JP2018503706A - 新規なタリウムをドープしたヨウ化ナトリウム、ヨウ化セシウムまたはヨウ化リチウムのシンチレーター - Google Patents

新規なタリウムをドープしたヨウ化ナトリウム、ヨウ化セシウムまたはヨウ化リチウムのシンチレーター Download PDF

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Abstract

本発明は、核物質の検出に有用なタリウムをドープしたヨウ化ナトリウム、ヨウ化セシウムまたはヨウ化リチウムのシンチレーターを含む結晶組成物または無機シンチレーターを含む組成物を提供する。

Description

関連特許出願
本出願は、2014年11月19日出願の米国仮特許出願第62/082,018号についての優先権を主張し、参照として本明細書に組み入れる。
政府支援の陳述
本発明は、米国国土安全保障省に裁定された承認番号HSHQDC−07−X−00170、および米国エネルギー省に裁定された契約番号DE−AC02−05CH11231の下での政府の支援を受けてなされた。政府は本発明について一定の権利を有する。
本発明は、ガンマ線検出物質として有用なシンチレーション特性を有する無機結晶の分野にある。
NaI:Tlシンチレーターは、1948年にHofstadterにより発見され、そのとき以来電離放射線検出の主力商品として多くの用途に役立ってきた[1]。66年後、多くのより明るく高速なシンチレーター(例えば、LaBr3:Ce、SrI2:Eu、CsBa25:Eu、BaBrI:Eu等[2])の発見の後でも、NaI:Tlは依然として市場の約50%を占めている。このことは、その他のシンチレーターと比べてNaI:Tlが保持する主な利点によって説明でき、低コスト、大型結晶成長の既知のプロセス、発光波長と従来型PMTの量子効率との間の優れた適合性、および比較的早い減衰時間である。同時に、いくつかの欠点も有しており、吸湿性、低い有効原子番号および密度、44,000光子/MeVとそれ程高くはない発光出力(LO)、強い非比例性[4,5]、ならびに、関連して662keVで6.5%と乏しいエネルギー分解能(ER)である。
1948年以来、いくつかの異なる手段でNaIのシンチレーション性能を改善する多くの試みが行われてきており、たいていは結晶成長関連だが、シンチレーションプロセスでの不純物の役割を通しても行われてきた[6]。低濃度でのMn、Pb、Ag、カルコゲン(酸化物および硫化物)、ならびにハロゲン化合物(Cl)を含めて[7]、多くの不純物が溶融物に添加されたが、NaIの発光出力およびエネルギー分解能への有効性は見出せなかった。2010年に、Shiran等は、NaI:TlへのEu2+の添加で、6.2%のエネルギー分解能を有する48,000光子/MeVの発光出力を生成することを見出した[8]。Eu2+発光の大きな効率および遅延パルス立ち上がり時間に基づいて受け入れられたこの系のシンチレーション機構は、Tl+の発光バンドとEu2+の励起バンドとの重なりが、NaI格子内のTl+からEu2+発光中心への放射性エネルギーの移動の原因となることである。
200ppmのSrの共ドーピングによりLaBr3:Ceのエネルギー分解能が662keVで2.7%から2.0%に改善した[9]という最近の発見は、シンチレーションの学界内に興奮の新しい波をつくり出した。既知のシンチレーターに、わずかの不純物濃度で共ドーピングすることにより、非比例性、発光出力およびエネルギー分解能が著しく改善する可能性は、非常に魅力的なアイデアである。NaIのように成長が安価で、よく研究されているシンチレーターに適用するときには、特に魅力的である。液体窒素温度での非ドープNaIは、80,000光子/MeVを超える発光出力を有することが知られている[10]。この数値は、5.8eVのバンドギャップを使用し、β=2で見積もられた理論限界値[11]に非常に近接している。この最適な発光出力に基づき、完全な比例性、均質性および光収集効率を仮定すると、2.0%のエネルギー分解能は、標準的なスーパーバイアルカリPMTを用いる662keVで到達できる統計的限界値である[12]。現在利用できる44,000光子/MeVの発光出力を用いても、依然として印象的な2.8%のエネルギー分解能は、統計的限界値である。
本発明は、(a)ヨウ化ナトリウム、ヨウ化セシウム、またはヨウ化リチウム、(b)ヨウ化タリウム、(c)ヨウ化ランタニド、またはヨウ化ランタニドの混合物、および(d)(i)アルカリ金属(ナトリウムを除く)もしくはアルカリ土類金属のヨウ化物、または(ii)Zr、Al、Zn、Cd、GaもしくはInのヨウ化物、もしくはそれらの混合物を含む、核物質の検出に有用な、結晶組成物または無機シンチレーターを提供する。
本発明は、式(I)を有する結晶組成物または無機シンチレーターを提供する。
MaI:Tl,Ln,A,X(I)
(式中、MaはNa、CsまたはLiであり、Lnはランタニド、またはランタニドの混合物であり、Aはアルカリ金属(AがMaでないものを除く)またはアルカリ土類金属であり、XはSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Pt、Au、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Sb、Bi、B、O、S、Se、Te、またはそれらの混合物であり、Tlは以下の値のモルパーセント、0mol%<[Tl]<100mol%または溶解限度までの高い方を有し、Lnは以下の値のモルパーセント:0mol%<[Ln]<100mol%を有し、Aは以下の値のモルパーセント:0mol%<[A]<100mol%を有し、Xは以下の値のモルパーセント:0mol%≦[X]<100mol%を有する)
いくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターは、式(Ia)を有する。
NaI:Tl,Ln,A,X(Ia)
いくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターは、式(Ib)を有する。
CsI:Tl,Ln,A,X(Ib)
いくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターは、式(Ic)を有する。
LiI:Tl,Ln,A,X(Ic)
いくつかの実施形態では、Tlは以下の値のモルパーセント:0.00001mol%<[Tl]<10mol%または溶解限度までの高い方を有する。いくつかの実施形態では、Lnは以下の値のモルパーセント:0.00001mol%<[Ln]<10mol%または溶解限度までの高い方を有する。いくつかの実施形態では、Aは以下の値のモルパーセント:0.00001mol%<[A]<10mol%または溶解限度までの高い方を有する。いくつかの実施形態では、Xは以下の値のモルパーセント:0mol%<[X]<100mol%を有する。いくつかの実施形態では、Xは以下の値のモルパーセント:0.00001mol%<[X]<10mol%または溶解限度までの高い方を有する。いくつかの実施形態では、Tl、Ln、AおよびXは、各々独立に以下の値のモルパーセント:0.00001mol%<[Tl、Ln、AもしくはX]<1mol%または溶解限度までの高い方を有する。いくつかの実施形態では、Tl、Ln、AおよびXは、各々独立に以下の値のモルパーセント:0.001mol%<[Tl、Ln、AもしくはX]<1mol%または溶解限度までの高い方を有する。いくつかの実施形態では、Tl、Ln、AおよびXは、各々独立に以下の値のモルパーセント:0.01mol%<[Tl、Ln、AもしくはX]<1mol%または溶解限度までの高い方を有する。いくつかの実施形態では、Tl、Ln、AおよびXは、各々独立に以下の値のモルパーセント:0.1mol%<[Tl、Ln、AもしくはX]<1mol%または溶解限度までの高い方を有する。
本発明は、式(II)を有する結晶組成物または無機シンチレーターを提供する。
MaxI:Tla,Lnb,Ac,Xd(II)
(式中、MaはNa、CsまたはLiであり、Lnはランタニド、またはランタニドの混合物であり、Aはアルカリ金属(AがMaでないものを除く)またはアルカリ土類金属であり、XはSc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Pt、Au、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Sb、Bi、B、O、S、Se、Te、またはそれらの混合物であり、xは、x=1−a−b’−c’−2dに等しい値を有し、0<x<1であり、aは、0<a<1に等しい値を有し、bは、0<b’<1に等しい値を有し、cは、0<c’<1に等しい値を有し、dは、0≦2d<1に等しい値を有し、Lnが2+の原子価を有する場合、b’は2bであり、またはLnが3+の原子価を有する場合、b’は3bであり、Aが1+の原子価を有する場合、c’はcであり、またはAが2+の原子価を有する場合、c’は2cである)
いくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターは、式(IIa)を有する。
NaxI:Tla,Lnb,Ac,Xd(IIa)
いくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターは、式(IIb)を有する。
CsxI:Tla,Lnb,Ac,Xd(IIb)
いくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターは、式(IIc)を有する。
NaxI:Tla,Lnb,Ac,Xd(IIc)
いくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターは、MeV当たり少なくとも40,000光子をもたらす。
いくつかの実施形態では、XはMg、Ca、SrもしくはBa、またはそれらの混合物である。
いくつかの実施形態では、ランタニドはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、またはそれらの混合物である。2+の原子価を有するランタニドの例としては、EuおよびYbである。3+の原子価を有するランタニドの例としては、CeおよびYbである。無機シンチレーターは、ガンマ放射線などの好適な放射線による照射で明るいルミネセンスを生成するシンチレーターである。
いくつかの実施形態では、無機シンチレーターはセラミックである。
いくつかの実施形態では、無機シンチレーターのエネルギー分解能は、約662keVで約2.5から約5%の範囲内である。
本発明のいくつかの実施形態では、無機シンチレーターは、少なくとも1次元が少なくとも1mm、少なくとも5mm、少なくとも1cmもしくは少なくとも3cmの長さ、またはガンマ放射線を止めるかもしくは吸収するのに少なくとも十分な長さを有する、単結晶である。
本発明は、例1または例2に記載された特性の1種または複数が記載された、および/または有する、無機シンチレーターを提供する。
本発明はまた、本発明の結晶組成物を生成するために有用なヨウ化物塩の混合物を本質的に含む組成物(NaI、TlI、ヨウ化ランタニド、アルカリ金属(Naを除く)のヨウ化物もしくはアルカリ土類金属のヨウ化物、および/またはXのヨウ化物)を提供し、組成物内で相互に対する各元素は、式(I)−(II)、または本明細書に記載する任意のその他の式の化合物中の元素の化学量論量に対して本質的に等価な化学量論量を有する。
ヨウ化物塩は粉末結晶でもよい。ヨウ化物塩は本質的に純粋である。そのようなヨウ化物塩は市販されている。
本発明はさらに、本明細書に記載した無機シンチレーターを含む組成物の製造方法であって、(a)本明細書に記載したような無機シンチレーターの製造のために有用な、本明細書に記載したヨウ化物塩の混合物を本質的に含む組成物を用意することと、(b)その混合物を加熱してヨウ化物塩の反応を開始することと、(c)混合物を室温に冷却して、その結果無機シンチレーターを含む組成物を形成することとを含む方法を提供する。
本発明は、本発明の無機シンチレーターを含む組成物を備えるデバイス、および光検出器を提供する。そのデバイスは、ガンマ放射線などの電離放射線の検出に有用である。そのデバイスは、工業上、医用上の保護および防御目的に有用であり、すなわち石油および原子力産業である。
本発明のいくつかの実施形態では、そのデバイスは、無機シンチレーターの単結晶または本発明の結晶組成物を含むガンマ線(または同様の放射線)検出器である。完全な検出器に組み立てたとき、シンチレーター結晶は、シンチレーターによる光パルスの発光に応答する電気信号の発生のために、直接または好適な光路を通って光検出器の感光表面に光学的に結合される。本発明の無機シンチレーターは、いくつかの重要な特徴を保有しており、最も著しいのは、高い発光出力、非常に短い減衰時間および高い検出効率であり、そのことにより、本発明の無機シンチレーターを、特に核物質検出などの国土安全保障への応用において、ガンマ線または同様な放射線検出器として従来のシンチレーターに対して勝るものにする。
前述の態様およびその他のことは、添付図面と併せて読むとき、以下の例示的実施形態の説明から、当業者によって容易に認識されるであろう。
溶融混合NaI試料の発光出力を示すグラフである。 溶融混合NaI試料のエネルギー分解能を示すグラフである。 NaI:0.25%Tl+、0.2%Ca2+、0.1%Eu2+の発光出力に対するエネルギー分解能を示すグラフである。すべての記号は、結晶の各部分での平均値および標準偏差を表す。挿入図:石英アンプル中で急速成長させた結晶の写真である。 市販のNaI:Tlならびに0.1%Tl+、0.2%Ca2+および0.1%Eu2+をドープしたNaIで記録した、137Csのパルス波高スペクトルを示すグラフである。 本発明によるシンチレーション検出器の一実施形態の線図である。 実験設計から選択した規格化したX線ルミネセンススペクトルを示すグラフである。 [Tl+]、[Eu2+]、[IIA2+]、およびIIAタイプの関数として、NaI:Tl、X、Y試料のエネルギー分解能の応答面を示すグラフである。応答面をプロットするために、IIA2+元素タイプは、対応するイオン半径にピコメートルで置換した:Mg−72、Ca−100、Sr−118およびBa−135。
本発明を説明する前に、本発明は、記載された特定の実施形態に、もちろん変更されていても、限定されないことを理解すべきである。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためであり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみにより限定されることになるため、限定しようと意図するものでもない点もまた理解すべきである。
値の範囲が提示された場合、文脈が明らかに別のことを規定しているのでない限り、当該範囲の上限と下限との間のそれぞれの中間値(intervening value)は、下限の単位の10分の1までもまた具体的に開示されると理解される。任意の指定された値または指定された範囲における中間値と任意のその他の指定されたまたは指定された範囲における中間値の間のそれぞれのより小さな範囲は、本発明の範囲内に包含される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立に、その範囲に含まれても、または除外されてもよく、その限界のどちらか、どちらでもなく、または両方がそのより小さな範囲に含まれる場合、それぞれの範囲もまた本発明の範囲内に包含され、その指定された範囲で任意の具体的に除外された限界に従う。指定された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のどちらかまたは両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
その他に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通例理解するのと同一の意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実施または試験で使用できるが、好ましい方法および材料をこれから説明する。本明細書で言及するすべての刊行物は、開示のために参照として本明細書に組み入れ、その刊行物が引用された関連する方法および/または材料を記載する。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに別のことを規定しているのでない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「結晶」への言及は、単結晶と同様に複数の結晶を含む。
本明細書で使用するように、用語「任意で」または「してもよい」は、後に記載する特長もしくは構造が存在してもしなくてもよいことを意味し、または後に記載する事象もしくは状況が発生してもしなくてもよいことを意味し、説明は、特定の特長または構造が存在する事例およびその特長または構造が存在しない事例、または事象もしくは状況が発生する事例およびそれが発生しない事例を含むことを意味する。
用語「約」は、指定値より10%大きい値および指定値より10%小さい値を含むことを意味する。
本発明のこれらおよびその他の目的、利点および特長は、以下のより完全に記載された本発明の詳細を読むことにより、当業者に明らかになるであろう。
結晶組成物/無機シンチレーター
本発明の結晶組成物または無機シンチレーターの有用な品質は、高い光収率、急速なルミネセンス減衰(3000ナノ秒以下、または2000ナノ秒以下、または1000ナノ秒以下など)、良好な阻止能、高密度、良好なエネルギー分解能、容易な成長、および周囲環境条件下での安定性である。
結晶組成物または無機シンチレーターは、多結晶粉末または単結晶形態であることが可能である。結晶は、任意の寸法であることが可能であり、平均体積は少なくとも0.001mm3、少なくとも1mm3、少なくとも5mm3、少なくとも10mm3、少なくとも100mm3、少なくとも3cm3、少なくとも1cm3または少なくとも10cm3である。結晶は、任意の寸法であることが可能であり、結晶の少なくとも1次元が、少なくとも100μm、少なくとも1mm、少なくとも2mm、少なくとも5mm、少なくとも1cm、少なくとも3cm、少なくとも5cmまたは少なくとも10cmの長さを有する。本発明のいくつかの実施形態では、結晶は少なくとも1次元が、ガンマ放射線を電子的に検出するためにガンマ放射線を停止または吸収するのに十分な長さまたは深さとしての長さを有する。
本発明の結晶組成物または無機シンチレーターは、シンチレーターとして有用であり、X線またはガンマ線などの短波長高エネルギー光による照射に応答して有用な明るく高速なシンチレーションを生成する。無機シンチレーターの結晶はまた、容易に結晶に成長する特性を有するという更なる利点を有する。大寸法結晶は、以下の技法により成長させることができて、ブリッジマン成長および関連技法、チョクラルスキー成長および関連技法、移動ヒーター法および関連技法である。
結晶組成物/無機シンチレーターの特性決定
本発明の結晶は種々の方法を使用して特性決定できる。結晶は、X線回折法、X線ルミネセンススペクトル、活性剤の濃度用に蛍光X線分析、および/またはパルスX線時間応答に関して特性決定できる。X線回折法は、結晶相の識別などの、結晶固体の組成を決定する。X線ルミネセンススペクトルは、スペクトル成分を決定する。パルスX線時間応答は、光度、減衰時間、およびフラクションを決定する。X線ルミネセンスは、結晶の比視感度を決定するために使用する。X線励起発光スペクトルは、X線を結晶に照射して、90°などで放出光をCCD検出器により収集することで、結晶から得られる。
いくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターの光度は、イットリウムアルミニウムペロブスカイト(YAP)および/またはゲルマニウム酸ビスマス(BGO)の光度よりも高い。本発明の更なる実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターの光度は、YAPおよび/またはBGOの光度の2倍を超える。
いくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターは、662keVでルミネセンス出力が52,000光子/MeVに以上であり、および/または4.9%以下のエネルギー分解能を有する、0.1mol%TlのNaIに0.2mol%のCaおよび0.1mol%のEuを共ドープしたものである。
いくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターは、662keVでルミネセンス出力が42,800光子/MeV以上である、および/または5.4%以下のエネルギー分解能を有する、NaI:0.25%Tl、0.2%Ca、0.1%Euである。
いくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターは、662keVでルミネセンス出力が42,800光子/MeV以上である、および/または5.4%以下の低いエネルギー分解能を有する。いくつかの実施形態では、無機シンチレーターは、662keVでルミネセンス出力が52,000光子/MeV以上である、および/または4.9%以下のエネルギー分解能を有する。
結晶組成物/無機シンチレーターの調製
本発明の結晶組成物または無機シンチレーターは、種々の方法を使用して調製できる。例えば、発光スクリーンの製作に使用できる結晶は、本明細書に記載するように、ヨウ化物の融剤を用いてまたは用いることなく、固相反応により調製できる。いくつかの実施形態では、単結晶は、本明細書に記載するように、無機シンチレーターを製造するために有用なヨウ化物塩の混合物を本質的に含む組成物を提供することにより調製される。反応性の溶融混合物を生成する単純なプログラム可能な炉を使用して、約550〜900℃までの温度に混合物を加熱する。混合物が完全に反応し、所望の溶融物を生成する温度で反応を維持する。次いで、反応で生成した溶融生成物を2から5℃/分でゆっくりと冷却する。
本発明の結晶組成物または無機シンチレーター調製の具体的な方法は、以下の通りである。ブリッジマン成長および関連技法、チョクラルスキー成長および関連技法、移動ヒーター法および関連技法である。これらの方法は、単結晶1個ずつとして結晶組成物または無機シンチレーターの製造に使用できる。
ブリッジマン成長法は、方向性凝固プロセスである。本技法は、炉内の軸方向温度勾配を通して移動する溶融物を含むアンプルを使用する。単結晶は、種結晶付けした、またはしていないアンプルを使用して成長できる。ブリッジマン成長法は、Robertson J. M., 1986, Crystal growth of ceramics: Bridgman-Stockbarger method in Bever: 1986 "Encyclopedia of Materials Science and Engineering" Pergamon, Oxford pp. 963-964で教示され、参照として組み込まれる。
チョクラルスキー成長法は、単結晶種結晶が浸漬され続いてゆっくりと引き出される、溶融物から単結晶材料が引き上げられて単結晶を得るプロセスを含み、所望の光学的特性およびドーピングレベルは、ドーパントを溶融物に添加することによりなされる。チョクラルスキー成長法は、J. Czochralski, "Ein neues Verfahren zur Messung der Kristallisationsgeschwindigheit der Metalle" [A new method for the measurement of the crystallization rate of metals], Z. Phys. Chemie 92 (1918) 219-221で教示され、参照として組み入れる。本方法は、半導体および(LaBr3:Ceなどの)シンチレーター材料を含む、化合物の幅広い種類の製造で当業者によく知られている。
移動ヒーター法は、Triboulet, Prog. Cryst. Gr. Char. Mater., 128, 85 (1994)および、Funaki et al., Nucl. Instr. And Methods, A 436 (1999)に記載されており、それらは参照としてそれら全体を組み入れる。
本発明の結晶組成物または無機シンチレーター調製の具体的な方法は、以下のステップを含むセラミック法である。反応物質の混合物をグローブボックスなどの容器に入れ、1種または複数の窒素ガスなどの不活性ガスで満たす。容器は非常に乾燥した状態におく。反応物質の混合物中のヨウ化物の吸湿性のために、乾燥した状態が必要である。2種またはそれ以上の粉末反応物質を、乳棒と乳鉢などで、約10分間などの十分な時間一緒に粉砕し、反応物質の混合物を生じさせる。各々のヨウ化物塩を粉砕のために粉末反応物質に添加したとき、好適な有機溶媒または溶液をさらに加えることができ、混合物が乾燥したように見えるまで粉砕を行うことができる。反応物質の混合物を高温高圧の下で焼結する。
本発明のいくつかの実施形態では、結晶組成物または無機シンチレーターの単結晶は、本明細書に記載したように、粉末形態の事前合成した化合物を溶融し再凝固することで成長させることができ、または活性剤としてヨウ化物塩を使用した混合物の溶融物から直接成長させることができる。最良の性能の結晶を成長させるためには、出発化合物をさらにゾーン精製法により精製する必要があるであろう。
単結晶の成長には、本明細書に記載したように、乾燥環境で石英アンプルに混合物を装填し、高温の発炎灯を使用してアンプルを密封し、アンプル内を減圧にして乾燥環境を維持することを必要とする。その後、アンプルを炉に入れる。結晶成長は、既知の垂直「ブリッジマン」法の変形形態により実施できる。化合物を溶融し、融点を超える温度で均質化させ、化合物を温度勾配中で方向性をもたせて凝固させる。アンプルは、底部(円錐形)に核形成部位をもたらすような形状にする。凝固する前面は上方に移動する。水平な配置およびチョクラルスキー法(成長チャンバを加圧する必要がある場合もある)などのその他の成長法も使用できる。
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の結晶組成物または無機シンチレーターを含む組成物の製造方法は、(a)本発明の無機シンチレーター生成のために有用なヨウ化物塩の混合物を本質的に含む組成物を含む密封された容器を用意することと、(b)溶融混合物を生成するために十分に容器を加熱することと、(c)本発明の無機シンチレーターを含む組成物が生成するように、溶融混合物から結晶を凝固させまたは成長させることとを含む。
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の結晶組成物または無機シンチレーターを含む組成物の製造方法は、(a)ヨウ化物塩の混合物を本質的に含む組成物を用意することと、(b)ヨウ化物塩を好適な容器に装填することと、(c)容器を密封することと、(d)溶融混合物を生成するために十分に容器を加熱することと、(e)本発明の無機シンチレーターを含む組成物が生成するように、溶融混合物から結晶を凝固させまたは成長させることとを含む。
いくつかの実施形態では、容器は石英容器である。いくつかの実施形態では、密封された容器はアンプルである。いくつかの実施形態では、加熱は炉で行う。混合物を、混合物内のヨウ化物が溶融するために好適な温度で加熱する。当業者は、ヨウ化物の混合物を溶融するために好適な温度または温度範囲を容易に決定することができる。炉は、ブリッジマン型でもよく、またはフロートゾーン型(ハロゲンランプで熱を供給するミラー炉、または誘導加熱炉)でもよい。ブリッジマン構成を使用する場合、結晶は溶融物から方向性をもって凝固する。フロートゾーン構成を使用する場合には、結晶は、事前に反応させた装填物の狭い溶融ゾーンから凝固する。両方のケースとも、結晶の成長速度は固液界面を横切る熱勾配の範囲内で可能である。成長速度のための勾配の比率は界面の安定性を決定する。熱勾配が増加する場合には、成長速度は低下する。通常の熱勾配は1℃/cmを超えることができる。一度すべてが凝固したら、結晶をゆっくりと冷却する。冷却速度は1℃/時未満から20℃/時を越えるまでの範囲が可能である。
いくつかの実施形態で、Tl、Ln、Aおよび/またはXをドープしたヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化セシウムの結晶で、全エネルギーピークに対するエネルギー分解能が662keVで2.5%から5%の範囲にあるもののシンチレーションの作製方法は、(a)前記結晶のブールを成長させることと、(b)ブールを切断して複数の結晶試料にすることと、(c)不活性(アルゴンなど)または反応性(ヨウ素など)雰囲気下の高温でアニーリングし、さらに材料の特性を改善することと、を含む。いくつかの実施形態では、アニーリングは急速熱アニーリングまたは炉内アニーリングを含む。いくつかの実施形態では、使用する温度は室温(25℃)よりも高いが、配合物の融解温度よりは低い値を有する。アニーリングは、組成物に応じて数日に至るまでの期間に渡って行う。
いくつかの実施形態では、Tl、Ln、Aおよび/またはXをドープしたヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウムまたはヨウ化セシウムの結晶で、225℃での発光出力の変化が25%を超えないもののシンチレーションの作製方法は、(a)前記結晶のブールを成長させることと、(b)ブールを切断して複数の結晶試料にすることと、(c)不活性(アルゴンなど)または反応性(ヨウ素など)雰囲気下の高温でアニーリングし、さらに材料の特性を改善することと、を含む。いくつかの実施形態では、使用する温度は室温(25℃)よりも高いが、配合物の融解温度よりは低い値を有する。アニーリングは、組成物に応じて数日に至るまでの期間に渡って行う。
いくつかの実施形態では、その方法はさらにアニーリングを含むことを留意すべきである。結晶または多結晶粉末は、不活性(アルゴンなど)または反応性(ヨウ素など)雰囲気下の高温で、さらに材料の特性を改善するためにアニーリングできる。アニーリングは急速熱アニーリングまたは炉内アニーリングを含むことができる。いくつかの実施形態では、使用する温度は室温(25℃)よりも高いが、配合物の融解温度融点よりは低い値を有する。アニーリングは、組成物に応じて数日に至るまでの期間に渡って行う。
得られた結晶は、その後本明細書に記載する方法によって特性評価する。得られた結晶はまた、本明細書に記載するものと類似の特性を有する。
結晶組成物/無機シンチレーターの応用
本発明は、本発明の無機シンチレーターの透明な単結晶から構成されるシンチレーター、およびシンチレーターによる光パルスの放出に応答して電気信号を生成するためにシンチレーターに光学的に結合した光検出器を含むガンマ線またはX線検出器を提供する。
この発明の無機シンチレーターは、その他の既知の結晶を超える多くの利点を有する。その無機シンチレーターは、アルファ、ベータ、またはガンマ放射線などの、照射に応答するルミネセンスを生成し、それは既知の工業的に使用されるシンチレーターよりも、明るく高速である。シンチレーションを起こす結晶は、ガンマ線の検出など検出器として多くの用途を有しており、ガンマ線の検出では、核物質の検出用などの国家の安全保障の用途、および医用画像用途を有する。
本発明は、電離放射線の検出に有用である。用途には、医用画像、核物理学、非破壊評価、条約の検証および保障措置、環境モニタリングならびに地質調査を含む。これは、より細かい分解能、より高い最大発生率、およびより鮮明な画像を提供することで、主要な改善をなすことになる。
また、本発明の活性化無機シンチレーター結晶は、陽電子放出断層撮影(PET)に使用できる。
本発明はまた、特にガンマ線および/またはX線による放射線の検出のための検出器の構成部品として、上記のシンチレーション材料の使用に関する。そのような検出器は、特にシンチレーターにより生成された光パルスの放出に応答して電気信号を生成するために、シンチレーターに光学的に結合した光検出器を備える。検出器の光検出器は、特に光電子増倍管、フォトダイオード、またはCCDセンサーであってもよい。
このタイプの検出器の具体的な使用は、ガンマ線またはX線放射の測定に関するが、そのようなシステムはまた、アルファおよびベータ放射線ならびに電子の検出も可能である。本発明はまた核医学診断装置での上記検出器の使用に関し、特にアンガー型のガンマカメラおよび陽電子放出断層撮影スキャナーに関する(例えば参照として本明細書に組み入れる、C. W. E. Van Eijk, "Inorganic Scintillator for Medical Imaging", International Seminar New types of Detectors, 15 19 May 1995--Archamp, France. "Physica Medica", Vol. XII, supplement 1, June 96に出版、を参照されたい)。
別の具体的な使用では、本発明は石油掘削用の検出装置での上記検出器の使用に関する(例えば参照として本明細書に組み入れる、"Applications of scintillation counting and analysis", in "Photomultiplier tube, principle and application", chapter 7, Philipsを参照されたい)。
本発明の一実施形態を、ガンマ線検出器を示す図5に示す。検出器は、参照として本明細書に組み入れる、米国特許第4,958,080号に記載されたものでもよい。もちろん、本発明の新規な単結晶無機シンチレーターの有用性は、ガンマ放射線の検出に限定されるのでは無く、その他の種類の類似の放射線、例えばX線、宇宙線およびエネルギー粒子の検出の一般的な用途も有することが理解されるであろう。
図5では、単結晶無機シンチレーター10は、ガンマ線検出器の筐体12の内部に入れられて示される。シンチレーターの一面14は、光電子増倍管16の感光表面に光学的に接触して配置する。その代わりに、光パルスを、光ガイドまたはファイバー、レンズ、ミラーのようなものを介して光電子増倍管に結合してもよい。光電子増倍管は、フォトダイオード、マイクロチャネルプレートなどの任意の好適な光検出器に置き換えることができる。各々の光フラッシュを可能な限り光電子増倍管に向けるために、無機シンチレーターのその他の面18を、好ましくは例えば、テフロン(登録商標)テープ、酸化マグネシウム粉末、アルミニウム箔または二酸化チタン塗料の反射材料で囲むかまたは覆う。放射線の入射に際して結晶無機シンチレーターにより放出される光パルスは、直接または表面18からの反射で光電子増倍管により捕らえられ、光電子増倍管は、光パルスに応答して電気パルスまたは電気信号を生成する。これらの電気的出力パルスは、通常最初に増幅され、その後引き続いて所望のように処理され、例えばパルス波高増幅器で、検出された放射線に関する対象のパラメーターを得る。図4に示すように、光電子増倍管はまた高電圧電源に接続する。無機シンチレーターの他には、図4に関して言及するすべての構成部品および材料は従来からのものであり、したがって詳細に説明する必要はない。
本発明を、その好ましい具体的な実施形態と併せて説明してきたが、前述の記載は例示することを意図しており、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。本発明の範囲内での、その他の態様、利点および改変形態は、本発明が関係する技術分野の当業者には明かであろう。
本明細書で言及するすべての特許、特許出願および刊行物は、それらの全体を参照として本明細書に組み入れる。
本発明を説明してきたが、以下の実施例は例示によって発明の主題を例示するために提供するものであり、限定によってではない。
(例1)
Eu2+およびアルカリ土類金属の共ドーピングによるNaIのエネルギー分解能最適化のための組合せ手法
0.1mol%TlのNaIの発光出力およびエネルギー分解能は、0.2mol%のCaおよび0.1mol%のEuの共ドーピングにより改善する。垂直ブリッジマン法により成長させた最良の単結晶試料の性能は、662keVで52,000±2600光子/MeVおよび4.9±0.2%のエネルギー分解能である。
本明細書で提示するのは、組合せ手法および重回帰分析を使用しての、Eu2+およびアルカリ土類金属(Mg、Ca、SrおよびBa)による共ドーピングを通したNaI:Tlのエネルギー分解能改善の結果である[13]。一連の試料を、いくつかのパラメーターの最適化のために合成し、最良の試料は市販の標準品を超えたエネルギー分解能の著しい改善を有することを示す。
化学的、生物学的、電子工学的、磁性的、光学的および発光の材料発見のために、薄膜形成法による新規固体材料の緻密な組合せライブラリーを作ることが提案されてきた[14〜16]。重回帰分析でレバレッジを効かせた実験設計が、蛍光体材料および発光材料の最適化に非常に強力な技法であることが見出される[17〜19]。こうした方法は、シンチレーター材料の進行中の研究の高速処理を増強するために使用される[20]。
この実験戦略の中核は、タグチ等によって開発された[21]。その方法は、所望の出力パラメーターについての複数の要素の効果を同時に研究する実験を、異なるレベルの要素で実験することにより可能にする。直交配列[22]を使用する実験セットの具体的な配置が、この種類の実験設計の本質である。それは、最小限の数の実験を使用する多次元パラメーター空間内での材料性能の調査を可能にする。それぞれ4種の要素の4レベルでの影響を、NaIのエネルギー分解能および発光出力について、それらの効果を研究する。実験のために選択された要素および対応するレベルを表1にリスト化しており、Tl+濃度、アルカリ土類金属、共ドーパント元素の濃度およびEu2+濃度である。
逐次実験設計の場合では、NaI性能についてのこれら4レベルの4要素のそれぞれの影響を決定するために、256種の化合物の合成と測定が求められることになる。これは高スループット設備[20]でさえも、非常に多い試料数であり、エネルギー分解能および発光出力の測定を可能にするためには、すべての組成物が単結晶形態で作製される必要があることに留意しなければならない。タグチメソッドを使用すると、必要な試料数は16に減少する。標準的なL−16直交配列[22]を使用して表2にリスト化した実験セットを作製した。0.1mol%のTl+でドープし、その他の共ドーパントがない対照試料#0を、比較目的で実験セットに含める。
出発物質のNaI、MgI2、CaI2、SrI2、BaI2、TlIおよびEuI2は、シグマ−アルドリッチから、市販の最高純度(たいていは5N)のものを無水物ビーズの形態で購入する。アルゴンを満たしてO2およびH2Oを1ppm未満に維持したドライボックスを使用して、材料の化学量論上の質量を秤量し、石英アンプル内にそれらを合わせる。この後、アンプルを水素−酸素発炎灯を使用して真空下で密封し、対流での混合(溶融混合)を容易にするために45°に向けて水平炉に入れる。NaI(融点は661℃)を溶融させるために、試料を675℃に加熱し、石英アンプルの液化した内容物の完全な混合物を得るために、この温度で6時間保持する。融点を超えてのソーキングの後に、融解温度の1/2を超える温度で不均質性を固体状態拡散させるために、試料を0.1℃/分で300℃に冷却する。300℃未満では、試料を10℃/時で冷却する。
合成の後に、試料をドライボックス内に戻し、2個の気密の石英キュベットを用意し、その各々は、それぞれの試料ブールの先端と底部の部分から0.5〜2mm寸法の材料の結晶をそれぞれ含む。すべての合成物の先端と底部の部分のX線ルミネセンス(XRL)、光学的ルミネセンス(OL)およびパルスX線減衰(PXR)を測定し、すべての試料のシンチレーション性能の均質性と適切な混合を確実にするために、比較する。また、数ミリメートルの少なくとも3個の単結晶の断片を、パルス波高測定用に選択する。
パルス波高測定法を使用して各試料の発光出力およびエネルギー分解能を決定するために137Cs標準放射線源を使用する。スペクトルは、−700VにセットしたHamamatsu R6231−100光電子増倍管(PMT)を使用して、Canberra 2005前置増幅器、Canberra 2022分光増幅器、およびAmptek MCAマルチチャンネルアナライザに接続して収集する。放出光の完全な収集を確実にするために、測定のために12μ秒の成形時間を使用する。それぞれの光電ピークに対して少なくとも10,000カウント収集することによって十分な信号対雑音比を確実にし、光電ピークの重心および半値全幅を見出すために、光電ピーク、X線脱出ピーク、および指数関数バックグラウンドに対応したガウス関数の重ね合わせを使用してフィッティングする。Viscasil 600,000(GE)光学グリースを用いて、試料をPMTの窓上に光学的に結合し、反射テープの層を用いて覆いをする。すべての測定は、5から10mm3の範囲の寸法の試料を使用して行う。
組成物設計に応じた直交実験セット(表2)からの試料の発光出力およびエネルギー分解能を、それぞれ図1および図2に示す。発光出力は、PMTの量子効率を考慮して、同一条件の下で測定したScintitechからの市販の5mm3NaI:Tl単結晶での応答の光電ピーク位置の比較により見積もった。市販試料では662keVでの測定で、6.3%のエネルギー分解能を有して、44,000光子/MeVの発光出力を記録する(図1および図2の実線)。直交セットに加えて、662keVでの発光出力が43,000光子/MeVおよびエネルギー分解能が7%の自家製参照NaI:0.1mol%Tl+を、同一の溶融混合法を使用して合成した(図1および図2の破線)。
量子効率を補正するために、すべての設計について、石英キュベット[20]で封止された材料を使用して、XRLスペクトルを測定する。結果の再現性および統計的有意性を確実にするために、少なくとも3種の単結晶試料を、すべての組成設計について測定する。約5%の相対誤差は、発光出力およびエネルギー分解能測定では通常である。相対誤差は、図が過密になるのを避けるために、図1および図2では示していない。
#12−NaI:0.25%Tl、0.2%Ba、0.1%Euを除いては、市販または自家製参照試料(図1)さえよりも、良い発光出力を示す試料がない。#12の発光出力は47,000光子/MeVである。エネルギー分解能の場合では、設計#2、#6および#10(すべてCa2+共ドープ)が、662keVで、自家製参照試料の7%よりも良い結果を示す。Sr2+共ドープの#11およびBa2+共ドープの#12が、市販の参照試料(6.3%)さえよりも良いエネルギー分解能を示し−それぞれ6.1%および5.9%である。
発光出力およびエネルギー分解能の値を2種の独立した出力パラメーターとして使用して、最適Tl+濃度、アルカリ土類金属の元素および濃度、ならびにEu2+濃度値を、統計的言語Rで、種々のDoEパッケージを使用する重回帰分析を用いて決定する[13、23]。この分析から、NaIの発光出力を増強し、エネルギー分解能値を低下させるのに、どのドーパントおよび濃度が最も効果的かを決定する。
発光出力およびエネルギー分解能の両方のパラメーターについて、ドーパントおよび共ドーパントの最適濃度は一致し、0.25mol%のTl+、0.2mol%のCa2+および0.1mol%のEu2+として計算される。対応するレベルの試料を、直交実験セットと全く同じ溶融混合法を使用して合成する。これらのドーパント濃度の試料は、662keVで42,800光子/MeVの発光出力および5.4%のエネルギー分解能を有する。
最適ドーパント濃度のNaI:0.25%Tl、0.2%Ca、0.1%Euと同じ化合物を、溶融混合法の試料よりも優れた結晶性で得るために、垂直Bridgman−Stockbarger法を使用して単結晶形態で成長させる。単結晶試料をアルゴン下の石英チューブ中で合成し、潜在的な水分を除去するために、約200℃の加熱テープに包み、一晩真空ポンプに装着する。一度真空密封した後、試料を垂直ブリッジマン炉につるし、0.8〜2.0mm/時の速度で10℃/cmの熱勾配を通して移動させる。結晶の写真を図3の挿入図として示す。図3に示すような結晶の最良の部分で、試料のより良い結晶性により、662keVで51,300光子/MeVの発光出力および5.2%のエネルギー分解能をもたらした。
結晶の先端、中央、底部の部分の間で、発光出力およびエネルギー分解能に著しい差異が現われる。最も一貫した結果は、底部の部分から得られ、5.3%から6.4%のエネルギー分解能および48,400光子/MeVから50,100光子/MeVの発光出力であり、同時に最良のエネルギー分解能−5.2%および最良の発光出力−51,300光子/MeVは、単結晶の中央部分からの切片で測定される。また、図3に示すように、ブールの先端部分は黄色の層を有し、これはドーパントの不均一な分布または成長中の偏析を明確に示している。NaI格子内のドーパントの実際の濃度を識別するために、ブールの先端、中央、および底部の部分からの切片を誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)分析で分析した。
ICP−MSの結果によれば、ドーパントの濃度は以下の通りである:先端部−Tl−14641質量ppm、Ca−580質量ppm、Eu−890質量ppm;中央部−Tl−1500質量ppm、Ca−490質量ppm、Eu−940質量ppm;ならびに、底部−Tl−880質量ppm、Ca−580質量ppm、およびEu−940質量ppmである。結晶を通してCaおよびEuの分布では、わずかな不均一性のみが存在し、0.2%Caでは540質量ppmに相当し、0.1%Euでは1000質量ppmに相当するが、極めて著しいTlの偏析が存在する。溶融物中の公称0.25%のTl濃度は、3470質量ppmに相当する。結晶の中央および底部では、それぞれこの値の43%および25%のみしかない。
0.1mol%Tl+を有する第2の結晶を、同じBridgman−Stockbarger法を使用して成長させる。この試料は、662keVで52,020光子/MeVの発光出力および4.9±0.2%のエネルギー分解能を生み出す。137Cs源を使用して捕捉したこの結晶からの光電ピークを、同一寸法(約10mm3)の市販の試料の光電ピークと比較して図4に示す。
EuおよびCaの共ドーピングにより、NaI:Tlのエネルギー分解能は、4.9%に低下して改善され、発光出力は52,000光子/MeVまで改善され、それらは市販のNaI試料のエネルギー分解能および発光出力を改善している。
こうした無機シンチレーター結晶は、核物質の検出などの、国家の安全保障の目的に有用である。
本明細書の例1で引用した参考文献

(例2)
Eu2+およびアルカリ土類金属の共ドーピングによるNaIのエネルギー分解能最適化のための組合せ手法
ドープされたバルクのシンチレーター材料を、同時に外来のドーピング/共ドーピングをする戦略を通して、それらの特性を速やかに最適化させることができる組合せ手法を提示する。実験設計、急速な成長および評価の技法、ならびに多変量回帰分析を使用する概念は、シンチレーション検出においての歴史はあるが平凡な能力であるNaI性能の工学技術に、首尾良く適用されてきた。この手法を使用して、我々は、材料性能を著しく改善する3元素ドーピング/共ドーピング戦略を明らかにした。その組成は、アルカリ土類金属類中の有益な共ドーパントイオンの同時スクリーニングによって、ならびに、その濃度およびTl+とEu2+イオンの濃度の最適化によって、明らかにされた。最良の性能を有する組成は、0.1mol%Tl+、0.1mol%Eu2+および0.2mol%Ca2+であると同定した。この配合は、662keVでのエネルギー分解能および発光出力を、それぞれ6.3から4.9%に、および44,000から52,000光子/MeVに増強することを示す。NaI性能の向上に加えて、本方法は、材料組成と性能との間の複雑で隠された関係を速やかに明らかにするための多才な枠組みをもたらし、その他の材料特性の最適化に広く適用すべきである。
I 序論
膨大な組合せの空間からの多元素化合物の発見および最適化は、気の遠くなる作業である。ドープされたバルクのガンマ線検出器材料は、元素組成(格子)からppmレベル(ドーパント)まで数桁にわたる範囲の濃度を考慮しなければならず、特に難題であった。この巨大な組成の空間は、明らかに難題であり、次世代シンチレーター材料の開発を減速させ、材料/性能の関係の理論的理解の増加にもかかわらず、プロセスは主として時間のかかる試行錯誤の手法1を通して発達する。比較的単純な2成分系でさえも、組成、エネルギー流動および材料性能の間の複雑な相互作用を完全に理解するのには、計算機技法は依然として不足している。巨大なパラメーター空間を考慮するための組合せ最適化手法の使用は、薄膜および粉末形態材料の開発2に有益であったが、バルク材料に適用する場合には、わずかに成功してきたに過ぎない。単結晶材料を速やかに合成すること、およびガンマ線への応答性などの代表的なバルク特性を測定することの困難さは、明確なトレンドまたはパターンの抽出を常に妨げてきた。
我々はここで、ドープされたバルクのシンチレーター材料を、同時に外来のドーピング/共ドーピングをする戦略を通して、それらの特性を最適化できる組合せ最適化手法を提示する。合成すべき試料数の最小化のために、わずかな道筋を受けて設計されてきた試料の有限なセットの中から、材料の最適配合を見つけ出す頼りとして使用される組合せ最適化手法は、しかしながら、組合せ化学手法3の制限された定義のようでは無い。「バルクシンチレーター材料」の使用で、我々は、ガンマ線励起下の材料の応答が直接的に研究に使用されたことを意味する。このことは重要であり、ガンマ線は材料の大きな容量にわたって吸収されることのみ可能であるので、基本的に(粉末または薄膜での)その他の公開された手法とは異なる。我々の知識では、単結晶材料の発見および改善のために組合せ最適化手法を採用するのは、これが最初の試みである。
その概念は3ステップのプロセスに依存する。(i)実験の計画および実験設計の適用(DoE)、(ii)高速単結晶成長および評価技法を使用する材料合成および特性評価、ならびに(iii)応答面でレバレッジを効かせたデータ分析および多変量回帰分析法である。実験設計使用の核は、タグチメソッド4を中心に展開したことであり、それは対象とする出力パラメーターへの複数の要素の影響を同時に研究するのに特によく適合する。実験セットの配置は、直交配列5、6であり、最小限数の実験を使用する多次元空間で、材料性能を調査し最適化するように設計される。非方向性凝固法8に基づく単結晶試料の高速製造および評価のために、この枠組みを、LBNLの高スループット合成および特性評価設備7と結合させた。
すべての手法を、NaI:Tlならびに、エネルギー分解能および発光出力の両方に関するNaI:Tlの性能の工学技術に適用した。NaI:Tlを選択することには、2つの部分がある。(i)シンチレーション分野でのその重要性、(ii)その性能を理解し、制御し、改善させるための長く続く科学的挑戦である。1948年のHofstadter9によるその発見後65年で、より明るく、高速で密度の高い材料10の最近の出現にもかかわらず、NaI:Tlは依然として電離放射線検出の主要な主力商品であり、コストが主要な要因である。このコストの恩恵は、セキュリティー任務のための大型門戸および医療用ガンマ線カメラなどの大面積検出器用途での主要な選択肢として、常にNaIに向けてバランスシフトしてきている。しかしながら、NaIはその性能において、確定的な選択肢でも、理想的な解でもない。NaI:Tlの性能は、662keVで、44,000光子/MeVの中程度の発光出力(LO)と、最良でも6.3%の貧弱なエネルギー分解能(ER)により11、12、平凡であると考えられる。その性能を向上させることは、シンチレーション学界にとって、重要な科学的挑戦であり続けている。労力の大部分は、結晶成長プロセスの最適化および/または溶解物への外部元素の添加に向けられてきた。後者においては、エネルギー移動およびシンチレーション効率13、14を改善するための、その潜在的利益のために、周期律表の多くの部分が試験されてきた。元素の大部分は、NaI性能に対してせいぜい透明であることが見出された。それらには、低濃度でのMn、Pb、Ag、酸化物、カルコゲン、およびハロゲンを含む14。我々の知識では、NaI性能の公表された最良の結果は、Shiran等からであり、NaI:TlへのEu2+の添加により、発光出力(48,000光子/MeV)およびエネルギー分解能(6.2%)の改善を示した11、15。最近では、シンチレーション学界の中で共ドーピング戦略の再検討に対して関心が新たにされてきている。主要なドライビングフォースは、LaBr3:Ce3+に200ppmのSrを共ドーピングすることで、662keVで、2.7%から2.0%へと、材料のエネルギー分解能の相当な改善を成功裏に実証したことであった16
II 実験の設計および技法
こうした努力は、我々を多元素ドーピング/共ドーピング手法を使用するNaIの工学技術に再考させる。本明細書で以前に要約した研究により大きく推進されて、実験計画では、662keVでのNaIのエネルギー分解能および発光出力を同時に研究し最適化することを、Tl+濃度([Tl+])、アルカリ土類金属類の中から選択された共ドーパントイオンの添加(種類、IIAおよび濃度[IIA2+])、および第2の発光中心であるユーロピウムの濃度([Eu2+])の関数として考案した。タグチ4の業績のレバレッジ効果により、組成物空間をL16直交配列(要素とも呼ばれる、パラメーター当たり4レベルである−表3)を形成するよう組織された実験セットを通して調査した。一部実施法17として分類することができるこの配列は、標的とする目的物に関する要素の主要な効果を同時に検査できると同時に、実験の必要数を大幅に減らすことができる。4種の要素/4レベルの完全な要因分析法は、同じ組合せ空間を網羅するのに、非実用的な256の実験セットを必要とすることになる。対照と比較の目的のために、0.1mol%のTl+がドープされたNaI:Tl+を参照試料として、表4にリスト化した実験セットに含めた。すべての濃度をモルパーセントで示し、出発物質の公称濃度と対応させる。
17種の試料(表4)を、LBNLの高スループット合成および特性評価設備で合成し、続いてシグマ−アルドリッチからのNaI、MgI2、CaI2、SrI2、BaI2、TlIおよびEuI2の5N純度の無水物ビーズを出発物質として使用して、非方向性凝固法を行った。試料調製、秤量およびアンプル封入はアルゴンを満たしたドライボックス中でO2およびH2Oを0.1ppm未満に維持して実施した。この後、アンプルを水素−酸素発炎灯を使用してダイナミックバキュームポンプ下で封止し、対流駆動混合を容易にするために45°に向けて水平炉に入れた。NaI(融点661℃)を溶融させるために、試料を675℃に加熱し、石英アンプルの液化した内容物が均質化するように、この温度で6時間保持した。試料はその後、不均質性を固体状態拡散させるために、0.1℃/分で300℃に冷却した。300℃未満では、試料を10℃/時で冷却した。凝固の後に、すべての試料をドライボックス内部に戻し、特性評価のために調製し、X線回折計(XRD)用には粉末を伴うスライド形態で、パルス波高測定(PHM)用には約2×2×2mm3の単結晶片、およびX線ルミネセンス(XRL)測定用には0.5〜2mm3の結晶片を気密石英キュベットに満たした。
各々の試料の正確な結晶構造相は、それらのXRDパターンを、陽極回転X線発生装置(CuK放射)を有するBruker Nonius FR591で測定して確認した。137Cs励起の下でのパルス波高測定用に、組成物当たり最低で3個の結晶片を選択した。スペクトルは、−700VにセットしたHamamatsu R6231−100光電子増倍管(PMT)を使用して、Canberra 2005前置増幅器、Canberra 2022分光増幅器、およびAmptek MCAマルチチャンネルアナライザに接続して収集した。試料を、Viscasil600,000(GE)光学グリースを用いてPMTの窓上に光学的に結合し、反射テープの層で覆った。放出光の完全な収集を確実にするために、12μ秒の成形時間を使用した。光電ピークで少なくとも10,000事象を収集することによって十分な信号対雑音比を確実にした。光電ピークの重心および半値全幅を、光電ピーク、X線脱出ピーク、および指数関数バックグラウンドのために2種のガウス関数の重ね合わせを使用して決定した。より高いEu2+濃度を有する試料で観察されるX線ルミネセンスの赤方偏移に起因する各組成物のX線励起発光スペクトルを考慮することによって、発光出力は、PMTの量子効率を補正した。最高発光点の位置と同様にEu2+ドープ結晶の全体のシンチレーション効率は、Tl+からEu2+の発光中心への放射性/非放射性のエネルギー移動の存在を示す。気密石英キュベットで測定した、選択したXRLスペクトルを図6に示し、それらの最高発光点およびFWHMを表4にリスト化する。発光出力は、同一条件下で測定したScintiTech18からの10mm3の市販のNaI:Tl結晶の応答と、対象の試料の光電ピーク位置の比較により見積もった。
III 結果および考察
発光出力およびエネルギー分解能の値を表4に提示する。市販および自家製試料は、662keVで、それぞれ44,000光子/MeVおよび43,000光子/MeVの発光出力、ならびに6.3%および7%のエネルギー分解能を示す。同一組成物についての測定値の広がりに基づいて、発光出力およびエネルギー分解能の値の実験誤差は約5%と見積もった。47,000光子/MeVを有する#12(NaI:0.25%Tl、0.2%Ba、0.1%Eu)を除いては、市販または自家製参照試料さえよりも、良い発光出力を示す試料はなかった。エネルギー分解能の場合では、設計#2、#6および#10(すべてCa2+共ドープ)が、自家製参照試料よりも良い結果を示し、#11(Sr2+共ドープ)および#12(Ba2+共ドープ)が、それぞれ6.1%および5.9%で、市販の参照試料よりも良いエネルギー分解能を示した。
2次元応答マップを、表4からの結果に基づいて、言語R19からのDOE.ベースパッケージおよびQualiteck−45ソフトウェアを使用して決定した。そのマップは、発光出力およびエネルギー分解能と同様に、どの組成物セットが、調査する組合せ空間内で最適な応答を与えるかの決定について、影響を有する説明的な要素の評価を可能にする。非数学的な定式化および、共ドーパントイオン種(IIA)要素の固有の粒状性を回避するために、我々はイオン種要素をその関連するイオン半径にピコメートルで置き換える。エネルギー分解能のマップを図7に提示する。発光出力およびエネルギー分解能については、最適な応答は、0.25mol%のTl+、0.2mol%のCa2+および0.1mol%のEu2+の組成と一致した。
多変量回帰分析の結果の有効性を試験するために、2種の追加の試料を最適組成配合で合成した。第1の試料は、非方向性凝固の類似手法を使用して合成し、一方第2の試料は、従来の垂直Bridgman−Stockbarger法を使用して成長させた。後者については、残留水分を除去するために、反応物質を真空下の約200℃で加熱した。垂直ブリッジマン炉につるした封止したアンプルを、0.8〜2.0mm/時の速度で10℃/cmの熱勾配を通して転換させて、成長を行った。結晶は、直径10mm、長さ約6cmであった。
両方の試料で、662keVでのそれらの発光出力およびエネルギー分解能を特性評価した。第1の試料は、発光出力が48,200光子/MeVおよびエネルギー分解能が5.4%と、非方向性凝固試料セットの中で最良の結果を出した。ブリッジマン法で成長させた試料では、成長軸方向に沿って、底部、中間および先端から収集したいくつかの試料で測定を行った。
成長方向に沿った位置の関数としての発光出力およびエネルギー分解能の値を図3に提示する。結晶の先端、中央、底部の部分の間で、発光出力およびエネルギー分解能に著しい差異が現われた。明白な最良の結果は、エネルギー分解能が5.2%、および発光出力が51,100光子/MeVとして、中央部分から選択された2個の結晶で得られた。平均値に関しては、底部から選択された結晶が、それらの応答についてより良い均質性を示す。シンチレーション性能の変動は、ドーパントおよび共ドーパントの異なる偏析係数に由来すると思われる。ドーパントおよび共ドーパントの偏析は、結晶に沿ったそれらの濃度分布の著しい非均質性をもたらし得る。この手法は、Tl+、Eu2+およびCa2+をセットとして使用する有益なパターンをはっきりと示すことに成功したが、その一方でこの手法は、高度に偏析している元素の最適濃度の量を定める場合の正確さに欠けている。元素のレベル、公称濃度は、十分に説明的ではなく、多変量回帰分析の結果に係わるデータセットにより課された制約を緩めることを招く。
成長軸に沿った実際の正確な元素濃度を決定するために、誘導結合プラズマ質量分析を行った。Tl+、Ca2+およびEu2+(表5)の量的な元素分布を示したように、タリウムは成長の間に強度に偏析している。このことは、図3の挿入図に提示された結晶の写真で明らかに顕著であり、透明な黄色い層が、タリウムの高濃度領域に相当するが、ブールの先端に見て取れる。しかしながら、結晶を通してCa2+およびEu2+の分布の不均一性はわずかのみである。
最適なタリウム濃度のより良い量を定めるために、0.1mol%Tl+を有する第2の結晶を、同じBridgman−Stockbarger法を使用して成長させた。結晶の異なる部分からの単結晶片は、662keVで50,000光子/MeVを超える発光出力および約5.0%のエネルギー分解能を示す。662keVで、最良である52,000光子/MeVの発光出力、および4.9%のエネルギー分解能が、ブールの中央部分からの結晶の1個から記録された。この結晶からの光電ピークを、市販および自家製参照試料と比較して図4に示す。
統計分析は、複雑な実験データセットの中のパターンを探すプロセスを客観化することが可能であるが、その一方で統計分析は、一度見つけたパターンを何が作るのかについては、明らかに提供しない。3種をドープしているNaIの場合には、基礎となる物理は明らかに、発光出力およびエネルギー分解能の改善に向けて相乗作用で働く複数の機構に関係する。
(i)不純物除去−酸素および水分のない雰囲気で処理および合成したときでさえも、ハロゲン化合物材料はかなりの量のO2-およびOH-不純物を含む20、21。CaおよびEuは、非常に高い酸素親和値を有し、1000°Kで、それぞれpO=55.5および53.0の酸素平衡であり22、溶融物中でのNaおよびTlを減少させることができ、陰イオン性酸素含有混合物を除去する化合物として振る舞う21。O2-およびOH-に関係する孤立した正孔トラップの不在または不動態化は、発光中心でのキャリア再結合の確率を改善でき、高い発光出力をもたらす。同時に、エネルギー分解能の改善は、エネルギー移動に関する共ドーパントの強い影響があることを示す。
(ii)有益な欠陥の創造−その他のハロゲン化合物シンチレーター−CeドープしたLaBr3、に対して行われた計算23によれば、エネルギー分解能の改善は、Sr2+およびCa2+共ドーピング16の後に観察され、Br-空孔での非熱化電子の捕獲は、シンチレーションプロセスの初期段階の間での主要な機構である。LaBr3の異原子価共ドーピングは実質的にアニオン空孔の濃度を増加させ、同時にそれらのエネルギーレベルをより浅くして、伝導帯の端部に近づける。そのような複合体へのトラップは、熱化状態の間にキャリア密度を著しく低下させ、その結果非放射性再結合/クエンチングの低下をもたらす。それに続く電子の放出は、ルミネセンスとエネルギー分解能の改善をもたらす。同様なプロセスが、Tl+、Ca2+およびEu2+をドープしたNaIにも起こっていると我々は信じるが、我々の場合に関しては、両方のキャリア型−正孔および電子である。
(iii)Tl−Euエネルギー移動の最大化−NaIにドープされた場合、Eu2+はカチオン空孔との複合体[Eu2+ Na+VacNa24として格子に入り込み、効率的な正孔トラップとして振る舞うことができる。同時に、最近の計算25によれば、Tl+およびCa2+が共ドープされたNaI中に、DX類似の受容体複合体[Tl0 Na+Ca2+ Na]がエネルギー的に好ましく形成される。こうした複合体は、エネルギーレベルが伝導帯の最低値の下方約1eVの深い電子トラップとして振る舞うことができる。我々が[Eu2+ Na+VacNa]と[Tl0 Na+Ca2+ Na]との間に空間的な関係の存在を仮定する場合には、共鳴型のエネルギー移動が、3種をドープされたNaI中のユーロピウムルミネセンスの効率改善をもたらすことができる。
IV 結論
本研究において、我々は材料組成と材料特性との間の関係を速やかに調査することができる組合せ手法を提供する。著者の知識では、ドープされたバルクシンチレーター性能の最適化にこの手法を応用した、これが最初の報告である。要素と極端に厳しいレベルの要求性能との相互依存による莫大な数の変数および/または複合体に起因して、組成物をめぐる景観が益々複雑になっている中で、この手法は、検出器および発光材料の開発の手引きとして特に適合している。
本手法は、複数元素のドーピング/共ドーピング戦略に応じて、NaIの発光出力およびエネルギー分解能の最適化にうまく適用した。結果は、両方の特性の大幅な改善を示す。最適化された試料は、662keVでそのエネルギー分解能が4.9%に低下し、発光出力が52,000光子/MeVにまで至り、改善を示す。著者の知識では、これらの値は、これまでに報告された室温でのNaIシンチレーターとして最良である。NaIの性能は、最適組成に向けて組成空間を狭めることにより、ならびに、結晶成長プロセスおよび出発物質の精製を改善することにより、さらに改善されることが期待できる。本文献は、NaIで到達できる有望な本質価値の指標を与える。662keVでの非ドープNaIの発光出力は、液体窒素温度で測定した場合、約4%のエネルギー分解能を有して、80,000光子/MeVを超えると報告26されている。この数値は、5.8eVの測定されたバンドギャップを有する材料の理論限界値に近付いている。製造コストおよび成長の容易さをその現状レベルに保つと同時に、このレベルの性能に到達することは、紛れもなく放射線検出の市場の景観を変えることになる。
最後に、この組合せ手法は、要因効果のあるその他の目標および/または研究に拡張できると考えることは合理的である。後者において、材料の化学量論量および/または成長パラメーター(温度勾配、雰囲気など)などの変数は、明らかに論理的拡張である。ユーロピウムドープ材料での自己吸収の最小化または2重モード検出器での中性子/ガンマ線識別の最大化などのその他の検出器要求の最適化を同等の標的とすることもまた、この検討の首尾一貫した方向性である。手法の中枢原理を強調することは重要ではあるが、しかしこの方法の成功のためには、具体的な実験設計で評価される要素などの具体的な問題に関連し得ること、またはしないことについての、いくつかのすでに存在するアイデア無しにデータを収集することはできない。所与の研究において、どの特定の変数が調べられなければならないかと言う数学的表現は存在しない。我々の場合には、その決定は過去の実験的および理論的研究により、大いに推進された。
本明細書の例2で引用した参考文献


本発明を、その具体的な実施形態に関して説明してきたが、当業者によって種々の変更がなされ、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなしに等価物が置換され得ることを理解すべきである。加えて、本発明の目標、精神および範囲への物質、プロセス、プロセスのステップまたはステップが、具体的な状況、材料、組成に適合されて、多くの改変がなされ得る。すべてのこうした改変は、本明細書に添付の特許請求の範囲の範囲内にあると意図される。

Claims (30)

  1. (a)ヨウ化ナトリウム、ヨウ化セシウム、またはヨウ化リチウム、(b)ヨウ化タリウム、(c)ヨウ化ランタニド、またはヨウ化ランタニドの混合物、および(d)(i)アルカリ金属(ナトリウム、セシウムもしくはリチウムを除く)もしくはアルカリ土類金属のヨウ化物、または(ii)Zr、Al、Zn、Cd、GaもしくはInのヨウ化物、もしくはそれらの混合物を含み、MeV当たり少なくとも40,000光子の発光出力を有する、結晶組成物または無機シンチレーター。
  2. 式(I)を有する結晶組成物または無機シンチレーター。
    MaI:Tl,Ln,A,X(I)
    (式中、
    Maは、Na、CsまたはLiであり、
    Lnは、ランタニド、またはランタニドの混合物であり、
    Aは、アルカリ金属(AがMaでないものを除く)またはアルカリ土類金属であり、
    Xは、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Pt、Au、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Sb、Bi、B、O、S、Se、Te、またはそれらの混合物であり、
    Tlは、以下の値のモルパーセント:0mol%<[Tl]<100mol%または溶解限度までの高い方を有し、
    Lnは、以下の値のモルパーセント:0mol%<[Ln]<100mol%を有し、
    Aは、以下の値のモルパーセント:0mol%<[A]<100mol%を有し、
    Xは、以下の値のモルパーセント:0mol%≦[X]<100mol%)を有する)
  3. MaはNaである、請求項2に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  4. Tlは以下の値のモルパーセント:0.000001mol%≦[Tl]≦10mol%を有する、請求項2に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  5. Tlは以下の値のモルパーセント:0.1mol%≦[Tl]≦0.5mol%を有する、請求項4に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  6. Aはアルカリ土類金属である、請求項2に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  7. AはMg、Ca、Sr、Baまたはそれらの混合物である、請求項6に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  8. Aは以下の値のモルパーセント:0.000001mol%≦[A]≦10mol%を有する、請求項2に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  9. Aは以下の値のモルパーセント:0.1mol%≦[A]≦0.8mol%を有する、請求項8に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  10. AはMg、Ca、Sr、Baまたはそれらの混合物であり、以下の値のモルパーセント:0.000001mol%≦[A]≦10mol%を有する、請求項7に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  11. AはMg、Ca、Sr、Baまたはそれらの混合物であり、以下の値のモルパーセント:0.1mol%≦[A]≦0.8mol%を有する、請求項10に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  12. LnはEuである、請求項2に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  13. Lnは以下の値のモルパーセント:0.000001mol%≦[Ln]≦10mol%を有する、請求項2に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  14. Lnは以下の値のモルパーセント:0.1mol%≦[Ln]≦10mol%を有する、請求項13に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  15. LnはEuであり、以下の値のモルパーセント:0.000001mol%≦[Ln]≦10mol%を有する、請求項12に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  16. LnはEuであり、以下の値のモルパーセント:0.1mol%≦[Ln]≦1.0mol%を有する、請求項15に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  17. XはZr、Al、Zn、Cd、Ga、Inまたはそれらの混合物である、請求項2に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  18. Tlは以下の値のモルパーセント:0.000001mol%≦[Tl]≦10mol%を有し、Aは以下の値のモルパーセント:0.000001mol%≦[A]≦10mol%を有し、Lnは以下の値のモルパーセント:0.000001mol%≦[Ln]≦10mol%を有する、請求項15に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  19. Tlは以下の値のモルパーセント:0.1mol%≦[Tl]≦0.5mol%を有し、Aは以下の値のモルパーセント:0.1mol%≦[A]≦0.8mol%を有し、Lnは以下の値のモルパーセント:0.1mol%≦[Ln]≦1.0mol%を有する、請求項18に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  20. MaはNaであり、AはMg、Ca、Sr、Ba、またはそれらの混合物であり、LnはEuであり、およびXはZr、Al、Zn、Cd、Ga、Inまたはそれらの混合物である、請求項17に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  21. MaはNaであり、Tlは以下の値のモルパーセント:0.000001mol%≦[Tl]≦10mol%を有し、AはMg、Ca、Sr、Baまたはそれらの混合物であり、以下の値のモルパーセント:0.000001mol%≦[A]≦10mol%を有し、LnはEuであり、以下の値のモルパーセント:0.000001mol%≦[Ln]≦10mol%を有し、XはZr、Al、Zn、Cd、Ga、Inまたはそれらの混合物である、請求項20に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  22. MaはNaであり、Tlは以下の値のモルパーセント:0.1mol%≦[Tl]≦0.5mol%を有し、AはMg、Ca、Sr、Baまたはそれらの混合物であり、以下の値のモルパーセント:0.1mol%≦[A]≦0.8mol%を有し、LnはEuであり、以下の値のモルパーセント:0.1mol%≦[Ln]≦1.0mol%を有し、XはZr、Al、Zn、Cd、Ga、Inまたはそれらの混合物である、請求項21に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  23. 式(II)を有する結晶組成物または無機シンチレーター。
    MaxI:Tla,Lnb,Ac,Xd(II)
    (式中、
    Maは、Na、CsまたはLiであり、
    Lnは、ランタニド、またはランタニドの混合物であり、
    Aは、アルカリ金属(AがMaでないものを除く)またはアルカリ土類金属であり、
    Xは、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Pt、Au、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、N、P、As、Sb、Bi、B、O、S、Se、Te、またはそれらの混合物であり、
    xは、x=1−a−b’−c’−2dに等しい値を有し、0<x<1であり、
    aは、0<a<1に等しい値を有し、
    bは、0<b’<1に等しい値を有し、
    cは、0<c’<1に等しい値を有し、
    dは、0≦2d<1に等しい値を有し、
    Lnが2+の原子価を有する場合、b’は2bであり、またはLnが3+の原子価を有する場合、b’は3bであり、
    Aが1+の原子価を有する場合、c’はcであり、またはAが2+の原子価を有する場合、c’は2cである)
  24. MaはNaである、請求項23に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  25. Aはアルカリ土類金属である、請求項23に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  26. AはMg、Ca、Sr、Baまたはそれらの混合物である、請求項25に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  27. LnはEuである、請求項23に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  28. XはZr、Al、Zn、Cd、Ga、Inまたはそれらの混合物である、請求項23に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  29. MaはNaであり、AはMg、Ca、Sr、Ba、またはそれらの混合物であり、LnはEuであり、XはZr、Al、Zn、Cd、Ga、Inまたはそれらの混合物である、請求項28に記載の結晶組成物または無機シンチレーター。
  30. 請求項1から29までのいずれか1項に記載の無機シンチレーターを備えるガンマ線検出器。
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