JP2018521674A - プロピオネート異化を伴う障害を治療するために操作された細菌 - Google Patents

プロピオネート異化を伴う障害を治療するために操作された細菌 Download PDF

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Abstract

本開示は、プロピオネート異化酵素をコードする異種遺伝子を含む、操作された細菌細胞を提供する。他の態様では、操作された細菌細胞は、プロピオネートの輸送体またはキルスイッチをコードする少なくとも1つの異種遺伝子をさらに含む。本開示は、操作された細菌を含む医薬組成物、ならびに該医薬組成物を用いて、プロピオネートの異化を伴う障害、例えば、プロピオン酸血症およびメチルマロン酸血症を治療するための方法を提供する。

Description

関連出願
本出願は、それぞれの全体の内容が参照により本明細書に明確に組み込まれる、2015年7月31日に出願した米国特許仮出願第62/199,445号および2016年5月25日に出願した米国特許仮出願第62/341,320号の優先権の利益を主張するものである。
健常な対象では、人体は、特定のアミノ酸、例えばイソロイシン、バリン、トレオニンおよびメチオニン、ならびに奇数鎖脂肪酸をプロピオニルCoAに変換してエネルギーを作り出す(図4)。次いで酵素プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)がプロピオニルCoAをメチルマロニルCoAに変換し、次いでメチルマロニルCoAムターゼ(MUT)酵素がメチルマロニルCoAをスクシニルCoAに変換し、そのスクシニルCoAがクエン酸サイクルおよび糖新生に入る。
プロピオニルCoAまたはメチルマロニルCoAの毒性蓄積につながる酵素欠損または突然変異は、プロピオネート異化に関連する障害、例えば、プロピオン酸血症(PA)およびメチルマロン酸血症(MMA)の発生をもたらす。ビタミンB12の重度栄養障害もまたMMAにつながり得る(Higginbottomら、M.Engl.J.Med.、299巻(7号):317〜323頁、1978年)。これらの疾患では、プロピオン酸またはメチルマロン酸が血流内に蓄積して、脳、心臓および肝臓の損傷をもたらし得る(図3および4)。疾患の臨床症状は、酵素欠損度に依存して様々であり、発作、嘔吐、嗜眠、筋緊張低下、脳症、発育遅延、成長障害、および続発性高アンモニア血症を含む(Deodatoら、Methylmalonic and propionic aciduria、Am.J.Med.Genet.C.Semin.Med.Genet、142巻(2号):104〜112頁、2006年)。
プロピオネート異化を伴う障害の現在利用可能な治療は、該障害の長期管理には不十分であり、厳しい制限を有する。微量栄養素およびビタミンの補給を必要に応じて用いる低タンパク質食は、多くのそのような障害のための広く受け入れられている長期疾患管理戦略である(Saudubrayら、Inborn Metabolic Diseases,Diagnosis,and Treatment、2012年)。L−カルニチンの補給、ならびに腸内プロピオン酸生成細菌叢を除去するための抗生物質療法も、利用されることが多い。しかし、タンパク質は代謝活性に必要であるので、食事摂取制限には大いに問題があり得る(Baumgartnerら、Orphanet.J.Rare Dis.、9巻(130号):1〜36頁、2014年)。それ故、適正なモニタリングおよび患者コンプライアンスがあったとしても、食事制限に起因する知能障害の発生率は高い(Baumgartnerら、2014年)。最近、PAおよびMMA対象に対して肝臓移植が考慮されている(Liら、Liver Transpl.、2015年)。しかし、ドナー臓器の限られた入手可能性、移植自体に付随する費用、および継続的な免疫抑制療法に随伴する望ましくない作用により、プロピオネートの異化を伴う障害の治療のための肝臓移植の実際の使用は制限される。したがって、プロピオネートの異化を伴う障害の有効で、信頼でき、かつ/または長期の治療の重大な、満たされていない必要性がある。
Higginbottomら、M.Engl.J.Med.、299巻(7号):317〜323頁、1978年 Deodatoら、Methylmalonic and propionic aciduria、Am.J.Med.Genet.C.Semin.Med.Genet、142巻(2号):104〜112頁、2006年 Saudubrayら、Inborn Metabolic Diseases,Diagnosis,and Treatment、2012年 Baumgartnerら、Orphanet.J.Rare Dis.、9巻(130号):1〜36頁、2014年 Liら、Liver Transpl.、2015年
本開示は、操作された細菌細胞、それらの医薬組成物、ならびにプロピオネートの異化を伴う障害をモジュレートおよび治療する方法を提供する。具体的には、本明細書で開示する操作された細菌は、遺伝子回路、例えば、疾患を治療するための1つまたは複数のプロピオネート異化遺伝子と、操作された細菌が投与される対象の安全性および非コロニー形成を保証するように設計された他の任意選択の回路構成要素、例えば栄養要求体、キルスイッチおよびこれらの組合せなどとで構成されている遺伝子回路、を含むように構築したものである。これらの操作された細菌は、安全であり、耐容性良好であり、対象のマイクロバイオームの生得的活性を増強して治療効果を実現する。
いくつかの実施形態では、本開示は、プロピオネート異化酵素またはプロピオネート異化経路をコードする1つまたは複数の遺伝子、遺伝子カセットおよび/または合成回路を含むように遺伝子操作された細菌細胞であって、プロピオネートおよび/または他の代謝産物、例えば、プロピオニルCoA、メチルマロネート、および/もしくはメチルマロニルCoAを代謝することができる細菌細胞を提供する。したがって、遺伝子操作細菌細胞、および該細菌細胞を含む医薬組成物は、プロピオネート異化に関連する疾患、例えば、プロピオン酸血症(PA)およびメチルマロン酸血症(MMA)を治療および/または予防するために用いることができる。
いくつかの実施形態では、本開示は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列(複数可)を含むように操作された細菌細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列(複数可)を含むように操作された細菌細胞であって、プロピオネートならびに/または他の代謝物、例えば、メチルマロネート、プロピオニルCoAおよび/もしくはメチルマロニルCoAのレベルを低下させることができる細菌細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、誘導性プロモーターに作動可能に連結している1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列(複数可)を含むように操作された細菌細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、例えば哺乳動物の消化管に見いだされる条件などの低酸素および/または嫌気的条件下で誘導される誘導性プロモーターに作動可能に連結している1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列(複数可)を含むように操作された細菌細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、環境シグナルおよび/または哺乳動物の消化管に見いだされる条件により誘導される(例えば、哺乳動物の消化管に見られる代謝産物もしくは生体分子により誘導される)誘導性プロモーターに作動可能に連結されている1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列(複数可)を含むように操作された細菌細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列(複数可)を含むように操作された細菌細胞であって、低酸素環境における、例えば消化管内の、プロピオネートならびに/または他の代謝物、例えば、メチルマロネート、プロピオニルCoAおよび/もしくはメチルマロニルCoAのレベルを低下させることができる細菌細胞を提供する。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の回路を含むように遺伝子操作されたものであり、例えば、低酸素環境において、例えば消化管内で、プロピオネート、メチルマロネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAをプロセッシングすることおよびそれらのレベルを低下させることができる。いくつかの実施形態では、本開示の細菌細胞はまた、プロピオネートの1つまたは複数の輸送体をコードする遺伝子配列(複数可)を含むように遺伝子操作されたものである。したがって、本開示の遺伝子操作細菌細胞および本開示の細菌細胞を含む医薬組成物は、プロピオネートの異化を伴う障害に関連する状態、例えば、プロピオン酸血症またはメチルマロン酸血症を治療および/または予防するために、過剰なプロピオン酸、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAを非毒性分子に変換するために用いることができる。
プロピオン酸血症、ならびに/またはメチルマロン酸血症、ならびに/またはプロピオン酸血症および/もしくはメチルマロン酸血症を特徴とする障害の治療のための、本開示の例示的合成生物の概略図である。図1Aは、誘導性プロモーターの制御下でprpE、phaB、phaCおよびphaA遺伝子を発現する遺伝子カセットを含む本開示の例示的合成生物の概略図を示す図である。PrpE、PhaB、PhaCおよびPhaAは、プロピオネートもしくはプロピオニルCoAおよび/またはメチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAをP(HV−co−HB)に異化することができる。タンパク質リシンアシルトランスフェラーゼは、PrpEの不活性化を防止するために欠失される。図1Bは、2つの誘導性プロモーターからの2つのポリシストロン性メッセージとしてprpE、accA、pccB、mmcE、mutAおよびmutBを発現する遺伝子カセットを含む本開示の例示的合成生物の概略図を示す図である。prpE、accA、pccB、mmcE、mutAおよびmutBは、プロピオネートもしくはプロピオニルCoAおよび/またはメチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAをスクシネートに異化することができ、このスクシネートは、TCAサイクルによって利用されることもあり、または細胞から輸出されることもある。タンパク質リシンアシルトランスフェラーゼ(pka)は、PrpEの不活性化を防止するために欠失される。 様々な分枝鎖アミノ酸(BCAA)分解経路、ならびにBCAA代謝に関係する代謝物および関連疾患を示す図である。 プロピオニル−CoAカルボキシラーゼまたはメチルマロニルCoAムターゼにおける遺伝子欠陥に起因する、プロピオン酸血症(PA)およびメチルマロン酸血症(MMA)などのプロピオネート異化に関連する疾患の原因および症状を示す図である。 健常(正常)ヒト対象と、プロピオネート異化に関連する疾患、例えば、プロピオン酸血症(PA)を有する対象との差を示す図である。 健常ヒト対象におけるプロピオネート異化の主経路(図5A)および副経路(図5B)の概略図である。手短に述べると、プロピオニルCoAは、酵素プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)によりD−メチルマロニルCoAにカルボキシル化され、そのD−メチルマロニルCoAがL−メチルマロニルCoAに異性化される。次いで、ビタミンB12依存性酵素であるメチルマロニルCoAムターゼ(MUT)がL−メチルマロニルCoAのスクシニルCoAへの再構成を触媒し、次いで、そのスクシニルCoAがクエン酸サイクルに組み込まれる。副次的なプロピオネート異化経路も存在し、プロピオネート異化に関連する疾患、例えば、PAを有する対象に存在するが、これらの経路は、主経路の欠如を相殺するには不十分である。図5Cは、PAとMMA間の代謝の関連性を示す概略図を示す図である。図5Dは、PAおよびMMAにおける酵素および他の欠損を示す図である。 WT FVBマウスと比較してPCCAA138Tハイポモルフマウスモデルにおけるプロピオン酸血症バイオマーカーを示すグラフである。図6A、図6B、および図6Cは、以下の血液バイオマーカーの検出を示すグラフを示す;プロピオニルカルニチン/アセチルカルニチン比(図6A)、プロピオネート濃度(図6B)および2−メチルシトレート(図6C)。図6D、図6E、および図6Fは、以下の尿バイオマーカーの検出を示すグラフを示す;プロピオニル−グリシン(図6D)、チグリルグリシン(図6E)、および2−メチルシトレート(図6F)。 C57BL/6J(図7Aおよび図7C)およびPCCAA138Tマウス(図7Bおよび図7D)における同位体プロピオン酸の皮下投与後の様々な時点での血液、小腸および大腸中の内因性プロピオン酸(図7Aおよび図7B)および放射標識プロピオン酸(図7Cおよび図7D)のレベルを示す棒グラフである。30分以内に血液、小腸および盲腸において非常に低いレベルの同位体プロピオン酸が見られ、これは、プロピオン酸の腸再循環が起こっていることを示す。 プロピオン酸および/またはメチルマロン酸を消費して不活性最終産物にするような細菌にする操作を行うことができる可能性のある経路を示す図である。図8Aは、不活性産物をもたらす、プロピオネート異化の概略図を示す図である。図8B、図8Cおよび図8Dは、プロピオネートまたはメチルマロン酸触媒作用に利用することができる3つの例示的経路の概略図を示す図である。メチルマロニル−CoA(ヒト)経路および2−メチルシトレート経路は、スクシネートを産生する。いくつかの実施形態では、スクシネート輸出体も、操作された細菌において発現し得る。他の実施形態では、操作された細菌においてポリヒドロキシアルカノエートの産生をもたらす、ポリヒドロキシアルカノエート経路を設計し、利用することができる。これらの経路は、本明細書で開示する、設計プロピオネート異化経路回路のフレームワークとして役立つ。図8Dは、プロピオン酸からの炭素の運命の予測を示す、図8Cの再編成版を示す概略図を示す図である。PHA経路については、炭素はPHAポリマーとして細胞内に貯蔵される。MMCA経路では、プロピオネートがTCAサイクルにより消費され(炭素をCO2として放出する)か、またはスクシネートが輸出される。 プロピオネートのプロピオニルCoAへの活性化を示す概略図である。図9Aは、PrpEによるプロピオネート活性化の概略図を示す。PrpEは、プロピオネートおよび遊離CoAを不可逆的なATP依存性の形でプロピオニルCoAに変換し、その結果、AMPおよびPPi(ピロホスフェート)が放出される。PrpEは、活性部位リシンの翻訳後改変により不活性化され得る。大腸菌(E.coli)ではタンパク質リシンアセチルトランスフェラーゼ(Pka)がPrpEのプロピオニル化を行う。酵素CobBは、PrpE−Prを脱プロピオニル化し、その結果、不活性化が可逆的になる。pka遺伝子を単に欠失させることにより、PrpE不活性化は完全に消失される。本開示のいくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、PrpEの不活性化を防止するために、および下流の異化経路による活性を増加させるために、Δpkaを含む。図9Bは、pctによるプロピオネート活性化の概略図を示す。pctは、可逆的反応でプロピオネートおよびアセチル−CoAをプロピオニル−CoAおよびアセテートに変換する。 ポリヒドロキシアルカノエート経路(図10A)、およびPHA経路によりプロピオネートから産生されるポリマーの化学構造(図10B)、および本開示の操作された細菌についての例示的回路設計(図10C)の概略図である。PHA経路は、ポリマーとしての炭素貯蔵に用いられる異種細菌経路である。この回路では、prpE、phaB、phaCおよびphaA遺伝子が誘導性プロモーターの制御下で発現する。PrpE、PhaB、PhaCおよびPhaAは、プロピオネートまたはプロピオニルCoAをポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、またはP(HV−co−HB)に異化することができる。具体的には、プロピオン酸−CoAリガーゼであるPrpEがプロピオネートをプロピオニルCoAに変換する。次いで、ベータ−ケトチオラーゼであるPhaAがプロピオニルCoAを3−ケト−バレリル−CoAに変換するか、またはアセチル−CoAをアセトアセチル−CoAに変換する。次いで、アセトアセチル−CoAレダクターゼであるPhaBがアセトアセチル−CoAを3−ヒドロキシ−ブチリル−CoAに変換するか、または3−ケト−バレリル−CoAを3−ヒドロキシ−バレリル−CoAに変換する。ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼであるPhaCは、3−ヒドロキシ−ブチリル−CoAをポリヒドロキシブチレートに変換するか、または3−ヒドロキシ−バレリル−CoAをポリヒドロキシバレレートに変換するか、またはポリヒドロキシブチレートおよびポリヒドロキシバレレートをP(HV−co−HB)に変換する。いくつかの実施形態では、PhaBCA遺伝子は、アシネトバクター属菌種(Acinetobacter sp)RA3849に由来し、大腸菌用にコドン最適化される。いくつかの実施形態では、大腸菌ニッスル(E.coli Nissle)prpE遺伝子およびコドン最適化phaBCA遺伝子は、単一オペロン内でaTc誘導性プロモーターの制御下にある。 コピー数約10のカナマイシン耐性プラスミド上の、テトラサイクリン誘導性プロモーター配列の制御下のprpE−phaBCA遺伝子カセットを含む、例示的構築物の遺伝子構成の概略図である。 誘導物質分子の存在および非存在下で、野生型ニッスル対照と比較して、コピー数約10のプラスミド上のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)経路を発現する遺伝子操作細菌を含む試料中のプロピオネート濃度を経時的に示すグラフである。細菌をATCで誘導し(または誘導せずに放置し)、その後、栄養補給した培養培地で2.0のOD600まで増殖させた。遠心分離により試料を採取し、M9最小培地に再懸濁した。グルコースおよびプロピオン酸ナトリウム(3mM)を補給したM9最小培地に試料を1.0のOD600まで接種することにより、再懸濁試料の活性を測定した。接種後0時間、1.5時間、3時間および4.5時間の時点で試料を除去し、プロピオネート濃度を質量分析により決定した。グラフは、野生型ニッスルと比較して、誘導された状態の操作された細菌(SYN−PHA)についてのポリヒドロキシアルカノエート回路設計によるプロピオン酸消費を示す。プロピオネートアッセイを約10cfu/mlの誘導済み細菌で開始し、プロピオネート消費速度は、10細胞当り約1.4umol/時であった。 コピー数約10のプラスミド上でポリヒドロキシアルカノエート(PHA)経路を発現する遺伝子操作細菌(SYN−PHA)を含む試料におけるプロピオネート(図13A)、アセテート(図13B)およびブチレート(図13C)濃度を、野生型ニッスル対照と比較して、両方とも誘導物質分子の存在下で、経時的に示すグラフである。PHAアッセイは、結腸の比(プロピオネート:アセテート:ブチレート、約6:10:4)を模倣すべく短鎖脂肪酸の混合物中で実施した。細菌をATCで誘導し(または誘導せずに放置し)、その後、栄養補給した培養培地で2.0のOD600まで増殖させた。遠心分離により試料を採取し、M9最小培地に再懸濁した。グルコースならびにプロピオン酸ナトリウム(6mM)、アセテート(10mM)およびブチレート(4mM)を補給したM9最小培地に試料を1.0のOD600まで接種することにより、再懸濁試料の活性を測定した。接種後0時間、1.5時間、3時間および4.5時間の時点で試料を除去し、プロピオネート濃度を質量分析により決定した。データは、プロピオネート消費速度が、アセテートおよびブチレートの存在または非存在下で一致していること、ならびにPHA経路がアセテートおよびブチレート濃度に有意な影響を及ぼさないことを示す。 誘導物質分子の存在下で、コピー数約10のプラスミド上の誘導性ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)カセット(ptet−prpE−phaBCA)を発現する遺伝子操作細菌(SYN−PHA)を含む試料中のプロピオネート濃度を経時的に示すグラフである。これらの菌株に、誘導性プロモーター、すなわちアラビノース誘導性プロモーター、の制御下で遺伝子、すなわちprpE(図14A)、phaB(図14B)、phaC(図14C)およびphaB(図14D)、のうちの1つを発現する第2のプラスミド(約15コピー)をさらに補給した。このアッセイでは、prpE−phaBCAオペロンを単独で誘導するか、またはprpE−phaBCAプラスミドと、前記オペロン遺伝子のうちの1つについての第2のコピーを有するアラビノース誘導性プラスミドの両方を誘導した。野生型ニッスルを参照のために含めた。細菌をATCまたはATCとアラビノースで誘導し(または誘導せずに放置し)、その後、栄養補給した培養培地で2.0のOD600まで増殖させた。遠心分離により試料を採取し、M9最小培地に再懸濁した。グルコースおよびプロピオン酸ナトリウム(3mM)を補給したM9最小培地に試料を1.0のOD600まで接種することにより、再懸濁試料の活性を測定した。接種後0時間、1.5時間、3時間および4.5時間の時点で試料を除去し、プロピオネート濃度を質量分析により決定した。グラフは、より多くのphaCが発現するときプロピオネート消費速度が最も有意に上昇することを示し、これは、この経路が、最初のprpE−phaBCAプラスミドからのPhaCレベルを上昇させることにより改善されることを示唆している。これは、例えば、phaC遺伝子の前により強いリボソーム結合部位を利用することにより翻訳速度を上昇させることによって達成することができる。あるいは、遺伝子の追加のコピーを同じ回路または追加の回路に加えてもよい。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、強いリボソーム結合部位(RBS)の利用によりPhaCレベルが増加される、prpE−phaBCAオペロンを含む。いくつかの実施形態では、prpE−phaBCAオペロンを含む遺伝子操作細菌は、phaCの追加のコピーをさらに含む。 メチルマロニル−CoA経路および例示的メチルマロニルCoA回路設計の概略図である。図15Aは、PrpE反応を、prpE、pccB、accA1、mmcE、mutAおよびmutB遺伝子の産物がプロピオネートをスクシネートに変換するメチルマロニルCoA経路であって、回路設計に用いることができる経路により示す概略図を示す図である。メチルマロニル−CoA経路は、哺乳動物の経路におけるものと同種の反応を行うが、この経路は、異種細菌酵素から構成される。一実施形態では、遺伝子accA(ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)に由来する)、pccB(ストレプトマイセス・セリカラーに由来する)、mmcE(プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)に由来する)、およびmutAB(プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒに由来する)を用い、大腸菌ニッスルにおける発現のためにコドン最適化した。図15Bは、遺伝子操作細菌が、誘導性プロモーター、例えばaTc誘導性プロモーター、の制御下のprpE、pccB、accA1、mmcE、mutAおよびmutB遺伝子を含む遺伝子カセットを含む、本開示の例示的回路設計を示す概略図を示す図である。図15Cは、遺伝子操作細菌が、第1の誘導性プロモーター、例えばPtet(aTc誘導性)、の制御下のprpE、pccB、accA1を含むカセットと、第2の誘導性プロモーター、例えばPara(アラビノース誘導性)、の制御下のmmcEおよびmutABを含む第2のカセットとを含む、本開示の例示的回路設計を示す概略図を示す図である。経路の誘導は、aTcおよびアラビノースの付加を必要とする。どちらの回路(図15Bまたは図15C)でも、操作細菌においてスクシネート輸出体も発現し得る。 例示的構築物の遺伝子構成の概略図である。図16Aは、コピー数約15のアンピリシン耐性プラスミド上の、アラビノース誘導性プロモーター配列の制御下のmmcE−mutA−mutB遺伝子カセットを含む、例示的構築物の遺伝子構成の概略図を示す図である。図16Bは、コピー数約10のカナマイシン耐性プラスミド上の、テトラサイクリン誘導性プロモーター配列の制御下のprpE−accA−pccB遺伝子カセットを含む、例示的構築物の遺伝子構成の概略図を示す図である。 スクシネート輸出体および関連する例示的遺伝子回路および合成生物と組み合わせたMMCA経路の概略図である。図17Aは、MMCA経路によるプロピオネートおよび/またはメチルマロン酸異化の概略図を示す図である。得られたスクシネートは、TCAサイクルにより代謝されることもあり、または輸出体によって細菌細胞から除去されることもある。例示的輸出体は、sucE1スクシネート輸出体(例えば、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)に由来する)および/または天然ニッスルスクシネート輸出体dcuCを含む。図17Bは、誘導性プロモーター、例えばアラビノース誘導性プロモーター、の制御下のsucE1スクシネート輸出体(例えば、コリネバクテリウム・グルタミクムに由来する)の発現のための例示的回路または遺伝子カセットを示す図である。この構築物を合成生物においてプラスミド上で発現させることができ、またはそのゲノムに組み込むことができる。例えば、araBA遺伝子とaraD遺伝子の一部とを欠失させる、構築物のノックインを実施することができ、これにより大腸菌によるアラビノースの代謝が排除される。図17Cは、誘導性プロモーターの制御下でprpE、phaB、phaCおよびphaA遺伝子を発現する遺伝子カセットを含む本開示の例示的合成生物の概略図を示す図である。この合成生物は、誘導性プロモーターの制御下のsucE1遺伝子を発現する遺伝子カセットをさらに含む。図17Dは、sucE1スクシネート輸出体(コリネバクテリウム・グルタミクムに由来する)を含む構築物の概略図を示す図である。図17Eは、大腸菌dcuCスクシネート輸送体を含む構築物の概略図を示す図である。図17Fは、sucE1輸送体とdcuC輸送体の両方を含むまたは含む構築物の概略図を示す図である。 誘導物質分子の存在下で、野生型ニッスル対照と比較して、コピー数約10およびコピー数約15のプラスミド上のメチルマロニル−CoA経路回路を発現する遺伝子操作細菌(SYN−MMCA)またはポリヒドロキシアルカノエート経路回路を発現する遺伝子操作細菌(SYN−PHA)を含む試料中のプロピオネート濃度を経時的に示すグラフである。細菌をATCまたはATCおよびアラビノースで誘導し(または誘導せずに放置し)、その後、栄養補給した培養培地で2.0のOD600まで増殖させた。遠心分離により試料を採取し、M9最小培地に再懸濁した。グルコースおよびプロピオン酸ナトリウム(3mM)を補給したM9最小培地に試料を1.0のOD600まで接種することにより、再懸濁試料の活性を測定した。接種後0時間、1.5時間、3時間、4.5時間および18時間の時点で試料を除去し、細胞を除去し、プロピオネート濃度を質量分析により決定した。グラフは、野生型ニッスルと比較して、誘導された状態の操作された細菌についてのメチルマロニル−CoA経路またはポリヒドロキシアルカノエート回路設計によるプロピオン酸消費を示す。プロピオネートアッセイを約10cfu/mlの誘導済み細菌で開始し、プロピオネート消費速度は、メチルマロニル−CoA経路回路を発現する菌株において約3.8μmol/時/10細菌であった。 細菌、例えば大腸菌、におけるメチルシトレートサイクルによるプロピオネートの異化についての通常の経路の一例を示す図である。手短に述べると、プロピオン酸−CoAリガーゼであるPrpEがプロピオネートをプロピオニルCoAに変換する。次いで、2−メチルクエン酸シンテターゼであるPrpCがプロピオニルCoAを2−メチルシトレートに変換する。次いで、2−メチルクエン酸デヒドロゲナーゼであるPrpDが2−メチルシトレートを2−メチルイソシトレートに変換し、2−メチルイソクエン酸リアーゼであるPrpBが2−メチルイソシトレートをスクシネートおよびピルベートに変換する。 細菌、例えば大腸菌、における2−メチルシトレートサイクルの概略図(図20A)、および操作された細菌のための例示的回路設計の概略図(図20B)である。この回路において、prpB、prpC、prpDおよびprpE遺伝子は、誘導性プロモーターの制御下で発現して、スクシネートおよびピルベートを産生する。いくつかの実施形態では、スクシネート輸出体も、操作された細菌において発現し得る。図20Cは、コピー数約10のカナマイシン耐性プラスミド上の、テトラサイクリン誘導性プロモーター配列の制御下のprpBCDE遺伝子カセットを含む、例示的構築物の遺伝子構成の概略図を示す。 プロピオン酸血症、ならびに/またはメチルマロン酸血症、ならびに/またはプロピオン酸血症および/もしくはメチルマロン酸血症を特徴とする障害の治療のための、本開示の例示的合成生物の概略図である。図21Aは、誘導性プロモーターの制御下のprpE、phaB、phaCおよびphaA遺伝子を発現する遺伝子カセットを含む本開示の例示的合成生物の概略図を示す図である。PrpE、PhaB、PhaCおよびPhaAは、プロピオネートもしくはプロピオニルCoAおよび/またはメチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAをP(HV−co−HB)に異化することができる。タンパク質リシンアシルトランスフェラーゼ(pka)は、PrpEの不活性化を防止するために欠失される。特定の実施形態では、prpE−phaBCA回路は、phaC翻訳開始部位の上流に強いRBSを加えることにより、さらに改変される。他の実施形態では、合成生物は、PhaC遺伝子の複数のコピーを含んだ。いくつかの実施形態では、PhaC遺伝子は、最高数の転写物を確保するために、カセット内のrst遺伝子として、プロモーターの直ぐ末端側に位置する。T7ポリメラーゼは、不完全なポリシストロン性転写物(途中で終結されたもの)を産生し得る。図21Bは、ThyA栄養要求性を加えた、図1Aまたは図21Aの合成生物の概略図を示す図である。図21Cは、ThyA栄養要求性を加えた、図1Bの合成生物を示す図である。図21Dは、prpE、accA、pccB、mmcE、mutAおよびmutBを2つの誘導性プロモーターからの2つのポリシストロン性メッセージとして発現する遺伝子カセットを含む本開示の例示的合成生物の概略図を示す図である。prpE、accA、pccB、mmcE、mutAおよびmutBは、プロピオネートもしくはプロピオニルCoAおよび/またはメチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAをスクシネートに異化することができ、そのスクシネートは、TCAサイクルによって利用されることもあり、または細胞から輸出されることもある。タンパク質リシンアシルトランスフェラーゼ(pka)は、PrpEの不活性化を防止するために欠失される。いくつかの実施形態では、合成生物は、本明細書に記載の通りのSucE1および/またはdcuC輸出体カセットを含む。図21Eは、プロピオネート異化のための2つの異なる遺伝子カセット(PHAおよびMMCA経路カセット)のうちの1つまたは複数を含む合成生物の概略図を示す図である。図21Fは、MatBと組み合わせて2つの誘導性プロモーターからの2つのポリシストロン性メッセージとしてprpE、accA、pccB、mmcE、mutAおよびmutBを発現する遺伝子カセットを含む本開示の例示的合成生物の概略図を示す図である。タンパク質リシンアシルトランスフェラーゼ(pka)は、PrpEの不活性化を防止するために欠失される。いくつかの実施形態では、合成生物は、本明細書に記載の通りのSucE1および/またはdcuC輸出体カセットを含む。図21Gは、MatBと組み合わせてプロピオネート異化のための2つの異なる遺伝子カセット(PHAおよびMMCA経路カセット)のうちの1つまたは複数を含む合成生物の概略図を示す図である。 異種遺伝子の発現が外因性環境シグナルにより活性化される、本開示の他の非限定的な実施形態を示す図である。アラビノースの非存在下では、AraC転写因子は、転写を抑制する立体配座をとる。アラビノースの存在下では、AraC転写因子は、これをParaBADプロモーター(ParaBAD)に結合させ、それを活性化させる立体配座の変化を受け、これがTetリプレッサー(TetR)および抗毒素の発現を誘導する。抗毒素は、組換え細菌細胞内に蓄積し、一方、TetRは、毒素(TetR結合部位を有するプロモーターの制御下にある)の発現を妨げる。しかし、アラビノースが存在しない場合、抗毒素およびTetRの両方が発現しない。毒素の発現を抑制するTetRが存在しないので、毒素は、発現し、細胞を殺滅する。図22に組換え細菌に見いだされない必須遺伝子の発現が外因性環境シグナルによって活性化される、本開示の他の非限定的な実施形態も示す。アラビノースの非存在下では、AraC転写因子は、ParaBADプロモーターの制御下の必須遺伝子の転写を抑制する立体配座をとり、細菌細胞は生存することができない。アラビノースの存在下では、AraC転写因子は、これをParaBADプロモーターに結合させ、それを活性化させる立体配座の変化を受け、これが必須遺伝子の発現を誘導し、細菌細胞の生存能力を維持する。 抗毒素が構成的プロモーターから発現し、異種遺伝子の発現が外因性環境シグナルにより活性化される、本開示の非限定的な実施形態を示す図である。アラビノースの非存在下では、AraC転写因子は、転写を抑制する立体配座をとる。アラビノースの存在下では、AraC転写因子は、これをParaBADプロモーターに結合させ、それを活性化させる立体配座の変化を受け、これがTetRの発現を誘導し、ひいては毒素の発現を妨げる。しかし、アラビノースが存在しない場会、TetRは、発現せず、毒素が発現し、最終的に抗毒素に打ち勝ち、細胞を殺滅する。抗毒素の発現を調節する構成的プロモーターは、毒素の発現を駆動するプロモーターより弱いプロモーターであるべきである。araC遺伝子は、この回路における構成的プロモーターの制御下にある。 異種遺伝子の発現が外因性環境シグナルにより活性化される、本開示の他の非限定的な実施形態を示す図である。アラビノースの非存在下では、AraC転写因子は、転写を抑制する立体配座をとる。アラビノースの存在下では、AraC転写因子は、これをParaBADプロモーターに結合させ、それを活性化させる立体配座の変化を受け、これがTetリプレッサー(TetR)および抗毒素の発現を誘導する。抗毒素は、組換え細菌細胞内に蓄積し、一方、TetRは、毒素(TetR結合部位を有するプロモーターの制御下にある)の発現を妨げる。しかし、アラビノースが存在しない場合、抗毒素およびTetRの両方が発現しない。毒素の発現を抑制するTetRが存在しないので、毒素は、発現し、細胞を殺滅する。araC遺伝子は、この回路における構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター(例えば、AraCプロモーター)の制御下にある。 外因性環境条件または1つもしくは複数の環境シグナルが、1つまたは複数の誘導性プロモーターからの異種遺伝子および少なくとも1つのリコンビナーゼの発現を活性化する、本開示の1つの非限定的な実施形態を示す図である。次いで、リコンビナーゼは毒素遺伝子をフリップして活性化された立体配座にし、リコンビナーゼの天然の速度論により毒素発現の時間遅延が生じ、その結果、異種遺伝子を完全に発現することが可能となる。毒素は発現すると、細胞を殺滅する。 外因性環境条件または1つもしくは複数の環境シグナルが、1つまたは複数の誘導性プロモーターからの異種遺伝子および少なくとも1つのリコンビナーゼの発現を活性化する、本開示の1つの非限定的な実施形態を示す図である。次いで、リコンビナーゼは毒素遺伝子をフリップして活性化された立体配座にし、リコンビナーゼの天然の速度論により毒素発現の時間遅延が生じ、その結果、異種遺伝子を完全に発現することが可能となる。毒素は発現し、細胞を殺滅する。 外因性環境条件または1つもしくは複数の環境シグナルが、1つまたは複数の誘導性プロモーターからの異種遺伝子および少なくとも1つのリコンビナーゼの発現を活性化する、本開示の他の非限定的な実施形態を示す図である。次いで、リコンビナーゼは、少なくとも1つの切除酵素をフリップして、活性化された立体配座にする。次いで、少なくとも1つの切除酵素は、1つまたは複数の必須遺伝子を切除し、その結果、老化、そして最終的には細胞死に至る。リコンビナーゼおよび切除遺伝子の天然の速度論は、時間遅延を引き起こし、その速度論を切除すべき必須遺伝子の数および選択に依存して変更および最適化することができ、それにより数時間または数日のうちに細胞死が起こることが可能となる。入れ子状態の複数のリコンビナーゼの存在を用いて、細胞死のタイミングをさらに制御することができる。 遺伝子操作細菌が等量のHok毒素および短寿命Sok抗毒素を産生する、本開示の1つの非限定的実施形態の概略図である。細胞がプラスミドを失うと、抗毒素は崩壊し、細胞は死ぬ。上のパネルにおいて、細胞は、等量の毒素および抗毒素を産生し、安定である。中間のパネルにおいて、細胞は、プラスミドを失い、抗毒素が崩壊し始める。下のパネルにおいて、抗毒素が完全に崩壊し、細胞が死ぬ。 外因性環境条件または1つもしくは複数の環境シグナルが、1つまたは複数の誘導性プロモーターからの異種遺伝子および第1のリコンビナーゼの発現を活性化する、本開示の1つの非限定的な実施形態を示す図である。次いで、リコンビナーゼは、第2のリコンビナーゼを逆方向から活性立体配座にフリップする。次いで、活性化された第2のリコンビナーゼが毒素遺伝子をフリップして活性化された立体配座にし、リコンビナーゼの天然の速度論により毒素発現の時間遅延が生じ、それにより、異種遺伝子を完全に発現することが可能となる。毒素は発現すると、細胞を殺滅する。 本明細書中でより詳細に説明するGeneGuardシステムなどの、宿主−プラスミド相互依存性を生じさせるように改変されたプラスミドを含む遺伝子操作細菌の例を示す図である。 複数の作用機構(MoAs)を含む大腸菌1917ニッスル染色体の例示的概略図である。単一の合成生物は、細菌染色体の異なる部位への同じ合成回路の複数のコピーの挿入または異なる合成回路の挿入に基づく複数の作用機構(MOAs)を有し得る。 大腸菌ニッスル染色体内の組込み部位のマップを示す図である。これらの部位は、本質的な遺伝子発現を妨げることなく、回路成分を染色体に挿入することができる領域を示す。バックスラッシュ(/)を用いて、挿入が発散的または収束的に発現する遺伝子間に起こることを示す。thyAなどの生合成遺伝子内への挿入は、栄養要求性を生じさせるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、個々の回路成分を複数の示された部位に挿入する。 赤色蛍光タンパク質(RFP)を構成的に発現する3つの細菌菌株を示す図である。菌株1〜3では、rfp遺伝子が細菌染色体内の異なる部位に挿入され、蛍光灯下で様々な程度の輝度をもたらした。非改変大腸菌ニッスル(菌株4)は、非蛍光性である。 ニッスルのin vivoでの滞在を示すグラフである。ストレプトマイシン耐性ニッスルを、抗生物質を前投与せずに強制経口投与によりマウスに投与した。6匹すべてのマウスからの糞便ペレットを投与後にモニターして、マウスの胃腸管内に滞在している投与ニッスルの量を測定した。バーは、マウスに投与した細菌の数を表す。線は、10日間連日にわたる各日の糞便試料から回収されたニッスルの数を表す。 強制経口投与後1、4、8、12、24および30時間の時点の腸管の様々なコンパートメントにおけるストレプトマイシン耐性ニッスルの滞在の経時的な棒グラフである。マウスに約10CFUを投与し、各時点に動物(n=4)を安楽死させ、腸、盲腸および結腸を除去した。小腸を3つの部分に、大腸および結腸をそれぞれ2つの部分に切断した。腸溶出液を収集し、連続希釈平板培養により、各コンパートメントにおけるCFUsを決定した。 細胞内で発現したキメラペプチドを内および外膜を越えて周囲宿主環境に移動させることができるようにペプチドを天然鞭毛成分のN末端鞭毛分泌シグナルに組換えにより融合させることによって、不完全鞭毛を用いて、目的の治療用ペプチド(星)を分泌する鞭毛III型分泌に基づく分泌システムの概略図である。 治療用ペプチド(星)をN末端分泌シグナル、リンカーおよび自己輸送体のベータ−ドメインに融合させることができる、組換えタンパク質の細胞外産生のためのV型分泌システムの概略図である。このシステムにおいて、N末端シグナル配列は、タンパク質を内膜を越えてペリプラズム内に移動させるSecA−YEGマシナリーにタンパク質を導き、その後、シグナル配列の切断が起こる。ベータ−ドメインは、Bam複合体に動員され、そこでベータ−ドメインが折りたたまれ、ベータ−バレル構造として外膜に挿入される。次いで治療用ペプチドは、リンカー配列の前にベータ−バレル構造の中空孔を通り抜ける。治療用ペプチドは、自触媒切断によってまたはリンカーにおける相補的プロテアーゼ切断部位への膜結合ペプチド(ハサミ)の標的化によってリンカーシステムから解放される。 内および外膜の両方を通るチャンネルを形成するHlyB(ATP結合カセット輸送体)、HlyD(膜融合タンパク質)およびTolC(外膜タンパク質)を用いてパッセンジャーペプチドを細胞質から細胞外腔に直接転位させる、I型分泌システムの概略図である。HlyAの分泌シグナル含有C末端部分を治療用ペプチド(星)のC末端部分に融合させて、このペプチドの分泌を媒介する。 漏出性または不安定化外膜を作製し、それにより、細胞外腔への治療用ポリペプチド、例えば、ジスルフィド結合を含む真核生物由来の治療用ポリペプチドの転位を促進するためのグラム陰性細菌の外および内膜、ならびにいくつかの欠失標的の概略図である。外膜をペプチドグリカン骨格につなぎ留めるタンパク質をコードする1つもしくは複数の遺伝子、例えば、lpp、ompC、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、および/またはペリプラズムプロテアーゼをコードする1つもしくは複数の遺伝子、例えば、degS、degP、nlplの不活性化突然変異は、漏出性表現型を発生させる。突然変異の組合せは、漏出性表現型を相乗的に増強させ得る。 細菌が消化管内腔に分泌治療用タンパク質を注入することを可能にする改変された3型分泌システム(T3SS)を示す図である。誘導性プロモーター(小矢印、上)、例えば、FNR誘導性プロモーターは、タグ付きペプチドを細胞外に分泌する装置を作るT3分泌システム遺伝子カセット(3つの大矢印、上)の発現を誘導する。誘導性プロモーター(小矢印、下)、例えば、FNR誘導性プロモーターは、次にタグ付き治療用ペプチド(六角形)の発現を活性化する、調節因子、例えば、T7ポリメラーゼの発現を駆動する。 例示的FNRプロモーターから選択されたFNR応答性プロモーターからlacZを発現する低コピープラスミドを有する細菌を含む試料におけるβ−ガラクトシダーゼレベルを示す図である。異なるFNR応答性プロモーターを用いて、様々な発現レベルおよびダイナミックレンジを有する嫌気誘導性レポーターのライブラリーを作出した。これらのプロモーターは、強いリボソーム結合部位を含んだ。細菌培養物を好気的条件(+O2)または嫌気的条件(−O2)のどちらかで増殖させた。4時間の時点で試料を除去し、標準的β−ガラクトシダーゼ比色アッセイを実施することによりβ−ガラクトシダーゼレベルに基づいてプロモーター活性を分析した。 例示的FNRプロモーター(PfnrS)の制御下のlacZ遺伝子の概略図である。lacZは、β−ガラクトシダーゼ酵素をコードし、細菌によく見られるレポーター遺伝子である。図42Bは、SYN340におけるβ−ガラクトシダーゼ活性の関数としてFNRプロモーター活性を示す図である。低コピーfnrS−lacZ融合遺伝子を有する操作された細菌菌株であるSYN340を、酸素の存在または非存在下で増殖させた。標準的β−ガラクトシダーゼ比色アッセイについての値は、ミラー単位(Miller、1972年)で表される。これらのデータは、fnrSプロモーターが嫌気的条件下で1時間以内に高レベル遺伝子発現を駆動し始めることを示唆している。図42Cは、lacZを発現する細菌細胞培養物の酸素存在下および非存在下両方における増殖を経時的に示す図である。 ATC(図43A)または酸化窒素誘導性(図43B)リポーター構築物を示す図である。これらの構築物は、それらの同種誘導物質により誘導された場合、GFPの発現をもたらす。対照、ATC誘導性Ptet−GFPリポーター構築物または酸化窒素誘導性PnsrR−GFPリポーター構築物を含むプラスミドを含むニッスル細胞は、一連の濃度にわたり誘導した。プロモーター活性は、相対蛍光単位として表す。図43Cは、構築物の概略図を示す図である。図43Dは、構成的プロモーターの制御下のNsrRを発現するプラスミドおよびNsrR誘導性プロモーターの制御下のリポーター遺伝子gfp(緑色蛍光タンパク質)を含む細菌のドットブロットを示す図である。DSS投与マウスをHEの例示的モデルとする。HE対象と同様に、マウスの消化管は、飲料水に2〜3%のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を添加することによって損傷する。化学発光は、DSS投与マウスにおいて誘導されたNsrR調節プロモーターで示されている。 prpRプロピオネート応答性誘導性プロモーターを示す図である。1つのプロピオネート応答性プロモーターの配列を(配列番号70)として本明細書においても開示する。 野生型clbA構築物およびclbAノックアウト構築物の概略図である。 本開示の遺伝子操作細菌を設計し、作製する非限定的な方法の概略を示す図である。「定義する」ステップは、1.微生物生理学および疾患生物学に基づく多様な候補アプローチの特定、2.候補代謝経路を決定するためのバイオインフォマティクスの使用、最適化操作された合成生物の要求される性能目標を決定するための予測ツールの使用を含む。「設計する」ステップは、1.経路構成のコンビナトリアル試験を可能にするための最先端のDNAアセンブリ、2.経路の効率を予測するための数学モデル、3.操作された回路の制御および調節を可能にする専用のスイッチおよび部品の内部安定の使用を含む。「構築する」ステップは、1.コア構造「シャーシー」を構築すること、2.操作された回路を、効率的発現のための最適な染色体位置に安定に組み込むこと、3.固有の機能アッセイを用いて、遺伝子回路の忠実性および活性を評価することを含む。「組み込む」ステップは、1.動物モデルにおける合成生物の局在および通過時間のモニタリングを可能にする、染色体マーカーの使用、2.特定の疾患状態がGI微生物叢および当環境における合成生物の挙動にどのように影響を及ぼすかの理解を拡大するための専門のマイクロバイオームネットワークおよびバイオインフォマティクスを利用すること、3.開発候補の前臨床への速やかで、途切れのない移行を可能にする、発見段階における組織内での方法の開発研究および最適化を活発にすること、候補合成生物の用意周到で、高品質の試験を支援する、特殊疾患動物モデルの改良の広範な経験を利用することを含む。 本開示の遺伝子操作細菌の上流および下流産生のための非限定的な製造方法の概略図である。図47Aは、種培養1(SC1)のパラメーター:白金耳量−グリセロール保存液、継続時間一夜、温度37℃、250rpmで振盪を示す。図47Bは、種培養2(SC2)のパラメーター:SC1からの1/100希釈、継続時間1.5時間、温度37℃、250rpmで振盪を示す。図47Cは、生産バイオリアクターのパラメーター:接種物−SC2、温度37℃、pH設定点7.00、pH不感帯0.05、溶存酸素設定点50%、溶存酸素カスケード撹拌/ガスFLO、撹拌限界300〜1200rpm、ガスFLO限界1分当たり0.5〜20標準リットル、継続時間24時間を示す。図47Dは、収集のパラメーター:4000rpmの速度および30分の継続時間での遠心分離、洗浄1×10%グリセロール/PBS、遠心分離、再懸濁10%グリセロール/PBSを示す。図47Eは、バイアル充填/貯蔵のパラメーター:1〜2mLの小分け、−80℃を示す。
本開示は、操作された細菌細胞、それらの医薬組成物、ならびにプロピオン酸異化に関連する障害、例えば、プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症またはビタミンB12欠乏症をモジュレートおよび治療する方法を提供する。具体的には、本明細書で開示する操作された細菌は、遺伝子回路、例えば、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素で構成されている遺伝子回路を含むように構築したものである。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、該操作された細菌が投与される対象の安全性および非コロニー形成を保証するように設計された任意選択の回路構成要素、例えば、栄養要求体、キルスイッチ等をさらに含む。これらの操作された細菌は、安全であり、耐容性良好であり、対象のマイクロバイオームの生得的活性を増強して治療効果を実現する。
本開示をより容易に理解することができるために、特定の用語を最初に定義する。これらの定義は、本開示の残りの部分に照らして、また当業者により理解されているように読むべきである。別途定義しない限り、本明細書で用いるすべての技術および科学用語は、当業者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。さらなる定義は、この詳細な説明を通して示す。
本明細書で使用する場合、「操作(された)細菌細胞」または「操作(された)細菌」という用語は、それらの天然の状態から遺伝子改変された、細菌細胞または細菌を意味する。例えば、操作された細菌細胞は、それらのDNAに導入されたヌクレオチド挿入、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド再構成、および/またはヌクレオチド改変を有し得る。これらの遺伝子改変は、細菌もしくは細菌細胞の染色体内に存在することもあり、または細菌もしくは細菌細胞におけるプラスミド上に存在することもある。本明細書で開示する操作された細菌細胞は、プラスミド上に外因性ヌクレオチド配列を含み得る。あるいは、操作された細菌細胞は、それらの染色体に安定に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含み得る。
本明細書で使用する場合、「組換え微生物」という用語は、その天然の状態から遺伝子改変された微生物、例えば、細菌もしくはウイルス細胞、または細菌もしくはウイルスを意味する。したがって、「組換え細菌細胞」または「組換え細菌」は、それらの天然の状態から遺伝子改変された、細菌細胞または細菌を意味する。例えば、組換え細菌細胞は、それらのDNAに導入されたヌクレオチド挿入、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド再構成およびヌクレオチド改変を有し得る。これらの遺伝子改変は、細菌もしくは細菌細胞の染色体内に存在することもあり、または細菌もしくは細菌細胞におけるプラスミド上に存在することもある。本明細書で開示する組換え細菌細胞は、プラスミド上に外因性ヌクレオチド配列を含み得る。あるいは、組換え細菌細胞は、それらの染色体に安定に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含み得る。
「プログラムされた微生物」または「操作(された)微生物」は、その天然の状態から、特定の機能を果すように、例えば、プロピオネートを、および/またはその代謝物のうちの1つもしくは複数を、代謝するように、遺伝子改変された微生物、例えば、細菌もしくはウイルス細胞、または細菌もしくはウイルスを意味する。特定の実施形態では、プログラムされたまたは操作された微生物は、1つまたは複数のタンパク質、例えば、治療活性を有するまたは治療目的に役立つ1つまたは複数のタンパク質を発現するように改変されたものである。プログラムされたまたは操作された微生物は、目的のタンパク質(複数可)が発現すると増殖を停止させるまたはそれ自体を破壊する能力を、さらに有し得る。
「プログラムされた細菌細胞」または「操作(された)細菌細胞」は、その天然の状態から遺伝子改変された細菌細胞である。特定の実施形態では、プログラムされたまたは操作された細菌細胞は、その天然の状態から、特定の機能を果すように、例えば、1つまたは複数のタンパク質、例えば、治療活性を有するまたは治療目的に役立つ1つまたは複数のタンパク質を発現するように改変された、例えば、プロピオネートおよび/またはその代謝物のうちの1つもしくは複数を代謝するように改変されたものである。プログラムされたまたは操作された細菌細胞は、目的のタンパク質(複数可)が発現すると増殖を停止させるまたはそれ自体を破壊する能力を、さらに有し得る。例えば、操作された細菌細胞は、それらのDNAに導入されたヌクレオチド挿入、ヌクレオチド欠失、ヌクレオチド再構成、およびヌクレオチド改変を有し得る。これらの遺伝子改変は、細菌もしくは細菌細胞の染色体内に存在することもあり、または細菌もしくは細菌細胞におけるプラスミド上に存在することもある。本明細書で開示する操作された細菌細胞は、プラスミド上に外因性ヌクレオチド配列を含み得る。あるいは、操作された細菌細胞は、それらの染色体に安定に組み込まれた外因性ヌクレオチド配列を含み得る。
本明細書で使用する場合、「遺伝子」という用語は、ポリペプチド、タンパク質またはその断片をコードする任意の核酸配列であって、コード配列に先行する調節配列(5’非コード配列)、およびコード配列の後に続く調節配列(3’非コード配列)を任意選択で含む核酸配列を意味する。一実施形態では、「遺伝子」は、コード配列に先行するおよびコード配列の後に続く調節配列を含まない。「天然遺伝子」は、天然で見いだされるような遺伝子であって、コード配列に先行するまたはコード配列の後に続くそれ固有の調節配列を任意選択で有する遺伝子を意味する。「キメラ遺伝子」は、天然遺伝子でない任意の遺伝子であって、コード配列に先行するまたはコード配列の後に続く調節配列を任意選択で含み、前記コード配列および/または調節配列の全部または一部が天然では一緒に見いだされないものである、任意の遺伝子を意味する。したがって、キメラ遺伝子は、異なる起源に由来する調節配列およびコード配列、または同じ起源に由来するが天然で見いだされるものとは構成が異なる調節配列およびコード配列を含み得る。「遺伝子」という用語は、完全長遺伝子配列(例えば、天然で見いだされるようなもの、および/または完全長ポリペプチドもしくはタンパク質をコードする遺伝子配列)を含むことを意味し、部分遺伝子配列(例えば、天然で見いだされる遺伝子配列の断片、および/またはポリペプチドもしくはタンパク質の一部分もしくは断片をコードする遺伝子配列)を含むことも意味する。「遺伝子」という用語は、改変された遺伝子配列(例えば、天然で見いだされる配列と比較して改変されているもの)を含むことを意味する。したがって、「遺伝子」という用語は、天然で見いだされる天然または完全長遺伝子配列に限定されない。
本明細書で使用する場合、「遺伝子配列」という用語は、遺伝子配列、例えば、核酸配列を意味する。遺伝子配列(gene sequence)または遺伝子配列(genetic sequence)は、完全な遺伝子配列または部分的遺伝子配列を含むことを意味する。遺伝子配列(gene sequence)または遺伝子配列(genetic sequence)は、タンパク質またはポリペプチドをコードする配列を含むことを意味し、タンパク質またはポリペプチドをコードしない遺伝子配列、例えば、調節配列、リーダー配列、シグナル配列または他の非タンパク質コード配列を含むことも意味する。
本明細書で使用する場合、「異種」遺伝子または「異種配列」は、所定の細胞において通常は天然で見いだされないヌクレオチド配列を意味する。本明細書で使用する場合、「異種配列」は、所定の細胞に外から導入される核酸配列であって、(細胞において天然に見いだされるまたは発現する)天然配列であってもよく、または(細胞において天然に見いだされも、発現しもしない)非天然配列であってもよく、および天然もしくは野生型配列であってもよく、または変異体、非天然もしくは合成配列であってもよい、核酸配列を含む。「異種遺伝子」は、対応する天然遺伝子とは異なる形態で宿主細胞に導入された、天然遺伝子またはその断片を含む。例えば、異種遺伝子は、宿主細胞に再導入される非天然調節領域を含むためのキメラ遺伝子の一部分である天然コード配列を含み得る。異種遺伝子は、非天然宿主細胞に導入される天然遺伝子またはその断片も含み得る。したがって、異種遺伝子は、受容細胞にとって異質なものであってもよく、もしくは生得のものであってもよく;所定の細胞において天然に見いだされるが、核酸および/もしくはそれをコードするポリペプチドを不自然な量を発現する、核酸配列であってもよく;ならびに/または天然の場合と同じ互いとの関連性では見いだされない2つもしくはそれ以上の核酸配列であってもよい。本明細書で使用する場合、「内因性遺伝子」という用語は、生物のゲノム内のその天然の位置にある天然遺伝子を意味する。本明細書で使用する場合、「導入遺伝子」という用語は、宿主生物、例えば宿主細菌細胞、ゲノムに導入された遺伝子を意味する。
本明細書で使用する場合、「非天然」核酸配列は、微生物に通常は存在しない核酸配列、例えば、内因性配列の余剰のコピー、あるいは異種配列、例えば、細菌もしくはウイルスの異なる種、株もしくは亜株に由来する配列、または同じ亜型の細菌もしくはウイルスに由来する非改変配列と比較して改変されているおよび/もしくは突然変異している配列を意味する。いくつかの実施形態では、非天然核酸配列は、合成非天然型配列である(例えば、Purcellら、2013年参照)。非天然核酸配列は、遺伝子カセットにおける調節領域、プロモーター、遺伝子および/または1つもしくは複数の遺伝子であり得る。いくつかの実施形態では、「非天然」は、天然で互いに同じ関係性が見いだされない2つまたはそれ以上の核酸配列を意味する。非天然核酸配列は、プラスミドまたは染色体上に存在し得る。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作微生物は、遺伝子であって、該遺伝子と天然では会合していないプロモーターに作動可能に連結している前記遺伝子を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書で開示する遺伝子操作細菌は、遺伝子であって、該遺伝子と天然では会合していない直接的または間接的誘導性プロモーター、例えば、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子に作動可能に連結しているFNR応答性プロモーター(または本明細書で開示する他のプロモーター)に、作動可能に連結している前記遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作ウイルスは、遺伝子であって、該遺伝子と天然では会合しない直接的または間接的誘導性プロモーター、例えば、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子に作動可能に連結しているプロモーターに、作動可能に連結している前記遺伝子を含む。
本明細書で使用する場合、「コード領域」という用語は、特定のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を意味する。「調節配列」という用語は、コード配列の上流に位置するヌクレオチド配列(5’非コード配列)、コード配列内に位置するヌクレオチド配列、またはコード配列の下流に位置するヌクレオチド配列(3’非コード領域)であって、転写、RNAプロセッシング、RNA安定性、または付随するコード配列の翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を意味する。調節配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、エフェクター結合部位、シグナル配列、およびステム−ループ構造を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、調節配列は、プロモーター、例えば、FNR応答性プロモーターまたは本明細書で開示する他のプロモーターを含む。
本明細書で使用する場合、「安定に維持された」または「安定な」細菌は、非天然遺伝物質が保持され、発現し、伝播されるように、宿主ゲノムに組み込まれるまたは自己複製染色体外プラスミド上に伝播される非天然遺伝物質、例えば、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子を有する細菌宿主細胞を指すために用いられる。安定な細菌は、in vitroで、例えば培地中で、および/またはin vivoで、例えば消化管内で、生存および/または増殖することができる。例えば、安定な細菌は、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子を含む遺伝子操作細菌であって、前記遺伝子を有するプラスミドまたは染色体が、プロピオネート異化酵素を該細菌において発現させることができるように、かつ該細菌がin vitroおよび/またはin vivoで生存および/または増殖することができるように、細菌内で安定に維持されている、遺伝子操作細菌であり得る。いくつかの実施形態では、コピー数は、非天然遺伝物質の発現の安定性に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、コピー数は、非天然遺伝物質の発現レベルに影響を及ぼす。
本明細書で使用する場合、プロピオネート異化経路をコードする「遺伝子カセット」または「オペロン」は、プロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸、またはメチルマロニルCoAを不活性最終産物、例えば、スクシネートまたはポリヒドロキシアルカノエートに異化するために必要な2つまたはそれ以上の遺伝子を意味する。前記分子を産生することができる一組の遺伝子をコードすることに加えて、遺伝子カセットまたはオペロンは、さらなる転写および翻訳エレメント、例えば、リボソーム結合部位も含み得る。各遺伝子または遺伝子カセットは、プラスミドまたは細菌染色体上に存在し得る。加えて、任意の遺伝子、遺伝子カセットまたは調節領域の複数のコピーが細菌に存在してもよく、前記遺伝子、遺伝子カセットまたは調節領域の1つまたは複数のコピーを、本明細書に記載の通り突然変異させる、あるいは変更することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、コピー数を増加させるために同じ遺伝子、遺伝子カセットもしくは調節領域の複数のコピーを含むように操作されるか、または複数の異なる機能を果す遺伝子カセットの複数の異なる構成要素を含むように操作される。
「作動可能に連結した」は、単一核酸断片上の核酸配列が、ある配列の機能が他の配列による影響を受けるように、会合することを意味する。調節エレメントとコード配列は、調節エレメントとコード配列間の距離に関係なく、調節エレメントが遺伝子コード配列の発現に影響を及ぼすことができる場合、作動可能に連結している。より具体的には、作動可能に連結したは、核酸配列の発現、例えば、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子の発現を可能にする形で調節配列に連結している核酸配列、例えば、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子に当てはまる。換言すると、調節配列は、シスで作動する。一実施形態では、遺伝子は、該遺伝子の発現を可能にする形で調節配列に「直接的に連結した」ものであってもよい。他の実施形態では、遺伝子は、該遺伝子の発現を可能にする形で調節配列に「間接的に連結した」ものであってもよい。一実施形態では、2つまたはそれ以上の遺伝子は、該2つまたはそれ以上の遺伝子の発現を可能にする形で調節配列に直接的または間接的に連結したものであってもよい。調節領域または配列は、目的の遺伝子の転写を指示することができる核酸であり、プロモーター配列、エンハンサー配列、応答エレメント、タンパク質認識部位、誘導性エレメント、プロモーター制御エレメント、タンパク質結合配列、5’および3’非翻訳領域、転写開始部位、終結配列、ポリアデニル化配列ならびにイントロンを含むことができる。
「プロモーター」は、本明細書で使用する場合、コード配列または遺伝子の発現を制御することができるヌクレオチド配列を意味する。プロモーターは、一般に、それらが調節する配列の5’側に位置する。プロモーターは、それらの全部が天然遺伝子に由来することもあり、または天然で見いだされるプロモーターに由来する異なるエレメントで構成されていることもあり、および/または合成ヌクレオチドセグメントを含むこともある。異なるプロモーターが、特定の刺激に例えば細胞もしくは組織特異的な形で応答して、異なる環境もしくは生理的条件に応答して、または特定の化合物に応答して、コード配列または遺伝子の発現を調節し得ることは、当業者には容易に確められるであろう。原核生物プロモーターは、一般的に2つのクラスに分類される:誘導性および構成的。「構成的プロモーター」は、その制御下のコード配列または遺伝子の連続転写を可能にするプロモーターを意味する。
「構成的プロモーター」は、その制御下の、かつ/またはそれが作動可能に連結したコード配列もしくは遺伝子の連続的転写を駆動することができるプロモーターを意味する。構成的プロモーターおよび変異体は、当技術分野で周知であり、BBa_J23100、構成的大腸菌σプロモーター(例えば、osmYプロモーター(International Genetically Engineered Machine(iGEM) Registry of Standard Biological Parts Name BBa_J45992; BBa_J45993))、構成的大腸菌σ32プロモーター(例えば、htpG熱ショックプロモーター(BBa_J45504))、構成的大腸菌σ70プロモーター(例えば、lacqプロモーター(BBa_J54200; BBa_J56015)、大腸菌CreABCDリン酸感知オペロンプロモーター(BBa_J64951)、GlnRSプロモーター(BBa_K088007)、lacZプロモーター(BBa_K119000;BBa_K119001)、M13K07遺伝子Iプロモーター(BBa_M13101)、M13K07遺伝子IIプロモーター(BBa_M13102)、M13K07遺伝子IIIプロモーター(BBa_M13103)、M13K07遺伝子IVプロモーター(BBa_M13104)、M13K07遺伝子Vプロモーター(BBa_M13105)、M13K07遺伝子VIプロモーター(BBa_M13106)、M13K07遺伝子VIIIプロモーター(BBa_M13108)、M13110(BBa_M13110)、構成的枯草菌σプロモーター(例えば、プロモーターveg(BBa_K143013)、プロモーター43(BBa_K143013)、PliaG(BBa_K823000)、PlepA(BBa_K823002)、Pveg(BBa_K823003)、構成的枯草菌σプロモーター(例えば、プロモーターctc(BBa_K143010)、プロモーターgsiB(BBa_K143011))、サルモネラ属(Salmonella)プロモーター(例えば、サルモネラ属に由来するPspv2(BBa_K112706)、サルモネラ属に由来するPspv(BBa_K112707))、バクテリオファージT7プロモーター(例えば、T7プロモーター(BBa_I712074;BBa_I719005;BBa_J34814;BBa_J64997;BBa_K113010;BBa_K113011;BBa_K113012;BBa_R0085;BBa_R0180;BBa_R0181;BBa_R0182;BBa_R0183;BBa_Z0251;BBa_Z0252;BBa_Z0253))、およびバクテリオファージSP6プロモーター(例えば、SP6プロモーター(BBa_J64998))を含むが、これらに限定されない。
「誘導性プロモーター」は、1つまたは複数の遺伝子に作動可能に連結している調節領域であって、前記遺伝子(複数可)の発現が前記調節領域の誘導物質の存在下で増加する、前記調節領域を意味する。「誘導性プロモーター」は、その制御下のコード配列または遺伝子の転写レベル上昇を刺激または外因性環境条件に応答して開始するプロモーターを意味する。「直接的誘導性プロモーター」は、タンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子に作動可能に連結している調節領域であって、該調節領域の誘導物質の存在下で前記タンパク質またはポリペプチドが発現する、前記調節領域を意味する。「間接的誘導性プロモーター」は、2つまたはそれ以上の調節領域を含む調節システムであって、例えば、第2の遺伝子に作動可能に連結している第2の調節領域を調節することができる、第1のタンパク質、ポリペプチドまたは因子、例えば、転写調節因子をコードする第1の遺伝子に作動可能に連結している第1の調節領域を含み、前記第2の調節領域が活性化または抑制されることにより、第2の遺伝子の発現が活性化または抑制される、調節システムを意味する。直接的誘導性プロモーターと間接的誘導性プロモーターの両方が「誘導性プロモーター」に含まれる。本明細書に記載の例示的誘導性プロモーターは、酸素レベル依存性プロモーター(例えば、FNR誘導性プロモーター)、炎症または炎症反応により誘導されるプロモーター(RNS、ROSプロモーター)、ならびに消化管内に天然に存在し得るまたはし得ない(例えば、体外から加えることができる)代謝物、例えば、アラビノースおよびテトラサイクリンにより誘導されるプロモーターを含む。誘導性プロモーターの例は、本明細書中でより詳細に説明する、FNR応答性プロモーター、ParaCプロモーター、ParaBADプロモーターおよびPTetRプロモーターを含むが、これらに限定されない。他の誘導性プロモーターの例は、本明細書中の後段にて提供する。
本明細書で使用する場合、「発現」という用語は、核酸に由来するセンスRNA(mRNA)もしくはアンチセンスRNAの転写および安定した蓄積、ならびに/またはmRNAのポリペプチドへの翻訳を意味する。
本明細書で使用する場合、「プラスミド」または「ベクター」という用語は、細菌細胞のゲノムに組み込まれない、染色体外核酸、例えばDNA、構築物を意味する。プラスミドは、通常は環状であり、自律増殖することができる。プラスミドは、当技術分野で周知であるように、低コピー、中コピー、または高コピーであり得る。プラスミドは、該プラスミドを含有する細菌細胞についての選択を助け、かつ該プラスミドが前記細菌細胞内に確実に保持されるようにする、選択マーカー、例えば、抗生物質耐性遺伝子を任意選択で含み得る。プラスミドは、1つまたは複数の異種遺伝子または遺伝子カセットをコードする核酸配列を含み得る。
本明細書で使用する場合、「形質転換する」または「形質転換」という用語は、遺伝子的に安定した遺伝をもたらす、核酸断片の宿主細胞への移入を意味する。形質転換された核酸断片を含む宿主細菌細胞は、「組換え」または「トランスジェニック」または「形質転換(された)」生物と呼ばれる。
「遺伝子改変」という用語は、本明細書で使用する場合、任意の遺伝子変化を意味する。例示的遺伝子改変は、例えば、天然染色体または染色体外遺伝物質の改変を含む、遺伝子の発現を増加、減少または消失させるものを含む。例示的遺伝子改変は、少なくとも1つのプラスミドの導入、染色体または染色体外遺伝物質(複数可)の改変、突然変異、塩基欠失、塩基付加、塩基置換および/もしくはコドン改変、遺伝子過剰発現、遺伝子増幅、遺伝子抑制、プロモーター改変もしくは置換、遺伝子付加(単コピーもしくは多コピーのどちらか)、アンチセンス発現もしくは抑制、または宿主細胞の遺伝要素に対する任意の他の変化(その変化が表現型の変化を生じさせるか否かを問わない)も含む。遺伝子改変は、プラスミド、例えば、プロモーターに作動可能に連結したプロピオネート異化酵素を含むプラスミドの、細菌細胞への導入を含み得る。遺伝子改変は、染色体内での、例えば、天然遺伝子プロモーターを誘導性プロモーター、調節プロモーター、強いプロモーターまたは構成的プロモーターで置換するための、標的化置換も含み得る。遺伝子改変は、遺伝子増幅、例えば、細胞の染色体への天然遺伝子の少なくとも1つの追加のコピーの導入も含み得る。あるいは、染色体遺伝子改変は、遺伝子突然変異を含み得る。
本明細書で使用する場合、「遺伝子突然変異」という用語は、遺伝子または関連調節領域のヌクレオチド配列の、該ヌクレオチド配列をその天然または野生型配列と比較して変更する、1つまたは複数の変化を意味する。突然変異は、例えば、野生型配列内での、全体的または部分的、置換、付加および欠失を含む。そのような置換、付加または欠失は、配列への実質的変化をもたらし得る、単一ヌクレオチド変化(例えば、1つもしくは複数の点突然変異)であってもよく、または2つもしくはそれ以上の変化であってもよい。突然変異は、遺伝子のコード領域内ならびに遺伝子の非コードおよび調節配列内で起こり得る。「遺伝子突然変異」という用語は、コード領域内でのサイレントおよび保存的突然変異、ならびに遺伝子によりコードされたポリペプチドのアミノ酸配列を変更する変化を含むことを意図するものである。遺伝子コード配列における遺伝子突然変異は、例えば、その遺伝子のポリペプチド産物の活性(例えば、酵素的活性)を増加させることもあり、減少させることもあり、または別様に変更することもある。調節配列の遺伝子突然変異は、変更された調節配列に作動可能に連結した配列の発現を増加させるか、減少させるか、または別様に変更する。
具体的には、「プロピオネートの細菌細胞への移入を増加させる遺伝子改変」という用語は、遺伝子改変であって、該改変を有さない細菌細胞、例えば野生型細菌細胞、の細胞質ゾルへのプロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸またはメチルマロニルCoAの取込み速度または取込み量と比較して、細菌細胞の細胞質ゾルへのプロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAまたはその代謝物の取込み速度を上昇させる、または取込み量を増加させる遺伝子改変を意味する。一実施形態では、操作された細菌細胞であって、該細菌細胞へのプロピオネートの移入を増加させる遺伝子改変を有する細菌細胞は、プロピオネートの輸送体をコードする異種遺伝子を含む細菌細胞を意味する。一実施形態では、組換え細菌細胞であって、該細菌細胞からのプロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAおよび/またはそれらの代謝物の移入を増加させる遺伝子改変を有する細菌細胞は、天然遺伝子の遺伝子突然変異を含む。他の実施形態では、組換え細菌細胞であって、該細菌細胞からのプロピオネートおよび/またはその代謝物の移入を増加させる遺伝子改変を有する細菌細胞は、プロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAおよび/またはそれらの代謝物の移入を増加させる遺伝子の転写を増加させるまたは活性化する、天然プロモーターにおける遺伝子突然変異を含む。他の実施形態では、組換え細菌細胞であって、該細菌細胞からのpプロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAおよび/またはそれらの代謝物の移入を増加させる遺伝子改変を有する該細菌細胞は、プロピオネートおよび/またはその代謝物の取込み輸送体(輸送体)の活性化因子の過剰発現につながる遺伝子突然変異を含む。他の実施形態では、組換え細菌細胞であって、該細菌細胞からのプロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAおよび/またはそれらの代謝物の移入を増加させる遺伝子改変を有する該細菌細胞は、輸送体(取込み輸送体)をコードする遺伝子の翻訳を増加させるまたは活性化する遺伝子突然変異を含む。
さらに、「プロピオネートおよび/またはその代謝物の細菌細胞への移入を増加させる遺伝子改変」という用語は、該改変を有さない細菌細胞、例えば野生型細菌細胞、の細胞質ゾルへのプロピオネートおよび/またはその代謝物の取込み速度または取込み量と比較して、細菌細胞の細胞質ゾルへのプロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAおよび/またはその代謝物の取込み速度を上昇させる、または取込み量を増加させる遺伝子改変を意味する。いくつかの実施形態では、操作された細菌細胞であって、該細菌細胞へのプロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAおよび/またはその代謝物の移入を増加させる遺伝子改変を有する細菌細胞は、プロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAおよび/またはその代謝物の1つまたは複数の取込み輸送体(輸送体)をコードする異種遺伝子配列(天然または非天然のもの)を含む細菌細胞を意味する。いくつかの実施形態では、該細菌細胞へのプロピオネートの移入およびその代謝物のうちの1つまたは複数の移入を増加させる遺伝子改変を含む遺伝子操作細菌は、プロピオネート輸送体、または該細菌細胞内に1つもしくは複数のプロピオネート代謝物を輸送する他のアミノ酸輸送体、例えば、メチルマロン酸を細菌細胞に輸送することができる輸送体をコードする遺伝子配列(複数可)を含む。輸送体は、プロピオネートおよび/またはその代謝物の細胞への移入を支援するまたは可能にするいずれの輸送体であってもよい。特定の実施形態では、プロピオネート輸送体は、MctC、PutP_6または本明細書に記載の任意の他のプロピオネート輸送体のうちの1つである。特定の実施形態では、操作された細菌細胞は、MctC、PutP_6または本明細書に記載の任意の他のプロピオネート輸送体をコードする遺伝子配列を含有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、プロピオネート輸送体をコードする遺伝子配列の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、複数のプロピオネート輸送体、例えば、2つまたはそれ以上の異なるプロピオネート輸送体をコードする遺伝子配列(複数可)を含む。
「プロピオネート」という用語は、本明細書で使用する場合、C2H5COO−を意味する。プロピオネートは、プロピオン酸の共役塩基である。「プロピオン酸」という用語は、本明細書で使用する場合、化学式CH3CH2COOHを有するカルボン酸を意味する。プロピオネートは、カルボン酸の異化における第1ステップとしてプロピオニル補酵素A(「プロピオニルCoA」)に変換される。プロピオネートおよびプロピオニルCoAは、平衡状態で存在する。ヒトおよび他の脊椎動物では、プロピオニルCoAは、ビオチン(ビタミンB7)を活用して酵素プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)によりD−メチルマロニルCoAにカルボキシル化され、そのD−メチルマロニルCoAがL−メチルマロニルCoAに異性化される(図5参照)。本明細書で使用する場合、「メチルマロニルCoA」という用語は、メチルマロン酸に連結した補酵素Aからなるチオエステルを意味する。次いで、ビタミンB12依存性酵素であるメチルマロニルCoAムターゼ(MUT)がL−メチルマロニルCoAのスクシニルCoAへの再構成を触媒し、次いで、そのスクシニルCoAがクエン酸サイクルに組み込まれる。
本明細書で使用する場合、「プロピオネート結合タンパク質」という用語は、プロピオネート、および/または1つもしくは複数のプロピオネート代謝物(メチルマロネートおよび/またはメチルマロン酸を含むがこれらに限定されない)に結合することができるタンパク質を意味する。
本明細書で使用する場合、「輸送体」という用語は、分子、例えば、アミノ酸、ペプチド(ジペプチド、トリペプチド、ポリペプチド等)、毒素、代謝物、基質、ならびに他の生体分子を細胞外環境から微生物に移入するための機構、例えば、1つのタンパク質、複数のタンパク質、またはタンパク質複合体を意味する。
本明細書で使用する場合、「プロピオネート輸送体」という用語は、プロピオネート、および/またはその代謝物(メチルマロネートおよび/またはメチルマロン酸を含むがこれらに限定されない)のうちの1つもしくは複数を細菌細胞に輸送するように機能するポリペプチドを意味する。
本明細書で使用する場合、「メチルマロン酸」および「メチルマロネート」という用語は、同義で用いる。本明細書で使用する場合、「プロピオネート」および「プロピオン酸」という用語は、同義で用いる。
本明細書で使用する場合、「プロピオネートおよび/またはその代謝物」または「プロピオネート、および/またはその代謝物のうちの1つもしくは複数」という語句は、プロピオネートの任意の代謝物、例えば、本明細書に記載の代謝物のいずれかを含み、プロピオニルCoA、メチルマロン酸、またはメチルマロニルCoAも含む。
「消化管」は、食物の輸送および消化、栄養素の吸収、ならびに廃物の排泄に関与する器官、腺、路および系を意味する。ヒトにおいては、消化管は、口から始まり、肛門で終わり、食道、胃、小腸および大腸をさらに含む、胃腸(GI)管を含む。消化管は、脾臓、肝臓、胆嚢および膵臓などの、付属器官および腺も含む。上部胃腸管は、食道、胃および小腸の十二指腸を含む。下部胃腸管は、小腸の残りの部分、すなわち、空腸および回腸、ならびに大腸のすべて、すなわち、盲腸、結腸、直腸および肛門管を含む。細菌は、消化管を通して、例えば、胃腸管、とりわけ腸に見いだすことができる。
「非病原性細菌」は、宿主における疾患または有害な反応を引き起こす能力がない細菌を意味する。いくつかの実施形態では、非病原性細菌は、共生細菌である。非病原性細菌の例は、バシラス属(Bacillus)、バクテロイデス属(Bacteroides)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、ブレビバクテリウム属(Brevibacteria)、クロストリジウム属(Clostridium)、腸球菌属(Enterococcus)、大腸菌(Escherichia coli)、乳酸桿菌属(Lactobacillus)、乳酸球菌属(Lactococcus)、サッカロミセス属(Saccharomyces)およびスタフィロコッカス属(Staphylococcus)、例えば、バシラス・コアグランス(Bacillus coagulans)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、バクテロイデス・ズブチリス(Bacteroides subtilis)、バクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)、エンテロコッカス・ファシウム(Enterococcus faecium)、ラクトバシラス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシラス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバシラス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバシラス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバシラス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバシラス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシラス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバシラス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)およびサッカロミセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)を含むが、これらに限定されない(Sonnenbornら、2009年;Dinleyiciら、2014年;米国特許第6,835,376号;米国特許第6,203,797号;米国特許第5,589,168号;米国特許第7,731,976号)。天然で病原性の細菌を遺伝子操作して、病原性の低下または消失をもたらすことができる。
本明細書で使用する場合、「治療する」という用語およびその同語源語は、疾患、またはその少なくとも1つの認識できる症状の改善を意味する。他の実施形態では、「治療する」は、患者によって必ずしも認識できない、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメーターの改善を意味する。他の実施形態では、「治療する」は、疾患の進行を、物理的に(例えば、認識できる症状の安定化)、生理学的に(例えば、物理的パラメーターの安定化)または両方により、抑制することを意味する。他の実施形態では、「治療する」は、疾患の進行を遅くすることまたは進行を逆転することを意味する。本明細書で使用する場合、「妨げる」およびその同語源語は、所定の疾患の発生を遅延させることまたはかかるリスクを低下させることを意味する。
治療を必要とする人は、特定の医学的疾患を既に有する人、疾患を有するリスクがある、または最終的に疾患にかかる可能性がある人を含み得る。治療の必要性は、例えば、疾患の発生に関連する1つもしくは複数のリスクファクターの存在、疾患の存在もしくは進行、または疾患を有する対象の治療に対する生じ得る受容によって評価される。プロピオネートの異化に関連する疾患、例えば、プロピオン酸血症(PA)またはメチルマロン酸血症(MMA)は、公知の治療法が存在しない先天性遺伝子突然変異によって引き起こされ得る。疾患はまた、他の状態、例えば肝疾患、の二次的なものであり得る。PAまたはMMAなどの、プロピオネートの異化を伴う疾患の治療は、プロピオネート、プロピオン酸、プロピオニルCoA、メチルマロン酸および/もしくはメチルマロニルCoAの正常レベルを低下させること、プロピオネート、プロピオン酸、プロピオニルCoA、メチルマロン酸および/もしくはメチルマロニルCoAの過剰レベルを低下させること、またはプロピオネート、プロピオン酸、プロピオニルCoA、メチルマロン酸および/もしくはメチルマロニルCoAを消失させることを含み得るものであり、基礎疾患の消失を必ずしも含まない。
本明細書で使用する場合、「異化」という用語は、奇数鎖脂肪酸、コレステロール、または分枝鎖アミノ酸、例えば、メチオニン、トレオニン、イソロイシンもしくはバリンの、その対応するプロピオニルCoA、メチルマロニルCoA、またはスクシニルCoAへの変換を意味する。一実施形態では、「異常な異化」は、対象の血液中または脳内へのプロピオニルCoAまたはメチルマロニルCoAの蓄積につながる、奇数鎖脂肪酸、コレステロールまたは分枝鎖アミノ酸のその対応するプロピオニルCoA、メチルマロニルCoAまたはスクシニルCoAへの変換速度または変換レベルの低下を意味する。一実施形態では、対象の血液中または脳内へのプロピオニルCoAまたはメチルマロニルCoAの蓄積は、毒性になり、対象におけるプロピオネートの異常な異化に関連する疾患または障害の発生につながる。「異化」、例えば、「プロピオネート異化」は、プロピオネートおよび/またはメチルマロン酸の、本明細書に記載のその分解産物のうちの1つまたは複数への分解も意味する。
一実施形態では、「プロピオネートの異化を伴う障害」は、プロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸またはメチルマロニルCoAの異常な異化を伴う疾患または障害である。本明細書で使用する場合、「プロピオネートの異常な異化を伴う障害」という用語は、プロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸および/またはメチルマロニルCoAの異化が異常である疾患または障害を意味する。一実施形態では、「異常な異化」は、対象の血液中または脳内へのプロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸および/またはメチルマロニルCoAの蓄積につながる、プロピオニルCoAのメチルマロニルCoAへの変換速度もしくは変換レベルの低下、またはメチルマロニルCoAのスクシニルCoAへの変換速度もしくは変換レベルの低下を意味する。一実施形態では、対象の血液中または脳内へのプロピオネート、プロピオニルCoA、メチルマロン酸および/またはメチルマロニルCoAの蓄積は、毒性になり、対象におけるプロピオネートの異常な異化に関連する疾患または障害の発生につながる。一実施形態では、プロピオネートの異常な異化を伴う障害は、プロピオン酸血症またはメチルマロン酸血症である。
本明細書で使用する場合、「外因性環境条件」または「外因性環境シグナル」という語句は、本明細書に記載のプロモーターが直接的または間接的に誘導される、状況、環境、刺激、または生体分子を意味する。「外因性環境条件」という語句は、操作された微生物にとっては外部であるが、宿主対象の環境にとっては内因性または天然の環境条件を意味する。したがって、「外因性」および「内因性」は、同義で用いて、環境条件が哺乳動物の身体に対して内因性であるが、完全な微生物細胞に対しては外部または外因性である環境条件を意味することができる。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の消化管に固有のものである。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の上部胃腸管に固有のものである。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の下部胃腸管に固有のものである。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の小腸に固有のものである。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の消化管の環境のような、低酸素、微好気的または嫌気的条件である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、哺乳動物の消化管に固有である分子もしくは代謝物、例えば、プロピオネートである。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、組織に固有または疾患に固有の代謝物もしくは分子(複数可)である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、プロピオネート異化酵素疾患、例えば、プロピオン酸血症および/またはメチルマロン酸血症に固有のものである。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、低pH環境である。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作微生物は、pH依存性プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作微生物は、酸素レベル依存性プロモーターを含む。いくつかの態様では、細菌は、酸素レベルを感知することができる転写因子を発達させた。異なるシグナル伝達経路は、異なる酸素レベルにより誘発され、異なる速度論で発生し得る。「酸素レベル依存性プロモーター」または「酸素レベル依存性調節領域」は、1つまたは複数の酸素レベル感知転写因子が結合することができる核酸配列を指し、ここで、対応する転写因子の結合および/または活性化が下流遺伝子発現を活性化する。
酸素レベル依存性転写因子の例は、FNR(フマル酸・硝酸レダクターゼ)、ANRおよびDNRを含むが、これらに限定されない。対応するFNR応答性プロモーター、ANR(嫌気硝酸呼吸)応答性プロモーター、およびDNR(異化型硝酸呼吸調節因子)応答性プロモーターは、当技術分野で公知であり(例えば、Castiglioneら、2009年;Eiglmeierら、1989年;Galimandら、1991年;Hasegawaら、1998年;Hoerenら、1993年;Salmonら、2003年参照)、非限定的な例を表1に示す。
非限定的な例において、プロモーター(PfnrS)は、低または無環境酸素の条件下で高度に発現することが公知である大腸菌ニッスルフマル酸・硝酸レダクターゼ遺伝子S(fnrS)に由来していた(DurandおよびStorz、2010年;Boysenら、2010年)。PfnrSプロモーターは、ニッスルに天然で見いだされるグローバルな転写調節因子FNRにより嫌気的条件下で活性化される。嫌気的条件下では、FNRは、二量体を形成し、その制御下の特定の遺伝子のプロモーターにおける特定の配列に結合し、それにより、それらの発現を活性化する。しかし、好気的条件下では、酸素がFNR二量体における鉄−硫黄クラスターと反応し、それらを不活性形に変換する。このようにして、PfnrS誘導性プロモーターは、タンパク質またはRNAの発現をモジュレートするために採用される。PfnrSは、本願書においてFNRS、fnrs、FNR、P−FNRSプロモーターおよびPfnrSプロモーターを示すための他のそのような関連する記号表示と同義で用いる。
Figure 2018521674
いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、活性酸素種(ROS)の存在または非存在である。他の実施形態では、外因性環境条件は、活性窒素種(RNS)の存在または非存在である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件は、炎症反応に関与する生体分子、例えば、消化管の炎症性障害の際に存在する分子である。いくつかの実施形態では、外因性環境条件またはシグナルは、組換え細菌細胞が滞留する環境に、天然に存在する、または天然に存在しない。いくつかの実施形態では、外因性環境条件またはシグナルは、例えば、生物学的条件の作出もしくは除去、および/または生体分子の投与もしくは除去により、人工的に作出される。
いくつかの実施形態では、外因性環境条件(複数可)および/またはシグナル(複数可)は、誘導性プロモーターの活性を刺激する。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターを活性化するのに役立つ外因性環境条件(複数可)および/またはシグナル(複数可)は、哺乳動物の消化管内に天然に存在しない。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターは、本開示の医薬組成物と併用して投与される分子または代謝物、例えば、テトラサイクリン、アラビノース、または誘導性プロモーターを活性化するのに役立つ任意の生体分子によって刺激される。いくつかの実施形態では、外因性環境条件(複数可)および/またはシグナル(複数可)は、本開示の組換え細菌細胞を含む培養培地に加えられる。いくつかの実施形態では、誘導性プロモーターを活性化するのに役立つ外因性環境条件は、哺乳動物の消化管内に天然に存在する(例えば、低酸素もしくは嫌気的条件、または炎症反応に関与する生体分子)。いくつかの実施形態では、外因性環境条件への(例えば、in vivoでの)曝露の喪失は、プロモーターを誘導するための外因性環境条件が存在しない(例えば、消化管外の好気的環境)故、誘導性プロモーターの活性を阻害する。「消化管」は、食物の輸送および消化、栄養素の吸収、ならびに廃物の排泄に関与する器官、腺、路および系を意味する。ヒトの場合、消化管は、口で始まり肛門で終わり、食道、胃、小腸および大腸をさらに含む、胃腸管(GI)を含む。消化管は、脾臓、肝臓、胆嚢および膵臓などの、付属器官および腺も含む。上部胃腸管は、食道、胃、および小腸の十二指腸を含む。下部胃腸管は、小腸の残りの部分、すなわち、空腸および回腸、ならびに大腸の全て、すなわち、盲腸、結腸、直腸および肛門管を含む。細菌は、消化管の至る所で、例えば、胃腸管内、とりわけ腸内で見いだすことができる。
「微生物」は、一般的に単細胞からなる顕微鏡的、超顕微鏡的または極超微鏡的サイズの生物または微小生物を意味する。微生物の例は、細菌、ウイルス、寄生虫、真菌、特定の藻類および原虫を含む。いくつかの態様では、微生物は、1つまたは複数の治療用分子、例えば、リソソーム酵素(複数可)を産生するように操作されている(「操作(された)微生物」である)。特定の態様では、操作微生物は、操作細菌である。特定の実施形態では、操作微生物は、操作ウイルスである。
「非病原性細菌」は、宿主において疾患または有害な反応を引き起こす能力がない細菌を意味する。いくつかの実施形態では、非病原性細菌は、グラム陰性細菌である。いくつかの実施形態では、非病原性細菌は、グラム陽性細菌である。いくつかの実施形態では、非病原性細菌は、リポ多糖(LPS)を含有しない。いくつかの実施形態では、非病原性細菌は、共生細菌である。非病原性細菌の例は、バシラス属、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、クロストリジウム属、腸球菌属、大腸菌、乳酸桿菌属、乳酸球菌属、サッカロミセス属およびスタフィロコッカス属、に属する特定の菌株、例えば、バシラス・コアグランス、枯草菌、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・ズブチリス、バクテロイデス・シータイオタオミクロン、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、クロストリジウム・ブチリカム、エンテロコッカス・ファシウム、大腸菌、大腸菌ニッスル、ラクトバシラス・アシドフィラス、ラクトバシラス・ブルガリクス、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・ジョンソニイ、ラクトバシラス・パラカゼイ、ラクトバシラス・プランタルム、ラクトバシラス・ロイテリ、ラクトバシラス・ラムノサス、ラクトコッカス・ラクティスおよびサッカロミセス・ブラウディを含むが、これらに限定されない(Sonnenbornら、2009年;Dinleyiciら、2014年;米国特許第6,835,376号;米国特許第6,203,797号;米国特許第5,589,168号;米国特許第7,731,976号)。非病原性細菌は、消化管の常在微生物叢に存在する共生細菌も含む。一実施形態では、本開示は、非病原性サッカロミセス属、例えば、サッカロミセス・ブラウディをさらに含む。天然で病原性の細菌を遺伝子操作して、病原性を低下または消失させることができる。
「プロバイオティク」は、適切な量の微生物を含有する宿主生物に健康上の恩恵をもたらすことができる、生存している非病原性微生物、例えば、細菌を指すために用いられる。いくつかの実施形態では、宿主生物は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、宿主生物は、ヒトである。いくつかの実施形態では、プロバイオティク細菌は、グラム陰性細菌である。いくつかの実施形態では、プロバイオティク細菌は、グラム陽性細菌である。非病原性細菌のいくつかの種、菌株および/または亜型は、現在プロバイオティク細菌と認識されている。プロバイオティク細菌の例は、ビフィドバクテリウム属、大腸菌、乳酸桿菌属およびサッカロミセス属に属する特定の菌株、例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、エンテロコッカス・ファシウム、大腸菌ニッスル株、ラクトバシラス・アシドフィラス、ラクトバシラス・ブルガリクス、ラクトバシラス・パラカゼイ、およびラクトバシラス・プランタルム、ならびにサッカロミセス・ブラウディを含むが、これらに限定されない(Dinleyiciら、2014年;米国特許第5,589,168号;米国特許第6,203,797号;米国特許第6,835,376号)。プロバイオティクは、細菌の変異または突然変異菌株であり得る(Arthurら、2012年;Cuevas−Ramosら、2010年;Olierら、2012年;Nougayredeら、2006年)。非病原性細菌を遺伝子操作して、所望の生物学的特性、例えば、生存性を増強または改善することができる。非病原性細菌を遺伝子操作して、プロバイオティク特性を与えることができる。プロバイオティク細菌を遺伝子操作して、プロバイオティク特性を増強または改善することができる。
本明細書で使用する場合、「栄養要求体」または「栄養要求性の」という用語は、その成長を支持するために特定の因子(例えば、アミノ酸、糖または他の栄養素)を必要とする生物を意味する。「栄養要求性の改変」は、外から加えられる生存または成長に必須の栄養素の非存在下で生物が前記栄養素を産生できないため死滅する原因となる、遺伝子改変である。本明細書で使用する場合、「必須遺伝子」という用語は、細胞の増殖および/または生存に欠くことのできない遺伝子を意味する。必須遺伝子は、より詳細に下で説明するものであり、DNA合成遺伝子(例えば、thyA)、細胞壁合成遺伝子(例えば、dapA)、およびアミノ酸遺伝子(例えば、serAおよびmetA)を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用する場合、「モジュレートする」および「治療する」という用語ならびにそれらの同語源語は、疾患、障害および/もしくは状態、またはその少なくとも1つの認識できる症状の改善を意味する。他の実施形態では、「モジュレートする」および「治療する」は、患者によって必ずしも認識できない、少なくとも1つの測定可能な物理的パラメーターの改善を意味する。他の実施形態では、「モジュレートする」および「治療する」は、疾患、障害および/または状態の進行を、物理的に(例えば、認識できる症状の安定化)、生理学的に(例えば、物理的パラメーターの安定化)または両方により、抑制することを意味する。他の実施形態では、「モジュレートする」および「治療する」は、疾患、障害および/または状態の進行を遅くすることまたは進行を逆転することを意味する。本明細書で使用する場合、「妨げる」およびその同語源語は、所定の疾患、障害および/または状態あるいはそのような疾患、障害および/または状態に関連する症状の発生を遅延させることまたはかかるリスクを低下させることを意味する。
治療を必要とする人は、特定の医学的疾患を既に有する人、疾患を有するリスクがある、または最終的に疾患にかかる可能性がある人を含み得る。治療の必要性は、例えば、疾患の発生に関連する1つもしくは複数のリスクファクターの存在、疾患の存在もしくは進行、または疾患を有する対象の治療に対する生じ得る受容によって評価される。プロピオネートの異化および/またはその代謝産物のうちの1つもしくは複数の異化に関連する疾患、例えば、プロピオン酸血症および/またはメチルマロン酸血症は、公知の治療法が存在しない先天性遺伝子突然変異によって引き起こされ得る。疾患はまた、他の状態の二次的なものであり得る。プロピオネートおよびメチルマロネートの異化を伴う疾患、例えば、プロピオン酸血症および/またはメチルマロン酸血症の治療は、プロピオネートの正常レベルおよび/もしくはその代謝物のうちの1つもしくは複数の正常レベルを低下させること、プロピオネートの過剰レベルおよび/もしくはその代謝物のうちの1つもしくは複数の過剰レベルを低下させること、またはプロピオネートを、および/もしくはその代謝物のうちの1つもしくは複数を消失させることを含み得るものであり、基礎疾患の消失を必ずしも含まない。
本明細書で使用する場合、「ペイロード」は、細菌またはウイルスなどの遺伝子操作微生物により産生される、目的の1つもしくは複数の分子を意味する。いくつかの実施形態では、ペイロードは、治療用ペイロード、例えば、プロピオネート異化酵素またはプロピオネート輸送体ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、ペイロードは、調節分子、例えば、FNRのような転写調節因子である。いくつかの実施形態では、ペイロードは、プロモーターまたはリプレッサーのような、調節エレメントを含む。いくつかの実施形態では、ペイロードは、ペイロードは、FNRSのような、誘導性プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、ペイロードは、キルスイッチのような、リプレッサーエレメントを含む。いくつかの実施形態では、ペイロードは、1つまたは複数の抗生物質耐性遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、ペイロードは、1つの遺伝子、複数の遺伝子、遺伝子カセット、またはオペロンによりコードされる。代替実施形態では、ペイロードは、生合成または生化学的経路により生成されるものであって、前記生合成または生化学的経路は、任意選択で微生物に対して内因性であってもよい。代替実施形態では、ペイロードは、生合成または生化学的経路により生成されるものであって、前記生合成または生化学的経路は、微生物に対して内因性でない。いくつかの実施形態では、遺伝子操作微生物は、2つまたはそれ以上のペイロードを含む。
本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」という用語は、「ポリペプチド」ならびに「(複数の)ポリペプチド」を含み、アミド結合(すなわち、ペプチド結合)により直線状に連結したアミノ酸単量体から構成される分子を意味する。「ポリペプチド」という用語は、2つまたはそれ以上のアミノ酸の1つまたは複数の鎖を意味し、特定の長さの生成物を意味しない。したがって、「ペプチド」、「ジペプチド」、「トリペプチド」、「オリゴペプチド」、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」または2つもしくはそれ以上のアミノ酸の1つもしくは複数の鎖を指すために用いられる任意の他の用語は、「ポリペプチド」の定義の範囲内に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語の代わりに、またはそれらと同義で用いることができる。「ポリペプチド」という用語は、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、誘導体化、タンパク質分解的切断または非天然アミノ酸による修飾を含むが、これらに限定されない、ポリペプチドの発現後修飾の生成物も指すものとする。ポリペプチドは、天然の生物学的供給源から得ることができ、または組換え技術により生成することができる。他の実施形態では、ポリペプチドは、本発明の遺伝子操作細菌またはウイルスにより産生される。本発明のポリペプチドは、約3もしくはそれ以上、5もしくはそれ以上、10もしくはそれ以上、20もしくはそれ以上、25もしくはそれ以上、50もしくはそれ以上、75もしくはそれ以上、100もしくはそれ以上、200もしくはそれ以上、500もしくはそれ以上、1000もしくはそれ以上、または2000もしくはそれ以上のアミノ酸のサイズであり得る。ポリペプチドは、必ずしもそのような構造を有さないが、定義された3次元構造を有し得る。定義された3次元構造を有するポリペプチドは、折りたたみと呼ばれ、定義された3次元構造を有さずに、多数の異なる立体配座をとり得るポリペプチドは、変性と呼ばれる。「ペプチド」または「ポリペプチド」という用語は、タンパク質もしくはタンパク質の一部に対応するアミノ酸配列を意味し、または非タンパク質配列、例えば、調節ペプチド配列、リーダーペプチド配列、シグナルペプチド配列、リンカーペプチド配列および他のペプチド配列から選択される配列と一致するアミノ酸配列を意味し得る。
「単離」ポリペプチドまたはその断片、変異体もしくは誘導体は、その天然環境中に存在しないポリペプチドを意味する。特定のレベルの精製は、要求されない。細菌または哺乳動物細胞を含むが、これらに限定されない宿主細胞において発現した組換えにより産生されたポリペプチドおよびタンパク質は、任意の適切な技術により分離され、分画され、または部分的もしくは実質的に精製された天然または組換えポリペプチドと同様に、本発明の目的のために単離されたと見なされる。組換えペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質は、組換えDNA技術により産生された、すなわち、ポリペプチドをコードする外因性組換えDNA発現構築物により形質転換した、細胞、微生物または哺乳動物から産生されたペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を意味する。大部分の細菌培養において発現するタンパク質またはペプチドは、一般的にグリカンを含まない。前述のポリペプチドの断片、誘導体、類似体または変異体、およびそれらのいずれかの組合せもポリペプチドとして含まれる。「断片」、「変異体」、「誘導体」および「類似体」という用語は、最初のペプチドのアミノ酸配列と十分に類似のアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、対応する最初のポリペプチドの少なくとも1つまたは複数の特性を保持している、任意のポリペプチドを含む。本発明のポリペプチドの断片は、タンパク質分解性断片ならびに欠失断片を含む。断片は、本明細書に記載の任意のポリペプチドに由来する特異抗体または生物活性断片もしくは免疫学的に活性な断片も含む。変異体は、天然型または非天然型であり得る。非天然型変異体は、当技術分野で公知の突然変異誘発法を用いて生成することができる。変異型ポリペプチドは、同類もしくは非同類アミノ酸置換、欠失または付加を含み得る。
ポリペプチドは、融合タンパク質も含む。本明細書で使用する場合、「変異体」という用語は、最初のペプチドのまたは最初のペプチドと十分に類似した配列を含む、融合タンパク質を含む。本明細書で使用する場合、「融合タンパク質」という用語は、2つまたはそれ以上の異なるタンパク質のアミノ酸配列を含むキメラタンパク質を意味する。一般的に、融合タンパク質は、周知のin vitro組換え技術により得られる。融合タンパク質は、融合タンパク質の成分である個別の最初のタンパク質と類似の構造的機能(ただし必ずしも同じ程度でない)および/または類似の調節機能(ただし必ずしも同じ程度でない)および/または類似の生化学的機能(ただし必ずしも同じ程度でない)および/または免疫学的活性(ただし必ずしも同じ程度でない)を有し得る。「誘導体」は、20種の標準アミノ酸の1つまたは複数の天然アミノ酸誘導体を含む、ペプチドを含むが、これに限定されない。2つのペプチド間の「類似性」は、1つのペプチドのアミノ酸配列を第2のペプチドの配列と比較することによって決定される。それが同一または同類アミノ酸置換である場合、1つのペプチドのアミノ酸は、第2のペプチドの対応するアミノ酸と類似している。同類置換は、Dayhoff M.O.編、The Atlas of Protein Sequence and Structure 5、National Biomedical Research Foundation、Washington D.C.(1978年)およびArgos、EMBO J.8(1989年)、779〜785頁に記載されているものを含む。例えば、以下の群の1つに属するアミノ酸は、保守的変化または置換を示す:−Ala、Pro、Gly、Gln、Asn、Ser、Thr;−Cys、Ser、Tyr、Thr;−Val、Ile、Leu、Met、Ala、Phe;−Lys、Arg、His;−Phe、Tyr、Trp、His;および−Asp、Glu。
本明細書で使用する場合、「十分に類似している」という用語は、第1および第2のアミノ酸配列が共通の構造ドメインおよび/または共通の機能活性を有するように第2のアミノ酸配列と比べて十分なまたは最小限の数の同一または同等のアミノ酸残基を含む第1のアミノ酸配列を意味する。例えば、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%同一である共通の構造ドメインを含むアミノ酸配列は、本明細書で十分に類似していると定義される。好ましくは、変異体は、本発明のペプチドのアミノ酸配列と十分に類似している。そのような変異体は、一般的に本発明のペプチドの機能活性を保持している。変異体は、1つもしくは複数のアミノ酸欠失、付加および/または置換により、それぞれ天然および野生型ペプチドとアミノ酸配列が異なるペプチドを含む。これらは、天然に存在する変異体ならびに人工的に設計されたものであり得る。
本明細書で使用する場合、「リンカー」、「リンカーペプチド」または「ペプチドリンカー」または「リンカー」という用語は、2つのポリペプチド配列を結合または連結する、例えば、2つのポリペプチドドメインを連結する合成または非天然もしくは非天然型アミノ酸配列を意味する。本明細書で使用する場合、「合成」という用語は、天然に存在しないアミノ酸配列を意味する。例示的リンカーは、本明細書に記載されている。さらなる例示的リンカーは、その内容がその全体として参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20140079701号に記載されている。
本明細書で使用する場合、「コドン最適化」という用語は、核酸分子の遺伝子またはコード領域におけるコドンの改変であって、前記核酸分子によりコードされたポリペプチドを変更することなく、宿主生物の一般的なコドン使用を反映するような改変を意味する。そのような最適化は、コドンの少なくとも1つ、または複数、または有意な数を、宿主生物の遺伝子においてより高頻度に使用されている1つまたは複数のコドンで置換することを含む。「コドン最適化配列」は、例えば、コード配列から転写された転写物RNA分子の発現宿主細胞もしくは生物における翻訳を改善するために、またはコード配列の転写を改善するために、既存のコード配列から改変された、または設計された配列を意味する。コドン最適化は、発現宿主生物のコドン選択に適合するコード配列のコドンを選択することを含む過程を含むが、これに限定されない。多くの生物は、成長しつつあるポリペプチド鎖における特定のアミノ酸の挿入をコードする特定のコドンの使用についてバイアスまたは選択を示す。コドン選択またはコドンバイアスは、生物間のコドン使用の差であり、遺伝コードの縮重によって可能になるものであり、多くの生物で十分に立証されている。コドンバイアスは、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳の効率としばしば相関しており、これがひいては、とりわけ、翻訳されるコドンの特性および特定の転移RNA(tRNA)分子の利用可能性に依存すると考えられている。細胞における選択されるtRNAsが優位であることは、一般的にペプチド合成において最も高頻度で使用されるコドンを反映するものである。したがって、コドン最適化に基づいて所定の生物における最適の遺伝子発現を得るために遺伝子を調整することができる。
本明細書で使用する場合、「分泌システム」または「分泌タンパク質」という用語は、微生物の細胞質、例えば、細菌の細胞質から、生体分子、例えば、ポリペプチドを分泌または輸出することができる天然または非天然分泌機構を意味する。分泌システムは、単一タンパク質を含み、または複合体、例えば、HlyBDに集合する2つまたはそれ以上のタンパク質を含み得る。グラム陰性細菌の分泌システムの非限定的な例は、改変III型鞭毛、I型(例えば、ヘモリシン分泌システム)、II型、IV型、V型、VI型およびVII型分泌システム、レジスタンス−ノジュレーション−ディビジョン(resistance−nodulation−division)(RND)多剤排出ポンプ、様々な単一膜分泌システムを含む。グラム陽性細菌の分泌システムの非限定的な例は、SecおよびTAT分泌システムを含む。いくつかの実施形態では、分泌されるポリペプチドは、特定の分泌システムにそのポリペプチドを導くための、RNAまたはペプチド起源の「分泌タグ」を含む。いくつかの実施形態では、分泌システムは、操作された細菌からポリペプチドを分泌する前にこのタグを除去することができる。例えば、V型自己分泌媒介性分泌では、N末端ペプチド分泌タグは、天然Secシステムにより「パッセンジャー」ペプチドの細胞質からペリプラズムコンパートメント内への転位時に除去される。さらに、自己分泌体が外膜を越えて転位すると、C末端分泌タグが自己触媒性切断またはプロテアーゼ触媒型切断、例えばOmpT切断、によって除去され、それによりリソソーム酵素(複数可)を細胞外環境中に放出することができる。いくつかの実施形態では、分泌システムは、「漏出性」または不安定な外膜の生成を伴い、これは、例えば、lpp、ompC、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、degS、degPおよびnlplを含む、外膜を強固なペプチドグリカン骨格につなぎ留めることに関与する遺伝子を欠失または突然変異させることによって達成することができる。Lppは、ペプチドグリカンへの細菌細胞壁の主要な「ステープル」として機能する。TolA−PALおよびOmpA複合体は、Lppと同様に機能し、漏出性表現型を得るための他の欠失標的である。さらに、漏出性表現型は、degS、degPまたはnlplなどの、ペリプラズムプロテアーゼが不活性化した場合に認められた。したがって、いくつかの実施形態では、操作された細菌は、例えばlpp、ompA、ompA、ompF、tolA、tolBおよびpal遺伝子から選択される、1つもしくは複数の欠失または突然変異膜遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、例えばdegS、degPおよびnlplから選択される、1つもしくは複数の欠失または突然変異ペリプラズムプロテアーゼ遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、lpp、ompA、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、degS、degPおよびnlpl遺伝子から選択される、1つもしくは複数の欠失または突然変異遺伝子を有する。
本明細書で使用する場合、「医薬組成物」は、生理学的に適切な担体および/または賦形剤のような他の成分を伴う細菌細胞の製剤を意味する。
同義で用いることができる「生理学的に許容される担体」および「薬学的に許容される担体」という語句は、生物に対する著しい刺激を引き起こさず、投与された細菌化合物の生物学的活性および特性を無効にしない担体または希釈剤を意味する。アジュバントは、これらの語句のもとに含まれる。
「賦形剤」という用語は、有効成分の投与をさらに促進するために医薬組成物に添加される不活性物質を意味する。例は、重炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、様々な糖および種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコール、ならびに界面活性剤(例えば、ポリソルベート20を含む)を含むが、これらに限定されない。
「治療有効用量」および「治療有効量」という用語は、症状の発症の予防、遅延、または疾患の症状の改善をもたらす化合物の量を指すために用いられる。治療有効量は、例えば、疾患の1つもしくは複数の症状を治療する、防止する、重症度を低下させる、発症を遅延させる、かつ/または発生のリスクを低下させるのに十分であり得る。治療有効量、ならびに治療有効投与頻度は、当技術分野で公知であり、下文で述べる方法により決定することができる。
本明細書で使用する場合、「静菌性の」または「細胞増殖抑制性の」という用語は、本開示の操作された細菌細胞の成長、分裂、増殖または複製を停止、遅延または阻害することができる、分子またはタンパク質を意味する。
本明細書で使用する場合、「殺菌性の」という用語は、本開示の操作された細菌を殺滅することができる、分子またはタンパク質を意味する。
本明細書で使用する場合、「毒素」という用語は、本開示の操作された細菌の成長、分裂、増殖または複製を停止、遅延もしくは阻害することができる、または本開示の操作された細菌細胞を殺滅することができる、タンパク質、酵素、もしくはそのポリペプチド断片、または他の分子を指す。「毒素」という用語は、静菌性タンパク質および殺菌性タンパク質を含むことを意図するものである。「毒素」という用語は、これらに限定されないが、溶解性タンパク質、バクテリオシン(例えば、ミクロシンおよびコリシン)、ジャイレース阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、転写阻害剤、翻訳阻害剤、デオキシリボヌクレアーゼおよびリボヌクレアーゼを含むことを意図するものである。「抗毒素(anti−toxin)」または「抗毒素(antitoxin)」という用語は、本明細書で使用する場合、毒素の活性を阻害することができる、タンパク質または酵素を意味する。抗毒素という用語は、これらに限定されないが、免疫モジュレーター、および毒素発現の阻害剤を含むことを意図するものである。毒素および抗毒素の例は当技術分野で公知であり、より詳細に下で説明する。
冠詞「a」および「an」は、本明細書で使用する場合、それに反することが明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味することを理解すべきである。
「および/または」という語句は、リストにおける要素の間に用いられる場合、(1)1つの列挙された要素のみが存在すること、または(2)リストの複数の要素が存在することを意味するものとする。例えば、「A、Bおよび/またはC」は、選択がAのみ;Bのみ;Cのみ;AおよびB;AおよびC;BおよびC;またはA、BおよびCであり得ることを示している。「および/または」という語句は、リストにおける要素「のうちの少なくとも1つ」または「のうちの1つもしくは複数」と同義で用いることができる。
本明細書において提供する範囲は、範囲内の値の全てについての省略表現であると解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群からの任意の数、数の組合せ、または部分範囲を含むと解される。
細菌菌株
本開示は、プロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む細菌細胞を提供する。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、非病原性細菌細胞である。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、共生細菌細胞である。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、プロバイオティク細菌細胞である。
特定の実施形態では、細菌細胞は、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・シータイオタオミクロン、バクテロイデス・ズブチリス、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、クロストリジウム・ブチリカム、クロストリジウム・シンデンス(Clostridium scindens)、大腸菌、ラクトバシラス・アシドフィラス、ラクトバシラス・プランタルム、ラクトバシラス・ロイテリ、ラクトコッカス・ラクティス、およびオキサロバクター・ホルミゲネス(Oxalobacter formigenes)細菌細胞からなる群から選択される。一実施形態では、細菌細胞は、バクテロイデス・フラジリス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、バクテロイデス・シータイオタオミクロン細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、バクテロイデス・ズブチリス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ビフィドバクテリウム・アニマリス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ビフィドバクテリウム・インファンティス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ビフィドバクテリウム・ラクティス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、クロストリジウム・ブチリカム細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、クロストリジウム・シンデンス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、大腸菌細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ラクトバシラス・アシドフィラス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ラクトバシラス・プランタルム細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ラクトバシラス・ロイテリ細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ラクトコッカス・ラクティス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、オキサロバクター・ホルミゲネス細菌細胞である。他の実施形態では、細菌細胞は、オキサロバクター・ホルミゲネスを含まない。
一実施形態では、細菌細胞は、グラム陽性細菌細胞である。他の実施形態では、細菌細胞は、グラム陰性細菌細胞である。
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、最もよく特徴付けられているプロバイオティクの1つに進化した腸内細菌科(Enterobacteriaceae family)のグラム陰性細菌である、大腸菌ニッスル1917株(大腸菌ニッスル)である(Ukenaら、2007年)。この菌株は、その完全な無害性(Schultz、2008年)を特徴とし、GRAS(enerally ecognized afe:一般的に安全と認められる)状態(Reisterら、2014年、強調は著者による)を有する。ゲノム配列決定により、大腸菌ニッスルには顕著な病原性因子(例えば、大腸菌α−ヘモリシン、P線毛アドヘシン)がないことが確認されており(Schultz,2008)、大腸菌ニッスルは、病原性接着因子を有さず、いかなる腸毒素も細胞毒素も産生せず、侵襲性でなく、尿路病原性でない(Sonnenbornら、2009年)。早くも1917年には、大腸菌ニッスルは、治療用のMutaflorと呼ばれる医薬カプセルに包装された。大腸菌ニッスルの治療有効性および安全性が説得力をもって立証された(Ukenaら、2007年)ことは、一般的に受け入れられている。
一実施形態では、操作された細菌細胞は、対象にコロニーを形成しない。
当業者は、本明細書で開示した遺伝子改変は、細菌の他の種、菌株および亜型に適応することができることを十分に理解するであろう。さらに、1つまたは複数の異なる種に由来する遺伝子を互いに導入することができ、例えば、ラクトバシラス・プランタルムまたはメタノブレビバクター・スミシー(Methanobrevibacter smithii)3142に由来する遺伝子を大腸菌において発現させることができる。
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、遺伝子操作細菌細胞である。他の実施形態では、細菌細胞は、操作された細菌細胞である。いくつかの実施形態では、本開示は、細菌細胞のコロニーを含む。
他の態様では、本開示は、操作された細菌細胞を含む、操作された細菌培養物を提供する。
上記遺伝子操作細菌のいくつかの実施形態では、遺伝子または遺伝子カセット(複数可)は、細菌におけるプラスミド上に存在し、前記プラスミド上の低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。他の実施形態では、遺伝子または遺伝子カセット(複数可)は、細菌の染色体内に存在し、前記染色体内の低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、栄養要求体または条件付き栄養要求体である。一実施形態では、遺伝子操作細菌は、cysE、glnA、ilvD、leuB、lysA、serA、metA、glyA、hisB、ilvA、pheA、proA、thrC、trpC、tyrA、thyA、uraA、dapA、dapB、dapD、dapE、dapF、flhD、metB、metC、proAB、およびthil栄養要求体から選択される栄養要求体である。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、複数の栄養要求性を有し、例えば、それらは、ΔThyAおよびΔdapA栄養要求体であり得る。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、本明細書で示したキルスイッチ回路のいずれかのような、キルスイッチ回路をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、誘導性プロモーターの制御下の1つまたは複数のリコンビナーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子および逆方向毒素配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、操作細菌は、誘導性プロモーターの制御下の1つまたは複数のリコンビナーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子および1つまたは複数の逆方向切除遺伝子をさらに含み、切除遺伝子(複数可)は、必須遺伝子を欠失させる酵素をコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、操作細菌は、TetRリプレッサー結合部位を有するプロモーターの制御下の毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子およびParaBADのような、アラビノースにより誘導される誘導性プロモーターの制御下のTetRをコードする遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は栄養要求体であり、本明細書に記載のキルスイッチ回路のいずれかのような、キルスイッチ回路をさらに含む。
上記遺伝子操作細菌のいくつかの実施形態では、遺伝子または遺伝子カセット(複数可)は、細菌のプラスミド上に存在し、前記プラスミド上の低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。他の実施形態では、遺伝子または遺伝子カセット(複数可)は、細菌の染色体内に存在し、前記染色体内の低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。
一態様では、本開示は、培養物の培地中のプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAのレベルを低下させる、操作された細菌培養物を提供する。一実施形態では、細胞培養物の培地中のプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAのレベルは、約50%、約75%、または約100%低下される。他の実施形態では、細胞培養物の培地中のプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAのレベルは、約2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、または10分の1に低下される。一実施形態では、細胞培養物の培地中のプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAのレベルは、検出限界未満に低下される。
遺伝子操作微生物またはプログラムされた微生物、例えば、本開示の遺伝子操作細菌は、プロピオネートの代謝および/または1つもしくは複数のプロピオネート代謝物の代謝のための1つまたは複数の酵素を産生することができる。そのような酵素およびプロピオネート代謝経路の非限定的な例は、本明細書に記載されている。例えば、プロピオネート代謝経路は、例えば本明細書に記載の、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、メチルマロニル−CoA(MMCA)および2−メチルシトレート(2MC)経路のうちの1つまたは複数を含むが、これらに限定されない。いくつかの態様では、本開示は、プロピオネートおよび/または特定のプロピオネート代謝物、例えばメチルマロネート、のレベルの減少をもたらす1つまたは複数のプロピオネート異化酵素または他のタンパク質をコードする1つまたは複数の異種遺伝子配列および/または遺伝子カセットを含む、細菌細胞を提供する。
特定の実施形態では、遺伝子操作細菌は、偏性嫌気性細菌である。特定の実施形態では、遺伝子操作細菌は、通性嫌気性細菌である。特定の実施形態では、遺伝子操作細菌は、好気性細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、グラム陽性細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、グラム陽性細菌であり、LPSを欠く。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、グラム陰性細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、グラム陽性かつ偏性嫌気性細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、グラム陽性かつ通性嫌気性細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、非病原性細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、共生細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、プロバイオティク細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、病原性を低下または消失させるように改変または突然変異されている、天然では病原性の細菌である。例示的な細菌は、バシラス属、バクテロイデス属、ビフィドバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、カウロバクター属(Caulobacter)、クロストリジウム属、腸球菌属、大腸菌、乳酸桿菌属、乳酸球菌属、リステリア属(Listeria)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、サッカロミセス属、サルモネラ属(Salmonella)、スタフィロコッカス属、連鎖球菌属(Streptococcus)、ビブリオ属(Vibrio)、バシラス・コアグランス、枯草菌、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・ズブチリス、バクテロイデス・シータイオタオミクロン、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレベ(Bifidobacterium breve)UC2003、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・ブチリカム、クロストリジウム・ブチリカムM−55、クロストリジウム・コクレアリウム(Clostridium cochlearum)、クロストリジウム・フェルシネウム(Clostridium felsineum)、クロストリジウム・ヒストリクム(Clostridium histolyticum)、多発酵性クロストリジウム(Clostridium multifermentans)、クロストリジウム・ノビイ(Clostridium novyi)−NT、クロストリジウム・パラピュトリフィカム(Clostridium paraputrificum)、クロストリジウム・パステリアヌム(Clostridium pasteureanum)、クロストリジウム・ペクチノボルム(Clostridium pectinovorum)、クロストリジウム・パーフリンゲンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・ロゼウム(Clostridium roseum)、クロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)、クロストリジウム・テルチウム(Clostridium tertium)、破傷風菌(Clostridium tetani)、クロストリジウム・チロブチリカム(Clostridium tyrobutyricum)、コリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)、大腸菌MG1655、大腸菌ニッスル1917、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)、ブタコレラ菌(Salmonella choleraesuis)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、およびコレラ菌(Vibrio cholera)を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、遺伝子操作細菌は、エンテロコッカス・ファシウム、ラクトバシラス・アシドフィラス、ラクトバシラス・ブルガリクス、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・ジョンソニイ、ラクトバシラス・パラカゼイ、ラクトバシラス・プランタルム、ラクトバシラス・ロイテリ、ラクトバシラス・ラムノサス、ラクトコッカス・ラクティス、およびサッカロミセス・ブラウディからなる群から選択される。特定の実施形態では、遺伝子操作細菌は、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・シータイオタオミクロン、バクテロイデス・ズブチリス、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、クロストリジウム・ブチリカム、大腸菌、大腸菌ニッスル、ラクトバシラス・アシドフィラス、ラクトバシラス・プランタルム、ラクトバシラス・ロイテリ、およびラクトコッカス・ラクティス細菌細胞から選択される。一実施形態では、細菌細胞は、バクテロイデス・フラジリス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、バクテロイデス・シータイオタオミクロン細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、バクテロイデス・ズブチリス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ビフィドバクテリウム・ビフィダム細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ビフィドバクテリウム・インファンティス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ビフィドバクテリウム・ラクティス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、クロストリジウム・ブチリカム細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、大腸菌細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ラクトバシラス・アシドフィラス細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ラクトバシラス・プランタルム細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ラクトバシラス・ロイテリ細菌細胞である。一実施形態では、細菌細胞は、ラクトコッカス・ラクティス細菌細胞である。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、最もよく特徴付けられているプロバイオティクの1つに進化した腸内細菌科のグラム陰性細菌である、大腸菌ニッスル1917株(大腸菌ニッスル)である(Ukenaら、2007年)。該菌株は、その完全な無害(Schultz、2008年)を特徴とし、GRAS(一般的に安全と認識された(generally recognized as safe))状態(Reisterら、2014年、強調は著者による)を有する。ゲノム配列決定により、大腸菌ニッスルには顕著な病原性因子(例えば、大腸菌α−ヘモリシン、P線毛アドヘシン)がないことが確認された(Schultz,2008)。さらに、大腸菌ニッスルは、病原性接着因子を有さず、いかなる腸毒素も細胞毒素も産生せず、侵襲性でなく、尿路病原性でないことが示された(Sonnenbornら、2009年)。早くも1917年には、大腸菌ニッスルは、治療用のMutaflorと呼ばれる医薬カプセルに包装された。大腸菌ニッスルは、それ以来、in vivoでヒトにおける潰瘍性大腸炎を治療するために(Rembackenら、1999年)、in vivoでヒトにおける炎症性腸疾患、クローン病および回腸嚢炎を治療するために(Schultz、2008年)、およびin vitroで腸管侵襲性サルモネラ属、レジオネラ属(Legionella)、エルシニア属(Yersinia)および赤痢菌属(Shigella)を抑制するために(Altenhoeferら、2004年)用いられている。大腸菌ニッスルの治療有効性および安全性が説得力をもって立証された(Ukenaら、2007年)ことは、一般的に受け入れられている。
当業者は、本明細書で開示した遺伝子改変は、細菌の他の種、菌株および亜型に適応することができることを十分に理解するであろう。さらに、1つまたは複数の異なる種に由来する遺伝子を互いに導入することができ、例えば、アシネトバクター属菌種RA3849に由来するphaBCA遺伝子、ストレプトマイセス・セリカラーに由来するaccA遺伝子、ストレプトマイセス・セリカラーに由来するpccB遺伝子、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒに由来するmmcE遺伝子またはプロピオニバクテリウム・フロイデンライヒに由来するmutAB遺伝子、またはロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)に由来するmatBを、大腸菌において発現させることができる。いくつかの実施形態では、遺伝子は、例えば大腸菌における発現のために、コドン最適化される。一実施形態では、組換え細菌細胞は、障害を有する対象にコロニーを形成しない。非改変大腸菌ニッスルおよび本発明の遺伝子操作細菌は、例えば、消化管または血清中の防御因子により、破壊され得る(Sonnenbornら、2009年)。いくつかの実施形態では、滞留時間をヒト対象について計算する。いくつかの実施形態では、in vivoでの滞留時間を本発明の遺伝子操作細菌について計算する。
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、遺伝子操作細菌細胞である。他の実施形態では、細菌細胞は、組換え細菌細胞である。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書で開示する細菌細胞のコロニーを含む。
他の態様では、本開示は、本明細書で開示する細菌細胞を含む、組換え細菌培養物を提供する。一態様では、本開示は、培養物の培地中のプロピオネートレベルを低下させる組換え細菌培養物を提供する。一実施形態では、細胞培養物の培地中のプロピオネートのレベルおよび/またはその代謝物のうちの1つもしくは複数のレベルは、約50%、約75%、または約100%低下される。他の実施形態では、細胞培養物の培地中のプロピオネートのレベルおよび/またはその代謝物のうちの1つもしくは複数のレベル、約2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、または10分の1に低下される。一実施形態では、細胞培養物の培地中のプロピオネートのレベルおよび/またはその代謝物のうちの1つもしくは複数のレベルは、検出限界未満に低下される。
上記遺伝子操作細菌のいくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、細菌におけるプラスミド上に存在し、前記プラスミド上の低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーター、例えば、本明細書で開示するプロモーターのいずれかに作動可能に連結している。他の実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、細菌の染色体内に存在し、前記染色体内の低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーター、例えば、本明細書で開示するプロモーターのいずれかに作動可能に連結している。上記遺伝子操作細菌のいくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、細菌におけるプラスミド上に存在し、前記プラスミド上の炎症性条件下で誘導されるプロモーター、例えば、本明細書で開示するプロモーターのいずれかに作動可能に連結している。他の実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、細菌の染色体内に存在し、前記染色体内の炎症性条件下で誘導されるプロモーター、例えば、本明細書で開示するプロモーターのいずれかに作動可能に連結している。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列を含む遺伝子操作細菌は、栄養要求体である。一実施形態では、遺伝子操作細菌は、cysE、glnA、ilvD、leuB、lysA、serA、metA、glyA、hisB、ilvA、pheA、proA、thrC、trpC、tyrA、thyA、uraA、dapA、dapB、dapD、dapE、dapF、flhD、metB、metC、proAB、およびthil栄養要求体から選択される栄養要求体である。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、複数の栄養要求性を有し、例えば、それらは、ΔthyAおよびΔdapA栄養要求体であり得る。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列を含む遺伝子操作細菌は、機能性ilvC遺伝子配列を欠き、例えば、ilvC栄養要求体である。ilvCは、ケトール酸レダクトイソメラーゼをコードし、この酵素は、プロピオネート合成に必要である。ilvCのノックアウトは、栄養要求体を作出するものであり、生存するためにイソロイシンおよびバリンを移入するための細菌細胞を必要とする。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列を含む遺伝子操作細菌は、細菌細胞へのプロピオネート輸送体をコードする遺伝子配列(複数可)をさらに含む。特定の実施形態では、プロピオネート輸送体は、MctC、PutP_6、または本明細書に記載の任意の他のプロピオネート輸送体である。特定の実施形態では、細菌細胞は、MctC、PutP_6または本明細書に記載の任意の他のプロピオネート輸送体をコードする遺伝子配列を含有する。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列を含む遺伝子操作細菌は、生体分子を分泌するための分泌タンパク質またはタンパク質複合体、例えば、本明細書で開示する分泌システムのいずれかをコードする、遺伝子配列(複数可)をさらに含む。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列を含む遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の抗生物質遺伝子、例えば、本明細書で開示する抗生物質遺伝子のいずれかをコードする、遺伝子配列(複数可)をさらに含む。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素を含む遺伝子操作細菌は、キルスイッチ回路、例えば、本明細書で示すキルスイッチ回路のいずれかをさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、誘導性プロモーターの制御下の1つまたは複数のリコンビナーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子と、逆方向毒素配列とをさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、誘導性プロモーターの制御下の1つまたは複数のリコンビナーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子と、1つまたは複数の逆方向切除遺伝子とをさらに含み、前記切除遺伝子(複数可)は、必須遺伝子を欠失させる酵素をコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、TetRリプレッサー結合部位を有するプロモーターの制御下の毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子と、ParaBADのような、アラビノースにより誘導される誘導性プロモーターの制御下のTetRをコードする遺伝子とをさらに含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、抗毒素をコードする1つまたは複数の遺伝子をさらに含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列を含む栄養要求体であり、キルスイッチ回路、例えば、本明細書に記載のキルスイッチ回路のいずれかをさらに含む。
上記遺伝子操作細菌のいくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、細菌におけるプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、細菌染色体内に存在する。いくつかの実施形態では、プロピオネート輸送体、例えば、MctC、PutP_6、または本明細書に記載の任意の他のプロピオネート輸送体をコードする遺伝子配列(複数可)は、細菌におけるプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、プロピオネート輸送体、例えば、MctC、PutP_6、または本明細書に記載の任意の他のプロピオネート輸送体をコードする遺伝子配列(複数可)は、細菌染色体内に存在する。いくつかの実施形態では、生体分子を分泌するための分泌タンパク質またはタンパク質複合体、例えば、本明細書で開示する分泌システムのいずれかをコードする遺伝子配列は、細菌におけるプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、生体分子を分泌するための分泌タンパク質またはタンパク質複合体、例えば、本明細書で開示する分泌システムのいずれかをコードする遺伝子配列は、細菌染色体内に存在する。いくつかの実施形態では、抗生物質耐性遺伝子をコードする遺伝子配列(複数可)は、細菌におけるプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、抗生物質耐性遺伝子をコードする遺伝子配列(複数可)は、細菌染色体内に存在する。
誘導性プロモーター
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子を有する、安定に維持されたプラスミドまたは染色体を含み、したがって、プロピオネート異化酵素を宿主細胞において発現させることができ、宿主細胞は、in vitroで、例えば培地中で、および/またはin vivoで、例えば消化管内で、生存および/または増殖することができる。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、2つまたはそれ以上の異なるプロピオネート異化酵素を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、同じプロピオネート異化酵素遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、異なるプロピオネート異化酵素遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、プラスミド上に存在し、直接的または間接的誘導性プロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、プラスミド上に存在し、低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、染色体上に存在し、直接的または間接的誘導性プロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、染色体内に存在し、低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、プラスミド上に存在し、テトラサイクリンまたはアラビノースへの曝露により誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、プロピオネートおよび/またはその1つもしくは複数の代謝物の輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子を有する、安定に維持されたプラスミドまたは染色体を含み、したがって、前記輸送体を宿主細胞において発現させることができ、宿主細胞は、in vitroで、例えば培地中で、および/またはin vivoで、例えば消化管内で、生存および/または増殖することができる。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、プロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子の2つまたはそれ以上の異なるコピーを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、プロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの同じ遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、プラスミド上に存在し、直接的または間接的誘導性プロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、プラスミド上に存在し、低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、染色体上に存在し、直接的または間接的誘導性プロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、染色体内に存在し、低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネートおよび/またはメチルマロネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、プラスミド上に存在し、テトラサイクリンまたはアラビノースへの曝露により誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子に作動可能に連結しているプロモーター、およびプロピオネート輸送体をコードする遺伝子に作動可能に連結しているプロモーターは、外因性環境条件により直接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子に作動可能に連結しているプロモーター、およびプロピオネート輸送体をコードする遺伝子に作動可能に連結しているプロモーターは、外因性環境条件により間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管に固有の外因性環境条件により直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の小腸に固有の外因性環境条件により直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管の環境のような低酸素または嫌気的条件により直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管に特有である分子または代謝物、例えば、プロピオネートにより直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、細菌細胞と併用投与される分子により直接的または間接的に誘導される。
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、プロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を有する、安定に維持されたプラスミドまたは染色体を含み、したがって、プロピオネート結合タンパク質を宿主細胞において発現させることができ、該宿主細胞は、in vitroで、例えば培地中で、および/またはin vivoで、例えば消化管内で、生存および/または増殖することができる。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、プロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子の2つまたはそれ以上の異なるコピーを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、プロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの同じ遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、プロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子は、プラスミド上に存在し、直接的または間接的誘導性プロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子は、プラスミド上に存在し、低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子は、染色体上に存在し、直接的または間接的誘導性プロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子は、染色体内に存在し、低酸素または嫌気的条件下で誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子は、プラスミド上に存在し、テトラサイクリンまたはアラビノースへの曝露により誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子に作動可能に連結しているプロモーター、およびプロピオネート結合タンパク質をコードする遺伝子に作動可能に連結しているプロモーターは、外因性環境条件により直接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子に作動可能に連結しているプロモーター、およびプロピオネート結合タンパク質をコードする遺伝子に作動可能に連結しているプロモーターは、外因性環境条件により間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管に特有である外因性環境条件により直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の小腸に特有である外因性環境条件により直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管の環境などの低酸素または嫌気的条件により直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、哺乳動物の消化管に特有である分子または代謝物、例えば、プロピオネートにより直接的または間接的に誘導される。いくつかの実施形態では、プロモーターは、細菌細胞と併用投与される分子により直接的または間接的に誘導される。
FNR依存性調節
特定の実施形態では、細菌細胞は、フマル酸・硝酸レダクターゼ調節因子(FNR)プロモーターの制御下で発現する、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子を含む。特定の実施形態では、細菌細胞は、フマル酸・硝酸レダクターゼ調節因子(FNR)プロモーターの制御下で発現する、プロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む。特定の実施形態では、細菌細胞は、フマル酸・硝酸レダクターゼ調節因子(FNR)プロモーターの制御下で発現する、プロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む。大腸菌では、FNRは、好気的代謝から嫌気的代謝への切り替えを制御する主要な転写活性化因子である(Undenら、1997年)。嫌気的状態では、FNRは、嫌気性増殖への適応に関与する数百もの遺伝子を活性化する活性DNA結合タンパク質に二量体化する。好気的状態では、FNRは、酸素によって二量体化を妨げられ、不活性である。
FNR応答性プロモーターは、下の図表に収載するFNR応答性プロモーターを含むが、それらに限定されない。下線付き配列は、予測されるリボソーム結合部位であり、太字の配列は、クローニングに用いられる制限部位である。
Figure 2018521674
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Figure 2018521674
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一実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号1を含む。他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号2を含む。他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号3を含む。他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号4を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号5を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号6を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号7を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号8を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号9を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号10を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号11を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号12を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号13を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号14を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号15を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号16を含む。さらに他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号17を含む。
他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号1〜17のいずれかをコードする核酸配列と少なくとも約80%の同一性を有する。他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号1〜17のいずれかをコードする核酸配列と少なくとも約85%の同一性を有する。他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号1〜17のいずれかをコードする核酸配列と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号1〜17のいずれかをコードする核酸配列と少なくとも約95%の同一性を有する。他の実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号1〜17のいずれかをコードする核酸配列と少なくとも約96%、97%、98%または99%の同一性を有する。したがって、いくつかの実施形態では、FNR応答性プロモーターは、配列番号1〜43のいずれかをコードする核酸配列と少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する。
いくつかの実施形態では、複数の異なるFNR核酸配列が遺伝子操作細菌に挿入される。代替実施形態では、遺伝子操作細菌は、代替酸素レベル依存性プロモーター、例えば、DNR(Trunkら、2010年)またはANR(Rayら、1997年)の制御下で発現する、本明細書で開示するプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子を含む。代替実施形態では、遺伝子操作細菌は、代替酸素レベル依存性プロモーター、例えば、DNR(Trunkら、2010年)またはANR(Rayら、1997年)の制御下で発現する、プロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む。代替実施形態では、遺伝子操作細菌は、代替酸素レベル依存性プロモーター、例えば、DNR(Trunkら、2010年)またはANR(Rayら、1997年)の制御下で発現する、プロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む。これらの実施形態では、プロピオネートおよび/またはその代謝物の異化は、低酸素または嫌気的環境において、例えば消化管内で、大いに活性化される。いくつかの実施形態では、遺伝子発現は、当技術分野で公知の方法により、例えば、リボソーム結合部位を最適化することおよび/またはmRNAの安定性を増大させることにより、さらに最適化される。一実施形態では、哺乳動物消化管は、ヒト哺乳動物消化管である。
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、酸素レベル依存性転写調節因子、例えば、FNR、ANRまたはDNR、および異なる細菌種に由来する対応するプロモーターを含む。異種酸素レベル依存性転写調節因子およびプロモーターは、低酸素または嫌気的環境において、前記プロモーターに作動可能に連結した遺伝子、例えば、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子、および/またはプロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子、および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子の転写を、同じ条件下の細菌における天然遺伝子(複数可)およびプロモーターと比較して、増加させる。特定の実施形態では、非天然酸素レベル依存性転写調節因子は、淋菌(N.Gonorrhoeae)に由来するFNRタンパク質である(例えば、Isabellaら、2011年参照)。いくつかの実施形態では、対応する野生型転写調節因子は、完全なままであり、野生型活性を保持する。代替実施形態では、対応する野生型転写調節因子を欠失または突然変異させて、野生型活性を低減または消失させる。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、野生型酸素レベル依存性転写調節因子、例えば、FNR、ANRまたはDNR、および同じ亜型の細菌に由来する野生型プロモーターと比べて突然変異している対応するプロモーターを含む。突然変異プロモーターは、同じ条件下の野生型プロモーターと比較して、低酸素または嫌気的環境において、野生型転写調節因子への結合を増強させ、前記プロモーターに作動可能に連結した遺伝子、例えば、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子、および/またはプロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子、および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子の転写を増加させる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、野生型酸素レベル依存性プロモーター、例えば、FNR、ANRまたはDNRプロモーター、および同じ亜型の細菌に由来する野生型転写調節因子と比べて突然変異している対応する転写調節因子を含む。突然変異転写調節因子は、同じ条件下の野生型転写調節因子と比較して、低酸素または嫌気的環境において、野生型プロモーターへの結合を増強させ、前記プロモーターに作動可能に連結した遺伝子、例えば、プロピオネート異化酵素をコードする遺伝子、および/またはプロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子、および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子の転写を増加させる。特定の実施形態では、突然変異酸素レベル依存性転写調節因子は、二量体化およびFNR活性を増加させるアミノ酸置換を含むFNRタンパク質である(例えば、Mooreら、2006年参照)。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示する細菌細胞は、酸素レベル感知転写調節因子をコードする内因性遺伝子、例えばFNR遺伝子、の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、酸素レベル感知転写調節因子をコードする遺伝子は、プラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル感知転写調節因子をコードする遺伝子、およびプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子は、異なるプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル感知転写調節因子をコードする遺伝子、およびプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子、および/またはプロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子、および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子は、異なるプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル感知転写調節因子をコードする遺伝子、およびプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子、および/またはプロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子、および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子は、同じプラスミド上に存在する。
いくつかの実施形態では、酸素レベル感知転写調節因子をコードする遺伝子は、染色体上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル感知転写調節因子をコードする遺伝子、およびプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子をコードする遺伝子、および/またはプロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子、および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子は、異なる染色体上に存在する。いくつかの実施形態では、酸素レベル感知転写調節因子をコードする遺伝子、およびプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子、および/またはプロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子、および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする少なくとも1つの遺伝子は、同じ染色体上に存在する。いくつかの例では、発現安定性を向上させるために誘導性プロモーターの制御下で酸素レベル感知転写調節因子を発現させることは、有利であり得る。いくつかの実施形態では、転写調節因子の発現は、プロピオネート異化酵素および/またはプロピオネート輸送体および/またはその代謝物および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする遺伝子の発現を制御するプロモーターと異なるプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、転写調節因子の発現は、プロピオネート異化酵素および/またはプロピオネート輸送体および/またはその代謝物および/またはプロピオネート結合タンパク質の発現を制御する同じプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、転写調節因子およびプロピオネート異化酵素は、プロモーター領域から分岐して転写される。
RNS依存性調節
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、誘導性プロモーターの制御下で発現するプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素および/またはプロピオネート輸送体および/またはその代謝物および/またはプロピオネート結合タンパク質を発現する遺伝子操作細菌は、炎症状態により活性化されるプロモーターの制御下にある。一実施形態では、プロピオネート異化酵素および/またはプロピオネート輸送体および/またはその代謝物および/またはプロピオネート結合タンパク質を産生するための遺伝子は、炎症性環境において活性化される炎症依存性プロモーター、例えば、活性窒素種またはRNSプロモーターの制御下で発現する。
本明細書で使用する場合、「活性窒素種」および「RNS」は、同義で用い、分子状窒素に由来する高度に活性な分子、イオンおよび/またはラジカルを意味する。RNSは、ニトロソ化ストレスのような有害な細胞効果をもたらし得る。RNSは、酸化窒素(NO・)、ペルオキシ亜硝酸またはペルオキシ亜硝酸アニオン(ONOO−)、二酸化窒素(・NO)、三酸化二窒素(N)、ペルオキシ亜硝酸(ONOOH)およびニトロペルオキシカーボネート(ONOOCO−)を含むが、これらに限定されない(不対電子を・により示す)。細菌は、RNSレベルを感知することができる転写因子を発達させた。異なるRNSシグナル伝達経路は、異なるRNSレベルにより誘発され、異なる速度論で発生する。
本明細書で使用する場合、「RNS誘導性調節領域」は、1つまたは複数のRNS感知転写因子が結合することができ、対応する転写因子の結合および/または活性化が下流の遺伝子発現を活性化する、核酸配列を意味し、RNSの存在下で、転写因子は、調節領域に結合し、かつ/またはそれを活性化する。いくつかの実施形態では、RNS誘導性調節領域は、プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、転写因子は、RNSを感知し、その後、RNS誘導性調節領域に結合し、それにより、下流の遺伝子発現を活性化する。代替実施形態では、転写因子は、RNSの非存在下でRNS誘導性調節領域に結合し、RNSの存在下では、転写因子は、立体配座の変化を受け、それにより、下流の遺伝子発現を活性化する。RNS誘導性調節領域は、1つまたは複数の遺伝子、例えば、プロピオネート異化酵素遺伝子配列(複数可)、例えば本明細書に記載のアミノ酸異化酵素のいずれか、に作動可能に連結することができる。例えば、RNSの存在下で、転写因子は、RNSを感知し、対応するRNS誘導性調節領域を活性化し、それにより、作動可能に連結した遺伝子配列の発現を駆動する。このように、RNSは、遺伝子または遺伝子配列の発現を誘導する。
本明細書で使用する場合、「RNS抑制解除調節領域」は、1つまたは複数のRNS感知転写因子が結合することができ、対応する転写因子の結合が下流の遺伝子発現を抑制する、核酸配列を意味し、RNSの存在下では、転写因子は、調節領域に結合せず、抑制しない。いくつかの実施形態では、RNS抑制解除調節領域は、プロモーター配列を含む。RNS抑制解除調節領域は、1つまたは複数の遺伝子、例えば、プロピオネート異化酵素遺伝子配列(複数可)、プロピオネート輸送体配列(複数可)、プロピオネート結合タンパク質(複数可)に作動可能に連結することができる。例えば、RNSの存在下では、転写因子は、RNSを感知し、調節領域にもはや結合し、かつ/または抑制することをせず、それにより、作動可能に連結した遺伝子配列または遺伝子カセットを活性化する。このように、RNSは、1つまたは複数の遺伝子の発現を活性化する。
本明細書で使用する場合、「RNS抑制性調節領域」は、1つまたは複数のRNS感知転写因子が結合することができ、対応する転写因子の結合が下流の遺伝子発現を抑制する、核酸配列を意味し、RNSの存在下では、転写因子は、調節領域に結合し、抑制する。いくつかの実施形態では、RNS抑制性調節領域は、プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、RNSを感知する転写因子は、プロモーター配列の一部と重複する調節領域に結合することができる。代替実施形態では、RNSを感知する転写因子は、プロモーター配列の上流または下流である調節領域に結合することができる。RNS抑制性調節領域は、遺伝子配列または遺伝子カセットに作動可能に連結することができる。例えば、RNSの存在下では、転写因子は、RNSを感知し、対応するRNS抑制性調節領域に結合し、それにより、1つまたは複数の作動可能に連結した遺伝子配列の発現を阻止する。このように、RNSは、遺伝子または遺伝子配列の発現を抑制する。
本明細書で使用する場合、「RNS応答性調節領域」は、RNS誘導性調節領域、RNS抑制性調節領域および/またはRNS抑制解除調節領域を意味する。いくつかの実施形態では、RNS応答性調節領域は、プロモーター配列を含む。各調節領域は、少なくとも1つの対応するRNS感知転写因子に結合することができる。RNSを感知する転写因子ならびにそれらの対応するRNS応答性遺伝子、プロモーターおよび/または調節領域の例は、表4に示すものを含むが、これらに限定されない。
Figure 2018521674
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、少なくとも1つの活性窒素種を感知することができる転写因子により直接的または間接的に制御される調整可能な調節領域を含む。調整可能な調節領域は、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質の発現を直接的または間接的に駆動することができる1つまたは複数の遺伝子に作動可能に連結しており、その結果として、RNSレベルに対してプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質の発現を制御する。例えば、調整可能な調節領域は、RNS誘導性調節領域であり、ペイロードは、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質、例えば、本明細書で示すアミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質のいずれかである。RNSが、例えば炎症組織に、存在する場合、RNS感知転写因子は、調節領域に結合し、および/または調節領域を活性化し、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子の発現を駆動する。その後、炎症が改善し、RNSレベルが低下すると、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質の産生は、減少または消失する。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、RNS誘導性調節領域であり、RNSの存在下で、転写因子は、RNSを感知し、RNS誘導性調節領域を活性化し、それにより、1つまたは複数の作動可能に連結した遺伝子の発現を駆動する。いくつかの実施形態では、転写因子は、RNSを感知し、その後、RNS誘導性調節領域に結合し、それにより、下流の遺伝子発現を活性化する。代替実施形態では、転写因子をRNSの非存在下でRNS誘導性調節領域に結合させ、転写因子がRNSを感知するとき、それは、立体配座の変化を受け、それにより、下流の遺伝子発現を誘導する。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、RNS誘導性調節領域であり、RNSを感知する転写因子は、NorRである。NorRは、「NOを亜酸化窒素に還元する、フラボルブレドキシンおよび関連フラビタンパク質をコードするnorVW遺伝子の発現を調節するNO応答性転写活性化因子である」(Spiro、2006年)。本発明の遺伝子操作細菌は、NorRによって活性化される遺伝子の任意の適切なRNS応答性調節領域を含み得る。NorRによる活性化を受けることができる遺伝子は、当技術分野で公知である(例えば、Spiro、2006年;Vineら、2011年;Karlinseyら、2012年;表1参照)。特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の遺伝子、例えば、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子配列に作動可能に連結しているnorVWに由来するRNS誘導性調節領域を含む。RNSの存在下で、NorR転写因子は、RNSを感知し、norVW調節領域を活性化し、それにより、作動可能に連結した遺伝子(複数可)の発現を駆動し、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を産生する。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、RNS誘導性調節領域であり、RNSを感知する転写因子は、DNRである。DNR(異化型硝酸呼吸調節因子)は、酸化窒素の存在下で「nir、norおよびnos遺伝子の発現を促進する」(Castiglioneら、2009年)。本発明の遺伝子操作細菌は、DNRによって活性化される遺伝子の任意の適切なRNS応答性調節領域を含み得る。DNRによる活性化を受けることができる遺伝子は、当技術分野で公知である(例えば、Castiglioneら、2009年;Giardinaら、2008年;表1参照)。特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、遺伝子または遺伝子カセット、例えば、酪酸生成遺伝子カセットに作動可能に連結したnorCBのRNS誘導性調節領域を含む。RNSの存在下で、DNR転写因子は、RNSを感知し、norCB調節領域を活性化し、それにより、作動可能に連結した1つまたは複数の遺伝子の発現を駆動し、1つまたは複数のアミノ酸異化酵素を産生する。いくつかの実施形態では、DNRは、緑膿菌DNRである。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、RNS抑制解除調節領域であり、対応する転写因子の結合が下流の遺伝子発現を抑制するものであり、RNSの存在下では、転写因子は、調節領域にもはや結合せず、それにより、作動可能に連結した遺伝子または遺伝子カセットを活性化する。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、RNS抑制解除調節領域であり、RNSを感知する転写因子は、NsrRである。NsrRは、「NOを感知し、NOの代謝に関与する遺伝子の発現を制御することができるRrf2型の転写リプレッサー」である(Isabellaら、2009年)。本発明の遺伝子操作細菌は、NsrRによって抑制される遺伝子の適切なRNS応答性調節領域を含み得る。いくつかの実施形態では、NsrRは、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)NsrRである。NsrRによる抑制を受けることができる遺伝子は、当技術分野で公知である(例えば、Isabellaら、2009年;Dunnら、2010年;表1参照)。特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の遺伝子、例えば、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素に作動可能に連結しているnorBに由来するRNS抑制解除調節領域を含む。RNSの存在下で、NsrR転写因子は、RNSを感知し、norB調節領域にもはや結合せず、それにより、1つまたは複数の作動可能に連結したプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子を抑制解除し、アミノ酸異化酵素(複数可)をコードするものを産生する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌が、細菌におけるかなりの数の天然遺伝子の発現を調節しないRNS感知転写因子を発現することは、有利である。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、転写因子が本発明の遺伝子操作細菌における調節配列に結合しない、細菌の異なる種、菌株または亜菌株に由来するRNS感知転写因子を発現する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、大腸菌であり、RNS感知転写因子は、例えば、淋菌に由来するNsrRであり、ここで、大腸菌は、前記NsrRに対する結合部位を含まない。いくつかの実施形態では、異種転写因子は、遺伝子操作細菌における内因性調節領域および遺伝子に対するオフターゲット効果を最小限にまたは排除する。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、RNS抑制性調節領域であり、対応する転写因子の結合が下流の遺伝子発現を抑制するものであり、RNSの存在下では、転写因子は、RNSを感知し、RNS抑制性調節領域に結合し、それにより、作動可能に連結した遺伝子または遺伝子カセットの発現を抑制する。いくつかの実施形態では、RNS感知転写因子は、プロモーター配列の一部と重複する調節領域に結合することができる。代替実施形態では、RNS感知転写因子は、プロモーター配列の上流または下流である調節領域に結合することができる。
これらの実施形態では、遺伝子操作細菌は、アミノ酸異化酵素を発現させるために用いられる、2つのリプレッサー活性化調節回路を含み得る。2つのリプレッサー活性化調節回路は、第1のRNS感知リプレッサーと、例えばアミノ酸異化酵素をコードする、遺伝子または遺伝子カセットに作動可能に連結している第2のリプレッサーとを含む。これらの実施形態の一態様では、RNS感知リプレッサーは、遺伝子または遺伝子カセットの転写を抑制する、第2のリプレッサーの転写を抑制する。これらの実施形態において有用な第2のリプレッサーの例は、TetR、C1およびLexAを含むが、これらに限定されない。第1のリプレッサーによる結合の非存在(RNSの非存在下で起こる)下では、第2のリプレッサーが転写され、これが1つまたは複数の遺伝子の発現を抑制する。第1のリプレッサーによる結合の存在(RNSの存在下で起こる)下では、第2のリプレッサーの発現が抑制され、1つまたは複数の遺伝子、例えば、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子が発現する。
RNS応答性転写因子は、遺伝子操作細菌において用いられる調節領域の配列によって遺伝子発現を誘導、活性化、または抑制し得る。1つまたは複数の種類のRNS感知転写因子および対応する調節領域配列が遺伝子操作細菌に存在し得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、1種類のRNS感知転写因子、例えば、NsrR、および例えば、norBに由来する1つの対応する調節領域配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、1種類のRNS感知転写因子、例えば、NsrR、ならびに例えば、norBおよびaniAに由来する、2つまたはそれ以上の異なる対応する調節領域配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、2またはそれ以上の種類のRNS感知転写因子、例えば、NsrRおよびNorR、ならびに例えば、それぞれnorBおよびnorRに由来する、2つまたはそれ以上の対応する調節領域配列を含む。1つのRNS応答性調節領域が複数の転写因子に結合できることがあり得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、2またはそれ以上の種類のRNS感知転写因子および1つの対応する調節領域配列を含む。いくつかのRNSにより調節される調節領域の核酸配列は、当技術分野で公知である(例えば、Spiro、2006年;Isabellaら、2009年;Dunnら、2010年;Vineら、2011年;Karlinseyら、2012年)。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、RNS感知転写因子をコードする遺伝子、例えば、その天然プロモーターにより制御されるnsrR遺伝子、誘導性プロモーター、天然プロモーターより強いプロモーター、例えば、GlnRSプロモーターもしくはP(Bla)プロモーター、または構成的プロモーターを含む。いくつかの例では、発現安定性を向上させるために誘導性プロモーターの制御下のRNS感知転写因子を発現させることは、有利であり得る。いくつかの実施形態では、RNS感知転写因子の発現は、治療用分子の発現を制御するプロモーターと異なるプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、RNS感知転写因子の発現は、治療用分子の発現を制御する同じプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、RNS感知転写因子および治療用分子は、プロモーター領域から分岐して転写される。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、細菌の異なる種、菌株または亜菌株に由来するRNS感知転写因子の遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、細菌の異なる種、菌株または亜菌株に由来するRNS応答性調節領域を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、細菌の異なる種、菌株または亜菌株に由来するRNS感知転写因子および対応するRNS応答性調節領域を含む。異種RNS感知転写因子および調節領域は、同じ条件下の同じ亜型の細菌に由来する天然転写因子および調節領域と比較して、RNSの存在下で前記調節領域に作動可能に連結した遺伝子の転写を増加させ得る。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、RNS感知転写因子NsrRおよび淋菌に由来する対応する調節領域nsrRを含む。いくつかの実施形態では、天然RNS感知転写因子、例えば、NsrRは、完全なままであり、野生型活性を保持している。代替実施形態では、天然RNS感知転写因子、例えば、NsrRは、野生型活性を低減または消失させるために欠失または突然変異させる。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、RNS感知転写因子をコードする内因性遺伝子、例えば、nsrR遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、RNS感知転写因子をコードする遺伝子は、プラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、RNS感知転写因子をコードする遺伝子および治療用分子を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、異なるプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、RNS感知転写因子をコードする遺伝子、および治療用分子を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、同じプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、RNS感知転写因子をコードする遺伝子は、染色体上に存在する。いくつかの実施形態では、RNS感知転写因子をコードする遺伝子および治療用分子を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、異なる染色体上に存在する。いくつかの実施形態では、RNS感知転写因子をコードする遺伝子および治療用分子を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、同じ染色体上に存在する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、RNS感知転写因子をコードする野生型遺伝子、例えば、NsrR遺伝子、同じ亜型の細菌の野生型調節領域と比べて突然変異している、対応する調節領域、例えば、norB調節領域を含む。突然変異調節領域は、同じ条件下の野生型調節領域と比較して、RNSの存在下でプロピオネート異化酵素の発現を増加させる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、野生型RNS応答性調節領域、例えば、norB調節領域、および同じ亜型の細菌の野生型転写因子と比べて突然変異している、対応する転写因子、例えば、NsrRを含む。突然変異転写因子は、同じ条件下の野生型転写因子と比較して、RNSの存在下でプロピオネート異化酵素の発現を増加させる。いくつかの実施形態では、RNSの存在下でのプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質の発現を増加させるために、RNS感知転写因子および対応する調節領域の両方を同じ亜型の細菌の野生型配列と比べて突然変異させる。
いくつかの実施形態では、抗炎症および/または消化管バリア機能増強分子を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、プラスミド上に存在し、RNSにより誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、当技術分野で公知の方法によって、例えば、リボソーム結合部位を最適化し、転写調節因子を操作し、かつ/またはmRNAの安定性を増大させることによって、発現がさらに最適化される。
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子(複数可)のいずれかを1つまたは複数の組込み部位において細菌染色体に組み込むことができる。例えば、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子(複数可)の1つまたは複数のコピーを細菌染色体に組み込むことができる。染色体に組み込まれた1つまたは複数の遺伝子の複数のコピーを有することにより、アミノ酸異化酵素(複数可)のより多くの産生が可能となり、発現のレベルの微調整も可能となる。あるいは、複数の異なる機能を果たすために治療用遺伝子(複数可)または遺伝子カセット(複数可)に加えて、分泌または輸出回路のいずれかのような、本明細書に記載の異なる回路を細菌染色体の1つまたは複数の異なる組込み部位に組み込むことが可能である。
ROS依存性調節
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、誘導性プロモーターの制御下で発現するプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を産生するための遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細胞損傷の状態により活性化されるプロモーターの制御下でプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を発現する、遺伝子操作細菌。一実施形態では、プロピオネート異化酵素を産生するための遺伝子は、細胞または組織損傷が存在する環境において活性化される細胞損傷依存性プロモーター、例えば、活性酸素種またはROSプロモーターの制御下で発現する。
本明細書で使用する場合、「活性酸素種」および「ROS」は、同義で用いられ、分子状酸素に由来する高度に活性な分子、イオンおよび/またはラジカルを意味する。ROSは、好気的呼吸または金属触媒酸化の副産物として産生され、酸化的損傷などの有害な細胞効果をもたらし得る。ROSは、過酸化水素(H)、有機過酸化物(ROOH)、ヒドロキシルイオン(OH−)、ヒドロキシルラジカル(・OH)、スーパーオキシドまたはスーパーオキシドアニオン(・O2−)、一重項酸素(1O)、オゾン(O)、炭酸ラジカル、過酸化物またはペルオキシルラジカル(・O2−2)、次亜塩素酸(HOCl)、次亜塩素酸イオン(OCl−)、次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)、酸化窒素(NO・)およびペルオキシ亜硝酸またはペルオキシ亜硝酸アニオン(ONOO−)を含むが、これらに限定されない(不対電子を・により示す)。細菌は、ROSレベルを感知することができる転写因子を発達させた。異なるROSシグナル伝達経路は、異なるROSレベルによって誘発され、異なる速度論で発生する(Marinhoら、2014年)。
本明細書で使用する場合、「ROS誘導性調節領域」は、1つまたは複数のROS感知転写因子が結合することができ、対応する転写因子の結合および/または活性化が下流の遺伝子発現を活性化する、核酸配列を意味し、ROSの存在下で、転写因子は、調節領域に結合し、かつ/またはそれを活性化する。いくつかの実施形態では、ROS誘導性調節領域は、プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、転写因子は、ROSを感知し、その後、ROS誘導性調節領域に結合し、それにより、下流の遺伝子発現を活性化する。代替実施形態では、転写因子は、ROSの非存在下でROS誘導性調節領域に結合し、ROSの存在下では、転写因子は、立体配座の変化を受け、それにより、下流の遺伝子発現を活性化する。ROS誘導性調節領域は、遺伝子配列または遺伝子配列、例えば、1つもしくは複数のアミノ酸異化酵素をコードする1つまたは複数の配列に作動可能に連結することができる。例えば、ROSの存在下で、転写因子、例えば、OxyRは、ROSを感知し、対応するROS誘導性調節領域を活性化し、それにより、1つまたは複数の作動可能に連結した遺伝子配列の発現を駆動する。このように、ROSは、1つまたは複数の遺伝子の発現を誘導する。
本明細書で使用する場合、「ROS抑制解除調節領域」は、1つまたは複数のROS感知転写因子が結合することができ、対応する転写因子の結合が下流の遺伝子発現を抑制する、核酸配列を意味し、ROSの存在下では、転写因子は、調節領域に結合せず、抑制しない。いくつかの実施形態では、ROS抑制解除調節領域は、プロモーター配列を含む。ROS抑制解除調節領域は、1つまたは複数の遺伝子、例えば、1つもしくは複数のアミノ酸異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子に、作動可能に連結することができる。例えば、ROSの存在下で、転写因子、例えば、OhrRは、ROSを感知し、もはや調節領域に結合し、かつ/または抑制することをせず、それにより、作動可能に連結した遺伝子配列または遺伝子カセットを活性化する。このように、ROSは、遺伝子または遺伝子カセットの発現を活性化する。
本明細書で使用する場合、「ROS抑制性調節領域」は、1つまたは複数のROS感知転写因子が結合することができ、対応する転写因子の結合が下流の遺伝子発現を抑制する、核酸配列を意味し、ROSの存在下では、転写因子は、調節領域に結合し、抑制する。いくつかの実施形態では、ROS抑制性調節領域は、プロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、ROSを感知する転写因子は、プロモーター配列の一部と重複する調節領域に結合することができる。代替実施形態では、ROSを感知する転写因子は、プロモーター配列の上流または下流である調節領域に結合することができる。ROS抑制性調節領域は、1つまたは複数の遺伝子配列に作動可能に連結することができる。例えば、ROSの存在下では、転写因子、例えば、PerRは、ROSを感知し、対応するROS抑制性調節領域に結合し、それにより、1つまたは複数の作動可能に連結した遺伝子配列の発現を阻止する。このように、ROSは、1つまたは複数の遺伝子の発現を抑制する。
本明細書で使用する場合、「ROS応答性調節領域」は、ROS誘導性調節領域、ROS抑制性調節領域および/またはROS抑制解除調節領域を意味する。いくつかの実施形態では、ROS応答性調節領域は、プロモーター配列を含む。各調節領域は、少なくとも1つの対応するROS感知転写因子に結合することができる。ROSを感知する転写因子ならびにそれらの対応するROS応答性遺伝子、プロモーターおよび/または調節領域の例は、表5に示すものを含むが、それらに限定されない。
Figure 2018521674
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、少なくとも1つの活性酸素種を感知することができる転写因子に直接的または間接的に制御される調節可能な調節領域を含む。調整可能な調節領域は、アミノ酸異化酵素の発現を直接的または間接的に駆動することができる遺伝子または遺伝子カセットに作動可能に連結しており、その結果として、ROSレベルに対してプロピオネート異化酵素の発現を制御する。例えば、調整可能な調節領域は、ROS誘導性調節領域であり、分子は、アミノ酸異化酵素である。ROSが、例えば炎症組織に存在する場合、ROS感知転写因子は、調節領域に結合し、および/または調節領域を活性化し、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質の遺伝子配列の発現を駆動し、それによってアミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を産生する。その後、炎症が改善し、ROSレベルが低下すると、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質の産生は、減少または消失する。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、ROS誘導性調節領域であり、ROSの存在下で、転写因子は、ROSを感知し、ROS誘導性調節領域を活性化し、それにより、作動可能に連結した遺伝子または遺伝子カセットの発現を駆動する。いくつかの実施形態では、転写因子は、ROSを感知し、その後、ROS誘導性調節領域に結合し、それにより、下流の遺伝子発現を活性化する。代替実施形態では、転写因子をROSの非存在下でROS誘導性調節領域に結合させ、転写因子がROSを感知するとき、それは、立体配座の変化を受け、それにより、下流の遺伝子発現を誘導する。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、ROS誘導性調節領域であり、ROSを感知する転写因子は、OxyRである。OxyRは、「過酸化物ストレス反応のグローバルな調節因子として主として機能し」、多くの遺伝子、例えば、「Hの解毒(katE、ahpCF)、ヘム生合成(hemH)、還元剤供給(grxA、gor、trxC)、チオール−ジスルフィド異性化(dsbG)、Fe−S中心修復(sufA−E、sufS)、鉄結合(yaaA)、鉄移入システムの抑制(fur)に関与する遺伝子」および「小調節RNAであるOxyS」(Dubbsら、2012年)を調節することができる。遺伝子操作細菌は、OxyRによって活性化される遺伝子の適切なROS応答性調節領域を含み得る。OxyRによる活性化を受けることができる遺伝子は、当技術分野で公知である(例えば、Zhengら、2001年;Dubbsら、2012年;表1参照)。特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、遺伝子、例えば、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子に作動可能に連結している、oxySに由来するROS誘導性調節領域を含む。ROS、例えばH2O2、の存在下で、OxyR転写因子は、ROSを感知し、oxyS調節領域を活性化し、それにより、作動可能に連結したプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子の発現を駆動し、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を産生する。いくつかの実施形態では、OxyRは、大腸菌oxyR遺伝子によりコードされる。いくつかの実施形態では、oxyS調節領域は、大腸菌oxyS調節領域である。いくつかの実施形態では、ROS誘導性調節領域は、katG、dpsおよびahpCの調節領域から選択される。
代替実施形態では、調節可能な調節領域は、ROS誘導性調節領域であり、ROSを感知する対応する転写因子は、SoxRである。SoxRが「その[2Fe−2S]クラスターの酸化によって活性化される場合、それがSoxSの合成を増加させ、これがその標的遺伝子発現を活性化する」(Kooら、2003年)。「SoxRは、スーパーオキシドおよび酸化窒素に主として応答することが公知であり」(Kooら、2003年)、Hに応答することもできる。本発明の遺伝子操作細菌は、SoxRにより活性化される遺伝子の任意の適切なROS応答性調節領域を含み得る。SoxRによる活性化を受けることができる遺伝子は、当技術分野で公知である(例えば、Kooら、2003年;表1参照)。特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、遺伝子、例えば、アミノ酸異化酵素に作動可能に連結しているsoxSに由来するROS誘導性調節領域を含む。ROSの存在下で、SoxR転写因子は、ROSを感知し、soxS調節領域を活性化し、それにより、作動可能に連結したプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子の発現を駆動し、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を産生する。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、ROS抑制解除調節領域であり、対応する転写因子の結合が下流の遺伝子発現を抑制するものであり、ROSの存在下では、転写因子は、調節領域にもはや結合せず、それにより、作動可能に連結した遺伝子または遺伝子カセットを活性化する。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、ROS抑制解除調節領域であり、ROSを感知する転写因子は、OhrRである。OhrRは、「ohrAプロモーター部位と重複する逆方向反復DNA配列の対に結合し、それにより、転写イベントを抑制する」が、酸化OhrRは、「そのDNA標的に結合することが不可能である」(Duarteら、2010年)。OhrRは、「有機過酸化物およびNaOClの両方を感知する転写リプレッサーであり」(Dubbsら、2012年)、「Hにより弱く活性化されるが、有機ヒドロペルオキシドに対するはるかにより高い反応性を示す」(Duarteら、2010年)。本発明の遺伝子操作細菌は、OhrRにより抑制される遺伝子の任意の適切なROS応答性調節領域を含み得る。OhrRによる抑制を受けることができる遺伝子は、当技術分野で公知である(例えば、Dubbsら、2012年;表1参照)。特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、遺伝子または遺伝子カセット、例えば、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子に作動可能に連結している、ohrAに由来するROS抑制解除調節領域を含む。ROS、例えばNaOCl、の存在下で、OhrR転写因子は、ROSを感知し、ohrA調節領域にはもはや結合せず、それにより、作動可能に連結したプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子を抑制解除し、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を産生する。
OhrRは、ROS応答性調節因子のMarRファミリーのメンバーである。「MarRファミリーの大部分のメンバーは、転写リプレッサーであり、プロモーターにおける−10または−35領域にしばしば結合し、RNAポリメラーゼの結合の立体阻害をもたらす」(Bussmannら、2010年)。このファンリーの他のメンバーは、当技術分野で公知であり、OspR、MgrA、RosRおよびSarZを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ROSを感知する転写因子は、OspR、MgRA、RosRおよび/またはSarZであり、本発明の遺伝子操作細菌は、OspR、MgRA、RosRおよび/またはSarZにより抑制される遺伝子の1つまたは複数の対応する調節領域配列を含む。OspR、MgRA、RosRおよび/またはSarZによる抑制を受けることができる遺伝子は、当技術分野で公知である(例えば、Dubbsら、2012年参照)。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、ROS抑制解除調節領域であり、ROSを感知する対応する転写因子は、RosRである。RosRは、「共通配列TTGTTGAYRYRTCAACWAを有する18bp逆方向反復配列」に結合する「MarR型転写調節因子」であり、「酸化剤Hにより可逆的に阻害される」(Bussmannら、2010年)。RosRは、「推定ポリイソプレノイド結合タンパク質(cg1322、rosRの上流で、異なる遺伝子)、感覚ヒスチジンキナーゼ(cgtS9)、Crp/FNRファミリーの推定転写調節因子(cg3291)、グルタチオンS−トランフェラーゼファミリーのタンパク質(cg1426)、2つの推定FMNレダクターゼ(cg1150およびcg1850)ならびに4つの推定モノオキシゲナーゼ(cg0823、cg1848、cg2329およびcg3084)」を含むが、これらに限定されない、多くの遺伝子および推定遺伝子を抑制することができる(Bussmannら、2010年)。本発明の遺伝子操作細菌は、RosRにより抑制される遺伝子の任意の適切なROS応答性調節領域を含み得る。RosRによる抑制を受けることができる遺伝子は、当技術分野で公知である(例えば、Bussmannら、2010年;表1参照)。特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、遺伝子または遺伝子カセット、例えば、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質に作動可能に連結している、cgtS9に由来するROS抑制解除調節領域を含む。ROS、例えばH2O2、の存在下で、RosR転写因子は、ROSを感知し、cgtS9調節領域にもはや結合せず、それにより、作動可能に連結したプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子を抑制解除し、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を産生する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌が、細菌におけるかなりの数の天然遺伝子の発現を調節しないROS感知転写因子を発現することは、有利である。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、転写因子が本発明の遺伝子操作細菌における調節配列に結合しない、細菌の異なる種、菌株または亜菌株に由来するROS感知転写因子を発現する。いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、大腸菌であり、ROS感知転写因子は、例えば、コリネバクテリウム・グルタミクムに由来するRosRであり、大腸菌は、前記RosRに対する結合部位を含まない。いくつかの実施形態では、異種転写因子は、遺伝子操作細菌における内因性調節領域および遺伝子に対するオフターゲット効果を最小限にまたは排除する。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、ROS抑制性調節領域であり、対応する転写因子の結合が下流の遺伝子発現を抑制するものであり、ROSの存在下では、転写因子は、ROSを感知し、ROS抑制性調節領域に結合し、それにより、作動可能に連結した遺伝子または遺伝子カセットの発現を抑制する。いくつかの実施形態では、ROS感知転写因子は、プロモーター配列の一部と重複する調節領域に結合することができる。代替実施形態では、ROS感知転写因子は、プロモーター配列の上流または下流である調節領域に結合することができる。
いくつかの実施形態では、調節可能な調節領域は、ROS抑制解除調節領域であり、ROSを感知する転写因子は、PerRである。枯草菌では、PerRは、「DNAに結合した場合、酸化ストレス応答(katA、ahpCおよびmrgA)、金属恒常性(hemAXCDBL、furおよびzoaA)ならびにそれ自体の合成(perR)に関与するタンパク質をコードする遺伝子を抑制する」(Marinhoら、2014年)。PerRは、「主としてHに応答するグローバルな調節因子であり」(Dubbsら、2012年)、「PerR制御遺伝子のプロモーター配列内および近くに存在する特定の回文構造共通配列(TTATAATNATTATAA)である、perボックスにおけるDNAと相互作用する」(Marinhoら、2014年)。PerRは、「プロモーターの一部と重複するかまたはそのすぐ下流にある」調節領域に結合することができる(Dubbsら、2012年)。本発明の遺伝子操作細菌は、PerRにより抑制される遺伝子の任意の適切なROS応答性調節領域を含み得る。PerRによる抑制を受けることができる遺伝子は、当技術分野で公知である(例えば、Dubbsら、2012年;表1参照)。
これらの実施形態では、遺伝子操作細菌は、アミノ酸異化酵素を発現させるために用いられる、2つのリプレッサー活性化調節回路を含み得る。2つのリプレッサー活性化調節回路は、第1のROS感知リプレッサー、例えばPerRと、遺伝子または遺伝子カセット、例えばアミノ酸異化酵素に作動可能に連結している第2のリプレッサー、例えばTetRとを含む。これらの実施形態の一態様では、ROS感知リプレッサーは、遺伝子または遺伝子カセットの転写を抑制する、第2のリプレッサーの転写を抑制する。これらの実施形態において有用な第2のリプレッサーの例は、TetR、C1およびLexAを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ROS感知リプレッサーは、PerRである。いくつかの実施形態では、第2のリプレッサーは、TetRである。この実施形態では、PerR抑制性調節領域は、TetRの発現を駆動し、TetR抑制性調節領域は、遺伝子または遺伝子カセット、例えば、アミノ酸異化酵素の発現を駆動する。PerR結合の非存在(ROSの非存在下で起こる)下では、tetRが転写され、TetRが遺伝子または遺伝子カセット、例えば、アミノ酸異化酵素の発現を抑制する。PerR結合の存在(ROSの存在下で起こる)下では、tetRの発現が抑制され、遺伝子または遺伝子カセット、例えば、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質が発現する。
ROS応答性転写因子は、遺伝子操作細菌において用いられる調節領域配列によって遺伝子発現を誘導、活性化または抑制し得る。例えば、「OxyRは、酸化条件下では主として転写活性化因子として考えられているが、OxyRは、酸化および還元の両条件下でリプレッサーまたは活性化因子として機能することができ」(Dubbsら、2012年)、OxyRは、「それ自体のリプレッサーならびにfhuF(第二鉄イオンレダクターゼをコードする)およびflu(抗原43外膜タンパク質をコードする)のそれであることが示された」(Zhengら、2001年)。本発明の遺伝子操作細菌は、OxyRにより抑制される遺伝子の任意の適切なROS応答性調節領域を含み得る。いくつかの実施形態では、OxyRは、上述のように、2つのリプレッサー活性化調節回路に用いられる。OxyRによる抑制を受けることができる遺伝子は、当技術分野で公知である(例えば、Zhengら、2001年;表1参照)。または、例えば、RosRは、多くの遺伝子を抑制することができるが、それは、特定の遺伝子、例えば、narKGHJIオペロンを活性化することもできる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、RosRにより活性化される遺伝子の任意の適切なROS応答性調節領域を含む。さらに、「PerR媒介性の正の調節も認められ、遠隔上流部位へのPerRの結合に関係すると思われる」(Dubbsら、2012年)。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、PerRにより活性化される遺伝子の任意の適切なROS応答性調節領域を含む。
1つまたは複数の種類のROS感知転写因子および対応する調節領域配列が遺伝子操作細菌に存在し得る。例えば、「OhrRは、グラム陽性およびグラム陰性細菌に認められ、OxyRもしくはPerRまたは両方と共存し得る」Dubbsら、2012年)。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、1種類のROS感知転写因子、例えば、OxyR、および例えば、oxySに由来する1つの対応する調節領域配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、1種類のROS感知転写因子、例えば、OxyR、ならびに例えば、oxySおよびkatGに由来する2つまたはそれ以上の異なる対応する調節領域配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、2またはそれ以上の種類のROS感知転写因子、例えば、OxyRおよびPerR、ならびに例えば、oxySおよびkatAに由来する2つまたはそれ以上の対応する調節領域配列を含む。1つのROS応答性調節領域は、複数の転写因子に結合し得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、2またはそれ以上の種類のROS感知転写因子、および1つの対応する調節領域配列を含む。
いくつかの例示的なOxyRにより調節される調節領域の核酸配列を表6に示す。OxyR結合部位は、下線付きの太字である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、配列番号18、19、20もしくは21のDNA配列またはその機能性断片と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%相同である核酸配列を含む。
Figure 2018521674
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、ROS感知転写因子をコードする遺伝子、例えば、その天然プロモーターにより制御されるoxyR遺伝子、誘導性プロモーター、天然プロモーターより強いプロモーター、例えば、GlnRSプロモーターもしくはP(Bla)プロモーター、または構成的プロモーターを含む。いくつかの例では、発現安定性を向上させるために誘導性プロモーターの制御下のROS感知転写因子を発現させることは、有利であり得る。いくつかの実施形態では、ROS感知転写因子の発現は、治療用分子の発現を制御するプロモーターと異なるプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、ROS感知転写因子の発現は、治療用分子の発現を制御する同じプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、ROS感知転写調節因子および治療用分子は、プロモーター領域から分岐して転写される。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、細菌の異なる種、菌株または亜菌株に由来するROS感知転写因子の遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、細菌の異なる種、菌株または亜菌株に由来するROS応答性調節領域を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、細菌の異なる種、菌株または亜菌株に由来するROS感知転写因子および対応するROS応答性調節領域を含む。異種ROS感知転写因子および調節領域は、同じ条件下の同じ亜型の細菌に由来する天然転写因子および調節領域と比較して、ROSの存在下で前記調節領域に作動可能に連結した遺伝子の転写を増加させ得る。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、ROS感知転写因子OxyR、および大腸菌に由来する対応する調節領域oxySを含む。いくつかの実施形態では、天然ROS感知転写因子、例えば、OxyRは、完全なままであり、野生型活性を保持している。代替実施形態では、天然ROS感知転写因子、例えば、OxyRは、野生型活性を低減または消失させるために欠失または突然変異させる。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、ROS感知転写因子をコードする内因性遺伝子、例えば、oxyR遺伝子の複数のコピーを含む。いくつかの実施形態では、ROS感知転写因子をコードする遺伝子は、プラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、ROS感知転写因子をコードする遺伝子および治療用分子を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、異なるプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、ROS感知転写因子をコードする遺伝子および治療用分子を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、同じプラスミド上に存在する。いくつかの実施形態では、ROS感知転写因子をコードする遺伝子は、染色体上に存在する。いくつかの実施形態では、ROS感知転写因子をコードする遺伝子および治療用分子を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、異なる染色体上に存在する。いくつかの実施形態では、ROS感知転写因子をコードする遺伝子および治療用分子を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは、同じ染色体上に存在する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、ROS感知転写因子をコードする野生型遺伝子、例えば、soxR遺伝子、同じ亜型の細菌の野生型調節領域と比べて突然変異している、対応する調節領域、例えば、soxS調節領域を含む。突然変異調節領域は、同じ条件下の野生型調節領域と比較して、ROSの存在下でプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質の発現を増加させる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、野生型ROS応答性調節領域、例えば、oxyS調節領域、および同じ亜型の細菌の野生型転写因子と比べて突然変異している、対応する転写因子、例えば、OxyRを含む。突然変異転写因子は、同じ条件下の野生型転写因子と比較して、ROSの存在下でプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質の発現を増加させる。いくつかの実施形態では、ROSの存在下でのプロピオネート異化酵素の発現を増加させるために、ROS感知転写因子および対応する調節領域の両方を同じ亜型の細菌に由来する野生型配列と比べて突然変異させる。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素を産生するための遺伝子または遺伝子カセットはプラスミド上に存在し、ROSにより誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは染色体内に存在し、ROSにより誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素を産生するための遺伝子または遺伝子カセットは染色体上に存在し、テトラサイクリンまたはアラビノースへの曝露により誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を産生するための遺伝子または遺伝子カセットはプラスミド上に存在し、テトラサイクリンまたはアラビノースへの曝露により誘導されるプロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、当技術分野で公知の方法により、例えば、リボソーム結合部位を最適化し、転写調節因子を操作し、かつ/またはmRNAの安定性を増大させることにより、発現をさらに最適化する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、アミノ酸異化酵素(複数可)、プロピオネート輸送体(複数可)および/またはプロピオネート結合タンパク質(複数可)を産生することができる遺伝子(複数可)の複数のコピーを含み得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸異化酵素(複数可)、プロピオネート輸送体(複数可)および/またはプロピオネート結合タンパク質(複数可)を産生することができる遺伝子(複数可)はプラスミド上に存在し、ROS応答性調節領域に作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を産生することができる遺伝子(複数可)は染色体内に存在し、ROS応答性調節領域に作動可能に連結している。
このように、いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌または遺伝子操作ウイルスは、酸素レベル依存性プロモーター、活性酸素種(ROS)依存性プロモーターまたは活性窒素種(RNS)依存性プロモーター、および対応する転写因子の制御下で1つまたは複数のアミノ酸異化酵素を産生する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を産生するための遺伝子を有する、安定に維持されたプラスミドまたは染色体を含み、したがって、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質を宿主細胞において発現させることができ、宿主細胞は、in vitroで、例えば培地中で、および/またはin vivoで、生存および/または増殖することができる。いくつかの実施形態では、細菌は、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする遺伝子の複数のコピーを含み得る。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする遺伝子を低コピープラスミド上で発現させる。いくつかの実施形態では、低コピープラスミドは、発現の安定性を増大させるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、低コピープラスミドは、非誘導性条件下で漏出性発現を減少させるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする遺伝子を高コピープラスミド上で発現させる。いくつかの実施形態では、高コピープラスミドは、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質の発現を増加させるのに有用であり得る。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする遺伝子を染色体上で発現させる。
いくつかの実施形態では、細菌に、複数の作用機構(MOAs)、例えば、同じ産物の複数のコピーを産生する回路(例えば、コピー数を増加させるため)または複数の異なる機能を果たす回路を含むように遺伝子操作を施す。例えば、遺伝子操作細菌は、4つの異なる挿入部位に挿入された特定のプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする遺伝子の4つのコピーを含み得る。あるいは、遺伝子操作細菌は、3つの異なる挿入部位に挿入された特定のプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする遺伝子の3つのコピーと、3つの異なる挿入部位に挿入された異なるプロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質をコードする遺伝子の3つのコピーとを含み得る。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質が発現する条件下で、本開示の遺伝子操作細菌は、同じ条件下の同じ亜型の非改変細菌と比較して少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約600倍、少なくとも約700倍、少なくとも約800倍、少なくとも約900倍、少なくとも約1000倍、または少なくとも約1500倍多い、アミノ酸異化酵素、プロピオネート輸送体および/もしくはプロピオネート結合タンパク質、ならびに/またはオペロン内のその(それらの)遺伝子の転写物を産生する。
いくつかの実施形態では、定量的PCR(qPCR)を用いて、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子(複数可)のmRNA発現レベルを増幅、検出および/または定量する。プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子(複数可)に固有のプライマーを当技術分野で公知の方法により設計し、試料中のmRNAを検出するために用いることができる。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素mRNAを含有する可能性がある試料反応混合物に発蛍光団を加え、サーマルサイクラーを用いて、試料反応混合物に特定の波長の光を照射し、その後の発蛍光団による発光を検出する。反応混合物を所定の温度に所定の時間にわたり加熱し、冷却する。特定の実施形態では、加熱および冷却を所定のサイクル数繰り返す。いくつかの実施形態では、反応混合物を90〜100℃、60〜70℃および30〜50℃に所定のサイクル回数にわたり加熱し、冷却する。特定の実施形態では、反応混合物を93〜97℃、55〜65℃および35〜45℃に所定のサイクル回数にわたり加熱し、冷却する。いくつかの実施形態では、蓄積しつつあるアンプリコンをqPCRの各サイクルの後に定量する。蛍光が閾値を超えるサイクルの数は、閾値サイクル(CT)である。各試料について少なくとも1CTの結果を発生させ、CT結果(複数可)を用いて、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子(複数可)のmRNA発現レベルを決定することができる。
いくつかの実施形態では、定量的PCR(qPCR)を用いて、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子(複数可)のmRNA発現レベルを増幅、検出および/または定量する。プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子(複数可)に固有のプライマーを当技術分野で公知の方法により設計し、試料中のmRNAを検出するために用いることができる。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質mRNAを含有する可能性がある試料反応混合物に発蛍光団を加え、サーマルサイクラーを用いて、試料反応混合物に特定の波長の光を照射し、その後の発蛍光団による発光を検出する。反応混合物を所定の温度に所定の時間にわたり加熱し、冷却する。特定の実施形態では、加熱および冷却を所定のサイクル数繰り返す。いくつかの実施形態では、反応混合物を90〜100℃、60〜70℃および30〜50℃に所定のサイクル回数にわたり加熱し、冷却する。特定の実施形態では、反応混合物を93〜97℃、55〜65℃および35〜45℃に所定のサイクル回数にわたり加熱し、冷却する。いくつかの実施形態では、蓄積しつつあるアンプリコンをqPCRの各サイクルの後に定量する。蛍光が閾値を超えるサイクルの数は、閾値サイクル(CT)である。各試料について少なくとも1CTの結果を発生させ、CT結果(複数可)を用いて、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体および/またはプロピオネート結合タンパク質遺伝子(複数可)のmRNA発現レベルを決定することができる。
他の実施形態では、誘導性プロモーターは、プロピオネート応答性プロモーターである。例えば、prpRプロモーターは、プロピオネート応答性プロモーターである。一実施形態では、プロピオネート応答性プロモーターは、配列番号70を含む。
プロピオネート異化酵素ならびにプロピオネート異化遺伝子および遺伝子カセット
本明細書で使用する場合、「プロピオネート異化遺伝子」、「プロピオネート異化遺伝子カセット」、「プロピオネート異化カセット」、または「プロピオネート異化オペロン」という用語は、生合成経路においてプロピオネートおよび/もしくはその代謝物ならびに/またはメチルマロン酸および/もしくはその代謝物を異化することができる遺伝子または一組の遺伝子を意味する。
本明細書で使用する場合、「プロピオネート異化酵素」または「プロピオネート異化作用もしくは異化酵素」または「プロピオネート代謝酵素」という用語は、プロピオネートおよび/またはその代謝物を代謝することができる任意の酵素を意味する。「プロピオネート異化酵素」または「プロピオネート異化作用もしくは異化酵素」または「プロピオネート代謝酵素」という用語は、メチルマロン酸および/またはその代謝物を代謝することができる任意の酵素を意味する。例えば、「プロピオネート異化酵素」または「プロピオネート異化作用もしくは異化酵素」または「プロピオネート代謝酵素」という用語は、プロピオネート、プロピオニル−CoA、メチルマロン酸、および/またはメチルマロニルCoAを代謝することができる任意の酵素を意味する。例えば、「プロピオネート異化酵素」または「プロピオネート異化作用もしくは異化酵素」または「プロピオネート代謝酵素」という用語は、蓄積したプロピオネートおよび/もしくはメチルマロン酸および/もしくはプロピオニルCoAおよび/もしくはメチルマロニルCoAを低減することができる、または1つもしくは複数のプロピオネートおよび/もしくはメチルマロン酸疾患もしくは疾患症状を緩和、改善もしくは予防することができる、任意の酵素を意味する。プロピオネートおよび/またはメチルマロン酸代謝酵素の例は、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)、メチルマロニルCoAムターゼ(MUT)、プロピオニル−CoAシンテターゼ(PrpE)、2−メチルイソクエン酸リアーゼ(PrpB)、2−メチルクエン酸シンターゼ(prpC)、2−メチルクエン酸デヒドロゲナーゼ(PrpD)、プロピオニル−CoAカルボキシラーゼ(pccB)、アセチル−/プロピオニル−補酵素Aカルボキシラーゼ(accA1)、メチルマロニル−CoAエピメラーゼ(mmcE)、メチルマロニル−CoAムターゼ(mutA、およびmutB)、アセトアセチル−CoAレダクターゼ(phaB)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)シンターゼ、例えばphaCによりコードされるもの、および3−ケトチオラーゼ(phaA)、pct、ならびにマロニル−補酵素A(マロニル−CoA)シンテターゼ(matB)を含むが、これらに限定されない。
これらのタンパク質の機能的欠損は、細胞および組織内へのプロピオネートおよび/もしくはメチルマロン酸、またはそれらの代謝物のうちの1つもしくは複数についての蓄積をもたらす。本開示のプロピオネート異化酵素は、野生型または改変プロピオネート異化酵素の両方を含み、組換えおよび合成方法を用いて産生することができ、または天然源から精製することができる。プロピオネート異化酵素は、完全長ポリペプチドおよびその機能性断片、ならびにそれらの相同体および変異体を含む。プロピオネート異化酵素は、例えば1つまたは複数のアミノ酸欠失、挿入および/または置換を有するポリペプチドを含む、野生型配列から改変されたポリペプチドを含み、例えば、融合ポリペプチド、ならびに追加の配列、例えば、調節ペプチド配列、リンカーペプチド配列および他のペプチド配列を有するポリペプチドを含み得る。
本明細書で使用する場合、「プロピオネート異化酵素」という用語は、プロピオネートもしくはプロピオニルCoAおよびまたはメチルマロン酸もしくはメチルマロニルCoAの、非毒性分子、例えば、その対応するメチルマロニルCoA分子、対応するスクシニルCoA分子、スクシネート、またはポリヒドロキシアルカノエートへの異化、あるいはメチルマロニルCoAの、非毒性分子、例えば、その対応するスクシニルCoA分子への異化に関与する酵素を意味する。プロピオネートの異化に関与する酵素は、当業者に周知である。
ヒトの場合、ピロピオニル−CoAを代謝するための主経路は、酵素プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)を含み、この酵素がプロピオニルCoAをメチルマロニルCoAに変換し、次いでメチルマロニルCoAムターゼ(MUT)酵素が、メチルマロニルCoAをスクシニルCoAに変換する(例えば、図5参照)。プロピオニルCoAまたはメチルマロニルCoAの毒性蓄積につながる酵素欠損または突然変異は、プロピオネート異化に関連する障害、例えば、PAおよびMMAの発生をもたらし、ビタミンB12の重度栄養障害もまたMMAをもたらし得る(Higginbottomら、M.Engl.J.Med.、299巻(7号):317〜323頁、1978年)。他の副経路がヒトには存在するが、これらの経路は、プロピオニルCoA代謝についての主経路の非存在または突然変異を補償するには不十分である(例えば図5参照)。それ故、いくつかの実施形態では、操作された細菌は、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)の1つまたは複数のコピーをコードする遺伝子配列(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)の1つまたは複数のコピーとメチルマロニルCoAムターゼ(MUT)の1つまたは複数のコピーとをコードする、遺伝子配列(複数可)を含む。
本開示の経路または回路のいずれかにより消費されることになるプロピオン酸については、該プロピオン酸は、まず、プロピオニルCoAに活性化されなければならない。この活性化は、プロピオニル−CoAシンテターゼ(PrpE)またはプロピオン酸CoAトランスフェラーゼ(Pct)のどちらかにより触媒され得る。それ故、いくつかの実施形態では、操作された細菌は、プロピオニル−CoAシンテターゼ(PrpE)の1つまたは複数のコピーをコードする遺伝子配列(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ(Pct)の1つまたは複数のコピーをコードする、遺伝子配列(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、プロピオニル−CoAシンテターゼ(PrpE)の1つまたは複数のコピーとプロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)の1つまたは複数のコピーとをコードする、遺伝子配列(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、プロピオニル−Coトランスフェラーゼ(Pct)の1つまたは複数のコピーと、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)の1つまたは複数のコピーと、メチルマロニルCoAムターゼ(MUT)の1つまたは複数のコピーとをコードする、遺伝子配列(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ(Pct)の1つまたは複数のコピーとプロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)の1つまたは複数のコピーとをコードする、遺伝子配列(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、プロピオン酸CoAトランスフェラーゼ(Pct)の1つまたは複数のコピーと、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)の1つまたは複数のコピーと、メチルマロニルCoAムターゼ(MUT)の1つまたは複数のコピーとをコードする、遺伝子配列(複数可)を含む。
PrpEは、プロピオネートおよび遊離CoAを不可逆的なATP依存性の形でプロピオニルCoAに変換し、その結果、AMPおよびPPi(ピロホスフェート)が放出される。PrpEは、例えば図9Aに示す通り、活性部位リシンの翻訳後改変により不活性化され得る。大腸菌ではタンパク質リシンアセチルトランスフェラーゼ(Pka)がPrpEのプロピオニル化を行う。酵素CobBは、PrpEPrを脱プロピオニル化し、その結果、不活性化が可逆的になる。しかし、この不活性化経路を、pka遺伝子の欠失により完全に消失させることができる。本明細書のここおよび他の箇所に記載のいずれの実施形態においても、遺伝子操作細菌は、PrpEの不活性化を防止するためにpkaの欠失(Δpka)を含む。いくつかの実施形態では、pkaの欠失は、PrpEおよび下流の異化作用酵素のより大きい活性をもたらす。
Pctは、可逆的反応でプロピオネートおよびアセチル−CoAをプロピオニル−CoAおよびアセテートに変換する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、例えば図9Bに示す通り、プロピオネートからのプロピオニルCoAの生成のためのPctをコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、PHAおよび/またはMMCAおよび/または2MC経路カセット(複数可)のうちの1つまたは複数の構成要素との組合せで、またはそのような構成要素として、Pctを含む。
細菌の場合、PrpB、PrpCおよびPrpDは、プロピオニルCoAをスクシネートおよびピルベートに変換することができ、PrpB、PrpC、PrpDおよびPrpEは、プロピオネートをスクシネートおよびピルベートに変換することができる。具体的には、プロピオン酸−CoAリガーゼであるPrpEが、プロピオネートをプロピオニルCoAに変換する。次いで、2−メチルクエン酸シンターゼであるPrpCが、プロピオニルCoAを2−メチルシトレートに変換する。次いで、2−メチルクエン酸デヒドロゲナーゼであるPrpDが、2−メチルシトレートを2−メチルイソシトレートに変換し、2−メチルイソクエン酸リアーゼであるPrpBが、2−メチルイソシトレートをスクシネートおよびピルベートに変換する(図19参照)。したがって、いくつかの実施形態では、操作された細菌は、次のうちの1つまたは複数をコードする遺伝子配列(複数可)を含む:PrpB、PrpCおよびPrpD。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、次のうちの1つまたは複数をコードする遺伝子配列(複数可)を含む:PrpB、PrpC、PrpDおよびPrpE。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、次のいずれかをコードする遺伝子の2つまたはそれ以上のコピーを含む:PrpB、PrpCおよびPrpDならびにこれらの組合せ。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、次のいずれかをコードする遺伝子の2つまたはそれ以上のコピーを含む:PrpB、PrpC、PrpDおよびPrpEならびにこれらの組合せ。
他の細菌経路、ポリヒドロキシアルカノエート経路では、プロピオネートは、PrpEによりプロピオニル−CoAに変換される。次いで、プロピオニル−CoAは、PhaAにより3−ケト−バレリル−CoAに変換され、次いでこの3−ケト−バレリル−CoAがPhaBにより3−ヒドロキシ−バレリル−CoAに変換される。最後に、PhaCが3−ヒドロキシ−バレリル−CoAをPHVに変換する(図10参照)。したがって、いくつかの実施形態では、操作された細菌は、次のうちの1つまたは複数をコードする遺伝子配列(複数可)を含む:PrpE、PhaAおよびPhaB。
本開示は、プロピオネート異化に関連する疾患を治療するためにプロピオネートを異化するための、ヒトメチルマロニル−CoA経路の機能活性を模倣する遺伝子回路の設計を含む。例えば、prpE、pccB、accA1、mmcE、mutAおよびmutBを発現させるように回路を設計することができる(図15)。この回路では、PrpEがプロピオネートをプロピオニル−CoAに変換し、次いでこのプロピオニル−CoAがPccBおよびAccA1によりD−メチルマロニル−CoAに変換される。次いで、D−メチルマロニル−CoAがMmcEによりL−メチルマロニル−CoAに変換され、MutAおよびMutBがL−メチルマロニルCoAをスクシニル−CoAに変換する。あるいは、これらの遺伝子を、図15に示す通り、2つの回路、すなわち、prpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutBに分割することができる。したがって、いくつかの実施形態では、操作された細菌は、prpE、pccB、accA1、mmcE、mutA、およびmutBから選択される遺伝子配列(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、次のうちの1つまたは複数をコードする遺伝子配列(複数可)を含む:PrpE、PccB、AccA1、MmcE、MutA、およびMutB。他の実施形態では、本開示は、プロピオネート異化に関連する疾患を治療するためにプロピオネートを異化するための、細菌における2−メチルシトレートサイクル経路を構成する遺伝子回路、例えば、prpBCDE回路(図20)またはポリヒドロキシアルカノエート経路、例えばprpE、phaB、phaC、phaA遺伝子(図10C)の設計を含む。
本開示は、MatBを含む遺伝子回路の設計を含む。マロニル−補酵素A(マロニル−CoA)シンテターゼ(MatB)は、AMP形成性アセチル−CoAシンテターゼタンパク質ファミリーに属する。これらの酵素は、ATPおよび有機酸がピロホスフェートの放出に伴ってまずアシル−AMPに変換され、それに補酵素Aの結合、AMPの置換、そしてアシル−CoA産物の放出が続く、ピンポン機構による有機酸のアセチル−CoAチオエステルへの変換を触媒する(例えば、Crosbyら、Structure−Guided Expansion of the Substrate Range of Methylmalonyl Coenzyme A Synthetase(MatB)of Rhodopseudomonas palustris;Appl.Environ.Microbiol.、2012年9月、78巻、18号、6619〜6629頁、およびその中の参考文献参照)。MatBは、マロネートを、この機構に従って2ステップで、マロニル−AMP中間体経由でマロニル−CoAに変換し、同様にメチルマロネートをメチルマロニル−CoAにも変換する。
MatBを含む遺伝子回路は、メチルマロン酸血症の治療に有用であり、蓄積したメチルマロン酸のメチルマロニルCoAへの変換を可能にする。メチルマロニルCoAに変換されると、異化がMMCA経路に沿って(例えば、mmcE、mutAおよびmutBにより)進行し得る。あるいは、メチルマロニルCoAをプロピオニルCoAに変換することができる。この反応は、本開示の遺伝子回路によってコードされているAccA1/PccB複合体により触媒され得る。AccA1/PccB複合体は、本明細書に記載の通り、プロピオニルCoAのメチルマロニルCoAへの可逆的変換を触媒する。メチルマロニルCoAがプロピオニルCoAに変換されると、本明細書に記載の遺伝子回路、例えば、PHA、MMCAおよび/または2MC回路によりコードされているいずれのプロピオネート異化酵素も、不活性産物をもたらす触媒反応に適している。したがって、本明細書のここおよび他の箇所に記載のいずれの実施形態においても、操作された細菌は、MatBをコードする遺伝子配列(複数可)をさらに含み得る。
本開示のいくつかの実施形態では、1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットは、MatB、例えば、ロドシュードモナス・パルストリスに由来するMatBを含む。本開示のいくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、MatB、例えば、ロドシュードモナス・パルストリスに由来するMatBを含む、1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットを含む。非限定的な例では、MatBを含む1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作細菌は、メチルマロン酸血症、またはメチルマロン酸血症およびプロピオン酸血症の治療に適している。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、MatBをコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと、本明細書に記載の1つまたは複数のMMCA遺伝子カセットとを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、MatBをコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと、本明細書に記載の1つまたは複数のMMCA遺伝子またはMMCA遺伝子カセットとを含む。いくつかの実施形態では、MatBは、別個のプロモーターにより駆動され、別個のプラスミドまたは染色体組込み部位上にある。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットを含むオペロンのMatB部分。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、MatB、mmcE、mutAおよびmutBのうちの1つまたは複数をコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、MatB、mmcE、mutAおよびmutBをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌によりコードされている遺伝子回路は、MatB、mmcE、mutAおよびmutBを含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、MatB、Acc1AおよびPccBのうちの1つまたは複数をコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、MatB、Acc1AおよびPccBをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌によりコードされている遺伝子回路は、MatB、Acc1AおよびPccBを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、MatB、Acc1AおよびPccB、ならびにmmcE、mutAおよびmutBをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、MatB、Acc1AおよびPccB、ならびにmmcE、mutAおよびmutB、ならびにさらにprpEをコードする。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、MatB、Acc1AおよびPccB、ならびにmmcE、mutAおよびmutBをコードし、さらにPHAおよび/または2MC経路回路をコードし、さらにprpEを含んでもよく、または含まなくてもよい。これらの遺伝子を本明細書に記載の通り1つまたは複数の遺伝子カセットに構成することができる。1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットを含みかつ例示的オペロンまたは遺伝子カセット(複数可)を含む遺伝子操作細菌の非限定的な例を図21Gおよび図21Fに示す。他の非限定的な例では、1つまたは複数の遺伝子カセットを次のように構成することができる:MatB−mmcE−mutA−mutB;単独での、またはPPHAおよび/もしくは2MC経路カセットとの組合せでの、MatB−Acc1A−PccBおよびmmcE−mutA−mutB;単独での、またはPPHAおよび/もしくは2MC経路カセットとの組合せでの、PrpE−MatB−Acc1A−PccBおよびmmcE−mutA−mutB。
一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、細胞におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoA異化速度を上昇させる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、細胞におけるプロピオネートのレベルを低下させる。他の実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、細胞におけるプロピオン酸のレベルを低下させる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、細胞におけるプロピオニルCoAのレベルを低下させる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、細胞におけるメチルマロニルCoAのレベルを低下させる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、細胞におけるメチルマロン酸のレベルを低下させる。
他の実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、細胞におけるメチルマロニルCoAのレベルを、細胞におけるその対応するプロピオニルCoAのレベルと比較して上昇させる。他の実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、細胞におけるスクシネートのレベルを、細胞におけるその対応するメチルマロニルCoAのレベルと比較して上昇させる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、プロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAのレベルを、細胞におけるスクシネートまたはスクシニルCoAのレベルと比較して低下させる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、細胞におけるスクシネートまたはスクシニルCoAのレベルを、細胞におけるプロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAのレベルと比較して上昇させる。
プロピオネートの異化に関与する酵素を、プロピオネートの異化を増進するように細胞において発現させるまたは改変することができる。具体的には、異種プロピオネート異化遺伝子または遺伝子カセットが、操作された細菌細胞において発現した場合、前記細菌細胞は、同じ条件下で同じ細菌亜型の非改変細菌より、多くのプロピオネートおよび/もしくはプロピオニルCoAをメチルマロニルCoAに変換し、または前記遺伝子または遺伝子カセットが発現した場合、多くのメチルマロニルCoAをスクシネートもしくはスクシニルCoAに変換する。したがって、異種プロピオネート異化遺伝子または遺伝子カセットを発現する遺伝子操作細菌は、プロピオネートの異化に関連する疾患、例えば、プロピオン酸血症(PA)およびメチルマロン酸血症(MMA)を治療するために、プロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAを異化することができる。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、1つまたは複数のプロピオン酸血症および/またはメチルマロン酸血症バイオマーカーのレベルを低下させる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌により発現されるプロピオネート異化遺伝子カセットは、1つまたは複数のプロピオン酸血症および/またはメチルマロン酸血症バイオマーカーのレベルを低下させる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、例えばプロピオネートおよび/またはメチルマロネートのレベルが上昇している哺乳動物対象において、血液および/または尿中のプロピオニルカルニチンのアセチルカルニチンに対する比を低下させる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、例えばプロピオネートおよび/またはメチルマロネートのレベルが上昇している哺乳動物対象において、血液および/または尿中の2−メチルシトレートのレベルを低下させる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、例えばプロピオネートおよび/またはメチルマロネートのレベルが上昇している哺乳動物対象において、血液および/または尿中のプロピオニルグリシンのレベルを低下させる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットの発現は、例えばプロピオネートおよび/またはメチルマロネートのレベルが上昇している哺乳動物対象において、血液および/または尿中のチグリルグリシンのレベルを低下させる。
一実施形態では、細菌細胞は、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む。一実施形態では、細菌細胞は、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子と、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子とを含む。
一実施形態では、操作された細菌細胞は、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子または遺伝子カセットを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、第1のプロモーターに作動可能に連結した少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子または遺伝子カセットを含む細菌細胞を提供する。一実施形態では、細菌細胞は、異なる生物、例えば、異なる細菌種に由来する少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子または遺伝子カセットを含む。他の実施形態では、細菌細胞は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする天然遺伝子または遺伝子カセットの複数のコピーを含む。さらに他の実施形態では、細菌細胞は、少なくとも1つの天然のプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの天然遺伝子または遺伝子カセットと、異なる生物、例えば異なる細菌種に由来する1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子または遺伝子カセットの少なくとも1つのコピーとを含む。一実施形態では、細菌細胞は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子または遺伝子カセットの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのコピーを含む。一実施形態では、細菌細胞は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子または遺伝子カセットの複数のコピーを含む。一実施形態では、遺伝子カセットは、1つまたは複数の天然および1つまたは複数の非天然または異種遺伝子を含み得る。
複数の異なるプロピオネート異化酵素が当技術分野において公知である。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素は、細菌種に由来する少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子によりコードされる。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素は、非細菌種に由来するプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットによりコードされる。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素は、真核生物種、例えば、酵母種または植物種に由来する遺伝子によりコードされる。一実施形態では、プロピオネート異化酵素は、ヒトに由来する遺伝子によりコードされる。一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、以下のものを含むがこれらに限定されない属または種の生物に由来する:アシネトバクター属(Acetinobacter)、アゾスピリルム属(Azospirillum)、バシラス属、バクテロイデス属、バフィドバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、バークホリデリア属(Burkholderia)、シトロバクター属(Citrobacter)、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、クロノバクター属(Cronobacter)、エンテロバクター属(Enterobacter)、腸球菌属、エルウィニア属(Erwinia)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、クレブシエラ属(Klebsiella)、乳酸桿菌属、乳酸球菌属、リーシュマニア属(Leishmania)、リステリア属、マクロコッカス属(Macrococcus)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ナカムレラ属(Nakamurella)、ナソニア属(Nasonia)、ノストック属(Nostoc)、パントエア属(Pantoea)、ペクトバクテリウム属(Pectobacterium)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サイクロバクター属(Psychrobacter)、ラルストニア属(Ralstonia)、サッカロミセス属、サルモネラ属、サルシナ属(Sarcina)、セラチア属(Serratia)、スタフィロコッカス属およびエルシニア属(Yersinia)、例えば、アシネトバクター・レイディオレジステンス(Acetinobacter radioresistens)、アシネトバクター・バウマンニイ(Acetinobacter baumannii)、アシネトバクター・カルコアセチカス(Acetinobacter calcoaceticus)、アゾスピリルム・ブラシレンセ(Azospirillum brasilense)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、セレウス菌(Bacillus cereus)、バシラス・コアグランス、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、枯草菌、バシラス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バクテロイデス・フラジリス、バクテロイデス・ズブチリス、バクテロイデス・シータイオタオミクロン、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ラクティス、ビフィドバクテリウム・ロンガム、バークホリデリア・ゼノボランス(Burkholderia xenovorans)、シトロバクター・ヤンガエ(Citrobacter youngae)、シトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、シトロバクター・ローデンチウム(Citrobacter rodentium)、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・ブチリカム、コリネバクテリウム・アウリムコスム(Corynebacterium aurimucosum)、コリネバクテリウム・クロッペンステッティイ(Corynebacterium kroppenstedtii)、コリネバクテリウム・ストリアツム(Corynebacterium striatum)、クロノバクター・サカザキ(Cronobacter sakazakii)、クロノバクター・ツリセンシス(Cronobacter turicensis)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、エンテロバクター・カンセロゲナス(Enterobacter cancerogenus)、フェシウム菌(Enterococcus faecium)、火傷病菌(Erwinia amylovara)、エルウィニア・ピリフォリアエ(Erwinia pyrifoliae)、エルウィニア・タスマニエンシス(Erwinia tasmaniensis)、ヘリコバクター・ムステラエ(Helicobacter mustelae)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumonia)、クレブシエラ・バリイコーラ(Klebsiella variicola)、ラクトバシラス・アシドフィラス、ラクトバシラス・ブルガリクス、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・ジョンソニイ、ラクトバシラス・パラカゼイ、ラクトバシラス・プランタルム、ラクトバシラス・ロイテリ、ラクトバシラス・ラムノサス、ラクトコッカス・ラクティス、リーシュマニア・インファンタム(Leishmania infantum)、大形リーシュマニア(Leishmania major)、ブラジルリーシュマニア(Leishmania brazilensis)、リステリア・グレイー(Listeria grayi)、マクロコッカス・カセオリティカス(Macrococcus caseolyticus)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)、マイコバクテリウム・カンサシ(Mycobacterium kansasii)、らい菌(Mycobacterium leprae)、マイコバクテリウム・マリヌム(Mycobacterium marinum)、スメグマ菌(Mycobacterium smegmatis)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)、ナカムレラ・マルチパーティタ(Nakamurella multipartita)、キョウソヤドリコバチ(Nasonia vitipennis)、ノストック・パンクチフォルム(Nostoc punctiforme)、パントエア・アナナティス(Pantoea ananatis)、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、ペクトバクテリウム・アトロセプチカム(Pectobacterium atrosepticum)、軟腐病菌(Pectobacterium carotovorum)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、サイクロバクター・アルクティカス(Psychrobacter articus)、サイクロバクター・クリオハロンティス(Psychrobacter cryohalolentis)、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)、サッカロミセス・ブラウディ、サルモネラ菌(Salmonella enterica)、サルシナ・ベントリクリ(Sarcina ventriculi)、セラチア・オドリフェラ(Serratia odorifera)、セラチア・プロテアマキュランス(Serratia proteamaculans)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aerus)、スタフィロコッカス・カピティス(Staphylococcus capitis)、スタフィロコッカス・カルノーサス(Staphylococcys carnosus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス(Staphylococcus lugdunensis)、スタフィロコッカス・サプロフィティカス(Staphylococcus saprophyticus)、スタフィロコッカス・ワーネリ(Staphylococcus warneri)、エルシニア・エンテロコチリカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・モラレティイ(Yersinia mollaretii)、エルシニア・クリステンセニイ(Yersinia kristensenii)、エルシニア・ローデイ(Yersinia rohdei)、およびエルシニア・アルドバーエ(Yersinia aldovae)。
いくつかの実施形態では、prpEをコードする遺伝子は、大腸菌に由来する。いくつかの実施形態では、accA1をコードする遺伝子は、ストレプトマイセス・セリカラーに由来する。いくつかの実施形態では、pccBをコードする遺伝子は、大腸菌に由来する。いくつかの実施形態では、mmcEをコードする遺伝子は、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒに由来する。いくつかの実施形態では、mutAをコードする遺伝子は、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒに由来する。いくつかの実施形態では、mutBをコードする遺伝子は、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒに由来する。いくつかの実施形態では、prpBをコードする遺伝子は、大腸菌に由来する。いくつかの実施形態では、prpCをコードする遺伝子は、大腸菌に由来する。いくつかの実施形態では、prpDをコードする遺伝子は、大腸菌に由来する。いくつかの実施形態では、phaBをコードする遺伝子は、アシネトバクター属菌種RA3849に由来する。いくつかの実施形態では、phaCをコードする遺伝子は、アシネトバクター属菌種RA3849に由来する。いくつかの実施形態では、phaAをコードする遺伝子は、アシネトバクター属菌種RA3849に由来する。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、操作された細菌細胞における使用のためにコドン最適化されたものである。一実施形態では、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子または遺伝子カセットは、大腸菌における使用のためにコドン最適化されたものである。少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子が、操作された細菌細胞において発現した場合、細菌細胞は、同じ条件(例えば、培養または環境条件)下で同じ細菌亜型の非改変細菌より多くのプロピオネートまたはプロピオニルCoAを異化する。したがって、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子または遺伝子カセットを含む遺伝子操作細菌を用いて、プロピオネートの異化に関連する疾患、例えば、プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症、またはビタミンB12欠乏症を治療するために過剰なプロピオネート、プロピオン酸および/またはプロピオニルCoAを異化することができる。
本開示は、プロピオネート異化酵素の機能性断片またはプロピオネート異化酵素(複数可)の機能性変異体をコードする遺伝子および遺伝子カセットをさらに含む。本明細書で使用する場合、プロピオネート異化酵素の「その機能性断片」または「その機能性変異体」という用語は、該断片または変異体が由来した野生型プロピオネート異化酵素と同様の質の生物学的活性を有するエレメントに関する。例えば、突然変異プロピオネート異化酵素の機能性断片または機能性変異体は、該機能性断片または機能性変異体が由来したプロピオネート異化酵素と本質的に同じプロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoA異化能力を保持するものである。例えば、プロピオネート異化酵素活性を有するポリペプチドをN末端またはC末端で切断し、本明細書で示す例示的アッセイを含む当業者に公知のアッセイを用いてプロピオネート異化酵素活性の滞留を評価することができる。一実施形態では、操作された細菌細胞は、プロピオネート異化酵素機能性変異体をコードする異種遺伝子を含む。他の実施形態では、操作された細菌細胞は、プロピオネート異化酵素機能性断片をコードする異種遺伝子または遺伝子カセットを含む。
プロピオネート異化酵素、プロピオネート異化酵素機能性変異体、またはプロピオネート異化酵素機能性断片の活性を試験するためのアッセイは、当業者に周知である。例えば、プロピオネート異化は、内因性プロピオネート異化酵素活性を欠く操作された細菌細胞において、タンパク質、その機能性変異体または断片を発現させることにより評価することができる。他の例では、本明細書に記載の通り、プロピオネートを培地に添加し、操作された細菌菌株と対応する野生型株とを培地からのプロピオネート枯渇に関して比較することができる。質量分析またはガスクロマトグラフィーを用いてプロピオネートレベルを評価することができる。例えば、Supelco充填カラムを備えているPerkin Elmer Autosystem XLガスクロマトグラフに試料を注入し、製造業者の指示に従って分析を行うことができる(例えば、Supelco I(1998)Analyzing fatty acids by packed column gas chromatography、Bulletin 856B:2014年参照)。あるいは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてプロピオネートレベルを決定することができる。例えば、コンピュータ制御Waters HPLCシステムは、モデル600クウォータナリーソルベント送液システム、およびモデル996フォトダイオードアレイ検出器を装備しており、試料の成分をAminex HPX−87H(300x7.8mm)有機酸分析カラム(Bio−Rad Laboratories)で分解することができる(例えば、Palaciosら、2003年、J.Bacteriol.、185巻(9号):2802〜2810頁参照)。
哺乳動物の場合、特定のプロピオネート副産物または代謝物、例えば、プロピオニルカルニチン/アセチルカルニチン比、2−メチル−シトレート、プロピオニルグリシン、および/またはチグリルグリシンのレベルを、プロピオネートレベルに加えて、本明細書に記載の通り質量スペクトルにより測定することができる。
本明細書で使用する場合、「相同性」も含めて、「パーセント(%)配列同一性」または「パーセント(%)同一性」という用語は、配列をアラインし、最大配列同一性パーセントを達成するために必要に応じてギャップを導入した後の、いかなる保存的置換も配列同一性の一部と見なさない、参照配列中のアミノ酸残基またはヌクレオチドと同一である候補配列中のアミノ酸残基またはヌクレオチドのパーセンテージと定義する。比較のための最適な配列アランメントは、手作業でのほかに、SmithおよびWaterman、1981年、Ads App.Math.2巻、482頁の局所相同性アルゴリズムによって、NeddlemanおよびWunsch、1970年、J.Mol.Biol.48巻、443頁の局所相同性アルゴリズムによって、PearsonおよびLipman、1988年、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85巻、2444頁の類似性検索法によって、またはこれらのアルゴリズムを用いるコンピュータプログラム(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、Wis.のGAP、BESTFIT、FASTA、BLAST P、BLAST NおよびTFASTA)によって、生成することができる。
本開示は、本明細書に記載のアミノ酸配列と実質的に同じであるアミノ酸をその配列中に含むプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子を含む。本明細書に記載の配列と実質的に同じであるアミノ酸配列は、保存的アミノ酸置換ならびにアミノ酸欠失および/または挿入を含む配列を含む。保存的アミノ酸置換は、第1のアミノ酸のものと類似している化学的および/または物理的特性(例えば、電荷、構造、極性、疎水性/親水性)を有する第2のアミノ酸による第1のアミノ酸の置換を意味する。保存的置換は、以下の群内のあるアミノ酸の別のものによる置換を含む:リシン(K)、アルギニン(R)およびヒスチジン(H);アスパラギン酸(D)およびグルタミン酸(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、DおよびE;アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)およびグリシン(G);F、WおよびY;C、SおよびT。同様に、ある塩基性アミノ酸の別の塩基性アミノ酸での置換(例えば、Lys、Arg、His間の置換)、ある酸性アミノ酸の別の酸性アミノ酸での置換(例えば、AspとGlu間の置換)、ある中性アミノ酸の別の中性アミノ酸での置換(例えば、Ala、Gly、Ser、Met、Thr、Leu、Ile、Asn、Gln、Phe、Cys、Pro、Trp、Tyr、Valの間の置換)が企図される。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素(複数可)をコードする遺伝子(複数可)または遺伝子カセット(複数可)に突然変異を起こさせ、活性増加を示す突然変異体を選択し、プロピオネート異化酵素(複数可)をコードする突然変異を起こした遺伝子(複数可)または突然変異を起こした遺伝子カセット(複数可)を単離し、細菌細胞に挿入する。一実施形態では、生じる自然突然変異体であって、唯一の炭素源としてプロピオネートを用いて細菌を増殖させる自然突然変異についてスクリーニングすることができ、そのような自然突然変異体を選択することができる。本明細書に記載の改変を含む遺伝子(複数可)は、プラスミドまたは染色体上に存在し得る。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、prpEである。prpEは、プロピオン酸−CoAリガーゼであるPrpEをコードする。したがって、一実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号25と少なくとも約80%の同一性を有する。他の実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号73と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号25と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号73と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号25と少なくとも約95%の同一性を有する。他の実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号73と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号25と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号73と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号25の配列を含む。他の実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号73の配列を含む。さらに他の実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号25の配列からなる。他の実施形態では、prpE遺伝子は、配列番号73の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、prpCである。prpCは、2−メチルクエン酸シンテターゼであるPrpCをコードする。したがって、一実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号57と少なくとも約80%の同一性を有する。他の実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号76と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号57と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号76と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号57と少なくとも約95%の同一性を有する。他の実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号76と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号57と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号76と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号57の配列を含む。他の実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号76の配列を含む。さらに他の実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号57の配列からなる。他の実施形態では、prpC遺伝子は、配列番号76の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、prpDである。prpDは、2−メチルクエン酸デヒドロゲナーゼであるPrpDをコードする。したがって、一実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号58と少なくとも約80%の同一性を有する。他の実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号79と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号58と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号79と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号58と少なくとも約95%の同一性を有する。他の実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号79と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号58と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号79と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号58の配列を含む。他の実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号79の配列を含む。さらに他の実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号58の配列からなる。他の実施形態では、prpD遺伝子は、配列番号79の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、prpBである。prpBは、2−メチルイソクエン酸リアーゼであるPrpBをコードする。したがって、一実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号56と少なくとも約80%の同一性を有する。他の実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号82と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号56と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号82と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号56と少なくとも約95%の同一性を有する。他の実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号82と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号56と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号82と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号56の配列を含む。他の実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号82の配列を含む。さらに他の実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号56の配列からなる。他の実施形態では、prpB遺伝子は、配列番号82の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、phaBである。phaBは、アセトアセチル−CoAレダクターゼであるPhaBをコードする。したがって、一実施形態では、phaB遺伝子は、配列番号26と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、phaB遺伝子は、配列番号26と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、phaB遺伝子は、配列番号26と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、phaB遺伝子は、配列番号26と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、phaB遺伝子は、配列番号26を含む。さらに他の実施形態では、phaB遺伝子は、配列番号26からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、phaCである。phaCは、ポリヒドロキシアルカン酸シンターゼであるPhaCをコードする。したがって、一実施形態では、phaC遺伝子は、配列番号27と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、phaC遺伝子は、配列番号27と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、phaC遺伝子は、配列番号27と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、phaC遺伝子は、配列番号27と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、phaC遺伝子は、配列番号27を含む。さらに他の実施形態では、phaC遺伝子は、配列番号27からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、phaAである。phaAは、ベータ−ケトチオラーゼであるPhaAをコードする。したがって、一実施形態では、phaA遺伝子は、配列番号28をコードする配列と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、phaA遺伝子は、配列番号28をコードする配列と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、phaA遺伝子は、配列番号28をコードする配列と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、phaA遺伝子は、配列番号28をコードする配列と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、phaA遺伝子は、配列番号28をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、phaA遺伝子は、配列番号28をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、pccBである。pccBは、プロピオニルCoAカルボキシラーゼであるPccBをコードする。したがって、一実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号39と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号39と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号39と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号39と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号39の配列を含む。さらに他の実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号39の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、pccBである。したがって、一実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号96と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号96と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号96と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号96と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号96の配列を含む。さらに他の実施形態では、pccB遺伝子は、配列番号96の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、accA1である。accA1は、アセチルCoAカルボキシラーゼであるAccA1をコードする。したがって、一実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号38と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号38と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号38と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号38と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号38の配列を含む。さらに他の実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号38の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、accA1である。accA1は、アセチルCoAカルボキシラーゼであるAccA1をコードする。したがって、一実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号104と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号104と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号104と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号104と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号104の配列を含む。さらに他の実施形態では、accA1遺伝子は、配列番号104の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、mmcEである。mmcEは、メチルマロニル−CoAムターゼであるMmcEをコードする。したがって、一実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号32と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号32と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号32と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号32と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号32の配列を含む。さらに他の実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号32の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、mmcEである。したがって、一実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号106と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号106と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号106と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号106と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号106の配列を含む。さらに他の実施形態では、mmcE遺伝子は、配列番号106の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、mutAである。mutAは、メチルマロニル−CoAムターゼ小サブユニットであるMutAをコードする。したがって、一実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号33と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号33と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号33と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号33と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号33の配列を含む。さらに他の実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号33の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、mutAである。したがって、一実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号110と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号110と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号110と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号110と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号110の配列を含む。さらに他の実施形態では、mutA遺伝子は、配列番号110の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、mutBである。mutBは、メチルマロニル−CoAムターゼ大サブユニットであるMutBをコードする。したがって、一実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号34と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号34と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号34と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号34と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号34の配列を含む。さらに他の実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号34の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、mutBである。mutBは、メチルマロニル−CoAムターゼ大サブユニットであるMutBをコードする。したがって、一実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号112と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号112と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号112と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号112と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号112の配列を含む。さらに他の実施形態では、mutB遺伝子は、配列番号112の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、prpEである。一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、prpEである。一実施形態では、prpEは、配列番号71と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、prpEは、配列番号71と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、prpEは、配列番号71と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpEは、配列番号71と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpEは、配列番号71をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、prpEは、配列番号71をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、phaAである。したがって、一実施形態では、phaBは、配列番号137と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、phaAは、配列番号175と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、phaAは、配列番号137と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、phaAは、配列番号137と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、phaAは、配列番号137をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、phaAは、配列番号137をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、phaBである。したがって、一実施形態では、phaBは、配列番号135と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、phaBは、配列番号135と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、phaBは、配列番号135と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、phaBは、配列番号135と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、phaBは、配列番号135をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、phaBは、配列番号135をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、phaCである。したがって、一実施形態では、phaCは、配列番号136と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、phaCは、配列番号136と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、phaCは、配列番号136と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、phaCは、配列番号136と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、phaCは、配列番号136をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、phaCは、配列番号136をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、mmcEである。したがって、一実施形態では、mmcEは、配列番号132と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、mmcEは、配列番号132と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、mmcEは、配列番号132と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、mmcEは、配列番号132と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、mmcEは、配列番号132をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、mmcEは、配列番号132をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、mutAである。したがって、一実施形態では、mutAは、配列番号133と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、mutAは、配列番号133と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、mutAは、配列番号133と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、mutAは、配列番号133と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、mutAは、配列番号133をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、mutAは、配列番号133をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、mutBである。したがって、一実施形態では、mutBは、配列番号134と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、mutBは、配列番号134と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、mutBは、配列番号134と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、mutBは、配列番号134と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、mutBは、配列番号134をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、mutBは、配列番号134をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、accAである。したがって、一実施形態では、accAは、配列番号130と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、accAは、配列番号130と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、accAは、配列番号130と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、accAは、配列番号130と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、accAは、配列番号130をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、accAは、配列番号130をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、pccBである。したがって、一実施形態では、pccBは、配列番号131と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、pccBは、配列番号131と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、pccBは、配列番号131と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、pccBは、配列番号131と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、pccBは、配列番号131をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、pccBは、配列番号131をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、prpCである。したがって、一実施形態では、prpCは、配列番号74と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、prpCは、配列番号74と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、prpCは、配列番号74と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpCは、配列番号74と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpCは、配列番号74をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、prpCは、配列番号74をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、prpDである。したがって、一実施形態では、prpDは、配列番号77と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、prpDは、配列番号77と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、prpDは、配列番号77と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpDは、配列番号77と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpDは、配列番号77をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、prpDは、配列番号77をコードする配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、MatBである。MatBは、マロニル−補酵素A(マロニル−CoA)シンテターゼ(MatB)をコードする。したがって、一実施形態では、MatB遺伝子は、配列番号141と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、MatB遺伝子は、配列番号141と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、MatB遺伝子は、配列番号141と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、MatB遺伝子は、配列番号141と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、MatB遺伝子は、配列番号141の配列を含む。さらに他の実施形態では、MatB遺伝子は、配列番号141の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、matBである。したがって、一実施形態では、matBは、配列番号140と少なくとも約89%の同一性を有する。一実施形態では、matBは、配列番号140と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、matBは、配列番号140と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、matBは、配列番号140と少なくとも約85%、86%、89%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、matBは、配列番号140をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、matBは、配列番号140をコードするの配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、prpBである。したがって、一実施形態では、prpBは、配列番号80と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、prpBは、配列番号80と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBは、配列番号80と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpBは、配列番号80と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBは、配列番号80をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、prpBは、配列番号80をコードする配列からなる。
一実施形態では、プロピオネートおよび/またはその代謝物のレベルを有効に低下させるプロピオネート異化酵素の任意の組合せを用いることができる。一実施形態では、対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAのレベルを有効に低下させるプロピオネート異化酵素の任意の組合せを用いることができる。一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、prpBCDである。他の実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、prpBCDEである。4つすべての異種遺伝子、例えば、prpBCDEの使用は必須ではないが、その使用により、過剰なプロピオネートをスクシネートおよびピルベートに変換して、クレブスサイクルに供給すること、および細菌にそれらの増殖を増加させることにより恩恵をもたらすことが可能となる。他の実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、prpE、pccB、accA1、mmcE、mutAおよびmutBである。他の実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、第1の誘導性プロモーターの制御下のprpE、pccBおよびaccA1、ならびに第2の誘導性プロモーターの制御下のmmcE、mutAおよびmutBである。他の実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、prpE、phaB、phaCおよびphaAである。
一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットは、prpBCDを含む。したがって、一実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号138と少なくとも約80%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号83または配列番号84と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号138と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号83または配列番号84と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号138と少なくとも約95%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号83または配列番号84と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号138と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号83または配列番号84と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号138の配列を含む。他の実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号83または配列番号84の配列を含む。さらに他の実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号138の配列からなる。他の実施形態では、prpBCDオペロンは、配列番号83または配列番号84の配列からなる。
一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットは、prpBCDEを含む。したがって、一実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号55と少なくとも約80%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号93または配列番号94と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号55と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号93または配列番号94と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号55と少なくとも約95%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号93または配列番号94と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号55と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号93または配列番号94と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号55の配列を含む。他の実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号93または配列番号94の配列を含む。さらに他の実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号55の配列からなる。他の実施形態では、prpBCDEオペロンは、配列番号93または配列番号94の配列からなる。
一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットは、phaBCAを含む。したがって、一実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号139と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号139と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号139と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号139と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号139の配列を含む。他の実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号139の配列からなる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットは、prpEおよびphaBCAを含む。
一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットは、phaBCAを含む。したがって、一実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号102と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号102と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号102と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号102と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号102の配列を含む。他の実施形態では、phaBCAオペロンは、配列番号102の配列からなる。一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットは、prpEおよびphaBCAを含む。
一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットは、prpE−phaBCAを含む。したがって、一実施形態では、prpE−phaBCAオペロンは、配列番号24と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、prpE−phaBCAオペロンは、配列番号24と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、prpE−phaBCAオペロンは、配列番号24と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、prpE−phaBCAオペロンは、配列番号24と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpE−phaBCAオペロンは、配列番号24の配列を含む。他の実施形態では、prpE−phaBCAオペロンは、配列番号24の配列からなる。
一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットは、prpE、pccB、accA1、mmcE、mutAおよびmutBを含む。したがって、一実施形態では、prpE−pccB−accA1−mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号37および31の組合せと少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、prpE−pccB−accA1−mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号37および31の組合せと少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、prpE−pccB−accA1−mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号37および31の組合せと少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、prpE−pccB−accA1−mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号37および31の組合せと少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpE−pccB−accA1−mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号37および31の組合せの配列を含む。他の実施形態では、prpE−pccB−accA1−mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号37および31の組合せの配列からなる。
一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットは、prpE、pccBおよびaccA1を含む。したがって、一実施形態では、prpE−pccB−accA1オペロンは、配列番号37と少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、prpE−pccB−accA1オペロンは、配列番号37と少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、prpE−pccB−accA1オペロンは、配列番号37と少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、prpE−pccB−accA1オペロンは、配列番号37と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、prpE−pccB−accA1オペロンは、配列番号37の配列を含む。他の実施形態では、prpE−pccB−accA1オペロンは、配列番号37の配列からなる。
一実施形態では、プロピオネート異化遺伝子カセットは、mmcE、mutAおよびmutBを含む。したがって、一実施形態では、mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号31の組合せと少なくとも約80%の同一性を有する。一実施形態では、mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号31の組合せと少なくとも約90%の同一性を有する。一実施形態では、mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号31の組合せと少なくとも約95%の同一性を有する。一実施形態では、mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号31の組合せと少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号31の組合せの配列を含む。他の実施形態では、mmcE−mutA−mutBオペロンは、配列番号31の組合せの配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、第1のプロモーターに直接的に作動可能に連結している。他の実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、第1のプロモーターに間接的に作動可能に連結している。一実施形態では、プロモーターは、プロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子と天然では作動可能に連結していない。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、構成的プロモーターの制御下で発現する。他の実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、誘導性プロモーターの制御下で発現する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、外因性環境条件により直接的または間接的に誘導されるプロモーターの制御下で発現する。一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、低酸素または嫌気的条件により直接的または間接的に誘導されるプロモーターの制御下で発現し、前記少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現は、哺乳動物消化管の環境などの、低酸素または嫌気的環境下で活性化される。誘導性プロモーターは、より詳細に下で述べる。
少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、細菌細胞におけるプラスミドまたは染色体上に存在し得る。一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、細菌細胞におけるプラスミド上に位置する。他の実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、細菌細胞の染色体内に位置する。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の天然コピーが細菌細胞の染色体内に位置し、異なる細菌種に由来する少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子が細菌細胞におけるプラスミド上に位置する。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の天然コピーが細菌細胞におけるプラスミド上に位置し、異なる細菌種に由来する少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子が細菌細胞におけるプラスミド上に位置する。さらに他の実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の天然コピーが細菌細胞の染色体内に位置し、異なる細菌種に由来する少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子が細菌細胞の染色体内に位置する。
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、低コピープラスミド上で発現する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、高コピープラスミド上で発現する。いくつかの実施形態では、高コピープラスミドは、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素の発現を増加させ、それによりプロピオネート、プロピオン酸、プロピオニルCoA、メチルマロン酸、および/またはメチルマロニルCoAの異化を増加させるのに有用であり得る。
いくつかの実施形態では、高コピープラスミド上で発現する少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む操作された細菌細胞は、プロピオネートの異種取込み輸送体の非存在下、かつプロピオネートの天然取込み輸送体の追加のコピーの非存在下で、低コピープラスミド上で発現する同じ遺伝子を含む操作された細菌細胞と比較して、プロピオネート異化を増加させもせず、プロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルを低下させもしない。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化の律速ステップがプロピオネート異化酵素の発現ではなく、むしろプロピオネートまたはプロピオニルCoAの利用可能性であるということを、驚くべきことに発見した。したがって、いくつかの実施形態では、細胞へのプロピオネート輸送を増加させ、それによりプロピオネート異化を増進することが有利であり得る。さらに、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む低コピープラスミドを組み合わせて用いることは、操作された細菌細胞にプロピオネートの輸送体を組み込むいくつかの実施形態では、高度なプロピオネート異化を維持しながらプロピオネート異化酵素の発現の安定性を向上させるために、および形質転換細菌に対する負の選択圧を低下させるために、さらに有利であり得る。代替実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体を高コピープラスミドと組み合わせて用いる。
NAD依存性デアシラーゼであるCobBによるプロピオニル化PrpE(PrpEPr)の脱アシル化により、細菌細胞がプロピオネートを異化することが可能となる。したがって、一実施形態では、操作された細菌細胞が異種PrpE酵素を発現する場合、操作された細菌細胞は、異種cobB遺伝子(配列番号114)をさらに含み得る。一実施形態では、cobB遺伝子は、配列番号114と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、cobB遺伝子は、配列番号114と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、cobB遺伝子は、配列番号114と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、cobB遺伝子は、配列番号114と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、cobB遺伝子は、配列番号114の配列を含む。さらに他の実施形態では、cobB遺伝子は、配列番号114の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、CobBである。したがって、一実施形態では、CobBは、配列番号113と少なくとも約113%の同一性を有する。一実施形態では、CobBは、配列番号113と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、CobBは、配列番号113と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、CobBは、配列番号113と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、CobBは、配列番号113をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、CobBは、配列番号113をコードする配列からなる。
他の実施形態では、異種cobB遺伝子を含む操作された細菌細胞は、pka遺伝子における遺伝子改変をさらに含む。タンパク質リシンアセチルトランスフェラーゼであるPkaは、プロピオニル化形態のPrpE(prpEPr)にプロピオネートを代謝できなくさせる。したがって、pka遺伝子(配列番号116)を機能的に不活性にするpka遺伝子の遺伝子改変は、プロピオネートを異化する細菌細胞の能力を増強する。
プロピオネートの輸送体(取込み輸送体)
細菌細胞へのプロピオネートの取込みは、一般的には受動拡散により起こる(例えば、Kellら、1981年、Biochem.Biophys.Res.Commun.、9981〜9988頁参照)。しかし、プロピオネートの能動移入は、当業者に周知のタンパク質によっても媒介される。例えば、MctC(モノカルボン酸輸送体)という名のコリネバクテリウム・グルタミクムにおけるプロピオネートのアップデートのための細菌輸送システムは公知である(例えば、Jolkverら、2009年、J.Bacteriol.、191巻(3号):940〜948頁参照)。ビルジバチルス属(Virgibacillus)菌種に由来するputP_6プロピオネート輸送体(UniProt A0A024QGU1)も同定されている。
プロピオネート輸送体、例えば、プロピオネート取込み輸送体を、細菌においてその細胞へのプロピオネート輸送を増進させるために発現させるまたは改変することができる。具体的には、プロピオネートの輸送体(取込み輸送体)が、操作された細菌細胞において発現する場合、細菌細胞は、輸送体が発現すると、同じ条件下の同じ細菌亜型の非改変細菌より多くのプロピオネートを細胞に移入する。したがって、プロピオネートの輸送体をコードする異種遺伝子を含む遺伝子操作細菌を用いてプロピオネートを細菌に移入することができ、その結果、生物において発現するプロピオネート異化酵素をコードする任意の遺伝子を用いて、有機酸尿症(PAおよびMMAを含む)およびビタミンB12欠乏症などの、プロピオネートの異化に関連する疾患を治療することができる。一実施形態では、細菌細胞は、プロピオネートの輸送体をコードする異種遺伝子を含む。一実施形態では、細菌細胞は、プロピオネートの輸送体とコードする異種遺伝子と、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子とを含む。
したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、第1のプロモーターに作動可能に連結したプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子と、プロピオネート輸送体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子とを含む、細菌細胞を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、第1のプロモーターに作動可能に連結したプロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む細菌細胞を提供する。他の実施形態では、本開示は、第1のプロモーターに作動可能に連結した少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子と、第2のプロモーターに作動可能に連結したプロピオネートの をコードする少なくとも1つの異種遺伝子とを含む、細菌細胞を提供する。一実施形態では、第1のプロモーターおよび第2のプロモーターは、同じプロモーターの別個のコピーである。他の実施形態では、第1のプロモーターおよび第2のプロモーターは、異なるプロモーターである。
一実施形態では、細菌細胞は、異なる生物、例えば、異なる細菌種に由来するプロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む。一実施形態では、細菌細胞は、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの天然遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの天然遺伝子は、改変されない。他の実施形態では、細菌細胞は、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの天然遺伝子の複数のコピーを含む。さらに他の実施形態では、細菌細胞は、プロピオネートの天然取込み輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子のコピー、ならびに異なる細菌種に由来するプロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子の少なくとも1つのコピーを含む。一実施形態では、細菌細胞は、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのコピーを含む。一実施形態では、細菌細胞は、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子の複数のコピーを含む。
いくつかの実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体は、バシラス属、カンピロバクター属(Campylobacter)、クロストリジウム属、コリネバクテリウム属、大腸菌属(Escherichia)、乳酸桿菌属、シュードモナス属、サルモネラ属、スタフィロコッカス属、枯草菌、ジェジュニ菌(Campylobacter jejuni)、クロストリジウム・パーフリンゲンス、大腸菌、デルブリュッキ菌(Lactobacillus delbrueckii)、緑膿菌、ネズミチフス菌、ビルジバチルス属、または黄色ブドウ球菌を含むがこれらに限定されない、細菌属または菌種に由来するプロピオネート遺伝子の輸送体によりコードされる。いくつかの実施形態において、細菌は、ビルジバチルス属である。いくつかの実施形態において、細菌は、コリネバクテリウム属である。一実施形態では、細菌は、C.グルタミクム(C.glutamicum)である。他の実施形態において、細菌は、ジフテリア菌(C.diphtheria)である。他の実施形態において、細菌は、C.エフィシエンスである。他の実施形態では、細菌は、S.セリカラー(S.ceolicolor)である。他の実施形態において、細菌は、スメグマ菌(M.smegmatis)である。他の実施形態において、細菌は、N.ファルシニカ(N.farcinica)である。他の実施形態では、細菌は、大腸菌である。他の実施形態において、細菌は、枯草菌である。
本開示は、プロピオネートの輸送体の機能性断片またはプロピオネートの輸送体の機能性変異体をコードする遺伝子をさらに含む。本明細書で使用する場合、プロピオネートの輸送体の「その機能性断片」または「その機能性変異体」という用語は、該断片または変異体が由来したプロピオネートの野生型取込み輸送体と同様の質の生物学的活性を有するエレメントに関する。例えば、プロピオネートタンパク質の突然変異取込み輸送体の機能性断片または機能性変異体は、該機能性断片または機能性変異体が由来した取込み輸送体タンパク質が細菌細胞にプロピオネートを移入するのと本質的に同じ移入能力を保持するものである。一実施形態では、操作された細菌細胞は、プロピオネートの輸送体の機能性断片をコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む。他の実施形態では、操作された細菌細胞は、プロピオネートの輸送体の機能性変異体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む。
プロピオネートの輸送体、プロピオネート機能性変異体の輸送体、またはプロピオネート機能性断片の輸送体の活性を試験するためのアッセイは、当業者に周知である。例えば、プロピオネート移入は、内因性プロピオネート取込み輸送体を欠く操作された細菌細胞において、タンパク質、その機能性変異体または断片を発現させることにより評価することができる。プロピオネート移入は、質量分析を用いて評価することもできる。プロピオネート移入は、ガスクロマトグラフィーを用いて表すこともできる。例えば、Supelco充填カラムを備えているPerkin Elmer Autosystem XLガスクロマトグラフに試料を注入することができ、製造業者の指示に従って分析を行うことができる(例えば、Supelco I(1998)Analyzing fatty acids by packed column gas chromatography、Bulletin 856B:2014年参照)。あるいは、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて試料をプロピオネート移入について分析することができる。例えば、コンピュータ制御Waters HPLCシステムは、モデル600クウォータナリーソルベント送液システム、およびモデル996フォトダイオードアレイ検出器を装備しており、試料の成分をAminex HPX−87H(300x7.8mm)有機酸分析カラム(Bio−Rad Laboratories)で分解することができる(例えば、Palaciosら、2003年、J.Bacteriol.、185巻(9号):2802〜2810頁参照)。
一実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体をコードする遺伝子は、宿主生物における使用のためにコドン最適化されたものである。一実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体をコードする遺伝子は、大腸菌における使用のためにコドン最適化されたものである。
本開示は、本明細書に記載のアミノ酸配列と実質的に同じであるアミノ酸をその配列中に含むプロピオネートの輸送体をコードする遺伝子も含む。本明細書に記載の配列と実質的に同じであるアミノ酸配列は、保存的アミノ酸置換ならびにアミノ酸欠失および/または挿入を含む配列を含む。
いくつかの実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子に突然変異を起こさせ、プロピオネート輸送体増加を示す突然変異体を選択し、プロピオネートの輸送体をコードする、突然変異を起こした少なくとも1つの遺伝子を単離し、細菌細胞に挿入する。いくつかの実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子に突然変異を起こさせ、プロピオネート輸送体減少を示す突然変異体を選択し、プロピオネートの輸送体をコードする、突然変異を起こした少なくとも1つの遺伝子を単離し、細菌細胞に挿入する。本明細書に記載の取込み輸送体改変は、プラスミドまたは染色体上に存在し得る。
一実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、MctCである。一実施形態では、mctC遺伝子は、配列番号88と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、mctC遺伝子は、配列番号88と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、mctC遺伝子は、配列番号88と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、mctC遺伝子は、配列番号88と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、mctC遺伝子は、配列番号88の配列を含む。さらに他の実施形態では、mctC遺伝子は、配列番号88の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、MctCである。したがって、一実施形態では、MctCは、配列番号87と少なくとも約87%の同一性を有する。一実施形態では、MctCは、配列番号87と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、MctCは、配列番号87と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、MctCは、配列番号87と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、MctCは、配列番号87をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、MctCは、配列番号87をコードする配列からなる。
他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、PutP_6である。一実施形態では、putP_6遺伝子は、配列番号90と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、putP_6遺伝子は、配列番号90と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、putP_6遺伝子は、配列番号90と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、putP_6遺伝子は、配列番号90と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、putP_6遺伝子は、配列番号90の配列を含む。さらに他の実施形態では、putP_6遺伝子は、配列番号90の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、PutP_6である。したがって、一実施形態では、PutP_6は、配列番号89と少なくとも約89%の同一性を有する。一実施形態では、PutP_6は、配列番号89と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、PutP_6は、配列番号89と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、PutP_6は、配列番号89と少なくとも約85%、86%、89%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、PutP_6は、配列番号89をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、PutP_6は、配列番号89をコードする配列からなる。
他のプロピオネート取込み輸送体遺伝子は、当業者に公知である。例えば、Jolkerら、J.Bacteriol.、2009年、191巻(3号):940〜948頁参照。一実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、C.グルタミクムに由来するmctBC遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、ジフテリア菌に由来するdip0780およびdip0791遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、C.エフィシエンスに由来するce0909およびce0910遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、C.エフィシエンスに由来するce1091およびce1092遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、S.セリカラーに由来するsco1822およびsco1823遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、S.セリカラーに由来するsco1218およびsco1219遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、S.セリカラーに由来するce1091およびsco5827遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、スメグマ菌に由来するm_5160、m_5161、m_5165およびm_5166遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、N.ファルシニカに由来するnfa 17930、nfa 17940、nfa 17950およびnfa 17960遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、大腸菌に由来するactPおよびyjcH遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体は、枯草菌に由来するywcBおよびywcA遺伝子を含む。
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、第1のプロモーターに作動可能に連結した少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子と、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子とを含む。いくつかの実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子は、第1のプロモーターに作動可能に連結している。他の実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子は、第2のプロモーターに作動可能に連結している。一実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、第2のプロモーターに直接的に作動可能に連結している。他の実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、第2のプロモーターに間接的に作動可能に連結している。
いくつかの実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現は、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現を制御するプロモーターとは異なるプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現は、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素の発現を制御する同じプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、プロピオネートの輸送体およびプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、プロモーター領域から分岐して転写される。いくつかの実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子と、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子とをコードする、各々の遺伝子の発現は、異なるプロモーターにより制御される。
一実施形態では、プロモーターは、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子と天然では作動可能に連結していない。いくつかの実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、その天然プロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、誘導性プロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、その天然プロモーターより強いプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、構成的プロモーターにより制御される。
他の実施形態では、プロモーターは、誘導性プロモーターである。誘導性プロモーターは、より詳細に下で述べる。
一実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、細菌細胞におけるプラスミド上に位置する。他の実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、細菌細胞の染色体内に位置する。さらに他の実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子の天然コピーが細菌細胞の染色体内に位置し、異なる細菌種に由来するプロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子のコピーが細菌細胞におけるプラスミド上に位置する。さらに他の実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子の天然コピーが細菌細胞におけるプラスミド上に位置し、異なる細菌種に由来するプロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子のコピーが細菌細胞におけるプラスミド上に位置する。さらに他の実施形態では、プロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子の天然コピーが細菌細胞の染色体内に位置し、異なる細菌種に由来するプロピオネートの輸送体をコードする少なくとも1つの遺伝子のコピーが細菌細胞の染色体内に位置する。
いくつかの実施形態では、細菌細胞における取込み輸送体をコードする少なくとも1つの天然遺伝子は改変されず、天然取込み輸送体の1つまたは複数の追加のコピーがゲノムに挿入される。一実施形態では、ゲノムに挿入される天然取込み輸送体の1つまたは複数の追加のコピーは、プロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現を制御する同じ誘導性プロモーター、例えばFNR応答性プロモーター、または少なくとも1つのプロピオネート異化酵素の発現を制御するものとは異なる誘導性プロモーター、または構成的プロモーターの制御下にある。代替実施形態では、取込み輸送体をコードする少なくとも1つの天然遺伝子は改変されず、異なる細菌菌種に由来する取込み輸送体の1つまたは複数の追加のコピーが細菌細胞のゲノムに挿入される。一実施形態では、細菌細胞のゲノムに挿入される取込み輸送体の1つまたは複数の追加のコピーは、プロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現を制御する同じ誘導性プロモーター、例えばFNR応答性プロモーター、または少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現を制御するものとは異なる誘導性プロモーター、または構成的プロモーターの制御下にある。
一実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体が、操作された細菌細胞において発現する場合、細菌細胞は、取込み輸送体が発現すると、同じ条件下の同じ細菌亜型の非改変細菌より10%多いプロピオネートを細菌細胞に移入する。他の実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体が、操作された細菌細胞において発現する場合、細菌細胞は、取込み輸送体が発現すると、同じ条件下の同じ細菌亜型の非改変細菌より20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%多いプロピオネートを細菌細胞に移入する。さらに他の実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体が、操作された細菌細胞において発現する場合、細菌細胞は、取込み輸送体が発現すると、同じ条件下の同じ細菌亜型の非改変細菌より2倍多いプロピオネートを細胞に移入する。さらに他の実施形態では、プロピオネートの取込み輸送体が、操作された細菌細胞において発現する場合、細菌細胞は、取込み輸送体が発現すると、同じ条件下の同じ細菌亜型の非改変細菌より3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍多いプロピオネートを細胞に移入する。
スクシネートの輸出体
細菌におけるスクシネート輸出は、通常は嫌気的条件下で能動的である。スクシネートの輸出は、当業者に周知のタンパク質により媒介される。例えば、コリネバクテリウム・グルタミクムにおけるスクシネート輸出体は、SucE1として公知である。SucE1は、アスパラギン酸:アラニン交換輸送体(AAE)ファミリーに属する膜タンパク質である(例えば、Fukuiら、2011年、J.Bacteriol.、154巻(1号):25〜34頁参照)。大腸菌に由来するDcuCスクシネート輸出体も同定されている(例えば、Chengら、2013年、J.Biomed.Res.Int.、2013年:ID 538790参照)。
スクシネート輸送体、例えば、スクシネート輸出体を、細菌においてその細胞へのスクシネート輸送を増進させるために発現させるまたは改変することができる。具体的には、スクシネートの輸出体が、操作された細菌細胞において発現する場合、細菌細胞は、輸出体が発現すると、同じ条件下の同じ細菌亜型の非改変細菌より多くのスクシネートを細胞から輸出する。一実施形態では、細菌細胞は、スクシネートの輸出体をコードする異種遺伝子を含む。一実施形態では、細菌細胞は、スクシネートの輸出体をコードする異種遺伝子と、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子または遺伝子カセットとを含む。
したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、第1のプロモーターに作動可能に連結した1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子または遺伝子カセットと、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子とを含む、細菌細胞を提供する。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子は、第1のプロモーターに作動可能に連結している。他の実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子は、第1のプロモーターに作動可能に連結しており、スクシネートの輸出体をコードする異種遺伝子は、第2のプロモーターに作動可能に連結している。一実施形態では、第1のプロモーターおよび第2のプロモーターは、同じプロモーターの別個のコピーである。他の実施形態では、第1のプロモーターおよび第2のプロモーターは、異なるプロモーターである。
一実施形態では、細菌細胞は、異なる生物、例えば、異なる細菌種に由来するスクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む。一実施形態では、細菌細胞は、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの天然遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの天然遺伝子は、改変されない。他の実施形態では、細菌細胞は、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの天然遺伝子の複数のコピーを含む。さらに他の実施形態では、細菌細胞は、スクシネートの天然輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子のコピー、ならびに異なる細菌種に由来するスクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子の少なくとも1つのコピーを含む。一実施形態では、細菌細胞は、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのコピーを含む。一実施形態では、細菌細胞は、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子の複数のコピーを含む。
いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体は、アクチノバシラス・サクシノゲネス(Actinobacillus succinogenes)、アナエロビオスピリルム・サクシニシプロデュセンス(Anaerobiospirillum succiniciproducens)、およびマンヘイミア・サクシニシプロデュセンス(Mannheimia succiniciproducens)、大腸菌、コリネバクテリウム・グルタミクム、ネズミチフス菌、クレブシエラ・ニューモニエ、セラチア・プリムシカ(Serratia plymuthica)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、枯草菌、炭疽菌、バシラス・リケニフォルミス(bacillus lichenformis)、およびサッカロミセス・セルビジエ(Saccharomyces cerevisiae)を含むがこれらに限定されない、細菌属または菌種に由来するスクシネート遺伝子の輸出体によりコードされる。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体は、コリネバクテリウム属に由来する。一実施形態では、スクシネートの輸出体は、C.グルタミクムに由来する。他の実施形態では、スクシネートの輸出体は、コレラ菌に由来する。他の実施形態では、スクシネートの輸出体は、大腸菌に由来する。他の実施形態では、スクシネートの輸出体は、枯草菌に由来する。
本開示は、スクシネートの輸出体の機能性断片またはスクシネートの輸出体の機能性変異体をコードする遺伝子をさらに含む。本明細書で使用する場合、スクシネートの輸出体の「その機能性断片」または「その機能性変異体」という用語は、該断片または変異体が由来したスクシネートの野生型輸出体と同様の質の生物学的活性を有するエレメントに関する。例えば、スクシネートタンパク質の突然変異輸出体の機能性断片または機能性変異体は、該機能性断片または機能性変異体が由来した輸出体タンパク質が細菌細胞にスクシネートを移入するのと本質的に同じ移入能力を保持するものである。一実施形態では、操作された細菌細胞は、スクシネートの輸出体の機能性断片をコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む。他の実施形態では、操作された細菌細胞は、スクシネートの輸出体の機能性変異体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のスクシネート取込み輸送体、例えば、Dct、DctC、ybhIまたはydjNにおける突然変異または欠失をさらに含む。いくつかの実施形態では、コハク酸デヒドロゲナーゼ(SUCDH)は、突然変異または欠失され得る。理論により拘束されることを望むものではないが、そのような突然変異は、細胞内スクシネート濃度を低下させることができ、プロピオネート異化経路を経るフラックスを増加させることができる。
スクシネートの輸出体、スクシネート機能性変異体の輸出体またはスクシネート機能性断片の輸出体の活性を試験するためのアッセイは、当業者に周知である。例えば、スクシネート輸送は、内因性スクシネート輸出体を欠く操作された細菌細胞においてタンパク質、その機能性変異体または断片を発現させ、タンパク質の発現後の培地中のスクシネートレベルを評価することにより、評価することができる。スクシネート輸出体を測定するための方法は、当業者に周知である。例えば、Fukuiら、J.Biotechnol.、154巻(1号):25〜34頁、2011年参照。
一実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする遺伝子は、宿主生物における使用のためにコドン最適化されたものである。一実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする遺伝子は、大腸菌における使用のためにコドン最適化されたものである。
本開示は、本明細書に記載のアミノ酸配列と実質的に同じであるアミノ酸をその配列中に含むスクシネートの輸出体をコードする遺伝子も含む。本明細書に記載の配列と実質的に同じであるアミノ酸配列は、保存的アミノ酸置換ならびにアミノ酸欠失および/または挿入を含む配列を含む。
いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子に突然変異を起こさせ、スクシネート輸送増加を示す突然変異体を選択し、スクシネートの輸出体をコードする、突然変異を起こした少なくとも1つの遺伝子を単離し、細菌細胞に挿入する。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子に突然変異を起こさせ、スクシネート輸送減少を示す突然変異体を選択し、スクシネートの輸出体をコードする、突然変異を起こした少なくとも1つの遺伝子を単離し、細菌細胞に挿入する。本明細書に記載の輸出体改変は、プラスミドまたは染色体上に存在し得る。
一実施形態では、スクシネート輸出体は、DcuCである。一実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号49と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号49と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号49と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号49と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号49の配列を含む。さらに他の実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号70の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、DcuCである。したがって、一実施形態では、DcuCは、配列番号129と少なくとも約89%の同一性を有する。一実施形態では、DcuCは、配列番号129と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、DcuCは、配列番号129と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、DcuCは、配列番号129と少なくとも約85%、86%、89%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、DcuCは、配列番号129をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、DcuCは、配列番号129をコードする配列からなる。
一実施形態では、スクシネート輸出体は、DcuCである。一実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号118と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号118と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号118と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号118と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号118の配列を含む。さらに他の実施形態では、dcuC遺伝子は、配列番号118の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素は、DcuCである。したがって、一実施形態では、DcuCは、配列番号117と少なくとも約89%の同一性を有する。一実施形態では、DcuCは、配列番号117と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、DcuCは、配列番号117と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、DcuCは、配列番号117と少なくとも約85%、86%、89%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、DcuCは、配列番号117をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、DcuCは、配列番号117をコードする配列からなる。
他の実施形態では、スクシネート輸出体は、SucE1である。一実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号46と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号46と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号46と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号46と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号46の配列を含む。さらに他の実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号46の配列からなる。
他の実施形態では、スクシネート輸出体は、SucE1である。一実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号120と少なくとも約80%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号120と少なくとも約90%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号120と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号120と少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号120の配列を含む。さらに他の実施形態では、sucE1遺伝子は、配列番号120の配列からなる。
一実施形態では、少なくとも1つのスクシネート輸出体は、sucE1である。したがって、一実施形態では、sucE1は、配列番号128と少なくとも約89%の同一性を有する。一実施形態では、sucE1は、配列番号128と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、sucE1は、配列番号128と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、sucE1は、配列番号128と少なくとも約85%、86%、89%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、sucE1は、配列番号128をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、sucE1は、配列番号128をコードする配列からなる。他の実施形態では、sucE1は、配列番号119と少なくとも約89%の同一性を有する。一実施形態では、sucE1は、配列番号119と少なくとも約90%の同一性を有する。他の実施形態では、sucE1は、配列番号119と少なくとも約95%の同一性を有する。したがって、一実施形態では、sucE1は、配列番号119と少なくとも約85%、86%、89%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する。他の実施形態では、sucE1は、配列番号119をコードする配列を含む。さらに他の実施形態では、sucE1は、配列番号119をコードする配列からなる。
いくつかの実施形態では、細菌細胞は、第1のプロモーターに作動可能に連結した少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子と、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子とを含む。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子は、第1のプロモーターに作動可能に連結している。他の実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの異種遺伝子は、第2のプロモーターに作動可能に連結している。一実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、第2のプロモーターに直接的に作動可能に連結している。他の実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、第2のプロモーターに間接的に作動可能に連結している。
いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現は、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現を制御するプロモーターとは異なるプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現は、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素の発現を制御する同じプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体およびプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子は、プロモーター領域から分岐して転写される。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子と、少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子とをコードする、各々の遺伝子の発現は、異なるプロモーターにより制御される。
一実施形態では、プロモーターは、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子と天然では作動可能に連結していない。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、その天然プロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、誘導性プロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、その天然プロモーターより強いプロモーターにより制御される。いくつかの実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、構成的プロモーターにより制御される。
他の実施形態において、プロモーターは、誘導性プロモーターである。誘導性プロモーターは、より詳細に下で述べる。
一実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、細菌細胞におけるプラスミド上に位置する。他の実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子は、細菌細胞の染色体内に位置する。さらに他の実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子の天然コピーが細菌細胞の染色体内に位置し、異なる細菌種に由来するスクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子のコピーが細菌細胞におけるプラスミド上に位置する。さらに他の実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子の天然コピーが細菌細胞におけるプラスミド上に位置し、異なる細菌種に由来するスクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子のコピーが細菌細胞におけるプラスミド上に位置する。さらに他の実施形態では、スクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子の天然コピーが細菌細胞の染色体内に位置し、異なる細菌種に由来するスクシネートの輸出体をコードする少なくとも1つの遺伝子のコピーが細菌細胞の染色体内に位置する。
いくつかの実施形態では、細菌細胞における輸出体をコードする少なくとも1つの天然遺伝子は改変されず、天然輸出体の1つまたは複数の追加のコピーがゲノムに挿入される。一実施形態では、ゲノムに挿入される天然輸出体の1つまたは複数の追加のコピーは、プロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現を制御する同じ誘導性プロモーター、例えばFNR応答性プロモーター、または少なくとも1つのプロピオネート異化酵素の発現を制御するものとは異なる誘導性プロモーター、または構成的プロモーターの制御下にある。代替実施形態では、輸出体をコードする少なくとも1つの天然遺伝子は改変されず、異なる細菌種に由来する輸出体の1つまたは複数の追加のコピーが細菌細胞のゲノムに挿入される。一実施形態では、細菌細胞のゲノムに挿入される輸出体の1つまたは複数の追加のコピーは、プロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現を制御する同じ誘導性プロモーター、例えばFNR応答性プロモーター、または少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現を制御するものとは異なる誘導性プロモーター、または構成的プロモーターの制御下にある。
一実施形態では、スクシネートの輸出体が、操作された細菌細胞において発現する場合、細菌細胞は、輸出体が発現すると、同じ条件下の同じ細菌亜型の非改変細菌より10%多いスクシネートを細菌細胞から輸出する。他の実施形態では、スクシネートの輸出体が、操作された細菌細胞において発現する場合、細菌細胞は、輸出体が発現すると、同じ条件下の同じ細菌亜型の非改変細菌より20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%多いスクシネートを細菌細胞から輸出する。さらに他の実施形態では、スクシネートの輸出体が、操作された細菌細胞において発現する場合、細菌細胞は、輸出体が発現すると、同じ条件下の同じ細菌亜型の非改変細菌より2倍多いスクシネートを細胞から輸出する。さらに他の実施形態では、スクシネートの輸出体が、操作された細菌細胞において発現する場合、細菌細胞は、輸出体が発現すると、同じ条件下の同じ細菌亜型の非改変細菌より3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍または10倍多いスクシネートを細胞から輸出する。
必須遺伝子および栄養要求体
本明細書で使用する場合、「必須遺伝子」という語は、細胞の増殖および/または生存に必要な遺伝子を意味する。細菌必須遺伝子は、当業者に周知であり、遺伝子の特異的欠失および/またはランダム突然変異誘発ならびにスクリーニングによって同定することができる(例えば、それぞれの全体の内容が参照により本明細書に明確に組み込まれる、Zhangおよび Lin、2009年、DEG 5.0、a database of essential genes in both prokaryotes and eukaryotes、Nucl. Acids Res.、37巻:D455〜D458頁ならびにGerdesら、Essential genes on metabolic maps、Curr. Opin. Biotechnol.、17巻(5号):448〜456頁参照)。
「必須遺伝子」は、生物が生存する状況および環境に依存し得る。例えば、必須遺伝子の突然変異、改変または切除は、栄養要求体になる本開示の操作された細菌をもたらすことがあり、例えば、前記細菌は、環境条件に依存する栄養要求体(条件付き栄養要求体)であり得る。栄養要求性の改変は、細菌が必須栄養素を産生するために必要な遺伝子(複数可)を欠いているため、生存または増殖に必須である、外部から加えられる栄養素の非存在下では細菌を死滅させることを意図するものである。
栄養要求性の改変は、細菌が必須栄養素を産生するために必要な遺伝子(複数可)を欠いているため、生存または増殖に必須である、外部から加えられる栄養素の非存在下では細菌を死滅させることを意図するものである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作細菌のいずれかは、細胞の生存および/または増殖に必要な遺伝子における欠失または突然変異も含む。一実施形態では、必須遺伝子は、オリゴヌクレオチド合成遺伝子、例えば、thyAである。他の実施形態では、必須遺伝子は、細胞壁合成遺伝子、例えば、dapAである。他の実施形態では、必須遺伝子は、アミノ酸遺伝子、例えば、serAまたはMetAである。対応する野生型遺伝子産物が細菌において産生されない限り、cysE、glnA、ilvD、leuB、lysA、serA、metA、glyA、hisB、ilvA、pheA、proA、thrC、trpC、tyrA、thyA、uraA、dapA、dapB、dapD、dapE、dapF、flhD、metB、metC、proAB、およびthi1を含むが、これらに限定されない、細胞の生存および/または増殖に必要な任意の遺伝子を標的にすることができる。
表7に栄養要求性菌株を作製するために破壊または除去することができる例示的な細菌遺伝子を示す。これらは、オリゴヌクレオチド合成、アミノ酸合成および細胞壁合成に必要な遺伝子を含むが、これらに限定されない。
Figure 2018521674
表8に強制経口投与後24時間および48時間目に検出されたマウス消化管内の種々のアミノ酸栄養要求体の生存を示す。これらの栄養要求体は、大腸菌の非ニッスル株であるBW25113を用いて作製した。
Figure 2018521674
例えば、チミンは、細菌細胞の増殖に必要な核酸であり、その非存在下では、細菌は、細胞死を受ける。thyA遺伝子は、dUMPをdTMPに変換することによるチミン合成における第1のステップを触媒する酵素であるチミジル酸シンテターゼをコードする(Satら、2003年)。いくつかの実施形態では、本開示の細菌細胞は、thyA遺伝子が欠失しており、かつ/または無関係の遺伝子で置換されている、thyA栄養要求体である。thyA栄養要求体は、例えばin vitroで増殖培地にチミンを加えることにより、十分な量のチミンが存在する場合にのみ、またはin vivoでヒト消化管において天然に見いだされる高いチミンレベルの存在下でのみ、増殖することができる。いくつかの実施形態では、本開示の細菌細胞は、細菌が哺乳動物消化管内に存在する場合、補足される遺伝子における栄養要求体である。十分な量のチミンが存在しない場合、thyA栄養要求体は、死滅する。いくつかの実施形態では、栄養要求性の改変を用いて、細菌細胞が栄養要求性遺伝子産物の非存在下(例えば、消化管外)で生存しないことが確認される。
ジアミノピメリン酸(DAP)は、リシン生合成経路内で合成されるアミノ酸であり、細菌細胞壁の増殖に必要である(Meadowら、1959年;Clarksonら、1971年)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作細菌のいずれかは、dapDが欠失し、かつ/または無関係の遺伝子で置換されているdapD栄養要求体である。dapD栄養要求体は、例えば、DAPをin vitroで増殖培地に加えることにより、十分の量のDAPが存在する場合にのみ増殖することができる。十分の量のDAPが存在しない場合、dapD栄養要求体は、死滅する。いくつかの実施形態では、栄養要求性の改変を用いて、細菌細胞が栄養要求性遺伝子産物の非存在下(例えば、消化管外)で生存しないことが確認される。
他の実施形態では、本開示の遺伝子操作細菌は、uraAが欠失し、かつ/または無関係の遺伝子で置換されているuraA栄養要求体である。uraA遺伝子は、ピリミジンウラシルの取込みおよびその後の代謝を促進する膜結合輸送体であるUraAをコードする(Andersenら、1995年)。uraA栄養要求体は、例えば、ウラシルをin vitroで増殖培地に加えることによって十分の量のウラシルが存在する場合にのみ増殖することができる。十分の量のウラシルが存在しない場合、uraA栄養要求体は、死滅する。いくつかの実施形態では、栄養要求性の改変を用いて、細菌が栄養要求性遺伝子産物の非存在下(例えば、消化管外)で生存しないことが確認される。
複雑なコミュニティーにおいて、細菌がDNAを共有することは可能である。非常にまれな状況では、栄養要求性細菌菌株は、ゲノム欠失を修復し、栄養要求体を永久的に救出する非栄養要求性菌株からDNAを受け取り得る。したがって、複数の栄養要求体を含む細菌菌株を操作することにより、DNA転移が栄養要求体を救出するのに十分な時間起こる可能性が著しく低くなり得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、細胞の生存および/または増殖に必要な2つまたはそれ以上の遺伝子の欠失または突然変異を含む。
必須遺伝子の他の例は、yhbV、yagG、hemB、secD、secF、ribD、ribE、thiL、dxs、ispA、dnaX、adk、hemH、lpxH、cysS、fold、rplT、infC、thrS、nadE、gapA、yeaZ、aspS、argS、pgsA、yefM、metG、folE、yejM、gyrA、nrdA、nrdB、folC、accD、fabB、gltX、ligA、zipA、dapE、dapA、der、hisS、ispG、suhB、tadA、acpS、era、rnc、ftsB、eno、pyrG、chpR、lgt、fbaA、pgk、yqgD、metK、yqgF、plsC、ygiT、pare、ribB、cca、ygjD、tdcF、yraL、yihA、ftsN、murI、murB、birA、secE、nusG、rplJ、rplL、rpoB、rpoC、ubiA、plsB、lexA、dnaB、ssb、alsK、groS、psd、orn、yjeE、rpsR、chpS、ppa、valS、yjgP、yjgQ、dnaC、ribF、lspA、ispH、dapB、folA、imp、yabQ、ftsL、ftsI、murE、murF、mraY、murD、ftsW、murG、murC、ftsQ、ftsA、ftsZ、lpxC、secM、secA、can、folK、hemL、yadR、dapD、map、rpsB、infB、nusA、ftsH、obgE、rpmA、rplU、ispB、murA、yrbB、yrbK、yhbN、rpsI、rplM、degS、mreD、mreC、mreB、accB、accC、yrdC、def、fmt、rplQ、rpoA、rpsD、rpsK、rpsM、entD、mrdB、mrdA、nadD、hlepB、rpoE、pssA、yfiO、rplS、trmD、rpsP、ffh、grpE、yfjB、csrA、ispF、ispD、rplW、rplD、rplC、rpsJ、fusA、rpsG、rpsL、trpS、yrfF、asd、rpoH、ftsX、ftsE、ftsY、frr、dxr、ispU、rfaK、kdtA、coaD、rpmB、dfp、dut、gmk、spot、gyrB、dnaN、dnaA、rpmH、rnpA、yidC、tnaB、glmS、glmU、wzyE、hemD、hemC、yigP、ubiB、ubiD、hemG、secY、rplO、rpmD、rpsE、rplR、rplF、rpsH、rpsN、rplE、rplX、rplN、rpsQ、rpmC、rplP、rpsC、rplV、rpsS、rplB、cdsA、yaeL、yaeT、lpxD、fabZ、lpxA、lpxB、dnaE、accA、tilS、proS、yafF、tsf、pyrH、olA、rlpB、leuS、lnt、glnS、fldA、cydA、infA、cydC、ftsK、lolA、serS、rpsA、msbA、lpxK、kdsB、mukF、mukE、mukB、asnS、fabA、mviN、rne、yceQ、fabD、fabG、acpP、tmk、holB、lolC、lolD、lolE、purB、ymfK、minE、mind、pth、rsA、ispE、lolB、hemA、prfA、prmC、kdsA、topA、ribA、fabI、racR、dicA、ydfB、tyrS、ribC、ydiL、pheT、pheS、yhhQ、bcsB、glyQ、yibJ、およびgpsAを含むが、これらに限定されない。他の必須遺伝子は、当業者に公知である。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、合成リガンド依存性必須遺伝子(SLiDE)細菌細胞である。SLiDE細菌細胞は、特定のリガンドの存在下でのみ増殖する1つまたは複数の必須遺伝子における突然変異を有する合成栄養要求体である(その全体の内容が参照により本明細書に明確に組み込まれる、Lopezおよび Anderson 「Synthetic Auxotrophs with Ligand−Dependent Essential Genes for a BL21 DE3 Biosafety Strain」、ACS Synthetic Biology(2015) DOI: 10.1021/acssynbio.5b00085参照)。
いくつかの実施形態では、SLiDE細菌細胞は、必須遺伝子における突然変異を含む。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、pheS、dnaN、tyrS、metGおよびadkからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、次の突然変異:H191N、R240C、I317S、F319V、L340T、V347IおよびS345Cのうちの1つまたは複数を含むdnaNである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異:H191N、R240C、I317S、F319V、L340T、V347IおよびS345Cを含むdnaNである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、次の突然変異:F125G、P183T、P184A、R186AおよびI188Lのうちの1つまたは複数を含むpheSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、次の突然変異:F125G、P183T、P184A、R186AおよびI188Lを含むpheSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異:L36V、C38AおよびF40Gのうちの1つまたは複数を含むtyrSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異:L36V、C38AおよびF40Gを含むtyrSである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、次の突然変異:E45Q、N47R、I49GおよびA51Cのうちの1つまたは複数を含むmetGである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異:E45Q、N47R、I49GおよびA51Cを含むmetGである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、次の突然変異:I4L、L5IおよびL6Gのうちの1つまたは複数を含むadkである。いくつかの実施形態では、必須遺伝子は、突然変異:I4L、L5IおよびL6Gを含むadkである。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、リガンドにより補足されている。いくつかの実施形態では、リガンドは、ベンゾチアゾール、インドール、2−アミノベンゾチアゾール、インドール−3−酪酸、インドール−3−酢酸およびL−ヒスチジンメチルエステルからなる群から選択される。例えば、metG(E45Q、N47R、I49GおよびA51C)における突然変異を有する細菌細胞は、ベンゾチアゾール、インドール、2−アミノベンゾチアゾール、インドール−3−酪酸、インドール−3−酢酸またはL−ヒスチジンメチルエステルにより補足される。dnaN(H191N、R240C、I317S、F319V、L340T、V347IおよびS345C)における突然変異を有する細菌細胞は、ベンゾチアゾール、インドールまたは2−アミノベンゾチアゾールにより補足される。pheS(F125G、P183T、P184A、R186AおよびI188L)における突然変異を有する細菌細胞は、ベンゾチアゾールまたは2−アミノベンゾチアゾールにより補足される。tyrS(L36V、C38AおよびF40G)における突然変異を有する細菌細胞は、ベンゾチアゾールまたは2−アミノベンゾチアゾールにより補足される。adk(I4L、L5IおよびL6G)における突然変異を有する細菌細胞は、ベンゾチアゾールまたはインドールにより補足される。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、リガンドに対して栄養要求性にする複数の突然変異遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、2つの必須遺伝子における突然変異を含む。例えば、いくつかの実施形態では、細菌細胞は、tyrS(L36V、C38AおよびF40G)ならびにmetG(E45Q、N47R、I49GおよびA51C)における突然変異を含む。他の実施形態では、細菌細胞は、3つの必須遺伝子における突然変異を含む。例えば、いくつかの実施形態では、細菌細胞は、tyrS(L36V、C38AおよびF40G)、metG(E45Q、N47R、I49GおよびA51C)ならびにpheS(F125G、P183T、P184A、R186AおよびI188L)における突然変異を含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、その必須遺伝子(複数可)が本明細書に記載のアラビノース系を用いて置換されている、条件付き栄養要求体である。
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作細菌は、栄養要求体であり、本明細書に記載のキルスイッチ成分およびシステムのいずれかのような、キルスイッチ回路も含む。例えば、操作された細菌は、細胞の生存および/または増殖に必要な必須遺伝子における、例えば、DNA合成遺伝子、例えば、thyA、細胞壁合成遺伝子、例えば、dapAおよび/またはアミノ酸遺伝子、例えば、serAもしくはMetAにおける欠失もしくは突然変異を含み得、ならびに毒素遺伝子であって、環境条件(複数可)および/もしくはシグナル(複数可)(例えば、記載のアラビノース系)に応答して発現する1つもしくは複数の転写活性化因子により調節される、または外因性環境条件(複数可)および/もしくはシグナル(複数可)を感知することにより発現する1つもしくは複数のリコンビナーゼ(例えば、本明細書に記載のリコンビナーゼ系)により調節される、毒素遺伝子も含み得る。他の実施形態は、その全内容が参照により明確に本明細書に組み込まれる、Wrightら、「GeneGuard:A Modular Plasmid System Designed for Biosafety」、ACS Synthetic Biology(2015年)4巻:307〜316頁に記載されている。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作細菌は栄養要求体であり、本明細書に記載のキルスイッチ構成要素およびシステムのいずれかのような、キルスイッチ回路構成要素、ならびに条件複製起点のような、他のバイオセキュリティシステム(Wrightら、2015年、上掲参照)も含む。
遺伝子調節回路
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、本明細書に記載の構築物を発現するための重層的遺伝子調節回路を含む(例えば、その全体として参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/184,811号参照)。遺伝子調節回路は、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体、および/もしくはプロピオネート結合タンパク質を産生する、または栄養要求体を救出する、突然変異細菌についてのスクリーニングに有用である。特定の実施形態では、本発明は、目的の1つまたは複数の遺伝子を産生する遺伝子操作細菌を選択するための方法を提供する。
いくつかの実施形態では、本発明は、ペイロードを産生するための遺伝子または遺伝子カセットとT7ポリメラーゼ調節型遺伝子調節回路とを含む遺伝子操作細菌を提供する。例えば、遺伝子操作細菌は、T7ポリメラーゼをコードする第1の遺伝子であって、フマル酸・硝酸レダクターゼ調節因子(FNR)応答性プロモーターに作動可能に連結している第1の遺伝子と、ペイロードを産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットであって、前記T7ポリメラーゼにより誘導されるT7プロモーターに作動可能に連結している第2の遺伝子または遺伝子カセットと、前記T7ポリメラーゼを阻害することができる阻害因子であるLysYをコードする第3の遺伝子とを含む。酸素の存在下では、FNRは、FNR応答性プロモーターに結合せず、ペイロードは発現しない。LysYは、構成的に発現し(P−lac構成的であり)、さらにT7ポリメラーゼを阻害する。酸素の非存在下では、FNRは、二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、T7ポリメラーゼは、lysY阻害を克服するのに十分なレベルで発現し、ペイロードが発現する。いくつかの実施形態では、lysY遺伝子は、さらなるFNR結合部位に作動可能に連結している。酸素の非存在下では、FNRは、上記の通り二量体化してT7ポリメラーゼ発現を活性化し、そしてまたlysY発現を阻害する。
いくつかの実施形態では、本発明は、ペイロードを産生するための遺伝子または遺伝子カセットとプロテアーゼ調節型遺伝子調節回路とを含む遺伝子操作細菌を提供する。例えば、遺伝子操作細菌は、mf−lonプロテアーゼをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している第1の遺伝子と、tet調節領域(tetO)に作動可能に連結しているペイロードを産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットと、tetリプレッサー(tetR)に連結しているmf−lon分解シグナルをコードする第3の遺伝子であって、前記tetRが、前記tet調節領域に結合し、前記第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を抑制することができるものである、第3の遺伝子とを含む。mf−lonプロテアーゼは、mf−lon分解シグナルを認識することができ、tetRを分解することができる。酸素の存在下では、FNRは、FNR応答性プロモーターに結合せず、リプレッサーは分解せず、ペイロードは発現しない。酸素の非存在下では、FNRは、二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、それによりmf−lonプロテアーゼの発現を誘導する。mf−lonプロテアーゼは、mf−lon分解シグナルを認識し、tetRを分解し、ペイロードが発現する。
いくつかの実施形態では、本発明は、ペイロードを産生するための遺伝子または遺伝子カセットとリプレッサー調節型遺伝子調節回路とを含む遺伝子操作細菌を提供する。例えば、遺伝子操作細菌は、第1のリプレッサーをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している第1の遺伝子と、構成的プロモーターを含む第1の調節領域に作動可能に連結したペイロードを産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットと、第2のリプレッサーをコードする第3の遺伝子であって、前記第2のリプレッサーが、前記第1の調節領域に結合し、前記第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を抑制することができるものである、第3の遺伝子とを含む。第3の遺伝子は、構成的プロモーターを含む第2の調節領域に作動可能に連結しており、第1のリプレッサーは、その第2の調節領域に結合することができ、第2のリプレッサーの発現を阻害することができる。酸素の存在下では、FNRは、FNR応答性プロモーターに結合せず、第1のリプレッサーは発現せず、第2のリプレッサーは発現し、ペイロードは発現しない。酸素の非存在下では、FNRは、二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、第1のリプレッサーが発現し、第2のリプレッサーは発現せず、ペイロードが発現する。
これらの実施形態に有用なリプレッサーの例は、ArgR、TetR、ArsR、AscG、LacI、CscR、DeoR、DgoR、FruR、GalR、GatR、CI、LexA、RafR、QacRおよびPtxS(米国特許出願公開第20030166191号)を含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、本発明は、ペイロードを産生するための遺伝子または遺伝子カセットと調節RNA調節型遺伝子調節回路とを含む遺伝子操作細菌を提供する。例えば、遺伝子操作細菌は、調節RNAをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している第1の遺伝子と、ペイロードを産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットとを含む。第2の遺伝子または遺伝子カセットは、構成的プロモーターに作動可能に連結しており、さらにヌクレオチド配列に連結しており、該ヌクレオチド配列は、ペイロードの翻訳を阻害するmRNAヘアピンを産生することができるものである。調節RNAは、mRNAヘアピンを消失させることができ、リボソーム結合部位経由でペイロード翻訳を誘導することができる。酸素の存在下では、FNRは、FNR応答性プロモーターに結合せず、調節RNAは発現せず、mRNAヘアピンは、ペイロードが翻訳されるのを防止する。酸素の非存在下では、FNRは、二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、調節RNAが発現し、mRNAヘアピンは消失し、ペイロードが発現する。
いくつかの実施形態では、本発明は、ペイロードを産生するための遺伝子または遺伝子カセットとCRISPR調節型遺伝子調節回路とを含む遺伝子操作細菌を提供する。例えば、遺伝子操作細菌は、Cas9タンパク質と、CRISPRガイドRNAをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している第1の遺伝子と、ペイロードを産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットであって、構成的プロモーターを含む調節領域に作動可能に連結している第2の遺伝子または遺伝子カセットと、構成的プロモーターに作動可能に連結しているリプレッサーをコードする第3の遺伝子であって、前記リプレッサーが、前記調節領域に結合し、前記第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を抑制することができるものである、第3の遺伝子とを含む。第3の遺伝子は、CRISPRガイドRNAに結合することができるCRISPR標的配列にさらに連結しており、CRISPRガイドRNAへの前記結合は、Cas9タンパク質による切断を誘導し、リプレッサーの発現を阻害する。酸素の存在下では、FNRは、FNR応答性プロモーターに結合せず、ガイドRNAは発現せず、リプレッサーが発現し、ペイロードは発現しない。酸素の非存在下では、FNRは、二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、ガイドRNAが発現し、リプレッサーは発現せず、ペイロードが発現する。
いくつかの実施形態では、本発明は、ペイロードを産生するための遺伝子または遺伝子カセットとリコンビナーゼ調節型遺伝子調節回路とを含む遺伝子操作細菌を提供する。例えば、遺伝子操作細菌は、リコンビナーゼをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している第1の遺伝子と、構成的プロモーターに作動可能に連結したペイロードを産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットとを含む。第2の遺伝子または遺伝子カセットは、方向が逆(3’から5’)になっており、第2の遺伝子または遺伝子カセットにはリコンビナーゼ結合部位が隣接しており、リコンビナーゼは、前記リコンビナーゼ結合部位に結合して、その方向を(5’から3’に)戻すことにより第2の遺伝子または遺伝子カセットの発現を誘導することができる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、リコンビナーゼは発現せず、ペイロードは3’から5’の方向のままであり、機能性ペイロードは一切産生されない。酸素の非存在下では、FNRは、二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、リコンビナーゼが発現し、ペイロードは5’から3’の方向に戻り、機能性ペイロードが産生される。
いくつかの実施形態では、本発明は、ペイロードを産生するための遺伝子または遺伝子カセットとポリメラーゼ・リコンビナーゼ調節型遺伝子調節回路とを含む遺伝子操作細菌を提供する。例えば、遺伝子操作細菌は、リコンビナーゼをコードする第1の遺伝子であって、FNR応答性プロモーターに作動可能に連結している第1の遺伝子と、T7プロモーターに作動可能に連結しているペイロードを産生するための第2の遺伝子または遺伝子カセットと、T7ポリメラーゼをコードする第3の遺伝子であって、前記T7ポリメラーゼが、前記T7プロモーターに結合し、前記ペイロードの発現を誘導することができるものである、第3の遺伝子とを含む。T7ポリメラーゼをコードする第3の遺伝子は、方向が逆(3’から5’)になっており、第3の遺伝子にリコンビナーゼ結合部位が隣接しており、リコンビナーゼは、前記リコンビナーゼ結合部位に結合して、その方向を(5’から3’に)戻すことによりT7ポリメラーゼ遺伝子の発現を誘導することができる。酸素の存在下では、FNRはFNR応答性プロモーターに結合せず、リコンビナーゼは発現せず、T7ポリメラーゼ遺伝子は3’から5’の方向のままであり、ペイロードは発現しない。酸素の非存在下では、FNRは、二量体化し、FNR応答性プロモーターに結合し、リコンビナーゼが発現し、T7ポリメラーゼ遺伝子は5’から3’の方向に戻り、ペイロードが発現する。
キルスイッチ
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、キルスイッチも含む(例えば、それぞれが参照によりそれらの全体として本明細書に明確に組み込まれる、米国仮特許出願第62/183,935号および第62/263,329号参照)。キルスイッチは、外部刺激に反応して操作された微小生物を能動的に殺滅することを意図する。細菌が生存のための必須栄養素を欠いているために死ぬという栄養要求性突然変異と対照的に、キルスイッチは、細胞死を引き起こす微小生物内の有毒分子の産生を誘導する環境中の特定の因子によって誘発される。
キルスイッチにより操作された細菌は、in vitro研究目的のために、例えば、実験室環境の外部へのバイオ燃料産生微生物の広がりを制限するために操作されたものである。疾患または障害を治療するためのin vivoでの投与のために操作された細菌は、1つもしくは複数の異種遺伝子もしくは遺伝子カセット、例えば治療用遺伝子(複数可)、の発現および送達の後または対象が治療効果を経験した後、特定に時点に死ぬようにプログラムすることもできる。例えば、いくつかの実施形態では、操作された細菌中に存在するプロピオネート異化酵素カセット(複数可)および/または遺伝子(複数可)の発現後の一定の期間の後にキルスイッチを作動させて細菌を殺滅する。いくつかの実施形態では、異種遺伝子(複数可)または遺伝子カセット(複数可)の発現後に、例えば、対応するタンパク質(複数可)または分子(複数可)の産生後にキルスイッチを遅れて作動させる。あるいは、細菌は、細菌が疾患部位の外側に広がった後に死ぬように操作することができる。とりわけ、微生物による対象への長期住みつき、対象内の目的の範囲外への微生物の広がり(例えば、消化管の外側)、または対象の外側の微生物の環境中への広がり(例えば、対象の大便を介する環境への広がり)を防ぐことは、有用であり得る。
キルスイッチに用いることができるそのような毒素の例は、バクテリオシン、リシン、および細胞膜を溶解すること、細胞DNAを分解すること、または他の機構により細胞死を引き起こす他の分子を含むが、これらに限定されない。そのような毒素は、個別にまたは組み合わせて用いることができる。それらの産生を制御するスイッチは、例えば、転写活性化(トグルスイッチ;例えば、Gardnerら、2000年参照)、翻訳(リボレギュレーター)またはDNA組換え(リコンビナーゼベースのスイッチ)に基づくものであってよく、嫌気状態または活性酸素種のような環境刺激を検知することができる。これらのスイッチは、単一環境因子により作動させることができるか、または細胞死をもたらすためにAND、OR、NANDおよびNOR論理構成のいくつかの活性化因子を必要とし得る。例えば、ANDリボレギュレータースイッチは、細胞膜を透過性にし、細胞を殺滅するリシンの発現を誘導するためのテトラサイクリン、イソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)およびアラビノースにより活性化される。IPTGは、エンドリシンおよびホリンmRNAの発現を誘導し、これらが次に、アラビノースおよびテトラサイクリンの添加によって活性化される。細胞死をもたらすために3つの誘導物質のすべてが存在しなければならない。キルスイッチの例は、当技術分野で公知である(Calluraら、2010年)。いくつかの実施形態では、異種遺伝子(複数可)または遺伝子カセット(複数可)の酸素レベル依存性発現後の一定の期間の後にキルスイッチを作動させて細菌を殺滅する。いくつかの実施形態では、異種遺伝子(複数可)または遺伝子カセット(複数可)の酸素レベル依存性発現後にキルスイッチを遅れて作動させる。
キルスイッチは、毒素が環境条件もしくは外部シグナルに反応して産生される(例えば、細菌が外部キューに反応して殺滅される)ように設計することができ(すなわち、活性化ベースのキルスイッチ)、または代わるべきものとして、環境条件がもはや存在しなくなると、もしくは外部シグナルが停止すると、毒素が産生されるように設計することができる(すなわち、抑制ベースのキルスイッチ)。
したがって、いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作細菌は、例えば、低酸素環境において外因性環境シグナルを感知した後に死ぬようにさらにプログラムされる。いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のリコンビナーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子を含み、その発現は、環境条件またはシグナルに反応した誘導され、細胞を殺滅する毒素の発現を最終的にもたらす1つまたは複数の組換え事象を引き起こす。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のレコンビナーゼによってフリップされた後に構成的に発現する細菌毒素をコードする逆方向異種遺伝子のフリッピングである。一実施形態では、細菌毒素の構成的発現は、遺伝子操作細菌を殺滅する。これらの種類のキルスイッチシステムでは、操作された細菌細胞が外因性環境条件を感知し、目的の異種遺伝子を発現すると、操作細菌細胞は、もはや生存できない。
他の実施形態では、本開示の遺伝子操作細菌が少なくとも1つの組換え事象を引き起こす環境条件またはシグナルに反応して1つまたは複数のリコンビナーゼを発現し、遺伝子操作細菌は、外因性環境条件またはシグナルに反応して抗毒素をコードする異種遺伝子をさらに発現する。一実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる細菌毒素をコードする逆方向異種遺伝子のフリッピングである。一実施形態では、細菌毒素をコードする逆方向異種遺伝子は、第1のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第1のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、細菌毒素をコードする異種遺伝子は、それが第1のリコンビナーゼによりフリップされた後に構成的に発現する。一実施形態では、抗毒素は、毒素の活性を阻害し、それにより遺伝子操作細菌の死を遅らせる。一実施形態では、外因性環境条件がもはや存在しない場合に抗毒素をコードする異種遺伝子がもはや発現しない場合、遺伝子操作細菌は、細菌毒素により殺滅される。
他の実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる第2のリコンビナーゼをコードする逆方向異種遺伝子のフリッピングとそれに続く第2のリコンビナーゼによる細菌毒素をコードする逆方向異種遺伝子のフリッピングである。一実施形態では、第2のリコンビナーゼをコードする逆方向異種遺伝子は、第1のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第1のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、細菌毒素をコードする逆方向異種遺伝子は、第2のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第2のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、第2のリコンビナーゼをコードする異種遺伝子は、それが第1のリコンビナーゼによりフリップした後に構成的に発現する。一実施形態では、細菌毒素をコードする異種遺伝子は、それが第2のリコンビナーゼによりフリップされた後に構成的に発現する。一実施形態では、遺伝子操作細菌は、細菌毒素により殺滅される。一実施形態では、遺伝子操作細菌は、外因性環境条件に反応して抗毒素をコードする異種遺伝子をさらに発現する。一実施形態では、抗毒素は、外因性環境条件が存在する場合に毒素の活性を阻害し、それにより遺伝子操作細菌の死を遅らせる。一実施形態では、外因性環境条件がもはや存在しない場合に抗毒素をコードする異種遺伝子がもはや発現しない場合、遺伝子操作細菌は、細菌毒素により殺滅される。
一実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる第2のリコンビナーゼをコードする逆方向異種遺伝子のフリッピングとそれに続く第2のリコンビナーゼによる第3のリコンビナーゼをコードする逆方向異種遺伝子のフリッピングとそれに続く第3のリコンビナーゼによる細菌毒素をコードする逆方向異種遺伝子のフリッピングである。したがって、一実施形態では、本開示は、逐次的に用いることができる少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のリコンビナーゼを提供する。
一実施形態では、少なくとも1つの組換え事象は、第1のリコンビナーゼによる第1の切除酵素をコードする逆方向異種遺伝子のフリッピングである。一実施形態では、第1の切除酵素をコードする逆方向異種遺伝子は、第1のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第1のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、第1の切除酵素をコードする異種遺伝子は、それが第1のリコンビナーゼによりフリップされた後に構成的に発現する。一実施形態では、第1の切除酵素は、第1の必須遺伝子を切除する。一実施形態では、プログラムされた操作細菌細胞は、第1の必須遺伝子が切除された後、生存できない。
一実施形態では、第1のリコンビナーゼは、第2の切除酵素をコードする逆方向異種遺伝子をさらにフリップする。一実施形態では、第2の切除酵素をコードする逆方向異種遺伝子は、第2のフォワードリコンビナーゼ認識配列と第2のリバースリコンビナーゼ認識配列との間に位置する。一実施形態では、第2の切除酵素をコードする異種遺伝子は、それが第1のリコンビナーゼによりフリップされた後に構成的に発現する。一実施形態では、第1の必須遺伝子および第2必須遺伝子の両方が切除される場合、遺伝子操作細菌は、死ぬかまたはもはや生存できない。一実施形態では、第1のリコンビナーゼにより第1の必須遺伝子が切除されるかまたは第2の必須遺伝子が切除される場合、遺伝子操作細菌は、死ぬかまたはもはや生存できない。
一実施形態では、第1の切除酵素は、Xis1である。一実施形態では、第1の切除酵素は、Xis2である。一実施形態では、第1の切除酵素はXis1であり、第2の切除酵素はXis2である。
一実施形態では、遺伝子操作細菌は、少なくとも1つの組換え事象が起こった後に死ぬ。他の実施形態では、遺伝子操作細菌は、少なくとも1つの組換え事象が起こった後にもはや生存できない。
これらの実施形態のいずれかにおいて、リコンビナーゼは、BxbI、PhiC31、TP901、BxbI、PhiC31、TP901、HK022、HP1、R4、Int1、Int2、Int3、Int4、Int5、Int6、Int7、Int8、Int9、Int10、Int11、Int12、Int13、Int14、Int15、Int16、Int17、Int18、Int19、Int20、Int21、Int22、Int23、Int24、Int25、Int26、Int27、Int28、Int29、Int30、Int31、Int32、Int33、およびInt34からなる群またはその生物学的活性な断片から選択されるリコンビナーゼであり得る。
上述のキルスイッチ回路において、毒素は、環境因子またはシグナルの存在下で産生される。キルスイッチ回路の他の態様では、毒素は、環境因子の存在下で抑制され(産生されず)、環境条件または外部シグナルがもはや存在しなくなれば、産生され得る。そのようなキルスイッチは、抑制ベースのキルスイッチと呼ばれ、細菌細胞が外部因子またはシグナル、例えば、アラビノースまたは他の糖の存在下でしか生存できないシステムを表す。毒素が外部因子またはシグナルの存在下で抑制される(そして外部シグナルが除去されると活性化される)例示的キルスイッチ設計を本明細書に記載する。本開示は、外因性環境においてアラビノースまたは他の糖を感知することにより1つまたは複数の異種遺伝子を発現する、操作された細菌細胞を提供する。この態様では、操作された細菌細胞は、AraC転写因子をコードするaraC遺伝子、ならびにaraBADプロモーターの制御下の1つまたは複数の遺伝子を含む。アラビノースの非存在下では、AraC転写因子は、araBADプロモーターの制御下の遺伝子の転写を抑制する立体配座をとる。アラビノースの存在下では、AraC転写因子は、所望の遺伝子、例えば、毒素遺伝子の発現を抑制するtetRの発現を誘導する、araBADプロモーターに結合し、活性化することを可能にする立体配座の変化を受ける。この実施形態では、毒素遺伝子は、アラビノースまたは他の糖の存在下で抑制される。アラビノースが存在しない環境においては、tetR遺伝子が活性化されず、毒素が発現し、それにより細菌を殺滅する。必須遺伝子がアラビノースまたは他の糖の存在下でのみ発現し、アラビノースまたは他の糖が環境に存在しない場合には発現しないという、アラビノース系を用いて、必須遺伝子を発現させることもできる。
したがって、外因性環境中のアラビノースを感知することにより1つまたは複数の異種遺伝子が発現するいくつかの実施形態では、1つまたは複数の異種遺伝子は、直接的または間接的にaraBADプロモーターの制御下にある。いくつかの実施形態では、発現異種遺伝子は、異種治療用遺伝子、抗毒素をコードする異種遺伝子、リプレッサータンパク質もしくはポリペプチド、例えば、TetRリプレッサーをコードする異種遺伝子、細菌細胞に見いだされない必須タンパク質をコードする異種遺伝子および/または調節タンパク質もしくはポリペプチドをコードする異種遺伝子のうちの1つまたは複数から選択される。
アラビノース誘導性プロモーターは、当技術分野で公知であり、Para、ParaB、ParaCおよびParaBADを含む。一実施形態では、アラビノース誘導性プロモーターは、大腸菌に由来する。いくつかの実施形態では、ParaCプロモーターおよびParaBADプロモーターは、二方向性プロモーターとして作動し、ParaBADプロモーターは、1つの方向の異種遺伝子(複数可)の発現を制御し、ParaC(ParaBADプロモーターに近接し、それと反対側の鎖上の)は、他の方向の異種遺伝子(複数可)の発現を制御する。アラビノースの存在下では、両プロモーターからの両異種遺伝子の転写が誘導される。しかし、アラビノースの非存在下では、両プロモーターからの両異種遺伝子の転写は誘導されない。
本開示の1つの例示的実施形態では、本開示の操作された細菌は、少なくとも以下の配列を有するキルスイッチを含有する:テトラサイクリンリプレッサー(TetR)タンパク質をコードする異種遺伝子に作動可能に連結したParaBADプロモーター、AraC転写因子をコードする異種遺伝子に作動可能に連結したParaCプロモーター、およびテトラサイクリンリプレッサータンパク質により抑制されるプロモーター(PTetR)に作動可能に連結した細菌毒素をコードする異種遺伝子。アラビノースの存在下では、AraC転写因子がParaBADプロモーターを活性化し、これがTetRタンパク質の転写を活性化し、これが次に毒素の転写を抑制する。しかし、アラビノースの非存在下では、AraCがParaBADプロモーターからの転写を抑制し、TetRタンパク質は発現しない。この場合、異種毒素遺伝子の発現が活性化され、毒素が発現する。毒素は、操作された細菌細胞内に蓄積し、操作された細菌細胞を殺滅する。一実施形態では、AraC転写因子をコードするaraC遺伝子は、構成的プロモーターの制御下にあり、したがって、構成的に発現する。
本開示の一実施形態では、操作された細菌細胞は、構成的プロモーターの制御下の抗毒素をさらに含む。この状況において、アラビノースの存在下では、TetRタンパク質による抑制のため、毒素が発現せず、抗毒素タンパク質が細胞中に蓄積する。しかし、アラビノースの非存在下では、TetRタンパク質は発現せず、毒素の発現が誘導される。毒素は、操作された細菌細胞内に蓄積し始める。操作された細菌細胞は、毒素タンパク質が細胞内の抗毒素タンパク質の量と等しいかまたはそれより多い量で存在するともはや生存できず、操作された細菌細胞は、毒素により殺滅されることになる。
本開示の他の実施形態では、操作された細菌細胞は、ParaBADプロモーターの制御下の抗毒素をさらに含む。この状況において、アラビノースの存在下では、TetRおよび抗毒素が発現し、抗毒素が細胞中に蓄積し、TetRタンパク質による抑制により、毒素は、発現しない。しかし、アラビノースの非存在下では、TetRタンパク質および抗毒素の両方が発現せず、毒素の発現が誘導される。毒素は、操作された細菌細胞内に蓄積し始める。操作された細菌細胞は、毒素タンパク質が発現するともはや生存できず、操作された細菌細胞は、毒素により殺滅されることになる。
本開示の他の例示的実施形態では、本開示の操作された細菌は、少なくとも以下の配列を有するキルスイッチを含有する:操作された細菌細胞において見いだされない(かつ生存に必要な)必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子に作動可能に連結したParaBADプロモーター、およびAraC転写因子をコードする異種遺伝子に作動可能に連結したParaCプロモーター。アラビノースの存在下では、AraC転写因子がParaBADプロモーターを活性化し、それにより必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子の転写が活性化され、その結果、操作された細菌細胞は生存することが可能となる。しかし、アラビノースの非存在下では、AraCがParaBADプロモーターからの転写を抑制し、生存に必要な必須タンパク質が発現しない。この場合、操作された細菌細胞は、アラビノースの非存在下で死ぬ。いくつかの実施形態では、操作された細菌細胞において見いだされない必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子に作動可能に連結したParaBADプロモーターの配列は、直前に述べたTetR/毒素キルスイッチシステムとともに細菌細胞内に存在し得る。いくつかの実施形態では、操作された細菌細胞において見いだされない必須ポリペプチドをコードする異種遺伝子に作動可能に連結したParaBADプロモーターの配列は、直前に述べたTetR/毒素/抗毒素キルスイッチシステムとともに細菌細胞内に存在し得る。
他の実施形態では、細菌は、短寿命抗毒素および長寿命毒素の両方を産生するプラスミドを含むプラスミド安定システムを含み得る。このシステムでは、細菌細胞は、毒素を中和するために等量の毒素および抗毒素を産生する。しかし、細胞がプラスミドを失うならば/場合、短寿命抗毒素は、減衰し始める。抗毒素が完全に減衰した場合、長寿命毒素が細胞を殺滅した結果として、細胞は死ぬ。
いくつかの実施形態では、本開示の操作された細菌、例えば、本明細書に記載の細菌は、上述のキルスイッチ回路のいずれかの構成要素をコードする遺伝子(複数可)をさらに含み得る。
上述の実施形態のいずれかにおいて、細菌毒素は、リシン、Hok、Fst、TisB、LdrD、Kid、SymE、MazF、FlmA、Ibs、XCV2162、dinJ、CcdB、MazF、ParE、YafO、Zeta、hicB、relB、yhaV、yoeB、chpBK、hipA、ミクロシンB、ミクロシンB17、ミクロシンC、ミクロシンC7−C51、ミクロシンJ25、ミクロシンColV、ミクロシン24、ミクロシンL、ミクロシンD93、ミクロシンL、ミクロシンE492、ミクロシンH47、ミクロシンI47、ミクロシンM、コリシンA、コリシンE1、コリシンK、コリシンN、コリシンU、コリシンB、コリシンIa、コリシンIb、コリシン5、コリシン10、コリシンS4、コリシンY、コリシンE2、コリシンE7、コリシンE8、コリシンE9、コリシンE3、コリシンE4、コリシンE6;コリシンE5、コリシンD、コリシンMおよびクロアシンDF13、またはその生物学的に活性な断片からなる群から選択される。
上述の実施形態のいずれかにおいて、抗毒素は、抗リシン、Sok、RNAII、IstR、RdlD、Kis、SymR、MazE、FlmB、Sib、ptaRNA1、yafQ、CcdA、MazE、ParD、yafN、Epsilon、HicA、relE、prlF、yefM、chpBI、hipB、MccE、MccECTD、MccF、Cai、ImmE1、Cki、Cni、Cui、Cbi、Iia、Imm、Cfi、Im10、Csi、Cyi、Im2、Im7、Im8、Im9、Im3、Im4、ImmE6、クロアシン免疫タンパク質(Cim)、ImmE5、ImmDおよびCmi、またはその生物学的に活性な断片からなる群から選択される。
一実施形態では、細菌毒素は、遺伝子操作細菌に対して殺菌性である。一実施形態では、細菌毒素は、遺伝子操作細菌に対して静菌性である。
一実施形態では、方法は、対象に第2の操作された細菌細胞を投与することをさらに含み、前記第2の操作された細菌細胞は、外因性環境条件により直接的または間接的に誘導される誘導性プロモーターに作動可能に連結した異種レポーター遺伝子を含む。一実施形態では、異種レポーター遺伝子は、蛍光遺伝子である。一実施形態では、蛍光遺伝子は、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする。他の実施形態では、方法は、対象に第2の操作された細菌細胞を投与することをさらに含み、前記第2の操作された細菌細胞は、lacZレポーター構築物を発現し、該lacZレポーター構築物が基質を切断して、尿において検出することができる小分子を産生する(例えば、その全内容が参照により本明細書に明確に組み込まれる、Danioら、Science Translational Medicine、7巻(289号):1〜12頁、2015年参照)。
単離されたプラスミド
他の実施形態では、本開示は、第1の誘導性プロモーターに作動可能に連結した第1のペイロードをコードする第1の核酸と、第2の誘導性プロモーターに作動可能に連結した第2のペイロードをコードする第2の核酸とを含む、単離されたプラスミドを提供する。他の実施形態では、本開示は、第3の誘導性プロモーターに作動可能に連結した第3のペイロードをコードする第3の核酸をさらに含む、単離されたプラスミドを提供する。他の実施形態では、本開示は、誘導性プロモーターに作動可能に連結した4つ、5つ、6つまたはそれ以上のペイロードをコードする4つ、5つ、6つまたはそれ以上の核酸を含むプラスミドを提供する。本明細書に記載の実施形態のいずれかにおいて、第1、第2、第3、第4,第5、第6等の「ペイロード(複数可)」は、プロピオネート異化酵素、プロピオネート輸送体、プロピオネート結合タンパク質、または本明細書に記載の他の配列であり得る。一実施形態では、第1のペイロードをコードする核酸、および第2のペイロードをコードする核酸は、第1の誘導性プロモーターに作動可能に連結している。一実施形態では、第1のペイロードをコードする核酸は、第1の誘導性プロモーターに作動可能に連結しており、第2のペイロードをコードする核酸は、第2の誘導性プロモーターに作動可能に連結している。一実施形態では、第1の誘導性プロモーターおよび第2の誘導性プロモーターは、同じ誘導性プロモーターの別個のコピーである。他の実施形態では、第1の誘導性プロモーターおよび第2の誘導性プロモーターは、異なる誘導性プロモーターである。第3の核酸を含む他の実施形態では、第3のペイロードをコードする核酸、ならびに第1および第2のペイロードをコードする核酸は、すべてが同じ誘導性プロモーターに作動可能に連結している。他の実施形態では、第1のペイロードをコードする核酸は、第1の誘導性プロモーターに作動可能に連結しており、第2のペイロードをコードする核酸は、第2の誘導性プロモーターに作動可能に連結しており、第3のペイロードをコードする核酸は、第3の誘導性プロモーターに作動可能に連結している。いくつかの実施形態では、第1、第2および第3の誘導性プロモーターは、同じ誘導性プロモーターの別個のコピーである。他の実施形態では、第1の誘導性プロモーター、第2の誘導性プロモーター、および第3の誘導性プロモーターは、異なる誘導性プロモーターである。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター、第2のプロモーター、および任意選択の第3のプロモーター、または第1のプロモーターおよび第2のプロモーターおよび任意選択の第3のプロモーターは、それぞれが低酸素または嫌気的条件により直接的または間接的に誘導される。他の実施形態では、第1のプロモーター、第2のプロモーター、および任意選択の第3のプロモーター、または第1のプロモーターおよび第2のプロモーターおよび任意選択の第3のプロモーターは、それぞれがフマル酸・硝酸レダクターゼ調節因子(FNR)応答性プロモーターである。他の実施形態では、第1のプロモーター、第2のプロモーター、および任意選択の第3のプロモーター、または第1のプロモーターおよび第2のプロモーターおよび任意選択の第3のプロモーターは、それぞれがROS誘導性調節領域である。他の実施形態では、第1のプロモーター、第2のプロモーター、および任意選択の第3のプロモーター、または第1のプロモーターおよび第2のプロモーターおよび任意選択の第3のプロモーターは、それぞれがRNS誘導性調節領域である。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする異種遺伝子は、構成的プロモーターに作動可能に連結している。一実施形態において、構成的プロモーターは、lacプロモーターである。他の実施形態において、構成的プロモーターは、tetプロモーターである。他の実施形態において、構成的プロモーターは、構成的大腸菌σ32プロモーターである。他の実施形態において、構成的プロモーターは、構成的大腸菌σ70プロモーターである。他の実施形態において、構成的プロモーターは、構成的枯草菌σAプロモーターである。他の実施形態において、構成的プロモーターは、構成的枯草菌σBプロモーターである。他の実施形態において、構成的プロモーターは、サルモネラ属プロモーターである。他の実施形態において、構成的プロモーターは、バクテリオファージT7プロモーターである。他の実施形態では、構成的プロモーターは、バクテリオファージSP6プロモーターである。上記実施形態のいずれかにおいて、プラスミドは、構成的プロモーターに作動可能に連結していてもよく、または誘導性プロモーターに作動可能に連結していてもよい、プロピオネート輸送体、プロピオネート結合タンパク質および/またはキルスイッチ構築物をコードする異種遺伝子をさらに含む。
いくつかの実施形態では、単離されたプラスミドは、第1の誘導性プロモーターに作動可能に連結した少なくとも1つの異種プロピオネート異化酵素遺伝子と、ParaBADプロモーターに作動可能に連結したTetRタンパク質をコードする異種遺伝子と、ParaCプロモーターに作動可能に連結したAraCをコードする異種遺伝子と、構成的プロモーターに作動可能に連結した抗毒素をコードする異種遺伝子と、PTetRプロモーターに作動可能に連結した毒素をコードする異種遺伝子とを含む。他の実施形態では、単離されたプラスミドは、第1の誘導性プロモーターに作動可能に連結したプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子と、ParaBADプロモーターに作動可能に連結したTetRタンパク質および抗毒素をコードする異種遺伝子と、ParaCプロモーターに作動可能に連結したAraCをコードする異種遺伝子と、PTetRプロモーターに作動可能に連結した毒素をコードする異種遺伝子とを含む。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする第1の核酸は、prpEおよび/またはPha遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする第1の核酸は、Pha遺伝子またはPhaオペロン、例えば、prpE−phaB−phaC−phaAである。いくつかの実施形態では、prpE遺伝子またはPha遺伝子またはPhaオペロンは、追加のプロピオネート異化遺伝子または遺伝子カセット、例えば、本明細書に記載のMMCAカセットおよび/または2MCカセットと共発現する。他の実施形態では、スクシネート輸出体、例えばSucE1および/またはDcuC、をコードする遺伝子がさらに発現する。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体がさらに発現する。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする第1の核酸は、prpEおよび/またはMMCA経路遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする第1の核酸は、prpEおよび/もしくはMMCA経路遺伝子またはMMCA経路オペロン、例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutBもしくはprpE−accA1−pccBもしくはmmcE−mutA−mutBである。いくつかの実施形態では、prpE遺伝子および/もしくはMMCA経路遺伝子またはMMCA経路オペロンは、追加のプロピオネート異化遺伝子または遺伝子カセット、例えば、本明細書に記載のPhaカセットおよび/または2MCカセットと共発現する。他の実施形態では、スクシネート輸出体、例えばSucE1および/またはDcuC、をコードする遺伝子がさらに発現する。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体がさらに発現する。
いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする第1の核酸は、prpEおよび/または2MC経路遺伝子を含む。他の実施形態では、プロピオネート異化酵素をコードする第1の核酸は、prpEおよび/もしくは2MC経路遺伝子または2MC経路オペロン、例えば、prpB−prpC−prpD−prpEもしくはprpB−prpC−prpDである。いくつかの実施形態では、prpE遺伝子および/もしくは2MC経路遺伝子または2MC経路オペロンは、追加のプロピオネート異化遺伝子または遺伝子カセット、例えば、本明細書に記載のPhaカセットおよび/またはMMCAカセットと共発現する。他の実施形態では、スクシネート輸出体、例えばSucE1および/またはDcuC、をコードする遺伝子がさらに発現する。他の実施形態では、プロピオネート取込み輸送体がさらに発現する。
一実施形態では、プラスミドは、高コピープラスミドである。他の実施形態では、プラスミドは、低コピープラスミドである。
他の態様では、本開示は、本明細書に記載の単離されたプラスミドを含む、組換え細菌細胞を提供する。他の実施形態では、本開示は、組換え細菌細胞を含む医薬組成物を提供する。
一実施形態では、細菌細胞は、prpEをピロピオニル化して不活性化するリシンアセチルトランスフェラーゼ、例えばpka、をコードする内因性遺伝子における遺伝子突然変異をさらに含む。他の実施形態では、細菌細胞は、細菌細胞からのプロピオネートおよび/またはその代謝物の輸出を低減する遺伝子突然変異をさらに含む。
一実施形態では、細菌細胞は、プロピオネート生合成遺伝子をコードする内因性遺伝子における遺伝子突然変異であって、該細菌細胞におけるプロピオネートの生合成およびその代謝物のうちの1つまたは複数の生合成を低減する遺伝子突然変異をさらに含む。
複数の作用機構
いくつかの実施形態では、細菌に、複数の作用機構(MOAs)、例えば、同じ産物の複数のコピーを産生する回路(例えば、コピー数を増加させるため)または複数の異なる機能を果たす回路を含むように遺伝子操作を施す。挿入部位の例は、malE/K、insB/I、araC/BAD、lacZ、dapA、cea、および図32に示すその他のものを含むが、これらに限定されない。例えば、遺伝子操作細菌は、プロピオネート異化遺伝子もしくはプロピオネート異化遺伝子カセットの4つのコピー、または4つの異なる挿入部位、例えば、malE/K、insB/I、araC/BADおよびlacZに挿入されたプロピオネート異化遺伝子の4つのコピーを含み得る。あるいは、遺伝子操作細菌は、1つもしくは複数の異なる挿入部位、例えば、malE/K、insB/I、およびlacZに挿入されたプロピオネート異化遺伝子もしくは遺伝子カセットの1つもしくは複数のコピー、1つもしくは複数の異なる挿入部位、例えば、dapA、cea、およびaraC/BADに挿入されたプロピオネート異化遺伝子もしくは遺伝子カセットの1つもしくは複数のコピー、ならびに/または1つもしくは複数の異なる挿入部位に挿入されたプロピオネート異化遺伝子もしくは遺伝子カセットの1つもしくは複数のコピーを含み得る。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、次のうちの1つまたは複数を含む:(1)野生型または(安定性もしくは代謝活性増大のために)突然変異形態の、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子および/または遺伝子カセット;(2)野生型または(安定性もしくは代謝活性増大のために)突然変異形態の、プロピオネートおよび/またはその代謝物のうちの1つもしくは複数(メチルマロン酸を含む)の取込みのための1つまたは複数の輸送体をコードする1つまたは複数の遺伝子および/または遺伝子カセット;(3)プロピオネートおよび/またはその代謝物のうちの1つもしくは複数の分泌および細胞外分解のための1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセット;(4)本明細書に記載の通りの、分泌マシナリーの1つまたは複数の構成要素をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセット;(5)1つまたは複数の栄養要求性、例えば、デルタThyA;(6)カナマイシンまたはクロラムフェニコール耐性を含むがこれらに限定されない、1つまたは複数の抗生物質耐性をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセット;(7)細菌細胞からのスクシネート輸出を増加させる1つまたは複数の改変;(8)細菌細胞へのスクシネート移入を低減する1つまたは複数の改変;(9)本明細書に記載の通りの遺伝子、例えば、pka、スクシネート取込み輸送体またはプロピオネート輸出体における突然変異/欠失;(10)内因性プロピオネート合成経路の遺伝子における突然変異/欠失。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、プロピオネート異化酵素を含む、2つまたはそれ以上の異なる経路カセットまたはオペロンを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする、1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットを含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、PrpE、AccA1、PccB、MmcE、MutAおよびMutBから選択される1つまたは複数のプロピオネート異化酵素ならびにそれらの組合せをコードする、遺伝子配列(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、prpE、accA1、pccB、mmcE、mutAおよびmutBから選択される任意の遺伝子の2つまたはそれ以上のコピーを含む、遺伝子配列(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、PrpE、PhaB、PhaCおよびPhaAから選択される1つまたは複数のプロピオネート異化酵素ならびにそれらの組合せをコードする、遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、prpE、phaB、phaCおよびphaAから選択される任意の遺伝子の2つまたはそれ以上のコピーを含む、遺伝子配列(複数可)を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、PrpB、PrpC、PrpDおよびPrpEから選択される1つまたは複数のプロピオネート異化酵素ならびにそれらの組合せをコードする、遺伝子配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、prpB−prpC、prpDおよびprpEから選択される任意の遺伝子の2つまたはそれ以上のコピーを含む、遺伝子配列(複数可)を含む。組合せの非限定的な例は、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)と組み合わせて1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)を含む、遺伝子操作細菌を含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)と組み合わせて1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)を含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)と、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)と、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)とを含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)と、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)とを含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)と、1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)とを含む。
組合せの非限定的な例は、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)と組み合わせて、およびmatBを含む1つまたは複数のカセットと組み合わせて、1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)を含む、遺伝子操作細菌を含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)と組み合わせて、およびmatBを含む1つまたは複数のカセットと組み合わせて、1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)を含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)、および1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)を、matBを含む1つまたは複数のカセットと組み合わせて含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)、および1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)を、MatBを含む1つまたは複数のカセットと組み合わせて含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)、および1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)を、matBを含む1つまたは複数のカセットと組み合わせて含む。matBを含む上記の組合せのいずれも、prpEを含んでもまたは含まなくてもよく、例えば、prpEの代わりにmatBを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと、1つまたは複数のプロピオネート輸送体(取込み輸送体)、例えば、本明細書に記載のあるいは当技術分野で公知のプロピオネート輸送体のいずれかをコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットとを含む。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと、1つまたは複数のスクシネート輸出体、例えばSucE1および/またはdcuC、をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットとを含む。組合せの非限定的な例は、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)、および1つまたは複数のスクシネート輸出体、例えばSucE1および/またはdcuC、をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと組み合わせて、1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)を含む、遺伝子操作細菌を含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)、および1つまたは複数のスクシネート輸出体、例えばSucE1および/またはdcuC、をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと組み合わせて、1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)を含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)と、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)と、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)と、1つまたは複数のスクシネート輸出体、例えばSucE1および/またはdcuC、をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)と、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)と、1つまたは複数のスクシネート輸出体、例えばSucE1および/またはdcuC、をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットとを含む。組合せの他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)と、1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)と、1つまたは複数のスクシネート輸出体、例えばSucE1および/またはdcuC、をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと含む。他の非限定的な例では、例えば上記の通りの、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと、1つまたは複数のスクシネート輸出体、例えばSucE1および/またはdcuC、をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットとを含む遺伝子操作細菌は、matBを含む1つもしくは複数の遺伝子もしくは遺伝子カセットを含むことがあり、またはmatBが、prpEの代わりに置換されていることもある。いずれの実施形態においても、操作された細菌は、1つまたは複数のプロピオネート輸送体をコードする遺伝子配列(複数可)も含み得る。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと、細菌細胞へのスクシネート移入を低減または減少させる1つまたは複数の遺伝子改変、例えば、本明細書に記載のあるいは当技術分野で公知の遺伝子改変のいずれか、とを含む。操作された細菌は、1つまたは複数のプロピオネート輸送体をコードする遺伝子配列(複数可)をさらに含み得る。操作された細菌は、1つまたは複数のスクシネート輸出体をコードする遺伝子配列をさらに含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと、細菌細胞へのスクシネート移入を低減または減少させる1つまたは複数の遺伝子改変と、1つまたは複数のプロピオネート輸送体をコードする遺伝子配列(複数可)とを含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと、細菌細胞へのスクシネート移入を低減または減少させる1つまたは複数の遺伝子改変と、1つまたは複数のスクシネート輸出体をコードする遺伝子配列(複数可)とを含む。いくつかの実施形態では、操作された細菌は、1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子または遺伝子カセットと、細菌細胞へのスクシネート移入を低減または減少させる1つまたは複数の遺伝子改変と、1つまたは複数のプロピオネート輸送体をコードする遺伝子配列(複数可)と、1つまたは複数のスクシネート輸出体をコードする遺伝子配列(複数可)とを含む。
いくつかの実施形態では、特定の触媒ステップは律速的であり、そのような場合、1つまたは複数の律速酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子の追加のコピーを加えるのが有益であり得る。非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)と、1つまたは複数のphaAをコードする1つまたは複数の追加の遺伝子または遺伝子カセットとをコードし得る。非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)と、prpEおよび/またはphaBおよび/またはphaCおよび/またはphaAのうちの1つまたは複数をコードする1つまたは複数の追加の遺伝子または遺伝子カセットとを含み得る。
非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のMMCA経路オペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)と、prpEおよび/またはaccA1および/またはopccBおよび/またはmmcEおよび/またはmutAおよび/またはmutBのうちの1つまたは複数をコードする1つまたは複数の追加の遺伝子または遺伝子カセットとをコードし得る。他の非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)と、prpBおよび/またはprpCおよび/またはprpDおよび/またはprpEをコードする1つまたは複数の追加の遺伝子または遺伝子カセットとを含み得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロピオネート異化経路、例えば、PHA、MMCAおよび/または2MCからの各遺伝子を、それぞれ別個の(同じまたは異なる)プロモーターの制御下で、個別に発現させることができる。例えば、prpEおよび/またはphaBおよび/またはphaCおよび/またはphaAのうちの1つまたは複数を、それぞれ別個の(同じまたは異なる)プロモーターの制御下で、個別に発現させることができる。例えば、prpEおよび/またはaccA1および/またはopccBおよび/またはmmcBおよび/またはmmcEおよび/またはmutAおよび/またはmutBのうちの1つまたは複数を、それぞれ別個の(同じまたは異なる)プロモーターの制御下で、個別に発現させることができる。例えば、prpBおよび/またはphaCおよび/またはprpDおよび/またはprpEのうちの1つまたは複数を、それぞれ別個の(同じまたは異なる)プロモーターの制御下で、個別に発現させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のプロピオネート異化経路、例えば、matB含有経路からの各遺伝子(例えば、matA、mmcE、mutAおよびmutB、および/またはMatB、Acc1A、およびPccB、(例えば、PrpEを伴う))を、それぞれ別個の(同じまたは異なる)プロモーターの制御下で、個別に発現させることができる。
特定の実施形態では、遺伝子カセット内の遺伝子の順序を変更して、例えば、カセット内の特定の遺伝子のレベルを上昇または低下させることができる。非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、phaCが1番目になる、またはphaBが1番目になる、またはprpEが1番目になる、またはphaAが1番目になる、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)をコードし得る。非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、そのphaCが2番目になる、またはphaBが2番目になる、またはprpEが2番目になる、またはphaAが2番目になる、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)をコードし得る。非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、phaCが3番目になる、またはphaBが3番目になる、またはprpEが3番目になる、またはphaAが3番目になる、1つまたは複数のPHA経路オペロン(例えば、prpE−phaB−phaC−phaA)をコードし得る。
非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、prpBが1番目になる、またはprpCが1番目になる、またはprpDが1番目になる、またはprpEが1番目になる、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)をコードし得る。非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、prpBが2番目になる、またはprpCが2番目になる、またはprpDが2番目になる、またはprpEが2番目になる、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)をコードし得る。非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、prpBが3番目になる、またはprpCが3番目になる、またはprpDが3番目になる、またはprpEが3番目になる、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)をコードし得る。非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、prpBが4番目になる、またはprpCが4番目になる、またはprpDが4番目になる、またはprpEが4番目になる、1つまたは複数の2MC経路オペロン(例えば、prpB−prpC−prpD−prpE)をコードし得る。
非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、prpEが1番目になる、またはaccA1が1番目になる、またはpccBが1番目になる、またはmmcEが1番目になる、またはmutAが1番目になる、またはmutBが1番目になる、1つまたは複数のMMCAオペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)をコードし得る。非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、prpEが2番目になる、またはaccA1が2番目になる、またはpccBが2番目になる、またはmmcEが2番目になる、またはmutAが2番目になる、またはmutBが2番目になる、1つまたは複数のMMCAオペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)をコードし得る。非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、prpEが3番目になる、またはaccA1が3番目になる、またはpccBが3番目になる、またはmmcEが3番目になる、またはmutAが3番目になる、またはmutBが3番目になる、1つまたは複数のMMCAオペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)をコードし得る。非限定的な例では、遺伝子操作細菌は、prpEが4番目、5番目もしくは6番目になる、またはaccA1が4番目、5番目もしくは6番目になる、またはpccBが4番目、5番目もしくは6番目になる、またはmmcEが4番目、5番目もしくは6番目になる、またはmutAが4番目、5番目もしくは6番目になる、またはmutBが4番目、5番目もしくは6番目になる、1つまたは複数のMMCAオペロン(例えば、prpE−accA1−pccB−mmcE−mutA−mutB、またはprpE−accA1−pccBおよびmmcE−mutA−mutB)をコードし得る。いくつかの実施形態では、matBは、matBを含む遺伝子カセット内で1番目、2番目、3番目、4番目、5番目または6番目になる。
本明細書のこの節にまたは他の箇所に記載の実施形態のいずれかにおいて、任意の1つまたは複数の遺伝子を、例えば、哺乳動物消化管に見いだされるもののような低酸素または嫌気的条件により誘導される直接的または間接的誘導性プロモーター、例えば、本明細書に記載のプロモーターのいずれかに、作動可能に連結することができる。
特定の実施形態では、リボソーム結合部位、例えば、より強いまたはより弱いリボソーム結合部位を用いて、カセット内のプロピオネート異化酵素の発現レベルをモジュレートする(上昇または低下させる)ことができる。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、例えば、pka、スクシネート取込み輸送体またはプロピオネート輸出体における突然変異または欠失、および栄養要求性をさらに含む。
宿主−プラスミド相互依存性
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、宿主−プラスミド相互依存性をもたらすように改変されたプラスミドも含む。特定の実施形態では、相互依存性宿主−プラスミドプラットフォームは、GeneGuardである(Wrightら、2015年)。いくつかの実施形態では、GeneGuardプラスミドは、(i)必須の複製イニシエータータンパク質がトランスで配置されている、条件複製起点、(ii)ゲノム転位により宿主によって救出され、リッチ培地中の使用にも適合する栄養要求性の改変、および/または(iii)広域スペクトルの毒素をコードする核酸配列を含む。毒素遺伝子は、抗毒素を発現しない菌株(例えば、野生型細菌)に対してそれ自体不利であるプラスミドDNAを作製することによりプラスミドが伝播しないように選択するために、用いることができる。いくつかの実施形態では、GeneGuardプラスミドは、抗生物質選択を用いずに少なくとも100世代にわたり安定している。いくつかの実施形態では、GeneGuardプラスミドは、宿主の増殖を妨害しない。GeneGuardプラスミドは、本明細書に記載の遺伝子操作細菌における意図的でないプラスミドの増殖を著しく減少させるために用いられる。
相互依存性宿主−プラスミドプラットフォームは、単独で、または本明細書に記載のもの(例えば、キルスイッチ、栄養要求体)などの、他のバイオセーフティー機能と組み合わせて用いることができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、GeneGuardプラスミドを含む。他の実施形態では、遺伝子操作細菌は、GeneGuardプラスミドおよび/または1つもしくは複数のキルスイッチを含む。他の実施形態では、遺伝子操作細菌は、GeneGuardプラスミドおよび/または1つもしくは複数の栄養要求体を含む。他の実施形態では、遺伝子操作細菌は、GeneGuardプラスミド、1つもしくは複数のキルスイッチおよび/または1つもしくは複数の栄養要求体を含む。
いくつかの実施形態では、ベクターは、条件複製起点を含む。いくつかの実施形態では、条件複製起点は、R6KまたはColE2−P9である。プラスミドが条件複製起点R6Kを含む実施形態では、宿主細胞は、複製イニシエータータンパク質πを発現する。プラスミドが条件複製起点ColE2を含む実施形態では、宿主細胞は、複製イニシエータータンパク質RepAを発現する。複製イニシエータータンパク質の発現を、該タンパク質の所望の発現レベルが宿主細胞において達成されてそれによりプラスミドの複製が制御されるように、調節することができることは、当業者には理解される。例えば、いくつかの実施形態では、複製イニシエータータンパク質をコードする遺伝子を、強い、中程度の、または弱いプロモーターの制御下において発現させ、該タンパク質の発現を調節することができる。
いくつかの実施形態では、ベクターは、宿主細胞の栄養要求性、好ましくは富栄養培地適合性の栄養要求性、の補足に必要なタンパク質をコードする遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、チミジン栄養要求性(ΔthyA)であり、ベクターは、チミジル酸シンターゼ(thyA)遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、ジアミノピメリン酸栄養要求性(ΔdapA)であり、ベクターは、4−ヒドロキシ−テトラヒドロジピコリン酸シンターゼ(dapA)遺伝子を含む。宿主細胞の栄養要求性の補足に必要なタンパク質をコードする遺伝子の発現を、該タンパク質の所望の発現レベルが該宿主細胞において達成されるように調節することができることは、当業者には理解される。
いくつかの実施形態では、ベクターは、毒素遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、抗毒素をコードする、および/または抗毒素の発現に必要な、抗毒素遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、毒素は、Zetaであり、抗毒素は、Epsilonである。いくつかの実施形態では、毒素は、Kidであり、抗毒素は、Kisである。好ましい実施形態では、毒素は、静菌性である。本明細書に記載の毒素/抗毒素対のいずれを本開示のベクター系において用いてもよい。毒素の発現レベルが抗毒素を発現する宿主細胞にとって有害になることを防止するための当技術分野で公知の方法を用いて、毒素をコードする遺伝子の発現を調節することができることは、当業者には理解される。例えば、いくつかの実施形態では、毒素をコードする遺伝子を中程度のプロモーターにより調節することができる。他の実施形態では、毒素をコードする遺伝子を目的のリボソーム結合部位に隣接してクローニングして、該遺伝子の発現レベルを所望のレベルに調節することができる(例えば、Wrightら(2015年)参照)。
組込み
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子(複数可)または遺伝子カセット(複数可)のいずれかを細菌染色体の1つまたは複数の組込み部位に組み込むことができる。異種遺伝子または異種遺伝子カセットの1つまたは複数のコピーを細菌染色体に組み込むことができる。染色体に組み込まれた遺伝子または遺伝子カセットの複数のコピーを有することにより、対応するタンパク質(複数可)のより多くの産生が可能となり、発現のレベルの微調整も可能となる。あるいは、治療用遺伝子(複数可)または遺伝子カセット(複数可)に加えて、本明細書に記載の異なる回路、例えば、キルスイッチ回路のいずれかを、複数の異なる機能を果すように細菌染色体の1つまたは複数の異なる組込み部位に組み込むことが可能である。
例えば、図32は、大腸菌ニッスル染色体内の組込み部位のマップを示す。図33は、RFP遺伝子を細菌染色体の組込み部位に組み込むことに成功した3つの細菌菌株を示す。
分泌
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、細菌細胞質からプロピオネート異化酵素を分泌することができる天然分泌機構(例えば、グラム陽性細菌)または非天然分泌機構(例えば、グラム陰性細菌)をさらに含む。多くの細菌が細菌細胞外被を越えて基質を輸送する高機能の分泌システムを発達させた。小分子、タンパク質およびDNAのような、基質は、細胞外腔もしくはペリプラズム(消化管内腔もしくは他の腔など)中に放出し、標的細胞中に注入し、または細菌膜に結合させることができる。
グラム陰性細菌では、分泌機構は、内および外膜の1つまたは両方にわたり得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、非天然二重膜スパンニング分泌システムをさらに含む。二重膜スパンニング分泌システムは、I型分泌システム(T1SS)、II型分泌システム(T2SS)、III型分泌システム(T3SS)、IV型分泌システム(T4SS)、VI型分泌システム(T6SS)およびレジスタンス−ノジュレーション−ディビジョン(RND)多剤排出ポンプのファミリーを含むが、これらに限定されない(Pugsley、1993年;Gerlachら、2007年;Collinsonら、2015年;Costaら、2015年;Reevesら、2015年;国際公開第2014138324号A1、参照により本明細書に組み込まれる)。そのような分泌システムの例を図3〜6に示す。グラム陰性様細胞外被を有する、マイコバクテリアもVII型分泌システム(T7SS)をコードし得る(Stanleyら、2003年)。T2SSを除いて二重膜スパンニング分泌は、一般的に基質を細菌細胞質から細胞外腔または標的細胞内に直接的に輸送する。対照的に、T2SSおよび外膜のみに及ぶ分泌システムは、2ステップ機構を使用し得るものであり、基質は、最初に内膜スパンニング輸送体によってペリプラズムに転位させられ、次に外膜に運ばれるかまたは細胞外腔に分泌される。外膜スパンニング分泌システムは、V型分泌または自己輸送システム(T5SS)、カーリー(curli)分泌システムおよび線毛アセンブリのシャペロン−アッシャー経路を含むが、これらに限定されない(Saier、2006年;Costaら、2015年)。
いくつかの実施形態では、本発明の遺伝子操作細菌は、赤痢菌属、サルモネラ属、大腸菌属、ビブリオ属、バークホルデリア属、エルシニア属、クラミジア属(Chlamydia)またはシュードモナス属に由来するIII型またはIII型様分泌システム(T3SS)をさらに含む。T3SSは、ニードル複合体を介して細菌細胞質から宿主細胞質にタンパク質を輸送することができる。T3SSは、細菌細胞質から分子を分泌するが、宿主細胞質に分子を注入しないように、改変することができる。したがって、分子は、消化管内腔または他の細胞外腔に分泌される。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、前記改変T3SSを含み、細菌細胞質からプロピオネート異化酵素を分泌することができる。いくつかの実施形態では、分泌分子、例えば、異種タンパク質もしくはペプチド、例えばプロピオネート異化酵素は、プロピオネート異化酵素が細菌から分泌されることを可能にするIII型分泌配列を含む。
いくつかの実施形態では、鞭毛III型分泌経路を用いて、目的の分子、例えば、プロピオネート異化酵素を分泌する。いくつかの実施形態では、ペプチドを天然鞭毛成分のN末端鞭毛分泌シグナルに組換えにより融合させることにより、不完全鞭毛を用いて、目的の治療用ペプチドを分泌する。この方法で、細胞内で発現したキメラペプチドを内および外膜を越えて周囲宿主環境中に移動させることができる。
いくつかの実施形態では、V型自己輸送体分泌システムを用いて、目的の分子、例えば、治療用ペプチドを分泌する。このマシナリーの単純さおよび比較的に大きなタンパク質フラックスを扱う能力のため、V型分泌システムは、組換えタンパク質の細胞外産生に魅力的である。図10に示すように、治療用ペプチド(星)をN末端分泌シグナル、リンカー、および自己輸送体のベータドメインに融合させることができる。N末端シグナル配列は、タンパク質を内膜を越えてペリプラズム内に移動させるSecA−YEGマシナリーにタンパク質を導き、その後、シグナル配列の切断が起こる。ベータドメインは、Bam複合体(「ベータ−バレルアセンブリマシナリー」)に動員され、そこでベータドメインが折りたたまれ、ベータ−バレル構造として外膜に挿入される。治療用ペプチドは、リンカー配列の前にベータ−バレル構造の中空孔を通り抜ける。細胞外環境に曝露したならば、治療用ペプチドは、自触媒切断(Bam複合体の左側)によってまたはリンカーにおける相補的プロテアーゼ切断部位への膜結合ペプチド(黒いハサミ;Bam複合体の右側)の標的化によってリンカーシステムから解放される。このように、いくつかの実施形態では、分泌分子、例えば、異種タンパク質またはペプチド、例えばプロピオネート異化酵素は、該分子が細菌から分泌されることを可能にするための、N末端分泌シグナル、リンカー、および自己輸送体のベータドメインを含む。
いくつかの実施形態では、ヘモリシンに基づく分泌システムを用いて、目的の分子、例えば、治療用ペプチドを分泌する。I型分泌システムは、それらのパッセンジャーペプチドを細胞質から細胞外腔に直接に移動させ、他の分泌の種類の2ステップ工程が不要となるという利点がある。図11は、尿路病原性大腸菌のアルファ−ヘモリシン(HlyA)を示す。この経路は、ATP結合カセット輸送体である、HlyB;膜融合タンパク質である、HlyD;および外膜タンパク質である、TolCを用いる。これらの3つのタンパク質の集合により、内および外膜の両方を通るチャンネルが形成される。天然では、このチャンネルは、HlyAを分泌するために用いられるが、本開示の治療用ペプチドを分泌するために、HlyAの分泌シグナル含有C末端部分を治療用ペプチド(星)のC末端部分に融合させて、このペプチドの分泌を媒介する。
代替実施形態では、遺伝子操作細菌は、非天然単一膜スパンニング分泌システムをさらに含む。単一膜スパンニング輸送体は、分泌システムの構成要素としての役割を果たすか、または基質を独立して輸出し得る。そのような輸送体は、ATP結合カセットトランスロカーゼ、鞭毛/ビルレンス関連トランスロカーゼ、コンジュゲーション関連トランスロカーゼ、一般的分泌システム(例えば、大腸菌におけるSecYEG複合体)、マイコバクテリアおよびいくつかの種類のグラム陽性細菌(例えば、炭疽菌、ラクトバシラス・ジョンソニイ、コリネバクテリウム・グルタミクム、ストレプトコッカス・ゴルドニ(Streptococcus gordonii)、黄色ブドウ球菌)における付属分泌システム、およびツイン−アルギニン転位(TAT)システム(Saier、2006年;RigelおよびBraunstein、2008年;Albiniakら、2013年)を含むが、これらに限定されない。一般的分泌およびTATシステムは、両方が切断可能なN末端シグナルペプチドを用いて基質をペリプラズム内に輸出し得ることが公知であり、生物医薬の製造に関連して探究された。しかし、TATシステムは、とりわけ折りたたまれた基質を輸送することができ、それにより早発または不正折りたたみの可能性が解消される点で優位である。特定の実施形態では、遺伝子操作細菌は、TATまたはTAT様システムを含み、細菌細胞質からプロピオネート異化酵素を分泌することができる。当業者は、本明細書で開示した分泌システムは、細菌の種々の種、菌株および亜型において機能を発揮するように改変し、かつ/または種々のペイロードを送出するように構成することができることを理解するであろう。
タンパク質、例えば、治療用ポリペプチドを細胞外腔に移動させるために、ポリペプチドは、最初に細胞内で移動させ、内膜を越えて移動させ、最後に外膜を越えて移動させなければならない。多くのエフェクタータンパク質(例えば、治療用ポリペプチド)−とりわけ真核生物由来のもの−は、3次および4次構造を安定化するためにジスルフィド結合を含む。これらの結合は、酸化ペリプラズムコンパートメント内でペリプラズムシャペロンの助けにより正しく形成することができるが、ポリペプチドを外膜を越えて移動させるために、ジスルフィド結合を還元し、タンパク質を再び広げなければならない。
グラム陰性細菌−とりわけジスルフィド結合を必要とするもの−における適切に折りたたまれたタンパク質を分泌する1つの方法は、不安定な外膜を有する細菌におけるペリプラズムを標的にすることである。この方法により、タンパク質を酸化環境中に移動させ、適切に折りたたませる。調和のとれた細胞外分泌システムと対照的に、タンパク質は、膜の漏れによって正しく折りたたまれた形態でペリプラズム腔を脱出することができる。したがって、これらの「漏出性」グラム陰性突然変異体は、生物活性の、適切にジスルフィド結合したポリペプチドを分泌することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、「漏出性」または不安定な外膜を有する。漏れをもたらすために細菌の外膜を不安定にすることは、例えば、lpp、ompC、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、degS、degPおよびnlplを含む、外膜を強固なペプチドグリカン骨格につなぎ留めることに関与する遺伝子を欠失または突然変異を起こさせることによって達成することができる。Lppは、細胞当たり約500,000コピーで存在する細菌細胞中の最も豊富なポリペプチドであり、ペプチドグリカンへの細菌細胞壁の主要な「ステープル」として機能する(Silhavy T. J.、Kahne D.およびWalker S.The bacterial cell envelope. Cold Spring Harb Perspect Biol 2、 a000414 (2010年))。TolA−PALおよびOmpA複合体は、Lppと同様に機能し、漏出性表現型を得るための他の欠失標的である。さらに、漏出性表現型は、ペリプラズムプロテアーゼが不活性化した場合に認められた。ペリプラズムは、タンパク質とともに非常に密に充填されており、したがって、いくつかのペリプラズムタンパク質をコードして、タンパク質のターンオーバーを促進する。degS、degPまたはnlpIのようなペリプラズムプロテアーゼを除去することにより、ペリプラズムタンパク質の過剰な蓄積が促進されて、漏出性表現型がもたらされ得る。プロテアーゼの突然変異によっても、これらのプロテアーゼによる標的化分解が妨げられることによりエフェクターポリペプチドを保存することができる。さらに、これらの突然変異の組合せにより、細胞の生存の重大な犠牲を伴わずに細胞の漏出性表現型が相乗的に高められる可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、操作細菌は、1つもしくは複数の欠失または突然変異膜遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作細菌は、欠失または突然変異lpp膜遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作細菌は、ompC、ompAおよびompF遺伝子から選択される1つもしくは複数の欠失または突然変異遺伝子(複数可)を有する。いくつかの実施形態では、操作細菌は、tolA、tolBおよびpal遺伝子から選択される1つもしくは複数の欠失または突然変異遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作細菌は、1つもしくは複数の欠失または突然変異ペリプラズムプロテアーゼ遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作細菌は、degS、degPおよびnlplから選択される1つもしくは複数の欠失または突然変異ペリプラズムプロテアーゼ遺伝子を有する。いくつかの実施形態では、操作細菌は、lpp、ompC、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、degS、degPおよびnlpl遺伝子から選択される1つもしくは複数の欠失または突然変異遺伝子を有する。
細胞の生存への擾乱を最小限にするために、例えば、lpp、ompC、ompA、ompF、tolA、tolB、pal、degS、degPおよびnlplから選択される1つもしくは複数の膜またはペリプラズムプロテアーゼ遺伝子を誘導性プロモーターの制御下におくことによって漏出性表現型を誘導性にすることができる。例えば、治療用ポリペプチドを送出(分泌)させる必要がある状態においてlppまたは他の細胞壁安定タンパク質またはペリプラズムプロテアーゼの発現を抑制することができる。例えば、誘導性条件下で、標的膜またはペリプラズムプロテアーゼ遺伝子の転写または翻訳を低減する転写リプレッサータンパク質または設計アンチセンスRNAを発現させることができる。逆に、特定のペプチドの過剰発現、例えば、コリシンまたはTolAの第3のトポロジードメインの過剰発現は、表現型の不安定化をもたらし得るものであり、治療用ポリペプチドを送出(分泌)させる必要がある状態においてペプチドの過剰発現を誘導することができる。これらの戦略の選別は、脆弱、漏出性表現型をバイオマス産生から切り離すものである。したがって、いくつかの実施形態では、操作細菌は、誘導性プロモーターの制御下の1つもしくは複数の膜および/またはペリプラズムプロテアーゼ遺伝子を有する。
表9:下の表は、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌の分泌システムを収載するものである。
Figure 2018521674
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グラム陽性およびグラム陰性細菌についての上記表は、操作された細菌からポリペプチドおよび他のプロピオネート異化酵素を分泌するために用いることができる分泌システムを収載するものであり、これらは、その内容がその全体として参照により本明細書に組み込まれる、Milton H.Saier、Jr.Microbe/1巻、9号、2006年、「Protein Secretion Systems in Gram−Negative Bacteria possess many protein secretion−membrane insertion systems that apparently evolved independently」に総説されている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つまたは複数のプロピオネート異化酵素が分泌される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つまたは複数のプロピオネート異化酵素は、分泌効率、プロテアーゼに対する感受性低下、安定性および/または半減期を改善するようにさらに改変される。いくつかの実施形態では、PrpEは、単独で、または他のプロピオネート異化酵素と組み合わせて、例えば、accA1、pccB、mmcE、mutA、およびmutBのうちの1つもしくは複数、、ならびに/またはprpB、prpC、prpDのうちの1つもしくは複数、ならびに/またはphaB、phaC、phaAのちの1つもしくは複数とともに分泌される。いくつかの実施形態では、accA1、pccB、mmcE、mutA、mutBのうちの1つまたは複数が分泌される。いくつかの実施形態では、prpB、prpC、prpDのうちの1つまたは複数が分泌される。いくつかの実施形態では、phaB、phaC、phaAのうちの1つまたは複数が分泌される。
あるいは、本明細書に記載の、例えば、図9、図10、図15および図20に記載の遺伝子により発現される酵素のいずれかを組み合わせることができる。
in vivoモデル
操作された細菌をin vivoで、例えば、動物モデルにおいて評価することができる。プロピオネートの異化に関連する疾患または状態の任意の適切な動物モデルを用いることができる。例えば、Guenzelらにより記載されたようなプロピオン酸血症のハイポモルフマウスモデルを用いることができる(例えば、Guenzelら、2013年、Molecular.Ther.、21巻(7号):1316〜1323頁参照)。このPCCA−/−ノックアウトマウスは、Pccaプロテインを欠き、高レベルのプロピオニルカルニチンおよびメチルシトレートを蓄積し、生後36時間以内に死亡する。しかし、PCCA−/−(A138T)のハイポモルフマウスは、プロピオン酸血症のレベルが上昇しても生き残り、それ故、このマウスは卓越した使用モデルである。これらのハイポモルフマウスへのアデノ随伴ウイルス2/8(AAV8)ベクターの静脈内注射は、プロピオニルカルニチンおよびメチルシトレートを低減し、持続性効果を媒介した。PCCA−/−ノックアウトマウスモデルも用いることができる(例えば、Miyazakiら、2001年、J.Biol.Chem.、276巻:35995〜35999頁参照)。メチルマロン酸血症のマウスモデルもPetersらにより記載されている(例えば、Petersら、2012年、PLoS ONE、7(7):e40609参照)。
あるいは、メチルマロン酸血症のマウスモデルが、マウスメチルマロニル−CoAムターゼ(Mut)遺伝子における重要なエクソンの標的欠失により作製された(VENDITTI CPら、Genetic and genomic systems to study methylmalonic acidemia(MMA)Mol Genet Metab.、2005年;84巻:207〜208頁)。Mut−/−マウスは、早期新生児致死を示し、罹患したヒトの重症表現型を忠実に複製し、早期新生児致死を示す。Mut−/−マウスにおける研究により、進行性の肝臓病態、および死亡時間近の肝臓におけるメチルマロン酸の大量の蓄積が実証された。このモデルは、MMAの治療におけるrAAVの有効性を調査するために広範に用いられている。例えば、Mut cDNAを発現する血清型9 rAAVは、Mut−/−マウスを致死から有効に救出し、長期生存をもたらし、代謝を著しく改善し、腎機能および組織構造を顕著に保存する結果となった(Senacら、Gene therapy in a murine model of Methylmalonic Acidemia(MMA)using rAAV9 mediated gene delivery;Gene Ther.2012年4月、19巻(4号):385〜391頁)。他のMut(−/−)マウスは、Petersらにより記載されている(Petersら、A knock−out mouse model for methylmalonic aciduria resulting in neonatal lethality;J Biol Chem.2003年12月26日、278巻(52号):52909〜13頁、およびまたPetersら、2012年、PLoS ONE、7(7):e40609)。
操作された細菌細胞を動物に例えば強制経口投与により投与することができ、例えば、治療前および後のプロピオニルカルニチン、アセチルカルニチンおよび/またはメチルシトレートの血中レベルを測定することにより、治療有効性を決定する(例えば、Guenzelら、2013年参照)。動物を屠殺し、組織試料を採取し、分析することができる。治療後のプロピオニルカルニチン、アセチルカルニチン、および/またはメチルシトレートの血中レベルの低下は、操作された細菌が疾患の治療に有効であることを示す。
スクリーニング方法
代謝物または生体分子を輸送する能力が増強された細菌菌株の作製
微小生物は、それらの培養の容易さ、短い世代時間、非常に高い集団密度および小さいゲノムのため、簡易タイムスケールで固有の表現型に進化され得る。適応実験室進化(ALE)は、好ましい表現型を有する菌株に進化させるために選択圧下で微小生物を継代させる方法である。最も一般的には、これは、炭素/エネルギー源の利用または環境ストレス(例えば、温度、pH)への菌株の適応を増すために適用され、それにより、炭素基質を用いてまたはストレス下で増殖する能力がより高い突然変異菌株は、集団内の適応性がより低い菌株を打ち負かすことになり、最終的には集団を支配するようになる。
この同じ方法を、栄養要求体を作製することにより任意の必須代謝物に拡大することができる。栄養要求体は、必須代謝物を合成することができない菌株であり、したがって、増殖のために培地に供給された代謝物を有さなければならない。栄養要求体を作製し、代謝物の量を減少させながらそれを継代させことによるこのシナリオで得られる優性菌株は、この必須代謝物または生体分子を獲得する能力および組み込む能力がより高いはずである。
例えば、特定の代謝物または生体分子を産生するための生合成経路が破壊された場合、ALEによって前記代謝物または生体分子の高親和性捕捉が可能な菌株に進化させることができる。まず、増殖を支持するための最小濃度が確立されるまで様々な濃度の栄養要求性アミノ酸または代謝物中で菌株を増殖させる。次いで、菌株をその濃度で継代させ、定期的な間隔で希釈して漸減代謝物または生体分子濃度にする。時が経つにつれて、代謝物または生体分子について−増殖制限濃度で−最も競争力の高い細胞が集団を支配するようになる。これらの菌株は、必須の制限代謝物または生体分子を移入する能力が増大する結果となる、それらの代謝物−輸送体における突然変異を有する可能性が高いであろう。
同様に、特定の代謝物または生体分子を形成するために上流に代謝物を用いることができない栄養要求体を用いることにより、菌株を、上流の代謝物をより効率的に移入することができるばかりでなく、代謝物を必須の下流代謝物に変換することもできるものに進化させることができる。これらの菌株は、上流の代謝物の移入を増加させるために突然変異を進化させることにもなるが、下流の酵素の発現または反応速度を上昇させる突然変異、または競合的基質利用経路を低減する突然変異も含有し得る。
微小生物に固有の代謝物は、その内因性代謝物の増殖制限性補給で作動される突然変異的栄養要求性および選択により必須のものにされ得る。しかし、非天然化合物を消費することができる表現型を、それらの消費を必須化合物の産生に結びつけることにより、進化させることができる。例えば、必須化合物または必須化合物の前駆体を産生することができる異なる生物からの遺伝子を単離した場合、この遺伝子を異種宿主に組換え導入し、その異種宿主において発現させることができる。この新たな宿主菌株には以前は代謝できなかった基質から必須栄養素を合成する能力が今ではあることになる。
これにより、直ぐ下流の代謝物を変換することができない栄養要求体を作出し、組換え酵素の同時発現を用いて増殖制限量の非天然化合物中で選択することにより、同様のALE方法を適用することができる。この結果、非天然基質の輸送、異種酵素の発現および活性、ならびに下流の天然酵素の発現および活性における突然変異が生じることになる。強調すべきは、この方法における肝要な要件が、非天然代謝物の消費を増殖に必須の代謝物の産生に結びつけることができることであるということである。
選択機構の基礎を確立し、最小補給レベルを確定したら、実際のALE実験に取りかかることができる。この方法を通して、いくつかのパラメーターを注意深くモニターしなければならない。重要なのは、培養物を指数増殖期で維持し、飽和/定常期に到達させないことである。これは、各継代中に増殖速度をチェックし、そしてそれに合うようにその後の希釈度を調整しなければならないことを意味する。希釈度が大きくなるような程まで増殖速度が向上した場合には、増殖速度が緩徐化され、選択圧が増大され、希釈度が継代中の亜集団を重度に偏らせるほど過酷なものにならないように、栄養要求体補給の濃度を低下させるべきである。加えて、定期的な間隔で、細胞を希釈し、固形培地で増殖させ、個々のクローンを試験してALE培養物で観察された増殖速度表現型を確認すべきである。
中断するタイミングを予測して、ALE実験の停止にも警戒する必要がある。進化を方向づけることの成功は、実験を通して「スクリーニングされる」突然変異の数に直接関係しており、突然変異は、一般に、DNA複製中のエラーの関数であるので、累積細胞分裂数(CCD)は、スクリーニングされた全突然変異体数の代わりとして動作する。以前の研究により、異なる炭素源を用いる増殖に有益な表現型を約1011.2CCD1で単離することができることが示された。この速度は、DNA複製エラー増加を引き起こす−N−メチル−N−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)などの−化学的突然変異誘発要因の培地への添加により、加速させることができる。しかし、連続継代の結果、増殖速度の向上がほとんどまたは全くなくなると、集団は、最大適応度に収束し、ALE実験は中断され得る。
ALE実験の終わりに、細胞を希釈し、固形培地上で単離し、培養フラスコのものにマッチする増殖表現型についてアッセイするべきである。次いで、選択されたものから最も性能のよいものがゲノムDNA用に調製され、全ゲノム配列決定に送られる。配列決定は、向上した表現型をもたらすことができるゲノムの周囲に存在する突然変異を明らかにすることになるが、サイレント突然変異(恩恵をもたらさないが、所望の表現型を損なわないもの)も含有することになる。NTGまたは他の化学的突然変異誘発要因の存在下で進化させた培養物には、それよりサイレント性が有意に高いバックグラウンド突然変異が存在することになる。その現状で最も性能の良い菌株に納得がいけば、使用者は、その菌株での応用に進むことができる。そうでなければ、ゲノム操作技術により親菌株に突然変異を再導入することにより、進化菌株から寄与突然変異をデコンボリュートすることができる。例えば、Lee,D.−H.、Feist,A.M.、Barrett,C.L.およびPalsson,B.OE.、Cumulative Number of Cell Divisions as a Meaningful Timescale for Adaptive Laboratory Evolution of Escherichia coli.、PLoS ONE 6、e26172(2011年)を参照されたい。
同様の方法を用いて、プロピオネートおよびまたはその代謝物のうちの1つもしくは複数を消費または移入する、大腸菌ニッスル突然変異体を作製することができる。
医薬組成物および製剤
本明細書に記載の遺伝子操作細菌を含む医薬組成物は、プロピオネート異化に関連する障害を治療、管理、改善および/または予防するために用いることができる。1つまたは複数の遺伝子操作細菌を、単独でまたは予防薬、治療薬および/または薬学的に許容される担体と一緒に含む医薬組成物を提供する。
特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の遺伝子改変を含むように、例えば、少なくとも1つのプロピオネート異化遺伝子または遺伝子カセットを発現するように、操作されている細菌の1つの種、菌株または亜型を含む。代替実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の遺伝子改変を含むように、例えば、少なくとも1つのプロピオネート異化遺伝子または遺伝子カセットを発現するように、各々が操作されている細菌の2つまたはそれ以上の種、菌株および/または亜型を含む。
本明細書に記載の医薬組成物は、有効成分を医薬用組成物に加工することを促進する、賦形剤および助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容される担体を用いて通常の方法で製剤化することができる。医薬組成物を製剤化する方法は、当技術分野で公知である(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PA参照)。いくつかの実施形態では、医薬組成物を打錠、凍結乾燥、直接圧縮、常法による混合、溶解、造粒、研和、乳化、カプセル封入、封入または噴霧乾燥にかけて、腸溶コーティングを施しても非被覆であってもよい、錠剤、顆粒剤、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセル、微小錠剤、ペレット剤または散剤を形成する。適切な製剤は、投与経路に依存する。
本明細書に記載の遺伝子操作細菌は、任意の適切な剤形(例えば、液剤、カプセル剤、サシェ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、錠剤、腸溶性錠剤、懸濁散剤、顆粒剤または経口投与用のマトリックス持続放出製剤)の、および任意の適切な種類の投与(例えば、経口、局所、注射、即時放出、拍動性放出、遅延放出または持続放出)用の医薬組成物に製剤化することができる。遺伝子操作細菌の適切な投与量は、約10〜1012細菌、例えば、約10細菌、約10細菌、約10細菌、約10細菌、約10細菌、約1010細菌、約1011細菌または約1011細菌の範囲であり得る。組成物は、1日、週または月1回もしくは複数回投与することができる。
組成物は、食事の前、食事中または後に投与することができる。一実施形態では、対象が食事をとる前に医薬組成物を投与する。一実施形態では、医薬組成物を食事と同時に投与する。一実施形態では、対象が食事をとった後に医薬組成物を投与する。
遺伝子操作細菌は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、粘稠化剤、希釈剤、緩衝液、緩衝剤、界面活性剤、中性もしくは陽イオン性脂質、脂質複合体、リポソーム、浸透促進剤、担体化合物および他の薬学的に許容される担体または物質を含む医薬組成物に製剤化することができる。例えば、医薬組成物は、重炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、様々な糖および種類のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコールならびに例えば、ポリソルベート20を含む表面活性剤の添加を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、重炭酸ナトリウムの溶液、例えば、重炭酸ナトリウムの1モル溶液(例えば、胃などの、酸性細胞環境を緩衝するために)に製剤化することができる。遺伝子操作細菌は、中性または塩の形態として投与すること、かつ製剤化することができる。薬学的に許容される塩は、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等に由来するものなどの陰イオンとで形成されるものならびにナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等に由来するものなどの陽イオンとで形成されるものを含む。本明細書で開示した遺伝子操作細菌は、軟膏剤、クリーム剤、経皮貼付剤、ローション剤、ゲル剤、シャンプー、噴霧剤、エアゾール剤、液剤、乳剤の形態でまたは当業者に周知の他の形態で局所投与すること、かつ製剤化することができる。例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PAを参照されたい。一実施形態では、非噴霧用局所剤形については、局所適用に適合性であり、水より大きい動粘度を有する担体または1つもしくは複数の賦形剤を含む粘稠から半固体または固体剤形が用いられる。適切な製剤は、滅菌することができるまたは様々な特性、例えば、浸透圧に影響を及ぼすための補助剤(例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、緩衝剤または塩)と混合することができる、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、散剤、塗布剤、軟膏剤等を含むが、これらに限定されない。他の適切な局所剤形は、有効成分が固体または液体不活性担体と一緒に加圧揮発性物質(例えば、フレオンなどのガス状噴射剤)との混合物でまたはスクィーズボトルに包装されている噴霧用エアゾール製剤を含む。保湿剤または湿潤剤も医薬組成物および製剤に加えることができる。そのような付加的な成分の例は、当技術分野で周知である。一実施形態では、操作された細菌を含む医薬組成物は、衛生用品として製剤化することができる。例えば、衛生用品は、抗菌製剤または発酵ブロスなどの発酵製品であり得る。衛生用品は、例えば、シャンプー、コンディショナー、クリーム、パスタ、ローションおよびリップクリームであり得る。
本明細書で開示した遺伝子操作細菌は、経口投与することができ、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁剤等として製剤化することができる。経口用医薬組成物は、固体賦形剤を用い、得られた混合物を場合によって粉砕し、所望の場合、適切な補助剤を加えた後に、顆粒剤の混合物を処理して、錠剤または糖衣錠コアを製造することができる。適切な賦形剤は、ラクトース、スクロース、マンニトールもしくはソルビトールを含む糖などの増量剤;トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボメチルセルロースナトリウムなどのセルロース組成物;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの生理学的に許容されるポリマーを含むが、これらに限定されない。架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤も加えることもできる。
錠剤またはカプセル剤は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、スクロース、グルコース、ソルビトール、デンプン、ゴム、カオリンおよびトラガント);増量剤(例えば、ラクトース、結晶セルロースもしくはリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、ステアリン酸、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプン、安息香酸ナトリウム、L−ロイシン、ステアリン酸マグネシウム、タルクもしくはシリカ);崩壊剤(例えば、デンプン、ジャガイモデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、糖、セルロース誘導体、シリカ粉末);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容される賦形剤を用いて通常の手段により調製することができる。錠剤は、当技術分野で周知の方法により被覆することができる。コーティングシェルが存在していてもよく、一般的な膜は、ポリラクチド、ポリグリコール酸、ポリ無水物、他の生分解性ポリマー、アルギネート−ポリリシン−アルギネート(APA)、アルギネート−ポリメチレン−co−グアニジン−アルギネート(A−PMCG−A)、ヒドロキシメチルアクリレート−メチルアクリレート(HEMA−MMA)、多層HEMA−MMA−MAA、ポリアクリロニトリル塩化ビニル(PAN−PVC)、アクリロニトリル/メチルスルホン酸ナトリウム(AN−69)、ポリエチレングリコール/ポリペンタメチルシクロペンタシロキサン/ポリジメチルシロキサン(PEG/PD5/PDMS)、ポリN,N−ジメチルアクリルアミド(PDMAAm)、珪質カプセル化物、硫酸セルロース/アルギン酸ナトリウム/ポリメチレン−co−グアニジン(CS/A/PMCG)、酢酸フタル酸セルロース、アルギン酸ナトリウム、k−カラギーナン−ローカストビーンガムゲルビーズ、ゲラン−キサンタンビーズ、ポリ(ラクチド−−coグリコリド)、カラギーナン、デンプンポリ無水物、デンプンポリメタクリレート、ポリアミノ酸および腸溶コーティングポリマーを含むが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、消化管または消化管の特定の領域、例えば、大腸内への放出のために腸溶コーティングを施す。胃から結腸までの一般的なpHプロファイルは、約1〜4(胃)、5.5〜6(十二指腸)、7.3〜8.0(回腸)および5.5〜6.5(結腸)である。一部の疾患では、pHプロファイルを修正することができる。いくつかの実施形態では、コーティングは、放出部位を規定するために特定のpH環境において分解する。いくつかの実施形態では、少なくとも2種のコーティングを用いる。いくつかの実施形態では、外側コーティングおよび内側コーティングが異なるpHレベルで分解する。
いくつかの実施形態では、腸溶コーティング材料を、1つまたは複数のコーティング層(例えば、外、内および/または中間コーティング層)において用いることができる。腸溶コーティング用ポリマーは、低pHでは非イオン化状態のままであり、したがって不溶性のままである。しかし、胃腸管内でpHが上昇すると、酸性官能基はイオン化することができ、ポリマーは腸液に膨潤するか、または可溶性になる。
腸溶コーティングに用いられる材料は、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ポリ(メタクリル酸−co−メタクリル酸メチル)、酢酸トリメリット酸セルロース(ACT)、ポリ(酢酸フタル酸ビニル)(PVAP)およびフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、脂肪酸、ろう、セラック(アロイリチン酸のエステル)、プラスチックおよび植物繊維を含む。加えて、ゼイン、アクア・ゼイン(アルコールを含有しない水性ゼイン製剤)、アミロースデンプンおよびデンプン誘導体、ならびにデキストラン(例えば、マルトデキストラン)も用いられる。他の公知の腸溶コーティングは、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸アミロース、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸エチル、およびメタクリル酸メチルを含む。
コーティングポリマーは、フタレート誘導体、CAT、HPMCAS、ポリアクリル酸誘導体、アクリル酸と少なくとも1つのアクリル酸エステルとを含むコポリマー、Eudragit(商標)S(ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2);Eudragit L100(商標)S(ポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1);Eudragit L30D(商標)、(ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1);および(Eudragit L100−55)(ポリ(メタクリル酸、アクリル酸エチル)1:1)(Eudragit(商標)Lは、メタクリル酸およびメタクリル酸メチルエステルから合成されたアニオン性ポリマーである)、アクリル酸およびアクリル酸エステルコポリマーとブレンドされたポリメタクリル酸メチル、アルギン酸、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、カリウム、マグネシウムもしくはカルシウム、酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル30D(水中の30%分散体)、ポリ(アクリル酸ジメチルアミノエチル)を含む中性メタクリル酸エステル(「Eudragit E(商標)」)、メタクリル酸メチルおよびアクリル酸エチルとメタクリル酸トリメチルアンモニオエチルクロリドとのコポリマー、メタクリル酸メチルとアクリル酸エチルのコポリマー、ゼイン、セラック、ゴムまたは多糖類のうちの1つまたは複数、あるいはそれらの組合せも含み得る。
コーティング層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース(HPEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース(HPEC)、ヒドロキシメチルプロピルセルロース(HMPC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)(エツロース)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシメチルエチルセルロース(HMEC)、プロピルヒドロキシエチルセルロース(PHEC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース(NEXTON)、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース(CMHEC)、メチルセルロース、エチルセルロース、水溶性酢酸ビニルコポリマー、ゴム、多糖類、例えば、アルギン酸およびアルギン酸塩、例えば、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、炭水化物の酸フタレート、酢酸フタル酸アミロース、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、フタル酸セルロースエステル、フタル酸セルロースエーテル、フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース(HPCP)、フタル酸ヒドロキシプロピルエチルセルロース(HPECP)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、を含有するポリマーも含み得る。
経口投与用の液体製剤は、液剤、シロップ剤、懸濁剤または使用前に水もしくは他の適切な媒体で構成するための乾燥製剤の形態をとり得る。そのような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム);非水性媒体(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分別植物油);および保存剤(例えば、メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)などの薬学的に許容される物質を用いて通常の手段により調製することができる。製剤は、適宜、緩衝塩類、着香料、着色剤および甘味料も含み得る。経口投与用の製剤は、本明細書に記載の遺伝子操作細菌の徐放、制御放出または持続放出用に適切に製剤化することができる。
一実施形態では、本開示の遺伝子操作細菌は、小児対象への投与に適する組成物に製剤化することができる。当技術分野において周知であるように、小児は、異なる胃排出速度、pH、消化管透過性等を含む多くの面で、成人と異なる(Ivanovskaら、Pediatrics、134巻(2号):361〜372頁、2014年)。さらに、投与経路および味覚特性などの、小児用製剤の受容性および好みは、容認できる小児のコンプライアンスを達成するために重要である。したがって、一実施形態では、小児対象への投与に適する組成物は、飲み込み易い若しくは溶ける剤形、または添加着香料、甘味料もしくは味覚ブロッカーを含む組成物などの、より味の良い組成物を含み得る。一実施形態では、小児対象への投与に適する組成物は、成人への投与に適するものでもあり得る。
一実施形態では、小児対象への投与に適する組成物は、液剤、シロップ剤、懸濁剤、エリキシル剤、懸濁剤もしくは液剤として再構成するための散剤、分散/発泡錠、咀嚼錠剤、グミキャンディー、ロリポップ、フリーザーポップ、トローチ剤、チューインガム、経口薄型ストリップ、口内崩壊錠剤、サシェ剤、軟ゼラチンカプセル剤、振りかけ経口散剤、または顆粒剤を含み得る。一実施形態では、組成物は、キャンディーに弾性、所望の噛みごたえのある堅さおよびより長い貯蔵寿命を与える、ゼラチン基剤から製造されるグミキャンディーである。いくつかの実施形態では、グミキャンディーは、甘味料または着香料も含み得る。
一実施形態では、小児対象への投与に適する組成物は、着香料を含み得る。本明細書で使用する場合、「着香料」は、製剤に明白な風味および芳香をもたらす物質(液体または固体)である。着香料は、製剤の食味を改善する助けともなる。着香料は、イチゴ、バニラ、レモン、ブドウ、風船ガムおよびチェリーを含むが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、遺伝子操作細菌は、例えば、不活性希釈剤または同化可食性担体とともに経口投与することができる。この化合物は、硬もしくは軟シェルゼラチンカプセルに封入、錠剤に圧縮、または対象の食事に直接混入することもできる。経口治療投与のために、化合物は、賦形剤とともに組込み、摂食できる錠剤、口腔錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハースなどの形態で用いることができる。非経口投与以外により化合物を投与するためには、その不活性化を防ぐための材料で化合物を被覆すること、またはそれ共に化合物を同時投与することが必要であり得る。
他の実施形態では、操作された細菌を含む医薬組成物は、摂食可能な製品、例えば、食品であり得る。一実施形態では、食品は、乳、濃縮乳、発酵乳(ヨーグルト、酸乳、フローズンヨーグルト、乳酸菌発酵飲料)、粉乳、アイスクリーム、クリームチーズ、ドライチーズ、豆乳、発酵豆乳、野菜果実ジュース、果実ジュース、スポーツ飲料、菓子類、砂糖菓子、乳児食(乳児用ケーキなど)、栄養食品、動物飼料または栄養補助食品である。一実施形態では、食品は、発酵乳製品などの、発酵食品である。一実施形態では、発酵乳製品は、ヨーグルトである。他の実施形態では、発酵乳製品は、チーズ、乳、クリーム、アイスクリーム、ミルクセーキまたはケフィアである。他の実施形態では、遺伝子操作細菌は、プロバイオティクスとして機能することを意図する他の生菌細胞を含む製剤に組み込む。他の実施形態では、食品は、飲料である。一実施形態では、飲料は、果実ジュースベースの飲料または植物もしくはハーブエキスを含む飲料である。他の実施形態では、食品は、ゼリーまたはプリンである。操作された細菌の投与に適する他の食品は、当技術分野において周知である。例えば、それぞれの内容が参照により本明細書に明確に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0359894号および米国特許出願公開第2015/0238545号を参照されたい。他の実施形態では、医薬組成物は、パン、ヨーグルトまたはチーズなどの、食品に注入、噴霧、または振りかける。
いくつかの実施形態では、組成物は、腸溶コーティングを施したまたは非被覆の、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセルまたは微小錠剤による、腸内投与、空腸内投与、十二指腸内投与、回腸内投与、胃シャント投与または結腸内投与用に製剤化する。医薬組成物は、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤を用いた、坐剤または停留かん腸剤などの直腸組成物に製剤化することもできる。組成物は、油性または水性媒体中懸濁剤、液剤または乳剤であってよく、懸濁化、安定化および/または分散剤を含み得る。
本明細書に記載の遺伝子操作細菌は、エアゾールの形態、噴霧剤、ミストまたは滴剤の形態に製剤化して鼻腔内に投与し、また適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガス)を用いることにより、加圧パックまたはネブライザーからエアゾール噴霧剤の形態で好都合に送達することができる。加圧エアゾールの投与単位は、定量を送出するために弁を備えることによって決定することができる。吸入器または吹送器に用いるカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンの)は、ラクトースまたはデンプンなどの化合物の粉末混合物および適切な粉末基剤を含むものを製剤化することができる。
遺伝子操作細菌は、デポ製剤として投与し、製剤化することができる。そのような長時間作用性製剤は、埋め込みにより、または静脈内注射、皮下注射、局所注射、直接注射を含む注射、もしくは注入により投与することができる。組成物は、例えば、適切なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中乳剤として)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいはわずかに溶ける誘導体として(例えば、わずかに溶ける塩として)製剤化することができる。
いくつかの実施形態では、単一剤形の、薬学的に許容される組成物を本明細書で開示する。単一剤形は、液体または固形であり得る。単一剤形は、変更なしに患者に直接投与することができ、または投与前に希釈もしくは再構成することができる。特定の実施形態では、単一剤形は、ボーラス型で、例えば、単回注射で、複数の錠剤、カプセル剤、丸剤等を含む経口投与を含む、単回経口投与で投与することができる。代替実施形態では、単一剤形は、例えば、注入により、一定の時間にわたって投与することができる。
医薬組成物の単一剤形は、医薬組成物を、より小さい分割量、一回量容器、一回量液体製剤、または腸溶コーティングを施しても非被覆であってもよい、錠剤、顆粒剤、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセル、微小錠剤、ペレット剤もしくは散剤などの、一回量固形製剤に分割することによって用意することができる。固形製剤の一回量は、患者への投与前に液体、一般的に滅菌水または生理食塩水を加えることにより再構成することができる。
他の実施形態では、組成物は、制御放出または持続放出システムで送達することができる。一実施形態では、ポンプを用いて、本開示の治療薬の制御または持続放出を達成することができる(例えば、米国特許第5,989,463号参照)。持続放出製剤に用いられるポリマーの例は、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン−co−酢酸ビニル)、ポリメタクルリル酸、ポリグリコリド(PLG)、ポリ酸無水物、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)、ポリオルトエステルを含むが、これらに限定されない。持続放出製剤に用いられるポリマーは、不活性で、浸出性不純物を含まず、保存で安定で、滅菌で、生分解性であり得る。いくつかの実施形態では、制御または持続放出システムは、予防および治療標的の近くに配置することができ、したがって、全身投与量の一部を必要とするにすぎない。当業者に公知の任意の適切な技術を用いることができる。
投与計画は、治療反応をもたらすように調節することができる。投与は、疾患の重症度および反応性、投与経路、治療の時間経過(数日から数カ月、さらには数年)ならびに疾患の改善までの時間などのいくつかの因子に依存し得る。例えば、単回ボーラスは、1回で投与することができ、いくつかの分割量を所定の期間にわたって投与することができ、あるいは治療状況によって示される通りに減量または増量することができる。用量の明細は、活性化合物の固有の特性および達成されるべき特定の治療効果によって決定づけられる。投与量は、緩和されるべき状態の種類および重症度によって異なり得る。個別の対象について、個々の必要および担当臨床医の専門的判断に従って具体的な投与計画を長期にわたって調節することができる。本明細書で示す化合物の毒性および治療有効性は、細胞培養または動物モデルにおける標準的な薬学的方法により判断することができる。例えば、LD50、ED50、EC50およびIC50を決定することができ、毒性および治療効果の間の用量比(LD50/ED50)を治療指数として計算することができる。毒性副作用を示す組成物は、副作用を低減するために起こり得る被害を最小限にする注意深い修正を加えて用いることができる。投与は、最初に細胞培養アッセイおよび動物モデルから推定することができる。in vitroおよびin vivoアッセイならびに動物試験から得られるデータは、ヒトに用いる一連の用量を策定するのに用いることができる。成分は、例えば、活性薬剤の量を示したアンプルまたはサシェなどの密閉容器に入れた乾燥凍結乾燥粉末または水不含有濃縮物として、単位剤形で別個にまたは一緒に混合して供給される。投与方法が注射による場合、投与前に成分を混合することができるように、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルを用意することができる。
医薬組成物は、薬剤の量を示すアンプルまたはサシェなどの密閉容器に包装することができる。一実施形態では、医薬組成物のうちの1つまたは複数を密閉容器に入れた乾燥滅菌凍結乾燥粉末または水不含有濃縮物として供給し、対象への投与に適切な濃度に再構成することができる(例えば、水または生理食塩水で)。一実施形態では、予防もしくは治療薬または医薬組成物のうちの1つまたは複数を2℃〜8℃で保存された密閉容器に入れた乾燥滅菌凍結乾燥粉末として供給し、再構成した後1時間以内、3時間以内、5時間以内、6時間以内、12時間以内、24時間以内、48時間以内、72時間以内または1週間以内に投与する。凍結乾燥剤形について主として0〜10%スクロース(最適には0.5〜1.0%)などの凍結防止剤を含めることができる。他の適切な凍結防止剤は、トレハロースおよびラクトースを含む。他の適切な充填剤は、いずれかを0〜0.05%の濃度で含めることができる、グリシンおよびアルギニン、ならびにポリソルベート80(0.005〜0.01%の濃度で任意選択で含める)を含む。さらなる界面活性剤は、ポリソルベート20およびBRIJ界面活性剤を含むが、これらに限定されない。医薬組成物は、注射用容器として調製することができ、吸収または分散を高めるために用いられるもの、例えば、ヒアルロニダーゼなどの佐剤として有用な物質をさらに含み得る。
治療の方法
本開示の他の態様は、対象におけるプロピオネートの異化に関連する疾患、または対象におけるプロピオネートの異化に関連する前記疾患に関連する症状(複数可)を治療する方法を提供する。一実施形態では、プロピオネートの異化を伴う障害は、プロピオネートの異常な異化を伴う代謝性障害である。プロピオネートの異常な異化に関連する代謝性疾患は、プロピオン酸血症(PA)およびメチルマロン酸血症(MMA)はもちろん、重度ビタミンB12栄養障害も含む。一実施形態では、プロピオネートの異常な異化に関連する疾患は、プロピオン酸血症である。一実施形態では、プロピオネートの異常な異化に関連する疾患は、メチルマロン酸血症である。他の実施形態では、プロピオネートの異常な異化に関連する疾患は、ビタミンB12欠損症である。
一実施形態では、疾患は、プロピオン酸血症である。プロピオン酸血症は、プロピオニル−CoAカルボキシラーゼ欠損症、PROP、PCC欠損症、ケトーシス型高グリシン血症、ケトーシス型グリシン血症、ならびにケトアシドーシスおよび白血球減少症を伴う高グリシン血症としても公知であり、プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC;EC 6.4.1.3)の活性低下により引き起こされる常染色体劣性障害である。PCCは、プロピオニルCoAのメチルマロニルCoAへの変換に関与する。PAを有する患者は、プロピオニルCoAを適切にプロセッシングすることができず、これは、血液、脳脊髄液および組織中へのプロピオニルCoAおよびプロピオン酸の毒性蓄積につながり得る。疾患の臨床症状は、酵素欠損度に依存して様々であり、発作、嘔吐、嗜眠、筋緊張低下、脳症、発育遅延、成長障害、および続発性高アンモニア血症を含む(Deodatoら、Methylmalonic and propionic aciduria、Am.J.Med.Genet.C.Semin.Med.Genet、142巻(2号):104〜112頁、2006年)。
プロピオニルCoAカルボキシラーゼ(PCC)は、アルファおよびベータサブユニットからなる十二量体酵素である。PCCのアルファサブユニット(PCCAとも呼ばれる;NM_000282)は、ビオチンカルボキシラーゼおよびビオチンカルボキシルキャリアータンパク質ドメインを含み、その一方でベータサブユニット(PCCBとも呼ばれる;NM_000532)は、カルボキシルトランスフェラーゼ活性を有する(Diacovichら、Biochemistry、43巻(44号):14027〜14036頁、2004年)。PPCAまたはPCCB遺伝子のいずれかにおける突然変異は、プロピオン酸血症の発生につながることがあり、PCCAまたはPCCBをコードする遺伝子における24より多くの突然変異が同定されており(Perezら、Mol.Genet Metabol.、78巻(1号):59〜67頁、2003年)、そのような突然変異には、ミスセンス突然変異、ナンセンス突然変異、スプライシングに影響するエクソンの点突然変異、スプライシング突然変異、挿入および欠失が含まれる。
一実施形態では、疾患は、メチルマロン酸血症である。メチルマロン酸血症は、メチルマロン酸尿症またはメチルマロン酸血症単独型としても公知であり、いくつかの遺伝子:MUT(OMIM 251000)、MMAA(OMIM 251100)、MMAB(OMIM 251110)、MMACHC(OMIM 27740)、MMADHC(OMIM 277410)、またはLMBRD1(OMIM 277380)のうちの1つの活性低下により引き起こされる常染色体劣性障害である。しかし、メチルマロン酸血症を有する対象の60パーセントより多くが、メチルマロニルCoAムターゼ(MUT)遺伝子における突然変異を有する。MUTは、メチルマロニルCoAのスクシニルCoAへの変換に関与するものであり、機能するためにビタミンB12由来補欠分子族であるアデノシルコバラミン(AdoCb1としても公知)を必要とする。ミトコンドリアに侵入すると、MUTのN末端におけるミトコンドリアリーダー配列が切断され、次いでMUT単量体が会合してホモ二量体になる。メチルマロン酸尿症A型タンパク質、ミトコンドリア性(MMAAとしても公知)は、MUTへのAdoCb1の担持を助ける。同様に、コビリン酸(I)a,c−ジアミドアデノシルトランスフェラーゼ、ミトコンドリア性(MMAB)は、ビタミンB12のアデノシルコバラミン(AdoCb1)への変換の最終ステップを触媒する酵素である。メチルマロン酸尿症およびホモシスチン尿症C型タンパク質、ミトコンドリア性(MMACHCとしても公知)、ならびにメチルマロン酸尿症およびホモシスチン尿症D型タンパク質、ミトコンドリア性(MMADHCとしても公知)は、ビタミンB12(コバラミン)合成にも関与するミトコンドリアタンパク質をコードする。
MMAを有する患者は、メチルマロニルCoAを適切にプロセッシングすることができず、これは、血液、脳脊髄液および組織中へのメチルマロニルCoAおよびメチルマロン酸の毒性蓄積につながり得る。疾患の臨床症状は、酵素欠損度に依存して様々であり、発作、嘔吐、嗜眠、筋緊張低下、脳症、発育遅延、成長障害、続発性高アンモニア血症を含む(Deodatoら、Methylmalonic and propionic aciduria、Am.J.Med.Genet.C.Semin.Med.Genet、142巻(2号):104〜112頁、2006年)。
アミノ酸を適切に完全に破壊することができないため、プロピオネートの異化に関連する疾患を有する患者は、様々な副産物分子を彼らの血液および尿中に蓄積する(Carrillo−CarrascoおよびVenditti、Gene Reviews.Seattle(WA):University of Washington、Seattle; 1993〜2015年)。これらの副産物分子の異常なレベルは、障害を診断するための主要診断基準として用いられる(例えば、表11参照)。
Figure 2018521674
診断およびマーカーに有用な検出可能な尿中有機酸は、N−プロピオニルグリシン、N−チグリルグリシン、2−メチル−3−オキソ吉草酸、3−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−メチル−3−オキソ酪酸、3−ヒドロキシ−n−吉草酸、3−オキソ−n−吉草酸を含むが、これらに限定されない。
プロピオン酸血症およびメチルマロン酸血症の現在利用可能な治療は、疾患の長期管理には不十分であり、厳しい制限を有する(Liら、Liver Transplantation、2015年)。微量栄養素およびビタミンの補給を必要に応じて用いる低タンパク質食は、PAおよびMMAの広く受け入れられてる長期疾患管理戦略である(Liら、2015年)。しかし、タンパク質摂取制限は、大いに問題があり、有意な罹患率をもたらし得る。適正なモニタリングおよび患者コンプライアンスがあったとしても、タンパク質食制限に起因する知能障害発生率および死亡率は高い(Liら、2015年)。さらなる非外科的慢性管理計画は、Lカルニチン投与、抗生物質(メトロニダゾール)、選ばれたMMA応答性患者(cblA>cblB>mut(−))に対するビタミンB12、およびアミノ酸食事献立(イソロイシン/バリン、グルタミン、アラニン補給)、および透析を含む。さらに、PAおよびMMAの少数の症例は、肝臓移植(Liら、2015年)、腎臓移植、または肝腎複合移植により治療されている。しかし、ドナー臓器の限られた入手可能性、移植自体に付随する費用、および継続的な免疫抑制療法に随伴する望ましくない作用により、疾患の治療のための肝臓移植の実際の使用は制限される。したがって、PAおよびMMAの有効で、信頼でき、かつ/または長期の治療の重大な、満たされていない必要性がある。
本開示は、驚くべきことに、操作された細菌細胞を含む医薬組成物を用いてプロピオネートの異常な異化を伴う代謝性疾患、例えば、PAおよびMMAを治療することができるということを実証する。
一実施形態では、PAを有する対象は、PCCA遺伝子の突然変異を有する。他の実施形態では、PAを有する対象は、PCCB遺伝子の突然変異を有する。
一実施形態では、MMAを有する対象は、MUT遺伝子の突然変異を有する。他の実施形態では、MMAを有する対象は、MMAA遺伝子の突然変異を有する。他の実施形態では、MMAを有する対象は、MMAB遺伝子の突然変異を有する。他の実施形態では、MMAを有する対象は、MMACHC遺伝子の突然変異を有する。他の実施形態では、MMAを有する対象は、MMADHC遺伝子の突然変異を有する。他の実施形態では、MMAを有する対象は、LMBRD1遺伝子の突然変異を有する。
他の態様では、本開示は、対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロン酸CoAの血漿中レベルを低下させる方法であって、細菌細胞を含む医薬組成物を前記対象に投与することによって前記対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロン酸CoAの血漿中レベルを低下させることによる方法を提供する。一実施形態では、対象は、プロピオネートの異化を伴う疾患または障害を有する。一実施形態では、プロピオネートの異化を伴う障害は、プロピオネートの異常な異化を伴う代謝性障害である。他の実施形態では、プロピオネートの異化を伴う障害は、プロピオン酸血症である。他の実施形態では、プロピオネートの異化を伴う障害は、メチルマロン酸血症である。他の実施形態では、プロピオネートの異化を伴う障害は、ビタミンB12欠損症である。
いくつかの実施形態では、本開示は、これらの疾患に関連する1つまたは複数の症状を低減、改善または消失させる方法を提供し、前記症状は、発作、嘔吐、嗜眠、筋緊張低下、脳症、発育遅延、成長障害、肝不全、および/または続発性高アンモニア血症を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、疾患は、他の状態、例えば肝疾患、の二次的なものでもある。
特定の実施形態では、細菌細胞は、プロピオネートの異化に関連する疾患を治療するために、対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAを異化することができる。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、食事性タンパク質と同時に送達される。他の実施形態では、細菌細胞は、L−カルニチンと同時に送達される。いくつかの実施形態では、細菌細胞および食事性タンパク質は、絶食またはタンパク質制限ダイエットの期間後に送達される。これらの実施形態では、プロピオネートの異化を伴う障害、例えば、PAまたはMMAに罹患している患者は、実質的に普通の食事、または無タンパク質もしくは超低タンパク質食より制限の緩い食事を再開することができる。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、プロピオネートの異化に関連する疾患を治療するために、さらなる源、例えば血液、からのプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAを異化することができる。これらの実施形態では、細菌細胞を食事性タンパク質と同時に送達する必要がなく、勾配、例えば、血液から消化管への勾配が発生し、操作された細菌は、プロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAを異化し、プロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAの血漿中レベルを低下させる。
方法は、本明細書に記載の細菌の少なくとも1つの遺伝子操作種、菌株または亜型を含む医薬組成物を調製し、治療有効量の医薬組成物を対象に投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の遺伝子操作細菌は、経口投与、例えば、液体懸濁剤で経口投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、ゲルキャップ中で凍結乾燥し、経口投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、胃管または胃シャントにより投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、直腸に、例えば、かん腸剤により投与する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、局所、腸内、空腸内、十二指腸内、回腸内および/または結腸内投与する。
特定の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物を投与して、対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルを低下させる。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルを少なくとも約10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上低下させる。他の実施形態では、本開示の方法は、対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAのレベルを少なくとも2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、または10分の1に低下させる。いくつかの実施形態では、低下は、医薬組成物の投与前および後の対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルを比較することにより測定する。一実施形態では、対象の消化管内のプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルを低下させる。他の実施形態では、対象の血液中のプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルを低下させる。他の実施形態では、対象の血漿中のプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルを低下させる。他の実施形態では、対象の脳内のプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルを低下させる。
一実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物を投与して、対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルを正常レベルに低下させる。他の実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物を投与して、対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルを正常レベル未満に低下させる。
いくつかの実施形態では、プロピオネートの異化を伴う障害、例えば、PAまたはMMAを治療する方法は、状態または障害の1つまたは複数の症状が少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上改善することを可能にする。いくつかの実施形態では、プロピオネートの異化を伴う障害、例えば、PAまたはMMAを治療する方法は、状態または障害の1つまたは複数の症状が少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍改善することを可能にする。
医薬組成物の投与前、投与中および投与後に、対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルを、血液、血清、血漿、尿、腹水、脳脊髄液、糞便物質、腸粘膜剥離物などの生物学的試料、組織から採取した試料、ならびに/または胃、十二指腸、空腸、回腸、盲腸、結腸、直腸および肛門管のうちの1つもしくは複数の内容物から採取した試料において測定することができる。いくつかの実施形態では、方法は、プロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAのレベルを低下させるための、本開示の組成物の投与を含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAを検出できないレベルに低下させるための、本開示の組成物の投与を含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、対象におけるプロピオネート、プロピオニルCoA、および/もしくはメチルマロニルCoA濃度を、検出できないレベルに、または治療前の対象のプロピオネート、プロピオニルCoA、および/もしくはメチルマロニルCoAレベルの約1%、2%、5%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%もしくは95%未満に低下させるための、本開示の組成物の投与を含み得る。
いくつかの実施形態では、操作された細菌細胞は、哺乳動物消化管の低酸素環境などの外因性環境条件下でプロピオネート異化酵素を産生して、血液または血漿中のプロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAのレベルを、同じ条件下の同じ亜型の非改変細菌と比較して、少なくとも約1.5分の1、少なくとも約2分の1、少なくとも約3分の1、少なくとも約4分の1、少なくとも約5分の1、少なくとも約6分の1、少なくとも約7分の1、少なくとも約8分の1、少なくとも約9分の1、少なくとも約10分の1、少なくとも約15分の1、少なくとも約20分の1、少なくとも約30分の1、少なくとも約40分の1、または少なくとも約50分の1に低下させる。
特定の非改変細菌は、認識できるプロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAプロセッシングレベルを有さないことになる。これらの細菌の遺伝子改変形態を用いる実施形態では、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAのプロセッシングが外因性環境条件下で認識できることになる。
プロピオネート、プロピオニルCoA、および/またはメチルマロニルCoAレベルは、当技術分野で公知の方法、例えば、Guenzelら、2013年、Molecular Ther.、21巻(7号):1316〜1323頁に記載されているような採血および質量分析により測定することができる。いくつかの実施形態では、プロピオネート異化酵素、例えば、PrpBCDEの発現を当技術分野で公知の方法により測定する。他の実施形態では、プロピオネート異化酵素活性を当技術分野で公知の方法により測定して、PrpBCDE活性を評価する(上記プロピオネート異化酵素の節参照)。他の実施形態では、プロピオネート異化酵素活性を当技術分野で公知の方法により測定して、本明細書に記載のPHA経路回路の活性を評価する。他の実施形態では、プロピオネート異化酵素活性を当技術分野で公知の方法により測定して、本明細書に記載のMMCA回路の活性を評価する。
特定の実施形態では、遺伝子操作細菌は、大腸菌ニッスルである。遺伝子操作細菌は、例えば、消化管内もしくは血清中の防御因子により(Sonnenbornら、2009年)、または投与の数時間もしくは数日後にキルスイッチの活性化により、破壊され得る。それ故、操作された細菌を含む医薬組成物は、治療有効用量および頻度で再投与され得る。マウスにおいてin vivoでニッスルの滞留期間を決定することができる。代替実施形態では、遺伝子操作細菌は、投与後数時間または数日以内に殺滅されず、増殖し、消化管にコロニー形成し得る。
一実施形態では、細菌細胞を対象に1日1回投与する。他の実施形態では、細菌細胞を対象に1日2回投与する。他の実施形態では、細菌細胞を対象に1日3回投与する。他の実施形態では、細菌細胞を食事と併用で対象に投与する。他の実施形態では、細菌細胞を食事前に対象に投与する。他の実施形態では、細菌細胞を食事後に対象に投与する。医薬組成物の用量および投与頻度は、症状の重症度および障害の進行に基づいて選択することができる。適切な治療有効用量および/または投与頻度は、担当臨床医が選択することができる。
本明細書で開示する方法は、単独での、または1つもしくは複数の追加の治療、例えば、フェニルブチレート、チアミン補給、L−カルニチン、および/または低タンパク質食と併用での、組成物の投与を含み得る。医薬組成物は、単独で、または1つもしくは複数の追加の治療薬と併用で投与することができる。
1つもしくは複数の追加の治療薬の選択に際して考慮すべき重要な事柄は、薬剤(複数可)が細菌に適合すべきであること、例えば、薬剤(複数可)が細菌に干渉も殺滅もしてはならないことである。いくつかの実施形態では、医薬組成物を食物とともに投与する。代替実施形態では、食物を摂食する前または後に医薬組成物を投与する。医薬組成物を、1つまたは複数の食事改善、例えば、低タンパク質食およびアミノ酸補給と併用して投与することができる。医薬組成物の用量および投与頻度は、症状の重症度および障害の進行に基づいて選択することができる。適切な治療有効量および/または投与頻度は、担当臨床医が選択することができる。
方法は、組成物の投与前に対象から血漿試料を単離すること、および試料中のプロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAのレベルを決定することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、組成物の投与後に対象から血漿試料を単離すること、および試料中のプロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAのレベルを決定することをさらに含み得る。
一実施形態では、方法は、対象への組成物の投与後の対象からの血漿試料中のプロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAのレベルを、対象への組成物の投与前の対象からの血漿試料と比較することをさらに含む。一実施形態では、組成物の投与後の対象からの血漿試料中のプロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAのレベル低下は、プロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAの血漿中レベルが低下され、それにより対象におけるプロピオネートの異化を伴う障害が治療されることを示す。一実施形態では、プロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAの血漿中レベルは、医薬組成物の投与後の試料において、医薬組成物の投与前の試料における血漿中レベルと比較して少なくとも10%、20%、30%、40$、50%、60%、70%、80%、90%または100%低下される。他の実施形態では、プロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAの血漿中レベルは、医薬組成物の投与後の試料において、医薬組成物の投与前の試料における血漿中レベルと比較して少なくとも2分の1、3分の1、4分の1、または5分の1に低下される。
一実施形態では、方法は、組成物の投与後の対象からの血漿試料中のプロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAのレベルを、プロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAの対照レベルと比較することをさらに含む。
方法は、組成物の投与前に対象から血漿試料を単離すること、および試料中のプロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAのレベルを決定することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、組成物の投与後に対象から血漿試料を単離すること、および試料中のプロピオネート、プロピオニルCoAおよび/またはメチルマロニルCoAのレベルを決定することをさらに含み得る。
他の実施形態では、方法は、対象への組成物の投与後の対象からの血漿試料中のメチルシトレート、プロピオニルカルニチンおよび/もしくはアセチルカルニチンのレベル、ならびに/またはプロピオニルカルニチンのアセチルカルニチンに対する比を、対象への組成物の投与前の対象からの血漿試料と比較することをさらに含む。一実施形態では、組成物の投与後の対象からの血漿試料中のメチルシトレート、プロピオニルカルニチンおよび/もしくはアセチルカルニチンのレベル低下、ならび/またはプロピオニルカルニチンのアセチルカルニチンに対する比の低下は、メチルシトレート、プロピオニルカルニチン、および/またはアセチルカルニチンの血漿中レベルが低下されることににより対象におけるプロピオネートの異化を伴う障害が治療されることを示す。一実施形態では、メチルシトレート、プロピオニルカルニチンおよび/もしくはアセチルカルニチンの血漿中レベル、ならび/またはプロピオニルカルニチンのアセチルカルニチンに対する比は、医薬組成物の投与後の試料において、医薬組成物の投与前の試料における血漿中レベルと比較して少なくとも10%、20%、30%、40$、50%、60%、70%、80%、90%または100%低下される。他の実施形態では、メチルシトレート、プロピオニルカルニチンおよび/もしくはアセチルカルニチンの血漿中レベル、ならび/またはプロピオニルカルニチンのアセチルカルニチンに対する比は、医薬組成物の投与後の試料において、医薬組成物の投与前の試料における血漿中レベルと比較して少なくとも2分の1、3分の1、4分の1、または5分の1に低下される。
一実施形態では、方法は、組成物の投与後の対象からの血漿試料中のメチルシトレート、プロピオニルカルニチンおよび/もしくはアセチルカルニチンのレベル、ならび/またはプロピオニルカルニチンのアセチルカルニチンに対する比を、メチルシトレート、プロピオニルカルニチンおよび/またはアセチルカルニチンの対照レベルと比較することをさらに含む。
以下の実施例により本開示をさらに例証するが、以下の実施例をいかなる点においても限定とみなすべきではない。本出願の至る所で引用する、参照文献、発行特許および公開特許出願を含む、すべての引用参考文献の内容は、参照によって本明細書に明確に組み込まれる。本明細書に付属するすべての図および表の内容もまた参照によって本明細書に明確に組み込まれることをさらに理解されたい。
操作された細菌細胞の開発
プロピオネート異化酵素およびプロピオネート輸送体(prpBCDEオペロンおよびmtC遺伝子)をコードするプラスミドの構築
大腸菌ニッスル株からのprpBCDEオペロン(配列番号45)またはサルモネラ属からのprpBCDEオペロン(配列番号94)のいずれかを合成し(Genewiz)、Tetプロモーターに融合させ、Gibsonアセンブリにより高コピープラスミドpUC57−Kanにクローニングし、本明細書に記載の通りの大腸菌DH5αに形質転換させて、プラスミドpTet−prpBCDEを作製する。Tetプロモーターに融合したコリネバクテリウム属のmctC遺伝子(配列番号88)を合成し(Genewiz)、高コピープラスミドpUC57−Kanにクローニングして、プラスミドpTet−mctCを作製する。
特定の構築物では、prpBCDEオペロンをFNR応答性プロモーターに作動可能に連結し、それを強いリボソーム結合部位配列にさらに融合させてもよい。効率的な翻訳のために、オペロンにおける各合成遺伝子をT7プロモーター/翻訳開始部位に由来する15塩基対リボソーム結合部位により離隔した。各遺伝子カセットおよび調節領域構築物を高コピープラスミド、低コピープラスミド、または染色体上で発現させる。
特定の実施形態では、構築物を大腸菌ニッスルにおける細菌ゲノムの以下の挿入部位のうちの1つまたは複数に挿入する:malE/K、araC/BAD、lacZ、thyA、malP/T。任意の適切な挿入部位を用いることができる(例えば、図32を参照されたい)。挿入部位は、ゲノムにおけるどこであってよく、例えば、thyA(栄養要求体を作製するため)などの、生存および/または増殖に必要な遺伝子;ゲノム複製の部位の近傍などの、ゲノムの活性部分;および/またはアラビノースオペロンのAraBおよびAraC間などの、意図しない転写のリスクを低減するために多様なプロモーター間であってもよい。挿入の部位における、その挿入部位と相同であり、かつプロピオネート構築物と相同である、DNAプライマーを設計する。標的部位との相同性を有する構築物を含有する線状DNA断片をPCRにより作製し、ラムダレッド組換えを下で述べるように実施する。得られた大腸菌ニッスル細菌を、プロピオネート生合成カセットを発現してプロピオネートを産生するように遺伝子操作する。
プロピオネート異化酵素をコードするプラスミドの構築(PHA経路)
最初に、大腸菌ニッスルprpE遺伝子およびアシネトバクター属菌種RA3849からのphaBCA遺伝子を大腸菌ニッスルにおける発現のためにコドン最適化し、合成し、図10Cおよび図11に示すように、Golden Gateアセンブリによりコピー数約10のプラスミドp15A−Kanである高コピープラスミドの単一オペロンにおけるaTc誘導性プロモーターの制御下においた。対応する構築物配列を表12に収載する。
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プラスミドを本明細書に記載の通りの大腸菌DH5αに形質転換させてプラスミドpTet−prpE−PhaBCAを作製した。
特定の構築物では、prpE−PhaBCAオペロンをFNR応答性プロモーターに作動可能に連結し、それを強いリボソーム結合部位配列にさらに融合させてもよい。効率的な翻訳のために、20〜30bpリボソーム結合部位をオペロンにおける各合成遺伝子のために含めた。各遺伝子カセットおよび調節領域構築物を高コピープラスミド、低コピープラスミド、または染色体上で発現させる。
特定の実施形態では、構築物を大腸菌ニッスルにおける細菌ゲノムの以下の挿入部位のうちの1つまたは複数に挿入する:malE/K、araC/BAD、lacZ、thyA、malP/T。任意の適切な挿入部位を用いることができる(例えば、図32を参照されたい)。挿入部位は、ゲノムにおけるどこであってよく、例えば、thyA(栄養要求体を作製するため)などの、生存および/または増殖に必要な遺伝子;ゲノム複製の部位の近傍などの、ゲノムの活性部分;および/またはアラビノースオペロンのAraBおよびAraC間などの、意図しない転写のリスクを低減するために多様なプロモーター間であってもよい。挿入の部位における、挿入部位と相同であり、かつプロピオネート構築物と相同である、DNAプライマーを設計する。標的部位との相同性を有する構築物を含有する線状DNA断片をPCRにより作製し、ラムダレッド組換えを下で述べるように実施する。得られた大腸菌ニッスル細菌を、プロピオネート生合成カセットを発現してプロピオネートを産生するように遺伝子操作する。
プロピオネート異化酵素をコードするプラスミドの構築(MMCA経路)
メチルマロニル−CoA経路(MMCA)は、哺乳動物経路におけるものと同種の反応を行う。遺伝子accA(ストレプトマイセス・セリカラーに由来する)、pccB(ストレプトマイセス・セリカラーに由来する)、mmcE(プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒに由来する)、およびmutAB(プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒに由来する)を、大腸菌ニッスルにおける発現のためにコドン最適化した。2つの構築物を合成し、第1の構築物は、誘導性Ptetプロモーターの制御下のprpE、pccB、accA1を含むカセットを有し、第2の構築物は、第2の誘導性プロモーターであるParaの制御下のmmcEおよびmutABを含むカセットを有した(図15Cおよび図16Aおよび図16Bに示す通り)。
構築物をGolden Gateアセンブリによりプラスミドp15a−Kan(pTet−prpE−pccB−accA1)およびColE1−Amp(pAra−mmcE−mutAB)にクローニングし、本明細書に記載の通りの大腸菌DH5αに形質転換させた。MMCA経路回路の配列を図13に収載する。
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特定の構築物では、prpE pccB,−accA1およびmmcE−mutABカセットをFNR応答性プロモーターに作動可能に連結し、それを強いリボソーム結合部位配列にさらに融合させてもよい。効率的な翻訳のために、15塩基対リボソーム結合部位をオペロンにおける各合成遺伝子のために設計した。各遺伝子カセットおよび調節領域構築物を高コピープラスミド、低コピープラスミド、または染色体上で発現させる。
特定の実施形態では、構築物を大腸菌ニッスルにおける細菌ゲノムの以下の挿入部位のうちの1つまたは複数に挿入する:malE/K、araC/BAD、lacZ、thyA、malP/T。任意の適切な挿入部位を用いることができる(例えば、図32参照)。挿入部位は、ゲノム内のどこであってよく、例えば、thyA(栄養要求体を作製するために)などの、生存および/または増殖に必要な遺伝子;ゲノム複製部位の近傍などの、ゲノムの活性部分;および/またはアラビノースオペロンのAraBおよびAraC間などの、意図しない転写のリスクを低減するために多様なプロモーター間であってもよい。挿入の部位における、挿入部位と相同であり、かつプロピオネート構築物と相同である、DNAプライマーを設計する。標的部位との相同性を有する構築物を含有する線状DNA断片をPCRにより作製し、ラムダレッド組換えを下で述べるように実施する。得られた大腸菌ニッスル細菌を、プロピオネート生合成カセットを発現してプロピオネートを産生するように遺伝子操作する。
プロピオネートの輸送体および/またはプロピオネート異化酵素を含む、操作された細菌の作製
pTet−prpE−PhaBCAプラスミド(および本明細書に記載の他のプラスミド)を大腸菌ニッスル、DH5α、またはPIR1に形質転換させた。すべての管、溶液およびキュベットを4℃に予冷する。大腸菌(ニッスル、DH5αまたはPIR1)の一夜培養物を4mLのLBで1:100に希釈し、0.4〜0.6のOD600に達するまで増殖させる。次いで、1mLの培養物を1.5mL小遠心管で1分間、13,000rpmで遠心分離し、上清を除去する。次いで、細胞を予冷10%グリセロールで3回洗浄し、40uLの予冷10%グリセロールに再懸濁する。エレクトロポレーターを1.8kVに設定する。1uLのpTet−prpE−PhaBCAミニプレップを細胞に加え、ピペッティングすることによって混合し、滅菌し冷却した1mmキュベットにピペッティングする。乾燥キュベットを試料チャンバーに入れ、電気パルスを印加する。500uLの室温SOC培地を直ちに加え、混合物を培養管に移し、37℃で1時間インキュベートする。pTet−prpBCDEおよびpTet−mctCのための50ug/mLのカナマイシンが入っているLBプレート上に細胞を広げる。
代替実施形態では、pTet−prpE−PhaBCAカセットまたはpFNR−prpE−PhaBCAカセットを相同的組換えによりニッスルゲノムに挿入することができる(Genewiz、Cambridge、MA)。
合成したpTet−prpE−PhaBCAまたはpFNR−prpE−PhaBCAカセットを染色体に組み込むことができるベクターを作製するために、まず、Gibsonアセンブリを用いて、ニッスル遺伝子座、例えば、lacZ遺伝子座に相同のDNAの1000bp配列をR6K起源プラスミドpKD3に加えた。これは、ニッスルゲノムにおける遺伝子座、例えば、lacZ遺伝子座に組み込まれるこれらの相同性アーム間にクローニングされるDNAを標的とする。Gibsonアセンブリを用いて、これらのアーム間の断片をクローニングする。PCRを用いて、このプラスミドから、相同性アームの全配列はもちろんそれらの間のprpE−PhaBCAカセットも含む領域を増幅した。このPCR断片を用いて、ラムダレッドレコンビナーゼ遺伝子をコードする温度感受性プラスミドを含有する菌株であるエレクトロコンピテントニッスル−pKD46を、形質転換させる。形質転換後、細胞を2時間増殖させた後、20ug/mLのクロラムフェニコールを用いて37℃で平板培養する。37℃での増殖もpKD46プラスミドを治癒させる。カセットを含有する形質転換細胞は、クロラムフェニコール耐性であり、lacマイナスであった。
ラムダレッド組換え
ラムダレッド組換えを用いて、例えば、大腸菌ニッスルにおいて1つまたは複数のprpE−PhaBCAカセット(または本明細書に記載の他のカセット)を発現させるように、染色体改変を施す。ラムダレッドは、バクテリオファージラムダに由来する組換え酵素を用いて、カスタムDNAの断片を大腸菌の染色体に挿入する手法である。pKD46プラスミドを大腸菌ニッスル宿主株に導入する。大腸菌ニッスル細胞をLB培地中で一夜増殖させる。一夜培養を5mLのLB培地で1:100に希釈し、0.4〜0.6のOD600に達するまで増殖させる。すべての管、溶液およびキュベットを4℃に予冷する。大腸菌細胞を4℃で2,000rpmで5分間遠心分離し、上清を除去し、細胞を1mLの4℃水に再懸濁する。大腸菌を4℃で2,000rpmで5分間遠心分離し、上清を除去し、細胞を0.5mLの4℃水に再懸濁する。大腸菌を4℃で2,000rpmで5分間遠心分離し、上清を除去し、細胞を0.1mLの4℃水に再懸濁する。エレクトロポレーターを2.5kVに設定した。1ngのpKD46プラスミドDNAを大腸菌細胞に加え、ピペッティングし、滅菌済み冷却キュベット中にピペッティングすることによって混合する。乾燥キュベットを試料チャンバーに入れ、電気パルスを印加する。1mLの室温SOC培地を直ちに加え、混合物を培養管に移し、30℃で1時間インキュベートする。細胞を選択培地プレート上に広げ、30℃で一夜インキュベートする。
上に示した所望のprpE−PhaBCAカセット(複数可)を含むDNA配列を遺伝子合成会社に発注する。ラムダ酵素を用いて、この構築物を相同的組換えにより大腸菌ニッスルのゲノムに挿入する。構築物は、そのDNA配列に基づいて大腸菌ニッスルのゲノムにおける特定の部位に挿入される。構築物を特定の部位に挿入するために、構築物に隣接する相同DNA配列を同定し、該相同DNA配列は、配列の両側に約50塩基を含む。相同配列は、合成遺伝子の一部として注文する。あるいは、相同配列は、PCRにより加えることができる。構築物は、組換えによって除去することができる抗生物質耐性マーカーを含む。得られる構築物は、上流に相同性の約50塩基、組換えによって除去することができるカナマイシン耐性マーカー、prpE−PhaBCAカセット(複数可)、および下流に相同性の約50塩基を含む。
PCCAA138Tハイポモルフマウスモデルにおけるプロピオン酸血症バイオマーカーの確立
in vivo研究のために、プロピオン酸血症のモデルとして用いるためのPCCAA138Tハイポモルフマウスを入手した。最初に、プロピオン酸血症のバイオマーカーを確立した。
PCCAA138TマウスおよびFVB(親)対象(10〜12週齢)を通常食で飼育した。血液および尿を採取し、プロピオン酸血症の公知のバイオマーカーについてアッセイした。血液中のプロピオニルカルニチン/アセチルカルニチン比、プロピオネート濃度、および2−メチルシトレート濃度を、本明細書に記載の通り質量分析により決定した。結果を図6A〜図6Cに示す。尿については、プロピオニル−グリシン、チグリルグリシン、および2−メチルシトレートを本明細書に記載の通りLC−MS/MSにより測定した。結果を図6D〜図6Fに示す。
PCCAA138Tハイポモルフマウスモデルにおけるプロピオン酸の腸再循環
プロピオネートが腸再循環されるかどうかを判断するために、アミノ酸について仮説が立てられ、示されている方法(例えば、Changら、A new theory of enterorecirculation of amino acids and its use for depleting unwanted amino acids using oral enzyme−artificial cells,as in removing phenylalanine in phenylketonuria;Artif Cells Blood Substit Immobil Biotechnol.1995年;23号(1巻):1〜21頁参照)と同様の方法で、PCCAA138Tマウスモデルを用いて消化管の様々なコンパートメントにおいて標識プロピオネートの血流からの腸内変換レベルを測定した。
すべてのPCCAA138Tマウス(10〜12週齢)は、T0に0.1mg/gの同位体プロピオン酸を皮下注射により投与するまで、通常の飼料で飼育した。
各時点(SC注射の0、30分、1時間および2時間後)に動物[[(n=X)]]を安楽死させ、血液、小腸、大腸および盲腸を除去し、収集した。各腸部分の切片を0.5mlの冷PBSでフラッシュし、別個の1.5ml管に収集した。盲腸を採取し、内容物をしぼり出し、0.5mlの冷PBSでフラッシュし、1.5ml管に収集した。血液を下顎採血により採取した。血液、腸コンパートメントおよび盲腸における内因性の放射標識プロピオネートの濃度を本明細書に記載の通りLC−MS/MSにより測定した。図7A〜図7Dに示す通り、SC注射した同位体プロピオン酸は、30分以内に血液、小腸および盲腸において非常に低レベルで認められた。これは、プロピオネートがPA/MMA動物モデルにおいて血液から腸コンパートメントに循環したことを示す。
PAバイオマーカーへの細菌の寄与
抗生物質治療PA患者での実験は、消化管における細菌の代謝がプロピオネートの約30%に寄与することを示唆する。PAバイオマーカーレベルへの細菌の寄与は、PCCAA138Tモデルにおいて微生物叢集団を有意に(>99.9%)低減させる抗生物質治療の効果を測定することにより評価する。
PCCAA138Tマウスを研究1日目まで普通の飼料で飼育する。1日目に、血漿、尿、糞便飼料を採取し、半数のマウスの水に抗生物質(アンピリシン(1g/L)、バンコマイシン(0.5g/L)、ネオマイシン(1g/L)、メトロニダゾール(1g/L))を添加する。8日目に、血漿、尿,糞便飼料(n=4)を採取し、代謝物レベルを本明細書に記載の通りLC−MS/MSにより定量する。細菌レベルは、ニッスルおよび全細菌からのDNAを増幅するプライマーを用いてqPCRにより定量する。代謝物(プロピオネート、プロピオニルカルニチン/アセチルカルニチン比;プロピオニルカルニチン、2−メチルシトレート、アセチルカルニチン)を本明細書に記載の通りLC−MS/MSにより定量する。
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)経路プロピオネート消費アッセイ
PHA経路は、ポリマーとして炭素を貯蔵するために用いられる異種細菌経路であり、プロピオネートを消費するその能力について評価した。
本明細書に記載の通り、大腸菌ニッスルprpE遺伝子、およびアシネトバクター属菌種RA3849からのphaBCA遺伝子(大腸菌ニッスルにおける発現のためにコドン最適化した)を、図10Cおよび図11に示すように、高コピープラスミドの単一オペロンにおけるaTc誘導性プロモーターの制御下においた。対応する構築物配列を実施例2の表12に収載してある。次に、prpE−phaBCA回路を含む遺伝子操作細菌のプロピオネート消費速度をin vitroで評価した。
tetプロモーターにより駆動されるprpE−phaBCA回路を含むプラスミドで形質転換させた大腸菌ニッスルの培養物、および野生型対照ニッスルの培養物を一夜増殖させ、次いでLBで1:200に希釈した。prpE−phaBCA構築物プラスミドを含有する菌株の培養物にATCを100ng/mLの濃度で加えて、prpEおよびphaBCA遺伝子の発現を誘導した。次いで、細胞を250rpmで振盪しながら増殖させた。2時間のインキュベーション後、細胞をペレット化し、洗浄し、グルコース(0.2%)およびプロピオネート(2〜8mM)を添加した1mLのM9培地に約10cfu/mlの細菌濃度で再懸濁した。本明細書に記載の通りのプロピオネート定量のために0時間、1.5時間、3時間および4.5時間の時点でアリコートを採取した。図12に示す通り、tetプロモーターにより駆動されるprpEおよびphaBCA遺伝子を発現する遺伝子操作細菌は、プロピオネートを除去する効率が野生型ニッスルまたは未誘導の操作菌株より高かった。異化速度は、10細胞当り0.396〜1.4umol/時であると算定した。
混合有機酸でのPHA経路の性能
アセテートまたはブチレート(これらは結腸内に大量に存在する)がPHA経路によるプロピオネート消費に影響を及ぼすかどうかを判断するために、結腸比(プロピオネート:アセテート:ブチレート、約6:10:4)を模倣すべく短鎖脂肪酸の混合物でPHAアッセイを行った。
tetプロモーターにより駆動されるprpE−phaBCA回路を含むプラスミドで形質転換させた大腸菌ニッスルの培養物(実施例9に記載の通り)および野生型対照ニッスルの培養物を一夜増殖させ、次いでLBで1:200に希釈した。prpE−phaBCA構築物プラスミドを含有する菌株の培養物および野生型ニッスル培養物にATCを加え、細胞を2時間インキュベートした。細胞を遠沈し、グルコース(0.2%)およびプロピオネート(6mM)、ブチレート(4MM)、およびアセテート(10mM)を添加した1mLのM9培地に約10cfu/mlの細菌濃度で実施例9に記載の通りに再懸濁した。本明細書に記載の通りのLC−MS/MSによるプロピオネート定量のために0時間、1.5時間、3時間および4.5時間の時点でアリコートを採取した。図13Aに示す通り、tet−prpEおよびphaBCA遺伝子カセットを発現する遺伝子操作細菌は、野生型ニッスルと比較してプロピオネートの濃度を、実施例9においてアセテートおよびブチレートの非存在下で観察された速度と同様の速度で低下させた。異化速度は、109細胞当り0.396〜1.4umol/時であると算定した。
また、遺伝子操作細菌は、野生型ニッスルと比較してアセテートレベルにもブチレートレベルにも影響を及ぼさなかった(図13Bおよび13C)。これは、PHA経路がアセテートおよびブチレート濃度に有意な影響を与えないことを示す。
PHA経路の最適化
PHA経路を最適化するために、かつこの経路における律速ステップを決定するために、aTc誘導性prpE−phaBCAオペロンを発現する基礎菌株に、図14A〜図14Dに示す通り、アラビノース誘導性プロモーターの制御下のオペロン遺伝子のうちの1つを含有する構築物を発現する第2のプラスミドを補給した。表14は、追加のプラスミドからの構築物配列を収載するものである。
このアッセイでは、単独のprpE−phaBCAオペロンを誘導して、またはprpE−phaBCAプラスミドと、この経路における遺伝子のうちの1つについての追加のコピーを有するアラビノース誘導性プラスミドとの両方を誘導して、これらの遺伝子のいずれかについての追加の発現が、プロピオネート消費を増加させることができるかどうかを評価した。野生型ニッスルを参照のために含めた。
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tet−prpE−phaBCA回路を含むプラスミドと第2のプラスミド(pAra−prpEまたはpAra−phaBまたはpAra−phaCまたはpAra−phaAのうちの1つを含有する)とで形質転換させた大腸菌ニッスルの培養物を一夜増殖させ、次いでLBで1:200に希釈した。野生型対照ニッスル培養物も参照として増殖させた。ATC(100ng/mL)を加えて、tet−prpE−phaBCA構築物遺伝子カセットを誘導した。tet−prpE−phaBCA回路を含有する4つの菌株の培養物の半分にアラビノースを10mMの濃度で加えて、第2のプラスミドを誘導した。細胞を250rpmで振盪しながら増殖させた。2時間のインキュベーション後、細胞をペレット化し、洗浄し、0.5%グルコースおよび8mMプロピオネートを加えた1mLのM9培地に約10cfu/mlの細菌濃度で再懸濁した。LC−MS/MSによるプロピオネート定量のために0時間、1時間、2時間、3時間、4時間および5時間の時点でアリコートを採取した。図14A〜図14Dに示す通り、プロピオネート消費速度は、より多くのphaCが発現する場合に最も有意に上昇し、これは、この経路が、最初のprpE−phaBCAプラスミドからのPhaCレベルを上昇させることにより改善されることを示唆している。
特定の実施形態では、prpE−phaBCA回路を、phaC翻訳開始部位の上流に強いRBSを加えることにより、さらに改変する。特定の実施形態では、遺伝子操作細菌は、1つまたは複数のprpE−phaBCA遺伝子カセットと、phaA遺伝子を含む1つまたは複数の追加のカセットとを含む。
MMCA経路のin vitro活性
メチルマロニル−CoA経路を、プロピオネートを異化するその能力についてin vitroで評価した。実施例3に記載の通り、遺伝子accA(ストレプトマイセス・セリカラーに由来する)、pccB(ストレプトマイセス・セリカラーに由来する)、mmcE(プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒに由来する)、およびmutAB(プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒに由来する)を、大腸菌ニッスルにおける発現のためにコドン最適化した。誘導性Ptetプロモーターの制御下のprpE、pccB、accA1を含むカセットを有する第1のプラスミド、ならびに第2の誘導性プロモーターであるParaの制御下のmmcEおよびmutABを含むカセットを有する第2のプラスミドである、2つのプラスミドを作製した(図15Cおよび図16Aおよび図16Bに示す通り)。したがって、経路の誘導には、aTcおよびアラビノースを加えることが必要である。MMCA経路回路の配列は、実施例3の表13に収載してある。
MMCA回路を有する第1および第2のプラスミドを含む大腸菌ニッスル培養物と野生型対照ニッスルの培養物をLBおよび50ug/mLのアンピリシン中で一夜増殖させ、次いでLBで1:100に希釈した。適切な抗生物質を用いて細胞を振盪(250rpm)しながら初期対数期まで増殖させた。無水テトラサイクリン(ATC)およびアラビノース(10mM)を培養物に100ng/mLの濃度で加えて構築物の発現を誘導し、細菌をさらに2時間増殖させた。次いで、細菌をペレット化し、洗浄し、最小培地に約10cfu/mlで再懸濁し、0.5%グルコースおよびプロピオネート(6mM)を添加した。LC−MS/MS分析によるプロピオネート定量のために0時間、2時間、4時間、17時間および18時間の時点でアリコートを取り出した。
PHA経路の誘導のために、培養物を増殖させ、誘導し、実施例9に記載の通りアッセイした。
図18に示す通り、MMCA回路の発現は、培地中のプロピオネート濃度を低下させ、これは、これらの回路がプロピオネート触媒作用を促進することを示す。プロピオネートアッセイを約10cfu/mlの誘導済み細菌で開始し、プロピオネート消費速度は、メチルマロニル−CoA経路回路を発現する菌株において約3.8μM/時/10細菌であった。全体的に見て、MMCA経路は、プロピオネート破壊の点でPHA経路より有効であるように思われる。
スクシネート輸出体回路と組み合わせたMMCA経路回路のin vitro活性
スクシネート輸出体が、MMCA経路によって異化されるプロピオネートの量を増加させることができるかどうかを判断するために、sucE1スクシネート輸出体(コリネバクテリウム・グルタミクムに由来する)を含む構築物(図17Bおよび図17Dに示す通り)、または大腸菌dcuCスクシネート輸送体を含む構築物(図17E)、または両方の輸送体を含む構築物(図17F)を作製した。sucE1構築物をニッスル染色体内のPara(アラビノース誘導性)の制御下においた。このノックインはまた、araBA遺伝子とaraD遺伝子の一部とを欠失させ、その結果、大腸菌によるアラビノースの代謝が有効に消失された。
輸出体構築物の配列を表15に示す。単独での、または組み込まれたsucE1回路と組み合わせた、MMCA経路回路のin vitro活性を、本質的に実施例12および本明細書の他の箇所に記載の通りに比較した。
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2−メチルシトレート経路の活性
遺伝子操作細菌によるプロピオネート消費に対する2−メチルシトレート経路の適合性を判断するために、prpB、prpC、prpDおよびprpE遺伝子が誘導性プロモーターの制御下で発現される回路を作製する。2−メチルシトレート経路配列を表16に示す。
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次に、2−メチルシトレートサイクル回路を含む遺伝子操作細菌のプロピオネート消費速度をin vitroで評価する。
tetプロモーターにより駆動されるprpBCDE回路を含むプラスミドで形質転換させた大腸菌ニッスルの培養物、および野生型対照ニッスルの培養物を一夜増殖させ、次いでLBで1:200に希釈する。prpE−phaBCA構築物プラスミドを含有する菌株の培養物にATCを100ng/mLの濃度で加えて、prpBCDE遺伝子の発現を誘導し、細胞を250rpmで振盪しながら増殖させる。2時間のインキュベーション後、細胞をペレット化し、洗浄し、グルコース(0.5%)およびプロピオネート(8mM)を添加した1mLのM9培地に約10cfu/mlの細菌濃度で再懸濁する。プロピオネート定量のために0時間、2時間および4時間の時点でアリコートを採取し、異化速度を計算する。
LC−MS/MSによる細菌上清中のプロピオネートの定量
試料調製
プロピオン酸ナトリウム保存液(10mg/mL)を水を用いて調製し、1.5mL小遠心管に小分けし(100μL)、−20℃で保存した。保存溶液から、水中のプロピオン酸ナトリウム標準(1000、500、250、100、20、4、0.8μg/mL)を調製した。次に、25μLの試料(細菌上清および標準)を、丸底96ウエルプレートにおいて、10μg/mLのプロピオン酸ナトリウム−d5を含有する75μLのACN/HO(45:30、v/v)と混合した。プレートをPierceASealフォイルを用いて熱融着させ、十分に混合した。
V型底96ウエルポリプロピレンプレートにおいて、5μLの希釈試料を95μLの誘導体化ミックス(10mM MES緩衝液(pH4.0)中の20mM EDC[N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩]および20mM TFEA[2,2,2−トリフルオロエチルアミン塩酸塩])に加えた。プレートをThermASealフォイルを用いて熱融着させ、十分に混合した。試料を誘導体化のために室温で1時間インキュベートし、次いで4000rpmで5分間遠心分離した。
次に、20μLのその溶液を丸底96ウエルプレートに移し、180uLの0.1%ギ酸水溶液を試料に加えた。プレートを上述のように熱融着させ、混合した。
LC−MS/MS法
誘導体化プロピオネートを、Thermo TSQ Quantum Max三連四重極質量分析計を用いるタンデム質量分析と連結した液体クロマトグラフィー(LC−MS/MS)により測定した。HPLC法の詳細を表17および表18に記載する。タンデム質量分析の詳細を表19に記載する。
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LC−MS/MSによる血漿および尿中のアセチルカルニチンおよびプロピオニルカルニチンの定量
試料調製
アセチルカルニチンおよびプロピオニルカルニチン保存液(10mg/mL)を水を用いて調製し、1.5mL小遠心管に小分けし(100μL)、−20℃で保存した。水中の250、100、20、4、0.8、0.16、0.032μg/mLの標準を調製した。試料(10μL)および標準を、V型底96ウエルプレートにおいて、90μLのACN/MeOH/HO(60:20:10、v/v)と混合した(最終溶液中に1μg/mLのアセチルカルニチン−d3およびプロピオニルカルニチン−d3を含有する)。プレートをAlumASealフォイルを用いて熱融着させ、よく混合し、4000rpmで5分間遠心分離した。次に、20μLのその溶液を丸底96ウエルプレートに移し、180uLの0.1%ギ酸水溶液を試料に加えた。プレートをClearASealシートを用いて熱融着させ、十分に混合した。
LC−MS/MS法
プロピオニルカルニチンおよびアセチルカルニチンを、Thermo TSQ Quantum Max三連四重極質量分析計を用いるタンデム質量分析と連結した液体クロマトグラフィー(LC−MS/MS)により測定した。HPLC法の詳細を表20および表21に記載する。タンデム質量分析の詳細を表22に記載する。
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LC−MS/MSによる血漿および尿中のプロピオネート、2−メチルシトレート、プロピオニルグリセリンおよびチグロイルグリシンの定量
試料調製
10mg/mLのプロピオン酸ナトリウム、2−メチルシトレート、プロピオニルグリシンおよびチグロイルグリシンの保存液を水を用いて調製し、1.5mL小遠心管に小分けし(100μL)、−20℃で保存した。500、250、100、20、4、0.8、0.16、0.032μg/mLの各保存液の標準を水を用いて調製した。氷上で、10μLの試料(および標準)をV型底96ウエルポリプロピレンプレートにピペッティングし、5ug/mLのプロピオン酸ナトリウム−13C3および2−メチルシトレート−d3を有するアセトニトリル中の50mMの2−ヒドラジノキノリン(2−HQ)とジピリジルジスルフィドとトリフェニルホスフィンとを含有する90μLの誘導体化溶液を、最終溶液に加えた。プレートをThermASealフォイルを用いて熱融着させ、十分に混合した。試料を誘導体化のために60℃で1時間インキュベートし、次いで4000rpmで5分間遠心分離した。次に、20μLの誘導体化試料を丸底96ウエルプレートにおいて水/ACN(140:40)中の0.1%ギ酸 180μLに加えた。プレートをClearASealシートを用いて熱融着させ、十分に混合した。
LC−MS/MS法
誘導体化代謝物を、Thermo TSQ Quantum Max三連四重極質量分析計を用いるタンデム質量分析と連結した液体クロマトグラフィー(LC−MS/MS)により測定した。HPLC法の詳細を表23および表24に記載する。タンデム質量分析の詳細を表25に記載する。
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操作された細菌細胞がプロピオネート濃度を低下させることを実証するin vivo研究
in vivo研究にはプロピオン酸血症のハイポモルフマウスモデルを用いる(例えば、Guenzelら、2013年参照)。あるいは、PCCA−/−ノックアウトマウス、またはメチルマロン酸血症のマウスモデルを用いることができる(例えば、Miyazakiら、2001年またはPetersら、2012年参照)。手短に述べると、0日目に、操作された細菌の投与前のマウスにおけるメチルシトレート、アセチルカルニチンおよび/またはプロピオニルカルニチンの血中レベルを測定する。1日目に、pTet−prpBCDEおよび/またはpTet−mctCを含有する大腸菌ニッスルの培養物を3匹の野生型マウスおよび3匹のハイポモルフマウスに1日1回、1週間投与する。加えて、3匹のハイポモルフマウスにPBSを対照として1日1回、1週間投与する。治療有効性は、例えば、メチルシトレート、アセチルカルニチンおよび/またはプロピオニルカルニチンの血中レベルを測定することにより判断する。操作された細菌細胞での治療後のメチルシトレート、アセチルカルニチンおよび/またはプロピオニルカルニチンの血中レベルの低下は、操作された細菌細胞がプロピオン酸血症およびメチルマロン酸血症の治療に有効であることを示す。さらに、この研究を通して、マウスの表現型も分析することができる。PAまたはMMAに関連する症状、例えば発作、の数の減少は、PAおよびMMAの治療に対する操作された細菌細胞の有効性をさらに示す。
ΔThyAの発生
栄養要求性突然変異は、細菌が必須栄養素を産生するために必要な遺伝子(複数可)を欠いているため、生存または増殖に必須である、外部から加えられる栄養素の非存在下では細菌を死滅させる。栄養要求性の改変を有する遺伝子操作細菌を作製するために、オリゴヌクレオチド合成に必須の遺伝子であるthyAを欠失させた。大腸菌ニッスルにおけるthyAの欠失は、チミジンが補給されない限り、LBプレート上でコロニーを形成することができない菌株を生じさせる。
thyA::cam PCR断片を以下のように3ラウンドのPCRを用いて増幅した。100μmの濃度で用いたプライマーの配列は、表26に見いだされる。
Figure 2018521674
第1のPCRラウンドについては、鋳型としての1ng pKD3、25μl2xphusion、0.2μlプライマーSR36およびSR38、ならびに0、0.2、0.4または6μl DMSOを含む4x50μl PCR反応物をヌクレアーゼ不含有水を用いて50μlとし、以下のサイクル条件下で増幅した。
ステップ1:30秒間98c
ステップ2:10秒間98c
ステップ3:15秒間55c
ステップ4:20秒間72c
反復ステップ2〜4:30サイクル
ステップ5:5分間72c
その後、5μlのPCR反応をアガロースゲル上で行って、適切なサイズのPCR産物を確認した。ZymocleanゲルDNA回収キットを用いて製造業者の指示に従って、残りのPCR反応からPCR産物を精製し、30μlのヌクレアーゼ不含有水で溶出した。
第2のラウンドのPCRについては、ラウンド1からの1μlの精製PCR産物を、0.2μlのプライマーSR33およびSR34を除き、上で述べた4x50μl PCR反応における鋳型として用いた。サイクル条件は、第1のPCR反応について上述したのと同じであった。PCR産物をアガロースゲルにかけて、増幅を確認し、精製し、上述のように30μlで溶出した。
第3のラウンドのPCRについては、ラウンド2からの1μlの精製PCR産物を、プライマーSR43およびSR44を除いて、上で述べた4x50μl PCR反応における鋳型として用いた。サイクル条件は、ラウンド1および2について述べたのと同じであった。上述のように増幅を確認し、PCR産物を精製し、溶出した。濃度および純度は、分光光度計を用いて測定した。thyAの上流に相同の92bp、frt部位により隣接されたクロラムフェニコールカセットおよびthyA遺伝子の下流に相同の98bpを含む、得られた線状DNA断片を組換えのために増殖させたpKD46を含む大腸菌ニッスル1917株に形質転換させた。エレクトロポレーションの後、3mMチミジンを含む1mlのSOC培地を加え、細胞を振盪しながら37℃で2時間回復させた。次いで細胞を10,000xgで1分間ペレット化し、上清を捨て、細胞ペレットを3mMチミジンを含む100μlのLBに再懸濁し、3mM thyおよび20μg/mlクロラムフェニコールを含むLB寒天プレート上に広げた。細胞を37℃で一夜インキュベートした。LBプレート上に出現したコロニーを再び画線した。+cam 20μg/ml+または−thy 3mM(thyA栄養要求体のみがthy 3mMを添加した培地中で増殖する)
次に、pCP20形質転換によって抗生物質耐性を除去した。pCP20は、酵母Flp組換え遺伝子、FLP、クロラムフェニコールおよびアンピシリン耐性遺伝子および温度感受性複製を有する。細胞を選択抗生物質を含むLB培地中でOD600=0.4〜0.6となるまで37℃で増殖させた。1mLの細胞を次のように洗浄した。細胞を16,000xgで1分間ペレット化した。上清を捨て、ペレットを1mL氷冷10%グリセロールに再懸濁した。この洗浄ステップを3回反復した。最終ペレットを70μlの氷冷10%グリセロールに再懸濁した。次に、細胞を1ngのpCP20プラスミドDNAとともにエレクトロポレートし、3mMチミジンを添加した1mLのSOCを直ちにキュベットに加えた。細胞を再懸濁し、培養管に移し、30℃で1時間増殖させた。次に、細胞を10,000xgで1分間ペレット化し、上清を捨て、細胞ペレットを3mMチミジンを含む100μlのLBに再懸濁し、3mM thyおよび100μg/mlカルベニシリンを含むLB寒天プレート上に広げ、30℃で16〜24時間増殖させた。次に、形質転換細胞を42℃で非選択的(無抗生物質)にコロニー精製した。
コロニー精製形質転換細胞を試験するために、コロニーを42℃プレートからピペットチップで採取し、10μlのLBに再懸濁した。3μLの細胞懸濁液を次の一組の3つのプレート上にピペッティングした:Cam(37℃;宿主菌株のゲノムにおけるCamR遺伝子の存在/非存在について試験する)、Amp(30℃;pCP20プラスミドからのAmpRの存在/非存在について試験する)および37℃のLBのみ(クロラムフェニコールカセットおよびpCP20プラスミドを失った所望の細胞)。CamまたはAmpプレートのいずれにおいても増殖が存在しない場合、コロニーは治癒したとみなし、採取し、LBプレート上に再画線して、単一コロニーを得て、37℃で一夜増殖させた。
その後、5μlのPCR反応をアガロースゲル上で行って、適切なサイズのPCR産物を確認した。ZymocleanゲルDNA回収キットを用いて製造業者の指示に従って、残りのPCR反応からPCR産物を精製し、30μlのヌクレアーゼ不含有水で溶出した。
第2のラウンドのPCRについては、ラウンド1からの1μlの精製PCR産物を、0.2μlのプライマーSR33およびSR34を除き、上で述べた4x50μl PCR反応における鋳型として用いた。サイクル条件は、第1のPCR反応について上述したのと同じであった。PCR産物をアガロースゲルにかけて、増幅を確認し、精製し、上述のように30μlで溶出した。
第3のラウンドのPCRについては、ラウンド2からの1μlの精製PCR産物を、プライマーSR43およびSR44を除いて、上で述べた4x50μl PCR反応における鋳型として用いた。サイクル条件は、ラウンド1および2について述べたのと同じであった。上述のように増幅を確認し、PCR産物を精製し、溶出した。濃度および純度は、分光光度計を用いて測定した。thyAの上流に相同の92bp、frt部位により隣接されたクロラムフェニコールカセットおよびthyA遺伝子の下流に相同の98bpを含む、得られた線状DNA断片を組換えのために増殖させたpKD46を含む大腸菌ニッスル1917株に形質転換させた。エレクトロポレーションの後、3mMチミジンを含む1mlのSOC培地を加え、細胞を振盪しながら37℃で2時間回復させた。次いで細胞を10,000xgで1分間ペレット化し、上清を捨て、細胞ペレットを3mMチミジンを含む100μlのLBに再懸濁し、3mM thyおよび20μg/mlクロラムフェニコールを含むLB寒天プレート上に広げた。細胞を37℃で一夜インキュベートした。LBプレート上に出現したコロニーを再び画線した。+cam 20μg/ml+または−thy 3mM(thyA栄養要求体のみがthy 3mMを添加した培地中で増殖する)
次に、pCP20形質転換によって抗生物質耐性を除去した。pCP20は、酵母Flp組換え遺伝子、FLP、クロラムフェニコールおよびアンピシリン耐性遺伝子および温度感受性複製を有する。細胞を選択抗生物質を含むLB培地中でOD600=0.4〜0.6となるまで37℃で増殖させた。1mLの細胞を次のように洗浄した。細胞を16,000xgで1分間ペレット化した。上清を捨て、ペレットを1mL氷冷10%グリセロールに再懸濁した。この洗浄ステップを3回反復した。最終ペレットを70μlの氷冷10%グリセロールに再懸濁した。次に、細胞を1ngのpCP20プラスミドDNAとともにエレクトロポレートし、3mMチミジンを添加した1mLのSOCを直ちにキュベットに加えた。細胞を再懸濁し、培養管に移し、30℃で1時間増殖させた。次に、細胞を10,000xgで1分間ペレット化し、上清を捨て、細胞ペレットを3mMチミジンを含む100μlのLBに再懸濁し、3mM thyおよび100μg/mlカルベニシリンを含むLB寒天プレート上に広げ、30℃で16〜24時間増殖させた。次に、形質転換細胞を42℃で非選択的(無抗生物質)にコロニー精製した。
コロニー精製形質転換細胞を試験するために、コロニーを42℃プレートからピペットチップで採取し、10μlのLBに再懸濁した。3μLの細胞懸濁液を次の一組の3つのプレート上にピペッティングした:Cam(37℃;宿主菌株のゲノムにおけるCamR遺伝子の存在/非存在について試験する)、Amp(30℃;pCP20プラスミドからのAmpRの存在/非存在について試験する)および37℃のLBのみ(クロラムフェニコールカセットおよびpCP20プラスミドを失った所望の細胞)。CamまたはAmpプレートのいずれにおいても増殖が存在しない場合、コロニーは治癒したとみなし、採取し、LBプレート上に再画線して、単一コロニーを得て、37℃で一夜増殖させた。
酸化窒素誘導性レポーター構築物
ATCおよび酸化窒素誘導性レポーター構築物を合成した(Genewiz、Cambridge、MA)。これらの構築物は、それらの同種誘導物質により誘導されるとGFPを発現し、それを、プレートリーダーにおいてそれぞれ395/509nmの励起/発光で蛍光をモニタリングすることにより検出する。対照、ATC誘導性Ptet−GFPレポーター構築物、または酸化窒素誘導性PnsrR−GFPレポーター構築物のいずれかを含有するプラスミドを有するニッスル細胞をまず早期対数期(約0.4〜0.6のOD600)まで増殖させ、増殖した時点で、LBを含有する96ウエルマイクロタイタープレートにそれらの細胞を移し、それらの細胞は、誘導物質(ATC、または長い半減期のNOドナーであるDETA−NO(Sigma))を半減させた。ATCおよびNOは両方とも、ある範囲の濃度にわってそれらのそれぞれの構築物においてGFPの発現を誘導することができた(図43)。プロモーター活性を相対蛍光単位として表す。酸化窒素誘導性レポーター構築物の例示的配列を示す。bsrR配列は、太字である。fgp配列は、下線付きである。PnsrR(NO調節プロモーターおよびRBS)は斜体である。構成的プロモーターおよびRBSは囲み線付きである。これらの構築物は、それらの同種誘導物質により誘導されるとGFPの高レベル発現をもたらし、それを、プレートリーダーにおいてそれぞれ395/509nmの励起/発光で蛍光をモニタリングすることにより検出する。ATC誘導性Ptet−GFPレポーター構築物または酸化窒素誘導性PnsrR−GFPレポーター構築物のいずれかを含有するプラスミドを有するニッスル細胞をまず早期対数期(OD600=約0.4〜0.6)まで増殖させ、増殖した時点で、LBを含有する96ウエルマイクロタイタープレートにそれらの細胞を移し、それらの細胞は、誘導物質(ATC、または長い半減期のNOドナーであるDETA−NO(Sigma))を半減させた。ATCおよびNOは両方とも、広範な濃度にわたってそれらのそれぞれの構築物においてGFPの発現を誘導することができることが認められた。プロモーター活性を相対蛍光単位として表す。
図43Dは、NO−GFP構築物のドットブロットを示す。酸化窒素誘導性NsrR−GFPレポーター融合体を有する大腸菌ニッスルを、カナマイシンを添加したLB中で一夜増殖させた。次いで、細菌を、カナマイシンを含有するLBで1:100希釈し、0.4〜0.5の光学密度まで増殖させ、次いで、遠心分離によりペレット化した。細菌をリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁し、100マイクロリットルを強制経口投与によりマウスに投与した。細菌強制経口投与前に7日間、飲料水に2〜3%デキストラン硫酸ナトリウムを添加することによりマウスにおいてIBDを誘導する。強制経口投与後4時間の時点でマウスを屠殺し、結腸試料から細菌を回収した。結腸の内容物をSDS中で煮沸し、可溶性画分を用いて、GFP検出(NsrR調節プロモーターの誘導)のためにドットブロットを行った。GFPの検出は、HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)に結合した抗GFP抗体の結合により行った。Pierce化学発光検出キットを用いて検出を可視化した。この図には、NsrR調節プロモーターがDSS治療マウスにおいて誘導されることが示されているが、未治療マウスでは誘導されることが示されていない。これは、NOに応答してのNsrRの役割、したがって炎症と一致する。
構成的プロモーターの制御下のNsrRとNsrR誘導性プロモーターの制御下のレポーター遺伝子gfp(緑色蛍光タンパク質)とを発現するプラスミドを有する細菌を、カナマイシンを添加したLB中で一夜増殖させた。次いで、細菌を、カナマイシンを含有するLBで1:100に希釈し、約0.4〜0.5の光学密度まで増殖させ、次いで、遠心分離によりペレット化する。細菌をリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁し、100マイクロリットルを強制経口投与によりマウスに投与する。細菌強制経口投与前に7日間、飲料水に2〜3%デキストラン硫酸ナトリウムを添加することによりマウスにおいてIBDを誘導する。強制経口投与後4時間の時点でマウスを屠殺し、結腸試料から細菌を回収した。結腸の内容物をSDS中で煮沸し、可溶性画分を用いて、GFP検出(NsrR調節プロモーターの誘導)のためにドットブロットを行った。GFPの検出は、HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)に結合した抗GFP抗体の結合により行った。Pierce化学発光検出キットを用いて検出を可視化した。図43は、NsrR調節プロモーターがDSS治療マウスでは誘導されるが、未治療マウスでは誘導されないことを示す。
FNRプロモーター活性
異なるFNRプロモーターのプロモーター活性を測定するために、lacZ遺伝子、ならびに転写および翻訳エレメントを合成し(Gen9、Cambridge、MA)、ベクターpBR322にクローニングした。lacZ遺伝子を、表3において開示した例示的FNRプロモーター配列のいずれかの制御下においた。これらの構築物のヌクレオチド配列を表27〜31(配列番号65〜69)に示す。しかし、上述のように、lacZ遺伝子を他の誘導性プロモーターにより駆動して、それらのプロモーターの活性を分析してもよく、他の遺伝子をlacZ遺伝子の代わりにプロモーター活性についての読み出し情報として使用してもよい。例示的結果を図41に示す。
表27は、lacZをコードする遺伝子と例示的FNRプロモーターであるPfnr1とを含む例示的構築物のヌクレオチド配列(配列番号65)を示す。この構築物は、ニッスルnirB1遺伝子とlacZ遺伝子の翻訳融合体であって、lacZコード領域の8番目のコドンにインフレームで融合している翻訳融合体を含む。Pfnr1配列は、太字の小文字であり、プロモーター中の予測リボソーム結合部位は、下線付きである。lacZ配列は、下線付き大文字である。ATG部位は太字の大文字であり、構築物の合成に用いたクローニング部位を通常の大文字で示す。
表28は、lacZをコードする遺伝子と例示的FNRプロモーターであるPfnr2とを含む例示的構築物のヌクレオチド配列(配列番号66)を示す。この構築物は、ニッスルydfZ遺伝子とlacZ遺伝子の翻訳融合体であって、lacZコード領域の8番目のコドンにインフレームで融合している翻訳融合体を含む。Pfnr2配列は、太字の小文字であり、プロモーター中の予測リボソーム結合部位は、下線付きである。lacZ配列は、下線付き大文字である。ATG部位は太字の大文字であり、構築物の合成に用いたクローニング部位を通常の大文字で示す。
表29は、lacZをコードする遺伝子と例示的FNRプロモーターであるPfnr3とを含む例示的構築物のヌクレオチド配列(配列番号67)を示す。この構築物は、ニッスルnirB遺伝子とlacZ遺伝子の翻訳融合体であって、強いリボソーム結合部位に融合しているプロモーター領域のみを用いる翻訳融合体を含む。Pfnr3配列は、太字の小文字であり、プロモーター中の予測リボソーム結合部位は、下線付きである。lacZ配列は、下線付き大文字である。ATG部位は太字の大文字であり、構築物の合成に用いたクローニング部位を通常の大文字で示す。
表30は、lacZをコードする遺伝子と例示的FNRプロモーターであるPfnr4とを含む例示的構築物のヌクレオチド配列(配列番号68)を示す。この構築物は、ニッスルydfZ遺伝子とlacZ遺伝子の翻訳融合体を含む。Pfnr4配列は、太字の小文字であり、プロモーター中の予測リボソーム結合部位は、下線付きである。lacZ配列は、下線付き大文字である。ATG部位は太字の大文字であり、構築物の合成に用いたクローニング部位を通常の大文字で示す。
表31は、lacZをコードする遺伝子と例示的FNRプロモーターであるPfnrSとを含む例示的構築物のヌクレオチド配列(配列番号69)を示す。この構築物は、lacZに融合している、嫌気的に誘導される小RNA遺伝子であるfnrS1の翻訳融合体を含む。Pfnrs配列は、太字の小文字であり、プロモーター中の予測リボソーム結合部位は、下線付きである。lacZ配列は、下線付き大文字である。ATG部位は太字の大文字であり、構築物の合成に用いたクローニング部位を通常の大文字で示す。
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配列
いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、プロピオネート応答性プロモーターにより駆動される遺伝子カセットを含む。非限定的な例では、遺伝子カセットは、prpRプロピオネート応答性プロモーターにより駆動される。非限定的な例では、prpRプロピオネート応答性プロモーターは、表32に示す配列を有する。
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グラム陰性細菌では、分泌機構は、内および外膜の1つまたは両方にわたり得る。いくつかの実施形態では、遺伝子操作細菌は、非天然二重膜スパンニング分泌システムをさらに含む。二重膜スパンニング分泌システムは、I型分泌システム(T1SS)、II型分泌システム(T2SS)、III型分泌システム(T3SS)、IV型分泌システム(T4SS)、VI型分泌システム(T6SS)およびレジスタンス−ノジュレーション−ディビジョン(RND)多剤排出ポンプのファミリーを含むが、これらに限定されない(Pugsley、1993年;Gerlachら、2007年;Collinsonら、2015年;Costaら、2015年;Reevesら、2015年;国際公開第2014138324号A1、参照により本明細書に組み込まれる)。そのような分泌システムの例を図36〜38に示す。グラム陰性様細胞外被を有する、マイコバクテリアもVII型分泌システム(T7SS)をコードし得る(Stanleyら、2003年)。T2SSを除いて二重膜スパンニング分泌は、一般的に基質を細菌細胞質から細胞外腔または標的細胞内に直接的に輸送する。対照的に、T2SSおよび外膜のみに及ぶ分泌システムは、2ステップ機構を使用し得るものであり、基質は、最初に内膜スパンニング輸送体によってペリプラズムに転位させられ、次に外膜に運ばれるかまたは細胞外腔に分泌される。外膜スパンニング分泌システムは、V型分泌または自己輸送システム(T5SS)、カーリー(curli)分泌システムおよび線毛アセンブリのシャペロン−アッシャー経路を含むが、これらに限定されない(Saier、2006年;Costaら、2015年)。
いくつかの実施形態では、V型自己輸送体分泌システムを用いて、目的の分子、例えば、治療用ペプチドを分泌する。このマシナリーの単純さおよび比較的に大きなタンパク質フラックスを扱う能力のため、V型分泌システムは、組換えタンパク質の細胞外産生に魅力的である。図37に示すように、治療用ペプチド(星)をN末端分泌シグナル、リンカー、および自己輸送体のベータドメインに融合させることができる。N末端シグナル配列は、タンパク質を内膜を越えてペリプラズム内に移動させるSecA−YEGマシナリーにタンパク質を導き、その後、シグナル配列の切断が起こる。ベータドメインは、Bam複合体(「ベータ−バレルアセンブリマシナリー」)に動員され、そこでベータドメインが折りたたまれ、ベータ−バレル構造として外膜に挿入される。治療用ペプチドは、リンカー配列の前にベータ−バレル構造の中空孔を通り抜ける。細胞外環境に曝露したならば、治療用ペプチドは、自触媒切断(Bam複合体の左側)によってまたはリンカーにおける相補的プロテアーゼ切断部位への膜結合ペプチド(黒いハサミ;Bam複合体の右側)の標的化によってリンカーシステムから解放される。このように、いくつかの実施形態では、分泌分子、例えば、異種タンパク質またはペプチド、例えばプロピオネート異化酵素は、該分子が細菌から分泌されることを可能にするための、N末端分泌シグナル、リンカー、および自己輸送体のベータドメインを含む。
いくつかの実施形態では、ヘモリシンに基づく分泌システムを用いて、目的の分子、例えば、治療用ペプチドを分泌する。I型分泌システムは、それらのパッセンジャーペプチドを細胞質から細胞外腔に直接に移動させ、他の分泌の種類の2ステップ工程が不要となるという利点がある。図38は、尿路病原性大腸菌のアルファ−ヘモリシン(HlyA)を示す。この経路は、ATP結合カセット輸送体である、HlyB;膜融合タンパク質である、HlyD;および外膜タンパク質である、TolCを用いる。これらの3つのタンパク質の集合により、内および外膜の両方を通るチャンネルが形成される。天然では、このチャンネルは、HlyAを分泌するために用いられるが、本開示の治療用ペプチドを分泌するために、HlyAの分泌シグナル含有C末端部分を治療用ペプチド(星)のC末端部分に融合させて、このペプチドの分泌を媒介する。
表9および10:下の表は、グラム陽性細菌およびグラム陰性細菌の分泌システムを収載するものである。

Claims (70)

  1. 1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列(複数可)を含む細菌であって、前記遺伝子配列が、プロピオネート異化酵素遺伝子と天然では会合していない直接的または間接的誘導性プロモーターに作動可能に連結している、細菌。
  2. プロピオネートの1つまたは複数の輸送体をコードする遺伝子配列(複数可)をさらに含み、前記遺伝子配列が、輸送体遺伝子と天然では会合していないプロモーターに作動可能に連結している、請求項1に記載の細菌。
  3. スクシネートの1つまたは複数の輸出体をコードする遺伝子配列(複数可)をさらに含み、前記遺伝子配列が、輸送体遺伝子と天然では会合していないプロモーターに作動可能に連結している、請求項1または請求項2に記載の細菌。
  4. スクシネートの前記細菌への移入を低減する遺伝子改変をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の細菌。
  5. 前記プロモーターが、直接的または間接的誘導性プロモーターである、請求項2〜4のいずれか一項に記載の細菌。
  6. 前記細菌におけるプロピオネートの内因性生合成を低減する遺伝子改変をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の細菌。
  7. プロピオネート異化酵素をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーター、およびプロピオネートの輸送体をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーターが、同じプロモーターの別個のコピーである、請求項2〜6のいずれか一項に記載の細菌。
  8. プロピオネート異化酵素をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーター、およびプロピオネートの輸送体をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーターが、同じプロモーターの同じコピーである、請求項2〜6のいずれか一項に記載の細菌。
  9. プロピオネート異化酵素をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーター、およびプロピオネートの輸送体をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーターが、異なるプロモーターである、請求項2〜6のいずれか一項に記載の細菌。
  10. プロピオネート異化酵素をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーターが、哺乳動物の消化管に見いだされる外因性環境条件により直接的または間接的に誘導される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の細菌。
  11. プロピオネート異化酵素をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーターが、低酸素または嫌気的条件下で直接的または間接的に誘導される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の細菌。
  12. プロピオネート異化酵素をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーターが、FNR応答性プロモーター、ANR応答性プロモーターおよびDNR応答性プロモーターからなる群から選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の細菌。
  13. プロピオネート異化酵素をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーターが、FNRSプロモーターである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の細菌。
  14. プロピオネートの輸送体をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーターが、哺乳動物の消化管に見いだされる外因性環境条件により直接的または間接的に誘導される、請求項2〜13のいずれか一項に記載の細菌。
  15. プロピオネートの輸送体をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーターが、低酸素または嫌気的条件下で直接的または間接的に誘導される、請求項2〜14のいずれか一項に記載の細菌。
  16. プロピオネートの輸送体をコードする前記遺伝子配列(複数可)に作動可能に連結した前記プロモーターが、FNR応答性プロモーター、ANR応答性プロモーターおよびDNR応答性プロモーターからなる群から選択される、請求項2〜15のいずれか一項に記載の細菌。
  17. プロピオネート異化酵素をコードする前記遺伝子配列(複数可)が、該細菌における染色体上に位置する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の細菌。
  18. プロピオネート異化酵素をコードする前記遺伝子配列(複数可)が、該細菌におけるプラスミド上に位置する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の細菌。
  19. プロピオネートをスクシネートに変換する1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列(複数可)を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の細菌。
  20. prpE、pccB、accA1、mmcE、mutAおよびmutBから選択される1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列(複数可)を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の細菌。
  21. 1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする前記遺伝子配列(複数可)が、単一の遺伝子カセット内に存在する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の細菌。
  22. 1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも2つの遺伝子配列を含み、前記遺伝子配列が2つまたはそれ以上の別個の遺伝子カセット内に存在する、請求項1〜21のいずれか一項に記載の細菌。
  23. 1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする前記遺伝子配列(複数可)が、第1のプロモーターに作動可能に連結した第1のカセット内に存在し、第2のプロモーターに作動可能に連結した第2の遺伝子カセット内に存在する、請求項22に記載の細菌。
  24. 前記第1のプロモーターおよび前記第2のプロモーターが、誘導性プロモーターである、請求項23に記載の細菌。
  25. 前記第1のプロモーターおよび前記第2のプロモーターが、異なるプロモーターである、請求項23または請求項24に記載の細菌。
  26. 前記第1のプロモーターおよび前記第2のプロモーターが、同じプロモーターの別個のコピーである、請求項23または24に記載の細菌。
  27. 前記第1の遺伝子カセットが、prpE、pccBおよびaccA1を含み、前記第2の遺伝子カセットが、mmcE、mutAおよびmutBを含む、請求項23〜26のいずれか一項に記載の細菌。
  28. prpEをコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号25と少なくとも90%の同一性を有する、請求項27に記載の細菌。
  29. pccBをコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号39と少なくとも90%の同一性を有する、請求項27に記載の細菌。
  30. accA1をコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号38と少なくとも90%の同一性を有する、請求項27に記載の細菌。
  31. mmcEをコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号32と少なくとも90%の同一性を有する、請求項27に記載の細菌。
  32. mutAをコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号33と少なくとも90%の同一性を有する、請求項27に記載の細菌。
  33. mutBをコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号34と少なくとも90%の同一性を有する、請求項27に記載の細菌。
  34. プロピオネートをポリヒドロキシアルカノエートに変換する1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子配列を含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の細菌。
  35. prpE、phaB、phaCおよびphaAをコードする1つまたは複数の遺伝子配列を含む、請求項34に記載の細菌。
  36. prpEをコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号25と少なくとも90%の同一性を有する、請求項35に記載の細菌。
  37. phaBをコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号26をコードすると少なくとも90%の同一性を有する、請求項35に記載の細菌。
  38. phaCをコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号27をコードすると少なくとも90%の同一性を有する、請求項35に記載の細菌。
  39. phaAをコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号28をコードすると少なくとも90%の同一性を有する、請求項35に記載の細菌。
  40. プロピオネートをピルベートおよびスクシネートに変換する1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする遺伝子配列(複数可)を含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の細菌。
  41. 1つまたは複数の遺伝子配列が、prpB、prpCおよびprpDをコードする、請求項40に記載の細菌。
  42. 前記1つまたは複数の遺伝子配列が、prpEをコードする、請求項40または請求項41に記載の細菌。
  43. prpEをコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号25と少なくとも90%の同一性を有する、請求項40または請求項41に記載の細菌。
  44. prpCをコードする前記1つまたは複数の遺伝子配列が、配列番号57と少なくとも90%の同一性を有する、請求項40または請求項41に記載の細菌。
  45. prpDをコードする前記1つまたは複数の遺伝子配列が、配列番号58と少なくとも90%の同一性を有する、請求項40または請求項41に記載の細菌。
  46. prpBをコードする前記1つまたは複数の遺伝子配列が、配列番号56と少なくとも90%の同一性を有する、請求項40または請求項41に記載の細菌。
  47. 1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする前記1つまたは複数の遺伝子配列が、細菌細胞におけるプラスミド上に位置する1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子を含む、請求項1〜46のいずれか一項に記載の細菌。
  48. 1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする前記1つまたは複数の遺伝子配列が、前記細菌細胞における染色体上に位置する1つまたは複数のプロピオネート異化酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子を含む、請求項1〜47に記載の細菌。
  49. 前記スクシネート輸出体をコードする前記遺伝子配列(複数可)が、dcuCをコードする、請求項3〜48のいずれか一項に記載の細菌。
  50. dcuCをコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号49の配列と少なくとも約90%の同一性である、請求項49に記載の細菌。
  51. 前記スクシネート輸出体をコードする前記遺伝子配列(複数可)が、sucE1をコードする、請求項3〜48のいずれか一項に記載の細菌。
  52. sucE1をコードする前記遺伝子配列(複数可)が、配列番号46の配列と少なくとも約90%の同一性を有する、請求項51に記載の細菌。
  53. 操作された細菌細胞が、前記少なくとも1つのプロピオネート異化酵素をコードする少なくとも1つの異種遺伝子の活性を増加させる遺伝子改変をさらに含む、請求項1〜52のいずれか一項に記載の細菌。
  54. 前記操作された細菌細胞が、prpEの活性を増加させる遺伝子改変をさらに含む、請求項1〜53のいずれか一項に記載の細菌。
  55. 前記操作された細菌細胞が、pkaにおける遺伝子改変をさらに含む、請求項1〜54のいずれか一項に記載の細菌。
  56. プロバイオティック細菌細胞である、請求項1〜55のいずれか一項に記載の細菌。
  57. バクテロイデス属、バフィドバクテリウム属、クロストリジウム属、大腸菌属、乳酸桿菌属および乳酸球菌属からなる群から選択される属のメンバーである、請求項1〜56のいずれか一項に記載の細菌。
  58. 大腸菌属のものである、請求項1〜57のいずれか一項に記載の細菌。
  59. 前記操作された細菌細胞が、大腸菌種ニッスル株のものである、請求項1〜58のいずれか一項に記載の細菌。
  60. 前記操作された細菌細胞が哺乳動物消化管内に存在する場合、前記操作された細菌細胞が、補足される遺伝子における栄養要求体である、請求項1〜59のいずれか一項に記載の細菌。
  61. 前記哺乳動物消化管が、ヒト消化管である、請求項60に記載の細菌。
  62. 前記操作された細菌細胞が、ジアミノピメリン酸における栄養要求体、またはチミン生合成経路における酵素における栄養要求体である、請求項60または請求項61に記載の細菌。
  63. 前記操作された細菌細胞が、該細菌に対して有毒である物質をコードする遺伝子を有するようにさらに操作され、前記遺伝子が、前記哺乳動物消化管に天然で存在しない環境条件により直接的または間接的に誘導されるプロモーターの制御下にある、請求項1〜62のいずれか一項に記載の細菌。
  64. 請求項1〜63のいずれか一項に記載の細菌と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
  65. 経口投与用に製剤化された、請求項64に記載の医薬組成物。
  66. 対象におけるプロピオネート、メチルマロネートおよびそれらの副産物分子のレベルを低下させるための、および/または対象におけるプロピオネートの異化を伴う疾患もしくは障害を治療するための方法であって、請求項64または請求項65に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
  67. プロピオネートの異化を伴う前記障害が、有機酸血症である、請求項66に記載の方法。
  68. 前記有機酸血症が、プロピオン酸血症(PA)である、請求項67に記載の方法。
  69. 前記有機酸血症が、メチルマロン酸血症(MMA)である、請求項67に記載の方法。
  70. プロピオネートの異化を伴う前記障害が、ビタミンB12欠乏症である、請求項66に記載の方法。
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