以下、図面に示された本発明の1以上の実施形態及び実施例を詳細に説明する。実施例及び実施形態の各々は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定することを意図したものではない。例えば、ある実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態と組み合わせて、さらなる実施形態を創出することもできる。本発明は、本発明の範囲及び精神を逸脱しない限り、これらの及び他の改変形態及び変更形態を包含することを意図している。
概して、本発明は、冷却型プローブと、イントロデューサと、プローブの遠位端部が標的部位(例えば、治療対象の組織の近傍またはそれに隣接する部位)と接触することができるようにしてプローブをイントロデューサ内に配置したときに、プローブの外径とイントロデューサの内径とにより画定されるルーメン内に液体を注入するための側方ポートとを備える電気手術器に関する。側方ポートは、治療薬や生理食塩水などを含む液体をルーメンに注入して、イントロデューサの遠位端部から標的部位またはその近傍に排出し、その液体でプローブの露出した導電性部分及びその周囲の組織を浸すことができるように、チューブを介して、シリンジまたは他の適切な液体導入装置(例えば、IVバッグなど)に接続される。側方ポートは、イントロデューサの構成要素、例えばプローブの近位領域に接続されるイントロデューサハブであってもよいし、イントロデューサとプローブとの間に配置されるT型ジョイントまたは他の連結機構に設けてもよい。さらに、側方ポートからプローブの近位領域への液体の逆流を防止するために、プローブの近位領域と液体導入装置との間にシールが形成される。加えて、シリンジは、治療中にチューブがベントの機能を果たすことができるように、チューブから取り外すことができる。これによる、プローブの冷却手段に加えて、標的部位での組織の温度を低下させることができる。
ここで、図1A−1Cで始まる図面を参照すると、本発明に係るデバイスの様々な特徴が、より詳細に説明されている。図示のように、本発明に係る電気手術器またはデバイスは、プローブ100であり得る。しかしながら、他の実施形態では、電気手術器またはデバイスは、カニューレ、カテーテル、または患者の体内の標的部位にエネルギーを送達することができる任意の他の細長い部材であってもよい。明確化のため、用語「プローブ」が、デバイスなどを説明するために、本明細書全体を通して使用される。プローブ100は、シャフト122、遠位領域104、遠位端部106、遠位面107、近位領域108、及び近位端部110を含み得る細長い部材であってもよい。本明細書で使用される場合、用語「遠位」及び「近位」は、ユーザ及びデバイスの使用時に関して定義される。すなわち、用語「遠位」は、デバイスの使用時に、ユーザからより遠い、治療部位に最も近い一部または部分を指すが、用語「近位」は、デバイスの使用時に、ユーザにより近い、治療部位から最も離れた一部または部分を指す。
いくつかの実施形態では、プローブ100は、以下でより詳細に説明するように、少なくとも1つの第1のルーメン124を画定することができる。さらに、いくつかの実施形態では、遠位端部106及び近位端部110のいずれかまたは両方は、第1のルーメン124と連通し得る少なくとも1つの開口を画定することができる。
図1A−1Cによって意図される実施形態に示されるように、プローブ100は、電気絶縁部分116と、電気的に露出した導電性部分118とを含むことができる。電気的に露出した導電性部分118は、活性電極とも称され、露出した導電性部分がプローブ100の遠位端部に位置する場合、アクティブチップとも称される。一般に、電気絶縁部分116は、プローブ100の近位領域108からプローブ100の遠位領域104内の所定の位置まで延在してもよい。以下により詳細に説明するように、電気絶縁部分116が延在する位置は、用途に依存し得る。さらに、電気絶縁部分116が延在する位置は固定されていなくてもよい。他の実施形態では、図2A−2Dに示すように、プローブ100は、2以上の電気絶縁部分116、及び/または2以上の電気的に露出した導電性部分118を含むことができる。
いくつかの実施形態では、例えば図1A−1Cに示すように、プローブ100の近位領域108は、ハブ114を含むことができる。ハブ114は、例えばイントロデューサ、コネクタケーブル、カニューレ、チューブ、または他のハブなどの他のデバイスを、プローブ100に確実に接続するよう構成され得る。例えば、図6に示され、かつ以下でさらに説明するように、プローブ100は、ハブ114(図3にも示される)に関連し得るそれぞれの接続手段(例えば、電気ケーブル、及び/または可撓性チューブ)を介してエネルギー源、及び/または冷却源に接続されてもよい。図17−21に関して以下により詳細に説明するように、ハブ114はまた、プローブ100のためのハンドルまたはグリップや、プローブ100をイントロデューサ604に固定するためのロック機構として機能することもできる。ハブ114は、これらに限定しないが、プラスチック、ポリマー、金属、またはそれらの組み合わせを含む、様々な材料から製造され得る。さらに、ハブ114は、様々な手段によってプローブ100に取り付けることができる。例えば、一実施形態では、ハブ114は、ポリプロピレンから製造してもよく、ルアーフィッティングなどの任意の適切なフィッティングによってプローブ100に取り付けてもよい。ハブ114はハンドルとして機能することができるが、以下でより詳細に説明する、冷却用の可撓性チューブ(310、312)をその中に配置することができる別個のハンドル120も意図されていることも理解されたい。
プローブ100のサイズ及び形状は、用途に応じて変更してもよく、本発明はこの点について限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、プローブ100の横断面形状は、実質的に円形であってもよい。他の実施形態では、プローブ100の断面形状は、実質的に多角形、楕円形、または任意の他の望ましい形状であってもよい。いくつかの実施形態では、プローブ100の遠位端部106から近位端部110までの長さは、約5−40cmの範囲であってもよく、シャフト122の外径は、約0.65−2.00mmの範囲(約20−12AWGの範囲)であってもよい。ある特定の例では、プローブの長さは約7.5cmであってもよく、外径は約1.5mmであってもよく、横断面形状は実質的に円形であってもよい。さらに、遠位端部106の形状は、用途に応じて変更してもよいことを理解されたい。可能な形状には、これらに限定しないが、鈍角形状、丸みを帯びた形状、鋭角形状、及び面取りされた形状が含まれる。
プローブ100は、剛性または可撓性を有していてもよく、その長さに沿った1以上の点において、直線であってもよく、曲がっていてもよく、または角度を付けられていてもよい。本明細書で使用される場合、用語「曲がった」は、非直線性の任意の領域、または長手方向軸からの緩やかな、または急激な、及び任意の角度での任意の偏位を指す。プローブ100が曲がっている実施形態では、屈曲部は、プローブ100に沿った様々な位置、例えば遠位領域104にあってもよい。さらに、屈曲部は、様々な角度及び長さであってもよい。例えば、屈曲部は、円の約25°を横切り、約5mmの長さにわたって存在していてもよい。さらに、プローブ100は、複数の屈曲部を含むことができ、複数の屈曲部は、同一平面状にあってもよく、なくてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、プローブ100は、螺旋状、すなわち「コークスクリュー」形状であるように曲げられていてもよい。いくつかの実施形態では、プローブ100は、その形状が、手術前または手術にユーザによって変更され得るように構成されてもよい。より具体的には、例えば、遠位領域104の形状は、例えば、作動機構を用いて直線形態から屈曲形態に変化するように変更されてもよい。これは、体内の到達困難な部位へのアクセスを助けることができ、様々な手段によって達成され得る。例えば、プローブ100は、以下に限定されないが、1以上のプルワイヤ、油圧または電圧デバイス、または他の作動機構を含む少なくとも1つのアクティブな形状制御機構を含むことができる。
一実施形態では、電気絶縁部分116は、シャフト122の一部を電気的に絶縁性のコーティング、カバー、または被覆材料でコーティングすることによって形成され得る。言い換えれば、プローブ100は、細長い部材の表面上に配置された電気絶縁性材料を含むことができる。例えば、一実施形態では、プローブ100のシャフト122は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの絶縁コーティングによって部分的に覆われてもよい生体適合性の金属または合金、例えばステンレススチールから製造されてもよい。他の実施形態では、シャフト122は、ニチノールまたはチタンなどの別の金属から製造されることができ、及び/または、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むがこれに限定されない別の電気絶縁性材料をその上に配置することができる。他の実施形態では、他の金属または電気絶縁材料が使用されてもよく、本発明はこの点について限定されない。さらに、絶縁材料は、絶縁材料を通る電流の漏出を可能にすべく、半多孔質であってもよい。いくつかの実施形態では、材料は同様に熱絶縁物であってもよい。さらに他の実施形態では、異なる絶縁材料をプローブ100の異なる部分に使用することができる。絶縁コーティングは、例えば浸漬コーティング、スプレーまたは熱収縮によってシャフト122の一部に適用されてもよい。一方、シャフト122の遠位領域のコーティングされていないままの部分は、導電性部分118として機能することができる。
別の実施形態では、プローブ100のシャフト122は、絶縁性材料または非絶縁性材料から製造することができ、1以上の外部から適用される導電性部分118である電極を備えることができる。このような実施形態では、プローブ100は、一端で電極に取り付けられ得る1以上のワイヤを含むことができ、かつ、ワイヤの近位部分がエネルギー源に操作可能に接続され得るようにシャフト122に沿って近位方向に延びることができ、これにより、電極にエネルギーを供給する。例えば、シャフト122は、Radel(登録商標)プラスチックから製造することができ、外部から印加される電極は、ステンレススチールから製造することができる。
代替実施形態では、シャフト122は、複数の材料の組み合わせから製造することができる。例えば、シャフト122の遠位領域104は、遠位領域104の形状が変更され得るように、ニチノールなどの材料から製造されてもよく、シャフト122の残りの部分は、シャフト122の残りの部分が実質的に固定され得るように、ステンレススチールから製造されてもよい。
いくつかの実施形態では、プローブ100を冷却することができる。いくつかの特定の実施形態では、冷却液体の内部循環によってプローブ100を冷却することができる。冷却媒体がプローブ100の遠位領域104から排出されないこのような構成は、内部冷却プローブと呼ばれてもよい。冷却液体は、手術中にプローブ100から熱を除去するために適した、水などの任意の液体であってもよい。冷却液体の他の例には、液体窒素及び生理食塩水が含まれるが、これらに限定されない。さらに、冷却液体は、手術中にプローブから熱を除去するのに適した任意の温度、例えば約0−25℃の範囲であり得る。より具体的には、液体の温度は、用途に応じて、およそ室温(21℃)、約4℃、または約0℃であってもよい。
さらに、冷却液体は、広範囲の流量で送達及び循環されることができ、本発明はこの点について限定されない。適切な流量は、プローブ100の導電率及び熱容量、冷却液体及び/または組織、プローブ100の内部構造、及びプローブ100の遠位端部106の所望の温度などを含む多数の因子に基づいて決定または計算され得る。いくつかの実施形態では、冷却液体は、約10−30ml/分の範囲の流量で送達されてもよい。
冷却液体の内部循環によって冷却されたプローブ100の内部構造のいくつかの実施形態を図3A−3Cに示す。図3Aに示すように、プローブ100のシャフト122は、第1のルーメン124を画定することができ、プローブ100の近位端部110は、開放されており、第1のルーメン124と連通することができる。あるいは、プローブ100の遠位端部106は閉じていてもよい。プローブ100は、第2のルーメン126を画定する第1のルーメン124内に配置されたシリンダ、カニューレ、または第1の内部チューブ130をさらに含むことができる。第1の内部チューブ130は、プローブ100の遠位端部106に近位に配置され得る開放された遠位端部と開放された近位端部とを有し得る。第1の内部チューブ130の近位端部は、冷却液体源に操作可能に接続されるように構成されてもよい。例えば、プローブ100は、第1の内部チューブ130を可撓性流入チューブ310に接続することができるハブ308を含んでいてもよい。代替実施形態では、ハブ114は、ハブ308が必要とされないように、第1の内部チューブ130を可撓性流入チューブ310に接続するように構成され得る。しかし、ハブ308を含む実施形態は、ハブ308が可撓性流入チューブ310を取り外し可能にすることができるという点で有益であり得る。可撓性流入チューブ310の近位端部は、冷却源、例えば液体のリザーバに接続されてもよく、それにより、可撓性流入チューブ310は、リザーバからプローブ100まで液体を冷却するための流入チューブとして機能する。すなわち、可撓性流入チューブ310は、プローブ100の遠位領域に液体を送達するように機能し得る。したがって、使用中、冷却液体は、液体のリザーバから可撓性流入チューブ310を通って第1の内部チューブ130に流入することができる。液体は、その後、第1の内部チューブ130の遠位端部を出て、プローブ100の第1のルーメン124に流入し、開放された近位端部110を介してプローブ100から排出される。開放された近位端部110は、液体をリザーバに戻すための手段に結合されてもよい。例えば、別の可撓性流出チューブ312は、可撓性流出チューブ312が冷却液体のための流出チューブとして機能するように、近位端部110をリザーバに操作可能に接続することができる。図3Aに示す実施形態では、第1のルーメン124及び第2のルーメン126は同軸であるが、他の実施形態では、図3Bに示すように、第2のルーメン126は、プローブ100の長手方向軸の中心に置かれていなくてもよい。代替実施形態では、図3Dに示すように、第1の内部チューブ130は、液体が第1の内部チューブ130を出てプローブ100の第1のルーメン124に入ることができる、1以上の開口316を含むことができる。この実施形態では、第1の内部チューブ130は、プローブ100の遠位端部106まで延在することができる。別の実施形態では、液体は、開放された近位端部110を介してプローブに入り、第1の内部チューブ130を介してプローブ100から排出される。すなわち、可撓性流入チューブ310は、プローブ100の遠位領域から液体を除去するように機能することができる。可撓性流入チューブ310及び可撓性流出チューブ312は、様々な材料から製造することができる。例えば、可撓性流入チューブ310及び可撓性流出チューブ312は、Tygon(登録商標)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリカーボネートなどの可撓性プラスチック材料から製造することができる。いくつかの実施形態では、可撓性流入チューブ310及び可撓性流出チューブ312は、流入チューブを流出チューブと区別できるように、マーキングまたは他の識別手段を含むことができる。代替実施形態では、プローブ100から排出される液体は、冷却源に戻されることはできないが、液体の収集、及び/または処分のために別の場所に除去されることができる。
別の実施形態では、図3Cに示すように、プローブ100は、冷却液体の循環のために複数の内部チューブを含むことができる。例えば、プローブ100は、第1の内部チューブ130と、第2の内部チューブ131とを含むことができる。内部チューブ(130、131)はそれぞれ、プローブ100の遠位端部106へ近位に位置し得る開放された遠位端部と、開放された近位端部とを含むことができる。第1の内部チューブ130は、リザーバからプローブ100の遠位領域に冷却液体を送達することができる。冷却液体は、その後、第2の内部チューブ131を介してリザーバに戻ることができる。上述のように、可撓性流入チューブ310と可撓性流出チューブ312とを提供することができ、これにより内部チューブ(130、131)を液体のリザーバまたは冷却液体の他の操作可能に供給源に接続することができる。代替実施形態では、図3Eに示すように、プローブ100は、冷却液体が第2の内部チューブ131の両端からプローブ100に出入りするように、実質的にU字形であり得る単一の第2の内部チューブ131を含むことができる。他の実施形態では、当業者には既知であるように、内部チューブの様々な量、方向、及び/または構成をプローブ100内に提供することができる。
本明細書で上述したように、プローブ100が曲がっている実施形態では、第1の内部チューブ130及び/または第2の内部チューブ131は、屈曲部を収容するように構成されてもよい。例えば、一実施形態では、第1の内部チューブ130及び/または第2の内部チューブ131は、プローブ100と同様の位置及び角度で曲げられてもよい。別の実施形態では、第1の内部チューブ130及び/または第2の内部チューブ131は、プローブ100が曲がる位置に近位の位置を終点としてもよい。プローブ100の形状が、手術前または手術中に変更されるように構成されている実施形態では、第1の内部チューブ130及び/または第2の内部チューブ131は、その形状も、プローブ100と共に変更されるように構成されてもよい。
いくつかの実施形態では、流れを妨げる構造体すなわちプラグ314を使用することにより、プローブ100内の冷却液体の流れを制限することができる。例えば、図3Cに示す実施形態では、プラグ314は、第1のルーメン124の一部を満たすために必要に応じて使用されてもよく、これにより、内部チューブ(130、131)のうち一方の内部に位置していない、プローブ100に供給される任意の冷却液体が、プローブ100の遠位領域104に閉じ込められる。言い換えれば、冷却液体は、リザーバから第1の内部チューブ130を通ってプローブ100の遠位領域104に流入することができる。冷却液体は、その後、プローブ100の遠位領域104を冷却するため、プラグ314の遠位にある第1のルーメン124の部分内を循環することができる。冷却液体は、その後第2の内部チューブ131を通過しプローブ100から排出され、リザーバに戻ることができる。いくつかの実施形態では、プラグ314は、蛍光透視、すなわち蛍光透視イメージングを用いて視覚化されたとき、プラグ314が放射線不透過性マーカーとして機能することもできるように、放射線不透過性材料、例えば銀はんだから製造されてもよい。代替実施形態では、銀はんだの代わりに他の材料がプラグ314のために使用されてもよく、本発明はこの点について限定されない。
プローブ100を冷却するための手段には、例えば上述のような冷却液体の循環、熱電回路による冷却、または吸熱反応による化学冷却が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、プローブ100は、熱電回路によって冷却されてもよい。例えば、プローブ100は、2つの異種金属または半導体、例えばP−及びN−ドープビスマス・テルルを含む回路を部分的にまたは完全に収容することができ、これらは2つの接合部で共に接合される。電流が回路を通過すると、一方の接合部から他方の接合部に熱が伝達される。この現象はペルティエ効果として知られている。熱の伝達元の接合部は、プローブ100の遠位領域に配置することができ、熱の伝達先の接合部は、プローブ100の近位領域、またはプローブ100の外部に配置されてもよい。エネルギーは、例えば、外部エネルギー源(例えば、プローブ100にRFエネルギーを送達するのと同じエネルギー源)、発電機またはバッテリによって、回路に提供されてもよい。
代替実施形態では、プローブ100を化学的に冷却することができる。例えば、プローブ100は、図3Cに示す構造と同様の2つの内部チューブを含むことができる。チューブの近位端部は、それぞれ、材料の別個のリザーバに操作可能に接続されてもよい。各チューブの遠位端部は、それぞれのリザーバからプローブ100の遠位領域104に材料を送達することができる。別個のリザーバ内の材料は、混合されると吸熱反応または吸熱混合が生じるように選択することができる。したがって、各材料がそれぞれ内部チューブを出て、プローブ100の遠位領域に到達すると、材料が混合し、熱エネルギーが吸収され、プローブ100の遠位領域104が冷却される。吸熱反応の生成物または得られた混合物は、開放された近位端部110を介してプローブ100から排出されてもよい。プローブ100の化学的冷却のための適切な反応の一例は、水とテトラヒドロフランとの混合であり得るが、この種の化学物質の毒性のために、使用中に漏出が無いことを確実にする適切な処置が取られなければならない。
ここで図6を参照すると、1以上の冷却液体を、プローブ100を冷却する目的でリザーバからプローブ100の第1のルーメン124に送達することができる。液体は、多数の手段を介してプローブに送達されてもよく、本発明は、この点について限定されない。例えば、一実施形態では、液体のリザーバは、コンテナ、例えば患者の上方に配置される点滴静注(IV)バッグ614を含むことができる。任意の適切な透明プラスチック可撓性チューブであり得るチューブ616は、リザーバをプローブ100の注入口に接続するために使用され得る。バルブが開かれたときに、重力によって液体がプローブ100に向かって流れるように、バルブ618は、コンテナ/バッグ614及びチューブ616の接合部に配置され得る。プローブ100内を循環した後、液体は、可撓性流出チューブ312と同様のチューブ616を介してプローブ100から排出されることができ、別のリザーバ、例えば第2のIVバッグに排出されることができる。別の実施形態では、少なくとも1つのポンプを用いて液体をプローブ100に送達することができる。例えば、少なくとも1つのペリスタルティックポンプ610を、液体のリザーバに操作可能に接続することができる。液体のリザーバは、例えば、IVバッグ、ポリプロピレンのバイアルまたはビュレット、若しくは別のコンテナであってもよい。ポンプは、リザーバからの液体をプローブ100内の注入口に注入することができる。プローブ100内を循環した後、液体は、プローブ100内の排出口を通過してプローブ100から排出されることができ、かつ、チューブを通過して同一または異なるリザーバのいずれかに流れるか、または上述のように代わりの位置に流れることができる。例えば、第2のポンプ、重力、または吸引源は、プローブから液体を引き出すことを助けることができる。
いくつかの実施形態では、プローブ100は滅菌可能であり得る。これらの実施形態では、可撓性流入チューブ310及び可撓性流出チューブ312は同様に滅菌可能であってもよく、そうでなくてもよい。プローブ100は、例えば、蒸気、エチレンオキシド、または放射線滅菌によって、材料の劣化または変色の恐れ無しに滅菌することができる。プローブ100を滅菌可能にするため、プローブ100は、滅菌可能な材料から製造することができる。例えば、シャフト122はステンレススチールから製造することができ、電気絶縁部分116である電気絶縁コーティングはPTTEから製造することができる。可撓性流入チューブ310及び可撓性流出チューブ312が滅菌可能な実施形態では、可撓性流入チューブ310及び可撓性流出チューブ312は、医療/外科用タイゴンチューブから製造することができる。他の実施形態では、可撓性流入チューブ310及び可撓性流出チューブ312はプローブ100から取り外し可能であり、したがって滅菌可能である必要はない。この実施形態では、プローブ100は、プローブ100を可撓性流入チューブ310及び可撓性流出チューブ312、または別の液体源に接続するために、滅菌可能な少なくとも1つのコネクタを含んでいてもよい。少なくとも1つのコネクタは、可撓性流入チューブ310及び可撓性流出チューブ312と第1のルーメン124との間で嵌合する、液体源をプローブ100に固定するためのルアーロックなどの手段を含むことができ、したがって、可撓性流入チューブ310及び可撓性流出チューブ312と第1のルーメン124との間の流体連通が可能になる。一実施形態では、プローブ100は、2つの滅菌可能なコネクタを含むことができ、一方は、流入する液体のためのチューブを第1のルーメン124及び第1の内部チューブ130の一方に結合することができ、他方は、流出する液体のためのチューブを第1のルーメン124及び第1の内部チューブ130の他方に結合することができる。
いくつかの実施形態では、プローブ100は、少なくとも1つの温度検出デバイス112(すなわち温度センサ)を含むことができる。温度検出デバイス112は、以下に限定されないが、熱電対、サーミスタ、蛍光センサ、または抵抗温度計を含む、温度を検出、及び/または測定するための任意の手段であり得る。いくつかの実施形態では、温度検出デバイス112は、プローブ100の遠位領域104、例えば遠位端部106に配置することができる。例えば、図4A−4Cに示すように、温度検出デバイス112は、遠位端部106に配置することができ、遠位端部106と実質的に同一平面にすることができる。別の実施形態では、図4Bに示すように、温度検出デバイス112は、プローブ100自体の温度、またはプローブ100に隣接する材料の温度ではなく、遠位端部106の遠位に位置する材料の温度を測定するように、遠位端部106から突出していてもよい。別の実施形態では、図4Cに示すように、温度検出デバイス112は、遠位端部106の近位に配置することができる。さらなる実施形態では、プローブ100は、追加の温度検出デバイスを含むことができる。例えば、組織内の温度と同様にプローブ100の遠位端部106の温度を測定できるように、第1の温度検出デバイスをプローブ100の遠位端部106に配置することができ、第2の温度検出デバイスをプローブ100の遠位端部106の遠位に配置することができる。他の実施形態では、他の構成も可能であり、本発明はこの点について限定されない。さらに、図4A及び図4Cに示す実施形態では、温度検出デバイスは、プローブ100内に、またはプローブ100の外面上に配置することができる。
代替実施形態では、温度検出デバイス112は、プローブ100の第1のルーメン124内に配置されることにより、冷却液体の温度を測定することができる。プローブ100から引き出される熱量に関連する冷却液体の温度変化を監視することにより、導電性部分118に隣接して位置する組織の温度を決定することができる。
別の実施形態では、プローブ100は、プローブ100から展開され得る拡張可能な遠隔温度検出要素を含むことができる。拡張可能な温度検出デバイス112は、導電性部分118の表面から離れて位置する組織内の温度の監視を可能にすることができる。拡張可能な温度検出デバイス112は、様々な組織領域からの温度測定値を得るべく、手術中にその位置が変更され得るように、さらに操作可能であってもよい。
いくつかの実施形態では、プローブ100は、温度検出デバイス112を外部デバイスに操作可能に接続するための手段を含むことができる。例えば、このようなデバイスは、温度検出デバイス112によって測定された温度をユーザが見られるように、ディスプレイまたはスクリーンであってもよい。他の実施形態では、温度フィードバックを発電機に供給できるように、外部デバイスは発電機であってもよい。温度検出デバイス112を外部デバイスに操作可能に接続するための手段は、温度検出デバイス112から近位に、プローブ100のルーメンを通過し、近位端部110を通ってプローブ100から外に延出し得る絶縁ワイヤ128を含むことができる。絶縁ワイヤ128は、温度検出デバイス112を外部デバイスに操作可能に接続することができる任意の温度または電気の導体であってもよい。あるいは、温度検出デバイス112は、例えば赤外線またはBluetooth(登録商標)を含む無線接続手段を介して、外部デバイスに操作可能に接続されてもよい。温度検出デバイスに関するさらなる詳細は、Leungらによる米国特許出願公開第2005/0177209号明細書に開示されており、この参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、プローブ100は、インピーダンスを測定するためのセンサを含むことができる。組織のインピーダンスは特徴的な因子であり得るため、プローブ100に近位の組織のインピーダンスを測定することにより、所望の組織のタイプ内の配置を確認することができる。いくつかの実施形態では、プローブ100は、例えばプローブ100上の2点間または導電性部分118上の点とカニューレまたは接地パッドなどの補助デバイス上の点との間の電気インピーダンスを測定するように構成することができる。インピーダンス測定手段に関するさらなる詳細は、Leungらによる米国特許出願公開第2005/0177209号明細書に開示されており、この参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、プローブ100は、圧力を測定するためのセンサを含むことができる。圧力を測定する手段は、患者の体内の流体、並びに、圧力測定値を記録するための圧力変換器と流体連通しているルーメン、を含むことができる。他の実施形態では、圧力センサは、プローブ100上の所望の位置に配置された圧力変換器を含むことができる。
温度検出デバイスに関して上述したように、プローブ100は、任意のインピーダンスまたは圧力測定手段を外部デバイスに動作可能に接続するための手段を含むことができる。例えば、圧力変換器は、プローブ100内に配置されたワイヤに電気的に接続されてもよく、このワイヤは、圧力変換器から外部デバイスに信号を送信するために、外部デバイスにさらに電気的に接続されてもよい。
いくつかの実施形態では、プローブ100は、例えば、透視撮像または別の画像診断法の下で見たときに、その可視化を強調する手段を含むことができる。そのような手段は、例えば、可視マーカー、放射線不透過性マーカー、若しくは、磁気共鳴画像法または超音波画像法で使用するためのマーカーであってもよい。強化された視覚化に関するさらなる詳細は、Chandranらによる米国特許第7,593,778号明細書、及びKrishnamurthyらによる米国特許出願公開第2004/0176759号明細書に開示されており、この両特許文献は、この参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、ハブ114は、例えば、プローブ100の屈曲またはカーブの方向/向き、プローブ100の上または内部の開口、あるいは、温度検出デバイスまたは圧力検出デバイスの位置を示すマーキングを有することができる。これらのマーキングは、視覚インジケータ、または触覚インジケータであってもよく、これらは、プローブ100の操作中に、ユーザがマーキングを見たり感じたりすることができるよう、テクスチャ加工されていてもよく、または盛り上がっていてもよい。
いくつかの実施形態では、プローブ100は、第1のルーメン124と流体連通することができる少なくとも1つの開口を有することができる。このような開口は、プローブ100の側壁によって画定される側方ポートであってもよく、体内の標的治療部位に冷却液体、麻酔剤、または任意の他の治療化合物を送達するための排出口を提供する。あるいは、少なくとも1つの開口は、プローブ100の遠位端部106に配置されてもよい。
いくつかの実施形態では、プローブ100の近位端部は、ストレインリリーフを含むことができ、ストレインリリーフの近位端部から遠位端部まで延びるグリップをさらに含むことができる。ストレインリリーフは、例えば、プローブ100の近位端部から出る任意のケーブルまたはチューブを支持することができる軟質の可撓性曲げリリーフであってもよい。
上述したように、電気絶縁部分116及び導電性部分118のサイズ及び/または形状は、特定の用途に基づいて異なってもいてもよい。参照により本明細書に組み込まれるGodaraらによる米国特許出願公開第2007/0156136号明細書に開示されているように、エネルギー源から活性電極を介して患者の身体の組織に十分なエネルギーが送達されると、傷が組織内に形成される可能性があり、傷の大きさ、形状、及び位置は、活性電極のサイズ及び/または形状に少なくとも部分的に依存する。
様々な形状の導電性部分118を有し、約16−19AWGの範囲であるプローブ100の例示的な実施形態、及びそれにより形成される傷502の例が、非限定的な例としてのみ図5A−5Dに示される。最初に図5Aを参照すると、プローブ100の導電性部分118が細長く、例えば約4−6mmの長さを有する場合、実質的に扁平な傷502が導電性部分118の周囲に形成される。エッジ効果のため、エネルギーの分布は、導電性部分118のすべての部分の周りで等しくなくてもよく、電流の大部分は、電気絶縁部分116に最も近い領域内の導電性部分118から出てもよい。したがって、傷の最も広い部分は、電気絶縁部分116に隣接する領域に形成される。使用時に、このような導電性部分は、最大の有効性を提供するために、損傷される組織(標的部位)の表面に実質的に平行に位置するように配置される。
次に図5Bを参照すると、プローブ100の導電性部分118が短く、例えば約24mmの範囲の長さを有する場合、実質的により丸い傷502が、導電性部分118の周りに形成される。導電性部分118の長さがより短いため、傷502は、図5Aに示す傷より、プローブ100からさらに遠位に延在することができる。
いくつかの実施形態では、電気的絶縁部分は、プローブ100の近位領域108からプローブ100の遠位端部まで実質的に延在してもよい。例えば、電気絶縁部分116は、プローブ100の遠位面107が少なくとも1つの電気的に露出した導電性部分118を含むように、プローブの遠位面で終わることができる。当業者には明らかであるように、プローブの幾何学的形状に基づいて、電気的絶縁部分は、エネルギー送達が実質的に遠位方向のままである限り、遠位面に対してわずかに近位で終わってもよい。いくつかの実施形態では、遠位面107の一部分は、例えば図2B−2Dに示すような、少なくとも1つの導電性部分118を含むことができる。次に図5Cを参照すると、電気的に露出した導電性部分118を含む遠位面107を有するプローブ100が示されている。このような実施形態では、遠位面107が丸い場合(図5Cに示されるように)、丸い面すなわち表面は、導電性部分118を含むことができ、遠位面107が平坦である場合、平坦表面は導電性部分118を含むことができる、等である。これらの実施形態では、傷502が形成されることができ、例えば、傷502の大部分がプローブ100の遠位面107に対して遠位に位置するように、傷は、遠位面107に対して実質的に遠位に形成される。傷502の形状は、実質的に丸くてもよく、例えば、傷502の長さ(すなわち、プローブ100の長手方向軸に沿った寸法)と傷502の幅(すなわち、プローブ100の長手方向軸に垂直な寸法)との比率は、約1:1であってもよい。使用時には、このようなプローブ100は、損傷される組織の標的部位すなわち表面に対して実質的に垂直または略垂直に立ち上がるように方向付けられて配置されてもよく、これにより、傷502は、プローブ100から標的部位まで遠位に延在することができる。以下に詳細に説明するように、導電性部分118を配置することにより、骨構造の間の隆起及び窪み、または骨構造の表面の裂け目または溝部の中に配置された組織を損傷させることができるため、これは、凹凸のある、すなわち一様でない表面を有する仙腸骨領域(図15に示す)などの体の領域において重要な利点を提供し得る。さらなる実施形態では、例えば図5Dに示すように、電気的に露出した導電性部分118がプローブ100の軸に関して対称でないように、導電性部分118は、プローブ100の軸からオフセットされていてもよい。
いくつかの実施形態では、プローブ100は、固定サイズの導電性部分118を有するように構成することができる。他の実施形態では、導電性部分118のサイズは調節可能であってもよい。例えば、一実施形態では、プローブ100は、電気絶縁部分116である電気絶縁性のシースまたはコーティングがその上に配置された導電性のシャフト122を含み、電気絶縁性シースは、シャフト122に沿って遠位方向または近位方向にスライドされるか、または他の方法で移動され得るように構成されてもよい。したがって、電気絶縁性シースがシャフト122に沿って近位方向に移動されるとき、電気的に露出した導電性部分118、すなわち活性電極は、より長くなる。電気絶縁性シースがシャフト122上で遠位方向に移動されると、活性電極はより短くなる。上述のように、活性電極の長さを変えることは、そこから形成された傷の幾何学的形状に影響を及ぼす可能性がある。いくつかの実施形態では、活性電極の長さは、治療手術の前、間、または後に変更することができるが、他の実施形態では、手術の実際の過程の間に活性電極の長さを変えることはできない。例えば、そのような一実施形態では、プローブ100は、治療手術の過程中に絶縁性シースの動きを妨げるための安全機構、例えばクランプなどの固定手段を有することができる。
本発明の別の代替実施形態では、治療装置は、プローブに加えてイントロデューサを含むことができる。イントロデューサは、後述されるように、患者の身体にエネルギーを送達するために使用されることができ、及び/または、イントロデューサは、後述されるように、プローブの挿入を容易にするために使用されることができる。イントロデューサがエネルギーを送達するために使用される実施形態では、イントロデューサは、少なくとも1つの電気的に露出した導電性部分と、少なくとも1つの電気的絶縁部分とを含むことができる。いくつかの実施形態では、イントロデューサの本体は、導電性材料から構成され、絶縁領域を画定する絶縁シースまたはコーティングによって少なくとも部分的に覆われてもよいが、いくつかの実施形態では、イントロデューサは、外部に適用された1以上の導電体または電極を有する絶縁材料から構成されてもよい。イントロデューサの遠位端部は、尖っている、または鋭角である。例えば、イントロデューサの遠位端部は傾斜を含むことができる。一実施形態では、イントロデューサの遠位面が少なくとも1つの露出した導電性部分を含むように、少なくとも1つの電気的絶縁部分は、イントロデューサの近位領域からイントロデューサの遠位端部まで延在することができる。傾斜を含む実施形態では、少なくとも1つの露出した導電性部分が、傾斜を含み得る。代替実施形態では、露出した導電性部分は、代替的に、またはそれに加えて、イントロデューサの側部に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、電気的絶縁部分は、イントロデューサの斜面の末端まで延在してもよいが、他の実施形態では、電気的絶縁部分は、イントロデューサに沿ってさらに近位で終わっていてもよい。
いくつかの実施形態では、イントロデューサは直線状であるが、いくつかの他の実施形態では、イントロデューサは曲がっていてもよい。例えば、いくつかのこのような実施形態では、イントロデューサは、イントロデューサの遠位領域において約5−20°の屈曲を有することができる。いくつかの実施形態では、イントロデューサは、約16−18AMG、約75−150mmの長さであってもよく、約2−6mmの長さの電気的に露出した導電性部分を有していてもよい。これらの実施形態では、プローブは、イントロデューサのルーメン内に配置され、イントロデューサ内に完全に配置されたときに、イントロデューサと電気的に接触するように構成されてもよい。
プローブは、例えば上述したように、導電性の細長いシャフトと、エネルギー源に接続するための接続手段と、冷却供給源に接続するための接続手段とを含むことができる。したがって、エネルギー源によってプローブにエネルギーが供給されると、エネルギーは、イントロデューサの導電性部分に沿って流れ、標的部位に送達され、組織または体を通って基準電極またはリターン電極に移動する。このような実施形態では、プローブのシャフトは導電性であり、プローブの実質的に全体の長さに沿って露出していてもよい。言い換えれば、このような実施形態でイントロデューサと共に使用されるプローブは、上記のような電気絶縁性コーティングを含まなくてもよい。
いくつかの実施形態では、プローブの遠位端部は、イントロデューサ内に完全に配置されたとき、イントロデューサの遠位端部と実質的に同一平面にあってもよい。他の実施形態では、プローブの遠位端部は、イントロデューサ内に完全に配置されたとき、イントロデューサの遠位端部から遠位方向に延在してもよい。他の実施形態では、細長い部材の遠位端部は、イントロデューサ内に完全に配置されたとき、イントロデューサの遠位端部から近位方向に窪んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「完全に配置された」という語句は、第2の部材内に実質的に完全に収容される第1の部材を指し、通常の使用下では、第2の部材にそれ以上挿入されることは意図されていない。
プローブ及びイントロデューサは、プローブがイントロデューサの内部に完全に配置されるか、またはイントロデューサ内に配置されるとき、プローブの少なくとも一部がイントロデューサの少なくとも一部と電気的接触、及び/または熱接触することにより、熱エネルギー及び/または電気エネルギーをプローブからイントロデューサに送達することができるように構成され得る。これは、液体の層がプローブの少なくとも一部とイントロデューサとの間に残るように、プローブを挿入する前に生理食塩水などの液体でイントロデューサを洗い流すことによって達成され得る。生理食塩水はその後、プローブとイントロデューサとの間で電気、及び/または熱を伝導するために役立つことができる。あるいは、プローブ及びイントロデューサは、プローブがイントロデューサ内に完全に配置されたときに物理的に接触し、それにより電気接触、及び熱接触を有するように構成され得る。さらなる実施形態では、プローブの一部は、イントロデューサの導電性部分と熱接触していてもよい。これは、プローブの冷却により、イントロデューサの導電性部分が冷却されるという点で有益であり得る。上述のように、プローブは、様々な方法によって冷却され得る。
ある特定の実施形態では、既存のイントロデューサを用いてこの実施形態のプローブを利用することが望ましい可能性がある。したがって、特定の範囲の外径、例えば約24−31AMGの範囲のプローブを提供することが望ましい場合がある。したがって、この実施形態のプローブは、プローブの外径が実質的に小さく留まってもよいように、例えば、図3A及び図3Dに示すように、単一の内部ルーメンを含むことができる。他の実施形態では、プローブが約24−31AMGの範囲に留まることができるように、各々が特定のサイズである2以上の内部ルーメンをプローブが含んでいてもよい。プローブの外部の少なくとも1つの導電性部分は、イントロデューサの外部の少なくとも1つの導電性部分と連続的であるか、または電気的に接続されているイントロデューサの内部の少なくとも1つの導電性部分に接触し得る。このような実施形態に関するさらなる詳細は、Godaraらによる米国特許第7,819,869号明細書に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
イントロデューサ内に冷却プローブを含む実施形態は、既存のイントロデューサを冷却されたプローブのこのような実施形態と共に使用することができる点で有利であり得る。このように、これらのプローブの実施形態は、現在使用され、かつ医師によく知られているものと同様のイントロデューサの使用を可能にし得るが、図20及び図21に関して以下に説明するように、これらのプローブの実施形態は、イントロデューサ内に配置されたプローブに供給される冷却により、現在作り出されることが可能な傷より大きな傷を作り出すために使用されることができ、かつ、液体送達側方ポートを含むT型ジョイントの配置により、プローブを除去することなく標的部位に液体を送達することができる。加えて、医師は、イントロデューサの遠位領域を標的部位に配置すること、プローブをイントロデューサ内に配置すること、及びプローブからイントロデューサへ、かつイントロデューサから標的部位へエネルギーを送達することを含む手術に精通している可能性がある。したがって、イントロデューサ内に配置されるようにサイズ決めされたこの実施形態の冷却されたプローブにより、医師は、冷却無しで同様のイントロデューサを用いる、これまでに実施した手術と同様に、冷却の利点が追加された標準の手術に従うことができる。さらに他の実施形態では、図17及び図18に関して以下に説明するように、側方ポートは、イントロデューサ自体の一部であってもよい。
次に図6を参照すると、本発明のシステムは、1以上のプローブ100と、1以上の導入装置と、1以上の分散リターン電極(図示せず)と、1以上の冷却源、例えばペリスタルティックポンプ610と、1以上のエネルギー源、例えばジェネレータ608と、1以上の接続手段、例えば可撓性流出チューブ312及び/またはケーブル612を含むことができる。
導入装置は、プローブ100を患者の体内に挿入することを助けることができる。導入装置は、中空の細長いイントロデューサ604とオブチュレータ606とを含むことができる。この実施形態では、上述のように、イントロデューサ604は、患者の体内へのデバイスの挿入を容易にするために有用であり得る。例えば、イントロデューサ604及び/またはオブチュレータ606は、イントロデューサ装置が皮膚または他の身体組織を突き刺すことを助けるように、実質的に剛性を有していてもよい。オブチュレータ606は、イントロデューサ604と協働して係合するように構成されてもよい。言い換えれば、オブチュレータ606は、イントロデューサ604のルーメン内に収まるようなサイズにすることができ、かつイントロデューサ604内にオブチュレータ606を固定するための手段を含むことができる。一実施形態では、オブチュレータ606がイントロデューサ604内に完全に配置されたとき、オブチュレータ606は、導入装置が体内に挿入されたときに組織がルーメンに入ることが防止されるように、イントロデューサ604のルーメンを十分に閉塞する。いくつかの実施形態では、オブチュレータ606の遠位端部は、鋭いか、または尖っていてもよい。これらの実施形態では、オブチュレータ606の遠位端部は、円錐形、面取り形、または、より具体的には三面取り形であってもよい。オブチュレータ606、及びイントロデューサ604の長さは、用途に応じて変化してもよい。一実施形態では、イントロデューサ604は、その遠位端部が身体内の標的組織に到達し、同時に近位端部が体の外側に留まるようなサイズにすることができる。いくつかの実施形態では、イントロデューサ604は、約13.97−19.05cm(約5.5−7.5インチ)の長さであってもよく、オブチュレータ606は、約13.97−19.05cm(約5.5−7.5インチ)の長さであってもよい。より具体的には、イントロデューサ604は、約16.26cm(約6.4インチ)の長さであってもよく、オブチュレータ606は、約16.76cm(約6.6インチ)の長さであってもよい。オブチュレータ606は、イントロデューサ604よりわずかに長くてもよく、それにより、オブチュレータ606の遠位端部は、完全に配置されたときに、イントロデューサ604から突出することができる。いくつかの実施形態では、オブチュレータ606は、イントロデューサ604より実質的に長くてもよく、冷却されたプローブを使用するときに傷形成の位置を視覚化するのを助けることができるように、蛍光透視法の下で見ることができる。この実施形態に関するさらなる詳細は、Leflerらによる米国特許出願公開第2009/0024124号明細書に開示され、これは参照により本明細書に組み込まれる。イントロデューサ604のルーメンは、プローブ100の直径に適合するような大きさにすることができるが、手技の侵襲性を制限するために、可能な限り小さいままである。特定の実施形態では、イントロデューサ604及びオブチュレータ606の近位領域は、ハブまたはロックによって共に閉じられるように構成されている。
一実施形態では、イントロデューサ604及びオブチュレータ606は、ステンレススチールで製造することができる。他の実施形態では、イントロデューサ604、オブチュレータ606、またはその両方は、ニッケル−チタン合金などの他の材料から製造されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、オブチュレータ606は、オブチュレータ606をジェネレータ608に接続するための手段、例えばワイヤまたはケーブルを含むことができる。このような実施形態では、オブチュレータ606は、導入装置が患者の体内に挿入されるときに組織のインピーダンスを測定するように操作可能であってもよい。さらに、または代替的に、オブチュレータ606は、以下でさらに記述するように、標的組織部位にエネルギーを送達するように操作可能であってもよい。
いくつかの実施形態では、プローブ100は、エネルギー源、例えばジェネレータ608に操作可能に接続されるように構成されてもよい。プローブ100をジェネレータ608に接続するための接続手段612には、例えば絶縁ワイヤまたはケーブルなどの、1以上の電気的接続をなすように操作可能な任意の構成要素、デバイス、または装置が含まれてもよい。一実施形態では、接続手段612は、ハブ114で終わりをなす電気ケーブルと、その近位端部にあるコネクタとを含むことができる。コネクタは、例えば中間ケーブルを介して、ジェネレータ608に直接的または間接的に結合するように、操作可能であってもよい。接続手段612であるケーブルに関連付けられる少なくとも1つのワイヤまたは他の電導体は、ジェネレータ608からシャフト122にエネルギーを供給するために、例えばクリンプ、または、はんだ接続によってシャフト122の導電性部分に接続される。1つの特定の実施形態では、ケーブルを中間ケーブル(図示せず)に接続するために4ピンの医療用コネクタを使用することができ、これは、ジェネレータ608に接続された場合に自動的に識別可能な14ピンコネクタにさらに取り付けられていてもよい。
ジェネレータ608は、様々なタイプのエネルギー、例えばマイクロ波、超音波、光学、または無線周波数の電気エネルギーを生成することができる。いくつかの実施形態では、ジェネレータ608は、約1−50Wの電力で、約10−1,000kHzの周波数を有する無線周波数電流を生成することができる。いくつかの実施形態では、ジェネレータ608は、その中に組み込まれたディスプレイ手段を含むことができる。ディスプレイ手段は、治療処置の様々な態様を表示するために操作可能であってもよく、温度、電力またはインピーダンス、及び治療処置に関連するエラーまたは警告などの治療処置に関連する任意のパラメータを含むが、これに限定されない。あるいは、ジェネレータ608は、信号を外部ディスプレイに送信するための手段を含むことができる。一実施形態では、ジェネレータ608は、1以上のデバイス、例えば1以上のプローブ100及び/または1以上のペリスタルティックポンプ610などの冷却源と通信するように操作可能であってもよい。このような通信は、使用されるデバイス及び実行される治療処置に応じて一方向または双方向であってもよい。本発明のシステムの一部として使用することができるRFジェネレータの一例は、Baylis Medical Company Inc.社(カナダ・ケベック州、モントリオール所在)のPain Management Generator(PMG)である。エネルギー源の実施形態に関するさらなる詳細は、Leungらによる米国特許第8,882,755号明細書、及びShahらによる米国特許第7,258,688号明細書に開示され、これらはいずれも参照により本明細書に既に組み込まれている。
本発明のシステムにおけるジェネレータ608と他のデバイスとの間の通信の例として、ジェネレータ608は、1以上の温度検出デバイス112から温度測定値を受信することができる。温度測定値に基づいて、ジェネレータ608は、プローブに送信された電力を変調するなどの何らかのアクションを実行することができる。例えば、予め定められた閾値レベルに対して、測定値が低い場合にはプローブへの電力を増加させることができ、測定値が高い場合にはプローブへの電力を減少させることができる。2以上のプローブが使用される場合、ジェネレータは、各プローブに関連付けられた温度検出デバイスから受信した個々の温度測定値に応じて、各プローブに送られる電力を独立的に制御するように操作可能であってもよい。いくつかの場合には、ジェネレータ608は、1以上のプローブ100の電源を切ることができる。このように、いくつかの実施形態では、ジェネレータ608は、1以上のプローブ100から信号(例えば温度測定値)を受信することができ、適切なアクションを決定し、1以上のプローブに信号(例えば、減少または増加した電力)を送り返すことができる。
あるいは、1以上の冷却手段(すなわち冷却源)が、1以上のペリスタルティックポンプ610、例えば蠕動ポンプを含む場合、1以上のペリスタルティックポンプ610は、ジェネレータ608に冷却液体の流量を送達することができ、かつ、例えばジェネレータ608によって受信された温度測定値に基づいて、この流量を調節するようにペリスタルティックポンプ610に命令するジェネレータ608からの情報を受信することができる。いくつかの実施形態では、ペリスタルティックポンプ610は、流量を変更することによって、またはある期間にわたって電源を切ることによって、ジェネレータ608に反応することができる。ポンプは、プローブ100を取り囲む組織の温度が平衡に達することができるように電源を切られてもよく、これにより、周囲の組織温度をより正確に測定することができる。さらに、複数のプローブ100を使用する場合、ジェネレータ608がそれぞれのプローブ100を独立して制御しない実施形態では、プローブ100に関連付けられた温度検出デバイス112の平均温度または最高温度を用いて冷却手段を制御することができる。
上述のように、いくつかの実施形態では、1以上のペリスタルティックポンプ610を使用して、プローブ100に冷却液体を供給し、プローブ100から冷却液体を戻すことができる。他の実施形態では、他のタイプのポンプを使用することができる。実施例には、遠心ポンプまたはピストンポンプが含まれるが、これに限定されない。温度制御に関して上述したように、冷却液体または他の冷却手段の送達の制御は、各プローブに対して独立して実施されてもよく、または、冷却は、平均温度測定値または1つのプローブから記録された測定値に基づいて制御されてもよい。冷却源に関するさらなる詳細は、Leungらによる米国特許第8,882,755号明細書、及びGodaraらによる米国特許第7,163,536号明細書に開示されている。
いくつかの実施形態では、本発明のシステムは、1つのプローブを含むことができ、他の実施形態では、本発明のシステムは、複数の、例えば2つのプローブを含むことができる。このシステムは、例えば、モノポーラモード、バイポーラモード、または多相/マルチポーラモードで操作され得る。モノポーラモードで操作する場合、任意の数のプローブを使用することができ、システムは、分散型リターン電極をさらに含むことができる。分散型リターン電極は、例えば、患者の皮膚に取り付けるための接地パッドであってもよく、または、プローブ100と一体化された実質的に大きい電極であってもよい。システムをバイポーラモードで操作する場合、任意の数のプローブ、例えば2つのプローブを使用することができ、電流はプローブ間を流れることができる。あるいは、1つのプローブを使用する場合、電流は、導電性部分118とプローブ100上の第2の導電性かつ露出した部分との間を流れることができる。例えば、プローブ100は、導電性部分118の近位の位置でプローブ100の周りに配置された、リング形態の、第2の導電性かつ露出した部分を含むことができる。導電性部分118及び第2の導電性かつ露出した部分は、互いに電気的に絶縁されていてもよく、プローブ100は、第2の導電性かつ露出した部分を、導電性部分118である活性電極とは異なる電位にあるエネルギー源、または接地回路に、操作可能に接続する手段を含むことができる。
システムの操作は、ユーザによって手動で制御されてもよく、または特定のパラメータに基づいて、例えば、システム自体の構成要素の特性または治療される組織の特性の測定に基づいて、自動で制御されてもよい。2以上のプローブが使用される場合、システムの操作を制御する手段は、例えば、いずれのプローブへの電流も独立して調整可能であるように、各プローブを独立して制御するように構成することができる。さらに、冷却の流れを各プローブに対し独立して制御することができる。したがって、1つのプローブが別の1つまたは複数のプローブに対してより高い温度にあることが判明した場合、そのプローブへの冷却の流れを増加させることができ、及び/または、そのプローブへの電流を減少させることができる。同様に、1つのプローブが別の1つまたは複数のプローブに対してより低い温度にあることが判明した場合、そのプローブへの冷却の流れを減少させることができ、及び/または、そのプローブへの電流を増加させることができる。自動制御を有するシステムの実施形態では、システムは、特定の基準に基づいて1以上のデバイスを制御すべく操作可能なコントローラを含むことができる。システムの自動または手動制御に関するさらなる詳細は、Leungらによる米国特許第8,882,755号明細書に開示されている。
上述した様々な特徴に関わらず、ここで図17−21を参照すると、本開示により意図される電気手術器(electrosurgical device)は、プローブ100、200、または400の遠位端部106が標的部位(例えば、治療対象の組織の近傍またはそれに隣接する部位)と接触することができるようにプローブ100、200、または400をイントロデューサ604内に配置したときに、プローブ100、200、または400の外径202と、イントロデューサ604(外径206も有する)の内径204とにより画定されるルーメン208内に液体を導入するための側方ポート224または406を含む。図19は、図17−18及び図20−21の切断線Cで切断した、イントロデューサ604の内径204と、プローブ200の電気絶縁部分116の外径202とにより画定されるルーメン208の断面図を示す。側方ポートは、治療薬や生理食塩水などを含む液体をルーメン208内に注入して、イントロデューサ604の遠位端部214の液体出口230から標的部位またはその近傍に排出し、その液体で、プローブ100、200、または400の露出した導電性部分118及びその周囲の組織を浸すことができるように、チューブ220を介して、シリンジ222または他の適切な液体導入装置(例えば、IVバッグなど)に接続される。側方ポート224または406は、図17及び図18に示すように、イントロデューサハブ210の構成要素であってもよいし、あるいは、図20及び図21に示すように、イントロデューサ604とプローブ200との間にT型ジョイント402の構成要素として配置してもよい。また、プローブ200または400の近位領域108と、イントロデューサハブ210の近位端部212との間、または近位領域108とT型ジョイント402との間に、側方ポート224または406からプローブ200または400の近位領域108への液体の逆流を防止するためのシール(液体密封シール)216が形成される。加えて、電気手術器を使用した治療中にチューブ220の開口端部がベント218としての機能を果たすことができるように、シリンジ222はチューブ220から取り外すことができる。ベント218は、冷却型プローブに加えて、標的部位において組織の温度を低下させ、組織の損傷を最小限に抑えることができる。
図17及び図18に示す、特定の一実施形態では、電気手術器は、プローブ200の露出した導電性部分118及びその周囲の組織(すなわち標的部位)を液体ベースの治療薬、生理食塩水、または任意の他の適切な液体で浸すことができるように、液体をイントロデューサ604の遠位端部214の液体出口230から排出するためのルーメン208を画定するプローブ200及びイントロデューサ604を含む。液体の逆流を防止するために、プローブ200の近位領域108と、ハブ114におけるイントロデューサ604の近位端部212との間にシール216が形成される。イントロデューサハブ210はまた、シリンジ222または任意の他の適切な液体導入装置から、イントロデューサハブ210に設けられた側方ポート224に接続されたチューブ220を介して液体を注入するための空間226を画定する。注入された液体は、イントロデューサ604の遠位端部214の内径204と、プローブ200の電気絶縁部分116の外径202との間に画定されたルーメン208内を流れる。このような構成により、治療薬または他の適切な液体を標的部位またはその近傍の組織に注入するためにプローブ200をイントロデューサ604から抜去する必要がなくなる。さらに、治療薬または他の適切な液体を標的部位に送達した後、シリンジ222または任意の他の適切な液体導入装置をチューブ220から取り外すことにより、治療中に、チューブ220の開口端部がベント218としての機能を果たすことができる。ベント218は、上述したようにチューブ310及び312により冷却されたプローブ200と協働して、組織の損傷を最小限に抑えるために、標的部位の近傍の組織を冷却することができる。
別の特定の実施形態では、図20及び図21に示すように、電気手術器は、プローブ400の露出した導電性部分118及びその周囲の組織(すなわち標的部位)を液体ベースの治療薬、生理食塩水、または任意の他の適切な液体で浸すことができるように、液体をイントロデューサ604の遠位端部214の液体出口230から排出するためのルーメン208を画定するプローブ400及びイントロデューサ604を含む。液体の逆流を防止するために、プローブ200の近位領域108とT型ジョイント402との間にシール216が形成される。ハブ114は、プローブ200の近位領域108をT型ジョイント402に対して所定の位置に固定する。T型ジョイント402はまた、シリンジ222または任意の他の適切な液体導入装置から、T型ジョイント402に設けられた側方ポート406に接続されたチューブ220を介して液体を注入するための空間226を画定する。注入された液体は、イントロデューサ604の遠位端部214の内径204と、プローブ200の電気絶縁部分116の外径202との間に画定されたルーメン208内を流れる。イントロデューサ604は、ハブ404によりT型ジョイント402に固定される。このような構成により、治療薬または他の適切な液体を標的部位またはその近傍の組織に注入するためにプローブ400をイントロデューサ604から抜去する必要がなくなる。さらに、図17及び図18を参照して上述した実施形態と同様に、治療薬または他の適切な液体を標的部位に送達した後、シリンジ222または任意の他の適切な液体導入装置をチューブ220から取り外すことにより、治療中に、チューブ220の開口端部がベント218としての機能を果たすことができる。ベント218は、チューブ310及び312により冷却されたプローブ200と協働して、組織の損傷を最小限に抑えるために、標的部位の近傍の組織を冷却することができる。
概して言えば、プローブ100、200、または400をイントロデューサ604内に配置したときに、プローブ100、200、または400の外径202と、イントロデューサ604(外径206も有する)の内径204とにより画定されるルーメン208は、約0.045−0.076mm(約0.00175−0.003インチ)の厚さまたは幅を有する空間を画定する、長手方向軸に対して垂直な円環状の断面を有し得る。望ましくは、上記空間の厚さまたは幅は、約0.051−0.072mm(約0.002−0.00285インチ)であり得る。より望ましくは、上記空間の厚さまたは幅は、約0.064−0.07mm(約0.0025−0.00275インチ)であり得る。
約30秒間で標的部位に送達される液体の体積は最大で約2ml(ミリリットル)であるので、約30秒間で標的部位に送達される液体の体積は、約0.05−0.75mlであることが望ましい。また、約30秒間で標的部位に送達される液体の体積は、約0.1−0.5mlであることがより望ましい。例えば、約30秒間で標的部位に送達される液体の体積は、約0.25−0.35mlであり得る。これらの値は一般的に、室温(例えば約20℃)で約0.75−3センチポアズ(例えば約1センチポアズ)の粘度を有する液体を送達する場合に適用される。
ルーメン208は、大幅な圧力上昇または流量制限を引き起こすことなく、約0.001667−0.0667ml/秒の液体送達流量を実現することができる大きさに形成される液体送達流量をルーメン(例えば、液体送達チャンネル)の断面積で割算すると、液体速度が求まる。例えば、ルーメン208は、約5.8−185mm/秒(約14−436インチ/分、または約0.23−7.3インチ/秒)の液体速度を提供する。液体速度は、約25−85mm/秒であることが望ましい。
本願発明者は任意の特定の動作理論に拘束されることを望まないが、上記の範囲の液体速度(液体送達流量のルーメンの断面積に対する比)は、約0.065−0.194平方mm(約0.0001−0.0003平方インチ)の断面積を有するルーメンにおいて特に有利である。プローブ100、200、または400の外径202とイントロデューサ604の内径204とにより画定されたルーメン208を通じた液体送達を妨げることなく、プローブ100の外径を最大化するためには、ルーメンの断面積を最小化することが重要だからである。この構成は、冷却型プローブにおいて特に有利である。液体送達を提供するためにプローブ内を貫通して該プローブの遠位端部または遠位領域に位置する開口部まで延在する別個のルーメンまたはチャンネルが不要となるため、液体送達を依然として可能にしながら、プローブとイントロデューサとの組み合わせの全径を減少させることができるからである。
概して、本発明の方法の実施形態は、治療器具、例えばプローブを使用して、患者(対象)の身体の特定の領域に、標的組織を効果的に治療するための十分な大きさ及び適切な形状を有する傷(lesion)を形成することを含む。例えば、ある広範な態様では、長手方向軸を有する電気手術器を使用して、ヒトまたは動物の体内の標的部位に傷を形成するための方法が提供される。この方法は、イントロデューサを介して電気手術器(冷却プローブ)を体内に挿入するステップと、液体(例えば、治療薬、生理食塩水など)を液体導入装置(例えば、シリンジ、IVバッグなど)から側方ポートに導入し、イントロデューサの遠位端部を介して送達するステップと、任意選択で、液体導入装置を取り外して電気手術器にベントを提供するステップと、標的部位の傷を形成するために、エネルギー源からイントロデューサの遠位端部を介して標的部位にエネルギーを送達するステップとを含み得る。
傷の望ましい大きさ及び形状は、標的となる特定の生体構造及び組織に依存し、これに限定しないが、治療器具の形状や治療器具に送達する冷却液体(冷却剤)の量などの本明細書中で説明するいくつかのパラメータの影響を受ける。したがって、本発明の一態様によれば、電気外科手術中に、所望の特徴を有する傷を形成するためのステップが提供される。傷は、例えば侵害受容などの神経活動を阻害する役割を果たす。あるいは、いくつかの実施形態では、傷は、例えばコラーゲンの収縮などの他の効果を有し得る。本発明の方法の実施形態は、概して、所望する傷の形状、大きさ、及び位置を決定するステップ、所望する傷の形状、大きさ、及び位置に基づき、電気手術器(例えばプローブ)及びエネルギー送達パラメータ(例えば電圧)を選択するステップ、電気手術器を患者の体内に挿入するステップ、電気手術器を標的部位に配置(位置決め)するステップ、電気手術器を介して標的部位にエネルギー(例えば高周波電流)を送達して傷を形成するステップ、及び電気手術器に冷却液体を供給するステップのうちの1以上を含むことができる。以下に説明するように、本発明の方法態様の実施形態は、電気外科手術中に、電気手術器を従来よりも容易に配置するのに有用であり得る。
本発明の方法態様の一実施形態では、電気手術器を挿入するステップは、プローブを患者の体内に経皮的に挿入するステップを含み、電気手術器を配置するステップは、活性電極が標的治療部位またはその近傍に達するまで電気手術器を前進させるステップを含む。プローブを挿入するステップを実施する前に、イントロデューサ器具を体内の標的治療部位またはその近傍に挿入するステップ、標的治療部位またはその近傍で、電気手術器または組織の1以上の性質を測定するステップ、標的治療部位またはその近傍に物質を挿入するか、または標的治療部位またはその近傍から物質を除去するステップ、及び標的治療部位またはその近傍で別の治療処置を実施するステップのうちの1以上の追加的なステップのうちの1以上のステップを任意選択で実施してもよい。
上述したように、いくつかの実施形態では、プローブは、例えばイントロデューサ及びオブチュレータを含むイントロデューサ器具と共に使用される。使用時は、イントロデューサ器具の標的治療部位への挿入を容易にするために、最初は、オブチュレータがイントロデューサ器具のルーメン内に配置される。イントロデューサ器具が適切に配置されると、オブチュレータは抜去され、オブチュレータの代わりにプローブがイントロデューサのルーメンに挿入される。いくつかの実施形態では、詳細については後述するが、オブチュレータは、イントロデューサ器具を患者の体内に挿入したときに、イントロデューサ器具を標的部位に配置するのを助けるために、組織のインピーダンスを測定する機能を果たす。代替的にまたは追加的に、オブチュレータは、後述するように、刺激エネルギーを標的治療部位に送達する機能を果たす。プローブ及びイントロデューサは、プローブがイントロデューサ内に完全に配置されたときに、プローブの遠位端部がイントロデューサの遠位端部と整列するように構成される。別の実施形態では、プローブ及びイントロデューサは、プローブがイントロデューサ内に完全に配置されたときに、プローブの遠位端部がイントロデューサの遠位端部から突出または延出するように構成される。例えば、上述したように、イントロデューサが、電気絶縁部分により覆われた細長い導電性部分を含み、該導電性部分が、露出した導電性の遠位部分を有する場合、プローブは、エネルギー源からイントロデューサの導電性の遠位部分にエネルギーを送達する機能を果たし得る。このエネルギーの送達は、プローブの先端とイントロデューサの内面との物理的接触により、容易に行うことができる。このような実施形態では、プローブの先端は、イントロデューサの遠位端部と整列され、イントロデューサの露出した導電性部分の長さは、図5を参照して説明したように、形成される傷の特徴に影響を与える。あるいは、いくつかの実施形態では、イントロデューサは、露出した導電性の遠位部分を有していない細長い電気絶縁部分を含むことができる。このような実施形態では、プローブの遠位端部がイントロデューサの遠位端部から突出または延出し、プローブの先端がイントロデューサから突出する距離は、プローブを前進または後退させることにより変更することができる。プローブの先端がイントロデューサから突出する距離は、上述したように、傷の形成に影響を与える。
プローブを挿入及び配置するステップでは、活性電極を有する該プローブの遠位端部が、プローブにおける治療部位に最も近い部分となるようにプローブを挿入及び配置する。治療部位が、例えば表面を含む場合、プローブは、表面に対して実質的に垂直にまたは略直立するように、例えば約80−100°の角度で挿入及び配置される。別の実施形態では、プローブは、約45−135°の角度で、さらに別の実施形態では、約60−125°の角度で挿入及び配置される。プローブは、該プローブの遠位端部が標的治療部位と直接的に隣接または接触するように挿入及び配置されるか、または、該プローブの遠位端部が標的部位に近位するように挿入及び配置される。例えば、一実施形態では、プローブは、「垂直」または「ガンバレル(gun-barrel)」アプローチと呼ばれる手法を用いて挿入及び配置される。この実施形態では、プローブは、その長手方向軸が、標的組織または部位により形成される線または面に対して実質的に垂直にまたは略直立するように、標的部位に向けられる。例えば、標的組織が神経である場合、プローブは、神経に対して実質的に垂直にまたは略直立するように挿入及び配置される。標的組織が、例えば神経と神経枝などの2以上の神経構造体を含む場合、プローブは、その神経構造体が有する面に対して実質的に垂直にまたは略直立するように挿入及び配置される。詳細については後述するが、本発明の実施形態は、プローブの遠位端部の遠位に主として位置する傷の形成を可能にする。したがって、標的部位に対して実質的に垂直にまたは略直立するように挿入されたプローブにエネルギーを送達して該プローブの遠位に傷を形成することにより、標的部位を効果的に治療することが可能となる。
別の実施形態では、プローブは、実施する外科手術及び関連する解剖学的構造に依存して、標的治療部位に対して様々な角度で挿入される。例えば、いくつかの実施形態では、プローブは、標的部位に対して、実質的に平行に、例えば約0−20°の角度で挿入される。別の実施形態では、プローブは、標的部位に対して、例えば約20−70°の角度で挿入される。概して、本発明の実施形態は、様々な大きさの傷を装置に対する様々な位置に形成する装置及びその使用方法を提供することにより、様々な角度での挿入を可能にする。
プローブを挿入及び配置するステップは、単一のプローブを単一の標的治療部位の近傍の位置に挿入すること、複数のプローブを単一の標的治療部位の近傍に挿入すること、または、複数のプローブを複数の標的治療部位の近傍の複数の位置に挿入することを含み得る。単一または複数のプローブは、エネルギーを単極、双極、または多極形態で送達するように構成され得る。単一または複数のプローブがエネルギーを単極形態で送達するように構成されている場合、本発明の方法は、例えば接地パッドなどの基準電極を別の位置または体内に配置するステップを含む。プローブを挿入及び配置するステップは、例えば、エネルギーを送達するステップの開始前に、任意選択で、標的治療部位またはその近傍で電気手術器または組織の1以上の性質を測定するステップ、標的治療部位またはその近傍で刺激信号を組織(例えば神経組織)に印加するステップ、標的治療部位またはその近傍での刺激信号の印加に対する、組織(例えば、筋肉または神経組織)の刺激応答(例えば、体性感覚誘発電位(SSEP))を測定するステップ、標的治療部位またはその近傍に物質を挿入するかまたは標的治療部位またはその近傍から物質を除去するステップ、及び、標的治療部位またはその近傍で別の治療処置を実施するステップのうちの1以上を含むことができる。これらのステップに関するさらなる詳細は、Leungらによる米国特許第8,882,755号明細書、Godaraらによる米国特許第7,819,869号明細書、Godaraらによる米国特許第8,951,249号明細書、Godaraらによる米国特許出願公開第2006/0259026号明細書、及びConquergoodらによる米国特許第8,096,957号明細書に開示されている。上記の任意選択の1以上のステップの実施後に、単一または複数のプローブを再挿入、移動、または他の方法で再配置し、その後、上記の任意選択のステップのいずれかを繰り返してもよい。
例えば標的治療部位に傷を形成するために、標的治療部位にエネルギーを送達するステップは、所望の形状の傷を、プローブに対する所望の位置に形成することを含む。上述したように、傷の形状及び位置は、プローブの露出した遠位端部の長さの影響を受ける。プローブの露出する部分が少ないほど、プローブに対してより遠位に傷が形成される。加えて、プローブの先端の露出する部分が少ないほど、傷の形状はより球状になる。例えば、プローブの遠位端部の露出長さが、先端部の最遠位領域(すなわち表面)に実質的に制限された場合、プローブの遠位に主として位置する実質的に球状の傷が形成される。このようなプローブは、該プローブの活性電極が、標的部位(例えば神経)に対して実施形態に近位に位置するように配置される。その後、傷がプローブの活性電極の実質的に遠位に形成されるように、エネルギーがプローブに送達される。逆に、プローブの先端のより多くの部分が露出した場合、傷は、プローブの遠位端部の周囲に、より楕円形に、またはより放射状に(すなわち、プローブの長手方向軸に対して垂直に)形成され、傷における遠位端部の遠位する部分は減少する。
プローブに送達されるエネルギーの種類、パラメータ、及び性質は、用途に応じて変更され、本発明はこれに関しては限定されない。エネルギーは、例えば、電磁、マイクロ波、または熱などの様々な種類のエネルギーのうちのいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、約10−1000kHzの周波数を有する高周波数電流が、約50ワットの電力でプローブに送達される。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、組織にエネルギーを送達するステップは、電気手術器に冷却液体を供給するステップの前に、あるいは電気手術器に冷却液体を供給するステップと同時に実施される。冷却液体は、エネルギー送達部位の近傍に位置する組織の温度を低下させるのに使用され、局所組織の温度を不安全な温度まで上昇させることなく、より多くのエネルギーを印加することを可能にする。より多くのエネルギーを印加することにより、電極からより離れた位置の組織領域を、傷を形成することができる温度まで加熱することが可能にし、これにより、傷の最大サイズ及びボリュームを増加させることができる。さらに、プローブの構造に依存して、冷却液体を用いることにより、プローブの実質的に遠位に、いくつかの実施形態ではプローブから離間した位置に、傷を形成することが可能となる。冷却型プローブに関するさらなる詳細は、Godaraらによる米国特許出願公開第2007/0156136号明細書、及びGodaraらによる米国特許第7、819、869号明細書に開示されている(両特許文献は、この参照により本明細書に援用される)。したがって、電気手術器を冷却することにより、傷の大きさ、形状、位置を変更することができる。上述したように、組織の加熱及び傷の形成に関して本明細書で説明した理論は、本発明をいかようにも限定することを意図するものではない。
一実施形態では、電気手術器に冷却液体を供給するステップは、図7に示すように、プローブ100の遠位に、またはプローブから離間した位置に、傷を形成することを容易にするために用いられる。プローブ100の遠位端部106の周囲の組織の温度を、傷を形成することができる温度(約42℃)未満に保つのに十分な量の冷却液体が供給される限り、プローブ100から所定距離離間した位置、例えばプローブ100の遠位に、傷を形成するのに十分な量のエネルギーをエネルギー源から供給することができる。プローブ100から傷までの距離は、電気手術器に供給される冷却液体の量に依存する。これに関して、冷却度が低いとは、冷却液体の温度がより高いこと、及び/または冷却液体の体積流量がより小さいことを意味し、冷却度がより高いとは、冷却液体の温度がより低いこと、及び/または冷却液体の体積流量がより大きいことを意味する。例えば、図7に示すように、比較的少ない量の冷却液体が供給される場合(冷却度:低)、傷は、プローブ100に比較的近い位置に形成される。一方、比較的多い量の冷却液体が供給される場合(冷却度:高)、傷は、プローブから離間した位置に形成される。本発明の方法のこの用途は、例えば標的部位が割れ目、裂け目、または他の非平坦な表面要素内に位置するかまたはそれにより邪魔され、プローブが標的治療部位に直接的に接近することができない場合に使用することができる。上述したように、冷却液体を使用することにより、冷却液体を使用しない場合には傷を形成することができなかったプローブからより離れた位置の組織領域に、傷を形成することが可能となる。このように、冷却液体を使用することにより、傷を形成する位置をより正確に制御することができ、また、より多い量の冷却液体を使用することにより、プローブからより離れた位置に傷を形成することができる。
加えて、冷却度は、エネルギー送達中に(いくつかの場合では、エネルギー送達の調節と同時に)、次のようにして調節することができる。まず、エネルギーは、プローブから所定距離離間した位置において傷の形成が開始されるように、冷却液体と共に送達される。その後、冷却度を低下させ、傷が、プローブの方向に少なくとも部分的に延びるようにする。したがって、本発明の方法態様のいくつかの実施形態のさらなる態様は、プローブに対する所望の位置に傷を形成するために、冷却パラメータを調節することを含む。例えば、約1.5−2mmの長さの露出した遠位先端部分を有し、温度が30℃未満の冷却液で、少なくとも10mL/分の流量で冷却される18AWGプローブは、プローブの先端から約1.5mm離間した位置に傷を形成することができる。例えば液体流量を減少させることにより冷却度を低下させると、傷は、プローブの先端により近い位置に形成される。プローブの遠位端部の露出長さの調節に関して説明したように、冷却パラメータは、エネルギーの送達の前、間、または後に調節することができる。
したがって、本発明により意図される方法は、これに限定しないが、プローブの形状及び冷却度を含む1以上の要素に基づき、所望の形状、大きさ、及び位置を有する傷を形成することができる。所望する傷のパラメータは、治療処置の実施前に、いくつかの実施形態では、標的となる特定の組織及び患者の解剖学的構造に基づき、ユーザにより決定される。例えば、傷を形成したい標的部位が、骨の裂溝、溝部、または轍に位置している場合、その標的部位にプローブを配置することは困難である。したがって、この場合は、プローブ100は、標的部位から離間した位置に配置することが望ましい。この場合は、ユーザは、電気的に露出した導電性部分118が遠位面107のみを有するプローブ100と、高流量及び/または低温度の冷却液を選択するとよい。このような形態により、プローブの先端の導電性部分118の遠位の位置に傷を形成することが可能となる。また、これにより、プローブの先端の導電性部分118を、標的部位から所定距離離間した位置に配置することが可能となる。もし、プローブ100を標的部位に対して実質的に垂直に配置すると、傷は、プローブの遠位端部から所定距離離間した位置(すなわち、骨の裂溝内)に形成される。別の例では、標的部位は、骨の表面に直接位置する。この場合は、ユーザは、導電性部分118がシャフトに沿って遠位端部から近位方向に延在するプローブ100と、中程度または低流量の冷却度を選択するとよい。ユーザは、プローブ100の遠位端部を標的部位の近傍、例えば標的部位から約0.1−3mmの位置に配置するか、またはプローブ100の遠位端部を骨に接触させる。そして、プローブ100を、プローブ100の長手方向軸が骨に対して実質的に垂直をなすように配向する。この場合、傷は、プローブ100の導電性部分の周囲の位置と、プローブ100の遠位端部と骨との間の位置に形成される。あるいは、上述した、露出した遠位面107のみを有する導電性部分118を含むプローブ100を、この場合にも使用してもよい。上記の両方の例において、調節可能な絶縁シースを使用してプローブ100の電極118の露出程度を調節することにより、所望の傷を形成することができる。あるいは、上述したように、カニューレまたはイントロデューサ内におけるプローブの位置は、プローブを前進または後退させることにより変位させることができ、これにより、電極118の露出程度を調節して、所望の傷を形成することができる。
いくつかの実施形態では、双極構造の2つの冷却型プローブ100が使用され、これにより、2つのプローブ100の電極118間に実質的に均一な傷を形成することが可能となる。この概念を、図8Aに、均一な温度/電気特性を有する組織における温度対距離のグラフで示す。2つのプローブ100の電極118は、x軸上の位置p1及びp2に配置され、傷を形成するのに必要な温度は、y軸上にTLESとして示した。図8A及び図8Bにおいて、実線802及び804は、冷却型プローブアセンブリを示し、破線801及び803は、非冷却型プローブアセンブリを示す。冷却の恩恵を受けない場合、電極118に印加する電力を高くすればするほど、電極118の周囲の温度が高くなる。曲線801は、均一な組織において、非冷却型のプローブを使用して通常実現される温度プロファイルを示す。このような形態では、電極118に大量の電力が供給されると、位置p1及び位置p2における温度が非常に高いレベルまで上昇するので、位置P1から位置P2まで延在する傷を形成することは困難である。電極が高温になると、電極の近傍の組織が炭化し、プローブの遠位領域104に付着する可能性がある。さらに、組織の温度が上昇すると、組織のインピーダンスが増加し、組織内への電流の浸透が制限され、これにより、形成することができる傷の大きさが制限される。対照的に、冷却型プローブアセンブリを使用すると、上記の温度の影響を低減させることができるので、位置p1と位置p2との間に所望の傷を形成することが可能となる。曲線802は、冷却型プローブアセンブリを使用した場合の、均一な組織についての典型的な温度プロファイルを示す。プローブの遠位端部領域(電極)が位置する位置p1及び位置p2での温度は、冷却効果のため、電極の周囲の組織に対して低下する。これにより、組織の炭化を気にせずに、より高い電力を電極118に供給することが可能となる。加えて、電極118の周囲の組織の温度が低下するため、周囲の組織のインピーダンスが大幅に増加することはなく、これにより、電極118から供給される電流が、組織内により深く浸透することができる。図8Aに示すように、位置p1及び位置p2の局所温度の低下に起因して、冷却型プローブを使用して位置p1と位置p2との間に傷を形成することができる。図8Aでは、位置p1及び位置p2での温度が創傷温度よりも低いことを示しているが、冷却型プローブに供給される冷却液体の供給量を減少させるか、または冷却型プローブに冷却液体を提供しないことにより、位置p1及び位置p2間の傷を完成させるために、位置p1及び位置p2の周囲の組織の温度を上昇させることができる。
いくつかの実施形態では、傷の形成後、プローブ100は再配置され、さらなる傷を形成するためにエネルギーが再び送達される。例えば、第1の傷の形成後、プローブ100は、標的部位から部分的にまたは完全に引き出される。部分的に引き出される場合、さらなる傷を形成するために、プローブ100が引き出された部位にエネルギーが送達される。完全に引き出される場合、プローブは、第2の位置に再挿入及び再配置され、さらなる傷を形成するために、第2の位置にエネルギーが送達される。プローブを再配置するステップは、ユーザにより決定される数の傷を形成するために、何回でも実施することができる。可動型プローブを含む実施形態では、プローブは、該プローブに関連する移動手段を駆動することにより、引き出すことなく再配置される。
本発明の方法は、例えば様々な疾患に関連する痛みの治療などの様々な用途に使用することができる。そのような疾患の例としては、これに限定しないが、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、三叉神経痛、関節特異性末梢神経障害、椎間板痛、仙腸関節症候群(SIJS)、下腹部または骨盤の痛み、が挙げられる。概して、これらの疾患は、本発明の方法の実施形態により、患者の痛みに関連する少なくとも1つの標的神経構造体に対して影響を与えることによって治療することができる。例えば、三叉神経痛の場合、本発明の実施形態は、三叉神経に傷を形成するのに使用することができる。本発明の方法のいくつかの実施形態は、詳細については後述するように、痛みの源をさらに治療するのに用いることができる。
いくつかの実施形態では、上述した方法のステップのいずれかまたは全ては、画像化の助けを借りて実施され得る。例えば、プローブを挿入するステップは、X線透視誘導下で実施され得る。さらなる実施形態では、画像化は、電気手術器がその長手方向軸に沿って画像化されるガンバレル態様で実施され得る。
いくつかの実施形態では、エネルギーは、連続的態様で送達されるのではなく、振幅または周波数が調節された一連のパルスで送達される。これにより、エネルギーがより低い電圧で送達される期間を有するエネルギー送達の遮断期間によって組織の加熱が抑制される。特定の一実施形態では、エネルギーは、信号オン期間/オフ期間の一連の負荷サイクルに従って送達される。なお、信号は、期間の100%未満で「オン」になる。信号が「オン」の期間中は、エネルギーは、有利なことに、連続的なエネルギー送達方式(100%負荷サイクル)の実施中に安全に使用することができる電圧よりも高い電圧で送達される。信号が「オフ」の期間中は、プローブの近傍で生成された熱は組織の全域に拡散し、それにより、プローブの近傍の組織の温度は低下し、プローブから離れた位置の組織の温度は上昇する。エネルギーは再び印加され、予め定められたエンドポイント(例えば、時間または温度)に達するか、または施術者が治療の終了を決定するまで、エネルギー送達の「オンの期間」と「オフの期間」とが繰り返される。信号の「オフ期間」中にプローブの近傍の組織の温度が低下することにより、「オン期間」中に、連続的なエネルギー送達方式において使用される電圧よりも高い電圧を使用することが可能となる。このようにして、信号の「オン期間」と「オフ期間」との間、またはより高い電圧とより低い電圧との間(例えば、所定の周波数のエネルギーを送達したときに、組織に傷を形成することができる電圧と、組織に傷を形成することができない電圧)でエネルギー送達をパルス化することにより、プローブの近傍の組織の温度がその組織の炭化を引き起こす温度に維持されることなく、プローブからさらに離間した位置で、連続的なエネルギー送達方式を用いた場合よりも大きい傷を形成するのに十分な電流の総量を組織に蓄積することができる。
さらなる実施形態では、プローブを冷却するステップは、パルスまたは断続的な態様で実施することができる。これにより、プローブに関連する温度検出デバイスによる組織の温度のより正確な測定が可能となる。例えば、ポンプから送達された冷却液体の内部循環によってプローブを冷却する実施形態では、ポンプは、パルスまたは断続的な態様で駆動される。ポンプが「オン」のときは、冷却液体はプローブ内で循環され、プローブ及びその周囲の組織が冷却される。ポンプが「オフ」のときは、冷却液体はプローブ内で循環されず、プローブ100の近傍の組織からの熱は、プローブの方向に伝達されて戻る。これにより、プローブ100は、プローブの近傍の組織の温度よりも高い温度まで加熱される。この温度は温度検出デバイスで検出されるので、これにより、プローブ100の近傍の組織の温度をより正確に読み取ることが可能となる。ポンプを再び「オン」にすると、プローブは再び冷却され、プローブの近傍の組織はより低い温度に戻る。ポンプのパルシングは、プローブ100へのエネルギー送達のパルシングと同時に実施してもよい。この場合は、エネルギーの送達時にのみ、プローブ100に冷却液体が供給されるようにする。
いくつかの実施形態では、プローブ100に供給される冷却液体の量または温度は、冷却液体の流量または温度を調節することにより、ユーザにより能動的に制御される。例えば、プローブの遠位領域で測定された温度は、ディスプレイ装置または他の表示手段に表示される。この温度に基づき、例えば温度が所定の閾値レベルを超えた場合に、ユーザはプローブ100に供給される冷却液体の量を増加させることを決定する。いくつかの実施形態では、ユーザは、冷却液体の流量を増加させることにより、プローブに供給される冷却液体の量を調節する。このことは、ポンプに設置されたノブを回すか、またはバルブを開くことにより実現することができる。別の実施形態では、冷却液体の調節は、受動的及び/または自動的に行われる。例えば、コンピュータが、プローブ100の遠位領域で測定された温度に基づき、冷却液体の流量を自動的に調節する。別の例では、治療処置の実施中は、冷却液体の流量は固定され、変更されない。
上述したように、本発明のシステムは、双極モードで使用する場合に、略均一または実質的に均一な傷を、2つのプローブ間に形成するのに使用され得る。いくつかの場合では、例えば治療対象の組織が活性電極の一方の電極により近い場合には、略均一または実質的に均一な傷は禁忌である。均一な傷が望ましい場合には、2以上の冷却型プローブを適切なフィードバックまたは制御システムと組み合わせて使用することにより、様々な大きさ及び形状の傷を形成することができる。例えば、治療処置が従う予め設定された温度及び/または電力プロファイルを、治療処置の開始前にジェネレータにプログラムしておくとよい。上記のプロファイルは、特定の大きさ及び形状の傷を形成するのに用いられるパラメータ(これらのパラメータは、例えば熱容量などの、特定の組織パラメータに依存する)を規定することができる。これらのパラメータとしては、これに限定しないが、例えば、個々のプローブに対する、最大許容温度、ランプ速度(すなわち、温度が上昇する速度)、及び冷却液体の流量が挙げたれる。治療処置の温度またはインピーダンスの測定値に基づき、予め定められたプロファイルに適合させるために電力や冷却液体などの様々なパラメータを調節することにより、所望の寸法を有する傷を形成することができる。同様に、均一な傷は、本発明のシステムを使用し、組織全域の熱量を可能な限り均一にすることができる予め設定された様々な温度及び/または電力のプロファイルを用いて形成することができ、本発明はこの点において限定されるものではないことを理解されたい。
本発明の方法態様の実施形態は、ヒトまたは動物の様々な組織において、所望の形状、大きさ、及び/または位置を有する傷の形成に有用である。より具体的には、本発明のいくつかの実施形態は、対象の脊柱に関連する1以上の標的部位を治療するための治療処置を含む。例えば、治療処置は、椎骨の外部の様々な位置、これに限定しないが、例えば、脊柱の頸部、胸部、腰部、及び仙骨の領域の標的部位で実施される。加えて、治療処置は、椎骨それ自体の部位で実施され、この場合は骨内処置と呼ばれる。さらに、治療処置は、1以上の椎間板における標的部位で実施される。このような治療処置のいくつかの例示的な実施形態について以下に説明するが、本発明は、これらの治療処置に限定されるものではなく、患者の身体の様々な標的部位において実施可能である。本明細書で開示する実施形態のいずれかまたは全てにおいて、治療処置は、所望の傷パラメータ(これに限定しないが、例えば、形状、大きさ、位置など)を決定するステップと、所望の傷を形成するためのプローブの形状、プローブの配置位置、及び冷却液体を選択するステップとを含むことができる。
本発明の方法の実施形態の用途の1つは、椎間板またはその近傍の痛みを治療することである。Leungらによる米国特許第6,896,675号明細書、Shahらによる米国特許第6,562,033号明細書、Conquergoodらによる米国特許第8,043,287号明細書、Leungらによる米国特許第8,882,755号明細書、Shahらによる米国特許出願公開第2005/0277918号明細書、及びLeungらによる米国特許第7,294,127号明細書(これらの特許文献は、この参照により本明細書に援用される)に開示されているように、例えば痛みを治療するために、RFエネルギーが冷却型プローブを介して患者の椎間板に送達される。椎間板の治療は、一般的に、少なくとも1つのプローブを患者の椎間板に挿入するステップと、挿入したプローブを介して椎間板の組織にエネルギーを送達するステップとを含む。上述したように、上記の少なくとも1つのプローブは冷却され、冷却度は、椎間板に形成される傷の大きさ、形状、及び/または位置に影響を与える。
図9を参照して、少なくとも1つのプローブを椎間板900に挿入するステップは、一般的に、下記のようにして実施される(詳細については、上記の特許文献に開示されている)。患者をX線透過性台の上に寝かせた状態で、X線透視誘導下で、少なくとも1つのプローブを椎間板の後方に向けて挿入する。上述したように、プローブを挿入するステップは、イントロデューサ器具(例えば、イントロデューサ内に配置されたオブチュレータ/スタイレットを含む)の使用を含む。椎間板にアクセスする方法の1つは、イントロデューサを椎弓根のすぐ側方を通過させる椎弓根外アプローチであるが、それ以外のアプローチを使用してもよい。いくつかの実施形態では、イントロデューサ器具は、スタイレットの遠位端部が線維輪902を貫通して髄核904内に入るまで前進させる。別の実施形態では、イントロデューサ器具は、スタイレットの遠位端部が線維輪902内に位置するまで前進させる。さらなる実施形態では、イントロデューサ器具は、スタイレットの遠位端部が線維輪902に近位するが線維輪902内ではない位置に位置するまで前進させる。いくつかの特定の実施形態では、スタイレットは、上述したように、インピーダンスモニタ回路の一部を構成するように、ジェネレータに電気的に接続される。これらの実施形態では、異なる種類の組織はインピーダンスが互いに異なるので、インピーダンスをモニタすることにより、イントロデューサ器具を所望の位置に配置することができる。イントロデューサ器具が配置されると、スタイレットはイントロデューサから抜去される。いくつかの実施形態では、その後、第2のイントロデューサ器具が、第1のイントロデューサ器具に対して反対側の位置に同様の態様で配置され、その後、第2のイントロデューサ器具からスタイレットが抜去される。スタイレットの抜去後、イントロデューサ内にプローブを挿入し、活性電極は、椎間板内に、活性電極間の距離が約1−55mmになるように配置する。
本発明の方法実施形態は、骨内の標的部位、すなわち骨構造体内の標的部位の治療にも用いることができる。このような治療処置は、例えば、骨構造体内の腫瘍を治療するのに、または骨内の神経構造体に傷を形成するのに用いることができる。骨内処置では、1以上のイントロデューサが使用して、治療対象の骨(例えば、脊柱の椎骨)にアクセスする。このような実施形態では、イントロデューサは、ドリルまたは骨にアクセスするための他の手段を含み得る。代替的にまたは追加的に、骨内部位にアクセスするのに、ハンマーまたはリーマーが使用され得る。椎間板に関連する治療処置と同様に、1以上のプローブが、骨内部位に挿入され、プローブの遠位領域に設けられた活性電極にエネルギーが送達される。エネルギーは、双極モードまたは単極モードで送達され得る。さらに、上述したように、所望の大きさ及び形状を有する傷を所望の位置に形成するために、1以上のプローブは冷却され得る。
本発明の装置及び方法の実施形態の別の用途は、Godaraらによる米国特許出願公開第2007/0156136号明細書に開示されているような、患者の首(すなわち、脊柱の頸部領域)から生じる痛みを治療するための用途である。
図10を参照して、脊柱の頸部領域の側面図が示されている。脊柱の頸部領域は、通常は、7個の頸椎と、それらに関連する関節突起間関節または面間接とを含む。面間接を支配する神経は、特定の種類の首/頸部の痛みの原因となると考えられている。頸部の面間接は、椎間レベルC2−C3からC7−T1において、脊柱の背部に沿って存在する滑膜関節と対をなす。頸部の面間接は、ある椎骨の下関節突起と、その下側に隣接する椎骨の上関節突起との間に形成された平面間接である。各関節突起は、関節軟骨で覆われた円形または卵形の面を有し、各関節は、滑膜で覆われた繊維性関節包により囲まれている。頸部の面間接は、頸部の後枝の内側枝から延びる関節枝によって支配される。通常、頸部の後枝の内側枝は、椎間孔から出ると内側後方に曲がり、関節柱に沿って延びる。神経が関節柱の後面に接近すると、関節枝は分岐する。上行枝は、上側の面関節を支配し、下行枝は、下側の面関節を支配する。
本発明の一実施形態による頸部/首の痛みを治療する方法について、以下に説明する。以下の説明では、第4頸椎の面神経の解剖学的構造について言及するが、本方法は、例えば第3頸椎の第3後頭神経などの他の頚椎の神経の治療にも用いることができることは、当業者であれば認識できるであろう。他の頸椎の解剖学的な差異に適合させるためには、以下に説明する方法の変形が必要になるであろう。いくつかの実施形態では、頸部/首を治療するための標的部位には、面関節を支配する神経が含まれる。上述したように、これらの神経は、頸椎の関節柱に実質的に隣接して位置している。したがって、エネルギーを送達するための標的部位は、図10に示すように、関節柱の中心よりも少し頭部側に位置する領域であり得る。
特定の一実施形態では、治療処置に備えて、患者を腹臥位で寝かせた状態にする。ユーザは、任意選択で、例えば麻酔薬や抗生物質などの様々な治療薬を投与する。ユーザは、少なくとも1つのプローブ、例えば上述したプローブ100を、標的部位に向けて経皮的に挿入する。少なくとも1つのプローブを挿入するステップは、上述したイントロデューサ器具の使用を含み得る。そのようなイントロデューサ器具には、イントロデューサ604及びオブチュレータ606が含まれ得る。ユーザは、イントロデューサの長手方向軸が、標的部位(すなわち、関節柱の中心)に対して例えば約80−100°の角度で実質的に垂直になるかまたは略直立するような側方アプローチを用いて、イントロデューサ器具を患者の体内に経皮的に挿入する。言い換えれば、頸椎の一部のAP図である図11A及び11Bに示すように、イントロデューサの長手方向軸は、身体の前後(AP)軸に対して実質的に垂直をなすかまたは略直立する。別の実施形態では、プローブは、身体のAP軸に対して、例えば45−135°などの別の角度で挿入される。さらなる実施形態では、プローブは、AP軸に対して、実質的に平行に挿入される。この挿入ステップは、蛍光画像化技術を用いると実施が容易となる。ユーザは、イントロデューサ器具の遠位端部が、関節柱の骨表面に接触するまで、または骨表面に対して約2−4mmの距離に位置するまで、イントロデューサ器具の挿入を続ける。別の実施形態では、上述したように、ユーザは、イントロデューサ器具の先端が骨表面に接触するまでイントロデューサ器具を挿入し、その後、遠位端部が骨表面に対して所定距離離間するまでイントロデューサ器具を後退させる。したがって、プローブ及び/またはイントロデューサ器具の構造及び位置に依存して、プローブの遠位端部は、関節柱の表面と接触するか、または骨から所定距離離間した位置に位置する。上述したように、プローブの位置は、所望する傷の大きさ、形状、及び位置に基づき予め決定される。プローブの位置は、例えば蛍光画像化技術などの様々な技術を用いて確認することができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、深さストッパを使用して、患者の体内でのイントロデューサ器具の位置をマーク及び/または維持することができる。
イントロデューサ器具が位置決めされると、ユーザは、イントロデューサ器具をその位置に残して、イントロデューサ器具からオブチュレータ/スタイレットを抜去する。イントロデューサ器具の位置に依存して、イントロデューサの遠位端部は、骨に接触するか、または骨表面から所定距離(例えば約3mm)離間する。ユーザは、その後、イントロデューサのルーメン内にプローブを挿入する。プローブは、冷却液体の供給源(例えばポンプ610)に動作可能に接続される。また、プローブは、標的部位にエネルギーを送達するために、エネルギー源(例えばジェネレータ608)に動作可能に接続される。
上述したように、プローブの構造及び位置、並びに冷却度に依存して、標的部位に形成される傷は様々な形状及び大きさを有する。例えば、図11Aに示すように、プローブの導電性部分118は、プローブの遠位面107を実質的に含み得る。したがって、プローブが十分に冷却されると、傷502は、プローブの遠位に、実質的に球状に形成される。別の例では、図11Bに示すように、プローブの導電性部分118は、プローブの長さに沿って近位方向に短い距離(例えば、約2−4mm)で延在する。このような実施形態では、十分な量の冷却液体を使用すると、導電性部分118の周囲及びプローブの遠位に傷502を形成することができる。このように、プローブの構造及び位置と同様に、冷却度も、形成される傷に影響を与える。この方法により形成される傷は、骨の溝部または他の凹部の内部に位置するかまたは骨の表面に直接位置する組織に達するので、この方法は、脊柱の頸部領域の後枝の内側枝の神経に傷を形成するのに特に有用である。
本発明の方法の実施形態の別の用途は、患者の脊柱の腰部領域の痛みを治療するための用途である。図12を参照して、腰部領域は、一般的に、5個の椎骨1200と、それらに関連する面関節とから構成される。腰部の面関節は、互いに隣接する椎骨の上関節突起1202と下関節突起1204とから形成される。各上関節面の背側面上には、乳頭体または乳頭突起として知られている突起が存在する。また、横突起1206における上関節突起と接続する部分の近傍の背面から隆起する副突起が存在する。腰部の面関節の神経支配は、神経根の神経後枝から延びる。各面関節は、神経後枝の2つの連続する内側枝から神経支配を受ける。L1−L4レベルでは、そのレベルの椎間板の脊髄神経から各後枝が延びる。内側枝は、尾側及び背側に延び、横突起の根部が上関節突起の根部と接続する部分で、骨に対して横たわる。内側枝は、内側及び尾側に延び、面関節のすぐ尾側に位置し、関節を取り囲む繊維組織内に埋まる。内側枝は、近位側の面関節及び遠位側の面関節の各々に対して、枝を出す。近位側の面関節は、その下側の関節のくちばし状面を提供する。後枝の内側枝の経路は、解剖学的には2点で固定される。横突起の基部の上面の近傍のその起点と、乳頭副靱帯により形成された管から出る遠位点である。
本発明の一実施形態による腰部の痛みを治療する方法について、以下に説明する。以下の説明では、第1腰椎の解剖学的構造について言及するが、本方法は、他の腰椎の神経の治療にも用いることができることは、当業者であれば認識できるであろう。他の腰椎の解剖学的な差異に適合させるためには、以下に説明する方法の変形が必要になるであろう。いくつかの実施形態では、腰部の痛みを治療するための標的部位には、面関節を支配する神経が含まれる。上述したように、これらの神経は、腰椎の関節柱に実質的に隣接して位置している。したがって、エネルギーを送達するための標的部位は、横突起の上縁の最内側端のすぐ後方に位置する、横突起の背面であり得る。
特定の一実施形態では、治療処置に備えて、患者を腹臥位で寝かせた状態にする。ユーザは、任意選択で、例えば麻酔薬や抗生物質などの様々な治療薬を投与する。ユーザは、少なくとも1つのプローブ、例えば上述したプローブ100を、標的部位に向けて経皮的に挿入する。一般的に、プローブ100の構造により得られる大きなかつ調節可能な傷の大きさに起因して、標的部位に傷を形成するために、プローブ100は、様々な角度で挿入し、様々な位置に配置することができる。少なくとも1つのプローブを挿入するステップは、上述したイントロデューサ器具の使用を含み得る。そのようなイントロデューサ器具には、イントロデューサ604及びオブチュレータ606が含まれ得る。ユーザは、いくつかのアプローチを用いて、イントロデューサ器具を患者の体内に経皮的に挿入することができる。例えば、一実施形態では、イントロデューサは、標的部位の1または2レベル尾側の内側枝の矢状面に挿入し、くちばし側及び前方向に前進させることができる。別の実施形態では、イントロデューサは、より側方の位置から斜め内側の角度で前進させてもよい。別の実施形態では、プローブは、別の部位に導入され、別の角度で挿入される。この挿入ステップは、蛍光画像化技術を用いると実施が容易となる。ユーザは、イントロデューサ器具の遠位端部が、横突起の上縁の最内側端のすぐ後方に位置する横突起の背面に接触するまで、または背面に対して約2−4mmの距離に位置するまで、イントロデューサ器具の挿入を続ける。別の実施形態では、ユーザは、イントロデューサ器具の先端が横突起の表面に接触するまでイントロデューサ器具を挿入し、その後、遠位端部が横突起の表面に対して所定距離離間するまでイントロデューサ器具を後退させる。いくつかの実施形態では、ユーザは、深さストッパを使用して、患者の体内でのイントロデューサ器具の位置をマーク及び/または維持することができる。
上述したように、プローブの構造及び位置、並びに冷却度に依存して、標的部位に形成される傷は様々な形状及び大きさを有する。例えば、図12に示すように、プローブの導電性部分118が、プローブの長さに沿って近位方向に短い距離(例えば約2−6mm、例えば約4mm)で延在する実施形態では、十分な量の冷却液体を使用すると、導電性部分118の周囲及びプローブの遠位に傷502を形成することができる。この方法により形成される傷は、骨の溝部または他の凹部の内部に位置するかまたは骨の表面に直接位置する組織に達するので、この方法は、脊柱の腰部領域の後枝の内側枝の神経に傷を形成するのに特に有用である。
図13を参照して、胸部領域の椎骨(胸椎)1300は、大きさにおいて頸部領域の椎骨と腰部領域の椎骨との中間であり、上側に位置する椎骨の方がその下側に位置する椎骨よりも小さい。椎体は、一般的に、前後方向の幅は、横方向の幅と同じくらいである。胸部領域の上側端部及び下側端部では、椎体は頸部及び腰部の椎骨と形状が類似する。図13に示すように、胸椎1300の椎弓根は、後方及び若干上方を向いている。棘突起1308は、細長く、後方及び尾側に延出しており、結節の先端で終端する。胸部の面関節は、椎骨の上関節突起1302と下関節突起1304との間に位置する対関節である。上関節突起は、椎弓根と椎弓板との接続部分から上向きに突出する薄板状の骨である。上関節突起の関節面は、実質的に平坦であり、後方及び若干外側上方に向いている。下関節突起は、その大部分が椎弓板と融着しており、椎弓板の下縁を越えて若干突出している。下関節突起の面は、前方及び若干内側下方を向いている。横突起1306は、上関節突起と椎弓根の後側のアーチから隆起しており、外側後方に斜めに向いている。胸部の面関節は、後枝の内側枝により支配されている。内側枝は、連続する横突起と頭部との間を、内側下方に延びている。内側枝は、それらの脊髄神経と下関節のレベルで面関節を支配する。T1−3及びT9−10で、内側枝は、横突起の上外側面を横断する。T4−8では、内側枝は、同様の経路を辿るが、横突間空間内に懸下されたままである。T11−12では、内側枝は、腰部の内側枝と同様の経路を辿り、上関節突起の根部で、横突起の内側面に沿って後方に向かう。
内側枝が12の胸部レベルを様々な経路で横切ることに起因する、胸部の内側枝に関連する骨のランドマークの欠如、及び患者間の解剖学的な差異により、多くの場合は、胸部の面関節の神経を麻痺させるために、いくつかの傷を形成する必要がある。本発明の実施形態は、例えば冷却液体を使用してより容易かつ低侵襲の処置を提供することにより、面関節の神経を麻痺させるための単一の大きな傷を形成することを可能にする。
本発明の一実施形態による、胸部の痛みを治療する方法を以下に説明する。以下の説明では、第1−10胸椎の解剖学的構造について言及する。他の胸椎の解剖学的な差異に適合させるためには、以下に説明する方法の変形が必要になるであろう。いくつかの実施形態では、胸部の痛みを治療するための標的部位には、面関節を支配する神経が含まれる。上述したように、これらの神経は、2つの連続する横突起間の略側方に位置するか、または、横突起の上縁に実質的に隣接して位置する。したがって、エネルギーを送達するための標的部位1310は、横突起の上外側縁部及びその真上の領域であり得る。
特定の一実施形態では、治療処置に備えて、患者を腹臥位で寝かせた状態にする。
ユーザは、任意選択で、例えば麻酔薬や抗生物質などの様々な治療薬を投与する。
ユーザは、少なくとも1つのプローブ、例えば上述したプローブ100を、標的部位に向けて経皮的に挿入する。一般的に、プローブ100の構造により得られる大きな調節可能な傷の大きさに起因して、標的部位に傷を形成するために、プローブ100は、様々な角度で挿入し、様々な位置に配置することができる。少なくとも1つのプローブを挿入するステップは、上述したイントロデューサ器具の使用を含むことができる。そのようなイントロデューサ器具には、イントロデューサ604及びオブチュレータ606が含まれ得る。
ユーザは、いくつかのアプローチを用いて、イントロデューサ器具を患者の体内に経皮的に挿入する。例えば、図14に示すように、一実施形態では、イントロデューサは、横突起1306の外側縁に若干内側に挿入し、前方向に前進させる。別の実施形態では、イントロデューサは、より内側の位置から斜め外側の角度で前進させてもよい。別の実施形態では、プローブは、別の部位に導入され、別の角度で挿入される。この挿入ステップは、蛍光画像化技術を用いると実施が容易となる。ユーザは、イントロデューサ器具の遠位端部が横突起1306に接触するまで、イントロデューサ器具の挿入を続ける。その後、ユーザは、イントロデューサ器具の遠位端部が横突起1306の上縁を滑り落ち始めるまで、イントロデューサ器具を頭部方向に「ゆっくりと移動させる」。その後、ユーザは、イントロデューサ器具の遠位端部が横突起1306の上外縁の実質的に上方に位置するように、イントロデューサ器具を若干後退させる。いくつかの実施形態では、ユーザは、深さストッパを使用して、患者の体内でのイントロデューサ器具の位置をマーク及び/または維持することができる。
上述したように、プローブの構造及び位置、並びに冷却度に依存して、標的部位に形成される傷は様々な形状及び大きさを有する。例えば、図14に示すように、プローブの導電性部分118がプローブの長さに沿って近位方向に短い距離(例えば約1−4mm)で延在する実施形態では、十分な量(例えば約10−25ml/分)の冷却液体を使用すると、導電性部分118の周囲及びプローブの遠位に傷502を形成することができる。この方法により形成される傷は、十分に大きく、例えば150−500mm3の体積を有するので、この方法は、脊柱の胸部領域の後枝の内側枝の神経に傷を形成するのに特に有用である。
本発明の装置及び方法の実施形態のさらなる用途は、仙腸(SI)関節及び/またはその周囲の領域から生じる痛みを治療するための用途である。このような治療法に関する詳細は、Godaraらによる米国特許第7、819、869号明細書及び米国特許第8、951、249号に開示されている(両特許文献は、この参照により本明細書に援用される)。SI関節1500は、仙骨1502と、骨盤の腸骨1504との間の関節である。仙骨1502は、脊柱の基部に位置する大きな骨であり、互いに融着した5つの椎骨からなる。SI関節は、比較的動かない関節であり、運動中に衝撃を吸収する役割を果たす。SI関節及びその周囲の組織の構造は、個人(個体)間で大きく異なるが、一般的に、関節軟骨性面、靭帯面、及び、大抵の場合は、1以上の滑液凹部を含む。SI関節の神経支配の特定の経路はまだ解明されていないが、SIの痛みの原因となる神経には、少なくとも一部には、仙骨神経から延びる仙骨の後面上の神経ネットワークである後仙骨神経叢から延び仙骨孔1508(後仙骨孔)から出る神経(後主枝1506とも呼ばれる)が含まれると考えられている。側枝1510は、仙骨神経から分岐して(そして、仙骨に沿ってさらに分岐して)、SI関節の神経支配に関与すると考えられている。仙骨の表面は、非常に不均一であるため、小さな傷では、仙骨の稜に沿って延びる神経や、仙骨表面の溝部や凹部内の神経に対して影響を与えることができない。さらに、仙骨へのアクセスは、身体の体重の大部分に耐える仙腸骨靱帯を貫通することを必要とするが、仙腸骨靱帯を切断したり弱めたりするのは最小限に留めたい。
仙骨の解剖学的構造に起因して、仙骨の平面または標的部位に対して実質的に垂直に接近する、直線的な「ガンバレル」アプローチを用いることが望ましい。しかしながら、傷を形成したい標的部位が、所望のボリュームの傷を形成可能なプローブを挿入するのには狭すぎる狭い溝部や裂溝を通って延びている場合には、プローブが仙骨の表面に接触した場合でも、神経は、挿入したプローブに対して依然として遠位となる。本発明の装置の実施形態は、プローブ100の遠位に主として位置する傷を形成するために、上述した方法の実施形態に従って使用することができる。これにより、実質的に垂直な「ガンバレル」アプローチが可能となり、その結果、標的部位に傷を形成することが可能にする。
いくつかの実施形態では、仙骨神経三日月部(sacral neural crescent)における1以上の神経構造体を治療することが望ましい。「仙骨神経三日月部」なる用語は、各仙骨孔の側方に位置する領域であって、仙骨孔から出た仙骨神経が通ると考えられている領域を指す。仙骨の背面の右側では、この領域は、時計回り方向に約12時から約6時の位置であり、仙骨の背面の左側では、この領域は、時計回り方向に約6時から約12時の位置である。仙骨の前面にも、同様の領域が存在する(しかし、反時計回り方向である)。時計の針の位置は、仙骨を見たときに、仙骨孔が、時計の文字盤として見えることを意味する。例えば、時計の文字盤の12時の位置は、仙骨孔の最も頭部側の位置を示す。
別の実施形態では、本発明の方法は、患者の脊柱の外部の、身体の様々な領域の他の疾患を治療するのに用いられる。このような疾患の例としては、これに限定しないが、例えば複合性局所疼痛症候群(CRPS)などの急性間質性腎炎を引き起こす疾患、三叉神経痛、関節特異性末梢神経障害、面関節痛、繊維性痛、瘢痕組織に起因する痛み、下腹部または骨盤の痛みが挙げられる。一般的に、これらの疾患は、本発明の方法実施形態に従って、患者の痛みに関与する少なくとも1つの標的神経に傷を形成することにより治療することができる。例えば、三叉神経痛の場合、本発明の装置及び方法を使用して、三叉神経に傷を形成することができる。CRPSの場合、本発明の装置及び方法を使用して、交感神経鎖に傷を形成することができる。
痛みを引き起こす疾患の治療に加えて、本発明の方法及び装置は、例えば、心臓アブレーション(例えば、心房性頻脈の場合)、瘢痕組織の除去または治療、静脈怒張の治療、副甲状腺機能亢進症の治療、例えば、肺、肝臓または骨における悪性腫瘍または腫瘍のアブレーション、などの他の用途にも用いることができる。一般的に、これらの疾患は、患者の疾患の症状または原因に関与する少なくとも1つの標的神経に傷を形成することにより治療することができる。例えば、心房性頻脈の場合、本発明の装置及び方法を使用して、心臓のヒス束領域に傷を形成することができる。副甲状腺機能亢進症の場合、本発明の装置及び方法を使用して、1以上の副甲状腺に傷を形成することができる。
上述した本発明の実施形態は、例示のみを目的とする。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
明瞭にするために別個の実施形態で説明した本発明のいくつかの特徴は、互いに組み合わせて単一の実施形態で提供してもよいことを理解されたい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態で説明した本発明の様々な特徴は、別々にまたは任意の適切な部分的な組み合わせで提供してもよい。
本発明をその特定の実施形態と共に説明したが、様々な代替形態、修正形態、及び変形形態が当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び広範な範囲に含まれるそのような代替形態、修正形態、及び変形形態の全てを包含することを意図している。本明細書中で言及される全ての出版物、特許及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、及び特許出願が本明細書に具体的かつ個別に組み入れられるように示されるのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。加えて、本出願における参照文献の引用または識別は、そのような参照文献が本出願に対する先行技術として利用可能であるという承認だと解釈されるべきではない。