JP2018531899A - 新規インスリン誘導体及びその医学的使用 - Google Patents
新規インスリン誘導体及びその医学的使用 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2018531899A JP2018531899A JP2018510821A JP2018510821A JP2018531899A JP 2018531899 A JP2018531899 A JP 2018531899A JP 2018510821 A JP2018510821 A JP 2018510821A JP 2018510821 A JP2018510821 A JP 2018510821A JP 2018531899 A JP2018531899 A JP 2018531899A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- insulin
- desb27
- gglu
- desb30
- human insulin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/435—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
- C07K14/575—Hormones
- C07K14/62—Insulins
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P3/00—Drugs for disorders of the metabolism
- A61P3/08—Drugs for disorders of the metabolism for glucose homeostasis
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K38/00—Medicinal preparations containing peptides
Landscapes
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Diabetes (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Endocrinology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Obesity (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- Hematology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Emergency Medicine (AREA)
- Public Health (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Toxicology (AREA)
- Zoology (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
本発明は、糖尿病に関係する医学的状態のための薬物という治療分野にある。より詳細には、本発明は、ヒトインスリン類似体の新規アシル化誘導体に関する。本発明はまた、そのようなインスリン誘導体を含む医薬組成物を提供し、糖尿病に関係する医学的状態を治療又は予防するためのそのような誘導体の使用に関する。
Description
本発明は、糖尿病に関係する医学的状態のための薬物という治療分野にある。より詳細には、本発明は、ヒトインスリン類似体の新規アシル化誘導体に関する。本発明はまた、そのような誘導体化されたインスリン類似体を含む医薬組成物を提供し、糖尿病に関係する医学的状態を治療又は予防するためのそのような誘導体の使用に関する。
糖尿病治療のためのインスリン療法は、数十年にわたり使用されてきた。インスリン療法は、通常、毎日数回のインスリン注射を施すものである。このような療法は、1日1回又は2回の長時間作用型基礎注射、及び食事時(すなわち、食事前の使用)の即効型インスリン注射の投与を含むのが普通である。インスリン療法の重要な進歩の一つとなったのが、速効型インスリン類似体の導入である。しかし、速効型インスリン類似体を用いても、インスリンレベルは通常、注射後50〜70分まではピークに達しない。
したがって、インスリン注射によって、インスリンの自然な時間-作用プロファイルは再現されない。詳細には、糖尿病のない人における第一相インスリン放出の自然なスパイクでは、血中インスリンレベルは、食事からのグルコースが血中に入って数分以内に上昇する。対照的に、注射されたインスリンは、ゆっくりとしか血中に入らず、インスリンレベルは、レギュラーヒトインスリン注射の後80〜100分以内にピークに達する。
速効型インスリン類似体は、第一相インスリン放出を十分に模倣しないため、インスリン療法を使用する糖尿病患者は、食事開始時に存在するインスリンのレベルが不十分で、食事の間に存在するインスリンが多すぎるままとなる。インスリン送達におけるこの時間のずれは、食事開始後早々に高血糖を招きかねない。
インスリンは、自己会合特性を有し、その濃度が、自己会合の主要な要因である。高濃度、特に医薬製剤中において、インスリンは、自己会合して、二量体、六量体、十二量体、及び結晶となる。しかし、生理学的に活性のある形態のインスリンは、単量体であり、単量体が、インスリン受容体と結合し、生体応答を誘発する。
インスリン作用の迅速さは、インスリンが皮下組織からどれだけ速やかに吸収されるかに左右される。レギュラーヒトインスリンが皮下注射されるとき、製剤は、主として、2つの亜鉛イオンを含んだ六量体から構成される。六量体のインスリンは、その大きさのため、より小さいインスリンより、拡散する速度が遅く、したがって、吸収速度が緩慢である。
六量体内には、化学的及び物理的な分解に対して分子を安定化させる2個の亜鉛原子が配置されている。注射後、皮下組織では、濃度を推進力とした動的平衡が起こり、六量体を二量体へ、次いで単量体へと解離させる。歴史的に、こうしたレギュラーヒトインスリン製剤では、最大血漿濃度レベルに達するのにおよそ120分を要する。レギュラーヒトインスリンより速やかに吸収される亜鉛-インスリン調製物、たとえば、インスリンアスパルト及びインスリンリスプロが商品化されている。
無亜鉛のインスリン製剤では、より急速な皮下吸収が可能になるはずであるが、インスリンについては、一般に、無亜鉛製剤の化学的及び物理的安定性が課題である。
様々なインスリン誘導体が、種々の製剤及び用途に提唱されている。
WO1998042749は、経肺投与用の無亜鉛インスリン結晶を記載し、WO2002076495は、安定性が向上している無亜鉛及び低亜鉛インスリン調製物を記載し、WO2013063572は、場合によって亜鉛を含まない、超濃縮された速効型インスリン類似体製剤を記載している。
最後に、WO9731022、WO2005012347、WO2006125765、及びWO2009022006は、ある特定のアシル化インスリンを記載している。
更に、アルブミン結合部分を用いたペプチド及びタンパク質のアシル化を使用して、ペプチド及びタンパク質の作用持続期間の延長がなされている。
しかし、本発明によるインスリン誘導体は報告されておらず、食事前に使用するための速効性インスリン誘導体としてのその使用はいまだかつて提唱されていない。
Stability of Protein Pharmaceuticals、Ahern TJ & Manning MG、Plenum Press、New York 1992
Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版、1995
Beaucageら(1981) Tetrahedron Letters 22 1859〜1869
Matthesら(1984) EMBO Journal 3 801〜805
Russell (1985) Gene 40 125〜130
Alberら(1982) J. Mol. Appl. Genet. 1 419〜434
Kjeldsenら(1998) Prot. Expr. Pur. 14 309〜316
Kristensenら(1997) J. Biol. Chem. 20 12978〜12983
N. Sewald & H.D. Jakubke: Peptides: Chemistry and Biology、Wiley-VCH、2002、ISBN 3-527-30405-3
The Combinatorial Cheemistry Catalog、1999、Novabiochem AG
Glendorf Tら(2008) Biochemistry 47 4743〜4751
Volund A (1978) Biometrics 34 357〜365
Naikiら(1989) Anal. Biochem. 177 244〜249
LeVine (1999) Methods. Enzymol. 309 274〜284
本発明の目的は、皮下投与後に食前プロファイルを有するインスリン類似体を提供することである。
本発明の別の目的は、製剤化された状態で化学的に安定しているインスリン類似体を提供することである。
本発明の3番目の目的は、亜鉛を加えなくとも、製剤化された状態で化学的に安定しているインスリン類似体を提供することである。
本発明の4番目の目的は、製剤化された状態で物理的に安定しているインスリン類似体を提供することである。
本発明の5番目の目的は、亜鉛を加えなくとも、製剤化された状態で物理的に安定しているインスリン類似体を提供することである。
本発明の6番目の目的は、製剤化された状態で化学的及び物理的に安定しているインスリン類似体を提供することである。
本発明の7番目の目的は、亜鉛を加えずに製剤化された状態で化学的及び物理的に安定しているインスリン類似体を提供することである。
本発明の8番目の目的は、皮下投与後、現在市販されている食前インスリンに比べて肝臓優先的である、インスリン類似体を提供することである。
本発明の9番目の目的は、皮下投与後、現在市販されている食前インスリンに比べて肝臓選択的である、インスリン類似体を提供することである。
本発明の10番目の目的は、現在市販されている食前インスリンに比べて、食事前の皮下投与後に低血糖を誘発しにくい、インスリン類似体を提供することである。
本発明の11番目の目的は、現在市販されている食前インスリンに比べて、食事前の皮下投与後に体重増加を誘発しにくい、インスリン類似体を提供することである。
本発明の12番目の目的は、現在市販されている食前インスリンに比べて、食事前の皮下投与後に低血糖及び体重増加を誘発しにくい、インスリン類似体を提供することである。
本発明の13番目の目的は、現在市販されている食前インスリンに比べて、皮下投与後に筋肉及び/又は脂肪組織における作用がより少ないインスリン類似体を提供することである。
本発明のそれ以外の目的は、上で言及した目的、詳細には、皮下投与後に食前プロファイルを示す一方で、製剤化する際、特に亜鉛を加えずに製剤化する際、化学的に安定している、インスリン類似体の提供の1つ又は複数の組合せということになる。
本発明者らは、本発明のアシル化インスリン誘導体が、先行技術の同様のインスリン誘導体に比べて著しく改善された特性を有することを発見した。詳細には、本発明者らは、本発明のインスリン誘導体が、添加された亜鉛イオンを含有しない製剤として、先行技術の同様の誘導体と比べたとき、より小さいサイズの分子凝集体と会合することを発見した。種が小さいほど、大きい種より迅速に拡散することが知られており、したがって、より急速な吸収が予想される。こうした分子凝集体のサイズは、たとえば、実施例の部に記載するとおりのX線小角散乱(SAXS)によって、本明細書に記載のとおりに測定することができる。
本発明者らは、本発明のインスリン誘導体が、添加された亜鉛イオンを含有しない製剤として、先行技術の同様の誘導体に比べて、ラット及び/又はブタへの皮下投与後により迅速に吸収されることも発見しており、それによって、食事前に使用するインスリンとしての潜在的な臨床での有用性が示された。本発明者らは、本発明のインスリン誘導体が、添加された亜鉛イオンを含有しない製剤として、先行技術の同様の誘導体に比べて、ブタへの皮下投与後に、より少ない「テーリング」しか伴わないことを発見した。より少ないテーリングとは、注射されたインスリンの皮下貯留物が、先行技術の同様の類似体より迅速に吸収される結果、皮下投与後の平均滞留時間(MRT)が、本発明のインスリン誘導体について、先行技術の同様のアシル化誘導体と比べたとき、より短くなることを意味する。
無亜鉛の製剤は、より急速な皮下吸収を可能にするが、インスリンについては、一般に、無亜鉛製剤の化学的及び物理的安定性が課題であり、これまで、インスリングルリジン(Apidra(登録商標)、B3K、B29Eヒトインスリン)で、またバイアルに分注されるときは界面活性剤の存在下に限り、可能であるとしか示されていない。
本発明者らは今回、B3位における置換を有する、本発明のB29Kアシル化インスリン誘導体が、非常に思いがけなく、またいまだかつてなく、添加された亜鉛イオン及び添加された界面活性剤を含まない製剤として、化学的にも物理的にも安定していることを発見した。
皮下投与後のインスリンの吸収速度は、拡散速度と相互に関連するところが大きい。したがって、小さいインスリンは、大きいインスリンと比較して、拡散速度が速く、より速い吸収速度を示す。
亜鉛を含有するインスリン調製物では、吸収が起こりうる前に、製剤の亜鉛-六量体が二量体及び/又は単量体に解離する必要があるので、無亜鉛製剤より吸収は緩慢になる。
インスリン製剤の化学的及び物理的安定性には、亜鉛の存在が必要であり、急速な吸収のためには、亜鉛が不在となる必要がある。この問題の解決は、本発明において実現される。
インスリンは、臨床上有用となるために製剤中で安定する必要があるため、本発明のインスリンの特性を無亜鉛製剤中で安定させることで、先行技術のインスリンより優れた薬動学的及び薬力学的性質が得られる。これは、先行技術のインスリンでは、製剤中で安定するように、亜鉛イオンを用いて製剤化する必要があるためである。それゆえに、薬動学的及び薬力学的性質についての適正な比較とは、安定した製剤を比較することであり、したがって、本発明のインスリンの安定した無亜鉛製剤を、先行技術のインスリンの含亜鉛製剤と比較することである。
アシル化インスリン誘導体を食前インスリン療法として使用することによる利点は、インスリンアスパルト、インスリンリスプロ、又はインスリングルリジンのような、アシル化されていない食前インスリンによる治療で実現されるより高い血漿インスリン濃度が実現されることである。
本発明によるアシル化インスリン誘導体は、皮下投与後に、食事時様の時間-作用プロファイルを有する。
テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、又はヘキサデカン二酸を主体とする、本発明によるアルブミンバインダーを有するアシル化インスリン誘導体は、1.5%ヒト血清アルブミン(HSA)の存在下で低下するものである、インスリン受容体結合親和性を、高度に付与することが示されている。
本発明によるアシル化インスリン誘導体は、生理学的塩濃度において溶解度が低下しない。
したがって、その第一の態様において、本発明は、ヒトインスリン類似体のアシル化誘導体である、新規インスリン誘導体を提供し、これらの類似体は、ヒトインスリンに対して[B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、
類似体は、A8aar2置換、及び/又はA14Glu(E)置換、及び/又はA21aar3置換を更に含んでもよく、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表し、
インスリン類似体は、B29位の天然に存在するリジン残基のイプシロンアミノ基を、式IIの基
[アシル]-[リンカー]-
[式中、
リンカー基は、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜10個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖であり、
gGluは、ガンマグルタミン酸残基を表し、
OEGは、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸の残基(すなわち、式-NH-(CH2)2-O-(CH2)2-O-CH2-CO-の基)を表し、
アミノ酸残基は、いずれの順序で存在してもよく、
アミノ酸鎖は、少なくとも1個のgGlu残基を含み、
アシル基は、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン二酸、及び1,16-ヘキサデカン二酸から選択されるα,ω-ジ-カルボン酸の残基である]
でアシル化することにより誘導体化されている。
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、
類似体は、A8aar2置換、及び/又はA14Glu(E)置換、及び/又はA21aar3置換を更に含んでもよく、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表し、
インスリン類似体は、B29位の天然に存在するリジン残基のイプシロンアミノ基を、式IIの基
[アシル]-[リンカー]-
[式中、
リンカー基は、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜10個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖であり、
gGluは、ガンマグルタミン酸残基を表し、
OEGは、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸の残基(すなわち、式-NH-(CH2)2-O-(CH2)2-O-CH2-CO-の基)を表し、
アミノ酸残基は、いずれの順序で存在してもよく、
アミノ酸鎖は、少なくとも1個のgGlu残基を含み、
アシル基は、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン二酸、及び1,16-ヘキサデカン二酸から選択されるα,ω-ジ-カルボン酸の残基である]
でアシル化することにより誘導体化されている。
別の第1の態様では、本発明は、本発明のインスリン誘導体と、薬学的に許容される1種又は複数の医薬添加剤とを含む医薬組成物を提供する。
更なる態様では、本発明は、本発明のインスリン誘導体の医薬品としての使用に関する。
更に別の態様では、本発明は、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖、異脂肪症、肥満、メタボリック症候群(メタボリック症候群X、インスリン抵抗性症候群)、高血圧、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、卒中、心血管障害、冠動脈心疾患、炎症性腸症候群、消化不良、又は胃潰瘍に関係する疾患、障害、又は状態を治療、予防、又は緩和する方法であって、それを必要とする対象への、治療有効量の本発明のインスリン誘導体の投与を含む方法を提供する。
本発明の他の目的は、当業者には、以下の詳細な説明及び実施例から明白となろう。
インスリン誘導体
本発明は、その第1の態様において、アシル化されたヒトインスリン類似体である、新規インスリン誘導体を提供する。
本発明は、その第1の態様において、アシル化されたヒトインスリン類似体である、新規インスリン誘導体を提供する。
本発明のインスリン誘導体は、詳細には、アシル化されているヒトインスリン類似体として特徴付けることができ、この類似体は、ヒトインスリンに対して[B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、
類似体は、A8aar2置換、及び/又はA14Glu(E)置換、及び/又はA21aar3置換を更に含んでもよく、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表し、
インスリン類似体は、B29位の天然に存在するリジン残基のイプシロンアミノ基を、式IIの基
[アシル]-[リンカー]-
[式中、
リンカー基は、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜10個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖であり、
gGluは、ガンマグルタミン酸残基を表し、
OEGは、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸の残基(すなわち、式-NH-(CH2)2-O-(CH2)2-O-CH2-CO-の基)を表し、
アミノ酸残基は、いずれの順序で存在してもよく、
アミノ酸鎖は、少なくとも1個のgGlu残基を含み、
アシル基は、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン二酸、及び1,16-ヘキサデカン二酸から選択されるα,ω-ジ-カルボン酸の残基である]
でアシル化することにより誘導体化されている。
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、
類似体は、A8aar2置換、及び/又はA14Glu(E)置換、及び/又はA21aar3置換を更に含んでもよく、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表し、
インスリン類似体は、B29位の天然に存在するリジン残基のイプシロンアミノ基を、式IIの基
[アシル]-[リンカー]-
[式中、
リンカー基は、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜10個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖であり、
gGluは、ガンマグルタミン酸残基を表し、
OEGは、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸の残基(すなわち、式-NH-(CH2)2-O-(CH2)2-O-CH2-CO-の基)を表し、
アミノ酸残基は、いずれの順序で存在してもよく、
アミノ酸鎖は、少なくとも1個のgGlu残基を含み、
アシル基は、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン二酸、及び1,16-ヘキサデカン二酸から選択されるα,ω-ジ-カルボン酸の残基である]
でアシル化することにより誘導体化されている。
本発明の好ましい特色
本発明のアシル化されているヒトインスリン類似体は、以下の条項の1つ又は複数を参照することで、更に特徴付けることができる。
本発明のアシル化されているヒトインスリン類似体は、以下の条項の1つ又は複数を参照することで、更に特徴付けることができる。
1.ヒトインスリンに対して[B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
2.ヒトインスリンに対して[B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
3.本発明の[B3aar1、desB27、desB30]類似体が、
B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン
である、条項1に記載のアシル化されている類似体。
B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン
である、条項1に記載のアシル化されている類似体。
4.ヒトインスリンに対して[A8aar2、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
5.ヒトインスリンに対して[A8aar2、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
6.本発明の[A8aar2、B3aar1、desB27、desB30]類似体が、
A8H、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、又は
A8R、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、条項4に記載のアシル化されている類似体。
A8H、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、又は
A8R、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、条項4に記載のアシル化されている類似体。
7.ヒトインスリンに対して[A14Glu、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
8.ヒトインスリンに対して[A14Glu、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Gln(Q)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Gln(Q)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
9.本発明の[A14Glu、B3aar1、desB27、desB30]類似体が、
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、又は
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、条項7に記載のアシル化されている類似体。
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、又は
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、条項7に記載のアシル化されている類似体。
10.ヒトインスリンに対して[A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
11.ヒトインスリンに対して[A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)又はGln(Q)を表し、
aar3は、Ala(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)又はGln(Q)を表し、
aar3は、Ala(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
12.本発明の[A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]類似体が、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、又は
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、条項10に記載のアシル化されている類似体。
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、又は
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、条項10に記載のアシル化されている類似体。
13.ヒトインスリンに対して[A8aar2、A14Glu、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
14.ヒトインスリンに対して[A8aar2、A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
15.ヒトインスリンに対して[A8aar2、A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)を表し、
aar2は、His(H)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)を表し、
aar2は、His(H)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
16.本発明の[A8aar2、A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]類似体が、
A8H、A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、又は
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、条項14に記載のアシル化されている類似体。
A8H、A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、又は
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、条項14に記載のアシル化されている類似体。
17.ヒトインスリンに対して[A14Glu、A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、又はThr(T)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
18.ヒトインスリンに対して[A14Glu、A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Gln(Q)を表し、
aar3は、Ala(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Gln(Q)を表し、
aar3は、Ala(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
19.本発明の[A14Glu、A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]類似体が、
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、又は
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、条項17に記載のアシル化されている類似体。
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、又は
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、条項17に記載のアシル化されている類似体。
20.ヒトインスリンに対して[A8aar2、A14Glu、A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、アシル化されているヒトインスリン類似体。
21.ヒトインスリンに対して、
[A8H、A21A、B3E、desB27、desB30]、
[A8H、A21G、B3E、desB27、desB30]、
[A8H、B3E、desB27、desB30]、
[A8R、B3E、desB27、desB30]、
[A14E、A21A、B3Q、desB27、desB30]、
[A14E、B3Q、desB27、desB30]、
[A21A、B3E、desB27、desB30]、
[A21A、B3Q、desB27、desB30]、
[A21G、B3E、desB27、desB30]、
[B3E、desB27、desB30]、又は
[B3Q、desB27、desB30]
である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
[A8H、A21A、B3E、desB27、desB30]、
[A8H、A21G、B3E、desB27、desB30]、
[A8H、B3E、desB27、desB30]、
[A8R、B3E、desB27、desB30]、
[A14E、A21A、B3Q、desB27、desB30]、
[A14E、B3Q、desB27、desB30]、
[A21A、B3E、desB27、desB30]、
[A21A、B3Q、desB27、desB30]、
[A21G、B3E、desB27、desB30]、
[B3E、desB27、desB30]、又は
[B3Q、desB27、desB30]
である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
22. B29位の天然に存在するリジン残基のイプシロンアミノ基を、式IIの基
[アシル]-[リンカー]-
[式中、
リンカー基は、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜10個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖であり、
gGluは、ガンマグルタミン酸残基を表し、
OEGは、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸の残基(すなわち、式-NH-(CH2)2-O-(CH2)2-O-CH2-CO-の基)を表し、
アミノ酸残基は、いずれの順序で存在してもよく、
アミノ酸鎖は、少なくとも1個のgGlu残基を含み、
アシル基は、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン二酸、及び1,16-ヘキサデカン二酸から選択されるα,ω-ジ-カルボン酸の残基である]
でアシル化することにより誘導体化されている、アシル化されているヒトインスリン類似体。
[アシル]-[リンカー]-
[式中、
リンカー基は、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜10個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖であり、
gGluは、ガンマグルタミン酸残基を表し、
OEGは、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸の残基(すなわち、式-NH-(CH2)2-O-(CH2)2-O-CH2-CO-の基)を表し、
アミノ酸残基は、いずれの順序で存在してもよく、
アミノ酸鎖は、少なくとも1個のgGlu残基を含み、
アシル基は、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン二酸、及び1,16-ヘキサデカン二酸から選択されるα,ω-ジ-カルボン酸の残基である]
でアシル化することにより誘導体化されている、アシル化されているヒトインスリン類似体。
23.上記式IIによるリンカー基が、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜8個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖であり、アミノ酸残基は、いずれの順序で存在してもよく、アミノ酸鎖は、少なくとも1個のgGlu残基を含む、アシル化されているヒトインスリン類似体。
24.上記式IIによるリンカー基が、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜6個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
25.上記式IIによるリンカー基が、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜5個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
26.上記式IIによるリンカー基が、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜4個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
27.上記式IIによるリンカー基が、gGlu及び/又はOEGから選択される2〜4個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
28.上記式IIによるリンカー基が、gGlu及び/又はOEGから選択される3個又は4個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
29.上記式IIによるリンカー基が、4個のgGluアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
30.上記式IIによるリンカー基が、1個のgGluアミノ酸残基及び2個のOEGアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
31.上記式IIによるアシル基が、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン二酸、及び1,16-ヘキサデカン二酸から選択されるα,ω-ジ-カルボン酸の残基である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
32.上記式IIによるアシル基が、1,14-テトラデカン二酸残基である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
33.上記式IIによるアシル基が、1,15-ペンタデカン二酸残基である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
34.上記式IIによるアシル基が、1,16-ヘキサデカン二酸残基である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
35.上記式IIによるリンカー基が、テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG、テトラデカンジオイル-4×gGlu、ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG、及びヘキサデカンジオイル-4×gGluから選択される、アシル化されているヒトインスリン類似体。
36. B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A8H、A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A8H、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A8R、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、又は
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A8H、A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A8H、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A8R、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、又は
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、アシル化されているヒトインスリン類似体。
本明細書に記載の実施形態の2つ以上のいずれの組合せも、本発明の範囲内にあるとみなされる。
定義
命名法
本明細書では、インスリンの命名は、以下の原則に従って行う。
用語「類似体」は、往々にして、更なる化学修飾(誘導体化)、特にアシル化を受ける前の、当該インスリンタンパク質又はペプチドに対して使用される。そのような化学修飾(誘導体化)の結果として生じる生成物は、「誘導体」又は「アシルされた化類似体」と呼ぶのが普通である。しかし、本出願の状況では、用語「類似体」は、ヒトインスリンの類似体に加えて、そのようなヒトインスリン類似体の(アシル化された)誘導体も示す。
命名法
本明細書では、インスリンの命名は、以下の原則に従って行う。
用語「類似体」は、往々にして、更なる化学修飾(誘導体化)、特にアシル化を受ける前の、当該インスリンタンパク質又はペプチドに対して使用される。そのような化学修飾(誘導体化)の結果として生じる生成物は、「誘導体」又は「アシルされた化類似体」と呼ぶのが普通である。しかし、本出願の状況では、用語「類似体」は、ヒトインスリンの類似体に加えて、そのようなヒトインスリン類似体の(アシル化された)誘導体も示す。
名称は、ヒトインスリンに対する類似体、誘導体、及び修飾(アシル化)として割り当てる。アシル部分(すなわち、式IIの[アシル]-[リンカー]-基)の命名については、IUPAC命名法に従って命名を行う場合もあれば、ペプチド命名法のように命名を行う場合もある。
一例として、次の構造(化学式1)のアシル部分:
は、「テトラデカンジオイル-4×gGlu」、「テトラデカンジオイル-4×ガンマGlu」、又は「1,14-テトラデカンジオイル-4×gGlu」等と命名する場合があり、γGlu(及びgGlu)は、アミノ酸であるL-立体配置のガンマグルタミン酸の省略表記であり、「4×」は、後に続く残基が4回繰り返されることを意味する。
同様に、次の構造(化学式2)のアシル部分:
は、たとえば、「ヘキサデカンジオイル-(gGlu-OEG)3-gGlu)」、「ヘキサデカンジオイル-(gGlu-OEG)3-gGlu)」、「ヘキサデカンジオイル-3×(gGlu-OEG)-gGlu)」、「1,16-ヘキサデカンジオイル-(gGlu-OEG)3-gGlu)」、「1,16-ヘキサデカンジオイル-(gGlu-OEG)3-gGlu)」、「1,16-ヘキサデカンジオイル-3×(gGlu-OEG)-gGlu)」、「ヘキサデカンジオイル-(γGlu-OEG)3-γGlu)」、「ヘキサデカンジオイル-(γGlu-OEG)3-γGlu)」、又は「ヘキサデカンジオイル-3×(γGlu-OEG)-γGlu)」と命名することができ、
次の構造(化学式3)の部分:
次の構造(化学式3)の部分:
は、たとえば、テトラデカンジオイル、1,14-テトラデカンジオイル、又は(省略表記)C14二酸と命名することができる。15個及び16個の炭素原子を有する同様の残基についても、同様の表記、すなわち、それぞれペンタデカンジオイル、C15二酸、及びヘキサデカンジオイル、C16二酸が適用される。
γGlu (及びgGlu)は、L-立体配置であるアミノ酸ガンマグルタミン酸H2N-CH(CO2H)-CH2CH2-CO2H(アルファアミノ基及びガンマ(側鎖)カルボキシ基を介して接続している)の省略表記である。
OEGは、アミノ酸残基8-アミノ-3,6-ジオキサ-オクタン酸、すなわちNH2(CH2)2O(CH2)2OCH2CO2Hの省略表記である。
「2×」及び「3×」は、後に続く残基が、それぞれ2回、3回繰り返されることを意味する。
たとえば、実施例1のインスリン誘導体は、「A8H、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン」と命名されて、B29位のリジン(K)が、B29のリジン残基中の、Nε(又はN(eps))と示されるイプシロン窒素における、テトラデカンジオイル-Glu-2×OEG部分でのアシル化によって修飾されていること、ヒトインスリンにおけるA8位のアミノ酸T(トレオニン)がヒスチジン(H)で置換されていること、ヒトインスリンにおけるB3位のアミノ酸Nがグルタミン酸Eで置換されていること、ヒトインスリンにおけるB27位のアミノ酸T(トレオニン)が欠失していること、ヒトインスリンにおけるB30位のアミノ酸トレオニンTが欠失していることが示される。以下の式中のアステリスクは、当該残基がヒトインスリンと比べて異なっている(すなわち、置換されている)ことを示す。
本出願では終始、本発明の好ましいインスリンの式及び名称の両方を示す。
加えて、本発明のインスリンはまた、IUPAC命名法(OpenEye、IUPACスタイル)に従って命名される。この命名法によれば、実施例1のインスリン誘導体には、次の名称が割り当てられる:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]-エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[HisA8,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
式は、(アシル化によって修飾されている)リジン残基を伴って記される場合があり、伸長されたリジン残基と共に描かれる(たとえば、実施例1に示すとおり)か、又は短縮されたリジン残基と共に描かれる(たとえば、実施例11に示すとおり)ことを留意すべきである。すべての場合において、アシル基は、リジン残基のイプシロン窒素に結合している。
完全を期するために、B27位の残基の欠失(desB27)は、残りのアミノ酸残基の1残基分のN末端方向への(規則的)移動をもたらすと述べることができる。したがって、そのような類似体は、B28位の残基がプロリンであり、B29位の残基がリジンであるので、B27P、B28K、desB29〜30とみなすこともできる(たとえば、実施例1の化合物を参照されたい)。これは、B27を欠失させることで、次いで配列中の隣のアミノ酸が場所を移し、こうしてB28位のアミノ酸(プロリン)がB27位に移る等であるためである。
物理的安定性
本明細書で使用する、インスリン調製物の「物理的安定性」という用語は、タンパク質が、熱機械的応力、及び/又は疎水性表面や界面等の不安定化する界面及び表面との相互作用に曝される結果として、生物学的に不活性及び/又は不溶性のタンパク質凝集体を形成する傾向を指す。水性タンパク質調製物の物理的安定性は、適切な容器(たとえば、カートリッジ又はバイアル)に詰めた調製物を異なる温度で様々な期間にかけて機械的/物理的応力(たとえば、撹拌)に曝した後の目視検査及び/又は濁り度測定によって評価される。調製物の目視検査は、背景を暗くして焦点を絞った光のもとで行われる。調製物は、昼光において目に見える濁りを示すとき、タンパク質凝集に関して、物理的に不安定であると分類される。別法として、調製物の濁り度は、当業者によく知られている簡単な濁り度測定によって評価することもできる。水性タンパク質調製物の物理的安定性は、高次構造状態のタンパク質の分光剤又はプローブを使用して評価することもできる。プローブは、タンパク質の非天然配座異性体に優先的に結合する小分子であることが好ましい。タンパク質構造の小分子分光プローブの一例は、Thioflavin Tである。Thioflavin Tは、アミロイド原線維の検出に広く使用されている蛍光色素である。原線維の存在下、ことによるとその上に他のタンパク質立体配置の存在下でも、Thioflavin Tは、原線維タンパク質形態に結合したとき、約450nmでの最大励起、及び約482nmでの発光増強を新たに生じる。未結合Thioflavin Tは、本質的に、これらの波長では蛍光性でない。
本明細書で使用する、インスリン調製物の「物理的安定性」という用語は、タンパク質が、熱機械的応力、及び/又は疎水性表面や界面等の不安定化する界面及び表面との相互作用に曝される結果として、生物学的に不活性及び/又は不溶性のタンパク質凝集体を形成する傾向を指す。水性タンパク質調製物の物理的安定性は、適切な容器(たとえば、カートリッジ又はバイアル)に詰めた調製物を異なる温度で様々な期間にかけて機械的/物理的応力(たとえば、撹拌)に曝した後の目視検査及び/又は濁り度測定によって評価される。調製物の目視検査は、背景を暗くして焦点を絞った光のもとで行われる。調製物は、昼光において目に見える濁りを示すとき、タンパク質凝集に関して、物理的に不安定であると分類される。別法として、調製物の濁り度は、当業者によく知られている簡単な濁り度測定によって評価することもできる。水性タンパク質調製物の物理的安定性は、高次構造状態のタンパク質の分光剤又はプローブを使用して評価することもできる。プローブは、タンパク質の非天然配座異性体に優先的に結合する小分子であることが好ましい。タンパク質構造の小分子分光プローブの一例は、Thioflavin Tである。Thioflavin Tは、アミロイド原線維の検出に広く使用されている蛍光色素である。原線維の存在下、ことによるとその上に他のタンパク質立体配置の存在下でも、Thioflavin Tは、原線維タンパク質形態に結合したとき、約450nmでの最大励起、及び約482nmでの発光増強を新たに生じる。未結合Thioflavin Tは、本質的に、これらの波長では蛍光性でない。
化学的安定性
本明細書で使用する、タンパク質調製物の「化学的安定性」という用語は、未変性タンパク質構造に比べて生物学的効力が低下している可能性及び/又は免疫原性特性が増大している可能性を秘めた化学的分解生成物の生成をもたらす、共有結合性タンパク質構造の変化を指す。未変性タンパク質の種類及び性質並びにタンパク質が曝される環境に応じて、種々の化学的分解生成物が生成しうる。化学的分解生成物の量の漸増は、タンパク質調製物の貯蔵中及び使用中に認められることが多い。大部分のタンパク質は、グルタミニル又はアスパラギニル残基中の側鎖アミド基が加水分解されて遊離カルボン酸が生成される、又はアスパラギニル残基ではisoAsp誘導体が生成される過程である、脱アミドに陥りがちである。他の分解経路には、高分子量生成物の生成が伴い、この場合では、2つ以上のタンパク質分子がアミド基転移及び/又はジスルフィド相互作用を経て互いに共有結合して、共有結合した二量体、オリゴマー、及びポリマー分解生成物の生成へとつながる(Stability of Protein Pharmaceuticals、Ahern TJ & Manning MG、Plenum Press、New York 1992)。(たとえば、メチオニン残基の)酸化は、別の種類の化学的分解として挙げることができる。タンパク質調製物の化学的安定性は、異なる環境条件に曝した後の種々の時点で化学的分解生成物の量を測定して評価することができる(分解生成物の生成は、多くの場合、たとえば、温度を上昇させて加速させることができる)。個々の各分解生成物の量は、往々にして、種々のクロマトグラフィー技術(たとえば、SEC-HPLC及び/又はRP-HPLC)を使用して、分解生成物を、分子サイズ、疎水性、及び/又は電荷に応じて分離することにより求められる。HMWP生成物は、免疫原性である可能性もあり、生物学的に活性がないため、HMWPのレベルが低いことが有利である。
本明細書で使用する、タンパク質調製物の「化学的安定性」という用語は、未変性タンパク質構造に比べて生物学的効力が低下している可能性及び/又は免疫原性特性が増大している可能性を秘めた化学的分解生成物の生成をもたらす、共有結合性タンパク質構造の変化を指す。未変性タンパク質の種類及び性質並びにタンパク質が曝される環境に応じて、種々の化学的分解生成物が生成しうる。化学的分解生成物の量の漸増は、タンパク質調製物の貯蔵中及び使用中に認められることが多い。大部分のタンパク質は、グルタミニル又はアスパラギニル残基中の側鎖アミド基が加水分解されて遊離カルボン酸が生成される、又はアスパラギニル残基ではisoAsp誘導体が生成される過程である、脱アミドに陥りがちである。他の分解経路には、高分子量生成物の生成が伴い、この場合では、2つ以上のタンパク質分子がアミド基転移及び/又はジスルフィド相互作用を経て互いに共有結合して、共有結合した二量体、オリゴマー、及びポリマー分解生成物の生成へとつながる(Stability of Protein Pharmaceuticals、Ahern TJ & Manning MG、Plenum Press、New York 1992)。(たとえば、メチオニン残基の)酸化は、別の種類の化学的分解として挙げることができる。タンパク質調製物の化学的安定性は、異なる環境条件に曝した後の種々の時点で化学的分解生成物の量を測定して評価することができる(分解生成物の生成は、多くの場合、たとえば、温度を上昇させて加速させることができる)。個々の各分解生成物の量は、往々にして、種々のクロマトグラフィー技術(たとえば、SEC-HPLC及び/又はRP-HPLC)を使用して、分解生成物を、分子サイズ、疎水性、及び/又は電荷に応じて分離することにより求められる。HMWP生成物は、免疫原性である可能性もあり、生物学的に活性がないため、HMWPのレベルが低いことが有利である。
合成方法
本発明のインスリン誘導体は、インスリン、インスリン類似体、及びインスリン誘導体の従来の調製方法、特に、作業実施例に記載の方法によって取得することができる。
本発明のインスリン誘導体は、インスリン、インスリン類似体、及びインスリン誘導体の従来の調製方法、特に、作業実施例に記載の方法によって取得することができる。
生物学的活性
別の態様では、本発明は、医薬品として使用するため、又は医薬品若しくは医薬組成物の製造において使用するための、新規インスリン誘導体を提供する。
別の態様では、本発明は、医薬品として使用するため、又は医薬品若しくは医薬組成物の製造において使用するための、新規インスリン誘導体を提供する。
本発明のインスリン誘導体は、食事前の使用に十分に適しているとみなされる、短時間で急速に作用するインスリン誘導体であることがわかっている。
本発明のインスリン誘導体はすべて、インスリン受容体を活性化させて必要な血糖応答を得るのに妥当なインスリン受容体親和性を有する、すなわち、動物及びヒトにおいて血糖を低下させることができる。本発明のインスリンの機能(作動)活性の尺度として、ラット脂肪細胞における脂質生合成活性が証明されている。
本発明のインスリン誘導体は、インスリン受容体(IR)のインスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)に対する親和性の比(IR/IGF-1R)のバランスがとれていることがわかっている。
一態様では、本発明のB29Kアシル化インスリンは、IR/IGF-1R比が、0.3より大きい、0.4より大きい、0.5より大きい、0.6より大きい、0.7より大きい、0.8より大きい、0.9より大きい、1より大きい、1.5より大きい、又は2より大きい。
別の態様では、B29Kアシル化インスリン類似体は、式IIのアシル基が1,14-テトラデカン二酸から誘導される本発明の化合物であり、アシル化されたインスリン類似体は、1.6%(w/体積、概算)のグリセロール及び30mMのフェノール/m-クレゾール、pH7.4を含有する、本発明のアシル化インスリン類似体の600μM(概算)製剤をブタに皮下注射した後の平均滞留時間(MRT)が、250分未満、200分未満、175分未満、150分未満、125分未満、100分未満である。
別の態様では、B29Kアシル化インスリン類似体は、式IIのアシル基が1,16-ヘキサデカン二酸から誘導される本発明の化合物であり、アシル化されたインスリン類似体は、1.6%(w/体積、概算)のグリセロール及び30mMのフェノール/m-クレゾール、pH7.4を含有する、本発明のアシル化インスリン類似体の600μM(概算)製剤をブタに皮下注射した後の平均滞留時間(MRT)が、700分未満、600分未満、500分未満、400分未満、300分未満、250分未満である。
更なる態様では、本発明は、本発明のアシル化されたインスリン類似体の医学的使用、詳細には、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖、異脂肪症、肥満、メタボリック症候群(メタボリック症候群X、インスリン抵抗性症候群)、高血圧、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、卒中、心血管障害、冠動脈心疾患、炎症性腸症候群、消化不良、又は胃潰瘍に関係する疾患、障害、又は状態を治療、予防、又は緩和するための、このようなインスリン誘導体の使用であって、それを必要とする対象への、治療有効量の本発明のインスリン誘導体の投与を含む方法に関する。
別の実施形態では、本発明は、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、又は耐糖能障害に関係する疾患、障害、又は状態を治療、予防、又は緩和するための、そのようなインスリン誘導体の使用であって、それを必要とする対象への、治療有効量の本発明のインスリン誘導体の投与を含む方法に関する。
第三の実施形態では、本発明は、糖尿病、詳細には、1型糖尿病又は2型糖尿病に関係する疾患、障害、又は状態を治療、予防、又は緩和するための、そのようなインスリン誘導体の使用に関する。
医薬組成物
本発明は、医薬品として有用な、又は医薬組成物/医薬品の製造に有用な、アシル化されているインスリン類似体に関する。
本発明は、医薬品として有用な、又は医薬組成物/医薬品の製造に有用な、アシル化されているインスリン類似体に関する。
したがって、別の態様では、本発明は、治療有効量の本発明によるインスリン誘導体を含む新規医薬組成物を提供する。
本発明による医薬組成物は、薬学的に許容される1種又は複数の担体及び/又は希釈剤を場合により含む。
本発明の医薬組成物は、医薬組成物中に一般に使用される他の医薬添加剤、たとえば、保存剤、キレート剤、等張化剤、吸収促進剤、安定剤、酸化防止剤、ポリマー、界面活性剤、金属イオン、油脂性賦形剤、及びタンパク質(たとえば、ヒト血清アルブミン、ゼラチン、又はタンパク質)を更に含んでもよい。
本発明の一実施形態では、本発明の医薬組成物は、水性調製物、すなわち、水を含む調製物である。このような調製物は通常、溶液又は懸濁液である。本発明の別の実施形態では、医薬組成物は、水溶液である。
用語「水性調製物」とは、少なくとも50%w/wの水を含む調製物であると定義される。同様に、用語「水溶液」とは、少なくとも50%w/wの水を含む溶液であると定義され、用語「水性懸濁液」とは、少なくとも50%w/wの水を含む懸濁液であると定義される。水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適する賦形剤と混合された活性化合物を含有するものでよい。
本発明の一実施形態では、インスリン調製物は、本発明のインスリン誘導体の水溶液を含み、前記インスリン化合物は、約0.1mM〜約20.0mM、より詳細には、約0.2mM〜約4.0mM、約0.3mM〜約2.5mM、約0.5mM〜約2.5mM、約0.6mM〜約2.0mM、又は約0.6mM〜約1.2mMの濃度で存在する。
本発明の別の実施形態では、インスリン調製物は、本発明のインスリン誘導体の水溶液を含み、前記インスリン化合物は、約0.1mM、約0.3mM、約0.4mM、約0.6mM、約0.9mM、約1.2mM、約1.5mM、又は約1.8mMの濃度で存在する。
本発明の医薬組成物は、緩衝剤系を更に含んでもよい。緩衝剤は、限定はしないが、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、グリシルグリシン、エチレンジアミン、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸、又はこれらの混合物からなる群から選択することができる。こうした詳細な緩衝剤の一つ一つは、本発明の代替実施形態をなす。
一実施形態では、緩衝剤は、リン酸緩衝剤である。更に別の実施形態では、前記リン酸緩衝剤の濃度は、約0.1mM〜20mMの範囲にある。更に別の実施形態では、前記リン酸緩衝剤の濃度は、0.1mM〜約10mM、約0.1mM〜約8mM、約1mM〜約8mM、約2mM〜約8mM、又は6mM〜8mMの範囲にある。
本発明の注射用医薬組成物のpHは、3〜8.5の範囲にある。本発明の注射用医薬組成物は、pHが約6.8〜約7.8の範囲にあることが好ましい。
一実施形態では、pHは、約7.0〜約7.8又は7.2〜7.6の範囲にある。
本発明のインスリン調製物は、等張化剤を更に含んでもよい。等張化剤は、塩(たとえば、塩化ナトリウム)、糖若しくは糖アルコール、アミノ酸(たとえば、L-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、トレオニン)、アルジトール(たとえば、グリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール) ポリエチレングリコール(たとえば、PEG400)、又はこれらの混合物からなる群から選択することができる。たとえば、フルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、及びカルボキシメチルセルロースNaを始めとする、単糖、二糖、若しくは多糖、又は水溶性グルカン等のいずれかの糖を使用することができる。一実施形態では、糖添加剤は、スクロースである。糖アルコールとしては、たとえば、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、及びアラビトールが挙げられる。一実施形態では、糖アルコール添加剤は、マンニトールである。上で言及した糖又は糖アルコールは、個々に、又は組み合わせて使用することができる。こうした詳細な等張化剤の一つ一つ又はその混合物は、本発明の代替実施形態をなす。
本発明の一実施形態では、グリセロール及び/又はマンニトール及び/又は塩化ナトリウムは、0〜250mM、0〜200mM、又は0〜100mMの濃度に相当する量で存在してよい。
本発明のインスリン調製物は、薬学的に許容される保存剤を更に含んでもよい。保存剤は、保存効果を得るのに十分な量で存在してよい。本発明の医薬組成物中の保存剤量は、たとえば、当分野の文献及び/又はたとえば市販製品中の既知の保存剤量から求めることができる。こうした詳細な保存剤の一つ一つ又はその混合物は、本発明の代替実施形態をなす。医薬調製物への保存剤の使用は、たとえば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版、1995に記載されている。
一実施形態では、注射用医薬組成物は、少なくとも1種のフェノール性化合物を保存剤として含む。
別の実施形態では、本発明に従って使用されるフェノール性化合物は、最終注射用医薬組成物中に約6mg/mLまで、特に最終注射用医薬組成物中に約4mg/mLまで存在してよい。
別の実施形態では、本発明に従って使用されるフェノール性化合物は、最終注射用医薬組成物中に約4.0mg/mLまで、特に約0.5mg/mL〜約4.0mg/mL、又は約0.6mg/mL〜約4.0mg/mLの量で存在してよい。
別の実施形態では、保存剤は、フェノールである。
別の実施形態では、注射用医薬組成物は、フェノールとm-クレゾールの混合物を保存剤として含む。
別の実施形態では、注射用医薬組成物は、約16mMのフェノール(1.5mg/mL)と約16mMのm-クレゾール(1.72mg/mL)とを含む。
本発明の医薬組成物は、キレート剤を更に含んでもよい。医薬調製物へのキレート剤の使用は、当業者によく知られている。便宜上、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版、1995を参照文献として挙げておく。
本発明の医薬組成物は、吸収促進剤を更に含んでもよい。吸収促進剤の仲間として、限定はしないが、ニコチン系化合物を挙げることができる。ニコチン系化合物という用語は、ニコチンアミド、ニコチン酸、ナイアシン、ナイアシンアミド、及びビタミンB3、及び/若しくはこれらの塩、及び/又はこれらのいずれかの組合せを包含する。
一実施形態では、ニコチン系化合物は、ニコチンアミド、及び/若しくはニコチン酸、及び/又はこれらの塩である。別の実施形態では、ニコチン系化合物は、ニコチンアミドである。本発明に従って使用されるニコチン系化合物は、詳細には、N-メチルニコチンアミド、N,N-ジエチルニコチンアミド、N-エチルニコチンアミド、N,N-ジメチルニコチンアミド、N-プロピルニコチンアミド、又はN-ブチルニコチンアミドでよい。
別の実施形態では、ニコチン系化合物は、約5mM〜約200mMの量、特に、約20mM〜約200mMの量、約100mM〜約170mMの量、又は約130mM〜約170mM、たとえば、約130mM、約140mM、約150mM、約160mM、約170mMの量で存在する。
本発明の医薬組成物は、安定剤を更に含んでもよい。本明細書で使用する用語「安定剤」とは、ポリペプチドを含有する医薬調製物に加えられる、ペプチドを安定化する、すなわち、このような調製物の貯蔵寿命及び/又は使用期限を延長するための化学物質を指す。便宜上、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版、1995を参照文献として挙げておく。
本発明の医薬組成物は、組成物を貯蔵する間のポリペプチド又はタンパク質による凝集体形成を軽減するのに十分な量のアミノ酸塩基を更に含んでもよい。用語「アミノ酸塩基」とは、所与のいずれかのアミノ酸がその遊離塩基形態又はその塩形態のどちらかで存在する、アミノ酸又はアミノ酸の組合せを指す。アミノ酸は、詳細には、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アミノグアニジン、オルニチン若しくはN-モノエチルL-アルギニン、エチオニン若しくはブチオニン、又はS-メチル-Lシステインでよい。本発明の一実施形態では、アミノ酸塩基は、1〜100mM、1〜50mM、又は1〜30mMの濃度に相当する量で存在してよい。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、界面活性剤を更に含んでもよい。本明細書で使用する用語「界面活性剤」とは、水溶性(親水性)部である頭部と、脂溶性(親油性)セグメントとから構成される任意の分子又はイオンを指す。界面活性剤は、好ましくは界面に蓄積し、親水性部が水(親水性相)に向かって、親油性部が油相又は疎水性相(すなわち、ガラス、空気、油等)に向かって配向している。界面活性剤がミセルを形成し始める濃度は、臨界ミセル濃度又はCMCとして知られている。更に、界面活性剤は、液体の表面張力を低下させる。界面活性剤は、両親媒性化合物としても知られている。医薬調製物への界面活性剤の使用は、当業者によく知られている。便宜上、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版、1995を参照文献として挙げておく。
本発明は更に、そのようなインスリン調製物の調製方法に関する。本発明のインスリン調製物は、一般に認められているいくつかの方法のいずれかを使用して調製することができる。たとえば、調製物は、医薬添加剤の水溶液をインスリン誘導体の水溶液と混合し、その後pHを所望のレベルに調整し、混合物に水を足して最終体積とした後、滅菌濾過にかけることにより調製できる。
無亜鉛医薬組成物
インスリン調製物は、伝統的に、医薬調製物において許容される安定性を実現するために、たとえば塩化物又は酢酸塩として加えられた亜鉛を含む。しかし、本発明のインスリン誘導体が、十分な化学的及び物理的安定性を維持しながら、亜鉛を加えずに医薬組成物に製剤化され、その結果、十分な化学的及び物理的安定性の維持にZn2+イオンを必要とする、同等なインスリン類似体よりも急速な作用の発現を実現できることが、思いがけなく見出された。無亜鉛製剤は、皮下組織により急速に吸収され、したがって食事前の使用が可能になる。
インスリン調製物は、伝統的に、医薬調製物において許容される安定性を実現するために、たとえば塩化物又は酢酸塩として加えられた亜鉛を含む。しかし、本発明のインスリン誘導体が、十分な化学的及び物理的安定性を維持しながら、亜鉛を加えずに医薬組成物に製剤化され、その結果、十分な化学的及び物理的安定性の維持にZn2+イオンを必要とする、同等なインスリン類似体よりも急速な作用の発現を実現できることが、思いがけなく見出された。無亜鉛製剤は、皮下組織により急速に吸収され、したがって食事前の使用が可能になる。
これに関して、亜鉛の痕跡は、多かれ少なかれ、医薬組成物の製造に従来使用される医薬添加剤中に、特に、医療容器に使用されるゴム材料中に存在することもあるため、無亜鉛インスリン医薬組成物は、実に手にしがたいということに触れる必要がある。
したがって、一態様では、本発明は、添加された亜鉛イオンを含まない低亜鉛組成物として製剤化された、本発明のインスリン誘導体を含む医薬組成物を提供する。このような医薬組成物は、実際には「低亜鉛組成物」とみなすことができるとはいえ、「無亜鉛組成物」と呼ぶのが普通である。
しかし、無亜鉛医薬添加剤を供給することができるなら、本発明のインスリン誘導体において、無亜鉛医薬組成物の調製が実際に見込まれる。したがって、別の態様では、本発明は、本発明のインスリン誘導体と、亜鉛を含まない、薬学的に許容される1種又は複数の担体若しくは希釈剤とを含む、無亜鉛医薬組成物を提供する。
本発明者らは、B3位における置換を有する、本発明のB29Kアシル化インスリン誘導体が、亜鉛イオンを加えずに製剤化され、添加された界面活性剤を含まない医薬組成物の化学的及び物理的安定性の一助となることを発見した。したがって、別の態様では、本発明は、B3位における追加の置換(すなわち、B3E又はB3Q)を含む本発明のインスリン誘導体と、薬学的に許容される1種又は複数の担体又は希釈剤とを含み、しかし、界面活性剤が添加されていない、上述のとおりの低亜鉛又は無亜鉛医薬組成物を提供する。
一実施形態では、本発明は、6インスリン分子あたり0.2未満のZn2+イオン、6インスリン分子あたり0.15未満のZn2+イオン、6インスリン分子あたり0.12未満のZn2+イオン、6インスリン分子あたり0.1のZn2+イオン、6インスリン分子あたり0.09未満のZn2+イオン、6インスリン分子あたり0.08未満のZn2+イオン、6インスリン分子あたり0.07未満のZn2+イオン、6インスリン分子あたり0.06未満のZn2+イオン、6インスリン分子あたり0.05未満のZn2+イオン、6インスリン分子あたり0.04未満のZn2+イオン、6インスリン分子あたり0.03未満のZn2+イオン、6インスリン分子あたり0.02未満のZn2+イオン、又は6インスリン分子あたり0.01未満のZn2+イオンの濃度に相当する量で亜鉛イオンが存在してよい、上述のとおりの低亜鉛医薬組成物を提供する。
別の実施形態では、本発明は、インスリン誘導体と、薬学的に許容される1種又は複数の担体又は希釈剤とを含む、添加された亜鉛イオンを含まない低亜鉛組成物として製剤化されている医薬組成物を提供する。
更なる実施形態では、本発明は、上述のとおりの低亜鉛組成物として製剤化されており、界面活性剤が添加されていない医薬組成物を提供する。
また更なる実施形態では、本発明は、上述のとおりの低亜鉛組成物として製剤化されており、界面活性剤が添加されておらず、上述のとおり、ニコチン系化合物、詳細にはニコチンアミドを含む医薬組成物を提供する。
投与方法
本発明の組成物は、従来の方法によって投与することができる。
本発明の組成物は、従来の方法によって投与することができる。
非経口投与は、注射器、場合に応じてペン型注射器による、皮下、筋肉内、腹腔内、又は静脈内注射によって行うことができる。別法として、非経口投与は、注入ポンプによって行ってもよい。別の選択肢として、本発明のインスリン化合物を含有するインスリン調製物は、たとえば、無針注射による、若しくは微細針パッチ、場合に応じてイオン導入パッチからの経皮投与、又は経粘膜、たとえば頬側投与に適合させることもできる。
本発明の医薬組成物は、このような治療を必要とする患者に、いくつかの部位、たとえば、局所部位、たとえば、皮膚及び粘膜部位において、たとえば、動脈内、静脈内、心臓内の投与等の吸収の迂回路となる部位において、また吸収に関与する部位(たとえば、皮内、皮下、筋肉内、若しくは腹部内の投与)において投与することができる。
本発明の医薬組成物は、非経口投与による糖尿病の治療において使用することができる。実際の投与量は、治療する疾患の性質及び重症度に応じて決まり、医師の裁量の範囲内であり、所望の治療効果を生じるように、本発明の特定の状況に合わせて投与量を漸増することにより変化させてよい。
しかし、患者に投与される本発明のインスリン調製物の投与量は、医師によって選択されることが推奨される。現在、本発明によるインスリン誘導体は、最終医薬組成物中に、約0.1mM〜約20.0mM、より特段には約0.2mM〜約4.0mM、約0.3mM〜約2.5mM、約0.5mM〜約2.5mM、約0.6mM〜約2.0mM、又は約0.6mM〜約1.2mMの量で存在するように企図されている。
本発明の医薬組成物は、注射によるインスリン療法に使用されるペン型装置、ポンプの使用による継続的な皮下インスリン注入療法を始めとする、インスリン投与に通常使用される種々の医療用具での使用、及び/又は基礎インスリン療法での適用向けに調製することもできる。
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、注射によるインスリン療法に使用するためのペン型装置用に製剤化されている。
別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、インスリン投与用の外部ポンプ用に製剤化されている。
治療方法
本発明は、治療用途のための薬物に関する。より詳細には、本発明は、糖尿病に関係する医学的状態を治療又は予防するための、本発明のヒトインスリン類似体のアシル化誘導体の使用に関する。
本発明は、治療用途のための薬物に関する。より詳細には、本発明は、糖尿病に関係する医学的状態を治療又は予防するための、本発明のヒトインスリン類似体のアシル化誘導体の使用に関する。
したがって、別の態様では、本発明は、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖、異脂肪症、肥満、メタボリック症候群(メタボリック症候群X、インスリン抵抗性症候群)、高血圧、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、卒中、心血管障害、冠動脈心疾患、炎症性腸症候群、消化不良、又は胃潰瘍に関係する疾患、障害、又は状態から選択されるものでよい、ヒトを含めた生きている動物体の疾患、障害、又は状態を治療又は緩和する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の本発明のアシル化されたヒトインスリン類似体を投与する工程を含む方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖、異脂肪症、肥満、メタボリック症候群(メタボリック症候群X、インスリン抵抗性症候群)、高血圧、認知障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、卒中、心血管障害、冠動脈心疾患、炎症性腸症候群、消化不良、又は胃潰瘍に関係する疾患、障害、又は状態から選択されるものでよい、ヒトを含めた生きている動物体の疾患、障害、又は状態を治療又は緩和する方法であって、それを必要とする対象への、治療有効量の本発明のアシル化されたヒトインスリン類似体の投与を含む方法を提供する。
第三の実施形態では、本発明は、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、耐糖能障害、高血糖、異脂肪症、肥満、メタボリック症候群(メタボリック症候群X、インスリン抵抗性症候群)に関係する疾患、障害、又は状態から選択されるものでよい、ヒトを含めた生きている動物体の疾患、障害、又は状態を治療又は緩和する方法を提供する。
第四の実施形態では、本発明は、糖尿病、詳細には、1型糖尿病又は2型糖尿病に関係する疾患、障害、又は状態から選択されるものでよい、ヒトを含めた生きている動物体の疾患、障害、又は状態を治療又は緩和する方法を提供する。
本発明は、添付の図面を参照することで更に説明される。
以下の実施例に即して本発明を更に例示するが、実施例は、請求項に記載の本発明の範囲を一切限定しないものとする。
インスリン類似体の発現及び精製
インスリン類似体の発現
本発明に従って使用される、インスリン類似体、すなわち、2本の鎖の、アシル化されていないインスリン類似体は、たとえばUS6500645で開示されているような、よく知られている技術によって、適切な宿主細胞中で、当該インスリン類似体をコードするDNA配列を発現させることにより、組換え産生される。インスリン類似体は、直接に、又はB鎖におけるN末端延長部及び/若しくはB鎖とA鎖の間の連結ペプチド(Cペプチド)を有していてもよい前駆体分子として発現される。このN末端延長部及びCペプチドは、適切なプロテアーゼ、たとえば、アクロモバクター・リティカス(Achromobactor lyticus)プロテアーゼ(ALP)又はトリプシンによってin vitroで切り離され、したがって、それぞれB1位及びA1位の隣に切断部位を有することになる。本発明に従う使用に適する種類のN末端延長部及びCペプチドは、たとえば、US5395922、EP765395、及びWO9828429で開示されている。
インスリン類似体の発現
本発明に従って使用される、インスリン類似体、すなわち、2本の鎖の、アシル化されていないインスリン類似体は、たとえばUS6500645で開示されているような、よく知られている技術によって、適切な宿主細胞中で、当該インスリン類似体をコードするDNA配列を発現させることにより、組換え産生される。インスリン類似体は、直接に、又はB鎖におけるN末端延長部及び/若しくはB鎖とA鎖の間の連結ペプチド(Cペプチド)を有していてもよい前駆体分子として発現される。このN末端延長部及びCペプチドは、適切なプロテアーゼ、たとえば、アクロモバクター・リティカス(Achromobactor lyticus)プロテアーゼ(ALP)又はトリプシンによってin vitroで切り離され、したがって、それぞれB1位及びA1位の隣に切断部位を有することになる。本発明に従う使用に適する種類のN末端延長部及びCペプチドは、たとえば、US5395922、EP765395、及びWO9828429で開示されている。
本発明に従って使用されるインスリン類似体前駆体をコードするポリヌクレオチド配列は、確立された方法、たとえば、Beaucageら(1981) Tetrahedron Letters 22 1859〜1869に記載されている亜リン酸アミダイト法、又はMatthesら(1984) EMBO Journal 3 801〜805に記載の方法によって合成して調製することができる。亜リン酸アミダイト法によれば、たとえば自動DNA合成装置でオリゴヌクレオチドを合成し、精製し、二重にし、核酸連結して、合成DNA構築物を生成する。DNA構築物の現在のところ好ましい調製手段は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるものである。
組換え法では通常、選択された微生物又は宿主細胞中での複製が可能であり、また本発明に従って使用されるインスリン類似体前駆体をコードするヌクレオチド配列を運搬するベクターが利用される。組換えベクターは、自律的に複製するベクター、すなわち、染色体外の存在物として存在し、その複製が染色体の複製と無関係であるベクター、たとえば、プラスミド、染色体外エレメント、ミニ染色体、又は人工染色体でよい。ベクターは、自己複製を確実にするいずれかの手段を収容してよい。別法として、ベクターは、宿主細胞に導入されたとき、ゲノムに組み込まれ、これが組み込まれた染色体と一緒に複製されるものでもよい。更に、単一のベクター若しくはプラスミド、又は宿主細胞のゲノムに導入される全DNAを合わせて収容する2種以上のベクター若しくはプラスミド、又はトランスポゾンを使用してもよい。ベクターは、線状又は閉環状のプラスミドでよく、ベクターが宿主細胞ゲノムに安定して組み込まれ、又はベクターが細胞中でゲノムと無関係に自立的に複製されるのを可能にする、エレメントを収容することが好ましい。
組換え発現ベクターは、酵母中で複製しうるものでもよい。酵母中でのベクターの複製を可能にする配列の例は、酵母プラスミド2μm複製遺伝子REP1-3及び複製起点である。
ベクターは、形質転換された細胞の容易な選択を可能にする、1つ又は複数の選択マーカーを収容してもよい。選択マーカーは、殺生物剤又はウイルス耐性、重金属に対する耐性、栄養要求体に対する原栄養性等をもたらす遺伝子産物である。細菌用選択マーカーの例は、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis)若しくはバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)のdal遺伝子、又はアンピシリン、カナマイシン、クロラムフェニコール、若しくはテトラサイクリン耐性等の抗生物質耐性を付与するマーカーである。糸状菌宿主細胞で使用される選択マーカーとしては、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイル転移酵素)、pyrG(オロチジン5'-リン酸デカルボキシラーゼ)、及びtrpC(アントラニル酸合成酵素)が挙げられる。酵母宿主細胞に適するマーカーは、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3である。酵母に好適な選択マーカーは、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)TPI遺伝子(Russell (1985) Gene 40 125〜130)である。
ベクターにおいて、ポリヌクレオチド配列は、適切なプロモーター配列に動作可能に連結される。プロモーターは、突然変異型、切断型、及びハイブリッドプロモーターを含めて、最適な宿主細胞において転写活性を示すいずれの核酸配列でもよく、宿主細胞と相同又は異種である細胞外又は細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から取得することができる。
細菌宿主細胞において転写を導くのに適するプロモーターの例は、大腸菌(E. coli)lacオペロン、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子(dagA)、Bacillus subtilisレバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、Bacillus licheniformisアルファ-アミラーゼ遺伝子(amyL)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトース生成アミラーゼ遺伝子(amyM)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)アルファ-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、及びBacillus licheniformisペニシリナーゼ遺伝子(penP)から取得されるプロモーターである。糸状菌宿主細胞において転写を導くのに適するプロモーターの例は、コウジカビ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ、リゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、クロコウジカビ(Aspergillus niger)中性アルファ-アミラーゼ、及びAspergillus niger酸安定性アルファ-アミラーゼの遺伝子から取得されるプロモーターである。酵母宿主では、有用なプロモーターは、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)Ma1、TPI、ADH、TDH3、又はPGKプロモーターである。
本発明に従って使用されるインスリンペプチド主鎖をコードするポリヌクレオチド配列は、通常、適切なターミネーターにも動作可能に連結される。酵母では、適切なターミネーターは、TPIターミネーターである(Alberら(1982) J. Mol. Appl. Genet. 1 419〜434)。
本発明に従って使用されるインスリン類似体をコードするポリヌクレオチド配列、プロモーター、及びターミネーターをそれぞれ組み合わせ、選択された宿主中での複製に必要な情報を収容する適切なベクターにこれらを挿入する手順は、当業者によく知られている。本発明に従って使用されるインスリン主鎖をコードするDNA配列全体を収容するDNA構築物をまず調製し、引き続いてこの断片を適切な発現ベクターに挿入するか、又は個々のエレメント(シグナル及びプロペプチド(B鎖のN末端延長部)、Cペプチド、A鎖及びB鎖等)の遺伝子情報を収容するDNA断片を順次挿入した後、核酸連結するかのどちらかによってベクターを構築できることは理解されよう。
本発明に従って使用されるインスリン類似体をコードするポリヌクレオチド配列を含むベクターが宿主細胞に導入される結果、ベクターは、染色体の組込体として、又は自己複製する染色体外ベクターとして保たれる。用語「宿主細胞」は、複製の間に生じる突然変異により親細胞と同一でない、親細胞の子孫を包含する。宿主細胞は、単細胞微生物、たとえば原核生物でも、又は非単細胞微生物、たとえば真核生物でもよい。有用な単細胞の細胞は、細菌細胞、たとえば、限定はしないがバチルス属(Bacillus)の細胞、ストレプトマイセス属(Streptomyces)の細胞を始めとするグラム陽性細菌、又は大腸菌やシュードモナス属の種(Pseudomonas sp.)等のグラム陰性細菌である。真核生物細胞は、哺乳動物、昆虫、植物、又は真菌細胞でよい。
宿主細胞は、特に、酵母細胞とすることができる。酵母生物は、培養されて、培地にインスリンペプチド主鎖又はその前駆体を分泌する、いかなる適切な酵母生物でもよい。適切な酵母生物の例としては、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、シゾサッカスミセル・プロべ(Schizosaccharomyces pombe)、サッカロミセス・ウバルム(Sacchoromyces uvarum)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、カンジダ属の種(Candida sp.)、トルラ酵母(Candida utilis)、カンジダ・カカオイ(Candida cacaoi)、ゲオトリクム属の種(Geotrichum sp.)、及びゲオトリクム・ファーメンタンス(Geotrichum fermentans)から選択される株が挙げられる。
酵母細胞の形質転換は、たとえば、プロトプラストを生成してから、既知の方法によって形質転換して行うことができる。細胞の培養に使用する培地は、酵母生物の成長に適する従来のどんな培地でもよい。
インスリン類似体の精製
分泌されたインスリン類似体又はその前駆体は、遠心分離する、濾過する、インスリン類似体若しくはその前駆体をイオン交換マトリックス若しくは逆相吸収マトリックスに捕らえる若しくは吸着させる、又は塩による濾過によって、たとえば硫酸アンモニウムによって上清のタンパク質性成分を沈殿させることにより酵母細胞を培地から分離した後、様々なクロマトグラフィー手順、たとえばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等によって精製することを含めた従来の手順によって、培地から回収することができる。
分泌されたインスリン類似体又はその前駆体は、遠心分離する、濾過する、インスリン類似体若しくはその前駆体をイオン交換マトリックス若しくは逆相吸収マトリックスに捕らえる若しくは吸着させる、又は塩による濾過によって、たとえば硫酸アンモニウムによって上清のタンパク質性成分を沈殿させることにより酵母細胞を培地から分離した後、様々なクロマトグラフィー手順、たとえばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等によって精製することを含めた従来の手順によって、培地から回収することができる。
本発明のインスリンペプチド主鎖の精製及び消化は、次のように実施される。
B鎖のN末端延長部、及びB鎖とA鎖の間の修飾によるCペプチドを含んでいてもよい、単鎖インスリン類似体前駆体は、陽イオン交換によって、酵母培養上清から精製及び濃縮される(Kjeldsenら(1998) Prot. Expr. Pur. 14 309〜316)。
B鎖のN末端延長部、及びB鎖とA鎖の間の修飾によるCペプチドを含んでいてもよい、単鎖インスリン類似体前駆体は、陽イオン交換によって、酵母培養上清から精製及び濃縮される(Kjeldsenら(1998) Prot. Expr. Pur. 14 309〜316)。
単鎖インスリン類似体前駆体は、リジンに特異的な固定化されたALPでの消化(Kristensenら(1997) J. Biol. Chem. 20 12978〜12983)又はトリプシンの使用によって、存在すればB鎖N末端延長部、及びCペプチドを切り離すことにより、2本の鎖のインスリンペプチド主鎖に仕上げられる。
ALP消化
インスリンペプチド主鎖前駆体を含有する、陽イオン交換クロマトグラフィーステップからの溶出液を、水で希釈して、エタノール濃度を15〜20%とする。グルタミン酸ナトリウムを加えて濃度を15mMとし、NaOHでpHを9.7に調整する。固定化されたALP(4グラム/L)を1:100(体積:体積)の割合で加え、室温で終夜緩やかに撹拌しながら消化を進行させる。
インスリンペプチド主鎖前駆体を含有する、陽イオン交換クロマトグラフィーステップからの溶出液を、水で希釈して、エタノール濃度を15〜20%とする。グルタミン酸ナトリウムを加えて濃度を15mMとし、NaOHでpHを9.7に調整する。固定化されたALP(4グラム/L)を1:100(体積:体積)の割合で加え、室温で終夜緩やかに撹拌しながら消化を進行させる。
消化反応は、C18カラムを使用するWaters Acquity Ultra-Performance Liquid Chromatographyシステムでの分析LCによって分析し、分子量は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析(MS)(Bruker Daltonics Autoflex II TOF/TOF)によって確認する。
固定化されたALPは、0.2μmフィルターを使用する濾過によって除去される。2本の鎖のインスリンペプチド主鎖は、アセトニトリル勾配を使用するC18カラムでの逆相HPLC(Waters 600システム)によって精製される。所望のインスリンは、凍結乾燥によって回収される。
純度は、C18カラムを使用するWaters Acquity Ultra-Performance Liquid Chromatographyシステムでの分析LCによって求め、分子量は、MALDI-TOF MSによって確認した。
略語
ALP - アクロモバクター・リティカスプロテアーゼ
C-ペプチド - 連結ペプチド
HPLC - 高速液体クロマトグラフィー
IR - インスリン受容体
IGF - 1Rインスリン様成長因子1受容体
LC - 液体クロマトグラフィー
MALDI-TOF - マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型
MS - 質量分析
PCR - ポリメラーゼ連鎖反応
PD - 薬力学(血中/血漿グルコース低下効果)
PG - 血漿グルコース
PK - 薬力学(血中/血漿インスリン濃度対時間プロファイル)
tBu - tert-ブチル、
DCM - ジクロロメタン、
DIC - ジイソプロピルカルボジイミド、
DIPEA=DIEA - N,N-ジイソプロピルエチルアミン、
DMF - N,N-ジメチルホルムアミド、
DMSO - ジメチルスルホキシド、
EtOAc - 酢酸エチル、
Fmoc - 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、
γGlu(gGlu) - ガンマL-グルタミル、
HCl - 塩酸、
HI - ヒトインスリン、
HOBt - 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
NMP - N-メチルピロリドン、
MeCN - アセトニトリル、
OEG - [2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチルカルボニル、
Su - スクシンイミジル-1-イル=2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル、
OSu - スクシンイミジル-1-イルオキシ=2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルオキシ、
RPC - 逆相クロマトグラフィー、
RT - 室温、
TCTU - O-(6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、
TFA - トリフルオロ酢酸、
THF - テトラヒドロフラン、
TNBS - 2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸、
TRIS - トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、及び
TSTU - O-(N-スクシンイミジル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート。
ALP - アクロモバクター・リティカスプロテアーゼ
C-ペプチド - 連結ペプチド
HPLC - 高速液体クロマトグラフィー
IR - インスリン受容体
IGF - 1Rインスリン様成長因子1受容体
LC - 液体クロマトグラフィー
MALDI-TOF - マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型
MS - 質量分析
PCR - ポリメラーゼ連鎖反応
PD - 薬力学(血中/血漿グルコース低下効果)
PG - 血漿グルコース
PK - 薬力学(血中/血漿インスリン濃度対時間プロファイル)
tBu - tert-ブチル、
DCM - ジクロロメタン、
DIC - ジイソプロピルカルボジイミド、
DIPEA=DIEA - N,N-ジイソプロピルエチルアミン、
DMF - N,N-ジメチルホルムアミド、
DMSO - ジメチルスルホキシド、
EtOAc - 酢酸エチル、
Fmoc - 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル、
γGlu(gGlu) - ガンマL-グルタミル、
HCl - 塩酸、
HI - ヒトインスリン、
HOBt - 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
NMP - N-メチルピロリドン、
MeCN - アセトニトリル、
OEG - [2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチルカルボニル、
Su - スクシンイミジル-1-イル=2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル、
OSu - スクシンイミジル-1-イルオキシ=2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルオキシ、
RPC - 逆相クロマトグラフィー、
RT - 室温、
TCTU - O-(6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート、
TFA - トリフルオロ酢酸、
THF - テトラヒドロフラン、
TNBS - 2,4,6-トリニトロベンゼンスルホン酸、
TRIS - トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、及び
TSTU - O-(N-スクシンイミジル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート。
薬動学的(PK)パラメーター
T1/2 - 終末相半減期;
MRT - 平均滞留時間;
F - 生物学的利用能(吸収された画分);
Tmax - 最大血漿中暴露量になる時間;
Cmax - 最大血漿濃度;
D - 用量;
Cmax/D - 用量に対して正規化した最大血漿濃度;
AUC - 曲線下面積;
AUC/D - 用量に対して正規化した曲線下面積;
%extrap - 外挿されたプロファイルの百分率
T1/2 - 終末相半減期;
MRT - 平均滞留時間;
F - 生物学的利用能(吸収された画分);
Tmax - 最大血漿中暴露量になる時間;
Cmax - 最大血漿濃度;
D - 用量;
Cmax/D - 用量に対して正規化した最大血漿濃度;
AUC - 曲線下面積;
AUC/D - 用量に対して正規化した曲線下面積;
%extrap - 外挿されたプロファイルの百分率
概論
以下の実施例及び一般手順では、本明細書及び合成スキームにおいて明らかにした中間体化合物及び最終生成物に言及する。本発明の化合物の調製について、以下の実施例を使用して詳述するが、記載する化学反応は、本発明の化合物を調製することへの、その一般的な適用可能性に関して開示する。
以下の実施例及び一般手順では、本明細書及び合成スキームにおいて明らかにした中間体化合物及び最終生成物に言及する。本発明の化合物の調製について、以下の実施例を使用して詳述するが、記載する化学反応は、本発明の化合物を調製することへの、その一般的な適用可能性に関して開示する。
反応は、時として、本発明の開示範囲内に含まれる各化合物に、記載のとおりに適用可能でないこともある。これが起こる化合物を、当業者は難なく察知されよう。こうした場合では、当業者に知られている慣例的な微調整によって、すなわち、妨げとなる基を適切に保護する、従来の他の試薬に変更する、又は反応条件を型通りに加減することによって、反応を首尾よく実施することができる。
別法として、本明細書で開示する、又はそうではないが慣例的な、他の反応が、該当する本発明の化合物の調製に適用可能となる。すべての調製方法において、出発材料はすべて、知られており、又は既知の出発材料から容易に調製することができる。温度はすべて、セ氏温度で記載し、別段指摘しない限り、収率を指すとき、部及び百分率はすべて、質量であり、溶媒及び溶離液を指すとき、部はすべて、体積部である。
本発明の化合物は、当業界内で典型的である以下の手順の1つ又は複数を用いて精製することができる。必要なら、こうした手順を、勾配、pH、塩、濃度、流量、カラム等について微調整してもよい。不純物プロファイル、当該インスリンの溶解性等の要素に応じて、当業者なら、こうした微調整を容易に察知し、実行することができる。
酸性HPLC又は脱塩の後、純粋な画分を凍結乾燥することで、化合物が単離される。
中性HPLC又は陰イオン交換クロマトグラフィーの後は、化合物を脱塩し、等電pHで沈殿させ、又は酸性HPLCによって精製する。
典型的な精製手順
RP-HPLC系:
次のものからなるGilson系:リキッドハンドラーModel 215、ポンプModel 322-H2、及びUV検出器Model 155(UV215nm及び280nm)
RP-HPLC系:
次のものからなるGilson系:リキッドハンドラーModel 215、ポンプModel 322-H2、及びUV検出器Model 155(UV215nm及び280nm)
陰イオン交換及び脱塩系:
Akta Explorer系は、次のものからなる。ポンプModel P-900、UV検出器Model UV-900(UV214、254、及び280nm)、pH及び伝導率検出器Model pH/C-900、画分収集装置Model Frac-950
Akta Explorer系は、次のものからなる。ポンプModel P-900、UV検出器Model UV-900(UV214、254、及び280nm)、pH及び伝導率検出器Model pH/C-900、画分収集装置Model Frac-950
酸性RP-HPLC:
カラム:Phenomenex Gemini、5μM 5u C18 110Å、30×250mm
流量:20mL/min
緩衝液A:水中0.1%TFA
緩衝液B:アセトニトリル中0.1%TFA
カラム:Phenomenex Gemini、5μM 5u C18 110Å、30×250mm
流量:20mL/min
緩衝液A:水中0.1%TFA
緩衝液B:アセトニトリル中0.1%TFA
中性RP-HPLC:
カラム:Phenomenex Gemini、5μM 5u C18 110Å、30×250mm
流量:20mL/min
緩衝液A:10mMトリス、15mM(NH4)2SO4、pH=7.3、milliQ中20%アセトニトリル
緩衝液B:アセトニトリル中20% milliQ
カラム:Phenomenex Gemini、5μM 5u C18 110Å、30×250mm
流量:20mL/min
緩衝液A:10mMトリス、15mM(NH4)2SO4、pH=7.3、milliQ中20%アセトニトリル
緩衝液B:アセトニトリル中20% milliQ
陰イオン交換クロマトグラフィー:
カラム:Poros50HQ又はSource30Q
流量:カラム次第
緩衝液A:15mMトリス、25mM NH4OAc、50%EtOH、pH=7.5
緩衝液B:15mMトリス、500mM NH4OAc、50%EtOH、pH=7.5
カラム:Poros50HQ又はSource30Q
流量:カラム次第
緩衝液A:15mMトリス、25mM NH4OAc、50%EtOH、pH=7.5
緩衝液B:15mMトリス、500mM NH4OAc、50%EtOH、pH=7.5
脱塩:
カラム:HiPrep 26/10
流量:20mL/min
緩衝液A:水中0.1%TFA
緩衝液B:アセトニトリル中0.1%TFA
カラム:HiPrep 26/10
流量:20mL/min
緩衝液A:水中0.1%TFA
緩衝液B:アセトニトリル中0.1%TFA
アシル化試薬は、溶液中、又は本質的にWO2009/115469に記載されているのと同様に固相上のいずれかで合成した。
一般式IIIのアシル化試薬の固相合成についての一般手順
[アシル]-[リンカー]-Act
式中、アシル及びリンカー基は、上で規定したとおりであり、Actは、N-ヒドロキシスクシンイミド(OSu)や1-ヒドロキシベンゾトリアゾール等の、活性エステルの脱離基であり、アシル部分のアシル及びリンカー部分内のカルボン酸は、tert-ブチルエステルとして保護されている。
[アシル]-[リンカー]-Act
式中、アシル及びリンカー基は、上で規定したとおりであり、Actは、N-ヒドロキシスクシンイミド(OSu)や1-ヒドロキシベンゾトリアゾール等の、活性エステルの脱離基であり、アシル部分のアシル及びリンカー部分内のカルボン酸は、tert-ブチルエステルとして保護されている。
一般式IIIの化合物は、当業者に知られている固相ペプチド合成の分野の手順を使用して、固体支持体上に合成することができる。
そうした一手順は、Fmoc保護されたアミノ酸のポリスチレン2-クロロトリチルクロリド樹脂への付着を含む。付着は、トリエチルアミンやN,N-ジイソプロピルエチルアミンのような第三級アミンの存在下で、遊離のN保護されたアミノ酸を使用して実現することができる(以下の参照文献を参照されたい)。このアミノ酸のC末端(樹脂に結合している)は、本発明の親インスリンに結合される合成配列の末端になる。
Fmocアミノ酸を樹脂に付着させた後、たとえば、ピペリジンやジエチルアミンのような第二級アミンを使用してFmoc基を脱保護してから、別の(又は同じ)Fmoc保護されたアミノ酸を結合させ、脱保護する。合成配列は、ヘキサデカン二酸、ペンタデカン二酸、又はテトラデカン二酸モノ-tert-ブチルエステルのような、tert-ブチルで単一保護された脂肪(α、ω)二酸を結合させて終端させる。
樹脂からの化合物の切断は、0.5〜5%TFA/DCM(ジクロロメタン中トリフルオロ酢酸)、酢酸(たとえば、DCM中10%、又はHOAc/トリフルオロエタノール/DCM 1:1:8)、DCM中ヘキサフルオロイソプロパノールのような希酸を使用して実現される(たとえば、F.Z. Dorwald: Organic Synthesis on Solid Phase、Wiley-VCH 2000、ISBN 3-527-29950-5; N. Sewald & H.D. Jakubke: Peptides: Chemistry and Biology、Wiley-VCH、2002、ISBN 3-527-30405-3;又はThe Combinatorial Cheemistry Catalog、1999、Novabiochem AG、及びこれらの中で引用されている参照文献を参照されたい)。これにより、化合物中にカルボン酸保護基として存在するtert-ブチルエステルは、確実に脱保護されない。
最後に、(樹脂から遊離した)C末端カルボキシ基を、たとえば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(OSu)として活性化させる。この活性化エステルを、たとえば、無希釈TFAを使用して脱保護し、そのまま、又は精製(結晶化)後に、本発明の親インスリンに取り付ける際の結合試薬として使用する。この手順を以下で説明する。
固相上でアシル化試薬を合成する一般手順:
テトラデカンジオイル-4×gGlu-OSu(化学式4)の合成
テトラデカンジオイル-4×gGlu-OSu(化学式4)の合成
2-クロロトリチル樹脂100〜200メッシュ1.5mmol/g(15.79g、23.69mmol)を、無水ジクロロメタン(150mL)中に20分間放置して膨潤させた。Fmoc-Glu-OtBu(6.72g、15.79mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(10.46mL、60.01mmol)を無水ジクロロメタン(120mL)に溶かした溶液を樹脂に加え、混合物を16時間振盪した。樹脂を濾別し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.5mL、31.59mmol)のメタノール/ジクロロメタン混合物(9:1、150mL、5min)溶液で処理した。次いで、樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)、ジクロロメタン(2×150mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)で洗浄した。
N,N-ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンで処理して(2×150mL、1×5min、1×20min)、Fmoc基を除去した。樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)、2-プロパノール(2×150mL)、ジクロロメタン(2×150mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)で洗浄した。Fmoc-Glu-OtBu(10.08g、23.69mmol)、O-(6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU、8.42g、23.69mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(7.43mL、42.64mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(120mL)に溶かした溶液を樹脂に加え、混合物を16時間振盪した。樹脂を濾別し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.5mL、31.59mmol)のメタノール/ジクロロメタン混合物(9:1、150mL、5min)溶液で処理した。次いで、樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)、ジクロロメタン(2×150mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)で洗浄した。
N,N-ジメチル-ホルムアミド中20%ピペリジンで処理して(2×150mL、1×5min、1×20min)、Fmoc基を除去した。樹脂をN,N-ジメチル-ホルムアミド(2×150mL)、2-プロパノール(2×150mL)、ジクロロメタン(2×150mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)で洗浄した。Fmoc-Glu-OtBu(10.08g、23.69mmol)、O-(6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU、8.42g、23.69mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(7.43mL、42.64mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(120mL)に溶かした溶液を樹脂に加え、混合物を16時間振盪した。樹脂を濾別し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.5mL、31.59mmol)のメタノール/ジクロロメタン混合物(9:1、150mL、5min)溶液で処理した。次いで、樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)、ジクロロメタン(2×150mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)で洗浄した。
N,N-ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンで処理して(2×150mL、1×5min、1×20min)、Fmoc基を除去した。樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)、2-プロパノール(2×150mL)、ジクロロメタン(2×150mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)で洗浄した。Fmoc-Glu-OtBu(10.08g、23.69mmol)、O-(6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU、8.42g、23.69mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(7.43mL、42.64mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(120mL)に溶かした溶液を樹脂に加え、混合物を16時間振盪した。樹脂を濾別し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.5mL、31.59mmol)のメタノール/ジクロロメタン混合物(9:1、150mL、5min)溶液で処理した。次いで、樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)、ジクロロメタン(2×150mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)で洗浄した。
N,N-ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンで処理して(2×150mL、1×5min、1×20min)、Fmoc基を除去した。樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)、2-プロパノール(2×150mL)、ジクロロメタン(2×150mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)で洗浄した。テトラデカン二酸モノ-tert-ブチルエステル(7.45g、23.69mmol)、O-(6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU、8.42g、23.69mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(7.43mL、42.64mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(40mL)とジクロロメタン(80mL)の混合物に溶かした溶液を樹脂に加え、混合物を16時間振盪した。樹脂を濾別し、ジクロロメタン(2×150mL)、N,N-ジメチルホルムアミド(2×150mL)、メタノール(2×150mL)、及びジクロロメタン(10×150mL)で洗浄した。
トリフルオロエタノール(150mL)で終夜処理することにより、樹脂から生成物を切断した。樹脂を濾別し、ジクロロメタン(3×100mL)で洗浄した。減圧下で溶媒を除去した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(勾配溶離 ジクロロメタン/メタノール 100:0〜95:5)によって精製して、表題化合物を白色の固体として得た。
生成物を真空乾燥して、(S)-2-((S)-4-tert-ブトキシカルボニル-4-{(S)-4-tert-ブトキシカルボニル-4-[(S)-4-tert-ブトキシカルボニル-4-(13-tert-ブトキシカルボニル-トリデカノイルアミノ)-ブチリルアミノ]-ブチリルアミノ}-ブチリルアミノ)-ペンタン二酸1-tert-ブチルエステルを得た。
収率:14.77g(89%)。
1H NMRスペクトル(300 MHz, CDCl3, δH): 7.22 (d, J=7.7 Hz, 1 H); 6.97 (d, J=7.9 Hz, 1 H); 6.72 (d, J=7.9 Hz, 1 H); 6.41 (d, J=7.9 Hz, 1 H); 4.59-4.43 (m, 4 H); 2.49-2.13 (m, 16 H); 2.06-1.72 (m, 4 H); 1.70-1.52 (m, 4 H); 1.52-1.38 (m, 45 H); 1.35-1.21 (m, 16 H).
LC-MS純度: 100% (ELSD).
LC-MS Rt (Sunfire 4.6 mm x 100 mm, アセトニトリル/水 50:50〜100:0 + 0.1% FA): 7.39分
LC-MS m/z: 1055.0 (M+H)+.
収率:14.77g(89%)。
1H NMRスペクトル(300 MHz, CDCl3, δH): 7.22 (d, J=7.7 Hz, 1 H); 6.97 (d, J=7.9 Hz, 1 H); 6.72 (d, J=7.9 Hz, 1 H); 6.41 (d, J=7.9 Hz, 1 H); 4.59-4.43 (m, 4 H); 2.49-2.13 (m, 16 H); 2.06-1.72 (m, 4 H); 1.70-1.52 (m, 4 H); 1.52-1.38 (m, 45 H); 1.35-1.21 (m, 16 H).
LC-MS純度: 100% (ELSD).
LC-MS Rt (Sunfire 4.6 mm x 100 mm, アセトニトリル/水 50:50〜100:0 + 0.1% FA): 7.39分
LC-MS m/z: 1055.0 (M+H)+.
得られた、tert-ブチル保護されたテトラデカンジオイル-4×gGlu-OH((S)-2-((S)-4-tert-ブトキシカルボニル-4-{(S)-4-tert-ブトキシカルボニル-4-[(S)-4-tert-ブトキシカルボニル-4-(13-tert-ブトキシカルボニル-トリデカノイルアミノ)-ブチリルアミノ]-ブチリルアミノ}-ブチリルアミノ)-ペンタン二酸1-tert-ブチルエステル)を、テトラヒドロフランに溶解させた。DIPEAを加えた後、アセトニトリルに溶解させたTSTUを加えた。反応混合物を3時間撹拌し、次いで真空中で蒸発にかけ、酢酸エチルに溶解し直し、0.1M HCl(水溶液)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、真空中で蒸発にかけた。LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1174.7(M+Na+)。計算値:1175.4。
保護し、OSuとして活性化させた化合物を、10mLのTFAに溶解させ、室温で終夜撹拌した。ジエチルエーテルを加え、精製した沈殿を濾別し、終夜真空乾燥して、(S)-2-((S)-4-カルボキシ-4-{(S)-4-カルボキシ-4-[(S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシ-トリデカノイルアミノ)-ブチリルアミノ]-ブチリルアミノ}-ブチリルアミノ)-ペンタン二酸5-(2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル)エステル(テトラデカンジオイル-4×gGlu-OSu)を得た。
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=872.2(M+H+)。計算値:871.9。
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=872.2(M+H+)。計算値:871.9。
固相上でアシル化試薬を合成する一般手順:
テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG-OSu(化学式5)の合成
テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG-OSu(化学式5)の合成
13-{(S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3-[2-(2-{[2-(2-カルボキシメトキシ-エトキシ)-エチルカルバモイル]-メトキシ}-エトキシ)-エチルカルバモイル]-プロピルカルバモイル}-トリデカン酸tert-ブチルエステル
2-クロロトリチル樹脂100〜200メッシュ1.7mmol/g(79.8g、135.6mmol)を、無水ジクロロメタン(450mL)中に20分間放置して膨潤させた。{2-[2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-酢酸(Fmoc-OEG-OH、34.9g、90.4mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(59.9mL、343.6mmol)を無水ジクロロメタン(100mL)に溶かした溶液を樹脂に加え、混合物を4時間振盪した。樹脂を濾別し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(31.5mL、180.8mmol)のメタノール/ジクロロメタン混合物(4:1、150mL、2×5min)溶液で処理した。次いで、樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(2×300mL)、ジクロロメタン(2×300mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(3×300mL)で洗浄した。ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンで処理(1×5min、1×30min、2×300mL)して、Fmoc基を除去した。樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(3×300mL)、2-プロパノール(2×300mL)、及びジクロロメタン(350mL、2×300mL)で洗浄した。
2-クロロトリチル樹脂100〜200メッシュ1.7mmol/g(79.8g、135.6mmol)を、無水ジクロロメタン(450mL)中に20分間放置して膨潤させた。{2-[2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-酢酸(Fmoc-OEG-OH、34.9g、90.4mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(59.9mL、343.6mmol)を無水ジクロロメタン(100mL)に溶かした溶液を樹脂に加え、混合物を4時間振盪した。樹脂を濾別し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(31.5mL、180.8mmol)のメタノール/ジクロロメタン混合物(4:1、150mL、2×5min)溶液で処理した。次いで、樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(2×300mL)、ジクロロメタン(2×300mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(3×300mL)で洗浄した。ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンで処理(1×5min、1×30min、2×300mL)して、Fmoc基を除去した。樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(3×300mL)、2-プロパノール(2×300mL)、及びジクロロメタン(350mL、2×300mL)で洗浄した。
{2-[2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-エトキシ]-エトキシ}-酢酸(Fmoc-OEG-OH、52.3g、135.6mmol)、O-(6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU、48.2g、135.6mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(42.5mL、244.1mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(250mL)に溶かした溶液を樹脂に加え、混合物を2時間振盪した。ニンヒドリン試験が依然として陽性であったため、樹脂を濾過し、同量の試薬でもう30分間処理した。樹脂を濾過し、N,N-ジメチルホルムアミド(2×300mL)、ジクロロメタン(2×300mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(3×300mL)で洗浄した。ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンで処理(1×5min、1×30min、2×300mL)して、Fmoc基を除去した。樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(3×300mL)、2-プロパノール(2×300mL)、及びジクロロメタン(350mL、2×300mL)で洗浄した。
(S)-2-(9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルアミノ)-ペンタン二酸1-tert-ブチルエステル(Fmoc-LGlu-OtBu、57.7g、135.6mmol)、O-(6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU、48.2g、135.6mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(42.5mL、244.1mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(250mL)に溶かした溶液を樹脂に加え、混合物を1時間振盪した。樹脂を濾過し、N,N-ジメチルホルムアミド(2×300mL)、ジクロロメタン(2×300mL)、及びN,N-ジメチルホルムアミド(2×300mL)で洗浄した。ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンで処理(1×5min、1×30min、2×300mL)して、Fmoc基を除去した。樹脂をN,N-ジメチルホルムアミド(3×300mL)、2-プロパノール(2×300mL)、及びジクロロメタン(350mL、2×300mL)で洗浄した。
テトラデカン二酸モノ-tert-ブチルエステル(C14(OtBu)-OH、42.7g、135.6mmol)、O-(6-クロロ-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU、48.2g、135.6mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(42.5mL、244.1mmol)をジクロロメタン/N,N-ジメチルホルムアミド混合物(4:1、300mL)に溶かした溶液を樹脂に加え、混合物を1.5時間振盪した。樹脂を濾過し、N,N-ジメチルホルムアミド(6×300mL)、ジクロロメタン(4×300mL)、メタノール(4×300mL)、及びジクロロメタン(7×600mL)で洗浄した。2,2,2-トリフルオロエタノール(600mL)で18時間処理することにより、樹脂から生成物を切断した。樹脂を濾別し、ジクロロメタン(4×300mL)、ジクロロメタン/2-プロパノール混合物(1:1、4×300mL)、2-プロパノール(2×300mL)、及びジクロロメタン(6×300mL)で洗浄した。溶液を合わせ、溶媒を蒸発させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル60A、0.060〜0.200mm、溶離液:ジクロロメタン/メタノール 1:0〜9:1)によって精製した。
純粋な13-{(S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3-[2-(2-{[2-(2-カルボキシメトキシ-エトキシ)-エチルカルバモイル]-メトキシ}-エトキシ)-エチルカルバモイル]-プロピルカルバモイル}-トリデカン酸tert-ブチルエステルが、真空乾燥され、橙色の油状物として得られた。
収率:55.2g(77%)。
RF(SiO2、ジクロロメタン/メタノール 9:1):0.35。
1H NMRスペクトル(300 MHz, CDCl3, δH): 7.37 (bs, 1 H); 7.02 (bs, 1 H); 6.53 (d, J=7.9 Hz, 1 H); 4.54-4.38 (m, 1 H); 4.17 (s, 2 H); 4.02 (s, 2 H); 3.82-3.40 (m, 16 H); 2.37-2.12 (m, 7 H); 2.02-1.82 (m, 1 H); 1.71-1.51 (m, 4 H); 1.47 (s, 9 H); 1.43 (s, 9 H); 1.25 (bs, 16 H).
LC-MS純度: 100%.
LC-MS Rt (Sunfire 4.6 mm x 100 mm, アセトニトリル/水 70:30〜100:0 + 0.1% FA): 3.93分
LC-MS m/z: 791.0 (M+H)+.
収率:55.2g(77%)。
RF(SiO2、ジクロロメタン/メタノール 9:1):0.35。
1H NMRスペクトル(300 MHz, CDCl3, δH): 7.37 (bs, 1 H); 7.02 (bs, 1 H); 6.53 (d, J=7.9 Hz, 1 H); 4.54-4.38 (m, 1 H); 4.17 (s, 2 H); 4.02 (s, 2 H); 3.82-3.40 (m, 16 H); 2.37-2.12 (m, 7 H); 2.02-1.82 (m, 1 H); 1.71-1.51 (m, 4 H); 1.47 (s, 9 H); 1.43 (s, 9 H); 1.25 (bs, 16 H).
LC-MS純度: 100%.
LC-MS Rt (Sunfire 4.6 mm x 100 mm, アセトニトリル/水 70:30〜100:0 + 0.1% FA): 3.93分
LC-MS m/z: 791.0 (M+H)+.
13-{(S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3-[2-(2-{[2-(2-カルボキシメトキシ-エトキシ)-エチルカルバモイル]-メトキシ}-エトキシ)-エチルカルバモイル]-プロピルカルバモイル}-トリデカン酸tert-ブチルエステル(テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG-OH、8.89g、11,3mmol))を、100mLのアセトニトリルに溶解させ、撹拌した溶液にTSTU(4.07g、13.5mmol)及びDIPEA(2.35mL、13.5mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を蒸発にかけ、残渣をジクロロメタンに溶解させ、0.05M HClで2回洗浄した。
有機相を乾燥させ(MgSO4)、真空中で蒸発させた。これによって、9.98g(100%)の13-((S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3-{2-[2-({2-[2-(2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルオキシカルボニルメトキシ)-エトキシ]-エチルカルバモイル}-メトキシ)-エトキシ]-エチルカルバモイル}-プロピルカルバモイル)-トリデカン酸tert-ブチルエステルが油状物として得られた。
13-((S)-1-tert-ブトキシカルボニル-3-{2-[2-({2-[2-(2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イルオキシカルボニルメトキシ)-エトキシ]-エチルカルバモイル}-メトキシ)-エトキシ]-エチルカルバモイル}-プロピルカルバモイル)-トリデカン酸tert-ブチルエステル(4g)をトリフルオロ酢酸(10mL)に溶解させ、混合物を室温で1時間撹拌し、真空中で蒸発にかけた。残渣をジクロロメタン(10mL)に溶解させ、真空中で蒸発にかけた。冷ジエチルエーテル(10mL)を加えると、油脂状の白色固体が沈殿した。デカントしてこれを単離し、真空乾燥した。これによって、3.4g(定量的)の14-[[(1S)-1-カルボキシ-4-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ-2-オキソエトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-2-オキソエトキシ]エトキシ]エチルアミノ]-4-オキソブチル]アミノ]-14-オキソテトラデカン酸(テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG-OSu)が得られ、これを-18℃で保管した。
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=775,33、計算値:774,8。
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=775,33、計算値:774,8。
インスリンをアシル化し、アシル化されている類似体を精製する一般手順(A)
発明のインスリン誘導体をアシル化し、精製する一般手順(A)は、以下の実施例8において詳細に記載しており、以下に示すとおり、追加の化合物の合成に応用した。こうした誘導体の一部については、他の方法を使用する精製(上述のとおり)も行っている。
発明のインスリン誘導体をアシル化し、精製する一般手順(A)は、以下の実施例8において詳細に記載しており、以下に示すとおり、追加の化合物の合成に応用した。こうした誘導体の一部については、他の方法を使用する精製(上述のとおり)も行っている。
本発明のアシル化されている類似体は、pH9.5、10、10.5 11、11.5、12、12.5、13等の高pHの水性環境中でアシル化することによる、組換えインスリン類似体のアシル化によって生成される。アシル化試薬を水、又はDMFやNMP等の非水性極性溶媒に溶解させ、激しく撹拌しながらインスリン溶液に加えることができる。アシル化試薬を加えた後、HPLCによって変換を分析し、必要なら、より多くのアシル化試薬を加える。精製を上述のとおりに行う。
アシル化されている類似体の固相合成及び精製のための一般手順(B)
本発明のインスリン誘導体の固相合成及び精製のための一般手順(B)は、以下で記載しており、以下に示すとおり、追加の化合物の合成に応用した。こうした誘導体の一部については、(上述のとおりの)他の方法を使用する精製も行った。
本発明のインスリン誘導体の固相合成及び精製のための一般手順(B)は、以下で記載しており、以下に示すとおり、追加の化合物の合成に応用した。こうした誘導体の一部については、(上述のとおりの)他の方法を使用する精製も行った。
インスリンA鎖及びB鎖を、Preludeペプチド合成装置において、一般のFmoc系固相ペプチド結合法を使用して調製した。
使用した樹脂
Fmoc-Lys(Mtt)-Wang、Fmoc-Ala-Wang、Fmoc-Gly-Wang、及びPAL樹脂に結合したFmoc-Asp-OtBu
Fmoc-Lys(Mtt)-Wang、Fmoc-Ala-Wang、Fmoc-Gly-Wang、及びPAL樹脂に結合したFmoc-Asp-OtBu
(以下に挙げる)アミノ酸及びオキシマ(エチル(ヒドロキシイミノ)シアノアセテート)をDMFに溶解させて、濃度を0.3Mとした。
Fmoc-Ala-OH;Fmoc-Arg(Pbf)-OH;Fmoc-Asn(Trt)-OH;Fmoc-Asp(OtBu)-OH;Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-Gln(Trt)-OH;Fmoc-Glu(OtBu)-OH;Fmoc-Gly-OH;Fmoc-His(Trt)-OH;Fmoc-Ile-OH;Fmoc-Leu-OH;Fmoc-Lys(Boc)-OH;Fmoc-Met-OH;Fmoc-Phe-OH;Fmoc-Pro-OH;Fmoc-Ser(tBu)-OH;Fmoc-Thr(tBu)-OH;Fmoc-Trp(Boc)-OH;Fmoc-Tyr(tBu)-OH;及びFmoc-Val-OH
Fmoc-Ala-OH;Fmoc-Arg(Pbf)-OH;Fmoc-Asn(Trt)-OH;Fmoc-Asp(OtBu)-OH;Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-Gln(Trt)-OH;Fmoc-Glu(OtBu)-OH;Fmoc-Gly-OH;Fmoc-His(Trt)-OH;Fmoc-Ile-OH;Fmoc-Leu-OH;Fmoc-Lys(Boc)-OH;Fmoc-Met-OH;Fmoc-Phe-OH;Fmoc-Pro-OH;Fmoc-Ser(tBu)-OH;Fmoc-Thr(tBu)-OH;Fmoc-Trp(Boc)-OH;Fmoc-Tyr(tBu)-OH;及びFmoc-Val-OH
特別な/非天然アミノ酸: Boc-Phe-OH、Boc-Gly-OH、及びFmoc-Cys(Acm)-OH。
手順
樹脂上で使用した標準結合条件は、
8当量のアミノ酸、DIC、コリジン、及びオキシマ、NMP中、1時間であり、Fmoc-Arg(Pbf)-OHの場合では、二倍の結合プロトコール(2×1時間)を使用した。
樹脂上で使用した標準結合条件は、
8当量のアミノ酸、DIC、コリジン、及びオキシマ、NMP中、1時間であり、Fmoc-Arg(Pbf)-OHの場合では、二倍の結合プロトコール(2×1時間)を使用した。
使用した標準脱保護条件は、
NMP中20%のピペリジン(2×5.5mLを2×7.5分間又は2×10分間)であり、続いてNMP及びDCMで洗浄する。
NMP中20%のピペリジン(2×5.5mLを2×7.5分間又は2×10分間)であり、続いてNMP及びDCMで洗浄する。
樹脂から切断する前のLysにおけるアシル化については、次のプロトコールを使用する(この場合では、N末端AAがBoc保護される)。
Mtt基の脱保護、及びtBu保護された活性化アシル化試薬([アシル]-[リンカー]-OSu、たとえば(両方とも末端及びアルファカルボキシル基においてtBuエステルとして保護されている)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG-OSu及びテトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG-OSu)でのアシル化。
工程1: 樹脂にHFIP (12mL)を加え、反応液を20分間振盪した。濾過によって溶媒を除去した後、樹脂をDCM (4×15ml)で洗浄し、窒素流中で乾燥させた。
工程2: 上記樹脂に、DMF (8mL)及びDIPEA (1.5mL)を加えた。次いで、活性化アシル化試薬の溶液(2mLのDMF中に0.75g)を加え、反応液を15時間振盪し、排液し、DCM(3×15ml)で洗浄した。
工程1: 樹脂にHFIP (12mL)を加え、反応液を20分間振盪した。濾過によって溶媒を除去した後、樹脂をDCM (4×15ml)で洗浄し、窒素流中で乾燥させた。
工程2: 上記樹脂に、DMF (8mL)及びDIPEA (1.5mL)を加えた。次いで、活性化アシル化試薬の溶液(2mLのDMF中に0.75g)を加え、反応液を15時間振盪し、排液し、DCM(3×15ml)で洗浄した。
別法として、側鎖を連続して構築することもできる。
Mtt基の脱保護
樹脂にHFIP (6mL)を加え、反応液を20分間インキュベートした。溶媒を除去した後、樹脂をDCM (6mL)で洗浄した。樹脂にHFIP (6mL)を加え、反応液を20分間インキュベートした。樹脂をDCM (2×7.5mL)及びコリジン(2×7.5mL)で洗浄した後、DCM (2×7.5mL)で更に洗浄した。
樹脂にHFIP (6mL)を加え、反応液を20分間インキュベートした。溶媒を除去した後、樹脂をDCM (6mL)で洗浄した。樹脂にHFIP (6mL)を加え、反応液を20分間インキュベートした。樹脂をDCM (2×7.5mL)及びコリジン(2×7.5mL)で洗浄した後、DCM (2×7.5mL)で更に洗浄した。
Fmoc-Glu-OtBu、Fmoc-OEG-OH、及び14-tert-ブトキシ-14-オキソ-テトラデカン酸又は16-tert-ブトキシ-16-オキソ-ヘキサデカン酸を使用する連続した標準結合によって、側鎖を構築した。
A6C-A11Cジスルフィド形成
樹脂を0.5%のヨウ素DCM/HFIP溶液(1:1混合物30mL)で15分間処理した。濾過によって溶媒を除去した後、樹脂をDCM (3×20mL)で洗浄し、窒素流中で乾燥させた。
樹脂を0.5%のヨウ素DCM/HFIP溶液(1:1混合物30mL)で15分間処理した。濾過によって溶媒を除去した後、樹脂をDCM (3×20mL)で洗浄し、窒素流中で乾燥させた。
樹脂からのA鎖の切断及びA20-CysのS-S-ピリジルとしての活性化
樹脂を、TFA (30mL)、トリイソプロピルシラン(1mL)、水(0.75mL)、及びジチオジピリジン(0.75g)からなる溶液で3時間処理し、次いで、濾液を集め、(6つのプラスチックNUNC管に分けられた)150mLのジエチルエーテルに加えて、ペプチドを沈殿させた。管を3500rpmで3分間遠心分離した、エーテル層をデカントし、このエーテルステップを更に3回繰り返した。粗材料を合わせ、終夜室温で乾燥させて、所望のペプチドA鎖を得た。
樹脂を、TFA (30mL)、トリイソプロピルシラン(1mL)、水(0.75mL)、及びジチオジピリジン(0.75g)からなる溶液で3時間処理し、次いで、濾液を集め、(6つのプラスチックNUNC管に分けられた)150mLのジエチルエーテルに加えて、ペプチドを沈殿させた。管を3500rpmで3分間遠心分離した、エーテル層をデカントし、このエーテルステップを更に3回繰り返した。粗材料を合わせ、終夜室温で乾燥させて、所望のペプチドA鎖を得た。
樹脂からのB鎖の切断
樹脂を、TFA (30mL)、トリイソプロピルシラン(1mL)、水(0.75mL)、及びジチオトレイトール(0.5g)からなる溶液で3時間処理し、次いで、濾液を集め、ジエチルエーテル(150mL、6つのプラスチックNUNC管に分けられたもの)に加えて、ペプチドを沈殿させた。管を3500rpmで3分間遠心分離した、エーテル層をデカントし、このエーテルステップを更に3回繰り返した。粗材料を終夜室温で乾燥させて、所望のペプチドB鎖を得た。
樹脂を、TFA (30mL)、トリイソプロピルシラン(1mL)、水(0.75mL)、及びジチオトレイトール(0.5g)からなる溶液で3時間処理し、次いで、濾液を集め、ジエチルエーテル(150mL、6つのプラスチックNUNC管に分けられたもの)に加えて、ペプチドを沈殿させた。管を3500rpmで3分間遠心分離した、エーテル層をデカントし、このエーテルステップを更に3回繰り返した。粗材料を終夜室温で乾燥させて、所望のペプチドB鎖を得た。
A20C-B19Cジスルフィド形成
A鎖(0.33g)とB鎖(0.33g)の混合物に、DMSO (8mL)及びDIPEA (1mL)を加え、混合物を20分間撹拌し、次いで、140mLの中性緩衝液(水、TRIS (10mM)、硫酸アンモニウム(15mM)、20%のアセトニトリル)に、撹拌しながら滴下して、合計体積をおよそ150mLとした。
A鎖(0.33g)とB鎖(0.33g)の混合物に、DMSO (8mL)及びDIPEA (1mL)を加え、混合物を20分間撹拌し、次いで、140mLの中性緩衝液(水、TRIS (10mM)、硫酸アンモニウム(15mM)、20%のアセトニトリル)に、撹拌しながら滴下して、合計体積をおよそ150mLとした。
次いで、混合物を、次の設定を使用する逆相クロマトグラフィーによって精製した。
・Phenomenex Gemini 5μM 5u C18 110Å 30×250mmカラム、20mL/minの流れ 40分かけて10%のB〜60%のB
・溶離液A=10mMのTRIS、15mMの硫酸アンモニウム、pH=7.3、milliQ水中20%のACN
・溶離液B=アセトニトリル中20%のmilliQ水
・Phenomenex Gemini 5μM 5u C18 110Å 30×250mmカラム、20mL/minの流れ 40分かけて10%のB〜60%のB
・溶離液A=10mMのTRIS、15mMの硫酸アンモニウム、pH=7.3、milliQ水中20%のACN
・溶離液B=アセトニトリル中20%のmilliQ水
純粋な画分をプールし、急速冷凍し、凍結乾燥した。
A7C-B7Cジスルフィド形成
前のステップからの凍結乾燥された中間体を、5mLのDMSOに溶解し直した。酢酸(20mL)及び水(4mL)を加えた後、ヨウ素AcOH溶液(40mM、3mL)を加えた。
前のステップからの凍結乾燥された中間体を、5mLのDMSOに溶解し直した。酢酸(20mL)及び水(4mL)を加えた後、ヨウ素AcOH溶液(40mM、3mL)を加えた。
20分の合計反応時間経過後、1Mのアスコルビン酸ナトリウムで反応を失活させ、次いで、撹拌した水の溶液(90mL)に加えた。
次いで、混合物を、次の設定を使用する逆相クロマトグラフィーによって精製した。
・Phenomenex Gemini 5μM 5u C18 110Å 30×250mmカラム、20mL/minの流れ 40分かけて10%のB〜45%のB
・溶離液A=milliQ水中0.1%のTFA
・溶離液B=アセトニトリル中0.1%のTFA
・Phenomenex Gemini 5μM 5u C18 110Å 30×250mmカラム、20mL/minの流れ 40分かけて10%のB〜45%のB
・溶離液A=milliQ水中0.1%のTFA
・溶離液B=アセトニトリル中0.1%のTFA
純粋な画分をプールし、急速冷凍し、凍結乾燥して、所望の生成物を得た。
(実施例1)
一般手順(B)
A8H、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号1及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[HisA8,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(B)
A8H、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号1及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[HisA8,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1580.3(M+4)/4。計算値:1580。
(実施例2)
一般手順(B)
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号2及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[HisA8,AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(B)
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号2及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[HisA8,AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1569.3(M+4)/4。計算値:1569.3。
(実施例3)
一般手順(B)
A8H、A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号3及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[HisA8,GlyA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(B)
A8H、A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号3及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[HisA8,GlyA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1566.3(M+4)/4。計算値:1565.8。
(実施例4)
一般手順(A及びB)
B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(A及びB)
B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1571.2(M+4)/4。計算値:1571。
(実施例5)
一般手順(A及びB)
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(A及びB)
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1560.2(M+4)/4。計算値:1560。
(実施例6)
一般手順(B)
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号8及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[GlyA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(B)
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号8及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[GlyA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1556.9(M+4)/4。計算値:1556。
(実施例7)
一般手順(A)
B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(A)
B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1595.2(M+4)/4。計算値:1595.3。
(実施例8)
一般手順(A)
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(A)
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
A21A、B3E、desB27、desB30ヒトインスリン(0.53g、0.095mmol)を、100mMのNa2CO3 5mlに溶解させ、1N NaOHでpHを11.2に調整した。(S)-2-((S)-4-カルボキシ-4-{(S)-4-カルボキシ-4-[(S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシ-トリデカノイルアミノ)-ブチリルアミノ]-ブチリルアミノ}-ブチリルアミノ)-ペンタン二酸5-(2,5-ジオキソ-ピロリジン-1-イル)エステル(テトラデカンジオイル-4×gGlu-OSu)(250mg、0.285mmol)を、1mlのNMPに溶解させ、激しく撹拌しながら加えた。1N HClでpHを1に調整し、少量のアセトニトリルを加えた。混合物を分取HPLC(カラム:Phenomenex Gemini、5μM 5u C18 110Å、30×250mm、40分かけて10%のB〜40%のBの勾配を使用、20ml/min、A緩衝液:水中0.1%のTFA、B緩衝液:アセトニトリル中0.1%のTFA)によって精製した。純粋な画分をプールし、凍結乾燥して、148.5mg(25%)の表題インスリンを得た。
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1584.5(M+4)/4。計算値:1584.5。
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1584.5(M+4)/4。計算値:1584.5。
(実施例9)
一般手順(A及びB)
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び10)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[AlaA21,GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(A及びB)
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び10)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[AlaA21,GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1584.2(M+4)/4。計算値:1584.3。
(実施例10)
一般手順(B)
A8R、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号4及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[ArgA8,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(B)
A8R、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号4及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[ArgA8,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1585.3(M+4)/4。計算値:1585。
(実施例11)
一般手順(B)
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号2及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[HisA8,AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(B)
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号2及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[HisA8,AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1593.3(M+4)/4。計算値:1592.5。
(実施例12)
一般手順(B)
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号6及び10)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[GluA14,AlaA21,GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(B)
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号6及び10)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[GluA14,AlaA21,GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1575.6(M+4)/4。計算値:1575.8。
(実施例13)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号5及び10)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号5及び10)
(実施例14)
一般手順(B)
B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(B)
B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1594.7(M+4)/4。計算値:1595
(実施例15)
一般手順(A)
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(A)
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1567(M+4)/4。計算値:1567.3
(実施例16)
一般手順(A)
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(A)
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[AlaA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1591.4(M+4)/4。計算値:1591.6。
(実施例17)
一般手順(A)
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び10)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[AlaA21,GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(A)
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び10)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[AlaA21,GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1559.9(M+4)/4。計算値:1560.1
(実施例18)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号8及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[GlyA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号8及び9)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[GlyA21,GluB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
(実施例19)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号6及び10)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号6及び10)
(実施例20)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号5及び10)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号5及び10)
(実施例21)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号9)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号9)
(実施例22)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号9)
一般手順(A又はB)に従って調製することができる
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号9)
(実施例23)
一般手順(A)
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び10)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[AlaA21,GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン
一般手順(A)
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び10)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-[AlaA21,GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1591.1(M+4)/4。計算値:1591.32
(実施例24)
一般手順(A)
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び10)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[AlaA21,GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン
一般手順(A)
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;(配列番号7及び10)
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[AlaA21,GlnB3],des-ThrB27,ThrB30-インスリン
LC-MS(エレクトロスプレー):m/z=1566.9(M+4)/4。計算値:1567.1
先行技術類似体1
B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;WO 2009 022006;実施例10
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-des-ThrB30-インスリン(ヒト)
B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;WO 2009 022006;実施例10
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-des-ThrB30-インスリン(ヒト)
先行技術類似体2
B28D、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン;インスリンアスパルトにより知られている、B28D置換を有する、先行技術類似体1のテトラデカン二酸類似体
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[AspB28],des-ThrB30-インスリン(ヒト)
B28D、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン;インスリンアスパルトにより知られている、B28D置換を有する、先行技術類似体1のテトラデカン二酸類似体
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-[AspB28],des-ThrB30-インスリン(ヒト)
先行技術類似体3
B29K(N(eps)テトラデカンジオイル)、desB30ヒトインスリン;WO 9731022;実施例1
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-13-カルボキシトリデカノイル-des-ThrB30-インスリン(ヒト)
B29K(N(eps)テトラデカンジオイル)、desB30ヒトインスリン;WO 9731022;実施例1
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-13-カルボキシトリデカノイル-des-ThrB30-インスリン(ヒト)
先行技術類似体4
DesB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;WO 2009 022006;
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
DesB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2xOEG)、desB30ヒトインスリン;WO 2009 022006;
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[2-[2-[2-[[2-[2-[2-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]アミノ]エトキシ]エトキシ]アセチル]-des-ThrB27,ThrB30-インスリン(ヒト)
この化合物は、先行技術類似体1の近縁類似体であり、以下の変更がある。テトラデカン二酸部分による類似体1のヘキサデカン二酸部分の置き換え、及びWO2009022006で開示されていない、desB27突然変異の導入。これはまさに、(ヒトインスリンにおける)B3NをB3E又はB3Qに変更することの有益で意外な効果を評価するためである。
先行技術類似体5
B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;WO 2009 022006;
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-des-ThrB30-インスリン(ヒト)
B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4xgGlu)、desB30ヒトインスリン;WO 2009 022006;
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-[[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]ブタノイル]-des-ThrB30-インスリン(ヒト)
この類似体は、上記のWO2009022006、実施例10(先行技術類似体1)と同様であるが、実施例10に対して以下の変更がある。テトラデカン二酸部分による実施例10のヘキサデカン二酸部分の置き換え、及びリンカー4×gGluによるgGlu-2×OEGの置き換え。これはまさに、(ヒトインスリンにおける)B3NをB3E又はB3Qに変更することの有益で意外な効果を評価するためである。
先行技術類似体6
B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu)、desB30インスリンヒトインスリン;WO2006125765;データの裏付けのない例として開示されている
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]-des-ThrB30-インスリン(ヒト)
B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu)、desB30インスリンヒトインスリン;WO2006125765;データの裏付けのない例として開示されている
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-(13-カルボキシトリデカノイルアミノ)ブタノイル]-des-ThrB30-インスリン(ヒト)
先行技術類似体7
B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu)、desB30インスリンヒトインスリン;WO2005012347;実施例1及び4並びにWO2006125765;実施例7、8、及び9
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]-des-ThrB30-インスリン(ヒト)
B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu)、desB30インスリンヒトインスリン;WO2005012347;実施例1及び4並びにWO2006125765;実施例7、8、及び9
IUPAC(OpenEye社、IUPAC style)名:N{イプシロン-B29}-[(4S)-4-カルボキシ-4-(15-カルボキシペンタデカノイルアミノ)ブタノイル]-des-ThrB30-インスリン(ヒト)
この先行技術分子は、インスリンデグルデク及びTresiba(登録商標)としても知られており、作用持続期間が極めて長い基礎インスリン類似体としてヒトでの使用のために現在市販されている。
(実施例25)
可溶化された受容体で測定した、選択された本発明のインスリン誘導体のインスリン受容体親和性
本発明のインスリン類似体のヒトインスリン受容体(IR)に対する相対的な結合親和性を、シンチレーション近接検定(SPA)における競合結合によって明らかにする(Glendorf Tら(2008) Biochemistry 47 4743〜4751に従う)。
可溶化された受容体で測定した、選択された本発明のインスリン誘導体のインスリン受容体親和性
本発明のインスリン類似体のヒトインスリン受容体(IR)に対する相対的な結合親和性を、シンチレーション近接検定(SPA)における競合結合によって明らかにする(Glendorf Tら(2008) Biochemistry 47 4743〜4751に従う)。
簡潔に述べると、96ウェルOptiplates(Perkin-Elmer Life Sciences社)においてヒトインスリン標準物質及び試験されるインスリン類似体の連続希釈を行った後、[125I-A14Y]-ヒトインスリン、抗IRマウス抗体83-7、可溶化されたヒトIR-A(IR-Aホロ受容体を過剰発現するベビーハムスター腎臓(BHK)細胞から、コムギ胚芽凝集素クロマトグラフィーによって半精製したもの)、及びSPAビーズ(抗マウスポリビニルトルエンSPAビーズ、GE Healthcare社)を含んだ、100mMのHEPES(pH7.8)、100mMのNaCl、10mMのMgSO4、及び0.025%(v/v)のTween 20からなる結合緩衝液を加える。プレートを穏やかに振盪しながら22℃で22〜24時間インキュベートし、2000rpmで2分間遠心分離し、TopCount NXT(Perkin-Elmer Life Sciences社)で計数する。
SPAからのデータを、4パラメータロジスティックモデルに従って分析し(Volund A (1978) Biometrics 34 357〜365)、類似体の結合親和性を、同じプレート内で測定したヒトインスリン標準物質の結合親和性を基準として算出した。
より生理的な条件を模倣するために、結合緩衝液が1.5%のHSA(w/v)(Sigma A1887)を含有する同類のアッセイも使用した。
選択された本発明のインスリン類似体のインスリン受容体親和性及び他のin vitroデータを、以下のTable 1(表1)に示す。
(実施例26)
膜結合型受容体で測定した、選択された本発明のインスリン誘導体のインスリン受容体及びインスリン様成長因子1受容体親和性
ヒトIR-A、IR-B、又はIGF-IRいずれかの挿入断片を収容するpZem219Bベクターを堅固に形質移入したBHK細胞から、膜結合型ヒトIR及びIGF-1Rを精製する。BHK細胞を収穫し、氷冷緩衝液(25mMのHEPES pH7.4、25mMのCaCl2、及び1mMのMgCl2、250mg/Lのバシトラシン、0.1mMのPefablock)中でホモジナイズする。ホモジネートを41%(w/v)スクロースクッションに層状に重ね、4℃で75分間、95000gで遠心分離する。形質膜を集め、緩衝液(上記のとおり)で1:5希釈し、4℃で45分間、40000gで再び遠心分離する。ペレットを最小体積の緩衝液に再懸濁し、針(サイズ23)で3回抜き差ししてから、使用するまで-80℃で保管する。
膜結合型受容体で測定した、選択された本発明のインスリン誘導体のインスリン受容体及びインスリン様成長因子1受容体親和性
ヒトIR-A、IR-B、又はIGF-IRいずれかの挿入断片を収容するpZem219Bベクターを堅固に形質移入したBHK細胞から、膜結合型ヒトIR及びIGF-1Rを精製する。BHK細胞を収穫し、氷冷緩衝液(25mMのHEPES pH7.4、25mMのCaCl2、及び1mMのMgCl2、250mg/Lのバシトラシン、0.1mMのPefablock)中でホモジナイズする。ホモジネートを41%(w/v)スクロースクッションに層状に重ね、4℃で75分間、95000gで遠心分離する。形質膜を集め、緩衝液(上記のとおり)で1:5希釈し、4℃で45分間、40000gで再び遠心分離する。ペレットを最小体積の緩衝液に再懸濁し、針(サイズ23)で3回抜き差ししてから、使用するまで-80℃で保管する。
膜結合型ヒトIR-A、IR-B、又はIGF-1Rに対する相対的な結合親和性を、SPA設定における競合結合によって明らかにする。IR検定は、96ウェルOptiplates(Perkin-Elmer Life Sciences社)において二通りに実施する。50pMの[125I-A14Y]-ヒトインスリンを含有する総体積200μLの検定緩衝液(50mMのHEPES、150mMのNaCl、5mMのMgSO4、0.01%のTriton X-100、0.1%(w/v)のHSA(Sigma A1887)、完全無EDTAプロテアーゼ阻害剤)、50μgのコムギ胚芽凝集素(WGA)コートされたPVTマイクロスフェア(GE Healthcare社)、及び漸増する濃度のリガンドと共に、膜タンパク質を、穏やかに撹拌しながら25℃で150分間インキュベートする。プレートを2000rpmで2分間遠心分離して検定を終了させ、TopCount NXT(Perkin-Elmer Life Sciences社)での計数によって結合放射活性を定量化する。
IGF-1R検定は、膜結合型IGF-1R及び50pMの[125I-Tyr31]-ヒトIGF-1を用いたことを除き、本質的にIR結合検定についてのとおりに実施する。SPAからのデータを、4パラメータロジスティックモデルに従って分析し(Volund A (1978) Biometrics 34 357〜365)、試験される類似体の結合親和性を、同じプレート内で測定したヒトインスリン標準物質の結合親和性を基準として算出する。
選択された本発明のインスリン類似体のIR(Aイソ型及びBイソ型)及びIGF-1R結合データを以下のTable 1(表1)に示す。
(実施例27)
ラット脂肪細胞における脂質生合成
本発明のインスリンのin vitro効力の尺度として、脂質生合成を使用することができる。
ラット脂肪細胞における脂質生合成
本発明のインスリンのin vitro効力の尺度として、脂質生合成を使用することができる。
ラット一次脂肪細胞を精巣上体脂肪パッドから単離し、たとえば、0.1%の無脂肪HSAと標準物質(ヒトインスリン)又は本発明のインスリンのいずれかとを含有する緩衝液中で、3H-グルコースと共にインキュベートした。標識されたグルコースは、用量依存的に、抽出可能な脂質へと変換され、結果として、完全な用量反応曲線が得られる。結果は、標準物質(ヒトインスリン)と比べた本発明のインスリンの相対的効力(%)として95%の信頼限界で示す。
データを上のTable 1 (表1)に示す。
(実施例28)
X線小角散乱(SAXS)によって測定した自己会合
SAXSデータを使用して、試験されるインスリン類似体の皮下注射後の自己会合状態を推定した。SAXSデータは、0.6mMの試験されるインスリン類似体及び140mMのNaClを含有するpH7.4の無Zn製剤から収集した。各類似体について、SAXS散乱プロファイルの強度に、多成分混合物中の個々の成分すべてが寄与するということを使用して、単量体、二量体、及びより大きいインスリンの相対量を推定した。各成分からの強度(形状因子)を使用することにより、混合物中の各成分の体積分率寄与を推定することが可能である。非負又は制約なし最小二乗のアルゴリズムを使用する線形方程式の系を使用して、実験と計算による散乱曲線の相違を最小限に抑える。形状因子は、単量体、二量体、六量体等の結晶構造から計算する。体積分率は、百分率(%)で示す。
X線小角散乱(SAXS)によって測定した自己会合
SAXSデータを使用して、試験されるインスリン類似体の皮下注射後の自己会合状態を推定した。SAXSデータは、0.6mMの試験されるインスリン類似体及び140mMのNaClを含有するpH7.4の無Zn製剤から収集した。各類似体について、SAXS散乱プロファイルの強度に、多成分混合物中の個々の成分すべてが寄与するということを使用して、単量体、二量体、及びより大きいインスリンの相対量を推定した。各成分からの強度(形状因子)を使用することにより、混合物中の各成分の体積分率寄与を推定することが可能である。非負又は制約なし最小二乗のアルゴリズムを使用する線形方程式の系を使用して、実験と計算による散乱曲線の相違を最小限に抑える。形状因子は、単量体、二量体、六量体等の結晶構造から計算する。体積分率は、百分率(%)で示す。
本発明の誘導体及び先行技術の誘導体から得られた結果を、以下のTable 2(表2)に示す。
これらの研究から、本発明の誘導体は、注射後の皮下組織の条件を模倣する条件において、先行技術の同様な類似体より、単量体へと解離する傾向がはるかに強く、したがって、皮下注射後にはるかに速やかに吸収されると結論付けることができる。類似体中の単量体と二量体を合わせた含有量は、本発明の類似体については95〜99%の範囲であり、二量体より大きいインスリンの含有量は非常に少ない(多くとも5%)。
先行技術の類似体の大半は、本発明の類似体よりはるかに大きいインスリンで構成されており、2種(先行技術類似体2及び4)だけが例外である。これら2種の類似体は、亜鉛なしの製剤中で安定しておらず、食事前の投薬に適していない長期のPKプロファイルと関連する。
(実施例29)
医薬調製物の調製
本発明の医薬調製物は、水溶液として製剤することができる。水溶液は、たとえば、塩化ナトリウム及び/又はグリセロールを用いて等張性にすることができる。更に、水性媒質が、緩衝液及び保存剤を含有してもよい。調製物のpH値は、所望の値に調整され、当該インスリン類似体の等電点pIに応じて、約3〜約8.5の間、約3〜約5の間、又は約6.5、約7.4、若しくは約7.5とすることができる。
医薬調製物の調製
本発明の医薬調製物は、水溶液として製剤することができる。水溶液は、たとえば、塩化ナトリウム及び/又はグリセロールを用いて等張性にすることができる。更に、水性媒質が、緩衝液及び保存剤を含有してもよい。調製物のpH値は、所望の値に調整され、当該インスリン類似体の等電点pIに応じて、約3〜約8.5の間、約3〜約5の間、又は約6.5、約7.4、若しくは約7.5とすることができる。
無亜鉛インスリン製剤の調製
最終製剤中0.6mMのインスリン類似体、16mMのm-クレゾール、16mMのフェノール及び適量のニコチンアミド及びグリセロールを含有する水溶液に、無亜鉛インスリン類似体を溶解させ、1N塩酸/1N NaOHを使用してpHを7.3〜7.5(室温で測定)に調整した。水を加えて最終体積とし、溶液を0.2μmフィルターで滅菌濾過した。製剤を2mlバイアルに充填し、クリンプキャップを使用して密封した。
最終製剤中0.6mMのインスリン類似体、16mMのm-クレゾール、16mMのフェノール及び適量のニコチンアミド及びグリセロールを含有する水溶液に、無亜鉛インスリン類似体を溶解させ、1N塩酸/1N NaOHを使用してpHを7.3〜7.5(室温で測定)に調整した。水を加えて最終体積とし、溶液を0.2μmフィルターで滅菌濾過した。製剤を2mlバイアルに充填し、クリンプキャップを使用して密封した。
(実施例30)
タンパク質製剤の物理的安定性を評価するためのThT原線維形成検定
ペプチドの物理的安定性が低いと、サンプル中に秩序だった糸状の高分子構造として認められ、最終的にはゲル形成をもたらす、アミロイド原線維の形成につながりかねない。Thioflavin T(ThT)は、原線維に結合すると、明瞭な蛍光サインを伴う[Naikiら(1989) Anal. Biochem. 177 244〜249、LeVine (1999) Methods. Enzymol. 309 274〜284]。
タンパク質製剤の物理的安定性を評価するためのThT原線維形成検定
ペプチドの物理的安定性が低いと、サンプル中に秩序だった糸状の高分子構造として認められ、最終的にはゲル形成をもたらす、アミロイド原線維の形成につながりかねない。Thioflavin T(ThT)は、原線維に結合すると、明瞭な蛍光サインを伴う[Naikiら(1989) Anal. Biochem. 177 244〜249、LeVine (1999) Methods. Enzymol. 309 274〜284]。
部分的に折り畳まれたペプチド中間体の生成が、原線維形成の一般的な開始機序として提唱されている。ほんの少数のこうした中間体が核となって鋳型を形成し、それに更なる中間体が寄り集まることもあり、原線維形成が進行する。ずれ時間は、臨界質量の核が構築される間の期間に相当し、見かけの速度定数は、原線維それ自体が形成される速度である(図1A)。
サンプル調製
サンプルは、各検定前に新たに調製した。各組成物のサンプルを、990:10の体積比でThT水溶液(0.1mM ThT)と混合し、96ウェルマイクロタイタープレート(Packard Opti-Plate(商標)-96、白色ポリスチレン)に移した。普通は、各サンプルの(1つの試験条件に対応する)4つ又は8つの複製を、1列のウェルに配置した。プレートをScotch 15 Pad(Qiagen社)で密閉した。
サンプルは、各検定前に新たに調製した。各組成物のサンプルを、990:10の体積比でThT水溶液(0.1mM ThT)と混合し、96ウェルマイクロタイタープレート(Packard Opti-Plate(商標)-96、白色ポリスチレン)に移した。普通は、各サンプルの(1つの試験条件に対応する)4つ又は8つの複製を、1列のウェルに配置した。プレートをScotch 15 Pad(Qiagen社)で密閉した。
インキュベーション及び蛍光測定
所与の温度でのインキュベーション、振盪、及びThT蛍光発光の測定を、Fluoroskan Ascent FL蛍光プレートリーダー又はVarioskanプレートリーダー(Thermo Labsystems社)において行った。温度は、37℃に調整した。オービタル振盪は、示した全データにおいて1mmの振幅で960rpmに調整した。蛍光測定は、444nmフィルターを介した励起及び485nmフィルターを介した発光測定を使用して行った。各行程を、プレートを検定温度で10分間インキュベートすることにより開始した。プレートを45時間まで20分毎に測定した。各測定の間に、プレートを記載したとおりに振盪及び加熱した。
所与の温度でのインキュベーション、振盪、及びThT蛍光発光の測定を、Fluoroskan Ascent FL蛍光プレートリーダー又はVarioskanプレートリーダー(Thermo Labsystems社)において行った。温度は、37℃に調整した。オービタル振盪は、示した全データにおいて1mmの振幅で960rpmに調整した。蛍光測定は、444nmフィルターを介した励起及び485nmフィルターを介した発光測定を使用して行った。各行程を、プレートを検定温度で10分間インキュベートすることにより開始した。プレートを45時間まで20分毎に測定した。各測定の間に、プレートを記載したとおりに振盪及び加熱した。
データ処理
蛍光対時間のプロットをMicrosoft Excelで作成し、図1A、図1B、及び図1Cに例示するとおり、ずれ区間と細動区間の線形近似の切片として、ずれ時間を推定した。ずれ時間の増大は、物理的安定性の増大に相当する。データ点は、通常、4つ又は8つのサンプルの平均である。
蛍光対時間のプロットをMicrosoft Excelで作成し、図1A、図1B、及び図1Cに例示するとおり、ずれ区間と細動区間の線形近似の切片として、ずれ時間を推定した。ずれ時間の増大は、物理的安定性の増大に相当する。データ点は、通常、4つ又は8つのサンプルの平均である。
本発明のB29Kアシル化類似体について得られた結果、及び先行技術の同様のB29Kアシル化類似体の結果を、以下でTable 4(表4)に示す。
本発明のインスリン類似体は、ニコチンアミド添加と添加なしのどちらの無亜鉛製剤でも、原線維形成に対して、先行技術の同様の類似体に比べて良好又は同様の安定性を示す(すなわち、物理的安定性が向上している)と結論付けられる。SAXSデータからは、本発明のインスリン類似体は、大きさがより小さい(すなわち、単量体及び二量体から構成される)ことが示唆され、当業者なら、物理的安定性がより低くなると予想することになるので、これは、非常に意外である。
(実施例31)
インスリンの化学的安定性の分析
サイズ排除クロマトグラフィー
使用した製剤:実施例27を参照されたい。
高分子量タンパク質(HMWP)及び単量体インスリン類似体の定量を、Waters Acquity BEH200 SECカラム(150×2.4mm、部品番号186005225)において、55%(v/v)のアセトニトリル、0.05%のTFAを含有する溶離液を用い、0.2ml/minの流量及び40℃のカラム温度で行った。検出は、調整可能な吸光度検出器(Waters Acquity TUV)によって215nmで行った。注入体積は、600μMのインスリン類似体製剤と600μMのヒトインスリン標準物質のどちらも、1.5μlとした。各類似体調製物は、2mlバイアルにおいて、5、25、及び37℃でインキュベートした。所定の時間に、調製物のHMWP含有量を測定した。
インスリンの化学的安定性の分析
サイズ排除クロマトグラフィー
使用した製剤:実施例27を参照されたい。
高分子量タンパク質(HMWP)及び単量体インスリン類似体の定量を、Waters Acquity BEH200 SECカラム(150×2.4mm、部品番号186005225)において、55%(v/v)のアセトニトリル、0.05%のTFAを含有する溶離液を用い、0.2ml/minの流量及び40℃のカラム温度で行った。検出は、調整可能な吸光度検出器(Waters Acquity TUV)によって215nmで行った。注入体積は、600μMのインスリン類似体製剤と600μMのヒトインスリン標準物質のどちらも、1.5μlとした。各類似体調製物は、2mlバイアルにおいて、5、25、及び37℃でインキュベートした。所定の時間に、調製物のHMWP含有量を測定した。
結果を以下のTable 5(表5)に示す。
37℃での無亜鉛製剤としての保管による高分子量タンパク質(HMWP)の生成は、先行技術化合物に比べて、本発明の同様のインスリン誘導体では同様又はより少ないと結論付けられる。
逆相クロマトグラフィー(UPLC)
インスリン関連不純物の定量を、CSH Phenyl-Hexylカラム、(2.1×150mm、1.7μm)、(Waters社部品番号186005408)を使用するUPLC系において、0.3ml/minの流量、30℃で、215nmでのUV検出を用いて行った。溶離は、A:10%(v/v)のアセトニトリル、100mMのリン酸水素二アンモニウム、pH3.6、及びB:80%(v/v)のアセトニトリルからなる移動相、0〜3分は26%のBから28.5%のBへの線形変化、3〜34分は37%のBへの線形変化、34〜36分は80%のBへと線形変化してカラム洗浄の後、39分に26%のBの初期条件に復帰という勾配を用いて行った。不純物の量は、測定された吸光度域として、保存剤が溶離された後に求められた総吸光度域に対するパーセントにして求めた。各類似体調製物は、2mlバイアルにおいて、5、25、及び37℃でインキュベートした。所定の時間に、調製物のインスリン関連不純物を測定した。
インスリン関連不純物の定量を、CSH Phenyl-Hexylカラム、(2.1×150mm、1.7μm)、(Waters社部品番号186005408)を使用するUPLC系において、0.3ml/minの流量、30℃で、215nmでのUV検出を用いて行った。溶離は、A:10%(v/v)のアセトニトリル、100mMのリン酸水素二アンモニウム、pH3.6、及びB:80%(v/v)のアセトニトリルからなる移動相、0〜3分は26%のBから28.5%のBへの線形変化、3〜34分は37%のBへの線形変化、34〜36分は80%のBへと線形変化してカラム洗浄の後、39分に26%のBの初期条件に復帰という勾配を用いて行った。不純物の量は、測定された吸光度域として、保存剤が溶離された後に求められた総吸光度域に対するパーセントにして求めた。各類似体調製物は、2mlバイアルにおいて、5、25、及び37℃でインキュベートした。所定の時間に、調製物のインスリン関連不純物を測定した。
結果を以下のTable 6(表6)に示す。
本発明のインスリン誘導体は、亜鉛なしの製剤中で、先行技術の同様のB29Kアシル化類似体よりはるかに安定していると結論付けられる。先行技術の類似体は、37℃で2週間保管した後の先行技術類似体2の純度損失(7.5%の純度の損失)が、37℃で5週間保管した後の本発明の全類似体の純度損失より大きいほど不安定である。更に、37℃で5週間保管した後の先行技術類似体の純度損失は、実施例7の類似体の最大5%に比べて、20%前後である。本発明のインスリン類似体(実施例4、5、7、及び8の化合物によって代表される)は、37℃で2週間保管した後に、それぞれ5%ポイント未満の純度損失を有する。更に、実施例5、7、及び8の化合物については、37℃で5週間保管した後の純度損失は、それぞれ、-2.3%、-4.5%、及び-3.2%であり、先行技術類似体2で認められる(それぞれ、37℃で2週間後に-7.6%及び5週間後に-18.9%)よりはるかに少ない純度損失である。したがって、本発明のインスリン誘導体は、先行技術の同様の類似体とは対照的に、無亜鉛製剤中で安定していると結論付けられる。
先行技術のアシル化されている類似体はすべて、臨床使用に必要なだけ安定するために、製剤中の亜鉛の存在を必要とする。
(実施例32)
LYDブタにおける皮下PK/PDプロファイル
本発明のインスリン誘導体は、たとえば、市販製剤としてのインスリンアスパルト(NovoRapid)と比較する、又はこのプロトコールに従う先行技術の同様のインスリン類似体と比較する、ブタへの皮下投与によって試験することができる。誘導体は、薬動学的及び/又は薬力学的パラメーターについて試験することができる。
LYDブタにおける皮下PK/PDプロファイル
本発明のインスリン誘導体は、たとえば、市販製剤としてのインスリンアスパルト(NovoRapid)と比較する、又はこのプロトコールに従う先行技術の同様のインスリン類似体と比較する、ブタへの皮下投与によって試験することができる。誘導体は、薬動学的及び/又は薬力学的パラメーターについて試験することができる。
使用した一般法
超音波検査及び注射場所の作製
永久静脈カテーテルを設置するための麻酔の間、Esaote社の超音波走査装置モデル「MyLabFive」及び線形プローブ型「LA435 6-18 MHz」を用い、超音波によってブタを検査する。右側又は左側(カテーテルの反対側)の耳と肩甲骨の中間の頸部、すなわち、下に筋肉のない(皮下注射に適する)2×2cmの範囲を特定し、入れ墨で印を付ける。
超音波検査及び注射場所の作製
永久静脈カテーテルを設置するための麻酔の間、Esaote社の超音波走査装置モデル「MyLabFive」及び線形プローブ型「LA435 6-18 MHz」を用い、超音波によってブタを検査する。右側又は左側(カテーテルの反対側)の耳と肩甲骨の中間の頸部、すなわち、下に筋肉のない(皮下注射に適する)2×2cmの範囲を特定し、入れ墨で印を付ける。
給餌スケジュール
ブタは、実験前に絶食させる(朝食なし)。
ブタは、実験前に絶食させる(朝食なし)。
ブタは、全実験の間、その通常の畜舎に入れ、麻酔をしない。12時間の血液サンプルを収集するまで、ブタを絶食させるが、水は自由に与える。12時間の血液サンプルの後、ブタに食物及びリンゴを与える。
投薬
PenfillをNovoPen(登録商標)4に取り付ける。それぞれのブタに新しい針を使用する。針ストッパーを使用して、表皮の5mm下への最大皮下貫通を確実にする。用量体積(IU体積)を計算し、それぞれのブタについて書き留める。
用量体積(U)=((体重×用量nmol/kg)/濃度nmol/mL)×100U/mL
ブタには、頸部の右側又は左側(カテーテルの反対側)において、横から皮下組織に投薬を行い、注射した後最低10秒間は針を皮下組織に入れたままにして、化合物の沈着を確実にする。
PenfillをNovoPen(登録商標)4に取り付ける。それぞれのブタに新しい針を使用する。針ストッパーを使用して、表皮の5mm下への最大皮下貫通を確実にする。用量体積(IU体積)を計算し、それぞれのブタについて書き留める。
用量体積(U)=((体重×用量nmol/kg)/濃度nmol/mL)×100U/mL
ブタには、頸部の右側又は左側(カテーテルの反対側)において、横から皮下組織に投薬を行い、注射した後最低10秒間は針を皮下組織に入れたままにして、化合物の沈着を確実にする。
低血糖の治療
皮下投与後、低血糖を予防するために、グルコース溶液の静脈内注射の準備ができているべきであり、すなわち、4〜5本の注射器(20mL)に、使用できる状態の滅菌20%グルコースが充填される。低血糖の診断は、臨床症状及び糖測定器(Glucocard X-meter)での血中グルコース測定に基づく。
皮下投与後、低血糖を予防するために、グルコース溶液の静脈内注射の準備ができているべきであり、すなわち、4〜5本の注射器(20mL)に、使用できる状態の滅菌20%グルコースが充填される。低血糖の診断は、臨床症状及び糖測定器(Glucocard X-meter)での血中グルコース測定に基づく。
治療は、50〜100mlの20%グルコース(10〜20gのグルコース)の緩慢な静脈内注射からなる。グルコースは、効くまで5〜10分かけて少量ずつ与える。
血液サンプル採取
実験前に、10IU/mLのヘパリン添加なしの滅菌0.9%NaClで、頸静脈カテーテルの開通性を点検する。
実験前に、10IU/mLのヘパリン添加なしの滅菌0.9%NaClで、頸静脈カテーテルの開通性を点検する。
投薬の前後に、畜舎において、次の時点で、血液サンプルを中心静脈カテーテルから採取する:
投薬前(-10、0)、3、6、9、12、15、20、30、45、60、90、120、150、180、240、300、360、420、480、540、600、720分
投薬前(-10、0)、3、6、9、12、15、20、30、45、60、90、120、150、180、240、300、360、420、480、540、600、720分
サンプルは、3方ストップコックで採取する。4〜5mlの廃棄血液を抜き取り、廃棄した後、サンプルを採取する。
グルコース及びインスリン分析用に、0.8mlの血液サンプルを、EDTAコートされたチューブに収集する。
各血液サンプル採取後に、10IU/mLのヘパリン添加なしの滅菌0.9%NaCl 5mlをカテーテルに流す。
チューブを最低でも10回穏やかに傾けて、血液と抗凝血剤(EDTA)の十分な混合を確実にし、1分後に湿氷上に置く。サンプル採取後1時間以内に、チューブを4℃で10分間、3000rpmで回転させる。サンプルは、ピペットで移すまで、湿氷上で保管する。
凝固のリスクの増大を伴うカテーテル中での細菌生育を回避するために、無菌技術が必要とされる。
実験後のカテーテルの閉鎖
無菌技術を使用して血液サンプル採取を行っていなかった場合、10kgあたり1mlのPentrexyl(登録商標)(1gのアンピシリンが10mlの0.9%NaClに溶解したもの)での1回の静脈内処置を、血液サンプル採取に使用していたカテーテルからゆっくりと静脈内投与することができる。この処置に続いて、カテーテルに10mlの0.9%NaClを流す。
無菌技術を使用して血液サンプル採取を行っていなかった場合、10kgあたり1mlのPentrexyl(登録商標)(1gのアンピシリンが10mlの0.9%NaClに溶解したもの)での1回の静脈内処置を、血液サンプル採取に使用していたカテーテルからゆっくりと静脈内投与することができる。この処置に続いて、カテーテルに10mlの0.9%NaClを流す。
カテーテルに、ヘパリン(10IU/mL)が添加された5mlの滅菌0.9%NaClを流す。ラテックス注入膜を備えた新しいルアーロックを用いてカテーテルを閉じ、1.0mlのTauroLockHep500をカテーテルの止め具として膜から注入する。
血液サンプルの分析
血漿グルコース:10ulの血漿を500ulの緩衝溶液にピペットで移して、BIOSEN自動分析装置で血漿中のグルコース濃度を測定する。
血漿グルコース:10ulの血漿を500ulの緩衝溶液にピペットで移して、BIOSEN自動分析装置で血漿中のグルコース濃度を測定する。
血漿インスリン:1×50μlの血漿を0.65mlのMicronic(登録商標)チューブ(ELISA/LOCI/SPA装備)にピペットで移して、ELISA又はLC-MSを使用して分析する。
血漿は、-20℃で凍結させて保管する。
(実施例33)
LYDブタにおける実施例7のインスリンの皮下PK/PDプロファイル
上記一般手順に従って、実施例7のインスリン誘導体、(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、B3E、B26E、B29R、desB30ヒトインスリンについて、以下のPK及びPDプロファイルを取得した。
LYDブタにおける実施例7のインスリンの皮下PK/PDプロファイル
上記一般手順に従って、実施例7のインスリン誘導体、(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、B3E、B26E、B29R、desB30ヒトインスリンについて、以下のPK及びPDプロファイルを取得した。
使用した製剤
実施例7の化合物、pH=7.38;641.9μM;7mMのホスフェート;1.6%(w/vol)のグリセロール;16mMのフェノール;16mMのm-クレゾール;10mMの塩化ナトリウム(無Zn/六量体);1nmol/kg
実施例7の化合物、pH=7.38;641.9μM;7mMのホスフェート;1.6%(w/vol)のグリセロール;16mMのフェノール;16mMのm-クレゾール;10mMの塩化ナトリウム(無Zn/六量体);1nmol/kg
これらの測定の結果を、添付の図3A1、図3A2、図3B1、及び図3B2、並びに以下のTable 7(表7)に示す。
図3A1、図3A2、図3B1、及び図3B2は、6インスリン分子あたり亜鉛0で上述のとおりに製剤化された、実施例7のインスリン誘導体、すなわち、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリンのPD(薬力学的)及びPK(薬動学的)プロファイル、並びに結果として生じる経時的な血漿グルコース及びインスリン濃度の変化(ブタに1nmol/kgを投与した)をそれぞれ示すものである。
亜鉛なしの製剤中の実施例7のインスリン誘導体は、血漿グルコースが急速に低下し、血漿Tmaxが短い(30分)魅力的な食前プロファイルと関連すると結論付けられる。平均滞留時間(MRT)は、わずか86分であるため、この類似体は、食事前の使用に適切となる。
(実施例34)
LYDブタにおける実施例8のインスリンの皮下PK/PDプロファイル
上記一般手順に従って、実施例8のインスリン誘導体、(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、B3E、B27E、B28E、B29R、desB30ヒトインスリンについて、以下のPK及びPDプロファイルを取得した。
LYDブタにおける実施例8のインスリンの皮下PK/PDプロファイル
上記一般手順に従って、実施例8のインスリン誘導体、(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、B3E、B27E、B28E、B29R、desB30ヒトインスリンについて、以下のPK及びPDプロファイルを取得した。
使用した製剤
実施例8の化合物、pH=7.4;594μM;7mMのホスフェート;1.6%(w/vol)のグリセロール;16mMのフェノール;16mMのm-クレゾール;10mMの塩化ナトリウム、150mMのニコチンアミド添加と添加なし(無Zn/六量体);1nmol/kg
実施例8の化合物、pH=7.4;594μM;7mMのホスフェート;1.6%(w/vol)のグリセロール;16mMのフェノール;16mMのm-クレゾール;10mMの塩化ナトリウム、150mMのニコチンアミド添加と添加なし(無Zn/六量体);1nmol/kg
これらの測定の結果を、添付の図4A1、図4A2、図4B1、及び図4B2、並びに以下のTable 8(表8)に示す。
図4A1、図4A2、図4B1、及び図4B2は、150μMのニコチンアミド添加と添加なしの、6インスリン分子あたり亜鉛0で上述のとおりに製剤化された、実施例8のインスリン誘導体、すなわち、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリンのPD(薬力学的)及びPK(薬動学的)プロファイル、並びに結果として生じる経時的な血漿グルコースインスリン濃度の変化(ブタに1nmol/kgを投与した)をそれぞれ示すものである。
亜鉛なしの製剤中の実施例8のインスリン誘導体は、血漿グルコースが急速に低下し、血漿Tmaxが短い(150μMのニコチンアミド添加なしと添加でそれぞれ、45分及び20分)魅力的な食前プロファイルと関連すると結論付けられる。平均滞留時間(MRT)は、それぞれ、わずか85分及び87分であるため、この類似体は、食事前の使用に適切となる。150mMのニコチンアミドを製剤に添加すると、プロファイルは更に急速になる。ニコチンアミド添加の場合、Tmaxはわずか20分である。
(実施例35)
LYDブタにおける先行技術類似体2の皮下PK/PDプロファイル
上記一般手順に従って、インスリン先行技術類似体2について、以下のPK及びPDプロファイルを取得した。
LYDブタにおける先行技術類似体2の皮下PK/PDプロファイル
上記一般手順に従って、インスリン先行技術類似体2について、以下のPK及びPDプロファイルを取得した。
使用した製剤
インスリン先行技術類似体2の化合物、pH=7.4;610μM;1.6%(w/vol)のグリセロール;30mMのフェノール;(無Zn/六量体);1nmol/kg
インスリン先行技術類似体2の化合物、pH=7.4;610μM;1.6%(w/vol)のグリセロール;30mMのフェノール;(無Zn/六量体);1nmol/kg
3Zn製剤:インスリン先行技術類似体2の化合物、pH=7.4;610μM;7mMのトリス;1.6%(w/vol)のグリセロール;30mMのフェノール;300μMの酢酸亜鉛(3Zn/六量体 - 又は3Zn/6インスリン);1nmol/kg
これらの測定の結果を、添付の図5A1、図5A2、図5B1、及び図5B2、並びに以下のTable 9(表9)に示す。
図5A1、図5A2、図5B1、及び図5B2は、6インスリン分子あたり亜鉛0又は3個で上述のとおりに製剤化された、先行技術類似体2のインスリン誘導体、すなわち、B28D、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリンのPD(薬力学的)及びPK(薬動学的)プロファイル、並びに結果として生じる経時的な血漿グルコースインスリン濃度の変化(ブタに1nmol/kgを投与した)をそれぞれ示すものである。
亜鉛なしの製剤中の先行技術のインスリン誘導体は、血漿グルコースが少なくとも8時間(480分)有意に低下するプロファイルと関連すると結論付けられる。更に、亜鉛なしで製剤化されたこの類似体は、長いT1/2(半減期)及びMRT(平均滞留時間)の両方と関連し、それぞれ、121分及び166分である。これらの特性のため、この類似体は、食事前の使用に不適当となる。更に、製剤中での十分な化学的及び物理的安定性を付与するために、この類似体は、亜鉛を用いて製剤化する必要がある(上述のとおり)。六量体あたり3個の亜鉛イオンを製剤に添加すると、薬力学的及び薬動学的特性が更に悪化する。血漿グルコースは少なくとも10時間低下し、PKプロファイルは、ピークなしの最大濃度、並びに亜鉛0の製剤のプロファイルに比べて有意に長いT1/2及びMRT(それぞれ、159時間及び237時間)と関連する。
先行技術のインスリン誘導体は、食事前の使用に不適当であると結論付けられる。
(実施例36)
Sprague Dawleyラットにおける本発明及び先行技術のインスリン類似体の皮下PK/PDプロファイル
本発明のインスリン誘導体は、ラットへの皮下投与によって、たとえば、このプロトコールに従い、市販製剤としてのインスリンアスパルト(NovoRapid)と比較して、又は先行技術の同様のB29Kアシル化インスリン類似体と比較して試験することができる。誘導体は、薬動学的及び/又は薬力学的パラメーターについて試験することができる。
Sprague Dawleyラットにおける本発明及び先行技術のインスリン類似体の皮下PK/PDプロファイル
本発明のインスリン誘導体は、ラットへの皮下投与によって、たとえば、このプロトコールに従い、市販製剤としてのインスリンアスパルト(NovoRapid)と比較して、又は先行技術の同様のB29Kアシル化インスリン類似体と比較して試験することができる。誘導体は、薬動学的及び/又は薬力学的パラメーターについて試験することができる。
先行技術のインスリン誘導体は、亜鉛イオン存在下の製剤中でしか安定しないのに対し、本発明のインスリン誘導体は、亜鉛を加えていない製剤中で安定している。本発明のインスリン誘導体のプロファイルを先行技術の類似体のプロファイルと比較するために、本発明の類似体は、無亜鉛製剤を使用するプロトコールで試験し、先行技術の類似体は、六量体あたり3亜鉛イオンを使用して試験する。これは、臨床上有用な(すなわち、化学的及び物理的に安定した)製剤において取得可能な最も急速なPKプロファイルを得るためである。
in vivoプロトコール
こうした実験用に、約400グラムである雄のSprague-Dawleyラットを使用する。ラットは、試験する前には絶食していない。3時間の研究期間の間、ラットは、水には自由に接触できるが、食べ物には接触できない。インスリン誘導体の投与から0分後(投与前)、3、7、15、30、60、120、及び180分後の時点で、麻酔していない動物から血液サンプルを採取し(舌下静脈、microvette(登録商標)200 EDTA管へ200μl)、血漿を集める。Softfine(登録商標) 12mm針を装着したNovoPen Echo(登録商標)を使用して、ラットに首から皮下投与する(25nmol/kg、インスリン誘導体の600μM製剤)。グルコース及びインスリン誘導体の血漿濃度を、それぞれ、BIOSEN分析装置及び免疫検定/LCMS分析を使用して定量する。
こうした実験用に、約400グラムである雄のSprague-Dawleyラットを使用する。ラットは、試験する前には絶食していない。3時間の研究期間の間、ラットは、水には自由に接触できるが、食べ物には接触できない。インスリン誘導体の投与から0分後(投与前)、3、7、15、30、60、120、及び180分後の時点で、麻酔していない動物から血液サンプルを採取し(舌下静脈、microvette(登録商標)200 EDTA管へ200μl)、血漿を集める。Softfine(登録商標) 12mm針を装着したNovoPen Echo(登録商標)を使用して、ラットに首から皮下投与する(25nmol/kg、インスリン誘導体の600μM製剤)。グルコース及びインスリン誘導体の血漿濃度を、それぞれ、BIOSEN分析装置及び免疫検定/LCMS分析を使用して定量する。
本発明及び先行技術の類似体を試験した結果を、Tables 10(表10)及び11(表11)、並びに図2A、図2B1、図2B2、図6A1、図6A2、図6B1、及び図6B2に示す。
図2A、図2B1、及び図2B2は、Sprague Dawleyラットへの皮下注射後の、本発明の類似体(実施例8)と先行技術の類似体(先行技術類似体2及び3)のPK及びPDプロファイルをそれぞれ示すものである。
図6A1、図6A2、図6B1、及び図6B2は、Sprague Dawleyラットへの皮下注射後の、本発明の類似体(実施例5、9、7、及び4)のPK及びPDプロファイルをそれぞれ示すものである。
(亜鉛なしの製剤中の)本発明のC14二酸アシル化類似体は、Tmaxデータについて認められるとおり、(六量体あたり3個の亜鉛イオンを有する製剤中の)先行技術の類似体より急速に吸収されると結論付けられる。先行技術類似体のTmaxは、約30分であるのに対し、本発明のインスリンは、Tmaxが15分前後である。AUC15/AUC60比は、1時間後に吸収された画分に対する、最初の15分の間に吸収された画分という尺度である。すなわち、比が大きいほど、最初の15分の間により多くのインスリンが吸収される。本発明のインスリンは、先行技術の同様の類似体より大きい比と対応付けられ、それゆえに、より急速に吸収されることがわかる。
したがって、本発明の類似体は、先行技術のインスリンより、食事前の投与により一層適している。
(亜鉛なしの製剤中の)本発明のC16二酸アシル化類似体は、Tmaxデータについて認められるとおり、(六量体あたり3個の亜鉛イオンを有する製剤中の)先行技術の類似体より急速に吸収されると結論付けられる。先行技術類似体のTmaxは、約60〜120分であるのに対し、本発明のインスリンは、Tmaxが15〜30分前後である。AUC15/AUC60比は、1時間後に吸収された画分に対する、最初の15分の間に吸収された画分という尺度である。すなわち、比が大きいほど、最初の15分の間により多くのインスリンが吸収される。本発明のインスリンは、先行技術の同様の類似体より大きい比と対応付けられ、それゆえに、より急速に吸収されることがわかる。
したがって、本発明の類似体は、先行技術のインスリンより、食事前の投与により一層適している。
Claims (18)
- アシル化されているヒトインスリン類似体であって、ヒトインスリンに対して[B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)からなる群から選択されるアミノ酸残基を表し、
類似体は、A8aar2置換、及び/又はA14Glu(E)置換、及び/又はA21aar3置換を更に含んでもよく、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表し、
インスリン類似体は、B29位の天然に存在するリジン残基のイプシロンアミノ基を、式IIの基
[アシル]-[リンカー]-
[式中、
リンカー基は、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜10個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖であり、
gGluは、ガンマグルタミン酸残基を表し、
OEGは、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸の残基(すなわち、式-NH-(CH2)2-O-(CH2)2-O-CH2-CO-の基)を表し、
アミノ酸残基は、いずれの順序で存在してもよく、
アミノ酸鎖は、少なくとも1個のgGlu残基を含み、
アシル基は、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン二酸、及び1,16-ヘキサデカン二酸から選択されるα,ω-ジ-カルボン酸の残基である]
でアシル化することにより誘導体化されている、アシル化されているインスリン類似体。 - ヒトインスリンに対して[B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)を表す、請求項1に記載のアシル化されているインスリン類似体。 - ヒトインスリンに対して[A8aar2、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表す、請求項1に記載のアシル化されているインスリン類似体。 - ヒトインスリンに対して[A14Glu、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)を表す、請求項1に記載のアシル化されているインスリン類似体。 - ヒトインスリンに対して[A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、請求項1に記載のアシル化されているインスリン類似体。 - ヒトインスリンに対して[A8aar2、A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)を表し、
aar2は、His(H)又はArg(R)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、請求項1に記載のアシル化されているインスリン類似体。 - ヒトインスリンに対して[A14Glu、A21aar3、B3aar1、desB27、desB30]であり、
aar1は、Glu(E)、Gln(Q)、Asp(D)、Ser(S)、及びThr(T)を表し、
aar3は、Gly(G)又はAla(A)を表す、請求項1に記載のアシル化されているインスリン類似体。 - ヒトインスリンに対して、
[A8H、A21A、B3E、desB27、desB30]、
[A8H、A21G、B3E、desB27、desB30]、
[A8H、B3E、desB27、desB30]、
[A8R、B3E、desB27、desB30]、
[A14E、A21A、B3Q、desB27、desB30]、
[A14E、B3Q、desB27、desB30]、
[A21A、B3E、desB27、desB30]、
[A21A、B3Q、desB27、desB30]、
[A21G、B3E、desB27、desB30]、
[B3E、desB27、desB30]、又は
[B3Q、desB27、desB30]
である、請求項1に記載のアシル化されているインスリン類似体。 - 式IIの基
[アシル]-[リンカー]-
において、
リンカー基が、gGlu及び/又はOEGから選択される1〜10個のアミノ酸残基から構成されるアミノ酸鎖であり、アミノ酸残基は、いずれの順序で存在してもよく、アミノ酸鎖は、少なくとも1個のgGlu残基を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のアシル化されているインスリン類似体。 - 式IIの基
[アシル]-[リンカー]-
において、
アシル基が、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン二酸、及び1,16-ヘキサデカン二酸から選択されるα,ω-ジ-カルボン酸の残基である、請求項1から8のいずれか一項に記載のアシル化されているインスリン類似体。 - B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A8H、A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A8H、A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A8H、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A8R、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A14E、A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A14E、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3E、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン、
A21G、B3E、desB27、B29K(N(eps)テトラデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-4×gGlu)、desB30ヒトインスリン、又は
A21A、B3Q、desB27、B29K(N(eps)ヘキサデカンジオイル-gGlu-2×OEG)、desB30ヒトインスリン
である、請求項1に記載のアシル化されているインスリン類似体。 - 請求項1から11のいずれか一項に記載のインスリン誘導体と、薬学的に許容される1種又は複数の担体又は希釈剤とを含む医薬組成物。
- 添加された亜鉛イオンを含まない低亜鉛組成物として製剤化されている、請求項12に記載の医薬組成物。
- 6インスリン分子あたり0.2未満のZn2+イオンを含む、低亜鉛組成物として製剤化されている、請求項13に記載の医薬組成物。
- 界面活性剤が添加されていない、請求項13又は14に記載の低亜鉛医薬組成物。
- ニコチン系化合物、詳細にはニコチンアミドを含む、請求項13から15のいずれか一項に記載の低亜鉛医薬組成物。
- 医薬として使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載のインスリン類似体又は薬学的に許容されるその塩。
- ヒトを含めた、生きている動物体の代謝性疾患、障害、又は状態を治療、予防、又は緩和する方法であって、それを必要と前記生きている動物体に、治療有効量の請求項1から11のいずれか一項に記載のアシル化されているインスリン類似体を投与する工程を含む方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
EP15182281.4 | 2015-08-25 | ||
EP15182281 | 2015-08-25 | ||
PCT/EP2016/069971 WO2017032797A1 (en) | 2015-08-25 | 2016-08-24 | Novel insulin derivatives and the medical uses hereof |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018531899A true JP2018531899A (ja) | 2018-11-01 |
Family
ID=54007590
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018510821A Withdrawn JP2018531899A (ja) | 2015-08-25 | 2016-08-24 | 新規インスリン誘導体及びその医学的使用 |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20180244743A1 (ja) |
EP (1) | EP3341402A1 (ja) |
JP (1) | JP2018531899A (ja) |
CN (1) | CN108368163A (ja) |
WO (1) | WO2017032797A1 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
SG11202001077UA (en) * | 2017-08-17 | 2020-03-30 | Novo Nordisk As | Novel acylated insulin analogues and uses thereof |
FR3083700B1 (fr) * | 2018-07-13 | 2021-03-12 | Adocia | Formulation thermostable d'insuline humaine a21g |
CN113423691A (zh) | 2018-12-11 | 2021-09-21 | 赛诺菲 | 肽结合剂 |
CN113075342B (zh) * | 2020-01-04 | 2024-02-27 | 东莞市东阳光仿制药研发有限公司 | 一种分离检测德谷胰岛素侧链有关物质的方法 |
Family Cites Families (17)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DK105489D0 (da) | 1989-03-03 | 1989-03-03 | Novo Nordisk As | Polypeptid |
US6500645B1 (en) | 1994-06-17 | 2002-12-31 | Novo Nordisk A/S | N-terminally extended proteins expressed in yeast |
ZA954983B (en) | 1994-06-17 | 1996-02-14 | Novo Nordisk As | N-terminally extended proteins expressed in yeast |
US6451970B1 (en) | 1996-02-21 | 2002-09-17 | Novo Nordisk A/S | Peptide derivatives |
JP4187796B2 (ja) | 1996-12-20 | 2008-11-26 | ノボ ノルディスク アクティーゼルスカブ | 酵母で発現されたn末端伸長タンパク質 |
EP1627642A3 (en) | 1997-03-20 | 2006-04-19 | Novo Nordisk A/S | Zinc free insulin crystals for use in pulmonary compositions |
DE10114178A1 (de) | 2001-03-23 | 2002-10-10 | Aventis Pharma Gmbh | Zinkfreie und zinkarme Insulinzubereitungen mit verbesserter Stabilität |
US7193035B2 (en) * | 2002-10-29 | 2007-03-20 | Sanofi-Aventis Deutschland Gmbh | Crystals of insulin analogs and processes for their preparation |
EP2107069B1 (en) | 2003-08-05 | 2013-01-16 | Novo Nordisk A/S | Novel insulin derivatives |
EP1888104A2 (en) | 2005-05-26 | 2008-02-20 | Novo Nordisk A/S | Acylated insulin with high purity |
WO2009002206A1 (fr) | 2007-06-27 | 2008-12-31 | Kiryushin Oleg Gerol Dovich | Gouverne pouvant être mise en drapeau |
WO2009021955A1 (en) * | 2007-08-13 | 2009-02-19 | Novo Nordisk A/S | Rapid acting insulin analogues |
JP5721432B2 (ja) | 2007-08-15 | 2015-05-20 | ノボ・ノルデイスク・エー/エス | アミノ酸含有アルキレングリコール反復単位を含むアシル部を有するインスリン |
EP2254905B1 (en) * | 2008-03-14 | 2016-12-14 | Novo Nordisk A/S | Protease-stabilized insulin analogues |
EP2910570B1 (en) | 2008-03-18 | 2016-10-12 | Novo Nordisk A/S | Protease stabilized, acylated insulin analogues |
JP2013540771A (ja) * | 2010-10-15 | 2013-11-07 | ノヴォ ノルディスク アー/エス | 新規n末端修飾インスリン誘導体 |
WO2013063572A1 (en) | 2011-10-27 | 2013-05-02 | Case Western Reserve University | Ultra-concentrated rapid-acting insulin analogue formulations |
-
2016
- 2016-08-24 US US15/754,342 patent/US20180244743A1/en not_active Abandoned
- 2016-08-24 EP EP16757632.1A patent/EP3341402A1/en not_active Withdrawn
- 2016-08-24 CN CN201680062502.4A patent/CN108368163A/zh not_active Withdrawn
- 2016-08-24 WO PCT/EP2016/069971 patent/WO2017032797A1/en active Application Filing
- 2016-08-24 JP JP2018510821A patent/JP2018531899A/ja not_active Withdrawn
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CN108368163A (zh) | 2018-08-03 |
US20180244743A1 (en) | 2018-08-30 |
WO2017032797A1 (en) | 2017-03-02 |
EP3341402A1 (en) | 2018-07-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6580583B2 (ja) | リシン22のイプシロン位においてアシル化された、A22K、desB27、B29R、desB30ヒトインスリン類似体 | |
JP2021177779A (ja) | 新規インスリン誘導体及びその医学的使用 | |
US20200283493A1 (en) | Novel Insulin Derivatives and the Medical Uses Hereof | |
JP2018531899A (ja) | 新規インスリン誘導体及びその医学的使用 | |
KR102427426B1 (ko) | 신규한 인슐린 유사체 및 이의 용도 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20181203 |