JP2018517510A - 埋込物除去器 - Google Patents

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Abstract

【課題】埋込物除去処理の複雑さを低減し、使用にあたって特段の執刀者技能を必要としない器具を提供する。この器具は更に、必要とされる時間を短縮し、そのような処置の結果のばらつきを低減する。
【解決手段】皮膚の下から埋込まれた部材を取り除くための器具であり、この器具は、皮膚に取り付けられて埋込まれた部材を器具に対して既知の位置に保持するように構成された締付装置と、皮膚を切開して開口部を作る切開装置と、皮膚の開口部を通って移動し、埋込まれた部材を掴むように構成されたグリップ装置と、を備え、使用時に、埋込まれた部材は締付装置により実質的に既知の位置に保持され、切開装置が皮膚に開口部を作り、次いでグリップ装置がこの開口部を経て埋込まれた部材を掴む器具に関する。
【選択図】図12

Description

本発明は、外科処置で使用する器具に関する。より詳細には、実施形態により、体内から埋込物を取り除く器具を提供する。
長期避妊薬の使用が増えており、そういった避妊薬のうちの一種にはロッドの形態をした皮下埋込物があり、このロッドは、取り除かれるか又は新しいロッドと交換されることが必要になるまで、避妊ホルモンを放出する。例えば、Nexplanon [Schering-Plough Limited/Merck, Sharp & Dohme Limited (MSD) US]は、女性用の長期避妊薬としての使用が指示される皮下埋込物である。このNexplanonは、2010年に欧州市場に参入し、世界中の32ヶ国以上で販売されている、世界で最も広く使用されている埋込システムであるImplanon(欧州及び東南アジアでは1998年から利用可能、米国では2006年に認可)に取って代わりつつある。Implanon及びNexplanonの埋込物は両方とも、長さ4cm、直径2mmの非生分解性エチレン酢酸ビニル(EVA)共重合体コアであり、合成プロゲスチン・エトノゲストレル68mgを含み、速度制御を行うEVA共重合体膜で囲まれている。埋込物は、挿入後3年で交換されるか又は取り除かれなくてはならない。
他の避妊用埋込物としては、長さ43mm、直径2.5mm(2本のロッド)、持続期間5年間のJadelle、及び長さ44mm、直径2.4mm(2本のロッド)、持続期間4年間のSino-Implant IIがある。
長期に作用する可逆性の避妊という利点への注目の高まりにより、近年、先進工業国及び発展途上国の両方で、避妊用埋込物挿入の増加に拍車がかけられた。世界規模では、国連のミレニアム目標4及び5、即ち、妊産婦死亡率及び乳幼児死亡率の低減、を達成するために複数のキャンペーンが開始されており、当分の間は避妊用埋込物調達が急激に増加することが予想される。従って、益々増え続ける数の女性の避妊用埋込物を取り除く必要が生じるであろう。
避妊用埋込物が1980年代の初めに市場に導入されて以来、埋込物メーカーは、避妊用埋込物の挿入をより容易にすることに多大な努力をかたむけてきた。例えば、Nexplanon用に開発された独自のあらかじめ充填された使い捨てのアプリケータは、「失敗が無い」ことを保証し、埋込物の効率的な皮下挿入を保証する。一方、避妊用埋込物の除去に関しては、多分に手つかずのままであり、様々なサービス提供者の手に委ねられている。避妊用埋込物除去処置の推奨事項は40年の間実質的に変更がないままであり、サービス提供者の一般的な外科技能に依存している。
避妊用埋込物の挿入が専用の導入套管針の使用により容易に管理される一方で、避妊用埋込物の除去は専門家の訓練を必要とする複雑な作業である。避妊用埋込物除去のための標準化された方法は存在せず、世界の市場では専用の除去装置は販売されていない。現在のところ、避妊用埋込物は外科用メス及び鉗子を用いて取り除かれ、サービス提供者の一般的な外科技能に依存している。
現在受け入れられている処置は、一般的に、最低3つの重要な工程を必要とする。第1に、皮膚の下の避妊用埋込物の位置を、触診により特定する。第2に、避妊用埋込物に対して適切な位置に適切な寸法で切開を行わなくてはならない。次いで、通常は鉗子を皮膚の切開部を通して用いることにより、避妊用埋込物を配置し直し、引き抜かなくてはならない。
処置が複雑ということは、処置の時間が非常に変わりやすく、しばしば患者及び臨床医の両方にとって面倒であることを意味する。複雑な現在の避妊用埋込物除去処置は、望まれている避妊用埋込物使用の増加に対して主な障害となっている。単純で安全で効果的な避妊用埋込物除去処置を導入することにより、患者ケアを改善し、避妊用埋込物サービス提供者にとって費用対効果を高くし、完全な避妊用埋込物の手入れを行う機会を増やすことができる。利用可能な全ての研究が、現在の避妊用埋込物除去処置時間の長さが非常に変わりやすいこと、かつ個々の執刀者の技能に大いに依存していることを示している。
より最近では、国際公開第2013/156628号パンフレットでは、埋込物を皮膚の下の固定の既知の位置に保持することができ、それにより皮膚の下にある埋込物に対して外科用メスの正確な入刀点を提供することにより、除去処置に対する標準化された手法を促進する装置について記載している。そのような装置は、処置の第1の工程を達成するための単純な方法を提供することで処置の複雑さを低減するのに役立ち、残りの工程を執刀者は自由に完了することができる。
そのような装置は処置の複雑さを低減することでは進歩しているが、皮膚を切開することや埋込物を引き抜くという残された工程は、最も執刀者の技能を必要とする工程である。従って、必要とされる時間及び終了した処置の結果の品質は、依然として非常に変わりやすい。
従って、皮膚の下から避妊用埋込物を除去するための手段を提供する必要性が存在し、この手段は高いレベルの執刀者技能を必要としないように処置の複雑さを低減し、またこの手段は更に、埋込物を除去するために必要な時間を短縮し、かつ、処置の結果のばらつきを低減する。
本発明の第1の態様によれば、皮膚の下から埋込まれた部材を取り除くための器具が提供され、この器具は、皮膚に(かみ合うように)取り付けられ、埋込まれた部材を器具に対して既知の位置に保持するように構成された締付装置と、皮膚を切開して開口部を作る切開装置と、皮膚の開口部を通って移動し、埋込まれた部材を掴むように構成されたグリップ装置と、を備え、使用時に、埋込まれた部材は締付装置により実質的に既知の位置に保持され、切開装置が皮膚に開口部を作り、グリップ装置がこの開口部を経て埋込まれた部材を掴む。
切開装置は第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成され、切開装置は第1の位置で器具の内部に格納され、切開装置は第2の位置で器具の外部に延びており、使用時に、切開装置が第2の位置に移動することで、切開装置が皮膚と接触し、皮膚を切開してグリップ手段が通れる開口部を作ることが好ましい。
この器具は、切開装置の移動を制御するように構成された第1の作動手段を更に備え、使用時に、第1の作動手段が使用者により作動されると、切開装置が皮膚を切開して開口部を作ることが好ましい。
この作動手段は、第1のハンドルを備えており、使用時に、使用者が第1のハンドルを押すことにより筐体内部のばねを圧縮するように構成されており、第1のハンドルを押し続けると圧縮ばねが解放されて切開装置の移動を引き起こすことが好ましい。
切開装置の器具の外部への最大移動は、第1の停止部により第2の位置に制限されていることが好ましい。
この停止部は、切開装置の器具の外部への更なる移動を防止するように器具の構成要素と接触するように構成された、切開装置上の突起部を含むことが好ましい。
この器具は、切開装置面に第2の突起部を備え、この突起部は、使用時に、埋込まれた部材の切開が実質的に防止されるように、埋込まれた部材と接触するように構成されることが好ましい。
切開装置は、1枚以上の刃を備えることが好ましい。
切開装置は2枚以上の刃を備え、これらの刃は単一のユニットとして一体的に形成されることが好ましい。
切開装置は、2枚以上の別個の刃を備えることが好ましい。
切開装置は、実質的に同一平面上の2枚の刃を備えることが好ましい。
刃同士の横方向の距離は、使用時に、刃の一部が埋込まれた部材の両側から皮膚に入って2つの初期開口部を生成するように構成されることが好ましい。
同一平面上の刃は、等しく延びている尖った先端部及び対向する斜めの刃先を有しており、これらの刃は、使用時に、先端部が埋込まれた部材の両側から皮膚に入り、これらの刃が皮膚へと動き続けることで、斜めの刃先が2つの初期開口部を互いに向かって拡張するように構成されることが好ましい。
対向する斜めの刃先は、中心部で接して連続的な刃先を形成することが好ましい。
グリップ装置は第1の位置と第2の位置との間で動くように構成されており、グリップ装置の第2の位置は、切開装置の第2の位置と少なくとも部分的に一致し、使用時に、グリップ手段は切開装置により切開された皮膚の開口部を通って移動することが好ましい。
グリップ装置は、切開装置から独立して移動するように構成されることが好ましい。
この器具は、グリップ手段の移動を制御するように構成された第2の作動手段を更に備え、使用時に、使用者が第2の作動手段を作動させると、グリップ装置はグリップ装置の第2の位置に移動し、切開装置により切開された皮膚の開口部に入り、埋込まれた部材を掴むことが好ましい。
第2の作動手段は、器具の第2のハンドルを備え、この第2のハンドルはグリップ装置と機械的に連通し、この第2のハンドルの移動がグリップ装置の対応する移動を引き起こすことが好ましい。
グリップ装置はピンセット部材を備え、このピンセット部材は、埋込まれた部材を掴むように構成された対向するグリップアームを備えることが好ましい。
グリップ装置は、対向するグリップアームを一緒に掴位置で保持するように構成された機構を更に備えることが好ましい。
この機構は、グリップ装置が第2の位置に達した後でグリップアームを一緒に保持することが好ましい。
グリップ装置及び切開装置は同一のユニットであることが好ましい。
切開装置は1枚以上の刃を備え、グリップ装置はこの1枚以上の刃内の切り込みにより提供され、切開装置を皮膚内に移動させることにより、1枚以上の刃がまず初めに皮膚を切開して開口部を作り、引き続いて移動させると切り込みが開口部を通って埋込物と接触してこれを掴むように、切り込みは埋込まれた部材を掴むように構成されることが好ましい。
切開装置は2枚以上の対向する刃を備え、グリップ装置は、この2枚以上の対向する刃の顎部の掴む動作により提供されることが好ましい。
締付装置は、皮膚に(かみ合うように)取り付けられるように構成された2つ以上の対向する挟み面を備え、これらの面同士の間の距離は変化させることができることが好ましい。
締付装置は、所定の距離の所定の位置に、それらの挟み面のうちの1つ以上を解放可能にロックするように構成されたロック機構を更に備えることが好ましい。
挟み面のうちの少なくとも1つはくさび形を形成し、これらの面同士が使用時に合わせられると、くさび形の面は少なくとも部分的に埋込まれた部材の下に移動してこれを持ち上げ、埋込まれた部材の保持の改善を促進することが好ましい。
この器具は、切開装置及びグリップ装置を収容する筐体を更に備えることが好ましい。
筐体は、第1の端部に開口部を有する中空体を含んでおり、切開装置及びグリップ装置は、それらの第1の位置にある場合には筐体の中空体の内部に完全に収容され、それらの第2の位置にある場合には、第1の端部の開口部を通って延びるような態様で、筐体に対して移動するように構成されることが好ましい。
締付装置は筐体の中空体の第1の端部に設けられ、使用時に、締付装置は皮膚に取り付けられ、その後に切開装置及びグリップ装置をそれらの第2の位置に移動させることにより、これらの装置が筐体内の開口部を通って皮膚と接触し、切開装置が皮膚を切開して開口部を作り、この開口部を通ってグリップ装置が埋込まれた部材を掴むことが好ましい。
筐体は取っ手として作用するように構成され、使用時に、グリップ装置が埋込物を掴んだときに、使用者は器具を皮膚から引き離して、皮膚の開口部を通して埋込物を引き抜くことが好ましい。
この器具は一度だけ使用されるように構成されることが好ましい。
この器具が複数回使用できるように、切開装置及びグリップ装置は、使用後にそれらの第1の位置に置き直されることが好ましい。
器具の一部は複数回使用されるように構成され、器具の一部は一回のみ使用されるように構成されることが好ましい。
この器具は照明装置を更に備えることが好ましい。
本発明の第2の態様によれば、器具を使用して、皮膚の下から埋込まれた部材を取り除く方法が提供され、この方法は、器具の締付装置を操作して、埋込まれた部材を器具に対して既知の位置に保持する工程と、器具の切開装置を操作して、皮膚を切開して開口部を作る工程と、器具のグリップ装置を操作して、皮膚の開口部を通って埋込まれた部材を掴む工程と、を含む。
この方法は更に、締付装置を解放する工程と、グリップ装置を操作した後で、器具の取っ手を操作して器具を皮膚から引き離し、埋込まれた部材が皮膚の開口部を通って取り除かれる工程と、を更に含むことが好ましい。
本発明の第2の態様で使用される器具は、本発明の第1の態様の器具であることが好ましい。
本発明の実施形態によれば、皮膚の下に(例えば、皮下に)配置/埋込まれた埋込部材、特に上述のような避妊用埋込物、又は他の皮下薬剤若しくは皮下埋込物の除去処理を単純化できる。本発明の実施形態の器具によれば、避妊用埋込物除去処置の全ての工程を完遂する機能性が提供されるため、避妊用埋込物の除去が支援される。この器具により、第1に切開が行われるべき箇所の付近である皮膚の下の既知の位置に埋込物の位置を固定することができ;第2に再現可能な寸法で、かつ固定された埋込物に対して適切な位置に制御して切開部を作ることができ;第3に皮膚の切開部を経て確実に延びることができるグリップ手段を設けることにより埋込物を掴む手段が提供され;最後に切開部を通して埋込物を除去することができる。
従って、本発明の実施形態の器具によれば、完全な避妊用埋込物摘出処理を制御することができる。これは従来の避妊用埋込物除去処置を根本的に変えるものである。この器具を使用する際の利点は、重要とされた使用者の技能が何ら求められないことである。なぜならば、主な工程は器具の特徴により制御されており、そのうえこの処置は高い再現性と高い仕上がり品質を有するからである。切開部の寸法は高度に調節されており、皮膚及び周辺組織の損傷は最小限に抑えられる。埋込物をうまく見つけて、切開部を経て直接的にこれを掴むのに必要とされる技能はまったく不要となる。なぜならば、避妊用埋込物除去処置における上述の工程が、器具の機能性により制御されるからである。従って、完全な摘出処理が標準化され、処置を完了するのにかかる時間が大幅に短縮される。
以上より、この器具は、高いレベルの仕上がり品質を維持しながら避妊用埋込物除去を大幅に容易にする可能性を有する。そのため、避妊用埋込物調達の急激な増加に関連して避妊用埋込物除去に関して予想される世界的な高い需要を満足するのに役立てることができる。
本発明の実施形態を、例としてのみ、添付の図面を参照して説明する。
図1は一実施形態の器具の正面図である。 図2は実施形態の器具の背面図であり、内部の部品を露出させるために筐体背面部分を取り外してある。 図3は実施形態の器具の正面図であり、内部の部品を露出させるために筐体正面部分を取り外してある。 図4A及び図4Bは、一実施形態の刃の正面図及び側面図である。 図5A及び図5Bは、一実施形態の切開装置の制御ロッドの正面図及び側面図である。 図6A及び図6Bは、一実施形態の第1のハンドルの側面図及び正面断面図である。 図7A及び図7Bは、一実施形態の切開装置の移動調節器の正面図及び側面図である。 図8A及び図8Bは、一実施形態のピンセット部材の正面図及び側面図である。 図9A及び図9Bは、一実施形態のグリップ装置の制御ロッドの正面図及び側面図である。 図10A及び図10Bは、一実施形態の締付装置の動作を示す図である。 図11A及び図11Bは、一実施形態の器具を使用した埋込物摘出処置を示す図である。 図12は、一実施形態の方法の流れ図である。 図13は、一実施形態の代替の刃取り付け手段を示す図である。
本発明の実施形態は、避妊用埋込物摘出処置で必要とされる各工程を実施するための全ての手段を備えた単一の器具100を提供することにより、上述の問題の少なくとも一部を解決する。各工程はこの器具の構成要素の機能性により提供されるので、各工程でのばらつきは大幅に低減され、処置実施の再現性と速度が向上する。更に、この器具は、操作に特段の訓練を必要とせず、従って、訓練された臨床医の技能を必要とすることなく避妊用埋込物を摘出することができる。
本発明の器具は、一回きりの使用のもの、即ち使い捨てであってもよく、又は、複数回使用できてもよい。一回きり使用するように設計される器具の利点は、器具の全ての部品を殺菌して殺菌済パッケージに入れて器具を利用者に配布することができることである。「埋込物」、「異物」、及び「埋込まれた部材」という用語は、本明細書では互換的に使用される。皮膚の下に配置される異物は、任意の医療皮下の若しくは皮下の埋込物若しくは例えばマイクロチップなどであることがある。異物は、避妊用埋込物であることが好ましい。異物は、細長いことが好ましい。異物は、棒状であることが好ましい。
この器具は、避妊用埋込物を摘出することができる開口部を提供するために、必要とされる皮膚の切開を行うように構成された切開装置を備える。切開装置は、皮膚、周辺組織、又は埋込物に過度の損傷を与えることなく埋込物を引き抜くことができるように、適切な形状、寸法、及び深さの切開部を生成するように構成された1枚以上の刃を含むことが好ましい。
この器具は、切開装置により作られた皮膚の開口部を通って入り、埋込物を掴むグリップ装置も提供する。グリップ装置は、皮膚の開口部を通って移動し、かつ埋込物の周りで掴位置を維持するように構成されたピンセット部材を備え、これにより、器具をその後で皮膚から引き離して埋込物を取り除くことができることが好ましい。
この器具は、器具に対して既知の位置である皮膚の下の所定の位置に埋込物を保持するように構成された締付装置を含み、それにより埋込物摘出処理の最初の工程を提供することが好ましい。
この器具は、使用者に対して取っ手を提供するように適切な形状の筐体を含み、その結果、埋込物が一旦所定の位置に固定されると、切開装置が延びて切開を行い、埋込物がグリップ手段により掴まれ、器具は使用者により皮膚から引き離されて、皮膚の開口部を経て掴まれた埋込物を引き抜くことができることが好ましい。従って、この器具は、埋込物摘出処理の各工程を提供することができる。
[器具の構成要素及び配置の概要]
図1〜図3は、本発明の一実施形態の器具を示す図である。この器具は、少なくとも切開装置200及びグリップ装置300を備える。図1の実施形態では、切開装置200及びグリップ装置300は筐体110内部の、使用前の第1の後退位置に配置されており、締付装置400が筐体110の第1の端部に設けられている。この実施形態では、筐体110は細長い形状をしていて長軸を規定しており、この長軸の一方の端部には筐体の第1の開口部120があり、後述するように、この開口部120を通って、切開装置200及びグリップ装置300が使用中に移動する。
第1のハンドル230の形態での第1の作動手段が切開装置200の移動を制御するように設けられることが好ましく、後述するように、第1のハンドル230は、筐体110の内部で切開装置200と機械的に連通しており、かつ筐体110の第2の端部の第2の開口部130を通って延びており、その結果、使用者が第1のハンドル230の移動を介して切開装置200の移動を制御することができる。
第2のハンドル330の形態での第2の作動手段が、同様に、グリップ装置300の動きを制御するために設けられている。第2のハンドル330は、筐体110の内部でグリップ装置300に接続されており、筐体110の細長い側面に沿った第3の開口部140を通って延びており、その結果、使用者が第2のハンドル330の移動を介してグリップ手段の移動を制御することができる。
図2に、器具の内部の部品を露出させるように筐体110の側面部を取り外した状態の図1の器具を示す。第1の後退位置で、切開装置200が、完全に器具の筐体110の内部にあることが分かる。この実施形態の切開装置200は、ロッド部材220の一方の端部と機械的に連通している、2箇所が尖った実質的にV字形状の刃210を備えている。刃210、ロッド220、及び第1のハンドル230は機械的に連通しており、器具100の長軸に沿って整列しており、V字形状の刃210の先端は筐体110の第1の端部の開口部120に面している。これらの構成要素は、図2に示す第1の後退位置において、刃210が器具の筐体110の内部にあり、ハンドル203が第2の端部の開口部130から延びているように構成されることが好ましい。切開装置200を第1の位置から第2の位置に移動させ、第2の位置で刃210が筐体の第1の開口部120を通って延びるようにするために使用者が第1のハンドル230の押しパッド236に必要な動作を行うまで、切開装置200がこの配置で固定されるように、移動調節部品240が器具の筐体110の内部に設けられる。
図2は、本発明による器具のこの例示的な実施形態での第1の後退位置にあるグリップ装置300の配置も示している。この実施形態では、グリップ装置はピンセット部材310を備え、このピンセット部材310は、切開装置200の刃210に隣接して器具の筐体の長軸に沿って位置する、2つの平行なグリップアーム311を備える。グリップ装置300の第1の位置では、グリップアーム311は、器具の筐体の第1の端部の第1の開口部120に面した開放位置にある。
図3は、器具の内部の部品が見えるように図1から筐体110の側面部を取り外した、本発明の実施形態の器具を示す図である。この図では、グリップ装置300の配置がよりはっきりと分かり、ピンセット部材310の延びている平行なグリップアーム311が器具100の長軸に沿って整列されている。グリップ装置のこの第1の位置では、ピンセット部材アーム311の湾曲したグリップ端部が、器具の筐体110の第1の開口部120の丁度内側に位置する。ピンセット部材310は、第2のロッド部材320と機械的に連通しており、同様に器具の長軸に沿って整列している。グリップ装置ロッド部材320は第2のハンドル330と接続しており、第2のハンドル330は筐体110の側面の第3の開口部140を通って長軸に垂直に延びている。この配置により、第2のハンドル330の対応する方向への移動を介して、筐体の第1の端部の第1の開口部120を通ってのピンセット部材の移動が可能になる。第2のロッド部材320は、器具の第1の開口部120から出て第2の位置に移動する際にピンセット部材310のグリップアーム311を一緒に閉鎖位置に保持するために、図3に示す角度の付いた固定腕321を更に備える。
装置の動作の工程についての概略を説明する前に、この装置の構成要素を以下でより詳細に説明する。
[切開装置]
図4A及び図4Bは、本発明で実行可能な切開装置を示す図である。この実施形態では、切開装置200は、細長い刃本体211と切開面213の反対側の端部のT字形端部212とを有する、一体的に形成された双頭のメス刃210を備える。このT字形端部は、第1のロッド220と適合するように構成され、ロッド220を介してハンドル230と堅固な機械的接続をもたらす。この例の双頭のメス刃は、同一平面上の2つの先端が尖った刃213を備え、先端部214は、切開装置の長軸の方向に等距離だけ延びている。先端部214はそれぞれ、刃本体211の外側の縁と続いている外側直線縁部と、内側に向いている角度の付いた刃先とによって形成される。これらの角度のついた刃先は直線外側縁部と鋭角を形成し、互いに向き合っており、丸みの付いた刃先交点を介して中央で接して、連続的な概ねV字形の刃先213を形成している。刃先端部214同士は、皮膚に入ったときに埋込物の両側を通過することができるように、棒状の埋込物の直径よりも大きな横方向の距離を有することが好ましい。このようにして、V字形の刃が皮膚へと継続して移動すると、角度の付いた刃先が、刃の先端部により作られた初期切開部を互いに向かって拡張し、先端部の距離に相当する長さの最終切開部を生成する。
図4Bは、上述の実施形態の切開装置の側面図である。この図は、平坦な刃本体211の、平面に垂直な方向における刃210の刃先213の角度を示す。この角度は鋭い刃先を提供するために非常に鋭角になっていることが好ましい。なぜならば、刃が皮膚を通って移動する容易さを増加させ、周辺組織の損傷を低減させるためである。図4Bは刃の厚さも示しており、この実施形態では約0.5mmであり、この厚さは皮膚に生成される切創の幅を規定する。
図5Aは、本発明の一実施形態の第1のロッド部材220の背面図である。ロッド部材は、筐体110の内部で器具の長軸に沿って整列するように構成された細長い形状を有し、第1の端部が筐体の基部で第1の開口部120に面する。この第1の端部には、図4AのT字形の刃本体211、212を収容して支持するように構成された、凹状のT字形凹部221が設けられている。
これにより、ロッド部材220の移動が刃200の対応する移動をもたらすように、刃をロッド部材220の第1の端部に取り付けて、細長の軸に沿って整列させることができる。ロッド部材220は、平坦なT字形本体部222及び延びている円筒形のシャフト223を更に備えることができ、これらは両方ともロッド220の長軸に沿って互いに平行に延びている。円筒形のシャフトは、直径の周りに渦巻き状に巻かれ、長さ方向に沿って延びる引金ばね250を支持するように構成される。引金ばね250の第1の端部は、シャフト223の第1の端部で軸に垂直に位置する棚部225に載っている。
ロッド部材の第1の端部には、尖っていない突起部224が更に設けられ、この突起部はロッド部材220の細長の軸と一致する方向に延びている。図5Bに見られるように、突起部224は平坦であり、T字形凹部221の表面と一直線に並んだ平面の内部に延びている。そのため、刃は、この凹部とかみ合うと突起部224と向き合って位置する。突起部は、図2に見られるように、刃がロッドに固定されたときにV字形の刃の基部の付近まで延びるように、適切な長さとすることができる。この構成では、突起部の尖っていない前面により、使用中に埋込まれた部材の切断が防止される。なぜならば、刃がある程度進んだ後で突起部224の前面が埋込物と接触し、刃の鋭い刃先が埋込物の内部に更に進むのを防止するからである。
図6A及び図6Bは、本発明の一実施形態の第1のハンドル部材230の側面図及び正面断面図である。図6Bの断面図に示すように、第1のハンドル部材は実質的に中空の細長い本体231を備える。ハンドル本体の内部中空チャンバ232の寸法は、内部に切開装置ロッド223のシャフトがぴったりと適合するように選択され、ハンドル230とロッド220との間に必要な機械的連通を提供する。ハンドルは、第1のロッドに面した端部に突起部237を更に備える。引金ばね250は、中空チャンバ232の直径よりは大きいが突起部237により規定される直径よりは小さい直径を有し、引金ばねがロッドのシャフト223に取り付けられ、ハンドル230がシャフト236に取り付けられたときに、引金ばねはロッド220の棚部225とハンドル230の突起部237との間にシャフトの軸に沿って閉じ込められる。
図6Aは、後述する引金機構を提供するための傾斜したくさび形を有する、ハンドルの前面233の側面形状を更に示す図である。くさび形の突起部235が、ハンドル230の前面の第1の端部に更に設けられている。くさび形の突起部235は、切開装置200の第1の位置で、図3から明らかなように、器具の筐体110の第2の開口部130の丁度内側に位置するように構成される。くさび形の突起部235の角度のついた面の反対側には、ハンドル230が取り付けられたときに器具の長軸に垂直に位置する平坦面がある。この平坦面は器具100の軸に沿って位置する。従って、器具の筐体の第2の開口部130を通ってのハンドルの上方への移動(切開動作での第1から第2の位置への移動と反対の方向)は、この平坦面が第2の開口部130の周りの器具筐体の縁部と接触することにより、制限される。従って、この構成により、器具の筐体110の上部の第2の開口部130を通ってハンドル230が外れることが防止される。
図7A及び図7Bは、本発明の実施形態の切開装置200の移動調節器240の実現可能な形態を示す図である。図2の背面図に示すように、切開装置移動調節器240は、器具筐体110内部の第2の開口部130付近の位置を占める。調節器240は実質的に平坦な本体部241を備えることができる。この本体部は、第1の位置で、器具筐体110の前面及び背面と平行な平面内にあり、筐体110の内部空間の片側にずれており、器具筐体の断面積の大部分をロッド部材220のために空けている。調節器240は、本体241の平面の中央位置から延びる2本の腕部材242を介して、器具筐体の内側に枢動可能に取り付けられる。腕部材242は、移動調節器240が図2に示す第1の位置から第2の位置へ筐体内部で反時計回りに回転することができる軸を規定する。図7Bに示すように、器具の内部に配置されるように、2本の脚部材が調節器の下側から延びている。脚部材243は、本体241の平面からこの平面に実質的に垂直な平面へと湾曲して延び、器具筐体110の内部断面を横切って延びて器具筐体の前面に接近している。従って、2本の脚部材243、調節器の本体、及び器具筐体の前面は開口部を規定し、図2に示すように、ロッドのシャフト223がこの開口部を通ることができる。
切開装置移動調節器240は、本体部241中に窓244を更に備える。図2に最も明確に示されるように、窓の上部と調節器の上面は棒状部245を規定し、この棒状部245は、ハンドル203が第1から第2の位置に移動すると、ハンドル内の同様の形状の凹部234とかみ合う(はめ込まれる)ように構成される。ハンドル230の背面233は、第1の端部から第2の端部にかけて厚さが増加するくさび形の形状を有する。そのため、第1から第2の位置へと装置内へハンドル230を移動させることにより、背面が調節器の内面を通過して滑らかに動くにつれて、調節器240に対するハンドルの背面233の付勢力が増す。従って、引き続き下方に移動させることにより、調節器の上部棒部245がハンドルの凹部234と接触し、上部棒部が凹部にはまり、移動調節器が図2に示す第1の位置から第2の位置に反時計回りに回転する。この第2の位置で、脚部材243がロッドのT字形上部222の経路の外に移動することで、切開装置が解放される。
切開装置200のこれらの構成要素の配置及び動きは、以下のように要約することができる。まず、刃200がロッド部材220の第1の端部で対応するT字形凹部221内に固定される。引金ばね250がロッドのシャフト223の周りに取り付けられた状態で、ロッド部材220のシャフト223がハンドル230の中空内部チャンバ232の内部に固定され、引金ばねがロッドの棚部225からハンドルの基部の突起部237まで延びる。引金ばねは、ハンドルがロッドのシャフト223上を移動するにつれてハンドルにより圧縮されるように、ハンドル230の中空内部チャンバの直径よりも大きな直径を有する。
ロッド220のT字形上部222は移動調節器の脚部243と当接し、脚部243は、結合されたロッド220と刃210が第1の位置から第2の位置に向かって下方に移動するのを防止する。更に、これらの構成部品の上方への移動(第2の位置への移動で向かう方向とは反対の方向)は、ハンドルの突起部235の平坦な上側面が器具筐体の第2の開口部の開口を規定する縁部と接することにより防止される。
従って、刃210、ロッド220、及びハンドル230は、筐体の内部で器具の中心の長軸に沿って実質的に固定され、整列される。従って、これらの結合された構成要素は、第1の位置から第2の位置までこの軸に対応する方向に沿って移動することができる。第1の位置では、ハンドル230は筐体110の第2の端部の開口部130から延びており、刃は器具筐体内部に完全に収容されている。
従って、ハンドル230の押しパッド236にユーザが十分な力を加えると、初めは静止しているロッドのシャフト223上でハンドルが下方に移動し、このときロッドは移動調節器240の脚部243により所定の位置に保持されている。この動作により、引金ばね250が、ロッド220の棚部225とハンドル230の突起部237との間で圧縮される。ハンドルをシャフト223上で筐体の第2の開口部へと引き続き移動させることにより、ハンドルの切り込み234が、引金部材の上部棒部245と整列する。この時点で、移動調節器240はその第1の位置から回転し、上部棒部245がハンドルの切り込み234にはまり、調節器240の脚部243がロッド230のT字形上部222の下から外方向へ回転する。
引金ばね250が棚部225を介して切開装置のロッド220に下向きの力を加えるので、ロッドが脚部243によりもはや支持されなくなると、結合されたロッド220と刃210は、第1の位置から第2の位置に向かって下方に加速される。従って、切開装置200の刃210は、刃210の切開面213が器具筐体の第1の開口部210を通って第2の位置へと延びるように移動する。
上述した例示的な実施形態は、切開装置のための引金機構を実装することができる1つの可能性を提供するが、様々な代替的な実施態様が本発明の範囲内に該当する。そのような代替形態の1つでは、ハンドルの凹部234が、棒状部245ではなく器具筐体の一部とかみ合う(はめ込む)ように構成される。この実施態様では、ロッド220の第1の位置は前述の例と同じである。即ち、第1のロッド部材220のT字形部222の腕部が、移動調節器240の突起部243の上部にかかっている。静止位置では、これにより第1のロッド部材の下方への移動が防止される。同様に、移動調節器240の上部の突起部(図7Bで、この構成要素の上部で垂直に延びて示されている)が、第1のハンドル部材230の突起部237の上部にかかっている。
第1のハンドル部材が手動で下方に押されると、ハンドル部材230の凹部234が器具筐体に到達する。凹部234は、第1のハンドル部材を装置の背面に向けて僅かに移動させる。この僅かな移動の結果、第1のハンドル部材230の突起部237と移動調節器240の上部突起部とのかみ合いがはずれ、移動調節器240はかみ合いがはずれるにつれて僅かに時計回りに回転する。これにより、再度、移動調節器240の脚部243が後方に移動し、脚部が第1のロッド部材220のT字形上部222の腕部からはずれる。
第1のハンドル部材230を手動により下方へ移動させている間に引金ばね250が圧縮されると、ばねからの蓄積されたエネルギーにより、第1のロッド部材220が、上述のように移動調節器230からはずれた際に、第2の位置へ下方に移動する。
[グリップ装置]
本発明による一実施形態では、グリップ装置300は、図8A及び図8Bに示すようにピンセット部材310を備える。一例では、ピンセット部材310は一体化した細長いU字形のユニットを含み、このユニットの両端は2本の対向するグリップアーム311を提供する。第1の位置では、器具を使用する前には、グリップアームは実質的に平行に位置しているが、アームの外側に内向きの方向に適切な力が加えられると、アーム311の両端が合わさって掴位置にくる。アームの先端は、互いに向かって湾曲しており、内側の縁部の丸みを帯びた部分が切り取られ、ピンセット部材のグリップアームが取り付けられて作る実質的に円形の掴面312を規定する。この円形の掴面312の寸法は、装置の掴機能を高めるために、棒状の埋込物の断面直径と同程度であるように構成することができる。
先端から離れてアーム311の内側輪郭に沿って進むと、円形の掴面312の後で、アームの内側対向面は、アームに沿ったある位置で矩形の切取部316に通じるまで、一定の距離で平行に延びている。矩形の切取部315のアームの先端に対する反対側には、長方形の突起部317が設けられており、この突起部317は一方のアームの内側の縁部から他方のアームに向かって延びている。これらの特徴部は、掴器の平面に垂直に延びる筐体内側面上の矩形の突起部と相互作用するように構成される。これらの特徴部は、後述するように、掴工程を制御するように構成される、
図8Bに示すように、ピンセット部材は、約0.5mmの厚さを有していてもよい実質的に平坦なユニットである。従って、ピンセット部材の延びているグリップアームは、この平面の内部で動作する。図8Bは、グリップアームの先端315が、切開装置により切開された皮膚の開口部を通過するし易さを向上させるために、先端に向かって角度が付けられていることを示す。装置内に配置されると、ピンセット部材の平坦面は刃の平坦面に接触し、その結果、グリップ装置を第1から第2の位置へ遠位に移動させると、グリップ手段が皮膚の開口部を通って移動することができるように、刃210の経路と密接に隣接した経路に沿ってグリップ手段が移動する。
アーム端部からU字端部にかけて、グリップアームの外側の縁部は、まず腕部313に垂直に平坦な縁部により設けられる幅方向の段を有する形状を有し、次いで広くなった幅の部分に丸みを帯びた切り込み314が設けられ、次いで、傾斜部を介してアームの当初の厚さに戻る。この形状は、後述するように、グリップ手段に接続される第2のロッド320との相互作用を介して、グリップアームの閉鎖をもたらすように構成される。
図9A及び図9Bは、一実施形態の掴部材300の制御ロッド320を示す図である。この制御ロッド320は細長い本体322を備え、この本体322は、その第1の端部で2本の角度のついた腕部321に分岐する。角度のついた腕部321は、2つの主な部分を有する。第1の部分は本体から離れて第1の端部に面する方向に向かって角度がついて延び、腕部の第2の部分は本体322の軸に向かって戻るように角度がついている。制御ロッド320の細長い本体322の第2の端部には、ハンドル330が設けられている。ハンドル330は、角度のついた腕部321により規定される平面に垂直な方向に延びている。
次いで、ピンセット部材310は制御ロッド320の本体に取り付けられ、その結果、それらは機械的に連通し、制御ロッドのハンドル330の移動がピンセット部材の対応する移動をもたらす。取り付けは、例えば、制御ロッド320の本体322の細長い軸の両側に沿って延びる2つの隆起部326の間にピンセット部材を滑り込ませることにより行うことができる。ピンセット部材は、内側に角度のついた腕部321の両端部325がピンセット部材の外側に面した縁部の切り込み314に支えられた状態で、制御ロッド本体322に対して平行に整列されるように取り付けることができる。次いで、結合された制御ロッド320とピンセット部材310は、グリップ装置の第1の後退位置において、グリップアームの先端が器具の第1の端部、即ちグリップ端部の第1の開口部の丁度内側にあるように、器具筐体110の内部に取り付けられる。角度のついた腕部321の角部は、スライダ内に取り付けられて、第1の位置と第2の位置との間で制御ロッド320の移動を制御することができる。次いで、制御ロッドのハンドル330は、本体に垂直な部分327を介して、筐体の前面に配置される第3の開口部を通って延び、その結果、使用者は結合されたロッド320とピンセット部材310を第1の位置から第2の位置に移動させることができ、この第2の位置で、グリップアーム311の湾曲部分312は筐体の第1の端部の開口部から外に延びる。
第3の開口部140の内部の筐体110の内側には、じょうご形のゲート141を形成する下方に突出する2つの部材が設けられている。ロッドの軸に垂直な、制御ロッドのハンドルの部分327は、制御ロッドが第1の位置から第2の位置に移動する間にこのゲートを通過する。このゲート形状は、ハンドルの部分237が通過した後で制御ロッドが第1の位置へ戻れないようになっている。
グリップアームの外側の縁部に必要な力を加えてグリップアームを掴ませるために、ピンセット部材310がその第2の位置に到達した際に、制御ロッド320の角度のついた腕部321は圧力を加えるように構成される。第1の位置では、制御ロッドの角度のついた腕部の両端325は、ピンセット部材310のグリップアーム311の外側の縁部の切り込み314内で支えられている。ハンドル330に圧力が加えられて制御ロッド320(及び取り付けられたピンセット部材)が筐体の第1の端部に向かって下方に移動すると、取り付けられたピンセット部材の棚部313が、図2に最も明確に示すように、第1の開口部120の両側に設けられている面121と接触する。この時点で、ピンセット部材は第1の開口部を通ってその最大伸長に達しており、それ以上の進行は、筐体101の内側の面121とのこの接触により防止される。従って、ハンドルへ更に圧力を加えると、静止しているピンセット部材310に対して制御ロッド320が引き続き動くことになる。アームの両端325は、溝314の内部で移動軸に沿って静止したままであるので、この引き続いての移動により、角度のついた腕部324は点324で次第に曲がるようになる。
従って、角度のついた腕部の両端325は、グリップアーム311の外側の縁部に益々増加する力を加え、これにより、角度のついた腕部324が、当初の下方に角度のついた位置から、器具の長軸と垂直な向きを経て、ピンセット部材310のグリップアーム311同士を合わせて保持しながら上方に角度のついた最終的な向きへと曲がる。角度のついた腕部がこの最終的な保持位置に到達するように制御ロッドを器具の筐体内で動かす際に、制御ロッドの垂直な部分327は筐体内のゲート141を通過しなくてはならない。従って、制御ロッドは、第1の位置へ戻るような移動は制御ロッドのハンドルとゲート141を形成する突起部との接触により防止され、また、筐体110の第1の開口部120の外方向への更なる前方移動は、ピンセット部材310の棚部313と第1の開口部120の内側の面121との接触により防止されるので、この位置で固定される。
[締付装置]
本発明による一実施形態では、締付装置400を、器具100の第1の端部、即ち取り付け端部の、器具筐体110の第1の開口部120の周りに設けることができる。締付装置400は、埋込まれた部材を器具に対して固定の既知の位置に保持するように皮膚に取り付けられるように構成することができ、その結果、切開装置200及びグリップ装置300は、埋込物を取り除くために皮膚の正確な領域に確実に作用することができる。
図10A及び図10Bは、本発明による器具の例示的な締付装置400を示す。締付装置は2つの対向する顎部411、412を備え、これらの顎部はそれぞれ傾斜した挟み面415を有する。顎部411、412は、締め付けられた埋込物の周りに一緒に移動するように構成されて、埋込物を筐体の第1の開口部120の下の所定の位置に保持する。一方の顎部411は固定され、器具筐体110と一体になっており、第2の顎部412は移動可能でありスライド可能部材410上に配置され、その結果、第2の顎部を、器具筐体110の第1の開口部120に直接的に隣接する位置で固定の顎部に接近するように移動させることができる。固定の顎部411は器具筐体の縁部から延びており、顎部411の挟み面は第1の開口部の縁部と概ね整列して延びている。
スライド可能部材は、顎部を開放位置と閉鎖位置との間で移動させることができるように、器具筐体の第1の端部のランナーに取り付けられる。ランナーは、器具本体の長軸に垂直に延びる突出した隆起部414と、スライド可能部材410の内側に向いた面上の対応する溝部とから構成することができ、その結果、器具の軸に対して垂直な方向にスライド可能部材410が移動することができるようになる。スライド可能部材410の、突出した隆起部414に沿った開放方向への移動は、凹部に配置された停止部により制限されて、所定の点を越えて隆起部が更に移動するのを防止し、スライド可能部材と筐体との接続を維持する。
顎部の閉鎖位置へスライド可能部材410が移動すると、一体になったねじればね部品413の端部が器具筐体110の外側の突出した隆起部414の端面と接触する。従って、顎部同士を完全に合わせるようにこの部品413のねじり力に打ち勝つためには、閉鎖方向へ追加の力を加えることが必要である。
顎部411、412が実質的に閉鎖位置にある場合、図10Bに示すように、スライド可能部材410上に可動のスリーブ部品420を移動させてスライド可能部材410を閉鎖位置に保持することにより、これらの顎部を所定の位置に固定することができる。スリーブ部品420は、筐体の外辺部の周りにぴったりと適合するように構成され、筐体の側面に沿って突出した隆起部及びスリーブ部品420の内側の面に対応する溝部を設けることにより、器具の長軸と一致する方向に、本体を上下に摺動することができる。スリーブ部品は、この部品の移動を容易にするように掴用隆起部422を備え、かつ長軸の方向に延びる、2つの丸みを帯びた側部421により形成することができる。スリーブ部品の前側及び後ろ側の側部は、下縁部からの切取部423を有する。図10Bに示すように、この切取部は、スライド可能部材413上にぴったりと適合し、延びている側部421の側部が、スライド可能部材410を囲み、スライド可能部材410を閉鎖位置に解放可能に保持する。スリーブ部品が閉鎖した顎部から離れるように移動すると、顎部が開き、顎部を開放位置にかたよらせる、一体になったねじればね部品413により力が加えられる。
各顎部411、412の挟み面415は、皮膚の内部に埋込まれた部材の下に部分的にもぐり込むように、くさび形をしている。これらの角度のついたくさび形の面415は、埋込まれた部材を第1の端部の開口部に向けて上方に持ち上げるように作用し、埋込まれた部材を所定の位置に保持するのを助け、一旦切開がなされると埋込物を引き抜くのを容易にする。更に、顎部411、412の各挟み面415の対応する中央領域には切欠き領域が設けられて、締付装置が閉じている状態で切開装置200が第2の位置へ移動する際に、刃210の先端部が通過できるようになっており、切欠き領域が無ければ、刃210の先端部は顎部と接触してしまうことになる。
[器具の操作]
器具を使用した埋込物摘出処置について、図11A及び図11Bに示した器具の実施形態を参照しながら、説明する。
埋込まれた部材を、まず、皮膚の下のその位置を初めに決定するために、触診により位置特定する。次いで、締付装置の顎部411、412を、埋込物の細長い側部に面するように、埋込まれた部材の周りに配置する。器具を埋込物の中央に正確に位置調整する必要はないが、埋込物を確実に効果的に持ち上げるようにするために、埋込物の2つの端部が締付顎部411、412の両側に見えるようになっていることが好ましい。
次いで、図11Aに示すように、埋込まれた部材のどちらかの側に固定された顎部に向けてスライド可能部材の顎部を移動させるようにして、スライド可能部材を閉鎖位置に移動させる。そのような移動は、顎部のくさび形の挟み面が埋込物の下に部分的に移動するのを促し、顎部が閉鎖位置に移動するにつれて、埋込物を患者の身体の皮膚の下から次第に離れるように持ち上げる。埋込物が顎部同士の間でかつ上に十分に保持される閉鎖位置にスライド可能部材が達すると、スリーブ部品がスライド可能部材にかぶさるように下方に移動してスライド可能部材を所定の位置に固定し、図11Aに示すように、埋込物を器具筐体の第1の端部の開口部の下の、固定の既知の位置に保持する。
次いで、使用者は、器具の長軸に沿って第1の端部に向かう方向に、切開装置200のハンドル230の端部にある押しパッド236に力を加える。移動調節器240の腕部243が切開装置のロッド220を所定の位置に保持しているので、ユーザがハンドル236に力を加えると、ハンドルの中空体232が静止しているロッドのシャフト220上を下方に移動する。次いで、引金ばね250が、ロッド220の棚部225とハンドルの突起部237との間で圧縮される。ハンドルを引き続いて動かすことでハンドル230の切り込み234が調節器240の上部棒部245と整列すると、調節器240は調節器の腕部242により規定される軸の周りに回転し、その結果、調節器の脚部243が、ロッド220及び刃210の経路を遮断している第1の位置から外方向に回転する。次いで、圧縮された引金ばね250が解放され、ロッドの棚部225に力を加えて、結合されたロッド220と刃210を器具の軸に沿って第1の開口部120に向かって加速させる。次いで、刃は、装置の内部にあるその第1の位置から器具の軸に沿って移動して、筐体の第1の開口部120から出てくる。これにより、刃が皮膚と接触し、整列された尖った刃の先端が埋込物の両側から皮膚に入って2つの初期切開部を生成する。引き続き移動させると、角度のついた刃先が皮膚に入り、切開部を互いに向かって延ばし、最終的に湾曲した刃先の境界面が切開を完了させ、この切開部は、刃の先端同士の横方向の間隔に一致する最終的な長さを有する。
この段階では、切開装置が第2の位置に達すると、図11Aに示すように、切開装置のロッド220の本体の基部226が第1の開口部120の周りで器具筐体110の内側の面と接触し、切開装置が筐体110の外部へ更に移動するのを防止する。更に、図11Aに示すように、刃先の上方位置に配置されている、ロッド220の尖っていない停止部224が、刃が埋込物を通って切り進むのを防いでいる。
次いで、使用者はグリップ装置300のハンドル330に力を加え、この力により、ピンセット部材310が筐体110の内部に収容されている、グリップ手段の第1の位置から、第1の端部120の開口部に向けた方向へのグリップ手段の移動が引き起こされる。刃210の面と向き合って位置するピンセット部材310は、図11Bに示すように、この平面を通って下方に移動し、切開装置200により作られた切開部の中へと移動する。ピンセット部材の下方への移動は、グリップアーム311の棚部313と筐体110の第1の開口部120の内側の面121との接触により、この第2の位置に制限される。使用者が引き続きハンドルへ圧力を加えると、静止しているピンセット部材に対して制御ロッド320が引き続き動くこととなる。角度のついた腕部の両端325が静止しているピンセット腕部の切り込み314内で支えられているので、この移動により角度のついた腕部が上方に曲がることになり、ピンセット腕部に増加する力が加わり、ピンセット腕部を掴む。制御ロッド320の角度のついた腕部321が法平面を通り越して上方に曲がると、ハンドルの部分327がゲート141を通過して、制御ロッド及びピンセット部材が第1の位置へ戻るのを防止し、従って、グリップ手段を埋込まれた部材の周りで第2の位置で閉じて固定する。
この段階では、グリップアーム311は、グリップアーム311が埋込物の周りで固定された状態で、刃210により作られた切開部の中に延びている。摘出処置の最終段階では、単に、スリーブ部品420をスライドさせてスライド可能部材410を解放することにより締付装置400を解放することが必要である。また、器具100を皮膚から引き離すように器具100の筐体110に力を加え、切開装置200により作られた皮膚の開口部を通って掴んだ埋込物を引き出すことが必要である。埋込物は皮膚の下から取り除かれ、約5mmの大きさの傷を残すが、この程度の傷は通常は縫合を必要としない。
従って、本発明の実施形態の器具により、完全な避妊用埋込物摘出処理を制御することができる。これは従来の避妊用埋込物除去処置を根本的に変えるものである。この器具を使用する際の利点は、重要とされた使用者の技能が何ら求められないことである。というのも、主な工程は器具の特徴により制御されており、そのうえこの処置は高い再現性と高い仕上がり品質を有するからである。切開部の寸法は高度に調節されており、皮膚及び周辺組織の損傷は最小限に抑えられている。埋込物をうまく見つけて、切開部を経て直接的にこれを掴むのに必要とされる技能は、まったく不要となる。なぜならば、避妊用埋込物除去処置における上述の工程が、器具の機能性により制御されるからである。従って、完全な摘出処理が標準化され、処置を完了するのにかかる時間が大幅に短縮される。従って、この器具は、高水準の仕上がり品質を維持しながら避妊用埋込物除去を大幅に容易にする可能性を有する。従って、避妊用埋込物の急激な調達増加に関連して予想される避妊用埋込物除去の世界的な高い需要を満足するのに役立てることができる。
一実施形態の器具の構成要素は、以下のおよその寸法を有していてもよい。 ハンドル230を除いた本体100は、長さ105mm、幅30mm、厚さ25mmであってもよい。切開装置は、長さ25mm、幅5mm、厚さ0.5mmであってもよい。グリップ装置は、長さ55mm、幅5mm、厚さ0.5mmであってもよい。
図12は、一実施形態の方法の流れ図である。
工程501で、処理が始まる。
工程502で、器具100の切開装置200を操作して、皮膚を切開して開口部を作る。
工程503で、器具100のグリップ装置300を操作して埋込まれた部材を皮膚の開口部から掴む。
工程504で、処理を終える。
本発明の範囲内で、上述の実施形態に多くの修正及び変更を加えることができる。
上述の実施形態の器具は、埋込まれた部材を所定の位置に保持するのに使用される締付器具を備えているが、これは必須ではなく、器具は切開装置及びグリップ装置のみを備えてもよく、使用者が器具を所定の位置に保持する。あるいは、埋込物を所定の位置に保持するために、例えば国際公開第2013/156628号パンフレットに開示される器具など、別個の締付器具を使用することもできる。
一体になったV字形の刃を備える特定の形態の切開装置について開示したが、本特許請求の範囲内で、多数の他の形態の切開装置を使用できるのは言うまでもない。例えば、刃は、上記の実施形態に関して説明した対向するV字形の刃ではなく、1つの切開面のみを有する一体型のユニットを含んでもよい。
また、切開装置は、2枚以上の別個の刃部品を備えてもよい。これらの刃部品は、例えば、はさみのような構成を形成するように、重ね合わされ、かつ旋回軸を介して接続されてもよい。
更なる実施形態では、グリップ装置は、上述の実施形態のピンセット部材のように別個の部品として提供されず、グリップ装置と切開装置が同一のユニットであってもよい。例えば、グリップ装置は、切開装置の1枚以上の刃の切り込みにより提供されてもよく、1枚以上の刃が埋込まれた部材に向けて皮膚を切開するにつれて、この切り込みが埋込まれた部材とかみ合うように構成される。
あるいは、切開装置は、はさみのような顎部構成に配置された2枚以上の(一体の又は別個の)刃を備えてもよく、グリップ装置は刃の顎部の掴機構により提供される。そのような構成では、刃は、まず埋込物の上で皮膚を切開し、続いて刃の顎部の間で埋込物を掴む。
刃210を第1のロッド部材220に取り付けるために、上述の実施形態に関連して概要を説明したように、刃の本体の形状と一致する形状の凹部を単にロッドに設けること以外の代替手段を用いることができる。図13はそのような代替例の1つを示しており、刃のT字形端部の腕部215が、刃の平面から後方に面する方向に向かって、刃の平面に垂直に延びて曲がっている。これらの延びた腕部は、刃とロッドとの機械的接続を改善するために、ロッド220の対応する形状の部分の周りをくるむように構成することができる。
図13に示した実施形態の更なる変形例では、刃は、刃本体の細長い軸の方向に第1の腕部から離間した、さらに1対以上の腕部を有していてもよい。刃本体の平面の外部に曲がる複数対の腕部215を含むことにより、ロッド220の対応する部分との接続がより安定し、刃の結合が弱まる可能性が低減される。更に、図13では、刃のロッドへの取り付けは、刃の平坦面がロッドの境界面部分に向き合って位置し、刃の角度のついた刃先213はロッドから離れた方向に面するようになっているが、同様に、刃の角度のついた刃先が反対方向に面していてもよい。この変形例では、刃の脚部215が、刃本体の平面から、図13に示すように刃の平坦面の側ではなく、角度のついた刃先を有する側に曲がるようにして、刃とロッドを合わせることができる。
更なる実施形態では、締付装置の両方の顎部を、使用中に埋込まれた部材に両側から接近しかみ合うように取り付けるように移動させることができる。
器具の構成要素を、様々な異なる態様で組み立てることができる。図1〜図3に示した例では、対向する筐体部分110は両方とも、各部分の四隅に設けられる円形の開口部を含んでおり、これらの開口部は、一緒に配置されると整列するように構成されており、その結果、筐体部分をこれらの開口部を通じてねじで互いに固定することができる。これらの円形の開口部は、図2及び図3にはっきりと示されている。しかしながら、代替の実施形態ではねじは必要ではなく、その代わりに、筐体部分は、例えば、筐体部分と一体的に形成された相互固定機構を介して、互いに留まる。これにより、装置を組み立てるためにねじが必要ではなくなり、従って、緩む可能性がある追加の小さな部品を削減という点で有利である。
実施形態の器具は、1回きり使用できるように構成することができる。器具は、切開装置及び/又はグリップ装置が殺菌されて提供され、かつ装置が使用されるまで部品が殺菌されたままであるように包装されていることが好ましい。
あるいは、器具の全ての部分が再利用できてもよい。切開装置及び/又はグリップ装置を、再び殺菌して、それらの使用前の位置に戻してもよい。
あるいは、切開装置及び/又はグリップ装置は1回きりの使用であり、器具の他の部分は再利用できてもよい。使用済みの切開装置及び/又はグリップ装置を取り外して、殺菌された切開装置及び/又はグリップ装置を器具に挿入することができる。
あるいは、切開装置及び/又はグリップ装置は再利用でき、他の部分は1回きり使用できてもよい。使用済みの切開装置及び/又はグリップ装置を取り外して再度殺菌し、新しいプラスチック部品と共に組み立てることができる。
器具は、LEDなどの照明装置と、照明装置に電力を供給するための電池とを備えていることが好ましい。照明装置は、器具が適切に操作されているかどうかを使用者に示すことができる。例えば、照明装置は、執刀者が切開装置を放つように十分な力を加えたときに赤から緑に色を変えることで、処置のこの部分が実施完了したことを執刀者が分かるようにできる。
本明細書の考察及び本明細書に開示した実施形態の実施から、本発明の他の実施形態が当業者には明らかであろう。本明細書及び実施例は単に例示的なものとしてみなされることが意図されており、本発明の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲により示される。加えて、この出願では方法又は処置の工程を特定の順序で列挙したが、幾つかの工程を実施する順序を変更することも可能であり、更には特定の状況ではそれが適切であることがある。添付に記載する方法の請求項又は処置の請求項の特定の工程は、請求項の中で順序の限定性が明示的に述べられていない限り、順序を特定するものとしては解釈されないことが意図されている。

Claims (38)

  1. 埋込まれた部材を皮膚の下から取り除く器具であって、
    前記皮膚に取り付けられ、前記埋込まれた部材を前記器具に対して既知の位置に保持するように構成された締付装置と、
    前記皮膚を切開して開口部を作る切開装置と、
    前記皮膚の開口部を通って移動し、前記埋込まれた部材を掴むように構成されたグリップ装置と、を備え、
    使用時に、前記埋込まれた部材が前記締付装置により前記既知の位置に実質的に保持され、前記切開装置が前記皮膚に開口部を作り、前記グリップ装置は前記開口部を経て前記埋込まれた部材を掴む、器具。
  2. 前記切開装置は第1の位置と第2の位置との間で移動するように構成され、
    前記切開装置は前記第1の位置で前記器具の内部に格納され、
    前記切断装置は前記第2の位置で前記器具の外部に延びており、使用時に、前記切開装置が前記第2の位置に移動することで、前記切開装置が前記皮膚と接触し、前記皮膚を切開して前記グリップ装置が通れる開口部を作る、請求項1に記載の器具。
  3. 前記切開装置の移動を制御するように構成された第1の作動手段を更に備え、使用時に、前記第1の作動手段が使用者により作動されると、前記切開装置が前記皮膚を切開して開口部を作る、請求項2に記載の器具。
  4. 前記作動手段は、第1のハンドルを備えており、使用時に、使用者が前記第1のハンドルを押すことにより筐体内部のばねを圧縮するように構成されており、前記第1のハンドルを押し続けると前記圧縮ばねが解放されて前記切開装置の前記移動を引き起こす、請求項3に記載の器具。
  5. 前記切開装置の前記器具の外部への最大移動は、第1の停止部により前記第2の位置に制限されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の器具。
  6. 前記停止部は、前記切開装置の前記器具の外部への更なる移動を防止するように前記器具の構成要素と接触するように構成された、前記切開装置上の突起部を含む、請求項5に記載の器具。
  7. 前記切開装置面に第2の突起部を更に備え、前記突起部は、使用時に、前記埋込まれた部材の切開が実質的に防止されるように、前記埋込まれた部材と接触するように構成された、請求項1〜6のいずれか一項に記載の器具。
  8. 前記切開装置は1枚以上の刃を備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の器具。
  9. 前記切開装置は2枚以上の刃を備え、前記刃は単一のユニットとして一体的に形成される、請求項8に記載の器具。
  10. 前記切開装置は2枚以上の別個の刃を備える、請求項8に記載の器具。
  11. 前記切開装置は、実質的に同一平面上の2枚の刃を備える、請求項8〜10のいずれか一項に記載の器具。
  12. 前記刃同士の横方向の距離は、使用時に、前記刃の一部が前記埋込まれた部材の両側から前記皮膚に入って2つの初期開口部を生成するように構成された、請求項11に記載の器具。
  13. 前記同一平面上の刃は等しく延びている尖った先端部及び対向する斜めの刃先を有しており、前記刃は、使用時に、前記先端部が前記埋込まれた部材の両側から前記皮膚に入り、前記刃が前記皮膚へ動き続けることで、前記斜めの刃先が2つの初期開口部を互いに向かって拡張するように構成された、請求項11又は12に記載の器具。
  14. 前記対向する斜めの刃先は中心部で接して連続的な刃先を形成する、請求項13に記載の器具。
  15. 前記グリップ装置は第1の位置と第2の位置との間で動くように構成されており、前記グリップ装置の前記第2の位置は、前記切開装置の前記第2の位置と少なくとも部分的に一致し、使用時に、前記グリップ装置は前記切開装置により切開された前記皮膚の前記開口部を通って移動する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の器具。
  16. 前記グリップ装置は、前記切開装置から独立して移動するように構成された、請求項15に記載の器具。
  17. 前記グリップ装置の前記移動を制御するように構成された第2の作動手段を更に備え、使用時に、使用者が前記第2の作動手段を作動させると、前記グリップ装置は前記グリップ装置の前記第2の位置に移動し、前記切開装置により切開された前記皮膚の前記開口部に入り、前記埋込まれた部材を掴む、請求項16に記載の器具。
  18. 前記第2の作動手段は、前記器具の第2のハンドルを備え、前記第2のハンドルは前記グリップ装置と機械的に連通し、前記第2のハンドルの移動が前記グリップ装置の対応する移動を引き起こす、請求項17に記載の器具。
  19. 前記グリップ装置はピンセット部材を備え、前記ピンセット部材は埋込まれた部材を掴むように構成された対向するグリップアームを備える、請求項1〜18のいずれか一項に記載の器具。
  20. 前記対向するグリップアームを一緒に掴位置で保持するように構成された機構を更に備える、請求項19に記載の器具。
  21. 前記機構は、前記グリップ装置が前記第2の位置に達した後で前記グリップアームを一緒に保持する、請求項20に記載の器具。
  22. 前記グリップ装置及び前記切開装置は同一のユニットである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の器具。
  23. 前記切開装置は1枚以上の刃を備え、前記グリップ装置は前記1枚以上の刃内の切り込みにより提供され、前記切開装置を前記皮膚内に移動させることにより、前記1枚以上の刃がまず初めに前記皮膚を切開して開口部を作り、引き続いて移動させると前記切り込みが前記開口部を通って前記埋込まれた部材 と接触してこれを掴むように、前記切り込みは前記埋込まれた部材を掴むように構成された、請求項22に記載の器具。
  24. 前記切開装置は2枚以上の対向する刃を備え、前記グリップ装置は、前記2枚以上の対向する刃の顎部の掴む動作により提供される、請求項23に記載の器具。
  25. 前記締付装置は、前記皮膚に取り付けられるように構成された2つ以上の対向する挟み面を備え、前記面同士の間の距離は変化させることができる、請求項1〜24のいずれか一項に記載の器具。
  26. 前記締付装置は、所定の距離の所定の位置に、前記挟み面のうちの1つ以上を解放可能にロックするように構成されたロック機構を更に備える、請求項25に記載の器具。
  27. 前記挟み面のうちの少なくとも1つはくさび形を形成し、前記面同士が使用時に合わせられると、前記くさび形の面は少なくとも部分的に前記埋込まれた部材の下に移動してこれを持ち上げ、前記埋込まれた部材の保持の改善を促進する、請求項25又は26に記載の器具。
  28. 前記切開装置及び前記グリップ装置を収容する筐体を更に備える、請求項1〜27のいずれか一項に記載の器具。
  29. 前記筐体は、第1の端部に開口部を有する中空体を含んでおり、前記切開装置及び前記グリップ装置は、それらの第1の位置にある場合には前記筐体の前記中空体の内部に完全に収容され、それらの第2の位置にある場合には、前記第1の端部の前記開口部を通って延びるような態様で、前記筐体に対して移動するように構成された、請求項28に記載の器具。
  30. 前記締付装置は前記筐体の前記中空体の前記第1の端部に設けられ、使用時に、前記締付装置は前記皮膚に取り付けられ、その後に前記切開装置及び前記グリップ装置をそれらの第2の位置に移動させることにより、これらの装置が前記筐体内の前記開口部を通って前記皮膚と接触し、前記切開装置が前記皮膚を切開して開口部を作り、前記開口部を通って前記グリップ装置が前記埋込まれた部材を掴む、請求項29に記載の器具。
  31. 前記筐体は取っ手として作用するように構成され、使用時に、前記グリップ装置が前記埋込まれた部材を掴んだときに、前記使用者は前記器具を前記皮膚から引き離して、前記皮膚の前記開口部を通して前記埋込まれた部材を引き抜く、請求項28〜30のいずれか一項に記載の器具。
  32. 前記器具は一度だけ使用されるように構成された、請求項1〜31のいずれか一項に記載の器具。
  33. 前記器具が複数回使用できるように、前記切開装置及び前記グリップ装置は、使用後にそれらの第1の位置に置き直される、請求項1〜31のいずれか一項に記載の器具。
  34. 前記器具の一部は複数回使用されるように構成され、前記器具の一部は一回のみ使用されるように構成された、請求項1〜31のいずれか一項に記載の器具。
  35. 照明装置を更に備える、請求項1〜34のいずれか一項に記載の器具。
  36. 器具を使用して、皮膚の下から埋込まれた部材を取り除く方法であって、
    前記器具の締付装置を操作して、前記埋込まれた部材を前記器具に対して既知の位置に保持する工程と、
    前記器具の切開装置を操作して、前記皮膚を切開して開口部を作る工程と、
    前記器具のグリップ装置を操作して、前記皮膚の開口部を通って前記埋込まれた部材を掴む工程と、を含む方法。
  37. 前記グリップ装置を操作した後で、前記器具の取っ手を操作して前記器具を前記皮膚から引き離し、前記埋込まれた部材が前記皮膚の開口部を通って取り除かれる工程を更に含む、請求項36に記載の方法。
  38. 前記器具は、請求項1〜35のいずれか一項に記載の前記器具である、請求項36又は37に記載の方法。
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