JP2018203693A - 脱トリチル化物を製造する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】トリチル基含有化合物の脱トリチル化反応を温和な条件で行うことにより、ロサルタン、バルサルタン、オルメサルタンメドキソミル、イルべサルタン、カンデサルタンシレキセチル等のサルタン系原薬を効率よく製造する方法の提供。
【解決手段】式(1)で示されるトリチル基含有化合物と三塩化鉄を含む化合物とを接触させることにより、脱トリチル化物を製造する方法。
Figure 2018203693

(Rは有機基;Phはフェニル基)
【選択図】なし

Description

本発明は、保護基としてトリチル(トリメチルフェニル)基を有する有機化合物において、該トリチル基を脱離する新規な方法に関する。
N−トリチル保護テトラゾール誘導体(トリチル基含有化合物)は、サルタン系降圧剤の最終合成中間体として多用されており、この効率的な脱トリチル法は、最終原薬を高純度かつ安価に製造する上で大変重要である。
例えば、アンジオテンシンII受容体拮抗薬として優れた作用を示し、高血圧治療薬として有用なカンデサルタンシレキセチルは、下記式
Figure 2018203693
(式中、Phはフェニル基である。)
で示されるトリチルカンデサルタンシレキセチル(トリチル基含有化合物)の脱トリチル化反応で得られる。トリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化反応としては、酸、例えば、鉱酸、有機酸、またはアルカリの存在下、アルコール中でトリチルカンデサルタンシレキセチルを加水分解する方法が知られている。酸と水とを併用する加水分解方法としては、以下の方法がある。
(1)1規定塩酸水溶液を使用して、メタノール中でトリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化を行う。反応生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、カンデサルタンを製造する(特許文献1参照)。
(2)ジクロロメタン中で、アルコール存在下に、有機酸、または鉱酸及び水を添加してトリチルカンデサルタンの脱トリチル化を行う。次いで、厳密にpH調整を行った後、晶析させることにより、カンデサルタンを製造する(特許文献2参照)。
(3)有機溶媒中で、水の存在下に、三フッ化ホウ素、三ハロゲン化アルミニウム、二ハロゲン化亜鉛等のルイス酸を使用してトリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化を行う。次いで、晶析させることにより、カンデサルタンを製造する(特許文献3参照)。
しかし、これらの方法においては、酸、および水を使用しているため、十分に反応の制御を行わない場合は、脱トリチル化反応において、分解物を生じ易い。この場合は、収率が低下する。さらに、後処理において、酸、および水を除去する必要がある。この水の除去のためには、煩雑な処理が必要となる。従って、これらの方法は、改善の余地がある。
上記欠点を改善するため、無水の条件下で、酸を使用してトリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化を行う方法も知られている。例えば、アルコールの存在下、無水の鉱酸を使用してトリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化を行い、次いで反応生成物を脂肪族炭化水素を用いて晶析することにより、カンデサルタンを単離する方法(特許文献4参照)がある。
更に、無水の条件下で、有機酸を使用してトリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化の反応を行い、次いで反応生成物を晶析することにより、カンデサルタンを単離する方法(特許文献5参照)がある。
しかし、これらの方法においても、やはり酸を使用しているため、十分厳密に反応条件の制御を行わない場合は分解物を生じ、収率が低下するおそれがある。さらに、後処理において、酸を中和して、除去しなければならず、操作性に改善の余地がある。
上記欠点を改善するため、酸を使用せずに、脱トリチル化を行う方法が検討されている。例えば、水溶性有機溶媒中で、反応系に水を加えて脱トリチル化を行い、その後、晶析してカンデサルタンシレキセチルを製造する方法(特許文献6参照)が知られている。また、メタノールで脱トリチル化を行い、カンデサルタンシレキセチルを製造する方法(特許文献7参照)が知られている。これら方法は、酸が存在しない状態で脱トリチル化反応を行うので、分解物が生成し難い。従って、厳密な反応制御を行う必要がない。さらに、後処理において、酸を除去する必要がない。このため、この方法は工業的に優れた方法である。
しかし、上記酸を使用しない方法においては、以下の点で改善の余地がある。即ち、上記特許文献6に記載方法においては、脱トリチル化反応終了後、水溶性有機溶媒、および水を留去する。本発明者の検討によれば、この留去して濃縮する操作中に、カンデサルタンシレキセチルが分解する場合があることが分った。この場合は、カンデサルタンシレキセチルの収率、純度が低下する。水溶性有機溶媒、および水を留去するに従って、水が濃縮され、水とカンデサルタンシレキセチルとの接触確率が高くなる。その結果、カンデサルタンシレキセチルの分解物が生じ易くなると考えられる。また、特許文献7に記載の方法においては、メタノールのみで脱トリチル化を行う場合には、還流温度で長期間反応させなければならず、必ずしも、工業的生産に適している方法とは言えない。
特許第2514282号公報
国際公開第2006/050922号パンフレット
国際公開第2007/042161号パンフレット
特許第2730501号公報
国際公開第2005/051928号パンフレット
国際公開第2007/048361号パンフレット
特開2009−102438号公報
以上、サルタン系原薬の原料の1種であるトリチルカンデサルタンシレキセチルの脱トリチル化について説明したが、その他のN−トリチル保護テトラゾール誘導体(トリチル基含有化合物)の脱トリチル化についても、前記の問題が生じていた。
したがって、本発明の目的は、後処理が煩雑でなく、比較的温和な条件で、効率よく、N−トリチル保護テトラゾール誘導体(トリチル基含有化合物)の脱トリチル化する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。そして、脱トリチル化の反応を温和条件で、なるべく速く進められるように添加成分を様々検討した。その中で、サルタン系原薬の原料となるトリチル基含有化合物の脱トリチル化であるため、人体への影響が少ないと考えられる添加成分について検討した。その結果、これまで使用されていた水素を含む酸(ブレンステッド酸)と類似の性能を有し、人体への影響が少ない鉄成分を含む添加剤を検討したところ、三塩化鉄を含む化合物を使用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、
(1)下記式(1)
Figure 2018203693
(式中、Rは有機基であり、Phはフェニル基である。)で示されるトリチル基含有化合物と三塩化鉄を含む化合物とを接触させることにより、
下記式(2)
Figure 2018203693
(式中、
Rは前記式(1)におけるものと同義である。)で示される脱トリチル化物を製造する方法である。
第一の本発明の方法は、以下の態様をとることが好ましい。
(2)前記トリチル基含有化合物1モルに対して、前記三塩化鉄を含む化合物を0.00001〜10モル使用すること。
(3)前記トリチル基含有化合物において、Rの有機基が、
下記式(3a)
Figure 2018203693
(式中、nBuはn−ブチル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基、
下記式(3b)
Figure 2018203693
(式中、nBuはn−ブチル基であり、Rは炭素数1〜7のアルキル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基、
下記式(3c)
Figure 2018203693
(式中、nPrはn−プロピル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基、
下記式(3d)
Figure 2018203693
(式中、nBuはn−ブチル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基、又は
下記式(3e)
Figure 2018203693
(式中、Etはエチル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基であること。
(4)ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、およびアルコール系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒中で前記トリチル基含有化合物と前記三塩化鉄を含む化合物とを接触させること。
(5)前記有機溶媒が、炭素数1〜12のアルコール系溶媒を含むこと。
(6)前記有機溶媒が、炭素数1〜12のアルコール系溶媒とハロゲン系溶媒とを含むこと。
(7)前記トリチル基含有化合物と前記三塩化鉄を含む化合物とを、0℃以上60℃以下の温度で接触させること。
本発明によれば、比較的温和な条件で、効率よく、サルタン系原薬の原料の脱トリチル化を行うことができる。また、脱トリチル化において使用する材料が三塩化鉄を含む化合物であり、仮に、サルタン系原薬に残存したとしても、人体に与える影響は小さいと考えられる。そのため、本発明の工業的利用価値は高い。
本発明は、N−トリチル保護テトラゾール誘導体(トリチル基含有化合物)と三塩化鉄を含む化合物とを接触させて、該トリチル基含有化合物の脱トリチル化反応を実施するものである。以下、順を追って説明する。
(トリチル基含有化合物)
本発明において、脱トリチル化反応の対象となる化合物は、
下記式(1)
Figure 2018203693
(式中、Rは有機基であり、Phはフェニル基である。)で示されるトリチル基含有化合物である。
該トリチル基含有化合物は、テトラゾール基をトリチル基で保護している化合物であり、サルタン系原薬の原料として使用される。
前記式(1)で示されるトリチル基含有化合物の中でも、得られる脱トリチル化物の有用性を考慮すると、前記式(1)におけるRが下記式(3a)〜(3e)であることが好ましい。
下記式(3a)
Figure 2018203693
(式中、nBuはn−ブチル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基であり、ロサルタンの原料化合物となる。
下記式(3b)
Figure 2018203693
(式中、nBuはn−ブチル基であり、Rは炭素数1〜7のアルキル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基であり、バルサルタンの原料化合物となる。
下記式(3c)
Figure 2018203693
(式中、nPrはn−プロピル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基であり、オルメサルタンメドキソミルの原料化合物となる。
下記式(3d)
Figure 2018203693
(式中、nBuはn−ブチル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基であり、イベルサルタンの原料化合物となる。
下記式(3e)
Figure 2018203693
(式中、Etはエチル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基であり、カンデサルタンシレキセチルの原料化合物となる。
ちなみに、Rが上記式(3a)〜(3e)となる場合の式(1)で示される化合物は、下記式(1a)〜(1e)となる。なお、下記式(1a)〜(1e)において、Ph、nBu、R1、nPr、Etは、前記式(1)、および前記式(3a)〜(3e)におけるものと同義である。
Figure 2018203693
以上の式(1a)〜(1e)で示されるトリチル基含有化合物を対象とした場合には、得られる脱トリチル化物は、有用な原薬、あるいは原薬の中間体として使用できる。
(三塩化鉄を含む化合物)
本発明においては、前記トリチル基含有化合物と三塩化鉄を含む化合物とを接触させることにより、脱トリチル化を進行することができる。該三塩化鉄を含む化合物とは、三塩化鉄成分を含むものであり、三塩化鉄のそのもの、三塩化鉄の水和物、および三塩化鉄の溶媒和物を指す。より具体的には、三塩化鉄、6水和物のような三塩化鉄の水和物、および三塩化鉄とアルコールとの溶媒和物等が挙げられる
該三塩化鉄を含む化合物は、市販のものを使用することができる。
該三塩化鉄を含む化合物の使用量は、特に制限されるものではないが、前記トリチル基含有化合物1モルに対して、0.00001〜10モルとすることが好ましい。より反応の転化率(トリチル基含有化合物の反応割合)を高め、反応時間を短くし、かつ脱トリチル化物に残存する量を少なくするためには、前記三塩化鉄を含む化合物の使用量は、前記トリチル基含有化合物1モルに対して、0.00005〜5モルとすることがより好ましく、0.0001〜3モルとすることがさらに好ましい。
本発明においては、前記トリチル基含有化合物と前記三塩化鉄を含む化合物とを接触させればよいが、両者を有機溶媒中で接触させることが好ましい。次に、有機溶媒について説明する。
(有機溶媒)
本発明においては、前記トリチル基含有化合物と前記三塩化鉄を含む化合物とを有機溶媒中で接触させることが好ましい。接触させるためには、該有機溶媒中で両者を攪拌混合すればよい。
本発明において、使用する有機溶媒は、前記トリチル基含有化合物が溶解できるものであれば、特に制限されるものではないが、反応の転化率を高め、反応時間を短くするためには、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、およびアルコール系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒であることが好ましい。これら有機溶媒は、単独種であっても、複数種であってもよい。
ハロゲン系溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンが挙げられる。
エステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルが挙げられる。
芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレンが挙げられる。
脂肪族炭化水素溶媒としては、ヘキサン、ヘプタンが挙げられる。
エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンが挙げられる。
アルコール溶媒としては、炭素数1〜12のアルコールが挙げられ、より好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノールが挙げられる。これらの中でも、第1級アルコールであることが好ましい。
以上の有機溶媒が使用できる。それら有機溶媒の中でも、反応の転化率をより向上させ、反応時間を短くするためには、該有機溶媒が、炭素数1〜12のアルコール系溶媒を含むことが好ましい。この炭素数1〜12のアルコール系溶媒の具体的例示は、前記の通りである。
さらに好ましい態様としては、前記有機溶媒が、炭素数1〜12のアルコール系溶媒とハロゲン系溶媒とを含む場合である。さらに優れた効果を発揮するためには、該有機溶媒は、炭素数1〜12のアルコール系溶媒を1mlとした時、ハロゲン系溶媒を0.5〜100ml使用することが好ましく、さらには1〜20ml使用することが好ましい。
また、該有機溶媒の使用量は、前記トリチル基含有化合物、および前記三塩化鉄を含む化合物の両者が十分に攪拌混合できる量であれば、特に制限されるものではない。通常であれば、前記トリチル基含有化合物1gに対して、前記有機溶媒を1〜100ml使用することが好ましく、2〜30ml使用することがさらに好ましい。前記有機溶媒の使用量は、単独種の溶媒を使用した場合には、単独種の溶媒量である。また、複数種の有機溶媒を含む混合溶媒を使用した場合には、混合溶媒が前記使用量を満足すればよい。
(その他の反応条件)
本発明においては、前記トリチル基含有化合物、および前記三塩化鉄を含む化合物を接触させればよい。好ましくは、前記有機溶媒中で両者を攪拌混合して接触させればよい。反応系内で両者を接触させる方法も、特に制限されるものではない。具体的には、予め有機溶媒を反応系内に入れておき、必要に応じて有機溶媒で希釈した前記トリチル基含有化合物、および必要に応じて有機溶媒で希釈した前記三塩化鉄を含む化合物を、同時に反応系内に入れて攪拌混合する方法が挙げられる。また、必要に応じて有機溶媒で希釈した一方を予め反応系内に入れておき、そこに必要に応じて有機溶媒で希釈した他方を添加しながら、撹拌混合する方法が挙げられる。
前記トリチル基含有化合物と前記三塩化鉄を含む化合物とは、特に制限されるものではないが、0℃以上60℃以下の温度(反応温度)で接触させることが好ましい。つまり、本発明においては、前記温度であっても、十分に脱トリチル化が進行する。前記トリチル基含有化合物の反応転化率を高め、副反応を少なくして収率を高めるためには、前記反応温度は、10〜40℃とすることがより好ましい。なお、有機溶媒中で反応を行う場合には、該反応温度は有機溶媒の温度を確認すればよい。
その他、本発明においては、両者を接触させる雰囲気は、特に制限されるものではあく、不活性ガス雰囲気下、乾燥ガス雰囲気下、空気中の何れであってもよい。操作性を考慮数すると、空気中であることが好ましい。さらに、減圧下、加圧下、大気圧下の何れであってよい。これも操作性を考慮すると、大会圧下であることが好ましい。
反応時間は、前記トリチル基含有化合物の転化率、脱トリチル化物の生成割合を確認して適宜決定すればよいが、通常であれば、0.5〜60時間であれば十分である。
(脱トリチル化物の取り出し、精製方法)
本発明においては、上記方法に従うことにより、前記トリチル基含有化合物から脱トリチル化物を得ることができる。得られた脱トリチル化物を反応系内から取り出すには、公知の方法を採用すればよい。例えば、有機溶媒を使用した場合には、該有機溶媒を留去してやればよい。
得られた脱トリチル化物は、公知の方法で精製することができる。例えば、再結晶、カラム分離、再沈等の方法により精製することができる。より一層、高純度の脱トリチル化物とするためには、カラム分離、再結晶等を繰り返し行うこともできる。
本発明により得られた脱トリチル化物は、副生物が少なく、収率も高いため、サルタン系原薬(中間体を含む)に好適に適用できる。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例1
下記式で示される脱トリチル化反応を行った。
Figure 2018203693
N−トリチルカンデサルタンシレキセチル(1.00g、1.2mmol;トリチル基含有化合物)の塩化メチレン(2mL)およびメタノール(4mL)の混合溶液中に、三塩化鉄(0.02g,0.12mmol)を23℃で加え48時間攪拌した。N−トリチルカンデサルタンシレキセチルの反応転化率は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により100%であった。得られた反応液を減圧濃縮後、濃縮残渣に、アセトン、水を加えて結晶化、濾過することによりカンデサルタンシレキセチルを得た(収量0.69g、収率96%)を結晶物として得た。
得られたカンデサルタンシレキセチルの分析値は以下の通りであった。
Mp162C。
IR:1753cm−1
H−NMR (CDCl):7.53〜7.63(m,2H),7.48〜7.53(m,1H),7.28〜7.35(m,1H),6.93〜7.05(m,2H),6.70〜6.72(m,2H),6.85〜6.92(m,2H),6.65〜6.70(m,1H),5.55〜5.70(m,2H),4.40〜4.45(m,2H),4.15〜4.30(m,1H),1.72〜1.85(m,2H),1.55〜1.68(m,2H),1.14〜1.49(m,12H)。
実施例2
N−トリチルカンデサルタンシレキセチル(1.00g、1.2mmol;トリチル基含有化合物)の塩化メチレン(10mL)の溶液中に、三塩化鉄(0.2g,1.2mmol)を23℃で加え、8時間攪拌した。反応転化率は、N−トリチルカンデサルタンシレキセチルの反応転化率はHPLC分析により100%であった。
比較例1(実施例1で塩化鉄(III)を加えず反応した例)
N−トリチルカンデサルタンシレキセチル(1.00g、1.2mmol;トリチル基含有化合物)の塩化メチレン(2mL)およびメタノール(4mL)の混合溶液を23℃で加え48時間攪拌した。脱トリチル反応は、HPLC分析により全く進行していないことが分かった。

Claims (7)

  1. 下記式(1)
    Figure 2018203693
    (式中、Rは有機基であり、Phはフェニル基である。)で示されるトリチル基含有化合物と三塩化鉄を含む化合物とを接触させることにより、
    下記式(2)
    Figure 2018203693
    (式中、
    Rは前記式(1)におけるものと同義である。)で示される脱トリチル化物を製造する方法。
  2. 前記トリチル基含有化合物1モルに対して、前記三塩化鉄を含む化合物を0.00001〜10モル使用することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記トリチル基含有化合物において、Rの有機基が、
    下記式(3a)
    Figure 2018203693
    (式中、nBuはn−ブチル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基、
    下記式(3b)
    Figure 2018203693
    (式中、nBuはn−ブチル基であり、Rは炭素数1〜7のアルキル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基、
    下記式(3c)
    Figure 2018203693
    (式中、nPrはn−プロピル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基、
    下記式(3d)
    Figure 2018203693
    (式中、nBuはn−ブチル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基、又は
    下記式(3e)
    Figure 2018203693
    (式中、Etはエチル基であり、波線部は前記式(1)におけるベンゼン環と結合することを指す。)で示される基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒、エーテル系溶媒、およびアルコール系溶媒からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶媒中で、前記トリチル基含有化合物と前記三塩化鉄を含む化合物とを接触させることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の方法。
  5. 前記有機溶媒が、炭素数1〜12のアルコール系溶媒を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記有機溶媒が、炭素数1〜12のアルコール系溶媒とハロゲン系溶媒とを含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  7. 前記トリチル基含有化合物と前記三塩化鉄を含む化合物とを、0℃以上60℃以下の温度で接触させることを特徴とする請求項1〜6に記載の方法。
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