JP2018198635A - 嚥下タイミング測定方法および嚥下タイミング測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】非侵襲な装置によって、咽頭蓋の閉じるタイミングと食塊を飲み込むタイミングを検出し、この二つのタイミングの関連を示すことのできる、嚥下タイミング測定方法および嚥下タイミング測定装置を提供する。【解決手段】嚥下タイミング測定装置は、被験者の頭頸部に装着するマイクロホンと被験者の喉の動きを検出する検出手段と、マイクロホンが収集した音のデータ及び検出手段が検出した喉の動きのデータを時系列で記録する記録手段と、音のデータと喉の動きのデータとを解析することによって嚥下タイミングを決定するコンピュータを備える。嚥下タイミング測定方法は、被験者に音源を経口投与する工程と、被験者の頭頸部近傍で音を時系列で記録する工程と、音源投与時以降の被験者の喉頭蓋の動きを記録する工程と、音源の音が消失した時刻と、前記喉頭蓋の動きを重ね合わせることによって、被験者の嚥下のタイミングを決定する工程と、を備えている。【選択図】図2
Description
本発明は、嚥下タイミング測定方法および嚥下タイミング測定装置に関する。
嚥下とは、口腔から摂取して食塊となった飲食物等を、咽頭と食道を経て胃に送り込むまでの一連の動作のことを指す。正常な嚥下では、食塊が口腔から咽頭に送られる前に咽頭蓋が閉じられ、声帯や気道が閉鎖される。しかし、嚥下機能が低下している場合、咽頭蓋が閉じられずに食塊が摂取されて気道への誤嚥や鼻腔への逆流を生じてしまうことがある。
嚥下機能を測定する方法として、嚥下の一連の動作の中で咽頭蓋が閉じる時刻と食塊が咽頭を通過して食道に到達した時刻を正確に測定してこの二つの時刻の関連を評価し、咽頭蓋が確実に閉じた後に食塊が摂取されているかを判断することが求められている。咽頭蓋が閉じるタイミングは、咽頭の挙上と同期していることが知られている(非特許文献1)。被験者の頸部を正面から撮影して甲状軟骨の動作を画像データとして記録し解析することで、咽頭蓋の閉じる正確な時刻を知ることができる。そこで、咽頭蓋の動きを示す画像データと食塊が咽頭を通過して食道に到達した時刻を正確に同期させることができれば、嚥下機能を測定することができる。
嚥下機能を測定する方法としては、内視鏡を用いた検査や、造影剤を用いて撮像を行う検査が普及している。また近年、より被験者に負担の少ない方法が開発されている。非特許文献2には、嚥下機能を評価するための反復唾液嚥下テスト(RSST)の方法が開示されている。反復唾液嚥下テストは、機能的嚥下障害をスクリーニングする方法であって、一定時間内に嚥下運動を反復させ、検者が患者の喉頭隆起および舌骨、第2指、第3指の指腹を軽く当てる触診で、喉頭挙上を確認し、その回数を数値化する方法である。手軽であるため嚥下障害の診断において多用されているものの、接触による嚥下動作への影響などから、正確な診断ができない可能性がある。
特許文献1には、被験者の前頸部に複数の圧力センサまたは反射型光センサを当接し、食物の飲込み時における甲状軟骨の上下運動方向を検出する「連続嚥下運動測定装置」が開示されている。特許文献1の連続嚥下運動測定装置は、被験者の舌骨上筋群の筋に作用する力を測定する筋電位計電極と、嚥下音を測定するための振動ピックアップを更に備えた構成を開示している。特許文献1が開示する技術は、「飲料を連続してゴクゴクと飲むときの咽頭(甲状軟骨)の周期的に行われる上下動」を測定するために好適に適用されるが、食塊を嚥下するタイミングの検出に関しては最適化されていない。
特許文献2には、飲食品を飲み込む際ののどごし感を、ヒト咽頭部の筋肉の表面筋電位の波形データを用いて評価する技術を開示している。咽頭部の筋肉の電位は、体表面に取り付ける湿式センサと筋電計を用いた非侵襲な方法で測定している。また特許文献3には、特定の波長の光をあてた被験者の頭頸部を撮像し、分光画像を画像処理することによって被験者の咀嚼運動と嚥下運動を解析する技術が開示されている。特許文献3に開示される技術からは、咀嚼から嚥下に移行するまでの咀嚼回数や咀嚼時間を把握することができるが、嚥下のタイミングを正確に知ることは困難である。
「嚥下障害 その病態とリハビリテーション 原著第3版」Michael E.Groher、医歯薬出版株式会社
「機能的嚥下障害スクリーニングテスト「反復唾液嚥下テスト」(RSST) の検討(1) 正常値の検討」小口和代、才藤英一、リハビリテーション医学、No.37、375頁−382頁(2000)
嚥下機能を評価するには、咽頭蓋が閉じる時刻と食塊が咽頭を通過して食道に送られた時刻を測定し、この二つの時刻の間隔から咽頭蓋が確実に閉じた後に食塊が摂取されているか否かを判断することが有効である。食塊が咽頭を通過した時刻を測定する方法としては、造影剤を用いた撮像、触診、音データの解析等が知られている。しかしながら、被験者の身体的な負担をより軽減した測定技術が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、非侵襲な装置によって咽頭蓋の閉じる時刻と食塊が咽頭を通過した時刻を測定し、得られた二つの時刻から嚥下のタイミングを測定する、嚥下タイミング測定方法および嚥下タイミング測定装置を提供するものである。
上述した課題を解決するために、本発明の嚥下タイミング測定方法は、被験者に音源を経口投与する工程と、被験者の頭頸部近傍で発生する音を記録する工程と、記録した音のデータから音源の音を抽出して発生時刻と共に記録する工程と、音源投与時以降の被験者の喉頭蓋の動きを記録する工程と、音源の音が消失した時刻と喉頭蓋の動きを重ね合わせることによって、被験者の嚥下のタイミングを決定する工程と、を備えていることを特徴とする。
本発明の嚥下タイミング測定方法は、被験者に投与する音源が、塊状になった食品であることが好ましい。
本発明の嚥下タイミング測定方法における音のデータから音源の音を抽出する工程は、被験者の頭頸部近傍の環境音を記録する工程と、被験者の嚥下音を記録する工程と、被験者が音源を口に保持した状態の音を記録する工程と、被験者が音源を投与されてから摂取が完了するまでの音を記録する工程と、を備えている。そして、被験者が音源を投与されてから摂取が完了するまでの記録された音から、雑音の除去および嚥下音の除去を行って、音源の音を抽出することが好ましい。
本発明は又、嚥下タイミング測定装置を提供する。本発明の嚥下タイミング測定装置は、被験者の頭頸部近傍の音を記録するマイクロホンと、被験者の喉の動きを検出する検出手段と、マイクロホンが収集した音のデータ及び検出手段が検出した喉の動きのデータを時系列で記録する記録手段と、音のデータと前記喉の動きのデータとを解析することによって嚥下タイミングを決定するコンピュータと、を備えていることを特徴とする。
本発明の嚥下タイミング測定方法は、非侵襲且つ非常に簡単な方法で、被験者の嚥下のタイミングを計測することが可能となる。被験者の負担が軽減されるため、連続して複数回測定を行うことが可能であり、より正確に嚥下のタイミングを確認することができる。
本発明の嚥下タイミング測定装置は、簡単且つ安価に測定装置を構成することができ、装置を小型化することも可能であるので、被験者のところまで装置を輸送して測定することが可能となる。これまで嚥下タイミングの測定を受けることのできなかった被験者に対しても、測定を行うことことができる。
以下、本発明の嚥下タイミング測定装置および嚥下タイミング測定方法を適用した実施形態を、図面を参照しつつ詳細に述べる。
図1に、本発明の一実施形態を示した嚥下タイミング測定装置1のブロック図を示す。本発明の嚥下タイミング測定装置1は、被験者の頭頸部近傍の音を収集して音の信号データに変換して出力するマイクロホン3と、マイクロホンが収集した音の信号データを時系列で記録する記録手段4を備えている。また嚥下タイミング測定装置1は、被験者の喉の動きを検出する検出手段として、被験者の頸部を正面から撮影して甲状軟骨の動作を画像データとして記録し解析するカメラ5と、カメラ5が撮影した画像を画像データとして時系列で記録する記録手段6とを備えている。さらに嚥下タイミング測定装置1は、マイクロホンが収集した音の信号データ及び画像データを解析することによって嚥下タイミングを決定するコンピュータ2を備えている。
マイクロホン3としては、被験者の耳に装着する骨伝導マイクが好適に使用される。骨伝導マイクとしては、たとえば株式会社テムコジャパン製のEM20シリーズを使用することができる。しかし、雑音の少ない環境下では、被験者の頭部または頸部の近傍に配置する非接触のマイクロホンを使用することができる。音の信号データを時系列で記録する記録手段4としては、ICレコーダ等を使用することができる。また、マイクロホン3を通信手段によって解析用のコンピュータ2に接続し、コンピュータ2の内蔵ハードディスクに音の信号データを記録することができる。この場合、記録手段4は、コンピュータ2の一部に含まれた構成となる。
被験者の頸部を正面から撮影して甲状軟骨の動きを記録するカメラ5には、時系列で画像データを記録することが可能な任意の種類のカメラを使用することができる。カメラ5が撮影した画像を画像データとして記録する記録手段6には、各種の記録メディアを用いることができる。また、カメラ5を通信手段によって解析用のコンピュータ2に接続し、コンピュータ2の内蔵ハードディスクに画像データを記録することができる。この場合、記録手段6は、コンピュータ2の一部に含まれた構成となる。
被験者が摂取する音源としては、たとえば、水に溶解させると二酸化炭素の発生により音を出す粉末または固体状の食品を用いることができる。この粉末又は固体状の食品を、水と共に食塊相当の大きさのカプセルに収容して被験者に経口摂取させることで、嚥下と共に音源の音が体内を移動し、被験者に健康上の影響を与えることなく食塊が食道を通過する時刻を測定することができる。
粉末又は固体状の食品を、水と共に食塊相当の大きさのカプセルに収容して被験者に経口摂取させるとき、このカプセルは点音源となる。飲食可能なカプセル型点音源は、ひとまとまりの状態で咽頭と食道を通過するため、音源の移動が把握しやすい。また、被験者にとっては、口の中に残ったり散らばったりすることがなく、一度に飲み込みやすいという利点がある。
二酸化炭素を放出する粉末又は固体状の食品としては、クエン酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウム(重曹)を含む粉末又は飴状の食品が適している。特に飴状の食品(たとえば、明治製菓「パチパチパニック」)は、水と摂取すると「パチパチ」という音を発生するので、好適に使用される。食品を封入するカプセルとしては、たとえば白十字FCカプセルNo.1等が好適に用いられる。
この飴状の食品は、食品が咽頭を通過して食道に入ると、頭頸部近傍に配置したマイクロホンでは、音が検出されなくなるという特性を有する。そこで、嚥下タイミングの測定では、飴状の食品を音源とする音が記録されなくなった時刻、すなわち音源由来の音の信号データが記録から消失する時刻を以て、食塊が喉を通過して食道に入った時刻とみなすことができる。以下においては、被験者が摂取する音源に由来する音を音源音と称する。
以下に、嚥下タイミングの測定方法の好適な実施形態を説明する。なお、本実施形態は例示であり、特許請求の範囲を限定することを意図したものではない。
測定の準備として、被験者にマイクロホン3を装着するか、あるいは被験者の頭頸部近傍にマイクロホン3を設置する。また、被験者の頸部の正面を撮影可能な位置にカメラ5を配置する。そして被験者の頭頸部近傍の音の信号データと被験者の頸部の動きの画像データを、時間同期させた状態で記録手段4,6に連続的に記録する。
被験者の頭頸部近傍の音の信号データと被験者の頸部の動きの画像データの記録を開始したのち、被験者に音源の食品を経口投与し、嚥下させる。被験者が音源である食品を嚥下し摂取が完了するまでの間、音の信号データと画像データの記録を継続する。その後、コンピュータ2を用いたデータ処理を行って、食塊が咽頭を通過した時刻を決定する。
マイクロホン3によって得られた音の信号データから、音源音の信号データを抽出する工程を、詳細に説明する。以下においては、音源を経口投与されてから音源を嚥下し摂取が完了するまでの被験者の頭頸部近傍の音のデータのことを「音源・嚥下音データ」と称する。「音源・嚥下音データ」から音源音の信号データを抽出するために、本実施形態では、被験者が以下の3種類の試験を行って各種の音のデータを記録する。第一のデータは、被験者が何もしない状態で被験者の頭頸部近傍の音を記録した「環境音データ」であって、血流音などが含まれる。第二のデータは、被験者に音源である食品を水と共に経口投与して口内に保持した状態で記録した「音源音データ」である。第三のデータは、被験者が水のみを嚥下した時に記録した「嚥下音データ」である。
図2は、記録した「音源・嚥下音データ」から、音源音データを抽出する方法のフローチャートである。本実施形態において、コンピュータ2は、「音源・嚥下音データ」に対して、スペクトルサブトラクション法(Spectral Subtraction Method、SS法)を適用して雑音除去を行う。スペクトルサブトラクション法とは、元データが音と雑音の和で与えられていると仮定し、元データのスペクトルから、雑音データのスペクトルを差し引くことで、雑音除去を行う方法である。「音源・嚥下音データ」における雑音データとしては「環境音データ」をそのまま適用することができる。
コンピュータ2は、マイクロホン3から記録手段4に記録した「音源・嚥下音データ」のデータを入力する(ステップS1)。「音源・嚥下音データ」と「環境音データ」に対し、フレーム長20ミリ秒、フレームシフト長10ミリ秒でフレーム化を行う。次に、フレーム化したデータのフレームごとに窓関数を掛ける。本実施形態では、ハミング窓を適用している。最後に、高速フーリエ変換(以下、FFT)を行うことで、各フレームのスペクトルを得る。さらに絶対値を取り、振幅スペクトルを得る(ステップS2)。図3に、「音源・嚥下音データ」の振幅スペクトルを示す。最終的に、「環境音データ」の各フレームの振幅スペクトルの平均(以下より、平均振幅スペクトルと呼ぶ)を定数倍し、「音源・嚥下音データ」の各フレームから差し引くことで雑音除去を行う。定数倍することで、定数倍しない場合よりも高い雑音除去効果が得られる。また、振幅が負となる場合は0に修正する処理を加える。図4に、以上の処理を行って雑音を除去した「音源・嚥下音データ」の振幅スペクトル図を示す。
雑音除去を行った「音源・嚥下音データ」には、嚥下音のデータと音源音のデータが含まれるため、記録した「音源音データ」と「嚥下音データ」のデータを用いて音源音の信号データのみを抽出するフィルタリング(ステップS4)とピーク抽出(ステップS5)を行う。
図2のステップS4に対応するフィルタリングの内容を説明する。フィルタリングによって、「音源・嚥下音データ」から音源音の信号データを抽出することができる。第一の処理として、「嚥下音データ」と「音源音データ」の平均振幅スペクトルを求める。「嚥下音データ」に対しては、各フレームの振幅スペクトルを求め雑音除去を施した後、閾値処理を行い、嚥下音の発生しているフレームのみを用いて平均振幅スペクトルを算出する。「音源音データ」に対しては、各フレームの振幅スペクトルを求め雑音除去を施した後、音源の音の発生しているフレームをピーク抽出によって抜き出し、そのフレームのみを用いて平均振幅スペクトルを算出する。第二の処理として、「音源音データ」の平均振幅スペクトルから「嚥下音データ」の平均振幅スペクトルを差し引き、振幅が負となる場合は0に修正する処理を施した後に正規化して、この振幅スペクトルをフィルタとする。最後に、フィルタを元データの各フレームに適用して「嚥下音データ」を除去して音源音の信号データを抽出する。フィルタ処理後の測定時間と振幅スペクトルの一例を図5に示す。雑音除去された図4の「音源・嚥下音データ」と比較すると、1500ミリ秒から1800ミリ秒付近の嚥下に由来する音の信号データが取り除かれている。
図2のステップS5のピーク抽出処理について説明する。ピーク抽出によって、時系列の信号データの中で、音源音の発生しているフレームを抽出することができる。第一の処理として、雑音除去とフィルタリングを行った「音源・嚥下音データ」の各フレームの振幅スペクトルの和を算出し正規化する。第二の処理として、この振幅スペクトルの和に対して所定の閾値(本実施形態では0.05)を超えた区間の中で振幅スペクトルの和が最大となったフレームをピークのフレームとして選択する。ピーク抽出のために、振幅スペクトルのフレーム毎の和を正規化した結果を、図6に示す。図6に斜線で示した領域が、正規化した振幅スペクトルの和が閾値を上回る区間である。以上の処理によって、音源音が発生していると推定される10マイクロ秒のフレームを抽出することができ、音源音の発生時刻を特定することができる。図7は、音源音と推定されるピークの出現時刻を時系列で示したグラフである。
一方、コンピュータ2は、カメラ5が撮影した画像を時系列で記録した画像データを用いて、画像処理を行うことにより、喉頭蓋の動きを検出する。画像からは、被験者の咽頭蓋の動きと同期する甲状軟骨の動きを抽出することができる。甲状軟骨が挙上しているときは喉頭蓋が気管を塞いでおり、下甲状軟骨が下がっているときは咽頭蓋が気管を開いている。
コンピュータ2は、「音源・嚥下音データ」から抽出した音源音と推定されるピークの出現時刻と、画像データから得られた咽頭蓋の動きとを、時間軸で重ね合わせて、測定結果として表示する。図8に、音源音の出現時刻と咽頭の動きとを重ね合わせ、測定結果として表示した一例を示す。この測定結果は、嚥下機能が正常である被験者に音源を経口投与して嚥下の完了までを測定した「音源・嚥下音データ」と画像データを用いている。測定では、音源を経口投与した時刻を0ミリ秒としている。実線で示されている値は咽頭蓋の動きを示しており、その値が最も大きい時刻1600ミリ秒から2100ミリ秒の範囲で、咽頭蓋は気管を塞いでいる。音源音は経口投与の直後から発生しており,咽頭蓋の閉鎖完了後に小さくなっている。そして喉頭蓋が気管を開いていく時刻と同期して、音源音は検出されなくなる。図8において、音源音が記録から消失する時刻である1800ミリ秒を以て、食塊が喉を通過して食道に入った時刻とみなすことができる。このことから、被験者は、咽頭蓋が閉じている間に音源となった食品を嚥下し、咽頭を通過させて食道に送ったことが確認できる。
図8に示した測定結果から、被験者は、喉頭蓋を閉鎖するタイミングで嚥下を完了することができており、結果として嚥下のタイミングが良好であることが確認された。咽頭蓋が閉じる前に音源音の出現が見られなくなった場合や、咽頭蓋が再度開いたあとまで音源音が出現している場合には、嚥下の機能になんらかの異常があると推定される。
以上、実施形態で説明したように、本発明の嚥下タイミング測定装置1とこれを用いた測定方法によって、咽頭蓋の閉じる時刻と食塊が咽頭を通過した時刻を測定し、得られた二つの時刻から嚥下のタイミングを測定し、嚥下のタイミングが良好であるのかあるいは何らかの異常があるのかの判断に利用することができる。
本発明の嚥下タイミング測定装置1と測定方法は適宜変更が可能である。たとえば、咽頭蓋の動きを検出する検出手段として、実施形態ではカメラ5を用いているが、接触式のセンサ等、被験者の負担にならない任意の手段を適用することが可能である。また、音源としては、音の出る塊状の食品の他、体外から検出できる音、光を発生し、且つ人体に無害なものであれば、任意の音源を使用することができる。
1 嚥下タイミング測定装置
2 コンピュータ
3 マイクロホン
4、6 記録手段
5 カメラ
2 コンピュータ
3 マイクロホン
4、6 記録手段
5 カメラ
Claims (4)
- 被験者に音源を経口投与する工程と、
被験者の頭頸部近傍で発生する音を記録する工程と、
記録した前記音のデータから前記音源の音を抽出し、発生時刻と共に記録する工程と、
前記音源投与時以降の前記被験者の喉頭蓋の動きを記録する工程と、
前記音源の音が消失した時刻と、前記喉頭蓋の動きを重ね合わせることによって、被験者の嚥下のタイミングを決定する工程と、
を備えていることを特徴とする嚥下タイミング測定方法。 - 被験者に投与する音源が、塊状になった食品であることを特徴とする請求項1記載の嚥下タイミング測定方法。
- 記録した前記音のデータから前記音源の音を抽出する工程が、
前記被験者の頭頸部近傍の環境音を記録する工程と、
前記被験者の嚥下音を記録する工程と、
前記被験者が音源を口に保持した状態の音を記録する工程と、
前記被験者が音源を投与されてから摂取が完了するまでの音を記録する工程と、を備えており、
被験者が音源を投与されてから摂取が完了するまでの記録された音から、雑音の除去および嚥下音の除去を行って、音源の音を抽出することを特徴とする請求項1または2記載の嚥下タイミング測定方法。 - 被験者の頭頸部近傍の音を記録するマイクロホンと、
被験者の喉の動きを検出する検出手段と、
前記マイクロホンが収集した音のデータ及び前記検出手段が検出した喉の動きのデータを時系列で記録する記録手段と、
前記音のデータと前記喉の動きのデータとを解析することによって嚥下タイミングを決定するコンピュータと、
を備えていることを特徴とする嚥下タイミング測定装置。
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---|---|---|---|
JP2017103563A JP2018198635A (ja) | 2017-05-25 | 2017-05-25 | 嚥下タイミング測定方法および嚥下タイミング測定装置 |
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JP2017103563A Pending JP2018198635A (ja) | 2017-05-25 | 2017-05-25 | 嚥下タイミング測定方法および嚥下タイミング測定装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022048693A (ja) * | 2020-09-15 | 2022-03-28 | 国立大学法人岩手大学 | 耳周辺装着具 |
JP7495063B2 (ja) | 2021-05-21 | 2024-06-04 | 富士フイルム株式会社 | 内視鏡システム及びその作動方法 |
-
2017
- 2017-05-25 JP JP2017103563A patent/JP2018198635A/ja active Pending
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