JP2018527394A - 臍組織組成物及び使用方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2016年9月23日出願の米国仮出願第62/222,446号の利益を主張し、この出願はそのまま全体が、本明細書中参照として援用される。
当然のことながら、開示される方法及び組成物は、記載される特定の方法論、プロトコル、試薬に限定されず、変更可能である。同じく当然のことながら、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明の範囲を制限することを意図せず、本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ制限されることになる。
開示されるのは、材料、組成物、及び要素であり、これらは、開示される方法及び組成物のために使用することができ、それらと一緒に使用することができ、それらを製造するために使用することができ、またはそれらの成果物である。そうした材料及び他の材料が本明細書で開示されるが、当然のことながら、そうした材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが開示される場合、様々な各個体について及びこれら化合物の集合としての組み合わせ及び順列について具体的な記述が明白に開示されない場合があるとしても、それぞれが、本明細書で具体的に企図及び記載される。すなわち、あるクラスの分子A、B、及びC、ならびにあるクラスの分子D、E、及びFが開示され、さらに組み合わせ分子の一例A−Dが開示される場合、たとえそれぞれが個別に記載されないとしても、それぞれが個別に及び集合的に企図される。すなわち、この例では、A、B、及びC;D、E、及びF;ならびに組み合わせ例A−Dの開示から、組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、及びC−Fのそれぞれが、具体的に企図されており、開示されたと見なされるべきである。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせも具体的に企図及び開示されたものとなる。すなわち、A、B、及びC;D、E、及びF;ならびに組み合わせ例A−Dという開示から、例えば、A−E、B−F、及びC−Eのサブグループが、具体的に企図されており、開示されたと見なされるべきである。この概念は、開示される組成物の作成方法及び使用方法の工程をはじめとして、これらに限らず、本出願の全ての態様に当てはまる。すなわち、実行可能な追加工程が多様に存在する場合、当然のことながら、そのような追加工程のそれぞれが、開示される方法の任意の具体的な実施形態または実施形態の組み合わせとともに実行可能であり、及びそのような組み合わせのそれぞれが具体的に企図されており、開示されたと見なされるべきである。
開示されるのは、臍組織を含む組成物であり、臍組織は、1つまたは複数の改変チャネルを含む。
開示されるのは、以前に冷凍保存された臍組織を含む組成物であり、冷凍保存及びその後の解凍後、臍組織は、a)臍組織生来の細胞、細胞の40%超は生きている;b)天然臍組織の組織完全性;c)臍組織生来の1種または複数の成長因子;及びd)減少した量の1種または複数の型の機能性免疫原性細胞を含む。本明細書で称する場合、「組織完全性」は、臍組織の引張り強度、収量、及び縫合引き抜き強度を示す。「組織完全性」は、組織の細胞または構造完全性も示すことができる。
開示されるのは、開示される組成物の製造方法であり、本方法は、臍組織に改変チャネルを形成することを含む。例えば、開示されるのは、臍組織を含む組成物の製造方法であり、この方法は、臍組織に改変チャネルを形成することを含む。臍組織に改変チャネルを形成することは、臍組織を操作することにより実行できる。臍組織の操作は、臍組織に改変チャネルを形成する一方で、切断、圧延、成形、平滑化、または平坦化することを含むことができる。場合によっては、臍組織の操作は、組織を平坦化すること及び改変チャネルを形成することを含む。臍組織の圧延または平坦化は、積層ローラー、例えばバブルバスター、またはマイクロダーマルローラーなどで実行できる。臍組織の操作は、生来の成長因子の放出の上昇をもたらすことができる。臍組織の平坦化は、均一な厚さの最終生成物をもたらすことができる。
開示されるのは、損傷組織の治療方法であり、本方法は、損傷組織の部位に、開示される組成物のいずれか1種を投与することを含む。例えば、開示されるのは、損傷組織の治療方法であり、この方法は、損傷組織の部位に、臍組織を含む組成物を投与することを含み、臍組織は、1つまたは複数の改変チャネルを含む。
上記の材料ならびに他の材料を、開示される方法を実行するのに、または実行を助けるのに有用なキットとして、任意の適切な組み合わせで一つのパッケージにまとめることができる。所定のキット中のキット構成要素が、開示される方法で一緒に使用されるように設計及び適合されていると便利である。開示されるのは、開示される組成物のいずれか1種を含むキットである。例えば、開示されるのは、臍組織を含む組成物を含むキットであり、臍組織は、1つまたは複数の改変チャネルを含む。キットはまた、以前に冷凍保存された臍組織を含む組成物を含有することもでき、冷凍保存及びその後の解凍後、臍組織は、a)臍組織生来の細胞、細胞の40%超は生きている;b)天然臍組織の組織完全性;c)臍組織生来の1種または複数の成長因子;及びd)減少した量の1種または複数の型の機能性免疫原性細胞を含む。同じく開示されるのは、臍組織を含む組成物を含むキットであり、臍組織は、1つまたは複数の改変チャネルを含み、組成物は、さらに、冷凍保存溶液を含む。
組織バンクまたは他の公認組織回収機関から受け取ったドナー胎盤から、臍帯(UC)を単離した。組織を、回収機関のSOPに従って収集した。UCを加工処理する手順を以下に説明する。
トリパンブルー排除法:解凍した組織試料を、小さい立方体に細分化し、温コラゲナーゼII溶液(Worthington)中、2.5時間インキュベートした。次いで、消化された組織試料を、70−100μm細胞ろ過器でろ過し、2000rpmで遠心して、組織から放出された細胞をペレットにした。次いで、細胞ペレットをトリパンブルー含有DMEMに再懸濁させた。自動細胞計数器、Cellometerを用いて、細胞数を計測した。
表1は、新鮮な臍組織及び解凍後の臍組織中の細胞生存度を示す。
改変チャネルを可視化するため、ローラーをトリパンブルー色素で染色し、UT上でチャネル形成を行った。図3Aは、トリパンブルーが、UTを染色して、改変チャネルを鮮明に示したことを実証する。
(LPS)誘導型TNF−α分泌アッセイを行って、冷凍保存された臍帯の免疫原性を求めた。新鮮な(未処理の)臍組織及び冷凍保存された臍組織の2×2cm片を、LPS(1ug/mL)とともに24時間インキュベートした。LPS(1ug/mL)ありまたはなしで刺激されたヒト末梢血単核球(hPBMC)を、それぞれ、陽性対照及び陰性対照とみなした。24時間後、上清を収集し、TNF−α ELISAアッセイを行った。結果は、LPSが冷凍保存された生UTを活性化してTNF−αを放出させることはなかったことを示し、したがって、冷凍保存されたUTは、非免疫原性である(図4)。
室温の生理食塩水を、直接、円筒形ジャーに加えることにより、生CUTを解凍した。単位片を切断して小片にし、次いでメスを用いて、非常に小さい立方体(1×1×1mm)にし、液体窒素バスに入れたホモジナイズ管中で急速凍結させた。次いで、製造元の推奨に従って、TissueLyser LT(Qiagen)の予冷したチャンバを用いて、1mlのPBS中でプロテイナーゼ阻害剤(Roche)の存在下、組織をホモジナイズした。次いで、ホモジネートを、遠心し、上清を収集して、特定の成長因子についてELISAで解析した。
成長因子の放出に対するチャネル形成の効果を実証するため、生CUT試料を、チャネル形成工程ありまたはなしいずれかで加工処理した。冷凍保存を含むその他の工程全ては、両方のグループで同一にした。次いで、単位片を解凍し、24ウェルプレートに入れ、1mLの低血清培養培地(DMEM+1%FBS+2%anti−anti+2%GlutaMAX)に浸し、37℃で1日間、4日間、及び7日間インキュベートした。各時点で培養上清を収集し、新鮮な培地を培養物に加え直した。ELISAを使用して、重要な血管新生成長因子、bFGF及びVEGFの放出を、経時的に分析した。
生CUT上への細胞付着に対するチャネル形成の効果を実証するため、ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)を、カルセイン−AMで予め標識化し、VCUTの表面に1時間及び2時間播種した。1時間または2時間インキュベーション後、生CUTをPBSで洗い、蛍光顕微鏡下で描出した。
2×2cmの冷凍保存された臍組織試料を、滅菌生理食塩水中で解凍し、次いでDMEM+1%FBS中で3日間インキュベートした。3日後、培養上清及び細胞溶解液を、RNAアーゼ7の存在について分析した。組織培養液を調製するため、組織片を細分し、プロテイナーゼ阻害剤(Roche)を補充した組織タンパク質抽出試薬(T−PER)に入れて室温で40分間シェーカーで溶解させた。14,000rpmで2分間遠心して不溶性物質を除去し、得られる組織溶解液を、新たな試験管に移した。ヒトRNAアーゼ7ELISAキット(Icosagen)を用いて、培養上清及び組織溶解液中のRNAアーゼ7のレベルを検出した(表3)。
生CUTの生物力学的特性を特性決定するため、破断するまでの二軸引張、縫合維持、及びボールバースト試験を行った。
i.装置及び用品
材料試験システム(ElectroPuls E3000;Instron);100N荷重セル(2530−427;Instron);含気性くさび形グリップ(CP101755;Instron);200グリット紙やすりシート;220グリット紙やすりリング;光学マイクロメーター(LS−7030MT;Keyence);特注ボールバースト試験備品(12.5mm支持板開口部/6.25mm圧子併用);メスに#10または#11ブレードをセット;0.35mm径の鋼線(2−0縫合直径と等しい);0.9%塩化ナトリウム灌水用USP(B−Braun);真鍮角棒ストック、幅6.25mm;ステンレス鋼定規(1.0mm精度)
試験用検体は、2つの試験、一軸引張及び縫合維持について、各方向(主要マトリクス方向に対して並行及び垂直)で臍組織試料から得た。引張り破断試験用に、9つの(n=9)組織条片を、4つの移植片から並行方向で得て、9つの(n=9)条片を、5つの移植片から垂直方向で得た。同様に、縫合維持試験用に、9つの(n=9)検体を4つの移植片から並行方向で得て、9つの(n=9)検体を、4つの移植片から垂直方向で得た。ボールバースト検査の二軸性は、マトリクスの方向性を考慮にいれるため、7つの移植片から9つの(n=9)検体を、繊維方向を考慮せずに選択した。
検体を、冷凍保存溶液に懸濁させ、ドライアイスで凍結させて輸送した。移植片を、氷晶が存在しなくなるまで、室温で解凍し、次いで、厚さ測定及び生物力学的試験用に0.9%生理食塩水に入れた。
縫合維持検体(最適寸法2cm×4cm)を、並行及び垂直方向の移植片両方を含む「2.5×5.0cm」とラベルの付いた検体群から、選択した。検体を含気性グリップで固定し、上部クランプから2.0cmのタブがぶら下がった状態にした。直線分25.4cmのワイヤを、検体の幅の中心に、自由末端から1.0cm離して、タブに通して設置した。ワイヤを、特注グリップ台座及び支柱システムを備えた材料試験システムの台座に固定した。ワイヤを支柱に巻きつけ、それがクロスヘッドの伸張でほどける心配がないようにワイヤ自身に巻きつけた。検体を、25.4mm/秒の制御された変位速度で引っ張った。
検体を、提供された最大移植片から選択した。各繊維方向で、レーザーマイクロメーターを用いて3回厚さ測定を行い、次いで平均した。次いで、各検体を、検査中に滑らないようにするために2つの220グリット紙やすりリングの間に挟んで、ボールバースト備品の板の間にクランプで固定した。検査は、ASTM標準法D6797−021に従って、変位速度305mm/分で行った(本来提唱されている25.4mm/秒(1,524mm/分)では、エラーになることが分かったので、修正した)。
組織条片を、メス、及び真っ直ぐで一定した切断を誘導するための真鍮角棒からなる型を用いて切断した(検体寸法については、図15を参照)。全ての検体について、ゲージ長を27mmに設定し、レーザーマイクロメーターを用いて、このゲージ長内で3回の厚さ測定を行った。検体幅は、定規で3回測定し、その平均を計算に使用した。検体を、ゲージ長がグリップ間の最初の距離であるようにして、含気性グリップ中に置き、試験中に滑らないようにするために200グリット紙やすりを検体とグリップ面との間に用いた。取扱上の問題がなかったので、元来提唱されているとおりに検体を測定しやすくまたは締め付けしやすくするためのTyvekは必要なかった。全ての検体を、5mm/秒の制御された変位速度で試験した。
算出された構造特性及び材料特性のそれぞれを記述統計学に基づき報告したが、これには、平均、中央値、標準偏差、±25thパーセンタイル、平均値の標準偏差(SEM)、及び正規性(Shapiro−Wilk検定でα>0.05が正規性と示される)解析が含まれる。
荷重及び変位データを、表4及び図7に示す。どの検体でもグリップからの滑り落ちは認められず、またどの検体のワイヤも巻きつけがまったくほどけることはなかった。
データを表5に示す。ボールバーストスタンドの支持リム近くでの破断は観察されなかった。破断は全て、圧子の先端の近辺で生じた。全ての検体は、試験中確実に締められていて、板開口部の端周囲での滑り落ちは観測されなかった。
18の検体のうち15(83.3%)で、破断が、グリップから離れた組織中間物質で生じた。残りの3つの検体については、グリップ近くで破断が生じたが、これらの生物力学解析の結果は、中間物質破断データと一致していたので、それらもこの試験に含めた。データを、表6(並行方向)、表7(垂直方向)に記載し、構造特性を図8A〜Cに示し、材料特性を図8D〜Fに示すことで図8にグラフで示す。
この試験の目的は、3つの試験様式を用いて臍組織に基づく生成物の様々な生物力学的特性を特性決定することであった。文献には限られたデータしか存在しないため、この試験が必要とされる。概して、組織は、取扱性に優れ、行った試験のどれについても検体の固定に問題はなかった。全ての試験について、組織破断荷重は、100N荷重セルの操作範囲内にあった。特定の方向性のある組織で特性決定した試験(縫合維持及び一軸引張)では、方向による大きな生物力学的差は現れなかった(統計的比較は、この試験の一部として含まれなかった)。
6人の患者が、vCUT促進性腱修復手技を受けた。この集団には、年齢19歳〜58歳の患者が含まれ、女性患者4人、男性患者2人であった。1人の患者は、急性アキレス腱修復を受けたことがあり、2人は、踵骨外骨腫切除/Haglund切除術をデブリードマン/アキレス修復とともに受けたことがあり、2人は短腓骨筋修復を受けたことがあり、そして1人は、Kidner術をデブリードマン/後脛骨腱の修復とともに受けたことがあった。保存的治療は、安静、行動修正、耐久性医療機器の試用、及び理学療法からなるものであるが、これを、患者全員に対し、vCUTを移植する前に行った。患者は誰も手術後感染症を発症しなかった。
i.症例1
28歳の男性が、バスケットボールをしている最中に、右アキレス腱の完全断裂に見舞われた。患者は、Krakow縫合術を用いてエチボンドでの腱の端端修復と合わせてVY切離術(V to Y recession)を受けた。次いで、腱をvCUTで包んだ。縫合する際、その部位にアダプティックを当てて乾燥滅菌包帯(DSD)を巻き、患者に、膝下の免荷ギプスをはめ、松葉杖を与えた。手術から1週間後、患者が経過観察のため再来訪したとき、患者は、痛みがほとんどまたはまったくなく、患者の可動域が背屈−5度であることを報告した。手術から4週間で、患者の可動域は、背屈0度になった。手術から6週間後、ギプスを外し、患者に足首動作制御(Controlled Ankle Movement, CAM)ブーツを履かせ、4週間にわたる週に3回の理学療法を開始した。手術から8週間で、患者の可動域は、背屈+5度になり、患者は、普通の靴に移行して仕事に復帰し、痛みの報告はなかった。
44歳の女性の右足に、痛みを伴うHaglund変形が、滑液包炎及びアキレス腱炎とともに見つかった。Haglund変形及び右滑液包の切除を、右アキレス腱のデブリードマンと併せて行った。次いで、アキレス腱をvCUTで包み、バイクリルで固定した。縫合後、アダプティック非固着性ドレッシング材を当てて乾燥滅菌包帯(DSD)を巻き、患者に、免荷ギプスをはめ、荷重を軽くするため松葉杖を与えた。手術から1週間後、患者は、痛みをほとんどまたはまったく報告しなかった。手術から2週間後、ギプスを外し、患者にCAMブーツを履かせた。手術から4週間後、切開線は、ほとんど視認できなかった。患者は、耐えられるかぎり普通の靴に移行することが許可され、理学療法が処方された。手術から8週間後、腫脹はまったく認められなかった。患者は、筋肉強度を100%再獲得し、理学療法を続けた。
i.症例3
58歳の女性の左足に、痛みを伴うHaglund変形が、踵骨骨棘及びアキレス腱炎/腱鞘炎とともに見つかった。保存的治療に失敗した後、患者は手術を勧められて、踵骨骨棘の摘出を、アキレス腱のデブリードマン及び繋留とともに受けた。vCUTを、修復されるアキレスを覆って置き、それから縫合した。DSDを巻き、患者に膝下のギプスをはめ、荷重を軽くするため松葉杖を与えた。手術から1週間後、切開線は、平坦で、最小限の腫脹しかなかった。手術から2週間後、合併症はまったく報告されなかった。患者は、手術から3週間後、2/10レベルの疼痛を報告したが、腫脹もなく、裂開もなく、感染もなかった。患者は、膝下のギプスを3週間はめ、その後CAMブーツを履き、耐えられる限りで体重をかけることが許された。患者は、4週目に理学療法を開始した。
i.症例4
左短腓骨筋腱の部分裂傷及び左足首の前距腓靱帯損傷がある、19歳の男性。患者は、多発性めまい(multiple vertigo)の既往歴があり、その結果、何度も左足首を捻挫していた。患者は、短腓骨筋腱の修復及び管状成形術(tubularization)、改変Brostrom術、ならびに低位筋腹の切除を受けた。腱をvCUTで包み、追加のvCUTを、Brostrom修復部を覆って置き、それから縫合した。患者の左下肢に、免荷ギプスをはめた。手術後最初の1週間、患者は、痛みを最小限にしか、またはまったく感じなかった。浮腫、紅斑、または感染の兆候は、観察されなかった。4週間でギプスは外され、患者は、CAMブーツを履かされて、4週間にわたる週に3回の理学療法を開始した。手術から4週間後、切開部には最小限の瘢痕しか観察されなかった。手術から6週間後、患者は、靴を履いて来診した。手術から7週間後、瘢痕は観察されなかった。患者は、vCUTなしで行われた以前の手術よりも少ない疼痛、腫脹、及び瘢痕形成で、より速く治癒した。
47歳の糖尿病の女性の左足首に、短腓骨筋腱裂傷が見つかり、MRIで確認された。患者は、腱のデブリードマン及び修復を受けた。腱に、菅形成術を施し、次いでvCUTで包んでバイクリルで固定した。最初の縫合後、追加のvCUT片を、皮下に設置し、続いて皮膚を縫合した。アダプティック非固着性ドレッシング材を当てて乾燥滅菌包帯(DSD)を巻き、患者に膝下の免荷ギプスをはめた。患者は、手術から最初の1週間の間、4/10の疼痛レベルを報告したが、切開線の腫脹は観察されなかった。患者の疼痛レベルは、手術から2週間後、2/10疼痛レベルに低下し、手術から4週間後には、患者は疼痛がないと報告した。患者は、3週間、毎週ギプスを交換し、その後、CAMブーツに移行した。手術から6週間後、切開部位には小さな瘢痕があり、患者は、耐えられる限りにおいて通常の靴に移行するよう指導された。手術から10週間後、手術部位の瘢痕は、引き続き消えつつあった。
i.症例6
38歳の女性に、左後脛骨けば立ち/後脛骨腱機能障害が見つかった。患者は、短下肢装具(AFO)の助けを借りて歩行していた。さらに、患者の治療歴には、左足に、左側下垂足及び肥大舟状骨により引き起こされた過敏及び前潰瘍化の治療範囲が含まれていた。肥大舟状骨の摘出を、後脛骨腱のデブリードマン及び骨アンカーを用いた腱と舟状骨の繋留とともに行った。vCUTを後脛骨腱に付着させ、バイクリルで固定した。アダプティック非固着性ドレッシング材を当てて乾燥滅菌包帯(DSD)を巻き、患者に免荷ギプスをはめ、荷重を軽くするため松葉杖を与えた。手術から1週間後、患者は、疼痛がないと報告した。手術から4週間後、ギプスを外し、患者は、CAMブーツを履かされた。同じく4週間で、AFOによる過敏範囲は解消され、切開は治癒した。手術から8週間後、過敏範囲は引き続き改善されており多少の変色があった。手術から13週間後の来診時、濃い変色は引き続き正常な色素沈着へと戻りつつあった。
これらの結果は、様々な腱修復手術における冷凍保存された生臍組織の補助的使用が、安全かつ有効であることを示す。そのうえさらに、これらの結果は、冷凍保存された生臍組織が、顕著に、患者の疼痛レベルを改善し、修復過程をスピードアップし、瘢痕形成を最小限にすることができたことを示し、冷凍保存された生臍組織のおかげで、患者は、制約なく、かつほとんどまたはまったく疼痛を感じずに、日常活動及び余暇活動を再開することができる。
ウサギに、ケタミン及びキシラジンで麻酔をかけた。さらに、ブプレノルフィン(0.03mg/kg)を投与した。IVカテーテルを、耳翼辺縁静脈に設置し、ウサギの腹部を剃毛した。手術室で、気管内チューブを設置した。外科手術中、ウサギは、1〜3%イソフルラン+1〜2Lt酸素で麻酔下に維持した。パルスオキシメーターを使用して、心拍数及びSpO2をモニタリングした。温度は、可能な場合に15分ごとにモニタリングした。手技の開始前に、外科手術野をベタダインスクラブ液で無菌摩擦し、70%エタノールで3回清拭した。
癒着及び感染は、合成メッシュを用いる腹部再建手術の重篤な合併症である。感染は、使用された材料に関わらず、汚染された腹部手術野でのメッシュ使用後で、症例の30%にもなる多さで報告されてきた。この試験の目的は、Sprague Dawleyラットで、手術後感染の予防について、冷凍保存された生臍組織を評価することである。
1. ASTM D6797−02 − Standard Test Method for Bursting Strength of Fabrics: Constant−rate−of−extension (CRE) Ball Burst
2. Biaxial strength of multilaminated extracellular matrix scaffolds. Freytes DO, Badylak SF, Webster TJ, Geddes LA, Rundell AE. Biomaterials, 2004 (25), 12,2353−61
3. Biomechanical properties of the human umbilical cord. Pennati G. Biorheology, 2001 (38), 355−366
Claims (52)
- 臍組織を含む組成物であって、前記臍組織は、1つまたは複数の改変チャネルを含む、前記組成物。
- 前記臍組織は、冷凍保存されている、請求項1に記載の組成物。
- 前記臍組織は、以前に冷凍保存されている、請求項1に記載の組成物。
- 前記組成物は、生免疫原性細胞を含まない、請求項1から3のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記組成物は、血管を含まない、請求項1から4のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記臍組織は、前記臍組織生来の生細胞を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記生細胞は、間葉系幹細胞、線維芽細胞、上皮細胞、またはそれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の組成物。
- 前記臍組織は、前記臍組織生来の1種または複数の成長因子を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記成長因子は、上皮成長因子(EGF)、ヒト成長因子(HGF)、ケラチン生成細胞成長因子(KGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、TGF−β1、2、及び3、インスリン様成長因子−1(IGF−1)、血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGF−C、VEGF−D、TGF−α、インターロイキン10(IL−10)、インターロイキン−1受容体α(IL−1rα)、間質細胞由来因子−1(SDF−1)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(N−Gal)、マトリックスメタロプロテイナーゼ8(MMP8)、組織メタロプロテイナーゼ阻害物質1(TIMP1)、TIMP2、アンジオポエチン2(hAng2)、トロンボスポンジン2(TSP2)、血小板由来増殖因子AA(PDGF−AA)、PDGF−AB、胎盤成長因子(PIGF)、インスリン様成長因子(IGFBP1)、IGFBP2、IGFBP3、α2−マクログロブリン、アディポネクチン(hACRP30)、またはフィブロネクチンである、請求項8に記載の組成物。
- 前記臍組織は、前記臍組織生来の1種または複数のサイトカインを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記1種または複数のサイトカインは、間質細胞由来因子−1(SDF−1またはCXCL12)、IL−10、またはIL−1rαである、請求項1から10のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記臍組織は、生来の生細胞を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記臍組織は、ワルトン膠質層側及び羊膜上皮層側を有し、前記改変チャネルは、前記ワルトン膠質層側に存在し、かつ前記羊膜側に延伸してはいない、請求項1から12のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記改変チャネルは、前記臍組織全体に延伸している、請求項1から13のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記組成物は、生免疫原性細胞を含まない、請求項1から14のいずれか1項に記載の組成物。
- さらに、冷凍保存溶液を含む、請求項1から15のいずれか1項に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、約0.02mm〜約2mmの範囲の直径を有する、請求項1から16のいずれか1項に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、縦軸を有し、かつ各改変チャネルは、前記改変チャネルの前記縦方向の全長にわたり一定の直径を有する、請求項1から17のいずれか1項に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、直径を有し、かつ少なくとも1つの改変チャネルの前記直径は、少なくとも1つの他の改変チャネルの前記直径と等しい、請求項1から18のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記改変チャネルは全て、実質的に同じ直径を有する、請求項19に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、縦軸を有し、かつ少なくとも1つの改変チャネルは、前記改変チャネルの前記縦方向の長さに沿って変化する直径を有する、請求項1から20のいずれか1項に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、縦軸を有し、かつ各改変チャネルは、約0.7mm〜約3.5mmの範囲の縦方向の長さを有する、請求項1から21のいずれか1項に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、縦軸及び縦方向の長さを有し、かつ少なくとも1つの改変チャネルの前記縦方向の長さは、少なくとも1つの他の改変チャネルの前記縦方向の長さと実質的に等しい、請求項1から22のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記改変チャネルは全て、実質的に同じ縦方向の長さを有する、請求項22に記載の組成物。
- 前記臍組織は、天然臍組織と比較して、経時的に、上昇した速度で血管新生因子を放出することができる、請求項1から24のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記臍組織は、1cm2〜350cm2である、請求項1から25のいずれか1項に記載の組成物。
- 以前に冷凍保存された臍組織を含む組成物であって、冷凍保存及びその後の解凍後、前記臍組織は、以下
a.前記臍組織生来の生細胞;
b.天然臍組織の組織完全性;
c.前記臍組織生来の1種または複数の成長因子;及び
d.減少した量の1種または複数の型の機能性免疫原性細胞
を含む、前記組成物。 - 前記生細胞は、間葉系幹細胞、線維芽細胞、上皮細胞、またはそれらの組み合わせを含む、請求項27に記載の組成物。
- 前記成長因子は、EGF、HGF、KGF、bFGF、TGF−β1、2、及び3、IGF−1、VEGF、VEGF−C、VEGF−D、TGF−α、IL−10、IL−1rα、SDF−1、bFGF、N−Gal、MMP8、TIMP1、TIMP2、hAng2、TSP2、PDGF−AA、PDGF−AB、PIGF、IGFBP1、IGFBP2、IGFBP3、α2−マクログロブリン、hACRP30、またはフィブロネクチンである、請求項27から28のいずれか1項に記載の組成物。
- さらに、前記臍帯生来の1種または複数のサイトカインを含む、請求項27から29のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記1種または複数のサイトカインは、SDF−1、IL−10、またはIL−1rαである、請求項30に記載の組成物。
- 前記臍組織は、ワルトン膠質層側及び羊膜上皮層側を有し、前記改変チャネルは、前記ワルトン膠質層側に存在し、かつ前記羊膜側に延伸してはいない、請求項27から31のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記臍組織は、1つまたは複数の改変チャネルを含む、請求項27から32のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記改変チャネルは、前記臍組織全体に延伸している、請求項33に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、約0.02mm〜約2mmの範囲の直径を有する、請求項33から34のいずれか1項に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、縦軸を有し、かつ各改変チャネルは、前記改変チャネルの前記縦方向の全長にわたり一定の直径を有する、請求項33から35のいずれか1項に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、直径を有し、かつ少なくとも1つの改変チャネルの前記直径は、少なくとも1つの他の改変チャネルの前記直径と等しい、請求項33から36のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記改変チャネルは全て、実質的に同じ直径を有する、請求項37に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、縦軸を有し、かつ少なくとも1つの改変チャネルは、前記改変チャネルの前記縦方向の長さに沿って変化する直径を有する、請求項33から38のいずれか1項に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、縦軸を有し、かつ各改変チャネルは、約0.7mm〜約3.5mmの範囲の縦方向の長さを有する、請求項33から39のいずれか1項に記載の組成物。
- 各改変チャネルは、縦軸及び縦方向の長さを有し、かつ少なくとも1つの改変チャネルの前記縦方向の長さは、少なくとも1つの他の改変チャネルの前記縦方向の長さと実質的に等しい、請求項33から40のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記改変チャネルは全て、実質的に同じ縦方向の長さを有する、請求項33から41のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記組成物は、血管を含まない、請求項27から42のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項1に記載の組成物の製造方法であって、前記臍組織に改変チャネルを形成することを含む、前記方法。
- さらに、前記臍組織を、少なくとも1種の抗生物質で処理することを含む、請求項44に記載の方法。
- さらに、前記臍組織を所望の寸法に切断することを含む、請求項44から45のいずれか1項に記載の方法。
- 前記臍組織を所望の寸法に切断することは、以下
a.カッターを前記臍組織上に設置すること;及び
b.前記臍組織を、直角形状を維持するように切断すること、
を含む、請求項46に記載の方法。 - さらに、組織の余計な筋及び脱色について前記臍組織を視診することを含む、請求項44から47のいずれか1項に記載の方法。
- さらに、残存する血液を全て除去することを含む、請求項44から48のいずれか1項に記載の方法。
- 損傷組織の治療方法であって、前記損傷組織の部位に、請求項1から423のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、前記方法。
- 前記損傷組織は、軟部組織損傷、手術創、骨盤底突出症、膣欠損症、足及び足首創傷、慢性創傷、腱裂傷または腱断裂、神経損傷、または皮膚創傷に由来するものである、請求項50に記載の方法。
- 請求項1から423のいずれか1項に記載の組成物を含む、キット。
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