JP2018530577A - 神経変性疾患の治療のための方法および組成物 - Google Patents

神経変性疾患の治療のための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

神経変性疾患を治療する方法が開示される。本方法は、治療有効量のCXCR4アンタゴニストと、乳酸または/および亜鉛とを対象に投与することを含む。それを治療するためのキットも開示される。【選択図】 図14

Description

本発明は、そのいくつかの実施形態において、神経変性疾患の治療のための方法および組成物、より詳細には筋萎縮性側索硬化症の治療のための方法および組成物に関する。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、成人運動ニューロン(MN)変性の中で最も一般的であり、且つ悪性度の最も高い形態である。この神経変性疾患の病態生理学は、コリン作動性欠乏、グルタミン酸興奮毒性(excitatoxicity)、神経炎症、免疫の調節異常、グルコースの代謝低下および血液−中枢神経系関門(B−CNS−B)の破壊を含む複雑なものである。
アストロサイト細胞は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病理学的過程において主要な役割を果たすと考えられており、運動ニューロンの死に実質的に寄与する因子である。アストログリア細胞の異常、例えばアストロサイトのグルタミン酸の放出および取り込みにおける変化が、疾患の臨床症状の前兆となる(Vargas et al.,2010)。
ケモカイン受容体、例えばGタンパク質結合受容体CXCR4などは、ニューロンおよびグリア細胞中で広く発現される。CXCR4のリガンドであるケモカイン間質由来因子1(SDF−1)は、CXCL12としても公知であり、グルタミン酸放出を誘発し、それによってニューロンの機能またはアポトーシスを制御する。作用機序には、細胞内Ca2+濃度の増加、細胞外シグナル関連キナーゼの刺激、ならびにアストロサイトおよび小グリア細胞の表面からのTNFαの放出が含まれる(Allen et al.,2001)。
AMD3100(1,1’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ビス−1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン)は、CXCR4へのSDF−1の結合を特異的および可逆的にブロックするビシクラム(bicyclam)分子である。AMD3100は、マウス、ヒト以外の霊長類およびヒトにおいて、造血幹細胞および前駆細胞(HSPC)を骨髄(BM)から血液へ迅速に動員することが示されている。AMD3100によるCXCR4シグナル伝達の破壊は、片麻痺のマウスで観察されたように、移植されたニューロン幹細胞/前駆細胞の移動活性を阻害することが観察されている(Arimitsu et al.,2012)。2008年にAMD3100は、非ホジキンリンパ腫および多発性骨髄腫を発症し、自家移植を受けた患者における、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)との組み合わせによるHSPC動員に関して、FDAによって承認された(Pusic et al.,2010)。
AMD3100の別の実質的な臨床特徴は、血漿SDF−1レベルの調節を介したCXCR4+VEGFR1+細胞動員の促進である。これは、中枢神経系(CNS)ニューロンの維持および機能において重要な、血管新生促進性の細胞の動員、ならびに血管再生の局面において、AMD3100が調節的な役割を果たすことを示唆している(Petit et al.,2007)。
ALS患者、およびALS関連スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)突然変異を発現するげっ歯類において、内皮細胞間におけるZO−1、オクルディンおよびクローディン−5などの様々な密着結合タンパク質のレベルの低減から示唆されるように、血液脳関門(BBB)、血液−脊髄関門(BSCB)、および血液−髄液関門(BCSFB)で構成される血液−中枢神経系関門(B−CNS−B)における改変が報告されている。また微小血管系における密着結合タンパク質であるオクルディンおよびZO−1の損失は、単球走化性促進タンパク質−1(MCP1)、TNF−α、IL−1β、およびIFN−γなどの様々なサイトカインによって媒介されることも示されている。密着結合タンパク質の低減は、ヘモグロビン由来の神経毒性生成物の放出を伴う微小出血、微小循環および低循環の低減を引き起こした。SOD1突然変異体は、運動ニューロンの死や低酸素の前でも内皮損傷を媒介することが提唱されており、炎症がBSCB透過の増加やBSCBの破壊を引き起こす。早期の運動ニューロンの機能不全および傷害は、BSCB破壊の程度に比例することが示され、BSCB完全性の早期保護は、運動ニューロンの欠陥および変性の発病を遅延させることが見出された。総じて、マウスにおけるこれらの発見から、BSCBの解体は、疾患の早期段階において役割を果たすこと、およびBSCBの完全性を回復させると疾患の進行が遅くなることを示す。
追加の背景技術としては、国際公開第2015/031722号およびBridger et al.,1995,J Med Chem.,20;38(2):366−78が挙げられる。
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、治療有効量のCXCR4アンタゴニストと、乳酸とを対象に投与することによって、神経変性疾患を治療することを含む、治療を必要とする対象の神経変性疾患を治療する方法が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、治療有効量のAMD3100と、亜鉛とを対象に投与することによって、神経変性疾患を治療することを含み、但し、前記神経変性疾患はALSではない、神経変性疾患の治療を必要とする対象の神経変性疾患を治療する方法が提供される。
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、CXCR4アンタゴニストと、乳酸とを含む、神経変性疾患治療用のキットが提供される。
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、神経変性疾患の治療用である、CXCR4アンタゴニストと乳酸との組み合わせが提供される。
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、神経変性疾患の治療用であり、但し前記神経変性疾患はALSではない、AMD3100と亜鉛との組み合わせが提供される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、多発性硬化症(MS)、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)、てんかん、卒中、自己免疫性脳脊髄炎、糖尿病性神経障害および緑内障性神経障害からなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、神経変性疾患は、ALSである。
本発明のいくつかの実施形態によれば、CXCR4アンタゴニストは、AMD3100(プレリキサフォル)、BKT140、TN14003、CTCE−9908、KRH−2731、TC14012、KRH−3955、およびAMD070からなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、CXCR4アンタゴニストは、AMD3100である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、乳酸は、CXCR4アンタゴニストと同時に投与される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、CXCR4アンタゴニストの投与前または投与後に、前記乳酸を投与する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、AMD3100の用量は、240μg/kg未満である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、AMD3100の用量は、0.1〜500μg/kgの範囲内である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、AMD3100の用量は、10〜150μg/kgの範囲内である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、CXCR4アンタゴニストを皮下投与する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、本方法は、前記対象に亜鉛を投与することをさらに含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、AMD3100は、亜鉛と複合体化されている。
本発明のいくつかの実施形態によれば、神経変性疾患は、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、多発性硬化症(MS)、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)、てんかん、卒中、自己免疫性脳脊髄炎、糖尿病性神経障害および緑内障性神経障害からなる群から選択される。
本発明のいくつかの実施形態によれば、神経変性疾患は、ALSである。
本発明のいくつかの実施形態によればAMD3100と同時に、亜鉛を投与する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、投与の前に、亜鉛とAMD3100とが複合体化されている。
本発明のいくつかの実施形態によれば、AMD3100の投与前または投与後に、亜鉛を投与する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、本方法は、前記対象に乳酸を投与することをさらに含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、AMD3100の用量は、240μg/kg未満である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、AMD3100の用量は、0.1〜500μg/kgの範囲内である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、AMD3100の用量は、10〜150μg/kgの範囲内である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、AMD3100を皮下投与する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、CXCR4アンタゴニストは、AMD3100である。
本発明のいくつかの実施形態によれば、AMD3100は、亜鉛に複合体化されている。
本発明のいくつかの実施形態によれば、キットは、亜鉛をさらに含む。
本発明のいくつかの実施形態によれば、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、多発性硬化症(MS)、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)、てんかん、卒中、自己免疫性脳脊髄炎、糖尿病性神経障害および緑内障性神経障害からなる群から選択される。
別段の指定がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および/または科学的な用語は、本発明が関連する当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で説明したものに類似した、または同等な方法および材料も本発明の実施形態の実施または試験で使用することができるが、例示的な方法および/または材料が後述される。矛盾がある場合、定義を含めて本特許明細書が優先される。加えて、材料、方法、および実施例は単なる例示にすぎず、必ずしも限定を意図するものではない。
単なる例示として、添付の図面を参照しながら、本発明のいくつかの実施形態について記載する。ここで、具体的な図面に詳細に参照するが、ここに示す詳細は例示に過ぎず、本発明の実施形態を例証するための考察を目的とすることを強調する。この観点から、図面とともに本記載を検討することで、当業者には、いかに本発明の実施形態を実施するかが明らかとなる。
図1は、様々な処理後の50日齢の雌SOD1−G93Aマウスの生存率プロットである。PBS;5mg/kgのAMD3100;5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸;896mg/kgの乳酸。PBS処理の中央値は131日であり、5mg/kgのAMD3100処理の中央値は144日であり、5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸処理の中央値は141日であり、896mg/kgの乳酸中央値は148日である。雌マウスの生存率プロットによれば、5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸で処理したマウスの50%の寿命が、最小で138日齢、最大で149日齢に延長されたと結論付けることができる。(P値<0.0001とし、マンテル−コックス検定で実施)。生存確率によれば、5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸で処理したマウスの100%が138日目でなければ死に始めることはなく、それに対して全てのPBSマウスはこの日齢までに死んだ。 図2は、50日齢の雌SOD1−G93Aマウスにおける様々な処理後の体重変化を示すグラフである。5mg/kgのAMD3100;PBS;5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸;896mg/kgの乳酸。 図3は、50日齢の雌SOD1−G93Aマウスにおける様々な処理後の運動機能における変化を示すグラフである。5mg/kgのAMD3100;PBS;5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸;896mg/kgの乳酸。 図4のA〜Bは、50日齢の雌SOD1−G93Aマウスにおける、5mg/kgのAMD3100処理後のMCT1レベルの変化を示す図である。図4Aは、脊髄におけるMCT1レベルの増加を示す。図4Bは、筋肉におけるMCT1レベルを示す。対照群を100%に設定する。結果は、平均±標準誤差、T検定;p<0.05である。 図5は、SOD1−G93Aマウスの50日齢の雌同腹マウスにおける5mg/kgのAMD3100処理対5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸処理の後の、MCT1レベルの変化を示す図である。50日齢で開始した5mg/kgのAMD3100処理を受けたSOD1−G93Aの同腹マウスは、未処理マウスと比較してMCT1レベルの有意な増加を示した。 図6A〜Bは、50日齢の雌のSOD1−G93Aマウスにおける、5mg/kgのAMD3100処理対5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸処理の後の、MBPおよびBACE1の変化を示す図である。図6Aは、MBPレベルを示す。図6Bは、BACE1レベルを示す。結果は、平均±標準誤差、T検定;p<0.05である。 図7A〜Bは、50日齢の雌のSOD1−G93Aマウスにおける、5mg/kgのAMD3100処理対5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸処理の後の、アストロサイトの活性化の変化を示す図である。図7Aは、GFAPレベルを示す。図7Bは、S100Bレベルを示す。結果は、平均±標準誤差、T検定;p<0.05である。 図8A〜Bは、50日齢の雌のSOD1−G93Aマウスにおける、5mg/kgのAMD3100対5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸処理の後の、小グリア細胞の反応性の変化を示す図である。図8Aは、Iba−1レベルを示す。図8Bは、IL−6レベルを示す。結果は、平均±標準誤差、T検定;p<0.05である。 図9は、50日齢のときに0.25mg/kgのAMD3100+0.08mg/kgのZnまたは0.125mg/kgのAMD3100+0.04mg/kgのZnで処理した雌SOD1−G93Aマウスの生存率プロットである。PBS;5mg/kgのAMD3100;0.25mg/kgのAMD3100+0.08mg/kgのZn;0.125mg/kgのAMD3100+0.04mg/kgのZn。PBS処理の中央値は131日であり、5mg/kgのAMD3100処理の中央値は144日であり、0.25mg/kgのAMD3100+0.08mg/kgのZn処理の中央値は143日であり、0.125mg/kgのAMD3100+0.04mg/kgのZn処理の中央値は148日である。(P値<0.0001とし、マンテル−コックス検定で実施)。生存確率によれば、AMD3100−亜鉛で処理したマウスの100%が141日後でなければ死に始めることはなく、それに対して全てのPBSマウスはこの日齢までに死んだ。 図10は、50日齢の雌SOD1−G93Aマウスにおける様々な処理後の体重変化を示すグラフである。5mg/kgのAMD3100;PBS;0.25mg/kgのAMD3100+0.08mg/kgの亜鉛。 図11は、50日齢の雌SOD1−G93Aマウスにおける様々な処理後の運動機能の変化を示すグラフである。PBS;5mg/kgのAMD3100;0.25mg/kgのAMD3100+0.08mg/kgのZn。 図12は、様々な処理後の50日齢の雄SOD1−G93Aマウスの生存率プロットである。PBS;5mg/kgのAMD3100;0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn+896mg/kgの乳酸。PBS処理の中央値は126日であり、5mg/kgのAMD3100処理の中央値は140日であり、0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn+896mg/kgの乳酸処理の中央値は145日である。生存率プロットによれば、0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn+896mg/kgの乳酸の群の生存が、5mg/kgのAMD3100処理単独と比較して5日延長されており、PBSと比較して19日延長されている(P値<0.0001とし、マンテル−コックス検定で実施)。 図13A〜Bは、50日齢の雌のSOD1−G93Aマウスにおける5mg/kgのAMD3100処理対0.25mg/kgのAMD3100+0.08mg/kgの亜鉛処理の後の、炎症の変化を示す図である。図13Aは、GFAPレベルを示す。図13Bは、Iba−1レベルを示す図である。結果は、平均±標準誤差、T検定;p<0.05である。 図14A〜Bは、様々な処理後の50日齢の雌および雄SOD1−G93Aマウスの生存率プロットである。PBS;5mg/kgのAMD3100;0.125mg/kgのAMD3100+0.04mg/kgの亜鉛+896mg/kgの乳酸。図14Aにおいて、雌のPBS処理の中央値は131日であり、雌の5mg/kgのAMD3100処理の中央値は144日であり、雌の0.125mg/kgのAMD3100+0.04mg/kgの亜鉛+896mg/kgの乳酸処理の中央値は144日である。図14Bにおいて、雄のPBS処理の中央値は132日であり、雄の5mg/kgのAMD3100処理の中央値は140日であり、雄の0.125mg/kgのAMD3100+0.04mg/kgの亜鉛+896mg/kgの乳酸処理の中央値は151日である。(P値<0.0001とし、マンテル−コックス検定で実施)。 図15A〜Bは、PBS;0.5mg/kgのAMD3100(AMD);0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn(AMD+Zn);0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn+896mg/kgの乳酸(AMD+複合体)で処理した雌3xTg−ADマウスのY迷路の結果を示す棒グラフである。Aは、新規アームに浸入する頻度を表す。Bは、新規アームで費やした時間を表す。 図16A〜Bは、PBS;0.5mg/kgのAMD3100(AMD);0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn(AMD+Zn);0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn+896mg/kgの乳酸で処理した3xTg−ADマウスにおけるPHF−1結果およびMCT−1結果の変化を示す棒グラフである。A(AMD+複合体)。A.PHF−1の低減は、AMDのみと比較して、AMD+ZnおよびAMD+複合体において顕著である。B.MCT−1の増加傾向が観察されたが、統計学的に有意ではなかった。結果は、平均±標準誤差、T検定;p<0.05、**p<0.01、***p<0.001である。 図17A〜Bは、ミエリン結合タンパク質(MBP)アイソタイプにおける変化を示す棒グラフである。PBS;0.5mg/kgのAMD3100(AMD);0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn(AMD+Zn);0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn+;896mg/kgの乳酸で処理した3xTg−ADマウスの結果。A(AMD+複合体)。A.MBP−23kDaアイソタイプの増加。B.MBP−18kDaアイソタイプの増加。結果は、平均±標準誤差、T検定;p<0.05、**p<0.01である。 図18は、ChATの変化を示す棒グラフである。PBS;0.5mg/kgのAMD3100(AMD);0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn(AMD+Zn);0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn+896mg/kgの乳酸で処理した3xTg−ADマウスの結果。AMD+Zn群およびAMD+複合体処理群においてのみ、ChATの増加が統計学的に有意であった。結果は、平均±標準誤差、T検定;**p<0.01である。 図19は、ELISAにおけるAβの変化を示す棒グラフである。PBS;0.5mg/kgのAMD3100(AMD);0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn(AMD+Zn);0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn+896mg/kgの乳酸で処理した3xTg−ADマウスの結果。Aβの低減は、膜画分において、AMD群およびAMD+複合体処理群で統計学的に有意であった。結果は、平均±標準誤差、T検定;**p<0.01である。
本発明は、そのいくつかの実施形態では、神経変性疾患を治療するための方法および組成物、より詳細には筋萎縮性側索硬化症を治療するための方法および組成物に関する。
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明が、その適用において、以下の説明に記載されるか、または実施例によって例示される詳細に限定されないことを理解するべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、または、様々な方法で実践もしくは遂行することが可能である。
CXCR4は、免疫系および中枢神経系の細胞によって発現される。CXCL12の結合に応答するシグナル伝達は、脳へのT細胞および単球などの免疫細胞の移動および動員に加えて、ニューロンおよび希突起膠細胞の前駆細胞の移動も引き起こす。
これまでに、CXCR4(AMD3100)のアンタゴニストは、SOD1−G93Aトランスジェニックマウス(筋萎縮性側索硬化症(ALS)の動物モデル)の生存率を有意に増加させ、疾患の発病をさらに遅延させ、それらの運動機能を改善したことが示されている。加えて、AMD3100は、血液−脊髄関門(BSCB)の完全性の回復、再ミエリン化マーカーの増加および炎症の低減に有益な効果を有することが示された。
本発明者らはここで、亜鉛および乳酸の両方が、SOD1−G93Aトランスジェニックマウスに対するAMD3100の治療効果の効能を高めることを示した。より具体的には、AMD3100および亜鉛の複合体は、マウスの体重を有意に増加させ(図10)、マウスの運動機能を改善すること(図11)が示され、AMD3100および乳酸の混合物は、疾患の発病を遅延させ、マウスが死に始める時間を統計学的に有意に遅らせることが示された(図1)。AMD3100、亜鉛および乳酸の組合せは、相乗効果を有することが示された(図14)。
さらに本発明の実施化する一方で、本発明者らは、AMD3100および亜鉛の複合体は、さらに別の神経変性疾患であるアルツハイマーの治療にとっても有益な効果を有していることを示した(図15A〜B)。
したがって、本発明の第1の態様によれば治療有効量のCXCR4アンタゴニストと、乳酸とを対象に投与することによって、神経変性疾患を治療することを含む、治療を必要とする対象の神経変性疾患を治療する方法が提供される。
本明細書で使用する場合、用語「神経変性疾患」は、ニューロンの機能や構造の損失、および/またはニューロンの死を特徴とする状態を指す。神経変性疾患の例としては、これらに限定されないが、アレキサンダー病、アルパース病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、毛細血管拡張性運動失調、バッテン病(また、シュピールマイヤー−フォークト−シェーグレン−バッテン病としても公知)、牛海綿状脳症(BSE)、カナバン病、コケーン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルトヤコブ病、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レヴィ小体認知症、マシャド−ジョセフ病(脊髄小脳変性症3型)、多発性硬化症、多系統萎縮症、神経ボレリア症、パーキンソン病、ペリツェウス−メルツバッハー病、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、レフサム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血に続発する亜急性連合性脊髄変性症、統合失調症、シュピールマイヤー−フォークト−シェーグレン−バッテン病(また、バッテン病としても公知)、脊髄小脳変性症(様々な特徴を有する複数のタイプがある)、脊髄性筋萎縮症、スティール−リチャードソン−オルゼウスキー病および脊髄癆が挙げられる。
特定の実施形態によれば、神経変性疾患は、運動ニューロン疾患である。
用語「運動ニューロン(motor neuron)疾患」または「運動ニューロン(motoneuron)疾患」は、運動ニューロンの進行性変性を特徴とする、一群の神経系重度障害を含む(ニューロンは基礎的な神経細胞であり、それらが組み合わされて神経を形成する)。運動ニューロンは、筋肉の挙動を制御する。運動ニューロン疾患は、脳から延髄(脳幹の一部)または脊髄に至る神経である上位運動ニューロン、もしくは脊髄から体の筋肉に至る神経である下位運動ニューロン、またはその両方に影響を与える場合がある。痙攣および反射の増大は、上位運動ニューロンへの損傷を示す。進行性の衰弱(萎縮)およびその神経分布が失われた筋肉の衰弱は、下位運動ニューロンへの損傷を示す。運動ニューロン疾患の例としては、これらに限定されないが、進行性球麻痺、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症、クーゲルベルク−ヴェランダー症候群、ルーゲーリッグ病、デュシェンヌ麻痺、ウェルドニッヒ−ホフマン病、若年性脊髄性筋萎縮症、良性の限局性筋萎縮および乳児脊髄性筋萎縮症が挙げられる。
本明細書で使用される場合、用語「CXCR4アンタゴニスト」は、間質細胞由来因子−1(SDF1)のCXCR4への結合をブロックすることが可能な薬剤を指す。
一実施形態において、CXCR4アンタゴニストは、抗CXCR4抗体である。
一実施形態において、CXCR4アンタゴニストは、CXCL12類似体である。CTCE−9908およびCTCE−0214は、それぞれ阻害およびアゴニスト活性を有するCXCL12のペプチド類似体である。
別の実施形態において、CXCR4アンタゴニストは、ペプチドである。例示的なペプチドアンタゴニストとしては、LY2510924(Galsky et al.,Clin Cancer Res July 1,2014 20;3581)、T22、T134、T140、TN14003およびTC14012(Burger et al.,Leukemia (2009)23,43−52によって開示された通り)が挙げられる。他のペプチドアンタゴニストは、Portella et al.,PLoS One.2013;8(9):e74548によって開示されている。
別の実施形態において、CXCR4アンタゴニストは、非ペプチドアンタゴニストであり、例えばビシクラムAMD3100などである。
さらに好ましい実施形態において、CXCR4アンタゴニストは、BMS−936564/MDX−1338、LY2510924、1,1’−[1,4−フェニレンビス(メチレン)]ビス[1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン](AMD3100;プレリキサフォル)、N,N−ジプロピル−N−[4−({[(1H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンジル][(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)メチル]アミノ]メチル)ベンジル]−N−メチルブタン−1,4−ジアミントリ(2R,3R)−酒石酸塩(KRH−3955)、([5−(4−メチル−1−ピペラジニル)−2−({メチル[(8S)−5,6,7,8−テトラヒドロ−8−キノリニル]アミノ}メチル)イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル]メタノール)(GSK812397)、またはN−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イルメチル)−N’−(5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−8−イル)ブタン−1,4−ジアミン(AMD11070)である。
乳酸は、乳酸塩または乳酸であり得る。
用語「乳酸」は、乳酸の酸の形態、すなわち、2−ヒドロキシプロピオン酸を指す。
乳酸の塩または解離した形態は、本明細書では特に「乳酸塩」と称され、例えば、乳酸のナトリウム(またはカルシウム)塩または乳酸ナトリウム(または乳酸カルシウム)と称される。
一実施形態において、CXCR4アンタゴニストは、乳酸の前に投与される。
別の実施形態において、CXCR4アンタゴニストは、乳酸の投与後に投与される。さらに別の実施形態において、CXCR4アンタゴニストは、乳酸と同時に投与される。
本発明のCXCR4アンタゴニストおよび乳酸は、典型的には、治療的および/または予防的な有効性を達成できるように組み合わされた量で提供される。この量は、使用ごとに選択された特定の化合物、他の治療様式の性質および数、治療または予防しようとする状態、対象の種、年齢、性別、体重、健康状態および予後、投与様式、標的化の有効性、滞留時間、クリアランス様式、CXCR4アンタゴニストの副作用のタイプおよび重症度、ならびに当業者にとって明白と予想される他の多くの因子に明らかに依存し得る。
一実施形態において、乳酸は、典型的には、通常の最小治療用量の10%から、通常の最大治療用量の200%の間のレベルで使用される。より好ましくは、この範囲は、その通常の最小用量の25%から、その通常の最大用量の90%とし得る。
好ましい一実施形態において、CXCR4アンタゴニストの量は、単回療法として使用する場合に治療または予防的な有効性を達成するのに必要な最小用量未満(例えばの最小用量の10〜99%、好ましくは25から75%)である。こうすることで、CXCR4アンタゴニストによって生じる副作用の低減を可能にしながらも、乳酸と組み合わせることで、その組合せが全体として効果的になることから、この療法は有効になる。
したがって、例えばCXCR4アンタゴニストがAMD3100である場合、その用量は、好ましくは500μg/kg未満であり、例えば0.1〜200μg/kgの範囲内もしくは0.1〜200μg/kgの範囲内、または10〜150μg/kgの範囲内、または20〜100μg/kgの範囲内である。
乳酸は、典型的には、乳酸の0.1〜10mmol/mlの溶液、より好ましくは0.1〜1mmol/mlの溶液、例えば約0.5mmol/mlまたは0.6mmol/mlの輸液(例えば500mlまたは1000ml)として提供される。乳酸の例示的な用量は、100〜10,000mg/kgの範囲内であり、より好ましくは100〜2000mg/kgの範囲内、500〜1000mg/kgの範囲内である。
本発明の好ましい一態様において、CXCR4アンタゴニストおよび乳酸は、それらの投与量に関して相乗的である。すなわち、CXCR4アンタゴニストによって達成される効果は、CXCR4アンタゴニストと乳酸とを個別に使用した場合の相加効果から予想される効果より大きい。代替の、ただし等しく好ましい実施形態において、CXCR4アンタゴニストおよび乳酸は、それらの副作用に関して相乗的である。すなわち、乳酸と組み合わせたCXCR4アンタゴニストによって引き起こされる副作用は、CXCR4アンタゴニストまたは乳酸を個別に使用して同等の治療効果を達成する場合に予想される作用よりも小さい。
乳酸と組み合わされたCXCR4アンタゴニストは、それらの治療効果を強化するために追加の薬剤と共に投与することができる。一実施形態において、追加の薬剤は、亜鉛である。亜鉛は、個別に投与してもよいし、またはCXCR4アンタゴニストが亜鉛キレート化剤であるAMD3100の場合、亜鉛をAMD3100と複合体化させてもよい。
治療有効量のAMD3100と、亜鉛とを対象に投与することによって、神経変性疾患を治療することを含む、神経変性疾患の治療を必要とする対象の神経変性疾患を治療する方法が提供される。
一実施形態において、本発明のこの態様の亜鉛は、塩として提供される。
一実施形態によれば、AMD3100は、亜鉛の投与前に投与される。別の実施形態において、AMD3100は、亜鉛の投与後に投与される。
さらに別の実施形態において、AMD3100は、乳酸と同時に投与される。この実施形態において、AMD3100は、亜鉛との複合体として投与することができる。
AMD3100および亜鉛の複合体を調製するために、典型的には、これら2成分は、約1:1〜1:10のモル比で、より好ましくは1:1〜1:5の間、例えば約1:2のモル比で組み合わせることができる。AMD3100は亜鉛の天然キレート化剤であるため、複合体が生成し得る。
AMD3100および亜鉛は、典型的には、治療的および/または予防的な有効性を達成できるような組み合わされた量で提供される。この量は、使用ごとに選択された特定の化合物、他の治療様式の性質および数、治療または予防しようとする状態、対象の種、年齢、性別、体重、健康状態および予後、投与様式、標的化の有効性、滞留時間、クリアランス様式、AMD3100の副作用のタイプおよび重症度、ならびに当業者にとって明白と予想される他の多くの因子に明らかに依存し得る。
亜鉛は、典型的には、通常の最小治療用量の10%から、通常の最大治療用量の200%の間のレベルで使用される。より好ましくは、この範囲は、通常の最小用量の25%から、通常の最大用量の90%とし得る。
亜鉛の量は、典型的には0.1〜100μg/kgの範囲内であり、より好ましくは約0.1〜10μg/kgの範囲内である。
好ましい一実施形態において、AMD3100の量は、単回療法として使用する場合に治療または予防的な有効性を達成するのに必要な最小用量未満(例えばその最小用量の10〜99%、好ましくは25から75%)。こうすることで、CXCR4アンタゴニストによって生じる副作用の低減を可能にしながらも、亜鉛と組み合わせることで、その組合せが全体として効果的になることから、この療法は有効になる。
したがって、例えばAMD3100の用量は、好ましくは500μg/kg未満であり、より好ましくは240μg/kg未満であり、例えば0.1〜200μg/kgの範囲内または10〜150μg/kgの範囲内である。CXCR4アンタゴニスト(例えばAMD3100)、乳酸、および/または亜鉛は、それぞれ単独で生物に投与してもよいし、好適な担体または賦形剤と混合した単一の医薬組成物または個別の医薬組成物として生物に投与してもよい。
本明細書で使用する、「医薬組成物」とは、1種または複数種の本明細書に記載の活性成分を、生理的に好適な担体および賦形剤などの他の化学的成分と共に含む製剤を指す。医薬組成物の目的は、生物への化合物の投与を容易にすることである。
ここで、用語「活性成分」は、生物学的効果を生じ得るCXCR4アンタゴニスト/亜鉛/乳酸を指す。
以降、「生理的に許容される担体」および「薬学的に許容される担体」とは、互換使用可能な語句であって、生物に対して顕著な刺激を引き起こすことなく、投与される化合物の生物活性および特性を無効化しない担体または希釈剤を指す。補助剤は、これらの語句に含まれる。
ここで、用語「賦形剤」とは、活性成分の投与をさらに容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖およびデンプン型、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油ならびにポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
薬物の処方および投与のための技術は、参照により本明細書に組み込まれる“Remington’s Pharmaceutical Sciences”、Mack Publishing Co.,Easton,PA,最新版に見出すことができる。
好適な投与経路は、例えば、経口投与、直腸投与、経粘膜投与、特に、経鼻投与、経腸送達または非経口送達、例えば、筋肉内注射、皮下注射および髄内注射ならびにくも膜下注射、直接脳室内注射、例えば、右心室腔または左心室腔への心臓内注射、共通冠動脈注射、静脈内注射、腹腔内注射、鼻内注射、または眼内注射を含んでもよい。
特定の実施形態によれば、CXCR4アンタゴニストがAMD3100である場合、投与経路は皮下である。
中枢神経系(CNS)への薬物送達のための従来のアプローチとしては、以下が挙げられる:脳神経外科的な戦略(例えば、大脳内注射または脳室内注入);BBBの内因性輸送経路の1つを利用する試みにおける、薬剤の分子操作(例えば、単独ではBBBを通過できない薬剤と、内皮細胞表面分子に関して親和性を有する輸送ペプチドとの組み合わせを含むキメラ融合タンパク質の産生);薬剤の脂質溶解性を増加させるように設計する薬理学的戦略(例えば、水溶性薬剤の脂質またはコレステロール担体へのコンジュゲーション);および(頸動脈へのマンニトール溶液の注入、またはアンギオテンシンペプチドなどの生物学的に活性な薬剤の使用により生じる)高浸透圧破壊によるBBBの完全性の一時的な破壊。しかしながら、これらの戦略のそれぞれは、例えば、侵襲的な外科手術に関連する固有のリスク、内因性輸送系に固有の制限によって課せられたサイズの制限、CNSの外側で活性な可能性がある担体モチーフで構成されるキメラ分子の全身投与に関連する望ましくないと考え得る生物学的副作用、およびBBBが破壊された脳領域内で発生し得る脳傷害のリスクなどの制限を有し、そのためこれらの戦略は最適には及ばない送達方法になっている。
あるいは、全身よりもむしろ局所法で、患者の組織領域への医薬組成物の直接の注射によって医薬組成物を投与してもよい。
用語「組織」は、1つまたは複数の機能を実行するように設計された細胞からなる、生物の一部を指す。例としては、これらに限定されないが、脳組織、網膜、皮膚組織、肝臓組織、膵臓組織、骨、軟骨、結合組織、血液組織、筋肉組織、心臓組織、脳組織、血管組織、腎臓組織、肺組織、生殖腺組織、造血組織が挙げられる。
特定の実施形態によれば、薬剤の少なくとも1つは、対象の筋肉に投与される。
本発明のいくつかの実施形態の医薬組成物を、当業界で周知のプロセスにより、例えば、従来の混合プロセス、溶解プロセス、顆粒化プロセス、糖衣錠作製プロセス、微粒子化プロセス、乳化プロセス、カプセル化プロセス、捕捉化プロセスまたは凍結乾燥プロセスなどの手段により製造することができる。
かくして、本発明のいくつかの実施形態における使用のための医薬組成物は、賦形剤および補助剤を含む、活性成分の製剤への調製を容易にし、薬学的に使用可能な製剤をもたらす1種または複数種の生理的に許容される担体を用いて、公知の方法で処方することができる。適切な処方は、選択される投与経路に依存する。
注射用には、医薬組成物の活性成分を、水性溶液、好ましくは、ハンクス液、リンゲル液、または生理食塩緩衝液などの生理的に適合可能な緩衝液の溶液として処方することができる。経粘膜投与用には、透過させようとする障壁に適した浸透剤が処方に用いられる。そのような浸透剤は、当業界で一般的に知られている。
経口投与用には、活性化合物と当業界で周知の薬学的に許容される担体とを混合することによって、医薬組成物を容易に処方することができる。そのような担体は、医薬組成物を患者による経口摂取のための錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル剤、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などへの処方を可能にする。経口使用のための薬理学的製剤は、固体賦形剤を用いて作製可能であり、場合により、得られる混合物を粉砕し、得られた顆粒に必要に応じて好適な補助剤を添加した後、混合物を加工して、錠剤または糖衣錠のコアを得ることができる。好適な賦形剤は、特に充填剤であり、充填剤は、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖、もろこしデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボメチルセルロースナトリウムなどのセルロース製剤、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などの生理的に許容されるポリマーである。必要に応じて崩壊剤を添加することができ、その例として、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウム、などが挙げられる。
糖衣錠のコアは、好適なコーティングと共に提供される。この目的のために、濃縮糖溶液を用いることができ、所望により、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有してもよい。染料または色素を、識別のため、または活性化合物用量の異なる組合せを特徴付けるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加することができる。
経口的に用いることができる医薬組成物は、ゼラチンから作られた押し込み式カプセルならびにゼラチンとグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤とから作られた軟質密封カプセルを含む。押し込み式カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および場合により安定化剤、と混合した活性成分を含有してもよい。軟質カプセル中では、活性成分を、脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体中に溶解または懸濁することができる。さらに、安定化剤を添加することができる。経口投与のための全ての処方は、選択された投与経路に好適な用量にあるべきである。
口腔内投与用には、組成物は、公知の方法で処方した錠剤またはロゼンジ剤の形態を取ってもよい。
鼻吸入による投与用には、本発明のいくつかの実施形態における使用のための活性成分を、好適な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンもしくは二酸化炭素を使用した加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレー形状で、容易に送達される。加圧式のエアロゾルの場合、一定量を送達するためのバルブを提供することにより、用量単位を決定することができる。当該化合物と、ラクトースまたはスターチなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有する、ディスペンサー中で使用するための、例えばゼラチンからなるカプセルやカートリッジに処方することができる。
本明細書に記載の医薬組成物を、例えば、ボーラス注射または連続輸注による非経口投与用に処方することができる。注射用の処方は、単位用量形態、例えば、アンプルに封入して、または複数用量容器で、所望により保存剤を添加して提供することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液または乳液であってもよく、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの処方剤を含有してもよい。
非経口投与用の医薬組成物は、水溶性形態の活性製剤の水性溶液を含む。さらに、活性成分の懸濁液を、適切な油性または水系の注射用懸濁液として調製することができる。好適な親油性溶媒またはビヒクルは、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルなどの合成脂肪酸エステル、トリグリセリドまたはリポソームを含む。水性注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有してもよい。
場合により、懸濁液はまた、好適な安定化剤、または活性成分の溶解度を高めて高濃縮溶液の調製を可能にするための薬剤を含有してもよい。
あるいは、活性成分は粉末形態でもよく、使用前に好適なビヒクル、例えば、滅菌済みでパイロジェンを含まない水系溶液を用いて構成することができる。
本発明のいくつかの実施形態の医薬組成物を、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの公知の坐剤基剤を用いて、坐剤または停留浣腸などの直腸用組成物に処方することもできる。
本発明のいくつかの実施形態の状況での使用に好適な医薬組成物は、意図される目的を達成するのに有効な量の活性成分を含有する組成物を含む。
特に、本明細書の提供する詳細な開示に照らせば、当業者の能力の範囲内において治療有効量を決定することが十分可能である。
本発明の方法において用いられる製剤について、治療有効量または用量は、最初に、in vitroおよび細胞培養アッセイから見積もることができる。例えば、所望の濃度または力価を達成するための用量を、動物モデルにおいて処方することができる。そのような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定することができる。
本明細書に記載の活性成分の毒性および治療効能を、in vitroで、培養細胞中で、または実験動物によって、標準的な薬学的手順によって決定することができる。これらのin vitroおよび細胞培養アッセイならびに動物試験から得られたデータを、ヒトにおける使用のための用量範囲を処方する際に用いることができる。用量は、用いられる剤形および利用する投与経路に応じて変化させてもよい。医師はそれぞれ、患者の病態を鑑みて、正確な処方、投与経路および用量を選択することができる(例えば、Fingl,et al.,1975,“The Pharmacological Basis of Therapeutics”、Ch.1 p.1を参照されたい)。
投薬量および間隔を個別に調整して、生物学的効果を誘導するか、または抑制するのに十分な活性成分の筋肉または脳レベル(最小有効濃度、MEC)を確実にすることができる。MECは、それぞれの製剤について変化するが、in vitroのデータから見積もることができる。MECを達成するのに必要な用量は、個体の特徴および投与経路に依存する。検出アッセイを用いて、血漿濃度を決定することができる。
治療される病態の重症度および応答性に応じて、投薬は単回または複数回のいずれであってもよく、治療過程は、数日から数週間、または治癒が達成されるまで、または疾患状態の縮小が達成されるまで継続する。
投与される組成物の量は、勿論、治療される対象、苦痛の重篤度、投与様式、処方する医師の判断などに依存する。
本発明のいくつかの実施形態の組成物は、必要に応じて、活性成分を含有する1つまたは複数の単位剤形を含有してもよい、パックまたはディスペンサー装置、例えば、FDA認可済キットとして提供することができる。
したがって、例えばCXCR4アンタゴニスト(例えばAMD3100)は、亜鉛または乳酸のいずれか一方または両方と共にキットとして提供することができる。
パックは、例えば、ブリスターパックなどの、金属またはプラスチックホイルを含んでもよい。パックまたはディスペンサー装置に、投与のための指示書を添付してもよい。パックまたはディスペンサーには、医薬品の製造、使用または販売を規制する政府機関が規定した形態で容器と関連した通知書が収容されていてもよく、当該通知書は、組成物の形態またはヒトもしくは動物への投与が機関によって認可されていることを示す。そのような通知書は、例えば、処方薬について米国食品医薬品局により認可されたラベルまたは認可された製品挿入物のものであってもよい。上述したように、適合する薬学的な担体を用いて処方した本発明の製剤を含む組成物を調製し、適切な容器に入れ、示された病態の治療のためであるというラベルを付けることもできる。
この出願から特許満了までの期間中、多くの関連CXCR4アンタゴニストが開発されることが予想されるが、CXCR4アンタゴニストという用語の範囲は、このような全ての新しい技術をすでに包含することが意図される。
本明細書において、用語「約」とは、±10%を指す。
用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有している(having)」およびその同根語は、「それだけには限定されないが含む」を意味する。
用語「からなる」とは、「含み、それに限定されること」を意味する。
用語「実質的になる(consisting essentially of)」は、組成物、方法または構造が、追加の成分、ステップ、および/または部分を含んでいてもよいが、当該追加の成分、ステップ、および/または部分が、特許請求の範囲に記載された組成物、方法、または構造の基本的および新規な特徴を物質的に変化させない場合に限られることを意味する。
本明細書において、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数の言及を含む。例えば、用語「化合物」または「少なくとも1種の化合物」は、その混合物を含む、複数の化合物を含み得る。
本出願の全体を通して、本発明の様々な実施形態を範囲の形で提示することができる。範囲の形の記載は、単なる便宜上および簡潔さのためであり、本発明の範囲の変更不可能な限定と解釈すべきではないことを理解されたい。したがって、ある範囲の記述は、その範囲に含まれうる全ての部分範囲のみならず、範囲内の個々の数値をも具体的に開示するものと見なすべきである。例えば、1から6などの範囲の記述は、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6などの部分範囲のみならず、その範囲内の個々の数値、例えば1、2、3、4、5、および6を具体的に開示するものと見なすべきである。これは、範囲の幅とは無関係に適用される。
本発明の特徴であって、明確にするために個別の実施形態のとして記載したものは、組み合わせて1つの実施形態としても提供可能であることを理解されたい。逆に、簡潔にするために1つの実施形態として記載した本発明の様々な特徴を、個別に、または任意の適切な部分組合せで、または本発明で記載した他の実施形態との適切な組み合わせとして提供することもできる。様々な実施形態に関連して記載された特徴は、その特徴なしでは実施形態が動作不能でない限り、それらの実施形態の必須要件とは見なさない。
上記で詳細に説明し、下記の請求の範囲内で請求する発明の様々な実施形態および態様について、以下の実施例で実験的裏付けを示す。
実施例
上記説明と共に、本発明のいくつかの実施形態を限定することなく示す実施例を、以下に参照する。
一般に、本明細書で用いられる命名法および本発明で用いられる実験手順は、分子技術、生化学的技術、微生物学的技術および組換えDNA技術を含む。そのような技術は、文献中に余すところなく説明されている。例えば、“Molecular Cloning:A laboratory Manual”,Sambrook et al.,(1989)、“Current Protocols in Molecular Biology”,Volumes I−III Ausubel,R.M.,ed.(1994)、Ausubel et al.,“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989)、Perbal,“A Practical Guide to Molecular Cloning”,John Wiley & Sons,New York(1988)、Watson et al.,“Recombinant DNA”,Scientific American Books,New York、Birren et al.(eds)“Genome Analysis:A Laboratory Manual Series”,Vols.1−4,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998);米国特許第4,666,828号、米国特許第4,683,202号、米国特許第4,801,531号、米国特許第5,192,659号および米国特許第5,272,057号に記載の方法;“Cell Biology:A Laboratory Handbook”,Volumes I−III Cellis,J.E.,ed.(1994)、“Culture of Animal Cells − A Manual of Basic Technique” by Freshney,Wiley−Liss,N.Y.(1994),Third Edition、“Current Protocols in Immunology”,Volumes I−III Coligan J.E.,ed.(1994)、Stites et al.(eds),“Basic and Clinical Immunology”(8th Edition),Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994)、Mishell and Shiigi(eds),“Selected Methods in Cellular Immunology”,W.H.Freeman and Co.,New York(1980);利用可能なイムノアッセイは、特許文献および科学文献に広く記載されており、例えば、米国特許第3,791,932号、米国特許第3,839,153号、米国特許第3,850,752号、米国特許第3,850,578号、米国特許第3,853,987号、米国特許第3,867,517号、米国特許第3,879,262号、米国特許第3,901,654号、米国特許第3,935,074号、米国特許第3,984,533号、米国特許第3,996,345号、米国特許第4,034,074号、米国特許第4,098,876号、米国特許第4,879,219号、米国特許第5,011,771号および米国特許第5,281,521号を参照されたい;“Oligonucleotide Synthesis”,Gait,M.J.,ed.(1984)、“Nucleic Acid Hybridization”,Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1985)、“Transcription and Translation”,Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1984)、“Animal Cell Culture”,Freshney,R.I.,ed.(1986)、“Immobilized Cells and Enzymes”,IRL Press,(1986)、“A Practical Guide to Molecular Cloning”,Perbal,B.,(1984),“Methods in Enzymology”、Vol.1−317,Academic Press、“PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications”,Academic Press,San Diego,CA(1990)、Marshak et al.,“Strategies for Protein Purification and Characterization − A Laboratory Course Manual”,CSHL Press(1996)を参照されたい。これらの全ては、参照により、本明細書に完全に記載されたように組み込まれる。他の一般的な参考文献は、本明細書を通して提供する。これらに記載の手順は、当業者には周知であると考えられ、読者の便宜のために提供する。これらに含まれる情報は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
ALSを治療するためのAMD3100および乳酸
実験の設定:50日齢の雌SOD1−G93Aマウスを、5mg/kgのAMD3100単独、896mg/kgのNa−L−乳酸単独、または5mg/kgのAMD3100と896mg/kgのNa−L−乳酸との組合せのいずれかで、週2回、50日齢から開始して(ALSの場合)死ぬまで処理した。全ての処理を皮下投与で実施した。様々な処理後にマウスの体重を、週1回量り、同様に週1回、運動機能を試験した。死ぬまでにかかった時間を記録した。
結果:組み合わ処理は、死ぬまでの時間を遅らせることに加えて、生存率、体重および運動機能を増加させるという相乗効果を示した。マウスの100%が処理に応答した(図1〜3)。さらに、SOD1−G93Aマウスおよびそれらの同腹子は、5mg/kgのAMD3100単独の処理によって、MCT1レベルの増加を示し、これが乳酸とAMD3100との相乗効果の説明を提供している(図4および5)。
図6A〜Bは、50日齢の雌のSOD1−G93Aマウスにおける5mg/kgのAMD3100処理対5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸処理の後の、MBPおよびBACE1のそれぞれの変化を示す。図7A〜Bは、50日齢の雌のSOD1−G93Aマウスにおける、5mg/kgのAMD3100処理対5mg/kgのAMD3100と896mg/kgの乳酸との組み合わせ処理の後の、アストロサイトの活性化における変化を示す。具体的には、図7AはGFAPレベルを示し、図7BはS100Bレベルを示す。図8A〜Bは、50日齢の雌のSOD1−G93Aマウスにおける5mg/kgのAMD3100対5mg/kgのAMD3100+896mg/kgの乳酸処理の後の、小グリア細胞の反応性の変化を示す。具体的には、図8AはIba−1レベルを示し、一方で図8BはIL−6レベルを示す。
ALSを治療するためのAMD3100および亜鉛
実験の設定:50日齢の雌のSOD1−G93Aマウスを、5mg/kgのAMD3100単独、または0.25mg/kgのAMD3100+0.08mg/kgの亜鉛の複合体もしくは0.125mg/kgのAMD3100+0.04mg/kgの亜鉛の複合体のいずれかで、週2回、50日齢から開始して死ぬまで処理した。全ての処理を皮下投与で実施した。様々な処理後、週1回マウスの体重を量り、同様に週1回、運動機能も試験した。死ぬまでにかかった時間を記録した。
結果:複合体は、生存率、体重および特に運動機能を増加させるという有益な効果を示した(図9〜12)。図13A〜Bは、50日齢の雌のSOD1−G93Aマウスにおける5mg/kgのAMD3100対0.25mg/kgのAMD3100+0.08mg/kgの亜鉛の処理の後の、炎症における変化を示す。具体的には、図13AはGFAPレベルを示し、一方で図13BはIba−1レベルを示す。
ALSを治療するためのAMD3100−亜鉛および乳酸
実験の設定:50日齢の雄のSOD1−G93Aマウスを、5mg/kgのAMD3100単独または0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgの亜鉛+896mg/kgの乳酸の複合体のいずれかで、週2回、50日齢から開始して死ぬまで処理した。全ての処理を皮下投与で実施した。死ぬまでにかかった時間を記録した。
結果:複合体は、PBSと比較して19日、および5mg/kgのAMD3100単独と比較して5日、生存率を増加させるという有益な効果を示した(図14)。
アルツハイマー病を治療するためのAMD3100−亜鉛(および乳酸)
実験の設定:9カ月齢の3xTg−ADマウスを、PBS、または0.5mg/kgのAMD3100、または0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn、または0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn+896mg/kgの乳酸で週1回処理した。全ての処理を皮下投与で実施した。処理の3カ月後、全てのマウスを、それらの認知機能を評価するためにY迷路試験に付した。各マウスにY迷路の2つのアームを5分にわたり探索させ、次の5分にわたり休憩させ、次いでY迷路の3つのアーム全てを次の5分にわたり探索させた。
結果:0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZnまたは0.5mg/kgのAMD3100+0.17mg/kgのZn+896mg/kgの乳酸で処理した雌3xTg−ADマウスは、それらの認知機能における改善を示した(図15A〜B)。図16A〜Bは、3xTg−ADマウスのPHF−1結果およびMCT−1結果における変化を示す棒グラフである。具体的には、図16Aは、PHF−1の低減が、AMDのみと比較して、AMD+ZnおよびAMD+複合体において顕著であることを示す。図16Bは、MCT−1の増加に関する傾向が観察されたが、統計学的に有意ではなかったことを示す。図17A〜Bは、ミエリン結合タンパク質(MBP)アイソタイプにおける変化を示す棒グラフである。具体的には、図17AはMBP−23kDaアイソタイプの増加を示し、一方で図17BはMBP−18kDaアイソタイプの増加を示す。図18は、ChATにおける変化を示す棒グラフである。AMD+ZnおよびAMD+複合体処理群におけるChATの増加のみが、統計学的に有意であった。図19は、ELISAによるAβにおける変化を示す棒グラフである。Aβの低減は、膜画分において、AMDおよびAMD+複合体処理群で統計学的に有意であった。
本発明をその特定の実施形態とともに記載したが、多数の代替法、改変および変法も当業者に明らかとなる。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内に入るすべてのこのような代替法、改変および変法も包含するものとする。
本明細書で述べた全ての刊行物、特許、および特許出願は、当該刊行物、特許、または特許出願について具体的かつ個別に記載した場合と同様に、参照によりそれらが完全に本明細書に組み込まれるものとする。さらに、本願におけるいかなる参考文献の引用または記載も、そのような参考文献が本願に対する従来技術として存在することの自認と解釈すべきではない。セクションの見出しの使用についても、それらを必ずしも限定として解釈すべきではない。

Claims (32)

  1. 治療有効量のCXCR4アンタゴニストと、乳酸とを対象に投与することによって、神経変性疾患を治療することを含む、治療を必要とする対象の神経変性疾患を治療する方法。
  2. 前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、多発性硬化症(MS)、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)、てんかん、卒中、自己免疫性脳脊髄炎、糖尿病性神経障害および緑内障性神経障害からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記神経変性疾患が、ALSである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記CXCR4アンタゴニストが、AMD3100(プレリキサフォル)、BKT140、TN14003、CTCE−9908、KRH−2731、TC14012、KRH−3955、およびAMD070からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記CXCR4アンタゴニストが、AMD3100である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記CXCR4アンタゴニストと同時に、前記乳酸を投与する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記CXCR4アンタゴニストの投与前または投与後に、前記乳酸を投与する、請求項1に記載の方法。
  8. 前記AMD3100の用量が、240μg/kg未満である、請求項5に記載の方法。
  9. 前記AMD3100の用量が、0.1〜500μg/kgの範囲内である、請求項5に記載の方法。
  10. 前記AMD3100の用量が、10〜150μg/kgの範囲内である、請求項5に記載の方法。
  11. 前記CXCR4アンタゴニストを皮下投与する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記対象に亜鉛を投与することをさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記AMD3100が、亜鉛と複合体化されている、請求項5に記載の方法。
  14. 治療有効量のAMD3100と、亜鉛とを対象に投与することによって、神経変性疾患を治療することを含み、但し、前記神経変性疾患はALSではない、神経変性疾患の治療を必要とする対象の神経変性疾患を治療する方法。
  15. 前記神経変性疾患が、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、多発性硬化症(MS)、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)、てんかん、卒中、自己免疫性脳脊髄炎、糖尿病性神経障害および緑内障性神経障害からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記神経変性疾患が、ALSである、請求項14または15に記載の方法。
  17. 前記AMD3100と同時に、前記亜鉛を投与する、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記投与の前に、前記亜鉛と前記AMD3100とが複合体化されている、請求項17に記載の方法。
  19. 前記AMD3100の投与前または投与後に、前記亜鉛を投与する、請求項14に記載の方法。
  20. 前記対象に乳酸を投与することをさらに含む、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記AMD3100の用量が、240μg/kg未満である、請求項14〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記AMD3100の用量が、0.1〜500μg/kgの範囲内である、請求項14〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記AMD3100の用量が、10〜150μg/kgの範囲内である、請求項14〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記AMD3100を皮下投与する、請求項14〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. CXCR4アンタゴニストと、乳酸とを含む、神経変性疾患治療用のキット。
  26. 前記CXCR4アンタゴニストが、AMD3100である、請求項25に記載のキット。
  27. 前記AMD3100が、亜鉛と複合体化されている、請求項26に記載のキット。
  28. 亜鉛をさらに含む、請求項25に記載のキット。
  29. 前記神経変性疾患が、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、ハンチントン病、多発性硬化症(MS)、クロイツフェルトヤコブ病(CJD)、てんかん、卒中、自己免疫性脳脊髄炎、糖尿病性神経障害および緑内障性神経障害からなる群から選択される、請求項25に記載のキット。
  30. 前記神経変性疾患が、ALSである、請求項25に記載のキット。
  31. 神経変性疾患の治療用である、CXCR4アンタゴニストおよび乳酸。
  32. 神経変性疾患の治療用であり、但し前記神経変性疾患はALSではない、AMD3100および亜鉛。
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