(詳細な説明)
様々な実施態様を、添付の図面を参照して詳細に説明する。特定の例及び実施についての言及は、例示目的であり、本発明の範囲又は特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。
本開示は、画像化される媒体内の物体、組織、又は物質の動きを検出するために高速超音波技術を用いるシステム及び方法を提供する。本明細書で説明される超音波動き検出システム及び方法の実施態様は、他の利用可能なシステムでは対応できない様々な利点を提供することができる。このような利点は、最大10,000フレーム/秒の潜在的な動き検出フレームレート、10ミリ秒未満の動き検出待ち時間、及び使用される超音波の波長よりも大幅に小さい尺度の精度で動きを検出し、トラッキングする能力を含み得る。本明細書で説明される技術を使用して、使用されている超音波イメージングシステムで分解可能なあらゆる物体よりも小さい点の動きを検出し、トラッキングすることができる。
例えば、本明細書のシステム及び方法を使用して、1ミリ秒未満の報告待ち時間、10kHzを超える更新レートで、0.05mm未満の物体の動きを検出し、トラッキングすることができる。運動する物体の位置及び速度は、6つの自由度(例えば、X方向、Y方向、及びZ方向の線形運動、並びにピッチ軸、ロール軸、及びヨー軸を中心とする回転)でトラッキングすることができる。場合によっては、本明細書で説明されるシステム及び方法は、これらの評価基準よりも更に良好に機能し得る。
イメージングシステムによって達成可能な(横方向分解能についての)最小の分解可能な細部のサイズの決定では、レイリー基準が一般に許容される基準である。イメージングプロセスは、1つのソース点の画像の第1の回折最小値が別の回折最大値に一致する場合に「回折限界」と言われる。超音波イメージングプローブの場合に簡易化されるレイリー基準は、全開口がDの超音波プローブの横方向分解能における最小の分解可能な細部のサイズ(「r」)が、r≒1.22λ/D(λは、画像化される媒体の超音波の速度を超音波の周波数で除した値である)であることを示している。
ピングベース超音波イメージングシステムに送信ビーム形成が存在しないため、従来のフェーズドアレイ超音波に起因する従来の意味での軸方向の分解能も存在しない。しかしながら、「軸方向の分解能」という語は、やや類似した概念:点源送信機を起源とする半径方向のラインに沿って互いに近接して延在する2つの反射体を識別する能力を伝達するために、本明細書では従来の意味で使用される。ピングベース超音波イメージングシステムの軸方向の分解能は、使用される超音波の波長(λ)(すなわち、画像化される媒体の超音波の速度を超音波の周波数で除した値)に各ピングで送信されるサイクル数を乗じた値にほぼ等しい。
本明細書で説明される様々な動き検出及び動きトラッキングシステム及び方法は、一般に、本明細書で「ピングベースイメージング」と呼ばれるイメージング技術を利用する。本開示は、ピングベースイメージング技術の説明、これに続く様々な動き検出及び動きトラッキング技術の説明、そして本明細書で説明されるプロセス及び技術と組み合わせて使用することができる様々なハードウェア要素の説明から構成されている。
様々な実施態様が、様々な解剖学的構造の超音波イメージングに関連付けて本明細書で説明されるが、本明細書に図示され、説明される多くの方法及び装置を、他の用途、例えば、非解剖学的構造及び物体のイメージング及び評価にも使用することができることを理解されたい。例えば、本明細書の様々な実施態様は、非破壊試験の用途、例えば、様々な構造、例えば、接合部、圧力容器、導管、構造部材、ビームなどの質、完全性、寸法、又は他の特性の評価に適用することができる。このシステム及び方法は、人間又は動物の組織、固体金属、例えば、鉄、鋼、アルミニウム、若しくはチタン、様々な合金、又は複合材料などを含む広範な材料のイメージング及び/又は試験に使用することもできる。
(重要な用語の紹介)
以下の段落は、本明細書で頻繁に使用される一部の用語に有用な定義を提供する。他の用語も、以下で使用されるときに定義することができる。
本明細書で使用される「超音波トランスデューサ」及び「トランスデューサ」は、超音波イメージング技術の分野の技術者が理解する通常の意味を有し得、限定されるものではないが、電気信号を超音波信号に変換することができ、かつ/又は逆も同様に行うことができるあらゆる単一の構成要素を指し得る。例えば、一部の実施態様では、超音波トランスデューサは、圧電素子を含み得る。他の実施態様では、超音波トランスデューサは、容量性微細加工超音波トランスデューサ(CMUT)、電気活性材料、例えば、圧電材料、強磁性材料、強誘電性材料、焦電材料、電歪材料から形成された他の微細加工トランスデューサ、又は超音波を電気信号に変換し、かつ電気信号を超音波に変換することができるその他の変換材料若しくは変換装置を含み得る。
トランスデューサは、多数の個々のトランスデューサ素子のアレイに構成される場合が多い。本明細書で使用される「トランスデューサアレイ」又は「アレイ」という語は、一般に、共通の支持プレートに取り付けられたトランスデューサ素子の集合体を指す。アレイは、(必ずしもそうではないが)典型的には、共通の支持プレート又は基板に取り付けられた複数のトランスデューサ素子を含む。このようなアレイは、1次元(1D)、2次元(2D)、1.X次元(1.XD)、又は3次元(3D)を有し得る。なぜなら、これらの用語は、本明細書の他の部分で使用され、かつ/又は当分野で一般に理解されているためである。当業者に理解される他の次元のアレイも使用することができる。環状アレイ、例えば、同心円アレイ及び楕円アレイも使用することができる。場合によっては、トランスデューサアレイは、不規則な間隔のトランスデューサ素子、まばらに配置されたトランスデューサ素子(疎アレイとも呼ばれる)、ランダムな間隔のトランスデューサ素子、又はその他の幾何学的若しくはランダム配置のトランスデューサ素子を含み得る。アレイの素子は、連続する必要はなく、非変換材料によって分離しても良い。
トランスデューサアレイの素子は、アレイの最も小さい個別に機能する構成要素であり得る。例えば、圧電トランスデューサ素子のアレイの場合には、各素子は、単一の圧電結晶、又は圧電結晶の単一の機械加工ブロックとすることができる。あるいは、複数の微細素子(例えば、微細加工素子、微小ドーム素子、又は他の超小型素子)から形成されたアレイでは、微細素子の群を、単一機能素子として集合的に動作するように電気的に結合することができる。このような場合、集合的に動作する微細素子の群
本明細書で使用される「送信素子」及び「受信素子」という語は、超音波イメージング技術の分野の技術者が理解する通常の意味を有し得る。「送信素子」という語は、限定されるものではないが、電気信号が超音波信号に変換される送信機能を少なくとも瞬間的に果たす超音波トランスデューサ素子を指すこともある。送信超音波信号は、特定の方向に集束しても良いし、又は集束しないで、あらゆる方向又は広範囲の方向に送信されても良い。同様に、「受信素子」という語は、限定されるものではないが、該素子に衝当する超音波信号を電気信号に変換する受信機能を少なくとも瞬間的に果たす超音波トランスデューサ素子を指すこともある。超音波の媒体への送信は、本明細書では「超音波照射」と呼ばれることもある。超音波を反射する物体又は構造は、「反射体」又は「散乱体」と呼ばれることがある。
本明細書で使用される、トランスデューサ素子の「位置」及び「場所」を指す語は、該素子によって示される音響中心位置を指す。場合によっては、素子の音響中心位置は、該素子の機械的中心又は幾何学的中心と正確に一致し得る。しかしながら、多くの場合、素子の音響中心位置は、様々な因子、例えば、製造上の不規則さ、損傷、不規則な素子のジオメトリなどによって該素子の機械的中心又は幾何学的中心とは異なり得る。素子の音響中心位置は、例えば、米国特許出願公開第2014/0043933号「名称:多数開口超音波プローブの校正(Calibration of Multiple Aperture Ultrasound Probes)」及び米国特許第9,282,945号「名称:超音波プローブの校正(Calibration of Ultrasound Probes)」に記載されている校正技術などの様々な校正技術を用いて決定することができる。
本明細書で使用される「開口」という語は、1つのトランスデューサ素子、又はイメージング制御電子機器によって共通の群としてまとめて管理されるトランスデューサ素子群を指すことがある。例えば、一部の実施態様では、開口は、隣接する開口の素子とは物理的に別個で異なり得る素子の群とすることができる。しかしながら、隣接する開口は、必ずしも物理的に分離される、又は異なる必要はない。逆に、1つの開口が、2つ以上の物理的に別個若しくは異なるトランスデューサアレイの素子、又は任意の距離若しくは様々な距離だけ互いに離間した素子を含み得る。場合によっては、2つ以上の素子は、互いに共通の開口内に含められるように必ずしも互いに近接する必要はない。例えば、トランスデューサ素子の異なる群(例えば、「左開口」)は、左アレイと、物理的に異なる中心アレイの左半分とから構成することができ、「右開口」は、右アレイと、物理的に異なる中心アレイの右半分とから構成することができる。
本明細書で使用される「受信開口」、「超音波照射開口」、及び/又は「送信開口」という語は、所望の送信機能又は受信機能を果たす個々の素子、群として所望の送信機能又は受信機能を果たすアレイ内の素子群又はアレイ全体を指すために本明細書で使用される。一部の実施態様では、このような送信開口及び受信開口は、専用の機能を有する物理的に別個の構成要素として形成することができる。他の実施態様では、任意の数の送信開口及び/又は受信開口を、必要に応じて、動的かつ電子的に定義することができる。他の実施態様では、多数開口超音波イメージングシステムは、専用の機能の開口と動的機能の開口との組み合わせを使用することができる。場合によっては、素子は、2つ以上の(以下に定義される)ピングサイクル中に異なる開口に割り当てることができる。
本明細書で使用される「ピングサイクル」という語は、点源を近似する送信機からのピングの送信で始まり、そしてその送信されたピングの全ての利用可能な(又は全ての所望の)エコーが受信トランスデューサ素子によって受信されると終了するサイクルを指す。多くの場合、ピングサイクルは、別個であり得、ある程度の期間離れ得る。他の場合には、ピングサイクルは、時間内で互いに重複し得る。すなわち、N+1番目のピングサイクルを、N番目のピングサイクルが完了する前に(ピングの送信で)開始することができる。
本明細書で使用される「全開口」という語は、プローブにおける全てのイメージング開口の全サイズを指す。言い換えれば、「全開口」という語は、特定のイメージングサイクルに使用される送信素子及び/又は受信素子のあらゆる組み合わせにおける最も遠いトランスデューサ素子間の最大距離によって決定される1つ以上の寸法を指すことがある。従って、全開口は、特定のサイクルで送信開口又は受信開口として指定されるあらゆる数のサブ開口から構成することができる。単一開口イメージング構成の場合は、全開口、サブ開口、送信開口、及び受信開口は、全て同じ寸法を有し得る。多数開口イメージング構成の場合は、全開口の寸法は、全ての送信開口及び受信開口の寸法と開口間のあらゆる間隔との合計を含む。
一部の実施態様では、2つの開口が、連続アレイ上に互いに隣接して位置し得る。他の実施態様では、2つの開口は、少なくとも1つの素子が2つの別個の開口の一部として機能するように、連続アレイ上に互いに重ね合わせることができる。開口の位置、機能、素子の数、及び開口の物理的サイズを、特定の用途に必要ないずれかの方式で動的に決定することができる。
本明細書で説明される素子及びアレイは、多機能であっても良い。すなわち、ある時点でのトランスデューサ素子又はアレイの送信機としての指定は、次の時点でのこれらの受信機としての即時の再指定を排除するものではない。更に、本明細書の制御システムの実施態様は、このような指定を、使用者の入力、プリセットスキャン、プリセット解像度基準、又は他の自動的に決定される基準に基づいて電子的に行う能力を含む。
本明細書で使用される、イメージングシステムの「画像化可能なフィールド」は、該イメージングシステムによって実際に画像化することができる画像化される物体又は物質のあらゆる面積又は体積であり得る。本明細書で説明されるピングベースイメージングシステムでは、「画像化可能なフィールド」という語は、「超音波照射された領域」という語と同義であり得る。「目的の領域」という語は、画像化可能なフィールド内の2次元領域又は3次元領域を指し得る。プローブに対する画像化可能なフィールドの範囲は、(例えば、SN比又は減衰率に基づいて)物理的制限によって限定しても良いし、又は(例えば、目的の所望の領域に基づいて)選択された論理制限であっても良い。
本明細書で使用される「画素」という語は、イメージングシステムの画像化可能なフィールド内の2次元空間の領域を指す。「画素」という語は、表示装置の画素に限定されるものではなく、表示装置の画素よりも大きい又は小さい現実規模の物体の領域を表すことができる。「画素」は、あらゆる実体サイズの画像化可能なフィールドの領域を表すこともできるし、場合によっては、イメージングシステムのあらゆる分解可能な物体よりも小さい領域を表すこともできる。画素は、正方形又は長方形にすることができるが必ずしもそうする必要はなく、画像化可能なフィールドの連続的な2次元表現を可能にするあらゆる形状を有し得る。場合によっては、画素を表すデータは、表示しなくても良いが、なお単位として処理して「画素」と呼ぶことができる。
本明細書で使用される「ボクセル」という語は、イメージングシステムの画像化可能なフィールド内の3次元空間の領域を指す。「ボクセル」という語は、2次元又は3次元表示装置のどの特定の部分にも限定されるものではなく、表示ボクセルよりも大きい又は小さい現実規模の物体の領域を表すことができる。「ボクセル」は、あらゆる現実サイズの画像化可能なフィールドの3次元領域を表すことができ、場合によっては、イメージングシステムのどの分解可能な物体よりも小さい領域を表すことができる。ボクセルは、3次元の正方形又は長方形の柱面体とすることができるが、必ずしもそうする必要はない。ボクセルは、画像化可能なフィールドの連続的な3次元表現を可能にするあらゆる形状を有し得る。場合によっては、ボクセルを表すデータは、表示することはできないが、なお単位として処理することができ、「ボクセル」と呼ばれる。
本明細書で使用される「画素位置」及び「ボクセル位置」(又は「場所」)という語は、座標系によって確認可能な画像化可能なフィールド内の位置を指し、この座標系は、デカルト座標系又はその他の座標系とすることができる。
本明細書で使用される「画素」は、「ボクセル」に交差するとして説明することができる。2次元画素は、いずれかの所望の従来技法を用いて3次元ボクセルに交差するとして定義することができる。例えば、正方形画素及び立方体ボクセルの場合は、ボクセルに交差する画素は、該ボクセルの正方形の面、又は該ボクセルを通過するその他の正方形若しくは長方形であり得る。画素に使用される座標系が、ボクセルに使用される座標系と異なるとすると、1つの画素は、複数のボクセルに交差し得る。
本明細書で使用される「エコー」という語は、超音波波面、又は受信トランスデューサ素子に到達する超音波波面のアナログ若しくはデジタル表現を指す。本明細書で説明されるイメージング方法は、極端に広範囲のプローブ構成を可能にするため、受信トランスデューサに到達する一部の超音波信号は、画像化される物体の反対側にある送信トランスデューサ素子を起源とし得る。このような波面はまた、たとえこのような波面を「送信された」又は「偏向された」としても説明できるとしても、「エコー」の定義の範囲内に含まれるものとする。
本明細書で使用される「反射体」及び「散乱体」という語は、画像化される物理的な物体の物理的な部分を指す。波面が衝当すると、反射体及び散乱体は、一般に物理学によって決まる方向に波面を再放射する傾向にある。この用語は、送信機、散乱体、及び反射体の相対的なジオメトリ又は位置を限定するものではない。
本明細書で使用される「反射する」及び「散乱させる」という動詞は、伝播している超音波波面に対する散乱体の影響を指す。場合によっては、散乱体によって僅かに偏向される(例えば、180度に達する送信素子/散乱体/受信素子の組み合わせ角度をなす)波面は、なお散乱体(又は「反射体」)によって「反射された」として説明することができる。
本明細書で使用される「サンプル」という語は、物理的な揮発性又は不揮発性記憶媒体中のデジタルデータ要素を指す。特段の記載がない限り、本明細書に記載される「サンプル」は、一般に、受信超音波波面の個別部分を表すデータ要素を指す。受信時変電気信号を表す一連のデジタル値を生成するために、受信超音波波面に応答して振動するトランスデューサ素子によって生成される時変電気信号を数値化し、あるサンプルレートでデジタルサンプリングすることができる。これらの値は、「サンプル」と呼ぶことができる。場合によっては、「サンプル」は、2つのデジタル保存サンプル値間の補間値を含み得る。
デジタルサンプリングが、既知のサンプルレート(通常は一定のサンプルレートであるが、必ずしもそうする必要はない)で行われる場合は、(例えば、メモリ装置内の位置又は一連の値における位置によって測定される)各サンプルの位置を、各サンプル値に関与する波面セグメントの到着時間に直接関連付けることができる。
本明細書で使用される「ビーム形成」という語は、(直接保存される又は補間される)サンプル値、サンプル値に関与する送信素子の既知の音響中心位置、及びサンプル値に関与する受信素子の既知の音響中心位置に基づいて画素又はボクセルの値を決定するプロセスを指す。ビーム形成は、本明細書の他の部分で更に詳細に説明される。
本明細書で使用される(名詞としての)「画像」という語は、物理的物体の人間に見えるグラフィック表示、又は物理的な記憶媒体に保存された一連の持続性デジタル値を指し、この一連の持続性デジタル値は、このようなグラフィック表示を生成するためにソフトウェア及び/又は画像処理装置によって解釈され得る。本明細書で使用される「画像」という語は、質又は人間の読み取りやすさのいかなる特定の程度も示唆する必要はない。「画像」は、物体の2次元表現(例えば、場合によっては断面)又は3次元ボリューム表示を指すことがある。本明細書で使用される(動詞の)「撮像する」及び「画像化する」という語は、画像を生成するプロセスを指す。
(点源送信超音波イメージングの紹介)
様々な実施態様では、別途ピングベース超音波イメージングとも呼ばれる点源送信超音波イメージングは、従来のスキャンラインベースイメージングよりも優れたいくつかの利点を提供する。点源送信は、トランスデューサ素子アレイから有向スキャンラインに沿って特定の方向にエネルギーを集束させる「フェーズドアレイ送信」とはその空間的特徴の点で異なる。点源パルス(本明細書では、ピングとも呼ばれる)は、2次元円形波面又は3次元球面波面を形成するように送信することができ、これにより、目的の2次元領域又は3次元領域における可能な限り広い領域を超音波照射する。目的の領域における散乱体からのエコーは、受信開口の素子の全て(又はエコーの送信を阻害する障害物によって遮断されない全ての受信開口の素子)に戻り得る。これらの受信エコー信号をフィルタリングし、増幅し、デジタル化し、そして(特定のシステムの要求又は能力によって)短期又は長期メモリに保存することができる。
次いで、画像を、受信エコーサンプルに関与する反射体の位置を決定することによって受信エコーから再形成することができる。デジタルエコーサンプルに関与する各反射体の位置は、受信エコーサンプルの到着時間(サンプルの位置に基づいて推論することができる)、エコーサンプルに関与する送信素子の音響位置、及びエコーサンプルに関与する受信素子の音響位置に基づいて計算することができる。
ビーム形成は、ソフトウェアベース、ファームウェアベース、又はハードウェアベースの動的ビーム形成技術によって実施することができ、このとき、ビームフォーマの焦点は、反射体の位置に対応する特定の画素位置に合わせるために連続的に変更することができる。このようなビームフォーマを使用して、点源ピングからの受信エコーの位置をプロットすることができる。一部の実施態様では、このような動的ビームフォーマは、信号の送信機から個々の受信トランスデューサ素子への往復時間に基づいて各エコー信号の軌跡をプロットすることができる。
2次元イメージングの場合は、送信トランスデューサ素子及び受信トランスデューサ素子によって生成される所与のエコーサンプルでは、エコーサンプルに関与する標的反射体の可能な位置の軌跡は、2つの焦点によって数学的に画定される楕円となる。楕円の第1の焦点は、送信トランスデューサ素子の位置となり、第2の焦点は、受信トランスデューサ素子の位置となる。いくつかの他の可能な反射体の位置は、同じ楕円に沿って存在するが、同じ標的反射体のエコーも、他の受信トランスデューサ素子によって受信される。各受信トランスデューサ素子の僅かに異なる位置は、各受信素子が、標的反射体に対して僅かに異なる楕円を画定することを意味する。多数の素子の楕円の加算による結果の蓄積により、反射体の楕円の交差が示される。より多くの受信素子からのエコーサンプルを第1のエコーサンプルと組み合わせると、交差する楕円が、標的反射体が位置する点に向かって収束する。標的反射体の位置は、反射体を表す画素位置に相関し得る。組み合わせられたサンプル値を使用して、画素を画素位置に表示するための表示強度を決定することができる。従って、任意の数の受信素子によって受信されるエコーの振幅を組み合わせて各画素を形成することができる。他の実施態様では、計算は、実質的に同じ結果に到達するように別に行うことができる。
様々なアルゴリズムを、別個の受信素子によって受信されるエコー信号の組み合わせに使用することができる。例えば、一部の実施態様は、エコー信号を個々に処理し、各エコー信号をその楕円形に沿った全ての可能な位置でプロットし、次いで、次のエコー信号に進むことができる。あるいは、各画素位置を個々に処理し、その画素位置に寄与する可能性のある全てのエコーサンプルを識別して処理し、そして次の画素位置に進むことができる。
画質は、同じ又は異なる点源(又は多数の異なる点源)から送信される、1つ以上の後続の送信ピングからビームフォーマによって形成される画像を組み合わせることによって更に改善することができる。画質のなお更なる改善を、2つ以上の受信開口によって形成される画像を組み合わせることによって達成することができる。
重要な検討事項は、異なるピング、異なる送信点源、又は異なる受信開口からの画像の加算が、コヒーレント加算(位相敏感)であるべきか、又はインコヒーレント加算(位相情報なしの信号の大きさの加算)であるべきかどうかである。
コヒーレント加算を使用するか又はインコヒーレント加算を使用するかについての決定は、受信開口(複数可)及び/又は送信開口(複数可)の横方向の範囲/サイズによって影響され得る。一部の実施態様では、平均音速が、散乱体から受信開口の各素子へのどの経路でも実質的に同じであるという仮定に従うように開口のサイズを制限すると便利であり得る。狭い受信開口の場合は、この単純化する仮定は容易に達成される。しかしながら、受信開口の幅が増大すると、変曲点に達し(本明細書では、「最大コヒーレント開口幅」又は「最大コヒーレント幅」と呼ばれる)、この点を超えると、共通の反射体のエコーが通る経路は、互いに最も離れた素子に戻るときに本質的に異なる音速を有する異なるタイプの組織を通過する必要がある。この差異により、受信波面の位相シフトが180度に近づく、又は180度を超えると、最大コヒーレント幅を越えて延在する追加の受信素子が、実際には画像を改善するのではなく画像を劣化させる。
同じ考察を、送信開口のサイズにも当てはめることができ、この送信開口は、複数のコヒーレントに組み合わせられたトランスデューサ素子を含み得る。3次元イメージング(又は3Dデータ収集)で使用される2次元トランスデューサアレイの場合には、これは、最大コヒーレント開口サイズを2次元で画定するのに有用であり得る。従って、様々な実施態様では、最大コヒーレント開口は、該開口の素子で受信されるエコーデータがコヒーレントに組み合わせられるときに位相相殺が回避されるようにいずれか2つの素子間に最大距離を有する正方形、円形、多角形、又は他の2次元形状のトランスデューサ素子の群として定義することができる。
従って、最大コヒーレント開口幅よりも遥かに幅の広い全開口幅を有する広幅プローブの利点(例えば、空間的分解能の増加に関して)を実現するために、全プローブ幅は、物理的又は論理的に多数の受信開口に分割することができ、分割された各開口を、最大コヒーレント開口幅以下の有効幅に限定することができるため、受信信号の位相相殺を回避するほど十分に小さい。
最大コヒーレント幅は、異なる患者(又は異なる試験物体)で、同じ患者の異なるプローブの位置で、及び他の変数、例えば、超音波周波数で異なり得る。一部の実施態様では、妥当な幅を、所与のプローブシステム及び/又はイメージングシステムに対して決定することができる。他の実施態様では、多数開口超音波イメージング制御システムを、動的アルゴリズムを用いて構成して、利用可能な素子を、著しく画像を劣化させる位相相殺を回避するほど小さい群に更に分割することができる。様々な実施態様では、特定のコヒーレント開口サイズは、制御システムによって自動的に決定しても良いし、又は使用者制御部、例えば、ダイアル又はスライダーによって使用者の入力で手動で決定しても良い。
一部の実施態様では、コヒーレント(位相敏感)加算を使用して、1つ以上のピングから生じる、共通の受信開口に位置するトランスデューサ素子によって受信されるエコーデータを組み合わせることができる。一部の実施態様では、別個の受信開口が、所与の画像標的の最大コヒーレント幅よりも広い組み合わせ全開口を形成するような大きさ及び位置である場合は、インコヒーレント加算を使用して、このような受信開口によって受信されるエコーデータ又は画像データを組み合わせることができる。
2次元ピングベースビーム形成は、点源から放射される波面が目的の領域で物理的に円形であると黙示的に仮定することができる。実際には、波面は、スキャニング平面に直交する次元にもある程度は侵入し得る(即ち、一部のエネルギーは、所望の2次元画像平面に対して垂直な次元に本質的に「漏洩し」、これは、有効イメージング深さを減少させる効果を有し得る)。加えて、「円形」波面は、実際には、使用される変換材料の固有の軸外特性によってトランスデューサの前面の前方の半円又は円の180度未満の部分に限定され得る。同様に、3次元「球面」波面も、画像化される媒体内に半球面又は半球面未満の実際の形状を有し得る。
(3D超音波イメージング用の点源送信)
点源超音波イメージング(本明細書では、「ピングベース」イメージングとも呼ばれる)の上の記述は、超音波信号が画像のある領域の平面を近似する狭いフィールドに集束される2次元イメージングを主に説明している。このような2次元集束は、レンズ効果(lensing)又は他の技術で達成することができる。ピングベースイメージングは、著しい複雑さを加えることなくリアルタイム3次元イメージングまで拡大することもできる。3次元ピングベースイメージングは、2次元で互いに離間したトランスデューサ素子を備える超音波プローブを用いて行うことができる。一部のプローブ構成の例が、本明細書の他の部分で説明される。
3次元パルスが、点源送信トランスデューサから開始された場合、得られる半球面波面は、目的の領域(ROI)に移動し、そこで、超音波エネルギーの一部が、ROIの散乱体によって反射(又は偏向)され得る。散乱体からのエコーの一部は、プローブの受信トランスデューサ素子に向かって移動し、そこで、該エコーが、検出され、増幅され、デジタル化され、そして短期又は長期メモリ装置に保存され得る。各デジタルサンプル値は、ROIからの散乱体を表し得る。2Dの場合と同様に、各受信サンプルの大きさを、その到着時間並びに使用される送信及び受信トランスデューサの正確な位置と共に分析して、散乱体の潜在的な位置を識別する点の軌跡を規定することができる。3Dの場合には、このような軌跡は、その焦点として送信及び受信トランスデューサ素子の位置を有する楕円形である。送信トランスデューサ素子と受信トランスデューサ素子とのそれぞれのユニークな組み合わせは、同じ反射体の別個のビュー(view)を規定することができる。従って、多数の送信−受信トランスデューサ素子の組み合わせからの情報を組み合わせることにより、各反射体の実際の位置をより正確に表すことができる。
例えば、一部の実施態様では、ボクセルの3Dアレイにおける画像は、選択されたデジタルサンプルの評価で開始することによってコンピュータメモリ内で組み立てることができる。選択されたデジタルサンプル値は、上記の対応する楕円形によって示される全てのボクセルに書き込むことができる。次に、他の全ての収集されたサンプル値で同じことをし、次いで、全ての得られた楕円形を組み合わせることにより、より洗練された画像を形成することができる。実際の散乱体は、多数の楕円形の交差によって示されるであろうが、他の楕円形によって強化されていない楕円形の部分は、低いレベルの信号を有し得、ノイズとして処理する(即ち、フィルタ、利得調整、又は他の画像処理ステップによって排除又は低減する)ことができる。
他の実施態様では、計算の順序は、形成されるべき最終3D画像ボリュームにおける選択されたボクセルで開始することによって変更することができる。例えば、選択されたボクセルに対して、最も近い保存されたサンプル又は補間サンプルを、各送信機/受信機の対について識別することができる。次いで、選択されたボクセルに対応する全てのサンプルを評価及び加算(又は平均化)して、ボクセルの最終表現を生成することができる。選択されたボクセルに対するサンプルの近さを、送信機(即ち、サンプルを生成するために使用される送信機)の3次元位置から選択されたボクセル位置までのベクトル距離に、選択されたボクセル位置からサンプルを生成するために使用される受信機の位置までのベクトル距離を加えた距離を計算することによって決定することができる。このような線形距離は、全経路長を画像化される物体を通過する音速によって除すことによって時分割サンプル値に関連付けることができる。このような方法を用いることにより、計算された時間に対応するサンプルは、選択されたボクセルに関連し得る。
(画像層組み合わせ)
受信エコーサンプルの位置を決定する技術は、一般に、本明細書ではビーム形成と呼ばれ、多数の送信機/受信機の組み合わせから又は同じ送信機/受信機の組み合わせを用いて送信される多数の別個のピングから得られる情報を組み合わせるための技術は、一般に、画像層組み合わせと呼ぶことができる。様々な実施態様では、フレームは、任意の数の組み合わせ画像層から構成することができる。フレームは、ディスプレイ上に所望のフレームレートで連続的に表示して、動画又はビデオを作成することができる。上記のビーム形成プロセスは、生エコーデータを用いる3Dボリュームを通る2D断面スライスにおける画素値の評価にも有利に使用することができる。様々な実施態様では、このような2Dスライスは、任意の角度で、又は3Dボリュームを通るあらゆる湾曲経路に沿って取ることができる。この同じ技術を使用して、処理された画素又はボクセルを拡大するのではなく生エコーデータを用いてズームイン(即ち、特徴のサイズを大きくする)することもできる。
1つのピングと1つの受信素子との様々なユニークな組み合わせ、及び/又は1つのピングと1つの受信開口との様々なユニークな組み合わせから得られる画像は、本明細書では、「サブ画像層」と呼ぶことができる。多数のサブ画像層は、コヒーレントに組み合わせて画質全体を改善することができる。更なる画像層の組み合わせを行って、最終画像の質を更に改善することができる。画像層組み合わせの文脈において、「画像」という語は、1つの2次元画素、3次元ボリュームの1つのボクセル、又は任意の数の画素又はボクセルの集合を指すことがある。
画像層組み合わせは、4つの画像層レベルについて説明することができる。これらの3つの場合には、ベースレベル画像層、第1のレベルの画像層、第2のレベルの画像層、及び第3のレベルの画像層を含む。本明細書で使用される位相ベースレベル画像層は、1つの送信ピングから1つの受信素子で受信したビーム形成エコーによって得られる「画像」を指す。上記のように、ビーム形成プロセスは、各エコーサンプルに対応する楕円形を規定する。従って、ベースレベル画像は、1つの受信素子によって受信される1つのピングの全てのエコーを表す一連のこのような楕円形から構成することができる。このような画像は、診断イメージング目的に特に有用ではないかもしれないが、他の目的に使用することができる。
第1のレベルの画像層は、1つの送信開口の1つのピングから得られる1つの受信開口で受信されるエコーから形成することができる(「送信開口」は、1つの見かけ上の点源送信素子、単一素子送信機、又は送信素子の群であり得る)。1つのピングと1つの受信開口とのユニークな組み合わせの場合は、受信開口の全ての受信素子によって受信されるエコーをコヒーレントに加算して、第1のレベルの画像層を得ることができる。あるいは、第1のレベルの画像は、共通の受信開口の素子で受信される2つ以上のピングのエコーを組み合わせることによって形成することができる。
1つの受信開口で受信される(同じ又は異なる送信開口からの)多数の送信ピングのエコーから得られる多数の第1のレベルの画像層を一緒に加算して、第2のレベルの画像層を形成することができる。第2のレベルの画像層は、整合又は他の画像の特性を改善するために更に処理することができる。
第3のレベルの画像は、多数の受信開口からのデータで形成される第2のレベルの画像層を組み合わせることによって得ることができる。一部の実施態様では、第3のレベルの画像は、連続時間領域フレームとして表示して動画を作成することができる。
一部の実施態様では、第1のレベルの画像層の画素又はボクセルは、各受信開口素子の同相及び直角位相のエコーデータを加算する、即ち、各エコーに4分の1波長遅延したエコーを加算することによって形成することもできる。場合によっては、エコーデータは、サンプリングして同相データセットとして及び別個の直角位相データセットとして保存することができる。他の場合には、デジタルサンプリングレートが、4つに分割可能であるとすると、同相サンプルに対応する直角位相サンプルを、同相サンプルの前に適切な数のサンプルでサンプルを選択することによって識別することができる。所望の直角位相サンプルが、存在する全てのサンプルに対応しない場合は、直角位相サンプルは、補間によって得ることができる。1つの画像(画素、ボクセル、又は画素若しくはボクセルの集合)についての同相データと直角位相データとを組み合わせることにより、ぼやけの影響をもたらすことなくエコーデータの分解能を高めるという利点を提供することができる。同様に、様々なイメージング特性を改善するために、4分の1波長以外の値のサンプルを同相サンプルと組み合わせることができる。
様々な画像層の組み合わせ、加算、又は平均化は、コヒーレント加算、インコヒーレント加算、又はこの2つの組み合わせのいずれかによって達成することができる。コヒーレント加算(画像層の加算の際に位相と大きさの情報の両方を含む)は、横方向分解能を最大化する傾向にある一方、インコヒーレント加算(大きさのみを加算し、位相情報は除く)は、スペックルノイズを平均化して、画像化される媒体を通る音速の僅かな変化によって引き起こされ得る画像層の整合誤差の影響を最小化する傾向にある。各画像層がそれ自体の独立したスペックルパターンを形成する傾向にあるため、スペックルノイズは、インコヒーレント加算によって減少し、該パターンのインコヒーレントな加算は、これらのスペックルパターンを平均化する効果を有する。あるいは、パターンがコヒーレントに加算されると、該パターンが互いに強め合って、唯1つの強いスペックルパターンが生じる。
殆どの実施態様では、1つの受信開口の素子によって受信されるエコーは、典型的にはコヒーレントに組み合わせられる。一部の実施態様では、受信開口の数及び/又は各受信開口のサイズを、画質測定基準、例えば、横方向分解能、音速の変化の許容範囲、スペックルノイズの低減などのある所望の組み合わせを最大にするために変更することができる。一部の実施態様では、このような代替の素子と開口のグループ分け構成は、使用者によって選択可能であり得る。他の実施態様では、このような構成は、イメージングシステムによって自動的に選択又は形成することができる。
音速の変化は、次のようにインコヒーレント加算によって許容され得る:波長の僅か半分の遅延(例えば、3MHzの超音波では約0.25mm)をもたらす音速の変化を伴う2つの画素のコヒーレントな加算は、破壊的な位相相殺をもたらし、これにより著しい画像データの損失が起こる;画素がインコヒーレントに加算される場合は、同等又はそれ以上の遅延でも、画像層の空間的歪みがほんの僅かとなり、画像データの損失は起こらない。このような画像層のインコヒーレント加算は、最終画像のある程度の平滑化をもたらし得る(一部の実施態様では、このような平滑化は、画像をより見やすくするために意図的に加えることができる)。
3つ全ての画像層のレベルにおいて、プローブ素子のジオメトリが所望の精度であることが分かっていて、全ての経路に亘って一定の音速であるという仮定が有効である場合は、コヒーレント加算は、多数開口システムの最大の横方向分解能を実現し得る。同様に、全ての画像層のレベルにおいて、インコヒーレント加算は、スペックルノイズの最適な平均化、及び画像化される媒体を通る音速の許容範囲の僅かな変化を実現する。
一部の実施態様では、コヒーレント加算は、位相相殺が問題となる可能性が低い開口から得られる画像層を組み合わせるために使用することができ、一方、インコヒーレント加算は、位相相殺が問題を発生させる可能性がより高いと思われる場合、例えば、ある閾値を超える距離離間された異なる受信開口で受信されるエコーから形成される画像を組み合わせる場合に使用することができる。
一部の実施態様では、全ての第1のレベルの画像は、受信開口が最大コヒーレント開口幅よりも狭い幅を有すると仮定して、共通の受信開口の素子から得られる全てのサブ画像層のコヒーレント加算を用いることによって形成することができる。第2及び第3のレベルの画像層の場合は、コヒーレント加算とインコヒーレント加算の多数の組み合わせが可能である。例えば、一部の実施態様では、第2のレベル画像層は、寄与する第1のレベルの画像層のコヒーレント加算によって形成することができ、一方、第3のレベルの画像層は、寄与する第2のレベルの画像層のインコヒーレント加算によって形成することができる。
時間領域フレームは、処理時間と画質との間の所望のトレードオフによっていずれかのレベルの画像層によって形成することができる。より高いレベルの画像は、より高品質である傾向にあるが、より長い処理時間も必要とし得る。従って、リアルタイムイメージングを提供することが望ましい場合は、操作者に見える著しい「ラグ」なしで画像を表示するために、画像層の組合せ処理のレベルを限定することができる。このようなトレードオフの詳細は、使用中の特定の処理ハードウェア及び他の因子によって異なり得る。
[2D及び3Dピングベースイメージングを説明する他の適用例を参照されたい:711及び710]
(3Dデータを収集している間の2Dイメージング)
一部の実施態様では、2Dイメージングの形成は、プローブ及びイメージングシステムを用いて行うことができ、このイメージングシステムは、受信した3次元エコーデータからのデータの2Dスライスのみを単純にビーム形成して表示することによって3Dイメージングするように構成されている。例えば、このような技術は、ビーム形成の計算を軽減し、かつ処理能力が限定されたイメージング装置を用いるリアルタイムイメージングの表示を単純化し、なお全3Dエコーデータを維持するために使用することができる。
例えば、2次元平面を、画像化される領域の3次元ボリューム表示を構成するボクセルから(自動的又は使用者によって)選択することができ、この選択された平面に交差するボクセルを識別することができる。次いで、選択された平面の2次元画像を、この選択された平面に交差するボクセルに対応するエコーサンプルのみをビーム形成により形成することができる。次いで、全超音波照射体積の3次元データを同時に収集している間に、選択された2次元画像平面をリアルタイムで表示することができる。
収集された全3Dエコーデータをビーム形成し、後により処理能力の高い装置を用いてレビューすることができる。一部の実施態様では、ビーム形成して表示されるべき2Dスライスは、イメージング装置によって自動的に選択することができる。あるいは、ビーム形成されて表示されるべき2Dスライスは、装置の操作者によって選択又は調整することができる。
(データ収集及びオフライン分析)
様々な実施態様では、点源送信トランスデューサから送信されて受信トランスデューサ素子の1つ以上のアレイによって受信されたピングから得られる生の非ビーム形成エコーデータを収集して、後の取り出し及び分析のために生データメモリ装置に保存することができる。あるいは、収集したエコーデータを、遠隔での処理、ビーム形成、及び/又は表示のためにネットワークを介してデジタル送信することができる。エコーデータに加えて、追加のデータを、ネットワークを介して保存及び/又は送信し、後の及び/又は遠隔での画像の形成及び分析のために取り出すこともできる。このような追加のデータは、送信及び受信トランスデューサ素子の位置を表す校正データ、及び特定のエコーデータに関連した送信トランスデューサの識別(又は位置)を表す送信データを含み得る。
このようなデータの取り出し後に、医師は、該データを使用して、ライブイメージングセッション中にできないこともある調整をしながら、様々な方法でイメージングセッションを再構築することができる。例えば、目的の領域の表面を通過する2Dトランスデューサをシミュレーションするために、3Dボリュームを通る一連の2Dスライスの画像を形成して連続的に表示することができる。これら及び他の方法の例が、本出願者の米国特許出願公開第2014/0058266号(名称:「超音波イメージングシステムのメモリアーキテクチャ(Ultrasound Imaging System Memory Architecture)」)及びPCT特許出願公開第WO2016/028787号(名称:「ネットワークベースの超音波イメージングシステム(Network-Based Ultrasound Imaging System)」)に記載されている。
患者の体全体又は患者の体の相当な部分を画像化するように構成されたプローブの一部の実施態様は、患者の体の所望の領域の相当な部分をカバーする大きさの、見かけ上の点源送信機及び受信素子のアレイを含み得る。例えば、プローブは、患者の胸の実質的に半分以上をカバーする大きさにすることができる。このようなプローブは、約8cm〜約10cmの最大寸法を有し得る。
あるいは、例えば、+又は−30度の円錐状体積を超音波照射することができるかなり小さいプローブを、目的の臓器が該円錐内に含まれ得るように患者の体に配置することができる。このようなプローブは、より大きな目的の体積をカバーするために2つ以上の場所に配置することができる。
(画像化される媒体中の物体の動きの検出)
特定の医療用途及び非医療用途では、画像化される媒体内の構造の位置及び非常に小さい運動を高い精度と正確さ、そして非常に短い待ち時間(即ち、非常に速い応答)で監視することが望ましいであろう。一般に、これらのゴールを達成するためのシステム及び方法は、本明細書では、動き検出及び/又は動きトラッキングと呼ばれることがある。例えば、特定のロボット外科手術用途では、外傷又は損傷を最小限にするために、外科手術が行われる体の部分の非常に小さな運動を検出し、これに応答することが望ましい。ピングベース多数開口超音波を用いて信頼性の高い物体の動き検出及び動きトラッキングを達成する様々なシステム及び方法が、図1〜図6を参照してこれから説明される。
このような課題のアプローチは、利用可能な超音波イメージングハードウェアによって異なり得る。例えば、場合によっては、幾何学的な受信素子が組み込まれた見かけ上の点源送信機の1つ以上のアレイを用いて標的物体を画像化するように構成された超音波プローブ、又はピングベース超音波イメージング用に構成されたその他のプローブを、高い速度、精度、及び正確さでの動きの検出及びトラッキングに適切に使用することができる。他の実施態様は、プローブ、イメージングシステム、及び動き検出及び/又は動きトラッキングの用途用に特別に構成されたユーザーインターフェイスの使用を伴い得る。動きトラッキングに使用される様々なプローブ及びイメージングシステムの構成の例が以下に提供される。
動き検出及び動きトラッキングのアプローチの例の概要がこれから提供され、次いで、動き検出及び動きトラッキングの実施に使用することができるシステム及び方法の特定の例が提供される。超音波照射された領域内の1つ以上の物体、エリア、又は領域の動きを検出するためのプロセスの様々な実施態様が、図1を参照して説明され、動きをトラッキングするためのプロセスの様々な実施態様が、図2を参照して説明される。
本明細書で使用される「動き検出」又は「動き監視」という句は、1つ以上の監視点に動きがあったか否かの2進(例えば、「非動き」対「動き」)決定を実現するプロセスを指すことがある。動き検出は、超音波照射された平面又は体積内の1つ以上の物体、点、又は他の定義された領域の動きの指示を指すことがある。
本明細書で使用される「動きトラッキング」という語は、検出された動きを説明する1つ以上の測定基準の収集、決定、又は計算を指すことがある。例えば、動きトラッキングは、運動する物体の速度の指示、運動した物体の、ある座標系に対する新しい位置の指示、又は運動している物体若しくは運動した物体を説明する他の測定基準を含み得る。場合よっては、動きを、6つの自由度で検出及び/又はトラッキングすることができる。例えば、x方向、y方向、及びz方向における線形運動及び
図1のプロセスフロー図は、次のステップを含む動き検出プロセス400の一例を例示する:媒体内のトラッキングされるべき物体(又は多数の物体)の画像を得るステップ402、トラッキングされるべき物体の表面又は内部の複数の基準領域を選択するステップ404、各基準領域内の1つ以上の識別特徴を定義するステップ405、一連のトラッキングピングを媒体の中に送信するステップ406;非ビーム形成受信エコーデータにおける各基準領域又は各基準領域の一部を識別するステップ408、非ビーム形成エコーデータ内の各基準領域の位置を監視するステップ410、非ビーム形成エコーデータ内の少なくとも1つの基準領域の位置でのシフトを検出するステップ412、及び動きが生じたことを示す信号を生成するステップ414。
一部の実施態様では、トラッキングされるべき物体の画像を得るステップ402は、媒体内のトラッキングされるべき物体の1つ以上の2次元画像を得ることを含み得る。例えば、イメージングシステムは、動きについて監視するべき物体(又は複数の物体)を含む媒体の少なくとも2つの平面(2次元)画像を表示するように構成することができる。第1の画像平面を、第2の画像平面に対してある角度をなすように向けることができる。第1及び第2の画像平面は、互いに対して直角又はその他の角度にすることができるが、該第1及び第2の画像平面は、同一平面でないのが好ましい。
イメージングシステムは、互いに重複する第1と第2の画像平面の領域を示すようにも構成することができる。所望に応じて、使用者は、第1及び第2の画像平面内に標的物体を再配置するように、画像化されている物体に対してプローブを移動させることができる。一部の実施態様では、複数の基準領域の識別及び/又は選択では、1つの画像平面のみが必要であり得る。
一部の実施態様では、2次元スライスを表示するのではなく、システムは、監視及びトラッキングされるべき1つ以上の物体を含む、画像化される領域の3次元レンダリングを生成して表示することができる。
(基準領域及び識別特徴の選択)
本明細書で使用される「基準領域」及び「基準点」という語は、イメージングシステムによって表示することができる超音波照射領域又は体積内の空間の小さい領域(2次元又は3次元であり得る)を指すことがある。基準領域は、場合によっては、人間に見える又は人間が理解できる表示装置に表示される画像に基づいて選択することができるが、基準領域自体は、所望に応じて目に見える画像を形成することができるイメージングシステムによって生成される規定データセットとしても存在し得る。言い換えれば、基準領域は、ある画像と同じである必要はない(しかしながら、同じである場合もあり得る)。一部の実施態様では、基準領域は、画像を表示することなく選択することができる。
本明細書で使用される「識別特徴」又は「識別特徴点」は、基準領域の全て又は一部を表す、機械が認識できるシグネチャであり得る。識別特徴の特定の例は、本明細書の他の部分に記載される。場合によっては、規定基準領域は、画像化される領域の表示された画像における人間に見える点となるように十分に大きい大きさにすることができる。場合によっては、このような基準領域は、高速運動の検出及びトラッキングに必要又は望まれる大きさよりも大きくすることができる。従って、場合によっては、基準領域内の遥かに小さい機械が認識可能な領域を表す識別特徴を定義することが望ましいであろう。
場合によっては、基準領域のデータセット又は画像全体を、イメージングシステムによって認識される、画像化される領域内のある領域を表す識別特徴として処理して自動的に分析することができる。このような実施態様では、ブロック404で選択された基準領域全体を、ブロック405で識別特徴として定義することができる。
場合によっては、識別特徴は、より大きい基準領域の一部を表す機械が認識可能なシグネチャを実現するように基準領域内で定義され得る「サブ領域」、「サブ体積」、「サブエリア」と呼ばれることがある基準領域の2次元部分又は3次元部分を含み得る。このような場合には、ブロック405に示されているように基準領域に識別特徴を定義することは、識別特徴として基準領域のサブ領域を定義することを含み得る。例えば、基準領域の一部を、該基準領域を常に識別するために使用することができる識別特徴として選択することができる。
一部の実施態様では、識別特徴は、基準領域を表す完全なデータセットのセクションを表す1つ以上のデータサンプルのストリングを含み得る。基準領域を表す完全なデータセットは、基準領域内の点に(例えば、ビーム形成プロセスによって)マッピングすることができる全てのエコーデータサンプルから構成することができる。一部の実施態様では、識別特徴は、基準領域内の不連続点又は連続点を表すデータ点によって定義することができる。基準領域のサブ領域として定義される識別特徴は、サブ領域の点を構成するデータサンプルの収集に関して定義することもできる。
場合によっては、基準領域を定義するステップは、識別特徴として適した領域を定義することを含み得、これにより、基準領域内で識別特徴を定義するための別個のステップの必要性がなくなる。
様々な実施態様では、トラッキングされるべき物体の表面又は内部の複数の基準領域を選択するステップ404は、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の小さい領域の自動選択又は手動選択を含み得る。一部の実施態様では、3つの基準領域を選択することができる。少なくとも3つの非線形基準領域の選択は、6つの自由度で動きを検出及び/又はトラッキングする能力を有益に高めることができる。3つの点のそれぞれの位置が、互いに対して及びプローブに対して既知であり得るため、物体の全ての動きを、6つの自由度で検出及びトラッキングすることができる。
一部の実施態様では、基準領域を選択することは、人間の使用者又は自動ソフトウェアエージェントが、基準領域として使用される特定の領域を識別及び選択することを含み得る。同様に、基準領域内の識別特徴の選択及び/又は定義は、人間の使用者によって手動で、又は自動ソフトウェアエージェントによって自動で行うことができる。場合によっては、基準領域及び識別特徴の選択は、人間の使用者によって誘導されるが、半自動であり得る。例えば、使用者が、カーソル又はポインタをディスプレイの所望の位置に配置することができ、そして自動システムが、該カーソル又は該ポインタに対して所定の位置にある基準領域及び/又は識別特徴を選択することができる。ソフトウェアエージェントは、所定の基準に基づいて、又は人間の使用者によって定義された基準に基づいて基準領域及び/又は識別特徴を選択するように構成することができる。基準領域及び識別特徴が、自動的に選択され定義される場合には、画像を得るステップ402を省略することができる。
一部の実施態様では、基準領域及び/又は識別特徴を定義することは、物体の表面又は内部の対応する領域に関連し、かつ表示画面に表示可能な画像の対応する部分に関連する(エコーデータサンプルの群から構成される)1つ以上のデータセットを定義することを含み得る。基準領域又は識別特徴を表すデータセットは、イメージングシステムの1つ以上の受信トランスデューサ素子によって受信されるデジタル化データを含み得る。場合によっては、基準領域又は識別特徴を表すデータセットは、2つ以上のトランスデューサ素子によって受信されたデータを組み合わせることによって得られるデータを含み得る。例えば、基準領域又は識別特徴を表すデータは、受信開口を構成する複数のトランスデューサ素子によって受信された、コヒーレントに組み合わせられたデータを含み得る。他の実施態様では、基準領域又は識別特徴点を表すデータは、2つ以上の受信開口又は素子によって受信された、コヒーレント又はインコヒーレントに組み合わせられたデータを含み得る。
従って、一部の実施態様では、基準領域は、(人間の使用者によって手動で、又はイメージングシステム若しくは他の計算システムによって自動で)定義することができ、基準領域内の識別特徴を定義するステップは、基準領域内のサブ領域を(手動又は自動で)定義すること、次いで、全サブ領域を表す完全なデータセットの中からデータサンプルの収集として識別特徴を定義することを含み得る。あるいは、基準領域内の識別特徴を定義するステップは、全基準領域を表す完全なデータセットの中からデータサンプルの収集を直接定義することを含み得る。
一部の実施態様では、データサンプルの収集として定義された識別特徴は、非ビーム形成データの識別特徴のサンプル位置の監視による動き検出プロセスの実施において有益であり得る。
一部の実施態様では、識別特徴のエコーサンプルデータセットは、互いに有意な距離離間した少なくとも2つの受信素子によって受信されるエコーに基づいて定義することができる。例えば、一部の実施態様では、受信素子を定義する識別特徴は、選択された受信素子から選択された識別特徴点(又は基準領域)に至る光線が、可能な限り90度に近い角度をなすように選択することができる。識別特徴のデータセットを定義するための受信素子は、素子間の距離に基づいて選択することができる。例えば、識別特徴のデータセットは、互いに少なくともX cm離間した2つの素子によって受信された、選択された識別特徴に対応するエコーデータとして定義することができ、Xは、少なくとも2cm、少なくとも3cm、少なくとも4cm、少なくとも5cm、少なくとも6cm以上であり得る。
一部の実施態様では、識別特徴は、1つ以上の認識可能なピーク及び/又はトラフを含み得、これらのピーク及び/又はトラフは、エコー信号に異なるピーク及び/又はトラフを形成し得る硬い反射体及び/又は送信ピングパターンを示唆し得る。場合によっては、ピーク又はトラフは、エコーデータにおける局所の極大又は極小に基づいて生の非ビーム形成エコーデータで認識可能であり得る。
様々な実施態様では、基準領域又は識別特徴点(又は両方)によって定義される領域の物理的なサイズは、様々な因子、例えば、イメージングシステムによって使用されるトランスデューサ又はトランスデューサアレイの物理的なサイズ及び画像化される物体自体のサイズによって、ほんの1平方ミリメートルから数平方センチメートル以上の範囲であり得る。医療用イメージングの例の場合には、超音波イメージングトランスデューサアレイは、およそ約1平方センチメートル〜約100平方センチメートルのサイズを有し得、基準点は、およそ約1平方ミリメートル、0.1mm2、0.0625mm2、0.05mm2、またはそれ未満の物理的領域を表し得る。
場合によっては、基準領域又は識別特徴(又は両方)は、特定のイメージングシステムのどの分解可能な物体よりも遥かに小さい領域を表し得る。言い換えれば、基準領域又は識別特徴点は、画像化される物体内の実際に目に見える構造を表す必要はない。このような場合には、基準領域又は識別特徴は、イメージングフィールド内の選択された点におけるイメージングシステムのアーティファクト、ノイズ、又は他のひずみ及び/又は特性を実際に含み得る。ある場合には、基準領域又は識別特徴は、多数の反射体を含み得るが、他の場合には、基準領域又は識別特徴は、1つの反射体を含んでも良いし、又は人間に見える反射体を含まなくても良い。動き検出又は動きトラッキングに使用されているイメージングシステムが、送信超音波又は他のエネルギーに基づいている場合は、基準領域は、反射体を一切含まなくて良い。
一部の実施態様では、識別特徴点を定義することは、イメージングシステムによって分解可能な最も小さい細部のサイズの半分未満である最大寸法(例えば、円の直径、長方形の対角線寸法など)を有する点を定義することを含み得る。一部の実施態様では、識別特徴点を定義することは、イメージングシステムによって分解可能な最も小さい細部のサイズの4分の1未満である最大寸法を有する点を定義することを含み得る。一部の実施態様では、識別特徴点を定義することは、イメージングシステムによって分解可能な最も小さい細部のサイズの10分の1未満である最大寸法を有する点を定義することを含み得る。
一部の実施態様では、識別特徴点を定義することは、イメージングシステムによって送信される超音波の波長の半分未満である最大寸法を有する点を定義することを含み得る。一部の実施態様では、識別特徴点を定義することは、イメージングシステムによって送信される超音波の波長の4分の1未満である最大寸法を有する点を定義することを含み得る。一部の実施態様では、識別特徴点を定義することは、イメージングシステムによって送信される超音波の波長の10分の1未満である最大寸法を有する点を定義することを含み得る。一部の実施態様では、識別特徴点を定義することは、イメージングシステムによって送信される超音波の波長の100分の1未満である最大寸法を有する点を定義することを含み得る。
それぞれの基準領域及び/又は識別特徴は、トラッキングされるべき物体の表面又は内部にあることが分かっている小さい領域を含み得る。例えば、トラッキングされるべき物体が骨(例えば、大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨など)である場合は、選択される基準領域及び/又は識別特徴は、骨の表面、緻密骨の内部、海綿骨の内部、又は骨髄の中に存在し得る。このような特徴は、本明細書で説明されるピングベース多数開口超音波イメージングシステム又は他のイメージングシステムによって形成される画像で操作者が見ることができ、かつ認識可能であり得る。
一部の実施態様では、トラッキングされるべき標的物体を識別する特徴は、適切に訓練されたニューラルネットワーク又は他のコンピュータ支援検出システムによって自動的に認識することができる。基準領域及び/又は識別特徴はまた、軟組織、臓器、筋肉、軟骨、体液、手術用具、針、カテーテル、ロボット外科手術装置、又はその他の識別可能な構造若しくは物質の表面又は内部で識別することができる。
一部の実施態様では、基準領域及び/又は識別特徴として使用される高度のコントラストを有する領域を選択することが望ましいであろう。例えば、このような実施態様では、基準領域及び/又は識別特徴点は、白色によって取り囲まれた暗い領域、又は黒色で取り囲まれた実質的に白い領域を含み得る。他の実施態様では、全ての目に見えるコントラストのレベルの領域を、基準領域及び/又は識別特徴点として使用することができる。一部の実施態様では、基準領域及び/又は識別特徴点の分析は、どの目に見える構造よりも小さい尺度で行うことができ、このため、人間に見えるコントラストは、選択された基準点又は識別特徴点が、処理システムが識別できる特徴を含む限り、重要ではないであろう。
基準領域及び/又は識別特徴点は、あらゆる所望の形状、例えば、正方形、長方形、円形、又は無定形とすることができる。基準領域及び/又は識別特徴点はまた、あらゆる所望のサイズとすることができる。例えば、基準領域及び/又は識別特徴点は、1平方ミリメートル未満、2、3平方ミリメートル、数平方ミリメートル、又はそれ以上のサイズの領域を含み得る。
例えば、基準領域又は識別特徴点は、直径が約1 mm、0.5 mm、0.25 mm、0.022 mm、又はそれ未満の無定形領域を含み得る。別の例では、基準領域又は識別特徴点は、約1〜100平方ナノメートル以下の正方形又は長方形の領域を含み得る。一部の実施態様では、識別特徴点は、送信される超音波信号の波長(λ)の倍数又は数分の1である側面又は直径を有する正方形、長方形、円形、又は他の形状とすることができる。例えば、識別特徴点は、λ、2×λ、3×λ、4×λ、又はそれよりも大きい波長の倍数、又は0.75λ、0.5λ、0.25λ、又はそれよりも小さい波長にほぼ等しい側面又は直径を有し得る。
一部の実施態様では、基準領域又は識別特徴点は、人間の患者の物体では、約1 mm〜約100 mm以上互いに有益に離すことができる。動物患者又は産業的応用では、点間の遥かに広い距離、例えば、最大1メートル又は最大10メートル以上を使用することができる。他の実施態様では、識別特徴点は、画像平面の全範囲ほど大きく、互いに有益に離すことができる。画像平面の全範囲は、因子、例えば、使用されるプローブのサイズ、ズームのレベル、及び他の因子によって異なり得る。点間のより広い離隔は、物体の動き検出でのより高い感度を可能にし得る。
基準領域又は識別特徴点の選択は、例えば、人間の操作者がユーザーインターフェイス装置によって1つ以上の点を選択するなど、手動にすることができる。例えば、使用者は、第1の画像平面が第2の画像平面に重複している領域において第1の基準領域又は識別特徴点を選択することができる。適切な点が、重複する領域で確認できない場合は、プローブは、基準領域又は識別特徴点として使用するのに適した点が交差領域にくるまで再配置することができる。使用者は、第1の画像平面において第2の基準領域又は識別特徴点を選択することができる。使用者は、第2の画像平面において第3の基準領域又は識別特徴点を選択することができる。実施態様の他の例では、第1の基準領域又は識別特徴点は、重複する領域以外の第1又は第2の画像平面の領域に存在し得る。実施態様の更に他の例では、第1の基準領域又は識別特徴点は、第1の画像平面又は第2の画像平面のいずれとも同一平面上にない第3の画像平面に存在し得る。
あるいは、基準領域又は識別特徴点の選択は、例えば、所定の基準、例えば、上記された基準、又は他の基準のセットを満たす点を自動的に識別して選択するように1つ以上の画像のソフトウェアによる評価によって部分的に又は完全に自動化することができる。
例えば、一部の実施態様では、多数の基準領域又は識別特徴点を選択することは、物体の表示画像における目的の物体に点選択アイコンを配置することを含み得る。点選択アイコンは、2次元形状、例えば、三角形、二等辺三角形、正方形、長方形、又は別の多角形を含み得る。多角形点選択アイコンの線形セグメントに沿ったそれぞれの頂点又は他の点は、基準領域又は識別特徴点を表すことができる。従って、一部の実施態様では、使用者が、ユーザーインターフェイスを操作して点選択アイコンを標的物体の画像の所望の領域に配置することができ、かつコンピュータシステムが、該アイコンに対して識別された領域からの適切な基準領域又は識別特徴点、例えば、多角形内の点、多角形の頂点の点、多角形の線形セグメントに沿った点、又はアイコンに対して定義された他の点を選択することができる。様々な実施態様では、点選択アイコンは、湾曲部、無定形、円形、楕円形、又は他の形状を含み得る。
一部の実施態様では、点選択アイコンのサイズは、ユーザーインターフェイス装置の操作によって調整することができる。あるいは、点選択アイコンは、特徴を定義する識別特徴点間の固定距離を有し得る。基準領域又は識別特徴点を互いにかなりの距離だけ離すことにより、改善された動きトラッキングを提供することができる。
(トラッキングピングの送信)
様々な実施態様では、一連のトラッキングピングを媒体の中に送信するステップ406は、1つの送信素子から所定のピング繰り返し率でピングを送信することを含み得る。一部の実施態様では、トラッキングピングの送信に使用される1つの送信素子は、見かけ上の点源送信機(例えば、米国特許出願公開第2015/0080727号(名称:見かけ上の点源送信トランスデューサを用いる超音波イメージング「(Ultrasound Imaging Using Apparent Point-Source Transmit Transducer)」に記載されている)、又はその他の送信トランスデューサ、又は点源を近似するトランスデューサ素子若しくは微細素子の組み合わせであり得る。他の実施態様では、トラッキングピングの送信に使用される1つの送信素子は、線形アレイの素子であり得る。他の実施態様では、トラッキングピングは、2つ以上の送信トランスデューサ素子から同時に又は連続的に送信することができる。一部の実施態様では、トラッキングピング送信トランスデューサ素子は、受信素子と同じプローブに配置することができる。一部の実施態様では、送信トランスデューサ素子は、受信トランスデューサ素子を含むプローブから独立させることができる。
上記のように、場合によっては、識別特徴は、生の非ビーム形成エコーデータで識別可能であり得る1つ以上のピークを含み得る。このような実施態様では、各トラッキングピングは、インパルスを近似する波形で送信することができる。例えば、トラッキングピング送信機は、各トラッキングピングに対して1つのピークを有する三角形の波形で駆動することができる。戻りエコーは、受信パルスのピークを十分な精度で区別して所望の程度の動きを識別することができる時間の開きが十分に小さい認識可能なピークを有し得る。受信ピークのあらゆる時間シフトは、物体中の音速に基づいた該物体とプローブとの間の距離の変化に関連し得る。従って、ピークを認識することができる精度は、動き検出の所望の精度に関連し得る。
他の実施態様では、動き検出は、識別特徴の監視位置に基づいて行うことができ、この識別特徴は、1つ以上の識別可能なピークを必ずしも含まなくても良いがデータストリングとして識別可能であり得る生の非ビーム形成データのパターンであり得る。このような実施態様では、トラッキングピングは、著しいピークを有する必要はなく、他の信号の形状、例えば、部分正弦波サイクル、全正弦波サイクル、正弦波半サイクル、コード化励起信号の形状、又はその他の形状の部分サイクル若しくは全サイクルを有し得る。このような実施態様では、動き検出プロセスは、反射ピークの位置を監視するのではなく、以下に更に説明されるように識別特徴の位置を監視することができる。
ピング送信に関する別の重要な変数は、ピング繰り返し率である。最大ピング繰り返し率は、所与の超音波周波数、媒体の所与の最大深度、画像化される媒体の所与の音速、及び画像化される媒体中の超音波の減衰率に基づいて決定することができる。このような変数(及び/又は他の変数)の所与の数量については、最大ピング繰り返し率は、1つのピングがトラッキングピング送信素子(複数可)から媒体中の最も深い点に移動し、そしてトランスデューサアレイの最も遠い受信素子に戻るために必要な最大の往復移動時間によって定義することができる(最も深い点は、戻るエコー信号の最小の許容可能なSN比に少なくともある程度は基づいて定義することができる)。第1のピングのエコーは、後続の第2のピングが該第1のピングの送信後の最大往復移動時間の直後に送信される場合は、該第2のピングのエコーと非常に容易に区別することができる。従って、一部の実施態様では、所定のピング繰り返し率は、特定の超音波周波数、深度、及び音速でのピングの最大往復移動時間の逆数であり得る。言い換えれば、所定のピング繰り返し率は、tRT秒ごとに1つのピングを送信することを伴うことができ、tRTは、特定の超音波周波数、深度、及び音速でのピングの最大往復移動時間に等しい。
代替の実施態様では、トラッキングピングは、特定の超音波周波数、深度、減衰率、及び音速でのピングの最大往復移動時間よりも速いレートで送信することができる。ピングの最大往復移動時間よりも速いトラッキングピング(又は画像ピング)の送信は、より速い動き検出応答時間、より速い動きトラッキング更新時間、及びより高いフレームレートを可能にし得る。このようなより高いピングレートは、一部の例が以下に提供される様々な技術を用いることによって可能である。
一部の実施態様では、トラッキングピングは、基準領域及び/又は識別特徴点が全て互いに同じ深度範囲内であるように選択される場合は、特定の超音波周波数、深度、減衰率、及び音速でのピングの最大往復移動時間よりも速いレートで送信することができる。このような実施態様では、(例えば、深い又は遠い反射体からの)第1のピングの遅い到着エコーは、(例えば、浅い又は近いフィールドの反射体からの)第2の後続ピングの早い到着エコーと区別することができない。
図3は、2つの連続的に送信されたピングから受信されたエコーを概略的に例示している。左カラム502は、一連のブロックを含み、それぞれのブロックは、ピング番号「N」と呼ばれる第1のピングのエコーから収集されたサンプル又はサンプルの群を表している。右カラム504のブロックは、ピングNの直後に送信された後続のピングのエコーから収集されたサンプルを表している。図3の例示では、深さ(即ち、送信素子からの画像化される物体への距離)とピング送信からの時間との両方が、垂直軸506によって表されている。第2のピング(N+1)が、第1のピングNからの最も深いエコー508を受信する前に送信される場合は、第2のピングN+1の最も浅いエコー510が、第1のピングNの最も深いエコー508と時間的に重複することになる。第1のピングNのエコーと第2のピングN+1のエコーとを区別するために利用可能な他の方法が存在しない場合は、深いエコー508と浅いエコー510との重複は、互いに干渉することがあり、これらの重複しているエコーに基づいたイメージング又は動きトラッキングに問題が起きる。
しかしながら、最も深いエコー508と最も浅いエコー510との間の中間フィールド領域のエコー512は、重複が全く存在しないであろう。従って、このような重複するエコーの戻りが存在しない中間フィールド領域に存在することが分かっている識別特徴点を選択することにより、トラッキングピングの送信レートを、動き検出プロセス又は動きトラッキングプロセスを悪化させることなくピングの往復移動時間よりも増加することができる。連続するピングの重複するエコーが存在しない中間フィールド領域は、本明細書では、「自由深さ範囲」と呼ぶことがある。ピング繰り返し率が増加すると(即ち、ピングが、これらの間の短い時間間隔で送信されると)、自由深さ範囲のサイズが小さくなる。
従って、一部の実施態様では、基準領域又は識別特徴点の選択は、所望のトラッキング−ピングの送信レートに基づいて定義され得る深さ領域に制限することができる。広い自由深さ範囲は、低いトラッキングピング数/秒に相当し得るが、より狭い自由深さ範囲は、高いトラッキングピング数/秒の送信を可能にし得る。一部の実施態様では、基準領域又は識別特徴点を選択することができる自由深さ範囲を、グラフィック表示上で使用者に示しても良いし、又はユーザーインターフェイスが、決定された自由深さ範囲外に存在する基準領域又は識別特徴点を使用者が選択するのを防止しても良い。一部の実施態様では、使用者は、トラッキングピングの送信レート及び/又は許容される識別特徴点の選択範囲の幅を調整することができる。基準領域又は識別特徴点の自動選択の場合には、自動プロセスは、自由深さ範囲外の基準領域又は識別特徴点の選択を回避し、かつ自由深さ範囲内の基準領域又は識別特徴点のみを選択するように構成することができる。
場合によっては、図3に示されている「最も深い」エコーよりも深い超音波信号は、減衰し過ぎて重複による問題を引き起こすと考えられ得る。超音波の減衰率は、超音波周波数で変化するため、自由深さ範囲のサイズは、送信超音波ピングの周波数を変化させることによっても変更することができる。医療用イメージングの場合には、平均的な人間の組織での減衰率は、一般に、片道の移動で約0.5 dB/MHz/cmが許容される。異なる媒体の減衰率は、異なる傾向にある。
一部の実施態様では、送信超音波の周波数もまた、自由深さ範囲の最深端部よりも実質的に深い反射体からのエコーを最小化するように選択することができる。超音波周波数は、画像化されるべき媒体中での、その周波数での超音波の減衰率に基づいて選択することができる。高い周波数の超音波は、距離を移動するときに低い周波数の超音波よりも高いレートで減衰するため、自由深さ範囲よりも実質的に深い領域からのエコーが後続のピングの浅いエコーと干渉する前に十分に減衰される周波数を選択することができる。従って、一部の実施態様では、トラッキングピング送信周波数は、所望の自由深さ範囲のサイズに基づいて手動又は自動で調整することができる。
一部の実施態様では、イメージングピングはまた、使用中の超音波周波数の全往復移動時間の逆数よりも大きいレートで送信することができ、かつビーム形成領域(及び/又は表示された画像の領域)を自由深さ範囲に限定することができる。自由深さ領域の画像のみを表示することにより、重複するピングを送信することによって引き起こされる重複するエコーからのあらゆるアーティファクト又は他の悪影響を回避することができる。
この技術は、標的媒体内の狭い領域の非常に高いフレームレートのイメージングを行うために使用することができる。この技術を行うためのプロセスは、(上記の)自由深さ領域の浅い縁及び深い縁を定義するステップ、該自由深さ領域に対応するエコーデータサンプルを識別するステップ、識別されたサンプルをビーム形成して自由深さ領域(又は自由深さ領域内のサブ領域)の画像の高フレームレートのセットを形成するステップ、及び自由深さ領域の画像を表示するステップを含み得る。このようにして、(例えば、本明細書の画像層の組み合わせのセクションで説明された)各フレームを形成するために組み合わせられるピングの数によって、1秒当たり10,000フレーム以上のフレームレートのイメージングを達成することができる。
様々な実施態様では、1つのピングのエコーを別のピングのエコーと区別する1つ以上の他の方法を、(単独で又は上記の方法と組み合わせて)使用することもできる。このような他の方法は、各「ピング」がユニークに認識可能な波形形状を有する「コード化励起」技術を含み得る。このような他の方法は、第1の周波数で第1のピングを送信すること、及び第2の異なる周波数で第2のすぐ後のピングを送信することを含み得る。次いで、第1のピングのエコーを、受信される超音波信号の周波数に基づいて第2のピングのエコーと区別することができる。
(エコーデータにおける識別特徴の識別及び監視)
一部の実施態様では、図1における非ビーム形成受信エコーデータの各識別特徴を識別するステップ408は、識別特徴点の領域内の1つの反射体での送信トラッキングピングの1つ以上のピークを識別することを含み得る。上記のように、トラッキングピングは、可能な限り尖った点に近い短いピークを有する波形形状で送信することができる。
一部の実施態様では、図1における非ビーム形成受信エコーデータの各識別特徴を識別するステップ408は、識別特徴を表すデータサンプルのパターンを識別することによって該識別特徴を識別するステップを含み得る。場合によっては、識別特徴のデータサンプルパターンを識別することは、2つ以上の素子のデータサンプルを最初に加算すること、及び/又は別の方法でデータを変換することを含み得る。場合によっては、1つ以上の識別特徴のデータストリングを識別することは、ストリングの近似照合を識別することを含み得る。近似照合は、所定閾値よりも低い値を有するレーベンシュタイン距離(又は他のストリング距離)に基づいて決定することができる(即ち、予想レンジゲート内のストリングが、既に識別された識別特徴の所定のレーベンシュタイン距離内である場合は、識別特徴のデータストリングを検出することができる)。
他の実施態様では、動き検出は、動きトラッキングプロセスを参照して以下に説明されるように画像化される領域内のビーム形成識別特徴の位置を監視することによって行うことができる。
様々な実施態様では、非ビーム形成エコーデータ内の各識別特徴点の位置を監視するステップ410は、それぞれの選択された識別特徴点を取り囲むレンジゲート内のデジタルサンプルを監視することを含み得る。次いで、検出された識別特徴の時間上の位置を、それぞれの連続トラッキングピングのエコーデータで(又はアナログエコー信号で)監視することができる。識別特徴が、時間内に(又は一連のデジタルサンプルのサンプル位置で)シフトしているように見える場合は、このようなシフトは、識別特徴点のプローブに対する移動を示唆し得る。多数の受信素子の有利な点から(例えば、少なくとも3つの非同一線上の点における)多数の点を監視することは、6つの動き度のいずれかにおける動きの検出を有益に可能にし得る。
各識別特徴点での反射体のエコーは、プローブの全ての受信素子によって受信することができる。従って、各受信素子が、各受信素子によって受信されたデジタル化エコーをデジタル形式で保存できるように別個の受信チャネルに結合される場合は、基準領域内から識別特徴の時間上の位置を、各受信素子の有利な点から独立して監視することができる。従って、各受信素子は、反射識別特徴の時間上の位置とは独立した視点を有し得る。識別特徴及び基準領域が、各受信素子に対して異なる距離である可能性が高いため、監視されるべきレンジゲートを定義するデジタルサンプルの範囲は、典型的には、各素子で異なり得る。従って、レンジゲートの表を、各受信素子チャネルで監視されるべきレンジゲートを定義するために作成することができる。
監視されるべきレンジゲートのサイズは、時間で、サンプル数で、又はその他の適切な測定基準によって測定することができる。監視されるべきレンジゲートのサイズは、(必要な処理時間を制限するために)可能な限り小さくすることができるが、トラッキングピング間に起こり得る予想される運動の範囲を検出するために必要な大きさである。
(識別特徴の位置のシフトの検出)
様々な実施態様では、非ビーム形成エコーデータ内の少なくとも1つの基準領域の位置のシフトを検出するステップ412は、識別特徴の時間上の位置における検出されたシフトが閾値シフトを超えていることを決定することを含み得る。例えば、様々な実施態様では、動きを表すとして解釈される識別特徴の位置のシフトのサイズは、いくつかある因子の中で特に、望まれる信頼度によって異なり得る。
一部の実施態様では、非ビーム形成エコーデータ内の少なくとも1つの基準領域の位置のシフトを検出するステップ412は、多数の受信素子からの結果を「動き」又は「非動き」の1つの表示にまとめることを含み得る。各受信素子が、動きが検出されたか否かの独立した指示を提供する場合は、一部の実施態様では、この動きは、少なくともXの受信素子からのデータが少なくとも1つの識別特徴点の運動が生じたことを示すかどうか示すことができる。「X」は、特定の適用例に望ましい信頼度によって決まる、1つの素子から利用可能な全ての受信素子までのうちのいずれかの数であり得る。例えば、一部の実施態様では、動きの2進表示は、それぞれの送信されたトラッキングピングのエコーについて各素子で決定することができる。値1が運動を示し、かつ値0が非運動を示す場合は、全ての素子の結果を加算することができ、集合的な結果を評価して運動が生じたか否かを決定するために合計閾値を設定することができる。他の実施態様では、全ての素子からの結果を平均化することができ、そして動きが生じたか否かを決定するために平均閾値を設定することができる。更なる実施態様では、他の集約アルゴリズムを使用することができる。
他の実施態様では、動きを検出するために使用される受信素子は、プローブ全体に亘って互いに離間させることができる。一例では、少なくともXの距離互いに離間した3つ以上の素子を、識別特徴の位置の変化を検出するためにポーリングすることができる。Xの値は、プローブのサイズによって決めることができ、そして一部の実施態様では、可能な限り長い距離にすることができる。一部の例では、Xは、少なくとも1cm、少なくとも2cm、少なくとも3cm、少なくとも4cm、少なくとも5cm、少なくとも6cm、少なくとも7cm、又はそれ以上とすることができる。場合によっては、プローブの周りの離間した3つの位置のそれぞれにおける2つ、3つ、又はそれ以上の受信素子の群を使用することができる。このような場合、識別特徴点の位置を監視するステップ(410)及び識別特徴点の位置のシフトを検出するステップは、これらの選択された受信素子に対応するエコーデータを監視することを含み得る。
(動きの指示)
様々な実施態様では、動きが生じたことを示す信号を生成するステップ414は、イメージングシステムの動き検出ブロックから動きトラッキングブロックにデジタル信号又はアナログ信号を供給することを含み得る。一部の実施態様では、動きが生じたことを示す信号を生成するステップ414は、動きが生じたという指示を人間の操作者に提供することを含み得る。例えば、人間の操作者への指示は、光を照射すること、光を消すこと、光を点滅させること、表示画面にメッセージを表示すること、音を発生させること、又はその他の指示を含み得る。一部の実施態様では、動きが生じたことを示す信号を生成するステップ414は、装置、例えば、ロボット外科手術の構成要素、例えば、レーザー、エネルギー源、機械的カッター、又は他の装置の動作を停止させる信号を送信することを含み得る。
一部の実施態様では、動きが生じたという指示に応答して、データ記録プロセスを開始することができ、このとき、動き検出前の所定の時間から動き検出後の所定の時間までに送信された全てのトラッキングピングの生エコーデータが、不揮発性メモリ装置に保存される。例えば、システムは、動きが検出されたときに一定期間に亘って(又は使用者がデータの記録を停止するまで)全てのピング及びエコーデータを保存するために循環バッファ及び命令を含み得る。
(基準領域の動きトラッキング)
図2のプロセスフロー図は、以下のステップを含む動きトラッキングプロセス420の一例を例示している:媒体内のトラッキングされるべき物体の画像を得るステップ422、該トラッキングされるべき物体の表面又は内部の複数の基準領域を選択するステップ424、該基準領域内で識別特徴を定義するステップ425、一連のトラッキングピングを該媒体の中に送信するステップ426;動きが生じたことを示す信号を受信するステップ428、少なくとも1つの識別特徴点の運動前の画像をビーム形成するステップ430、識別特徴点を取り囲んでいる探索領域を定義するステップ432、運動後のエコーデータを用いて探索領域の画像をビーム形成するステップ434、該運動前の画像で識別された識別特徴パターンについて探索領域の該運動後の画像を探索するステップ436、及び識別特徴点(複数可)の新しい位置を識別するステップ438。一部の実施態様では、新しい位置を、外部装置、例えば、ロボットアーム、超音波プローブの位置を監視するトラッキングシステム、又はその他の電子若しくは電気機械システムに伝達することができる。一部の実施態様では、識別特徴点(複数可)の新しい位置を識別した後に、プロセス420は、ブロック426に戻って、識別特徴点の位置をその新しい位置から引き続きトラッキングすることができる。
様々な実施態様では、媒体内のトラッキングされるべき物体の画像を得るステップ422、該トラッキングされるべき物体の表面又は内部の複数の基準領域を選択するステップ424、該基準領域内で識別特徴を定義するステップ425、及び一連のトラッキングピングを該媒体の中に送信するステップ426は、図1を参照して上記説明されたステップと実質的に同じであり得る。
一部の実施態様では、識別特徴は、イメージングシステムの横方向及び/又は軸方向分解能限界よりも小さい大きさにすることができる。このような実施態様では、識別特徴点は、物体の実際に見える特徴ではなく物体の内部又は表面の特定の点における送信波面のパターンを表すことができる。このような実施態様では、識別特徴点のトラッキングは、トラッキングされるべき物体において互いに対してかなりの角度で交差する波面を生成するイメージングシステムによって改善することができる。例えば、波面が、識別特徴点において互いに対して約90度で交差する場合、交差する波面のパターンのビーム形成された表現は、他の同様に位置する領域と比較して、超音波照射フィールドの少なくとも局所領域内で実質的にユニークであり得る。一部の実施態様では、このような表現は、(このような点が実際に表示されるか否かにかかわらず)表示されるときに交差する線の斜交平行パターンを含み得る。
図4A及び図4Bは、本明細書で説明される多数開口ピングベース超音波イメージングシステムを用いて収集されたデータから得られた斜交平行識別特徴パターン550a、550bのある例を例示している。パターン550a、550bは、パターンを強調するために誇張された黒と白で示されている。イメージングシステムでは、パターンは、グレースケールで形成することができ、従って、より微妙な細部を提供することができる。とはいえ、図4A及び図4Bの例示は、説明されているパターンの種類を提示するのに十分である。
図4A及び図4Bのパターンは、イメージングシステムの分解能力のほんの一部である領域と識別特徴点での波形との相互作用から生じる斜交平行を示している。これらのパターンは、画像化される媒体内のいかなる実際の物理的構造も表す必要はないが、プローブと選択された点との間の画像化される媒体での変化が、選択された点に現れる波形のパターンに影響を与え得る。
本明細書の他の部分で説明されるように、交差する対角線のパターンは、互いに最も離れて位置する素子が、選択された基準点の著しく異なる視野角を提供し得るほど十分に広い超音波プローブを用いることによって形成することができる。これらの視点を1つの画像に加算することにより、図示されているような対角線が交差するパターンを形成することができる。
場合によっては、(互いに対して傾斜していても傾斜していなくても良い)多数の物理的に分離された受信アレイを備えたプローブは、このようなユニークな波形交差パターンを達成することができる。他の場合には、アレイの範囲に最も近い素子が識別特徴点で実質的な見る角度(例えば、垂線に対して0度よりもかなり大きい最大で約45度以上の角度)を有するほど十分に広い受信アレイを備えたプローブが、所望のユニークな波形交差パターンを提供することができる。プローブ構成の更なる例が以下に説明される。
一部の実施態様では、少なくとも3つの非同一線上の点を識別特徴点として選択することが望ましいであろう。非同一線上の点を選択することにより、あらゆる方向のあらゆる動きが検出されるという信頼性を高めることができる。一部の実施態様では、動きを3次元で十分に検出及び/又はトラッキングできる十分な距離互いに離間した点を選択することも望ましいであろう。
様々な実施態様では、動きが生じたことを示す信号を受信するステップ428は、上記の動き検出プロセスから生じる信号を受信することを含み得る。他の実施態様では、動きが生じたことを示す信号を受信するステップ428は、異なる動き検出プロセスに基づいて異なるシステムからの信号を受信することを含み得る。様々な実施態様では、この信号は、動きが検出された識別特徴点の数及び/又は識別を示すことができる。
様々な実施態様では、少なくとも1つの識別特徴点の運動前の画像をビーム形成するステップ430は、識別特徴点として定義された画像化される物体の領域のみ、又は動きが示された識別特徴点として定義された領域のみをビーム形成することを含み得る。識別特徴領域は、人間に見える、機械可読、又は両方であるユニークなパターンを含み得る。このユニークなパターンは、識別特徴点の動きをトラッキングするためにより大きい領域内でトラッキングされ得る識別特徴を定義することができる。言い換えれば、少なくとも1つの識別特徴点の運動前の画像をビーム形成するステップ430は、識別特徴点として定義された画像の領域以外のどの画像の領域もビーム形成しないことを含み得る。
一部の実施態様では、運動前の画像をビーム形成するステップ430は、定義された識別特徴点よりも大きい領域(例えば、ブロック424で定義された基準領域全体)をビーム形成することを含み得、かつビーム形成された領域のサブセクションを識別特徴パターンとして選択することができる。一部の実施態様では、サブセクションは、識別特徴点として定義された領域に対応し得る。一部の実施態様では、運動前の画像としてビーム形成された領域は、以下に記載されるように探索領域として定義された領域であり得る。
ソフトウェアベースのビーム形成は、ある程度の処理時間を伴い得るため、ビーム形成を可能な限り小さい領域に最小化することにより、物体の運動をトラッキングするために必要な処理時間を実質的に短縮することができる。一部の実施態様では、探索領域及び/又は1つ、2つ、3つ、若しくはそれ以上の識別特徴点のそれぞれの識別特徴点領域を、並列プロセスで同時にビーム形成することができる。
識別特徴点及び識別特徴点を取り囲んでいる探索領域に対応するデータサンプルを、送信及び受信トランスデューサ素子の既知の位置、画像化される媒体中での送信及び受信超音波信号の音速、並びに受信及び送信信号のタイミングに基づいて識別することができる。従って、一部の実施態様では、識別特徴に対応するデータサンプルは、識別特徴点が定義された時点で識別することができる。この情報に基づいて、ビーム形成されるべき領域に対応するデータサンプルを、効率的に配置し、取り出し、そして画像を形成するため又は直接評価してパターンを検出するために使用することができる。
様々な実施態様では、運動前の画像をビーム形成するステップ430は、その最中に動きが検出されたピングの直前のピングから受信したエコーをビーム形成することを含み得る。言い換えれば、トラッキングピングをP0〜Pnに連続的に付番できると仮定し、ピング番号P6のエコーと比較したピング番号P7のエコーにおける識別特徴のシフトに基づいて動きが検出された場合は、各試験領域又は各識別特徴点を取り囲んでいる全ての領域の運動前の画像を、ピング番号P6、P5、又はそれよりも前のピング(例えば、P0〜P6のいずれか)のいずれかのエコーを用いて形成することができる。一部の実施態様では、既に送信されたピングのエコーは、動き検出の前に受信されたエコーの分析を容易にするために循環バッファに保存することができる。
一部の実施態様では、各識別特徴点の周りの運動前にビーム形成された領域のサイズは、定義された識別特徴点のサイズと全く同じであり得る。他の実施態様では、各識別特徴点の周りのビーム形成された領域は、識別特徴点よりも僅かに又は相当大きい、例えば、識別特徴点よりも10%大きい、20%大きい、30%大きい、50%大きい、識別特徴点の1.5倍、2倍、3倍、又はそれ以上であり得る。
様々な実施態様では、各識別特徴点を取り囲んでいる探索領域を定義するステップ432は、識別特徴が、評価されるべき運動前の画像と運動後の画像との間の時間に移動した可能性がある範囲の領域を定義することを含み得る。例えば、識別特徴点が、いずれかの方向において該識別特徴点の幅の100%を都合よく移動した可能性がある場合は、探索領域は、識別特徴点が移動した可能性がある領域と少なくとも同じ大きさの領域であり得る。
正方形又は長方形の点の場合は、探索領域は、元の識別特徴点が中心にある9つの正方形又は長方形を含み得る。これは、識別特徴の動きをその寸法の1倍(又は対角線の方向に沿って約1.4倍)以内のみのトラッキングを可能にし得る。他の実施態様では、探索領域は、識別特徴の領域のサイズの倍数として定義することができ、この倍数は、送信されたピング間の最大の予想される動きがなお探索領域の範囲内であり得るのに少なくとも十分な大きさである。例えば、探索領域は、識別特徴点の寸法の5倍として定義することができ、これにより、識別特徴が、その前の位置からその寸法の2倍まで移動することが可能となる。他の実施態様では、探索領域は、識別特徴点の寸法の7倍、9倍、又は11倍、又はそれ以上として定義することができる。従って、探索領域のサイズは、識別特徴のサイズ、ピング繰り返し率、及び/又は連続的なピング間で起こり得る予想される動きの程度に基づくことができる。
一部の実施態様では、各識別特徴点を取り囲んでいる探索領域を定義するステップ432は、ブロック424で定義された基準領域と同じサイズであると探索領域を定義することを含み得る。
探索領域内で運動前の識別特徴パターンを探索するステップ436は、運動前の画像からの識別特徴パターンを、識別特徴点の潜在的な新しい位置としての運動後の画像における複数の試験領域と比較することを含み得る。試験領域を定義することは、例えば、定義された識別特徴点の位置から1単位(「単位」は、識別特徴の同じ形状及び寸法である領域として定義される)シフトした領域を定義することを含み得る。例えば、4つの試験領域は、同じサイズであるが、垂直及び水平のそれぞれの方向に1単位(例えば、1単位左にシフト、1単位右にシフト、1単位上にシフト、及び1単位下にシフト)だけ識別特徴点のビーム形成された運動前の画像からシフトしているとして領域を定義することによって定義することができる。別の4つの試験領域は、識別特徴点のビーム形成された運動前の画像からの斜め方向へのシフト、例えば、1単位上と1単位右へのシフト;1単位上と1単位左へのシフト;1単位下と1単位右へのシフト、及び1単位下と1単位左へのシフトによって定義することができる。
様々な実施態様では、運動後のエコーデータを用いて探索領域の画像をビーム形成するステップ434は、動きが生じた後に送信された1つ以上のトラッキングピングのエコーを識別することを含み得る。例えば、動きが、ピング番号P6とピング番号P7との間のシフトに基づいて検出された場合は、P7又は後のピングのエコーは、運動後のエコーデータであると見なすことができる。一部の実施態様では、2つ以上の運動後のピングのエコーは、(例えば、コヒーレントに又はインコヒーレントに加算又は平均化して)組み合わせることができる。一部の実施態様では、運動前の画像及び/又は運動後の画像のビーム形成は、ピングベース多数開口イメージング技術、及び本開示の他の部分に記載されるように1つ以上の受信開口にグループ分けすることができる多数の個々のトランスデューサ素子によって得られる画像を(コヒーレントに又はインコヒーレントに)組み合わせる画像層組み合わせ技術の使用を含み得る。
様々な実施態様では、運動後のエコーデータを用いて探索領域の画像をビーム形成するステップ434は、試験領域として定義された目的の領域の部分のみをビーム形成することを含み得る。言い換えれば、運動後のエコーデータを用いて探索領域の画像をビーム形成するステップ434は、試験領域として定義されていない目的の領域のどの部分もビーム形成しないことを含み得る。このようにして、ビーム形成の計算を行うために必要な処理時間を、全ての目的の領域又は全ての連続画像のビーム形成に対して劇的に短縮することができる。
様々な実施態様では、運動前の識別特徴パターンを探索領域の運動後の画像で探索するステップ436は、相互相関技術の使用を含み得、この技術では、各試験領域の各単位が、試験領域の画像と運動前の画像との間の最も高い相関を確認するために運動前の画像の各単位と比較される。識別特徴点の運動前の画像と最も高度に相関する試験領域を、新しい識別特徴点の位置として選択することができる(438)。
一部の実施態様では、運動前の識別特徴パターンを探索領域の運動後の画像で探索するステップ436は、各試験領域の各対応する単位から運動前の画像の各単位を減じて各減算に対応する1つの差分画像を得ることを含み得る。最も低い値の差分画像は、運動前の画像に最も一致するものとして識別することができる。結果として、最も低い値の差分画像に対応する試験画像領域を、識別特徴点の新しい位置として識別することができる(438)。他の実施態様では、その他の運動の推定又は画像探索プロセスを使用して、運動後の探索領域の画像内で識別特徴パターンの新しい位置を識別することができる。例えば、差分画像の他の統計的尺度(例えば、中央値、標準偏差など)を使用して、識別特徴点に最も一致する試験領域を選択することができる。
一部の実施態様では、1つ以上の識別特徴点の新しい位置及び/又は物体の新しい位置を、外部装置、例えば、ロボット外科手術制御システム、ヒューマンインターフェイス、例えば、ディスプレイ若しくは可聴通知、又は別の制御システムに伝達することができる。
一部の実施態様では、動き検出プロセス及び動きトラッキングプロセスは、並行して同時に行うことができる。他の実施態様では、動きトラッキングプロセスは、動き検出プロセスが動きが生じたことを検出した後でのみ開始することができる。
一部の実施態様では、動きが生じたことを示す信号を受信するステップ428を省略することができ、図2の全プロセス420を連続して行い、ブロック438で1つ以上の識別特徴点の新しい位置を識別した後にブロック426に戻ることができる。一部のこのような実施態様では、図2のプロセス420は、動き検出及び動きトラッキングの両方に使用することができる。例えば、ブロック436の探索プロセスが、識別特徴点が「運動後の」画像の同じ位置にあって、該識別特徴点が「運動前の」画像にあったと判断する場合は、該プロセスは、動きが生じなかったと判断することができる。他方、ブロック436の探索プロセスが、識別特徴点が「運動後の」画像の同じ位置になく、該識別特徴点が「運動前の」画像にあったと判断する場合は、該プロセスは、動きが生じたと判断すると同時に、識別特徴点(複数可)の新しい位置をトラッキングすることができる。
このような場合、「運動前の」画像は、単純に第1の時間に得られた第1の画像とすることができ、「運動後の画像」は、第2の後の時間に得られた第2の画像とすることができる。このような画像が得られるフレームレートは、望ましい動きの更新レートに基づいて選択することができる。探索領域をビーム形成するために必要な時間により、このような実施態様は、図1を参照して上で説明された非ビーム形成データに基づいた動き検出プロセスを用いた場合よりも、動き検出がやや遅くなり得る。しかしながら、本明細書の他の部分で説明されたピングベースイメージング技術を用いる予想される極端に高いフレームレートを考慮すると、このようなコストは低いであろう。
一部の実施態様では、正常なイメージングピング(例えば、2次元ピング又は3次元ピング)は、プローブの1つ以上の送信素子から送信することができ、エコーを収集して、完全にビーム形成された2次元画像、3次元ボリューム、又は動き検出及び/若しくは動きトラッキングプロセスの実施と実質的に同時に3次元ボリュームデータから抽出される2次元画像を得ることができる。一部の実施態様では、イメージングピングは、トラッキングピングでインターリーブ又は交互にすることができる。他の実施態様では、トラッキングは、イメージングピングが送信されてイメージングエコーデータが収集されている間は中断することができる。
様々な実施態様では、図示され本明細書で説明される全てのプローブを、本明細書で説明される1つ以上のプロセスによる動き検出及び/又は動きトラッキングの実施に使用することができる。
(動き検出及び動きトラッキングのためのイメージングプローブの構成)
図5は、上記の3次元ピングベース多数開口イメージング用に構成された超音波プローブ450の実施態様の一例を例示している。図5のプローブ450は、複数の見かけ上の点源送信素子452(又は他の専用の送信トランスデューサ素子)及び複数の受信素子454を備えることができる。
動きトラッキング及び/又は動き検出に使用される場合は、1つ以上の送信素子452を、動き検出プロセス及び/又は動きトラッキングプロセス中にトラッキングピングを送信することができるトラッキングピング送信素子(例えば、素子456又はその他の1つの送信素子452)として指定することができる。様々な実施態様では、プローブ450の全ての受信素子454又は該プローブ450の全ての受信素子454のサブセットを、動き検出プロセス及び/又は動きトラッキングプロセス中に受信素子として使用することができる。一部の実施態様では、生エコーデータを、プローブ450の一つひとつの受信素子454で別個に受信して保存することができる。一部の実施態様では、分析は、プローブ450の全ての受信素子454のサブセットのみからのエコーデータに限定することができる。他の実施態様では、分析は、プローブ450の全ての受信素子454からのエコーデータを用いて行うことができる。
図5のプローブ450を用いる図1の動き検出プロセス400の実施の一例がこれから説明される。プローブ450を使用して、本明細書で説明されるイメージングシステム及び方法のいずれかを用いて媒体及びトラッキングされるべき物体の3次元ボリューム画像を得ることができる(402)。あるいは、プローブ450及び(例えば、本明細書の他の部分に記載される)イメージングシステムを使用して、媒体の3次元ボリューム内からの1つ以上の2次元平面の1つ以上の画像を得ることができる。識別特徴点を、1つ以上の2次元画像から、3次元ボリュームレンダリングから、又は自動ソフトウェアエージェントを用いて選択することができる(404)。
一部の実施態様では、プロセス400でのトラッキングピングの送信406は、1つの送信素子、例えば、素子456(又はその他の送信素子)をトラッキングピング送信機として指定することを含み得る。1つの送信機のみからの送信トラッキングピングは、送信素子に対する識別特徴点の反射体の時間上の位置を1回だけ決定すればよいため、動きを検出するプロセスを単純化することができる。それでもなお、一部の実施態様では、トラッキングピングは、2つ以上の送信素子から送信することができる。
受信素子454のそれぞれによって受信されるエコーデータは、上記のように別個に保存することができる。各トラッキングピングのエコーを表すデータは、短期又は長期メモリ装置に保存することができ、かつ評価して、プロセスステップ408に従って、例えば、該データ内の識別特徴を識別することによって各識別特徴点内の1つ以上の反射体を識別することができる。識別特徴の位置は、どのサンプル番号(又は複数のサンプル番号)が該識別特徴を表すかを決定することによって監視することができる。各基準領域の識別特徴を表すサンプル番号は、静止サンプルと呼ぶこともある。識別特徴が、静止サンプルの前又は後の異なるサンプル位置で検出された場合は、識別特徴点が(従って、基準領域も)移動したという決定を行うことができる。一部の実施態様では、運動は、静止サンプルから1つのサンプル位置のみの移動として識別特徴が検出された場合に示され得る。他の実施態様では、運動は、静止サンプルから2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれ以上のサンプルの移動として識別特徴が検出された場合に示され得る。場合によっては、運動を示すサンプルのシフトの大きさは、デジタルサンプリングレートの関数であり得る。
一部の実施態様では、識別特徴の静止位置は、サンプル位置ではなく時間に関して定義することができる。例えば、一部の実施態様では、識別特徴の位置は、各受信素子のアナログエコー信号を評価することによって監視することができる。これは、識別特徴が認識可能なピーク又はピークのパターンを含む場合に特に有益であり得る。所定のナノ秒数(又は他の時間の値)の識別特徴の運動が、運動を示唆し得る。一部の実施態様では、プローブ450が、各ピングのエコーから3次元ボリュームデータを収集することができるため、識別特徴の位置を監視すること410は、トラッキングピングが送信されるレートと同程度に高くすることができる更新レートで識別特徴の位置を3次元で監視することを含み得る。上述のように、一部の実施態様では、トラッキングピングは、1,000ピング/秒、2,000ピング/秒、3,000ピング/秒、5,000ピング/秒、10,000ピング/秒、又はそれ以上のレートで送信することができる。
図5のプローブ450を用いて動きトラッキングプロセス、例えば、図2のプロセス420を行う場合は、運動前の画像をビーム形成するステップ430、試験領域を定義するステップ432、試験領域をビーム形成するステップ434、探索領域で運動前の識別特徴を探索するステップ436、及び新しい識別特徴の位置を識別するステップの一部又は全てを、3次元ボリュームデータのデジタル又はグラフィック表現を用いて行うことができる。例えば、運動前の画像は、ボクセルの3次元ボリュームを含み得る。同様に、試験領域は、ボクセルの3次元ボリュームを含み得、運動前の画像を試験領域画像と比較すること436は、ボクセルの運動前のボリュームを各試験領域のボリュームと比較することを含み得る。一部の実施態様では、この比較は、ボクセルの相互相関を行って、どの試験領域のボリュームが、運動前のボリュームに最も一致しているかを決定することを含み得る。一部の実施態様では、この比較は、試験領域のそれぞれのボクセルから運動前の画像のボクセルを減じて複数の差分ボリュームを得ることを含み得る。新しい識別特徴点の位置を識別することは1つ以上の識別特徴点の新しい位置を表す新しい3次元ボリュームを画定することを含み得る。
他の実施態様では、基準領域を通る1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の2次元スライスを、(本明細書の他の部分で記載される)画像化される領域の受信3次元ボリューム表現から計算することができ、各探索領域の2次元表現を、定義された平面(複数可)でビーム形成することができる。例えば、一実施態様では、異なる2次元平面は、各基準領域で、又は基準領域と受信素子(又は受信開口)との各組み合わせで定義することができる。あるいは、3つ(又はそれ以上)全ての基準領域に交差する1つの平面を、探索領域がビーム形成され得る平面として定義することができる。
図6は、2つの実質的に平面の画像領域でエコーデータを評価することによって動き検出プロセス及び動きトラッキングプロセスの一例を実施するように構成された超音波プローブ470の実施態様の一例を例示している。プローブ470は、複数の線形トランスデューサアレイ472、474、476、478(1Dアレイとも呼ばれる)及び1つ以上の送信素子480を含み得る。
各アレイ472、474、476、478は、超音波トランスデューサの分野でよく理解されているレンズ効果材料によって(アレイの「画像平面」と呼ばれることもある)2次元領域に集束させることができる複数の線形トランスデューサ素子482を備えることができる。集束線形アレイの性質により、各アレイのいわゆる「2次元集束領域」は、画像平面に垂直な次元にある程度の厚みを実際に有し得る。2次元集束領域の厚みは、素子482と画像化されるべき媒体との間に配置されたレンズ効果材料の形状に基づいて、アレイから媒体への深さによって異なり得る。
アレイの第1の対472、474は、第1のアレイ472の2次元集束領域が第2のアレイ474の2次元集束領域に整合するように配置することができる。第1のアレイと第2のアレイの重複する2次元集束領域は、第1の共通の画像平面と呼ばれることもある。
同様に、アレイの第2の対476、478は、第3のアレイ476の2次元集束領域が第4のアレイ478の2次元集束領域に整合するように配置することができる。第3のアレイと第4のアレイの重複する2次元集束領域は、第2の共通の画像平面と呼ばれることもある。
アレイの第1の対472、474の第1の共通の画像平面は、所望に応じて直角又はその他の角度でアレイの第2の対476、478の第2の共通の画像平面に交差し得る。様々な実施態様では、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上のアレイを、各共通の画像平面に整合させることができる。第1及び第2の共通の画像平面は、同数ではないアレイ又は素子を有し得る。一部の実施態様では、追加のアレイを設けて、第1及び第2の共通の画像平面の一方又は両方に交差する第3の(又は追加の)画像平面に集束させることができる。
様々な実施態様では、1次元素子の一部を、送信素子として指定することができ、その他を、受信素子として指定することができる。他の実施態様では、全ての1次元素子482は、送信機能と受信機能とが切り替え可能である。
動きトラッキング及び/又は動き検出に使用される場合は、1つ以上の1次元素子482を、動きトラッキングプロセス及び/又は動き検出プロセス中にトラッキングピングを送信することができるトラッキングピング送信素子として指定することができる。他の実施態様では、送信素子480を、トラッキングピング送信素子として使用することができる。
様々な実施態様では、プローブ470の全ての1次元素子482又はプローブ470の全ての1次元素子482のサブセットを、動きトラッキングプロセス400及び/又は動き検出プロセス420の最中に受信素子として使用することができる。一部の実施態様では、生エコーデータは、プローブ470の一つひとつの受信素子で受信し、別個に保存することができる。一部の実施態様では、分析は、プローブ470の全ての受信素子482のサブセットのみからのエコーデータに限定され得る。他の実施態様では、分析は、プローブ470の全ての受信素子482からのエコーデータを用いて行うことができる。
図6のプローブ470を用いた図1の動き検出プロセス400の実施の一例がこれから説明される。プローブ470を使用して、本明細書で説明されるイメージングシステム及び方法のいずれかを用いてトラッキングされるべき物体及び媒体の2つの交差する2次元画像を得ることができる(402)。例えば、媒体及び物体の第1の2次元画像を、第1の共通の画像平面に集束されるアレイの第1の対472、474を用いて得ることができる。1つ以上の識別特徴点を、人間の操作者によって又は自動ソフトウェアエージェントによって第1の画像から選択することができる(404)。
媒体及び物体の第2の2次元画像を、第2の共通の画像平面に集束されるアレイの第2の対476、478を用いて得ることができる。1つ以上の識別特徴点は、人間の操作者によって又は自動ソフトウェアエージェントによって第1の画像から選択することができる(404)。第1及び第2の2次元画像は、あらゆる適切なイメージングプロセスを用いて得ることができ、このようなイメージングプロセスは、上記の2次元ピングベース多数開口イメージングプロセスを含み得る。
一部の実施態様では、第1の画像及び/又は第2の画像は、2つの画像の重複する領域の視覚的な指示を含み得る。このような指示は、カラーの線、カラーの陰影領域、明るい領域、又は暗い領域、又は他の形態で提供することができる。
一部の実施態様では、プロセス400のトラッキングピングの送信406は、それぞれの共通の画像平面からの1つの送信素子、例えば、第1のアレイ472の素子486及び第3のアレイ476の素子488(又はいずれかのアレイのその他の送信素子)をトラッキングピング送信機として指定することを含み得る。1つの送信機のみからのトラッキングピングの送信は、送信素子に対する識別特徴点の反射体の時間上の位置を1回だけ決定すれば良いため、動きを検出するプロセスを単純化することができる。それでもなお、一部の実施態様では、トラッキングピングは、2つ以上の送信素子から送信することができる。
トラッキングピングは、送信素子480から択一的に送信することができる。送信素子480は、3次元波面を送信することができ、それぞれの波面は、上記のように1つの画像平面に集束されるアレイ472、474、476、478の受信素子によって受信することができる。このようにして、1つの送信素子は、トラッキングピングを送信することができ、そのエコーを、2つの共通の画像平面のそれぞれで別個に受信することができる。
図6のプローブ470を用いて動きトラッキングプロセス、例えば、図2のプロセス420を行う場合は、運動前の画像をビーム形成するステップ430、試験領域を定義するステップ432、試験領域をビーム形成するステップ434、該試験領域の画像と該運動前の画像とを比較するステップ436、新しい識別特徴点の位置を識別するステップ438のいずれか又は全てを、第1の共通の画像平面及び第2の共通の画像平面のそれぞれの少なくとも一部の2次元画像を用いて行うことができる。例えば、運動前の画像は、識別特徴点の2次元画像のグラフィック又はデジタル表現を含み得る。同様に、試験領域は、共通の画像平面の一方又は両方の中に2次元領域の単位を含み得る。運動前の画像と試験領域の画像とを比較すること436は、運動前の2次元画像の単位と各試験領域の2次元画像の単位とを比較することを含み得る。一部の実施態様では、この比較は、単位の相互相関を行って、どの試験領域の画像が運動前の画像と最も一致しているかを決定することを含み得る。一部の実施態様では、この比較は、試験領域のそれぞれの単位から運動前の画像の単位を減じて複数の差分画像を得ることを含み得る。新しい識別特徴点の位置を識別することは、1つ以上の識別特徴点の新しい位置を表す新しい2次元画像を定義することを含み得る。
他の実施態様では、本明細書で説明される方法を行うために使用することができるその他の超音波プローブも使用することができる。例えば、2次元スキャンラインベース又はピングベースイメージング用に構成されたプローブを使用することもできる。一部の実施態様では、2つ以上のプローブを、動きトラッキングプロセス及び/又は動き検出プロセスで並列で使用することができる。
(材料の弾性の評価)
一部の実施態様では、本明細書で説明される技術を使用して、画像化される材料の弾性を評価することができる。「エラストグラフィー」として知られる技術は、一般に、せん断波誘導パルスを材料の中に送信して、該せん断波が材料中を伝播する速度を監視することによって材料を機械的に変形させることを伴い得る。次いで、せん断波の伝播速度を使用して、材料の剛性及び画像化される材料の弾性率を決定することができる。
本明細書で説明されるシステム及び方法を使用してせん断波の伝播速度を測定することができる。一例では、複数の識別特徴点(例えば、4つ、5つ、10、20、又はそれ以上の点)を定義することができ、せん断波開始パルスを送信することができ、そして定義された点のそれぞれの位置を、本明細書で説明されるようにトラッキングすることができる。次いで、得られた位置情報及び時間情報を評価して、せん断波の伝播速度を決定することができる。
場合によっては、せん断波が伝播している間にエコーデータを収集して保存することができる。次いで、保存されたエコーデータを多数の試行で分析して、各試行中に識別特徴点の異なるセットを定義することができる。次いで、多数の試行の結果を集めて、画像化される媒体の様々な部分の動きのより完全な表現を提供することができる。試行は、並列に(例えば、互いに同時に若しくは同時期に)又は連続して(例えば、順々に)評価することができる。
他の実施態様では、画像化される材料の弾性率を、本明細書で説明される動きトラッキング方法を用いて直接測定することができる。本明細書で説明される動きトラッキング方法が、超高速での非常に小さい点の運動についての情報を提供できるため、動きトラッキング方法を用いて、画像化される物体又は材料内の任意の数の点の変位(又はひずみ)を検出することができる。弾性率は、加えられる応力(単位面積当たりの力)を生じるひずみ(変位)で除した値に等しい。従って、弾性率は、既知の応力を物体、組織、又は材料に加え、次いで本明細書で説明される動きトラッキング技術を用いて生じるひずみを測定することによって決定することができる。ひずみは、複数の点で測定することができ、結果を平均化して、又は他の方法で(例えば、場合によっては有限要素法を用いて)組み合わせて全体の弾性率又は複数の領域特異的な弾性率を得ることができる。
(流体の流れの評価)
本明細書で説明されるシステム及び方法を用いて、流れる流体を含む導管又は容器内の流体の流れを評価することもできる。例えば、多数の点(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、10、20、又は数百の点)を、導管又は容器内で識別することができる。次いで、これらの点の位置を、可能な限り長い間、本明細書で説明されるように監視することができる。流れの性質及び/又は流体の性質によって、各識別特徴点を表すパターンは、流体が移動するときに変化し得る。従って、システムは、点を表すパターンが、いつ点を使用し続けられないほど劣化したかを決定するように構成することができる。そして、この時、システムは、劣化した点と交換する新しい点を定義することができる。場合によっては、新しい点は、劣化した点の最後の既知の位置又はその近くで定義することができる。他の場合には、新しい点は、前の2つのピング、3つのピング、又はそれ以上のピングの間の点の位置に基づいて設計することができる。次いで、新しい点の位置を、他の点に沿ってトラッキングすることができる。
場合によっては、エコーデータは、流体が流れている又は他の方法で移動している間に収集し、一定期間保存することができる。次いで、保存されたエコーデータを多数の試行で分析して、各試行中に流体内の識別特徴点の異なるセットを定義することができる。次いで、多数の試行の結果を集めて、画像化される流体の様々な部分の動きのより完全な表現を提供することができる。試行は、並列に(例えば、互いに同時に若しくは同時期に)又は連続して(例えば、順々に)評価することができる。
(多数開口超音波イメージングシステムの構成要素)
図7のブロック図は、本明細書で説明されるシステム及び方法の様々な実施態様と組み合わせて使用することができる超音波イメージングシステム200の構成要素を例示している。図7のシステム200は、いくつかのサブシステム:送信制御サブシステム204、プローブサブシステム202、受信サブシステム210、画像形成サブシステム230、及びビデオサブシステム240を含み得る。様々な実施態様では、システム200は、1つ以上の超音波イメージングステップの際に使用される様々なデータを保存するための1つ以上のメモリ装置も含み得る。このようなメモリ装置は、生エコーデータメモリ220、重み付け係数メモリ235、校正データメモリ238、画像バッファ236、及び/又はビデオメモリ246を含み得る。様々実施態様では、全てのデータ(その他のプロセスを実行するためのソフトウェアコード及び/又はファームウェアコードを含む)を1つのメモリ装置に保存することができる。あるいは、1つ以上のデータ型に対しては、別個のメモリ装置を使用しても良い。
プローブ202の素子からの超音波信号の送信は、送信制御サブシステム204によって制御することができる。一部の実施態様では、送信制御サブシステム204は、所望のイメージングアルゴリズムに従って、選択された送信開口から所望の周波数及び間隔で非集束超音波ピングを送信するためにプローブ202のトランスデューサ素子を制御するためのアナログ構成要素とデジタル構成要素とのあらゆる組み合わせを含み得る。一部の実施態様では、送信制御システム204は、様々な超音波周波数で超音波ピングを送信するように構成することができる。(全てではないが)一部の実施態様では、送信制御サブシステムは、フェーズドアレイモードでプローブを制御するように構成されて、集束された(即ち、送信ビーム形成された)超音波スキャンラインビームを送信することもできる。
一部の実施態様では、送信制御サブシステム204は、送信信号定義モジュール206及び送信素子制御モジュール208を含み得る。送信信号定義モジュール206は、超音波プローブによって送信される信号の所望の特性を定義するように構成されたハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアの適切な組み合わせを含み得る。例えば、送信信号定義モジュール206は、送信される超音波信号の特性、例えば、パルス開始時間、パルス長(持続時間)、超音波周波数、パルス出力、パルス波形、パルス方向(存在する場合)、パルス振幅、送信開口の位置、又はその他の特性を(例えば、ユーザーの入力又は所定の因子に基づいて)設定することができる。
次いで、送信素子制御モジュール208は、適切なトランスデューサ素子に送信されるべき対応する電気信号を生成するために、所望の送信パルスについての情報を得て、この信号を決定することができる。様々な実施態様では、信号定義モジュール206及び送信素子制御モジュール208は、別個の電子構成要素を含んでも良いし、又は1つ以上の共通の構成要素の一部を含んでも良い。
送信信号のエコーを目的の領域から受信すると、プローブ素子は、受信超音波振動に対応する時変電気信号を生成することができる。受信エコーを表す信号は、プローブ202から出力して、受信サブシステム210に送信することができる。一部の実施態様では、受信サブシステムは、多数のチャネルを備えることができ、該チャネルのそれぞれは、アナログフロントエンド装置(「AFE」)212及びアナログデジタル変換装置(ADC)214を含み得る。一部の実施態様では、受信サブシステム210の各チャネルは、ADC 214の後にデジタルフィルタ及びデータ調整装置(不図示)も含み得る。一部の実施態様では、ADC 214の前にアナログフィルタを設けることもできる。各ADC 214の出力は、生データメモリ装置220に誘導することができる。一部の実施態様では、受信サブシステム210の独立したチャネルを、プローブ202の各受信トランスデューサ素子用に設けることができる。他の実施態様では、2つ以上のトランスデューサ素子が、共通の受信チャネルを共有することができる。
一部の実施態様では、アナログフロントエンド装置212(AFE)は、信号をアナログデジタル変換装置214(ADC)に送る前に特定のフィルタリング処理を行うことができる。ADC 214は、受信アナログ信号を、ある所定のサンプリングレートで一連のデジタルデータ点に変換するように構成することができる。殆どの超音波システムとは異なり、図7の超音波イメージングシステムの一部の実施態様は、次いで、更なる受信ビーム形成、フィルタリング、画像層の組み合わせ、又は他の画像処理を行う前に、一つひとつの受信素子によって受信される超音波エコー信号のタイミング、位相、大きさ、及び/又は周波数を表すデジタルデータを生データメモリ装置220に保存することができる。
収集したデジタルサンプルを画像に変換するために、データを、画像形成サブシステム230によって生データメモリ220から取り出すことができる。図示されているように、画像形成サブシステム230は、ビーム形成ブロック232及び画像層組み合わせ(「ILC」)ブロック234を含み得る。一部の実施態様では、ビームフォーマ232は、プローブ校正データを含む校正メモリ238と通信することができる。プローブ校正データは、正確な位置についての情報、動作の質、及び/又は個々のプローブトランスデューサ素子についての他の情報を含み得る。校正メモリ238は、プローブ内、イメージングシステム内、又はプローブとイメージングシステムの両方の外部の位置に物理的に配置することができる。
一部の実施態様では、画像形成ブロック230を通過してから、画像データを画像バッファメモリ236に保存することができ、該画像バッファメモリ236は、ビーム形成されて、(一部の実施態様では)層が組み合わせられた画像フレームを保存することができる。次いで、ビデオサブシステム240内のビデオプロセッサ242が、画像バッファから画像フレームを取り出すことができ、そして該画像を処理してビデオストリームにし、該ビデオストリームを、ビデオディスプレイ244に表示することができ、かつ/又は、例えば、当分野では「シネループ」と呼ばれるデジタルビデオクリップとしてビデオメモリ246に保存することができる。
一部の実施態様では、AFE 212は、受信アナログ信号をアナログデジタル変換装置に送る前に、該受信アナログ信号に対して様々な増幅及びフィルタリング処理を行うように構成することができる。例えば、AFE 212は、増幅器、例えば、低雑音増幅器(LNA)、可変利得増幅器(VGA)、バンドパス若しくはローパス/アンチエイリアスフィルタ、及び/又は他の増幅若しくはフィルタリング装置を含み得る。一部の実施態様では、AFE装置212は、トリガー信号の受信時にアナログ信号をADC 214に送り始めるように構成することができる。他の実施態様では、AFE装置を「自走式」とし、アナログ信号をADCに連続的に送ることができる。
一部の実施態様では、各アナログデジタル変換器214は、一般に、ある一定の所定のサンプリングレートで受信アナログ信号をサンプリングするように構成された任意の装置を含み得る。例えば、一部の実施態様では、アナログデジタル変換器は、25 MHz、即ち、1秒に2500万サンプル又は40ナノ秒ごとに1サンプルで時変アナログ信号のデジタルサンプルを記録するように構成することができる。従って、ADCによってサンプリングされたデータは、データ点のリストを単に含み得、データ点のそれぞれは、ある瞬時の信号値に対応し得る。一部の実施態様では、ADC 214は、トリガー信号の受信時にアナログ信号のデジタルサンプリングを開始するように構成することができる。他の実施態様では、ADC装置は、「自走式」とし、受信アナログ信号を連続的にサンプリングすることができる。
一部の実施態様では、生データメモリ装置220は、任意の適切な揮発性又は不揮発性デジタルメモリ保存装置を含み得る。一部の実施態様では、生データメモリ220は、生のデジタル超音波データを、有線又は無線ネットワークを介して外部装置に送信するための通信用電子機器も備えることができる。このような場合、送信される生エコーデータを、任意の所望の形式で外部装置に保存することができる。他の実施態様では、生データメモリ220は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、及び通信用電子機器の組み合わせを含み得る。
一部の実施態様では、生データメモリ装置220は、一時的(揮発性又は不揮発性)メモリセクション、及び長期不揮発性メモリセクションを含み得る。このような実施態様の一例では、一時的メモリは、ビームフォーマ232が、ADC 214からフルレートでデータを受け取るのに十分に速く動作できない場合に、該ADC 214と該ビームフォーマ232との間のバッファとして機能し得る。一部の実施態様では、長期不揮発性メモリ装置は、一時的メモリ装置から、又はADC 214から直接的にデータを受け取るように構成することができる。このような長期メモリ装置は、後の処理、分析、又は外部装置への送信のために一定量の生エコーデータを保存するように構成することができる。
一部の実施態様では、ビーム形成ブロック232及び画像層組み合わせブロック234はそれぞれ、特定のプロセス(例えば、以下に説明される)を実行するように構成された任意のデジタル信号処理要素及び/又は計算要素を含み得る。例えば、様々な実施態様では、ビーム形成232及び画像層組み合わせ234は、1つのGPU、多数のGPU、1つ以上のCPU、CPU(複数可)とGPU(複数可)との組み合わせ、1つ若しくは多数のアクセラレータカード若しくはモジュール、分散型処理システム、又はクラスター化処理システム上で動作するソフトウェアによって行うことができる。あるいは、これらのプロセス又は他のプロセスは、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)アーキテクチャ又は1つ以上の専用ASIC(特定用途向け集積回路)デバイス上で動作するファームウェアによって行うことができる。
一部の実施態様では、ビデオプロセッサ242は、表示及び/又は保存のために画像フレームをビデオストリームにアセンブルするように構成することができる任意のビデオ処理ハードウェアコンポーネント、ファームウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネントを含み得る。
一部の実施態様では、イメージングシステムは、動きプロセッサ255を含み得る。この動きプロセッサ255は、ビームフォーマ232及びILCブロック234を含む画像形成サブシステム230に対してデータ及び命令を送信し、かつ該画像形成サブシステム230からデータ及び命令を受信するように構成することができる。動きプロセッサ255は、画像化可能な領域のどの部分をビーム形成すべきかについてビームフォーマ及びILCに指示するために、画像形成サブシステムにデータ及び命令を送信するように構成することができる。動きプロセッサ255は、必要に応じて画像形成サブシステム230からデータ及び命令を取り出して、本明細書で説明される様々な動き検出プロセス及び/又は動きトラッキングプロセスのいずれかを行うように構成することもできる。動きプロセッサは、動き検出プロセス及び/又は動きトラッキングプロセスの最中にトラッキングピング及び/又はイメーイングピングの送信を制御するために、TX制御装置204に命令を送信するように構成することもできる。
動きプロセッサ255は、識別特徴の位置を監視するため、並びに動き検出プロセス及び/又は動きトラッキングプロセスの最中にビーム形成される又は他の方法で処理されるべき生エコーデータを取り出すために、生データメモリ装置220に保存されたデータを監視するように構成することもできる。
動きプロセッサ255は、使用者に表示される画像、カーソル、及び他の要素を制御するため、及び/又はユーザー入力装置からデータを受信するために、ビデオサブシステム240に対して命令を送信し、かつ該ビデオサブシステム240からデータ及び命令を受信するように構成することもできる。
動きプロセッサは、本明細書で説明される様々な動き検出プロセス及び/又は動きトラッキングプロセスのいずれかを行うための命令を含み得る1つ以上のデータ保存装置を含み得る。
(特定の専門用語)
本発明は、特定の好ましい実施態様及び例の文脈で開示されてきたが、当業者であれば、本発明が、特別に開示された実施態様だけではなく他の代替の実施態様並びに/又は本発明及びその明らかな変更形態や等価物の使用にまで拡大されることを理解されよう。上記実施態様の様々な変更形態は、当業者であればすぐに分かり、本明細書で定義される一般原理を、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく他の実施態様に適用することができる。従って、本明細書で開示される本発明の範囲は、上記の特定の開示された実施態様によって限定されるべきものではなく、以下の特許請求の範囲の正しい解釈によってのみ決定されるべきものであるとする。
特に、材料及び製造技術は、当業者のレベルの範囲内で利用することができる。更に、単数のアイテムの言及は、同じアイテムが複数存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つの(a)」、「及び(and)」、「前記(said)」、及び「その(the)」は、文脈上明らかに他の意味を示さない限り、複数の指示対象を含む。また、特段の記載がない限り、本明細書で使用される「又は」という語は、提示される全ての代替物を含み、一般的に使用される句「及び/又は」と本質的に同じであることを意味する。特許請求の範囲は、あらゆる任意選択の要素を排除するように起草できることに更に留意されたい。従って、この文章は、クレームの構成要素の記述に関連した「だけ(solely)」及び「のみ(only)」などの排他的な語の使用のため、又は「否定的な」限定の使用のための先行詞としての役割を果たすことを目的とする。本明細書に特段の記載がない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本発明の属する分野の一般的な技術者が通常理解する意味と同じ意味を有する。
別々の実施の文脈において本開示で説明される特定の特徴は、1つの実施で組み合わせて実施することもできる。逆に、1つの実施の文脈で説明される様々な特徴は、多数の実施で別個に、又は全ての適切なサブコンビネーションで実施することもできる。特徴は、特定の組み合わせで機能するとして上記のように説明することができるが、請求される組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、この組み合わせから排除することができ、かつこの組み合わせは、いずれかのサブコンビネーションとして、又はいずれかのサブコンビネーションの変形形態として請求することができる。更に、特許請求の範囲は、全ての開示される要素を排除するように起草できる。従って、前述の文章は、クレームの構成要素の記述に関連した「だけ(solely)」及び「のみ(only)」などの排他的な語の使用のため、又は「否定的な」限定の使用のための先行詞として役割を果たすことを目的とする。
更に、動作は、図面に描いても良いし、又は本明細書に特定の順序で説明しても良いが、このような動作を、図示されている特定の順序又は連続した順序で行う必要はなく、かつ所望の結果を達成するために、全ての動作を行う必要はない。図示も説明もされていない他の動作を、方法及びプロセスの例に含めることができる。例えば、1つ以上の追加の動作を、説明された動作の前、後、同時、又はこれらの間に行うことができる。更に、動作は、他の実施で再構成しても良いし、又は順序を変更しても良い。また、上記の実施における様々なシステムの構成要素の分離は、全ての実施でこのような分離を必要とすると解釈するべきではなく、説明された構成要素及びシステムは、一般に、1つの製品にまとめても良いし、又は多数の製品にパッケージングしても良いことを理解されたい。加えて、他の実施も本開示の範囲内である。
一部の実施態様は、添付の図面に関連付けて説明されている。図面の一部は、任意の縮尺で描くことができるが、図示されているもの以外の寸法及び比率も企図され、開示される本発明の範囲内であるため、このような縮尺は限定ではない。距離、角度などは、単なる例示であり、例示される装置の実際の寸法及びレイアウトに対して正確な関係を必ずしも有する必要はない。構成要素は、追加する、除去する、かつ/又は再配置することができる。更に、様々な実施態様に関連したどの特定の特徴、態様、方法、性質、特性、質、属性、又は要素などの本明細書での開示は、本明細書で説明された全ての他の実施態様で使用することができる。加えて、本明細書で説明されるどの方法も、列挙されたステップを行うのに適したいずれかの装置を用いて実施することができる。