JP2018525023A - 標的細菌系からの細菌株を富化するためのシステムおよび方法 - Google Patents

標的細菌系からの細菌株を富化するためのシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、標的細菌系からの少なくとも1つの細菌種を富化する方法であって、標的細菌生態系を、単段階ケモスタット中の培地において、(i)約5〜約290時間のシステム滞留時間、(ii)約37℃の温度、(iii)約6.8〜7のpH、および(iv)少なくとも1つの細菌種を富化するのに十分な時間のケモスタットに対する嫌気条件の維持の条件下で培養することを含み、培地が、調製されたデンプン基質を含み、標的細菌系が、抗生物質で少なくとも6か月間治療されていない患者から得られた糞便由来試料である、方法である。
【選択図】図24

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年8月24日に出願され、「INFLUENCE OF NOVEL MAIZE STARCHES ON HUMAN COLONIC MICROBIAL FERMENTATION」の表題が付いた、米国仮出願米国特許出願第62/209,135号の優先権を主張し、その全体がすべての目的で本明細書に参照により組み込まれる。
本発明の分野は、胃腸障害を治療するための療法に関する。特に、本発明は、糞便由来細菌集団からの少なくとも1つの細菌株を富化するシステムおよび方法を提供する。これらのシステムおよび方法は、胃腸障害を治療するための療法として使用することができる。
ヒト体表面を内部および外部から阻害する様々な微生物は、ヒトマイクロバイオータとして知られているものを構成する。これらの微生物は、ヒト体細胞より10倍数が多く、宿主ゲノムの150倍を超える遺伝子を含有すると推定され、必要な遺伝子を独立して進化させることなく、宿主に様々な機能を行う能力を提供している。ヒト胃腸管(GIT)は、地球上で最も密度の高い生態系の1つであり、約500〜1000の固有の種を代表する>1014の微生物細胞を含有し、最高密度は結腸にある。赤ちゃんは無菌GITを持って生まれ、分娩プロセス中にコロニー形成を開始し、離乳までに完全に発達した複雑かつ安定なマイクロバイオータへと成長する。マイクロバイオータの発達は、内因子である腸pH、免疫応答、および他の遺伝的決定因子の影響を受ける複雑なプロセスである。薬物、食事、母体マイクロバイオータ、および分娩方法のような環境因子は、宿主−微生物の受容体およびシグナル伝達分子との相互作用と同様に、発達をさらに方向付ける。
腸内マイクロバイオータの機能は、局所および全身効果の両方を有する「バーチャル臓器」のそれに似ていることが提唱されている。例としては、宿主酵素により消化しにくいか、または到達しにくいかのいずれかである多糖類のような栄養素の代謝が挙げられ、追加のエネルギーを提供し、吸収のためのビタミンを合成する。微生物発酵は、西欧型の食事における1日のエネルギー供給量の約10%を占めることが示されている。腸内マイクロバイオータは、腸上皮、腸管腔および体の免疫細胞間の物理的バリアの適切な発達も担っている。これは、表面タンパク質の適切なグリコシル化、微絨毛の発達を媒介し、細胞ターンオーバーを制御することにより達成される。栄養素および接着部位の取り合いによるコロニー形成耐性、抗微生物剤の産生、ならびに腸内環境の調節(例えば、pHの低下)は、潜在的な病原体から宿主を保護する。最後に、マイクロバイオータは、不可欠の刺激を提供し、寛容メカニズムを誘発することにより、免疫系の成熟に寄与する。
前述のとおり、我々の結腸フローラの発達および維持は多因子的であり、食事が調節すべき最も単純な因子である。制御された食事調節は、選択されたプレバイオティクスおよびプロバイオティクスの使用を通した様々な健康上の懸念のための治療介入の可能な手段を提供し得る。長期食事傾向は、食事とエンテロタイプとの間の強い相関を示し、典型的には高脂質/タンパク質の西欧型の食事は、1つのエンテロタイプと関連付けられ、第2のエンテロタイプは、農耕社会に特有の高炭水化物および単糖類の食事と関連付けられた。短期供給研究は、高脂質/低繊維および低脂質/高繊維食間の変更が、24時間以内に検出可能な急速な微生物変化を誘発したことを示した。これらの変化の大きさは小さく、エンテロタイプを切り替えることができなかったので、エンテロタイプは、短期ではなく、長期食事傾向により影響され得る。
これまで研究されてきた多くの食事基質の中でも、難消化性デンプン、哺乳類酵素により消化しにくい一部のデンプンは、腸内マイクロバイオータの重要な調節因子として際立っている。食事中の難消化性デンプンの量およびタイプを増加させることは、したがって、腸内マイクロバイオータを有益に調節する実現可能かつ簡単な方法を表す。これを標的化して行うためには、各種形態の難消化性デンプンが腸内マイクロバイオータに対して有する影響をまず理解することが重要となるだろう。
本発明は、いくつかの図全体を通して同様の構造が同様の記号により示される、添付の図面を参照してさらに説明される。示されている図面は、必ずしも縮尺通りではなく、それよりも本発明の原理を説明することを通常は重視している。さらに、いくつかの特徴は、特定の要素を詳細に示すために誇張される場合がある。
また、図面に示されているいずれの測定値、仕様等も制限ではなく、例示を目的としている。したがって、本明細書において開示されている特定の構造的および機能的詳細は、限定的ではなく、当業者に本発明を様々に使用することを教示するための単に代表的なものとして解釈されるべきである。
図1Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列比較を示す。 図1Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列比較を示す。 図1Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列比較を示す。 図1Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列比較を示す。 図1Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列比較を示す。 図1Fは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列比較を示す。 図2Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列アラインメント図を示す。 図2Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列アラインメント図を示す。 図2Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列アラインメント図を示す。 図2Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列アラインメント図を示す。 図2Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列アラインメント図を示す。 図2Fは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる配列アラインメント図を示す。 図3Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる比較のために使用されるいくつかの散布図を示す。 図3Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる比較のために使用されるいくつかの散布図を示す。 図3Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる比較のために使用されるいくつかの散布図を示す。 図4Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる種の一致を確認するためのいくつかの比較を示す。 図4Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる種の一致を確認するためのいくつかの比較を示す。 図4Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる種の一致を確認するためのいくつかの比較を示す。 図4Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる種の一致を確認するためのいくつかの比較を示す。 図5Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイを確認するのに使用されるKEGGパスウェイマップを示す。 図5Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイを確認するのに使用されるKEGGパスウェイマップを示す。 図5Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイを確認するのに使用されるKEGGパスウェイマップを示す。 図5Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイを確認するのに使用されるKEGGパスウェイマップを示す。 図5Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイを確認するのに使用されるKEGGパスウェイマップを示す。 図5Fは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイを確認するのに使用されるKEGGパスウェイマップを示す。 図5Gは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイを確認するのに使用されるKEGGパスウェイマップを示す。 図5Hは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイを確認するのに使用されるKEGGパスウェイマップを示す。 図6Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる1つ以上の種の代謝パスウェイマップを示す。 図6Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる1つ以上の種の代謝パスウェイマップを示す。 図6Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる1つ以上の種の代謝パスウェイマップを示す。 図6Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる1つ以上の種の代謝パスウェイマップを示す。 図6Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる1つ以上の種の代謝パスウェイマップを示す。 図6Fは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる1つ以上の種の代謝パスウェイマップを示す。 図6Gは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる1つ以上の種の代謝パスウェイマップを示す。 図6Hは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる1つ以上の種の代謝パスウェイマップを示す。 図7Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Fは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Gは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Hは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Iは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Jは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Kは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Lは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Mは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Nは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Oは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Pは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図7Qは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる代謝パスウェイマップを示す。 図8Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる22の種を比較するためのパスウェイマップを示す。 図8Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる22の種を比較するためのパスウェイマップを示す。 図8Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる22の種を比較するためのパスウェイマップを示す。 図8Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる22の種を比較するためのパスウェイマップを示す。 図8Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる22の種を比較するためのパスウェイマップを示す。 図8Fは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる22の種を比較するためのパスウェイマップを示す。 図8Gは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる22の種を比較するためのパスウェイマップを示す。 図8Hは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる22の種を比較するためのパスウェイマップを示す。 図9は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる単段階ケモスタット容器を示す。 図10は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる単段階ケモスタット容器を示す。 図11は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられる6つのデンプン基質の変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)プロファイルを示す。 図12Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような3人の健康なドナーからの糞便が播種されたケモスタット実施のコミュニティダイナミクスを示す。 図12Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような3人の健康なドナーからの糞便が播種されたケモスタット実施のコミュニティダイナミクスを示す。 図12Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような3人の健康なドナーからの糞便が播種されたケモスタット実施のコミュニティダイナミクスを示す。 図13Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよび非加重結合(UPGMA)相関に基づく樹形図を示す。 図13Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよび非加重結合(UPGMA)相関に基づく樹形図を示す。 図13Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよび非加重結合(UPGMA)相関に基づく樹形図を示す。 図14Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような非計量多次元尺度構成法(NMDS)図を示す。 図14Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような非計量多次元尺度構成法(NMDS)図を示す。 図14Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような非計量多次元尺度構成法(NMDS)図を示す。 図15は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティ図を比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図16は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスからのNMDS図を示す。 図17は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図18は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスからのNMDS図を示す。 図19は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図20は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスからのNMDS図を示す。 図21は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図22Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような主成分解析データを示す。 図22Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような主成分解析データを示す。 図22Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような主成分解析データを示す。 図22は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような主成分解析データを示す。 図22Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような主成分解析データを示す。 図22Fは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような主成分解析データを示す。 図23は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような主成分解析データを示す。 図24は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような実験デザインのフローチャートを示す。 図25Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるようなインビトロ供給試験のDGGE解析を示す。 図25Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるようなインビトロ供給試験のDGGE解析を示す。 図26Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるようなインビトロ供給試験のDGGE解析を示す。 図26Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるようなインビトロ供給試験のDGGE解析を示す。 図27Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図27Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図27Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図27Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図27Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図28Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図28Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図28Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図28Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図28Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図29Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図29Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図29Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図29Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図29Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図30Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図30Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図30Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図30Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図30Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図31Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような発酵研究からの結果を示す。 図31Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような発酵研究からの結果を示す。 図31Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような発酵研究からの結果を示す。 図31Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような発酵研究からの結果を示す。 図31Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような発酵研究からの結果を示す。 図32Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図32Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図32Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図32Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図32Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図を示す。 図33Aは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図33Bは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図33Cは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図33Dは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図33Eは、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。 図34は、本発明のいくつかの実施形態に従った方法において用いられるような発酵実験からのトータルイオンクロマトグラムを示す。
いくつかの実施形態では、本発明は、標的細菌系からの少なくとも1つの細菌種を富化する方法であって、
標的細菌生態系を、単段階ケモスタット中の培地において、(i)約5〜約290時間のシステム滞留時間、(ii)約37℃の温度、(iii)約6.8〜7のpH、および(iv)少なくとも1つの細菌種を富化するのに十分な時間のケモスタットに対する嫌気条件の維持の条件下で培養することを含み、
培地が、調製されたデンプン基質を含み、
標的細菌系が、抗生物質で少なくとも6か月間治療されていない患者から得られた糞便由来試料である、方法である。
いくつかの実施形態では、調製されたデンプン基質は、メイズ基質、コーン基質、コムギ基質、オオムギ基質、マメ基質、オートムギ基質、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌種は、バクテロイデス属種(Bacteroides spp.)、アトポビウム属種(Atopobium spp.)、ルミノコッカス・ブロミイ(Ruminococcus bromii)、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、およびパラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)を含む。いくつかの実施形態では、調製されたデンプン基質は、メイズ基質である。いくつかの実施形態では、患者は、抗生物質で少なくとも1年間治療されていない。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約20〜70時間である。
いくつかの実施形態では、本発明は、標的細菌系からの少なくとも1つの細菌株を富化する方法であって、
標的細菌生態系を、単段階ケモスタット中の培地において、(i)約5〜約290時間のシステム滞留時間、(ii)約37℃の温度、(iii)約6.8〜7のpH、および(iv)少なくとも1つの細菌株を富化するのに十分な時間のケモスタットに対する嫌気条件の維持の条件下で培養することを含み、
培地が、調製されたデンプン基質を含み、
標的細菌系が、抗生物質で少なくとも6か月間治療されていない患者から得られた糞便由来試料である、方法である。
いくつかの実施形態では、調製されたデンプン基質は、メイズ基質、コーン基質、コムギ基質、オオムギ基質、マメ基質、オートムギ基質、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌株は、バクテロイデス属種、アトポビウム属種、ルミノコッカス・ブロミイ、ラクトバチルス・ガッセリ、およびパラバクテロイデス・ディスタソニスを含む。いくつかの実施形態では、調製されたデンプン基質は、メイズ基質である。いくつかの実施形態では、患者は、抗生物質で少なくとも1年間治療されていない。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約20〜70時間である。
開示されている利益および改良の中で、本発明の他の目的および利点は、添付の図面と併せて下記の説明から明らかとなるだろう。本発明の詳細な説明は、本明細書において開示されているが、開示されている実施形態は、様々な形態で具現化され得る本発明の単なる例示であることが理解されるべきである。また、本発明の様々な実施形態に関連して与えられる例の各々は、制限ではなく、例示を目的としている。
説明全体を通して、下記の用語は、特に文脈で明らかな指示がない限り、本明細書において明示的に関連した意味をとる。本明細書において使用されている「一実施形態では」および「いくつかの実施形態では」という句は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではないが、そうであってもよい。さらに、本明細書において使用されている「別の実施形態では」および「いくつかの他の実施形態では」という句は、必ずしも異なる実施形態を指すわけではないが、そうであってもよい。よって、下に記載されているように、本発明の様々な実施形態は、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、容易に組み合わされ得る。
また、本明細書において使用されている「または」という用語は、包括的「or」演算子であり、特に文脈で明らかな指示がない限り、「および/または」という用語に等しい。「に基づく」という用語は、排他的ではなく、特に文脈で明らかな指示がない限り、記載されていない追加の要素に基づくことを可能にする。また、明細書全体を通して、「a」、「an」、および「the」の意味は、複数の参照物を含む。「in」の意味は、「in」および「on」を含む。
本明細書において使用されている「腸内毒素症」という用語は、対象の腸内マイクロバイオームの不均衡を指す。
本明細書において使用されている「マイクロバイオーム」という用語は、コミュニティ中のすべての微生物を指す。非限定的な例として、ヒト腸内マイクロバイオームは、ヒトの腸内のすべての微生物を含む。
本明細書において使用されている「化学療法関連腸内毒素症」という用語は、対象の腸内マイクロバイオームの不均衡をもたらす、対象者の特定の疾患を標的として使用されるいずれかの介入を指す。
本明細書において使用されている「糞便細菌療法」という用語は、ドナーの便がレシピエントの腸内に注入され、正常細菌マイクロバイオータを再構築する治療を指す。糞便細菌療法は、予備研究において、これまでに発表された100件の症例中90%近い成功率で、有望な結果を示している。理論により縛られることなく、これは、反復的な抗生物質使用のサイクルを断ち、C・ディフィシルの成長を抑制する均衡のとれた生態系を再構築することによって作用すると考えられている。
本明細書において使用されている「キーストーン種」という用語は、ヒト便試料中に一貫して見られる細菌の種である。
本明細書において使用されている「OTU」という用語は、これに限定されないが、16S rRNA配列を含む、核酸配列における類似性を介して種、または種の群を定義する、操作的分類単位を指す。
いくつかの実施形態では、本発明は、標的細菌系からの少なくとも1つの細菌株を富化する方法であって、
標的細菌生態系を、単段階ケモスタット中の培地において、(i)約5〜約290時間のシステム滞留時間、(ii)約37℃の温度、(iii)約6.8〜7のpH、および(iv)少なくとも1つの細菌株を富化するのに十分な時間のケモスタットに対する嫌気条件の維持の条件下で培養することを含み、
培地が、調製されたデンプン基質を含み、
標的細菌系が、抗生物質で少なくとも6か月間治療されていない患者から得られた糞便由来試料である、方法である。
いくつかの実施形態では、調製されたデンプン基質は、メイズ基質、コーン基質、コムギ基質、オオムギ基質、マメ基質、オートムギ基質、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌株は、バクテロイデス属種、アトポビウム属種、ルミノコッカス・ブロミイ、ラクトバチルス・ガッセリ、およびパラバクテロイデス・ディスタソニスを含む。いくつかの実施形態では、調製されたデンプン基質は、メイズ基質である。いくつかの実施形態では、患者は、抗生物質で少なくとも1年間治療されていない。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約20〜70時間である。
いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜250時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜200時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜150時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜100時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜90時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜80時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜70時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜60時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜50時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜40時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜30時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約5〜20時間である。
いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約20〜250時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約30〜250時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約40〜250時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約50〜250時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約60〜250時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約70〜250時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約80〜250時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約90〜250時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約100〜250時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約150〜250時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約200〜250時間である。
いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約20〜200時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約50〜150時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約50〜100時間である。いくつかの実施形態では、システム滞留時間は、約100〜150時間である。
この研究は、ヒト腸内マイクロバイオータによる6つの異なるメイズデンプン基質のインビトロ小規模バッチ発酵間の相違を評価した。遠位結腸をモデル化するケモスタット中で増殖された、3人のドナーからの安定な糞便コミュニティを、バッチ発酵における糞便接種源として使用した。各糞便コミュニティについてコミュニティ構造における変化および短鎖脂肪酸(SCFA)のような代謝物の産生を評価するのに、変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)およびガスクロマトグラフィ−質量分析法(GC−MS)を使用した。試験されたデンプン基質は、各ドナーの糞便コミュニティに対する固有の変化を促進し、個体の糞便マイクロバイオータが各種デンプン基質を異なる方法で発酵させることを示した。GC−MSデータはこれらのドナー特異的な結果を支持し、3人のドナーすべてのマイクロバイオータについて酪酸の顕著な産生を示すが、ペンタン酸およびプロパン酸における顕著な増加は1人においてのみ観察された。コミュニティプロファイルは発酵されたデンプン基質に応じた変化を示したが、代謝物における明確な相違は観察されなかった。
略語のリスト
糞便由来細菌集団
いくつかの実施形態では、本発明は、腸内毒素症を有する対象を治療する方法であって、腸内毒素症を有する対象の第1の代謝プロファイルを決定することと、対象に、治療有効量または、対象にコロニーを形成し、第1の代謝プロファイルを第2の代謝プロファイルに変更するのに必要な量の、アシダミノコッカス・インテスティナリス(Acidaminococcus intestinalis)14LG、バクテロイデス・オヴァタス(Bacteriodes ovatus)5MM、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)20MRS、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ブラウティア属種(Blautia sp.)27FM、クロストリジウム属種(Clostridium sp.)21FAA、コリンセラ・アエロファシエンス(Collinsella aerofaciens)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)3FM4i、ユーバクテリウム・デスモランス(Eubacterium desmolans)48FAA、ユーバクテリウム・エリゲンス(Eubacterium eligens)F1FAA、ユーバクテリウム・リモスム(Eubacterium limosum)13LG、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ(Faecalibacterum prausnitzii)40FAA、ラクノスピラ・ペクチノシザ(Lachnospira pectinoshiza)34FAA、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)25MRS、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)5FM、ロゼブリア・フェカリス(Roseburia faecalis)39FAA、ロゼブリア・インテスティナリス(Roseburia intestinalis)31FAA、ルミノコッカス属種(Ruminococcus sp.)11FM、ルミノコッカス属種(Ruminococcus species)、ルミノコッカス・トルクエス(Ruminococcus torques)30FAA、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの細菌株を投与することにより、対象の第1の代謝プロファイルを対象の第2の代謝プロファイルに変更することと、対象を、対象の十分なコロニー形成をもたらすように、少なくとも1つの細菌株で治療することと、を含み、第1の代謝プロファイルが、腸内毒素症の結果であり、第2の代謝プロファイルが、腸内毒素症を有する対象を治療する、方法を提供する。
いくつかの実施形態では、その方法は、対象に、治療有効量の、16−6−I 21 FAA 92%クロストリジウム・コクレアタム(Clostridium cocleatum)、16−6−I 2 MRS 95%ブラウティア・ルティ(Blautia luti)、16−6−I 34 FAA 95%ラクノスピラ・ペクチノスチザ(Lachnospira pectinoschiza)、32−6−I 30 D6 FAA 96%クロストリジウム・グリシルリジニリチカム(Clostridium glycyrrhizinilyticum)、32−6−I 28 D6 FAA 94%クロストリジウム・ラクタチフェルメンタンス(Clostridium lactatifermentans)、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの細菌株を投与することをさらに含む。
いくつかの実施形態では、腸内毒素症は、胃腸炎に関連する。いくつかの実施形態では、胃腸炎は、炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、憩室疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、または不確定大腸炎である。
いくつかの実施形態では、腸内毒素症は、クロストリジウム・ディフィシル感染症である。いくつかの実施形態では、腸内毒素症は、食中毒である。いくつかの実施形態では、腸内毒素症は、化学療法関連腸内毒素症である。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌株および/または種は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、‘Stool substitute transplant therapy for the eradication of Clostridium difficile infection:’RePOOPulating the gut’,by Petrof et al.(2013)において開示されている。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌種は、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、Kurokawa et al.,“Comparative metagenomics revealed commonly enriched gene sets in human gut microbiomes”,(2007)DNA Research 14:169−181において開示されている。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌種は、米国特許出願公開第2015/0044173号において開示されている。あるいは、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌種は、米国特許出願第2014/0363397号において開示されている。あるいは、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌種は、米国特許出願第2014/0086877号において開示されている。あるいは、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌種は、米国特許第8,906,668号において開示されている。
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、Takagi et al.(2016)“A single−batch fermentation system to simulate human colonic microbiota for high−throughput evaluation of prebiotics”PLoS ONE 11(8):e0160533において開示されている方法に従って少なくとも1つの細菌を評価することを含むことができる。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌種は、健康な患者から誘導される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌種は、米国特許出願公開第2014/0342438号において開示されている方法に従って健康な患者から誘導される。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌種および/または株は、患者から、
a.排泄されたての便試料を入手し、試料を嫌気性チャンバ(90%N2、5%CO2、および5%H2の雰囲気中)に配置することと、
b.便試料をバッファに浸軟させることにより、糞便スラリーを生成することと、
c.遠心分離により食品粒子を除去し、浮遊物を保持することと、を含む、方法により誘導される。
いくつかの実施形態では、米国公開第2014/0342438号の方法に従って、浮遊物を使用し、ケモスタットに播種する。
本発明のいくつかの実施形態に従った培養方法
腸内毒素症を有する対象の第1の代謝プロファイルを決定する方法の有効性は、例えば、方法の感度のような要素により限定され得る(すなわち、方法は、特定の細菌株が閾値レベルを超えて存在する場合のみ、その株を検出することができる)。
対象を治療する第2の代謝プロファイルを決定する方法の有効性は、例えば、方法の感度のような要素により限定され得る(すなわち、方法は、特定の細菌株が閾値レベルを超えて存在する場合のみ、その株を検出することができる)。
いくつかの実施形態では、閾値レベルは、検出方法の感度に依存している。よって、いくつかの実施形態では、検出方法の感度に応じて、対象に十分にコロニーが形成されているかを決定するのに、より大きな量の少なくとも1つの細菌種が必要となる。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの細菌種および/または株は、ケモスタット容器中で培養される。いくつかの実施形態では、アシダミノコッカス・インテスティナリス14LG、バクテロイデス・オヴァタス5MM、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス20MRS、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ブラウティア属種27FM、クロストリジウム属種21FAA、コリンセラ・アエロファシエンス、エシェリキア・コリ3FM4i、ユーバクテリウム・デスモランス48FAA、ユーバクテリウム・エリゲンスF1FAA、ユーバクテリウム・リモスム13LG、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ40FAA、ラクノスピラ・ペクチノシザ34FAA、ラクトバチルス・カゼイ25MRS、パラバクテロイデス・ディスタソニス5FM、ロゼブリア・フェカリス39FAA、ロゼブリア・インテスティナリス31FAA、ルミノコッカス属種11FM、ルミノコッカス属種、ルミノコッカス・トルクエス30FAA、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの細菌株は、ケモスタット容器中で培養される。
いくつかの実施形態では、16−6−I 21 FAA 92%クロストリジウム・コクレアタム、16−6−I 2 MRS 95%ブラウティア・ルティ、16−6−I 34 FAA 95%ラクノスピラ・ペクチノスチザ、32−6−I 30 D6 FAA 96%クロストリジウム・グリシルリジニリチカム、32−6−I 28 D6 FAA 94%クロストリジウム・ラクタチフェルメンタンス、およびこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの細菌種は、ケモスタット容器中で培養される。いくつかの実施形態では、ケモスタット容器は、米国特許出願公開第2014/0342438号において開示されている。ある実施形態では、ケモスタット容器は、図10に記載されている容器である。
いくつかの実施形態では、ケモスタット容器は、凝縮器を遮断し、窒素ガスを培養物に通して発泡させることにより、発酵系からケモスタットに変換された。いくつかの実施形態では、圧力は、廃棄物を設定された高さで金属管(以前は試料採取管)から押し出し、ケモスタット培養物の所定の作業体積の維持を可能にする。
いくつかの実施形態では、ケモスタット容器は、濾過窒素ガスをケモスタット容器に通して発泡させることにより、嫌気的に保持される。いくつかの実施形態では、温度および圧力は、自動的に制御および維持される。
いくつかの実施形態では、ケモスタット培養物の培養pHは、5%(体積/体積)HCl(Sigma)および5%(重量/体積)NaOH(Sigma)を使用して維持される。いくつかの実施形態では、pHは、6.8〜7である。いくつかの実施形態では、pHは、6.9〜7である。いくつかの実施形態では、pHは、6.8〜6.9である。
いくつかの実施形態では、ケモスタット容器の培地は頻繁に交換される。いくつかの実施形態では、交換は、遠位腸内の滞留時間に等しい一定の時間にわたって行われる。結果として、いくつかの実施形態では、培地は、400mL/日(16.7mL/時間)の割合で連続的にケモスタット容器に供給され、遠位腸内の滞留時間を模倣するように設定された値である24時間の滞留時間が得られる。代替の滞留時間は、65時間(約148mL/日、6.2mL/時間)とすることができる。いくつかの実施形態では、滞留時間は、12時間と短くすることができる。
いくつかの実施形態では、培地は、米国特許出願公開第2014/0342438号において開示されている培地である。
材料および方法
難消化性デンプン含有基質の調製
6つのメイズ系統(表2.1)からのコーンミールにインビトロ消化および発酵を行った。乾燥メイズ穀粒を、Dr.Michael Emes(University of Guelph、オンタリオ州)から入手し、サイクロンミル(UDY Cyclone Sample Mill)を使用して1mmスクリーン通過を可能にするように粉砕し、微細なコーンミールをもたらした。30gのコーンミールを500mlのリン酸バッファ(20mM、pH6.9、Na2HPO4 1.42gL−1、KH2PO4 1.36gL−1、NaCl 0.58gL−1)に懸濁させ、30分間121℃でオートクレーブし、消化手順の直前に、マグネチックスターラー上で撹拌しながら37℃まで冷却した。消化は無菌条件下で行った。簡潔に、溶液をマグネチックスターラー上で37℃でインキュベートし、消化酵素(すべてSigma Aldrich、オークビル、オンタリオ州から供給)を段階的に添加した。1)NaOH(20%(重量/体積))の添加でpHを6.9±0.1に調節し、0.5mLのヒト唾液α−アミラーゼ溶液(1mMのCaCl2中10mgmL−1)を添加し、15分間インキュベートし、2)HCl(20%(体積/体積))および1.25mLのブタペプシン懸濁液(9gL−1のNaCl中1mgmL−1)の添加でpHを2.0±0.1に調節し、30分間インキュベートし、3)塩基(20%(重量/体積)NaOH)の添加でpHを6.9±0.1に調節し、10mLのパンクレアチン(25mMのCaCl2中0.5mgmL−1)および12gのウシ胆汁(Sigma Aldrich)を添加し、3時間インキュベートした。消化産生物を、4℃のddH2O中で24時間にわたって常に撹拌しながら12〜14kDaの分子カットオフの無菌透析チューブ(Servapor 44146、Serva Feinbiochemica GmbH&Co.、ハイデルベルク、ドイツ)を使用して、透析により除去した。残余物を無菌50mLコニカルに移し、4日間凍結乾燥させた(FreeZone(登録商標)12 Liter Freeze Dry System、Labconco、ミズーリ州、米国)。無菌技術を使用し、乾燥基質を、乳鉢および乳棒を使用して粉砕し、500μm篩を通過させ、均一な粒子サイズを達成した。調製されたデンプン基質を、インビトロ小規模バッチ発酵に使用されるまで、−20℃で保存した。
難消化性デン プン決定:
6つのメイズ系統の予備消化および未処理コーンミール中の難消化性デンプン(RS)、可溶性デンプン(SS)、および総デンプン(TS)の量を、Megazyme RSアッセイキット(Megazyme International、アイルランド)を使用して決定した。簡潔に、試料を、アミログルコシダーゼ(AMG)(3UmL−1)を含有する4mlの膵臓α−アミラーゼ(10mgmL−1)の存在下、16時間連続的に振盪しながら37℃で消化した。可溶化デンプンを、消化されていない難消化性デンプンから、3000gでの遠心分離および50%エタノールでの繰り返し洗浄により分離した。RSペレットを、常に撹拌しながらKOH(2M)の添加を通してpHを調節することにより溶解した。SSおよびRS画分の両方を、それぞれAMG10μL(300UmL−1)で20分および0.1mL(3300UmL−1)で30分、50℃で処理した。最後に、これらの溶液の0.1mLアリコートを3mLのグルコースオキシダーゼ−ペルオキシダーゼ試薬(GOPOD)と組み合わせ、50℃で20分間インキュベートした後、吸光度を試薬ブランクに対して510nmで測定した。RSおよびSSを製造業者の指示に従って計算し、これらの画分の合計はTSに等しかった。
ケモスタット稼働
単段階ケモスタットの調製
Infors Multiforsバイオリアクターシステム(Infors、スイス)を、凝縮器ベントを閉め、窒素ガスを培養物に通してを発泡させ、400mLの一定体積で容器内容物を維持した容器内で嫌気性環境および陽圧を形成することにより、ケモスタット稼働に変換した。温度およびpHを、実験の経過中に常に監視し、酸(5%(体積/体積)HCl)および塩基(5%(重量/体積)NaOH)の添加により、一貫して37℃および6.9〜7.0のpHに維持した。容器を常に撹拌し、表2.2に詳述されている新鮮な培地を一定流量、400mL/日の割合で供給し、24時間の滞留時間とし、ヒト遠位結腸を模倣した。接種前に、各容器を無菌でサンプリングし、5%脱線維ヒツジ血液(Hemostat Laboratories、ディクソン、カリフォルニア州)(FAAb)が補充された選好性嫌気性寒天(Acumedia、ランシング、ミシガン州)上に播種し、好気的および嫌気的の両方で37℃でインキュベートし、容器が確実に汚染を含まないようにした。
使用される培地は、ケモスタットを使用してヒト腸内を模倣する以前の研究に基づいていた。培地を4つの別々のストック調製物(表2.2)で調製し、安全キャビネット中で無菌で組み合わせ、さらに2.5mLの消泡Bシリコーンエマルジョン(J.T.Baker、センター・バレー、ペンシルバニア州)を調製された各リットルに添加した。添加前に、調製物1および4をオートクレーブし、調製物2および3を0.22μm濾紙を通して濾過した。培地を、FAAb上に播種することにより無菌性について確認し、使用前に2週間未満4℃で保存した。
糞便接種源の回収および調製
ゲルフ大学の研究倫理委員会がこの研究を承認した(REB#09AP011)。3人の健康なドナー、ドナー2(女性、42歳)、ドナー5(男性、44歳)、およびドナー9(男性、25歳)が、この研究のための新鮮な糞便試料を提供した。ドナーのいずれも、この研究のための試料の回収の前年に慢性疾患歴または抗生物質の治療はなかった。
糞便回収および調製を行った。簡潔に、試料を近くの手洗所で無菌蓋付き容器中に回収し、排泄の5〜10分以内に嫌気性チャンバ(90%N2、5%CO2、および5%H2の雰囲気)へ移した。糞便(5g)を、50mLの脱気ケモスタット培地中で1分間、ストマッカー(Tekmar Stomacher Lab Blender、Seward、ワージング、ウエスト・サセックス、英国)を使用してホモジナイズし、10%(重量/体積)糞便スラリーを産生した。大きな粒子を10分間および175xgの低速遠心分離で除去した。浮遊物は、この研究において、ケモスタットの糞便接種源として機能した。
ケモスタット接種前に便の穏やかな遠心分離により大きな食品粒子を除去することは、一般的に行われている。以前の研究は、低速遠心分離が浮遊物の微生物コミュニティに、元の糞便試料のそれと比較して、顕著なバイアスを導入しなかったことを示している。
接種、稼働、およびサンプリング
ケモスタット容器は、100mLの10%糞便接種源(第2.3.2部)の300mLの無菌ケモスタット培地への添加で接種された。撹拌およびpH制御を、接種直後に有効にし、実行中は有効なままにした。培養物を容器内で24時間自己構築させた後、供給ポンプを開始した。ケモスタット容器の毎日のサンプリングは、20滴の消泡Bシリコーンエマルジョン(J.T.Baker、センター・バレー、ペンシルバニア州)の添加および容器サンプリングポートを通した4mLの培地の除去を含んだ。試料を、2×2mLチューブにアリコートし、その後のDNA抽出のために−80℃でアーカイブした。
インビトロ静的バッチデンプン発酵
ドナー2、5、および9からの糞便が播種されたケモスタットを前述(第2.3.3部)のとおり稼働させ、これらのケモスタットからの安定な定常状態のコミュニティをすべてのその後の発酵のためのすべての接種源として使用した。50mLの作業体積での静的バッチ発酵を、以前の研究からの手順に従って、37℃嫌気性インキュベータにおいて行った。簡潔に、0.5gの各デンプン基質を安全キャビネット中の100mLボトルに無菌で移し、10gL−1の最終濃度を達成した。
ケモスタット培養物の添加の直前に、45mLの無菌、予備還元、基本培地(pH6.9±0.1)(表2.3)をボトルに添加した。各ボトルに5mLの新鮮なケモスタット培養物を接種し、最終濃度を100mL/Lとした。対照発酵は、50mLの発酵バッファおよび0.5gの各デンプン(10gL−1)または5mLの新鮮なケモスタット培養物(100mL/L)を含む45mLの発酵バッファのいずれかを含有した。
静的バッチ発酵を、48時間、pH制御なし、37℃、嫌気性インキュベータ内で実行した。重複2mL試料を、接種後0、4、8、24、および48時間で採取し、DNAおよびVOC解析のために−80℃で凍結した。これらの実験中に複数のデンプン基質発酵を行い、各発酵にデンプン基質、バイオロジカルレプリケート#、テクニカルレプリケート#(ローマ数字)、およびサンプル時点に従って名前を付けた。例えば、(Cg102 1i−48h)は、デンプン基質Cg102を含有する発酵の第1のバイオロジカルおよび第1のテクニカルレプリケートから、接種後48時間で採取された試料を表す。
ケモスタット供給試験
標準ケモスタット培地に、予備消化ハイメイズ260(高RS)(National Starch and Chemical、マンチェスター、英国)またはコーンスターチ(対照)(Sigma−Aldrich、オークビル、オンタリオ州)を補充し、インビボ供給試験中に消費される量を模倣し、消化前の合計を30g/日とした。120gのハイメイズ260およびコーンスターチを、わずかな変更を加えた前述の方法(第2.1部)に従って、30gバッチで消化した。デンプンを、リン酸バッファ(20mM、pH6.9、Na2HPO4 1.42gL−1、KH2PO4 1.36gL−1、NaCl 0.58gL−1)中で20分間沸騰させ、透析後、残余物をケモスタット培地(溶液1、表2.1)に凍結乾燥なしでそのまま添加した後、溶液1をオートクレーブし、培地の残部を前述のとおり調製した。
2対の「ツイン」ケモスタット容器(同じ接種源が接種された2つの同一のケモスタット容器)(D5−1とD5−2)および(D9−R1とD9−R2)を、いずれの実験操作もなしに、容器が定常状態に到達するまで稼働させた。定常状態の構築後、培地を容器D5−1(RS+)およびD9−R1(RS+)について変更し、30g/日(消化前)に等しいハイメイズ260を4日間提供した。培地をD5−2(CS+)およびD9−R2(CS+)について同様に変更し、30g/日(消化前)と等体積のコーンスターチを4日間提供した(対照容器)。4日のデンプン増加後、すべての容器を基本ケモスタット培地に戻し、4日間稼働させ、ウォッシュアウト期間を提供した後、実験を終了した。容器を、実験の経過全体を通して、前述のとおりサンプリングした。
DNA抽出
DNAを、変更を加えたプロトコルに従ってアーカイブ試料から、ビードビーティングおよび2つの市販キットの成分の組み合わせを利用して抽出した。簡潔に、200mgのガラスビーズ、300μLのSLXバッファ(Omega Bio−Tek E.Z.N.A.(登録商標)Stool DNAキット、ノークロス、ジョージア州)、および10μLのプロテイナーゼK(20mgmL−1、0.1mMのCaCl2中)を2mLスクリューキャップチューブに添加した。各試料を解凍し、十分に混合した後、200μLをスクリューキャップエッペンドルフチューブにアリコートし、これをビードビーターに入れ、Disruptor Genie(Scientific Industries、ボヘミア、ニューヨーク州)を使用して4分間3000rpmで加工した。試料を10分間70℃で、5分間95℃で、次に2分間氷上でインキュベートした。100μLのバッファP2(Omega Bio−Tek E.Z.N.A.(登録商標)Stool DNAキット、ノークロス、ジョージア州)をチューブに添加し、30秒間ボルテックスした後、5分間氷上で追加のインキュベーションを行った。試料を20450xgで5分間遠心分離し、浮遊物を、200μLのHTR試薬(Omega Bio−Tek E.Z.N.A.(登録商標)Stool DNAキット、ノークロス、ジョージア州)を含む新たな1.5mLチューブに移し、10秒間ボルテックスし、室温で2分間インキュベートした。最後に、試料を20450xgで2分間遠心分離し、浮遊物をMaxwell(登録商標)16 DNA精製キットカートリッジ(Promega、マディソン、ウィスコシン州)に移し、抽出プロトコルの残部をMaxwellキットの指示に従って完了した。
生/死細胞比較
PhAST Blue光活性化システム(PhAST Blue、GenIUL、バルセロナ、スペイン)を使用して、選択試料を試験し、コミュニティダイナミクスにおける変化が死細胞集団に由来するDNAの存在により影響を受けたかを決定した。製造業者の指示に従って、死(透過性)細胞からのDNAを、エチジウムモノアジド(EMA)を使用して不活性化した。0および48時間でのサンプリング直後に、マイクロピペットを使用して試料をホモジナイズし、提供されている試薬チューブに200μLアリコートを添加し、穏やかにボルテックスした。試料を、ボルテックスミキサー上で10分間、間欠混合しながら氷水浴中でインキュベートし、無菌反応チューブに移した。試料を、提供されているPhAST Blueシステム装置(青色発光器)で、予め設定されている製造業者設定(100%強度で15分)を使用して光活性化した。
試料を20450xgで5分間回転させ、浮遊物を廃棄し、ペレットを200μLの無菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に再懸濁させた後、前述のプロトコルに従ってDNA抽出を行った。
変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)解析
DNAを、すべてのバッチ発酵から接種後0および48時間で、ならびにケモスタット容器から2日毎に、類似性およびコミュニティダイナミクスにおける変化を決定するDGGE解析のために抽出した。PCR、PCR精製および濃縮、DGGE、ならびにゲル解析を行った。プライマーHDA1およびHDA2−GCを使用し、16S rRNA遺伝子のV3領域(339−539bp、エシェリキア・コリ番号付け)を増幅した。サイクリング条件は、92℃で2分間、(92℃で1分間、55℃で30秒間、72℃で1分間)×35サイクル、72℃で10分間とした。抽出されたDNAはテンプレートとして機能し、各試料は3つの同一のPCR反応において増幅されている。PCR産生物をアガロースゲル電気泳動(2%アガロース重量/体積、1倍トリス−酢酸−EDTA(TAE)中、80Vで40分)により解析し、PCR反応が成功したことを確認した。
わずかな変更を加えたプロトコルに従って、EZ−10 Spin Column PCR Products Purification Kit(Biobasic、マーカム、オンタリオ州)で、同一の試料をプールおよび濃縮した。試料を40μLのHPLCグレード水に溶出し、10μLのDGGEローディング色素(0.05%(体積/体積)ブロモフェノールブルー、0.05%(体積/体積)キシレンシアノール、HPLCグレード水中70%(体積/体積)グリセロール、Bio−Rad DCode Manual)と混合した。社内で入手可能なヒト腸内細菌単離物から以前抽出されたDNAを使用して開発されたDGGE標準ラダーを、すべてのDGGEゲルの外側および中央レーン上で実行した。ラダー内に含まれるDNA試料は、次の細菌単離物、コプロバチルス属種(Coprobacillus sp.)(1/2/53)、エンテロコッカス科属種(Enterococcaceae sp.)(30/1、HMP#323としても知られる)、ベイロネラ属種(Veillonella sp.)(5/2/43 FAA)、クロストリジウム属(1/1/41 A1 FAA CT2、HMP#174としても知られる)、およびプロピオニバクテリウム属種(Propionibacterium sp.)(7/6/55B FAA)に由来した。前述のとおりHDA1およびHDA2−GCプライマーを使用して各株のDNAを増幅し、産生物を等比でプールすることにより、ラダーを調製した。
前述のプロトコルに従って、DCode System(Bio−Rad Laboratories、ハーキュリーズ、カリフォルニア州)を使用し、6%(体積/体積)ポリアクリルアミドゲルでのDGGEを行った。尿素およびホルムアミドからなる30〜55%の変性剤濃度勾配を利用し、精製されたPCR産生物を分離した。ゲルに、60℃で1倍TAEバッファ中5時間120Vでの電気泳動を行った。ゲルを、各10分間、それぞれ臭化エチジウム(1Lの1倍TAE中100μl)(Sigma−Aldrich、オークビル、オンタリオ州)およびddH2Oで、染色した後、脱染色した。GeneSnapソフトウェア(バージョン6.08.04、Synoptics Ltd、ケンブリッジ、英国)を実行するSynGene G−Boxゲルドキュメンテーションシステムを利用し、ゲルの画像をキャプチャした。キャプチャ中、GeneSnapソフトウェアの自動露出ツールを使用し、画像を飽和について正規化した。
Syngene GeneToolsソフトウェア(バージョン4.01.03、Synoptics Ltd)を使用し、DGGEゲルを解析した。試料プロファイル間のDGGEバンドパターンを、類似性マトリックスを生成するピアソン相関係数値(類似性指数(SI)値)の計算を通して、類似性について解析した。SI値は0〜1の範囲内であり、1の値は2つのプロファイルが同一のバンドパターンを含有したことを示し、0の値は2つのプロファイル間に共通のバンドがないことを示した。SI値を100倍し、相関係数(類似性指数%(SI%)値)を得た。SI%値を利用し、非加重結合(UPGMA)法を使用する樹形図を生成した。
同じDGGEゲル内の同一のラダー試料を使用し、バンドプロファイルの類似性を比較することにより、ゲル特異的「カットオフ閾値」を計算した。理論では、同一のラダー試料は100%類似であるべきであるが、SI%値は、DGGEに関連する実験誤差およびゲル全体を通した変性剤濃度勾配のばらつきによって、常に100%未満である。ラダー試料間のSI%値は「カットオフ閾値」を定義し、したがって「カットオフ閾値」より大きなSI%値を有する試料を同一とみなし、「カットオフ閾値」の5%以内のSI%値を類似とみなした。
コミュニティダイナミクスおよび容器間類似性
コミュニティダイナミクスを移動窓相関解析で示し、一定の時間にわたるコミュニティ内の変化を評価した。これらの図を使用し、コミュニティが定常状態に到達したことを確認し、インビトロ供給試験に応じてコミュニティ安定性を評価した。図上の各点は、第(x−2)対(x)日目の同じ容器に由来する試料のDGGEプロファイル間の変化パーセント(100−SI%)を表す。「ツイン容器」間のコミュニティ類似性における変化を、SI%値を使用して決定した。図上の各点は、治療経過の同一の日数での2つの容器間のSI%を表す。類似性の低下は、異なる治療に応じた容器間のコミュニティ構造における相違を表す。
DGGEパターン解析:非計量多次元尺度構成法
非計量多次元尺度構成法(NMDS)とは、データセット内の複雑な関係を図表で要約することを目的とする序列化技術である。NMDSは、変数間の線形関係を必要とせず、試料間の類似性の順位を保存しようと試みる。したがって、より類似したコミュニティ組成を有する試料は、互いにより近くに配置される。DGGEプロファイルを、ピアソン相関係数値の計算を通して類似性について解析し、XLstat(Addinsoft、hhttp://www.xlstat.com)を使用して各DGGEゲルについてのNMDS図を作成するのに使用される類似性マトリックスを生成した。クラスカルのストレス式1を使用し、図が類似性マトリックスを正確に表す程度を決定し、ストレス値<0.1は、パターンについて誤った結論に達するリスクが低い、良好な序列化を表す。0.1<x<0.2の値は依然として使用可能なモデルを生成するが、0.2に近い値は誤解を招く恐れがあり、結果について結論を出す際には注意するべきである。すべてのNMDS図を、小規模バッチ発酵のDGGEプロファイル間の関係の二次元モデルとして表す。
SPME−GC−MSパラメータ
固相微量抽出(SPME)結合ガスクロマトグラフィ−質量分析法(GC−MS)を使用して、接種後0および48時間で小規模バッチ発酵から揮発性有機化合物(VOC)を抽出および解析した。デンプン基質の発酵後に存在する代謝物における変化を、糞便VOCの解析のためのわずかな変更を加えたプロトコルに従って決定した。簡潔に、−80℃でアーカイブされた試料を室温で解凍し、十分に混合した後、1mLを10mLガラスバイアルに移し、PTFEシリコーンセプタムを含有するクリンプトップの蓋をした(MicroLiter Analytical Supplies,Inc.、ジョージア州、米国)。
SPMEオートサンプラを備えたBruker Scion 436GC装置を使用してSPME−GC−MS法を実施した。解析カラムは、ZB−624(Phenomenex、トーランス、カリフォルニア州、米国)キャピラリーカラム(30m×0.25mm、膜厚1.40mm)とした。インジェクタポートを280℃に設定した。オーブン温度条件は次のとおり、5分間35℃の初期温度で開始し、温度を7℃分−1の速度で250℃まで上昇させ、12分間保持し、合計実行時間を47.71分とした。担体ガス(ヘリウム、純度>99.999%)の流量を一定流量モードで1.0mL分−1に維持した。GC−MSをスプリット注入を行うようにプログラムし、試料を1:20のスプリット比を使用して注入した。SPMEインジェクタパラメータは次のとおり、アジテータ温度75℃、試料プレインキュベーション時間15分、繊維でのインキュベーション時間(抽出時間)30分、脱離時間5分とした。ジビニルベンゼン/カルボキセン/ポリジメチルシロキサン(DVB/CAR/PDMS)からなるSPME繊維アセンブリ(Supelco、ベルフォンテ、ペンシルバニア州、米国)を使用した。
質量分析計(Scion TQ)は電子衝撃(EI)イオン源を備えた。すべての実験を陽イオンモードで実施した。源温度を200℃に設定し、エネルギーを70eVとした。マルチプライヤ電圧を900Vに設定した。データを、4分の遅延を含む4スキャン/分の速度で30〜300m/zのフルスキャンモードで取得した。空のガラスバイアルを対照として用意し、試料バイアルと同一の条件下で保存し、同じプロトコルに従って解析した。NIST質量スペクトルデータベース(National Institute of Standards and Technology、ゲイザースバーグ、メリーランド州)との比較により、対象のピークの仮同定を行った。
GC−MSデータ処理および統計解析
生のGC/MSデータを、mzXML Conversion Utility(Bruker)を使用して.xmlフォーマットに変換し、その後、前述のパラメータを使用する自動ピーク検出およびピークアラインメントのためのR言語(バージョン2.15.3、統計計算のためのR−Foundation、www.Rproject.org)で実装されたXCMSソフトウェアパッケージ(バージョン1.36.1)を使用して処理した。Rから出力されて得られたタブ区切り表をMicrosoft Excelソフトウェア(Microsoft、レドモンド、ワシントン州)にインポートし、イオン特性を合計ピーク面積に対して正規化し、m/z保持時間ペア、試料名、およびピーク面積として質量スペクトル特性を含有する表に配置し、その後、PCAおよび潜在的構造に対する直交射影による判別解析(OPLS−DA)を使用する統計解析のためにSIMCA−P+13.03(Umetrics、

、スウェーデン)にインポートした。変数をPCAおよびOPLS−DAについて平均中心化およびパレート尺度化し、PCAスコア図を解析し、3人のドナーからの糞便接種源を使用する発酵からのデータセットの一般構造を決定した。OPLS−DAを使用して2つのクラス(0時間および48時間サンプリング時点)間の代謝物プロファイルにおける相違を区別し、モデルを7回交差検証し、検証の各回についてデータの1/7はランダムに省略し、モデルの信頼性を、交差検証残差の分散(CV−ANOVA)の解析を使用して評価した。2つの時点の分離にとって重要な代謝物を、統計的に有意な閾値を上回ったOPLS−DAモデルからの射影における変数重要度(VIP)値(VIP値>1)を使用して同定した。VIPカットオフを満たす代謝物を、マン−ホイットニー−ウィルコクソン検定を使用してGraphPad Prism(Version 5、GraphPad Software Inc、カリフォルニア州、米国)において2つのグループ間の相違について個別に評価し、P値が<0.05であった場合、試料を有意に異なるとみなした。
各ドナーの糞便マイクロバイオータについての6つのデンプン基質の発酵間の代謝の相違を、48時間発酵試料を互いに比較することにより決定した。PCAおよびOPLS−DAモデルを前述のとおり生成し、PCAスコア図を解析してデータセットの一般構造を決定した。試料をデンプン基質に基づき定義された6つのクラスに入れ、前述のとおりOPLS−DAモデル化を使用してペアとして互いに比較した。
ゲノム配列
この研究のデータは、33の細菌株のドラフトゲノム配列(コンティグ形態)を含み、これは表4に開示されている。細菌ゲノムは、Illumina MiSeqプラットフォームを使用して配列決定された。種は、全長16S rRNA遺伝子の比較による最も近い一致に従って名付けられ、細菌の真の種分化を反映しない場合があり、簡潔に第I部において使用される細菌には株Aまたは株Bとは別の同一性が与えられており、表1はこれらの株の真の同定を提供する。
研究デザイン
この研究は3つの段階を含む。第1の段階は、どの株ペアがRePOOPulate研究(Petrof et al.)(「元のRePOOPulateプロトタイプ」または「元のRePOOPulate生態系」とも称される)に含まれていたか、種のゲノムを比較することに重点を置いた。全長16S配列アラインメントによりぴったりと一致した6つの種株ペアのゲノムを、冗長性を探すために比較した。これらの細菌の複数の株が、RePOOPulate生態系に含めるために、培養細菌における形態および挙動の相違に基づき、まず選択された。プロジェクトのこの部分の目標は、複数の株の使用は冗長であったか、または生態的均衡の維持のために両方の株を含める生物学的必要性を確証する真の遺伝的な相違があるかを決定することであった。
プロジェクトの第2の段階は、KEGGパスウェイの遺伝的カバレッジを決定するための広域なパイプラインを開発することに重点を置いた。KEGGとは、京都遺伝子ゲノム百科事典を表し、パスウェイ解析に一般的に使用されているリソースであり、パスウェイ、遺伝子、ゲノム、化合物、および反応情報に関連するデータを含有する。レポートの第II部は、キーストーン細菌種およびパスウェイ、ならびに生化学的に冗長であり得る種を探して、RePOOPulate生態系全体のKEGGパスウェイを比較することに焦点を合わせる。
プロジェクトの第3の段階は、RePOOPulateに含まれる細菌遺伝子が、高レベルの遺伝的冗長性なく、必要な生化学パスウェイの十分なカバレッジを提供するかを決定することに重点を置いた。レポートの第III部は、「健康な」ヒトマイクロバイオームのそれと比較した、KEGGパスウェイのRePOOPulateコミュニティ全体のカバレッジを示す。これは、RePOOPulateコミュニティがヒト腸内の真のマイクロバイオータをどれくらい忠実に模倣するかを決定する、KEGGパスウェイの全体的なカバレッジの調査を可能にした。
第I部:株ペア内の冗長性
方法
Mauveアラインメント
元のRePOOPulateプロトタイプ生態系は、2つの別の株を有する6つの細菌種、合計12の細菌株を含んでいた。これらの6つの細菌種の両方の株についての全ゲノムデータを比較し、冗長性を試験した。ゲノムアラインメント可視化ツールMauveの漸進的Mauve機能を使用して、ゲノムのペアを整列および比較した。得られたアラインメント骨格ファイルをRにロードし、パッケージgenoPlotR(疑似コードが提供されている)を使用して、Mauveにより提供されるものよりダイナミックな画像を作成した(図2)。アラインメント後、各種の株を、比較結果のさらなる解析を簡略化するために、株Aまたは株Bのいずれかに割り当てた(表1)。
図2は、第I部において解析された6つの種についての株ペアのアラインメントを示し、MauveおよびRパッケージgenoPlotRを使用して作成された、Mauveアラインメントの配列アラインメント図を示す。図2Aは、株A対株Bのビフィドバクテリウム・アドレッセンティス配列比較を示す。図2Bは、株A対株Bのビフィドバクテリウム・ロンガム配列比較を示す。図2Cは、株A対株Bのドレア・ロンギカテナ配列比較を示す。図2Dは、株A対株Bのラクトバチルス・カゼイ配列比較を示す。図2Eは、株A対株Bのルミノコッカス・トルクエス配列比較を示す。図2Fは、株A対株Bのルミノコッカス・オベウム配列比較を示す。図2は、第I部において解析された6つの種についての株ペアのアラインメントを示し、MauveおよびRパッケージgenoPlotRを使用して作成された、Mauveアラインメントの配列アラインメント図を示す。図2Aは、株A対株Bのビフィドバクテリウム・アドレッセンティス配列比較を示す。図2Bは、株A対株Bのビフィドバクテリウム・ロンガム配列比較を示す。図2Cは、株A対株Bのドレア・ロンギカテナ配列比較を示す。図2Dは、株A対株Bのラクトバチルス・カゼイ配列比較を示す。図2Eは、株A対株Bのルミノコッカス・トルクエス配列比較を示す。図2Fは、株A対株Bのルミノコッカス・オベウム配列比較を示す。
表1は、特に株ペア内の冗長性を決定する、第I部についての株指定を示す。6つの種のペアワイズ比較の各々について株Aおよび株Bと称される株の同定について、2つの株は元のRePOOPulate生態系に含まれていた。表中の名称はRASTサーバー上で与えられる名称を示し、括弧内の数字はRASTゲノムID番号を示す。
SEEDビューアを使用する比較
この解析において使用されるドラフトゲノムは、以前アノテートされ、RASTサーバー上に保存されていた。RASTは、サブシステムベースのアノテーションを使用し、これは、タンパク質コード化、rRNA、およびtRNA遺伝子を同定し、機能を遺伝子に割り当て、ゲノムにおいてどのサブシステムが示されるかを予測し、この情報を使用して代謝ネットワークを再構築する。サブシステムは、共に特定の生物学的プロセスまたは構造的複合体を実現する、機能的役割の集合体として定義される。サブシステムベースのアプローチは、ハイスループットアノテーション技術における精度向上への鍵は、一人のアノテーション熟練者に単一のゲノム中のすべての遺伝子をアノテートしようとさせるのではなく、複数の熟練者にゲノムの完全な集合体にわたる単一のサブシステムを各々アノテートさせることであるという原理に基づく。アノテートされたゲノムは、比較解析をサポートするSEED環境中に維持される。ゲノムペアアラインメントおよび可視化後、各株ペアの機能および配列比較は、RASTサーバーを通してアクセスされるSEEDビューアを使用して完了した。
機能比較を使用し、アノテートされたドラフト配列を使用してサブシステムベースの相違を確認した。提供される機能比較出力は、どのサブシステムが共有され、どれが一方の株のみに固有であったかを示す、確認されたサブシステムの表で構成される。6つの比較の各々の結果を、Microsoft Excelにおいてタブ区切り形式の表にエクスポートし、考察した。次に、SEEDビューアを使用して、タンパク質配列同一性を調査し、平均遺伝的類似性を決定し、配列比較を完了した。画像出力は、グラフィックス・インターチェンジ・フォーマット(gif)でダウンロードし、この比較のテキスト形式の結果は、Microsoft Excelにおいてタブ区切り形式の表としてエクスポートし、考察した。タンパク質配列同一性を、仮想タンパク質データを含む場合および含まない場合の両方で調査した。異なる株が使用された場合に結果がわずかに異なったため、配列比較は、参照としての株Aおよび参照としての株Bの両方を使用して完了した。可能な場合、株は、タンパク質配列類似性を同じ属または種内の他の細菌株において見られるものと比較するために、入手可能な最も近い分類学的近隣種とも比較した(図4)。データは、ゲノムサイズおよびコンティグ数が、配列比較の結果において交絡因子となり得ることを示した。これを、Rでの線形モデルを使用して調査した。表6中のデータを、コンマ区切り形式のファイルとして保存し、Rにロードした。2つの線形モデルを当てはめ、平均タンパク質配列同一性をゲノムサイズおよびコンティグ数と比較した(疑似コードが提供されている)。
図4は、入手可能な最も近い種の一致についてのSEEDビューア配列比較図を示す。図4Aは、参照ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス株A対株B(外輪)およびビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(1680.3)(内円)の比較を示す。図4Bは、ビフィドバクテリウム・ロンガム株A対株B(外輪)およびビフィドバクテリウム・ロンガムDjO10A(内輪)の配列比較を示す。図4Cは、ドレア・ロンギカテナ株A対株B(外輪)、ドレア・フォルミシゲネランス(Dorea formicigenerans)ATCC27755(中輪)、およびドレア・ロンギカテナDSM13814(内輪)の配列比較を示す。図4Dは、ラクトバチルス・カゼイ株B対ラクトバチルス・カゼイ株A(外輪)、ラクトバチルス・カゼイATCC334(中輪)、およびラクトバチルス・カゼイBL23(内輪)の配列比較を示す。SEEDビューア上での比較目的に公然と利用可能なルミノコッカス属種はなかった。
表6は、株ペア内の冗長性を示す、第I部において解析された株についての要約統計を示す。表6は、塩基対数でのゲノムサイズ、使用されるドラフト配列中のコンティグ数、全長16S配列アラインメントに基づく最も近い一致に対する類似性パーセント(RePOOPulate原著論文から推測)、SEEDビューアを使用して確認されるサブシステム、コード配列、およびRNAの合計数、ならびにSEEDビューアから得られるデータを使用してMicrosoft Excelにおいて計算される平均タンパク質配列同一性パーセントを含む(挙げられている株は、株ペアの比較のための参照株である)。
KEGGパスウェイ解析
KAAS(KEGG自動アノテーションサーバー)を使用し、KEGG GENESデータベース中の手動でキュレートされたオーソロググループのセットに対するBLAST比較により、ドラフトゲノム(コンティグ)中の遺伝子の機能アノテーションを提供した。第I部において調査された12のゲノムについてのアミノ酸FASTAファイルをKAASにアップロードし、ドラフトゲノムデータについて推奨されている、原核生物遺伝子データセットおよび双方向ベストヒット割り当て法を使用してアノテートした。結果は、KEGGオーソロジー(KO)割り当ておよび自動生成されたKEGGパスウェイを含有する。KO割り当て(KO ID)のリストをダウンロードし、Microsoft Excelにおいて比較した。株ペア間で共有されるKO IDのリストおよび一方の株のみに特異的なKO IDのリストを、Microsoft Excelスプレッドシート表を使用して作成した。次にこれらのリストを使用し、KEGGオーソロジー割り当ての複製物の数と一致した太さ、およびIDが共有されているかどうかにより決定された色(緑は共有、赤は株A、青は株B)で、KO IDの最終リストを作成した。最終リスト(6つの種の各々に1つ)を次にプログラムiPath2.0:インタラクティブ・パスウェイ・エクスプローラにインポートした。iPathは、各種パスウェイマップの可視化、解析、およびカスタマイズのためのウェブベースのツールである。現行バージョンは、146KEGGパスウェイを使用して構築され、生物系における完全な代謝の概要をもたらす代謝パスウェイのマップ、22KEGG制御パスウェイを含む制御パスウェイマップ、および58KEGGパスウェイを含有する二次代謝物の生合成マップを含む、3つの異なる包括的な概要マップを提供する。
作成されたKO IDのリストを、マッピング前に、iPath2.0により使用される内部リストと一致させ、iPath2.0はマッピングプログラムにおいて利用可能なすべてのKO IDを含むわけではないため、これによっていくつかのKO IDが除去された。次に一致リストを使用し、6つの株比較の各々についてカスタムマップを作成した。異なる色または太さを有するKO IDが同じパスウェイに含まれた競合のリストを、各株比較についてのマッピングプロセスを通して自動的に作成した。iPath2.0プログラムは、ランダム選択により、これらの競合を自動的に解決する。この解決方法はこの研究デザインにとっては理想的ではなく、代わりに競合を手動で解決した。色の競合は、パスウェイが共有され、したがって固有のものではないことを意味したので、いずれの色競合も緑にするように解決した。いずれの太さの競合も、単一のKO IDが同じ太さの複数のKO IDと競合する場合、平均太さ(最も近い整数に切り上げ)または最も競合の少ない太さをとることにより解決した。固有のKO IDの最終マップおよびリストを次に分析し、どのパスウェイが一方の株に固有であったか、および冗長性が除去され得るかを決定した。
結果
異なるメイズ系統における難消化性デンプン決定
すべてのデンプン基質はかなりの量の総デンプンを含有したが、総デンプン含有量はインビトロでのヒト消化後にすべての試料について減少した。未消化試料の総デンプン含有量は、61.38±0.54〜74.21±2.88g/乾燥固体100gの範囲内であり、消化試料について、これは52.89±2.08〜66.20±0.08g/乾燥固体100gの範囲内であった(表3.1)。すべての試料は70%未満の総デンプンを含有し、予測どおり、それらが純粋なデンプンではなかったことを示した(試料は、デンプンと同様にタンパク質、脂質、および細胞物質を含有する、微細に粉砕されたメイズ穀粒から調製された)。
Cg102ae1−refおよびCg102ae1−Elmoreは、消化前に最も多くのRS(それぞれ10.25±0.20および9.98±2.12g/乾燥固体100g)を含有した。インビトロ消化後に、これらの同じ遺伝子型は、再び最も多くのRS(それぞれ5.68±0.13および4.78±0.25g/乾燥固体100g)を含有した。対照的に、Cg102wxは、インビトロ消化前および後に最も低いレベルのRS(それぞれ0.13±0.003および0.03±0.0003g/乾燥固体100g)を含有した(表3.1)。
インビトロ消化中にデンプン基質の無菌性を維持するステップを行ったが、すべての調製物でいくらかのレベルの汚染が生じた。図11は、無菌嫌気性基本培地における0時間および48時間後の6つのデンプン基質対照のDGGEプロファイルを示す。DGGE解析は、各デンプン基質について限られた数のバンドをもたらした。これらのバンドは、糞便接種源を含有する発酵では顕著に現れなかった。ペアとした0時間および48時間試料は平均で97.7%類似であり、存在する汚染が小規模発酵中に観察された変化に寄与しなかったことを示した(表3.2)。
図11は、無菌嫌気性基本培地における0時間および48時間後の6つの予備消化デンプン基質対照中に存在する微生物汚染を比較するDGGEプロファイルを示す。
表3.1 Megazyme難消化性デンプンアッセイキット(Megazyme International、アイルランド)を使用して定量化される、インビトロヒト消化前および後のデンプン基質の難消化性、可溶性、および総デンプン含有量。
表3.2:無菌嫌気性基本培地における0時間および48時間後の6つの予備消化デンプン基質中に存在する微生物汚染を比較する相関係数(SI%)。
小規模バッチ発酵−合理的
各種基質が腸内マイクロバイオータに対して有する効果を研究するのに、小規模インビトロバッチ発酵が長年使用されている。この技術は、健康なドナーからの新鮮な糞便の複数回の回収を必要とし、研究を困難かつ時間のかかるものにしている。ヒト腸内の単段階遠位モデルとしてのケモスタットの使用は、再現可能かつ安定な糞便コミュニティを培養し、元の糞便接種源と同様の高レベルの多様性を維持する効果的な手段である。この研究では、我々はケモスタットモデルを使用し、健康なドナーからの糞便コミュニティを、それらをインビトロ小規模バッチ発酵のためのリザーバーとして繰り返し使用することができるように、培養および維持し、これにより糞便ドナーを複数回サンプリングする必要性を解消し、バッチ間のばらつきのなさを確保した。
単段階遠位腸内モデルにおける定常状態コミュニティの構築
3つの別々のケモスタットランを、インビトロ小規模バッチ発酵のための糞便接種源として使用した。1)「ドナー2」からの糞便が接種された単一容器、単一のドネーション(V2−1)、2)「ドナー5」からの糞便が接種された単一容器、単一のドネーション(V5−1)、3)ドナー9からの糞便が接種された単一容器、第1のドネーション(V9−1)。ランV5−1およびV9−1を、それぞれ40および41日目まで解析し、V2−1を38日目まで解析した。
定常状態平衡が得られ、コミュニティがインビトロ小規模バッチ発酵における使用に適していたことを確認するために、これらの3つのケモスタットランを、増幅16S rRNA遺伝子プロファイルのDGGEおよびその後の移動窓解析を使用するプロファイルの解析を使用して、コミュニティ多様性における変化について評価した。同様のDGGE解析手順を使用し、0〜18日目の間で最も大きな変化率(Δt)が発生し、定常状態コミュニティの構築が起こるのに伴って36日目までに安定したことを示した。この所見を考慮し、各ケモスタットランの最初の約2週間は解析から省略した。各容器についてΔt値が減少して個別のゲル特異的カットオフ閾値を下回り、定常状態が得られたことを示すのに必要な時間は変動した。しかしながら、すべての容器について、32日目までには平衡が達成された(図12a、b、c)。定常状態に到達後、すべての3つのランのΔt値は、独立したゲル特異的カットオフ閾値を下回った、またはその5%以内のままであり、38(V2−1)、40(V5−1)、および41(V9−1)日目に解析期間が終わるまで各容器内で高度の類似性を示した(図12a、b、c)。
図12は、3人の健康なドナー(ドナー2、5、および9)からの糞便が播種されたケモスタットランのコミュニティダイナミクスを示す。試料を小規模バッチ発酵の完了まで2日毎に解析した。コミュニティダイナミクスを、移動窓相関解析を使用して計算した。a)ドナー2(14〜38日目)、b)ドナー5(18〜40日目)、c)ドナー9(17〜41日目)。
表3.3は、接種後0および48時間でのドナー2(V2−1)、ドナー5(V5−1)、ドナー9(V9−1)からのケモスタット物質が接種された予備消化デンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較する平均相関係数(SI%)を示す。
図13 接種後0および48時間でサンプリングされた、a)ドナー9(V9−1)、b)ドナー5(V5−1)、c)ドナー2(V2−1)からのケモスタット物質が接種されたCg102ae1−refの小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図。黄色で網掛けされた試料は、0時間試料のクラスタを表し、青色で網掛けされた試料は、発酵の48時間後にCg102ae−refを含有する試料を表す。
ドナー5糞便マイクロバイオータでの小規模バッチ発酵
ドナー5からのケモスタット糞便接種源を使用する0時間および48時間でのすべての発酵についてのDGGEプロファイルを解析し、レプリケート発酵間の反復性を確認した。Cg102ae1−refおよびドナー5からの糞便接種源を含有するデンプン基質発酵は、接種後0および48時間でゲル特異的カットオフ閾値の5%以内またはこれを上回る相関係数を有した。平均で、0時間試料は83.5±9.1%類似であり、48時間試料は86.2±7.5%類似であった(表3.3)。0時間および48時間での接種源対照レプリケートは、それぞれ85.4%および92.2%類似であり、共にゲル特異的カットオフ閾値を上回った(表3.3)。接種(0時間)後、デンプン基質および接種源対照発酵プロファイルは、平均でゲル特異的カットオフ閾値を上回る高度の類似性(87.3±11.2%)を共有した。48時間後、平均プロファイル類似性はゲル特異的カットオフ閾値を下回った(63.6±5.9%類似)(表3.3)。これは、すべての発酵に、デンプン基質に応じて再現可能に調節された、同一の糞便コミュニティが接種されたことを示した。
0時間および48時間での他の5つのデンプン基質での発酵についての平均相関係数は、それぞれ85.8±9.0%〜92.4±3.2%類似および83.3±8.8%〜94.0±2.1%類似の範囲内であり、これらの値はすべてゲル特異的カットオフ閾値の5%以内またはこれを上回るものであった(表3.3)。これは、小規模バッチ発酵がレプリケート間で一貫して再現可能であったことを示した。Cg102ae1−refで観察された結果と同等に、5つの残ったデンプン基質を含有する試料は、発酵の開始時(0時間)に接種源対照との高い類似性を共有し、完了時(48時間)には、対照と比較してコミュニティプロファイル間にかなりの相違があった。0時間および48時間でのデンプン基質発酵と各対照との間の平均相関係数は、それぞれ88.9±2.5%〜94.2±4.7%類似および50.1±2.6%〜65.0±3.6%類似の範囲内であり、0時間試料はゲル特異的カットオフ閾値の5%以内またはこれを上回るものであり、48時間試料は一貫してゲル特異的カットオフ閾値を下回り、接種源対照およびデンプン基質発酵プロファイルが発酵の48時間後には類似でなくなったことを示した(表3.3)。
DGGEクラスタツリー解析を使用して、Cg102ae1−refの発酵からのすべての試料(デンプン基質発酵および接種源対照)が0時間で共にグループ化したことが観察された。発酵の48時間後に採取された試料は、0時間のものとは別々にグループ化し、デンプン基質発酵は共に、接種源対照から離れてクラスタ化し(図13b)、試料プロファイルが発酵の開始時に高度に類似し、Cg102ae1−refの発酵に応じて変化したことを示した。残った5つのデンプン基質での発酵の樹形図において同様の傾向が見られ、発酵試料は発酵の48時間後に一貫して共に、すべての他の試料から離れてクラスタ化した(図29)。
Cgx333を含有する発酵の解析は、1つの48時間試料が外れ値(2i−48h)とみなされたことを明らかにし、関連DGGEプロファイルの目視検査は、試料中に存在するほんの少数のみのバンドを明らかにし、結果として、クラスタツリー解析はこの試料をすべての他の試料から離れて配置した(図29)。Cgx333 ドナー5 2i−48hについての相関係数は、すべての他の試料と比較した場合、12.1%〜25.5%の低いSI%値をもたらした。この例外的な結果は、この試料が、おそらく試料回収中のエラーまたはDNA抽出中の技術的エラーによって、すべての他のものとは非常に異なっていたことを示した。このようなものとして、これは発酵の再現性を決定するすべての計算から除外した(表3.3)。
すべての小規模バッチ発酵についてのNMDS図を、DGGEプロファイル類似性マトリックスを使用して作成し、0時間および48時間時点からの試料は、例えばCg102ae1−ref(図14b)および他の5つのデンプン基質(図30)で見られるように、容易に互いに区別された。試料のDGGEプロファイルにおけるばらつきは、試料レプリケート間よりも時点間で大きかった。さらに、ドナー9からの糞便マイクロバイオータを使用する発酵で観察された結果と同様に、デンプン基質発酵と接種源対照との間でDGGEプロファイルにおける大きなばらつきが観察された。
図30は、接種後0および48時間でサンプリングされたドナー9からの糞便マイクロバイオータが播種されたケモスタット物質が接種された小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図a)Cg102クラスカルのストレス(1)=0.056、b)Cg102wxクラスカルのストレス(1)=0.060、c)Cg102ae1−Elmoreクラスカルのストレス(1)=0.078、d)Cgx333クラスカルのストレス(1)=0.089、e)Cgx333Su2クラスカルのストレス(1)=0.084を示す。
図14 a)ドナー9(V9−1)クラスカルのストレス(1)=0.073、b)ドナー5(V5−1)クラスカルのストレス(1)=0.121、c)ドナー2(V2−1)クラスカルのストレス(1)=0.083からのケモスタット物質での接種後0および48時間でサンプリングされたCg102ae1−refの小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図。
小規模バッチ発酵のケモスタット接種源の再現性
発酵に使用される3つのケモスタットの各々のサンプリング期間は、26〜36日目(V2−1)、27〜36日目(V5−1)、および31〜37日目(V9−1)とした(図12)。インビトロ小規模バッチ発酵の接種源としてのケモスタット培養の再現性を評価するために、各デンプン基質および糞便ドナーのすべてのレプリケートの0時間および48時間時点を、DGGEおよびその後の解析により比較した。
ドナー9糞便マイクロバイオータでの小規模バッチ発酵
ドナー9からの糞便マイクロバイオータでインキュベートされたCg102ae1−refのすべてのバイオロジカルおよびテクニカルレプリケートについてのプロファイルは、平均で、接種直後に91.3±4.1%類似、および48時間後に90.6±5.5%類似であった。これらの値の両方はゲル特異的カットオフ閾値を上回り、レプリケート試料が同一であったことを示した(表3.3)。接種源対照のバイオロジカルレプリケート間では、0時間94.7%および48時間88.2%類似という、同程度の類似性が観察された(表3.3)。Cg102ae1−ref発酵および接種源対照プロファイルの比較は、接種直後(0時間)に、ゲル特異的カットオフ閾値を上回り、平均で95.5±2.4%類似であった(表3.3)。48時間後、ドナー9についての接種源対照は、平均で、Cg102ae1−refを含有する発酵で53.6±18.7%類似であり、これはゲル特異的カットオフ閾値をはるかに下回り、Cg102ae1−refでの発酵がコミュニティダイナミクスに対して異なる効果を有したことを示した(表3.3)。DGGEクラスタツリー解析は、0時間ですべての試料(デンプン基質発酵および接種源対照)一緒のグループ化を示し、試料が発酵前に高度に類似していたことを示した。48時間試料は別々にグループ化し、Cg102ae1−refを含有する試料は接種源対照から離れてクラスタ化し、コミュニティダイナミクスに対する固有の変化がCg102ae1−refに応じて起こったことをさらに支持した(図13a)。
DGGEクラスタツリー解析および相関係数は、ドナー9からの糞便マイクロバイオータが接種されたケモスタット物質を使用する残った5つのデンプン基質での発酵について同様の傾向を明らかにした。治療レプリケートを比較する平均相関係数は、ゲル特異的カットオフ閾値の5%以内またはこれを上回るものであり、0時間で87.5±7.9%〜95.4±2.2%類似および48時間で80.6±15.7%〜94.6±3.1%類似の範囲内であり、レプリケートのコミュニティダイナミクスがすべてのデンプン基質発酵の開始時および完了時で個別に非常に類似していたことを示した(表3.3)。Cg102ae1−refと同様に、すべての他のデンプン基質発酵は、発酵の開始時(0時間)にそれらの各接種源対照との高い類似性を示し、平均相関係数値は91.8±4.0%〜97.0±2.7%類似の範囲内であった(表3.3)。残った5つのデンプンについて、デンプン基質発酵と接種源対照との間のコミュニティダイナミクスに対する変化が観察され、平均相関係数値は、すべてゲル特異的カットオフ閾値を下回り、48時間後に53.4±3.9%〜70.3±4.1%類似の範囲内であった(表3.3)。DGGEクラスタツリー解析は、Cg102ae1−refで見られたものと同等の傾向を示し、0時間試料は共にグループ化し、48時間デンプン基質発酵および対照試料は互いおよび0時間時点とは別々にクラスタ化した(図27)。
図27は、接種後0および48時間でサンプリングされたドナー9(V9−1)からのケモスタット物質が接種されたデンプン基質のレプリケート小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。a)Cg102を含有する発酵、b)Cg102wxを含有する発酵、c)Cg102ae1−Elmoreを含有する発酵、d)Cgx333を含有する発酵、e)Cgx333Su2を含有する発酵。黄色で網掛けされた試料は、0時間試料のクラスタを表し、青色で網掛けされた試料は、発酵の48時間後にデンプン基質を含有する試料を表す。
類似性マトリックスを使用し、すべて小規模バッチ発酵について非計量多次元尺度構成法(NMDS)図を作成した。0時間および48時間でのCg102ae1−refの発酵からのDGGEプロファイルは、容易に互いに区別された(図14a)。DGGEプロファイルにおけるばらつきは、試料レプリケート間よりも時点間で大きかった。さらに、デンプン基質発酵と対照との間でDGGEプロファイルにおける大きなばらつきが観察された。残った5つのデンプン基質のDGGEプロファイルを比較するNMDS図について、同様の傾向が観察された(図28)。
図28は、接種後0および48時間でサンプリングされたドナー9からの糞便マイクロバイオータが播種されたケモスタット物質が接種された小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図a)Cg102クラスカルのストレス(1)=0.041、b)Cg102wxクラスカルのストレス(1)=0.065、c)Cg102ae1−Elmoreクラスカルのストレス(1)=0.041、d)Cgx333クラスカルのストレス(1)=0.084、e)Cgx333Su2クラスカルのストレス(1)=0.064を示す。
ドナー5糞便マイクロバイオータでの小規模バッチ発酵
ドナー5からのケモスタット糞便接種源を使用する0時間および48時間でのすべての発酵についてのDGGEプロファイルを解析し、レプリケート発酵間の反復性を確認した。Cg102ae1−refおよびドナー5からの糞便接種源を含有するデンプン基質発酵は、接種後0および48時間でゲル特異的カットオフ閾値の5%以内またはこれを上回る相関係数を有した。平均で、0時間試料は83.5±9.1%類似であり、48時間試料は86.2±7.5%類似であった(表3.3)。0時間および48時間での接種源対照レプリケートは、それぞれ85.4%および92.2%類似であり、共にゲル特異的カットオフ閾値を上回った(表3.3)。接種(0時間)後、デンプン基質および接種源対照発酵プロファイルは、平均でゲル特異的カットオフ閾値を上回る高度の類似性(87.3±11.2%)を共有した。48時間後、平均プロファイル類似性はゲル特異的カットオフ閾値を下回った(63.6±5.9%類似)(表3.3)。これは、すべての発酵に、デンプン基質に応じて再現可能に調節された、同一の糞便コミュニティが接種されたことを示した。
0時間および48時間での他の5つのデンプン基質での発酵についての平均相関係数は、それぞれ85.8±9.0%〜92.4±3.2%類似および83.3±8.8%〜94.0±2.1%類似の範囲内であり、これらの値はすべてゲル特異的カットオフ閾値の5%以内またはこれを上回るものであった(表3.3)。これは、小規模バッチ発酵がレプリケート間で一貫して再現可能であったことを示した。Cg102ae1−refで観察された結果と同等に、5つの残ったデンプン基質を含有する試料は、発酵の開始時(0時間)に接種源対照との高い類似性を共有し、完了時(48時間)には、対照と比較してコミュニティプロファイル間にかなりの相違があった。0時間および48時間でのデンプン基質発酵と各対照との間の平均相関係数は、それぞれ88.9±2.5%〜94.2±4.7%類似および50.1±2.6%〜65.0±3.6%類似の範囲内であり、0時間試料はゲル特異的カットオフ閾値の5%以内またはこれを上回るものであり、48時間試料は一貫してゲル特異的カットオフ閾値を下回り、接種源対照およびデンプン基質発酵プロファイルが発酵の48時間後には類似でなくなったことを示した(表3.3)。
DGGEクラスタツリー解析を使用して、Cg102ae1−refの発酵からのすべての試料(デンプン基質発酵および接種源対照)が0時間で共にグループ化したことが観察された。発酵の48時間後に採取された試料は、0時間のものとは別々にグループ化し、デンプン基質発酵は共に、接種源対照から離れてクラスタ化し(図13b)、試料プロファイルが発酵の開始時に高度に類似し、Cg102ae1−refの発酵に応じて変化したことを示した。残った5つのデンプン基質での発酵の樹形図において同様の傾向が見られ、発酵試料は発酵の48時間後に一貫して共に、すべての他の試料から離れてクラスタ化した(図29)。
Cgx333を含有する発酵の解析は、1つの48時間試料が外れ値(2i−48h)とみなされたことを明らかにし、関連DGGEプロファイルの目視検査は、試料中に存在するほんの少数のみのバンドを明らかにし、結果として、クラスタツリー解析はこの試料をすべての他の試料から離れて配置した(図29)。Cgx333 ドナー5 2i−48hについての相関係数は、すべての他の試料と比較した場合、12.1%〜25.5%の低いSI%値をもたらした。この例外的な結果は、この試料が、おそらく試料回収中のエラーまたはDNA抽出中の技術的エラーによって、すべての他のものとは非常に異なっていたことを示した。このようなものとして、これは発酵の再現性を決定するすべての計算から除外した(表3.3)。
図29A〜Eは、接種後0および48時間でサンプリングされたドナー5(V5−1)からのケモスタット物質が接種されたデンプン基質のレプリケート小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図を示す。a)Cg102を含有する発酵、b)Cg102wxを含有する発酵、c)Cg102ae1−Elmoreを含有する発酵、d)Cgx333を含有する発酵、e)Cgx333Su2を含有する発酵。黄色で網掛けされた試料は、0時間試料のクラスタを表し、青色で網掛けされた試料は、発酵の48時間後にデンプン基質を含有する試料を表す。
すべての小規模バッチ発酵についてのNMDS図を、DGGEプロファイル類似性マトリックスを使用して作成し、0時間および48時間時点からの試料は、例えばCg102ae1−ref(図14b)および他の5つのデンプン基質(図30)で見られるように、容易に互いに区別された。試料のDGGEプロファイルにおけるばらつきは、試料レプリケート間よりも時点間で大きかった。さらに、ドナー9からの糞便マイクロバイオータを使用する発酵で観察された結果と同様に、デンプン基質発酵と接種源対照との間でDGGEプロファイルにおける大きなばらつきが観察された。
ドナー2糞便マイクロバイオータでの小規模バッチ発酵
ドナー2からの糞便マイクロバイオータが接種されたケモスタット物質を使用する0時間および48時間での発酵プロファイルの解析は、発酵が、バイオロジカルレプリケート間で、ドナー5および9からの糞便マイクロバイオータが接種された同等試料よりもかなり低い類似性を有したことを示した。0時間でCg102ae1−refを含有する発酵のDGGEプロファイルは、テクニカルレプリケートのみを比較した場合、ゲル特異的カットオフ閾値を上回る平均相関係数(95.9%類似)を有した。Cg102ae1−refでのすべての発酵レプリケート間の平均プロファイル類似性は、48.9±36.5%類似であり、バイオロジカルレプリケートが発酵の開始時にかなり異なっていたことを示した(表3.3)。0時間でのバイオロジカルレプリケートの接種源対照プロファイルを比較して同じ結果が観察され、相関係数は、ゲル特異的カットオフ閾値を下回る、25.1%のみの類似性を示した(表3.3)。これらの低い類似性指数は、接種源が発酵の経過中に変化したことを示した。よって糞便接種源における相違は、発酵中のデンプン基質の効果を見劣りさせ得る。
Cg102ae1−refでの発酵の48時間後、テクニカルレプリケートは平均で97.6±2.5%類似であり、これはゲル特異的カットオフ閾値を上回っていた。バイオロジカルレプリケート間の類似性は、発酵の48時間後に、ゲル特異的カットオフ閾値の5%以内の84.6±0.5%まで増加したが、48時間での接種源対照プロファイルの比較は、26.5%類似で、ゲル特異的カットオフ閾値を下回ったままであった。すべてのレプリケート発酵間の平均相関係数は、48時間にわたって、ゲル特異的カットオフ閾値の5%以内の88.9±6.8%まで増加した(表3.3)。これは、Cg102ae1−refの発酵が微生物組成に対する同様の変化を引き起こし、48時間の発酵にわたって試料類似性を増加させたことを示す。ドナー5および9からの糞便接種源での発酵とは異なり、接種直後(0時間)に、デンプン基質および接種源対照発酵プロファイル間で低度の類似性が観察された。平均でプロファイルは61.1±38.1%類似であり、これはゲル特異的カットオフ閾値を下回っていた。48時間後、平均類似性は63.4±36.0%で、カットオフを下回ったままであった(表3.3)。
これらの結果は、DGGEクラスタツリー解析によりさらに支持され、Cg102ae1−refでの発酵は、以前に観察されたものとは異なってクラスタ化した(図13c)。例えば、2つのバイオロジカルレプリケートの各々からの3つの0時間試料(2つのデンプン基質発酵、1つの接種源対照)は共に、他のバイオロジカルレプリケートとは別々にクラスタ化した。ドナー5および9糞便マイクロバイオータを使用する発酵で観察されたクラスタ化とは異なり、48時間デンプン基質発酵試料は共に、テクニカルレプリケートにより、2セットのペアにグループ化した。これは、接種源における相違が、コミュニティプロファイルを比較する場合、デンプン基質発酵の効果より明らかであることを示す。
残った5つのデンプン基質での発酵の解析について、同様の結果が観察された。すべての発酵は、0時間試料プロファイルを比較する場合、低い類似性を有し、平均相関係数は66.1±21.1%〜81.4±10.2%類似の範囲内であり、これらはすべてゲル特異的カットオフ閾値を下回っていた(表3.3)。相関係数は、発酵の48時間後、Cg102ae1−Elmoreを除くすべてのデンプン基質発酵について増加した。その値は、74.7±16.5%まで減少したCg102ae1−Elmoreを除き、78.6±11.6%〜90.0±4.7%の範囲内であった(表3.3)。これは、ほとんどのプロファイルでデンプン基質に応じて類似性が増加し、Cg102ae1−refの発酵についての観察を反映したことを示した。各デンプン基質についてのバイオロジカルレプリケート間の接種源対照の比較は、Cg102ae1−refで観察されたものと同様の結果を示した。0時間および48時間相関係数は、ゲル特異的カットオフ閾値を下回るもの、またはその5%以内であり、それぞれ37.3%〜81.2%類似および48.0%〜83.2%類似の範囲内であった(表3.3)。これは重ねて、Cg102ae1−refで見られたものと同様の、バイオロジカルレプリケート間の接種源における変化を示した。ドナー2糞便マイクロバイオータが接種された発酵の樹形図内で観察されたクラスタ化は、他のドナーの糞便マイクロバイオータを使用する発酵よりも一貫性がなかった。すべての場合において、0時間試料は、元のバイオロジカルレプリケートを表す2つのクラスタを形成した。一方、48時間試料は、バイオロジカルレプリケートに応じて2つのグループに分離され、第1のバイオロジカルレプリケートからの0時間試料のより近くにクラスタ化した(図31A〜E)。
一般に、これらの結果は、ケモスタットラン(V2−1)のコミュニティダイナミクスが容器のサンプリング期間中に変化し、発酵のバイオロジカルレプリケートに接種するのに使用される異なるコミュニティをもたらしたことを示す。移動窓相関解析は、V2−1についてのΔtが28〜32日目の間に増加してゲル特異的カットオフ閾値を上回り(図12c)、容器のコミュニティダイナミクスにおける急速な変化率を示すサンプリング期間の最中であったことを示した。ケモスタットのコミュニティ構造におけるこの急速かつ顕著な変化は、レプリケート間で観察される組成の相違に対応する。
ドナー2からの糞便接種源での発酵のDGGEプロファイル類似性マトリックスを使用して作成されたNMDS図は、ドナー9および5からの糞便接種源を使用して観察されたものとは非常に異なっていた。例えばCg102ae1−refでの発酵の0時間および48時間時点からの試料は、バイオロジカルレプリケートと同様に、容易に互いに区別可能であった(図14c)。このDGGEプロファイルにおけるばらつきの増加は、他の5つのデンプン基質についても見られた(図32)。これらの結果は一貫して、コミュニティに対するデンプン基質の効果とは対照的に、2つのバイオロジカルレプリケートに使用される接種源間のコミュニティプロファイルにおけるより大きなばらつきを示した。
図32は、接種後0および48時間でサンプリングされたドナー9からの糞便マイクロバイオータが播種されたケモスタット物質が接種された小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスのNMDS図a)Cg102クラスカルのストレス(1)=0.086、b)Cg102wxクラスカルのストレス(1)=0.110、c)Cg102ae1−Elmoreクラスカルのストレス(1)=0.072、d)Cgx333クラスカルのストレス(1)=0.068、e)Cgx333Su2クラスカルのストレス(1)=0.114を示す。
デンプン基質に応じた糞便マイクロバイオータの調節
6つのメイズ基質が糞便コミュニティのダイナミクスの調節に対して有する効果を、3つの異なるケモスタットラン、1)ドナー2糞便が接種された単一容器、(V2−1)、2)ドナー5糞便が接種された単一容器、(V5−1)、および3)ドナー9糞便が接種された単一容器、(V9−1)の使用で評価した。容器のサンプリングは、26〜36日目(V2−1)、27〜36日目(V5−1)、および31〜37日目(V9−1)から行った。各デンプン基質での発酵のコミュニティダイナミクスは、バイオロジカルおよびテクニカルレプリケート間で高度に再現可能であることが示された。よって、すべてのデンプン基質での発酵のコミュニティプロファイルを別々に、各ドナーについてのDGGEにより、0時間および48時間で互いに比較した。
ドナー9からの糞便マイクロバイオータの調節
接種源対照と比較したすべてのデンプン基質発酵のプロファイルは、発酵の開始時(0時間)に、74.8%の相関係数を有したCg102を例外として、ゲル特異的カットオフ閾値の5%以内であった(表3.4)。平均で6つのデンプン基質発酵は互いに86.9±6.2%類似であり、すべての発酵からの微生物コミュニティが開始時に非常に類似していたことを示した。ドナー対照および6つのデンプン基質発酵間の平均相関係数は、48時間後にゲル特異的カットオフ閾値をはるかに下回り、49.1%〜66.0%類似の範囲内であり、すべてのデンプン基質に応じてコミュニティダイナミクスに対するかなりの変化が起こったことを示した(表3.4)。デンプン基質発酵の各々についてのDGGEプロファイル比較は、48時間後にゲル特異的カットオフ閾値を上回る相関係数(89.1%〜95.4%の範囲内の類似性)をもたらし、レプリケート間で同一のコミュニティ変化が起こったことを示した(表3.5)。これらの観察は、第3.4.1部において以前報告された結果を支持し、ケモスタット物質が接種された発酵の再現性を確認した。
は、同一のコミュニティプロファイルを有する試料を表すゲル特異的カットオフ閾値を上回る相関係数を示し、
bは、類似のコミュニティプロファイルを有する試料を表すゲル特異的カットオフ閾値の5%以内の相関係数を示す。
表3.4 接種後0および48時間で接種源対照に対してドナー9糞便マイクロバイオータ(V9−1)が播種されたケモスタット物質が接種された予備消化デンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較する平均相関係数(SI%)
同一のコミュニティプロファイルを有する試料を表すゲル特異的カットオフ閾値を上回る相関係数を示し、
bは、類似のコミュニティプロファイルを有する試料を表すゲル特異的カットオフ閾値の5%以内の相関係数を示す。
表3.5 接種後48時間でドナー9糞便マイクロバイオータ(V9−1)が播種されたケモスタット物質が接種された予備消化デンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較する平均相関係数(SI%)。
DGGEクラスタツリー解析は、すべての発酵および接種源対照が接種直後(0時間)に共にクラスタ化したことを示した。発酵の48時間後、接種源対照はすべての他の試料とは別々にクラスタ化し、デンプン基質発酵はデンプン基質に応じてペアでクラスタ化した(図15)。Cg102ae1−refおよびCg102ae1−Elmoreは、48時間後、共により近くに、残った4つのデンプン基質から離れてクラスタ化した(図15)。Cg102ae1−refおよびCg102ae1−Elmore試料間の平均相関係数は、ゲル特異的カットオフ閾値を上回る94.4%であり、よって2つの異なるデンプン基質は、コミュニティダイナミクスに対して同様の効果を有した(表3.5)。Cg102、Cg102wx、Cgx333、およびCgx333Su2は、Cg102ae1−refおよびCg102ae1−Elmoreの両方と比較した場合、すべてゲル特異的カットオフ閾値を下回った相関係数を有し、コミュニティの非類似性を示した(表3.5)。Cg102およびCg102wxは、Cgx333と同様に、共にクラスタ化し、Cgx333Su2は、ゲル特異的カットオフ閾値を上回る相関係数、それぞれ88.17%および92.47%を有した(図15)。これらの4つのデンプンは共に、ゲル特異的カットオフ閾値の5%以内またはこれを上回る、82.7%〜92.5%類似の範囲内の相関係数でより大きなクラスタを形成し、4つのデンプン基質の発酵が同様のプロファイルを有するコミュニティをもたらしたことを示した。
図15 接種後0および48時間でサンプリングされたドナー9糞便(V9−1)が播種されたケモスタット物質が接種された6つのデンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図。黄色で網掛けされた試料は、0時間試料を表し、青色で網掛けされた試料は、発酵の48時間後にデンプン基質を含有する試料を表す。
NMDS図では、6つのデンプン基質の発酵からのDGGEプロファイルが、48時間後、容易に互いに区別可能であったことが観察された(図16)。試料は、樹形図において観察されたものと同様に、NMDS図上でクラスタ化した。プロファイルにおけるばらつきは、発酵レプリケート間よりもデンプン基質間で大きかったが、最も大きなばらつきは、サンプリング時点間で観察された。樹形図において観察されたものと同様に、4つのクラスタがNMDS図において観察され、1つはすべての0時間試料を含有し、残った3つのクラスタは48時間デンプン基質発酵試料を含有した。クラスタは、1)Cg102ae1−refおよびCg102ae1−Elmore、2)Cg102およびCg102wx、ならびに3)Cgx333およびCgx333Su2を含有した。
図16 ドナー9糞便(V9−1)クラスカルのストレス(1)=0.105が播種されたケモスタット物質の接種後0および48時間でサンプリングされたデンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスからのNMDS図。
ドナー5からの糞便マイクロバイオータの調節
デンプン基質発酵プロファイルおよび接種源対照プロファイルを、0時間および48時間で比較し、各種デンプン基質に応じて固有の変化が起こったかを決定した。すべての発酵からの接種直後(0時間)に採取された試料からのDGGEプロファイルを比較し、6つの試験デンプンのプロファイルは、0時間で互いに平均で95.4±2.2%類似であり、これはゲル特異的カットオフ閾値を上回っていた。これは、すべてのデンプン基質発酵に同一の微生物コミュニティが接種されていたことを示した。
発酵の48時間後、接種源対照と比較した場合、6つのデンプン基質発酵のプロファイルは、ゲル特異的カットオフ閾値をはるかに下回る、36.5%〜61.8%類似の範囲内の平均相関係数を有した(表3.6)。したがって、すべてのデンプン基質発酵は、対照と比較して、微生物コミュニティにおける顕著な変化を引き起こした。各デンプン基質についての2つのバイオロジカルレプリケートを発酵の48時間後に比較し、相関係数は、86.2%〜96.7%の範囲内のCgx333を除くすべてのデンプン基質について、ゲル特異的カットオフ閾値を上回っていた(表3.7)。Cgx333のバイオロジカルレプリケート間の相関係数は、ゲル特異的カットオフ閾値を下回る、18.6%類似であった。これは、DGGEゲル上でほとんどバンドを示さなかった、Cgx333 2i−48hに起因していた(図17)。このようなものとして、この試料は、第3.4.2部において前述のとおり、技術的エラーにより引き起こされた可能性がある外れ値として処理し、他の発酵間の比較から除外した。
接種後0および48時間で接種源対照に対してドナー5ケモスタット物質(V5−1)が接種された予備消化デンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較する平均相関係数(SI%)
表3.7は、接種後48時間でドナー5ケモスタット物質(V5−1)が接種された予備消化デンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較する平均相関係数(SI%)を示す。
DGGEクラスタツリー解析は、すべてのデンプン基質発酵が共に、サンプリング時間(0時間または48時間)に基づき2つのグループにクラスタ化したことを示した。接種源対照試料(0時間および48時間)は共に、かつデンプン基質の48時間クラスタよりも0時間クラスタの近くにクラスタ化した。48時間試料を含有するクラスタは2つのサブグループに分けられ、一方はCg102、Cg102wx、Cg102ae1−ref、およびCg102ae1−Elmoreからなり、他方はCgx333およびCgx333Su2を含有した(図17)。
図17 接種後0および48時間でサンプリングされたドナー5糞便(V5−1)が播種されたケモスタット物質が接種された6つのデンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図。黄色で網掛けされた試料は、0時間試料を表し、青色で網掛けされた試料は、発酵の48時間後にデンプン基質を含有する試料を表す。
48時間後のデンプン基質発酵間のプロファイル類似性を比較する平均相関係数を表3.7に示す。Cg102、Cg102wx、Cg102ae1−ref、およびCg102ae1−Elmoreを含有するクラスタからのプロファイルの比較は、85.6%〜96.1%類似の範囲内の平均相関係数を有し、Cgx333とCgx333Su2との間の平均相関係数は92.0%類似であり、これらはすべてゲル特異的カットオフ閾値を上回っていた(表3.7)。対照的に、Cgx333/Cgx333Su2および4つの他のデンプン基質での発酵間のプロファイル比較は、71.8%〜89.2%類似の範囲内の相関係数をもたらした(表3.7)。表3.7からの相関係数は、Cgx333およびCgx333Su2のプロファイルが、ゲル特異的カットオフ閾値を下回る相関係数を有するCg102およびCg102wxよりも、ゲル特異的カットオフ閾値を上回る相関係数を有するCg102ae1−refおよびCg102ae1−Elmoreと類似していたことを示す。
NMDS図では、6つのデンプン基質の発酵からのDGGEプロファイルが、48時間後、容易に互いに区別可能であったことが観察された(図18)。試料は、樹形図において観察されたものと同様に、NMDS図上でクラスタ化した。プロファイルにおけるばらつきは、発酵レプリケート間よりもデンプン基質間で大きかったが、最も大きなばらつきは、サンプリング時点間で観察された。
図18 ドナー5糞便(V5−1)クラスカルのストレス(1)=0.038が播種されたケモスタット物質の接種後0および48時間でサンプリングされたデンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスからのNMDS図。
ドナー2からの糞便マイクロバイオータの調節
0時間でのデンプン基質発酵と接種源対照との間のDGGEプロファイル比較は、ゲル特異的カットオフ閾値を下回る、26.9%〜61.0%類似の範囲内の相関係数をもたらし、試料が発酵の開始時に接種源対照との類似性をほとんど共有しなかったことを示した。48時間後、デンプン基質発酵と接種源対照との間の類似性はさらに減少し、相関係数は21.0%〜32.8%類似の範囲内であった(表3.8)。デンプン基質発酵プロファイルを互いに比較する相関係数は、平均でデンプン基質発酵が接種直後(0時間)に互いに、ゲル特異的カットオフ閾値を下回る、62.9±20.0%類似であったことを示した。各デンプン基質についてのバイオロジカルレプリケートのDGGEプロファイルを48時間後に比較した場合、相関係数は、62.4%〜78.9%類似の範囲内であり、ほとんどのデンプン基質についてゲル特異的カットオフ閾値を下回っていた。例外はCgx333Su2であり、これは98.7%の相関係数を有した(表3.9)。したがって、前述の結果(第3.4.3部)と同様に、すべてのデンプン基質発酵は発酵の開始時に、各デンプン基質のバイオロジカルレプリケートは発酵の完了時に非類似であった。
DGGEクラスタツリー解析は、ドナー5および9からの糞便接種源を使用する以前の発酵で見られたものとは異なり、ドナー2の0時間および48時間試料を分離する明確なクラスタを示さなかった。代わりに、すべての試料が、試料時点、デンプンタイプ、または元のバイオロジカルレプリケート間の関連なく、ランダムにクラスタ化したように見えた(図19)。異なるデンプン基質発酵を互いに比較する相関係数値を解析して、同様の傾向が観察された。2つのデンプン基質間の比較は、48時間後にゲル特異的カットオフ閾値を上回る相関係数を有さず、2つのデンプン基質発酵は互い類似していなかったことを示した(表3.9)。
ピアソン相関係数値を使用して生成されたNMDS図から、樹形図で見られたものと同様の結果を得た。NMDS図は、低いストレス(クラスカルのストレス(1)=0.113)を有するデータの信頼性のあるモデルであったが、データが図全体にランダムに散乱しているように見えたので、結論を導くことはできなかった(図20)。
図20 ドナー2糞便(V2−1)クラスカルのストレス(1)=0.133が播種されたケモスタット物質の接種後0および48時間でサンプリングされたデンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関から生成された類似性マトリックスからのNMDS図。
表3.8 接種後0および48時間で接種源対照に対してドナー2ケモスタット物質(V2−1)が接種された予備消化デンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較する平均相関係数(SI%)
PhAST Blue−生/死細胞DNA標識
小規模バッチ発酵中に存在する微生物コミュニティの解析は、死細胞に由来するDNAの存在によって歪んでいる場合がある。このようなものとして、我々は、PhAST BLUEシステムでの処理後のドナー9糞便接種源での発酵のコミュニティプロファイルを解析することにした。PhAST BLUEは、エチジウムモノアジド(EMA)を組み込んだDNAを増幅することができないことを利用する市販のキットである。微生物コミュニティ源からの試料は死または瀕死細胞を含有し得、そのDNAは結果を歪ませ得る。gDNA抽出およびその後の増幅前の、試料のEMAでの処理、およびその後の強い青色光での固定は、微生物コミュニティプロファイリング実験からの歪みを低減する。残念なことに、pHAST BLUEシステムは、プロジェクトの終盤にさしかかって初めて利用可能となり、よってドナー9糞便接種源での発酵の第2のバイオロジカルレプリケートのみをこの技術で解析した。システムの制約は、EMA処理/光固定ステップを、凍結または他の保存方法により損傷されてない、入手したばかりの試料で実施しなければならないことである。
0時間および48時間の試料からのDGGEプロファイルを、6つのデンプン基質発酵の各々について、EMA処理ありおよびなしで比較した。0時間のCg102ae1−ref発酵および接種源対照のプロファイル比較からの相関係数は、平均で97.4%類似であり、EMAで処理された同じ試料は、平均で96.3%類似であったプロファイルを有した(表3.10)。0時間のEMA処理および未処理試料は、26.5%の平均類似性を有した(表3.11)。発酵の48時間後、Cg102ae1−refを含有するEMA処理試料のプロファイルは96.7%類似であり、EMAで処理された接種源対照と平均で29.3%類似であった(表3.10)。EMA処理なしのCg102ae1−ref発酵間のプロファイルは、接種後48時間で97.5%類似であり、48時間後の接種源対照と平均で52.3%類似であった(表3.10)。ペアとした48時間Cg102ae1−ref発酵試料(EMA処理対未処理)からのDGGEプロファイルの比較は、平均で23.5%類似であった(表3.11)。これらの結果は、0時間および48時間のレプリケートがゲル特異的カットオフ閾値を上回り、したがってEMA処理ありおよびなしで同一であったので、PhAST BLUEシステムが死細胞からのDNAを再現可能に不活性化したことを示す。さらに、0時間および48時間時点の両方で、試料がEMAで処理された後、コミュニティプロファイル間には実質的な相違があったことが観察され、これは、死細胞に由来するDNAによるプロファイルへの顕著な寄与を示した。DGGEクラスタツリー解析は、共に独立してすべての他の試料とは別々にクラスタ化した48時間接種源対照(EMA処理ありおよびなし)を例外として、試料時点およびEMA処理に基づく4つの異なるクラスタをもたらした(図21)。
表3.10 ドナー9ケモスタット物質(V9−1)が接種された予備消化デンプン基質のレプリケート小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティの再現性を比較する平均相関係数(SI%)。試料は接種後0および48時間で採取し、値はEMA処理あり(網掛け)またはなしのいずれかで表す。
表3:11 EMA処理ありまたはなしの試料間の(SI%)値として表される接種後0および48時間で採取された微生物コミュニティ間の類似性を比較する、ドナー9ケモスタット物質(V9−1)が接種された予備消化デンプン基質の小規模バッチ発酵からの平均相関係数(SI%)。
EMA処理が死細胞からのDNAを一貫して無効化したという、Cg102ae1−refで見られたものと同等の傾向が、残った5つのデンプン基質で見られた。これは、未処理試料で観察されたように、0時間および48時間の両方で高レベルの類似性を維持するレプリケート試料のDGGEプロファイルをもたらした(表3.10)。EMA処理ありおよびなしの0時間および48時間でのDGGEプロファイルを比較する平均相関係数を(表3.11)に示す。5つのデンプンのDGGEクラスタツリー解析は、Cg102ae1−refで観察されたものと同様のクラスタ化パターンをもたらした(図33)。
図33A〜E EMA処理前および後の微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図。ケモスタット物質ドナー9(V9−1)が接種されたデンプン基質のレプリケート小規模バッチ発酵から接種後0および48時間でサンプリングした。a)Cg102を含有する発酵、b)Cg102wxを含有する発酵、c)Cg102ae1−Elmoreを含有する発酵、d)Cgx333を含有する発酵、e)Cgx333Su2を含有する発酵。
図19 接種後0および48時間でサンプリングされたドナー2糞便(V2−1)が播種されたケモスタット物質が接種された6つのデンプン基質の小規模バッチ発酵からの微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図。黄色で網掛けされた試料は、0時間試料を表し、青色で網掛けされた試料は、発酵の48時間後にデンプン基質を含有する試料を表す。
GC−MSデータ解析
GC/MSクロマトグラムの目視検査は、0時間および48時間デンプン基質発酵試料間の相違を示した(図34)。3人のドナーの各々からの糞便マイクロバイオータが接種された発酵のGC/MSデータを個別に使用してPCAモデルを構築し、データにおける傾向を可視化し、外れ値を特定した。PCAモデルは、主に第1の主成分(PC)t[1]に沿って、0時間試料を48時間デンプン基質発酵試料から一貫して分離した(図22a〜c)。さらに、48時間接種源対照試料は、すべての3つのPCAモデルにおいて別々にクラスタ化した。単一の外れ値、Cgx333(2i−48h)を、ドナー5からの糞便接種源での発酵についてのデータセット内で特定し、これは48時間試料に反して0時間試料と共にクラスタ化したので、その後のすべての解析から省略した。OPLS−DAモデルを構築し、0および48時間試料クラス間で異なる潜在的な変数を特定し、デンプン基質の発酵により影響を受けた変数のより良好な特定のために対照試料を除去した(図32d〜f)。PCAは、点がデータセット内での分散によってのみ分離される教師なし技術であり、あるいはOPLS−DAは、Yマトリックス中の、クラス同一性、この場合ではサンプリング時間を利用し、これをGC/MS解析から得られるデータと相関させる教師あり技術である。2つの定義されたクラス間を判別するデータは、強制的に第1のPCに入り、クラス分離に寄与していないデータは、連続直交成分に入る。3人のドナーのデータセットから構築されたOPLS−DAモデルは、0時間発酵試料のすべてを第1のPCに沿って48時間試料から分離した。
図34は、0時間および48時間時点のドナー9からの糞便マイクロバイオータが接種されたケモスタット物質でのCg102ae1−refの発酵からのトータルイオンクロマトグラムを示す。赤色のクロマトグラムは0時間時点を表し、緑色のクロマトグラムは48時間時点を表す。
グループ分離の原因である変数の特定のためにVIP図を使用した。2つのクラスの分離に対して最も大きな影響を有するものとしてVIP統計(VIP>1)を使用して変数を特定し、特定された変数の0および48時間時点間の統計的に有意な相違を、正規化ピーク面積に対するマン−ホイットニー−ウィルコクソン検定を使用して確認した。代謝物仮同定に沿った各変数についての結果および倍率変化を、ドナー9、5、および2からの糞便マイクロバイオータでの発酵について、それぞれ表3.12、3.13、および3.14に示す。0および48時間試料間で異なるものとして同定された代謝物の大部分は、発酵期間にわたって減少を示した。この研究の目的は、宿主による吸収に利用可能であり得る糞便マイクロバイオータにより産生された代謝物を同定することであったので、関連する減少がある代謝物は、特にこの研究の対象ではなく、それ以上議論されていない。
ブタン酸における統計的に有意な増加が、すべてのドナーからの糞便接種源での発酵の48時間後に観察された。さらに48時間後、ドナー9からの糞便接種源での発酵は、ペンタン酸およびプロパン酸の両方における有意な増加をもたらした(表3.12、3.13、および3.14)。各ドナーの糞便接種源についての試料クラス(時点)の分離に対して顕著な影響を有するものとして同定された代謝物における相違は、個体のマイクロバイオータが宿主にとって代謝物の産生および利用可能性において重要な役割を果たすことを示す。
3人のドナーの糞便マイクロバイオータが6つのデンプン基質に対して固有の応答を有したかを評価するために、以前に解析されたデータセットのサブセットについてさらなる解析を完了した。48時間試料のみに関するGC−MSデータを、デンプン基質に基づき6つのクラスに分離し、PCAおよびOPLS−DAモデルの両方を使用して解析した。ドナー9に由来する糞便接種源での発酵についてのPCAモデルは、6つのデンプン基質を第1のPCに沿って分離する傾向を示した(図23)が、この傾向は他の2人のドナーについてのPCAモデルにおいては観察されず(データは示されていない)、それ以上の解析は実施されなかった。2つのデンプン基質を一度に比較するドナー9についての48時間発酵試料の解析のためにOPLS−DAモデルを生成した。デンプン基質のすべての可能なペアの組み合わせ間の相違を比較する場合に有意なモデルをOPLS−DAにより誘導することはできなかった。生成されたすべてのモデルは、CV−ANOVA p値>0.05で低いR2Y(累積)およびQ2(累積)値をもたらし(データは示されていない)、したがってモデルはデータに過剰適合しており、また高いCV−ANOVA p値によって有意ではなかった。これは、デンプン基質間で、各ドナーの糞便マイクロバイオータについての0時間および48時間時点間で観察されたものよりも不明確な相違を示した。このようなものとして、特定の代謝物をデンプン基質間で有意に異なるものとして同定することはできなかった。
図21 EMA処理前および後の微生物コミュニティを比較するDGGEプロファイルのピアソンおよびUPGMA相関に基づく樹形図。ケモスタット物質ドナー9(V9−1)が接種されたCg102ae1−refのレプリケート小規模バッチ発酵からの接種後0および48時間でサンプリングした。
図22ドナー9(パネルaおよびd)、ドナー5(パネルbおよびe)、ならびにドナー2(パネルcおよびf)からのケモスタット物質でのデンプン基質発酵から得られたGC/MSデータのPCAモデル(パネルa〜c)およびOPLS−DAモデル(d〜f)。変数を平均中心化およびパレート尺度化し、OPLS−DAモデルについて、0および48時間時点をY判別マトリックスとして使用した。モデル特性は、(a)RX(累積)0.902、Q(累積)0.825、および9つの有意なPC、(b)RX(累積)0.933、Q(累積)0.82、および7つの有意なPC、(c)R2X(累積)0.84、Q(累積)0.762、および3つの有意なPC、(d)有意な成分1+1、RX(累積)0.802、RY(累積)0.998、Q(累積)0.995、CV ANOVA 0、(e)有意な成分1+1、RX(累積)0.826、RY(累積)0.997、Q(累積)0.995、CV ANOVA 0、(f)有意な成分1+1、RX(累積)0.7、RY(累積)0.995、Q(累積)0.992、CV ANOVA 0である。図凡例:緑色の丸は0時間発酵試料であり、青色の四角は48時間発酵試料である。
表3.12は、マイナスの倍率変化が0時間と48時間との間での濃度の低下を表すことを示し、倍率変化値が報告されないことは、2つの時点のうちの1つで代謝物が検出されなかったことを示す。代謝物は推定によってのみ割り当てられ、同定はNIST質量スペクトルデータベースとの比較により実施された。値はn=24で±標準誤差であり、統計的に有意なレベルはマン−ホイットニー−ウィルコクソン検定により決定され、*はp値<0.05を示す。
表3.13は、マイナスの倍率変化が0時間と48時間との間での濃度の低下を表すことを示し、倍率変化値が報告されないことは、2つの時点のうちの1つで代謝物が検出されなかったことを示す。代謝物は推定によってのみ割り当てられ、同定はNIST質量スペクトルデータベースとの比較により実施された。値はn=24で±標準誤差であり、統計的に有意なレベルはマン−ホイットニー−ウィルコクソン検定により決定され、*はp値<0.05を示す。
表3.14は、マイナスの倍率変化が0時間と48時間との間での濃度の低下を表すことを示し、倍率変化値が報告されないことは、2つの時点のうちの1つで代謝物が検出されなかったことを示す。代謝物は推定によってのみ割り当てられ、同定はNIST質量スペクトルデータベースとの比較により実施された。値はn=24で±標準誤差であり、統計的に有意なレベルはマン−ホイットニー−ウィルコクソン検定により決定され、*はp値<0.05を示す。
ケモスタット供給試験
この実験では、ヒト供給試験の複雑な性質のために、ケモスタットの使用が代替として探究され、ケモスタット研究は、ヒト遠位結腸をモデル化する効果的な手段であることを以前証明している。デンプン富化培地を、ケモスタット供給試験における使用のために調製し、基本培地レシピ(2L)(表2.2)を、120gの予備消化ハイメイズ260(+RS)またはコーンスターチ(+CS)で富化し、容器に1日当たり追加の〜30gの予備消化デンプンを4日間提供した(詳細は第2.5部を参照されたい)。
この研究では2つの別々のケモスタットラン、1)ドナー9からの新鮮な糞便が播種され、4日間デンプン富化培地が供給された後、4日間基本培地に戻されたツイン容器(V9−R1およびV9−R2)と、2)ドナー5糞便が播種され、4日間デンプン富化培地が供給された後、4日間基本培地に戻されたツイン容器(V5−1およびV5−2)とを解析した。ドナー5からの糞便マイクロバイオータが接種されたケモスタットランからの1つの容器は、関連のない別の実験に使用されており、このためツイン容器の各々についての供給試験は異なる日数で開始された。追加の解析を行い、供給試験の開始間の7日間にV5−2に顕著な変化が起こらなかったことを確認した。図24は、供給試験実験のタイムラインおよびワークフローを概説する。
2つの別々のケモスタットランからのツイン容器をDGGEにより解析し、予備消化されたコーンスターチ(+CS)と比較して予備消化された難消化性デンプン(+RS)を含有するデンプン富化培地が、模擬遠位腸内コミュニティのコミュニティダイナミクスおよび安定性に影響を及ぼしたかを決定した。
V9−R1およびV9−R2についての移動窓相関解析は、両方の容器について22〜38日目の間でゲル特異的カットオフ閾値を下回る再現可能な変化率(Δt)値をもたらした(図25a)。V5−1は、36〜47日目の間でゲル特異的カットオフ閾値を下回ったままであった再現可能なΔt値を有し、V5−2は、34〜40日目の間でゲル特異的カットオフ閾値を下回ったままであったΔt値を有した(図3.16a)。これは、すべての4つの容器が供給試験の開始前に定常状態に到達したことを示す。
V9−R1およびV9−R2のDGGE相関係数は、ゲル特異的閾値の5%以内であった36および38日目を例外として、22〜38日目の間でそれらのゲル定義カットオフ閾値を上回ったままであり(図25a)、容器が高度の類似性を共有したことを示し、供給試験の開始前に定常状態が達成されたという結果を支持した。34、36、および38日目のV5−1およびV5−2を比較するDGGE相関係数は、ゲル特異的カットオフ閾値を下回る、50.6%〜55.7%類似の範囲内であった(表3.15)。RS+およびCS+供給試験の開始が7日離れていることを補うために、V5−2の40〜45日目をV5−1の38日目と比較し、ゲル特異的カットオフ閾値を下回る、52.3%〜55.6%類似の範囲内の相関係数をもたらした(表3.15)。よって、V5−2について40〜45日目のツイン容器の間で容器類似性における実質的な変化は起こらなかった。移動窓相関解析が、この期間中にV5−2についてゲル特異的カットオフ閾値を下回ったΔt値をもたらし、ひいては容器が定常状態に到達したことを示したので、これは予測されていた。V5−1およびV5−2相関係数は、供給試験前の期間中にゲル特異的カットオフ閾値を下回ったままであり、容器が類似していなかったことを示した。これは、両方の容器が定常状態に到達したが、定常状態構築の経過中に微生物コミュニティ組成に相違が生じたことを示す。
供給試験の開始後、V9−R1(RS+)およびV9−R2(CS+)相関係数は、38〜41日目(供給試験の1〜4日目)にゲル特異的カットオフ閾値を下回って52.0%まで低下し、難消化性デンプンがコーンスターチ対照と比較してコミュニティ組成に対する固有の影響を有していたことを示した。ウォッシュアウト中、相関係数は、45日目(供給試験の8日目)までに72.2%類似まで増加し、ひいては2つのコミュニティがより類似するようになり、治療前コミュニティ組成に戻るプロセス中にある可能性があることを示した(表3.16、図25b)。これらの結果は、供給試験全体(37〜45日目)を通した移動窓相関解析において反映され、V9−R1(RS+)およびV9−R2(CS+)についてのΔt値は変動したが、一貫してゲル特異的カットオフ閾値を上回り、コミュニティが安定ではなく、代わりにデンプン補充培地に応じて急速に変化していたことを示した(図25a)。供給試験の経過中、ドナー5について同様の結果が観察され、V5−1(RS+)およびV5−2(CS+)Δt値は、最初の4日間にゲル特異的カットオフ閾値を上回って上昇し、コミュニティが追加のデンプン基質に応答し、定常状態ではなくなっていたことを示した(図3.16a)。V5−1(RS+)Δt値は、定常状態への傾向を示すカットオフ閾値の5%以内まで低下した解析の最終日(48日目)まで、ゲル特異的カットオフ閾値を上回ったままであった。V5−2(CS+)Δt値は、51〜55日目にゲル特異的カットオフ閾値の5%以内であり(図3.16a)、同様に定常状態へと戻る傾向を示した。V5−1およびV5−2相関係数は、供給試験の最初の3日間、26.0%の類似性まで毎日低下した後、8日目に54.3%の最終類似性で供給試験が終了するまで一貫して上昇した(表3.16、図3.16b)。これらの劇的な変化は、デンプン富化培地(RS+およびCS+)が、糞便マイクロバイオータのコミュニティ構造に対してかなりの異なる影響を有したことを示す。さらに改変培地の終了後、コミュニティは治療前の状態に戻り始めた。
図23は、48時間でドナー9からのケモスタット物質でのデンプン基質発酵から得られたGC/MSデータのPCAモデル(パネルa)およびOPLS−DAモデル(パネルb)を示す。変数は平均中心化およびパレート尺度化され、モデル特性はR2X(累積))0.691、Q2(累積))0.604、および2つの有意なPCである。図凡例:丸Cg102、四角Cgx333、三角Cg102ae1−Elmore、ひし形Cg102ae1−ref、五角形Cgx333Su2、星形Cg102wx。
図24この研究において利用されたインビトロケモスタット供給の実験デザインのフローチャート
図25ドナー9(V9−R1およびV9−R2)からの糞便が播種されたケモスタットコミュニティに対するデンプン富化培地の効果を評価するインビトロ供給試験のDGGE解析。パネルa)移動窓相関解析を使用して計算されたコミュニティダイナミクス。パネルb)同一の時点でのツイン容器のプロファイル類似性を比較する相関係数(パーセントとして表される)。
図26 ドナー5(V5−1およびV5−2)からの糞便が播種されたケモスタットコミュニティに対するデンプン富化培地の効果を評価するインビトロ供給試験のDGGE解析。パネルa)移動窓相関解析を使用して計算されたコミュニティダイナミクス。パネルb)同一の時点でのツイン容器のプロファイル類似性を比較する相関係数(パーセントとして表される)。
Mauveアラインメント
アラインメントは、コンティグ数および種株間の類似性の良好な可視化を提供した。アラインメントの可視化に基づき、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス株およびラクトバチルス・カゼイ株は、非常に類似して見えた。アラインメント可視化はまた、ルミノコッカス・オベウム株が、調査された他の5つの種と比べて似ていないという、早期の指摘を示した。アラインメントの相違は、真の株の相違を反映し得るが、ゲノム再編成で現れる、コンティグの誤った配列順序の結果でもあり得る。アラインメント図を図2に示す。
SEEDビューアを使用する機能比較
表2は、SEEDビューア機能比較結果を示す。サブシステムアノテーションに基づく6つの異なる細菌種からの細菌株ペアの機能比較の要約であり、数字は、株Bではなく株Aに存在すること、株Aではなく株Bに存在すること、または両方の株に存在することが確認されたサブシステム役割の数、および各々の種比較について確認されたサブシステム役割の合計数を示す。
2つの異なる株を有する6つの細菌種についての株ベアの機能比較によって、比較的に、3つの種における非常に高い機能的冗長性、2つの種における高い機能的冗長性、および1つの種における低い機能的冗長性が明らかとなった。最高レベルの機能的冗長性は、サブシステムベースの比較方法を使用して、ラクトバチルス・カゼイのペアの比較において見られた。機能的サブシステムにおける唯一の相違は、株Aではなく株Bに存在し、ラクトースおよびガラクトース摂取に関与することが確認された(表3)。最低レベルの冗長性は、ルミノコッカス・オベウム株ペアの比較において見られ、広範囲のサブシステムおよびカテゴリにわたって、機能的サブシステム役割における247の相違が確認された。ルミノコッカス・トルクエスおよびビフィドバクテリウム・アドレッセンティス株の両ペアの比較は、それぞれ株間の5つおよび6つのみの相違、ならびに比較的に非常に高レベルの冗長性を明らかにした(表3)。ビフィドバクテリウム・ロンガムの株ペアの比較は、わずかに低い冗長性を示し、株Aと株Bとの間の機能的サブシステム役割において19の相違があり、そのうちの14はビフィドバクテリウム・ロンガム株BではなくAに存在し、5つは株AではなくBに存在した。ドレア・ロンギカテナ株ペアの比較は、株BではなくAに存在する8つのサブシステム役割、および株AではなくBに存在する17のサブシステムを明らかにした。ビフィドバクテリウム・ロンガムおよびドレア・ロンギカテナ株ペアについての機能的サブシステムの比較における相違の完全なリストを、表8に示す。

表8は、SEEDビューア機能比較の要約を示す。(A)は、ビフィドバクテリウム・ロンガムを示す。(B)は、ドレア・ロンギカテナを示す。ビフィドバクテリウム・ロンガムおよびドレア・ロンギカテナについての株AとBとの間のサブシステムベースの機能的相違の要約は、確認されたカテゴリ、サブカテゴリ、サブシステム、および役割を示す。「ファージ、プロファージ、転移因子、およびプラスミド」という行で示された部分は、ファージ因子に関連する相違を示す。
表3は、SEEDビューア機能比較の要約を示す。ラクトバチルス・カゼイ、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス、およびルミノコッカス・トルクエスについての株AとBとの間のサブシステムベースの機能的相違の要約は、確認されたカテゴリ、サブカテゴリ、サブシステム、および役割を示す。灰色で強調された部分は、ファージ因子に関連する相違を示す。
留意すべき重要な要素は、比較において存在するファージ関連タンパク質およびファージに関連する役割の数の多さである(表3および表8において灰色テキストで強調されている)。ファージ関連タンパク質は、ビフィドバクテリウム・ロンガムおよびドレア・ロンギカテナの一方の株のみに存在し、役割は異なるが、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティスおよびルミノコッカス・オベウムの両方の株に存在した。これらの要素は、これらの株ペア間の相違を説明するのに役立ち得る。一方の株にファージが感染し、もう一方が影響を受けないままであった場合、または株に異なるファージが感染した場合、これは、この解析において報告されている遺伝子および機能性における相違のいくつかを引き起こし得る。ファージは、重要な遺伝子水平伝播(HGT)メディエータ、およびヒト腸内マイクロバイオームへの遺伝子導入のための重要なパスウェイであるため、これは株分岐の優れた説明である。
SEEDビューアを使用する配列比較
その2つの株が元のRePOOPulate生態系に含まれていた細菌種の株ペアについての配列比較によって、機能比較に類似した結果が明らかとなった。調査された6つの種のうちの5つが、それらのタンパク質配列において高い〜非常に高い冗長性を示した。ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ドレア・ロンギカテナ、ラクトバチルス・カゼイ、およびルミノコッカス・トルクエスについての株ペアの比較は、すべて95%以上の平均タンパク質配列同一性パーセントを示した(図7参照)。ルミノコッカス・オベウム株比較は、対照的に、仮想タンパク質が比較に含まれていたかどうか、およびどの株が参照株として使用されたかに応じて、45〜62%のかなり低い平均タンパク質配列同一性パーセントを有した。タンパク質配列間の相違は、同じ種の株Aが参照として使用される場合の6つの種の各々についての株Bのタンパク質配列同一性パーセントを示す図1において、はっきりと可視化することができる。最初の5つの種は明らかに、同定されたタンパク質配列の大部分について90%以上の範囲に含まれ、ルミノコッカス・オベウム株は50〜60%の範囲の近くに現れる。
表7は、タンパク質配列同一性パーセントに基づく6つの異なる細菌種からの細菌株のペアのSEEDビューア配列比較の要約を示し、括弧内の数字は、仮想タンパク質を除いた比較を示す。表は、同定されたタンパク質の合計数、双方向および単方向ヒットの数、ヒットなし(0%)のタンパク質の合計数、完全配列一致(100%)のタンパク質の合計数、タンパク質配列同一性が高い(95%〜99%)タンパク質の数、タンパク質配列同一性が低い(50%以下、ヒットなしのものを含まない)タンパク質の数、ならびに平均タンパク質配列同一性パーセントを含む。(A)は、参照株としての株Aとの配列比較をまとめる。(B)は、参照株としての株Bとの配列比較をまとめる。
図1Aおよび1Bは、株ペアについてのSEEDビューア配列比較図を示す。図は、参照配列としての株Aと株Bとの間の比較を示す。A)株A対株Bのビフィドバクテリウム・アドレッセンティス配列比較。B)株A対株Bのビフィドバクテリウム・ロンガム配列比較。C)株A対株Bのドレア・ロンギカテナ配列比較。D)株A対株Bのラクトバチルス・カゼイ配列比較。E)株A対株Bのルミノコッカス・トルクエス配列比較。F)株A対株Bのルミノコッカス・オベウム配列比較。
平均タンパク質同一性パーセント対ゲノムサイズおよびコンティグ数の比較のために当てはめられた線形モデルは、これらの因子の両方がSEED配列比較についての結果をある程度交絡し得ることを示した。ゲノムサイズ対平均タンパク質配列同一性パーセントの比較のための線形モデルは、0.006のp値を有し、有意な線形関係を示した。コンティグ数と平均タンパク質配列同一性パーセントとの間の線形関係も、0.016のp値で有意であった。これらの関係を表す散布図を図3に示す。
図3は、Rを使用する比較のための散布図を示す。図は、下に示す疑似コードの変形を使用して、Rで作成した。
図3Aは、第I部において解析された12の細菌ゲノムについてのゲノムサイズ対平均タンパク質配列同一性パーセントの散布図を示し、線は両者間の線形相関を示す。線形モデルは、0.006144のp値を有する。図3Bは、第I部において解析された12の細菌ゲノムについてのコンティグ数対平均タンパク質配列同一性パーセントの散布図を示し、線は両者間の線形相関を示す。線形モデルは、0.01629のp値を有する。図3Cは、33の細菌ゲノムすべてについてのゲノムサイズ対コンティグ数の散布図を示す。外れ値は、ユーバクテリウム・レクターレ(Eubacterium rectale)18FAAであり、配列決定でエラーがあったように見える。
KEGGパスウェイ解析
KEGGパスウェイ結果は、SEEDビューアを使用する機能および配列比較の結果を確認した。ビフィドバクテリウム・アドレッセンティスについてのKEGGオーソロジーの比較は、iPath2.0内部リストとのIDマッチングおよび競合解決後、株Bに存在し、株Aには存在しなかった、パスウェイにおける3つのみの重要な相違を明らかにした。ビフィドバクテリウム・ロンガムKEGG比較は、株AとBとの間のKO IDにおける40の相違をまず明らかにしたが、マッチングおよび競合解決後、株Aに固有の5つのIDおよび株Bに固有の3つのKO ID、ならびに株Aにおいて複製物の数が多い4つのKO IDおよび株Bにおいて複製物の数が多い2つのKO IDが見出された。ラクトバチルス・カゼイKEGGパスウェイ比較は、1つのみの相違、株Bに固有であったKO IDを明らかにした。これは、この研究全体を通して見られるラクトバチルス・カゼイ株間の高レベルの冗長性と一貫している。ドレア・ロンギカテナ比較は、株Aについて2つの固有のKO ID、および株Bについて6つの固有のKO IDを明らかにした。ルミノコッカス・トルクエスKEGG比較は、各株について2つのみの固有のKO IDを見出した。これらの5つの種についてのKEGGオーソロジー割り当てにおける相違、およびそれらがマッピングするパスウェイ要素の完全なリストを、表9に示す。KEGGパスウェイ解析に基づくルミノコッカス・オベウム株の比較は、前節とほぼ同じ結果を示した。比較は、株Aについて43の固有のIDおよび株Bについて32の固有のID、ならびに株Aにおいて複製が多い5つのIDおよび株Bにおいて複製が多い3つのIDを見出した(図5)。これは、SEEDビューア比較において見られる低レベルの冗長性と一貫し、ルミノコッカス・オベウムの両株の必要性を示している。これらの結果は、SEEDビューア比較からの結果と組み合わされた場合、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス、ラクトバチルス・カゼイ、およびドレア・ロンギカテナの株A、ならびにビフィドバクテリウム・ロンガムおよびルミノコッカス・トルクエスの株Bが、機能的に冗長なようであり、生態学的な不均衡を引き起こすことなく、生態系から除去され得ることを示す。
図5A〜Bは、ルミノコッカス・オベウムを比較するためのKEGGパスウェイマップを示す。図5Aは、代謝パスウェイマップを示す。図5Bは、制御パスウェイマップを示す。KEGGパスウェイマップは、ルミノコッカス・オベウム株A対株Bの比較のために、iPath2.0を使用して生成した。緑線は共有パスウェイを表し、赤線は株Aに固有の、または株Aにおいて反復が多いパスウェイを表し、青線は株Bに固有の、または株Bにおいて反復が多いパスウェイを表す。線の太さは、KO IDの反復数により決定される。
表9は、第I部において比較された種のうちの5つについてのKEGGパスウェイにおける相違の要約を示す。表9は、KO ID、マップ名(二次代謝物の生合成を含む)、および一方の株に固有の特定のパスウェイ要素を含む。青の部分は、一方の株に固有のものではないが、示された株において複製物の数が多い、KO IDおよび要素を示す。

第II部:RePOOPulate生態系内の冗長性
方法
RePOOPulate生態系内の冗長性を、上に記載されているKEGGパスウェイ比較とほぼ同じ方法だが、より大規模で調査した。KAAS(KEGG自動アノテーションサーバー)を使用し、第I部には含まれていないドラフトゲノム(21のさらなるゲノム)中の遺伝子の機能アノテーションを提供した。各ゲノムについてのKO割り当て(KO ID)のリストをダウンロードし、Microsoft Excelの表において比較した。元のRePOOPulate生態系内の33の種すべてについて見られたKO IDのリスト、およびあるKO IDが生態学全体内で見られた回数のリストを、Microsoft Excelの表から作成した。次にこれらのリストを使用し、KEGGオーソロジー割り当て(KO ID)の複製物の数と一致した太さで、KEGG IDの最終リストを作成した。KO IDのリストを次にプログラムiPath2.0:インタラクティブ・パスウェイ・エクスプローラにインポートし、マッピング前にiPath2.0により使用される内部リストと一致させ、これによっていくつかのKO IDが除去された。この33の種すべてについての最終一致リストを第III部において使用した。
この研究の第I部において冗長であると判明した8つの種株の除去後、更新されたリストを次に作成した(表4)。第2のリストは、25のみの異なる細菌を含んでいた。このより小さい生態系についての一致KO IDのリストを、単一の種に特異的な、2つの種により共有される、3つの種により共有される、4つの種により共有される、および5つ以上の種により共有されるKO IDのリストと共に作成した。各KO IDについての複製物の数のリストも作成した。1、2、3、4、および5つ以上の種により共有されるKO IDのリストを、各々色分けし(それぞれ紫、青、緑、赤、および黒)、iPath2.0にインポートした。色の競合を、競合している最も数の多い種の色として解決し、すなわち、パスウェイが赤(4つの種)と青(2つの種)との間の競合を有した場合、赤として解決した。最終代謝パスウェイマップを考察し(図6)、各色の間で共有されるノードの数を数えた。マップ中のノードは各種化合物に対応し、エッジは酵素反応の系列またはタンパク質複合体を表す。1、2、3、および4つの種についてのマップも個別に作成し、それらのKO IDがマッピングしたパスウェイ要素(エッジ)の数を求めた(表10)。
表10は、1、2、3、または4つの種により共有されるiPath2.0KEGG比較パスウェイの要素数を示す。1、2、3、および4つの種により共有されるパスウェイに注目する、第A部についての冗長な株が除去(29の種を含む)された後のRePOOPulate種の比較についての結果の要約である。3つのマップの各々についての選択されたパスウェイ要素の数、ならびに代謝マップ(図8)についての固有ノードおよび共有ノードの数を含む。固有ノードは、ノードが示される数の種を含むパスウェイの一部のみであった場合に数え、4つより多い(>4)種により共有されるノードは、1つ以上の色付き線および黒線があるノードを共有した場合に数え、1/2/3/4つの種により共有されるノードは、2つの異なる色付き線、すなわち、青(2つの種)および緑(3つの種)が、あるノードを共有した場合に数えた。
図6は、1、2、3、または4つの種により共有されるパスウェイのiPath2.0KEGG比較のための代謝パスウェイマップを示す。第I部についての冗長な株が除去された後のRePOOPulate種(25の種を含む)の比較のための完全な代謝パスウェイマップであり、1、2、3、または4つの種により共有される代謝パスウェイを示す。紫線は単一の種により共有される固有パスウェイに対応し、青線は2つの種により共有される代謝パスウェイに対応し、緑線は3つの種により共有されるパスウェイに対応し、赤線は4つの種により共有されるパスウェイに対応し、黒線はシステム内のすべての他のパスウェイ(>4種)である。線の太さは、可視化しやすさのために選択され、KEGGオーソロジーIDのコピー数を反映しない。
単一の種に特異的なKO IDのリストは、含まれた25の細菌のうちの22のみが固有のKO IDを有したことを示し、3つの明らかに冗長な株としては、ドレア・ロンギカテナ42FAA、ユーバクテリウム・レクターレ29FAA、およびユーバクテリウム・ヴェントリオスム(Eubacterium ventriosum)47FAAが挙げられた。これらの3つの種を除去し、これらの3つの種の除去を反映するように複製物の数を更新した。単一の種に特異的な一致KO IDのリストを次に使用し、固有の色を、その他の種により共有されていないKO IDを有した各々の種に合わせる、色凡例を手動で作成した。次に色凡例を使用し、KO IDおよび合わせる色のリストを作成し、共有KO IDは黒とし、固有KO IDを有する各々の種は異なる色とした。このリストをiPath2.0にインポートして使用し、カスタムマップを作成した。これは色競合のリストを作成した。いずれの色競合も、これはパスウェイが単一の細菌に固有のものではないことを意味したため、黒として解決した。例外は、ビフィドバクテリウム・ロンガム(K00129)についての唯一の固有KO IDとの競合であり、さらなる調査によって、この競合がKO IDがマッピングした6つのパスウェイのうちの1つのみに影響を及ぼしたことが判明し、この競合は黒としてではなく、代わりにビフィドバクテリウム・ロンガムに特異的な色に合わせて解決した。
競合解決後、共有パスウェイは黒線、および固有のKO IDを有する各々の種は異なる色付き線で、最終マップを作成した(図7)。代謝および二次代謝物の生合成マップを解析し、固有ノードの数および接続ノードの最多数を求めた。細菌における多数の生化学および代謝パスウェイは不明のままであるため、これらを調査し、したがってこれらの要素数は、考えられる基礎パスウェイについて、エッジを単独で調査するよりも良好な理解をもたらし得る(表11)。
表11は、iPath2.0KEGGパスウェイ解析の要素数を示す。固有KO IDを有する22の種の名称、3つのマップの各々についてそれらのKO IDがマッピングする固有パスウェイ要素(固有パスウェイ)の数、ならびに代謝および二次代謝物の生合成マップについての固有ノードの数および接続ノードの最多数を含む、第II部:RePOOPulate生態系内の冗長性の結果の要約である。固有ノードは、ノードが固有パスウェイの一部のみであり、その他のパスウェイにより共有されていない場合に数えた。括弧内の数字は、同様に固有パスウェイの一部であった共有ノードの数である。接続ノードは、固有パスウェイ要素により接続された固有ノードの最多数として数えた。括弧内の数字は、同様に固有パスウェイの一部である共有ノードが含まれる場合の固有パスウェイ要素により接続されたノードの最多数である。
図7は、RePOOPulate集団比較のためのKEGGパスウェイマップを示す。図7Aは、単一の株に固有のすべてのパスウェイを示す、元のRePOOPulate生態系からの25の種(冗長な株を除去)の比較のための完全な代謝パスウェイマップを示す。図7Bは、単一の株に固有のすべてのパスウェイを示す、元のRePOOPulate生態系からの25の種(冗長な株を除去)すべての比較のための完全な制御パスウェイマップを示す。左の色凡例は、どの色がどの種に対応するかを示す。線の太さは、可視化しやすさのために選択され、KEGG IDのコピー数を反映しない。
固有KO IDおよび合わせる色コードでの、22の種についての固有KO IDのみを含有する最終リストを使用し、固有パスウェイのみを示すマップを作成した(図8)。これらのマップを解析し、キーストーン種およびパスウェイを決定するのに役立てた(表12)。22の種についてのすべてのKO IDの最終リストを、元の33の種についてのKO IDのリストと比較し、いずれかのKO IDがプロセス中に失われたかを決定した。KO IDのコピー数を反映する太さのリストでの最終の22の種についてのKO IDのリストを、この研究の第III部において再度使用した。データに対して、配列決定およびゲノムアセンブリにおいて明らかなエラーがないかを確認するシンプルな品質チェックも行った。33のゲノムすべてについてのゲノムサイズおよびコンティグ数を、Rで作成された散布図(図3C)を使用して比較した。以前に記載したユーバクテリウム・レクターレ18FAAにおけるエラーは明白であり、すべての他のゲノムは正常に見えた。
表12は、RePOOPulate生態系の固有のKEGGパスウェイの要約を示す。第I部において見出された冗長な株の除去後の固有KO IDを有する22の細菌種についての代謝および制御パスウェイならびに二次代謝物の生合成の要約である。マッチングおよび競合解決後に固有KO IDを有する種の名称と共に、それらの固有KO ID、およびそれらがマッピングするパスウェイを含む。色は、代謝および制御パスウェイマップ(図7)に使用される色凡例を反映する。赤(3)のKO IDは、第II部におけるドレア・ロンギカテナ42FAA、ユーバクテリウム・レクターレ29FAA、およびユーバクテリウム・ヴェントリオスム47FAAの除去後のみに見られる固有IDである。青(14)のKO IDは、Kurokawa et al.データセットにおいても見られた。括弧内の数字は、そのKO IDがマッピングする3つのマップの各々に含まれる要素の数を示す。
図8は、単一の株に固有の制御パスウェイを示す、元のRePOOPulate生態系からの22の種の比較のための制御パスウェイマップを示す。左の色凡例は、どの色がどの種に対応するかを示す。線の太さは、可視化しやすさのために選択され、KO IDのコピー数を反映しない。
表4.RePOOPulate細菌種の要約。表は、元のRePOOPulateプロトタイプに含まれる33の種すべてを、RASTサーバー上に挙げられている名称で含む。種は、第IおよびII部における解析に基づき、3つのカテゴリに分ける。第I部において見出された冗長な株の除去後に固有KEGGパスウェイを有することが判明した22の種は、最初の2つの列に入り、研究の第I部において冗長であると判明した8つの種および第II部において冗長であると判明した3つの種は、最後の列に入る。太字で挙げられている9つの種は、Kurokawa et al.のデータにも存在する固有KO IDを有する種であり、括弧内の数字は、KO IDの数を示す。
結果
1、2、3、または4つの種または株により共有される、固有およびほぼ固有のパスウェイおよびノードの比較は、いくつかの興味深いパターンを示した。(パスウェイは生態系にとって全体的に、固有ではないが、稀なものであるため)容易に除去することができない生態系内の冗長性について説明するために、2、3、および4つの種により共有されるパスウェイの比較を行った。第I部における冗長な種の除去後に残った細菌コミュニティ内の25の種のKEGGオーソロジー割り当て比較は、固有KO IDを有さず、生態系内のさらなる冗長性であるような3つの種(ドレア・ロンギカテナ42FAA、ユーバクテリウム・レクターレ29FAA、およびユーバクテリウム・ヴェントリオスム47FAA)を明らかにした。これらの3つの種についてのほぼ固有のパスウェイを調査した際も、ほぼ固有のパスウェイは少数のみであった。それぞれ2、3、および4つの種により共有されるKO IDを比較した場合、ユーバクテリウム・レクターレ29FAAは、3、1、および3つの共有KO IDを有し、ドレア・ロンギカテナ42FAAは、3、5、および3つの共有KO IDを有し、ユーバクテリウム・ヴェントリオスム47FAAは、3、7、および6つの共有KO IDを有した。これは、これらの3つの種が生態系内であまり重要ではなく、生態学的な均衡を崩すことなく除去され得る可能性があることを示す。
ほぼ固有のKO IDの比較はまた、生態系内のキーストーン種である可能性がある4つの種の重要性を明らかにした。ラオウルテラ属種(Raoultella sp.)6BF7、バクテロイデス・オヴァタス5MM、エシェリキア・コリ3FM4i、およびパラバクテロイデス・ディスタソニス5FMはすべて、高レベルのほぼ固有のパスウェイを有し、その大部分はこれらの4つの種の間で共有されていた。ラオウルテラ属種6BF7およびエシェリキア・コリ3FM4iは特に、2つの種により共有されるKO IDを見ると、非常に多数のKO IDを共有した。4つの種により共有されるKO IDを調べると、バクテロイデス・オヴァタス5MMおよびパラバクテロイデス・ディスタソニス5FMは、多数のKO IDをラオウルテラ属種6BF7およびエシェリキア・コリ3FM4iと共有した。これは、これらの4つの種が生態系において相互作用し、重要な役割を果たし得ることを示す。2、3、または4つの種の比較について3つ以下の共有KO IDを有し、低レベルのほぼ固有のパスウェイを有するいくつかの種が同様に確認された(表5)。フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ40FAA、ラクノスピラ・ペクチノシザ34FAA、およびユーバクテリウム・レクターレ29FAAは、3つの比較すべてにおいて低レベルの共有KO IDを有した。コリンセラ・アエロファシエンス、およびドレア・ロンギカテナ42FAAも、3つの比較のうちの2つにおいて少ないKO IDを有した。これは、これらの5つの種が、必要な低レベルの冗長性においていかなる主要な役割も果たし得ないことを示す。
表5は、2、3、または4つの種により共有されるKEGGオーソロジー割り当ての比較の要約である。表5は、2、3、または4つの種の間で共有される3つ以下のKO IDを有し、低レベルのほぼ固有のパスウェイを有することが判明した種をまとめる。太字テキストで強調されている種は、2つ以上の比較についてこのカテゴリに該当する。括弧内の数字は、(競合解決前に)共有されるKO IDの数を示す。
最終パスウェイ解析は、最初の33の細菌のうち22のみが、RePOOPulate系内のその他の細菌によりカバーされない固有のパスウェイを有するという結果をもたらした。更新されたモデルに含まれる最終の22の種のリストを表4に示す。これらの22の重要な種についての固有のパスウェイを示すKEGGパスウェイマップを表7および8に示し、これらのKO IDがマッピングするパスウェイを列挙するチャートを表12に示す。その株に固有のパスウェイが交差する各株についてのノード数の考慮は、存在すると考えられる未知の固有パスウェイについてのより良好な説明を可能にし、接続ノードの数が多いほどパスウェイが重要である可能性が高いので、接続ノードの最多数に注目することにより、我々はパスウェイの関連性についていくらかの理解を得る。このデータの調査は、バクテロイデス・オヴァタス5MMおよびラクノスピラ・ペクチノシザ34FAAの両方が、ほとんどの他の種より多くの固有ノード(それぞれ12および8)を有するが、接続ノードの最多数は両者についてわずか2であることを示した。これは未知のパスウェイが関与しているかもしれないことを示す。最も関連性のある種は、ラオウルテラ属種6BF7であると考えられ、46の固有ノードを有し、接続パスウェイの最多数は15である。これは、次に多くの接続ノードを有する種、すべて接続している3つの固有ノードを有するロゼブリア・インテスティナリス31FAAよりも5倍多い(表11)。
元の33の種についてのKO IDのリストと比較した22の重要な種についてのKO IDの最終リストの比較は、第I部において冗長であると判明した8つの種株の除去から引き起こされる2つのKO ID(K07768およびK11695)の喪失を明らかにした。第1のKO IDは、ユーバクテリウム・レクターレ18FAAの除去の結果として失われた可能性がある。これは、比較的に小さいゲノムサイズについて過度に多数のコンティグを有し、ゲノムアセンブリにエラーが発生していたように見えた唯一の細菌種または株であった(図3C)。この株の真の重要性を決定するには、さらなる研究が必要である。失われたと考えられるKO ID(K07768)は、シグナル伝達のための二成分系内の3つの制御パスウェイにマッピングするが、それらのパスウェイのうちの2つは、22の種の生態系についてのKO IDの最終リストにまだ存在する、別のKO ID(K07776)によってもマッピングされる。これは、単一の小さなパスウェイのみが失われ、生態学的な均衡に影響を及ぼさない可能性があることを示す。冗長性除去のプロセスにおいて失われた第2のKO ID(K11695)は、ペプチドグリカン生合成のための単一の代謝パスウェイにマッピングし、このパスウェイにマッピングする唯一のKO IDである。このKO IDは、ビフィドバクテリウム・ロンガム4FMの除去の結果として失われた。このパスウェイの喪失が、生態系の持続可能性に悪影響を及ぼすかは不明であり、この細菌株が必要であり得るかを決定するにはさらなる研究が必要である。
22の種についての固有パスウェイを詳しく見ると、種の数のさらなる最適化が可能であり得ることがわかる。固有パスウェイを示すマップは、ユーバクテリウム・デスモランス48FAA、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ40FAA、ルミノコッカス属種(株A)、およびルミノコッカス属種11FMという4つの細菌株が、非常に少ない固有パスウェイを有することを明らかにし、その各々は、単一のマップ要素のみ、および1つまたは2つのパスウェイのみにマッピングする(表12)。この証拠は、2、3、および4つの種により共有されるパスウェイの比較(表5)から得られた情報と組み合わされ、ユーバクテリウム・デスモランス48FAAおよびフィーカリバクテリウム・プラウスニッツィ40FAAが、生態系における不均衡をもたらすことなく、除去され得る可能性があることを示す。ラクノスピラ・ペクチノシザ34FAAおよびコリンセラ・アエロファシエンスも、ほぼ固有のパスウェイが非常に少なく(表5)、少数の固有KO IDおよびパスウェイ要素を有するのみである(表12、それぞれ、3つのKO ID、6つの要素、および2つのKO ID、2つの要素)。これらの4つの種の必要性を決定し、新たなプロトタイプのRePOOPulate生態系におけるそれらの除去または包含を正当化するためには、さらなる研究が必要となるだろう。





第III部:KEGGパスウェイカバレッジの比較
方法
第II部において作成されたRePOOPulate生態系内のKO ID複製物の数により決定される太さでの33の種すべてについてのKO IDのリストを、iPath2.0にロードして使用し、青に色付けした線、および各KO IDについての複製物の数により決定される太さでカスタムマップを作成した。太さの競合は、競合する太さからランダムに選択するiPath2.0により使用される自動的な方法を使用して解決した。同じプロセスを、固有KO IDを有する22の種からなる最適化された生態系についてのKO IDおよび更新された太さのリストについて完了し、このマップの線の色は黒とした。比較のための「健康な」ヒト腸内マイクロバイオームは、その全体が本明細書に参照により組み込まれる、Kurokawa et al.による研究から引用され、太さを伴うKO IDの完全なリストは、iPathウェブサイト上に提供される。Kurokawa et al.研究の目標は、ヒト腸内マイクロバイオームの一般的かつ可変なゲノム特性を同定することであった。その研究は、乳児を含む、様々な年齢の13人の健康な日本人の個体からの糞便試料の大規模な比較代謝解析からなる。この研究からのデータは、iPath2.0の開発においてその能力の実演として以前使用されたことがあり、この比較には時間制限下での使いやすさのために選択された。Kurokawa et al.データについてのiPath2.0マップを、カスタムマップ機能および提供されているリストを使用して作成した。このリストの線の色は赤とする。次に3つのデータセットすべてについてのカスタムマップを、ポータブル・ドキュメント・フォーマット(PDF)でダウンロードした。
3つのPDF画像をGIMP2.8.10(GNU画像操作プログラム)に別々のレイヤーとしてロードし、Kurokawa et al.データおよびRePOOPulateパスウェイの両方のセットを可視化することができるように、αチャンネルに着色することにより透明度を操作した。これは、RePOOPulate生態系の各々が、天然ヒト腸内マイクロバイオームの例、および互いにどれほど良く一致したかを視覚的に比較し、KEGGパスウェイのカバレッジを決定するために行った(図9)。KEGG IDの3つのリスト(各マップに1つ)、および第II部において見出された固有KEGG IDのリストも、Microsoft Excelスプレッドシート表を使用して比較した。このプロセスを最適化するために、Kurokawa et al.KO IDを、iPath内部リストと一致させ、第II部において他のリストを一致させたのと同じ方法でiPath2.0パスウェイにマッピングしなかったいかなるKO IDも除去した。
図9は、健康なマイクロバイオームに対するRePOOPulateデータの比較を示す。A)Kurokawa et al.研究からのデータに対して最適化前および後の完全なRePOOPulateコミュニティを比較する代謝パスウェイマップ。B)Kurokawa et al.研究からのデータに対して最適化前および後の完全なRePOOPulateコミュニティを比較する制御パスウェイマップ。赤線はKurokawa et al.データを表し、青線はすべての33のゲノムが含まれる元のRePOOPulateデータを示し、黒線は21のみのゲノムが含まれる最適化されたRePOOPulateデータを表す。
結果
完全な33の種のRePOOPulate生態系についてのKO IDの一致リストを、Kurokawa et al.KO IDの一致リストと比較し、RePOOPulateデータセットにはKurokawa et al.データセットに含まれない635のKO IDが見られ、Kurokawa et al.データにはRePOOPulateに含まれない86のKO IDが見られることが明らかとなった。最適化プロセス中に除去された2つのKO IDは、Kurokawa et al.データセットには含まれていなかった。Kurokawa et al.データまたはRePOOPulateのいずれかに固有のKO IDのうち、63のKO IDは、他のデータセットからの固有パスウェイと共有されたパスウェイを有した。Kurokawa et al.データについての27の固有KO IDは、RePOOPulateについての固有KO IDと重複する少なくとも1つのパスウェイを有し、36の固有のRePOOPulate KO IDは、Kurokawaデータからの固有KO IDにより共有される少なくとも1つのパスウェイを有した。健康な腸内マイクロバイオームを維持するためには存在すべきである、RePOOPulate生態系から失われた正確なパスウェイをより詳しく調べるには、さらなる解析が必要である。
最適化された生態系の22の種のうちの単一の種に固有のKO IDのリストも、一致Kurokawa et al.データセットと比較した。同定された117の固有KO IDのうち、14のみがKurokawa et al.データにも含まれ、これらは表12において青で強調されている。単一の種に固有のものであり、Kurokawa et al.データと一致した14のKO IDは、9つのみの種において見られ、これらの種が生態系において最も重要であり得ることを示した(表4参照)。
33または22いずれかの種を含む2つのRePOOPulateバージョンの視覚的な比較は、データの明らかな喪失なく、KO IDの複製物の数における小さな相違のみを示した。RePOOPulateデータおよびKurokawa et al.データの視覚的な比較は、Kurokawa et al.データと比較した場合の、RePOOPulateデータ中の少数の代謝パスウェイの複製物の数におけるいくつかの明らかなずれを示した。これらの大部分は、生命に必要であり、したがってすべての細菌種に存在し、より多様な種についてより多数の複製物を有するだろう代謝領域において発生したので、これははるかに多数の細菌の存在による可能性が高い。制御パスウェイマップ内にも、RePOOPulate生態系におけるカバレッジが不足または欠乏していると考えられる領域がいくつかある。これらとしては、アミノアシル−tRNA生合成パスウェイ、ABCトランスポーターパスウェイ、二成分系、および細菌分泌系の領域が特に挙げられる。これらの足りない要素の重要性を理解し、RePOOPulate系がパスウェイを制御することができる種を組み込むためのさらなる変更を要するかを確認するためには、さらなる研究が必要となるだろう。
考察
この研究の目標は、デンプン生合成パスウェイにおける突然変異を通して産生された新規メイズデンプンの潜在的な健康上の利点についての新たな情報を解明することであった。デンプン解析は、RS含有量およびヒト糞便マイクロバイオータによるインビトロ発酵に対する効果の評価を含み、デンプン基質の潜在的なプレバイオティクス特性を決定した。糞便接種源から播種されたケモスタット培養微生物コミュニティは、小規模バッチ発酵のための有用で再現可能な接種源であることが示された。インビトロ発酵は、デンプン基質に応じて糞便マイクロバイオータに対する固有の変化をもたらし、これらの変化は、糞便ドナー間で異なることが示された。異なるドナーからの物質が播種された容器からの発酵プロファイルにおいて代謝物の分別産生が観察されたが、同じドナーからの物質を使用して、代謝物プロファイルは、異なるデンプン基質に応じて感知できるほどには変化しなかった。
消化
この研究において使用された6つのメイズ系統は、アミロース:アミロペクチン比の変更をもたらしたデンプン生合成パスウェイにおける突然変異によるそれらのデンプン基質における相違のために選択され、これはひいてはRSの量に影響を及ぼすことが証明されている。Megazyme難消化性デンプンアッセイキットを利用するRS決定は、Cg102ae1−ref、Cg102ae1−Elmore、およびCgx333Su2がインビトロ消化前および後の両方で最大量の難消化性デンプンを含有し、Cg102wxが最小量を含有したことを明らかにした。最初の3つのメイズ系統のデンプン生合成パスウェイにおける突然変異は、RS含有量を増加させるデンプン構造に対する変更をもたらし、逆はCg102wxについて真であるので、これは予測されていた。ほとんどの場合、デンプン基質のRS、SS、およびTS含有量はインビトロ消化後に減少するが、調理によってデンプンがゼラチン化し、より消化されやすくなるので、これは予測される。RSは、沸騰および焼成のようなほとんどの調理適用中、ゼラチン化されない。しかしながら、オートクレーブは従来の調理よりもはるかに高い温度および圧力に到達し、オートクレーブが発酵におけるその後の使用のためにデンプン基質の滅菌を提供する間、プロセスはRS画分の部分ゼラチン化をもたらし得た。興味深いことに、Cgx333Su2のRS含有量は、消化手順後に増加した。メイズ系統Cg102およびCgx333の遺伝的背景における実質的な相違は、部分的に、Cgx333Su2についてRSの増加をもたらす消化手順に対する異なる応答の原因であり得る。
発酵実験における無菌デンプン基質は、腸内マイクロバイオータによるデンプン発酵が、メイズ穀粒に関連した環境微生物により影響されないという初期の目標であった。よって、無菌デンプン基質を生成するステップをとったが、すべての試料はいくらかのレベルの汚染を有することが見出された。しかしながら、この汚染は、小規模バッチ発酵には影響を及ぼさないことが見出された。0時間および48時間のデンプン基質対照は、DGGEプロファイルにおいて変化を示さなかった(図3.1)。デンプン基質が調製され、好気的に消化され、このようなものとして、汚染物質は、腸内微生物発酵に使用された嫌気性環境において生存することができなかった偏性好気性生物であり得る。これは、以前の研究が、予備消化プロトコル中の無菌性の維持にあまり注意していなかった理由を説明し得る。デンプン基質の無菌性を確保することが、腸内マイクロバイオータによる発酵の評価にとって重要であるとは思われないので、このタイプの研究にはデンプンのオートクレーブではなく沸騰が適しているはずであり、デンプンの日常的な調理プロセスにもっと良く似ているという利点を有し、より生理的に適切な基質を提供する。さらに、RSはSCFAの産生について用量依存的応答を示すので、コーンミールとは対照的に純粋なデンプンの単離が最適であり得る。
小規模バッチ発酵再現性
ケモスタットを使用し、ヒト糞便試料に由来する複雑なコミュニティを再現可能に発達させ、維持することができる。我々は、小規模バッチ発酵モデルにおいて6つのデンプン基質の発酵プロファイルを研究するための安定な接種源として、3人の異なるドナーの糞便が接種された3つの別々のランを使用した。我々の知る限りでは、これはバッチ発酵のための接種源として安定なケモスタットモデルが使用された最初の例である。ケモスタットが長期間にわたって一貫したコミュニティを提供し、必要に応じてサンプリングすることができるので、この方法はドナーからの繰り返し糞便回収に対して利点を提供する。対照的に、繰り返し糞便ドネーションは、腸内の遷移種の存在によって糞便マイクロバイオータにおける一過性の変化を引き起こす。最後に、インビボからインビトロへの移行は、糞便コミュニティを培養する際に行われ、バッチ発酵において観察される変化は、この移行により誤解され得る。コミュニティにおけるばらつきは治療の効果に直接起因し得るので、安定なケモスタット培養物の使用は、この移行がすでに行われている場合、レプリケート発酵間の比較をより簡単にする。
これらの実験において使用されたインビトロケモスタットモデルは、以前から検証されている。これは接種源物質と同一の糞便コミュニティをもたらさないが、コミュニティはそれでもなお、主としてインビボで見出されたものを代表する安定かつ多様なコミュニティであり、実験に使用することができる。この研究では、ケモスタットランおよび小規模バッチ発酵の微生物コミュニティ構造およびダイナミクスが、DGGE、分子フィンガープリント技術を使用して解析された。また、バッチ発酵内での代謝変化がSPME GC−MSの使用によって解析された。
これは、新鮮な糞便試料とは対照的に、バッチ発酵のための接種源としてケモスタット培養物を使用する最初の研究であったため、我々の最初の目的は発酵の再現性を検証することであった。発酵は、テクニカルレプリケート間でほぼ同一のコミュニティ組成をもたらした。バイオロジカルレプリケート間の再現性は、使用されるケモスタット容器の安定性に依存していた。ドナー9からの糞便が播種されたケモスタットランは、サンプリング前に定常状態を達成し、サンプリング期間全体を通して低い変化率値を維持した(図12c)。このようなものとして、レプリケート発酵は接種直後に高いSI%を有し、試験された6つのデンプン基質すべてについて同一のコミュニティプロファイルを示した。ドナー5からの糞便が播種されたケモスタットに由来する接種源でのバッチ発酵について、同様の結果が得られた。さらに、ドナー5および9の両方からの糞便接種源での発酵は、48時間後に同一のコミュニティダイナミクスを維持するレプリケートで再現可能に進行した。この研究は、しかしながら、再現可能な結果を得るには、ケモスタットが、バッチ発酵における接種源としての使用のために、サンプリング前に定常状態に到達することが絶対条件であることを示した。ドナー2に由来する糞便マイクロバイオータが播種されたケモスタット容器のサンプリングは、ドナー5および9についてのそれとは対照的に、依然として容器内で急速な変化率があった期間中に開始された(図12a)。同一のコミュニティを示す高いSI%値は、バイオロジカルレプリケート間ではなく、テクニカルレプリケート内で0時間および48時間の両方で観察され、接種源間の非類似性を示した。よって、各種基質がマイクロバイオータに対して有する効果を研究するためには、定常状態のケモスタットを使用し、高度の再現性で小規模バッチ発酵に接種することができると結論付けることができる。この方法は、インビボからインビトロへの移行中に起こる顕著なコミュニティ変化によって従来のバッチ発酵方法の使用では見逃し得る、小さな変化を検出することができる場合もある。
デンプン基質への応答
DGGEプロファイル類似性のクラスタツリー解析およびNMDSは、ドナー9の糞便マイクロバイオータによる発酵後、デンプン基質の3つのグループへのクラスタ化をもたらし、ドナー5からの糞便マイクロバイオータでの発酵について、2つのグループのみが明らかであった。サンプリング前にケモスタット容器において定常状態が達成されなかったので、ドナー2からの糞便マイクロバイオータでの発酵に関して結論を出すことはできず、よってこれらの結果はこれ以上議論されない。
Cgx333およびCgx333Su2の発酵の結果としての試料は、共にかつドナー5および9の両方からの糞便マイクロバイオータでのすべての他のデンプン基質発酵とは別々にクラスタ化し、Cgx333およびCgx333Su2が他のデンプンとは異なって発酵されたことを示した。Cgx333Su2は野生型(Cgx333)と比較して増加した量のRSを含有したが、両方ともドナー5および9に由来する微生物コミュニティに対して同様の効果を与えた。これは、Cgx333Su2における突然変異(還元アミロペクチン合成を引き起こす)が、本質的には糞便コミュニティに対してより大きなプレバイオティクス効果を与えなかったことを示した。Cg102ae1−refおよびCg102ae1−Elmore系統に由来するデンプンは、分枝が低減し、アミロースの構造に類似し、よってRS含有量を増加させる、より長いアミロペクチン鎖を含有する。これらのデンプン基質は、野生型Cg102とは異なるコミュニティダイナミクスに対する顕著な効果を有し、固有のコミュニティプロファイルをもたらした。すべての発酵から観察された効果と集合的に、結果は、異なる突然変異が、異なる群の結腸細菌を刺激するデンプン基質の発酵特性を変更するという仮説を支持する。同様の研究は、改変構造を有するデンプン基質に応じた糞便マイクロバイオータに対する変化を評価しているが、我々の研究は、コミュニティレベルの変化を解析することによる、より全体論的なアプローチをとった。対照的に、ほとんどの他の研究は、十分に特徴分析されたプロバイオティクス細菌種のサブセットのみを調査し、よって糞便コミュニティ全体が評価される場合にのみ見られる他の顕著な変化を見逃している。
例えば、高アミロースメイズデンプン(HAMS)の異なる処理を通して産生される2つのRS多形体は、24時間の発酵後に糞便コミュニティにおける固有の生態学的シフトを誘発することが示された。一方の多形体はバクテロイデス属種およびアトポビウム属種の増加をもたらし、他方の多形体はビフィドバクテリウム属種の増殖を刺激した。ラットモデルを使用し、2つの典型的な低アミロースメイズデンプン(LAMS)、HAMSまたはブチリル化HAMS(HAMSB)が補充された食事に応じた糞便マイクロバイオータに対する変化が観察された。これらの著者は、両方の高RS食が独立してマイクロバイオータに対する固有の変化をもたらし、2つのLAMSの間には相違が見られなかったことを報告した。HAMS食は、ルミノコッカス・ブロミイ様細菌の増加を誘発し、HAMSB食は、ラクトバチルス・ガッセリおよびパラバクテロイデス・ディスタソニスの集団を増加させた。
また、ドナー9から得られた糞便マイクロバイオータを使用する発酵について、およびドナー5ではより低度の、デンプン基質間の腸内マイクロバイオータに対する固有の変化が観察された。これは、個体のマイクロバイオータの初期組成が所定の基質の効果に対して顕著な影響を有することを示し、個体の腸内マイクロバイオータの新規メイズデンプンに対する応答は異なるだろうという仮説を支持する。RS富化クラッカーを消費する10人の対象間の個別の応答で、同様の結果が報告された。RSの消費により顕著に影響されることが確認された分類群のうち、10人の対象すべてにおいて同様の応答を示したものはなかった。これらの多様な応答は、基質利用における株レベルの相違、または所定の個体の腸内における特定の種の比存在度もしくは非存在のような、いくつかの因子によるものであり得る。また、宿主生理的因子は、個体の腸内マイクロバイオータの形成において顕著な役割を果たす。例えば、変動する腸内通過時間、消化速度、およびpHは、すべて結腸環境およびその中のマイクロバイオータに影響を及ぼす。腸内マイクロバイオータにおけるこれらの個体間相違のより良好な理解は、個別化された健康のためのプレバイオティクスの適合にとって極めて重要となるだろう。
代謝物産生
食物繊維の発酵は、ひいては宿主の全般的な健康に対して顕著な影響を有する、SCFAの産生を増加させることが一貫して報告されている。炭水化物の発酵によってヒト結腸内で産生される総SCFAの90〜95%は、酢酸、プロピオン酸、および酪酸であり、このようなものとして、RSおよび他の食物繊維の研究は、これらの代謝物における変化を研究するのに標的アプローチを日常的に使用する。我々は、この研究において、健康なおよび疾患(腸内毒素症)を有する腸内の両方で個体間の糞便VOCにおける相違を確認するのに以前使用された非標的メタボロミクスアプローチを利用した。この非標的アプローチを使用し、新規バイオマーカーおよび、デンプン基質の発酵からもたらされる、SCFAを識別することを期待して、所定の試料中で多数の代謝物を捕捉した。
我々は、すべてのドナーに由来する糞便マイクロバイオータにより発酵されたすべてのデンプン基質について、ブタン酸(酪酸)の産生における一貫した増加を観察した。興味深いことに、試料のいずれにおいても酢酸は検出されず、他の研究は他のSCFAと比較して最高量を報告しているので、これは意外であった。しかしながら、酪酸の産生は酢酸に依存し、酪酸産生の〜80%がブチリルCoA:アセチルCoAトランスフェラーゼパスウェイを通した酢酸の細胞外変換に起因することが示されている。SCFA産生における変化について48時間時点のみが解析されたので、これらの試料中の酢酸のほとんどがマイクロバイオータにより酪酸に変換された可能性がある。よって、酢酸の産生および枯渇の動態を解明するには、より早期の時点を調べる必要があり得る。
プロパン酸およびペンタン酸の両方の産生は、ドナー9からの糞便マイクロバイオータでの発酵においてのみ検出された。糞便マイクロバイオータの個体間のばらつきは異なる機能的能力をもたらすことが提唱されており、これはこの研究において使用された3人の糞便ドナーが異なる代謝物の集団の産生をもたらした理由についてのもっともらしい説明となり得る。同様の結果が以前報告されており、ある研究は、肥満マウスが増加した食物エネルギー摂取容量を有し、これがそれらの糞便マイクロバイオータの組成に関連していることを示した。肥満は、宿主により吸収され、エネルギー源として使用される、SCFAを産生する発酵容量の増加から生じ得る。これは産生された代謝物に関して3人の糞便ドナー間で観察された異なる結果のいくつかを説明し得る。
この研究では、複数の代謝物の検出を可能にする技術を使用したにもかかわらず、固有のまだ報告されていない発酵代謝物は検出されなかった。しかしながら、観察された結果は、個体間で固有の発酵プロファイルが生成されたという仮説を支持した。さらに、PCAにより決定されたように、デンプン基質間には産生された代謝物における相違が存在するようであったが、統計的に有意なOPLS−DAモデルで確認することはできなかった。このため、異なるデンプン基質に応じたマイクロバイオータ試料の発酵プロファイルを決定する将来の研究は、(あまり包括的ではないが)より簡単な標的メタボロミクス技術を使用する解析から恩恵を受けるかもしれない。標的アプローチはまた、より定量化可能な結果をもたらし、異なるデンプン基質の発酵により産生される代謝物間の顕著な相違のより良好な解明を可能にし得、この研究におけるGC−MSを使用する非標的解析は、いずれのこうした相違も検出しなかった。
PhAST Blue
安定な単段階ケモスタット培養物から誘導された糞便コミュニティの小規模バッチ発酵に由来するDNAのDGGE解析は、48時間の発酵後のコミュニティダイナミクスに対するかなりの変化を明らかにした。バッチ発酵は閉鎖系であるので、観察される変化は、死細胞に由来するDNAの増幅により歪んでいる場合がある。この問題を解決する1つの方法は、生細胞からのDNAの差動増幅の使用によるものである。PCR増幅前に環境試料を処理するエチジウムモノアジド(EMA)の使用は、試料中の細胞外DNAおよび、瀕死であり、よってEMA取り込みに対して透過性である細胞からのDNAの増幅を防止し、一方で生細胞中のDNAは化学物質から保護される。PhAST Blueキットは研究の終わり際に使用可能となり、このようなものとして、分子解析前に糞便コミュニティを処理する手段としてのこの技術の再現性を決定するのに、手短にのみ評価された。この研究では、PCR増幅前のEMA処理は、未処理試料と比較して、依然としてレプリケート間の類似性度を維持しながら、いくつかのバンドにおける一貫したシグナル低減およびDGGEゲル上の他の強度における増加を示した(図21)。したがって、この方法が、死細胞に由来するDNAを標識するための信頼性および再現性のある方法であることを示している。これは、水リザーバーからの成熟バイオフィルムを解析する別の研究により観察される結果に類似する。この報告書の著者は、しかしながら、この手順を、バイアスを導入することなく、広範囲の微生物種に適用することができることを確認するには、より多くの研究が完了されなければならないので、これらの結果を解析する際にはいくらか注意を払わなければならないことに言及している。EMA処理は、しかしながら、生存細胞集団のみを標的とする簡単な予備処理を提供することにより、微生物コミュニティにおける変化を解析する際の分子技術の感度を向上させる、微生物生態における非常に貴重な方法であることを証明し得る。容器内で起こるコミュニティレベルの変化をより正確に明らかにし得るので、将来の研究は、短期バッチ発酵および長期ケモスタット研究の両方の解析に、この技術の使用を組み込むべきである。
ケモスタット供給試験
遠位結腸を模倣するツイン容器単段階ケモスタットは、各種ストレッサーに応じた腸内マイクロバイオータにおける摂動を再現可能に研究する効果的な手段であることが示されている。プレバイオティクス基質の発酵特性は、様々な連続培養モデルを使用して研究されている。これらの実験の多くは、しかしながら、観察された変化がコミュニティのインビトロモデルへの適合によるものではないことを確認するための対照容器を欠き(容器ベースラインがその独自の対照として使用された)、または実験前に適切な定常状態のコミュニティを構築するのに失敗した。この研究では、我々は、複雑なヒト供給試験の代替としての糞便微生物コミュニティが播種されたツイン容器単段階ケモスタットの使用を確認することを目的とした。我々の知る限りでは、これはインビボ供給試験を模倣するインビトロモデルの培地を補充するのに予備消化基質が使用された最初の例である。
ツイン容器単段階ケモスタットは、改変培地(RS+およびCS+)の開始後、両方のドナー(5および9)からの糞便コミュニティについてコミュニティ変化を示した。ツイン容器のSI%は、模擬供給試験の経過にわたって低下し、2つのデンプン基質が糞便コミュニティに対して異なる効果を有したことを示した。基本培地供給に戻る際、ツイン容器のSI%は増加し始め、容器が供給試験の開始時のような基本状態へと戻っていたことを潜在的に示した。
V5−2がランの経過全体を通してV5−1よりもはるかに高い割合でのベースの添加を必要としたことが観察されたので、ドナー5糞便が接種されたツイン容器間で見られた低い類似性は、定常状態の構築中のコミュニティにおける相違によるものであり得る。しかしながら、コミュニティダイナミクスで観察された傾向は、定常状態のコミュニティにおける相違にかかわらず、ドナー9からの糞便マイクロバイオータが接種されたツイン容器で見られたものに類似する。
ツイン容器単段階ケモスタットの使用は、試験される基質への曝露前に糞便コミュニティを安定なインビトロ状態へ移行させることを可能にするので、より従来的なバッチ培養発酵に対して異なる利点を有することが見出された。さらに、ツイン容器単段階ケモスタットは、短い実験窓のみを有するバッチ培養物とは対照的に、変動する基質量および治療時間の効果を研究することを可能にする。このようなものとして、ツイン容器単段階ケモスタットを対照実験に効果的に使用し、宿主から独立した腸内微生物生態系に、プレバイオティクスを供給する、または他の摂動を導入する効果を調査することができる。
結論および追加の実施形態
RSは、糞便マイクロバイオータの調節を通してヒトの健康を向上させる顕著な潜在能力を有する、証明されたプレバイオティクスである。広範囲のデンプンが豊富な食物に由来するRSの多数の形態は、個体の糞便マイクロバイオータ内、および異なる個体のマイクロバイオータ間の両方で、様々なプレバイオティクス効果を有することが示されている。完了された研究はここで、プレバイオティクス潜在能力が増加した変性デンプン基質のスクリーニングおよび同定のための基礎を提供する。DGGEは、デンプン基質間のコミュニティプロファイル変化を明確に判別した。検出することができた代謝物のスペクトルを拡幅する試みにおいてSPME GC−MSが使用されたが、SCFA(特に酪酸)の増加のみが一貫して観察された。これは、デンプン基質間の相違を決定する将来の試みが代謝物における変化を、特にSCFAに注目して測定すべきであり、非標的方法とは反対の定量的標的代謝アプローチを使用して達成するのが良いかもしれないことを示す。
追加の実施形態
これらの系統が最大量のRSを含有し、糞便マイクロバイオータに対する最大の効果を有すると考えられたので、変性デンプン、特にCg102ae1−refおよびCg102ae1−Elmoreの、プレバイオティクス潜在能力のさらなる評価を調査する。Cg102ae1−refおよびCg102ae1−Elmoreの、これらを必要とする患者への投与は、腸内マイクロバイオームにおける少なくとも1つの細菌株の増殖を促進することができる。
また、16S rRNAコミュニティプロファイリングの使用は、デンプン基質に応じて起こっているコミュニティ組成変化を解明するのに使用することができる。これは、宿主および発生期の微生物コミュニティの両方に対する有益な効果に関連する生化学プロセスで、分類群の富化に関してより大きなプレバイオティクス潜在能力を有する基質をさらに同定するのに役立つだろう。さらに、広範囲の食ライフスタイルをカバーする、何人かの個体からの糞便コミュニティの個体間応答は、所定のデンプン基質を最適に利用する傾向があるコミュニティ構造をより良好に特徴付けることができる。
探究すべき別の考えられる道は、これらのプレバイオティクスが、IBDまたは潰瘍性大腸炎を患っているような、腸内毒素症を有する個体にどのように影響を及ぼすかであり得る。「腸内毒素症」とは、微生物生態に関する十分に理解されていない状況を表す、きちんと定義されていない用語であるので、この研究において開発された方法は、所定の生態系が基質を効果的に利用することができないことに関する腸内毒素症の基礎となるメカニズムのより良好な理解に寄与し得る。
この研究において記載されているモデルはインビボ環境を模倣するが、それらは宿主応答を容易にモデル化することができない。ヒトまたは動物モデルにおける将来の研究は、潜在的なプレバイオティクス基質のプレバイオティクス性質を確認するために行われるだろう。しかしながら、糞便バッチ発酵およびケモスタットモデルを使用し、候補デンプンおよび他の基質をそれらのプレバイオティクス潜在能力について費用効果的にスクリーニングすることができる。デンプン生合成の理解の向上と共にヒトの糞便マイクロバイオータおよびそれらの機能的能力を定義する因子ならびに消化性に影響を及ぼす因子についての継続的な研究は、本研究を推進し続け、個別化された健康および栄養の新時代をもたらすだろう。
細菌コミュニティ
このレポートにおいて概説されている研究デザインにはいくつかの制約がある。起こり得るエラーの主な要因の1つは、高レベルのデータセットの手動操作であり、これはヒューマンエラーの発生を助長している。競合を解決し、データを選別するのに選択された方法は理想的ではなく、将来的には、さらに自動化されたプログラミングベースのアプローチが、これらの考えられるエラー要因の多くを排除し、結果の妥当性を向上させるだろう。
この研究のデザインにおける第2の大きな問題は、細菌の代謝および生化学パスウェイについての一般的な知識の欠如である。重要な未知の細菌パスウェイの可能性の問題は、重要な種を正しく同定できないこと、および冗長性の誤同定を助長する。解析におけるノードおよびパスウェイの両方の調査によってこのエラー要因の修正を試みたが、これがすべての未知の可能性を説明するわけではない。同様に、プログラムiPath2.0の使用も、プログラムが考えられるすべてのパスウェイを含むわけでも、すべての既知のKEGGオーソロジー割り当てを説明するわけでもないので、特定の未知の要素を導入することになる。このプロジェクトにおけるKEGGオーソロジー割り当ての比較は、簡潔さと理解しやすさの両方のために、iPath2.0プログラム内で使用されるもののみに注目した。しかしながら、これは、RePOOPulate生態系の33のゲノムにおいて同定された4210のKO IDのうち、比較に含まれたのは1536のみであり、この解析では2674のKO IDを調査せずに残すことを意味した。
したがって、細菌の代謝および生化学パスウェイに関する我々の理解が向上すれば、これらのパスウェイに関するこの情報は、本発明の実施形態に組み込まれるだろう。
このレポートの第II部において概説されている解析は、33の元の細菌株のうちの22のみが固有のパスウェイにマッピングすることを明らかにした。これは、これらの種のいくつかまたはすべてが生態系内の「キーストーン」種であり得ること、および他の種が冗長である可能性があり得ることを示す。この解析は、生態系内の特定のレベルの冗長性が必要であり得、調査されていない特定の細菌相互作用が生態学的に必要であり得、または未知の細菌パスウェイがコミュニティの生態学的均衡において役割を果たし得るという事実は説明しない。これらの種のうちの9つのみが「健康な」微生物コミュニティの例においても見られる固有KO IDを有していたことにも言及しておかなければならない。ヒト腸内の生態系内の均衡に必要な「キーストーン」種およびパスウェイを絶対的に定義するには、さらなる研究が必要である。
RePOOPulate生態系内の冗長性を探す最終比較は、RePOOPulateプロジェクトの人工のコミュニティと比較して天然の「健康な」ヒト腸内細菌集団を調査するようにデザインした。「健康な」細菌集団はまだ明確に定義されていないので、これは困難であった。「健康な」ヒト腸内マイクロバイオームを表すために選択されたこの研究データは、時間制限のため選択され、そのデータは、容易に入手可能であり、既にこの研究において使用されるパスウェイ解析プログラムのための正しいフォーマットであった。しかしながら、データのソースは、全員日本人の祖先を持つ13人のみの個体についてのデータを含有し、発達段階初期の腸内マイクロバイオームの動的な性質のためエラー要因となり得る、乳児のデータも含んでいたので、理想的ではなかった。すべての糞便試料が日本人の個体からのものであるという事実も、ヒト対象にわたる多様性の欠如および日本人特有の食事の両方のため、データにおけるエラー要因となり得る。以前の研究は、日本人が、日本人の食事における高レベルの海藻およびこの食物源を分解する腸内細菌の要件のため、海洋細菌に由来する遺伝子をより豊富に有することを示している。導入されたこれらの海洋細菌遺伝子は、データセットにおいて見られるパスウェイに影響を及ぼし得る。もし時間が許したならば、より良好なデータソースはHuman Microbiome Projectまたは欧州主導のMetaHitであり、より典型的な北米人の腸内マイクロバイオームのデータソースを提供したであろう。
例:細菌コミュニティの形成
RePOOPulate生態系を最適化するプロセスにおける次のステップは、明らかに冗長な種および株の除去によって生態学的な均衡が保たれているかを確認するための、培養おける、提案された細菌コミュニティの実際の形成を含む。この研究において用いられるメタゲノムアプローチは、同定された遺伝子が発現されているか、およびどのレベルにあるかを識別することができないので、メタトランスクリプトームアプローチによってコミュニティの実際の機能活性も調査されるべきである。メタトランスクリプトームは、相補的DNAに変換され、ハイスループットプラットフォームで配列決定された、コミュニティから単離されたメッセンジャーRNAを使用する。このアプローチは、微生物生態系における遺伝子発現の特徴付けを可能にし、全体としてのコミュニティの相互作用のより良い理解をもたらすだろう。したがって、こうした細菌コミュニティの形成後、細菌コミュニティは、腸内毒素症(これらに限定されないが、例えば、IBD、IBS、UC、癌関連腸内毒素症、等)を患う患者に投与され、患者は胃腸病理の向上を示すだろう。
結論
この研究の第I部において概説されている証拠は、調査された6つの種のうちの5つにおける冗長性を明確に示す。第II部において概説されている証拠は、あまり明確ではないが、RePOOPulate生態系内でいくつかのさらに冗長な種が見られ得るといういくつかの徴候がある。第III部における最終解析は、RePOOPulateコミュニティが健康なヒト腸内マイクロバイオームの代謝および制御パスウェイを非常に忠実に模倣することを示す。この比較は、元の33ではなく22の種からなる生態系が、機能性または生態学的な均衡を損なうことなく、より経済的な人工細菌コミュニティをもたらす可能性があることも示す。この理論を試験するには、細菌培養でのさらなる研究が必要である。

Claims (6)

  1. 標的細菌系からの少なくとも1つの細菌種を富化する方法であって、
    前記標的細菌の生態系を、単段階ケモスタット中の培地において、(i)約5〜約290時間のシステム滞留時間、(ii)約37℃の温度、(iii)約6.8〜7のpH、および(iv)少なくとも1つの細菌種を富化するのに十分な時間のケモスタットに対する嫌気条件の維持の条件下で培養することを含み、
    前記培地が、調製されたデンプン基質を含み、
    前記標的細菌系が、抗生物質で少なくとも6か月間治療されていない患者から得られた糞便由来試料である、方法。
  2. 前記調製されたデンプン基質が、メイズ基質、コーン基質、コムギ基質、オオムギ基質、マメ基質、オートムギ基質、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記調製されたデンプン基質が、メイズ基質である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つの細菌種が、バクテロイデス属種(Bacteroides spp.)、アトポビウム属種(Atopobium spp.)、ルミノコッカス・ブロミイ(Ruminococcus bromii)、ラクトバチルス・ガッセリ(Lactobacillus gasseri)、およびパラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記患者が抗生物質で少なくとも1年間治療されていない、請求項1に記載の方法。
  6. 前記システム滞留時間が、約20〜70時間である、請求項1に記載の方法。
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