JP2018194656A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】潤滑剤の漏れを低減するとともに、定着部材の内周面とニップ形成部材の摺動面との間の摺動負荷の増加を防止する定着装置を提供すること。【解決手段】定着装置は、回転可能な無端状の定着部材と、定着部材の内側に配置され、定着部材を加熱する熱源と、定着部材の内周面に摺接可能に配置されたニップ形成部材11と、ニップ形成部材11と当接し、定着部材との間にニップ部を形成する加圧部材と、を備える。ニップ形成部材11は、定着部材の内周面と摺接する摺動層15を備え、摺動層15は、温度上昇によって膨張する材料を用い、定着部材の軸に垂直である短手方向に厚さが異なる部分が交互に配置され、熱源により定着部材が加熱されていないときには、定着部材の内周面と摺接する摺動面が平坦であり、熱源により定着部材が加熱されると、材料が膨張して(摺動層の熱膨張分17)、摺動面に凹凸が生じる。【選択図】図9

Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
画像形成装置において、未定着トナー画像を定着させるための定着装置の一例として、ベルト方式が知られている。ベルト方式の定着装置は、無端状の定着ベルト(定着部材)と加圧部材とを当接させてニップ部を形成し、ニップ部において未定着トナーを記録材に定着させる。また、定着装置は、定着ベルトの内側に、定着ベルトを加熱するヒータと、定着ベルトを介して加圧部材と当接しニップ部を形成するニップ形成部材とを備える。
上述した定着装置の構成例では、定着ベルトの内周面と、ニップ形成部材とは摺動しているため、摺動抵抗が生じる。摺動抵抗を低減するため、ニップ形成部材が定着ベルトと摺動する摺動面には摺動層が設けられる。摺動層は、低摩擦材料を摺動面に塗布することにより形成される。加えて、摺動性を向上させるため、摺動面と内周面との間に潤滑剤を塗布し、摺動トルクを低減する。
しかし、潤滑剤は、定着装置(ユニット)の平行度、定着部材と加圧部材との平行度、ニップ部の圧力偏差等により、定着部材の端部へ移動し、定着部材の端部から漏れることがあるという問題があった。また、潤滑剤の漏れにより、定着部材の内周面の潤滑剤が枯渇すると、定着部材の内周面とニップ形成部材の摺動面との間の摺動負荷が増大し、定着装置の駆動回転トルクが上昇する等の不具合が発生するという問題があった。
上述した問題に関して、例えば、特許文献1には、ニップ形成部材(押圧部材)の基部の定着ベルトに当接される面に、凹部と凸部とを形成し、凹部及び凸部が形成された表面を低摩擦材料でほぼ等厚に被覆する摺動層を形成し、凹部に潤滑剤を保持する技術が開示されている。
また、特許文献2には、摺動シートに関して、単一樹脂からなり、シート面内の位置に応じて実質的に厚い部分と薄い部分を繰り返し有し、各薄い部分は、樹脂の無端ベルトに接すべき摺動面を局所的に除去して形成された凹部を有する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2の技術では、定着部材と摺動する摺動面に凹凸を形成しているため、定着装置の立ち上げの開始時に、潤滑剤が温まっていない状態において、定着ベルトの内周面の磨耗が生じ、摩耗粉が潤滑材に混入することにより、摺動負荷が増加するという問題が生じる。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、潤滑剤の漏れを低減するとともに、定着部材の内周面とニップ形成部材の摺動面との間の摺動負荷の増加を防止する定着装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は、回転可能な無端状の定着部材と、前記定着部材の内側に配置され、前記定着部材を加熱する熱源と、前記定着部材の内周面に摺接可能に配置されたニップ形成部材と、前記定着部材を介して前記ニップ形成部材と当接し、前記定着部材との間にニップ部を形成する加圧部材と、を備える定着装置であって、前記ニップ形成部材は、前記定着部材と対向する面に、前記定着部材の内周面と摺接する摺動層を備え、前記摺動層は、温度上昇によって膨張する材料を用い、前記定着部材の軸に垂直である短手方向に厚さが異なる部分が交互に配置され、前記熱源により前記定着部材が加熱されていないときには、前記定着部材の内周面と摺接する摺動面が平坦であり、前記熱源により前記定着部材が加熱されると、前記材料が膨張して、前記摺動面に凹凸が生じることを特徴とする。
本発明によれば、潤滑剤の漏れを低減するとともに、定着部材の内周面とニップ形成部材の摺動面との間の摺動負荷の増加を防止する定着装置および画像形成装置を提供することができる。
本発明の実施形態にかかる画像形成装置の概略構成図である。 一実施形態にかかる定着装置の構成例を示す概略断面図である。 一実施形態にかかる定着装置の他の構成例を示す概略断面図である。 一実施形態にかかる定着装置のさらに他の構成例を示す概略断面図である。 図3の定着装置のステー部材の構成例を示す概略斜視図である。 図3の定着装置のニップ形成ユニットの構成例を示す概略斜視図である。 図3の定着装置のヒータの構成例を説明する図である。 図3の定着装置のヒータの長手方向の位置関係、および端部温度検知手段の配置例を説明する図である。 ニップ形成部材に摺動層または摺動部材を設けた構成例を説明する部分断面図であり、(a)は従来の摺動部材、(b)は従来の摺動層、(c)は一実施形態の摺動層、を設けた場合である。 従来のニップ形成部材、熱移動補助部材および摺動層の構成例を説明する部分断面図であり、(a)、(b)は、熱移動補助部材の表面に凸部を設けた例であり、(c)、(d)は、熱移動補助部材の表面に凹部を設けた例である。 一実施形態のニップ形成部材、熱移動補助部材および摺動層の構成例を説明する部分断面図であり、(a)、(b)は、熱移動補助部材の表面に凸部を設けた例であり、(c)、(d)は、熱移動補助部材の表面に凹部を設けた例である。 一実施形態の摺動層の厚さが異なる部分について説明する図であり、(a)は、ニップ形成部材の長手方向および短手方向に対し、(b)は、ニップ形成部材の短手方向に対し、摺動層の厚みの厚い部分と薄い部分とを交互に設けた例である。
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略または簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明を省略する。
以下では、まず一実施形態の定着装置を搭載する画像形成装置、および定着装置の構成例を説明し、次に一実施形態の定着装置が備える摺動層の特徴について、説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる画像形成装置の概略構成を説明する図である。
図1に示した画像形成装置100は、複数の色画像を形成する作像部がベルトの展張方向に沿って並置されたタンデム方式のカラープリンタある。だが、本発明はこの方式に限られず、またプリンタだけではなく複写機やファクシミリ装置などを対象とすることも可能である。
画像形成装置100は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkを並設したタンデム構造が採用されている。
画像形成装置100では、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、各感光体ドラムに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトである中間転写体(以下、転写ベルトという)11に対して1次転写される。この1次転写行程の実行によってそれぞれの色の画像が重畳転写され、その後、記録シートなどが用いられる記録材Sに対して2次転写行程を実行することで一括転写される。
各感光体ドラムの周囲には、感光体ドラムの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されている。ブラック画像形成を行う感光体ドラム20Bkを代表として説明すると、感光体ドラム20Bkの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置30Bk、現像装置40Bk、1次転写ローラ12Bkおよびクリーニング装置50Bkが配置されている。帯電後に行われる書き込み光Lbを用いた書き込みには、光書き込み装置8が用いられる。
転写ベルト11に対する重畳転写では、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写される。このために、転写は、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対向して配設された1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成するための画像ステーションに備えられている。
画像形成装置100は、色毎の画像形成処理を行う4つの画像ステーションと、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkの上方に対向して配設され、転写ベルト11及び1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkを備えた転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする2次転写ローラ5と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11をクリーニングするベルトクリーニング装置13と、これら4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置8とを有している。
光書き込み装置8は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラーおよび偏向手段としての回転多面鏡などを装備している。光書き込み装置8は、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対して色毎に対応した書き込み光Lbを出射して感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに静電潜像を形成するよう構成されている。書き込み光Lbは、図1では、便宜上、ブラック画像の画像ステーションのみを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションも同様である。
画像形成装置100には、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkと転写ベルト11との間に向けて搬送される記録材Sを積載した給紙カセットとしてのシート給送装置61が設けられている。また、シート給送装置61から搬送されてきた記録材Sを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各感光体ドラムと転写ベルト11との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対4が設けられている。また、記録材Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知するセンサが設けられている。
また、画像形成装置100には、トナー像が転写された記録材Sにトナー像を定着させるためのローラ定着方式の定着ユニットとしての定着装置200と、定着済みの記録材Sを画像形成装置100の本体外部に排出する排出ローラ7が備えられている。また、画像形成装置100の本体上部には、排出ローラ7により画像形成装置100の本体外部に排出された記録材Sを積載する排紙トレイ17が備えられている。また、排紙トレイ17の下側には、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9C、9M、9Bkが備えられている。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkの他に、転写ベルト11が掛け回されている駆動ローラ72及び従動ローラ73を有している。
従動ローラ73は、転写ベルト11に対する張力付勢手段としての機能も備えており、このため、従動ローラ73には、バネなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkと、2次転写ローラ5と、クリーニング装置13とで転写装置71が構成されている。
シート給送装置61は、画像形成装置100の本体下部に配設されており、最上位の記録材Sの上面に当接する給送ローラ3を有している。給送ローラ3が図中反時計回りに回転駆動されることにより、最上位の記録材Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
転写装置71に装備されているクリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有している。クリーニング装置13は、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。
クリーニング装置13はまた、転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための排出手段を有している。
次に、一実施形態にかかる定着装置200として、定着装置200−1、200−2、200−3の三つの構成例を説明する。なお、以降の説明において、定着装置200−1、200−2、200−3それぞれを区別する必要がない場合には、定着装置200と記載する。
図2は、定着装置200−1の概略断面図である。
定着装置200−1は、回転可能な定着部材としての定着ベルト201と、これに対向配置されて回転可能な加圧部材としての加圧ローラ203とを有し、熱源としてのハロゲンヒータ202A、202Bからなる複数のヒータにより定着ベルト201が内周側から輻射熱で直接加熱される。このとき、図2の定着ベルト201内には、定着ベルト201を介して加圧ローラ203との間でニップ部Nを形成するニップ形成部材206があり、定着ベルト内面と直接または摺動シートを介して間接的に摺動するようになっている。2次転写ローラ5を通過した記録材Sは図2中、矢印の方向に搬送され、記録材S上のトナー像はニップ部Nにおいて加熱・加圧により定着される。
図2ではニップ部Nの形状が平坦状であるが、凹形状やその他の形状であっても良い。凹形状のニップ部の場合、記録材先端の排出方向が加圧ローラ寄りになり、分離性が向上するのでジャムの発生が抑制される。
定着ベルト201は、ニッケルやSUS(ステンレス鋼)などの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルトまたはフィルムで構成される。ベルトの表層はテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)層などの離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。ベルトの基材とPFAまたはPTFE層の間にはシリコーンゴムの層などで形成された弾性層があっても良い。シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、未定着画像を押し潰して定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の光沢ムラ(ユズ肌画像)が残るという不具合が生じ得る。これを改善するにはシリコーンゴム層を100[μm]以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形により、微小な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
定着ベルト201の内部にはニップ形成部材206とニップ部Nを支持するための支持部材としてのステー部材207を設け、加圧ローラ203により圧力を受けるニップ形成部材206の撓みを防止し、軸方向で均一なニップ幅を得られるようにしている。図2において、ステー部材207は、符号207a〜207fを用いて各部材を示しているが、全体を表すときには「ステー部材207」と記載する。後述する図3も同様である。
ステー部材207は両端部で保持部材としてのフランジに保持固定され位置決めされている。また、ハロゲンヒータ202A、202Bとステー部材207の間に反射部材209を備え、ハロゲンヒータ202A、202Bからの輻射熱などによりステー部材207が加熱されてしまうことによる無駄なエネルギー消費を抑制している。ここで反射部材209を備える代わりに、ステー部材207表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることが可能となる。
加圧ローラ203は芯金205に弾性ゴム層204があり、離型性を得るために表面に離型層(PFAまたはPTFE層)が設けてある。加圧ローラ203は、画像形成装置に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達され回転する。また、加圧ローラ203は、スプリングなどにより定着ベルト201側に押し付けられており、弾性ゴム層204が押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。加圧ローラ203は中空のローラであっても良く、加圧ローラ203にハロゲンヒータなどの加熱源を有していても良い。弾性ゴム層204はソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ203内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いても良い。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルトの熱が奪われにくくなるので、より望ましい。
定着ベルト201は加圧ローラ203により連れ回り回転する。図2の場合は加圧ローラ203が駆動源により回転し、ニップ部Nでベルトに駆動力が伝達されることにより定着ベルト201が回転する。定着ベルト201はニップ部Nで挟み込まれて回転し、ニップ部N以外では両端部でフランジにガイドされ、走行する。
上記のような構成により安価で、ウォームアップが速い定着装置を実現することが可能となる。
次に、定着装置の他の構成例を説明する。図3は、定着装置200−2の概略断面図である。
定着装置200−2は、定着ベルト201と、加圧ローラ203とを有し、複数の熱源としてのハロゲンヒータ202A、202Bにより定着ベルト201を内周側から輻射熱で直接加熱する。
定着装置200−2は、定着ベルト201の内側に、ニップ形成部材206、端部ヒータ226、熱移動補助部材216、およびステー部材207を有する。
図3中、図2と同じ符号の構成要素は定着装置200−1と同様であるため、適宜説明を省略する。
ニップ形成部材206は、加圧ローラ203に対向して配置される。
ステー部材207は、ニップ形成部材206を加圧ローラ203からの加圧力に対抗して保持する部材である。
熱移動補助部材216は、ニップ形成部材206および端部ヒータ226が定着ベルト201の内面に対向する面を覆う。
端部ヒータ226は、ニップ形成部材206の両端部に一体に設けられた端部熱源である。
ニップ形成部材206、熱移動補助部材216及びステー部材207は、いずれも定着ベルト201の軸方向(以下、「長手方向」と記載する)に延びる長さを有している。
なお、定着ベルト201の内側に配置される各部材については、図5乃至9を参照して後述する。
熱移動補助部材216は、ハロゲンヒータ202A、202Bによる定着ベルト201の加熱を拡散させる部材であるとともに、端部ヒータ226の熱が局所的に留まることを防止し、積極的に長手方向に熱を移動させて長手方向の温度不均一性を低減するために設けられている。このため、熱移動補助部材216は短時間で熱移動が可能な材料であることが望ましく、熱伝導率の高い銅やアルミニウム、銀といった部材であることが望ましい。コスト、入手性、熱伝導率特性、加工性を総合的に考慮すると、銅を用いることが特に望ましい。
定着装置200−2では、熱移動補助部材216の定着ベルト201の内面に対向する面は、定着ベルト201に接触する面であり、ニップ形成面となる。
ステー部材207は、ニップN側と反対側が起立した起立部を有した形状となっており、起立部を隔て、定着熱源としてのハロゲンヒータ202A、202Bが配置され、定着ベルト201は、ハロゲンヒータ202A、202Bにより内面側から輻射熱で直接加熱される。
図4は、定着装置200−3の概略断面図である。
定着装置200−3は、ハロゲンヒータ2本構成の構成例である。定着装置200−3は、2本のハロゲンヒータ202が反射部材209に囲まれている。このため、反射による輻射の減衰や、双方向矢印で示すように照射角が狭められることによる、加熱効率の低下に留意することが好ましい。ここで、照射角はハロゲンヒータ202からの輻射が定着ベルト201に直接当たる角度である。例えば、ハロゲンヒータ202の一方は、定着ベルト201の長手方向中央部を加熱する中央ヒータであり、他方は、定着ベルトの長手方向端部を加熱する端部ヒータである。
例えば、ノビ紙までの記録材幅での定着性を求められる場合には、長手方向端部を加熱する端部ヒータの発熱幅をノビ紙端部まで伸ばす必要があり、A3サイズ等の定型記録材に対しては定着ベルト201の端部過昇温が発生する。これを防止するためには回転可能な遮蔽部材を設けるなどの対策をとることが好ましい。
なお、一実施形態の定着装置は、上述した構成例に限られることはなく、例えば、熱源としてのハロゲンヒータが1本である場合であってもよい。
次に、図3の定着装置200−2に関して、定着ベルト201の内側に配置される各部材について、図5乃至8を参照して詳述する。以降の説明において、長手方向は、上述した通り、定着ベルト201の軸方向(軸に平行な方向)であり、短手方向は、軸に垂直な方向である。
図5は、図3の定着装置のステー部材の構成例を示す概略斜視図である。図5では、ステー部材207に加え、ヒータ202A、202Bの配置を示している。
図5を参照して、ステー部材207は、断面がそれぞれ略L字型の第1部材207Aと第2部材207Bからなる。第1部材207Aおよび第2部材207Bは、2本のハロゲンヒータ202A、202Bを仕切っており、ニップ形成部材206に固定されている。第1部材207Aおよび第2部材207Bはヒータの長手方向に直線的に延在しており、ステー部材207の断面は略T字型に構成されている。このように、2本のハロゲンヒータ202A、202Bを、ステー部材207を挟んだ上下の別々な領域に配置したことで、図4に示す構成例のようにヒータ点灯時に互いのガラス管を加熱することがないため、加熱効率が下がらない。
またハロゲンヒータ202A、202Bとステー部材207の間に反射部材209を備え、ハロゲンヒータ202A、202Bからの輻射熱などによりステー部材207が加熱されてしまうことによる無駄なエネルギー消費を抑制可能となる。ここで反射部材209を備える代わりに、ステー部材207表面に断熱もしくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることが可能となる。
なお、図2の定着装置のステー部材207は、図5に示すステー部材207と同様である。
図6は、図3の定着装置のニップ形成ユニットの構成例を示す概略斜視図である。ニップ形成ユニットは、ステー部材207、ニップ形成部材206、熱移動補助部材216および端部ヒータ226を含む構成である。
図6に示すように、ニップ形成部材206は、定着ベルト201と反対側の面がステー部材207の加圧ローラ203側の側面と接触し、一体化される。この際、ボスとピンなどの形状を備えて組み合わせるようにしても良い。
熱移動補助部材216は、直方体状のニップ形成部材206の定着ベルト201の内面に対向する面を覆うように嵌合されて一体化される。熱移動補助部材216とニップ形成部材206との一体構成は爪などを設けて噛み合わせれば良いが、接着等の手段を用いても良い。
ニップ形成部材206の長手方向の両端部には、段差部としての凹部206a、206bが形成され、凹部206a、206bには端部ヒータ226a、226bが収容され、固定されている。
熱移動補助部材216の加圧ローラ203に対向する面は、ニップ形成面216aとしてなるが、機械的強度上、実質的にニップ形成面となるのはニップ形成部材206の加圧ローラ203に対向する面206cである。
熱移動補助部材216は、銅やアルミニウムなどの熱伝導率の高い材料を用い、ハロゲンヒータ202A、202Bおよび端部ヒータ226a、226bの熱が局所的に留まることを防止し、積極的に長手方向に熱を移動させて長手方向の温度不均一性を低減している。
図7は、図3の定着装置の熱源としての複数のヒータの構成例を説明する図である。
図7に示すように、ハロゲンヒータ202Aは定着ベルト201の長手方向における中央部の配光分布が密なA4タテ等の小サイズ用紙対応のハロゲンヒータである。
ハロゲンヒータ202Bは、長手方向における両端部の配光分布が密なA3サイズ等の用紙に対応したハロゲンヒータである。
用紙Sが小サイズのときはハロゲンヒータ202Aのみが点灯され、長手方向端部の非通紙部が無駄に加熱されることや、連続通紙による端部の過昇温が防止される。
端部ヒータ226a、226bは、長手方向における加熱範囲の一部がハロゲンヒータ202Bの加熱範囲の同方向における端部と重なるように配置されている。換言すれば、端部ヒータ226a、226bは、ハロゲンヒータ202Bの用紙幅の最端部に対応する位置の配熱出力の低下を補完するように配置されている。
ここで、ハロゲンヒータ202Bおよび端部ヒータ226a、226bの配熱出力の詳細、および端部温度検知手段について、図8を参照して説明する。図8は、図3の定着装置のヒータの長手方向の位置関係、および端部温度検知手段の配置例を説明する図である。また、図8では、ハロゲンヒータ202B、端部ヒータ226b、端部温度検知手段として接触センサ236bを示して説明するが、端部ヒータ226a側についても同様である。
通常、ハロゲンヒータ202A、202Bはフィラメントの最端部まで、狙いの配熱量に対して100%の配熱出力はなされておらず、端部については熱量のダレで配熱出力が50%となるところまでを発熱部と定義するのが一般的である。また、端部ヒータ226a、226bもヒータ端部までは狙いの配熱量に対して100%の配熱出力はなされておらず、配線部の長手方向端部は配熱出力のダレが発生する。
このためハロゲンヒータ202A、202Bおよび端部ヒータ226a、226bの長手方向の境界部で配熱出力の落ち込みが発生すると、特にノビ紙等の定形サイズより幅が広い記録材の端部で定着不良が発生する可能性があるため、ハロゲンヒータ202A、202Bおよび端部ヒータ226a、226bの配熱出力が100%となる端部同士を長手方向の境界位置とすることが望ましい。
次に、端部温度検知手段について説明する。端部温度検知手段は、定着部材の温度を検知して、端部ヒータ226a、226bの温度を制御する部材であり、ここでは一例として、接触センサを用いて説明する。
端部温度検知手段は、接触方式のものが安価で精度が良いという利点があるが、接触位置に微細な摺動跡が発生し、対応する位置の画像に微小な光沢ムラ等の異常が発生することがあり、特にカラー画像出力機の定型サイズ幅内には接触式センサを用いないというユニット構成が主流になっている。
しかしながら、一実施形態の定着装置の構成では、端部ヒータ226a、226bは定型最大サイズ紙端部を加熱する画像ハロゲンヒータ202Bの更に外側(いわゆるノビ部)を加熱するための加熱部材である。
ノビ部の用途は、定型最大サイズ紙端部ぎりぎりまで作像したい場合の耳部であったり、印刷位置合わせに使われるトンボと呼ばれる線画像や、色確認のための小面積のベタパッチが作像される部分として使われ、最終媒体として切断される部分であることが多いために、接触式の端部温度検知手段の接触跡に発生する微小な光沢ムラ等は異常画像として顕在化しない。以上より、端部温度検知手段としての接触センサ236bは、最終画像として残る可能性が少ない、長手方向の定型最大サイズより外側で且つノビ紙最大幅より内側(図8中にWで示した幅)に設けることにより、精度良く温度検知が可能となると共に、安価で高精度な接触式サーミスタを用いることが可能となる。
上述した一実施形態にかかる定着装置は、図1に示すカラープリンタに限らず、モノクロ画像形成装置や、その他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機に搭載することが可能であり、搭載することで省エネ性に優れた画像形成装置が提供できる。
次に、定着ベルト201の内周面と、ニップ形成部材206または熱移動補助部材216との摺動に関連する問題点と、本発明にかかる定着装置が備える摺動層について説明する。
まず、問題点について、定着装置200−2の構成例を参照して説明する。
定着装置200−2において、熱移動補助部材216と、定着ベルト201の内面とは摺動しており、金属材料をそのまま定着ベルト201の内面と摺擦すると摩擦係数が大きく、定着装置の駆動回転トルクが上昇する等の不具合がある。このため、熱移動補助部材216は、定着ベルト201と対向するニップ形成面216a(図6参照)が平滑であることが望ましく、更に摺動性を高めるために摩擦係数を低減するような施しを行うことが望ましい。
摺動性を向上させるため、例えば、熱移動補助部材216のニップ形成面216aには、定着ベルト201との摺動抵抗を低減するための摺動層が設けられる。具体的には、摺動層として、PFAやPTFEのようなフッ素系の塗装やコーティングを施すことにより、耐熱性樹脂層を形成し、熱移動補助部材216と定着ベルト201の内面との摺動を良好に維持することを可能とする。
これは、定着装置200−1(図2)や定着装置200−3(図4)の構成例においても同様に、ニップ形成部材206の定着ベルト201側の表面に、摺動層を設けることができる。
加えて、さらに摺動性を向上させるために、摺動層と定着ベルト201の内面との間に潤滑材を塗布することによって、摺動トルクを低減することができる。潤滑剤の材料としては一般的に、耐熱性を有するふっ素系やシリコーン系のグリースやオイルが使われる。
潤滑剤は定着装置の平行度、定着部材と対向回転体の平行度、ニップ部の圧力偏差等により定着部材の端部へ移動し、定着部材の端部から漏れることがある。また、漏れることを前提として、予め多めに塗布するのが一般的であり、コスト上昇の一要因となっている。
また、潤滑剤の漏れにより、定着部材内部の潤滑剤が枯渇すると、定着部材内面と熱移動補助部材の間の摺動負荷が増大し、ユニットトルク上昇等の不具合が発生する。
潤滑剤の漏れを低減する技術としては、例えば、特許文献1の摺動層や、特許文献2の摺動シートが開示されている。しかし、これらの技術では、上述したように、潤滑剤が温まっていない状態において、定着ベルトの内周面の磨耗が生じると、摩耗粉が潤滑材に混入する。潤滑油は、液状である基油と固体である増ちょう成分に、摩耗粉が加わると、固体分が増えて増粘する。このため、摩耗粉が潤滑剤へ混入する割合(摩耗粉混入割合)が高くなるほど、潤滑剤の粘度が上昇する。その結果、定着部材の駆動トルクが上昇し、摺動負荷が増加するという問題が生じる。
そこで、一実施形態の定着装置では、ニップ形成部材が備える摺動層として、平坦な摺動面を形成し、加熱時には摺動層の熱膨張を利用して摺動面に凹凸を生じさせることによって、潤滑剤の漏れを低減するとともに、定着部材の内周面とニップ形成部材の摺動面との間の摺動負荷の増加を防止する定着装置を実現する。具体的には、摺動層は、温度上昇により膨張する材料を用い、定着部材の短手方向に厚さが異なる部分を交互に配置する。摺動層は、熱源により定着部材が加熱されていない冷間時(常温時)には、定着部材の内周面と摺接する摺動面が平坦であり、熱源により定着部材が加熱されると、材料の厚さに応じて膨張する大きさに差が生じ、摺動面に凹凸が生じるように形成する。
摺動層の異なる厚さ分布は、定着装置200−1、200−3のように、ニップ形成部材206の表面に摺動層が形成される場合には、ニップ形成部材206の定着ベルト側表面の凹凸によって作られる。また、定着装置200−2のように、ニップ形成部材206に熱移動補助部材216が配置される場合には、熱移動補助部材216の定着ベルト側表面の凹凸によって作られる。
摺動層の製造は、ニップ形成部材または熱移動補助部材の摺動層側表面に凹凸を形成し、摺動面側表面に摺動層となる材料を塗装する。必要に応じて、塗装後の表面を研磨して表面性を向上させてもよい。
熱源により定着ベルトを加熱していない冷間時、摺動層表面はフラットな面である。一方、定着ベルト加熱時、定着ベルトと当接している摺動層も昇温する。摺動層は昇温に伴って厚さ方向に熱膨張する。摺動層は厚い部分は薄い部分に比べ熱膨張が大きいため、加熱時は摺動層表面に凹凸が現れる。具体的には、厚い部分は薄い部分に対して凸、薄い部分は厚い部分に対して凹となって現れる。
摺動層は、少なくとも短手方向が異なる厚さになるように、異なる厚さの領域が交互に配置される。また、長手方向および短手方向に、厚い部分と薄い部分とが交互に配置されることが好ましい。
摺動層は、ニップ形成部材(または熱移動補助部材)の長手方向中央部より端部に向かって、厚い部分の比率を高くすることによって、加熱時の摺動層表面の凹部が中央部より端部に向かって少なくすることが好ましい。潤滑剤は、凹部を移動し易いため、中央部より端部に向かって流路が狭くなると、潤滑剤は中央部より端部に向かって移動し難くなるからである。
摺動層は、冷間時の摺動層表面は平滑であるため、定着ベルト内面を磨耗させることはない。一方、加熱時のように、フッ素グリースやシリコーンオイルなどの潤滑剤の流動性が増して移動し易くなる条件で、摺動層表面に凹凸が現れる。これにより、潤滑剤は、ニップ形成部材や熱移動補助部材の長手方向の中央部から端部に移動し難くなるため、端部からの潤滑剤の漏れを低減することができる。
なお、ニップ形成部材は、金属や樹脂などを用いることができるが、摺動層が膨張するときに、定着部材側(加圧ローラ側)に膨張させる材料(例えば、金属)を用いることが好ましい。これは、ニップ形成部材に弾性体を用いた場合、膨張した摺動層がニップ形成部材側に膨張することにより、弾性体が凹み、定着部材側に凸形状を形成することが困難になるからである。また、定着部材の熱の拡散を促すため、上述した熱移動補助部材と同様の材料を用いることが好ましい。
以下、図面を参照して、一実施形態の定着装置が備える摺動層について詳述する。
図9乃至11は、ニップ形成ユニットの一部分、具体的には、ニップ形成部材および摺動層または摺動部材(図9)、もしくは、ニップ形成部材、熱移動補助部材および摺動層(図10、11)の部分断面図を示し、ステー部材207を省略している。図9乃至11では、矢印の上に冷間時、矢印の下に加熱時における断面図を示し、冷間時の状態から、定着部材が熱源によって加熱されることにより、摺動層または摺動部材が膨張する状態例を表している。
図9は、ニップ形成部材に摺動層または摺動部材を設けた構成例を説明する部分断面図であり、(a)は従来の摺動部材、(b)は従来の摺動層、(c)は一実施形態の摺動層、を設けた場合である。
図9(a)は、樹脂のニップ形成部材21上に摺動部材25を設けた構成例である。摺動部材25は、凹凸感のあるシート状の摺動部材である。摺動部材の熱膨張分27は、加熱時に、ニップ形成部材21と摺動部材25との隙間(空間)および摺動面に、摺動部材25が膨張する状態を表す。
図9(b)は、樹脂のニップ形成部材31上に摺動層35を設けた構成例を示している。ニップ形成部材31は、定着部材側の表面に凸部が形成され、摺動層35は、ニップ形成部材31の表面の形状に沿って略等厚で被覆され、摺動面に凸部が表れている。摺動層の熱膨張分37は、加熱時に、摺動層35が摺動面側に膨張する状態を表す。
図9(a)、(b)では、冷間時、加熱時ともに摺動面に凹凸が存在する。
図9(c)は、ニップ形成部材11上に摺動層15を設けた構成例を示している。ニップ形成部材11は、定着部材側の表面に凹部が形成され、摺動層15は、ニップ形成部材11の表面に、摺動面が平坦になるように被覆される。摺動層の熱膨張分(膨張領域)17は、加熱時に、摺動層15が摺動面側に膨張する状態を表す。
ニップ形成部材11は、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、液晶ポリマー(LCP)等の耐熱樹脂である。
摺動層15は、PFAやPTFEのような離型性、摺動性の良い樹脂をベースとした材質である。
図9(c)では、ニップ形成部材11の定着部材側の表面に凹部が形成される例を示したが、凸部が形成される場合であってもよい。例えば、後述する図11に示す熱移動補助部材の定着部材側に形成した凹凸を、ニップ形成部材11に適用してもよい。摺動層15は、ニップ形成部材11表面に形成された凹凸に応じて、厚さが異なる部分が配置され、冷間時には、ニップ部側の表面は平坦となるように形成される。
なお、ニップ形成部材11は、上述した樹脂、または、熱移動補助部材と同様の金属などの材料を用いることができるが、樹脂を用いる場合には、摺動層が膨張するときに定着部材側(加圧部材側)に膨張するような材料であることが好ましい。これは、ニップ形成部材11に弾性体を用いる場合には、膨張した摺動層が弾性体側に膨張する(弾性体が凹む)と、摺動面に十分な凹凸が形成されず、潤滑剤を保持する機能が低下するからである。また、金属を用いる場合には、銅やアルミニウム、銀等の熱伝導率の高い材質が好ましい。
次に、図10、11を参照して、図3の定着装置200−2で説明した熱移動補助部材を備える構成例を用いて、一実施形態の摺動層について説明する。
図10は、従来のニップ形成部材、熱移動補助部材および摺動層の構成例を説明する部分断面図である。
樹脂のニップ形成部材31上に熱移動補助部材33を設け、熱移動補助部材33は金属の基材表面に樹脂の摺動層35を設けた構成である。
図10(a)、(b)は、熱移動補助部材33の表面に凸部を設けた例であり、図10(c)、(d)は、熱移動補助部材33の表面に凹部を設けた例である。また、図10(a)、(c)は、熱移動補助部材33がほぼ均一な厚さであり、ニップ形成部材31と熱移動補助部材33との間に空間がある例を示す。
熱移動補助部材33の基材表面には凹凸があり、摺動層35は、略等厚で構成されている。摺動層の熱膨張分37は、加熱時に、摺動層35が摺動面側に膨張する状態を表す。
図10(a)〜(d)では、冷間時と加熱時ともに、摺動層表面に熱移動補助部材33の凹凸に沿った凹凸が存在する。
図11は、一実施形態のニップ形成部材、熱移動補助部材および摺動層の構成例を説明する部分断面図である。
樹脂のニップ形成部材11上に熱移動補助部材15を設け、熱移動補助部材13は金属の基材表面に樹脂の摺動層15を設けた構成である。
図11(a)、(b)は、熱移動補助部材13の表面に凹部を設けた例であり、図11(c)、(d)は、熱移動補助部材13の表面に凸部を設けた例である。また、図11(a)、(c)は、熱移動補助部材13がほぼ均一な厚さであり、ニップ形成部材11と熱移動補助部材13との間に空間がある例を示す。
ニップ形成部材11はPPS、LCP等の耐熱樹脂である。
熱移動補助部材13の基材は銅やアルミニウム、銀等の熱伝導率の高い材質である。
摺動層15は、PFAやPTFEのような離型性、摺動性の良い樹脂をベースとした材質である。
冷間時、摺動層15表面はフラットな面である。熱移動補助部材13の基材の摺動層側表面に、摺動層15の厚さに応じた凹凸が形成されている。基材凹の部分に対応する摺動層15の厚みは厚く、基材凸の部分に対応する摺動層15の厚みは相対的に薄くなる。
加熱時、摺動層15は熱膨張する。摺動層の熱膨張分17は、加熱時に、摺動層15が摺動面側に膨張する状態を表す。摺動層15の厚い部分は薄い部分に対して熱膨張が大となる。摺動層15は基材側には膨張できないため、摺動層15の表面側(摺動面)にのみ凹凸として現れる。
なお、図11には表していないが、熱移動補助部材13の基材を柔らかい材質、例えばゴム材質である場合は、基材側にも摺動層15は熱膨張可能となる。
図12は、一実施形態の摺動層の厚さが異なる部分について説明する図である。図12では、摺動層を加圧ローラ側から見た平面図を示している。
図12(a)は、ニップ形成部材の長手方向および短手方向に対し、摺動層の厚みの厚い部分15aと薄い部分15bとを交互に設けた例である。
図12(b)は、ニップ形成部材の短手方向に対し、摺動層の厚みの厚い部分15aと薄い部分15bとを交互に設けた例である。ここでは、厚い部分15aと薄い部分15bは、長手方向に連続し、短手方向の長さが変化する領域を交互に設けている。
図12の(a)、(b)ともに、摺動層の厚みの厚い部分15aと薄い部分15bの比率は、ニップ形成部材の長手方向中央部に比べ、端部の方が厚い部分の比率を高くしている。
以上説明した通り、本発明にかかる定着装置200が備える摺動層15は、ニップ形成部材11または熱移動補助部材13の摺動層の厚さの異なる部分を、長手方向および短手方向に厚い部分と薄い部分が交互に配置、少なくとも短手方向に対し交互に配置し、冷間時の摺動面が平坦であり、加熱時に摺動面に凹凸が現れるように形成する。これにより、冷間時に定着ベルトの内周面の磨耗による摩耗粉の潤滑材への混入を防ぐとともに、加熱時には凹部に潤滑剤を保持して潤滑剤の漏れを低減する。
また、摺動層15の厚い部分と薄い部分の比率は、ニップ形成部材11または熱移動補助部材13の長手方向中央部に比べ、端部の方が厚い部分の比率を高くする。これにより、加熱時に現れる摺動層表面凹凸の凹部が、中央部より端部に向かって少なくなり、凹部を移動し易い潤滑剤は、中央部より端部に向かって流路が狭くなることで、端部に向かって移動し難くなるため、両端部からの潤滑剤の漏れを低減する。
このようにして、定着部材内面と摺動面との間の摺動負荷の増加を防止することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
200、200−1、200−2、200−3 定着装置
201 定着ベルト(定着部材)
202A,202B ハロゲンヒータ(熱源)
203 加圧ローラ(加圧部材)
11、206 ニップ形成部材
13、216 熱移動補助部材
15 摺動層
17 摺動層の熱膨張分(膨張領域)
特開2006‐047769号公報 特開2009‐15227号公報

Claims (9)

  1. 回転可能な無端状の定着部材と、
    前記定着部材の内側に配置され、前記定着部材を加熱する熱源と、
    前記定着部材の内周面に摺接可能に配置されたニップ形成部材と、
    前記定着部材を介して前記ニップ形成部材と当接し、前記定着部材との間にニップ部を形成する加圧部材と、を備える定着装置であって、
    前記ニップ形成部材は、前記定着部材と対向する面に、前記定着部材の内周面と摺接する摺動層を備え、
    前記摺動層は、温度上昇によって膨張する材料を用い、前記定着部材の軸に垂直である短手方向に厚さが異なる部分が交互に配置され、前記熱源により前記定着部材が加熱されていないときには、前記定着部材の内周面と摺接する摺動面が平坦であり、前記熱源により前記定着部材が加熱されると、前記材料が膨張して、前記摺動面に凹凸が生じることを特徴とする定着装置。
  2. 前記摺動層は、前記定着部材の軸に平行である長手方向に厚さが異なる部分が交互に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記摺動層は、前記長手方向の中央部より端部に、厚さが厚い部分が多くなるように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 前記ニップ形成部材は、前記摺動層側の面に凹凸を有し、
    前記摺動層は、前記凹凸に応じて、厚さが異なる部分が配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の定着装置。
  5. 前記ニップ形成部材は、前記熱源による前記定着部材の加熱を拡散させる材料により形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の定着装置。
  6. 前記ニップ形成部材は、前記摺動層側の面と前記摺動層との間に、前記熱源による前記定着部材の加熱を拡散させる熱移動補助部材を備え、
    前記熱移動補助部材は、前記摺動層側の面に凹凸を有し、
    前記摺動層は、前記凹凸に応じて、厚さが異なる部分が配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の定着装置。
  7. 前記摺動層の前記厚さが異なる部分は、長手方向および短手方向に、任意の間隔で交互に配置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の定着装置。
  8. 前記摺動層の前記厚さの異なる部分は、長手方向に連続し、かつ、短手方向の長さが変化する領域が、短手方向に交互に配置されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の定着装置を備える画像形成装置。
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