以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、一つの実施形態に係る撮像素子100の概要を示す図である。撮像素子100は、複数の画素202が配列される受光部200と、受光部200からの信号を処理する信号処理部210とを備える。複数の画素202は、それぞれフォトダイオード等の受光素子を有しており、受光量に応じて電荷を蓄積する。本例の信号処理部210は、各画素202が蓄積した電荷量に応じた信号を読み出し、予め定められた処理を行う。
本例における複数の画素202は、行列状に配列される。つまり、複数の画素202が複数の行および複数の列に沿って配置される。本明細書では、行方向をx軸方向とし、列方向をy軸方向として図示している。行方向は第1方向の一例であり、列方向は第2方向の一例である。
複数の画素202は、複数の第1画素202−1、複数の第2画素202−2および複数の第3画素202−3を含む。第1画素202−1は、第1の色のカラーフィルタに対応する画素であり、第2画素202−2は、第2の色のカラーフィルタに対応する画素であり、第3画素202−3は、第3の色のカラーフィルタに対応する画素である。本例において第1の色は緑色であり、第2の色は青色であり、第3の色は赤色である。本例において、それぞれの画素202の平面形状は四角形であり、画素202の各辺が第1方向および第2方向に対して45度傾いている。より具体的な例では、それぞれの画素202の平面形状は正方形である。
複数の第1画素202−1は、行方向および列方向の両方向に沿って配列される。本例では、第1画素202−1の各頂点が互いに隣接するように配置される。このような配置により、近接して配置される4つの第1画素202−1に囲まれる領域が生じる。第2画素202−2および第3画素202−3は、4つの第1画素202−1に囲まれる領域に設けられる。本例において、それぞれの画素202の形状は同一である。
第2画素202−2は、列方向に沿って配列される。また、第3画素202−3も、列方向に沿って配列される。第2画素202−2の列および第3画素202−3の列は、行方向において交互に配置される。また、第2画素202−2の列および第3画素202−3の列は、第1画素202−1の列に対して、列方向において半画素分ずれて配列される。
なお、図1に示した画素202の配列は一例であり、画素202の配列は図1の例に限定されない。画素202は任意の配列であってよい。例えば画素202の配列は、いわゆるベイヤー配列であってよい。
図2Aは、第1画素202−1の一例を示す図である。第1画素202−1は、分離された2つの受光領域214を有する。第1画素202−1の第1受光領域214aおよび第2受光領域214bは、行方向に並んで配列される。本例では、第1画素202−1の領域を、列方向に伸びる直線で2等分することで、2つの受光領域214が規定される。本例において当該直線は、第1画素202−1の対角線である。入射光に応じて生成された電荷が受光領域214間で移動しないように、受光領域214間には素子分離部が設けられる。なお、図2Aにおいては、第1画素202−1に対応して設けられるマイクロレンズ101を点線で示す。本例の2つの受光領域214は、共通のマイクロレンズ101に対して、行方向において異なる位置に設けられる。
受光部200において、複数の第1画素202−1が、行方向に隣接して配列される。信号処理部210は、一部の行方向に隣接して配列された第1画素202−1の第1受光領域214aからの信号と、第2受光領域214bからの信号との行方向における像面位相差を検出することで、焦点状態を検出する焦点検出部として機能する。像面位相差検出用の第1画素202−1が、行方向に隣接して配列されるので、行方向における像面位相差を精度よく検出することができる。また、遮光を用いて像面位相差を検出する方式に比べ、光の利用効率を向上させることができる。
図2Bは、第2画素202−2および第3画素202−3の一例を示す図である。第2画素202−2および第3画素202−3は、分離された2つの受光領域214を有する。第2画素202−2および第3画素202−3の第1受光領域214aおよび第2受光領域214bは、列方向に並んで配列される。本例では、第2画素202−2または第3画素202−3の領域を、行方向に伸びる直線で2等分することで、2つの受光領域214が規定される。第2画素202−2および第3画素202−3の2つの受光領域214は、共通のマイクロレンズ101に対して、列方向において異なる位置に設けられる。
受光部200において、複数の第2画素202−2または第3画素202−3が、列方向に隣接して配列される。信号処理部210は、一部の列方向に隣接して配列された第2画素202−2または第3画素202−3の第1受光領域214aからの信号と、第2受光領域214bからの信号との列方向における像面位相差を検出することで、焦点状態を検出する焦点検出部として機能する。像面位相差検出用の第2画素202−2または第3画素202−3が、列方向に隣接して配列されるので、列方向における像面位相差を精度よく検出することができる。また、遮光を用いて像面位相差を検出する方式に比べ、光の利用効率を向上させることができる。
図3は、受光部200の一例を示す図である。本例の受光部200においては、全ての画素202が2つの受光領域214を有する。図3においては、各画素202における受光領域214の境界を点線で示している。本例では、一部の画素202の出力を用いて画像データを生成するとともに、残りの画素202の出力を像面位相差検出に用いる。
図3においては、画像データを生成するのに用いる画素202を白抜きの四角で示しており、像面位相差検出用に用いる画素202を網掛けの四角で示している。上述したように、像面位相差検出用の第1画素202−1は列方向に並んで配置され、像面位相差検出用の第2画素202−2は行方向に並んで配置され、像面位相差検出用の第3画素202−3は行方向に並んで配置される。上述したように、信号処理部210は、これらの像面位相差検出用の画素202の出力を用いて、像面位相差を検出する。
また、信号処理部210は、画像データ生成用の画素202において、一方の受光領域214の出力信号を用いて、他方の受光領域214の出力信号を補正する。補正後の信号を、当該画素202における画素信号として用いる。なお、本例の受光部200においては、画像データ生成用の画素202は、像面位相差検出用の画素202よりも多い。
図4は、画像データ生成用の画素202の出力に対する、信号処理部210の処理例を示す図である。本例の信号処理部210は、受光領域214の出力信号を読み出す画素202を行単位で選択する。信号処理部210は、選択した行に属する画素202の出力信号を同時に読み出す。この場合、出力信号の読み出しタイミングが行毎に相違し、電荷蓄積時間が行毎に相違してしまう。本例の信号処理部210は、各画素202の第2受光領域214bの出力信号を用いて、第1受光領域214aの出力信号を補正することで、電荷蓄積時間の相違を補償する。なお、本例の受光部200は、全ての画素202が2つの受光領域214を有する。
図4では、第1行に属する画素202の第1受光領域214aの電荷蓄積時間をa1で示し、第2受光領域214bの電荷蓄積時間をb1で示す。また、第2行に属する画素202の第1受光領域214aの電荷蓄積時間をa2で示し、第2受光領域214bの電荷蓄積時間をb2で示す。他の行についても同様である。また、図4におけるADCは、それぞれの受光領域214の出力信号をデジタル変換する時間を示している。
図4に示すように信号処理部210は、それぞれの画素202について、第1受光領域214aが蓄積した電荷をリセットするリセットタイミングAに対して、第2受光領域214bのリセットタイミングBを遅らせる。このため、受光部200は、それぞれの画素202の第1受光領域214aおよび第2受光領域214bのリセットタイミングを独立に制御するリセット線を有する。リセットタイミングAおよびリセットタイミングBは、全ての画素202において共通である。
そして、信号処理部210は、それぞれの画素202について、第1受光領域214aおよび第2受光領域214bが蓄積した電荷量に応じた出力信号を同時に読み出す。このため、受光部200は、それぞれの画素202の第1受光領域214aおよび第2受光領域214bの出力信号を並列に伝送する読み出し線を有する。また、信号処理部210は、それぞれの画素202の第1受光領域214aおよび第2受光領域214bの出力信号を並列に処理する処理回路を有する。
信号処理部210は、それぞれの画素202について、第1受光領域214aの出力信号の値から、第2受光領域214bの出力信号の値を減算して、各画素202の画素信号を生成する。これにより、全ての画素202において、リセットタイミングAからリセットタイミングBまでの電荷蓄積時間に応じた画素信号を生成することができる。このような処理により、ローリング読み出しで読み出した出力信号から、グローバルシャッタによる画素信号を擬似的に生成することができる。信号処理部210は、図4において説明した処理を行うグローバルシャッタ処理部としても機能する。
図5は、受光部200の構成例を示す図である。図5では、一つの画素202に関する構成だけを示すが、受光部200は、全ての画素202について同様の構成を有する。上述したように、受光部200は、第1受光領域214aのリセットタイミングを制御するリセット線221−1と、第2受光領域214bのリセットタイミングを制御するリセット線221−2とを有する。リセット線221−1およびリセット線221−2は、画素202の行毎に設けられる。同一の行に含まれる画素202は、共通のリセット線221−1およびリセット線221−2に接続される。
また、受光部200は、第1受光領域214aの出力信号を読み出す読み出し線224−1と、第2受光領域214bの出力信号を読み出す読み出し線224−2とを有する。読み出し線224−1および読み出し線224−2は、画素202の列毎に設けられる。同一の列に含まれる画素202は、共通の読み出し線224−1および読み出し線224−2に接続される。読み出し線224は、それぞれの出力信号を信号処理部210に伝送する。
なお、信号処理部210は、行選択信号SELにより、出力信号を読み出す行を選択する。また、信号処理部210は、出力信号を転送すべき受光領域214を、転送信号Tx1、Tx2により選択する。
このような構成により、信号処理部210は、それぞれの画素202について、第1受光領域214aおよび第2受光領域214bが蓄積した電荷量に応じた出力信号を同時に、且つ、受光領域毎に独立して読み出す読出部として機能する。更に、信号処理部210は、ローリング読み出しで読み出した出力信号から、グローバルシャッタによる画素信号を擬似的に生成することができる。第2受光領域214bの出力信号を用いて、第1受光領域214aの出力信号を補正するので、第1受光領域214aおよび第2受光領域214bには均等に光が入射することが好ましい。しかし、第1受光領域214aおよび第2受光領域214bは異なる位置に設けられるので、第1受光領域214aおよび第2受光領域214bに均等に光が入射しない場合もある。
通常、撮像素子100におけるマイクロレンズ101は、光軸に対する画素202の位置に応じて、画素202に対してずらして配置される。このように設計することで、ある特定のEPD値のレンズに対して、どの位置の画素202であっても、画素202の中心に光のスポットが配置される。EPD値は、像面(撮像素子100の表面)から、レンズの射出瞳までの距離を示す値である。このように、どの位置の画素202であっても、画素202の中心に光スポットがくるEPD値を、EPDジャストと称する。
これに対して、EPDジャストのレンズよりも、EPDが短くなるレンズ、または、EPDが長くなるレンズでは、画素202の位置に応じて、光のスポットが画素202の中心からずれてしまう。画素202は、中心線で2つの受光領域214に分割されるので、光のスポットが画素202の中心からずれると、2つの受光領域214で、出力信号の大きさに差が生じてしまう。例えば、光軸から離れた位置では、光のスポットの大部分が、一方の受光領域214に含まれてしまい、当該受光領域214の出力信号が非常に大きくなるのに対して、他方の受光領域214の出力信号が非常に小さくなる。このように、2つの受光領域214には、必ずしも均等に光が入射されない。
なお、上述したEPD値に応じて、受光領域214の出力信号を補正することも考えられるが、条件によっては、一方の受光領域214にまったく光が入射されないこともある。この場合、演算で出力信号を補正することができない。
図6は、受光部200の構造例を示す図である。図6では、受光部200の断面構造を示す。また図6では、受光部200のうち、画像データ生成用の2つの画素202に対応する部分だけを示している。受光部200は、画像データ生成用の画素202に対応して、拡大光学素子114を備える。拡大光学素子114は、対応する画素202に入射する光の受光領域214における照射領域を拡大させる。つまり、拡大光学素子114は、2つの受光領域214に入射される光の量を均等化させる。拡大光学素子114は、例えば入射光を拡散させて出力する拡散板、または、回折格子が形成された回折板等である。
拡大光学素子114は、当該画素202への入射光の光路上に設けられる。本例では、拡大光学素子114は、当該画素202に対応するカラーフィルタ102と、受光領域214との間に設けられる。ただし、拡大光学素子114の位置は、当該位置に限定されない。拡大光学素子114は、カラーフィルタ102とマイクロレンズ101との間に設けられてもよいし、他の位置に設けられてもよい。
図6に示すように、各画素202の間には、画素分離部115が形成される。また、各画素202における2つの受光領域214の間には、領域分離部116が形成される。画素分離部115および領域分離部116は、絶縁材料で形成されてよい。
入射光のスポットが一方の受光領域214に偏ってしまうような場合であっても、拡大光学素子114を設けることにより光量の偏りを低減することができる。また、入射光のスポットの大部分が領域分離部116上に位置してしまう場合であっても、拡大光学素子114を設けることにより、入射光を2つの受光領域214に分散させることができる。このように、受光部200の画素202の一部である、画像データ生成用の画素202に対して拡大光学素子114を設けることで、画素信号を精度よく生成することができる。
図7は、受光部200の構造例を示す図である。図7では、受光部200の断面構造を示す。また図7では、受光部200のうち、像面位相差検出用の2つの画素202に対応する部分だけを示している。受光部200は、像面位相差検出用の画素202に対応して、分離光学素子117を備える。つまり、分離光学素子117は、拡大光学素子114が設けられていない画素に対して設けられる。
分離光学素子117は、入射する光を2つの受光領域214のそれぞれに分離させる。つまり、分離光学素子117は、マイクロレンズ101を通過した光束を一対の分離光束に分離し、それぞれの分離光束を、対応する受光領域214に入射させる。分離光学素子117は、撮影光学系の射出瞳面と、分離光学素子117が配置される配置面とが、マイクロレンズ101により光学的に共役となるように配置されることが好ましい。分離光学素子117は、例えばプリズム、レンズ等である。分離光学素子117は、受光領域214毎にプリズムまたはレンズ等を有する。プリズムまたはレンズは、対応する受光領域214に対して分離光束を照射する。
分離光学素子117は、当該画素202への入射光の光路上に設けられる。本例では、分離光学素子117は、当該画素202に対応するカラーフィルタ102と、受光領域214との間に設けられる。ただし、分離光学素子117の位置は、当該位置に限定されない。分離光学素子117は、カラーフィルタ102とマイクロレンズ101との間に設けられてもよいし、他の位置に設けられてもよい。
また、受光部200は、遮光マスク118を更に備えてよい。遮光マスク118は、分離光学素子117と略同一面に設けられ、分離光学素子117が分離する分離光束を通過させる開口が設けられている。
図6および図7に示したように、受光部200は、画像データ生成用の画素202に対しては拡大光学素子114を設け、像面位相差検出用の画素202に対しては分離光学素子117を設ける。これにより、画素信号を精度よく生成しつつ、像面位相差も精度よく検出することができる。
また、信号処理部210は、受光部200からの各画素信号に基づく画像データを、ベイヤー配列等の所定の画素配列の画像データに変換する配列変換部としても機能する。上述したように、信号処理部210は、画像データ生成用の各画素202の2つの受光領域214からの信号を用いて、各画素202の画素信号を生成する。また、像面位相差検出用の画素202に対しては、当該画素202の周辺の画素202の出力値を用いて、画素信号を生成してよい。例えば、信号処理部210は、周辺の同一色の画素202の出力値を補間することで、当該画素202の画素信号を生成する。
図8は、信号処理部210における配列変換処理の一例を示す図である。図8においては、複数の画素202の各列の番号をm、m+1、m+2、・・・、m+k、・・・とし、各行の番号をn、n+1、n+2、・・・、n+l、・・・とする。ただし、k、lは整数とする。図8においては、第1画素202−1の画素信号から、配列変換後の第1変換画素203−1の変換画素信号を生成する処理を説明する。本例の第1画素202−1は、kが0または偶数の列と、lが0または偶数の行に配列される。
信号処理部210は、行方向において隣接する2つの第1画素202−1の画素信号を加算して、当該2つの第1画素202−1の間に仮想的に配置される第1変換画素203−1の変換画素信号を生成する。図8においては、画素信号を加算する2つの第1画素202−1を両矢印で結合している。
より具体的には、信号処理部210は、各行の第1画素202−1が、それぞれ隣接する2つの第1画素202−1のペアとなるようにグルーピングする。信号処理部210は、ペアとなった2つの第1画素202−1の画素信号を加算して、第1変換画素203−1の変換画素信号を生成する。このとき、第1変換画素203−1の行方向の位置が、第1画素202−1の行毎に交互に異なるように、各行の第1画素202−1をグルーピングする。例えば、第n+s(但し、sは0、4、8、・・・)行においては、(m、m+2)、(m+4、m+6)、(m+8、m+10)の列位置の第1画素202−1がグルーピングされる。これに対して、第n+s+2行においては、(m+2、m+4)、(m+6、m+8)、(m+10、m+12)の列位置の第1画素202−1がグルーピングされる。
図9は、第1変換画素203−1の配列例を示す図である。図8に説明した変換処理により、第1変換画素203−1は図9のように配列される。つまり、第1変換画素203−1の行方向の位置が、第1変換画素203−1の行毎に交互に異なるように配列される。具体的には、第n+s行においては、m+1、m+5、m+9の列位置に第1変換画素203−1が配置される。また、第n+s+2行においては、m+3、m+7、m+11の列位置に第1変換画素203−1が配置される。
図10は、信号処理部210における配列変換処理の一例を示す図である。図10においては、第2画素202−2および第3画素202−3の画素信号から、配列変換後の第2変換画素203−2および第3変換画素203−3の変換画素信号を生成する処理を説明する。本例の第2画素202−2および第3画素202−3は、kが奇数の列に配列される。本例では、第2画素202−2は、m+3、m+7、m+11、・・・の列に配列される。また、第3画素202−3は、m+1、m+5、m+9、・・・の列に配列される。
信号処理部210は、列方向において隣接する2つの第2画素202−2の画素信号を加算して、当該2つの第2画素202−2の間に仮想的に配置される第2変換画素203−2の変換画素信号を生成する。また、信号処理部210は、列方向において隣接する2つの第3画素202−3の画素信号を加算して、当該2つの第3画素202−3の間に仮想的に配置される第3変換画素203−3の変換画素信号を生成する。図10においては、画素信号を加算する2つの画素202を両矢印で結合している。
なお、図8において説明した2つの第1画素202−1を結ぶ両矢印と、図10において説明した2つの第2画素202−2を結ぶ両矢印、および、2つの第3画素202−3を結ぶ両矢印とが重ならないように、画素信号を加算する第2画素202−2のペアおよび第3画素202−3のペアが選択される。つまり、第1変換画素203−1、第2変換画素203−2、第3変換画素203−3の位置が重ならないように、画素信号を加算する第2画素202−2のペアおよび第3画素202−3のペアが選択される。
より具体的には、第2画素202−2は、(n+3、n+5)、(n+7、n+9)、(n+11、n+13)の行位置の第2画素202−2がグルーピングされる。これに対して、第3画素202−3は、(n+1、n+3)、(n+5、n+7)、(n+9、n+11)の列位置の第3画素202−3がグルーピングされる。
図11は、第2変換画素203−2および第3変換画素203−3の配列例を示す図である。図10に説明した変換処理により、第2変換画素203−2および第3変換画素203−3は図11のように配列される。具体的には、m+3、m+7、m+11列においては、n+4、n+8、n+12の行位置に第2変換画素203−2が配置される。また、m+1、m+5、m+9行においては、n+2、n+6、n+10の行位置に第3変換画素203−3が配置される。
図12は、第1変換画素203−1、第2変換画素203−2および第3変換画素203−3の配列例を示す図である。図12に示す配列は、図9および図11に示した各変換画素203の配列を重ねた配列である。図8から図11において説明した処理により、信号処理部210は、図12に示すような、ベイヤー配列の画像データを取得することができる。
以上説明した撮像素子100によれば、像面位相差検出用の画素を、行方向および列方向において連続して配置できるので、像面位相差の検出精度を向上させることができる。そして、隣接する画素202の画素信号を加算するという簡単な演算で、ベイヤー配列の画像データを取得することができる。
図13Aおよび図13Bは、マイクロレンズ101の構造例を示す図である。図13Aは、マイクロレンズ101の斜視図である。ただし、曲線のグリッド線は曲面を示しており、直線のグリッド線は平面を示している。図13Bは、マイクロレンズ101の平面形状を示す図である。図13A、図13Bに示すように、マイクロレンズ101は、球面レンズの4辺を切り落としたような形状を有する。これにより、直径の大きい球面レンズを用いることができ、マイクロレンズ101の実質開口を上げることができる。また、マイクロレンズ101の4辺の位置を、画素202の4辺の位置と一致させることで、マイクロレンズ101を効率よく敷き詰めることができる。
図14は、受光部200の他の構成例を示す図である。本例において、それぞれの各受光領域214はフォトダイオードである。本例の受光部200においては、4つのフォトダイオードに対して、リセットトランジスタR、ソースフォロワトランジスタSFおよび選択トランジスタSが共通に設けられる。例えば、領域240に含まれる4つのフォトダイオードに対して、リセットトランジスタR等が共通に設けられる。
また、それぞれのフォトダイオードに対して転送トランジスタTXが設けられる。また、当該4つのフォトダイオードは、それぞれ異なる画素202に含まれる。例えば、リセットトランジスタR等を共有する4つのフォトダイオードは、2つの第1画素202−1および2つの第2画素202−2に含まれる。
なお、転送トランジスタTXは、フォトダイオードが蓄積した電荷を、電荷検出部に転送するか否かを切り替える。電荷検出部は、例えば配線と基準電位間に接続された容量である(図示しない)。当該電荷検出部も、4つのフォトダイオードに共有される。
リセットトランジスタRは、電荷検出部に転送された電荷をリセットするか否かを切り替える。ソースフォロワトランジスタSFは、電荷検出部に蓄積された電荷に応じた出力信号を出力する。選択トランジスタSは、出力信号を読み出し線224に出力するか否かを切り替える。
図15は、図14に示した例における、転送トランジスタTXのおよび電荷検出部の配置例を示す図である。本例では、画素202と、トランジスタとは異なる層に設けられる。このため、画素202と、トランジスタを重ねて配置することができる。上述したように、4つのフォトダイオードPDにより、電荷検出部およびリセットトランジスタR等が共有される。それぞれのフォトダイオードPDには、転送トランジスタTXが設けられる。図15においては、転送トランジスタTXのゲート電極を斜線部で示している。
4つのフォトダイオードは、2つの第1画素202−1、および、2つの第2画素202−2または第3画素202−3に含まれる。第1画素202−1と、第2画素202−2および第3画素202−3とは、画素が分割される方向が異なるので、4つの転送トランジスタTXで囲まれる領域が生じる。当該領域が電荷検出部として機能する。なお、図15においては、リセットトランジスタR等を省略しているが、図14に示したように、リセットトランジスタR等も、4つのフォトダイオードにより共有される。
図16は、撮像素子100の断面の一例を示す図である。本例では、裏面照射型の撮像素子100を示すが、撮像素子100は裏面照射型に限定されない。また、図16においては、図6に示した拡大光学素子114および分離光学素子117を省略する。本例の撮像素子100は、入射光に対応した信号を出力する撮像チップ113と、撮像チップ113からの信号を処理する信号処理チップ111と、信号処理チップ111が処理した画像データを記憶するメモリチップ112とを備える。これら撮像チップ113、信号処理チップ111およびメモリチップ112は積層されており、Cu等の導電性を有するバンプ109により互いに電気的に接続される。
なお、図示するように、入射光は主に白抜き矢印で示す方向へ入射する。本実施形態においては、撮像チップ113において、入射光が入射する側の面を裏面と称する。撮像チップ113の一例は、裏面照射型のMOSイメージセンサである。撮像チップ113は、受光部200に対応する。PD(フォトダイオード)層106は、配線層108の裏面側に配されている。PD層106は、二次元的に配され、入射光に応じた電荷を蓄積する複数のPD部104、および、PD部104に対応して設けられたトランジスタ105を有する。一つの画素202に、一つのPD部104が設けられる。つまり、PD部104は、第1受光領域214aおよび第2受光領域214bを有する。
PD層106における入射光の入射側にはパッシベーション膜103を介してカラーフィルタ102が設けられる。カラーフィルタ102は、互いに異なる波長領域を透過する複数の種類を有しており、PD部104のそれぞれに対応して特定の配列を有している。カラーフィルタ102、PD部104および複数のトランジスタ105の組が一つの画素を形成する。複数のトランジスタ105のオンオフを制御することで、各受光領域214の読み出しタイミング、受光開始タイミング(リセットタイミング)等を制御する。
カラーフィルタ102における入射光の入射側には、それぞれの画素に対応して、マイクロレンズ101が設けられる。マイクロレンズ101は、対応するPD部104へ向けて入射光を集光する。
配線層108は、PD層106からの信号を信号処理チップ111に伝送する配線107を有する。配線107は、例えば図5に示した読み出し線224に対応する。また、配線層108には、図5および図14に示した各トランジスタのゲート電極が形成されてよい。また、図5および図14に示した各トランジスタは、信号処理チップ111に形成されてもよい。この場合、配線107は、PD層106と、各トランジスタとを接続する配線に対応する。配線107は多層であってもよく、また、受動素子および能動素子が設けられてもよい。本例の信号処理チップ111は、信号処理部210を含む。
配線層108の表面には複数のバンプ109が配される。当該複数のバンプ109が信号処理チップ111の対向する面に設けられた複数のバンプ109と位置合わせされて、撮像チップ113と信号処理チップ111とが加圧等されることにより、位置合わせされたバンプ109同士が接合されて、電気的に接続される。
同様に、信号処理チップ111およびメモリチップ112の互いに対向する面には、複数のバンプ109が配される。これらのバンプ109が互いに位置合わせされて、信号処理チップ111とメモリチップ112とが加圧等されることにより、位置合わせされたバンプ109同士が接合されて、電気的に接続される。
なお、バンプ109間の接合には、固相拡散によるCuバンプ接合に限らず、はんだ溶融によるマイクロバンプ結合を採用してもよい。また、バンプ109は、後述する一つの単位ブロックに対して一つ程度設ければよい。したがって、バンプ109の大きさは、PD部104のピッチよりも大きくてもよい。また、画素が配列された撮像領域以外の周辺領域において、撮像領域に対応するバンプ109よりも大きなバンプを併せて設けてもよい。
信号処理チップ111は、表裏面にそれぞれ設けられた回路を互いに接続するTSV(シリコン貫通電極)110を有する。TSV110は、周辺領域に設けられることが好ましい。また、TSV110は、撮像チップ113の周辺領域、メモリチップ112にも設けられてよい。
図17は、一つの実施形態に係る撮像装置500の構成例を示すブロック図である。撮像装置500は、撮影光学系としての撮影レンズ520を備え、撮影レンズ520は、光軸OAに沿って入射する被写体光束を撮像素子100へ導く。撮影レンズ520は、撮像装置500に対して着脱できる交換式レンズであっても構わない。撮像装置500は、撮像素子100、システム制御部501、駆動部502、測光部503、ワークメモリ504、記録部505、表示部506および駆動部514を主に備える。
撮影レンズ520は、複数の光学レンズ群から構成され、シーンからの被写体光束をその焦点面近傍に結像させる。なお、図17では瞳近傍に配置された仮想的な1枚のレンズで当該撮影レンズ520を代表して表している。
駆動部514は撮影レンズ520を駆動する。より具体的には駆動部514は撮影レンズ520の光学レンズ群を移動させて合焦位置を変更し、また、撮影レンズ520内の虹彩絞りを駆動して撮像素子100へ入射する被写体光束の光量を制御する。
駆動部502は、システム制御部501からの指示に従って撮像素子100のタイミング制御、領域制御等の電荷蓄積制御を実行する制御回路である。駆動部502は、撮像素子100の受光部200および信号処理部210を、図1から図16に関連して説明したように動作させる。また、操作部508はレリーズボタン等により撮像者からの指示を受け付ける。
撮像素子100は、図1から図16に関連して説明した撮像素子100と同一である。撮像素子100は、画素信号をシステム制御部501の画像処理部511へ引き渡す。画像処理部511は、ワークメモリ504をワークスペースとして種々の画像処理を施し、画像データを生成する。例えば、JPEGファイル形式の画像データを生成する場合は、ベイヤー配列で得られた信号からカラー映像信号を生成した後に圧縮処理を実行する。画像処理部511は、信号処理部210を有してよい。この場合、撮像素子100は、信号処理部210を有さずともよい。生成された画像データは、記録部505に記録されるとともに、表示信号に変換されて予め設定された時間の間、表示部506に表示される。
測光部503は、画像データを生成する一連の撮影シーケンスに先立ち、シーンの輝度分布を検出する。測光部503は、例えば100万画素程度のAEセンサを含む。システム制御部501の演算部512は、測光部503の出力を受けてシーンの領域ごとの輝度を算出する。演算部512は、算出した輝度分布に従ってシャッタ速度、絞り値、ISO感度を決定する。測光部503は撮像素子100で兼用してもよい。なお、演算部512は、撮像装置500を動作させるための各種演算も実行する。駆動部502は、一部または全部が撮像素子100の信号処理チップ111に搭載されてよい。システム制御部501の一部が撮像素子100の信号処理チップ111に搭載されてもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。