発明の詳細な説明
本明細書ではリナクロチドの遅延放出経口剤形(総称して、「DR」)を提供する。今日まで、リナクロチドの唯一の承認製剤は、即時放出(「IR」)を示すカプセル剤である。これらのIR剤形は、その中に含まれるリナクロチドのほとんどまたは全てを上部GI内で放出する。これは、今度は、上部GI及び比較的程度は低いが下部GIの両方でGC−C受容体活性化及び体液分泌を引き起こす。IR剤形による上部と下部との間のGI活性化及び体液分泌の差は、一部は、リナクロチドは(剤形から一旦放出されると)、タンパク質分解消化を受け、特にそれが下部GI(例えば回腸、末端回腸、回盲弁、または結腸)に到達する時までに、GC−C受容体を活性化する一部または全ての能力を失うという事実に起因する。
本明細書に記載のDR剤形は、例えば回盲弁に最も近い下部GI内または結腸内でその中に含まれるリナクロチドのほとんどまたは全てを放出し(胃、十二指腸及び/または空腸内ではほとんどまたは全く放出しない)。従って、本発明剤形は、IR剤形より上部GIにおいてより低い全体的体液分泌を達成する能力を有しながら、IBS−c、CICを治療するため、及び胃腸痛感覚シグナル伝達を調節するための優れた有効性を改善するかまたはさらに維持する。IBS患者は、自身の障害の症状として左下腹部痛を報告するので、IBSの痛みは結腸に由来すると考えられる。さらに、DR剤形は、理想的には下部GI関連疾患及び障害の治療に適していると考えられる。DR剤形は、胃及び上部GI内で如何なる(または小割合しか)そのリナクロチドを放出(腸内でリナクロチドの急速な消化を引き起こし得る)しないので、DR剤形の一部の好ましい実施形態は、(承認されているIR形態中の量に比べて)低用量のリナクロチドを組み込むが、IBS−c及びCICの症状を治療する際にIRと同じ有効性レベルを維持することになる。
一般に、グアニル酸シクラーゼC(GC−C)受容体は、胃及び腸内の上皮細胞の頂端膜側に位置する膜貫通受容体である。この受容体は、細胞外リガンド結合ドメイン、単一の膜貫通領域及びC末端グアニリルシクラーゼドメインを有する。リガンドがGC−Cの細胞外ドメインに結合すると、細胞内触媒ドメインがGTPからのcGMPの産生を触媒する。インビボでは、この細胞内cGMPの増加が、腸管腔内への塩化物及び炭酸水素塩の分泌増加、管腔pH上昇、管腔ナトリウム吸収低減、体液分泌増加、及び腸管通過の加速につながる一連の事象を惹起する。cGMPは、上皮から粘膜下層及び管腔の中へ双方向で分泌される。普通は、GI管のpHは、胃(pH1.5〜3)から末端回腸(pH7〜8)まで徐々に上昇した後に結腸内でpH5.5〜7.0に低下する。
リナクロチドは、腸内の体液と電解質のバランスの制御因子である腸管GC−C受容体に結合する。リナクロチドは、アミノ酸配列Cys1 Cys2 Glu3 Tyr4 Cys5 Cys6 Asn7 Pro8 Ala9 Cys10 Thr11 Gly12 Cys13 Tyr14から成るペプチドである。本組成物では、リナクロチドのいずれの所望形態をも、例えば、ペプチドのいずれの医薬的に許容される塩または水和物、そのいずれの単離及び/または精製形態、あるいはそのいずれのジスルフィド形態でも使用可能である。リナクロチドは、Cys1とCys6、Cys2とCys10、及びCys5とCys13の間にジスルフィド結合を有する。
リナクロチドを含有するDR組成物を用いて種々の障害を治療することができる。種々の実施形態において、患者は胃腸障害を患っており;患者は、胃腸運動障害、慢性偽性腸閉塞、偽性結腸閉塞、炎症性腸疾患、クローン病、十二指腸胃逆流、ディスペプシア、機能性ディスペプシア、非潰瘍性ディスペプシア、機能性胃腸障害、機能性胸やけ、胃食道逆流症(GERD)、胃不全麻痺、過敏性腸症候群(例えば下痢型過敏性腸症候群(IBS−d)、便秘型過敏性腸症候群(IBS−c)及び/または交互もしくは混合型過敏性腸症候群(IBS−m))、術後イレウス、潰瘍性大腸炎、慢性便秘、便秘、間質性膀胱炎、前立腺炎、精巣痛、疼痛性膀胱症候群、子宮内膜症、外陰部痛、直腸痛、憩室性疾患または憩室痛、GI障害関連痛、ならびに便秘関連障害及び病態(例えば、オピエート鎮痛剤の使用に伴う便秘、手術後便秘、ならびに神経障害のみならず本明細書に記載の他の病態及び障害に伴う便秘)から成る群より選択される障害を患っている。患者は、ローマ基準(例えばローマII)に従って機能性胃腸障害(例えばIBS−c)と診断され得る。
一部の実施形態では、DR組成物は、即時放出錠剤コアを含み、かつ腸の遠位セグメントのpH条件下でのみ溶解する単位用量のリナクロチドを含有する腸溶性コーティング錠剤を含む。一部の実施形態では、腸溶性または機能性コーティングは、アクリル酸メチル−メタクリル酸コポリマー(例えばEudragit(登録商標));セルロースアセタートスクシナート(CAS);ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP);PVA;PVP;PVP−LP、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS);ポリビニルアセタートフタレート(PVAP);メタクリル酸メチル−メタクリル酸コポリマー;アルギン酸ナトリウム及びステアリン酸;グアーガム;及びカルボマーから選択される。さらなる実施形態では、腸溶性コーティングは、Eudragit(登録商標)FS30D、PlasAcryl(登録商標)、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L30D−55、Eudragit(登録商標)S、Eudragit(登録商標)RL30D、Eudragit(登録商標)RS30D、Eudragit(登録商標)RS、Eudragit(登録商標)EC、またはその混合物から選択される。
遅延放出組成物は、いずれの有効量のリナクロチドをも含んでよい。一部の実施形態では、例えば、組成物は、0.05μg〜6mgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、1μg〜2mgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、25μg〜2mgのリナクロチド、例えば、50μg〜1mgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、0.1μg〜90μgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、0.1μg〜45μgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、0.1μg〜25μgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、36μg〜290μgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.05μg、0.1μg、0.15μg、0.25μg、0.5μg、0.75μg、1μg、1.5μg、2μg、2.5μg、3μg、3.5μg、4μg、4.5μg、5μg、7.5μg、9μg、10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、35μg、36μg、40μg、45μg、50μg、60μg、72μg、75μg、90μg、100μg、145μg、150μg、200μg、250μg、290μg、300μg、350μg、400μg、450μg、500μg、550μg、579μg、600μg、650μg、700μg、750μg、800μg、850μg、900μg、950μgまたは1mgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、100μg〜600μgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、30μg、50μg、75μg、100μg、150μg、290μg、300μg、400μg、500μgまたは600μgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、9μg、10μg、15μg、36μg、72μg、75μg、145μg、290μg、579μg、または600μgのリナクロチドを含む。
一部の実施形態では、組成物は、30μgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、50μgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、100μgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、145μgのリナクロチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、300μgのリナクロチドを含む。
一部の実施形態では、組成物に、適量の立体障害一級アミン(例えば、アミノ酸)成分、カチオン(例えば、金属カチオン)成分、及び/またはポリマー成分を含めることによって、リナクロチドの遅延放出組成物の安定性を高めるかまたは改善できることが分かった。これらの成分は、例えば、組成物内のリナクロチドの分解(例えば、水分誘発分解反応、例えば、加水分解、脱アミド、異性化、及び/または多量体化に起因する)を阻止し、少なくし、及び/または低減させることによって、リナクロチドの遅延放出組成物の安定性を高めるかまたは向上させる。例えば、一部の実施形態では、組成物に適量のカチオン(例えば、Mg2+、Ca2+、Zn2+)を添加するかまたは含めると、リナクロチドの酸化的分解に対する組成物の安定性を高めることが分かった。さらに、一部の実施形態では、例えば、組成物にアミノ酸(例えば、ヒスチジン)の形態で適量の立体障害一級アミンを含めると、例えば、スカベンジャーとして作用し、及び/または組成物を緩衝することによって、例えば、リナクロチドのN末端へのホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド等価物の求核付加に対する組成物の安定性を高めることが分かった。さらに、一部の実施形態では、組成物に適量の立体障害一級アミン(例えば、ヒスチジン)とカチオン(例えば、Ca2+)を両方とも含めると、リナクロチドの加水分解生成物及びホルムアルデヒド(Cys1−IMD)生成物の形成に対する組成物の安定性を高めることが分かった。また、一部の実施形態では、遅延放出組成物に適量のポリマー(例えば、ポリビニルピロリドンまたはポリビニルアルコール)を含めると、例えば組成物内のリナクロチドの移動性及び/または反応性を低減させることによって、例えば、リナクロチドと複合体またはマトリックス(例えば、ガラス状及び/または剛性マトリックス)を形成することによって(例えば、ガラス化反応)、リナクロチドと水分子との間の水素結合形成を阻止または少なくすることによって、及び/またはリナクロチドの三次元構造的完全性を増強することによって、組成物の安定性を高めることも分かった。
この点で、一部の実施形態では、遅延放出医薬組成物中のリナクロチドを特有濃度またはモル比のカチオン及び立体障害一級アミンと混ぜ合わせると、例えば、カチオン及び/もしくは立体障害一級アミンならびに/または同濃度のこれらの成分を含有しない同様の組成物に比べて、組成物内のリナクロチドの安定性の相乗的増強または改善をもたらすことが分かった。一部の実施形態では、組成物は、いずれの安定化量の立体障害一級アミン成分をも含むことができる。他の実施形態では、組成物は、400:1〜1:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。さらなる実施形態では、組成物は、200:1〜50:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。他の実施形態では、組成物は、100:1〜1:100の立体障害一級アミン(例えば、アミノ酸)対リナクロチドのモル比を有し得る。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜1:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、90:1〜2:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、80:1〜5:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、70:1〜10:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、60:1〜20:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、50:1〜30:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、40:1〜20:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜20:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜25:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜30:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜40:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜50:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜60:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜70:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも5:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも10:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも20:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも25:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも30:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも40:1の立体障害一級アミン対リナクロチドのモル比を有する。
遅延放出組成物に含めるのに適した立体障害一級アミンは、例えば、天然起源のアミノ酸(例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メグルミン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン)、合成アミノ酸(例えば、ランチオニン、テアニンまたはは1−アミノシクロヘキサン)、アミノ糖(例えば、キトサンまたはグルコサミン)、またはその組み合わせもしくは混合物である。一部の実施形態では、組成物は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、またはその混合物から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、ロイシン、イソロイシン、アスパラギン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、システイン、アラニン、セリン、トレオニン、チロシン、プロリン、トリプトファン、またはその組み合わせもしくは混合物から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、アラニン、またはその組み合わせもしくは混合物から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、ロイシン、イソロイシン、アラニン、またはその組み合わせもしくは混合物から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、またはその組み合わせもしくは混合物から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、ロイシン、メチオニン、アラニン、またはその組み合わせもしくは混合物から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、ロイシン、メチオニン、またはその混合物から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、ロイシン、イソロイシン、またはその混合物から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、ロイシン、アラニン、またはその混合物から選択されるアミノ酸を含む。一部の実施形態では、組成物は、ロイシンを含む。一部の実施形態では、組成物は、イソロイシンを含む。一部の実施形態では、組成物は、メチオニンを含む。一部の実施形態では、組成物は、アラニンを含む。一部の実施形態では、組成物は、ヒスチジンを含む。
遅延放出組成物は、いずれの安定化量のカチオン(例えば、金属カチオン)をも含むことができる。一部の実施形態では、組成物は、300:1〜1:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。さらなる実施形態では、組成物は、250:1〜30:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。他の実施形態では、組成物は、100:1〜1:100のカチオン対リナクロチドのモル比を有することができる。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜1:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、90:1〜2:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、80:1〜5:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、70:1〜10:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、60:1〜20:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、50:1〜30:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、40:1〜20:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜20:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜25:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜30:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜40:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜50:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜60:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、100:1〜70:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも5:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも10:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも20:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも25:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも30:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも40:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも60:1のカチオン対リナクロチドのモル比を有する。
いずれの適切なカチオン(複数可)をも組成物に含めることができ、例えば、いずれの適切な金属カチオンまたは有機カチオンをも含めることができる。一部の実施形態では、組成物は、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、鉄、スズ、マンガン、クロム、コバルト、ニッケル、バリウム、ナトリウム、またはその組み合わせもしくは混合物から選択される金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、カルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、マンガン、クロム、コバルト、ニッケル、バリウム、ナトリウム、またはその組み合わせもしくは混合物から選択される金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、アルミニウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、またはその組み合わせもしくは混合物から選択される金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、またはその組み合わせもしくは混合物から選択される金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、二価金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、Al3+、Ca2+、Mg2+、Zn2+、Mn2+、またはその組み合わせもしくは混合物から選択される二価金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、Mg2+を含む。一部の実施形態では、組成物は、Ca2+を含む。一部の実施形態では、組成物は、Zn2+を含む。一部の実施形態では、組成物は、アルミニウムを含む。
さらに、金属カチオンは、組成物にいずれの適切な形態でも、例えば、いずれかの適切な対イオンとのいずれかの医薬的に許容される塩の形態で添加可能である。適切な金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、またはその混合物が挙げられる。一部の実施形態では、組成物は、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸亜鉛、またはその任意の組み合わせもしくは混合物を含む。一部の実施形態では、組成物は塩化カルシウムを含む。一部の実施形態では、組成物は塩化マグネシウムを含む。一部の実施形態では、組成物は酢酸亜鉛を含む。適切な有機カチオンとしては、例えば、水酸化アンモニウム、D−アルギニン、L−アルギニン、t−ブチルアミン、酢酸カルシウム水和物、炭酸カルシウム、DL−リンゴ酸カルシウム、水酸化カルシウム、コリン、エタノールアミン、エチレンジアミン、グリシン、L−ヒスチジン、L−リジン、水酸化マグネシウム、N−メチル−D−グルカミン、塩酸L−オルニチン、水酸化カリウム、塩酸プロカイン、L−プロリン、ピリドキシン、L−セリン、水酸化ナトリウム、DL−トリプトファン、トロメタミン、L−チロシン、L−バリン、カルニチン、タウリン、リンゴ酸クレアチン、アルファケトグルタル酸アルギニン、アルファケトグルタル酸オルニチン、酢酸スペルミン、塩化スペルミン、またはその組み合わせもしくは混合物が挙げられる。一部の実施形態では、有機カチオンは、N−メチルD−グルカミン、コリン、アルギニン、リジン、プロカイン、トロメタミン(TRIS)、スペルミン、N−メチル−モルホリン、グルコサミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、ジアザビシクロウンデセン、クレアチン、アルギニンエチルエステル、アマンタジン、リマンタジン、オルニチン、タウリン、シトルリン、またはその組み合わせもしくは混合物から成る群より選択される。
組成物は、いずれの安定化量のポリマーをも含有することができる。一部の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して1〜25重量%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して1〜10重量%のポリマーを含む。
一部の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して2〜4重量%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜75wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜55wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜35wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜30wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜25wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜25wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、5〜25wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、10〜25wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、15〜25wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜22wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜22wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、5〜22wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、10〜22wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜20wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜20wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、5〜20wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、10〜20wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.01〜15wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.01〜10wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.01〜5wt.%のポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜95wt.%、例えば、5〜95wt.%、15〜95wt.%、25〜95wt.%、35〜95wt.%、45〜95wt.%、0.1〜85wt.%、1〜85wt.%、5〜85wt.%、15〜85wt.%、25〜85wt.%、35〜85wt.%、0.1〜80wt.%、1〜80wt.%、5〜80wt.%、15〜80wt.%、25〜80wt.%、35〜80wt.%、0.1〜75wt.%、1〜75wt.%、5〜75wt.%、15〜75wt.%、25〜75wt.%、35〜75wt.%、0.1〜65wt.%、1〜65wt.%、5〜65wt.%、15〜65wt.%、25〜65wt.%、35〜65wt.%、0.1〜60wt.%、1〜60wt.%、5〜60wt.%、15〜60wt.%、25〜60wt.%、または35〜60wt.%のポリマーを含む。
一部の実施形態では、ポリマーは、遅延放出組成物内で安定剤、保護コーティングとしても、またはフィルム形成剤としても作用する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、80:1〜300:1、例えば、100:200:1の間、110:1〜190:1、または120:1〜180:1さえのポリマー(例えば、PVPまたはPVA)対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、約80:1より大きい、例えば、約100:1より大きい、またはさらに約120:1より大きいポリマー(例えば、PVPまたはPVA)対リナクロチドのモル比を有する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、10:1〜300:1、例えば、80:1〜200:1、100:1〜180:1、または110:1〜150:1さえのポリマー(例えば、PVPまたはPVA)対リナクロチドの重量比を有する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、100:1〜500:1、例えば、200:1〜400:1、250:1〜350:1、または300:1〜350:1さえのポリマー(例えば、PVPまたはPVA)対リナクロチドの重量比を有する。
遅延放出組成物に含めるのに適したポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアルコール低過酸化物(PVA−LP)、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシルプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース、メタクリル酸ポリマー、シクロデキストリン、デキストリン、デキストラン、ポリアクリル酸、キトサン、グアーガム、キサンタンガム、ポリエチレンオキシド(例えば、ポリエチレンポリプロピレンオキシド)、ポリ(ビニルスルホン酸ナトリウム)、ポリエチレングリコール、ポリ(アルギニン)、ポリカルボフィル、ポリビニルピロリドン−コ−酢酸ビニル、ポロクサマー(例えば、BASFから入手可能なPluronic(登録商標)製品)、アルギン酸塩、トレハロース、スクロース、イヌリン、またはその組み合わせもしくは混合物である。一部の実施形態では、組成物は、PVP、PVA、メタクリル酸ポリマー、シクロデキストリン、デキストラン、ポリアクリル酸、キトサン、グアーガム、キサンタンガム、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリ(アルギニン)、ポリカルボフィル、ポリビニルピロリドン−コ−酢酸ビニル、ポロクサマー、またはその組み合わせもしくは混合物から選択されるポリマーを含む。一部の実施形態では、組成物は、PVP、PVA、ポリエチレンオキシド、またはその混合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、PVP、PVA、またはその混合物を含む。一部の実施形態では、組成物はPVPを含む。一部の実施形態では、組成物はPVAを含む。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、2種以上の安定剤を含む。例えば、組成物は、安定化量のポリマー及び安定化量の立体障害一級アミンを含むことができる。さらに、組成物は、安定化量のポリマー及び安定化量のカチオン(例えば、金属カチオン)を含むことができる。さらに、組成物は、安定化量の立体障害一級アミン及び安定化量のカチオン(例えば、金属カチオン)を含むことができる。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のポリマー、安定化量の立体障害一級アミン、及び安定化量のカチオン(例えば、金属カチオン)を含む。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、安定化量のPVPと、ヒスチジン、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、またはその混合物から選択される安定化量のアミノ酸とを含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVPと、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、またはその混合物から選択される安定化量のアミノ酸とを含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVP及び安定化量のロイシン、イソロイシン、メチオニン、アラニン、またはその組み合わせもしくは混合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVP及び安定化量のヒスチジンを含む。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、安定化量のPVAと、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、またはその混合物から選択される安定化量のアミノ酸とを含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVAと、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、またはその混合物から選択される安定化量のアミノ酸とを含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVA及び安定化量のロイシン、イソロイシン、メチオニン、アラニン、またはその組み合わせもしくは混合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVA及び安定化量のロイシンを含む。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、安定化量のPVP及び安定化量のカチオン(例えば、金属カチオン)を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVP及び安定化量の二価金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVP及び安定化量のMg2+、Ca2+、Zn2+もしくはその塩またはその組み合わせもしくは混合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVP及び安定化量のCa2+またはその塩を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVP及び安定化量のMg2+またはその塩を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVP及び安定化量のZn2+またはその塩を含む。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、安定化量のPVA及び安定化量のカチオン(例えば、金属カチオン)を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVA及び安定化量の二価金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVA及び安定化量のMg2+、Ca2+、Zn2+もしくはその塩またはその組み合わせもしくは混合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVA及び安定化量のCa2+またはその塩を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVA及び安定化量のMg2+またはその塩を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVA及び安定化量のZn2+またはその塩を含む。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、アラニンから選択される安定化量のアミノ酸;及びMg2+、Ca2+、Zn2+もしくはその塩またはその組み合わせもしくは混合物から選択される安定化量の二価金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、ロイシン、及びイソロイシンから選択される安定化量のアミノ酸;及びMg2+、Ca2+もしくはその塩またはその組み合わせもしくは混合物から選択される安定化量の二価金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、ロイシンまたはメチオニンから選択される安定化量のアミノ酸;及びCa2+、Zn2+もしくはその塩またはその組み合わせもしくは混合物から選択される安定化量の二価金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のロイシン及び安定化量のCa2+またはその塩を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のカチオン及び安定化量の立体障害一級アミンを含む。一部の実施形態では、組成物は、カチオン及び立体障害一級アミンを、少なくとも1.5:1、例えば、少なくとも2:1、少なくとも2.5:1、少なくとも3:1、少なくとも4:1、または少なくとも5:1さえのカチオン:立体障害一級アミン(例えば、Ca2+:ロイシン)のモル比(例えば、1.5:1〜5:1、例えば、2:1〜4:1のモル比)で含む。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、(i)安定化量のPVPまたはPVA、(ii)安定化量のロイシン、イソロイシン、メチオニン、アラニン、及び(iii)安定化量のMg2+、Ca2+、Zn2+もしくはその塩またはその組み合わせもしくは混合物を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVP、安定化量のロイシン、及び安定化量の金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVA、安定化量のヒスチジン、及び安定化量のCa2+またはその塩を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVP、安定化量のロイシン、及び安定化量のMg2+またはその塩を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVP、安定化量のロイシン、及び安定化量のZn2+またはその塩を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVA、安定化量のロイシン、及び安定化量のCa2+またはその塩を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVA、安定化量のロイシン、及び安定化量のMg2+またはその塩を含む。一部の実施形態では、組成物は、安定化量のPVA、安定化量のロイシン、及び安定化量のZn2+またはその塩を含む。
一部の実施形態では、組成物は、(i)0.1〜30wt.%のポリマー、(ii)100:1〜10:1の一級アミン対リナクロチドのモル比の立体障害一級アミン(例えば、アミノ酸)、及び(iii)100:1〜40:1のカチオン対リナクロチドのモル比のカチオン(例えば、金属カチオン)を含む。一部の実施形態では、組成物は、(i)5〜25wt.%のポリマー、(ii)100:1〜30:1(例えば、60:1〜30:1または50:1〜30:1さえ)の一級アミン対リナクロチドのモル比の立体障害一級アミン(例えば、アミノ酸);及び(iii)100:1〜60:1のカチオン対リナクロチドのモル比のカチオン(例えば、金属カチオン)を含む。一部の実施形態では、組成物は、(i)PVP及びPVAから選択される0.1〜30wt.%のポリマー、(ii)100:1〜10:1のアミノ酸対リナクロチドのモル比の、ロイシン、イソロイシン、アラニン、及びメチオニンから選択されるアミノ酸、及び(iii)100:1〜40:1のカチオン対リナクロチドのモル比の、Ca2+、Mg2+、及びZn2+から選択される金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、(i)PVP及びPVAから選択される5〜25wt.%のポリマー、(ii)100:1〜30:1(例えば、60:1〜30:1)のアミノ酸対リナクロチドのモル比の、ロイシン、イソロイシン、アラニン、及びメチオニンから選択されるアミノ酸、及び(iii)100:1〜60:1のカチオン対リナクロチドのモル比の、Ca2+、Mg2+、及びZn2+から選択される金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、(i)0.1〜30wt.%(例えば、5〜25wt.%)のPVPまたはPVA、(ii)100:1〜30:1(例えば、60:1〜30:1または50:1〜30:1さえ)のロイシン対リナクロチドのモル比のロイシン、及び(iii)100:1〜60:1のCa2+対リナクロチドのモル比のCa2+を含む。
一部の実施形態では、組成物は、(i)45〜99wt.%のポリマー、(ii)100:1〜10:1の一級アミン対リナクロチドのモル比の立体障害一級アミン(例えば、アミノ酸)、及び(iii)100:1〜40:1のカチオン対リナクロチドのモル比のカチオン(例えば、金属カチオン)を含む。一部の実施形態では、組成物は、(i)45〜70wt.%のポリマー、(ii)100:1〜30:1(例えば、60:1〜30:1または50:1〜30:1さえ)の一級アミン対リナクロチドのモル比の立体障害一級アミン(例えば、アミノ酸)、及び(iii)100:1〜60:1のカチオン対リナクロチドのモル比のカチオン(例えば、金属カチオン)を含む。一部の実施形態では、組成物は、(i)PVP及びPVAから選択される45〜99wt.%のポリマー、(ii)100:1〜10:1のアミノ酸対リナクロチドのモル比の、ロイシン、イソロイシン、アラニン、及びメチオニンから選択されるアミノ酸、及び(iii)100:1〜40:1のカチオン対リナクロチドのモル比の、Ca2+、Mg2+、及びZn2+から選択される金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、(i)PVP及びPVAから選択される45〜70wt.%のポリマー、(ii)100:1〜30:1(例えば、60:1〜30:1)のアミノ酸対リナクロチドのモル比の、ロイシン、イソロイシン、アラニン、及びメチオニンから選択されるアミノ酸、及び(iii)100:1〜60:1のカチオン対リナクロチドのモル比の、Ca2+、Mg2+、及びZn2+から選択される金属カチオンを含む。一部の実施形態では、組成物は、(i)45〜99wt.%(例えば、45〜70wt.%)のPVPまたはPVA、(ii)100:1〜30:1(例えば、60:1〜30:1または50:1〜30:1さえ)のロイシン対リナクロチドのモル比のロイシン、及び(iii)100:1〜60:1のCa2+対リナクロチドのモル比のCa2+を含む。
遅延放出組成物(例えば、遅延放出錠剤)は、いずれの1種以上の充填剤をも含み得る。適切な充填剤としては、限定するものではないが、デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、フルクトース、メチルセルロース、デキストレーツ、デキストロース、デキストラン、ラクチトール、マルトース、スクロース、ソルビトール、イソマルト、アルファ化デンプン、リン酸二カルシウム、微結晶性セルロース、マンニトール、ゼラチン、トレハロース、エリスリトール、マルチトール、ラクトース、グルコース、またはその組み合わせ、またはその混合物が挙げられる。一部の実施形態では、充填剤はイソマルトである。一部の実施形態では、充填剤はゼラチンである。一部の実施形態では、充填剤はマンニトールである。一部の実施形態では、充填剤はアルファ化デンプンである。一部の実施形態では、充填剤は微結晶性セルロースである。
遅延放出組成物(例えば、遅延放出錠剤)は、いずれの適切な濃度の充填剤をも含むことができる。一部の実施形態では、例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、0.1〜99重量%の濃度で1種以上の充填剤を含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、1〜95wt.%の充填剤(複数可)の濃度で1種以上の充填剤を含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、10〜90wt.%の充填剤(複数可)の濃度で1種以上の充填剤を含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、20〜90wt.%の充填剤(複数可)の濃度で1種以上の充填剤を含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、25〜85wt.%の充填剤(複数可)の濃度で1種以上の充填剤を含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、30〜80wt.%の充填剤(複数可)の濃度で1種以上の充填剤を含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、40〜70wt.%の充填剤(複数可)の濃度で1種以上の充填剤を含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、10〜60wt.%の充填剤(複数可)の濃度で1種以上の充填剤を含む。一部の実施形態では、例えば、組成物は、組成物の総重量に対して、20〜50wt.%の充填剤(複数可)の濃度で1種以上の充填剤を含む。一部の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して、少なくとも20wt.%、例えば、少なくとも40wt.%、少なくとも60wt.%、少なくとも70wt.%、少なくとも80wt.%、または少なくとも90wt.%の濃度で1種以上の充填剤を含む。
一部の実施形態では、遅延放出組成物(例えば、遅延放出フィルム)は、1種以上の可塑剤を含む。適切な可塑剤としては、限定するものではないが、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、グリセロール、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、トリエチルチトラート(titrate)、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、ヒマシ油、アセチル化モノグリセリド、ソルビトールまたはその組み合わせが挙げられる。典型的実施形態では、製剤中の可塑剤の濃度は、約0〜約30wt.%、例えば、約1〜約20wt.%、約0〜約10wt.%、約1〜約5wt.%、または0〜約4wt.%さえであってよい。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、フィルム形成剤、水溶性ポリマー、pH感受性ポリマー、生分解性ポリマー、またはその組み合わせを含む。本発明の経口溶解製剤に使用可能な水溶性、pH感受性、または生分解性ポリマーとしては、限定するものではないが、セルロース誘導体、合成ポリマーポリアクリラート及び天然ガムが挙げられる。例えば、本発明の経口溶解製剤に使用可能な水溶性ポリマーとしては、限定するものではないが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、アミロース、デキストラン、カゼイン、プルラン、ゼラチン、ペクチン、寒天、カラゲナン、キサンタンガム、トラガカント、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、シクロデキストリン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、メチルメタクリラートまたはその混合物が挙げられる。典型的実施形態では、製剤中の水溶性ポリマーの濃度は、約20重量%〜約90重量%、好ましくは約40重量%〜約80重量%であり得る。
一部の実施形態では、pH感受性ポリマーは、6.0の閾値pHを有するEudagrit(登録商標)L100である。一部実施形態では、pH感受性ポリマーは、7.0の閾値pHを有するEudagrit(登録商標)S100である。一部の実施形態では、pH感受性ポリマーは、5.6の閾値pHを有するEudagrit(登録商標)L−30Dである。一部実施形態では、pH感受性ポリマーは、6.8の閾値pHを有するEudagrit(登録商標)FS 30Dである。一部実施形態では、pH感受性ポリマーは、5.5の閾値pHを有するEudagrit(登録商標)L100−55である。一部実施形態では、pH感受性ポリマーは、5.0の閾値pHを有するポリビニルアセテートフタレートである。一部の実施形態では、pH感受性ポリマーは、4.5〜4.8の閾値pHを有するフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。一部の実施形態では、pH感受性ポリマーは、5.2の閾値pHを有するフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース50である。一部の実施形態では、pH感受性ポリマーは、5.4の閾値pHを有するフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース55である。一部実施形態では、pH感受性ポリマーは、4.8の閾値pHを有するセルロースアセテートトリメリエート(trimelliate)である。一部の実施形態では、pH感受性ポリマーは、5.0の閾値pHを有する酢酸フタル酸セルロースである。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、上記pH感受性ポリマーの組み合わせを含む。
当業者は、本開示の恩恵を受けて、他の成分を含めて遅延放出組成物の1つ以上の特性を増強させ得ることを理解することになる。一部の実施形態では、例えば、遅延放出組成物は、1種以上の崩壊剤、潤沢剤、固化防止添加剤、抗菌剤、消泡剤、乳化剤、界面活性剤、緩衝剤、及び/または着色剤を含み得る。
適切な崩壊剤としては、例えば、寒天、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングルコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、及びその混合物が挙げられる。一部の実施形態では、崩壊剤はクロスポビドンである。一部の実施形態では、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
適切な潤沢剤としては、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水添植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、シロイドシリカゲル(AEROSIL(登録商標)200、W.R.Grace Co.,Baltimore,MD USA)、合成シリカの凝固エアロゾル(Evonik Degussa Co.,Plano,TX USA)、発熱性二酸化ケイ素(CAB−O−SIL,Cabot Co.,Boston,MA USA)、及びその混合物が挙げられる。
適切な固化防止添加剤としては、例えば、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素、コロイド二酸化ケイ素、タルク、グリセリル、及びその混合物が挙げられる。
例えば、リナクロチド組成物の防腐剤として使用し得る適切な抗菌添加剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、クレゾール、クロロブタノール、デヒドロ酢酸、エチルパラベン、メチルパラベン、フェノール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメルソール(thimersol)、チモール、及びその混合物が挙げられる。
組成物は、いずれの適切な医薬的に許容される担体または媒体をも含んでよい。適切な医薬的に許容される担体としては、例えば、いずれかの溶媒、分散剤、pH緩衝剤、コーティング、吸収促進剤、制御放出剤、及び1種以上の不活性な賦形剤(例えば、充填剤、デンプン、ポリオール、造粒剤、微結晶性セルロース、希釈剤、潤沢剤、結合剤、崩壊剤)等が挙げられる。さらに、組成物は、いずれの望ましい追加成分、添加剤、及び/または種、例えば、界面活性添加剤、分散添加剤、保水剤、懸濁剤、可溶化剤、緩衝剤、崩壊剤、防腐剤、着色料、香味料等をも含有することができる。一部の実施形態では、組成物は、リナクロチドと相互作用する1種以上のイオン種を含む。
組成物は、いずれの適切なpH緩衝剤をも含むことができる。一部の実施形態では、pH緩衝剤は、リナクロチドの等電点に達するのに十分な量で組成物中に存在する。この点で、組成物は、いずれの所望pHをも有することができる。一部の実施形態では、組成物は、2〜5のpH(例えば、2〜4.5のpH、2〜4のpH、2.5〜4のpH、2.5〜3.5のpH、2.5〜3のpH、または3のpHさえ)を有する。
一部の実施形態では、組成物は、リナクロチド及び加水分解生成物、例えば、下構造を含むかまたは有する加水分解生成物を含む。
組成物は、いずれの所望濃度の加水分解生成物をも含有することができる。一部の実施形態では、組成物は、10wt.%未満の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、7wt.%未満の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、6wt.%未満の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、5wt.%未満の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、4wt.%未満の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、3wt.%未満の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、2wt.%未満の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1wt.%未満の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.01〜10wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜7wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜5wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜5wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜5wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜4wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜4wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜4wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜3wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜3wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜3wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜2.5wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜2.5wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜2.5wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜2wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜2wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜2wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜1.5wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜1.5wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜1wt.%の加水分解生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜1wt.%の加水分解生成物を含む。
一部の実施形態では、組成物は、リナクロチド及び酸化生成物、例えば、下記構造を含むかまたは有する酸化生成物を含む。
これとは別に、またはこれに加えて、組成物は、リナクロチドと、上記表示構造を有するが、6つの表示システイニル硫黄のいずれか1つ以上で酸化が起こる酸化生成物とを含む。組成物は、いずれの所望濃度の酸化生成物をも含有することができる。一部の実施形態では、組成物は、10wt.%未満の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、7wt.%未満の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、6wt.%未満の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、5wt.%未満の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、4wt.%未満の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、3wt.%未満の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、2wt.%未満の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1wt.%未満の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.01〜10wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜7wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜5wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜5wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜5wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜4wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜4wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜4wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜3wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜3wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜3wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜2.5wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜2.5wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜2.5wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜2wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜2wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜2wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜1.5wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜1.5wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜1wt.%の酸化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜1wt.%の酸化生成物を含む。
一部の実施形態では、組成物は、リナクロチド及びアセチル化生成物、例えば、下記構造を含むかまたは有するアセチル化生成物を含む。
組成物は、いずれの所望濃度のアセチル化生成物をも含有することができる。一部の実施形態では、組成物は、10wt.%未満のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、7wt.%未満のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、6wt.%未満のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、5wt.%未満のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、4wt.%未満のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、3wt.%未満のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、2wt.%未満のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1wt.%未満のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.01〜10wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜7wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜5wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜5wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜5wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜4wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜4wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜4wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜3wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜3wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜3wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜2.5wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜2.5wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜2.5wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜2wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜2wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、1〜2wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜1.5wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜1.5wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.1〜1wt.%のアセチル化生成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜1wt.%のアセチル化生成物を含む。
一部の実施形態では、リナクロチドと、下記:
i.ペプチド(「Cys1−IMD」)またはその医薬的に許容される塩であって、
のアミノ酸構造を含む、ペプチド;
ii.加水分解ペプチド(「Asp7」)またはその医薬的に許容される塩であって、
のアミノ酸構造を含む、ペプチド;
iii.アセチル化ペプチド(「Cys1−N−アセチル」)またはその医薬的に許容される塩であって、
のアミノ酸構造を含む、ペプチド;
iv.リナクロチドトリスルフィドペプチドまたはその医薬的に許容される塩であって、Cys Cys Glu Tyr Cys Cys Asn Pro Ala Cys Thr Gly Cys Tyrのアミノ酸配列を含み、追加の硫黄原子が、6つのシステイニル硫黄のいずれか1つに付着し得る、ペプチド;
v.ペプチド(「Des−Tyr14」)またはその医薬的に許容される塩であって、
のアミノ酸構造を含む、ペプチド;または
vi.ペプチド(Cys1−α−ケトン)またはその医薬的に許容される塩であって、
のアミノ酸構造を含む、ペプチド
から選択される1種以上のペプチドとを含む、医薬組成物を提供する。
一部の実施形態では、Cys1−α−ケトンペプチドは、その水和形またはその医薬的に許容される塩で存在することがあり、該ペプチドは、下記アミノ酸構造を含む。
当業者は、Cys1−α−ケトンペプチドが、その水和形及びケトン形との間で容易に変換することを認識するであろう。
一部の実施形態では、Cys1−α−ケトンペプチドは、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%、組成物の約1.5重量%未満、または組成物の約1重量%未満を構成する。他の典型的実施形態では、Cys1−α−ケトンペプチドは、組成物の約0.01重量%〜約15重量%、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、組成物の約0.05重量%〜約7重量%、または組成物の約0.05重量%〜約5重量%を構成する。
一部の実施形態では、Cys1−IMDペプチドは、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3.5重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を構成する。他の典型的実施形態では、Cys1−IMDペプチドは、組成物の約0.01重量%〜約15重量%、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、組成物の約0.05重量%〜約7重量%または組成物の約0.05重量%〜約5重量%を構成する。
一部の実施形態では、加水分解ペプチド(「Asp7」)は、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3.5重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を構成する。他の典型的実施形態では、加水分解ペプチド(「Asp7」)は、組成物の約0.01重量%〜約15重量%、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、組成物の約0.05重量%〜約7重量%、または組成物の約0.05重量%〜約5重量%を構成する。
一部の実施形態では、アセチル化ペプチド(「Cys1−N−アセチル」)は、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3.5重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を構成する。他の典型的実施形態では、アセチル化ペプチド(「Cys1−N−アセチル」)は、組成物の約0.01重量%〜約15重量%、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、組成物の約0.05重量%〜約7重量%、または組成物の約0.05重量%〜約5重量%を構成する。
一部の実施形態では、リナクロチドトリスルフィドペプチドは、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3.5重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を構成する。他の典型的実施形態では、リナクロチドトリスルフィドペプチドは、組成物の約0.01重量%〜約15重量%、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、組成物の約0.05重量%〜約7重量%または組成物の約0.05重量%〜約5重量%を構成する。
一部の実施形態では、Des−Tyr14ペプチドは、組成物の約15重量%未満、組成物の約10重量%未満、組成物の約7重量%未満、組成物の約5重量%未満、組成物の約4重量%未満、組成物の約3.5重量%未満、組成物の約3重量%未満、組成物の約2重量%未満、または組成物の約1重量%未満を構成する。他の典型的実施形態では、Des−Tyr14ペプチドは、組成物の約0.01重量%〜約15重量%、組成物の約0.05重量%〜約10重量%、組成物の約0.05重量%〜約7重量%または組成物の約0.05重量%〜約5重量%を構成する。
一部の実施形態では、組成物は、リナクロチド及びいずれの所望濃度のマルチマーをも含む。一部の実施形態では、組成物は、10wt.%未満のマルチマー(複数可)を含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜1wt.%のマルチマー(複数可)を含む。
一部の実施形態では、組成物は、有効量のリナクロチド及びいずれの所望量の還元型リナクロチドをも含む。本明細書で使用する場合、用語「還元型リナクロチド」は、システインアミノ酸間にジスルフィドを有しないリナクロチドを指す。一部の実施形態では、組成物は、10wt.%未満の還元型リナクロチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜1wt.%の還元型リナクロチドを含む。
一部の実施形態では、組成物は、有効量のリナクロチド及びいずれの所望量のスクランブル型リナクロチドをも含む。本明細書で使用する場合、用語「スクランブル型リナクロチド」は、Cys1とCys10との間、Cys1とCys13との間、Cys1とCys5との間、Cys1とCys2との間、Cys2とCys6との間、Cys2とCys13との間、Cys2とCys5との間、Cys5とCys6との間、及び/またはCys5とCys10との間にジスルフィド結合を有するリナクロチドを指す。一部の実施形態では、組成物は、0.5〜1wt.%のスクランブル型リナクロチドを含む。一部の実施形態では、組成物は、10wt.%未満のスクランブル型リナクロチドを含む。
一部の実施形態では、組成物は、約10wt.%未満の総分解物濃度を有する。一部の実施形態では、組成物は、約8wt.%未満の総分解物濃度を有する。一部の実施形態では、組成物は、約7wt.%未満の総分解物濃度を有する。一部の実施形態では、組成物は、約6.5wt.%未満の総分解物濃度を有する。一部の実施形態では、組成物は、約6wt.%未満の総分解物濃度を有する。一部の実施形態では、組成物は、約5.5wt.%未満の総分解物濃度を有する。一部の実施形態では、組成物は、約5wt.%未満の総分解物濃度を有する。一部の実施形態では、組成物は、約4wt.%未満の総分解物濃度を有する。一部の実施形態では、組成物は約3wt.%未満の総分解物濃度を有する。一部の実施形態では、組成物は、約2.5wt.%未満の総分解物濃度を有する。一部の実施形態では、組成物は、約2wt.%未満の総分解物濃度を有する。一部の実施形態では、組成物は、約1wt.%未満の総分解物濃度を有する。
一部の実施形態では、薬物の微粒子(例えば、マイクロカプセルまたはマイクロスフェア)を調製するために用いる技術である噴霧乾燥によって組成物を調製することができる。噴霧乾燥ペプチドは、一般的に溶解時にそれらの生物学的活性を保持し、均一な粒径及び球状を含めた有用な物理的特性を有し得る。さらに、噴霧乾燥によって調製される微粒子は自由に流動することが多く、このことは、錠剤の形成及びカプセルの充填等の医薬品製造プロセスに役立つ。噴霧乾燥プロセスは、それらが臨床的及び商業的製造のために容易にスケールアップ可能であることからも有用である。一実施形態では、噴霧緩衝液は、HCl、ヒスチジン、1.5%PVA及び0.6%タルクを含む。この製剤を用いて、36〜290μgのより低い薬用量範囲をもたらすことができる。
組成物は、投与されると、胃腸管の標的領域で溶解してリナクロチドを放出することになる。製剤は、いくつかの異なる要因によって決まる期間にわたってリナクロチドを放出し得る。これらの要因としては、製剤の寸法、リナクロチドの濃度、及びリナクロチドが製剤全体にわたってどのように分散しているかがある。例えば、製剤の厚さ及び表面積を変えることによって、溶解速度を調整することができる。厚い製剤は、他の点では同様の薄い製剤よりゆっくり溶解することになり、高用量のリナクロチドの投与に望ましいことがある。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、目標pH条件で約60分未満の崩壊速度を有する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、目標pH条件で約30分未満の崩壊速度を有する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、目標pH条件で約25分未満の崩壊速度を有する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、目標pH条件で約20分未満の崩壊速度を有する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、目標pH条件で約15分未満の崩壊速度を有する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、目標pH条件で約10分未満の崩壊速度を有する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境に侵入した後、約30分未満で崩壊する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境に侵入した後、約25未満で崩壊する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境に侵入した後、約20分未満で崩壊する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境に侵入した後、約15分未満で崩壊する。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から60分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約75%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約75%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約80%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約85%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約90%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約95%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約99%を放出する。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から15分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約40%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から15分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約50%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から15分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約60%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から15分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約70%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から15分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約80%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から15分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約85%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から15分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約90%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から15分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約95%を放出する。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、標的環境への侵入から約2〜約2時間で、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約80%を放出する。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、5より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約75%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、5より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約80%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、5より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約85%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、5より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約90%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、5より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約95%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、5より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約99%を放出する。
一部の実施形態では、遅延放出組成物は、7より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約75%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、7より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約80%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、7より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約85%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、7より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約90%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、7より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約95%を放出する。一部の実施形態では、遅延放出組成物は、7より大きいpHとの接触から30分以内に、その中に含まれるリナクロチドの少なくとも約99%を放出する。
一部の実施形態では、回腸、末端回腸、または結腸へのリナクロチドの送達のためにリナクロチドDR組成物を調合する。
一部の実施形態では、結腸へのリナクロチドの送達のためにリナクロチドDR組成物を調合する。
本組成物を用いて、GC−C受容体のアゴニストによる治療に応答性である他の疾患、障害、または病態を治療することができる。本組成物を用いて、患者(例えば、哺乳動物またはヒト)のいずれの胃腸障害及び/もしくは病態またはそれと関連する炎症もしくは疼痛を治療することができる。本発明の遅延放出組成物を用いて種々の病態を治療できるが、特に胃腸障害、例えば過敏性腸症候群(「IBS」)(例えば、便秘を伴うIBS「IBS−c」、下痢を伴うIBS「IBS−d」、または便秘と下痢を伴う混合型IBS「IBS−m」)、便秘(例えば、慢性特発性便秘)、結腸癌、憩室炎、間質性膀胱炎、及び腹部痛または内臓痛等の治療に適している。
このような適切な胃腸障害及び病態としては、限定するものではないが、過敏性腸症候群、便秘を伴う過敏性腸症候群、結腸癌、ディスペプシア(機能性ディスペプシアまたは非潰瘍性ディスペプシアを含めて)、胃腸運動障害、機能性胃腸障害、胃食道逆流症(GERD)、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、機能性胸やけ、胃不全麻痺、慢性偽性腸閉塞(または偽性結腸閉塞)、ならびに便秘、例えば、慢性便秘、オピオイド誘発性便秘、手術後便秘(術後イレウス)、及び神経障害性障害に関連する便秘またはその症状の組み合わせ(過敏性腸症候群と慢性便秘の組み合わせ等)、神経障害性障害に関連する便秘(例えば、パーキンソン病に関連する便秘)、嚢胞性繊維症もしくは甲状腺疾患に関連する便秘に関連する障害及び病態も挙げられる。一部の実施形態では、1つ以上の胃腸障害または病態と診断された患者(例えば、哺乳動物またはヒト)の胃腸障害の治療方法であって、有効量の組成物を患者に投与することを含む方法を提供する。
一部の実施形態では、胃腸障害の治療方法であって、治療が必要な患者に、治療的に有効な量の本明細書に記載の組成物を投与することを含む方法。胃腸障害は、過敏性腸症候群(IBS)、便秘、機能性胃腸障害、胃食道逆流症、機能性胸やけ、炎症性腸疾患、ディスペプシア、憩室炎痛、内臓痛、もしくは腹部痛、前立腺炎、精巣痛、腹部もしくは内臓の炎症、疼痛性膀胱症候群、子宮内膜症、外陰部痛、または直腸痛から成る群より選択される。一部の実施形態では、便秘は、慢性便秘、特発性便秘、慢性特発性便秘、術後イレウスが原因の便秘、またはオピエート使用に起因する便秘である。他の実施形態では、過敏性腸症候群は、便秘を伴う過敏性腸症候群(IBS−c)、下痢を伴う過敏性腸症候群(IBS−d)または混合型過敏性腸症候群(IBS−m)である。
一部の実施形態では、本組成物を用いて便秘、便秘を伴う過敏性腸症候群、及び内臓痛を治療することができる。他の実施形態では、本組成物を用いて、他のGI障害症状に比べて内臓痛または腹部痛を優先的に治療することができる。
上述したように、リナクロチドは、粘膜下/側底空間へのcGMPによって媒介されると考えられる腹部痛を低減させることが以前に示された。しかしながら、腸管の還元性環境のため、経口リナクロチド用量の多くは、遠位結腸に到達する前に分解されると考えられる。リナクロチドで治療されたヒトボランティアにおいては、経口用量の約5%しか大便に見られない。本明細書に記載の組成物は、下部GIを標的にするリナクロチドの遅延放出(「DR」)組成物であり、より高い用量のリナクロチドの結腸への送達を可能にすることによって、種々のGI障害関連痛の緩和に対するリナクロチドの有効性を改善することができる。そのようなものとして、一実施形態では、本明細書に記載の組成物は下部GIの治療に有用である。
リナクロチドの該DR組成物は、主に(完全に)下部GIでリナクロチドを放出する可能性を有することになる。結果として、例えば、DR製剤または組成物は、下部GI関連障害を治療する高い能力を有することになる。さらに、例えば、上部GIにおいてGC−C受容体を活性化しないことによって、それは全体的な腸液分泌をより少なくすることになるので、即時放出剤形より低い有害事象(例えば下痢)の発生率をもたらす能力を有し得る。このことがあると同時に、疼痛等のGI障害の症状を治療するためのリナクロチドの有効性を維持するかまたは改善さえすることになる。
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、一般的腹部痛、憩室性疾患、過敏性腸症候群(IBS)関連痛、慢性もしくは急性放射線直腸障害(放射線直腸炎とも呼ばれる)、直腸痛、慢性肛門周囲痛、消散性肛門直腸痛、肛門部痛、慢性裂肛、術後肛門部痛、過活動膀胱症候群、腹圧性尿失禁、間質性膀胱炎、膀胱痛症候群、癌関連痛、胃腸管新生物関連痛、一般的骨盤痛、子宮内膜症、睾丸痛、慢性前立腺炎、前立腺痛、外陰部痛、尿道症候群、陰茎痛、肛門周囲痛、潰瘍性大腸炎、潰瘍性直腸炎、及びクローン病から成る群より選択される内臓痛に関連する疾患または症状の治療に有用である。1つの特定実施形態では、本明細書に記載の組成物は、膀胱痛症候群の治療に有用である。別の特定実施形態では、本明細書に記載の組成物は、過活動膀胱症候群(例えば膀胱過敏症または大腸炎誘発膀胱求心性活動亢進を含めて)の治療に有用である。
さらに別の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、間質性膀胱炎の治療に有用である。さらに別の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、子宮内膜症の治療に有用である。別の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、肛門部痛の治療に有用である。
一部の実施形態では、障害の治療方法であって、治療が必要な患者に、治療的に有効な量の本明細書に記載の組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、障害は、結腸直腸/局所転移性結腸直腸癌、腸ポリープ、バレット食道、胃腸管癌、肺癌、上皮細胞の癌または前癌性成長もしくは転移性成長、ポリープ、乳癌、結腸直腸癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、胃癌、膀胱癌、肝臓癌、食道癌及び精巣癌から選択される癌である。
一部の実施形態では、胃腸管の癌もしくは過形成の予防または胃腸管の癌もしくは過形成の再発の予防が必要な患者の該予防方法であって、有効量の組成物または経口剤形を該患者に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、癌または過形成は、結腸直腸癌、腸ポリープまたは胃腸の上皮細胞の前癌性成長もしくは転移性成長である。一部の実施形態では、組成物または経口剤形を有効量のCOX−2インヒビターと同時または逐次投与する。高選択的及び選択的COX−2インヒビターの例としては、エトリコキシブ、ロフェコキシブ、ルミラコキシブ、バルデコキシブ、セレコキシブ(Celebrex(登録商標))、スリンダク、ジクロフェナク、メロキシカム及びエトドラクが挙げられる。COX−2を阻害する非選択的NSAIDとしては、ナプロキセン、イブプロフェン、サリチル酸ナトリウム及びジフルニサルが挙げられる。本明細書で使用する場合、用語「予防する」または「予防すること」は、本明細書に記載の組成物で治療されたことがない患者と比較して癌もしくは過形成の発症(すなわち、疾患の臨床症状前の期間)または再発を抑止し、遅延させ、及び/または癌もしくは過形成を発症するリスクを低減させることを意味する。
一部の実施形態では、本明細書に記載の組成物及び経口剤形で小児患者の胃腸障害を治療する方法を提供する。一部の実施形態では、1つ以上の胃腸障害または病態と診断された小児患者の胃腸障害を治療する方法を提供し、該方法は、有効量の組成物または経口剤形を患者に投与することを含む。一部の実施形態では、限定するものではないが、GI運動障害、過敏性腸症候群、便秘型過敏性腸症候群(IBS−c)、混合型過敏性腸症候群(IBS−m)、慢性便秘、慢性特発性便秘、オピオイド誘発便秘、手術後便秘(術後イレウス)、神経因性障害に関連する便秘、嚢胞性繊維症もしくは甲状腺疾患に関連する便秘、ディスペプシア(機能性ディスペプシアまたは非潰瘍性ディスペプシアを含めて)、胃不全麻痺、胃腸運動障害、機能性胃腸障害、胃食道逆流症(GERD)、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、機能性胸やけ、慢性偽性腸閉塞(または偽性結腸閉塞)、内臓痛、腹部痛、骨盤痛、肛門裂傷痛、外陰部痛関連痛、子宮内膜症関連痛、線維筋痛関連痛、機能性腹部痛、間質性膀胱炎痛、憩室炎、憩室炎関連痛、及びセリアックスプルー関連痛を含めた胃腸障害を治療するために組成物及び経口剤形を使用する方法を提供する。一部の実施形態では、小児患者のIBS−c、IBS−mまたは慢性便秘(例えば、慢性特発性便秘)を本明細書に記載の組成物及び経口剤形で治療する方法を提供する。一部の実施形態では、IBS−cの治療が必要な小児患者の該治療方法を提供する。一部の実施形態では、慢性特発性便秘の治療が必要な小児患者の該治療方法を提供する。
一部の実施形態では、方法は、疼痛の治療または緩和が必要な患者の治療または緩和方法であって、治療的に有効な量の本明細書に記載の組成物を投与することを含む。一部の実施形態では、疼痛は、内臓痛;腹部痛;骨盤痛;または胃腸障害、性病、膀胱痛症候群、憩室炎痛、前立腺炎、精巣痛、子宮内膜症、外陰部痛、直腸痛、もしくは間質性膀胱炎に関連する疼痛から選択される。一部の実施形態では、疼痛は、骨盤痛、直腸炎関連痛、肛門裂傷痛、外陰部痛関連痛、子宮内膜症関連痛、線維筋痛関連痛、機能性腹部痛、間質性膀胱炎痛、性病関連痛、憩室炎、憩室炎関連痛、及びセリアックスプルー関連痛から選択される。
別の実施形態では、方法は、腸運動増加が必要な患者の腸運動増加方法であって、有効量の組成物を患者に投与することを含む。腸運動は、消化プロセス中に胃腸管を介して食物を移動させるための胃、腸、結腸及び直腸の自発的な協調不和及び収縮を伴う。一部の実施形態では、障害は、術後イレウス、またはオピエート使用に起因する便秘である。
典型的実施形態では、方法は、投与が必要な患者に治療的に有効な量の医薬組成物を投与することを含み得る。対象の望ましい結果(望ましい治療及び/または症状緩和等)を達成するために必要とされるリナクロチドまたはその医薬的に許容される塩を含む組成物の有効量は、治療される障害の独自性及び重症度、ならびに治療される患者の年齢、体重等のいくつかの了解要因によって決まる。
一部の実施形態では、投与が必要な小児患者に錠剤、カプセル剤またサシェ剤として組成物または経口剤形を投与する。一部の実施形態では、組成物を含むサシェ剤を開けて、その中身をアップルソース等の食物に振りかけるか、またはアップルソース等の食物もしくは水等の飲物にかき混ぜながら入れる。一部の実施形態では、カプセル剤を水等の流体で丸ごと飲み込むか、あるいはカプセル剤を開けて、食物もしくは飲物に振りかけるかまたはかき混ぜながら入れる。錠剤は、丸ごと飲み込めるか、粉砕してかき混ぜながら食物もしくは飲物に入れることができ、または咀嚼錠として調合可能である。
医薬組成物の投与が疾患また障害に有効な治療レジメンである対象または患者は、好ましくはヒトであるが、臨床治験またはスクリーニングもしくは活性実験の状況における実験動物を含め、いずれの動物であってもよい。従って、当業者は容易に理解できるように、本明細書に記載の方法、化合物及び組成物は、いずれの動物への投与にも、特に哺乳動物への投与に特に適しており、動物としては、決して限定するものではないが、ヒト、げっ歯動物及び非げっ歯動物、例えばネコ科もしくはイヌ科対象等、家畜動物、例えば限定するものではないが、ウシ科、ウマ科、ヤギ科、ヒツジ科、及びブタ科対象等、野生動物(野生にいるかまたは動物園にいるかにかかわらず)、研究動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ等、例えば、獣医学医療用途のニワトリ、シチメンチョウ、ナキドリ等の鳥類種が挙げられる。
一部の実施形態では、リナクロチド組成物を直腸投与のための直腸用剤形として調合することができる。直腸用剤形としては、限定するものではないが、直腸座剤、直腸フォームまたはエアロゾル、浣腸剤、直腸ゲル及び直腸軟膏が挙げられる。一部の実施形態では、投与が必要な患者に直腸用剤形を投与することができる。一部の実施形態では、直腸用剤形は、腹部痛もしくは直腸痛、肛門裂傷からの疼痛、潰瘍性大腸炎、クローン病または炎症性腸疾患を治療するために患者に投与可能である。一部の実施形態では、直腸用剤形を小児患者または老齢患者に投与することができる。
一部の実施形態では、成人ヒトに対するリナクロチドの有効用量範囲は、経口で1日当たり25μg〜6mgである。一部の実施形態では、用量範囲は、経口で1日当たり15μg〜2mgである。一部の実施形態では、成人ヒトに対する用量範囲は、経口で1日当たり50μg〜1mg(例えば、15μg、30μg、50μg、72μg、100μg、145μg、150μg、200μg、250μg、290μg、300μg、350μg、400μg、450μg、500μg、550μg、579μg、600μg、650μg、700μg、750μg、800μg、850μg、900μg、950μgまたは1mg)である。一部の実施形態では、成人ヒトに対する用量範囲は、経口で1日当たり30μg〜300μgである。一部の実施形態では、用量範囲は、経口で1日当たり100μg〜600μgである。一部の実施形態では、用量は、経口で1日当たり30μg、100μg、150μg、200μg、300μg、400μg、500μgまたは600μgのリナクロチドである。一部の実施形態では、用量は、経口で1日当たり50μgのリナクロチドである。一部の実施形態では、用量は、経口で1日当たり100μgのリナクロチドである。一部の実施形態では、用量は、経口で1日あたり145μgのリナクロチドである。一部の実施形態では、用量は、経口で1日当たり200μgのリナクロチドである。一部の実施形態では、用量は、経口で1日当たり290μgのリナクロチドである。一部の実施形態では、用量は、経口で1日当たり300μgのリナクロチドである。一部の実施形態では、用量は、経口で1日当たり500μgのリナクロチドである。一部の実施形態では、用量は、経口で1日当たり600μgのリナクロチドである。
一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.05μg〜2mgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.05μg〜100μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.1μg〜90μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.1μg〜50μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.1μg〜25μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.1μg〜10μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.1μg〜5μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.1μg〜1μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.1μg〜0.5μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.1μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.15μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.25μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり0.5μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり3.5μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり15μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり36μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり45μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり60μgである。一部の実施形態では、リナクロチドの有効小児用量範囲は、経口で1日当たり90μgである。一部の実施形態では、単位剤形と1日用量が等価である。
一部の実施形態では、単位剤形を1日のいつでも食物とともに、1日のいつでも食物を伴わずに、夜間絶食後に食物とともに(例えば、朝食とともに)投与する。一部の実施形態では、単位剤形を1日1回、1日2回または1日3回投与する。一部の実施形態では、1、2または3つの単位剤形が、リナクロチドの1日経口用量を含有することになる。患者に投与する化合物の正確な量は、担当医師の責任となる。しかしながら、使用する用量は、患者の年齢及び性別、治療する正確な障害、及びその重症度を含めたいくつかの要因によって決まることになる。
一部の実施形態では、組成物を単剤療法として投与する。一部の実施形態では、組成物は、有効量のリナクロチドから本質的に成る。一部の実施形態では、組成物は、有効量のリナクロチドから成る。
一部の実施形態では、例えば、遅延放出錠剤または遅延放出カプセル剤の形態で組成物を患者に直接投与する。一部の実施形態では、患者(例えば、高齢または小児患者)への投与前に、組成物を食物または飲物の上または中で溶解させ、崩壊させ及び/または混合する。一部の実施形態では、患者(例えば、高齢または小児患者)への投与前に、必要に応じて安定剤(複数可)、防腐剤(複数可)、甘味料(複数可)等を含有する液体、溶液、または流体中で組成物を溶解または崩壊させる。一部の実施形態では、組成物は、複数用量組成物であり、すなわち、2、3、5、7、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90またはそれより多くの1日用量のリナクロチドを含有する。
他の実施形態では、組成物を併用療法の一部として投与する。例えば、本発明の化合物が有用である疾患もしくは病態の治療、予防、抑制、及び/または寛解に用いる他の薬物または療法と組み合わせて組成物を使用してよい。リナクロチドは、他の投薬との共投与または共調合が可能である。一実施形態では、リナクロチド組成物は、限定するものではないが、ヒスタミン−2受容体アゴニスト(H2A)及び/またはプロトンポンプインヒビター(PPI)等の酸抑制剤を含めた胃腸障害の治療に用いる他の投薬との共投与が可能である。一実施形態では、リナクロチド組成物は、メサラミン等の5−ASAを含めた胃腸障害の治療に用いる他の投薬との共投与が可能である。
従って、このような他の薬物(複数可)は、一般的に用いられる経路及び量で、本発明の化合物と同時または逐次的に使用可能である。本発明の化合物を1種以上の他の薬物と同時に使用するとき、本発明の化合物に加えて他の該薬物を含有する医薬単位剤形を利用してよい。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物に加えて、1種以上の他の活性成分をも含有する医薬組成物が含まれる。
リナクロチド組成物の生物活性を評価するためにいくつかの方法を使用することができ、限定するものではないが、イムノアッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ)、ラジオイムノアッセイ、免疫放射線アッセイ、ゲル電気泳動(例えば、SDS−PAGE)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、及び/または高性能毛管電気泳動(HPCE)が挙げられる。一部の実施形態では、リナクロチドを固定し、リナクロチドをグアニル酸シクラーゼC(GCC)とインキュベートし、GCC結合リナクロチドをGCCに対する抗体とインキュベートし、GCC抗体結合リナクロチドをGCC抗体に対する蛍光標識抗体とインキュベートし、プレートリーダーを用いて蛍光強度を測定することによってGCC抗体に結合したリナクロチドを検出することを含む方法によって組成物の生物活性を評価する。次に、溶液の蛍光読取値に基づいて薬物濃度を計算することができる。
例えば、リナクロチド組成物の生物活性を下記方法を用いて評価及び定量化し得るが、他の方法も利用可能である。組成物を4.5のpHを有する60mlのリン酸緩衝液を含有するメスフラスコに添加し、フラスコを60分間振盪させる。次に0.2mlの上清を除去し、GC−C受容体で被覆した96ウェルプレートの1つ以上のウェルに添加する。プレートを密封し、37℃で2時間インキュベートする。インキュベーションの最後に、試料を除去し、プレートをリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄する。次に遮断緩衝液中のフルオレセインイソシアナート(FITC)で標識したGC−C(例えば、Sigma−Aldrich Inc.から入手可能である)を用いて、結合リナクロチドを室温で1時間インキュベートする。インキュベーション後、ウェルをPBSで洗浄する。例えば、プレートリーダーを用いて、最終生成物の蛍光強度を検出する。次に溶液の蛍光読取値に基づいてリナクロチド濃度を計算する。
定義
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、用語「遅延放出」は、実質的に全てのリナクロチドが製剤、組成物、または剤形中にもはや残存しなくなるように、組成物が胃腸管の標的領域で溶解、融解、崩壊、液化等することを意味する。遅延放出組成物には、徐放組成物、胃保持性組成物、標的放出組成物(例えば、結腸放出組成物、または回盲弁を標的にする組成物等)、持続放出組成物及び/またはその組み合わせが含まれる。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、用語「遅延放出組成物」(「DR」)は、組成物が経口投与直後以外の時点でリナクロチドを放出する剤形であることを意味する。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、用語「持続放出組成物」は、組成物が投与後長期間にわたってリナクロチドを放出する剤形であることを意味する。これは、即時放出組成物に比べて投与頻度の低減を可能にする。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、本明細書では「崩壊」及び「放出」を用いて、実質的に全てのリナクロチドが製剤形態中にもはや残存しなくなるような、例えば、5もしくは7より高いpH、またはリン酸緩衝溶液中及び37±1℃で維持される口腔環境において、リナクロチドを含むカプセル、フィルム、ビーズ、または錠剤が溶解、融解、崩壊、液化等することを意味する。
組成物からのリナクロチドの放出を指すとき、特に指定のない限り、本明細書では用語「から放出された」を用いて、リナクロチドがもはや組成物の形を保たないことを意味する。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、用語「標的環境への侵入」は、標的器官もしくはそのセグメントにおける患者内、または例えば、5もしくは7より高いpHを有する、リナクロチド放出を意図したGIのセグメント内での組成物の接触を意味する。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、用語「下部胃腸(GI)」は、胃腸管の遠位セグメント、例えば、回腸、末端回腸、回盲弁、または結腸を意味する。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、用語「上部胃腸(GI)」は、胃腸管の近接セグメント、例えば、胃、十二指腸、及び/または空腸を意味する。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、「安定剤」は、安定化量で組成物に含まれる、組成物のポリマー、立体障害一級アミン(例えば、アミノ酸)、またはカチオン(例えば、金属カチオン)成分を指す。例えば、ポリマー安定剤は、安定化量で組成物に含まれるポリマーである。同様に、立体障害一級アミン安定剤は、安定化量で組成物に含まれる立体障害一級アミンである。さらに、カチオン性安定剤は、安定化量で組成物に含まれるカチオンである。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、「安定化量」は、該成分が、安定化量の同成分を有しない同様の組成物に比べて、組成物中のリナクロチドの安定性を高める、組成物内のポリマー、立体障害一級アミン(例えば、アミノ酸)、または金属カチオン成分の濃度を指す。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、用語「実質的に全て」は、少なくとも約90%、例えば、少なくとも約95%または少なくとも約99%さえを意味する。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、用語「単離された及び精製された」は、例えば、HPLCを用いてクロマトグラフィー純度によって測定した場合に、少なくとも95パーセント純粋(例えば、少なくとも96%純粋、少なくとも97%純粋、少なくとも98%純粋、または少なくとも99%さえ純粋)を意味する。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、「治療的に有効な量」は、状態、障害または病態を治療するために哺乳動物に投与すると、治療を果たすのに十分である(下記定義どおり)リナクロチドまたはその医薬的に許容される塩の量を意味する。「治療的に有効な量」は、化合物、疾患及びその重症度ならびに治療すべき哺乳動物の年齢、性別、体重、健康状態及び応答性に応じて異なることになる。例えば、リナクロチド、またはその医薬的に許容される塩もしくは水和物の治療的に有効な量は、過敏性腸症候群、便秘型過敏性腸症候群、慢性便秘、オピオイド誘発便秘、及び/またはディスペプシアを含めた胃腸障害を治療するために有効な量であり得る。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、「医薬的に許容される」とは、動物もしくはヒトにおけるインビボ使用に関して生物学的または医薬的に適合性であることを意味し、好ましくは、動物、さらに特にヒトにおける使用に関して、連邦もしくは州政府の規制機関によって認可されているかまたは米国薬局方もしくは他の一般的に認められている薬局方に列挙されていることを意味する。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、本明細書では用語「治療する」をその全ての動詞形で用いて、対象の障害の少なくとも1つの症状を緩和、軽減、予防、及び/または管理することを意味し、該障害には、例えば、過敏性腸症候群、便秘型過敏性腸症候群、慢性便秘、オピオイド誘発便秘、ディスペプシア、またはそれらの症状の組み合わせ等の胃腸障害が含まれる。本発明の意義の範囲内で、用語「治療する」は、発症(すなわち、疾患の臨床症状前の期間)を抑止し、遅延させ及び/または疾患を発症するかもしくは悪化させるリスクを低減させることをも意味する。用語「治療」は、上記定義どおりの「治療する」行為を意味する。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、用語「添加剤」は、医薬的に許容される添加剤を指す。医薬的に許容される添加剤としては、限定ではなく結合剤、崩壊剤、分散添加剤、潤沢剤、滑剤、酸化防止剤、コーティング添加剤、希釈剤、界面活性剤、香味添加剤、保水剤、吸収促進添加剤、制御放出添加剤、固化防止添加剤、抗菌剤(例えば、防腐剤)、着色料、乾燥剤、可塑剤及び色素が挙げられる。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、「賦形剤」は、いずれの医薬的に許容される添加剤、充填剤、結合剤、または薬剤でもある。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、「ストレス条件」は、40℃及び75%の相対湿度(RH)を指す。
本明細書で使用する場合、特に指定のない限り、用語「約」及び「ほぼ」は、当業者が決定する場合に特定値について許容可能な誤差範囲内を意味し、これは部分的に、どのようにその値を測定または決定するか、すなわち、測定システムの限界によって決まることになる。例えば、「約」は、当該技術分野の実践を通じて、1または1を超える標準偏差以内を意味し得る。あるいは、組成物に関して「約」は、ある範囲のプラスまたはマイナス20%まで、好ましくは10%までを意味し得る。あるいは、特に生物系又はプロセスに関して、この用語は、ある値の1桁以内、好ましくは5倍以内、さらに好ましくは2倍以内を意味し得る。特定値は、本明細書及び特許請求の範囲に記載され、特に指定のない限り、用語「約」は、特定値に関して許容可能な誤差範囲内を意味する。
本明細書で言及する全ての重量パーセント(すなわち、「重量%」及び「wt.%」及びw/w)は、特に指定のない限り、医薬組成物の総重量に対して測定される。
本明細書では、組成物に言及するために使用するとき、用語「から本質的に成る」、及びその異形を用いて、組成物がリナクロチドと他の望ましい医薬的に不活性な添加剤、賦形剤、及び/または成分(例えば、ポリマー、立体障害一級アミン、カチオン、充填剤、結合剤、担体、賦形剤、希釈剤、崩壊添加剤、潤沢剤、溶媒、分散剤、コーティング添加剤、吸収促進添加剤、加水分解生成物、ホルムアルデヒドイミン生成物、酸化生成物、アセチル化生成物、アミド分解生成物、マルチマー、制御放出添加剤、固化防止添加剤、抗菌添加剤、防腐剤、甘味添加剤、着色料、香味料、乾燥剤、可塑剤、色素等)とを含み、他の活性な医薬成分(複数可)を含まないことを意味する。
実施例
本開示を読むとすぐに当業者には、本発明が包含する多くの変形及び等価物が明らかになるので、以下の実施例は、本発明の単なる例示であり、決して本発明の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
単位用量のリナクロチドを含有するコア即時放出錠剤を含む腸溶性コーティング錠剤を、腸の遠位セグメントのpH条件下でのみ溶解するコーティングで被覆することができ、その結果、リナクロチドは下部GI管で放出されることになる。
リナクロチドまたはその医薬的に許容される塩は、当該技術分野で知られる標準的手法、例えば、標準的手法を用いる化学合成または組換え発現後の精製を利用してを製造及び精製可能である。
ビーズ用リナクロチドコーティング溶液の調製:約32g〜42gの精製水を塩酸と混合して、pHが1.5〜2.0の溶液を作製する。カチオンを使用する場合、所望濃度を与える量でカチオンを溶液に加え、清澄溶液をもたらすのに十分な時間溶液を混合する。立体障害一級アミンを使用する場合、所望濃度を与える量で立体障害一級アミンを溶液に加え、清澄溶液をもたらすのに十分な時間溶液を混合する。次に、必要に応じて、酸化防止剤等の他の添加剤を加える。溶液のpHを調べ、必要ならば、塩酸を加えて、1.5〜2.0のpHを有する溶液を生成する。次に結合剤を溶液に加えてから清澄溶液をもたらすのに十分な時間混合物を撹拌する。所望量のリナクロチドを溶液に加え、30〜100分間混合してコーティング溶液を得る。
一実施形態では、コーティング溶液は、リナクロチド、ヒスチジン、1.5%PVA及び0.6%タルクを含む。この製剤を用いて30〜300μgの投薬範囲を作り出すことができる。
活性ビーズの調製:約30〜36gの乾燥微結晶性セルロースビーズをミニカラム流動床コーターに添加する。積層する前に微結晶性セルロースビーズを流動化及び加熱する。次に、コーティング溶液をビーズに積層する。入口温度、噴霧速度、微粒化圧力、及び空気体積を制御することによって噴霧温度を24℃〜55℃で制御する。全コーティング溶液をビーズに積層した後、ビーズを乾燥させる。このプロセスの生成物を活性ビーズと呼ぶ。
実施例1
遅延放出リナクロチド錠剤
リナクロチドを調合して遅延薬物放出用錠剤にすることができる。等体積のビーズに比べて、錠剤はずっと小さい比表面積を有し、このことは、錠剤が湿気、酸化、脱アミド等の環境要因によって誘発される分解する傾向を低減させる可能性がある。さらに、錠剤のより小さい表面積は、腸溶性コーティングが必要なとき、剤形の表面を覆うために必要なコーティング材料がずっと少ないので有利になり得る。
腸溶性コーティングを錠剤コーティングパンに加えてよく、遅延放出ビーズに用いるコーティングを錠剤のために使用して遅延放出錠剤を形成することができる。錠剤上のコーティングポリマーの量は、錠剤のサイズ、形状及び表面特性に応じて5から60%(重量増加)まで異なり得る。サブコートを錠剤に適用して、リナクロチドを腸溶性または機能性コートから分離することができる。
製造プロセス:
A.錠剤
PVP、ヒスチジン及び塩化カルシウムを水に溶かし、pHを2に調整し、リナクロチドを溶かすことによって造粒溶液を調製することができる。流動床内で造粒溶液を充填剤イソマルト上に噴霧することによって造粒を行なう。造粒の最後に、顆粒を30分間乾燥させる。次に顆粒を、イソマルト、クロスポビドン、ステアリン酸Mg及びタルクを含む錠剤成分と、均一になるまでブレンドし、圧縮して錠剤にする。
B.腸溶性コーティング
錠剤コーティングのため、リナクロチドコア錠剤をパンコーターに入れて35℃まで温める。Eudragit(登録商標)FS 30D懸濁液による錠剤コーティングを開始し、生成物温度を28℃〜32℃、及び微粒化空気圧を3バールに維持する。コーティングの最後に、錠剤を排出、循環空気オーブンに入れて40℃で2時間乾燥させる。
同様に、他の腸溶性コーティング、例えばEudragit(登録商標)L、S、エチルセルロース、HPMCAS、PVAP、CAP、CAS等を利用して種々の重量増加で遅延放出錠剤を形成してもよい。
実施例3
リナクロチドを含む遅延放出組成物
リナクロチドを含む遅延放出カプセル剤を調合して、回腸または結腸を標的にすることができる。リナクロチド錠剤、カプセル剤、または硬ゼラチンカプセルに含有されたリナクロチドコーティングビーズの腸溶性コーティングに基づくpH誘発放出を含むように組成物を調合する。さらに二価カチオン及びアミノ酸等の安定化添加剤を含むように組成物を調合してもよい。PVAは、結合剤としてのみならず、リナクロチドと腸溶性コーティングとの間の保護層としても使用可能である。リナクロチドまたはPVAオーバーコートを有するリナクロチド(ビーズ、カプセル剤または錠剤として)を、GI管の回腸内で7という適正なpHで放出するpH依存様式で溶解する追加の腸溶性コーティング(例えばEudragit(登録商標)FS30D、Eudragit(登録商標)S100、Eudragit(登録商標)L100、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)L 30D−55)でコーティングしてもよい。腸溶性コーティングは異なるタイプのEudragit(登録商標)を併用するブレンド−異なる比(例えば50/50比)のEudragit(登録商標)S100/Eudragit(登録商標)L100;種々の比のEudragit(登録商標)S100/Eudragit(登録商標)L100−55;種々の比のEudragit(登録商標)FS30D/Eudragit(登録商標)L 30D−55、Eudragit(登録商標)FS30DEudragit(登録商標)S/Eudragit(登録商標)RSまたはECから成ってもよい。組成物はさらに、クエン酸トリエチル等の可塑剤を含めた他の賦形剤を含んでよい。コーティングはさらに、懸濁固体として崩壊剤を含んで、関連性のあるpH誘発放出を促進し、結果としてクロスカルメロースナトリウム/Eudragit(登録商標)Sとして混合系をもたらすことができる。加工の容易さのため、粘着防止剤(例えば、タルク、Aerosil(登録商標)200またはPlasAcryl(商標))を用いてビーズが粘着しないようにすることができる。
さらに、2種のEudragit(登録商標)コーティングを利用して、部分的に中和したコーティング系を含め、GI管の所望pH領域に到着した時点での迅速な放出を確実にすることができる。2種のEudragit(登録商標)フィルムの一方にリン酸水素カリウム等の緩衝剤を含めることができる。オルタナティブな非Eudragit(登録商標)pH依存性フィルムコーティングとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS、例えばAqoat(登録商標)AS−HF)、酢酸フタル酸セルロース(CAP、例えばAquateric(登録商標))またはシェラックが挙げられる。
実施例4
典型的ペプチドの含量及び純度の測定
リナクロチド、インミダゾリジノン(immdidazolidinone)分解生成物(「Cys1−IMD」)、及びα−ケトン分解生成物(「Cys1−α−ケトン」)は、参照によってここに援用するUS2010/0048489、US2013/0190238、及びUS2015/0094272に記載どおりに測定及び精製可能である。一般的に、リナクロチドの含量及び純度は、ChemstationRev A.09.03ソフトウェアまたはその等価物を備えるAgilent Series 1100 LC Systemを用いて逆相グラジエント液体クロマトグラフィーにより決定可能である。YMC Pro(商標)C18カラム(寸法:3.0×150mm、3.5um、120Å;Waters Corp,Milford,MA)または等価物を用いて40℃で維持する。移動相A(MPA)は、0.1%トリフルオロ酢酸を含む水から成り、移動相B(MPB)は、0.1%トリフルオロ酢酸を含む95%アセトニトリル:5%水から成る。リナクロチドの溶出は、28分で0%から47%のMPBのグラジエント後に4分で100%MPBへの勾配によって達成され、100%MPBで5分保持し、カラムを洗浄する。1分で0%MPBへ戻すことによってカラムの再平衡を行なった後に100%MPAで10分保持する。流速は0.6mL/分であり、220nmのUVで検出する。
実施例5
インビトロ薬物放出試験
コーティング錠剤からのリナクロチド放出は、USP XXIV II型パドル溶解装置(モデルPTWS,Pharma Test,Hainburg,Germany)を用いる溶解試験で評価可能である。試験は、37.0±0.5℃で維持した900mlの溶解媒体中100rpmのパドル速度で、三通り行う。最初に胃滞留をシミュレートするため0.1N塩酸(pH1.2)中で30分間または2時間、次に小腸のpH条件と類似する各種pH及びイオン組成物の緩衝媒体中で6時間錠剤を試験する。リナクロチド放出は、2種の公定緩衝媒体、すなわち、0.067Mの混合リン酸ナトリウム及びリン酸カリウム(Sorensen)緩衝液ならびに0.05Mのリン酸カリウム緩衝液中でpH6.8〜7.4にてのみならず、イオン組成が腸液に類似するpH7.4の多電解質塩溶液(Hanks)緩衝液中でも評価可能である。脱イオン水を用いて新たに全ての緩衝液を調製し、使用前にヘリウムでスパージすることによって脱気する。剤形から放出されるリナクロチドの量は、実施例4に記載どおりに逆相グラジエント液体クロマトグラフィーによって決定可能である。
実施例6
リナクロチド錠剤の放出プロファイル
3つの遅延放出製剤について種々のpHでリナクロチド錠剤の放出プロファイルを試験した。試料181−64Bは、100μg用量のリナクロチド、Opadry(登録商標)IIのサブコート、ならびにEudragit(登録商標)FS 30Dの機能性コート及びタルクを含有する。試料181−64Cは、100μg用量のリナクロチド、Opadry IIのサブコート、ならびにEudragit(登録商標)FS 30D及びEudragit(登録商標)PlasAcryl(商標)の機能性コートを含有する。ロット181−64B及びロット181−64Cについての放出プロファイルを図1に提供する。
実施例7
リナクロチド錠剤の調製
下記コア錠剤成分:プラセボ基剤、リナクロチド750μg/225mg基剤、及び前造粒充填剤を最初に調製することによって遅延放出錠剤を調製することができる。
造粒物製造プロセス:
錠剤圧縮前のブレンディングのため錠剤成分を別々の造粒物に調製することができる。別々の錠剤成分、例えば、プラセボ基剤及び前造粒充填剤基剤の使用は、とりわけ、錠剤の安定性及び放出プロファイルに有利な特性をもたらした。例えば、表2に列記する全ての錠剤成分を湿式造粒によって別々に調製し、圧縮前にブレンドするかまたは一緒にブレンドし、湿式造粒用の混合物として加工することができた。別のプロセスでは、表2に列挙する全ての錠剤成分を乾式造粒によって別々に調製し、圧縮前にブレンドするかまたは一緒にブレンドし、乾式造粒用の混合物として加工することができた。別のプロセスでは、圧縮のために錠剤成分を直接ブレンドする。好ましいプロセスでは、前造粒充填剤基剤及び/またはプラセボ基剤を湿式造粒を介して調製し、乾燥させた後に750μg/225mgのリナクロチド基剤と混合する。湿式造粒プロセスによってまたはWursterコーティングプロセスによってリナクロチド基剤を調製することができた。この好ましいプロセスは、加工中のリナクロチドへの水分曝露を減らし、錠剤コア中の残留水分を最小限にすることによって、錠剤の安定性のさらなる増加を示した。
次に適切な錠剤プレス機で225mgのコア錠剤重量を目標にして上記ブレンドを圧縮する。有孔パンコーター内で、4%w/wの重量増加でサブコート(OPADRY(登録商標)II)を加える。コーティングの間に水分の取込みが最小限に維持されるようにコーティング条件を設定及びモニターすべきである。乾燥減量(LOD)によって測定すると、サブコート錠剤は1.5%以下のLODを有するべきである。有孔パンコーター内で、サブコート錠剤上に機能性コートを加える。機能性コートは、Eudragit(登録商標)FS30D、Eudragit(登録商標)S100、またはEudragit(登録商標)L100のどれかである。5mgのポリマー重量/cm2(錠剤面積)で機能性コートを適用する。これは、機能性コーティングの間に約4.5%の総ポリマー重量増加になる。コーティングの間に水分の取込みが最小限に維持されるようにコーティング条件を設定及びモニターすべきである。乾燥減量によって測定すると、機能性コート錠剤は2.0%以下のLODを有するべきである。
プラセボ基剤の調製:
表3は、プラセボ基剤造粒用処方を示す。
表4の原材料を最初に調剤することによって、プラセボ基剤調製物を調製し得る。
混合容器の重さを量り、この容器に2682.1±5.0gの処理水を添加する。ミキサーをセットし、水を撹拌し始める。撹拌しながら水にEMPROVE(登録商標)を加え、タイマーを起動する。溶液を覆い、撹拌しながら70℃に加熱し、材料が目視で溶解するまで温度を維持する。
溶液のpHを塩酸で1.5に調整する。撹拌しながら溶液に塩化カルシウム二水和物を加える。溶解するまで混合する。撹拌しながら溶液にL−ヒスチジンを加える。約15分間撹拌する。この初期pHを記録する。溶液のpHを塩酸で5.0に調整する。溶液の最終pH及び塩酸添加を記録する。全ての材料が溶解するまで混合する。混合しながら、溶液のpHを塩酸で2.5に調整する。溶液の最終pH及び塩酸添加を記録する。25Lのボウル、混合羽根及びチョッパーを用いる造粒に合わせて正しく高せん断造粒機を確実に設置する。16メッシュスクリーンを通して微結晶性セルロースを造粒機のボウルに入れる。添加する造粒溶液の正味の重量を計算する。下記パラメーターで混合しながら約300g/分の速度で造粒機内に造粒溶液をポンプで吸い上げる:羽根車速度1(290rpm、5.5m/秒の先端速度)、チョッパー速度1(1760rpm)。造粒機を停止し、ボウルの側面及び底部をこすり取る。下記パラメーターに従って、さらに3分間混合する:羽根車速度1(290rpm、5.5m/秒の先端速度)、チョッパー速度1(1760rpm)。ポリバッグの重さを量り、完成湿式造粒物をその中に排出する。造粒物を秤量する。湿式造粒物を乾燥のためFLM−3流動床に移す。以下の概算設定を用いて造粒物を乾燥させる。造粒物LODが1.2%水分以下になるまで乾燥させる。重さを量ったポリバッグの中に乾燥造粒物を排出する。
設定は推奨設定に過ぎず、最適乾燥に合わせて調整してよい。
#30メッシュ篩を通して乾燥造粒物を篩い分ける。ポリバッグの重さを量り、乾燥造粒物をその中に排出する。造粒物を秤量する。乾燥造粒物を乾燥剤とともにホイル密封バッグに梱包する。
リナクロチド基剤の調製(すなわち、750μg/225mg):
表5は、750μg/225mgの基剤造粒物用の処方を表す。
最初に表6の原材料を調剤することによって、750μg/225mg基剤造粒物を調製することができる。
混合しながら、リナクロチドを造粒溶液に加える。溶解するまで混合する。25Lのボウル、混合羽根及びチョッパーを用いる造粒に合わせて正しく高せん断造粒機を確実に設置する。16メッシュスクリーンを通して微結晶セルロースを造粒機のボウルに入れる。下記パラメーターで混合しながら約300g/分の速度で造粒機内に造粒溶液をポンプで吸い上げる:羽根車速度1(290rpm、5.5m/秒の先端速度)、チョッパー速度1(1760rpm)。ポリバッグの重さを量り、完成湿式造粒物をその中に排出する。造粒物を秤量する。湿式造粒物を乾燥のために流動床に移す。以下の概算設定を用いて造粒物を乾燥させる。造粒物LODが1.2%水分以下になるまで乾燥させる。重さを量ったポリバッグの中に乾燥造粒物を排出する。
注記:設定は推奨設定に過ぎず、最適乾燥に合わせて調整してよい。
#30メッシュ篩を通して乾燥造粒物を篩い分ける。ポリバッグの重さを量り、乾燥造粒物をその中に排出する。造粒物を秤量する。乾燥造粒物を乾燥剤とともにホイル密封バッグに梱包する。
前造粒充填剤の調製:
表7は、前造粒充填剤用の処方を表す。
最初に表8の原材料を調剤することによって充填剤調製物を調製することができる。
次にステンレススチール容器の風袋重量を記録する。容器の重さを量り、所要量の処理水を容器に量り入れる。ジャケット付きケトルに水を移す。ミキサーをセットしてケトル中の水を撹拌し始める。撹拌しながら水にEMPROVE(登録商標)(ポリビニルアルコール)を加えてタイマーを起動する。溶液を覆い、撹拌しながら70℃に加熱し、目視で材料が溶解するまで温度を維持する。加熱中の蒸発による水の減量を計算する。この量の処理水を溶液に加える。微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、及びマンニトールをそれぞれ高せん断造粒機のボウルに加える。下記パラメーターに従って約2分間混合する:羽根車速度1(290rpm、5.5m/秒の先端速度)、チョッパー速度1(1760rpm)。下記パラメーターで混合しながら約300g/分の速度で造粒機内に2217±5gの造粒溶液をポンプで吸い上げる:羽根車速度1(290rpm、5.5m/秒の先端速度)、チョッパー速度1(1760rpm)。造粒機を停止し、ボウルの側面及び底部をこすり取る。下記パラメーターに従って、さらに30秒〜1分間混合する:羽根車速度1(290rpm、5.5m/秒の先端速度)、チョッパー速度1(1760rpm)。ポリバッグの重さを量り、完成湿式造粒物をその中に排出する。造粒物を秤量する。2A375Q03763スクリーンを備えるComilに湿式造粒物を5〜10%のパワーで通す。湿式造粒物を乾燥のためFLM−3流動床に移す。以下の概算設定を用いて造粒物を乾燥させる。造粒物LODが1.0%水分以下になるまで乾燥させる。重さを量ったポリバッグの中に乾燥造粒物を排出する。
設定は推奨設定に過ぎず、最適乾燥に合わせて調整してよい。
Comil、円形羽根車、2A045R03137スクリーンを用いて造粒物を製粉する。ポリバッグの重さを量り、その中に乾燥かつ製粉した造粒物を排出する。造粒物を秤量する。乾燥造粒物を乾燥剤とともにホイル密封バッグに梱包する。
実施例8
25μg錠剤のブレンディングン及び圧縮
実施例13の手順に従い、リナクロチドの25μg用量錠剤を表9の処方で調製することができる。
プレブレンド:8qtブレンダーを設置し、750μg/225mgの基剤及びプラセボ基剤を添加する。蓋を閉じて10分間ブレンドする。ポリバッグの重さを量り、その中にプレブレンドを排出する。
サブブレンドA:650gのプレブレンドを16qtv−ブレンダーに添加する。サブブレンドA用の前造粒充填剤を16qtv−ブレンダーに添加する。蓋を閉じて10分間ブレンドする。サブブレンドA用のステアリン酸マグネシウムを40メッシュスクリーンに通す。16qtv−ブレンダーに添加する。蓋を閉じて3分間ブレンドする。ポリバッグの重さを量り、その中にブレンドを排出する。
サブブレンドB:650gのプレブレンドを16qtv−ブレンダーに添加する。サブブレンドB用の前造粒充填剤を16qtv−ブレンダーに添加する。蓋を閉じて10分間ブレンドする。サブブレンドB用のステアリン酸マグネシウムを40メッシュスクリーンに通す。16qtv−ブレンダーに添加する。蓋を閉じて3分間ブレンドする。ポリバッグの重さを量り、その中にブレンドを排出する。
圧縮:0.32インチのsc工具を備えるKorsch XL100錠剤プレス機を0.32インチの円凹形状の工具(10ステーションが望ましい)、パドルフィーダーとともに確実に設置し、他の全ての部品を確実に正しく固定する。適正な据え付けを確保するため、ダイテーブルを少なくとも1回、手動で全回転させる。全てのダイとパンチの存在、及びダイがダイテーブルと同一平面にあることを目視確認する。錠剤仕様が表11のインプロセス錠剤仕様を満たすことを検証する。
ブレンドをホッパーに投入する。タレット速度を適切な速度に設定する。ダイ充填量及び圧縮パラメーターを調整して、225mgの目標重量及び8〜12kPの目標硬度を有する錠剤を得る。全ての廃棄物を錠剤化廃棄物ポリバッグに収集すべきである。タイマーを起動して錠剤を圧縮成形する。
実施例9
100μg錠剤のブレンディング及び圧縮
実施例7の手順に従い、表12の処方でリナクロチドの100μg用量錠剤を調製することができる。
プレブレンド:16qtブレンダーを設置し、750μg/225mgの基剤及びプラセボ基剤を添加する。蓋を閉じて10分間ブレンドする。ポリバッグの重さを量り、その中にプレブレンドを排出する。
2500gのプレブレンドを1立方フィートv−ブレンダーに添加する。前造粒充填剤を1立方フィートv−ブレンダーに添加する。蓋を閉じて10分間ブレンドする。ステアリン酸マグネシウムを40メッシュスクリーンに通す。1立方フィートv−ブレンダーに添加する。蓋を閉じて3分間ブレンドする。ポリバッグの重さを量り、その中にブレンドを排出する。
圧縮:0.32インチのsc工具を備えるKorsch XL100錠剤プレス機を0.32インチの円凹形状の工具(10ステーションが望ましい)、パドルフィーダーとともに確実に設置し、他の全ての部品を確実に正しく固定する。適正な据え付けを確保するため、ダイテーブルを少なくとも1回、手動で全回転させる。全てのダイとパンチの存在、及びダイがダイテーブルと同一平面にあることを目視確認する。錠剤仕様が表14のインプロセス錠剤仕様を満たすことを検証する。
ブレンドをホッパーに投入する。タレット速度を適切な速度に設定する。ダイ充填量及び圧縮パラメーターを調整して、225mgの目標重量及び8〜12kPの目標硬度を有する錠剤を得る。全ての廃棄物を錠剤化廃棄物ポリバッグに収集すべきである。タイマーを起動して錠剤を圧縮成形する。
実施例10
290μg錠剤のブレンディング及び圧縮
実施例7の手順に従い、表15の処方でリナクロチドの290μg用量錠剤を調製することができる。
サブブレンドA:サブブレンドA用の前造粒充填剤及びリナクロチド基剤を16qtv−ブレンダーに添加する。蓋を閉じて10分間ブレンドする。サブブレンドA用のステアリン酸マグネシウムを40メッシュスクリーンに通す。16qtv−ブレンダーに添加する。蓋を閉じて3分間ブレンドする。ポリバッグの重さを量り、その中にブレンドを排出する。
サブブレンドB:サブブレンドB用の前造粒充填剤及びリナクロチド基剤を16qtv−ブレンダーに添加する。蓋を閉じて10分間ブレンドする。サブブレンドB用のステアリン酸マグネシウムを40メッシュスクリーンに通す。16qtv−ブレンダーに添加する。蓋を閉じて3分間ブレンドする。ポリバッグの重さを量り、その中にブレンドを排出する。
圧縮:0.32インチのsc工具を備えるKorsch XL100錠剤プレス機を0.32インチの円凹形状の工具(10ステーションが望ましい)、パドルフィーダーとともに確実に設置し、他の全ての部品を確実に正しく固定する。適正な据え付けを確保するため、ダイテーブルを少なくとも1回、手動で全回転させる。全てのダイとパンチの存在、及びダイがダイテーブルと同一平面にあることを目視確認する。錠剤仕様が表17のインプロセス錠剤仕様を満たすことを検証する。
ブレンドをホッパーに投入する。タレット速度を適切な速度に設定する。ダイ充填量及び圧縮パラメーターを調整して、225mgの目標重量及び8〜12kPの目標硬度を有する錠剤を得る。全ての廃棄物を錠剤化廃棄物ポリバッグに収集すべきである。タイマーを起動して錠剤を圧縮成形する。
実施例11
リナクロチドの25μg錠剤のサブコーティング
実施例14の25μg錠剤をOpadry(登録商標)IIサブコーティングでサブコートすることができる。表18の処方は、コーティングプロセス中の損失を説明するために過剰に調製するコーティング材料の調製に必要とされる量を表す。
1600gの精製水を適切な大きさの容器に分配する。400gのOpadry(登録商標)IIを適切な大きさの容器に分配する。水にOpadry(登録商標)を加える。85%の理論効率で、4.0%の重量増加を与えるために必要とされる溶液の理論量を計算する。コーティングプロセス中に収集される廃棄錠剤用ポリバッグを用意する。Compu−Labが19インチのパン及びプレナムアセンブリーを備えていることを確かめる。液体供給ラインがTygon 17配管であることを確認する。ガンアセンブリーがパンに取り付けられていることを確認する。噴霧ガンアセンブリーは、40100 AB液体噴霧ノズル及び適合エアキャップを搭載した1×1/4JAU噴霧ガンから成るべきである。ガンアセンブリーは、錠剤床から可能な限り離して、床の上部3分の1に垂直な噴霧角度で取り付けるべきである。100個の未コーティング錠剤を秤量することによって初期錠剤重量を確認する。錠剤重量を100で除して、単一錠剤の平均重量を計算する。約1グラムの錠剤を粉砕し、105℃で10分間LODを追跡することによって初期錠剤水分を調べる。液体流速が約10g/分になるようにポンプを調整する。ガンを通してラインを下準備し、ラインまたはガンに漏れがないことを確認する。錠剤をコーティングパンに投入し、50℃の入口温度及び350CFMの空気流で20分間の加温を開始する。ウォームアップ中、時折揺り動かす。
一旦目標床温度に達したら、下表19に概説する目標プロセスパラメーターに従ってコーティング懸濁液を噴霧し始める。所望により定期的に錠剤の含水量を調べて報告する。一旦理論量の溶液を加えたら、重量増加について錠剤を点検する。4%の重量増加に達したとき、噴霧を停止し、パン速度を最小または微動に下げながら、50℃の入口温度で錠剤を30分間乾燥させる。錠剤を排出し、コーティング錠剤の新たな重量を決定する。
実施例12
100μgリナクロチド錠剤のサブコーティング
実施例15の100μg錠剤をOpadry(登録商標)IIコーティングでサブコートすることができる。表20の処方は、コーティングプロセス中の損失を説明するために過剰に調製するコーティング材料の調製に必要とされる量を表す。
4000gの精製水を適切な大きさの容器に分配する。1000gのOpadry(登録商標)IIを適切な大きさの容器に分配する。水にOpadry(登録商標)を添加する。85%の理論効率で、4.0%の重量増加を与えるために必要とされる溶液の理論量を計算する。Compu−Labが24インチのパン及びプレナムアセンブリーを備えていることを確かめる。液体供給ラインがTygon 17配管であることを確認する。ガンアセンブリーがパンに取り付けられていることを確認する。噴霧ガンアセンブリーは、40100 AB液体噴霧ノズル及び適合エアキャップを搭載した2×1/4JAU噴霧ガンから成るべきである。ガンアセンブリーは、錠剤床から可能な限り離して、床の上部3分の1に垂直な噴霧角度で取り付けるべきである。100個の未コーティング錠剤を秤量することによって初期錠剤重量を確認する。錠剤重量を100で除して、単一錠剤の平均重量を計算する。約1グラムの錠剤を粉砕し、105℃で10分間LODを追跡することによって初期錠剤水分を調べる。液体流速が約20g/分になるようにポンプを調整する。ガンを通してラインを下準備し、ラインまたはガンに漏れがないことを確認する。錠剤をコーティングパンに投入し、50℃の入口温度及び400CFMの空気流で20分間の加温を開始する。ウォームアップ中、時折揺り動かす。
一旦目標床温度に達したら、下表21に概説する目標プロセスパラメーターに従ってコーティング懸濁液を噴霧し始める。所望により定期的に錠剤の含水量を調べて報告する。一旦理論量の溶液を加えたら、重量増加について錠剤を点検する。4%の重量増加に達したとき、噴霧を停止し、パン速度を最小または微動に下げながら、50℃の入口温度で錠剤を30分間乾燥させる。錠剤を排出し、コーティング錠剤の新たな重量を決定する。
実施例13
290μgリナクロチド錠剤のサブコーティング
実施例16の290μg錠剤をOpadry(登録商標)IIコーティングでサブコートすることができる。表22の処方は、コーティングプロセス中の損失を説明するために過剰に調製するコーティング材料の調製に必要とされる量を表す。
1600gの精製水を適切な大きさの容器に分配する。400gのOpadry(登録商標)IIを適切な大きさの容器に分配する。水にOpadry(登録商標)を加える。85%の理論効率で、4.0%の重量増加を与えるために必要とされる溶液の理論量を計算する。Compu−Labが19インチのパン及びプレナムアセンブリーを備えていることを確かめる。液体供給ラインがTygon 17配管であることを確認する。ガンアセンブリーがパンに取り付けられていることを確認する。噴霧ガンアセンブリーは、40100 AB液体噴霧ノズル及び適合エアキャップを搭載した1×1/4JAU噴霧ガンから成るべきである。ガンアセンブリーは、錠剤床から可能な限り離して、床の上部3分の1に垂直な噴霧角度で取り付けるべきである。100個の未コーティング錠剤を秤量することによって初期錠剤重量を確認する。錠剤重量を100で除して、単一錠剤の平均重量を計算する。約1グラムの錠剤を粉砕し、105℃で10分間LODを追跡することによって初期錠剤水分を調べる。液体流速が約10g/分になるようにポンプを調整する。ガンを通してラインを下準備し、ラインまたはガンに漏れがないことを確認する。錠剤をコーティングパンに投入し、50℃の入口温度及び350CFMの空気流で20分間の加温を開始する。ウォームアップ中、時折揺り動かす。
一旦目標床温度に達したら、下表23に概説する目標プロセスパラメーターに従ってコーティング懸濁液を噴霧し始める。所望により定期的に錠剤の含水量を調べて報告する。一旦理論量の溶液を加えたら、重量増加について錠剤を点検する。4%の重量増加に達したとき、噴霧を停止し、パン速度を最小または微動に下げながら、50℃の入口温度で錠剤を30分間乾燥させる。錠剤を排出し、コーティング錠剤の新たな重量を決定する。
実施例14
リナクロチド錠剤の機能性または腸溶性コーティング
以前の実施例の錠剤を機能性コーティングで調製し得る。表24の処方は、コーティングプロセス中の損失を説明するために過剰に調製するコーティング材料の調製に必要とされる量を表す。
機能性コーティングを調製するため、所要量のEudragit(登録商標)S100及びEudragit(登録商標)L100を適切な大きさの容器に分配する。精製水の所要量の2/3を適切な大きさの容器に分配する。ボルテックスが達成されるまで水の撹拌を開始する。Eudragit(登録商標)S100及びEudragit(登録商標)L100を水にゆっくり加え、粉末が完全に湿って、塊または泡の形成が消散するまで混合する(約5分)。
所要量の1NのNH3を適切な大きさの容器に分配する。1NのNH3をEudragit(登録商標)懸濁液にゆっくり加え、最短60分間混合する。所要量のクエン酸トリエチルを適切な大きさの容器に分配する。クエン酸トリエチルをEudragit(登録商標)懸濁液に添加し、最短60分間混合する。所要量のタルクを適切な大きさの容器に分配する。Silverson Homogenizerを用いて、残り1/3の精製水中でタルクを10分間(または均質になるまで)均質化する。タルク懸濁液をEudragit(登録商標)懸濁液中に混合しながら注ぐ。5分未満混合する。コーティング懸濁液を#30メッシュスクリーンに通して篩い分ける。
90%の理論効率で、9.0%の重量増加を与えるために必要とされる溶液の理論量を計算する。Compu−Labが19インチのパン及びプレナムアセンブリーを備えていることを確かめる。液体供給ラインがTygon 17配管であることを確認する。ガンアセンブリーがパンに取り付けられていることを確認する。噴霧ガンアセンブリーは、40100 AB液体噴霧ノズル及び適合エアキャップを搭載した1×1/4JAU噴霧ガンから成るべきである。ガンアセンブリーは、錠剤床から可能な限り離して、床の上部3分の1に垂直な噴霧角度で取り付けるべきである。錠剤をコーティングパンに投入する。錠剤を30度の入口温度で加温する。床温度が確実に約30度に達した後に次工程に進む。液体流速が約12g/分になるようにポンプを調整する。ガンを通してラインを下準備し、ラインまたはガンに漏れがないことを確認する。約2グラムの錠剤を粉砕し、105℃で10分間LODを追跡することによって開始錠剤水分を調べる。
一旦目標床温度に達したら、下表25に概説する目標プロセスパラメーターに従ってコーティング懸濁液を噴霧し始める。所望により定期的に錠剤の含水量を調べて報告する。一旦理論量の溶液を加えたら、重量増加について錠剤を点検する。9%の重量増加に達したとき、噴霧を停止し、パン速度を最小または微動に下げながら、40℃の入口温度で錠剤を5〜10分間乾燥させる。
約2グラムの錠剤を粉砕し、105℃で10分間LODを追跡することによって最終錠剤水分を調べる。水分は、≦初期錠剤水分のはずである。錠剤を排出し、コーティング錠剤の新たな重量を決定する。温度を40℃に設定した機械式対流オーブン内で少なくとも2時間錠剤を乾燥させる。ホイルバッグに乾燥剤とともに錠剤をバルク包装し、5℃で貯蔵する。
実施例15
リナクロチド錠剤の有機コーティング
上記実施例のリナクロチド錠剤に有機コーティングを設けてもよい。100μg錠剤のコーティングのため、表26の処方を用いた。
所要量の精製水を適切な大きさの容器に分配する。所要量のアセトンを適切な大きさの容器に分配する。アセトンを混合し始め、水を添加する。所要量のイソプロパノールを適切な大きさの容器に分配する。イソプロパノールを水とアセトンに加えて希釈剤混合物を作製する。希釈剤混合物のほぼ半分を第2の溶液に注ぎ、希釈剤混合物の最初の半分を再び混合し始める。所要量のEudragit(登録商標)S100を適切な大きさの容器に分配する。希釈剤混合物の第2の半分を混合し始め、Eudragit(登録商標)S100を加える。所要量のEudragit(登録商標)L100を適切な大きさの容器に分配する。
Eudragit(登録商標)S100を含有する希釈剤混合物にEudragit(登録商標)L100を加えてタイマーを起動する。ポリマーが完全に溶解するまで撹拌する。高せん断ミキサーで混合しながら、希釈剤混合物の第1の半分にクエン酸トリエチルを加える。所要量のタルクを適切な大きさの容器に分配する。タルクを希釈剤混合物の第1の半分に高せん断ミキサーで混合しながら加えて賦形剤懸濁液を作製する。タイマーを起動し、少なくとも10分間混合する。Eudragit溶液の混合時間を記録する。Eudragit溶液を混合し続けながら、賦形剤懸濁液をEudragit溶液中にゆっくり注ぐ。一旦コーティング懸濁液が均一になったら、それを35メッシュスクリーンに通す。混合を再開する。88%の理論効率で、8.5%の重量増加を与えるのに必要とされる溶液の理論量を計算する。
コーティングプロセス中に収集される廃棄錠剤用ポリバッグを用意する。Compu−Labが15インチのパン及びプレナムアセンブリーを備えていることを確かめる。液体供給ラインが溶媒耐性17配管であることを確認する。ガンアセンブリーがパンに取り付けられていることを確認する。噴霧ガンアセンブリーは、40100 AB液体噴霧ノズル及び適合エアキャップを搭載した1×1/4JAU噴霧ガンから成るべきである。ガンアセンブリーは、錠剤床から可能な限り離して、床の上部3分の1に垂直な噴霧角度で取り付けるべきである。液体流速が約28g/分になるようにポンプを調整する。ガンを通してラインを下準備し、ラインまたはガンに漏れがないことを確認する。錠剤をコーティングパンに投入し、38℃の入口温度及び200CFMの空気流で加温し始める。ウォームアップ中、時折揺り動かす一旦生成物温度が約27℃に達したら、以下に概説する目標プロセスパラメーターに従ってコーティング懸濁液を噴霧し始める。8.5%の重量増加に達したとき、噴霧を停止し、パン速度を最小または微動に下げながら、40℃の入口温度で錠剤を10分間乾燥させる。
温度を45℃に設定した機械式対流オーブン内で、錠剤をトレイの上に置いて少なくとも24時間乾燥させる。
実施例16
過活動膀胱/間質性膀胱炎の動物モデルにおけるリナクロチドの効果
この非臨床非GLP研究の目的は、以下に示すことによって、TNBS誘発膀胱過活動の根底にある機構及び膀胱機能のTNBS誘発変化を低減させるリナクロチドの能力を調査することであった。
健康マウスと比較した慢性内臓過敏(CVH)マウスにおける膀胱求心性神経の機械的感受性の変化を決定すること。
健康及びCVHマウスからの膀胱求心性神経及び排尿平滑筋の、アセチルコリン受容体アゴニスト(カルバコール)、プリン受容体アゴニスト(αβMe−ATP)、及びTRPV1アゴニスト(カプサイシン)等の外因性アゴニストに対する化学感受性の変化を調べること。
健康及びCVHマウスにおける胸腰椎と腰仙の両領域から逆行追跡した膀胱DRGニューロンの興奮性を決定すること。2週間にわたって慢性的に投与した1日1回のリナクロチドが、胸腰椎と腰仙の両領域から逆行追跡した膀胱DRGニューロンの興奮性に及ぼす効果を決定すること。
この研究で用いたTNBSモデルは、以前に記載され、TNBS投与後28日に、結腸求心性神経の機械的刺激に対して慢性内臓過敏(CVH)を誘発することが実証された(それぞれ参照によってその全体をここに援用するHughes et al.,(2009)Gut,58:1333−41.;Castro et al.,(2013)Gastroenterology,145:1334−1346)。
動物
C57/BL6マウスは、我々の標準的実務に従ってSAHMRI生物資源から供給された。マウスを最初に標準的な明/暗周期下で群収容し、水及び標準食に自由にアクセスさせた。28日の実験期間中、マウスを個別に収容した。
健康マウス:13〜17週齢の雄性C57/BL6マウス。
大腸炎の誘発(TNBS回復慢性内臓過敏(CVH)マウス):
全ての実験で雄性C57 BL/6マウスを用いた。前述のようにTNBSの投与によって大腸炎を誘発した(参照によってその全体をここに援用するBrierley et al.,(2011)J.Physiol,15:3575−3593)。簡単に述べると、13週齢マウスに、イソフルラン麻酔したマウスの肛門から3cm挿入したポリエチレンカテーテルを介して0.1mLのTNBS(30%EtOH中130μg/mL)を結腸内浣腸投与した。次にマウスを個別に収容し、体重、物理的外観及び挙動の変化について毎日観察した。粘膜構造、細胞浸潤物、陰窩膿瘍、及び杯細胞枯渇の組織学的検査により、処置後3日までにTNBS誘発された顕著な損傷が7日目までに大きく回復し、28日目時点で完全に回復することが実証された(参照によってここに援用するBrierley et al.,(2008)Gastroenterology,134:2059−69)。28日目時点のマウスからの高閾値侵害受容器は、顕著な機械的過敏症、より低い機械的活性化閾値を示し、痛覚過敏及び異痛症を示す。従って、そのようなものとして、それらは「慢性内臓過敏」(CVH)マウスと呼ばれる。
膀胱骨盤求心性神経からのエクスビボ求心性神経記録
骨盤膀胱求心性神経をそれらの膀胱ランプ膨満に応答する能力によって分類する。膀胱膨満中、膀胱内圧及び対応する求心性ニューロン活性の上昇がある。これらの求心性神経の機械的感受性について、健康及びCVHマウスのみならず、ビヒクルまたはリナクロチド(3μg/kg/日)の1日1回の経口胃管栄養を2週間受けたCVHマウスからの膀胱標本において、30mmHgの最終膀胱内圧へのランプ膨満によって試験した。
2週間までの総持続期間にわたって慢性的にビヒクルまたはリナクロチド(3μg/kg/日)を投与し、CO2吸入及び頸部脱臼によって安楽死させた健康及びCVHマウスから記録を作製した。動物をL2のレベルで2つに切断し、大動脈及び大静脈による血管の連絡を除去し、それでも確実に腎臓及び尿管を無傷のまま残した。尾及び後肢を除去し、膀胱、精巣、尿道、尿管及び腎臓から成る残りの骨盤部分を氷冷クレブス液中に入れ、さらに記録チャンバーに輸送した。記録チャンバーを酸素化(95%O2及び5%CO2)クレブス炭酸水素塩溶液(組成、mM:NaCl 118.4、NaHCO3 24.9、CaCl2 1.9、MgSO4 1.2、KH2PO4 1.2、グルコース 11.7)で持続的に35℃の安定温度にて灌流させて機能性組織を維持した。
解剖顕微鏡(WPI,PZMIII)下で、尿管を特定し、絹縫合糸(US 4/0)を用いて逆流を防止した。膀胱頸部周囲の過剰組織を除去して恥骨結合を露出させた。尿道の吻側/尾側軸に沿って恥骨結合を切断し、それらを一緒に付着させている結合組織を除去した。尿道の両側の骨盤骨を後肢への付着点まで切り取って可視性を高め、骨盤神経の切開を容易にした。尿道終末を切断し、シリンジポンプ(Genie,Kent,multi−phaser(商標)モデルNE−1000)に取り付けたカテーテル(OD 0.03IN)を膀胱に挿入し、絹縫合糸を用いて適所に結び付けた。次に膀胱ドームに注射針(BD microlance(商標),19G 2インチ)で穴を開けるために膀胱に0.9%生理食塩水を満たして小量の圧力を生じさせた。次に膀胱内圧、及び流出(2方向)タップの記録を可能にするため、両圧力変換器(DTX(商標)プラスDT−XX,Becton Dickinson,Singapore)に接続した二重ルーメンカテーテルを切開によって膀胱ドームに挿入し、絹縫合糸で適所に固定した。タップの開閉状態により、膀胱を満たすことと空にすることの制御が可能であった。
カテーテル留置後、膀胱を出る骨盤と下腹部の両求心性神経を含有する膀胱神経線維束を、尿道に膀胱底部を連結する点に近位の膀胱底部の周りに位置付けた。膀胱神経線維束は脊髄の方へ背側性に伸びるにつれて尿道線維束と収束し、ここで、膀胱神経線維束が顕微鏡下で最も特定しやすい。穏やかに結合組織及び脂肪組織を除去して神経線維束を露出させ、それらを慎重に個々の線維に分割した。神経線維を選択し、複数単位の求心性神経活性の記録を可能にするNeurologヘッドステージ(NL100,digitimer,Ltd,UK)に取り付けた吸引電極(先端径25〜50μm)に挿入した。神経シグナルの増幅(10,000倍)を可能にするACプリアンプ(NL014)にNL100を接続した後、神経シグナルをフィルター(NL125、バンドパスフィルター)にかけ、50/60Hzの電気ノイズエリミネーター(Humbug,Quest Scientific)に通し、最後にデジタルインタフェースに類似のmicro1401に通し、Spike2ソフトウェア(バージョン7.1,Cambridge Electronic Design,UK)を用いてコンピューター上で可視化した。所与の圧力に対するプリセット閾値を通す活動電位の数として機械的感受性を測定する。1秒瓶当たりの活動電位の数を速度ヒストグラムに変換し、活動電位の数/秒についての全値を圧力に対してプロットすることができる。
膀胱の収縮/弛緩実験及び膀胱筋肉の外因性化学刺激
上記骨盤求心性神経の単離及び膀胱のカテーテル留置後に膀胱求心性神経の化学感受性をも試験した。平衡化期間後、ランプ膨満に対する膀胱求心性神経応答が安定したときに、ベースラインより6mmHg高い生理学的圧力まで膀胱を膨張させた。この点で、生理食塩水の灌流を停止するが、流出タップは、膀胱の容積を維持するように閉じたままである。容積の増加に順応するようにこの状態で45分間膀胱を維持する間に、ベースラインの膀胱内圧及び求心性神経の興奮が安定化する。
平衡化期間後、槽灌流を短時間止めて急速投与量のアゴニストを与える。カルバコール(1μM)、αβMe−ATP(30μM)、及びカプサイシン(10μM)を各投与間に1時間の休薬期間を設けて連続して与える。
アゴニスト投与後の所与の時間でプリセット閾値を超える活動電位の数として化学感受性応答を測定した。膀胱内圧は、アゴニスト投与後の所与の時間でのベースライン圧からの変化として決定した。
膀胱DRGニューロンの逆行性追跡。
麻酔下(2〜3%のイソフルオラン(isofluorane)/0.3L/分 O2)マウスに対して開腹術を行なった。30G Hamilton針を用いる下行結腸または背外側膀胱における漿膜下注射(注射毎に2〜3ul)のためにはAlexaFluor 488結合Cholera Toxin Subunit B(10ulの、無菌PBS中5ug/ul;ThermoFisher製品番号C22842(かつてのLifeTechnologies))を使用した。Prolene 6/0縫合糸(Johnson&Johnson製品番号8636G)で切り込みを閉じた。術後ケアのため全てのマウスに100ulのブプレノルフィン(1:12)及びBaytril(1:20)を与え、4日間放置後にDRG細胞培養のため安楽させた。
逆行的に追跡した膀胱DRGニューロンからのパッチクランプ記録
健康及びCVHマウスから記録を作製した。CVHマウスは、2週間の全持続期間にわたってビヒクルまたはリナクロチド(3μg/kg/日)の慢性投与を受けた。マウスをCO2吸入により安楽死させ、胸腰椎(T10−L1)及び腰仙(L6−S1)領域からDRGを除去し、3mg mL−1のコラゲナーゼII(Gibco)及び4mg mL−1のディスパーゼ(Gibco)で30分間37℃で消化した後、3mg mL−1のコラゲナーゼIIのみで10分間37℃で消化した。ニューロンをファイアポリッシュパスツールピペットによる研和を介して機械的に解離させて単細胞懸濁液にした。10%ウシ胎仔血清(FCS;Invitrogen)、2mMのL−グルタミン(Gibco)、100uMの最小必須培地(MEM)、可欠アミノ酸(Gibco)及び100mg mL−1のペニシリン−ストレプトマイシン(Invitrogen)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;Gibco)にニューロンを再懸濁した。神経成長因子(NGF)をも100ng mL−1(Sigma−Aldrich)で含めた。ポリD−リジン(800μg mL−1)及びラミニン(20μg mL−1)で被覆した8mmのHCl処理カバースリップ上にニューロンをスポット塗布し、5%CO2内で48時間37℃で維持した。
以前に記載されたものと同様に記録を作製した(Brierley et al.,2011,前述の箇所)。簡単に述べると、胸腰椎(T10−L1)または腰仙(L6−S1)のDRGニューロンからホールセルパッチクランプ記録を作製した。これは、塗布48時間後に、5〜7MΩの抵抗を有するファイアポリッシュガラス電極を用いて、膀胱壁への逆行性トレーサー(CTB−AF488)注射後の蛍光を示した。全ての記録は室温(20〜22℃)で行なった。Axopatch 200A増幅器を用いてシグナルを増幅し、Digidata 1322Aでデジタル化し、pCLAMP 9ソフトウェア(Molecular Devices,Sunnyvale,CA,USA)を用いて記録した。全てのニューロンについて、電位を保持するベースラインは−70mVであった。細胞内溶液は下記を含有した(mM):KCl,135;MgCl2,2;MgATP,2;EGTA−Na,5;Hepes−Na,10;pH7.4に調整。細胞外溶液は下記を含有した(mM):NaCl,140;KCl,4;MgCl2,2;CaCl2,2;Hepes−Na,10;グルコース,5;pH7.4に調整。電流固定研究では、一連の脱分極パルス(500ms,10pAステップ)を保持電位(65mV)から加え、基電流(または活動電位生成に必要な電流量(pA))を決定した。基電流及び2×基電流での活動電位の数をも決定し、静止膜電位を記録した。これらの測定は、普通の外槽溶液内で行なった。
健康マウスとCVHマウスを両方用いて、膀胱収縮及び膀胱求心性神経経路に及ぼす慢性結腸過敏症の影響、ならびにリナクロチドの2週間の慢性的な毎日の投与(経口胃管栄養;3μg/kg/日)の効果を決定した。これらの研究のためには、各実験群にランダムに割り当てた個別に収容したマウスを使用した。
エクスビボ求心性神経記録
SEMを用いて平均としてデータを表し、nは動物の数である。独立t検定を用いてデータを分析して単一点を比較したときの有意性を決定するかまたはランプ膨満もしくは外因性アゴニストプロトコル全体を通じて実験群間を比較したときの2元配置分散分析(ANOVA)を用いてデータを分析した。差異はP<0.05で有意と見なした。機械感覚性応答は、所与の圧力でスパイク/秒として表される活動電位放電に相当する。膀胱内圧を膀胱内容積に対してプロットすることによって筋肉コンプライアンスを計算し、これは、特定圧に拡張するのにかかる時間から決まる。化学受容性応答は、アゴニスト適用後に20秒間隔でスパイク/秒及び膀胱内圧として表される活動電位放電に相当し、応答の持続時間にわたってプロットされる。
プリセット閾値を超える活動電位の数をカウントするスパイク2ソフトウェアを用いて、神経の多線維求心性神経活動全体を定量化した。データを平均±SEMとして表す。nは、個々の動物の数を示す。データは、Prism 5ソフトウェア(GraphPad Software,San Diego,CA,USA)を用いて分析し、必要に応じて、独立t検定または2元配置分散分析(ANOVA)後の事後検定を使用した。*P<0.05、**P<0.01及び***P<0.001のレベルで差異を有意と見なした。
パッチクランプ記録
活動電位は、電流固定モード及び基電流、または判定される活動電位の誘発に必要とされる注入電流(pA)量で記録した。基電流及び2×基電流での活動電位の数をも記録するのみならず、静止膜電位を記録した。データは、Prism 5ソフトウェア(GraphPad Software,San Diego,CA,USA)、必要に応じて、独立t検定または2元配置分散分析(ANOVA)後の事後検定を用いて分析した。*P<0.05、**P<0.01及び***P<0.001のレベルで差異を有意と見なした。
CVHマウスは、健康対照に比べて、ランプ膀胱膨満プロトコルに対して有意に増加した膀胱求心性神経応答を示す。CVHマウス及び健康CVHマウスからの膀胱応答を比較したときには膀胱コンプライアンスに変化がなく、これは、カルバコール、αβMe−ATP及びカプサイシンへの有意に高い膀胱求心性神経応答をも示すが、筋肉収縮の変化と関連しない。CVHマウスからの膀胱追跡TL及びLS DRGニューロンは、健康対照に比べて有意に低減した基電流(活動電位に達するために必要とされる電流量)を示す。
2週間のリナクロチドの慢性的毎日投与は、ビヒクル対照に比べてCVHマウスにおけるランプ膨満への膀胱求心性応答を有意に低減させた。2週間リナクロチドの1日1回の経口胃管栄養投与したCVHマウスでは、2週間ビヒクルの1日1回の経口胃管栄養投与したマウスに比べて、ランプ膨満の時間経過(図2A、P≦0.001)に対しても膨満へのピーク求心性応答(図2B、P≦0.05)に対しても求心性神経活動の有意な低下があった。リナクロチドの効果は、膨満圧が高いほど明白であった(図2A)。ビヒクル及びリナクロチド群間のコンプライアンスの変化はなかった(図2C)。
2週間のリナクロチドの慢性的な毎日投与は、カルバコール及びαβMe−ATPへの求心性及び収縮応答をも有意に低下させ、カプサイシンに対しては求心性応答のみを低下させた。図3は、下記に対する膀胱求心性応答を示す:ビヒクル(ブランク、n=7)またはリナクロチド(灰色、n=7)の1日1回の経口胃管栄養を受けたCVHマウスにおいて、Aがカルバコール(1μM)p≦0.001、Bがカプサイシン(10μM)p≦0.01、CがαβMe−ATP(30μM)p≦0.001(2元配置ANOVAボンフェローニ多重比較検定)。
2週間のリナクロチドの慢性的な毎日投与は、CVHマウスで観察された膀胱感覚ニューロンの基電流低下を逆転させた。図4は、ビヒクル(n=27)またはリナクロチド(n=25)の1日1回の経口胃管栄養を受けたCVHマウスからの逆行的に追跡した膀胱胸腰椎(TL)DRGニューロンの電気生理学的特性を示す。Aでは、リナクロチドは、ビヒクル群に比べて基電流を有意に高め(p=0.02)、Bでは、リナクロチドは、ビヒクル群に比べて2×基電流での活動電位の数を有意に低減させ(p=0.02)、Cでは、リナクロチドは、ビヒクル胃管栄養を受けたマウスに比べて静止膜電位に影響を及ぼさない。図5は、健康対照マウス(n=19)、CVHマウス(n=22)、及びビヒクル(n=27)またはリナクロチド(n=25)の1日1回の経口胃管栄養を受けたCVHマウスからの逆行的に追跡した膀胱胸腰椎(TL)DRGニューロンの基電流を示す。基電流は、CVHマウスで有意に低下し、この効果は、リナクロチドの経口胃管栄養によって逆転される(p≦0.05、1元配置ANOVA)。
TNBS大腸炎は、結腸に相当なMPO活性を誘発するのみならず、健康対照と比較してTNBS後3目でも7日目でも結腸粘膜、浮腫及びマスト細胞浸潤に対して広範な損傷を誘発する。対照的に、これらの時点の膀胱には、MPO活性の変化も観察されず、粘膜損傷も起こらなかった。
TNBSの結腸内投与によるCVH状態の誘発は、機械的伸展及び化学的刺激に応答して興奮する膀胱求心性神経の有意な増加及び膀胱を神経支配するDRGニューロンの基電流の低減をもたらす。注目すべきことに、2週間のリナクロチドの慢性的経口投与(3μg/kg/日)は、これらの効果を正規化することができる。
2週間のリナクロチドによる経口処置(3μg/kg/日)は、膀胱膨満及び外因性プリン作動性、ムスカリン性及びTRPV1活性化から生じ膀胱求心性神経における活動電位の数を減らすことによって、CVHマウスにおけるTNBS誘発膀胱活動亢進を有意に減弱させ得る。さらに、リナクロチド処置は、CVHマウスからの逆行的に追跡した膀胱DRGニューロンで観察される基電流の低下を逆転させ得る。
実施例17
臨床治験における有効性
この研究の主目的は、プラセボと比べた、過活動膀胱症状の治療におけるリナクロチドのIR製剤とDR製剤の有効性を比較することである。
選択基準
対象患者は、排尿日記及び質問票を正確に完成する意思があり、かつ完成することができる。対象は、≧3カ月にわたって過活動膀胱の症状(切迫性尿失禁の有無にかかわらず尿意頻数及び尿意緊急性)を有する。対象は、3日の排尿日記期間中に24時間当たり平均≧8回の排尿頻度を経験する。対象は、3日の排尿日記期間中に、失禁の有無にかかわらず、少なくとも3回の緊急性エピソード(グレード3または4)を経験しなければならない。
除外基準
対象は、母乳保育中、妊娠中であるか、研究の間に妊娠するつもりであるかまたは出産の可能性あり、性的に活発及び避妊の高信頼性方法を実行しない。対象は、有意な腹圧性尿失禁または腹圧性が主要因である混合型腹圧性/切迫性尿失禁を有する。対象は、留置カテーテルを有するかまたは間欠自己導尿を実行する。対象は、糖尿病性ニューロパチーを有する。対象は、症候性尿路感染症、慢性炎症、例えば間質性膀胱炎、膀胱結石、以前の骨盤放射線療法または骨盤器官の以前もしくは現在の悪性疾患の証拠を有する。対象は、電気刺激療法を含めた非薬物治療を受ける。対象は、重度の高血圧を有する。対象は、トルテロジン、他の抗コリン薬、YM178、他のβアドレナリン受容体(β−AR)アゴニスト、もしくはラクトースまたは他の不活性成分のいずれかへの既知または疑わしい過敏症を有する。対象は、いずれかの調査薬物またはデバイスで30日以内(UKでは90日以内)に治療されたことがある。対象は、3日の排尿日記期間に記録される1日の平均総尿量>3000mLを有する。対象は、血清クレアチニン>150umol/L、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及び/またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>2×正常範囲の上限(ULN)、またはガンマグルタミルトランスフェラーゼ(γ−GT)>3×ULNを有する。対象は、臨床的に顕著に異常な心電図(ECG)を有する。
上記選択基準を満たし、かついずれの除外基準をも有しない対象を選択する。対象をランダム化し、3つの治療群:プラセボ、リナクロチドIR、またはリナクロチドDRに入れる。リナクロチドIRの用量は290μgであり、1日1回経口投与される。リナクロチドDRの用量は300μgであり、やはり1日1回経口投与される。治療は12週間である。
主要な有効性パラメーターは、24時間当たりの失禁エピソードの平均数のベースラインから治療終了(最後の来診)までの変化である。1日当たりの失禁エピソード(尿のいずれの付随性漏れをも)の平均数は、ベースライン及び12週目の来診前3日間の排尿日記に患者が記録した失禁エピソードの数から導かれる。固定要因として治療群、性別、及び地理的領域、ならびに共変量としてベースラインを用いて共分散分析(ANCOVA)モデルから最小二乗(LS)平均を生成する。
別の主要な有効性パラメーターは、24時間当たりの排尿の平均数のベースラインから治療終了(最後の来診)までの変化である。24時間当たりの排尿の平均数は、ベースライン及び12週目の来診前3日間の排尿日記に患者が記録した1日当たりに患者が排尿する(失禁のみのエピソードは除く)回数から導かれる。固定要因として治療群、性別、及び地理的領域、ならびに共変量としてベースラインを用いて共分散分析(ANCOVA)モデルからLS平均を生成する。
二次結果尺度として以下の1つ以上を含めることができる。
・ベースライン及び12週目の来診前3日間患者が測定し、排尿日記に記録した各排尿の体積から計算される、排尿毎に排泄される平均体積のベースラインから最後の来診までの変化。
・ベースライン及び4週目の来診前3日間の排尿日記に患者が記録した失禁エピソード数から導かれる、24時間当たりの失禁エピソードの平均数のベースラインから4週目までの変化。
・ベースライン及び4週目の来診前3日間の排尿日記に患者が記録した排尿数から計算される、24時間当たりの排尿の平均数のベースラインから4週目までの変化。
・ベースライン、8週目及び12週目の来診前3日間の排尿日記に患者が記録した失禁エピソード数から導かれる、24時間当たりの失禁エピソードの平均数のベースラインから8週目及び12週目までの変化。
・ベースライン、8週目及び12週目の来診前3日間の排尿日記に患者が記録した排尿数から計算される、24時間当たりの排尿の平均数のベースラインから8週目及び12週目までの変化。
・ベースライン及び4週目、8週目及び12週目の来診前3日間患者が測定し、排尿日記に記録した各排尿の体積から計算される、排尿毎に排泄される平均体積のベースラインから4週目、8週目及び12週目までの変化。
・3日の排尿日記に下記緊急性強度スケールの患者の知覚に基づいて3または4と患者が分類した緊急性失禁エピソードの数から導かれる、24時間当たりの緊急性失禁エピソードの平均数のベースラインから4週目、8週目、12週目及び最後の来診までの変化:0=緊急性なし;1=軽度の緊急性;2=中程度の緊急性は、排尿を短時間延期できた;一方、3=重度の緊急性は排尿を延期できず;4=トイレに到着する前に漏れてしまう切迫性尿失禁。
・3日の排尿日記に下記緊急性強度スケールの患者の知覚に基づいて3または4と患者が分類した緊急性エピソードから導かれる、24時間当たりの緊急性エピソード(グレード3または4)の平均数のベースラインから4週目、8週目、12週目及び最後の来診までの変化:0:緊急性なし;1:軽度の緊急性;2:中程度の緊急性は、排尿を短時間延期できた;3:重度の緊急性は排尿を延期できず;4:トイレに到着する前に漏れてしまう切迫性尿失禁。
・3日の排尿日記に下記5点分類スケールに従って各排尿及び/または失禁エピソードに伴う緊急性の度合に対する患者の評点の平均に基づく、緊急性の平均レベルのベースラインから4週目、8週目、12週目及び最後の来診までの変化(緊急性強度スケールの患者知覚):0:緊急性なし;1:軽度の緊急性;2:中程度の緊急性は、排尿を短時間遅延可能だった;一方、3:重度の緊急性は排尿を遅延させることができず;4:トイレに到着する前に漏れてしまう切迫性尿失禁。
・24時間当たりの夜間多尿エピソードの平均数のベースラインから4週目、8週目、12週目及び最後の来診までの変化;夜間多尿は、排尿するため夜間に1回以上目が覚めることと定義される。1日当たり睡眠時間中に患者が排尿した平均回数(失禁のみのエピソードを除く)を3日の患者排尿日記から導いた。
・3日の排尿日記期間中に24時間当たりに用いたパッドの平均数のベースラインから4週目、8週目、12週目及び最後の来診までの変化
・患者が記録した排尿日記から導かれる、各来診前3日間の、4週目、8週目、12週目及び最後の来診で失禁エピソードがゼロの参加者の百分率。
・4週目、8週目、12週目及び最後の来診で失禁エピソードが≧50%減少した参加者の百分率(患者の排尿日記から導かれる、各来診前3日間の24時間当たりの失禁エピソードの平均数がベースラインからの少なくとも50%減少した参加者の百分率)。
・症状厄介スコアのベースラインから4週目、8週目、12週目及び最後の来診までの変化(過活動膀胱質問票の症状厄介スケールを用いて過活動膀胱症状を評価する。症状厄介スケールは、参加者が1〜6のスケールについて回答する8つの質問から成る。総症状厄介スコアを8つの回答より計算してから0〜100の範囲に変換する。100は最悪の重症度である。症状厄介スコアのベースラインからの負の範囲は改善を示す)。
・過活動膀胱質問票(OABq)のHRQLサブスケール(対処、心配、睡眠及び社会的相互作用)によって評価される、健康関連の生活の質(HRQL)総スコアのベースラインから4週目、8週目、12週目及び最後の来診までの変化。4つのHRQLサブスケールスコアを加えることによってHRQL総スコアを計算し、0〜100のスケールに変換した。スコアが高いほど良い生活の質を示す。HRQLスコアのベースラインからの正の範囲は改善を示す。
・仕事の生産性及び活動障害(WPAI):失った仕事時間のパーセントのベースラインから12週目及び最後の来診までの変化。WPAI:SHP質問票を用いて、最後の7日間に仕事の生産性を妨害した過活動膀胱(OAB)症状の度合及び程度を評価する。失った仕事時間のパーセントは、働くはずだった総時間の百分率として、OAB症状のために失った仕事時間数から導かれる。百分率が高いほど、失った時間が長いことを示す。ベースラインからの負の範囲は改善を示す。
・仕事の生産性及び活動障害(WPAI):仕事中の障害パーセントのベースラインから12週目及び最後の来診までの変化。
・仕事の生産性及び活動障害(WPAI):全体的な仕事の障害パーセントのベースラインから12週目及び最後の来診までの変化。
・仕事の生産性及び活動障害(WPAI):活動障害パーセントのベースラインから12週目及び最後の来診までの変化。
・欧州生活の質−5段階(European Quality of Life−5 Dimensions(EQ−5D))可動性スコアのベースラインから最後の来診までの変化。EQ−5Dは、健康状態を記述及び評価するための国際的な標準化非疾患特異性(すなわち、一般的)手段である。参加者は自身の健康状態を最もよく記述する以下の記載を示すように求められる:
・欧州生活の質−5段階(EQ−5D)自己管理スコアのベースラインから最後の来診までの変化
・欧州生活の質−5段階(EQ−5D)通常活動スコアのベースラインから最後の来診までの変化
・欧州生活の質−5段階(EQ−5D)疼痛/不快スコアのベースラインから最後の来診までの変化
・欧州生活の質−5段階(EQ−5D)不安/うつ状態スコアのベースラインから最後の来診までの変化
・欧州生活の質−5段階(EQ−5D)視覚的アナログスケール(VAS)のベースラインから4週目、8週目、12週目及び最後の来診までの変化
・膀胱状態の患者知覚(PPBC)のベースラインから12週目及び最後の来診までの変化
・視覚的アナログスケールに関する治療満足度(TS−VAS)のベースラインから12週目及び最後の来診までの変化。TS−VASは、左側の「いいえ、全く満足しない」(=0)から右側の「はい、完全に満足する」(=10)とエンドポイントが表示されている10cmのラインに垂直マークを置くことによって治療による自身の満足度を評定するように患者に求める視覚的アナログスケール(VAS)である。LS手段は、固定要因として治療群、性別、及び地理的領域、ならびに共変量としてベースラインを有するANCOVAモデルからのものである。ベースラインから正の範囲は改善を示す。
・医師への非研究関連来診数(患者が、患者の膀胱状態のために各研究来診前4週間中に診療所に訪問した(研究来診を除く)回数)のベースラインから4週目、8週目、12週目及び最後の来診までの変化。
・12週目及び最後の来診で膀胱状態の患者知覚(PPBC)が改善した参加者の百分率。PPBCスケールは、患者に下記6点スケールで自身の現在の膀胱状態の自身の印象を評定するように患者に求める包括的評価ツールである:1:「私に如何なる問題も全く起こらない」;2:「私にいくらかの非常に小さい問題が起こる」;3:「私にいくらかの小さい問題が起こる」;4:「私に(いくらかの)中程度の問題が起こる」;5:「私に深刻な問題が起こる」;6:「私に多くの深刻な問題が起こる」。PPBCスコアにおいては、ベースラインからベースライン後までに少なくとも1点の改善を改善と定義し、ベースラインからベースライン後までの少なくとも2点の改善を大きな改善と定義した。
実施例18
オルタナティブなリナクロチド錠剤の調製
最初に下記コア錠剤成分を調製することによって遅延放出錠剤を調製した:プラセボ基剤、リナクロチド1000μg/225mg基剤、及び前造粒充填剤。
造粒製造プロセス:
基本的に上記実施例7に記載したように錠剤成分を調製したが、後述するようにわずかに変更した。表28に記載のプラセボ基剤を用いて、表27に列挙する成分を備えるコア錠剤を与えた。プラセボ及び活性基剤造粒のためには2.25の最終pHを用いた。
プラセボ基剤の調製:
表28は、プラセボ基剤造粒用処方を表す:
最初に表29の原材料を調剤することによってプラセボ基剤調製物を調製した。
混合容器の重さを量り、2200±5.0gの処理水(2682.1±5.0gではなく)を容器に添加する。
リナクロチド基剤調製(1000μg/225mg):
表30は、1000μg/225mg基剤造粒用の処方を表す:
残余の0.02%はリナクロチド不純物に相当する。
最初に表31の原材料を調剤することによって1000μg/225mg基剤造粒物を調製することができる。
前造粒充填剤の調製:
表32は、前造粒充填剤用の処方を表す。
最初に表33の原材料を調剤することによって充填剤調製物を調製した。
実施例19
錠剤組成の変更が安定性及び不純物に及ぼす効果
種々の成分がリナクロチドの安定性に及ぼす影響を判定するため、様々な量のPVA、CaCl2、ヒスチジン及びCCSを含有するいくつかの異なる製剤を調製し、原薬の損失及び/または分解物の外観について試験した。表34に示すように製剤を調製した。
上に示したように、製剤は、高濃度または低濃度のPVA(1.49または0.99%w/w)、ヒスチジン(1.49または0.37%w/w)、CaCl2(0.71または0.18%w/w)またはCCS(4または0%w/w)を含有した。
上記製剤の未コーティングコア錠剤を3gのシリカゲル乾燥剤とともに60ccの白色HDPEボトルに梱包し、内側ホイルライナーでヒートシールし、33mmの白色ポリプロピレンの子供が開けられない蓋で閉じた。密封ボトルを40℃で75%の相対湿度(RH)のチャンバーに入れた。試料を様々な時間間隔で取り、リナクロチドの量についてのみならず、例えば、参照によってその全体をここに援用するUS8,933,030に記載されているケトン及びインミダゾリジノン(immidazolidinone)の分解生成物についても定量化した。リナクロチド及び分解生成物は、それぞれ表35及び表36に概説するようにHPLCを用いて定量化し、T=0の試料(非ストレス対照)と比較した。
図6に示すように、より低濃度のPVAを含有する錠剤[0.99%(w/w)、製剤B、C、D、E、K]は、1または2カ月間ストレス条件下に置いた試料中のリナクロチドの損失を示したが、より高濃度のPVAを含有する錠剤[1.25%(w/w)−製剤J、または1.49%(w/w)−F、G、H、I]は、より少ない減少を示した。
同様に、特定の製剤がケトン形成の増加をもたらすことが分かった。図7に示すように、低レベルのCaCl2を含有する錠剤[0.18%(w/w)、製剤B、D、F、H]または中レベルのCaCl2を含有する錠剤[0.44%(w/w)、製剤J]は、1または2カ月間ストレス条件下に置いた試料中のケトン分解生成物の増加をもたらすことが示された。対照的に、0.71%(w/w)のCaCl2を含有する試料は、ケトン形成の低減を示した。
ヒスチジン濃度は、錠剤におけるインミダゾリジノン(immdidazolidinone)形成量に影響を与えることが分かった(図8)。この場合、低濃度のヒスチジン(製剤B、C、F、&G)は、この分解生成物のより高いレベルをもたらしたが、中レベルのヒスチジンを含む錠剤[0.93%(w/w)、製剤J]または高レベルのヒスチジンを含む錠剤[1.49%(w/w)、製剤D、E、H、I&K]は、この分解生成物の形成低減をもたらした。
最後に、実施例17にも記載される製剤Iをリナクロチドの安定性について初期の製剤と比較した。図9は、製剤64Bと比べた製剤I中のリナクロチドの安定性を比較する。
他の実施形態
本明細書に記載の具体的実施形態による範囲に本発明を限定すべきでない。実際に、前述の説明及び添付図面から当業者には本明細書に記載の実施形態に加えて本発明の種々の変更形態が明らかになるであろう。該変更形態は、添付の特許請求の範囲内に入るように意図される。さらに、全ての値は近似値であり、説明のために提供されていることを理解すべきである。
本出願全体を通じて引用する全ての特許、特許出願、公表文献、製品説明、及びプロトコルは、参照によってそれらの全体が全ての目的のため本出願に組み込まれる。