本明細書で使用される場合、名詞の前の「a」または「複数」という単語は、特定の名詞の1つまたは複数を表す。例えば、「哺乳動物細胞(a mammalian cell)」という句は、「1個または複数の哺乳動物細胞」を表す。
「抗体」という用語は、当技術分野で公知である。「抗体」という用語は、しばしば「免疫グロブリン」という用語と互換的に使用される。簡潔には、この用語は、2個の軽鎖ポリペプチドおよび2個の重鎖ポリペプチドを含む完全抗体を意味し得る。完全抗体は、IgM、IgG、IgA、IgD、およびIgE抗体を含む異なる抗体アイソタイプを含む。「抗体」という用語は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ化またはキメラ抗体、ヒト化抗体、霊長類化抗体、脱免疫化(deimmunized)抗体および完全ヒト抗体を含む。抗体は、種々の種、例えばヒト、ヒト以外の霊長類(例えば、オランウータン、ヒヒまたはチンパンジー)、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、アレチネズミ、ハムスター、ラットおよびマウスなどの哺乳動物のいずれかで作製するまたはこれらの哺乳動物のいずれかから得ることができる。抗体は、精製抗体または組換え抗体であり得る。
抗体は、少なくとも1つの免疫グロブリンドメインを含む操作されたタンパク質または抗体様タンパク質(例えば、融合タンパク質)であってもよい。操作されたタンパク質または抗体様タンパク質は、二重特異性抗体もしくは三重特異性抗体、または二量体、三量体もしくは多量体抗体、またはダイアボディ、DVD−Ig、CODV−Ig、Affibody(登録商標)もしくはNanobody(登録商標)であってもよい。抗体という用語は、抗体フラグメントも含む。
「抗体フラグメント」、「抗原結合フラグメント」という用語または類似の用語は、当技術分野で公知であり、例えば、標的抗原(例えば、ヒトC5またはヒトC5a)に結合する能力を保持し、標的抗原の活性を阻害する抗体のフラグメントを意味し得る。このような抗体フラグメントには、例えば、一本鎖抗体、一本鎖Fvフラグメント(scFv)、Fdフラグメント、Fabフラグメント、Fab’フラグメントまたはF(ab’)2フラグメントが含まれる。scFvフラグメントは、scFvが由来する抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域の両方を含む単一ポリペプチド鎖である。さらに、細胞内抗体、ミニボディ(minibody)、トリアボディ(triabody)およびダイアボディ(diabody)もまた、抗体の定義に含まれ、本明細書に記載される方法における使用に適合する。例えば、Todorovskaら(2001)J Immunol Methods 248(1):47〜66;HudsonおよびKortt(1999)J Immunol Methods 231(1):177〜189;Poljak(1994)Structure 2(12):1121〜1123;RondonおよびMarasco(1997)Annual Review of Microbiology 51:257〜283を参照されたい。抗原結合フラグメントはまた、重鎖ポリペプチドの可変領域および軽鎖ポリペプチドの可変領域を含むことができる。したがって、抗原結合フラグメントは、抗体の軽鎖ポリペプチドおよび重鎖ポリペプチドのCDRを含むことができる。
「抗体フラグメント」という用語はまた、例えば、ラクダ化単一ドメイン抗体などの単一ドメイン抗体を含むことができる。例えば、Muyldermansら(2001)Trends Biochem Sci 26:230〜235;Nuttallら(2000)Curr Pharm Biotech 1:253〜263;Reichmannら(1999)J Immunol Meth 231:25〜38;PCT出願公開である国際公開第94/04678号パンフレットおよび国際公開第94/25591号パンフレット;ならびに米国特許第6005079号号明細書を参照されたい。「抗体フラグメント」という用語はまた、単一ドメイン抗体が形成されるように修飾を有する2つのVHドメインを含む単一ドメイン抗体も含む。
「抗体フラグメント」はまた、抗体の抗原結合部分(CDRの1つまたは複数)を含むポリペプチドも含む。
「例えば」および「など」という用語ならびにこれらの文法上の等価物に関して、特に明示的に述べられない限り、「限定されないが」という句が続くと理解される。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、実験誤差による変動を説明することを意味する。本明細書に報告される全ての測定値は、特に明記しない限り、その用語が明示的に使用されているか否かにかかわらず、「約」という用語によって修飾されると理解される。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。方法および材料は、本発明における使用のために本明細書に記載される;当技術分野で公知の他の適切な方法および材料も使用することができる。材料、方法および実施例は例示的なものに過ぎず、限定することを意図しない。
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリおよび他の参考文献は、全体が参照により組み込まれる。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。
補体系
免疫系は、自然および適応の2つの異なるタイプに分けられる。自然免疫系は、補体系ならびに食細胞、肥満細胞、好酸球および好塩基球を含む様々な免疫細胞型からなる。病原体暴露が宿主生物において長期防御記憶を与える適応免疫系は、Tリンパ球およびBリンパ球を含む。両方の系は主に疾患状態で侵入病原体から生物を保護するが、自己細胞が破壊の標的となり、侵略免疫細胞が、保護することを意図する宿主に損傷を引き起こす場合がある。最後に、自然免疫応答および適応免疫応答を結ぶ多くの異なる連結が存在し、これは、補体系を含み、B1細胞およびγδT細胞を含む両方の系の機能的特徴を有する細胞型を含む。
補体系は、古典的経路、レクチン経路、および代替経路の3つの別個の独立した経路を通して開始される。これらの3つの経路は、C3転換酵素、C4bC2a(古典的およびレクチン経路C3転換酵素)およびC3bBb(代替経路C3転換酵素)の形成に収束し、次いで共通の末端経路の活性化を誘因する。末端経路の一部として、C3およびC5転換酵素活性化が、走化性、炎症および細胞傷害性酸素ラジカルの生成において重要な役割を果たす可溶性アナフィラトキシンC3aおよびC5aの生成をもたらす。
C5転換酵素は、約75μg/ml(0.4μM)の正常ヒト血清中に見られる190kDa βグロブリンであるC5を切断する。C5はグリコシル化されており、その質量の約1.5〜3%が炭水化物に起因する。成熟C5は、655アミノ酸75kDa β鎖とジスルフィド結合した999アミノ酸115kDa α鎖のヘテロ二量体である。C5は単一コピー遺伝子の一本鎖前駆体タンパク質産物として合成される(Havilandら(1991)J Immunol.146:362〜368)。このヒト遺伝子の転写産物のcDNA配列は、18アミノ酸リーダー配列と共に1658アミノ酸の分泌されたプロC5前駆体を予測する。例えば、米国特許第6355245号明細書を参照されたい。
プロC5前駆体がアミノ酸655および659の後に切断されると、β鎖がアミノ末端断片(上記配列のアミノ酸残基+1〜655)としておよびα鎖がカルボキシル末端断片(上記配列のアミノ酸残基660〜1658)として得られ、4個のアミノ酸(上記配列のアミノ酸残基656〜659)が2つの間で欠失している。
C5aは、α鎖の最初の74アミノ酸(すなわち、上記配列のアミノ酸残基660〜733)を含むアミノ末端断片として、代替または古典的C5転換酵素のいずれかによってC5のα鎖から切断される。C5aの11kDaの質量の約20%が炭水化物に起因する。転換酵素作用のための切断部位は、アミノ酸残基733にある、またはそれに直に隣接する。この切断部位にまたはこれに隣接して結合するであろう化合物は、C5転換酵素の切断部位への接近を遮断し、それによって補体阻害剤として作用する能力を有するだろう。切断部位と遠位の部位でC5に結合する化合物は、例えば、C5とC5転換酵素との間の相互作用の立体障害媒介阻害によって、C5切断を遮断する能力を有し得るだろう。ダニ唾液補体阻害剤であるオルニトドロス・モウバタ(Ornithodoros moubata)C阻害剤(OmCI)(C5阻害剤であり得る)の作用機序と一致する作用機序の化合物はまた、C5のα鎖のC345Cドメインの柔軟性を低下させて、C5転換酵素のC5の切断部位への接近を減少させることによって、C5切断を防止し得る。例えば、Fredslundら(2008)Nat Immunol 9(7):753〜760を参照されたい。
C5は、C5転換酵素活性以外の手段によっても活性化され得る。制限されたトリプシン消化(例えば、MintaおよびMan(1997)J Immunol 119:1597〜1602ならびにWetselおよびKolb(1982)J Immunol 128:2209〜2216)および酸処理(YamamotoおよびGewurz(1978)J Immunol 120: 2008ならびにDamerauら(1989)Molec Immunol 26:1133〜1142)もC5を切断し、活性C5bを産生することができる。
C5の切断は、強力なアナフィラトキシンおよび走化性因子であるC5aを放出し、溶解性末端補体複合体C5b−9の形成をもたらす。C5aおよびC5b−9はまた、加水分解酵素、反応性酸素種、アラキドン酸代謝産物および種々のサイトカインなどの下流炎症因子の放出を増幅することにより、多面的細胞活性化特性を有する。
末端補体複合体の形成の第1の段階は、標的細胞の表面でC5b−8複合体を形成するためのC5bとC6、C7およびC8との組み合わせを含む。C5b−8複合体がいくつかのC9分子と結合すると、膜攻撃複合体(「MAC」、C5b−9、末端補体複合体「TCC」)が形成される。十分な数のMACが標的細胞膜に入ると、これらが形成する開口部(MAC細孔)が、赤血球などの標的細胞の急速浸透圧溶解を媒介する。低い非溶解濃度のMACは、他の効果をもたらし得る。特に、少数のC5b−9複合体の内皮細胞および血小板への膜挿入は、有害な細胞活性化を引き起こし得る。場合によっては、活性化が細胞溶解に先行し得る。
適切に機能する補体系は感染微生物に対する堅牢な防御を提供するが、補体の不適切な調節または活性化は、例えば関節リウマチ(「RA」);ループス腎炎;喘息;虚血−再灌流傷害;非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS);デンスデポジット病(「DDD」);発作性夜間ヘモグロビン尿症(「PNH」);黄斑変性(例えば、加齢黄斑変性(「AMD」);溶血、肝臓酵素の上昇および低血小板(「HELLP」)症候群;血栓性血小板減少性紫斑病(「TTP」);自然胎児喪失;微量免疫型血管炎;表皮水疱症;再発性胎児喪失;多発性硬化症(「MS」);外傷性脳損傷;ならびに心筋梗塞、心肺バイパスおよび血液透析に起因する傷害を含む種々の障害の病因に関与している。例えば、Holersら(2008)Immunological Reviews 223:300〜316を参照されたい。補体の阻害(例えば、末端補体形成、C5切断、または補体活性化の阻害)は、動物モデルとヒトの両方で、いくつかの補体関連障害の治療に有効であることが実証されている。例えば、Rotherら(2007)Nature Biotechnology 25(11):1256〜1264;Wangら(1996)Proc Natl Acad Sci USA 93:8563〜8568;Wangら(1995)Proc Natl Acad Sci USA 92:8955〜8959;Rinderら(1995)J Clin Invest 96:1564〜1572;Kroshusら(1995)Transplantation 60:1194〜1202;Homeisterら(1993)J Immunol 150:1055〜1064;Weismanら(1990)Science 249:146〜151;Amsterdamら(1995)Am J Physiol 268:H448〜H457;およびRabinoviciら(1992)J Immunol 149:1744、1750を参照されたい。
C3aおよびC5aはアナフィラトキシンである。これらの活性化補体成分は、好塩基球および肥満細胞ならびに炎症の他のメディエーターからヒスタミンを放出し、平滑筋収縮、血管透過性増加、白血球活性化、および細胞過形成をもたらす細胞増殖を含む他の炎症現象をもたらす肥満細胞脱顆粒を誘因し得る。C5aはまた、炎症促進性顆粒球を補体活性化部位に引き付けるのに役立つ走化性ペプチドとしても機能する。
アナフィラトキシン受容体は、多くの異なる細胞によって発現されるGタンパク質共役細胞表面受容体である。これらは機能アッセイに基づいて網膜色素上皮(RPE)および脈絡膜内皮細胞上に存在することが実証されており、アナフィラトキシン濃度の増加する方向の白血球の受容体媒介運動が実証されている。
白血球は、骨髄細胞(好中球、単球、好酸球および好塩基球)およびリンパ球(T細胞、B細胞およびナチュラルキラー細胞)の2つのカテゴリーに分類される。AMDの動物モデルで、好中球およびマクロファージ、ナチュラルキラー細胞およびT細胞を含むいくつかの細胞が、眼に浸潤することが確認されている;同様に、T細胞、マクロファージおよび単球ならびに他の免疫細胞が、AMD患者の眼で同定されている。T細胞は、Tヘルパー細胞(Th1細胞、Th2細胞およびTh17細胞を含む)、細胞傷害性T細胞、γδT細胞およびT調節細胞の4つのカテゴリーからなる。重要なことに、Th17およびγδT細胞のサインサイトカインであるIL−17は、AMD8を有するヒトの眼で有意に増加し、焦点性網膜変性を有するマウスの眼におけるIL−17の遮断は神経保護となることが分かった。そのため、これらの細胞型Th17−およびγδT細胞の一方または両方が、IL−17サイトカインの産生を通して眼内の炎症および血管新生に寄与すると仮定された。
AMDの治療
ヒトでは、加齢黄斑変性(AMD)は、先進国における失明の主因である。この疾患は、50歳以上の成人で最も一般的であり、現在、推定175万人のアメリカ人が進行型AMDと診断されている。AMDは徐々に、ヒトの眼の微調整される視覚の中心部位である黄斑の変性をもたらす。進行型AMDは、ドライ型(萎縮型)および滲出型AMDの2つの形態で生じる。
萎縮型AMDは、網膜色素上皮(RPE)の薄化または消失およびブルッフ膜(BrM)の肥厚を特徴とし、萎縮領域(地図状萎縮またはGA)をもたらし、AMDに罹患した人々の大部分に影響を及ぼす。RPEとBrMとの間で増加する大型ドルーゼン(細胞外物質の結晶沈着物)および線状沈着物(基底膜沈着物)の出現が、ドライ型AMDの指標である。これらの沈着物は、BrMの水分伝導度に干渉し、RPEの完全性を損ない、最終的に光受容体の健康に影響を及ぼし、網膜変性をもたらす。
滲出型AMDは、RPE/ブルッフ膜の破壊、血管新生促進因子VEGFの放出増加および脈絡膜新生血管(CNV)の発達を特徴とする。
CNVでは、新たに形成された脈絡膜血管がRPE/BrMを通って増殖する。新しい血管は漏出性なので、RPEと網膜との間に液体が蓄積し、光受容体とRPEとの間の接続が壊される。液体が排出され、網膜が再付着することができない限り、光受容体が失われ、視力喪失に至る。
ある態様では、患者の加齢黄斑変性(AMD)を治療する方法が提供される。ある実施形態では、患者がヒト患者である。この方法は、有効量の阻害剤、C5阻害剤もしくはC5a阻害剤のいずれか、またはその両方を患者に投与するステップを含む。
ある実施形態では、阻害剤はC5阻害剤である。さらなる実施形態では、C5阻害剤はポリペプチドまたは抗体である。エクリズマブまたはエクリズマブ変異体が、抗C5抗体の一例である。ある実施形態では、エクリズマブまたはエクリズマブ変異体が、約30mg/ml〜約100mg/ml(約30mg/mlおよび約100mg/mlを含む)以上で患者に投与される。ある実施形態では、抗C5抗体は一本鎖抗体である。ある実施形態では、抗C5抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号5および配列番号6、または配列番号7および配列番号8、または配列番号50に示されるアミノ酸配列の1つ、あるいは上記のいずれかの抗原結合フラグメントを含むポリペプチドである。他のある実施形態では、抗C5抗体が、配列番号9〜16に示されるアミノ酸配列の1つまたは複数を含むポリペプチドである。
ある実施形態では、阻害剤はC5a阻害剤である。さらなる実施形態では、C5a阻害剤は抗体である。
抗C5a抗体の一例はCLS026である。CLS026はマウスC5aに特異的なモノクローナル抗体である。CLS026を、ヒトC5に対する陰性選択を用いる従来のパニング技術を用いてファージディスプレイライブラリーから得て、完全長IgGに変換した。このネオエピトープ特異的抗体は、バイオレイヤー干渉法で示されるように、その標的であるマウスC5aに1桁のnM親和性で結合する。CLS026をCHO細胞中で培養し、mabselect Xtra(GE)プロテインA樹脂を用いた一段階アフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。CLS026は、エンドトキシンを含まず、キャピラリー電気泳動を使用して純度95%超であると測定された。Biocompare、South San Francisco、CA製の抗C5a抗体も参照されたい。
さらに別の例は、配列番号47に示される軽鎖および配列番号48または配列番号49に示される重鎖を有する抗ヒトC5a抗体である。
処理前、処理中および処理後の患者のC5aの量を、例えば、ELISAなどのイムノアッセイによって監視することができる。
例えば、RPE/脈絡膜組織ホモジネート中のマウスC5aの定量的特定のために、サンドイッチ酵素イムノアッセイを製造者の指示(Kamiya Biomedical Company;Seattle、WA)に従って使用する。要するに、プレコートされたプレートを37℃で2時間抗原に暴露し、洗浄し、C5aに対する検出抗体、引き続いてペルオキシダーゼ結合二次抗体とインキュベートし、TMB基質を用いて発色させる。眼試料中のC5aの濃度は、試料のO.D.を検量線(キットで提供されるキャリブレーター)と比較することによって決定する。
ある実施形態では、阻害剤は静脈内もしくは硝子体内で、またはその両方で投与される。
ある実施形態では、阻害剤は約500μg〜約1500μg/眼で投与される。さらに他の実施形態では、阻害剤は1眼あたり約0.5mg、約1.5mg、約5mgまたは約10mgで投与される。さらなる実施形態では、阻害剤は1眼あたり約0.5mg〜約10mgで投与される。
ある実施形態では、眼内のγδT細胞のレベルが低下する。ある実施形態では、脾臓中のTh17および/またはγδT細胞のレベルが低下する。いくつかの実施形態では、眼内のIL−17のレベルが低下する。ある実施形態では、眼の炎症が軽減される。いくつかの実施形態では、眼の脈絡膜新生血管(CNV)が低減される。
γδT細胞、Th17および/またはγδT細胞、ならびにIL−17を同定および定量化するための任意の方法を使用することができる。このような方法は、当技術分野で公知である。
ある実施形態では、AMDは滲出型AMDである、またはドライ型(萎縮型)AMDである。AMDの診断は、当技術分野で公知である。
ある実施形態では、典型的な治療的処置は、通常、所望の臨床結果を達成するために必要とされる際に調整される投与量レベルの臨床的エンドポイントの監視を同時に行いながら投与される一連の投与を含む。ある実施形態では、典型的な治療処置は、AMDの診断後約12〜48時間以内に投与される1つまたは複数の投与とおそらくはその期間後のフォローアップ投与を含む。ある実施形態では、治療は少なくとも数時間または数日間にわたって複数回投与される。ある実施形態では、治療は少なくとも1週間にわたって複数回投与される。ある実施形態では、治療は少なくとも1ヶ月間にわたって複数回投与される。ある実施形態では、治療は少なくとも1年間にわたって複数回投与される。ある実施形態では、治療は患者の余生にわたって複数回投与される。
投与の頻度はまた、種々のパラメータによって調整することができる。これらには、臨床応答、阻害剤の血漿中半減期、および例えば血液、血漿、血清または滑液などの体液中の阻害剤(抗体など)のレベルが含まれる。投与頻度の調整をうまく行うために、体液中の阻害剤のレベルを治療の過程で監視することができる。
ある実施形態では、投与量(複数可)および投与頻度は、治療する医師の裁量で、患者の必要に応じて決定される。
阻害剤の全身投与によるAMDの治療のために、多量の初期用量の投与を行うことができる。このような多量の初期用量に続いて、必要に応じて漸減した用量の定期的反復投与を行うことができる。他の実施形態では、初期投与は、局所経路と全身経路の両方によって与えられ、引き続いて漸減した用量の全身投与が繰り返される。
いくつかの実施形態では、補体C5タンパク質はヒト補体C5タンパク質である(ヒトプロタンパク質は配列番号4に示される)。いくつかの実施形態では、補体C5aタンパク質はヒト補体C5aタンパク質である。
ある実施形態では、治療上有効量の阻害剤(エクリズマブなど)は、患者の視力を改善または維持する量(または複数回投与の場合には種々の量)を含み得る。
ある実施形態では、この方法は、第2の治療薬を患者に投与するステップをさらに含む。任意の適切な第2の治療薬が熟慮される。
抗C5阻害剤および抗C5a阻害剤
C5阻害剤は任意のC5阻害剤であり得る。ある実施形態では、C5阻害剤はエクリズマブ、その抗原結合フラグメント、エクリズマブの抗原結合フラグメントを含むポリペプチド、エクリズマブの抗原結合フラグメントを含む融合タンパク質、またはエクリズマブの一本鎖抗体バージョン、または小分子C5阻害剤である。
いくつかの実施形態では、C5阻害剤は小分子化合物である。C5阻害剤である小分子化合物の一例は、アウリントリカルボン酸である。他の実施形態では、C5阻害剤は抗体などのポリペプチドである。
C5阻害剤は、補体C5タンパク質に結合し、C5aの生成を阻害することができるものである。C5結合阻害剤はまた、例えば、C5のフラグメントC5aおよびC5bへの切断を阻害し、よって末端補体複合体の形成を防止することができる。
例えば、抗C5抗体は、C5タンパク質(例えば、ヒトC5タンパク質)のC5a活性フラグメントの生成または活性を遮断する。この遮断効果を通して、抗体は、例えば、C5aの炎症促進効果を阻害する。抗C5抗体は、C5bの生成または活性を遮断する活性をさらに有することができる。この遮断効果を通して、抗体は、例えば、細胞の表面でのC5b−9膜攻撃複合体の生成をさらに阻害することができる。
いくつかの実施形態では、C5阻害剤抗体はポリペプチド阻害剤である。なおさらなる他の実施形態では、ポリペプチド阻害剤はエクリズマブである。配列番号5はエクリズマブの重鎖全体を示し;配列番号6はエクリズマブの軽鎖全体を示し;配列番号9〜11は、それぞれエクリズマブの重鎖のCDR1〜3を示し;配列番号12〜14は、それぞれエクリズマブの軽鎖のCDR1〜3を示し;配列番号15はエクリズマブの重鎖の可変領域を示し;配列番号16は、エクリズマブの軽鎖の可変領域を示す。エクリズマブは、炎症促進反応を誘発する可能性を低減するため、ヒトIgG2/IgG4ハイブリッド定常領域を有するヒト化抗ヒトC5モノクローナル抗体(Alexion Pharmaceuticals,Inc.)である。エクリズマブは商品名Soliris(登録商標)を有し、発作性夜間ヘモグロビン尿症(「PNH」)および非典型溶血性尿毒症症候群(「aHUS」)の治療に現在承認されている。発作性夜間ヘモグロビン尿症は溶血性貧血の一形態であり、補体調節タンパク質CD59およびCD55の非存在による血管内溶血が顕著な特徴である。CD59は、例えば、末端補体複合体の形成を遮断するように機能する。aHUSは、とりわけ、血栓性微小血管障害症の阻害、体全体の小血管における血餅の形成および急性腎不全をもたらす慢性の制御されない補体活性化を伴う。エクリズマブはヒトC5タンパク質に特異的に結合し、強力な炎症促進性タンパク質C5aの生成の形成を遮断する。エクリズマブは、末端補体複合体の形成をさらに遮断する。エクリズマブ治療は、PNH患者の血管内溶血を減少させ、aHUSの補体レベルを低下させる。例えば、Hillmenら、N Engl J Med 2004;350:552〜9;Rotherら、Nature Biotechnology 2007;25(11):1256〜1264;Hillmenら、N Engl J Med 2006、355;12、1233〜1243;Zuberら、Nature Reviews Nephrology 8、643〜657(2012)|米国特許公開番号第2012/0237515号明細書、および米国特許第6355245号明細書を参照されたい。エクリズマブはまた、近年の臨床試験において、志賀毒素産生大腸菌溶血性尿毒症症候群(「STEC−HUS」)患者に有効であることが示されている。Alexionのプレスリリース、「New Clinical Trial Data Show Substantial Improvement with Eculizumab (Soliris(登録商標)) in Patients with STEC−HUS」、2012年11月3日(土)を参照されたい。STEC−HUSは、全身補体媒介性血栓性微小血管障害症および急性重要臓器損傷を特徴とする。これらの患者へのエクリズマブの投与は、血栓性微小血管障害症の迅速かつ持続的な改善および全身臓器合併症の改善をもたらした。理解されるように、PNHのように、aHUSおよびSTEC−HUSは全て不適切な補体活性化に関連する疾患である。例えば、Norisら、Nat Rev Nephrol.2012 Nov;8(11):622〜33;Hillmanら、N Engl J Med 2004;350:6、552〜9;Rotherら、Nature Biotechnology 2007;25(11):1256〜1264;Hillmenら、N Engl J Med 2006、355;12、1233〜1243;Zuberら、Nature Reviews Nephrology 8、643〜657(2012)を参照されたい。
なおさらなる他の実施形態では、C5阻害剤はパキセリズマブ(配列番号1)を含むエクリズマブの一本鎖バージョン(完全抗体エクリズマブの特異的一本鎖バージョン)である。例えば、Whiss(2002)Curr Opin Investig Drugs 3(6):870〜7;Patelら(2005)Drugs Today(Barc)41(3):165〜70;Thomasら(1996)Mol Immunol 33(17〜18):1389〜401;および米国特許第6355245号明細書を参照されたい。さらに他の実施形態では、C5阻害剤抗体は、パキセリズマブ抗体アミノ酸配列の軽鎖の38位(Kabatの番号付および配列番号2に示されるアミノ酸配列番号による)のアルギニン(R)がグルタミン(Q)に変化した、パキセリズマブの一本鎖変異体である。配列番号2に示されるアミノ酸配列を有する一本鎖抗体は、38位のアルギニン(R)がグルタミン(Q)で置換された一本鎖抗体パキセリズマブ(配列番号1)の変異体である。変異型パキセリズマブ抗体中に存在する代表的なリンカーアミノ酸配列を配列番号3に示す。エクリズマブの代表的なScFvを配列番号50に示す。
ある実施形態では、抗C5抗体は、エクリズマブに対して1つまたは複数の改善された特性(例えば、改善された薬物動態特性)を有するエクリズマブに由来する変異体である。変異エクリズマブ抗体(本明細書ではエクリズマブ変異体、変異エクリズマブなどとも呼ぶ)またはそのC5結合フラグメントは、(a)補体成分C5に結合し;(b)C5aの生成を阻害し;C5のフラグメントC5aおよびC5bへの切断をさらに阻害することができる。変異エクリズマブ抗体は、10日超または少なくとも10日(例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33もしくは34日超または少なくとも11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33もしくは34日)のヒトにおける血清半減期を有することができる。このような変異体エクリズマブ抗体は、米国特許第9079949号明細書に記載されている。
ある実施形態では、エクリズマブ変異抗体は、配列番号7(重鎖)および配列番号8(軽鎖)に示される配列によって定義される抗体またはその抗原結合フラグメントである。この抗体はヒトC5に結合し、C5aの形成ならびにC5のフラグメントC5aおよびC5bへの切断を阻害し、よって末端補体複合体の形成を防止する。
本発明の方法に使用するためのC5結合ポリペプチド抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号5および配列番号6、または配列番号7および配列番号8示されるアミノ酸配列、あるいは上記のいずれかの抗原結合フラグメントを含むことができる、またはからなることができる。このポリペプチドは、配列番号9〜16に示されるアミノ酸配列の1つまたは複数を含むことができる。
さらに他の実施形態では、C5阻害剤はLFG316(Novartis、Basel、スイスおよびMorphoSys、Planegg、ドイツ)または米国特許第8241628号明細書および米国特許第8883158号明細書の表1の配列によって定義される別の抗体、抗C5ペグ化RNAアプタマー(例えば、Keefeら、Nature Reviews Drug Discovery 9、537〜550(2010年7月))であるARC1905(Ophthotech、Princeton、NJおよびニューヨーク、NY)、Mubodina(登録商標)(Adienne Pharma & Biotech、Bergamo、イタリア)(例えば、米国特許第7999081号明細書)、rEV576(coversin)(Volution Immuno−pharmaceuticals、Geneva、スイス)(例えば、Penabadら、Lupus、2014年10月;23(12):1324〜6参照)、ARC1005(Novo Nordisk、Bagsvaerd、デンマーク)、SOMAmers(SomaLogic、Boulder、CO)、SOB1002(Swedish Orphan Biovitrum、ストックホルム、スウェーデン)、RA101348(Ra Pharmaceuticals、Cambridge、MA)、アウリントリカルボン酸(「ATA」)および抗C5−siRNA(Alnylam Pharmaceuticals、Cambridge、MA)およびオルニトドロス・モウバタ(Ornithodoros moubata)C阻害剤(「OmCI」)である。
ある実施形態では、阻害剤はC5a阻害剤である。任意のC5a阻害剤を使用することができる。C5a阻害剤は、例えば、抗体またはポリペプチドであり得る。
抗C5a抗体の一例はCLS026である。CLS026はマウスC5aに特異的なモノクローナル抗体である。CLS026を、従来のパニング技術を用いてヒトC5に対する陰性選択でファージディスプレイライブラリーから得て、完全長IgGに変換した。このネオエピトープ特異的抗体は、バイオレイヤー干渉法で示されるように、その標的であるマウスC5aに1桁のnM親和性で結合する。CLS026をCHO細胞中で培養し、mabselect Xtra(GE)プロテインA樹脂を用いた一段階アフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。CLS026は、エンドトキシンを含まず、キャピラリー電気泳動を使用して純度95%超であると測定された。Biocompare、South San Francisco、CA製の抗C5a抗体も参照されたい。
いくつかの実施形態では、抗体はヒト化抗C5aモノクローナル抗体である。
いくつかの実施形態では、抗体は配列番号47に示される軽鎖および配列番号48または配列番号49に示される重鎖を有する抗C5a抗体である。
いくつかの実施形態では、抗体阻害剤は完全抗体ではない。いくつかの実施形態では、抗体阻害剤は一本鎖抗体である抗体の抗原結合フラグメントである。
いくつかの実施形態では、抗体阻害剤は二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体もしくはヒトモノクローナル抗体、またはこれらのいずれかの抗原結合フラグメントである。
いくつかの実施形態では、抗体は抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはこれらを含むポリペプチドである。抗体はモノクローナル抗体であり得る。他の実施形態では、阻害剤は抗体の可変領域またはそのフラグメント、例えばモノクローナル抗体を含む。他の実施形態では、抗体はC5補体タンパク質またはC5a補体タンパク質に特異的に結合する免疫グロブリンである。他の実施形態では、ポリペプチド剤は操作されたタンパク質または組換えタンパク質である。いくつかの実施形態では、抗体剤は完全抗体ではなく、抗体の部分を含む。いくつかの実施形態では、阻害剤は一本鎖抗体である。いくつかの実施形態では、阻害剤は二重特異性抗体である。いくつかの実施形態では、抗体はヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体もしくはヒトモノクローナル抗体、またはこれらのいずれかの抗原結合フラグメントである。抗体を含むポリペプチド剤を作製する方法は、当技術分野で公知である。
上記のように、C5結合ポリペプチドを含むC5阻害剤は、補体成分C5を阻害することができる。特に、ポリペプチドを含む阻害剤は、C5aアナフィラトキシンの生成、または補体成分C5タンパク質(例えば、ヒトC5タンパク質)のc5aおよびC5b活性フラグメントの生成を阻害する。したがって、C5阻害剤は、例えば、C5aの炎症促進効果を阻害し、細胞の表面でのC5b−9膜攻撃複合体(「MAC」)の生成およびその後の細胞溶解を阻害することができる。例えば、Moongkarndiら(1982)Immunobiol 162:397およびMoongkarndiら(1983)Immunobiol 165:323を参照されたい。
C5切断の阻害を測定するための適切な方法は、当技術分野で公知である。例えば、体液中のC5aおよび/またはC5bの濃度および/または生理学的活性は、当技術分野で周知の方法によって測定することができる。C5a濃度または活性を測定する方法には、例えば走化性アッセイ、RIAまたはELISAが含まれる(例えば、WardおよびZvaifler(1971)J Clin Invest 50(3):606〜16およびWurznerら(1991)Complement Inflamm 8:328〜340参照)。C5bについては、当技術分野で公知の溶血アッセイまたは可溶性C5b−9のアッセイを使用することができる。当技術分野で公知の他のアッセイも使用することができる。
TCC形成も阻害するこれらのC5阻害剤について、補体成分C5の阻害はまた、対象の体液中の補体の細胞溶解能力を低下させることができる。存在する補体の細胞溶解能力のこのような低下は、例えば、KabatおよびMayer(編者)、「Experimental Immunochemistry、第2版」、135〜240、Springfield、IL、CC Thomas(1961)、135〜139頁によって記載される溶血アッセイなどの慣用的な溶血アッセイ、または例えばHillmenら(2004)N Engl J Med 350(6):552に記載されるニワトリ赤血球溶血法などのこのアッセイの慣用的な変形などによって当技術分野で周知の方法によって測定することができる。
いくつかの実施形態では、C5結合ポリペプチドは、欠失変異体、挿入変異体および/または置換変異体を含む抗原に依然として結合する抗C5抗体(エクリズマブなど)の変異抗体である。例えば、配列番号1、配列番号2、または配列番号7および配列番号8に示されるポリペプチドを参照されたい。このような変異体を、例えば組換えDNA技術によって作製する方法は、当技術分野で周知である。
いくつかの実施形態では、阻害剤は融合タンパク質の一部としての抗体を含む。融合タンパク質は、融合タンパク質が融合タンパク質をコードする核酸から発現されるように組換えで構築することができる。融合タンパク質は、1つまたは複数のC5結合ポリペプチドセグメント(例えば、配列番号1、配列番号2、または配列番号5および/または配列番号6、配列番号7および/または配列番号8、または配列番号9〜16のいずれか1つまたは複数に示されるC5結合セグメント)と、1つまたは複数のC5結合セグメントに対して異種である1つまたは複数のセグメントとを含む。異種配列は、例えば抗原タグ(例えば、FLAG、ポリヒスチジン、赤血球凝集素(「HA」)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(「GST」)またはマルトース結合タンパク質(「MBP」)などの任意の適切な配列であり得る。異種配列はまた、診断マーカーまたは検出マーカーとして有用なタンパク質、例えばルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(「GFP」)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(「CAT」)であり得る。いくつかの実施形態では、異種配列は、C5結合セグメントを、対象となる細胞、組織または微小環境に標的化する標的化部分であり得る。いくつかの実施形態では、標的化部分は、C3bまたはC3dに結合するヒト補体受容体(例えば、ヒト補体受容体2)または抗体(例えば、一本鎖抗体)の可溶性形態である。いくつかの実施形態では、標的化部分は、腎臓特異的抗原などの組織特異的抗原に結合する抗体である。例えば組換えDNA技術によって、このような融合タンパク質を構築する方法は、当技術分野で周知である。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは標的化部分に融合される。例えば、構築物は、C5結合ポリペプチドと、ポリペプチドを補体活性化部位に標的化する標的化部分とを含むことができる。このような標的化部分は、例えば、補体受容体1(CR1)の可溶性形態、補体受容体2(CR2)の可溶性形態、あるいはC3bおよび/またはC3dに結合する抗体(またはその抗原結合フラグメント)を含むことができる。
組換えDNA技術を含む、融合タンパク質(例えば、C5結合ポリペプチドと、ヒトCR1またはヒトCR2の可溶性形態とを含む融合タンパク質)を生成する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第6897290号明細書;米国特許出願公開第2005265995号明細書;およびSongら(2003)J Clin Invest 11(12):1875〜1885に記載されている。
ある実施形態では、阻害剤は二重特異性抗体である。二重特異性抗体(例えば、抗C5抗体ならびにC3bおよび/またはC3dに結合する抗体を含む二重特異性抗体)を生成する方法も、当技術分野で公知である。C5結合抗体と任意の他の抗体とを含む二重特異性抗体が熟慮される。
多種多様な二重特異性抗体フォーマットは、抗体工学の分野で公知であり、二重特異性抗体(例えば、抗C5抗体[すなわち、C5結合抗体]とC3b、C3dまたは組織特異的抗原に結合する抗体とを含む二重特異性抗体)を作製する方法は、十分に当業者の理解の範囲内である。例えば、Sureshら(1986)Methods in Enzymology 121:210;PCT公開番号国際公開第96/27011号パンフレット;Brennanら(1985)Science 229:81;Shalabyら、J.Exp.Med.(1992)175:217〜225;Kostelnyら(1992)J Immunol 148(5):1547〜1553;Hollingerら(1993)Proc Natl Acad Sci USA 90:6444〜6448;Gruberら(1994)J Immunol 152:5368;およびTuttら(1991)J Immunol 147:60を参照されたい。
二重特異性抗体にはまた、架橋抗体またはヘテロコンジュゲート抗体(heteroconjugate antibody)も含まれる。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の好都合な架橋方法を用いて作製することができる。適切な架橋剤は当技術分野で周知であり、いくつかの架橋技術と共に米国特許第4676980号明細書に開示されている。米国特許第5534254号明細書は、例えば、ペプチドカプラー、キレート剤または化学的もしくはジスルフィドカップリングによって連結された一本鎖Fvフラグメントを含むいくつかの異なるタイプの二重特異性抗体を記載している。別の例では、SegalおよびBast[(1995)Curr Protocols Immunol Suppl.14:2.13.1〜2.13.16]が、2つの単一特異性抗体を化学的に架橋して二重特異性抗体を形成する方法を記載している。二重特異性抗体は、例えば、C5結合抗体および例えばC3b、C3dまたは肺特異的抗原、眼特異的抗原、腎臓特異抗原等に結合する抗体から選択される2つの一本鎖抗体を結合することによって形成することができる。
二重特異性抗体は、リンカー(例えば、ポリペプチドリンカー)によって共有結合された2つの異なるscFvフラグメントを含むタンデム一本鎖(sc)Fvフラグメントであり得る。例えば、Ren−Heidenreichら(2004)Cancer 100:1095〜1103およびKornら(2004)J Gene Med 6:642〜651を参照されたい。リンカーの例としては、それだけに限らないが、(Gly4Ser)2[GGGGSGGGGS、配列番号17]、(Gly4Ser)3[GGGGSGGGGSGGGGS、配列番号18]、(Gly3Ser)4[GGGSGGGSGGGSGGGS、配列番号19]、(G3S)[GGGS、配列番号20]、SerGly4[SGGGG、配列番号21]およびSerGly4SerGly4[SGGGGSGGGG、配列番号22]が挙げられる。
いくつかの実施形態では、リンカーは、例えばGrosse−Hovestら(2004)Proc Natl Acad Sci USA 101:6858〜6863に記載されるCH1ドメインなどの重鎖ポリペプチド定常領域の全部または一部を含み得るまたはであり得る。いくつかの実施形態では、2つの抗体フラグメントは、例えば、それぞれ米国特許第7112324号明細書および同第5525491号明細書に記載されるように、ポリグリシン−セリンまたはポリセリン−グリシンリンカーによって共有結合され得る。米国特許第5258498号明細書も参照されたい。二重特異性タンデムscFv抗体を生成する方法は、例えば、Maletzら(2001)Int J Cancer 93:409〜416;Haydenら(1994)Ther Immunol 1:3〜15;およびHonemannら(2004)Leukemia 18:636〜644に記載されている。あるいは、抗体は、例えば、Zapataら(1995)Protein Eng.8(10):1057〜1062に記載されるように、「直鎖抗体」であり得る。簡潔には、これらの抗体は、一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH−CH1−VH−CH1)を含む。
二重特異性抗体はダイアボディであってもよい。例えば、Hollingerら(1993)Proc Natl Acad Sci USA 90:6444〜6448によって記載されるダイアボディ技術は、二重特異性抗体フラグメントを作製するための代替の機構を提供した。フラグメントは、同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーによって軽鎖可変ドメイン(VL)と接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、一方のフラグメントのVHおよびVLドメインは、別のフラグメントの相補的VLおよびVHドメインと対形成させられ、それによって2つの抗原結合部位を形成する。Zhuら(1996)Biotechnology 14:192〜196およびHelfrichら(1998)Int J Cancer 76:232〜239も参照されたい。二重特異性一本鎖ダイアボディ(「scDb」)ならびにscDbを生成する方法は、例えば、Brusselbachら(1999)Tumor Targeting 4:115〜123;Kipriyanovら(1999)J Mol Biol 293:41−56;およびNettlebeckら(2001)Mol Ther 3:882〜891に記載されている。
Wuら(2007)Nat Biotechnol 25(11):1290〜1297に記載される四価二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD−Ig)などの二重特異性抗体の変異形も本発明の方法に使用することができる。DVD−Ig分子は、2つの異なる親抗体由来の2つの異なる軽鎖可変ドメイン(VL)が、直接または組換えDNA技術によって短いリンカーを介して直列に、引き続いて軽鎖定常ドメインと連結されるように設計される。2つの親抗体からDVD−Ig分子を生成する方法は、例えば、PCT公開番号国際公開第08/024188号パンフレットおよび国際公開第07/024715号パンフレットにさらに記載されている。例えば、米国特許出願公開第20070004909号明細書に記載される二重特異性フォーマットも包含される。使用することができる別の二重特異性フォーマットは、国際公開第2012/135345号パンフレットに記載される4ドメイン抗体様分子を操作するフォーマットであるクロスオーバーデュアルV領域(CODV−Ig)である。CODV−Igは、C末端Vドメイン(内部)での立体障害がDVD−Igの構築を妨げ得る二重特異性抗体様分子の操作に有用であることが示された。
二重特異性抗体分子を形成するために使用されるC5結合抗体もしくはC5a結合抗体および/または標的化部分は、例えば、キメラ、ヒト化、再ヒト化、脱免疫化または完全ヒトであり得、その全てが当技術分野で周知である。
小分子化学化合物であるC5およびC5a阻害剤は、当技術分野で公知の方法によって生成することができる。
ポリペプチドおよび抗体を含むC5結合阻害剤およびC5a結合阻害剤は、分子生物学およびタンパク質化学の分野で公知の種々の技術を用いて生成することができる。
例えば、C5結合ポリペプチド(例えば、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含むまたはからなるC5結合ポリペプチド)またはC5a結合ポリペプチドをコードする核酸を、例えば、プロモーター配列、リボソーム結合部位、転写開始および停止配列、翻訳開始および停止配列、転写ターミネーターシグナル、ポリアデニル化シグナル、ならびにエンハンサーまたはアクチベーター配列を含む、転写および翻訳調節配列を含む発現ベクターに挿入することができる。調節配列は、プロモーターならびに転写開始および停止配列を含む。さらに、発現ベクターは、2つの異なる生物、例えば発現のための哺乳動物または昆虫細胞とクローニングおよび増幅のための原核生物宿主において維持され得るように、2つ以上の複製系を含むことができる。
代表的なC5結合ポリペプチド(パキセリズマブ)をコードする代表的な核酸は以下の通りである:GATATCCAGATGACCCAGTCCCCGTCCTCCCTGTCCGCCTCTGTGGGCGATAGGGTCACCATCACCTGCGGCGCCAGCGAAAACATCTATGGCGCGCTGAACTGGTATCAACAGAAACCCGGGAAAGCTCCGAAGCTTCTGATTTACGGTGCGACGAACCTGGCAGATGGAGTCCCTTCTCGCTTCTCTGGATCCGGCTCCGGAACGGATTTCACTCTGACCATCAGCAGTCTGCAGCCTGAAGACTTCGCTACGTATTACTGTCAGAACGTTTTAAATACTCCGTTGACTTTCGGACAGGGTACCAAGGTGGAAATAAAACGTACTGGCGGTGGTGGTTCTGGTGGCGGTGGATCTGGTGGTGGCGGTTCTCAAGTCCAACTGGTGCAATCCGGCGCCGAGGTCAAGAAGCCAGGGGCCTCAGTCAAAGTGTCCTGTAAAGCTAGCGGCTATATTTTTTCTAATTATTGGATTCAATGGGTGCGTCAGGCCCCCGGGCAGGGCCTGGAATGGATGGGTGAGATCTTACCGGGCTCTGGTAGCACCGAATATACCGAAAATTTTAAAGACCGTGTTACTATGACGCGTGACACTTCGACTAGTACAGTATACATGGAGCTCTCCAGCCTGCGATCGGAGGACACGGCCGTCTATTATTGCGCGCGTTATTTTTTTGGTTCTAGCCCGAATTGGTATTTTGATGTTTGGGGTCAAGGAACCCTGGTCACTGTCTCGAGCTGA(配列番号1)。いくつかの実施形態、例えば、カルボキシル末端融合タンパク質が生成または産生される実施形態では、核酸は配列番号1のヌクレオチド1〜738を含む。
当技術分野で周知のいくつかの可能なベクター系(プラスミドベクター系など)は、哺乳動物細胞を含むいくつかの細胞における核酸からのC5結合ポリペプチドまたはC5a結合ポリペプチドの発現に利用可能である。
発現ベクターは、当該分野で周知の方法によって、核酸のその後の発現に適した様式で細胞に導入することができる。
抗体またはその抗原結合フラグメントは、任意の適切な宿主細胞中で発現され得る。適切な宿主細胞には、例えば、細菌(大腸菌など)、真菌(出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)およびピキア・パストリス(Pichia pastoris)など)、昆虫細胞(SF9など)、哺乳動物細胞株(例えば、ヒト細胞株)、初代細胞株(例えば、初代哺乳動物細胞)、チャイニーズハムスター卵巣(「CHO」)細胞および適切な骨髄腫細胞株(NSOなど)を含む酵母、細菌、昆虫、植物および哺乳動物細胞が含まれる。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントをトランスジェニック動物(例えば、トランスジェニック哺乳動物)で発現させ、そこから精製することができる。例えば、Houdebine(2002)Curr Opin Biotechnol 13(6):625〜629;van Kuik−Romeijnら(2000)Transgenic Res 9(2):155〜159;およびPollockら(1999)J Immunol Methods 231(1〜2):147〜157に記載されるように、C5結合ポリペプチドをトランスジェニック非ヒト哺乳動物(例えば、げっ歯類、ヒツジまたはヤギ)中で産生させ、乳から単離することができる。
抗体またはその抗原結合フラグメントを、ポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞を、そのタンパク質の発現を可能にするのに十分な条件下で、十分な量の時間培養することによって、細胞から産生することができる。タンパク質発現のためのこのような条件は、発現ベクターおよび宿主細胞の選択によって変化し、日常的実験を通して当業者によって容易に確認されるであろう。例えば、組換えDNA技術の包括的開示を有する、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley&SonsおよびMolecular Cloning−A Laboratory Manual−第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク(2001)を参照されたい。
発現後、抗体またはその抗原結合フラグメントを、当業者に公知の種々の方法で単離または精製することができる。
C5結合ポリペプチドならびに他のC5阻害剤は、ヒト補体成分C5タンパク質に特異的に結合し;抗C5a剤(抗C5a抗体など)は、ヒト補体成分C5aに特異的に結合する。「特異的結合」または「特異的に結合する」という用語は、当技術分野で公知であり、簡潔には、生理学的条件下で比較的安定な複合体(例えば、C5結合ポリペプチドを含むC5阻害剤と補体成分C5タンパク質との間の複合体)を形成する2つの分子を指し得る。
抗原に「特異的に結合する」ことおよび/または抗体の抗原に対する親和性を含む、抗体が結合するかどうかを決定する方法は、当技術分野で公知である。例えば、抗体と抗原の結合は、それだけに限らないが、ウエスタンブロット、ドットブロット、表面プラズモン共鳴(SPR)法(例えば、BIAcoreシステム;Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、SwedenおよびPiscataway、N.J.)または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)などの種々の技術を用いて検出および/または定量化することができる。例えば、HarlowおよびLane(1988)「Antibodies:A Laboratory Manual」Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.;Benny K.C.Lo(2004)「Antibody Engineering:Methods and Protocols」、Humana Press(ISBN:1588290921);Borrebaek(1992)「Antibody Engineering,A Practical Guide」、W.H.Freeman and Co.、NY;Borrebaek(1995)「Antibody Engineering」、第2版、Oxford University Press、NY、Oxford;Johneら(1993)J Immunol Meth 160:191〜198;Jonssonら(1993)Ann Biol Clin 51:19〜26;およびJonssonら(1991)Biotechniques 11:620〜627を参照されたい。
本明細書に開示される方法に使用するための薬剤を作製、同定、精製、修飾などする方法は、当技術分野で周知である。
医薬組成物および製剤
本明細書に開示される方法に使用するための阻害剤を含む組成物を、AMDを治療するために対象に投与するための医薬組成物として製剤化することができる。任意の適切な医薬組成物および製剤、ならびに適切な製剤化する方法および適切な投与経路および投与部位は、本発明の範囲内であり、当技術分野で公知である。また、投与の任意の適切な1つまたは複数の投与量および投与頻度が熟慮される。
医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含むことができる。「薬学的に許容される担体」とは、生理学的に適合する任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを指し、これらを含む。組成物は、薬学的に許容される塩、例えば、酸付加塩または塩基付加塩(Bergeら(1977)J Pharm Sci 66:1〜19参照)を含むことができる。
ある実施形態では、タンパク質組成物であるものを、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、凍結乾燥(フリーズドライ)粉末、または高濃度での安定した貯蔵に適した他の秩序構造として安定化および製剤化することができる。滅菌注射溶液は、本明細書で開示される方法に使用するためのC5結合またはC5a結合ポリペプチドを、必要に応じて上に列挙される成分の1つまたは組み合わせを含む適切な溶媒に必要量組み込み、引き続いて濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、C5結合ポリペプチドを、塩基性分散媒および上記で列挙したものの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことによって調製される。滅菌注射溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製方法は、予め滅菌濾過したその溶液からの阻害剤ポリペプチドと任意のさらなる所望の成分の粉末を生じる真空乾燥および凍結乾燥を含む。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合には必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。注射用組成物の持続的吸収を、組成物中に吸収を遅延させる試薬、例えばモノステアリン酸塩およびゼラチンを含めることによってもたらすことができる。非タンパク質阻害剤は、同じまたは類似の方法で製剤化することができる。
エクリズマブ、その抗原結合フラグメント、その抗原結合変異体、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含むポリペプチド、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含む融合タンパク質、またはエクリズマブもしくはエクリズマブ変異体の一本鎖抗体バージョンなどのC5結合ポリペプチドを含むC5阻害剤、およびC5a阻害剤を、水性医薬溶液中比較的高濃度を含む任意の所望の濃度で製剤化することができる。例えば、エクリズマブ、その抗原結合フラグメント、その抗原結合変異体、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含むポリペプチド、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含む融合タンパク質、またはエクリズマブもしくはエクリズマブ変異体の一本鎖抗体バージョンなどのC5結合ポリペプチドを、約10mg/mL〜約100mg/mLまたはそれ以上(例えば、約9mg/mL〜約90mg/mL;約9mg/mL〜約50mg/mL;約10mg/mL〜約50mg/mL;約15mg/mL〜約50mg/mL;約15mg/mL〜約110mg/mL;約15mg/mL〜約100mg/mL;約20mg/mL〜約100mg/mL;約20mg/mL〜約80mg/mL;約25mg/mL〜約100mg/mL;約25mg/mL〜約85mg/mL;約20mg/mL〜約50mg/mL;約25mg/mL〜約50mg/mL;約30mg/mL〜約100mg/mL;約30mg/mL〜約50mg/mL;約40mg/mL〜約100mg/mL;約50mg/mL〜約100mg/mL;または約20mg/mL〜約50mg/mL)の濃度で、溶液中で製剤化することができる。本発明の方法で使用されるC5結合ポリペプチドは、約5超(または少なくともこれに等しい)(例えば、以下のいずれか超または少なくともこれに等しい:5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、約26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、120、130、140もしくは150またはそれ以上)mg/mlで溶液中に存在し得る。エクリズマブ、その抗原結合フラグメント、その抗原結合変異体、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含むポリペプチド、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含む融合タンパク質、またはエクリズマブもしくはエクリズマブ変異体の一本鎖抗体バージョンなどのC5結合ポリペプチドを、約2超(例えば以下のいずれか超;2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44もしくは45またはそれ以上)mg/mLであるが、約55未満(例えば、以下のいずれか未満:55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6または約5未満)mg/mLの濃度で製剤化することができる。したがって、いくつかの実施形態では、エクリズマブ、その抗原結合フラグメント、その抗原結合変異体、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含むポリペプチド、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含む融合タンパク質、またはエクリズマブもしくはエクリズマブ変異体の一本鎖抗体バージョンなどのC5結合ポリペプチドを、約5mg/mL超約55mg/mL未満の濃度で、水溶液中で製剤化することができる。エクリズマブ、その抗原結合フラグメント、その抗原結合変異体、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含むポリペプチド、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含む融合タンパク質、またはエクリズマブもしくはエクリズマブ変異体の一本鎖抗体バージョンなどのC5結合ポリペプチドを、約50mg/mLの濃度で、水溶液中で製剤化することができる。任意の適切な濃度が熟慮される。タンパク質を水溶液中で製剤化する方法は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第7390786号明細書;McNallyおよびHastedt(2007)、「Protein Formulation and Delivery」、第2版、Drugs and the Pharmaceutical Sciences、第175巻、CRC Press;ならびにBanga(1995)、「Therapeutic peptides and proteins:formulation,processing,and delivery systems」、CRC Pressに記載されている。
阻害剤薬剤の投与量レベルは、任意の適切なレベルであり得る。ある実施形態では、エクリズマブ、その抗原結合フラグメント、その抗原結合変異体、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含むポリペプチド、エクリズマブの抗原結合フラグメントもしくはエクリズマブ変異体の抗原結合フラグメントを含む融合タンパク質、またはエクリズマブもしくはエクリズマブ変異体の一本鎖抗体バージョンなどのC5結合ポリペプチドの投与量レベルが、一般的に約1mg/kg〜約100mg/kg/患者/治療であり得、約5mg/kg〜約50mg/kg/患者/治療であり得る。
達成される最高レベルまたは維持されるレベルにかかわらず、阻害剤薬剤の患者における血漿濃度は、任意の望ましいまたは適切な濃度であり得る。このような血漿濃度は、当該分野で公知の方法によって測定することができる。
いくつかの実施形態では、C5阻害剤またはC5a阻害剤のいずれかである阻害剤を、静脈内注射または静脈内注入によって、対象に静脈内投与する(「対象」という用語は本明細書では「患者」という用語と互換的に使用される)。いくつかの実施形態では、C5阻害剤またはC5a阻害剤のいずれかである阻害剤を、注射によって、対象に硝子体内または眼内投与する。いくつかの実施形態では、C5阻害剤またはC5a阻害剤のいずれかである阻害剤薬剤を、静脈内および硝子体内または眼内投与する。
C5阻害剤またはC5a阻害剤のいずれかである阻害剤薬剤を、単独療法として対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、1種または複数のさらなる治療薬などの1つまたは複数のさらなる治療薬を対象に投与するステップを含むことができる。
さらなる治療は、AMDの実験的治療またはAMDの症状の治療を含む任意のさらなる治療であり得る。他の治療は、患者の健康を改善または安定化する任意の治療(任意の治療薬)であり得る。1種または複数のさらなる治療薬は、水および/または生理食塩水、アセトアミノフェン、慣用的なAMD治療薬(EYLEA(登録商標)、Lucentis(登録商標)およびMacugen等)などのIV流体を含む。1種または複数のさらなる治療薬を別の治療用組成物としてC5阻害剤またはC5a阻害剤と一緒に投与することができる、あるいは1つの治療用組成物を、(i)1種もしくは複数の抗C5剤または抗C5a剤と(ii)1種または複数のさらなる治療薬の両方を含むように製剤化することができる。さらなる治療薬は、抗C5剤または抗C5a剤の投与の前、投与と同時、または投与後に投与することができる。さらなる薬剤と抗C5薬剤または抗C5a薬剤は、同じ送達方法もしくは送達経路を使用して、または異なる送達方法もしくは送達経路を使用して投与することができる。さらなる治療薬は別のC5阻害剤または別のC5a阻害剤(抗C5a剤)を含む別の補体阻害剤であってもよい。
いくつかの実施形態では、C5阻害剤またはC5a阻害剤を、患者のAMDを治療するために有用な1種または複数のさらなる活性剤と共に製剤化することができる。
C5阻害剤またはC5a阻害剤を第2の活性剤と組み合わせて使用する場合、剤を別々にまたは一緒に製剤化することができる。例えば、それぞれの医薬組成物を、例えば投与直前に混合し、一緒に投与することができる、または同じ経路もしくは異なる経路によって、同時にもしくは異なる時間に、別々に投与することができる。
いくつかの実施形態では、成分は全体としてAMDを治療するのに治療上有効となるように、組成物を治療量以下のC5阻害剤またはC5a阻害剤と、治療量以下の1種または複数のさらなる活性剤とを含むよう製剤化することができる。治療用抗体などの薬剤の治療上有効用量を決定する方法は、当技術分野で公知である。
組成物を、一部は投与経路に依存する種々の方法を用いて、対象、例えばヒト対象に投与することができる。経路は、例えば静脈内(「IV」)注射もしくは注入、皮下(「SC」)注射、腹腔内(「IP」)注射、肺送達(肺内注射などによる)、眼内注射、関節内注射、硝子体内注射、または筋肉内(「IM」)注射であり得る。
対象のAMDを治療または予防することができる適切な用量のC5阻害剤またはC5a阻害剤は、例えば治療される対象の年齢、性別および体重、ならびに使用される特定の阻害剤化合物を含む種々の因子に依存し得る。対象に投与される用量に影響を及ぼす他の因子には、例えばAMDのタイプまたは重症度が含まれる。他の因子には、例えば、同時にまたは以前対象が罹っていた他の医学的障害、対象の遺伝的素因、投与時間、排泄率、薬物組み合わせ、および対象に投与される任意の他のさらなる治療薬が含まれ得る。任意の特定の対象のための具体的な投与量および治療レジメンは、治療する医師(例えば、医師または看護師)の判断によることも理解されるべきである。
C5阻害剤またはC5a阻害剤は、固定用量として、またはミリグラム/キログラム(mg/kg)用量で投与することができる。いくつかの実施形態では、用量を、組成物中の活性抗体の1つまたは複数に対する抗体の産生または他の宿主免疫応答を低減または回避するよう選択することもできる。
医薬組成物は、治療上有効量のC5阻害剤またはC5a阻害剤を含むことができる。このような有効量は、当業者によって容易に決定され得る。
本明細書で使用される「治療上有効量」もしくは「治療上有効用量」という用語または類似の用語は、所望の生物学的応答または医学的応答を誘発するC5阻害剤またはC5a阻害剤の量を意味することを意図している。C5阻害剤またはC5a阻害剤の治療上有効量は、患者の視力を改善または維持し、眼内のIL−17レベルを低下させ、眼の炎症を減少させ、眼内のγδT細胞のレベルを低下させ、脾臓内のTh17細胞およびγδT細胞の産生を減少させ、CNVサイズを減少させる、またはこれらの任意の組み合わせの量(または複数回投与の場合、種々の量)を含むことができる。これらのパラメータの全ては、当業者に公知の方法によって確認または測定することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、治療上有効量のC5阻害剤またはC5a阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物が全体として治療上有効となるように、組成物がC5阻害剤またはC5a阻害剤のいずれかと、1種または複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくは11またはそれ以上の)追加の治療薬とを含む。例えば、組成物は、C5阻害剤またはC5a阻害剤と、免疫抑制剤とを含むことができ、ポリペプチドおよび薬剤は、それぞれ、組み合わせた場合に、対象のAMDを治療または予防するために治療上有効な濃度である。
本明細書で使用される「対象」は、ヒトであり得る。「患者」という用語は、本明細書では「対象」という用語と互換的に使用される。ある実施形態では、患者(または対象)がヒト患者(またはヒト対象)である。
実施例
本発明をより良く理解するために、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示のみを目的とするものであり、少しも本発明の範囲を限定するものと解釈されない。
実施例1 C5阻害剤および/またはC5a阻害剤によるマウスモデルの滲出型AMDの治療
血管新生加齢黄斑変性(AMD)は、脈絡膜新生血管(CNV)を特徴とする。過活動補体系はAMD病因に寄与し、IL−17を含む血清炎症促進性サイトカインがAMD患者で上昇する。IL−17は、アナフィラトキシンC5a受容体発現T細胞によって産生される。
CNV病変を、レーザー光凝固を用いてマウスで生成し、イメージングによって定量化し;Tリンパ球をQRT−PCRによって特徴付けた。CNVは、脾臓IL−17産生γδTおよびTh17細胞の増加をもたらしたが、CNV眼では、上昇したレベルのγδT細胞のみ観察することができた。
眼内のC5a産生レベルを低下させるための抗C5または抗C5a遮断抗体の投与によって、脾臓Th17およびγδT細胞のCNV誘導産生が鈍り、CNVサイズが減少し、眼のγδT細胞浸潤が排除された。ARPE−19細胞単層において、IL−17が炎症促進状態を誘因し、T細胞増殖が眼タンパク質に応答して上昇した。まとめると、CNV病変が全身免疫応答を誘因し、おそらくC5a依存的に眼に動員されるIL−17産生γδT細胞の浸潤を介して局所的眼炎症を増強する。
C57BL/6Jマウスを交配対(Jackson Laboratories、Bar Harbor、ME)から作製した。動物を12:12時間、明:暗サイクルの下に収容し、自由に食物および水を入手できるようにした。
CNV病変を、Rohrer,B.ら Invest Ophthalmol Vis Sci 50、3056〜3064に記載されるように誘発した。簡単に述べると、アルゴンレーザー光凝固法(532nm、100μmスポットサイズ、0.1秒持続時間、100mW)を用いて、3〜4ヶ月齢のマウスを麻酔し(キシラジンおよびケタミン、それぞれ20mg/kgおよび80mg/kg)、瞳孔を拡張させ(2.5%フェニレフリンHClおよび1%アトロピン硫酸塩)、コンタクトレンズとして携帯型カバーガラスを使用して、視神経の周りに1眼あたり4つのレーザースポットを作成した。ICAM2染色または光干渉(OCT)分析によって、病変を生じないレーザースポット(泡の形成によって示される)または血管が偶発的に破裂したレーザースポットをサイズ決定から除外した。
CNVサイズの決定を、ICAM2染色またはOCT分析によって達成した。簡潔に述べると、免疫蛍光のために、眼球除去し、4%パラホルムアルデヒド中で固定し、洗眼用コップをCD102(ICAM2とも呼ばれる;1:200で0.5mg/mL;BD Pharmingen、San Diego、CA)について染色し、引き続いてAlexa−488結合二次抗体(1:400で2mg/mL;Invitrogen、Grand Island、NY)で可視化した。CNV病変の深さ全体にわたる2mの光学切片のZ−スタックを共焦点顕微鏡法(40倍の油レンズ;全ての実験について固定レーザー強度設定)を用いて得た。各光学切片について、蛍光の量を決定し、これを深さに対するピクセル強度を決定するために使用した(曲線下面積は、間接的な体積測定を提供する)。Rohrer,B.ら Invest Ophthalmol Vis Sci 50、3056〜3064、(2009)。CNV病変から離れたZ−スタックをバックグラウンド減算のために集めた。OCTを用いたサイズ決定のために、SD−OCT Bioptigen(登録商標)スペクトル領域眼科撮像システム(Bioptigen Inc.、Durham、NC)を利用した。マウスを麻酔し、生理食塩水で眼を水和させた。Bioptigen(登録商標)InVivoVueソフトウェアを使用して、長方形体積スキャンを行い(1.6×1.6mm、100回のBスキャン、Bスキャン1回あたり1000回のAスキャン)、システムの顔面眼底再構築ツールを用いて病変の中心を決定し、画像を保存した。次いで、ImageJソフトウェア(Wayne Rasband、National Institutes of Health、Bethesda、MD)を使用して、眼底画像で生成された過反射スポット周りの面積を測定した。Giani,Aら Invest Ophthalmol Vis Sci 52、3880〜3887。両画像化モダリティのデータを平均±SEMとして表した。
CLS026はマウスC5aに特異的なモノクローナル抗体である。CLS026を、ヒトC5に対する陰性選択を用いる従来のパニング技術を用いてファージディスプレイライブラリーから得て、完全長IgGに変換した。このネオエピトープ特異的抗体は、バイオレイヤー干渉法で示されるように、その標的であるマウスC5aに1桁のnM親和性で結合する。CLS026をCHO細胞中で培養し、mabselect Xtra(GE)プロテインA樹脂を用いた一段階アフィニティークロマトグラフィーを用いて精製した。CLS026は、エンドトキシンを含まず、キャピラリー電気泳動を使用して純度95%超であると測定された。
ELISAを用いてマウスC5aのレベルを測定した。RPE/脈絡膜組織ホモジネート中のマウスC5aの定量的特定のために、サンドイッチ酵素イムノアッセイを製造者の指示(Kamiya Biomedical Company;Seattle、WA)に従って使用した。要するに、プレコートされたプレートを37℃で2時間抗原に暴露し、洗浄し、C5aに対する検出抗体、引き続いてペルオキシダーゼ結合二次抗体とインキュベートし、TMB基質を用いて発色させた。眼試料中のC5aの濃度は、試料のO.D.を検量線(キットで提供されるキャリブレーター)と比較することによって決定した。
定量的RT−PCR(QRT−PCR)を使用して、対象となる遺伝子のmRNAレベルを評価した。対照およびCNV眼から単離したARPE−19細胞またはRPE−脈絡膜−強膜(RPE−脈絡膜と呼ばれる)画分を利用し、前記のように処理した。Dunkelberger、J.R.&Song、W.C.Cell Res 20、34〜50、doi:10.1038/cr.2009.139(2010);Rohrer,B.ら Invest Ophthalmol Vis Sci 50、3056〜3064、(2009)。要するに、標準的なサイクリング条件を用いて、GeneAmp(登録商標)5700配列検出システム(Applied Biosystems、Foster City、CA)でリアルタイムPCR分析を3連で行った。サイクル数により定量値を得た。有意性は、±2倍の差異と関連比較間のP<0.05の両方を要した。使用したプライマーを表1に列挙する。
RPE細胞の分化した表現型を示すヒトRPE細胞株であるARPE−19細胞を、以前記載されたように増殖させた。Thurman,J.M.ら、J Biol Chem 284、16939〜16947、(2009)。細胞を10%ウシ胎児血清(FBS)および1×ペニシリン:ストレプトマイシンを含むDMEM−F12(Gibco)中でコンフルエンスに達するまで増殖させた。安定したバリア施設の形成を促進するために、血清は2%に減少した。バリア機能を、経上皮抵抗(TER)測定値に基づいて評価した。細胞を既知の濃度のIL−17で処理することができるように、2%FBSを2日間完全に除去したが、これは生存も単層形成も変化させない。
以前に公開されたように、T細胞増殖アッセイを実施した。Haq,E.、Rohrer,B.、Nath,N.、Crosson,C.E.&Singh,I.J.Ocul Pharmacol Ther 23、221〜231(2007)。簡潔には、脾細胞の細胞懸濁液を調製し、細胞濃度を5×106個細胞/mLに調整した。RPMI−1640(Gibco BRL Carlsbad、CA)、10%FBS、1×ペニシリン:ストレプトマイシン、1mMグルタミン、1mM非必須アミノ酸および500μM 2−ME(Sigma−Aldrich;St.Louis、MO)を含有するRPMI完全培地で細胞を増殖させた。脾細胞をIRBP161−180(20g/mL)、S抗原(濃度)および可溶化RPE/脈絡膜または網膜抽出物の上清で72時間(h)刺激した。48時間の増殖のために、1Ciの[メチル−3H]チミジン(Amersham Biosciences Pittsburgh、PA)をプレートの各ウェルに添加し、チミジンのDNAへの平均取り込みを、1450 Microbeta Wallac Trilux Liquidシンチレーションカウンター(Perkin−Elmer Life Sciences、Waltham、MA)によって72時間で測定した。
次に、補体溶血アッセイを使用した。レシピエントマウス血清中の末端補体活性を、標準的な方法によって決定し、以前記載されたように赤血球特異的Abで前感作したニワトリ赤血球を溶解する能力を評価した。Wang,H.ら Transplantation 68、1643〜1651(1999)。簡潔には、0.1%ゼラチン、141mM NaCl、0.5mM MgCl2、0.15mM CaCl2および1.8mMナトリウムバルビタールを含有するゼラチンベロナール緩衝生理食塩水(GVBS)中100、2および0μg/mlの精製抗C5 mAbをそれぞれ低、中、および100%溶解対照として使用した。GVBS中にマウス試験血清を1/10に希釈することによって、実験試料を調製した。対照および実験試料を、GVBS中等体積の10%正常Balb/cマウス血清および10%ヒトC5欠損血清を含有する96ウェルプレートのウェルに3連で添加した。500mM EDTA 2μlを、100%溶解試料と実験試料の両方の3連の第3のウェルに添加して、各条件について「溶血なし」カラーコントロール標準を生成した。ニワトリ赤血球をGVBSで洗浄し、抗ニワトリRBCポリクローナル抗体(Intercell Technologies;0.1%v/v)と4℃で15分間インキュベートして感作させ、再度洗浄し、GVBS中に最終濃度約7.5×107個細胞/mlで再懸濁した。感作したニワトリ赤血球(約2.5×106個細胞)を対照および試料を含むプレートに添加し、プレートシェーカー上で短時間混合し、37℃で30分間インキュベートした。次いで、プレートを再び混合し、3000rpmで3分間遠心分離し、上清80μlを96ウェル平底マイクロタイタープレート(BD Biosciences)のウェルに移した。プレートをマイクロプレートリーダーを用いてOD415で読み取り、以下の式を用いて溶血の百分率を決定した:溶血%=100×(OD試料−OD試料カラーコントロール)/(OD100%溶解対照−OD100%溶解カラーコントロール))。
複数の群からなるデータについて統計解析を行い、一元配置ANOVAに続いてフィッシャーのポストホック検定(P<0.05)を使用した;単一の比較をスチューデントのt検定分析(P<0.05)によって分析した;正規化したデータを、Z検定を用いて分析した(P<0.05)。
結果
CNV眼におけるIL−17発現は、γδT細胞マーカーの存在と相関する。
マウスにおける重度のCNV(1眼あたり40〜50個の熱傷)の誘発は、プールされた眼試料におけるフローサイトメトリーによって測定可能な眼浸潤炎症細胞の一過性の増加をもたらす。病変の誘発から12時間後と7日後の間に少数のT細胞が存在することが判明した。調査下のT細胞型に特有のマーカー遺伝子の存在を使用し、4つの慎重に配置された病変を有するCNV眼を非病変年齢適合対照と比較した。
CNVを有する眼のT細胞の存在および型を調べるために、RPE脈絡膜試料をQRT−PCRを用いて分析した。データの解析では、CD3a(成熟T細胞)およびCD4(T調節細胞およびTヘルパー細胞)の発現が対照(CD3a:8.0±1.4;CD4:9.1±1.8)と比較してレーザー照射眼で上昇していることによって示されるように、CNV誘発の6日後にT細胞が存在していた。IL−17産生T細胞であるTh17およびγδT細胞を、それぞれ転写因子RAR関連オーファン受容体ガンマ(RORγ)およびγδT細胞受容体(γδTR)の存在に基づいて識別することができた(図1)。図1に示されるように、CNV後のIL−17、RORγおよびγδTR(γδT細胞受容体)の発現を、12時間、24時間、2日、3日および6日間で測定した。IL−17 mRNAのレベルは、CNVの24時間後にピークに達し、6日間にわたって上昇したままであった。γδTRレベルは、6日目まで同様に上昇し、24時間でピークが観察された。RORγレベルは、CNVの存在下で変化しないままであった。示されるデータは、1試料あたりの平均値(±SEM)である。したがって、IL−17 mRNAのレベルは、CNV誘発の24時間後にピークに達し、6日まで連続的に上昇した(最新の時点を測定した)。IL−17のレベルの上昇は、γδT細胞受容体のレベルと相関していたが、RORγのレベルは病変によって変化しなかった。
脾臓は、B細胞およびT細胞を含み、これらは、血液からこれらを濾過することによって直接抗原に暴露される、または移動性マクロファージもしくは樹状細胞による送達によって間接的に暴露される。抗原提示で、T細胞が活性化され、クローン増殖をもたらし得る。CNV病変誘発の6日後、IL−17、RORγおよびγδTRの同等の増加が脾臓で測定され、脾臓内のT細胞の全体的活性化を示唆した(IL−17:4.04±0.39;RORγ:4.96±1.16;γδTR:4.68±0.34)(図6も参照されたい)。図6はT細胞に対するC5aおよびC5の効果を示している。CNV誘発の6日後に脾臓(b)および眼(a)試料を単離し、Th−17(RORγ)およびγδT細胞(γδTR)に特異的なプライマーを用いてQRT−PCRによって分析した。(a)CNV後、抗C5および抗C5aで処理したマウスは、IL−17およびγδTR遺伝子発現の眼レベルの有意な低下を示したが、RORγレベルは変化しなかった。(b)。CNVマウスのT細胞特異的遺伝子の脾臓レベルは、抗C5および抗C5aで処理したマウスにおいてRORγレベルが対照レベルに戻るが、γδTRは上昇したままであることを示した。
CNVマウスの脾臓を回収し、得られた脾細胞を抗原刺激の添加により生体外で刺激した(図2)。CNV動物の脾臓に由来するT細胞を種々の眼抗原によって刺激し、T細胞増殖を測定した。図2に示されるように、RPE/脈絡膜(RPE)抽出物および網膜タンパク質IRBPおよびS抗原によって刺激された脾細胞は、対照と比較して増殖の中等度の増加(2〜3倍)を示した;一方、網膜抽出物による刺激はT細胞増殖のずっと大きな(6倍)増加をもたらした。示されるデータは、1試料あたりの平均値(±SD)であった。眼の抗原に対する一般的な刺激は、網膜およびRPE脈絡膜抽出物を用いて提供したが、動物において実験的自己免疫ブドウ膜炎(EAU)を引き起こす2つの周知の抗原タンパク質であるIRBPおよびS抗原を用いて特異的抗原刺激を提供した。IRBPは相互光受容体マトリックスの糖タンパク質であり、S抗原は可溶性光受容体細胞タンパク質である。タンパク質および/または他の可溶性網膜およびRPE由来タンパク質の両方は、その血液網膜バリアを壊すCNV病変を生成すると血流にアクセスすることができる。CNV動物由来のT細胞において、RPE細胞抽出物への暴露は細胞増殖のわずかな増加を引き起こしたが、網膜抽出物は大量の増加を誘因した。精製網膜タンパク質(IRBPおよびS抗原)は、網膜抽出物群に見られる増殖の大きな増加を模倣しなかったが、両方とも有意ではあるがわずかな増加を引き起こした。
したがって、CNVは、適応免疫応答を含む免疫応答を誘因し、T細胞の増殖および活性化をもたらす。脾臓内、したがっておそらくは血流中のTh17細胞とγδT細胞の両方の増加にもかかわらず、γδT細胞の眼への選択的移動のみがCNVに関連する。
CNV眼におけるIL−17発現は、C5a産生またはシグナル伝達を遮断することによって減少する。
γδT細胞をCNVマウスの眼に動員する。T細胞は、その細胞表面上にC5a受容体(C5aR)を発現することが示されており、これによってCNV病変の誘発後に眼内に存在するC5aの供給源に向かって移動することができるだろう。C5a産生およびC5a受容体シグナル伝達は、C5転換酵素の上流の補体活性化を阻害する、またはC5、C5aもしくはC5aRに対するブロッキング抗体もしくはアンタゴニストをそれぞれ用いることによって減少させることができる。
C5(マウスIgG1)に対するブロッキング抗体およびマウスC5a(マウスIgG1)に対する新規な抗体を使用した。抗C5抗体は、C5依存性抗リン脂質抗体媒介性血栓症をうまく遮断するために使用されるものである。抗体依存性細胞傷害性および補体依存性細胞傷害性がほとんどまたは全くないため、マウスIgG1抗体を使用した。
抗C5ブロッキング抗体の有効性を確認するために、マウスに抗C5および対照抗体を注射し、マウスからの血液を溶血アッセイのために回収した。これは、古典的経路の血清補体成分が、膜攻撃複合体依存的様式で、ヒツジ赤血球を溶解する機能的能力を試験する。抗C5抗体を注射したマウスの血清はヒツジ赤血球を溶解することができず、補体活性化の遮断の成功を確認した一方で、対照抗体またはC5aに対する抗体を注射したマウスでは溶解が起こった(図3A)。
バイオレイヤー干渉法(bio−layer interferometry)を用いて、マウスC5aに特異的なモノクローナル抗体がその標的であるマウスC5aに1桁のnM親和性で結合することを確認した(図3B)。
図3は抗体の特徴付けを示している。
図3Aは、PBS、抗C5、抗C5aおよび抗体対照12B4を注射したマウスの血清を、溶血アッセイの使用を通して補体活性化について分析した。抗C5抗体処置動物の血清は、ヒツジ赤血球を溶解することができず、補体活性化の遮断を成功させることが示された。抗C5a、PBSまたは12B4を注射したマウスにおける溶解の間に有意な差は報告されなかった。示されるデータは、1試料あたりの平均値(±SEM)であった。図3Bは、バイオレイヤー干渉法(bio−layer interferometry)を用いて、マウスC5aに特異的なモノクローナル抗体の特異性がその標的であるマウスC5aに1桁のnM親和性で結合することを確認した(データは示さず)。
抗体がブロッキング抗体として使用され得るおよび/またはその標的に結合することができることを確認した後、マウスCNVモデルで抗体を試験した。3ヶ月齢の4コホートのマウス(PBS、対照抗体、抗C5または抗C5aを48時間毎に静脈内注射したマウス)において、レーザー光凝固後のCNV発達を評価した。レーザー誘発CNV後5日目に、抗C5、抗C5aまたは12B4(対照)の存在下で、OCTを用いてCNVサイズを測定した(図4A)。OCT像は、対照(a)と比較した場合、抗C5および抗C5aの処理による病変サイズの減少を示す。レーザー誘発CNV誘発の6日後、マウスを屠殺し、組織を回収した。対照抗体注射マウス(5572±630.6;P≦0.01;図4B)と比較すると、マウスIgG1抗C5(3666±359.9ピクセル)またはC5aブロッキング(3453±253.8)抗体で処理したマウスにおいて、CNV発達が有意に減少したことが実証された。これらの結果の定量化(b)は、抗C5および抗C5a(P≦0.01)を注射した場合、病変サイズのほぼ40%の減少を示した。示されるデータは、1病変あたりの平均値(±SEM)であった。
RPE/脈絡膜のELISA測定により、CNV誘発がC5aレベルの上昇をもたらすことが確認された。C5aの生成を防止するC5ブロッキング抗体による処理は、C5aレベルのCNV誘発増加の排除をもたらした一方、C5aブロッキング抗体で処理した動物は、上昇したC5aレベルを維持したが、C5aはおそらく抗体に結合し、それによって不活性化される(図5)。
図5は、抗C5を注射した動物が、より低い眼抗C5aレベルを有することを示している。RPE/脈絡膜のELISA測定は、CNV誘発後のC5aレベルの上昇を示した(P≦0.001)。この増加は抗C5処理マウスで排除された;一方、抗C5aおよび12B4対照抗体で処理したマウスは、眼C5aの対照レベルを有していた。示されるデータは、平均値(±SEM)であった。
抗C5と抗C5aの両方が、脾臓γδTRレベルのCNV誘因型増加を減少させるのに、小さいが有意な効果を有した一方、RORγレベルのCNV誘因型増加は処理マウスにおいて完全に防止された(図6B)。さらに、阻害剤処理は、CNVマウスの眼内のIL−17およびγδTRの上昇を完全に防止した(図6B);明らかに眼内のC5aレベルは、C5a受容体保有T細胞の動員に寄与する。
図6はT細胞に対するC5aおよびC5の効果を示している。CNV誘発の6日後に脾臓(b)および眼(a)試料を単離し、Th−17(RORγ)およびγδT細胞(γδTR)に特異的なプライマーを用いてQRT−PCRによって分析した。(a)CNV後、抗C5および抗C5aで処理したマウスは、IL−17およびγδTR遺伝子発現の眼レベルの有意な低下を示したが、RORγレベルは変化しなかった。(b)。CNVマウスのT細胞特異的遺伝子の脾臓レベルは、抗C5および抗C5aで処理したマウスにおいてRORγレベルが対照レベルに戻るが、γδTRは上昇したままであることを示した。
IL−17は眼の炎症を促進する
Hasegawaらは近年、γδT細胞の枯渇が眼内のIL−17レベルを低下させ、実験的CNVを改善することを示した。RPE細胞におけるIL−17の血管新生促進効果が、成熟単層として増殖したARPE−19細胞を刺激し(Thurman,J.M.ら J Biol Chem 284、16939〜16947,、(2009))、マーカー遺伝子についての遺伝子発現およびバリア機能を測定することによって確認された。
ここで、IL−17刺激後、眼内のC3遺伝子発現の40倍超の増加ならびに眼内のIl−17の約10倍の増加が観察された一方、VEGFおよびCFH mRNAの発現レベルは眼内で影響を受けなかった(図7A)。IL−17A 5ngを単層の頂端チャンバーに添加すると、ボルト−オームメーターを用いて測定される、経上皮抵抗の有意な減少が生じた(図7B)。
図7はRPE細胞に対するIL−17の効果を示している。図7Aは、成熟ARPE−19細胞単層で頂端IL−17暴露(5ng/mL)後の遺伝子発現の変化を測定した。C3ならびにIL−17発現レベルは、対照よりも倍数変化の増加を示したが、VEGFおよびCFHは変化しなかった。図7Bは、経上皮抵抗測定値は、4時間後に5ng/mL IL−17の頂端適用に応答してバリア機能の喪失を示した。
CNVは、おそらく可溶性網膜またはRPEタンパク質の放出を介して脾臓での免疫応答を誘発し、IL−17産生γδTおよびTh17細胞の増加をもたらした;しかし、全身γδTおよびTh17細胞のこの増加にもかかわらず、CNV眼へのγδT細胞の移動の証拠のみが存在する。
C5に対するブロッキング抗体またはC5aシグナル伝達の減少は、マウスの眼のCNVを減少させ、脾臓内のTh17−およびγδT細胞のCNV誘導産生を鈍らせ、γδT細胞のCNV眼への流入を妨げた。
ICOS−/−マウスにおけるIL−17産生の減少は、有意に小さいCNV病変およびCNV眼へのγδT細胞の侵入の欠如をもたらし;外因性IL−17の適用はRPE細胞の炎症促進状態を誘因し、VEGFおよびC3産生の増加をもたらした。
したがって、CNV病変は、脾臓免疫応答を誘因し、これが局所的に産生される走化性因子C5aによって眼に動員されるIL−17産生γδT細胞の浸潤を介して眼炎症を増加させる。
nAbのネオエピトープがCNV病変に存在し、rag1−/−がCNVサイズの増加のためにこれらの特異的nAbで再構成され得る。Joseph,K.ら、J Biol Chem、doi:M112.421891 [pii]10.1074/jbc.M112.421891(2013)。網膜およびRPE由来抗原に対するTリンパ球の増殖性脾臓応答が生じたが、B細胞に対するさらなる効果が生じたらしい。
AMDにおけるIL−17
IL−17は、関節リウマチ、ブドウ膜炎およびおそらくAMDを含むいくつかの異なる疾患の病因に関連する主要な炎症促進性サイトカインである。滲出型については、VEGF産生および分泌ならびに内皮細胞増殖および血管形成の増加を伴うAMDの発達に関連するIL−17は、他の系において、ヒト真皮内皮細胞を用いて、VEGFの産生を増加させるだけでなく血管新生、細胞移動、および細胞侵入を誘導することが示されている。AMDに関連する動物モデルでは、IL−17は、加齢黄斑変性中ならびにCNV中にマウスの眼に蓄積することが見出されており、IL−17シグナル伝達を妨害することによってCNVの進行を減少させることができる。最後に、AMD患者では、IL−17の血清レベルの上昇ならびにIL−17受容体Cの低メチル化が報告されている。IL−17を産生するいくつかの異なるエフェクター細胞がある;IL−17産生T細胞(Th17)、γδT細胞ならびに自然リンパ球(ILC)。AMDに関連するマウスモデルでは、眼内のIL−17は、Th17細胞ではなくむしろγδT細胞の浸潤によるものである。
対照動物の眼で観察されるIL−17の増加は、Th17細胞に特異的なマーカー(RORγ)ではなくγδT細胞受容体の増加と相関しているので、Th17細胞ではなくγδT細胞が、CNVに応答して眼内でIL−17を産生するT細胞である。同様に、IL−17は、バリア機能に影響を与え、VEGFおよび補体産生を増加させ、炎症および補体活性化の悪循環を全体的に発生させることによって、RPEにおいて炎症促進性環境を明らかに作り出す。
補体と走化性因子としてのIL−17−C5aをどのように結び付けるか
過活動補体系がAMDの発生と結び付いていることが現在受け入れられている。ブルッフ膜の領域には高濃度の補体調節タンパク質および膜攻撃複合体(MAC)が存在し、RPEおよび膜攻撃複合体の沈着密度はAMDリスク遺伝子型と相関する。補体(AP)の代替経路はAMDの病因にとって重要であると仮定されている。さらに、危険因子としてのCFB、C2、C3、CFHR1/3の遺伝子の変異も報告されており、AMDとSERPING1(C1阻害剤)との間に逆相関が存在する。最後に、アナフィラトキシンタンパク質C3aおよびC5aが、AMDに関連する病理学的構造において報告されている。補体活性化の間に産生される生物学的エフェクター分子のうち、アナフィラトキシンのみが血管新生および走化性特性を示すことが示されている。C5aはAMD患者由来のCD4+T細胞からのIL−22およびIL−17発現を促進することが示されており、C5aはARPE−19細胞による別のサイトカイン、IL−8ならびにVEGFの産生を促進することが示されている。C5aの走化性特性に関しては、T細胞はC5a受容体を発現することが示されているが、T細胞が実際にC5a勾配に従ってAMDまたはAMDのモデルの眼に入るという考えを支持する眼空間で入手可能なデータはない。
ここでのデータは、CNVに応答して眼内で産生されるアナフィラトキシンC5aが、C5ブロッキング抗体に応答して、または補体活性化の低下に応答して減少することを初めて示唆する。眼内のアナフィラトキシンC5aのこの上昇したレベルは、炎症促進性T細胞の眼への動員を媒介することができた。しかしながら、γδT細胞の動員の欠如と共にRPEまたは脈絡膜内皮細胞に対するC5aの直接的効果を除去することの相加効果を排除することができない。重要なことに、RPE細胞は、C5a刺激に応答して種々のサイトカインを産生することが示され、C5aは免疫抑制剤TGFの産生を抑制し、免疫細胞増殖を抑制するRPEの能力を低下させることによって、RPEの抗免疫原性の役割を妨げることが示された。
実施例2.カニクイザルにおける眼科学霊長類試験のための100mg/mlまたは30mg/mlのエクリズマブ
主な目的は以下である:投与経路を比較する:硝子体内(IVT)対静脈内(IV);硝子体内用量を決定する;血清および眼の組織分布ならびに投与経路に関連したエクリズマブの硝子体T1/2を決定する;IVT投与後の種々の時点で硝子体液から回収されたエクリズマブC5結合活性を測定する。データは10匹の霊長類の評価を表す。
9つの眼区画を解剖した:強膜/脈絡膜、網膜、視神経、硝子体、水晶体、毛様体、角膜、虹彩および房水。
硝子体内(IVT)投与は、20mg/kgのエクリズマブのIV投与よりも網膜および硝子体内のより高いエクリズマブ濃度をもたらした。図8を参照されたい。
IV投与は、血管新生化した眼区画:脈絡膜/強膜、視神経、毛様体および虹彩中IVTよりも高濃度のエクリズマブをもたらした。図9を参照されたい。
エクリズマブのIVT投与は2.8〜3.6日に及ぶ硝子体T1/2をもたらす。図10を参照されたい。
エクリズマブのIV投与ではなく硝子体内投与は、ドライ型AMD患者において硝子体C5を飽和させるのに十分である。図11を参照されたい。
エクリズマブは、単回IVT投与後に6週間を超えて硝子体液中のC5結合活性を維持する。図12を参照されたい。
カニクイザルにおける眼科毒物学およびPK分析のためのエクリズマブ(100mg/mlまたはそれ以上)
NHP(Cyno)硝子体内およびIV毒性/PK試験570589(非GLP)
設計:単回IVT用量0.5、1.5、5mg/眼、1日目および22日目に0.5mg/眼の2回投与;単回IV投与20mg/kgエクリズマブ。
測定された臨床徴候、体重、眼科学およびERG、総剖検。
薬理学
IVT投与は、IV投与より網膜、硝子体および房水中の高いエクリズマブ濃度をもたらした。エクリズマブのIVT投与は2.8〜3.6日の硝子体T1/2をもたらした。エクリズマブは、IVT投与43日後の硝子体液中の完全なヒトC5(hC5)結合を保持する。IV投与は、血管新生化した眼区画:脈絡膜/強膜、視神経、毛様体および虹彩中高濃度のエクリズマブをもたらした。エクリズマブの(20mg/kgの)IV投与ではなく500mgの単回IVTは、22日間超にわたってドライ型AMD患者において硝子体C5を「飽和させる」のに十分である。500mgのIVT用量X2を受けたサルの血清中では、エクリズマブに対する抗体は検出されなかった。
毒物学
用量関連の眼の所見−炎症性:軽度〜中等度の前房内細胞および細胞様の混濁(0.2mgおよび0.5mg);最初の週に記録された前房内細胞、フレアおよび/または不完全な瞳孔拡張を含む、1.5mgおよび5.35mgでのより顕著な急性炎症は、時間の経過とともに解決する傾向があった(7〜14日目)。他の全身的な効果もERGへの効果もない。100mg/mlでのエクリズマブのIVT投与は、カニクイザルによって十分に許容される。
NHP(Cyno)硝子体内毒性/PK試験(非GLP)
設計
単回注射、10mg/眼
測定された臨床徴候、体重、眼科学およびERG、総剖検、病理組織学。
薬理学
エクリズマブのIVT投与は2.97日の硝子体T1/2をもたらした。
毒物学
一過性眼炎症、若干から中等度の前部ブドウ膜炎、硝子体の変化、ある動物の血管/血管周囲炎症。全身的な効果もERGへの効果もない。
ウサギ硝子体内毒性/PK試験(非GLP)
単回IVT用量、0.2、1.5または5mg/眼
高用量:3日目に軽度のブドウ膜炎、7日目までに重度に進行。13日目に福祉上の理由で動物を安楽死させた
低および中用量:ブドウ膜炎であるが、14日目で高用量より重症度は低い
ADAが存在(全ての用量)
実施例3.エクリズマブscFv:一本鎖抗C5 mAb;
眼局所投与の試験
理論的根拠:ウサギの点眼剤としての単回局所投与後に、エクリズマブ局在化の有意な網膜scFvが観察された。
目的:カニクイザルでの局所投与後、エクリズマブのscFvが網膜に到達できるかどうかを調べること。
試験設計
エクリズマブscFv(44.5mg/mL)
1眼あたり1滴を30分毎に5時間にわたって合計10回投与した。
眼組織および血清を5時間で集めた
エクリズマブscFv組織濃度をMSD ELISAアッセイによって測定した
初期治療の5時間後のカニクイザルにおける局所投与後のエクリズマブscFv組織分布を図13に示す。組織中のエクリズマブscFv多量体化が有効な網膜濃度の過小評価につながる可能性があることに留意されたい。局所投与されたエクリズマブscFvは、NHPの網膜にアクセスした。エクリズマブの局所投与後に角膜刺激は観察されず、血清濃度は0.12ng/mgタンパク質であった。
単回点眼(pg/mgのタンパク質)後の推定エクリズマブscFv可溶性多量体濃度。図14を参照されたい。
他の実施形態
前記の説明は、本発明の代表的な実施形態のみを開示するものである。
本発明をその詳細な説明と合わせて説明してきたが、前記の説明は例示を意図しており、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。他の態様、利点および修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内である。したがって、本発明の一定の特徴のみを例示および説明してきたが、当業者には多くの修正および変更が想起されるであろう。そのため、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神に入る全ての修正および変更を包含することを意図していることを理解すべきである。
表4:いくつかの核酸およびアミノ酸配列
配列番号1
配列番号2
配列番号3
配列番号4
配列番号5
配列番号6
配列番号7
重鎖(g2/4) (448アミノ酸)
配列番号8
軽鎖:(κ)(214アミノ酸)
配列番号9
配列番号10
配列番号11
配列番号12
配列番号13
配列番号14
配列番号15
配列番号16
配列番号47抗ヒト−C5a軽鎖
配列番号48抗ヒト−C5a重鎖
配列番号49
配列番号50 ScFv