JP2018503654A - 肝静脈閉塞症の処置のための組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、類洞閉塞症候群および/または肝静脈閉塞症(VOD)の予防または処置における使用のための、プロスタサイクリン類似体、誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物、ならびにそれに関する処置計画を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、類洞閉塞症候群および/または肝静脈閉塞症(VOD)の予防または処置における使用のためのプロスタサイクリンまたはプロスタサイクリン類似体またはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を提供する。
造血細胞移植(HCT)の肝合併症は、罹患率および死亡率の共通の原因となっている。肝静脈閉塞症(VOD)は、同種/自家幹細胞移植(SCT)において用いられる強い化学療法計画の生命を脅かす合併症である。類洞閉塞症候群という名前は、しばしばVODが化学療法および/または骨髄移植の結果として起こる場合に用いられる。
VODの発症は、典型的にはSCT後+35日目までである。VODは、特発性肺臓炎、びまん性肺胞出血、血栓性微小血管症および毛細血管漏出症候群を含む、照射およびSCTを伴う、または伴わない高用量化学療法後に起こるある範囲の臓器損傷症候群の一部である(Wadleigh M. et al., 2003, Curr.Opin.Hematol., 10, 451-462)。
多系統の臓器不全(MOF)を合併する重症のVODは、ほぼ一様に致命的であるままである。その臨床症候群は、有痛性肝腫大、黄疸、腹水および体液貯留(不明な体重増加)を特徴とし、それは高用量化学療法およびSCTを受けている患者の10〜60%において起こる。その病気は、重症度において軽症の可逆性疾患から結果的に多臓器不全(MOF)および死に至る重症の疾患にまで及ぶ(Richardson P. et al., 2002, Blood, 4337-4342; Jones et al, 1987, Transplant, 44, 778-783)。
VODの原因は、まだ不明であるが、移植前の危険因子および移植に関連する病気の組み合わせが、主に肝類洞の損傷を誘発すると信じられている。これは、急速に肝細胞性および汎血管炎性(panvasculitic)疾患へと至る可能性があり、その後実質的死亡率と関係する多臓器不全が起こる。引き起こしている病態生理学的事象は、肝疾患のこの形態が改称された類洞閉塞症候群(SOS)であるという示唆を促してきた。
小児集団における静脈閉塞症のリスクは、移植を受けたことがある高リスク患者の十分に定められた群に限られない。その疾患は、しばしばこの群の外側で起こる。例えば、固形腫瘍(例えばウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、および横紋筋肉腫)に関して処置された患者は、VODを発現する高いリスクがある。
供与者の一塩基多型も、同種移植を受けている子供におけるVODの発症における要因である可能性がある。
VODの病態生理は、不明瞭なままである。肝臓の細静脈に対する損傷が、VODにおける最初の組織学的変化に相当すると信じられている。VODは、中心静脈の周囲の肝腺房のゾーン3における類洞内皮細胞および肝細胞に対する傷害から生じると考えられている。早期の変化は、細静脈壁および類洞内のフィブリノーゲン、第VIII因子、およびフィブリンの沈着を含む。反管腔側細静脈領域の内皮下浮腫、コラーゲン沈着、硬化、および線維症が、マトリックスの沈着に寄与する星状細胞の増殖および膠原化を伴ってその後に起こる。細静脈微小血栓症、フィブリンの沈着、虚血、および線維化のプロセスが進行するにつれて、広範囲にわたる帯状の(zonal)崩壊が、門脈高血庄、肝腎症候群、MOF、および死亡をもたらす(Shulman et al, 1987, Am. J. Pathol., 127, 549-558; 1994, Hepatology, 19, 1171-1181)。この期間の間、凝血原状態が、アンチトロンビンIIIおよびプロテインCの低い血漿レベル、第VII因子の消耗ならびにプラスミノーゲン活性化因子阻害因子1(PAI−1)の増大したレベルを伴って存在する(Salat et al, 1997, Blood, 89, 2184-2188)。フォンビルブランド因子(vWF)多量体の増大したレベル、血小板粘着における増大および血小板輸血に対する不応性は、進行している内皮細胞損傷を示すものである(Palomo M et al, Biol Blood Marrow Transplant 16(7):985-93, 2010)。
VODの病態生理は、不明瞭なままである。肝臓の細静脈に対する損傷が、VODにおける最初の組織学的変化に相当すると信じられている。VODは、中心静脈の周囲の肝腺房のゾーン3における類洞内皮細胞および肝細胞に対する傷害から生じると考えられている。早期の変化は、細静脈壁および類洞内のフィブリノーゲン、第VIII因子、およびフィブリンの沈着を含む。反管腔側細静脈領域の内皮下浮腫、コラーゲン沈着、硬化、および線維症が、マトリックスの沈着に寄与する星状細胞の増殖および膠原化を伴ってその後に起こる。細静脈微小血栓症、フィブリンの沈着、虚血、および線維化のプロセスが進行するにつれて、広範囲にわたる帯状の(zonal)崩壊が、門脈高血庄、肝腎症候群、MOF、および死亡をもたらす(Shulman et al, 1987, Am. J. Pathol., 127, 549-558; 1994, Hepatology, 19, 1171-1181)。この期間の間、凝血原状態が、アンチトロンビンIIIおよびプロテインCの低い血漿レベル、第VII因子の消耗ならびにプラスミノーゲン活性化因子阻害因子1(PAI−1)の増大したレベルを伴って存在する(Salat et al, 1997, Blood, 89, 2184-2188)。フォンビルブランド因子(vWF)多量体の増大したレベル、血小板粘着における増大および血小板輸血に対する不応性は、進行している内皮細胞損傷を示すものである(Palomo M et al, Biol Blood Marrow Transplant 16(7):985-93, 2010)。
肝類洞閉塞症候群(HSOS)は、VODが細静脈の関与なしで発現し得るために肝臓のVODに与えられた新しい名称である。モノクロタリンに誘導されたVODのラットの実験研究において、閉塞は、肝細胞ではなく類洞内皮細胞(SEC)から生じることが示されている。内皮細胞傷害の早期の徴候は、モノクロタリンの1回の強制摂取の24時間後に既に明らかであった。その疾患は、最終的に末端肝細静脈の閉塞性細静脈炎として現れた(DeLeve LD, AmJPhysiolGastrointestLiverPhysiol 284:G1045 - G1052, 2003)。
興味深いことに、最近、この病理学的状態は肝臓に限られない可能性があることが認識されてきた。肺は、VODに関する可能性のある“現場(venue)”として示唆されてきた:稀な場合において、VODは、ここで特にマイトマイシンに誘導される内皮傷害の後に肺動脈高血圧(PAH)の発現に先行する可能性がある(Masters K et al, BMJ Case Rep, bcr2012007752, 2013)。SCT後に起こるVODと類似して、抗CD33免疫毒素であるゲムツズマブオゾガマイシンへの曝露後に起こるVODも、顕著な類洞閉塞および強い線維症を特徴としている(Wadleigh, 2003)。SCTにおいて用いられる細胞毒性薬物、例えばブスルファンまたはシクロホスファミドの代謝産物、例えばアクロレインもしくは4−ヒドロキシシクロホスファミドも、VODの増大したリスクと関係している。
重症の疾患を有する高リスク患者の早期の同定は、重症のVODと関係する高い死亡率のため、重要である。
VODの重症度は、以下の3つのカテゴリーに分けられる:
軽症の疾患
静脈閉塞症由来の有害作用がない
処置の必要がない
自己制限的
中程度の疾患
静脈閉塞症由来の有害作用がない
処置を必要とする(疼痛薬物療法、利尿剤、他の支持的ケア)
重症の疾患
幹細胞移植の100日後の静脈閉塞症の未解決の徴候および症状
静脈閉塞症に直接起因し得る合併症による死亡。
VODの重症度は、以下の3つのカテゴリーに分けられる:
軽症の疾患
静脈閉塞症由来の有害作用がない
処置の必要がない
自己制限的
中程度の疾患
静脈閉塞症由来の有害作用がない
処置を必要とする(疼痛薬物療法、利尿剤、他の支持的ケア)
重症の疾患
幹細胞移植の100日後の静脈閉塞症の未解決の徴候および症状
静脈閉塞症に直接起因し得る合併症による死亡。
重症の静脈閉塞症は、静脈閉塞症に加えた多臓器不全の存在の存在に基づいてより正確に定義された。多臓器不全は、酸素要求(室内気における90%未満の酸素飽和、人工呼吸器依存、または両方による)、腎機能不全(ベースラインクレアチニンレベルの倍増、透析依存性、または両方として定義される)および/または脳症を特徴とする(Harper J.L., emedicine.medscape.com, Veno-occlusive hepatic disease, 2012)。
VODにおける内皮損傷のマーカーは、血漿トロンボモジュリン、P−セレクチンおよびプラスミノーゲン活性化因子阻害因子(PAI)、組織因子経路阻害因子、可溶性組織因子、トロンボモジュリンならびにP−およびE−セレクチンならびに活性化された肝星類洞周囲細胞(hepatic stellate perisinusoidal cells)を含む。腫瘍壊死因子アルファ、インターロイキン6、IL−8およびIL−1βは、初期の内皮損傷に寄与している可能性がある。形質転換成長因子ベータ、コラーゲンプロペプチド、ヒアルロン酸およびタイプIIIプロコラーゲンの免疫ペプチド(PIIINP)の上昇が、VODにおいて観察されている(Wadleigh, 2003)。
VODの臨床診断は、体重増加、有痛性肝腫大および黄疸に基づく。経静脈的肝生検および閉塞肝静脈圧勾配測定(WHVPG)は、VODの病理診断の至適基準であるままである。
同時にヘパリンを用いる、または用いない抗血栓剤および血栓溶解剤、例えばプロスタグランジンE1および組織プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)の使用を含む療法的介入にもかかわらず、重症のVODの処置において成功はほとんど達成されていない(Richardson P. et al., 2001, Acta Haematol., 106, 57-68; Baglin TP. et al., 1990, Bone Marrow Transplant, 5, 439-441)。総計において、多数の介入および集中的な処置にもかかわらず、重症のVODに関する+100日目の死亡率は、90%を超えているままであった(Richardson P. et al., 2001, 2002, Carreras E. et al., 1998, Blood, 92, 3599-3604)。
Senzolo M.らは、VODの臨床処置計画を記載している。ヘパリンとの組み合わせで用いられたプロスタグランジンE2は、VODのより低い発生率を示し、一方でPGE1単独は、利点を示すことが一切できなかったことが、その中で報告されている(2007, World J. Gastroenterol., 13(29), 3918-3924)。
国際公開第2004019952A1号は、静脈の流れを向上させるためのプロスタサイクリン類似体の使用を記載している。
Witt W.らは、血栓性疾患を有する患者の処置のためのイロプロストの使用を記載している(1985, “Antithrombotic profile of Iloprost in experimental models of arterial and venous thrombosis, Springer Verlag, 81-90”)。
Witt W.らは、血栓性疾患を有する患者の処置のためのイロプロストの使用を記載している(1985, “Antithrombotic profile of Iloprost in experimental models of arterial and venous thrombosis, Springer Verlag, 81-90”)。
カナダ特許第2306567A1号は、cAMP賦活薬、例えばフォルスコリンまたはアデニル酸シクラーゼを含有するプラスミノーゲン活性化因子阻害因子1を報告している。
Alliot C et al., Presse Medicale, 1994, vol. 23, no. 40, p. 1878は、1人の患者におけるVODの処置のためのプロスタサイクリンFlolanの5〜8ng/kg/日の最大許容可能投与量での使用を開示している。
現在、療法計画を有意に向上させる利用可能な処置は存在せず、VODの処置のための療法を提供する未だ対処されていない必要性がまだ存在する。VODは、いくつかの化学療法薬に関する用量制限毒性であり、患者の適格性を制限している。VODの予防的処置は、高用量化学療法を使用する能力に対して著しい影響を有するであろう。疾患の発症後にVODを処置する療法の開発は、化学療法に誘導される肝疾患の予想外の症例においても価値があるであろう。
従って、化学療法の結果としてVODまたは類洞閉塞症候群を患っている、またはそのリスクがある患者の向上した療法のための組成物を提供することが、本発明の目的である。
Wadleigh M. et al., 2003, Curr.Opin.Hematol., 10, 451-462
Richardson P. et al., 2002, Blood, 4337-4342
Jones et al, 1987, Transplant, 44, 778-783
Shulman et al, 1987, Am. J. Pathol., 127, 549-558
Shulman et al, 1994, Hepatology, 19, 1171-1181
Salat et al, 1997, Blood, 89, 2184-2188
Palomo M et al, Biol Blood Marrow Transplant 16(7):985-93, 2010
DeLeve LD, AmJPhysiolGastrointestLiverPhysiol 284:G1045 - G1052, 2003
Masters K et al, BMJ Case Rep, bcr2012007752, 2013
Harper J.L., emedicine.medscape.com, Veno-occlusive hepatic disease, 2012
Richardson P. et al., 2001, Acta Haematol., 106, 57-68
Baglin TP. et al., 1990, Bone Marrow Transplant, 5, 439-441
Carreras E. et al., 1998, Blood, 92, 3599-3604
2007, World J. Gastroenterol., 13(29), 3918-3924
1985, "Antithrombotic profile of Iloprost in experimental models of arterial and venous thrombosis, Springer Verlag, 81-90"
Alliot C et al., Presse Medicale, 1994, vol. 23, no. 40, p. 1878
その目的は、特許請求される主題により明確に解決される。
本発明によれば、肝静脈閉塞症(VOD)または特に類洞閉塞症候群の予防または処置における使用のための、プロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体、誘導体またはその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される有効薬剤を含む組成物が、提供される。
本発明によれば、肝静脈閉塞症(VOD)または特に類洞閉塞症候群の予防または処置における使用のための、プロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体、誘導体またはその薬学的に許容可能な塩からなる群から選択される有効薬剤を含む組成物が、提供される。
好ましい態様によれば、組成物は、プロスタサイクリン類似体、誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を含む。具体的には、前記のプロスタサイクリン類似体は、場合によりIプロスタノイド受容体(IP)に加えてEP2およびEP4受容体を選択的に刺激するが、阻害性Gi共役型EP3受容体においては低い親和性の作動薬である。
具体的には、前記のプロスタサイクリン類似体は、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロスト、その誘導体または薬学的に許容可能な塩類からなる群から選択される。
具体的には、前記の誘導体は、トレプロスチニルの酸誘導体、トレプロスチニルのプロドラッグ、トレプロスチニルの持続放出形態、トレプロスチニルの吸入形態、トレプロスチニルの経口形態、トレプロスチニルの多形体またはトレプロスチニルの同位体の群から選択される。
特定の側面によれば、組成物は、好ましくは静脈内または皮下注入による全身投与のために提供される。例えば少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間、好ましくは少なくとも5時間、より好ましくは少なくとも24時間、好ましくは少なくとも7日間、特に365日間までの延長された期間にわたる連続注入が、想定されている。
さらなる特定の側面によれば、組成物は、局所投与のために、好ましくは吸入のために提供される。従って、薬物の有効量の投与を提供する適切な吸入器が、提供される。
さらなる特定の側面によれば、経口処置のための組成物が、提供され、例えばここで、前記の組成物は、錠剤またはカプセルの群から選択される経口で利用可能な形態である。
さらなる特定の側面によれば、経口処置のための組成物が、提供され、例えばここで、前記の組成物は、錠剤またはカプセルの群から選択される経口で利用可能な形態である。
具体的には、組成物は、好ましくは1種類以上の薬学的に許容可能なキャリヤーおよび/または添加剤を含む医薬組成物である。
本発明の組成物における有効薬剤の投与量は、異なるパラメーター、例えば有効化合物が投与される患者、特に患者の体重および年齢、患者の個々の状態、疾患および疾患の重症度、ならびに投与の経路および頻度に依存する。有効化合物は、例えば0.1〜1000mg/kg/日、好ましくは5〜700mg/kg、好ましくは5〜500mg/kg/日の用量で経口投与され、それは、数回の、例えば1回、2回、3回またはより多くの用量に分けられることができる。吸入投与に関して、吸入あたりの有効化合物の好ましい用量は、100pg〜1000mg/kg/日である。
本発明の組成物における有効薬剤の投与量は、異なるパラメーター、例えば有効化合物が投与される患者、特に患者の体重および年齢、患者の個々の状態、疾患および疾患の重症度、ならびに投与の経路および頻度に依存する。有効化合物は、例えば0.1〜1000mg/kg/日、好ましくは5〜700mg/kg、好ましくは5〜500mg/kg/日の用量で経口投与され、それは、数回の、例えば1回、2回、3回またはより多くの用量に分けられることができる。吸入投与に関して、吸入あたりの有効化合物の好ましい用量は、100pg〜1000mg/kg/日である。
代替の態様によれば、反復される吸入投与のための投与量容器が提供され、ここで、前記の容器は、約20mg、特に19、18、17、16、15mgの有効化合物、特にトレプロスチニルを含有する。
さらなる態様によれば、吸入投与は、肺がVODに関する現場であるVOD処置に関して特に有用である。
そのような用量のいくつかは、必要であれば連続的に、および/または1日数回投与されることができる。
そのような用量のいくつかは、必要であれば連続的に、および/または1日数回投与されることができる。
具体的には、組成物は、有効量のトレプロスチニルもしくはその誘導体、またはその薬学的に許容可能な塩を提供する医薬組成物であり、それは、約0.1ng/kg/分〜100ng/kg/分の範囲であり、好ましくは約1〜50ng/kg/分、好ましくは約10〜45ng/kg/分、より好ましくは約20〜40ng/kg/分の1日量である。
好ましい組成物は、好ましくは1日あたり2〜6回の処置、例えばその日の間で等しく間隔を空けられた2回、3回、4回またはより多くの分離した処置セッションにより投与される10〜200μg/kg、特に25〜150μg/kg、より特別には50〜100μg、さらにもっと特別には約50〜60μg/kgの範囲の有効量の吸入されるトレプロスチニルを提供する。典型的には、5〜150μg/kg、例えば10〜100μg/kgのトレプロスチニル(好ましくは10〜30μg/kgのより低い用量で開始し、続いて40〜100μg/kg、好ましくは40〜70μg/kgのより高い用量)が、処置セッションごとに投与される。
好ましくは、配合物のパルス状のエアロゾル雲を生成する噴霧器が、用いられる。それぞれのパルスは、例えば5〜10μg/kg、例えば6μg/kgのトレプロスチニルを口金から送達する。
本発明の一態様によれば、本発明のプロスタサイクリン類似体または誘導体の計量された用量または大量瞬時用量をVOD患者の肺に送達することができるデバイスであることができる定量吸入器が、投与のために用いられることができる。それは、例えば加圧式定量吸入器(pMDI)、すなわちプロスタサイクリン類似体または誘導体の溶液または懸濁液から吸入のためのエアロゾル雲を生成するデバイスであることができる。
吸入デバイスは、乾燥粉末吸入器(DPI)であることもでき、ここで、プロスタサイクリン類似体または誘導体は、固体配合物として存在する。
代替案として、定量吸入器は、ソフトミスト吸入器であることができ、ここで、エアロゾル雲は、溶液をノズルまたは一連のノズルを通過させることにより生成されることができる。前記の吸入器の例が、Respimat(登録商標)吸入器(Boehringer Ingelheim)、AERx(登録商標)吸入器(Aradigm Corp.)、Mystic(商標)吸入器(Ventaira Pharmaceuticals,Inc)またはAira(商標)吸入器(Chrysalis Technologies Inc.)として入手可能である。
代替案として、定量吸入器は、ソフトミスト吸入器であることができ、ここで、エアロゾル雲は、溶液をノズルまたは一連のノズルを通過させることにより生成されることができる。前記の吸入器の例が、Respimat(登録商標)吸入器(Boehringer Ingelheim)、AERx(登録商標)吸入器(Aradigm Corp.)、Mystic(商標)吸入器(Ventaira Pharmaceuticals,Inc)またはAira(商標)吸入器(Chrysalis Technologies Inc.)として入手可能である。
トレプロスチニルは、好ましくは吸入により、例えば少なくとも0.1ng/kg体重/分、好ましくは0.5ng/kg〜1mg/kg/分、好ましくは1ng/kg/分〜0.5mg/kg/分、好ましくは10ng/kg/分〜100ng/kg/分の範囲である量で投与されることもできる。
本組成物は、少なくとも1ヵ月、好ましくは少なくとも2ヵ月、より好ましくは少なくとも3ヶ月の期間投与されることができる。
特定の側面によれば、療法を受けている患者は、軽症のVODを患っている。
特定の側面によれば、療法を受けている患者は、軽症のVODを患っている。
特定の側面によれば、療法を受けている患者は、中程度のVODを患っている。具体的には、組成物は、VODのリスクがある患者に、好ましくは化学療法剤、照射、抗CD33標的化免疫毒素を用いた療法の後に、腎臓もしくは肝臓移植または造血幹細胞(HES)移植におけるアザチオプリンを用いた長期免疫抑制後に投与される。
VODを誘発することが知られている化学療法剤は、例えばビンクリスチン、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、ダカルバジン、シトシンアラビノシド、ミトラマイシン(プリカマイシン)、6−チオグアニン、ウレタンおよびインジシンN−オキシド単独であるが、それらに限定されない。類洞内皮細胞損傷の重要な側面を共有している化学療法由来の肝疾患のより軽症の形態は、結節性再生性過形成、類洞拡張症および肝紫斑病を含む。
化学療法剤、例えばビンクリスチン、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ドキソルビシンおよびシクロホスファミドは、特にウィルムス腫瘍および他の小児腎臓腫瘍の処置のために用いられている。例えば、腎芽細胞腫(ウィルムス腫瘍)のダクチノマイシンおよび腹部の照射による処置は、VODをもたらしてきた。
照射および化学療法の組み合わせも、VODの発現をもたらしてきた。
放射線に誘導される肝疾患は、VODの特徴の一部を共有する病気であるが、臨床症状、組織学および時間経過において違いがある。
放射線に誘導される肝疾患は、VODの特徴の一部を共有する病気であるが、臨床症状、組織学および時間経過において違いがある。
放射線に誘導される肝疾患は、成人において35Gyを超える放射線量により見られる。
より具体的には、肝VODを患っている患者は、主に骨髄疾患を患っており、好ましくは彼は、HES移植を受けていた。
より具体的には、肝VODを患っている患者は、主に骨髄疾患を患っており、好ましくは彼は、HES移植を受けていた。
患者は、本明細書において特にヒトとして理解されている。
具体的には、患者は、肝VODまたは類洞閉塞症候群のいずれかを患っている。
さらに、本発明によれば、以下:
(i)有効量のプロスタサイクリンまたはプロスタサイクリン類似体もしくは誘導体またはその薬学的に許容可能な塩、特にトレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩;
(ii)1種類以上の薬学的に許容可能なキャリヤーおよび/または添加剤;ならびに
(iii)VODの処置における使用のための説明書;
を含む、患者において肝VODおよび/または類洞閉塞症候群を処置または予防するためのキットが提供される。
具体的には、患者は、肝VODまたは類洞閉塞症候群のいずれかを患っている。
さらに、本発明によれば、以下:
(i)有効量のプロスタサイクリンまたはプロスタサイクリン類似体もしくは誘導体またはその薬学的に許容可能な塩、特にトレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩;
(ii)1種類以上の薬学的に許容可能なキャリヤーおよび/または添加剤;ならびに
(iii)VODの処置における使用のための説明書;
を含む、患者において肝VODおよび/または類洞閉塞症候群を処置または予防するためのキットが提供される。
本発明は、プロスタサイクリン類似体もしくは誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を対象に投与することにより類洞閉塞症候群および/または肝静脈閉塞症(VOD)を予防または処置するための方法も提供する。
驚くべきことに、プロスタサイクリンまたはプロスタサイクリン類似体もしくは誘導体またはその薬学的に許容可能な塩は、肝VODおよび/または類洞閉塞症候群を処置するために用いられることができることが、本発明者らにより見出された。
類洞閉塞症候群は、VODが細静脈の関与なしで発現し得るために肝臓のVODに与えられた新しい名称である。
VODの病態生理は、非常に複雑であり、多数の要因が関わっている。細胞生物学的視点から、その疾患の複雑な性質は、多数のシグナル伝達経路の関与を暗に示している。従って、理想的には、処置概念は、VODの発現にとって中核的なシグナルネットワークにおけるいくつかのノードを同時に標的とするべきである。
VODの病態生理は、非常に複雑であり、多数の要因が関わっている。細胞生物学的視点から、その疾患の複雑な性質は、多数のシグナル伝達経路の関与を暗に示している。従って、理想的には、処置概念は、VODの発現にとって中核的なシグナルネットワークにおけるいくつかのノードを同時に標的とするべきである。
細胞内のcAMPは、炎症反応を開始するために必要な遺伝子を含む多くの遺伝子の制御に影響を及ぼし、活性化された凝血因子および活性化された血小板を受け流す(fend off)ことが知られている。加えて、cAMP依存性のリン酸化は、アポトーシス経路の活性を(例えばアポトーシス促進性タンパク質BADを不活性化することにより)制御している。従って、cAMPは、それはVODにおいて関連しているいくつかの反応に取り組むことを可能にするため、VODの処置における興味深い下流の標的である。Gsに、従ってcAMPの上昇に共役している多くの受容体が存在する。プロスタサイクリン類似体は、前記の化合物は重篤な合併症であるVODを予防することができ、造血幹細胞移植の転帰も向上させることができるため、特に有利である。トレプロスチニルの安全性プロフィールは、周知であり;これは、予防的設定におけるその適用をさらに正当化する。最後ではあるが大切なこととして、トレプロスチニルは、安定な定められた化合物であり、一方でFlolanのような他の化合物は、不安定であり、非常に短い血清半減期を有し、従って短い有効性期間を有する。加えて、Flolanは、類洞内皮細胞において発現が非常に低いプロスタグランジンIP受容体を刺激する。
合成プロスタサイクリン類似体は、例えば、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロストであることができるが、それらに限定されず、好ましくはトレプロスチニルが用いられる。
例えばトレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロストおよびシカプロストのような合成プロスタサイクリンI2(PGI2)類似体は、細胞中のcAMPレベルを増大させることができる。特に、トレプロスチニルは、プロスタサイクリン/PGI2の安定な類似体であり、それはEP2およびEP4受容体も選択的に刺激するが、EP3受容体には低い親和性しか有しない。従って、それは、多数のGs共役型受容体を刺激する可能性を有するが、cAMPの蓄積を阻害する阻害性(例えばGi共役型)EP3受容体とは会合しない。後者に関して、ジメチルPGE2は、完全な作動薬である。対照的に、トレプロスチニルは、EP3受容体において低い親和性の作動薬でしかない。
それらは天然のプロスタサイクリン類よりも代謝的に安定であるため、トレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロストおよびシカプロストは、長続きする作用を引き出すことができ、プロスタサイクリン類似体の、特にトレプロスチニル、イロプロスト、ベラプロストおよびシカプロストの長期の/反復される投与は、十分に許容される。
適切なプロスタサイクリン誘導体は、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロストの酸誘導体、プロドラッグ、持続放出形態、吸入形態および経口形態を含むが、それらに限定されない。
本発明のプロスタサイクリンまたはプロスタサイクリン類似体の薬学的に許容可能な塩は、酸および化合物の塩基性基、例えばアミノ官能基、または塩基および化合物の酸性基、例えばカルボキシル官能基の間で形成されることができる。別の態様によれば、化合物は、薬学的に許容可能な酸付加塩である。
特に、トレプロスチニルまたはその誘導体は、本発明に従って有用である。トレプロスチニルは、嚢胞性線維症患者の肺の上皮細胞においてクロライドチャンネルの機能をうまく増進することができる。特に、有効薬剤、例えばトレプロスチニルは、軽症〜中程度のVODの症例における長期療法に関して必要が示されている。
トレプロスチニルは、プロスタサイクリンの合成類似体である。トレプロスチニルは、Remodulin(商標)として市場に出されている。トレプロスチニルは、(1R,2R,3aS,9aS)−[[2,3,3a,4,9,9a−ヘキサヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(3S)−3−ヒドロキシオクチル]−1H−ベンズ[f]インデン−5−イル]オキシ]酢酸一ナトリウム塩である。
イロプロストは、“Ilomedine”として市場に出されており、5−{(E)−(1S,5S,6R,7R)−7−ヒドロキシ−6[(E)−(3S,4RS)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル]−ビ−シクロ[3.3.0]オクタン−3−イリデン}ペンタン酸である。
ベラプロストは、2,3,3a,8b−テトラヒドロ−2−ヒドロキシ−1−(3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル)−1H−シクロペンタ(b)ベンゾフラン−5−ブタン酸である。
シカプロストは、2−[(2E)−2−[(3aS,4S,5R,6aS)−5−ヒドロキシ−4−[(3S,4S)−3−ヒドロキシ−4−メチルノナ−1,6−ジイニル]−3,3a,4,5,6,6a−ヘキサヒドロ−1H−ペンタレン−2−イリデン]エトキシ]酢酸である。
特定の態様によれば、少なくとも2種類、特に少なくとも3種類、4種類、5種類または6種類、またはさらに多くの異なるプロスタサイクリン類似体が、用いられることができる。本発明の組成物は、トレプロスチニルをイロプロスト、シカプロストまたはベラプロストの1以上と一緒に含むこともできる。あるいは、組成物は、イロプロストをトレプロスチニル、シカプロストもしくはベラプロストまたはその薬学的に許容可能な塩類との組み合わせで含むことができる。あるいは、組成物は、ベラプロストをトレプロスチニル、シカプロストもしくはイロプロストまたはその薬学的に許容可能な塩類との組み合わせで含むことができる。あるいは、組成物は、シカプロストをトレプロスチニル、ベラプロストもしくはイロプロストまたはその薬学的に許容可能な塩類の1以上との組み合わせで含むことができる。
本発明に従うプロスタサイクリン類似体に関して、用語“プロスタサイクリン類似体”は、前記の物質の誘導体および類似体を含む。
用語“類似体”または“誘導体”は、構造および機能において別の化学物質に類似しているが、しばしば単一の元素または基により構造的に異なっている化学分子に関し、それは、それが親化学物質と同じ機能を保持している場合、1より多くの基(例えば2、3、または4個の基)の修飾により異なり得る。そのような修飾は、当業者にはルーチン的であり、例えば追加の、または置換された化学的部分、例えば酸のエステルまたはアミド、保護基、例えばアルコールまたはチオールに関するベンジル基、およびアミンに関するtert−ブトキシルカルボニル基を含む。アルキル側鎖に対する修飾、例えばアルキル置換(例えばメチル、ジメチル、エチル等)、側鎖の飽和または不飽和のレベルに対する改変、ならびに修飾された基、例えば置換されたフェニルおよびフェノキシの付加も含まれる。誘導体は、コンジュゲート、例えばビオチンまたはアビジン部分、酵素、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ等、および放射標識、生物発光、化学発光、または蛍光部分も含むことができる。さらに、部分は、本明細書で記載された薬剤に、それらの薬物動態特性を変化させるために、例えば数ある望ましい特性の中でもインビボもしくはエキソビボでの半減期を増大させるために、またはそれらの細胞浸透特性を増大させるために付加されることができる。医薬の数多くの望ましい品質(例えば可溶性、生物学的利用能、製造等)を高めることが知られているプロドラッグも、含まれる。
用語“類似体”または“誘導体”は、構造および機能において別の化学物質に類似しているが、しばしば単一の元素または基により構造的に異なっている化学分子に関し、それは、それが親化学物質と同じ機能を保持している場合、1より多くの基(例えば2、3、または4個の基)の修飾により異なり得る。そのような修飾は、当業者にはルーチン的であり、例えば追加の、または置換された化学的部分、例えば酸のエステルまたはアミド、保護基、例えばアルコールまたはチオールに関するベンジル基、およびアミンに関するtert−ブトキシルカルボニル基を含む。アルキル側鎖に対する修飾、例えばアルキル置換(例えばメチル、ジメチル、エチル等)、側鎖の飽和または不飽和のレベルに対する改変、ならびに修飾された基、例えば置換されたフェニルおよびフェノキシの付加も含まれる。誘導体は、コンジュゲート、例えばビオチンまたはアビジン部分、酵素、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ等、および放射標識、生物発光、化学発光、または蛍光部分も含むことができる。さらに、部分は、本明細書で記載された薬剤に、それらの薬物動態特性を変化させるために、例えば数ある望ましい特性の中でもインビボもしくはエキソビボでの半減期を増大させるために、またはそれらの細胞浸透特性を増大させるために付加されることができる。医薬の数多くの望ましい品質(例えば可溶性、生物学的利用能、製造等)を高めることが知られているプロドラッグも、含まれる。
用語“誘導体”は、その範囲内に、機能的に均等な、または機能的に向上した分子を提供する付加、削除、および/または置換を含む親配列に対してなされている変更も含む。
本発明によれば、用語“約”は、最大で10%、特に最大で5%、より特別には最大で1%の数値の偏差を含む。
本発明によれば、用語“約”は、最大で10%、特に最大で5%、より特別には最大で1%の数値の偏差を含む。
本発明の特定の態様によれば、トレプロスチニル誘導体は、トレプロスチニルの酸誘導体、トレプロスチニルのプロドラッグ、トレプロスチニルの多形体またはトレプロスチニルの同位体の群から選択される。
同様に、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロストは、それに由来する酸誘導体、プロドラッグ、多形体または同位体の群からの誘導体であることができる。
具体的には、トレプロスチニルの生理的に許容可能な塩類は、塩基由来の塩類を含む。塩基塩類は、アンモニウム塩類(例えば第四級アンモニウム塩類)、アルカリ金属塩類、例えばナトリウムおよびカリウムの塩類、アルカリ土類金属塩類、例えばカルシウムおよびマグネシウムの塩類、有機塩基、例えばジシクロヘキシルアミンおよびN−メチル−D−グルカミンとの塩類、ならびにアミノ酸、例えばアルギニンおよびリジンとの塩類を含む。
具体的には、トレプロスチニルの生理的に許容可能な塩類は、塩基由来の塩類を含む。塩基塩類は、アンモニウム塩類(例えば第四級アンモニウム塩類)、アルカリ金属塩類、例えばナトリウムおよびカリウムの塩類、アルカリ土類金属塩類、例えばカルシウムおよびマグネシウムの塩類、有機塩基、例えばジシクロヘキシルアミンおよびN−メチル−D−グルカミンとの塩類、ならびにアミノ酸、例えばアルギニンおよびリジンとの塩類を含む。
トレプロスチニルは、プロスタサイクリン(PGI2)の安定な類似体であり、プロスタノイドI受容体に加えて、それは、EP2およびEP4受容体を刺激する(Whittle et al., 2012)。従って、VODにおけるあらゆる直接的な療法的影響は、疾患状態の肝臓の標的細胞におけるGs共役型受容体の発現および会合に頼っている可能性がある。
トレプロスチニルは、特に様々な経路による投与を可能にする高い代謝安定性を有する。
本発明によれば、トレプロスチニルの誘導体は、例えばトレプロスチニルの酸誘導体、トレプロスチニルのプロドラッグ、トレプロスチニルの持続放出形態、トレプロスチニルの吸入形態、トレプロスチニルの経口形態、トレプロスチニルの多形体またはトレプロスチニルの同位体であることができる。
本発明によれば、トレプロスチニルの誘導体は、例えばトレプロスチニルの酸誘導体、トレプロスチニルのプロドラッグ、トレプロスチニルの持続放出形態、トレプロスチニルの吸入形態、トレプロスチニルの経口形態、トレプロスチニルの多形体またはトレプロスチニルの同位体であることができる。
本発明の組成物は、特に医薬製剤としての投与のために用いられることができるあらゆる形態で存在することができる。
例えば、本発明の組成物は、液体または粉末として投与されることができる。それは、局所的に、静脈内に、皮下に、吸入により(例えばエアロゾルを投与するために)、または噴霧器を用いることにより、または錠剤もしくはカプセルのような経口的に利用可能な形態で投与されることができる。トレプロスチニルのような一部のプロスタサイクリン類似体の高い代謝安定性のため、またはプロスタサイクリンもしくはプロスタサイクリン類似体の脂質ベースもしくはペグ化形態として提供された場合、その物質は、デポー医薬品として投与されることもできる。
例えば、本発明の組成物は、液体または粉末として投与されることができる。それは、局所的に、静脈内に、皮下に、吸入により(例えばエアロゾルを投与するために)、または噴霧器を用いることにより、または錠剤もしくはカプセルのような経口的に利用可能な形態で投与されることができる。トレプロスチニルのような一部のプロスタサイクリン類似体の高い代謝安定性のため、またはプロスタサイクリンもしくはプロスタサイクリン類似体の脂質ベースもしくはペグ化形態として提供された場合、その物質は、デポー医薬品として投与されることもできる。
プロスタサイクリン類似体のエアロゾル化された送達は、結果として肺深部への送達が得られるようにその薬剤の肺におけるより均一な分布をもたらすことができる。それにより、適用の投与量は、肺中の作用部位におけるその薬剤の持続的な存在まで低減される可能性がある。
組成物は、当該技術において既知であるようなあらゆる薬学的に許容可能な物質またはキャリヤーまたは賦形剤と共に投与されることができる。これらは、例えば水、中和剤、例えばNaOH、KOH、安定剤、DMSO、生理食塩水、ベタイン、タウリン等であることができるが、それらに限定されない。
用語“薬学的に許容可能な”は、連邦または州政府の規制当局により認可されている、または米国において列挙されていることを意味する。
用語“キャリヤー”は、医薬組成物が一緒に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、またはビヒクルを指す。生理食塩水溶液ならびに水性デキストロースおよびグリセロール溶液も、特に注射溶液のための液体キャリヤーとして用いられることができる。適切な賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等を含む。適切な医薬用キャリヤーの例が、E.W.Martinによる“Remington’s Pharmaceutical Sciences”に記載されている。配合物は、投与方式に従って選択されるべきである。
用語“キャリヤー”は、医薬組成物が一緒に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、またはビヒクルを指す。生理食塩水溶液ならびに水性デキストロースおよびグリセロール溶液も、特に注射溶液のための液体キャリヤーとして用いられることができる。適切な賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等を含む。適切な医薬用キャリヤーの例が、E.W.Martinによる“Remington’s Pharmaceutical Sciences”に記載されている。配合物は、投与方式に従って選択されるべきである。
本発明の組成物中の有効薬物の量は、あらゆる当業者により選択されることができ、好ましくは、0.1ng/kg〜0.5mg/kg体重/分の範囲であるプロスタサイクリン類またはプロスタサイクリン類似体またはその薬学的に許容可能な塩類の、特にトレプロスチニルの量であり、特に、それは、0.5mg/kg体重/分より大きいことができる。
本発明に従うトレプロスチニルまたはあらゆる他のプロスタサイクリン類似体は、有効量で投与されるべきである。前記の有効量は、当業者により、すなわちVODの症状に対する療法的作用およびその化合物を過量投与することにより起こり得る可能性のある副作用を秤にかけることにより決定されることができる。
一態様によれば、患者は、0.1〜10mgの1日量で、好ましくは連続的な皮下注入により処置される。
一態様において、プロスタサイクリン類似体、特にトレプロスチニルは、肝VODのリスクがある、またはそれを患っている患者に、その患者の肝機能を向上させる、および/または凝固時間を正常化する用量で投与される。
一態様において、プロスタサイクリン類似体、特にトレプロスチニルは、肝VODのリスクがある、またはそれを患っている患者に、その患者の肝機能を向上させる、および/または凝固時間を正常化する用量で投与される。
さらなる態様によれば、組成物は、軽症〜中程度の肝VODを患っている患者に投与される。
本発明の一態様によれば、軽症のVODを有する患者は、5%まで、特に10%までの体重増加、および/または20日目より前の7mg/dlまでの最大総血清ビリルビン、および/または25%まで、特に50%までの末梢性浮腫を発現するリスクを有すること、および/または20日目までの50%までの血小板輸注の必要性により特性付けられる。
本発明の一態様によれば、軽症のVODを有する患者は、5%まで、特に10%までの体重増加、および/または20日目より前の7mg/dlまでの最大総血清ビリルビン、および/または25%まで、特に50%までの末梢性浮腫を発現するリスクを有すること、および/または20日目までの50%までの血小板輸注の必要性により特性付けられる。
本発明の一態様によれば、中程度のVODを有する患者は、10%まで、特に15%までの体重増加、および/または20日目より前の7%まで、特に10mg/dlまで、特に20%まで、特に25mg/dlまでの最大総血清ビリルビン、および/または25%まで、特に50%までの末梢性浮腫を発現するリスクを有すること、および/または20日目までの80%まで、特に90%まで、特に100%までの血小板輸注の必要性により特性付けられる。
VODにおける介入に関する標的の1つは、血栓症事象であることができる。本発明に従うプロスタサイクリン、プロスタサイクリン類似体、誘導体またはその薬学的に許容可能な塩、特にトレプロスチニルは、肝VODの処置において、既に臨床試験においてVODの処置に関して(ヘパリンとの組み合わせにおいても)試験されたが有益な作用を一切示すことができなかったプロスタグランジンE1(PGE1)(そしてPGE1の投与は著しい毒性により困難であった)と比較して有利な作用を提供することができる。
本明細書で用いられる際、処置されるべき患者は、あらゆる哺乳類であることができるが、好ましくは、哺乳類は、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、ウシ、ウマ、ヒツジ、またはブタである。他の哺乳類も、本発明に従って処置されることができる。
本発明は、さらに、対象において肝VODまたは類洞閉塞症候群と関係する病気を処置または予防するためのキットであって、(i)有効量のプロスタサイクリンまたはプロスタサイクリン類似体もしくは誘導体またはその薬学的に許容可能な塩、(ii)1種類以上の薬学的に許容可能なキャリヤーおよび/または添加剤、ならびに(iii)VODの処置または予防における使用のための説明書を含むキットを提供する。
本発明の特定の態様によれば、(i)有効量のプロスタサイクリンまたはプロスタサイクリン類似体またはその薬学的に許容可能な塩、(ii)1種類以上の薬学的に許容可能なキャリヤーおよび/または添加剤、ならびに(iii)肝VODまたは類洞閉塞症候群の処置または予防における使用のための説明書を含むキットが、患者におけるVODまたは類洞閉塞症候群の処置または予防における使用のために提供される。
前記の構成要素(i)は、静脈内投与に、吸入に、または経口投与に適切な形態であることができる。
より具体的には、本発明は、キットの使用を提供し、ここで、有効薬剤または成分は、トレプロスチニルまたはその薬学的に許容可能な塩である。具体的には、構成要素(i)は、トレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩を含む。
より具体的には、本発明は、キットの使用を提供し、ここで、有効薬剤または成分は、トレプロスチニルまたはその薬学的に許容可能な塩である。具体的には、構成要素(i)は、トレプロスチニルの薬学的に許容可能な塩を含む。
ヒトにおける適切な用量/処置計画を決定するために臨床試験が実施されることができる。
本発明に従う組成物を用いた処置は、化学療法剤、照射、抗CD33標的化免疫毒素、または造血幹細胞(HES)移植を用いた療法の後に行われることができることが、想定されている。
本発明に従う組成物を用いた処置は、化学療法剤、照射、抗CD33標的化免疫毒素、または造血幹細胞(HES)移植を用いた療法の後に行われることができることが、想定されている。
加えて、患者は、骨髄疾患を患っていることができ、好ましくは、HES移植を受けており移植後にその疾患を発現した患者であることができる。
本発明の一態様において、患者は、少なくとも数日、好ましくは少なくとも1ヵ月、好ましくは少なくとも2ヵ月、より好ましくは少なくとも3ヵ月の期間の間組成物で連続的に処置される。
本発明の一態様において、患者は、少なくとも数日、好ましくは少なくとも1ヵ月、好ましくは少なくとも2ヵ月、より好ましくは少なくとも3ヵ月の期間の間組成物で連続的に処置される。
本明細書で記載される実施例は、本発明を説明するものであり、それに対する限定であることは意図されていない。本発明の異なる態様は、本発明に従って記載されてきた。多くの改変およびバリエーションが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく本明細書において記載および説明された技法に対してなされることができる。従って、実施例は、単に説明的なものであり、本発明の範囲に対する限定ではないことは、理解されるべきである。
実施例1
肝臓細胞によるプロスタグランジン受容体をコードするmRNAの発現
肝類洞内皮細胞(HSEC)は、肝類洞を裏打ちしている有窓内皮細胞の独特の亜集団であり、肝臓内の内皮細胞の大部分を含む。マウスの肝臓から一次類洞内皮細胞を単離することは、時間がかかり、それらは、数が限られており、細胞培養条件下で分化した状態で維持することが難しい。Huebert RCら(Lab Invest 90(12):1770-81, 2010)は、内皮表現型を保持しているが病理的脈管構造も模倣する肝類洞内皮細胞(HSEC)由来の不死化された細胞株を生成した。形質転換された類洞内皮細胞(TSEC)のこの細胞株は、SV40大型T抗原を用いた不死化により生成された。TSECは、VODを研究するために適している:1)それらの不死化された性質にもかかわらず、それらは、血管新生因子に反応した移動、血管の形成、エンドサイトーシスおよび細胞外マトリックスの再構築(remodelling)を含むいくつかの重要な内皮の特徴を保持しており、2)それらの表現型は、慢性肝疾患と関係するがVODとも関係するいくつかの病理学的特徴に似ており、ここで、細胞は、活性化され、増殖的になり、分化し、血管新生的になる。従って、TSECの形態学的特徴の一部は、VOD患者の肝臓においても明らかである。
肝臓細胞によるプロスタグランジン受容体をコードするmRNAの発現
肝類洞内皮細胞(HSEC)は、肝類洞を裏打ちしている有窓内皮細胞の独特の亜集団であり、肝臓内の内皮細胞の大部分を含む。マウスの肝臓から一次類洞内皮細胞を単離することは、時間がかかり、それらは、数が限られており、細胞培養条件下で分化した状態で維持することが難しい。Huebert RCら(Lab Invest 90(12):1770-81, 2010)は、内皮表現型を保持しているが病理的脈管構造も模倣する肝類洞内皮細胞(HSEC)由来の不死化された細胞株を生成した。形質転換された類洞内皮細胞(TSEC)のこの細胞株は、SV40大型T抗原を用いた不死化により生成された。TSECは、VODを研究するために適している:1)それらの不死化された性質にもかかわらず、それらは、血管新生因子に反応した移動、血管の形成、エンドサイトーシスおよび細胞外マトリックスの再構築(remodelling)を含むいくつかの重要な内皮の特徴を保持しており、2)それらの表現型は、慢性肝疾患と関係するがVODとも関係するいくつかの病理学的特徴に似ており、ここで、細胞は、活性化され、増殖的になり、分化し、血管新生的になる。従って、TSECの形態学的特徴の一部は、VOD患者の肝臓においても明らかである。
トレプロスチニルは、プロスタサイクリン(PGI2)の安定な類似体であり、プロスタノイドI受容体に加えて、それはEP2およびEP4受容体を刺激する(Whittle et al., 2012)。従って、VODにおけるあらゆる直接的な療法的影響は、疾患状態の肝臓の標的細胞におけるGs共役型受容体の発現および会合に頼るであろう。従って、我々は、まず我々のモデル細胞株における標的受容体発現を検証した。RNAが、不死化された肝臓類洞内皮細胞株から単離された(TSEC、図1パネルB)。我々は、一次マウス幹細胞および類洞内皮細胞をこの実験に含めた(図1、パネルA)。相補的DNA(cDNA)が生成され、プロスタグランジン受容体(EP1、EP2、EP3、EP4およびIP)をコードする転写産物のレベルが、qPCR(定量的ポリメラーゼ連鎖反応)により評価された。図1において図説されているように、全ての受容体のアンプリコンが、TSECモデル細胞株ならびにマウス一次類洞内皮細胞の両方において検出された。従って、TSECは、トレプロスチニルの作用を研究するために用いられることができる。加えて、EP1およびEP4受容体が一次マウス類洞内皮細胞において発現されているため、ヒトTSECにおいて観察された実験的発見がインビトロで一次マウス細胞において再現されてマウスのインビボモデルに結び付けられる橋渡し実験を実施することが可能であるはずである。
RNAが、マウスの一次肝臓細胞、すなわち肝細胞および類洞内皮細胞(LSEC;パネルA)から、そしてSV40大型T抗原の安定発現を有する不死化された肝類洞内皮細胞(TSEC)(パネルB)から、TRI(登録商標)Reagent RNA単離試薬(Sigma Aldrich、オーストリア)またはMachery−NagelからのNucleoSpin RNA IIキットを製造業者の説明書に従って用いて単離された。相補的DNA(cDNA)が、High Capacity cDNA逆転写キット(Applied Biosystems)を製造業者の説明書に従って用いて生成された。プロスタグランジン受容体(EP1、EP2、EP3、EP4およびIP)をコードする転写産物のレベルが、qPCR(定量的ポリメラーゼ連鎖反応)により20μLの最終反応体積中で5μLのcDNAを用いて評価された。全ての受容体のアンプリコンが、全ての分析された細胞型において検出された。パネルAにおける比較のために、一次マウス肝細胞におけるそれぞれの転写産物のレベルが、1に設定され、類洞細胞におけるレベルは、これらのレベルに対して標準化された。この比較は、トレプロスチニルに関する標的受容体であるEP4のmRNAレベルは、肝細胞と比較してLSECにおいてより高いレベルで発現されていたことを強調している(パネルA)。パネルBは、一次LSECおよびSV40大型T抗原の安定発現を有するTSECの間の異なるプロスタグランジン受容体のmRNA発現を、LSECにおけるレベルを参照として用いることにより比較している。プロスタグランジン受容体EP1〜4をコードするmRNAのレベルは、TSECにおいてLSECと比較してより高かった。この観察は、TSECがVODにおけるトレプロスチニルの可能性のある保護的および/または治療的作用を研究するための適切なモデル系であることを確証する。
そのデータは、図1において示されている。
実施例2
ブスルファンに誘導されるTSECの死に関する濃度反応曲線
臨床診療において、高用量ブスルファンに基づく前処置計画は、VODの増大したリスクと関係しており、それは、ブスルファンの毒性に関連する(Cheuk DK et al, Bone Marrow transplant 40: 935-944, 2007)。我々は、ブスルファンの毒性がTSECに関するインビトロ研究を受けることができる(amenable)かどうかを試験した。従って、我々は、TSECのブスルファンに誘導される死に関する濃度反応曲線を定めた。ECV304細胞を用いていたRaimer Jら(EurJClinPharmacol 68: 932-935, 2012)に類似して、我々は、TSECをコラーゲンコートされたプラスチックディッシュ上に蒔いた(5×103細胞/24ウェルプレート)。24時間後、ブスルファンが増大する濃度(10μM〜1mM)で添加された。濃度範囲は、文献における報告に、そして骨髄破壊的化学療法を受けている患者において観察された血清レベルに基づいた。細胞生存度が、24、48および72時間後に評価された。24時間後に明らかな細胞死は観察されなかった。72時間後、ほとんど完全な細胞死が、より低い濃度においても観察された。
実施例2
ブスルファンに誘導されるTSECの死に関する濃度反応曲線
臨床診療において、高用量ブスルファンに基づく前処置計画は、VODの増大したリスクと関係しており、それは、ブスルファンの毒性に関連する(Cheuk DK et al, Bone Marrow transplant 40: 935-944, 2007)。我々は、ブスルファンの毒性がTSECに関するインビトロ研究を受けることができる(amenable)かどうかを試験した。従って、我々は、TSECのブスルファンに誘導される死に関する濃度反応曲線を定めた。ECV304細胞を用いていたRaimer Jら(EurJClinPharmacol 68: 932-935, 2012)に類似して、我々は、TSECをコラーゲンコートされたプラスチックディッシュ上に蒔いた(5×103細胞/24ウェルプレート)。24時間後、ブスルファンが増大する濃度(10μM〜1mM)で添加された。濃度範囲は、文献における報告に、そして骨髄破壊的化学療法を受けている患者において観察された血清レベルに基づいた。細胞生存度が、24、48および72時間後に評価された。24時間後に明らかな細胞死は観察されなかった。72時間後、ほとんど完全な細胞死が、より低い濃度においても観察された。
最低でも、この実験は、ブスルファンがそれ自体TSECにおいて傷害を誘導することができるかどうか、または例えば同時培養における肝細胞の存在が毒性中間体(単数または複数)を生成するために必要とされるかどうかという疑問に取り組んでいる。後者が事実であった場合、ブスルファンのグルタチオンコンジュゲートおよび代謝産物である1,4−ジヨードブタンが入手可能であったであろう(Marchand DH et al, Drug Metab Dispos 16(1):85-92, 1988)。しかし、図2から理解され得るように、ブスルファン自体が、TSECにおいて濃度依存性の様式で細胞死を誘導した。従って、この観察は、ブスルファンの作用が肝細胞の非存在下で研究されることができることを示唆している。これは、インビトロモデルの複雑さを低減する。
TSECが、コラーゲンコートされたプラスチックディッシュ上に蒔かれた(5*103細胞/24ウェルプレート)。24時間後に、アルキルスルホネート類のクラスの細胞周期非特異的アルキル化型抗新生物剤であり、化学名称が1,4−ブタンジオールジメタンスルホネートであり、化学療法剤として用いられ、VODを誘導することが知られているブスルファンが、増大する濃度(10μM〜1mM)で添加された。濃度範囲は、文献における報告に、そして骨髄破壊的化学療法を受けている患者において観察された血清レベルに基づく。細胞生存度が、24、48および72時間後に評価された。この目的に関して、細胞は、PBSで2回洗浄され、トリプシン処理され、トリパンブルーと混合され(1:1体積)、血球計数器を用いて計数された。24時間後に明らかな細胞死は観察されなかった。示されているデータ(平均±標準偏差)は、48時間後の細胞死を表している。72時間後、ほとんど完全な細胞死が、より低い濃度においても観察された。
そのデータは、図2において示されている。
実施例3
TSECにおけるブスルファンに誘導される細胞死のトレプロスチニルによる減弱
TSECが、トレプロスチニル(10μM)により1時間前処理され、これがそれらをブスルファンに誘導される細胞死に対して保護するかどうかが、それらにトレプロスチニルの継続的な存在下で125および250μMならびに500μMのブスルファン(BU)を用いて負荷をかける(challenging)ことにより試験された。24時間後、細胞生存度が、剥がれた細胞を血球計数器において計数し、トリパンブルー陽性(=死んでいる)およびトリパンブルー排除(=生きている)細胞の数を決定することにより決定された。図3において記載されているように、10μMのトレプロスチニルは、BUに誘導される毒性を弱めた。この作用は、3つの独立した実験において観察された。
実施例3
TSECにおけるブスルファンに誘導される細胞死のトレプロスチニルによる減弱
TSECが、トレプロスチニル(10μM)により1時間前処理され、これがそれらをブスルファンに誘導される細胞死に対して保護するかどうかが、それらにトレプロスチニルの継続的な存在下で125および250μMならびに500μMのブスルファン(BU)を用いて負荷をかける(challenging)ことにより試験された。24時間後、細胞生存度が、剥がれた細胞を血球計数器において計数し、トリパンブルー陽性(=死んでいる)およびトリパンブルー排除(=生きている)細胞の数を決定することにより決定された。図3において記載されているように、10μMのトレプロスチニルは、BUに誘導される毒性を弱めた。この作用は、3つの独立した実験において観察された。
TSECが、コラーゲンコートされたプラスチックディッシュ上に蒔かれた(5*103細胞/24ウェルプレート)。24時間後に、トレプロスチニルが10μMの濃度で添加された。1時間後、ブスルファンが、増大する濃度で添加された。細胞生存度が、48時間後に評価された。トレプロスチニルによる処理は、細胞が125および250μMの濃度のブスルファンに48時間曝露された場合、増大した生存度と関係していた。
そのデータは、図3において示されている。
実施例4
TSECにおけるブスルファンに誘導される細胞死の減弱−トレプロスチニルの用量設定
我々は、トレプロスチニルがTSECをブスルファンに誘導される細胞死に対して保護する濃度範囲を調べた。TSECが、コラーゲンコートされたプラスチックディッシュ上に蒔かれ、24時間後にトレプロスチニルが5、10および20μMの濃度で添加された。1時間後、ブスルファンが125および250μMの濃度で添加された。細胞生存度が、48時間後に評価された。低い濃度のトレプロスチニル(5μM)でさえも、ブスルファンに誘導される細胞死を弱めた。ブスルファン(p<0.001)およびトレプロスチニル(p=0.0112)は、両方とも細胞生存度に対して有意な作用を有していた。データは、2元配置分散分析を用いて分析された。試験された濃度範囲は、その方法は濃度反応関係に関して拘束力のある説明を行うのに十分に高感度ではないため、濃度反応関係を定めるには十分ではなかったが、その観察は、10μMの濃度においてトレプロスチニルが飽和に近いことを実証するには十分である。
実施例4
TSECにおけるブスルファンに誘導される細胞死の減弱−トレプロスチニルの用量設定
我々は、トレプロスチニルがTSECをブスルファンに誘導される細胞死に対して保護する濃度範囲を調べた。TSECが、コラーゲンコートされたプラスチックディッシュ上に蒔かれ、24時間後にトレプロスチニルが5、10および20μMの濃度で添加された。1時間後、ブスルファンが125および250μMの濃度で添加された。細胞生存度が、48時間後に評価された。低い濃度のトレプロスチニル(5μM)でさえも、ブスルファンに誘導される細胞死を弱めた。ブスルファン(p<0.001)およびトレプロスチニル(p=0.0112)は、両方とも細胞生存度に対して有意な作用を有していた。データは、2元配置分散分析を用いて分析された。試験された濃度範囲は、その方法は濃度反応関係に関して拘束力のある説明を行うのに十分に高感度ではないため、濃度反応関係を定めるには十分ではなかったが、その観察は、10μMの濃度においてトレプロスチニルが飽和に近いことを実証するには十分である。
TSECが、コラーゲンコートされたプラスチックディッシュ上に蒔かれた(5*103細胞/24ウェルプレート)。24時間後に、トレプロスチニルが5、10および20μMの濃度で添加された。1時間後に、ブスルファンが、125および250μMの濃度で添加された。細胞生存度が、48時間後に評価された。低い濃度のトレプロスチニル(5μM)でさえも、ブスルファンに誘導される細胞死を弱めた。この有益な作用は、測定法の感度のため、より高い濃度において増大しなかった。データは、2元配置分散分析により分析された。ボンフェローニポストホック検定が、個々の処置群の間の差に関して試験するために実施された。ブスルファン(p<0.001)およびトレプロスチニル(p=0.0112)は、両方とも細胞生存度に対して有意な作用を有していた。
そのデータは、図4において示されている。
血液凝固に関わる標的遺伝子に対するブスルファンおよびトレプロスチニルに媒介される作用を試験するための実験が設計された:
実施例5
凝固と関係する遺伝子の転写産物に対するブスルファンの作用
EC340細胞において、ブスルファンは、VODにおいて脱制御されることが知られているいくつかの遺伝子の発現を変化させる。環状AMPは、これらの遺伝子のいくつかの制御に、特にPAI−1の制御に関わっている(例えば、DiBattista JA et al, Mol Cell Endocrinol 103(1-2):139-48, 1994, Sunagawa M et al, Endothelium 13 (5): 325 - 33, 2006)。従って、我々は、トレプロスチニルがブスルファンの遺伝子発現に対する一部の作用を相殺するかどうかを試験することを目的とした。しかし、PAI−1の発現は、成長因子およびサイトカイン類によっても制御されている(例えば、Heaton JH et al, JBC 5;273 (23):14261-8, 1998、Heaton JH, Dlakic WM, Gelehrter TD Thromb Haemost 89(6):959-66, 2003において要約されている)。
血液凝固に関わる標的遺伝子に対するブスルファンおよびトレプロスチニルに媒介される作用を試験するための実験が設計された:
実施例5
凝固と関係する遺伝子の転写産物に対するブスルファンの作用
EC340細胞において、ブスルファンは、VODにおいて脱制御されることが知られているいくつかの遺伝子の発現を変化させる。環状AMPは、これらの遺伝子のいくつかの制御に、特にPAI−1の制御に関わっている(例えば、DiBattista JA et al, Mol Cell Endocrinol 103(1-2):139-48, 1994, Sunagawa M et al, Endothelium 13 (5): 325 - 33, 2006)。従って、我々は、トレプロスチニルがブスルファンの遺伝子発現に対する一部の作用を相殺するかどうかを試験することを目的とした。しかし、PAI−1の発現は、成長因子およびサイトカイン類によっても制御されている(例えば、Heaton JH et al, JBC 5;273 (23):14261-8, 1998、Heaton JH, Dlakic WM, Gelehrter TD Thromb Haemost 89(6):959-66, 2003において要約されている)。
我々は、まず発現プロフィールにおける変化を誘発するがまだ細胞は殺さないブスルファンの濃度範囲を定めた。EC340細胞において、300μMもの高い濃度が、96時間許容され、ブスルファンを用いた処置の際の標的遺伝子発現および制御を調べることを可能にした。この濃度は、TSECにおけるmRNAの抽出と適合性ではなかった:mRNAの量、質および安定性は、用量および時間依存性の様式で影響を受けた(図5およびデータは示されていない)。TSECの125μMのブスルファンによる48時間の前処理は、最高の時間*濃度の積であり、それは、qPCRにより遺伝子制御を信頼できるように、かつ再現性があるように評価するために十分な質のmRNAを回収することを可能にした(図5)。EC340細胞における遺伝子制御の時間経過に基づいて、我々は、最小で12時間〜最大で96時間の処置期間を試験した(データは示されていない)。
図5は、インキュベーション時間およびブスルファン濃度のTSECからのmRNAの収率に対する作用を示している:1.6×105個のTSECが、ウェルごとに蒔かれた。細胞は、125μM、250μMもしくは300μMのBU、そのトレプロスチニル(10μM)との組み合わせ、もしくはトレプロスチニル(10μM)単独のいずれかで処理され、または標準培地中で維持された[内皮細胞培地、ECM Sciencell(商標)、米国、TSEC、5%ウシ胎児血清、1%内皮細胞増殖補助剤(ECGS)および1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含有、37℃および5%CO2]。a)総RNAが、Trizol(登録商標)(lifetechnologies)により製造業者のプロトコルに従って抽出された。RNAの濃度(ng/μl)および純度が、Nanodrop 2000(登録商標)を用いて決定された。同数の細胞(1.6×105)が、ウェルごとに蒔かれ、250および300μMのBUを用いた処置は、処置の48時間後に既に、絶対RNA含有量の再現性のある有効な収率を不可能にするだけの細胞死を誘導した。b)RNA調製物における絶対収率(μg/μl)が、標準培地中で培養された細胞(未処理)およびBU(125または250μM BU)+トレプロスチニル(10μM Trep)またはトレプロスチニル単独で処理された細胞の間で比較された。
図5aは、これらの予備実験からの結果を例示している。同数の細胞(1.6×105)が、ウェルごとに蒔かれた。予想されたように、ブスルファンを用いた処置は、細胞に対して毒性であった。より重要なことだが、300μMおよび250μMの濃度のブスルファンを用いた処置は、48時間の処置後に許容可能な収率の、そして許容可能な質のRNAの単離を不可能にすることが、明らかになった。125μMのBUでさえも、ウェルごとのRNA調製物の収率を減少させたが、その後のcDNAの生成は、再現性のある様式で実行可能であった。
従って、さらなる実験のために、以下の処理計画が選択された:細胞の10μMトレプロスチニルによる1時間の前処理、続いて細胞の10μMトレプロスチニルおよび125μM BUとの24時間の同時インキュベーション。
我々は、トレプロスチニルによる処理がブスルファンに誘導されるRNAの量の低減を防ぐことに気付いた:図5bにおいて図説されているように、125μMおよび250μMのブスルファンによる48時間の処理は、RNAの収率を未処理の細胞(100%のRNA収率)と比較してそれぞれ85および74%まで低減した。しかし、10μMのトレプロスチニルで前処理され(1時間)、それと同時インキュベーション(24時間)された場合、この喪失は、少なくともある程度まで減少した:RNA収率における喪失は、11%まで低下した。興味深いことに、細胞がトレプロスチニル単独で処理された場合、RNA含有率は、対照細胞と比較して111%まで増大した。この発見は、5つの独立したRNA調製物において再現された。
実施例6
ブスルファンおよびトレプロスチニルによる制御を受けるTSECにおける適切な候補標的遺伝子の同定
候補標的遺伝子の発現が、ブスルファンの有害な作用およびトレプロスチニルの保護作用をモニターするために試験された。
ブスルファンおよびトレプロスチニルによる制御を受けるTSECにおける適切な候補標的遺伝子の同定
候補標的遺伝子の発現が、ブスルファンの有害な作用およびトレプロスチニルの保護作用をモニターするために試験された。
10μMトレプロスチニルによるTSECの1時間の前処理の後、細胞は、10μMトレプロスチニルおよび125μM BUと共に24時間同時インキュベーションされた。総RNAが、PARISキット(life technologies)の使用により抽出された。cDNA合成が、High−Capacity逆転写キット(applied biosystems)により実施され;得られたcDNA(50ng RNA/反応に相当)が、qPCRにより分析された(StepOnePlusリアルタイムPCRシステム(登録商標)、Applied Biosystems)。18s rRNAが、参照遺伝子として用いられた。
予備実験に基づいて、我々は、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1(PAI−1)、組織因子(TF)、組織因子経路阻害因子(TFPI)およびトロンボモジュリン(TM)を、トレプロスチニルのTSECにおけるブスルファンに誘導される作用を相殺する可能性を研究するための適切な遺伝子として同定した。我々は、ブスルファンに媒介される作用が10μMトレプロスチニルにより相殺されるかどうかも試験した。合計で1.5×105個のTSECが、6ウェルプレート中に蒔かれた。90%コンフルエンスに達したらすぐに、細胞は、トレプロスチニルで1時間前処理され、次いで細胞は、BUおよびトレプロスチニルの両方を含有する標準培養培地中で24時間インキュベートされた。その後、細胞は洗浄され、mRNAが調製された。トレプロスチニルは、凝固促進因子、例えばPAI−1およびTFのブスルファンに誘導される増大した発現を相殺した(データは示されていない)。これらの実験は、ブスルファンが、血液凝固に有利に働く因子(すなわちPAI−1およびTF)の発現を誘導し、従ってVODの発現に許容的であることを実証している。同様に、ブスルファンは、抗凝固因子であるトロンボモジュリン(TM)の発現を低下させ、トレプロスチニルは、ブスルファンの作用を軽減した(データは示されていない)。これらの観察は、インビボでのVODの増大したリスクを予測する代替パラメーターを研究するためのインビトロモデル系としてのTSECの使用を正当化する。
興味深いことに、調べられた候補遺伝子の中で、TFPIの発現は、ブスルファンおよびトレプロスチニルの両方により誘導されることが分かった。
TSECの処理が、図6に対する説明文において示されているように実施された。トレプロスチニル処理が、ブスルファンの添加の1時間前に開始された。細胞が24時間後に収集された。mRNAの発現レベルが、PCRにより定量化され、18s RNAレベルに対して標準化された。a)トレプロスチニルは、凝固促進因子PAI−1およびTFの発現におけるブスルファンに誘導される増大ならびに線維素溶解促進性TMにおけるブスルファンに誘導される低下を相殺した。b)TSECにおいて、トレプロスチニルは、TFPIのmRNAの発現を濃度依存性の様式で制御する。
TSECの処理が、図6に対する説明文において示されているように実施された。トレプロスチニル処理が、ブスルファンの添加の1時間前に開始された。細胞が24時間後に収集された。mRNAの発現レベルが、PCRにより定量化され、18s RNAレベルに対して標準化された。a)トレプロスチニルは、凝固促進因子PAI−1およびTFの発現におけるブスルファンに誘導される増大ならびに線維素溶解促進性TMにおけるブスルファンに誘導される低下を相殺した。b)TSECにおいて、トレプロスチニルは、TFPIのmRNAの発現を濃度依存性の様式で制御する。
従って、TFPIが、トレプロスチニルの濃度反応曲線を調べるために選択された。この実験は、10〜20μMの濃度範囲が最も有効であることを確かめた(データは示されていない)。
実施例7
トレプロスチニルによるTSECにおけるcAMPレベルの誘導
トレプロスチニルがブスルファンに誘導される遺伝子発現を調節することを可能にする機序を理解することは、これは追加の標的遺伝子を探すことを可能にするため、望ましい。トレプロスチニルの作用はcAMPの蓄積の増大により媒介されていることが、仮定された。しかし、驚くべきことに、トレプロスチニルの追加だけでは、TSECにおいて細胞内cAMPレベルを増大させるために十分ではなかった(図6)。しかし、細胞がフォルスコリンにより感作された場合、トレプロスチニル(10μM)は、TSECにおいて細胞内cAMPレベルをさらに増大させた。これは、30μMフォルスコリンの存在下(図8、左側のパネル)およびフォルスコリンの濃度が1〜30μMで用量設定された場合(図6、中央および右側のパネル)の両方で見られた。それはまた、[3H]cAMPが低いか(図6、中央のパネル)または高いか(図6、右側のパネル)にかかわらず見られた。
トレプロスチニルによるTSECにおけるcAMPレベルの誘導
トレプロスチニルがブスルファンに誘導される遺伝子発現を調節することを可能にする機序を理解することは、これは追加の標的遺伝子を探すことを可能にするため、望ましい。トレプロスチニルの作用はcAMPの蓄積の増大により媒介されていることが、仮定された。しかし、驚くべきことに、トレプロスチニルの追加だけでは、TSECにおいて細胞内cAMPレベルを増大させるために十分ではなかった(図6)。しかし、細胞がフォルスコリンにより感作された場合、トレプロスチニル(10μM)は、TSECにおいて細胞内cAMPレベルをさらに増大させた。これは、30μMフォルスコリンの存在下(図8、左側のパネル)およびフォルスコリンの濃度が1〜30μMで用量設定された場合(図6、中央および右側のパネル)の両方で見られた。それはまた、[3H]cAMPが低いか(図6、中央のパネル)または高いか(図6、右側のパネル)にかかわらず見られた。
図6は、TSECにおけるcAMP蓄積の刺激を示している:cAMP蓄積が、1×106個のTSECにおいて評価され、それは、2通りで蒔かれ、トレプロスチニルまたはその示された濃度のフォルスコリンとの組み合わせにより1時間処理された。対照の細胞は、標準培地中でインキュベートされた。比較のために、cAMPの蓄積は、dmPGE2とのインキュベーション後にも評価された。反応は、第1および第2実験において比較可能であった。第3実験において、反応は、おそらくアデニンヌクレオチドプールのより広範な標識のために、より高かった。しかし、試験された実験のいずれにおいても、トレプロスチニルのみでは、細胞内cAMPレベルを未処理の対照細胞において見られたレベルを超えて増大させるために十分ではなかった。
Claims (14)
- プロスタサイクリン類似体、誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を含む、類洞閉塞症候群および/または肝静脈閉塞症(VOD)の予防または処置における使用のための組成物。
- プロスタサイクリン類似体が、トレプロスチニル、イロプロスト、シカプロストまたはベラプロスト、その誘導体または薬学的に許容可能な塩類の群から選択される、請求項1に記載の使用のための組成物。
- 誘導体が、トレプロスチニルの酸誘導体、トレプロスチニルのプロドラッグ、トレプロスチニルの持続放出形態、トレプロスチニルの吸入形態、トレプロスチニルの経口形態、トレプロスチニルの多形体またはトレプロスチニルの同位体の群から選択される、請求項1または2に記載の使用のための組成物。
- 好ましくは静脈内または皮下注入による全身投与のための、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
- 局所投与のための、好ましくは吸入のための、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
- 組成物が、錠剤またはカプセルの群から選択される経口で利用可能な形態である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
- トレプロスチニルもしくはその誘導体、またはその薬学的に許容可能な塩が、0.1ng/kg/分〜100ng/kg/分の範囲の有効量で投与される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
- トレプロスチニルが、VODのリスクがある、またはVODを患っている患者に、患者の肝機能を向上させる、および/または凝固時間を正常化するための用量で投与される、請求項1〜7のいずれかに記載の使用のための組成物。
- 組成物が、軽症の〜中程度のVODを患っている患者に投与される、請求項1〜8のいずれかに記載の使用のための組成物。
- 組成物が、VODのリスクがある患者に、好ましくは化学療法剤、照射、抗CD33標的化免疫毒素を用いた療法または造血幹細胞(HES)移植の後に投与される、請求項1〜9のいずれかに記載の使用のための組成物。
- 患者が、骨髄疾患を患っている、好ましくはHES移植を受けている患者である、請求項10に記載の使用のための組成物。
- 患者が、少なくとも1ヵ月、好ましくは少なくとも2ヵ月、より好ましくは少なくとも3ヵ月の期間にわたって組成物により継続的に処置される、請求項1〜11のいずれかに記載の使用のための組成物。
- 患者が、0.1〜10mgの1日量のトレプロスチニルにより、好ましくは連続的な皮下注入により処置される、請求項12に記載の使用のための組成物。
- プロスタサイクリン類似体もしくは誘導体またはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物を対象に投与することにより、類洞閉塞症候群および/または肝静脈閉塞症(VOD)を予防または処置するための方法。
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