JP2018500895A - タキサン療法による乳癌治療 - Google Patents
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Abstract
本願は、乳癌がタキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌療法に反応性であるかどうかを決定する、乳癌の対象のスクリーニングの方法を説明している。本願はまた、乳癌対象をタキサン又はタキサン誘導体を含む療法による癌の治療の有効性の尤度のスクリーニングすること、並びにタキサン又はタキサン誘導体がおそらく有効であることがわかった場合、対象に療法を投与することにより、乳癌の対象を治療する方法も説明している。
Description
(関連出願の相互参照)
本願は、2014年12月9日に出願された、米国特許仮出願第62/089,579号の優先権を主張するものである。前述の特許出願の内容は、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
本願は、2014年12月9日に出願された、米国特許仮出願第62/089,579号の優先権を主張するものである。前述の特許出願の内容は、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
(配列表)
本願は、EFS−Webを介しASCIIフォーマットで提出され、且つここでその全体が引用により本明細書中に組み込まれている、配列表を含む。2015年12月7日に作製された該ASCIIコピーは、NATE−026_ST25.txtと名前が付けられ、且つサイズは274,591バイトである。
本願は、EFS−Webを介しASCIIフォーマットで提出され、且つここでその全体が引用により本明細書中に組み込まれている、配列表を含む。2015年12月7日に作製された該ASCIIコピーは、NATE−026_ST25.txtと名前が付けられ、且つサイズは274,591バイトである。
(発明の技術分野)
本開示は、全般的に癌生物学分野、具体的には特異的癌細胞表現型の検出及び同定並びに好適な療法との相関の分野に関する。
本開示は、全般的に癌生物学分野、具体的には特異的癌細胞表現型の検出及び同定並びに好適な療法との相関の分野に関する。
(発明の背景)
ヒト乳癌は、5つの分子が異なる内因性亜型である、Her2−エンリッチ、基底膜細胞様、ルミナールA、ルミナールB及び正常−様に分類可能である(Perouら、Nature、406(6797):747−52(2000);Sorlieら、PNAS、98(19):10869−74(2001))。今日までに、予後の差異及び分子生物学が確立されているが、内因性亜型間の化学感受性における変動を明らかにする証拠は余り存在していない。
ヒト乳癌は、5つの分子が異なる内因性亜型である、Her2−エンリッチ、基底膜細胞様、ルミナールA、ルミナールB及び正常−様に分類可能である(Perouら、Nature、406(6797):747−52(2000);Sorlieら、PNAS、98(19):10869−74(2001))。今日までに、予後の差異及び分子生物学が確立されているが、内因性亜型間の化学感受性における変動を明らかにする証拠は余り存在していない。
タキサン療法は、多くの腫瘍型に対し有効であることは証明されている。しかし副作用がタキサン療法には付随しており、これは悪心及び吐気、食思不振、味覚の変化、薄毛又は脆弱毛、2〜3日続く腕又は脚の関節痛、爪の色の変化、並びに手又は爪先のうずきを含む。より重篤なそのような副作用は、打撲又は出血、注射部位の疼痛/発赤/膨潤、2日を超える正常な排便習慣の変化、発熱、悪寒、咳、咽喉炎、嚥下困難、眩暈、息切れ、極度の疲労、皮膚発疹、顔面紅潮、卵巣の損傷による女性不妊及び胸痛を含む。これらのタキサンベース療法の副作用を基に、タキサンベース療法に対し最良に反応する癌型を決定すること、及びどの癌型が、非タキサンベース療法による治療により良いかを決定することが、当該技術分野において必要とされている。
(発明の概要)
本発明は、乳癌を有する対象において、局所−所属部無再発生存、又は乳癌特異的生存を予測する方法を提供し、これは対象由来の生物学的試料をアッセイし、生物学的試料が、ルミナールA亜型、ルミナールB亜型、基底膜細胞様亜型、又はHER2−エンリッチ亜型として分類されるかどうかを決定し、ここで、これらの亜型は、表1に列挙された遺伝子の少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50全ての測定を用いて決定されること、並びに予測を提供することを含み、ここで生物学的試料が非基底膜細胞様亜型として分類される場合は、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療は、対象の局所−所属部無再発生存又は乳癌特異的生存をおそらく延長するであろう。
本発明は、乳癌を有する対象において、局所−所属部無再発生存、又は乳癌特異的生存を予測する方法を提供し、これは対象由来の生物学的試料をアッセイし、生物学的試料が、ルミナールA亜型、ルミナールB亜型、基底膜細胞様亜型、又はHER2−エンリッチ亜型として分類されるかどうかを決定し、ここで、これらの亜型は、表1に列挙された遺伝子の少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50全ての測定を用いて決定されること、並びに予測を提供することを含み、ここで生物学的試料が非基底膜細胞様亜型として分類される場合は、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療は、対象の局所−所属部無再発生存又は乳癌特異的生存をおそらく延長するであろう。
本発明はまた、それを必要とする対象におけるタキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療の有効性の尤度を予測する方法も提供し、これは対象由来の生物学的試料をアッセイし、生物学的試料が、ルミナールA、ルミナールB、HER2−エンリッチ、又は基底膜細胞様亜型として分類されるかどうかを決定し、ここでこの亜型は、表1に列挙された遺伝子の少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50全ての測定を用いて決定されること、並びに予測を提供することを含み、ここで生物学的試料が非−基底膜細胞様亜型として分類される場合は、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療は、対象においておそらく有効であろう。
本発明はまた、治療を必要とする対象において乳癌を治療する方法も提供し、これは、対象由来の生物学的試料をアッセイし、生物学的試料が、ルミナールA、ルミナールB、HER2-エンリッチ、又は基底膜細胞様亜型として分類されるかどうかを決定し、ここでこの亜型は、表1に列挙された遺伝子の少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50全ての測定を用いて決定されること、並びに生物学的試料が非基底膜細胞様亜型として分類される場合は、対象へタキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療を投与することを含む。
前述のいずれかの方法において、好ましくは、亜型は、表1に列挙された遺伝子の少なくとも40の、例えば表1に列挙された遺伝子の46又は50の発現レベル(例えば、RNA発現レベル)を使用し、決定される。アッセイの工程は、表1に列挙された遺伝子の少なくとも40から少なくとも23の遺伝子:すなわち、FOXA1、MLPH、ESR1、FOXC1、CDC20、ANLN、MAPT、ORC6L、CEP55、MKI67、UBE2C、KNTC2、EXO1、PTTG1、MELK、GPR160、RRM2、SRFP1、NAT1、KIF2C、CXXC5、MIA及びBCL2の発現レベルを検出することを含んでよい。CCNE1、CDC6、CDCA1、CENPF、TYMS、及びUBE2Tの発現レベルが、追加的に検出されてよい。実施態様において、NANO46遺伝子セット(これは、MYBL2、BIRC5、GRB7及びCCNB1を除く、表1の50遺伝子の全てである)中の各遺伝子の発現レベルが検出される。加えて、ハウスキーピング遺伝子の発現レベルが検出されてよい。少なくとも40遺伝子、並びに複数の(例えば8又はそれよりも多い)ハウスキーピング遺伝子の発現レベルは、単回ハイブリダイゼーション反応で検出することができる。少なくとも40遺伝子の発現レベルは、複数のハウスキーピング遺伝子の発現レベルに正規化されてよい。参照試料中の無傷のRNA量のなんらかの差異を制御するために、少なくとも40遺伝子のレベルは、複数のハウスキーピング遺伝子のレベルの平均に対して正規化される。
遺伝子発現の測定は、当該技術分野において公知の任意の方法を使用し、実行することができる。非限定的例は、少なくとも1つの蛍光標識されたプローブ及び少なくとも1つの遺伝子の発現産物(例えば、mRNA又はcDNA)を含む各複合体により、少なくとも40の複合体の存在を検出すること;固体基板(例えばマイクロアレイ)上に配置され且つ付着された少なくとも40の核酸プローブにより、発現産物の存在を検出すること;並びに、少なくとも40遺伝子の各々に関する相補的DNA分子(cDNA)を検出することを含む。cDNA分子は、各遺伝子に特異的なプライマーにより、逆−転写(transcriptase)ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を行うことにより得られる。
少なくとも40遺伝子及び複数のハウスキーピング遺伝子からインビトロで転写されたRNA標的を含む合成RNA参照試料は、対照としてアッセイ及び使用されてよい。更にアッセイ手順の何らかの変動を制御するために、生物学的試料由来の少なくとも40遺伝子の各々に関して先に正規化された発現レベルは、次に合成参照試料の少なくとも40遺伝子の各々からの正規化されたレベルに対し更に正規化される。正規化された遺伝子発現レベルは次に、対数変換され、2つのスケーリング因子を用いスケーリングされる。
アッセイ工程は、生物学的試料中の遺伝子の発現を基に、遺伝子発現プロファイルを作製し、ルミナールA、ルミナールB、HER2−エンリッチ又は基底膜細胞様亜型に関して表1に列挙された遺伝子の少なくとも40の遺伝子発現データから構築されたセントロイドに対し、生物学的試料の遺伝子発現プロファイルを比較し、監視下アルゴリズムを利用し、且つ各セントロイドに対する生物学的試料の遺伝子発現プロファイルの距離を計算し、並びに、生物学的試料を、最近隣セントロイドを基にルミナールA、ルミナールB、HER2−エンリッチ又は基底膜細胞様亜型として分類する、1又は複数の工程を含むことができる。より具体的には、ピアソン相関を基にしたコンピュータアルゴリズムは、生物学的試料由来の少なくとも40遺伝子の全体の正規化され且つスケーリングされた遺伝子発現プロファイルを、例えば米国国立生物工学情報センター(NCBI)遺伝子発現オムニバス(GEO)に寄託された遺伝子発現データ(例として、寄託番号GSE2845又はGSE10886による)から誘導された、4種の乳癌内因性亜型の各々を定義するプロトタイプ発現シグネチャー(「セントロイド」と称される)と比較する。ピアソン相関計算は、少なくとも40遺伝子にわたり最も類似の発現プロファイル又はセントロイドスコアにより、患者乳房腫瘍試料を、内因性亜型に割り当てる。4つのセントロイドに対する合計で少なくとも40遺伝子のピアソン相関は、各々が−1から+1までの範囲である4つの数値を生じ、ここで値+1は、完全に相関された発現プロファイルであり、−1は完全に反相関されたプロファイルであり、及び0は、完全に相関していない。前述の工程の特徴は、以下に説明したように、「PAM50分類モデル」又は「NANO46分類モデル」に含まれる。
前述の工程の少なくとも一つは、コンピュータ又は電子計算機において実行される。
表1からの遺伝子の発現は、ナノレポーターコードシステム(nCounter(登録商標)分析システム)を用いて決定することができる。
タキサン又はタキサン誘導体は、パクリタキセル(タキソール(登録商標))又はドセタキセル(タキソテレ(登録商標))であることができる。好ましくは、タキサン又はタキサン誘導体は、ドセタキセルである。タキサン又はタキサン誘導体は、毎日(24時間毎に1回)、毎週(5〜7日毎に1回)、2週毎(10〜14日毎)又は毎月(30日毎に1回)投与することができる。タキサン又はタキサン誘導体は、毎週投与されることが好ましい。
乳癌は、原発性乳癌、局所進行性乳癌又は転移性乳癌であることができる。対象は、哺乳動物であることができる。好ましくは、対象はヒトである。対象は、男性又は女性であってよい。対象は、専門家により乳癌を有すると診断されており、且つ現在乳癌を有するか又は過去に乳癌を有したヒト部分集団に含まれる。乳癌を有する対象は、乳房切除前又は乳房切除後であることができる。乳癌を有する対象は、エストロゲン受容体(ER)陰性、プロゲステロン受容体(PgR)陰性又はHER2陰性であることができる。乳癌を有する対象は、ER−、PgR−及びHER2−(「トリプルネガティブ」)であることができる。乳癌を有する対象は、BRCA1遺伝子又はBRCA2遺伝子に変異を有することができる。乳癌を有する対象は、BRCA1及びBRCA2遺伝子に変異を有することができる。
タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療はまた、1又は複数の抗癌剤又は化学療法薬を含むことができる。抗癌剤又は化学療法薬のクラスは、アントラサイクリン系薬、アルキル化剤、ヌクレオシド類縁体、白金系薬剤、ビンカ系薬剤、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、卵巣機能抑制剤、内分泌/ホルモン剤、ビスホスホネート治療薬及び分子標的治療薬(targeted biological therapy agent)を含むことができる。具体的抗癌剤又は化学療法薬は、シクロホスファミド、フルオロウラシル(又は5−フルオロウラシルもしくは5−FU)、メトトレキセート、チオテパ、カルボプラチン、シスプラチン、ゲムシタビン、アントラサイクリン、タキサン、パクリタキセル、タンパク質−結合型パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、フルベストラント、イリノテカン、イクサベピロン、テモゾルミド、トポテカン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、ムタマイシン、カペシタビン、カペシタビン、アナストロゾール、エクセメスタン、レトロゾール、ロイプロリド、アバレリクス、ブセレリン、ゴセレリン、酢酸メゲストロール、リセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、アレンドロネート、デノスマブ、ゾレドロネート、トラスツズマブ、タイカーブもしくはベバシズマブ、又はそれらの組合せを含む。好ましくは、放射線を含む治療は同じく、シクロホスファミド、フルオロウラシル(又は5−フルオロウラシルもしくは5−FU)、メトトレキセート、又はそれらの組合せを含み;そのような組合せの一つは、シクロホスファミド、メトトレキセート、及びフルオロウラシルを含む、CMFである。
生物学的試料が、ルミナールA、ルミナールB、HER2−エンリッチ又は基底膜細胞様亜型のいずれとして分類されるかを決定するために、生物学的試料をアッセイすることは、RNA発現プロファイリング、免疫組織化学(IHC)又は蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)を使用し、実行される。好ましくは、このアッセイは、RNA発現プロファイリングである。表1の遺伝子リストの一員の発現は、ナノレポーター及びナノレポーターコードシステム(nCounter(登録商標)分析システム;NanoString Technologies社、シアトル、WA)を使用し、決定することができる。好ましくは、表1の遺伝子リストの一員の発現は、表1に列挙された遺伝子の少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50全ての検出のための、レポータープローブ及び捕獲プローブを使用し、決定することができる。特に、遺伝子の「NANO46」セットの発現が、決定される(これは、MYBL2、BIRC5、GRB7及びCCNB1の発現を決定することを除く、表1の50遺伝子全ての発現を決定することによる)。好ましくは、検出されるべき表1の遺伝子のいずれか一つについて、ただ1つのレポータープローブ/捕獲プローブ対が存在する。
生物学的試料は、細胞、組織又は体液であることができる。組織は、生検又はスメアから採取することができる。生物学的試料は、腫瘍であることができる。腫瘍は、エストロゲン受容体陽性腫瘍又はエストロゲン受容体陰性腫瘍であることができる。試料は、体液の試料採取であることもできる。体液は、血液、リンパ液、尿、唾液、乳頭吸引液及び婦人科学的液体を含むことができる。生物学的試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)試料であることができる。
本発明の方法は、腫瘍サイズ、腫瘍等級、節状態、内因性亜型、エストロゲン受容体発現、プロゲステロン受容体発現、HER2/ERBB2発現、並びに/又はRORスコアの少なくとも1種、その組合せ、又はその各々を決定することを含むことができる。
生物学的試料が、ルミナールA、ルミナールB、HER2−エンリッチ、又は基底膜細胞様亜型癌のいずれかに分類される場合、それから生物学的試料を得る対象は、各々、ルミナールA、ルミナールB、HER2−エンリッチ、又は基底膜細胞様亜型の癌を有すると分類される。対象は、患者の分類された癌亜型を基に、推奨される治療群に割り当てられる。最後に、対象に提供される推奨された治療は、対象が割り当てられた群によって決まる。
実施態様において、コンピュータアルゴリズムは次に、再発リスク(ROR)スコアを計算する。実施態様において、RORスコアは、(1)4種の内因性亜型(先に説明したような)について予想されるプロファイルと、生物学的試料中の少なくとも40遺伝子(例えば、NANO46遺伝子セット)の発現プロファイルのピアソン相関、(2)増殖スコア(少なくとも40遺伝子の18の増殖遺伝子サブセットの平均遺伝子発現から決定される(以下に説明するように)、並びに(3)対象の腫瘍の総腫瘍サイズを含む、コックスモデルからの係数を用いて計算される。これらの変数は、コックスモデル由来の対応する係数により積算され、スコアを生じ、次にこれが0〜100スケールに調節される。RORスコア0〜100は、10年後の遠隔再発の確率(10年後の遠隔無再発生存(DRFS))と相関している。リスクカテゴリー(低、中等度又は高)も、臨床的バリデーション試験において決定された再発リスクスコアのカットオフを基に計算される。
実施態様において、0〜40の再発リスク(ROR)スコアは、節−陰性癌の低い再発リスクであり、0〜15のRORスコアは、節−陽性癌の低い再発リスクであり、61〜100のRORスコアは、節−陰性癌の高い再発リスクであり、及び41〜100のRORスコアは、節−陽性癌の高い再発リスクである。
本明細書において使用されるRORスコアは、当該技術分野において公知のいずれかの方法又は式を使用し、計算することができる。式の例は、本明細書に記載された式1から6を含む。
少なくとも40遺伝子セットは、増殖のマーカーとして知られる多くの遺伝子を含む。本発明の方法及びキットは、増殖シグネチャーを提供する遺伝子のサブセットの決定を提供する。本発明の方法及びキットは、ANLN、CCNE1、CDC20、CDC6、CDCA1、CENPF、CEP55、EXO1、KIF2C、KNTC2、MELK、MKI67、ORC6L、PTTG1、RRM2、TYMS、UBE2C及び/又はUBE2Tから選択される表1の内因性遺伝子の18−遺伝子サブセットの少なくとも1つ、その組合せ、又はその各々の発現を決定するための、工程及び試薬を含むことができる。好ましくは、表1の遺伝子セットの18遺伝子サブセットの各々の発現が決定され、増殖スコアを提供する。これらの遺伝子の1又は複数の発現が決定されてよく、且つ試料中のこれらの遺伝子の1又は複数の正規化された発現推定値を平均することにより、増殖シグネチャー指数が、作製され得る。試料は、高い増殖シグネチャー、中等度/中間増殖シグネチャー、低い増殖シグネチャー又は超低増殖シグネチャーに割り当てることができる。生物学的試料からの増殖シグネチャーの決定方法は、Nielsenら、Clin. Cancer Res.、16(21):5222−5232(2009)及び補足するオンライン素材(online material)に説明されている。
本明細書において使用される用語「おそらく」は、本発明が属する技術分野の業者により通常理解される意味を有する。例えば、対象が療法から恩恵を「おそらく」受ける場合、医療提供者が、この対象のためにこの療法を選択することが推奨されるであろう。
本明細書において使用される用語「測定」は、例えば遺伝子の発現レベルなど、定量可能な特性の数値を入手すること、測ること又は検出することを含み、同じくこの値、例えば対照試料に対する被験試料における遺伝子の発現レベルの偏差、相関、及び統計を使用する計算も含む。
先の態様及び実施態様のいずれかは、他のいずれかの態様又は実施態様と組合せることができる。
別に規定しない限りは、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において、単数形はまた、文脈が別に明確に指摘しない限りは、複数も含み;例えば、用語「ある“a”、“an”及び“the”」は、単数又は複数であると理解され、並びに用語「又は」は、包括的であると理解される。例として、「ある(an)要素」は、1又は複数の要素を意味する。本明細書を通じて、語句「含んでなる」又は「含む」もしくは「含んでいる」などの変形は、ある言及された要素、整数もしくは工程、又は要素、整数もしくは工程の群の包含を含意しているが、いずれか他の要素、整数もしくは工程、又は要素、整数もしくは工程の群の排除ではないと理解されるであろう。約は、言及された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内と理解することができる。文脈から別に明確でない限りは、本明細書に提供される全ての数値は、用語「約」により修飾される。
本開示は、それらの詳細な説明と結びつけて説明されているが、前述の説明は、本開示の範囲を例証するが、限定しないことを意図し、本開示の範囲は、添付された請求項によって規定される。他の態様、利点、及び修飾は、以下の請求項の範囲内である。
本明細書に言及された特許及び科学文献は、当業者により入手可能である知識を確立する。本明細書に引用された全ての米国特許並びに刊行された及び刊行されない米国特許出願は、引用により組み込まれている。本明細書に引用された全ての刊行された外国特許及び特許出願は、引用によりここに組み込まれている。本明細書に引用された寄託番号により指定されたGenbank及びNCBI提出は、引用によりここに組み込まれている。本明細書に引用された全ての他の刊行された参考文献、文書、原稿及び科学文献は、引用によりここに組み込まれている。
(図面の簡単な説明)
本特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1枚の図面を含む。カラー図面を伴う本特許又は特許出願刊行物のコピーは、請求時に必要とされる手数料の支払いにより、米国特許商標庁により提供されるであろう。
本特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1枚の図面を含む。カラー図面を伴う本特許又は特許出願刊行物のコピーは、請求時に必要とされる手数料の支払いにより、米国特許商標庁により提供されるであろう。
(発明の詳細な説明)
本発明は、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療が、乳癌に罹患している患者への投与に適しているかどうかを決定する方法を提供する。乳癌患者がタキサン又はタキサン誘導体を含む治療を受けるべきかどうかの決定は、内因性遺伝子発現セットを使用し、乳癌の内因性亜型を決定することを含む。本開示はまた、乳癌患者がタキサン又はタキサン誘導体を含む治療を受けるべきかどうかを決定すること、次にこの決定を基に患者へ最適な乳癌治療を投与することによる乳癌の治療方法も提供する。
本発明は、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療が、乳癌に罹患している患者への投与に適しているかどうかを決定する方法を提供する。乳癌患者がタキサン又はタキサン誘導体を含む治療を受けるべきかどうかの決定は、内因性遺伝子発現セットを使用し、乳癌の内因性亜型を決定することを含む。本開示はまた、乳癌患者がタキサン又はタキサン誘導体を含む治療を受けるべきかどうかを決定すること、次にこの決定を基に患者へ最適な乳癌治療を投与することによる乳癌の治療方法も提供する。
本明細書において使用される用語「治療する」、「治療している」、「治療」及び類似のものは、それに関連した障害及び/又は症状を軽減又は改善することをいう。除外されることはないが、障害又は状態の治療は、それに関連した障害、状態又は症状が完全に排除されることを必要としないことは、理解されるであろう。治療しているは、医療専門家又は診断科学者が、望ましい作用の経過又は治療計画、例えば処方に関して対象に推奨を作製することを含み得る。
本明細書において使用される用語「予測する」、「予測」、「予測している」及び類似のものは、患者が、特定の治療により陽性もしくは陰性の転帰を経験する尤度、又は特定の治療をせずに陽性もしくは陰性の転帰を経験する尤度を評価することを意味することが意図される。
内因性遺伝子は、同じ個体に由来する生物学的試料の反復間の発現の低い変動、並びに異なる個体由来の試料にわたる発現の高い変動を有するように、統計学的に選択される。従って、内因性遺伝子が、乳癌分類のための分類用遺伝子として使用される。臨床情報は乳癌内因性亜型を誘導するために使用されなかったが、この分類は、予後の重要性を有することが証明された。内因性遺伝子スクリーニングを使用し、乳癌を様々な亜型に分類することができる。乳癌の主要な内因性亜型は、ルミナールA(LumA)、ルミナールB(LumB)、HER2−エンリッチ(Her2−E)、基底膜細胞様、及び正常−様と称される(Perouら、Nature、406(6797):747−52(2000);Sorlieら、PNAS、98(19):10869−74(2001))。
本明細書記載のPAM50遺伝子発現アッセイは、標準ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織から内因性亜型を同定することができる(同じく、Parkerら、J Clin Oncol.、27(8):1160−7(2009)、及び米国特許出願公開第2011/0145176号参照)。これらの方法は、乳癌内因性亜型に従い対象試料を分類するために、監視下アルゴリズムを利用する。このアルゴリズムは、本明細書において「PAM50分類モデル」と称され、これは、乳癌内因性亜型の分類より優れているという理由で、本明細書において同定された内因性遺伝子の規定されたサブセットの遺伝子発現プロファイルを基にしている。米国特許出願公開第2011/0145176号を参照されたい。この遺伝子のサブセットは、それらの検出に特異的なプライマーの例と共に、表1に提示している。この遺伝子のサブセットは、それらの検出に特異的なプローブの例と共に、表2に提示している。プライマー配列及び標的特異的プローブ配列の例は、単なる代表であり、且つ本発明を限定することを意味しない。当業者は、任意の(又は各々の)表1の遺伝子を検出するために、任意のプライマー及び/又は標的配列特異的プローブを利用することができる。
表1. PAM50内因性遺伝子リスト
表2. NANO46遺伝子検出のためのプローブの例
表3は、表1のPAM50遺伝子の選択配列を提供する。
本明細書記載のNANO46遺伝子発現アッセイは、標準ホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織から内因性亜型を同定することができる(同じく、Parkerら、J Clin Oncol.、27(8):1160−7(2009)、及び米国特許出願公開第2013/0337444号参照)。これらの方法は、乳癌内因性亜型に従い対象試料を分類するために、監視下アルゴリズムを利用する。このアルゴリズムは、本明細書において「NANO46分類モデル」と称され、これは、乳癌内因性亜型の分類より優れているという理由で、本明細書で同定された内因性遺伝子の規定されたサブセットの遺伝子発現プロファイルを基にしており;米国特許出願公開第2013/0337444号を参照されたい。特に、表1に列挙された遺伝子の46の発現(これは、MYBL2、BIRC5、GRB7及びCCNB1の発現の決定を除く、表1の50遺伝子全ての発現の決定によるものである)、すなわち「NANO46」遺伝子セットが、決定される。当業者は、任意の(又は各々の)表1の遺伝子を検出するために、任意のプライマー及び/又は標的配列特異的プローブを利用することができる。
表1の遺伝子の少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも40、少なくとも41、少なくとも42、少なくとも43、少なくとも44、少なくとも46、少なくとも47、少なくとも48、少なくとも49又は50全ては、本発明の方法及びキットにおいて利用することができる。好ましくは、50遺伝子の各々の発現が、生物学的試料において決定される。より好ましくは、NANO46遺伝子セットの各遺伝子の発現が、生物学的試料において決定される。4種の内因性亜型のプロトタイプ遺伝子発現プロファイル(すなわちセントロイド)は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)乳房腫瘍試料のトレーニングセットから、遺伝子発現データの階層的クラスター化分析を使用し、予め規定される。表4は、これら4種の亜型及び正常試料のプロトタイプ遺伝子発現プロファイル(すなわち、セントロイド)の実際の値を示している。
表4. 試料と比較するための亜型セントロイド
図7は、乳癌内因性亜型決定試験に関連したアッセイプロセスを概略している。本試験は、RNA単離後、少なくとも40の標的遺伝子(例えば、46又は50)に加え8種のハウスキーピング遺伝子の発現レベルを同時に測定する。例えば、米国特許公開第2008/0032293号に記載されたハウスキーピング遺伝子を、正規化のために使用することができる。ハウスキーピング遺伝子の例は、MRPL19、PSMC4、SF3A1、PUM1、ACTB、GAPD、GUSB、RPLP0、及びTFRCを含む。これらのハウスキーピング遺伝子は、腫瘍試料の発現を正規化するために使用することができる。各アッセイの試行は、正規化目的で標的遺伝子及びハウスキーピング遺伝子のインビトロ転写されたRNAからなる参照試料を含むこともできる。
試験キットの一部として又は方法において使用されるものとして提供される被験乳癌腫瘍試料及び参照試料による乳癌内因性亜型決定試験が実行された後、ピアソン相関を基にしたコンピュータアルゴリズムは、4種の乳癌内因性亜型のプロトタイプ発現シグネチャーに対し、被験試料の少なくとも40遺伝子又はPAM50もしくはNANO46の内因性遺伝子セットの正規化された及びスケーリングされた遺伝子発現プロファイルを比較する。米国特許出願公開第2011/0145176号及び第2013/0337444号を参照されたい。実施態様において、内因性亜型分析は、PAM50又はNANO46遺伝子セットの発現の決定により、決定され、並びに再発リスク(「ROR」)は、NANO46遺伝子セット(これは、MYBL2、BIRC5、GRB7及びCCNB1の発現の決定を除き、表1の50遺伝子全ての発現を決定する)を用いて決定される。具体的には、内因性亜型は、4種の内因性亜型について予想される発現プロファイルと、生物学的試料中の少なくとも40遺伝子又はPAM50もしくはNANO46遺伝子セットの発現を比較することにより、同定される。最も類似の発現プロファイルを伴う亜型が、生物学的試料に割り当てられる。RORスコアは、規定された意図された使用集団について10年以内の遠隔再発の個々の患者の確率に関連づけられる、0〜100スケールの整数値である。RORスコアは、前述のように、生物学的試料中の少なくとも40遺伝子の、例えばNANO46遺伝子の発現プロファイルを、4種の内因性亜型の予想されるプロファイルと比較し、4つの異なる相関値を計算することにより、計算される。次にこれらの相関値は、増殖スコア(及び任意に腫瘍サイズなどの、1又は複数の臨床病理学的変数)と組合せられ、RORスコアを計算する。好ましくは、RORスコアは、NANO46遺伝子の発現プロファイルのみを比較することにより計算される。
RORスコアは、当該技術分野において公知の任意の方法又は式を用いて計算することができる。式の例は、本明細書記載の式1から6を含む。
図8は、特異的アルゴリズム変換の概略を提供する。腫瘍試料は、試料に対し最大陽性相関を持つ亜型に割り当てられる。カプランマイヤー生存曲線が、未治療乳癌患者のトレーニングセットから作製され、内因性亜型は、無再発生存期間(RFS)の予後指標であることを明らかにしている。
ホルマリン固定パラフィン包埋組織(FFPE)乳房腫瘍試料のトレーニングセットは、良く規定された臨床特徴及び臨床転帰データを有するが、これを使用して、連続再発リスク(ROR)スコアを確立した。このスコアは、各内因性亜型、増殖スコア(46遺伝子中18のサブセットの平均遺伝子発現)、及び腫瘍サイズとの相関を含む、コックスモデルからの係数を用いて計算される。表5参照。
表5の試験変数は、下記式(式1)に示したように、対応する係数により積算され、且つ加算され、リスクスコア(「ROR−PT」)を生じる:
ROR−PT式=−0.0067*A+0.4317*B+−0.3172*C+0.4894*D+0.1981*E+0.1133*F。
先の研究において、RORスコアは、5年間タモキシフェンで治療された、ER−陽性節−陰性患者に関する再発リスクの連続推定値を提供した(Nielsenら、Clin. Cancer Res.、16(21):5222−5232(2009))。このRORスコアはまた、この被験集団内で無再発生存期間(RFS)の決定を基にした臨床モデルに勝る、統計学的に有意な改善も示し、古典的臨床病理学的測定と比較した場合に、この決定ツールの改善された精度の証拠を更に提供した(Nielsenら、Clin. Cancer Res.、16(21):5222−5232(2009))。本明細書において使用されるように、無再発生存期間の定義は、「その癌の徴候又は症状なしに患者が生存する癌の一次治療終了後の時間の長さ」である。臨床試験において、無再発生存期間の測定は、新規治療作業がいかに巧くいくかを調べる一つの方策である。
RORスコアは、規定され意図された使用集団に関する個々の患者の10年以内の遠隔再発の確率に関連づけられる、0〜100スケールの整数値である。RORスコアは、前述のように、4種の内因性亜型に関して、予想されるプロファイルを持つ未知の試料において、46遺伝子の発現プロファイルを比較し、4つの異なる相関値を計算することにより、計算される。次にこれらの相関値は、増殖スコア及び腫瘍サイズと組合せられ、RORスコアを計算する。リスク分類はまた、試験した患者集団における臨床転帰に関連したカットオフを使用し、RORスコアの解釈を可能にするように提供される。表6参照。
遺伝子セットは、増殖のための既知のマーカーである多くの遺伝子を含む。本発明の方法は、増殖シグネチャーを提供する遺伝子のサブセットの決定を提供する。本発明の方法は、少なくとも1種の増殖遺伝子の発現を決定することを含むことができる。好ましくは、少なくとも1種の増殖遺伝子は、表1又は表2に列挙された遺伝子の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、又は少なくとも21である。
本発明の方法は、ANLN、BIRC5、CCNB1、CCNE1、CDC20、CDC6、CDCA1、CENPF、CEP55、EXO1、KIF2C、KNTC2、MELK、MKI67、MYBL2、ORC6L、PTTG1、RRM2、TYMS、UBE2C及び/又はUBE2Tから選択される内因性遺伝子の21−遺伝子サブセットの少なくとも1つ、その組合せ、又はその各々の発現を決定することを、含むことができる。本発明の方法は、ANLN、CCNB1、CCNE1、CDC20、CDC6、CDCA1、CENPF、CEP55、EXO1、KIF2C、KNTC2、MELK、MKI67、ORC6L、PTTG1、RRM2、TYMS、UBE2C及び/又はUBE2Tから選択される内因性遺伝子の19−遺伝子サブセットの少なくとも1つ、その組合せの、又はその各々の発現を決定することを、含むことができる。本発明の方法は、ANLN、CCNE1、CDC20、CDC6、CDCA1、CENPF、CEP55、EXO1、KIF2C、KNTC2、MELK、MKI67、ORC6L、PTTG1、RRM2、TYMS、UBE2C及び/又はUBE2Tから選択される内因性遺伝子の18−遺伝子サブセットの少なくとも1つ、その組合せ、又はその各々の発現を決定することを、含むことができる。本発明の方法は、BIRC5、CCNB1、CDC20、CDCA1/NUF2、CEP55、KNTC2/NDC80、MKI67、PTTG1、RRM2、TYMS及び/又はUBE2Cから選択される内因性遺伝子の11−遺伝子サブセットの少なくとも1つ、その組合せ、又はその各々の発現を決定することを、含むことができる。本発明の方法は、ANLN、CCNB1、CDC20、CENPF、CEP55、KIF2C、MKI67、MYBL2、RRM2及び/又はUBE2Cから選択される内因性遺伝子の10−遺伝子サブセットの少なくとも1つ、その組合せの、又はその各々の発現を決定することを、含むことができる。
生物学的試料からの増殖シグネチャーを決定する方法は、Nielsenらの論文(Clin. Cancer Res.、16(21):5222−5232(2009))及び補足するオンライン素材、並びにBastienらの論文(BMC Medical Genomics、5:44(2012)(電子版))及び補足するオンライン素材に説明されている(これらの文書は、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている)。
本発明は、対象由来の乳癌試料の増殖シグネチャー(同じく、増殖スコア又はp−スコアとも称され、これらの用語は、本明細書において互換的に利用される)を決定する方法を提供する。表1に列挙された1又は複数の遺伝子の発現は、当該技術分野において公知且つ本明細書記載の方法を使用し決定され、対照ハウスキーピング遺伝子(すなわち、MRPL19、PSMC4、SF3A1、PUMl、ACTB、GAPD、GUSB、RPLPO、及びTFRC)に対し正規化され得る。好ましくは、表1からの1又は複数の遺伝子は、本明細書記載のように、増殖について公知の遺伝子サブセットである(例えば、細胞周期が調節された遺伝子、Bastienら、BMC Medical Genomics、5:44−(2012)参照)。任意に、遺伝子発現はまた、試料と対照試料の間の各遺伝子の比を決定することにより、対照試料に対し、正規化することができる。当該技術分野において公知の任意の対照試料を利用することができるが、対照試料の一例は、既知の濃度で各遺伝子のインビトロ転写されたRNA配列を含む。各増殖遺伝子の全ての対数比又は正規化された値の平均は、試料の平均増殖遺伝子発現を決定するために、計算することができる。増殖シグネチャーは、計算された平均遺伝子発現の、例えば1−10の範囲へのスケーリングにより、決定することができ、ここでスケーリングは、参照試料セットにより決定される。増殖シグネチャーの最低値は、参照試料セット中の最低増殖シグネチャーに対応しており、且つ増殖シグネチャーの最高値は、最高増殖シグネチャーに対応し、且つ試料の増殖シグネチャーは、参照試料セットの最高値と最低値の間の直線内挿法により、決定することができる。
参照試料セットは、各試料の増殖シグネチャーが、先に説明されたように決定されている、乳癌試料の集団である。参照試料セットは、統計学的有意性を持って、そのセットが、様々な臨床変数、例えば治療レジメンに対する反応、エストロゲン受容体状態、及び腫瘍サイズなどを評価するのに使用することができるのに十分なサイズでなければならない。一部の実施態様において、参照試料セットは、乳癌と診断された対象からの原発性乳癌組織、及び乳房縮小もしくは非癌性の乳房組織からの「正常」乳房組織試料を含む。これらの試料は、本明細書に記載されたPAM50又はNANO46分類モデルを使用し、特定の乳癌内因性亜型、例えば、ルミナールA、ルミナールB、基底膜細胞様及びHer2に分類することができる。例えば、参照試料セットは、少なくとも100試料、少なくとも200試料、少なくとも300試料、少なくとも400試料、少なくとも500試料、少なくとも600試料、少なくとも700試料、少なくとも800試料、少なくとも900試料、又は少なくとも1000試料を含む。好ましくは、参照試料セットは、少なくとも500試料を含む。
参照試料セット中の各参照試料の増殖シグネチャーは、最低からび最高まで、例えば、1から10までアレンジすることができる。一旦増殖シグネチャーによりアレンジされると、参照試料セットは次に、部分範囲に分割されることができ、ここで各部分範囲は、この参照セットの非重複画分である。試料の増殖シグネチャーは、参照試料セットと比較することができる。これらの部分範囲を使用し、低増殖シグネチャーのカットオフ閾値限界を決定する。例えば、部分範囲は、アレンジされた参照試料セットの増殖シグネチャーの50%、33%、30%、25%、20%、15%、10%、又は5%であることができる。部分範囲の数にかかわらず、試料の増殖シグネチャーが、参照試料セットの最低部分範囲内に存在する場合は、これは低い増殖シグネチャーであるとみなされる。例えば、参照試料セットが、3つの部分範囲に分割される場合、試料の増殖シグネチャーが、アレンジされた参照試料セットの増殖スコアの最低の33%以内に存在する場合に、低い増殖シグネチャーの分類が割り当てられる。
(乳癌)
遺伝子発現分析により分類された非基底膜細胞様亜型に合致する乳癌腫瘍を伴う対象は、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療で治療された場合に、驚くべきことに、有意に減少した局所再発率及び有意に増加した乳癌特異的生存率及び全生存期間を有することがわかった(実施例及び図1から6参照)。
内因性亜型による乳癌腫瘍の分類及びタキサン又はタキサン誘導体による患者の治療は、この治療が増大した治療有効性を提供し追加費用及び副作用を相殺する(offset)場合にのみ、数千名の患者の臨床転帰及び生活の質(QOL)を改善することができる。
本開示の目的に関して「乳癌」は、例えば、生検又は組織学検査により悪性病理として分類されるそのような状態を含む。乳癌診断の臨床描写は、医学分野において周知である。当業者は、乳癌は、例えば癌腫及び肉腫を含む、乳房組織のなんらかの悪性腫瘍をいうことを理解するであろう。乳癌の特定の実施態様は、インサイチュ非浸潤性乳管癌(DCIS)、インサイチュ非浸潤性小葉癌(LCIS)、又は粘液癌を含む。乳癌はまた、浸潤性乳管癌(IDC)、小葉新生物形成又は浸潤性小葉癌(ILC)もいう。本開示のほとんどの実施態様において、関心のある対象は、乳癌が疑われるか又は実際に乳癌と診断されたヒト患者である。
乳癌は、乳房の癌の全ての型を含む。乳癌は、原発性上皮乳癌を含むことができる。乳癌は、乳房がリンパ腫、肉腫又はメラノーマなどの他の腫瘍にかかわっている癌を含むことができる。乳癌は、乳房の癌、乳房の乳管癌、乳房の小葉癌、乳房の分類不能の癌、乳房の葉状嚢胞肉腫、乳房の血管肉腫、及び乳房の原発性リンパ腫を含むことができる。乳癌は、ステージI、II、IIIA、IIIB、IIIC及びIV乳癌を含むことができる。乳房の乳管癌は、浸潤癌、支配的な乳管内成分を伴うインサイチュ浸潤癌、炎症性乳癌、並びに面皰、粘液(コロイド)、髄様、リンパ球浸潤を伴う髄様癌、乳頭癌、硬癌、及び腺様癌からなる群から選択された組織型を伴う乳房の乳管癌を含むことができる。乳房の小葉癌は、支配的なインサイチュ成分を伴う浸潤小葉癌、浸潤小葉癌、及び浸透性小葉癌を含むことができる。乳癌は、パジェット病、乳管癌を伴うパジェット病、及び浸潤乳管癌を伴うパジェット病を含むことができる。乳癌は、組織学的及び超構造的不均一性(例えば、混合した細胞型)を有する乳房新生物を含むことができる。
治療される乳癌は、家族性乳癌を含むことができる。治療される乳癌は、散発性乳癌を含むことができる。治療される乳癌は、男性対象において生じることができる。治療される乳癌は、女性対象において生じることができる。治療される乳癌は、閉経前の女性対象又は閉経後の女性対象において生じることができる。治療される乳癌は、乳房切除前の女性対象又は乳房切除後の女性患者においてであることができる。
治療される乳癌は、乳房の局所腫瘍を含むことができる。治療される乳癌は、センチネルリンパ節(SLN)生検陰性が付随する乳房の腫瘍を含むことができる。治療される乳癌は、センチネルリンパ節(SLN)生検陽性が付随する乳房の腫瘍を含むことができる。治療される乳癌は、1又は複数の腋窩リンパ節陽性が付随する乳房の腫瘍を含むことができ、ここで腋窩リンパ節は、任意の適応可能な方法によりステージ分類されている。治療される乳癌は、節陰性状態(例えば、節−陰性)又は節陽性状態(例えば、節−陽性)を有すると型分類された乳房の腫瘍を含むことができる。治療される乳癌は、ホルモン受容体陰性(例えば、エストロゲン受容体−陰性)又はホルモン受容体陽性状態(例えば、エストロゲン受容体−陽性)であると型分類された乳房の腫瘍を含むことができる。治療される乳癌は、体の別の位置に転移した乳房腫瘍を含むことができる。治療される乳癌は、骨、肺、肝臓、リンパ節、及び脳からなる群から選択される位置に転移したと分類されることができる。治療される乳癌は、転移性、局所性、所属部性、局所−所属部性、局所性進行した、遠隔、多中心性、両側性、同側性、対側性、新たに診断された、再発性、及び手術不可能からなる群から選択される特徴に従い分類されることができる。
本開示の目的に関して、「タキサン又はタキサン誘導体」は、イチイ属(ユー)の植物により生成される、癌化学療法において使用される薬物クラスである、ジテルペンである。これらの薬物は、乳癌を含む多種多様な癌を治療するために使用される。しかし、このクラスの薬物は、極めて毒性があり、且つ著しい有害な副作用を生じる。タキサン及びタキサン誘導体は、パクリタキセル(タキソール(登録商標))又はドセタキセル(タキソテレ(登録商標))を含む。
本開示の目的に関して、「タキサン又はタキサン誘導体含有乳癌治療」は、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療である。これらの治療はまた、他の癌治療薬又は化学療法薬を含むことができる。
「延長」は、参照、標準、又は対照の状態と比べた時間の増加を意味する。時間は、0.01%から10,000%まで、例えば、0.01%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1,000%、2,000%、3,000%、4,000%、5,000%、6,000%、7,000%、8,000%、9,000%、及び10,000%の程度まで、増加されることができる。
好ましくはタキサン及びタキサン誘導体は、静脈内に投与されるが、当該技術分野において公知の方法により投与されることができる。タキサン又はタキサン誘導体は、用量約75mg/m2〜約300mg/m2、好ましくは約75mg/m2〜約175mg/m2、及び最も好ましくは約100mg/m2で投与されることができる。用量は、約1〜約24時間又は週単位(5〜7日)の期間にわたり投与されることが、好ましい。用量は、1〜約4週間又はそれ以上、好ましくは約2〜約3週間繰り返すことができる。好ましくは、用量スケジュールは、60分かけて静脈内輸注により投与されるパクリタキセルの1週間コースが8回である。タキサン又はタキサン誘導体投与に関する方法、スケジュール及び用量は、Martinらの論文(J Natl Cancer Inst.、100(11):805−14(2008))に説明されており、これはその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
二次的薬物としての抗癌剤又は化学療法薬のクラスは、アントラサイクリン系薬、アルキル化剤、ヌクレオシド類縁体、白金系薬剤、ビンカ系薬剤、抗エストロゲン薬、アロマターゼ阻害剤、卵巣機能抑制剤、内分泌/ホルモン剤、ビスホスホネート治療薬及び分子標的治療薬生物学的療法剤を含むことができる。
具体的抗癌剤又は化学療法薬は、シクロホスファミド、フルオロウラシル(又は5−フルオロウラシルもしくは5−FU)、メトトレキセート、チオテパ、カルボプラチン、シスプラチン、アントラサイクリン、ゲムシタビン、パクリタキセル、タンパク質−結合型パクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、フルベストラント、イリノテカン、イクサベピロン、テモゾルミド、トポテカン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エリブリン、ムタマイシン、カペシタビン、カペシタビン、アナストロゾール、エクセメスタン、レトロゾール、ロイプロリド、アバレリクス、ブセレリン、ゴセレリン、酢酸メゲストロール、リセドロネート、パミドロネート、イバンドロネート、アレンドロネート、デノスマブ、ゾレドロネート、トラスツズマブ、タイカーブもしくはベバシズマブ、又はそれらの組合せを含むことができ;そのような組合せの一つは、シクロホスファミド、メトトレキセート、及びフルオロウラシルを含む、CMFである。
(内因性亜型生物学の説明)
ルミナール亜型:乳癌の最も一般的亜型は、ルミナール亜型である、ルミナールA及びルミナールBである。先行する研究は、ルミナールAは、全ての乳癌のおよそ30%〜40%、及びルミナールBは、およそ20%を構成するが、これらは、ホルモン受容体陽性乳癌の90%以上を表していることを示唆している(Nielsenら、Clin. Cancer Res.、16(21):5222−5232(2009))。これらの亜型の遺伝子発現パターンは、乳房の内腔上皮成分に似ている。これらの腫瘍は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、及びER活性化に関連した遺伝子、例えばLIV1、GATA3、及びcyclinD1などの高発現、並びに内腔サイトケラチン8及び18の発現により特徴付けられる(Lisa Carey及びCharles Perou (2009)、「遺伝子アレイ、予後及び治療的介入(Gene Arrays, Prognosis, and Therapeutic Interventions)」、Jay R. Harrisら、(第4版)、「乳房疾患(Diseases of the breast)」(458−472頁)、フィラデルフィア、PA:Lippincott Williams & Wilkins)。
ルミナールA:ルミナールA(LumA)乳癌は、細胞周期活性化に関連した遺伝子の低発現を示し、ERBB2クラスターは、ルミナールBよりもより良い予後を生じる。ルミナールA亜群は、全ての亜型で最も好ましい予後を有し、且つ内分泌療法−反応性腫瘍に関してエンリッチされる。
ルミナールB:ルミナールB(LumB)乳癌もまた、ER遺伝子及びER−関連遺伝子を発現する。細胞周期活性化に関連した遺伝子は、高度に発現され、且つこの腫瘍型は、HER2(+)(〜20%)又はHER2(−)である。予後は、好ましいものではなく(ER発現にもかかわらず)、且つ内分泌療法反応性は、一般にLumAに比べ弱められる。
HER2−エンリッチ:HER2−エンリッチ亜型は、一般にER−陰性であり、且つERBB2及びGRB7を含むERBB2クラスターの高発現を伴う症例の大半においてHER2−陽性である。細胞周期活性化に関連した遺伝子は、高度に発現され、且つこれらの腫瘍は、転帰が悪い。
基底膜細胞様:基底膜細胞様亜型は、一般にER−陰性であり、且つほぼ常に、臨床的にHER2−陰性であり、且つ基底膜上皮のサイトケラチン(CK)及び上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)を含む一連の「基底膜」バイオマーカーを発現する。細胞周期活性化に関連した遺伝子は、高度に発現される。
(臨床変数)
本明細書記載の方法、例えばPAM50又はNANO46分類モデルは、連続再発リスク(ROR)予測因子を作製するために、更に臨床変数(同じく「臨床病理学的変数」とも称される)に関する情報と組合せてよい。本明細書に記載のように、数多くの臨床的及び予後的乳癌因子は、当該技術分野において公知であり、且つ治療転帰及び疾患再発の尤度を予測するために使用される。かかる因子は、例えばリンパ節関与、腫瘍サイズ、組織学的等級、エストロゲン及びプロゲステロンホルモン受容体の状態、HER2レベル、及び腫瘍倍数性を含む。一実施態様において、再発リスク(ROR)スコアは、乳癌を有すると診断されたか有することが疑われる対象に提供される。このスコアは、前述の分類モデル、例えばPAM50又はNANO46分類モデルを、リンパ節状態(N)及び腫瘍サイズ(T)の臨床因子と組合せて、使用する。臨床変数の評価は、乳癌病期分類のための米国癌合同委員会(AJCC)標準化システムを基にしている。このシステムにおいて、原発性腫瘍サイズは、スケール0−4(T0:原発腫瘍の証拠なし;T1:2cm以下;T2:2cmを超えるか〜5cm以下;T3:5cmを超える;T4:胸壁又は皮膚に直接広がったあらゆるサイズの腫瘍)に分類される。リンパ節状態は、N0−N3(N0:所属リンパ節転移なし;N1:可動性のある同側腋窩リンパ節(複数可)への転移;N2:ある別の構造へ又は他の構造へと固定された同側リンパ節(複数可)への転移;N3:同側鎖骨下リンパ節転移)として分類される。乳癌患者を同定する方法及び病期分類の方法は、周知であり、且つ触診、生検、患者病歴及び/又は家族歴の検証、並びにマンモグラフィー、磁気共鳴画像法(MRI)、及びポジトロン放出断層撮影(PET)などの画像技術を含むことができる。
(試料給源)
本開示の一実施態様において、乳癌亜型は、1もしくは複数の対象試料中の表1に列挙された内因性遺伝子の発現パターンもしくはプロファイルの評価、並びに/又はER、PgR及び/もしくはHER2状態を確認するために実行される蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)分析もしくは免疫組織化学(IHC)により査定される。本明細書において使用される用語「対象」又は「対象試料」は、健康状態及び/又は病態とは関わりなく個人をいう。対象は、対象、試験参加者、対照対象、スクリーニング対象、又は本開示の状況においてそれから試料が入手され且つ評価される個体の任意の他のクラスであることができる。従って対象は、乳癌と診断されることができるか、乳癌の1又は複数の症状、又は家族性(遺伝的)因子もしくは病歴(医学的)因子などの乳癌の予測因子が存在することができるか、乳癌の治療又は療法を受けることができるなどである。従って対象は、乳癌の治療、乳癌の検出、癌の分類、治療の有効性の尤度のスクリーニング、及び治療に反応した局所−所属部無再発生存又は乳癌特異的生存の予測の必要性がある対象である。あるいは、対象は、前述の因子又は判定基準のいずれかに関して健常であることができる。用語「健常」は任意の異常な評価又は状態に対応するとは限定され得ないので、本明細書において使用される用語「健常」は乳癌状態に関してであることは、理解されるであろう。従って特定された疾患又は疾患判定基準に準拠して健常と規定された個体は、実際には、乳癌以外の1又は複数の癌を含む、任意の他の1又は複数の疾患を伴うと診断されるか、又は任意の他の1又は複数の疾患判定基準を示すことができる。しかし健常対照は、いかなる癌もないことが好ましい。本明細書において使用される有効性の定義は、「所望の有益な作用を生じる介入(例えば、薬物又は手術)の能力」である。
本明細書において使用される「それを必要とする対象」とは、乳癌を有するかもしくは乳癌の1又は複数の症状が存在する対象、又は巨大集団と比べ、乳癌発症の増大したリスクを有する対象である。好ましくは、それを必要とする対象は、乳癌を有する。乳癌は、原発性乳癌、局所進行性乳癌又は転移性乳癌であることができる。「対象」は、哺乳動物を含む。哺乳動物は、任意の哺乳動物、例えば、ヒト、霊長類、トリ、マウス、ラット、家禽、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヤギ、ラクダ、ヒツジ及びブタを含む。好ましくは、哺乳動物は、ヒトである。対象は、男性又は女性であることができる。
特定の実施態様において、乳癌内因性亜型、又はER、PgR及び/もしくはHER2状態を予測する(例えば、対象における局所−所属部無再発生存又は乳癌特異的生存の予測のため、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療の有効性の尤度の予測のための、並びにタキサン又はタキサン誘導体による対象における乳癌の治療のための)方法及びキットは、乳房組織試料又は原発性乳房腫瘍組織試料などの、癌細胞又は組織を含む生物学的試料を収集することを含む。「生物学的試料」により、その中で内因性遺伝子の発現が検出され得る細胞、組織、又は体液の任意の試料採取が意図される。かかる生物学的試料の例は、生検及び塗抹標本を含むが、これらに限定されるものではない。本開示に有用な体液は、血液、リンパ液、尿、唾液、乳頭吸引液、婦人科学的液体、又は任意の他の体液分泌物もしくはその誘導体を含む。血液は、全血、血漿、血清、又は任意の血液の誘導体を含むことができる。一部の実施態様において、生物学的試料は、乳房細胞、特に乳房腫瘍組織試料などの、生検からの乳房組織を含む。生物学的試料は、例えば、所属部のスクレーピングもしくはスワブによる、細胞もしくは体液を吸引するための針の使用による、又は組織試料の除去による(すなわち生検)を含む、様々な技術により、対象から得ることができる。様々な生物学的試料を収集する方法は、当該技術分野において周知である。一部の実施態様において、乳房組織試料は、例えば、細針吸引生検、コア針生検、又は切除生検により入手される。固定液及び染色液は、標本を保存し且つ検査を促進するために、細胞又は組織に塗布されてよい。生物学的試料、特に乳房組織試料は、顕微鏡下での視認のために、ガラススライドに移されてよい。一実施態様において、生物学的試料は、ホルマリン固定されたパラフィン包埋(FFPE)乳房組織試料、特に原発性乳房腫瘍試料である。様々な実施態様において、組織試料は、病理学者が指導した組織コア試料から得られる。
(発現プロファイリング)
様々な実施態様において、本開示は、対象における乳癌の分類、予後判定、又はモニタリングの方法を提供する。この実施態様において、内因性遺伝子発現の分析から得られたデータは、1又は複数のパターン認識アルゴリズムを用いて、評価される。例えば米国特許出願公開第2011/0145176号及び第2013/0337444号を参照のこと。かかる分析方法は、予測モデルを形成するために使用することができ、これは試験データを分類するために使用することができる。例えば、1種の簡便且つ特に有効な分類方法は、多変量統計解析モデル化を利用し、最初に公知の亜型の試料(例えば、特定の乳癌内因性亜型:LumA、LumB、基底膜細胞様、HER2−エンリッチ、又は正常−様を有することがわかっている対象由来の)からの、データ(「モデリングデータ」)を使用しモデル(「予測数学モデル」)を形成し、並びに第二に、亜型に従い未知の試料(例えば「被験試料」)を分類する。パターン認識法は、例えば、言語的、指紋、化学及び心理学にわたる多くの様々な種類の問題点を特徴決定するために、広範に使用されている。本明細書記載の方法の状況において、パターン認識は、パラメトリック及び非パラメトリックの両方の、多変量統計を使用し、データを解析し、こうして試料を分類し、且つ観察された測定値の範囲を基にしたいくつかの従属変数の値を予測する。これには、2つの主要な方式が存在する。一つの方法セットは、「非監視下」と称され、且つこれらは、理論的方式でデータの複雑性を単純に減少し、またヒトの眼により解釈され得る表示プロットを作製する。しかし、この型の方式は、予測アルゴリズムをトレーニングするために使用される最初の試料集団から独立した対象由来の試料を分類するために使用することができる臨床アッセイの開発には適していない。
もう一方の方式は、「監視下」と称され、これにより公知のクラス又は転帰を伴う試料のトレーニングセットを使用し、数学モデルを作製し、これは次に独立変数データセットにより評価される。ここで内因性遺伝子発現データの「トレーニングセット」を使用し、各試料の「亜型」を正確に予測する統計モデルを構築する。このトレーニングセットは次に、コンピュータ−ベースのモデルのロバストネスを決定するために、独立データ(検定セット又はバリデーションセットと称される)により試験される。これらのモデルは時々、「エキスパートシステム」と称されるが、ある範囲の様々な数学的手順を基にしてよい。監視方法は、低下した次元(例えば、最初の数個の主要成分)を伴うデータセットを使用することができるが、典型的には全ての次元を伴う低下しないデータを使用する。全ての症例において、これらの方法は、その内因性遺伝子発現プロファイルに関して各亜型を特徴付け且つ分離する多変量境界の量的説明を可能にする。任意の予測について信頼限界、例えば、適合度上に配置される確率のレベルを得ることもまた可能である。予測モデルのロバストネスはまた、その解析から選択された試料を取り除くことにより、クロスバリデーションを使用しチェックすることもできる。
本明細書(並びに米国特許出願公開第2011/0145176号及び第2013/0337444号)記載のPAM50又はNANO46分類モデルは、各々、表1に列挙された内因性遺伝子の50又は46を使用する、複数の対象試料に関する遺伝子発現プロファイルを基にしている。複数の試料は、各亜型クラスに属する対象由来の十分な数の試料を含む。この文脈において「十分な試料」又は「代表数」により、群内の全ての他の亜型から各亜型を信頼できるように識別することができる分類モデルを構築するために十分である各亜型由来の試料の量が意図される。監視下予測アルゴリズムは、アルゴリズムの「トレーニング」のために客観的に−選択されたプロトタイプ試料のプロファイルを基に開発される。これらの試料は、国際特許公報WO2007/061876及び米国特許公開第2009/0299640号に開示された方法に従い、拡大された内因性遺伝子セットを使用し、選択され、且つ亜型化される。あるいは、これらの試料は、乳癌亜型を分類するための任意の公知のアッセイに従い亜型化される。亜型に従いトレーニング試料を階層化した後、セントロイド−ベースの予測アルゴリズムを使用し、表1に記載された内因性遺伝子セットの全て又は一部の発現プロファイルをベースにしたセントロイドを構築する。
一実施態様において、予測アルゴリズムは、Narashiman及びChuの論文(PNAS、99:6567−6572(2002))に説明されたものに関連した最近隣セントロイド法である。本開示において、この方法は、各亜型に関して標準化されたセントロイドをコンピュータ処理する。このセントロイドは、その遺伝子のクラス内標準偏差により除算された各亜型(又は「クラス」)における各遺伝子の平均遺伝子発現である。最近隣セントロイド分類は、新規試料の遺伝子発現プロファイルを採用し、これをこれらのクラスのセントロイドの各々と比較する。亜型予測は、5つのセントロイドに対する各試験症例のスピアマン順位相関を計算し、且つ試料を、最近隣セントロイドを基に亜型に割り当てることにより実行される。
(内因性遺伝子発現の検出)
表1に列挙された内因性遺伝子の発現を検出するための当該技術分野において利用可能な方法は、本明細書に包含される。「発現を検出する」により、内因性遺伝子のRNA転写物又はその発現産物の量又は存在を決定することが意図される。本開示の内因性遺伝子の発現を検出する方法、すなわち遺伝子発現プロファイリングは、ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション分析を基にした方法、ポリヌクレオチドの配列決定を基にした方法、免疫組織化学法、及びプロテオミクスベースの方法を含む。これらの方法は一般に、表1に列挙された内因性遺伝子の発現産物(例えばmRNA)を検出する。好ましい実施態様において、逆転写PCR(RT−PCR)(Weisら、TIG、8:263−64(1992))などのPCR−ベースの方法、及びマイクロアレイ(Schenaら、Science、270:467−70(1995))などのアレイベースの方法が使用される。「マイクロアレイ」により、基板上の、例えばポリヌクレオチドプローブなどの、ハイブリダイズ可能なアレイ素子の規則的配列が意図される。用語「プローブ」は、具体的に意図された標的生体分子への、例えば内因性遺伝子によりコードされたか又はこれに対応しているヌクレオチド転写物又はタンパク質への、選択的結合が可能である任意の分子をいう。プローブは、当業者により合成されるか、又は適切な生物学的調製から誘導されることができる。プローブは、標識されるように特異的に設計され得る。プローブとして利用することができる分子の例は、RNA、DNA、タンパク質、抗体、及び有機分子を含むが、これらに限定されるものではない。
多くの発現検出法は、単離されたRNAを使用する。出発材料は典型的には、腫瘍又は腫瘍細胞株、及び各々対応する正常組織又は細胞株などの生物学的試料から単離された総RNAである。RNAの給源が原発性腫瘍である場合、RNA(例えばmRNA)は、例えば、凍結した又はアーカイブのパラフィン−包埋及び固定した(例えばホルマリン−固定した)組織試料(例えば、病理学者が指導した組織コア試料)から、抽出されることができる。
RNA抽出の一般的方法は、当該技術分野において周知であり、且つAusubelら編集、「最新分子生物学プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons社、ニューヨーク、1987−1999を含む、分子生物学の標準教本に明らかにされている。パラフィン包埋組織からのRNA抽出方法は、例えば、Rupp及びLockerのLab Invest.、56:A67(1987);及び、De AndresらのBiotechniques、18:42−44(1995)に明らかにされている。特に、RNA単離は、Qiagen社(バレンシア、CA)などの商業的製造業者からの精製キット、緩衝液セット及びプロテアーゼを用い、製造業者の指示に従い、実行することができる。例えば、培養されている細胞由来の総RNAは、Qiagen RNeasyミニ−カラムを用い単離することができる。他の市販のRNA単離キットは、Masterpure(商標)Complete DNA及びRNA精製キット(Epicentre(登録商標)、マジソン、WI.)、及びパラフィンブロックRNA単離キット(Ambion(登録商標)、オースチン、TX)を含む。組織試料から総RNAを、例えば、RNA Stat−60(Tel−Test、フレンドウッド、TX)を使用し、単離することができる。腫瘍から調製されたRNAは、例えば、塩化セシウム密度勾配遠心分離により単離することができる。加えて、多数の組織試料は、例えば、Chomczynskiの単−工程RNA単離プロセス(米国特許第4,843,155号)などの、当業者に周知の技術を使用し、容易に処理することができる。
単離されたRNAは、PCR分析及びプローブアレイを含むが、これらに限定されるものではない、ハイブリダイゼーション又は増幅アッセイにおいて使用することができる。RNAレベルを検出する一つの方法は、単離されたRNAを、検出される遺伝子によりコードされたmRNAにハイブリダイズすることができる核酸分子(プローブ)と接触することに関与している。核酸プローブは、例えば、長さが少なくとも7、15、30、60、100、250、又は500ヌクレオチドの、且つ本開示の内因性遺伝子、又は任意の誘導DNAもしくはRNAにストリンジェント条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分である、オリゴヌクレオチドなどの、完全長cDNA、又はその一部であることができる。mRNAのプローブとのハイブリダイゼーションは、問題の内因性遺伝子が発現されていることを指摘している。用語「ストリンジェント条件」は、当該技術分野において周知であり、且つ少なくとも本明細書に列挙された書籍、刊行物及び特許文献において説明されている。
一実施態様において、mRNAは、固体表面上に固定され、且つ例えば、単離されたmRNAをアガロースゲル上に流し、このmRNAをゲルからニトロセルロースなどのメンブレンへと移すことにより、プローブと接触される。代替の実施態様において、プローブは、固体表面上に固定され、且つmRNAは、例えばAgilent社(サンタクララ、CA)遺伝子チップアレイ中の、プローブと接触される。当業者は、本開示の内因性遺伝子の発現レベルの検出において使用するために、既知のmRNA検出法を容易に適応させることができる。
試料中の内因性遺伝子発現産物のレベルを決定する代替方法は、例えばRT−PCR(米国特許第4,683,202号)、リガーゼ連鎖反応(Barany、PNAS USA、88:189−93(1991))、自家持続配列複製(Guatelliら、PNAS USA、87:1874−78(1990))、転写増幅システム(Kwohら、PNAS USA、86:1173−77(1989))、Q−ベータレプリカーゼ(Lizardiら、Bio/Technology、6:1197(1988))、ローリングサークル型複製(米国特許第5,854,033号)、又はいずれか他の核酸増幅方法などの核酸増幅プロセス、それに続く当業者に周知の技術を使用する、増幅された分子の検出に関与している。これらの検出スキームは、核酸分子が非常に少ない数存在する場合の、そのような分子の検出に特に有用である。
本開示の特定の態様において、内因性遺伝子発現は、定量的RT−PCRにより評価することができる。数多くの様々なPCR又は定量的リアルタイムPCR(qPCR)プロトコールが、当該技術分野において公知であり、且つ本明細書において例示され、並びに表1に列挙された内因性遺伝子の検出及び/又は定量のためにここで説明された方法及びキットを使用する用途のために、直接適用又は適応することができる。一般に、PCRにおいて、標的ポリヌクレオチド配列は、少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプライマー又は1対のオリゴヌクレオチドプライマーとの反応により増幅される。プライマー(複数可)は、標的核酸の相補的領域にハイブリダイズし、並びにDNAポリメラーゼは、プライマー(複数可)を伸長し、標的配列を増幅する。ポリメラーゼ−ベースの核酸増幅産物を提供するのに十分な条件下で、1つのサイズの核酸断片は、その反応生成物(増幅産物である標的ポリヌクレオチド配列)を支配する。増幅サイクルは、単独の標的ポリヌクレオチド配列の濃度を増加するよう、反復される。この反応は、PCRのために通常使用される任意のサーマルサイクラーにおいて実行することができる。しかし、リアルタイム蛍光測定が可能なサイクラー、例えば、Smartcycler(登録商標)(Cepheid社、サニーベイル、CA)、ABI Prism 7700(登録商標)(Applied Biosystems(登録商標)、フォスターシティ、CA.)、Rotor−Gene(商標)(Corbett Research社、シドニー、オーストラリア)、Lightcycler(登録商標)(Roche Diagnostics社、インディアナポリス、IN.)、iCycler(登録商標)(Biorad Laboratories社、ハーキュリーズ、CA.)及びMX4000(登録商標)(Stratagene社、ラホヤ、CA.)が、好ましい。
本開示の別の実施態様において、マイクロアレイが、発現プロファイリングのために使用される。マイクロアレイは、異なる実験間での再現性のために、この目的に特に良く適している。DNAマイクロアレイは、非常に数多くの遺伝子の発現レベルの同時測定のための一法を提供する。各アレイは、固体支持体に付着された捕獲プローブの再現可能なパターンからなる。標識されたRNA又はDNAは、アレイ上の相補的プローブにハイブリダイズされ、次にレーザースキャニングにより検出される。アレイ上の各プローブに関するハイブリダイゼーション強度が決定され、且つ相対遺伝子発現レベルを表す量的値に変換される。例えば、米国特許第6,040,138号、第5,800,992号及び第6,020,135号、第6,033,860号、及び第6,344,316号を参照されたい。高密度オリゴヌクレオチドアレイは、試料中の数多くのRNAの遺伝子発現プロファイルの決定に、特に有用である。
好ましい実施態様において、nCounter(登録商標)分析システム(NanoString Technologies社、シアトル、WA)を使用し、内因性遺伝子発現を検出する。nCounter(登録商標)分析システムの基礎は、アッセイされる各核酸標的に割り当てられた独自のコードである(国際公開公報第WO08/124847号、米国特許第8,415,102号、及びGeissら、Nature Biotechnology.、26(3):317−325(2008))。このコードは、アッセイされる各標的に関して独自のバーコードを作製する着色した蛍光スポットの連続順番で構成される。1対のプローブが、各DNA又はRNA標的、ビオチン化された捕獲プローブ及び蛍光バーコードを保有するレポータープローブに関して設計される。このシステムはまた、本明細書において、ナノレポーターコードシステムと称される。
特異的レポータープローブ及び捕獲プローブは、各標的のために合成される。レポータープローブは、第一のシグナルを構成する光を放出する1又は複数の標識モノマーが付着される少なくとも第一の標識付着領域;第二のシグナルを構成する光を放出する1又は複数の標識モノマーが付着される、第一の標識付着領域と重複していない少なくとも第二の標識付着領域;並びに、第一の標的−特異的配列で構成されることができる。好ましくは、各配列特異的レポータープローブは、表1の1個以下の遺伝子にハイブリダイズすることが可能な標的特異的配列を含み、並びに任意に少なくとも3、又は少なくとも4の標識付着領域を含み、該付着領域は、各々、少なくとも第三のシグナル、又は少なくとも第四のシグナルを構成する光を放出する1又は複数の標識モノマーを含む。捕獲プローブはまた、第二の標的−特異的配列;並びに、第一のアフィニティタグを含むことができる。一部の実施態様において、捕獲プローブは、1又は複数の標識付着領域も含むことができる。好ましくは、レポータープローブの第一の標的−特異的配列及び捕獲プローブの第二の標的−特異的配列は、検出されるべき表1の同じ遺伝子の異なる領域にハイブリダイズする。レポータープローブ及び捕獲プローブは全て、単独のハイブリダイゼーション混合物である「プローブライブラリー」にプールされる。好ましくは、プローブライブラリーは、表1の遺伝子の各々に関するプローブ対(捕獲プローブ及びレポーター)を含む。好ましくは、プローブライブラリーは、先に説明したNANO46遺伝子の各々に関するプローブ対(捕獲プローブ及びレポーター)を含む。好ましくは、プローブライブラリーは、ハウスキーピング遺伝子及び本明細書記載の他の遺伝子、例えばHer2の各々に関するプローブ対(捕獲プローブ及びレポーター)を含む。
各標的の相対存在量は、シングルマルチプレックスハイブリダイゼーション反応において測定される。この方法は、生物学的試料をプローブライブラリーと接触させることを含み、このライブラリーは、表1の少なくとも40遺伝子の各々、例えばNANO46もしくはPAM50遺伝子の各々、及び/又はハウスキーピング遺伝子及び本明細書記載の他の遺伝子に関するプローブ対を含み、結果的に試料中の各標的の存在は、プローブ対−標的複合体を生成する。次にこの複合体は精製される。より具体的には、試料は、プローブライブラリーと組合せられ、ハイブリダイゼーションが溶液中で生じる。ハイブリダイゼーション後、3部分がハイブリダイズされた複合体(プローブ対と標的)は、捕獲プローブ及びレポータープローブ上に存在する独自の配列に相補的なオリゴヌクレオチドに連結された磁気ビーズを使用する、2−工程手順で精製される。この二重精製プロセスは、プローブは最終的に除去されるので、ハイブリダイゼーション反応が非常に過剰な標的−特異的プローブにより完了するよう駆動されることを可能にし、従って試料の結合及び造影を妨害しない。全てのハイブリダイゼーション後工程は、特注の液体−取り扱いロボット(Prep Station、NanoString Technologies社)上で、ロボット操作により操作される。
精製された反応物は、試料カートリッジの個別のフローセルへとPrep Stationにより被覆され、捕獲プローブを介してストレプトアビジン−コートされた表面へ結合され、電気泳動され、レポータープローブを伸長させ、且つ固定される。処理後、試料カートリッジは、完全に自動化された造影及びデータ収集装置(Digital Analyzer、NanoString Technologies社)へ移される。標的の発現レベルは、各試料の造影、及び標的が検出されるコードの回数のカウントにより測定される。各試料に関して、典型的には600実視野(FOV)が、造影され(1376×1024ピクセル)、これは結合表面のおよそ10mm2を表している。典型的造影密度(imaging density)は、多重化度、投入された試料の量、及び全体の標的存在量に応じ、1実視野あたり100〜1200カウントされたレポーターである。データは、1試料あたり、1標的あたりのカウント数を列挙している、簡単なスプレッドシートフォーマットで出力される。
このシステムは、ナノレポーターと共に使用することができる。ナノレポーターに関する追加の開示は、国際公開公報第WO07/076129号及び第WO07/076132号、並びに米国特許公開第2010/0015607号及び第2010/0261026号に認めることができる。更に、用語核酸プローブ及びナノレポーターは、国際公開公報第WO2010/019826号及び米国特許公開第2010/0047924号に説明された理論的にデザインされたもの(例えば合成配列)を含むことができる。
(データ処理)
例えば、欠足値データの番地づけ、翻訳、スケーリング、正規化及び重み付けすることにより、遺伝子発現データを前処理することは、有用であることが多い。主成分分析(PCA)及び部分的最小二乗法(PLS)などの、多変量射影法は、いわゆるスケーリング増感法である。試験したデータの型に関する先行する知識及び経験を使用することにより、多変量モデリングに先行するデータの質を、スケーリング及び/又は重み付けにより増強することができる。適切なスケーリング及び/又は重み付けは、重要性及びデータ内に隠された興味深い変動を明らかにすることができ、結果的に後続の多変量モデリングをより効果的にする。スケーリング及び重み付けは、試験したシステムの知識及び経験を基に、データを正確な計量に配置するために使用することができ、結果的にデータ内に既に固有に存在するパターンを明らかにする。
可能であるならば、欠足値データ、例えば、列値のギャップは、回避されるべきである。しかし必要ならば、かかる欠足値データは、例えば列の平均値(「平均フィル」);ランダム値(「ランダムフィル」);又は、主成分分析を基にした値(「主成分フィル」)により、置き換えもしくは「充填」されてよい。
記述子座標軸の「翻訳」は、有用であることができる。かかる翻訳の例は、正規化及び平均センタリングを含む。「基準化」は、試料毎の変動を取り除くために使用することができる。マイクロアレイデータに関して、正規化のプロセスは、2つの標識色素の蛍光強度を釣り合わせることにより、定誤差を取り除くことを目的としている。この色素バイアスは、色素標識効率の差異、熱及び光感受性、並びに2つのチャネルを走査するためのスキャナー設定を含む、様々な原因から生じ得る。正規化因子の計算に一般に使用されるいくつかの方法は、以下を含む:(i)アレイ上の全ての遺伝子を使用する、グローバル正規化;(ii)一定して発現されるハウスキーピング/非変異遺伝子を使用する、ハウスキーピング遺伝子正規化;並びに、(iii)ハイブリダイゼーション時に添加された既知量の外因性対照遺伝子を使用する、内部対照正規化(Quackenbush、Nat. Genet.、32(補遺)496−501(2002))。一実施態様において、本明細書に開示された内因性遺伝子は、対照ハウスキーピング遺伝子に対し正規化されることができる。例えば、米国特許公開第2008/0032293号に説明されたハウスキーピング遺伝子を、正規化のために使用することができる。ハウスキーピング遺伝子の例は、MRPL19、PSMC4、SF3A1、PUMl、ACTB、GAPD、GUSB、RPLPO、及びTFRCを含む。本明細書に開示された方法は、特定のハウスキーピング遺伝子への正規化により結びつけられないこと、並びにいずれか好適な当該技術分野において公知のハウスキーピング遺伝子(複数可)を使用することができることは、当業者により理解されるであろう。
多くの正規化方式が可能であり、且つこれらはしばしば、解析においていくつかのポイントのいずれかに適用され得る。一実施態様において、マイクロアレイデータは、グローバル局所的に重み付けされた散布図平滑化による正規化関数である、LOWESS法を用いて正規化される。別の実施態様において、qPCRデータは、複数のハウスキーピング遺伝子のセットの幾何平均に対し正規化される。
「平均センタリング」も、解釈を簡略化するために使用されてよい。通常、各記述子に関して、全ての試料に関するその記述子の平均値が、減算される。この方式において、記述子の平均は、当初のものと一致し、且つ全ての記述子は、ゼロに「センタリング」される。「ユニット分散スケーリング」において、データは、同等の分散にスケーリングされることができる。通常、各記述子の値は、1/StDevによりスケーリングされ、ここでStDevは、全ての試料に関するその記述子の標準偏差である。ある意味、「パレートスケーリング」は、平均センタリングとユニット分散スケーリングの間の中間である。パレートスケーリングにおいて、各記述子の値は、l/sqrt(StDev)によりスケーリングされ、ここでStDevは、全ての試料に関するその記述子の標準偏差である。この方式において、各記述子は、その最初の標準偏差に数字上等しい分散を有する。パレートスケーリングは、例えば、生データ又は平均センタリングデータについて行うことができる。
「対数スケーリング」は、データが正の歪度を有する場合及び/又はデータが例えば数桁など大きい範囲に及ぶ場合、解釈を補助するために使用されてよい。通常、各記述子に関して、値は、その値の対数により置き換えられる。「等範囲(equal range)スケーリング」において、各記述子は、全ての試料に関するその記述子の範囲により除算される。この方式において、全ての記述子は、同じ範囲、すなわち1を有する。しかしこの方法は、外れ値の存在に対し、感受性がある。「自動スケーリング」において、各データベクトルは、平均センタリング及びユニット分散スケーリングである。この技術は、非常に有用であり、その理由は、各記述子は、同等に重み付けられ、且つ大きい値及び小さい値は、同等の強調で処理されるからである。これは、非常に低いが依然検出可能なレベルで発現された遺伝子について重要であることができる。
一実施態様において、データは、1又は複数の被験試料から収集され、例えばPAM50又はNANO46分類モデルのような、本明細書記載の表1の少なくとも40遺伝子を用いて分類される。複数の分析からのデータを比較する場合(例えば、独立した試験において収集され且つ分析された試料から構築されたセントロイドに対し、1又は複数の被験試料に関する発現プロファイルを比較する場合)、これらのデータセットにわたりデータを正規化することが必要であろう。一実施態様において、距離重み付け判別(DWD)が、これらのデータセットと一緒に組合せて使用される(Benitoら、Bioinformatics、20(1):105−114(2004))。DWDは、個別のデータセットに存在する系統的バイアスを同定し、次にこれらのバイアスを補正するために、グローバル調節を行うことができる、多変量解析ツールであり;本質的に、各個別のデータセットは、データポイントの多次元クラウドであり、並びにDWDは、2つのポイントクラウドを採用し、且つ片方をシフトし、これを他方により最適に重複させる。
本明細書記載の方法が遂行されてよく、並びに/又はこの方法の遂行及び/もしくは結果の記録が可能である任意の装置を使用し、結果が記録される。使用することができる装置の例は、全ての型のコンピュータを含む、電子計算機装置を含むが、これらに限定されるものではない。本明細書記載の方法が、コンピュータにおいて遂行され及び/又は記録される場合、本方法の工程を実行するためにコンピュータを構成するように使用され得るコンピュータプログラムは、コンピュータプログラムを含むことが可能である任意のコンピュータ読み取り可能な媒体に含まれることができる。使用することができるコンピュータ読み取り可能な媒体の例は、ディスケット、CD−ROM、DVD、ROM、RAM、非一過性コンピュータ−読み取り可能な媒体、及び他のメモリー及びコンピュータ保存装置を含むが、これらに限定されるものではない。本方法の工程を実行し及び/又は結果を記録するコンピュータを構成するために使用することができるコンピュータプログラムはまた、電子ネットワーク上、例えば、インターネット、イントラネット、又は他のネットワーク上に提供されてもよい。
(再発リスクの計算)
内因性亜型の状況で及び任意に他の臨床変数内で、乳癌転帰を予測する方法が、本明細書に提供される。転帰は、全生存又は疾患−特異的生存、無事象生存、又は特定の治療もしくは療法に反応した転帰をいうことができる。特に、本方法は、長期無病生存の尤度を予測するために、使用することができる。「乳癌患者の生存の尤度の予測」は、患者が基礎的乳癌の結果として死亡するリスクを評価することが意図される。「長期無病生存」は、患者は、最初の診断又は治療の後、少なくとも5年間、又は少なくとも10年間又はそれ以上の年数、基礎的乳癌の再発から死亡しないか又は再発に罹患しないことを意味することが意図される。
実施態様において、転帰は、癌亜型に従う対象の分類を基に、予測される。この分類は、少なくとも40の表1に列挙された内因性遺伝子を使用する、発現プロファイリングを基にしている。亜型割り当ての提供に加え、少なくとも40の表1に列挙された内因性遺伝子、例えばPAM50又はNANO46遺伝子は、病態及び治療選択肢とは関わりなく、任意の患者集団において使用することができる再発リスク(ROR)スコアに翻訳される4種全ての亜型に対する、被験試料の類似性の測定を提供する。内因性亜型及びRORはまた、例えばネオアジュバントタキサン及びアントラサイクリン化学療法により治療された女性における、病理学的完全奏効の予測における値を有する(Rouzierら、J Clin Oncol、23:8331−9(2005))。従って本開示の様々な実施態様において、転帰を予測するために、再発リスク(ROR)モデルが使用される。これらのリスクモデルを使用し、対象は、低、中等度、及び高再発リスク群に階層化することができる。RORの計算は、治療決定を導き及び/又は療法に対する反応をモニタリングするための予後判定情報を提供することができる。
本明細書記載の一部の実施態様において、少なくとも40の表1に列挙された遺伝子の発現プロファイルにより規定された内因性亜型、例えばPAM50−又はNANO46−規定された内因性亜型の予後判定性能、並びに/又は他の臨床パラメータは、ハザード比の推定値及びその信頼区間を提供する生存データの回帰法である、コックス比例ハザードモデル解析を用いて評価される。コックスモデルは、患者の生存と特定変数の間の関係の探索に関して、良く認識された統計技術である。この統計学的方法は、それらの予後判定変数(例えば、本明細書記載のような、追加の臨床因子を伴う又は伴わない、内因性遺伝子発現プロファイル)が与えられた個体のハザード(すなわちリスク)の推定を可能にする。「ハザード比」は、特定の予後判定変数を示す患者に関する、所定の時点での死亡リスクである。一般に、Spruanceら、Antimicrob. Agents & Chemo.、48:2787−92(2004)を参照されたい。
本明細書記載の分類モデル、例えばPAM50又はNANO46分類モデルは、亜型距離(もしくは相関)のみを使用し、又は亜型距離を先に考察した臨床変数と共に使用し、再発リスクについてトレーニングすることができる。一実施態様において、被験試料に関するリスクスコアは、下記式(式2)を使用する内因性亜型距離だけを用いて、計算される。
ROR=0.05*Basal+0.11*HER2+−0.25*LumA+0.07*LumB+−0.11*Normal、
式中、変数「Basal」、「HER2」、「LumA」、「LumB」及び「Normal」は、被験試料からの発現プロファイルが、NCBIの遺伝子発現オムニバス(GEO)に寄託された遺伝子発現データ;例として、寄託番号GSE2845又はGSE10886を使用し構築されたセントロイドと比較される場合、それぞれの分類子各々に関するセントロイドまでの距離である。
式中、変数「Basal」、「HER2」、「LumA」、「LumB」及び「Normal」は、被験試料からの発現プロファイルが、NCBIの遺伝子発現オムニバス(GEO)に寄託された遺伝子発現データ;例として、寄託番号GSE2845又はGSE10886を使用し構築されたセントロイドと比較される場合、それぞれの分類子各々に関するセントロイドまでの距離である。
リスクスコアはまた、乳癌亜型と臨床変数の腫瘍サイズ(T)及びリンパ節状態(N)の組合せを用いて、下記式(式3)を使用し、計算することができる:
ROR(full)=0.05*Basal+0.1*HER2+−0.19*LumA+0.05*LumB+−0.09*Normal+0.16*T+0.08*N、
式中、変数「Basal」、「HER2」、「LumA」、及び「LumB」は、前掲のように説明され、且つ被験発現プロファイルは、GEOに寄託された遺伝子発現データ;例として、寄託番号GSE2845又はGSE10886を使用し構築されたセントロイドと比較される。
式中、変数「Basal」、「HER2」、「LumA」、及び「LumB」は、前掲のように説明され、且つ被験発現プロファイルは、GEOに寄託された遺伝子発現データ;例として、寄託番号GSE2845又はGSE10886を使用し構築されたセントロイドと比較される。
更に別の実施態様において、被験試料に関するリスクスコアは、下記式(式4)のみを使用し、内因性亜型距離を用い計算される:
ROR−S=0.05*Basal+0.12*HER2+−0.34*LumA+0.0.23*LumB、
式中、変数「Basal」、「HER2」、「LumA」、及び「LumB」は、前掲のように説明され、且つ被験発現プロファイルは、GEOに寄託された遺伝子発現データ;例として、寄託番号GSE2845又はGSE10886を使用し構築されたセントロイドと比較される。
式中、変数「Basal」、「HER2」、「LumA」、及び「LumB」は、前掲のように説明され、且つ被験発現プロファイルは、GEOに寄託された遺伝子発現データ;例として、寄託番号GSE2845又はGSE10886を使用し構築されたセントロイドと比較される。
更に別の実施態様において、リスクスコアはまた、下記式(式5)を使用し、乳癌亜型と臨床変数の腫瘍サイズ(T)の組合せを使用し計算される:
ROR−C=0.05*Basal+0.11*HER2+−0.23*LumA+0.09*LumB+0.17*T、
式中、変数「Basal」、「HER2」、「LumA」、及び「LumB」は、前掲のように説明され、且つ被験発現プロファイルは、GEOに寄託された遺伝子発現データ;例として、寄託番号GSE2845又はGSE10886を使用し構築されたセントロイドと比較される。
式中、変数「Basal」、「HER2」、「LumA」、及び「LumB」は、前掲のように説明され、且つ被験発現プロファイルは、GEOに寄託された遺伝子発現データ;例として、寄託番号GSE2845又はGSE10886を使用し構築されたセントロイドと比較される。
更に別の実施態様において、被験試料のリスクスコアはまた、下記式(式6)を使用し、内因性亜型距離を、増殖シグネチャー(“Prolif”)と組合せて使用し計算される:
ROR−P=−0.001*Basal+0.7*HER2+−0.95*LumA+0.49*LumB+0.34*Prolif、
式中、変数「Basal」、「HER2」、「LumA」、「LumB」、及び「Prolif」は、前掲のように説明され、且つ被験発現プロファイルは、GEOに寄託された遺伝子発現データ;例として、寄託番号GSE2845又はGSE10886を使用し構築されたセントロイドと比較される。
式中、変数「Basal」、「HER2」、「LumA」、「LumB」、及び「Prolif」は、前掲のように説明され、且つ被験発現プロファイルは、GEOに寄託された遺伝子発現データ;例として、寄託番号GSE2845又はGSE10886を使用し構築されたセントロイドと比較される。
更に別の実施態様において、リスクスコアはまた、表5と結びつけて説明されたROR−PTを使用し、乳癌亜型、増殖シグネチャー及び臨床変数腫瘍サイズ(T)の組合せを使用し、計算することができる。
(亜型検出)
エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、HER2、及びKi67に関する免疫組織化学(IHC)は、色素原として3,3′−ジアミノベンジジンによる、標準ストレプトアビジン-ビオチン複合体法により、連続切片について同時に実行することができる。ER、PR、及びHER2染色の解釈は、先に説明されたように行うことができる(Cheangら、Clin Cancer Res.、2008;14(5):1368−1376)が、しかし当該技術分野において公知の任意の方法を使用してよい。
例えば、Ki67抗体(クローンSP6;ThermoScientific(商標)、フリーモント、CA)は、1:200希釈で32分間適用し、引き続きVentana Benchmark自動免疫染色装置(Ventana(登録商標)、ツーソン、AZ)標準細胞コンディショナー1(CC1、最適緩衝液)プロトコールを98℃で30分間適用することができる。ER抗体(クローンSP1;ThermoFisher Scientific(商標))は、1:250希釈で10分間インキュベーションし、その後8分間マイクロウェーブで、10mMクエン酸ナトリウム(pH6.0)中で、抗原検索することができる。そのまま使用するためのPR抗体(クローン1E2;Ventana(登録商標))は、先のCC1プロトコールに従い使用することができる。HER2染色は、SP3抗体(ThermoFisher Scientific(商標))で、1:100希釈で行い、その後0.05Mトリス緩衝液(pH10.0)中で、スチーマー中95℃で30分間加熱しながら、抗原検索することができる。HER2蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)アッセイに関して、スライドを、プローブにより、LSI(遺伝子座−特異的識別子)HER2/neuへハイブリダイズし、並びに先に説明されたように予備処置及びハイブリダイゼーションに変更を加え、PathVysion HER−2 DNAプローブキット(Abbott Molecular社、アボットパーク、IL)を製造業者の指示に従い使用することにより、セントロメア17へ、ハイブリダイズすることができる(Brown LA、Irving J、Parker Rら、「高度卵巣表面上皮癌における11q13上の新規癌遺伝子EMSYの増幅(Amplification of EMSY, a novel oncogene on 11q13, in high grade ovarian surface epithelial carcinomas)」、Gynecol Oncol.、100(2):264-270(2006))。次にスライドを、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールにより対比染色することができる。染色された物質は、Zeiss Axioplan落射蛍光顕微鏡上で視認し、且つシグナルは、Metafer画像獲得システム(Metasystems社、Altlussheim、独国)により分析することができる。次に臨床病理学的な特徴及び転帰について知らされておらず、且つ他の乳癌コホートにおいて開発されたバイオマーカー発現レベルに関して先に確立され且つ公表された判定基準を使用した、2人の病理学者により、免疫組織化学アッセイからのバイオマーカー発現を、スコア化されることができる。
先に説明されたように、免疫染色が、腫瘍核の1%以上に認められる場合、腫瘍は、ER又はPRについて陽性とみなされる。免疫染色が、HercepTest(商標)(Dako社、カルピンテリア、CA)判定基準に従い、3+とスコア化される場合、腫瘍は、HER2について陽性であるとみなされ、蛍光インサイチュハイブリダイゼーションに関する増幅比の2.0以上は、免疫組織化学的に疑わしい腫瘍(2+とスコア化)を分離するために使用することができるカットポイントである(Yazijiら、JAMA、291(16):1972-1977(2004))。Ki67は、バックグラウンドレベルを上回り陽性免疫染色されている腫瘍細胞核の割合について、目視によりスコア化することができる。
他の方法も、亜型の検出に使用することができる。これらの技術は、酵素−結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、ノーザンブロット、又は蛍光−活性化細胞選別(FACS)分析を含む。
(キット)
本開示はまた、乳癌内因性亜型を分類し、及び/又はタキサンもしくはタキサン誘導体療法に対しより多く又はより少なく反応性である乳癌を同定するための予後判定情報を提供するのに有用なキットを説明する。これらのキットは、表1に列挙された遺伝子に特異的なレポーター/捕獲プローブ及び/もしくはプライマー、並びに/又はハウスキーピング遺伝子、並びに/又は本明細書記載の他の遺伝子のセットを含む。これらのキットは更に、前述の遺伝子の検出及び乳癌内因性亜型の分類及び/又はタキサンもしくはタキサン誘導体療法に対しより多く反応性である乳癌を同定するための予後判定情報の提供に関する指示書を含むことができる。これらのキットは、分類された乳癌内因性亜型を基にした推奨された治療に関する指示書を含んでよい。好ましくは、キットは、表1に列挙された遺伝子の少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50全てに特異的なレポーター/捕獲プローブ及び/又はプライマーのセットを含む。キットは更に、非一過性のコンピュータ読み取り可能な媒体も含んでよい。
本開示の実施態様において、捕獲プローブは、アレイ上に固定される。「アレイ」により、支持体又は基板に付着されたペプチド又は核酸プローブを伴う固体支持体又は基板が意図される。アレイは典型的には、異なる既知の位置で基板の表面に結合されている、複数の異なる捕獲プローブを含む。本開示のアレイは、内因性遺伝子発現産物に特異的に結合することができる複数の捕獲プローブを有する基板を含む。基板上の捕獲プローブの数は、そのアレイが意図された目的により変動する。アレイは、低密度アレイ又は高密度アレイであってよく、且つ4以上、8以上、12以上、16以上、32以上のアドレスを有してよいが、最小には、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、もしくは少なくとも46の内因性遺伝子のため、又は50全ての表1に列挙された内因性遺伝子のための捕獲プローブを含むであろう。アレイは、ハウスキーピング遺伝子及び/又は本明細書に列挙された他の遺伝子の捕獲プローブを含んでよい。
機械的合成法を使用するこれらのアレイを合成する技術は、例えば、米国特許第5,384,261号に説明されている。アレイは、事実上任意の形状の表面上に又は複数の表面上でも、加工されることができる。アレイは、ビーズ、ゲル、高分子表面、光ファイバーなどのファイバー、ガラス又は任意の他の適当な基板上の、プローブ(例えば核酸結合プローブ)であることができ、米国特許第5,770,358号、第5,789,162号、第5,708,153号、第6,040,193号及び第5,800,992号を参照されたい。アレイは、装置上で診断又は他の操作を可能にするようにパッケージされてよい。例えば、米国特許第5,856,174号及び第5,922,591号を参照されたい。
実施態様において、キットは、表1に列挙された内因性遺伝子の各々の検出及び/又は定量に十分なオリゴヌクレオチドプライマーのセットを含む。好ましくは、キットは、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも46の内因性遺伝子の、又は50全ての表1に列挙された内因性遺伝子の検出及び/又は定量に、並びに/又はハウスキーピング遺伝子及び/もしくは本明細書に列挙された他の遺伝子の検出及び/又は定量に十分なオリゴヌクレオチドプライマーのセットを含む。オリゴヌクレオチドプライマーは、凍結乾燥された形又は再構成された形で提供されてよいか、或いはヌクレオチド配列のセットとして提供されてよい。いくつかの実施態様において、プライマーは、マイクロプレートフォーマットで提供され、ここでは各プライマーセットは、マイクロプレートのウェル(又は反復の場合は、マルチプルウェル)を占拠している。マイクロプレートは更に、本明細書で考察した1又は複数のハウスキーピング遺伝子(例えば8)の検出に十分なプライマーを含んでよい。キットは更に、表1に列挙された遺伝子からの発現産物の増幅に、並びに/又はハウスキーピング遺伝子及び/もしくは本明細書に列挙された他の遺伝子の発現産物の増幅に十分な試薬及び指示書を含んでよい。
例えば比較、検証、回収、及び/又は修飾のための容易なアクセスを促進するために、分子シグネチャー/発現プロファイルは典型的には、データベースに記録される。最も典型的には、このデータベースは、コンピュータ装置によりアクセス可能な関係データベースであるが、例えば写真、アナログ又はデジタルの造影読み取り、及びスプレッドシートのような発現プロファイルの手動でアクセス可能なインデックスファイルなどの他のフォーマットを、使用することができる。最初に記録された発現パターンが実際にアナログ又はデジタルであるかどうかにかかわらず、発現パターン、発現プロファイル(集合的発現パターン)、及び分子シグネチャー(相関された発現パターン)は、デジタル的に保存され、且つデータベースを介してアクセスされる。典型的には、データベースは、集計され、且つ中央施設で維持され、アクセスは極値的及び/又は遠隔的に到達可能である。
(実施例)
図1は、本実施例の臨床試験のデザインを図示している。この臨床試験は、2008年8月から2014年3月までの間に、74 UKセンター間で、患者376名を含んだ。370名の患者の治療意図に基づく集団サイズは、ドセタキセルと比較したカルボプラチンによる客観的奏効率(ORR)の15%改善を検出するのに十分なものとして選択した(検出力=90%、両側α=0.05)。ORRは、無作為化治療のサイクル3又は6での、完全奏効又は部分奏効を伴う患者の割合に関連していた。フィッシャーの正確検定を、比較のために使用し、且つロジスティック回帰は、ベースライン因子の調節を可能にした。副次的エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、クロスオーバー治療に対する奏効、脳転移の頻度、及び毒性を含む。予め計画した生物学的亜群分析は、生殖系列BRCA1/2、相同組換え欠損(HRD)スコア、及び基底膜細胞様(IHC及びPAM50)を含んだ。
試験集団のベースライン特徴は、下記表7に示している。
図2は、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)による本試験における対象に関するPAM50又はNANO46による内因性亜型を図示している。
図3は、本試験において患者について観察された客観的奏効率を図示している。図4は、IHCにより決定された基底膜細胞様亜型を伴う患者に関する奏効率を明らかにしている。図5は、PAM50又はNANO46により決定された基底膜細胞様亜型を伴う患者に関する奏効率を明らかにしている。図6は、PAM50又はNANO46により決定された基底膜細胞様亜型を伴う患者に関する奏効率のウォーターフォールプロットを図示している。
驚くべきことに、遺伝子発現分析により分類された、非基底膜細胞様亜型にフィットする乳癌腫瘍を伴う対象は、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療で治療された場合、局所再発の有意な減少率並びに乳癌特異的生存及び全生存期間の有意な増加率を有することが認められた。
Claims (19)
- 治療を必要とする対象において放射線を含む乳房切除後の乳癌治療の有効性の尤度を予測する方法であって:
生物学的試料が、ルミナールA、ルミナールB、HER2−エンリッチ又は基底膜細胞様亜型として分類されるかどうかを決定するために、対象由来の生物学的試料をアッセイすることであって、ここでこの亜型は、表1に列挙された遺伝子の少なくとも40種の測定を使用して決定されること;並びに
生物学的試料が、非基底膜細胞様亜型として分類される場合、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療が、対象においておそらく有効であるという予測を提供することを含む、方法。 - 乳癌を有する対象における局所−所属部無再発生存又は乳癌特異的生存を予測する方法であって:
生物学的試料が、ルミナールA、ルミナールB、HER2−エンリッチ又は基底膜細胞様亜型として分類されるかどうかを決定するために、対象由来の生物学的試料をアッセイすることであって、ここでこの亜型は、表1に列挙された遺伝子の少なくとも40種の測定を使用して決定されること;並びに
生物学的試料が、非基底膜細胞様亜型として分類される場合、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療が、対象においておそらく局所−所属部無再発生存又は乳癌特異的生存を延長するという予測を提供することを含む、方法。 - 治療を必要とする対象において乳癌を治療する方法であって:
生物学的試料が、ルミナールA、ルミナールB、HER2−エンリッチ又は基底膜細胞様亜型として分類されるかどうかを決定するために、対象由来の生物学的試料をアッセイすることであって、ここでこの亜型は、表1に列挙された遺伝子の少なくとも40種の測定を使用して決定されること;並びに
生物学的試料が、非基底膜細胞様亜型として分類される場合、タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療を、対象に投与することを含む、方法。 - 前記タキサン又はタキサン誘導体が、パクリタキセル又はドセタキセルである、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記タキサン又はタキサン誘導体を含む乳癌治療が、第二の化学療法薬を更に含む、請求項3記載の方法。
- 腫瘍サイズ、腫瘍等級、節状態、エストロゲン受容体発現、プロゲステロン受容体発現、及びHER2/ERBB2発現の少なくとも1つを決定することを更に含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 腫瘍サイズ、腫瘍等級、節状態、エストロゲン受容体発現、プロゲステロン受容体発現、及びHER2/ERBB2発現の各々を決定することを更に含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記試料が、細胞又は組織の試料採取、生検、体液、血液、リンパ液、尿、唾液又は乳頭吸引液である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記乳癌が、転移性である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記乳癌が、局所再発進行癌である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記対象が、エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性又はHER2陰性である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記対象が、エストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性及びHER2陰性である、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記対象が、BRCA1又はBRCA2遺伝子変異を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記対象が、BRCA1及びBRCA2遺伝子変異を有する、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記遺伝子の少なくとも40種の測定が、少なくとも40種の複合体の存在を検出することを含み、ここで各複合体は、少なくとも1種の蛍光標識されたプローブ及び少なくとも1種の遺伝子の発現産物を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記遺伝子の少なくとも40種の測定が、固体基板上に配置されたか又はこれに付着された少なくとも40種の核酸プローブを介して決定される、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記固体基板が、マイクロアレイである、請求項16記載の方法。
- 前記遺伝子の少なくとも40種の測定が、少なくとも40種の遺伝子の各々の相補的DNA分子(cDNA)を検出することを含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
- 前記少なくとも40種の遺伝子の各々に関するcDNA分子が、この遺伝子に特異的なプライマーによる逆−転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を実行することにより得られる、請求項18記載の方法。
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