JP2018508588A - ガレクチンタンパク質を用いるレトロウイルスの潜伏感染状態の逆転法 - Google Patents

ガレクチンタンパク質を用いるレトロウイルスの潜伏感染状態の逆転法 Download PDF

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Abstract

本発明は、組換えガレクチンタンパク質を用いてHIV潜伏感染状態を逆転させる方法の独創的な発見に関する。具体的には、本発明は、組換えガレクチン−9(rGal−9)を用いて潜伏HIVを再活性化させることに関し、ここで前記HIVは超変異してウイルス複製不全となる。さらには、rGal−9は、APOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及びNFkB経路コンポーネントの発現を誘導して、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)発現を減少させる。

Description

発明の分野
本発明は、全体として、レトロウイルスに感染した対象の治療に関し、詳細には、HIV感染者の組換えガレクチンタンパク質を用いた治療に関する。
発明の背景
世界的には3500万人が、米国内では120万人近くが、AIDSの原因因子となるHIV−1に感染している。医療資源が豊富な、HIV感染者が治療を受けられる国では、抗レトロウイルス剤療法(ART)の登場により、罹患率と死亡率は大幅に低下している。とはいえ、強力な治療を何年も続けても現状の治療戦略では感染根絶には至らず、生涯にわたりARTを続ける必要がある。さらに、蓄積されたデータからは、HIV感染により「非AIDS」の心血管、腎臓、肝臓などの疾患が増幅されること、及びウイルスが抑制されている人でも免疫系に早期老化が見られ得ることが示唆されている。また、医療資源が限られた状況でもARTが提供できるよう大きな進歩はあったが、全世界的に生涯治療を実現するには大きな経済、政治、運営上の課題がある。こういった実情からも、感染者のHIV−1の根絶に向けた戦略の開発は重大事となっている。
長期間の抑制的抗レトロウイルス剤療法にもかかわらず、エクスビボで活性化すると複製能のあるウイルスを産生する能力のある潜伏感染細胞集団は、存続することが示されている。このような細胞は主として休止メモリーCD4+Tリンパ球で構成され、単球マクロファージ系統の細胞も潜伏ウイルスを担持すると考えられている。このレザバーのインビボの重要性は、抗レトロウイルス剤療法を中断した後、たとえ血漿ウイルス血症を長期間抑制していてもリバウンドする血漿中HIV RNAレベルが立証している。循環CD4+レザバーの半減期に関する大規模研究のひとつ、HAARTで最高7年間ウイルスを抑制した62名の成人HIV感染者を対象とした研究では、潜伏感染T細胞の頻度は、休止CD4+T細胞100万個中0.03〜3感染ユニットを維持し、時間経過とともに有意に減少しなかった。推定では全体的なレザバーサイズは細胞10個分であり半減期が44.2か月であり、それから推定するとレザバー根絶時間は73.2年となり、クリアランスが適当な時間尺度で自然に得られるものではないことが示された。
HIV−1潜伏レザバーの除去は、インビボでHIV−1根絶を達成するために重要である。ウイルスレザバーを除去するアプローチとして現在もっとも広く論じられているのが、「ショック・アンド・キル」戦略である。このアプローチは、薬物を投与してHIV−1潜伏感染状態を逆転させウイルス産生を誘導するもので、最終的には直接的なウイルス細胞変性効果または免疫媒介クリアランスにより、感染細胞を死滅させることになる。潜伏感染克服剤(latency reversing agent)は抑制的抗レトロウイルス剤療法(ART)の間に投与され、これにより、再活性化したウイルスが新細胞の感染を通じてレザバーを補充するのを防止する。このアプローチの理論は直観的で明快であるが、今日まで、ショック・アンド・キル戦略は限られた成功しか納めていない。ボリノスタット及びジスルフィラムなどの潜伏感染克服剤(LRA)を使った臨床試験では、レザバーのサイズの有意な縮小を実証できなかったが、ウイルスRNAの一過的な増加は観察された。こうして、インビトロの実験から、既存の多数のLRAは、HIV−1の転写と再活性化に及ぼす影響が弱いということが明らかになっている。ショック・アンド・キルが将来的に成功するかどうかは、効果の高い新規のLRA及び/または既存LRAの再活性化能を補助するアジュバント治療を設計する能力次第だろう。
本発明は、組換えガレクチンタンパク質を用いてHIV潜伏感染状態を逆転させる方法の独創的な発見に関する。具体的には、本発明は、組換えガレクチン−9(rGal−9)を用いて潜伏HIVを再活性化させることに関し、ここでHIVは超変異してウイルス複製不全となる。さらには、rGal−9は、APOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及びNFκB経路コンポーネントの発現を誘導して、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)発現を減少させる。
一実施形態では、本発明は、細胞内のヒト免疫不全ウイルス(HIV)潜伏感染状態を逆転させる方法を提供し、該方法は、それを必要とする対象にガレクチンタンパク質を投与し、これによりHIV潜伏感染状態を逆転させることを含む。一態様では、ガレクチンタンパク質は、ガレクチン−1、ガレクチン−2、ガレクチン−3、ガレクチン−4、ガレクチン−5、ガレクチン−6、ガレクチン−7、ガレクチン−8、ガレクチン−9、ガレクチン−10、ガレクチン−11、ガレクチン−12、ガレクチン−13、ガレクチン−14、またはガレクチン−15である。特定の態様では、ガレクチンタンパク質は、ガレクチン−9(rGal−9)である。別の態様では、ガレクチンタンパク質の投与後、HIVは超変異する。さらなる態様では、超変異したHIVは、複製不全である。さらなる態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現が誘導される。一態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現の誘導は、正常な生理レベルよりも少なくとも2倍高い。特定の態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼは、APOBEC3B、APOBEC3F、APOBEC3G、APOBEC3H、またはそれらの組合せであり、少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントは、NFκB1、NFκB2、NFκBIA、NFκBID、NFκBIE、NFκB1、NFκBIL1、NFκBIZ、NFRκB、REL、RELA、RELB、またはそれらの組合せである。別の態様では、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)タンパク質の発現が、正常な生理レベルに比べて減少する。特定の態様では、少なくとも1種のHDACタンパク質は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、またはそれらの組合せである。
さらなる実施形態では、本発明は、レトロウイルス感染症を有する対象を治療する方法を提供し、該方法は、該対象に組換えガレクチン−9(rGal−9)を投与し、これにより該レトロウイルス感染症を治療することを含む。一態様では、レトロウイルスは、HIV−1、HIV−2、HTLV−1、HTLV−2、HTLV−3、HTLV−4、またはそれらの組合せである。特定の態様では、レトロウイルスは、HIV−1またはHIV−2である。別の態様では、rGal−9の投与後、HIVは超変異する。さらなる態様では、超変異したHIVは、複製不全である。さらなる態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現が誘導される。一態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現の誘導は、正常な生理レベルよりも少なくとも2倍高い。特定の態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼは、APOBEC3B、APOBEC3F、APOBEC3G、APOBEC3H、またはそれらの組合せであり、少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントは、NFκB1、NFκB2、NFκBIA、NFκBID、NFκBIE、NFκB1、NFκBIL1、NFκBIZ、NFRκB、REL、RELA、RELB、またはそれらの組合せである。別の態様では、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)タンパク質の発現が、正常な生理レベルに比べて減少する。特定の態様では、少なくとも1種のHDACタンパク質は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、またはそれらの組合せである。さらなる態様では、抗レトロウイルス治療剤が投与される。一態様では、抗レトロウイルス治療剤は、エンフビルチド、ジドブジン、アバカビル、ラミブジン、エムトリシタビン、テノホビル(tenfovir)、ネビラピン(nevirpine)、エファビレンツ、エトラビリン、リルピビリン、ラルテグラビル、エルビテグラビル、ドルテグラビル、ロピナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、リトナビル、ダルナビル、アタザナビル、ビベリマット(bevirimat)、バイブコン(vivecon)、スタブジン、ジダノシン、デラビルジン、ネビラピン、ホスアンプレナビル、サキナビル、チプラナビル、マラビロク、またはそれらの組合せである。別の態様では、抗レトロウイルス治療剤は、ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害物質(NRTI)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害物質(NNRTI)、プロテアーゼ阻害物質、融合阻害物質もしくは侵入阻害物質、インテグラーゼ阻害物質、またはそれらの組合せである。
さらなる実施形態では、本発明は、組換えガレクチンタンパク質及び薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物を提供する。一態様では、組換えガレクチンタンパク質は、ガレクチン−1、ガレクチン−2、ガレクチン−3、ガレクチン−4、ガレクチン−5、ガレクチン−6、ガレクチン−7、ガレクチン−8、ガレクチン−9、ガレクチン−10、ガレクチン−11、ガレクチン−12、ガレクチン−13、ガレクチン−14、またはガレクチン−15である。特定の態様では、組換えガレクチンタンパク質は、ガレクチン−9(rGal−9)である。例示的rGal−9が米国特許第8,268,324号で説明されており、本明細書に参照により援用する。
CD4+T細胞関連HIV RNAと、ART抑制下のHIV感染者におけるp21宿主制限因子の発現の、スピアマン相関関係の図である。 図2A及び2Bは、J−Lat潜伏モデルにおける組換えガレクチン−9によるHIV発現のインビトロでの再活性化を示す。(A)刺激から2、6、12、24時間後のrGal−9によるHIV再活性化の用量反応。(B)100nMのrGal−9とaCD3/aCD28を組み合わせた刺激から24時間後の効果。 rGal−9治療がヒトトランスクリプトームに及ぼす影響を評価するワークフローの概略図である。 rGal−9が抗HIV細胞内在性免疫に及ぼす影響を説明するヒートマップである。 rGal−9によるHIV潜伏感染細胞におけるAPOBEC3G宿主シチジンデアミナーゼの誘導を示す図である。 rGal−9による複数のNFkB経路コンポーネントの誘導を示す図である。 rGal−9の選択的なヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害を示す図である。 図8A及び8Bは、単離したばかりの初代CD4+T細胞が、少なくとも200nMの濃度までのガレクチン−9治療に耐容性があることを示す。(A)0.5%DMSOかまたは段階的に濃度を上げたガレクチン−9のいずれかで処理した、3名の健常なドナー由来の生CD4+T細胞の割合。(B)フローサイトメトリーのデータからの代表的なセット。 rGal−9による潜伏HIVの強力なエクスビボ再活性化を示す図である。 図10A〜Dは、rGal−9がグリカンに依存してHIV転写及び再活性化を誘導することを示すグラフ及びフローサイトメトリー分析を示す。図10A− 抗Tim−3抗体、抗CD44抗体、または抗PDI抗体の投与が、J−Lat5A8細胞におけるrGal−9が媒介するHIVの再活性化に及ぼす効果。抗体は、200nMのrGal−9を投与する30分前に加え、α−ラクトースをポジティブコントロールとして用いた。図10B、10C− J−Lat5A8細胞を1μg/mlのツニカマイシンまたは酵素脱グリコシル化ミックスのいずれかによる、rGal−9刺激前の24時間の処理。J−LaT細胞をフローサイトメトリーで分析して、HIVがコードするGFP発現を評価した。統計学的比較は、両側マン・ホイットニー検定を用いた。図10D− rGal−9が媒介するJ−Lat5A8細胞におけるHIV潜伏感染状態逆転に及ぼす脱グリコシル酵素の組合せの影響。N=PNGaseF(エリザベスキンギア・ミリコラ(Elizabethkingia miricola));O=O−グリコシダーゼ(肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)からの組換え);S=α−(2→3,6,8,9)−ノイラミニダーゼ(アルスロバクター・ウレアファシエンス(Arthrobacter ureafaciens)からの組換え);B=β(1→4)−ガラクトシダーゼ(肺炎連鎖球菌からの組換え)+β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(肺炎連鎖球菌からの組換え)。平均値±標準誤差を示す。 図11A及び11Bは、ガレクチン−9が、潜伏HIVの再活性化において、JQ1と相乗作用することを示すデータを提供する。図11A− ART抑制下のHIV感染者由来のCD4+T細胞を、500nMのrGal−9、1μMのボリノスタット、10nMのブリオスタチン、300nMのプロストラチン、1μMのJQ1、もしくは30nMのパノビノスタットを単独でまたは500nMのrGal−9と組み合わせて、24時間処理し、細胞関連HIV RNAの誘導倍率を定量リアルタイムPCRで決定した。=p<0.05 Gal−9 500nM単独処理との比較。図11B− Bliss独立モデルを用いて、薬物併用の相乗作用の計算を行った。Δfaxy=0は、純粋な付加効果を表す。Δfaxy>0は、相乗作用を表すが、Δfaxy<0は、拮抗作用を表す。統計学的有意差は、対応のある片側t検定で、薬物併用の予測効果と実測効果を比較計算した。=p<0.05。
発明の詳細な説明
本発明の組成物及び方法を説明する前に、本発明はここで説明する特定の組成物、方法、実験条件などに限定されないことを理解されたい。そのような組成物、方法、条件は、変化し得るからである。また、本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明する目的しかなく、限定的なものではないことも理解されたい。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲でのみ限定される。
特に別途定義しないかぎり、本明細書で使用するすべての科学技術用語は、本発明の業界の当業者が通常理解するものと同じ意味をもつ。本明細書で説明する方法及び材料と同様または均等なあらゆる方法及び材料を本発明の実施または試験に用いることができるが、以下では好ましい方法及び材料を説明する。以下に記す定義は本開示を理解するためのものであり、当業者が理解している用語の意味を置き換えるものではまったくない。
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」には、複数への言及も、文脈から明白に排除されない限りは含まれる。したがって、たとえば、「方法(the method)」への言及には、1つ以上の方法及び/または本開示などを読めば当業者には明らかとなる本明細書で説明するような種類のステップも含まれる。
本明細書において使用される場合、「治療すること」または「治療」または「緩和」という用語は、治癒を目的とする治療、予防策及び/または防止策を指し、その目的は、標的の病状または障害を予防するかまたはその進行を遅らせる(軽減する)ことである。治療を必要とする人には、既に障害がある人、ならびに障害を有しやすい人、または障害を予防すべき人が含まれる。
本明細書において使用される場合、本明細書に記載のあらゆる疾患の「治療」という用語は、疾患についての少なくとも1つの症状の緩和、疾患の重症度の軽減、または、場合によってはその疾患に伴うかもしくは少なくとも1種の他の疾患につながり得るさらに重篤な症状への進行の遅延もしくは予防(たとえばウイルス負荷の低下)を包含する。治療は、必ずしも疾患の完全治癒を意味しない。有用な治療剤は、疾患の重症度を軽減することしか、疾患もしくはその治療に伴う1つ以上の症状の重症度を軽減することしか、または、より重篤な症状の発症もしくは病状治療後にある頻度で生じ得るより重篤な疾患の発症を遅延させることしか必要でない。
本明細書において使用される場合、疾患を治療するために使用される薬物の「有効量」または「治療有効量」という用語は、疾患の重症度を軽減し、疾患またはその治療に伴う1つ以上の症状の重症度を軽減し、あるいは、より重篤な症状もしくは病状治療後にある頻度で生じ得るより重篤な疾患の発症を遅延させることができる量である。「有効量」は、記載された目的と関連して、経験的かつルーチン的に決定され得る。
本明細書では「ポリペプチド」と「タンパク質」は互換的に使用され、2種以上のサブユニットアミノ酸、アミノ酸アナログ、または他のペプチド模倣薬の化合物を指すが、たとえばリン酸化もしくはグリコシル化といった翻訳後修飾の有無は関係ない。サブユニット同士はペプチド結合、またはその他のたとえばエステル結合もしくはエーテル結合などの結合により連結し得る。全長ポリペプチド、切断ポリペプチド、点変異体、挿入変異体、スプライスバリアント、キメラタンパク質、及びその断片がこの定義に包含される。さまざまな実施形態では、ポリペプチドは、少なくとも10アミノ酸または少なくとも25、または少なくとも50、または少なくとも75、または少なくとも100、または少なくとも125、または少なくとも150、または少なくとも175、または少なくとも200アミノ酸を有し得る。
核酸分子に関して本明細書で使用される「組換え」または「操作された」という用語は、人為的に改変された核酸分子に関する。非限定的例として、cDNAは、インビトロのポリメラーゼ反応により生成された、またはリンカーを結合させた、またはクローニングベクターもしくは発現ベクターなどのベクターに組み込まれたあらゆる核酸分子と同様、組換えDNA分子である。非限定的例として、組換え核酸分子は、1)たとえば核酸分子の化学的または酵素的技法により(たとえば、化学的核酸合成により、または複製、重合、エキソヌクレアーゼ消化、ヌクレオチド鎖切断消化、連結、逆転写、転写、塩基修飾(たとえばメチル化を含む)、もしくは組換え(相同及び部位特異的組換えを含む)の酵素により)インビトロで合成または修飾されており、2)自然界では結合しないヌクレオチド配列の結合を含み、3)自然発生する核酸分子配列と比べて1つ以上のヌクレオチドが欠如するように分子クローニング法により操作されており、及び/または、4)自然発生する核酸配列と比べて1つ以上の配列の変化もしくは並べ替えがあるように分子クローニング法により操作されている。「組換えタンパク質」は、遺伝子工学により生産される、たとえば遺伝子操作された核酸分子を細胞内で発現させて生産されるタンパク質である。
本明細書において使用される場合、「担体」という用語には、適用量及び濃度でそれに曝露される細胞または哺乳類にとって非毒性の、薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定化剤が含まれる。多くの場合、生理学上許容される担体はpH緩衝水溶液である。生理学上許容される担体の例としては、リン酸、クエン酸、及びその他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸などの抗酸化剤;低分子量の(約10残基未満の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、またはデキストリンなどのその他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの、塩を形成する対イオン;及び/または、TWEEN(登録商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(登録商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。さらに、任意選択の薬学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))は、凍結乾燥剤または水溶液の形態である。
レトロウイルスは、逆転写プロセスにより宿主細胞内で複製する、エンベロープに包まれたウイルスのファミリーである。レトロウイルスは、DNA中間体を有する一本鎖プラスセンスRNAウイルスであり、真正寄生ウイルスとして宿主細胞を標的とする。宿主細胞の細胞質内に入ると、ウイルスは自体の逆転写酵素を使ってそのRNAゲノムからDNAを生産し、つまり通常とは逆のパターンをとる。次にこの新たなDNAがインテグラーゼ酵素により宿主細胞ゲノムに組み込まれ、この時点でレトロウイルスDNAはプロウイルスと呼ばれる。こうして宿主細胞はウイルスのDNAを自体のゲノムの一部として扱い、該細胞自体の遺伝子とともにウイルス遺伝子を翻訳、転写して、ウイルスの新たなコピーの構成に必要なタンパク質を生産する。ウイルスの検出は、宿主が感染してしまうまでは難しく、その時点で無期限的に感染が持続することになる。
同定されているヒトレトロウイルスの例としては、HTLV1(T細胞白血病/リンパ腫、熱帯性痙性不全対麻痺症)、HTLV2(既知の病理所見なし)、HIV1及び2−AIDS、及びHTLV−3及びHTLV−4(既知の病理所見なし)が挙げられる。どのヒトレトロウイルスも、T細胞を冒す。HTLV−1は、成人T細胞白血病/リンパ腫と呼ばれる種類の癌、及びHTLV−I関連ミエロパシー/熱帯性痙性不全対麻痺症(HAM/TSP)と呼ばれる脱髄性疾患の原因として知られている。HTLV−2は、HTLV−Iと密接に関連しているウイルスで、HTLV−Iとおよそ70%のゲノム相同性を有している。HTLV−3及びHTLV−4はどちらも最近同定された新種のヒトレトロウイルスで、HTLV1及び2と関連がある。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因となり、AIDSは、ヒトの免疫系の進行性不全によって致死的な日和見感染症及び癌が発達する状態である。治療しなければ、HIV感染後の平均生存年数は、HIVサブタイプにもよるが、9年から11年と推定されている。
HIVは、ヘルパーT細胞(具体的にはCD4+T細胞)、マクロファージ、及び樹状細胞などのヒト免疫系で重要な細胞を冒す。HIV感染は、感染していない周辺細胞のアポトーシス、ウイルスによる感染細胞の直接的な殺滅、及び感染細胞を認識するCD8細胞毒性リンパ球による感染CD4+T細胞の殺滅などのいくつかの機構により、低いCD4+T細胞レベルをもたらす。CD4+T細胞数が臨界レベルよりも低下すると、細胞媒介免疫が失われ、身体はますます日和見感染に弱くなる。
HIVは宿主体内で持続性の感染を確立し、何年か後に唯一死に至らしめる。ほとんどの人が、曝露後約2〜4週間に熱性疾病が生じる一次感染を経験する。この疾病は血清転換を併発する。症状は、腺熱つまり熱、咽頭炎、寝汗、リンパ腺腫、下痢などの症状と似ている。一次感染後、患者は臨床潜伏期に入る。この期間中、患者は特に異常を感じないが、感染状態にあり、体内でウイルス複製が進行し、血液中にはHIV抗体ができている。CD4数が減少するにつれて、体重減、熱、しつこいリンパ節腫、口腔カンジダ症及び下痢などの様々な前駆障害が徐々に始まる。このような症状はAIDSへの悪化に先行する。
抗レトロウイルス治療剤は、いくつかのクラスの薬物からなり、これらは互いに組み合わせて、及び本明細書で説明するガレクチン−9と組み合わせて、使用され得る。これらの薬物の併用は抗レトロウイルス剤療法(ART)、併用抗レトロウイルス剤療法(cART)または高活性抗レトロウイルス剤療法(HAART)と呼ばれることもある。抗レトロウイルス治療剤は、その薬物が阻害するレトロウイルスのライフサイクルの段階によって広く分類されている。
侵入阻害物質(または融合阻害物質)は、いくつかの標的のうちの1つを妨害することにより、HIV−1が宿主細胞と結合すること、宿主細胞に融合すること、及び宿主細胞に侵入することを阻止する。このクラスには、マラビロクとエンフビルチドという現状で使用できる2種類の剤がある。マラビロクは、ヒトヘルパーT細胞上の共受容体であるCCR5を標的として作用する。しかしこの薬物を投与する際は、注意を要する。というのは、指向性が変わる可能性があり、そうなるとHIVがCXCR4など別の共受容体を標的化するのを許容してしまうからである。稀な事例だが、CCR5デルタ遺伝子に変異のある人もおり、そのためCCR5共受容体が機能せず、すなわち疾患に対する抵抗性または緩慢進行の手段が機能しないことになる。しかし、前述したように、このことは、CXCR4を標的とするHIVバリアントが優勢になれば克服できる。ウイルスが宿主細胞膜と融合しないように、エンフビルチドが用いられ得る。エンフビルチドは、注射専用のペプチド薬であり、HIVのgp41のN末端7アミノ酸反復と相互作用することにより作用して、不活性のヘテロ6へリックスバンドルを形成し、したがって宿主細胞の感染を予防する。
ヌクレオシド系逆転写酵素阻害物質(NRTI)とヌクレオチド系逆転写酵素阻害物質(NtRTI)は、逆転写を阻害するヌクレオシドアナログとヌクレオチドアナログである。HIVはRNAウイルスなので、ヒト細胞の核内のDNAに組み込まれることができず、DNAへと「逆」転写されなくてはならない。RNAからDNAへの転換は哺乳類細胞では行われないので、ウイルスタンパク質により実施され、これが阻害の選択的標的となる。NRTIは鎖終結剤なので、組み込まれると、3’OH基の不存在のせいで、他のヌクレオシドもDNA鎖に組み込まれないように、作用する。どちらも競合性基質阻害物質として作用する。現在使用されているNRTIの例としては、ジドブジン、アバカビル、ラミブジン、エムトリシタビン、及びテノホビルが挙げられる。
非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害物質(NNRTI)は、酵素のアロステリック部位に結合することにより逆転写を阻害する。NNRTIは、逆転写酵素の非競合性阻害物質として作用する。NNRTIは、活性部位付近に結合することで、逆転写酵素により基質(ヌクレオチド)の扱いに影響を及ぼす。NNRTIはさらに、第1世代と第2世代のNNRTIに分類され得る。第1世代のNNRTIとしては、ネビラピン及びエファビレンツが挙げられる。第2世代のNNRTIは、エトラビリン及びリルピビリンである。HIV−2はもともとNNRTIに耐性がある。
インテグラーゼ阻害物質(インテグラーゼ核鎖転移阻害物質またはINSTIとしても知られる)は、ウイルスDNAを感染細胞DNA内に組み込む役割を果たすウイルス酵素インテグラーゼを阻害する。現在臨床試験中のインテグラーゼ阻害物質がいくつかあるが、最初にFDAの承認を受けたのは、2007年10月のラルテグラビルであった。ラルテグラビルには2つの金属結合基があり、インテグラーゼの金属結合部位の2つのMg2+イオンと基質を競合する。この他、エルビテグラビルとドルテグラビルの2種類のインテグラーゼ阻害物質も最近臨床承認された。
プロテアーゼ阻害物質は、宿主細胞膜から発生した後に成熟ビリオンを生産するのに必要なウイルス酵素プロテアーゼを妨害する。具体的には、これらの薬物は、gag及びgag/pol前駆タンパク質の切断を阻止する。プロテアーゼ阻害物質の存在下で生産されたウイルス粒子には欠陥があり、ほぼ非感染性である。HIVプロテアーゼ阻害物質の例としては、ロピナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル及びリトナビルがある。ダルナビル及びアタザナビルは、現在、第一線の治療選択肢として推奨されている。各種成熟阻害物質はgagに結合することで同様の効果を有するが、このクラスの2種の実験的薬物、ビベリマットとバイブコンは、2010年に中止された。いくつかのプロテアーゼ阻害物質に対する耐性は高い。他の薬物に耐性のあるHIVバリアントにも有効な第2世代の薬物も開発されている。
抗レトロウイルス剤の併用により、HIVの複製に複数の障害が生じて、子孫が少数に維持され優位な変異の可能性が低下する。使用中の薬物のうちの1種に対する耐性をもたらす変異が生じても、その他の薬物がその変異の繁殖を抑制し続ける。稀な例外はあるが、単独の抗レトロウイルス薬が長期にわたりHIV感染を抑制すると証明されたものはなく、それらの剤は持続性効果のために併用しなければならない。結果として、標準治療は、抗レトロウイルス薬を併用することである。併用は、通常、少なくとも2つの異なるクラスからの3種の薬物で構成される。この3種の薬物の併用は、トリプルカクテルとして広く知られている。抗レトロウイルス剤の併用は、正負の同時効果が生じやすいので、有用な併用数は限られる。さらに、現在は、3種の薬物を丸薬1個にまとめ、1日1回服用するというオプションもいくつかある。
Figure 2018508588
本明細書で実施例8及び図11で説明するように、本発明のガレクチン−9との組み合わせに有用であり得る他の治療剤には、たとえばチエノトリアゾロジアゼピン(たとえばJQ1)があり、これは、たとえばBRD2、BRD3、BRD4などのブロモドメインタンパク質のBETファミリーの強力な阻害物質である。
ガレクチン−9は、ガレクチンファミリーのメンバーであり、HIV病態形成の宿主決定因子である。ガレクチンファミリーは、保存された糖鎖認識部位(CRD)により特徴付けられるグリカン結合動物レクチンのグループからなり、13ガラクトシド含有グリココンジュゲートタンパク質に対する結合特異性を与える共通のコンセンサスアミノ酸配列により定義される。ガレクチンは、線虫及び海綿などの下等生物からヒトなどの高等哺乳類種まで動物界全体で広く発現する。多くの種でガレクチンが存在し、CRDのリガンド認識に不可欠な高次保存のアミノ酸残基と連結していることは、ガレクチンが重要な保存された生物学的プロセスに関与していることを示唆している。これまでに、哺乳類のガレクチンファミリーの15種のメンバーが同定されている。プロトタイプのガレクチン(ガレクチン−1、2、5、7、10、11、13、14、及び15)は、短いN末端配列を有するCRDを1つ含んでおり、縦列反復タイプのガレクチン(ガレクチン−4、6、8、9、及び12)は、短いリンカーペプチド配列で接合された2つの非同一CRDを含んでいる。唯一キメラタイプのガレクチン(ガレクチン−3)は、プロリン、チロシン、グリシンが豊富なモチーフの反復をいくつか含む長いN末端を有するCRDを1つ有している。ガレクチン−9(Gal−9)は縦列反復タイプのガレクチンで、もともとマウス胎児由来腎臓細胞から単離されたものであり、後になってラット及びマウスの組織に広く分布することがわかった。それに対し、ヒトGal−9の発現は末梢血の白血球及びリンパ組織に限られている。Gal−9は、適応及び自然防御機構の調節を介してHIV病態形成に重要な役割を果たすことが認識されている13ガラクトシド結合動物レクチンファミリーのメンバーである。Gal−9はサイトカインとして作用し、いくつかの免疫細胞種の活性及び機能を調節することができる。細胞外環境にあるガレクチンは、細胞膜上の受容体格子形成を調節することにより、シグナル伝達経路を調節することができる。複数の報告によると、Gal−9はp21の発現を調節し、状況に依存してp21発現を誘導するかまたは抑制する。組換え安定Gal−9(1日用量は最高100pg)が、グラフト対宿主疾患、リウマチ性関節炎、及び喘息を含むいくつかのマウス疾患モデルの治療として成功裏に安全に使用されている。Gal−9は、マウスの白血病と結腸癌の進行を、それぞれアポトーシス誘導と転移阻止により遅延させる。Gal−9レベルを、組換えGal−9投与により直接的に、または分泌経路に干渉することにより間接的に操作することは、HIV潜伏感染細胞の再活性化を強化するための新規の治療アプローチであり得る。
抗レトロウイルス薬の非存在下でHIV複製を制限する細胞内在性免疫因子がいくつか発見されている。それらの因子としては、BST−2/テザリン(tetherin)、p21、スカラフィン11(schlafen11)、SAMHDI、PAF1複合体、ならびにTRIM及びAPOBEC3シチジンデアミナーゼファミリーの諸メンバーが挙げられる。制御因子がインターフェロン−a/リバビリン治療を受けている慢性感染者、及びHIV長期非進行者つまりARTの非存在下でウイルス血症不検出を維持している人のHIVを制御する妥当性が実証されている。最近の報告では、長期非進行者における細胞内在性抗ウイルス因子の発現レベルと、HIVレザバーのサイズと転写活性の関連が実証されている。
p21(CDKN1A/CIP1/WAF1)宿主制限因子の発現が、抑制的ARTを受けている人のHIV潜伏レザバーのサイズと極めて有意な負相関関係を示す(CD4+T細胞関連HIV RNAで測定)ことが最近報告された。このことは、ARTの間、p21が、ウイルス発現及び複製進行の制御に貢献し得ることを示している(図1)。p21サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)阻害物質は、インビトロでのHIVの制御または抑制、及びインビボでのHIVの自然な制御と関連付けられている。p21は、宿主細胞内のポジティブ転写伸長因子(P−TEFb)の活性を抑制することにより、トランス活性化タンパク質(Tat)媒介HIV転写を阻害する。したがって、完全にART媒介ウイルス抑制がなされている状況では、観察されたp21発現とCD4+T細胞関連HIV RNAの反比例関係は、p21によるHIVプロウイルス転写抑制を反映していると考えられる。本発明者らのグループのこの独創的な観察結果から、p21発現を阻害すればインビボでのHIV潜伏感染状態の逆転が促進されるのではないか、したがってp21は薬理学におけるHIV根絶努力の有望な標的となるのではないかという仮説が導かれた。p21に関する文献を調査した結果、ヒトタンパク質「ガレクチン−9」(Gal−9)がp21タンパク質の発現を調節することが知られていることが明らかになった。大規模なインビボの遺伝子発現プロファイリング実験の数々及びGal−9によるp21の調節について記述している複数の発表文献に基づき、HIV潜伏感染細胞のGal−9治療がHIV潜伏感染状態を逆転させてウイルス発現を誘導するかどうかを判定することにした。
したがって、一実施形態では、本発明は、細胞内のヒト免疫不全ウイルス(HIV)潜伏感染状態を逆転させる方法を提供し、該方法は、それを必要とする対象にガレクチンタンパク質を投与し、これによりHIV潜伏感染状態を逆転させることを含む。一態様では、ガレクチンタンパク質は、ガレクチン−1、ガレクチン−2、ガレクチン−3、ガレクチン−4、ガレクチン−5、ガレクチン−6、ガレクチン−7、ガレクチン−8、ガレクチン−9、ガレクチン−10、ガレクチン−11、ガレクチン−12、ガレクチン−13、ガレクチン−14、またはガレクチン−15である。特定の態様では、ガレクチンタンパク質は、組換えガレクチン−9(rGal−9)である。別の態様では、ガレクチンタンパク質の投与後、HIVは超変異する。さらなる態様では、超変異したHIVは、複製不全である。さらなる態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現が誘導される。一態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現の誘導は、正常な生理レベルよりも少なくとも2倍高い。特定の態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼは、APOBEC3B、APOBEC3F、APOBEC3G、APOBEC3H、またはそれらの組合せであり、少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントは、NFκB1、NFκB2、NFκBIA、NFκBID、NFκBIE、NFκB1、NFκBIL1、NFκBIZ、NFRκB、REL、RELA、RELB、またはそれらの組合せである。別の態様では、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)タンパク質の発現が、正常な生理レベルに比べて減少する。特定の態様では、少なくとも1種のHDACタンパク質は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、またはそれらの組合せである。
さらなる実施形態では、本発明は、レトロウイルス感染症を有する対象を治療する方法を提供し、該方法は、該対象に組換えガレクチン−9(rGal−9)を投与し、これにより該レトロウイルス感染症を治療することを含む。一態様では、レトロウイルスは、HIV−1、HIV−2、HTLV−1、HTLV−2、HTLV−3、HTLV−4、またはそれらの組合せである。特定の態様では、レトロウイルスは、HIV−1またはHIV−2である。別の態様では、rGal−9の投与後、HIVは超変異する。さらなる態様では、超変異したHIVは、複製不全である。さらなる態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現が誘導される。一態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現の誘導は、正常な生理レベルよりも少なくとも2倍高い。特定の態様では、少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼは、APOBEC3B、APOBEC3F、APOBEC3G、APOBEC3H、またはそれらの組合せであり、少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントは、NFκB1、NFκB2、NFκBIA、NFκBID、NFκBIE、NFκB1、NFκBIL1、NFκBIZ、NFRκB、REL、RELA、RELB、またはそれらの組合せである。別の態様では、少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)タンパク質の発現が、正常な生理レベルに比べて減少する。特定の態様では、少なくとも1種のHDACタンパク質は、HDAC1、HDAC2、HDAC3、またはそれらの組合せである。さらなる態様では、抗レトロウイルス治療剤が投与される。一態様では、抗レトロウイルス治療剤は、エンフビルチド、ジドブジン、アバカビル、ラミブジン、エムトリシタビン、テノホビル(tenfovir)、ネビラピン、エファビレンツ、エトラビリン、リルピビリン、ラルテグラビル、エルビテグラビル、ドルテグラビル、ロピナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、リトナビル、ダルナビル、アタザナビル、ビベリマット、バイブコン、スタブジン、ジダノシン、デラビルジン、ネビラピン、ホスアンプレナビル、サキナビル、チプラナビル、マラビロク、またはそれらの組合せである。別の態様では、抗レトロウイルス治療剤は、ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害物質(NRTI)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害物質(NNRTI)、プロテアーゼ阻害物質、融合阻害物質もしくは侵入阻害物質、インテグラーゼ阻害物質、またはそれらの組合せである。
さらなる実施形態では、本発明は、組換えガレクチンタンパク質及び薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物を提供する。一態様では、組換えガレクチンタンパク質は、ガレクチン−1、ガレクチン−2、ガレクチン−3、ガレクチン−4、ガレクチン−5、ガレクチン−6、ガレクチン−7、ガレクチン−8、ガレクチン−9、ガレクチン−10、ガレクチン−11、ガレクチン−12、ガレクチン−13、ガレクチン−14、またはガレクチン−15である。特定の態様では、組換えガレクチンタンパク質は、ガレクチン−9(rGal−9)である。
本明細書で説明する組換えタンパク質を含む薬学的組成物が提供される。そのような組成物には、1種以上の追加の成分、たとえば薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を有する治療有効量の組換えガレクチンタンパク質が含まれ得る。そのような追加成分は多岐にわたるが、緩衝剤、炭水化物、ポリオール、アミノ酸、キレート化剤、安定化剤、及び/または保存料を挙げることができる。
本発明の薬学的組成物は、非経口ルートで、たとえば注射により投与され得る。投与可能なルートとしては、皮下、筋内、静脈内、動脈内、病巣内、及び腹腔内のボーラス注射がある。薬学的組成物はまた、点滴により、たとえば静脈内または皮下点滴により投与され得る。局所投与も、特に皮膚関連の疾患がある場合は、可能である。あるいは、薬学的組成物を粘膜細胞膜との接触により、たとえば鼻内、舌下、膣内、もしくは直腸投与すること、または吸入剤として投与することもできる。あるいは、特定の適切な薬学的組成物を経口投与することもできる。
実施例で示すように、組換えの安定した形態のGal−9タンパク質(rGal−9)での治療は、これまで臨床試験で評価されている既存の確立されたどの潜伏感感染克服剤よりもかなり高い程度にまで、強力にHIV潜伏感染状態を逆転させる。さらに、rGal−9治療は、HIVを極度に変異誘発する、すなわち「超変異」させるAPOBEC3宿主制限因子の発現を強力に誘導することが示されている。この誘導により、再活性化ウイルスはすべて非感染性となるほど確実に遺伝的に蝕まれることになるので、治療による潜伏感染状態逆転により潜伏プール(latent pool)が再繁殖する可能性は最小限化される。ここで示すデータは、組換えの安定した形態のGal−9タンパク質(rGal−9)での治療が、HIV潜伏感染状態を強力に逆転させ、HIVを極度に超変異させるAPOBEC3宿主制限因子の発現を強力に誘導することを実証している。したがって、ガレクチンまたはガレクチン経路コンポーネントは、HIV治療戦略で有用であると証明されよう。さらに、rGal−9は、ヒトにおいて病原性のある他のウイルス(たとえばHTLV−I)も含めたすべてのレトロウイルスを再活性化し超変異させる類似の能力を示すと予想される。
本発明のあらゆる態様を以下の実施例でさらに説明する。しかし、本発明の範囲は実施例に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲により定義される。
実施例1
ガレクチン−9を用いたHIV−1潜伏感染状態の強力な逆転
rGal−9は潜伏HIVの再活性化に有意な効果がある、という仮説を立てた。この仮説をめぐり、既に確立されているHIV潜伏「J−Lat」モデルで実験を行った。J−Lat細胞は、再活性化の指標である緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする潜伏中の転写可能なHIVプロウイルスを担持する。J−Lat5A8細胞(抗CD3/CD28刺激に感応するJ−Latバリアント)を組換えGal−9で刺激し時間を経過させる用量反応実験を行った。このデータから、rGal−9は、潜伏感染J−Lat細胞を用量反応的に再活性化し、その有効性はCD3/CD28単独刺激の場合と同等かそれ以上であることが明らかになった(図2A)。rGal−9とCD3/CD28の同時刺激は相乗的で、(GFP発現で表された)J−Lat細胞のHIV RNA発現率は、CD3/CD28単独刺激の場合のほぼ3倍増という結果であった(図2B)。J−Lat潜伏モデルにおける組換えガレクチン−9によるHIV発現のインビトロ再活性化。J−Lat細胞をフローサイトメトリー分析して、組換えガレクチン−9(rGal−9)による再活性化後の、HIVがコードするGFP発現の平均蛍光強度を評価した。(A)刺激から2、6、12、24時間後のrGal−9によるHIV再活性化の用量反応。ポジティブコントロールとしてビーズに結合させた抗CD3/CD28抗体を用いた。(B)100nMのrGal−9とaCD3/aCD28を組み合わせた刺激から24時間後の効果。結果は代表的な三連実験の平均値±標準偏差である。
実施例2
宿主トランスクリプトームに及ぼすrGal−9治療の影響
rGal−9が潜伏HIVの再活性化に及ぼす影響の評価に加えて、rGal−9がヒトトランスクリプトームに及ぼす影響も決定しようと、具体的な焦点を(1)HIV転写及び潜伏に関与する遺伝子の発現、ならびに(2)HIVの制御とHIV感染細胞のクリアランスとに関与する免疫遺伝子、とした。2種のアプローチを用いた。「CuRe」(累積的制限)定量PCRアレイにより内在性免疫遺伝子発現に特化して測定し、遺伝子発現に対する全体的効果をRNA配列決定により総合評価した(図3)。ワークフローの一部として、GFP陽性細胞とGFP陰性細胞は、それぞれ再活性化(転写活性)HIVプロウイルスと潜伏(転写不活性)プロウイルスを含有した。
実施例3
rGal−9治療はAPOBEC3シチジンデアミナーゼを含む抗HIV細胞内在性免疫を誘導する
rGal−9が抗HIV細胞内在性免疫防御をいかに調節するかを決定するために、遺伝子発現データを調べた(図4)。複数の論文に記載されている確立された42の抗HIV制限因子に及ぼす効果を調査した(Abdel−Mohsen et al.(2014)J Virol 88:763及びAbdel−Mohsen(2013)Retrovirology 10:106)。宿主ゲノムへの組込み前にHIVを阻害するいくつかの因子がかなり誘導されたが、HIV組込み後の抑制因子は誘導されなかった。これは、ショック・アンド・キルでHIVを根絶する枠組みで使用される剤としては理想的なシナリオである。特に関連深いものとしては、APOBEC3B、APOBEC3F、APOBEC3G、及びAPOBEC3Hを含むAPOBEC3シチジンデアミナーゼがCD4+T細胞においてrGal−9によって強力に誘導されたということが判明した。このことは、こういったAPOBEC3因子関連の既知の作用機構に基づき、rGal−9により再活性化したあらゆるウイルスは新細胞の感染時に極度に超変異して、生産されるウイルスすべてが複製不全となることを示唆している。このことは、ショック・アンド・キルのHIV治療の枠組みでは極めて適切である。というのは、特に薬物浸透性が最適とまでいかない組織では、ARTはウイルス複製を完全には阻止しないことが次第に明らかになりつつあるからである。ヒトシチジンデアミナーゼAPOBEC3G及びAPOBEC3Fは、複製中にレトロウイルス及びヘパドナウイルスのマイナス鎖DNAにおいてCからUへの変化を導入することにより、自然抗ウイルス防御機構として働く(結果として、ゲノムセンス鎖配列にGからAへの変異が生じる)。しかしHIV−1ゲノムは、宿主細胞におけるAPOBEC3のタンパク質分解を促進することによりこの防御に対し特異的に反作用する23キロダルトンのタンパク質Vif(ビリオン感染性因子)をコードする。Vif発現の非存在下では、APOBEC3はビリオンに組み込まれ、ウイルスゲノムはコード鎖における大がかりなGからAへの変異、つまり「超変異」を経て、一般的には1回の複製サイクル内で生存不能になる。観察された、rGal−9に反応したAPOBEC3G誘導レベル(最高55倍)(図4、図5)から、ウイルスVifタンパク質の拮抗効果は中和され、再活性化したウイルスは高濃度のAPOBEC3Gを内包し、子孫のビリオンはすべて複製不全となるのでは、と予測された。このシナリオは、本発明者らのグループなどがこれまでに発表し提唱している、APOBEC3Gを超生理的レベルにまで(たとえ2倍か3倍であっても)誘導するとHIV−1及び他のレトロウイルスをインビボで強力に中和できる、という知見と同じである。図4は、rGal−9が抗HIV細胞内在性免疫に及ぼす影響を説明するヒートマップを示す。表示のデータはカスタム化した定量PCRアレイを用いて収集した。観察結果は本発明者らのRNA配列決定データでミラーリングして、観察したパターンの妥当性を確認した。ベースライン(処理前)状態に対する倍率変化を示す。図5は、HIV潜伏感染細胞におけるrGal−9によるAPOBEC3G宿主シチジンデアミナーゼの誘導を示す。再活性化(転写活性)HIVプロウイルスと潜伏(転写不活性)プロウイルスを含むGFP陽性細胞とGFP陰性細胞を示す。平均値±標準誤差を示す。
実施例4
rGal−9治療はNFkB経路コンポーネントを誘導する
活性化B細胞(NFkB)経路の核内因子カッパ軽鎖エンハンサーは、HIV−1転写にとって重要であることがわかっている。NFkB経路は、HIV転写開始のシグナル依存性活性化にとって重要であり、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)をウイルスの末端反復配列(LTR)プロモーターに動員できる。したがって、リアル(real)−9治療はNFkB経路の複数のコンポーネントを誘導して、HIV−1転写に及ぼすその強力な補強効果に貢献するのでは、と仮定した。予想どおり、本発明者らのRNA−seqデータ分析は、いくつかのNFkB経路遺伝子がNFkB治療により誘導されることを明白に実証している(図6)。データはRNA−seqを用いて作成した。平均値±標準偏差を棒グラフに示す。アステリスクはt検定に基づく統計学的有意差を示し、偽発見率の補正:=FDR<0.05、**=FDR<0.01、***=FDR<0.001である。図7に示すように、rGal−9は選択的にヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を阻害する。データはRNA−seqを用いて作成した。平均値±標準偏差を棒グラフに示す。アステリスクはt検定に基づく統計学的有意差を示し、偽発見率の補正:=FDR<0.05である。
実施例5
rGal−9は採取したばかりの初代細胞の生存度には最小限の影響しか及ぼさない
rGal−9が潜伏HIVの再活性化に及ぼす影響を評価することに加えて、リアル−9の毒性を評価し、rGal−9が初代(primary)細胞の生存度に及ぼす影響を決定することにした。潜伏HIVを強力に再活性化させるrGal−9の能力にもかかわらず、細胞生存度に及ぼす大きな無差別的影響によりインビボでの利用可能性が損なわれることにもなる。複数の健常コントロールから新鮮血100ccを得た。これはBlood Systems Research Instituteの健常ドナープログラムでHIVに感染していないドナーから採取したものである。この実験は、rGal−9が初代末梢血単核球(PBMC)及び精製CD4+T細胞の生存度に及ぼす影響が最小限であることを明白に実証しており、rGal−9のヒトへの適用の可能性がさらに高まった(図8)。大腸菌(Escherichia coli)(Epi300、Epicentre)をルリア培地またはクロラムフェニコール(20mg L−1)もしくはカナマイシン(50mg L−1)もしくはアンピシリン(50mg L−1)もしくはテトラサイクリン(10mg L−1)もしくはゲンタマイシン(20mg L−1)もしくは必要に応じてそれらの組合せを補充した寒天培地で増殖させた。図8に示すように、単離したばかりの初代CD4+T細胞は、少なくとも200nMの濃度までのrGAL−9治療に耐容性を示した。図8Aは、0.5%DMSOかまたは段階的に濃度を上げたガレクチン−9のいずれかで24時間処理した、3名の健常なドナー由来の生CD4+T細胞の割合を示す。図8Bは、フローサイトメトリーのデータからの代表的なセットを示す。ドットプロットは、FSC−SSCプロットである。FSCとSSCは、それぞれ前方散乱と側方散乱を示す。
実施例6
rGal−9による潜伏HIVの強力なエクスビボ再活性化
ART抑制下のHIV感染者3名からCD4+T細胞を単離した。細胞は、DMSO0.5%(ネガティブコントロール)、aCD3/aCD28ビーズ(細胞とビーズの比率は1:1)、PMA(5nM)/イオノマイシン(1pM)、SAHA(1pM)、または濃度が異なるrGal−9(200nM、500nM、1pM、及び1.65pM)で24時間処理をしたかまたは処理をしなかった。細胞はまた、ロミデプシン(40nM)で4時間パルス処理し、2回洗って、(Gilead社が推奨するプロトコールにしたがい)5日間培養した。細胞関連全RNAを、Qiagen Allprep RNA/DNA/タンパク質キットを用いて、カラムでDNase処理し、抽出した。HIV細胞のRNAレベルを、定量PCR(qPCR)により保存性の高いLTR領域を対象に三連で実施して定量化した。細胞関連HIV RNAの倍率増加は、各時点において対応するDMSO処理コントロールに対し相対的に決定した。各ドナー及び条件の倍率変化は、2つの独立した測定による平均HIVコピー数に基づく。ボックスは範囲を表し、線は中央値を表す。ART抑制下のHIV感染者3名からCD4+T細胞を単離した。細胞の全RNAを、Qiagen Allprep RNA/DNA/タンパク質キットを用いて、カラムでDNase処理し、抽出した。HIV細胞関連RNAレベルを、定量PCR(qPCR)により保存性の高いLTR領域を対象に三連で実施して定量化した。細胞のHIV RNAの倍率増加は、各時点において対応するDMSO処理コントロールに対し相対的に決定した。各ドナー及び条件の倍率変化は、2つの独立した測定による平均HIVコピー数に基づく。ボックスは範囲を表し、線は中央値を表す。
実施例7
HIV潜伏感染状態を逆転させるための細胞表面グリカンの操作
組換えガレクチン−9(rGal−9)が媒介するHIV潜伏感染状態の逆転に関する作用機構を特定するために実験を行った。感染細胞の表面から選択的にグリカンを除去することにより、本発明者らは、rGal−9がHIV潜伏感染状態を逆転させる能力には特定の細胞表面グリカンの存在(既に認識されているガレクチン−9タンパク質リガンドではなく)が不可欠であることを判明した(図10を参照のこと)。この結果は、グリカンがrGal−9のシグナル伝達において重要な役割を果たしていることを示す。図10A〜図10Dは、rGal−9がグリカンに依存してHIV転写及び再活性化を誘導することを示すグラフ及びフローサイトメトリー分析図を示している。図10Aは、抗Tim−3抗体、抗CD44抗体、または抗PDI抗体の投与が、J−Lat5A8細胞におけるrGal−9が媒介するHIVの再活性化に及ぼす効果である。抗体は、200nMのrGal−9を投与する30分前に加えた。α−ラクトースをポジティブコントロールとして用いた。図10B及び図10Cは、J−Lat5A8細胞を1μg/mlのツニカマイシンまたは酵素脱グリコシル化ミックスのいずれかでrGal−9刺激前に24時間かけて処理している。J−Lat細胞をフローサイトメトリーで分析して、HIVがコードするGFP発現を評価した。統計学的比較は、両側マン・ホイットニー検定を用いた。図10Dは、脱グリコシル酵素の組合せが、rGal−9が媒介するJ−Lat5A8細胞におけるHIV潜伏感染状態逆転に及ぼす影響である。N=PNGaseF(エリザベスキンギア・ミリコラ);O=O−グリコシダーゼ(肺炎連鎖球菌からの組換え);S=α−(2→3,6,8,9)−ノイラミニダーゼ(アルスロバクター・ウレアファシエンスからの組換え);B=β(1→4)−ガラクトシダーゼ(肺炎連鎖球菌からの組換え)+β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(肺炎連鎖球菌からの組換え)。平均値±標準誤差を示す。
感染細胞の表面から選択的にグリカンを除去することにより、本発明者らは、rGal−9がHIV潜伏感染状態を逆転させる能力には特定の細胞表面グリカンの存在が重要であることを判明した(図10を参照のこと)。したがって、グリカンは、rGal−9のシグナル伝達においてある役割を果たしている。このように、宿主細胞のグリコシル化を調節することにより、HIV潜伏感染状態の逆転を達成できる。グリコシル化調節物質は、ガレクチン−9治療の前、同時、または後に投与できる。
実施例8
ブロモドメイン阻害物質を含む他の潜伏感染克服剤と相乗的に組み合わせたガレクチンの使用
この実施例では、HIV感染の治療または治癒を達成するために他の潜伏感染克服剤と相乗的に組み合わせたrGal−9の使用を示す。この実施例は、この概念を支持するデータを提供する。たとえば、rGal−9をブロモドメイン阻害物質である潜伏感染克服剤「JQ1」と同時投与すると、相乗的活性が見られる(図11を参照のこと)。これらのデータは、rGal−9が他のクラスのHIV潜伏感染克服剤と相乗的活性を示すであろうこと、及びHIV感染の治療のために複数の薬物カクテルに組み込むのに好適であろうことを例示している。
図11A及び図11Bは、ガレクチン−9が潜伏HIVの再活性化においてJQ1と相乗作用を示すことを示すデータを提供する。図11Aは、ART抑制下のHIV感染者由来のCD4+T細胞を、500nMのrGal−9、1μMのボリノスタット、10nMのブリオスタチン、300nMのプロストラチン、1μMのJQ1、もしくは30nMのパノビノスタットを単独でまたは500nMのrGal−9と組み合わせて、24時間処理し、細胞関連HIV RNAの誘導倍率を定量リアルタイムPCRで決定した。=p<0.05 Gal−9 500nM単独処理との比較。図11Bは、Bliss独立モデルを用いて、薬物併用の相乗作用の計算を行った。Δfaxy=0は、純粋な付加効果を表す。Δfaxy>0は、相乗作用を表す。Δfaxy<0は、拮抗作用を表す。統計学的有意差は、対応のある片側t検定で、薬物併用の予測効果と実測効果を比較計算した。=p<0.05。
本発明を上記の例に関連して説明してきたが、本発明の趣旨と範囲内に諸変更及び諸変形が包含されることを理解されたい。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲にのみ限定される。

Claims (30)

  1. 細胞におけるヒト免疫不全ウイルス(HIV)潜伏感染状態を逆転させる方法であって、
    それを必要とする対象にガレクチンタンパク質を投与し、これにより前記HIV潜伏感染状態を逆転させることを含む、前記方法。
  2. 前記ガレクチンタンパク質が、ガレクチン−1、ガレクチン−2、ガレクチン−3、ガレクチン−4、ガレクチン−5、ガレクチン−6、ガレクチン−7、ガレクチン−8、ガレクチン−9、ガレクチン−10、ガレクチン−11、ガレクチン−12、ガレクチン−13、ガレクチン−14、及びガレクチン−15からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ガレクチンタンパク質が、ガレクチン−9または組換えガレクチン−9(rGal−9)である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ガレクチンタンパク質の投与後、前記HIVが超変異する、請求項1に記載の方法。
  5. 超変異した前記HIVが複製不全である、請求項4に記載の方法。
  6. 少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現が誘導される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び前記少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現の誘導が、正常な生理レベルよりも少なくとも2倍高い、請求項6に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼが、APOBEC3B、APOBEC3F、APOBEC3G、APOBEC3H、及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントが、NFκB1、NFκB2、NFκBIA、NFκBID、NFκBIE、NFκB1、NFκBIL1、NFκBIZ、NFRκB、REL、RELA、RELB、及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
  10. 少なくとも1種のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)タンパク質の発現が、正常な生理レベルに比べて減少する、請求項1に記載の方法。
  11. 前記少なくとも1種のHDACタンパク質が、HDAC1、HDAC2、HDAC3、及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
  12. レトロウイルス感染症を有する対象を治療する方法であって、
    前記対象にガレクチン−9または組換えガレクチン−9(rGal−9)を投与し、これにより前記レトロウイルス感染症を治療することを含む、前記方法。
  13. 前記レトロウイルスが、HIV−1、HIV−2、HTLV−1、HTLV−2、HTLV−3、HTLV−4、及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記レトロウイルスがHIV−1またはHIV−2である、請求項13に記載の方法。
  15. rGal−9の投与後、前記HIVが超変異する、請求項14に記載の方法。
  16. 超変異した前記HIVが複製不全である、請求項15に記載の方法。
  17. 少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現が誘導される、請求項12に記載の方法。
  18. 前記少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼの発現及び/または前記少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントの発現の誘導が、正常な生理レベルよりも少なくとも2倍高い、請求項17に記載の方法。
  19. 前記少なくとも1種のAPOBEC3シチジンデアミナーゼが、APOBEC3B、APOBEC3F、APOBEC3G、APOBEC3H、及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記少なくとも1種のNFκB経路コンポーネントが、NFκB1、NFκB2、NFκBIA、NFκBID、NFκBIE、NFκB1、NFκBIL1、NFκBIZ、NFRκB、REL、RELA、RELB、及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
  21. HDAC1、HDAC2、及び/またはHDAC3の発現が、正常な生理レベルに比べて減少する、請求項12に記載の方法。
  22. 抗レトロウイルス治療剤または追加の治療剤の投与をさらに含む、請求項12に記載の方法。
  23. 前記抗レトロウイルス治療剤が、エンフビルチド、ジドブジン、アバカビル、ラミブジン、エムトリシタビン、テノホビル(tenfovir)、ネビラピン(nevirpine)、エファビレンツ、エトラビリン、リルピビリン、ラルテグラビル、エルビテグラビル、ドルテグラビル、ロピナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、リトナビル、ダルナビル、アタザナビル、ビベリマット(bevirimat)、バイブコン(vivecon)、スタブジン、ジダノシン、デラビルジン、ネビラピン、ホスアンプレナビル、サキナビル、チプラナビル、マラビロク、及びそれらの組合せからなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
  24. 前記抗レトロウイルス治療剤が、ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害物質(NRTI)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害物質(NNRTI)、プロテアーゼ阻害物質、融合阻害物質もしくは侵入阻害物質、インテグラーゼ阻害物質、またはそれらの組合せである、請求項22に記載の方法。
  25. 組換えガレクチンタンパク質及び薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
  26. 前記組換えガレクチンタンパク質が、ガレクチン−1、ガレクチン−2、ガレクチン−3、ガレクチン−4、ガレクチン−5、ガレクチン−6、ガレクチン−7、ガレクチン−8、ガレクチン−9、ガレクチン−10、ガレクチン−11、ガレクチン−12、ガレクチン−13、ガレクチン−14、及びガレクチン−15からなる群より選択される、請求項25に記載の薬学的組成物。
  27. 前記組換えガレクチンタンパク質がガレクチン−9(rGal−9)である、請求項26に記載の薬学的組成物。
  28. 前記治療剤が、BETファミリーブロモドメインタンパク質の阻害物質である、請求項22に記載の方法。
  29. 前記阻害物質がJQ1である、請求項28に記載の方法。
  30. HIV感染細胞に、前記感染細胞のグリコシル化を調節するための作用物質を投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
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