(R−1)、式(R−2)又は式(R−16)で表される基がさらに好ましい。
一般式(Ch−I)中のR100又はR101が環構造を含むキラルな基である場合、当該基が含む環構造は、芳香族であってもよく、脂肪族であってもよい。アルキル基が取り得る環構造としては、単環構造、縮合環構造又はスピロ(spirocyclic)環構造が挙げられ、また、1個又は2個以上のヘテロ原子を含むことができる。
一般式(Ch−I)中、Z100及びZ101はそれぞれ独立して、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−N(R105)−、−N(R105)−CO−、−OCH2−、−CH2O−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−CF2CH2−、−CH2CF2−、−CF2CF2−、−CH=CH−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−又は単結合を表す。ここで、−CO−N(R105)−又は−N(R105)−CO−中のR105は、炭素原子数1〜12の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基を表し、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分枝状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜4の直鎖状のアルキル基がより好ましい。m11が2以上の整数であり、一分子中にZ100が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。同様に、m12が2以上の整数であり、一分子中にZ101が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。一般式(Ch−I)で表される化合物としては、Z100及びZ101はそれぞれ独立して、−CF2O−、−OCF2−、−CF2CF2−、−CF=CF−、−COO−、−OCO−、−CH2−CH2−、−C≡C−又は単結合が好ましい。
一般式(Ch−I)中、A100及びA101はそれぞれ独立して、下記(a’)基、(b’)基、又は(c’)基である。m11が2以上の整数であり、一分子中にA100が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。同様に、m12が2以上の整数であり、一分子中にA101が複数存在する場合には、それらは同一でもよく、異なっていてもよい。
(a’) トランス−1,4−シクロへキシレン基(当該基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよい。)。
(b’) 1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)。
(c’) 1,4−シクロヘキセニレン基、1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン基、インダン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基(これらの基中に存在する1個のメチレン基又は隣接していない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子に置換されていてもよく、これらの基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、窒素原子に置換されていてもよい。)。
前記(a’)基、(b’)基、及び(c’)基は、いずれも無置換であってもよく、当該基中の1個又は2個以上の水素原子が、それぞれ独立して、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜7のアルキル基(当該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)、炭素原子数1〜7のアルコキシ基(当該アルコキシ基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)、炭素原子数1〜7のアルキルカルボニル基(当該アルキルカルボニル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)、又は炭素原子数1〜7のアルコキシカルボニル基(当該アルコキシカルボニル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子又は塩素原子により置換されていてもよい。)によって置換されていてもよい。
一般式(Ch−I)で表される化合物のA100及びA101としては、前記(a’)基又は前記(b’)基が好ましく、無置換のトランス−1,4−シクロへキシレン基、無置換の1,4−フェニレン基、1個若しくは2個以上の水素原子がそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数1〜4のアルキルカルボニル基、若しくは炭素原子数1〜4のアルコキシカルボニル基によって置換されているトランス−1,4−シクロへキシレン基、又は、1個若しくは2個以上の水素原子がそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数1〜4のアルキルカルボニル基、若しくは炭素原子数1〜4のアルコキシカルボニル基によって置換されている1,4−フェニレン基がより好ましく、無置換のトランス−1,4−シクロへキシレン基又は無置換の1,4−フェニレン基がさらに好ましく、無置換の1,4−フェニレン基がよりさらに好ましい。
一般式(Ch−I)中、n11は0又は1を表す。
n11が0のとき、m12は0であり、かつm11は0、1、2、3、4又は5である。n11及びm12が0のとき、m11は、1、2、3、又は4が好ましく、1、2又は3がより好ましい。
n11が1のとき、m11とm12はそれぞれ独立して0、1、2、3、4又は5、好ましくは1、2、3、又は4、より好ましくは1、2又は3である。n11が1のとき、m11とm12は、互いに異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
一般式(Ch−I)中、Dは、前記式(D1)〜(D4)で表される2価の基である。式(D1)〜(D4)中、黒丸を付した部位において、Z100(若しくは、R100)又はZ101(若しくは、R101)に、それぞれ結合する。
前記(D1)、(D3)又は(D4)で表される基中、ベンゼン環の任意の1個又は2個以上の任意の水素原子は、それぞれ独立してハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数1〜20のアルコキシ基で置換されていてもよい。ベンゼン環中の水素原子の置換基となる炭素原子数1〜20のアルキル基又はアルコキシ基においては、当該基中の1個又は2個以上の水素原子は、フッ素原子に置換されていてもよく、当該基中の1個又は2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CF2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−又は−C≡C−により、酸素原子又は硫黄原子が互いに直接結合しないように置換されていてもよい。
一般式(Ch−I)で表される化合物のうち、n11が0である化合物としては、当該化合物の両端のR100及びR101を除いた残りの部分構造が、下記一般式(b1)〜(b13)で表される構造であることが好ましい。一般式(b1)〜(b13)で表される構造は、両端のいずれか一方がR100と結合し、残る他方がR101と結合する。但し、これらの構造を有する化合物では、R100及びR101の少なくとも一方は、キラルなアルキル基である。
一般式(b1)〜(b13)中、Z102は、一般式(Ch−I)中のZ100及びZ101と同様である。
また、一般式(b1)〜(b13)中、A102は、1,4−フェニレン基(当該基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は、窒素原子に置換されていてもよく、当該基中に存在する1個又は2個以上の任意の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基、又はトリフルオロメトキシ基によって置換されていてもよい。)である。1,4−フェニレン基中の−CH=や水素原子を置換することにより、当該化合物を含む液晶組成物について、結晶性の低下及び誘電異方性の向きや大きさを制御することができる。
信頼性の面では、A102中の環構造がピリジン環、ピリミジン環等の複素環である化合物(すなわち、1,4−フェニレン基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=が窒素原子に置換された基である化合物)よりも、ベンゼン環である化合物(すなわち、1,4−フェニレン基中に存在する−CH=が窒素原子に置換されていない基である化合物)のほうが好ましい。一方で、誘電率異方性を大きくするという面では、A102中の環構造がベンゼン環である化合物よりも、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環である化合物のほうが好ましい。ベンゼン環やシクロヘキサン環等の炭化水素環を有する化合物は、当該化合物の持つ分極性が比較的小さいが、ピリジン環、ピリミジン環等の複素環を有する化合物は、当該化合物の持つ分極性が比較的大きく、結晶性を低下させ液晶性を安定化するために好ましい。
本発明に係る混合物の励起寿命(τ)を短くする観点からは、該混合物中に含まれる化合物の分極性(誘電率異方性)が小さい方が好ましい。
一般式(Ch−I)で表される化合物のうち、n11及びm12が0である化合物としては、下記一般式(Ch−I−1)〜(Ch−I−30)が好ましい。一般式(Ch−I−1)〜(Ch−I−30)中、R100、R101及びZ100は、一般式(Ch−I)におけるR100、R101及びZ100と同じ意味を表し、R100及びR101の少なくとも一つはキラルなアルキル基を表し、L100〜L105はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表し、L100〜L105はそれぞれ独立して水素原子又はフッ素原子を表す。
一般式(Ch−I−1)〜(Ch−I−30)で表される化合物としては、R100及びR101の一方又は両方が一般式(Ra)〜(Rk)のいずれかで表される基である化合物が好ましく、R100及びR101の一方又は両方が、前記式(Ra−1)〜(Ra−3)又は一般式(Rf−1)〜(Rf−3)で表される基である化合物がより好ましい。R100及びR101のいずれか一方のみが一般式(Ra)〜(Rk)のいずれかで表される基である化合物としては、R100及びR101の残りの一方が、炭素原子数1〜30個のアキラルなアルキル基(当該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CF2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−又は−C≡C−により置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていてもよい。)である化合物が好ましく、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアルケニル基又は炭素原子数2〜16のアルケニルオキシ基である化合物より好ましい。
本発明の混合物が液晶組成物である場合、一般式(Ch−I−1)〜(Ch−I−30)のいずれかで表される化合物を少なくとも1種類は含んでいることが好ましく、一般式(Ch−I−30)で表される化合物を含んでいることがより好ましい。一般式(Ch−I−30)で表される化合物としては、具体的には、下記一般式(Ch−I−30−1)〜(Ch−I−30−6)(式中、n13は0又は1を表し、nは2〜12の整数を表し、R102は炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアルケニル基又は炭素原子数2〜16のアルケニルオキシ基を表す。)で表される化合物が挙げられる。一般式(Ch−I−30−1)〜(Ch−I−30−6)中、R102は炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数2〜6のアルケニル基又は炭素原子数2〜6のアルケニルオキシ基が好ましい。
n11が1の場合、一般式(Ch−I)で表される化合物は、環構造部分に不斉炭素を持つ構造となる。この場合、一般式(Ch−I)で表される化合物としては、Dが前記式(D2)又は(D4)である化合物が好ましく、Dが式(D4)である化合物がより好ましい。Dが式(D2)である化合物としては、下記一般式(K2−1)〜(K2−8)で表される化合物が好ましく、Dが式(D4)である化合物としては、下記一般式(K3−1)〜(K3−6)で表される化合物が好ましい。一般式(K2−1)〜(K2−8)及び(K3−1)〜(K3−6)中、アステリスク(*)は、キラルな炭素原子を表す。
一般式(K2−1)〜(K2−8)、(K3−1)〜(K3−6)中、RKはそれぞれ独立して、一般式(Ch−I)におけるR100及びR101と同じ意味を表す。本発明の混合物が液晶組成物である場合、該液晶組成物に用いられるHTP(−)キラル化合物としては、一般式(K2−1)〜(K2−8)又は(K3−1)〜(K3−6)で表される化合物の中でも、RKがそれぞれ独立して、炭素原子数1〜30個のキラル又はアキラルなアルキル基(当該アルキル基中の1個又は2個以上の隣接していないメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−S−、−NH−、−N(CH3)−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CH=CH−、−CF2−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF=CF−又は−C≡C−により置換されていてもよく、該アルキル基中の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子又はシアノ基によって置換されていてもよい。)である化合物が好ましく、炭素原子数1〜16のアルキル基、炭素原子数1〜16のアルコキシ基、炭素原子数2〜16のアルケニル基又は炭素原子数2〜16のアルケニルオキシ基である化合物がより好ましく、炭素原子数3〜10のアルキル基、炭素原子数3〜10のアルコキシ基、炭素原子数3〜10のアルケニル基又は炭素原子数3〜10のアルケニルオキシ基である化合物がさらに好ましい。
<軸不斉をもつ化合物>
軸不斉化合物としては、具体的には、一般式(IV−1)、(IV−2)、(IV−3)又は(IV−4)で表される化合物が好ましい。
一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物においては、2つのナフタレン環のα位を結ぶ結合が軸不斉の軸である。
一般式(IV−1)及び(IV−2)中、R71及びR72は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、イソシアネート基、イソチオシナネート基、又は炭素原子数1〜20のアルキル基を表す。当該アルキル基中の任意の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子及び硫黄原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、又は−C≡C−で置換されていてもよい。さらに、当該アルキル基中の任意の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物としては、R71及びR72は、それぞれ独立して、無置換の、又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1〜20の無置換のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1〜6の無置換のアルキル基であることがさらに好ましい。
一般式(IV−1)及び(IV−2)中、A71及びA72は、それぞれ独立して、芳香族性若しくは非芳香族性の3、6ないし8員環、又は、炭素原子数9以上の縮合環を表す。これらの環構造中の任意の1個又は2個以上の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、又は炭素原子数1〜3のハロアルキル基で置換されていてもよい。また、当該環構造中の任意の1個又は互いに隣接していない2個以上のメチレン基は、それぞれ独立して、−O−、−S−、又は−NH−で置換されていてもよく、当該環構造中の任意の1個又は互いに隣接していない2個以上の−CH=は、−N=で置換されていてもよい。m71が2以上であり、一分子中にA71が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。同様に、m72が2以上であり、一分子中にA72が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物としては、A71及びA72は、それぞれ独立して、1,4−フェニレン基、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基が好ましい。これらの基中の1個若しくは2個以上の水素原子が、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、又は炭素原子数1〜3のハロアルキル基で置換された基も好ましい。中でも、1個若しくは2個以上の水素原子がフッ素原子により置換されていてもよい1,4−フェニレン基、又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基がより好ましく、無置換の1,4−フェニレン基又は無置換のトランス−1,4−シクロヘキシレン基がさらに好ましい。
一般式(IV−1)及び(IV−2)中、Z71及びZ72は、それぞれ独立して、単結合又は炭素原子数1〜8のアルキレン基を表す。当該アルキレン基中の任意の1個又は2個以上のメチレン基は、酸素原子及び硫黄原子が相互に直接結合しないものとして、それぞれ独立して、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−N(O)=N−、−N=N(O)−、−CH=CH−、−CF=CF−、又は−C≡C−で置換されていてもよい。また、当該アルキレン基中の任意の1個又は2個以上の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。m71が2以上であり、一分子中にZ71が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。同様に、m72が2以上であり、一分子中にZ72が複数存在する場合、それらは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物としては、Z71及びZ72はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜4の無置換のアルキレン基、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、又は−C≡C−が好ましく、単結合、−CH2−、−CH2CH2−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、又は−C≡C−がより好ましく、単結合、−COO−、又は−OCO−がさらに好ましい。
一般式(IV−1)及び(IV−2)中、X71及びX72は、それぞれ独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、−CF2O−、−OCF2−、又は−CH2CH2−を表す。一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物としては、X71及びX72は、それぞれ独立して、単結合、−COO−、−OCO−、−CH2O−、−OCH2−、又は−CH2CH2−が好ましく、単結合、−COO−、又は−OCO−がより好ましい。
一般式(IV−2)中、R73は、水素原子、ハロゲン原子、又は−X71−(A71−Z71)m71−R71を表す。
一般式(IV−1)及び(IV−2)中、m71及びm72は、それぞれ独立して、1〜4の整数を表す。但し、一般式(IV−2)において、R73が−X71−(A71−Z71)m71−R71である場合には、2個のm71のうち、いずれか一方は0でもよい。一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物としては、m71及びm72は、それぞれ独立して、2又は3が好ましく、2がより好ましい。
一般式(IV−3)で表される化合物においては、2つのベンゼン環を結ぶ単結合が軸不斉の軸であり、一般式(IV−4)で表される化合物においては、2つのナフタレン環のα位を結ぶ結合が軸不斉の軸である。
一般式(IV−3)中、R61及びR62はそれぞれ独立して、任意の1個又は2個以上の水素原子がそれぞれ独立してアルキル基、アルコキシル基若しくはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基、シクロペンチル基、又はシクロヘキシル基を表す。フェニル基中の水素原子と置換されるアルキル基又はアルコキシル基は、炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状であることがより好ましい。
一般式(IV−3)中、R63、R64、R65、R66、R67及びR68は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、又はジアルキルアミノ基を表す。一般式(IV−3)中のR63、R64及びR65のうちの2つが、置換基を有していてもよいメチレン鎖、又は置換基を有していてもよいモノ若しくはポリメチレンジオキシ基を形成していてもよく、R66、R67及びR68のうちの2つが、置換基を有していてもよいメチレン鎖、又は置換基を有していてもよいモノ若しくはポリメチレンジオキシ基を形成していてもよい。但し、R65とR66が共に水素原子の場合は除く。
一般式(IV−4)中、X61とY61、X62とY62は、それぞれ、いずれか少なくとも一方が存在し、X61、X62、Y61、Y62は、それぞれ独立して、CH2、C=O、O、N、S、P、B、Siのいずれかを表す。X61、X62、Y61、又はY62がN、P、B、又はSiである場合は、所要の原子価を満足するように、アルキル基、アルコキシ基、アシル基等の置換基と結合していてもよい。
一般式(IV−4)中、E61及びE62は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、ベンジル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルケトン基、複素環基又はこれらの誘導体のいずれかを表す。
本発明の混合物が液晶組成物である場合、該液晶組成物が含むHTP(−)キラル化合物として、螺旋誘起力が強いことが特に要求される場合には、一般式(IV−1)又は(IV−2)で表される化合物が特に好ましい。
一般式(IV−1)で表される化合物としては、具体的には、下記の一般式(K4−1)〜(K4−12)で表される化合物が好ましく、一般式(K4−1)〜(K4−6)で表される化合物がより好ましく、一般式(K4−3)〜(K4−6)で表される化合物がさらに好ましい。一般式(K4−1)〜(K4−12)で表される化合物においては、2つのナフタレン環のα位を結ぶ結合が軸不斉の軸である。
一般式(K4−1)〜(K4−12)中、R71及びR72は、一般式(IV−1)におけるR71及びR72と同じ意味を表す。本発明の混合物が液晶組成物である場合、該液晶組成物に用いられるHTP(−)キラル化合物としては、一般式(K4−1)〜(K4−12)で表される化合物の中でも、R71及びR72がそれぞれ独立して、無置換又は置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基である化合物が好ましく、炭素原子数1〜20の無置換のアルキル基である化合物がより好ましく、炭素原子数1〜6の無置換のアルキル基である化合物がさらに好ましい。
一般式(IV−2)で表される化合物としては、具体的には、下記の一般式(K5−1)〜(K5−3)で表される化合物が好ましい。一般式(K5−1)〜(K5−3)で表される化合物においては、2つのナフタレン環のα位を結ぶ結合が軸不斉の軸である。
一般式(K5−1)〜(K5−3)中、R71は、一般式(IV−2)におけるR71と同じ意味を表す。本発明の混合物が液晶組成物である場合、該液晶組成物に用いられるHTP(−)キラル化合物としては、一般式(K5−1)〜(K5−3)で表される化合物の中でも、R71が、任意の1個又は2個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、任意の1個又は2個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルケニル基、任意の1個又は2個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜19のアルコキシ基、又は任意の1個又は2個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜19のアルキル基である化合物が好ましく、炭素原子数1〜20の無置換のアルキル基である化合物がより好ましく、炭素原子数1〜6の無置換のアルキル基である化合物がさらに好ましい。
<面不斉をもつ化合物>
面不斉をもつ化合としては、例えば下記一般式(IV−5)で表されるヘリセン(Helicene)誘導体が挙げられる。このようなヘリセン誘導体においては、前後に重なり合う環の前後関係は自由に変換することができないため、環が右向きの螺旋構造をとる場合と左向きの螺旋構造をとる場合とが区別され、キラリティーを発現する。
一般式(IV−5)中、X51とY51、X52とY52は、それぞれ、いずれか少なくとも一方が存在し、X51、X52、Y51、Y52は、それぞれ独立して、CH2、C=O、O、N、S、P、B、Siのいずれかを表す。X51、X52、Y51、Y52がN、P、B、Siである場合は、所要の原子価を満足するように、アルキル基、アルコキシ基、アシル基等の置換基と結合されていてもよい。
一般式(IV−5)中、E51及びE52は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリル基、ベンジル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルエーテル基、アルキルエステル基、アルキルケトン基、複素環基又はこれらの誘導体のいずれかを表す。
本発明の混合物が液晶組成物である場合、該液晶組成物は、キラル化合物として、前記一般式(Ch−I−1)〜(Ch−I−30)で表される化合物、前記一般式(K2−1)〜(K2−8)で表される化合物、前記一般式(K3−1)〜(K3−6)で表される化合物、前記(K4−1)〜(K4−12)で表される化合物、及び前記一般式(K5−1)〜(K5−3)で表される化合物からなる群より選択される1種類以上のHTP(−)キラル化合物を含むことが好ましく、これらの化合物群より、少なくとも1種類のHTP(−)キラル化合物を含むように選択される2種類以上の化合物を含むことがより好ましく、これらの化合物群から、少なくとも1種類のHTP(+)キラル化合物と少なくとも1種類のHTP(−)キラル化合物とを組み合わせて含むことがさらに好ましい。中でも、前記一般式(Ch−I−30)で表される化合物、前記一般式(K3−1)〜(K3−6)で表される化合物、及び前記(K4−1)〜(K4−12)で表される化合物からなる群より、少なくとも1種類のHTP(−)キラル化合物を含むように選択される2種類以上の化合物を含むことが好ましく、前記一般式(Ch−I−30)で表される化合物、前記一般式(K3−1)〜(K3−6)で表される化合物、及び前記(K4−1)〜(K4−12)で表される化合物からなる群から、少なくとも1種類のHTP(−)キラル化合物と少なくとも1種類のHTP(+)キラル化合物とを含むように選択される2種類以上の化合物を含むことがより好ましい。特に、前記一般式(Ch−I−30−1)〜(Ch−I−30−6)のいずれかで表される化合物、及び前記(K4−3)〜(K4−6)のいずれかで表される化合物からなる群より、少なくとも1種類のHTP(−)キラル化合物を含むように選択される2種類以上の化合物を含むことが好ましく、前記一般式(Ch−I−30−1)〜(Ch−I−30−6)のいずれかで表される少なくとも1種類のHTP(−)化合物と、前記(K4−3)〜(K4−6)のいずれかで表される化合物のうち、少なくとも1種類のHTP(−)キラル化合物と少なくとも1種類のHTP(+)キラル化合物と、を含むことがより好ましい。
本発明に係る混合物が液晶組成物であり、該液晶組成物にキラル化合物を含有させる場合、1種類のキラル化合物のみを含有していてもよいが、2種類以上を組み合わせて用いるほうが好ましい。構造や物性の異なる複数種類のキラル化合物を組み合わせることにより、所望の物性を有する液晶・高分子複合材料が得られやすい。
前記キラル化合物としては、螺旋誘起力が比較的大きなものが好ましい。螺旋誘起力が大きい化合物は、当該キラル化合物が添加されるネマチック液晶組成物の螺旋構造を所望のピッチ(例えば、25℃におけるピッチが0.01〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm)にするために必要な添加量を少なくすることができる。
本発明に係る混合物が液晶組成物であり、該液晶組成物にキラル化合物を含有させる場合、ブルー相等の光学的等方相をより発現しやすくなるため、液晶組成物に添加した際の螺旋誘起力の温度依存性が負である(すなわち、温度上昇に従い、螺旋誘起力が大きくなる)キラル化合物を、少なくとも1種類は用いることが好ましい。特に、ブルー相I、ブルー相II、又は液体相のいずれとも共存していない状態のブルー相IIIを、従来になく非常に広い温度幅(例えば、2℃以上の温度幅)で発現できる液晶・高分子複合材料を製造するためには、1種類又は2種類以上の螺旋誘起力の温度依存性が正であるキラル化合物と、1種類又は2種類以上の螺旋誘起力の温度依存性が負であるキラル化合物とを組み合わせて用いることがより好ましい。
本発明に係る混合物がネマチック液晶組成物であり、該液晶組成物にキラル化合物を含有させる場合、当該キラル化合物の含有量は、用いるネマチック液晶組成物のピッチを所望の範囲内とすることができるために充分な量であれば、特に限定されるものではなく、ネマチック液晶組成物の種類、キラル化合物の種類(特に、分極性)やその組み合わせ等を考慮して、適宜調整される。例えば、ネマチック液晶組成物100質量部に対して、1〜45質量部、好ましくは3〜30質量部とすることができる。
本発明に係る混合物がネマチック液晶組成物であり、該液晶組成物に重合性基を有する化合物を含有させる場合、1種類の重合性化合物を用いてもよいが、重合反応後に得られる重合物(高分子)の物性が所望の範囲となるように、複数種類の重合性化合物を適宜組み合わせて用いることが好ましい。複数種類の重合性化合物を用いる場合、少なくとも1種類の単官能性重合性化合物と少なくとも1種類の多官能性重合性化合物とを用いることが好ましい。多官能性重合性化合物を原料とすることにより、重合反応によって、架橋構造を有する高分子を含む液晶・高分子複合材料が得られる。
前記液晶・高分子複合材料に含まれる高分子のガラス転移温度は、−100℃〜25℃であることが好ましい。そこで、重合反応後の高分子のガラス転移温度が当該範囲内となるように、原料として用いる重合性化合物の種類や組成を適宜調整することが好ましい。
さらに、前記液晶・高分子複合材料に含まれる高分子の原料としては、少なくとも1種類のメソゲン性重合性化合物と、少なくとも1種類の非メソゲン性重合性化合物とを用いることが好ましい。高分子の原料として、メソゲン性重合性化合物と非メソゲン性重合性化合物の両者を用いることにより、重合反応によって得られる液晶・高分子複合材料が光学的等方性相を発現する温度範囲をより広くすることができる。
[液晶・高分子複合材料の製造方法]
前記液晶・高分子複合材料は、例えば、ネマチック液晶組成物と、全てのキラル化合物と、高分子の原料とする全ての重合性化合物とを混合した重合性化合物含有液晶組成物を調製した後、当該重合性化合物含有液晶組成物中の重合性基を有する化合物を重合させることによって製造することができる。
ネマチック液晶組成物とキラル化合物と重合性化合物を混合する順番は特に限定されるものではなく、全原料を実質的に同時に混合してもよく、予めネマチック液晶組成物とキラル化合物とが混合されている液晶組成物に、高分子の原料とする全ての重合性化合物を混合してもよい。当該重合性化合物含有液晶組成物中の全重合性化合物の総量は、用いる重合性化合物の種類、ネマチック液晶組成物の種類、キラル化合物の種類等を考慮して適宜決定することができるが、0.1〜40質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、1〜25質量%がさらに好ましい。また、当該重合性化合物含有液晶組成物中のネマチック液晶組成物とキラル化合物との混合物の含有量は、60〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%がより好ましく、60〜80質量%がさらに好ましい。
当該重合性化合物含有液晶組成物は、必要に応じて、重合開始剤を含んでいてもよい。
例えば、当該重合性化合物含有液晶組成物中の重合性化合物をラジカル重合によって重合させる場合には、ラジカル重合開始剤として、熱重合開始剤、光重合開始剤を添加しておくことができる。具体的には以下の化合物が好ましく用いられる;
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;
ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系;
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;
ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;
2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;
ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;
10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等。
当該重合性化合物含有液晶組成物に含有させるラジカル重合開始剤としては、これらの化合物の中でも、ベンジルジメチルケタールが好ましい。
当該重合性化合物含有液晶組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、液晶組成物に汎用されている各種添加剤を含んでいてもよい。例えば、その保存安定性を向上させるために、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5質量%がさらに好ましく、0.03〜0.1質量%が特に好ましい。
重合反応前の当該重合性化合物含有液晶組成物としては、光学的等方性相を発現し得ることが好ましく、ブルー相を発現し得ることがより好ましく、ブルー相IIIを発現し得ることがさらに好ましい。重合反応により形成された高分子によって、光学的等方性相が安定化する。つまり、重合反応により得られた液晶・高分子複合材料は、重合反応前の液晶組成物が光学的等方性相を発現する温度範囲よりもより広い温度幅で、光学的等方性相を発現できる。
当該重合性化合物含有液晶組成物の重合反応は、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射する方法や熱重合法等の公知の方法の中から、用いた重合性化合物の種類に応じて適宜選択される。加熱を必要とせず、室温で反応が進行することから活性エネルギー線を照射する方法が好ましく、中でも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いてもよく、非偏光光源を用いてもよい。
重合反応は、重合性化合物含有液晶組成物が光学的等方性相、特にブルー相を保持した状態で行うことが好ましい。例えば、重合性化合物含有液晶組成物がブルー相IIIを発現する場合、重合反応を、当該重合性化合物含有液晶組成物がブルー相IIIを示す温度範囲内で開始し、ブルー相IIIを保持した状態で継続し、重合反応により製造された液晶・高分子複合材料がブルー相IIIを示す温度範囲内で終了することにより、ブルー相IIIを示す温度範囲が、重合反応前の重合性化合物含有液晶組成物よりも広い液晶・高分子複合材料が得られる。
また、原料として、2種類以上のキラル化合物を用いることにより、1種類のキラル化合物を用いた場合よりも、他の相と共存していないブルー相IIIの発現温度範囲を広げることができる。中でも、螺旋誘起力の温度依存性が負であるキラル化合物と螺旋誘起力の温度依存性が正であるキラル化合物とを組み合わせて用いることにより、ブルー相I、ブルー相II、又は液体相のいずれとも共存していない状態のブルー相IIIを従来になく非常に広い温度幅(例えば、2℃以上の温度幅)で発現できる液晶・高分子複合材料を得ることができる。
ブルー相、特にブルー相IIIを発現する重合性化合物含有液晶組成物を重合して得られた前記液晶・高分子複合材料は、ブルー相の持つ高速応答性を失うことなく、その発現温度範囲が従来になく拡張されているため、光学的等方性相で駆動される液晶光学素子の原料として好適である。
前記液晶・高分子複合材料を用いた液晶光学素子は、常法により製造することができる。例えば、以下のようにして、液晶光学素子を製造することができる。まず、電極を備えたセルに前記重合性化合物含有液晶組成物を注入する。当該セルは、2枚の基板を、例えば塗布された接着剤を介して枠状に密着させることによって構成することができる。
一方の基板表面には電極、中でもIPS電極(櫛歯電極)を設けてもよく、該電極上に絶縁膜としてポリイミド膜やSiOなどの無機膜を得てもよい。同様に、もう一方の基板表面にも対向電極を設けてもよく、該電極上に絶縁膜を形成した対向基板を得てもよい。当該基板は、ガラス、プラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でもよい。セルの2枚の基板間に重合性化合物含有液晶組成物を狭持させる方法としては、通常の真空注入法、又はODF法などを用いることができる。次に、当該セルを加温し、当該重合性化合物含有液晶組成物がブルー相(例えば、ブルー相III)を発現する温度において重合反応を開始し、ブルー相を保持した状態で重合反応を進行させる。重合反応を活性エネルギー線の照射により行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。ブルー相を安定して発現する液晶・高分子複合材料から製造された液晶光学素子は、電界無印加状態で光学的に等方性であるため、配向を制御する必要がない。
前記液晶・高分子複合材料を用いた液晶光学素子は、高速応答性を示すため、原理的に高速応答性が要求されるフィールドシーケンシャルカラー方式を用いたディスプレイに好ましく用いることができる。本発明の液晶・高分子複合材料を用いた液晶光学素子とフィールドシーケンシャルカラー方式を組み合わせた場合には、カラーフィルターを使用しないため、カラーフィルターによる光のロスが低減された高効率なディスプレイを作製することができ、ひいては高輝度なあるいは低消費電力なディスプレイを得ることができる。また、前記液晶・高分子複合材料を用いた液晶光学素子とフィールドシーケンシャルカラー方式を組み合わせた場合には、カラーフィルター方式とは異なり画素の三分割が必要ないため、高精細なディスプレイを得ることができる。
また、前記液晶・高分子複合材料の用途として、光学素子、光路スイッチング素子、波長変換素子、エネルギー変換素子、電子材料、非線形光学素子、光メモリー、リライタブル素子、電子ペーパー、潤滑剤、電気粘性流体、緩衝材、振動素子、圧電素子、焦電素子などが例示できる。
<ネマチック液晶相を構成する液晶組成物>
本発明の第一実施形態の混合物が2種以上又は3種以上の液晶性化合物からなる液晶組成物であり、その液晶相がネマチック相である場合、前記液晶組成物の誘電率異方性(△ε)が、△ε>+2.5であって、下記一般式(II−a)から一般式(II−g)で表される化合物を少なくとも一種含有するポジ型液晶組成物が好ましい。
なお、化学物質の誘電率の違いは分子内の電子密度の偏りと関係しており、これらが吸収波長に影響することが知られている。以下は、誘電率の違いにより化合物を分類して説明する。
<ポジ型液晶組成物>
前記ポジ型液晶組成物は、一般式(4)の群から選ばれるいずれか1種以上を含有することが好ましい。式中、R1〜R2はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表す。
式(4)で表される化合物の含有量は、1〜95%が好ましく、8〜90%がより好ましく、15〜85%がさらに好ましい。
一般式(4)で表される化合物は、具体的には以下の構造が例示できる。
前記ポジ型液晶組成物は、一般式(II−a)から一般式(II−g)の群から選ばれるいずれか1種以上を含有することが好ましい。式中、R10〜R13及びR21〜R30はお互い独立して炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数2から10のアルケニル基を表す。前記アルキル基及びアルケニル基の1つ又は2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−に置換されていてもよい。X21は水素原子又はフッ素原子を表すが、フッ素原子であることが好ましい。
シクロヘキサン環の数が多いほど吸収波長が短波長側にシフトするために、式(II−a)、式(II−g)の配合量が多いことが好ましく、次に式(II−c)、式(II−f)の配合量が多いことが好ましい。一方、ベンゼン環が多い化合物は吸収波長が長波長側にシフトするため、式(II−e)の配合量は一定量にとどめることが好ましい。特に、R10〜R13及びR21〜R30がアルケニル基である場合は、アルキル基である場合に比べて共存させる化合物の吸収波長が短波長のものを選ぶことが好ましい。
前記ポジ型液晶組成物の一般式(II−a)から一般式(II−g)の群から選ばれる化合物は、具体的には次に示す化合物が好ましい。
一般式(II−a)中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数2から10の直鎖アルケニル基であってもよい。下記式(2.1)〜(2.7)が例示できる。
以下、「%」は特に明記しない限り「重量%」を表す。
式(2.1)〜(2.7)で表される化合物の含有量は、1〜95%が好ましく、8〜90%がより好ましく、15〜85%がより好ましく、15〜65%がより好ましく、15〜55%がより好ましく、15〜45%がさらに好ましい。
一般式(II−a)中、R21、R21はそれぞれ独立して炭素原子数1から10の直鎖アルキル基又は炭素原子数2から10の直鎖アルケニル基であってもよい。下記式(4.2)〜(4.4)が例示できる。
式(4.2)で表される化合物の含有量は、5〜95%が好ましく、20〜90%がより好ましく、30〜85%がさらに好ましい。
式(4.3)で表される化合物の含有量は、5〜95%が好ましく、20〜90%がより好ましく、30〜85%がさらに好ましい。
式(4.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、2〜45%、5〜45%、7〜40%、8〜40%、9〜40%、11〜40%、12〜40%、14〜40%、15〜40%、16〜40%、17〜40%、18〜40%、20〜35%、22〜35%、25〜35%、30〜35%である。
前記ポジ型液晶組成物には、以下の式(21.1)〜(21.3)および式(8.1)で表される化合物の群から選ばれるいずれか1種以上が含有されることが好ましい。
式(21.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、10〜75%、15〜75%、20〜75%、25〜75%、30〜75%、35〜75%、40〜75%、45〜70%、48〜70%である。
式(21.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、5〜55%、8〜55%、11〜50%、14〜50%、17〜50%、19〜50%、21〜50%である。
式(21.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、2〜45%、5〜45%、10〜40%、15〜40%、18〜40%、19〜40%である。
式(8.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、5〜80%、10〜70%、15〜60%、20〜55%、22〜50%、24〜50%、26〜50%、26〜45%、27〜40%である。
一般式(II−a)中、R21及びR22はお互い独立して炭素原子数1から10の直鎖アルキル基であってもよい。下記式(21.4)が例示できる。
式(21.4)で表される化合物の含有量は、1〜45%が好ましく、2〜40%がより好ましく、4〜35%がさらに好ましい。
一般式(II−g)中、R12及びR13はお互い独立して炭素原子数2から10の直鎖アルケニル基又は炭素原子数1から10の直鎖アルキル基であってもよい。下記式(3.1)が好適な化合物として例示できる。
式(3.1)で表される化合物の含有量は、1〜95%が好ましく、5〜85%がより好ましく、8〜75%がさらに好ましい。
前記ポジ型液晶組成物には上記一般式(15.1)で表される化合物群から選ばれる1種以上が含有されてもよい。一般式(15.1)中、R1及びR2はお互い独立して炭素原子数2から10の直鎖アルケニル基又は炭素原子数1から10の直鎖アルキル基であってもよい。
一般式(15.1)で表される化合物の含有量は、1〜60%が好ましく、3〜40%がより好ましく、5〜20%がさらに好ましい。
一般式(15.1)で表される化合物の具体的な構造式は、以下に示されるものが例示できる。
一般式(II−f)中、R10及びR11はお互い独立して炭素原子数1から10の直鎖アルキル基又はアルコキシ基であってもよい。下記式(16.1)〜(16.2)が好適な化合物として例示できる。
式(16.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、3〜80%、4〜70%、5〜60%、5〜50%、5〜40%、5〜30%、5〜20%、5〜15%である。
式(16.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、5〜80%、7〜80%、8〜70%、9〜60%、10〜50%、11〜40%、11〜35%、11〜30%、11〜25%、11〜20%である。
一般式(II−c)中、R25及びR26はお互い独立して炭素原子数1から10の直鎖アルキル基若しくはアルコキシ基又は炭素原子数2〜10のアルケニル基であってもよい。下記式(16.3)(16.4)(3.2)及び(3.3)が好適な化合物として例示できる。
式(16.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、3〜80%、4〜70%、5〜60%、6〜50%、6〜40%、6〜35%、6〜30%、6〜20%、6〜15%である。
式(16.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、2〜80%、3〜70%、4〜60%、4〜50%、4〜40%、4〜35%、4〜25%、4〜20%、4〜15%である。
式(3.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、3〜95%、5〜93%、7〜91%、9〜89%、11〜87%、12〜85%、14〜85%、16〜85%、17〜85%、22〜85%である。
式(3.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、5〜95%、8〜90%、10〜85%、12〜85%、14〜85%、15〜85%である。
前記ポジ型液晶組成物には上記一般式(II−h)で表される化合物群から選ばれる1種以上が含有されてもよい。一般式(II−h)中、Rはお互い独立して炭素原子数1から10の直鎖アルキル基である。下記式(17.1)〜(17.3)が好適な化合物として例示できる。
式(17.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、0.5〜90%、1〜80%、2〜70%、3〜60%、3〜50%、3〜40%、3〜35%、3〜30%、3〜20%、3〜15%、3〜10%である。
式(17.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、0.5〜90%、1〜80%、1.5〜70%、2〜60%、2〜50%、2〜40%、2〜35%、2〜30%、2〜20%、2〜15%、2〜10%である。
式(17.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、0.5〜90%、1〜80%、2〜70%、3〜60%、3〜50%、3〜40%、3〜35%、3〜30%、3〜20%、3〜15%、3〜10%である。
前記ポジ型液晶組成物には上記一般式(II−b1)で表される化合物群から選ばれる1種以上が含有されてもよい。一般式(II−b1)中、R23及びR24はお互い独立して炭素原子数1から10の直鎖アルキル基又は炭素原子数2〜10の直鎖アルケニル基であり、X24及びX25はお互い独立してフッ素原子又は水素原子である。下記式(15.2)〜(15.4)が好適な化合物として例示できる。
式(15.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜60%、5〜50%、6〜45%、6〜40%、7〜35%、8〜30%、8〜25%である。
式(15.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜60%、5〜50%、6〜45%、6〜40%、7〜35%、8〜30%、8〜25%である。
式(15.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜60%、4〜50%、7〜45%、10〜40%、11〜35%、12〜30%、12〜25%、12〜20%である。
前記ポジ型液晶組成物には上記一般式(II−d1)で表される化合物群から選ばれる1種以上が含有されてもよい。一般式(II−d1)中、R27及びR28はお互い独立して炭素原子数1から10の直鎖アルキル基であり、X22及びX23はお互い独立してフッ素原子又は水素原子であり、Aは1,4−シクロヘキシレンであり、Aの数を表すmは0又は1の整数である。下記式(13.1)〜(13.4)が好適な化合物として例示できる。
式(13.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、2〜60%、5〜55%、6〜50%、7〜45%、8〜40%、9〜35%、9〜30%である。
式(13.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜60%、2〜55%、2〜50%、3〜45%、3〜40%、4〜35%、4〜30%である。
式(13.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜60%、2〜55%、3〜50%、3〜45%、4〜40%、4〜30%、4〜25%、4〜20%である。
式(13.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜60%、2〜55%、3〜50%、3〜45%、4〜40%、4〜30%、4〜25%、4〜20%である。
前記ポジ型液晶組成物には上記一般式(II−e1)で表される化合物群から選ばれる1種以上が含有されてもよい。一般式(II−e1)中、R29及びR30はお互い独立して炭素原子数1から10の直鎖アルキル基又は炭素原子数2〜10のアルケニル基であり、X21はフッ素原子又は水素原子である。下記式(9.1)〜(9.3)及び式(10.1)〜(10.8)が好適な化合物として例示できる。
式(9.1)又は式(9.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、2〜60%、4〜55%、6〜50%、8〜45%、10〜40%、11〜38%、12〜36%、13〜34%、14〜32%、14〜20%である。
式(9.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、2〜60%、3〜55%、4〜50%、5〜45%、6〜40%、7〜35%、7〜30%、8〜30%、8〜20%である。
式(10.1)又は式(10.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜60%、2〜55%、3〜50%、7〜45%、10〜40%、10〜35%、10〜30%、10〜25%、10〜20%である。
式(10.3)又は式(10.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、2〜60%、6〜55%、8〜50%、10〜45%、12〜40%、14〜30%、14〜25%、15〜25%、15〜20%である。
式(10.5)又は式(10.6)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、2〜60%、5〜50%、6〜40%、7〜40%、7〜35%である。
式(10.7)又は式(10.8)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、0.5〜60%、1〜55%、1〜50%、1〜40%、1〜30%、1〜25%、1〜20%である。
前記ポジ型液晶組成物には上記一般式(II−d2)で表される化合物群から選ばれる1種以上が含有されてもよい。一般式(II−d2)中、R27及びR28はお互い独立して炭素原子数1から10の直鎖アルキル基であり、X22及びX23はお互い独立してフッ素原子又は水素原子であり、Aは1,4−フェニレンであり、Aの数を表すmは1である。下記式(13.5)〜(13.8)が好適な化合物として例示できる。
式(13.5)〜式(13.8)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、0.5〜60%、1〜50%、1.5〜40%、2〜40%、2〜35%、2〜30%、2〜25%である。
前記ポジ型液晶組成物は、更に、第2成分として、一般式(III’)で表される化合物を含有することが好ましい。
一般式(III’)で表される化合物において、R31は炭素原子数1から10のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基又はアルケニルオキシ基を表す。M31〜M33はお互い独立して、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基を表し、該トランス−1,4−シクロへキシレン基中の1つ又は2つの−CH2−は酸素原子が直接隣接しないように、−O−で置換されていてもよく、該フェニレン基中の1つ又は2つの水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい。X31及びX32はお互い独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Z31はフッ素原子、トリフルオロメトキシ基又はトリフルオロメチル基を表し、n31は及びn32はお互い独立して0、1又は2を表し、n31+n32は、0、1又は2を表し、M31及びM33が複数存在する場合には同一であっても異なっていても良い。
一般式(III’)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(III’−a)から一般式(III’−e)で表される化合物が好ましい。
(式中、R
32又はRは炭素原子数1から10のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基又はアルケニルオキシ基を表し、X及びX
31〜X
38はお互い独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Z及びZ
31はフッ素原子、トリフオロメトキシ基又はトリフルオロメチル基を表す。)
シクロヘキサン環の数が多いほど吸収波長が短波長側にシフトするために、式(III’−a)、式(III’−f)の配合量が多いことが好ましく、次に式(III’−c)、式(III’−d)の配合量が多いことが好ましい。一方、ベンゼン環が多い化合物は吸収波長が長波長側にシフトするため、式(III’−e)の配合量は一定量にとどめることが好ましい。特に、R31〜R32がアルケニル基である場合は、アルキル基である場合に比べて共存させる化合物の吸収波長が短波長のものを選ぶことが好ましい。
一般式(III’−a)の一例として、上記式(III−a’)が例示でき、具体的には下記式(11.1)〜(11.3)が好適な化合物として例示できる。
式(11.1)及び(11.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、0.5〜95%、1〜95%、3〜95%、5〜95%、7〜95%、9〜95%、11〜95%、13〜95%、15〜95%、20〜90%、24〜90%である。
式(11.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜95%、3〜95%、5〜95%、7〜95%、9〜95%、11〜95%、13〜95%、15〜95%、17〜90%である。
前記ポジ型液晶組成物には上記一般式(III’−f)で表される化合物群から選ばれる1種以上が含有されてもよい。一般式(III’−f)中、Rは前記R32と同様であり、Xはフッ素原子又は水素原子である。具体的には下記式(11.4)が好適な化合物として例示できる。
式(11.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜95%、3〜90%、5〜80%、7〜80%、9〜80%、11〜70%である。
一般式(III’−b)の一例として、上記式(III−b’)が例示でき、具体的には下記式(1)及び(12.1)が好適な化合物として例示できる。
式(1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜40%、2〜35%、3〜35%、4〜35%、5〜35%、6〜35%、7〜35%、8〜35%、9〜35%、10〜35%、11〜35%、12〜35%、15〜35%である。
式(12.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、0.5〜40%、1〜40%、2〜35%、3〜35%、4〜35%、5〜35%である。
一般式(III’−d)の一例として、上記式(III−d’)が例示でき、具体的には下記式(5.1)及び(5.2)が好適な化合物として例示できる。
式(5.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜40%、2〜35%、3〜35%、4〜35%、5〜35%、6〜35%、7〜35%である。
式(5.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜40%、2〜35%、4〜35%、6〜35%、8〜35%である。
一般式(III’−e)の一例として、上記式(III−e’)が例示でき、具体的には下記式(12.2)〜(12.4)が好適な化合物として例示できる。
式(12.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、0.5〜40%、1〜40%、2〜35%、3〜35%、4〜35%、5〜35%、6〜35%、7〜35%、7〜30%である。
式(12.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜40%、2〜35%、3〜35%、4〜35%、5〜35%、6〜35%、7〜35%、7〜30%である。
式(12.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜40%、3〜35%、5〜35%、7〜35%、7〜30%である。
前記ポジ型液晶組成物には、付加的に以下の一般式(LC1)-6、(LC1)-14、(LC1)-15及び(LC1)-20で表される化合物群から選ばれる1種以上の化合物を含有することができる。
上記式(LC1)-6、(LC1)-14、(LC1)-15、(LC1)-20中、R1はそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF2O−又は−OCF2−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン置換されていてもよく、X2及びX7はそれぞれ独立して水素原子、Cl、F、CF3又はOCF3を表し、X7が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Yはそれぞれ独立してCl、F、CF3、OCH2F、OCHF2又はOCF3を表す。
R1はそれぞれ独立して炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基がより好ましい。
X2及びX7はそれぞれ独立して水素原子またはFが好ましく、Yはそれぞれ独立してF、CF3又はOCF3が好ましい。
前記ポジ型液晶組成物は、一般式(LC1)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有することが好ましい。
(式中、R
1はそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−OCF
2−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン置換されていてもよく、A
1はそれぞれ独立して下記の何れかの構造を表し、
YはF、CF3又はOCF3を表し、Z1は単結合、−CH2CH2−、−COO−、−OCO−、−OCH2−、−CH2O−又は−OCF2−を表し、m1は1〜4の整数を表す。)
一般式(LC1)中、
YはFが好ましく、Z1は単結合、−CH2CH2−又は−OCF2−がより好ましく、単結合が特に好ましく、
m1はそれぞれ独立して1または2が好ましい。
一般式(LC1)は、下記一般式(IV−a)から一般式(IV−f)で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。
(式中、R
41は炭素原子数1から10のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基又はアルケニルオキシ基を表し、X
41〜X
48はお互い独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Z
41は塩素原子、フッ素原子、トリフオロメトキシ基又はトリフルオロメチル基を表す。)
前記ポジ型液晶組成物には、以下の式で表される化合物群から選ばれるいずれか1種以上が含有されることが好ましい。
前記ポジ型液晶組成物には上記一般式(IV−a’)で表される化合物群から選ばれる1種以上が含有されてもよい。一般式(IV−a’)中、R41は炭素原子数1から10のアルキル基、アルコキシ基、炭素原子数2から10のアルケニル基又はアルケニルオキシ基を表し、X41〜X42はお互い独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Z41は塩素原子、フッ素原子、トリフオロメトキシ基又はトリフルオロメチル基を表し、mは0〜3の整数である。具体的には下記式(20.1)〜(20.5)が好適な化合物として例示できる。
式(20.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜95%、2〜90%、3〜85%である。
式(20.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜95%、2〜90%、3〜85%、4〜80%、5〜75%、6〜70%、6〜60%である。
式(20.5)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜95%、3〜90%、6〜85%、9〜80%、10〜75%、15〜70%、20〜60%、22〜55%である。
式(20.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜95%、2〜90%、3〜85%、5〜80%、8〜75%、9〜70%、11〜65%、13〜60%、14〜55%である。
式(20.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜95%、2〜90%、3〜85%、4〜80%、5〜75%、6〜70%、6〜60%である。
一般式(IV−a)及び一般式(IV−a’)の一例として、上記式(IV−a1)が例示でき、具体的には下記式(18.1)、(18.3)及び(7.1)〜(7.4)が好適な化合物として例示できる。
式(18.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、3〜85%、5〜80%、7〜75%、8〜70%、8〜65%、8〜55%、8〜45%である。
式(18.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、3〜85%、5〜80%、7〜75%、8〜70%、8〜65%、8〜55%、8〜45%、11〜45%である。
式(7.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、3〜80%、5〜70%、7〜60%、10〜50%、10〜40%である。
式(7.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、3〜80%、6〜70%、8〜60%、10〜50%、11〜50%である。
式(7.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、4〜80%、8〜60%、10〜50%、12〜50%、13〜50%、13〜40%、15〜40%である。
式(7.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、3〜80%、4〜60%、5〜50%である。
一般式(IV−b)の一例として、上記式(IV−b1)が例示でき、具体的には下記式(20.6)、(18.2)、(18.4)及び(19.1)〜(19.4)が好適な化合物として例示できる。
式(20.6)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜95%、3〜90%、6〜85%、7〜80%、7〜60%である。
式(18.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜80%、3〜70%、5〜60%、6〜55%、7〜50%、8〜45%、9〜45%、10〜45%である。
式(18.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜80%、3〜70%、4〜60%、5〜55%、5〜45%である。
式(19.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜80%、5〜70%、8〜60%、9〜55%、10〜50%、11〜45%である。
式(19.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜80%、2〜70%、5〜60%、8〜55%、9〜50%、10〜45%、11〜45%である。
式(19.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、2〜80%、3〜70%、4〜65%、4〜60%、4〜55%である。
式(19.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、2〜80%、3〜70%、4〜65%、4〜60%、4〜55%である。
一般式(IV−d)の一例として、上記式(IV−d1)が例示でき、具体的には下記式(19.5)〜(19.7)が好適な化合物として例示できる。
式(19.5)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜90%、2〜80%、3〜70%、4〜65%、4〜60%、4〜55%である。
式(19.6)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜95%、3〜90%、4〜85%、5〜80%、5〜70%、6〜60%、6〜50%である。
式(19.7)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜95%、2〜90%、3〜85%、4〜80%、5〜75%、6〜70%、7〜65%、8〜60%、9〜55%、10〜50%である。
一般式(IV−c)の一例として、上記式(IV−c1)が例示でき、具体的には下記式(14.1)〜(14.4)が好適な化合物として例示できる。
式(14.1)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜40%、3〜35%、5〜35%、6〜35%、6〜30%、6〜25%である。
式(14.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜40%、3〜35%、5〜35%、7〜35%、7〜30%、7〜25%である。
式(14.3)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜40%、3〜35%、5〜35%、7〜35%、9〜35%、9〜30%である。
式(14.4)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜40%、2〜35%、3〜35%、4〜35%、4〜30%、4〜25%である。
一般式(IV−e)の一例として、上記式(IV−e1)が例示でき、具体的には下記式(6.1)〜(6.2)が好適な化合物として例示できる。
式(6.1)又は式(6.2)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、1〜40%、3〜35%、6〜35%、6〜30%、6〜25%である。
一般式(IV−f)の一例として、上記式(IV−f1)が例示でき、具体的には下記式(14.5)が好適な化合物として例示できる。
式(14.5)で表される化合物の含有量を好ましい順に例示すると、0.5〜40%、0.5〜10%、1〜10%、1〜6%、1〜4%である。
前記ポジ型液晶組成物には、付加的に以下の一般式(LC1)-5、(LC1)-7、(LC1)-8、(LC1)-10、(LC1)-11、(LC1)-12、(LC1)-13、(LC1)-16及び(LC1)-17で表される化合物群から選ばれる1種以上の化合物を含有することができる。
上記式(LC1)-5、(LC1)-7、(LC1)-8、(LC1)-10、(LC1)-11、(LC1)-12、(LC1)-13、(LC1)-16及び(LC1)-17中、R1はそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF2O−又は−OCF2−で置換されていてもよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン置換されていてもよく、X2及びX7はそれぞれ独立して水素原子、Cl、F、CF3又はOCF3を表し、X7が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z1はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−C≡C−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−を表し、Yはそれぞれ独立してCl、F、CF3、OCH2F、OCHF2又はOCF3を表し、A1はそれぞれ独立して下記の構造のいずれかを表す。
前記ポジ型液晶組成物は、一般式(LC2)で表される化合物群から選ばれる1種又は2種以上の化合物を含有することができる。
(式中、R
1は炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF
2O−、−OCF
2−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲン置換されていてもよく、A
1及びA
2はそれぞれ独立して下記の何れかの構造、
(該構造中シクロヘキサン環の1つ又は2つ以上のCH
2基は酸素原子で置換されていてもよく、該構造中ベンゼン環の1つ又は2つ以上のCH基は窒素原子で置換されていてもよく、また、該構造中の1つ又は2つ以上の水素原子はF、Cl、CF
3又はOCF
3で置換されていてもよい。)を表し、
X
3〜X
5はそれぞれ独立して水素原子、Cl、F、CF
3又はOCF
3を表し、Yは水素原子、Cl、F、CF
3、OCH
2F、OCHF
2又はOCF
3を表し、Z
2〜Z
3はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−CH
2CH
2−、−(CH
2)
4−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−、−COO−又は−OCO−を表し、m
1及びm
2はそれぞれ独立して0〜3の整数を表し、m
1+m
2は1、2又は3を表す。)
一般式(LC2)中、R1は炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基がより好ましく、
A1及びA2はそれぞれ独立して下記の構造が好ましい。
一般式(LC2)中、
Yはそれぞれ独立してF、CF3又はOCF3が好ましく、Fが特に好ましく、
Z2〜Z3はそれぞれ独立して単結合、−CH2CH2−、−COO−、−OCO−、−OCH2−、−CH2O−、−OCF2−又は−CF2O−が好ましく、単結合、−CH2CH2−、−OCF2−又は−CF2O−がより好ましく、
m1及びm2はそれぞれ独立して1または2が好ましい。
R1は炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基がより好ましい。
X3〜X5はそれぞれ独立して水素原子またはFが好ましく、
Yはそれぞれ独立してF、CF3又はOCF3が好ましい。
一般式(LC2)は、下記一般式(LC2)−1から一般式(LC2)−11で表される化合物からなる群より選ばれる1種又は2種以上の化合物であるのが好ましい。
(式中、R
1はそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH
2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF
2O−又は−OCF
2−で置換されていてもよく、X
4及びX
8はそれぞれ独立して水素原子、Cl、F、CF
3又はOCF
3を表し、X
8が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Yはそれぞれ独立してCl、F、CF
3、OCH
2F、OCHF
2又はOCF
3を表す。)
R1はそれぞれ独立して炭素数1〜7のアルキル基、炭素数1〜7のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルケニル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基がより好ましい。
X4及びX8はそれぞれ独立して水素原子またはFが好ましく、
Yはそれぞれ独立してF、CF3又はOCF3が好ましい。
前記ポジ型液晶組成物に好適に含有されるキラル化合物として、下記の化合物が例示できる。
前記ポジ型液晶組成物に上記キラル化合物が含有される場合、その含有量は、0.1〜1%が好ましい。
前記液晶相がネマチック相である場合、前記液晶組成物の誘電率異方性(△ε)が、△ε<−2であって、下記式一般式(I)、(II-1)、(II-2)又は(III)で表される化合物を少なくとも一種含有するネガ型液晶組成物が好ましい。
<ネガ型液晶組成物>
前記ネガ型液晶組成物は、一般式(I)で表される化合物の1種以上を30〜50%含有し、一般式(II-1)で表される化合物の1種以上を5〜25%含有し、一般式(II-2)で表される化合物の1種以上を25〜45%含有し、一般式(III)で表される化合物の1種以上を5〜20%含有することが好ましい。
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、Aは1,4−フェニレン基又はトランスー1,4−シクロヘキシレン基を表す。)
(式中、R
3は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、R
4は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数4〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基を表す。)
(式中、R
5は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、R
6は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数4〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基を表し、Bはフッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン基又はトランスー1,4−シクロヘキシレン基を表す。)
(式中、R
7及びR
8はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表し、D、E、F及びGはそれぞれ独立して、フッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン基又はトランスー1,4−シクロヘキシレンを表し、Z
2は単結合、−OCH
2−、−OCO−、−CH
2O−又は−COO−を表し、nは0又は1を表す、ただし、nが0を表す場合、Z
2は−OCH
2−、−OCO−、−CH
2O−又は−COO−を表すか又は、D、E及びGはフッ素置換されていてもよい1,4−フェニレン基を表す。)
前記ネガ型液晶組成物において、第一成分として、一般式(I)で表される化合物の1種以上を30〜45%含有することが好ましく、32〜42%含有することがより好ましい。
一般式(I)において、R1及びR2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表す。
R1及びR2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基又は炭素原子数2〜5のアルケニルオキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基、炭素原子数2〜4のアルケニル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基又は炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基を表すことがより好ましい。
R1がアルキル基を表すことが好ましいが、この場合炭素原子数1、3又は5のアルキル基が特に好ましく、炭素原子数3のアルキル基が最も好ましい。
R1及びR2は同一であっても異なっていても良いが、異なっていることが好ましく、R1及びR2がともにアルキル基の場合、相互に異なる炭素原子数1、3又は5のアルキル基が特に好ましく、炭素原子数3のアルキル基が最も好ましいが、R1が炭素原子数3のアルキル基である場合には、R2は炭素原子数が2,4又は5のアルキル基が好ましい。
R1及びR2の少なくとも一方の置換基が炭素原子数3〜5のアルキル基である一般式(I)で表される化合物の含有量が、一般式(I)で表される化合物中の50%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。又、R1及びR2の少なくとも一方の置換基が炭素原子数3のアルキル基である一般式(I)で表される化合物の含有量が、一般式(I)で表される化合物中の50%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、100%であることが最も好ましい。
Aは1,4−フェニレン基又はトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すが、トランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すことが好ましい。又、Aがトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表す一般式(I)で表される化合物の含有量が、一般式(I)で表される化合物中の50%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
一般式(I)で表される化合物は、具体的には次に記載する一般式(Ia)〜一般式(Ik)で表される化合物が好ましい。
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表すが、一般式(I)におけるR
1及びR
2と同様の実施態様が好ましい。)
一般式(Ia)〜一般式(Ik)において、一般式(Ia)、一般式(Ib)及び一般式(Ig)が好ましく、一般式(Ia)及び一般式(Ig)がより好ましく、一般式(Ia)が特に好ましい。
応答速度を重視する場合には一般式(Ib)、一般式(Ie)、一般式(If)及び一般式(Ih)が好ましく、一般式(Ie)及び一般式(If)のジアルケニル化合物は特に応答速度を重視する場合に好ましい。
これらの点から、一般式(Ia)及び一般式(Ig)で表される化合物の含有量が、一般式(I)で表される化合物中の50%以上で有ることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、100%であることが最も好ましい。又、一般式(Ia)で表される化合物の含有量が、一般式(I)で表される化合物中の50%以上で有ることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。
第二成分として、一般式(II-1)で表される化合物の1種以上を5〜25%含有することが好ましく、10〜23%含有することがより好ましく、12〜22%含有することがさらに好ましい。
一般式(II-1)において、R3は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルケニル基を表すことがより好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基又は炭素原子数2のアルケニル基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数2又は3のアルキル基を表すことが特に好ましい。
R4は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数4〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表すことがより好ましく、炭素原子数3のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルコキシ基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数2又は4のアルコキシ基を表すことが特に好ましい。
一般式(II-1)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(II-1a)及び一般式(II-1b)で表される化合物が好ましい。
(式中、R
3は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R
4aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
一般式(II-1a)においてR3は、一般式(II-1)における同様の実施態様が好ましい。R4aは炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましく、炭素原子数2〜4のアルキル基がより好ましく、炭素原子数2のアルキル基が特に好ましい。
一般式(II-1b)においてR3は、一般式(II-1)における同様の実施態様が好ましい。R4aは炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素原子数1又は3のアルキル基がより好ましく、炭素原子数3のアルキル基が特に好ましい。
一般式(II-1a)及び一般式(II-1b)の中でも、誘電率異方性の絶対値を増大するためには、一般式(II-1a)が好ましい。
第三成分として、一般式(II-2)で表される化合物の1種以上を25〜45%含有することが好ましく、26〜40%含有することがより好ましく、26〜35%含有することがさらに好ましい。
一般式(II-2)において、R5は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルケニル基を表すことがより好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基又は炭素原子数2のアルケニル基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数3のアルキル基を表すことが特に好ましい。
R6は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数4〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基を表すが、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基又は炭素原子数1〜3のアルコキシ基を表すことがより好ましく、炭素原子数3のアルキル基又は炭素原子数2又は3のアルコキシ基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数2のアルコキシ基を表すことが特に好ましい。
Bはフッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン基又はトランスー1,4−シクロヘキシレン基を表すが、無置換の1,4−フェニレン基又はトランスー1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、トランスー1,4−シクロヘキシレン基がより好ましい。
一般式(II-2)で表される化合物は具体的には次に記載する一般式(II-2a)〜一般式(II-2d)で表される化合物が好ましい。
(式中、R
5は炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表し、R
6aは炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)が、一般式(II-2)におけるR
5及びR
6と同様の実施態様が好ましい。)
一般式(II-2a)及び一般式(II-2b)においてR5は、一般式(II-2)における同様の実施態様が好ましい。R6aは炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素原子数2又は3のアルキル基がより好ましく、炭素原子数2のアルキル基が特に好ましい。
一般式(II-2c)及び一般式(II-2d)においてR5は、一般式(II-2)における同様の実施態様が好ましい。R6aは炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素原子数1又は3のアルキル基がより好ましく、炭素原子数3のアルキル基が特に好ましい。
一般式(II-1a)及び一般式(II-1b)の中でも、誘電率異方性の絶対値を増大するためには、一般式(II-1a)が好ましい。
又、一般式(II-2)において、Bが 1,4−フェニレン基を表す化合物及びBがトランスー1,4−シクロヘキシレン基を表す化合物をそれぞれ少なくとも1種以上含有することが好ましい。
第四成分として、一般式(III)で表される化合物の1種以上を5〜20%含有することが好ましく、7〜16%含有することがより好ましく、10〜13%含有することがさらに好ましい。
一般式(III)において、R7は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数2〜8のアルケニルオキシ基を表すが、
Dがトランスー1,4−シクロヘキシレンを表す場合、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルケニル基を表すことがより好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基又は炭素原子数2のアルケニル基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数3のアルキル基を表すことが特に好ましく、
Dがフッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン基を表す場合、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数4又は5のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数4のアルケニル基を表すことがより好ましく、炭素原子数2〜4のアルキル基を表すことがさらに好ましい。
R8は炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数4〜8のアルケニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基又は炭素原子数3〜8のアルケニルオキシ基を表すが、
Gがトランスー1,4−シクロヘキシレンを表す場合、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜5のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数2〜4のアルケニル基を表すことがより好ましく、炭素原子数3〜5のアルキル基又は炭素原子数2のアルケニル基を表すことがさらに好ましく、炭素原子数3のアルキル基を表すことが特に好ましく、
Gがフッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン基を表す場合、炭素原子数1〜5のアルキル基又は炭素原子数4又は5のアルケニル基を表すことが好ましく、炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数4のアルケニル基を表すことがより好ましく、炭素原子数2〜4のアルキル基を表すことがさらに好ましい。
R7及びR8がアルケニル基を表し、結合するD又はGがフッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン基を表す場合す場合、炭素原子数4又は5のアルケニル基としては以下の構造が好ましい。この場合においても、R7及びR8のアルケニル基は、炭素原子数4のアルケニル基を表すことがさらに好ましい。
D、E、F及びGはそれぞれ独立して、フッ素置換されていてもよい、1,4−フェニレン基又はトランスー1,4−シクロヘキシレンを表すが、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−フェニレン基又はトランスー1,4−シクロヘキシレンを表すことが好ましく、2−フルオロ−1,4−フェニレン基又は2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基、1,4−フェニレン基がより好ましく、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基又は1,4−フェニレン基が特に好ましい。
Z2は単結合、−OCH2−、−OCO−、−CH2O−又は−COO−を表すが、単結合、−CH2O−又は−COO−を表すことが好ましく、単結合がより好ましい。
nは0又は1を表すが、Z2が単結合以外の置換基を表す場合、0を表すことが好ましい。
一般式(III)で表される化合物は、nが0を表す場合、具体的には次に記載する一般式(III-1a)〜一般式(III-1h)で表される化合物が好ましい。
(式中、R
7及びR
8はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表すが、一般式(III)におけるR
7及びR
8と同様の実施態様が好ましい。)
一般式(III)で表される化合物は、nが1を表す場合、具体的には次に記載する一般式(III-2a)〜一般式(III-2l)で表される化合物が好ましい。
(式中、R
7及びR
8はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数2〜5のアルケニル基又は炭素原子数1〜5のアルコキシ基を表すが、一般式(III)におけるR
7及びR
8と同様の実施態様が好ましい。)
前記ネガ型液晶組成物は、一般式(I)〜一般式(III)で表される化合物の組合せで構成されることが好ましく、これらの組合せとしては次のような含有量が好ましい。
一般式(II-1)及び一般式(II-2)で表される化合物は共に、誘電率異方性が負であってその絶対値が比較的大きい化合物であるが、これら化合物の合計含有量は、30〜65%が好ましく、40〜55%がより好ましく、43〜51%が特に好ましい。
一般式(III)で表される化合物は誘電率異方性については正の化合物も負の化合物も包含しているが、誘電率異方性が負であって、その絶対値が0.3以上の化合物を用いる場合、一般式(II-1)、一般式(II-2)及び一般式(III)で表される化合物の合計含有量は、35〜70%が好ましく、45〜65%がより好ましく、50〜61%が特に好ましい。
一般式(I)で表される化合物を30〜50%含有し、一般式(II-1)、一般式(II-2)及び一般式(III)で表される化合物を35〜70%含有することが好ましい。
一般式(I)で表される化合物を35〜45%含有し、一般式(II-1)、一般式(II-2)及び一般式(III)で表される化合物45〜65%含有することがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物を38〜42%、一般式(II-1)、一般式(II-2)及び一般式(III)で表される化合物を50〜60%含有することが特に好ましい。
一般式(I)、一般式(II-1)、一般式(II-2)及び一般式(III)で表される化合物の合計含有量は、組成物全体に対して、80〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましく、95〜100%が特に好ましい。
前記ネガ型液晶組成物は幅広い温度範囲で使用することができるものであるが、ネマチック相-等方性液体相転移温度(Tni)は60から120℃であることが好ましく、70から100℃がより好ましく、70から85℃が特に好ましい。
誘電率異方性は、25℃において、−2.0から−6.0であることが好ましく、−2.5から−5.0であることがより好ましく、−2.5から−4.0であることが特に好ましい。
屈折率異方性は、25℃において、0.08から0.13であることが好ましいが、0.09から0.12であることがより好ましい。更に詳述すると、薄いセルギャップに対応する場合は0.10から0.12であることが好ましく、厚いセルギャップに対応する場合は0.08から0.10であることが好ましい。
回転粘度(γ1)は150以下が好ましく、130以下がより好ましく、120以下が特に好ましい。
前記ネガ型液晶組成物においては、回転粘度と屈折率異方性の関数であるZが特定の値を示すことが好ましい。
(式中、γ1は回転粘度を表し、Δnは屈折率異方性を表す。)
Zは、13000以下が好ましく、12000以下がより好ましく、11000以下が特に好ましい。
前記ネガ型液晶組成物は、アクティブマトリクス表示素子に使用する場合においては、1012(Ω・m)以上の比抵抗を有することが必要であり、1013(Ω・m)が好ましく、1014(Ω・m)以上がより好ましい。
前記ネガ型液晶組成物は、上述の化合物以外に、用途に応じて、通常のネマチック液晶、スメクチック液晶、コレステリック液晶、酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合性モノマーなどを含有しても良い。
重合性モノマーとしては、一般式(V)
(式中、X
1及びX
2はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、
Sp
1及びSp
2はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH
2)
s−
(式中、sは2から7の整数を表し、酸素原子は芳香環に結合するものとする。)を表し、
Z
1は−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CY
1=CY
2−(式中、Y
1及びY
2はそれぞれ独立して、フッ素原子又は水素原子を表す。)、−C≡C−又は単結合を表し、
式(V)中のCは1,4−フェニレン基、トランスー1,4−シクロヘキシレン基又は単結合を表し、式中の全ての1,4−フェニレン基は、任意の水素原子がフッ素原子により置換されていても良い。)で表されるニ官能モノマーが好ましい。
X
1及びX
2は、何れも水素原子を表すジアクリレート誘導体、何れもメチル基を有するジメタクリレート誘導体の何れも好ましく、一方が水素原子を表し、もう一方がメチル基を表す化合物も好ましい。これらの化合物の重合速度は、ジアクリレート誘導体が最も早く、ジメタクリレート誘導体が遅く、非対称化合物がその中間であり、その用途により好ましい態様を用いることができる。PSA表示素子においては、ジメタクリレート誘導体が特に好ましい。
Sp
1及びSp
2はそれぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH
2)
s−を表すが、PSA表示素子においては少なくとも一方が単結合であることが好ましく、共に単結合を表す化合物又は一方が単結合でもう一方が炭素原子数1〜8のアルキレン基又は−O−(CH
2)
s−を表す態様が好ましい。この場合1〜4のアルキル基が好ましく、sは1〜4が好ましい。
Z
1は、−OCH
2−、−CH
2O−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2CH
2−、−CF
2CF
2−又は単結合が好ましく、−COO−、−OCO−又は単結合がより好ましく、単結合が特に好ましい。
一般式(V)中のCは任意の水素原子がフッ素原子により置換されていても良い1,4−フェニレン基、トランスー1,4−シクロヘキシレン基又は単結合を表すが、1,4−フェニレン基又は単結合が好ましい。一般式(V)中のCが単結合以外の環構造を表す場合、Z
1は単結合以外の連結基も好ましく、一般式(V)中のCが単結合の場合、Z
1は単結合が好ましい。これらの点から、一般式(V)において、Sp
1及びSp
2の間の環構造は、具体的には次に記載する構造が好ましい。
一般式(V)において、Cが単結合を表し、環構造が二つの環で形成される場合において、次の式(Va-1)から式(Va-5)を表すことが好ましく、式(Va-1)から式(Va-3)を表すことがより好ましく、式(Va-1)を表すことが特に好ましい。
(式中、両端はSp
1又はSp
2に結合するものとする。)
これらの骨格を含む重合性化合物は重合後の配向規制力がPSA型液晶表示素子に最適であり、良好な配向状態が得られることから、表示ムラが抑制されるか、又は、全く発生しない。
以上のことから、重合性モノマーとしては、一般式(V-1)〜一般式(V-4)が特に好ましく、中でも一般式(V-2)が最も好ましい。
(式中、Sp
2は炭素原子数2から5のアルキレン基を表す。)
前記ネガ型液晶組成物にモノマーを添加する場合において、重合開始剤が存在しない場合でも重合は進行するが、重合を促進するために重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。また、保存安定性を向上させるために、安定剤を添加しても良い。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。
前記重合性化合物含有液晶組成物は、液晶表示素子に有用であり、特にアクティブマトリクス駆動用液晶表示素子に有用であり、PSAモード、PSVAモード、VAモード、IPSモード又はECBモード用液晶表示素子に用いることができる。
前記重合性化合物含有液晶組成物は、これに含まれる重合性化合物が紫外線照射により重合することで液晶配向能が付与され、液晶組成物の複屈折を利用して光の透過光量を制御する液晶表示素子に使用される。液晶表示素子として、AM−LCD(アクティブマトリックス液晶表示素子)、TN(ネマチック液晶表示素子)、STN−LCD(超ねじれネマチック液晶表示素子)、OCB−LCD及びIPS−LCD(インプレーンスイッチング液晶表示素子)に有用であるが、AM−LCDに特に有用であり、透過型あるいは反射型の液晶表示素子に用いることができる。
液晶表示素子に使用される液晶セルの2枚の基板はガラス又はプラスチックの如き柔軟性をもつ透明な材料を用いることができ、一方はシリコン等の不透明な材料でも良い。透明電極層を有する透明基板は、例えば、ガラス板等の透明基板上にインジウムスズオキシド(ITO)をスパッタリングすることにより得ることができる。
カラーフィルターは、例えば、顔料分散法、印刷法、電着法又は、染色法等によって作成することができる。顔料分散法によるカラーフィルターの作成方法を一例に説明すると、カラーフィルター用の硬化性着色組成物を、該透明基板上に塗布し、パターニング処理を施し、そして加熱又は光照射により硬化させる。この工程を、赤、緑、青の3色についてそれぞれ行うことで、カラーフィルター用の画素部を作成することができる。その他、該基板上に、TFT、薄膜ダイオード、金属絶縁体金属比抵抗素子等の能動素子を設けた画素電極を設置してもよい。
前記基板を、透明電極層が内側となるように対向させる。その際、スペーサーを介して、基板の間隔を調整してもよい。このときは、得られる調光層の厚さが1〜100μmとなるように調整するのが好ましい。1.5から10μmが更に好ましく、偏光板を使用する場合は、コントラストが最大になるように液晶の屈折率異方性Δnとセル厚dとの積を調整することが好ましい。又、二枚の偏光板がある場合は、各偏光板の偏光軸を調整して視野角やコントラトが良好になるように調整することもできる。更に、視野角を広げるための位相差フィルムも使用することもできる。スペーサーとしては、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子、フォトレジスト材料等が挙げられる。その後、エポキシ系熱硬化性組成物等のシール剤を、液晶注入口を設けた形で該基板にスクリーン印刷し、該基板同士を貼り合わせ、加熱しシール剤を熱硬化させる。
2枚の基板間に重合性化合物含有液晶組成物を狭持させる方法は、通常の真空注入法又はODF法などを用いることができるが、真空注入法においては滴下痕は発生しないものの、注入の後が残る課題を有しているものであるが、ODF法を用いて製造する表示素子により好適に使用することができる。
重合性化合物を重合させる方法としては、液晶の良好な配向性能を得るためには、適度な重合速度が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を単一又は併用又は順番に照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。また、重合性化合物含有液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、更に活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。特に紫外線露光する際には、重合性化合物含有液晶組成物に交流電界を印加しながら紫外線露光することが好ましい。印加する交流電界は、周波数10Hzから10kHzの交流が好ましく、周波数60Hzから10kHzがより好ましく、電圧は液晶表示素子の所望のプレチルト角に依存して選ばれる。つまり、印加する電圧により液晶表示素子のプレチルト角を制御することができる。MVAモードの液晶表示素子においては、配向安定性及びコントラストの観点からプレチルト角を80度から89.9度に制御することが好ましい。
照射時の温度は、前記ネガ型液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。室温に近い温度、即ち、典型的には15〜35℃での温度で重合させることが好ましい。紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、液晶組成物の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましく、必要に応じて、紫外線をカットして使用することが好ましい。照射する紫外線の強度は、0.1mW/cm2〜100W/cm2が好ましく、2mW/cm2〜50W/cm2がより好ましい。照射する紫外線のエネルギー量は、適宜調整することができるが、10mJ/cm2から500J/cm2が好ましく、100mJ/cm2から200J/cm2がより好ましい。紫外線を照射する際に、強度を変化させても良い。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選択されるが、10秒から3600秒が好ましく、10秒から600秒がより好ましい。
前記液晶表示素子の構成は、透明導電性材料からなる共通電極を具備した第一の基板と、透明導電性材料からなる画素電極と各画素に具備した画素電極を制御する薄膜トランジスターを具備した第二の基板と、前記第一の基板と第二の基板間に挟持された液晶組成物を有し、該液晶組成物中の液晶分子の電圧無印加時の配向が前記基板に対して略垂直である液晶表示素子であって、該液晶組成物として前記ネガ型液晶組成物を用いることが好ましい。
滴下痕の発生は注入される液晶材料に大きな影響を受けるものであるが、表示素子の構成によってもその影響は避けられない。特に、液晶表示素子中に形成されるカラーフィルター、薄膜トランジスター等は薄い配向膜、透明電極等しか液晶組成物とを隔てる部材が無いことから組合せにより滴下痕の発生に影響を与えることがある。
特に該薄膜トランジスターが逆スタガード型である場合には、ドレイン電極がゲート電極を覆うように形成されるためその面積が増大する傾向にある。ドレイン電極は、銅、アルミニウム、クロム、チタン、モリブデン、タンタル等の金属材料で形成され、一般的には、パッシベーション処理が施されるのが通常の形態である。しかし、保護膜は一般に薄く、配向膜も薄く、イオン性物質を遮断しない可能性が高いことから、金属材料と液晶組成物の相互作用による滴下痕の発生を避けることができないことがある。
この場合においては、薄膜トランジスターが逆スタガード型である液晶表示素子に好適に使用でき、アルミニウム配線を用いる場合に好ましい。
前記ネガ型液晶組成物を用いた液晶表示素子は高速応答と表示不良の抑制を両立させた有用なものであり、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、VAモード、PSVAモード、PSAモード、IPSモード又はECBモード用に適用できる。
また、ネガ型液晶組成物と同様に、前述したポジ型液晶組成物、後述するスメクチック液晶組成物を用いた液晶表示素子も、高速応答と表示不良の抑制を両立させた有用なものであり、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、VAモード、PSVAモード、PSAモード、IPSモード又はECBモード用に適用できる。
本発明の第一実施形態の混合物が2種以上又は3種以上の液晶性化合物からなる液晶組成物である場合、前記混合物には下記一般式(I’)で表される化合物群から選ばれるいずれか1種以上が含有されてもよい。前記液晶組成物は、スメクチック液晶相を構成してもよいし、ネマチック液晶相を構成してもよいし、前記ポジ型液晶組成物であってもよいし、前記ネガ型液晶組成物であってもよいし、ブルー相を構成してもよい。
一般式(I’)中、R1は炭素原子数1〜22の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上のCH2基は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−C≡C−、−CF2O−、−OCF2−で置換されてもよい。
前記R1は、炭素原子数1〜20の直鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された分岐鎖アルキル基であることが好ましく、炭素原子数1〜10の直鎖アルキル基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、分岐アルコキシ基、1つのCH2基が−OCO−又は−COO−に置換された分岐鎖アルキル基が更に好ましい。
一般式(I’)中、M1はトランス−1,4−シクロへキシレン基、1,4−フェニレン基又は単結合を表すが、トランス−1,4−シクロへキシレン基又は1,4−フェニレン基が好ましい。
一般式(I’)で表される化合物は、より具体的には、下記の一般式(I’−a)から一般式(I’−d)で表される化合物が好ましい。
一般式(I’−a)から一般式(I’−d)中、R11は炭素原子数1〜10の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基であり、R12は炭素原子数1〜20の直鎖アルキル基又は分岐鎖アルキル基であり、R13は炭素原子数1〜8の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、直鎖アルコキシ基又は分岐鎖アルコキシ基であり、L1は炭素原子数1〜8の直鎖アルキレン基又は分岐鎖アルキレン基である。一般式(I’−a)から一般式(I’−d)で表される化合物中、一般式(I’−c)及び一般式(I’−d)で表される化合物が好ましい。
本発明の第一実施形態の混合物において、一般式(I’)で表される化合物を1種又は2種を含有することが好ましく、1種から5種含有することが更に好ましく、その合計の含有量は0.001から1質量%であることが好ましく、0.001から0.1質量%が更に好ましく、0.001から0.05質量%が特に好ましい。
<シクロヘキサン環を有する化合物と励起寿命及び吸収波長との関係>
本発明の混合物が液晶組成物である場合、該液晶組成物の光信頼性(光分解抑制性)を向上させる観点から、該液晶組成物には、励起寿命及び吸収波長が共に短いシクロヘキサン環を多く有する化合物が含有され、該化合物の含有率が高いことが好ましい。シクロヘキサン環を多く有する化合物としては、シクロヘキサンを2〜4つ有する化合物が好ましく、例えば、前述した一般式(II-a)、一般式(II-g)、一般式(I)及び一般式(III)で表される化合物が挙げられる。
一方、当該液晶組成物における、極性の大きな化合物又は共役の長い化合物の含有率が小さいことが好ましい。前記極性の大きな化合物としては、シアノ基、ニトロ基又はアミド基を有する化合物が挙げられる。前記共役の長い化合物としては、例えば共役を構成する二重結合の数が2以上又は3以上である化合物(芳香環を構成する二重結合間の共役は除く)が挙げられる。これらの基を有する化合物は混合物中で会合体を形成し、当該混合物の励起寿命(τ)を押し上げる傾向がある。また、ナフタレン骨格又はアントラセン骨格を有する化合物も会合体を形成し易いため、当該混合物の励起寿命(τ)を押し上げることがある。
本発明にかかる混合物においては、該混合物を構成する化合物間の相互作用等により、複雑な励起状態緩和挙動が誘起される。このため、単独では(単離された状態では)好ましくない特性、即ち長い励起寿命(τ)又は長波長の吸収ピーク(λ)を有する化合物が当該混合物に含まれていたとしても、好ましい形態の組み合わせであれば、当該混合物全体としての励起寿命(τ)が短くなり、光に対する安定性が高くなる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
液晶組成物A−1の励起寿命(τ)(nsec)及び吸収波長(λ)(nm)を、文献(T.IKEDA, S.KURIHARA & S.TAZUKE, The Journal of Physical Chemistry, 94, 6550-6555 (1990))に記載の方法にて測定したところ、励起寿命(τ)(nsec)×吸収波長(λ)(nm)の値は240(nsec・nm)であった。この液晶組成物の光信頼性を下記方法により評価したところ、良好であった。この結果を表1に示す。
[光信頼性の評価方法]
まず、各化合物を混合して調製した直後の液晶組成物の電気伝導率を、二重リング電極法(IEC60093, ASTM D257,JIS K6911, JIS K6271)を用いて測定する。この値をT「単位:ジーメンス毎メートル」とする。
次に、同じ液晶組成物を、石英製の5面セル(内寸:10mmx50mmx50mm)に入れ、超高圧水銀ランプ(366nmにおける照射強度500J/平方メートル)を用いて紫外線を30分照射する。続いて、紫外線照射した液晶組成物の電気伝導率を、前記と同じ方法によって測定する。このとき得られた値をU「単位:ジーメンス毎メートル」とする。
紫外線照射前後の電気伝導率の比V=U/Tとする。
光安定性はVの値を用いて以下のとおりに評価した。
非常に良好「◎」:0.1≦V≦10
良好「○」:10<V≦100
普通「△」:100<V≦1000
悪い「X」:1000<V
[実施例2〜23]
表1のポジ型液晶組成物について、励起寿命(τ)(nsec)×吸収波長(λ)(nm)の値と光信頼性を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表1に併記する。
[比較例1〜3]
表1の液晶組成物X,Y,Zについて、実施例1と同様の方法でをの励起寿命(τ)(nsec)×吸収波長(λ)(nm)と光信頼性を評価した。これらの結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例1〜23のポジ型液晶組成物は、励起寿命(τ)(nsec)×吸収波長(λ)(nm)の値が小さく、且つ、光信頼性が非常に良好又は良好であることがわかった。一方、比較例1〜3の液晶組成物は、励起寿命(τ)(nsec)×吸収波長(λ)(nm)の値が2000よりも大きく、且つ、光信頼性が悪いことがわかった。
[実施例24〜28]
表2のネガ型液晶組成物について、励起寿命(τ)(nsec)×吸収波長(λ)(nm)の値と光信頼性を実施例1と同様にして測定した。これらの結果を表2に併記する。
[比較例4〜5]
表2の液晶組成物6,7について、実施例1と同様の方法でをの励起寿命(τ)(nsec)×吸収波長(λ)(nm)と光信頼性を評価した。これらの結果を表2に示す。
表2の結果から、実施例24〜28のネガ型液晶組成物は、励起寿命(τ)(nsec)×吸収波長(λ)(nm)の値が小さく、且つ、光信頼性が非常に良好又は良好であることがわかった。一方、比較例4〜5の液晶組成物は、励起寿命(τ)(nsec)×吸収波長(λ)(nm)の値が2000よりも大きく、且つ、光信頼性が悪いことがわかった。
表1及び表2に示した実施例の液晶組成物は、いずれも光信頼性に優れ、透明点が60℃以上であり、室温で液晶相を示すものであった。実施例の液晶組成物を用いた液晶表示素子は、耐久性に優れ、高速応答と表示不良の抑制を両立させた有用なものであり、特に、アクティブマトリックス駆動用液晶表示素子に有用であり、VAモード、PSVAモード、PSAモード、IPSモード又はECBモード用に適用できる。
表1のポジ型液晶組成物を構成する化合物を以下に示す。
表2のネガ型液晶組成物を構成する化合物を以下に示す。
以上の各実施例の混合物を構成する各化合物の重量分率は、各重量分率の±1割(±10%)の範囲で変更したとしても、変更前と同等の光信頼性を有する。例えば、実施例1の組成物A−1において、4-プロピル-4'-ビニル-1,1'-ビシクロヘキサンの重量分率は41重量%であるが、この重量分率の1割に相当する4.1重量%の範囲で当該化合物の重量分率を変更した範囲、即ち36.9%〜45.1重量%の範囲に変更した組成物においても、組成物A−1と同等の光信頼性を有する。この際、変更後の当該組成物を構成する各化合物の重量分率の合計が100%になるように、当該組成物を構成する他の化合物の重量分率についても、±1割の範囲において変更することができる。