JP2018538241A - 乳癌におけるカゼインキナーゼ1δの治療標的化 - Google Patents

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Abstract

本発明はカゼインキナーゼ1δ(CK1δ)の阻害方法を提供し、該方法は、本明細書に記載されている式(I)の化合物、例えば化合物SR−3029とCK1δを接触させることを含む。本発明者らは、CSNK1Dがヒト乳房腫瘍において増幅され及び/又は過剰発現されること、ならびにCK1δが、このキナーゼを過剰発現するヒト乳癌亜型において医学的に標的化可能であることを示す。本発明は更に、癌、例えば乳癌、黒色腫、膠芽腫、髄芽腫、腎癌、膀胱癌もしくは結腸癌または脳、肺もしくは骨に転移する癌(ただし、この場合、CK1δおよびβ−カテニン依存性の両方の上昇がそれらの転移性疾患に関与している)の治療方法を提供する。癌は三種陰性サブクラスの乳癌(TNBC)またはHER+ 乳癌でありうる。
【選択図】図1

Description

本発明は乳癌におけるカゼインキナーゼ1δの治療標的化に関する。
関連出願に対する相互参照
本出願は、2015年10月13日付け出願の米国仮特許出願第62/240,689号(その開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)の優先権を主張するものである。
政府の援助の陳述
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)からのCA175094に基づく米国政府の援助によってなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
乳癌は全ての癌診断の約4分の1を占め、世界中の女性の癌関連死の主要原因である()。現在、乳癌の治療選択は病理学的情報および組織学的等級ならびにエストロゲン(ER)、プロゲステロン(PR)および表皮増殖因子2(HER2/neu)受容体の発現状態に基づいており、この場合、受容体機能を阻止する標的化治療は全生存の改善をもたらしている()。実際、ERおよび/またはPRの発現は良好な予後因子であり、内分泌療法からの利益に関する予測指標であり、HER2の過剰発現は有害な予後を暗示するが、患者は抗HER2標的化治療から大きな利益を得る()。
これとは対照的に、ERおよびPR受容体の非存在およびHER2増幅の欠如により定義される三種陰性サブクラスの乳癌(TNBC)は標的化治療の選択肢を有さず、高侵襲性であり、予後不良を示す()。乳癌研究は標的化治療の臨床的利益を開拓し、強調しているが、無病生存期間を延長させ、癌患者の生活を改善するように標的化療法の開発を仕向けるためには、特にTNBCおよびHER2乳癌に関する駆動因子および関連シグナル伝達経路の更なる特定が必要とされている。
カゼインキナーゼ1デルタ(CK1δ)およびイプシロン(CK1ε)は、概日リズム、膜輸送および細胞骨格を含む多様な細胞過程を調節することが知られている2つの非常に関連したセリン/トレオニンキナーゼであり、共に癌に関連づけられている(11)。例えば、ミリストイル化CK1εは乳房上皮細胞をインビトロでトランスフォームするのに十分であり、一方、CK1δのドミナントネガティブ突然変異体の発現はSV40誘導性乳房発癌をインビボで妨げる(12)。キナーゼとして、CK1δおよびCK1εは小分子薬物の発見に非常に容易に利用可能である。それにもかかわらず、ヒト癌へのこれらのキナーゼの寄与は十分には理解されておらず、既に報告されているCK1δ/CK1εインヒビターの非選択的特性は抗癌標的としてのこれらのキナーゼの検証を妨げている(1315)。実際、CK1δ/CK1εの抑制に基づくと元々考えられていた薬理学的効果は、現在では、使用される非選択的インヒビターのオフターゲット作用によるものであることが公知である(1316)。
概要
本発明は、種々の態様において、式(I)
Figure 2018538241
[式中、
各Rは、独立して選択される水素もしくは(C−C)アルキルであり、または窒素原子に結合した2個のR基は該窒素原子と一緒になって、O、SおよびNR’(ここで、R’は水素または(C−C)アルキルである)からなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を所望により更に含んでいてもよい5〜7員ヘテロシクリルを形成しうるものであり;
Arはアリールまたは5員もしくは6員ヘテロアリールであり、これは置換されていないか、または1〜3個の独立して選択されるハロ、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシル、シアノ、ニトロ、C(=O)NR、OC(=O)NR、N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)RまたはC(=O)ORで置換されている;
Hetは単環式または二環式ヘテロアリールであり、これは置換されていないか、または1〜3個の独立して選択されるハロ、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシル、シアノ、ニトロ、C(=O)NR、OC(=O)NR、N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)RまたはC(=O)ORで置換されている]
の化合物またはその医薬上許容される塩の有効な量または濃度とCK1δを接触させることを含む、CK1δの阻害方法に関する。
種々の実施形態においては、本発明は、乳癌、黒色腫、膠芽腫、髄芽腫、腎癌、膀胱癌および結腸癌(これらに限定されるものではない)を含む癌の治療方法に関する。また、脳、肺、骨に転移する乳癌のような癌も、CK1δおよびβ−カテニン依存性の両方の上昇がそれらの転移性疾患に関与している限り、本発明者らのCK1δインヒビターでの治療に適している。該治療方法は、それに罹患している患者に前記式(I)の化合物の有効量を投与することを含む。
より詳細には、式(I)の化合物は、
Figure 2018538241
またはその医薬上許容される塩でありうる。
本発明は更に、CK1δインヒビターでの治療に特に感受性である癌は、CK1δおよびβ−カテニンの両方の発現レベルのアップレギュレーションを示す癌であることを開示する。したがって、種々の実施形態において、本発明は、患者におけるCK1δのレベルおよびβ−カテニンのレベルを決定すること、ならびにそれらのレベルの両方が上昇している場合には、治療レジメンのためにCK1δインヒビターを選択することを含む、患者における癌の治療に有効な抗癌薬を特定する方法を提供する。更に、本発明は、CK1δおよびβ−カテニンレベルの上昇が患者において存在するかどうかを決定すること、ならびに両方のレベルが上昇している場合には、治療レジメンのためにCK1δインヒビターを選択することを含む、乳癌、黒色腫、膠芽腫、髄芽腫、または腎臓、膀胱もしくは結腸癌、または脳、肺もしくは骨に転移する癌の、患者における治療方法を提供する。
種々の実施形態においては、本発明は三種陰性サブクラスの乳癌(TNBC)の治療方法を提供する。他の実施形態においては、本発明はHER+ 乳癌の治療方法を提供する。該方法は、該乳癌に罹患している患者に式(I)の化合物の有効量を投与することを含む。
詳細な説明
標的化治療の開発を導くためには、ヒトの癌の特異的駆動因子の特定が必要である。本発明において、本発明者らは、CSNK1Dがヒト乳房腫瘍において増幅され及び/又は過剰発現されること、ならびにCK1δが、このキナーゼを過剰発現するヒト乳癌亜型の未開発の標的化可能体(vulnerability)であることを示す。特に、CK1δの選択的ノックダウンまたは社内の高選択的かつ強力なCK1δインヒビターでの治療はエクスビボにおけるCK1δ発現性乳房腫瘍細胞のアポトーシス、三種陰性乳癌の同所性モデル(患者由来の異種移植片を含む)における強力な腫瘍退縮およびHER2+ 乳癌モデルにおける腫瘍増殖抑制を誘発する。特に、本発明者らは、Wnt/β−カテニンシグナル伝達が、CK1δを過剰発現するヒト腫瘍の特徴であること、CK1δの無効化がβ−カテニンの核蓄積およびT細胞因子転写活性を阻止すること、ならびに構成的に活性なβ−カテニンがCK1δの阻害またはサイレンシングの効果を無効にすることを示す。したがって、CK1δの阻害は、Wnt/β−カテニンの関与を伴うヒト乳癌における標的化治療のための有望な戦略に相当する。
本発明者らは、乳癌における利用可能な標的化可能体としてのCK1δおよび/またはCK1εの機能的役割および潜在的臨床的関連性を評価することを試みた。ここにおいて、本発明者らは、CK1δが乳癌治療のための有望な標的であることを立証し、CK1δを過剰発現する乳癌亜型に対して有効である社内の選択的かつ強力な小分子インヒビターの有効性を示す。更に、本発明者らは、CK1δをコードする遺伝子であるCSNK1Dが、主要乳癌亜型のそれぞれにわたって、ヒト乳癌のサブセットにおいて頻繁に増幅および/または過剰発現されること、ならびにCK1δのノックダウンまたは阻害がTNBCおよびHER2+乳癌の患者由来異種移植片および乳癌細胞系同所性異種移植モデルにおいて乳癌退縮を引き起こすことを示す。特に、本発明者らのメカニズム研究は、CK1δ活性が、乳癌患者における予後不良と関連していることが知られている分子的表現型である、乳癌におけるWnt/β−カテニン経路活性化の決定的に重要な駆動因子であることを立証している。
本発明者らの結果は後記に更に詳細に記載されている。本発明者らの発明はカゼインキナーゼ1δ(CK1δ)の阻害方法を提供し、したがって、乳癌の治療方法を提供し、該方法は、例えば生きた患者の組織におけるCK1δを有効量の式(I)の化合物、またはより詳細には、前記で示されている構造式を有するSR−3029の化合物と接触させることを含む。
CSNK1Dはヒト乳癌のサブセットにおいて増幅および/または過剰発現される
ヒト乳癌におけるCK1δおよびCK1εの関与を評価するために、本発明者らは、正常乳腺組織と比較して、ヒト乳房腫瘍検体における各アイソフォームの発現を調べた。癌ゲノムアトラス(TCGA)データセットの解析は、浸潤性乳癌(図1A)および独立したデータセットにおける、CK1δ(CSNK1D)の発現の高度な上昇を示した。4つの腫瘍乳癌亜型(Pam50固有分類)(18)にわたるCK1アイソフォーム発現の評価は、各主要クラスにわたる腫瘍のサブセット内でCK1δが広範に過剰発現されることを示した(図1B)。これとは対照的に、CK1ε発現は、基底様サブクラスに、より限局されており(図1B)、浸潤性乳癌とは関連していない。顕著なことには、遺伝子コピー数分析(TCGA)は、ヒト乳房腫瘍の3分の1以上(36%)でCSNK1D遺伝子座を含む17q25.3の増幅(高レベルおよび低レベル)を示しており、管腔Bおよび基底様クラスにおける増幅の、より高い頻度を示した。これとは対照的に、CSNK1E遺伝子座は乳癌において増幅されなかった(データ非表示)。特に、CSNK1Dコピー数はCK1δ転写産物の発現と有意に相関しており(p値<0.0001)、管腔A腫瘍と比較してHER2+、基底様および管腔B亜型において相関の増大が認められる(図1CおよびD)。これらの知見と一致して、免疫組織化学的分析は、正常乳房組織と比較した場合のヒト乳房腫瘍検体におけるCK1δの過剰発現を証明しており、ヒト乳癌細胞系のパネル全体にわたってCK1δが過剰発現された(図1E)。これとは対照的に、高いCK1ε発現は、分析された乳癌細胞系の僅か3つにおいて検出されたに過ぎず(図1E)、両方のCK1アイソフォームの発現は不死ヒトMCF10A乳房上皮細胞ならびにMCF7およびT47D ER+乳癌細胞においては低かった。
強力で高特異的なCK1δ/CK1εインヒビターは乳癌細胞の増殖および生存を選択的に抑制する
本発明者らは最近、CK1δよびCK1εの一連の小分子二重インヒビターの最初の構造活性相関を報告した(16)。例えば、SR−3029(図1F)は、並外れた効力および選択性を有するATP競合インヒビターであり、したがって、CK1δ/CK1ε生物学の理想的な小分子プローブである。細胞増殖アッセイは、CK1δを過剰発現する乳癌細胞型がCK1δ/CK1ε阻害に対して極めて感受性であることを示しており、低いナノモル範囲(5〜70nM)のEC50を示した。これとは対照的に、MCF7およびT47D乳癌細胞ならびにMCF10A細胞系(これらは全て、低レベルのCK1δを発現した)はSR−3029に対して2〜3桁低い感受性を示した(図1G)。CK1δを過剰発現する乳癌細胞に対するこの選択性はクローン原性増殖アッセイにおいて確認され、この場合、SR−3029はMDA−MB−231細胞のクローン原性増殖および生存を完全に阻止したが、MCF7乳癌細胞のコロニー形成能には全く影響を及ぼさなかった(図1H)。最後に、FACS分析は、SR−3029での処理がCK1δ過剰発現乳癌細胞の迅速なアポトーシスを選択的に誘発することを立証した(図1I)。
本発明者らは、SR−3029の抗癌作用がCK1δおよび/またはCK1εの標的上(オン・ターゲット)の阻害によるものであることを確認した。第1に、CK1δの強制的過剰発現は、GFP発現対照と比較して、MDA−MB−231 TNBC細胞のクローン原性増殖を増強し、SR−3029の増殖抑制効果をレスキューするのに十分であった(図1J)。第2に、CK1δおよびCK1εの同時ノックダウンまたはCK1δのみのサイレンシングはアポトーシスを誘発し、MDA−MB−231細胞の増殖を妨げた(図1K、L)。この効果は特異的であった。なぜなら、siRNA耐性CK1δ cDNAの発現はCK1δサイレンシングの増殖抑制効果を有効にレスキューしたからである。特に、CK1εのみのノックダウンはMDA−MB−231細胞の増殖および生存に全く影響を及ぼさなかった。最後に、本発明者らは、オフ・ターゲット(off target)効果が存在するかどうかを調べた。SR−3029はカイノームの僅か1%を阻害するに過ぎず、CK1δおよびCK1εに加えて、僅か3つのキナーゼ(CDK4、MYLK4およびFLT3)に対する、より弱いアフィニティを有する(16)。これらのうち、FLT3のみが、SR−3029、ならびにその近類似体であるSR−2890およびSR−1277の共通の(および弱い)オフ・ターゲットであり、これらは全て、MDA−MB−231 TNBC細胞を含むヒト癌細胞に対する類似した抗増殖活性を示す(16)。これとは対照的に、これらの細胞は、FLT3およびFLT3突然変異体の低ナノモルインヒビターであるAC220に対しては非感受性である。総合すると、これらの知見は、ある乳癌細胞の増殖および生存に必要とされる、SR−3029の生物学的に関連する標的としてのCK1δを立証している。
CK1δのサイレンシングまたは阻害はインビボでの強力な抗腫瘍効果を誘発する
SR−3029は、インビボ試験に適した薬物動態学的特性を示す(16)。したがって、本発明者らは前臨床腫瘍モデルにおいてSR−3029の有効性を試験した。ホタルルシフェラーゼを発現するように操作されたMDA−MB−231 TNBC細胞を免疫不全ヌードマウスの乳房脂肪パッド内に移植し、7日後に処理を開始した。単一の物質として、SR−3029(20mg/kg、毎日、腹腔内)は腫瘍増殖を著しく妨げた(図2A、B)。実際、SR−3029療法を受けた被投与体の僅か2匹だけが腫瘍を発生し、これらは、ビヒクル処理マウスにおいて生じたものと比較してサイズが顕著に小さかった(図2B、C)。次に、同所性MDA−MB−231、MDA−MB−468(TNBC)、SKBR3およびBT474(HER2+)腫瘍異種移植片を、処理前に平均サイズ100mmに到達させた。SR−3029(20mg/kg)の毎日のi.p.投与は全ての異種移植モデルにおいて顕著な腫瘍増殖抑制を引き起こした(図2D)。特に、侵襲性MDA−MB−231腫瘍の退縮は劇的なアポトーシス(図2E)および著しく延長した寿命(図2F)に関連づけられた。更に、体重、血液化学および組織完全性の組織化学的分析は、SR−3029の長期間の毎日の投与(48日間)が、明白な毒性を伴うことなく良好に耐容されることを示した(図2G)。
インビボでの腫瘍増殖の抑制に対するCK1δ阻害の効果を確認するために、CK1δに対するドキシサイクリン(Dox)誘導性shRNAを安定に発現するようにMDA−MB−231細胞を操作した(MDA−MB−231−shCK1δ)。エクスビボでのDoxでのこれらの細胞の処理はCK1δの効率的かつ選択的なノックダウンおよび迅速なアポトーシス/細胞増殖抑制をもたらし、この効果はshRNA耐性CK1δの外因性発現によりレスキューされた(図3A、B)。MDA−MB−231−shCK1δ腫瘍(>100mm)の同所性異種移植片の確立の後、Doxの投与およびCK1δの誘導性ノックダウンは、SR−3029で得られた結果と合致して、腫瘍増殖の顕著な抑制をもたらした(図3C、D)。本発明者らはまた、初代患者由来異種移植(PDX)モデルBCM−4013(ダサチニブおよびドセタキセルでの治療に対する限られた応答を示す侵襲性基底様浸潤性乳管癌)の増殖に対するSR−3029の効果を評価した。特に、この安定して継代されたPDXの組織学的および分子的プロファイリングは、治療への応答を含む該原発腫瘍の多数の特徴を再現する(19)。
インビボでのBCM−4013 PDXモデルの増殖の後、同所性腫瘍を確立し、CK1δの発現に関して試験し(図3E)、有効性の試験を行った。細胞系モデルと合致して、SR−3029の投与(20mg/kg、毎日、i.p.)はこれらのPDX腫瘍の増殖を有意に抑制し、腫瘍細胞アポトーシスを誘発した(図3F〜H)(p=0.0002)。これらの研究は、CK1δ発現がSR−3029に対する感受性を予測することを立証しており、CK1δが、ヒト疾患に対する潜在的関連性を有する有効な乳癌標的であることを示している。
Wnt/β−カテニンシグナル伝達はCK1δ発現性乳癌の特徴である
ヒト乳癌においてCK1δにより調節される経路を定め、CK1δ阻害に関する潜在的バイオマーカーを特定するために、TCGA患者の腫瘍データセットを、CK1δ過剰発現に関連した遺伝子シグネチャーに関して分析した。発現がCK1δ発現と有意に相関している612個の遺伝子を特定した(変化倍数>2、p値<0.05)。インジェヌイティ・パスウェイ分析(Ingenuity Pathway Analysis)(IPA)はカノニカル(canonical)Wnt経路の遺伝子[Wnt/β−カテニン標的(CCND1)、Wnt経路成分(FZD9)および該経路の内因性モジュレーター(WNT3、WNT9AおよびSFRP1)(分泌フリズルド(frizzled)関連タンパク質1)を含む]との有意な重複を特定した(図4A)。
重要なことに、活性化Wnt/β−カテニンシグナル伝達は不良な臨床成績と関連しているが、他の癌型に典型的な経路活性化突然変異は乳癌においては稀である(2021)。これらの知見は、CK1δがヒト乳房腫瘍発生におけるWnt経路の重要なアクチベーターであること、およびこの経路により調節される遺伝子が、CK1δインヒビターの更なる前臨床開発および臨床開発に必要とされるバイオマーカーとして潜在的に有用でありうるという仮説を示唆した。
発生および疾患におけるCK1δおよびCK1εの役割はWnt依存的役割およびWnt非依存的役割の両方によるものと考えられている(10152223)。更に、カノニカルWnt/β−カテニン経路の活性化におけるCK1δ/CK1εの必要性は細胞型およびコンテクスト特異性の両方に関して議論の的となっている(1322)。したがって、本発明者らはCK1δ発現性乳癌細胞におけるβ−カテニン活性に対するCK1δ阻害の効果を評価した。Wntシグナル伝達の活性化はβ−カテニンの安定化および核移行をもたらし、これは、TCF/LEF転写因子と共に、乳癌腫瘍発生に関連した下流標的遺伝子の発現を誘導する(2426)。SR−3029での(CK1δを過剰発現する)MDA−MB−231、MDA−MB−436、MDA−MB−468およびBT474乳癌細胞の処理はβ−カテニンの活性核プールの発現を顕著に低下させた(図4B)。更に、CK1δのノックダウンまたはSR−3029での処理はβ−カテニンの非リン酸化活性型の減少をもたらし(ABC、図4C)、内因性β−カテニン/TCF転写活性を顕著に減少させた。これは、TCF依存性ルシフェラーゼレポーターを安定に発現するMDA−MB−231細胞において測定されるとおりである(図4D)。したがって、CK1δの選択的ノックダウンまたはSR−3029による阻害は、CCND1、MYC、CD44ならびにWNT3およびWNT9A(これらは全て、ヒト腫瘍におけるCK1δ発現に関連づけられた)を含む内因性β−カテニン/TCF標的遺伝子の発現を抑制した(図4E、F)。更に、SR−3029での処理はまた、内因性WntアンタゴニストSFRP1の発現の顕著な増加をもたらしたが、乳癌病理発生に強く関与しているもう1つの経路であるNotch経路mRNA(JAG1、NUMB、DTX)には影響を及ぼさなかった(図4G)(27)。
CK1δ/CK1εの阻害が、Wntリガンドに応答してカノニカルWntシグナル伝達のスイッチを切るのに十分であるかどうかを試験するために、本発明者らは、TCF依存性ルシフェラーゼレポーターを安定に発現するHEK293T細胞を作製した。予想どおり、SR−3029での処理またはCK1δのノックダウンによりTCFレポーターのWnt−3a特異的誘導が阻止された(図4HおよびI)。更に、β−カテニンの構成的に活性な(核)突然変異体(S33Y)(28)の強制的発現はTCFレポーター活性を増強し、これはSR−3029の阻害効果に対して不応性であった(図4I)。したがって、CK1δの阻害は、ヒト乳癌細胞における活性化β−カテニンシグナル伝達およびカノニカルシグナル伝達による該経路のWnt誘導性活性化を阻止するのに十分である。
CK1δ阻害に感受性であるヒト乳癌細胞亜型の腫瘍化増殖に対するWnt/β−カテニンシグナル伝達の阻害の影響を評価するために、MDA−MB−231およびMDA−MB−468細胞においてβ−カテニンshRNAを発現させた。これらの細胞型のそれぞれは高レベルの核β−カテニンを発現し(図4J)、持続的な細胞増殖および生存のためにはβ−カテニンに依存的であった(図4K)。逆に、核β−カテニンをほとんど乃至は全く発現しないMCF7細胞はβ−カテニンノックダウンに非感受性であり、これは、CK1δのその低い発現およびSR−3029に対する相対的非感受性に合致している(図4K)。標的化CK1δの抗腫瘍活性におけるβ−カテニンシグナル伝達の阻害の役割をより直接的に評価するために、2つの構成的に活性なβ−カテニン突然変異体を使用した。MDA−MB−231細胞におけるSR−3029またはCK1δノックダウンのいずれかの増殖抑制効果およびアポトーシス効果をレスキューするためには、β−カテニン−S33YまたはNH末端構成的活性突然変異体(β−カテニンN90)の強制的発現で十分であった(図5A、B)。したがって、CK1δは、乳癌細胞の増殖および生存に必要なβ−カテニン活性を制御する。
MCF7 ER+乳癌細胞は低レベルのCK1δを発現し(図1E)、MDA−MB−231細胞と比べて低下した、活性(核)β−カテニンの発現を示し、SR−3029に対して不応性であり(図1G)、他のヒト乳癌細胞と比べて限定された腫瘍化能を有する(2931)。特に、CK1δを過剰発現するように操作されたMCF7細胞は核β−カテニン(図5C、D)および下流Wnt標的遺伝子(CCND1、CD44、WNT3およびWNT9Aを含む)(図5E、F)の発現の増強を示した。更に、CK1δの強制的過剰発現はMCF7細胞のクローン原性増殖を増強し、短期および長期の両方の増殖アッセイにおいてそれをSR−3029に対して感作する(図5G)。特に、β−カテニンのノックダウンは、外因性CK1δ駆動性MCF7細胞増殖を阻害するのに十分であった(図5H)。このことはCK1δの増殖促進活性におけるWnt/β−カテニン経路の決定的に重要なメカニズム的役割を証明している。
CK1δ阻害がWnt/β−カテニンシグナル伝達をインビボで妨げるかどうか、およびこの経路のモジュレーションが予測バイオマーカーに相当するかどうかを評価するために、20mg/kgのSR−3029またはビヒクルで7日間処理(1日1回、i.p.投与)されたマウスから単離されたMDA−MB−231腫瘍を活性化β−カテニンシグナル伝達のマーカーに関して分析した。ビヒクル処理対照と比較して、SR−3029処理マウス由来の腫瘍においては、核β−カテニンの発現が顕著に低下し(図6A)、これはCCND1、WNT3、WNT9AおよびRARA mRNA転写産物の減少ならびにSFRP1転写産物の発現の顕著な増強に関連づけられた(図6B)。更に、SR−3029処理マウス由来の腫瘍およびCK1δのDox誘導性サイレンシングを受けた腫瘍においては、タンパク質レベルでCCND1のダウンレギュレーションが観察された(図6C)。最後に、Wnt/β−カテニンシグナル伝達は再生組織のホメオスタシスにおいて中心的な役割を果たすことが知られているため、小腸の完全性に対する長期SR−3029治療の影響を評価した。注目すべきことに、ヘマトキシリン−エオジン染色は全体的な形態学的欠損を全く示さず、TUNEL染色はアポトーシスの証拠を検出しなかった。これは、対応する腫瘍において観察されるものとは対照的であった(図2E)。
総合すると、これらの知見はCK1δからβ−カテニンへの経路の活性化とSR−3029に対する感受性との間の関連性を立証しており、この経路の特徴が、この標的化療法に応答する腫瘍を定めることを示唆した。特に、追加的なTCGA癌データセットの分析は乳頭状腎細胞癌患者の70%以上および膀胱癌患者の約50%においてCSNK1Dコピー数増幅(高および低)を示し、これらの腫瘍における遺伝子増幅はCK1δ発現とも相関していた(図6D、E)。注目すべきことに、両方の癌型において、CK1δ遺伝子シグネチャーリストとWnt経路遺伝子との間に有意な重複が存在していた(CK1δ高対CK1δ低,p<0.05,変化倍数1.5)(図6F)。したがって、CK1δからβ−カテニンへのシグナル伝達回路はヒト悪性疾患のスペクトルにわたる未開発の標的化可能体(vulnerability)でありうる。
ヒト乳癌の特異的駆動因子の特定はHER2増幅乳癌の治療のためのトラスツズマブおよびER+乳癌の治療のためのホルモン療法のような標的化療法の開発を導き、これらの標的化物質はこれらの疾患の生存および臨床的対応を改善した(32)。これとは対照的に、再発性疾患を有する患者およびTNBCを有する患者は標的化療法を欠いており、満たされていない緊急の臨床的必要性を示している。本明細書に示されているデータは、CK1δを異常に発現するHER2+およびTNBC乳癌患者にとって潜在的な利益となる、非常に魅力的な治療標的としてのCK1δを示している。
これまでのところ、ヒト癌におけるCK1δの役割は十分には理解されておらず、CK1δの従来の小分子モジュレーターは、CK1δを抗癌標的として検証するのに必要な効力および/または選択性を欠いている(131533)。例えば、幾つかの研究において使用されたプローブ分子IC261は、CK1δ/CK1εの阻害によってではなく、むしろチューブリン機能の阻害によって作用することが後に示されている(13)。更に、CK1δ/CK1ε二重インヒビターPF670462を使用した研究は、それが抗癌活性が欠いていること(1314)、およびこれが、アポトーシス促進活性を有する幾つかのものを含む複数のキナーゼに対する重要なオフ・ターゲット活性によるものでありうることを示している(16)。これとは対照的に、本発明者らの小分子インヒビター(SR−3029)はヒト乳癌の複数の前臨床モデルにおいて非常に選択的であり、強力であり(16)、有効である。更に、本発明者らの知見は、CK1δの過剰発現が、細胞に基づく乳癌モデルにおいて、SR−3029に対する感受性を予測することを示しており、これは、CK1δに対する依存性が細胞型およびコンテクスト特異的であることを示唆している。
CK1δの過剰発現は4つの主要乳癌亜型のそれぞれにわたって広範に広がっており、したがって、この標的化治療戦略に応答する腫瘍を特定しうる。この仮説を詳細に検討するためには、より広範な患者由来腫瘍サンプルにわたる更なる研究が必要である。
Wnt経路の正(β−カテニン)および負(APC、AXIN1など)の調節成分における機能獲得および機能喪失突然変異はヒト癌において高頻度で広く存在している((34)に概説されている)。これとは対照的に、Wnt経路の異常活性は乳癌において頻繁に見られるが(213536)、これらの悪性疾患におけるWnt経路成分における突然変異は稀である(202137)。ここで、本発明者らは、ヒト乳癌のCK1δからβ−カテニンへのシグナル伝達がヒト乳癌の一部において活性化されることを示しており、この場合、β−カテニン活性を無効にし、乳癌細胞のアポトーシスを誘発するためには、CK1δのサイレンシングまたは薬理学的阻害で十分である。したがって、本発明者らの知見は、幾つかの乳癌亜型において現れる異常なWnt/β−カテニンシグナル伝達を無効にするために(例えばSR−3029により)利用されうる鍵標的キナーゼとしてのCK1δを示している。これまでの報告は、CK1δが重要な役割を果たす幾つかの経路を記載している(2333)。したがって、SR−3029の抗乳癌活性は明らかにWnt/β−カテニンシグナル伝達を標的とするが、追加的なエフェクターがその実質的な抗腫瘍活性にインビボで寄与しうるであろう。
総合すると、本明細書に示されている知見は、選択された癌のサブセット(限定的なものではないが、乳癌を含む)における臨床的関連性に関する大きな可能性を有する有効な治療標的としてCK1δを特定しており、ここで、CK1δは、(i)増幅および/または過剰発現を介して活性化され、(ii)これらの腫瘍亜型におけるβ−カテニン活性の必要な駆動因子であり、(iii)ヒト乳癌の細胞および前臨床モデルの増殖および生存に必要である。
したがって、種々の態様において、本発明は、式(I)
Figure 2018538241
[式中、
各Rは、独立して選択される水素もしくは(C−C)アルキルであり、または窒素原子に結合した2個のR基は該窒素原子と一緒になって、O、SおよびNR’(ここで、R’は水素または(C−C)アルキルである)からなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を所望により更に含んでいてもよい5〜7員ヘテロシクリルを形成しうるものであり;
Arはアリールまたは5員もしくは6員ヘテロアリールであり、これは置換されていないか、または1〜3個の独立して選択されるハロ、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシル、シアノ、ニトロ、C(=O)NR、OC(=O)NR、N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)RまたはC(=O)ORで置換されている;
Hetは単環式または二環式ヘテロアリールであり、これは置換されていないか、または1〜3個の独立して選択されるハロ、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシル、シアノ、ニトロ、C(=O)NR、OC(=O)NR、N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)RまたはC(=O)ORで置換されている]
の化合物またはその医薬上許容される塩の有効な量または濃度とCK1δを接触させることを含む、カゼインキナーゼ1δ(CK1δ)の阻害方法を提供しうる。
本発明は更に、種々の実施形態においては、式(I)
Figure 2018538241
[式中、
各Rは、独立して選択される水素もしくは(C−C)アルキルであり、または窒素原子に結合した2個のR基は該窒素原子と一緒になって、O、SおよびNR’(ここで、R’は水素または(C−C)アルキルである)からなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を所望により更に含んでいてもよい5〜7員ヘテロシクリルを形成しうるものであり;
Arはアリールまたは5員もしくは6員ヘテロアリールであり、これは置換されていないか、または1〜3個の独立して選択されるハロ、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシル、シアノ、ニトロ、C(=O)NR、OC(=O)NR、N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)RまたはC(=O)ORで置換されている;
Hetは単環式または二環式ヘテロアリールであり、これは置換されていないか、または1〜3個の独立して選択されるハロ、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシル、シアノ、ニトロ、C(=O)NR、OC(=O)NR、N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)RまたはC(=O)ORで置換されている]
の化合物またはその医薬上許容される塩の有効量を、癌に罹患した患者に投与することを含む、癌の治療方法を提供する。
例えば、式(I)の化合物は、
Figure 2018538241
またはその医薬上許容される塩でありうる。
式(I)の化合物の有効量で治療されうる癌は、CK1δおよびβ−カテニンの両方の発現レベルのアップレギュレーションを示す癌でありうる。例えば、該癌は乳癌、黒色腫、膠芽腫、髄芽腫、腎癌、膀胱癌または結腸癌であることが可能であり、あるいは、脳、肺または骨に転移する癌であることが可能であり、ただし、この場合、CK1δおよびβ−カテニン依存性の両方の上昇がそれらの転移性疾患に関与している。例えば、乳癌は三種陰性サブクラスの乳癌(TNBC)であることが可能であり、あるいはHER+ 乳癌である。
したがって、本発明は、癌の治療のための、請求項1記載の式(I)の化合物、例えばSR−3029、またはその医薬上許容しうる塩を提供しうる。
式(I)の化合物の有効量で治療されうる癌は乳癌、黒色腫、膠芽腫、髄芽腫、腎癌、膀胱癌または結腸癌であることが可能であり、あるいは、脳、肺または骨に転移する癌であることが可能であり、ただし、この場合、CK1δおよびβ−カテニン依存性の両方の上昇がそれらの転移性疾患に関与している。例えば、乳癌は三種陰性サブクラスの乳癌(TNBC)であることが可能であり、あるいはHER+ 乳癌である。
本発明は更に、CK1δインヒビターでの治療に特に感受性である癌がCK1δおよびβ−カテニンの両方の発現レベルのアップレギュレーションを示す癌であることを開示する。したがって、種々の実施形態において、本発明は、患者におけるCK1δのレベルおよびβ−カテニンのレベルを決定すること、ならびにそれらのレベルの両方が上昇している場合には、抗癌薬としてCK1δインヒビターを選択することを含む、患者における癌の治療に有効な抗癌薬を特定する方法を提供する。更に、本発明は、CK1δおよびβ−カテニンレベルの上昇が患者において存在するかどうかを決定すること、ならびに両方のレベルが上昇している場合には、治療レジメンのためにCK1δインヒビターを選択することを含む、乳癌、黒色腫、膠芽腫、髄芽腫、または腎臓、膀胱もしくは結腸癌、または脳、肺もしくは骨に転移する癌の、患者における治療方法を提供しうる。CK1δのレベルおよびβ−カテニンのレベルは、本明細書の開示内容と共に当技術分野における通常の技術および知識を用いて決定されうる。患者におけるCK1δまたはβ−カテニンのレベルが「上昇している」とみなされるのは、身体組織におけるその濃度が同等患者における平均レベルより統計的に有意に高い場合である。
本明細書における意味における「治療する」または「治療」は、障害もしくは疾患に関連する症状の緩和、またはそれらの症状の更なる進行もしくは悪化の抑制、または疾患もしくは障害の予防もしくは防止、または疾患もしくは障害の治癒を意味する。同様に、本明細書中で用いる、本発明の化合物の「有効量」または「治療的有効量」は、障害もしくは状態に関連する症状を全体的もしくは部分的に緩和する、またはそれらの症状の更なる進行もしくは悪化を停止もしくは遅延させる、または障害もしくは状態を予防する若しくはその予防を提供する、該化合物の量を意味する。特に、「治療的有効量」は、所望の治療結果を達成するのに、必要な投与量および期間において、有効な量を意味する。治療的有効量はまた、本発明の化合物の任意の毒性効果または有害な効果よりも、治療上有益な効果が上回る量である。
「有効量」なる表現は、障害に罹患している個体への治療を示すために用いられる場合、個体の組織においてCK1δを阻害するのに又はCK1δに作用するのに有効である、本発明の化合物の量または濃度を意味し、ここで、CK1δは乳癌のような障害に関与しており、そのような阻害または他の作用は、有益な治療効果をもたらすのに十分な度合で生じる。
本明細書中で用いる、合成方法の文脈における「与えるのに適した条件下」または「与えるのに十分な条件下」などの語句は、反応生成物の有用な量または収率を与える、実験者が変化させるための通常の技術の範囲内である時間、温度、溶媒、反応物濃度などのような反応条件を意味する。所望の反応生成物が単離可能であり又は更に使用可能である限り、所望の反応生成物が唯一の反応生成物であること、または出発物質が完全に消費されることは必要とされない。本発明の実施において有用な化合物は、有機合成における通常の知識および技術と組合された文献方法に従い製造されうる。
特定の立体化学または異性体が特に示されていない限り、構造の全ての単一のエナンチオマー、ジアステレオマーおよびラセミ体が意図される。幾つかの例においては、具体的に特許請求されている化合物のなかの個々の立体異性体が記載されているが、立体化学の表示は、代替的異性体形態がそれほど好ましくない、望ましくない又は特許請求されていないことを意味しない。本発明において使用される化合物は、記載から明らかな任意のまたは全ての不斉原子における、任意の富化度で富化または分割された光学異性体を含みうる。ラセミおよびジアステレオマーの両混合物ならびに個々の光学異性体は、それらのエナンチオマーまたはジアステレオマー相手を実質的に含有しないように単離または合成されることが可能であり、これらは全て、本発明の範囲内である。
本明細書中で用いる「安定化合物」および「安定構造」なる語は、反応混合物からの有用な純度への単離および有効な治療剤への処方(製剤化)に耐えるのに十分な程度に頑強な化合物を示すと意図される。本明細書においては安定化合物のみが想定される。
ある基、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリールなどにおける炭素原子の数が範囲として特定されている場合、炭素原子の数を表す個々の整数が意図される。例えば、(C〜C)アルキル基という記載は、該アルキル基がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、またはtert−ブチルのいずれかでありうることを示す。炭素原子の数の特定は整数によるものでなければならないと理解される。
一般に、「置換」(「置換されている」)は、本明細書において定められている有機基において、それに含有される水素原子への1以上の結合が非水素原子への1以上の結合により置換されていることを意味し、該非水素原子としては、限定的なものではないが例えば以下のものが挙げられる:ハロゲン(例えば、F、Cl、BrまたはI);ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基、カルボン酸を含むカルボキシル基、カルボキシラートおよびカルボン酸エステルのような基における酸素原子;チオール基、アルキルおよびアリールスルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホニル基およびスルホンアミド基のような基における硫黄原子;アミン、ヒドロキシルアミン、ニトリル、ニトロ基、ニトロソ基、N−オキシド、ヒドラジド、アジドおよびエナミンのような基における窒素原子;ならびに種々の他の基における他のヘテロ原子。置換炭素(または他の)原子に結合可能な置換基の非限定的な例には、F、Cl、Br、I、OR、CN、NO、NO、ONO、アジド、CF、OCF、R、O(オキソ)、S(チオノ)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R)、SR、SOR、SOR、SON(R)、SOR、C(O)R、C(O)C(O)R、C(O)CHC(O)R、C(S)R、C(O)OR、OC(O)R、C(O)N(R)、OC(O)N(R)、C(S)N(R)、(CH0−2N(R)C(O)R、(CH0−2N(R)N(R)、N(R)N(R)C(O)R、N(R)N(R)C(O)OR、N(R)N(R)CON(R)、N(R)SOR、N(R)SON(R)、N(R)C(O)OR、N(R)C(O)R、N(R)C(S)R、N(R)C(O)N(R)、N(R)C(S)N(R)、N(COR)COR、N(OR)R、C(=NH)N(R)、C(O)N(OR)R、またはC(=NOR)Rが含まれ、ここで、Rは水素または炭素系部分であることが可能であり、ここで、炭素系部分は、それ自体が更に置換されていることが可能であり、例えば、Rは水素、アルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであることが可能であり、ここで、任意のアルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルは更に、独立して、前記で列挙されている官能基の一部もしくは全部で又は他の官能基で一置換または多置換されていることが可能であり、あるいは、ここで、窒素原子または隣接窒素原子に結合した2個のR基は該窒素原子の1以上と一緒になってヘテロシクリルを形成していることが可能であり、これは更に、前記で列挙されている官能基の一部もしくは全部で又は他の官能基で一置換されている、または独立して、多置換されていることが可能である。
種々の実施形態において、置換基はハロ、ニトロ、シアノ、OR、NRまたはRであることが可能であり、あるいはC(O)OR、C(O)NR、OC(O)OR、OC(O)NR、N(R)C(O)OR、N(R)C(O)NRまたはそれらのチオ/チオノ類似体であることが可能である。Oを含有する基に関する「そのチオ/チオノ類似体」は、該基における任意または全てのO原子がS原子により置換されうることを意味する。例えば、基C(O)ORの場合、「そのチオ/チオノ類似体」はC(S)OR、C(O)SRおよびC(S)SRを含み、例えば、OC(O)NRの場合、「そのチオ/チオノ類似体」はSC(O)NR、OC(S)NRおよびSC(S)NRを含む、などである。
種々の実施形態において、置換基はハロ、(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルコキシ、(C1−C6)ハロアルキル、ヒドロキシ(C1−C6)アルキル、アルコキシ(C1−C6)アルキル、(C1−C6)アルカノイル、(C1−C6)アルカノイルオキシ、シアノ、ニトロ、アジド、RN、RNC(O)、RNC(O)O、RNC(O)NR、(C1−C6)アルケニル、(C1−C6)アルキニル、(C6−C10)アリール、(C6−C10)アリールオキシ、(C6−C10)アロイル、(C6−C10)アリール(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリール(C1−C6)アルコキシ、(C6−C10)アリールオキシ(C1−C6)アルキル、(C6−C10)アリールオキシ(C1−C6)アルコキシ、(3〜9員)ヘテロシクリル、(3〜9員)ヘテロシクリル(C1−C6)アルキル、(3〜9員)ヘテロシクリル(C1−C6)アルコキシ、(5〜10員)ヘテロアリール、(5〜10員)ヘテロアリール(C1−C6)アルキル、(5〜10員)ヘテロアリール(C1−C6)アルコキシまたは(5〜10員)ヘテロアロイルのいずれかでありうる。
アルキル基には、1〜約20個の炭素原子、典型的には1〜12個の炭素、または幾つかの実施形態においては1〜8個の炭素原子または1〜4個の炭素原子を有する直鎖および分枝炭素系基が含まれる。直鎖アルキル基の例には、1〜8個の炭素原子を有するもの、例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルおよびn−オクチル基が含まれる。分枝アルキル基の例には、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、イソペンチルおよび2,2−ジメチルプロピル基が含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で用いる「アルキル」なる語は、n−アルキル、イソアルキルおよびアンテイソアルキル基ならびにアルキルの他の分枝鎖形態を包含する。
「ハロ」または「ハロゲン」または「ハロゲン化物」なる語は、それ自体で又は別の置換基の一部として、特に示されていない限り、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子、好ましくはフッ素、塩素または臭素を意味する。
「フルオロアルキル」なる語はモノフルオロアルキル基およびポリフルオロアルキル基を含み、具体例はCF、Cなどを含む。
「アルコキシ」または「アルコキシル」なる語は、アルキル基に連結された酸素原子を意味し、前記のシクロアルキル基を包含する。直鎖アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。分枝アルコキシの例には、イソプロポキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、イソペンチルオキシ、イソヘキシルオキシなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。典型的なアルコキシ基には、それぞれC1−6アルコキシおよびC2−6アルコキシと称される1〜6個または2〜6個の炭素原子のアルコキシ基が含まれるが、これらに限定されるものではない。典型的なアルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
アリール基は、環内にヘテロ原子を含有しない環状芳香族炭化水素である。当技術分野でよく知られているとおり、芳香族化合物は、4n+2π電子(ここで、nは整数である)を含有する多重不飽和環系である。したがって、アリール基は単環系および多環系を含む。幾つかの実施形態においては、アリール基は、該基の環部分に約6〜約14個の炭素を含有する。アリール基は、前記のとおり、非置換体または置換体でありうる。代表的な置換アリール基は一置換体または2回以上置換された置換体、例えば、2−、3−、4−、5−もしくは6−置換フェニルまたは2−8置換ナフチル基であることが可能であり、これらは炭素または非炭素基(例えば、前記のもの)で置換されうる。
ヘテロシクリル基または「ヘテロシクリル」なる語は、例えばN、OおよびS(これらに限定されるものではない)のようなヘテロ原子である1以上の環原子を含む3以上の環メンバーを含有する芳香族および非芳香族環化合物を含む。したがって、ヘテロシクリルはシクロヘテロアルキルまたはヘテロアリールであることが可能であり、あるいは多環式の場合には、それらの任意の組合せが可能である。幾つかの実施形態においては、ヘテロシクリル基は3〜約20個の環メンバーを含み、他のそのような基は3〜約15個の環メンバーを有する。
ヘテロアリール基は、例えばN、OおよびS(これらに限定されるものではない)のような1以上のヘテロ原子を含む5以上の環メンバーを含有する複素環式芳香環化合物である。例えば、ヘテロアリール環は5〜約8−12個の環メンバーを有しうる。ヘテロアリール基は、芳香族電子構造を有する種々のヘテロシクリル基であり、それは、4n+2π電子(ここで、nは整数である)を含有する多重不飽和環系である。
「医薬上許容される塩」なる語は、医薬用途に有用な範囲内の毒性プロファイルを有する塩を意味する。それでも、医薬上許容されない塩が、例えば、高い結晶性のような特性を有する可能性があり、それは、本発明の実施における有用性、例えば、本発明の化合物の合成、精製または製剤化の方法における有用性を有する。「医薬上または薬理学的に許容される」は、動物またはヒトに適切に投与された場合に、有害な、アレルギー性の又は他の有害な反応をもたらさない分子実体および組成物を含む。ヒトへの投与の場合、製剤は、FDA Office of Biologics基準により要求されている無菌性、発熱性、および一般的安全性および純度基準を満たすべきである。
CK1δの阻害における有効性に関して、および前記の又は科学文献で見出される方法を用いる種々の細胞アッセイにおいて、本明細書に開示および特許請求されている化合物を評価することは、通常の技術の範囲内である。したがって、当業者は、過度の実験を行うことなく、任意の特許請求されている化合物を製造し、評価することが可能である。
CK1δの有効なインヒビターであることが判明した任意の化合物が、投与量および治療レジメン(例えば乳癌の治療のためのもの)の選択を導く研究者の技術および経験を用いて、動物モデルおよびヒト臨床試験において同様に試験されうる。
本発明の方法の実施において使用される化合物は、本発明者の或る者による公開PCT出願「WEE1分解インヒビター(Degradation Inhibitor)」,PCT/US2013/027784,WO2013/130461(その開示の全体を参照により本明細書に組み入れることとする)の方法を含む文献方法に基づいて、合成有機化学の通常の知識および技術を用いて製造されうる。
図1:CK1δは、選択された乳癌亜型の臨床的に関連した有効な標的である。(A)浸潤性乳管癌(IDC)と隣接正常組織との比較におけるCK1δmRNA発現(***,p=6.78e−15)。(B)RNA−Seqデータに基づくPAM50乳癌亜型にわたるCK1α1、CK1δおよびCK1εの発現(n=972個の腫瘍サンプル、113個の正常固形組織)。Log2正規化読取りカウント(RSEM)が示されている。(C)CK1δ発現に従いクラスター化された浸潤性乳癌におけるCSNK1D DNAコピー数分析(n=303)。ホモ接合欠失、単一コピー欠失、二倍体正常コピー、低レベルコピー数増幅または高レベルコピー数増幅を表す遺伝子レベルコピー数推定値(GISTIC2閾値)、すなわち、−2、−1、0、1、2が示されている。(D)Logコピー数の値に対するCSNK1D Log mRNA発現の散布図(972名の乳癌患者)。(E)示されている乳癌細胞系およびMCF10A乳房上皮細胞におけるCK1δおよびCK1εタンパク質発現。(F)SR−3029の化学構造。(G)示されている乳癌細胞系におけるSR−3029の抗増殖能力。データはビヒクルに対する増殖率(%)としてプロットされている(n=6)。(H)SR−3029またはビヒクルの存在下の、示されている細胞のクローン原性増殖および生存(n=3;p=0.0008)。(I)示されている用量のSR−3029での72時間の処理の後のPI/アネキシンV FACSによるアポトーシス率(%)(n=3;***,左から右へ p=0.0007および0.0001)。(J)左,CK1δまたはGFPをSR−3029の存在下または非存在下で過剰発現するMDA−MB−231細胞のクローン原性増殖(n=3;***,p=0.001,**,p=0.0035)。右,48時間における30nM SR−3029の存在下または非存在下のCK1δ過剰発現を証明するウエスタンブロット。(K)非標的化(NT)またはCK1δ siRNAでのMDA−MB−231のトランスフェクションの5日後、相対的増殖(左;n=3,siδ1;p=0.01,siδ2;p=0.003)および細胞死率(%)(トリパンブルー排除によるもの)を測定した(右;n=3,siδ1;p=0.01,siδ2 p=0.027)。(L)CK1δのノックダウンを証明しているが、CK1εのノックダウンを証明していないqPCRデータおよびイムノブロット(n=3;***,p<0.0001)。 CK1δ/CK1εの阻害はインビボでの同所性乳房腫瘍増殖を妨げる。(A)MD1−MB−231−luc腫瘍の増殖および樹立に対するCK1δ/CK1εインヒビターの効果を経時的に発光強度によりモニターした。マウスを20mg/kgのSR−3029またはビヒクル(10:10:80,DMSO:Tween−80:水)で1日1回、腹腔内注射により処理した。矢印は治療の開始を示す(各コホートに関してn=8,**,p=0.01)。(B)発光による腫瘍サイズおよび(C)総腫瘍サイズ(第55日におけるもの)の比較。代表的な腫瘍が示されている。(D)前記のとおりビヒクル(黒線)またはSR−3029(青線)で処理されたマウスにおける、示されているTNBC腫瘍モデルの増殖曲線。矢印は初回投与の時機を示す(各コホートに関してn=8〜10;**,p=0.01;***,p=0.0008)。(E)ビヒクルおよびSR−3029で処理されたMDA−MB−231腫瘍の連続切片上のTUNEL染色(代表的なイメージが示されている)(白線スケール=200μm)。(F)(D)において示されている研究に対応するカプラン−マイヤー生存曲線(p値は、対数順位検定を用いて計算された)。(G)SR−3029(青線)またはビヒクル(黒線)で毎日処理されたマウスの体重を8週間追跡した(n=8〜10)。 CK1δのサイレンシングまたは阻害は乳房腫瘍退縮を誘発し、PDX乳房モデルの成長を効率的に阻止する。(A)左,qPCRデータであり、これは、Dox(0.3μg/ml)でのMDA−MB−231−shCK1δ発現細胞の処理の後のCK1δの効率的なノックダウンを証明しているが、CK1ε転写産物のそれは証明していない(n=3;***,p=0.0003)。右,対応するCK1δタンパク質発現。(B)Dox誘導性CK1δまたは非標的化(NT)shRNAを発現する細胞を1μg/ml Doxで72時間処理し、shRNAに抵抗性である、CK1δまたはGFP cDNAを発現するベクターでトランスフェクトした。更に72時間の後、MDA−MB−231−shCK1δ(黒色)および非標的化shRNAを発現する細胞(NT− 白色)において、トリパンブルー排除により細胞死率(%)を測定した(n=4;***,p=0.0001)。(C)Dox(固形飼料中で自由摂取で投与される;200mg/kg)の存在下または非存在下のマウスにおける同所性MDA−MB−231−shCK1δ腫瘍の成長をキャリパー測定でモニターした(各コホートに関してn=8,**,p=0.006)。矢印はDoxの添加を示す。(D)Dox投与の開始の7日後の3匹の独立したマウスから単離された腫瘍組織におけるCK1δノックダウン。(E)ヒト正常乳房または3つの独立したBMC−4013 PDX腫瘍の抽出物におけるCK1δ発現を比較する免疫ブロット。(F)ビヒクル(黒線)またはSR−3029(青線)で処理されたマウスにおけるBCM−4013 PDX腫瘍の増殖曲線。矢印は初回投与の時機を示す(各コホートに関してn=12;***,p=0.0002)。(G)(F)において示されている研究に対応するカプラン−マイヤー生存曲線(p値は、対数順位検定を用いて計算された)。(H)ビヒクルおよびSR−3029で処理されたBMC−4013腫瘍の連続切片上のTUNEL染色(代表的なイメージが示されている)(白線スケール=200μm)。 Wnt/β−カテニン経路のモジュレーションはCK1δの活性および阻害に関するバイオマーカーである。(A)CK1δを過剰発現するヒト乳房腫瘍において有意に富むWnt経路遺伝子(変化倍数>2、p値<0.05)(赤色はCK1δ遺伝子)。(B)示されている乳癌細胞系における核β−カテニンおよび細胞質β−カテニンに対するSR−3029(+)またはビヒクル(−)処理(18時間、30nM)の効果の比較。(C)SR−3029もしくはビヒクルでの18時間の処理の後またはCK1δ siRNAでのトランスフェクションの後のMDA−MB−231細胞(48時間の時点で集められた)における活性β−カテニン(ABC)の発現。(D)示されているshRNAの発現を活性化するための1μg/ml Doxでの5日間の処理の後の又は漸増用量のSR−3029で6時間処理されたMDA−MB−231細胞におけるTCF依存性ルシフェラーゼ活性の阻害(n=3;,p=0.013;***,p=0.0002)。(E)示されているタンパク質の発現、および(F)mRNAに関する、それぞれ免疫ブロットまたはqPCRによる、CK1δの阻害(左,100nM SR−3029での24時間の処理)またはノックダウン(右,トランスフェクションの48時間後)の効果(n=3)。(G)100nM SR−3029での処理の24時間後の、示されているmRNAの発現(n=3;,p<0.05;**,p<0.01;***,p<0.001;SFRP1 p=0.0003;WNT3 p=0.001;WNT9A p=0.0007;MYC p=0.0271;CCND1 p=0.0054;CD44 p=0.0071)。(H)CK1δ shRNA発現(+/− 1μg/ml Doxで72時間)およびそれに続く1μg/ml Wnt−3aでの3時間の処理の存在下または非存在下のHEK293T細胞におけるTCF依存性ルシフェラーゼ活性(***,p=7.23E−05および5.57E−06、左から右へ)。(I)TCF依存性ルシフェラーゼレポーターを安定に発現するHEK293T細胞を、対照ベクターまたはβ−カテニンの構成的に活性な(核)突然変異体(S33Y)でトランスフェクトし、SR−3029の存在下または非存在下で一晩インキュベートした後、組換えWnt−3aを加えた(3時間)(3つの独立した実験の代表例が示されている;***,p=0.0004(左)および0.0002(右))。(J)ABC発現に関する免疫染色(白線スケール=200μm)。(K)非標的化(NT)またはβ−カテニンshRNAを発現するレンチウイルスによる、示されている細胞系の感染の4日後の相対的増殖(n=3;左から右へ;,p=0.05,***,p=0.0009,***,p=0.001,***,p=0.001)および対応するウェスタンブロット(右パネル)。 CK1δはヒト乳癌におけるWnt/β−カテニンシグナル伝達の必要かつ十分な駆動因子である。(A)空ベクターまたはβ−カテニン−S33YでトランスフェクトされたMDA−MB−231細胞においてSR−3029の存在下または非存在下の72時間後に測定された細胞増殖(左)およびアポトーシス(右)(n=4;,p=0.05)。(B)Dox(4日間、1μg/ml)で処理されたMDA−MB−231−shCK1δ細胞を空ベクターまたはβ−カテニン−S33Yでトランスフェクトし、72時間後に細胞数を測定した(n=3;***,p=0.001)。(C)CK1δまたはGFPを過剰発現するように操作されたMCF7細胞における核および細胞質β−カテニンの発現。下,ヒストンH4に対して正規化された核β−カテニン発現の定量(n=3;,p=0.02)。(D)CK1δまたはGFPを過剰発現するMCF7細胞におけるABCに関する免疫染色(白線スケール=200μm)。(E)MCF7−CK1δ細胞およびMCF7−GFP細胞におけるβ−カテニン標的のqPCR分析の比較(n=3;**,p=0.01;***,p=0.001)。(F)CK1δの過剰発現およびサイクリンD1の増加を証明する免疫ブロット。(G)CK1δを過剰発現するMCF7細胞およびGFPを過剰発現するMCF7細胞のクローン原性増殖に対するSR−3029の効果の比較(n=6;左から右へ;**,p=0.01,**,p=0.002)。(H)β−カテニンshRNAレンチウィルスによる感染の4日後のMCF7−CK1δおよびMCF7−GFP細胞の増殖(n=3,左から右へ;***,p=0.0006;**,p=0.004,**,p=0.001)。右パネル,CK1δの過剰発現およびβ−カテニンのノックダウンを示す免疫ブロット。 CK1δはインビボでのWnt/β−カテニンシグナル伝達の駆動因子である。20mg/kg SR−3029またはビヒクルで7日間毎日処理されたマウスからのMDA−MB−231腫瘍における、(A)核および細胞質β−カテニンの発現の比較、ならびに(B)示されているmRNAの発現の比較(n=4;,p=0.05;**,p=0.01;***,p=0.001)。(C)第7日における腫瘍のサイクリン−D1タンパク質発現に対するSR−3029の効果。右パネルは定量である(n=3;**,p=0.01)。(D)腎乳頭細胞癌(腎乳頭)および膀胱癌腫瘍におけるCSNK1Dコピー数増幅(TCGA)の頻度(TCGA)。(E)腎乳頭細胞癌(n=172)および膀胱癌(n=220)におけるCSNK1D DNAコピー数とCK1δ発現との相関。(F)示されている癌型に関する、Wnt/β−カテニン経路遺伝子とCK1δシグネチャーリストとの間の有意な重複を示す−log10p値(p<0.05,変化倍数>1.5)(赤線は有意性の閾値である,p=0.05)。
実施例
研究設計
この研究は、ヒト乳癌におけるCK1δおよびCK1εの関与を評価するために、ならびにヒト乳癌の前臨床モデルにおける社内の高特異的二重CK1δ/CK1εインヒビターの有効性を研究するために設計された。5つのヒト同所性乳房異種移植モデル、薬理学的および遺伝学的研究を用いて、このキナーゼを過剰発現する乳癌のサブセットにおける標的化CK1δを検証した。検出力分析は、90%の信頼度に関する各群内の腫瘍体積の標準偏差および群間の腫瘍体積の差異に基づいて、少なくとも7以上のnが必要であることを示唆した。したがって、本発明者らの実験は実験または対照(ビヒクル)コホート当たり7〜12匹の腫瘍担持マウスを含み、ここで、コホート間の腫瘍サイズ中央値が同じになるように無作為サンプリングを決定するために、マウスは処理(治療)前に無作為化された。全ての腫瘍サイズは実験期間を通して測定され、いずれのサンプルをも除外することなく図面においてグラフ化された。生存分析のために、マウスを、瀕死状態になったとき、および/または腫瘍が潰瘍化し若しくは1.2cm以上に達したときに、安楽死させた。細胞に基づく全てのアッセイは三重重複で行い、少なくとも3回反復した。
マウスの異種移植腫瘍モデルおよび生物発光イメージング
全ての動物実験はScripps Florida IACUCにより承認されている。MDA−MB−231−Luc、MDA−MB−231、MDA−MB−468、SKBR3またはBT474細胞の安定プールを、6週齢雌無胸腺ヌードマウス(Charles River Laboratories)の乳房脂肪パッド内への2×10個の癌細胞の注射により確立した。BCM−4013患者由来異種移植片の確立は記載どおりであった(19)。簡潔に説明すると、新鮮な異種移植腫瘍断片(〜約1mm)をレシピエントSCID/Bgマウス(Charles River Laboratories)の透明化乳房脂肪パッド内に移植した。毎日のi.p.注射により20mg/kgのSR−3029またはビヒクル(10:10:80,DMSO:Tween−80:水)でマウスを処理した。ルシフェリン(15mg/ml,Goldbio Technology)の皮下注射の後、キャリパーを使用して、またはIVIS 100イメージャ(露出時間,1〜60秒;ビンニング8;視野15cm;絞り値1;オープンフィルター)を使用する発光イメージングにより、示されている間隔で腫瘍体積を測定した。Living−Image(Xenogen)分析ソフトウェアを使用して、腫瘍関心領域(ROI)から平均放射輝度(p/s/cm/sr)を決定した。
細胞増殖およびクローン原性アッセイ
SR−3029またはビヒクル処理の72時間後、Cell−Titer Glo(Promega)を製造業者の指示に従い使用して、細胞増殖を測定した。非線形回帰および4パラメータアルゴリズム(GraphPad Prism5)を使用して、EC50値を決定した。クローン原性アッセイのために、6ウェルディッシュ内で500〜1000細胞/ウェルの密度で三重に細胞をプレーティングした。一晩のインキュベーションの後、SR−3029またはビヒクル(DMSO)を培地に72時間加え、細胞を7〜10日間増殖させ、その間に化合物の非存在下で2〜3日ごとに培地を交換した。コロニーを4% パラホルムアルデヒド/PBS中で固定し、50% エタノール中の0.5% メチレンブルーで室温で1時間染色し、水で脱染色した。低倍率光学顕微鏡を使用して、50個を超える細胞を有するコロニーを計数した。
試薬、細胞系およびトランスフェクション
特に示されていない限り、全ての化学物質はSigma Aldrichから購入した。MDA−MB−231、MDA−MB−436、MDA−MB−468、HS578T、BT474、SKBR3、MDA−MB−453、MCF7およびT47D乳癌細胞ならびに不死MCF−10A乳房上皮細胞はAmerican Type Culture Collection(ATCC)からのものであった。CK1δおよびCK1εのノックダウンのために、siRNA二本鎖を製造業者の説明(Qiagen)に従い調製し、特異的ノックダウン条件を、HiPerfectトランスフェクション試薬(Qiagen)を使用して最適化した。20nM 全siRNAの最終濃度を用いてノックダウンを達成した。FuGene6(Roche)を、製造業者の説明に従い、DNAトランスフェクションに使用した。
レンチウイルス・トランスダクション
CK1δ(Y3989−Lv105−0200,GeneCopoeia)、GFP(EGFP−Lv105−0200,GeneCopoeia)、ルシフェラーゼまたはTCFレポーター7TFP(Addgene,Roel Nusse)を発現するレンチウイルスベクターをpPACKH1パッケージングプラスミドと共にHEK293T細胞にコトランスフェクトして、製造業者の推奨(System Biosciences)に従いレンチウイルス粒子を得た。特定のshRNAを安定に発現させるために、推奨プロトコール(38)に従い、shRNAオリゴヌクレオチドをTet−pLKO−Puroベクター内にクローニングし、Mission Packaging System(Sigma)を使用してレンチウイルスを作製した。MDA−MB−231細胞を最適化力価のレンチウイルスでトランスダクションし、ピューロマイシン(1μg/ml)またはブラスチシジン(ルシフェラーゼレンチウイルスの場合には5μg/ml)を含有する培地内で選択して、安定感染プールを増殖させた。
免疫ブロット法
NuPAGE 4−12% Bis−Trisゲル(Invitrogen)を使用してSDS−PAGEゲル電気泳動を行い、トランス−ブロットトランスファー媒体(Biorad)を使用する半乾燥トランスファーによりPVDF膜に移した。膜をOdysseyブロッキングバッファー(LI−COR Biosciences)中でブロッキングし、一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。TBST(20mM トリス,pH7.6,140mM NaClおよび0.1% Tween−20)での反復洗浄の後、ブロットを適切なIRDye結合二次抗体(LI−COR Biosciences)と共にインキュベートし、LI−COR Odysseyを使用してイメージングした。Odysseyソフトウェア(LI−COR Biosciences)を使用してバンドを定量した。この研究においては以下の抗体を使用した:CK1δおよびHistone H4(Abcam)、CK1ε、c−Myc(9E10)、サイクリン−D1およびβ−アクチン(Santa Cruz)、β−カテニン(Cell Signaling)、GAPDH(Millipore)およびCD44(R&D Systems)。
定量的リアルタイムPCR
RNeasy Plus Mini Kit(Qiagen)を使用して全RNAを得、1〜2μgのRNAをSuperscript III First Strand Synthesis System(Life Technologies)で逆転写した。Power SYBR Green PCR Master Mix(Life Technologies)およびABI7900HT Fast Real−Time PCR Systemを使用して、定量的PCRを行った。ΔΔ法を用いてGAPDH mRNA発現に対して正規化することにより得られた各関心遺伝子に関する相対発現値およびPrimer3アルゴリズムを使用して、イントロンにわたる遺伝子特異的プライマーペアを設計した。
免疫細胞化学およびH&E染色
凍結切片におけるアポトーシス検出のために、腫瘍および小腸を10% 緩衝化ホルマリン中で2時間固定し、20% スクロース中で一晩インキュベートし、OCT中で包埋した。凍結切片(5μM)をマウントし、ApopTag Red In Situ Kitを製造業者の説明(CHEMICON)に従い使用して染色した。H&E染色のために、組織を10% 緩衝化ホルマリン中で48時間固定し、70% エタノール/PBSに移し、パラフィン中で包埋した。脱パラフィン(AML Laboratories)後、5μM 切片上で染色を行った。
フローサイトメトリー
6ウェルディッシュ内に三重重複で播かれた2×10個の細胞をSR−3029またはビヒクルと共に72時間培養した。ついで細胞を回収し、Annexin V−FITCアポトーシス検出キット(BioVision)を製造業者の説明に従い使用してアネキシンV−FITCおよびPIで染色し、LSRI IIフローサイトメーター(Becton Dickinson)使用して分析した。スタウロスポリン(Cell Signaling)処理細胞(1μM)を陽性/補正対照として使用した。
TCFレポーターアッセイ
TCFルシフェラーゼレポーター7TFP(39)を安定に発現するMDA−MB−231またはHEK293細胞をβ−カテニン−S33Yまたは空ベクター(pcDNA)でトランスフェクトした。18時間後、細胞を6000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート上に播いた。24時間後、細胞をSR−3029またはビヒクルで処理し、6時間インキュベートした後、1μg/ml 組換えヒトWnt3a(R&D Systems)またはPBSを加えた。3時間後、BriteLite Plus(Perkin Elmer)(これは等体積で培地に直接添加された)を使用してレポーターアッセイを行い、Spectramaxプレートリーダー(Molecular Devices)を使用して発光を読取った。
バイオインフォマティクス分析
癌ゲノムアトラス(TCGA)データ検索;乳癌(BRCA)、腎乳頭状細胞癌(KIRC)および膀胱癌(BLCA)遺伝子発現およびコピー数データセットをTCGAポータル(http://tcga−data.nci.nih.gov/)からダウンロードした。発現プロファイリングのために、RNASeqV2プラットフォームからの20,475遺伝子のレベル3発現データをダウンロードした。
遺伝子発現プロファイリング分析のために、期待値最大化(RSEM)正規化カウントによるRNA配列決定(RNA−Seq)を用いて、TCGA乳癌データセットからのRNASeqV2データに関する遺伝子発現推定を分析した。Log正規化カウントをGeneSpring GX V12.1(Agilent Technologies)内にインポートした。各データセット(919個の乳房、228個の腎臓および260個の膀胱癌サンプル)に関する全サンプルの中央値としてベースライン変換を設定した。
CK1δ遺伝子シグネチャーリストを特定するために、上方の100個および下方の100個の乳房腫瘍サンプル(CK1δ−高群およびCK1δ−低群)または上部および下部四分位(より小さいデータセットに関するもの)(腎癌および膀胱癌)を、CK1δ(CSNK1D)発現に基づいて定めた。20,501個の遺伝子のうち、少なくとも1つのサンプルにおける中央値より高い発現を示す遺伝子のみを下流分析のためにフィルターした。GeneSpring Volcano Plot機能を使用して、CK1δ高およびCK1δ低群間の差次的発現遺伝子を特定した。統計的検定パラメーターを以下のとおりに設定した:選択された検定、独立t検定;p値計算、漸近的多重検定補正、Benjamini−Hochberg。補正p値カットオフを0.05に設定した。変化倍数カットオフは、本文中に示されているとおりであった。はテキストに示された通りであった。
ヒートマップを作製するために、GeneSpring階層クラスタリングアルゴリズムを使用した。類似尺度はピアーソン中心に設定し、リンケージ規則は平均に設定した。Ingenuity Pathway Analysisソフトウェア(Qiagen)を使用して、乳癌データセットにおけるCK1δ遺伝子シグネチャーとの重複を有するカノニカル経路を同定した。有意性に関してはフィッシャー直接検定を用いた(p値<0.05)。追加的癌データセットの分析のために、IPA Wnt/β−カテニンシグナル伝達遺伝子(172個の遺伝子)のリストをGeneSpring内にインポートし、CK1δシグネチャーリストとの重複のp値を、GeneSpringソフトウェア(重複確率の式)を使用して計算した。
コピー数分析、TCGA RNA−seqおよびGISTIC2閾値化コピー数データを、CSNK1D RNA−Seq発現に基づいて処理した。相関を確認するために、log mRNA発現およびlog コピー数値に基づいて、GraphPad Prism 6において散布図を作成した(40)。GraphPad Prism 6を使用して、ピアソンrおよびp値を計算した。
統計分析
特に示されていない限り、図面における全ての値は平均±SEとして示されている。生存曲線は、カプラン−マイヤー法を用いて計算し、曲線間の差は、対数順位検定により決定した。相関係数は、ピアソン検定を用いて計算した。バイオインフォマティクス分析に関する詳細な情報は前記に示されている。全ての他の実験は、エクセルまたはプリズムにおいてスチューデント両側t検定を用いて分析した。ここで、0.05以下のp値が有意だとみなされた。
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本明細書中で言及されている全ての特許および刊行物を、各個の刊行物の全体が参照により本明細書に組み入れられると具体的かつ個別に示されている場合と同様に、参照により本明細書に組み入れることとする。
用いられている用語および表現は記述の用語として用いられており、限定的なものではなく、また、そのような用語および表現の使用においては、示され記載されている特徴またはその一部のいずれの均等物をも除外する意図は無く、特許請求されている本発明の範囲内で種々の修飾が可能であると認識される。したがって、本発明は好ましい実施形態および随意的特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示されている概念の修飾および変更が当業者によって施されることが可能であり、そのような修飾および変更は、添付の特許請求の範囲により定められる本発明の範囲内とみなされると理解されるべきである。

Claims (13)

  1. 式(I)
    Figure 2018538241

    [式中、
    各Rは、独立して選択される水素もしくは(C−C)アルキルであり、または窒素原子に結合した2個のR基は該窒素原子と一緒になって、O、SおよびNR’(ここで、R’は水素または(C−C)アルキルである)からなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を所望により更に含んでいてもよい5〜7員ヘテロシクリルを形成しうるものであり;
    Arはアリールまたは5員もしくは6員ヘテロアリールであり、これは置換されていないか、または1〜3個の独立して選択されるハロ、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシル、シアノ、ニトロ、C(=O)NR、OC(=O)NR、N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)RまたはC(=O)ORで置換されている;
    Hetは単環式または二環式ヘテロアリールであり、これは置換されていないか、または1〜3個の独立して選択されるハロ、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシル、シアノ、ニトロ、C(=O)NR、OC(=O)NR、N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)RまたはC(=O)ORで置換されている]
    の化合物またはその医薬上許容される塩の有効な量または濃度とカゼインキナーゼ1δ(CK1δ)を接触させることを含む、カゼインキナーゼ1δ(CK1δ)の阻害方法。
  2. 式(I)の化合物がSR−3029
    Figure 2018538241

    またはその医薬上許容される塩である、請求項1記載の方法。
  3. 式(I)
    Figure 2018538241

    [式中、
    各Rは、独立して選択される水素もしくは(C−C)アルキルであり、または窒素原子に結合した2個のR基は該窒素原子と一緒になって、O、SおよびNR’(ここで、R’は水素または(C−C)アルキルである)からなる群から選択される1または2個のヘテロ原子を所望により更に含んでいてもよい5〜7員ヘテロシクリルを形成しうるものであり;
    Arはアリールまたは5員もしくは6員ヘテロアリールであり、これは置換されていないか、または1〜3個の独立して選択されるハロ、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシル、シアノ、ニトロ、C(=O)NR、OC(=O)NR、N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)RまたはC(=O)ORで置換されている;
    Hetは単環式または二環式ヘテロアリールであり、これは置換されていないか、または1〜3個の独立して選択されるハロ、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシル、シアノ、ニトロ、C(=O)NR、OC(=O)NR、N(R)C(=O)OR、N(R)C(=O)RまたはC(=O)ORで置換されている]
    の化合物またはその医薬上許容される塩の有効量を、癌に罹患した患者に投与することを含む、癌の治療方法。
  4. 癌が、CK1δおよびβ−カテニンの両方の発現レベルのアップレギュレーションを示す癌である、請求項3記載の方法。
  5. 癌が乳癌、黒色腫、膠芽腫、髄芽腫、腎癌、膀胱癌もしくは結腸癌であり、または脳、肺もしくは骨に転移する癌であり、ただし、この場合、CK1δおよびβ−カテニン依存性の両方の上昇がそれらの転移性疾患に関与している、請求項3記載の方法。
  6. 乳癌が三種陰性サブクラスの乳癌(TNBC)またはHER+ 乳癌である、請求項4記載の方法。
  7. 式(I)の化合物がSR−3029
    Figure 2018538241

    またはその医薬上許容される塩である、請求項3記載の方法。
  8. 癌の治療のための、請求項1記載の式(I)の化合物。
  9. 該化合物がSR−3029
    Figure 2018538241

    またはその医薬上許容される塩である、請求項8記載の化合物。
  10. 癌が乳癌、黒色腫、膠芽腫、髄芽腫、腎癌、膀胱癌もしくは結腸癌であり、または脳、肺もしくは骨に転移する癌であり、ただし、この場合、CK1δおよびβ−カテニン依存性の両方の上昇がそれらの転移性疾患に関与している、請求項8記載の化合物。
  11. 乳癌が三種陰性サブクラスの乳癌(TNBC)またはHER+ 乳癌である、請求項10記載の化合物。
  12. 患者におけるCK1δのレベルおよびβ−カテニンのレベルを決定すること、ならびにそれらのレベルの両方が上昇している場合には、抗癌薬としてCK1δインヒビターを選択することを含む、患者における癌の治療に有効な抗癌薬を特定する方法。
  13. CK1δおよびβ−カテニンレベルの上昇が患者において存在するかどうかを決定すること、ならびに両方のレベルが上昇している場合には、治療レジメンのためにCK1δインヒビターを選択することを含む、乳癌、黒色腫、膠芽腫、髄芽腫、または腎臓、膀胱もしくは結腸癌、または脳、肺もしくは骨に転移する癌の、患者における治療方法。
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