JP2018197311A - ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い表面硬度および耐熱性を有し、かつ、透明性に優れたポリカーボネート樹脂組成物の製造方法の提供。
【解決手段】(1)式(1)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂および(2)式(2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂からなるポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)ガラス転移温度が160℃以上の熱可塑性樹脂とを溶融混練し、さらに、ポリカーボネート樹脂群の残りを添加して溶融混練することを含む、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。式(2)中、R1はメチル基を表す。
Figure 2018197311

【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂は、強度や電気的特性に優れ、しかも、得られる成形品は寸法安定性等にも優れることから、電気電子機器の筐体類、自動車用内装部品類、または、精密成形部品類の製造用原料樹脂として広く使用され、特に、家電機器、電子機器、液晶ディスプレイ表示機器の部品等においては、その美麗な外観を活かし、商品価値の高い商品が得られる。
例えば、特許文献1には、下記一般式(1)の構造単位を有する粘度平均分子量(Mv)が20,000〜35,000のポリカーボネート樹脂(A)および下記一般式(2)の構造単位を有する粘度平均分子量(Mv)が16,000〜28,000のポリカーボネート樹脂(B)を、(A)/(B)の質量比で80/20〜20/80の割合で含有し、ASTM D2794に従って測定した25℃におけるデュポン衝撃強度が10J以上、JIS K5600に従って測定した鉛筆硬度がF以上であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
Figure 2018197311
(一般式(1)中、R1はメチル基、R2は水素原子またはメチル基を表し、Xは、
Figure 2018197311
を表し、R3およびR4は水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。)
Figure 2018197311
(一般式(2)のXは、前記一般式(1)のXと同義である。)
特開2013−064045号公報
ここで、上記特許文献1を検討したところ、耐熱性が求められる用途には、必ずしも適していないことが分かった。そこで、耐熱性の高い熱可塑性樹脂を配合して、耐熱性を向上させることが考えられる。しかしながら、耐熱性の高い樹脂を配合して溶融混練すると、透明性が劣る場合があることが分かった。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、高い表面硬度および耐熱性を有するポリカーボネート樹脂組成物の透明性を高めることが可能なポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、上記特許文献1に記載のような2種のポリカーボネート樹脂と、ガラス転移温度の高い熱可塑性樹脂を溶融混練する際に、溶融混練を二度に分けて行うことにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<7>により、上記課題は解決された。
<1>(1)下記式(1)で表される構造単位を50モル%を超えて含むポリカーボネート樹脂および(2)下記式(2)で表される構造単位を50モル%以上含むポリカーボネート樹脂からなるポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)ガラス転移温度が160℃以上の熱可塑性樹脂とを溶融混練し、さらに、前記ポリカーボネート樹脂群の残りを添加して溶融混練することを含む、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法;
Figure 2018197311
式(1)中、X1は下記のいずれかの式を表し、
Figure 2018197311
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す;
Figure 2018197311
式(2)中、R1はメチル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、X2は下記のいずれかの式を表し、
Figure 2018197311
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
<2>前記(3)熱可塑性樹脂のガラス転移温度が160〜220℃である、<1>に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
<3>前記(3)熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂である、<1>または<2>に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
<4>前記(1)ポリカーボネート樹脂、(2)ポリカーボネート樹脂および(3)熱可塑性樹脂の質量比が10〜80:10〜85:5〜70である(但し、合計が100質量部である)、<1>〜<3>のいずれか1つに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
<5>前記ポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)ガラス転移温度が160℃以上の熱可塑性樹脂とを溶融混練する工程は、290℃以上の押出樹脂温度で行う、<1>〜<4>のいずれか1つに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
<6>前記(1)ポリカーボネート樹脂の末端水酸基量が600〜2000質量ppmである、<1>〜<5>のいずれか1つに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
<7>前記ポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)熱可塑性樹脂とを溶融混練してペレット化した後、前記ペレットと、(2)ポリカーボネート樹脂を溶融混練することを含む、<1>〜<6>のいずれか1つに記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
本発明により、高い表面硬度および耐熱性を有するポリカーボネート樹脂組成物の透明性を高めることが可能なポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を提供可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ということがある)は、(1)下記式(1)で表される構造単位を50モル%を超えて含むポリカーボネート樹脂および(2)下記式(2)で表される構造単位を50モル%以上含むポリカーボネート樹脂からなるポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)ガラス転移温度が160℃以上の熱可塑性樹脂とを溶融混練し、さらに、前記ポリカーボネート樹脂群の残りを添加して溶融混練することを特徴とする。
Figure 2018197311
式(1)中、X1は下記のいずれかの式を表し、
Figure 2018197311
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
Figure 2018197311
式(2)中、R1はメチル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、X2は下記のいずれかの式を表し、
Figure 2018197311
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
上記構成とすることにより、高い表面硬度および耐熱性を有するポリカーボネート樹脂組成物の透明性を高めることが可能になる。
<ポリカーボネート樹脂群の一部と(3)熱可塑性樹脂とを溶融混練する工程>
本発明の製造方法は、(1)下記式(1)で表される構造単位を50モル%を超えて含むポリカーボネート樹脂および(2)下記式(2)で表される構造単位を50モル%以上含むポリカーボネート樹脂からなるポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)ガラス転移温度が160℃以上の熱可塑性樹脂とを溶融混練すること(以下、本工程を「第一の溶融混練工程」ということがある)を含む。このように、ポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)熱可塑性樹脂を先に溶融混練し、後から、ポリカーボネート樹脂群の残りを溶融混練することにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の透明性を高くすることができる。
第一の溶融混練工程で溶融混練するポリカーボネート樹脂群の量は、得られるポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂群の全量の10〜85質量%であることが好ましく、20〜85質量%であることがより好ましく、30〜80質量%であることがさらに好ましく、特には、40〜75質量%であってもよい。
第一の溶融混練工程で溶融混練するポリカーボネート樹脂群は、(1)ポリカーボネート樹脂および(2)ポリカーボネート樹脂の一方、ならびに両方のいずれであってもよく、少なくとも(1)ポリカーボネート樹脂を溶融混練することが好ましく、第一の溶融混練工程で溶融混練するポリカーボネート樹脂群の90質量%以上が(1)ポリカーボネート樹脂であることがより好ましい。
尚、第一の溶融混練工程およびにおいて、上記ポリカーボネート樹脂群および(3)熱可塑性樹脂以外の樹脂成分や添加剤を含んでいてもよいことは言うまでもない。特に、ポリカーボネート樹脂組成物が安定剤や離型剤等の添加剤を含む場合、第一の溶融混練工程で混練することが好ましい。
本発明の製造方法の第一の溶融混練工程におけるスクリューの回転数は、50〜1000rpmが好ましく、70〜800rpmがより好ましく、100〜500rpmがさらに好ましい。
また、第一の溶融混練工程における押出温度は、270℃以上であることが好ましく、280℃以上であることがより好ましく、290℃以上であることがさらに好ましく、300℃以上であることが一層好ましく、310℃以上であることがより一層好ましく、315℃以上であることがさらに一層好ましい。上記押出温度の上限値は、350℃以下であることが好ましく、340℃以下であることがより好ましく、330℃以下であることがさらに好ましい。
ここで、押出温度とは、押出機内のバレルの設定温度を意味する。
また、第一の溶融混練工程における押出樹脂温度は、280℃以上であることが好ましく、290℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることがさらに好ましく、310℃以上であることが一層好ましく、320℃以上であることがより一層好ましく、325℃以上であることがさらに一層好ましい。上記押出樹脂温度の上限値は、360℃以下であることが好ましく、350℃以下であることがより好ましく、340℃以下であることがさらに好ましい。
ここで、押出樹脂温度とは、押出機のダイ穴に入る直前の樹脂の温度を意味し、後述する実施例に記載の方法に従って測定される。
<ポリカーボネート樹脂群の残りを添加して溶融混練する工程>
本発明の製造方法は、上記第一の溶融混練工程の後に、さらに、ポリカーボネート樹脂群の残りを添加して溶融混練すること(以下、本工程を「第二の溶融混練工程」ということがある)を含む。ポリカーボネート樹脂群の残りとは、第一の溶融混練工程または第二の溶融混練工程で添加される(1)ポリカーボネート樹脂および(2)ポリカーボネート樹脂のうち、第一の溶融混練工程で添加されなかった(1)ポリカーボネート樹脂および(2)ポリカーボネート樹脂をいう。このように、ポリカーボネート樹脂群の残りを後から添加して溶融混練することにより、ポリカーボネート樹脂組成物の透明性を高くすることが可能になる。
尚、第二の溶融混練工程において、上記ポリカーボネート樹脂群および(3)熱可塑性樹脂以外の樹脂成分や添加剤を含んでいてもよいことは言うまでもない。
本発明の製造方法の第二の溶融混練工程におけるスクリューの回転数は、50〜1000rpmが好ましく、70〜800rpmがより好ましく、100〜500rpmがさらに好ましい。
また、第二の溶融混練工程における押出温度は、230℃以上であることが好ましく、240℃以上であることがより好ましく、245℃以上であることがさらに好ましく、250℃以上であることが一層好ましく、255℃以上であることがより一層好ましく、260℃以上であることがさらに一層好ましく、270℃以上であってもよい。上記押出温度の上限値は、350℃以下であることが好ましく、340℃以下であることがより好ましく、330℃以下であることがさらに好ましく、320℃以下、310℃以下、300℃以下、290℃以下であってもよい。
また、第二の溶融混練工程における押出樹脂温度は、240℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、255℃以上であることがさらに好ましく、260℃以上であることが一層好ましく、265℃以上であることがより一層好ましく、270℃以上であることがさらに一層好ましく、280℃以上、290℃以上であってもよい。上記押出樹脂温度の上限値は、360℃以下であることが好ましく、350℃以下であることがより好ましく、340℃以下であることがさらに好ましく、330℃以下、320℃以下、310℃以下であってもよい。
本発明の製造方法では、ポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)熱可塑性樹脂とを溶融混練してペレット化した後、前記ペレットと、ポリカーボネート樹脂群の残りを溶融混練することを含む態様が例示される。一度ペレット化することにより、ポリカーボネート樹脂組成物の透明性をより高めることが可能になる。
一方、ポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)熱可塑性樹脂とを溶融混練した後、ペレット化することは必ずしも必須ではない。例えば、ポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)熱可塑性樹脂とを溶融混練した後、そのまま、サイドフィードによって、ポリカーボネート樹脂群の残りを添加し、溶融混練することも本発明の範囲に含まれる。
本発明の製造方法における、第一の溶融混練工程と第二の溶融混練工程の押出温度の差は、0〜70℃であることが好ましく、10〜60℃であることがより好ましく、20〜50℃であることがさらに好ましい。
また、本発明の製造方法における、第一の溶融混練工程と第二の溶融混練工程の押出樹脂温度の差は、0〜70℃であることが好ましく、5〜60℃であることがより好ましく、10〜50℃であることがさらに好ましい。
本発明の製造方法における、第一の溶融混練工程と第二の溶融混練工程の溶融混練時間の比率は、10:1〜1:10であることが好ましく、5:1〜1:5であることがより好ましい。
溶融混練時間とは、押出機に原料樹脂をフィードしてから、押出すまでの時間をいう。但し、ポリカーボネート樹脂群の残りをサイドフィードする場合は、第一の溶融混練時間は、押出機に原料樹脂をフィードしてからサイドフィードするまでの時間をいい、第二の溶融混練時間は、ポリカーボネート樹脂群の残りをサイドフィードしてから押し出すまでの時間をいう。
本発明の製造方法は、さらに、上記第二の溶融混練工程の後、ペレット化する工程を含んでいてもよい。
<(1)式(1)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂>
本発明で用いる第一のポリカーボネート樹脂は、(1)式(1)で表される構造単位を、50モル%を超えて含む。
Figure 2018197311
式(1)中、X1は下記のいずれかの式を表し、
Figure 2018197311
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
Zは、上記式(1)中の2個のフェニル基と結合する炭素Cと結合して、炭素数6〜12の二価の脂環式炭化水素基を形成するが、二価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基、アダマンチリデン基、シクロドデシリデン基等のシクロアルキリデン基が挙げられる。置換されたものとしては、これらのメチル置換基、エチル置換基を有するもの等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シクロヘキシリデン基のメチル置換体(好ましくは3,3,5−トリメチル置換体)、シクロドデシリデン基が好ましい。
式(1)中、X1は下記構造が好ましい。
Figure 2018197311
3およびR4は、少なくとも一方がメチル基であることが好ましく、両方がメチル基であることがより好ましい。
上記式(1)で表される構造単位の好ましい具体例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、即ち、ビスフェノール−Aから構成される構造単位(カーボネート構造単位)である。
本発明における上記(1)ポリカーボネート樹脂は、式(1)で表される構造単位を、50モル%を超えて含む。好ましくは55モル%以上、より好ましくは60モル%以上が、さらに好ましくは70モル%以上が、一層好ましくは80モル%以上が、より一層好ましくは90モル%以上が、さらに一層好ましくは95モル%以上が、式(1)で表される構造単位である。
上記(1)ポリカーボネート樹脂は、式(1)で表される構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
上記(1)ポリカーボネート樹脂は、前記式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。このような他の構造単位を構成するジヒドロキシ化合物としては、例えば以下のような芳香族ジヒドロキシ化合物を挙げることができる;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、4,4'−(1,3−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4'−(1,4−フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4'−ジヒドロキシフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−6−メチル−3−tert−ブチルフェニル)ブタン。
上記(1)ポリカーボネート樹脂における、式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位の共重合量は、50モル%未満であり、好ましくは45モル%以下、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、一層好ましくは20モル%以下、より一層好ましくは10モル%以下、さらに一層好ましくは5モル%以下である。
上記(1)ポリカーボネート樹脂は、式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
上記(1)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、下限値が9,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、12,000以上であることがさらに好ましい。また、Mvの上限値は、30,000以下であることが好ましく、25,000以下であることがより好ましく、23,000以下であることがさらに好ましい。
粘度平均分子量を上記下限値以上とすることにより、成形性が向上し、かつ、機械的強度の大きい成形品が得られる。また、上記上限値以下とすることにより、成形品の流動性が向上し、薄肉の成形品なども効率的に製造することができる。
粘度平均分子量(Mv)は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される(以下、Mvについて同じ)。
上記(1)ポリカーボネート樹脂では、その末端水酸基量が、熱安定性、加水分解安定性、色調等に大きな影響を及ぼす。上記(1)ポリカーボネート樹脂の末端水酸基量は、下限値が100質量ppm以上であることが好ましく、300質量ppm以上であることがより好ましく、400質量ppm以上であることがさらに好ましく、600質量ppm以上であることが一層好ましく、800質量ppm以上であることがより一層好ましい。前記末端水酸基量の上限値は、2000質量ppm以下であることが好ましく、1800質量ppm以下であることがより好ましく、1600質量ppm以下であることがさらに好ましく、1200質量ppm以下であってもよく、1000質量ppm以下であってもよい。
末端水酸基量を上記下限値以上とすることにより、顕著にヘイズを低下させることができる。
末端水酸基量は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される(以下、末端水酸基量について同じ)。
また、2種以上の(1)ポリカーボネート樹脂を併用する場合の、末端水酸基量は、2種以上の(1)ポリカーボネート樹脂の混合後の末端水酸基量を意味する。2種以上の(1)ポリカーボネート樹脂を用いる場合の末端水酸基量は、混合後に測定して求めてもよいし、用いた各々の(1)ポリカーボネート樹脂の末端水酸基量の質量平均として計算して算出してもよい。後述する(1)ポリカーボネート樹脂の他の物性についても、2種以上の(1)ポリカーボネート樹脂の混合後の物性とする。また、後述する(2)ポリカーボネート樹脂および(3)ポリエステル樹脂の末端水酸基量等の物性についても同様である。
本発明における、(1)ポリカーボネート樹脂の好ましい実施形態として、末端水酸基量が300質量ppm以上800質量ppm未満の(1)ポリカーボネート樹脂と、末端水酸基量800質量ppm以上1300質量ppm以下の(1)ポリカーボネート樹脂とをブレンドする形態が例示され、末端水酸基量が300〜700質量ppmの(1)ポリカーボネート樹脂と、末端水酸基量が900〜1300質量ppmの(1)ポリカーボネート樹脂とをブレンドする形態が好ましい。上記好ましい実施形態において、末端水酸基量が小さい方の(1)ポリカーボネート樹脂と、末端水酸基量が大きい方の(1)ポリカーボネート樹脂のブレンド比(質量比)は、1:1.5〜2.5であることが好ましい。
上記(1)ポリカーボネート樹脂は、ISO 15184に従って測定した鉛筆硬度が3B〜Bであることが例示され、さらには、2Bであることが例示される。鉛筆硬度は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される(以下、鉛筆硬度について同じ)。
上記(1)ポリカーボネート樹脂は、ガラス転移温度が130℃以上であることが好ましく、135℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることがさらに好ましい。前記ガラス転移温度の上限値は、特に定めるものではないが、通常160℃未満であり、さらには155℃以下であり、特には150℃以下である。ガラス転移温度は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される(以下、ガラス転移温度について同じ)。
上記(1)ポリカーボネート樹脂を製造する方法は、特に限定されるものではなく、公知の任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法およびプレポリマーの固相エステル交換法を挙げることができる。これらの中でも、界面重合法および溶融エステル交換法が好ましく、溶融エステル交換法がより好ましい。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、上記(1)ポリカーボネート樹脂を組成物の10〜80質量%の範囲で含むことが好ましい。但し、(1)ポリカーボネート樹脂、(2)ポリカーボネート樹脂および(3)熱可塑性樹脂の合計量が100質量%を超えることはない。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、上記(1)ポリカーボネート樹脂として1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<(2)式(2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂>
本発明で用いる第二のポリカーボネート樹脂は、(2)式(2)で表される構造単位を、50モル%以上含む。
Figure 2018197311
式(2)中、R1はメチル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、X2は下記のいずれかの式を表し、
Figure 2018197311
3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
式(2)中の2つのR2は、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、好ましくは同一である。R2は水素原子であることが好ましい。
上記X2は、上記式(1)で説明したX1と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記(2)ポリカーボネート樹脂の好ましい具体例としては、以下のi)〜iv)のポリカーボネート樹脂が挙げられる。
i)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンから構成される構造単位を有するもの、すなわち、R1がメチル基、R2が水素原子、X2が−C(CH32−である構造単位を有するもの、
ii)2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンから構成される構造単位、すなわち、R1がメチル基、R2がメチル基、X2が−C(CH32−である構造単位を有するもの、
iii)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンから構成される構造単位、すなわち、R1がメチル基、R2が水素原子、X2がシクロヘキシリデン基である構造単位を有するもの、
iv)2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカンから構成される構造単位、すなわち、R1がメチル基、R2が水素原子、X2がシクロドデシリデン基である構造単位を有するもの。
これらの中で、上記i)、ii)およびiii)が好ましく、上記i)およびiii)がより好ましく、上記i)がさらに好ましい。
本発明では、(2)ポリカーボネート樹脂は、式(2)で表される構造単位を50モル%以上含有する。好ましくは50モル%を超えて、より好ましくは60モル%以上が、さらに好ましくは70モル%以上が、一層好ましくは80モル%以上が、より一層好ましくは90モル%以上が、さらに一層好ましくは95モル%以上が、式(2)で表される構造単位である。
上記(2)ポリカーボネート樹脂は、式(2)で表される構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
上記(2)ポリカーボネート樹脂は、前記式(2)で表される構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。このような他の構造単位を構成するジヒドロキシ化合物としては、上述した(1)ポリカーボネート樹脂のところで述べた、式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位が例示される(但し、式(2)で表される構造単位に該当するものを除く。)。
上記(2)ポリカーボネート樹脂における、式(2)で表される構造単位以外の他の構造単位の共重合量は、50モル%以下であり、好ましくは50モル%未満、より好ましくは40モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下、一層好ましくは20モル%以下、より一層好ましくは10モル%以下、さらに一層好ましくは5モル%以下である。
上記(2)ポリカーボネート樹脂は、式(2)で表される構造単位以外の他の構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
上記(2)ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、下限値が15,000以上であることが好ましく、17,000以上であることがより好ましく、19,000以上であることがさらに好ましい。また、Mvの上限値は、35,000以下であることが好ましく、30,000以下であることがより好ましく、28,000以下であることがさらに好ましい。
粘度平均分子量を上記下限値以上とすることにより、耐熱性と成形性が向上し、かつ、機械的強度の大きい成形品が得られやすくなる。また、上記上限値以下とすることにより、成形品の流動性が向上し、薄肉の成形品などもより効率的に製造することができる。さらに、上記粘度平均分子量(Mv)の範囲とすることにより、高透明性と高硬度のバランスにより優れた成形品を得ることが可能になる。
上記(2)ポリカーボネート樹脂の末端水酸基量は、下限値が400質量ppm以上であることが好ましく、500質量ppm以上であることがより好ましく、600質量ppm以上であることがさらに好ましく、700質量ppm以上であることが一層好ましい。前記末端水酸基量の上限値は、2000質量ppm以下であることが好ましく、1800質量ppm以下であることがより好ましく、1600質量ppm以下であることがさらに好ましい。
末端水酸基量を上記範囲とすることにより、成形時の初期色相がより向上する傾向にあり、また、滞留熱安定性がより向上する傾向にある。
上記(2)ポリカーボネート樹脂は、ISO 15184に従って測定した鉛筆硬度がF以上であることが好ましく、H以上であることがより好ましく、2H〜3Hであることがさらに好ましく、2Hであることが一層好ましい。
上記(2)ポリカーボネート樹脂は、ガラス転移温度が110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましく、118℃以上であることがさらに好ましい。前記ガラス転移温度の上限値は、特に定めるものではないが、例えば、130℃以下であり、さらには、125℃以下である。
上記(2)ポリカーボネート樹脂を製造する方法は、特に限定されるものではなく、公知の任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法およびプレポリマーの固相エステル交換法を挙げることができる。これらの中でも、界面重合法および溶融エステル交換法が好ましい。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、上記(2)ポリカーボネート樹脂を組成物の10〜85質量%の範囲で含むことが好ましい。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、上記(2)ポリカーボネート樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<(3)ガラス転移温度が160℃以上の熱可塑性樹脂>
本発明では、(3)ガラス転移温度が160℃以上の熱可塑性樹脂を用いる。このような樹脂を含むことにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。
(3)熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、160℃以上であり、170℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましく、185℃以上であることがさらに好ましい。前記ガラス転移温度の上限値は、特に定めるものではないが、例えば、220℃以下であり、さらには、210℃以下である。
上記(3)熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が上記範囲を満たす限り、その種類は特に定めるものではないが、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂およびポリアリルスルホン樹脂が好ましく、ポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂がより好ましく、ポリエステル樹脂がさらに好ましい。
上記(3)熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂である場合の好ましい実施形態としては、ジカルボン酸由来の構造単位とジオール由来の構造単位から構成され、ジカルボン酸由来の構造単位の70モル%以上が、好ましくは80モル%以上が、より好ましくは90モル%以上が、さらに好ましくは95モル%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、ジオール由来の構造単位の70モル%以上が、好ましくは80モル%以上が、より好ましくは90モル%以上が、さらに好ましくは95モル%以上がビスフェノールに由来するポリエステル樹脂が挙げられる。
上記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、メチルテレフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、2,2’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルフォンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシフェノキシ)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などが挙げられ、テレフタル酸およびイソフタル酸が好ましい。芳香族ジカルボン酸は1種でも、2種以上でもよい。
上記ビスフェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[(ビスフェノールA)]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられ、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。ビスフェノールは、1種でも、2種以上でもよい。
上記ポリエステル樹脂が、芳香族ジカルボン酸由来の構造単位以外のジカルボン酸由来の構造単位を含む場合、脂肪族ジカルボン酸由来の構造単位が例示される。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂が、ビスフェノール由来の構造単位以外のジオール由来の構造単位を含む場合、脂肪族ジオール由来の構造単位が例示される。脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
本発明で用いるポリエステル樹脂は、下記式(3−1)で表される構造単位を含むポリエステル樹脂であることがより好ましい。
Figure 2018197311
式(3−1)において、nは正の整数であり、3〜100000が好ましい。
上記式(3−1)で表される構造単位を含むポリエステル樹脂は、上記式(3−1)で表される構造単位を全構造単位の80モル%以上の割合で含むことが好ましく、90モル%以上の割合で含むことがより好ましい。他の構造単位としては、上述したテレフタル酸およびイソフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン以外のジオールが例示される。
上記(3)熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂である場合の好ましい実施形態としては、下記式(3−2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂が挙げられる。
Figure 2018197311
式(3−2)中、R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数7〜17のアラルキル基を表す。
n1、n2およびn3は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
5〜R8が炭素原子を含む基の場合には、前記基は、さらに、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子から選ばれる置換基を有していてもよい。
5およびR7は、それぞれ独立に、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数7〜17のアラルキル基であることが好ましく、炭素数1〜9のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましく、メチル基であることが一層好ましい。また、置換基を有していない方が好ましい。
6は、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数7〜17のアラルキル基であることが好ましく、炭素数1〜9のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であることがさらに好ましく、メチル基またはフェニル基であることが一層好ましく、メチル基であることがより一層好ましい。また、置換基を有している場合、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。しかしながら、置換基を有さない方が好ましい。
8は、炭素数1〜9のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数2〜5のアルケニル基または炭素数7〜17のアラルキル基であることが好ましく、炭素数1〜9のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましく、メチル基であることが一層好ましい。また、置換基を有していない方が好ましい。
n1およびn2は、それぞれ独立に、0〜2が好ましく、0または1がより好ましく、0がさらに好ましい。
n3は、0〜2が好ましく、0または1がより好ましく、0がさらに好ましい。
上記式(3−2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂は、式(3−2)で表される構造単位を50モル%以上含有することが好ましく、より好ましくは50モル%を超えて、さらに好ましくは60モル%以上が、一層好ましくは70モル%以上が、より一層好ましくは80モル%以上が、さらに一層好ましくは90モル%以上が、特に一層好ましくは95モル%以上が、式(3−2)で表される構造単位である。
上記式(3−2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂は、式(3−2)で表される構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
式(3−2)は、下記式(3−3)で表されることが好ましい。
Figure 2018197311
上記式(3−3)におけるR5〜R8ならびにn1、n2およびn3は、それぞれ独立に、式(3−2)におけるR5〜R8ならびにn1、n2およびn3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記式(3−2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂は、前記式(3−2)で表される構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。このような他の構造単位を構成するジヒドロキシ化合物としては、上述した(1)ポリカーボネート樹脂のところで述べた、式(1)で表される構造単位以外の他の構造単位が例示される(但し、式(3−2)で表される構造単位に該当するものを除く。)。
上記式(3−2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂における、式(3−2)で表される構造単位以外の他の構造単位の共重合量は、好ましくは50モル%以下であり、より好ましくは50モル%未満、さらに好ましくは40モル%以下、一層好ましくは30モル%以下、より一層好ましくは20モル%以下、さらに一層好ましくは10モル%以下、特に一層好ましくは5モル%以下である。
上記式(3−2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂は、式(3−2)で表される構造単位以外の他の構造単位を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
上記式(3−2)で表される構造単位を含むポリカーボネート樹脂としては、また、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルエチル)フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−(1−メチルプロピル)フェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、4,4'−ジヒドロキシビフェニルおよび1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンから選択される化合物から構成される構造単位を含むポリカーボネート樹脂が好ましく、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ジフェニルメタン、および1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−ジフェニルメタンから選択される化合物から構成される構造単位を含むポリカーボネート樹脂であることがより好ましく、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンから構成される構造単位を含むポリカーボネート樹脂がさらに好ましい。
本発明で用いる(3)熱可塑性樹脂のインヘレント粘度は、0.3〜1.5dL/gの範囲であることが好ましく、0.4〜1.0dL/gがより好ましく、0.4〜0.7dL/gがさらに好ましく、0.45〜0.6dL/gが一層好ましい。インヘレント粘度は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される。(3)熱可塑性樹脂のインヘレント粘度を0.3dL/g以上とすることにより、得られるポリカーボネート樹脂組成物の機械的物性および耐熱性をより向上できる傾向にある。また、インヘレント粘度を1.5dL/g以下とすることにより、溶融加工時の変色や、流動性の低下を効果的に抑制できる。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、上記(3)熱可塑性樹脂を組成物の5〜70質量%の範囲で含むことが好ましい。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、上記(3)熱可塑性樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<(1)ポリカーボネート樹脂〜(3)熱可塑性樹脂のブレンド比>
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、上記(1)ポリカーボネート樹脂、(2)ポリカーボネート樹脂および(3)熱可塑性樹脂の質量比が10〜80:10〜85:5〜70であることが好ましく、10〜75:12〜83:5〜70であることがより好ましく、10〜70:12〜83:5〜70であることがさらに好ましく、10〜65:15〜83:5〜70であることが一層好ましく、30〜60:15〜30:10〜40であることがより一層好ましい。但し、上記(1)ポリカーボネート樹脂〜(3)熱可塑性樹脂の合計が100質量部である。このような範囲とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、上記(1)ポリカーボネート樹脂と(3)熱可塑性樹脂の質量比である、(1)ポリカーボネート樹脂/(3)熱可塑性樹脂が1.0以上である、および/または、上記(2)ポリカーボネート樹脂と(3)熱可塑性樹脂の質量比である、(2)ポリカーボネート樹脂/(3)熱可塑性樹脂が1.0未満であることが好ましい。このような範囲とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、上記(1)ポリカーボネート樹脂〜(3)熱可塑性樹脂の合計量が90質量%以上を占めることが好ましく、95質量%以上を占めることがより好ましく、さらには98質量%以上、特には99質量%以上を占めてもよい。
<その他の成分>
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記以外の他成分を含有していてもよい。その他の成分の例を挙げると、上記したポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂、各種樹脂添加剤などが挙げられる。
樹脂添加剤としては、例えば、離型剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤等)、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料、顔料、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。なお、樹脂添加剤は1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
<<離型剤>>
離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
脂肪族カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の脂肪族一価、二価または三価カルボン酸を挙げることができる。ここで脂肪族カルボン酸とは、脂環式のカルボン酸も包含する。これらの中で好ましい脂肪族カルボン酸は炭素数6〜36の一価または二価カルボン酸であり、炭素数6〜36の脂肪族飽和一価カルボン酸がさらに好ましい。かかる脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルにおける脂肪族カルボン酸としては、例えば、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、アルコールとしては、例えば、飽和または不飽和の一価または多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらの中では、炭素数30以下の一価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和一価アルコールまたは脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、ここで脂肪族とは、脂環式化合物も含有する。
かかるアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
なお、上記のエステルは、不純物として脂肪族カルボン酸および/またはアルコールを含有していてもよい。また、上記のエステルは、純物質であってもよいが、複数の化合物の混合物であってもよい。さらに、結合して一つのエステルを構成する脂肪族カルボン酸およびアルコールは、それぞれ、1種のみで用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15,000の脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマー等が挙げられる。なお、ここで脂肪族炭化水素化合物には、脂環式炭化水素化合物も含まれる。また、これらの炭化水素は部分酸化されていてもよい。
これらの中では、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスまたはポリエチレンワックスの部分酸化物が好ましく、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
また、前記の脂肪族炭化水素化合物の数平均分子量は、好ましくは5,000以下である。
なお、脂肪族炭化水素化合物は単一物質であってもよいが、構成成分や分子量が様々なものの混合物であっても、主成分が上記の範囲内であれば使用できる。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物における離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂成分および必要に応じて配合されるその他の樹脂成分の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.6質量部以下である。離型剤の含有量を前記範囲の下限値以上とすることにより、離型性の効果が効果的に発揮され、前記範囲の上限値以下とすることにより、耐加水分解性の低下および射出成形時の金型汚染などをより効果的に抑制することができる。離型剤の含有量によらず、透明性の高い成形品を得られるが、前記範囲の上限値を超えることにより、硬度と耐熱性が低下する傾向がある。
離型剤は、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<安定剤>>
安定剤としては、熱安定剤や酸化防止剤が挙げられる。
熱安定剤としては、リン系安定剤が挙げられる。
リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
有機ホスファイト化合物としては、トリフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノノニル/ジノニル・フェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等が挙げられる。
このような、有機ホスファイト化合物としては、具体的には、例えば、ADEKA社製「アデカスタブ1178」、「アデカスタブ2112」、「アデカスタブHP−10」、城北化学工業社製「JP−351」、「JP−360」、「JP−3CP」、BASF社製「イルガフォス168」等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系安定剤が挙げられる。
ヒンダードフェノール系安定剤の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスフォエート、3,3',3'',5,5',5''−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a''−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
なかでも、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。このようなヒンダードフェノール系安定剤としては、具体的には、例えば、BASF社製「Irganox1010」、「Irganox1076」、ADEKA社製「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」等が挙げられる。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物における安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂成分および必要に応じて配合されるその他の樹脂成分の合計100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下である。安定剤の含有量を前記範囲とすることにより、安定剤の添加効果がより効果的に発揮さる。
<<紫外線吸収剤>>
紫外線吸収剤としては、特開2016−216534号公報の段落0059〜0062の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<<帯電防止剤>>
帯電防止剤としては、特開2016−216534号公報の段落0063〜0067の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<<難燃剤>>
難燃剤としては、特開2016−216534号公報の段落0068〜0075の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
<ポリカーボネート樹脂組成物の特性>
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、低いヘイズを達成できる。例えば、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を2mm厚さに成形した成形品のヘイズを10%以下とすることができ、さらには7.0%以下、5.0%以下、3.0%以下、2.0%以下とすることもできる。ヘイズの下限値としては、0%が理想であるが、0.3%以上、さらには0.5%以上でも実用レベルである。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、高い硬度を達成できる。例えば、本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物のISO 15184に従って測定した鉛筆硬度をHB以上とすることができ、さらには、F以上とすることもできる。鉛筆硬度の上限値については、特に定めるものではないが、例えば、3H以下、さらには2H以下、特にはH以下でも、実用レベルである。尚、鉛筆硬度は、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3Hの順に硬くなる。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、優れた耐熱性を達成できる。例えば、本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物の、ISO 75−2に従って測定した荷重たわみ温度を115℃以上とすることができ、さらには、120℃以上、124℃以上とすることもできる。荷重たわみ温度の上限値については、特に定めるものではないが、例えば、140℃以下、さらには135℃以下でも、実用レベルである。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、上記鉛筆硬度および荷重たわみ温度の両方を満たすことが好ましい。
<成形品>
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物(例えば、ペレット)は、各種の成形法で成形して成形品とすることができる。
成形品の形状としては、特に制限はなく、成形品の用途、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、プレート状、ロッド状、シート状、フィルム状、円筒状、環状、円形状、楕円形状、多角形形状、異形品、中空品、枠状、箱状、パネル状のもの等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂組成物を成形する方法としては、特に制限されず、従来公知の成形法を採用でき、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、押出成形法、異形押出法、トランスファー成形法、中空成形法、ガスアシスト中空成形法、ブロー成形法、押出ブロー成形、IMC(インモールドコ−ティング成形)成形法、回転成形法、多層成形法、2色成形法、インサート成形法、サンドイッチ成形法、発泡成形法、加圧成形法等が挙げられる。
中でも、成形は射出成形法により行われることが好ましく、例えば、射出成形機、超高速射出成形機、射出圧縮成形機等の公知の射出成形機を用いて射出成形される。射出成形時における射出成形機のシリンダー設定温度は、好ましくは240〜380℃であり、より好ましくは、260〜360℃である。また、射出成形時の射出速度は、好ましくは10〜1,000mm/秒であり、より好ましくは10〜500mm/秒である。
本発明における成形品は、電気電子機器、OA機器、携帯情報端末、機械部品、家電製品、車輌部品、各種容器、照明機器等の部品等に好適に用いられる。これらの中でも、特に、電気電子機器、OA機器、情報端末機器および家電製品の筐体、照明機器および車輌部品(特に、車輌内装部品)、スマートフォンやタッチパネル等の表層フィルムに好適に用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
1.原材料
<製造例1:ポリカーボネート樹脂(1)−3の製造>
ビスフェノールA(BPA)(三菱化学社製)33.49kg(約147mol)とジフェニルカーボネート(DPC)(三菱化学社製)32.20kg(約150mol)に、炭酸セシウムの水溶液を、炭酸セシウムがジヒドロキシ化合物1mol当たり0.5μmolとなるように添加して混合物を調整した。次に前記混合物を、撹拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ、還流冷却器を具備した内容量200Lの第1反応器に投入した。
次に、第1反応器内を1.33kPa(10Torr)に減圧し、続いて、窒素で大気圧に復圧する操作を5回繰り返し、第1反応器の内部を窒素置換した。窒素置換後、熱媒ジャケットに温度230℃の熱媒を通じて第1反応器の内温を徐々に昇温させ、混合物を溶解させた。その後、55rpmで撹拌機を回転させ、熱媒ジャケット内の温度をコントロールして、第1反応器の内温を220℃に保った。そして、第1反応器の内部で行われるBPAとDPCのオリゴマー化反応により副生するフェノールを留去しながら、40分間かけて第1反応器内の圧力を絶対圧で101.3kPa(760Torr)から13.3kPa(100Torr)まで減圧した。
続いて、第1反応器内の圧力を13.3kPaに保持し、フェノールをさらに留去させながら、80分間、エステル交換反応を行った。
その後、系内を窒素で絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、予め200℃以上に加熱した移送配管を経由して、第1反応器内のオリゴマーを、第2反応器に圧送した。尚、第2反応器は内容量200Lであり、撹拌機、熱媒ジャケット、真空ポンプ並びに還流冷却管を具備しており、内圧は大気圧、内温は240℃に制御していた。
次に、第2反応器内に圧送したオリゴマーを16rpmで撹拌し、熱媒ジャケットにて内温を昇温し、第2反応器内を40分かけて絶対圧で101.3kPaから13.3kPaまで減圧した。その後、昇温を継続し、さらに40分かけて、内圧を絶対圧で13.3kPaから399Pa(3Torr)まで減圧し、留出するフェノールを系外に除去した。さらに、昇温を続け、第2反応器内の絶対圧が70Pa(約0.5Torr)に到達後、70Paを保持し、重縮合反応を行った。第2反応器内の最終的な内部温度は285℃であった。第2反応器の撹拌機が予め定めた所定の撹拌動力となったときに、重縮合反応を終了した。
次いで、第2反応器内を、窒素により絶対圧で101.3kPaに復圧の上、ゲージ圧で0.2MPaまで昇圧し、第2反応器の槽底からポリカーボネート樹脂をストランド状で抜き出し、水槽で冷却しながら、回転式カッターを使用してペレット化して、ポリカーボネート樹脂(1)−3を得た。得られたポリカーボネート樹脂(1)−3の粘度平均分子量は20,000であった。
<製造例2:ポリカーボネート樹脂(2)の製造>
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPC)26.14モル(6.75kg)と、ジフェニルカーボネート26.79モル(5.74kg)を、撹拌機および溜出凝縮装置付きのSUS製反応器(内容積10リットル)内に入れ、反応器内を窒素ガスで置換後、窒素ガス雰囲気下で220℃まで30分間かけて昇温した。
次いで、反応器内の反応液を撹拌し、溶融状態下の反応液にエステル交換反応触媒として炭酸セシウム(Cs2CO3)を、BPC1モルに対し1.5×10-6モルとなるように加え、窒素ガス雰囲気下、220℃で30分、反応液を撹拌醸成した。次に、同温度下で反応器内の圧力を40分かけて100Torrに減圧し、さらに、100分間反応させ、フェノールを溜出させた。
次に、反応器内を60分かけて温度を284℃まで上げるとともに3Torrまで減圧し、留出理論量のほぼ全量に相当するフェノールを留出させた。次に、同温度下で反応器内の圧力を1Torr未満に保ち、さらに60分間反応を続け重縮合反応を終了させた。このとき、撹拌機の撹拌回転数は38回転/分であり、反応終了直前の反応液温度は289℃、撹拌動力は1.00kWであった。
次に、溶融状態のままの反応液を2軸押出機に送入し、炭酸セシウムに対して4倍モル量のp−トルエンスルホン酸ブチルを2軸押出機の第1供給口から供給し、反応液と混練し、その後、反応液を2軸押出機のダイを通してストランド状に押し出し、カッターで切断してポリカーボネート樹脂(2)のペレットを得た。
Figure 2018197311
上記原材料である熱可塑性樹脂((1)ポリカーボネート樹脂、(2)ポリカーボネート樹脂および(3)熱可塑性樹脂)について、以下の測定を行った。
<粘度平均分子量(Mv)の測定>
熱可塑性樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度(η)(単位:dL/g)を求め、以下のSchnellの粘度式から算出した。
η=1.23×10-4Mv0.83
<鉛筆硬度の測定>
熱可塑性樹脂ペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55−60H」)を用い、(1)ポリカーボネート樹脂と(2)ポリカーボネート樹脂は、シリンダー設定温度260℃、金型温度80℃にて、(3)熱可塑性樹脂は、シリンダー設定温度340℃、金型温度80℃にて、スクリュー回転数100rpm、射出速度100mm/秒の条件下にて、平板状試験片(90mm×50mm×2mm厚)を作製した。この平板状試験片について、ISO 15184に準拠し、鉛筆硬度試験機(東洋精機(株)製)を用いて、750g荷重にて測定した鉛筆硬度を求めた。
<末端水酸基量の測定>
末端水酸基量の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基量の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)に従った。上記表1では、「OH基量」として示した。2種の(1)ポリカーボネート樹脂の混合後の全体の末端水酸基量は、混合比率で質量平均として算出し、表2または表3に示した。
<インヘレント粘度の測定>
1,1,2,2−テトラクロロエタン100mLに、試料1.0gを溶解し、温度25℃の溶液を調製した。得られた溶液を用いてインヘレント粘度(単位:dL/g)をISO1628−1に基づき、ウベローデ型粘度管を使用して測定した。
<ガラス転移温度の測定>
熱可塑性樹脂のガラス転移温度はJIS K7122に準拠して、下記のDSCの測定条件のとおりに、昇温、降温を2サイクル行って測定した。測定装置は、示差走査熱量計(DSC、(株)島津製作所製、「DSC−60」)を使用した。
測定開始温度:25℃
昇温速度:10℃/分
到達温度:300℃
降温速度:5℃/分
2.ポリカーボネート樹脂組成物ペレットの製造
実施例1〜5
上記表1に記載した(1)ポリカーボネート樹脂、(3)熱可塑性樹脂、安定剤および離型剤を、下記表2または表3に示す割合(全て質量部にて表示)にて配合し、タンブラーミキサーにて均一に混合した後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α)を用いて、表2または表3に示す1回目押出温度、1回目押出樹脂温度および回転数で、かつ、吐出量30kg/hrにて押出機上流部のバレルより押出機にフィードし、ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。さらに、得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットと、(2)ポリカーボネート樹脂を、下記表2または表3に示す割合となるように配合し、タンブラーミキサーにて均一に混合した後、再度、二軸押出機を用いて、表2または表3に示す2回目押出温度、2回目押出樹脂温度および回転数で、かつ、吐出量30kg/hrにて押出機上流部のバレルより押出機にフィードし、ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。第一の溶融混練工程と第二の溶融混練工程の溶融混練時間の比率は、1:1となるように混練時間を調整した。
ここで、1回目押出温度および2回目押出温度は、押出機内のバレルの設定温度を意味し、1回目押出樹脂温度および2回目押出樹脂温度は、押出機のダイ穴に入る直前の樹脂温度を意味し、ダイスに熱電対を挿入することによって測定した。回転数は、スクリュー回転数であり、1回目押出および2回目押出で同じ回転数とした。
実施例6
上記表1に記載した(1)ポリカーボネート樹脂、(3)熱可塑性樹脂、安定剤および離型剤を、下記表3に示す割合(全て質量部にて表示)にて配合し、タンブラーミキサーにて均一に混合した後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α)を用いて、表3に示す1回目押出温度、1回目押出樹脂温度および回転数で、かつ、吐出量30kg/hrにて押出機上流部のバレルより押出機にフィードし、さらに、(2)ポリカーボネート樹脂を、下記表3に示す割合となるようにサイドフィードし、ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。第一の溶融混練工程と第二の溶融混練工程の溶融混練時間の比率は、1:1となるように混練時間を調整した。
実施例7
上記表1に記載した(2)ポリカーボネート樹脂、(3)熱可塑性樹脂、安定剤および離型剤を、下記表3に示す割合(全て質量部にて表示)にて配合し、タンブラーミキサーにて均一に混合した後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α)を用いて、表3に示す1回目押出温度、1回目押出樹脂温度および回転数で、かつ、吐出量30kg/hrにて押出機上流部のバレルより押出機にフィードし、ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。さらに、得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットと、(1)ポリカーボネート樹脂を、下記表3に示す割合となるように配合し、タンブラーミキサーにて均一に混合した後、再度、二軸押出機を用いて、表3に示す2回目押出温度、2回目押出樹脂温度および回転数で、かつ、吐出量30kg/hrにて押出機上流部のバレルより押出機にフィードし、ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。第一の溶融混練工程と第二の溶融混練工程の溶融混練時間の比率は、1:1となるように混練時間を調整した。
ここで、1回目押出温度および2回目押出温度は、押出機内のバレルの設定温度を意味し、1回目押出樹脂温度および2回目押出樹脂温度は、押出機のダイ穴に入る直前の樹脂温度を意味し、ダイスに熱電対を挿入することによって測定した。回転数は、スクリュー回転数であり、1回目押出および2回目押出で同じ回転数とした。
比較例1〜5
<ポリカーボネート樹脂組成物ペレットの製造>
上記表1に記載した各成分を、下記表2または表3に示す割合(全て質量部にて表示)にて配合し、タンブラーミキサーにて均一に混合した後、二軸押出機((株)日本製鋼所製TEX30α)を用いて、表2または表3に示す押出温度およびスクリュー回転数で、かつ、吐出量30kg/hrにて押出機上流部のバレルより押出機にフィードし、溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物ペレットを得た。
<HAZE(ヘイズ)の測定>
上記で得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55−60H」)を用い、シリンダー設定温度300℃、金型温度80℃、スクリュー回転数100rpm、射出速度100mm/秒の条件下にて、90mm×50mm×2mm厚の平板状試験片を射出成形した。得られた平板状試験片について、日本電色工業(株)製のNDH−2000型ヘイズメーターでヘイズ(単位:%)を測定した。
<鉛筆硬度の測定>
上記で得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットを100℃で5時間乾燥した後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55−60H」)を用い、シリンダー設定温度300℃、金型温度80℃、スクリュー回転数100rpm、射出速度100mm/秒の条件下にて、90mm×50mm×2mm厚の平板状試験片を射出成形した。得られた平板状試験片について、上記原材料の熱可塑性樹脂の鉛筆硬度の測定と同様の方法で測定した。
<耐熱性(荷重たわみ温度、DTUL)の測定>
上記で得られたポリカーボネート樹脂組成物ペレットを100℃、5時間乾燥後、射出成形機((株)日本製鋼所製「J55−60H」)を用い、シリンダー設定温度300℃、金型温度80℃、射出時間2秒、成形サイクル40秒の条件で射出成形を行い、ISO多目的試験片(4mm厚)を射出成形した。ISO75−1およびISO75−2に準拠して荷重1.80MPaの条件で荷重たわみ温度を測定した。単位は、℃で示した。
<総合評価>
ヘイズ、鉛筆硬度および耐熱性(DTUL)の結果に基づき、下記の基準に従って総合的に評価した。
A:基準a、b、cのうち、3つ全て満たす。
B:基準a、bを満たす。
C:基準a、b、cのうち、いずれか2つを満たす。(但し、上記総合評価Bに該当するものを除く)
D:総合評価A〜C以外である。
基準a:鉛筆硬度がHB以上
基準b:耐熱性(DTUL)が120℃以上
基準c:ヘイズが88%以下
Figure 2018197311
Figure 2018197311
上記表2および表3から明らかなとおり、本発明の製造方法で得られたポリカーボネート樹脂組成物は、ヘイズが低く、鉛筆硬度が高く、耐熱性に優れたものであった(実施例1〜7)。特に、比較例3〜5と対比すると明らかなとおり、(1)ポリカーボネート樹脂、(2)ポリカーボネート樹脂および(3)熱可塑性樹脂を一度に溶融混練した場合と比較して、格段にヘイズを低下させることが可能になった。特に、実施例1と比較例3、実施例2と比較例4は、原料組成は全く同じであるが、ヘイズが10%以上も低下している。
一方、(2)ポリカーボネート樹脂を配合しない場合(比較例1)、得られるポリカーボネート樹脂組成物は、鉛筆硬度が低くなってしまった。また、(3)ガラス転移温度が160℃以上の熱可塑性樹脂を含まない場合、得られるポリカーボネート樹脂組成物は、耐熱性が劣ってしまった(比較例2)。
さらに、実施例3と実施例7の比較から明らかなとおり、(1)ポリカーボネート樹脂と(3)熱可塑性樹脂を溶融混練した後、(2)ポリカーボネート樹脂を溶融混練すると、(2)ポリカーボネート樹脂と(3)熱可塑性樹脂を溶融混練した後、(1)ポリカーボネート樹脂を溶融混練する場合よりも、よりヘイズを低下させることが可能であった。
本発明の製造方法で得られるポリカーボネート樹脂組成物は、高い表面硬度および高い透明性を有し、かつ、耐熱性に優れた材料であるので、電気電子機器、OA機器、携帯情報端末、機械部品、家電製品、車輌部品、各種容器、照明機器等の部品等に好適に用いられる。これらの中でも、特に、電気電子機器、OA機器、情報端末機器および家電製品の筐体、照明機器および車輌部品(特に、車輌内装部品)、スマートフォンやタッチパネル等の表層フィルムに好適に利用でき、産業上の利用性は非常に高い。

Claims (7)

  1. (1)下記式(1)で表される構造単位を50モル%を超えて含むポリカーボネート樹脂および(2)下記式(2)で表される構造単位を50モル%以上含むポリカーボネート樹脂からなるポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)ガラス転移温度が160℃以上の熱可塑性樹脂とを溶融混練し、さらに、前記ポリカーボネート樹脂群の残りを添加して溶融混練することを含む、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法;
    Figure 2018197311
    式(1)中、X1は下記のいずれかの式を表し、
    Figure 2018197311
    3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す;
    Figure 2018197311
    式(2)中、R1はメチル基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表し、X2は下記のいずれかの式を表し、
    Figure 2018197311
    3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6〜12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
  2. 前記(3)熱可塑性樹脂のガラス転移温度が160〜220℃である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記(3)熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂である、請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  4. 前記(1)ポリカーボネート樹脂、(2)ポリカーボネート樹脂および(3)熱可塑性樹脂の質量比が10〜80:10〜85:5〜70である(但し、合計が100質量部である)、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  5. 前記ポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)ガラス転移温度が160℃以上の熱可塑性樹脂とを溶融混練する工程は、290℃以上の押出樹脂温度で行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記(1)ポリカーボネート樹脂の末端水酸基量が600〜2000質量ppmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記ポリカーボネート樹脂群の一部と、(3)熱可塑性樹脂とを溶融混練してペレット化した後、前記ペレットと、(2)ポリカーボネート樹脂を溶融混練することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
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