JP2018198171A - 負極活物質及び電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する電池を得るための負極活物質を提供する。【解決手段】負極活物質は、空間群R−3mに属し、かつ、下記式(1)で表される化合物を含む。式(1)において、F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率が40.0%以下である。LixVOy-zFz・・・(1)[式(1)中、x、y及びzは、それぞれ、1.0≦x≦2.5、2.0≦y≦2.5及び0<z<yを満たす。]【選択図】図1
Description
本開示は、負極活物質及び電池に関する。
リチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池の負極材料としては、主に黒鉛材料が用いられている。近年、電子機器の性能の向上、電気自動車の動力源としての需要の増加などに伴い、非水電解質二次電池の容量密度のさらなる向上が求められている。非水電解質二次電池の容量密度の向上のためには、黒鉛よりも大きい容量密度を有する負極材料が必要である。このような負極材料の候補の1つとして、リチウムバナジウム酸化物が検討されている。
例えば、特許文献1には、リチウムバナジウム酸化物の粒子が記載されている。粒子の表面には、Li、B、Mg、Bi、F及びPのうち1つ以上の元素を含む化合物が存在する。
負極活物質としてリチウムバナジウム酸化物を用いた電池は、黒鉛を用いた電池に比べて、サイクル特性に劣る。特許文献1に記載されたリチウムバナジウム酸化物の粒子を負極活物質として用いた電池は、放電容量の観点から改良の余地を有する。
本開示は、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する電池を得るための技術を提供することを目的とする。
すなわち、本開示は、
空間群R−3mに属し、かつ、下記式(1)で表される化合物を含み、
前記式(1)において、F原子の数とO原子の数との合計に対する前記F原子の数の比率が40.0%以下である、負極活物質を提供する。
LixVOy-zFz・・・(1)
[式(1)中、x、y及びzは、それぞれ、1.0≦x≦2.5、2.0≦y≦2.5及び0<z<yを満たす。]
空間群R−3mに属し、かつ、下記式(1)で表される化合物を含み、
前記式(1)において、F原子の数とO原子の数との合計に対する前記F原子の数の比率が40.0%以下である、負極活物質を提供する。
LixVOy-zFz・・・(1)
[式(1)中、x、y及びzは、それぞれ、1.0≦x≦2.5、2.0≦y≦2.5及び0<z<yを満たす。]
本開示の負極活物質によれば、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する電池を得ることができる。
(本開示の基礎となった知見)
空間群R−3mに属するリチウムバナジウム酸化物の結晶構造は、充放電に伴って相転移する。詳細には、リチウムイオンがリチウムバナジウム酸化物に吸蔵されたとき、空間群R−3mに属する結晶構造は、空間群P−3mに属する結晶構造に変化する。リチウムイオンがリチウムバナジウム酸化物から放出されることによって、空間群P−3mに属する結晶構造は、空間群R−3mに属する結晶構造に変化する。このように、リチウムバナジウム酸化物の結晶構造の相転移は、可逆反応である。しかし、リチウムイオンの吸蔵及び放出が繰り返されることによって、リチウムバナジウム酸化物の結晶構造の内部に歪みが生じる。これにより、リチウムバナジウム酸化物は、リチウムイオンを吸蔵可能なサイトを失う。そのため、空間群R−3mに属するリチウムバナジウム酸化物を用いた電池は、サイクル特性に劣る。
空間群R−3mに属するリチウムバナジウム酸化物の結晶構造は、充放電に伴って相転移する。詳細には、リチウムイオンがリチウムバナジウム酸化物に吸蔵されたとき、空間群R−3mに属する結晶構造は、空間群P−3mに属する結晶構造に変化する。リチウムイオンがリチウムバナジウム酸化物から放出されることによって、空間群P−3mに属する結晶構造は、空間群R−3mに属する結晶構造に変化する。このように、リチウムバナジウム酸化物の結晶構造の相転移は、可逆反応である。しかし、リチウムイオンの吸蔵及び放出が繰り返されることによって、リチウムバナジウム酸化物の結晶構造の内部に歪みが生じる。これにより、リチウムバナジウム酸化物は、リチウムイオンを吸蔵可能なサイトを失う。そのため、空間群R−3mに属するリチウムバナジウム酸化物を用いた電池は、サイクル特性に劣る。
本開示の第1態様にかかる負極活物質は、
空間群R−3mに属し、かつ、下記式(1)で表される化合物を含み、
前記式(1)において、F原子の数とO原子の数との合計に対する前記F原子の数の比率が40.0%以下であるものである。
LixVOy-zFz・・・(1)
[式(1)中、x、y及びzは、それぞれ、1.0≦x≦2.5、2.0≦y≦2.5及び0<z<yを満たす。]
空間群R−3mに属し、かつ、下記式(1)で表される化合物を含み、
前記式(1)において、F原子の数とO原子の数との合計に対する前記F原子の数の比率が40.0%以下であるものである。
LixVOy-zFz・・・(1)
[式(1)中、x、y及びzは、それぞれ、1.0≦x≦2.5、2.0≦y≦2.5及び0<z<yを満たす。]
第1態様によれば、負極活物質は、式(1)で表される化合物を含む。式(1)で表される化合物では、リチウムバナジウム酸化物に含まれた酸素原子の一部がフッ素原子によって置換されている。これにより、式(1)で表される化合物は、安定な結晶構造を有する。そのため、負極活物質を用いた電池は、優れたサイクル特性を有する。負極活物質が大きい容量密度を有するため、電池は、大きい放電容量を有する。すなわち、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する電池を得ることができる。
本開示の第2態様において、例えば、第1態様にかかる負極活物質の前記比率が4.9%以上38.1%以下である。第2態様によれば、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する電池を得ることができる。
本開示の第3態様では、例えば、第1又は第2態様のいずれか1つにかかる負極活物質の前記式(1)において、x、y及びzは、それぞれ、x=1.2、y=2.2及び0.11≦z≦0.76を満たす。第3態様によれば、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する電池を得ることができる。
本開示の第4態様にかかる電池は、
第1〜3態様のいずれか1つの負極活物質を含む負極と、
正極と、
電解質と、
を備えるものである。
第1〜3態様のいずれか1つの負極活物質を含む負極と、
正極と、
電解質と、
を備えるものである。
第4態様によれば、電池は、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する。
本開示の第5態様において、例えば、第4態様にかかる電池の前記負極は、負極活物質層を有し、前記負極活物質層が主成分として前記負極活物質を含む。第5態様によれば、電池は、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本開示は、以下の実施形態に限定されない。
(負極活物質)
本実施形態にかかる負極活物質は、空間群R−3mに属し、かつ、下記式(1)で表される化合物を含む。
LixVOy-zFz・・・(1)
本実施形態にかかる負極活物質は、空間群R−3mに属し、かつ、下記式(1)で表される化合物を含む。
LixVOy-zFz・・・(1)
式(1)において、x、y及びzは、それぞれ、1.0≦x≦2.5、2.0≦y≦2.5及び0<z<yを満たす。xは、1.1≦x≦1.4を満たしてもよい。yは、2.0≦y≦2.2を満たしてもよい。zは、0.1≦z≦1.0を満たしてもよい。x、y及びzは、それぞれ、x=1.2、y=2.2及び0.11≦z≦0.76を満たしてもよい。このとき、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する電池を得ることができる。
式(1)において、F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、40.0%以下である。言い換えると、yに対するzの比率が40.0%以下である。このとき、負極活物質を用いた電池は、大きい放電容量を有する。すなわち、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する電池を得ることができる。yに対するzの比率が40.0%より大きいとき、式(1)で表される化合物の結晶構造の一部が空間群Fm3mに属することがある。空間群Fm3mに属する結晶構造は、空間群R−3mに属する結晶構造に比べて、吸蔵可能なリチウムイオンの量が少ない。
yに対するzの比率は、4.9%以上38.1%以下であってもよく、4.9%以上34.5%以下であってもよい。このとき、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する電池を得ることができる。
x、y及びzのそれぞれの値は、ICP発光分光分析法、不活性ガス溶融−赤外線吸収法などを利用することによって算出することができる。
本実施形態の負極活物質において、式(1)で表される化合物の全ての結晶構造は、空間群R−3mに属していてもよい。式(1)で表される化合物の結晶構造の一部が他の空間群に属していてもよい。式(1)で表される化合物の結晶構造は、例えば、粉末X線回折によって分析できる。
負極活物質は、式(1)で表される化合物を10〜98重量%含んでいてもよい。負極活物質は、実質的に式(1)で表される化合物からなっていてもよい。「実質的に式(1)で表される化合物からなる」とは、式(1)で表される化合物の本質的特徴を変更する他の成分を排除することを意味する。
負極活物質の形状は、特に限定されない。負極活物質は、例えば、粒子の形状を有する。負極活物質の平均粒径は、100nm〜100μmの範囲にあってもよい。「平均粒径」は、次の方法で測定することができる。負極活物質を電子顕微鏡で観察し、任意の数の粒子(例えば50個)の直径を測定する。得られた測定値を用いて算出された平均値により、平均粒径が定められる。電子顕微鏡で観察された粒子の面積と等しい面積を有する円の直径を粒子の直径とみなすことができる。粒子の形状は、特に限定されない。粒子の形状には、球状、鱗片状、繊維状などの様々な形状が含まれる。
次に、負極活物質の製造方法を説明する。
負極活物質の製造方法は、例えば、リチウムバナジウム酸化物を作製する工程(a)と、得られたリチウムバナジウム酸化物の酸素原子の一部をフッ素原子によって置換する工程(b)とを含む。
工程(a)について説明する。まず、Liを含む原料及びVを含む原料を準備する。Liを含む原料は、例えば、リチウムの酸化物及びリチウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。リチウムの酸化物は、例えば、Li2O及びLi2O2からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。リチウム塩は、例えば、Li2CO3、Li2C2O4及びLiOHからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。Vを含む原料は、例えば、バナジウムの酸化物を含む。バナジウムの酸化物は、例えば、V2O3及びV2O5からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
次に、Liを含む原料及びVを含む原料のそれぞれを秤量する。Liを含む原料とVを含む原料とを混合することによって混合物を得る。このとき、混合物において、Li原子、V原子及びO原子のモル比がx:1:yになるように、Liを含む原料とVを含む原料とを混合する。
次に、混合物について加熱処理を行う。加熱処理は、例えば、不活性ガスの気流下で行う。不活性ガスは、例えば、窒素、窒素と水素との混合ガス、及び、アルゴンガスからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。加熱処理の温度は、800℃〜1500℃の範囲にあってもよい。加熱処理の時間は、10分〜24時間の範囲にあってもよい。混合物について加熱処理を行うことによって、空間群R−3mに属するリチウムバナジウム酸化物が得られる。リチウムバナジウム酸化物は、下記式(2)で表される。
LixVOy・・・(2)
[式(2)中、x及びyは、それぞれ、1.0≦x≦2.5及び2.0≦y≦2.5を満たす。]
LixVOy・・・(2)
[式(2)中、x及びyは、それぞれ、1.0≦x≦2.5及び2.0≦y≦2.5を満たす。]
次に、工程(b)について説明する。まず、リチウムバナジウム酸化物をフッ素ガスの気流下に置く。リチウムバナジウム酸化物について加熱処理を行う。加熱処理により、リチウムバナジウム酸化物に含まれた酸素原子の一部がフッ素原子によって置換される。これにより、空間群R−3mに属し、かつ、式(1)で表される化合物が得られる。加熱処理の温度及び時間は、目的とする化合物の組成に応じて定まる。加熱処理の温度は、100℃〜500℃の範囲にあってもよく、100℃〜300℃の範囲にあってもよい。加熱処理の時間は、1分〜1時間の範囲にあってもよい。
負極活物質の製造方法は、上述の方法に限定されない。例えば、Liを含む原料とVを含む原料との混合物に、さらに、フッ素を含む原料を添加する。得られた混合物について加熱処理を行う。これにより、式(1)で表される化合物を製造してもよい。
式(1)で表される化合物では、リチウムバナジウム酸化物に含まれた酸素原子の一部がフッ素原子によって置換されている。フッ素原子は、酸素原子よりも大きい電気陰性度を有する。そのため、フッ素原子は、酸素原子に比べて、式(1)で表される化合物に含まれたリチウム原子及びバナジウム原子のそれぞれと強く結合する。これにより、式(1)で表される化合物は、安定な結晶構造を有する。すなわち、電池の充放電が繰り返された場合でも、式(1)で表される化合物の結晶構造の内部において、歪みの発生が抑制される。そのため、本実施形態の負極活物質を用いた電池は、優れたサイクル特性を有する。
(電池)
図1に示すように、本実施形態にかかる電池100は、負極10、正極20、セパレータ30及び外装40を備えている。セパレータ30は、負極10と正極20との間に配置されている。負極10、正極20及びセパレータ30は、外装40の内部に収められている。負極10、正極20及びセパレータ30には、電解質が含浸されている。
図1に示すように、本実施形態にかかる電池100は、負極10、正極20、セパレータ30及び外装40を備えている。セパレータ30は、負極10と正極20との間に配置されている。負極10、正極20及びセパレータ30は、外装40の内部に収められている。負極10、正極20及びセパレータ30には、電解質が含浸されている。
負極10は、負極集電体11及び負極活物質層12を有する。負極活物質層12は、負極集電体11に接している。負極活物質層12は、負極集電体11とセパレータ30との間に形成されている。
正極20は、正極集電体21及び正極活物質層22を有する。正極活物質層22は、正極集電体21に接している。正極活物質層22は、正極集電体21とセパレータ30との間に形成されている。
負極活物質層12は、本実施形態にかかる負極活物質を含む。そのため、電池100は、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する。負極活物質層12は、本実施形態にかかる負極活物質を主成分として含んでいてもよい。「主成分」とは、負極活物質層12に重量比で最も多く含まれた成分を意味する。負極活物質層12の重量に対する負極活物質の重量の比率が高ければ高いほど、電池の放電容量の密度が増加する。負極活物質層12の重量に対する負極活物質の重量の比率は、50%以上であってもよく、70%以上であってもよい。負極活物質層12は、実質的に負極活物質からなっていてもよい。「実質的に負極活物質からなる」とは、負極活物質の本質的特徴を変更する他の成分を排除することを意味する。ただし、負極活物質層12は、負極活物質の他に不純物を含んでいてもよい。不純物は、例えば、負極活物質の原料に含まれた不純物、負極活物質を製造するときに生じた副生成物、又は、負極活物質の分解物である。
負極活物質層12は、必要に応じて、他の負極活物質、導電助剤、イオン伝導体、バインダーなどをさらに含んでいてもよい。他の負極活物質とは、リチウムイオンを吸蔵すること及び放出することが可能であり、かつ、本実施形態にかかる負極活物質とは異なる組成を有する負極活物質を意味する。
導電助剤及びイオン伝導体のそれぞれは、電極の抵抗を低減するために用いられる。導電助剤は、例えば、炭素材料(炭素導電助剤)及び導電性の高分子化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。炭素材料は、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、グラフェン、フラーレン及び酸化黒鉛からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。導電性の高分子化合物は、例えば、ポリアニリン、ポリピロール及びポリチオフェンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。イオン伝導体は、例えば、ゲル電解質、有機固体電解質及び無機固体電解質からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。ゲル電解質は、例えば、ポリメチルメタクリレート及びポリエチレンオキサイドからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。有機固体電解質は、例えば、ポリエチレンオキサイドを含む。無機固体電解質は、例えば、Li7La3Zr2O12を含む。
バインダーは、電極を構成する材料の結着性を向上するために用いられる。バインダーは、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミドからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
負極集電体11は、ステンレス鋼、ニッケル、銅及びそれらの合金などの金属材料でできていてもよい。負極集電体11は、例えば、シート又はフィルムである。シート又はフィルムは、多孔質であってもよく、無孔であってもよい。シート又はフィルムとしては、金属箔、メッシュなどが用いられる。負極集電体11の表面は、カーボンなどの炭素材料(導電性補助材料)によって処理されていてもよい。炭素材料で処理されることによって、負極集電体11の抵抗値が減少する。負極集電体11の表面において、炭素材料が触媒として機能する。炭素材料は、負極活物質層12及び負極集電体11のそれぞれと化学的又は物理的に結合する。これにより、負極活物質層12と負極集電体11との接着性が向上する。
正極活物質層22は、正極活物質を含む。正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵すること及び放出することができるものであれば、特に限定されない。正極活物質は、例えば、リチウムを含む遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン材料、フッ素化ポリアニオン材料及び遷移金属硫化物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。正極活物質が、リチウムを含む遷移金属酸化物を含むとき、電池100の平均放電電圧が増加する。リチウムを含む遷移金属酸化物は、電池100の製造コストを低減することもできる。
正極活物質層22は、必要に応じて、導電助剤、イオン伝導体、バインダーなどをさらに含んでいてもよい。導電助剤、イオン伝導体及びバインダーとしては、上述したものを使用できる。
正極集電体21は、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン及びそれらの合金などの金属材料でできていてもよい。正極集電体21がアルミニウム又はアルミニウムを含む合金でできているとき、薄膜状の正極集電体21を容易かつ安価に作製できる。正極集電体21は、例えば、シート又はフィルムである。シート又はフィルムは、多孔質であってもよく、無孔であってもよい。シート又はフィルムとしては、金属箔、メッシュなどが用いられる。正極集電体21の表面は、カーボンなどの炭素材料によって処理されていてもよい。炭素材料で処理されることによって、正極集電体21の抵抗値が減少する。正極集電体21の表面において、炭素材料が触媒として機能する。炭素材料は、正極活物質層22及び正極集電体21のそれぞれと化学的又は物理的に結合する。これにより、正極活物質層22と正極集電体21との接着性が向上する。
電解質は、非水電解質であってもよい。非水電解質は、例えば、リチウム塩と非水溶媒とを含む電解液、ゲル電解質及び固体電解質からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(SO2CF3)2)、ビスパーフルオロエチルスルホニルイミドリチウム(LiN(SO2C2F5)2)、ビスフルオロスルホニルイミドリチウム(LiN(SO2F)2)、LiAsF6、LiCF3SO3、ジフルオロ(オキサラト)ホウ酸リチウムなどが挙げられる。リチウム塩としては、上記に例示したものから選ばれる1種又は2種以上の混合物を用いることができる。LiPF6は、熱安定性及びイオン伝導性に優れる。リチウム塩としてLiPF6を用いるとき、電池100の安全性が向上する。
非水溶媒は、一般的な電池に用いられるものであれば、特に限定されない。非水溶媒としては、環状炭酸エステル類、鎖状炭酸エステル類、エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、ニトリル類、アミド類などが挙げられる。非水溶媒としては、上記に例示したものから選ばれる1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
環状炭酸エステル類は、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びブチレンカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。これらの環状炭酸エステル類が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子に置換されていてもよい。環状炭酸エステル類は、トリフルオロプロピレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネートなどであってもよい。
鎖状炭酸エステル類は、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルイソプロピルカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。これらの鎖状炭酸エステル類が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子に置換されていてもよい。
エステル類は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル及びγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
環状エーテル類は、例えば、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール及びクラウンエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
鎖状エーテル類は、例えば、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
ニトリル類は、例えば、アセトニトリルを含む。アミド類は、例えば、ジメチルホルムアミドを含む。
固体電解質は、例えば、有機ポリマーの固体電解質、酸化物の固体電解質及び硫化物の固体電解質からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。
有機ポリマーの固体電解質としては、例えば、高分子化合物とリチウム塩との混合物が挙げられる。高分子化合物は、エチレンオキシド基を有していてもよい。このとき、高分子化合物の重量に対するリチウム塩の重量の比率を高めることができる。高分子化合物の重量に対するリチウム塩の重量の比率を高めたとき、固体電解質のイオン伝導率が増加する。
酸化物の固体電解質としては、NASICON型構造を有する固体電解質、ペロブスカイト型構造を有する固体電解質、LISICON型構造を有する固体電解質、ガーネット型構造を有する固体電解質、Li3N、Li3Nを水素原子によって置換した化合物、Li3PO4、Li3PO4を窒素原子によって置換した化合物などが挙げられる。NASICON型構造を有する固体電解質は、例えば、LiTi2(PO4)3及びLiTi2(PO4)3の一部の原子を置換した化合物に代表される。ペロブスカイト型構造を有する固体電解質としては、例えば、(LaLi)TiO3が挙げられる。LISICON型構造を有する固体電解質としては、例えば、Li14ZnGe4O16、Li4SiO4、LiGeO4及びそれらの化合物の一部の原子を置換した化合物に代表される。ガーネット型構造を有する固体電解質は、例えば、Li7La3Zr2O12及びLi7La3Zr2O12の一部の原子を置換した化合物に代表される。
硫化物の固体電解質は、例えば、Li2S−P2S5、Li2S−SiS2、Li2S−B2S3、Li2S−GeS2、Li3.25Ge0.25P0.75S4及びLi10GeP2S12からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。硫化物の固体電解質は、LiX、MOp及びLiqMOpからなる群より選ばれる少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。ここで、Xは、F、Cl、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。Mは、P、Si、Ge、B、Al、Ga及びInからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。p及びqのそれぞれは、任意の自然数である。硫化物の固体電解質は、成形性及びイオン伝導性に優れている。特に、Li2S−P2S5は、電気化学的な安定性及びイオン伝導性に優れている。硫化物の固体電解質を含む電池は、高いエネルギー密度を有する。固体電解質としてLi2S−P2S5を含む電池は、より高いエネルギー密度を有する。
セパレータ30は、一般的な電池に用いられるものであれば、特に限定されない。セパレータ30は、例えば、ポリオレフィンを含む。ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。セパレータ30は、ガラス繊維、セルロース繊維などの繊維材料でできたシート、不織布又は織布であってもよい。
電池100の形状は、コイン型、円筒型、角型、シート型、ボタン型、扁平型、積層型などであってもよい。
本実施形態の電池100は、例えば、非水電解質二次電池として用いられる。非水電解質二次電池は、リチウムイオン二次電池又は全固体二次電池であってもよい。
電池100を製造する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法をそのまま流用することができる。
本開示を実施例に基づき、具体的に説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されない。
[負極活物質の作製]
(サンプル1)
リチウムバナジウム酸化物を作製する工程(a)と、得られたリチウムバナジウム酸化物の酸素原子の一部をフッ素原子によって置換する工程(b)とを行うことによって、負極活物質を作製した。詳細には、以下の方法によって、負極活物質を作製した。
(サンプル1)
リチウムバナジウム酸化物を作製する工程(a)と、得られたリチウムバナジウム酸化物の酸素原子の一部をフッ素原子によって置換する工程(b)とを行うことによって、負極活物質を作製した。詳細には、以下の方法によって、負極活物質を作製した。
まず、工程(a)を行った。詳細には、Li2O及びV2O3を秤量した。Li2OとV2O3とのモル比率は、Li2O:V2O3=1.2:1.0であった。次に、Li2O及びV2O3を混合することによって混合物を得た。混合には、メノウ乳鉢及び乳棒を用いた。
次に、得られた混合物について加熱処理を行った。加熱処理は、窒素ガスの気流下で行った。加熱処理の温度は、1300℃であった。加熱処理の時間は、5時間であった。混合物を加熱処理することによって、リチウムバナジウム酸化物を得た。リチウムバナジウム酸化物は、Li1.2VO2.2の組成を有していた。
次に、工程(b)を行った。詳細には、得られたリチウムバナジウム酸化物をフッ素ガスの気流下に置いた。リチウムバナジウム酸化物について加熱処理を行った。加熱処理の温度は、200℃であった。加熱処理の時間は、2分間であった。これにより、サンプル1の負極活物質を得た。
サンプル1の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。測定結果を図2に示す。図2からわかるとおり、サンプル1の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。
次に、ICP発光分光分析法及び不活性ガス溶融−赤外線吸収法によって、サンプル1の負極活物質を分析した。その結果、サンプル1の負極活物質は、Li1.2VO2.09F0.11の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率(z/y×100)は、4.9%であった。
(サンプル2)
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を200℃で10分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル2の負極活物質を得た。サンプル2の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。サンプル2の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル2の負極活物質は、Li1.2VO1.91F0.29の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、13.3%であった。
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を200℃で10分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル2の負極活物質を得た。サンプル2の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。サンプル2の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル2の負極活物質は、Li1.2VO1.91F0.29の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、13.3%であった。
(サンプル3)
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を200℃で60分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル3の負極活物質を得た。サンプル3の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。サンプル3の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル3の負極活物質は、Li1.2VO1.74F0.46の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、20.9%であった。
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を200℃で60分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル3の負極活物質を得た。サンプル3の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。サンプル3の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル3の負極活物質は、Li1.2VO1.74F0.46の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、20.9%であった。
(サンプル4)
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を300℃で2分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル4の負極活物質を得た。サンプル4の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。測定結果を図2に示す。図2からわかるとおり、サンプル4の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル4の負極活物質は、Li1.2VO1.62F0.58の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、26.5%であった。
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を300℃で2分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル4の負極活物質を得た。サンプル4の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。測定結果を図2に示す。図2からわかるとおり、サンプル4の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル4の負極活物質は、Li1.2VO1.62F0.58の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、26.5%であった。
(サンプル5)
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を300℃で10分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル5の負極活物質を得た。サンプル5の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。測定結果を図2に示す。図2からわかるとおり、サンプル5の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル5の負極活物質は、Li1.2VO1.47F0.73の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、33.1%であった。
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を300℃で10分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル5の負極活物質を得た。サンプル5の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。測定結果を図2に示す。図2からわかるとおり、サンプル5の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル5の負極活物質は、Li1.2VO1.47F0.73の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、33.1%であった。
(サンプル6)
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を300℃で60分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル6の負極活物質を得た。サンプル6の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。サンプル6の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル6の負極活物質は、Li1.2VO1.44F0.76の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、34.5%であった。
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を300℃で60分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル6の負極活物質を得た。サンプル6の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。サンプル6の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル6の負極活物質は、Li1.2VO1.44F0.76の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、34.5%であった。
(サンプル7)
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)を行わなかったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル7の負極活物質を得た。サンプル7の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。測定結果を図2に示す。図2からわかるとおり、サンプル7の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル7の負極活物質は、Li1.2VO2.2の組成を有していた。
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)を行わなかったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル7の負極活物質を得た。サンプル7の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。測定結果を図2に示す。図2からわかるとおり、サンプル7の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。粉末X線回折の結果からは、不純物の生成が確認されなかった。サンプル7の負極活物質は、Li1.2VO2.2の組成を有していた。
(サンプル8)
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を400℃で2分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル8の負極活物質を得た。サンプル8の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。測定結果を図2に示す。図2からわかるとおり、サンプル8の負極活物質は、空間群R−3mに属する結晶構造と空間群Fm3mに属する結晶構造とを有していた。サンプル8の負極活物質は、Li1.2VO1.32F0.88の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、40.2%であった。
リチウムバナジウム酸化物について、工程(b)の加熱処理を400℃で2分間行ったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル8の負極活物質を得た。サンプル8の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。測定結果を図2に示す。図2からわかるとおり、サンプル8の負極活物質は、空間群R−3mに属する結晶構造と空間群Fm3mに属する結晶構造とを有していた。サンプル8の負極活物質は、Li1.2VO1.32F0.88の組成を有していた。F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率は、40.2%であった。
(サンプル9)
リチウムバナジウム酸化物にLiFを添加し、窒素ガスの気流下で加熱処理を行ったこと、及び、工程(b)を行わなかったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル9の負極活物質を得た。添加したLiFの重量は、原料として加えたLi2O、V2O3及びLiFのそれぞれの重量の合計に対して0.5%であった。サンプル9の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。測定結果を図2に示す。図2からわかるとおり、サンプル9の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。サンプル9の負極活物質には、不純物としてLiFが含まれていた。サンプル9の負極活物質には、式(1)で表される化合物が含まれていなかった。
リチウムバナジウム酸化物にLiFを添加し、窒素ガスの気流下で加熱処理を行ったこと、及び、工程(b)を行わなかったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル9の負極活物質を得た。添加したLiFの重量は、原料として加えたLi2O、V2O3及びLiFのそれぞれの重量の合計に対して0.5%であった。サンプル9の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。測定結果を図2に示す。図2からわかるとおり、サンプル9の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。サンプル9の負極活物質には、不純物としてLiFが含まれていた。サンプル9の負極活物質には、式(1)で表される化合物が含まれていなかった。
(サンプル10)
リチウムバナジウム酸化物にLiFを添加し、窒素ガスの気流下で加熱処理を行ったこと、及び、工程(b)を行わなかったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル10の負極活物質を得た。添加したLiFの重量は、原料として加えたLi2O、V2O3及びLiFのそれぞれの重量の合計に対して2.5%であった。サンプル10の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。サンプル10の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。サンプル10の負極活物質には、不純物としてLiFが含まれていた。サンプル10の負極活物質には、式(1)で表される化合物が含まれていなかった。
リチウムバナジウム酸化物にLiFを添加し、窒素ガスの気流下で加熱処理を行ったこと、及び、工程(b)を行わなかったことを除き、サンプル1と同じ方法によって、サンプル10の負極活物質を得た。添加したLiFの重量は、原料として加えたLi2O、V2O3及びLiFのそれぞれの重量の合計に対して2.5%であった。サンプル10の負極活物質に対して、粉末X線回折を行った。サンプル10の負極活物質は、空間群R−3mに属していた。サンプル10の負極活物質には、不純物としてLiFが含まれていた。サンプル10の負極活物質には、式(1)で表される化合物が含まれていなかった。
[評価用セルの作製]
次に、サンプル1の負極活物質を用いて、サンプル1の評価用セルを作製した。評価用セルの作製は、以下の方法によって行った。
次に、サンプル1の負極活物質を用いて、サンプル1の評価用セルを作製した。評価用セルの作製は、以下の方法によって行った。
まず、サンプル1の負極活物質、導電助剤及びバインダーを秤量した。導電助剤としては、アセチレンブラックを用いた。バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンを用いた。負極活物質、導電助剤及びバインダーの重量比率は、7:2:1であった。次に、負極活物質、導電助剤及びバインダーのそれぞれをN−メチルピロリドン(NMP)溶媒中に分散させることによってスラリーを作製した。塗工機を用いて、得られたスラリーを負極集電体の上に塗布した。負極集電体としては、Cuを用いた。スラリーが塗布された集電体(極板)を圧延機で圧延した。一辺が20mmの正方形になるように極板を打ち抜いた。打ち抜いた極板に集電タブを溶接することによって試験電極を得た。
次に、試験電極、対極及び参照極を用いてリチウム二次電池(評価用セル)を作製した。対極及び参照極としてリチウム金属を用いた。電解液の調製及び評価用セルの作製は、露点−60度以下、酸素値1ppm以下に設定されたアルゴン(Ar)雰囲気下のグローブボックス内で行った。
電解液は、次の方法で調製した。まず、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを混合することによって混合液を得た。混合されたエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比率は、1:3であった。得られた混合液に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を添加し、溶解させることによって電解液を得た。電解液における六フッ化リン酸リチウムの濃度は、1mol/Lであった。
対極は、ニッケルメッシュにリチウム金属を圧着させることによって作製した。ニッケルメッシュの形状は、一辺が20mmの正方形であった。セパレータとしては、ポリエチレン微多孔膜を用いた。
次に、セパレータに電解液を含浸させた。試験電極及び対極がセパレータを介して対向するように、試験電極、対極及びセパレータを配置した。試験電極、対極及びセパレータを外装の内部に収容し、外装を閉じた。これにより、評価用セルを得た。
サンプル1と同じ方法によって、サンプル2〜10の負極活物質を用いて評価用セルを作製した。
[充放電試験]
次に、サンプル1〜10の各評価用セルについて、充放電試験を実施し、充放電特性の評価を行った。
次に、サンプル1〜10の各評価用セルについて、充放電試験を実施し、充放電特性の評価を行った。
充放電試験は、25℃の恒温槽内で行った。まず、試験電極と参照極との電位差が0Vに達するように定電流を流すことによって、評価用セルの充電を行った。定電流は、負極活物質の重量当たり8.75mAであった。評価用セルの充電によって、試験電極は、リチウムイオンを吸蔵した。評価用セルの充電を行ったあとに、20分間休止した。次に、試験電極と参照極との電位差が1.5Vに達するように定電流を流すことによって、評価用セルの放電を行った。定電流は、負極活物質の重量当たり8.75mAであった。評価用セルの放電によって、試験電極は、リチウムイオンを放出した。評価用セルの放電の結果に基づいて、評価用セルの初回放電容量を算出した。各評価用セルの初回放電容量を表1に示す。
上記の充放電試験を1サイクルとし、このサイクルを20回実施した。これにより、1サイクル目の評価用セルの放電容量(初回放電容量)の値と、20サイクル目の評価用セルの放電容量の値とを得た。20サイクル目の評価用セルの放電容量の値を1サイクル目の評価用セルの放電容量の値で除することによって、容量維持率(%)を算出した。各評価用セルの20サイクル目の容量維持率を表1に示す。
リチウムバナジウム酸化物の酸素原子の一部がフッ素原子によって置換されたサンプル1〜6の負極活物質を用いた評価用セルは、サンプル7と同程度の初回放電容量を有し、かつ、サンプル7に比べて優れた容量維持率を有していた。すなわち、サンプル1〜6の負極活物質によれば、優れたサイクル特性を有し、かつ、大きい放電容量を有する電池を得ることができる。サンプル8の結果から、F原子の数とO原子の数との合計に対するF原子の数の比率が特定の値よりも大きい負極活物質を用いた評価用セルは、小さい初回放電容量を有することがわかった。
サンプル9及び10の結果から、リチウムバナジウム酸化物にLiFを添加することによって、初回放電容量が低下することがわかった。この結果は、添加されたLiFの重量だけ負極活物質の重量が増加したこと、及び、LiFが抵抗として働いたことに起因していると考えられる。
本開示の負極活物質は、電池の負極活物質として利用できる。
10 負極
11 負極集電体
12 負極活物質層
20 正極
21 正極集電体
22 正極活物質層
30 セパレータ
40 外装
100 電池
11 負極集電体
12 負極活物質層
20 正極
21 正極集電体
22 正極活物質層
30 セパレータ
40 外装
100 電池
Claims (5)
- 空間群R−3mに属し、かつ、下記式(1)で表される化合物を含み、
前記式(1)において、F原子の数とO原子の数との合計に対する前記F原子の数の比率が40.0%以下である、負極活物質。
LixVOy-zFz・・・(1)
[式(1)中、x、y及びzは、それぞれ、1.0≦x≦2.5、2.0≦y≦2.5及び0<z<yを満たす。] - 前記比率が4.9%以上38.1%以下である、請求項1に記載の負極活物質。
- 前記式(1)において、x、y及びzは、それぞれ、x=1.2、y=2.2及び0.11≦z≦0.76を満たす、請求項1又は2に記載の負極活物質。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の負極活物質を含む負極と、
正極と、
電解質と、
を備える、電池。 - 前記負極は、負極活物質層を有し、
前記負極活物質層が主成分として前記負極活物質を含む、請求項4に記載の電池。
Priority Applications (1)
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