JP2018203070A - 車両用空気調和装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放熱器や補助加熱装置への通風量が低下したことによって発生する不都合を効果的に解消若しくは抑制することができる車両用空気調和装置を提供する。【解決手段】車両用空気調和装置1は、ヒートポンプコントローラにより、圧縮機2から吐出された冷媒を放熱器4にて放熱させ、室内送風機27により流通される空気流通路3内の空気を放熱器4に通風することで、車室内を暖房可能とされている。ヒートポンプコントローラは、放熱器4への通風量を示す指標に基づき、当該放熱器4への通風量が所定の停止閾値以下に減少した場合、圧縮機2を停止する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の車室内を空調するヒートポンプ式の空気調和装置に関するものである。
近年の環境問題の顕在化から、ハイブリッド自動車や電気自動車が普及するに至っている。そして、このような車両に適用することができる空気調和装置として、冷媒を圧縮して冷媒回路内に吐出する圧縮機と、HVACユニットの空気流通路内に設けられて冷媒を放熱させる放熱器と、空気流通路内に設けられて冷媒を吸熱させる吸熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させる室外熱交換器と、空気流通路に空気を流通させる室内送風機を備え、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、この放熱器において放熱した冷媒を室外熱交換器において吸熱させる暖房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、放熱器において放熱した冷媒を吸熱器及び室外熱交換器において吸熱させる除湿暖房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる内部サイクルモードと、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器及び室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる除湿冷房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる冷房モードの各運転モードを切り換えて実行するものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献1ではHVACユニットの空気流通路内に補助ヒータ(補助加熱装置。特許文献1では熱媒体循環回路)が設けられ、この補助ヒータによっても、室内送風機により空気流通路内に流通される空気を加熱し、車室内の暖房補助を行うことができるように構成されていた。
特開2015−74274号公報
上記特許文献1に示されるように、この種の車両用空気調和装置ではHVACユニットの空気流通路内の放熱器や補助ヒータに室内送風機から吹き出された空気を通風し、それらと熱交換した空気を車室内に供給することで暖房を行う構成とされているため、放熱器や補助ヒータへの通風量が低下すると、放熱器や補助ヒータと空気との熱交換量が減少するため、圧縮機の吐出圧力(冷媒回路の高圧側の圧力)が上昇し、補助ヒータの温度も高くなる。
そこで、従来より圧縮機の吐出圧力を検出する圧力センサや補助ヒータの温度を検出する温度センサが設けられ、これらセンサが検出する吐出圧力や補助ヒータの温度が所定の制限閾値まで上昇した場合、圧縮機を制御するための目標回転数を低下させ、補助ヒータを制御する要求能力(補助ヒータの目標出力値)を低下させると共に、制限閾値より高い所定の保護閾値まで上昇した場合には、圧縮機を停止し、補助ヒータの発熱(通電)を停止する保護動作を行っていた。
しかしながら、搭乗者によるマニュアル操作や室内送風機の故障等によって放熱器や補助ヒータへの通風量が急激に減少し、或いは、停止した場合、吐出圧力や補助ヒータの温度が急激に上昇するため、制限閾値で圧縮機の目標回転数や補助ヒータの要求能力を低下させても間に合わず、吐出圧力や補助ヒータの温度が引き続き上昇し、保護閾値で圧縮機の運転や補助ヒータの発熱が停止した後も、保護閾値以上にオーバーシュートして異常に高くなる場合があった。
図11に係る従来の保護動作の様子を示している。尚、この図で通風量低下で示したポイントが放熱器や補助ヒータへの通風が停止した時点であり、指示値低下で示すのは圧縮機の目標回転数や補助ヒータの要求能力を下げ始めた時点である。また、保護停止で示すのは圧縮機の運転や補助ヒータの発熱が停止された時点であり、O.Sで示すのはオーバーシュートである。
このようなオーバーシュートが発生すると、圧縮機の吐出圧力が保護閾値以上に高くなるため、圧縮機等の冷媒回路の構成機器に損傷が発生する危険性がある。また、HVACユニットは通常硬質樹脂で成形されているため、補助ヒータの温度が保護閾値以上に高くなると、補助ヒータ近傍の空気流通路を構成するHVACユニットの壁面が熱で変形してしまう危険性もあった。
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、放熱器や補助加熱装置への通風量が低下したことによって発生する不都合を効果的に解消若しくは抑制することができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、空気流通路内の空気を放熱器に通風する割合を調整するためのエアミックスダンパと、空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、制御装置とを備え、この制御装置により、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、室内送風機により流通される空気流通路内の空気を放熱器に通風することで、車室内を暖房可能とされたものであって、制御装置は、放熱器への通風量を示す指標に基づき、当該放熱器への通風量が所定の停止閾値以下に減少した場合、圧縮機を停止することを特徴とする。
請求項2の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、放熱器への通風量が停止閾値より高い所定の開始閾値以上に増加した場合、圧縮機を運転可能とすることを特徴とする。
請求項3の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明においてエアミックスダンパを経て空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための補助加熱装置を備え、制御装置は、補助加熱装置を発熱させ、室内送風機により流通される空気流通路内の空気を補助加熱装置に通風することで車室内を暖房可能とされており、補助加熱装置への通風量を示す指標に基づき、当該補助加熱装置への通風量が停止閾値以下に減少した場合、補助加熱装置の発熱を停止することを特徴とする。
請求項4の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、補助加熱装置への通風量が停止閾値より高い所定の開始閾値以上に増加した場合、補助加熱装置を発熱可能とすることを特徴とする。
請求項5の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において放熱器への通風量を示す指標、又は、当該放熱器及び補助加熱装置への通風量を示す指標は、室内送風機の電圧であるブロア電圧BLV、空気流通路に流入した空気の体積風量Ga、エアミックスダンパによる風量割合SWのうちの何れか、又は、それらの組み合わせ、若しくは、それらの全てであることを特徴とする。
請求項6の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、空気流通路内の空気を放熱器に通風する割合を調整するためのエアミックスダンパと、空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、制御装置とを備え、この制御装置により、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、室内送風機により流通される空気流通路内の空気を放熱器に通風することで、車室内を暖房可能とされたものであって、制御装置は、室内送風機自体、若しくは、当該室内送風機の制御に関して故障が生じた場合、圧縮機を停止することを特徴とする。
請求項7の発明の車両用空気調和装置は、上記発明においてエアミックスダンパを経て空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための補助加熱装置を備え、制御装置は、補助加熱装置を発熱させ、室内送風機により流通される空気流通路内の空気を補助加熱装置に通風することで車室内を暖房可能とされており、室内送風機自体、若しくは、当該室内送風機の制御に関して故障が生じた場合、補助加熱装置の発熱を停止することを特徴とする。
請求項1の発明によれば、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、空気流通路内の空気を放熱器に通風する割合を調整するためのエアミックスダンパと、空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、制御装置とを備え、この制御装置により、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、室内送風機により流通される空気流通路内の空気を放熱器に通風することで、車室内を暖房可能とされた車両用空気調和装置において、制御装置が、放熱器への通風量を示す指標に基づき、当該放熱器への通風量が所定の停止閾値以下に減少した場合、圧縮機を停止するようにしたので、放熱器への通風量が減少したことによって発生する圧縮機の吐出圧力の上昇を抑制、若しくは、解消し、圧縮機他の構成機器に損傷が生じる不都合を未然に防止することができるようになる。
また、請求項2の発明によれば、上記発明に加えて制御装置が、放熱器への通風量が停止閾値より高い所定の開始閾値以上に増加した場合、圧縮機を運転可能とするようにしたので、放熱器への通風量が増加したことによって支障無く圧縮機の運転を再開することができるようになる。
また、請求項3の発明の如く、エアミックスダンパを経て空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための補助加熱装置を備え、この補助加熱装置を発熱させ、室内送風機により流通される空気流通路内の空気を補助加熱装置に通風することで車室内を暖房可能とされている場合、制御装置が補助加熱装置への通風量を示す指標に基づき、当該補助加熱装置への通風量が停止閾値以下に減少した場合、補助加熱装置の発熱を停止することで、補助加熱装置への通風量が減少したことによって発生する補助加熱装置の温度の上昇を抑制、若しくは、解消し、空気流通路を構成する壁面に変形が生じる等の不都合を未然に防止することができるようになる。
この場合も、請求項4の発明の如く制御装置が、補助加熱装置への通風量が停止閾値より高い所定の開始閾値以上に増加した場合、補助加熱装置を発熱可能とすることで、補助加熱装置への通風量が増加したことによって支障無く補助加熱装置の発熱を再開することができるようになる。
ここで、放熱器や補助加熱装置への通風量を示す指標としては、請求項5の発明の如き室内送風機の電圧であるブロア電圧BLV、空気流通路に流入した空気の体積風量Ga、エアミックスダンパによる風量割合SWのうちの何れか、又は、それらの組み合わせ、若しくは、それらの全てが採用可能である。
また、請求項6の発明によれば、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、空気流通路内の空気を放熱器に通風する割合を調整するためのエアミックスダンパと、空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、制御装置とを備え、この制御装置により、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、室内送風機により流通される空気流通路内の空気を放熱器に通風することで、車室内を暖房可能とされた車両用空気調和装置において、制御装置が、室内送風機自体、若しくは、当該室内送風機の制御に関して故障が生じた場合、圧縮機を停止するようにしたので、室内送風機自体の故障や室内送風機の制御に関する故障が生じて放熱器に通風されなくなったことによって発生する圧縮機の吐出圧力の上昇を抑制、若しくは、解消し、圧縮機他の構成機器に損傷が生じる不都合を未然に防止することができるようになる。
また、この場合も請求項7の発明の如くエアミックスダンパを経て空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための補助加熱装置を備え、補助加熱装置を発熱させ、室内送風機により流通される空気流通路内の空気を補助加熱装置に通風することで車室内を暖房可能とされているときは、制御装置が、室内送風機自体、若しくは、当該室内送風機の制御に関して故障が生じた場合、補助加熱装置の発熱を停止することで、補助加熱装置に通風されなくなったことによって発生する補助加熱装置の温度の上昇を抑制、若しくは、解消し、空気流通路を構成する壁面に変形が生じる等の不都合を未然に防止することができるようになる。
本発明を適用した一実施形態の車両用空気調和装置の構成図である(実施例1)。 図1の車両用空気調和装置の制御装置のブロック図である。 図1の車両用空気調和装置の空気流通路の模式図である。 図2のヒートポンプコントローラの暖房モードにおける圧縮機制御に関する制御ブロック図である。 図2のヒートポンプコントローラの除湿暖房モードにおける圧縮機制御に関する制御ブロック図である。 図2のヒートポンプコントローラの除湿暖房モードにおける補助ヒータ(補助加熱装置)制御に関する制御ブロック図である。 図2のヒートポンプコントローラによる圧縮機及び補助ヒータ停止制御を説明するフローチャートである。 図2のヒートポンプコントローラによる圧縮機及び補助ヒータ停止制御を実行する運転モードを説明する図である。 本発明の他の実施例の車両用空気調和装置の構成図である(実施例2)。 図9の車両用空気調和装置の場合のヒートポンプコントローラによる圧縮機及び補助ヒータ停止制御を実行する運転モードを説明する図である。 従来の放熱器の圧力及び補助ヒータの温度に基づく保護動作を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の車両用空気調和装置1の構成図を示している。本発明を適用する実施例の車両は、エンジン(内燃機関)が搭載されていない電気自動車(EV)であって、バッテリに充電された電力で走行用の電動モータを駆動して走行するものであり(何れも図示せず)、本発明の車両用空気調和装置1も、バッテリの電力で駆動されるものとする。即ち、実施例の車両用空気調和装置1は、エンジン廃熱による暖房ができない電気自動車において、冷媒回路を用いたヒートポンプ運転により暖房モードを行い、更に、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モード(最大冷房モード)及び補助ヒータ単独モードの各運転モードを選択的に実行するものである。
尚、車両として電気自動車に限らず、エンジンと走行用の電動モータを供用する所謂ハイブリッド自動車にも本発明は有効であり、更には、エンジンで走行する通常の自動車にも適用可能であることは云うまでもない。
実施例の車両用空気調和装置1は、電気自動車の車室内の空調(暖房、冷房、除湿、及び、換気)を行うものであり、冷媒を圧縮する電動式の圧縮機2と、車室内空気が通気循環される硬質樹脂製のHVACユニット10の空気流通路3内に設けられ、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒が冷媒配管13Gを介して流入し、この冷媒を放熱させて車室内に供給する空気を加熱するための放熱器4と、暖房時に冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室外膨張弁6(減圧装置)と、車室外に設けられて冷房時には放熱器として機能し、暖房時には蒸発器として機能すべく冷媒と外気との間で熱交換を行わせる室外熱交換器7と、冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室内膨張弁8(減圧装置)と、空気流通路3内に設けられ、冷房時及び除湿時に冷媒を吸熱させて車室内外から吸い込んで車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器9と、アキュムレータ12等が冷媒配管13により順次接続され、冷媒回路Rが構成されている。
そして、この冷媒回路Rには所定量の冷媒と潤滑用のオイルが充填されている。尚、室外熱交換器7には、室外送風機15が設けられている。この室外送風機15は、室外熱交換器7に外気を強制的に通風することにより、外気と冷媒とを熱交換させるものであり、これにより停車中(即ち、車速が0km/h)にも室外熱交換器7に外気が通風されるよう構成されている。
また、室外熱交換器7は冷媒下流側にレシーバドライヤ部14と過冷却部16を順次有し、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは冷房や除湿時に開放される開閉弁としての電磁弁17を介してレシーバドライヤ部14に接続され、過冷却部16の冷媒出口側の冷媒配管13Bは室内膨張弁8介して吸熱器9の冷媒入口側に接続されている。尚、レシーバドライヤ部14及び過冷却部16は構造的に室外熱交換器7の一部を構成している。
また、過冷却部16と室内膨張弁8間の冷媒配管13Bは、吸熱器9の冷媒出口側の冷媒配管13Cと熱交換関係に設けられ、両者で内部熱交換器19を構成している。これにより、冷媒配管13Bを経て室内膨張弁8に流入する冷媒は、吸熱器9を出た低温の冷媒により冷却(過冷却)される構成とされている。
また、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは冷媒配管13Dに分岐しており、この分岐した冷媒配管13Dは、暖房モードで開放される開閉弁としての電磁弁21を介して内部熱交換器19の下流側における冷媒配管13Cに連通接続されている。これにより、電磁弁21は室外熱交換器7の冷媒出口側に接続され、吸熱器9の冷媒出口側は電磁弁21の冷媒出口側に連通接続されたかたちとなる。そして、冷媒配管13Cがアキュムレータ12に接続され、アキュムレータ12は圧縮機2の冷媒吸込側に接続されている。更に、放熱器4の冷媒出口側の冷媒配管13Eは室外膨張弁6を介して室外熱交換器7の冷媒入口側に接続されている。
また、圧縮機2の冷媒吐出側と放熱器4の冷媒入口側の間の冷媒配管13Gには後述する除湿暖房とMAX冷房時に閉じられる開閉弁としての電磁弁30(流路切換装置を構成する)が介設されている。この場合、冷媒配管13Gは電磁弁30の上流側でバイパス配管35に分岐しており、このバイパス配管35は除湿暖房とMAX冷房時に開放される開閉弁としての電磁弁40(これも流路切換装置を構成する)を介して室外膨張弁6の冷媒出口側の冷媒配管13Eに連通接続されている。
即ち、バイパス配管35は圧縮機2の冷媒吐出側と室外膨張弁6の冷媒出口側(下流側)とを連通し、電磁弁30が閉じられ、電磁弁40が開放された状態では、圧縮機2から吐出された冷媒を放熱器4及び室外膨張弁6に流すこと無く、室外熱交換器7に直接流入させる。そして、これらバイパス配管35、電磁弁30及び電磁弁40によりバイパス装置45が構成される。
このようなバイパス配管35、電磁弁30及び電磁弁40によりバイパス装置45を構成したことで、後述する如く圧縮機2から吐出された冷媒を放熱器4及び室外膨張弁6に流すこと無く、室外熱交換器7に直接流入させる除湿暖房モードやMAX冷房モードと、圧縮機2から吐出された冷媒を放熱器4に流入させる暖房モードや除湿冷房モード、冷房モードとの切り換えを円滑に行うことができるようになる。
また、吸熱器9の空気上流側における空気流通路3には、外気吸込口と内気吸込口の各吸込口が形成されており(図1では吸込口25で代表して示す)、この吸込口25には空気流通路3内に導入する空気を車室内の空気である内気(内気循環モード)と、車室外の空気である外気(外気導入モード)とに切り換える吸込切換ダンパ26が設けられている。更に、この吸込切換ダンパ26の空気下流側には、導入した内気や外気(車室内に供給する空気)を空気流通路3に送給し、当該空気流通路3内に流通させて吸熱器9や後述する補助ヒータ23、放熱器4に通風するための室内送風機(ブロアファン)27が設けられている。
また、図1において23は実施例の車両用空気調和装置1に設けられた補助加熱装置としての補助ヒータである。実施例の補助ヒータ23は電気ヒータであるPTCヒータにて構成されており、空気流通路3の空気の流れに対して、放熱器4の風上側(空気上流側)となる空気流通路3内に設けられている。そして、補助ヒータ23に通電されて発熱すると、吸熱器9を経て放熱器4に流入する空気流通路3内の空気が加熱される。即ち、この補助ヒータ23が所謂ヒータコアとなり、車室内の暖房を行い、或いは、それを補完する。
ここで、HVACユニット10の吸熱器9より風下側(空気下流側)の空気流通路3は仕切壁10Aにより区画され、暖房用熱交換通路3Aとそれをバイパスするバイパス通路3Bとが形成されており、前述した放熱器4と補助ヒータ23は暖房用熱交換通路3Aに配置されている。
また、補助ヒータ23の風上側における空気流通路3内には、当該空気流通路3内に流入し、吸熱器9を通過した後の空気流通路3内の空気(内気や外気)を、補助ヒータ23及び放熱器4が配置された暖房用熱交換通路3Aに通風する割合を調整するエアミックスダンパ28が設けられている。即ち、補助ヒータ23及び放熱器4にはこのエアミックスダンパ28を経て車室内に供給される空気流通路3内の空気が通風される。
更に、放熱器4の風下側におけるHVACユニット10には、FOOT(フット)吹出口29A(第1の吹出口)、VENT(ベント)吹出口29B(FOOT吹出口29Aに対しては第2の吹出口、DEF吹出口29Cに対しては第1の吹出口)、DEF(デフ)吹出口29C(第2の吹出口)の各吹出口が形成されている。FOOT吹出口29Aは車室内の足下に空気を吹き出すための吹出口で、最も低い位置にある。また、VENT吹出口29Bは車室内の運転者の胸や顔付近に空気を吹き出すための吹出口で、FOOT吹出口29Aより上方にある。そして、DEF吹出口29Cは車両のフロントガラス内面に空気を吹き出すための吹出口で、他の吹出口29A、29Bよりも上方の最も高い位置にある。
そして、FOOT吹出口29A、VENT吹出口29B、及び、DEF吹出口29Cには、空気の吹き出し量を制御するFOOT吹出口ダンパ31A、VENT吹出口ダンパ31B、及び、DEF吹出口ダンパ31Cがそれぞれ設けられている。
次に、図2は実施例の車両用空気調和装置1の制御装置11のブロック図を示している。制御装置11は、何れもプロセッサを備えたコンピュータの一例であるマイクロコンピュータから構成された空調コントローラ20及びヒートポンプコントローラ32から構成されており、これらがCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)を構成する車両通信バス65に接続されている。また、圧縮機2と補助ヒータ23も車両通信バス65に接続され、これら空調コントローラ20、ヒートポンプコントローラ32、圧縮機2及び補助ヒータ23が車両通信バス65を介してデータの送受信を行うように構成されている。
空調コントローラ20は、車両の車室内空調の制御を司る上位のコントローラであり、この空調コントローラ20の入力には、車両の外気温度(Tam)を検出する外気温度センサ33と、外気湿度を検出する外気湿度センサ34と、吸込口25から空気流通路3に吸い込まれて吸熱器9に流入する空気の温度(吸込空気温度Tas)を検出するHVAC吸込温度センサ36と、車室内の空気(内気)の温度(室内温度Tin)を検出する内気温度センサ37と、車室内の空気の湿度を検出する内気湿度センサ38と、車室内の二酸化炭素濃度を検出する室内CO2濃度センサ39と、車室内に吹き出される空気の温度を検出する吹出温度センサ41と、圧縮機2の吐出冷媒圧力(吐出圧力Pd。冷媒回路Rの高圧側の圧力)を検出する吐出圧力センサ42と、車室内への日射量を検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ51と、車両の移動速度(車速)を検出するための車速センサ52の各出力と、室内温度の設定や車室内への空気の吹出量の設定、運転モードの切り換え等を行うための空調(エアコン)操作部53が接続されている。
また、空調コントローラ20の出力には、室外送風機15と、室内送風機27と、吸込切換ダンパ26と、エアミックスダンパ28と、各吹出口ダンパ31A〜31Cが接続され、それらは空調コントローラ20により制御される。
ヒートポンプコントローラ32は、主に冷媒回路Rの制御を司るコントローラであり、このヒートポンプコントローラ32の入力には、圧縮機2の吐出冷媒温度を検出する吐出温度センサ43と、圧縮機2の吸込冷媒圧力を検出する吸込圧力センサ44と、圧縮機2の吸込冷媒温度Tsを検出する吸込温度センサ55と、放熱器4の冷媒温度(放熱器温度TCI)を検出する放熱器温度センサ46と、放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI。これも冷媒回路Rの高圧側の圧力)を検出する放熱器圧力センサ47と、吸熱器9の冷媒温度(吸熱器温度Te)を検出する吸熱器温度センサ48と、吸熱器9の冷媒圧力を検出する吸熱器圧力センサ49と、補助ヒータ23の温度(補助ヒータ温度Tptc)を検出する補助ヒータ温度センサ50と、室外熱交換器7の出口の冷媒温度(室外熱交換器温度TXO)を検出する室外熱交換器温度センサ54と、室外熱交換器7の出口の冷媒圧力(室外熱交換器圧力PXO)を検出する室外熱交換器圧力センサ56の各出力が接続されている。
また、ヒートポンプコントローラ32の出力には、室外膨張弁6、室内膨張弁8と、電磁弁30(リヒート用)、電磁弁17(冷房用)、電磁弁21(暖房用)、電磁弁40(バイパス用)の各電磁弁が接続され、それらはヒートポンプコントローラ32により制御される。尚、圧縮機2と補助ヒータ23はそれぞれコントローラを内蔵しており、圧縮機2と補助ヒータ23のコントローラは車両通信バス65を介してヒートポンプコントローラ32とデータの送受信を行い、このヒートポンプコントローラ32によって制御される。
ヒートポンプコントローラ32と空調コントローラ20は車両通信バス65を介して相互にデータの送受信を行い、各センサの出力や空調操作部53にて入力された設定に基づき、各機器を制御するものであるが、この場合の実施例では外気温度センサ33、吐出圧力センサ42、車速センサ52、空気流通路3に流入した空気の体積風量Ga(空調コントローラ20が算出)、エアミックスダンパ28による風量割合SW(空調コントローラ20が算出)、室内送風機27のブロア電圧BLV他の稼働状況や室内送風機27自体の故障を含む室内送風機27の稼働情報(ブロア情報)、空調操作部53の出力は空調コントローラ20から車両通信バス65を介してヒートポンプコントローラ32に送信され、ヒートポンプコントローラ32による制御に供される構成とされている。
以上の構成で、次に実施例の車両用空気調和装置1の動作を説明する。この実施例では制御装置11(空調コントローラ20、ヒートポンプコントローラ32)は、暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モード(最大冷房モード)及び補助ヒータ単独モードの各運転モードを切り換えて実行する。先ず、各運転モードにおける冷媒の流れと制御の概略について説明する。
(1)暖房モード
ヒートポンプコントローラ32により(オートモード)或いは空調操作部53へのマニュアル操作(マニュアルモード)により暖房モードが選択されると、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁21(暖房用)を開放し、電磁弁17(冷房用)を閉じる。また、電磁弁30(リヒート用)を開放し、電磁弁40(バイパス用)を閉じる。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量を調整してもよい。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は電磁弁30を経て冷媒配管13Gから放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒(補助ヒータ23が動作するときは当該補助ヒータ23及び放熱器4)により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
放熱器4内で液化した冷媒は当該放熱器4を出た後、冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる。即ち、冷媒回路Rがヒートポンプとなる。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13A及び電磁弁21及び冷媒配管13Dを経て冷媒配管13Cからアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。放熱器4(補助ヒータ23が動作するときは当該補助ヒータ23及び放熱器4)にて加熱された空気は各吹出口29A〜29Cから吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は、空調コントローラ20が目標吹出温度TAOから算出する目標ヒータ温度TCO(放熱器温度TCIの目標値)から目標放熱器圧力PCO(放熱器圧力PCIの目標値)を算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御し、放熱器4による加熱を制御する。また、ヒートポンプコントローラ32は、放熱器温度センサ46が検出する放熱器4の冷媒温度(放熱器温度TCI)及び放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の出口における冷媒の過冷却度SCを制御する。
また、ヒートポンプコントローラ32はこの暖房モードにおいては、車室内空調に要求される暖房能力に対して放熱器4による暖房能力が不足する場合、その不足する分を補助ヒータ23の発熱で補完するように補助ヒータ23の通電を制御する。即ち、要求される暖房能力と放熱器4による暖房能力の差(不足分)を補助ヒータ23の補助ヒータ要求能力TGQPTCとし、この補助ヒータ要求能力TGQPTCに基づいて補助ヒータ23の通電(発熱)を制御する。それにより、快適な車室内暖房を実現し、且つ、室外熱交換器7の着霜も抑制する。このとき、補助ヒータ23は放熱器4の空気上流側に配置されているので、空気流通路3を流通する空気は放熱器4の前に補助ヒータ23に通風されることになる。
ここで、補助ヒータ23が放熱器4の空気下流側に配置されていると、実施例の如くPTCヒータで補助ヒータ23を構成した場合には、補助ヒータ23に流入する空気の温度が放熱器4によって上昇するため、PTCヒータの抵抗値が大きくなり、電流値も低くなって発熱量が低下してしまうが、放熱器4の空気上流側に補助ヒータ23を配置することで、実施例の如くPTCヒータから構成される補助ヒータ23の能力を十分に発揮させることができるようになる。
(2)除湿暖房モード
次に、除湿暖房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を閉じ、電磁弁40を開放すると共に、室外膨張弁6の弁開度は全閉とする。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
これにより、圧縮機2から冷媒配管13Gに吐出された高温高圧のガス冷媒は、放熱器4に向かうこと無くバイパス配管35に流入し、電磁弁40を経て室外膨張弁6の下流側の冷媒配管13Eに至るようになる。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、冷媒は放熱器4及び室外膨張弁6に流れること無く、室外熱交換器7に直接流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気は冷却され、且つ、当該空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気流通路3内の空気は冷却され、且つ、除湿される。吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
このとき、室外膨張弁6の弁開度は全閉とされているので、圧縮機2から吐出された冷媒が室外膨張弁6から放熱器4に逆流入する不都合を抑制若しくは防止することが可能となる。これにより、冷媒循環量の低下を抑制若しくは解消して空調能力を確保することができるようになる。更に、この除湿暖房モードにおいてヒートポンプコントローラ32は、補助ヒータ23に通電して発熱させる。これにより、吸熱器9にて冷却され、且つ、除湿された空気は補助ヒータ23を通過する過程で更に加熱され、温度が上昇するので車室内の除湿暖房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)と、空調コントローラ20が算出する吸熱器温度Teの目標値である目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御すると共に、補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Tptcと前述した目標ヒータ温度TCO(この場合、補助ヒータ温度Tptcの目標値となる)に基づいて補助ヒータ23の通電(発熱による加熱)を制御することで、吸熱器9での空気の冷却と除湿を適切に行いながら、補助ヒータ23による加熱で各吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出される空気温度の低下を的確に防止する。これにより、車室内に吹き出される空気を除湿しながら、その温度を適切な暖房温度に制御することが可能となり、車室内の快適且つ効率的な除湿暖房を実現することができるようになる。
尚、補助ヒータ23は放熱器4の空気上流側に配置されているので、補助ヒータ23で加熱された空気は放熱器4を通過することになるが、この除湿暖房モードでは放熱器4に冷媒は流されないので、補助ヒータ23にて加熱された空気から放熱器4が吸熱してしまう不都合も解消される。即ち、放熱器4によって車室内に吹き出される空気の温度が低下してしまうことが抑制され、COPも向上することになる。
(3)除湿冷房モード
次に、除湿冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を開放し、電磁弁40を閉じる。そして、圧縮機2を運転し、補助ヒータ23には通電しない。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は電磁弁30を経て冷媒配管13Gから放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化していく。
放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至り、開き気味で制御される室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。この除湿冷房モードではヒートポンプコントローラ32は補助ヒータ23に通電しないので、吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱(リヒート。暖房時よりも放熱能力は低い)される。これにより車室内の除湿冷房が行われることになる。
ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値である目標吸熱器温度TEO(空調コントローラ20から送信される)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。また、ヒートポンプコントローラ32は前述した目標ヒータ温度TCOから目標放熱器圧力PCOを算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI)に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4による加熱を制御する。
(4)冷房モード
次に、冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は上記除湿冷房モードの状態において室外膨張弁6の弁開度を全開とする。そして、圧縮機2を運転し、補助ヒータ23には通電しない。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の空気が、暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は電磁弁30を経て冷媒配管13Gから放熱器4に流入する(再加熱に使用される)と共に、放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。このとき室外膨張弁6は全開とされているので冷媒はそれを通過し、そのまま室外熱交換器7に流入し、そこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮液化する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気は冷却される。また、空気中の水分は吸熱器9に凝結して付着する。
吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気が各吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出されるので(一部は放熱器4を通過して熱交換する)、これにより車室内の冷房が行われることになる。また、この冷房モードにおいては、ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値である前述した目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
(5)MAX冷房モード(最大冷房モード)
次に、最大冷房モードとしてのMAX冷房モードでは、ヒートポンプコントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21を閉じる。また、電磁弁30を閉じ、電磁弁40を開放すると共に、室外膨張弁6の弁開度は全閉とする。そして、圧縮機2を運転し、補助ヒータ23には通電しない。空調コントローラ20は、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の空気が、暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風される割合を調整する状態とする。
これにより、圧縮機2から冷媒配管13Gに吐出された高温高圧のガス冷媒は、放熱器4に向かうこと無くバイパス配管35に流入し、電磁弁40を経て室外膨張弁6の下流側の冷媒配管13Eに至るようになる。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、冷媒は放熱器4及び室外膨張弁6に流れること無く、室外熱交換器7に直接流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気は冷却される。また、空気中の水分は吸熱器9に凝結して付着するので、空気流通路3内の空気は除湿される。吸熱器9で蒸発した冷媒は内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。このとき、室外膨張弁6は全閉とされているので、同様に圧縮機2から吐出された冷媒が室外膨張弁6から放熱器4に逆流入する不都合を抑制若しくは防止することが可能となる。これにより、冷媒循環量の低下を抑制若しくは解消して空調能力を確保することができるようになる。
ここで、前述した冷房モードでは放熱器4に高温の冷媒が流れているため、放熱器4からHVACユニット10への直接の熱伝導が少なからず生じるが、このMAX冷房モードでは放熱器4に冷媒が流れないため、放熱器4からHVACユニット10に伝達される熱で吸熱器9からの空気流通路3内の空気が加熱されることも無くなる。そのため、車室内の強力な冷房が行われ、特に外気温度Tamが高いような環境下では、迅速に車室内を冷房して快適な車室内空調を実現することができるようになる。また、このMAX冷房モードにおいても、ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)とその目標値である前述した目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
(6)補助ヒータ単独モード
尚、実施例の制御装置11は室外熱交換器7に過着霜が生じた場合などに、冷媒回路Rの圧縮機2と室外送風機15を停止し、補助ヒータ23に通電してこの補助ヒータ23のみで車室内を暖房する補助ヒータ単独モードを有している。この場合にも、ヒートポンプコントローラ32は補助ヒータ温度センサ50が検出する補助ヒータ温度Tptcと前述した目標ヒータ温度TCOに基づいて補助ヒータ23の通電(発熱)を制御する。
また、空調コントローラ20は室内送風機27を運転し、エアミックスダンパ28は、室内送風機27から吹き出された空気流通路3内の空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23に通風し、風量を調整する状態とする。補助ヒータ23にて加熱された空気が各吹出口29A〜29Cから車室内に吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
(7)運転モードの切換
空調コントローラ20は、下記式(I)から前述した目標吹出温度TAOを算出する。この目標吹出温度TAOは、車室内に吹き出される空気の温度の目標値である。
TAO=(Tset−Tin)×K+Tbal(f(Tset、SUN、Tam))
・・(I)
ここで、Tsetは空調操作部53で設定された車室内の設定温度、Tinは内気温度センサ37が検出する室内温度、Kは係数、Tbalは設定温度Tsetや、日射センサ51が検出する日射量SUN、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamから算出されるバランス値である。そして、一般的に、この目標吹出温度TAOは外気温度Tamが低い程高く、外気温度Tamが上昇するに伴って低下する。
ヒートポンプコントローラ32は、起動時には空調コントローラ20から車両通信バス65を介して送信される外気温度Tam(外気温度センサ33が検出する)と目標吹出温度TAOとに基づいて上記各運転モードのうちの何れかの運転モードを選択すると共に、各運転モードを車両通信バス65を介して空調コントローラ20に送信する。
また、ヒートポンプコントローラ32は、起動後は外気温度Tam、車室内の湿度、目標吹出温度TAO、後述する加熱温度TH(放熱器4の風下側の空気の温度。推定値)、目標ヒータ温度TCO、吸熱器温度Te、目標吸熱器温度TEO、車室内の除湿要求の有無、等のパラメータに基づいて各運転モードの切り換えを行うことで、環境条件や除湿の要否に応じて的確に暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モード及び補助ヒータ単独モードを切り換えて車室内に吹き出される空気の温度を目標吹出温度TAOに制御し、快適且つ効率的な車室内空調を実現する。
(8)ヒートポンプコントローラ32による暖房モードでの圧縮機2の制御
次に、図4を用いて前述した暖房モードにおける圧縮機2の制御について詳述する。図4は暖房モード用の圧縮機2の目標回転数(圧縮機目標回転数)TGNChを決定するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である。ヒートポンプコントローラ32のF/F(フィードフォワード)操作量演算部58は外気温度センサ33から得られる外気温度Tamと、室内送風機27のブロア電圧BLVと、SW=(TAO−Te)/(TH−Te)で得られるエアミックスダンパ28による風量割合SWと、放熱器4の出口における過冷却度SCの目標値である目標過冷却度TGSCと、放熱器4の温度の目標値である前述した目標ヒータ温度TCO(空調コントローラ20から送信される)と、放熱器4の圧力の目標値である目標放熱器圧力PCOに基づいて圧縮機目標回転数のF/F操作量TGNChffを演算する。
ここで、風量割合SWを算出する上記THは、放熱器4の風下側の空気の温度(以下、加熱温度と云う)であり、ヒートポンプコントローラ32が下記に示す一次遅れ演算の式(II)から推定する。
TH=(INTL×TH0+Tau×THz)/(Tau+INTL) ・・(II)
ここで、INTLは演算周期(定数)、Tauは一次遅れの時定数、TH0は一次遅れ演算前の定常状態における加熱温度THの定常値、THzは加熱温度THの前回値である。このように加熱温度THを推定することで、格別な温度センサを設ける必要がなくなる。
尚、ヒートポンプコントローラ32は前述した運転モードによって上記時定数Tau及び定常値TH0を変更することにより、上述した推定式(II)を運転モードによって異なるものとし、加熱温度THを推定する。そして、この加熱温度THは車両通信バス65を介して空調コントローラ20に送信される。
前記目標放熱器圧力PCOは上記目標過冷却度TGSCと目標ヒータ温度TCOに基づいて目標値演算部59が演算する。更に、F/B(フィードバック)操作量演算部60はこの目標放熱器圧力PCOと放熱器4の冷媒圧力である放熱器圧力PCIに基づいて圧縮機目標回転数のF/B操作量TGNChfbを演算する。そして、F/F操作量演算部58が演算したF/F操作量TGNCnffとF/B操作量演算部60が演算したTGNChfbは加算器61で加算され、リミット設定部62で制御上限値と制御下限値のリミットが付けられた後、圧縮機目標回転数TGNChとして決定される。前記暖房モードにおいては、ヒートポンプコントローラ32はこの圧縮機目標回転数TGNChに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。
(9)ヒートポンプコントローラ32による除湿暖房モードでの圧縮機2及び補助ヒータ23の制御
一方、図5は前記除湿暖房モード用の圧縮機2の目標回転数(圧縮機目標回転数)TGNCcを決定するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である。ヒートポンプコントローラ32のF/F操作量演算部63は外気温度Tamと、空気流通路3に流入した空気の体積風量Gaと、放熱器4の圧力(放熱器圧力PCI)の目標値である目標放熱器圧力PCOと、吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)の目標値である目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機目標回転数のF/F操作量TGNCcffを演算する。
また、F/B操作量演算部64は目標吸熱器温度TEO(空調コントローラ20から送信される)と吸熱器温度Teに基づいて圧縮機目標回転数のF/B操作量TGNCcfbを演算する。そして、F/F操作量演算部63が演算したF/F操作量TGNCcffとF/B操作量演算部64が演算したF/B操作量TGNCcfbは加算器66で加算され、リミット設定部67で制御上限値と制御下限値のリミットが付けられた後、圧縮機目標回転数TGNCcとして決定される。除湿暖房モードにおいては、ヒートポンプコントローラ32はこの圧縮機目標回転数TGNCcに基づいて圧縮機2の回転数NCを制御する。尚、前述した除湿冷房モード、冷房モード、MAX冷房モードでの圧縮機2の制御も基本的にこの図5と同様に行われる。
また、図6は除湿暖房モードにおける補助ヒータ23の補助ヒータ要求能力TGQPTCを決定するヒートポンプコントローラ32の制御ブロック図である。ヒートポンプコントローラ32の減算器73には目標ヒータ温度TCOと補助ヒータ温度Tptcが入力され、目標ヒータ温度TCOと補助ヒータ温度Tptcの偏差(TCO−Tptc)が算出される。この偏差(TCO−Tptc)はF/B制御部74に入力され、このF/B制御部74は偏差(TCO−Tptc)を無くして補助ヒータ温度Tptcが目標ヒータ温度TCOとなるように補助ヒータ要求能力F/B操作量を演算する。
このF/B制御部74で算出された補助ヒータ要求能力F/B操作量はリミット設定部76で制御上限値と制御下限値のリミットが付けられた後、補助ヒータ要求能力TGQPTCとして決定される。除湿暖房モードにおいては、コントローラ32はこの補助ヒータ要求能力TGQPTCに基づいて補助ヒータ23の通電を制御することにより、補助ヒータ温度Tptcが目標ヒータ温度TCOとなるように補助ヒータ23の発熱(加熱)を制御する。
このようにしてヒートポンプコントローラ32は、除湿暖房モードでは吸熱器温度Teと目標吸熱器温度TEOに基づいて圧縮機の運転を制御すると共に、目標ヒータ温度TCOに基づいて補助ヒータ23の発熱を制御することで、除湿暖房モードにおける吸熱器9による冷却と除湿、並びに、補助ヒータ23による加熱を的確に制御する。これにより、車室内に吹き出される空気をより適切に除湿しながら、その温度をより正確な暖房温度に制御することが可能となり、より一層快適且つ効率的な車室内の除湿暖房を実現することができるようになる。
(10)エアミックスダンパ28の制御
次に、図3を参照しながら空調コントローラ20によるエアミックスダンパ28の制御について説明する。図3においてGaは前述した空気流通路3に流入した空気の体積風量、Teは吸熱器温度、THは前述した加熱温度(放熱器4の風下側の空気の温度)である。
空調コントローラ20は、前述した如き式(下記式(III))により算出される暖房用熱交換通路3Aの放熱器4と補助ヒータ23に通風する風量割合SWに基づき、当該割合の風量となるようにエアミックスダンパ28を制御することで補助ヒータ23及び放熱器4への通風量を調整する。
SW=(TAO−Te)/(TH−Te) ・・(III)
即ち、暖房用熱交換通路3Aの放熱器4と補助ヒータ23に通風する風量割合SWは0≦SW≦1の範囲で変化し、「0」で暖房用熱交換通路3Aへの通風をせず、空気流通路3内の全ての空気をバイパス通路3Bに通風するエアミックス全閉状態、「1」で空気流通路3内の全ての空気を暖房用熱交換通路3Aに通風するエアミックス全開状態となる。即ち、補助ヒータ23及び放熱器4への風量はGa×SWとなる。
(11)放熱器4及び補助ヒータ23への通風量減少時等の停止制御
次に、図7及び図8を参照しながら、放熱器4及び補助ヒータ23への通風量の減少等に伴う圧縮機2及び補助ヒータ23の停止制御の一例について説明する。前述した如く、放熱器4及び補助ヒータ23への通風量が低下すると、放熱器4や補助ヒータ23と空気との熱交換量が減少するため、放熱器4で冷媒を放熱させる例えば暖房モードでは圧縮機2の吐出圧力Pd(冷媒回路Rの高圧側の圧力)が上昇し、補助ヒータ23を発熱させる例えば除湿暖房モードでは補助ヒータ23の温度(補助ヒータ温度Tptc)が高くなる。
特に、例えば搭乗者が空調操作部53をマニュアル操作して車室内への空気の吹出量を急激に下げた場合や室内送風機27を停止させた場合、放熱器4や補助ヒータ23への通風量が急激に減少し、或いは、停止するため、例えば暖房モードでは圧縮機2の吐出圧力Pd(高圧側の圧力)が異常に上昇し、圧縮機2等に損傷を来すと共に、例えば除湿暖房モードでは補助ヒータ温度Tptcが異常に上昇してHVACユニット10の空気流通路3を構成する壁面が変形してしまう危険性がある(前述したオーバーシュート)。
また、室内送風機27がロックした等、室内送風機27自体が故障した場合も同様の問題が発生すると共に、空調コントローラ20とヒートポンプコントローラ32間の通信が異常となって前述した室内送風機27の稼働情報(ブロア電圧BLV他の稼働状況、室内送風機27自体の故障に関する情報)が得られなくなった場合(途絶)も、室内送風機27の制御に関して故障が生じることになるため、同様の問題が生じる。
そこで、実施例では以下に説明する如く、放熱器4や補助ヒータ23への通風量を示す指標に基づき、それらへの通風量が減少した場合、また、室内送風機27自体の故障や室内送風機27の制御に関する故障が生じた場合に、圧縮機2の運転を停止し、補助ヒータ23の発熱を停止する制御を実行する。
(11−1)放熱器4及び補助ヒータ23への通風量減少による停止制御
この場合、放熱器4や補助ヒータ23への通風量を示す指標としては、実施例では前述した室内送風機27のブロア電圧BLV、空気流通路3に流入した空気の体積風量Ga、エアミックスダンパ28による風量割合SWが採用される。即ち、ブロア電圧BLVが低下した場合や、体積風量Gaが低下(減少)した場合、放熱器4や補助ヒータ23への通風量が減少する。また、エアミックスダンパ28が閉じる方向に制御され、風量割合SWが「0」(エアミックス全閉)になり、又は、「0」に近づいた場合も、放熱器4や補助ヒータ23への通風量が減少するからである。尚、これらの他にも、車速や吸込切換ダンパ26の情報も採用可能と考えられる。
ヒートポンプコントローラ32は、放熱器4や補助ヒータ23への通風量の最大値(100%)に対して極めて少ない通風量、例えば20%〜30%の通風量を停止閾値として設定し、更に、この停止閾値よりも所定値高い通風量を開始閾値として設定する。通風量がこれら停止閾値と開始閾値となるブロア電圧BLV、体積風量Ga、風量割合SWを予め実験によりそれぞれ求めておき、それぞれに停止所定値、開始所定値(ブロア電圧BLVの場合は所定の停止電圧、開始電圧、体積風量Gaの場合は所定の停止風量、開始風量、風量割合SWの場合は所定の停止割合、開始割合)を設定しておく。
そして、例えば暖房モードにおいて、空調コントローラ20から送信されるブロア電圧BLV、又は、体積風量Ga、若しくは、風量割合SWの値のうちの何れかが、それぞれの上記停止所定値以下に低下した場合、放熱器4及び補助ヒータ23への通風量が前記停止閾値以下に減少したものと判断し、圧縮機2の圧縮機目標回転数TGNChを零として圧縮機2を停止し、補助ヒータ23を発熱させている場合には、補助ヒータ23の補助ヒータ要求能力TGQPTCを零として補助ヒータ23を非通電とし、その発熱を停止する(補助ヒータ23停止)。
この様子が図7に示されている。上述したブロア電圧BLV、又は、体積風量Ga、若しくは、風量割合SWから判断される放熱器4及び補助ヒートポンプ23への通風量が低下して前記停止閾値以下に減少した場合、圧縮機目標回転数TGNCh及び補助ヒータ要求能力TGQPTCが零とされ、圧縮機2の運転が停止され、補助ヒータ23の発熱も停止される。係る停止により、圧縮機2の吐出圧力Pdの上昇が早期に抑制され、前述した制限閾値よりは高くなるものの、前述した保護閾値までは上昇しない。また、補助ヒータ温度Tptcの上昇も同様に早期に抑制され、前述した制限閾値よりは高くなるものの、前述した保護閾値までは上昇しないことが分かる。
その後、放熱器4及び補助ヒートポンプ23への通風量が上昇して前記開始閾値以上に増加した場合、ヒートポンプコントローラ32は圧縮機2の再稼働を許可して運転可能とし、補助ヒータ23も再稼働を許可して発熱(通電)可能とする(図7)。
(11−2)室内送風機27に関する故障による停止制御
また、ヒートポンプコントローラ32は、空調コントローラ20から送信される室内送風機27の稼働情報中に室内送風機27自体の故障が含まれている場合、又は、通信異常で室内送風機27の稼働情報自体を取得できず、室内送風機27の制御に関する故障が生じた場合も、圧縮機2の圧縮機目標回転数TGNChを零として圧縮機2を停止し、補助ヒータ23を発熱させている場合には、補助ヒータ23の補助ヒータ要求能力TGQPTCを零として補助ヒータ23を非通電とし、その発熱を停止する(補助ヒータ23停止)。これにより、図7の場合と同様に圧縮機2の吐出圧力Pdと補助ヒータ温度Tptcの上昇が早期に抑制されることになる。但し、この場合の圧縮機2や補助ヒータ23の再稼働の許可は、室内送風機27の故障や稼働情報の通信が回復したことが条件となる。
(11−3)運転モード別の実施状況
次に、図8は係る通風量の減少や室内送風機27の故障時等の圧縮機2や補助ヒータ23の停止制御を実施する運転モードについて示している。暖房モードでは放熱器4による暖房と補助ヒータ23による補助暖房が行われるため、ブロア電圧BLV、体積風量Ga、風量割合SWに基づいて判断される通風量が前記停止閾値以下に低下したこと、及び、室内送風機27の故障(上記室内送風機27自体の故障、制御に関する故障)で圧縮機2及び補助ヒータ23が停止される。
また、この実施例の除湿暖房モードでは、放熱器4に冷媒は流れず、室外熱交換器7で冷媒が放熱するため、ブロア電圧BLV、体積風量Ga、風量割合SWに基づいて判断される通風量が前記停止閾値以下に低下したことによる圧縮機2の停止は行われず、補助ヒータ23が停止され、室内送風機27の故障(上記室内送風機27自体の故障、制御に関する故障)で圧縮機2及び補助ヒータ23が停止される。
また、除湿冷房モード、冷房モード、及び、この実施例のMAX冷房モードでは、補助ヒータ23は稼働(発熱)されないため、補助ヒータ23については該当しない。また、除湿冷房モード及び冷房モードでは放熱器4では再加熱が行われるのみであり、MAX冷房モードでは放熱器4に冷媒は流れない。そして、冷媒は室外熱交換器7で放熱するため、ブロア電圧BLV、体積風量Ga、風量割合SWに基づいて判断される通風量が前記停止閾値以下に低下したことによる圧縮機2の停止は行われず、室内送風機27の故障(上記室内送風機27自体の故障、制御に関する故障)で圧縮機2が停止される。
また、補助ヒータ単独モードでは、圧縮機2は運転されないため、圧縮機2については該当しない。従って、ブロア電圧BLV、体積風量Ga、風量割合SWに基づいて判断される通風量が前記停止閾値以下に低下したこと、及び、室内送風機27の故障(上記室内送風機27自体の故障、制御に関する故障)で補助ヒータ23が停止されることになる。
以上の如く、制御装置11のヒートポンプコントローラ32が、放熱器4への通風量を示す指標に基づき、当該放熱器4への通風量が所定の停止閾値以下に減少した場合、圧縮機2を停止するようにしたので、放熱器4への通風量が減少したことによって発生する圧縮機2の吐出圧力Pdの上昇を抑制、若しくは、解消し、圧縮機2他の構成機器に損傷が生じる不都合を未然に防止することができるようになる。
また、ヒートポンプコントローラ32は、放熱器4への通風量が停止閾値より高い所定の開始閾値以上に増加した場合、圧縮機2を運転可能とするようにしたので、放熱器4への通風量が増加したことによって支障無く圧縮機2の運転を再開することができるようになる。
また、実施例の如くエアミックスダンパ28を経て空気流通路3から車室内に供給する空気を加熱するための補助ヒータ23が設けられ、この補助ヒータ23を発熱させ、室内送風機27により流通される空気流通路3内の空気を補助ヒータ23に通風することで車室内を暖房可能とされている場合、ヒートポンプコントローラ32は補助ヒータ23への通風量を示す指標に基づき、当該補助ヒータ23への通風量が停止閾値以下に減少した場合、補助ヒータ23の発熱を停止するようにしたので、補助ヒータ23への通風量が減少したことによって発生する補助ヒータ23の温度の上昇を抑制、若しくは、解消し、空気流通路3を構成するHVACユニット10の壁面に変形が生じる等の不都合を未然に防止することができるようになる。
この場合も、ヒートポンプコントローラ32は、補助ヒータ23への通風量が停止閾値より高い所定の開始閾値以上に増加した場合、補助ヒータ23を発熱可能とするので、補助ヒータ23への通風量が増加したことによって支障無く補助ヒータ23の発熱を再開することができるようになる。
ここで、放熱器4や補助ヒータ23への通風量を示す指標として、実施例では室内送風機27の電圧であるブロア電圧BLV、空気流通路3に流入した空気の体積風量Ga、エアミックスダンパ28による風量割合SWを採用しているが、これらの他にも、車速や吸込切換ダンパ26の内外気情報も採用可能と考えられる。
また、ヒートポンプコントローラ32は、室内送風機27自体、又は、室内送風機27の制御に関して故障が生じた場合にも圧縮機2を停止するので、室内送風機27自体の故障や室内送風機27の制御に関する故障が生じて放熱器4に通風されなくなったことによって発生する圧縮機2の吐出圧力Pdの上昇を抑制、若しくは、解消し、圧縮機2他の構成機器に損傷が生じる不都合を未然に防止することができるようになる。
また、同様に実施例の如く補助ヒータ23が設けられている場合、ヒートポンプ23は、室内送風機27自体、又は、室内送風機27の制御に関して故障が生じた場合、補助ヒータ23の発熱を停止するようにしているので、補助ヒータ23に通風されなくなったことによって発生する補助ヒータ23の温度の上昇を抑制、若しくは、解消し、空気流通路3を構成するHVACユニット10の壁面に変形が生じる等の不都合を未然に防止することができるようになる。
次に、図9は本発明を適用した他の実施例の車両用空気調和装置1の構成図を示している。尚、この図において図1と同一符号で示すものは同一若しくは同様の機能を奏するものである。この実施例の場合、過冷却部16の出口は逆止弁18に接続され、この逆止弁18の出口が冷媒配管13Bに接続されている。尚、逆止弁18は冷媒配管13B(室内膨張弁8)側が順方向とされている。
また、放熱器4の冷媒出口側の冷媒配管13Eは室外膨張弁6の手前で分岐しており、この分岐した冷媒配管(以下、第2のバイパス配管と称する)13Fは電磁弁22(除湿用の開閉弁)を介して逆止弁18の下流側の冷媒配管13Bに連通接続されている。更に、吸熱器9の冷媒出口側の冷媒配管13Cには、内部熱交換器19の冷媒下流側であって、冷媒配管13Dとの合流点より冷媒上流側に蒸発圧力調整弁70が接続されている。そして、これら電磁弁22や蒸発圧力調整弁70もヒートポンプコントローラ32の出力に接続されている。尚、前述の実施例の図1中のバイパス配管35、電磁弁30及び電磁弁40から成るバイパス装置45は設けられていない。その他は図1と同様であるので説明を省略する。
以上の構成で、この実施例の車両用空気調和装置1の動作を説明する。ヒートポンプコントローラ32はこの実施例では、暖房モード、除湿暖房モード、内部サイクルモード、除湿冷房モード、冷房モード及び補助ヒータ単独モードの各運転モードを切り換えて実行する(MAX冷房モードはこの実施例では存在しない)。尚、暖房モード、除湿冷房モード及び冷房モードが選択されたときの動作及び冷媒の流れと、補助ヒータ単独モードは前述の実施例(実施例1)の場合と同様であるので説明を省略する。但し、この実施例(実施例2)ではこれら暖房モード、除湿冷房モード及び冷房モードにおいては電磁弁22を閉じるものとする。
(12)図9の車両用空気調和装置1の除湿暖房モード
他方、除湿暖房モードが選択された場合、この実施例(実施例2)ではヒートポンプコントローラ32は電磁弁21(暖房用)を開放し、電磁弁17(冷房用)を閉じる。また、電磁弁22(除湿用)を開放する。そして、圧縮機2を運転する。空調コントローラ20は各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は、基本的には室内送風機27から吹き出されて吸熱器9を経た空気流通路3内の全て空気を暖房用熱交換通路3Aの補助ヒータ23及び放熱器4に通風する状態とするが、風量の調整も行う。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は冷媒配管13Gから放熱器4に流入する。放熱器4には暖房用熱交換通路3Aに流入した空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
放熱器4内で液化した冷媒は当該放熱器4を出た後、冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる。即ち、冷媒回路Rがヒートポンプとなる。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13A、電磁弁21及び冷媒配管13Dを経て冷媒配管13Cからアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。
また、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒の一部は分流され、電磁弁22を経て第2のバイパス配管13F及び冷媒配管13Bより内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至るようになる。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は、内部熱交換器19、蒸発圧力調整弁70を順次経て冷媒配管13Cにて冷媒配管13Dからの冷媒と合流した後、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱されるので、これにより車室内の除湿暖房が行われることになる。
空調コントローラ20は、目標吹出温度TAOから算出される目標ヒータ温度TCO(放熱器出口温度TCIの目標値)をヒートポンプコントローラ32に送信する。ヒートポンプコントローラ32は、この目標ヒータ温度TCOから目標放熱器圧力PCO(放熱器圧力PCIの目標値)を算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI。冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御し、放熱器4による加熱を制御する。また、暖房モードのときと同様に補助ヒータ23による補助暖房も行う。更に、ヒートポンプコントローラ32は、吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度Teと、空調コントローラ20から送信された目標吸熱器温度TEOに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御する。また、ヒートポンプコントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度Teに基づき、蒸発圧力調整弁70を開(流路を拡大する)/閉(少許冷媒が流れる)して吸熱器9の温度が下がり過ぎて凍結する不都合を防止する。
(13)図9の車両用空気調和装置1の内部サイクルモード
また、内部サイクルモードでは、ヒートポンプコントローラ32は上記除湿暖房モードの状態において室外膨張弁6を全閉とする(全閉位置)と共に、電磁弁21を閉じる。この室外膨張弁6と電磁弁21が閉じられることにより、室外熱交換器7への冷媒の流入、及び、室外熱交換器7からの冷媒の流出は阻止されることになるので、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒は電磁弁22を経て第2のバイパス配管13Fに全て流れるようになる。そして、第2のバイパス配管13Fを流れる冷媒は冷媒配管13Bより内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は、内部熱交換器19、蒸発圧力調整弁70を順次経て冷媒配管13Cを流れ、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱されるので、これにより、車室内の除湿暖房が行われることになるが、この内部サイクルモードでは室内側の空気流通路3内にある放熱器4(放熱)と吸熱器9(吸熱)の間で冷媒が循環されることになるので、外気からの熱の汲み上げは行われず、圧縮機2の消費動力分の暖房能力が発揮される。除湿作用を発揮する吸熱器9には冷媒の全量が流れるので、上記除湿暖房モードに比較すると除湿能力は高いが、暖房能力は低くなる。
空調コントローラ20は目標吹出温度TAOから算出される目標ヒータ温度TCO(放熱器出口温度TCIの目標値)をヒートポンプコントローラ32に送信する。ヒートポンプコントローラ32は送信された目標ヒータ温度TCOから目標放熱器圧力PCO(放熱器圧力PCIの目標値)を算出し、この目標放熱器圧力PCOと、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI。冷媒回路Rの高圧圧力)に基づいて圧縮機2の回転数NCを制御し、放熱器4による加熱を制御する。
(14)放熱器4及び補助ヒータ23への通風量減少時等の停止制御
そして、この実施例においてもヒートポンプコントローラ32は、前述した(11−1)の放熱器4及び補助ヒータ23への通風量減少による停止制御、及び、(11−2)の室内送風機27に関する故障による停止制御を実施する。
(14−1)運転モード別の実施状況
次に、図10は図9の車両用空気調和装置1の場合に、通風量の減少や室内送風機27の故障等で圧縮機2や補助ヒータ23の停止制御を実施する運転モードについて示している。暖房モード、この実施例の除湿暖房モード及び内部サイクルモードでは、放熱器4による暖房と補助ヒータ23による補助暖房が行われるため、ブロア電圧BLV、体積風量Ga、風量割合SWに基づいて判断される通風量が前記停止閾値以下に低下したこと、及び、室内送風機27の故障(上記室内送風機27自体の故障、制御に関する故障)で圧縮機2及び補助ヒータ23が停止される。
また、除湿冷房モードでは放熱器4では再加熱が行われるのみであり、冷媒は室外熱交換器7で放熱するため、ブロア電圧BLV、体積風量Ga、風量割合SWに基づいて判断される通風量が前記停止閾値以下に低下したことによる圧縮機2の停止は行われず、室内送風機27の故障(上記室内送風機27自体の故障、制御に関する故障)で圧縮機2が停止される。但し、この実施例の除湿冷房モードでは補助ヒータ23による加熱(再加熱)を可能としている。そのため、ブロア電圧BLV、体積風量Ga、風量割合SWに基づいて判断される通風量が前記停止閾値以下に低下したことによる補助ヒータ23の停止、及び、室内送風機27の故障(上記室内送風機27自体の故障、制御に関する故障)による補助ヒータ23の停止は実施される。
また、冷房モードでは、補助ヒータ23は稼働(発熱)されないため、補助ヒータ23については該当しない。また、冷房モードでは放熱器4では再加熱が行われるのみであり、冷媒は室外熱交換器7で放熱するため、ブロア電圧BLV、体積風量Ga、風量割合SWに基づいて判断される通風量が前記停止閾値以下に低下したことによる圧縮機2の停止は行われず、室内送風機27の故障(上記室内送風機27自体の故障、制御に関する故障)で圧縮機2が停止される。
また、補助ヒータ単独モードでは、前記実施例と同様に圧縮機2は運転されないため、圧縮機2については該当しない。従って、ブロア電圧BLV、体積風量Ga、風量割合SWに基づいて判断される通風量が前記停止閾値以下に低下したこと、及び、室内送風機27の故障(上記室内送風機27自体の故障、制御に関する故障)で補助ヒータ23が停止されることになる。
以上の如くこの実施例においても制御装置11のヒートポンプコントローラ32が、放熱器4や補助ヒータ23への通風量を示す指標に基づき、当該放熱器4、補助ヒータ23への通風量が所定の停止閾値以下に減少した場合、圧縮機2を停止し、補助ヒータ23の発熱を停止するようにすることで、放熱器4や補助ヒータ23への通風量が減少したことによって発生する圧縮機2の吐出圧力Pdの上昇を抑制、若しくは、解消し、圧縮機2他の構成機器に損傷が生じる不都合を未然に防止することができるようになると共に、補助ヒータ23の温度の上昇を抑制、若しくは、解消し、空気流通路3を構成するHVACユニット10の壁面に変形が生じる等の不都合を未然に防止することができるようになる。
尚、上記各実施例では室内送風機27のブロア電圧BLV、空気流通路に流入した空気の体積風量Ga、エアミックスダンパ28による風量割合SWのうちの何れかがそれぞれの停止所定値以下に低下したことで、放熱器4や補助ヒータ23への通風量が停止閾値以下に減少したものと判断するようにしたが、それに限らず、ブロア電圧BLV、体積風量Ga、及び、風量割合SWのうちの二つを組み合わせ、或いは、それらの全てに基づいて判断するようにしてもよい。
また、各実施例で示した数値等はそれに限られるものでは無く、適用する装置に応じて適宜設定すべきものである。例えば、上記各実施例では圧縮機2の停止/再稼働を判断する停止閾値/開始閾値と、補助ヒータ23の停止/再稼働を判断する停止閾値/開始閾値を同じ値としたが、それに限らず、それぞれに異なる値を設定してもよい。その場合には、前述したブロア電圧BLV、体積風量Ga、風量割合SWの停止所定値、開始所定値(ブロア電圧BLVの場合は所定の停止電圧、開始電圧、体積風量Gaの場合は所定の停止風量、開始風量、風量割合SWの場合は所定の停止割合、開始割合)も、圧縮機2と補助ヒータ23について、それぞれ異なる値が設定されることになる。
更に、補助加熱装置は実施例で示した補助ヒータ23に限られるものでは無く、ヒータで加熱された熱媒体を循環させて空気流通路3内の空気を加熱する熱媒体循環回路や、エンジンで加熱されたラジエター水を循環するヒータコア等を利用してもよい。
1 車両用空気調和装置
2 圧縮機
3 空気流通路
4 放熱器
6 室外膨張弁
7 室外熱交換器
8 室内膨張弁
9 吸熱器
10 HVACユニット
11 制御装置
20 空調コントローラ
23 補助ヒータ(補助加熱装置)
27 室内送風機(ブロアファン)
28 エアミックスダンパ
32 ヒートポンプコントローラ
65 車両通信バス
R 冷媒回路

Claims (7)

  1. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、
    冷媒を放熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、
    前記空気流通路内の空気を前記放熱器に通風する割合を調整するためのエアミックスダンパと、
    前記空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、
    制御装置とを備え、
    該制御装置により、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、前記室内送風機により流通される前記空気流通路内の空気を前記放熱器に通風することで、前記車室内を暖房可能とされた車両用空気調和装置において、
    前記制御装置は、前記放熱器への通風量を示す指標に基づき、当該放熱器への通風量が所定の停止閾値以下に減少した場合、前記圧縮機を停止することを特徴とする車両用空気調和装置。
  2. 前記制御装置は、前記放熱器への通風量が前記停止閾値より高い所定の開始閾値以上に増加した場合、前記圧縮機を運転可能とすることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  3. 前記エアミックスダンパを経て前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための補助加熱装置を備え、
    前記制御装置は、前記補助加熱装置を発熱させ、前記室内送風機により流通される前記空気流通路内の空気を前記補助加熱装置に通風することで前記車室内を暖房可能とされており、前記補助加熱装置への通風量を示す指標に基づき、当該補助加熱装置への通風量が前記停止閾値以下に減少した場合、前記補助加熱装置の発熱を停止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用空気調和装置。
  4. 前記制御装置は、前記補助加熱装置への通風量が前記停止閾値より高い所定の開始閾値以上に増加した場合、前記補助加熱装置を発熱可能とすることを特徴とする請求項3に記載の車両用空気調和装置。
  5. 前記放熱器への通風量を示す指標、又は、当該放熱器及び前記補助加熱装置への通風量を示す指標は、前記室内送風機の電圧であるブロア電圧BLV、前記空気流通路に流入した空気の体積風量Ga、前記エアミックスダンパによる風量割合SWのうちの何れか、又は、それらの組み合わせ、若しくは、それらの全てであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  6. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、
    冷媒を放熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、
    前記空気流通路内の空気を前記放熱器に通風する割合を調整するためのエアミックスダンパと、
    前記空気流通路に空気を流通させる室内送風機と、
    制御装置とを備え、
    該制御装置により、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、前記室内送風機により流通される前記空気流通路内の空気を前記放熱器に通風することで、前記車室内を暖房可能とされた車両用空気調和装置において、
    前記制御装置は、前記室内送風機自体、若しくは、当該室内送風機の制御に関して故障が生じた場合、前記圧縮機を停止することを特徴とする車両用空気調和装置。
  7. 前記エアミックスダンパを経て前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための補助加熱装置を備え、
    前記制御装置は、前記補助加熱装置を発熱させ、前記室内送風機により流通される前記空気流通路内の空気を前記補助加熱装置に通風することで前記車室内を暖房可能とされており、前記室内送風機自体、若しくは、当該室内送風機の制御に関して故障が生じた場合、前記補助加熱装置の発熱を停止することを特徴とする請求項6に記載の車両用空気調和装置。
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