JP2018522752A - 湿式オフセット印刷プロセス用の環境に優しい湿し水、及び湿式オフセット印刷プロセス - Google Patents

湿式オフセット印刷プロセス用の環境に優しい湿し水、及び湿式オフセット印刷プロセス Download PDF

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Abstract

本発明は、酸化乾燥型インクをベースにした、湿式オフセット印刷プロセス用の環境に優しい湿し水の分野に関する。特に本発明は、セキュリティ文書上にセキュリティ機能を生成するための湿式オフセット印刷プロセスの分野に関する。本発明は、湿式オフセット印刷プロセスによってセキュリティ機能を生成するための方法であって、1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩を含む湿し水を使用することによって実施される方法、並びに湿し水及びその濃縮物を提供する。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
[発明の分野]
[001]本発明は、酸化乾燥型インクをベースにした、湿式オフセット印刷プロセス用の環境に優しい湿し水の分野に関する。特に、本発明は、セキュリティ文書上にセキュリティ機能を生成するための湿式オフセット印刷プロセスと、このプロセスで使用される湿し水と、湿し水濃縮物とに関する。
[発明の背景]
[002]オフセット印刷プロセスは、印刷版からインクをブランケット胴に転写し次いで上記インクを基材上に転写する、間接方法からなる。したがって、ブランケット胴には、印刷版によってインクが付けられる。オフセット印刷は、印刷版の画像領域と非画像領域との間の表面エネルギーの差を利用する。画像領域は親油性であり、それに対して非画像領域は親水性である。このように、この方法で使用される油状インクは、画像領域に接着し且つ印刷版の非画像領域から弾かれる傾向がある。湿式オフセット印刷は、湿し水(当技術分野では、給湿液とも呼ぶ)と親油性インクとの両方を印刷版表面に供給して、画像領域にインクを優先的に受容させ且つ非画像領域には湿し水を優先的に受容させ、次いで画像領域上に堆積されたインクを基材上に転写することによって、典型的には実施される。
[003]従来の湿式オフセット印刷プロセスでは、印刷版を湿し水で湿らせ、したがって印刷版の画像と非画像領域との間の表面エネルギーの差を増大させ、それによって非画像領域のインク忌避性と画像のインク受容性とを強化する。そのようなプロセスでは、水が、印刷版の親水性領域(即ち、非画像領域)上に被膜を形成するが、撥水領域(即ち、画像領域)上では小さい液滴に収縮する。インクが付いたローラを、給湿された印刷版上に通すとき、水の被膜により覆われた領域にインクを付けることはできないが、撥水領域上では液滴を脇へ押しのけ、これらのインクを上に押し遣る。言い換えれば、湿し水は、印刷版の非画像領域上へのインクの転写が防止されるよう、画像と非画像領域とを分離するのに使用される。さらに湿し水は、非画像領域を素早く、均一に、且つ過不足なく濡らすこと;油状インクとの均質なエマルジョンを素早く生成すること;印刷版を腐食及び摩耗から保護すること、及びインクトレイン内で低く一定の温度を維持することを含めた、様々な仕事を行わなければならない。
[004]酸化乾燥型インク(即ち、酸素の存在下、特に大気の酸素の存在下、酸化によって乾燥するインク)が、オフセット印刷プロセスにおいて典型的には使用される。酸化乾燥型インクは、酸化プロセスを設定するのに、触媒又は乾燥剤(当技術分野では、シッカチーフ、シッカチーフ剤、デシケート、又はデシケータとも呼ぶ)を含むことが好ましい。乾燥剤の例には、金属(複数可)の無機又は有機塩、有機酸の金属石けん、金属錯体、及び金属錯体塩が含まれる。公知の乾燥剤は、例えば、コバルト、銅、マンガン、セリウム、ジルコニウム、バリウム、ストロンチウム、リチウム、ビスマス、カルシウム、バナジウム、亜鉛、鉄、及びこれらの混合物などの金属を含む。特にコバルト塩は、その高い酸化効率及びその堅牢性に起因してインク及びコーティング用の乾燥剤として広く使用されており、即ち、その効率は、コーティングの組成とは無関係のままである。
[005]インクを素早く乾燥させることに失敗すると、セットオフが生ずる。セットオフは、印刷基材の積層中、プレス機から離れるときに、乾燥していない印刷インクが、上面に配置された印刷基材の裏面に接着するときに生ずる(例えば、米国特許第4,604,952号参照)。これは、セキュリティ機能を生成するためのオフセット印刷加工の使用における、特有の問題である。紙幣及びその他のセキュリティ文書は、次々に付着される多数の重ねられたセキュリティ機能を、典型的には保持する。先に付着されたセキュリティ機能、例えば背景画像又はグラフィックパターンがまだ十分に乾燥していない場合、多重ステップ印刷プロセス全体が遅延する。
[006]乾燥プロセスの加速を目的として、乾燥剤、特にコバルト含有乾燥剤を、湿し水に添加することが実施されてきた。インク及び湿し水が不混和性であっても、ある量の湿し水は、版からインクローラへ相変わらず移される。それによって乾燥剤は、インクシステム内に運ばれ、インク中で乳化するようになる(例えば、米国特許第3,354,824号参照)。
[007]特開2001341458号公報は、紙上でのインクの酸化乾燥の乾燥プロセスを加速させる乾燥剤として脂肪酸金属塩を含む、リソグラフィ印刷プロセス用の湿し水を開示する。開示された脂肪酸金属塩は水溶性ではないので、これらの塩は多孔質粒に、特に水中に分散された平均サイズが0.1μm〜10μmの疎水性シリカ粒子に吸収される。したがって、そのような疎水性粒子は沈殿し易く、したがって、保存及びオフセット印刷機での使用による安定性の欠如を被る湿し水がもたらされる。この記述は、例えば、コバルト、マンガン、鉛、鉄、カルシウム、セリウム、又は希土類金属を、脂肪酸金属塩の金属成分として使用することができると述べている。特開2001341458号公報に開示された唯一の例は、コバルト含有脂肪酸塩である。コバルト含有化合物(水溶性及び水不溶性)は、健康及び環境に対するSVHC(高懸念物質)として分類される。
[008]健康及び環境の理由によりコバルト含有化合物に関して増大する懸念に起因して、且つ多量の湿し水が使用されその結果多量の廃棄物が生成されるので、環境に優しい湿し水が非常に求められている。
[009]このように、基材上にセキュリティ機能を生成するための付着インクの乾燥性能に影響を及ぼすことのない、室温での保存による安定性と印刷機での使用による低温での安定性とを組み合わせた環境に優しい湿し水を使用する湿式オフセット印刷プロセスが、依然として求められている。
[発明の概要]
[010]したがって本発明の目的は、上記論じた従来技術の欠点を克服することである。この目的は、湿式オフセット印刷プロセス用の、特に間接湿式オフセット印刷プロセス用の、湿し水中の添加剤として、1種又は複数の水溶性の健康及び環境に優しいC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩、好ましくはC1〜C3モノカルボン酸のマンガン(II)塩、より好ましくはC1又はC2モノカルボン酸のマンガン(II)塩(即ち、ギ酸マンガン(II)及び酢酸マンガン(II))の使用を行うことによって、達成される。
[011]湿式オフセット印刷プロセス、特に間接湿式オフセット印刷プロセスによってセキュリティ機能を印刷する方法であって、
a) 1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩、好ましくはC1〜C3モノカルボン酸のマンガン(II)塩、より好ましくはC1〜C2モノカルボン酸のマンガン(II)塩(即ち、ギ酸マンガン(II)及び酢酸マンガン(II))を含む湿し水で、印刷版を濡らすステップと、
b) 印刷版に、酸化乾燥型インクを付けるステップと、
c) 酸化乾燥型インクを、オフセット印刷機の印刷版から、先に説明したオフセット(「ブランケット」)胴を介して基材に転写して、基材上にセキュリティ機能が形成されるようにするステップと
を含む方法についても、本明細書に記述され且つ特許請求の範囲に記載される。
[012]本明細書には、湿式オフセット印刷プロセスによって、好ましくは本明細書に記述されるものなどの間接湿式オフセット印刷プロセスによって、セキュリティ機能を生成するための、本明細書に記述される1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩、好ましくはC1〜C3モノカルボン酸のマンガン(II)塩、より好ましくはC1〜C2モノカルボン酸のマンガン(II)塩(即ち、酢酸マンガン(II)及びギ酸マンガン(II))を含む湿し水の使用についても記述され且つ特許請求の範囲に記載される。
本明細書に記述され且つ特許請求の範囲に記載される湿し水は、本明細書に記述される1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩、好ましくはC1〜C3モノカルボン酸のマンガン(II)塩、より好ましくはC1〜C2モノカルボン酸のマンガン(II)塩(即ち、ギ酸マンガン(II)及び酢酸マンガン(II))を含み、上記マンガン(II)塩は、有害な化合物として分類されないものである。本発明は、詳細には、湿式オフセット印刷プロセスに適切な湿し水であって、1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩と、
(a) 酸、
(b) その他のpH調節化合物であり、酸及び別のpH調節化合物が任意選択で一緒に緩衝剤を形成する、その他のpH調節化合物、
(c) 水溶性有機溶媒、
(d) 界面活性剤、
(e) ポリマー減感剤、及び
(f) キレート化剤
から選択される少なくとも1種の成分と
を含む、湿し水に関する。
[013]さらに、本明細書に記述される湿し水中の、本明細書に記述される1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩、好ましくはC1〜C3モノカルボン酸のマンガン(II)塩、より好ましくはC1〜C2モノカルボン酸のマンガン(II)塩(即ち、ギ酸マンガン(II)及び酢酸マンガン(II))の存在は、水溶性又は水分散性の乾燥剤が無い湿し水に比べ、湿式オフセット印刷プロセスによって付着された酸化乾燥型インクの乾燥時間を大幅に減少させる。
[014]したがって、本発明の湿し水、及びその湿式オフセット印刷プロセスでの使用、特に間接湿式オフセット印刷プロセスでの使用は、水溶性又は水分散性乾燥剤の無い湿し水に比べ、オクタン酸コバルトなどの有害な金属錯体乾燥剤を一般に含有する酸化乾燥型インク中の乾燥剤(複数可)の量も低減させる。
[015]本発明による湿し水の別の利点は、特開2001341458号公報に開示されたものなどの乾燥剤を含有する湿し水に比べ、1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩の高い溶解度に起因してその工業的調製が容易であり単純明快であることである。
[016]本発明は、本発明の湿し水が調製されるよう水で希釈することができる、以下に記述され且つ特許請求の範囲に定義される湿し水濃縮物にも関する。
[詳細な説明]
定義
[017]以下の定義は、説明及び特許請求の範囲で使用される用語の意味を明らかにする。
[018]本明細書で使用される不定冠詞「a」は、1並びに1超を示し、必ずしもその指示対象を単数に限定するものではない。
[019]本明細書で使用される「約」という用語は、問題となっている量、値、又は限界が、指示される特定の値、又はその近隣の何等かのその他の値であってもよいことを意味する。一般に、ある特定の値を示す「約」という用語は、その値の±5%以内の範囲を示すことを意図する。例えば、「約100」という文言は100±5の範囲を示し、即ち95〜105の範囲を示す。一般に、「約」という用語が使用される場合、本発明による類似の結果又は効果を、指示される値の±5%の範囲内で得ることができると予測することができる。しかし、「約」という用語で補われた特定の量、値、又は限界は、本明細書では、まさにその量、値、又は限界もそのままで、即ち「約」を補わずに開示するものとする。
[020]「水溶性」という用語は、使用される量における、室温(25℃)での水への溶解性を指す。例えば成分を、本発明の湿し水中0.01〜99.9重量%の量で、好ましくは0.1〜99重量%の量で、より好ましくは0.5〜90重量%の量で、さらにより好ましくは1〜50重量%の量で使用できる場合、この重量範囲で25℃の水に完全に溶解するなら水溶性である。
[021]本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、上記群の要素の全て又はただ1つのいずれかが存在していてもよいことを意味する。例えば、「A及び/又はB」は、「Aのみ、Bのみ、又はAとBの両方」を意味するものとする。「Aのみ」の場合、この用語は、Bが存在しないこと、即ち「AのみでBが無い」可能性も包含する。
[022]本明細書で使用される「含む」という用語は、非排他的であり且つ限定的でないことが意図される。したがって、例えば、化合物Aを含む湿し水は、Aの他にその他の化合物を含んでいてもよい。しかし、「含む」という用語は、その特定の実施形態として「〜から本質的になる」及び「〜からなる」という、より制限的な意味も包含し、したがって例えば、「化合物Aを含む湿し水」は(本質的に)化合物Aかなるものであってもよい。
[023]本発明の記述が「好ましい」実施形態/特徴を指す場合、これらの「好ましい」実施形態/特徴の組合せも、この「好ましい」実施形態/特徴の組合せが技術的に意味のあるものである限り、開示された通りに考えられるものとする。
[024]「セキュリティ機能」という用語は、認証の目的で使用することができる画像、パターン、又はグラフィック要素を示すのに使用される。
[025]「セキュリティ文書」という用語は、少なくとも1つのセキュリティ機能によって、偽造又は不正から通常は保護される文書を指す。セキュリティ文書の例には、限定するものではないが有価文書及び有価商品が含まれる。
[026]本発明の特定の実施形態の記述を、例示及び記述の目的で提示する。これらの記述は、網羅的なことを意図するものではなく、又は本発明を、開示された厳密な形態に限定することを意図するものでもなく、明らかに、上記教示に照らして多くの修正及び変更が可能である。例示的な実施形態は、本発明の原理及びその実際の適用例を最も良く説明し、それによって当業者が、本発明及び様々な実施形態を、企図される特定の使用に適切な様々な修正と共に最も良く使用できるようにするために、選択し記述した。
[027]本発明は、湿式オフセット印刷プロセスによって、基材上にセキュリティ機能を生成(印刷)するための方法を提供する。湿式オフセット印刷は、典型的には、湿し水(当技術分野では、「給湿液」とも呼ばれる)と親油性インクとの両方を印刷版の表面に供給して、画像領域でインクを優先的に受容させ且つ非画像領域で湿し水を優先的に受容させ、次いで画像領域上に堆積されたインクを基材上に転写することによって実施される。
[028]従来の湿式オフセット印刷プロセスでは、印刷版を湿し水で湿らせ、従って印刷版の画像と非画像領域との間の表面エネルギーの差を増大させ、それによって非画像領域のインク忌避性と画像のインク受容性とを強化する。そのようなプロセスでは、水が、印刷版の親水性領域(即ち、非画像領域)上に被膜を形成するが、撥水領域(即ち、画像領域)上では小さい液滴に収縮する。インクが付いたローラを、給湿された印刷版上に通すとき、水の被膜により覆われた領域にインクを付けることはできないが、撥水領域上では液滴を脇へ押しのけ、これらのインクを上に押し遣る。言い換えれば、湿し水は、印刷版の非画像領域上へのインクの転写が防止されるよう、画像と非画像領域とを分離するのに使用される。
[029]基本的に、湿し水を印刷版に運ぶ2つのプロセスが存在する。いわゆる「直接」プロセスでは、湿し水は、均一な、厳密に計量された被膜を、印刷版に直接接触している給湿ローラに提供する役割をする、一連のローラによって輸送される。そこでは湿し水の被膜が非画像領域の表面に創出され、画像領域の表面では小さい液滴に収縮する。これとは別に、インクは、一連のローラによって、先に給湿された印刷版に直接接触するインクローラに輸送される。したがって画像領域上の湿し水の被膜は、乳化してインクになり、それに対してインクは、非画像領域によって忌避される。次いでインクエマルジョンは、ブランケット胴を通って物品又は印刷基材に転写され、その結果、画像が発生する。「間接」プロセス(当技術分野では、ダールグレン(Dahlgren)プロセスとも呼ぶ)では、湿し水が、1つ又は複数の(一連の)ローラによってインクローラに運ばれる。したがって、インク中の湿し水のエマルジョンは、印刷版に接触する前に創出され、したがってその品質は改善される。次いでエマルジョンは印刷版に転写される。残りのステップは、直接プロセスと同一である。ダールグレンシステムでは、印刷版はインクローラのみに接触し、即ち湿し水は、給湿ユニットローラから1つ又は複数のインクローラを用いて、通常はフォームローラの1つを用いて、印刷版に運ばれなければならない。このタイプのシステムは、米国特許第3,625,715号に開示された水溶性グリコール又は米国特許第3,168,037号に開示された揮発性アルコールなどの水輸送添加剤の補助を必要とする。本発明は、好ましくは「間接」湿式(給湿)プロセスを利用し、即ち印刷版は間接的に濡れる。
[030]両方のプロセスにおいて、湿し水は、非画像領域を素早く、均一に、且つ過不足なく濡らすこと;油状インクとの均質なエマルジョンを素早く生成すること;印刷版を腐食及び摩耗から保護すること、及びインクトレイン内で低く一定の温度を、典型的には5〜15℃の間の温度を維持することを含めた、様々な仕事をこなさなければならない。
[031]本発明の湿し水は、1種又は複数の水溶性の、健康及び環境に優しい、C1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩、好ましくはC1〜C3モノカルボン酸のマンガン(II)塩(即ち、ギ酸マンガン(II)、酢酸マンガン(II)、及びブタン酸マンガン(II))、より好ましくはC1〜C2モノカルボン酸のマンガン(II)塩(即ち、ギ酸マンガン(II)及び酢酸マンガン(II))含む、水性組成物である。モノ−又はジカルボン酸は置換されていてもよく、特に、ヒドロキシル置換基などの水溶性を増大させる置換基で置換されていてもよい。
[032]上記1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩は、上記塩の沈殿が回避されるように、約0.01重量%〜約5重量%の量で存在することが好ましく、約0.05重量%〜約2重量%が好ましく、約0.1重量%〜約1重量%がより好ましく、これらの重量パーセントは湿し水の全重量に対するものである。
[033]本明細書に記述される1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩、好ましくはC1〜C3モノカルボン酸のマンガン(II)塩(即ち、ギ酸マンガン(II)、酢酸マンガン(II)、及びプロピオン酸マンガン(II))、より好ましくはC1−又はC2−モノカルボン酸のマンガン(II)塩(即ち、ギ酸マンガン(II)及び酢酸マンガン(II))、及び水とは別に、本発明の湿し水は、以下の成分:
(a) 例えば無機又は有機酸などの酸、
(b) その他のpH調節化合物(好ましくは緩衝系をもたらす)、
(c) 水溶性有機溶媒、
(d) 界面活性剤、
(e) ポリマー減感剤、
(f) キレート化剤、
(g) 例えば、シリコーンをベースにした流体又はエマルジョンなどの消泡剤(特に、ポリジメチルシロキサン)、腐食防止剤、例えば有機亜鉛塩、水溶性無機ポリホスフェート(キレート化剤(f)として作用することもできる)、水溶性銅塩、水溶性モリブデン塩、水溶性ホウ素化合物、例えばホウ酸及びホウ酸塩、及び国際公開第98/51512号の4及び5頁に記載されているさらなるの腐食防止剤のいずれか;殺真菌剤、殺菌剤、抗生剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、及びこれらの組合せなどの、抗微生物又は殺生物剤(防腐剤);非パイリング又は潤滑添加剤、エマルジョン制御剤(成分d以外)、粘度増強成分(成分e以外);染料、及び粘着剤から選択することができる、湿し水に一般に使用される1種又は複数の他の添加剤
の1種又は複数を含んでいてもよい。
[034]一実施形態では、本発明は特に、湿式オフセット印刷プロセスに適切な湿し水であって、1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩と、
(a) 1種又は複数の酸、
(b) 1種又は複数のその他のpH調節化合物であり、酸及び別のpH調節化合物が任意選択で一緒に緩衝剤を形成する化合物、
(c) 1種又は複数の水溶性有機溶媒、
(d) 1種又は複数の界面活性剤、
(e) 1種又は複数のポリマー減感剤、及び
(f) 1種又は複数のキレート化剤
から選択される少なくとも1種の成分と
を含む、湿し水に関する。
[035]1つの好ましい実施形態では、本発明による湿し水は、pHが4〜6であり、このpHは、好ましくは緩衝剤によって調節され、好ましくはクエン酸/クエン酸塩緩衝剤によって調節される。
[036]1つのその他の好ましい実施形態では、本発明の湿し水は、ポリマー減感剤、好ましくは被膜形成ポリマー増感剤、より好ましくはアラビアゴムなどのゴムを含む。
[037]1つのその他の好ましい実施形態では、本発明による湿し水は、1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩を、0.001〜5重量%、好ましくは0.05重量%〜2重量%の量で含み、さらに、
(a) 1種又は複数の酸、
(b) 任意選択で、1種又は複数のその他のpH調節化合物であって、酸及び別のpH調節化合物が任意選択で一緒に緩衝剤を形成し、酸及び存在する場合にはその他のpH調節化合物の総量が0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜1.5重量%であるpH調節化合物、
(c) 1種又は複数の水溶性有機溶媒を少なくとも0.5重量%、好ましくは3〜20重量%、
(d) 1種又は複数の界面活性剤を0.0001〜1重量%、
(e) 1種又は複数のポリマー減感剤を0.01〜1重量%、及び
(f) 任意選択で、1種又は複数のキレート化剤を0.001〜0.5重量%、並びに
任意選択で、非界面活性剤ベースの消泡剤、腐食防止剤、防腐剤、非パイリング又は潤滑剤、エマルジョン制御剤、粘度増強成分、染料、及び粘着剤から選択される1種又は複数のその他の添加剤を、最大1重量%含み、その残りが好ましくは水であり、重量%を単位とする全ての量は、湿し水の全重量に対するものである。
[038]本明細書に記述される1種又は複数の酸の役割は、酸化アルミニウムAlの薄層を保持するアルミニウムで典型的には作製されている印刷版の、親水性を維持することである。酸の好ましい例には、限定するものではないがリン酸、及びモノ−若しくはポリカルボン酸、又はモノ−若しくはポリヒドロキシカルボン酸、例えばクエン酸、乳酸、及びコハク酸、並びにこれらのブレンドが含まれる。
[039]本発明に適切な湿し水は、好ましくはpHが約4.0〜約6.0の間、好ましくは約4.5〜約5.5の間である。必要とされるpHを維持するために且つ種々の原因、例えば水による希釈及び/又はアルカリ印刷紙基材との接触に起因したpH変動を回避するために、湿し水は、望む場合には前述の酸と一緒に必要な緩衝能を提供することができる1種又は複数のpH調節化合物を含むことができる。約4.0よりも低いpHは、ポリマー減感剤(例えば、アラビアゴム)など、湿し水中に存在するその他の成分の効率に悪影響を及ぼす可能性があり、酸化乾燥型インクの乾燥時間を増加させる可能性もある。さらに、約4よりも低いpH値は、インクトレインの金属要素の腐食のリスクを増大させる。約pH6.0よりも高いpH値は、使用される酸(例えば、リン酸)がアルミニウムの表面に存在するヒドロキシル基ともはや反応することができないので、アルミニウム印刷版の親水性を維持するのに使用される酸の効率を損ねる。1種又は複数のpH調節化合物は、上記無機酸又は有機酸のpKが所望のpH範囲に十分近いことを前提として、上述のような無機酸、有機酸の対応する塩、及びこれらの混合物から選択されてもよい。1種又は複数の酸は、本明細書に記述される湿し水中に既に存在することができるので、所望の緩衝能は、4.0〜6.0の好ましい値にpHを調節するのに必要とされる、例えばリン酸ナトリウム、NaHPO、リン酸二ナトリウム、NaHPO、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、又はこれらの混合物などの、対応する酸塩の量を添加することによって得ることができる。1つの好ましい実施形態では、本発明の湿し水は、モノ−若しくはポリカルボン酸又はモノ−若しくはポリヒドロキシカルボン酸とクエン酸/クエン酸塩緩衝剤又はリン酸ベースの緩衝剤などの対応する塩とを含有する、緩衝系を含有する。
[040]本明細書に記述される湿し水は、水溶性1価アルコール(好ましくはエタノール及び/又はイソプロピルアルコール)、水溶性多価アルコール、例えばグリコール、ポリグリコール、及びグリセロール、水溶性エーテル、水溶性グリコールエーテル、水溶性エステル、及び水溶性グリコールエステルから好ましくは選択される、1種又は複数の水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。本明細書に記述される1種又は複数の水溶性有機溶媒の役割は、湿し水の表面張力を低下させること、及び印刷版の非印刷領域を素早く効率的に濡らすことである。多価有機溶媒は、以下に説明する湿潤剤としても働くことができる。イソプロピルアルコールは、間接(ダールグレン)プロセス用の水溶性有機溶媒として使用されることが典型的である。イソプロピルアルコールの蒸気圧は非常に低いので(25℃で33.1mmHg)、イソプロピルアルコールは使用中に蒸発し、したがってインクトレイン内で低温を維持するのに、典型的には5〜15℃の間の温度を維持するのに関与し、残留物を残さない。揮発性有機化合物(VOC)及び刺激化合物として分類されるイソプロピルアルコールに関して増えつつある健康及び環境上の問題に起因して、代替例が開発されており、イソプロピルアルコールの代わりになることが提示される。それら代替例の典型的な例には、限定するものではないが多価アルコールなどの低揮発性又は不揮発性アルコール、例えばグリコール、ポリグリコール、又はグリセロール、エーテル、グリコールエーテル、エステル、及びグリコールエステル、例えば米国特許第6,436,176号に記載されているものが含まれる。グリコール、グリセロール、ソルビトール、ヘキシトール、又はポリグリコールも、米国特許第4,798,627号に記載されている湿潤効果をもたらす。本明細書に記述される1種又は複数の水溶性有機溶媒は、少なくとも0.5重量%の量で存在することが好ましく、約3〜約20重量%、例えば約0.5〜約5重量%(例えば、揮発性の1価アルコールが存在しない場合)又は約5〜約15重量%(例えば、イソプロピルアルコールなどの揮発性の1価アルコールが存在する場合)の量で存在することがより好ましく、それぞれの値は湿し水の全重量に対するものである。
[041]本発明の湿し水は、1種又は複数の水溶性界面活性剤を含んでいてもよい。1種又は複数の界面活性剤には、1種又は複数の水溶性有機溶媒に類似した機能があり、即ち、湿し水の表面張力を低減させて、上記湿し水による印刷版の非印刷領域の濡れを加速させ、インクエマルジョンの形成を助ける。さらに、1種又は複数の界面活性剤の存在により、イソプロピルアルコール又は代替の水溶性有機溶媒の量を低下させる。1種又は複数の界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物、例えば欧州特許出願公開第2098377号に記載されているものであってもよい。本明細書に記述される1種又は複数の界面活性剤は、フォームの形成を回避するために、約1重量%を超えない量で存在することが好ましく、約0.001〜約0.5重量%の量で存在することが好ましく、これらの重量パーセントは湿し水の全重量に対するものである。
[042]本明細書に記述される湿し水は、被膜形成特性を好ましくは有する1種又は複数のポリマー減感剤を含んでいてもよい。1種又は複数の減感剤の役割は、印刷版の非印刷領域を保護すること、及びその領域の親水性を維持することである。1種又は複数の減感剤は、ゴムなどの炭水化物をベースにした天然生成物から選択することができ、特にアラビアゴムである。或いは、合成ヒドロキシル化高分子化合物、又はセルロール若しくはデンプンの合成誘導体を、例えば欧州特許出願公開第2098377号に記載されるものなどの1種又は複数の減感剤として使用してもよい。本明細書に記述される1種又は複数の減感剤は、湿し水の全重量に対して、約0.01〜約5重量%の量で存在することが好ましく、約0.05〜約1.5重量%の量で存在することがより好ましい。
[043]本明細書に記述される湿し水は、1種又は複数のキレート化剤を含んでいてもよい。1種又は複数のキレート化剤の役割は、特に「硬質」水道水が使用される場合、潜在的に過剰な陽イオンを配位し又は錯体形成することである。例えば、そのような硬水中に存在するカルシウム及びマグネシウム陽イオンは、本明細書に記述される酸化乾燥型インク中に存在する脂肪酸基と反応して沈殿を誘発する可能性があり、又は炭酸カルシウムが印刷機内で析出する可能性がある。陽イオンを配位するのに適切なキレート化剤は、当技術分野では公知であり、限定するものではないがエチレンジアミン四酢酸とそのカリウム塩及びナトリウム塩、ジエチレントリアミン五酢酸とそのカリウム塩及びナトリウム塩、トリエチレンテトラアミン六酢酸とそのカリウム塩及びナトリウム塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸とそのカリウム塩及びナトリウム塩、ニトリロ三酢酸とそのナトリウム塩、有機ホスホン酸、例えば1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸と、そのカリウム塩及びナトリウム塩、メチレンホスホン酸とそのカリウム塩及びナトリウム塩、ホスホノアルカントリカルボン酸であって、例えば欧州特許出願公開第2098377号に開示されているものを含む。本明細書に記述される1種又は複数のキレート化剤は、湿し水の全重量に対して約0.001重量%〜約0.5重量%の量で存在することが好ましい。
[044]本明細書に記述される湿し水は、均質で透明な湿し水が得られるように、水と、本明細書に記述されるC1〜C3モノカルボン酸のマンガン(II)塩と、存在する場合には前述の成分(a)〜(g)の1種又は複数とを穏やかに混合することによって、調製されてもよい。
[045]本発明に適切な湿し水は、例えば地汚れ又は剥がれなどの印刷上の問題が回避されるように、好ましくは3000μS/cm以下の導電率、好ましくは500よりも高く3000μS/cm以下の導電率を有する。
[046]本発明は、1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩と、任意選択の水と、さらに
(a) 1種又は複数の酸、
(b) 1種又は複数のその他のpH調節化合物であって、酸及び別のpH調節化合物が任意選択で一緒に緩衝剤を形成するpH調節化合物、
(c) 1種又は複数の水溶性有機溶媒、
(d) 1種又は複数の界面活性剤、
(e) 1種又は複数のポリマー減感剤、及び
(f) 1種又は複数のキレート化剤、及び
(g) 非界面活性剤ベースの消泡剤、腐食防止剤、防腐剤、非パイリング又は潤滑添加剤、エマルジョン制御剤、粘度増強成分、染料、及び粘着剤から選択される、1種又は複数のその他の添加剤
から選択される少なくとも1種の成分と
を含む、湿し水濃縮物であって、非水性成分の量が、濃縮物の全重量の少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも35重量%、より好ましくは50重量%である湿し水濃縮物にも関する。この濃縮物は、本明細書に記述され且つ特許請求の範囲に記載される湿し水が得られるように、水で希釈することができる。
[047]このように、本発明の一実施形態では、本発明の湿し水濃縮物において、成分の重量比は、水で希釈した後に本明細書に記述され且つ特許請求の範囲に記載される湿し水を得ることができるようなものである。
[048]オフセット印刷プロセスは、酸化乾燥型インク(即ち、酸素の存在下、特に大気の酸素の存在下で、酸化によって乾燥するインク)を使用する。乾燥プロセス中、酸素はインクビヒクルの1種又は複数の成分と化合し、インクを半固体又は固体状態に変換する。乾燥プロセスは、1種又は複数の触媒又は乾燥剤、例えば金属塩の使用、及び/又は熱処理の適用によって、加速されてもよい。酸化乾燥型インクの従来の印刷中、乾燥プロセスは、数時間〜数日間進行する。
[049]乾燥剤の好ましい例には、限定するものではないが金属(複数可)の無機又は有機塩、有機酸の金属石けん、金属錯体、及び金属錯体塩が含まれる。公知の乾燥剤は、例えば、コバルト、銅、マンガン、セリウム、ジルコニウム、バリウム、ストロンチウム、リチウム、ビスマス、カルシウム、バナジウム、亜鉛、鉄、及びこれらの混合物などの金属を含む。特に、コバルト塩は、その高い酸化効率及びその堅牢性に起因して、インク及びコーティング用の乾燥剤として広く使用されており、即ちその効率は、コーティング組成物とは無関係に高いままである。存在する場合には、1種又は複数の乾燥剤は、酸化乾燥型インクの全重量に対して好ましくは約0.001〜約10重量%の量で存在する。
[050]湿式オフセット印刷プロセスに適切な酸化乾燥型インクは、40℃及び1000秒−1で約3〜約12Pa・秒の範囲の粘度を有することが典型的であり;この粘度は、コーンプレート1を備えたHaake Roto−Visco RV1で測定されたものである。
[051]酸化乾燥型インクは、好ましくは少なくとも1種の酸化乾燥型ワニスを含む。酸化乾燥型ワニスは、当技術分野で一般に公知のように、典型的には、不飽和脂肪酸残基、飽和脂肪酸残基、又はこれらの混合物を含むポリマーである。飽和及び不飽和脂肪酸化合物は、天然及び/又は人工の供給源から得られてもよい。本明細書に記述される酸化乾燥型ワニスは、空気乾燥特性を確実にするために、不飽和脂肪酸残基を含むことが好ましい。適切な脂肪酸は、エチレン不飽和共役又は非共役C2〜C24カルボン酸、例えばミリストレイン酸、パルミトレイン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ガドレイン酸、クルパノドン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、リカン酸、ニシン酸、及びエレオステアリン酸、又はこれらの混合物である。それらの脂肪酸は、典型的には天然又は合成油から誘導された脂肪酸の混合物の形で使用される。特に好ましい酸化乾燥型ワニスは、不飽和酸基を含む樹脂であり、不飽和カルボン酸基を含む樹脂がさらにより好ましい。しかし、樹脂は、飽和脂肪酸残基を含んでいてもよい。本明細書に記述される酸化乾燥型ワニスは酸基を含むことが好ましく、即ち、酸化乾燥型ワニスは酸修飾樹脂の中から選択される。本明細書に記述される酸化乾燥型ワニスは、アルキド樹脂、ビニルポリマー、ポリウレタン樹脂、超分岐樹脂、ロジン修飾マレイン酸樹脂、ロジン修飾フェノール樹脂、ロジンエステル、石油樹脂修飾ロジンエステル、石油樹脂修飾アルキド樹脂、アルキド樹脂修飾ロジン/フェノール樹脂、アルキド樹脂修飾ロジンエステル、アクリル修飾ロジン/フェノール樹脂、アクリル修飾ロジンエステル、ウレタン修飾ロジン/フェノール樹脂、ウレタン修飾ロジンエステル、ウレタン修飾アルキド樹脂、エポキシ修飾ロジン/フェノール樹脂、エポキシ修飾アルキド樹脂、テルペン樹脂 ニトロセルロース樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、アクリル樹脂、及びこれらの組合せ又は混合物からなる群から選択されてもよい。ポリマー及び樹脂は、本明細書では同義に使用される。
[052]本明細書に記述される酸化乾燥型インクは、当業者に公知のものなどの1種又は複数の抗酸化剤をさらに含んでいてもよい。適切な抗酸化剤には、限定するものではないがアルキルフェノール、ヒンダードアルキルフェノール、アルキルチオメチル−フェノール、オイゲノール、第2級アミン、チオエーテル、ホスファイト、ホスホナイト、ジチオカルバメート、ガレート、マロネート、プロピオネート、アセテート、及びその他のエステル、カルボキサミド、ヒドロキノン、アスコルビン酸、トリアジン、ベンジル化合物、並びにトコフェロール、及び類似テルペンが含まれる。そのような抗酸化剤は、例えば、国際公開第02/100960号に開示される供給元から市販されている。抗酸化剤に関する追加の一般情報は、Taschenbuch der Kunststoff−Additive(R.Gachter及びH.Muller,Carl Hanser Verlag Munchen Wien,2.Ausg.1983,ISBN 3−446−13689−4)又はPlastics Additives Handbook(H.Zweifel,5th Ed.2001,Hanser Publishers Munich,ISB 3−446−21654−5)に見出すことができる。ヒンダードアルキルフェノールは、フェノールヒドロキシルのオルト位に少なくとも1つ又は2つのアルキル基を有するフェノールである。フェノールヒドロキシルのオルト位にある1つ、好ましくは両方のアルキル基は、好ましくは第2級又は第3級アルキルであり、最も好ましくは第3級アルキル、特にtert−ブチル、tert−アミル、又は1,1,3,3−テトラメチルブチルである。好ましい抗酸化剤は、ヒンダードアルキルフェノール、特に2−tert−ブチル−ヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキノン、2−tert−ブチル−p−クレゾール、及び2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールである。存在する場合、1種又は複数の抗酸化剤は、約0.05〜約3重量%の量で存在し、これらの重量パーセントは、酸化乾燥型インクの全重量に対するものである。
[053]本明細書に記述される酸化乾燥型インクは、1種又は複数の染料、1種又は複数の無機顔料、1種又は複数の有機顔料、又はこれらの混合物など、1種又は複数の着色剤をさらに含んでいてもよい。
[054]本明細書に記述される酸化乾燥型インクは、炭素繊維、タルク、雲母(白雲母)、桂灰石、か焼クレー、チャイナクレー、カオリン、カーボネート(例えば、炭酸カルシウム、炭酸アルミニウムナトリウム)、シリケート(例えば、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム)、スルフェート(例えば、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム)、チタネート(例えば、チタン酸カリウム)、アルミナ水和物、シリカ、ヒュームドシリカ、モンモリロナイト、黒鉛、アナターゼ、ルチル、ベントナイト、バーミキュライト、亜鉛白、硫化亜鉛、木粉、石英粉、天然繊維、合成繊維、及びこれらの組合せからなる群から好ましくは選択される、1種又は複数の充填剤又は増量剤をさらに含んでいてもよい。存在する場合、1種又は複数の充填剤又は増量剤は、約0.1〜約40重量%の量で好ましくは存在し、この重量パーセントは酸化乾燥型インクの全重量に対するものである。
[055]本明細書に記述される酸化乾燥型インクは、合成ワックス、石油ワックス、及び天然ワックスからなる群から好ましくは選択される1種又は複数のワックスをさらに含んでいてもよい。1種又は複数のワックスは、微結晶質ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、フルオロカーボンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、フィッシャー−トロプシュ(Fischer−Tropsch)ワックス、シリコーン流体、蜜蝋、カンデリラ蝋、モンタンワックス、カルナバワックス、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。存在する場合、1種又は複数のワックスは、約0.1〜約15重量%の量で好ましくは存在し、これらの重量パーセントは酸化乾燥型インクの全重量に対するものである。
[056]本明細書に記述される酸化乾燥型インクは、磁気材料、ルミネセント材料、導電性材料、赤外吸収材料、及びこれらの組合せ又は混合物からなる群から選択される、1種又は複数の機械可読性材料をさらに含んでいてもよい。本明細書で使用される「機械可読性材料」という用語は、デバイス又は機械によって検出可能な少なくとも1つの特徴的性質を示し、且つ層に含めることによってその認証用の特定の設備を使用することにより上記層又は上記層を含む物品を認証する方法を与えるようにする、材料を指す。磁気材料は、約5〜約70重量%の量で好ましくは存在し、ルミネセント化合物は、約0.5〜約60重量%の量で好ましくは存在し、赤外吸収化合物は、約0.3〜約60重量%の量で好ましくは存在し、これらの重量パーセントは酸化乾燥型インクの全重量に対するものである。
[057]当業者に公知のように、本明細書に記述される酸化乾燥型インクは、1種又は複数の溶媒及び/又は希釈剤をさらに含んでいてもよい。
[058]本明細書に記述される酸化乾燥型インクは、下記の成分:沈降防止剤、消泡剤、界面活性剤、及びインクの分野で公知のその他の加工助剤の、1種又は複数並びにこれらの組合せを含むがこれらに限定されない添加剤を、さらに含んでいてもよい。本明細書に記述される添加剤は、本明細書に開示される酸化乾燥型インク組成物中に、粒子の寸法の少なくとも1つが1〜1000nmの範囲にあるいわゆるナノ材料の形を含めた、当技術分野で公知の量及び形で存在していてもよい。
[059]本明細書に記述される印刷方法に適切な、特に好ましい酸化乾燥型インクは、下記の成分を下記の量で含む:
[060]
Figure 2018522752
[061]本明細書に記述される酸化乾燥型インクは、本明細書に記述される全ての成分、本明細書に記述される1種又は複数の抗酸化剤、本明細書に記述される1種又は複数のワックス、本明細書に記述される1種又は複数の着色剤、場合によっては、存在する場合には本明細書に記述される1種又は複数の1種又は複数の充填剤及び/又は増量剤、及び存在する場合には1種又は複数の添加剤を、本明細書に記述される少なくとも1種の酸化乾燥型ワニスの存在下で、したがってペースト状組成物の存在下で分散、混合、及び/又はミリングするステップを含む方法によって、典型的には調製される。本明細書に記述される1種又は複数の乾燥剤は、その他全ての成分の分散又は混合ステップ中にインクに添加されてもよく、又は後の段階で添加されてもよい。
[062]本明細書に記述されるように、本明細書に記述される方法は、本明細書に記述される酸化乾燥型インクによってオフセット印刷機の印刷版にインクを付ける、インク付けステップを含み、先に説明したようにオフセット(「ブランケット」)胴を介して酸化乾燥型インクを印刷版から基材に転写して、セキュリティ機能が形成されるようにするステップを含む。
[063]基材の典型的な例には、限定するものではないが繊維ベースの基材、好ましくはセルロース繊維をベースにした基材、例えば紙、紙含有材料、ポリマーベースの基材、複合材料(例えば、紙層及びポリマーフィルムの積層によって得られる基材)、金属又は金属化材料、ガラス、セラミック、及びこれらの組合せが含まれる。ポリマーベースの基材の典型的な例は、エチレン又はプロピレンをベースにしたホモ及びコポリマー、例えばポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)で作製された基材である。複合材料の典型的な例には、限定するものではないが少なくとも1つの紙層と上述のようなポリマーを含めた少なくとも1つのポリマーフィルムとの多層構造(例えば、ラミネート)、並びにセルロース繊維と合成ポリマー繊維との混合物をベースにした紙様基材が含まれる。1つの好ましい実施形態では、セキュリティ機能は、オフセット用紙及び信用用紙から選択される基材上に印刷される。オフセット用紙は、寸法安定性、耐カール性、高表面強度、異物の無い表面、及び高レベルの耐透湿性も含めた、紙をオフセット印刷に適切なものにする性質を持つ、木質パルプセルロースから製造される。オフセット用紙の坪量は、30g/m〜250g/mが典型的であり、50g/m〜150g/mが好ましい。
[064]信用用紙(当技術分野では、証券用紙とも呼ぶ)は、リグニンを含まない綿−パルプセルロースから製造される。オフセット用紙と比べると、信用用紙の追加の性質には、高い機械抵抗(特に、引裂き及び摩耗に対する抵抗)、耐汚損性、及び微生物(細菌、ウイルス、及び真菌)による分解に対する処理が含まれる。信用用紙の機械抵抗は、合成繊維を紙(綿ベース)パルプに導入することによって高めてもよく、抗汚損性能は、紙幣のセキュリティ機能を印刷し又は付着させる前に抗汚損ポリマー層をコーティング又は印刷することによって改善されてもよい。通常、殺生物剤での処理は、抗汚損処理と組み合わされる。信用用紙は50〜150g/mの坪量を有することが典型的であり、80〜120g/mの坪量を有することが好ましい。
[065]さらに、オフセット用紙の代わりに信用用紙を使用することによって、偽造防止保護の追加の要素が付加されるが、それは信用用紙が証券用紙の製造にのみ利用可能な特殊紙作製機で製造されるからであり、且つ信用用紙が偽造者に流用されないようにサプライチェーンが保護されるからである。
[066]本明細書に記述される方法は、セキュリティ文書用の基材として適切な基材上に、セキュリティ機能を生成するのに特に適切である。1つの好ましい実施形態によれば、セキュリティ機能は、印刷されることになる基材上の背景印刷として使用される。このことは、本明細書に記述される方法によって印刷されるセキュリティ機能の最上部、即ち認証の目的で機能する画像、パターン、又はグラフィック要素で、さらなるセキュリティ機能又は非セキュリティ機能が、1つ又は複数のその他の印刷又は付着工程で印刷され又は付着され、本明細書に記述される方法によって印刷されたセキュリティ機能とその他のセキュリティ又は非セキュリティ機能とが重なることを意味する。
[067]「セキュリティ文書」という用語は、偽造又は違法な複製を潜在的に試み易くするような価値を有し且つ1つ又は複数のセキュリティ機能によって偽造又は不正から通常は保護される、文書を指す。セキュリティ文書の例には、限定するものではないが有価文書及び有価商品が含まれる。有価文書の典型的な例には、限定するものではないが紙幣、証書、チケット、チェック、バウチャー、収入印紙及び税票、契約書及び同様のもの、身分証明書、例えばパスポート、IDカード、ビザ、銀行カード、クレジットカード、取引カード、アクセス文書、セキュリティバッジ、入場券、輸送券又は権利証書などが含まれる。
[068]「有価商品」という用語は、包装材料、特に医薬、化粧品、エレクトロニクス又は食品産業用の包装材料であって、例えば真正薬品のように、包装の内容物が真正であることを保証するための1つ又は複数のセキュリティ機能を含んでいてもよいもの指す。これらの包装材料の例には、限定するものではないが認証ブランドラベル、タックスバンデロール、不正開封防止ラベル、及びシールなどのラベルが含まれる。本明細書に記述されるセキュリティ文書は、1種又は複数の追加の層又はコーティングを、本明細書に記述されるセキュリティ機能の下又は最上部のいずれかにさらに含んでいてもよい。基材と本明細書に記述されるセキュリティ機能との間の接着が、例えば基材材料、表面の不均一性、又は表面の不均質性に起因して不十分である場合、当業者に公知のように、基材とセキュリティ文書との間に追加の層、コーティング、又はプライマーを付着させてもよい。
[069]セキュリティ文書の偽造及び違法な複製に対するセキュリティレベル及び耐性をさらに増大させる目的で、基材は、すき込み、セキュリティスレッド、繊維、プランシェット、ルミネセント化合物、ウィンドウ、箔、デカール、コーティング、及びこれらの組合せを含有していてもよい。
[070]本明細書に記述される酸化乾燥型インクが表面に付着される、本明細書に記述される基材は、セキュリティ文書の固有の部分からなるものであってもよく、或いは、本明細書に記述される酸化乾燥型インクは、例えばセキュリティスレッド、セキュリティストライプ、箔、デカール、又はラベルなどの補助基剤上に付着され、その結果、個別のステップでセキュリティ文書に転写されてもよい。
[071]本明細書では、湿式オフセット印刷プロセス用の本明細書に記述される湿し水中の添加剤として、1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩、好ましくはC1〜C3モノカルボン酸のマンガン(II)塩、より好ましくはC1〜C2モノカルボン酸のマンガン(II)塩(即ち、酢酸マンガン(II)及びギ酸マンガン(II))を使用することについても記述される。
[072]本明細書では、本明細書に記述されるものなどの、湿式オフセット印刷プロセスによりセキュリティ機能を生成するための、1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩、好ましくはC1〜C3モノカルボン酸のマンガン(II)塩、より好ましくはC1〜C2モノカルボン酸のマンガン(II)塩(即ち、酢酸マンガン(II)及びギ酸マンガン(II))を含む湿し水の使用についても記述される。
[073]次に本発明について、非限定的な実施例を参照しながら、より詳細に記述する。以下の実施例は、本発明による湿し水の調製及び使用と比較データとに関するさらなる詳細を提供する。
Figure 2018522752
表1のオフセット酸化乾燥型インク組成物の調製。
酸化乾燥型インク組成物を、表1に列挙した成分を室温で混合することによって調製した。得られたペーストを、SDY300 3本ロールミルで3回すり潰した(1回目は6バールの圧力で、2回目及び3回目は12バールの圧力で)。乾燥剤を、前述の通り得られたペーストに添加し、上記のそのように得られた組成物約10gをスピードミキサー(SpeedMixer)(商標)(DAC 150 SP CM31 Hauschild Engineering製)で、2500rpmの速度で3分間、室温で混合した。約7Pa・秒の粘度が、Haake Roto Visco 1回転式レオメータ(40℃及び1000秒−1)上で測定された。
表2の湿し水の調製。
湿し水15kgは、表2に与えられた成分を指示された量で、約1分間、室温で穏やかに混合することによってそれぞれ調製した。そこで使用される塩溶液は、以下にさらに記述されるように調製した。Wassertop SF 3.0は、DC Druckchemie GmbH、ドイツから入手可能な湿し水濃縮物である。
Figure 2018522752

酸塩溶液の調製:
酢酸Mn(II)溶液(200g): 71.6gの酢酸マンガン(II)四水和物(純度99重量%、SIGMA Aldrich AG)を、500mLのガラス容器に入っている122.1gの脱イオン水に添加した。溶液を、結晶が完全に溶解するまで(15〜20分)磁気撹拌子で撹拌し、次いで6.3gの80%酢酸(Brenntag Schweizerhall AG)を添加し、溶液をさらに3〜4分間撹拌した。酢酸Mn(II)溶液は、25.3重量%の酢酸Mn(II)を含んでいた。湿し水中の酢酸Mn(II)の最終含量は、31.46g(0.21重量%)であった。
ギ酸Mn(II)溶液(500g): 33.4gのギ酸マンガン(II)二水和物(純度98重量%、Alfa Aesar)を、1Lのガラス容器に入っている466.1gの脱イオン水に添加した。溶液を、結晶が完全に溶解するまで(15〜20分)磁気撹拌子で撹拌し、次いで0.5gの80%ギ酸(Sigma Aldrich)を添加し、溶液を3〜4分間さらに撹拌した。ギ酸Mn(II)溶液は、5.24重量%のギ酸Mn(II)を含んでいた。湿し水中のギ酸Mn(II)の最終含量は、26.11g(0.174重量%)であった。
硝酸Mn(II)溶液(200g): 74.8gの硝酸マンガン(II)四水和物(純度97重量%、SIGMA Aldrich AG)を、500mLのガラス容器に入っている68.4gの脱イオン水に添加した。溶液を、結晶が完全に溶解するまで(5〜10分)磁気撹拌子で撹拌し、次いで24.0gの80%酢酸(Brenntag Schweizerhall AG)及び32.8gの酢酸ナトリウム(純度99重量%、SIGMA Aldrich AG)を添加し、溶液をさらに5〜10分間、結晶が完全に溶解するまで撹拌した。硝酸Mn(II)溶液は、25.9重量%の硝酸Mn(II)を含んでいた。湿し水中の硝酸Mn(II)の最終含量は、32.20g(0.215重量%)であった。
シュウ酸V(II)溶液: 6.65重量%のV(II)を含有する溶液(OMG Borchers)を、湿し水に直接添加した。この溶液は、18.14重量%のシュウ酸V(II)を含んでいた。湿し水中のシュウ酸V(II)の最終含量は、25.03g(0.167重量%)であった。
酢酸Co(II)溶液(500g): 酢酸コバルト(II)四水和物50.8g(純度98重量%、Brenntag Schweizerhall AG)を、1Lのガラス容器に入っている291.2gの脱イオン水に添加した。溶液を、結晶が完全に溶解するまで(15〜20分)磁気撹拌子で撹拌し、次いで2.0gの80%酢酸(Brenntag Schweizerhall AG)及び156gの脱イオン水を添加し、溶液をさらに3〜4分間撹拌した。酢酸Co(II)溶液は、7.08重量%の酢酸Co(II)を含んでいた。湿し水中の酢酸Co(II)の最終含量は、31.86g(0.212重量%)であった。
印刷方法
四角形のパターン(サイズ4.5cm×5.2cm)を、オフセット用紙(Antalis Normaset puro 100g/m、70.1cm×49.9cm)並びに信用用紙(70.1cm×49.9cm、Louisenthal BNP paper 100g/m)に、1時間当たり7500シートを印刷するHeidelberg Speed Master 74−1を使用して印刷した(実験条件:T=22℃、及び相対湿度54%)。印刷条件を表3に記述する。各実施例ごとに、合計で2000シートを印刷した。1連の1000枚の同じ紙のブランクシートを、各印刷ジョブの直後に2000枚の印刷済みシート上に置いて、標準乾燥条件をシミュレートした。オフセット酸化乾燥型インクの量は、1.2に近い光学密度が得られるように固定した。プリンタは、Alcolor連続被膜給湿システム(Dahlgrenシステム)を備えていた。インクと湿し水との比は、オーバーエマルジョン(多過ぎる湿し水を添加することによる)又はインクの不十分なエマルジョン(十分な湿し水を添加しないことによる)のいずれかが回避されるように、給湿及びインク付けローラの相対速度(単位 %)を変えることによって確立した。
Figure 2018522752
乾燥試験
各実施例ごとに、x日後(日数に関しては表4参照)にパイルの底部で印刷基材のシートを選択し、印刷パターンを切断し、それを同じ基材のブランク片で覆い、次いでそのように形成されたアセンブリに、80℃で、ORMAG Intaglio Pressにより3.4バールの逆圧をかけることによって、乾燥試験を実施した。印刷パターン及びブランク片を切り離し、ブランク片を、インク転写に関してチェックした。当初の印刷パターン及びブランク片の両方から、Konica Minolta bizhub C552カラースキャナを使用して、600dpiの解像度でスキャンを行った。各スキャン(当初の印刷パターン及びブランク片を含む)を、Photoshop CS 6で開き、当初の印刷パターン及びブランク片上への転写パターンに関して画素数を決定した。転写パターンの画素数と当初の印刷パターンの画素数との比を使用して、当初の印刷パターンからブランク片に転写されたインクの量を評価した。この比(単位 %)を、表4A(印刷工程1に関する)及び表4B(印刷工程2に関する)に示す。
Figure 2018522752
Figure 2018522752
表4A〜4Bに示されるように、本発明によるオフセット酸化乾燥型インク組成物との、酢酸マンガン(II)(E1)又はギ酸マンガン(II)(E2)を含む湿し水の使用は、任意の金属塩が無い湿し水組成物(C0)と比較して、改善された乾燥性能を示す印刷パターンをもたらした。
表4A〜4Bに示されるように、本発明によるオフセット酸化乾燥型インク組成物との、酢酸マンガン(II)(E1)を含む湿し水の使用は、酢酸コバルト(II)(C2)、硝酸マンガン(II)(C1)、又はシュウ酸バナジウム(II)(C3)を含む湿し水組成物と比較して、少なくとも同様の乾燥性能を示す印刷パターンをもたらした。しかし、酢酸(E1)又はギ酸(E2)マンガン(II)などのC1〜C3酸のマンガン(II)塩を含む本発明の湿し水は、オフセット印刷の分野で一般に使用されるその他の乾燥剤に比べ、環境に優しい溶液でありながら、室温での保存後の安定性と印刷機で使用後の低温での安定性とを組み合わせたものである。

Claims (14)

  1. 湿式オフセット印刷プロセスによって、基材上にセキュリティ機能を印刷するための方法であって、
    a) 1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩を含む湿し水で、印刷版を濡らすステップと、
    b) 前記印刷版に、酸化乾燥型インクを付けるステップと、
    c) 前記酸化乾燥型インクを、オフセット印刷機の印刷版から基材に転写して、前記基材上にセキュリティ機能が印刷されるようにするステップと
    を含む方法。
  2. ステップ(b)で、前記印刷版が間接的に濡らされる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記湿し水が、前記1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩を、前記湿し水の全重量に対して0.001〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%の量で含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記マンガン(II)塩が、ギ酸マンガン(II)及び酢酸マンガン(II)から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記基材が、紙基材と、ポリマーベースの基材と、少なくとも1つの紙層及び少なくとも1つのポリマーフィルムの積層によって得られる複合基材とから選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記紙が信用用紙である、請求項5に記載の方法。
  7. 湿式オフセット印刷プロセスに適切な湿し水であって、1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩を含み、4〜6のpHを有し、このpHが緩衝剤によって、好ましくはクエン酸/クエン酸塩緩衝剤によって調節される、湿し水。
  8. (c) 1種又は複数の水溶性有機溶媒、
    (d) 1種又は複数の界面活性剤、
    (e) 1種又は複数のポリマー減感剤、及び
    (f) 1種又は複数のキレート化剤
    から選択される少なくとも1種の成分をさらに含む、請求項7に記載の湿し水。
  9. 前記マンガン(II)塩が、ギ酸マンガン(II)及び酢酸マンガン(II)から選択される、請求項7に記載の湿し水。
  10. ポリマー減感剤、好ましくは被膜形成ポリマー増感剤、より好ましくはアラビアゴムなどのゴムを含む、請求項7、8、又は9のいずれか一項に記載の湿し水。
  11. 前記湿し水が、前記1種又は複数のC1〜C3カルボン酸のマンガン(II)塩を、0.001〜5重量%、好ましくは0.05重量%〜2重量%の量で含み、酸及びその他のpH調節化合物の総量が、0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜1.5重量%であり、前記湿し水がさらに、
    (c) 1種又は複数の水溶性有機溶媒を少なくとも0.5重量%、好ましくは3〜20重量%、
    (d) 1種又は複数の界面活性剤を0.0001〜1重量%、
    (e) 1種又は複数のポリマー減感剤を0.01〜1重量%、及び
    (f) 任意選択で、1種又は複数のキレート化剤を0.001〜0.5重量%、並びに
    任意選択で、非界面活性剤ベースの消泡剤、腐食防止剤、防腐剤、非パイリング又は潤滑剤、エマルジョン制御剤、粘度増強成分、染料、及び粘着剤から選択される1種又は複数のさらなる添加剤を、最大1重量%含み、残部が好ましくは水であり、重量%を単位とする全ての量は、前記湿し水の全重量に対するものである、請求項7、8、9、又は10のいずれか一項に記載の湿し水。
  12. 前記湿し水が湿し水濃縮物であり、非水性成分の量が、前記濃縮物の全重量の少なくとも25重量%、好ましくは少なくとも35重量%、より好ましくは50重量%である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の湿し水。
  13. 前記成分の重量比が、水での希釈後に請求項7〜11のいずれか一項に記載の湿し水を得ることができるような比である、請求項12に記載の湿し水濃縮物の形態をとる湿し水。
  14. 前記湿し水が、請求項7〜11のいずれか一項で定義される通りである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
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