[0005] 中性線が切断された状況が図1及び図2により示されている。図1は、第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2が通常の動作において三相AC電源の2つの異なる相により給電される構成を示す。ここで、第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2の各々は、例えばLED照明ユニット等の1以上の照明ユニットを駆動する。この場合、第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2はLED照明ドライバと称することができる。
[0006] 特に、三相AC電源は、三相線のうちの各々と中性端子110との間に3つのAC電圧VPH1、VPH2及びVPH3を供給する。例示的な設備において、VPH1、VPH2及びVPH3のRMS電圧の各々は、通常、277Vである(幾らかの電源線変動は典型的に存在する)。VPH1は第1照明ドライバ100−1のライン電圧端子(Line)と中性端子Nとの間にAC主電源電圧V1として供給され、VPH2は第2照明ドライバ100−2のライン電圧端子(Line)と中性端子Nとの間にAC主電源電圧V2として供給される。このように、該例示的設備において、第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2の各々は277Vなる公称AC主電源電圧を受ける。
[0007] 前述したように、幾つかのケースにおいては、当該三相AC電源の中性端子110(又は中性線)と、第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2の各々の中性端子Nとの間の接続に切断112が生じる。
[0008] 図2は、2つの照明ドライバが、中性端子110への接続が失われた状態で三相AC電源により給電される状態を示す。この場合、当該三相AC電源の2つの相の間における480VなるRMS電圧が、第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2の2つのライン電圧端子の間に現れる。
[0009] しかしながら、各ライン電圧端子と第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2の中性端子Nとの間に印加される個々の電圧V1’及びV2’は不定であり、これら個々の電圧のうちの1つは、理論的には、0Vと480Vとの間の何処かであり得る(V1’+V2’=480V)。
[0010] 更に、第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2がLED照明ドライバである特定の例において、各照明ドライバは当該照明ドライバの動作入力電圧範囲にわたってLED負荷に一定の(又は実質的に一定の)電流を供給する“定電流”源として動作するような出力段を有する。同様の状況は、LED照明ドライバの代わりとしての蛍光灯バラスト又は電気的に安定化される高輝度放電(eHID)バラストの場合にも当てはまる。LED照明ドライバは力率調整回路(PFC)を典型的に含むので、当業者により理解されるように、その入力は一定の(又は実質的に一定の)電力負荷を見ることになる。負荷に供給される電力は一定(又は実質的に一定)であるので、斯様な照明ドライバに供給される入力電圧が該ドライバの動作電圧範囲内で増加するにつれて、一定の(又は実施的に一定の)電力を維持するために入力電流は減少する。即ち、このようなLED照明ドライバの入力インピーダンスの勾配は、起動後において、正常な動作の間においては負である。
[0011] LED負荷を駆動する第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2が図2に示されるように中性線が切断された状態で接続された場合、この結果、不安定な動作になり、間違いなく、入力電圧V1’及びV2’が発振するか又は安定動作点を見付けるべく正常動作範囲外に移動し得る。例えば、入力電圧V1’及びV2’は合計で480Vとなると同時に、第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2に対する入力電流は互いに等しいままとなる(これらドライバは直列に接続されるからである)。一般的に、第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2の間の入力インピーダンス特性の僅かな差に依存して、入力電圧V1’及びV2’の一方は277Vより大幅に大きくなり得る共に、他方は大幅に小さくなり得ることが予測されるであろう。典型的に、第1及び第2照明ドライバ100−1及び100−2は非常に良好にバランスすることはなく、照明ドライバ100−1及び100−2の一方が入力端子間に(即ち、ライン入力端子と中性入力端子Nとの間に)480Vの略全てを受ける一方、これら照明ドライバ1001−及び100−2の他方は入力端子間に非常に小さな電圧しか受けないであろう。
[0012] このような予期せぬ高電圧は、当該照明ドライバを、例えば該照明ドライバのサージ保護デバイス(SPD)、該照明ドライバのプロセッサ若しくはコントローラ、及び/又は該照明ドライバにより駆動される1以上の照明ユニットを損傷させ得る。結果として、該照明ドライバは故障し得る。
[0013] 中性の喪失により故障する照明ドライバの問題を克服する1つの選択枝は、当該ドライバを略完全に480Vを扱うように設計することである。幾つかの蛍光灯バラストにおいて、当該設計は一層大きな電圧閾値を持つバリスタ(例えば、金属酸化物バリスタ)を用い、中性の喪失の場合に短期間の動作を可能にすることを含み得る。しかしながら、このようなバリスタは当該バラストのサージ保護を低下させ得るものであり、従って、特に高いサージが普通であるような屋外LEDドライバの場合は好ましくない。
[0014] このように、当業技術には、特に2つのドライバが三相AC電源の2つの異なる相に接続される場合における該三相AC電源に対する中性接続の喪失の場合に照明ドライバ(特には、照明負荷に定電流を供給する照明ドライバ)を保護する方法に対する必要性が存在する。また、三相AC電源に対する中性接続の喪失の場合に斯様な保護方法を使用する照明ドライバの必要性も存在する。
[0015] 本開示は、三相AC電源に対する中性接続の喪失の場合に照明ドライバ及び特には照明負荷に定電流を供給する照明ドライバを保護する方法及び装置に向けられたものである。
[0016] 一態様において、照明ドライバは、通常、二乗平均平方根(RMS)値(即ち、実効値)を持つAC主電源電圧を入力するよう構成された1対のAC主電源接続端子と;前記AC主電源電圧を整流して、整流された電圧を出力するよう構成された整流器と;出力電流を供給するように構成された出力段と;前記整流器と前記出力段との間に接続され、前記整流された電圧を入力して前記出力段に電力を供給するように構成された力率補正段と;前記出力段を制御して、当該照明ドライバを、前記出力電流が前記AC主電源電圧の前記RMS値とは無関係に実質的に一定となる第1状態及び前記AC主電源接続端子の間における入力インピーダンスの勾配が前記AC主電源電圧の前記RMS値とは無関係に正に維持される第2状態を含む2つの異なる状態のうちの一方において選択的に動作させるコントローラと;を有し、前記コントローラは、前記AC主電源電圧のRMS値が第1閾期間より長い期間にわたり最小RMS閾値電圧より低い場合に当該照明ドライバを前記第2状態にラッチすると共に、前記AC主電源電圧のRMS値が第2閾期間より長い期間にわたり最大RMS閾値電圧より高い場合に当該照明ドライバを前記第2状態にラッチするよう構成される。
[0017] 幾つかの実施態様において、当該照明ドライバは、前記AC主電源電圧のRMS値に対し定まった関係を有する電圧を感知すると共に該感知された電圧を示す信号を前記コントローラに供給するように構成されたセンサを更に有する。
[0018] これら実施態様の幾つかのバージョンにおいて、前記センサは前記整流された電圧を感知する。
[0019] これら実施態様の幾つかのバージョンにおいて、前記センサは前記AC主電源電圧を感知する。
[0020] これら実施態様の幾つかのバージョンにおいて、前記コントローラは、前記感知された電圧を第1閾値と比較すると共に前記感知された電圧を該第1閾値より大きな第2閾値と比較するように構成される一方、更に、当該照明ドライバを、前記感知された電圧が前記第1閾期間より長い期間にわたり前記第1閾値より低い場合に前記第2状態にラッチされ、前記感知された電圧が前記第2閾期間より長い期間にわたり前記第2閾値より高い場合も前記第2状態にラッチされるように制御するよう構成される。
[0021] 幾つかの実施態様において、前記コントローラは、当該照明ドライバが前記第2状態にラッチされた場合に前記力率補正段及び前記出力段をオフするように構成される。
[0022] 幾つかの実施態様において、前記コントローラは、当該照明ドライバが前記第2状態にラッチされている場合に、前記出力段を制御して前記出力電流を前記AC主電源電圧のRMS値の増加に比例して増加させるよう構成される。
[0023] 幾つかの実施態様において、当該照明ドライバは該照明ドライバと該照明ドライバの外部にある外部DALIコントローラとの間でメッセージを伝達するように構成されたDALI送受信器を更に有し、前記AC主電源電圧のRMS値が前記第2閾期間より長い期間にわたり前記最大RMS閾値電圧より高い場合に当該照明ドライバは前記DALI送受信器を介して過電圧メッセージを前記外部DALIコントローラに通知するように構成される。
[0024] 幾つかの実施態様において、前記第1閾期間は前記第2閾期間と同一である。
[0025] 他の態様において、少なくとも1つの光源を含んだ照明ユニットを駆動するように構成された照明ドライバを動作させる方法は、前記照明ドライバのAC主電源接続端子において二乗平均平方根(RMS)値を持つAC主電源電圧を入力するステップと;前記AC主電源電圧を前記照明ドライバの整流器により整流して、整流された電圧を持つ整流されたAC主電源電力を出力するステップと;前記照明ドライバを2つの状態のうちの1つにおいて選択的に動作させるステップと;を有する。前記2つの状態は、前記照明ドライバが前記照明ユニットに前記AC主電源電圧のRMS値に無関係に実質的に一定である出力電流を供給する第1状態、及び前記AC主電源接続端子の間における前記照明ドライバの入力インピーダンスの勾配が前記AC主電源電圧のRMS値に無関係に正となるように維持される第2状態を含む。前記照明ドライバは、前記AC主電源電圧のRMS値が第1閾期間より長い期間にわたり最小RMS閾値電圧より低い場合に前記第2状態にラッチされると共に、更に、前記AC主電源電圧のRMS値が第2閾期間より長い期間にわたり最大RMS閾値電圧より高い場合も前記第2状態にラッチされる。
[0026] 幾つかの実施態様において、当該方法は、前記AC主電源電圧のRMS値に対し定まった関係を有する電圧を感知するステップと;前記感知された電圧を第1閾値と、及び該第1閾値より大きな第2閾値と比較するステップと;前記感知された電圧が前記第1閾期間より長い期間にわたり前記第1閾値より低い場合に前記照明ドライバを前記第2状態にラッチするステップと;前記感知された電圧が前記第2閾期間より長い期間にわたり前記第2閾値より高い場合に前記照明ドライバを前記第2状態にラッチするステップと;を更に有する。
[0027] 幾つかの実施態様において、当該方法は、前記照明ドライバが前記第2状態にラッチされた場合に力率補正段及び出力段をオフするステップを更に有する。
[0028] 幾つかの実施態様において、当該方法は、前記照明ドライバが前記第2状態にラッチされている場合に前記出力電流を制御して該出力電流を前記AC主電源電圧のRMS値の増加に比例して増加させるステップを更に有する。
[0029] 幾つかの実施態様において、当該方法は、前記AC主電源電圧のRMS値が前記第2閾期間より長い期間にわたり前記最大RMS閾値電圧より高い場合に過電圧メッセージを外部DALIコントローラに通知するステップを更に有する。
[0030] 更に他の態様において、装置は第1照明ドライバ及び第2照明ドライバを有し、これら第1及び第2照明ドライバの各々はライン電圧端子及び中性端子を含む対応する1対のAC主電源接続端子を有し、前記第1照明ドライバのライン端子は三相AC主電源の第1相電圧ラインに接続される一方、前記第2照明ドライバのライン端子は前記三相AC主電源の第2相電圧ラインに接続され、前記第1及び第2照明ドライバの中性端子は互いに一緒に接続され、前記第1及び第2照明ドライバの各々は前記第1及び第2照明ドライバの中性端子が前記三相AC主電源の中性線に接続された場合に対応する照明ユニットに実質的に一定な電流を出力するように構成された出力段を更に含み、前記第1及び第2照明ドライバの各々は、前記第1及び第2照明ドライバの中性端子の一方又は両方が前記三相AC主電源の中性線から切断された場合に前記AC主電源接続端子の対応する対の間に該対応する対のAC主電源接続端子間の電圧の電圧レベルに無関係に正の勾配を持つ入力インピーダンスを形成するよう構成される。
[0031] 幾つかの実施態様において、前記第1照明ドライバは該第1照明ドライバの中性端子が前記三相AC主電源の中性線から切断された場合を検出するように構成されたセンサを含む。
[0032] これら実施態様の幾つかのバージョンにおいて、前記第2照明ドライバは該第2照明ドライバの中性端子が前記三相AC主電源の中性線から切断された場合を検出するように構成されたセンサを含む。
[0033] 幾つかの実施態様において、前記第1照明ドライバは該第1照明ドライバの中性端子が前記三相AC主電源の中性線から切断された場合に前記出力段をオフするように構成されたコントローラを更に含む。
[0034] 幾つかの実施態様において、前記第2照明ドライバは該第2照明ドライバの中性端子が前記三相AC主電源の中性線から切断された場合に前記出力段をオフするように構成されたコントローラを更に含む。
[0035] 幾つかの実施態様において、前記第1照明ドライバは該第1照明ドライバの中性端子が前記三相AC主電源の中性線から切断された場合に前記出力段を制御して出力電流を前記AC主電源接続端子の対応する対の間の電圧のRMS値の増加に比例して増加させるように構成されたコントローラを更に含む。
[0036] 本開示の目的のために本明細書で使用される場合、“LED”なる用語は、如何なる発光(エレクトロルミネッセント)ダイオード、又は電気信号に応答して放射を発生することが可能な他のタイプの電荷注入/接合型システムをも含むものと理解されるべきである。従って、LEDなる用語は、これらに限定されるものではないが、電流に応答して光を放出する種々の半導体型構造体、発光ポリマ、有機発光ダイオード(OLED)、エレクトロルミネッセント・ストリップ等を含む。特に、LEDなる用語は、赤外スペクトル、紫外スペクトル及び可視スペクトルの種々の部分(通常、約400ナノメートルから約700ナノメートルまでの放射波長を含む)の1以上において放射を発生するように構成することができる全てのタイプの発光ダイオード(半導体及び有機発光ダイオードを含む)を指す。LEDの幾つかの例は、これらに限定されるものではないが、種々のタイプの赤外LED、紫外LED、赤色LED、青色LED、緑色LED、黄色LED、琥珀色LED、橙色LED及び白色LEDを含む(後に更に説明する)。また、LEDは所与のスペクトルに対して種々の(例えば、狭い帯域幅、広い帯域幅)帯域幅(例えば、半値全幅又はFWHM)及び所与の一般色分類内で種々の優勢波長を持つ放射を発生するよう構成及び/又は制御することができると理解されるべきである。
[0037] 例えば、実質的に白色光を発生するように構成されたLEDの一構成例(例えば、白色LED)は、組み合わせで実質的に白色光を形成するように混ざり合うような、異なるスペクトルのエレクトロルミネッセンスを各々放出する複数のダイを含むことができる。他の構成例において、白色LEDは、第1スペクトルを持つエレクトロルミネッセンスを別の第2のスペクトルに変換する蛍光体材料に関連され得る。この構成の一例において、相対的に短い波長及び狭い帯域幅のスペクトルを持つエレクトロルミネッセンスは上記蛍光体材料を“ポンピング”し、該蛍光体材料は幾らか広いスペクトルを持つ一層長い波長の放射を放出する。
[0038] また、LEDなる用語はLEDの物理的及び/又は電気的パッケージのタイプを限定するものではないと理解されるべきである。例えば、LEDは、前述したように異なるスペクトルの放射を各々放出するように構成された複数のダイ(例えば、個別に制御することが可能であるか又は可能でない)を有する単一の発光デバイスを指し得る。また、LEDは、当該LEDの一体部分と見なされる蛍光体と関連され得る(例えば、幾つかのタイプの白色LED)。一般的に、LEDなる用語は、パッケージ化LED、非パッケージ化LED、表面実装LED、チップオンボードLED、Tパッケージ実装LED、ラジアルパッケージLED、電力パッケージLED、何らかのタイプのケース及び/又は光学素子(例えば、拡散レンズ)を含むLED等を指すことができる。
[0039] “光源”なる用語は、これらに限定されるものではないが、LED型光源(先に定義したような1以上のLEDを含む)、白熱光源(例えば、フィラメント電球、ハロゲン電球等)、蛍光光源、燐光光源、高輝度放電光源(例えば、ナトリウム蒸気、水銀蒸気及び金属ハライド電球)、レーザ、他のタイプのエレクトロルミネッセント光源、熱発光光源(例えば、炎)、キャンドル発光光源(例えば、ガスマントル、炭素アーク放射光源)、光ルミネッセント光源(例えば、ガス放電光源)、電子飽和を使用するカソード発光光源、電流発光光源、結晶発光光源、キネ発光光源、熱発光光源、摩擦発光光源、音発光光源、電波発光光源及び発光ポリマを含む種々の放射光源の何れか1以上を指すと理解されたい。
[0040] 所与の光源は、可視スペクトル内、可視スペクトル外、又はこれら両方の組み合わせで電磁放射を発生するように構成することができる。従って、“光”及び“放射”なる用語は、ここでは入れ替え可能に使用される。更に、光源は、一体部品として、1以上のフィルタ(例えば、カラーフィルタ)、レンズ又は他の光学部品を含むことができる。また、光源は、これらに限定されるものではないが、指示、表示及び/又は照明を含む種々の用途のために構成することができると理解されるべきである。“照明光源”は、内部又は外部空間を効果的に照明するために十分な輝度を持つ放射を発生するように特別に構成された光源である。この点において、“十分な輝度”とは、周囲照明(即ち、間接的に知覚され得ると共に、例えば全体的に又は部分的に知覚される前に1以上の種々の介在表面から反射され得る光)を供給するために当該空間又は環境において発生される可視スペクトルにおける十分な放射パワーを指す(放射パワー又は“光束”に関しては、しばしば、“ルーメン”なる単位が光源から全方向への全光出力を表すために使用される)。
[0041] “照明ユニット”なる用語は、ここでは、同一又は異なるタイプの1以上の光源を含む装置を指すために使用されている。所与の照明ユニットは、光源(又は複数の光源)のための種々の取付配置、エンクロージャ/ハウジング配置及び形状、並びに/又は電気的及び機械的接続構造の何れかを有することができる。更に、所与の照明ユニットは、オプションとして、当該光源(又は複数の光源)の動作に関係する種々の他の部品(例えば、制御回路)に関連され得る(例えば、含む、結合される及び/又は一緒にパッケージ化される)。“LED照明ユニット”とは、前述したような1以上のLED光源を単独で又は他の非LED型光源との組み合わせで含む照明ユニットを指す。
[0042] “コントローラ”なる用語は、ここでは、1以上の光源の動作に関係する種々の装置を広く記述するために使用されている。コントローラは、ここで述べる種々の機能を果たすために、多数の形態で(例えば、専用のハードウェアによる等)実施化することができる。“プロセッサ”は、ここで述べる種々の機能を実行するために、ソフトウェア(例えば、マイクロコード)を用いてプログラムすることができる1以上のマイクロプロセッサを使用するコントローラの一例である。コントローラは、プロセッサを使用するか又は使用しないで実施化することができ、幾つかの機能を実行するための専用のハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1以上のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連する回路)との組み合わせとして実施化することもできる。本開示の種々の実施態様で使用することが可能なコントローラ部品の例は、これらに限定されるものではないが、通常のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)及びフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を含む。
[0043] 種々の構成において、プロセッサ又はコントローラは1以上の記憶媒体(例えばRAM、PROM、EPROM及びEEPROM等の揮発性及び不揮発性コンピュータメモリ、並びにフラッシュメモリ、フロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ等であり、ここでは広く“メモリ”と称する)に関連され得る。幾つかの構成例において、上記記憶媒体は、1以上のプロセッサ及び/又はコントローラ上で実行された場合に本明細書で述べる機能の少なくとも幾つかを実行する1以上のプログラムによりコード化することができる。種々の記憶媒体は、プロセッサ若しくはコントローラ内に固定され、又は当該記憶媒体上に記憶された1以上のプログラムをプロセッサ又はコントローラにロードして、ここで述べる本発明の種々の態様を実施することができるように、移送可能なものとすることができる。“プログラム”又は“コンピュータプログラム”なる用語は、ここでは、1以上のプロセッサ又はコントローラをプログラムするために使用することが可能な如何なるタイプのコンピュータコード(例えば、ソフトウェア又はマイクロコード)をも示すように汎用的な意味で使用されている。
[0044] 上述した概念及び後に詳述する追加の概念の全ての組み合わせ(斯かる概念が互いに矛楯しない限り)は、ここに開示される本発明の主題の一部であると意図されることが理解されるべきである。特に、この開示の最後に現れる請求項に記載の主題の全ての組み合わせは、ここに開示される本発明の主題の一部であると意図される。また、参照により本明細書に組み込まれる何れかの文献にも現れる、ここで明示的に使用される用語は、ここに開示される特定の概念と最も一貫性のある意味が付与されるべきであると理解されるべきである。
[0045] 尚、図面において同様の符号は、異なる図を通して、同様の部分を概して示している。また、各図は必ずしも寸法通りではなく、代わりに本発明の原理を解説するに当たり概して誇張されている。
[0054] 1対のLED照明ドライバが三相AC電源の2つの相に接続される一方、中性線が切断されている場合、これは、結果として各照明ドライバの入力電圧が不定となる不安定な動作を典型的に生じさせる。このことは、LED照明ドライバを損傷させると共に故障につながりかねない過電圧状態につながり得る。
[0055] もっと一般的に言うと、発明者は、LEDドライバに中性喪失の状態を感知又は検出させると共に、入力インピーダンスを当該LEDドライバシステムに対する入力電圧が正常範囲内となるように調整させて、LED照明ドライバ及び/又は該LEDドライバが駆動する照明ユニット(又は複数の照明ユニット)の損傷を防止することが有益であると認識及び理解した。
[0056] 上記に鑑みて、本発明の種々の実施態様及び構成例は、位相カット調光信号の位相カット角を検出する発明的方法及び装置に向けられている。例えば、位相カット調光信号の位相カット角をデジタル的に検出して、LED光源の光出力を適切な量だけ調光するための信号を発生することができるようにする方法及び装置が提供される。
[0057] 図3は、通常動作の間の例示的発光ダイオード(LED)照明ドライバに関する入力電流(Iin)及び出力電流(Iout)をRMS入力電圧レベル(Vmains)の関数として示す。ここでは、説明の便宜上、入力電圧VmainsはRMS電圧として表されると仮定されるが、同じ電流対電圧特定は、AC主電源の入力電圧波形が正弦波形であることが分かっているので、入力電圧がピーク電圧レベル又は平均電圧レベルとして表されるかに拘わらず当てはまるものである。図3において、入力電圧レベル(Vmains)の関数としての入力電流(Iin)はプロット305により示される一方、入力電圧レベル(Vmains)の関数としての出力電流(Iout)はプロット315により示されている。
[0058] 図3に示された特性の当該例示的LED照明ドライバの正常動作範囲は、下側正常動作電圧閾値304及び上側正常動作電圧閾値306により定められる。入力電圧Vmainsが下側入力電圧閾値304より低い場合、入力電流Iinは、当該LED照明ドライバにおける低電圧保護(under voltage lockout)又は該LED照明ドライバの力率補正(PFC)段における電流制限の何れかにより入力電圧Vmainsの減少に伴い典型的に減少する。LED照明ドライバはPFC段における制限及び損失により非常に低い入力電圧では最大電力を維持することができないので、過熱を防止するために、これらの入力電圧レベルでは通常の動作は典型的に遮断される。
[0059] 当該LED照明ドライバの起動の間において、入力電圧Vmainsは電圧が公称値に到達する際に上記範囲外に(特に、正常動作電圧閾値304より低く)なり得る。しかしながら、通常の動作の間において、該入力電圧Vmainsは下側正常動作電圧閾値304と上側正常動作電圧閾値306との間に留まることが期待される。幾つかの実施態様において、Vmainsは、勿論幾らかの変動は予測されるが、公称的に277Vである。
[0060] 図3に示されるように、通常の動作範囲内においては、入力電圧Vmainsが増加するにつれて、電流Iinは下降する傾斜線310により示されるように減少する。即ち、当該LED照明ドライバの入力インピーダンスの勾配又は微分は負である。このことは、微分を用いて:
(1) dVmains/dIin < 0
と表すことができる。
[0061] 前述したように、LED照明ドライバが三相AC電源の2つの相に接続される一方、中性線が切断された場合、これは、典型的に各LED照明ドライバに対する入力電圧が不定となる不安定動作を生じさせ得る。このことは、LED照明ドライバを損傷し得る過電圧状態になり得ると共に、システム故障につながり得る。
[0062] この問題に対処するために、LED照明ドライバは中性喪失状態を検出するように構成することができる。斯かる検出の結果として、当該照明ドライバは“第1(通常動作)状態”から該ドライバの入力インピーダンスの勾配が正となるように維持される“第2(待機)状態”に切り換わることができ、かくして、入力電圧は当該2つのLED照明ドライバの間で、これらドライバの動作範囲内において一層均等にバランスし得るようになる。幾つかの実施態様において、当該LED照明ドライバが第2(待機)状態に切り換えられた場合、このLED照明ドライバは該LED照明ドライバがリセットされる(例えば、当該LED照明ドライバに三相AC電源の中性端子を再接続した後、該LED照明ドライバに電力を回帰させることにより)まで当該状態にラッチ(切換保持)されたままとなる。
[0063] 図4は、LED照明ドライバの一実施態様に関する第2(待機)状態における入力電流Iin(stdby)をRMS入力電圧レベルVmainsの関数として示す。ここでは、傾斜線410により、この第2(待機)状態において入力電圧の関数としての入力インピーダンスの勾配又は微分は、少なくとも下側待機電圧閾値404と上側待機電圧閾値406との間の入力電圧範囲にわたり正となるように維持されることが分かる。幾つかの実施態様において、第2(待機)状態における当該LED照明ドライバの入力インピーダンスは一定又は実質的に一定であると共に、該入力インピーダンスの勾配又は微分は一定又は実質的に一定である。
[0064] 図5は、LED照明ドライバの例示的実施態様500を示す。特に、LED照明ドライバ500は、中性喪失状態を検出すると共に、“第1(通常動作)状態”から当該ドライバの入力インピーダンスの勾配が正となるように維持される“第2(待機)状態”へ切り換わるように構成されたLED照明ドライバの一例である。幾つかの実施態様において、LED照明ドライバ500が第2(待機)状態に切り換えられた場合、このLED照明ドライバは該LED照明ドライバ500がリセットされる(例えば、中性線を再接続した後、該LED照明ドライバ500に電力を回帰させることにより)まで当該状態にラッチされたままとなる。
[0065] 一実施態様によれば、LED照明ドライバ500は、図1の照明ドライバ100−1及び100−2と同様に、AC主電源電圧を受けるためのライン電圧端子及び中性端子を含む1対のAC主電源接続端子502を有する。LED照明ドライバ500は、サージ保護回路(SPC)510、電磁妨害(EMI)フィルタ520、整流器530、力率補正回路(PFC)段540、バッファコンデンサ550、出力段560、コントローラ570(マイクロプロセッサを含み得る)、デジタル照明インターフェース(DALI)送受信器580及び低電圧(LV)電源590も含む。
[0066] LEDドライバ500は、1以上のLED光源を含むことが可能なLED負荷20を有する照明ユニットを、出力電流565を供給することにより駆動する。DALI送受信器580は線対585を介してDALIネットワーク(図示略)に接続することができ、かくして、LED照明ドライバ500はDALIメッセージを該DALIネットワークの1以上の他のDALI装置(例えば、DALIコントローラ)と交換することができる。コントローラ570は、センサ(例えば、図5には図示されていないサンプリング抵抗)から整流器530の出力端において感知又は検出された電圧572を入力するように接続されると共に、出力段560の動作を制御するために制御信号574を供給するようにも接続され、該出力段560は次いで出力電流565を感知する。後述するように、コントローラ570はオプションとしてPFC段540をオン及びオフするための制御信号576も供給する。幾つかの実施態様において、制御信号576は省略することができる。
[0067] LED照明ドライバ500は、中性喪失状態を検出すると共に、次いで“第1(通常動作)状態”から当該ドライバの入力インピーダンスが正に維持される“第2(待機)状態”に切り換わるように構成されたLED照明ドライバの1つの一般的実施態様を表すものであると理解されたい。他の実施態様において、SPC510、EMIフィルタ520及び/又はDALI送受信器580等の図5に示された構成要素のうちの1以上は省略することができる。SPC510、EMIフィルタ520、整流器530、PFC段540、バッファコンデンサ550、出力段560及び低電圧(LV)電源590の構成及び動作は広く知られているので、ここでは簡略化のために詳細には説明しない。
[0068] 動作時において、LED照明ドライバ500はAC主電源接続端子502においてAC主電源電圧15を受ける一方、LED負荷20に電力を供給する。更に詳細には、AC主電源接続端子502はAC主電源電圧15を入力し;整流器530はAC主電源電圧15を整流すると共に整流された電圧572を出力し;該整流器と出力段との間に接続されたPFC段540は整流された電圧572を入力すると共に出力段560に電力を供給し;該出力段はLED負荷20に出力電流565を供給する。コントローラ570は出力段560を制御し、当該LED照明ドライバ500を、出力電流565がAC主電源電圧15のRMS値とは無関係に実質的に一定となる第1(通常動作)状態及びAC主電源端子502の間の入力インピーダンスの勾配がAC主電源電圧15のRMS値とは無関係に正に維持される第2(待機)状態を含む2つの異なる状態のうちの一方に選択的にさせることができる。
[0069] LED照明ドライバ500はAC主電源接続端子502に対する中性接続の喪失を以下のように検出することができる。照明ドライバ500(例えば、コントローラ570)は、該LED照明ドライバ500に供給されるAC主電源電圧15のRMS、平均、ピーク又はピークツーピーク値に比例した電圧(ここでは、例えば整流器530により出力される整流された電圧572)を感知すると共に、該感知された電圧を最小閾値電圧及び最大閾値電圧と比較する。他の実施態様においては、AC主電源電圧15のRMS、平均、ピーク又はピークツーピーク値に比例する他の電圧を感知することができる。例えば、幾つかの実施態様においては、AC主電源電圧15をAC主電源接続端子502の間で直接感知又は検出すると共にフィルタ処理して、該電圧のRMS、平均、ピーク、ピークツーピーク値等を表す信号を生成することもできる。
[0070] 以下の説明は、AC主電源電圧15のRMS値に焦点を合わせる。しかしながら、典型的にそうであるようにAC主電源電圧15が正弦波形である場合、RMS、平均、ピーク、ピークツーピーク値の間には良く知られた定まった関係が存在することが理解される。従って、これらの値の何れも、これら値の他の何れかから決定することができるものと考えられる。更に、AC主電源電圧のRMS値が最小RMS閾値電圧より低い又は最大RMS閾値電圧より高いと言われる場合、これは、AC主電源電圧のピーク値が最小ピーク閾値電圧より小さい又は最大ピーク閾値電圧より大きいこと、及びAC主電源電圧のピークツーピーク値が最小ピークツーピーク閾値電圧より小さい又は最大ピークツーピーク閾値電圧より大きいこと等と等価であると理解される。
[0071] 前述した感知され又は検出された電圧が、第1閾期間より長い期間にわたり最小閾値電圧より高い、又は第2閾期間より長い期間にわたり最大閾値電圧より低い限り、LED照明ドライバ500は通常の動作が生じる第1状態であり続け、出力段560はLED負荷20に一定の(又は実施的に一定の)出力電流565を供給するための定電流源として機能する。図3は、入力電圧レベル(Vmains)15の関数としての出力電流(Iout)の例示的プロット315を示している。実際には、LED負荷20に対する完全に一定な電流源は実現することはできないと理解されるので、当該電流は実質的に一定であるものとして説明する。“実質的に一定”とは、通常の動作の間において第1状態における出力電流565の変動は±10%以下であることを意味する。幾つかの有益な実施態様において、出力電流565は例えば±5%、±2%又は±1%等の更に厳しい許容範囲内で一定に維持することができる。
[0072] 感知され又は検出された上記電圧が、第1閾期間より長い期間にわたり最小閾値電圧より低い、又は第2閾期間より長い期間にわたり最大閾値電圧より高い場合、LED照明ドライバ500は中性接続の喪失状態が発生したと判定する。
[0073] 中性接続の喪失状態が発生したことの検出に応答して、LED照明ドライバ500は補正動作を行うことができる。特に、LED照明ドライバ500は、AC主電源接続端子502の間におけるLED照明ドライバ500の入力インピーダンスの微分又は勾配がAC主電源電圧15のRMS値とは無関係に正となるように維持される第2(待機)状態に切り換わる。幾つかの実施態様において、コントローラ570はPFC段540及び出力段560をオフすることによりLED照明ドライバ500を第2(待機)状態に切り換える。幾つかの実施態様において、コントローラ570は、出力段560を制御してLED負荷20に供給される出力電流565をAC主電源電圧15のRMS値の増加に比例して増加させることにより、LED照明ドライバ500を第2(待機)状態に切り換えさせる。有利には、LED照明ドライバ500が中性接続の喪失の検出に応答して第2状態に入ったなら、LED照明ドライバ500は該LED照明ドライバがリセットされる(例えば、三相AC電源の中性端子をLED照明ドライバ500に再接続した後、該LED照明ドライバ500に対する電力を回帰させることにより)まで第2状態に留まることができる。
[0074] 幾つかの実施態様においては、中性接続の喪失状態が発生したことの検出に応答して、LED照明ドライバ500は、DALI送受信器580に過電圧メッセージを外部DALIコントローラに対しDALIネットワークを介して通知させることができる。
[0075] 前述したように、コントローラ570は、AC主電源電圧15のRMS値(又はピーク値若しくは平均値)が第1閾期間より長い期間にわたり最小RMS閾値電圧より低い、又はAC主電源電圧15のRMS値が第2閾期間より長い期間にわたり最大RMS閾値電圧より高い場合に中性接続の喪失を検出する中性喪失検出器を含むことができる。
[0076] 幾つかの実施態様において、上記最小及び最大RMS閾値電圧はLED照明ドライバ500内に固定値として事前設定(プリセット)することができる。他の実施態様において、これら電圧はDALI送受信器580により外部のDALIコントローラから受信される1以上のDALIメッセージに応答して選択することができる。幾つかの実施態様において、最小RMS閾値電圧は例えば公称RMS AC主電源電圧より10%〜20%低い範囲内の値に設定することができる一方、最大RMS閾値電圧は公称RMS AC主電源電圧より10%〜20%高い範囲内の値に設定することができる。例えば、公称AC主電源電圧が120〜277V RMSである場合、最小閾値電圧は100V RMSに設定することができる一方、最大閾値は320V RMSに設定することができる。これらは例示的な値であり、異なる設置例において中性喪失検出の性能を最適化するために異なる値を選択することもできると理解されるべきである。
[0077] 幾つかの実施態様において、前記第1及び第2閾期間は、LED照明ドライバ500が最初にオンされる場合のAC主電源電圧15の起動及び設定時間に関連する期間より大きくなるように選択することができる。幾つかの実施態様において、第1及び第2閾期間は数ミリ秒とすることができる。一般的に、第1及び第2閾期間は互いに異なることができるが、幾つかの実施態様において、第1及び第2閾期間は互いに同じとすることもできる。
[0078] 図6は、コントローラ570に含めることが可能な中性喪失検出器600の第1の例示的実施態様を示す。中性喪失検出器600は、感知された電圧605(Vin)をアナログの最小及び最大閾値電圧Vmin及びVmaxと各々比較するアナログ検出器の一例である。Vinは、実質的にAC主電源電圧15の1又は数サイクル内のDC値となるように、該中性喪失検出器600に供給される前にフィルタ処理することができる。幾つかの実施態様において、Vinは整流された電圧572をサンプリングすることにより生成することができる。
[0079] 一方、Vmin及びVmaxは、当業者により理解されるようにAC主電源電圧15とVinとの間の比例係数と同一である比例定数によりスケーリングすることにより、中性喪失検出のためのAC主電源電圧15の最小及び最大閾値RMS(又はピーク若しくはピークツーピーク等の)電圧に相当するよう選択することができる。
[0080] 中性喪失検出器600は、比較器610及び620、ロジック(ORゲート)630並びに閾時間値635によりプログラムされるタイマ640を含む。動作時において、VinはVmin及びVmaxと比較される。Vinが>Vmin及び<Vmaxである限り、比較器610及び620の両出力はローであり、タイマ640は起動されず、出力信号645はローのままとなって、中性の喪失が検出されなかったことを示す。この場合、出力信号645は、LED照明ドライバ500の動作を制御するコントローラ570のマイクロプロセッサ(図示略)の入力端に供給することができる。中性の喪失が検出されなかったことを示す出力信号645に応答して、該マイクロプロセッサはLED照明ドライバ500を前述したように第1(通常動作)状態に留めるように制御することができる。
[0081] Vinが<Vmin又は>Vmaxになると、比較器610及び620の出力のうちの対応するものがハイとなるので、ロジック630の出力がハイとなり、タイマ640が起動される。この時点で、出力信号645はローのままであり、中性の喪失が(未だ)発生していないことを示す。該タイマが閾時間値635(この実施態様において、中性喪失検出のための第1及び第2閾期間は同一である)より長い期間にわたり起動されたままであると、出力信号645はハイとなり、中性の喪失が検出されたことを示す。中性の喪失が検出されたことを示す出力信号645に応答して、前記マイクロプロセッサはLED照明ドライバ500を、前述したように、第2(待機)状態に変化又は移行するように制御することができる。出力信号645はラッチ(図6には図示されていない)によりハイに保持することができ、又は該出力信号645を入力する前記マイクロプロセッサが自身を内部的に第2状態にラッチすることができる。
[0082] 図7は、中性喪失検出器の第2の例示的実施態様700を示す。中性喪失検出器700は、アナログ/デジタル変換器(ADC)710、マイクロプロセッサ720及びメモリ730を含む。マイクロプロセッサ720は、出力段560、DALI送受信器580及び/又はPFC段540の動作等の前記LED照明ドライバ500の動作を制御する前記コントローラ570内のものと同一のマイクロプロセッサとすることができる。中性喪失検出器700は、感知された電圧705(Vin)を表すADC710により出力されるデジタル化された値を最小及び最大閾値(例えば、メモリ730に記憶された)と比較するデジタル検出器の一例である。
[0083] 図6及び図7は、LED照明ドライバ500に含めることができる多数の構成の中性喪失検出器のうちの2つであると理解されるべきである。
[0084] 図8は、照明ドライバ(例えば、LED照明ドライバ500)を動作させる方法の例示的実施態様800のフローチャートを示すもので、照明ドライバに対する中性接続が喪失した場合に該照明ドライバを保護するステップを含む。
[0085] 動作810において、当該照明ドライバのAC主電源接続端子はAC主電源電圧を入力する。
[0086] 動作820において、当該照明ドライバの整流器は上記AC主電源電圧を整流し、整流されたAC主電源電力を出力する。
[0087] 動作830において、入力されたAC主電源電圧のRMS値(VRMS)が第1閾期間TTHRESHOLD_1より長い期間にわたり所定の最小RMS閾値電圧(VMINRMS)より低かったかが判定される。そうでない場合、当該処理は動作840に進む。ここで、当該AC主電源電圧は定まった正弦波形であるので、入力されたAC主電源電圧のRMS値(VRMS)は、該入力されたAC主電源電圧のピーク値(VPEAK)、該入力されたAC主電源電圧の平均値(VAVG)及び該入力されたAC主電源電圧のピークツーピーク値(VPEAK-TO-PEAK)等の他の値に対して良く知られた定まった関係を有すると理解されるべきである。従って、入力されたAC主電源電圧のRMS値(VRMS)が所定の最小閾値電圧(VMINRMS)より低いかの判定は、幾つかの実施態様では、該入力されたAC主電源電圧のピーク値(VPEAK)が対応する最小ピーク閾値電圧(VMINPEAK)より低いかを判定する、該入力されたAC主電源電圧のピークツーピーク値(VPEAK-TO-PEAK)が対応する最小ピークツーピーク閾値電圧(VMINPEAK-TO-PEAK)より低いかを判定する、又は該入力されたAC主電源電圧の平均値(VAVG)が対応する最小平均閾値電圧(VMINAVG)より低いかを判定すること等により達成することができると理解される。
[0088] 動作840においては、入力されたAC主電源電圧のRMS値(VRMS)が第2閾期間TTHRESHOLD_2より長い期間にわたり所定の最大RMS閾値電圧(VMAXRMS)より高かったかが判定される。そうでない場合、当該処理は動作850に進む。ここで、当該AC主電源電圧は定まった正弦波形であるので、入力されたAC主電源電圧のRMS値(VRMS)が所定の最大閾値電圧(VMAXRMS)より高いかの判定は、幾つかの実施態様では、該入力されたAC主電源電圧のピーク値(VPEAK)が対応する最大ピーク閾値電圧(VMAXPEAK)より高いかを判定する、該入力されたAC主電源電圧のピークツーピーク値(VPEAK-TO-PEAK)が対応する最大ピークツーピーク閾値電圧(VMAXPEAK-TO-PEAK)より高いかを判定する、又は該入力されたAC主電源電圧の平均値(VAVG)が対応する最大平均閾値電圧(VMAXAVG)より高いかを判定すること等により達成することができると理解されるべきである。
[0089] 動作850において、当該照明ドライバは、実質的に一定な出力電流及び電力を照明ユニット(例えば、LED負荷を有する照明ユニット)に供給する第1(通常動作)状態である。該第1状態において、動作830及び840は繰り返し又は連続して実行される。
[0090] 動作830及び840は、中性喪失が検出されない場合に当該照明ドライバが動作850において第1(通常動作)状態に留まるような、該照明ドライバに対する中性接続の喪失を検出する単一の検出動作として見ることができる。
[0091] しかしながら、動作830において入力されたAC主電源電圧のRMS値が第1閾期間より長い期間にわたり所定の最小RMS閾値電圧より低かったと判定された場合、又は動作840において入力されたAC主電源電圧のRMS値が第2閾期間より長い期間にわたり所定の最大RMS閾値電圧より高かったと判定された場合、動作860において、当該照明ドライバは第2(待機)状態にラッチされる。該第2(待機)状態において、AC主電源接続端子の間における当該照明ドライバの入力インピーダンスの勾配は、AC主電源電圧のRMS値とは無関係に正となるように維持される。
[0092] 当業者であれば、図8に示された動作(処理)の多くは連続した動作(並行して生じても良く、実際に並行して生じる)であると理解されるべきである。例えば、AC主電源接続端子はAC主電源電圧を連続して入力することができる一方、前記整流器は該入力されたAC主電源電圧を連続して整流し、整流されたAC主電源電力を出力する等である。
[0093] 以上、幾つかの本発明実施態様を本明細書において説明及び図示したが、当業者であれば、ここに説明した機能を実行し、及び/又はここで述べた結果及び/又は利点の1以上を得るための種々の他の手段及び/又は構成に容易に想到するであろう。このような変更及び/又は修正の各々は、ここに述べた本発明の実施態様の範囲内であると見なされる。もっと一般的に言うと、当業者であれば、ここに述べた全てのパラメータ、寸法、材料及び構成は例示的なものであることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料及び/又は構成は、本発明の教示が用いられる特定の用途に依存するであろうことを容易に理解するであろう。また、当業者であれば、ここで述べた本発明の特定の実施態様に対する多くの均等物を認識し、又は通例の実験を用いるだけで確認することができるであろう。従って、上述した実施態様は例示としてのみ提示されたものであり、添付請求項及びその均等物の範囲内で、本発明の実施態様は、特定的に説明及び請求項に記載したもの以外で実施することができると理解されるべきである。本開示の発明的実施態様は、ここで述べた各フィーチャ、システム、物品、材料、キット及び/又は方法に向けられたものである。更に、2以上の斯様なフィーチャ、システム、物品、材料、キット及び/又は方法の如何なる組み合わせも、このようなフィーチャ、システム、物品、材料、キット及び/又は方法が相互に矛楯しないならば、本開示の発明の範囲内に含まれるものである。
[0094] ここで定められ及び使用された全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれた文献における定義及び/又は定義された用語の通常の意味を規制すると理解されるべきである。
[0095] 本明細書及び請求項で使用される単数形は、そうでないと明示しない限り、“少なくとも1つの”を意味すると理解されるべきである。
[0096] 本明細書及び請求項において使用される“及び/又は”なる語句は、そのように結合されたエレメントの“何れか又は両方”、即ち或る場合には連接的に存在し、他の場合には離接的に存在するエレメントを意味すると理解されるべきである。“及び/又は”で列挙された複数のエレメントは、同様に、即ちそのように結合されたエレメントの“1以上”であると見なされたい。“及び/又は”なる文により固有に識別されたエレメント以外の他のエレメントも、これらの固有に識別されたエレメントに関係するか関係しないかによらず、オプションとして存在することができる。このように、限定するものではない例として、“有する”等の非制限的文言との関連で使用される場合、“A及び/又はB”なる言及は、一実施態様ではAのみを(オプションとしてB以外のエレメントを含む)、他の実施態様ではBのみを(オプションとしてA以外のエレメントを含む)、更に他の実施態様ではA及びBの両方を(オプションとして他のエレメントを含む)等を指すことができる。
[0097] 本明細書及び請求項で使用される場合、“又は”は上記に定義した“及び/又は”と同じ意味を持つと理解されたい。例えば、リスト内で項目を分ける場合、“又は”又は“及び/又は”は、包含的であると、即ち、少なくとも1つの包含のみならず、複数の又は一連のエレメントのうちの2以上及びオプションとして追加の非掲載項目も含むと解釈されるべきである。“のうちの1つのみ”又は“のうちの正確に1つ”のように、そうでないと明確に示された用語のみ、又は請求項で使用される場合の“からなる”は、複数の又は一連のエレメントのうちの正確に1つのエレメントの包含を指す。一般的に、ここで使用される“又は”なる用語は、“何れか”、“のうちの1つ”、“のうちの1つのみ”又は“のうちの正確に1つ”等の排他性の用語により先行された場合にのみ、排他的な代替物(即ち、“一方又は他方であるが、両方ではない”)を示すと解釈されるべきである。“から本質的になる”は、請求項において使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものである。
[0098] 本明細書及び請求項で使用される場合、1以上のエレメントのリストを参照する“少なくとも1つの”なる語句は、該エレメントのリストにおけるエレメントの何れか1以上から選択された少なくとも1つのエレメントを意味するものであり、該エレメントのリスト内の各及び全エレメントの少なくとも1つを必ずしも含むものではなく、該エレメントのリスト内のエレメントの如何なる組み合わせをも除くものではないと理解されるべきである。この定義は、上記“少なくとも1つの”なる語句が参照する上記エレメントのリスト内で特定的に識別されるエレメント以外のエレメント(上記の特定的に識別されたエレメントに関係するか又は関係しないかに拘わらず)がオプションとして存在することも可能にする。このように、限定するものではない例として、“A及びBの少なくとも1つ”(又は等価的に“A又はBの少なくとも1つ”若しくは等価的に“A及び/又はBの少なくとも1つ”)は、一実施態様では、少なくとも1つの(オプションとして2以上を含む)Aで、Bは存在しない(オプションとしてB以外のエレメントを含む)場合、他の実施態様では、少なくとも1つの(オプションとして2以上を含む)Bで、Aは存在しない(オプションとしてA以外のエレメントを含む)場合、更に他の実施態様では、少なくとも1つの(オプションとして2以上を含む)A及び少なくとも1つの(オプションとして2以上を含む)B(オプションとして他のエレメントを含む)の場合等を指すことができる。
[0099] 明確にそうでないと示さない限り、請求項に記載された2以上のステップ又は動作を含む如何なる方法においても、該方法のステップ又は動作の順序は、該方法の斯かるステップ又は動作が記載された順序に必ずしも限定されるものではないと理解されるべきである。
[0100] 請求項及び上記明細書において、“有する”、“含む”、“担持する”、“持つ”、“収容する”、“伴う”、“保持する”及び“からなる”等の全ての移行句は非制限的であると、即ち含むが限定されるものではないことを意味すると理解されるべきである。“からなる”及び“から本質的になる”なる移行句のみが、各々、制限的又は半制限的移行句である(米国特許庁の特許審査手順マニュアル、第2111.03節に記載されているように)。