したがって、本発明は、上記欠点の1つ以上を単独で、又は任意の組み合わせで好適に緩和、低減、又は排除することを目的とする。
本発明の一側面によれば、受電装置に電力を誘導的に伝送するための給電装置が提供され、前記給電装置は、前記受電装置に電力をワイヤレス伝送するための電力伝送信号を生成する送信側コイルを含む共振回路と、前記共振回路のために、駆動周波数を有する駆動信号を生成するドライバと、前記送信側コイルの測定電流と前記送信側コイルの目標電流との間の差を示すコイル電流誤差指標を決定するエラーユニットと、通信時間間隔中に前記受電装置によって前記電力伝送信号上に負荷変調されたメッセージを受信するための受信機と、前記コイル電流誤差指標に応じて前記送信側コイルを流れる電流を制御する制御ループであって、前記制御ループは、通信時間間隔中にアクティブである、制御ループとを備え、少なくとも通信時間間隔中、前記制御ループのループ応答は、低減された制御範囲外のコイル電流誤差指標と比較して、前記低減された制御範囲内のコイル電流誤差指標について減衰され、前記低減された制御範囲は、ゼロコイル電流誤差に対応するコイル電流誤差指標値を含む。
本発明は、多くのワイヤレス電力伝送システムにおいて改善されたパフォーマンスを提供することができる。本発明は、電力制御と負荷変調通信とのトレードオフ及び共存/協調を改善し得る。具体的には、多くの実施形態において、同時アクティブ電力制御及び負荷変調通信を可能にしたり、又は改善し得る。これは、通信の改善及び/又は電力制御の改善をもたらすことができる。
本発明は、特に、多くの実施形態において、受電装置の速い負荷変動に対する改善された反応及び低減された全体的感度を可能にする。電力制御の反応時間が大幅に改善され、典型的には、より安定した制御が達成され得る。これは、負荷変調を用いた通信を依然として実施可能にする、又は場合によっては改善さえすることによって達成され得る。
本発明は、特に、共振モードで動作するワイヤレス電力伝送システムのパフォーマンスを改善し得る。実際には、発明者は、従来の時分割電力制御及び負荷変調は、通常、誘導方式/モードで動作するシステムについては許容可能なパフォーマンスをもたらし得るが、共振モードで動作するシステムについては、多くのシナリオで問題を有し得ることを認識した。特に、発明者は、共振モードのシステムでは、コイル電流の急速かつ大きな変化が生じ、これにより、誤動作が、又は場合によっては受電装置の故障さえ発生するおそれがあることを認識した。
このような課題及び問題は、本明細書に係るアプローチでは、負荷変調による通信と同時に送信コイル電流を制御するための電力制御ループを実施可能にする改変されたループ制御の適用によって、多くの場合において緩和され得る。したがって、本明細書に係るアプローチは、通信又は電力制御のいずれかを実行する代わりに(すなわち、これらを時間的に分割する代わりに)、両者が同時に共存することを容易にする又は可能にし得る。特に、本発明は、多くの実施形態において、制御ループが、負荷変調を復調するために使用可能なコイル電流の小さな変動の存在を許容しつつ、より大きいかつ/又はより速い負荷変化に対して素早く効率的に適合及び補償することができる、アプローチを提供し得る。
したがって、このアプローチでは、制御ループは、受電装置からメッセージが受信され得る通信時間間隔中にアクティブであり、すなわち、給電装置は同時に、制御ループを実行し、負荷変調メッセージを受信し得る。アクティブであるとき、制御ループは、コイル電流誤差指標の少なくとも一部の値に関して、送信側コイルを流れる電流を制御/変更するように構成される。
ループ応答の減衰は、具体的には、フィードバック強度、ループ感度、及び/又はループ応答強度の減衰であってもよい。
特に、ループ応答は、低減された制御範囲内のコイル電流誤差指標について、コイル電流誤差指標が低減された制御範囲外の場合と比較して、フィードバック/ループゲイン及び/又はループの更新レートが減少されることによって減衰されてもよい。低減された制御範囲は、ゼロコイル電流誤差を中心として対称であってもよいが、そうでなくてもよい。
通信時間間隔は、給電装置が、受電装置から負荷変調メッセージを受信し得る時間間隔であってもよい。いくつかのシナリオでは、通信時間間隔は、受電装置が実際にメッセージを送信している時間間隔であってもよい。しかし、いくつかのシナリオでは、受電装置は、通信時間間隔内に一切メッセージも送信しない可能性がある。例えば、給電装置は、周期的に繰り返される通信時間間隔において通信を受信できるように構成され得るが、これらの間隔のうちの一部のみが、実際にメッセージを送信するために受電装置によって使用され得る。通信時間間隔は、受電装置からのメッセージのメッセージ持続時間よりも長くてもよい。実際には、いくつかの実施形態では、通信時間間隔は、1つのメッセージから次のメッセージであってもよく、すなわち、給電装置は、連続して通信時間間隔にいるよう構成され得る。このような実施形態では、制御ループは常に減衰されたループ応答を使用し、すなわち、低減された制御範囲内のコイル電流誤差指標の値について、間隔外の値と比較して、ループ応答は常に減衰され得る。
制御ループはネステッドループの一部であってもよく、具体的には、送信側コイルの目標電流を設定する外側制御ループ内の内側制御ループであってもよい。
コイル電流誤差指標は、具体的には、コイル電流誤差、又はコイル電流の単調増加関数であってもよい。コイル電流誤差指標は、具体的には、送信側コイルの測定電流の単調増加関数と、送信側コイルの目標電流の単調増加関数との差の単調増加関数であってもよい。
本発明のオプションの特徴によれば、制御ループのループゲイン及び更新レートのうちの少なくとも1つは、低減された制御範囲内のコイル電流誤差指標について、実質的にゼロである。
これは、多くの実施形態において、特に有利な動作及び/又は実装を提供し得る。特に、負荷変調に起因する電流変動に減衰を導入しない制御ループによって、復調パフォーマンスが改善され得る。さらに、多くの実施形態において、複雑さの低い実装を可能にし得る。
本発明のオプションの特徴によれば、給電装置は、通信時間間隔外において、通信時間間隔中よりも強いループ応答を有し、同一の絶対値を有するが符号が反対のコイル電流誤差に対して同じ絶対ループ応答を提供する対称ループ応答を有し、かつ、同じ絶対値を有するが符号が反対のコイル電流誤差に対して異なる絶対ループ応答を提供する、少なくとも一部のコイル電流誤差のための非対称ループ応答を有するように制御ループを制御するアダプタを備える。
これは、改善されたパフォーマンスを提供し、特に、多くのシナリオにおいて、効率的な負荷変調通信の実施を許容しつつ、改善された電力制御を提供し得る。このアプローチは、具体的には、非通信時間間隔中の改善された電力制御を可能にし、例えば、コイル電流の完全な最適化を可能にし得る。通信時間間隔中では、より弱い制御(例えば、より遅い及び/又はより高いエラーレベルを許容する)が適用され、これは、より最適でない電力制御を提供し得るが、通信パフォーマンスを許容し得る。
本発明のオプションの特徴によれば、アダプタは、通信時間間隔外において、コイル電流誤差指標の少なくとも一部の値について、通信時間間隔中よりも、より高いループゲイン及びより高いループ更新レートのうちの少なくとも1つを適用するように構成される。
これは、改善されたパフォーマンスを提供し、特に、多くのシナリオにおいて、効率的な負荷変調通信の実施を許容しつつ、改善された電力制御を提供し得る。
本発明のオプションの特徴によれば、給電装置はさらに、受電装置からのメッセージのための所定のプリアンブルパターンを受信機が検出することに応じて、通信時間間隔の開始を決定するように構成された通信タイマーを備える。
これは、特に効率的なアプローチを提供することができる。例えば、多くの実施形態では、プリアンブルは、前記より強いループ応答が適用されるとき、(個々のビット値の検出とは対照的に)十分に高い確率で検出可能な拡張パターンであってもよい。したがって、受電装置が実際にメッセージを送信していることが検出されるまで、電力制御が最適化され得る。プリアンブルを検出することによって、これが検出された場合、給電装置は、低減された制御範囲内のコイル電流誤差指標について減衰されたループ応答を有するより弱い制御応答に切り替えることができる。したがって、通信時間間隔中、給電装置は、個々のビットを復調可能でありながら、例えば大きな負荷変動に反応するために、電力制御をアクティブにすることができる。
本発明のオプションの特徴によれば、給電装置はさらに、少なくとも一部の通信時間間隔を、周期的に繰り返される時間間隔として決定する通信タイマーを備える。
これは多くの実施形態において、特に効率的なアプローチを提供し得る。
本発明のオプションの特徴によれば、アダプタは、通信時間間隔外で、低減された制御範囲のサイズを減少させるように構成される。
これは、通信時間間隔外において制御パフォーマンスを向上させ、具体的には、存在することが許容されるコイル電流誤差を減少させ得る。特に、低減された制御範囲は、通信時間間隔外においてゼロに減少させられ得る。
本発明のオプションの特徴によれば、アダプタは、通信時間間隔中に非対称ループ応答を使用し、通信時間間隔外において対称ループ応答を使用するように制御ループを制御するように構成される。
これは、多くのシナリオにおいて改善されたパフォーマンスを提供し、特に、電力制御の影響を低減することによって負荷変調を改善しつつ、例えば、電力伝送の電力が過剰に高くなるシナリオに対処するために、いくらかの電力制御が依然として存在することを確保し得る。
したがって、ループ応答は、通信時間間隔中ではコイル電流誤差(指標)について非対称であるが、通信時間間隔外では対称であり得る。具体的には、アダプタは、通信時間間隔中、コイル電流誤差指標について非対称であるループ応答に切り替えるように構成されてもよい。
本発明のオプションの特徴によれば、非対称応答は、送信側コイルを流れる電流の増加を許容しないように構成される。
これは、多くのシナリオにおいて改善されたパフォーマンスを提供し、特に、電力制御の影響を低減することによって負荷変調を改善しつつ、電力伝送の電力が過剰に高くなるシナリオに対処するために、電力制御が依然として存在することを確保し得る。
非対称応答は、目標値を上回るコイル電流を示すコイル電流誤差指標についてのみ、コイル電流誤差指標に応じてデューティサイクル及び電圧振幅のうちの少なくとも1つを変更するように構成されてもよい。
本発明のオプションの特徴によれば、制御ループの絶対フィードバックゲイン及び更新レートのうちの少なくとも1つは、コイル電流誤差指標の絶対の単調増加関数である。
これは、改善されたパフォーマンス、特に改善された電力制御を提供し得る。これは、高い変動に対する補償を向上させつつ、より小さい負荷変動に対する補償をより小さくすることを可能にし、そのような変動をもたらす負荷変調の検出を容易にし得る。
一部の実施形態では、制御ループの絶対フィードバックゲイン及び更新レートのうちの少なくとも1つは、通信時間間隔中においてのみ、絶対コイル電流誤差指標の単調増加関数であってもよい。しかし、多くの実施形態では、制御ループの絶対フィードバックゲイン及び更新レートのうちの少なくとも1つは、通信時間間隔中及び通信時間間隔外の両方において、コイル電流誤差指標の単調増加関数であり得る。
本発明のオプションの特徴によれば、制御ループは、異なるループ応答を有する複数のモードをサポートするように構成され、複数のモードは、他のモードのループ応答と比較して、ループ応答が減衰される低減された制御モードを含み、さらに、コイル電流誤差指標に応じて制御ループのモードを切り替えるように構成されたアダプタを備え、アダプタは、コイル電流誤差指標が低減された制御範囲内にあるとの判定に応じて、低減されたモードに切り替える。
これは、特に効率的なアプローチ及び/又は実装を提供し得る。
本発明のオプションの特徴によれば、制御ループは、受電装置から受信した電力制御メッセージに応じて目標電流を決定するように構成される。
これは、例えば、受電装置によってフィードバックが提供されるより遅い外側ループを使用する効率的なネステッド電力制御を可能にし、一方で、給電装置において実施されるより速い内側ループは、例えば負荷変化に対する迅速な適応を可能にし得る。
本発明のオプションの特徴によれば、制御ループは、駆動信号のデューティサイクル、駆動周波数、及び電圧振幅のうちの少なくとも1つを制御することによって、電流を制御するように構成される。
これは、特に魅力的なパフォーマンスを提供し、特に、共振モードでのワイヤレス電力伝送をサポートする実装、特に、駆動モードが給電装置及び/又は受電装置の電力伝送共振回路の共振周波数にリンク/固定された共振モードでの動作でのワイヤレス電力伝送をサポートする実装を可能にし得る。
本発明の一側面によれば、給電装置と受電装置を備えるワイヤレス電力伝送システムが提供され、前記給電装置は前記受電装置に電力をワイヤレス伝送するための電力伝送信号を生成する送信側コイルを含む共振回路と、前記共振回路のために、駆動周波数を有する駆動信号を生成するドライバと、前記送信側コイルの測定電流と前記送信側コイルの目標電流との間の差を示すコイル電流誤差指標を決定するエラーユニットと、通信時間間隔中に前記受電装置によって前記電力伝送信号上に負荷変調されたメッセージを受信するための受信機と、前記コイル電流誤差指標に応じて前記送信側コイルを流れる電流を制御する制御ループであって、前記制御ループは、通信時間間隔中にアクティブである、制御ループとを備え、少なくとも通信時間間隔中、前記制御ループのループ応答は、低減された制御範囲外のコイル電流誤差指標と比較して、前記低減された制御範囲内のコイル電流誤差指標について減衰され、前記低減された制御範囲は、ゼロコイル電流誤差に対応するコイル電流誤差指標値を含む。
本発明の一側面によれば、受電装置に電力を誘導的に伝送するための給電装置の動作方法が提供され、前記給電装置は、前記受電装置に電力をワイヤレス伝送するための電力伝送信号を生成する送信側コイルを含む共振回路を備え、前記方法は、前記共振回路のために、駆動周波数を有する駆動信号を生成するステップと、前記送信側コイルの測定電流と前記送信側コイルの目標電流との間の差を示すコイル電流誤差指標を決定するステップと、通信時間間隔中に前記受電装置によって前記電力伝送信号上に負荷変調されたメッセージを受信するステップと、前記コイル電流誤差指標に応じて前記送信側コイルを流れる電流を制御する制御ループであって、前記制御ループは、通信時間間隔中にアクティブである、制御ループとを備え、少なくとも通信時間間隔中、前記制御ループのループ応答は、低減された制御範囲外のコイル電流誤差指標と比較して、前記低減された制御範囲内のコイル電流誤差指標について減衰され、前記低減された制御範囲は、ゼロコイル電流誤差に対応するコイル電流誤差指標値を含む。
本発明の上記及び他の側面、特徴、及び利点は、以下に記載される実施形態を参照しながら説明され、明らかになるであろう。
以下の説明は、Qi仕様から知られるような電力伝送アプローチを利用するワイヤレス電力伝送システムに適用可能な本発明の実施形態に焦点を当てている。しかし、本発明はこの用途に限定されず、他の多くのワイヤレス電力伝送システムに適用できることが理解されよう。
図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る電力伝送システムの一例を示す。電力伝送システムは、送信側コイル/インダクタ103を含む(又はこれに結合される)給電側101を備える。システムはさらに、受信側コイル/インダクタ107を含む(又はこれに結合される)受電側105を備える。
システムは、給電側101から受電側105へのワイヤレス誘導電力伝送を提供する。具体的には、給電側101は、送信側コイル103によって磁束として伝搬されるワイヤレス誘導電力伝送信号(電力伝送信号、電力伝送信号、又は誘導電力伝送信号とも呼ばれる)を生成する。電力伝送信号は、典型的には約70kHz〜約150kHzの間の周波数を有し、Qi対応システムでは多くの場合、典型的には95kHz〜115kHzの範囲内である。送信側コイル103と受信側コイル107は疎結合されているので、受信側コイル107は、給電側101からの電力伝送信号(少なくともその一部)をピックアップする。したがって、送信側コイル103から受信側コイル107へのワイヤレス誘導結合を介して、給電側101から受電側105に電力が伝送される。電力伝送信号という用語は、主に、送信側コイル103と受信側コイル107との間の誘導信号/磁場(磁束信号)を指すのに使用されるが、同様に、送信側コイル103に供給される、又は受信側コイル107によってピックアップされる電気信号を指すとものとして考えることもでき、これを指すのにも使用され得る。
システムは、実質的な電力レベルを伝送するように構成され、具体的には、多くの実施形態では、給電側は500mW、1W、5W、又は50Wを超える電力レベルをサポートすることができる。例えば、Qi対応アプリケーションの場合、電力伝送は、低電力アプリケーションでは通常1〜5Wの電力範囲内であり、例えばキッチンアプリケーションなどの高電力アプリケーションでは100Wを超え、さらには1000Wを超える場合がある。
図2は、図1のシステムの具体例のシステムアーキテクチャをいくぶんより詳細に示す。この例では、給電側101の出力回路は、送信側コイル103(図2では、送信側コイル103は、明瞭さのために共振回路201の外部に示されているが、一部であると考えられたい)を含む共振タンク又は共振回路201を含む。給電側101の共振回路201は、送信共振回路201とも呼ばれる。共振回路201は、典型的には、直列又は並列共振回路であり、特に、送信側コイル103に対して並列(又は直列)に結合された共振コンデンサからなり得る。電力伝送信号は、適切な駆動周波数(典型的には20〜200kHzの周波数範囲内)の駆動信号を生成するドライバ203から出力共振回路を駆動することによって生成される。
同様に、受電側105の入力回路は、受信インダクタ107(図2では、受信インダクタ107は、明瞭さのために共振回路205の外部に示されているが、一部であると考えられたい)を含む共振タンク又は共振回路205を含む。受電側105の共振回路205は、受信共振回路205又は受信共振回路とも呼ばれる。受信共振回路205は、典型的には、直列又は並列共振回路であり、特に、受信インダクタ107に対して並列(又は直列)に結合された共振コンデンサからなり得る。受信共振回路205は、電力コンバータ207に結合され、電力コンバータ207は、受信された電力伝送信号、すなわち受信共振回路205によって供給される誘導信号を、外部負荷209に供給される電力に変換する(通常は、当業者によく知られているようにAC/DC変換を実行することによって)。
負荷は、例えば、バッテリであってもよく、電力供給は、バッテリを充電するためのものであってもよい。別の例として、負荷は別個の装置であってもよく、電力供給はこの装置に電力を供給するためのものであってもよい。
このシステムにおいて、送信共振回路201の共振回路201は、固定共振回路ではなく、駆動周波数に追従するように制御される可変共振回路である。具体的には、共振回路201の実効共振周波数を適合させるためのアプローチが使用され得る。このアプローチでは、共振回路201の少なくとも1つの(共振する)構成要素の動的状態変化が、周期の一部の間、一時的に減速する(完全に停止し得ることを含む)。
図2のドライバ203は、共振回路に(したがって、共振コンデンサ(図2には図示せず)及び送信側コイル103に)印加される可変(通常はAC)電圧駆動信号を生成する。いくつかの実施形態では、送信共振回路201は直列共振回路であってもよく、電圧駆動信号は、コンデンサ及びインダクタにわたって印加され得る。いくつかの実施形態では、ドライバ203は送信側コイル103に直接(または間接的に)結合され、電圧駆動信号は送信側コイル103に供給され得る。
したがって、システムにおいて、ドライバ203は、送信共振回路201/送信側コイル103に供給される駆動信号を生成し、これにより送信側コイル103は、受電側105に電力を供給する電力伝送信号を生成する。駆動信号は、駆動周波数と呼ばれる所与の周波数を有するように生成され、すなわち、駆動周波数は駆動信号の周波数である。
ドライバ203は、送信側コイル103に供給される電流及び電圧を生成する。ドライバ203は、典型的には、DC電圧から交番信号を生成するインバータの形態の駆動回路である。ドライバ203の出力は、典型的にはスイッチブリッジであり、スイッチブリッジのスイッチの適切なスイッチングによって駆動信号を生成する。図3は、ハーフブリッジスイッチブリッジ/インバータを示す。スイッチS1及びS2は、同時に閉じることがないように制御される。交互に、S2が開いている間にS1が閉じ、S1が開いている間にS2が閉じる。スイッチは、所望の周波数で開閉され、それにより、出力において交番信号を生成する。典型的には、インバータの出力は共振コンデンサを介して送信側コイルに接続される。図4は、フルブリッジスイッチブリッジ/インバータを示す。スイッチS1及びS2は、同時に閉じることがないように制御される。スイッチS3及びS4は、同時に閉じることがないように制御される。交互に、S2及びS3が開いている間にスイッチS1及びS4が閉じられ、S1及びS4が開いている間にS2及びS3が閉じられ、これにより、出力において方形波信号が生成される。スイッチは所望の周波数で開閉される。
上記の説明は、左右のブリッジが180°の位相のずれを有し、最大出力電力又は最大デューティサイクルを提供する場合に対応する。しかし、他のシナリオでは、ブリッジの両半分が部分的な位相のずれを有してもよく、これにより、S2及びS4又はS1及びS3の両方が同時に閉じられてもよい。この状態では、ブリッジ電圧はゼロになるので、このアプローチは、出力電力又はデューティサイクルを最大値から減少させるために使用され得る。
ドライバ203はこれに従って、所与の駆動周波数を有する駆動信号を生成し、この信号を送信共振回路201に印加する。送信共振回路201は、誘導性インピーダンス及び容量性インピーダンスによって形成される。
図5は、給電側101の要素をより詳細に示す。この例では、給電側101は、当業者に知られているように、受電側105への電力伝送を実行及び制御する機能を含む電力伝送コントローラ501を備える。電力伝送コントローラ501は、具体的には、本明細書で記載される差異及び変更を除き、Qi仕様に従って電力伝送を行うために必要な又は望まれる機能を備え得る。
電力伝送コントローラ501は、具体的には、送信共振回路201に結合され、ドライバ203を含む。
上述の電力伝送システムでは、受電側105は、負荷変調を用いて給電側101と通信するように構成される。したがって、給電側101は、受電側105からデータメッセージを受信するように構成された復調器503の形態の負荷変調レシーバを備える。具体的には、復調器503は、電力伝送信号の負荷変調を復調して、受電側105から送信された対応するデータを決定するように構成される。したがって、負荷変調レシーバ/復調器503は、給電側による電力伝送信号の負荷変調を復調するように構成される。
物理レベルでは、受電側105から給電側101への通信チャネルは、ワイヤレス電力伝送信号を通信キャリアとして用いることによって実現される。受電側105は、受信側コイル107の負荷を変調することによってデータメッセージを送信する。
図1の構成では、受電側105はワイヤレス電力伝送信号を負荷変調する。受電側105は、例えば、受信側コイル107に並列に接続されたコンデンサを接続及び切断することにより、受電側105の共振、よって負荷特性を変化させることによって、これを行い得る。これらの変化は、給電側における電力信号の対応する変動をもたらし、具体的には、送信側コイル103の電流及び電圧の変動をもたらす。これらの変化は、給電側101によって直接又は間接的に検出され、受電側105からの負荷変調データを復調するために使用される。
負荷変調は、例えば、駆動信号電流/電圧の振幅及び/又は位相の変化によって、送信側コイル103の電流/電圧の変化によって、及び/又は共振回路の電流/電圧の変化によって検出され得る。別の例として、負荷変調は、ドライバ203(具体的にはインバータ/スイッチブリッジ)への電源の電流の変化によって検出され得る。
受電側105は、対応して電力信号上にデータを負荷変調し、給電側101はその後これを復調し得る。このアプローチは、例えば、http://www.wirelesspowerconsortium.com/downloads/wireless−power−specification−part−1.html(Qiワイヤレス電力仕様書)から入手可能な、“System description, Wireless power Transfer, Volume I:Low Power, Part 1:Interface Definition, Version 1.0 July 2010, published by the Wireless power Consortium”において、特に、第6章:Communication Interface(又は仕様書の後続バージョン)において、Qiに関連して説明されるものに対応し得る。
負荷変調は、具体的には、電力伝送を適合させるために、特に、受電側105から受信した電力制御メッセージに基づいて送信電力レベルを連続的に適合させる電力制御ループを実施するために使用される。したがって、電力制御メッセージは負荷変調によって伝達される。
上述したように、システムにおいて、復調器503は、送信側コイル103を流れる電流及び/又は送信側コイル103にかかる電圧の振幅及び/又は位相変動を検出することによって負荷変調を復調するように構成される。したがって、復調器503は、一次共振回路201に結合され、送信側コイル103を流れるコイル電流及び送信側コイル103にかかるインダクタ電圧のうちの少なくとも1つを測定するように構成される。
いくつかの実施形態では、例えば、ドライバ203のインバータへの供給電流変動を測定することによって、又は共振コンデンサなどの電流又は電圧を測定することによって、コイル電流及び/又は電圧が間接的に決定され得る。しかし、この具体例では、コイル電流/電圧は、コイル電流又は電圧を直接感知することによって決定される。
上述したように、ワイヤレス電力伝送システムはまた、ネステッド電力制御ループを実行する。外側ループは、受電側105から電力制御メッセージを受信し、それに応じて電力伝送信号の電力を増減させる。
図5に示す例では、復調器503は、送信側コイル103を流れる電流(以下、コイル電流と略記する)を制御する内側制御ループのための基準値を設定するように構成されたターゲットプロセッサ505に結合される。具体的には、ターゲットプロセッサ505は、受電側から電力制御メッセージを受け取り、それに応じて基準又はターゲット電流を設定する。特に、ターゲットプロセッサ505は、増加された電力を要求する電力制御メッセージが受信されたときにはターゲット電流を増加させ、電力を減少させることを要求する電力制御メッセージが受信されたときにはターゲット電流を減少させるように構成され得る。
ターゲットプロセッサ505は、送信側コイルの測定電流と送信側コイルのターゲット電流との間の差を示すコイル電流誤差指標を決定するように構成された誤差ユニット507に結合される。
具体的には、誤差ユニット507は、適切なセンサ509から測定値を受け取るための入力部を備える。インダクタまたはコイルを流れる電流を求めるための異なる手法が知られており、任意の適切な手法が使用され得ることが理解されよう。例えば、多くの実施形態では、送信側コイル103に隣接して配置される誘導電流センサが使用され得る。
したがって、誤差ユニット507は、電流測定入力及びターゲット電流を受け取り、これらから、送信側コイル103を流れる電流の所望値(ターゲット電流)と電流値(目標電流)との間の誤差を反映する誤差指標を決定することができる。したがって、測定電流とターゲット電流との間の差を示すコイル電流誤差指標が生成される。
差については任意の適切な尺度が使用され、実際に、使用される具体的尺度は、個々の実施形態の具体的な好み及び要件に依存し得ることが理解されよう。
多くの実施形態では、インダクタ電流誤差指標は、目標値の単調増加関数と測定電流値の単調増加関数との間の差の単調増加関数として決定されてもよい。
以下の説明は、コイル電流誤差指標が、電流測定値と目標値との間の差として直接的に、すなわち、以下のように決定される実施形態に焦点を当てる。
ΔI=Im−Itarget
ここで、Imは測定値であり、Itargetは目標値である。
誤差ユニット507によって受け取られて処理される値は、必ずしも例えばアンペア測定値として電流を表す直接的な値でなくてもよく、対応する電流を反映する任意の値であり得る。また、コイル電流誤差指標の決定、及び値の比較は、考察される値と対応する電流との間の関係において存在し得る差を補償し得ることが理解されよう。
誤差ユニット507は、ループ応答プロセッサ511に結合され、ループ応答プロセッサ511は、(内側)電流制御ループの特性、例えば利得関数、更新レート、フィルタ特性などを設定し得る。ループ応答プロセッサ511は、電力伝送コントローラ501に結合され、電力伝送コントローラ501の機能を介してコイル電流を制御し得る信号を提供し得る。
いくつかの実施形態では、コイル電流は、ループ応答プロセッサ511からの出力によって制御される所与のコイル電流を生じるように動作を調整する電流コントローラを備えるドライバ203によって直接制御されてもよい。
しかし、多くの実施形態では、コイル電流は、駆動信号のデューティサイクル及び電圧振幅のうちの少なくとも1つを制御することによって制御され得る。したがって、駆動信号のデューティサイクルを増加させることによって(具体的には、ドライバのブリッジスイッチのオン時間を増加させることによって)、及び/又は、駆動信号の電圧振幅を増加させることによって(典型的には、ドライバ203のスイッチブリッジのレール電圧を増加させることによって)、(平均)コイル電流が増加され得る。反対に、対応するパラメータを低減することによってコイル電流が低減され得る。
なお、制御ループは積分機能を備え、これは、例えば、ループ応答プロセッサ511又はコントローラ501自体に含まれ得る(例えば、デューティサイクルが、インダクタ電流誤差指標に依存する相対値によって変更されることによって)。したがって、測定電流がターゲット電流よりも高いことを示すコイル電流誤差指標は、例えば、デューティサイクル又は電圧振幅の現在値(又は実際には、共振周波数にロックされていない場合には駆動周波数(すなわち、典型的には誘導方式で動作している場合))の減少をもたらし、一方、測定電流がターゲット電流よりも低いことを示すコイル電流誤差指標は、例えば、デューティサイクル又は電圧振幅の現在値(又は駆動周波数)の増加をもたらし得る。
したがって、給電側101は、コイル電流誤差指標に応じて送信側コイル103を流れる電流を制御する制御ループを含む。具体的には、制御ループは、コイル電流誤差指標に応じて、駆動信号のデューティサイクル及び電圧振幅のうちの少なくとも1つを制御し得る。
制御ループは、例えば、図6の等価回路によって表われ得る。制御ループの一般的な理論、分析、及び原理は当業者には周知であり、簡潔さのために、以下の説明は、給電側101の特定の制御ループの動作の新規かつ進歩的な概念に焦点を当てることに留意されたい。
図6の等価回路において、コイル電流誤差eは、現在ターゲット電流を反映する目標値と、現在コイル電流を示すフィードバック値との差として求められる。このコイル電流誤差eの関数としてのコイル電流の変化は、第1の部分ループ応答LR1によって表される。したがって、この第1の部分ループ応答は、ループ応答プロセッサ511の処理、ドライバの影響、変更されるパラメータ(例えば、デューティサイクル又は振幅電圧)の間の関係などを含み得る。現在コイル電流と、コイル電流を求めるために使用されるフィードバック値との間の関係は、第2の部分ループ応答LR2によって表される。したがって、第2の部分ループ応答LR2は、測定センサの応答、A/D変換などを表し得る。
全体ループ応答は、コイル電流誤差eから測定電流Imのための(フィードバック値)までの開ループ応答であり、すなわち、(開)ループ応答は、第1の部分ループ応答LR1と第2の部分ループ応答LR2との結合効果である。したがって、第1の部分ループ応答LR1の周波数応答をG1(f)とし、第2の部分ループ応答LR2の周波数応答をG2(f)とすると、ループ応答は下式によって与えられる。
G(f)=G1(f)・G2(f)
他の実施形態では、他の電流尺度が使用され得ることを理解されたい。例えば、多くの実施形態において、測定電流は、適切な時間間隔にかけての平均又はRMS電流として求められ得る。しかしながら、説明した例では、測定電流は、コイル電流のピーク電流である。ほとんどの実装形態において、ピーク電流は追加の信号処理を要さずに直接測定することができるので、これは特に有利であり得る。
上記例では、制御ループは、駆動信号のデューティサイクル及び電圧振幅のうちの少なくとも1つを制御することによって、コイル電流を制御するように構成される。これは、共振モードで電力伝送を実行することを可能にしつつ、コイル電流を効果的に制御することを可能にし得る。実際、共振モードでの動作中、駆動周波数は、負荷変調のための相互変調誤差を緩和又は除去するために、送信共振回路の共振周波数と同じになるように制御されるのが典型的である。したがって、駆動周波数を制御することによってコイル電流を制御することは、通常は実現不可能である。また、コイル電流を直接制御するには、ブリッジスイッチを備えたインバータを用いた共振回路の駆動に直接適合しない複雑な機能が必要とされる傾向があるため、通常は実用的ではない。さらに、多くの実装形態、例えば、送信共振回路の共振周波数が共振回路のコンデンサ又はインダクタの状態変化を遅くすることによって制御される実施形態では、コイル電流の直接制御は競合をもたらす。
効率的なパフォーマンスを達成するためには、受電側105から給電側101への高パフォーマンス負荷変調通信を提供することが重要であり、特に、低いエラーレートが達成されることが重要である。しかしながら、従来の電力伝送システムでは、通信は、いくつかのシナリオにおいて準最適になる傾向があり、通信エラーが増大し、最適な電力伝送パフォーマンスが得られない。
特に、負荷変動を補償しようとする制御ループを実行したいという要望と、負荷変動に起因する変化を検出することによって通信したいという要望との間に本質的な矛盾が存在する。特に、Qiのようなシステムの場合、内側ループは高速であるのに対して、通信は比較的遅い傾向がある(具体的には、ビット持続時間(duration)が内側制御ループの応答と比較して比較的長い)。したがって、典型的には、単一ビットの負荷変調に対応する負荷変動は、持続時間ビットよりもはるかに速く補償される傾向があり、したがって負荷変動の影響の検出は困難になる。
従来、Qiのようなシステムにおけるこの矛盾は、内側電力ループを比較的短い時間だけ動作させ、介在する時間間隔を通信に当てることによって対処されてきた。具体的には、受電側から新しい電力制御メッセージが受信されると、ターゲット電流が更新され、内側電力制御ループが、典型的には約10msec間アクティブ化され得る。これにより、コイル電流が新たな目標値に適合される。次に、内側電力制御が停止され、これにより、コイル電流の変化を検出することによる負荷変動の検出が可能になる。典型的には、内側電力制御ループは約10msec間アクティブであって、メッセージ間の間隔は典型的な最大250msecであり、これにより、負荷通信変調は最大240msecの時間間隔において利用可能となる。したがって、上記のようなシステムの場合、受電側は大部分の時間、負荷変調が検出され得る状態にある。しかし、これらの期間は、内側制御ループがアクティブでありコイル電流を制御する比較的短い期間によって中断される。
このようなアプローチは、多くのシナリオでうまく機能することがわかっている。特に、誘導方式で動作する場合、多くの電力伝送システムにとって効率的であることがわかっている。しかしながら、発明者は上記アプローチが不利なパフォーマンスをもたらし、いくつかのシナリオ及び用途においては、場合によっては許容されないパフォーマンスをもたらすおそれがあることに気が付いた。特に、発明者は、特に共振方式で動作するワイヤレス電力伝送の場合、上記アプローチが準最適であり、場合によっては不適切である可能性があることに気が付いた。
共振方式では、電力伝送システムは、典型的には、送信側共振回路の共振周波数及び駆動周波数が同じになるように給電側を制御する。さらに、これらの周波数は、典型的には、受電側105の共振周波数と同じになるように、又は少なくともそれに近くなるように適合させられ得る。適合は、例えば、コイル電流が所与の受電側に対して最大になるまで適合可能な調整可能共振回路を使用することによって達成され、駆動周波数は共振周波数と同じになるように適合される。いくつかのアプローチでは、共振周波数の適合は、例えば、各サイクルの一部に関して、送信側共振回路のコンデンサを短絡することによって実行され得る。駆動周波数及び送信側共振周波数を受信側の共振周波数に適合させる方法の例は、例えば、US2004/0130915A1又はUS2006/0113970A1において見つけることができる。
したがって、給電側と受電側のコイル間の距離を大きくすることが望ましい(例えば、配置の自由度を高めるために)システムの多くでは、電力伝送は疎結合の共振方式で行われ、最大効率を達成するために給電側と受電側の共振周波数がマッチングされる。しかし、発明者は、この方式で動作するとき、一次コイルを流れる電流の振幅が受電側負荷に強く依存し、これにより、時分割通信および内側制御ループからなる従来のアプローチに問題が生じることに気が付いた。
図7は、それぞれ1kΩ(曲線701)及び10Ω(曲線703)の受電側負荷に関して、1次コイルを流れる電流のシミュレーション結果を示す。この例では、給電側と受電側の共振周波数は共に105kHzに設定され、コイル間の結合は0.1である。
図示されるように、受電側が負荷を接続すると、コイル電流の振幅が大幅に(>10dB)低下し得る(例えば、1kΩの内部負荷のみから、さらに10Ωの外部負荷(例えば、バッテリに対応)への給電のために切り替わると)。このような負荷変化に起因する大きな電流変動は、例えば次のような問題を引き起こす可能性がある。
送信側コイル電流の振幅が低下すると、受電側によって受け取られる電力も低下する。この電力低下があまりにも大きければ、受電側によって受け取られる電力は、適切な動作を維持するのに十分ではなくなる。この場合、内部マイクロコントローラが再初期化され、負荷は切断される。通常、この問題は、受電側が負荷を接続するときに発生する。この状況では、電力伝送フェーズは常に真っ先に中止される。
一次電流の振幅が上昇すると、受電側によって受け取られる電力も増加する。この増加が大きすぎる場合、受電側を飽和させたり、場合によっては損傷させる可能性がある。
したがって、共振モードで動作する場合、コイル電流を制御することが特に重要である。しかし、従来の方法では、内側制御ループは、比較的まれにしかアクティブでなく、デューティサイクルも短い。実際には、時間が、給電側が受電側から負荷変調メッセージを受信することができる通信時間間隔と、内側制御ループが所望の電流を供給するために動作を適合させる制御間隔とに分割される。しかし、通信時間間隔中に大きな負荷ステップが発生した場合、相当な時間にわたってこれが補償されない可能性がある。したがって、コイル電流は、相当な期間にわたって非常に実質的に高すぎるか、又は低すぎる可能性があり、誤動作を招くおそれがある。
しかし、図5のシステムでは、このようなシナリオの発生を軽減し、典型的には防止し得る異なるアプローチが採用される。具体的には、図5のシステムでは、給電側は、通信時間間隔の間に(内側)制御ループがアクティブになるように構成され、すなわち、給電側は、これらの時間間隔の間に制御ループの動作及び負荷変調の受信の両方を実行し得る。
これは、給電側が、より大きな誤差に対するループ応答と比較して、小さな誤差に対して減衰されるように構成された制御ループ応答を実施することによって達成される。特に、ループ応答は、誤差がない(すなわち、測定電流がターゲット電流と同じ)状況を含む低減された制御範囲内にあるコイル電流誤差指標に関して、減衰される。コイル電流がこの低減された制御範囲内にあるとき、それは、目標電流と実際の測定電流との間の差が小さいことを表す。したがって、誤差がより大きい場合に比べて、誤差値が小さい場合にはループ応答が減衰される。したがって、制御ループは、大きな誤差に対して、小さな誤差に対してよりも強く応答する。
実際には、多くの実施形態において、ループは、低減された制御範囲内のエラーに対して応答しなくてもよい(簡略化のため、コイル電流誤差指標が低減された制御範囲内である又は範囲外であることは、(電流)誤差が低減された制御範囲内である又は範囲外であると表される。より一般的には、インダクタ電流誤差指標は、単に電流誤差とも呼ばれる)。
したがって、小さい誤差に対してはループ応答がほとんど又はまったく適用されない一方、大きな誤差に対しては強い応答が適用され得る段階的アプローチが適用される。したがって、小さい負荷変動に対するループ応答は些細である一方、大きい誤差に対する応答は非常に大きい可能性がある。結果として、ループは、大きな負荷変動については補償するが、小さな負荷変動については補償しなくてもよい。
したがって、負荷変調に起因する小さな電流変動を、受信側503が復調できるように保ち得るループ応答が実現される。同時に、制御ループはアクティブのままであり、例えば特に受電側での大きな負荷ステップに起因する大きな電流変化を補償することができます。したがって、給電側は依然として負荷変動に対して適合可能であり、かつ、コイル電流を十分に小さい範囲内に維持することができる。
したがって、制御ループを動作させるか又は負荷変調を受信するかのいずれかである従来の時分割方式とは対照的に、図5の給電側のアプローチは、両方の機能を同時に実行することを可能にする段階的ループ応答を使用することにより、これらの間の競合を解消する。したがって、このアプローチは、2つの動作が共存できず、ある時間において一方の動作しか実行できないという従来の理解を打破するものである。
減衰の正確な大きさ及びタイプ、並びに低減された制御範囲の正確なサイズは、個々の実施形態の具体的な好み及び要件に依存することが理解されよう。パラメータは、典型的には、受電側の負荷の変化によって引き起こされるより大きな負荷変動の十分に強い補償を提供しつつ、負荷変調に起因する電流変動に対する制御ループの影響を最小限に抑えるように選択され得る。
多くの実施形態では、低減された制御範囲内及び外の誤差に対するループ応答の差は、制御ループのループゲインにおける差及び/又は制御ループの更新レートにおける差を適用することによって実現される。サンプリングされる制御ループに関して、更新レートは、サンプルの頻度及び/又は制御ループからの出力における変化の頻度を反映し得る(通常、これらは同じである)。一部の実施形態では、更新レートは、制御ループの周波数応答を変更することによって修正され得る。これは、連続的な制御ループ及びサンプリングされる制御ループの両方について行われ得る。例えば、低減された制御範囲内の値に対して使用されるループフィルタは、低減された制御範囲外の値に対するものよりも低いカットオフ周波数を有し得る。
例えば、制御ループは、下式により与えられるIIRフィルタの形態のループフィルタを含み得る。
ここで、
はコイル電流誤差指標を表す。したがって、この例では、現在コイル電流誤差指標の重みαは、コイル電流誤差指標自体に依存する。具体的には、低減された制御範囲内のコイル電流誤差指標に対する重みαは、低減された制御範囲外の場合よりも低い。
例えば、低減された制御範囲内のコイル電流誤差指標については、重みαはゼロに設定され、低減された制御範囲外のコイル電流誤差指標については、適切な値に設定され得る(例えば、多くの実用的な用途では0.1など)。その結果、ループは、負荷変調変動を反映する小さな誤差に対しては更新しないが、受電側の大きな負荷変動を反映する大きな誤差に対して迅速に適合するように構成される。
共振方式では、送信コイルを流れる電流は、駆動信号のデューティサイクル又は電圧を制御することによって調整され得る。駆動信号の電圧振幅は、特に、DC/AC段(インバータスイッチブリッジ)のレール電圧を適合させることによって適合され得る。実際には、給電側と受電側の共振周波数が合致するように駆動周波数を設定することが望ましいことから、このパラメータは通常、電流調整のためには適していない。以下の例は、デューティサイクルを制御することによってコイル電流を制御するケースに焦点を当てているが、例えば、電圧振幅を制御するケースにも同じ原理が適用され得ることが理解されよう。
多くの実施形態では、具体的には、低減された制御範囲内の誤差値について、範囲外のものよりも低いループゲインによって、ループ応答が低減された制御範囲内で減衰され得る。ゲインは、例えば、制御される出力の変化と誤差値との間の関係を考慮して決定され得る。例えば、第1の部分ループ応答LP1の応答は、低減される制御範囲内の誤差値に対して、範囲外の値に対してよりも低くてもよい。
具体的には、多くの実施形態において、ループゲインは、低減された制御範囲内の誤差値に対して実質的にゼロであり得る。具体的には、低減された制御範囲内の値については、ループ応答は、制御されるパラメータ、例えば具体的には駆動信号のデューティサイクル及び/又は電圧振幅に変化が生じないようなものであってもよい。
考えられるループ応答の具体例が図8に示されている。この図は、駆動信号のデューティサイクルと電流誤差との間の関係を具体的に示す。したがって、この図は、第1の部分ループ応答LP1を表すと考えることができる。第2の部分ループ応答LP2は、一定であると考えられてもよい(例えば、電流センサ及び誤差ユニットの一定な動作に対応して)。
この例では、電流誤差の範囲は、ゾーンA、B、及びCと呼ばれる3つのゾーンに分割される。ゾーンAは、低減された制御範囲に対応し、ゼロ電流誤差の周辺に位置する。ゾーンA内、すなわち低減された制御範囲内の電流誤差については、部分ループ、よって全ループのゲインはゼロである。したがって、Ia以下の絶対誤差値ΔI=|Im−Itarget|については、デューティサイクルは調整されない。
ゾーンBは、IaからIbの間の絶対電流誤差ΔI=|Im−Itarget|に対応する。ゾーンBの誤差値については、ゼロよりも高い一定のゲインが適用され、すなわち、デューティサイクルへの変化は、電流誤差に関して直線的に変化する。
ゾーンCは、Ibより大きい絶対電流誤差に対応する。ゾーンCの誤差値については、ゾーンAのものよりも高い一定のゲインが適用され、すなわち、デューティサイクルへの変化は、電流誤差に関して直線的に変化し、かつ、ゾーンBの値についてよりも大きく変化する。
したがって、この例では、制御ループは、異なるループ応答を有する複数のモードで動作し得る(この具体例では、異なるループゲイン値を有する)。モードの1つは、他のモードのループ応答と比較してループ応答が減衰する低減された制御モード(ゾーンAの誤差)である。上記具体的例では、低減された制御モードではループ応答はゼロであり、すなわち制御は行われない。
この例では、ループ応答プロセッサ511は、コイル電流誤差指標に基づいてモードを切り替えるように構成される。具体的には、ゾーンAの絶対誤差値については、ゼロゲインに対応するモードが選択され、ゾーンBの絶対誤差値については、ゼロより高い第1のゲインを適用することによって第1のモードが選択され、ゾーンCの絶対誤差値については、第1のゲインよりも高い第2のゲインを適用することによって第2のモードが選択される。
したがって、上記例では、漸進的ゲインが適用される。特に、(絶対)ゲインは、絶対電流誤差の単調増加関数である。したがって、この例では、より高い(絶対)電流誤差の場合、より高い(又は不変の)(絶対)ゲインが適用され、すなわち、より高い(絶対)電流誤差の場合、より強いループ応答になり、よって、よりアグレッシブなループ制御及びより速い制御動作になる。
このアプローチは、実用的で、多くのシナリオにおいて複雑性が低い実装を可能にし得る。さらに、現在の状態に応じてループの現在のパフォーマンスが適合され得る非常に効率的な動作が提供され得る。具体的には、電力伝送が現在の消費電力に良好に適合される場合、制限は適用されず、負荷変調を検出するためにパフォーマンスを最適化することができる。しかし、同時に、制御ループは依然としてアクティブであり、誤差が増加して所与のレベル(Ia)を上回ると、制御ループは誤差を低減させるためにデューティサイクルの適合を開始する。この適合は、比較的小さな変動について最適化され、あまりに過度又は高速なものでない可能性がある。したがって、適合は、提供される電力と所望の電力との間の差がまだ比較的小さいことを反映し得る。これは、例えば、いくつかの実施形態では、高いエラーレートであったとしても、依然として負荷変調を復調することを可能にし得る。しかし、例えば、受電側の負荷の切り替えに起因する急激な負荷ステップ変化が生じた場合、電流誤差はIbを超え、ループは非常に強い調整を有する第3のモード(ゾーンC)で動作する。したがって、急速な大きい負荷変化は、素早く効率的に対処され得る(しかし、しばしば、負荷変調が復号可能であることを犠牲にして)。
上記の例は、異なるモード間で異なる(瞬間的な)ゲイン値に関して説明したが、代替的に又は追加で、例えば、ループの更新レートを使用して差異が達成され得ることが理解されよう。例えば、電流誤差がゾーンA内の場合、ループの更新は起こらず、電流誤差がゾーンB内の場合、ループ(及び具体的にはデューティサイクル)は比較的低い頻度(例えば、1〜10msecの更新間隔)で更新され、電流誤差がゾーンC内の場合、ループは高い頻度で更新されてもよい(例えば、サイクルごとにデューティサイクルが更新されてもよい(例えば、約10μsecの更新間隔に対応))。更新レートは、電力の増加及び減少のそれぞれについて異なってもよいことが理解されよう。例えば、実践では、電力ダウン動作に関して30μsec及び電力アップ動作に関して70μsecというゾーンCの更新レートが有利なパフォーマンスを提供することが認められた。
したがって、上記の例では、制御ループがアクティブのときであっても、負荷変調をサポートされ得るように制御ループが構成される。実際に、負荷変調からの電流変動が依然として検出可能であるように、小さな負荷変動に対する補償は低減/減衰され、同時に、大きな負荷変動に対しては強力な調整/補償が提供され、これにより、例えば、共振方式で動作する際に発生し得る大きな電流ステップに対して非常に素早くかつ効率的に対応することが可能となる。
したがって、このアプローチでは、制御ループは、受電側から負荷変調を受信可能な通信時間間隔中、制御ループがアクティブである。したがって、ループはアクティブであり、通信時間間隔の全体において、(少なくともいくらかの)負荷/電流変動に反応することができる。給電側が電力制御と負荷変調通信とを切り替える時分割方式を導入する必要はない。
実際に、制御ループは上述のように連続的に動作することが可能であり、受電側は常に負荷変調によってメッセージを送信することができる。したがって、通信時間間隔は、全期間を占めることができる(あるいは、同等に、通信時間間隔は、電力伝送プロセス/動作全体の持続時間を有すると考えることができる)。
しかし、多くの実施形態では、通信時間間隔は、期間の一部のみを占め得る。具体的には、通信時間間隔は、非通信時間間隔によって散在させられ得る。通信時間間隔中、制御ループは上記のようにアクティブであり、すなわち、ループ応答が減衰される低減された制御範囲を実施する。しかし、通信時間間隔外、すなわち非通信時間間隔中は、他のループ応答が適用され得る。具体的には、図9に示すように、給電側101は、ループ応答プロセッサ511に結合されたループアダプタ901を備え得る。ループアダプタ901は、通信時間間隔外において、すなわち非通信時間間隔中に、制御ループが、通信時間間隔中よりも強いループ応答を有するよう、ループ応答プロセッサ511を制御するように構成され得る。
具体的には、ループ応答プロセッサ511は、非通信時間間隔中、低減された制御範囲を減少させ又は完全に除去するように構成され得る。例えば、通信時間間隔中、Ia以下の絶対誤差値について(すなわち、低減された制御範囲/ゾーンA内の場合)、「デッドゾーン」(ゲインがゼロ)が実装される。しかし、非通信時間間隔中、「デッドゾーン」は、Iaよりも小さい(場合によってははるかに小さい)値までにしか及ばなくてもよい。実際には、多くの実施形態では、非通信時間間隔中、「デッドゾーン」(すなわち、低減された制御範囲)が使用されない。
したがって、非通信時間間隔中、少なくとも一部の誤差値について、通信時間間隔中よりも強いループ応答が適用され、具体的には、特に、通信時間間隔中よりも小さい誤差について、より強いループ応答が適用され得る。ループアダプタ901は、多くの実施形態では、低減された制御範囲内の少なくとも一部のエラー値について(しばしば、全ての値について)、より強いループ応答を有するようにループを適合させ得る。より強いループ応答は、具体的には、非通信時間間隔中において、少なくとも一部の誤差値(典型的には、低減された制御範囲の)について、通信時間間隔中よりも高いゲイン及び/又は更新レートによって達成され得る。
具体例として、ループアダプタ901は、通信時間間隔中、図8のループ応答を適用するようループ応答プロセッサ511を制御し得る。さらに、更新レートは、ゾーンBについては5msecであり、ゾーンCについては10μsecであってもよい。しかしながら、非通信時間間隔中は、代わりに図10のループ応答が適用され得る。さらに、更新レートは、全ての誤差値について50μsecに設定されてもよい。
したがって、この例では、ループアダプタ901は、非通信時間間隔において、低減された制御範囲を小さくし、多くの誤差値についてループゲインを増加させ、多くの誤差値について更新レートを増加させるよう構成される。これらのファクタはいずれも、ループ応答を強くし、すなわち、少なくとも一部の誤差値について、デューティサイクル/振幅電圧の応答/出力/調整を大きくする。他の実施形態では、上記パラメータの全てを通信時間間隔と非通信時間間隔との間で変更する必要はないことが理解されよう。例えば、一部の実施形態では、変更されるパラメータは唯一、低減された制御範囲のサイズであり、例えば、ゾーンBのゲインをゾーンAにも使用することによって達成される。
このような実施形態では、ループは、これに応じた複数の異なる方式で動作するように構成され得る。第1の方式では、ループ応答は、小さい誤差値について減衰され、これにより、負荷変調が可能になる又は改善される。しかし、第2の方式では、より強いループ応答が適用され、したがって、向上された調整が達成され得る。しかし、この向上された調整は、通信パフォーマンスの低下を犠牲にして達成され、場合によっては、給電側が負荷変調を復調することができない可能性がある。
このような異なる方式の使用は、多くの実施形態及び用途において、特に効率的な動作を提供することができる。例えば、第1の方式は、負荷変化や他の変化が起こりそうにない通信時間間隔中に動作してもよい(しかし、ループは依然としてアクティブであり、よって、これらが発生し、十分に大きい場合には反応することができる)。しかし、多くのシナリオにおいて、上記制限は、コイル電流が完全に最適化されない結果をもたらし得る。例えば、図8の例では、Ia以下の誤差については何ら補正が行われない。しかし、通信時間間隔は、向上された調整が行われる非通信時間間隔によって中断され得る。例えば、図10のループ応答を使用する場合、制御ループは、電流誤差をゼロに(又はこれに近い値に)減少させ得る。したがって、2つの状態は、電力調整と通信パフォーマンスとの間の特に魅力的なトレードオフを有する相乗効果を提供することができる。実際には、通信時間間隔は多くの場合、比較的短くてもよく(例えば、典型的には約5〜20msec)、一方、非通信時間間隔はそれよりも顕著に長くてもよい(例えば、典型的には約100〜400msec)。したがって、このアプローチは、非常に効果的な電力制御を提供する一方で、電力制御が依然としてアクティブである(低減されているものの)通信時間間隔中に通信することを可能にし得る。
給電側は、通信時間間隔及び非通信時間間隔を決定及び分割するための任意の適切な手法を使用し得ることが理解されよう。
実際には、一部の実施形態では、通信時間間隔の決定は、受電側がメッセージを送信する可能性が高い/可能性があることが知られている、検出された、又は考えられる時間間隔としてであり得る。しかし、他の実施形態では、給電側は、例えば時間フレームを比較的任意に通信時間間隔と非通信時間間隔とに分割し得る。実際には、通信時間間隔及び非通信時間間隔は、それぞれ、給電側が、低減された制御範囲ループ応答及びより強いループ応答を使用する時間間隔に対応すると考えられてもよい。
具体的には、コントローラ501は、通信時間間隔を、周期的に繰り返す時間間隔として決定する機能を備え得る。例えば、コントローラ501は、例えば240msecの制御時間間隔(すなわち、非通信時間間隔)と10msecの通信時間間隔とに分割される250msecの周期的に繰り返される時間フレームを実装することができる。したがって、大部分の時間にわたって、向上された調整が実施され得る。これは、制御時間間隔の終了時に、送信側コイルを流れる実際の電流が目標値に密接に一致することを確実にし得る。しかし、時間フレームの一部については、負荷変調の検出を可能にしつつ、より大きな負荷変動を補償することができる調整を依然として提供するように、調整が変更される。
このようなアプローチは、複雑さの低いアプローチを提供し、例えば、メッセージがいつ送信されるか分からないが、全てのメッセージが正確に受信されることが重要ではない用途に適し得る。各通信時間間隔及び非通信時間間隔の持続時間は、調整パフォーマンスと通信パフォーマンス(及び具体的には、通信エラーレート)との間の好ましいトレードオフを反映するよう、個々の実施形態に適合させられ得ることが理解されよう。
多くの実施形態では、給電側は、通信時間間隔を、受電側が負荷変調メッセージを送信する又は送信し得る可能性が高いと考えられる時間間隔として決定するように構成されてもよい。これは、例えば、給電側及び受電側の両方が遵守しなければならない、メッセージ通信のタイミングに関する制限を含む技術仕様に基づき得る。
一部の実施形態では、給電側は、受電側から送信されているメッセージを検出し、この検出に応答して通信時間間隔を決定するように構成され得る。具体的には、コントローラ501は、受電側からのメッセージのための所定のプリアンブルパターンを受信側が検出することに応答して、通信時間間隔の開始を決定するように構成され得る。
したがって、一部の実施形態では、受電側は、所定のパターンを有するプリアンブルを送信することによって、メッセージ又は一連のメッセージを初期化し得る。そのようなパターンは、典型的には、複数のデータビットにわたる多数のトランジション及びストレッチを含む。したがって、そのようなプリアンブルは、典型的には、個々のビットの復調よりも大幅に高い確率で検出可能である。したがって、メッセージ受信機503は、非通信時間間隔のより強いループ応答が使用されている場合であっても、多くの場合、所定のプリアンブルパターンを検出することができる。したがって、受電側は、給電側が所定のプリアンブルパターンの存在を検出するまで、非通信時間間隔(すなわち、より強いループ応答)で動作し得る。これが検出されると、給電側は、受電側からの負荷変調メッセージを確実に復調できるようにするために、低減された制御範囲が適用される通信時間間隔に切り替え得る。その後、給電側は、例えば所定時間の経過後、又はフルメッセージが受信されたときに、非通信時間間隔に戻り得る。
一部の実施形態では、ループ応答プロセッサ511は、通信時間間隔中に非対称ループ応答を使用し、通信時間間隔外において、すなわち非通信時間間隔中に対称ループ応答を使用するように構成され得る。
対称ループ応答では、コイル電流誤差に依存するループ応答は、コイル電流誤差がゼロに近い値の場合に対称であり得る。具体的には、ループ応答の絶対値(例えば、ループゲイン)が、コイル電流誤差の対称関数であってもよく、対称性は、コイル電流誤差がゼロであることに対応する。対称ループ応答の例は、例えば図8及び図10に示されている。
非対称ループ応答は、対称ではないループ応答であり得る。具体的には、非対称ループ応答では、コイル電流誤差に依存するループ応答は、コイル電流誤差がゼロに近い値の場合に非対称である。具体的には、ループ応答の絶対値(例えば、ループゲイン)が、コイル電流誤差の対称関数でなく、対称性は、コイル電流誤差がゼロであることに対応する。非対称ループ応答の例は、例えば図11に示されている。
例えば、図8及び図10のような対称的な応答では、同じ絶対値であるが反対の符号を有するコイル電流誤差について、絶対ループ応答が同じである。例えば、図11の非対称的な応答では、同じ絶対値であるが反対の符号を有する少なくとも一部のコイル電流誤差について、絶対ループ応答が異なる。
非対称ループは、測定電流が目標値よりも高いことを示す誤差について、測定電流が目標値よりも低いことを示す誤差とは異なるループ応答/ゲインを有し得る。対称ループは、測定電流が目標値よりも高いことを示す誤差について、測定電流が目標値よりも低いことを示す誤差と同じループゲインを有し得る。
具体的には、非対称ループ応答では、測定電流が目標値よりも高いことを示す誤差に対する応答は、測定電流が目標値よりも低いことを示す誤差に対する応答よりも高くてもよい。実際には、後者の場合、応答がなくてもよく、すなわち、非対称応答は、送信側コイルを流れる電流の増加を一切許容しないように構成され得る。
例えば、対称ループ応答は、図10のものであってもよく、これが、非通信時間間隔中に使用され得る。一方、通信時間間隔中には、図11のループ応答が使用され得る。
このようなアプローチは、いくつかのシナリオにおいて安全機構を提供し得る。例えば、Qiと同様に、通信がサポートされない比較的短い間隔中に、有効な電力制御が実行され得る。しかし、従来のQiとは対照的に、制御ループは通信時間間隔中にアクティブのままであり、負荷ステップが発生して過剰な電流が生じる場合に適応できるように構成される。したがって、通信時間間隔中はフルパワーの制御が使用できない可能性はあるものの、制御ループは依然としてアクティブであり、電流が過剰になることを防ぐ安全機能が提供される。
明瞭さのために、上記の説明は、異なる機能的回路、ユニット、及びプロセッサに関連して、本発明の実施形態を説明している。しかしながら、本発明を損なうことなく、異なる機能的回路、ユニット、又はプロセッサ間で、機能が任意に適切に分配され得ることが理解されよう。例えば、複数の別々のプロセッサ又はコントローラによって実行されるように示された機能が、同じプロセッサ又はコントローラによって実行されてもよい。したがって、特定の機能ユニット又は回路への言及は、厳密な論理的又は物理的な構造又は構成を示すものではなく、説明される機能を提供するための適切な手段への言及であると考えられたい。
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせを含む任意の適切な形態で実施することができる。本発明は、1つ又は複数のデータプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサ上で動作するコンピュータソフトウェアとして少なくとも部分的に実装されてもよい。本発明の実施形態の要素及び構成要素は、任意の適切な態様で物理的、機能的、及び論理的に実装され得る。実際には、機能は、単一のユニット、複数のユニット、又は他の機能ユニットの一部として実装されてもよい。したがって、本発明は、単一のユニット内に実装されてもよく、又は異なる複数のユニット、回路、及びプロセッサの間で物理的及び機能的に分配されてもよい。
いくつかの実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、明細書に記載される具体的形態に限定されない。そうではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、ある特徴が、特定の実施形態に関連して記載されているように見えたとしても、当業者は、上記実施形態の様々な特徴が本発明に従って組み合わせられ得ることを認識するであろう。請求項において、備える等の用語は、他の要素又はステップの存在を排除するものではない。
さらに、個別にリストされていたとしても、複数の手段、要素、回路、又は方法ステップは、例えば、単一の回路、ユニット、又はプロセッサによって実施され得る。さらに、個々の特徴が異なる請求項に含まれていたとしても、これらは好適に組み合わされ、異なる請求項に含まれていることは、特徴の組み合わせが実現不可能である及び/又は有利でないことを意味するものではない。また、1つのクレームカテゴリー内にある特徴が含まれているからといって、特徴がこのカテゴリーに限定されるとは限らず、特徴は適宜、他のクレームカテゴリーに等しく適用され得る。さらに、請求項における特徴の順序は、特徴が作用すべき特定の順序を指すものではなく、特に、方法クレームにおける個々のステップの順序は、ステップをその順序で実行しなければならないことを意味しない。むしろ、ステップは、任意の適切な順序で実行され得る。また、単数形の表現は複数形を排除するものではない。したがって、「a」、「an」、「第1の」、「第2の」などの表現は、複数を排除するものではない。特許請求の範囲内の参照符号は、明瞭さのための例に過ぎず、請求項の範囲を如何ようにも限定するものではない。