JP2018510610A - 静電マイクロ発電機および静電マイクロ発電機を用いた電気エネルギー発生方法 - Google Patents

静電マイクロ発電機および静電マイクロ発電機を用いた電気エネルギー発生方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、二層で互いに重ねて配置され、それぞれが電極として、その一方の側に配置された金属層を有するエレクトレットフィルム(2,22)を有する静電マイクロ発電機(1)を記載する。フィルムは、緩く巻かれた方法で密封されたケーシング内に埋め込まれる。このようにして形成されたコンデンサプレート(3,4)に平行に外側に設けられた第1の所望の圧力面(8)に圧力を加えることにより、コンデンサプレート(3,4)間の距離を変化させて電圧を発生させることができる。【選択図】図3a

Description

[0001] 本発明は、二層に互いに重ねて配置された2つのポリマーエレクトレットフィルムを有する静電マイクロ発電機、この種の静電マイクロ発電機を備えた押しボタン、及びその製造方法並びに電気エネルギーを発生する方法に関する。
[0002] US2004/0113526A1には、厚さを変化させることができる多層構造を有する電気機械変換器(トランスデューサ)が記載されている。空気は、トランスデューサ素子の厚さ方向に、トランスデューサ素子に流入し流出することができる。透過性金属層や透過性材料層などの空気透過性材料は、この目的のために使用されている。材料層には電荷が永続的に帯電する。
(発明の説明)
[0003] 本発明の一つの目的は、機械的エネルギーの電気エネルギーへの安定的な変換を確保する、静電マイクロ発電機、押しボタン、当該静電マイクロ発電機の製造方法、及び電気エネルギーを生成する方法を提供することである。
[0004] 本発明によれば、目的は、請求項1,13,14および15の主題によって達成される。有利な改良が従属請求項から明らかになる。
[0005] 本発明の概念は、絶縁媒体としての流体、特に空気をターゲット圧力面に平行に、かつ離間したコンデンサプレートに平行に流入および流出させることを可能にすることであり、このコンセプトでは、コンデンサプレート間の距離は、電気エネルギーを発生させ、従って、タップ可能な電圧を発生させるために変化する。流体は、気体であってしたがって圧縮可能であってもよく、または液体であってしたがって圧縮可能でなくてもよい。両方の実施形態は、特定の用途に利点を有する。この目的のために、静電マイクロ発電機は、二層に互いに重ね合わせて配置され、それぞれ片面に金属層を電極として有する2枚のポリマー(高分子)エレクトレットフィルムを有し、金属層はそれぞれ、コンデンサプレートと、コンデンサプレート間に高さが可変である少なくとも1つの流体チャンバとを形成し、少なくとも1つの流体チャンバ内の流体が絶縁媒体として機能し、エレクトレットフィルムは、流体用に密封されたケーシング内に組み込まれ、エレクトレットフィルムは、平面的かつ緩やかな方法で巻かれ、所定容積の流体を有する密封されたケーシング内に配置され、ケーシング内に流体用の補償チャンバが設けられ、流体は、コンデンサプレートに対して平行にケーシングの外側に設けられた第1のターゲット圧力面に対してその外側に圧力を加えることによって、少なくとも1つの流体チャンバからケーシングの少なくとも1つの補償チャンバに、コンデンサプレートに平行に排出され、コンデンサプレート間の距離を変化させることにより電圧を発生させることができ、第2のターゲット圧力面に対して圧力を加えることにより、流体、特に空気をそして特に限定的に、圧力負荷(印可)の方向に実質的に垂直な方向に、ケーシングの少なくとも1つの補償チャンバから、コンデンサプレートの配置に対して平行な方向に、流体チャンバ内に、コンデンサプレートに平行なこれらの間の距離を広げるために、再導入して戻すことができる。この特定の構成により、少なくとも1つの補償チャンバから排出された流体チャンバに流体を導入することと、コンデンサプレートの間に配置された流体チャンバから流体を排出することとの間の相互作用が単純かつ効率的である。用途に応じて、ケーシングの内部容積は、液体流体の場合には減少させることができず、対照的に、気体流体の場合には好ましくは減少させることができる。また、気体流体から液体流体への相変化が起こすために、そのような圧力を高めることも可能である。
[0006] 流体は、密封されたケーシングによって規定されるようにその容積が制限されるので、ケーシングは、そこに加えられた圧力を効率的に利用し、電気エネルギーへの変換のために作用する非常に有効な手段である。したがって、流体を一方向および反対方向に流すために、ケーシングの2つの場所に圧縮力を交互に加えることが提供される。この場合、ケーシングは、可能な限り最大の充填可能な流体の約半分だけ充填され、残りの半分のための補償チャンバを提供する。
[0007] 第1の状態では、流体はコンデンサプレート間の流体チャンバに充填され、反対側のケーシングはそれに応じて空にされる。ケーシングは、圧縮力がケーシングと下にあるエレクトレットフィルムワインディングとに作用するとき、反対側、特にエレクトレットフィルムの反対側で膨張する。このようにして、金属電極とともに巻かれたエレクトレットフィルムは、流体チャンバに押し付けられる。コンデンサプレート間に充填された流体チャンバを有する元の状態を再びもたらすために、流体のための下側の補償チャンバを有する第2のターゲット圧力面を有するケーシングの部分は、実施形態に応じて、エレクトレットフィルムを1つまたは全く有さず、圧縮力を受け、流体、特に空気がコンデンサプレート間を流れ、流体チャンバを再充填する。
[0008] 「エレクトレット膜(フィルム)」は、永久的に静電的に分極されたフィルムであると理解される。エレクトレットフィルムの厚さは、1μm〜100μmが好ましく、20μm〜50μmがより好ましい。このように、機械的エネルギーから電気的エネルギーへの安定した変換を伴う安定した静電マイクロ発電機が製造される。静電マイクロ発電機は、コスト効率良く製造することができるように簡略化されて構成され、幅広い応用が可能である。
[0009] 大幅に効率を上げるために、横断面で見ると、エレクトレットフィルムは、コンデンサプレート間の可変距離を有する複数の直列フィルムコンデンサを形成するために平面状に巻かれて(巻回されて)フィルム巻線(フィルムワインディング)を形成し、それぞれの場合において、同じ極性のエレクトレットフィルムの側部が互いに向かって配置され、同じ極性の電極としてコンデンサプレートが互いに接続されて配線を形成する。これにより、直列接続されたフィルムコンデンサの数に応じて著しく高い電圧が発生する。
[0010] さらに好ましい実施形態では、エレクトレットフィルム上に配置された金属層と、特にエレクトレットフィルムは、流体、特に空気に対して実質的に不浸透性にされることが有利であることが分かった。その結果、効率がさらに向上し、簡単な構造のため、経済的な実施のために効率的な生産をより実行可能に実現することができる。
[0011] 本発明を改良した一実施形態によれば、製造プロセスをさらに単純化し、静電マイクロ発電機の高効率を生成するために、金属層は、ポリマーエレクトレットフィルム上に別個の金属膜として配置される。したがって、効率は、エレクトレットフィルムおよび/または金属層の穿孔によって損なわれない。代替的の好ましい実施形態によれば、金属層は、特別な製造プロセスにおいて、ポリマーエレクトレットフィルム上にメタライゼーションとして形成される。
[0012] さらに特に好ましい実施形態によれば、可能な限り高い効率を生み出し、マイクロ発電機の構造だけでなく製造プロセスを単純化するために、エレクトレットフィルムは、エレクトレットフィルムの一方の側で完全に被覆する(覆う)ように金属層を有している。
[0013] 代替の好ましい実施形態によれば、エレクトレットフィルムは、金属層を有さない平行な自由エッジストリップを有して実質的に一方の側の中央に金属層を有する。自由平行エッジストリップは、好ましくは、エレクトレットフィルムの2つの層の間に、それぞれの場合に金属層のない2つの自由エッジストリップ上に配置された弾性スペーサのために更に使用される。これにより、流体室、特に空気のための空間が確実に形成され、この空間は圧縮可能であり、流体の対抗圧力によって、最大に大きな流体チャンバで元の空間を再び占有する。
[0014] 別の実施形態によれば、金属層は、金属層のない自由な中央ストリップを有する平行エッジストリップ上の一方の側にエレクトレットフィルム上に形成される。
[0015] 本発明を改良する実施形態によれば、エレクトレットフィルムは、二層に配置され、ケーシング内の一方の側に配置され、少なくとも1つの補償チャンバは、ケーシング内に反対側に配置される。従って、電極としてのコンデンサプレートを有するエレクトレットフィルムの単純な巻線(ワインディング)を製造することができる。
[0016] 別の実施形態によれば、静電マイクロ発電機は、二層に配置され、相互に形成された(相互的)補償チャンバとして、その間にそれぞれ第1および第2のターゲット圧力面上に配置された流体チャンバを有するエレクトレットフィルムを含む。コンパクトなマイクロ発電機がこのように提供される。したがって、両方の実施形態において、1つのケーシングは、2つのターゲット圧力面によって作り出されるダブルポケットとして設けられる。
[0017] この目的のために、弾性スペーサは、更に好ましくは、金属層のない自由中心ストリップ上のエレクトレットフィルムの2つの層の間の中心に配置される。この実施形態は、圧縮された電極板を用いて元の状態が動作状態から復元されることを保証する上述の実施形態の代替の実施形態である。直列に接続された電極は、自由中央ストリップに対して、互いに一緒に、従って交互に押圧することができ、それにより、対向するコンデンサプレートが流体の流入によって自動的に離間する。このようにして、ケーシングの表面上のターゲット圧力面が交互に圧縮力を受ける連続エネルギー発生が保証される。
[0018] したがって、本発明を改良した実施形態によれば、2つのターゲット圧力面がケーシングの上面側に配置され、その面は交互に作動することができる。特に、規定(定義)された中央ボタン圧力面への作用を起点として、両方のターゲット圧力面に交互に圧縮力を加える機構が設けられている。
[0019] さらに、静電マイクロ発電機は、少なくとも1つのターゲット圧力面の圧縮に対抗し、電気エネルギー生成のために互いに接近したコンデンサプレートを再び引き離すばね機構を有することが好ましい。これにより確実に、静電マイクロ発電機が機械的エネルギーを電気エネルギーに、すなわちコンデンサプレートが互いに接近したときに一度、そしてコンデンサプレートが離れるときに一度、両方向に定常的に変換する。
[0020] この目的はまた、上述した静電マイクロ発電機を備えた押しボタンであって、バネ負荷式ボタン素子と、マイクロ発電機のターゲット圧力面への加圧の開始によってボタン素子が作動する際に電気信号を発する信号制御器とを有する押しボタンよって達成される。この種の押しボタンは、機械エネルギーが安定して電気エネルギーに変換され、構造が簡単であり、そして特にケーブル接続の努力が不利または複雑または望ましくない場合には、固定式および移動式の両方で使用できるという利点を有する。
[0021] したがって、無線モジュールに関連して、ボタンが作動されたときに電気信号をトリガしおよび送信することによって、バッテリの限られたエネルギー蓄積容量とは無関係の自律的プッシュボタンを提供することができる。
[0022] この目的は、ポリマー(高分子)エレクトレットフィルムを有する上述の静電マイクロ発電機を、エレクトレットフィルムを巻回することにより、製造する方法によっても達成され、これにより、マイクロ発電機の圧力面への圧力の負荷方向に実質的に垂直なコンデンサプレートとしての電極を備えたエレクトレットフィルムの層の間を、これに平行に、流体、特に空気が流入および流出することができ、巻かれたエレクトレットフィルムは規定の容積を有するケーシング内に密封される。この場合、好ましくは気体流体としての空気、または液体流体としての誘電油は、所定の容積を有するケーシング内に封入することができ、ケーシングに加わる圧力を変化させることによって、巻回されたポリマーエレクトレットフィルムのコンデンサプレート間の距離を変化させることができ、これにより、機械的エネルギーが安定的かつ効率的に電気エネルギーに変換される。
[0023] この目的は、上述の静電マイクロ発電機を用いて電気エネルギーを発生させる方法により達成され、絶縁媒体としての流体、特に空気は、コンデンサプレートに平行であって、ターゲット圧力面への圧力印加(加圧)に対して垂直にケーシングの補償チャンバ内へ排出され、また逆に、流体は、ケーシングの貯蔵空間から、コンデンサプレートの間の間隔を広げるように、コンデンサプレート間の流体チャンバへとコンデンサプレートに平行に導入され戻される。流れ方向をコンデンサプレートに平行にかつ圧力方向に対して垂直に集中させることにより、機械的エネルギーから電気的エネルギーへの安定した変換プロセスが生成される。この方法は構造が単純であり、コスト効率よく実現することができる。
[0024] 上述した特徴および後述する特徴は、示された特定の組み合わせだけでなく、他の組み合わせでも使用できることが理解される。
[0025] 本発明は、図面を参照して例示的な実施形態の助けを借りて以下により詳細に説明される。
図1aは、ケーシングなしに、静電マイクロ発電機の緩く巻かれた構造を示す。 図1bは、圧縮力が作用する、図1に係る巻かれた静電マイクロ発電機を示す。 図2は、金属層を有するエレクトレットフィルムとその配線接続の概略構成を示す。 図3aは、緩和状態での静電マイクロ発電機の概略的な第1の実施形態を示す。 図3bは、圧縮力が作用する、図3aに係る概略的に示すマイクロ発電機を示す。 図4aは、緩和した初期状態における静電マイクロ発電機の第2の実施形態を示す。 図4bは、圧縮力がターゲット圧力面に作用する、図4aに係るマイクロ発電機の第2の実施形態を示す。 図5は、静電マイクロ発電機の概略側面図における第3の実施形態を示す。 図5aは、左側の断面で見たときに圧縮力が作用する、図5に係る第三の実施形態の概略図を示す。 図5bは、圧縮力が右側に作用する、図5に係る第三の実施形態の概略断図を示す。 図6は、静電マイクロ発電機の第4の実施形態を示す。 図6aは、図6の実施形態に係る、圧縮力が左側に作用する模式的断面図を示す。 図6bは、圧縮力が右側に作用する、図6に係る実施例の概略図を示す。 図7は、本発明のプッシュボタンの概略図を示す。 図8は、静電マイクロ発電機のための本発明の製造プロセスの処理シーケンスを示す。 図9は、マイクロ発電機によって電気エネルギーを発生させるためのフローチャートを用いた工程を示す。
(発明を実施するための最良の形態)
[0042] 図1は、二層に配置された2つのポリマーエレクトレットフィルム2,22を有する本発明の静電マイクロ発電機1を模式的に示す。エレクトレットフィルムは、永久的に帯電したフィルム(膜)として定義される。片面に、金属層がエレクトレットフィルム2,22上に電極として配置されている。2つの金属電極を有する二層になったエレクトレットフィルム2,22は、コンデンサプレート3,4を形成し、少なくとも一つのフィルムコンデンサを形成する。図1aに示すように、二層に配置されたポリマーエレクトレットフィルム2,22は、好ましくは、緩く平面的に繰り返して巻かれてフィルム巻線を形成している。図1aは、3回巻を示す。巻き方は、3回よりも多くても少なくてもよいことが理解される。したがって、複数回巻く場合には、複数のフィルムコンデンサが互いに直列に上下に配置される。マイクロ発電機1では、絶縁媒体としての流体、好ましくは空気が、流体チャンバ5,6内で個々のポリマーエレクトレットフィルム2,22の間に封入されている。流体チャンバ5,6は、コンデンサプレート3,4ならびに金属層のないエレクトレットフィルム2,22の表面側により形成される。コンデンサプレート3,4の可変距離は、図1bに示すように、外部圧縮力がマイクロ発電機1に作用した場合に生成される。金属層は、好ましくは、それぞれの場合に中間の隙間なしにエレクトレットフィルム2,22の一方の面に直接配置され、これにより、ポリマーエレクトレットフィルム2,22と、別個の金属膜またはポリマーエレクトレットフィルム2,22上に配置されたメタライゼーション(金属化)として形成され金属層との間に隙間がなくなる。したがって、各エレクトレットフィルム2,22は、コンデンサプレート3,4のキャリヤである。
[0043] 図1bは、図1aと同様の概略断面図を示しているが、圧力が、図1aの静電マイクロ発電機1に、座面12に対して一方の側からターゲット圧力面8に平面的に付加され、ポリマーエレクトレットフィルム2,22の二層の間に埋め込まれた流体が流体チャンバ5,6から排出されるという点で相違する。排出プロセスと、流体をコンデンサプレート3,4の間の流体チャンバ5,6に戻すプロセスの両方において、実効電流強度を有するタップ電圧が生成され、これは特に整流後の電気信号として検出可能であり、電気消費者に供給することができる。
[0044] 図2−6または3b−6bは、密封されたケーシング10を有する図1a及び1bの概略断面を示す。
[0045] 図2は、静電マイクロ発電機1を形成するために上下の二層に互いに重ねて配置された2つのエレクトレットフィルム2,22の概略的な拡大断面図を示す。エレクトレットフィルム2,22は、必ずしも最初に電荷を有している必要はない。特に、圧電性エレクトレットフィルムは、初期分極なしで使用することもできる。図2では、エレクトレットフィルム2,22は、例えば永久極性を伴って形成されている。最上層の第1のエレクトレットフィルム2では、その最上層は、コンデンサプレート3として金属層により正に帯電している。エレクトレットフィルム2の下面側は、金属層なしで負電荷を有している。緩和状態では、可変高さを有する流体チャンバ5は、流体、ここで好ましくは空気のために提供され、コンデンサプレート3に垂直なコンデンサ構造に続いている。流体チャンバ5,6の高さは、エレクトレットフィルム2の底面と第2のコンデンサプレート4との直接的な接触を最小の高さとし、エレクトレットフィルム2とコンデンサプレート4の底面との定義された距離を最大の高さとして、その間で可変である。コンデンサに垂直な構成では、コンデンサプレート4の金属層は、負の極性に帯電され、第2のエレクトレットフィルム22に接続されている。第2のエレクトレットフィルム22の場合には、逆に、上側が負に帯電し、下側が正に帯電している。この構造では、可変高さを有する更なる流体チャンバ6が続いて、そして、先に説明したのと同じ構成が続く。すなわち、コンデンサプレート3として第1の正の電荷を帯びた電極を有する第1のエレクトレットフィルム2と、更なる流体チャンバ5の後にあるコンデンサプレート4として負に帯電した第2の電極を有する第2のエレクトレットフィルム22とが続くる。図2に示すように、同じ極性のエレクトレットフィルム2,22の側部は、互いに向かって配置され、同じ極性のコンデンサプレートは互いに接続されて配線を形成する。したがって、2枚のコンデンサプレート4は、互いに接続され、負の極性を有する配線40を形成し、第1の電極を形成する2枚の正に荷電したコンデンサプレート3は、正の極性を有する正配線30に接続されている。
[0046] 図3aは、緩和した状態で、定義された流体容積、特に流体の容積を有する密封されたケーシング10内に挿入された、好ましい実施形態での、静電マイクロ発電機1の概略断面図を示す。横断面で見られるように、エレクトレットフィルム2,22を備えたフィルム巻線は左側に配置され、一方右側ではケーシング10は所定の最小値まで縮小されている。従って、本発明のマイクロ発電機1の本質的な特徴は、電極3,4と誘電物質としてのエレクトレットフィルム(2,22)と、本発明に従って使用されるように、流体で物理的に充填された状態で2倍の流体容積を有するケーシング10を有する「ダブルポケット」である。実際に可能な流体容積の半分だけが密封されたケーシング10内に配置されているので、圧力が加えられると、流体は流体充填領域から充填されていない補償チャンバに逃げなければならない。ターゲット圧力面8は、二層で巻かれた2つのエレクトレットフィルム2,22の上のケーシング10上に配置される。図3aの右側の断面内にある反対に位置するように示されているように、緩和したスプリング9は、ケーシング20の対抗圧力面7に対して押圧するように配置されている。スプリング9は、ターゲット圧力面8に反応する機構として機能する。
[0047] 図3bは、ターゲット圧力面8に最大圧力効果を有する状態の静電マイクロ発電機1を示しており、可変高さを有する流体チャンバ5,6が、第2のエレクトレットフィルム22の負に帯電した金属層に接触し、エレクトレットフィルム2の負に帯電した底面の間に実質的に直接接触する最小高さを有する最小空間を形成している。絶縁媒体としての流体は、フィルム巻線から排出され、今度はケーシング10内の右側に密封された補償チャンバ20を規定する。図3aから図3bによるターゲット圧力面8への加圧プロセスの間、コンデンサプレート3,4間の距離の変化に起因して静電容量の変化が生じる。静電容量のこの変化は、反対方向の対抗圧力面7に圧力を加えるように所望の上昇電圧をもたらす。スプリング9によって、存在する流体は、補償チャンバ20から流体チャンバ5および6に再びポンプ輸送され、2つの電極3,4を有するエレクトレットフィルム2,22が離されて、図3aによる状態を形成する。
[0048] 図4aは、断面で見た静電マイクロ発電機1の第2の特定の実施形態を示す。この静電マイクロ発電機1の場合、金属層3,4はそれぞれ、エレクトレットフィルム2,22上の中央に配置され、好ましくはプラスチックからなる弾性スペーサ11が、金属層なしで平行なエッジストリップ上に配置される。ターゲット圧力面8は、同様に、コンデンサプレート3,4の金属層の真上に配置され、図3aおよび図3bとは対照的に、平行なエッジストリップ上にも配置されない。弾性スペーサ11により、流体チャンバ5,6は予め定められているので、流体チャンバ5,6からターゲット圧力面8への圧縮力の作用によって追い出された流体は、より容易に再進入する。この目的のために、流体容積は、密封されたケーシング10によって規定される。
[0049] 図4bは、ターゲット圧力面8に最大の圧縮力が加えられた負荷状態の静電マイクロ発電機1を示す。図4bの右側に配置された補償チャンバ20は、最小限に減少した流体チャンバ5,6からの流体容積で最大に充填される。図3aおよび図3bについて説明したように、補償チャンバ20は再びある機構または同等の機構によって空にされ、流体チャンバ5,6は流体容積によって再び拡大される。
[0050] 図5,5a、および5bは、静電マイクロ発電機1の第3の実施形態を示す。この特定の実施形態では、金属層は、金属層が中央には配置されていないエレクトレットフィルム2,22の自由ストリップ23,24の上側の両側に平行に配置されている。この実施形態は、金属層の上に平行に配置された2つのターゲット圧力面81,82を有する。したがって、ターゲット圧力面は、金属層が配置されていない中心にも設けられていない。
[0051] 図5は、緩和した無負荷状態で上記フィルム巻線を示す。全ての流体チャンバ51,52,61,62は、コンデンサプレート3,4の間で実質的に同じ流体容積を有し、したがって同じ大きさおよび高さを有する。
[0053] 図5aは、図5の概略断面図における左側の圧力負荷を示し、図5の流体チャンバ51,52,61,62が最小高さで最小体積に圧縮され、右側のボリューム52,62は、少なくとも1つの補償チャンバ20を有する流体で最大限充填される。全ての流体チャンバ51,61は、電極31が第2エレクトレットフィルム22の内側及び底面から密閉ケーシング10に接触する程度まで空にされ、左側の負の電極41が第1エレクトレットフィルム2の下側に接している。
[0054] 図5bは、いかに右側のターゲット圧力面82が、次にケーシング10に対する圧縮力で最大に作用するかを示し、右側には最大容量変化が生じ、左側にも同様に反対方向に容量変化が生じ、流体チャンバ5,51内の流体は、コンデンサプレート31,41と平行であって圧力負荷に垂直な方向に、流体チャンバ52,62から予め閉鎖された流体チャンバ51,61へと押圧され、これらは補償チャンバ20を形成する。したがって、この実施形態では、各左側および右側の圧力負荷によって、電圧および電流強度に関して実質的に同一の電気特性が生成される。
[0055] 図6,6aおよび6bは、図5のさらに改良された実施形態を示す。この実施形態では、スペーサ14が、エレクトレットフィルム2,22の間の中央に配置される。図4aおよび4bに記載されているように、スペーサ14は、ターゲット圧力面81または82に圧縮力が作用した後、より簡単に緩和状態に戻すために使用される。図6aでは、補償チャンバ20が右側に開始するように配置され、図6bの図では、補償チャンバ20は、二重のポケットとして形成されたケーシング10の左側に移動する。
[0056] 図7は、ボタン素子25、ハウジング24、および前述した本発明の静電マイクロ発電機1を備えた本発明の押しボタン23の断面を概略的に示す。押しボタン素子25が中央ボタン圧力面として作動されると、静電マイクロ発電機1のターゲット圧力面8に圧縮力が加えられ、電気エネルギーおよび電圧が発生する。右側に配置されたスプリング9はマイクロ発電機を緩和状態に戻し、押しボタン23を再び作動させることができる。静電マイクロ発電機1は信号制御器26に結合され、信号制御器26は、押しボタン素子25の作動時に変換された電気エネルギーを電気信号として、例えば無線モジュールに送信し、押しボタン23の信号は、概して電気用途において処理される。
[0057] 図8は、本発明の静電マイクロ発電機1を製造するための2つの方法のステップを示す。第1の方法ステップS1において、ポリマー(高分子)エレクトレットフィルム2,22は、配置された金属層を有する二層内に緩やかかつ平面的に巻かれ、第2のステップS2では、巻かれたエレクトレットフィルム2,22が、規定された流体容積を有するケーシング10に密封される。
[0058] 上述したように図9は、静電マイクロ発電機1によって電気エネルギーを発生させるための2つの方法のステップを示す。最初のステップ(ステップS10)では、絶縁媒体としての流体、この場合好ましくは空気は、エレクトレットフィルム2,22上に金属層として配置されたコンデンサプレート3,4に平行であって、ターゲット圧力面8への加圧に垂直に、流体チャンバ5,6から補償チャンバ20特にケーシング10の貯蔵空間内へ排出され、そしてその逆も起こる。
[0059] ステップS20において、流体は、再びケーシングより補償チャンバ20内から導入され、したがって、コンデンサプレート3,4の間の流体チャンバ5,6に、これらの間の距離の拡大に平行に戻される。
[0060] 流体の並列導入と逆に排除によって、機械エネルギーから電気エネルギーへの安定した変換プロセスにおいて非常に高い効率が達成される。したがって、静電マイクロ発電機は、より簡単に、したがってより費用効果的に製造することができ、材料の幅広い選択も可能である。例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)その他など任意の既知のエレクトレット材料を使用することができる。
[0061] ポリフッ化ビニリデン(PVDF)をフィルム(膜)として使用することができる。
[0062] 本明細書では例示的な実施形態を説明したが、多数の変更が可能であることを指摘しておく。さらに、例示的な実施形態は、保護の範囲、用途、および構造を決して限定するものではない例であることを指摘しておく。むしろ、少なくとも1つの例示的な実施形態の実施のための指針が、上記の説明によって当業者に提供され、特許請求の範囲及びこれらの均等な特徴の組み合わせから明らかなように、特に保護された範囲を逸脱することなく記載された構成要素の機能及び配置に関して様々な変更を行うことができる。

Claims (15)

  1. 二層に互いに重ねて配置され、それぞれ片面に金属層を電極として有する2枚のポリマーエレクトレットフィルム(2,22)を有する静電マイクロ発電機(1)であって、金属層はそれぞれコンデンサプレート(3,4)を形成し、高さが可変である少なくとも1つの流体チャンバ(5,6)は、コンデンサプレート(3,4)の間に形成され、少なくとも1つの流体チャンバ(5,6)内の流体が絶縁媒体として機能し、エレクトレットフィルム(2,22)は、流体用に密封されたケーシング(10)内に組み込まれ、エレクトレットフィルム(2,22)は、平面的かつ緩やかな方法で巻かれ、所定容積の流体を有する密封されたケーシング(10)内に配置され、ケーシング(10)内に流体用の補償チャンバ(20)が設けられ、
    流体は、コンデンサプレート(3,4)に対して平行にケーシング(10)の外側に設けられた第1のターゲット圧力面(8)に対して圧力を加えることによって、少なくとも1つの流体チャンバ(5,6)からケーシング(10)の少なくとも1つの補償チャンバ(20)に排出され、コンデンサプレート(3,4)間の距離を変化させることにより電圧を発生させることができ、第2のターゲット圧力面(7)に対して圧力を加えることにより、流体を、圧力印可の方向に実質的に垂直な方向に、ケーシング(10)の少なくとも1つの補償チャンバ(20)から、コンデンサプレート(3,4)の配置に対して平行な方向に、流体チャンバ(5,6)内に、コンデンサプレート(3,4)に平行なこれらの間の距離を広げるために、再導入して戻すことができる、静電マイクロ発電機(1)。
  2. エレクトレットフィルム(2,22)は、断面で見たとき、コンデンサプレート(3,4)間の可変距離を有する複数の直列フィルムコンデンサを形成するように、平面状に巻回されてフィルム巻線を形成し、それぞれの場合に同じ極性のエレクトレットフィルム(2,22)の側部が互いに向かって配置され、同じ極性の電極としてのコンデンサプレート(3,4)は、互いに接続され配線(30,40)を形成する、ことを特徴とする、請求項1に記載の静電マイクロ発電機(1)。
  3. 金属層(3,4)と、特にエレクトレットフィルム(2,22)とは、流体、特に空気に対して実質的に不透過性に作られていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の静電マイクロ発電機(1)。
  4. 金属層(3,4)は、ポリマーエレクトレットフィルム(2,22)上に別の金属膜として、または特に金属層(3,4)は、ポリマーエレクトレットフィルム(2,22)上にメタライゼーションとして形成されていることを特徴とする、請求項1、2または3に記載の静電マイクロ発電機(1)。
  5. エレクトレットフィルム(2,22)は、金属層(3,4)を、上面で完全に覆うように有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の静電マイクロ発電機(1)。
  6. エレクトレットフィルム(2,22)は、金属層(3,4)を、金属層(3,4)のない平行な自由エッジストリップの上面上実質的に中央に有し、弾性スペーサ(11,14)は、それぞれがエレクトレットフィルム(2,22)の2つの層の間であって、それぞれの場合に金属層(3,4)のない2つの自由エッジストリップの上に配置されている、ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電マイクロ発電機(1)。
  7. 金属層(3,4)は、エレクトレットフィルム(2,22)上に、金属層(3,4)のない自由中央ストリップを有する平行エッジストリップ上の一方の側に形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の静電マイクロ発電機(1)。
  8. 弾性スペーサ(11,14)は、金属層(3,4)のない自由中央ストリップ上のエレクトレットフィルム(2,22)の2つの層の間に中央に配置されていることを特徴とする、請求項7に記載の静電マイクロ発電(1)。
  9. エレクトレットフィルム(2,22)は、二層に配置され、ケーシング(10)内の一方の側で配置され、少なくとも1つの補償チャンバ(20)は、ケーシング(10)内の反対側に配置されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の静電マイクロ発電機(1)。
  10. エレクトレットフィルム(2,22)は、二層に配置され、相互的補償チャンバ(20)としてのそれら流体チャンバ(51,52,61,62)を有して、それぞれの場合において第1及び第2のターゲット圧力面(8,7)上に形成されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の静電マイクロ発電機(1)。
  11. 2つのターゲット圧力面(81,82)は、ケーシング(10)の上面側に配置され、交互に作動させることができ、特に、定義された中央のボタン圧面への作用を起点として、ターゲット圧力面(81,82)両方に対して交互に圧縮力を加える機構が提供されていることを特徴とする、請求項8に記載の静電マイクロ発電機(1)。
  12. 静電マイクロ発電機(1)は、少なくとも1つのターゲット圧力面の圧縮に対抗し、電気エネルギー生成のために、互いに接近したコンデンサプレート(3,4)を再び引き離すばね機構を有していることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の静電マイクロ発電機(1)。
  13. 請求項9または10に記載の静電マイクロ発電機(1)と、ばね負荷式ボタン素子(25)と、マイクロ発電機のターゲット圧力面(8)への加圧開始によるボタン素子(25)の作動により電気信号を発するための信号制御器(26)とを備えるプッシュボタン(23)。
  14. ポリマーエレクトレットフィルム(2,22)を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の静電マイクロ発電機(1)の製造方法であって、エレクトレットフィルム(2,22)は、マイクロ発電機の圧力面への圧力の負荷方向に実質的に垂直なエレクトレットフィルム(2,22)とコンデンサプレート(3,4)としての電極との間をこれに平行に流体が流入および流出することができるように巻かれ、巻かれたエレクトレットフィルム(2,22)は、規定の流体容積を有するケーシング(10)内に密封されている、静電マイクロ発電機(1)の製造方法。
  15. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の静電マイクロ発電機(1)による電気エネルギーの生成方法であって、絶縁媒体としての流体、特に空気は、コンデンサプレート(3,4)に平行であって、ターゲット圧力面(8)への加圧に垂直にケーシング(10)の補償チャンバ(20)内へ排出され、逆に、流体は、コンデンサプレート(3,4)間のケーシング(10)の補償チャンバ(20)からコンデンサプレート(3,4)に平行なこれらの間の距離を広げるように導入かつ戻される、電気エネルギーの発生方法。


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