希ガス含有組成物は、キセノン、ヘリウム、アルゴン、ネオンおよびクリプトン・ガスから選択され、好ましい実施態様はキセノンである。 本発明の1つの実施態様において、亜酸化窒素および/または亜酸化窒素供与体が、前記希ガス含有組成物に加えられる。 特に重要なことに、希ガス組成物は、麻酔効果を誘導するのに必要な濃度未満で投与される。 本発明の1つの実施態様において、前記希ガス含有組成物は、吸入可能なガスの混合物を含み、そこにおいてキセノンまたはキセノン供与体が約50%以下である。 別の実施態様において、キセノンは前記ガス状組成物の約15〜40%を構成し、好ましい濃度は他のガス、好ましくは酸素または空気で希釈された約25%キセノンである。 いくつかの実施態様において、前記希ガス含有組成物は高圧室を使用して投与され、前記高圧室の前記圧力が3気圧(0.3MPa)を超えないものとする。
N.Franks et al等が以下に記述しているように、 How does xenon produce anaesthesia ? Nature, 396, 324. (1998)、キセノンはNMDAとして作用し、 D. Ma 等が報告した、 Xenon exerts age−independent antinociception in Fischer rats, Anesthesiology. 100, 1313−8. (2004)およびS. Petersen−Felix 等による Comparison of the analgesic potency of xenon and nitrous oxide in humans evaluated by experimental pain; Br J Anaesth. 81, 742−7 (1998)により確かめられた。 国際公開第A−02/22141号は、心血管保護剤、鎮静剤および鎮痛薬としてのキセノンの使用を教示する。 本特許は、ASDを治療するためにキセノンおよび希ガスの組合せの使用を出願する。
本発明の1つの実施態様において、希ガスの組合せは、強迫性障害、大食症、拒食症、広場恐怖症および閉所恐怖症などの神経系適応症の治療のために利用される。 発明の1つの実施態様において、希ガスの組合せは、全般性不安症、大うつ病、統合失調感情障害、統合失調症、PTSD、自閉症、パニック障害、アスペルガー症候群、器質脳症候群(アルツハイマー病、レビー小体、パーキンソン病、片頭痛、ハンチントン病および中毒)を治療するために利用される。
本発明は、ASDに罹患している患者を治療する手段を提供する。 特定のASD患者が局所および全身性の免疫調節異常を呈し、結果として炎症性メディエーター産生と興奮毒性が増加する傾向を示すことを観察し、その観察に基づいて患者を選択する。
初期の研究によると、自閉症患者において、マイトジェンによる刺激後にT細胞が増殖能を欠如していることが実際にわかった。 1つの研究において、Stubbs等が12例のASD患者と13例の対照患者を検査した。 研究者は、対照患者と比較して、T細胞マイトジェンであるフィトヘムアグルチニン(PHA)の種々の濃度に反応して、ASD患者の末梢血単核細胞の増殖が抑制されたことを見出した[1]。 独立したグループによってこの試験が拡大され、31例のASD患者を調べ、コンカナバリンAとアメリカヤマゴボウマイトジェンを加えたところ、年齢を適合させた対照と比較して、自閉症患者のリンパ球増殖の抑制が明らかになった[2]。 ASDにおいて、非特異的に低下することが報告された具体的なリンパ球のタイプとして、CD4 T細胞[3]およびナチュラルキラー細胞[4]が挙げられる。 経験に反するが、非特異的刺激物に対してリンパ球増殖活性が抑制されるということは、実際のところ自己免疫状態と関係している。 このことは、自己免疫患者[5-9]ならびに動物モデル[10-12]で立証されている。
B細胞の依存性とT細胞上で抗体産生が起こることを考慮すると、ASD患者で免疫系の体液性群が欠乏していることが、複数の研究によっても示された。 Heuer 等 自閉症の小児(AU; n=116)、自閉症ではない遅延発達(DD)小児(n=32)、完全な自閉症ではない自閉症スペクトラム障害の小児(n=27)および年齢を適合させた定型発達(TD)対照(n=96)から血漿を集めた。 検体は、免疫グロブリン(IgG、IgM、IgAとIgE)の全身レベルを酵素免疫測定法によって測定した。 被験者は、自閉症スペクトラム観察検査および自閉症診断面接改定版に従って評価され、すべての被験者は両親によって異常行動チェックリスト(ABC)を使ってスコア化された。 総スコアと同様、ABCサブスケールのそれぞれの数値スコアをIgレベルと相関させた。 AU小児の血漿IgG(5.39+/−0.29mg/mL)は、TD小児(7.72+/−0.28mg/mL; P < 0.001)およびDD小児(8.23+/−0.49mg/mL; P < 0.001)と比較して有意に減少していることが判明した。 自閉症の小児の血漿IgMレベル(0.670.06 mg/mL)もTD(0.79+/−0.05mg/mL; P < 0.05)と比較して有意に減少していた。 最も重要なことは、Igレベルが、すべての小児におけるABCスコアと負の相関があった(IgG: r=−0.334、P < 0.0001; IgM: r=−0.167、P=0.0285)[13]。 それ以降の研究は、自閉症患者におけるIgGとIgMの抗体レベルの減少についての観察を繰り返したものであった [14]。 したがって、T細胞活性が減少した1つの説明として、抗原提示細胞と発達過程のT細胞との間の相互作用が不適切である可能性が考えられる。 自己免疫において抗原提示細胞が欠如していることが以前から立証されていた。そしてこれらが自己免疫寛容を破壊するT細胞受容体の不適正な生成と相関していている[15-17]。 マクロファージは抗原をT細胞に提示する免疫細胞の1種であり、患者のマクロファージ調節分子であるMIF−1の血漿濃度を示す研究によって、ASDにおいて炎症状態が常時あることが示唆されている [18]。 適切な抗原提示のために必要とされる分子がASDでは欠如していることが見つかっている。 例えば、Jyonouchi等は、インターロイキン10の産生を促進するToll様受容体(TLR)の能力が減少していることを見出した [19]。 このサイトカインは、T細胞 [20-22] に作用する抗原提示細胞によって生成される基本的なシグナルであり、免疫系が自己免疫反応を開始しないようにするT調節性細胞の生成および維持において基本的な役割を果たす[23, 24]。 したがって、本発明の1つの態様において、本発明者は、ASD患者の免疫系のリバランシングが誘導されるように、T調節性細胞活性を増強させるために希ガスの組合せの使用を開示する。
複数の研究によれば、神経病学的に関連のあるターゲットに反応する抗体が健常対照者には見つかっていないが、ASD患者には見つかっており、これは自閉症が免疫に関連していることを支持するものである。 Silva等は、171例の自閉症小児と彼らの両親および54例の対照者の血漿中の脳組織抽出物に対する自己抗体レパートリーを定量的免疫ブロットによって分析した。 多パラメータ分析によって、患者と対照との間に有意差があることが明らかになり、こうした検体を識別することができるブロットの領域に対する反応性がみられた。 ターゲットタンパク質の分子量から、それがミエリン塩基性タンパク質(MBP)のアイソフォームである可能性が示唆された。ミエリン塩基性タンパク質は、軸索の内側を覆っているタンパク質で、多発硬化においてターゲットとなる[25]。 別の研究において、Vojdani等は、50例の自閉症患者と50例の健常対照者の血清を用いて、グリアジンと小脳由来の特異的ペプチドに対する反応性を調べた。 グリアジンは、多くのASD患者の特徴であるグルテン不耐症と関連があるグルテンに見つかる抗原である。 自閉症患者において、グリアジンと小脳ペプチドに対する抗体が有意な割合で同時に上昇していることが示された。 著者は、自閉症患者のサブグループがプルキンエ細胞とグリアジン・ペプチドに対する抗体を産生し、それが自閉症における神経症状の原因の一部となっている可能性があると結論づけた [26]。別の研究では、Cabanlit等が、172例の患者(自閉症(AU))、n = 63、年齢の中央値:43ヵ月、(定型発達(TD))対照、n = 63、年齢の中央値:48ヵ月、兄弟姉妹、n = 25、年齢の中央値:61ヵ月および(発達遅延(DD))対照、n = 21、年齢の中央値:38ヵ月)からの血清について検査した。 視床下部と視床を含むヒト成人の脳の特定領域から抽出したタンパク質抽出物に対するIgG抗体の有無を調べるために、血漿をウエスタンブロットによって分析した。 研究者は、AU被験者の血漿中に約52kDaの分子量バンドが存在し、TD対照からの血漿と比較して有意に高い発生率(それぞれ、視床において29% 対8%、P = 0.0027、視床下部において30% 対11%、P = 0.01)であることを報告した。 3つの脳タンパク質(分子量42〜48kDa)に対する反応性、特に視床下部に対する反応性が、AU被験者の37%で増加していることが観察され、一方、TD対照では13%(P = 0.004)であった。
AUの小児には、脳特異的自己抗体が有意に高い頻度で存在した。 AUで見られるこうした自己抗体の潜在的役割は現在のところ知られていないが、こうしたタンパク質が存在することは、幼少期に一つ以上の神経抗原に対する自己免疫寛容が失われたことを示唆している[27]。 したがって、本発明の1つの態様において、ASDの治療方法は、神経組織をターゲットとしている抗体の産生を低下させるために、希ガスを投与することによって提供される。 1つの実施態様において、本発明は、抗体の産生を変化させる他の薬剤と共に希ガスを利用することを教示していて、抗体を調整する前記手段が抗原特異的であってもよく、例えば抗原特異的免疫寛容誘導(例えば経鼻免疫寛容、経口免疫寛容、経静脈免疫寛容、免疫寛容性ワクチン)、あるいは化学療法薬、リツキシマブまたは血漿交換の実施などの抗原非特異的であってもよい。
別の実施態様において、キセノン・ガス含有混合物、好ましい態様では空気または酸素で希釈された25%キセノンが、樹状細胞からのIL−12産生を減少させるために、IL−12産生の減少が所望される免疫状態の悪い患者に投与される。 1つの実施態様では、酸素で希釈された25%キセノンを投与一回につき10リットル、一週間に3回投与する。
ASDの自己免疫の特徴は、抗体量の上昇のみならず炎症性タンパク質またはサイトカインの全身性発現としても見受けられる。 さまざまな炎症性物質が興奮毒性と関連しているという知見を考慮すると、ASDの特徴のいくつかが炎症性刺激によって誘導されるフェノタイプに似ており、ASD患者において全身的に炎症性および抗炎症メディエーターを探索することには論理的根拠がある。 Singh等の初期の研究によると、ASD患者の体循環のIL−12およびインターフェロンガンマのレベルが、対照と比較して有意に高いことが証明された。 免疫応答の抗原提示群によって産生されるIL−12がTh1細胞を誘発することはよく知られており、後に炎症性であることが知られるようになったのは非常に興味深いものである[28]。 別の試験では、65例の自閉症小児、8例の注意欠如障害小児、2例のレット症候群小児、2例のアスペルガー症候群小児について、腫瘍壊死因子(TNF−alpha)、インターロイキン−1(IL−1)およびインターロイキン−6(IL−6)の血清濃度を測定した。 結果を、年齢、性別を適合させた対照小児と比較した。 自閉症小児、注意欠如障害小児、レット症候群小児およびアスペルガー症候群小児の血清におけるTNF−alpha、IL−1およびIL−6産生の有意な増加[29]。 TNF−alpha、IL−1およびIL−6がすべて免疫系の抗原提示群、特にマクロファージによって産生される炎症誘発性のシグナルであることを考慮すると、研究は間接的にASDにおける免疫系のこの群に何らかの変更が存在していることを支持している。
別の試験において、2〜5歳のASD小児から得られた血漿検体中の分化サイトカインの放出について臨床調査を行い、年齢を適合させた定型発達(TD)小児および 自閉症 以外の発達障害(DD)小児と比較した。 標準評価(DSM IV基準とADOS、ADI−R)によりASDと確定診断された97例の参加者、TDと確定した87例の対照者およびDDと確定した39例の対照者。 血漿を分離し、サイトカイン産生を複合ルミネックス(商標)分析によって評価した。 観察によると、IL−1β、IL−6、IL−8およびIL−12p40を含む多くのサイトカインの血漿濃度は、ASD群においてTD対照群と比較して有意な増加を示す。 さらに、ASD群を発病時期に基づいて分けると、サイトカイン・レベルが上昇したのは大部分が退行型ASD小児であった点が指摘された。 また、サイトカイン・レベルの増加は、コミュニケーション障害および異常行動の悪化程度と関係していた。 ASDの重症度が炎症マーカーと相関していたことから、この試験は特に重要であった[30]。 ASDにおいてさらに別のサイトカインについて記述があり、例えば、Al−Ayadhii等は45例のASD小児および40例の適合する健常対照者の血清IL−17Aレベルを詳しく調べた。 ASD小児の血清IL−17Aレベルは健常対照者より有意に高く、自閉症患者群の48.9%でIL−17Aの血清レベルが増加していることが見つかった。 重度の自閉症患者の血清IL−17Aレベルは、軽度から中程度の自閉症患者より有意に高く、重度の自閉症小児では血清のIL−17Aレベル増加が頻繁にみられ(67.9%)、その頻度は中軽度の自閉症小児(17.6%)に比較して有意(P=0.001)であった[31]。
ASDにおけるIL−17の上昇は、この疾患が自己免疫寛容の破壊時にサイトカインが根本的に重要な役割を果たすことが原因で起こる自己免疫の要素を持つことを特に暗示している[32-36]。 これは、患者同様、多数の自己免疫動物モデルでIL−17の上昇がみられることによって例証される[37-40]。
炎症性サイトカインのレプチンがASD患者でも報告された。 例えばBlardi等は、若年の自閉症患者について研究し、1年間にわたって血漿レプチンとアディポネクチンレベルを調べた。 35例の患者(ベースライン時の平均年齢、14.1+/−5.4歳)を登録した。 対照は、性別および年齢を適合させた35例の健常者であった。 血液検体は試験開始時および1年後の朝に採血した。 患者のアディポネクチンに有意な変化はみられなかったが、レプチン濃度は有意に増加した。 患者のレプチン値は、それぞれの検査時期で対照より有意に高かった。 それぞれの検査時期で、アディポネクチン値は、患者と対照の間で差がなかった。 患者が肥満でなかったことから、著者はレプチンが体重バランス以外の臨床症状に関与する可能性について仮説を立てた[41]。 別の試験によって、この知見が確認された。 具体的には、自閉症(37例の退行性を含む)と診断された70例の小児と、50例の定型発達(TD)対照、自閉症 のない26例の兄弟姉妹および23例の発達障害(DD)小児を含む99例の年齢を適合させた対照とを比較して、レプチン血漿レベルを評価した。 自閉症 の小児の血漿レプチン・レベルは、TD対照と比較して有意に高かった(p < .006)。 退行性または早期発症型 自閉症, にさらに分類すると、早期発症型 自閉症の小児の血漿レプチン・レベルは、退行性 自閉症 (p < .042)、TD対照(p < .0015)およびDD対照(p < .004)の小児と比較して有意に高かった。
より広範囲なサイトカイン分析が、Suzuki等によって行われた。Suzuki等は、高機能ASD(n=28)のある男性被験者および適合する対照(n=28)からの血漿検体を調べるためにサイトカインとケモカインの多重分析を利用した。 調べられた合計48検体の中で、IL−1β、IL−1RA、IL−5、IL−8、IL−12(p70)、IL−13、IL−17とGRO−αの血漿濃度は、多重比較で補正した後、適合対照の値と比較したところ、ASDの被験者において有意に高かった[42]。 類似の結果が、別の独立試験で見つかった [43]。 これらの多くの炎症性メディエーターはASDの重症度と相関しており、ケモカインとの間にも相関がみられた。 別の研究において、Ashwood等は、ASD小児において血漿中のケモカインに違いがあるかどうかについて、年齢を適合させた定型発達の対照およびASD以外の発達障害の小児と比較して検討した。 MCP−1、RANTESおよびエオタキシンのレベルは両方の対照群と比較してASD小児で増加がみられ(p < 0.03)、ケモカインの産生が増加すると異常行動スコアが高くなり、発達上で適応可能な機能の障害の程度 [44] と関係していた。
自閉症と炎症性メディエーターの関連性は、ASD患者で、血漿中の炎症誘発性分子HMGB1のレベルが増加していることによって説明することができるものと思われる。 例えば、一つの試験では、22例の自閉症成人患者(平均年齢: 28.1+/−7.7歳)および28例の年齢と性を適合させた健常対照者(平均年齢: 28.7+/−8.1歳)のHMGB1濃度を酵素免疫測定法(ELISA)にて測定した。 健常者と比較すると、HMGB1の血中レベルは自閉症患者で有意に高かった(それぞれ、10.8+/−2.6ng/mL対5.6+/−2.5ng/mL、P < 0.001)。 潜在的交絡因子の調整の後、血清HMGB1のレベルは、相互的社会的関係における機能障害を反映する自閉症診断面接改定版における患者のドメインAスコアと独立して関係していた[45]。 互いに矛盾するものではないが、ASD患者で免疫抑制サイトカインのレベルの減少が見られるということを別の仮説として挙げることができる。 例えば、TGF−betaは、炎症とTh1/Th17サイトカインの強力なサプレッサーであることが知られている。 75例のASDの小児における活性化TGF−beta1の血漿レベルを68例の対照と比較して評価した。 年齢と性を適合させた後に、ASDの小児の血漿TGF−beta1レベルを、定型発達の対照児(p=0.0017)およびASD以外の発達障害の小児(p=0.0037)と比較したところ、有意に低くかった。 さらに、TGF−beta1のレベルの低下が適応行動の低下および行動上の症状の悪化と関係があるように、心理的尺度とTGF−beta1レベルとの間に有意の相関がみられた[46]。
ASDにおけるサイトカイン調節不全の生物学的関連性についての証拠として、炎症の全身マーカーが上昇するという事実を挙げることができる。 例えば、活性化マクロファージによって産生される産物であるネオプテリンは、ASD患者では対照より高い濃度で発現している[47-49]。 さらに、マクロファージ活性化の別のマーカーである一酸化窒素もASD患者で上昇する[50]。
サイトカインの異常に加えて、in vitroの刺激に応答してサイトカインを産生する免疫細胞能が変化するなどの細胞性異常も検出されている。 1つの試験では、17例のASDの小児および16例の年齢を適合させた定型発達(TD)対照から分離した末梢血単球を調べ、これらを含む細胞培養を異なるtoll様受容体(TLR)リガンドでin vitroにて刺激し、細胞培養から上清を集め、IL−1beta、IL−6、IL−8、TNF―alpha、MCP−1およびGM−CSFに反応する炎症誘発性サイトカインを多重ルミネックス分析によって測定した。 TLRリガンドによるin vitro刺激の後、分化サイトカインの反応について、ASD小児から分離した単球培養で観察し、TD対照小児と比較した。 特に、ASD小児から分離した単球培養中に、炎症誘発性IL−1beta、IL−6およびTLR 2に続くTNF―alphaの反応、TLR 4刺激に続くIL−1beta反応に、TD対照に比較して著しい増加があった[51]。
T細胞レベルについて、確定診断がついた66例のASのD小児と定型発達(TD)と確定された73例の2〜5歳の対照を対象に臨床試験を行った。 In vitroにてPHAと破傷風で末梢血単核細胞を刺激して、グループ関連の細胞性応答を比較した。 ASDのIL−12p40がPHA刺激の後、TD対照と比較して減少したのに対して、GM−CSF、TNF-αおよびIL−13の産生が有意に増加した。 炎症誘発性またはT(H)1サイトカインの増加が、異常行動と同じく、ASDの中心的特徴において機能障害が大きく損なわれていることと関係があったように、誘発されたサイトカイン産生はASD小児の行動変化と関係していた。 これとは対照的に、GM−CSFおよびT(H)2サイトカインの産生は、より良好な認知機能および適応機能と関係があった。 刺激の後、活性化マーカーのうち、CD134およびCD69以外のCD25、HLA−DRまたはCD137を発現しているCD3(+)、CD4(+)およびCD8(+) T細胞の頻度は、ASDで有意に減少していた。これはASDのT細胞の活性化プロフィールが変化していることを示唆するものである[52]。 これは、以下の参考文献でも引用されている[53, 54]。
ASDが免疫を介した疾患であるという可能性は、免疫調節剤がASDを抑制またはその症状を減少するという研究によって支持されている。 例えば、抗炎症特性を持つ承認済みのPPAR−γ抑制薬であるピオグリタゾンが、30または60mg/日、経口で投与された。 合計25例の小児(平均年齢は7.9 +/− 0.7歳)が登録した。 行動上の症状を、多動、不適切な会話、興奮性、無気力および常同行動を測定する異常行動チェックリスト(ABC)によって、試験開始時および治療後3〜4ヵ月に評価した。 30または60mgの経口ピオグリタゾンを3〜4ヵ月間、毎日投与すると、有害事象なしに顕著に臨床状態の改善がみられたと報告された。 特記する副作用がなく、行動測定については、5つのサブカテゴリ中4つ(興奮性、無気力、常同行動および多動)に有意の減少がみられたことが明らかになった[55]。 臨床診断でASDのDSM IVTRと診断された4〜12歳の間の40例の小児に、抗炎症かつNF−kB抑制薬であるペントキシフィリンをリスペリドンと混合投与して評価した。 重度の破壊的症状を主訴とする小児は、自閉症性障害と関係があった。 患者を10週間の二重盲検プラセボ対照試験のために、ペントキシフィリン+リスペリドン群またはプラセボ+リスペリドン群にランダムに割り当てた。 リスペリドンの用量は、3mg/日まで増量し、ペントキシフィリンは600mg/日まで増量した。 試験開始時のベースライン時、投薬の2、4、6、8および10週後に患者を評価した。 転帰は、異常行動チェックリスト−コミュニティ(ABC−C)によって計測した。 ペントキシフィリンを受けた群において、興奮性、無気力/引きこもり、常同行動、多動/不服従および不適切な言語[56]についてのABC−Cサブスケール・スコアがより大きく減少し、2つのプロトコル間の差は有意だった。 IVIG [57]およびステロイド [58]などの炎症の抑制と関連する他の免疫調節成分によって、ある程度の改善がみられることが明らかになった。
調査のもう一つの領域は、HLAのような免疫関連遺伝子による遺伝子多型が疾患と関連があるという遺伝学的研究から得られたASDが炎症性/自己免疫疾患であるという仮説を支持している [59-69]。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、単一または複数の恐ろしいイベントに曝された結果生じる消耗性の外傷関連の障害である。 大多数のPTSD症例は戦闘状態と関係があるが[77]、他の誘発因子も報告されている[78-82]。 PTSDの大部分の生物学的知見は、例えば中枢神経系内で副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)濃度が上昇およびカテコールアミンの減少などの慢性ストレス応答にみられるものと矛盾しない[83]。 患者は、断片的な記憶、宣言的記憶に関する問題、外傷に関連する情報に対する注意バイアスおよび侵入性記憶などを含む幅広い記憶に関する問題を呈する[84]。
PTSD患者で解剖学的な違いが見つかっている。例えば、Bremner等は、PTSDを呈する26例のベトナム戦争退役軍人の海馬量を、年齢、性、人種、教育年数、社会経済的状態、体の大きさとアルコール乱用年数が患者と類似しているように選択された22例の被験者と比較して調べた。 被験者と比較して、PTSD}患者の右海馬量が8%少なく、これは統計的に有意であったが、他の脳領域(尾状核と側頭葉)量には差がなかったことが認められた[85]。 他の研究でも、海馬量の減少については類似の結果が見つかった[86, 87]。
PTSDの治療は、すべての選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の中でも最も強力なセロトニン再取り込み阻害薬である抗うつ薬、パロキセチン(Paxil)を含む[88]。Marshall等は、二重盲検試験を行い、186例の患者をランダムに割り当ててプラセボを投与し、183例に20mg/日のパロキセチン、182例の患者に40mg/日のパロキセチンを投与した。 両方の用量群のパロキセチン治療を受けた患者は、治療企図解析によると、プラセボ治療を受けた患者と比較して主要転帰に有意な改善がみられた。 さらに、パロキセチン治療は、3つすべてのPTSD症状の集合(再体験、回避/無感覚および過覚醒)および社会的機能障害と職業性機能障害および併発する抑うつ症について、プラセボと比較して統計的に有意な改善を来した。 治療に対する反応は、外傷のタイプ、外傷を受けてからの時間またはベースライン時のPTSDの重症度または抑うつ症状の重症度によって違いがなかった。 両方の用量は、認容性が高かった[89]。 これらの結果は、いくつかの他の研究によって追試された[90-93]。
PTSDは、炎症マーカーの全身のアップレギュレーションと同様に[97, 98]神経炎症[94-96]を特徴とする。 興味深いことに、ミノサイクリンのような炎症を減少させる薬剤は、PTSDまたはPTSDのモデルに対しても作用がある[99, 100]。 神経炎症および炎症を減少し、PTSDおよび自閉症に関連する生物学的プロセスを改善するために利用される指針は、脳卒中、統合失調症および痴呆を含む他の精神疾患および神経学的障害にも適用できる。 本発明の1つの実施態様において、希ガス含有混合物は、PTSD患者の炎症を減少させるために利用される。 本発明の1つの実施態様において、神経新生の刺激は希ガス含有混合物の投与によって達成される。 1つの実施態様において、脳卒中、統合失調症および痴呆の治療のために希ガス含有混合物の使用が開示される。 1つの実施態様において、前記希ガス含有混合物は約10〜40容量%のキセノン濃度を含む。 別の実施態様において、キセノンの前記濃度は、約15〜25容量%である。 ガスの残りの濃度は、空気、酸素と窒素の混合物または他の希ガスを追加してもよい。
濃度決定のためのガイダンスおよび希ガス含有混合物の比率は当技術分野によって提供され、所望する効果に基づいて使われる。 神経学的/免疫学的効果を引き出すために有用な希ガス含有混合物の実施例は、本明細書の一部として援用する以下の参考文献に挙げる[101-106]。 1つの実施態様において、前記希ガスの混合物は、ガス状組成物として患者に吸入することによって生理的投与ができ、そこにおいてガス状組成物が、有効な容積比率のキセノンを含み、少なくとも10%から50容量%未満の範囲内にあり、治療を必要とする患者の免疫学的パラメータを調整するのに十分な量を含むものとする。 別の実施態様において、ガス状混合物は神経新生を誘発するために投与される。 別の実施態様において、前記ガス状混合物は興奮毒性を低下させるために投与される。 別の実施態様において、前記ガス状混合物は神経学的疾患を治療するために投与される。 1つの実施態様において、前記ガス状組成物は、40容量%未満のキセノンを含む。 1つの実施態様において、ガス状組成物は、30容量%未満のキセノンを含む。 1つの実施態様において、前記ガス状組成物はさらに酸素を含む。 1つの実施態様において、前記ガス状組成物は、21容量%の酸素を含む。 1つの実施態様において、前記ガス状組成物がN2O、Ar、Kr、Ne、He、Ne、NO、CO、H2SおよびN2からなる群から選択される追加の合成物をさらに含む。 1つの実施態様において、前記ガス状組成物は、1回の吸入時間が数分から1時間以上で、1日につき1回以上、患者に投与される。 1つの実施態様において、前記ガス状組成物は、2〜300barの範囲内の圧力のガス容器で提供される。 個々の症例によって、本発明による吸入可能なガス状組成物は、以下の特徴のうち1つまたは複数を含むことができる: 有効な体積比率のキセノンを含む。 5〜70容量%の範囲内のキセノンを含む。 少なくとも10容量%のキセノンを含む。 50容量%未満のキセノンを含む。 40容量%未満のキセノン、好ましくは30容量%未満のキセノンを含む。 酸素、好ましくは少なくとも21容量%の酸素をさらに含む。 それは、N2O、Ar、Kr、He、Ne、NO、CO、H2SおよびN2からなる群から選択される追加の合成物をさらに含む。 数日から数年の間にわたる総治療期間中、キセノンは、1日につき1回以上の吸入によって、患者に投与される。 ガス状キセノンは、酸素を含むガスと混合され、特にキセノンは空気またはN2/O2混合物と混合される。
本発明の1つの実施態様において、PTSD関連の炎症は、空気または酸素で希釈された25%のキセノンを約10リットル量で投与することによって治療され、前記ガスの組合せは1週につき約3回、投与される。 例えばPTSDなどの中枢神経系の炎症が関係する病状について、炎症を減少させるための薬剤として使用されるガスまたはガス混合物の例は、以下を含む: 1.) 100容量%のキセノン。 2.) 70容量%のキセノン/30容量%の酸素。 3.) 65容量%のキセノン/30容量%の酸素/5容量%の窒素。 4.) 65容量%のキセノン/35容量%の酸素。 5.) 60容量%のキセノン/30容量%の酸素/10容量%の窒素。 6.) 60容量%のキセノン/35容量%の酸素/5容量%の窒素。 7.) 60容量%のキセノン/40容量%の酸素。 8.) 55容量%のキセノン/25容量%の酸素/20容量%の窒素。 9.) 55容量%のキセノン/30容量%の酸素/15容量%の窒素。 10.) 55容量%のキセノン/35容量%の酸素/10容量%の窒素。 11.) 55容量%のキセノン/40容量%の酸素/5容量%の窒素。 12.) 55容量%のキセノン/45容量%の酸素。 13.) 50容量%のキセノン/50容量%の酸素。 14.) 50容量%のキセノン/45容量%の酸素/5容量%の窒素。 15.) 50容量%のキセノン/40容量%の酸素/10容量%の窒素。 16.) 50容量%のキセノン/30容量%の酸素/20容量%の窒素。 17.) 50容量%のキセノン/25容量%の酸素/25容量%の窒素。 18.) 45容量%のキセノン/55容量%の酸素。 19.) 45容量%のキセノン/50容量%の酸素/5容量%の窒素。 20.) 45容量%のキセノン/45容量%の酸素/10容量%の窒素。 21.) 45容量%のキセノン/40容量%の酸素/15容量%の窒素。 22.) 45容量%のキセノン/35容量%の酸素/20容量%の窒素。 23.) 45容量%のキセノン/30容量%の酸素/25容量%の窒素。 24.) 45容量%のキセノン/30容量%の酸素/25容量%の窒素。 25.) 40容量%のキセノン/30容量%の酸素/30容量%の窒素。 26.) 40容量%のキセノン/50容量%の酸素/10容量%の窒素。 27.) 35容量%のキセノン/25容量%の酸素/40容量%の窒素。 28.) 35容量%のキセノン/65容量%の酸素。 29.) 30容量%のキセノン/70容量%の酸素。 30.) 30容量%のキセノン/50容量%の酸素/20容量%の窒素。 31.) 30容量%のキセノン/30容量%の酸素/40容量%の窒素。 32.) 20容量%のキセノン/80容量%の酸素。 33.) 20容量%のキセノン/30容量%の酸素/50容量%の窒素。 34.) 15容量%のキセノン/30容量%の酸素/55容量%の窒素。 35.) 15容量%のキセノン/50容量%の酸素/35容量%の窒素。 36.) 10容量%のキセノン/90容量%の酸素。 37.) 10容量%のキセノン/50容量%の酸素/40容量%の窒素。 38.) 10容量%のキセノン/30容量%の酸素/60容量%の窒素。 39.) 10容量%のキセノン/25容量%の酸素/65容量%の窒素。 40.) 5容量%のキセノン/25容量%の酸素/70容量%の窒素。 41.) 5容量%のキセノン/30容量%の酸素/65容量%の窒素。 42.) 5容量%のキセノン/50容量%の酸素/45容量%の窒素。 43.) 5容量%のキセノン/30容量%の酸素/65容量%の窒素。 44.) 5容量%のキセノン/95容量%の酸素。 45.) 1容量%のキセノン/99容量%の酸素。 46.) 1容量%のキセノン/30容量%の酸素/69容量%の窒素。 47.) 1容量%のキセノン/25容量%の酸素/74容量%の窒素。
本発明の1つの実施態様において、治療的希ガス組成物は、身体の免疫学的要因を変更するような方法で投与される。 具体的には、さまざまな濃度のキセノン・ガスは、吸入[107-109]またはエコー源性のキセノン・リポソーム[110, 111], の投与のいずれかによって血液循環に送達される場合、調節性T細胞フェノタイプの誘導およびTh17または他の関節炎を発生させる細胞の抑制を誘導するために利用できることを教示する。 キセノンの使用については、当技術分野の多数の研究者によって見直されていて、投与[112-114]の詳細に関するガイダンスを提供する。 重要なことに、本発明の新しいおよび非自明の態様は、他の希ガスと同様にキセノンが免疫調節を誘導し中枢神経系の炎症を抑制することができるということである。
本発明の1つの実施態様において、間葉系幹細胞などの新生細胞の集団は、最初に希ガス含有混合物で「プライム」される。 前記「プライム」は、新生細胞の活性を増強するために行われる。 治療目的の興味の対象となる活性として、遊走の増強、サイトカイン産生の増強または抗アポトーシス活性の増強が挙げられる。 そのような治療的活性を得るために有用な濃度および混合物は、目的とする遺伝子の刺激、すなわち前記治療的活性に関連した前記遺伝子の刺激によって決定される。 例えば、幹細胞遊走の増強が所望される場合には、CXCR4の産生について評価が行われる これを実施する手段は当技術分野でよく知られており、フローサイトメトリーによるCXCR4の分析が挙げられる。 遊走に関して所望の結果を定量化する他の手段として、SDF−1遊走分析が挙げられる。 希ガス含有組成物が投与された後に再生能を評価するために、当技術分野の1つの方法で、炎症または再生プロセスを変更することが知られているサイトカインを調べてもよい。 本発明の実施に適応するサイトカインとして、BLC、エオタキシン−1、エオタキシン−2、G−CSF、GM−CSF、I−309、ICAM−1、IL−1 ra、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6 sR、 IL−7、IL−10、IL−13、IL−16、MCP−1、M−CSF、MIG、MIP−1 alpha、MIP−1 beta、 MIP−1 delta、PDGF−BB、RANTES、TIMP−1、TIMP−2、TNF alpha、TNF beta、 sTNFRI、sTNFRIIAR、BDNF、bFGF、BMP−4、BMP−5、BMP−7、b−NGF、EGF、EGFR、EG−VEGF、FGF−4、FGF−7、GDF−15、GDNF、成長ホルモン、HB−EGF、HGF、IGFBP−1、IGFBP−2、IGFBP−3、IGFBP−4、IGFBP−6、IGF−1、インスリン、M−CSF R、NGF R、NT−3、NT−4、オステオプロテグリン、PDGF−AA、PIGF、SCF、SCF R、TGFalpha、TGF beta 1、TGF beta 3、VEGF、VEGFR2、VEGFR3、VEGF−D 6Ckine、Axl、BTC、CCL28、CTACK、CXCL16、ENA−78、エオタキシン−3、GCP−2、GRO、HCC−1、HCC−4、IL−9、IL−17F、IL−18 BPa、IL−28A、IL−29、IL−31、IP−10、I−TAC、LIF、Light、リンホタクチン、MCP−2、MCP−3、MCP−4、MDC、MIF、MIP−3 alpha、MIP−3 beta、MPIF−1、MSPalpha、NAP−2、オステオポンチン、PARC、PF4、SDF−1 alpha、TARC、TECK、TSLP 4−1BB、ALCAM、B7−1、BCMA、CD14、CD30、CD40リガンド、CEACAM−1、DR6、Dtk、エンドグリン、ErbB3、E−セレクチン、Fas、Flt−3L、GITR、HVEM、ICAM−3、IL−1 R4、IL−1 RI、IL−10 Rbeta、IL−17R、IL−2Rgamma、IL−21R、LIMPII、リポカリン−2、L−セレクチン、LYVE−1、 MICA、MICB、NRG1−beta1、PDGF Rbeta、PECAM−1、RAGE、TIM−1、TRAIL R3、Trappin−2、uPAR、VCAM−1、XEDARActivin A、AgRP、アンジオゲニン、アンジオポイエチン 1、カテプシン S、CD40、Cripto−1、DAN、DKK−1、E−カドヘリン、EpCAM、Fas リガンド、Fcg RIIB/C、ホリスタチン、ガレクチン−7、ICAM−2、IL−13 R1、IL−13R2、IL−17B、IL−2 Ra、IL−2 Rb、IL−23、LAP、NrCAM、PAI−1、PDGF−AB、レジスチン、SDF−1 beta、sgp130、ShhN、Siglec−5、ST2、TGF beta 2、Tie−2、TPO、TRAIL R4、TREM−1、VEGF−C、VEGFR1アディポネクチン、アジプシン、AFP、ANGPTL4、B2M、BCAM、CA125、CA15−3、CEA、CRP、ErbB2、ホリスタチン、FSH、GRO alpha、beta HCG、IGF−1 sR、IL−1 sRII、IL−3、IL−18 Rb、IL−21、レプチン、MMP−1、MMP−2、MMP−3、 MMP−8、MMP−9、MMP−10、MMP−13、NCAM−1、ニドゲン−1、NSE、OSM、プロカルシトニン、プロラクチン、PSA、Siglec−9、TACE、サイログロブリン、TIMP−4、TSH2B4、ADAM−9、アンジオポイエチン 2、APRIL、BMP−2、BMP−9、C5a、Cathepsin L、CD200、CD97、ケメリン、DcR3、FABP2、FAP、FGF−19、ガレクチン−3、HGF R、IFN−gamma alpha/beta R2、IGF−2、IGF−2 R、IL−1R6、IL−24、IL−33、カリクレイン 14、レグマイン、LOX−1、MBL、ネリプラマイシン、Notch−1、NOV、オステオアクチビン、PD−1、PGRP−5、セルピン A4、sFRP−3、トロンボモジュリン、TLR2、TRAIL R1、トランスフェリン、WIF−1ACE−2、アルブミン、AMICA、アンジオポイエチン 4、BAFF、CA19−9、CD163、クラステリン、CRTAM、CXCL14、シスタチン C、デコリン、 Dkk−3、DLL1、フェチュイン A、aFGF、FOLR1、フーリン、GASP−1、GASP−2、GCSF R、HAI−2、IL−17B R、IL−27、LAG−3、LDL R、ペプシノーゲン I、 RBP4、SOST、シンデカン−1、TACI、TFPI、TSP−1、TRAIL R2、TRANCE、トロポニン I、uPA、VE−カドヘリン、WISP−1、およびRANKが挙げられる。
本発明の実施のために、さまざまな集団の間葉系幹細胞を利用してもよく、骨髄、脂肪または間葉系幹細胞から派生した臍帯に加えて、羊膜間葉系幹細胞を免疫調節細胞として利用してもよい。 1つの具体的な実施態様において、羊膜の8_8 cm2部分を得る。 それらを300IU/mlのペニシリンおよび300mg/mlのストレプトマイシン(Gibco、Grand Island、ニューヨーク州、米国)添加1.0Mのリン酸緩衝食塩水(PBS; pH 7.2)で洗浄し、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)−高濃度ブドウ糖(Gibco)に10%のウシ胎児血清(FBS; Gibco) 、300IIU/mlのペニシリンと300mg/mlのストレプトマイシンを添加し、その培地に直ちに浸した。 すべての検体は、捕集後の12〜15時間以内に処理する。 羊膜は1.0MのPBS(pH 7.2)中の0.1%のコラゲナーゼI(シグマ−アルドリッチ社、セントルイス、モンタナ州、米国)で処理し、37_Cで20分間インキュベーションする。 それぞれの羊膜を低ブドウ糖含有DMEM(Gibco)で洗浄し、羊膜をやさしくマッサージした後、剥離した細胞を捕集する。 細胞を37_Cで10分間、300gで遠心分離し、10%FBS含有RPMI 1640培地に再懸濁し、続いて25cm2のフラスコで1_106細胞の密度で培養する。 インキュベーション24時間後、非接着細胞を除去する。 培地は、3日毎に置き換える。 接着細胞は80〜90%コンフルエントになるまで培養する。 次に細胞は、純度(例えば、CD90とCD105陽性細胞が90%を超える)、無菌状態(例えば、エンドトキシンおよびマイコプラズマ/細菌の汚染がない)および効力(例えば、IFN−gammaなどの炎症性サイトカインの産生を抑制することによるin vitroにおける免疫調節能)を含む品質管理手順に基づいて選択される。 細胞は引き続き、外リンパまたは内リンパ腺投与をするために利用されてもよい。 本発明の要旨を逸脱しない範囲で、間葉系幹細胞は、最大の免疫調節特性を備えるように最適化されてもよい。 1つの実施態様において、それは間葉系幹細胞を低酸素状態に曝露することによって行われてもよく、特に低酸素状態は、10%未満の酸素レベルを含むことができる。 いくつかの実施態様において、低酸素状態は、最高約7%の酸素を含む。 例えば、低酸素状態は、最高約7%まで、最高約6%まで、最高約5%まで、最高約4%まで、最高約3%まで、最高約2%まで、または最高約1%までの酸素を含むことができる。 別の例として、低酸素状態は、最高7%まで、最高6%まで、最高5%まで、最高4%まで、最高3%まで、最高2%までまたは最高1%までの酸素を含むことができる。 いくつかの実施態様において、低酸素状態は、約1%酸素から最高約7%までの酸素を含む。 例えば、低酸素状態は、約1%酸素から最高で約7%の酸素、 約2%酸素から約7%までの酸素、 約3%酸素から約7%までの酸素、 約4%酸素から約7%までの酸素、 約5%酸素から約7%までの酸素、 または約6%酸素から約7%までの酸素を含むことができる。 別の例として、低酸素状態は、1%酸素から最高7%の酸素、 2%酸素から最高7%の酸素、 3%酸素から最高7%の酸素、 4%酸素から最高7%の酸素、 5%酸素から最高7%の酸素、 または6%酸素から最高7%の酸素を含むことができる。 別の例として、低酸素状態は、約1%酸素から最高約7%の酸素、 約1%酸素から最高約6%の酸素、 約1%酸素から最高約5%の酸素、 約1%酸素から最高約4%の酸素、 約1%酸素から最高約3%の酸素、 または約1%酸素から最高約2%の酸素を含むことができる。 別の例として、低酸素状態は、1%酸素から最高7%の酸素、 1%酸素から最高6%の酸素、 1%酸素から最高5%の酸素、 1%酸素から最高4%の酸素、 1%酸素から最高3%の酸素、 または1%酸素から最高2%の酸素を含むことができる。 別の例として、低酸素状態は、約1%酸素から最高約7%の酸素、 約2%酸素から最高約6%の酸素、 または約3%酸素から最高約5%の酸素を含むことができる。 他の例として、低酸素状態は、約1%酸素から最高約7%の酸素、 2%酸素から最高6%の酸素、 または約3%酸素から最高約5%の酸素を含むことができる。 いくつかの実施態様において、低酸素状態は、約2%を超えない酸素を含み得る。 例えば、低酸素状態は、2%を超えない酸素を含み得る。
精神障害においては、希ガス含有組成物を利用できる領域は、双極性障害、パニック発作、全般性不安、痴呆、器質脳症候群、脳性麻痺、昏睡、遷延性植物状態、わずかに意識がある状態、全脳虚血、外傷性脳損傷、脳卒中および脳卒中後の回復を含む。 本発明は、赤血球産生の不足または他の血液生成欠乏症を治療するために利用されてもよい。 実施例として、貧血、再生不良性貧血または骨髄異形成症候群が挙げられる。 再生不良性貧血の特定の例において、キセノン、キセノン/アルゴン、キセノン/アルゴン/窒素の濃度は血球新生を増強するために投与され、その一方で、TNF−alphaの産生は抑制される。
実施例1: 小児自閉症の治療のためのキセノン/酸素吸入剤、アルゴン/キセノン吸入剤およびキセノン/アルゴン/酸素吸入剤の組み合わせ
自閉症は、10,000人あたり最高で16人が罹患する重度の神経発達障害である。 自閉症は、常同的コンプレックスで手および身体を動かす行動、単調性への渇望、および狭い範囲の反復的関心を特徴とする、社会的、コミュニケーション上、および強迫的/反復行動に影響する広汎性発達障害である。 自閉症は、罹患した個人およびその家族に大きな影響を与える。
予定される試験は、DSM−IVおよび自閉症診断面接(ADI)の基準を満たしている小児/青年自閉症において、キセノン/酸素吸入剤、アルゴン/酸素吸入剤およびキセノン/アルゴン/酸素吸入剤(後に、キセノン/アルゴン/酸素吸入剤対プラセボ)による治療の効果を評価するためにデザインされる。
治療介入期の条件
自閉症
小児自閉症
薬剤: キセノン/アルゴン/酸素吸入剤
第一相
試験のタイプ: 治療介入性
試験デザイン割り当て:無作為化
エンドポイント分類:安全性/有効性試験
治療介入モデル:単回群割り付け
マスキング:二重盲検法
主目的:治療
公式表題:小児自閉症におけるキセノン/アルゴン/酸素吸入剤対プラセボ
主要評価項目:
自閉症診断観察検査―包括的(ADOS−G)―ベースラインから最終来院時までの変化
臨床全般改善度(CGI)―ベースラインから最終来院時までの変化
異常行動チェックリスト(ABC)(多動/興奮性の項)―ベースラインから最終来院時までの変化
ヴァインランド適応行動尺度―ベースラインから最終来院時までの変化
マッカーサーコミュニケーション発達質問紙(MCDI)―ベースラインから最終来院時までの変化
コナーズ親・教師評価尺度改訂版: 長い形式(CPR−R:L)―ベースラインから最終来院時までの変化
仮登録: 40
詳細な説明:
一旦本試験に登録されると、被験者は被験治療の入院のために必要な基準を満たすかどうかを決定するために評価と検査を受ける。 被験者は、この試験の一部として実施されるいかなる評価または検査の費用に対しても責任を負わないものとする。
最初に被験者は、この試験への参加を阻害するような精神疾患または内科的疾患があるかどうかを確認するために、治験担当の精神科医による精神鑑定および医学的評価を受ける。 これらの評価を完了するのに、最高1時間かかる場合がある。 加えて、被験者は、診断および現在の問題領域を決定するために精神医学的面接に参加するように依頼される。 被験者の親もまた、精神医学的質問票に記入するよう依頼される。 面接と質問を完了するのに、最高4時間かかる場合がある。
第2に、尿と血液検体は、この試験期間中に2回(試験関連のあらゆる検査が行われる前、および試験終了後)日常検査のために必要とされる。 小さじ2杯分の血液が、毎回採血される。 腎臓機能を評価するために尿検体を分析し、薬(例えば、コカイン、マリファナ、ヘロインなど)の有無について検査する。 薬物検査が陽性である場合は、小児はこの試験に参加できないことになる。 薬物検査の結果については、秘密を保持するものとする。 加えて、心拍を測定するために心電図測定を実施する。
最後に、小児が女性で思春期に達している場合は、尿検体にて妊娠試験を行う。 妊娠しているかまたは授乳婦である場合は、その小児はこの試験に参加してはならない。 尿の妊娠試験が陽性の場合は、その小児を本試験から除外する。 小児が性的に活発である場合、この試験への参加期間中、小児は有効な避妊法を使用していなければならない。 容認可能な避妊法として、経口避妊薬薬物(その投与は、親の監督下に行われなければならない)、IUD、デポ剤薬物と卵管結紮術が挙げられる。
被験者は、活性薬剤のキセノン/アルゴン/酸素吸入剤またはプラセボ(室内の空気)のいずれかを12週間にわたって、偶然の確率で(ちょうど硬貨を指ではじくような確率)投与されるよう割り当てられる。 親/小児または治験担当医のいずれも、小児が2つのうちどの治療薬を投与されているかわからない。 本試験の期間中、小児がプラセボまたは本試験の活性薬(キセノン/アルゴン/酸素吸入剤)を受けるよう割り当てられる可能性は25%である。
小児は、12週間の試験の最初の4週間は毎週、試験の残りの週については一週置きに治験担当精神科医によって診察されなければならない。 来院期間中に、治験担当精神科医は、悪心や頭痛などの考えられる副作用などの投薬に関連があると思われる小児の状態について、親に対して質問し、小児の状態を確認する。 精神科医はまた、彼(彼女)の体重も記録する。 これらの試験中の外来は、通常、約30分かかる。
適格性
試験に適格な年齢:5歳〜17歳
試験に適各な性別:男女両方
健康なボランティアを受け入れる:否
基準
自閉症についてのDSM−IV、ADI−RおよびADOS−Gの基準を満たす
5歳〜17歳
外来患者
インフォームドコンセントに署名する意志のある親または法的保護者。
男性または女性の患者
患者は、自閉性障害(CGI AD)に対する臨床全般印象尺度の上で、スコアが少なくとも「4」(中等度の病気)である。
マッカーサーコミュニケーション発達質問紙で月齢18ヵ月の50%のスコアによって示されるように、最低限の会話ができるかまたは非会話である小児
除外基準:
過去または現在に、以下に述べるいずれかの精神障害を有する被験者: 精神病性障害、気分障害、双極性障害を含む。
重大な自傷行為(自分自身に目に見える危害を加える小児)を示す被験者。
活動性発作疾患(過去6ヵ月以内の発作)のある被験者。
現在、臨床的に有意な血液生成疾患または心血管疾患が明らかである患者を含む臨床的に有意または不安定な内科疾患を持つ被験者。
現在または過去に、以下の既往歴を持つ被験者:
薬の吸収、分布、代謝または排出を阻害する胃腸疾患、肝疾患、腎疾患または他の既知の疾患、
発作疾患(活動性)、自閉症的行動の病因となる脳血管疾患または頭部外傷、
甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症もしくは糖尿病などの臨床的に著しく不安定な内分泌障害、
最近または現在の罹患歴があるあらゆる型の悪性腫瘍
現在の薬物に対する自閉症の症状および行動について有意な改善を報告した被験者、またはCGIの包括的自閉症評価において、自閉症がないか、最低限または軽度である被験者、あるいは最低限以上の会話ができる被験者。
包括的自閉症評価において、自閉症がないか、最低限または軽度であると評価される被験者。
主要器官に対して明確に毒性の可能性があることが知られているいかなる薬による30日以内の治療。
臨床的に有意な異常が臨床検査または身体診察で見つかる被験者。
試験期間中、他の向精神薬を必要とする可能性のある被験者。同様に、安定な発作疾患のための一定用量の抗けいれん薬および不眠症(本試験への参加の少なくとも1ヵ月前に発症)のためのクロニジンは、別段の許可がない限り除外する。
指定される場合、精神活性薬の漸減を許容することができない被験者。
キセノンまたはアルゴンの使用に伴う過敏性または重度の副作用の既往歴をもつ被験者。
6週間以内にキセノンおよびアルゴンによる治療の前歴をもつ被験者。
治療を開始する前に指示された期間内に以下の治療介入のいずれかを受けた被験者:
過去30日以内の治験薬。
過去14日以内のモノアミンオキシダーゼ阻害剤。
過去6週間以内の長時間作用型フェノチアジン。
別段の許可がない限り、過去7日以内の他の向精神薬。
特記のない限り、治験薬の安全性評価を混同させるような治療的介入を必要とする器質性または全身性疾患を持つ被験者。
地理的遠隔地域に住むか、あるいは臨床施設への輸送機関に定期的なアクセス手段を持たない被験者。
本試験の完了時
包括的自閉症の急性治療において、キセノン/アルゴン/酸素吸入剤はプラセボより優れていた。
機能的能力の改善において、キセノン/アルゴン/酸素吸入剤はプラセボより優れていた。
言語機能の改善において、キセノン/アルゴン/酸素吸入剤はプラセボより優れていた。
興奮性および多動性行動の改善において、キセノン/アルゴン/酸素吸入剤はプラセボより優れていた。
社会性の欠如の改善において、キセノン/アルゴン/酸素吸入剤はプラセボより優れていた。
実施例2: キセノン・ガスによるアルツハイマータンパク質の誘導による単球のTNF−alphaの産生抑制
ヘパリン添加血液10mlを健常ボランティアから採血し、末梢血単核細胞をフィコール勾配で遠心分離した。 その後、細胞をリン酸緩衝食塩水で2回洗浄し、10%ウシ胎児血清添加RPMI培地で再懸濁した。 細胞は、1mlにつき1000万個の細胞濃度で、6穴プレートの1ウェルにつき2mlを入れてインキュベートした。 細胞は、5%CO2を含む完全に加湿された空気で摂氏37℃にて24時間、培養し、その後、非接着細胞をPBSにて洗浄することにより除去した。 その後、接着細胞を2枚のプレートに分け、一つは酸素正常状態の組織培養でインキュベートし、2番目のプレートは、30容量%のキセノンで1時間、培養した。3番目の組織は30容量%で2時間、培養した。 細胞をコントロール培地、1ug/mlのLPSおよび10μMのアミロイドβペプチドAβ(1−42)と共に24時間、処理した。 上清を集め、ELISAによってTNF−alpha産生を評価した。 図1に示すように、誘導されたTNF−alpha産生の抑制が、キセノン・ガスとのインキュベーションに反応して観察された。
実施例3: キセノン・ガスによるアルツハイマータンパク質による誘導樹状細胞のIL−12の産生抑制
実施例1に記述されているように、単球を接着PBMCから分離した。 樹状細胞は、IL−4(10ng/ml)およびGM−CSF(20ng/ml)を7日間、培養することによって生成した。 培地は2日毎に変えた。 7日目に、CD1c樹状細胞の精製を行い、細胞をコントロール培地、1ug/mlLPSと10μMアミロイドβペプチドAβ(1−42)と共に24時間、培養した。 上清を集め、ELISAによってIL−12産生を評価した。 図2に示すように、誘発されたIL−12産生の抑制がキセノン・ガスとのインキュベーションに反応して観察された。
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