以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態において、本発明によるノイズ除去回路100は、分散型電源システム10に適用される。分散型電源システム10は、供給源であって電力を供給する発電装置及び系統電源を連系し、又は、解列するように構成される。ここで、系統電源は、電気事業者(例えば、電力会社等)が保有する商用の配電線網から供給される交流の電源である。尚、系統電源は、単相であっても、多相(例えば、三相)であってもよい。先ず、分散型電源システム10から説明する。
(分散型電源システム10の構成)
分散型電源システム10は、発電装置である燃料電池11、コンバータ12、インバータ13、平滑回路14、解列リレー15及び制御装置16を備えている。燃料電池11は、直流電力を発電する発電装置である。発電装置は、燃料電池11以外の直流電力を発電する発電装置(例えば、太陽光電池、ガスエンジン等)であってもよい。コンバータ12は、燃料電池11からの直流電力を昇圧してインバータ13に出力する。コンバータ12は、図示しないリアクトル、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)のようなスイッチング素子、ダイオード、コンデンサ等により構成されている。コンバータ12の入力側端子12aは、燃料電池11の正極側に接続され、コンバータ12の入力側端子12bは、燃料電池11の負極側に接続されている。
コンバータ12の出力側端子12cは、電線17を介してインバータ13の入力側端子13aに接続されている。コンバータ12の出力側端子12dは、電線18を介してインバータ13の入力側端子13bに接続されている。図示しない電圧センサの検出信号が制御装置16に入力されており、制御装置16は、演算処理を行って決定したデューティー比のパルス信号をスイッチング素子のゲートに与えることにより、コンバータ12の出力電圧が所定の電圧になるフィードバック制御を行っている。電線17と電線18との間には、キャパシタ19が設けられている。
インバータ13は、コンバータ12即ち燃料電池11からの直流電力を交流電力に変換して、系統電源20側、より具体的には、系統電源20に接続された配電盤24に出力する。インバータ13は、入力側端子13a,13b及び出力側端子13c、13dを備えている。インバータ13の出力側端子13cには、配電盤24を介して系統電源20の複数相に対応する例えばU相20uに接続された電線21が接続されている。インバータ13の出力側端子13dには、配電盤24を介して系統電源20の複数相に対応する例えばW相20wに接続された電線22が接続されている。尚、配電盤24には、系統電源20のN相20nが接続されている。
インバータ13は、IGBTのような第一〜第四スイッチング素子13e〜13hをフルブリッジ接続して構成される。第一及び第二スイッチング素子13e,13fは、入力側端子13aと入力側端子13bとの間に直列に接続されている。第一スイッチング素子13eと第二スイッチング素子13fとの接続点は、出力側端子13cに接続されている。第三及び第四スイッチング素子13g,13hは、入力側端子13aと入力側端子13bとの間に直列に接続されている。第三及び第四スイッチング素子13g,13hは、第一及び第二スイッチング素子13e,13fに対して並列に接続されている。第三スイッチング素子13gと第四スイッチング素子13hとの接続点は、出力側端子13dに接続されている。
インバータ13は、制御装置16によってその動作が制御されている。具体的には、インバータ13は、制御装置16からのPWM制御に従って各第一〜第四スイッチング素子13e〜13hをスイッチングして、コンバータ12からの直流電力を交流電力に変換するものである。このように、インバータ13は、変換した交流電力を電線21,22に出力する。
平滑回路14は、リアクトル14a,14bと、キャパシタ14cと、によって構成されている。リアクトル14a,14bは、各電線21,22にそれぞれ設けられている。キャパシタ14cは、数μF程度の電気容量を有し、リアクトル14a,14bと系統電源20との間にて各電線21,22を接続する接続電線23に設けられている。平滑回路14は、インバータ13から出力された交流電力を平滑化してインバータ13の出力電圧を正弦波状の波形にし、各電線21,22を介して系統電源20に接続された配電盤24に出力する。
解列リレー(系統連携用リレー)15は、第一解列リレー15a及び第二解列リレー15bによって構成されている。解列リレー15は、各電線21,22にそれぞれ設けられるリレーであって、接続電線23との接点と系統電源20との間に配設されている常開型のリレーである。第一解列リレー15a及び第二解列リレー15bは、それぞれ制御装置16からの制御信号によってその動作(接続状態/開放状態)が制御されている。
具体的には、電線21,22のうちの一方の電線21に第一解列リレー15aが配置され、他方の電線22に第二解列リレー15bが配置されている。第一解列リレー15a及び第二解列リレー15bが接続状態になると、発電装置である燃料電池11と系統電源20とが連系され、第一解列リレー15a及び第二解列リレー15bが開放状態になると、燃料電池11と系統電源20とが解列されることになる。このように、解列リレー15が制御装置16によって制御されることで、分散型電源システム10即ち燃料電池11と系統電源20は連系又は解列され、負荷25への電力供給が制御されている。
制御装置16は、マイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAM及びROM(何れも図示省略)を備えている。CPUは、コンバータ12、インバータ13を制御したり、解列リレー15を開閉制御したりする。RAMは各種プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは各種プログラムを記憶するものである。
負荷25は、系統電源20の複数相に対応する複数の供給線である供給線26、供給線27及び供給線28を介して、配電盤24、即ち、電源である燃料電池11及び系統電源20の少なくとも一方に接続されている。ここで、供給線26は配電盤24を介して系統電源20のU相20uに接続され、供給線27は配電盤24を介して系統電源20のN相20nに接続され、供給線28は配電盤24を介して系統電源20のW相20wに接続されている。負荷25は、電気を駆動源とし、例えば、家庭用電気機器(電化製品等)や産業用電気機器(ロボット等)が挙げられる。負荷25には、負荷25の作動を制御するために数μF程度の電気容量を有するキャパシタ25aが組み込まれている。尚、負荷25は、一つであっても複数であってもよい。
分散型電源システム10においては、発電装置である燃料電池11が発電を開始するまでは、第一解列リレー15a及び第二解列リレー15bは開放状態であり、系統電源20の交流電力が負荷25に供給される。燃料電池11が発電を開始し、系統電源20の交流電力と同等の交流電力をインバータ13から出力可能になると、制御装置16は、第一解列リレー15a及び第二解列リレー15bを接続状態に切り替える。これにより、燃料電池11と系統電源20とが連系され、燃料電池11の出力電力が負荷25に供給される。
一方、分散型電源システム10においては、負荷25で消費される消費電力が燃料電池11の発電量より多い場合、電力の不足分が、系統電源20から負荷25に供給される。又、燃料電池11の発電量が負荷25で消費される消費電力よりも多く、且つ、余剰電力を配電線網へ逆潮流させることが許可されている場合、余剰電力は、系統電源20の配電線網に供給される。又、制御装置16は、例えば、インバータ13から出力される電圧等に異常を検知すると、第一解列リレー15a及び第二解列リレー15bを開放状態に切り替える。これにより、燃料電池11と系統電源20とが解列される。
(ノイズ除去回路の構成)
次に、本実施形態に係るノイズ除去回路100を説明する。ノイズ除去回路100は、図1及び図2に示すように、電力を供給する供給源、即ち、燃料電池11及び系統電源20と負荷25との間に配置される。ノイズ除去回路100は、図2に示すように、電力に重畳されたノイズ成分を除去するため、三本の接続線101、接続線102及び接続線103を備えている。本実施形態において、図2に示すように、接続線101は一端にて供給線26に接続され、接続線102は一端にて供給線27に接続され、接続線103は一端にて供給線28に接続される。接続線101,102,103の他端は、グランドに接続された接続線104によって接続されている。
尚、後述するように、接続線101,102,103には、それぞれ、スイッチ111,112,113が設けられる。これにより、スイッチ111,112,113が後述するように開閉制御されることにより、接続線101,102,103は、燃料電池11及び系統電源20から負荷25に電力を供給する複数(本実施形態においては三本)の供給線26,27,28のうち互いに異なる供給線の間を接続する。
接続線101には、引込用キャパシタ105が設けられる。接続線102には、引込用キャパシタ106が設けられる。接続線103には、引込用キャパシタ107が設けられる。引込用キャパシタ105,106,107は、例えば、供給源として電力を供給する分散型電源システム10に存在するキャパシタ14c及び負荷25に存在するキャパシタ25a、即ち、制御用キャパシタの最大電気容量C0(数μF程度)よりも大きな電気容量C(例えば、100μF程度)を有する。引込用キャパシタ105,106,107は、制御用キャパシタの最大電気容量C0よりも大きな電気容量Cを有することにより、供給線26,27,28を介して負荷25に供給される電力に重畳されたノイズ成分を引き込む。
ここで、引込用キャパシタ105,106,107によるノイズ成分の引き込みについて説明しておく。引込用キャパシタ105,106,107のインピーダンス(容量リアクタンス)Zは、下記式1によって表される。
Z=1/(jωC) …式1
ここで、前記式1中の「j」は虚数単位を表し、「ω」はキャパシタを通過するノイズ成分(電流)の周波数を表し、「C」は各引込用キャパシタ105,106,107に設定される電気容量(キャパシタンス)である。
前記式1によれば、例えば、電源(電力)の周波数である50Hz又は60Hzに比べてノイズ成分の周波数が10KHz程度の高周波であれば、負荷25に電力を供給する電源回路において電気容量Cが大きいほど、ノイズ成分(電流)が流れ易くなる。従って、電気容量Cが100μF程度に設定される引込用キャパシタ105,106,107は、電源回路中に存在して数μF程度の最大電気容量C0を有する制御用キャパシタのよりも、ノイズ成分(電流)が流れ易くなる。換言すれば、供給線26,27,28を流れるノイズ成分(電流)は、優先的に、引込用キャパシタ105,106,107によって引き込まれる。
このように、引込用キャパシタ105,106,107のノイズ成分の引き込み易さは、引き込み対象となるノイズ成分のノイズ周波数ω、即ち、低減したい不快な騒音の起因となるノイズ周波数ωと、電気容量Cと、によって決定される。従って、本実施形態においては、例えば、ノイズ成分のノイズ周波数ωが10KHzまでの周波数範囲、10KHz〜15KHzの周波数範囲、及び、15KHzから20KHzの周波数範囲にあるノイズ成分を選択的に引き込むように、引込用キャパシタ105,106,107の電気容量Cが決定される。具体的に、引込用キャパシタ107、引込用キャパシタ106、引込用キャパシタ105の順で電気容量Cが大きくなるように決定される。
これにより、本実施形態においては、例えば、引込用キャパシタ105は10KHzまでの周波数範囲のノイズ周波数ωを有するノイズ成分を優先的に引き込む。又、引込用キャパシタ106は10KHz〜15KHzの周波数範囲のノイズ周波数ωを有するノイズ成分を優先的に引き込む。更に、引込用キャパシタ107は15KHzから20KHzの周波数範囲のノイズ周波数ωを有するノイズ成分を優先的に引き込む。尚、これらの周波数範囲は後述する判別部114がノイズ周波数ωの判別に用いる判別用周波数範囲R1,R2,R3に相当する。
接続線101には、引込用キャパシタ105よりも下流側、即ち、接続線104側に、消費回路としての抵抗回路108が設けられる。接続線102には、引込用キャパシタ106よりも下流側、即ち、接続線104側に、消費回路としての抵抗回路109が設けられる。接続線103には、引込用キャパシタ107よりも下流側、即ち、接続線104側に、消費回路としての抵抗回路110が設けられる。消費回路としての抵抗回路108,109,110は、引込用キャパシタ105,106,107によって引き込まれ、且つ、引込用キャパシタ105,106,107を通過したノイズ成分(電流)が有する電気エネルギーを他のエネルギーに変換して消費する。抵抗回路108,109,110は、ノイズ成分(電流)が有する電気エネルギーを熱エネルギーに変換して消費する。
接続線101には、引込用キャパシタ105よりも上流側にスイッチ111が設けられる。接続線102には、引込用キャパシタ106よりも上流側にスイッチ112が設けられる。接続線103には、引込用キャパシタ107よりも上流側にスイッチ113が設けられる。スイッチ111,112,113は、後述する制御部115によって閉状態と開状態とに切り替えられる。スイッチ111は、閉状態において引込用キャパシタ105に対してノイズ成分を供給し、開状態においてノイズ成分の引込用キャパシタ105への供給を遮断する。スイッチ112は、閉状態において引込用キャパシタ106に対してノイズ成分を供給し、開状態においてノイズ成分の引込用キャパシタ106への供給を遮断する。スイッチ113は、閉状態において引込用キャパシタ107に対してノイズ成分を供給し、開状態においてノイズ成分の引込用キャパシタ107への供給を遮断する。尚、スイッチ111,112,113は、通常時において開状態を維持する常開のスイッチである。
ノイズ除去回路100は、図2に示すように、判別部114、制御部115及び操作部116を備えている。判別部114は、スイッチ111,112,113の上流側にて接続線101,102,103にそれぞれに接続されており、接続線101,102,103を介して供給線26,27,28におけるノイズ成分を取得する。そして、判別部114は、取得したノイズ成分が有するノイズ周波数ωと、ノイズ成分を除去するか否かを判定するために予め設定された判別用周波数範囲R1,R2,R3と、を比較し、ノイズ周波数ωが判別用周波数範囲R1,R2,R3の何れかに存在する場合、供給線26,27,28におけるノイズ成分を除去すべきと判別する。尚、判別部114は、ノイズ周波数ωを判別するため、例えば、周知のスペクトラムアナライザを主体に構成されており、スペクトラムアナライザによってノイズ周波数ωを分析するようになっている。ここで、判別用周波数範囲R1は10KHzまでの周波数範囲であり、判別用周波数範囲R2は10KHz〜15KHzの周波数範囲であり、判別用周波数範囲R3は15KHzから20KHzの周波数範囲に設定される。
制御部115は、マイクロコンピュータ及び制御IC(何れも図示省略)を主要構成部品とするものであり、ノイズ除去回路100の作動を統括的に制御するものである。制御部115は、判別部114と接続されており、判別部114から判別結果を表す判別結果信号を取得するようになっている。制御部115は、取得した判別結果信号によって表される判別結果に応じて、ノイズ成分を除去するとの判別結果である場合には、スイッチ111,112,113のうちの何れかを開状態から閉状態に切り替える。
操作部116は、制御部115に接続されており、利用者による外部入力を許容するものである。操作部116は、例えば、タッチパネル機能を有した液晶パネルを有しており、判別部114が判別に利用する上述の三つの判別用周波数範囲R1,R2,R3の選択を可能としている。従って、操作部116を用いて利用者が不快な騒音を低減させるために所望の判別用周波数範囲R1,R2,R3が選択されると、操作部116は選択された判別用周波数範囲R1、判別用周波数範囲R2及び判別用周波数範囲R3の何れかを表す選択信号を制御部115に出力する。制御部115は、操作部116から取得した選択信号を外部入力として判別部114に出力する。これにより、判別部114は、外部入力された選択信号を取得し、ノイズ周波数ωを判別する際には取得した選択信号によって表される判別用周波数範囲R1、判別用周波数範囲R2及び判別用周波数範囲R3の何れかを設定して判別する。
このように構成されたノイズ除去回路100においては、例えば、利用者が操作部116を利用して10KHzまでの判別用周波数範囲R1を選択した場合、制御部115は、判別部114に供給線26,27,28を流れる電力に10KHzまでのノイズ成分が重畳されているか否かを判別させる。判別部114は、操作部116から取得した判別用周波数範囲R1と、接続線101,102,103を介して供給線26,27,28から取得したノイズ周波数ωと、を比較し、取得したノイズ周波数ωが判別用周波数範囲R1内に存在している場合、制御部115にノイズ成分を除去するとの判別結果信号を供給する。
制御部115においては、判別部114から取得した判別結果信号に応じて、10KHzまでのノイズ周波数ωを有するノイズ成分を除去するために、スイッチ111,112,113のうちの少なくとも二つ、例えば、スイッチ111,112を閉状態に切り替える。ここで、引込用キャパシタ105の電気容量Cは、10KHzまでのノイズ周波数ωを有するノイズ成分を優先して引き込むように、引込用キャパシタ106,107の電気容量Cよりも大きくなるように設定されている。従って、スイッチ111,112が閉状態に切り替えられることにより、接続線101,102及び接続線104を介してノイズ成分が引込用キャパシタ105によって引き込まれる。そして、引込用キャパシタ105によって引き込まれたノイズ成分(電流)は、抵抗回路108によって電気エネルギーの一部が熱エネルギーに変換されて減衰し、例えば、接続線102を介して供給線27に流れる。尚、10KHzまでのノイズ周波数ωを有するノイズ成分は、引込用キャパシタ105の電気容量Cが大きいので、再び、接続線101を介して引込用キャパシタ105によって引き込まれる。
このように、ノイズ成分は、引込用キャパシタ105,106,107によって繰り返し引き込まれてノイズ除去回路100内を周回する。従って、電力に重畳されたノイズ成分は、下流側の負荷25に流れることが抑制される。その結果、電力に重畳されたノイズ成分に起因して負荷25から不快な騒音が発せられることが抑制される。
以上の説明からも理解できるように、本実施形態のノイズ除去回路100は、電力を供給する供給源としての分散型電源システム10(燃料電池11及び系統電源20)と負荷25との間に配置されて、分散型電源システム10から供給される電力に重畳されたノイズ成分を除去するノイズ除去回路である。供給源としての分散型電源システム10は、直流電力を発電する発電装置である燃料電池11と、燃料電池11からの直流電力を交流電力に変換し、交流の系統電源20の複数相に対応する複数の供給線26,27,28の何れかに出力するインバータ13と、系統電源20とインバータ13との間に配設された常開型の系統連携用リレーである解列リレー15と、解列リレー15の開閉を制御する制御装置16と、を備える。
ノイズ除去回路100は、分散型電源システム10(燃料電池11及び系統電源20)から負荷25に電力を供給する複数の供給線26,27,28のうち互いに異なる供給線の間、具体的に供給線26と供給線27、供給線26と供給線28又は供給線27と供給線28をそれぞれ接続する接続線101,102,103及び接続線104と、複数の接続線101,102,103のそれぞれに設けられ、分散型電源システム10及び負荷25に存在する制御用キャパシタであるキャパシタ14c,25aの最大電気容量C0よりも大きな電気容量Cを有し、電源に重畳されたノイズ成分を供給線26,27,28から引き込む引込用キャパシタ105,106,107と、を備える。
これによれば、ノイズ除去回路100は、分散型電源システム10及び負荷25に設けられた制御用キャパシタ14c,25aの最大電気容量C0よりも大きな電気容量Cを有する引込用キャパシタ105,106,107を備えることができる。即ち、引込用キャパシタ105,106,107は、分散型電源システム10から負荷25までを含む電気回路全体において、最も大きな電気容量Cを有することができる。
電力に重畳されて電源の周波数(50Hz又は60Hz)に比べて高い周波数(10Khz前後)を有するノイズ成分は、前記式1から明らかなように、引込用キャパシタ105,106,107に流れ込み易くなる。従って、引込用キャパシタ105,106,107は、分散型電源システム10と負荷25とを接続する供給線26,27,28を流れる電力に重畳されたノイズ成分を接続線101,102,103を介して供給線26,27,28から引き込むことができ、負荷25に流れるノイズ成分を除去することができる。従って、供給線26,27,28上におけるノイズ成分は、引込用キャパシタ105,106,107に引き込まれるので、負荷25に流れることが抑制される。その結果、ノイズ成分に起因して、一つの負荷25又は複数の負荷25の組み合わせにより、不快な騒音が発生することを効果的に抑制することができる。
この場合、ノイズ除去回路100は、供給線26,27,28における引込用キャパシタ105,106,107よりも下流側に、ノイズ成分が有する電気エネルギーを他のエネルギーである熱エネルギーに変換して消費する消費回路としての抵抗回路108,109,110を設けることができる。
これによれば、引込用キャパシタ105,106,107が供給線26,27,28から引き込んだノイズ成分が抵抗回路108,109,110に流れることにより、ノイズ成分が有する電気エネルギーを熱エネルギーに変換して消費することができる。従って、ノイズ成分がノイズ除去回路100を周回することによって負荷25に流れることを抑制することができるとともに、ノイズ成分を減衰させて除去することができる。
又、これらの場合、ノイズ除去回路100は、接続線101,102,103における引込用キャパシタ105,106,107よりも上流側に、引込用キャパシタ105,106,107にノイズ成分を通過させる閉状態とノイズ成分の引込用キャパシタ105,106,107への通過を遮断する開状態とを切り替えるスイッチ111,112,113を設けることができる。
これによれば、スイッチ111,112,113が開状態から閉状態に切り替えられることにより、ノイズ成分に引込用キャパシタ105,106,107を通過させることができる。これにより、自動的に、又は、利用者の要求に応じて手動により、ノイズ成分の除去の要否、即ち、騒音(ノイズ成分)のノイズ低減効果を切り替えることができる。又、例えば、ノイズ除去回路100を負荷25の側に設けた場合、負荷25の不使用に応じてスイッチ111,112,113を閉状態から開状態に切り替えることにより、引込用キャパシタ105,106,107に蓄電された電力(電気エネルギー)を短時間のうちに負荷25によって消費することができる。従って、利用者の安全を確保することができる。
又、この場合、ノイズ除去回路100は、接続線101,102,103におけるスイッチ111,112,113よりも上流側に接続されて、ノイズ成分が有するノイズ周波数ωを取得するスペクトラムアナライザを有し、取得したノイズ周波数に応じてノイズ成分を除去するか否か判別する判別部114と、判別部114による判別結果に応じてスイッチ111,112,113の閉状態と開状態とを切り替える制御部115と、を備えることができる。
これによれば、判別部114は、ノイズ成分を有し、負荷25が発生する騒音の起因となるノイズ周波数ωに応じて、ノイズ成分を除去するか否かを判別することができる。そして、制御部115は、判別部114による判別結果に応じてスイッチ111,112,113の何れかを開状態から閉状態に切り替えられることができる。これにより、利用者にとって不快なノイズ成分を選択的に引込用キャパシタ105,106,107に引き込ませることができる。従って、ノイズ除去回路100は、利用者にとって不快な騒音の起因となるノイズ成分が負荷25に流れることを確実に抑制することができる。
この場合、ノイズ除去回路100は、判別部114がノイズ周波数ωを判別するための判別用周波数範囲R1,R2,R3を入力する操作部116を備えており、判別部114は、判別用周波数範囲R1,R2,R3の何れかとノイズ周波数ωとを比較し、ノイズ周波数ωが判別用周波数範囲R1,R2,R3の何れかの周波数範囲内に存在する場合にノイズ成分を除去すると判別し、制御部115は、判別部114によるノイズ成分を除去するとの判別結果に応じてスイッチ111,112,113を選択的に閉状態に切り替えることができる。
これによれば、利用者は、操作部116を利用して、自身が不快に感じる騒音の起因となるノイズ成分のノイズ周波数ωを任意に選択して入力することができる。従って、ノイズ除去回路100は、利用者にとって不快な騒音の起因となるノイズ成分が負荷25に流れることを確実に抑制することができ、負荷25において不快な騒音が発生することをより確実に抑制することができる。
(実施形態の第一変形例)
上記実施形態においては、ノイズ除去回路100の操作部116を介して外部入力された判別用周波数範囲R1,R2,R3の何れかに存在するノイズ周波数ωを有するノイズ成分を除去するようにした。ところで、年齢、性別等により、利用者が不快感を覚える騒音の周波数(ノイズ周波数ω)や騒音の大きさは異なる。従って、判別用周波数範囲R1,R2,R3の何れかに存在するノイズ周波数ωを有するノイズ成分のノイズ低減効果を変更するようにすることも可能である。以下、この第一変形例を具体的に説明する。
この第一変形例においては、利用者は、操作部116を介して、図3に示すように、判別用周波数範囲R1,R2,R3の何れかを選択するとともに、選択した判別用周波数範囲R1,R2,R3の何れか(即ち、ノイズ周波数ω)におけるノイズ低減効果の組み合わせを選択する。制御部115は、操作部116から利用者によって選択されて外部入力された判別用周波数範囲R1,R2,R3及び低減効果を表す選択信号を取得する。制御部115は、選択信号を上記実施形態と同様に、選択信号を判別部114に供給する。これにより、判別部114は、選択信号に含まれる判別用周波数範囲R1,R2,R3の何れかを用いて、上記実施形態と同様に、ノイズ周波数ωを有するノイズ成分の除去要否を判別し、判別結果信号を制御部115に供給する。
制御部115においては、操作部116から取得した選択信号及び判別結果信号に基づき、スイッチ111,112,113の開閉を制御する。この場合、制御部115は、判別結果信号に基づき、スイッチ111,112,113のうちから開閉を制御するスイッチ(以下、制御対象スイッチKと称呼する。)を選択するとともに、選択信号に含まれるノイズ低減効果に応じて、例えば、制御対象スイッチKにおける開閉時間を変更する。具体的に、利用者によってノイズ低減効果が「大」に選択された場合、制御部115は、制御対象スイッチKを閉状態に切り替えた状態を維持する。又、利用者によってノイズ低減効果が「小」に選択された場合、制御部115は、制御対象スイッチKの開閉を短い時間間隔により切り替える。更に、利用者によってノイズ低減効果が「中」に選択された場合、制御部115は、ノイズ低減効果が「小」に選択された場合における制御対象スイッチKの開閉を切り替える時間間隔に比べて、制御対象スイッチKの開閉を長い時間間隔により切り替える。
このように、制御部115が制御対象スイッチKの開閉を制御することにより、電力に重畳されたノイズ成分のノイズ低減効果を、利用者の好みに応じて適切に変更することができる。その他の効果については、上記実施形態と同様の効果が得られる。
(上記実施形態の第二変形例)
上記実施形態においては、供給線26,27,28に接続された接続線101,102,103のそれぞれに抵抗回路108,109,110及びスイッチ111,112,113を設けるようにした。これにより、スイッチ111,112,113が閉状態に切り替えられると、ノイズ成分が引込用キャパシタ105,106,107に引き込まれ、抵抗回路108,109,110によってノイズ成分が有する電気エネルギーが熱エネルギーに変換されるようにした。又、上記実施形態においては、接続線101,102,103が接続線104によって互いに接続されるようにした。これにより、接続線101,102,103及び接続線104は、供給線26,27,28のうち互いに異なる供給線の間を接続するようにした。
ところで、供給線26,27,28を流れるノイズ成分は、ノイズ除去回路100内を常に繰り返し周回することによっても、負荷25に供給されることが抑制される。このため、第二変形例においては、図4に示すように、抵抗回路108,109,110及びスイッチ111,112,113を省略する。そして、第二変形例においては、例えば、引込用キャパシタ105を有する接続線101が供給線26と供給線27とを接続し、引込用キャパシタ106を有する接続線102が供給線27と供給線28とを接続し、引込用キャパシタ107を有する接続線103が供給線26と供給線28とを接続するようにする。尚、この第二変形例においては、判別部114、制御部115及び操作部116を省略することができる。
このように、接続線101,102,103がそれぞれ供給線26,27,28に接続されることにより、引込用キャパシタ105,106,107は、常に、供給線26,27,28を流れるノイズ成分を引き込み、ノイズ除去回路100内を周回させておくことができる。従って、この第二変形例においても、ノイズ除去回路100は、引込用キャパシタ105,106,107が供給線26,27,28を流れるノイズ成分を積極的に引き込むことができ、負荷25にノイズ成分が供給されることを効果的に抑制することができる。これにより、第二変形例においても、上記実施形態と同様に、ノイズ成分に起因して負荷25が不快な騒音を発生することを抑制することができる。
又、この第二変形例においては、ノイズ除去回路100の構成を簡略化することができ、小型化を達成することができる。このため、例えば、家屋や工場に設けられた配線用差込接続器(所謂、コンセント・プラグ)に接続されて複数の負荷25に電力を供給する電源タップにノイズ除去回路100を設けることも可能となる。尚、この場合、ノイズ除去回路100よりも上流側に遮断器(ブレーカ)を設け、電源タップが配線用差込接続器から取り外される際に、遮断器(ブレーカ)が開状態に切り替えられることが好ましい。遮断器(ブレーカ)が開状態に切り替えられることにより、引込用キャパシタ105,106,107に蓄えられた電気エネルギーが短時間のうちに負荷25によって消費される。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び上記各変形例に限定されることはなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態及び上記第一変形例においては、電気エネルギーを熱エネルギーに変換して消費する消費回路として抵抗回路108,109,110を設けた。これに代えて、例えば、電気エネルギーを熱エネルギー及び音エネルギーに変換して消費する消費回路としてコイルを備えた電気回路を設けることも可能である。この場合には、コイルは、ノイズ成分が有する電気エネルギーの一部を熱に変換して消費し、電気エネルギーの一部を電磁波に変換して消費し、電気エネルギーの一部を音に変換して消費することができる。尚、この場合、変換された電磁波はノイズ除去回路100の周囲を遮蔽部材で囲むことにより吸収される。又、変換された音はノイズ除去回路100の周囲を遮音部材で囲むことにより吸収される。
又、電気エネルギーを運動エネルギーに変換して消費する消費回路としてピエゾ素子を備えた電気回路やモータを作動させる電気回路を設けることも可能である。この場合には、ピエゾ素子は、ノイズ成分が有する電気エネルギー(電圧)を力(圧力)に変換して消費することができる。又、モータは、ノイズ成分が有する電気エネルギーを回転に変換して消費することができる。
又、上記実施形態及び第一変形例においては、判別部114がスペクトラムアナライザを主要構成部品として構成されるようにした。負荷25において発生する不快な騒音は、電流に重畳されたノイズ成分であるので、判別部114が電流をフーリエ解析することにより、ノイズ周波数ωを判別することも可能である。
又、上記第一変形例においては、制御部115がスイッチ111,112,113の開閉を繰り返す時間間隔を変更することにより、低減効果を変更するようにした。これに代えて、制御部115が引込用キャパシタ105,106,107の電気容量Cを変更するようにすることも可能である。この場合には、引込用キャパシタ105,106,107として、空気圧に依存して誘電率が変化して電気容量Cを変更することができるキャパシタが用いられる。そして、このような引込用キャパシタ105,106,107を用いた場合には、例えば、ノイズ低減効果が大の場合には電気容量Cが大きくなるように変更され、ノイズ低減効果が小の場合には電気容量Cが小さくなるように変更される。従って、この場合においても、上記第一変形例と同様の効果が得られる。
又、上記実施形態及び上記各変形例においては、供給源が分散型電源システム10(燃料電池11及び系統電源20)であるとし、供給線26,27,28を介して負荷25に電力が供給される場合を説明した。この場合、供給源が、例えば、制御装置であり、供給線26,27,28を介して負荷25に制御用の電気信号が供給される場合であっても、上記実施形態及び上記各変形例と同様に、ノイズ除去回路100は、引込用キャパシタ105,106,107が電気信号に重畳されたノイズ成分を引き込むことができる。従って、この場合においても、上記実施形態及び上記各変形例と同様の効果が期待できる。
更に、上記実施形態及び上記各変形例においては、接続線101,102,103に引込用キャパシタ105,106,107を設けるようにした。これに代えて、接続線101,102,103を同軸ケーブルのように表面積を増やした電線を用いて構成することができる。この場合、交流電流に重畳したノイズ成分のノイズ周波数ωが高周波になる程、表皮効果が発生し、ノイズ成分は電線の中心部ではなく外側を流れ易くなる。従って、この場合には、引込用キャパシタ105,106,107の電気容量Cを小さくしたり、省略したりした場合であっても、供給線26,27,28を流れるノイズ成分を引き込むことができ、その結果、上記実施形態及び上記各変形例と同様の効果が期待できる。